本会議 第25号
- 発言数
- 67 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1949/05/12
会議録
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。 この際お諮りいたします。田口政五郎君より人事委員を、小串清一君より労働委員をそれぞれ辞任いたしたい旨の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として人事委員に小串清一君を、労働委員に田口政五郎君を指名いたします。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) この際、日程第一、郵便爲替法及び郵便振替貯金法の一部を改正する法律案、日程第二、郵便貯金法の一部を改正する法律案、日程第三、郵便貯金法に基いて保管する証券の整理に関する法律案、日程第四、郵便切手類賣さばき所及び印紙賣さばき所に関する法律案、(いずれも内閣提出)、以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。逓信委員長大島定吉君。 ————————————— 〔大島定吉君登壇、拍手〕
○大島定吉君 只今議題となりました郵便爲替法及び郵便振替貯金法の一部を改正する法律案、郵便貯金法の一部を改正する法律案、郵便貯金法に基いて保管する証券の整理に関する法律案、及び郵便切手類賣りさばき所及び印紙賣さばき所に関する法律案、以上四案に対する逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。 先ず郵便爲替法及び郵便振替貯金法の一部を改正する法律案の提案理由といたしますところは、昨年六月連合國最高司令官の覚書によつて、我が國が万國郵便條約の関係約定に加入を申し出ることを包括的に承認せられ、これに基きまして、先般本國会において、郵便爲替約定及び郵便振替約定に加入することにつきまして承認を得たのでありますが、これに伴いまして、これら外國爲替及び振替の取扱料金決定について國内法に所要の規定を設けるというのであります。而して本法案の内容といたしますところは、郵便爲替法及び郵便振替貯金法に、それぞれ外國郵便爲替、外國郵便振替貯金に関する料金は、條約に規定する料金を超えない範囲において、内閣総理大臣及び郵政大臣が命令でこれを定めるという一項を加えるというのであります。本委員会は愼重に審議いたしましたところ。外國郵便爲替及び外國郵便振替貯金の一般に関する質疑のありました外、格別の御質問もなく、又討論に入りましても別段御発言もなく、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。 次に、郵便貯金法の一部を改正する法律案の提案理由といたしますところは、現行の郵便貯金は眞に一般國民の簡易確実な貯蓄手段として活用されて参りまして、本年三月末現在における貯蓄高は実に八百億円に達し、國民生活の安定並びにインフレの防遏に寄與するところ少くなかつたのでありますが、尚、経済事情の変化に伴いまして、更に一段と郵便貯金の利用を容易にして、貯蓄の吸收を図ると共に、一面、健全財政の要請に應じて事業経営の合理化を期する必要が生じましたため、ここに、この法律の一部を改正いたそうというのであります。改正法案の主なる点を申上げますと、第一に、定額郵便貯金及び積立郵便貯金の据置期間を短縮したこと、第二に、通常郵便貯金及び据置郵便貯金の最低預入金額を引上げたこと、第三に無記名の地方債証券及びその利札による郵便貯金の預入制度を廃止したこと、第四に積立郵便貯金の一回の預入金額を引上げたこと、第五に割増金附定額郵便貯金の据置期間内における拂戻しを認めたこと等であります。右につきまして委員会におきましては愼重に審議をいたしたのでありますが、先ず一委員から、貯金の据置期間を短縮したのは如何なる理由かとの質問に対しまして、これは過去の実績とインフレ下長期のものを好まない一般の趨勢に鑑みて、從來の一ケ年の外に六ケ月のものを新たに設けたのであるとの答弁がありました。 以上の外別段の御質疑もなく、討論に入りましても別に御発言もなく、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしたのであります。 次に、郵便貯金法に基いて保管する証券の整理に関する法律案の提案理由といたしますところは、郵便貯金法に基いて取扱う國債証券その他の証券の保管業務は、郵便貯金の預金者の便宜を図るため設けられたものでありますが、日華事変以降における巨額の國債及び債券の発行に伴いまして、急激な増加を示し、現在におきましては、保管証券の枚数約一億四千万、額面金額約二十二億七千万円に達しておるのであります。現在この処理のために年額約二億四千万円の経費を必要とし、保管証券一枚当り平均額面十八円に対し年額約二円の費用を掛けておるわけでありますが、この経費は主として一般会計及び大藏省預金部特別会計からの繰入金に依存して参つておる実情でありますので、今回この証券について整理を行い、以て郵便貯金事業の経営の合理化を期したいというのであります。 今その内容の主なる点について申上げますと、現在逓信省が保管している証券は、最近発行された一部高額の國債証券を除き、すべて原則として大藏省預金部に賣却し、本年九月一日を以てその代金を預金者の預金に組入れるのでありますが、この措置を実施するにつきまして、預金者の意思を尊重するため、六月一日より三ケ月の猶予期間を設け、この措置を希望しない預金者に対しては、猶予期間中に証券を返付又は賣却を認めることといたしております。尚この措置によりまして買入れられる証券の價格は政令を以て定めることといたしており、このようにして郵便貯金に組入れられた貯金は、昭和二十四年六月一日にすべて郵便貯金となつたものとみなされ、その日から郵便貯金として利子が附せられることはもとより、一般の郵便貯金と同樣に拂戻しができるのであります。又この証券整理貯金に関する預金者の権利は、郵便貯金に組入れられた日から十年間以内に預金者が通帳に記入の請求をしない限り消滅するものといたしてあります。尚、本法律施行後は、昭和二十三年四月一日以降発行にかかる國債証券で額面金額千円以上のものに限り取扱うこととしておるのであります。 以上は本法案の大要でありますが、本委員会の審議の概要を申上げますと、先ず一委員から、本法案によれば証券の賣却代は本年九月一日附を以て証券整理貯金として郵便貯金に組入れられることとなるのであるが、これを貯金通帳に記入をすることを請求しなければ記入して呉れない。そして昭和三十四年八月三十一日まで、即ち十年間内に記入の請求をしないときは、この証券整理貯金についての預金者の権利は何らの予告、催告もなしにそのとき消滅するとしてあるが、それでは一般貯金の権利の消滅の場合の手続に比し、國民の権利擁護の点において欠くるものと思うがどうかという質問がありました。これに対しましては、この証券保管業務は、通帳、保管証、原簿等の処理を必要とするので、十年間も睡眠しているこれらに対して一々催告をすることは、労力及び経費の上から極めて困難であつて、一般貯金についても將來催告という制度は或る限度を附したいと考えているが、この整理貯金の通帳への記入請求については鋭意周知宣傳に努め、又権利の消滅に当つては、一定額以上のものに対しては一般貯金と同樣事実上の催告をして、預金者の権利擁護に遺憾なきを期するという答弁がありました。次に買入價格はどんなに決められるかという質問に対しましては、買入價格の決定に際しては、もとより預金者の利益を十分に考慮して、現在郵便局又は銀行で行なつておりまする証券買上の場合と同樣の價格を定める方針であるとの答弁がありました。又この法律の実施の結果、從業員の整理が行われるではないかとの質問に対しましては、本法案の実施と行政整理とは直接的な関連はないが、事務が簡素化されて余剩人員が生じた場合にも、できるだけその意思に反して職を失うことのないよう、又配置轉換等を行う際にも、住宅等のことも考慮し、無理のないやり方をして行きたいとの答弁がありました。かくいたしまして、質疑を終えまして、討論に入りましたところ、無所属懇談会の千葉委員より、本法案の実施の結果、三千八百人の從業員が何らかの形において少くとも配置轉換の止むなきに至るであろうが、これに関してなされた逓信大臣の答弁が誠実に履行されることを條件として賛成があり、又民主党の小林委員よりは、証券整理貯金として組入れられた貯金の権利擁護に対しては、極力本法案の趣旨の宣傳啓蒙に努むると共に、権利消滅の場合には、高額のものには個々の催告を行う等万全の措置を講ずることを希望して賛成の発言がありましたが、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。 次に郵便切手類賣さばき所及び印紙賣さばき所に関する法律案についての提案理由といたしますところは、郵便切手類賣捌所及び印紙賣捌所並びに賣捌人に関する事項は、現在省令で規定せられておりますが、郵便切手類の賣捌については、郵便法の規定によりまして法律で定める必要があり、又印紙の賣捌につきましても法律で定めることが適当と認められますので、新たにこの法律を制定して、賣捌所の設置及び業務、賣捌人の選定、業務遂行上の業務、賣捌手数料等に関する基本的事項を規定しようというのであります。今その内容の主なる点を申上げますと、賣捌人の資格條件は、一定の資力を有し、且つ賣捌の業務を行うに支障がないと認められる者であることとし、又印紙のみの賣捌人は從來通り営利を目的としない法人に限ることにいたしているのであります。更に賣捌人に対する手数料は、賣捌人の買受月額の百分の五以内の金額を支拂うが、最高限月額一万一千百円を超えてはならないことといたしてあるのであります。 以上法案の大要でありますが、本委員会の審議の概要を申上げますと、先ず一委員から、賣捌手数料の最高限を一ケ月一万一千百円としたのはどういうわけか、むしろ沢山賣らせるよう奬励すべきではないかとの質問に対しては、元來、賣捌所は不便な場所にサービスとして設けるものであつて、大口購入は郵便局で、小口購入は賣捌所でというのが建前であるのに、この制限がないと賣捌所で大口需要に対して割引して賣捌かれる虞れがあるから、この制限が必要であるという答弁でありました。又印紙のみの賣捌人を営利を目的としない法人に限定した理由如何という質問に対しましては、この制限がないと、商工業者の大部分が賣捌人を希望する虞れがあるからとの答弁がありました。 質疑を終り、討論に入りましたが、別に御発言もなく、採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。 以上は四法律案に対する逓信委員会の審議の経過の大要であります。詳細は速記録によつて御承知を願うことといたしまして、これを以て報告といたします。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより四案の採決をいたします。四案全部を問題に供します。四案に賛成の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて四案は全会一致を以て可決せられました。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) この際、日程第五、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案、(内閣提出、衆議院送付)日程第六、皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員会理事宮城タマヨ君。 ————————————— 〔宮城タマヨ君登壇、拍手〕
