労働委員会 第16号
- 発言数
- 169 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1949/05/10
会議録
○倉石委員長 ただいまより会議を開きます。 労働組合法案及び労働関係調整法の一部を改正する法律案を議題に供します。 都合により懇談会に入ります。 ————◇————— 〔午前十一時二十六分懇談会に入る〕 〔午前十一時五十九分懇談会を終る〕 ————◇—————
○倉石委員長 懇談会を終り再開いたします。午後一時まで休憩いたします。 午後零時休憩 ————◇————— 午後二時十二分開議 〔以下速記〕
○吉武委員長代理 それでは休憩前に引続きまして会議を開きます。春日正一君。
○春日委員 この法規改正が首切り、企業整備、工場閉鎖、賃金引下げ、こういうので労働事組合を弱め、既得権を剥奪するために、提案されたものだという点についてこの間質問しましたが、そういうことはないというふうなお答えであつたのですけれども、さらに細目について、その点を質問したいと思います。 第一番に現行法の二十五條の平和條項、二十一條の協約相互遵守の義務、これが今度の法案では削除されておる。ところで平和條項が削除されるということは、労働攻勢が上つておるときには、資本家の方が平和條項を欲しておる。なるべく時間をかけて引きずつた方が得だから欲しておるけれども、今出て來ておるような首切り、企業整備、工場閉鎖、こういう既得権を剥奪して行こうという時期になれば、今度は平和條項が資本家の方のじやまになつて來る。工場閉鎖をしたい、これを経営協議会でもんで、労働委員会に提訴して、さらに中央労働委員会にかけて最終きまりになるまでには、三月、半年かかつてしまう。それでは資本家はぐあいが惡いから、こういう條項は削除するというようなことを考えたのではないか。これについての説明にはそういうつもりはない、当然こういうことは書かなくてもわかつておることなんだから、削つたのだというふうに言われておりますけれども、これは今までも指摘されたように、書かなくてもわかつていることを、たとえば暴力行為は正当な爭議行為とみなさぬというような、わかりきつたことでも、大きく、ことさららしく書き立てている場所もある。組合員は一切の権利を平等に受けなければならぬ。これは労働組合としては最もあたりまえのことで、やつておることだけれども、しかもそれをことさららしく書き立てている。そうしてその上で、青年部を弱体化されるようなことを書かれておる。そういう点から見ると、この二箇條を削除したということは、今私が言つたような意味で、資本家がさしあたつての首切り、企業整備をやるために、まずそういうじやまになるものをとつてしまう。さらにこれを今度出ておる案の十五條第二項の協約自働延長を禁止する、そして一方的な破棄を可能ならしめておるという條項と結びつけて考えるならば、当然これは首切り、企業整備をやるためにやられておるものだし、同時にこの法案の提出の説明にあたつて、この法案の立案を急いだ理由は、経済九原則の実施、その他客観的な條件の必要に迫られたというふうな趣旨のことを繰返されておることを見ましても、明らかに資本家の労働階級に対する、攻撃の足場をつくるものだというふうに断定できると思う。そういう点で政府がそういう意図はありませんというように言つておるけれども、われわれは納得できない。だから、さらにこれらの点について御答弁願いたい。
○賀來政府委員 本法案の立案の建前につきましては、先日も申し上げた通りでございまして、なるべく簡素なものにいたしまして、当然かくあるべきものはというふうな規定は、これは削除するようにいたしましたこと、並びに二十五條につきましては、現行法施行以來三箇年間実効をあげておりませんし、さらに二十五條の規定がありますために、かえつて労働協約に平和條項が入りにくいというふうなこともありましたので、これを削除いたしたのであります。從いまして御指摘のような、特に使用者の首切りその他のやりやすいように、かような意味でこれを削除したという意向を持つていないことは、先日も申し上げた通りであります。ただ午前中にも御指摘のありましたように、労働協約というものは、労資の関係を平和的に秩序を保つための協定でありまして、使用者側におきまして、故意に、あるいはいたずらに労働協約を無協約状態に持つて行こうというような態度に出ました場合には、これは労働省としても非常に遺憾に考えます。で、十分さようなことのないように、使用者に対しては、われわれは注意を喚起し、その指導教育に当りたい、かように考えておる次第であります。
○春日委員 非常にけつこうなお考えでありますけれども、実際行われておるところを見ると、たとえば東芝の一方的な労働協約の破棄、それから日本セメント等の例というように、全國に労働協約の一方的な破棄、首切り、こういうものが現在行われておる。ところが、政府は労働者が何かストライキというようなことをやると、必ず声明を出してそれを押えるようなことをやるけれども、こういう問題について、すでに三月以來頻発しておるが、何らそれに対して、ただいま言われたような趣旨の声明も出されておらない。そういうことになると、やはりわれわれはこの法律制定のそういうお考えの趣旨を、疑わざるを得なくなつて來る。 それからその次に移りまして、第一條の目的を不当に制限しておる。特に第二項においては、正当なる爭議行為の解釈というもので、暴力的行為は一切いかぬというような意味の規定を、これほど明白な規定を、ことさらにつけ加えて、そうしてその暴力の解釈いかんで、どうにでも官憲が爭議に干渉できるようなこともやつておるし、さらに非組合員の範囲を拡大して、多くの労働者から團結権を奪う、そうして組合の内部を割つて、力を非常に弱めるというような規定が入つておる。さらに第五條では、專從者の給與その他組合経費、今まで労働運動の結果としてとつて來たものを、これを奪いとつているというような例を見ると、今私の言つた二十五條、二十一條、十五條の関係だけでなしに、こういうような一点から見ても、明らかに資本家の攻撃というものを容易ならしめる。じやまになるものをとつてしまつて、労働者に力になるものを縛りつけるということが、條文の上にもはつきり出ておるわけです。特に問題になるのは、組合の自主性、民主性というものを非常に強調しながら、一方では労働爭議中に起つて來る第二組合、たとえば豊和工業の第二組合のごときは、周囲の事情から判断して、明らかに資本家の意思を受けてこれの御用をつとめる組合であることは、だれの目に見てもわかる。あるいは旭化成の場合でもそういうことは明らかである。ところがそういうことに対して何ら取締りの規定もないし、現在まで取締られたこともない。むしろそういう人たちの暴行、暴力というものが、裁判所なり警察なり、そういう國家権力によつて守られている、資本家からも当然守られるというような取扱いが、今までそういう場合にはほとんど大部分受けられたというような事態、こういうものから見ても、この法案のねらいが、私が最初に言つた問題に、どうしても帰着して來るというように感ぜざるを得ないと思う。それからもう一つの大きな問題は、労働関係調整法、その他を見ましても、調停案の解釈條項がきまるまでは、とにかくストライキをやつてはいかぬというような條項が二十六條の第三項に入つておる。ところが電産の調停案のあの例を見ても、去年の三月から七月、八月まで話がきまらなかつた。こういうことは、決して労働者のために有利な立場でそれをやつておるわけじやない。電産の場合には、賃金を上げると言つたのを上げてくれない。そのために紛議が起つておる。しかもきまるまで双方行動に出てはならぬということになりまして、これはけんかの仲裁の原則がそうだそうでありますけれども、にくいものを押える。抑えられない方はなぐつてしまう。それと同じりくつで、この調停案の解釈がきまるまで行動に出るなということは、結局政府が法の力で労働者を押えて、そうしていつまでも労働者を兵糧攻めにして結局負けさせるという結果になる。これはりくつの問題ではなくて、実際に現われておる問題としてそうなる。それから第三十七條の冷却期間のむしかえしでも、三十日冷却期間を置いて六十日、また三十日冷却期間、こういうようなべらぼうなことを言つておりますけれども、しかし早期に解決することを望むのは、これはむしろ労働者の方だ。賃金値上げの場合でも、切り下げられた場合でも、常に労働者としては早く解決して賃金をもらわなくちやならないから、どうしても早く解決を急いでおる。だから午前中に懇談の際に、私は全鉱連とか、炭鉱の例をあげましたけれども、あれはなるほど特殊な事情でそうなつておる。しかし去年の電産の爭議の場合を見ても、あれは決して労働組合が好んで爭議を長引かしたとかいうことでなく、三月の調停の條件を会社が、不履行したという点で、あれだけ長い爭議になつておるということを考えると、この六十日間過ぎたら冷却期間をまた繰返えすということが、結局労働者のストライキ——爭議というものを暖めたり、冷やしたりすることによつて、萎縮させて制限して行くというような不利な結果になつて來る。これは明らかなことである。しかも考えてもらいたいことは、六十日間それをやつて、また三十日冷却して、また六十日やる、そういう小きざみ細工をやつて、それでそういう九十日かかつても片のつかないような大きな爭議が、はたして片がつけられるか、そういう自信が政府にあるかという問題、こういう点なんかを考えてみても、やはりこの法律というものは、どこまでも首切り、工場閉鎖、これをどうしてもやりたいという資本家階級の意図を露骨に盛つたものだ。これは昨日の公聽会で日経連の代表が口をそろえて言つておる。前田氏のごときはやはりはつきりそういうことを言つておる。私が質問したのに対して、はつきり首切りをやるための法律だとは言わないけれども、しかし経済九原則を実行するためには、首切りとか、そういうものは当然避けられない、それについては労働者も協力してもらいたいということの意味を言われた。そういう点から考えてみても、やはりこの法律がそういう意図のもとにつくられたということは、これは弁解の余地がないと思う。そういう点で、さらにそれらの点について納得の行くような答弁ができるなら、やつてもらいたい。
○賀來政府委員 ただいまの春日委員からのは、法案全体にわたりまして関係條文を例示せられまして、要するにこの法案は、首切りを予定しての使用者側擁護の立場を藏しておるのだろうという御質問であつたように承ります。これは午前中大臣から特に春日委員に答弁を申し上げました通り、われわれ労働省といたしましては、労資の関係が対等で正常な状態に保持せられるように、それがためには、労働者は労働組合を組織して使用者に相対する。この労働組合その團結権を守られ、團体交渉権を正常に活用せられ、なお團体行動を保護せられてしかるべきものである。この労働組合を擁護し、同時に使用者側は正常な立場をもちまして、この労働組合に相対して、もつて両者相協力いたしまして、経済の興隆に資してもらいたいというのが、本法案立案の趣旨でありますとともに、現行法もさような趣旨でできましたものを、その不備を是正するという立場でやつて参つたのであります。從いまして公聽会等で労資双方から述べられました意見は、さような趣旨を取入れて参つておりますし、また使用者側は、われわれのとりました経過に対しまして、不十分であるという不満の意も相当表しておるような状況であります。しかしながらわれわれといたしましては、いかに使用者が、自己の行動に対してこれを援助してもらいたいという希望がありましても、これは絶対に容れるわけには参らないのでありまして、 〔吉武委員長代理退席、三浦(寅)委員長代理着席〕 御指摘のように、九原則の嚴格な施行が始まりますと、これはあるいは企業整備が行われることになるとは考えますが、その首切りをやらせるために、使用者側に労働組合を弾圧する具にこれを供させようという考えを毛頭持つていないことは、けさ大臣が申し上げた通りでありますので、全体にわたりましての法案の趣旨で、御了承願いたいと存じております。
○春日委員 大体この問題は打切りますが、ついでにもう一度繰返して御質問します。この法案の提出の際に、たとえば專從者の給與の問題その他の点で、專從者が給與をもらつている、組合長が給與を資本家からもらつている。それで今度代表がILOに出かけて行くのに、はずかしくて行けないということを何回か言われている。これは山崎次官も言われたし、賀來政府委員も言われている。ところが、このILOの昨年の條約を見ますと、第二條にははつきりと、労働者及び使用者は、いかなる差別をも受けず、かつ事前の認可を受けることなしに、みずから選択する組織を確立する。その組織の諸規約にのみ從つて、これに加入する権利を有する、ということが書いてある。ところが今度の改正案を見ますと、あの案に盛られたしちうるさい規約というようなものの形式を整えないものは、認可をしない。法のらち外に置くということになつておる。また第三條を見ると、労働者及び使用者の團体は、その規約及び規則を作成し、完全なる自由のもとに彼らの代表を選び、かつその運営並びに活動方法を定め、その計画を立案する権利を有するとなつておる。ところがやはりこの法案を見ますと、規約及びそういうものに対しての干渉、代表の選び方、運営の方法というような点についてまで、こまかに干渉の規定が定められておる。それからその第二項に、公共機関はその権利を制限し、またはその権利に基く合法的な活動を妨げるような、いかなる干渉をも差控えなければならないという規定になつておる。それから第四條には、労働者及び使用者の團体は、行政機関によつて解散またはその活動を停止されることはない、というようになつておる。ところが今度の法案の解釈をお聞きしますと、なるほどこの法に從わない労働者の團体も、別に解散させるとは言つてない。しかしこの法の保護を受けないということになつておる。そうなると憲法にきめられておるところの、法の上における人民の平等権というものを差別しておることになる。從つてこれは憲法にも違反して來る條項でありますけれども、同時にこのILOの條約の條文を見ても、それに明らかに抵触しておる。さらに第七條には、労働者及び使用者の團体並びにその連合体、または同盟体による法律上の人格の取得は、上掲第二、第三、第四條の適用を制限するがごとき諸條件をこれにつけられてはならない、というようになつておる。ところがそういう諸條件が付せられておる。たとえば第五條の條件とか、第三條の條件とか、こういうものに從わないものには、法を適用しないようにして、それに從うことが強制されておる。第八條にはさらに、その國の法律は、当條約に規定される保障と相反し、またはこれに相反するがごとき適用をされてはならない、というようになつておる、そうすると、日本政府の希望するように、一刻も早くこういう國際的な機関に参加し、このILOに正式な代表を送ろうということになれば、專從者が給料をもらつておるということよりも、むしろこういう労働組合法を持つておる、労働関係調整法を持つておるということ自体が、國際的な、民主的な世論に対して、非常に恥ずべきことであり、当然そうした世論の非難によつて、こういう條項をかえざるを得なくなるようなはめに追い込まれるのではないか。そういう点についての政府の考えを承りたい。
○賀來政府委員 本法案並びに労調法一部改正に関しまする法律案につきましては、先日春日委員の、この立案は憲法並びに日本労働組合に関する極東十六原則違反にあらずやという御質問に対しまして、さようではありませんということをお答えいたしました通りに、われわれといたしましては現行の憲法及び日本労働組合に対しまする極東十六原則に違反したものとは、考えていないのでございます。御指摘の、昨年のサンフランシスコで開かれましたILOの会議において採択せられましたところの労働者の團結に関する條約につきましては、まだ正式に日本はこれに出席することができませず、正式の通告を政府に受けておるわけではありませんので、詳細はよく知りませんが、春日委員のお持ちの資料と同じような資料は、われわれも持つておりますが、その資料に基いて考えてみましても、われわれといたしましては、この法案並びに労調法の一部改正法案は、さような原則に違反しないものである。かように考えておる次第でございます。
○春日委員 大体ただいまの御答弁を通じて、私にはどうにも納得が行かない。というのは、それはそう解釈します、解釈しませんということになれば、結局これは水かけ論です。黒いものも、おれには白く見えると言つてみた場合にも、本人が頑強に白いと言えば、これははたから強制するわけには行かないと思う。しかし問題は、法律の文句というものは、これはちやんと字句に現わされているものであつて、法として確定した以上、立案者の考えいかんということよりも、その條文の文句いかんということが、決定的な問題になつて來るということになる。やはりこの法案を読んでみると、非常に團結権を制限する、あるいは憲法における諸権利を否認するという面が多いということは、これはひとり私の主観ではないと思う。というのは、昨日の公聽会を見ましても、大体日経連の代表者三名がこの法案に賛成しただけであつて、労働組合は中立も、総同盟も、産別系も、こぞつてこの法案にはそういう点があると言つて反対をしておる。特に公正を期するという意味であげられた中立といいますか、学者とか、そういう人たちまでも、口をそろえて、この法案の憲法違反の点、その他いろいろ労働者を彈圧する点をあげておられるということになりますと、やはり私が言つておることが、決して私一人の立場とか、共産党だけの立場とか、いわゆるあなた方の好んで言われる、一部少数者の片寄つた考えということではなくて、全部の國民の良識が、これは憲法違反であり、労働者を彈圧する法であるということを断定しておるというふうに、昨日の公聽会の結論から言えると思う。むしろそれならば、政府の一部の官僚及び巨大な資本家團体、こういうものの片寄つた考えによつて、一方的にこの法案が解釈されて、つくり出されておるというふうにしか言えないと思う。しかしこれは議論になりますから、別に御答弁は必要としません。しかしなおこの法律については、細部の点について各條にわたつて非常に疑義を持つておりますけれども、今まであまり私一人で質問をしましたので、一應ここで打切つて、この次の機会にさらにそういう点は質問したいと思います。
○三浦(寅)委員長代理 石田一松君。
○石田(一)委員 私は過日本会議で、労働大臣に対して総括的な質問をしたのでありますが、この際発言の機会を與えられましたので、その総括質問の補足的な意味で、質問をしてみたいと思います。私が本会議で質問いたしました一つの大きな要点は、この政府の提案になります改正案は、少くとも使用者側の意見を主として取入れ、労働者あるいは学識経驗者等の中立的な意見というものは、それほど取上げられていないということを申し上げたのでありますが、去る日のこの委員会において、労政局長より他の委員に対する質問の御答弁で、この点とこの点が労働組合の主張を容れておるということをおつしやつておるのであります。しかしそれを聞いておりますと、それはすべて第一次の労働省試案を根本にしてお考えになつておることであつて、私たちが質問をいたしておりました点は、現行法を基準として、それに対して労働組合が要求しておることが、取上げられていないと私は思うのであります。私が本会議で質問いたしました、いわゆる労働者の意見が取上げられていないと言つた点については、少くとも現行法を基準として考える場合には、私たちの考え方が正しいのではないかとも思い至つておるのであります。鈴木労働大臣が本会議において提案の趣旨を弁明なさいました中に、現行法には労働組合法についても、まだ幾多改正する必要のある部分がたくさんあるが、しかしこれは漸進的にやる。今はこの段階でとどめたという意味の弁明があつたと記憶するのであります。この改正の必要があると言われたのはどういう点か、その点を明らかにしていただきたい。
○鈴木國務大臣 石田委員の、第一次試案との比較に限らず、現行法との比較において考えるのが、根幹ではないかという檢討の態度は、私どもも同感であります。ただ試案に比べてどうかということについては、本質的な問題だと思いますが、その問題については、現行法の第何條か、多くの部分が、ほとんど、御承知のようにそのまま改正法に入つて來ておる部分が非常に多いのでありまして、残された部分は、他の委員からも御指摘がありましたように、一、二のものが削除されただけで、しかもその削除された理由は労政当局からお答えしたような理由でありまして、これは御了解を願いたいと思います。 それから御質問の中心はさらに二段三段の改正をやるのか、また過日の本会議で私が言つたまだ多く残されておるというのはどこか、こういう点にあつたと思うのであります。この点については、労政局長から部分的な問題のケースを、今列挙し得る程度において説明していただきますが、私が大体改正すべき点があると申しましたのは、公聽会その他で、労働者、労働組合側の諸君、経営者側の諸君、また第三者の諸君からいろいろ要望があり、その中にはなるほどと思えるものもあり、この次にと思うものも相当あつたわけであります。そういつたわけで、まだ完全に観念もまとまらず、また感覚、諸條件の間においてまとまらず、実現しておりませんが、組合側の言うところ、経営者側の言うところ、そういうことにこだわらず、いいと思うところを取入れる。そうして必要があれば、断固として改訂するという強い意味におきましても、問題に彈力性を持たせて、率直に自由に考えて行きたい。こういう意味で申し上げたのであります。これはそういう御質問ではありませんが、その範囲は、決して経営者の立場における要望がまだ残されておるからという意味ではないのでありまして、各方面の廣い意味の要望は、かなり公聽会等を通じてわかつておるのでありまして、それらの点については、労政局長から説明していただきます。
○賀來政府委員 全体といたしましては、先日政務次官から申されましたように、本法案を出し、施行することになりましたならば、これを十分運用することによつて、およそ所期の目的は達成されることだろうとは考えておるのであります。われわれといたしまして事務的に考えまして、将来これを改正することがありました場合、どういう点を研究しなければならないかという仮定的な考えを、二、三申してみたいと存じます。 第一は労働協約に関する規定でございます。この労働協約の問題につきましては、本法案におきましてはきわめて簡單な條章でありまして、現行法とほとんどかわりはないのであります。單に期間の問題を定めた程度にすぎないのでありますが、労働協約の継承の問題でありますれば、いろいろ雜多な問題があるのであります。將來労働協約の問題については、非常にたくさんの問題が出て來る。どうしてもこれを法規によつて明確にしなければならないということになりますれば、この点は研究をしなければならないと考えておるのであります。 第二は公聽会等におきまして、また平素もそうでありますし、全國労働委員会の会議におきましても、いろいろ問題になつた点であります。すなわち労働委員会が、原状回復命令を出します際に、この命令が強力な執行力を持つ必要があるという御意見が、今日まで多数あつたのであります。これはごもつともで、今度の法案におきましても、現在の制度の中において可能な限度において、労働委員会の原状回復に関する権限を規定しておるのであります。これを援用いたしました結果、なおこれを強力にする必要があることになれば、これは考慮しなければならないと考えておるのであります。 第三点は交渉範囲の問題及び團体交渉の手続の問題でございます。試案におきましても研究いたしました結果を出しておきましたが、今日の日本の労働組合の現状におきましては、なお時期尚早の観があるという意味があつたのと、公聽会において非常にこの点はまだ早いではないか、あるいはこれがためにかえつて紛爭を來すのではないかという御意見がありまして、削除いたしてあります。しかしながら御承知のように、公共企業における労働関係におきましては、六月一日に施行せられますので、この制度と交渉手続に関する規定が実施せられるのであります。この実施成績は、われわれとしても非常に注目をいたしておるところでありますとともに、現在労働組合が團体交渉にあたりまして、組合が三つにも四つにもなつた結果、使用者側としても非常に便利が惡いし、不利なこともありますが、また労働者にとりましても、不利な面が加味されておるという意味から、この問題は將來労働組合の発達の状況を見まして、研究を要するのではないかと考えておるのであります。 以上この法案の立案に当りまして、考えた点の二、三を申し上げた次第であります。
