本会議 第26号
- 発言数
- 50 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1949/05/13
会議録
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。 この際お諮りいたします。村上義一君より議院運営委員を辞任いたしたい旨の申出がございました。許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として議院運営委員に藤井丙午君を指名いたします。
○議長(松平恒雄君) 本月十一日、本院に予備審査のため送付せられ、昨日内閣委員会に付託いたしました行政機関職員定員法案に関しまして、特にこの際その趣旨説明を求めたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。本多國務大臣。 〔國務大臣本多市郎君登壇、拍手〕
○國務大臣(本多市郎君) 提案になりました行政機関職員定員法案の提案理由について御説明いたします。 御承知のごとく國家行政組織法が施行せられることになりますと、これに基き各省各廳の組織及び定員を法律で定めることとなるのでありまして、政府はこの機会に行政機構の簡素化と職員の縮減とを行い、多年の縣案であり且つ國民の輿論でもありますところの行政整理を断行せんことを期し、各省各廳の設置法案はすでに御審議をお進め願つておるのでありますが、ここに、この政行機関職員定員法案を提出した次第であります。 即ちこの法律は、國家行政組織法に基く各行政機関、即ち内閣の統轄の下におきまする総理府、法務府、各省及び経済定定本部の職員の定員を定め、政府はここに定められました定員の数にまで職員の数を本年六月一日から九月三十日までの間において逐次整理するものとし、これに必要なる事項を定めたものであります。以下その大要について御説明いたします。先ず各行政機関の職員の定員の定め方でありまするが、この法律は、本府又は本省と外局とを区別いたしましてその各々に置かれる職員の総定員を定めております。而してこれらの行政機関の内部部局、地方支分部局及び附属機関別の定数は、右の各々の総定員の範囲内で各大臣が行政事務の実情に應ずるよう適切に定めることといたしております。各行政機関の所定員は第二條に列挙しておる通りでありますが、その新定員の算定決定に当りましては、昭和二十四年度予算の査定における標準予算定員に対し、一般会計三割減、特別会計二割減を目途とし、これに各省各廳の事務の実情を詳細に勘案して、最も合理的な数に決定いたした次第であります。その総計におきまして八十七万千二百七十九人となり、これを旧定員に比較いたしますと、本年度予算に認められました新規増員を含めまして約二十四万人の減員となります。これにより現実に退職する職員の数は約十七万前後になる予定であります。以上の整理に際し必要な事項は附則の各項に定められておるのでありますが、その主要なる点について申上げますと次の通りであります。 先ず地方自治法附則第八條の規定に基き、都道府縣に勤務しております政府職員の新定員は、地方自治法の建前から地方自治法施行規程で定めることが適当でありますので、同施行規程の定めるところに讓りまして、その新定員を超える職員の整理については一般政府職員と同じに取扱うことといたしました。次に御承知のごとく國家公務員法は、職員に対してその意に反して免職せしめる等不利益な処分を行なつた場合には、その職員は人事院にその審査を請求することができる旨の規定を設けておるのでありますが、今次の行政整理を円滑に行います上には、この審査請求に関する規定に適用しないものとする必要があるのであります。次に日本專賣公社及び日本國有鉄道の職員の整理に関してであります。御承知のごとく本年六月一日より右の両公共企業体が発足することとなつておるのでありまして、大藏省及び運輸省の職員の相当部分が右両公共企業体に移管されることとなるのでありますが、この職員についても整理を行う必要がありますため、特にその定員を定め、一般政府職員の整理と同樣の方針で整理することといたしました。而してこの場合、公共企業体労働関係法によりますと、職員の免職等の事項は、團体交渉の対象とし、これに関して労働協約を締結することを妨げないとするこ共に、これに関する苦情は苦情処理共同調整会議が解決することと定められておるのでありますが、この規定も今回の行政整理には適用しないことといたしたのでございます。最後に今次の行政整理により退職する職員については、その退職後の生活を保護するため退職手当を支給すべきことは勿論であり、政府はこの外の失業対策と共にこの問題についても深甚なる考慮を拂つております。但し現下我が國の経済財政情況の下におきまして、退職手当の金額につきましては、本年度の均衡予算の下で決定せなければならぬことも亦認めざるを得ないのであります。よつてこの法律は、附則第十一項におきまして、退職手当についての根本方針を定め、その具体的な規定はこれを政令に讓つているのであります。 以上がこの法律案の内容の大要でありまして、政府は確固たる決意の下に今次の行政整理を行い、以て現下の我が國力に相應する適正な行政機構の規模を定めまして、この新らたな規模の下におきまして能率的な行政事務の遂行に万遺憾なきを期したい考えでおります。どうか政府のこの決意を諒とせられまして、愼重御審議の上速かに(「反対々々」と呼ぶ者あり)御議決あらんことを切に希望する次第であります。(拍手) —————・—————
○森下政一君 本員はこの際、税務職員の不正事件に関する緊急質問の動議を提出いたします。
○中西功君 本員は森下議員の動議に賛成いたします。
○議長(松平恒雄君) 森下議員の緊急質問の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。森下政一君 〔森下政一君登壇、拍手〕
