厚生委員会 第3号
- 発言数
- 42 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1949/11/14
会議録
○堀川委員長 これより会議を開きます。 皆様方に一応御通達いたしたいと存じておる件は、ほかでもないのでありますが、衆議院観光事業振興方策樹立特別委員長栗山長次郎君から委員長あてに、国際観光ホテル整備法案なるものを提出するから、よろしく頼むと、実はこういうものが来ておるのであります。それをちよつと読み上げますと、 前略 前国会から引続き本委員会に おいて立案のため審議を重ねて参り ました国際観光ホテル整備法案、別 紙の通り一応とりまとめ、総司令部 当局に提出いたしましたから、お含 みの上、御閲読くださいますようお 願いいたします。 昭和二十四年十一月五日 こういうようなのが来ておりますので、これについて一応厚生次官から説明を聞いたらどうか、かように考えております。厚生次官の御説明後に、何か皆さんの御質疑がありましたら、お願いいたします。 では、まず葛西次官から御説明願います。
○葛西説明員 ただいま委員長から国際観光ホテル整備法案についての御説明をするようにというお話でございます。法案につきましては、お手元の資料でごらんいただきたいと思いますが、この法案に対しまして、私ども厚生省事務当局の方で考えておりますごく大ざつぱなことを私から申し上げさしていただいて、さらに詳細な点等については、局長あるいは部長から申し上げさしていただくことをお許しいただきたいと思います。こういう外客誘致というようなことのために、こういうふうな法案がいるかどうか、あるいはまたどうして行くかというような大きな問題につきましては、私ども事務当局がかれこれ申し上げる筋合いではないと思いますので、本日皆様方のお耳に入れます点は、実はごく事務的に考えました点だけを申し上げさしていただくようにお願いしたいと思います。 その点につきまして、第一は、先般この国会を通りました旅館業法との関係でございます。それから第二は、国立公園行政の点から国立公園ととの関係についてでございます。この二点にあるのでございます。旅館業法は、御承知のように衛生上のいろいろな施設についての最小限度の取締りをやつているわけでありますが、この旅館業法と国際観光ホテル整備法案との関係につきまして、私どもとしてはいささか権限の重複と言いますか、非常に混雑した状態が起きるのではないかという点が第一の心配になるのでございます。こういうふうな法律をつくりまして、いいいホテルをつくり、外客を誘致させるというふうなことについては、また高い立場からいろいろ御論議を願うことが必要であるという御意見もごもつとものようにも思いますが、現在あります旅館業法で衛生上のいろいろな取締りをやつているわけでございます。御承知のように、旅館業法の第四條に基きまして、各都道府県で主たる旅館等の構造、設備についての衛生基準をきめまして、これに基いて取締りをしております。府県におきましては、各都道府県の衛生部に、環境衛生監視員が全国に約千六百人ばかりおりまして、これがまわつて、衛生上の最低基準に合つているかどうかというようなことをやつているわけであります。この法案によりますと、第十一條によりまして、運輸大臣が運輸省の出先機関を使いまして、ホテル、旅館の経営者に対して、設備あるいは経営の改善等について勧告をなすことになつております。そしてその設備または経営の改善という中には、この新しい法律案によつても、登録の基準が示されまして、衛生方面の基準とややダブつたような関係になつております。両方からやつて参る。そしてこの裏から四枚目くらいのところに別表第一、別表第二というようなことでいろいろその内容がきまつておりますが、これだけで見ますと、旅館業法で取締りをいたしているものとあまり大した違いがないというふうに私どもは見ているわけでございます。そういうことになりますと、この旅館業に対する衛生面の指導取締りというものが、両面からなされるというふうな結果になつて、受ける方の旅館の方でも非常に迷惑をするのじやないか。受ける方がたまらぬと思うのでございます。こんなことは一つにまとめて、迷惑をかけないようにして、必要で十分なことをやつて行くということでいいじやないかというふうな心持がするのでございます。また御承知のように、外国から参りました外国人あるいは占領要員等は、今まで立入禁止というようなことにしておつたのでありますが、だんだんとこういうものがとれて参りまして、だれでもどの旅館に行つてもさしつかえないというような結果になつて参ろうと思うのであります。そうなりましたときに、特に指定された旅館だけには外国人はいいがと言うておつても、はたしてその指定された旅館だけに外国人が行くかどうか、登録されておらない旅館にも外国人が参ります。