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5回国会参議院1949/06/01

水産委員会 閉会後第1号

発言数
62
登壇者
6
会派数
3
開催日
1949/06/01

会議録

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。この前の委員会で漁業法の第十四條の説明が終りましたので、十四條の各項について御質問がありましたらお願いいたします。第十四條は重要なる事項ですからして……。若し御質問がなければ、第十五條に移ります。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) 「(優先順位)」第十五條「漁業の免許は、優先順位によつてする。」從來は免許するかどうかは、行政廳の専断で一應やつておつたわけであります。勿論施行規則第十七條におきまして、こういう場合には免許してはいかんという條項が書いてございますが、その判定如何は、事実上、知事の専断に任されておつたわけでございますが、今度の漁業法におきましては、一應法律で誰が第一順位か、誰が第二順位かということを順番を決める、その範囲内で知事が決める。知事が決める場合には、必ず漁業調整委員会の意見を聽いて、事実上、調整委員会の意見によつて免許をするかどうかを決める、こういう建前にいたしております。以下第十六條から第二十條までにおきまして、優先順位を法律で規定いたしたわけであります。

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) それではそれを各條ごとに説明して下さい。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) 第十六條を御説明いたします。先ず読みます。   (定置漁業の免許の優先順位)  第十六條 定置漁業の免許の優位順位は、左の順序による。   一 漁業者又は漁業從事者   二 前号に揚げる者以外の者  2 前項の規定により同順位である   者相互間の優先順位は、左の順序による。   一 その申請に係る漁業と同種の漁業に経驗がある者   二 沿岸漁業であつて前号に揚げる漁業以外のものに経驗がある者   三 前二号に揚げる者以外の者  3 前項の規定において「経驗」とは、その申請の日以前十箇年(この法律施行後主務大臣が指定する期日までの間は、昭本二十三年九月一日以前十箇年)の間において、漁業を営み又はこれに從事したことをいう、以下第十九條までにおいて同じである。  4 前三項の規定により同順位である者相互間の優先順位は、左の順序による。   一 その申請に係る漁業の漁場の存する第八十四條第一項の海区(以下「当該海区」という。)において経驗がある者   二 前号に揚げる者以外の者  5 前四項の規定による同順位の者がある場合においては、都道府縣知事は、免許をするには、その申請に係る漁業について左に揚げる事項を勘案しなければならない。   一 労働條件   二 地元地区内に住所を有する漁民特に当該漁業の操業により從前の生業を奪われる漁民を使用する程度   三 地元地区内に住所を有する漁民が当該漁業の経営に参加する程度   四 当該漁業についての経驗の程度、資本その他経営能力   五 当該漁業にその者の経済が依存する程度   六 当該漁業の漁場の属する水面において操業する他の漁業との協調その他当該水面の総合的利用に関する配慮の程度  6 地元地区内に住所を有する漁業七人以上によつて構成される法人であつて左の各号の全部に該当するものは、前五項の規定にかかわらず、第一順位とする。   一 漁業を営むことを主たる目的とする者であること。   二 構成員の過半数が、当該海区においてその申請に係る漁業と同種の漁業に経驗がある者であるか又は当該漁業の免許が他の者にされたときは從前の生業を失うに至る者であること。   三 構成員の三分の二以上がその営む事業に常時從事する者であること。   四 当該漁業に常時從事する者の三分の二以上がその構成員であること。   五 構成員のうちその営む事業に常時從事する者の出資額が総出資額の過半を占めていること。   六 一構成員の出資額が構成員の平均出資額の二倍に相当する額をこえず、且つ、その出資することができる額の最高限度が定められていること。   七 構成員が各自一個の議決権を有すること。  7 前項の規定により同順位の者がある場合においては、都道府縣知事は、免許をするには、その申請に係る漁業について第五項第三号から第六号までに揚げる事項を勘案しなければならない。  8 第六項の規定は、北海道においては適用しない。  9 地元地区の全部又は一部をその地区内に含む漁業協同組合であつてその組合員(二以下共同して申請した場合にはこれらの総組合員)のうち漁民である者の属する世帶の数が地元地区内に住所を有する漁民の属する世帶の数の七割以上であるもの又は地元地区内に住所を有する漁民によつて構成される法人であつて左の各号の全部に該当するものは、前八項の規定にかかわらず、第一順位とする。   一 構成員(二以上共同して申請した場合にはその総構成員)の属する世帶の数が地元地区内に住所を有する漁民の属する世帶の数の七割以上であること。   二 当該漁業に常時從事する者の三分の二以上がその構成員であるか又はその構成員と世帶を同じくする者であること。   三 構成員が各自一個の議決権を有すること。  10 地元地区の属する市町村又は市町村内の漁民の部落が孤立しており、且つ、その区域内に住所を有する者が当該漁業に高度に依存している場合においては、当該漁業については、当該市町村又は当該部落を地区とし、地区内に住所を有する者によつて構成される法人であつて左の各号の全部に該当するものは、前九項の規定にかかわらず、第一順位とする。   一 構成員の属する世帶の数が地区内の総世帶数の七割以上であること。   二 構成員のうち漁民であるものの属する世帶の数が地区内に住所を有する漁民の属する世帶の数の八割以上であり、且つ、構成員の属する世帶の数の七割以上であること。   三 当該漁業に常時從事する者の三分の二以上がその構成員であるか又はその構成員と世帶を同じくする者であること。   四 構成員が各自一個の議決権を有すること。  11 第九項の地元地区内に住所を有する漁民が同項の漁業協同組合若しくは法人に加入を申し出た場合又は前項の地区内に住所を有する者が同項の法人に加入を申し出た場合には、申出を受けた者は、正当な事由がなければ、これを拒むことができない。第九項の地元地区の全部又は一部をその地区内に含む漁業協同組合又は同項の地元地区内に住所を有する漁民によつて構成される法人が同項に規定する漁業協同組合又は法人に対し当該漁業の免許を共同して申請することを申し出た場合もまた同じである。  12 二人以上共同して申請した場合において、その申請者が第一項、第二項又は第四項の各号のいずれに該当するかは、各申請者うち、いずれに該当する者が議決権及び出資額において過半を占めているかによつて定める。この場合において、いずれに該当する者も議決権及び出資額において過半を占めていない場合は、その申請者は、第一項第二号、第二項第三号又は第四項第二号に該当するものとみなす。  13 二人以上共同して申請した場合において、その申請者が第六項、第九項又は第十項に規定する者に該当するかどうかは、各申請者のうち第六項、第九項又は第十項に規定する者に該当する者が議決権及び出資額において過半を占めているかどうかによつて定める。  14 法人が第一項第一号、第二項第一号若しくは第二号又は第四項第一号に該当しない場合であつても、その構成員のうちこれに該当する者が議決権及び出資額において過半を占めている場合は、その法人は、これに該当するものとみなす。  15 第十二項又は前項の議決権及び出資額の過半の計算については、第二項第一号に該当する者は、同項第一号に該当する者であるとみなす。  16 法人以外の社團は、前十五項の規定の適用に関しては、法人とみなす。  御説明いたします。非常に長い條文でお分りにくいかと存じますが、先ず優先順位というものを法律で以て決めるということは非常に困難でございます。いろいろ各種の具体的な事情もございますし、一つの基準を以てこれが第一番である、これが第二番であると決めること自体にそもそも無理があるわけでございますが、行政廳の指示を排除する意味におきまして一應基準を立てたわけであります。併し元々無理な基準でございますから、場合によつては具体的には聊さか当を得ない場合も生じ得るかと思つております。從つてそういうものが成るべくないように基準を立てたわけでございます。先ず全体の考え方といたしまして、結論的に申しますと、第一番目は協同組合の自営であること、その協同組合の自営には形は協同組合でなくても、事実上関係漁民を全部網羅いたしておりまするいわゆる全村的な漁民経営、これも同樣に第一番でございます。それから第二番目が水産業協同組合法に規定しております水産組合、これが第二順位でございます。その他の個人経営或いは会社経営、これが第三順位、こういうふうになつております。從つてこの点につきましては、いろいろ御意見が分れると考えております。実際各地におきましてもこの協同組合の自営、これが一番である。つまり個人経営ではなくて、漁民の團体的な経営、これが第一番であるということにつきまして、経営の能力があるかどうかといういろいろな御議論がございます。併し特にこの場合におきまして協同組合自営、これを一番にいたしました理由は、そもそも沿岸漁業というものは地元の漁民の総有である。漁民全部が持つべきものである。これを一人に独占せしめることは当を得ないという事柄に由來しておる点が一つでございます。地元漁民は地元の村の地先水面は自分のものであると、こういう観念になつております。その漁民全体の水面を一人の経営者が独占して、その漁場を一人占めしてしまうということは、從來漁民から非常に反対がございまして、各地において少しずつ協同組合自営、こういうものが伸びて來たわけでございますが、これをこの機会に、沿岸漁業の理想的形態は、その地区を單位とした漁民の集團経営であるということを明示いたしたわけであります。それが一方におきましては、漁業は資本主義的に発展せしめるべきである。つまり資本家対労働者の関係に分けまして、労働者の問題は労働條件で解決すべきである。併し経営自体は経営能力のある個人にやらせるのが至当である。こういう資本主義的な経営を推進する向きもございますが、沿岸漁業というものは工場経営のごときものと違いまして、これを労資関係にはつきり分けてしまうことができない。労働條件で解決することができない面が相当あるわけでございます。どうしてもこれは地区を單位とする漁民の集團経営という方向に行かなければ解決はできないわけでございます。それともう一つは今後の経済状態全般の問題でございますが、これら個人経営ということがますます窮迫して來る。個人一人の能力を以てそれを経営を維持するということは困難である。どうしても集團的に経営をしなければ、沿岸漁業全体として沒落を免れない。こういう面もございまして、集團経営という点を強調いたしたわけでございます。こういう漁利の分配の面と、それから個人経営では今後やつて行けない。こういう二点を、協同組合の自営ということを第一番目にいたしたわけでございます。勿論多数の人間が集まりますと、どうしても経営能力自分は若干落ちることが予想はされます。從つて組合の自営でありますとか、或いは生産組合でありますとか、こういう團体の経営は経営が敏活を欠く。從つて能力は疑わしい。生産は下がるから、どうしてもこれは優秀な個人に経営をやらせるべきであるという論議が強いわけでございまして、例えば北海道であるとか、或いは富山縣であるとか、或いは石川縣でありますとか、そういう地域におきましては経営者の強い反対があるわけであります。併し團体経営であるからといつて経営能力が下がるということは必ずしも考えられないわけであります。むしろ理想的に行けば、團体であればある程経営はうまく行き、生産力が上がるということは考えられます。現に現在自営いたしております高知方面、或いは京都方面とかいう方面におきましては、組合の自営で以てむしろ生産は上がつておる。こういう現状にございます。それから成る程こうした経営自体につきましては生産が落ちるかも知れませんが、今度の狙いは、こうした生産力でなくて、漁場全体の生産力が狙いでございます。個々の経営を中心に考えました場合には、協同組合の地先水面に定置を一ケ所立てれば、その網自体の生産は或いは上るかも知れません。併しその網のために他の釣りでありますとか、或いは刺網でありますとか、そういう定置と摩擦いたします漁業が全部潰されてしまつたのでは、漁業全体の生産力が下つて來る。そうして今後日本として考えますときは、個々の経営の生産ではなく、日本の全体の資源の活用、全体の生産力という観点から、どうしても集團経営に行かざるを得ないわけであります。現在協同組合自営或いはこれに準じますような大網組件というもので経営いたしておりますものは、内容が曖昧なものも含めまして、大体定置全体の三割くらいであります。一番集中しておりますのは京都府で、京都府におきましては殆んどが協同組合の自営でございます。勿論現在の組合は、水産業團体法におきましては、協同組合自営が非常にやかましい制限が附いておりますために、形は協同組合自営という形は取つておらないものもでございますが、内容的には組合自営と同一でございます。それから高知縣、高知縣におきましても十ケ統以上の定置が共同経営をいたしております。それから福井縣にも若干ございます。それから山口縣でも五六ヶ統自営いたしております。それから三重縣におきましては、定置の大部分は部落経営でございます。それからこの近辺におきましては、伊豆方面に相当部落経営がございます。大体今申上げました京都、高知、三重の大部分、山口、福井、静岡の一部分におきまして協同組合自営が行われておる。その他にも個別には各地に行われております。勿論協同組合が自営いたす場合には、どういう定置でも全部自営できるわけではなくて、二つの要件が必要でございます。一つは、その漁場が安定しておるということ。これが第一要件でございます。本來ならば、悪い漁場であつても、関係漁民が全部で集團的に経営すべきではありますが、現段階におきましては、先ず漁場が安定しておるということ、これが第一要件でございます。