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6回国会衆議院1949/11/17

本会議 第11号

発言数
24
登壇者
11
会派数
4
開催日
1949/11/17

会議録

幣原喜重郎民主自由党議長

○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  一 国務大臣の演説に対する質疑

幣原喜重郎民主自由党議長

○議長(幣原喜重郎君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。水谷長三郎君。     〔水谷長三郎君登壇〕

水谷長三郎日本社会党

○水谷長三郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、一昨日大蔵大臣が述べられました財政演説に対し若干の質疑を試みんとするものであります。まず質疑に入るに先だちまして、補正予算の編成とともに、来年度予算の概貌をも早期に国民の前に明らかにされた、蔵相の病を押しての御努力に対しては、敬意を表するものであります。  まず第一にお尋ねしたい点は、大蔵大臣は日本の経済の現状をいかように認識されているかという問題であります。過日総理大臣は、その施政方針演説におきまして、インフレーシヨンも現段階においてはその進行を停止し、国民経済はここに安定正常化したと言われたのでありますが、はたして大蔵大臣は、日本経済の現状を見て総理と同じ考えを持つておられるかどうか。  なるほど、大ざつぱに言つて日本では通貨は横ばい状態となり、また通貨と直接に関係のある物価についても、一進一退の状況を示していることは事実でありまして、かくてインフレの波は一応納まつたと言えましようが、問題は、そのインフレを收束するにあたつて同時にその際起るところのデフレの摩擦をできるだけ回避して行こうというディスインフレ政策が全然失敗に終つて、(拍手)今や日本経済の現状は深刻なるデフレのふちに落ち込んだということであります。国民経済の安定正常化どころか、企業も国民生活もデフレの波の間にく浮きつ沈みつしつつあるというのが今日の現状であります。(拍手)この深刻なるデフレの現状を前にして、なおかつ蔵相が、総理と同じく、インフレーシヨンは現段階においてその進行を停止し、国民経済はここに安定正常化したと言うならば、私はあえて問う、政府のいわゆる国民経済とは、金融資本、巨大産業資本の経済を意味するのであるか。(拍手)またその安定正常化とは、労働者や農民、中小商工業者や弱体企業の大きな犠牲の上に蟠踞する金融資本、巨大産業資本の安定正常化を意味するのであるか。(拍手)働く勤労大衆に納得の行くよう、わかるよう、この点の御説明を願いたいと思うのであります。  第二の問題は、安定恐慌の激化をいかにして、防ぐかという問題であります。ドツジ・ラインの実施に伴うて相当の安定恐慌が生ずることは、当然に予想されたところであります。インフレが整理收束の段階に入りまして、財政金融の引締めが行われれば、安定恐慌の襲来が必至であることは、一九二三年のドイツ及び一九四七年のイタリアの事例に徴しても明白なことでございまして九原則のもとにある日本経済といたしましても、この例外たり得ることはできないと思うのであります。だからといつて、安定恐慌を成行きまかせにほうつておきまして、経済界が極度の行き詰まりのために混乱に陥ることを傍観するわけには参らぬのであります。  ここにおきまして、今最も大切なことは、有効需要をいかにして保持し、起り得る生産の低下をどの程度に食いとめるかということが大切であろうと思うのでございます。有効需要が国民消費と設備投資を通じて生れることは、理論の示すところでございましてこれをインフレーシヨンによらないで増大せしむることが、現下日本経済の中心問題であると考えております。政府は、この問題解決のために、いかに今日の有効需要を測定し、いかなる対策をお持ちであるか、この点に関して、経済安定本部長官より明確な御答弁を煩わしたいと思います。(拍手)  さらに大蔵大臣より御答弁を願いたい点は、有効需要が国民消費と設備投資を通じて生れることは先に述べた通りでございますが、それには、まず減税により国民の消費力を増加せしむる方法が一応は考えられましよう。しかし、今日国民消費を増大せしむることは、耐乏の要求される客観情勢から見まして、あまり多くを期待することはできないと思います。また減税するかわりに補給金をはずして価格を引上げるのでは、大した消費力の増加にはならないと思われます。そうなると、有効需要の増大は設備投資の拡大のほかに考えら、れないと私は思うのであります。  こういう意味におきまして、わが日本社会党は、二十四年度見返り資金繰入れ見込高千四百五十億のうち、その三分の一以上を占める六百二十五億円が復金債償還のために充てられて、日銀を通じて市中銀行に返し、貸出し、または社債引受けに充てさせるということは、非常なまわり道であり、また大蔵大臣もその財政演説で言われたように、市中銀行はその主たる使命が短期の運転資金の供給にある関係上、そんな間接な方法はやめて、直接的に設備投資をすることによつて有効需要の増大をはかることを強く主張して来たのでございます。(拍手)しかるに大蔵大臣は、復金債の償還繰延べはドツジ・ラインの破壊なりと主張されましてわれわれの主張に耳を傾けなかつたことは、きわめて遺憾であります。はたせるかな、あれほど日本の経済界が旱天に慈雨を待つごとく渇望いたしました見返り資金の流用は、タイムリーに流れず、非常なるずれを生じまして、今や三百五十億見当が今年度流用されないことが予想されるに至つたのであります。  しかして、今日日本の安定恐慌がかくのごとく不当に激化した最大の原因は実にこの点にあることを考えますときに、大蔵大臣の責任はまことに大なりといわなくてはならぬのであります。(拍手)こうした見返り資金の固定化に対して、政府はいかなる措置を講ぜんとするものであるか。漫然と次年度にこれを繰越さんとするものであるか、それとも過去の借金に充てようとするものであるか。われわれは、来るべき一月——三月の深刻なるデフレの時期を前にいたしまして一刻も早くこれらの見返り資金が流用されることを強く主張するものであります。  さらに大蔵大臣は、二十四年度の見返り資金流用の実績にかんがみまして、二十五年度見返り資金の流用については、債務償還よりも設備投資に重点を置くよう措置する考えはないかどうかということをお伺いしたいと思います。大蔵大臣は、その御演説におきまして、政府は特に対日援助見返資金をなるべくすみやかにかつ有効に運用することに努力すると言われたのでありますが、大蔵大臣は、従来見返り資金が、あなたの御演説のように、すみやかにかつ有効に流用されたと思つておられるかどうか。もしそうでないとすれば、そのがんはどこにあつたか。それを今後はどういうふうに改めようというのか。問題が問題だけに、具体的にはつきりした御説明を願いたいと思う次第でございます。(拍手)また通産省といたしましては、見返り資金の運用につきましては、開発金庫のようなものをつくつて、従来の不円滑なる流用を緩和したいというような考えを持つているようでございますが、この点に関して大蔵大臣はいかなるお考えを持つているかということも、またはつきりとお答え願いたいと思います。なお、この見返り資金とともに、預金部資金をば、産業長期資金を潤沢にするために思い切つて活用する考えはないかどうか。もしおありであるとするならば、どういうぐあいにして活用するかという点も、またはつきりと御答弁を願いたいと思うのであります。  さらに私は稻垣通産大臣にお聞きしたいと思うのであります。政府は、商工省という名前をば、わざわざ通商産業省と改称されまして、国内的には耐乏を要求し、国際貿易にしわ寄せされて生産増強を奨励されて来たのでございますが、国内市場は御案内の通り想像以上に挾められ、他面輸出は非常に滞貨を来しまして、滞貨と生産不振は未曽有の状態となりました。これは明らかに政府の政策破綻であると考えますが、これが解決と日本経済の正常な建設の方途をいかに展開されようとするのか。相かわらず、国内的には耐乏生活、国際的には飢餓輸出を続けんとするものであるか。むしろ国内市場を回復し、国民生活の安定をまず確保して輸出増強の基盤を培養する考えはないかどうかということをお尋ねしたいのであります。(拍手)  さらに、最近盛んに行われる増資問題は、実は銀行が焦げつき資金回收のために、銀行みずから勧めて増資をせしめまして、優先的に自己の資金を回收し、企業の設備、運転資金には、その半額さえもがまわらないというのが、今日の実情であります。このような金融機関の利己的な無統制な増資は、新株の消化難を来し、親株の低落をも招いて、企業に打撃を與えることはいうまでもなく、せつかく企業再建整備によつて自分の働いておる工場の株を取得いたしました労働者にも大きな打撃を加えて、勤労意欲を抹殺せしめようとしておるのであります。かくのごときは、資本蓄積に名をかりて、逆に企業を圧迫するデフレ政策の強行であると私は考えておるのであります。(拍手)これらの点に関して、通産大臣はいかなる対策をお持ちであるかということをお尋ねしたいと思います。  第三の問題は、直接補正予算につき若干の質疑を試みんとするものであります。今回確定いたしました補正予算は、明年度予算と一体の関係あるために、その前提條件はきわめて重視されねばならないと思います。まずお尋ねしたい点は、特別会計の増加運転資金を一般会計の税收でまかなうというドツジ方式が堅持されまして、食糧管理会計繰入れ百七十億円を新たに計上されたことであります。いうまでもなく、食管特別会計の増加運転資金は、手持ち品見合いの所要資金でありまして、かつ米穀年度を通ずれば、断じて赤字にならないものであります。インフレのとき、通貨の膨脹を警戒せねばならぬ場合には、あるいは一般会計からの繰入れによつてまかなうべきでありましようが、一応インフレが收束し、深刻なるデフレのときにおきましては、相かわらず一般会計からの繰入れによつて大衆に大きな負担を與えることが、はたして妥当であるかどうか。このようなやり方は明年度の本予算にも貫かれることでありまして、超均衡予算が依然として踏襲されておるのでありまして、デフレは直るどころか、ますます深刻なる度合いを加えて行くと私は考えておりますが、大蔵大臣のお考えはどうでありますか。(拍手)  さらに予算の前提である賃金、米価、運賃がそれぞれ相矛盾しておりましてそのしわ寄せが労働者の低賃金と農民の低米価に置かれておることであります。まず賃金ベースの問題でございますが、この問題については、さきにわが党の鈴木君や松澤君も触れたことゆえ、簡單にお尋ねするのでございますが、政府は、このたび補正予算におきまして、実質賃金増加のためには、いかなる措置を講ぜられたか。むしろ米の消費者価格を二%引上げたり、鉄道貨物運賃八割、海上貨物運賃九割三分を引上げ、さらに補給金の削減によつて物価騰貴を招来せしめて、逆に実質賃金低下の予算ではないかどうかという点をお聞きしたいと思います。(拍手)  さらに淺井総裁にお尋ねしたいのでございますが、人事院は、何ゆえ補正予算編成にあたりまして給與ベース改訂に関する勧告案を提出されなかつたか。淺井総裁は、過日参議院におきまして、わが党の波多野君の質問に答えて、わだちのふなは一掬の水を欲しておると、まことにおつなことをおつしやつたのでありますが、このわだちのふなよりも苦しい思いをしておる公務員諸君は、この一掬の水をばいつまで待たねばならないのか、またいつまで待てると思うのか、はつきりお答えを願いたいと思うのであります。(拍手)  さらに労働大臣にお尋ねしたいのであります。政府は、いとも簡單に実質賃金の増加をはかるというが、むしろ最近の傾向は、総理庁の調査によつても明らかなように、実質賃金低下の傾向が強まりつつあることは、これは数字によつてはつきりと示されておるのであります。実質賃金の増加どころか、実質賃金の下降をばいかにして防ぐかということが今日の問題であろうと私は思うのであります。(拍手)労働大臣は、この現実を前にいたしまして、公務員諸君の生活が、賃金ベースの改訂を行わず、実質賃金の増加をはかつて保障され得ると考えておるか。さらに労働大臣は、このたびの補正予算を検討されまして、はたして実質賃金が向上したとお考えであるかどうか。もし向上したというお考えをお持ちであるならば、その理由を具体的に、はつきりとお示し願いたいと思うのであります。(拍手)  次に私は、米価の問題につきまして森農林大臣にお尋ねしたいと思います。本年度産米価が石当り生産者価格四千二百五十円と正式にきまつたことは、米価審議会の答申を無視し、農民の要望を裏切つたものと言わなくてはならぬのでございますが、この米価の決定方式といたしまして、相もかわらずパリティ計算によつて、生産費計算によらないことはどうかと私は思うのであります。なるほど、インフレのとき、米価の決定方式といたしまして、パリティ計算によつてある程度の低物価に押える必要はありましようけれども、インフレの一応收まりました今の日本の経済状態のもとにおきましては、むしろ生産費計算によつて生産費を償う米価を決定し、農業の再生産を確保すべきではないかと思います。  さらに超過供出の倍率は、一体どうなつたのでありましようか。増田官房長官は、閣議で二倍に決定したと発表されておるのでありますが、農相は三倍を固執して、それを否認さおておるようであります。一体どちらがほんとうであるか。農林大臣は、あくまで農民の立場に立つて、職を賭して三倍を固執し、農民の既得権を守り拔く政治的信念があるかどうかということを、お尋ねしたいのであります。(拍手)  さらに大きな問題といたしましては、このような低米価政策と、一方におきましては海外食糧事情の好転による輸入食糧の増加、あるいはいも類の統制撤廃の方向など、一連の施策にかんがみまして、今や日本の農業は世界の農業と真正面に対決せねばならないのでありまして、脆弱な基盤に立つ日本農業の大きな危機であろうと思うのであります。この危機において、米価一つさえ、よう決定しない農林大臣が、はたしていかなる対策をお持ちであるかということを、お聞きしたいと思うのであります。(拍手)  もしそれ貨物運賃八割、海上運賃九割三分の値上げに至つては、民自党内閣にとつては、まことに皮肉であるといわなければならぬのであります。あれほど党をあげて片山内閣時代に反対した民自党が、今度は逆に値上げを行おうとする。まことに運命の皮肉というか、長生きはやはりしたいものであります。(拍手)さきに値上げに反対した理由と、今度はこれに賛成した理由をば、天下の公党の面目にかけても、私ははつきりさすべきであろうと思うのであります。(拍手)私は、この問題に関しては、あえて運輸大臣の事務的答弁よりも、せつかく御出席願いました民自党総裁の資格におきまして、総理から明快なる答弁を願いたいと思うのであります。(拍手)  さらに、今回の補正予算を見て考えられる不安なる点について若干お尋ねしたいと思います。第一は、減税と、その財源としての価格調整費の削減の問題であります。いうまでもなく、価格調整費は対日援助資金とともに日本竹馬経済の一本の足でございまして、日本経済自立のためには、できるだけ早くその一本の足を切りとらねばならぬことは、いうまでもありません。しかしながら、補給金の廃止は、何と申しましても合理化だけで吸收されるわけには参らぬのでございまして、価格上昇の素因をつくることは事実であるのでございます。この意味におきまして、国民は、右のポケットに減税としてもどされたよりも以上のものをば、物価騰貴の形で左のポケツトから取上げられるような減税を、はたして認めるかどうかということを、大蔵大臣は考えなくてはなりません。(拍手)また、わが国産業の実情や性界情勢を十分見きわめずに、ただ單に減税の財源をあさるために一律的に調整費を切るということは、政府の円の切下げをやらないという根本方針に矛盾しはしないかということを、はつきりさしていただきたいと思うのであります。  さらにわれらの断じて黙認できないのは、一方に二百億の減税をやりながら、他面において二百十三億の自然増加を見込みまして、苛斂誅求をあえてせんとするに至つては、インチキもはなはだしいといわなくてはならぬと私は思うのであります。現に各地において、本年度の所得税に対するむりな修正の決定に国民がいかに苦しんでいるかという事実を、大蔵大臣は知らないかどうか、かくて、あなたのせつかくの減税は、今やまつたくから念仏に終つたと、私は断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  第二は、シャウプ税制のねらいのうち、資本の蓄積の増加が非常に重要な地位を占めております。従つて資本の蓄積を可能ならしめるためには、企業の負担軽減を勤労大衆の犠牲において補おうとしているが、今度の税制改革で、勤労所得税等の軽減がまつたく申訳のものであることは、一見すれば明らかであろうと思うのであります。勤労大衆の犠牲の上に築かれた資本の蓄積で、はたして経済の安定を期待することができるかどうかということを、お尋ねしたいと思うのであります。  さらに第三の点は、今年度の補正予算、さらに来年度の予算を通じて統制を撤廃する気構えが予算の上に明瞭に現われて参りました。非能率にして不必要、有害なる官僚統制は、どしどしやめるがよろしいでしよう。しかし、わが国の国際收支や、米国の互額の援助を受けている現状から見まして、経済自立をば急がねばならないことも動かすことのできない事実であります。経済復興計画をやみからやみに葬るのもけつこうであるかしらぬが、しかし、経済自立とその手段につきまして、百パーセントの放任論で、はたしてやつて行けるかどうか。今のこの深刻なるデフレをば、強い者は残れ、弱い者はくたばれというような自由放任主義で、はたして乗り切れるであろうかどうか。たとい一歩を讓りまして統制をはずすにいたしましても、従来の生産増強的な統制から、経済安定的な統制と申しますか、一つの社会政策的な立場に立つた統制が、今の時代には必要であると私は思うが、これについてはどういうお考えであるか。この過程を経ないで、一足飛びに自由放任主義に持つて行つた現内閣のやり方こそは、必要以上に安定恐慌の激化を招き、深刻なる労働不安、社会不安を起した大きな原因であると政府は認めないかどうか。(拍手)現に石炭は、国家管理によつて四千二百万トン掘れたではないか。これをば現在の政府は日本経済安定のために有効に消費することができないで、苦しまぎれに統制を撤廃して、現在の日本の経済を奈落の底につつ込んだ現政府の責任は、私はまことに大きいといわなくてはならぬと思います。(拍手)  最後に、私はあえて問う。大蔵大臣は、今問題の薪炭特別会計赤字補填のために、生産者に支拂うべき二十五億をそのままにし、清算もつかないのに、日銀等の金融機関の利益のために、優先的に国民の膏血五十四億七千万円を計上し、しかも一方で、ちまたにあふれる失業者に対しては、わずか八億の費用しか計上しないことについて、はたして大蔵大臣は良心の呵責なきやいなやということを私は聞きたいのである。こういうような疑惑の的になつておるところの予算は、いさぎよく撤回する意思があるかどうかということを、はつきりさせていただきたいと思います。(拍手)  以上、問うべき点もまだ多々ございますが、約束の時間も参りましたので、ひとまず私の質問は打切り、答弁のいかんによつては時間の許す限り再質問に立ちたいと思つております。(拍手)     〔国務大臣池田勇人君登壇〕

