予算委員会 第3号
- 発言数
- 52 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1949/11/17
会議録
○植原委員長 会議を開きます。これより昭和二十四年度一般会計予算補正第一号、同特別会計予算補正特第一号、及び同政府関係機関予算補正機第一号の三案を一括して質疑に入ります。上林山榮吉君。 〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
○植原委員長 上林山榮吉君に発言を許しました。
○上林山委員 本年度の補正予算について、質問を試みたいと思います。 本年度補正予算は明年度予算と表裏一体をなすものであり、十五箇月計画の一環として見ねばならぬものであり、しかも国際的環境において審議をせねばならぬ重要な予算であると思うのでありますが、今その予算の特色を結論的に要約してみますと、予算編成の方法で、食管特別会計の増加運転資金を日銀の一時借入金に求めずに、一般会計の租税収入でまかなつておることであり、また経済の基本的條件となる米価、運賃引上げを一月より改訂して、一方においては物価水準の上昇を避けるために、年来の主張である取引高税、織物消費税の廃止をなし、物品税の減免などによりまして間接税を中心に減税を行い、もつて実質賃金を確保して、給與ベースを一時すえ置いたところにあると思われるのであります。特に本年度において勤労所得税五十六億六千万円余、取引高税九十二億五千万円余、織物消費税二十五億九千万円余、物品税二十三億八千万円余を含む二百億二百万円の減税、明年度において約七百億円の減税を合せて、合計九百億円の減税が実現し、また災害復旧費、戦災復興費、一般公共事業費、六・三制経費等が本年度において百六億円余、明年度において約一千億円が計上されて、有効需要の喚起に重点が置かれたことは、切実な国民の要望であつただけに、率直に敬意を表していい点であると思うのであります。そこでまず政府の見解を前提としてただしたいことは、大蔵大臣が十四日の記者団会見において、従来の予算はインフレ収束の予算であつたが、これからは復興予算に切りかえて行くと言い、伝え聞くところによると、ドツジ氏は日本経済を批評してインフレ収束の施策はすでに終つたので、今後は回復期に入るべきであると批評しておるのであります。これについて政府は具体的に国民に了解をせしむべきであると思うが、大蔵大臣はこれに対していかなる見解を持つておられるのであるか、この点をまずただしておきたいのであります。 〔「議事続行」と呼び、その他発言する者あり〕
○川崎委員 本日の本会議におきまして、財政演説に対するところの各党の代表質問が行われる予定になつております。従つて本予算委員会は本会議の審議を尊重いたしまして、昨日植原予算委員長からも御明言があり、速記録にも載つております通り、本会議の質疑が終つたる後において縦続すべきで、それまでこれを延期されたいという動議を提出いたします。 〔角田委員「委員長」と呼ぶ〕
○植原委員長 川崎君の動議についてでありますか。
○角田委員 そうです。
○植原委員長 角田君。
○角田委員 ただいまの動議に反対いたします。 〔稻村委員「委員長」と呼ぶ〕
○植原委員長 川崎君の動議に賛成意見を述べるのですか。
○稻村委員 そうです。 〔「その必要なし」と呼ぶ者あり〕
○植原委員長 いや、意見だけは聞きましよう。稻村君。
○稻村委員 本日の委員会は、今後におけるこの予算委員会の慣例をつくる上において、形式ではありますけれども、非常に重要だと思います。というのは、委員会が重点になつたと言いながら、本会議に一応かけたものがこちらにまわつて来ておるのであります。それは法律の上から申せば、それは單なる事務的な処理であつて、本会議を開かないでも、すでに委員会にまわつたのだから、そのまま用いても何らさしつかえないという見解もあるのでありますが、しかしたとい委員会に審議の重点が移つたといたしましても、本会議が最高の権威を持つておるということは、われわれは否定するわけには行かぬのであります。しかもその本会議でまだ質疑を開始されておらぬのであります。われわれは運営委員会において本会議の質疑をやるという決定をした以上は、われわれ委員会としては、その質疑を尊重するのがわれわれ委員会、委員の任務だと思う。そうでないと本会議が最高の機関であるということを無視し、あるいは軽視した形になると思うのであります。その意味から申しまして、時間的にわずかに早い、おそいの問題のようではありますけれども、しかし本会議の権威を尊重する意味におきまして、少くともここに本会議の質疑の始まる時間までは、われわれの委員会は審議を始めるべきではない。こういうような意見を持つておりますので、川崎君の意見に賛成なのであります。 〔風早委員「委員長」と呼ぶ〕
