労働委員会 第15号
- 発言数
- 141 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1949/05/07
会議録
○倉石委員長 ただいまより会議を開きます。 前会に引続き労働組合法案、及び労働関係調整法の一部を改正する法律案を議題に供します。質疑を許します。佐藤親弘君。
○佐藤(親)委員 私は簡單にお伺いいたしますので、どなたでもけつこうですから、適当な方に御回答を願います。 「正当なもの」の解釈の点ですが、これを暴力と解するかいなか、疑問があるのです。というのは、争議の際に雇い人が使用者のうちの電話口にすわり込み戰術をする場合、これは決して乱暴なことはしません。私は労働委員会委員長としてそういう経験がありましたので、申し上げるのですが、この場合は暴力と解してよろしいのか、そうでないのか、こういう点であります。
○賀來政府委員 お答えいたします。具体的な問題になりますと判断の困難な事情もありますが、ただいま承りました事情のように、使用者の意思に反しまして、その場所にむりに入り込んですわつたというふうなことが、もしあつたといたしましたならば、これはやはり暴力の行使というふうな解釈ができると考えておりますが、なおこの問題につきましては、いずれあとから檢務局長が参りますので、檢務局長からはつきりお答えをいたすことにいたします。
○佐藤(親)委員 團体の運営のために、必要な経費の援助を受ける場合という点でありますが、これは使用者というのを狭く解釈してよろしいのか、それとも使用者の親族または兄弟、妻等が相当の経費を援助してやつて、きわめて円滑に労資協調をなしている事実を承知いたしておるのですが、さような点も使用者そのものと解釈してよろしいかどうか。ただいま申し上げた親族、妻、兄弟等が支出した場合は、妥当でないと認めるのがよいのか、お伺いしたいと思います。
○賀來政府委員 これもきわめて具体的な御質問でありますので、一般的にお答えをいたしたいと思います。使用者の縁故者の場合は、多く使用者の意図を受けてやつているものと考えているのであります。かような場合には、やはり使用者から運営に関する経費をもらつたものと解すべきだと考えております。ただ同じ兄弟でありましても、使用者の意図を受けていない、全然無関係のものでありますならば、これは別になりますが、そうでない場合は、原則といたしまして意図を受けてやつているもの、かようにみなされると思います。
○佐藤(親)委員 第十二條の準用規定の條文に関する問題について伺います。非訟事件の三十五條などに、区裁判所の管轄とありますが、ただいまの裁判所法によりますと、区裁判所というのはありませんので、自然簡易裁判所と解釈してよろしゆうございますか。
○賀來政府委員 その通りであります。
○佐藤(親)委員 十九條二十一号の船員法の適用を受ける船員に関する労働行政の所掌中、都道府縣知事の権限に属する部分を、海運局長でなく、直接運輸大臣とした事情はどうであるか、お聞きしたいのであります。
○石黒説明員 ただいまの御質問に対しまして、お答え申し上げます。一般の労働委員会につきましては、労働大臣及び都道府縣知事の権限としております。都道府縣の事務に関しましては、都道府縣知事が最高の責任を負うものでありますので、都道府縣知事が労働委員会につきましても責任を負う。しかしながら海運局長の地位と申しますものは、運輸省の地方支分部局の一部でありまして、都道府縣知事に匹敵するほどの重さ地位を占めるものではない。從つて労働委員会の委員の委嘱のような重要は問題につきましては、一支分部局長の権限ではなく、運輸大臣みずから行うことが適当であると考えたものでございます。
○佐藤(親)委員 第二十七條の審問権についてであります。これは相当準司法関係が含んでおりまして、この場合の不当労行為について、調査審問をいたす場合があると思います。そういたしますと、この場合に証拠調べや証人調べをする場合がある。それになかなかずるい証人が出て来て、うそを言つて使用者を助けてしまつて、不当労働行為にしないようなふうにされないとも限らない。かような場合においては、宣誓を用いるのか、用いないで取調べるのか。要するにこの場合の二十七條の審問権のか行使については、宣誓せしめるのか、せしめないのか。こういうことについてお聞きしたいのであります。
○賀來政府委員 ごもつともな御質問でありまして、実際の場合にもいろいろあり得ると思いますが、この審問におきましては官誓等をさせることは考えておりません。ただ実際の取扱い、審問の形式、手続等につきましては、中労委で中労委規則によつて定めるということになつております。
○佐藤(親)委員 第三十二條の点であります。一日十万円と見積つて、七日の期間を不当労働行為で違反をすると、七十万円の罰金ということになる。一日十万円とすると大きな工場ならたくさんとられてもいいと思うのでありますが、小さいのはみなつぶれてしまうと思います。こういう点も、妥当かどうか、少し修正する余地があるかどうかを質問したいのであります。
○賀來政府委員 この点につきましては、昨日大橋委員からも有力なる御意見がありました。また民事局第六課長からもいろいろ申し上げたのでありますが、われわれといたしましては、十万円以下ということになつておりますので、その事情によりまして適当な金額が定められるものと考えておるのでります。この法案につきましては、われわれといたしましては、從來の経験から見まして、妥当であろうと考えておる次第であります。
○佐藤(親)委員 それでは第三十三條について権衡上お尋ねしたいのであります。五円以上二百円以下の過料、これは逆に軽過ぎやしないかと思いますが……。
○石黒説明員 不当労働行為——命令に從わなかつたということに対しては、命令をあくまで強制しようというような趣旨からでございますが、ただいまの三十三條の方の過料は、たとえば四つ角を渡るときに、歩道を歩かなかつた、こういうものはいかんのだということを、はつきりさせるために書きましたもので、いわば、そういう行為は不当であることを、はつきりさせるための形式的罰ともいうべきもので、実質的にうんと金をとつて、こらしめてやろうというような意思ではございませんので、非常に少額といたした次第でございます。
○佐藤(親)委員 ただいま一日十万円は妥当であるということですが、最高十万円とあるから、一日十万円と見積つたのでしようが、裁判官が公正な裁判官であれば、いいのですけれども、今のところ、公正な裁判官も割合に少いと聞いているし、そういう人に公正を害する判定をされた場合は困るので、ひとつこの原案について、御考慮を拂う点がなきやいなやということをお尋ね申し上げたい。言いかえれば、修正する余地がないかということです。
○平賀説明員 この三十二條を十万円といたしましたのは、たとえば独占禁止法などで、公正取引委員会の命令に反した場合には五万円ということになつておりまして、こういう命令の違反に対しましては、ほかの法律でも過料の額が相当高くなつておりまするそれで特に三十二條で十万円といたしまして、しかも作為を命ずる場合には、命令の不履行の日数一日につき十万円といたしましたのは、この不当労働行為の場合においては、その命令違反を処罰するのが目的ではなしに、命令を履行させて、一日でも早く労働者に救済を與えてやる。履行を強制する、履行してもらうということが主眼でありますので、その関係で、あまり低額の過料でありますと、たとえば不当解雇をしたような場合に、復職をさせてかつ解雇以後の賃金をさかのぼつて支拂えというような命令を出した場合に、過料の額が軽うございますと、過料を納めて解雇した者を復職させない、賃金もさかのぼつて支拂わない方が得だというようなことになりますので、過料の額をこのように高くいたしまして、そしてあくまでも履行を強制するという建前なのでございます。それから三十三條の過料は三十二條に比較いたしますと、非常に少額でございますけれども、これは民法の規定を準用いたしまして二百円、この一項、二項、特に登記の懈怠などの過料というのは、他の法律でも非常に低額なのでございまして、三十二條と三十三條とは同じ違反でありましても、非常に性格の違うものなのでございます。現行の労働組合法ではこの三十三條に該当する過料は五十円となつております。ただ民法との権衡上これを二百円としたのでございます。
○佐藤(親)委員 最後に、今度は中労委または地労委の処分に対して、行政事件、訴訟特例法によつて裁判所に訴訟を起す場合の期間が、一方にははつきりと十五日と書いてある。一方には三十日という規定があるようであります。この十五日は、前日を含めないで、その命令の交付を受けた日から二週間の予定で、十五日と規定し、また他の三十日という規定は、そうした趣旨から、やはり三十日の期間を置くのかどうか、こうお聞きしたいのであります。つまり私の解釈しますところでは、十四日というのは、命令を受領してから二週間の期間であると思うが、どうであるか。一方には三十日という規定があるようであります。それはおのおの確定したものに対して関係があると思うのですが、かような場合は私の解釈する通り了承してよろしいか、こういうことを御答弁願いたいのであります。
○平賀説明員 この十五日または三十日と申しますのは、労働委員会の命令が交付された初日は算入いたしませんので、その翌日を第一日として起算して行くわけであります。ですから、中央労働委員会に再審査の申立てをするのは、命令を受けた日の翌日からでありますから、命令を受けた日を入れますと、十六日までに出せばよい。訴えでありましたら、命令を受けた日から一日、二日とし計算して行きますと、三十一日目までに出せばいいということになるわけであります。
○佐藤(親)委員 その書類を出す場所は、中労委に直接出すのか、それとも不服の理由を地労委に出して、地労委からその書類を送付する手続をするのか。
○平賀説明員 これは中央労働委員会の規則によつてきめられることになります。
○青野委員 私は第七條の不当労働行為に対して御質問をいたしますが、その前に特に提案者側にお願いしておきますのは、きのう労政局長は、大橋委員の質問に対しまして、よくわかりませんがお答えいたしますというお話があつたのでありますが、わからないで答弁をするよりも、むしろ何日か日を置いても、正確な資料を集めて、委員会に報告するなり、あるいは質問者に文書をもつて答弁書を出すなり、もつと真劍にまじめにひとつやつていただきたいと思います。七百万近くの労働者がこの労働関係法規の改正に対しまして、非常な関心を持つて労働委員会を見詰めております関係から行きましても、もう少し質問する方も、答弁する方も、真劍さを持つてやつていただきたい、こういうことをまず先にお願いしておく次第であります。 第七條の不当労働行為に対しまして質問いたしたいと思いますことは、四月四日に山口縣の縣当局が、地方労働委員会と一緒になりまして、次官通牒に基いて山口縣の主要労働組合中——中心になつて山口縣下で動いております労働組合の十一組合に対しまして、資格審査をやつて、その十一組合に対して組合としての資格を否認した決議をして、今問題を起しておりまうが、こういう問題は、次官通牒がどういう内容を持つておるかということをひとつ明らかにしていただきたいのと、いずれの法規によつて、山口縣当局なり、山口縣の地方労働委員会が、この問題を取扱つたかということを一應お尋ねしたいと思います。