從いまして今後の漁業におきましとは、予め漁場計画を立てまして、悪い漁場というものを極力なくするというふうにいたしております。もう一つの要件は、漁民の連帯意識、漁民全体が集團的に経営して行こう、いいときは共に利益を分は合い、悪いときは損失を分担し合うという漁民の連帯意識でございます。この二つの要件がなければ、現段階としては自営は伸びないわけであります。それから更に、これは当然のことでございますが、資金、資材の裏付け、これがなくては協同組合の自営はできません。それでこの法律におきましては、協同組合自営ということを第一番にいたしておりますが、具体的な資金、資材の裏付けがないと、この点から非常な批判がなされまして、これでは絵に書いた餅も同樣である、当局は組合自営ということを大いに宣傳しておるが、実際に資金、資材の裏付けはしていないではないかという批判があるわけで、これは今後の金融全般の問題でございます。法律で以て組合自営を第一番にいたしましたからには、極力資金、資材の裏付けを付けて行きたい。然るに漁業に資金、資材が廻るかどうかは、事務当局の問題ではなくして政治の問題であります。政治の問題ということは、漁民自体の力の結集ということであります。これをきつかけにいたしまして、漁民が組織的に、漁業に対して金融を付けて呉れ、そういうふうな主張をいたすことを期待いたしておるわけでございます。これが協同組合自営を第一順位にいたして理由であります。  それから生産組合を第二順位にいたした理由を御説明いたします。生産組合を第二順位にいたしましたのは、協同組合とは聊か考え方を異にいたしております。それは或る程生産組合は個人経営と違いまして、相当に人間を集めておる。そういう意味で共同経営ではございますが、協同組合自営のような集團経営ではございません。つまり結び付きが恣意的である。地区全体を網羅していない。こういう意味におきまして、性質上はやはり個人経営と同じでございます。ただこの特質は労働者、資本家というふうな経営形態ではない。労働者も資本家も一体となつて、共に株も持ち、共に労力を提供する。いわば資本家、労働者という観点をなくした本当の意味の共同経営でございます。それで先程申しましたように、沿岸漁業は労資の関係上で以て解決することはできない。どうしても共同経営という方向に行かざるを得ないという点から、この生産組合を第二順位にいたしたわれであります。実際上この生産組合が期待しておりますのは中型定置、これを期待いたしております。  第三番目は、個人経営でございます。それで法案の第一項から第五項までは、この個人経営の順位を説明いたしております。これにつきまして御説明いたしたいと思います。先ず第一番目に、漁業者又は漁業從事者であるかどうかによりまして、二つの集團に分けるわけでございまして、又漁業者又は漁業從事者が優先するということにいたしております。そういたしまして漁業者又は漁業從事者のグループと、それ以外のグループと、二つに分けるわけであります。この二つに分れた中で、更に第二項以下の基準によつて細分して順番を決めて行く、こういうふうになつております。漁業者又は漁業從事者の間の優先順位としては、第二項で三つの順位がありまして、第一が、その申請に係る漁業と同種の漁業に経験がある者、これが第一番目、それから沿岸漁業であつて前号に掲げる漁業以外のものに経験がある者、これが第二順位、(矢野酉雄君「もうちよつとゆつくり言つて下さい。」と述ぶ)それから第三番目は、沿岸漁業の経験もない人間、これが三番目でございます。第一番目の、その申請にかかる漁業と同種の漁業と申しますのは、これは現在漁業法の施行規則及び告示に規定いたしてございます細かな漁業名称でなくして、「いわし」の定置網、そうして規模が大体同樣、これくらいの廣い考え方でございます。從つて二十人労働者を使う「いわし」の定置網を出願した場合には、大体二十人前後、二、三十人乃至四十人くらいの労働者を使う、そうして「いわし」を狙うような型の定置をする、こういうものは同種の漁業ということになつて参ります。漁獲物の種類が違つても差支えございません。大体漁法が同樣ならば「いわし」の定置を出願して、経験は「さば」の定置の経験があるという場合も、同樣の漁業と認められます。そのような漁法と規模で見て行くわけでございます。二番目の沿岸漁業と申しますのは、第十四條の第六項に規定してございますが、遠洋漁業と内水面漁業を除いたそれ以外の漁業を全部含んでおります。そういう廣い意味であります。狭い意味の沿岸漁業ではなく内地沖合漁業、あぐり網漁業とか、そういう内地沖合漁業を含んでおります。このように経験の種類によりまして三つのグループに分けております。それから更にその中で同順位のものがあつた場合には、第四項におきましてその経験がどこであるとかいうことを問題にいたしております。そういう申請した漁業の漁場の存する海区、例えば平塚の定置漁業権を出願いたしました場合には、平塚を含む相模湾の海区ということでございます。その海区に経験のあるものをこの場合に優先する。それ以外の例えば富山縣でありますとか、或ては石川縣でありますとか、それ以外の海区で経験があるものは優先順位が落ちると、こういたしております。この経験を持ちまして海区をこのように廣く見たという点でいろいろ異論がございまして、この経験はむしろ出願しました漁場について経験を見るべきではないか、海区全体どこで経験があつてもよいということではなくして、出願した漁場、そこで経験があることで優先順位を決めるべきである、こういう異論もございますので、そうしますと、現在の経営者だけにしか行かないという弊害も出て参りますので、そうではなく、海区全体どこでやつてもよろしいということにいたしたわけであります。それから経験とも何ぞやと申しますと、第三項に規定してございますが、申請いたしました日から十ヶ年の間でその漁業を営んだ経験があるか、或いは從事した経験があるか、いずれでもよろしいのでありますが、経営の経験だけでなく、從事の経験も含んでおります。それから十ヶ年間ずつと継続してやつてということが要件ではなくて、十ヶ年の間一度でもやつたのでもよろしいというふうにいたしております。又十年の間の経験と申しましても、十年間に一度だけやつたという経験もございましようし、十ヶ年間ずつと続けてやつてやる場合もありましよう。その場合一年の場合はどう、二年の場合はどうという順番は付け難いために、そういうふうな経験の程度は後の第五項に規定してございます勘案條件で勘案することにしまして、順位では十年に一回でもやつておればいい、こういうふうにいたしております。  以上の第一項から第四項までによりまして優先順位を決めるわけでありますが、これによりまして、理論的には二十四の優先順位ができるわけでありますが、事実問題としましては、先ず今まで定置をやつていたことがあり漁民が大体申請いたしますので、第一順位に属するものが非常に多かろうということが予想されるわけであります。從つてその間の順位を決める場合は、それ以上順番を決める基準がございませんので、第五項の第一号から第六号までに規定した事項を総合的に勘案して事項を決めるというようになつております。この判断は海区漁業調整委員会が判断するということになつております。それでこの勘案いたしました事項を第一号から第六号まで規定したわけでありますが、これは少くともこの條件は勘案しなければならないというわけでありまして、これ以外にむしろ必要があれば、その他の事情は勘案いたすことは差支えございません。一号から六号までに規定いたしてあります勘案事項は、このうちどれが特に重いということはございません。全体の総合的判断であります。一應順位としましては、成るべく重要性のあるものから先に規定したということはございますが、これも大体の順位でございまして、特に第一号に書いてある労働條件がどう、第二号がどうというような狭い意味ではございません。第一号で先ず労働條件、これは歩合の内容でございますとか、その他の給與状態がどうでありますとか、そういう労働條件を見るわけであります。勿論労働條件のよいものが悪いものに優先する。そういうことでございます。二番目は、これは成るべく地元の漁民を労働者として雇つてやれ、こういう意味でございます。勿論地元の漁民がいない場合は別でありますが、地元の漁民がいて、その定置網を欲しておるという場合は、よそから連れて來ることはしないで呉れ、地元の漁民に就業の機会を與えてやれ、こういう意味でございます。「当該漁業の操業により從前の生業を奪われる漁民」と申しまするのは、定置網を離れたがために、從前の商賣ができなくなつた、例えば現在の定置網の中には刺網を統合した定置網もございます。そういう場合に從前の刺網という生業を奪われた、こういう漁民を特に優先して使つてやれという意味でございます。三番目は、成るべく地元の資本を集めてやれ、よそから資本を成るべく入れるな、それから一人で資本を持たないで、成るべく地元の資本を集めてやれ、こういう趣旨でございます。二番目は労働者の就業の機会を規定したのに対しまして、これは地元民の資本参加ということを規定いたしたわけであります。四番目は、経営能力の問題であります。即ち第三項の経驗では、十年間の間一度でも経驗があればよろしいと言つて、経驗の程度は問題にしなかつたわけでございますが、この場合に経驗がどのくらいあつたか、それから資本金はどのくらいあるか、その外経営技術はどうであるとか、そういうことを総合的に見て経営能力を判断する、こういうことにいたしております。第五番目は、「経済が依存する程度」と申しますのは、つまりこういう意味でございます。定置網の外に例えば底曳網等をやつておる者は成るべく遠慮して、その定置をやらなかつた場合には商賣ができないという漁民に優先さしてやろうという趣旨でございます。これは特に経営を禁止するものでもなく、経営の合理化でもない、大体漁業権というものは数が限られておりますから、その数の限られたものの分配を公正にするという建前で、外に沢山漁業をやつておるものは成るべく遠慮して呉れという趣旨でございます。十三條の第一項の第三号に規定いたしました漁業権の不当な集中に至る虞がある場合には免許をしない、これと同じような考え方でございます。六番目は、漁場の総合利用を考える人間を成るべく免許しろ、こういう意味でございます。これは先程も協同組合の自営の場合に御説明申上げましたように、この法律の狙いは、漁場全体の総合的な生産力にあります。從つて定置を張りまして、他の漁場に影響がある場合に、自分は定置漁業権を持つておるけれども、外の漁場のために自分の漁業権の侵害になるから止めて呉れというような態度を取つて貰つては、漁場の総合利用はできない。その場合に自分は多少の損害があつても他の漁場を立ててやれ、こういうふうに協調的な態度に出まして、水面の綜合的利用ということを考える人間、こういう人間に成るべく免許をいたそう、こういう趣旨でございます。以上申上げました第一から第六に掲げました事項を綜合的に判断いたしまして、誰に免許をするかを決める、こういうことになつております。從つて事実問題といたしましては、一應優先順位を決めたものの、事実問題として第五項によりまして調整委員会の総合判断によつて決まつて來る、こういうことになるのじやないかと思つております。  第六項は生産組合に関する規定でございます。これは法文では生産組合という字句が出ておりませんが、内容的には協同組合法に規定してございます生産組合と殆んど同一でございます。それからこれは形式は生産組合でなくとも、事実上生産組合と同じ内容を持つておりまして、任意組合であつても差支えございません。第六項には、一應法人であつてどういう方法ということを規定してございますが、「法人以外の社團は、前十五項の規定の適用に関しては、法人とみなす。」こう規定いたしまして、法人でなくても差支えないことを明示いたしております。この生産組合の要件といたしましては、先ず第一番目に、漁業を営むものを主たる目的とする者、第二番目に如何なる生産組合であつてもいいというわけではなくて、生産組合の構成メンバーの過半数が経驗があることを必要といたしております。從つて今まで定置に全然関係のなかつた普通の人間が集まつて生産組合を作つたからといつて、生組合は作れますが、定置漁業の優先免許を許すということはいたしておりません。やはり経驗年数を重要視いたしておるわけでございます。三番目といたしまして、構成員の三分の二以上がその営む事業に從事する者であること、これは生産組合というものは資本も成るべく平等に出し合う、同樣に労働力も成るべく平等に出し合う、こういうわけでございます。つまり資本のみ投じて腕を組んで遊んでおるという人間は排除しようという意味で、構成員の三分の二以上はみずから働けということを規定したわけでございます。その営む事業と申しますのは、この生産組合は漁業以外の事業、例えば水産加工業でありますとか、そういうものを営んでおりますもので、そういうものに從事いたしても差支えございません。それから事業に從事する者でございますから、直接に沖に行くことは必要ではありません。陸にあつて資金の面倒を見る、或いは資材の購入に走り廻る、帳簿を付ける、事務に從事する、こういう場合も勿論差支えございません。常時と申しますのは、臨時ではいかん、つまり二、三回顏を出して、それで働いたというのでは駄目だという意味でございます。第四号はこの第三号と逆でございます。この漁業に常時從事するところの三分の二以上はその構成員であります。つまり組合員以外の者を労働者として雇うことは成るべくするな、こういう意味でございます。例を挙げて申しますと、百人でできる定置網がある、組合員は百三十人である、こういう場合には百三十人の三分の二、つまり八十七人以上はその定置に関係をしろ、それから逆に百人の三分の二以上、つまり、六十七人以上はその組合に参加しておれ、こういうわけでございます。それから五番目は生産組合の趣旨が、資本のみ出して腕を組んで遊んでおるという人間は成るべく排除する、こういう意味でございますために、構成員のうち、その営む事業に常時從事する者の出資する額がその出資額の過半数を占めておれ、半分以上を出資せしむるということを規定したものであります。それから六番目に一人の出資額を抑えております。これは資本の平等ということを期待いたしたわけで、資本の持主は全体の平均の二倍を超えてはならない、例えば五十人で生産組合を作りまして、出資額は全体で百万円である、こういう場合には一人で持ち得る限度は百万円を五十人で割りました二万円、これをオーバーしてはいかん、こういう意味でございます。