○石田(一)委員 ただいまの政府の説明で、今後もし再び労働組合法などが改正されることがあれば、主としてどういう点が改正されるだろうという、一つの示唆を與えられたと私は考えるのであります。ただいまあげられました第一の労働協約の問題でありますけれども、この労働協約をもし今後改正するという場合には、労働協約の内容にわたつて改正されるおそれはないか。しかもこの労働協約の問題が次の改正に取上げられるとすれば、労働協約をおとりになるいわゆる手続的な問題、これなどにおきましても、でき得るならば労働者並びに使用者の自主的な交渉において、労働組合がかちとるべき性質のものでないかということも考えられます。しかしこれは今後の問題でありますので、参考までにこれでとどめておきまして、現実の問題としていま一点お聞きしたいのは、これに関連した問題でありますが、やはり趣旨弁明の中におきまして、あるいはあらゆる機会に政府当局もおつしやつておることですが、現行法を改正しなければならぬということは、過去三年間の実績において、各方面から非常に強い要求がなされたということを説明されておるのであります。私はこの各方面から強い要求がなされたことは、もちろん認めます。そこで私が政府当局にお聞きしたいことは、何という労働組合が、どのくらいの数、どういう手続をもつて、どの点をどういうふうに改正しろと、現行法について強い要求をして來たか。もし各方面ということが言われるならば、少くとも中立的な立場にある者、いわゆる公益を代表する立場にある者、あるいはこの爭議関係の当事者であるところの使用者、また一方の労働者、この各團体から強い要求がなされたときに、初めて各方面から強い要求があつた、こう言えると思うのでありますが、そういう実例がありましたならば、ひとつ御説明願いたいと思います。
○賀來政府委員 組合法改正については、組合法施行後一年たちましたときに一應問題を出しまして、全國の労働組合及び使用者または学識経験者に対して意見を承つているのであります。そのときに組合側からも意見が出たのでありますが、これについては何組合が何人という統計はとつておりませんけれども、二十二年ごろでありましたが、やはり産別、総同盟におきましても、現行法の不当労働行為の規定が不十分である、特に使用者の不当労働行為のみならず、第三者、すなわち暴力團が加わつたり、いろいろなことがあるのでありますが、これらの点を改正すべきであるというような意見は承つているのであります。さらに労働代表も加わつておりまする労働委員会の、第一回、第二回の全國会議におきましては、特に労働者側の委員の強い御希望として、やはり現行法十一條の改正の問題と、労働委員会が原状回復命令権を持つべきであるという意見が、政府に対して建議せられておるのであります。御了承願いたいと思います。
○石田(一)委員 今回提出されたこの改正案というものに対して各方面、いわゆる労働者、労働組合、あるいは使用者、あるいは学識経驗者の強い要求があつたから、この改正案を提出した、こういうように私どもは提案趣旨弁明によつて了解するのですが、ただいま労政局長がおつしやいました労働組合側からそうした強い要求がありまして——もちろん不当労働行為に対して、まずまず画期的な政府としては思い切つた項を、新たにこの中にお入れになつたことは私は認めますが、実は第三者の不当労働行為、暴力團あたりの不当労働行為については、何ら考慮されてないのみか、むしろ本案の第一條第二項の但書においては、労働者側の暴力團的な行為というようなことをあべこべに取締るような法文が出ておるのでありますが、労働組合のこうした強い要求は、どの程度に改正案に盛られておりますか。このことを承知したいのであります。
○賀來政府委員 本法案におきましては、直接第三者の不当労働行為を規定しておりませんが、そもそも第三者の不当労働行為というものは、かりにありましたならば、それは本法案の第一條によります刑事上の免責でないのでありまして、当然そちらでやられますし、同時にこれを使いました使用者側は、七條の三号におきまして、教唆関係も成立いたしましようし、またそれを使つてやつたという意味において、使用者は七條の三号で不当労働行為になります。
○石田(一)委員 ただいままでの説明を承りまして、要するに政府は今回の提案趣旨弁明にもおつしやつておられる通りに、この改正案は、いわゆる現段階における必要にして最小限度の改正を試みたのであつて、今後この改正案といえども、そのときどきの客観情勢において、必要に應じて、また漸進的にこれが改正される、そういう意図のもとに私は本案が提出されているのじやないかと思うのであります。すなわち過日この委員会において大橋委員の質問で、この漸進的ということについての質問だか、説明だか、何だかわからないようなことがありましたが、その中でこの漸進的というのは、必ず改正するというのでなくて、一應これを出してみて、これでまず所期の目的が達せられるようならば、まずまずこのままにしておこう、もしこの法案の目的が達せられないようならば、労働組合の今後の行動をよく見ておいて、また改正するということなんだろうと、大橋委員はおつしやつたと私は記憶するのでありますが、そうではなくて、今の政府委員の御説明、あるいは労働大臣の御説明等を聞きますると、すでに一、二の実例をあげられました労働協約の問題であるとか、労働委員会の原状回復の命令の強い執行力を與えるとか、あるいは交渉單位の問題とか、交渉の手続の問題、こういうことについては、もうすでに政府としては改正案を、また改正する用意があるのだと、こう私たちは理解するのでありますが、そう理解してかまいませんでしようか。
○賀來政府委員 この点に関しましては、先日山崎次官から申し上げました考え方を持つておることには違いないのでありますが、先ほど私が申し上げましたのは、何も、用意しておるからということを申し上げたのではございません。石田委員から今簡單に、そういう場合には、どんなことが考えられるかという仮設的な御質問でありましたので、そういう場合には、われわれとしてはこういう点が考えられはしないかということをお答えしたのであります。從いまして、現在すでに改正案を持つておるということではございません。
○石田(一)委員 ただ憂いますことは、もし今後そうした改正が再び三たび繰返されるとすれば、その改正は、少くとも労働省が今年の二月十四日発表した第一次試案に、一歩々々近づいて來る改正以外に、ほかにはない、こういうことは、たれがこれを判断しても、言えることであります。あれより遠ざかつて來る改正が、なされるわけはないということであります。そのことについて、私は非常に危険を感じましたので、伺つたのでありますが、今政府は現在そうした考えを持つていない、もし仮定のもとに立つときは、こういうことがある。こういう責任のある御答弁を得ましたので、一應了承しておきます。 次に、やはりこれは本会議における質疑應答とか、この委員会等におきますところの質疑應答より、私は判断するのであります。過日の十三委員室で大橋委員並びに政務次官との間になされた質疑應答から、いろいろと私は判断するのであります。そのときのまた労働大臣の御答弁からも、私はこういうふうに考えたのでありますが、この法律を改正した最も、主要な点というものは、共産党が労働組合運動に介入して、しかも共産党の一方的意思によつて、不健全なる労働組合に移行しつつある。そこで本案を改正することによつて、共産党の分子を労働組合運動の中から排除しよう、排撃しよう、このことが、本案の最も重要なる目的であるというふうに、私たちは理解する以外にないと思うのですが、政府においては過日來の答弁の模様から見て、私がそう察したことが間違いであるとお考えでございますか。それともそういう考えがあると、こうお考えでございますか。
○山崎(岩)政府委員 石田委員の御質問にお答え申し上げます。共産党を特にねらい討ちをかけまして、労働組合から出そうというような考えを持つておるのではありません。本法律案を提案いたしました理由というものは、あくまでもこれは民主的なる、しかも自主性を持つた労働組合の健全なる発達ということを念願しまして、そして上程をいたしたものであるということは、大臣からも、また他の政府委員からも、くれぐれも皆様方に御披露申し上げておるところの当局の意見でございます。從いまして私どもとしましては、決して共産党に対するねらい討ちをかけるという考えを持つておるのではございません。ただ反動的な労働組合に対する指導分子というものが現われまして、労働組合の健全なる発達というものを、阻害しておるところのものがないわけではございません。そういうものはこの法規によりまして、あるいは自然発生的に除外されるという傾向を持つて來るかもしれないのであります。それはなぜかと申しますと、民主主義的なる、りつぱな組合運動を指導して行こうという私どもの考えから、そういう結果になつて來ることがあるかもしれませんが、そういうことは單に共産党ばかりでないのであります。そのほかにいろいろ急進分子的な考え方を持つておる者もあるでありましよう。左翼ばかりでありません。右翼の最もひどいものあるかもしれない。ただいまのあなたのお説の中にもありました通り、あるいは暴力團的なものもないわけではありません。そういうものに対するところの処置をも、また当局としましては考えているというようなことにもなるのでありまして、決して共産党に対するところの考えばかりでなしに——またそういう考えでこしらえたのでないという点を、御承知いただきたいと思います。
○石田(一)委員 共産党ばかりでないとおつしやると、そうすると、お考えの中には、共産党も含んでいるということは了解できますね。
○山崎(岩)政府委員 共産党ばかりということは、そのばかりということにこだわりますと、そういうふうにあなたが解釈されることになるかもしれませんが、私としてはそういう急進分子的なものを一般にひつくるめまして、そういうものはおもしろくないということを申し上げただけのことでございます。
○石田(一)委員 せんだつて大橋委員あたりの質問に対しての政務次官の御答弁は、たいへん熱があつて、ひとりで興奮なさいまして演説をなさつたのですが、きようの御答弁によりますと、何かしらはつきりしなくなつて來ましたが、何もそんなにおそれることはありません。大胆にひとつ披瀝された方がいいんじやないですか。この間の十三委員室のように、堂々とひとつ答弁してください。何もひつかけようとしているのではありません。私たちの立場としても、共産党の進出することを決して喜んでいるんじやないのですから、何もこわがることはない。堂々と所信を披瀝したらいい。しかし私がただここで申し上げたいことは、せんだつて労働大臣は、あなたのおつしやるように、これは決して共産党一党をさすのではない、どんな党であろうと、どんな会であろうと、労働運動に介入して、これを一方的に、また非民主的に指導するようなことがもしわかれば、断固として取締る決意を持つているのだ、こういうことをおつしやつたのであります。この労働大臣並びに急進分子であるとかいう今の政務次官のお言葉等から察して、最もおそれなければならないことは、一回の総選挙において一つの政党が絶対多数を得た、この絶対多数を得た内閣が、自分たちの主義主張に反するから、少くとも自分たちの政策に反するからというので、法律上正しく当然に認められているところの、相手方の政党のいわゆる勢力拡張、あるいは党勢拡張というか、この政治活動を制約するために、相手方の最も力を入れているところの、たとえば労働組合あたりの法律を、この際政府與党の手によつて改正をして、相手方の政党の勢力を減殺しようということは、少くともこれは独裁政治、フアシヨの芽ばえでなくて何でありますか。私が最も憂えるところはこの点であります。巷間傳えられる反共産党の宣傳文書等、あるいは演説等を私はよく聞いたり読んだりするのでありますが、その中に共産党に対しての解剖がなされておる。その内容にこういうことがあります。それは、共産党は今うまいことを言つて國民を上手にだましておるが、もしあれが絶対過半数を得て政権を握つたら、合法的な政党も全部否認し抹殺し、粛正工作をやつて、要するに相手の法律上認められた政党まで、これを否認するようにして行つて、法律でこれを縛つてしまつて、共産党独裁の政治をし、人民には決して自由も平等も與えられないのであるということを、盛んに言つているのであります。その口の下がら今の内閣は、共産党がもしそれをやるとしたら、共産党がやろうとしておると同じことをやつておる。こういうことになる。私はまことにこの点において危険を感ずるのであります。現内閣が民主自由党、あるいは民主党の一部を基盤として立つている内閣で、共産党とは思想的に根本的に違うというならば、共産党を労働組合運動から排撃するためには、何も法律を改正することによつてそういう姑息な手段を講じないで、堂々と、いわゆる言論によつて、思想によつて、共産党をまつこうから太刀打ちをしてやるべきである。この法律を改正してそういうことをするということは、実に天下の公器をもてあそぶ、いわゆる一党一派のために、法律を改正してやるいう世の指彈を受けても、何らこれに対しての答弁はないだろうということになるのであります。私はこの点を非常におそれますので、主義主張の異なるいわゆる急進分子、共産党ばかりではないとおつしやいましたが、はたしてあなたたちの属している政党以外の何ものでも——この組合運動に介入して、しかもこれを一方的に指導する者に対しては断固として取締をするという鈴木労働大臣の御説明でありましたが、相もかわらずそのお考えであるかどうか、もう一ぺんはつきりこの際御説明を願つておきます。
○山崎(岩)政府委員 お答え申上げます。石田委員のただいまのいろいろな御質問の中には、まことに日本の前途を憂うるの言葉がみなぎつておるのでありまするけれども、一應私の考えを申し上げますならば、現在の日本の政府が、どういう状態に置かれておるかということを御判断願いたい。これはガラス張りの中でやつておるのでございます。今ここで労働法の改正をやる。しかしながら、そのことかどこまで一体及ぶのでございましようか。單に日本の國内だけじやありません。いろいろな方面に影響を持つて來ておるのであります。そういう諸般の環境のもとにおいて、改正しなければならないこの法律案をただいま議会に上程いたしますのに、われわれが自分の私情をさしはさんだり、一党一派に偏してやることが、できるものであろうかということを御判断いただくならば、從つて御了解いただけるものと私は考えております。
○石田(一)委員 たいへんけつこうな意見を聞きましたが、ガラス張りの中で一党一派に偏しないでやるんだ、そういうただいまのお考えなれば、少くとも昨日の公聽会において、九人公述人が出席をしておりますが、その中でこの改正案に賛成をする態度をとつたのは、遺憾ながら日経連からいらつしやいました三人の公述人だけである。あとの学識経驗者、労働者を交えての六人の公述人は、全部本案にはまつこうから反対をし、しかも現在また過去において、労働委員会の委員長をやつておられた、労働運動に対しての学識経驗者としては、日本においてまずその先駆者といわれるところの末弘博士でさえ、國会がもし本案を政府に返上するという勇氣があるならば、それをおやりになつた方がまことにいいということを、速記録にとどめておつしやつておられる。そうしたガラス張りの議論があるにもかかわらず、なお本案を撤回しないで強行しよう。今政務次官はガラス張りの中でやつておる政治だから、一党一派に偏していないとおつしやいましたが、少くともこの改正案には、日経連の代表者を除いては全部が反対である。それを強行なさろうとするのであつたならば、一党一派というのが惡ければ、日経連の代表者の主張を容れて本案を強行なさる、こういうこと以外にはありませんが、これでもガラス張りの中の政治であるかどうか、この点ひとつ政務次官として、はつきりおつしやつていただきたい。
○山崎(岩)政府委員 私の信念は毛頭かわつておりません。それは公聽会における意見というものは、いろいろな方面から、いろいろな角度から論議せられるのでありまして、單に九人の人ばかりが、一般の人々のすべての意見を代表したものとは考えていないのであります。議会に私どもが上程しておるのは、四百六十六名の最も民主的なる選挙によつて選ばれた各位の御批判に訴えんとして上程しておるのであつて、私どもとしては、議会人を非常に尊重しております。從いまして、議会の皆様方の御判断によつて、適当なる御批判、御審議を願いたいと思います。
○石田(一)委員 そういうふうに公聽会の價値を判断しておやりになるとすれば、今後公聽会なんかは、やつてもやらなくてもいいということになりますね。政府当局は公聽会をそれほど重く見ていないかもしれませんが、われわれ議会としては、あの公聽会に述べられた学識経驗者の意見を、相当尊重しなければならないものだ、公聽会というものは一應一つの尊重——利用價値がある思つて開いておるわけであります。あなたの今の御答弁では、あれは民主的ではないのだ、意見を聞きおく程度で、合理的に選ばれたこの國会議員を尊重してやるのだ。それは議会中心ですからいいのですが、それでは民主主義というものが、どうなつているのかはつきりわからない。この点は議論になりますから、この程度でとどめておきましよう。 私は第一條関係について御質問申し上げたいと思います。第一條で一番最初に、たいへんけつこうな御趣旨がこの中に入つております。この法律には、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進する、こういうのであります。この対等の立場に立つて交渉することを促進なさる、そして労働者の地位を向上される、まことにけつこうでありますが、対等の立場に立たせるという、現行法にないのを、改正案に新たにここに表現されることになると、少くとも現在までの三年間の労働組合法実施の結果、労働者が使用者より交渉の際にうんと下の立場にあつたか、さもなければ、使用者よりうんと優位の立場にあつたか、それでなければ、本案をここに規定なさる必要はないわけである。そこで私は政府は、現行法の施行のもとにおいて、労働者は使用者より下にあつたか、上にあつたか、どうお考えになるか。現在まででも同等の立場にあつたのだと言えば、何もこんな対等の立場に置くということをあらためて書くまでもない。要するにどうお考えになつて、対等の立場に立つということを法文にお載せになつたか、この点を御説明願いたいと思います。
○賀來政府委員 本案におきまして、第一條で特に対等の立場と書きましたのは、現行法の第一條においては、現在の憲法第二十八條に規定してあるところと同じようなことを書いてあります。それを敷衍して参りますると、今度の法案の第一條のようになる。当然憲法で保障せられておる團結権、團体交渉権及び團体行動権というものは、これは使用者と対等の立場において認めらるべきであるという趣旨を、ここに書いたにすぎないのであります。現在までに一体上であつたか、下であつたかというお話でありますが、労働組合法は施行後わずか三年でありまするが、この間に労働組合が現行法の期待しておりまする、すなわち対等の立場をもちまして、よく労資の交渉に当つたという事実は、これは非常に大きな功績を残しておるのであります。大部分の組合はさような状態で参つたと、われわれは考えております。ただ一部の組合では使用者側の方が強くて、組合側が弱いという事実をわれわれは認めております。一部では組合側が非常に強くて、使用者側が弱いというふうなこともいわれておりますが、われわれといたしましては、その際の使用者側が、不必要に弱い立場をとつておつたからでありまして、決して組合の方が上であつた、かような考え方はしておりません。
○山崎(岩)政府委員 先ほどの石田委員の公聽会の件につきまして一言申し添えておきたいと思います。私は公聽会を決して軽んじておるのではありません。公聽会における意見等は、どういう意見があるかということを、十分研究もし、考慮もしなければならないものでありますから、実は私のふところの中にちやんと入つております。どの方がどういうふうに言つたか、少くともこれはもみくちやになるまで、私のふところから離れたことはない。聞くべきものは十分聞き、研究すべきものは十分研究してやつておるのでありますから、誤解のないようにしていただきたいと思います。
○石田(一)委員 今の政務次官の御答弁は了承しておきましよう。そこで今の第一條のいわゆる対等の立場の問題でありますが、ただいま政府当局の御説明では、ある労働組合においては労働組合の方が非常に強くて、使用者が弱かつたことがある。また使用者の方がうんと強くて、労働組合の方が弱かつたこともある、こういう御説明でありましたが、私たちが現在まで労働省から提出されましたあらゆる資料を拜見いたしまして、使用者の方が強くて、労働組合の方が弱かつたという資料が一つも出てないのであります。ほとんどどの爭議においても、労働者が刑事上のこういう不当なる行為をして、こんな大けがをさして、こんな損害をかけておるということである。あるいはまた労働者が、越権にもこういうことをしたのであるというような資料はたくさん出ておりますが、労働者が弱くて、使用者のためにこういう損害をこうむつたというような資料は一切出ておりません。その点から考えますと、政府が提出された資料からいうと、少くとも現行法のもとにおいては、労働者が行き過ぎだ、使用者より上である、だから労働者の地位を引下げて使用者と対等の地位に置くというのでしよう。さもなければ、上にある労働者の地位に使用者を引上げて対等の地位に置こう、これが本案の第一條の対等の立場である。それ以外に解釈しようはありませんが、どうお考えですか。
○賀來政府委員 先ほど申しましたのは、労働者が強いから、引下げようというふうなことを考えて、申し上げたのではございません。過去三箇年におきまする経驗によりますと、おおむね労資の関係は、対等の立場で正常な状態にあつたとわれわれは考えております。なお御指摘の資料の点でありますが、これは先日土橋委員からも御注意がございまして、使用者側の不当労働行為のはなはだしいようなもの、たとえば山口縣の大浜炭鉱のごとき例、あるいは日本セメントのような例を資料として出せというお話でありましたが、これはまことにごもつともな御注意でありまして、われわれは、資料については不十分でありましたということを申し上げ、目下つくつておりますので、できましたら差上げることにいたします。
○石田(一)委員 ぜひその資料は拜見したいと思います。ただいまの政府当局の御説明は、現在までの過去三年における労働組合の運動のあり方においては、ほぼ労資は対等の立場に立つてやつていたという当局の説明でありますが、対等の立場でやつていたものならば、現行法で対等の立場になつておるものを、ことさらに、ここにあらためて対等の立場においてというようなことを規定なさるということに、私はある誤解を生む原因があるのだ、こういうふうに考えます。しかもこの現行法の第一條を、今回の改正案のように改正なさろうとする趣旨の説明の中に、せんだつても局長のおつしやつたのは、現行法は憲法二十八條を、そのまま同じことを繰返して書いたような形になつておる。少くともこうした労働組合法規などというものは、憲法に規定するところのものを具体的にここに列挙して、しかもそれを保障するという本案の最大目的から考えるならば、この改正案のように具体的に表示した方がいいということをおつしやつておるのでありますが、私の考えといたしましては、憲法にある明文、いわゆる條章と同じことが第一章に現行法で書かれているからという理由では、現行法を改正する理由にはまつたくならないと思う。憲法に書いてあることと、間違つたことを書いているということで、改正するならけつこうですが、憲法に書いてあることとほとんど同じことで、重複しているが、これを具体的に表わすとおつしやる。第一條に憲法の二十八條の條文を具体化したという政府の御答弁でありますが、しからば憲法二十八條の條文を、第一條で全部具体化したとお考えになつておりますか。それとも一部分であつて、どの部分が具体化されてないか、その点をはつきり御説明を願いたいと思います。
○松崎政府委員 お答えいたします。憲法第二十八條の規定は、この改正案の第一條において、全部具体化しておるとわれわれは考えております。