○宮城タマヨ君 只今上程になりました下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の法務委員会においての審査の経過並びに結果について御報告申上げます。 簡易裁判所は、現在全國に五百五十九ヶ所設置されておりまして、最高裁判所の方針といたしましては、予算の許す限り漸次これを増設することにいたしております。この度は最も設置を要望されており而もその必要のある六ヶ所に設置を見ることになりました。それは岐阜縣の關町、廣島縣の西條町、岡山縣の兒島市、鳥取縣の浦富町、山形縣の赤湯町、愛媛縣の新居濱町、この六ヶ所であります。尚この管轄区域を極く一部分変更した所が二ヶ所ございます。以上が本法案の内容のあらましでございますが、本委員におきましては愼重なる審議をいたし、各委員より熱心な質疑が行われたのでございますが、その應答の詳細は速記録によつて御覽願うことにいたしまして、ここに申述べますことを省略させて頂きます。かくて討論を省略し、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定された次第でございます。以上を以ちまして報告といたします。 次に、皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律の一部を改正する法律案の審議の経過並びに結果について御報告申上げます。 現行の法律は旧戸籍法を基礎として制定されたものでございますので、これを新戸籍法の趣旨に副うように改正するとともに、尚、現行法の戸籍届出に関する規定中、新戸籍法の規定によつて不必要となつた部分を整理するために提出されたものであります。この法律案の内容につきまして簡單に申上げますと、 先ず第一條についての改正規定は、現行法第一條によりますと、皇室典範第十一條の規定により皇族の身分を離れた者については新戸籍を編製し、同第十三條の規定により、これと同時に皇族の身分を離れた配偶者や直系卑属は、すべてその新戸籍に入ることになつております結果、直系卑属に配偶者や更に直系卑属がある場合には、その新戸籍に一つの夫婦及びこれと氏を同じくする子以外の者も同籍する結果となりますので、このような場合には、その直系卑属については一つの夫婦とその子、若し配偶者がない場合にはその者とその子ごとに、それぞれ新戸籍を編製するようにいたしたものでございます。第二條についての改正規定は、現在同條第二項によりますと、皇室典範第十四條第四項の規定によつて皇族の身分を離れた者は、その直系卑属につき第一條の規定により編製された戸籍に入ることになつております。又現在皇室典範の右規定により皇族の身分を離れた者は、新戸籍編製の申出ができないことになつておりますが、これを改め、一般の離婚復籍者と同樣、新戸籍編製の申出ができるようにいたしたものでございます。第三條についての改正規定は、現在同條によりますと、皇室典範第十二條の規定により、その者の直系尊属につき編製された戸籍があるときは、その戸籍に入ることになつておりますが、祖父母又は曾祖父母等について新戸籍が編製されておる場合には、やはり第二條と同樣三代以上同籍の場合が生ずることがあり、又現在右の離婚をした者は新戸籍編製の申出をすることができないこととなつておりますが、これを第二條同樣の趣旨に改めたものでございます。第五條は、第一條又は第二條の規定により新戸籍編製。第六條は第二條の規定による入籍。第七條は、第四條即ち皇族以外の女子が皇后となり、又皇族男子と婚姻し、その戸籍から除かれる場合の除籍の届書の記載事項等に関する規定でございます。以上が本法案の内容のあらましでございます。 本委員会では愼重な審議をいたし、各委員より熱心な質疑が行われたのでございますが、その應答の要旨は速記録によつて御覽願うことにいたします。かくて討論を省略いたし、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定された次第でございます。 以上を以ちまして報告を終ります。
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) この際、日程第七、失業保險法の一部を改正する法律案、日程第八、職業安定法の一部を改正する法律案、日程第九、緊急失業対策法案、日程第十、労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。労働委員長山田節男君。 ————————————— 〔山田節男君登壇、拍手〕
○山田節男君 只今議題となりました失業保險法の一部を改正する。法律案につきまして、委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告申上げます。 先ず本案の提案理由及び内容について申上げます。昭和二十二年第一國会におきまして失業保險法が制定せられ、同年十一月一日から施行されたのでありまするが、このたび先に発表せられました経済安定に関する九原則に基く施策を強力に実施することに相成り、その結果、企業の合理化により多数の失業者の輩出することが予想されますので、かかる情勢に対処するため、今回現行法を改正し、その不備を補い、内容を改善して、失業保險が眞に失業対策の一環として、失業者の生活安定、延いては経済の復興に資することができるようにしたいというのでありまして、その改正の主なる点を申上げますと、第一には、失業保險法の適用範囲を拡張いたしまして、土木、建築、映画、演劇及び旅館、料飲店の事業に及ぼそうとするものであります。第二には、失業保險金の額につきまして、現行法においては百分の六十の率を基準として最高百分の八十から最低百分の四十となつておりますが、実際の支給現況は平均百分の五十四程度となつておりますので、今回これを一律に百分の六十と改めて給付額の増額を図りますと共に、賃金水準の変動に應じて失業保險金の額を自動的に改訂し得るようになるものであります。第三には、保險料を、過去一年間における保險料積立金の状況と將來の失業の予想を勘案いたしまして、現行の千分の十一を千分の十に引下げますと共に、その徴收方式を申告納入の制度に改めようとするものであります。第四には、新たに日傭労働者に対しまして失業保險制度を適用することといたし、日傭労働者の失業対策に万全を期そうとするものであります。 政府提出の原案に対しまして衆議院は二つの点において修正をいたしておるのであります。その第一点は、保險金の額を算定いたします場合、政府提出の原案は、賃金中、臨時に支拂われるもの及び三ケ月を超える期間ごとに支拂われるものは、賃金の総額から除くことといたしておりますのを、除かないようにいたしたのであります。第二点は、賃金日額は離職した月前において被保險者期間として計算された最後の二ケ月に支拂われた賃金の総額を六十で除して得た額といたしておりますのを、最後の六ケ月に支拂われた賃金の総額を百八十で除して得た額といたしたのであります。 委員会は去る四月二十三日より数回に亘り愼重審議をいたし、その間熱心な質疑應答が行われたのでありますが、その主なるものを申上げますると、門屋委員よりは、このたびの改正法は土建業、日傭労務者にまで適用範囲が拡張された進歩的なものであるが、現在安定所が行き亘つておらないから、取扱上不行届きになる虞れのあることを指摘せられ、安定所の分掌事務を市町村又は一定の認定を受けた労働組合若しくは業者の團体等に委任するなど、法の適用に万全を期する意向はないかとの質問に対しまして、政府委員より、市町村に対しては職業安定法の規定により省令で委任することが可能であり、さよう取計らいたいが、労働組合と業者の團体への委任は現在の段階においては困難であるけれども、將來研究いたしたいとの答弁がありました。又田村委員よりは、日傭労務者に対する保險金の給付は事実上困難な場合が多いから、保險料の掛け捨てになるようなことはないかとの質問が行われました。尚その詳細は速記録によつて御承知をお願いいたしたいと存じます。 かくて質問を終局し、五月十日討論に入り、採決の結果、全会一致を以て衆議院送付案通り可決すべきものと決定した次第でございます。以上御報告を申上げます。 次に議題となりました職業安定法の一部を改正する法律案の労働委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告申上げます。去る四月二十三日より五月九日まで愼重審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。 先ず本案の提案理由並びに主なる内容について申上げます。先に発表せられました経済安定に関する九原則の強力な実施並びに單一爲替レートの設定に伴いまして到來を予測せられまする深刻なる失業情勢に対應いたしまして、失業対策の中核である職業安定機関の業務の整備強化を図ろうとするものでありまして、今回改正せんとする第一点は、学生生徒新規卒業者の職業紹介の円滑な運営を図るため、学校に対し公共職業安定所の業務の一部を分担させることができるようにすると同時に、学校長が労働大臣に届出でることによつて無料職業紹介事業を行うことができるようにしようとするものであります。第二点は、身体障害者に対する職業補導につきまして必要な規定を整備して、身体の不自由に人々に対し、單なる生活上の保護のみではなく、有効適切な職業訓練を與えるようにすること、並びに職業安定機関が工場、事業場の行う監督者の訓練に対し援助を與えようとするものでございます。第三点は有料職業紹介所に関する國際労働條約の規定及び勧告の趣旨に鑑みまして、政府以外の職業紹介事業を行う者が料理店、飲食店、旅館業、古物商等の事業を兼業することを禁止しようとするものであります。以上の外、職業安定事業の運営に関する諸般の規定を整備しようとするものであります。 さて本案審議に当りましては終始各委員より御熱心なる質疑があり、政府からもこれに対し懇切な答弁がありましたが、詳細は速記録によつて御承知願いたいのであります。かくて質疑を終局し、五月九日討論に入り、二三の委員から、職業安定事業の運営に当つては、徒らに官僚的統制に堕することなく、失業者の職業斡旋に努力すべきであるとの希望意見が開陳せられましたが、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第でございます。