○森下政一君 税務官吏の中に惡質なる者があつて、税の査定に当つて饗應接待によつて税金の高が左右されるという噂が可なく廣く世間に傳わつております。もとより、この噂がどの程度まで眞実であるかは明らかでありませんが、ただ單なる根拠なき噂ではないことは、これを裏書きする具体的事例によつて極めて明白であります。現に今朝の毎日新聞にも、惡徳税吏一掃に警視廳が乘り出したということを傳えております。このことは何としても、高過ぎる税金とその苛酷な徴收に不満を持ちながら、金の持ち合せがないために税務官吏を接待し得ない國民大衆を勢い反税的な傾向に追込む懸念が多分にあると思うのであります。これに一層拍車をかけつつあるものは、近頃頻々として耳にする税務官吏の大掛りな不正事件であります。約一ケ月前に埼玉の浦和税務署は滯納整理簿等徴收関係書類五百冊余をその筋に押收され、取調の進むにつれて、二十二年度所得税納入済の者に対し更に督促状を発して二重徴收を行なつていたことが判明したようであります。又この督促状を受けた者の中七百名余りから、完納したに拘わらず未納督促は怪しからんというので再調査を要求した事実が判明し、これら再調査要求のものと帳簿とを照合した結果、税金徴收簿には全然記載されていないにも拘わらず、納税者がいずれも領收書の発行を受け、総額五百数十万円を納入している点から、同税務署内に更にこの五百数十万円の税金を繞り公金横領の不詳事件が介在する容疑の下に取調中といわれ、衆議院はこれを重視して、考査特別委員会がこの事件につき本格的調査を始めたということであります。大阪府の堺税務署におきましては、納税者たちが血の出る思いでやつと納めた税金を、十九や二十くらいの若い税務署員と銀行員とが共謀して一千万円を横領詐取して、毎夜豪遊していたという汚職事件が暴露され、その筋の調査によると、税務官吏と公金取扱銀行の行員が共謀して完納税金をごまかしていたということが判明したようであります。昨年十二月頃から納税者と日銀と税務署と、この三者に向け発行している納入傳票を納税者だけに発行し、他の二枚を破棄焼却するといつた手段で納税金を横領していたのを初め、或いは僞領收書を戸別に示して税金を詐取し、犯罪を隠蔽するために宿直を利用して夜間に紛れ徴税係長保管の徴税簿を引出し、完納印を捺して表面をつくろい、大阪市内のダンスホール、キヤバレー、或いは社交喫茶、遊廓等に入り込み、全部遊興に費消し、被害額一千万円以上と見られておるようであります。更に最近の新聞によりますと、この事件の取調べの進むにつれて、元徴税第二係長であつた者が二十二年二月納税者より受け取つた財産税五十万円を著服していた事実もこの程判明したようであります。税務署のかかる大掛りな不正事件が相次いで暴露されつつある半面、徴税旋風に苛なまれ、閉店、廃業、倒産の憂目を見つつある者が続出し、堪え兼ねて遂に自殺した者さえあると傳えられ、東京では日本フエルト株式会社社長の自殺は大藏省査察官の強圧的態度が直接の原因ではなかつたかと、税金攻勢に悩む事業界に深刻な話題を投げ掛けており、大阪では、十五歳を頭に五人の子供を抱え、夫の残した製本業を営みながら辛うじて細細と生活を立てつつある寡婦が、四千円の税金滯納に税務署より公賣の宣告を受けて、これを悲観して一家心中を企てたことが、極めて最近の新聞に傳えられて世間の同情を浴びております。徴税旋風の生み出しつつあるこれら枚挙に暇ない市井の悲劇を思い合せるとき、税務官吏の不正事件は、納税者が血を吐く思いを以て納めつつある税金、納税者たちが命を削つて納めつつある税金を横領著服したものでありまして、これを軽々しく看過することは許されないと思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)数多い税務職員中に稀には惡質の者がまじるのは止むを得ないというような安易な態度で事件を見過すことは断じて許し難いのでありまして、その原因を糾明し、その影響に思いをめぐらして、政府は猛省するところがなければならぬと思うのであります。國民所得の構成において最も担税力のあつた資産所得は、二十四年度においては僅かに二・三%、三分三厘に激減し、その判面、勤労所得は四四%、事業所得が五一%を占めておることだけを見ましても、租税の負担が今や大衆の肩にかかつていることが極めて明白であります。最も問題の多い所得税の納税人員について見ましても、昭和五年の九十三万人に比し、二十四年度は千七百九十一万人で、十九倍余の飛躍的増大を示しております。更に所得税課税額について見ますならば、昭和五年の一億一千万円から二十四年度は三千四百九十億円、即ち実に三千百六十倍もの増大でありまして、國民所得の増加率二百七十五倍を十倍以上も上廻つており、大衆に重税の嚴しさをひしひしと感ぜしめつつあるのであります。まして推計國民所得二兆九千七百億の約三割、即ち三分の一が、税を以て捕捉ができない闇所得であるために、徴税の仕方が非常に片寄り、正直な納税者の実際の負担が國民大衆の経済力を大幅に上廻る結果になつておるのであります。これだけの事実のみを指摘しましても、國民の多数が税に対して本質的な批判を持ち、政府に対して不満の念を抱くのは当然だと思うのであります。況んや或る者は家を賣り、或る者は家財を投げ出して、粒々辛苦して納めた税金が、國の経済再建に役立つことなく、税務官吏に横領費消されたのでは、税に対する反感をいよいよ募らしむるのは理の当然であると考えられるのであります。九原則は收税計画の促進強化を要請しており、政府は國民の協力を望んでおります。併しながら粛然襟を正して政府が如上の事実に対する反省の上に立つのでなければ、國民の協力は得難いと思うのであります。 かかる不正事件の続出は、その原因が那辺にあるのであるか。全國税務官吏の構成が極めて脆弱であることが考えられるのであります。恐らくその半数を超ゆる多数の者が勤続一年未満の無経驗者であり、税に対する認識を欠き、殊に第一線において納税者の親切な相談相手であり、指導者であるべき老練熟達の人材に全く欠けていることであります。然らば何故税務官吏の勤続年数が短かく、老練者に欠けているか。無理な税金を無理に取立てて納税者の怨嗟の的となることを何人も欲しないためであろうと思うのであります。現に大阪府下の或る市におきましては、その市の特色をなしておつた或る種の工業が税金に攻め立てられ、業者が相次いで倒れ、廃業するものが続続と現われ、市の繁栄を寂れさせた結果、一般市民の税務署の行過ぎに対する非難の声が余りにも高いために、税務署員は市民の憤激に恐れをなして、通勤退出に隊を組んで往復しつつあるという噂が專らであります。かつて加えて、徴税のために第一線の税務職員は背後より政府に鞭たれて晝夜兼行の激務に虐られ、而もこれに対する給與が十分でないことが、彼らをして誘惑に陷らしめつつあるのでありまして、税務職員を責める前に政府は先ずみずからを責めなければならぬのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)更に税務署に絡まる不祥事件の発生は、政府が徴税に急なる余り努力目標を與え、税務署はこの目標額達成に盲目的に突進し、税の取立てのみに急であつて、收納した税金の管理に対する注意が極めて放漫なるためであると考えます。昨年十二月以來行われておりました不正事件が被害額一千万円を超える今日まで発見されなかつたという事実が、よくこれを物語つているのであります。吉田総理大臣は施政方針演説において、「我が國財源は極端に枯渇し、重税に國民は未だ曾て見ざる苦痛を感じつつあるのであります。誠に憂慮に堪えざる事態であります。」と述べております。然るに政府は九原則の実施による企業の整理、これに伴う夥しい失業者の輩出を口にしながら、半面においては雇傭の増加を理由にいたしまして、國民所得の増加を予想して、本年度においては七千八百五十六億円の徴税を企図しております。即ち昨年度に比し三割の負担増加を國民に要請しておるのでありまして、苛斂誅求を遥かに上廻る徴税地獄の惨状の出現が憂慮されるのであります。
