本会議 第24号
- 発言数
- 52 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1949/05/11
会議録
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。 この際お諮りして決定いたしたいことがございます。本日、村上義一君より議院運営委員長を辞任いたしたい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、その補欠選挙を行います。
○矢野酉雄君 只今議題となりました議院運営委員長の補欠選挙は、成規の手続を省略いたしまして、その指名を議長に一任することの動議を提出いたします。
○中川幸平君 只今の矢野議員の動議に賛成いたします。
○議長(松平恒雄君) 矢野君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、議長は梅原眞隆君を議院運営委員長に指名いたします。(拍手) —————・—————
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、廣島平和記念都市建設法案及び長崎國際文化都市建設法案(いずれも衆議院提出)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。両案は衆議院より委員会審査省略の要求書が提出されております。衆議院要求の通り委員会審査を省略し、直ちに両案の審議に入ることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。(拍手)よつて両案は全会一致を以て可決せられました。 —————・—————
○板野勝次君 本員は極東委員会よりの農地改革の指令に関し、緊急質問の動議を提出いたします。
○中村正雄君 板野君の動議に賛成いたします。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 板野君の緊急質問の動議に賛成の諸君の起立を請います。 〔起立者多数〕
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて板野勝次君の緊急質問の発言を許します。(拍手)板野勝次君。
○板野勝次君 首相の出席を求めます。
○議長(松平恒雄君) 総理は直ぐ見えるそうであります。 〔「休憩」「待て」「登壇して待て」「相手がおらん」「誰に質問するんだ」「総理大臣に質問するのか」と呼ぶ者あり〕 〔板野勝次君「総理大臣と農林大臣だ」と述ぶ〕 〔「農林大臣がいるから質問したらいいじやないか」「慌てるな」「休憩して待て」「登壇して待つておれ」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 総理大臣は今衆議院を出まして、こちらに來る途中にあるそうであります。(笑声) 〔板野勝次君登壇〕
○板野勝次君 政府は地租及び小作料の値上げを実施、或いは用意することを初めといたしまして、農業資産相続特例法案などの地主的支配の遺物を温存することに躍起となつております。半面、すでに農地改革は完了したものとして振舞つておるのであります。然るに去る六日極東委員会がマツカーサー元帥に対して、民主的な日本の農業制度の改革を促進するため、日本政府を督促するよう指令した事実が、八日の朝日、毎日等の新聞紙に報道せられておるのであります。苟くも農村の封建制打破に関する限り、連合軍総司令部の態度は農民解放指令の線で一貫しており、その緩和や讓歩の様子は聊かも見られないのであります。昨年二月十日、司令部は農地改革の促進に関する覚書において、一部の反動的勢力は農地改革計画の完遂を妨げるための策動を行うに至つたと指摘し、農地改革の実施は日本に自由で民主的な社会を創設するための先決要件であり、日本國民並びに連合軍の日本占領の最も重要な目標の一つとなつていることを明らかにし、「農林省は土地改革計画の目的を妨げるため圧迫を加える組織的反動勢力の不当な干渉を顧慮せず、」「嚴正果断な実施をなすべき訓令を発すること」及び「日本政府は贈賄脅迫その他の不法行爲により土地改革の完遂を阻害する一切の者に即時彈圧を加えること」を命じたのであります。然るに今又極東委員会がマツカーサー元帥に農地改革の徹底を日本政府に督促するよう指令したことが報道せらるるに至つたのは、吉田内閣の言動が連合國の農業民主化方針に背くものであることが明らかとなり、その政策を吉田内閣の意思に反しても、民主的な方向に改めなければならぬ必要に迫られたと思うが、從來までの農地改革を推奬した指令であるとは断じて考えることはできないと思うのであります。(拍手)吉田総理の率直明快なる答弁を要求する次第であります。これが緊急質問の第一点であります。 事実、農地改革はできるだけサボられ、農業の封建的諸関係をできる限り存置せしめるために中途半端となつております。即ちその第一は、当初政府が解放を見込んだ小作地面積は二百万町歩以上であつたのに、その後この面積が地主と政府によつて隠されている。これを徹底的に究明する必要がある。又すでに計画を立てた買收予定地で訴願繋留中のもの、遡及買收、都市計画による保留地等で買收を終つていないとされているもの五万町歩、更に買收を終つたが賣渡しの済んでいない農地十万町歩、牧野十二万七千町歩がある。第二は今年以降新たに不在地主となり、或いは自作農法の基準を越えた貸付地を保有するようになつた地主からの土地の買收、これらの仕事は將來も継続されなければならないものであります。第三は経理事務でありますが、現金拂いは二十三億、証券拂いは八十四億と推定されておりますが、三月二日現在で、実際に支拂われたのは、現金はその四八%の十一億円、証券は七五%の六十二億円に過ぎないのに、中小地主の報償金十八億円も未拂いとなつておる。然るに小作人からは三十一億余円の現金を徴收しておるのであります。その上登記事務は今や、やつと始められたばかりの怠慢さであります。第四に、終戰後の地主の土地取上げは、正式に農地委員会を通じて申請したものだけでも昨年六月まで十二万六千八百余件、四万四千七百余町歩であり、そのうち五万件が取上げを許可されておる。実際にはこの種の不法取上げが百万件以上に達するだろうというのが、関係方面の常識でさえあるのであります。このような実情を吉田内閣初め今までの歴代政府が放任して來ておるのであります。第五に、協同経営請負小作の形をとつた僞裝自作、或いは名目的な分家による僞裝分割等の事例は無数にあるのでありまして、以上列挙しました五点だけでも、農地改革は、現行法の範囲においても重大な仕事が残されておることを指摘することができるのであります。然るに本年度予算について見まするに、農地関係の予算は削減され、政府の強行せんとする行政整理、首切りにより農地部、農地事務局機構が縮小され、事務はますます停滯されることは必至であります。政府は農地改革は終つたものと見せかけようとしておるが、事実は正にこれに反しておるのであります。