○植原委員長 風早君、反対の意見なんですか。
○風早委員 そうです。
○植原委員長 風早君。
○風早委員 川崎君の動議並びに稻村君の賛成意見に賛成であります。なおこれにつけては、これらの議事の運営を見ておりますと、明らかに多数党の威勢でもつて横暴をやつておる。これには絶対反対したい。
○植原委員長 即刻採決いたすべきでありますが、稻村君の御意見は昨日からの経過についての御意見もありますので、委員長より一応委員長の考えを申し上げたがよかろうと思います。 御承知のごとく、今日の国会法によりますれば、本会議と委員会と並行審議ができるわけであります。本会議の質疑がある程度進行しましたときに、なるべく委員会を開くことができればよろしいこととも考えられます。法律上の問題はとにかくといたしまして、形式上稻村君の御意見も一応首肯できるのであります。しかしながら御承知の通り、この議会は補正予算がほとんど中心となつて開かれた国会であると言つてもよろしいのであります。ことに来月の四日からは通常国会が開かれることはすでに決定いたしておる事項であります。実にこの会期は政府できめてある予定は今月の二十三日に限られておるわけであります。これを延期する——さようなことを今日予断することはいかがかと思いますが、多少延期できるものと予定いたしましても、この重要なるところの補正予算は徹底的に審議して、国民にすベての事情を知らしめることが、議員たるものの本義と思います。しかるに昨日のような、事のいずれにかかわらず、一日つぶれて、今日も予定の審議が行われないということで、またこの委員会が本会議の質問が終つてというようなことでありましたならば、ずいぶんこの審議が遅れることを考えなければなりません。法律上犯すことならですけれども、形式上のことなら御同様になるべく審議期間を延長いたしまして、議員として国民にこたえるべきことを忠実にいたすことがよろしいと委員長は考えまして、なるべく事を円滑にいたしたいと思いまして、理事会にかけて、どうか御相談して円満におやりくださるようにお願いいたしたのであります。しかるに理事の方々は委員長が懇請いたしましても、どうしてもこれに応ずることはできない。本会が済むまでは委員会を開かないというような川崎君の今の動議であります。結局多数横暴というよりは、この委員会としてできるだけ慎重審議して、国民の要望にこたえることの方を委員長は大切と考えますので、さように決定いたして審議を始めたのであります。しかるに動議が出た以上は、この動議の決定をすることが当然と思いますから、動議の採決に入ります。川崎君の動議に賛成の方の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○植原委員長 少数です。——大蔵大臣。 〔「緊急質問が出ておる。」と呼ぶ者あり〕
○池田国務大臣 上林山委員の御質問にお答えいたします。御説の通りに今回の予算は復興予算であることは本会議で申し上げた通りであります。具体的に申しますと、去る第五国会におきましてはインフレーシヨンを収束せしめるために、あらゆる手段をとつたのでありますが、その後のわが国の経済情勢は、われわれの予期いたしましたごとく、大体インフレーシヨンは安定のきざしが十分見えるようになつたのであります。まだ安心はできませんが、大体インフレーシヨンは収束し得ると考えてよい段階に相なつたのであります。従いまして、政府といたしましてはこの安定の上に、これからいよいよ復興に入りたいという念願のもとに、補正予算並びに来年度の計画を立てておるのであります。その内容について申しますならば、まず第一に有効需要を喚起すること、公共事業費についても大体昨年度の倍額を計上いたしておることによつてもわかるのであります。このことはこの国会を通じまして、十分各議員の方と政府とともに国民に了解され得るよう努めております。