○賀來政府委員 次官通牒は、現行法の施行に関しまして、從來緩和的に扱つておりましたところの組合の資格、すなわち現行法の二條にあります点を、嚴格に施行をする時期になつたから、各地方行政廳においては、組合に対しましてその旨に従うように勧告し、指導するようにという通牒であります。なおこの勧告にどうしても應じないというふうな組合がありますならば、特に組合の主たる経費の問題、すなわち專從者の給與の問題については、いろいろ事情もあろうと思いますので、六月の九日まで、すなわち次官通牒を出しましたのが三月九日でありまして、三箇月間の余裕期間を置くから、その間にやつてもらいたい。しかしそれは全部六月の九日までという意味ではないので、さような処理のできる組合は、すみやかにやつてもらいたい。この勧告に應じない場合には、労働委員会は組合の資格審査をやることができる。かような意味の通牒であります。山口縣におきましては、それらの組合に勧告をいたし、あるいは勧奨し、指導いたしました結果、大部分の組合はこの現行法の趣旨の通りに、組合の規約を改正し、あるいは協約を改訂いたしまして、そして專従者の費用負担を中止いたしたのであります。十二と聞いております。十二の組合は、その勧奨に應じなかつたので、山口縣の労働委員会は資格審査をいたしまして、資格否認をいたしたということを聞いております。ところがこれを資格審査した結果、否認になりますと、行政廳はその決定を組合に通知をしなければならないのであります。これを通知をいたしましたが、組合におきましてはその事情がよくわかつたので、ただちに組合規約、協約の改訂をいたしましたので、その日付の翌日と聞いておりますが、資格審査の結果の否認の決定を取消したというふうに、われわれは報告を受けておる次第であります。
○青野委員 お話を聞きますと、三月九日から向う三箇月間の余裕があるように今お話がありましたが、われわれの入手しております情報は、四月四日縣当局から労働委員会に対してその委嘱をして、労働委員会はみずからその自主性と独立性を放棄して、行政廳の言うなりになつて、十一組合の資格を否認した。これは今改正案として出ております附則の中から行きましても、この法律がかりに本会議を通りまして、「この法律施行の期日は、公布の日から起算して三十日を越えない期間内において、政令で定める。」「この法律施行の日から六十日以内にこの法律の規正に適合する旨の労働委員会の証明をえけなければならない。」と改正案にも附則として載つておりますが、現行法に基いてやりましても、今御説明のように、三月九日から向う三箇月間の余裕があるにもかかわらず、その途中において、この十一組合に対して労働組合の資格を否認するということは、すでにこれは山口縣当局あるいは地労委の行き過ぎである。こういう点はどういうような方法によつて——この非常に不利な立場に追い込まれました労働組合の立場から考えましても、地労委や、山口縣行政当局のやりましたことについては、たとえば法令から行きますならば、どういう点にひつかかるか。その点もあわせて御答弁願いたいと思います。
○賀來政府委員 お答えいたします。先ほど申しましたように、現行法の解釈におきましても、主たる経費を使用者側に仰いでおる、すなわち組合の專從者の生活費を使用者側からもらつておるというふうなことは、これは組合の自主性を失い、御用化しておるのである。從つて現行法を、当然施行当時から嚴格に施行すべきでありましたものを、組合が発達するための搖籃期でありましたので、緩和的に処置して参つたのでありますが、もうすでに三年を経ましたので、本年の初めごろからそろそろさような点は改めてもらつてもいい時期だし、また改めなければならない。かような建前から指導し、あるいは勧獎して参つたのでありますが、これはいつまでやつておりましても、組合にとりましては非常に重大なことでもありますし、また現状から申しましても、苦しいことには違いないのでありまして、なかなか踏切りがつかない。御承知のように電気産業労働組合におきましては、あれだけの大きい組合でありましたが、余裕期間のぎりぎりには、全部廃止するというふうなことをみずからきめているのであります。この余裕期間というのは、この間にせめて最後には、やはり六月の九日、すなわち三箇月以内には、やつてもらいたいというのでありまして、これをその以内において、いつ、どういうふうにやるかということは、組合自身できめるべきでありましようが、各府縣におきましては、各地の組合の事情に應じまして、適当な時期にすみやかに廃止するよう勧獎するようにというふうなことを言つておりますので、おそらく山口縣におきましては、地労委はさような立場から、一應四月四日という日にちを切つて、勧獎したものと考えているのであります。なお本法案の附則におきまして、六十日の余裕期間を置いておりますのは、法人たる組合の種々な関係からいたしまして、この余裕期間を置いた次第であります。
○青野委員 主たる経費を使用者側から受けているという御説明でありますが、この十一組合はほとんど産別系の組合だと聞いております。全國的に統計をとりましても、專從者の給料とか、あるいは主たる経費をもらつておりますにもかかわらず、統計の面に現われておりますのは、むしろ使用者側からそういう援助を受けている組合の方が、もつと戰闘的であるような統計をわれわれは見ているのであります。この山口縣下の十一組合は、ほとんど産別系の労働組合であると聞いておりますが、どういう組合が、どういうようなぐあいに、主たる経費を受けているかということが、おわかりになつておりましたら、御説明願います。
○賀來政府委員 先般お手元に差上げました労働組合に関する調査の資料の中に、一應どういう程度に使用者側から專從者が賃金を受けているかということは、差上げておいたのでありますが、ただいまの御質問に関しましては、ここに詳細な資料を持つておりませんので、いずれ調査をいたしまして、差上げたいと思つております。
○春日委員 関連してちよつと……。この次官通牒が出たときに、私ら二月六日に当時の増田労働大臣にも会つて、こういうものを強制するのはけしからぬということで話を持つて行つた。そのときの話では、これは通牒であつて、決して強制的にやるものじやないというふうな答弁であつた。ところで、もつとつつ込んで言えば、今あなたが言つたように、とにかく労働組合ができたばかりであつたから、労働委員会としても、給料をとるということはまあいいということにして來た。事実して來た。法文通りに解釈しても、労働組合の理想からいつて、これはもちろん組合員の金でもつて、專從者を養うことの方がいいけれども、日本の戰後の労働者の賃金状態で行けば、組合を発展させるためには、やはりそれが必要だということで認めて來ておつた。ところで、そういう事情が一体どうかわつたかという問題です。労働者の生活がそのときよりもよくなつているかどうか。政府の統計でいえば、実質賃金は上つたとか何とか言つているけれども、特に今これを強行して來ている三月、四月、五月において、全國に一万以上も賃金遅配工場がある。日電工場のごときは一月分を十二回に割つて拂つている。そういうひどい状態で、自分の飯も食えないような状態になつている。特にひどいところは、会社が組合費を差引いて組合員に渡すような協定ができている。その組合費を差引いた会社が、それを使い込んだというようなところすらある。それほど会社の経理も苦しくなつているし、同時に労働者の生活も苦しい。労働者の生活が樂になつたから出せるということなら、りくつは通るけれども、そうでなくて、給料も満足に拂えない状態で、しかもこれを強行するというふうなことの結果、どうなるかというと、労働組合をぶつつぶすことになる。つぶすのが労働省の仕事かどうか。その点はつきりお聞きしたい。
○賀來政府委員 專從者の給與の支給を打切るようにというふうな方針をとつて参つたことにつきましては、昨日も申し上げた次第でありますが、春日委員の御意見はわれわれも現在の組合の状況を知つておりますので、一應われわれといたしましては理解できるのであります。しかしながら昨日も申しましたように、九原則はやはりわが國の至上命令としてやつて行かなければならない。さような場合に、組合はいかにそれが苦難の道でありましても、強くなければならない、組合が強いということは自主性をはつきり持つことである。自主性を持つてこれに対処しなければならない時期が到達したのである。 第二は、わが國の労働組合運動も戰後三年を経まして、この六月にはいよいよ國際労働会議にオブザーバーとして出席するような時期に立ち至つている。從いまして、世界中でも例のない、すなわち組合の幹部、しかも委員長までが使用者から生活費を受けているというふうな形容をされました場合に、わが國の労働組合運動が世界的に進出する一つの阻害になる、かように考えるのであります。しかも三年を経た今日におきましては、組合はみずからの力によつて、きわめて自主的に強い組合になつていい時期である。時期といたしましては、これから組合は非常に苦難の道をたどるであろうということは、先ほども申し上げた次第でありますけれども、どうかさような意味において、組合は強くなつてもらいたい、かような考え方から、本年の一月くらいから勧獎を開始した、かような次第であります。
○春日委員 ただいまの御答弁は二つであります。経済九原則が実施される時期になつたから、労働組合に強くなつてもらわなくてはならぬ。だから資本家から賃金をもらいたくないという点が一点あつたと思いますけれども、資本家からそういう給與をとつたといういきさつは、あなたも戰後の労働組合運動に関係して來られて知つているでしようが、これはもらつたのではなくて、團体交渉によつてとつたんだ。それだけ強かつたのです。だから、現在あなたが言うように、この九原則の施行に耐えられないほど労働組合が弱い。つまり工場を閉鎖させられても、それに反対する力がないというように言われるなら、一体全國的な大きな組合、給料をとつている組合で、どこの組合が弱いか。それに耐えられない組合があるか。給料をもらつているために弱くて、首切りでも何でものまなければならないというような御用組合があるか。あるならそれをあげてもらいたい。これが第一点であります。 それから第二点にILOの問題でありますが、國際的の会議に出てはずかしいではないかというお話でありますけれども、世界に例のないものまでとれたということは、むしろ日本の労働者の強さを示す誇りだと思う。そういうことになる。また一面から言えば、そういう組合員が、組合の役員を養う会費すら出せないような、また組合員の生活も保てないような給料を拂い、さらに賃金の遅配をやつて、労働者を養えぬようなみじめな状態になつているこの日本の資本主義のみじめさ、これこそ国際会議に出てはずべきであつて、そのような給料を労働者に拂つているということがナンセンスだと思う。この点についてもう一度御意見を伺いたい。
○賀來政府委員 現在労働者がとつております賃金の大体の平均は六、七千円に達しておると考えるのであります。それに対しまして、現在組合費として出しておりますものは五、六十円になつておるのであります。かような状態におきましては、組合は組合利己主義、あるいは組合員の利己主義というような考え方を捨てまして、これからお互いにお互いの運動のためには、苦難の道をたどつて協力して行こうという氣持になつてもらうべき時期に達しておると考えるのであります。大きな組合でもらつておるから、どういうふうに御用化しておるか、その事実を示せというお話でありますが、これはわれわれといたしましても、どの組合がもらつておるから、どうであるというふうなことは、組合のためにも、さような報告はいたしたくないと考えております。現実にしからば、どの組合がどうかということにつきましても、これは申し上ぐべき筋合いではないと考えておるのであります。一例を申しますと、三越の組合のごとき、ああいう組合の例が最近は出て参つておるのでありまして、今後はわれわれといたしましては、特に労働省は、組合をさような意味でつぶそうという考え方は持つておりません。どうか強くなつてもらいたいというつもりで、この行政をやつて参つておる次第であります。
○春日委員 もう少し……。
○倉石委員長 どうですか、あとであなたの番がありますから——青野君。