○議長(松平恒雄君) 時間が参りました。
○森下政一君(続) もう僅か……而してこの水ぶくれの徴税額が大藏省から財務局に、財務局から各税務署に天下り式に努力目標として割当てられ、税務署はその目標達成のためのみに專念して、実情を無視した無理な査定を行うことになり、申告額に対して三倍や四倍の査定はざらにあり、甚だしきは十倍に達する査定も過去にはその例があつたのであります。本年度は更に行き過ぎた査定のなされる虞れが多分にあると思うのであります。
○議長(松平恒雄君) 時間が参りました。
○森下政一君(続) 私はかような意味におきまして、この事実とかこうな所見に立つて、大藏大臣に次のことを質したいと思うのであります。新聞に傳えられるがごとき税務署の不正事件は眞実でありますか。若し眞実であるならば、これを國会に知り得ておられる範囲内において御報告をなさつて、國会を通して廣く國民に陳謝されて然るべきであると思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)税務職員の構成を強化するために如何なる対策を持つておられるか。講習所や講習会などというお座なり方策でなくして、その職務の性質に鑑み、その待遇の改善して、老練熟達の人材を養成すべきじやないかと思うのでありますが、御所見を承わりたい。 第三点は從來……
○議長(松平恒雄君) 時間が参りました。
○森下政一君(続) 徴税目標を本年度はこれを廃止して、実情に即した査定により、適正な、民主的な課税をする、而して不合理な徴税方式を一掃するという御決断があるかないか。この三点を質したいと思うのであります。
○議長(松平恒雄君) 池田大藏大臣。 〔國務大臣池田勇人君登壇〕
○國務大臣(池田勇人君) 森下議員の御質問にお答え申上げます。 最近税務官吏の不正事件が続出いたしましたことは、私として誠に遺憾に存じておる次第でございます。お話の浦和税務署における不正事件、又堺税務署におきまする不正事件もその通りでございます。尚亦、今朝新聞に載つておりますことも或いは事実であるかと心配しておる次第でございます。堺税務署におきまする不正事件は銀行員と税務署員の共謀によりますることでございまして、発見に相当手間取りました。併しやはり天網恢々疎にして洩らさず、(笑声)共謀いたしましてやつたことも、どこかに落度がありましたので、(「そんなものじやない」と呼ぶ者あり)先般分りまして、四月十四日に税務署職員は起訴された状況でございます。こういう事実に鑑みまして、今度これが対策といたしまして、お話の通りに税務職員の素質の向上を図ることが最も重要であると考えるのであります。只今御審議を願いつつあります徴税機構の改善は勿論、構成事務職員の素質の向上に万全を期します。今回の行政整理によりまして、約四千人余りの税務職員は整理することになつておりますが、私はこの四千人の整理に限らず、惡徳の税務官吏に対しましては断乎たる処分をいたすことをここに申上げて置きたいと思うのであります。(「そんなことで解決できないのだよ」と呼ぶ者あり)尚、第三に徴税目標の点についてお話がありました。大体税務の執行に当りましては、予算額が收入できますように努力することは我我の務めでございます。併しながら、この全体の予算額がどの地方からどれだけ取れるということはなかなか困難な問題でございます。私は今更のように、或いは世間で傳えられておりますように、この税務署は幾ら幾ら割当てるということは今後一切いたさないことを、ここに申上げます。ただ署長並びに財務局長を指導いたしますために管内の経済状況につきまして指示することはあり得まするが、これだけの金額をこの税務署で取るという指令は今後いたしません。これをここにお答えとして申上げておきます。 —————・————— 〔木内キヤウ君発言の許可を求む〕
○議長(松平恒雄君) 木内キヤウ君。
○木内キヤウ君 本員はこの際、乳幼兒用衣類の輸入に関する緊急質問の動議を提出いたします。
○奥むめお君 只今木内キヤウさんから提出されました緊急質問の動議に賛成いたします。
○議長(松平恒雄君) 木内君の緊急質問の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。木内キヤウ君。 〔木内キヤウ君登壇、拍手〕
○木内キヤウ君 大日本連合母の会の代表、矯風会、櫻楓会、母を護るの家代表、学生と母の会の代表から、乳幼兒の着物の輸入に関する切実な請願がございました。 現在の日本の着物は窮乏の極に達しております。そうしてその重圧を感じておりますのは婦人にかかつております。殊に小さな、着物を持たずに生れる子供、その着物の材料の調達は主婦の心に日夜大きな悩みとなつております。若いこの節の人に材料のない子供の生れる人のその資材が丸でありません。これが解決をしますのに、米國から古い着物、古いものを輸入して貰いたいという懇請でございます。乳幼兒の衣類は目下政府の生産計画にも入つておりません。どうぞ今年度の輸入計画に是非織り込んで下さい。日常の衣料のことは家庭婦人にとつては鉄や石炭と同樣でありますという趣意の請願でございました。厚生省の保育課の御調査によりますと、二十三年度には赤ちやんが二百七十万九千八百七十人生れております。二十二年度の一歳から六歳までの子供を調べましたところ、一千百十九万二千九百八十五人でございます。あの教育を受ける小学校の子供の七つから十三までを調べましたところ、一千二百五十六万五千八百十五人でございます。これに対しまして商工省の繊維局衣料課の割当の計画は、あの赤ちやんの二百七十万九千八百七十人に対して、その一人にネルが一・二方ヤールでございます。つまり赤ちやんの着物の二枚だけの割当でございます。おしめにする晒が二方ヤールでございます。おしめ一組三枚とすると、一組と一枚だけの材料しかございません。小さい一つから六つまでの子供の上と下との洋服と下着が一枚だけの材料でございます。あのいたずら盛りの小学校の子供の七つから十三までの子供の数の四分の一しか材料が割当てられておりません。又二十三年度の結果を見ましたところ、小学校の子供は四分の一の割当であるのが八分の一しか配給が済んでおらないのが事実でございます。今、日本の木綿の生産、それは外資獲得のために輸出しなければならないのが現状でございます。その代りに貧乏たらしい……(笑声)……お笑いになりますが、安い米国の古着、シーツ、その外子供の着られるような材料を輸入して頂いて、そうして材料の飢饉を解決することができたならば、大変に母の心が安んぜられ、又子供の生活がよくなる資料になるのではないかと考えます。政府当局としては、アメリカからの古着、その外使用の済んだ材料を日本の衣類飢饉の解決のために輸入して下さる意図がおありになるであろうか、又本年度(「新らしいのを貰いなさい、新らしいのを、古いのは今日本にある」「黙つて聽け」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)乳幼兒に対する衣料生産に対する御計画はどんなであるか、それも伺いたいと思います。尚若いところの女の成長するところの者の衣類の材料が不足しておる点に対しても、政府の関係当局の方はどんな御考慮があるのか、それも伺いたいと思つておる次第であります。(拍手) 〔國務大臣林讓治君登壇、拍手〕