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 水谷君の御質問にお答え申し上げます。  御質問の第一点は、現在のわが国経済情勢を、総理大臣と同様安定と見るかというのでございます。私は、お話の通りに安定と見ております。(拍手)しかして、ディスインフレの失敗であると言われまするが、非常なインフレーシヨンを急激にとどめる場合には、今のような現状は最もいい状態であるのであります。(拍手)これは私ばかりの意見ではございません。世界中が、日本がこんなに早く安定の曙光を見出したのは経済界の驚異だと言つておるではございませんか。(拍手)  第二に、大産業は楽をし、中小産業は苦しんでおるというお話でございますが、決してそうではございません。インフレを收束する場合におきましては、大産業も中小産業も同じように苦しんでおるのであります。この苦しみを通り拔けてからこそ初めてほんとうの意味の経済の復興ができるのであります。私は、これは復興への一つの関所だと考えておるのであります。  第三に、有効需要を喚起して経済の発展をはからなければならない。この点は水谷君と同感でございます。私は、本年度の補正予算並びに来年度におきましても、予算上有効需要を喚起するべく極力努力いたしております。これは予算面でこらんくださればわかると思います。  次にまた金融面におきましても、財政演説で申し上げましたごとく、できるだけ早くしかも有効に見返り資金を利用せんといたしておるのであります。この機会に見返り資金の運用状況と見通しについて申し上げましよう。見返資金特別会計に繰入れました金額は、昨日までで八千二十億円でございます。しかして、この金はどういうふうに使われておるかと申しますと、鉄道並びに電気通信の二特別会計に、すでに百八十数億円出ております。しかして、私企業には四億円程度出ております。またこの余裕金は、食糧証券あるいは日銀への預け金にいたしまして、決して金を遊ばしているわけではないのであります。(拍手)この金は早く私企業に出すべく努力はいたしておりますが、何分にも時期的ずれがありますのと、わが国の経済がほんとうに安定の域までに達していないために、ある程度の調査が必要であるのであります。こういう事情によりまして遅れておりますが、ただいま審議中のものが、関係方面におきまして百六十億円、大蔵省におきまして百二十億円、合せて二百八、九十億円のこの見返り資金の私企業に対する貸出しが、本年度内にはほとんど出て行くことを期待し得るのであります。(拍手)なおこの見返り資金を、債務償還よりも直接設備投資に充てるべきではないかというお話でございますが、これは債務償還に充てた金が、市中銀行から、あるいはまた長期金融機関から出るならば、直接投資も国債償還も、金融上は同じことになるのでございます。なお預金部の金の使い方につきましては、ただいまこれを長期資金あるいは中小商工、農林水産資金に使用すべく検討を加えております。食管への百七十億円の繰入れは増税によつて出した、こういう御意見でございますが、これは私は毛頭考えていないことでございます。どこに今年度増税いたしましたか。(「自然増收はどうとた」と呼ぶ者あり)自然増收は増税ではございません。自然増收は増税ではございません。これは財政掌理の方法に、今までの自然増收をそのままほうつておいてそうして借入金でまかなう場合もありますし、現在の自然増收のはつきりしたものを予算に組み入れて、特別会計へ出す場合もあるのであります。しかして、この二百十三億円は増税ではございません。酒がたくさん売れたために増收が出たこと、会社の利益があがつたために收入が多くなつたこと、俸給その他がふえたために勤労所得税があがつたこと、これであります。これは、あなた方の御審議になつた税法をそのままやつて行つておるのであります。しかもここで申し上げますが、二百十三億円の自然増收は、逆に農業あるいは中小商工業者のいわゆる申告納税の方で今年度二百億円の自然減收を見込んでからの増收なのであります。(拍手)よくお考えになりましたら、決して増税によつて繰入れたというお話は出て来ないはずだと思います。  その次に、来年度はこの特別会計への繰入れ、すなわちインヴエントリー・フアイナンスを大蔵大臣としてやるかというお話でありますが、経済が大体安定して参りましたから、来年度は原則としてインヴエントリー・フアイナンスをやらないということを申し上げます。(拍手)  なお、価格調整費を減らして減税に充てたり、あるいはまた今回の予算は実質賃金を低下する予算だというお話でございますが、これまた私は全然意見を異にするものであります。価格調整費を減らしても、また鉄道運賃を値上げいたしましても、また米の値段が十一パーセント程度上りましても、今度の減税並びにいろいろな手を打ちました関係上、一月から三月までは、あらゆる階級を通じまして絶対に実質賃金の上昇でございます。(拍手)これは数字にわたりますから委員会で申し上げまするが、独身者も家族持ちも、米の値段が上ろうが、運賃が上ろうが、減税その他によりまして、実質賃金は非常によくなつたことを申し上げます。(拍手)  その次に、二百億円の減税と二百十三億円の自然増收はインチキだというお話でございますが、これは先ほどの私の答弁で十分おわかりと思いますから繰返しません。(拍手)  なお、勤労大衆の犠牲において大産業を助成することはいけないではないか。これはあなた方が一人がつての議論でございまして大産業を育成し、中小産業並びに勤労階級を育成するためにシャウプ博士はあの勧告をし、私もこれに同感しておるのであります。減税ということは、あらゆる階級を育成する一番いい方法であるのであります。(拍手)  なお次に、統制撤廃につきまして御意見がございましたが、これは申し上げるまでもなく、私と水谷君の意見の根本的相違でありまするが、とにかくわれわれは、統制はできるだけやめまして、日本の経済を本然の姿にしたいというのが念願でございます。(拍手)  薪炭特別会計への五十四億円の繰入れは銀行の利益のためにするというお話でございまするが、これは独断でございます。薪炭会計は八月よりその事業を停止いたしましたが、その間におきまして資金の回收、債務の返済にお金を要しまするので繰入れておるのであります。決して御賛成を得ましたからといつて、この金をただちに銀行へ拂うというようなことはいたしません。よく予算の執行をごらんくだされば、銀行への利益でないということほ、おわかりであろうと思います。(拍手)     〔国務大臣青木孝義君登壇〕