これは明らかに今回の極東委員会のマ元帥に対する指令の趣旨に相反すると思うのでありますが、農林大臣はこれらの諸問題を如何に処置せんとしておるのか。予算の削減、行政整理では到底農地改革推進は、その意思もなければ実行の能力もないのであります。又ポツダム宣言農民解放令による徹底改革は、むしろこれからであると思うが、農林大臣の僞らざる見解を率直に伺いたいと思うのであります。 更に現行の農地改革は、地主的支配の根源である小作地の全面解放、山林、採草地及び封建的な水利関係の解放乃至改革が、そのまま放置されております。これらの改革を徹底化することなしには、農業における地主的支配の遺物と、軍國主義の根源を完全になくすることは断じてでき得ないのであります。然るに現吉田内閣は、地租及び小作料の値上を実施若しくは用意し、これによつて一面地主温存を企て、半面これによつて重税を巻き上げようとしておるのであります。そればかりか民自党政府は農地改革の逆轉惡化を企て、労働法規改惡と共にフアツシズムの道を辿らんとしておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)即ち農業資産相続特例法案はその一例であります。この法案は、土地所有権の分割禁止によつて、経営の細分化を防ぐという名目で、所有権が昔通り耕作権の上にあつて、地主的な土地制度復活の土台を築こうとするものであり、長子相続の枠に入れようとするものであつて、明らかに基本的人権の蹂躪であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)この法案はナチスのとつた農業家産相続政策と同性質のものであり、侵略戰爭を生み出した低賃金と封建的な家族制度温存の企てであつて、ポツダム宣言、新憲法に違反するものであります。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)又今回提出の農地関係法規の改惡によつて、農地委員会が現在以上に地主的に運用されるように仕組んだり、事実上、不在地主の発生をもくろみ、從來から恰かも地主機関の観を呈していました小作調停制度の適用範囲を更に拡大しておる等々、列挙して見まするならば、その吉田内閣の反動的意図は多多あるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)地租の引上と小作料の値上計画と相俟つて、これ亦地主制度を復活し、困難な解放途上にある農民を再び封建的な重圧の下に束縛しようとしておるのであります。 我が党は、あらゆる農地、農用林、原野の完全な解放と農民管理、耕作権を確立し、農民の手で土地の不公正な分配を改め、一切の土地を農民の生活と農業の発展のために運営する土地管理委員会の設立こそ、眞の農地改革の徹底化であることを主張するのであります。そうして國家の助けによる協同経営と、機械化を中心とする農業近代化こそ無限に発展する農業の姿でなければなりません。農地改革を逆轉せしめんとする農業資産相続特例法案並びに農地関係法規改惡は、ポツダム宣言、農民解放令、及び今回の極東委員会指令に反するものであり、よつて政府はこれら法案を即時撤回すべきであると思うが、これに対する総理大臣並びに農林大臣の見解を質したいと思うのであります。(拍手) 〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
○國務大臣(吉田茂君) 板野君の私への御質問に対しては、農林大臣において私よりも、もつと正確なる資料を持つておられますから、農林大臣からお答えいたします。(「辞めろ」「総理大臣罷免」と呼ぶ者あり) 〔國務大臣森幸太郎君登壇、拍手〕
○國務大臣(森幸太郎君) 板野さんにお答えいたします。 極東委員会からマツカーサー司令部に対して指令がありましたことについて、今日の政府の考えておる農業政策は全く逆行しておるではないかという御意見であつたのでありまするが、極東委員会から四月の二十八日に採択されまして五月の八日総司令部の渉外局へ通達されたのであります。当時新聞に出ておりましたが、あの新聞に出ておることは非常に違つておるのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)板野委員は司令部の渉外局についてお調べになつたかどうか存じませんが、決して今お述べになつたようなことではないのであります。御参考までに申上げます。新聞に出ておるのとは非常に意味が違うのであります。「千九百四十九年四月二十八日極東委員会において採択された政策を実施するため國務省において作成された指令は、総司令部に受理された。その要旨は左の通りである。 (一) 極東委員会の見解によれば、公平にして健全なる農地改革計画は、日本の民主化を促進する重要なる要素である。 (二) 極東委員会は終戰以來日本の農業制度の徹底的改革を実現する目的を以てとられた以下の諸措置の基盤たる根本原理を確認する。 A、連合軍最高司令官が日本政府に対して発せる諸指令、殊に「千九百四十五年十二月九日附指令」(十二月九日附指令は日本政府に対し、農業機構を長い間阻害していた諸弊害を根絶すべき農地改革計画を起案するように下命したものである) B、千九百三十八年「農地調整法」改正法律 C、「自作農創設特別措置法」として知られる農地改革法律 D、右に掲ぐる農地改革を処理するために全國中に農地委員会を網の目のように創設すること E、日本農林省の最近の報告書により認められる農地讓渡計画の部分的実施 F、「農業協同組合法」 (三) 極東委員会は政治事項としてここに左の決定を下した。即ち、 A、農地改革の固有の目標はすべての小作人の経済的境遇を改善し、且つ実行し得る限度において、從來存在していたよりも更に多数の独立せる自作農階層を創設することである。 B、これらの目的のために前掲第二項において明白にされている諸措置の基盤たる根本原理は更に継続して適用さるべきである。 以上でありますが、このA・B・C・D・Eにおいて掲げられたることは、すでにこれは実施しておるのであります。(「今まで実施していないからだ」と呼ぶ者あり)この実施しておる結果を見て、これを確実に今後とも維持して行けという、今日の日本の農地改革に賛意を表した表現であります。決してあなたの誤解されておるような氣持の農地改革ではありません。この意味におきまして政府におきましては、この農地改革を更に徹底するように、今日いろいろの法案を皆樣の御審議を仰いでおるのであります。殊に農地相続に対する改正のごときは、板野議員が本当の日本の農業を本当に御了解になつておらない御議論であります。(拍手)一町の耕作地を持つておる者が子供の数においてこれを分配して將來どうなるのですか。全く一坪か二坪の農業になつてしまうのであります。それであるから一部の改正をやるのが何が惡い。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)あなた方は日本の農業の実態をお知りになつておらない。(拍手)このマツカーサー司令部に渡されましたところの極東委員会の指令は、日本のやつておるやり方について、その通りやれ、その通り進んでやれという激励の意味であつて、決してあなたのお考えなさるような批判的なものでないということを私はお答えをする次第であります。(「名答弁」「もう少し勉強しろよ」と呼ぶ者あり、拍手) —————・————— 〔カニエ邦彦君発言の許可を求む〕