○國務大臣(林讓治君) お答えいたします。戰後繊維製品の不足に伴いまして、各家庭における手持衣類は誠に僅少でありまして、應じ切れないのは遺憾に存ずる次第であります。妊産婦或いは乳幼兒に対しましての配給もございますが、もとよりその量は僅少でありますので、十分その需要に應じられない実情にありますが、厚生省といたしましては、それらの妊産婦或いは乳幼兒などの保健衞生上に必要欠くべからざるようなものにつきましては、関係方面とも目下種々連絡をとつておりますが、更に一段と努力をいたして見たいと考えておるわけであります。尚GHQ方面などへも、その配給につきましては特別の考慮を拂つて頂きますように目下懇請中でありまするので、その実現に一段と努力をいたすつもりであります。(拍手) 〔國務大臣青木孝義君登壇、拍手〕
○國務大臣(青木孝義君) お答え申上げます。現状につきましては只今お述べになりましたところで十分御承知のところと存じまするので、(「誰がそう言つた」と呼ぶ者あり)若し細かいことを申上げるといたしますると少し時間がかかりまするが、それでは大体を申上げます。現状におきしてはです。現在の衣料品配給計画は、乳兒に対しましては、一般大人並の配給のありまする外、一人当り出生前では晒二ヤール、それからネル一・五ヤール、出生後では晒二ヤール、ネル一・五ヤールと、その外に手編毛糸の〇・五ポンド、これを特別に加配する建前をとつておる次第でございまして、この配給の趣旨は、乳児のおむつと、それから肌着或いは外衣等に充てまして、その外には家庭内のやりくりの補充として配給をいたす考えでおるのでございます。これをポンドに換算をいたしますれば、乳兒一人当りの加配量は合計凡そ二・九ポンド、一般消費者向き衣料品が昭和二十三年度一人当り一・一ポンド、それから労務者に対する作業衣、手袋等の加配量一・七ポンドに比べますると遥かに多いものであります。限られた繊維におきまして、この繊維資源を有効適切に利用して耐乏生活を続けざるを得ない現状では、これでも相当な優遇と考えておる次第でございます。尚、將來につきましては、昭和二十四年度の衣料品配給計画では経済九原則の線に則りまして、繊維製品特に綿製品は輸出優先主義ということのために、國内衣料品の供給は極めて逼迫した状態に置かれております。特に一般消費者向き衣料品では綿製品配給が極めて微々たるものでありますが、乳幼兒衣料品の配給については、昭和二十三年度の同等量のものを確保すべく計画をいたしておる次第でございます。併しながら母子寮とか或いは乳兒院その他会社救護施設に收容せられておる乳兒に対しましては、綿製品供給力の許す範囲内で増配する考えを持つております。その外、端切れ又は古繊維の利用につきましては、現状の衣料品供給計画では、一應これらのものも把握し得る限り供給計画の数量うちに組み入れてありまして、これ以上のものを特に乳幼兒用として輸入を仰ぐことは、総合輸入計画、資金関係等の関連もありまして、又その外に現在輸入された原綿等が大分これが輸出用に振り向けられますので、それらの事情等を勘案いたしますると、簡單に実現がむずかしいという現状にありますけれども、政府といたしましては、あらゆる供給源を生かしまして、乳兒用を含む一般衣料品配給確保のために、でき得る限りの努力をいたして参りたいと存じておる次第でございます。 〔國務大臣稻垣平太郎君登壇〕
○國務大臣(稻垣平太郎君) 木内さんの御質問にお答えいたします。木内さんのお話のお母さんたちの切実なる御希望については、誠に我々もそのように考えるのであります。只今原料のことにつきましては青木國務大臣よりお答をいたしましたので、これに蛇足を加えることを差控えます。ただこれが現物化につきましては、大体二十三年度においては、晒を除いては実際に順調に現物化されておると思うのであります。晒につきましても放出綿布或いは綿織物、これを流用いたしまして、できるだけこれの穴を埋めたい、かように存じておる次第であります。尚輸入の古衣料につきましてはお話がありましたのでありますが、現在の古衣料は農業在いは石炭、その他特定産業に対して出しておりますので、今俄かにこれを轉用するのはむずかしいかと存ずるのであります。併しながらこの点につきましては、全くこの古着類その他のことにつきましても大分いろいろお話がありました通りに、こういつたものでもお母さんたちにとつては非常に必要なものであろうと、かように考えるのでありまして、できるだけ関係筋に要望いたしまして、これが御希望に副いたい、かように存じておることを申し添えましてお答えといたします。(拍手) —————・————— 〔木下源吾君発言の許可を求む〕
○議長(松平恒雄君) 木下源吾君。
○木下源吾君 本員はこの際、公安條例に関する緊急質問の動議を提出いたします。
○中西功君 本員は木下議員の動議に賛成いたします。
○議長(松平恒雄君) 木下君の緊急質問の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。木下源吾君。 〔木下源吾君登壇、拍手〕
○木下源吾君 私はいわゆる公安條例、その公安條例は我が國の大衆の自由等を極めて制限し仰圧しておる内容を持つ公安條例が、現在各地方に頻々として條例が設定されておることに鑑みまして、この際政府に質問をいたしたいと考えておるのでありますが、もとより目的は、これらの大衆殊に労働者の有しておる自由をややもすれば制限、仰圧、彈圧するというような傾向にあるところのかかる條例を速かに廃止し、又現在條例を設定せんとしつつあるところのあらゆる機会を仰制しなければならないと、かような考えを以て質問をいたすのであります。 先ず東京都は今この條例を設定せんとしております。この附近におきましては長野、富山、新潟、福島、福井、石川、これらの各縣においてはすでに設定せられておるところもあります。又これを準備しつつあるところがあるのでありまして、全國に亘つてはまだまだ数多くの地方においてこれが企てられており、又設定せられておると考えられるのであります。