○青野委員 引続き御質問申しますが、第八條は損害賠償を規定しております。こういう実例が一つありまするが、その点について当局はどういう考えを特つておるか、お伺いしたいと思います。第八條は「使用者は、同盟罷業その他の争議行為であつて正当なものによつて損害を受けたことの故をもつて、労働組合又はその組合員に対し賠償を請求することができない。」とはつきり規定してありまするが、この前の労働委員会で、ちようど関係者が御出席がありませんので、そのまま質問を保留しておつた問題の一つであります。第八條に関連してお尋ねいたしますが、三月の二十五日に福岡縣の八幡で労働組合の諸君が——八幡全市の労働組合員数にいたしまして約五万五千ほどあります。そのうちの日本製鉄八幡製鉄所の從業員が約三万二千、製鉄所の持つておりまするグラウンドの横を、人民大会ために借りることに内諾を得て——当局はもちろんこれを許したのであります。昨年の初め、一昨年の暮れごろの吉田内閣打倒の労働者大会などには、常に快くそういう会場を使用さしたのであります。この三月二十五日の労働法規改惡絶対反対で八幡全体の労働者諸君が集まつて、人民大会をするときには、それを貸すことになつておりましたが、どたんばになつてこれ貸さなかつたのであります。それはこの大会そのものが、労働組合法、労調法の保護を受けていない。從つて二十五日の晝から四時間のストは、それによつて生じる損害は、労働組合の幹部あるいは組合員に賠償をしてもらう考えであるというような文書を交付いたしまして、結果は人民大会ができなかつたのであります。北九州方面は御承知の通り、正味四日前、九十六時間前に軍政部に届出をしなければ、事実上会場が使えないことになつておりまするので、その当日あるいは前日の夕方になつて、そういう正式な回答がありましたために、五万以上の労働者が、みずからの生活権を守るための人民大会をすることが不可能になつた。こういう点は、われわれの考えでは、明らかに使用者側の不当な行き方であり、考え方が非常に間違つておると考えますが、こういう点いについて半日ストに対して、損害賠償を要求する價値がはたしてあるか。この八條の規定から行きまして、八幡製鉄所当局の考え方がはたして妥当であるかどうか。この点について労働省当局の御説明を願つておきたいと思います。
○賀來政府委員 ただいまのお話の問題につきましては、労働法規改惡反対の四時間ストライキをやろうとしたという報告は受けておりますが、それに関連いたしまして、グランド使用の問題については、報告を受けておりません。御質問は二つにわけられると思うのであります。一つは人民大会をやるについて、グランドを使用することをじやましたかどうかという問題であります。これは労働組合法上の問題ではありませんし、また事情の報告を受けておりませんので御答弁しかねますが、あとの労働法規改惡反対の四時間ストの問題について、考え方をお答え申し上げたいと思います。このストライキは現行の組合法、労調法から申しましても、正当なる争議行為とは認めがたいのであります。從いましてもしこれをやりますならば、不当な争議行為という解釈をいたしておるのであります。不当の労働争議ということになりますならば、八條の関係からいたしまして、使用者側は、場合によりましては損害賠償というふうなことになるかと思いますが、その点は法務廳民事局の方からお答えを申し上げたいと思います。
○平賀説明員 争議行為が正当であるかどうか、正当性の問題につきましては、昨日留保になつておりまして、その際刑罰の関係をも一括して御説明申すことになると存じますが、簡単に申し上げますと、労働法規改惡反対の四時間スト、これはいるゆる政治ストなのでございまして、組合法の一條一項に掲げた目的のためになされた行為だとは認めがたい、正当な争議行為とは認めがたいということになりますので、八條の関係におきましても、損害賠償の請求ができないという保護を與えられない、從つてもし損害賠償の原因がありますならば、使用者は組合に対して損害賠償の請求ができるということになるのでございます。これはやはり具体的に見ないとわかりませんが、八條の関係では、不法行為、債務不履行両方含んでおりまして、問題の場合は不法行為という場合よりも、むしろ債務不履行を原因とする損害賠償の問題が起る余地があると思うのでございます。
○青野委員 労働省に直接関係はありませんが、解釈をちよつと承つておきたいと存じます。この会場の使用を、当日あるいはその前日の夕方になつて取消したということは、これは極東委員会の十六原則の精神に照しましても、明らかに不当行為である、われわれはこう解釈しておりますが、こういう問題は、かりに今改正案の出ております労働法規が決定いたしましたならば、全國的にたくさん起つて來ると想像し得るのであります。大体戰後に御承知のように労働組合が急速に発展いたしましたので、その間立直りの遅れておりました使用者側が、非常な力をもつて全國的な組織をもつて、ある意味では無用の刺激をする。また考え方が、非常に労働者を敵視しておりまする傾向から行きまして、こういうことが次から次に繰返されるということによつて、今日より以上に労資の対立が激化して來る、ひいてはそれが日本の経済の復興に支障を來し、祖國の民主的な再建に大きな影響がありまするので、この会場をその当日になつて貸さないといつたようなことは、明らかにこれは一つの不当行為であるとわれわれは考えますが、労働省当局はこれについて、どういう考え方を持つておるかということを、念のためにも一應お伺いしておきたい。
○賀來政府委員 御意見にもありましたような結果になる、たとえばこれから使用者側が無用な、あるいは不必要に、労働組合側に対して強力なと申しますか、無理解な態度をとる、それがために紛議が激発するということにつきましては、労働省としてはさようなことが起ることは非常に遺憾に考えるのでありまして、もしさような状態になりますならば、労働省といたしましては使用者側に対して十分注意を喚起しなければならないものとかように考えております。ただ八幡のグラウンドの問題は、先ほど申しましたようにだれが管理しておつて、どういう事情で断つたのかわかりませんので、これにつきましての答弁はごかんべん願いたいと思います。
○青野委員 まだ各條にまたがつて質問もございまするが、昨日から運輸省関係の方に御出席を求めておりまするので、それをあとにまわして、運輸省関係のこの前質問を保留しておりましたのを、御質問申し上げたいと思います。これは福岡縣の糟屋郡の志免炭鉱の問題でありまするが、ここの從業員は約三千名ほどおるのであります。これは運輸省の指定中炭鉱でありまして、申すまでもなく国営であります。日産千三百トン、一月に四万トンを目標にいたしまして、関係筋からの強い要望もあり、炭鉱視察團の要求もありましたので、今日ではほとんど月四万トンの自立体制が確立して、三千の從業員が非常な努力を続けておるのであります。ところが各省あるいは国鉄その他に対しまして、現業、非現業二割、三割といつたような画一的な馘首が行われるものと考えまして、非常な動揺を今日來しておるのでありますが、この運輸省指定炭鉱の志免炭鉱の三千名のうち、何割整理をするお考えであるか、あるいはほのかに聞きますると、関係筋あたりは、月四万トンの石炭が出るようになれば、あながち人員を整理する必要はないといつたようなお話も聞いておるというようなことを、從業員の諸君は言つておるのであります。ある省のごときはその事務の上から行きまして、むしろ整理するよりも、人間を増員しなければならぬというような場合も起り得ると思います。労働大臣がある新聞に言つておりますように、今度の行政整理、人員整理は画一的にはやらない、こういうことを声明しておりますが、この運輸省の指定炭鉱である志免炭鉱の行政整理に対しましては——すでに関係筋の強い要望である月四万トンの自立体制がほとんど確立しかかつておる。かような炭鉱にも、これに対して行政整理あるいは人員整理等をおやりになるか、これは本多國務相の問題でありますけれども、運輸省側といたしましては、この点についてどういう御所見を持つておりますか、この点をひとつ明らかにしておいてもらいたいと思います。
○牛島政府委員 お答いたします。志免炭鉱はただいまお話がございましたように、戰後海軍より引継ぎを受けまして、運輸省において経営をして参つたのであります。もちろん運輸省が直接経営しておりますので、國営の炭鉱といたしましては唯一のものであります。志免山炭鉱におきまして昨年度におきましては、私專門屋ではございませんから、はつきりは知りませんが、大体三十一万二千トンの生産を上げたと思います。これに從事しておりまする人員は、ただいま三千人というお話でございましたが、実際は約六千人ほど從事しておるのでございます。すなわち炭鉱に直接從事いたしておりまする、いわゆる炭鉱経費でまかなつておりまするものが五千五百人、そのほかいわゆる用品経費と申しておりますが、用品経費でまかなつておりますものが百四十五人、病院の経費でまかなつておりますものが百九十五人、そのほか現在工事を実施いたしておりますので、その関係で工事経費でまかなつておりますものが百七十人ばかりございます。從いまして、六千人ほどの人員で三十一万二千トンを出して、最近におきまして非常に生産が上つておりますることは事実であります。これに対しまして本年度におきましては、約年間四十万トンを出炭する計画をいたしております。現在一番問題になつておりますものは、志免鉱業所におきまして出炭しておりまする炭價というものが、一般の單價よりも高い。鉄道においてこれを使用いたしまする場合において、炭質が非常にいいことは事実でございまして、鉄道といたしまして、このカロリーの高い石炭をぜひとも使いたいのでございますけれども、一般に單價が高い。從つてこれに対しまして非常な批判が加えられまして、関係の方面からも強い勧告が出ておりますので、ここに経営の合理化ということを考えまして、一方において生産を上げまするし、戰争以來いろいろと冗費もございますし、人員においても年齢の関係その他から、能率の上らないものも若干はある。また坑内、坑外の人員割合も、先般GHQからいろいろと勧告等もございまして、そういう点をにらみ合せまして、経営の合理化を実施しなければならない。そうして何とかしてこの單價をいま少しく引下げる方向に進んで参らなければならない、こういうことを考えまして、経営の合理化の方針を炭鉱としては立てておるのであります。この点につきましては、幸いに労働組合におきましても非常に理解を持ちまして、協力的に実施をいたすことに、外部的には話が進んでおりますので、年間四十万トンを生産いたしまして、單價は大体におきまして三千円を少し出たくらいのところで、生産ができ得るようにやつて参りますのが、志免鉱業所といたしましても、また鉄道の本年度の独立採算の立場から行きましても、けつこうなことだと思つておる次第であります。ここにおきまして実際問題といたしますれば、坑内、坑外の配置轉換その他も行われ得ると思いますが、いまだ実際には実施はいたしておらないわけでござしまして、具体的の数字その他につきましては、ただいまちよつと数字がございませんので申し上げられませんが、もちろん画一的に二割とか三割というような方面からではなしに、炭鉱の経営上必要な人員にいたしまして、生産も上げ、能率の向上もはかりたい、こう考えておる次第であます。