○石田(一)委員 私はただいまの政府委員の御説明によつて——要するに憲法の二十八條と申しますのは「勤労者の團結する権利及び團体交渉その他の團体行動をする権利は、これを保障する。」こうなつておるのですが、この第一條を私たちがつぶさに二十八條と比較檢討しますと、「この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより」とあつて、少くとも「労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つ」「交渉の点において」と制限され、しかも「その他の團体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、團結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための團体交渉をすること及びその手続を助成することを目的とする。」という、この長たらしい、昨日の公述人の公述ではありませんが、初めを読んでみて、何だか終りの方でわからなくなるというような、むずかしい書き方で、これで全部二十八條に含むところの問題を、具体的に書いたつもりであると今政府委員はおつしやいましたが、そういたしますと、これ以外には二十八條の明文の中に何ものもないかということであります。この点をはつきりひとつおつしやつてください。
○松崎政府委員 憲法二十八條の規定は、この改正案の第一條のほかに全然ないかという御質問でありますが、本法案の第一條におきましては、憲法第二十八條の本筋は、漏れなく入つておると考えております。
○石田(一)委員 少くとも憲法の各條文は、冗漫にわたることを避けて、できる限り簡潔な文章を用いておる。しかもこの簡潔な文章の中に、そのときどきの客観情勢に應じて、この運用によつて大きな意味を含ませるために、あまりこまかい規定をしなかつた。これを本案のように、第一條で非常に解釈があいまいになりがちな——いわゆる憲法の本筋だけはということは、一應了承したいと思いますが、二十八條のものは、全部これを具体化したということになりますと、今後客観情勢の変化によつて——憲法の二十八條がそのときの情勢によつて、またある解釈をなされるときに、このただいまの政府の答弁では、第一條以外には、一歩も出て解釈することはできぬという結果になります。そういたしますと、これは政府当局が憲法を一方的に解釈をして、憲法二十八條の條文には、第一條に含んでおる以外に何ものもないということを決定することになるのでありまして、これはまことにゆゆしい大問題であると思います。そういう点から考えまして、私はこの現行法第一條を改正しなければならぬ理由というものは、政府の提案趣旨弁明だけでは十分に了解できない、むしろこれは昨日の公聽会あたりの主とした意見のように、改正をするより、立法技術の点においても、またその内容においても、現行法の第一條の方が、はるかにまさつておるということが大多数の意見なのであります。この大多数の意見を無視して、拙劣な、読んでいてわからないような、しかも多くの疑問を持たれるような、第一條の改正をなさろうということは、私は決して時を得た改正ではない、こういうふうに考えております。そこで私は、これは意見になりますので、とどめますが、第二項の暴力行使の問題、これなどについても、昨日の公聽会あたりでは、まつこうから多くの公述人が反対をしております。 〔三浦(寅)委員長代理退席、委員 長着席〕 この点について、私は法律議論をこの際繰返してやろうとは思いませんが、今日春日委員からもちよつと引用されましたけれども、過日当局の説明の中に、專從者の賃金などを使用者から支拂つておるということが、国際労働会議あたりに知れた場合には、日本の労働組合運動の恥辱であるということをおつしやつておりますが、私は現行法に何らそういう規定のなかつたものを、改正の第一條の第二項の但書において、いかなる場合であつても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為であると解釈されてはならない、などという條文を、労働組合法の第一條に規定すること自身が、世界の労働会議などに知れたときに、日本の恥辱にはなりませんか。この意味から解釈しますと、少くとも日本のある一部分には、ある場合には暴力の行使を労働組合の正当な行為であると主張する者があるので、この規定を設けられたということになるのですが、そういうわけではありませんか。これは非常にみつともない條文だとお考えになりませんか。
○賀來政府委員 御意見はごもつともでございますが、この項を置きました理由につきましては、先日高橋檢務局長から申したような事情でございますので、それで御了解を願いたいと思います。
○石田(一)委員 理由はせんだつて聞いたのですが、少くとも労働組合のあり方、あるいは自主的な、民主的な責任性を持たせるためにという、実に文化的なこの規定、法律を改正なさろうとする政府が、その第一條の第二項の但書で、現行法においては何らこういうものがなかつたものを、突然、刑法においても使用していないところの暴力という言葉をここに用いて——しかも昨日の公聽会の意見では、暴力という言葉はまことに解釈のしにくい言葉である、いろいろに解釈される言葉である。すなわち刑法の條文に「威力ヲ用ヒ」というのがあるが、要するにこの暴力は威力の中に含まれる行為であつて、解釈があいまいである。少くともこの條文がある以上、今後の労働組合運動は、その時の官憲の考え方によつて、これは暴力である、威力を用いておるというので、その指導者が全部檢束されるおそれがある。しかも裁判の結果、この労働組合の威力を用いたということが、何ら罪にならないと判決をされたときにでも、少くとも労働爭議の進行過程において、労働者のいわゆる指導者を檢束することによつて、爭議側の不利益に終る場合が多々起るだろうということを憂えて、権威ある学者連中が、この條文に対しての反対意見を述べておるのであります。しかもこれは刑法の人の信用毀損、業務を妨害する行為の中に、威力を用いてという言葉がある。しからば政府当局は、この第一條第二項の末尾の但書の暴力という、この暴力は、刑法にいうところの威力以外のものが、威力の範囲に含まれるものか、その点をはつきり御説明願つておきます。
○賀來政府委員 ただいまの御質問に関連いたすことでありますが、先日大橋委員からの御質問に関連して、委員会といたしまして、もつと研究をして答弁をするようにというお話がありました。高橋檢務局長から、いずれあとで一括して御答弁を申し上げることにいたしておりますので、あとの答弁をお待ち願いたいと思います。
○石田(一)委員 私一人がいつまでもやつておりましても、かえつて——時間の経済もあるでしようから、私はこの辺で第一條関係をやめまして、特に私の申し添えておきたいと思いますのは、この第一條の関係では、ただいま申し上げた二項の但書において、いかなる場合でも暴力を用いたものはこうだという規定をしながら——これは労働者の一つの不当労働行為であるでしよう。しかし使用者の不当労働行為に関しまして、私は対等の立場に立たせるというのにしては、ちよつと條文上不十分ではないかということを考えておるものであります。それは使用者が、自分の雇用するところの労働者の代表の團体交渉を、拒み得る場合が規定してあるのであります。それは例外的なものでありますが、御承知の第七條として、ちやんとそれに規定してあります。正当な理由があつたら拒むことができる、こう私たちは解釈をいたします。この提案趣旨弁明をよく読んでみますと、労働者の爭議行為というものの刑法上の免責の規定の終りに、暴力行為というのを用いたのは、現行法を制定した当時に、しからばどれが爭議の正当なる行為であるか、目的を達するための正当な行為であるかということを判断することは、健全な社会通念の判断によるということになつておるが、健全な社会通念の判断によるのみではまことに不明確で、各労働組合の労働者諸君の認識がまだ不十分であるので、この暴力行為云々の但書をつけた、こういう説明があるのであります。そういたしますと、労働者のこうした行為に対しては、健全な社会通念による判断によつては不十分であるという御説明があるのに、使用者が労働者の代表と團体交渉をしなければならぬ義務がある。それを拒否する場合に、正当な理由があれば、これが拒否できる。しからばこの使用者の正当な理由であるかどうかということの判断は、少くともこれは健全なる社会通念の判断による以外に、その理由が正当であるかどうかということは判断できないと思います。この際、私はむしろ使用者の方のこうした不当労働行為の場合にも、正当なる理由というようなあいまいな言葉で、この團体交渉を拒否するなどという権利を使用者に與えることなく、明らかにこの條文に、かくかくの場合のみに使用者は團体交渉を拒否することができる。こういうことを規定する方がむしろ労働者と使用者との対等の立場を促進するという意味から、公平なあり方ではないかと思うのでありますが、この点については昨日の公聽会においても、ある使用者側の代表も、本案についてそういう意見を申しております。要するに、具体的にその場合を明示した方がいいということを言つておりましたが、この点については、どういうふうな御見解を持つておりますか、ひとつ具体的にそういうような御意見があるかどうか、意思があるかどうか、御説明願いたいと思います。
○松崎政府委員 ただいまの正当なる理由でありますが、これは過日われわれが発表いたしました試案において書いて見たのであります。ところが御承知の通り、あそこにおきましては、著しく喧噪であるとか、あるいは長時間だとかいうような抽象的な言葉しか使い得なかつた。法律技術としまして日本語ではどうしてもそういうきちつと行くような答えができないのであります。そうすると、結局今石田議員がおつしやいました健全な社会通念という言葉を、もう二度持つて來ねばいかぬということになりましたので、この七條におきましては、正当な理由というふうに使つておるのであります。その判断は、それでは何が正当なのかということにつきましては、労働委員会、それから最終的には裁判所が決定して行つて、判例的なものが集積して行くであろうということになります。
○石田(一)委員 ただいまの御説明で、試案において、著しく喧噪をきわめたとか、あまりに長時間の交渉のために、使用者を自分の意思に從わしたとかいうふうな場合が、法文の体裁上、技術上いろいろ問題になつて、こうした正当な理由ということに書かざるを得なかつたというのであります。今の喧噪をきわめたというようなことは、法文の体裁上、当局において削除して、正当なる理由としたというのであるならば、先ほども言う第一條の第二項の但書の「いかなる場合においても、暴力の行使は」、という、こうした刑法にも使つてないような言葉を使うことの方が、むしろ法律の体裁上、見苦しいものなのであります。片一方にはそういう理由をつけてうまくやり、片一方には刑法にも使つていないような暴力の行使などというような言葉を用いて、こつちはりくつをつけていいことにし、一方は法律の体裁上おもしろくないというので削除して、正当な理由ということにしました。しかも一方の第一條の第二項の「暴力」のところの説明には、健全な社会通念で判断するということでは、どうも不十分である。使用者側になると、正当なる理由は、もちろんこれは健全なる社会通念で判断する。これでは一つも対等の立場に置かれていないじやありませんか。全然違つた立場に置かれているじやありませんか。少くともこういう点を考える。もう一つ、ここに指摘しなければならぬことは、改正法の第二章第五條の二項の四、要するに労働組合に関する問題ですが、「四 何人も、いかなる場合においても、人種、宗教、性別、門地又は身分によつて組合員たる資格を奪われないこと。」ここに列挙なさいました人種、宗教、性別、門地または身分というのは、これは憲法の十四條の條文の字句をここに持つていらつしやつたのじやないですか。御説明を願います。
○松崎政府委員 これは過日もどなたかから御質問があつた点でありますが、憲法におきましては、信條という言葉の中に、政治的信條も入るという解釈がなされております。この法案におきましては、少くとも人種、宗教によつて差別してはいけないという最小限を意味しておるのでありまして、政治的信條については、この法案は触れていないというふうに解釈いたします。
○石田(一)委員 政治的信條もさることながら、この憲法十四條のいわゆる「人種、信條、性別、社会的身分又は門地」ということが、ここに引用されたと、こう私は理解するのですが、政治的信條というものに触れていないという観点から、故意にこれを本案から削除して載せなかつた。憲法の條文は持つて來なかつた。これが今の政府委員の説明だが、信條というのは政治的信條だということをおつしやいました。これは議論になりますから、あまり言いたくはないが、政治的信條とは何か。要するに新しい憲法が審議される過程において、この第十四條の信條ということの中には、宗教というようなものも含むだろうし、今おつしやつたいわゆる政治的信條——その政治的信條の中には思想を含むということであります。要するにこの信條の中には、本人の持つている思想によつて、法律のもとにおいて差別してはいかぬということが含まれている。その他の人種にも、性別にも、あるいは社会的身分にも、また門地にも、全然この宗教とか、あるいは思想的、政治的な考え方というものは、これに入つておらぬ。しかも第十四條が保障するのは、政治的にいかなる思想を持つていようともいかなる考え方を持つていようとも、あるいは主義主張を持つていても、いかなる宗教を信じていても、法律のもとでは全然差別待遇はされないという規定なのであります。しからばただいま指摘した第四号の信條ということを含んでいないのは、政治的な考え方、思想によつては、組合員たるの資格を奪われてもかまわぬという抜け穴があるのじやないか。この点を質問したい。
○松崎政府委員 この点につきましては、先ほども申しましたように、この法案では全然触れておりません。しかし過日も新潟縣でありますか、その問合せに対して答えましたように、そういうことは妥当ではないというふうに考えております。
○石田(一)委員 そうすると、この中に信條ということは入つていないけれども、思想関係で組合員たる資格を奪うことは妥当ではないという御見解ですか。
○松崎政府委員 さようでございます。
○石田(一)委員 了承いたしました。それはできれば労働大臣にでもはつきり聞いておきたかつたのですが、これは大きな問題でありまして、現在の民主自由党内閣の考え方によつて、いくらでも、これは利用できるこの法の大きな欠点であります。少くともこの十四條の條文を引用したのならば、ことさらにこの信條という文字をここから書いて、しかも宗教という文字を、ごまかしかなんかで、技巧的に持つて來る必要はない。ここに宗教ということを持つて來るのだつたら、十四條に書いておるそのままの信條を持つて來ればいいわけである。信條の中に思想が含まれる。思想の関係では、労働組合員としての資格を剥奪してもいいという今の内閣の反動的な、保守的な考え方が、ここにも如実に現われているということでありますが、あらゆる点におきまして、私はこの改正案がほんとうに改惡であるという——少くとも昨日の公聽会あたりにも、あらゆる良心的な学者も、また労働者も、本案は政府に返上して、しかもローヤル・コミツシヨンというものを設けて、再び慎重に練り直して、その改正案を後日愼重に審議したらどうかという点が強かつたのであります。政府にそういう考えがあるのかないのか。その点最後に一言だけ御答弁を求めて、私の質問を終ることにします。
○山崎(岩)政府委員 ただいまの石田委員のお言葉でありますけれども、政府といたしましては、あくまでもこの法案の御審議を願う覚悟でございます。 —————————————
○倉石委員長 次に公共企業体労働関係法の施行に関する法律案を議題といたします。質疑を省略して討論に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉石委員長 御異議なきものと認めまして質疑を省略いたします。 これより討論に入ります。討論は通告があります。春日正一君。
○春日委員 公共企業体労働関係法の今出されている案は、大体この前の國会できまつた公共企業体労働関係法の実施が四月一日からとなつておつたものが、六日一日からということになつたのです。そしてその法文の中にある経過規定を、それに應じたようにするということだと了解しております。だからそういう点では、何も問題ではないようでありますけれども、しかしあの公共企業体労働関係法というものそれ自体が、少くとも鉄道の現業員とか、あるいは專賣局の労働者、タバコをつくつている人は、そこらの私鉄の從業員よりも、むしろ公共の福祉ということには関係のない存在である。タバコをつくる者がストライキを一週間やつたからといつて、すぐだれそれが迷惑をするという問題じやない。もしそれが迷惑するというなら、酒屋の職人がストライキをやつても迷惑するのとりくつは同じことです。そういうことになれば、結局あの公共企業体労働関係法ができるときに、われわれは公共企業の労働者であるという名目をもつて、労働階級に與えられた基本的な憲法の権利を奪われるということになるから、反対だというように主張して來たのでありますけれども、しかし現在の労働組合法の條文を、公共企業体にかわつて適用して、何の公共に対する脅威を加えるものがあるかということを考えるなら、やはりこういう公共企業体労働関係法というものをきめたということは、この前の國会における大きなミスであつた。だからこの経過規定は一箇月間実施するとか何とかいうことではなく、この際無期延期しておいて、少くともこの次の議会に、あの公共企業体労働関係法を撤廃する案を出すべきだというふうに、われわれは考える。そういう立場から、これに対して反対をします。
○倉石委員長 討論は終局いたしました。 これより採決に入ります。公共企業体労働関係法の施行に関する法律案について原案の通り可決するに御賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○倉石委員長 起立多数、よつて原案の通り可決するに決しました。 なお報告書の作成については、委員長に御一任くださることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉石委員長 御異議がなければさようにとりはからいます。 暫時休憩いたします。 午後三時五十二分休憩 ————◇————— 午後三時五十三分開議
○倉石委員長 休憩前に引続いて開会いたします。 労働組合法案及び労働関係調整法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を許します。土橋一吉君。
○土橋委員 ただいままで共産党としましては、春日委員から大略のことについて質問がありましたので、私は補足的に各部分について御質問したいと思うのであります。 まず本法案の基本方針として、あなたの方からお示しくださいました労働組合法及び労働関係調整法の改正の基本方針とその要領というものがありますが、現在の状況においては、民主自由党の吉田内閣の基本的な政策としては、現在行政整理が断行されておるのであります。まだ各省設置法案が各省ごとにただいま上程され、同時に定員法が出されておるのであります。こういうふうに行政整理の基本的措置として、定員法案が上程されておる。あるいは民間企業に対しましては、企業整備が企業の合理化の名によつて、ただいま行われておるのであります。他方におきましては、この間本会議で厖大な一般会計予算も通過しておるのであります。そういう際に單一為替レートの設定が発表いたされまして、輸出貿易を振興する、こういうような政策が逐次うたわれておるのでありますが、こういう吉田内閣及び民主自由党の政策の一環として、その政策の一翼として、現在の労働法規が上程されておるのであるか。あるいはそうではなくて、これはどこまでも労働組合及び組合員の民主的な、あるいは自主的な、さらに責任性なり公共性というものを純然と考えて、そういう政策的な、民主自由党の政策ではなくて、労働組合の発展、育成のために根本的に考えた法律であるか。その点を明確にお聞きしたいと思うのであります。そうしないと、もし民主自由党の政策の一環として、労働法規の改惡が行われるというお考えで、この法案が出ておるならば、またそのように私は御質問しなければならない。そうではないのだ、そういう民主自由党の政策であつても、しかし法規に関する限りは、どこまでも民主的に、また労働組合の自主性を尊重する、そういう政策に関係なしに上程されておるのであるか。その辺を明確に御答弁願いたいと思うのであります。
○賀來政府委員 ただいまの御質問は、大臣から御答弁を申し上ぐべき事項だと考えますが、事務当局の立場で一應お答えを申し上げたいと思います。 改正の理由といたしまして、大きく二つをあげております。一つは、過去三箇年間における組合法の施行の経驗にかんがみまして、最も自由な組合、また建設的な組合運動たらしめるためには、現行法に幾多の不備欠陥がありますので、これを是正いたそうという趣旨でございます。おそらくわれわれから見ましても、この自由にして、建設的な組合運動を規定して行くことは、民主自由党としても、そのお考えを持つておられることとわれわれは考えておるのであります。 第二の点は、内外の諸情勢、ことに九原則を実行いたして参りますについて、できる限り労資の関係は正常な状態を保持すべきである。特に使用者側において、労働組合が自己の業務の運営について、どうもじやまになるという考え方もございまして、不当労働行為をやるおそれも多分に出るかもしれない。さような場合も考えますと、組合運動を正常な状態に守つて行くことが、当然どの九原則下においては必要である。かように考えるのであります。この九原則を実行いたしますについて、できる限り労資関係の正常な状態で、問題が起つても平和的に処理して行きたいと考え、特に公益との調整をはかつて行こうとする考え方は、これは民主自由党といたしましても、やはり一環政策としてお考えのこととわれわれは察しておるのであります。
○土橋委員 ただいまの賀來労政局長の御答弁でありますが、私が質問申し上げている点は、民主自由党の政策として、今日企業整備なり、行政整理が断行せられており、同時に厖大な一般会計予算も通過しておる。あるいは單一為替レート設定のために、いろいろな原則もただいま実行されているが、そういう民主自由党、吉田内閣の政策の一環として、この労働法規改正案が出されているのかどうか。そうでないとすると、今あなたが後者の方で御答弁になつているそういう方針が出ているのかどうか、こういう点をお聞きしておるのであります。なぜかならば、この改正の基本的な方針を、あなたの御説明では、労働組合法及び労働関係調整法の施行の体驗にかんがみて、そうして時勢の推移とともに、現在の改正原案を出さんとするものである、こういう趣旨が述べられておるのであります。そういたしますと、民主自由党は政党でありますので、やはりこの政党はいろいろな考えを持つておられるのであります。また今そのために、絶対多数の議員を擁して、政権を担当されておるのであります。その政府の政策として、この法案が出ているとするならば、これは民主自由党の政策的な規定であるということを考えなければならないし、そうでなくして、どこまでも労働組合の発展のために、労働者の権利擁護のために、生活擁護のために、過去の体驗から考えてみて出しているということであるならば、またそのように次の條項について質問がありますので、その点を明確なる御答弁を願つて、次の質問に移つて行きたいと思つておる次第であります。
○賀來政府委員 お答えいたしますが、先ほど申し上げましたように、民主自由党としての政策なりやいなやということにつきましては、いずれ大臣から御答弁があることと存じております。ただわれわれから申し上げたいと思いますことは、われわれ事務当局といたしまして、この法案を立案いたします考え方は、きわめて事務的な面が大部分であるといいますか、事務的に考えたのでありまして、先ほど申しましたように、過去三箇年間における経驗、それから現在の内外の諸情勢から見まして、この法案を立案いたしたのであります。ただこの立案いたしました当時の大臣は、民主自由党の増田労働大臣でありまして、この労働大臣の命によつて、われわれは立案に着手いたしますとともに、この法案を提出するにあたりましては、現内閣といたしましてこの法案を認められて、そうして本國会に提案をせられたのであります。從いましてこの法案は、われわれ事務当局から見ましても、民主自由党といたしましても、この政策を認められておるものと考えておるのでありますが、さらに具体的に、これは民主自由党の政策なりやということにつきましては、大臣から御答弁を申し上げたいと思います。