青木孝義民主自由党経済安定本部総務長官

○国務大臣(青木孝義君) 水谷さんの、安定恐慌による行詰りと有効需要の関係はどうかという御質問に対してお答えをいたします。  御承知の通りに、経済安定計画を実施いたしまして半歳にわたつておりまするが、漸次安定の方向に向いつつありますることは、まことに御同慶にたえない次第であります。(拍手)なおこの実行にあたりまして、有効需要等の関係につきましては多少の摩擦を生じますることは当然のことでありまして、何人もこれを認めるところであります。ことに政府は、現在の安定経済の基盤に立つ健全財政と健全金融の方針をあくまで堅持しながら、積極的に治山治水、電源の開発、住宅建築、産業設備の維持、近代化、これらの投資の拡大化をはかつて、漸次われわれは現在安定化の方向を健全な、はつきりとした安定に持つて行きたいと存じておる次第であります。従つて、この意味におきまして、有効需要の多少の減退も漸次回復するものと確信いたしておる次第であります。(拍手)     〔国務大臣稻垣平太郎君登壇〕

稻垣平太郎民主党通商産業大臣

○国務大臣(稻垣平太郎君) お答えいたします。  第一間の、商工行政のあり方についての御質問でありますが、輸出産業を力点的に取扱うという従来の方針に何ら変更を加える意思を持つておらぬことを申し上げておきたいと思うのであります。輸出産業に力点を置くということは、結局国内産業の基盤を育成することだと私は存じております。  第二の御質問の点でありますが、銀行の焦げつき貸付に対して、これを増資によつて利己的に銀行業者が強制しておる、これをどう思うか、こういうお話であつたようであります。一体焦げつきのものが増資によつてまかない得る産業は、これは自分で計算いたしまして、焦げつきを増資にかえて行く、しかもその増資にかえたために新しい融資が得られる、あるいは新しい蓄積が得られる、これに対して株価はどうなる、こういつたような問題は、業者自身がそろばんをはじき、業者自身の全体的な産業の上の見地からきめるべきものでありまして、こういつたものに対してわれわれ通産省が介入すべきものでないと私は考えております。(拍手)     〔国務大臣鈴木正文君登壇〕

鈴木正文民主自由党労働大臣

○国務大臣(鈴木正文君) 実質賃金は、二十三年の一月を一〇〇として、本年の八月の一六四に至るまで、その間に季節的の変動というふうなものはあつたにいたしましても、大体上昇過程をたどつておるということは事実であり、これは数字でありますから間違いありません。本年の一月に比べて、今年の八月はやや下落ということになりますが、五月以後は堅実な上昇の姿を示しておるということも事実であります。今後米価及び鉄道運賃の値上げがありますけれども、しかしながら、一方において所得税その他大衆的な消費税的なものの軽減もしくは全廃、あるいは主食の配給の内容の充実等によつてこれを吸收することが可能であるという点におきましては、大蔵大臣と同意見であります。  さらに、統制物価がはずされて、やみ物価、統制物価が自由物価の形に返つて行く過程において、消費物価の相当の下落のあることも、われわれは予想しておるのであります。これらを勘案いたしまするときに、この春以来国民全体が多大の犠牲を拂つて推進して来たところの安定政策は、賃金と物価との関係をこの線においてなお今後も強力に安定して行くべきである、変更すべきではない、そういううふうに考えております。(拍手)     〔国務大臣森幸太郎君登壇〕

森幸太郎民主自由党農林大臣

○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。  インフレーシヨンの收束した場合において、米価をきめるのは生産費によることが妥当ではないかという御質問でありましたが、生産費と申しましても、なかなかこれは煩雑でありまして、昨年の調査によりましても相当の開きがあるのであります。しかし、今日パリティ指数によつてきめることが大体においで科学的であり、正しいと、かように考えておるのであります。二十一年のパリティ指数によりましては五百五十円でありましたが、生産費は平均五百五十四円三十五銭であります。二十二年におきましては、パリティ指数によりまして千七百五十円と決定したのでありますが、生産費は千四百七十八円八十一銭であります。二十三年度は、パリテイ指数によりましては三千五百九十五円でありまするが、生産費は三千五百四十五円でありまして、むしろ生産費よりもパリティ指数の方が高くなつておることを御承知願いたいと思います。  なお超過供出の奨励金二倍は、本年予算の編成の基礎として二倍ということになつておることを御承知願います。(拍手)     〔国務大臣大屋晋三君登壇〕

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○国務大臣(大屋晋三君) 水谷君の運賃に関する御質問にお答えいたしまするが、水谷君は、片山、芦田前内閣の運賃り値上げと今回の運賃の値上げを混同なすつて御質問なさるその意思が、私にはわからぬのであります。すなわち、言うまでもなくこのインフレーシーンが極度に進行いたしておりまするときにおきましては、水谷君もよく御承知の通り、嚴重なる価格統制が行われておるのでありまして、その際に運賃を値上げするというようなことは、物価に非常な影響を與えまするがゆえに、これを行わんとするがごとき片山、芦田内閣の政策には絶対にわれわれは反対いたしたのであります。(拍手)しかるに、ただいま大蔵大臣あるいは安本長官の申しました通り、今日の段階におきましては、経済の安定の軌道に乗つておりまして、諸物価もいわゆる安定の経路をたどつておりますので、運賃もいろいろな物価並びに海の運賃などとバランスを合せる意味におきまして、この際運賃の値上げをいたすのでありまして、前二内閣の運賃の値上げとまつたく性質の異なつておることを御了承願いたいのであります。(拍手)     〔政府委員淺井清君登壇〕