そうなりましたときに、そういう点の衛生改善の設備というものが單に登録の旅館だけで十分であつて、具体的に申しますと登録されていない旅館で外国人がとまる、そして衛生の設備が悪いために病気が起る、伝染病にかかつてしまつたというふうな場合等が起きたと考えますと、單にこれだけのことでは不十分だという感じがいたします。そんなふうになるべく旅館業の取締りということは、全般的に一定の旅館に対しては全部やるという旅館業法があるわけでございますので、特別の意味というようなものは私どもはないのじやないか、こんなふうな心持ちがいたすのでございます。なるべくこういうものはああもしばり、こうもしばりというようなことでなしに、一本でやつて参りたい。必要な基準でありますならば、実情に応じてこれをさらに高めて行くということは、旅館業者の望むところでありますので、漸次そういうふうにやつて参り、実情に合うようにしながら設備をして行くということが、最も適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。大きな点でそんなふうな心持ちでございます。なお不足の点は局長なりあるいは部長なりから申し上げることにお許し願いたいと思います。 第二に国立公園との関係でございますが、これもやはり同じような問題が起きると思うのでございます。国立公園の関係におきましては、この国際観光ホテル整備法案によりましても、一定の旅館については登録をさせまして、そうしてその登録したものについては資金、資材のあつせん等をして、大いに助長をして行くというような点がねらいのようでありますが、その中であるいは富士、箱根とか、日光でありますとか、外国人が主として参ります地域の国立公園内におけるホテルにつきましては、現在でも国立公園部の方におきまして、資金、資材等のあつせんを若干いたしておるようなわけであります。この法律が出て参りまして国立公園の中におけるものも、あるいは国立公園外のものは別でございますが、これもまた運輸大臣がかようなことになつて参るということになりますと、実は非常に複雑になつて、旅館業者等がどつちへどうしていいのかわからぬというような状態を来す、かように思うのでございます。従いまして私どもは率直なことを申し上げさせていただきますと、国立公園内においては現在通り、もしこの法案がいいということになつてお通しになるというようなことでありますならば、その国立公園に関する限りは、現在やつておる厚生大臣が運輸大臣と打合せをいたしまして、同じようなことをするというようなことで事足りるのじやないかというような心持ちでございます。旅館業として一定の取締りをさせ、さらにまた国立公園地域につきましては、国立公園計画に従つていろいろなホテルをここにつくるとか、ここにロッジをつくるとか、あるいは道路をどういうふうにつくるとか、ある一定の計画があり、さらに施設等については詳細に厚生大臣が国立公園の計画にふさわしいように監督をしておるようなわけでございます。それにまたさらに運輸大臣の権限というものが入つて参りますと、ますます複雑になり、非常にめいわくするものは旅館業者ということになるのじやないか。従いましてかような場合には、国立公園地域に関するものだけは、厚生大臣が国立公園の所管としてこれをやるということが、一番簡易化させる方法である。国立公園以外のものについては、ただいまのような議論は別でございます。大体そんな心持ちでございます。 なお温泉地等についても、温泉法によりまして、厚生行政の部分で取締り指導が行われておることでございますので、大体この法案等を御審議いただきます上で、また右申しましたような混乱が起きないように防止をする必要があるのじやなかろうか、こういうふうに思つております。 たいへん雑然とした説明でありますが、一応ごく事務的に考えまして、私どもはこの法案が高い立場から、国策あるいは政策というような立場から、これをどうすべきであるかというような点については、私ども申し上げるまでもないことと考えますが、ただ事務的に考えまして権限の重複、あるいはまた民間のかような業者等が困らないように、今やつておる行政にさらに新しいめんどうくさいものが附加されるということでなしに、現状でやつておるものをさらに強化して行くというようなことで足りるのじやなかろうかというような部面がございますので、そんな点を当委員会においても、厚生行政の御担当の委員会として、十分御検討の上御審議をお願いしたい、かように事務的には考えておるわけでございます。
○堀川委員長 ちよつとお聞きしますが、こういう別紙のようなものを総司令部に当局から提出いたしましたからお含みの上というあいさつの法案が来ておるのでありますが、これに対して総司令部からOKが来て審議をやつておられるのですかどうですか。それからまた審議をやつておられるといたしましたならば、それに対して厚生省の方の当局が呼ばれて、御審議の中に何か入られたことがあるのかどうか、その点も伺つておきたいと思います。