同時に出資額の最高限度が決められておる、最高限度は二万円以内にする、或いは一万五千円以内にするということとを決められております。これが要件でございます。第七番目として、議決権は各自平等であるということが要件でございます、この場合に生産組合の要件は非常に嚴重に規定してありますので、これでは窮窟であるという危險でございますが、併し優先的に免許するという場合には、このくらい嚴重にしなければならないと、こう思つております。若しもこの基準を外れまして、從來これも要件がルーズであるという場合に絶対的な優先はいたしませんが、先程御説明いたしました勘案條件を見ますと、大体生産組合は勘案條件を最もよく満たすものでございます。それでたとえこの基準から若干外れましても、事実問題といたしましては、勘案條件によりまして優先するのではないか、こう思つております。それから生産組合は幾つでもできる可能性がありますために、第七項は、生産組合の優先権を規定したわけであります。考え方は第二項の場合と同樣でございます。それから第八項におきまして、この生産組合優先の規定を北海道において適用いたさなかつた理由といたしましては、先ず、この生産組合必ずしも立法当局の狙つておりますように、理想的な生産組合ができるとは限りません。一應これは形だけの要件を決めておりますから、形だけこれに合せることは容易でございます。例えば如何に出資額を抑えましても、組合に金を貸付けて出資を平等にさせるということもできるわけでございます。現にそういう例もできております。今度は生産組合であれば優先的に免許を貰えるというので、脱法的に形だけ合わして生産組合を作るという傾向が相当ございます。特に北海道におきましては、從來の定置の経営者を差置きまして、或いは問屋でありますとか、或いは加工業者でありますとか、こういう連中が地元の漁民に資金を與えて、又まがいものの形だけの生産組合を作る。そうして免許を貰う。そうして從來の善良な経営者が排除されるという傾向が見えますために、北海道ではこの規定を適用しなかつたわけであります。勿論内地におきましても、そういうふうな傾向はございますが、ただ内地と北海道では違います点は、北海道におきましては、そもそも地元の漁民で定量に雇われる漁漁労働者というものは数が少うございます。「にしん」の例をとりますと、大体過半数というものは内地から來ておる。それから道内から來ておる人間でも地元地区外から出ておる。地元で雇われる者は少い。地元でありますならば、刺網に從事する、こういう意味で地元の労働者が少い、こういう相違がございます。こういうふうに特に脱法的に使われる危險が大であるということと、それから北海道の地元の労働者という観念が殆んでない。これを北海道の特例で排除したわけであります。勿論北海道におきましても、理想的な生産組合ができれば結構でありまして、これは北海道では生産組合はいけないというのではありません。北海道でも部分的には生産組合としてふさわしいものがございます。例えば現在漁田開発をやつておりますが、そういう地区におきましては、理想的な生産組合ができれば、成るべくこれを免許いたしたい。こう思つております。例えば法律におきまして、優先的の免許にしなくても、勘案條件を判断いたしまして、北海道でも生産組合は事実問題として優先的に免許され得るわけであります。第九項が第一順位といたしました協同組合自営又は協同組合自営に準ずるような專門的な漁民経営、これを規定したわけでございます。これに照應いたしまして、協同組合に自営の條件を緩和いたしております。協同組合員自営の要件は、現在水産業協同組合法の第十七條第一項に規定してあります。ここでは出資額の制限でありますとか、或いは三分の二以上が直接自営する事業に從事しなければならんとか、いろいろ細かな要件を決めておりますが、こういう要件を止めて、協同組合の意思決定に重点を置きまして、組合員の三分の二以上が自営をしよう、こういう氣持になつたならば、自営してもよろしいというように、要件を勘案して、形式的な要件よりも組合員の意思ということに重点を置いたわけであります。これは法文で申しますと、漁業法施行法の第二十條でございます。これと関連いたしますから、一應読みますと、  第二十條、「水産業協同組合法の一部を次のように改正する。  第十七條第一項を次のように改める。  第十九條第一項の規定により組合員に出資させ、且つその営む漁業又はこれに附帶する事業に常時從事する者の三分の二以上が組合員又は組合員と世帶を同じくする者である組合は、第十一條に規定する事業の外、漁業及びこれに附帶する事業を営むことができる。  第十七條第一項の次に次の一項を加え、第二項を第三項とし、同項中「前項」を「前二項」に、「同項」を「第一項」に改める。  2 前項の規定により漁業協同組合が漁業を営むには、組合員の三分の二以上の書面による同意を必要とする。」  つまり今度の新らしい協同組合自営の要件としましては三つあるわけであります。一つは、出資組合であるということ、それからもう一つは自営事業、それに常時從事する者の三分の二以上が組合員又は組合員と世帶を同じくする者であるということ、つまり組合員外からは労働者は成るべく雇はない、こういう意味でございます。生産組合の要件でありまする第六項の第四号と同じ趣旨でございます。この場合に組合員だけに限定しませんで、組合員の家族であつても差支えないことにいたしております。それともう一つの三番目の要件としまして、組合員の三分の二以上の書面による同意、これが要件でございます。これは必ずしも総会の議決ということは必要はございませんが、三分の二以上が書面で同意をする、從つて組合員の意思決定中、最も重い要件でございます例えば組合員の特別決議でございましても、出席者の三分の二で決める、こうなつておりますが、出席しない場合には代理議決を認めるわけでありますから、代理議決を含めますと、六分の一の出席率で特別決議は決まる、こうなりますが、この場合は三分の二が書面で同意をして、非常に重要な嚴重な要件にいたしております。この三つの要件が協同組合自営の要件でございますが、この場合に更に自営として第一順位とします場合には、その組合員のうち、漁民である者の地元に住所を有する漁民世帶の数の七割以上であるという、これが要件でございます。つまり原則として関係漁民を全部網羅しろ、こういうわけでございます。この場合に七割といたしましたのは、成るべく全部を含めたいわけでございますが、中には定置は危いから自分は入りたくない、こういう人間もございます。そういう者を無理に含めるというは妥当でございませんので、一應七割としたわけで、これは大体各地の現在自営しておりまする現状を調査いたしまして、その数と合したわけでございます。一應七割としましたために、その七割だけで作つてしまつて、残りの三割を排除して故意に作るということが予想されますので、そのために第十一項におきまして、故意に排除された漁民が、自分も協同組合自営の仲間に入れて呉れと申出でた場合には拒めないということにいたしております。これは現在各地の大網組合の例を見ますと、極めて封鎖的でありまして、或いは先祖代々そこに住んでおる人間でなければその仲間に入れない、或いはよそ者は仲間に入れないというふうな、極めて封建的な封鎖的な例がございます。こういう例は排除しなければならん、苟くも関係漁民であれば誰でも入りたいと言えば入り得るというふうに、第十一項でいたしたわけでございます。この四つの要件を満しまする協同組合であれば、外の形式要件、例えば出資がどうこうであるとか、そういうことは問題にいたしません。そういう出資の問題であるというような問題は、組合の内部問題として、組合員の力関係で決めて貰うと、こういうふうに期待いたしております。それから形は協同組合自営でなくても、実質上これと同様な全村的な漁民経営、これにつきましては第九項第一号、第二号、第三号におきまして要件を規定してございます。この要件は大体協同組合自営の場合と同じでございます。以上が要件順位の大体でございますが、これに対しまして極めて特例といたしまして、第十項で孤立部落におきまするいわゆる村張組合、この経営を第一順位とするということを規定いたしております。これは極めて特例でありまして、決してこの形がいいというわけじやございません、これは一つの要件といたしまして、地元地区の属する市町村、又は市町村内の漁民の部落が孤立しておるということ、つまり孤立部落であるということ、それからもう一つは、その区域内の住民がその定置網に高徳に依存しておるという場合、この二つの要件のあります地区にありましては、いわゆる村張組合を第一順位とする、こういうことをいたしております。これと協同組合の自営との相違は、組合自営の場合におきましては、漁民でなければ参加できないわけであります。これに対してこういう地区では、漁民でなくても、住民であれば構わない、この点が違うわけでございます。これは非漁民を組合から排除する、或いはその漁場の管理は漁民だけで決めると、こういう思想に対しましては、ちよと奇異な感じがいたすかも知れませんが、これは、こういう孤立部落におきましては、大体漁業と他の産業とが分化いたしおりません。つまりこれは漁民である、これは農民である、これは坊さんであるというふうにはつきり分れておりません。そのために漁民でも差支えない、苟くも住民であればよろしいというふうにいたしたわけであります。この具体例としましては、京都あたりの例に多うございます。一部落で戸数も僅か二十戸でありますとか、三十戸でありますとか、非常に数も少い、陸上交通も殆んどなく、大体海上交通である、その定置が大体その收入の大部分を占めておると、こういう地域が京都府でありますとか、或いは三重縣でありますとかに、そういうものがあるわけであります。まあそういう地域を限定して考えております。これを利用しまして非漁民が定置の経営に参加しようということは、嚴に排除いたしたいと、こう思つております。この孤立という字句が非常に曖昧でありますために、具体的にどの程度かと言つて、いろいろ疑問があるわけでございますが、考としては成るべく孤立部落というのは狹く解釈したい、こう考えております。この孤立部落の村張組合、この要件としましては、一号から四号まで、四つの要件を規定してございますが、先ず第一に地区内の住民の七割以上が入つておる、前の組合自営の場合では、漁民の七割でございましたが、ここでは住民の七割でございます。それから住民の中にも漁民である者と漁民でないものとがございますために、構成員のうち漁民の数が地区内の漁民の数の八割以上であるということ、而も構成員の七割以上であるということ、これを二番目の要件といたしております。  三番目、四番目の要件は、協合組合の自営の場合と同じであります。つまり要約しますれば、村張組合と協同組合自営との相違は、非漁民でも入れる、非漁民でも入れると申しますと語弊がありますが、漁民という点に重点があるのでなく、住民というところに重点があるのだ、こういうふうに理解して頂きたいと思います。第十一項から第十六項までは非常に技術的な規定でございます。從つて非常に分りにくいかと思いますが、十一項は先程御説明いたしましたように、組合自営或いは村張要件を七割以上としますために、故意に排除されたのはこれを救済する規定であります。  第十二項は、共同申請の場合に優先順位をどう見るか、こういう規定であります。例えば三人で出願した、こういう場合にそのうち二人は漁民、一人は非漁民である、こういう場合には一体協同申請は漁民と見るか、非漁民と見るか、これを決めたわけであります。その場合の決め方としまして、三人のうち漁民である者の議決権と出資額を合計しまして、それと非漁民である者の議決権と出資額を合計しまして、両者を比べましてその多い方をとるというのであります。非常に細かな規定でありますが、例えば七人出願しておる、このうち漁民が四人、非漁民が三人である、漁民の議決権と出資額の合計が非漁民の議決権と出資額の合計より多かつた場合には、七人の申請体はこれを漁民と見て第一順位と見る、こういう意味であります。非常に念の入つた規定であります。こういう場合に対であつた。つまり八人出願してどちらも四人、四人であつた場合には、順位の悪い方をとる、こういうふうにいたしております。これが第十二項の内容であります。  第十三項は、大体考え方は第十二項と同じでありますが、協同組合自営を一番にしたわけでありますが、この場合に協同組合と他の個人経営者とが協同して出願した、この場合には一体組合自営だから一番だと見るのか、それとも個人経営が加わつているから第三番目に見るかということでありますが、この場合も第十二項と同様に、組合の議決権と出資額、これと個人経営者の議決権と出資額と比べまして多い方で決める、協同組合の方の議決権と出資額が多かつたら組合と見る、個人が多かつたら個人経営と見る、こういう規定であります。  それから第十四項、これも非常に細かな規定でありますが、これは法人の優先順位を規定いたしたわけでありますが、例えばAという会社が出願した、こういう場合、その会社自体は新らしく作つた会社であつて漁業の経驗はない、そういう場合には、その会社は優先順位では落ちるわけであります。併しながらその株主に当つて見ますと、いずれも漁業をやつていた漁民であつた、こういう場合には、その会社を漁民と見て優先させようと、こういう意味でございます。つまり法人自体の優先順位が落ちる場合は、法人をばらして組合員の資格で判断しようというのであります。非常に念のいつた規定でございます。  第十五項は、これも非常に念が入つておるのでありますが、優先順位の第二項におきましては三つのグループがございます。一つは同種の漁業に経驗ある者、沿岸漁業の経驗のある者、それ以外の者と三つのグループがございます。從つてこの場合、例えば十人出願して、そのうち四人は第二項の第一号の同種の漁業に経驗のある者、三人は沿岸漁業に経驗のある者、あと三人は遠洋漁業に経驗のある者であつた、こういう場合に、この四人、三人、三人はいずれも過半数でないわけでありますから、從つて先ずこれは第一項順位ではない、併しながら第二項の一号と二号を通算しまして、この四人は同種の漁業に経驗あるのだから、当然沿岸漁業の経驗もあるわけであります。從つて四人と三人、三人と合計いたしまして、この十人の協同申請体は第二項の二号に該当するのだ、こういう意味でございます。  第十六項は、先程も申しましたが、法人でなくても、つまり現在でございます大網組合であります。そういう任意組合は法人でございませんので、この優先順位の判断におきましては、法人と同様に見て行こう。こういう規定でございます。