○土橋委員 ただいまの御答弁で、事務当局の御見解というものはほぼ私も了解したわけでありますが、結局これが民主自由党の、政策の一環として上程されておるならば、この法律は少くとも企業整備ということを言われる限りは、労働者の首を切るなり、あるいは企業の合理化によつて、あらゆる弱小企業に対する整備が行われる、かようにわれわれは考えておるのであります。そうするとこの法規の含む精神というものは、もし前者のような説明で、あくまでも労働組合の育成、あるいは自主性、あるいは責任性なり、さらに民主化ということを強調するものとは、およそ相反するような結果であるわけであります。なぜかなれば、現在の状況においては、賃金の不拂いなり、あるいは、爭議状態においても、労働権よりも、むしろ経営権の優位性を主張するような立場において、工場閉鎖が行われておるのであります。あるいは労働協約の一方的な破棄を断行しておるのであります。また賃金においても——今日も鉱山保安法の合同審議におきまして、いろいろな理由が説明されておりますような状況下において、この法案が出されておるというならば、事務当局がいかように民主的、自主的なものであるというふうに説明されても、政策全般から見て、労働者のあらゆる欠乏と苦しみというものを当然に予定されている法案といわなければならないのであります。そうするならば、この法案はまず前提において、労働階級の犠牲の上にこれを強行する法律である、かように断定せざるを得ないのであります。もしそうでないと言うならば、後者のような、きわめて労働組合の力を強くして、資本家なり、官憲なり、あるいは政府がいかような政策をもつても、労働階級の生活を守るのだ、権利を保障してやるのだ、食えるような状態に置いてやるのだという精神が横溢しているならば、まことにけつこうでありますが、この精神は、民主自由党の吉田内閣の政策面からは、矛盾をする考え方でありますので、この点をまず明確にしておかなければならぬと思います。一應労働大臣がお見えになりましたら、この点をとくと承つておいて、それから次の質問をいたしたいと思うのでありますが、ただいまのような内容でありまするから、そういう点も含んで十分御答弁願いたいと思います。 次に第二番目の問題は、昨日の公聽会におきましても、労働者代表の皆さんからいろいろ御指摘があつた通りでありまするが、立法過程がきわめて民主的でない。この法文の主張は、民主的あるいは非常に自主的なものであるというような政府の御説明でありましたが、立法過程を見ると、きわめて非民主的な方法において立法されておる。これは万人あまねく承知しておるところであります。私はこの前、時間がなかつたために十分な御質問ができなかつたのでありますが、昨年十二月二十二日及び今年の二月二日に労働省からお出しになつた次官通牒というものが、少くともわれわれの行政法的な観念から見ると、明らかに憲法違反である、かように考えておるのでありますが、この点についていかが考えておられるか、御説明願いたいと思います。
○賀來政府委員 お答えいたします。次官通牒は現行法規の解釈に基きまして、その行政方針を通達いたしたのであります。労働省といたしましては、所管法規の行政解釈をやる権限は持つておるのでありまして、その責任大臣の命によりまして、次官の名前をもつて通牒をいたしたのでありますから、われわれといたしましては、憲法違反とは考えておりません。
○土橋委員 私はただいまの御説明は非常に不満足であるし、同時に憲法の規定の七十三條の内容と、次官通牒というものがどういう立場にあるか、あるいは次官通牒の効力が都道府縣知事なり、あるいは一般の労働者、さらに資本家の諸君に対して、どういうような効力関係にあるかというようなことについて、論議しようとは思いません。しかしあなたのような、労働大臣の命によつて次官通牒を出した、労働省は労働法規に関してあらゆる場合に解釈権を持つておるというようなことであるならば、非常に法治國の立法としては不十分でありまして、むしろこの起つたケースについて、地方労働委員会なり、あるいは中央労働委員会がその内容を具体的に審査をし、そうして法規の命じておるところの内容に從つて、適切な妥協案なり、あるいは解釈事項を決定することが、現在の法規から見ても正しいのであつて、労働省が一々官的な立場において、また時の政党に縛られるような見解から、解釈の内容を出すということについては、非常に私は異論があると思うのであります。これはもちろん公法学的な問題もあるので、一應避けますが、ただいまのような御説明であるならば、非常に不十分です。そういう点で労働省が解釈権の有権性を持つているとお考えでありますか、お聞きしたいと思うのであります。
○松崎政府委員 現行法規の解釈について、労働大臣が有権的に解釈できる、われわれはそういうように考えております。現行法規におきましては、第二條において使用者の利益を代表する者とか、あるいは主たる経費とかいうような非常に含みのある言葉を使つてありますが、過去三箇年間の経驗におきまして、これは何を含んでおるかという、労働大臣の解釈を示したものであります。
○土橋委員 今日、日本の國の政治について、もし最高的な有権解釈をするならば、高等裁判所、あるいは最高裁判所においてその法規の解釈をするのが正しいのである。労働大臣が有権的な解釈ができるというような答弁をすることは、執行機関である政府が法律自体についての解釈を誤つておるものであると思いますが、いかがでありましようか。
○松崎政府委員 私はさつき有権解釈という普通に用いられております言葉を用いましたので、誤解があつたかもしれませんが、もちろん労働大臣の解釈が、最高裁判所の解釈と違うということはあり得るのでありまして、労働大臣は行政解釈を有権的にできるという意味であります。
○土橋委員 大体あなたの御答弁はまだ不十分だと私は思うのであります。なぜかならば、最も大切なことは、國会においてこの法律の具体的な解釈をするのが正しいのであつて、事案が起つた場合に、その案について、この法規をいかように適用するのが正しいかという場合には、最高裁判所あるいは國会が行うのが至当であろうと思うのであります。一執行機関である労働大臣がその有権的な解釈をするというような答弁は、いささかフアシズム的な、從來の東條内閣のような考え方でありまするので、そういう考え方を、労務を担当している人、あるいは法制を担当している人が持つているとすれば、政府はよろしく正すべきであろうと思うのであります。そういうことではなしに、個々の事象について疑いがある場合については、こういう解釈をしたらよろしいではなかろうかと思う、という程度であるならば、さしつかえないが、この解釈に從つて事案をやるということは越権でありまするので、あなたがそういうような答弁をされておることは、國会に対して非常に私は考えさせられるものを持つておると思うのであります。 次に御答弁いただきたいと思いますのは、この前私が労政局長に指摘いたしました、これは先ほど石田委員からもいろいろ御質問があつて、政府としては十分わかつたと思いまするが、こういうような労働組合自身の行き過ぎであるとか、労働組合の会計の不正な事実であるとか、あるいは非民主的な労働組合の例として、こういうものを掲げて資料をお出しになつたことは、この改正法規がいかに正しいかということを、あなたの方で証明しようとしたものかどうか、この点について御答弁をいただきたい。
○賀來政府委員 資料を差上げましたのは、本法案の審議の御参考までに差上げたのでありまして、正しいか正しくないかという御判断は、國会においてなさつていただけるものと考えております。
○土橋委員 それではこの問題について、この前御注意申し上げて指摘したように、まず今日纖維工業における労働組合というのは、一般に女子從業員が多いために、どこでも労働組合運動としては、きわめて低調下にあるようにわれわれは考えておるのであります。そういう低調下にある労働者の諸君が、特にこれは長野縣あるいは東京都あたりにおいてもそうでありますが、寄宿舎制度によつて、賃金の状態においても、待遇の状態においても非常に惡い。特に機織工場等における状態は、労働者でも御承知と思いますが、そういうような事案について、労働組合の幹部、あるいは労働組合の組合員についての指導よろしきを得ない点が、多々あろうかと思うのであります。特にそういう組合においては間々あることでありますが、御用幹部的な者が、女子從業員については、うんもすうも言わせないで、簡單な方式で賃金を安くし、あるいは年に一回、二回程度の慰安会というようなもので、ごまかしている。俗にいう御用組合的なものが多いように考えておるのであります。そういう事案については、私は資本家側の不当行為として、まずこういうものをあげなければならない、かように考えておりますが、それについて、いかようにお考えになつておりますか。
○賀來政府委員 ただいまの御意見につきましては、先日も、ごもつともだということを申し上げたのであります。使用者側の不当労働行為——御指摘の纖維労働組合というのは、多分私が聞いておるのでは、大阪府の貝塚の纖維工場の場合ではないかと考えますが、それらの点につきましては、御審議の御参考に、われわれで知つておるものを調べて差上げたい、かように考えております。
○土橋委員 それでは先ほどの次官通牒の問題は大臣がお見えになつてからすることにして、ちよつと保留しておきたいと思います。当面起つている問題は、この前申したように西武鉄道の社長が、これは專務とか、ほかの方もあろうと思いますが、從業員諸君に、共産党の党籍を持つた者について、会社としては好まない、そしてるる勧告をし、忠告をして、共産党を脱退しなさい、脱退をすれば、うちのところで使つてやるからというので、誓約書を書かしておるのですが、先ほどの政府委員の御説明によれば、それは妥当でないということですけれども、それだけで終るものでありましようか、あるいは積極的にそういうような政治的信條——現行法のもとにおいてはこれは明らかに違反でありますが、労働省としてはそういう場合に、どういう御処置をされるお考えであるか。これに対して労働者の権利を守るために、どういうお考えであられるか、お聞きしたい。
○賀來政府委員 労働省の共産党員に対する組合の取扱い方についての見解については、先般來申し上げますように、共産党員なるがゆえに組合を除外することは、違法ではないが、妥当ではない、特に組合自身にとつては、さような組合は不名誉と考えなければならない、かような考え方を持つておるのであります。御指摘の西武鉄道の事件は、実は私聞いておりませんので、具体的には申し上げかねるのでありますが、さような件は、労働省自体としては、あるいは府縣の労働部自体としては、使用者に対して、さようなことをやつてはいかぬではないかという、勧告ないし指導はできまするが、処置の権限は持つていないのでありまして、労働委員会が適正なる処置をしてくれるだろうと考えております。ただわれわれといたしましては、さようなことをされて、そのままになつておる組合は、しつかりしていただきたい、さような希望は持つております。
○土橋委員 なお当面一番問題になつているのは、賃金の未拂い及び賃金の不拂いの点だと思います。こういうような案は、もし改正したと言われる労働組合法によりまするならば、おそらく二十七條あたりの規定、あるいは中央労働委員会のいろいろな規定、あるいは労働委員会の規定に該当すると思いますが、当面長く賃金の遅配欠配が起つておる場合に、これを適切に処置する方法は、私は政府の考え方によつていろいろできると思うのでありますが、こういう点について政府はどういう御所見を持つておられるか。あるいはそういう場合に、貸本家側の諸君は、爭議行為の手段として工場を閉鎖しても、自分の生活にはそれほど影響はないのであります。ところが労働者の労働権は、生命権とは別ではございません。これはあなたも御承知のように、労働者の労働権というものは、常に人格権なり生命権と一致して、労働権の中に包含されておる一つの内容であります。從つて労働者の労働権の問題は、個人的な問題とは考えられないのでありまして、労働者は賃金によつて生活を営んでおるから、もし爭議手段として、工場閉鎖が行われる際には、労働者は非常な苦しい困難な立場に陥るにもかかわらず、中央労働委員会並びに地方労働委員会のあつせんなり、そういうものは非常に時間を要する。特に裁判をするような場合には、非常に時間を要するが、こういうことが、はたして対等に労働者の労働権を保護する内容になつておるか。労働権というものは今申し上げるように、生命あるいは自由、あるいは生存権というものまでも含んでの内容でありますので、こういうものと、企業家が金を持つて事業をやつて、かりに困つたといつても、工場をたたき賣りすれば、食うことには困らない。そういうものと対等に考えられるか、この点を伺いたい。
○賀來政府委員 労働省といたしましても、おそらくこの問題については、大臣からもたびたび御答弁申し上げたと思いまするが、賃金の遅拂いのごとき処置は非常に遺憾に存じておりますし、また基準法を運用する責任のある労働省といたしましては、当然不当なる賃金遅拂いのごときは、断固処置すべきだと考えております。同時にこれらの賃金遅配の問題につきましては、これはやはりあらゆる施策というものが、総合的に実施されなければならないものであつて、それらの施策が円滑に行くように、労働大臣としては、あるいは労働省としては、十分努力をしなければならないものと考えておる次第であります。
○土橋委員 なおいろいろ聞きたい点がありますが、私はこれから各條項にわたつて御質問して、御答弁願いたいと思います。先ほど石田委員から詳しく第一條の御質問がありましたので、私は重複を避けて質問いたします。 まず第一條の規定は、労働組合法の立場を、日本の全法的体系及び現在の生活状態から制限した制限規定であると思うのであります。これは昨日の野村教授からも公述において言われた内容と同じでありますが、労働者の生活を擁護するには——資本主義経済のもとにおいては、今申したように、労働権は生命権であり、生存権である。また「この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他、これに準ずる収入によつて生活する者をいう。」こういうことがこの法案の第三條にも明記されてありますので、そういう点から考えて、私はこの第一條の規定は、今申したような立場において規定されておる條文であると確信いたしておるのでありまするが、そうすると、憲法の基本的な原則がいろいろあるうちで、特に労働者の権利を抜き出して、また團体交渉権あるいは團結権、さらにその他の團体的行動を行う権利は、侵すことのできない権利として保障されておるという、この基本的な原則から見まして、そういうものを敷衍する、そういうものを具体化するためには、第一條というものは私は非常に不適当である、こういうように断定して、お聞きしたいのであります。第一條の問題の中心点は、地位の向上をさせる、対等の立場において交渉する、その地位の向上にありというように、逐條審議においてあなたの方で説明しておられます。また第二点では、團結を擁護すると説明をしておる。第三点としては、團体交渉する権利を保障してやつておるのであるというのが、第一條の内容の説明でありまするが、ここに書いてある内容は、対等の立場においていろいろな交渉をする、対等の立場においてするという技術的な方法、説明的なものがこの規定に織り込まれている。また第二の團結をする権利を擁護するという内容においても「自主的に労働組合を組織し」というような、一つの團結をする方法しか書いてないのであります。また第三の問題として、やはり團体交渉をする、それは労働協約締結のためというような意味合いに、制限を受けての團体交渉が規定してあるのであります。ところが、たとえば私の過去の経驗から見まして、團体交渉というものは、労働者が自分の生活擁護のために、また労働條件を闘いとるために、徹底的に資本家側の諸君と対等の立場において交渉し、それが労働協約という結果になつて現われて、ある一定の期間保障されるものである。從つて團体交渉というものは、労働協約締結のためのみならず、自分のあらゆる権利を闘いとるための、また要求を満たしてもらうために行う一つの方法である。從つて團体協約というものは、その結果、いろいろな交渉を経てつくられた、一つの將來にわたる基準が示されるにすぎないのである。從つて團体交渉の中身は、その團体交渉の議場において、徹底的に自分の主張を出し、また資本家側の諸君も、自分の経理内容から、あらゆる面を説明して、そうして徹底的に闘うということが、團体交渉の基本であるやにわれわれは考えているのである。そうするとこの法文は、その結果の一部分を規定しているにすぎない。團結権についても同様であります。團結権そのものについては、先ほど春日委員からも御質問があつたのでありますが、四八年の第三十一回の労働会議における第二條、第三條、そういうものを調べてみても、どこまでも官憲なり、政府なり、公共の機関というものは、團体をつくるその組織に干渉をしてはならない、どういうことがあつても干渉してはならぬ、こういう規定があるにかかわらず、この規定では、團結権というもののわくを、自主的に自分が労働組合をつくるのだという、それだけのわくに限定してかかつている。こういうことは、憲法第二十八條の規定を根本的に表現していないのではないか、こういうふうに私は考えるのであります。この点について、そうではない、これはやはり労働法規の建前によつてつくつたのである。そういう基本的な権利を行使するために許されているというのが、現在の法的な立場において、解釈されている観念でありますから——ある一方的な技術的問題だけを加えておるが、中身は憲法第二十八條の罷業権、あるいは團体交渉権、爭議権、さらに團結権、あるいは團体行動権というものについては、いささかもこの規定によつて制約をしない。その目的達成のために、社会通念上正当なりと考えられる一切の行為は、やはり第一條において保障しているのであるということが考えられるかどうか、あるいは技術的なものであるというように考えられるかということについて、もう一回お答え願います。
○松崎政府委員 さつき石田委員に御説明いたしましたように、第一條につきましては、憲法第二十八條の労働権の保障を、いささかも阻害しようという意図は持つておりません。ここに今おつしやいました方法論が書いてあるということは、團結権なり、團体交渉権の方法のうち、最も主要なもの、最もプリンシプルなものを掲げておるのでありまして、それ以外のことは禁ずるのだという趣旨にお読み願うことは、われわれは考えておらぬのであります。
○土橋委員 これは、法務廳からもお見えになつておりまするが、ただいまの答弁で間違いないとするならば、なぜかような一方的な技術的なものだけを取上げて、これを保障するように書いておるか。これは次の第二項の條項において、前項の目的を達成するためと書いてある。そうしてこういう廣汎な團結権、團体交渉権、あるいは罷業権、團体行動する権利というものは、その目的達成のためには、社会通念上許されたいかなる行為であろうとも、至当であるといわれるものを保障するという立場において、第二項を解釈するか。ここに書いてある技術的な説明的なものを取上げて、前項の目的を達成するために、労働組合をどうする、こうするということの規定を設けることによつて、非常に解釈が狭まつて來る。そういう点を明確にしないために、法規そのものの解釈についても、とかくの疑問が生ずるのですから、私が申し上げたような労働者の基本的な権利、もう一回申しますると、團結権、團体交渉権、その他團体的行動権、このうちには爭議権もあれば、ストライキ権もあり、サボタージユの権利もふくめる。そういう権利の、目的達成のために行われるあらゆる行為は、これを保障するのだ、但しこの内容の公序良俗、あるいは社会通念上もとるものについては、これは時の解釈に從つていろいろになるが、そういう基本的権利は、あくまでも保障するということを書くならば、そういうふうに次の條文の解釈も行かなければなりませんし、またこういう規定の解釈のようになるならば、いよいよ壁に当つて來ることになるが、法務廳はどういうふうに考えているか、私の質問の内容について、間違いないかどうかという点を、お答え願いたい。
○高橋(一)政府委員 今回の改正法案の第一條第一項というのは、根本の思想におきましては、現行法の一條一項と私は同じようなものであるというふうに理解するのでありまして、あまり文字にとらわれて、きゆうくつに解釈すべきものではないというふうに考えております。
○土橋委員 ここで議論しても、しようがないのでありますが、あなたの方の御所見は、第一條と同じである、あくまでも團体交渉権、團結権、さらに團体的行動権、そのうちには罷業権、サボタージユ、あらゆる権利は保障されているが、ただここにおいては、法の書き方が私をして言わせれば、非常に不十分でありまして、私は昨晩鉱山保安法の條文を見ましたが、きわめてわかりやすく、日本語的である。この法文はいくら読んでも、何を言つているのか、どこに重点があるのか、第一條においてもわからないのであります。從つてこういう人を迷わすような、一般常識で考えられないような、非常に困難な條文はやめていただいて、今あなたがおつしやつたようなふうにかえて、この点わかりやすい明確なものにするということを要望し、またそういうようにしなければならないということを主張するわけであります。これは時間もありませんので、一應この程度で、あなたの確認と、政府委員の的確な御答弁によつて、私はそういうふうにまた労働者諸君にもお話を申し上げておきたいと思うのであります。 次は第二項の免責規定であります。これは非常に問題であろうと私は思いまするが、これは大橋委員からも、きよう石田委員からも、またきのう公聽会においても親しく言われましたが、暴力行為というのは刑法の規定においては、一箇條も見受けられないのであります。暴力行為等取締法規というのは、私も承知いたしておりまするが、一体この法律をつくる場合に、おもに該当する、適用する法律は、刑法であろうと思います。あるいは、さもなければ、軽犯罪法であろうかと思いますが、刑法の立場においてこの暴力行為というのは、端的な表現で、どういうふうな意味であるか、簡單に言つていただきたいと思います。
○倉石委員長 この際ちよつと委員諸君に申し上げます。先日本委員会において、大橋委員から政府に向つて質疑をされ、また土橋君のお話になりました点について、もし今日この席で、政府側のまとまつた意見を発表せられることができれば、非常にわれわれ欣快とするのであります。