この点については東京都の例を見ましても、いろいろこれを設定する内容を散見しますると、警察官及び消防官は、火災その他公共の安全保持のため、開会前、開会中、随時臨檢することを條件として許可することなどというような前提を決めまして、これら集会に制限を加えようとしておるのであります。この臨檢をするとか或いは檢閲をするとかいうことは、言うまでもなく、これは憲法に有するところの権利を束縛するものである。(「そうだ」「異議なし」と呼ぶ者あり)勿論私は今ここで、このような條文が直ちに東京都において実施せられるということを申上げるのでありませんけれどもが、そういう意図を以て作られる條文のこれが施行は如何なる結果を及ぼすかということは明瞭であろうと思うのであります。從いまして私はかくのごとき公安條例が各地において設定せられておる実情に鑑みまして、憲法に関する疑議、並びに憲法に違反する諸点があるかないかということを法務長官がお調べになつたことがあるか。若しあるとするならば、その事実についてここに御回答を願いたいと、かように考えます。 次に総理大臣にお聽きしたいのでありますが、これらの公案條例を、今改めて我が國が作らなければならぬというような客観情勢が果して存在しておるのであろうかどうか。このことについては、申すまでもなく大衆殊に労働者が民主主義を攝取体驗するために、集会或いは示威行進等は最も欠くべからざる行動條件であります。我が國は終戰後、民主主義を徹底せしめるということは言うまでもないことでありまするのに、然るに何か大衆労働者が危險なものである、危いものであるという観念があつて、かようなことをせられるということは、往々言われるところの反動の性格を私は否定することはできないと、かように考えるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)かかる意味において今我が國の実情を見まするならば、すでに先程本多さんがこの議場で説明をいたしましたが、定員法一つをとつて見ましても、その定員は幾ら要るのであるかというこの数字を出すところの根拠、仕事の量、質、そういうものを考慮するのでなく、人間の主観で十数万の官公吏を今首切ろうとしておるのでありまして、かかる納得の行かないところの政治を行う他面においては、首切らるる人の人格を尊重しておるとは考えられない。(「そうだ」と呼ぶ者あり)從つてこの首切らるる人々は、みずからの要求を貫徹するために、身に寸鉄を帶びない何らの抵抗力のない者は、集会の自由、言論の自由、示威行動の自由等は当然許さるべきなのである。(「そうだ」と呼ぶ者あり)それが又我が國の新憲法の精神であると私は考えるのであります。(拍手)又現に昨晩からこの國会のあの正門の脇に常磐炭鉱の諸君がハンガー・ストライキを決行しておるのであります。ただ、この現象だけ見るならば、或いは吉田内閣並びに民自党の諸君はふしだらな行動だと考えられるか知れませんけれどもが、併しかくのごとき事態の起きる他面においては、御案内の通り生産の重点生産、そして低品位豊鉱の破産倒壞、從つて労働者の失業、首切り、これが現実に行われておつて、殊に常磐炭鉱においては整理の対象となつておる品位四千カロリー以下のこれらの炭鉱が多数を占めており、そうして炭鉱の閉鎖、労働者の賃金の欠配、遅配、不拂い、一寸先が暗黒である故にこそ、集会におけるところの危險などという口実を取らるるような集会ではない、生活が、死を以て抗議をする、抗爭をするという、死を以て請願するという、あの状態が今この國会の正門の前に現われておりまする。然るに私はこの壇上に立ちます数分間前に、本院のそれぞれの権限を持つた者が、十五分問以内に立退くべしという強制的な措置に出ておるのであります。私はかかる一つの事例を見ましても、如何にそういう事例の発することが、発しなければならない原因がすでに培われておるということを吉田内閣は如何に考えるか、私はこの点について総理大臣にお伺いしたいのであります。そうして各地に行われておるところの公案條例を速かにこれを撤廃し、又準備しつつあるものに対しては、これを阻止するという考えを持つておらないか。このことは、各地においてかような條例が天規律に、不規則に、不平等に作られるということは、少くも國会としては十分な関心を持たなければならないのであります。この点について政府の考え並びに労働大臣は労働者にサービスするところの責任を持つて、そういう本質を持つておるのであるが、労働者みずからを啓蒙し、みずからの生活を守り、そうして発展しようとする、その行動に対して、果して労働大臣は今回各地に行われておるところの公安條例が妥当であると考えられるかどうか、この点について労働大臣にお伺いします。以上の諸点は、我が國の現状がいかに進行しつつあるか、民主主義は退去しつつあるかということを証明するものでありまして、吉田内閣は 〔議長退席、副議長著席〕 この観点から基本的な態度を明確にこの國会に御答弁あらんことをお願いするものであります。(拍手) 〔國務大臣林讓治君登壇〕 〔「総理大臣いないのか」と呼ぶ者あり〕
○國務大臣(林讓治君) 総理大臣は只今所用の関係で、間もなく見えると考えておりましたけれども間に合いませんので、代りまして私がお答えいたしたいと思います。(「うまいことばかり言うじやないか」と呼ぶ者あり)地方公共團体の條例制定権については、政府は何らこれを監督することは得ない建前になつておるのでありまして、若しかような條例の中に憲法違反のものがあるといたしましたならば、住民よりの訴訟に基きまして裁判所の判定に任せる外には今日ない立場になつておるわけであります。尚、御指摘の公安條例は地方自治体が特殊の立場で制定いたしたものでありまして、政府といたしましては今日の場合何ら関係もないものでありまして、(「日本の政府はそういう地方自治体を取締る権限はないのですか」と呼ぶ者あり)地方自治團体におきまして種々なる問題が起きておりまする問題につきましては、只今御指摘になりましたような事柄もあろうかと考えます。只今政府といたしましては、集会を制限するとか、或いはデモを取扱るような考えは只今のところ抱いておらぬわけであります。尚その外の問題につきましては所管の大臣からお答えを願うことにいたします。(拍手) 〔國務大臣殖田俊吉君登壇、拍手〕