○飯島説明員 実は本委員会委員長あてに観光委員長から、法案を司令部に出したから閲読願いたいという書類が参りますと同時に、厚生省の主管部局に対しましても、同様の案文で送付して参つたのでありますが、さつそく事務的に司令部の内部を取調べてお伺いしてみましたところ、ガバメント・セクシヨンの国会対策の課の方へこれが十一月一日に提出されて、向うでは一応審議するということよりも、これは占領政策に反しないか反するかの問題の点で、一応占領政策には反しないと認められるので、国会の自主的な権威に基いて審議されることは司令部としては意見がないという見解のもとに、十一月の九日に提案をすることはさしつかえないというOKが来たということであります。しかしながらその内容は、従来の司令部のOKの実情にかんがみますならば、必ずしも司令部としていいということではないのであつて、日本側政府内、あるいは国会内部において十分検討することはさしつかえないという意味のOKであるから、将来政府内部で、あるいは国会内部において訂正するということになれば、司令部としても十分検討するということだそうであります。司令部のOKの性質は従来の例にかんがみますならば、必ずしもこれをもつて司令部として出していただきたいという趣旨ではありませんで、全然反対の法案についてもやはりOKをしておるそうでありますから、このOKの性質は一応国会に出すことはさしつかえないというものとわれわれは了解いたしたのであります。現在この性質のOKに基きまして、観光事業特別小委員会では、司令部のOKが出ておるから提案してさしつかえないということで、一応委員会としては最終決定をして本会議にかけるばかりになつておるようであります。ただその本会議にかける際に、政府がこれをどういうふうに取上げるかという問題について、なお若干意見が残つておりますし、またこの司令部の ○Kに対しましては、税金の免除の点について大蔵省関係、またバイヤーのことについて通商産業省関係等が全面的に反対をいたしておりますので、今後国会においてこれらの点を十分御検討の上、この法案を処理していただきたいというふうに考えているわけです。
○堀川委員長 何か御質問ありませんか。
○伊藤(憲)委員 結局どうなのですか。厚生委員会で審議するのですか。それを伺いたい。
○堀川委員長 そうではないのです。観光事業振興方策樹立特別委員会で審議しておるのであります。審議が済んだかどうか知りませんが、とにかく私の方へはこういうものをやつているからお含み置きを願いたいということを言つて来ただけなのであります。
○葛西説明員 そのことにつきましては、ただいまも申し上げましたように、厚生行政の国会の方をやつておられる厚生委員会としまして、旅館業法の関係あるいはまた国立公園行政の関係から、二重になつて、一般に迷惑をかけるとかあるいはダブるのじやないか、権限がごちやごちやになつてしまうのじやないかというようないろいろな点もございますが、国会に出ておるのでありますから、十分そういう関係から御検討をお順いしたい、ざつくばらんに申し上げますと、こういうような心持でございます。
○堤委員 それでは厚生委員会にお出しにならないで、厚生委員会をさしおいてそれを通すつもりなのですね。それでしたらばやはりこちらとしても何かの考えをもつて――厚生省自体の御意見も今ざつと承りましたし、私たちとしてもやはり厚生委員として責任がございますから、合同審議をするなり、何かの形においてでないと、そう簡單に取扱われるのはいかがかと思うのでございます。その点皆さんにお諮り願つてひとつ……。
○堀川委員長 厚生省当局も、この委員会をうつちやらかして簡單にこれを片づけられることは、どうも心外だという点があるのじやないかと思います。この特別委員会は、あまり厚生省関係や大蔵省関係の委員会を通さないで、これには輸入税を免除するとか、あるいは何やらを減税するとか、免税するとかいうようなことがありますから、そういう関係のところもみんなうつちやらかして、その委員会だけでやつているわけなのです。そういう関係でまず私どもとしては、旅館業法をここでやつておる関係上、皆さんに一応御意見をお伺いして、どういう方法をとつたらいいかお諮りしたいと思つて、実は委員会にかけたわけなのです。
○葛西説明員 もう一つつけ加えさしていただきますと、実は政府の方から法案を提出いたしますような場合には、政府部内で関係のところをいろいろお打合せをいたします。たとえば税の関係は大蔵省でどう、あるいはまた衛生の関係は厚生省、それから運輸の関係があれば運輸省というふうに打合せをしまして、最後には閣議の決定を経まして国会に提案するようなかつこうになるわけでございます。さつき堀川委員長からもお話がありましたように、特別委員会の方から御提案になるということになりますと、そういうふうな広い立場からいろいろな関係を考慮して、広い立場から検討した上で一つの法律にしていただくということが必要じやないかと思いまして、ごく事務的な意見だけを私実は申し上げたわけでございます。