○西村(榮)委員 予算委員長から当委員会の審議の方式について御発言がありましたが、昨日予算委員長の大体の方針として承りましたのは、昨日中に本会議における質問を終了して、しこうして本日予定通り予算委員会を進行するということであつたのであります。ところが委員長の予定並びに委員長のその方針を了解したわれわれが、議事運営方法について協力せんとするところの方針が狂つて来たのはどこにあつたかと申しますと、昨日吉田総理大臣が、一町の開会予定の会議に御出席にならなかつたことにあるのであります。その理由とするところは、渉外関係であると言われておるのでありますが、少くとも一国の総理大臣が渉外関係でお出向きになるときには、これは相当明らかにされておらなければならぬ。われわれの了解するところでは、五時半にマツカーサー元帥を御訪問なさつたということを新聞をもつてわれわれは知つております。しこうして一時の会議の予定から五時半まで、なぜ本会議にも御出席できないほどの重要な公務があつたかどうか、この点を明らかにしていただくことこそが、この予算委員会の議事を円満に遂行するゆえんではないか。従つてその間の時間はどう公務にお使いになつたか、お伺いいたします。
○植原委員長 上林山君の発言を許します。ただいまのことはここで答弁する必要なしと考えます。上林山榮吉君。 〔西村(榮)委員「この点を明らかにされる必要があるので……。」と呼ぶ〕
○植原委員長 西村君。上林山君に発言を許しました。 〔西村(榮)委員「継続中です。」と呼ぶ〕
○植原委員長 継続中ではありません。 〔西村(榮)委員「五時半からの行動は明らかになつておりますが、それまでの行動は明らかになつておらない。これは総理大臣の議会政治を軽視する……。」と呼ぶ〕
○植原委員長 西村君に発言を許しておりません。 〔西村(榮)委員発言を継続〕
○植原委員長 前の発言は切れております。前の発言を自由に続行することは、委員長の許可なくして発言の続行はできません。 〔西村(榮)委員なお発言を継続〕
○植原委員長 発言を中止いたします。 〔西村(榮)委員なお発言を継続〕
○植原委員長 西村君、それは本会議の問題であります。ここで答弁する問題ではありません。 〔西村(榮)委員なお発言を継続〕
○植原委員長 西村君に発言を許しておりません。 〔西村(榮)委員なお発言を継続〕
○植原委員 一旦中絶した西村君の発言は……。 〔西村(榮)委員なお発言を継続〕
○植原委員長 これは委員長の許しておらない発言であります。(笑声) 〔西村(榮)委員なお発言を継続〕
○植原委員長 西村君に発言を許しておりません。西村君に退場を命じます。——西村君に退場を命じます。 〔「委員長横暴」「休憩々々」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
○植原委員長 退場を命じます。西村君に退場を命じます。——退場を命じます。——退場を命じます。——退場の命令を聞かなければ執行を命じます。委員長の命令に従わなければ執行を命じます。 〔発言する者多く議場騒然〕
○植原委員長 上林山榮吉君。
○上林山委員 先ほど大蔵大臣は、インフレ収束の予算を復興予算に切りかえつつあると具体的な例を一、二示されたのでありますが、この問題については、これ以上追求しません。そこでこの一五箇月の予算が、日本経済座回復への橋渡しとなるためには、予算と歩調を合せた活発なるところの金融改革、あるいは滞貨などのない堅実な貿易振興対策、特に輸入食糧の増大から来る農村経済への影響等をいかにするかということが最も重大であるのでありますが、大蔵大臣及び通産、農林両大臣から、これに対する所見をただしたいのであります。
○池田国務大臣 お答え申し上げます。御質問のうち第一点の金融政策について所見を申し上げたいと思います。先ほどの御質問にもありましたように、補正予算におきましては、今年度当初予算の編成方針を持続いたしまして、一般会計並びに各種の会計につきまして絶対的均衡予算を維持して参つておるのであります。お話の食糧管理特別会計への百七十億円繰入れたのもこの趣旨によるのであります。わが国の財政は御承知の通りに非常に健全度を加えて参りました。例年ならば今ごろ大蔵省証券によつてまかなうのを常といたしておるのでありますが、本年の国庫の状況は非常によろしゆうございまして、大蔵省証券を発行しなければならないことに至つていないのであります。それどころか、今なお相当の金額の政府預金を持つておる状況でございまして、国庫の方は非常にうまく行つておりますが、経済界の方はどうかと申しますと、均衡予算の影響と、また貿易が一時意にまかせない関係から、かなり金融の梗塞が見られるのであります。しかしこれはインフレから安定への経済的にふまなければならない一つの関所でございますので、政府はかかる金融梗塞の場合におきましては、できるだけ融資のあつせん等をやりまして、金融の疎通をはかつておる次第であります。財政演説にも申し述べましたごとく、政府といたしましては、できるだけ見返り資金を早く、しかも有効に使用するように努力を続けておりますと同時に、日本銀行のマーケツト・オペレーシヨンを活用いたしまして、融資のあつせんその他あらゆる手段を講じておるのであります。また問題の中小金融あるいは商工金融につきましても、融資のわくの改正をいたしましたり、あるいは興銀、農林中金、商工中金等の債券発行を増額いたしまして、金融の万全を期しておるのであります。こまかい問題はありますが、大体政府の施策といたしましては、今後金融の疎通に全力を畫して行くべく準備を進めておる次第でございます。