右御報告申上げます。 次に議題となりました緊急失業対策法案につきまして、労働委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告申上げます。 先ず本法案の趣旨並びに内容の主なる点を申上げます。この法律案は、日本経済安定九原則の嚴正なる実施によりまして、現に発生を見、又將來発生を予想せられまする多数の失業者と、これに伴いまする深刻なる失業情勢に対処して、失業者を救済し、社会的不安を除去せんとするものであります。而してこの規定する内容の主なるものは、すでに昭和二十一年五月に連合軍総司令部の命令として発せられました日本公共事業計画に基き、行政的措置として実施せられて参つたのでございますが、前に申述べましたような事態に鑑みまして、今回これを立法化し、且つその内容を整備しまして、強力に推進せんとするものでございます。この法律案は從來実施せられて來た公共事業を失業対策事業と、公共事業とに類別しておるのでありまして、その公共事業とは、災害の復旧、道路、河川等につきまして、経済安定本部の認証により國又は地方公共團体が実施する公共的建設事業を言うのであります。又失業対策事業は、すでに公共事業の一環として実施せられて参りました失業應急事業を失業対策事業とし、失業者の就労を主たる目的として、労働大臣の樹立する計画により國又は地方公共團体等が実施する事業を言うのであります。以上は第一章の総則に規定するところでありますが、更にこの二つの事業に関しそれぞれ別個の章を設けまして、失業対策事業については、事業の性質、実施の準備、及び具体的実施の決定、事業経費の補助等に関して必要なる規定を設け、又公共事業については、失業者の吸收方法、及び失業者の吸收面からする事業の監督等につき規定しておるのでございます。 去る四月二十二日、本案が予備審査のため付託となりましてからしばしば委員会を開催し、特に愼重に審議を重ねたのでありますが、政府側よりは鈴木労働大臣、青木経済安定本部総務長官、稻垣商工大臣、池田大藏大臣初め多数の政府委員が出席し、説明答弁を行いました。各委員から又熱心に論議せられたのでありますが、委員会におきましては、先ず企業の合理化及び経済安定施策に伴う潜在失業者の顯在化等、予想される深刻なる失業情勢と、これに対する政府の根本方針等につき論議が集中せられました。各委員より熱心に質疑がなされたのでございます。殊に門屋委員からは、失業者の発生時期、地域別産業別失業者数につき詳細な答弁並びに資料の提出が要求せられたのであります。これに対しまして各省より改めて資料の提出がありました。各大臣から説明がなされましたが、この点に関しましては詳細を速記録によつて御了承願いたいのでございます。 かくて五月九日質疑を終結し、討論に入つたのでありますが、中野委員より反対意見が表明せられ、村尾委員、田村委員よりは賛成討論がなされたのであります。反対の主なる論旨は、本案が失業者の発生を未然に防止する何らかの施策を前提とせず、曖昧なる失業情勢の見通しの下に打立てられており、且つ又予算の裏付けが全くないというのであります。又賛成意見を述べられた委員も、政府の失業問題に対する政策の不徹底を指摘し、一層の熱意努力を強く要望いたされたのであります。以上を以て討論を終局し、直ちに採決に入つたのでありまするが、本法律案は多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。以上を以て御報告を終ります。 次に議題となつておりまする労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案、これにつきまして本委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告申上げます。 先ず本案の提案理由及びその内容について簡單に申上げます。今回、労働者災害補償保險法の運営を一層容易ならしめ、本案の主眼とする迅速且つ公正な労働者災害補償を積極的に行うために所要の改正を加えようとするものでありまして、その改正の主たる点を申上げますと次のようなものでございます。その第一点は、適用の事業の範囲を拡張し、船舶による旅客又は貨物の運送の事業を強制適用事業に含めようとするものでございます。その第二点は、保險料の報告を義務付けようとするものでございます。第三点は、政府が保險料の額を認定して徴收することができるようにし、その徴收すべき保險料に対しましては追徴金を賦課するようにしようとするものであります。その第四点は、延滯金並びに罰金の額を引上げようとするものであります。 委員会は去る四月二十六日以來数回に亘りまして開催いたし、終始政府委員との間に熱心な質疑應答が行われました。眞摯なる討議が行われて参つたのでありまするが、その一斑を申上げますると、田村委員よりは、標準賃金中に不確定な賞與等を含めるのは不穏当ではないかとの御質問に対し、政府委員より、現行法の規定では事業相互の不均衡を生ずる欠点があるから、これを含めたのである旨の答弁がありました。更に田村委員より、保險料延滯利子が從來の日歩四銭から二十銭と一挙に五倍に引上げられたのは高過ぎはしないかとの質問がありました。これに対し政府委員より、最近の金利が極めて上廻つており、而も他の社会保險に比し、この保險の利率の低かつたことが利率引上の理由でありますとの答弁がございました。又一松委員より、政府は保險料等の延滯に対しましては容赦なく利子を取立てているにも拘わらず、政府自体の支拂は遅れ放題であつて、一文の利子も付けないで平然としておるが、大いに反省を促したい旨の意見の開陳がございました。尚、詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。 かくて質疑を終局し、五月十日討論に入りましたところ、門屋委員より、災害補償保險事業の唯一の財源たる保險料の納入が遅れる原因は政府支拂の遅延にあると思う、事業の活動を鈍らせないために、政府支拂を促進し、保險料納入が遅滯しないように期待する旨の條件を附しての賛成討論がありました。かくて討論を終り、採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。以上を以て御報告を終ります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 職業安定法の一部を改正する法律案及び緊急失業対策法案の両案につき討論の通告がございます。中野重治君。 〔中野重治君登壇、拍手〕
○中野重治君 日本共産党はこの四つの法案全部に反対であります。これは委員長の報告からも分りますように、皆関連しておりますから、そのうちの職業安定法の一部改正法案と、それから緊急失業対策法案と、この二つに対する我々の反対意見の一部を述べて、そうして全部に対する反対意見の全貌を諒知して頂きたいと、こう思います。 先ず職業安定法の一部改正の案に対する反対からその理由を説明しますが、一体、法はこの実行ということが大切であります。それから改正する場合には、法がそもそも制定されたその精神を発揮するという方向において事がなされなければならない。それですから、職業関係においては現に安定所が非常に少い。又場所々々によつて偏在している。それだから、この安定所の網の目を完全にして、全國に拡げて、失業者、求職者のための世話をしなければならぬ。これが本來であります。ところが今度の改正案を見ますと、逆に行つている。改正案では現行法にないいろんな規定が入つておりますが、特に重要なものの一つはその二十五條の問題であります。二十五條はどういうことかというと、職業安定所のやるべき仕事を学校長及び学校職員にやらせて、而も俸給は一文も拂わない。ロハでやらせる。こういうことであります。それで御承知のように職業安定所の網の目に比べれば、惡い網の目であるからとはいつても、学校の網の目の方が相対的に完全である。だから相対的にやや優良な学校の網の目をロハで使つて、政府が職業安定所の網の目を完全にすることがなされなければならぬ。その政治上の責任をすりかえておる。この点は憲法第七十三條の第一項における違反です。憲法十八條の言葉で言えば、奴隷的拘束苦役によつてすり拔けようとしているわけであります。その結果は今日の破壞されつつある日本の教育問題を更に破壞することになる。それですから、それについて、そういう政治責任をロハでのがれようとする腹ではないかということを聞きましたところが、そういうつもりでは毛頭ありませんと政府委員は答えておる。併し毛頭ありませんということを実際具体的に証明する材料があるかということを問いましたところが、五月九日には政府委員がこれに対して答えることができないでおります。客観的にこれを認めたということになつておる。これが一つの反対理由の一部として我々がはつきりここで申上げることであります。こういう精神で貫かれておるところのこの一部改正が全く改惡であつて、我我はこれに本当に反対しなければならぬ。これは労働者に対してのみならず、学校教育の問題に関しても徹底的に反対しなければならぬ。こうなるわけであります。 次に緊急失業対策法案の反対の理由を述べます。今、委員長からいろいろ話がありましたが、委員長の話にもあるように、詳しいことは委員会の速記録を読んで呉れということでありました。この速記録は非常に大切なものであつて、その中でも大切なことを私が一、二申上げたいと思います。 それは五月七日の労働委員会において労働大臣が來て、そうしていろいろ問答をした結果、今出つつある厖大な失業者群、これから出る厖大な失業者群、これを救わねばならぬと口では言つておるけれども、救うための金は一文もない。現実に計上していないということを告白しました。それじや、それをどうするかというと、一文もないけれども、これは大藏大臣に頼んである。大藏大臣がよろしくやつて呉れるように話が付いておる。こういう話であります。その日は安本長官も來ておりましたから、安本長官はその点どう考えるか。安本長官もやはり現在一銭も具体的には計上していないということは認めまして、じや、これからどんどん出てくる失業者はどう吸收するのかというと、こういうふうな吸收すべきプランを持つておると言つて、例えば輸出産業には何万人吸收する、鉄鋼産業には何万人吸收するというようなことを言つて、数を挙げて行きましたが、その途中で失業保險法によつて云々というようなことを言いましたから、私はこれを差し止めた。これは失業保險法の業務を拡張して、これを労働者救済のために用いるのではなくて、現行の失業保險法によつて掛金をした労働法が首切られて給付を受けるというその数字を、恰かも政府がこれから緊急失業対策法案によつて、新たに事業を起して、そこへ吸收すべき人数であるかの如くごまかそうとした。私がこれを差し止めました。安本長官も默りました。こういう工合であるから、労働大臣、安本長官二人では話が分らぬ。それで大藏大臣も來て三人顔を並べて來て貰いたいということで、五月九日に三人顔で並んだ。