○伊藤(憲)委員 與党側の意見を聞かしてもらいたいと思う。ぼくの方としては観光特別委員会などは大体いらないと思つているのですから。しかし粟山君が委員長をやつておられることもあるしするから、與党側が賛成しておるのにわれわれがとやかく言つたつて、結局するところ押し倒されてしまうのですから、與党側の御意見を伺いたい。
○松永委員 これは與党野党ということよりも、厚生省設置法の中に、「国立公園及び温泉に関する観光事業を指導育成し、これらに関する利用施設の整備改善を図ること」と、国立公園の條項がはつきりあるのですから、そういつた点を無視して、特別委員会が独自の立場から一人歩きしようということは、実際にそういう法案が議院提出で出ましても、あちらに頭を打ち、こちらに頭を打つという結果になりますから、厚生委員会としては、一応合同審議の形で運ぶように勧告をする必要があると思うので、委員長においてしかるべくとりはからつていただきたいと思います。
○苅田委員 私は宿屋が清潔になつて、観光客が便利をするということが問題だと思う。そういう点からいえば、特別委員会でこういう法律が立案されたということは、現在の宿屋が非常に不清潔で、いろいろと迷惑をかけているということから発足しておるわけで、私どもの立場からいえば、実際の状態が改善されることであればよいのではないかと思う。それをほんとうに改善されるように、従来の法律の不備な点をもつと補うというようなことについて、厚生委員会としての意見を述べることは適当だと思います。そういう現在の非常に不備な点に対して、どういうふうに改善する意見を持つておいでになるかということについて、まず次官から御答弁いただきたいと思います。
○松永委員 それは今苅田委員がおつしやつたような意味で出ているのとは違う。というのは私は観光事業振興に関する特別委員なんです。従つてこれまで審議して参つたのは外客誘致、ドル獲得という意味合いから、どういう方法をもつてしたら外人が心よくとまつて、三日の滯在を五日にしてドルを落して行つてくれるかということを考えておつたのでありまして、その内容に盛られているのは、現在の旅館業法等の不備を補足するとかいつた意味は、実際問題としては毛頭ないのであります。ただこれはこういうふうにしたらよいのではないかということでやつただけでありますから、不備を補うという意味はこの法にはなかつた。どうすればお客さんに快くとまつてもらえるかどうかということに主眼点を置いて立案されたのであつて、それには在来の旅館業法等は一応検討されておつたように思うが、これに対する当局の見解を御披瀝願いたいと思います。
○葛西説明員 ただいま松永委員からお話がありましたように私も考えているわけであります。旅館等が今不清潔で困るとか、とまりよくするようにということは、この委員会で御審議になりましたので、旅館業法のことをいまさら申し上げるのも僭越でございますが、大体私としては旅館業法にあるような趣旨を十分生かして行くように指導奨励して参りたいと考えております。
○堤委員 一応この委員会として申入れをいたしまして、向う様は向う様として、長後のところはこの委員会に権利を與えるというふうになお申出をするとか、合同審査とか何とかもう少しやつていただいた方がよいのではないかと思つております。
○堀川委員長 この件に対しましては、あまり知らぬ顔をしているということも、われわれ厚生委員会としてはどうもふに落ちぬ点があると思いますので、今堤委員から御発言があり、また松永委員からも御発言がありましたから、ひとつ理事会にでも諮りまして、その理事会の決定によつて何かの方法を今後とつて行つたらどうかと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀川委員長 それではさように決定いたします。 次に松永委員から何か……。
○松永委員 先般七日から三日間にわたつて、全国社会事業大会が東京都下で開催されたのでありますが、現在の日本の各方面から見て、社会事業の育成助長ということは当然でありますが、厚生省の予算関係で、助成金その他大体のアウトラインだけお示しを願いたい。 なお最近各方面の社会事業家の中で、いろいろと問題になつている点を申し上げますならば、授産場の助成に対する請願がわれわれ委員の手元に参つております。この授産場はもちろん必要なのでありましようが、最近営利事業化した授産場というものが、相当各府県で話題に上つているのでありますが、こういつた方面の実情について一応関係当局の御説明を承りたいと思います。