矢野酉雄緑風会

○矢野酉雄君 昨日会議を終りましたので、今日は僕のようなこんな疲労を感じないものが、初めて疲労を感じたのですが、一度に多く審議を進めないで、ところどころ区切りを付けて進めて頂きたいと思います。それから非常に説明者の事務官の方が草案の立法に非常に通達しておられて、大変詳細な御説明ができておりますが、これは委員長において速記を分割的に付けないで、纏めて成るべく早く速記を作り上げて行くように、その責任者と懇ろに折衝されて、現地視察の場合には速記のでき上つた有力な資料を持つて、その計画と現地の声と睨合せて更に檢討するというふうに私共はしたいと思うので、是非速記部の方との連絡を今のうちからお取り願いたいと思います。

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) お答えします。漁業法案の審議に対しては今まで速記がなくては進めておりません。これは当初から詳細な説明を聞いて、質問應答等も速記を付けて、その速記のでき上つたのをなるべく携帶して地方に行きたいと思い。審議をこの三日間に完了いたしたいと思つてやつております。大体十四條、十五條、十六條あたりが一番面倒な條文でございますから、ここで十分納得の行くように御質問を願いたいと思います。

江熊哲翁緑風会

○江熊哲翁君 今の御説明、大変頭がいい方だと私は感心して聞いたのですが、いろいろ苦心されたということもよく分るのですが、この十六條は御承知のように非常に重要な問題で、恐らく今後の問題についての大部分は、当初においては、この適用の問題によつて起るのではないかと予想されるわけでございますが、それで私ちよつとお尋ねして見たいのは、これを何か、この一教の何と言いますか、一覧表見たいなものに作つて、丁度御承知の植物の檢索表ですね、ああいつた式で、これはこう引く、又これはこう引くとか、何か番号で、どんどんうまく索引ができて、これはその勉強するまでの過程に必要なもので、分つてしまえば実に関單なものになるだろうと思うのですが、紙を引繰り返して見るよりは、何か一枚のものになつていると、この調査するときに、いろいろ質問でもぽんと受けたときに見て答えるというような場合にも必要ではないかという氣もするのですが、そういうようなことができますかどうか、それを一つ……。それから今矢野議員の言われた委員長に対する希望で、これは全部の速記をお貰いできないだろうか、できれば結構ですが、このここらあたりのことと、それから前の第何條ですか、漁業権の定義のところですね、漁業権の種類などいろいろ書いてある。それとその漁業の種類というものの対照表なども作つて頂きたいということをお願いしてありましたのですが、こういうような重要なところだけを私はピックアップして、参考資料として早急に我々の手許にお届けして頂ければ、今度の調査の非常に役に立つと思うわけであります。恐らくこの條文と、それからもう少し先にある調整委員会関係の問題は、非常に必要ではないかと、こう思います。外の方の問題は、大体從來の行き方によつているわけですから、一應ここらあたりの御説明を詳しく願うということが一番必要であると同時に、資料の整備をそういうふうにして頂けるならば大変結構だと思います。話が横道にそれましたのですが、これだけの沢山の條文、十六條ですね、これを何か一覧表的なものに御処理できるようなお見込はありませんか。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) お答えいたします。先ずおつしやいますように、この十六條は非常に長くて難解ですが、実はこれを一覧表にしようと思いまして、法律自体一覧表にしようと思つて、法制局に相談したわけでございますが、表にしてもやはり同じようだということで止めたわけでございます。これは一應立法当時に考えまして、表も一應作つて見まして、法制局と相談したものでございますが、やはり無理だということになつたのでございます。もう一つこの法文の分りにくい理由は、実はこれはいろいろ事情がございまして、素直に書いておりません。例えば普通でありますと、第一順位を一番初めに書き、第二順位はその次に書き、第三順位はその次に書くという、これが普通でございます。ところがこれはそうではなくて、第三順位を一番先に書きまして、生産組合は例外的に優先する、協同組合は更に優先する、村張組合は更に更に例外的に優先すると、こういうふうに非常に逆に、裏の書き方をしているため分りにくい点もあるかと思います。