そこで、やはり三人とも、厖大な失業者は出すけれども、併しそれを救済すべき金は一文も計上していないということは皆認めました。三人揃つて……。じや、どうするかということを聞きましたところが、大藏大臣は、そのためには千七百五十億円という対日援助見送り資金がある、この中から金を捻り出したい、こういうふうに言うので、その中からどれだけ出すつもりかと言いましたところが、大藏大臣の答弁は非常に特徴的で、これをどう使うかということは、これはアメリカ政府の最後的決定に俟つことであつて、我々としては言えない、新聞なんかにいろいろ書いてあるけれども、あれは新聞屋が書いたことであつて、自分としては大藏省関係の役人には、この見返り資金の使い方に関して、あれこれと大藏省管内の役人が軽口をきいてはいけないということを、大藏大臣として訓示してある、こういう話でありました。それですから、この問題はこうなります。労働大臣が大藏大臣に委せてある。大藏大臣はこの見返り資金に頼る。見返り資金をどう使うかということは併し政府の予想を言えるようにはちつともなつておらん。それですから、結局この緊急失業対策法案というものは、官廳関係、民間企業関係で大量の首切りをする、又民間企業はぶつ潰す、この跡始末は責任を持つてやらない、無責任を持つて一銭も計上していない、こういうことになります。それですから、これは現実に首切法案であり、切りつ放し法であり、民間企業潰し法案であり、潰しつ放し法案である、その跡始末は全然やらないという、こういう法案であります。(「出たらめだ」と呼ぶ者あり)出たらめではない。仮りにこの千七百五十億というものから何らか使えるとしても……或いはこれは使えぬかも知れない。せいぜいのところ、ゼロであり、ゼロ・アルフアーであります。これは全く首切り浅右衞門法案であります。それですから、日本共産党は失業者をできるだけ出さないようにするため、又出たならば一日も早く日本の産業再建の方向において、これを救済するためには、これを一銭も計上しないで、ごまかそうとするこの緊急失業対策法案を葬ることから仕事を始めなければならぬ。(拍手)これは非常に大切な法案ですから、民自党の諸君あたりもよく考えて採決に態度を嚴正にして欲しい。こう本当に思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)この二つの法案に対する我々の反対理由を述べて、そうして四つの法案全部に対する反対理由の説明に代えます。(拍手)
○議長(松平恒雄君) これにて討論通告の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。先ず職業安定法の一部を改正する法律案及び緊急失業対策法案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。 〔起立者多数〕
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) 次に失業保險法の一部を改正する法律案及び労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。 〔起立者多数〕
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。 —————・————— 〔堀眞琴君発言の許可を求む〕
○議長(松平恒雄君) 堀眞琴君。
○堀眞琴君 本員はこの際、炭鉱ストライキに関する緊急質問の動議を提出いたします。
○鈴木順一君 堀君の動議に賛成いたします。
○議長(松平恒雄君) 堀君の緊急質問の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。堀眞琴君。 〔堀眞琴君登壇、拍手〕
○堀眞琴君 石炭はあらゆる産業の動力源であり、石炭業が産業復興の上において占める意義というものは、今更私が喋々するまでもないのであります。昨年度は三千六百万トン、本年度は四千二百万トンの出炭高が要請されておりますのも、全く産業復興のために石炭の増産が必要であるからであります。で、炭鉱労働者はこの石炭の産業復興に果すところの役割を認識しまして、あらゆる困難を克服して生産に努力しておるのであります。ところが皆樣も御承知の通り去る五月三日から炭鉱ストライキ、波状ストライキが起りました。五月七日から第二次ストライキが、更に発展して明後十四日からは全國一齊に四十八時間のストライキが起ろうとしておるのであります。石炭の今日我が國の復興において占める地位を考え、我々はこの炭鉱ストライキに対して決して無関心であることはできないのであります。で、私はこの炭鉱ストライキがどういう過程を通じて発生して参り、そしてそれが今日どういう状態にあるかを先ず御説明申上げまして、そして政府当局の御答弁を煩わしたいと思うのであります。 この炭鉱ストライキの理由は二つあるのであります。一つは賃金問題、そしてもう一つは低品位炭鉱の切り捨て問題であります。 第一の賃金問題でありまするが、これは昨年の十二月締結せられましたところの中央協定に基きまして、労資の交渉による四月以降の新賃金を協定するということになつておるのでありまして、この協定に基きまして三月末分から労資双方に交渉が開始されたのであります。三月三十一日第一回の交渉が行われたのでありまするが、その交渉におきまして、資本家側即ち日本石炭鉱業連盟側におきましては、新賃金問題につきまして、大体次のような提案をして参つておるのであります。即ち標準賃金として坑外夫は日額二百十六円、坑内夫は三百六十三円、一ケ月坑外夫は二十五万、坑内夫は二十二万として、税込坑外夫は五千四百円、坑内夫は七千九百八十六円、この賃金を支拂うためには鉱山労働者は一五%方の増産を是非とも行わなければならぬ。こういうことを要請して参つておるのであります。つまり低賃金を強要した上に更に実質的な賃金の切り下げを一五%によつて要求しておる。こういう案を提示して参つたのであります。これに対しまして炭鉱労働者側、日本炭坑労働組合連合会におきましては、標準賃金ではなくて全國統一賃金、これは昨年乃至はこの三ケ年間、労働組合と資金家側との間に結ばれました協定によりまして統一賃金が行われておつたのでありますが、今回もやはり全國統一賃金を要求すべきであるとして、坑外夫につきましては日額三百円、坑内夫は五百五十七円、坑外夫は從つて一ケ月七千五百円、坑内夫は一万二千二百五十四円、この統一賃金としての賃金を、組合側におきましては、他の産業との比率を勘案し、並びに物價変動を加味いたしまして、この賃金を算定いたしているのであります。他の産業との比率の場合の基礎としておりますのは、労働省告示第四十四号、一般職種別賃金に基くものでありまして、労働者側のこの要求は全く正しい要求だと申上げなければならぬのであります。ところが資本家側におきましては労働者側のこの要求を飽くまでも認めまいとし、標準賃金を以てこれに臨もうとしているのであります。殊に三月十日の日本政府宛連合軍司令部の覚書並びに賃金三原則、経済九原則に便乘しまして、賃金補給金を打切られるということを理由に、炭鉱の自立、各社各山の経営実態に應じて賃金支拂をしなければならぬということを主張いたしまして、飽くまで標準賃金を強調しているのであります。組合側におきましては、先きにも申上げました通り、過去三年間統一賃金をとつて來たのでありまして、三原則、九原則にも拘わらず、現在各経営は統一賃金を支拂い得ることを主張いたしました。そうして、その交渉を飽くまで中央の團体交渉によつて、これをなし遂げようと要求したのであります。ところが、この第一回の交渉は遂に労資双方の意見が纏らずに物別れとなりました。結局四月一日から無協約状態になり、前の協定はなくなつたのであります。從つてこの無協約時代の経過措置としまして、組合側におきましては、前の協定の四項により從來の慣行を適用して、新賃金の協定ができるまでは、組合側におきましてはこの從來の慣行を適用する、若し新資金協定ができたならば、これを四月一日まで遡及すべきものであるということを主張いたしました。連盟側におきましては從來の賃金延長に対しましては反対いたしました。各社各山で以て、これを自由に決定すべきものであるという態度をとつて、又々経過措置についても両者の態度は対立したのであります。次いで四月八日に至りまして、連盟側からして、経過措置について團体交渉を行うことは、もはや無意味であるというので、一方的にこれを打切る通告をして参つたのであります。そこで組合側におきましては、この問題を中労委に斡旋方を申出でたのであります。ところが連盟側におきましては、中労委によるところの斡旋の形でこの問題が解決されることは自分たちとしては承服できない、如何なる斡旋にも應じかねるという態度をとりました。又賃金の支拂につきましては、從來の賃金の八〇%方の支拂を全國に通告するということをやつたのであります。これは労働基準法第二十四條にいうところの「賃金は直接労働者にその全額を支拂わなければならない」という、この規定に違反するものであります。これに対しまして組合側では、飽くまでも一〇〇%完全支給を要求する。併しながらこの問題は、やはり未解決のまま今日まで残されているところの問題でありまして、この問題だけで闘爭に入つている組合が幾つか尚今日存在しているのであります。更に四月十四日に至りまして、連盟側から一方的の團体交渉打切りを再度申入れて参りました。そこで組合側におきましては、もはや、こういうような状態において資本家側と交渉することは無意味であると、ストを決行すべきことを決定いたしました。五月三日から第一一の波状スト、五月七日から第二次の波状スト、十四日から全國一齊四十八時間ストということを決定したのであります。尚四月二十一日GHQからメモランダムが参りまして、この炭鉱の問題は日本政府の責任で以て解決すべきであるということが要請されているのであります。そこで政府では協議の結果、中労委に対しまして斡旋方を依頼することになつたのであります。この依頼に基きまして、中労委におきましては労資双方と会談を遂げまして、四月三十一日に至つて一應の斡旋案を作つたのであります。それは「四月以降六月までの石炭賃金については、前中央協定の定める基準によるを原則とするが、最近における各般の事情変更、特に補給金の打切り、三月十日司令部の覚書等により、経営者が能率上昇と経営合理化を急がねばならない立場にあり、その関係上、相当困難な経理事情に陥るものもあると認められるから、炭労はこの事実を認めて、覚書第十項の適用に関し、極力経連と協力して紛爭の予防及び解決に努力されたい。」これが第一項、それから第二項は「七月以降の賃金に関しては、当事者双方とも事情変更の実情を考慮に入れて、新たに協議を開始されたく、五月末日までに協議成立せざるときは中労委に調停を申請して解決することとされたい」云々という申入れを行なつたのであります。これに対しまして、組合側としては條件附でこれを受諾したのであります。