○青野委員 この点に関しましては、すでに十五年、二十年、三十年と炭鉱で働いておりまして、附近の三菱の炭鉱あたりと比べましても、團体交渉権も、あるいは争議権もなく、そうして一画一的な馘首によつて失業の街頭に投げ出されますと、その失業者のほとんど大半は、年をとつた人とか、あるいは小さい子供をかかえておる家庭の諸君で、この失業者の増大する傾向にありまするときに、事実上再び職にありつくことができない、この不安が強いのでありまするので、この点に関しては特にこの運輸省指定炭鉱の整理に関しましては、他の官廳とは趣を異にしておりまする点を、ひとつ留意しておいていただきたいということを、希望しておきます。 労働組合法の第一條の目的につきまして、きのうも問題になつておりましたが、二項の但書の暴力否定は、私に言わしめますると、將來不当に濫用されるおそれがあるのでありまして、私どもはむしろこの暴力否定の但書は、必要がないように思います。と申しますのは、ここに御質問したいと思いますことは、勢いに乗つて多数の労働者諸君が事務所に交渉に行く、あるいは激論の末に遂にガラス一枚割る、あるいはタバコ盆を投げるというようなことが、あるいは今までもあつたかもわかりませんが、そういう点につきましても、誇大にこれを官廳に報告されますると、勢いその正当なる労働争議行為の中から、重要な人物が責任者として、あるいは警察方面にひつぱられる、そういうことは、從來も例があつたのであります。そういう点についての当局の御所見も承りまするが、一つつけ加えて申し上げたいと思いますことは、それにも増して、特にこの炭鉱地帶には、使用者側の裏面に一つの大きな暴力的な背景があるのであります。この労働委員会でも香月の殺害事件について、法務廳の意見を私も質疑の形式でお尋ねいたしましたように、この前の議会で問題になりました大辻炭鉱の例をとりましても、有力な人で、元代議士をやつておつたような経営者が、みずから公然とあいくちをふところに入れて、労働組合の事務所に一箇月もがんばつて、そうして反対するなら承知しない、労働組合の諸君はわれわれが引受けたといつたような、一種の威喝をもつて、大辻炭鉱に相当の波瀾がありまして、遂に貝島炭鉱の手から、一種のボスの手に名義の変更が行われたということは、衆議院の鉱工業委員会でも問題になりましたが、そういうことは常磐方面でも、北海道方面でも、特に九州の筑豊方面でも、日常茶飯事のように繰返されておる。使用者、一つの炭鉱の経営者との間に、そこに働いておりまする労働者が、どうしても食われぬから、最低生活権の要求のために争議をやる、賃金の増額の運動をやる、物價の値上りによつて食われなくなつて、やむにやまれず最後の武器であるストライキをやりますときに、山炭鉱経営者が直接暴力を振いはいたしませんけれども、それと関係を持つておる隣の郡、あるいは遠く離れておる方の業者と連絡をとつて、その方面から、そういつたような暴力團が常に労働組合を圧迫し、無用の刺激を與えて、遂にまとまる労働争議も一箇月あるいは二箇月、あるいは三箇月と延びて行つた実例はたくさんあります。ただ労働組合側が正当なる労働争議をやつておりまするときに、その交渉の過程において、單に器物を破壊するとか、簡単なガラスが一、二枚破れたという点において、労働組合の指導者が、その大事な交渉の途中からひつぱられて行くが、そういうことよりも、むしろ大きい暴力團が、炭鉱経営者側の背後のことの方が問題であるということを、私どもは自分の体験から知つております。こういう点で、非常に問題が腹雑化して來ると、勢い常規を逸して、暴力的な対立になる、そのときに、労働組合の組合員だけが、この但書によつて処罰を受けるということは、これは非常に不公平である。こう考えるのでありますが、そういう点についてこの暴力否定の但書は削除するお考えはないか、あるいはこれをなさなければならないように、仕向けられるといつたような暴力に対しては、どういう條項によつて、いわゆる罰則を設けて取締られるお考えであるか、これをひとつお尋ねしておきます。
○高橋(一)政府委員 ただいまのお話の、第一條第二項の暴力否定を削つては、どうかという点につきましては、第一條第二項の本文の方が、組合側の争議行為につきまして、免責の規定を設けておるのでありまして、待つてその但書におきまして、組合側の暴力の問題を書き上げておるわけであります。もしこの前段の方に、使用者側の争議行為の免責規定が含まれておりましたならば、但書におきましても、当然使用者側を含むような、暴力の否定の一規定を設けるべきであると考えておるのであります。この点は別段組合側の暴力だけを否定するというような考えに基いておるものでもありませんし、また規定の書き方から申しまして、そういうような誤解もないと考えるのでありまして、これは削除するというような考えは、法務廳としては持つておりません。ただ御指摘になりましたような、大体において、平和な方法で争議行為を行つて参ります際にも、とかく感情が激して、たまにガラス一枚割るといつたような事故が起ることは、間々あると思います。これは犯罪の性質という問題でなくして、検察の方針といたしまして、やはり争議行為の性質上、これを大まかに見まして、かような事件を、一々重箱のすみをほじくるように掘り立てるという考えはございません。それから争議行為に限らず、暴力はすベて否定するということを、法務廳といたしましても考えております。先日お話の出ました香月の事件は、当時私その報告書を読んでおりませんでしたので、お答えが抽象的であつたのでありますが、その後援しました第一回の現地の報告によりますと、現地の検察廳も非常にこれを重要視して、あの事件を契機に、香月について徹底的にこれを調査するというように言つて参つております。そうしてあれは福岡地方検察廳の管内の小倉支部の事件でありますが、小倉支部の上席檢事以下が最初出張して参りまして、そのような奥の深い事件であるというので、さらに本廳の方から次席檢事以下を出張せしめて、捜査に当つておるようであります。その結果につきましては、まだまとまつた報告を得ておりませんけれども、このような態勢であるということは、檢察廳がその点につきまして、熱意を持つておるという一つの現われであるというふうに、考えておるのであります。
○青野委員 法務廳の取締り方につきましても——これは少しくどいようでありまするが、香月の問題も、これは一面町有林拂下げの問題に対しまして、民主化同盟が先頭に立つてこれをあばいて、その不正を糾彈して、不正の絶滅を期するためにやつた仕事でありまして、附近の炭鉱の労働組合員は、ほとんどこれを支持したのであります。ところがたまたま炭鉱経営者の経営しておりまする炭鉱の中から、一人の殺人犯が出まして、その中心であつた前縣会議員を、やりの穗先で突つ殺したのであります。これは直接でありましたが、私の縣念するのは、この暴力行為の但書にありますように、その争議をやつております炭鉱経営者とは、表面関係のない方面から、いろいろなそういつた人を雇うて來て、自分たちは涼しい顔をして、その無言の非常な大きい脅威力を持つております暴力が、これら組合の諸君にのしかかつて、そうして正しい主張も、遂に暴力の前には葬り去られて行くという傾向が今までにもあり、この條文をつくることによつて、より以上無用な迫害と彈圧が行われるのではないか。これはおそらく組織せられておる労働者といなとにかかわらず、この暴力の但書が入つておることについては、日本の労働者はほとんど反対するである、第一次試案にも、第二次試案にも、この暴力否定の但書というのはなかつたのが、今回の最終の改正案に載つておるのでありますが、この点いについては、やがて賛否の討論のときに、それぞれの意見を発表することにいたしますので、これ以上は意見になりますから申しませんが、こういつた内部事情をよくのみ込んでいただいて、法務廳は嚴正公平な立場から、常に労働組合の保護育成のためには、経営者側よりも、むしろそういつた不利な立場にある労働組合のために、公平な態度をとつて行く。地方警察あるいは國家警察にいたしましても、地方たたの強力な力を持つておる人の影響下にあることを常に考えられて、公平な立場で法務廳はやつて行つていただきたいということを、希望しておく次第であります。 もう一つお尋ねしたいと思いますことがありますが、これは商工大臣が閣議があつて参りませんから、炭労本部が指令しております波状ストの問題と低品位炭鉱の公團買上げの停止、統制の撤廃、炭價の引下げ等によつて、常磐初め北九州方面の中小低品位炭鉱が非常な庄迫を受けて、壤滅状態の直前にありますことについて、午後適当な機会に、商工大臣にこの二つの問題で御質問をしたいと考えておりますので、委員長におきましては、私の質問のその点に関する保留をお許しを願つておきたい。 こまかい問題はまだ四つ、五つありますが、質問をほかに讓ります関係上、最後にお尋ねいたしたいと思いますことは、きのう労働政務次官は委員会で、この改正案が今日の日本の現状に即して一番正しいものである、これが一番よいと信じて出したのでありますというお話があつたのでありますが、日本の労働組合が、特に煽動されたとか、煽動されないとかいうことを度外視いたしましても、ほとんど全部が、常識的に一般的には現行法を一、二年扱つてもらいたくない、不備な点はあるが、現存の労働組合法で一、二年間やつて行きたい、これが一般的な労働者の意見であるように私たちは考える。むしろ現行法の不備な点を、労働組合品の保護育成のためにもつと改良せよ、こういう強い進歩的な考え方を持つております労働組合の指導者も、たくさんあるのでありますが、われわれから見れば、今度の改正案は第一次試案、第二次試案を通り越しまして、相当緩和せられておる点は認めます。よくなつた点も二、三あることは認めます。けれども六百七十万の日本の組織労働者が、ほとんど全部が反対しておるにもかかわらず、労働省当局は、これは今の場合一番りつぱなものであると、労働者にどうして押しつけなければならぬか。労働省だけがいかに時宜に適した労働組合法でありますと言つても、日本の労働者のほとんど大部分が、今の労働組合改正法には反対だという立場をとつておるときに、これを押しつける必要はない。どういう理由でこれを押しつけなければならないか。その内部にはいろいろ複雑な事情もあると思いますが、それは討論に讓りまして、そういう点について、政務次官は昨日これはりつぱなものである、一番正しいと信じて出したと言つておりますが、日本の労働者は全面的に反対しておる。毎日労働法規改惡反対の陳情で、私どもは忙殺されておりますが、こういう点について政務次官のお答えをお願いしておきします。
○山崎(岩)政府委員 お答え申し上げます。昨日の私の発言について、おしかりを受けた次第でございますが、本法案を上程いたします経過については、いろいろなる紆余曲折を経て参りましたことは青野委員におかせられましても必ず御承知のことと思うのであります。第一案といい、第二案といい、それを公表いたしまして公聽会にまでかけましたその案も、いろいろな経緯からしまして、いろいそ改訂を見るような時期になりまして、ただいまのような原案となつて、皆様方の御審議そいただいておるような次第でございます。そのために、日本の現在の国家の政治を行つて行く上において、いろいろないさかいのありますことは、皆さん御承知の通りであります。日本の政治運営が、独立の立場でもつてできていないことも、御承知の通りであります。從つてこの法案を提案いたすにつきましても、GHQからもいろいろな御指導と御援助と御助言とをいただきまして、最もよいものとして練り合せました結果、ここに皆さん方の御審議をいただくようになつたのであります。從つて本法案を提案いたします当局の者といたしましては、これはやはりいろいろな過程を経まして、練りに練つてここまで参つた次第でありますので、これは現在の状況から見まして一番いいところにおちついたものだ、こういう考えを持つて上程したというにほかならないのであります。それからいろいろ御批判の点もあられましようし、また労働者諸君においても、いろいろな点をピツクアツプして、その点について強い御批判もあるかと考えるのであります。けれどもただいまの社会環境から見ましても、政治運営のいろいろないきさつから申しまして、これ以外に良案を得る道がなくて、本法案を最もよいものとして提案をいたしました。この立場を御了承を願いたいと思うのであります。私の言葉にもし言い過ぎがありましたら、お許しを願いたいと思います。 〔発言する者あり〕
○倉石委員長 御静粛に願います。