○上林山委員 金融対策については同僚小峯君からもさらに詳しい質問があると思いますのでこの程度にいたしたいが、ただ一点、ことに今日金融で一番困つている点は長期金融の問題であります。この長期金融に対して具体的にどの程度の勘案を政府としてはしておられるのであるか。この点をお伺いいたしますとともに、これは農林大臣及び通産大臣からお答え願わなければならないのでありますが、詳しい点は両大臣から承ることにいたしますが、予算編成の一環の立場から、貿易の振興対策並びに輸入食糧増大に伴う農村恐慌といいますか、農村に対する経済への影響を大蔵大臣としてはどういうふうに考えていられるか、この調節をどういうふうにされようとしておるのであるか、この点を概略でけつこうでありますが、承つておきたいのであります。
○池田国務大臣 長期金融につきましては、従来復興金融金庫からこの資金を出しておつたのでございます。今年度になりまして復興金融金庫の機能を廃止いたしまして、私の計画といたしましては、見返り資金をこれにかえて活用する予定であつたのでございますが、ただいまのところ、鉄道、通信等の特別会計への融資以外にはあまり出ていないのでございます。数字で申し上げますと、私企業すなわち民間企業にはただいまのところ四億円しか出ておりません。しかし政府が関係方面に申請いたしております金額は、本年度内におきましてただいまのところ百六十二億円を申請いたしておる状況でございます。またこれ以外に民間から私のところに申請を受けつけておりますのが百二十億円程度に相なつております。合計いたしますと二百七、八十億円の申請をいたしましたり、またすべく準備いたしておるのであります。この金が本年度内において私は相当出ることを期待いたしておるのであります。また見返り資金以外におきましては、わが国の市中銀行が商業金融を建前といたしております関係上、どうしても長期金融として特別の機能を有する金融機関を育成して行かなければならぬと思うのであります。従いまして御承知の通りに、長期金融の中枢であります日本興業銀行を増資いたさせまして、また債券発行限度を拡張いたしまして、興業銀行より二百億円程度の長期資金を出し得ることになつておるのであります。しかし今の現状でありますと、興業銀行の二百億円ではまだ不十分と考えますので、できるだけ早い機会にこれが増資を計画し、また発行限度の二十倍をもつと上げたい考えのもとに計画を進めております。また農林中金、商工中金におきましても、今臨時国会におきまして増資の法案を出し、また債券発行限度を拡張する法案を出すべく準備いたしておるのであります。これら特殊の金融を十分育成いたしまして、長期金融の万全を期したいと思います。また長期金融初期の形態であります不動産金融につきましては、来年度予算におきまして五十億円の住宅資金として御審議を願うことになつておりますので、この金を活用いたしまして、不動産金融の円滑をはかりたい、こういう計画をいたしておるのであります。 なお第二の点の農村問題でございますが、これは最も重要な問題でございます。私は私見を率直に申し上げますと、日本の物価の中で国際物価に比べまして、比較的安いのは農産物であると考えておるのであります。ある機会に申し上げましたように、できるだけ主食等の農産品につきましては、世界物価にさや寄せをする必要を私は考えております。で、わが国の諸種の物価事情を考慮いたしますと、これを急激に上げることは、またいろいろな賃金ペースの関係がありますので徐々に上げて行きたい方針を持つております。従いまして本年度の米価におきましても、昨年のそれよりも約六百円程度の上昇を見たのであります。これで十分かと申しますと、必ずしも十分ではございませんが、ただいまの状況としては、この程度が適当であると考えておるのであります。しかしてこの程度の引上げでは農村の恐慌を来さないかというお考えのようでありますが、私は決してそう考えておりません。すなわちわが国の農産物は、世界の価格に比べて相当安い。これを徐々に上げるという考えを持つておりますので、将来農村恐慌が来ると考えておりません。またわが国は絶対的に主食が不足であるのであります。絶対的主食の不足な国に、農村恐慌はなかなか起るものではないという考えを持つておるのであります。これは所管のことではございませんが、とにかく人口の四割を占めておる農村の方々に対しましてのわれわれの政策は、最も愼重を期せなければならないので、日ごろから施策の重点をここに置いておることを申し上げておきたいと思います。