○高橋(一)政府委員 それでは大橋委員、あるいは先ほどの石田委員、ただいま土橋委員などの御質問に應じまして、便宜私から、一條二項、あるいはほかに関連しますところの、正当とは何であるか、あるいは暴力とは何であるかというような問題につきまして、政府の見解を申し上げたいと思います。但しあらかじめお含みを願いたいのは、この労働関係におきますところの爭議行為の正当性といつたような問題は、非常に個性に富んだものでありまして、これを画一的な表現で、あらかじめ正当性を規定するということは、おそらく世界各國とも、そのような非常にすつきりした解決は、まだ持つていないのではなかろうか。私よく存じませんが、おそらくそうであろう。それほどにこれはむずかしいとされておる問題であります。從いまして、われわれとしては、これに基きまして各種の事件に対して、最高裁判所ができるだけ早く各種の判例を積み上げて行つて、おのずからそこに限界を示すというようなことを念願しておるのであります。なかなか最高裁判所の判例というものが出そろいませんので、いろいろ問題が残るのでありますが、そのような前提におきまして、一應のことを申し上げたいと思うのであります。 第一條第二項に、今回の改正で「暴力」という言葉を持つて來ておるのであります。この暴力と申しますのは、從來の法律では、おそらく暴力行為等処罰に関する件のほかには、あまり見当らないのであります。この暴力行為等処罰に関する件は、内容といたしまして、かりに六法全書のまとめ方によりますと、集團的、常習的暴行、脅迫、毀損、二條で集團的、常習的面会強請、強談、威迫というようなものを規定しておるのでありますが、これらに規定してあることがすべて暴力行為というわけではないし、暴力行為等処罰に関する件というふうになつておることからしても、はつきりするのであります。 それではどういうものが暴力であるかといいますと、要するにわれわれの方では、不法な実力の行使ということは、暴力である。これを刑法の條文の中から拾いますと、障害などはもちろんでありますが、單純なる暴行を含みます。それから器物を損壊するいわゆる器物毀損、これは物に対する暴力でありまして、これも当然これに含まれます。要するに人の生命、身体自由あるいは財産に対しますところの不法な実力、あるいは有形力の行使というものは、これはここにいわゆる暴力であります。このほかに、たとえば脅迫罪などはどうであるかといいますと、一般的には暴力には含まれない。ただいわゆる強盗における脅迫、すなわち相手方の反抗を抑圧する程度の脅迫、これは、恐喝なんかの脅迫は、その程度に至らないのでありまして、非常に高度の脅迫でありますが、こういうような脅迫はやはり暴力と言えるのではなかろうかというようなことがありまして、これは將來の問題であると思いまする。但しこれが暴力に入るかいなかが問題であつて、それがやはり暴力と同じように不当なものであるということは、これはもちろんであると考えるのであります。 それから石田委員からのお尋ねで、刑法の業務妨害罪にいわゆる威力と暴力との関係はどうかというお尋ねでありましたが、威力というのは暴力よりもはるかに廣い概念でありまして、もちろん暴行、脅迫等をいたしまして、他人の業務を妨害するものもやはり業務妨害罪になります。その場合のいわゆる威力というものは、威力の内容がいわゆる暴行であれば、暴力ということになります。それ以外に單純なる脅迫、軽度の脅迫でありますとか、あるいは暴力團の無言の圧力といつたようなものなども、威力ということになりますと、入つて参ります。そういうものをここに暴力と言つておるのではございません。すなわち威力の方が廣くて、暴力と言えないが、しかし威力と言える場合があるということであります。 それからこの際、業務妨害罪の適用問題について、明らかにしておきたいと思うのでありますが、いわゆる團結の威力というものを、ただちにこの業務妨害罪にいわゆる威力というふうには、われわれの方では解釈しておりません。從いまして、他に何と申しますか、暴行でありますとか、その他の行き過ぎがない。單にストをやつて仕事をほつたらかした、そのためにいろいろな故障が起きたというような場合に、これを問題にいたしますと、ほかの特殊の見地からいたしますれば、特別法などは別でありますけれども、そのストが不当でありましても、これに対する刑罰法規はどうかといいますと、業務妨害罪が当るか当らないかが今問題でありますが、それ以外にはないのであります。それで業務妨害罪をこれに適用するかいなかということにつきましては、われわれの方では、そういう運用を愼んでおりまして、從來から、そのような業務妨害罪の適用はしないという方針で参つております。それから、これはいろいろ民事関係その他にまたがる問題でありますけれども、大橋委員からお尋ねのありました一條二項にいわゆる正当という意味と、七條一号の不当労働行為の場合における正当ということと、及び損害賠償に関する八條の正当ということとの関連でありますけれども、われわれといたしましては、やはりこの場合の正、当というのは、いずれも同じ観念でありまして、すなわち一條一項、これをそうかた苦しく解釈しないことは、先ほど申し上げました通りでありますが、要するに一條一項の精神というものに照しまして、これに適合するところの労働組合の行為でありまして、社会通念上もつともだということが、いわゆる正当でありまして、これは一條の場合も、あるいは七條、八條の場合でも、やはり同じ考え方ではなかろうかと思うのであります。ただその現われ方がいろいろになるわけでありまして、一條二項の場合には、犯罪の構成要件ということで、これはたいへん制限を受けております。かりにどのように不当な行為でありましても、これを罰する個々の法規というものがなければ、一條二項は働いて参りません。刑罰を科することはできません。そういうふうに個々の現われはいろいろと違うと思いますけれども、根本は同じではなかろうか、こう思うのであります。 それから、いわゆる労調法に定めた手続をふまないで、爭議行為に入つたというような場合、これはやはり当該争議行為全体としても不当でありまして、これを構成する個々の行為は、やはり同じく不当であるといわなければなりません。現にこの電産に爭議権がないという前提に立ちまして、この間労調法所定のクレーム・タイムの期間内に争議行為をいたしました場合に対しまして、その考え方を適用しておるのであります。それから労働協約の平和條項に違反した争議行為というものはどうかということになりますと、この平和條項のきめ方にもいろいろあろうと思いますので、一概には申せませんけれども、これはやはり全体としても不当であり、この場合にも不当ではないかというふうに考えるのであります。さらに規約の場合になりますと、これは労働関係においても、あるいは一般の社会関係においても、規約の持つウエートの関係などがいろいろありまして、やはり一概には申せない。これは具体的に解決さるべきであるというふうに考えておるのであります。たいへん概括的でありますけれども、一應の御説明を終ります。
○大橋委員 先般の質問に対しまして、ただいま御回答がございました。私がこの質問をいたしました動機は、どういう点にあるかと申しますと、從來一條二項の正当性の問題が非常にあいまいに取扱われておつて、これがために労働争議におけるところの警察権の介入が、不断に争議の正常なる解決を妨げるような場合も少くなかつた。そうしてまたこれに対する政府側の見解といたしましては、この條項の正当ということはなかなかむずかしいことである。こういうことをおつしやいますけれども、さていかなる理論によつてこれを解決するかという点になると、ほとんど努力が足りなかつたのではないかと私は推察をいたしておつたのでございます。なおまたこの正当性をこの際はつきりいたしますることが、労資双方におきましても、爭議をやる際のやり方というものに合理的な根拠、またその限度というものをはつきりする。從つてまた警察権の無用なる干渉を排除するという有益なる効果が伴うものと存じまして、この質問をいたしたわけでございます。しかるにただいまのお答えを伺いますると、私としては満足することができないのでございます。まず根本的に私は、この三つの場合の正当性というものを——今同じものであると言われましたけれども、これは私は同じものではないと考えるのが、正しい考え方ではないかと思うのであります。なぜかと申しますと、第一條第二項の場合におきましては、これは刑罰の問題であります。刑罰の問題というのは、その行為をなした人の、その行為の結果の社会的影響というものを考えまして、対社会的の関係において、その行為が不当であるとされるがゆえに、これが処罰されると思うのでございます。この場合にもちろん三つありまして、それは先にも仰せられましたように、爭議そのものが不当とせられる場合、また爭議が正当なりと考えられましても、個々の行為が不当であるとせられる場合、この三つの場合が区別されると思います。いずれの場合におきましても、それらの行為が社会に対して危険な行為であるという意味において、これは不当性を認められざるを得ないものであると思うのでございます。これに反しまして、第八條の場合はどうであるかと申しますと、第八條の正当、不当というのは、これは事業主、すなわち使用者に対する労働者または労働組合の行為なのでありまして、これは対社会の問題ではなく、対使用者の不当性というものの関係において、正当、不当をきめるべきものではないかと思うのでございます。これをさらに詳細に申し上げますならば、使用者に対する場合におきましては、たとえば労働協約の平和條項に違反したという行為のごときものは、これはその使用者との間に締結せられました労働協約の違反でありまして、使用者に対する信義、誠実の原則に違反いたしまするがゆえに、これは対使用者関係においては、確かに正当ならざる争議である、こういうことに観念することができると思います。しかしながらその労働協約の中和條項に違反したということは、これは対社会の関係においては、何ら関係のない第三者でありまするがゆえに、対社会の関係においてそれが不当なりとせられる理由は、亳もないのではないか。少くとも私は第八條の場合と第一條第二項の場合においては、その行為の対社会的関係、対使用者関係、そのいずれの場合において不当とせらるべきであるかということを、区別する必要があると思うのでございます。もし対使用者の関係でありまするならば、その使用者はこれに対して報復的な処置をとることも、場合によつて認めなければならないと思う。そう考えて参りますると、不当労働行為の場合は、この対使用者的関係、対社会的関係の中間に属するところの関係ではないか。まだ私自身のこの問題についての結論は得ておりませんけれども、私としては今申し上げましたような関係は、この問題を研究する上において、十分にきわめなければならぬいくつかの点があると思うのでございます。私は、先にも申し上げました通り、すでに労働組合法の施行以來三年を経ました今日に至るまで、政府のこれに対する解釈が、あいまい模糊としておつたというがごときは、まことに遺憾のきわみであると存ずるのでございます。もとよりこの問題は、世界の労働法制界における難問の一つではありまするけれども、しかしながらおよそ檢察を指揮せられまする当局と、して、また不当労働行為が何であるかということを判断せられまするところの労働省として、この問題について何らの研究が行われておらなかつたということは、まことに残念に思うのでございます。私はかような意味におきまして、ただいまの御説明には満足することはできません。しかし今これ以上の御返事をこの際にいただこうとも思わないのであります。また、いただこうとしても、それはむりであると考えます。私はこの次の國会までに、政府の関係各機関におかれまして十分に研究をされまして、そうしてその結果を、次の國会の労働委員会において、また十分に質問さしていただきたいと思いますから、そのときまでに、しつかりと御研究をしていただくことを、この際特にお願い申し上げる次第でございます。なおまたこの問題は、昨日も公聽人が、労働法規をきめる際には、いろいろな協議会あるいは審議会の議を経ろということを言つておられましたが、私はこの不当労働行為に関するこの法律の解釈も、法律を定めるのに劣らぬほど重要な問題であると思いまするから、この解釈について、政府がさらに研究を進められまする場合には、労資双方の関係者、並びに中立的立場にありまする適当なる方々の意見も十分に参考にせられまして、そうして適切なる解決を、すみやかに完成していただくことをお願いいたすのであります。 なお法務廳につきましては、この法律についての一般的な批評といたしまして、また昨日の公聴会におきましても、これらの法規が憲法違反ではないかというような意見も投げられておりましたが、この点についての法務総裁の確固たる御答弁を承りたいと存じますけれども、これはなお法務総裁のおいでになりました適当な機会に、御答弁を願いたいと思います。労働大臣に対しましては、なおお見えになりましたときまで質問を保留さしていただきまして、この問題に対する私の質疑はこれで打切ります。
○石田(一)委員 ちよつと関連して……。ただいまの御答弁でいまだ不十分だと思うのですが、いわゆる刑法の業務妨害罪というものは、正当な爭議行為の結果発生したいわゆる第一條の第二項の暴力行為ということがあつても、これは業務妨害罪では律しないという趣旨であつたと思います。この改正案の第一條の第二項の但書の暴力行為の行使ということが、もし現実にあつた場合に、はたしてこの裏づけとなる刑法の罰則というものは、どの條項をもつて罰せられるのか、この問題を私ははつきりこの際お聞きしておきたいと思います。
○高橋(一)政府委員 多少御質問の趣旨をとり違えておつたかもしれません。暴力を行使する爭議行為というものは、やはり暴行でありますとか、あるいは傷害、あるいは器物毀棄、場合によりまして業務妨害というような條文の適用を受けて処罰されることになるのであります。私が先ほど業務妨害の運用について申し上げましたのは、そういう暴力と言えない要するに團結の威力といつたような、当然しごくのことをやはり威力だ、こう言つて、普通のストライキに対して業務妨害罪なんかを適用はしない、こういうふうなことを申し上げたかつただけであります。 なおそのほかに、暴力行為等処罰に関する法律なども、暴力違反につきましては適用になる場合がありますし、いろいろ他の適用法律などもあり得るかもしれません。
○石田(一)委員 そうすると正当な手続によつて正当な労働組合が爭議を起した場合に、もちろん爭議行為は威力を伴うものですから、威力があつたからというので、その威力をもつて業務妨害罪にすることはない、これは当然のことなので、よくわかるのですが、もしその間、先ほどの政府委員の説明の中にあつた、いわゆる労働省の第一次試案の中に現われておりましたような、著しく喧噪にわたつたとか、あまり長時間にわたつて使用者を、交渉する場合に一定の場所にくぎづけにしていろいろ質問したというようなことですが、そういうふうな問題が起きたときに、これは威力の程度を越えているということに判断される場合がある。そういう場合に、少くともこれが威力の程度を越えているからというので、第一條第二項の但書の暴力というものに類似した行為であるということで、これが律せられるとすると、結局この規定があるために、これらの正しい爭議行偽の中に、たまたま熱心のあまり、ちよつと騒いでやつたとか、ある一部の者が、あわてて窓ガラスにひじをつつ込んで、窓ガラスをこわしたというようなことが、今の御説明でただちに暴力行為、器物破毀ということで罰せられることになると思うのですが、そういうふうに理解してけつこうでございますか。
○高橋(一)政府委員 間違つて窓ガラスを破つたというような場合は、これは犯意を欠きまして、いわゆる暴力ということは言えないと思いますが、そうではなくして、やはりわざとやつたというような場合は、暴力たることは間違いないと思うのであります。そしてそのようなことは、爭議行為としてもやはりやつてはならないことであります。理論的にそれは不当であり、処罰をすればできるわけであります。そういうふうに解釈しておるのであります。但し前にもこの委員会で申し上げましたように、爭議行為はその性質上、いろいろな多勢の人の感情をはらんだ複雜な動きをするものでありますから、それを重箱のすみをほじくるように、非常に軽微な事犯まで一々取上げることは、これは角をためて牛を殺すたぐいでありまして、檢察の方針として、そのような運用はしない。やはり大まかに考えて、大筋を押えて行くような運用をいたしておるし、また今後もいたして行かなければならないと考えております。
○石田(一)委員 そうするとその場合、爭議をする労働者の爭議の範囲を逸脱した第一條第二項但書の暴力行為で認めるというので、それが檢挙された場合に、昨日公聽会あたりでもたいへん問題になつておりましたけれども、この労働者の暴力行為を挑発し、あるいは誘発した責任が使用者側にあるというような場合に、この労働者の暴力行為の行使という点に対して、一種の正当防衛であるとか、あるいはその情状が酌量されて、この暴力行為も一應は罪にならないとされるとか、そうした一般の刑法上の罪の減免というようなことは、もちろん考慮されるわけであるとこう思いますが……。
○高橋(一)政府委員 相手方が非常に挑発したために、遂に怒つて暴力に及んだというような場合には、情状として十分に考えなければならないと思うのであります。しかしそれは相手方が挑発すれば暴力に訴えてもいいのだ、こういう考え方じやなくして、やはり暴力は惡くても、その場合にはまことにむりもなかつたであろうというように、その行為に対して運用上これを酌量するのである。理論的にそれが罪とならない、罰しないという考え方ではなくて、惡いことではあるけれども、それを酌量する、こういうふうに考えなければ、爭議というのは実力ざたになつて、参るのではないかというように考えておるのであります。
○土橋委員 ただいままで、大体政府のこの法文に対する見解、ほぼ政府がこう考えておるだろうということはわかりました。しかしながら、私はこういう点から——この暴力の行使という事柄について、先ほどの御答弁では、不法の実力の行使であるという御説明であつたのでありますが、これは普通の場合には、暴行という規定の説明に一般刑法では使つておるようであります。もし暴力の行使ということが、不法の、実力の行使であるというならば、これは不法な有形力の攻撃を加えるとか、不法の実力によつて云々という規定によつて、暴力という規定の説明に使われておる解釈でありますので、そうすると、ただいまの高橋さんの御説明では、刑法の暴行と何らかわらないということになるのであります。そこでそういう解釈を廣めて來て、併し威力を用いる場合はちよつと違うのだということになりますと、人の犯行を抑圧する程度の暴行という限度は、今判例でも学説でも大体一致しておるのであります。人の犯行を抑圧する程度の暴行とはどういうものであるかということは、法律学によつてほぼ一定しておるのであります。また脅迫の場合には、人の犯行を抑圧する程度の脅迫とはどういうものであるかということは一定しておる。これは権威ある刑法学者はほとんど一致している。そうすると、こういうふうな世界労働運動史上非常に考えなければならない條文をこの箇所に入れて、多少紛議を起すような、そうしてまた官憲がこれを利用して正当なる團体交渉、あるいは正当な爭議行為、正当な團体的行動権、そういうようなものに干渉する糸口を與えることは、はなはだ法的措置としても純粋的に見て不当なものである、こういう点が明確になるのであります。なお第一條の関連から、第二項の前段をごらんになつてみればわかるが、前項に掲げる目的を達成するためになした正当なものについては、刑法第三十五條の規定を適用する、こういう規定が置かれておる。第一項の規定の解釈には、今あなた方が御答弁になつたように、團結権、團体交渉権、團体行動権さらに爭議権なり罷業権の目的を達成するために労働者側が行うあらゆる行為がある。その行為がどういう行為であるかということは、説明しなくてもあなた方はわかつておると思います。が、その目的達成のためのあらゆる行為をやるという観点から、第二項の但書を解釈する場合と、第一項をきわめて狭い技術的なものから解釈する場合の前項の規定に掲げる目的を達成するということについては、法的な観念において非常に違うのであります。これはおよそ法律を知つている者は、だれでも観念的に違つて來ると同時に、しまいに行けば解釈の範囲が狭くなつて來ることはだれでもわかつておる。この但書として暴力の行使というように、非常に漠然たる観念を植えつけておるところに、法的技術の矛盾を持つておるのであります。從つてこれは明らかに法的に見ても、観念的に、前項の規定に掲げる目的を達成するためにと言つておる限りにおいて、今あなた方が御答弁くださつたように、前項の規定を中心的に解釈するのだというような解釈になつて來ると、石田君の先ほどの質問に対する答弁は全然うそであつたということになるし、團結を擁護するその方法は自主的な労働組合を組織することだ、あるいは地位の向上というのは対等な立場でやるのだというように、解釈の範囲を制限しておいて、前項の目的達成のためになした行為に対しては、第三十五條の免責規定は認めるのだということになると、法的観念としては非常に違うのである。だから私は何回も念を押して聞いた。ところが、いや、憲法第三十八條の規定とは間違つていないと言われるのですが、前項の目的を達成するためということは、憲法第二十八條の基本的な権利ということであつて、第一項の規定がいかに間違つておるかということを証明するものであります。從つてその次の暴力の行使ということを、今も御説明があつたように、暴行と同じような解釈をあなた方はとつておる。簡單な説明で、何らその間において暴行と違うという点は一つもない。ところが暴行には人に加える場合の暴行もあるし、物に対して加える暴行もある。結局法的利益を持つておるものに対する直接的、間接的あらゆる場合を想定して來ると、ここに書いてある暴力の行使ということは意義がないことになる。いわんや世界の学説上非常に問題があろうというそういう危險なものを、ここに掲げるということは、どういう意味であるかというと、労働省及び民主自由党が、先ほど申しました基本的な考え方から、かような過誤まで犯して、この法文を挿入せんとするところに、まず法律的の見解も間違つておるし、実政策としてこういう規定を入れておるところに、率直に申し上げて労働階級にとつてはきわめて反動的な法文であつて、そういう意味から、私はただちに抹消していただきたいと思うのですが、これは議論になりますし、時間もありませんので、一應あなたの御見解では、われわれは暴行と同じような解釈をとつておるというように確認して、次に移りたいと思います。 次に第二條の規定がまた非常におもしろい。われわれから見るならば、何を規定しておるのかわからないような條文であります。というのは、この第三條は第一條の規定と同じようなことを、第一項に規定しておるのであります。第二條は労働組合の定義を規定しておる。第一條第一項に本法の制定の目的を規定しておいて、そして労働組合はどういうものであるかということを、第二條において規定しておる。ところが、第二條第一項の規定を見ると、これはまず第一條の燒直しであると同時に、ただ連合会も労働組合であるということだけを規定しておるのであります。それ以外に何ものもない。そして第一項の規定は、この前の賀來さんの御説明によると、最初の第一号の條文は、「使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての忠誠と責任とに直接にてい触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者の参加を許すもの」は御用組合だ、こういうことを言つておる。この説明では身分的な、職能的なものから規定しておる。この説明は確かに速記録においてもそうなつておると思うし、私もそう確信しておるし、あなたの方の逐條審議の説明もさように書いてある。ところがここで一つ問題になることは、およそ労働者が会社に命ぜられた仕事をやつておる場合に、それが会社の部内に対しても、第三者に対しても、利益を代表しないような仕事をしていない。これはどういう企業形態の、どの部門をとつても、機密の事項に関するものであろうと、流れ作業であろうと、何であろうと、会社の利益にならないことは絶対にやつておらない。利益になる仕事をやつておる。ここに会社の利益を代表するという者としてあるが、明らかに身分的な、しかも職階的な地位、監督的地位にある者に限つて、これは組合側から見れば、観念上利益を代表する者と言われるのである。從つてかりにどういう作業場においても、たとえば便所掃除をする者であつても、やはり会社の利益のために行うのでありまして、会社の利益をその面においては全責任を負つて代表しておる。從つてそういう職能的なものによつて範囲を廣めていることは、私は解釈上非常に疑問があるが、それでもなお職能的なものを含んださようなものを考えておるか、この点をお聞きしたいと思います。
○松崎政府委員 会社の便所を掃除する者も、使用者の利益を代表する者であるという御見解は、会社の利益のために働く者ではあると言えましようが、使用者の利益を代表する者とはわれわれは考えておりません。職能的な問題を考えておるという点は、先日來申し上げたのと同じでおります。
○土橋委員 そうすると、職能的なものまで、労働組合員でありながらこれを労働組合品から除外して、管理者の地位、身分的な地位のうちに入れしめるということは、結局現在における労働組合の弱体化になる。先ほど言つた例は非情に言葉は惡いと思うのでありまするが、労働組合のあらゆる機構において、会社の利益を代表しないものはないと思う。先ほどの例は不十分であつたが、とにかく職階的な地位における者、身分的な者こそ監督的地位にあつて、労働者側から言えば、なるほど利益を代表すると言えるけれども、職能的な面にまで、これを及ぼして説明するところに、私は矛盾があると思う。それについてもう一回御答弁願いたい。
○松崎政府委員 もちろん職階を考えますと、その職階には必ず職能がついておりまして、大部分課長とかいうような立場にありまする者は、監督的地位にあると言えましよう。しかし課長とか部長とかいう名前にかかわらず、そういう監督的地位にある、ないし監督的機能を果す人間がその労働組合に入りますと、御用組合化するおそれが非常に多いという意味において、この第二條第一項は書いてあるわけであります。
○春日委員 今課長とか部長とかをあげられたのですが、これは一般に労働組合でも大体非組合員としているところが多いようです。この間私があげた労働組合は、工長、組長をあげておる。そういうことになれば、労働組織は課があり、係あり、その下に組があり、その下に班があるということになつて、三人の頭になつて仕事を指揮する者も、それでは会社の利益を代表して監督的な地位に立つから、これを組合員から除外するという解釈をするのかどうか。