○議長(松平恒雄君) カニエ邦彦君。
○カニエ邦彦君 本員は法案の提出見込について緊急質問の動議を提出いたします。
○門屋盛一君 只今のカニエ君の動議に賛成いたします。
○議長(松平恒雄君) カニエ君の緊急質問の動議に賛成の諸君の起立を請います。 〔起立者多数〕
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつてカニエ邦彦君の緊急質問の発言を許します。 〔カニエ邦彦君登壇、拍手〕
○カニエ邦彦君 私は吉田首相に対し、今国会会期も剩すところ五日しかございませんが、我々の法案審議の実情を申上げ、政府の所信を質さんとするものであります。(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり) 即ち今十一日現在におきまして、政府提出法案は百九十二件、うち可決法案が五十二件、それに政府が今國会に提出を予想されるもの十八件を含めまして、合計百五十二件があと五日間で審議を完了せねばならないのでございます。(「而も惡い法案だ」と呼ぶ者あり)然るに現在の実情は、我々内閣委員会に付託されました案件だけでもまだ三十件も残つております。而もこれら法案の大分部は我が國の行政の基盤ともなるべき重要な組織法案並びに定員法案でございます。而もこの重要な組織法の中には、まだ確定もしておりません法律案が可決されるものという仮定の下に作られた内容のものが可なり沢山ございます。而もこの各省設置法という建物の中に一体何がどれだけ入るのか、肝腎の中身たるところの定員法は、未だに声ばかりはいたしますが、お姿は一向に見えて参りません。(拍手)現在我々の手許に來ております各省設置法案を初め三十五件の法律案並びにこれら関係資料だけでも、これを目方にいたしますと、ざつと一貫八百匁ございます。而も、これはこの通りでございます。(笑声)この上まだお姿の見えないところの各省定員法が参りますと、一日平均六件以上を上げねばならない結果となり、一應これを目を通すだけでも徹夜の努力が要るのでございます。勿論我々といたしましては、かかる杜撰なる法律案にも拘わらず、本会期中に何とか審議を終りたいと、日夜予備審査の形におきまして熱心に努力いたしておりますが、これではどうにもなりません。 吉田総理にお尋ねいたしますが、如何に総理大臣でも一度にバケツに一杯の水は飲み切れないと思います。(「案外飲むよ」と呼ぶ者あり)又大きな夏蜜柑程もあろうぼた餅を幾つも口の中にねじ込まれて食べらると思いますか。我々も総理大臣も同じ人間である以上、人間としての生理的体力にはおのずから限度があります。仮にあと五日間を一睡もせずに徹宵審議したとしても、限りある人間の能力では、とても、かかる重要なる而も厖大な法律案の消化は到底なし得ないと断言しても過言でないと信じます。(拍手)而もどの法律案の提案理由を見ましても、愼重に御審議を願いますと言つております。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)この調子では愼重どころか盲滅法に駈足をしても、とてもできないと思います。かかる状態において、政府はしばしば言明しておるごとく、今國会の延長もなさず、衆議院の絶対多数を力と頼んで、強引に押切らんとするがごときは、我々参議院における審議権を実質的に蹂躪する以外の何ものでもないと断言して憚らぬのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)かかるやり方は、あの戰爭中におけるあの無茶苦茶な暴力的な東條軍閥独裁政治のやり方に勝るとも断じて劣らざるものだということを、断言して憚らぬのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)かかるところに吉田内閣の、反動内閣と呼ばれるところのゆえんがあるのではないでしようか。私はかような放つて置いても自然とくたばつて行くような封建的な而も老いぼれ内閣に鞭を打とうとするものでは決してございません。むしろ、かような封建的、反動的、独裁的な古い型の衣を剥ぎ取つて、一日も早く新らしい型の政党内閣として育成をしてやりたいのであります。我々は人民代表として、人民大衆より託された國家の重要法案審議を、忠実に、良心的に、且つ又愼重に審議するためにも、我々の参議院における審議権を守るためにも、かかる政府のやり方に対しては断固反対せざるを得ないのでございます。(拍手)かような意味におきまして、私は政府に対して質問の第一点として、先ず各省設置法案の中身たる定員法がどんな大きさのものであるかということを政府から示されることなくして、容れ物たるところのこの設置法案の審議はできないと思いますが、その点はどう思われますか。又定員法はいつ出されるのか、はつきりお答え願いたい。(「ずらずら出る。」と呼ぶ者あり)第二点は、残余の五日間に、百五十三件の重要法案を一氣に口の中にねじこまれて一体食べられると思われますか。(「食わなきやいいじやないか」と呼ぶ者あり)第三点は、かかる状態において、我々参議院が國民勤労大衆に対し責任のとれる良心的な審議ができると思われますか。第四点は、我々参議院の審議権を政府は一体どう心得ておられるのか。(「どうもならん」と呼ぶ者あり)衆議院さえ通れば、参議院の審議は、一日でも半日でも、一時間でも二時間でも、時間さえあればよいというお考えであるか。最後に、かような状態において、我々としてはでき得る限りの努力はいたしますが、それでも尚審議未了の法案ができた場合、その責任は敢て政府にあると思うが、(「それは勿論だ」と呼ぶ者あり)政府の所見はどうであるか。 以上五点について、吉田総理の明確なる答弁を願います。(拍手、「審議未了だ」と呼ぶ者あり) 〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
○國務大臣(吉田茂君) お答えいたします。 定員法は今明日中に提出する予定であります。又関係方面との関係もありまするから、各法案とも政府としては審議の手続の済み次第順次提出しておるのでありまして、(「もう遅い」と呼ぶ者あり)参議院の審議権を尊重するが故に、政府といたしては相当の日数を置いて御審議を願うために、でき上つた法案については直ちに提出いたしておるのであります。どうか諸君におかれても速かに御審議あられんことを希望いたします。(拍手)(「今期の答弁がない」と呼ぶ者あり) —————・————— 〔中西功君発言の許可を求む〕
○議長(松平恒雄君) 中西功君。
○中西功君 本員は中國との貿易関係に関する緊急質問の動議を提出いたします。
○中村正雄君 中西功君の動議に賛成いたします。
○議長(松平恒雄君) 中西君の緊急質問の動議に賛成の諸君の起立を請います。 〔起立者多数〕