○青野委員 最後にもう二つその点に関連してお伺いいたしますが、労働者の全面的な反対を押し切つてこれを改正して、そうして労働者の反撃を買う。前田君が本会議で質問演説をした一節に申しましたように、未組織労働者を含めて、約一千三百万の労働者の反対を買うということが、いかに労働者の生産意欲を減退せしむるかということは、これははかり知れざる大きいものがあると思います。労働力にたよらずして、日本の民主的な再建も、経済の復興もあり得ません。労働を通じて経済復興に寄與せんとする日本の労働者の、今考えておる労働法規に対するその精神を蹂躙しては、労力意欲の高揚などはあり得ぬと思います。この点についてお答えを願いたいのと、労働者が自分の労働力を発揮して、そうして日本の再建の主体勢力になろうとして、歯を食い縛つて苦しい生活の中から働いております現状を見て、私どもは日本の資本家が、特に不必要な刺激を與えたり、感情的な対立をして行くような氣持を一擲して、労働者を中心に、資本家みずからが一段下つたところからこの勢力に協力して、日本の経済の復興と生産力の増強のために努めて行くといつたような考え方が、今非常に必要な時期であると叫ばれておりますが、労働省当局はこの労働組合法の改正を通して、日本の労働者の労働意欲を減退せしむるこの行き方——資本家がそういう考え方で労働者と相協力一致して、日本の再建のために邁進することが一番正しいと私どもは考えておりまするが、そういう点について——労働省は労働者のサービス省であります。どんな反動的な政策が出ましても、労働者のための労働省である限りは、この二点について、労働省はこういう考え方を持つておるということを、はつきりここでひとつ御所見を承つて、私の質問は一應これで打切らしていただきます。
○山崎(岩)政府委員 青野委員の御意見、まことにごもつともでございまして、その点につきましては、大臣から日本の労働行政の運営の面から、いろいろお話くださいますることがほんとうかと思いまするが、昨日の私の発言に関連しましての御意見でございまするので、私から一應お答え申し上げたいと存じます。もちろん御説のうちにありました通りに、日本の経済の再建をはかりますることのためには、何としても労働者諸君の生産意欲にまつことが大なるものがあるのでありまして、物の取扱いよりも何よりも、最も大切なものは人の取扱いでありまする魂の取扱いの問題であります。どんなりつぱな法律をこしらえましても、どんなよいものをこしらえましても、その魂の点において協力するだけの燃え盛るものがなかつたならば、これができ上らないことは、先刻お説の中にあつた通りでございます。從いまして、労働省当局としましては労働省設置の本然の性格というものをよく見きわめまして、労働者諸君とともに、よく相携えて、この難局を打開して行くことに努力して行かなければならぬことはもちろんのことでございます。從つて本法案が皆様の御審議を頂戴いたしまして、法律として成立することができますならば、この法律案の意図するところが奈辺にあるか、この点につきましては、労働者諸君にも十分御納得の行くように、私どもの方からもいろいろ出向きましてお願い申し上げ、説明を申し上げまして、そうして御協力をいただきたいと考えておるような次第でございます。どうか今後とも、各界にわたつて御指導のほどをお願い申し上げます。
○倉石委員長 それでは午後一時半まで休憩いたします。 午後零時三分休憩 ————◇————— 午後二時二十二分開議
○倉石委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 前会に質問を保留しておられました篠田弘作君に発言を許します。篠田弘作君。
○篠田委員 昨日質問いたしましたけれども、大藏関係者がおいでにならなかつたので、答弁は保留になつておりますが、これは直接労働組合法の問題には関係がありませんけれども、労働者の生活及び中小企業者には非常に重大な関係がありますので、ちよつと御質問したいと思います。それはほかでもありませんが、炭鉱の住宅その他請負の問題であります。御承知の通り、復金の融資が打切られたために、大体において炭鉱会社及び請負者側においては、そういうふうに急に復金の融資が打切られるとは考えでおりませんでした。從つて最初の計画に從つて炭鉱住宅をどんどん建てておつた。ところが、実際において炭鉱住宅は八〇%の建設を見たにかかわらず、復金の融資は五〇%において打切られた。こういうような場合におきまして、支拂いは五〇%きり支拂われない。しかるに中小企業者であるところの炭鉱住宅請負者においては、労働者に対しては八〇%の賃金を支拂わなければならない。しかも今後炭住というものが、復金の融資打切りによつて復活する見込みがないとするならば、その手元にかかえておるところの、労働者を解雇しなければならぬ。これには当然解雇手当を出さなければならないにもかかわらず、実際は三〇%は中小企業者の立てかえであつて、そうして労働者の賃金も拂うことができないし、また労働者の解雇手当も拂うことができない。労働者の方からいうならば、結局賃金をもらい、あるいは解雇手当をもらわない限りにおいては、先の見込みがないことがわかつておりながら、そこにいつまでもついていなければならぬという、実に矛盾した、いわゆる悲惨なるところの結果が生れておるのであります。これに対しまして、労働基準局もいろいろありましようが、地方においては請負者に対して、労働者の賃金を拂わないならば、労働基準法によつて処罰するというような、おどかし文句を言つておる基準局もあるということを聞いております。先般北海道の空知の炭鉱関係の請負者がやつて参りまして、そういう陳情を私にしたのであります。これは実際問題としてまことに憂うべき状態であると思います。一方において復金の融資を打切つたということについては、一つの大きな國家の要請によつてやられたことでありましようけれども、その後に來るところの問題に対して、救済の方法がないということは、これは政府としてどうかと考えられるのであります。これに対しまして大藏省としては、どういう態度をもつて臨んでおられるか。このまま労働者の賃金というものをたな上げして、そうして中小企業者がそのためにつぶれ、労働者がそのために困つても、さしつかえないという考え方を持つておられるか。それとも、できるだけ早い機会において、親切なる方法を講ずるお考えを持つておられるかということをひとつお聞きしたいと思うのであります。 次に法務廳の方が見えておられましたならば、労働基準法は法務廳としてそういう場合にも適用するかどうか。この問題についてお伺いします。
○杉山説明員 ただいま御質問になりました点につきましては、実は先般來大藏省といたしましても鋭意解決策を検討いたしておりますが、何分非常な難問題でございます。事のここに至りました経緯について簡單に申し上げてみますと、第四十四半期の復金の融資計画が一月にきまりますときに、復金債の発行の限度を二百二十億にきめられたわけであります。その範囲内におきまして、石炭に対しては設備資金として六十億のわくが設定されたわけでございます。石炭廳はこれに対しまして、あと最少三十億を追加してほしいと、非常に執拗にねばられたのでございますけれども、全体のわくの関係上いかんともできず、六十億ということで閣議の決定を経たわけであります。そのときに復興金融の委員会といたしましては、炭住及び一般の炭鉱設備の建設状況がある程度進行中であるけれども、これはこの際資金全体のわくをよく考えて工事をしてほしいということを、特に石炭廳及び商工省等の関係の方に要望をいたしたのでございますが、その趣旨が現地になかなか徹底しなかつたと見えまして、先般調べたところによりますと、三月末において、炭住においては資金のわくのつかない建設が、約十五億円見当あるということが判明いたしたのでございます。それで四月以降は御承知の通りに、復金の融資というものが事実上停止いたしておりますので、復金の方からこの融資をするということは、將來回收が非常に大きくなつて來て、しかもその場合に、炭鉱に融資をするというふうにきまれば別でありますが、現状におきましては、ちよつとその目途が立たないわけでございます。それで現在安本を中心といたしまして、援助資金特別会計において本年度産業に対する融資を考えておりますが、その中に炭鉱に対しましても、相当額を計上しようという空氣になつております。ただ問題は、その援助資金を取上げます炭鉱が、すでに炭住の進んでおります炭鉱すべてに及ぶかどうか、またその個々に山元別に審議して参りますときに、ちようどそのすベてが吸収できるようになるかどうか、ここは問題があると思いますが、現在のところ、この手による解決しかないのではないかと認められております。と申しますのは、他に興銀というような設備資金を供給する金融機関もございますが、この場合は復金と違いまして、政府の方からどういう事業に融資をしろというふうな指示をいたすこともできませんし、また現在興銀に聞いておりますところでは、二十四年度においては、炭鉱に対する融資を一應見込んでいないというような関係もございます。また一般の金融機関からの融資は、今のところ希望できませんので、結局残りますところは、援助資金にたよるほかないというふうに感じておる次第でございます。それで十五億という仕事のでき過ぎができましたことについては、政府全体としてこれは非常に問題だと思いますが、とにかく何とか早く解決方法を見出しまして、至急支拂いのできるようにいたしたい。こういうふうに考えております。
○神山説明員 法務廳檢務局の労働社会課長でございます。この賃金不拂いの問題でございますが、基準法二十四條の罰則の適用の関係におきましては、後ほど校務局長が参りまして御答弁申し上げた方がよろしいかと思いますので、しばらく御猶予をお願いいたしたいと思つております。
○篠田委員 炭鉱住宅に関するわく外の建設が、ただいまの政府委員の説明によりますと、十五億円ということであります。これを援助資金から出すという考え方は、まことに妥当であると私は考えます。援助資金は産業復興のために使われるということになつておるのでありまして、現在炭鉱住宅の問題というものは、もしこのまま未解決に終るならば、ただに企業者がつぶれ、労働者が非常なる生活の脅威にさらされるばかりでなく、日本の産業というもの、ことに炭鉱に関係したところの産業というものは、非常に早く沒落する以外に方法はないと考えられます。そういう意味合いにおきまして、でき得る限り早い機会に、産業復興のために援助資金の中からこれを出すように、政府において努力されることを希望いたしまして、この質問を打切ります。 その次に労働省の関係の方に御質問しますが、先ほどの團体交渉の場合において代理者を認めるということは、ほんとうは労働組合本來の考え方からいつて適当でない。なぜかならば、一番に労働者の事情を知つておるものは労働組合員、あるいは労働組合の代表者であるし、会社並びに企業の内情をよく知つておるものは会社並びいに経営者である。そういう意味において、ほんとうに團体交渉を円満に、かつ合理的に解決するためには、やはり労働組合の代表者及び資本家あるいは経営者のその当事者が出て、そして忌憚ない團体交渉をするということが一番正しい。そういうふうに私は見解を述べまして、この代理者というものを認めるということは不適当であるから、何とかそれを削除する方法はないかということをお聞きしたのであります。労政局長の御答弁によりますと、こういうことは先進國の労働者の團体交渉においてもやつておるようでありますから、日本においてもやつてさしつかえないものであると思う。こういう御答弁でありまして、私は一應これを了承したのであります。ところが、私がちよつと席をはずしておりましたので、質疑の内容を全面的に聞いたわけではありませんけれども、檢察廳の考え方として、代理者のまたその代理者であるところの復代理人を認めるということは、民法上何らさしつかえない、そういう答弁があつたのであります。