○松崎政府委員 その実際の班長とか組長は、具体的な地位において解釈しなければならないのでありまして、さつきも申しましたように、課長とか部長とか、あるいは班長、組長におきましても、そういう名前にかかわらないで、この條項に書いてあります地位にある者は、使用者の利益を代表する者と認められるということであります。今の三人しか部下を持つていないというような面におきましては、「使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、」という形容詞がついておりますから、そこで解釈して行くべき問題だと考えております。
○土橋委員 ただいまどうもおかしいことを言われる、労働組合は自分の権利を守るために、労働組合をつくつているのであつて、從つて機密的事項に参與する者もあろうし、あるいはすべの役をやつている者もあろうけれども、やはり問題は労働者の利益を守るためにあるので、その労働者の利益を守るためのあらゆる行為が、会社のいわゆる行為に対して監督的な地位にある者、身分的地位がそういうものに置かれている者は、最後には御用組合化するきらいがあるから、これは除外するということは常識であります。ところが、ここに書いてあるように、少くとも直接的、あるいは間接的に、機密事項に参画したり、あるいは職務上の義務がどうも許さないというような者まで、入れるということになつて來ると、私は非常に現在の労働組合の團結権を阻害することは、明瞭であると思います。そういうことまで國家の法規において制定することが、労働組合の自主性を助長するゆえんであるかどうか、これが第一点。 私はこの前の日曜に調べたけれども、西多摩の日本セメントの工場においてこういう職制がある。その全体の仕組を見ると、工場長がおられ、その下に次長がおられ、そのもとに課長、課長の次には課長代理がおられ、そのもとに係長がおられ、その下に主任、そうして係員、これがいわゆる社員だというわけであります。その次に職長がおられ、工長がおられ、現場員がおられるという仕組になつております。ここにそう図解がありますが、ほとんどほかの会社もこれに類似しておると私は思う。これは逓信省の機構においても、大体同じことだと思う。そこで身分的地位からいつても、職種の地位からいつても、監督的地位に立つというので組合から除外されておりますものは、課長代理までであります。それから以下の係長さん、主任さん、職長さん、工長さんは労働組合員としてやつておつてくださつておるし、またこれが労働組合のいろいろな爭議、ただいま入つておりますが、その過程において何ら支障がないわけです。それであなたの御説明によると、この系統だけで全部係員と現場員を除いて入つて來る。そうなつて來ると百人くらいおるどころでも、日本は封建性が非常に強いので、最近そういう職制が出て來る。そうなつて來ると、労働組合の強化のために、第二條第一号が置かれているのか、弱体化のために置かれておるのか、きわめて疑問であります。こういう点について明確な答弁を願わないと、労働組合の育成助長にはならないのではないかという点を、重ねて私は質問するのであります。
○松崎政府委員 今の点につきましては、そういう工長とか班長が、使用者の労働関係についての計画、方針等に関する機密の事項に接するかどうかという判定の問題でありますが、これはおそらく中央労働委員会が、中労委規則によつてきめられるようになるであろうと考えております。具体的な個々の会社につきまして、これが使用者側であるか、あるいは組合員であるかという問題は、そのおのおのについて判断せざるを得ない。個々について抽象的に一概にどうであるというふうにお答えはできないと思います。
○土橋委員 私はこういうことをお聞きしたのではない。国家が法律を制定する立場において、労働組合の團結権を保障する、あるいは極東十六原則の第六項なり九項なりそういう規定を見たり、あるいはあなたの方から資料を頂戴いたしております一九四八年の第三十一回の労働会議における組合の自主性という点に公共機関が関與してはならない、また前に承認を求めなければならないという、先ほどの春日委員の御質問にもあるような点から考えて、なぜこの法律でさようなことを規定しなければならぬかという点に、私は言及しております。個々の問題は労働委員会でやるのだ、こういう御意見ならば、何もこの規定をここに設けなくてもよいのではないか。労働委員会が自主的にやるのであつて、そういう点について何も法律の規定をもつて、ここまで介入する必要はないと思いますが、どうですか。
○松崎政府委員 現行法におきましては、使用者の利益を代表する者と、この一番最後の字が書いてあるだけであります。その解釈というものが非常に区々にわたつておつて、はつきりしなかつたのであります。その点をはつきりここに例示しようということにしておりますから、より一歩具体的に進んでいると、われわれは考えております。
○土橋委員 それだから、あなたの今仰せになつたように利益を代表する者と書けば、あとは労働組合と、あるいは官側、あるいは会社側なりで相談をしてやれば、一番情にあつたものができるのであつて、何もあなたの方のお考えとして、こういうわくをはめてかからなくても、いいではないかということを私申し上げておるのである。それに対してあなたの御答弁は、私の質問に対するお答えになつていないように思いますが、いかがでありますか。
○松崎政府委員 御質問に対する答弁にはなつておらぬかもしれませんが、使用者の利益を代表する者というものの解釈を、もう少し——この前から非常に御指摘になつているように、次官通牒なり何なりで、そういう解釈の基準を示すよりも、國会において御審議を願つて、その解釈のできる範囲の具体的な基準を掲げたいというのが、この第二條第一号であります。
○土橋委員 そういうことをあなたが仰せになりますと、ただいまの政党の分野関係を言うならば、委員会の三十五名のうち、たしか十四名ぐらい民主自由党の方がおられます。民主自由党の政権下に、ただいまの國会が開かれておるのである。そうすると、あなた方は、一体もしこの問題についてあとで内閣がかわつた場合に、これは民主自由党の政府でおきめになつたのだから知りません、私はこう考えておりました、こういうことが間々あるのであります。これは人事委員会において、さような点があるのでありますが、あなたはさようなことによつて、この民主自由党のりつぱな政治を、そういうような惡いことを知つておつて、これをやることはおかしいではありませんか。やはり政府委員としては、この政党の方々の御意見がいかようであろうとも、これが正しいのであるならば、やはりあなた方がやつて、その責をあなた方が負うのが正しいのではないか。にもかかわらずその内容がわかつていながら、それをやつておられることは、職責を盡しておられないではないかと思いますが、いかがでございましようか。
○松崎政府委員 ただいま非常におしかりを受けたのでありますが、第三條第一号につきましては、使用者の利益を代表する者という現行法の解釈は、ここで掲げておりますことで、全部正しく入るというふうに考えております。
○土橋委員 これはあなたを責めてもしようがないのでありますから、ちよつと労働大臣に承つて、國会の審議を十分に課していただくように私はお願いしたいと思うわけであります。第三号の点については、これは先ほどるる春日委員からも質問せられておりますので、私はこれを省略いたします。そうして第五條の労働組合の方に移つて行きたいと思います。この第二章の労働組合の章におきましても、私は次の点を特にお聞きしたいと思います。第二章においては労働組合の組織を規定しております。第一章の総則は、どの規定でもありますように、総則規定としての宣言規定と、労働組合の定義を規定しておると私は思うのであります。第二章は労働組合の組織を規定しております。そこで昨日も公聽会において公述人から述べられましたように、あなた方が労働組合の團結権を尊重し、また團体的な交渉権なり、あらゆる爭議行為等を援助してやる、そういう立場において考えておられるならば、なぜこの規定に該当するもののみを労働法規、労働関係調整法において保護するのか。それ以外においても労働組合はあるわけである。そういうものをなぜ保護しようとしないか、この根本的な意味についての御答弁を願いたいと思います。もしあなた方がそうではない、どこまでもやはりわれわれは一定の方策のもとに制限するのだと言われるならば、別でありますが、労働組合の権利を認めて、生活を擁護してやらなければならぬという、きわめて理解のある考え方ならば、少くとも組織を持つておるものについては、すべて保護する方向に労働組合を育成するのが正しい。從つてその組織の点についても、今も申し上げるようにI・L・Oなり、あるいは極東十六原則なり、あるいは憲法の規定から見て、当然組織の面についても一應その人格が構成されておるという点があるならば、全部法律をもつて保護してやるのが至当ではないかと思うが、この点いかがですか。
○松崎政府委員 第五條の問題につきましては、こういう規約、ないし第二條に該当しないものに、この法律及び労調法の手続に参與する資格ないし救済を受けないという規定でありまするが、第五條の第二項につきましては、この法律改正の主眼点でありまする民主的な労働組合の育成、こういう規約を書いていなければ、そういうことが考えられないであろうということを書いておるのであります。こういう規約を書いていないというような労働組合につきましても、憲法上の團結権、團体交渉権というものはあるのでありまして、たとえば労調法のあつせん、調停、仲裁というようなものは、爭議團というような形においても受けるということには、從來ともかわりはないのであります。
○土橋委員 そうすると本法の目的というものは、民主自由党の政策なり、あるいはあなた方が考えた一部の考え方によつて規制を受け、制約を受けておるものに、労働組合法上の組合としての労働組合の権利なり、労働関係調整法の権利を取得せしめる。しかしながらそれ以外のものは、何であろうとやらないということであれば、これは一党二派に偏して、労働組合の正当な権利の行使をさせない、正当な手続によつても、国家のあらゆる機関を利用させない、こういうような一党一派に偏した行き方であろうと思いますが、いかがでありましようか。ただいまのようなあなたの御答弁では私は不満であります。私がお聞きしておるのは、少くとも労働組合として大会なりあらゆるものを持つて、ここで一つの人格を構成する基礎をつくつたという場合には、すでにこれは現在のすべての法律観念においても、その人格を認めるのである。ただ第三者の対抗の要件として登記する、主たる事務所において登記するというようなことによつて、第三者関係における一切のものが出て來るのだ。自主的にどこまでやらすということを主張するならば、なぜこの際できておる労働組合については、労働組合のすべての法律を適用してやらないか。なぜ労働関係のあらゆる権利を享受せしめないか。この点について、さような一党一派に偏したものの考え方は誤りではないかということを、私は指摘しておるのであります。お答えを願いたい。
○山崎(岩)政府委員 土橋委員にお答え申し上げます。ただいまの御質問の中におきまして、一党一派に偏した考え方を持つて、この法律を上程しているというようなお話でございまするけれども、先ほども私がるる御説明申し上げたはずでございまするが、一党一派に偏しているとの考えを持つて、この法律を組立てたものではございません。それは労働組合を育成するための社会通念に基きまして、それに基礎を置いて、私どもとしましてはほんとうに正しい気持を持つて、本法案を上程しているという信念にはかわりがないのであります。
○土橋委員 次官は一体この四八年の労働会議の條文の第二條、あるいは第三條をお読みになつているかどうか。これは條約に加盟していないから、われわれは関知しないというものではないと思うのであります。これは世界の常識であります。またポツダム宣言なり、あるいは極東十六原則によつて、自由な労働組合の組織を持たすことについては、異議ないのであります。そういうことについて國家なり、あるいは官憲なり労働省が、一方的なわくをきめてするということは、これは排除すべきことであります。どこまでも自主的にやらすのが正しいのであります。そういうことについて、少くとも法律上の公共の機関を利用する権利をシヤツト・アウトするというようなことは、ものの考え方としては、われわれそういう考えをとりたくない。また民主的に自主的にやるということを中心にするならば、そういう考えは間違いではないかということを私は言つているのであつて、もしそうでないというのならば、いかなる組合でありましようとも、それが大会等において組合の成立を宣言した場合には、当然この労働組合法なり、労調法の適用を受けて、十分生活擁護と、その伸張をなさしむべきではないか、この点についての答弁を願えばよろしいのであります。
○山崎(岩)政府委員 法律が一つの法益としまして、保護を與えて参りますことのためには、やはり一つの体裁というものが必要かと存じます。野放しでもつて生みつぱなしの状態では、やはり法律の保護の状態としては多少不足のところがあると考えるのであります。そこでその体裁を整えしめることのために、ここに一つの機構というものをこしらえたのであります。從いましてこの法律の保護を受けないような程度の組合は、またその保護を受ける程度のものに進んで行けばいいのでありまして、何も特別に、その機構を、あくまでも法律保護の目的物の除外にしようというような考えを持つておるのではございません。その点御了解願いたいと思います。
○春日委員 今の問題に関連して——今の次官のお答えですけれども、法律の保護を與えるためには体裁が必要だ。これはたとえば補給金を出すとか、國家が奨励金を出してやるというような場合には、一定の体裁が必要であるけれども、労働組合法の場合は、そういうのと違つて労働者の基本的な権利、團結権、こういうものの行使を規定するものなので、何々協同組合をつくつたら政府が補助金をやるという場合の体裁と、これは扱いが違う。あなたはそれを混同されておるのではないか。
○山崎(岩)政府委員 私はあくまでも労働組合としてりつぱな活動をし、民主主義的に、また責任のあるところの行動をとろうとするものは、やはり法律の設けるところのものに準拠してやつてくださるのが、適当であるかと考えておるのでございます。
○土橋委員 そういうわくを國家がきめることは間違つておるということが、第三十一回の労働会議においても言われておるのであります。公共の機関がさようなわくをきめてはならぬ、事前の届出を強要してはならない、あるいはポツダム宣言もしくは極東十六原則も同じような規定を書いており、また憲法にも書いてあるのであります。あなたの御所信が何であろうとも、そういう大きな基盤の上に立つて考えたときには、あなたの御信念は誤つておるのではないかということを申し上げた。それに対して何ら誤りはない、正しいのだと言われれば問題になりませんので、そういうお考えならばお考えとして、私は次に進みたいと思うのであります。 次に第五條第二項の四号についてであります。これは石田委員からも強く御質問がありまして、われわれまつたく同感でありますが、第四号に「何人も、いかなる場合においても、人種、宗教、性別、門地又は身分によつて組合員たる資格を奪われないこと。」とあつて、憲法は信條ということを入れておりますが、一体これは意識的に故意に落したものか、それともはつきりと、もしこれが思想的な信條なり、政治的な信條なり、あるいは自分の信念というようなものを持つておることによつて、差別を受けることになつて來ると、これは將來非常な問題になつて來る。すでにこれは國際的にいろいろな分野から考えて、当然こういうことは考えられる。そういうことを意識的に落しておる点はどういうわけであるか、この点もう一回お問いしたい。
○松崎政府委員 この点につきましては、さつき答弁申し上げた通りであります。
○土橋委員 問題は意識的に落したのか、それとも不敏にしてあなたの方でよう書かなかつたのか、それとも故意にこれを除外して、こういうことをやると、こういうさしさわりがあるのだ、こういう結果があるから、こつちで書けなかつたという点を明確に言わないと、落したのか、意識的に書かなかつたのか。書かなかつたとするならば、どういう弊害を伴うから、これは書けなかつたという点を明確にしないと、理由がないのです。もしあなたがそういうことをおつしやるならば、あなたは憲法第十四條の規定をどうごらんになつておるか。法の前には平等であります。「すべて國民は、法の下に平等であつて、人種、信條、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」ということが書いてあるのであります。労働組合には、だれといわず、この條文通りこの中に入れてもよろしいじやありませんか。こういうことを言わないで、何か知らぬがこういう後段の規定を落したり、信條を落すというのは、意識的に落したのか、どうか。意識的に落したならば、どういう弊害が伴うかということを説明しなければ、憲法の條章に反するのではないか。もし反するならば——こういう提案をする規定は九十七條の規定にある。そういうやり方を行う政府は、さらに法律の規定においても、全部あるいは一部は無効でありますから、その点をお聞きしておるのであります。
○松崎政府委員 憲法の規定は、法的な取扱いにおいては人種、信條その他によつて差別できないということであります。労働組合というような私的な團体におきましては、宗教によつて差別してはいけないという最小限を規定しておるのでありまして、憲法違反ではないと考えます。
○土橋委員 あなたの御所見だと、宗教のようなものについては別だが、信條についてはどうしても書けないというならば、書けないだけの弊害が起つて来る現実の事実をあげて説明しない限りは、憲法第十四條の規定そのままを入れなければならぬかと思います。どうしても弊害があるというならば、あるような説明をして、なるほどどの議員が聞いてももつともだ、そうか、そういう不都合があるのなら、もつともではないかというので、われわれは審議するのでありますから、政府がこれを落した方がいいというなら、こういう弊害があるということをあげて、明瞭に説明しなければ意味がないと思います。
○松崎政府委員 宗教の問題につきましては、さつきから私が申し上げておる通りでありますが、ここでは信條について、特にうたう必要がないと考えておるのであります。
○土橋委員 どういうわけでありますか。この労働組合全体の精神を決定する場合に、信條というものを入れてならないという具体的な例をあげて説明をしなければ——この規定は当然憲法が保障しておる規定であつて、これは労働組合員であろうと、消費組合員であろうと、株式会社であろうと、社團法人であろうと、財団法人であろうと、すべて第十四條の規定が該当するのであります。從つて國民というのは、非常に廣い人民をさしておるのであります。そのうちの労働組合に限つて信條を入れないという理由は、どこに弊害があるのか。この組合全体の民主主義に弊害がある、そういう証拠をあげなければ、この條文を入れない理由にならないのですが、それを拔かした理由を説明していただきたい。そんな不誠意な答弁はない。
○松崎政府委員 もう一度繰返しますが、憲法と四條の規定は法律上平等であつて、國が差別しないということを規定したものでありまして、労働組合とか、その他の私的の團体が、資格についていろいろな差別を設けることは、何ら憲法違反でない。團結の自由から言いまして、法律には公序良俗を乱さない限り、当然許されておることと思います。
○土橋委員 法の前に平等だということが、労働組合法その他の法令においても、違つた解釈があるというあなたの御答弁でありますが、さようなことがこの法治國において許されますか。いかなる分野においても、先ほど私が申した社團法人であろうが、株式会社であろうが、民法上の組合であろうが、どういう組合であろうとも、ここに書いてある基本的な原則が、どこまでも守られることを憲法は保障しておるのであります。あなたの説明のように、労働組合法に関する限り、労働関係調整法に関する限りは、この條文が個々別々に違つて來るということならば、これはゆゆしき問題である。そういうことは憲法には書いてない。これは團民の基本的な人権として、法の前には平等であるということを宣言しておる。この宣言規定が、個人の説明でどうでもなるということでは、ゆゆしき問題である。あなたの発言は当然無効である。もつと説明できる方を私は委員長に要求する。憲法九十七條にはかように書いてあります。「この憲法が日本國民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果てあつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び將來の國民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」第九十八條には「この憲法は、國の最高法規であつて、その條規に反する法律、命令、詔勅及び國務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」と明確に書いておるじやないか。この規定があるのに、労働組合法に適用しないというのはどういう理由であるか。もし適用して悪ければ、どこのどういう部門において、この労働組合全体の民主性、自主性、さらに責任性の確立がなされないという、個々の事象をあげて答弁をしない限りは、この答弁にはならないのであります。この國会においては、われわれはその討議をする権利を持つておるから、そこで明確に説明していただきたい。できないというならば、これは労働省の怠慢である。政府の怠慢である。さような諸君に政権を担当することはできない。やはりちやんとした明確な態度で説明をして——万人ひとしく納得のできるような法的説明のできる人が、政局を担当すべきであると考えます。この点についていかように考えておるか。
○山崎(岩)政府委員 私は政府委員の答弁で適当であると考えておるのでありますが、事が憲法の重大な問題にわたつて参りましたので、この点につきましては、専門家である法制局長においでを願いまして、あとで説明していただくようにとりはからいます。
○石田(一)委員 今政府委員の御答弁の中で、憲法十四條の解釈の点について、労働組合のような私的な組合は、その構成のメンバーについては、差別待遇をしたつてかまわないということをおつしやいましたが、これは重大な失言ですよ。あなたは政府委員として、何という不用意な答弁をなさるのか。労働組合のような私的な組合員の構成をきめるのには、これは私的なものだから、十四條にいういわゆる基本的な権利はどうあつてもいいのだ、これは自由であるからというあなたの見方が出て、信條というものをなくして宗教を入れられた、こういう説明にもなる。これは一應あなたもよく反省なさつて、そういう不用意な、放言にも似たような言葉は、この際一應お取消しになつたらどうですか。今の言葉は聞捨てにならない重大なる失言だと私は思います。
○松崎政府委員 ただいまの問題については、私的自治にまかす問題であるというように私は解釈いたしております。
○石田(一)委員 私的自活にまかすのであるならば、それは、要するに権利を認めることでいいのですが、にもかかわらず、第五條の第四号にこれを規定して、この規定によらなければならぬということにすれば、自治にまかしていないのです。それだからいかぬという問題になつているのであつて、あなたの今おつしやつたような、私的自治にまかすならば、いかなるものを排除し、いかなるものを組合員としようと、その組合の規約によつてきめるなら、けつこうであります。しかし法律で政府がこうしたものを提案して、この中で差別待遇をするということは、少くとも法律が憲法の十四條の趣旨をまげて規定する。こういうことになるから、これが憲法違反じやないかと言つているので、この点あなたの説明で、さつきのような私的な組合は差別待遇をしていいということは、失言ではないかということです。
○松崎政府委員 ここに書いておりますことは、最小限度でありまして、この点について差別待遇をしてはならない、これ以上の問題については、私的自治でやつてくださつてけつこうでありますという意味であります。