淺井清人事院総裁

○政府委員(淺井清君) 水谷さんにお答えを申し上げます。人事院は、その当然の職務といたしまして、政府職員の給與に関しまして鋭意調査を続けて参りましたところ、法律に規定いたしまするごとく、給與に関する諸條件に変化がございまして、俸給表に定める給與を百分の五以上増加する必要があるものと認めました。よつて人事院は、給與ベース改訂に関する勧告を国会及び内閣に対していたすことに決したのでございます。ただ御指摘のごとく今日まで遅延を見ておりますることは、まことに遺憾でございまするが、これは解決すべき少しの問題がなお残されておるからでございます。ただ、ここではつきりとお疑いのないように申し上げたいのでございまするが、それは、この勧告は人事院が法律によつて持つておりますところの職務でございまして、この勧告を阻止しようとするいかなる力も、いかなる企てもあり得ないということを私は確信いたしておるということでございます。

水谷長三郎日本社会党

○水谷長三郎君 議長。

幣原喜重郎民主自由党議長

○議長(幣原喜重郎君) もう少し時間がありますから、水谷君に質問を許します。     〔水谷長三郎君登壇〕

水谷長三郎日本社会党

○水谷長三郎君 時間の都合上簡單に申します。大蔵大臣は、総理大臣と同じく、日本の経済は安定したと言う。私は、その安定の、いわゆる犠牲面を強調している。従つて大蔵大臣は、今の資本の安定の過程において犠牲となつたところの勤労階級のために思い切つた社会保障制度をやつて、彼らの生活を確保するならば、安定したという大きなことを言つたらいいと思います。それをほうつておいて安定したということは間違いであるということを言いたいのであります。  さらにまた大蔵大臣は、税制の点においてこまごまと御答弁されましたが、主税局長池田君としては及第であるかしりませんが、大蔵大臣池田君としては全然失敗である、落第であるということを申し上げておきます。(拍手)     〔国務大臣池田勇人君登壇〕

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 安定の問題についてお答え申し上げます。私は安定の軌道に乗つたと言つているのであります。ほんとうの安定に入つたとは申し上げておりません。しかしてまた、勤労階級の社会保障制度ができ上つたならば経済は安定するとおつしやいましたが決してそうではありません。社会保障制度の最も発達したイギリスの経済が不安定であることをごらんになれば、おわかりになると思います。(拍手)

幣原喜重郎民主自由党議長

○議長(幣原喜重郎君) 次は荒木萬壽夫君。     〔荒木萬壽夫君登壇〕

荒木萬壽夫民主党(第九控室)