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて中西功君の緊急質問の発言を許します。(「何やつているんだ、内容には反対だつて質問は許したらいいじやないか」「小委員会なんか止めてしまへ」と呼ぶ者あり) 〔中西功君登壇、拍手〕
○中西功君 私は中國との貿易問題に関しまして、首相並びに関係閣僚に緊急質問をいたしたいと思います。 今、中國においては人民解放軍が大なる勝利を成しつつある。近く中國に新らしい政府ができるであろうことは、すでに万人が認めております。私がここで緊急質問をしようというのは、單に近く中國に新らしい政府ができるから、それとの貿易関係を考えねばならないというふうなものではないのであります。今日の中日貿易の我我にとつての緊急性というものは実に切実なものであります。日本政府によつて貿易計画は非常に華やかに大きく立てられております。併し現に滯貨は日に日に増大しており、入超もますます大きくなる傾向を見せております。それに関連いたしまして、現在この政府の貿易政策の強行と関連いたしまして、國内向け産業は大量に沒落しつつあり、首切りは荒れ狂つているのであります。特にこの点は、本來ならば日本の経済の自立の基礎であるべきところの重化学工業において非常に悲惨であります。これは若し実際に正直に日本の経済を見ておられる方ならば、今日のこの国内向け産業、特に重化学工業のこの惨状が如何に甚だしいものであるかということは、もう簡單に了解して頂けると思うのであります。從つて又このような点から、今日この経営者或いは労働者は、特に自分たちの起死回生のために、新らしい中國との、而も即刻の貿易を切実に願つておる。このような人々は、この貿易の中に正に起死回生、生きるか死ぬかの問題を賭けておる。從つて今日全國各地に中國貿易を促進せよといういろいろの團体或いは運動が起つておるのであります。これをなしている人々は、これこそが自分たちの血路であるこういうふうに、はつきり考えて、この問題を実に眞劍に提出しているのであります。私は正にこれこそ今日の大きな一つの國民運動だと思います。このような國民運動に対して、私は吉田内閣或いは閣僚各位が、実際にこの國民の要望に対して眞に應えるだけの策、或いは態度を持つておられるかどうか。この点について以下四点に亘つて具体的に質問をしたいと思うのであります。 第一の問題は、今後の中日貿易を打開するために中國共産党の指導下の新中國が一体如何なるものを要求し、如何なるものを希望しているか。端的に言うならば、如何なる貿易政策をやろうとしているかということは、これは是非とも我々は考えなければならない点だと思うのであります。御存じのごとく中共といたしましては、昨年の十二月において日本に対する或る種の根本的な要望を発表したことはあります。併し私は今日ここでそのことを問題にしようとしておるのではないのであります。問題は、この新らしい中國が如何なる貿易政策を持つておるか、それに対して日本政府はどのような理解或いは又態度をとろうとしておられるか、ここに大きな問題、大切な問題があると思うのであります。新中國の貿易は、國民党の、或いは古い中國の貿易とは全く違つておるのであります。國民党の貿易は全くアメリカに依存しておる。或る意味ではアメリカ中心主義と言つてもよかつたし、同時に國民党の貿易は決して中國の眞の建設の上に建てられていなかつたのであります。その結果が、今日に見られるように甚だしい経済的危機と、そして國民党自体の沒落を結果したのであります。新中國の貿易はこれとは全く違つております。その貿易政策を向う側の言葉で言いますれば、その根本はこうであります。中國の工業化のための輸入であり、輸入のための輸出である、これが新中國の貿易政策の根本をなしておるのであります。(「それはアカハタに書け」と呼ぶ者あり)私はこれらの内容は別に詳しく申しませんが、要するに中國を低い農業國或いは軽工業國として止めて置くような貿易であつてはならない。飽くまでも中國の工業化を促進するものでなければならない。從つて又重工業、重化学工業の建設資材の輸入ということが、これが中心なんであります。更に又これを押進めて行くならば、多角的な貿易であり、バーター制になつて行く。こういうふうな、いろいろな問題があります。そこで問題の所在はどこにあるかと言えば、若し我々が今後中日貿易をやるといたしましたならば、相手國のこのような貿易政策を考えないでやつたならば、もう完全に貿易は拒否されるということであります。併し又これに反して、幸にして日本の貿易が中國の建設のために役立つようになつて行くならば、これは、あの四億五千万の厖大な國民を背景にして無限に栄えて行くことができると思うのであります。このようなことは我々が新中國の貿易政策に対してどのような態度をとるか、ここにあるのであります。この点であります。吉田首相は曾てこういうことを言われたということを聞いております。どうせ中國だから、赤であろうと、黒であろうと、貿易くらいはするであろうというふうなことを言つておられる。このような、あやふやな、或る意味においては人を馬鹿にした考え方でやられたならば、恐らく私は中日貿易の好ましい打開は絶対できないと思うのであります。更にこの点に関して、安本或いは又商工省当局において、この新らしい中國の貿易政策の調査や或いは研究を如何程やつておられるか。先ず私はこういう点をお聞きしたいと思うのであります。 第二番目は、この中日貿易の問題は、実は我が國のこの貿易政策の根本の再檢討を要する問題であります。又しなければならぬ問題であります。戰前でも日本の中日貿易は日本貿易の三割以上を占めておりました。今日は非常に残念にも一%内外であります。何故にこれ程悲惨な数字であるか。これは中國の事情にも理由がありますけれども、根本はそうではなく、根本は、やはり現在の日本のアメリカ中心の貿易政策が持つておるところの弱点、或いは欠点というものが明瞭にここに露出しているのであります。逆の言葉で言えば、これは中國のこの現状がその弱点及び欠点を示しておるのであります。私は國民党の貿易政策の悲劇的な結果については先に申しましたが、殷鑑決して遠くはない、近くこの國民党の古い中國にあるということを、はつきり認めなければならないと思う。私はここで現在アメリカ中心の日本の貿易がどんな欠点を持つているか、いろいろのことについては、もうここに申しません。要するに私が今まで申しましたことによつて、我々が今後本当に中國との貿易を考えて行こうとするならば、單にこれは中國だけの問題ではない。 〔議長退席、副議長着席〕 インドに対しても、南方諸國に対しても、イギリスに対しても同じ問題である。結局においては日本の現在の貿易政策を根本的に再檢討しなけりやいかん。これなくしては本当の中日の貿易はできない。好ましく発展しないという点であります。この点について私は過去の事情をいろいろ説明すべき点もあるのでありますが、時間も十分ではないので、それは省略いたします。とにかく、この第二点の私の質問は、本当に現在のこの日本國民の中國との貿易を促進したいという國民的要望を、吉田首相並びに関係閣僚が眞に考えておられますならば、私は吉田首相或いは関係閣僚として、眞劍に今までの日本の現在の貿易政策について、どうしても根本的にもう一度再檢討しようとするだけの誠意がなければならぬ。