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) ちよつと私から質問しますが、第十六條の一項から五項までは、大体個人免許、それから第六項は生産組合、それから第九項は漁業協同組合の自営の條項、第十項は村張組合というようになつているようですが、生産組合は、先には第二順位とありましたが、ここでは生産組合は第一順位となつておりますのは、どういうわけですか。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) お答えいたします。法文では生産組合は第二順位であります。と申しますのは、第六項では、一應「前五項の規定にかかわらず、第一順位とする。」と書いてございますが、第九項におきまして、協同組合自営は「前八項の規定にかかわらず、第一順位とする。」こうなつておりますために、協同組合自営が出願しなければ生産組合は第一番目でございますが、更に協同組合が出願した場合には組合が第一順位、こういうわけでございます。

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) それから村張組合があるのでありますが、例えば白浜とか何とかの「てんぐさ」ですね、これは今まで村が專用漁業権を持つておつたが、こういうものについては、やはり第一順位、村張組合と同樣ですか、どうですか。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) お答えいたします。この第十六條の第十項は、定置についての優先順位でございますが、この外に從來の專用漁業権、今度の共同漁業権、これを市町村が持つておる、そうして村民全体が利用しておる。例えば伊豆の白浜でありますとか、稻取でありますとか、そういう例がございます。これにつきましては、本來ならば、共同漁業権は協同組合にしか免許しないわけでありますが、特にこれらの市町村には協同組合と並んで免許をするという適格性は持たしております。併しながら優先漁業におきましては、若しも漁民が協同組合を作つて出頭した場合にはその方が優先するというふうにいたしまして、定置の場合とは違えております。適格性はあるが、優先順位は落ちるというふうにいたしております。

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) 第十四項の法人というのは会社ですか。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) お答えいたします。この法人は大体は会社でございます。勿論理窟から申しますと、その外にも協同組合とか我いは村とかもあります。併し実際問題は九割九分まで会社でございます。

江熊哲翁緑風会

○江熊哲翁君 この十六の法人以外の社團というものは、現在会國にどういう形態のものがございまするか、いろいろあると思いますが、御存じの種類を一應伺いたいと思います。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) 法人以外の社團と申しますと、実体的には相的多数の人間が共同経営しまして、社團として統一性を持つておるものを言うわけであります、單に二人とか、三人の共同経営は統一的な社團とは見られませんから、こういうものは考えておりません。從つてそういう多数の人間の統一の集合体の中に法人格を持つたものと、法人格を持たないものとありますが、この中には法人格を持たないものの実際の例としましては、例で申しますと、靜岡縣の伊東で協同組合と同じ構成員であつて、別に大網組合を作つて定置を経営いたしております。つまり協同組合自営が法律上いろいろ制限がありますために、ただ看板だけを別にして任意組合を作つて経営しておる。こういうものを大体は予想しておるわけでございます。この外にも十人ばかりで集まりまして、網組を作つておる場合もございます。これも一応は法人以外の社團に含まれるわけでございますが、但しこれは関係漁業全部網羅しておりませんから、優先順位では落ちるわけでございます。形としましては、從つて今申しましたように、漁業会乃至協同組合と全く実体の同じである大網組合と、経営者が数十人集まつて作つておる網組と両方ございます。

矢野酉雄緑風会

○矢野酉雄君 白浜村のように、村全体が「てんぐさ」を、結局漁業権において採取しておるわけですね。然るにその適格性は認めながら、若しも漁民達が質同組合を設けて、そうして漁業権を申請する場合には、そちらが優先して、結局許可を與える。そういうようなことになると、いわゆる平地に波乱を起し、非常な迷惑を生ずるというような危險性はないですか。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) お答えいたします。只今例に挙げられました伊豆の白浜は、私現地を見ておりませんので、実際についてはどうこうということはお答えできませんが、全般的に現在専用漁業権を持つておる市町村は四十近くございます。これにつきまして若しも協同組合を作つて、漁民が出願したら漁民が優先する、從つて村は動搖するということはございますが、大体現在市町村が持つておるものは、全部が全部よいとは決して言えないと思います。例えば銚子の市が持つております。これにつきましては明らかに実際に漁業権を持ちましてこれを入札にしております。こういうものは漁業権の使い方としてはおかしい、やはり協同組合に持たして組合にやらせるべきものである、こう考えております。從つて一應は適格性は與えたが優先順位は一應別問題だ、而もそれについてはなぜ漁民を優先させたかと申しますと、村が持つておる場合に、村民全体が参加する。漁民だけではない。こういう地域もあるわけでございます。そういう地域につきまして、結果といたしましては漁民だけに限定しないで村に持たしたいわけでございますが、それを一々判断するわけに行かなくて、若しそういう地域であれば、これは漁民を村民が納得させ得るであろう、こう前提したわけであります。一般的に申しますと、むしろ漁民が食われておる例が多うございます。これは定置でございますが、三重郡の九鬼村或いは三重村等におきましては、大体定置の收入は大部分村に寄付しておるという形で、むしろ漁民が食われておる。從つて漁民が欲すれば漁民に行くという建前にした方がよくスムースになるのではないかと考えております。

尾形六郎兵衞民主党

○尾形六郎兵衞君 今の松元事務官の御説明によりますと、第一審の第一順位というものが最後に書かれております。それから第二の協同組合、その次にそれから水産組合というように逆々になつておるのでありますが、これは非常に分りずらい、どんな事情でこういうように分りずらく書くようになつたのか、この機会に速記があつては何なら、速記を止めて貰つてもいいのですが、話して貰えれば幸いです。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) 速記を止めて頂きたいと思いますが。

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて。外にありませんか。

西山龜七民主自由党

○西山龜七君 この第十六條は相当に御研究の結果こういうふうになつたと思いますが、この各條項に当て嵌めましたならば、競願というようなことになつて、いずれにこれを許可するか、免許するかというようなことがないのでしようか。若しそれがありといたしますならば、最後の決定はやはりこの調整委員会の三分の二において決定するものでありますか。その点をお聽きしたい。もう一つは、この申請の日時にちつとも順位がないのでしようか。申請は早いものがそれを貰うとか、そういうことはないのでしようか。この二つをお聞きしたい。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) お答えいたします。先ず第一点の同一順位のものが競合する場合がないかという御質問でありますが、これは実際問題としては第一順位のものが殆んどであろう、競合は原則である、こう考えております。その場合の判断は第五項によりまして、第一号から第六号までに決めました事項を調整委員会で総合的に判断して決める。その場合には三分の二でなくて普通の会議の原則通り過半数で決めるわけでございます。これは適格性の場合には、その権利をそもそもやらないという決定的な適格要件でございますから、特に三分の二というふうな強い要件にしたわけでございますが、これはAをとるか、Bをとるかという判断でございますから、普通に過半数にしたわけでございます。それらか第二点の申請の日時、早く出願した者が遅く出願した者に優先するかどうかという申請の前後でございますが、これは今度の法案におきましては第十一條によりまして、予めこの漁業権の免許を欲しいものはいつまでに言つて來いという申請期間を設けております。從つてその期間内に言つて來たものについて、ここに決定しました事項から判断して誰に免許するかを決めるわけであります。從つて早く出願したからどうのこうのということはありません。

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) 十四條の質問がありましたら、これだけ済ましたいと思います。

江熊哲翁緑風会

○江熊哲翁君 今の御説明のうちの第十一條のこの期間というのを定めるから、そういつた時間的な問題は起らないと言われているようなんですが、そこのところがちよつと分りにくいのでありますが、それはどういうふうになるのですか。全部今後長い間の期間がそういうふうなことで一遍に決定されると、そういう意味なんですか、ちよつとそこらが分らないのです。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) お答えいたします。これは第十一條の内容になりますが、これはもう少し具体的に御説明いたします。從來の免許の場合には、この第十一條のようなことはなくて、申請者がばらばらに、自分にはこういう免許をして呉れと言つて、てんでんばらばらに出願をいたしたわけであります。從つて漁場の利用方法は非常に無秩序になつたという弊害に鑑みまして、今回は予め漁場計画を定める、この場所にはこういうふうに定置を置くとか、こういうふうに予め漁場計画を決めるわけでありますが、決めた漁業権につきましては、この免許を欲しい者は何月何日までは免許を申請しろというふうに決めるわけであります。予め漁業権の内容を全部決めてしまうわけであります。その免許は欲しい者はいつまでに言つて來いと、こういうふうに申請期間を決める。從つて希望者はいずれも申請期間内に申し出ろ、申し出た者を全部頭を揃えまして、適格者、優先順位を判断する。こういう段取りになるわけであります。

江熊哲翁緑風会

○江熊哲翁君 ちよつとまだ分らないのでありますが、それはすべての漁業の計画というものは、漁業調整委員会の意見を聽いて、そういうものを知事が決めるわけなんでありますね。そうしてその計画の有効期間というものは、一体どういうふうになるのですか、そこらのところがちよつと分らないのです。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) お答えいたします。漁場計画を決めましたならば、変更しない限り永久に続くわけであります。従つて必要がある場合には、一旦決めましても、第二項で変更し得るようになつております。併しながらこの変更も、免許してしまつたあとに、免許を受けた人間を侵害するような変更はできないわけであります。從つて一旦第一項で免許の内容を決めていろいろ公示をする、若しそれに対していろいろ異議がありまして変えたいという場合には、免許をする場合に変えてしまう。それで皆が納得しまして免許を受けた後においては動かさない。ただ免許になかつた新らしい漁場を出願したという場合には、それについて前の漁場計画を変更する、こういうことになつて來るわけであります。

江熊哲翁緑風会

○江熊哲翁君 そうすると、都道府縣知事がそういう計画を第十二條によつて作つて、それをどういう方法を以て一般に周知せしめるのか分りませんが、どういう方法によつて新聞とか或いは縣公報とか、そういう形式によつて公告する、そこらあたりの事務的の取扱などは、今この規定だけでは分らないわけですが、いずれ先へ出て來るのでしようが、そういうところは別に心配せんでもいいのでありましようか、今のところは……

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) お答えいたします。これは第三項の公示にどうやるかという内容でありますが、これは縣公報とか新聞とか、その他縣の水産課の前にビラを貼るとか、とにかくみんなが知り得る状態に具体的にしたいと思つております。別にどういうふうな公示の仕方をしろということは決めておりません。(矢野酉雄君「縣知事の任意だな」と述ぶ)そういうわけでございます。

尾形六郎兵衞民主党

○尾形六郎兵衞君 さつきの免許の優先順位でありますが、市町村でも、協同組合でも、先産組合でも、自営でなければ優先順位というものはないわけですね。若し協同組合で優先順位を取つていても、他人に貸したりする場合はその資格を失うというわけになりますね。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) お答えいたします。御説の通りであります。それは免許法規としましては、第三十條におきまして、漁業権は貸付けることができないとなつておりますために、協同組合でも自営しなければ、免許は受けられないわけであります。