○植原委員長 ただいま西村君の発言によりまして、この議場の混乱いたしたことは遺憾千万であります。御承知の通り、西村君の発言は緊急質問でありました。その緊急質問は、総理に関する本会議の問題にかかわることでありまして、議事進行でその問題を取上げられるならば、それに対して委員長の取扱いの意見を申し述べます。本会議でなすベきことをこの議場において答弁すべきのでないと思いましたので、私は答弁の必要なしといたしたのであります。にもかかわらす西村君は委員長の命に従わずして、発言を継続して、議場を混乱せしめておつたのであります。それゆえに委員長は議場の秩序を保ちまする上において、退場を命じました。退場することが実現されました以上は、その問題は委員長は取消してよろしいと思います。委員長の命令は実行できました。それでこの問題を取消しまして、そうしてなるべく議事の円満をはかりまする上において、一時この委員会を休憩いたしまして、次の審議の問題について御相談を願いたいと思います。 一時委員会を休憩いたします。 午前十一時四十八分休憩 ————◇————— 午後二時五十分会議
○植原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。上林山榮吉君。
○上林山委員 午前に引続いて私は補正予算及び来年度予算の中心をなす税制改正について、順次政府の方針をただしてみたいのであります。 また税制改正の中心を負担の公平に置いて、しかも少しでも多く減税を行わんとする政府の方針とその努力は、国民の要望に沿うものとして、さきに述べたごとくわれわれの支持するところでありますが、大蔵大臣は補正において二百五十七億円、明年度において一千億円の減税を行うとのたびたびの声明が両予算を通じて約三五十七億円だけの差額を生じているのであるが、これは何らかの見込み違いであつたのであるか、それとも本年度内に二百九十万五千トン、来年度に三百七十五万トンの輸入食糧を見込み、もつて米麦だけを二合七勺配給して、実質賃金を向上せしめるというやむを得ざる処置に出た結果であるのか、一応この点はわれわれとしてはある程度了解をしておるのでありますけれども、この議場を通じて国民に了解せしむべき必要がある、こういう意味合いにおいて、私はまず、この問題をただしておきたいのであります。
○池田国務大臣 補正予算を作成いたします中途におきまして、本年度の減税可能額二百三十億円程度の金額は新聞に載りました。その後また二百五十七億円という数字が減税可能額として載つたのであるのであります。これは補正予算案作成の経過におまして、歳入と歳出を考えて行つた場合におきまして、この程度の減税可能額が出て来ることに相なつておつたのであります。私といたしましては、日ごろの主張が、歳出を極力削減いたしまして、できるだけ国民負担を軽減するというのが理想でありますので、先ほど申し上げました減税可能額を目標といたしまして、減税案の作成に努力いたしておつたのでありますが、諸般の情勢を考慮いたしまして、ただいまのところ二百億程度の減税で本年度を過したいという考えになつた次第であります。 なお減税可能額が今申しましたように削減せられたのは、主食の輸入が二百二十九万トンから二九十万五千トンにかわつた結果であるかという御質問でありますが、必ずしもそうではないのであります。これは自然増収の二百十三億円を出すか出さぬかという問題の方が、関係が深いとお考え願いたいと思うのであります。
○上林山委員 均衡予算ないし総合予算という見地から、この問題について論ずる態度は、私は承認できるのでありますが、おもなる原因の一つとして、輸入食糧の増加がこの問題に食い入つているということは、全然御承認にはならないのであるか、これもおもなるものの一つであるという意味に、大蔵大臣はお考えにはならないのであるか、この点を私はさらにただして次に進みたいのであります。
○池田国務大臣 さきに新聞に出ました減税可能額の金額が幾分減つたのは、主食の輸入の増加と直接の関係はございません。それは歳入歳出を組みます上において、いろいろな問題が関係はあるのでございますが、直接重要な関係がなかつたのでございます。