○國務大臣(殖田俊吉君) 只今の木下さんの御質問にお答え申上げますが、地方の公共團体の條例におきまして、今お話のごとき傾向の規定をいたしているということは十分承知しております。二三の事例につきましては研究いたしておりまするが、全体につきましてはまだ研究をいたしておりません。併しながらその顯著なるものにつきましても、私は只今のところ憲法違反の問題はないと考えております。(「冗談言うな」と呼ぶ者あり)多少行き過ぎがあるかという感のするものもないではありませんが、只今林大臣のお答えになりました通り、これは地方公共團体は憲法第九十四條、地方自治法第十四條によりまして、おのおのみずから條例を定める権能を持つているのでありまして、この新憲法におきましては、地方自治体はこれらの問題についての自治権を持つているのであります。從つて政府といたしましては、これに干渉することができないのであります。若しも憲法違反の問題がありまするならば、或いは法律違反の問題がありまするならば、これは裁判所の判決に俟つ外はないのであります。私といたしましては、これらの傾向につきまして十分注意いたしております。若し木下さんお話のごときことが頻々と行われ、憲法の問題につきまして重大なる影響を及ぼすようなことがありますれば、これは政府として全体の問題として又考えなければならぬ問題でありまするが、只今具体的には何らの措置も施しようのないものであります。さよう御承知を願います(拍手) 〔國務大臣鈴木正文君登壇、拍手〕
○國務大臣(鈴木正文君) 木下さん御指摘の集会、それから言論、意見の発表等の権利が、一般國民、特に労働者諸君にとつて最も重大な問題であるという点に関しましては同感でございます。併しながらそれらの権利が行使されまするに当りまして、公共の福祉と最少限度において調整がされつつ行かなければならないということも考えなければならない点があると存じます。公安條例自体は一般の安寧秩序というふうな角度からの問題でありまするけれども、併しその場合におきましても労働大臣といたしましては、労働者諸君のみならず、一般の國民をも含めてでありますけれども、集会、意思発表の自由というものは極めて大きく擁護されなければならない。最少限度公共の福祉との関係において、その調整は勿論これを認めますけれども、官権の濫用、労働者諸君のそういつた方面の権利の圧迫というふうに亘るべきではないと考えております。要は法理的問題につきましては只今法務総裁からお答え申上げた通りでありまして、運用に当りましては、労働大臣といたしましては現実の問題に即して、そういつた線に沿つてでき得る限りの努力をいたしたいと存じます(拍手) —————・—————
○副議長(松嶋喜作君) この際、日程第一、優生保護法の一部を改正する法律案(谷口弥三郎君外三名発議)、日程第二、國立身体障害者更正指導所設置法案(内閣提出)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員会理事谷口弥三郎君。 〔谷口弥三郎君登壇、拍手〕
○谷口弥三郎君 只今議題となりました優生保護法の一部を改正する法律案並びに國立身体障害者更生指導所設置法案につきまして御報告申上げます。 先ず優生保護法の一部改正からその提案の理由を簡單に申上げたいと存じます。優生保護法は昨年の第二國会を通過いたして、昨年の九月十一日から施行されているのでございますが、その後の実績と社会情勢の急激なる変化に鑑みまして、或る程度人工妊娠中絶の施行範囲を拡げる必要が起りましたこと、同時に、受胎調節に関する適切な方法の普及指導が必要になつて参りましたので、この法律の一部改正を提案するに至つたのでございます。 その内容を極く簡單に申上げますと、優生保護法の第三條におきましては、これまで精神病学的分類法が幾らか旧式に流れておつたというようなところもありますので、成るべく精神病学的並びに遺傳病学的の方面によりまして、その分類方法を幾らか変更いたすことにいたしましたのでございます。尚、次にこの法案におきまして最も関係のありますのは第十三條、即ち審査申請をいたしまして人工妊娠中絶をする法案の部分でございますが、その第一号の適用範囲を拡大して配偶者に及ぼし、又これまでは遺傳性の精神病者とか遺傳性の精神薄弱者とありましたのを、「遺傳性」を取りまして、單に精神病又は精神薄弱の場合には審査申請の上に人工妊娠中絶ができるというようにいたしたのでございます。 次にその十三條の第二号におきまして、從來は一年以内に更に妊娠したとか、又は現に数人の子を有する者が更に妊娠して母体の健康を著しく害する場合とかというようにいたしておりましたのを、そのために戸籍謄本などの関係から非常に手続が面倒でありますために、或る場合には何ケ月もかかるというような状況に鑑みまして、一年以内とか、或いは現に数人の子を有するというのを除いてしまいまして、單に妊娠の継続又は分娩によりまして母体の健康を害する場合には、他の医師の意見書によりまして、地区の優生保護委員会が審査をするということに簡素化いたしたのでございます。尚その第三号におきまして、妊娠の継続又は分娩によりまして生活が窮迫状態に陷る者という一項目を特に加えたのでございます。これまでは優生保護法におきましては、優生学的、医学的並びに倫理的の見地からする人工妊娠中絶を認めておつたのでございますが、今回は更に経済的方面までも進めまして、そうして人工妊娠の中絶の範囲を拡げましたということは、これは急激な人口の増加を抑制するためにも必要でありますし、又その生活窮迫という程度を生活保護法の適用線上に置くというようにいたしているのでございます。尚、第二十條におきまして、優生結婚相談所において科学的に受胎調節の指導普及をやらせようというようなことにいたしたのでございます。尤もこの場合におきましても、道徳的方面を特に考えまして、処女でありますとか、未亡人その他のような結婚関係に立至つておりません者については、性道徳の頽廃などが起らないように特に注意をいたしまして指導をするというような状況にいたしております。 以上が本案改正の主なる点でございますが、この本案は参議院が先議でありまして、本委員会におきましては從つて五月六日以來愼重審議をいたしております。尚一般の情勢を聽く必要上去る五月九日には各界の代表者を喚問いたしまして、そうしてこの法案に対する意見の聽取などをいたしたのであります。かかるいろいろの質疑應答などにおきまして種々なる問題が出ましたが、その主なるもの一つ二つ申上げますというと、例えば生活窮迫状態に陷るものについて妊娠中絶を許すという改正案は、その生活が窮迫に陷るというのは如何なる程度のものを言うかという御質問がございましたが、これに対しまして、現に生活保護法を適用されておるもの、又は妊娠の継続の結果失業などのために生活が窮迫に陷るものまでも含む旨の答弁があつたのであります。又本案のように生活窮迫状態に陷るものにも素質のいい者がおるが、そのものまでも中絶をするのかというようなお尋ねがございましたのに対しまして、素質が優秀なものを保存するというのは本法の根本方針でございますので、本法を施行するに当りましても、特に優秀なる素質を有する方方には人工妊娠中絶を成るべく行わずに、そうして妊娠を継続して、分娩後においてはあらゆる方法によつてそういう方をお助けする、救助をする、援護をするというような方面に進みたいということの返事があつたのでございます。その他重要なる質問がございましたが、これにつきましては詳細なことは速記録を見て頂きたいと存じます。 