西山龜七民主自由党

○西山龜七君 その協同組合が協同組合から脱退するというようなことは、それは自由ですか。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) それは組合法に規定がありまして、自由でございます。

尾形六郎兵衞民主党

○尾形六郎兵衞君 今の話、もう少しお聽きしたてのですが、協同組合が免許を受けた後で他人に貸したりした場合には、取消になるわけですか。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) そうでございます。取消規定がございます。

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) 十四條に対して他に質問がなければ、午後一時半まで休憩いたします。    午後零時八分休憩    —————・—————    午後二時二十一分開会

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) 只今から再開いたします。休憩前に引続いて漁業法案を審議します。第十七條の説明を願います。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) 先ず読上げます。   (区画漁業の免許の優先順位)  第十七條 区画漁業(ひび建養殖業、かき養殖業、眞殊養殖業、内水面における漁類殖業及び第三種区画漁業たる貝類養殖業を除く。)の免許の優先順位は、左の順序による。   一 漁業者又は漁業從業者   二 前号に掲げる者以外の者  2 前項の規定により同順位である者相互間の優先順位は、左の順序による   一 漁民   二 前号に掲げる者以外の者  3 前二項の規定により同順位である者相互間の優先順は、左の順序による。   一 地元地区の住所を有する者   二 前号に掲げる者以外の者  4 前三項の規定により同順位である者相互間の優先順位は、左の順序による。   一 その申請に係る漁業と同種の漁業に経驗がある者   二 沿岸漁業であつて前号に掲げる漁業以外のものに経驗がある者   三 前二号に掲げる者以外の者  5 前四項の規定により同順位である者相互間の優先順位は、左の順序による。   一 当該海区において経驗がある者   二 前号に掲げる者以外の者  6 前五項の規定により同順位の者がある場合においては、都道府縣知事は、免許をするには、その申請に係る漁業について左の事項を勘案しなければならない。   一 当該漁業にその者の生計が依存する程度   二 労働條件   三 地元地区内に住所を有する漁民を使用する程度   四 地元地区内に住所を有する漁民が当該漁業の経営に参加する程度   五 当該漁業についての経驗の程度、資本その他経営能力   六 当該漁業の漁場の属する水面において操業する他の漁業との協調その他当該水面の総合的利用に関する配慮の程度  7 前六項の規定の適用に関しては前條第十二項及び第十四項から第十六項までの規定を準用する。  8 法人が地元地区内に住所を有する場合であつても、その構成員のうち地元地区丙に住所を有する者が議決権及び出資額において過半を占めていない場合は、第三項の規定の適用に関しては、その法人は、地元地区に住所を有しないものとみなす。  第十七條から第十八條までが区画漁業の免許の優先順位を規定いたしたものであります。そのうち第十七條は、一般の区画漁業の免許の優先順位であります。括弧いたしましてひび建養殖業、かき養殖業、眞殊養殖業、内水面における漁業養殖業、それから第三種区画漁業たる貝類養殖業を除きましたのは、これは一應見地が別でございますので、別の優先順位を規定いたしております。尤もこの括弧内の漁業を除きますと、残りまする区画漁業と申しますのはそう大してはございません。漁業名称ではいろいろこまかなものが載つておりますが、実際に括弧内の区画漁業以外の区画漁業と申しますれば、事実問題としては海面における魚類養殖業、えび類養殖業、スッポン類養殖業、大体これくらいのものであろうかと思つております。その外海藻類養殖業とかいろいろございますが、実際は殆んど操業いたしてありません。從つて事実問題といたしましては、第十七條はそれ程の意味はございません。それでこれに該当いたします主要なものは海面における魚類養殖業でございますから、これを念頭に置いてお読みになつて頂きたいと思います。この優先順位は大体におきまして定置漁業の優先順位と考え方を一にしております。併し根本的に違いまする点は、定置の優先順位のように協同組合自営が一番、生産組合が二番である、ああいう特別な優先順位の規定を設けておりません。定置の場合におきまして第三順位でありました個人会社の経営、これだけの優先順位しか規定いたしておりません。從つて考え方としましては、特にこれは協同組合なり、或いは、生産組合なりでやらせるまでもない、勿論そういう組合でもつて自営するとか、生産組合で経営するとなれば非常に結構でございますが、取立ててそれをわざわざ別扱にして、優先させるまでのこともないと思つておるわけでございます。この点が定置漁業権との相違の第一点でございます。第二点といたしまして定置漁業の優先順位の第一項から第五項までに規定いたしました優先順位の項目の外に、第二項第三項の二つの優先順位の項目を加えております。從つてこの点について御説明いたします。  第二項は漁民は漁民でない者に優先する、こういうわけでございます。漁業者又は漁業從事者と申しますと、会社も含むわけであります。それが漁民ということになりますとそのうちの個人だけに限定されます。つまり漁業者又は漁業從業者たる個人、これが漁民であります。從つて言えば個人経営の方は会社経営より優先する、こういうわけでございます。これは大体これらの漁業は家族経営を営みます小漁業でございますし、地元の漁民が大体家族で経営いたしております。こういう実態でございますから、会社経営は殆んどない。それで個人に優先さしたわけであります。第一項で漁業者又は漁業從事者と規定し、第二項で漁民と規定してちよつとお分りにくいかと思いますが、これは只今御説明いたしましたように、漁民というのはこのうち個人に限るのだという意味でございます。  それから優先順位から申しますと、会社が一應個人より落ちるわけでございますが、会社の中にもいわゆる漁民会社につまり日本水産とか林兼、こういつた普通の会社と違いまして、漁民が集まつて会社形態を作つた、実体は漁民経営と同じである、こういう会社もございます。只今は税金の関係、金融の関係等によりまして、なるべく会社経営に直すという方向が見られるわけでありまして、こういう会社経営は実態は個人経営と同じでありまするから、会社経営であつても個人と同樣に優先するわけであります。これは條文といたしましては、第七項におきまして第十六條の第十四項を準用いたしております。そうしてこの十四項と申しますのは、先程御説明いたしましたが、法人が法人自体としては優先順位が落ちる場合であつても、その法人をばらして見ると構成員の過半数が優先する方に該当すれば、法人自体も優先する方に該当するように見る、こういう規定でございます。從つて漁民会社の場合は、会社自体としては第二項の漁民に該当しないわけでありますが、その構成員にばらして見ますと漁民が過半数を占めておりますから、第二項第一号の漁民というのに該当する、從つて優先する、こういうわけでございます。これはちよつとお分りにくいかと思いますので、お手許にプリントで配布してございます。  それかに次にこの外に住所を優先順位の決定項目に加えております。つまり地元地区内に住所を有しておる者はよその者よりも優先するのだ、こういうことでございます。これは大体家族経営のような経営でございまして、地元に密接に関連しておつて、よそから特に資本を入れる必要がないので、地元に住所のある者が優先するのだ、こういうことにいたしたわけでございます。第一項から第五項までに規定いたしてあります優先順位は、第一項で以て二つに分けて、その内訳を第二項においてし、更にその内訳を第三項でする。そういうことになつておりますから、だんだん細分されるわけでございます。それから第一項から第五項までの規定につきまして、同順位の者があつた場合には、第六項で第一号から第六号までに規定する事項を、総合的に勘案して、総合判断して決めるというわけでございます。そうしてこの勘案事項の内容は、殆んど定置漁業の場合と同一でございます。ただこの漁業が家族経営を主体とするような小規模漁業である。こういう点から若干字句を変えた程度で、内容的には相違いたしておりません。多少字句の配列を変えております。例えば定置の場合には勘案項目の一番初めに、労働條件ということを持つて來ておりますが、この漁業では大して労働者を雇わないというので、労働條件は順位を下げておる。一番初めに「当該漁業にその者の生計が依存する程度」ということを規定しております。これは第十六條の第五項では第五号で「当該漁業にその者の経済が依存する程度」こう規定したわけでございますが、大体この考え方は、これと同じでございますが、ただ定置の場合には相当経営規模も大きうございますし、從つて経済という言葉を使つたわけでありますが、この場合にはその区画漁業の免許を受ける、これは飯が食えるかどうかという直接生計に響く問題ですから、生計というふうに書いたわけであります。その他は殆んで大同小異でございます。それから第八項は、先程第三項で地元地区内に住所のある者が、優先するということを申しましたが、この住所というものは、法人の場合には主たる事務所で見るわけであります。從つて若しもその法人がその地区内に主たる事務所を持つておれば、その株主がどこに住んでおろうと優先するわけでありますが、これは実際上おかしうございます。住所のある者を優先さした理由は、関係者が地元に住んでおる、こういう意味でございますから、法人の場合は主たる事務所が地元地区内にあつて、構成員が地元地区内に住所を持つていない場合には、地元地区内に住所を有しないものと見る。つまり順位を下げる、こういう意味でございます。從つてこの第十七條に規定してある区画漁業の免許の優先順位は、要約いたしますと、地元に住んでおる漁民、零細な漁民が優先的に免許を受けるのだ、こういうことでございます。説明を終ります。