その間の事情は長くなりますから省略しますが、ところが連盟側におきましては、これに対して生産奬励金を除去するとか、或いは能率を挙げることを條件とするとかいう交渉をいたしておるが、これも亦結局意味がないと思うのであります。更に五月一日再会談をやりまして、中労委の末弘会長の斡旋が続けられたのでありますが、五月二日に至りまして最後の斡旋案ができ上りまして、双方に申入れておるのであります。それを読みますが、第一は、「連盟は能率についての季節差のあることを認め、四月乃至六月の具体的季節差については復興度その他の点を勘案して、双方協議の上一週間以内に決定されたい。若し協議が纏まらないときは当方において斡旋する。」第二には、「連盟は物價事情の変化による実質賃金の低下を防ぐため、何らかの形で一時資金を支給されたい。(その金額は四月乃至六月通算一人当り五百円程度)」こういう内容の申入れを行なつたのであります。これに対しまして、組合側はこれを受諾したのでありますが、併し連盟側におきましては、再考慮を約してそのまま物別れになつておるのであります。これが労働賃金の問題であります。 それから低品位の炭鉱切捨ての問題でありますが、四千カロリー以下の炭鉱はこれを切捨てるということを決定しておる。 〔「緊急質問に入れ」と呼ぶ者あり〕 この低品位炭坑切捨ての問題は、結局中小炭鉱の切捨て問題でありまして、日本産業の再建にとりまして由々しい問題だと思う。そこで私は先ず首相に対しまして質問いたしたいのでありますが、首相はこの重大なる問題の質問に対して、答弁をされるためにここに出ておられないのであります。私はそれを大変遺憾に思うのでありますが、幸い副首相が出ておられますから、副首相に対して質問を申上げたいと思います。首相はかねて労働者の愛國的協力を説いておるのでありますが、今度のストライキをどう考えられるか、労働者の要求を正しいとは思わないかということと、なぜストライキ解決のために積極的な態度に出ないかという、この三点を首相に代つて副首相からお答えを願いたいのであります。それから労働大臣に対しましては、連盟側の賃金経過措置は労働基準法第二十四條の違反ではないかということ、ストライキに対して靜観的な態度をとる旨を労働大臣、商工大臣、安本長官が協議したということが朝日新聞の十日附に出ておるのでありますが、むしろ労働大臣としては、この問題を解決するために早急に手を打つべきではないか、而もその手を打つとして、その内容は如何なるものであるか、及びストの見通しについてはどう考えられるかということをお尋ねいたしたいのであります。それから最後に商工大臣に対しましては、四千カロリー以下の低品位炭鉱の切捨てを行われる意思があるかどうかということ、それから炭鉱労働者の生活安定なくしては四千二百万トンの出炭目標が達成されないと思うが、これに対する見解はどうかということをお尋ねいたしたいのであります。以上緊急質問を終ります。(拍手) 〔國務大臣林讓治君登壇、拍手〕
○國務大臣(林讓治君) 堀議員の御質問にお答えいたします。本日総理大臣はよんどころない事情のため欠席いたしましたので、私が代つてお答えをいたします。 炭鉱の賃金問題に関しましては、労資の間に主張の一致を手ませんことは、誠に不幸なる状態を生じまして、甚だ遺憾に存ずるわけであります。日本経済の自立化が要請されている現状におきましては、最も重要産業たる石炭鉱業の一日も速かなる自立化が喫緊の要務でありまして、安易なる解決は諸般の事情から許されないのであります。今や困難を冒しても事態を根本的に解決いたしまして、日本経済の自立化に邁進せねばならぬと考えるのであります。本來労資関係は、原則といたしまして、労資双方の互讓と協調とによりまして、自立的に解決するということが本旨であると考えるのであります。政府その他の第三者が介入するのは極力避くべきであろうと考えるわけであります。目下のところ中労委委員長が事態の解決のために非常なる努力を続けられておるのでありますが、労資双方の協力によりまして、事態の円満なる解決に至りますことを心から望んでおる次第であります。以上を以てお答えといたします。 〔國務大臣鈴木正文君登壇、拍手〕
○國務大臣(鈴木正文君) お答え申上げます。 炭鉱のストライキが日本経済にとつて重大な関係を持つておる点につきましては、御指摘の通りで、全く同感でございます。この問題は、解決の方式といたしましては大体二つの方式が考えられると思うのでございまして、一つは只今も指摘せられましたように、低品位炭鉱の関係の問題とか、或いは九原則の実行の下における從來のような賃金補給金というような方式がなくなつた以後における賃金の問題は、どういうふうに処理する新らしい考え方を以て進むべきであるかというふうな、極めて根本的な問題と繋がつたところの形において近い將來に解決されなければならないという一面を持つておる一方、それは、そうであるけれども、四月乃至六月の賃金というものは、この根本的な問題を考えると、並行的に、暫定的に、労資双方の互讓によつて、そこに段階的な妥協点を見出しまして、ストを回避しつつ、この根本問題の檢討に進んで行くという考え方が一つと、大体二つの方式が考えられると思うのでありまして、御承知のように中労委のとりましたところの方式は、第二の方の四月乃至六月の賃金について暫定的な形で以てこれを措置して、そうして根本的の問題を他に見送るのではなくして、同時に直ちに根本的な問題の檢討に入ると、こういう方針を以て進んで來ておるのであります。それから只今御質問の前段において御指摘になりましたような各段階を通過いたしまして、遺憾ながら一度、二度くらいありましたチヤンスというものが、或るときには最初でありましたが、組合側の全幅の承認を得ず、又中段から以後におきましては、経営者側の承認を得ずというような形で いたしまして、遂に妥結に至らず今日に至つておるのでありますが、政府といたしましても、御指摘のごとく、メモランダムの形を以ちまして、関係三省にこの問題については格段の努力をすべきであるという意味の注意も受けておることは御指摘の通りであります。これにつきまして單に中労委に任せつ放しでおつたということは決してないのでありまして、関係各省はしばしば会合いたしまして、事務当局におきましてもこれが解決の案を進めて來ておるのであります。併しながら中労委に斡旋を依頼し、そうして今申しましたような経過はとりましたけれども、尚、今日の段階におきまして、ここ一両日の間は中労委が最後の努力を続けつつある、その成果を待つべき段階にある。その成功をひたすら希いながらそれを見守つておるわけであります。政府自体といたしまして、新らしい調停の方式をとるか、例えば強制調停というような方式を時期を見て採用するかという問題もございますが、それについては十分研究はいたしております。ただ極めて事が微妙でありまして、微妙な段階に入つて來ておるのでありまして、そういう問題についての方式その他の調査と申しまするか、研究は大体はもうでき上つておりますけれども、ここ一両日は、細目の点について、例えば只今御指摘になりましたような五百円の暫定的な支給とか、それからその他細目の点につきましては、ここ暫らくは中労委の計画と活動とに俟ちまして、そうして必要な段階が、これは時間的にいつとは申せないことでありますけれども、來たときには、政府自身は政府自身の責任において積極的に活動いたしますと、こういうことをお答え申上げます。(拍手) 〔國務大臣稻垣平太郎君登壇、拍手〕
○國務大臣(稻垣平太郎君) 堀議員の御質問にお答えいたします。 堀議員は、先程四千カロリー以下の石炭を切捨てるというお話であつたのでありますが、我々切捨てる考えは持持ておりません。恐らく配炭公團の取扱から七月一日以降これを除外するという意味を切捨てるというお話だろうと思つて、その意味でお答えいたします。切捨てる意思は持つておりません。そこで大体四千カロリー以下の石炭は、昨年選鉱設備が進まないときの状態におきまして、年に三百万トン乃至三百三十万トンであります。四千二百万トンを仮に仮定いたしますと、その数字の八%になるのでありますが、無論低品位のものよりも高品位のものがいいことは勿論でありますので、各炭鉱においてできるだけ選鉱について苦心されておりますので、段々低品位の炭は減つておる状態にあることを申添えて置きます。そして大体この低品位のものを取扱つておりまする炭鉱は、数にいたしますと二百五十九、六百十八の中の二百五十九でありますが、併しながら、これは、ほんのその中の二%、三%を取扱つておるものも入れましたのでありまして、純粹に四千カロリー以下を取扱つておる炭鉱は大体二十五六と御承知を願いたいと思うのであります。そこで公團の取扱から外されるということについては、それらの人にとつて或る場合に非常に利益である場合もあるであろうと思うのであります。大体配炭公團扱いはできるだけ早くこれを全部外す考えでありまするので、先ず先んじて四千カロリー以下のものが外され、而もこれが外されるということは、或る意味において運賃プールに対するところの利益を共助することができる、四千カロリー以下の炭は、例えば宇部地区におきましては、特に低品位のものを使うようないろいろな工業的の設備が発達いたしておるのであります。そこで、これを割当を仮に外しまするというと、その地区でその石炭が使用される、こういうことになりまして、石炭業者にとつてむしろ利益であれ不利益ではないと思うのであります。その点については十分誤解のないように(「その通り」と呼ぶ者あり)もう一度御檢討願いたいと私は存ずるのであります。これを以て御答弁といたします。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) この際、日程第十一、未復員者給與法の一部を改正する法律案(内閣提出)、日程第十二、関税法の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)日程第十三、專賣局特別会計、印刷局特別会計及びアルコール專賣事業特別会計の利益の一般会計への納付の特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)、日程第十四、國庫余裕金の繰替使用に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)以上四案を一括して議題とすることに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大藏委員長櫻内辰郎君。 ————————————— 〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕
○櫻内辰郎君 只今議題となりました未復員者給與法の一部を改正する法律案の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。去る五月六日より五月七日まで愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。 先ず、本案の提出理由及び内容について申上げます。この法律案は未復員者に対し復員後、療養費を支給する代りに、厚生大臣の指定する医療機関において直接療養をも行い得るようにすると共に、療養及び障害一時金等に関して時効、非課税及び無料証明等の規定をなさんとするものであります。さて本案審議に当り各委員より熱心なる質疑があり、政府又これに対し懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。かくて質疑を終局し、五月七日討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。 次に只今議題となりました関税法の一部を改正する等の法律案につきまして、大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。 去る五月七日より政府提出の法律案の予備審査をいたしたのでありまするが、衆議院において修正議決の上、同日本院に送付せられましたので、更にこれを愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、五月九日討論に入り、採決の結果、全会一致を以て衆議院修正の原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。 先ず、本案の提案理由及び内容について申上げます。本案は、税関事務遂行上及び最近における我が國貿易の諸情勢から見て、関税法、関税定率法及び噸税法に所要の改正を加えようとするものであります。即ち関税法においては、郵便物中、小包郵便物等の税関檢査、收容貨物の早期処分等の規定を設けると共に、細島、津久見の両港を新たに開港に指定し、併せて從來開港の指定が、「関税法」と「横須賀港を開港に指定する等の法律」の二本建になつておるのを、この際、関税法一本に整理し、且つ開港に一定の閉鎖條件を定めて、自動的に開港の整理を行い得るようにしようとするものであります。又噸税法においては、噸税の税率が現在の経済情勢から見て余りに低きに失しまするので、これを適正に引上げようとするものであります。尚、関税法、関税定率法及び噸税法を改正して、朝鮮、台湾等を当分の間これらの法規の適用上全く外國と同樣の取扱をすることになつております。さて本案審議に当り各委員より熱心なる質疑があり、政府又これに対し懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。かくて質疑を終局し、五月九日討論に入りましたが、格別発言もなく、採決の結果、全会一致を以て衆議院修正の原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。 次に、只今議題となりました「專賣局特別会計、印刷局特別会計及びアルコール專賣事業特別会計の利益の一般会計への納付の特例に関する法律案の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。 去る五月九日愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。先ず本案の提案理由及び内容について申上げます。本案は、專賣局特別会計、印刷局特別会計及びアルコール專賣事業特別会計の円滑なる運営を図るため、各会計の決算上の利益の一般会計への納付につき特例を設けようとするものであります。從來これらの会計において生じた決算上の利益は、すべてその年度の一般会計の歳入に納入することになつておりますが、昭和二十四年度以降、その年度中に増加した固定資産及び作業資産の價額を控額した金額を一般会計へ納付するもので、而もその納付については、必要に應じて翌年度へ延納し得ることとなつております。但し、印刷局特別会計においては、二十四年度限り利益全額を固有資本の増加に充てる特例を設けておるのであります。次に昭和二十三年度の決算上生じた利益の処分に関して、專賣局特別会計においては、その一部を固定資産の限度において、アルコール專賣事業特別会計においては、二億六千三百二十万円を限り、固有資本の増加に充てようとするものであります。 さて、本案審議に当り、各委員より熱心なる質疑があり、政府又これに対し懇切なる答弁があり、質疑を終局し、同日討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。 次に只今議題となりました國庫余裕金の繰替使用に関する法律案の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。 酒る五月九日愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。 先ず本案の提案理由並びに内容について申上げます。現行法においては、專賣局、印刷局等一部の特別会計を除き、國庫余裕金の繰替使用ができないことになつておりますが、これをすべての特別会計に拡張し、短期資金の不足せる場合、或いは融通証券又は一時基入金の期限前償還のために國庫余裕金の繰替使用を認め、以て國庫金の合理的且つ効率的な運用をなさんとするものであります。 さた本案審議に当り各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対し懇切なる答弁があり、質疑を終局し、同日討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより四案の採決をいたします。四案全部を問題に供します。四案に賛成の諸君の起立を請います。 〔起立者多数〕
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて四案は可決せられました。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) この際、日程第十五、傳染病予防法の一部を改正する法律案、日程第十六、國立公園法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)日程第十七、死体解剖保存法案、(内閣提出)以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員会理事、谷口弥三郎君。 ————————————— 〔谷口弥三郎君登壇、拍手〕
○谷口弥三郎君 只今上程せられました傳染病予防法案の一部を改正する法律案、國立公園法の一部を改正する法律案並びに死体解剖保存法案に関する厚生委員会における審議の経過並びにその結果を報告いたします。 先ず傳染病予防法の一部を改正する法律案についてその提出理由を申上げます。我が國の傳染病対策は明治三十年に制定せられた傳染病予防法を基幹として、コレラ、赤痢、腸チフス等十種の急性傳染病の防遏を規定いたしましたが、その後この法律に準じました、結核、癩等の慢性傳染病にはそれぞれ單行法が制定されているのであります。爾來本法律は部分的改正が行われて、又終戰後においては日本脳炎を新たに指定傳染病として適用しておるのでありますが、最近の機構や制度の改革に伴いまして一部改正の必要を認めまして本改正案を提出するに至つたのでございます。次に内容について簡單に申上げますと、第一、從來傳染病発生等につきましては、その届出受理者は市町村長でありましたのを、この度、市町村長を経由いたしまして保健所長としたことでございます。 第二は、地方出先機関が廃止になりましたために、地方駐在の防疫職員は防疫監吏又は防疫医として都道府縣に移讓し、厚生大臣に傳染病予防上必要があるときはこれを指揮する権限を與えたことでございます。第三は、地方財政法が制定され、國家と地方公共團体との費用負担が明らかになりましたので、この関係規定を改正いたしたのでございます。その外、用語などに一二の改正をいたしておるのでございます。以上が本改正案の内容がございますが、提案理由の説明にもありますように、本改正は極めて適切な処置でありますので、別に質疑もなく、討論は省略いたしまして、直ちに採決に入りましたところ、全員一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのでございます。 次に國立公園法の一部を改正する法律案について申上げます。 本改正案の提出の理由並びに内容について簡單に申上げますと、國立公園法は昭和六年制定以來、我が國には十三の國立公園が指定され、その保護利用が図られて來たのでありますが、この法の運営の結果に徴しまして、又現在並びに將來の國立公園行政の運営を円滑ならしむるため、天與の景観を國立公園として保護する面におきまして不十分な点がありますので、これを補い、同時に利用促進を図りますために必要な規定を追加するの必要が起りまして、ここに本改正案が提出されるに至つたのでございます。 次に改正いたしました主な点を申上げますと、第一は、國又は地方公共團体が事業を行う場合に、その事業で利益を受けます者があります場合、又はその事業を行わなければならないようになりました原因となりました工事を行なつた者がある場合には、利益を受ける者又はその原因となる行爲を行なつた者に対しまして費用の一都を負担させることが妥当であるという場合があり、且つ、かくすることによつて事業を行うことも経済的に容易となるので、受益者負担並びに原因者負担の規定が加えられたのでございます。第二は、最近の電力事情によりまして水力発電のために水の利用が各所に計画されました結果、ともしますと自然風景の損壊を來すような虞れがありますので、特別地域内では水位、水量の増減を來す行爲を制限し得る規定を加えたことでございます。第三は、現在の特別地域の中で特に保護を要しますところの地域に対しましては、特別保護地区を設定いたしまして、これが保護に万全を期するよう規定したのでございます。第四は、我が國におきましては風景の優れた地域が多くありますので、國立公園法の準用地区を設定しまして利用促進を図らんとしておるのでございます。第五は、從來の國立公園委員会を國立公園審議会といたしまして、その職務権限を規定することといたしておるのでございます。以上が本改正案の内容の大要でございます。委員会といたしましては、我が國が観光日本として世界の注目を浴びております今日、國立公園が尚一層発展することが望ましいのでありますために、本改正案は提案理由の説明にもありましたように極めて適切なる処置でありますので、別段の質疑もなく、討論を省略しまして、直ちに採決に入りましたところ、全員一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。 次に死体解剖保存法案について御報告を申上げます。 先ず提案理由の大要を申上げますと、從來傳染病とか中毒などによりまして死亡した疑いのある死体その他死因の明かでない死体につきましては、厚生省令、死因不明死体の死因調査に関する件が施行されておりますが、新憲法の趣旨からいたしましても、これを法律に改めることが必要なのであります。而してこれと密接な関連を持つております大学などで死体交付に関する法律の内容をもこれに統合することが適当であると考えられた結果でございます。更に又從來死体の解剖又は保存に関しましては、刑法中に死体の損壊又は遣棄を処罰する規定があります外は法令の規定がないのでございますから、そのために死体の解剖又は保存などの場合には、これが適法であるか否かにつきまして多少の疑義が存在しておつたのでございます。かような現状は医学の教育又は研究のためにも望ましくないのでありまして、この際統一的な法制を整備する必要があると考えられたのでございます。以上で提案理由の大要でございます。 次に本法案の内容又は質疑につきまして、殊に質疑につきましては二三愼重なる質疑もございましたが、省略いたしまして、速記録を御覧頂きたいと思います。かくして討論に移りましたが、格別討論もありませんために、直ちに採決に入りましたところ、全員一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。 以上三件につきまして御報告を終ります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて三案は全会一致を以て可決せられました。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) 日程第十八、年齢のとなえ方に関する法律案、(田中耕太郎君外十七名発議)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。文部委員長田中耕太郎君。 ————————————— 〔田中耕太郎君登壇、拍手〕