○葛西説明員 社会事業大会で先般来いろいろ御討議を願い、結論を得たものも拝聽いたしておりますが、今松永委員からお尋ねのありました来るべき国会に提案になります予算的ないろいろな裏づけ等につきましては、社会局長が見えておりますから、社会局長の方から申し上げさせていただきたいと思います。 次に、目下問題になつております営利的な授産場というふうなものについてのお尋ねでございました。実はこんなことを申し上げるのはおこがましいのでありますが、授産場というものは、われわれとしては社会事業の中では欠くべからざるものであると思います。と申しますのは、現在の生活保護法は御承知のように、原因のいかんを問わず無差別平等に困つている者には、国の責任において保護するということになつているわけでございます。従いまして非常に広い層の者が対象になつて参ります。その中には実は稼働能力のある、働き得る者もないことはないのでございます。かような場合を予想しまして、現に生活保護法の十六條には、市長村長が勤労その他生計の維持に必要な指示ができるというふうなこともありまして、全部まる抱えで公的な保護に頼つてしまうというふうなことを防止しているわけでございます。そういう立場から、この法律の中にも生業扶助というようなこともありますし、働き得る者は働かして、できるだけ自分の手でかせいでもらう。足りないものを公的な扶助によらず、かような建前でございます。従いましてそういう面から、授産場というものがそういう人に與える部面というものが多いわけでございますので、私どもは、社会事業の一つのシステムの中には、当然授産場というものが取上げらるべきものだと考えております。ところが今松永委員から御指摘になりましたように、大分授産場り範囲を広くして、あるいはそこに働いている者の労働を搾取するとでも申しますか、かような者も世間には絶無ではないように思います。あるいはまた経営をしている者がうまくやつて金をもうけているというふうなことも、間々聞くわけでございます。従いましてかようなことに許さるべきことではないのでありまして、本来の意味の授産場は、働き得る者を働かして賃金をかせいでもらうというようなことであるべきでありますので、実は本年の八月御承知のように、授産場の緊急整備要綱をつくりまして、今全国の一千二百ばかりある授産場を、全部各都道府県で調べていただいて、一定の基準をつくりまして、そうして今申し上げましたような本来の姿の授産場であるものとそうでないものを区別いたしまして、ほんとうに生活保護の関係の者と、あるいはまた一歩誤まると生活扶助を受けなければならぬような、ボーダー・ライン・ケースにある者のためのほんとうの授産場にし、そうでない営利のもの、あるいはまた労働を搾取するというようなものについては、一般の営利事業としてやつてもらうというふうなことが必要じやないかということで、今調査をしてもらつております。この整備要綱による調べは、大体今月一ぱいで各府県の調査を終ることになつているわけでございます。そういうようなことがあるわけでございますから、この問題については、連合軍最高司令部の方においても、地方の民事部等を指導して非常に注意をしておりまして、私どもにも類似のいろいろな指図があつたわけであります。近くさらにまた検討いたしまして、いわゆる授産場に値しない授産場は排除して、数に減るかもしれませんが、ほんとうの生活保護階級のため、あるいはまたボーダー・ライン・ケースの人のための授産場をつくつて参りたいと思つております。
○木村(忠)政府委員 松永委員の御質問にお答えします。社会事業行政関係一般について、明年度の大体の計画を申しますと、現在予算を盛つて準備いたしておりまするものは、財務当局と一応話合いがついているものが、生活保護関係が約百五十億でございます。これに大体今回の米価の改訂を基礎といたしまして、最近の各般の情勢から、若干の要保護者があるという見込をつけまして、これによりまして明年度の生活保護の必要の経費を見積つた金額でございますが、大きな情勢の変化がなければ、大体これでやつて行けるものと考えております。なおわれわれといたしましては、現在の生活保護法の基準がきわめて低いということを認識いたしておりまするので、今後の改訂の際におきましては、米価の改訂だけでなく、基準額一般についての改訂もあわせて行いたいと思つております、それを行つた場合、その予算で間に合うかということにつきましては、大体現在においては間に合うのではないかと思います。基準の改訂の仕方によつてどうなるかわかりませんが、一応そういうようなつもりで案を組んだわけでございます。 なお社会事業施設の今後の増設につきましては、明年度の予算におきまして、新設の経費に対する補助が現在相談ができております。これはまだ関係方面の承認を得ていない数字でございまするが、一億八千万円くらいの補助金というものを見込んでおります。大体これが社会事業関係の今後の振興についての計上でございます。なおその他に身体障害者につきましては、御承知の通りに身体障害者福祉法が、この国会に国会の側から提出に相なるようてありまして、これに対しまするところの予算的な措置、これは新設とそれから経常を合せまして、一億余りが大体見込まれております。