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) 続いて第十八條、十九條までやつてから質問に移りましよう。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) 第十八條、十九條も同様区画漁業の優先順位でありますから一緒に御説明申上げます。  第十八條 ひび建養殖業、かき養殖業、内水面における魚類養殖業又は第三種区画漁業たる貝類養殖業を内容とする区画漁業の免許の優先順位は、第十四條第二項の規定により適格性を有する者を第一順位とする。  2 前項に規定する者が申請しない場合においては、前條並びに第十六條第六項、第七項、第九項、第十一項及び第十三項の規定を準用用する。この場合において、第十六條第六項「前五項」とあるのは「第十八條第二項において準用する第十七條」と、同條第九項中「前八項」とあるのは「第十八條第二項において準用する第十七條及び第十六條第六項、第七項」と読み替えるものとする。  区画漁業の中で一番重要なのは、ひび建養殖業、かき養殖業、内水面における魚類養殖業、第三種区画漁業たる貝類養殖業、この四つでございます。事実問題として区画漁業の中で大体この四つの生産高が、まあ大部分を占めておると申してもよかろうかと思つております。この四つの漁業については、協同組合が自営しなくても、適格性があるということは、第十四條で御説明申したわけでありますが、そういう適格性を持つておる組合が優先的に免許せられるわけであります。從つてこれらの漁業については、共同漁業と同じように、協同組合に漁業権を持たせる。そうして組合の定款で漁業権の行使を決めて、漁場を使わせる。こういうことになります。例えばひび建養殖業に例を取つて申せば、海苔の養殖業の場合にあつては、漁場を組合で持つておつて、その漁場を細かく分けて、誰に使わすか、毎年々々輪番制とか、抽籤とか、或いは家族の状況、経営の状況等を考えて、合理的に漁場を使わすようにいたしております。そうするのが妥当であつて、つまり漁業権の行使について團体的な規正が必要なわけであります。それで特に自営しなくても、協同組合に持たせようとしたわけであります。かき養殖業、これは若干海苔のひび建養殖業を違う点がありますが、大体において家族経営を主体として、そういう経営体で毎年々々抽籤とか、輪番制で漁場を交代に使わせるということをやつております。但しかきは多少経常的に見まして、例えば宮城縣、廣島縣における会社経営、こういうものも若干ございます。併し一般的には家族経営のものが多いのでございます。内水面における魚類養殖業、これは一般的には協同組合が稚魚を買つて参りまして、それを放流する。そうして組合の定款でやり方を決めて、組合員がそのコントロール下に魚を取る。取つて協同組合へ持つて行く。大体こういうふうな漁業権の使い方をしておる。このために協同組合に優先免許をすることにしたわけであります。貝類養殖業も大体同様であつて協同組合が種を買つて來て、それを放す。それが大きくなつたら定款で決めた方法で組合員が各自貝を取る。取つた貝を集めて、共同販賣をする。こういうふうになつております。それで本來ならば、他の区画漁業についても協同組合が持つて、その行使を決めれば一番理想的でありますが、いろいろ事情もございますので、どうしても協同組合に持たさなければ、処理の付かないこの四つの漁業に限つて組合に持たしたわけであります。第二項は若し万一これらの漁業について自営しない、協同組合が申請しなかつた場合の規定でございます。こういう場合は実際問題としては、そうなかろうと思いますが、万一そういう場合がございましたら、若しその申請者の中で協同組合が自営しよう、こういつた場合には協同組合を一番にする、生産組合が出願したら生産組合を二番目にする。その他大体定置漁業権の優先順位、これにならつております。  次に第十九條を御説明いたします。  第十九條 眞珠養殖業を内容とする区画漁業の免許の優先順位は、左の順序による。   一 漁業者又は漁業從事者   二 前号に掲げる者以外の者  2 前項の規定により同順位である者相互間の優先順位は、左の順序による。   一 眞珠養殖業を内容とする区画漁業に経驗がある者   二 前号に掲げる者以外の者  3 第一項及び前項第二号の規定により同順位である者相互間の優先順位は、左の順序による。   一 地元地区内に住所を有する者   二 前号に掲げる者以外の者  4 前三項の規定により同順位の者がある場合においては、都道府縣知事は、免許をするには、その申請に係る漁業については左に掲げる事項を勘案しなければならない。   一 労働條件   二 地元地区内に住所を有する漁民を使用する程度。大規模の経営にあつては、特に当該漁業の操業により從前の生業を奪われる漁民を使用する程度   三 当該漁業についての経驗の程度、資本その他経営能力。特に当該漁業に関する進歩的企画に程度   四 当該漁業にその者が経済が依存する程度   五 当該漁場の漁場の属する水面において操業する他の漁業との協調その他当該水面の総合的利用に関する配慮の程度  5 前四項の規定の適用に関しては、第十六條第十二項、第十四項、第十六項及び第十七條第八項の規定を準用する。  眞珠養殖業につきましては特別の優先順位を設けております。それはこの眞珠養殖業は非常に経驗を重んじまして高度の技術を要する漁業であり、從つて経驗という点に重点を置いております。大いに技術を伸ばそうというこういう趣意でございます。  それで全体の構成は定置の場合と同樣でございますが、協同組合自営が一番、生産組合が二番ということもいたしておりませんし、それから又経驗という点も特に眞珠養殖業を内容とする区画漁業の経驗というふうにはつきりさしております。  それからちよつと誤解があると思いますのは、第三項で住所のある者を住所ない者に優先さしておりますが、これは今までの場合と違いまして、條文を読みますと、「第一項及び前項第二号の規定により同順位である者」、つまり区画漁業に経驗がない者が申請した場合には住所があるという者が優先するのだ、区画漁業に経驗のある場合には同順位であるというので、他の場合とちよつと違いますから御注意を願います。從つて経驗ということを絶対的な要件にしているわけであります。それに併せまして、第四項の勘案事項も大体の考え方は定置区画と同樣でございますが、例えば第三項を見ましても、「特に当該漁業に関する進歩的企画の程度」というふうに技術の進歩ということにウエートを置いているわけであります。これにつきましてはいろいろ反対論もあるわけでございます。具体例を申しますと、実際眞珠の養殖の盛んな所は殆ど三重縣でございます。三重縣におきましては、現状といたしましては、大体協同組合が区画漁業権を持つている。そうしてその区画漁業権を眞珠養殖業者に貸付けまして、漁業の乱獲、利用方法なんかの調整を図つているわけであります。ところが若しも、この案に從いまして眞珠の漁業権は協同組合が持つてない、眞珠を養殖する人間が持つのだということになりますれば、眞珠養殖のために地元の他の漁業家が非常に脅かされ、現在でも地引きと眞珠の養殖とは衝突いたしているわけであります。この衝突は今度は養殖をしている方に有利になるだろう。こういうことが予想されまして、地元の協同組合あたりから眞珠につきましても、第十八條のひび建養殖業その他の漁業と同じように協同組合に持たして呉れという要望もあるわけでありますが、確かにその要望にも尤もな点もございますが、まあ必要欠くべからざるもの以外のものは協同組合には持たさない、こという全体の骨子もございますので、一應は経驗のある個人に免許するのだ、そうして若し地元の協同組合と眞珠養殖業者との間に紛爭がある場合には調整委員会が適当な調整をして行く、こういうふうな建前を取つたわけであります。説明を終ります。

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) 十七條、十八條、十九條に対して質問を願います。質問がありませんでしたら、私から質問します。この第十九條の眞珠養殖の経驗というものですね、これはどういう経驗ですか。経営した経驗ですか、或いは技術ですか。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) お答えいたします。この経驗と申しますのは、第十六條の第三項に規定しておりますが、経営の経驗のみではなく、從事の経驗も含んでおります。勿論実際には、経営の経驗と從事の経驗とは差はございますが、それは勘案條件の中で経営能力の点として見るというようにいたしまして、優先順位としては、両者同一に扱つております。從つて今まで他人に傭われて養殖に参加しておつたという人間が、今度は自分で経営したいという場合には伸びる機会を與えられておるわけであります。

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) 第二十條、松元君御説明願います。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) 「第二十條第一種共同漁業の免許の優先順位は、左の順序による。一 第十四條第六項の規定により適格性を有する者 二 同條第九項の規定により適格性を有する者。」これは第十四條で御説明いたしたわけでありますが、共同漁業権の免許の適格性は、原則として漁業、協同組合に限つております。但し例外といたしまして、第十四條の第九項に規定してございますが、旧漁業法以前の慣行から、現在專用漁業権を持つております市町村については、特に例外として適格性を持たしております。併しながらこの場合でも、地元の漁民が協同組合を作つて自分達で、自分達に免許を欲しいといつた場合には、その方が優先するのだといつて、漁民に優先を認めた規定でございます。  それからちよつと誤解がありますかと思いますのは、ここで第一種共同漁業権と、第二種以下はどうなのだという御疑問があるかもしれませんが、第二種以下の適格性は協同組合にはございません。從つて優先順位の生ずる余地はないわけでございます。説明を終ります。

尾形六郎兵衞民主党

○尾形六郎兵衞君 ちよつと第一種共同漁業と申しますのは……

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) お答えいたします。第一種共同漁業と申しますのは、海草、貝類を目的とするものであります。その外、海草、貝類に準じますうに、なまこ、しやこ、ひとぜといつような、いわゆる根付きのものがございます。魚は含んでおりません。実際問題として現在問題になつておりますのは、てんぐさを主体とする海草でございます。伊豆の白浜にいたしましても、稻取にいたしましても、殆んど現在市町村が持つております三十五、六件の專用漁業権の内容は大体が海草と、それもてんぐさが多いということでございます。

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) 第二十一條の御説明を願います。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君)   (漁業権の存続期間)  第二十一條 漁業権の存続期間は、免許の日から起算して、定置漁業権又は区画漁業権にあつては五年、共同漁業権にあつては十年とする。  2 区画漁業権について、前項の期間はその満了の際、漁業権者の申請により、延長することができる。  3 前項の申請があつたときは、都道府縣知事は、海区漁業調整委員会の意見をきき、第三十七條から第四十條までの規定による漁業権又は免許の取消事由がある場合を除いて、期間延長の免許をしなければならない。  4 第二項の規定により延長する期間は五年とする。但し、再延長を妨げない。  5 都道府縣知事は、漁業調整のため必要な限度において第一項又は前項の期間より短い期間を定めることができる。  これは漁業権の存続期間を規定いたしたのでございますが、從來の漁業法の規定と違つております点が大きく申しまして二点ございます。一点は存続期間を非常に縮めておりますこと。現行法では二十年以内でございます。それを定置、区画は五年、共同だけが十年として、大幅に縮めております。  もう一ケ点は、区画漁業権の例外を除きまして、期間延長、從來のいわゆる更新免許、これを認めなかつた点であります。何故期間をぐつと短縮し、期間の更新を認めなかつたかと申しますと、これは漁場の固定化を防いだわけであります。現行法では存続期間も二十年以内で長うございますし、満了すれば更新々々で、実際問題としまして勿論その間に多少の変更もございますが、明治三十四年に決まつた漁業権がそのまま引継いでおりまして、それではその後の漁業生産力の発展とも即應いたしませんし、漁場は固定化して実際の状況に即していない。それから経営者も当時のままに固定していて、実際に即しないという点から大体五年を一期として、その度に免許をやり直し、漁場もやり直し、免許する人も又その間再檢討しよう。つまり五年ごとに御破算をして繰返して行こう。こういう趣旨でございます。從つてこれでは経営が脅やかされる。実際まともな経営者がそこに施設も加えて、長期に経営して行こうと思つても、五年経つたら又御破算になるのではないか。それでは非常に危いという御意見もありまして、相当経営者の方から更新を認めて呉れ、或いは期間をもつと長くして呉れという申請もあるわけでございますが、これにつきましては、大体こちらとしては形の上では五年目ごとに御破算になつても、若し経営が不当なければ海区漁業調整委員会が事実問題として次に又免許を與えるのではないか、それでそのような御心配は実際問題としてそうはあるまい。むしろ固定化する弊害の方がはるかに大きいのではないか。そこで五年目ごとにもう一回やり直すチャンスを與えた方がいいのではないかという見地から、経営者の不安はあるわけでございますが、一應期間を縮め、更新を認めなかつたのであります。共同漁業権のみを長くしましたのは、これは大体地元の漁民の生活権である。こういう建前から長くいたしたわけであります。特に第二項で区画漁業権についてのみ期間の延長を認めたという理由は、区画漁業権は優先順位の点でもお分りになるわけでございますが、大体家族経営を主体とする小規模経営で、そう内容も変らないし、漁業も変らないし、経営者の交代もない。又竹を立てたり、施設をしたりしていろいろ恒久的な施設を加えるわけでございますから、特にこれに限りまして、期間の延長を認めたわけでございます。  それからもう一点從來と違います点は、從來は二十年以内において行政官廳の定めるところによるといたしまして、実際問題としては行政官廳の判断によつて期間を縮めることができたわけでございますが、今度は原則として行政官廳のそのような恣意的な考慮を認めない。ぴつたり五年とか十年とかと決める。特に第五項で漁業調整のために必要なる限度で縮め得る。これは例で申しますと、例えば途中から免許をする場合がありますならば、その場合に漁場整理をいたしますには免許の一番うしろを揃える必要があります。そういう見地からそのように全体的な総合調整をするに必要な場合に限つて、五年とか十年とかいう期間を縮められる、こういうふうにしたのでございます。この條文につきましてはそういう経営者の不安があるのと、もう一つ漁場の固定化という二つの相反する見地から、実際問題としては相当揉める規定だろうと思いますから、愼重御審議をお願いいたします。