○荒木萬壽夫君 私は、ドツジ氏の再度の来訪以来今日まで、病を押して折衝に努力せられた大蔵大臣に敬意を表しつつ、民主党野党派を代表いたしまして、以下政府に対し若干の質疑をなさんとするものであります。  まず第一に、日本経済の認識について、重複するようではありまするが、私の質問の前提條件として、あえて総理の御答弁をお願い申し上げたいと思います。現在展開されておりまする日本経済安定方策の骨組みは、申すまでもなく四つの柱を中心として構成されているのであります。すなわちその一つは財政を極力金融や経済より分離いたしまして、嚴格に收支の均衡をはかり、その結果他の面においてどういう事態が起るかは第二義的に考えるいわば極端なる均衡財政であり、その二は、財政より分離させた金融を、いわゆるコマーシヤルベースによつて産業資金をまかない、金融機能の正常化によつて経済の合理的調整発展をはからんとするオーソドックスの金融政策でありまして、その三は、この両者を調節するものとしての対日援助見返資金制度、その四は、為替レートの設定を通じて企業の合理化を促進し、輸出の振興をはかることであります。かかる骨組みは一般的に言えば実にりつぱな構想であり、急激にインフレの收束を求めるためには当然とるべき財政金融政策であると存じます。ために、終戰以来暴威をたくましくしたインフレの諸現象は、ほとんど跡を絶たんとしておるのでありまして、この点は、ドツジ・ポリシーに対しまして国民諸君とともに衷心より感謝するものであります。同時にわれわれは、第三次吉田内閣及びその與党もまた、各種の公約を放擲してまで昭和二十四年度内示予算をまるのみにしたおかげで、その功績をわけてもらう資格があると認めてもらうのにやぶさかではありません。かくして、従来インフレと統制とによつてゆがめられて来た日本の経済も、表面的には次第に正常性をとりもどして、シヤウプ勧告による税制改革と相まつて、経済再建計画の基礎工事は着々として進みつつあるかに見受けられるのであります。  しかしながら、事実は政府の楽観にもかかわらず決してそうではなくて、われわれがいま一歩深く経済の流れを注視するならば、その奥底に容易ならざる事態の生じつつあることを発見するのであります。最近の各企業に見られる未拂金、売掛金、不渡手形、滯貨の激増は何を物語るものでございましようか。安本の調査によれば、内外有効需要の減退に基く滯貨は、六月末において、すでに纎維、石炭、鉄鋼等を初め八百億円余に達し、そのうち異常滯貨と認められるものは約四百億円、これに農林関係その他を加算すれば、異常滯貨は優に五百億円になんなんとするのであります。正常なる資金の回転率が今日ほど澁滯しつつあることは、おそらくわが国の歴史始まつて以来の現象でございましよう。これでは、経済の循環というものはとうてい考えられない。このままで推移するならば、企業は、その優劣を問わず、遠からずしてその機能を喪失するに至るのではないかということが憂慮される次第であります。(拍手)  今日企業経営をともかくも破綻から食いとめているのは、一千億円にも上る日銀の市中銀行に対する貸出し政策によるのでありまするがこれとても、健全金融の名のもとに、実はすこぶる不健全な金融が行われている状況でございます。これは決して正常な金融の機能ではありません。過去の貸付金がこげつきとなることをおそれてのやむを得ざる追増しの結果であつて、極言すれば銀行の自乙防衛策にすぎないのであります。またドツジ・ラインの目的の一つである企業の合理化は、人員の整理、操業度の上昇によるコスト引下げの形で行われて、設備資金難のために、技術の改善、設備の近代化による真の合理化は望むべくもなく、雇用量の増加、生産能力の増大などは思いもよらない状況にあるのであります。またわが国経済の基盤を形成している中小企業は、大企業からの圧迫と金融難のために、弱肉強食政策の犠牲となつて、倒壊続出の有様であります。かくて失業者は増大の一途をたどり、総理庁統計局の調査によれば、顯在失業者こそ本年八月三十五万程度でありまするが、一日に二、三時間働くような、いわゆる不完全就業者は数百万人に達し、ほとんど飽和点に到達しておるはずの農村人戸は、四月以来三百万人を増加している趣であります。  以上の事実は、各種の矛盾を蔵する日本経済の病状が、表面に現われないで、次第に内攻しつつあることを物語るものでありまして、政府の安易なる観測を嚴粛に否定するものであります。まさにデフレ恐慌の様相顯著であると申さねばなりません。(拍手)もし、以上のようなもろもろのデフレ禍救済のための適切果敢なる対策を講ずるのでなければ、今日までの一応の安定正常化への国民的努力は無に帰しまして、日本経済の致命的衰頽を招来すると認められるのであります。われわれは、この重大にしてしかも困難なる局面の打開のために、政府の謙虚にして勇敢なる施策と努力とを期待いたしたのでありますが、一昨日の大蔵大臣の演説と補正予算を通じて知り得ましたことは、あくまで資金の政府吸上げ超過であり、弱小企業、勤労者いじめであり、はなはだしきは冷酷なるまでの農民いじめであり、全額国庫負担の公共事業費のお座なりの増額でありまして、換言しますれば、デフレ政策続行の一語に盡きるのであります。猶予を許さない現下の事態にかんがみまして、まことに遺憾千万であります。政府のかかる態度の継続は、英米のような先進資本主義国の場合ならいざ知らず、資本市場のきわめて狭く、未発達の上に、戰争とインフレによつて極度に弱体化されたわが国経済としては、今日までの安定政策の強行も、インフレを收束せしめるためにはけつこうでありましても、経済縮小の段階にまで追い込まれた今日において、政府の周到なる計画的統制もなく、支援的措置もないままに、型のごとき安定政策を継続することが、実はかえつてドツジラインの期待する経済の自立を阻害しつつあるという実情に、ことさらに目をおおうて、ただ行きがかりにとらわれて、日本経済の本質に立脚した、わが国民経済こぞつての良心的の要望実現に十全の努力を拂わなかつた結果であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)私は、この意味において、一党一派の立場を離れて、国民諸君とともに政府の猛省と奮起を促さんとするものであります。(拍手)  そこで私が吉田首相にお伺いしたいと思いますことは、吉田首相は、私が以上指摘したようなわが国の経済情勢及び国民生活の現実に直面しながら、先ほども指摘されましたように、政府の施政方針演説に歩いては、わが国の経済は安定し正常化したと言い、今また大蔵大臣は、財政演説の冒頭において、わが国の経済はようやく安定の軌道に乗ることができうたと言つております。首相より幾分遠慮したものの言い方をしておられますが、首相は国民生活の実情をほんとうに認識しておられるかどうか。現下の政治の要諦は、経済の実情を率直に訴えまして国民を納得させ、真に連合国と国民の支持を得ることにあらねばなりません。首相は、いかなる根拠と確信のもとに、かかる断定を下されたのか。あえて私の今後の質問の基本的前提として御答弁をお願いしたいのであります。  以下私は、以上のような見解のもとに、見返り資金を中心とする長期産業資金の問題についてお伺いいたしたいのであります。この点については水谷議員も御質問になりましたので、なるべく重複を避けますが、大蔵大臣は前国会におきまして、この見返り資金こそはわが国経済の再建のための、いわば打出の小づちであると極言されたのであります。それにもかかわらず、現在までの見返り資金の放出状況はきわめて遅延しております。蓼々たるものでございます。そこで私の最も懸念にたえないと思いますことは、従来見返り資金放出の遅延している原因の大半が日本側にあるのではないかという疑いでございます。もとより、見返り資金の早期放出は国民的要望であり、政府首脳部が再々その筋に要請されていることは私も聞いているのでありますが、もしも遅延の原因が日本側に多くあつたといたしますならば、ゆゆしき大事であると申さなければなりません。われわれの調査によりますれば、大蔵省の要求いたします厖大なる調書作成がその大きな原因である。しかも、それを見て驚いたのでありますけれども、その作成を要求される方もたいへんでありますけれども、一体これをこなせる役人が何人いるでございましようか。しかも、それを仮申請と本申請にわけてつくらせるために要する時間と経費の浪費は僅少ではございません。さらに大蔵当局と日銀との二重審査も、はたしてその必要があるかどうか。審査そのものも、硫化鉱とは何ぞやというようなことから始めて、数箇月も時日を要するようでは、見返り資金の早期放出などは思いもよらないと申すべきでありまして、すべからくそれぞれの專門家を使うか、適当の專門官庁にまかすべきであります。要は日本側諸機関の協力体制をつくる必要があると考えるのでありますが、大蔵大臣の御意見を承りたいと思います。  さらに産業合理化資金の問題であります。今日経済政策のしわは、ことごとく合理化問題に集中されていると申しても過言ではございません。また大企業といわず中小企業といわず、産業界の最も強き要望は、企業の合理化に要する資金の問題であります。合理化合理化と企業をいじめてみましても、本格的な合理化のためには相当厖大な長期の資金が必要であるにもかかわらず、金詰まりはごの面において特に深刻であります。  申すまでもなく、日本の産業設備は老朽陳腐の標本みたような状態にあるのであつて、英米の先進国から見れば、大半はスクラップ同様の価値しかないのであります。