○上林山委員 その点はさらにお尋ねいたしたいのでありますが、それよりも私は、輸入食糧を見込んで、しかも米麦だけを二合七勺配給できる、しかもそのことが実質賃金を向上せしめる一つの支柱になるのである、こういうような意味において輸入食糧の増加をやむを得ずとつたのであるが、ひいてこれが予算の振合いについて相当重要な影響を及ぼしたのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、先ほどの答弁に重複しない点においての、いわゆる実質賃金を向上せしめる意味の輸入食糧の増大、こういうふうなことについては何らお考えになつていないのであるかどうか、この点をただしておきたいのであります。
○池田国務大臣 主食の輸入の増加は、対日援助資金の内要をなすものでございまして、われわれは適正なる主食の輸入は望ましいと考えておるのであります。従いましてあまりにこれが多くなり過ぎることにつきましては考慮を要しますが、二百九十万トン程度の主食の輸入が適当と考えたのであります。しかしてそれが間接的に主食の増配を来し、そうして実質賃金の向上を促すことはもちろん考慮に入れておるのであります。
○上林山委員 私は先ほどの質問のうちにおきまして、輸入食糧の増大が農村経済にいかに影響を及ぼすか、こういう意味において農林大臣の答弁を求めることを留保しておいたのでありますが、この問題について予算全体の立場から一応大蔵大臣から承つたのでありますけれども、もう少し具体的に農林大臣から私はこの問題について明快な御答弁を得て、しかも日本の農村に対する一つの指針を與えていただきたい、こういう意味合いにおいてさらにこの際ただしておきたいのであります。
○森国務大臣 お答えいたします。御質問の前段を詳しく承つていないので、あるいは的はずれの答弁になるかもしれませんが、今月の食糧の輸入状態は、自主的な立場においての現象でないのでありまして、わが日本は食糧の自給自足ということはとうてい不可能な状態にあるのであります。当然戦前といえども国外より食糧を得ておつたわけであります。ことに領土の狭められたことと、人口の増加の点からいたしましても、将来とも自給自足という、いわゆる排他的な立川からの食糧の自給は、困難になつておると考えておるのであります。しかし現在は御承知の通り、アメリカからガリオア資金のもとに食糧を輸入されておるのであります。しかしいくらかでもこの輸入食糧を減額して、工業原料に置きかえたいという立場で、日本の食糧増産には今日まで努力を傾注して参つたのであります。しかし二十五米穀年度に対しましては、アメリカの食糧生産状況から総額三百七十五万トンの輸入が計画されて来たのであります。こういうことは今後日本が自由的貿易をやり得る時代になりましても、継続するとは考えられないのでありまして、これは、一時的現象とも考えなければならぬと思うのであります。日本といたしましては、今後食糧事情が世界の食糧事情と同一の環境に置きかえられた立場から、農村問題を研究して行かなければならぬと思うのであります。今後農村の経営の上におきましては、今までのような米麦を主としての生産でなしに、あらゆる工業面に広げまして、今日まで幾たびか叫ばれましたけれども、高く経営農業を最も合理的に推進いたしまして、海外の食糧事情と日本の食糧生産との調和をはかつて、日本の農業経営が成立つように、あらゆる角度から施策を行つて行かなければならぬと思うのであります。要するに主産物の原価を切り詰めることによつて、農業生産の効率を高めて行くことによつて、世界の食糧事情と調和を保つような方向に向わなければならぬと考えております。
○上林山委員 農村に及ぼす影響をある程度は考えるけれども、将来の問題として、特に政府は関心を持つて自給度を高めて、輸入食糧の減少をはかるという方針にかわりない、こういう意味合いのことでありますが、さらに一段と具体的な対策を講じて、それから来るところの日本農村経済の影響を考えて、最小限に調和をはからなければならない。こういうことについて政府の一段の努力を望んでやまない次第であります。 そこで農林大臣に伺いたいのは、来年度の輸入食糧を合せますと約六百万トン、しかもそのうちに米麦だけをもつてしても、三百四十万トン、石に直しまして約二千万石でありますが、これは米麦だけを配給するとしても二合七勺は十分にある。こういうふうにわれわれは一応考えておるのでありますが、そういう意図を持つて輸入食糧の増大、あるいはまたやむを得ない点がある程度あつたとしても、これを活用して、そういう方向に向けて、しかも実質賃金の確保にこれを資するという見解に対しては、どういうお考えを持つておりますか、この点を明確に答弁を求めたいと思います。