○田中耕太郎君 上程せられました年齢のとなえ方に関する法律案は、文部委員十八名の諸君の発議によるものでございまして、國民の年齢がこれによりまして、二年又は一年一齊に若くなるという極めて朗らかな法案でございます。 先ず提案理由と内容を申上げます。從來年齢計算に関しましては、明治三十五年法律第五十号という法律がございまして、その規定によれば、出生の日からこれを起算し、民法第百四十三條の規定によつて計算し、つまり満によつて年齢を現わすことになつておるのであります。ところが、この法律があるに拘わらず、社会的には一般には数え年で年齢を言い現わす慣行が行われておりました。又官廳の事務の取扱上におきましても、統計の作成や物資の配給等に関しましては、この法律は励行せられておらず、数え年によつておつたような次第でございます。併しかかる状態は、先ず第一に年齢の現実の状態を正確に現わしておりませず、殊に嚴格なカロリー計算によつてなされまする食糧配給の要求に合致しないことになります。第二に、満年齢によつております諸外國の慣行や國際的統計とも合致いたしませず、國際的文化交流その他國際生活に支障を來すことになるのであります。かような不都合を省きまして、本法律案は数え年年齢計算を廃止して、將來は原則として明治三十五年の法律によりまして、即ち満計算、換言すれば年数又は月数によつて年齢を言い現わすようにしようとするのでございます。この法律の適用を受けますのは、一般國民たると國家又は地方公共團体の機関たるとを問いません。ただ統計事務や配給や或いは老齢者への手当の支給等に関しましては、事務整理のための必要又は公平の観念からしまして、直ちこれを実施することは適当でないと考えましたので、施行期日を昭和二十五年一月一日まで繰延べまして、この不都合を調節するようにいたしてあるのであります。尚、政府は國民一般がこの法律の趣旨を理解し、且つこれを励行するように、特に積極的な指導を行わなければならないという趣旨が附則中に規定せられてあるのであります。尚、本法案の起草に際しましては、内閣総理廳、統計局、法務廳、農林省、食糧配給公團等、関係各方面の意向を聽取し、それぞれの方面で異議のないことを確かめましたことを、ここに申添えて置きます。 本法案は文部委員会全員が研究し、起案し、提出いたしたものでございますから、委員会におきましては政府当局の意見を聽きましただけで、別段の質疑もなく、討論を省略し、全会一致で可決すべきものと決定いたしました。 右報告を終ります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。 〔「総員起立」〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。(拍手) —————・—————
○議長(松平恒雄君) この際、日程第十九、教育委員会法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)、日程第二十、学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。文部委員長田中耕太郎君。 ————————————— 〔田中耕太郎君登壇、拍手〕
○田中耕太郎君 只今議題となりました学校教育法の一部を改正する法律案の改正の諸点は、第一に新制大学の入学資格に関しまして、医学又は歯学の大学につきましては、医師や歯科医の法務の特殊性に鑑みまして、特例を認めて、普通の場合よりも就学年限を長くいたしまして、他の学部又は他の大学に二年以上在学するということを要求いたしておるのであります。第二に、新制大学は原則として四年制でございます。六・三・三・四の四年でございますが、これに切換えることの困難な状況にありまする旧制高等專門学校につきましては、当分の間二年又は三年の短期大学、即ちジユニア・カレツジを特例として認めるということにいたしておるのであります。第三に、この短期大学卒業者に四年制大学への編入の途を講じておるのであります。本法案に対する質疑によりまして明らかにされました点といたしましては、医学、歯学の修業に特に年限を延長するのはどういうわけであるかという点でありました。これは業務の性質が人命を預かる極めて重要な職責であつて、人格教養等が特に高いことが要求せらるるという理由であるのであります。その他質疑應答は速記録に讓ります。次いで討論は省略いたしまして、本法案は全会一致で可決すべきものと決定をいたしました。 次に教育委員会法の一部を改正する法律案でございます。改正案は次の三点でございます。先ず地方財政の窮乏状態に鑑みまして、五大都市を除く他の市町村の教育委員会は本年度又は少くとも明年度に設置すべきことに從來なつておりますが、併しその設置期限を延ばしまして昭和二十七年十一月一日までといたしました。第二に、教育委員会の選挙は二年ごとに行われることになつておりまして、本年度設置希望の市町村教育委員会の設置を明年度に行われる都道府縣教育委員会の委員の改選と併せて行いまして、將來も亦同じように都道府縣の方と市町村の方とは同時にやるように、而も隔年毎に行わるるようにいたしまして、経費と労力の節約を図つたのであります。從つて本年度及び昭和二十六年度には設置しないことにいたしました。第三に教科書に関する点でございますが、教科書の檢定は從來通り用紙割当制の廃止せられるまで文部大臣がこれを行いまして、その採択は從來の法律では都道府縣教育委員会のみで事務を行うことになつておりましたが、昨年度から市町村にも教育委員会が設置せられるようになりつつありますので、その場合には市町村教育委員会が採択いたすことにしたのであります。本法案につきましては、委員会においては、文部大臣が檢定の権限を持つておることにつきまして相当突つ込んだ批判的質疑がなされたのでありますが、用紙割当制が存続しておる間は止むを得ないという当局の答弁でありました。本法案につきましても討論を省略いたしまして直ちに採決、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。 右二法案につきましての御報告を終ります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします、両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) 日程第二十一、測量法案(内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。建設委員長石坂豊一君。 ————————————— 〔石坂豊一君登壇、拍手〕
○石坂豊一君 只今議題となりました測量法案につきまして、委員会の審議の経過並びに結果を簡單に御報告申上げます。 陸地の測量は國土の利用及び開発の基礎をなし、國土経営上極めて重要なことは言を俟ちません。然るにこの陸地の測量に関し基準となる現行法令は、明治二十三年制定の陸地測量標準條例があるのみでありまして、これは今日すでに時宜に適しないものと相成つておるのであります。よつてこの際これを廃止し、測量の実施規準と、これに必要なる権限、権能を定め、測量制度を整備し、測量の正確さを保ち、且つその重複を避け、その改善と発達を図る目的を以て本測量法案が提出されたのであります、このの法案主なる四つの点を申上げます。 第一点は測量の実施上必要なる基本的数値或いは測量の原点等の基準を定めておることでございます。 第二は測量を基本測量、公共測量及びその他の測量の三つに分類をすることに定めてあります。 第三は基本測量及び公共測量に從事する技術者は測量士又は測量士補として登録すべきことを定め、その資格及び試驗等を規定いたしております。 第四は この法律の運営を適切ならしめ、又重要事項を審議するため建設省に測量審議会を設けることを定めて、その組織及びそれに必要なる規定を設けておるのであります。尚、測量法に基き國又は公共團体のなした処分に対する訴願の途を開くと共に、必要なる罰則並びに附則を設けておるのであります。 建設委員会におきましては、政府との間に種々熱心なる質疑應答を交換いたしまする一方、審議の参考に供するため、地球物理学、土木、農林、港湾及び海洋水路関係の專門家及び民間の地図発行者等を証人として出頭を求め、その証言を得る等、審議の愼重を期したのであります。質疑の廉々につきましては速記録により御覧を願うことといたして、省略をいたします。 かくて質疑を終了いたして討論に入りましたところ、社会党の原口委員より、本法律は各種事業の測量作業を束縛するのみならず、一面、測量の精度は地理調査所の技術の向上によつて初めてできることであつて、法律を以て規定すべきものではないとの反対意見が述べられたのであります。これに対して緑風会の北條委員より、各事業の測量について束縛せざるよう行政の運用に愼重を期せられたいという希望條件を附しまして、本法案に賛成するという意見が開陳されたのであります。かくて採決の結果、多数を以て可決すべきものと決定いたしました。右御報告いたします。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。 〔起立者多数〕
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手) —————・—————
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、航路標識法案、(内閣提出)船舶公團法の一部を改正する法律案、(内閣提出、衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長板谷順助君。 ————————————— 〔板谷順助君登壇、拍手〕