のみならず、日本は、この疲れ切つた旧式設備によりまして、一本レートのもとに国際貿易競争に乗り出そうとしているのでございます。聞くところによれば、米国は一応論外といたしましても、日本と競争関係にあるヨーロツパの各国は、着々とその設備の更新、近代化を行いつつあるとのことであります。このままで推移しまするならば、輸出振興窮余の一策として、再び過去のソーシャル・ダンピングのそしりを受ける危險が十分にあるばかりでなく、悔いを将来に残し、日本経済の自立など思いもよらぬことが憂慮されるのであります。(拍手)この意味において、首切りや滯貨の増大に堕することなき、真の産業合理化対策の樹立及び所要資金の確保が焦眉の急務と考えられるのでありますが、この点に関し通産大臣及び大蔵大臣の具体的な御所見を承りたいのであります。  なお伝えるところによりますれば、政府及び日銀は、年末金融を人為的に抑制して昨年末の三千六百億円程度にとどめようとしているかに聞くのでありますが、事実でありまするかどうか。元来、十月ないし十二月にかけて資金需要が増大するのは毎年の例でありまして、たとえば、一昨年末は九月に対して四〇%、昨年は同じく三五%の増加を示している状況から見ましても、本年末において四千億円内外に達するであろうことは推定にかたくありません。三千六百億円程度では、供米代金の放出に六、七百億円を予定するといたしましても、すでに一ぱい一ぱいであつて、確たる根拠もなく年末通貨量を抑制することは、ただでさえ設備資金を初めとする金詰まり、増資も社債発行も澁滯をきわめている現下の金融事情下におきましては、いよいよ産業と国民経済を不当に圧迫する結果となることは必然であります。ことに、年末金融の増高は一時的現象でありまして、新春ともなれば、徴税等の関係でおのずから調節される筋合いのものであるばかりでなく、超健全財政、超採算主義金融にかわつている本年末に関する限りにおいては、格別懸念を要しないはずでございます。政府及び日銀は、よろしく資金の緩急軽重を勘案して、合理的年末金融対策を講ずべきものと思うのであります。(拍手)この点についての大蔵大臣の率直な御所見が承りたいのであります。  次に、価格調整補給金の削減撤廃に伴う善後措置についてお伺いいたしたいと存じます。政府は、補給金の漸減方針によつて、本年度補正予算で二百三十億円、二十五年度は九百億円、さらに二十六年度においてこれを全廃しようとする計画のようであります。理論的に言うならば、価格差補給金はなるべくすみやかに廃止さるべきものであることは多言を要しません。問題は、そのはずし方、すなわちその時期と方法にあるのでありまして、補給金を廃止・削減した結果、これが物価、賃金にはね返つて物価・賃金水準を変更することとなつては、補給金が本来欠乏経済下におけるその調整のための制度であることと考え合せましておよそ意味をなさないのであります。従つて、補給金をはずす場合には、これを何とか吸收せしめる必要があることは論をまたないのであります。  そこで補給金の問題は、廃止・削減と前後いたしまして、経済的にどういう手を打つかということに集中されるのであります。しかるに政府は、従来補給金の削減にあたつて、算術的にこれを減少する計画を立て、ただ漫然と合理化にしわ寄せしているだけであつて、たとえば現に石炭補給金の撤廃は、鉄鋼の三割値上げを初め、ガス料金の値上げを招来し、国民経済と関連産業に相当の影響を與え、電気料金、鉄道運賃値上げの要因となつているがごときは、その対策に真劍味と具体性を欠いているからであります。もつとも、補正予算に盛られている削減額二百三十億円は、関係物資の減少に基く自然減少が多いと思われるので、産業と国民生活とに実質的影響を與えるものはその半額程度と推定されるのでありまして、主たる問題は二十五年度以降にあります。  たとえば鉄鋼の場合を考えまするのに、現在程度の有効需要が今後も続くとしますならば、鉄鋼業の極端な集中生産でも行わない限り、鉄鋼補給金の思い切つた削減は不可能であつて、開らん炭が十ドル以下で多量に入つて来るとか、あるいは鉄鋼の需要が急激に増加するとかでない限り、鉄鋼業は成り立たないのではないかを憂慮されるのであります。ただし鉄鋼業のコスト切下げは、本年十月十二日の補給金削減によりまして、ほぼ限界点に来ているのであつて、今後は操業度を上昇して、現在の百八十万トン計画を二百数十万トン計画にするか、最後には賃金を切り下げるほかには方法がない状態であると申します。すなわち政府は、鉄鋼業、肥料、ソーダ工業等の基礎産業に対し、補給金の削減を、物価、賃金、国民経済との関連において、いかなる見通しのもとに、いかなる時期と方法によつて実施せんとするか、関係大臣の御見解を承りたいのであります。(拍手)  次に私は、食糧輸入量増加に伴う価格調整費及び食糧管理特別会計ヘの繰入れについてお伺いをいたしたいと思います。食糧の安定なくして経済の自立はあり得ない以上、自立達成の諸方策は食糧の安定確保に集中されねばなりません。敗戰以来、わが国は、外地及び満州からの食糧補給路を断たれたために、不足食糧はもつぱら米国からの恩惠的輸入によつて補填され、辛うじて今日まで生存を続けて来たのであります。しかるに、かかる恩惠的補填は、米国民の負担を増加せしめるばかりでなく、国内価格との調整のために、わが国民としても莫大なる租税負担に苦しまねばならない現状にあるのであります。しかも、わが国近来の輸出貿易はきわめて不振であつて、前途の見通しも楽観を許さないのみならず、米国の援助も本年を頂点として漸減し、四年後には打切りとなる見込みであることを考えまするときに、輸出産業用原料資材の輸入資金をかせぐ意味においても、食糧の国内自給態勢の強化は焦眉の問題であると信じます。政府としては、二の意味において、いかなる施策を用意しておるのか、また国内自給力に見合うところの不足食糧輸入について、いかなる見通しを立てているのか、安本、農林、大蔵各大臣の御所見を承りたいのであります。(拍手)  さらに、今回の輸入量の追加は、当初政府の予定に対して、本年度は五十万トンの増、明年度は六十万トンの増、そうして三百六十五万トン、約二千二百万石となる趣でありまするが、その結果として、第一に、主食の国内配給量の上にいかなる効果をもたらすものか。第二に、国際小麦協定加入のあかつきにおける、わが国の要望百二十万トンとの関係はどうなるのか。さらには、主食が不足すればこその輸入量の追加でありまする限り、民自党の一枚看板たる供出後の米の自由販売ないし米券制度は、当然願い下げにせねばならぬはずであるかどうか。(拍手)次に、食糧管理特別会計繰入れ百七十億円中、超過供出分に対する価格の倍率及び金額は幾ばくを見込んでいるのか。以上の諸点に対しまして、農林、大蔵両大臣の御見解を伺いたいと思うのであります。(拍手)  最後に私は、税制改革について一、二お伺いしてみたいと思います。本年度五千百億円に上りまする国税が、專売益金千二百億円、地方税の千五百億円とともに、国民担税力の限界を越えて、国民生活と企業とに重圧を與えていることは周知の通りであります。政府がシヤウプ勧告の線に沿いまして給與所得の暫定措置と消費税の減免措置により約二百億円の減税を提案したことは、不徹底なりとはいえ、それだけとしては、まことに適切であります。しかしながら、失業と破産続出の今日における減税問題は、むしろ税法上の是正をしなければ、歳入欠陥を生ずる意味も多分にあるばかりではなく、来るべき地方税の増徴予定四百億円とか、資産再評価に伴う影響を計算に入れ、米価の値上げ、運賃、電力料金の値上げ、これに基く物価の影響、賃金べースのすえ置き等の重圧をすべてになわねばならない国民の立場におきましては、むしろ減税どころか、より以上の負担であるというべきであります。(拍手)ただ單に国税のみをとらえての減税談義は、デフレ恐慌に悩む国民の感情と遊離した放言でしかないといわざるを得ません。(拍手)  そこで私のお伺いしたいと思いますことは、政府はシヤウプ勧告の線に基いて、地方税の改革についていかなる構想を持つておられるのか。その構想と国税とをあわせ考えた場合、国民の負担は実際にどうなるのか。またさらにさかのぼつて、今回の税制改革の基礎資料たる課税所得の階層別分布状況調査資料は、シヤウプ博士も言及しておりまするように、脱税のはなはだしかつたインフレ最高潮時のものである限りは、これに基くこのたびの税制の改革は、必然的に低額所得層、すなわち勤労者、農民、中小企業者に特に重圧を與える性格たらざるを得ないと認められまするが、いかん。(拍手)大蔵大臣——木村国務大臣がおいでになりませんので、大蔵大臣の御答弁を要求いたしたいと思います。  次に、補正予算の税收見込みによりますれば、ほぼ減税額と見合うところの約二百億円の自然増收が計上されておりまするが、その中でも、所得税の源泉徴收分、すなわち勤労所得税のみ約百億円の自然増加があつて、申告分については、逆に源泉徴收分自然増の約倍額に近い減收となつているようでありまするけれども、今日の不景気時代において、まことに解しかねることであります。また基礎控除、扶養控除の金額も、現行法制定当時に比べて経済條件の変動している今日低きに過ぎるし、さらに勤労控除が減率されていること及び事業所得税の軽減に手を染めなかつたことは、暫定措置であるといたしましても、特に農業所得との関係において、負担の公平という見地から、ともに了解に苦しむところでありまするが、これらの点に関しまして、今後の是正の見通しとともに、大蔵大臣の御見解を承りたいと存ずるのであります。(拍手)     〔国務大臣池田勇人君登壇〕