但しこの一億円の中には、先ほど申しました一億八千万円という新設の経費の中のものが一部入つておるのであります。そこは重複いたしております。その他の点につきましては、大体従来やつておりますよりも嚴密なる社会事業全体に対する監督をいたすような趣旨をもちまして、その方面の経費が若干入つております。それから社会事業関係者の養成、訓練のためにいたしますところの経費も、昨年度よりは相当増額に相なつております。大体そういうような見込みをもちまして、明年の社会事業の計画を立てて参りたいというふうに考えております。 それから厚生的な面におきましては、現在準備いたしておりまするのが、生活保護法の改正と社会事業法の改正でございまして、生活保護法の改正につきましては、先般社会補償制度審議会におきまして勧告がありまして、この勧告に基きまして、生活保護法はさらに詳細な内容にいたしますと同時に、これが社会補償の一つの分野でありますことを明らかにいたすようにいたしたい。なお従来の生活保護法におきましては、與える側と申しまするか、與えるという立場から法が規定されておりますものを、受ける測の規定というような心持ちで規定を立てて行きたいというふうに考えております。その線に沿いましてただいま案の内容を検討いたしております。 それから社会事業法につきましては、従来の社会事業法は昭和十三年にできたものでありまして、きわめて古いものでございます。その内容も現在の状況に非常にそぐいませんので、社会事業の振興のために、また社会事業の一般の信用を高めるために、その内容を充実いたしまするためには、広く私設の社会事業というものの基礎をしつかりと固めること、また私設に働きまするところの従事者の資格等につきましてはつきりしたものにする、それから社会事業行政一般の監督につきましての詳細なる規定を設けますること、社会事業に対しまする財源を確保すること等、今後の社会事業の振興について必要な内容を盛ることにいたしたいと考えまして努力いたしております。なおこれにつきましては、各方面から社会事業法についてのいろいろな案も出ておるのでありまして、これにつきましては十分参酌いたしまして、できるだけ完璧なものといたしたいと思います。なお現在の法におきましては、公の社会事業というものを私の社会事業というものの間の関係をどうするかという点が、大きな問題になつておりまするので、この点をこの際一挙に改正できるかどうかということにつきましては、理論的にいろいろ問題があります。この点はあるいは後日に延ばさざるを得ないのではないかというふうな気持ちを持つておる次第であります。 それからただいまお話がありました授産事業の問題につきまして、若干つけ加えておきまするが、これは大体次官が申しました通りでありまするが、昨年の七月ごろから授産事業の現状がきわめておもしろくない。と申しまするのは、授産事業が最近になりまして非常に雨後のたけのこのように出て参りまして、その中には非常にいかがわしいものもあるように考えまするし、なお対労働省の失業対策との関係の調整といつたような問題もありまして、授産事業というものをすつきりしたものにいたしたい、かように考えまして、昨年の七月に授産事業の第一回の整備を行つたのであります。これは七月にやりまして、大体九月現在でもつて一応の整備を完了いたしたのであります。この際に全国の授産事業というものを千二百箇所というところまで整備いたした次第であります。しかしその後の状況を見ますると、なお各県におきましては、いろいろな関係からなかなか十分な徹底した整備は行つていないということが明らかになりましたので、新たに本年八月に再整備を行うということにいたしまして、授産事業の整備要綱をこしらえまして、これによりまして、さらに整備を今実施いたしております。ただいま次官からお話がありましたように、大体今月一ぱいでもつて、地方におきまする整備の案ができまして、その整備案を持つて本省に協議に来ることになつております。本省におきましてはこの協議に基いて、実際の整備の状況を書面の上で審議いたしまして、なおその書面では明らかにできないと認められたものについては、実地に調査いたしました上で、授産事業を今後どう持つて行くか、現在の授産事業をどうするかということをはつきりいたしたいと考えておします。かようにいたしまして、今後は純粋な授産事業というものを伸ばしまして、その授産事業に対して必要にして十分なる援助を與えまして、これによつて授産事業の健全なる発達を庶畿いたしたいと考えているのでございます。 大体以上をもちましてお答えといたします。