次いで五月の十二日の委員会におきまして、質疑應答の終了後、討論に入りましたところが、一委員からいたしまして修正の動議が提出されたのでございます。その修正の要点は、第十三條第一項の改正規定中第三号の部分を、「妊娠の継続又は分娩によつて生活が著しく窮迫するもの」というように変えましたことと、第二には別表にいろいろの病名が挙つておりますが、その病名に対しての一二の省略があつたのです。その病名は、やはり速記録によつて御覽を頂きたいと存じます。尚一委員からいたしまして、本修正案に対しては賛成であるが、本法案を実施する上において特に第十三條第一項第三号の「妊娠の継続又は分娩によつて生活が著しく窮迫するもの」という條文で人工妊娠中絶が行われます場合には、その手術又は治療費等は公けの負担で行なつて貰いたい、又同樣に貧困の状態にある者に対してもその医療費によつてこれを補助して貰いたい、又優秀な素質を有するものに対しては特に注意して、民族の優秀なる素質の保存に努めて貰いたいというような意見の関陳がございました。以上の御希望に対しまして政府当局の意見を聽取しましたところが、本法案を実施するに当りましては、特に優生保護法の目的に適うために、素質の優秀なものには行わないようにいたしたい。又人工中絶を行うために生活保護法の医療給付を受け得るよう、十分努力して御期待に副うという御答弁がございました。 ここで討論を終結いたしまして採決に入りまして、先ず修正案について賛否を諮りましたところ、全員一致で修正案は議決されました。次いで修正案を除く他の原案につきまして採決をいたしましたところ、これ又全員一致を以て可決されました。よつて本法案は全員一致を以て修正議決すべきものと決定いたしました次第でございます。これを以て御報告を終ります。(拍手) 次に國立身体障害者更生指導所設置法案でございますが、これにつきまして極く簡單に御説明申上げます。 從來傷痍者に対しましていろいろの施設がございましたが、國立においてかかる施設ができておりませんので、それが保護をする上に特にこういうのが今回一ヶ所でありますけれども相模國立療養所内にできることになつたのでございます。これに対しましては、その医学的或いは医療的の処置は、厚生省方面からの関係を以ての療養所でできますが、これに対しまして或いは職業補導的の問題に対しましては労働省関係になりますので、この際、是非職業指導関係につきましては労働大臣がその職能を委嘱するということにして貰いたいというようなことにいたしたのでございます。尚これに対しましては、一委員から修正の動議がございましたが、その修正の理由及び修正案を簡單に申上げますというと、本施設の使命は、病院から職場を一貫したものでなければその目的を達成しないので、これを明確にする必要があります。從つてこの條項中、第二條中二項を三項として一項目を加えて呉れというのがございますが、これも省略いたしまして速記録を御覽を願いたいと思います。 次いで討論を打切りまして採決に入りましたところが、先ず修正案は全員一致で可決いたしました。次に修正案を除く原案につきまして採決いたしましたところ、これ又全員一致を以て可決した次第でございます。よつて本案は修正可決すべきものと決定した次第でございます。簡單に御報告申上げます(拍手) 〔副議長退席、議長著席〕
○議長(松平恒雄君) 優生保護法の一部を改正する法律案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します田中耕太郎君。 〔田中耕太郎君登壇、拍手〕
○田中耕太郎君 極めて重要な問題でありますが、極めて簡單に反対理由を申述べたいと思います。人工妊娠調節並びに受胎調節、これは單に抽象的な道徳論や或いは又宗教論を申述べて反対するわけではありません。現実の問題として反対するものであります。と申しますのは、優生保護法全般も然りであるが、又今度の改正法も甚だ局部的、近視眼的にこの重要な問題を取扱つているのであります。 第一に、この人工妊娠中絶は妊娠中絶を受ける妊娠の健康その他につきまして非常な有害な影響を及ぼす。又婚姻当事者に産兒制限なり妊娠調節の思想が普及します場合において、非常に惡い影響を與える。心理的、肉体的にその問題を考えなければなりません。次に婚姻及び家庭の問題でございます。これによつて婚姻の神聖なり、又男女の間の婚姻外の関係ということが続々増加することによつて、家族というものの解体なり、腐敗を招くということであります。友愛結婚、試驗結婚というものが、これが常にこの産兒制限の問題と結び付いておるという外國の事例を十分研究しなければならないのであります。殊に産兒制限、妊娠調節は離婚の統計を非常に増加させる。アメリカの例を十分見れば分ります。又それは断種という甚だ不自然なる方法にまで発展するわけであります。又社会、國家の問題といたしましても、教育上の見地から考えまして、青年子女の非常なる性道徳の腐敗、道義の頽廃を招く。現にもうすでにその徴候が現われているのです。この頃避妊藥が非常に流行して、殆んどすべての通俗雜誌はさような廣告で以て満ちておる。ところでアメリカではコムスドク・ローというのがありまして、さような産兒制限の図解入の文書に対して、さようなものを猥褻文書として永年の間禁止して参つているということは、我々は十分考えなければならぬ。根本的の立場として、かような医学上の技術を單なる科学の進歩の結果だとして、文化國家だから、そういうものを採用しなければならんとかいうようなことで簡單に考えられては困る。科学技術というものは利用もされれば濫用もせられるのであります。我我はその利用を考えることが本当の文化國家の一員であるというふうに考えるのであります。例えば我々は安んじて、無痛、痛みもなく死ねるような方法を考えた者があるとして、その方法によつて死ぬことは、これは罪惡であります。(「反対」と呼ぶ者あり)自殺を奬励するということは……自分の基本的人権を自分で制限することはできない。基本的人権は讓り渡すことができない権利であるから放棄することもできない。さような根本的の思想の無理解の下にこの法案は出ておる。一家が貧乏だから四人の子供を二人にしろ、人口八千万が多過ぎるから六千万にしろ、そういう考えこそ、これはフアツシヨ的、全体主義的の思想であります。國がそれを指導するに至つては言語道断だというふうに考えるのであります。外國にそういう事例があるとしても、外國ではこの弊害に懲りておる。日本だけがそういう陰惨な方法を用いなければならないということは國際的正義人道の精神に反する。それを外國で若し日本に押付けようとするものであるならば、我々は堂々と國際的法廷において、それを廣く世界人道及び正義の観念から、我我は断乎として今後鬪わなければならぬと思うのであります。(「自由を與えろ」と呼ぶ者あり)若し人間が多過ぎるから家族の数を減らす。人口が多過ぎるから人口を減らせばいい。それは食糧のために人間が存在しているということになる。人間のための食糧です。人間のための國土なんです。食糧の奴隷に人間はなつてはいかん。それが人格の尊嚴のためであるということを、(拍手)私はこの際断乎として主張して、この法律案に反対するものであります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 井上なつゑ君。 〔井上なつゑ君登壇、拍手〕