そのことなくしては新中國との貿易の打開は絶対にできない。これに対して吉田首相は一体どう考えておられるか、安本長官はどう考えておられるか、はつきり述べて頂きたいと思うのであります。 第三は(「簡單々々」「時間だよ」と呼ぶ者あり)中國或いはその他の地域に対する貿易使節團派遣の問題であります。中國との貿易につきましては、私は直接貿易が一番好ましいと思うのでありますが、勿論これが直ちに実現できるというわけではないのであります。併しその直接貿易が直ちに実現できなくとも、我々は今日やはり一日も早くこの中國との間に新らしい関係を設定しなきやならないのであります。そのために努力しなければならないのでありますが、これは現に重化学工業が一日々々沒落しておるのを見れば極めて明白なのであります。而も今日如何に不自由な状態の下にあろうとも、我々は、やはり努力することはできると思うのであります。幸いにして衆議院におきましては、貿易使節派遣の議が採り上げられました。私は先ずこの貿易使節派遣が何よりも中國に向つて或いは又ソ連に向つて向けられるべきであると思うのであります。このことは、先日、東京にできました中日貿易促進会においても、この中國への貿易使節團派遣を一つの國民運動として採り上げるということが言われております。最近、東京新聞には、すでに中共地区から非公式の貿易使節が來た、こういうふうなニユースまで出まして、異常なセンセーシヨンを巻き起しました。これ程今日この問題は國民の切実な関心事になつておるのであります。私は政府がなし得るところの差当りの緊急的措置として、現行の貿易の手続の簡素化や、或いはバイヤーの問題等についても十分な改革を行わなきやならないと思いますが、差当りこの貿易使節の派遣のために、できる限りの努力をなすべきだと思うのであります、この点について首相並びに安本長官の決意の程をお聞きしたいと思います。 最後に、私は新中國に対する吉田首相の、或いは吉田内閣の態度について、総括的なことを三点についてお聞きしたいと思うのであります。 その一つは中國に対する認識であります。即ち若し吉田首相たちが本当に現在の中日貿易促進のこの國民的要望のために努力しようと考えておられるかどうか。即ちおられるならば、私は新らしい中國、現在の中國に対しても亦おのずから私は認識が違つて來ると思う。吉田首相は、或いは吉田首相とは限りませんが、今、日本には、今は中共が割合に調子がいいが、そのうちに又國民党が盛り返して、再び古い中國ができるであろう。こういうふうな氣分、こういうような論説が可なり普及しております。吉田首相が今日の新聞紙上に中國の新聞記者に対して語られたところでは、そのうちに中國では共産主義を克服するだろうというふうなことも言われておりますが、要するに、こういうふうな問題、恰かも古い中國がもう暫らくすれば墓の中から出て來るというふうな、このような考え方では、絶対に新らしい中國と眞に眞劍に今から貿易を促進して行こうという氣は全然起らないのであります。私はこういう認識を絶対変えなければならぬ。これに対する吉田首相の見解は一体どうであるか。これが第一点。 第二点は、私は中國との間に今後好ましい貿易をやろうとするこの事業は、決して生やさしい問題ではないと私は思つております。知つております。併し私は若し有力な日本の國民運動が起つて、それが政府のバツクになれば、これは必ずや近いうちに急速に打開し得ると思うのであります。(「何だ」と呼ぶ者あり)し得るに決つておるのであります。(笑声)從つて私は現在澎湃として起つておるところのこの中日貿易促進の國民運動に対して、政府は如何なる考え、如何なる声援を送ろうとしておるか、具体的にそれを聞きたいと思うのであります。 最近に、この吉田内閣の対中國態度を最も現実的に現わすものとしては華僑の問題があります。外國人の資産取締令の中に華僑を包含したことによつて、華僑は非常な憤慨をしております。これは華僑経済を実に無視するものであります。若しこのようなことを今後とも吉田内閣が続けて行き、この政令の撤廃のために努力されないとするならば、如何に中日貿易促進の声を千百万言言われたとしても、私はそれは空言であると思う。この政令の中から華僑を取除かれるべく努力するかしないか、これこそが私は最も端的に吉田内閣が、今日、眞に中日貿易の促進を考えておるかいないかの試金石であると思うのであります。このような諸点に対しまして、この問題が眞に大きな関心を呼んでおるだけに、特に又最近に澎湃として中日貿易促進の國民運動が起つておる際でありますために、特に吉田首相並びに関係閣僚のはつきりとした答弁をして頂きたいと思うのであります。これを以て私の演説を終ります。(拍手) 〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
○國務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。 貿易の振興発展については、政府としてはもとより眞劍に考えておるのであります。故に商工省を改組いたして通商産業省にいたして、ますます日本の貿易を発展せしめたいと考えております。これは單に中國に対する貿易のみならず、日本との間の輸出入の貿易については、いずこの國とを問わず、日本との間に通商関係ができ得るよう、各國共に通商の発展を図りたいと考えておるのであります、從つて又通商使節も、中國に対するのみならず、その他の国に対しても、でき得るならば派遣いたしたいと考えておりますが、一つ中西君に申しますが、今日は日本の貿易は御承知のごとく講和條約までは活動ができないのであります。一にGHQを通じて、連合國を通じて貿易をいたしておるということをお忘れにならぬように希望いたします。又、日本の中國との貿易に対する考え方がどう、國民運動がどうというお話がありましたが、これは國民運動によつて通商が発展いたすならば、單に中國のみならず、世界各國に向つて貿易振興の國民運動を起して頂きたいと考えるくらいであります。その他の問題については主管大臣からお答えいたします。(拍手) 〔國務大臣青木孝義君登壇〕