○丸山委員 ただいまの松永委員の質疑並びに当局の御答弁等にございましたように、社会事業と申しますものは、厚生委員会としてはなかなか重大な関心事でございまして、また国民の福祉ということから考えても、ことに重要なことだと考えております。政府の行うべき生活扶助の面における調査及びその助長、また社会事業の基本法の制定であるとか、あるいは財源の点であるとか、ことに今の社会事業の公的な施設と私の施設との間の調整であるとか、あるいは労働搾取に陥つているような不良な授産所の調査であるとか、その禁止、あるいは優良なものの援助等、非常に多方面の仕事があるように考えられます。この際私は動議を提出いたしたいと思いますのは、社会事業の振興に関する小委員会を厚生委員会に設置されたいということであります。すなわち社会事業に関する調査のために、約十名ぐらいの小委員会をつくり、小委員及び小委員長の選任に関しましては、委員長において御指名あらんことを望む次第であります。
○堀川委員長 ただいまの丸山君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀川委員長 御異議なしと認めますから、社会事業振興に関する小委員会を設置することに決しました。 小委員並びに小委員長の選任に関しましては、委員長より指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀川委員長 ではさように決定いたします。なお委員の選任に関しましては追つて御通告することにいたします。 なお時間も相当たつておりますが、何か御質疑がありますか。
○苅田委員 松永委員の御質問に関連してお聞きしたいのですが、生活保護法を受ける測の人数ですが、これは本年度予定が何人であつて、来年度の予定が何人ぐらいの人数をもつてこの予算の計算をなさいましたか、その点をお聞きしたいと思います。
○木村(忠)政府委員 予算の計上の場合には、人数を基礎にいたしませんで、金額の動き方でやつているのでございます。大体本年の三月を基準にいたしまして、その前後の動き方を基礎といたしまして、それにさらに一割ふえるという大体の見込みをつけてやつております。なおそのほかに先ほど申したような米価の改訂を加算するという計数をとつているのでございまして、人数につきましては生活保護法の予算の際には考えておらないのであります。現在の生活保護法を受けている者の人数は、全部で約百六十万と考えております。
○苅田委員 私どもの方から、今度月曜日に、厚生行政に関する委員会が開かれることにつきまして、当日の質問を予定しまして、政府の方から関係当局の方の御出席をお願いしてあつたのですけれども、今日一人もおいでになつていない。そのために私どもはここで質問することができなくなつているわけなんです。これは前々から私はよく委員長にも申し上げておいたわけですけれども、いつもこちらで質問を用意して参りますと、当局がおいでにならないということがしばしばあるので、それでは委員会のやり方として非常に私ども不公平だと思うのです。これは故意に、意識的にそういうふうにしておいでになるのじやないかというふうに、だんだん思つて来るようになると思います。そうでありますから、ぜひそういうことがないようにやつていただきたい。きよう大臣があるいは医務局の当局者がお呼びしてあるわけなんですが、それがどういうわけでそういうふうにおいでいただけなかつたか。一応ここで私ども理由がお聞きしたいと思うのです。
○堀川委員長 実は私はきよう初めてここに来まして、こういう医務局長や大臣をお呼びになつておられました、ところが土曜日には委員長がいなかつたから、事務の方で、共産党の方からかくかくの人々に出てもらいたいという要求がありましたということを聞いたのであります。委員長の方で故意にあなたらの言論を封ずるつもりで、そういうものが来なくてもいいというようなことを言つたことはないので、皆さんの御要求に対しましては、必ずその通りにいたしておるはずなのであします。その点はひとつ御了承願いたいと思います。
○苅田委員 私どもはなるべく委員長の誠心誠意は信じたいわけなのですが、しかしあまりこういうことがたび重なりますと、どうもあまり偶然が続き過ぎるので、非常にその点がよくないと思います。それからお呼びになるのに共産党が呼んだ、そう言えば、共産党が呼んだから来ないということもあるのですから、厚生委員会として呼ぶわけなのですから、そういう点の扱いもひとつ今後気をつけていただきたいと思います。
○堀川委員長 多分それは苅田さんの誤解だと思うのですけれども、委員長から言うときには、厚生委員会からお呼びだとこう言うと思うのです。委員長がいなかつたから、共産党の方がと、こう言うたのではないか、こういうふうに私はよい方に信ずるのですが……。
○苅田委員 釈明の通りと思いますが……。
○堀川委員長 きよう来なかつたことに対しましては、私の方から今後そういうことのないようによく申しつけます。しかし言うことを聞かない者を、首に綱をつけてひつぱつて来るわけにも行かないと思うのです。