○井上なつゑ君 私はこの法案に対しまして、諸般の情勢からいたしまして賛成をいたすものでございます。(拍手)但し先程田中議員もお述べになりましたように、私はこの法の運営上に十分注意いたして頂きませんと、却つてこの法の主義精神が抹殺されることになりますと思いますので、ここに二、三の希望條件を申述べたいと存じます。 先ず法案第十三條に述べられております通りに、これまでと違つて人工妊娠中絶が容易になりますと、これは考え方によりまして道徳的にも非常に惡いという御意見もございましたが、只今の國情からしてこれは止むを得ないことだと存じます。それからもう一つは、この妊娠中絶は婦人の身体に非常に影響があるということは私も考えておりますのでございます。それで、ここで考えたいことは、政府の方で十分監督して頂きまして、この妊娠中絶の手術をする指定医の指導ということ、選考ということに当つて頂きたいと存じます。この手術をいたしますと、手術後少くとも二三週間の靜養を見ませんと、少くとも妊娠人工中絶は虫歯を拔くようなものではございませんので、政府はこの人工妊娠中絶後のこの靜養のために適当な指導すべき機関を持つて頂きたいということでございます。 次に、常識といたしまして、人工妊娠中絶をいたしました後の妊娠は非常に早うございまして、人によりますと二ケ月で又妊娠したという例もございます。一年に三回も人工流産をしたという例も知つておるのでございます。かくいたしますと、凡そ妊娠可能の婦人の年齢は、二十歳から四十五歳までといたしますと、その間、何回もこれを繰返さなければならないと思うのでございます。医学的な見地からの実証といたしまして、何回人工妊娠中絶をやりましても婦人の身体については何にも影響はないとおつしやるのでございますが、万一にも、弘法にも幅の誤まりということがございまして、婦人の身体に影響がないというが、あつては困りますので、政府は絶えず十分に指定医を監督されまして、人工流産の記録を十分にして置いて頂きたいと存ずるのでございます。 その次に、二十條の実施に際しまして一つの政府に特にお願いいたしたいことは、先程お述べになりましたように、産兒調節にきく藥品の製造販賣の許可、それから價格の監督等についてでございます。すでに新聞紙でも述べられておりまするように、二十種以上の材料、藥品の販賣を厚生省から許可されておりますように報道されておりますが、その上に、聞くところによりますと、戸別訪問をしてこの妊娠調節のできるような材料藥品を賣込みに來る商人もあるようでございます。恐らくこれは過般京都に起りましたようなジフテリア禍のような障害は直接起らないかも知れませんが、凡そ原虫を殺す殺菌力を持つておりますところの藥品であることは承知いたさなければなりません。製藥会社で藥の効果を十分にするために強い藥品を使用いたしますと、長い年月の間には身体に障害を來さないとも限りませんし、又反対に身体に障害を來さないようなものだと、その効力が疑わしいことになるのでございます。たとえその藥品の効力が疑わしくても、單なるこれは風邪藥等と違いまして、誰でも彼でもこれを試すわけに行かないのでございますが、この弱点を利用されまして、この藥の販賣、それから非常に惡弊が起らないとも限りませんので、この点、十分製藥会社が監督して頂きたいと存じます。若しこの受胎調節用の藥品の價格が高價であつたり、不良であつたりすると、その結果は却つてこの法の精神に反するものがあります。この点特に政府においては監督されたいと思います。 次にこの法案実施に当つてお願いいたしたいことは、この法案を実施いたして見まして、一年の間に約三十万の出生を減少いたしますといたしますと、現在助産婦の数が六万ございますから、一人当り五つずつの助産が減るということになります。明年より新らしい助産婦、看護婦、保健婦法によりまして、甲種看護婦の國家試驗を受けた後でないと助産婦になれませんので、助産婦の数はそう増加はいたさないのでございますが、少くとも現在の助産婦の中に相当の影響がございますので、政府は現在の助産婦の再教育、その他に注意せられまして、苟くも助産婦の生活権を脅かすようなことのないように願いたいと存じます。 子福者が本当に樂しい生活ができますと言つたのは昔の夢でございます。現在私共が耐乏生活をしておりますときに、三人、四人以上の子供を持つた主婦が、私は十分子供の教育ができて樂しい家庭生活ができますと良心的に確答できる人が何人ございましようか。現在の社会情勢におきまして、私はこの法は必ず実施されるべきものだと存じます。その意味におきまして、私は本案に賛成するものでございます。(拍手)
○議長(松平恒雄君) これにて討論通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。 これより採決をいたします。先ず優生保護法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り議決することに賛成の諸君の起立を請います。 〔起立者多数〕
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。(拍手)よつて本案は委員会修正通り議決せられました。(拍手) —————・—————
○議長(松平恒雄君) 次に國立身体障害者更生指導所設置法案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつと本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。議事の都合により一時三十分まで休憩いたします。 午後零時二十四分休憩 —————・————— 午後二時五十六分開議
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。議事の都合により、これにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十七分散会 —————・————— ○本日の会議に付した事件 一、常任委員辞任及び補欠の件 一、行政機関職員定員法案提案理由の説明 一、税務職員の不正事件に関する緊急質問 一、乳幼兒用衣類の輸入に関する緊急質問 一、公安條例に関する緊急質問 一、日程第一 優生保護法の一部を改正する法律案 一、日程第二 國立身体障害者更生指導所設置法案