○板谷順助君 只今議題となりましたる航路標識法案並びに船舶公團法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委が会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。 先ず航路標識法案でありまするが、從來、航路標識に関する法令といたしましては、明治二十一年に制定されましたる航路標識條例というのがありますが、これは旧憲法施行以前のものでありまして、新憲法が施行になつた今日の現在におきましては、法令体制上形式的にも甚だ不相應なものであります。で、その内容においても現状に適應しないものが多々ありますので、新たに法律を制定し、船舶交通の安全と運航能率の向上に資するために、本法案が提出されたのであります。 この法案の内容の要点を申上げますと、その第一点は航路標識の設置及び管理は原則として海上保安廳において行うこととしたこと。第二点は、海上保安廳以外の者にも海上保案廳長官の許可の下に航路標識の設置及び管理を認めますと共に、特に必要があるときは、直接に管理し又は收用することができるとしたる点であります。 次に船舶公團法の一部を改正する法律案につきまして御説明申上げます。 本法案の内容は、昭和二十四年度における船舶公團の事業運営に必要な資金は國庫からの直接出資による基本金増額によるより外方法がないので、すでに一般会計の予算において議決せられたる通り、必要最少限度にこれを増額いたしますると共に、船舶公團が造船事業用設備の貸付、賣渡の業務を行わないこととするため、船舶公團法の一部を改正しようとするものであります。 右航路標識法案並びに船舶公團法の一部を改正する法律案につきまして、それぞれ本委員会に付託せられ、愼重審議を重ね、討論採決の結果、両案とも全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。以上御報告申上げます。
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) この際日程に追加して、工業標準化法案(内閣提出)を議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。商工委員長小畑哲夫君。 ————————————— 〔小畑哲夫君登壇、拍手〕
○小畑哲夫君 只今議題となりました工業標準化法案に関し、委員会の審査の経過並びに結果について御報告申上げます。 先ず本法案の提案の理由について申上げます。終戰後の経済統制が專らその重点を数量的増産に置いたために、粗製濫造の結果、品質劣惡なる製品が街に溢れ、一般消費者並びに使用者は非常な迷惑を受けているのであります。一方輸出振興につきましても、戰前のごとくメイド・イン・ジヤパンが安かろう惡かろうの代名詞であつたごとき事態を繰返すようでは、今後の國際市場において優秀なる外國製品とは到底競爭ができないのであります。然るに我が國経済の再建は貿易の振興による外なく、そのためには、國内産業の合理化により、生産の飛躍的増強を図らなければならないのであります。加うるに昨年の暮、連合軍総司令部より経済九原則が示されましたが、その第八項に、「すべての重要國産原材料と工業製品の生産を増大する」ということがあります。ここに言われる「生産の増大」とは、從來のごとき單なる量的増産であつてはならず、質的増産が加味されなければならないと解釈されるのであります。ここに工業標準化法を設け、現在ありますところの日本規格、日本標準規格及び臨時日本標準規格による合計約二千五百種類の三規格を法制化し、整備拡充し、以て鉱工業品及び建築物等の全國的統一を図り、鉱工業品の品質の改善、生産能率の増進、その他生産の合理化、取引の單純公正化及び使用又は消費の合理化を図ることを目的としております。以上大体本法案の提案の理由を申上げました。 次に法案の内容を簡單に申上げます。本法案の骨子は大体次の三点に分類されます。先ず第一点といたしまして、工業標準化及び工業標準の概念を明確化しております。工業標準化とは、鉱工業品の種類、型式、形状、寸法、成分、性能その他生産方法等に関する規格及び試驗、檢査、用語、記号等に関する規格並びに建築物その他の構造物の設計、施工方法に関する規格等を全國的に統一し、單純化することを言い、工業標準とはその基準を言います。 第二点といたしまして、工業標準化の基準の制定ですが、制定に関しましては、公正で適正且つ合理的工業標準の制定と、その統一的整備を促進することを目的とし、又商工大臣の下に学識経驗者及び関係官廳職員二百五十名よりなる日本工業標準調査会を設置し、その主務大臣は、工業標準を制定しようとするときは、予め調査会の議決を経なければならないとしたことであります。又特に産業面、生産面、行政面より必要ありと認めた場合は、主務大臣は調査会の議決を経て鉱工業品の品目を指定することができるよう途を開いております。 第三点といたしましては、規格該当品に対し企業体が自発的に表示を付する制度と、表示の許可に伴う工業の審査制度の実施を図つておることであります。 以上要約しますと、從來の官制による工業標準調査会の工業標準化を更に整備、拡充し、公正且つ民主的方法によつて法制化せんとするものであります。以上が大体法案の概略であります。 次に委員会における主なる質疑應答につきまして申上げます。委員会におきましては愼重なる審議をいたし、熱心なる質疑が行われました。一委員から、本法案施行により中小企業を困らせることになるのではないかとの質問がありました。これに対し政府は、現在工場の大半は中小工業であり、從つて工業標準も実質的に中小企業の現状に適するよう制定されると思われる。それでも尚且つ規格品を作らないときは、技術的指導と規格の普及により一層能率的生産方法を行い、労力、材料及び動力等の節約を來し、決して不利にはならない旨の答弁がありました。尚、他の委員より、現在ある規格と本法案によつてできる日本工業規格との関係はどうなるかとの質問に対し、政府は、現在ある三つの規格、即ち日本規格、日本標準規格、臨時日本標準規格を整理檢討して、更に今後本法案に基き、実現可能なものから逐次規格を作つて行く旨の答弁がありました。尚、他の委員より、鉱工業製品の基礎となるべき品目に対しては、本法に強制力を持たせて、規格外品の製造禁止或いは嚴重な罰則を設けるべきではないかという質問に対し、政府は、本法案は決して強制すべきものではなく、規格品による社会的信用を獲得し、販路の拡大、品質の向上、取引の確実性等により、自然に規格外品は市場より駆逐されるようになるよう努力すべきだと思う。但し保守及び衞生に害あるものは、それぞれ規則により取締が行われている旨の答弁がありました。その他種々熱心な質疑應答が行われましたが、詳細は速記録に讓り、省略させて頂きます。 次いで討論に入りましたところ、山田委員より修正の動議が提出されました。修正の第一点は、通商産業省の設置法案に関連し、本法案中の商工省及び商工大臣を通商産業省及び通商大臣に改め、附則第一條を削除しようというのであります。第二点は、國家公務員法との関連において、日本工業標準調査会委員の任免を原案の総理大臣より通商産業大臣に改め、又調査会に関する省令委任の範囲を明確にしようというのでありまして、第三点といたしましては、第二十三條の規定による処分をする場合におきましては、旅館業法、公衆浴場法等の例のごとく、公開による聽問を行い、利害関係人に対しまして、弁明その他証拠の提出の機会を與えるよう二十四條を修正し、これにより、その処分の愼重を期したいというのであります。これに対し平岡委員より賛成の旨の発言があり、先ず修正案を議題といたしましたところ、全会一致で可決いたしました。次いで修正案を除く原案について討論に入りましたところ、玉置委員より賛成の旨の発言があり、採決いたしましたところ、全会一致を以て可決いたした次第でございます。よつて本法案は修正可決いたしました。以上御報告申上げます。
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長の報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。 〔起立者多数〕
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正の通り議決せられました。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) この際お諮りいたします。水久保甚作君より、法務委員を、遠山丙市君より建設委員をそれぞれ辞任いたしたい旨の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として法務委員に遠山丙市君を、建設委員に水久保甚作君を指名いたします。 本日はこれにて延会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十分散会 —————・————— ○本日の会議に付した事件 一、常任委員辞任及び補欠の件 一、日程第一 郵便爲替法及び郵便振替貯金法の一部を改正する法律案 一、日程第二 郵便貯金法の一部を改正する法律案 一、日程第三 郵便貯金法に基いて保管する証券の整理に関する法律案 一、日程第四 郵便切手類賣さばき所及び印紙賣さばき所に関する法律案 一、日程第五 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案 一、日程第六 皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律の一部を改正する法律案 一、日程第七 失業保險法の一部を改正する法律案 一、日程第八 職業安定法の一部を改正する法律案 一、日程第九 緊急失業対策法案 一、日程第十 労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案 一、炭鉱ストライキに関する緊急質問 一、日程第十一 未復員者給與法の一部を改正する法律案 一、日程第十二 閲税法の一部を改正する等の法律案 一、日程第十三 專賣局特別会計、印刷局特別会計及びアルコール專賣事業特別会計の利益の一般会計への納付の特例に関する法律案 一、日程第十四 國庫余裕金の繰替使用に関する法律案 一、日程第十五 傳染病予防法の一部を改正する法律案 一、日程第十六 國立公園法の一部を改正する法律案 一、日程第十七 死体解剖保存法案 一、日程第十八 年齢のとなえ方に関する法律案 一、日程第十九 教育委員会法の一部を改正する法律案 一、日程第二十 学校教育法の一部を改正する法律案 一、日程第二十一 測量法案 一、航路標識法案 一、船舶公團法の一部を改正する法律案 一、工業標準化法案 一、常任委員辞任及び補欠の件