○國務大臣(青木孝義君) 只今の中西議員の御質問にお答えいたします。 中國の貿易関係は、これは現在、國民政府治下の中國との貿易の状況について申上げますれば、二十三年度の実績は(「簡單」と呼ぶ者あり)輸出が約四百万ドルで、全輸出額の一・六%を占めておる状態であります。輸入が約二千四百万ドルで、全輸入額の三・六%を占めておる状態であります。そこで問題の中共地区との貿易でありまするが、現在は香港を中心といたしまして事実上の取引が行われており、香港の外國人商社を通しまして、華北、満州、朝鮮、この方面との交流が行われておるのであります。將來の問題といたしましては、正式に中共地区との対外貿易を開くか否かは、占領下の日本といたしましては、中共の今後の國際的地位如何によりまして方向を決定さるべきものであつて、日本として今直ちに結論を出すことは勿論不可能であると思つておる次第でございます。尚、対米貿易は日本経済復興の上に最も寄與する重大なものでありまして、今後共大いに対米貿易の伸張を期する考えであります。 最後に、本年三月十五日附で制定せられた政令第五十一号、外國人の財産取得に関する件の規定の解釈といたしましては、華僑を外國人として取扱うこととなつておりますが、これは華僑が本來の中國人である場合は勿論、從來日本人としての立場を保持しておりました台湾省民、この台湾省民につきましても、これが連合國最高司令官の任命若しくは承認した使節團が発行する登録証明書の交付を受けた外國人に該当する結果でありまして、これは特に本政令の基礎になつておりまする本年一月十四日附の司令部の指令の解釈上止むを得ないところであります。即ち政府といたしましては、本政令の規定の上で華僑のみを特別扱いとするようなことは、他の外國人と差別待遇をする結果となりますので、特に國際関係上、至難であると考えておりますが、同時に在日の華僑の実情はよく承知しておりますので、万一にも本令の規定の適用によつて、これらの多数の在日華僑の生活権が脅かされる如きことのないように、政令の運用に当つて細心の注意を拂うように所管官廳及び機関に対しまして訓令をいたしております。 以上を以て中西議員のお答えになると存じます。(拍手) —————・—————
○副議長(松嶋喜作君) 日程第一、観光事業の振興に関する決議案(板谷順君助外十一名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。本件は発議者板谷順助君外十一名より委員会審査省略の要求が提出されております。発議者要求の通り委員会の審査を省略し、直ちに本案の審議に入ることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。高田寛君。 ————————————— 〔高田寛君登壇、拍手〕
○高田寛君 只今上程になりました観光事業振興に関する決議案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。先ず最初に決議案を朗読いたします。 経済九原則に基づき自立経済を確立することは、日本経済に與えられた至上命令である。 然るに、戰後貿易の実績は日本経済の実情を如実に反映して極めて惡化しており、これが改善は輸出貿易の現状に鑑み、にわかに期待することができない。ここにおいてこの貿易收支の不均衡を貿易外收入の増強によつて調整し、以て日本経済の再建自立を促進することは、経済九原則の要請に應える最も基本的な方途でなければならない。 由來、観光事業は國際文化の交流に寄與する文化的使命を担うと共に、貿易外外貨收得事業として極めて重要なる地位と役割とをもつている。幸にもわが國は、戰後なお風光明媚な観光資源に惠まれている。経済的資源の乏しいわが國として、この豊かな観光資源を最高度に活用し、以て外貨の收得を積極的に図ることは、実にわが國戰後の國策でなければならず、さきに内閣に観光事業審議会の設置を見たるもその具現に外ならない。 然るに、本年度國家予算案をみれば観光事業関係予算は致命的に削減せられ既に現実に外客の來訪を迎えつつあるとき、これを受入れるべき体制のなお整備せられないことを深く遺憾とする。かかる状況において推移するならば、ただに來訪外客に失望と不満とを與えるのみならず観光立國の前途に一大暗影を投ずることは極めて明らかである。 よつて本院は政府に対し、次のように措置するよう要求する。 政府は経済九原則に基づく自立経済を確立するため國際收支の改善を図る見地に立ち、万難を排しても外客受入上必要なる施設並びに接遇斡旋の充実のため適当なる施策を講じ速かに本院に報告すること。 右決議する。 以上でございます。 次に本決議案を提案いたしました理由について簡單に御説明申上げます。 〔副議長退席、議長著席〕 我が國の経済事情につきましては、今更申上げるまでもなく、近く將來におきましても到底自給自足を期待するわけに参らないのでありまして、食糧その他幾多の重要物資は今後ともにこれを少からず輸入に俟たなければならないのであります。從いまして、このためには輸出貿易を大いに振興して、その見返りとしなければならないことは申すまでもないのでありまして、輸出貿易の振興こそは、経済九原則によつて強調せられるまでもなく、実に日本経済復興の鍵であると言わなければならないと思うのであります。ただ併しながら如何に輸出貿易を振興いたしましても、現在の我が國産業事情におきましては、これを以て必要物資の輸入に対する見返りとするまでには当分は参らないと思うのであります。すでに御承知のごとく、昨年度におきまして輸出額は約二億六千万ドルに上り、一昨年に比して五〇%ばかりの増加を見ておるのでありますが、他方輸入の方について見ますると、その額は年々輸出額を遥かに超過しておるのでありまして、一昨年度におきましても、すでに入超は約三億五千万ドル、昨年度は約四億二千万ドルの入超となつておるのであります。而も極めて遺憾なことでありますが、貿易收支のこのようなアンバランスは、当分の間これを是正することはできない我が國情なのであります。ここにおきまして我々は是非とも貿易外の外資の獲得を図り、貿易收支の改善を図ることの必要を特に痛感するのであります。すでに戰前におきましても、海運收入を初め、観光收入その他の貿易外の外貨獲得は、我が國の國際收支を改善する上に多大の寄與をなしておつたのであります。ただ戰後におきましては、從來受取勘定でありました海運收入のごときは、只今のところ逆に支拂勘定となつており、又有力な貿易外收入の途でありました海外の事業や投資による收益のごときも、戰後におきましては遺憾ながらこれを期待することはできないのであります。併しながらこの間におきまして、ただ一つ観光事業による外貨の獲得だけは、戰後においても何らの支障がないばかりでなく、否、我々の努力如何によつては戰前に数倍若しくは数十万といたすことを期待されるのであります。現に昨年度における観光收入を見ますると、入國外人数六千三百人、その我が國内における消費額は、内輪に見積りましても約五億円に上つておるのであります。國内の受入態勢がまだ十分でなかつたにも拘わらず、このような成績を收め得ましたことは、観光事業の將來をトする有力な証左であると信ずるのであります。更に本年度におきましては、我が國内旅行を一週間に制限されておりました外人の観光旅行が、去る一月からこの日数を二十五日に延長されることになつたのであります。これによつて我が國における戰前の國際観光ルートは全面的に復活することになつたのであります。この外に、外國船の神戸及び横浜碇泊中を利用しての日帰り遊覧旅行、世界一周船客の神戸、横浜間の陸路横断旅行などが活発に行われ始めまして、これらに参加しておる観光客はすでに相当の数に達しておるのであります。更にその上、本年に入りましてから日系米人の六十日間に亘る祖國訪問旅行が許可されまして、ハワイあたりからはすでに御承知のごとく続々と來訪しておるのであります。