私は代理者を認めるということも、本來の立場からいうならば、賛成できないのでありますが、そのまた代理者であるところの復代理者、復代理者といえば、おそらく代理者が何らかの事情があつて出席できない場合に、その代理者から任命されたものと思うのでありまして、直接労働組合なり、あるいは会社側から任命されたものではないと思うのでありますが、その復代理者が都合が惡かつたときに、その復代理者がまた次の復代理者を選ぶという結果も考えられると思うのであります。そうすれば、労働組合なりあるいは会社側なりが、ほんとうにその人間が適任者であるという考え方から選んだところの最初の代理者というものは、これは各國にも例があるということであるから、認めるにやぶさかではありませんが、それがまた次の代理者を選び、また次の代理者を選んでおる間には、その代理者の性格が、最初選ばれた代理者の性格と非常に違つたものができて來る。民法の規定において代理者が復代理者を選ぶということが許されておるとしても、もしこの労働問題を、一般の民法の規定の解釈によつて行つて行くとするならば、特にここに労働組合法を改正するだけの意義がないと私は考えるのであります。そういう意味合いにおいて、今日新しい憲法のもとにおいて、労働組合法が改正せられるということになつて來れば、そこに時代に即應したところの新しい意味が、生れなければならないと思います。そのときに、ただ民法の解釈では復代理者を選ぶことができるから、労働組合の團体交渉において、もまた復代理者の、またその復代理者を選ぶということでは、私は眞に労働問題を円満に解決するゆえんでないと考えます。この復代理者を選ぶということは、何ら労働組合法にはうたつてありません。そういうことが許されるということはうたつてありません。代理者が許されるということはうたつてありますけれども、復代理者の点まではうたつてないのでありますから、そういううたつてないところの條文を、檢察廳あるいは法務廳の一方的な考え方によつて許されるということをここに規定するということは、私は新しく労働組合法をつくる意味に反すると思うのであります。この点につきまして法務廳の意見と労働省の関係の方の意見と、二つお聞きしたいと思います。
○石黒説明員 復代理人の点につきまして御説明申し上げます。労働組合が團体交渉にあたりまして代理人を選ぶことも、ある場合には必要であるというぐあいに考えております点につきましては、御了解願つておつたと思います。民法の復代理につきましては、民法百四條は無制限に復代理を許しておるのではありませんで、「本人ノ許諾ヲ得タルトキ又八巳ムコトヲ得サル事由アルトキニ非サレハ復代理人ヲ選任スルコトヲ得ス」ということで、原則は本人たる労働組合の承認があつたときにだけ復代理が許される。それからやむを得ざる事由のときも許されるということで、一應制限がかかつております。さらにその代理人を選定いたし委任いたします際に、もしこの人個人でなければどうしても困るというときには、その委任の際におきまして、制限を付することも可能であると思いますので、あえて特にこの際にだけ、民法百四條の復代理者を許さないというほどの明文を置く必要はないのではないかと思つた次第であります。なお詳細につきましては法務廳の民事局の方からお答え申し上げます。
○平賀説明員 今の復代理の点につきまして追加して御説明申し上げます。ただいま石黒事務官からお話になりましたように、この六條の労働組合の代表者のその代理人、これはまた民法の百四條におけるところの委任による代理人でございまして、この六條の規定をこのままにしておきますと、当然民法の百四條が適用になりますので、労働組合の代表者は代理人を選び、その代理人が復代理人を選ぶことが解釈上可能になつて來るわけでございます。さらに先ほどの御質問では、この復代理人がさらに復代理人を選任できるのではないかということでございましたが、現行の民法の解釈としては、復代理人がさらに復代理人を選任するということはできないという解釈になつております。復代理人は代理人が一回だけしか選べないという解釈になつております。その点を追加して御説明申し上げます。
○篠田委員 民法の解釈は私もわかつておるのでありますが、しかし新憲法のもとに新しい労働組合法というものをつくつて、そうしてそれによつて今後円満なる團体交渉をなさしめて、日本の経済の再建に寄與するという場合において、私は最も実情をよく知つておるところの、ほんとうの生活の体験から、また企業の体験からにじみ出たところの、お互いの誠意を盡して團体交渉をするということが、この労働組合法のねらいではないかと思う。そういう場合にまた代理人を選ぶ——昨日も申しましたように、代理人というものは非常にりつぱな人が選ばれる場合もあるでありましようし、そうでない場合もありましよう。これは労働組合の側にもあるし、資本家の側にもあると思います。資本家の側は金を出して弁護士を選ぶ。言いかえればりつぱな弁護士もあるし、三百代言的な弁護士もあるでありましよう。労働組合の側からも、札つきの労働ブローカーを代理人にするという場合もあつて、かえつて円満なるべきところの團体交渉というものを、円満に妥結する目的に反するような場合もしばしばあるということは、これは法の解釈ではなくて、実際の團体交渉の面においては、事実問題として、そういうことがあり得るのは当然であります。そういう場合に、代理人選ぶということすら、われわれとしては削除してもらいたいという意向を持つておるのに、またその代理人を選ぶことを、民法の解釈がこうだからといつて、それを許すならば——民法によつて労働組合の團体交渉というものが規定されるならば、労働組合法を新しくつくる意味はないと私は考えております。であるから、ここに修正意見として、代理人を選ぶことができない、代理人の事故のあるときは、双方においてまた新しい代理人を選ぶという條項を、労働組合法においては特に入れていただきたい、こういうふうに私は考える次第であります。これに対する当局の御見解を承りたいと思います。
○大橋委員 ただいまの篠田委員の質問に関連いたしまして、私もちよつとお伺いしたいのですが、第六條において、労働組合の委任を受けた者が交渉する権限を有するというふうに、この法律には規定しておる。ところがただいまの御説明を聞いておりますと、代理人の権限は民法の委任の規定によつて與えられるのである、こういうお話なのでございます。民法の委任の規定によつて代理人の権限が與えられるといたしまするならば、この第六條の規定というものを、労働組合法に何のためにわざわざ規定しなければならなかつたかということをお伺いしたいのであります。思うに第六條の規定があります以上は、第六條によるにあらざれば、労働交渉におけるところの代理人の権限というものはあり得ないという、そういう根本的な考えのもとに、この條文を読むのでなければ、この條文には意味がないといわなければならぬと私は思うのでございます。この点もなおあわせて御回答を願いたいと存じまする
○石黒説明員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。労働組合法第六條にございます代理人、これが民法の委任の法理を受けるということは、私ども從來から考えておるのでありますが、その代理の範囲と申しますものは、これは必ずしも民法の法律行為と嚴格に一致するものではない。交渉ということは、協約締結の権限を含まないということは、從來の解釈の通りでありまして、その交渉の権限を有するという点に、労働組合法上の代理人の特別な性質があると考えております。
○篠田委員 交渉ということは、今の説明によると過程であつて、その協約の締結とか、その結果というものを含まないということを言われたのでありますけれども、それはまつたく詭弁であると私は思います。交渉ということは何のためにするか。それは結論を得るために交渉するのである。その交渉が非常に誠意をもつてされた交渉であるかどうか。あるいはまたその交渉の技術というものが非常にうまいか、下手か、あるいは何らかの意図をもつて交渉されたかということによつて、結論はおのずから違つて來る。であるから結論を得るための交渉であつて、結論を得ないための交渉ならば、交渉する必要はない。そういう意味合いにおける交渉こそ結論の前提であつて、その結果というものは、交渉によつて得らるべきものである。であるから、われわれもまたこの團体交渉というものを、労資双方のために最も円満に、最も平和的に、最も合理的に行われなければならない点において、重要視するのであります。そのために、組合法におきましても、團体交渉という項を設けて、特にここに第六條というものを規定した次第であろうと思うのであります。これは法務廳のいわゆる犯罪関係ではないのでありますから、あるいはまた單なる民法に規定されたそういつたような権利の問題ではなくて、労働組合の團体交渉という特殊事態に関するところの一つの法規でありますから、民法の百四條の規定というものと労働組合法第六條というものとは、おのずから別な立場において——もちろん民法の規定を侵害するのではないのですけれども、考えられていいのではないか。今は法務廳の考え方を聞いておりますから、法務廳は民法の解釈をそのままされるのでありましようけれども、本委員会におきましては、この復代理人の選定というものを認めるか認めないかということは、これは法務廳の意向ではなくて、本委員会の意向であると考えますので、復代理人を認めるということはやめていただきたいというのが、私の希望であります。
○佐藤(親)委員 ただいまの質問に関連して……。私は篠田君と同意見であります。もしただいまの法務廳のお答えがいいとするならば、十二條のように民法を準用しなくてはいけないと思うのであります。そうでないと、法の規制上形をなさない。何ゆえに特に第六條にそういう特別法の原則を規定したかということが、ここに必要になつて來ると思います。その特別法の委任の関係をここに織り込んである以上は、持に民法の百四條と百五條を援用するというふうに——復代理人を置くのがいいのだということであるならば、この準用規定の十二條のところに、非訟事件手続法まで準用しているのでありますから、そうしなければならないと考えるのであります。從つて篠田君の言うように、またその他の委員の方が言われるように、交渉関係については、やはり六條の労働組合の代表者というのは、これは法定権限を有する法定代理人であります。法定代理人があつて、その次に委任代理人を置く、またその代理人を置くといつて起して來る以上は、特に第六條の労働組合の関係については、民法の百四條と百五條を援用しないのだということが明らかになるという立場を私はとるものであります。從つて篠田君の言われるように、この條文においては、少くとも復代理人の選任を許さない、本人、代理人が、しかも重要なことについて、かわつたことをやられてしまうと困りますし、從つてここに法定代理人が最初に書いてあり、その次に委任代理人が書いてあるのですから、委任代理人の場合には、十二條二項に民法百四條を準用すと特に入れるか、十二條のところへ、この六條の場合のことを援用條文にすべきが妥当だと思います。かかる理由によつて篠田委員と同様の意見を持つものであります。
○平賀説明員 十三條をもちまして民法の規定を準用いたしましたのは、これは法人に関する規定の準用でございます。民法の法人はいわゆる公益法人をいうので、民法による特別の法人でございます。しかるにこの労働組合法による法人は、これは民法の法人とはまた異なつた別個の法人なのでございまして、この労働組合法による法人の準則というものは、本來ならば、この法律で別に規定しなくてはならないところでありますが、便宜上民法の法人と一脈相通ずるところがありますので、民法の規定を準用するということになるわけでございます。ところが六條におきましては、これは労働組合の代表者または労働組合の委任を受けた者、その委任ということは、すなわちこれは民法の委任に関する一般原則がここにも適用になるというので、この法では特に準用ということを言わずとも、この委任については、民法の委任に関する一般規定が働いているという関係なのでございます。從つて六條の関係では、民法の規定を準用する必要がないわけであります。