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) 質問がありますか。質問がなければ二十二條松元君お願いいたします。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君)   (漁業権の分割又は変更)  第二十二條 「漁業権を分割し、又は変更しようとするときは、都道府縣知事に申請してその免許を受けなければならない。  2、前項の場合においては、第十二條(海区漁業調整委員会への諮問)及び第十三條(免許をしない場合)の規定を準用する。」  これは現行法にもある規定でございますが、一旦免許をいたしました後に漁業権を分割したり、変更したりすることを認めた規定でございます。分割と申しますのは、一番多いのは共同漁業権、或いは区画漁業権の漁場を分割する場合、これは協同組合が分割する場合に即應しまして漁業権を二つに分ける、こういう場合が一番多いのでございます。その外漁業の種類を分けるというようなのもございますが、大体は共同漁業、或いは区画漁業権の漁場の分割でございます。変更と申しますのは、漁場区域を変えるのだとか、漁獲物の種類を変えるとか、こういうことでございます。これは先程第十一條で、予め漁場計画を決めるということを申上げましたが、一旦第十一條で決まつた漁場計画がこれで変更されることは、少し矛盾するのではないかという点もあるわけでございますが、一旦漁場計画を決めまして免許しました後に、別に支障がなかつたら或る程度変更を認めても差支えない。実際五年間におきましてその途中で海流が変り、漁場も変りますから、その間の変更を認めたわけでございます。  説明を終ります。

江熊哲翁緑風会

○江熊哲翁君 この漁業権を共有する、免許を受けるときに備えておつた適格性というものが多少とも変更するということは考えられるのですが、その年限の経つにつれてそれの防止する、それに対する規定は先にどこか出て來ますのでしようか。どこらあたりでしようか。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) お答えいたします。第二十二條に規定しましたのは漁業権自体の内容の変更でございますが、只今質問がございました漁業権の主体、つまり権利者の内容が変つたということにつきましては第三十八條に規定してございます。三十八條で免許を受けた後に適格性がなくなつた場合には取消すとか、或いは免許を受けたあとに優先順位が非常に狂うようになるような、そういうときには取消ができるといつて、漁業権の主体の変更についての取消事由を規定してございます。

江熊哲翁緑風会

○江熊哲翁君 それで取消すまでに至らないが、相当変化しておるというときには、やはり取消すまでに至らない程度の内容の変化については又勿論これは別の届出とか、或いは許可を受けるという必要はありませんか。それはどつか規定はございますでしようか。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) お答えいたします。実は今度の漁業法は現行法と違いまして、予め適格性とか優先順位を見まして、この男ならば、一番正しいと思う人間に免許するわけでございます。從つて理論的に申しますと、その後で若干でも免許をした当時の違つておりますれば、或いはお説のように届出とか、許可制とかいろいろ制限を加える必要があるわけでございますが、併し事実問題としまして、免許届出当時と全く同一だということは非常にむづかしいわけであります。例えば当初は一人でやりたいと思つておつたものでも、その内金が足りなくなつたから共同経営をしようという、こういう場合もありました、それを一々届出として許可制にしておりますと、手続きも煩瑣でございますし、又行政廳としましてもそこまで一々見切れなくて、そういう軽微なものは問題にしない。適格性を失う、或いは優先順位が狂うという場合を問題にして、それ以外軽微の場合は、変更の場合は特に規定しておりません。

江熊哲翁緑風会

○江熊哲翁君 そこでその次の第二十三條の「漁業権は物権とみなし」それに引掛るわけじやないかと思うのですが、そういう変化が、その物権として扱う場合において影響して來さえすればそれでいいのじやないかと思うのですが、そこで二十三條の説明を承わるとそこのところが分るのですが、一應まあその程度で先に進みましよう。

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) それでは第二十三條。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君)   (漁業権の性質)  第二十三條 漁業権は、物権とみなし、土地に関する規定を準用する。  2 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二編第八章(先取特権)及び第九章(質権)の規定は定置漁業権及び区画漁業権(ひび建養殖業、かき養殖業、内水面における魚類養殖業又は第三種区画漁業たる貝類養殖業を内容とする区画漁業権であつて漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の有するものを除く。第二十四條から第二十八條までにおいて同じ。)に、第八章から第十章まで(先取特権、質権及び抵当権)の規定はひび建養殖業、かき養殖業、内水面における魚類、養殖業又は第三種区画漁業たる貝類養殖業を内容とする区画漁業権であつて漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の有するもの及び共同権業権にいずれも適用しない。  第二十三條から第三十條あたりまでは、漁業権の法的性格に関する規定でございます。でこの規定は現行法と非常に性格を異にいたしております。  以下徐々にお説明いたしますが、先ず第二十三條の第一項で「漁業権は、物権とみなし、土地に関する規定を準用する。」この点は從來と同じでございますが、物権の内容が非常に違つております。後に御説明しますが、物権と申しましても非常に譲渡性、担保性を制限しております。又貸付も禁止しておるというように、自分のものであつても非常な制限を受けておる。これは私有財産制の思想からいうとおかしいのですが、特に漁業権は、名前は私有財産であつても、実際上は海を使う公の権能である。こういう考え方でいろいろな制限を加えるわけであります。併しながら法的性格から申しますと、海を独占して漁場の利益を自分の手に收めるという意味でやはり私有財産権である。こう考えております。次に物権とみなしました法的の効果としては二つございます。一つはいわゆる物権的請求権でございまして、若し漁業権を侵害した場合には、妨害の排除請求権がある。或いは妨害予防請求権がある。自分の漁業権を侵害されたら、お前退いてくれ、或いはおれの漁業権を邪魔しないでくれ、こういう物権的請求権がある。もう一つは、不法行爲に対して損害賠償請求権がある。これは理論的には許可漁業、或いは自由漁業の場合でも不法行爲は成り立ち得るが、これが物権にして置くとこれは非常につまりはつきりする。自分の漁業権に損害を與えたから、損害賠償をいくらよこせ、こう言うことができる。大体物権とみなすことによつて、こういうような権能を漁業権者に與えて保護いたしたわけでございます。併しながらこういうふうな保護を漁業権者に與えたのは、何も彼等に漁場の利益を独占させようというのではないのであり、漁業権とした漁業は、いずれも技術的に或る程度の漁場が特定しておる。從つて物権として第三者の侵害を排除しなければ漁業が成立しない。こういうことから特に第三者に対する対抗を與えたので、これを不当に濫用しないように第六十七條に規定しておりまする調整委員会の指示などによつて行使方法の恣意的なやり方を防ぎ、俺の物だから自分勝手に使つていいということは、委員会は抑えるということにしております。こういう性格の物権というものは、凡そ前例がなかろうと思つておりますが、これも漁業の特殊性でございます。土地に関する規定を準用すると申しますのは、具体的には例えば土地に関しましては抵当権の規定が民法にございます。こういう規定を準用する。こういう意味でございます。  第二項では一應物権といたしましたものの、普通の物権とは今申しましたように違う。いわゆる私有財産的色彩は非常に弱いという意味で、特に担保物権の設定を制限いたしております。從來は質権だけを制限いたしておつたことは、これは技術的に申しましても、質権の設定のしようがないので、特にそれをはつきりするために念のために質権の適用がないと規定しましたが、今度はその外先取特権、抵当権も設定を原則として認めないという建前を採つたのであります。これはあとの譲渡制限の規定とも関連するのでありますが、適格性、優先順位によつて、この人間ならば一番うまく漁場を使つてくれる。そう思う人間に免許しておるので、それを自分勝手に担保に入れたり、或いは譲渡したのでは免許した趣旨に副わない。こういうわけで譲渡性、担保性を抑えたのであります。ただその抑え方を、漁業場の種類に應じていろいろ細かく違えてやりますために、條文としては非常に厄介な規定になつております。  最初の農林省の原案としましては、凡そ漁業権につきましては全部譲渡性、担保性を禁止しようかとこう思つたわけでございますが、まあ金融の点も多少考えて、多少は金融のために担保に入れる場合もあるだろうというようなことも考えまして、若干改正はいたしたわけでございます。それで具体的には第二項、これはむしろ裏に読んだ方が分りやすいので、定置と普通の区画は抵当に入れられる。併しながら共同漁業権と、協同組合が自営しなくても持てる区画漁業権、これは担保に入れられない。こういうことでございます。第二十三條の説明を終わります。

江熊哲翁緑風会

○江熊哲翁君 この漁業権というものの性格が非常に変つておるので、私共のように古い頭の者は、漁業権という今までに持つておる知識、観念で以て話したとき非常な錯覚を起すのですが、これは恐らく漁村などにおいても、從來の指導者達がいつも何か話すときに間違つた観念に陷つて、往々にして自分の氣持を表現する上において間違いを起すということがあるだろうということが予想される。それでここの二十三條ですね、詳しく解説して、新旧の対照表といつたようなものを作つたらよく分るのじやないかというような氣がいたしますが、これは二十三條に限らず、二十四條あたりにもそういうことが言えるのじやないかと思う。二十四條はまだ行きませんから分りませんが、二十三條だけで考えても、この漁業権の古いところの扱い方、漁業権そのものに対する内容の相違といつたような点から見ましても、何かそういつたようなことをお考えになつておりますか。若しそういうことができるようでしたら、そういうようなことに、表でも作つて頂けませんでしようかということをお聞きします。

松元威雄農林事務官(水産廳漁政部経済課勤務)

○説明員(松元威雄君) お答えいたします。確かにお説のように二十三條以下非常に内容も複雜しておりますから例えば今度の漁業権の性格は從來と大いに変えたわけでございますから考え方がどう違つたか違つた点がどこにどういうふうに表現されているという一覧表を作つてお渡しいたしたいと思つております。

木下辰雄緑風会

○委員長(木下辰雄君) 本日は二十三條までといたしまして、御質問がなければこれを以て散会いたします。    午後三時十分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事     尾形六郎兵衞君    委員            青山 正一君            西山 龜七君            田中 信儀君            江熊 哲翁君            矢野 酉雄君   政府側    農林事務官    (水産廳漁政部    経済課勤務)  松元 威雄君

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