内閣観光事業審議会では、これらを総合いたしまして、昭和二十四年度には、來訪外客の数は昨年度の三倍に当る一万八千人、又その我が國内における消費額は、滯在日数の増加と相俟つて約二十九億円と見積つておるのであります。併しながらこれだけの観光收入が何らなすことなくしてただ入つて來るものと考えますならば、それは大きな誤まりで、ありまして、これの收入を確保し、進んでその増大を図り、更にこの事業をいわゆる見えざる輸出として発展させるためには、適切なる誘致宣傳を行うと共に、この際、機を逸せずに外客の受入態勢を整備し、接遇斡旋の充実を図ることが欠くべからざる要件であると信ずるのであります。 先ず受入態勢の整備につきましては、その第一は宿泊施設であります。御承知のごとく現在大多数の洋式ホテルは接收せられており、たださえ少い洋式の宿泊施設がこれによつて更に不足を來し、このまま放置すれば必然的に我が國への観光客の数を制限することになるのであります。第二は交通機関であります。観光客の旅行の日数が延長せられ、北は北海道から南は九州に至るまで、我が観光資源が外客観賞の対象となりました現在、観光客の輸送に使用すべき鉄道優等車輌並びに自動車の整備は誠に急を要するものであります。第三は道路の改善であります。今後は自動車による國内の観光旅行はいよいよその数を増して参りますので、道路の補修改良は観光事業の盛衰に多大の影響を及ぼすことは明らかであります。この外、都市並びに観光地における運動、休養、衛生、文化等の諸施設につきましても、観光立國の見地からこれが整備改善を急ぐべきものが少くないのであります。勿論以上述べました外客受入れのための各種施設の整備改善も、これを一挙に完成することは現在の我が國情よりいたしまして非常に困難ではありますが、少くとも基礎的な施設については、國家再建のために万難を排してもこれが整備を図るべきものと信ずるのであります。これら観光施設に支出する費用は、莫大な貿易外の外貨獲得事業に対する有利な投資と見るべきものであると信ずるのであります。観光事業審議会におきましても亦かかる見地より、先に必要最少限度の外客受入施設整備計画を立て、これを内閣総理大臣に建策しておるのであります。又一方外客接遇斡旋の充実につきましては、ここに改めて申述べるまでもないのでありまして、國民の外客に接する態度や心構えは、精神的な受入態勢として、特に訓練を必要とするのでありますが、特に外人観光客の斡旋につきましては、これが満足且つ円滑に行われるか否かは、観光事業の前途を左右するものでありまして、これに関與する人と組織の問題は、観光事業施設の整備と共に重大な関心を拂わなければならないのであります。然るに本年度の國家予算を見まするとき、観光事業関係の予算は致命的に削減せられているのでありまして、以上申述べました外客受入態勢の整備のごときは全く手を触れることなくして放擲せられ、更に観光客に対する接遇斡旋に至つては、從來通りの活動さえもこれを満足に続け得られるかどうか、甚だこれを危ぶまざるを得ない状況に陷つているのであります。 かくのごとくにして推移いたしますならば、我が國の観光事業は、漸くその緒についた今日の段階において、前途誠に暗澹たるものがあるのであります。この耐乏生活、生産の増大、輸出貿易の振興は、経済九原則の命ずるところでありまして、自立経済確立のために我々國民がこれを履行することは当然の義務と思うのであります。観光事業は、それ自体といたしまして厖大な外貨を獲得する事業でありますと共に、他方、同時にこれによつて輸出産業を促進し、又郷土の特産品を廣く海外に宣傳紹介するものであります。観光事業の振興こそは、取りも直さず経済九原則に即應し、その自立体制確立の要請に應える最も確実にして適切なる方途であると信ずるものであります。かかる趣旨によりまして、我々は政府に対し、この際万難を排しても観光事業の振興対策を速かに講ずるよう要求するため、本決議案を提案いたしたのであります。何とぞ満腔の御賛同を賜わらんことを切望いたしまして、提案理由の説明を終ります。(拍手) 〔「今の説明には反対だ」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 本決議案に対し討論の通告がございます。発言を許します。團伊能君。 〔團伊能君登壇〕
○團伊能君 私は民主自由党を代表いたしまして、只今高田議員より提出されました観光事業振興に関する決議案に熱誠な賛成の意を表するものであります。(「共同だよ」「共同代表だ」「取消しだ」「民主自由党の代表じやない」と呼ぶ者あり)すでに國会におきまして、第一國会より文化委員会におきまして観光小委員が設けられ、(「民自党代表か」「はつきりしろよ」「團君どうなつたんだ、各党代表だろう」「約束が違う」と呼ぶ者あり」)只今の言葉は取消します。本院を代表いたしまして賛成の演説をいたします。第一國会より文化委員会におきまして観光小委員会が作られ、又第四國会より運輸委員会の中に観光小委員会を作られまして、熱心な委員諸君の研究調査が進められ、又この委員の提案によりまして内閣に観光審議会が作られるに至りましたことは、誠に我が國会の観光事業に対する熱意を十分表明しておるものでありますが、然るにこの意思の実行に当りまして、政府の熱意はまだ見られないばかりでなく、殊に予算措置におきましては極めて失望すべきものがあることは皆様御承知の通りであります。この欠陷はどこから來るかと申しますると、観光事業という名称は廣く知られておりましても、その実体と必要性とがまだ十分認識されていないことによるのであります。終戰以來この息づまる國民生活の逼迫と敗戰による失望の中に、観光事業こそ、國際平和に貢献し世界の人に幸福を與える事業といたしまして、將來の文化日本にとつて最もふさわしい事業と考えられた結果、俄かに浮び出て來たのであります。この唯一の明るい希望を抱かせた事業がこの度の予算措置において大部分切り捨てられたということは、國民の希望を奪うこと重大なものであります。それのみならず観光事業團体で今日まで專門的な知識を以てこれに貢献して参りました者が、甚だ困難に陷らんとしておるのでありまして、例えば全國観光連盟もその一つでありますが、又多年経驗のある交通公社その他の事業團体の事業も、一大縮小を來たさなければならない状態にあります。先程高田議員より御説明がありましたが、まだ講和会談が結ばれるに至りませんが、すでに進駐軍以外に、観光客と称すべき外國人の來遊もますます殖えまして、先程の御説明にもありましたように、本年度の想定貿易以外收入は恐らく二十七八億に上ると考えられます。又今日大陸方面の生活の変動によりまして、相当の外國人の轉入も予期されておるのであります。この度、観光審議会が要求しました五億九千万円余の予算も、これは極めて今日の経済事情を考えまして内輪に見積つたものであり、尚これらの大部分は交通や宿泊設備の極めて急を要するものに向けられたのでありますが、これも認められなかつたことは甚だ残念に思います次第であります。英國の國民は甚だしき耐乏生活を強行しておりますが、観光事業に関しましては相当なる政府の支出をいたしております。