○土橋委員 これは後ほど責任者の方からよくお聞きしたいと思いますが、今のあなたの御答弁も私はよく覚えておきます。 次の條項でありますが、たとえば第五号の規定においては、役員の選挙に関する規定が載つておるのであります。こういうことは、何もこういうような法律をもつて規定しなくても、自主的にやらしておいていいのではないか。この自主性というものが十分尊重せられていいと思うのでありますが、この点についていかが考えておられるか。特に第八号の規定を見ますと、「同盟罷業は、組合員又は事組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票の過半数による決定を経なければ開始しないこと。」こういうような規定まであえて置かれるという、そのものの考え方というものが、私には理解できない。現在の組合においては、どんな組合においても、役員の選挙は自主的にやらしておいても、投票やつておるのであります。あるいは罷業権を行うような場合にも、その方法は挙手の場合もありましよう。あるいは無記名投票の場合もありましよう。あるいは起立の場合もありましようが、そういうことはその組合の自主性によつて、いろいろ段階があるのであります。たとえば大きな組合ならば、どうしても無記名投票をやらなければならないし、十五人ぐらいの組合では、何もことさら無記名投票でなくても、みんなでやろうじやないか、やろうということでストライキをやつてもよいのである。そういうことまで、なぜ政府が干渉してやるかということを明確にしていただかないと、第八号の規定にありますような決定を経なければ開始できないということでは——そうすると現実にストライキをやる場合、非常に狹い解釈の仕方になる。これは最も事情に明るいところの中闘委員、あるいはその他役員が委任権を受けて、ストライキというものは、今申し上げたような方法で決定をしたものを執行しても、何ら組合としてはさしつかえないわけであります。そういうことまで、なぜ労働省あるいは政府が立ち入つて干渉するか。これは明らかに労働組合への干渉ではないかと思う。私はあらゆる意味において、組織に対する、團結権に対する阻害行為をやつておると思うのでありますが、これについてどういうお考えですか。
○賀來政府委員 第五條の規定の趣旨につきましては、先般來御説明を申し上げたと思いまするが、御了解を願つておりますように、本法案を立てました根本の理由は、組合の自主性、民主性及び責任性を現行法よりもさらに明確化いたしたいという建前から、これを立案いたしておるのであります。現在の労働組合がその方針から見まして、はたして今日の規約なり、あるいは過去三箇年におきまして、とつて参りました状況が、民主的に行われておるかという点につきましては、私からもたびたび申し上げましたように、おおむねわれわれは民主的に行われつつある、さらに年数を経ますにつれまして、ますます民主的な組合になりつつある、これはわれわれ非常に慶賀にたえないと考えておるのであります。しかしながら先般参考資料として差上げてございますように、やはり幹部の選挙というものが、規約にはどういうふうな選挙であるかという規定のないものが、相当数あるのであります。ただいま土橋委員の御指摘になりましたように、最近、規定はなくても、事実組合としては、民主化するにつれて、やはり幹部の選挙等は、無記名直接選挙等でやつておるという御意見については、われわれもさような点を認めておるということは、先ほど申し上げた通りでありますけれども、規約にこれをはつきり書いた組合というものは、あまり多くないのであります。また爭議行為の開始にあたりまして土橋委員の御指摘のように、場合によりましては、緊急避難のような形のものもありまして、ただちにやらなければならないという事情のあるということもわかります。しかし現在の労働組合の実情を見ますると、争議行為を開始するときには、どうするかという規定はありますが、それをその後どう扱うかという規定を持つておるものは、ほとんどないのみならず、この開始にあたりまして、どんな手続でやるかということをきめたものが、また案外少いのであります。本法案の五條は、組合は民主的にあつてもらいたい、ついては現在の組合の実情がさような状態でありますので、かような点については、ぜひとも組合の規約に入れてもらいたいという最小限度の條件を、ここに掲げておるのであります。これがない組合につきましては、われわれからこれを見ますれば、民主性、自主性という点においてまだ不足なものがある。法律が法益を與えようとします場合に、その法益を與える際には、やはり法の一つの條件に沿うものにこれを制限いたすということも、これは一般的に認められておるのでありまして、さような意味でこの組合規約には、民主的なものは最小限度これを定めてもらいたいということを規定いたしておるのであります。もしこれらの規定がない組合はどうなるか。これは先般申しましたように、やはり規定にはかような條件を備えなくても、労働組合として團結することについては、何らこれを制限はいたしていないのでございます。
○土橋委員 ただいまの御説明では、私の質問に対する答弁にはなつていないようでございますが、とにかく私はこういうような考え方について非常に不満を持つ、また非常に誤つておるということを指摘して、根本的に第五條の組合組織に関する点についてお開きしたいと思う。この第五條の規定に関するものは、単位組合の強化ということを考えておるのであります。ところが現在実際に労働組合における、あらゆるおもな事項の調査、あるいは情報、教育という点は、組合の本部といわれる連合体の集積したところ、あるいは組合の中央本部において行う場合が多いのであります。そういう場合に、あえて單位組合の自主性を主張して、こういう規定を設け、これは最小限度のものを入れたのであるというような答弁は、私は非常に遺憾でありまするが、この單位組合強化について、私はこういう事実を知つておるのであります。あなたの方からお出しになりました昭和三十三年十二月二十二日の次官通牒について、こういうことが書いてある。これを読みますると、「今般民主的労働組合及び民主的労働関係助長のため、労働組合規約及び労働協約に関し労働組合及び使用者に対する個別的措置を強化することとし、別紙の通り指導要領を定めたので、これにより個々の組合規約及び労働協約に検討を加え、労働組合及び使用者との会合を活発に開きこの指針を傳え、これに合致しない組合規約、労働協約の欠点を是正するよう努められたい。 尚これがためには地方軍政部と緊密なる連絡を保ちつつ個々の組合規約及び労働協約に対する指導計画をたてて実施するよう図られたい。」こういう指令が出ておるのであります。これは各都道府縣知事あてにお出しになりまして、單位組合強化の点については、こういうことが引例されておるのであります。この点私は非常に重大であると思うのでありまするが、指導要領としまして、指導の重点を自主的且つ民主的な單位労働組合の確立におくこと。 一九四六・一二・六の極東委員会の十六原則の中に「日本における將來の労働組合運動は鞏固なる單位組合の基礎に重点がおかるべきである。」と謳われていることにも明らかなように、労働組合運動の根底をなすものは單位組合である。單位組合こそ「労働者自身から起る民主的自己表現と創意の過程であり、」云々と書かれております。ここに引例されておる極東十六原則の規定は、單位組合の強化について何も規定していないのであります。極東十六原則はこういうことを書いてある。「日本における将来の労働組合活動の為には、特にしつかりした、地域的な基礎に立つことが強調されねばならぬ。しかし労働組合は、たとえば同一地方、又は関係産業、又は全國的基礎に立つて連合体その他の集團を形成することを許さるべきである。」こういうふうに極東十六原則にはあるわけであります。これを見ると、どこにも單位組合というものは書いてない。ただしつかりするためには、地域的な基礎に立つことが強調されねばならない、と書かれているのである。ところがあなたの方のお出しになつたのは、意識的に單位組合強化に名を借りて、極東十六原則を歪曲して「日本における將來の労働組合運動は鞏固なる單位組合の基礎に重点がおかるべきである。」こういうように書いている。片方は地域的基礎に立たなければならないということを書いてある。こういうような誤つた引例はたれがしたのか、こういう点について明確に御答弁願いたいと思います。
○賀來政府委員 御指摘の極東十六原則の第九項は、原文はローカル・ユニオンということになつております。このローカル・ユニオンという翻訳を、ただちにそのまま地方的組合、こういうふうに訳したのでありますが、これは間違いの訳でありまして、やはりローカル・ユニオンというのは、單位の基礎組合のことを言つているのであります。労働省といたしましては、この十六原則の趣旨にもよるのでありますけれども、いかに全國的に大きい組合でありましても、その基礎はやはり單位組合がしつかりしておつて、その集積されたものが、強い組合になるものと考えるのであります。本法におきましても、單位組合だけを強くして、連合体を弱めようという趣旨は毛頭持つていないのであります。また基本は、基礎の單位組合が強いこと、さらにその單位組合が強いということは、組合員個人々々が非常に自覚を持つていること、かような考え方を持つているのでありまして、御指摘のような連合体を弱めるという考えは、毛頭持つておりませんから、御了解願いたいと思います。
○倉石委員長 土橋君にちよつと申し上げたいのですが、委員長は決して発言を抑圧しようというのではない。御承知のように本案の審議に際しましては、運営委員会で満場一致で審議期間に制限を加えまして、それに基いて、本委員会でも御承知のように、理事会で満場一致でそれを承認いたしました。從つて委員の数の割当によつて、各党の持時間をおよそきめてあるわけですが、もうすでにあなたの方では春日君が七日に一時間、同じく土橋君が一時間十五分、昨日春日君が午前にちようど一時間、今日はすでにあなたがただいままでに一時間五十五分占領されたわけであります。從つてあなたの御発言が長引けば、他の会派の諸君の持時間にだんだん食い込むようなわけであります。それで順に融通していただくとしましても、明敏なるあなたの頭の中で御整理になつて、なるべく重複を避けるように、議事進行に御協力を願いたいと思います。
○土橋委員 ただいま委員長は一時間やつたと言われますが、私はこの前春日君の質問に関連して十分間やつただけでありまして、今回初めてお伺いしているのであります。各委員の方々、また各会派におかれましても御質問があろうと存じますが、もう二、三点だけお許しを、願つて終りたいと思います。 ただいまの点、ローカル・ユニオンというのを、あなたの方で翻訳した極東十六原則という表を見ると、確かに私が今申し上げたと同じように翻訳してあります。しかもそれは労働省の大臣官房秘書課でつくられたものの中にちやんと書いてある。われわれそういうもの以外に資料がないので、そういう間違つた考えをわれわれの頭に抱かしておいて、事実はローカル・ユニオンは單位組合だというようなことをおつしやることは、労働省の権威のためにも、またわが國の労働行政をやる建前からも、非常に不見識であると思うのであります。その点明確に翻訳してやつてくださらないと、私たちは間違つた考え方で討議して行くことになるので、時間を相当損するわけであります。これは労働省の責任に関することと思いますので、その点を申し上げておいて、次にお許しを得て質問を二、三申し上げたいと思います。 りくつを言おうとは思いませんが、第十二條におきまして、あなたの方では民法の四十三條なり四十四條の規定を適用せられているのであります。ところがこれはわが國に團体法というようなもののない時代の権利能力、不法行為についての規定であります。民法の規定では、法令の定めるところに從つて、定款あるいは寄附行為の範囲において、目的完遂のためにする行為を言つているのであります。そういう場合の理事者なり、不法行為者の責任を、民事的に規定しているのであります。ところが労働組合は、憲法第二十八條に規定しているように、きわめて廣汎なもので、しかもこれは單なる私法的なものはありません。労働組合は、民法の六百何條かに書いてある組合とは違うのであります。これは國家が公認した罷業権を有し、公法でもないが、私法でもない性質を持つているのであります。そういうものに目的の範囲を制限するような規定を設けるということは、團体法なり労働立法の建前上、非常にまずいと考えているのであります。その点例をあげて申し上げたいと思いますが、これは明治二十九年の法律で、まだ團体法というものが、日本になかつたときに規定したものであつて、これから非常な制限が出て来るのであります。これは労働立法の罷業権にも、債務不履行の四百十五條の規定にも全部関係している。そういう点あなたの方ではどういう御所見をもつて團体法を考えているか。この非訟事件手続法の規定は、無盡会社を清算する場合の規定です。民法上の債権債務や清算事務の規定で、こういうものを適用するというのは、労働省はいささか頭がおかしいと思うがどうか。この点お聞きしたいと思います。
○平賀説明員 本来ならば、労働組合法の中へ法人である労働組合に関する規定を入れなくてはならぬところでありますが、民法の公益法人の規定がありますので、公益法人の規定でまかなえるところは、條文が長くなるのを防ぎまして、できるだけ民法の規定でまかなうという趣旨でございます。從つて、これはひとり労働組合だけでなしに、他の法人についても、民法の法人に関する規定を準用しているものがたくさんございますので、この十二條の準用の規定でさしつかえないと存じます。
○土橋委員 それではちよつと例をあげて御回答を願いたい。たとえばこの労働組合法では総会というものを持てと書いてある。ところが労働組合では、経費の関係、交通の関係で、総会というものは一年に一回持つ場合もあれば、二回持つ場合もあります。中間的な意思決定機関としては、中央委員会をどこの組合でも持つているのであります。しかしその場合、中央委員会の決定によつて罷業を断行するというような事態が起つたとき、この二十九年の民法の規定はそれを認めない。やはり総会のことを言つている。そういう場合の意思決定はどういうことになるか。あるいは組合には中闘会議というものがあります。これは地域的基盤から出る場合と、職種的な基盤から出る場合があるが、そういうものについて、ほかの法人の理事と同じような立場をとらすと——たとえば利益が相反する場合に、第三者に委任するというようなばかなことは労働組合ではできない。自分が中闘委員として出ているときに、第三者に委任して、資本家の利益を代表する者と折衝させるということはできない。そういうばかげた事実ができた場合に、どう救済するか。民法の規定を適用すると、そういうことの解決がつかないのであります。そういう点はどういうふうに是正されようと考えているか、その点ちよつとお聞きしたいと思います。
○平賀説明員 今御質問の趣旨がよくわからなかつたので、恐入りますがもう一度言つていただきたいと思います。
○土橋委員 それではこの質問はよします。あなたは聞いてもくださらぬし、熱意をもつてやろうという氣持のないことも、はつきりわかつたので、次のことに移ります。
○平賀説明員 私御質問を聞かないというつもりでは毛頭ございません。ただどうも御趣旨がよくわからなかつたものですから、もう一度お尋ねいたしまして、私の考えておりますことを、はつきり答弁いたしたいと思つたのであります。
○土橋委員 私の申し上げるのは、組合の場合でも、あるいは民法の法人の場合でも、総会ということに力を入れているのであります。これが最高の意思を決定する機関である、かように言われておるのであります。ところが組合においては、中央委員会というようなものでも、最高の意思を決定する場合があるのであります。また利益が反する場合に、法人の規定によりますと、これは代理者に委任をして、委任代理を置くことができるようになつておるのでございます。ところが労働組合においては、そういう中間的なものによつても意思を決定する場合がありまして、それは非常な効果——特にストライキ等、爭議行為のような場合には、ただちにそれが影響するのであります。ところが、この組合法にはそういうことは、最小限度だと言われる中にも、一つも書いておらない。民法の規定を準用するということになつて、その場合のストライキは、総会の意思でなかつたということになりますと、これは不当労働行為である、やれ犯罪だ、これは違法なものだということになつて來る、そうなると組合は思わざる迷惑をこうむるのであります。またそういう関係で家を貸したとか、あるいは土地を賣つたとか、電話を貸したという事態があると、第三者にも実際問題として非常に問題が出て來るのであります。そういう場合について、團体法の規定が明確でないと困るではないかということをお聞きしておつたのでありますが、これでよいという御答弁でありますから、違うじやないかということを私は申し上げたのであります。
○平賀説明員 民法の公益法人におきましても、すべての場合にその法人の意思決定は総会でやらなくてはならぬということではございませんので、この場合にはぜひ総会の決議がいるというのは、民法の個々の條文で規定があるわけでございます。労働組合法でも、第五條の第二項第九号を見ますと、組合の規約は組合員の過半数の投票を得なければ改正しない、規約の中にこういう規定を入れますれば、必ず総会の決議を経てでなければ、改正ができないということになるわけでございます。すべての場合に総会の決議を経るというわけではございません。民法の場合におきましても、法人の意思決定をするのに、理事会だけでまかされて意思を決定することも、これはあり得るわけでございまして、この民法の準用された規定の中に総会ということがあるからといつて、労働組合のすべての意思決定は、必ず総会の審議を経なくちやならぬということにはならぬのでございます。なお労働組合法の五條の二項で、規約の改正は総会の決議によるという規約を掲げることを、この法律としては望んでおるのでありますが、そうではなしに、たとえば役員だけの決議であつてもよいという規約を盛つた労働組合も、もちろんあり得るわけであります。ただそういう労働組合は、この法案が理想型の労働組合だと考えておる労働組合じやないので、この五條一項のところは当らない、そういうことになるわけであります。
○土橋委員 私はこの問題については、あなたの方で答弁に困られると思いますので、これ以上質問いたしません。 次の労働委員会の章に移つて質問を申し上げたい。あと一点で終りたいと思います。これは労働委員会の構成及び権限、その行為の範囲を規定いたしておるのであります。ということは、労働委員会は労資対等の立場において、労働者側、あるいは資本家側、さらに中立委員も加えて、公正妥当なるあつせんなり、調停なり、あるいは決定事項を行う、こういう趣旨だろうと思うのであります。そういたしますと、これは昨日の公聴会においても、公述人各位から仰せになつたように、この機関というものは国家の行政組織法の範囲外において活動するのが妥当である、かように私は考えておるのであります。それは現在人事院というものは、政府の行政組織法上の範囲から除外せられて、国家公務員法という法律で保護されて、人事行政に関する最高の責任を持つておられるのであります。そういたしますと、この調停関係において、政府の外局なり、機関において調停審議をするというようなことは、常識上よほど狂つていない限りは、こういうことがよろしいということは出て來ないのであります。どこまでも政府あるいは資本家側、そういうものとは別個の、要するに不覇独立の機関においてこれがあつせんなり、調停なり、あるいは決定事項を行う、特に司法的な事務を行う以上は、そういうことが厳密にされなければならぬ、こういうふうに私は考えておりますが、この点についてどういうふうにお考えになつておりますか。
○賀來政府委員 労働委員会制度につきましては、世界各國いろいろな制度を持つております。またあり方につきましての学説なり、議論なり、御意見なりといたしましては、いろいろありまして、ただいま土橋委員御指摘のような御意見の方もあるのであります。しかしながらわれわれといたしましては、人事院は御指摘のようなことになつておりますが、その他の行政機構にありましては、行政組織法の施行せられております今日、当然これは労働省の外局として扱う以外には、方法がないということが一つの理由であります。もう一つの理由は、現在日本の労働行政の状況におきましては、また日本の現在の行政のあり方から見ますと、労働大臣が労働行政については、一切の責任を國会に対してとつておるのであります。從いまして労働委員会は、われわれの考えるところによりますれば、これは特別な労働行政機関であります。さような意味におきまして、これはやはりわれわれといたしましては、外局と申しますか、労働省の一つの特別の機関として設置するのを至当と考えた次第であります。但し御意見にもございましたように、労働大臣が議会に対して責任を持つということはありますけれども、事の性格上、また労働委員会が持つております使命から申しまして、労働大臣に支配されるということなしに、独立してその調停、あつせん等の仕事は行うべきものだ、かように考えておる次第であります。
○土橋委員 そういたしますと、國家の行政事組織の建前から申しまして、裁判というものは行政と別個であります。從いまして、そういうような司法的事務を担当する職責を、中央労働委員会なり、地方労働委員会に國家が委任する場合には、常にその機構が政府機関から離れまして、不覇独立の立場においてこれを審議し、しかも結論を出すということが、やはり理論的には正しいのであります。ところが現在のように労働省の外局となりますと、どうしても労働大臣が任命する。たとえば第十九條の第五項の規定なんかにも、「中央労働委員会は、労働大臣の所轄とする。」第七項では、労働大臣が任命するとございます。任命ということは、上下の関係をさすのであります。そういたしますと、現実にそういう調停、あつせん、その他の決定をいたす内容そのものは、独立性を持つておりましても、予算の面、あるいは人事の面、その他あらゆる規制を受けるということになりますと、時の政府が——ただいまは民主自由党でありますために、民主自由党の政策がここに織り込まれて來る。たとえば共産党が政権をとつた場合には、共産党の政策が行われてしまつて、皆さんの方では非常に御異論があろうかと思いますが……(笑声)あるいは社会党の方々が政権を担当したとき、そういう時の政府の考え方によつて、非常に独立性というものは阻害されるのであります。そういうことまであえてこの法文の中に入れて、外局とする、また委員は大臣が任命する、こういうことについて私は非常に異論を持つている点が第一点。第二点は、少くとも労働者側委員は、昨日も言われましたように、労働者出身の、選挙によつて選んだ者をまず優先的に任命するか、あるいは委託するか、そういう方法が正しいのであつて、自分が職権を持つておるから、十名なら十名のうち五名を選ぶについては、自分の政府の政策のお氣に入りの者を選んで來る、こういうことが長野縣でも、東京都でも、また中央労働委員会においても、現われておるのであります。これは権威ある末弘博士のきのうのお話のように、労働者の強い方がよろしいのだ。弱いのはしようがない。徹底的に強い方がよろしい。そうであつて初めて、正しい中立側の委員、公益委員の審判も出て來るのだ。くにやくにやして、出席もしないのは困つてしまうということを、明確に証言されておるのでありますが、こういう観点から考えて、第二点として、私は労働大臣の権限というものは、その線に從つたものを中心として、ただ形式的に委嘱するものであるか、それとも、そういう権限を持つておつてやるものであるか。この規定の解釈はどういうものであるか。この点をお聞きしないと、あとで非常に問題が生ずるのではないかと思うのであります。