○佐藤(親)委員 これは第二項にでも、特に前項の委任に関する場合の條文を援用するということにしないで解釈されるということは、どうかと思うというために、あえて発言をしておるのであります。御考慮を煩わしたいと思うのであります。
○大橋委員 ただいま法務廳の御説明を伺つておりますると、委任それ自体につきましては、民法の委任と同じであるけれども、しかし代理人の権限については、第六條の特別規定を設けてある、こういうふうに伺いました。しからば復代理人の選任をなし得るかどうかということは、これは代理人に與えられましたる権限の問題でありますから、第六條によつて定められる、こういうふうな結論にならなければならぬと存ずるのでございますが、この点をもう少しはつきりお聞きいたしたいと存じます。
○平賀説明員 先ほど第六條の規定から、民法百四條の代理に関する規定が当然に適用をされるように申しましたが、私誤解をいたしておりまして、訂正いたします。この六條の趣旨は、労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限でございまして、これは法律行為を目的としたものではない、事実上の交渉で、法律行為は目的になつておらないという関係がございます。そこでこの代理と申しますことは、法律行為の代理の規定がここに直接適用になるという御説明は誤つておるので、訂正いたします。從つてこの委任と申しますのは、民法の委任に関する規定——この委任もこれは正確に申しますと法律行為の委任ではなく、事実行為の委任でありますから、準委任になる関係でございます。從つてこの労働組合の委任を受けた者、これが善良なる管理者の注意をもつて、その委任を受けた事務を処理しなければならない。さらにその者が第三者に自分の委任された事項を委任してやらせ得るかどうかということは、善良なる管理者の注意をしておるかどうかということによつてきまつて來るものではないか、こう思われます。民法の委任の規定を見ますと、直接に、受任者はさらに第三者に対して自分が委任を受けた事項の処理を第三者に委任することができるという規定、これははつきり明文がございませんので、もつぱら解釈によつてまかなつて行かなければならぬのではないかと思います。その解釈の基準は、委任のために善良なる管理者の注意をもつて事務を処理して行くということになるのではないかと思います。
○篠田委員 ただいまの御説明によりまして、やや納得が行つたのでありますが、労働組合法の第六條に代理の規定を設けたということは、ただいまの御説明の通り、善良なるところの管理者の意思において、委任事項を遂行するということであります。それが次の代理人にそれを委託するということは、誠意を欠くきらいがあるのでありまして、確かに善良なるところの管理者としての注意を持つておるかどうかということは疑問であると思います。そういう意味合いにおきまして、ただいまの御説明通り十分それは検討の余地があると思うのであります。今回の労働組合法第六條によつて代理を認めるということは、特にそういう事情のもとに、こういう六條をつくつたのでありますから、原則として復代理人を認めるということはできないであろうと私は考えます。そういうふうに解釈をしてよろしいかどうか、それでよろしいならば、私の質問は打切ります。
○平賀説明員 この六條は、ただいま申しましたように代理の規定ではないのでございます。從つて復代理人という問題は、六條では起る余地がないと申してさしつかえないと思います。ただ委任を受けた者がさらに第三者に委任をし得るかということになりますと、やはりこれは民法の六百四十四條の規定でございますが、受任者は委任の本旨に從い、善良なる管理者の注意をもつて委任事務を処理すべき義務を持つておるということで、お前やつてくれと委任された以上、かつてに第三者にさらに委任をするということは、これは原則として許されない。そういう点からさらに委任をする、再委任をするというようなことは、許されない場合が非常に多いだろう、許される場合はごくまれである、特別のやむを得ざる事情がない限りは、そうではないと申してもいいと思います。
○篠田委員 第六條には、さらに委任をするということがないから、われわれはそれでいいものだと思つておりましたところが、きのうの政府当局の説明によつて、民法第百四條の規定によつて、さらに復代理人を認めるという説明があつたので、私はこの質問をしたのでありますが、ただいま第六條の解釈通り、復代理人というものを考慮する余地がない、こういう政府当局の解釈でありますから、私はそれを了承いたしまして質問は打切ります。
○小川(半)委員 私は総括的な立場から、本改正案提出の根本問題に触れてお尋ねしたいと存じます。この点につきましては、昨日大橋委員、あるいは本日青野委員からしばしば御質問されたのでありますが、これは最も基本的な問題であり、かつ重大な点でありますから、重ねてお尋ねすることにいたします。政府においてせつかく苦心の結果、今回の改正案を作成されたのでありますが、御承知のごとく全國六百七十万の組織労働者は、こぞつてこれに反対し、かつこの改正案を改惡案なりとして、今なお反対の闘争を続けておるような状態であります。いやしくも労働者に基盤を置くところの労働組合法の改正を行うにあたつては、労働者みずからの熱意と総意を尊重し、かつその声を基本としなければならないのであつて、それでこそ自由で民主的な労働組合の発展を促すものと言えるのであります。わが國の労働組合法が施行されて以來、この法律を最もよく愛し、最もよく理解しておるのは、組合員であるところの労働者であると思うのであります。しかしながら労働者といえども、おそらくは現行組合法を最も完備せる法律であるといつて、金科玉條としておるのではないのでありまして、諸外因の労働に関する諸法規と比べてみますならば、わが國の特に組合法などは、はるかに劣つていると言えるのであります。しかもアメリカやイギリスにおきましては、その國自体の社会施設、あるいは福利厚生施設、その他のあらゆる施設がすべて勤労者本位と申しますか、労働者に対して保護的に設備されておるのでありまして、その生活はきわめて健康的であり、かつ文化的であるのでありまして、わが國の憲法におきましても、その第二十五條には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と認められているのでありますが、現在のわが國の國民生活、特に労働者の現実の生活から見るとき、この憲法第二十五條はまつたく夢であり、しかもその夢は重苦しき夢といわねばならぬのであります。ただいま申し上げましたごとくわが國の労働者にとつて現行組合法は決して満足すべきものではないのでありますが、日本の現状では、この程度でがまんしなければならないという考えから、過去三箇年黙々として現行組合法を愛して來たのが、労働者の率直な姿であると思います。しかるに今回の改正案は、何ら労働者の総意や熱意から発案されたものではなく、ただ一應は形式的に、公聽会などを開いて組合代表者の意見を聽取されたようでありますが、その公聽会を見ましても、本改正案に賛成をした労働者側代表は、私の知る範囲では、一人もおらなかつたようであります。画期的な労働憲章ともいうべき労働組合法の改正にあたつて、労働者側の一人も賛成者がなかつたような本改正案を、むりに提出するということは、あまりにも非民主的であると思います。しかもこれを強引に提出するに至つた理由はどこにあるのか、もちろん政府側では、過去三箇年間の経験に基いて、技術的に法文を整備拡充しなければならなくなつたとか、あるいは九原則遂行に備えるために必要であるとか、さらに組合民主化、あるいは自主性とか責任性の確立のためとか、どちらにころんでも逃げられるようなりくつを並べているのでありまして、今かりに、そのりくつを一應認めるといたしましも、こうした種類の法律案というものは、國会に提出するまでに、少くともある程度の労働者の理解と協力を得て、しかる後に提出すべきものであると思うのであります。労働者の理解など求める必要がない。ただ國会で多数で押し切ればよいというような政府の態度は、ときには資本家的だと非難されたり、ときには反動的だと誤解されたりして、せつかくの本改正案の趣旨を傷つけるものといわねばならぬのであります。労働者の盛り上る熱意と、使用者の深き理解、これなくしては組合法の價値はないのであります。この法律の價値を高めるためにも、労働者の支持が必要であるにかかわらず、政府はこれに対して努力しておらないようであります。けさほども青野委員から御指摘になつたごとく、戰争によつて資材を失つたわが日本では、労働力の活用によつて、初めて日本の復興ができるのでありまして、この祖國復興の原動力である労働者の立場を無視して、その理解も得ないで、本改正案を急いで提出しなければならない理由はどこにあつたのか、私はその根本を明らかにしていただきたいと思います。まずこの点についてお答え願います。
○山崎(岩)政府委員 小川委員にお答え申し上げます。本法案を上程するに至りました経過につきましては、本会議その他委員会におきましても、大臣から詳細に御説明申し上げておる通りなのでありますが、重ねての御質問がありますのでお答え申し上げたいと思います。 本法案は労働者の生産意欲を高揚せしめるために、最も役に立つところの法案として上程さるべき筋合いのものがある。從つて労働者諸君の意向を十分に参酌して出すのが、妥当ではないかというお設でありまするが、その通りと私ども考えております。第一案、第二案等の、政府におきまして案を講じました際にも、公聽会を開きまして各方面の意見はもちろんのこと、労働者諸君の眞摯な御意見をも承つたのでありますが、小川委員のお設によりますと、それは單なる形式であるというお話でございましたけれども、形式ではございませんでした。ほんとうに眞摯にその公聽会においての意見を聞きまして、その意見を取上げまして、本法案に組み込んだ例証がたくさんございます。その詳しい点につきましては、労政局長から御説明させるようにいたしますが、公聽会においての意見は十分に取入れているのであります。また本法案を上程する際には、現行法の際にとつたように、労務法制審議会等を設けて、それによつて十分檢討を加えて上程するのがいいのじやないかというお説もございましたが、あの労務法制審議会を設けましていろいろ研鑽を遂げました当時と、ただいまの状態とは状況が大分違つておるのであります。あの当時におきましては、まだ日本におけるところの労働組合というものは発達してもおりませんでした。軍閥官僚のために彈圧を受けまして、よたよたの状態になつておりました当時でありましたので、そこで労務法制審議会を設けまして、いろいろ研究を遂げて、そして現行法というものをつくり上げた次第でございまするが、ただいまでは三年間の経過を経ておりまするし、また労働省というものも発足いたしまして、專門の人々がまことに熱心に研究を遂げておるような次第であります。しかも新憲法実施後における國会というものは、各界各属を代表いたしましたほんとうの選良が選ばれて参りまして、そして國会を構成しておるのは御承知の通であります。そこでそういう方々が本法案を取上げて研究を遂げてこそ、ほんとうにりつぱな法律が制定されるものと、こういう確信がございましたので、あえて労務法制審議会のごときものを設けずして、公聽会に訴えたのみで、実は法案を上程するようになつた次第であります。この法案を上程するに至りました経過の中には、もちろんその筋からの有力なる示唆もありましたし、援助、助言もございました。そこで日本の労働組合というものは、これから世界的に肩を並べて行かなければならぬ段階に來たのであります。そういう時期でございますし、さらにまた現行法というものは、文語体でもつてつくり上げられておりまして、旧憲法当時における法律の構成をそのままにとつております。何としてもこれをつくりかえなければならぬというような意見は、片山内閣当時におきましても、芦田内閣当時におきましても、あつたことでございます。從いましてこのことは現内閣が決して反動的な考え方、封建的な考え方をもつてつくり上げたものでもなければ、またここに上程する運びに至つたものでもございません。ほんとうに進歩的なる考えをもつてつくつたということが、私は眞相であると考えておるような次第でございます。どうぞ御了承のほどをいただきたいと存じます。