○森国務大臣 今お話の米麦輸入食糧を合せまして二合七勺の配給は可能であります。現在いも類を主要食糧に入れておりますけれども、これは八パーセント程度であります。しかしいも類は上林山委員御承知の通り、地方的に考えますと、米麦よりも主食になつておるという日本の生活状態から見まして、これをただ簡単に蔬菜とみなすことはどうかと考えておるのであります。今日の食糧が潤沢になつているということは、決して恒久性を持つているとは考えられません。これは一時的の現象であり、自主的な考え方によつてかようになつたものとの判断は下せないのであります。しかし今日におきましては、麦におきましても明年度は精白度を高めまして、そして白い粉を配給する。米におきましてもこの十二月からは精白度を高めまして、配給者が迷惑をいたさないようにいたしたい。そして実質の生活の上において貢献をいたしたいと考えておるわけであります。従つて米麦輸入食糧によつて二合七勺は十分確保されるのでありますが、今後日本の食糧というものは、必ずしも二合七勺というものが適切であるかどうかということを考えなければならないのでありまして、余裕ができればさらに増配するということは考えられる次第であります。
○上林山委員 農林大臣に対する質問はこの程度にとどめまして、もとにもどりまして大蔵大臣に伺いたいのであります。 補正予算において大衆課税的性質の減税が二百億円、明年度においても相当所得税の減額を予想されるのでありますが、この反面法人税、相続税、収入印紙税等のごときもので二百十三億円の自然増を計上してあるということは、多少私どもは矛盾を感じておる点でありますが、一面またやむを得ない処置でもあつたであろうと考えるのであるけれども、要はここにおいて政府に注意申し上げておきたいことは、この自然増を見たために、今日においてでさえも徴税が苛斂誅求に流れておるというところも場所によつて行われておる。この際においてわれわれといたしましては、これらの自然増に対する徴税について、実情をよく調査されると同時にできるだけ常識のある訓練を受けた徴税使によつてこれが徴收を行うというような、何らか特段の方法を講じなければならないのではないか。これに対しましては大蔵当局は特に注意をせられておる点でありましようけれども、われわれはこの点について一応の危惧を持つがゆえに、さらに政府の善処を望みたいのでありますが、何かこれに対して具体的な方法を考えておるかどうか。この点をお尋ねしておきたいのであります。
○池田国務大臣 補正予算におきまして二百十三億円の自然増収を見込んだ。これは苛斂誅求に陥るおそれはないかという御質問でありますが、これは二百十三億円の自然増収を見込みましたその税種目を御検討くだされば、苛斂誅求の問題とはかなり距離があることがおわかりになると思うのであります。すなわち法人税につきまして、当初予算の二百七十二億円に対し、二百二十八億円の増収を見込みましたのは、最近における法人税の申告の状況、また法人の所得の状況等から考えまして当然のことで、どちらかと言えば、予算の見込みが過少ではなかつたかというそしりの方に相なるのであります。次に自然増収の大きい勤労所得に対しまする問題は、これは俸給に対しまして規定通りの税を適用したのでございまして、苛斂誅求とは言われぬと思うのであります。第三に増収の大きい酒税でございますが、これとて米も同様でございますが、しようちゆうあるいは合成酒にいたします五千万貫のいもが、一億万貫になりました関係上、百二億円の増収が見込まれるのでございまして、決して苛斂誅求の結果であるとは言えないと思うのであります。問題の申告納税、すなわち農業あるいは営業税の申告につきましては、今までの納税の状況から考えまして、千九百億円の収入見込みを二百億円減らして見ておるのであります。従いまして事業所得、農業所得の方を予算通りに見込んだとしたならば、補正予算に見込むべき租税収入の自然増収は四百数十億円に相なるのであります。どうぞこの点を御了承くださいまして、決して政府がむりをして今年度に自然増収を出しておるのでないということはおわかりになると思うのであります。 また第二段に税務行政の問題でございますが、一昨日財政演説の中にも特に触れておきましたように、納税の成績は昨年よりも今年、一昨年よりも昨年がだんだん向上して参つておりますが、いまだ十分ではないのでありまして、私は今後とも国民各位の納税の御協力を願いまするとともに、行政の刷新をはかりまして、苛斂誅求はもちろんのこと、喜んで納めていただく税をとつて行きたいという考えで進んでおります。
○植原委員長 本日はこれより本会議が開かれますので、これにて散会いたします。 明日は午前十時より開会いたします。 午後三時十四分散会