英國の観光事業は專ら英國の観光協会によつて行われ、これは純粹な民間機関でありますが、これが公的機関である英國観光休暇極とタイアツプいたしまして、事業資金として三十万ポンドを持つております。そのうち大体七五%が政府補助金となつております。これは英國の一観光の私設團体を支援しておる政府の支出でありまして、一九四七年度の観光收入は三千万ポンドを越しております。クリツプス大藏大臣も英國の観光事業を非常に賞讃いたしまして、英國の如何なる貿易品にも優りまして、最大のドル收得産業は観光事業であると発表しております。その他イタリーのごときも、欧洲復興計画援助資金の一部を以て進んで観光施設の改善に当つております。その他欧洲各國では、寢台数の増加と交通の復興に全力を挙げておる状況であります。又米國におきましても、國立公園局の中に設けられました旅行部を中心といたしまして観光事業が推進されておりましてこういう世界的氣運、殊に旅行機関の復活に当りまして、戰爭中、中止されておりました観光旅行は、今や盛んな勢いで復活しつつあるのであります。最近米國の雜誌に、富士山や鎌倉の大佛の絵を載せました日本旅行勧誘の廣告がございますが、これは多くアメリカの汽船会社ダラー、ラインなどの廣告であります。これらのもの等を考えまして、このたびの予算措置を思い併せますと、甚だ皮肉の感に打たれます次第であります。併しながら観光事業は御承知のごとく、非常に廣い各省の管掌事務の中に拡がつておりまして、運輸省、建設省はもとより、厚生省の國立公園、農林省の風致保安林、安部省の保護建造物、又最近文部省より厚生省に移されようとしております史蹟名勝天然記念物等を始めといたしまして、温泉、登山、スポーツ、演藝、演劇その他の風俗習慣に亘りまして、非常に廣大な連関を持つておるのであります。この廣い範囲に亘る事業の総合的計画は、ただ力強い國策によつて実現されるものでありまして、観光審議会が内閣に置かれましたのは、こういう國策実現のためであります。観光審議会はもう一層の努力をいたして、只今各省に分散する文化面の大動員をされますことを希望して止まないものであります。今朝も原子爆彈によつて破壞されました廣島において一大平和都市を建設するという提案を決め、すでに、これには米國におきまして、一億五千万ドルの寄附の集められておることも聞きますが、こういうものに應えて、我が國からも、我が國に非常に豊富な温泉の化学的成分と医療的効果を研究して、これに設備のある療養所を作りまして、世界の病人に日本の温泉を開放するというような、大きな観光國策の構想を観光審議会に進言するものであります。 最後に私は我が國の観光資源の保存について一言いたしたいと思いますが、最近法隆寺壁画の燒失によりまして、俄かに國宝保存その他の問題が輿論にやかましくなつておりますが、又今朝の新聞を見ましても、増上寺の廟所の國宝建築物の中に住居しておる者がある。ただ住居しておるばかりでなく、その廟所に加えて増築を始めたという新聞記事がありますが、この國宝の保存の外、これと同じ重要性を持つ観光資源の保存について皆樣の御考慮を煩わしたいと思います。國立公園である十和田湖及び奧入瀬溪谷の樹林のごときも、今日は殆んど伐り倒されまして、もはや奧入瀬溪谷の價値は失われておりますが、終戰以來、営利的の目的で、観光事業の名に便乘する者が各所に多く、又國立公園の指定の運動等は各縣において盛んでありますが、これに反し風致林の保存のごときは聊さかも顧みられておらないのであります。私は政府及び地方政府に、この観光資源の保存の猛省を促しまして、この演説を終ることといたします。(拍手)
○議長(松平恒雄君) これにて討論通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。(拍手)よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。 只今の決議に対し、政府より発言を求められました。(「もういいや、そんなこと」と呼ぶ者あり)林厚生大臣。(「大切なことを一つ正式に答弁して呉れ」と呼ぶ者あり) 〔國務大臣林讓治君登壇、拍手〕
○國務大臣(林讓治君) 現下観光事業の振興は、國際文化の交流、國際親善の増進と、貿易外收入の増大に寄與すること多大なものでありまして、我が國の現状から見て、極めて意義深いものがありますので、観光施設の整備、接遇の改善を図り、外客誘致の促進に遺憾なきを期したいと存ずる次第であります。
○議長(松平恒雄君) 大屋運輸大臣。(「予算がなければ駄目だ」と呼ぶ者あり) 〔國務大臣大屋晋三君登壇〕
○國務大臣(大屋晋三君) 只今の決議案に対しまして、所管大臣といたしまして政府の所信を披瀝いたします。観光事業の振興は、現在の我が國の状態におきまして、最も実質的な、手つ取り早い我が國の経済再建に相成ることは、只今の決議案の趣旨に鑑みましても誠に明らかなことでございまするが、政府といたしましては、今回の、今年度の予算に十分これを盛り込むということに努力をいたしたわけでございますけれども、各種の制約のために十分その意を果すことができなかつたことを誠に遺憾に存ずる次第でございまするが、さりながら現在多数の、三万人にも近い外客が現実に参つておる実情に鑑みまして、予算の範囲内におきまして、鋭意施設の充実、或いは接遇の斡旋、資材、資金等の十分な斡旋に万全の施策を講ずる覚悟でおります。(笑声、拍手)尚又今後の点につきましても、十分に各位のこれに対する御協力を願いたいと思いまして、本日の決議案に対しまして、満腔の感謝を注ぐと共に、政府といたしましても、決議案の趣旨に則りまして、速かに各種の具体的の施設を立案致しまして、報告を申上げる覚悟であります。(拍手) —————・—————
○議長(松平恒雄君) この際お諮りいたします。鎌田逸郎君より地方行政委員を、町村敬貴君より経済安定委員をそれぞれ辞任いたしたい旨の申出がありました。いずれも許可することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として、地方行政委員に町村敬貴君を、経済安定委員に鎌田逸郎君を指名いたします。午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時二十九分休憩 —————・————— 午後二時五十八分開議
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。暫時休憩いたします。 午後二時五十九分休憩 —————・————— 午後三時二十五分開議
○議長(松平恒雄君) 本院規則第八十四條により延会いたします。明日は午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十六分散会 —————・————— ○本日の会議に付した事件 一、常任委員長辞任の件 一、常任委員長の補欠選挙 一、廣島平和記念都市建設法案 一、長崎國際文化都市建設法案 一、極東委員会よりの農地改革の指 令に関する緊急質問 一、法案の提出見込に関する緊急質 問 一、中國との貿易関係に関する緊急 質問 一、日程第一 観光事業の振興に関 する決議案 一、常任委員辞任及び補欠の件