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。  荒木さんは、今の経済状態がデフレ状態であるとの前提のもとに、るるお話になりましたが、私はデフレ状態であるとは考えておりません。先ほど来申し上げましたように、非常なインフレーシヨンをせきとめまして安定ヘの軌道に乗りまする場合は、滯貨の増大、日銀の貸出し増等は当然のことであります。すなわち、世界はすでに売手市場から買手市場に移つております。バイヤース・マーケットになつておるのであります。日本は、今までの政策があまりよくなかつたので一年ばかり遅れておりますが、インフレをとめて正常な状態にかわるときの当然の状態であつて、決してデフレ状態ではないと私は考えております。しかしてまた経済の縮小を言つておられまするが、私は決して今の日本が経済の縮小状態であるとは思つておりません。  次に、見返り資金の運用につきましての御意見は、まことにごもつともでございます。財政演説において申し上げましたように、できるだけ早く、そうして有効的に使いたいと思います。今まで遅れておる原因はどこにあるかということになりますると、いろいろな原因があるのであります。手続上の煩瑣のこともございましよう、また調査しなければならぬ事情もございましようが、われわれとしては極力やつておるのであります。大蔵省では人が多過ぎて、というふうなお話もございましたが、見返り資金運用につきまして、大蔵省は一人も人員を要求していないのであります。既定の人員でやつております。何分にも復金の場合におきましても、あの復金のような貸出しをやりましても、申請後二、三箇月、四、五箇月かかるのがほんとうなのであります。市中銀行に一般の人が金を借りに行かれても、二億円、三億円の金になりますと、二、三箇月、三、四箇月かかるのは当然であります。しかし、できるだけ早くやるようにいたしたいと思つております。  次に合理化の資金についてのお話であります。われわれといたしましては、合理化を促進する必要を痛感し、合理化のための資金は従来も出しておりますし、今後もどしどし出しまして、産業の能率の上るように努めて来た次第でございます。  次に年末金融の問題でございまするが、決して政府は年末金融につきまして不安を感じておりません。しかしてまた、年末の通貨発行高についての御意見がございましたが、私の見るところでは、昨年の三千五百六十億円より上まわることはない、どんなにルーズにしても上まわることはないという今見通しでおるのであります。上まわつては困るから貸出しを制限するかというふうな気持は毛頭ございません。この見通しの理由につきましては、長くなりますから申し上げませんが、インフレ時代におきましては、年末の金はどんどんふえるでございましよう。しかし、今安定の軌道に乗りましたら、私は、昨日の通貨発行高が二千九百五十億円でありますか、これから六百億くらいふえれば上乗じやないか、それだけふえないのではないかと心配しておる程度で、通貨を押えようという気持は毛頭持つておりません。  次に価格補給金の撤廃時期でございますが、今までやりましたのは、石炭等につきましては八月にやりました。銅については十月、マニラ麻については一月、また将来の問題といたしまして、肥料につきましては、二割を来年の一月から、一割五分を三月から、そしてその残りを七月から、また鉄鋼につきましては、御承知の通り石炭は初めは三割五分の値上りがありましたが、十二月にやり、そして六箇月置いて、来年の七月にはずしてしまおうという予定で組んでおります。明確なことは、いずれ他の機会に申し上げることにいたしましよう。  次に、今度のシャゥプ勧告案並びにそれに基いてやつた今回の政府の措置、また今後とらんとする政府の減税措置は、全体として増税ではないかという御疑問でございまするが、決して増税ではございません。国税につきましては、昨日申し上げましたように、来年度におきましては、私の見通しでは九百億円程度の減税になると見込んでおります。しかして地方税は、シヤウプ博士の言をもつてすれば、今まで税に相当する寄付金の三百億円を入れて、租税收入を千九百億円に見ておるのであります。しかして、本年度の地方税の收入は千五百億——四百億円しかふえないのであります。国税で九百億円の減税をして、地方で寄付金を入れて四百億円の増税でありますから、もし寄付金を除いたとすれば、全体で八百億円の減税になるわけであります。この点はまた別の機会に申し上げますが、決して増税にはなりません。国の歳出が非常に減り、また地方の歳出のふえることを極力押えて、あまりふえないようにすれば、当然の結果減税になるのであります。次に今後の税制改正の問題でありますが、この問題につきまして、いろいろなお話がございましたが、政府は、先ほど申し上げましたように、決して増税はしたくない。もちろん相当減税をしたい。しかしてまた、税制としましては、各階級に、応能負担の原則に沿うまして適当にやりくりをする考えでおります。  なお最後に、農業者に対しましてはシヤウプ勧告にあつた昭和二十四年度の減税をやめた理由いかんというお話でございまするが、私は、シャゥプ博士のこの言には賛成をいたしません。減税は各国民に対して同一時期に出発するのが適当であると考えるのであります。従いまして、さかのぼつて減税はやめまして、来年度から皆さんに減税をすることにいたしたい。しかしてまた、農業者あるいは中小商工業者、ことに農業者に対しましては、思い切つた減税をする用意をいたしておるのであります。(拍手)     〔国務大臣稻垣平太郎君登壇〕