○苅田委員 ただ問題は、国会が開会中の委員会といえば、これは相当な権威のあるものだと思うのです。そうでなければ何も大した費用を使つて、集つて、こういうふうな委員会をする必要はないと思うのです。だからそういう点はもつと呼ぶ方が権威をもつて、――これは何も共産党だけではなく、委員会に対する厚生省の軽視だと思うのです。ですからそういう点はもつと呼ぶ方が権威をもつてひつぱり出してもらうようにやつていただきたいと思います。それできよう午後から続行することはできないのですか。
○堀川委員長 きようはこの程度で散会するつもりでおります。あすご前十時から理事会を開きまして、今の件を御相談することにいたします。
○苅田委員 それからもう一つ。これは先般私どもが厚生委員会として板橋の養育院と山之内製薬を視察して参りましたのですが、なるほど視察する前の約束は、これは調査ではなくて視察だということであつたのですが、委員長もおいでになつてごらんになつたように、板橋の養育院というものは、現状としては非常にまだ設備が不完全なわけなんです。これは戰災を受けたやむを得ない事情もあるのですけれども、やはり厚生委員会として視察しました以上は、施設の責任者も言つておられたように、非常に困つておいでになる部面がたくさん出ておるわけです。たとえば男子の收容所の方は、年寄りの養老院のような形で入つておいでになる。そういう年長の男子の方や、浮浪者や、精神薄弱者や、そういう人がごつたに雑居しておるわけです。そういうことは非常に間違つた話だと思うのです。それから女子の雑居の方を見ますと、一人当り一畳もないようなところへ持つて行つて、皆さんが大勢入つていらつしやる。直接話を聞けば、一人が半畳だというようなわけで、施設の責任者も、夏になつてもかやもつれないのだというような話なんです。そういつたような非常にひどい点に関しましては、やはり厚生委員会から視察した責任として、こういう点はあまりひどいから、もう少し改善をしてもらいたいというような意見書を出すべきじやないかというふうに考えるのですけれども、これは委員会に諮つていただいて、参りましたのは、民自党の青柳さんもおいでになつたわけなんです。皆さんも御相談して、そういう意見書をここから出すというようなことをしていただきたいと思いますので、お諮り願いたいと思います。
○堀川委員長 苅田さんに申し上げます。先般もプライベートに申し上げたのですが、この委員会でああやつて視察に行くのは、調査団ではないのでありまして、調査団なら調査報告をするとか、あるいは意見書を出すとかいうことでいいと思いますが、国政調査の件は議長まで調査の件を申し出ることになつておりますが、その各般についての意見は、今苅田さんがおつしやつたように、委員会全体が意見を出そうということならいいと思いますが、そうでなければ、見た面が非常に悪かつたということに対しての改善の要望は、委員会でひとつ個人的に取上げて、その当局に話をしていただくということが一番いいのじやないか。一々委員会の意見を、視察したところへ持つて行つて、その当局にするということになりますと、どうも視察が多少鈍つて来るのじやないか、こういうことも考えられます。調査団ではないのでありますから、その点をひとつ御了承願います。それから今苅田委員が言われましたが、あそこへ視察に行つたのは、ここにおる者は、あなたと私とだけです。
○苅田委員 青柳さんは。
○堀川委員長 青柳さんはきよう来ていないから、そこで皆さんにお諮りしても、皆さんがその場面を見ておるまいと思うのでありますから、視察はなるべく多くいつてもらいたい。そこで今まであなたの方からよく行つてくれ、あるいは長生病院に行けとか、あるいはどこへ行けとか言われますが、あまり行く人がなかつたのでは効果はないと思うのです。そこでできるだけみんな行つてもらえる場所に行くということが一番いいのじやないか、こういいように思つているのです。今日皆さんにお諮りしろと言つたつて、諮つても、どなたも行かれた人がない。あなたと私だけなんです。
○苅田委員 だから私の言うのは、とにかくこれは委員会として行つたことなんです。個人として行つたわけではないのですから、もしもそこで皆が見て、なるほどそうだというような意見があれば、これは委員会として、何もそれを命令する権利があるないにかかわらず、委員会としてそういう注意を出すことは前例がないかもしれないけれども、これはいけないことではないと思うので、その話をしたわけなんです。
○堀川委員長 それで、そういう点については当局に一つ御質問願つて、行つておられぬ人も、御質問願えば、その答弁や御質問の点で、なるほどそういうことかということがわかりますから、そういうことなら、ひとつ意見を共同でしてもいいじやないかということにもなるかと思います。今後の委員会の運営や視察の点を、そういう方法でやつて行きたいとかように考えます。 本日はこの程度で散会いたします。 午前十一時五十九分散会