○賀來政府委員 本法案におきまして任命という言葉を使いましたのは、これは公務員法の規定ができましたので、任命という言葉を使つたのにすぎないのでございます。従いまして從來の委嘱という取扱い方と、精神においてはかわりはないのでございます。任命という形を使いましたから、労働大臣が労働委員会を自由に左右するであろう、かようなことは考えておりません。また民主的に國家が育成されるにつれまして、いやしくも労働委員会という制度に対しまして、一行政長官がこれを左右するというふうなことがありますれば、必ずや國会においても問題になりましようし、またもし問題にならないとしても、輿論が承知をいたさないと考えるのでありまして、われわれ特に行政の任にあります者といたしましては、あくまでも労働委員会が独自の立場をもつて、公正なる判断をいたすように、協力する任務があると考えておるのであります。ただこの委員会は裁判所とは違うのでありまして、われわれのかねて念願としておりました準司法的な処置を、今度の法案におきましては、行政処分としてするということに、規定いたしておるのであります。この点につきましては、各方面におきましてもう少し労働裁判所的、すなわち労働委員会自体の処分が執行力を持つようにしろ、という御意見もあることは承知いたしておりますが、日本に現在裁判所制度というものが現存しておりまする状況から言いますと、労働委員会はやはり特別行政機関の範囲を出ることはできないのであります。従いましてこの委員の任命にあたりましては、労働大臣は最も公正なる人を選任するという一つの責任を持つておるのであります。労働委員会が間違つた動き方をするということになりますと、労働大臣は議会に対して、あるいは輿論に対して、責任を持たなければなりません。從いまして最も公正なる選任方法をとらなければならないのであります。從来のやり方でありますと、いわゆる職権委嘱というふうな形、すなわちかりに労働組合側の推薦がありましても、知事はその中からとらずに、委嘱することができたのでありますが、今度の法案の趣旨から申しますと、推薦があるのに、これを別に職権委嘱をするということは、いたさないのでございます。どうしても推薦の得られないときには——幾たび労働組合に推薦方を依頼いたしましても、どうしても推薦が得られないときには、やむを得ずほかから任命はいたしますけれども、從來のような職権委嘱は適当でないと考えておるのであります。ただ先般春日委員の御質問と思いましたが、この委嘱の際にあたりまして、労働組合側に、多数の推薦者の中から順次にこれを採用せよ、こういうふうな制限と申しますか、條件付の御希望がありましても、やはり労働大臣、知事は自己の責任において輿論の批判、あるいは議会の批判というものを考えておるわけであります。その委員になる方に対しまして、行政機関のさような制限付は適当でない。かように考えて運用いたしておる次第であります。
○土橋委員 そうすると過去において、中央労働委員会に、全金属労組を代表して和田君、あるいは電産を代表して上野君が産別会議から推薦を受け、あらゆる妥当な方法でこれをやられた。ところが、どういう意味か、私が聞くところによると、これは好ましからざる人物だか何かしらぬが、そういうことによつて労働委員として任命できなかつたのであります。そういつた行為は明らかに間違つていると思うが、あなた方はこの席上において、そういうことは間違つているということを仰せになれますか。ちよつと伺つておきます。
○賀來政府委員 ただいまの御質問は中労委でなしに、都労委のことであろうと考えております。この点は産別からだれだれという推薦があつたのでありますが、その推薦のあつた方の中から、知事が最も適当であるという人を委嘱申し上げることは、これは何らさしつかえないと考えているのでございます。
○土橋委員 そうすると、これはやはり今あなたが仰せになりましたように、現在の規定から見た場合にはやむを得ない、改正せられるならば、そういう点は是正せられる。こういう態度であるか、この点が第一点。 第二点は、関連して中山教授のことでありますが、中山教授が中央労働委員会において中立側の委員——現行改正規定によれば公益委員となつておりますが、これは労働者側は一致して反対しておつたのであります。にもかかわらず、この方が選ばれたということになつて参りますと、その調停あるいはあつせん等について、いろいろ御心労くだすつたものについても労働者側が信用しない。そういう方で中立委員を構成することによつて、いかように実際の効果があるかという点を、お聞きしたいと思うのであります。
○賀來政府委員 ただいま東京都の問題につきまして申し上げたのは、現行法の施行令三十七條の規定に基きまして申し上げた次第でございます。中山委員の選任の問題につきましては、これは中央労働委員会の今次の選任の場合のことだと思いますが、今次の選任に際しましては、現中立委員は労資一致しての御推薦になつておるのであります。
○土橋委員 それではこの章はこれで終りまして、最後に一言だけお伺いします。まだ多々質問をする点がありますが、時間的制約で私は非常に残念であります。もつと國会議員には審議時間が伸長せられまして、万遺憾なきところの審議を期したいと思います。今の委員長のお言葉もありますので、涙をのむ思いで私はこれで終りますが、次の機会においては、委員長においても十分に審議時間を與えられるように希望するものであります。これは労働者側の死活問題で、私はことさら政府委員をいじめるのではなしに、労働者側の生活擁護、労働者階級の権利のためにあくまで闘うのが、われわれの使命でありますので、誠心誠意そういう気持で聞いておるのでありますから、そういう点を御了解願つて、最後に私は一つ明確に御所見を承つておきたいことがあります。中央労働委員会の「会議の公開」というところで第二十一條に「労働委員会は、公益上必要があると認めたときは、その会議を公開することができる。」と書いてあります。一体前文で公開の原則をうたいながら、後者においては「公益上必要があるときは」というように、制限下において公開せられるように書いてある。こういう文意的に誤りのことをやつている。これが第一点。 第二点としては、なぜ労働委員会が非公開であるか。原則として公益に必要があると認めたときのみやる。それ以外はどうでもいい、こういう態度をとつているのか。今日國会といえども、特別の事情のない限りは公開をするのであります。また裁判所においてもそうです。また人事委員会の事実審理についても、すべて公開であります。こういうことがすべて民主主義の原則であります以上は、なぜすべてのものが公開できないか。また秘密主義でなければならない理由がどこにあるか。私が今まで関與した労働爭議にそういう例はありません。ただ調停案を出すときに、どういうあんばいにするかということで、技術的なことで多少のことはあつたと思いますが、すべて労資双方の立場は対等にやつて來たのであります。しかるになぜこういう規定をここに書いてあるのか、この点を伺いたい。
○賀來政府委員 この法案の見出しに会議の公開と書いてございますが、これは明らかにわれわれの誤りでございます。御修正を願えればけつこうだと考えております。それから中央労働委員会の会議の公開、非公開の制作の問題でございます。これは御承知の通りに、現行法におきましても、原則は非公開の立場をとつておつたのであります。ところで私自身のことを申し上げて恐縮でございますが、中央労働委員会開設当時から、私はそこに一年半ほど勤務さしてもらつたのでありまして、一番苦労した点は、その当時、現行法通りに非公開で行くべきか、あるいは公開をすべきか、この点につきましては会長も苦心をされましたし、幹事たる私どもも最も苦心をした点であります。要するに公開した方が調停の効果と申しますか、調停委員会がうまく円滑に行く場合と、またそうではない場合とございます。当時の第一回の委員会におきましては、委員会の運営規則というふうなものの申合せをいたしました場合に、これはできるだけ公開で行こうではないか、というふうなことを申し合わせましたので、原則として公開というふうな形で参りましたが、その結果については、非常に研究せらるべきものがあつたと私は考えておるのであります。しかし御意見にありましたように、公開がいいんじやないかというふうな御意見に対しましても、私はよく了解できるのであります。さて今度の法案を立てます場合に、さような経驗からいたしまして、この点は非常に研究し、議論をいたしたのでありますが、準司法的事件の審問に関しましては、これは裁判所の制度の精神から申しましても、当然公開でやるべきものでございます。さような意味において、これは公開でやるということを原則といたすのであります。ただ調停の場合におきましては、やはり過去の経験から見ますると、原則といたしましては非公開を適当と認めます。しかしながら公開した方が、すなわちこの調停の内容につきまして、輿論の批判を仰いだ方がより効果的、かつ円滑な解決ができるという場合には、これは公開をすべきであろう。從つてこの点につきましては、委員会の御協議によつてできるというようにいたしておる次第であります。
○土橋委員 それではただいまの御発言によつて、やはり法律の規定において司法的な処置をする場合には、公開を原則とする。しかしながら諸般の情勢によつては、これは非公開があり得るということを書いておけば、あなたの目的は達するのであります。にもかかわらず、この規定全体は非公開を原則としておるのである。ただいまのような御答弁の精神であるならば、公開の原則も理論的に正しいのではないか、また実際の場合においても正しいと思います。この点が第一点であります。 第二点は、調停の場合には、ぶつかることもあるし、諸公がかみしもを着てしやつちよこばつて、うまく話が行かないというようなことが、経驗されておるのではないかと私は思うのであります。そこで私は、特にあなたの方で御用組合を排撃し、しかも労働組合は自主的なものにしなければならぬという、非常な親心でこの法律をつくつておるといつた建前から見ても、ここで一歩、百歩譲つて、公用にしてさしつかえないと思います。労働組合の幹部といえども、大衆の利益を裏切る場合が多々あるのであります。われわれは過去においても、現在においても、組合員の総意を裏切るような場合が多々あつたと思うのであります。幹部はそう考えておるけれども、組合員の声はそうではない場合が多々あろうと私は思います。そういう場合に、幹部だけで秘密にしておくのはいかぬ。現在中央労働委員会の構成、地方労働委員会の構成では、そういう御用的な会議において、事態が解決されるということがわれわれは想像されるのであります。そういうことで、政府の立場においてここに非公開の原則をとるような意思があるならば、これは許すべからざる民主主義の反逆兒であります。そういう意味から申しまして、いかようなことでありましようとも、この法案は世界的なガラス張りという精神から見ても、國会も公開せられておるのだから、これも当然公開が正しい、こう考えておるのであります。これは單なる意見ではなくして、私は現政府及び労働省並びに與党でありまする民主自由党の方々が、こういうような方向において、組合員の現在の氣持、あるいは利益に反するような場合でも、こういう会議におきまして、まとめようとするような意向であるやに考えるのであります。これは政府の政策に関係している問題でありますが、われわれはそういうような考え方を抱かざるを得ないのであります。ここに私は率直に言つて、現内閣あるいは労働省がもつと明るさを持つておるならば、公開の原則を打立てることが正しいと思うのであるが、私の見るところでは、そういうところにどうしても悪い印象があるのであります。この点について、そうではないということであるならば、もう一回簡單に御説明願いたいと思うのであります。
○賀來政府委員 御指摘のようにお感じになるというお話でございまするが、われわれの立場から行きますると、やはり私が先ほど申し上げましたような程度が、最も適当であると考えております。ただ念のために申し上げておきまするが、準司法的な審問につきましての公開原則というものにつきましては、この規定ははつきりしておりませんが、中労委規則において定められるという予定をいたしておるものであります。
○土橋委員 これで終りますが、これは單なる中労委の規則の問題ではないのであります。そういうことは、やはりこの法文のうちに明確に規定することにして、中労委の審議状態を明確にすることが必要であると思うので、中央労働委員会自身の内部的な規約、あるいは規則によつてやるべきではないのであります。これは、民主主義をどこまでも主張されておるならば、当然の原則であろうと思うのであります。そこで私は最後に、今まで御質問申し上げました全体をひつくるめて、御答弁の内容を伺いましても、この法案は自主性も民主性もない。ただ労働省及び現吉田内閣の政策から、かような規定を設けられて、ことさらに労働階級全般が——ただいま日本共産党を初めとして、あるいは他のそういう組合でない方々も、全部これに反対しておるわけでありますが、このような情勢においてこの法案を上程されまして、審議をわれわれただいましておりまするが、まことにこのような法案を審議するということ自身が、私は遺憾でありますので、こういう法案はただちに撤回をされて、もつと明朗な、そして労働者諸君がみな喜んでこの法律のもとに服するような法律を、ただちにつくるということが、私は大政党の民主自由党の方のお考えでなければならぬと思うのであります。ただ一部的な、院内における多数で、こういうことをおやりになるということについては、事務当局としても本心的に——政府をほんとうに心から鞭撻するのであるならば、やはり正しい意見を述べて行かなければならぬし、政府も謙虚にこの意見を取上げて、この法案をただちに撤回して、そうしてもつと公開するような方法でやつてくださることを、私は特に切望して質問を打切ります。
○島田委員 私はこの際、大分時間も経過いたしまして皆さんもお疲れだろうと思いますから、ごく簡單に数点だけ質問申し上げます。 まず第一番は、今回この改正案が提案されるにつきましては、先般來提案理由、趣旨弁明並びにその後の御答弁によつて、十分その趣旨かはつきりしておりますように、今後の労働組合の運動を自由にして、建設的なものにして行きたいというために、過去三年有余の体験から見まして、いわゆる一部不健全な組合活動並びに一部不健全な分子の活動によつて組合の民主性、自主性というものが相当阻害されていたということを、極力ここで排除して行きたいということになると思いまするが、この改正がなされまして、はたして今後十分にそういつた目的を達し得られる確たる自信が政府にあられるかどうか。私は法律はいかにりつぱでありましても、ここに労働組合員自体がよほど自覚を持ち、また民主的、自主的に、十的こなし得る人間にならなければ、なかなか法律だけでは結果はよくないのでありまして、先般も政府は法律だけで決して十分な成果をあげ得られない、そこには労働行政並びに労働教育、さらには総会的な諸般の施策というものが伴わなければ、その効果はあげ得られぬということを言つておりまするが、たとえばこの組合において規約の改正あるいは爭議の開始、その他無記名投票でもつて決するということがありましても、ある一部のものが、相当底力のある実力をもつて、にらみをきかすというようなことがありましては、結局いくら法文の上には民主性が十分打立てられておりましても、その結果は、やはり非民主的な結果を將來するのであります。そういう点につきまして、政府はこの改正案によつて、そういつた一部の不健全分子を排除して、組合運動の民主性、自主性、あるいは責任のある行動が、十分成果をあげると確信しておるか。同時にこれに伴う労働行政、労働教育、さらには施策において、十分な備えを持つておるかということを、まず第一番にお伺いしたいのであります。なお私は時間を尊重する意味において、追究的なことを避けたいと思いますから、そのつもりでお答えを願いたいと思います。
○賀來政府委員 まことにごもつともな御質問でございまして、われわれの最も憂慮し、最も強く責任を感じております点は、御指摘の点であります。いかに法律がよく、適当な、妥当なものでございましても、これがうまく運営できるかどうかという、点については、われわれの責任が非常に重大であるということを、われわれも自覚をいたしておるのでございます。と同時に、この法令がうまく行くかどうかということは、まず第一に労働組合の委員の諸君、労働者諸君の協力、また使用者の皆さんの協力、さらに輿論の協力によらなければできないと考えるのでございます。まずわれわれ労政当局といたしましての責任を果しますためには、本年度の予算におきまして、特に労働教育に関します経費は——この経費は財政の非常に多端な際でございましたが、相当額の増額を認めていただいておるのでございます。さらにこの法の普及徹底に関しましては、もしこれが通過いたしまして、施行することになりますならば、ただちに関係者と連絡協議会、あるいは講習会、講演会等を全國各地で開催いたしまして、趣旨徹底に資したいと考えておるのでありますが、しかし根本の問題は、やはり労働者がみずから自覚することによりまして、これは何党というわけではございませんが、一部の政党、あるいは政府、あるいは使用者の支配を排除するきわめて強い民主的な、自主的な組合になることが、最も肝要であると考えておる次第であります。
○島田委員 第二点といたしまして、労組法の第六條中に、労働組合が労働働事約をやる場合に、その組合の代表者、あるいは組合が委任交渉をやれるということになつておりますが、これは昨日も公聴会で御意見もあつたように、使用者側には委任交渉は認めていないのであります。私は、これは使用者側におきましても、どちらかと申せば、いわゆる時代遅れといいますか、多少蒙昧な使用者というものも相当見受けられるのでありまして、そういう方々に対しては、やはり委任制をとつておかないと、いろいろ円滑な交渉が行われずして、かえつて労働者側にも不利益になるのではないかと考えるのでございます。この点はいかがでございましようか。
○松崎政府委員 第六條は、労働組合の交渉権限で、労働組合のみについて書いておるのでありますが、使用者につきましても、委任をし得るということは、現行法においてもそういう解釈であるし、改正案においてもそういう解釈であります。
○島田委員 次は地労委あたりで從来よく見受けられた、議論のあるところでありまして、労働委員会は、中労委でも地方委でも同じでありますが、会長は議決権はもちろんでありましようが、表決権を常に行使できるかどうか、同時に、可否同数の場合に決定権を持つておることはもちろんでありますが、その場合に二重に行使できるかどうか、この点をお尋ねいたします。
○松崎政府委員 二十一條の第四項におきまして、「可否同数のときは、会長の決するところによる。」ということによりまして、明確にこの解決は書かれております。
○島田委員 可否同数の場合は、それでけつこうですが、よく問題の起る点でありまして、何かそこに議決権を表明できるような行動がとれるかどうかということについて、これは地方でもよく問題が起きます。何か明確なお答えがあれば、聞きたいと思います。
○松崎政府委員 これは委員長が初めに一票投じて、そうしてどうしても可否同数であつたというときには、さらに委員長がその最後の決をとるということに解釈しております。
○島田委員 ただいまのお答えで、私は一つの大きな例をつくつたと思います。次は事務局の中立性でありますが、これは十分保持せねばならぬという方針で進むつもりでありますか、自由にまかして置くというつもりでありますか、方針をお開きしたいと思います。
○賀來政府委員 労働委員会の性格は、あくまで中正な性格を持たなければならぬのであります。從つてこれを補佐する事務局は、十分中立性を保持すべきものであると考えておりますし、なお最近いろいろな情報を聞くのでありますが、この点につきましては、労働省としては責任をもちまして、本來の使命にかえるように、努力をいたしたいと思います。
○島田委員 次はちよつと愚問になるかもしれませんが、第二十一條三で、労働委員会は、委員が各一名ずつ出席しなければ会議は開けないということになつております。この場合に公益委員の中から会長を選んでおりますが、会長が出席しておれば、一名として数えることができるかどうか。会長は別にして、公益委員が一名出席しなければならぬかどうかということを御説明願いたいと思います。
○松崎政府委員 会長も公益委員から選ばれますので、公益委員であることにはかわりはありません。
○島田委員 最後に私は昨日の公聴会において、末弘公述人の本改正案に対する意見の中で、二年間の実務に携わつた体驗上、いろいろ肯綮に当る注意なり、あるいは改正の案を聞いたのでありまして、私もその点、実際にそういうことが考えられるだろう、またこの際あるいは修正して置かなければ、実務上支障を来しはしないかという考えも持つたのでありますが、ただいまから申し上げる三点について、改正あるいは修正しなくても、十分にやれるというような御方針があるか、その点をお聞きしたいと思います。 まず第一番は、地労委員が五名となつておりますが、これは昨日も申しておられたように、あるいは東京、大阪、福岡というふうな非常に委員の仕事のはげしいところでは、なかなか実際上こなし切れぬだろう。さらにまた今度は資格審査ということも、ずいぶん煩瑣な仕事となつて参ります関係上、これは定員を増加し得る措置が講ぜられておる方がいいのではないか、という点であります。 次は不当労働行為が大体判然いたしまして、労働委員会で大体そういう見通しがついた場合に、民事訴訟法に從つて当事者が裁判所事に仮処分を願い出なければならぬというふうなことでは、裁判所と労働委員会との間にいろいろと摩擦が起きやすいのではないか。労働委員会自体が、裁判所にただちに仮処分を請求できるような措置をとつておくごと事が必要ではないか、という点であつたと思います。 次には七條の第三号は、一号二号と別な扱い方ではないか。三号は七條をもつて処置するのに非常に困難を伴うように想うが、これに対して何か修正すべき点がありはしないかというふうな点であつた、と思いますが、この三点について御方事針をお聞きしたいと思います。
○松崎政府委員 昨日の末弘先生の御意見の中の、第一点の臨時委員の問題等につきましては、これはわれわれといたしまして、今回の改正におきまして、準司法的のものは中立委員のみにまかす。こういう関係上、臨時委員を置きますれば、やはり中立委員の臨時委員も置かねばならぬ。準司法的になるというような問題を、臨時につかさどられる方がおやりになるということは、不適当である、これが第一点。それから調停のような問題につきましては、調停委員制度を大いに御活用願えれば、まかなえるのではないか、これが第二点。この二つの点から、臨時委員は、現行法にはありますが、改正法案では置かないという方針をとつております。それから労働委員会が裁判所に仮処分を申請できるということは、これは種々裁判所関係とも打合せしてみたのでありますが、現行の法組織におきましては、この改正法案の二十七條というようなところで行くのが、現在の裁判組織においてなし得る最大限度であるというような見解から、とつておりません。それから第三番目の七條の三号の不当労働行為、これだけは直罰したらよいではないかというような御意見でありましたが、これも第一号第二号と同様に、使用者の不当労働行為といたしまして、そうして労働者側の原状回復ということを主眼に置いた方がよかろうというような見解のもとに、一号二号と差別取扱いをしないことにいたしたのであります。
○賀來政府委員 第一点の御質問に対する、松崎政府委員の答弁に補足を申し上げたいと思います。末弘会長が御経験の結果申されたこと、特に東京都の労働委員会の会長としての御経験につきましては、私どももよく存じております。ただ問題が二つにわかれるのであります。一つは準司法的な、いわゆる現行法の第十一條違反の問題が非常に多く出ているので、これの取扱いについて、中立委員の数が足りない状況であつたこと、もう一つは調停、あつせんが非常に多いということで、委員が足りないということであります。後者の調停あつせんにつきましては、先ほど申しましたように、労調法におきまして、最もその事案に専門的な関係にあります調停委員は、廣くこれは依嘱できるのであります。これによつてカバーできるのであります。ところで準司法的な問題に関しましては、非常にお忙しいことはよくわかるのでありますが、しかしながらこの準司法的な事務の判定というものは、相当やはり人の権利にも関係をして來るのでありますから、われわれといたしましては、臨時委員というような建前でなしに、専門的にこの仕事に当つていただく方を依嘱するのが最も適当であると考えます。從いまして今度の法案におきましては、中立委員は専任の方、すなわちフル・タイムに従事していただく方を置くことができる。これは手当を別に法律で定めるということになつているのであります。われわれといたしましては、運用の際に、小くとも五人のうち三人程度は、専門的に中立委員の仕事に從事できる方を御依嘱申し上げ、またさようなとりはからいをいたしたいと考えておるのであります。どうぞ御了解を願いたいと考えます。
○島田委員 なおいろいろ質問申し上げたいこともありますが、時間もよほど過ぎたこの際、私の質問はこれで一應終ることにいたします。
○倉石委員長 本日はこの程度にとどめまして散会いたします。次会は明十一日午前十時より開会いたします。 午後六時四十四分散会