稻垣平太郎民主党通商産業大臣

○国務大臣(稻垣平太郎君) 企業合理化についての御質問に対してお答え申し上げます。企業の合理化ということは、結局操業度を高めることであり、同時に経営の能率化をはかることであると存ずるのであります。これを裏返して言えば、原価計算の構成の比率、あるいは一人当りの生産高の問題、また今御指摘になりました機械設備の改善、こういつた問題に縮まつて来ると思うのであります。そこで、荒木さんのお話の技術の更新なり、あるいは機械設備の改良、こういつたことは、今日最も要求せられているところのものでありまして、これに対しては、通産省としては、今日日本の研究機関、民間の研究機関がはなはだ貧弱であるというよりも、むしろ成立つて行かない。そういう意味におきまして、われわれの工業技術庁の四十一箇所の各研究機関を動員し、また外国の新しい技術的な著書を約八千ほど最近買いました。あるいはその他われわれの特別なる技術に対して、サンプル、オーダーといたしまして、機械なんかも四十件以上輸入して、これが改善をはかつており、またできれば技術その他について民間の外資導入をはかりたい、それについてのあつせんもいたしているわけであります。また合理化を行うための資金の融資については、通産省としては、合理化の結果がはつきりしているものにつきましては、できるだけこれが融資のあつせんをいたしているような次第であります。(拍手)     〔国務大臣青木孝義君登壇〕

青木孝義民主自由党経済安定本部総務長官

○国務大臣(青木孝義君) 私への御質問は、物価に関連し、なかんずく運賃の値上が等から影響がどんなふうにあるかということだと思いますので、その点をお答え申し上げます。今回の運賃の値上げの影響は、比較的影響の大きい銑鉄であるとか、鋼材であるとか、木材であるとか、セメントであるとか、そういうものに関して調べてみましたところでは、あまり大した影響がない。企業の合理化による吸收等を見込みまして、僅少な原価の上昇度にとどまると確信をいたしておるのでありまして、今般の物価水準に及ぼす影響は比較的少いと存じておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣森幸太郎君登壇〕

森幸太郎民主自由党農林大臣

○国務大臣(森幸太郎君) 荒木さんにお答えいたします。今日の日本の食糧事情は、決して常道な結果によつて現われたとは言い得ないのでありまして、この現象がいつまで続くかということは大いに疑問があるのであります。従つて、今日食糧事情がやや緩和されたと申しても、決してわれわれは安易な状態にいることを許されないのであります。ことに人口は、いろいろの手段が講じられておりますけれども、年々百四、五十万の増加をするということを考えますと、決して食糧事情は、ここ数年、いや将来においても、日本といたしましては重大問題として考えて行かなければならぬと思います。従つて今日の農業政策においても、一時的に食糧が潤沢であるという意味において、これを根本的に悲観し、あるいはこれを縮小するというようなことがあつてはならないのであります。今後正常な状態に置かれた場合におきましては、日本の農産物は海外の国際的農産物と同じ市場の立場に置かれるのでありますから、今後これらの国際農産物と競争し得られるように、その生産において一層の合理化をはかつて行くということを将来考えて行かなければならないのでありまして、今日のしばらくの状態が緩和されたといつて、日本の農業政策を根本的に改めるというようなことは、この際決して考えるべきことではないと、かように考えておる次第であります。

幣原喜重郎民主自由党議長

○議長(幣原喜重郎君) 総理大臣から特にお答えすることはないということであります。     —————————————

山本猛夫民主自由党

○山本猛夫君 国教大臣の演説に対する残余の質疑は他の日程とともに延期し、明十八日午後二時より本会議を開きこれを継続するこことし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。

幣原喜重郎民主自由党議長

○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

幣原喜重郎民主自由党議長

○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時一分散会

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