○賀來政府委員 ただいま政務次官から、どの点において労働組合側、あるいは労働者関係の意見を今度の改正案の中に取入れたかということについて、私から説明をしろという御命令がありましたので、私からおもなる点を申し上げたいと思うのであります。 第一試案と申しますか、労働省試案を発表いたしまして、公聽会の意見を聞きますとともに、そのほか文書、あるいは直接なり、あるいは労務対策委員会という労働関係者がつくつておられました委員会なりの御意見を聞いて参つたのでありますが、労働者側といたしましての御意見のうち、採用いたしましたおもなる点を申しますると、第一は、第二條第一号関係におきまして、現行法におきまして使用者の利益を代表する者とありましたのは、なおやや詳細にする必要があるというふうな御意見がありましたので、それを半ば取入れておる点であります。第二点は、労働省試案におきましては、幹部組合の規定を入れておつたのであります。この点は現行法の解釈からも出て参るのであります。たとえて申しますと、小学校の校長先生、あるいは鉄道の駅長、区長さん、これらの人々は、監督的地位にあるとか、あるいは他の理由をもつて、組合には直接加入いたしませんが、自分らの利益を守るために組合をつくる、こういうようなことは認められておるのであります。これを法文の技術上からいたしまして、特別労働組合というのもおかしいだろう。そこで幹部労働組合という名前をつけて、試案にいたしまして出したのでありますが、この点は労資双方とも非常に反対がありました。労働者側のうち、課長さんのクラス、これは現在の状況におきましては、課長さんというのは、使用者の利益を代表するようにも見えますが、非常に弱い立場にある。特に銀行でありますとか、あるいは生命保険でありますとか、こういうようなホワイト・カラーの面におきましては、非常に弱い面がありますので、これらはひとつ組合をつくりたい、かようなことから、一部いい点もあるということは認められておりましたけれども、全体といたしましては、この点に非常に反対が強くありましたので、これは削除いたしたのであります。それら第三点は、組合規約の要記載事項に関します資格要件の点であります。この点は試案におきましては、相当詳細に書いておつたのであります。ところがこの点につきましては、労働者側の相当強い反対がありましたので、これを原則論に要約いたした点であります。これは第五條関係であります。それから同じく第五條の第二項第七号に会計監査に関します規定があります。これは試案におきましては、外部の入の会計監査を受けるようにという表現をいたしておつたのであります。これに対しては非常に反対がありまして、労働組合に関しまする極東十六原則の第十六には、職業的な会計検査人の検査に付すべきであると、かように書いてあるので、これは極東十六原則に示された通りにすべきであるという御意見を取入れまして、本法案におきましては、職業的な会計監査という言葉にいたした点であります。 その次は試案におきましては、知事が組合規約に対して勧告することができることを規定しておつたのであります。この点は反対がありましたので、削除いたしております。その次は、組合資格は労働委員会がこれを審査せよ、こういう御意見があつたのであります。試案におきましては、労働委員会が資格審査に当るのでなかつたのでありますが、この御意見は半ば取入れまして、本法案におきましては、資格審査という形はやりませんが、労働組合がみずから本法の救済を受けようとする場合には、労働委員会に証拠を提出いたしまして、そうして立証いたしまして、その組合であることを認めるというふうな形に、これを直したのであります。その次に、試案には團体交渉拒否権の、拒否いたします場合の事由を、具体的に列挙いたしておつたのであります。たとえて申しますれば、長時間にわたり、不当に多数の人間が、著しく喧騒にわたつた團体交渉はいけないというふうなことを書いてあつたのでありますが、これから將來労働組合が現在の進んでおります道をはつきりとりまして、自主性の明確な、民主性のはつきりいたしました組合になりますならば、当然かような状態になるものと考えまして、ただ正当な理由なくという程度にとどめまして、試案にありましたことは削除いたした次第であります。これは第七條第二号に正当なという言葉を入れております。次には團体交渉に應ずる義務を使用者のみにせよ、こういう御意見があつたのであります。試案におきましては、双方團体交渉に應ずる義務があるというふうにいたしたのでありますが、この点につきましても、意見もつともと考えまして、これは使用者のみが團体交渉に應ずる義務があるということに規定をいたしたのであります。 次いで試案におきましては、交渉單位及び交渉組合に関しまする規定があつたのであります。これは御承知事の通りに、アメリカにおきまして最も成功いたしました制度であります。そこでその筋の指導によつて、現に公共企業体労働関係法におきまして、この点は詳細に規定せられております関係もありまして、日本の労働組合運動の中にこの制度を取入れたい。現にアメリカで起つておりますような、ああいうなわ張り争いは、まだ日本では二、三しか例が出ておりませんが、最近は第一組合、第二組合、極端には第七組合、第八組合までできまして、團体交渉が非常に複雑になつておる。そのために労働者自身使用者側の乗ずるところになりまして、組合が不利な立場になる。かような意味から、交渉單位及び交渉組合の制度を入れることは適当はないかというふうな考え方から、試案に入れておつたのであります。ところが、これに対しましては、労働組合側が、これは組合分裂の原因になるものであるという意味におきまして、少くとも現段階においては不適当であるというふうな意見が強かつたのであります。使用者側におきましても、これは理解ができなかつたと見えして、一部反対がありましたので、この單位制度は全文削除いたしたのであります。これは提案理由の際に大臣から申しましたように、現段階といたしまして最も適当な程度にとどめたという理由の大きな一つになつておるのであります。 その次の不当労働行為の手続に要する期間を短縮せよという意見であります。試案におきましては、いろいろ手続をやつて参りますと、九十日ないし百二十日くらいかかるのであります。これはそのかわりに、労働委員会の処分いたしまする手続が、はつきりしたものになつておつたのでありますけれども、この点は労働組合の主張するところが、もつともであると考えましたので、本法案の第二十七條におきましては、これをぐつと短縮いたしまして、最長三十日程度にこれをとどめておる次第であります。 その次は、破産を法人である労働組合の解散事由とするなという意見であります。これは、現行法におきましては、理由になつておるのでありますが、主張いたしますところを聞きますと、破産になつたからといつて、ただちにそれに從つて労働組合か解散するということは、適当でないという考えからいたしまして、法案の第十條におきましては、これを採用いたしまして、破産を解散の理由とすることを削除いたしておるのであります。 それから試案におきましては、現行法の労働協約の一般的拘束力の條項を削除いたしておつたのであります。ところが、これに対しましては、産別、全労働会議、あるいは総同盟、全部を通じまして、これは復活すべきである、こういう意見がありたのであります。從いまして交渉單位の條章を削つております関係もありまして、一般的拘束力の條項は、本法案におきましては、現行法通りにこれを残しておるのであります。 次い試案におきましては、労働委員会の委員の資格を相当嚴重なものといたしておつたのでありますが、これについてやはり総同盟、産別ともに反対をいたしたのでありまして、これはごもつともということからいたしまして、現在の衆議院議員の資格と同一に、これを訂正いたしておるのであります。 その次は、労働委員の罷免に関する問題でありまして、これは試案におきましては、所管大臣が罷免できることにいたしておつたのであります。これに対しましては、この罷免の際は、同じ労働委員会の同意を要するようにせよ、こういう主張がありましたので、これを本法案におきましては、労働委員会の同意を要するということにいたしておるのであります。 またその次に、試案におきましては、地方労働委員会のうち比較的閑散な場合におきましては、また委員を選任いたしますのに、適当な委員が選任できない理由もありまして、三人構成、すなわち労、資、公益委員おのおの三名ずつにする予定をいたしておつたのでありまするが、この点につきましては、各地方労資及び中立と申しますか、第三者側の委員も、こぞつて反対をいたしましたので、これを五人にいたしておるのであります。 それから試案におきましては労働委員会事務局の規定が明確を欠いでおりましたので、本法案におきましては、この事務局の規定の明文を設けておる次第であります。 その次には裁判的機能をやる際には中立委員、すなわち公益委員だけがやるのはけしからぬ。やはり労資を弁護士あるいは檢事の立場でその審問に参加させよ、こういうふうな御意見があ、つたのであります。試案におきましては、中立委員だけでこれをやることになつておつたのでありますが、この御意見はごもつともと考えまして、本法案におきましても、審問には労資がこれに参加することができる。かように規定いたしておるのであります。 その次には不当労働行為の処罰に判決確定後十日間の猶予を置くことは不要である。こういうふうな意見がありました。これは試案にはさような意味を規定いたしておりまして、使用者側が判決確定いたしました後に、その命令に從うためには十日事間の猶予期間を置いてやろう、かような考え方がありましたが、今回の法案におきましては、これを削徐いたしておるのであります。 次に労調法に入りますが、試案におきましては、公益事業を総理大臣が議会閉会中といえども、緊急指定をやることができる。そうしてこれは議会が開かれましたときに追加してその承認を受ける。かようなことになつておりましたのを、それに異論がありましたので、その御意見はもつともということになりまして、今度は総理大臣が議会の閉会中に緊急指定することはこれを削除いたしまして、そうして國会の開会中に限つて、また國会の承認を得なければ指定ができないということにいたしたのであります。労調法の現行法の第九條では、労働争議が起りましたならば、行政官廳に届け出るようにという規定があります。これに対しまして試案におきましては、予告期間を置き、その前に届け出るようにということが書かれてありましたが、これはやはり労働組合側の主張を容れまして、現行法通りにいたしております。さらに試案におきましては調停申請をいたして参りましたときに、労調法の精神から見まして、まだ労資双方の交渉が本格的に行われていない、これは單にクーリング・タイムを経過するためにのみ、調停申請をして來たのだというふうな事例が多くありましたので、場合によりましては労働委員会はこの調停申請を却下することができる、かような規定を置いておりましたが、これには反対があつたのであります。特に産別は強く反対をいたしたのでありまして、この点はもつともな意見と思いまして、この点を削除いたしておるのであります。 それから一般産業につきまして、争議行為をやります場合には予告してやらなければならない、こういう案を試案においては持つておつたのであります。これにつきましては全労働組合をあげて反対をいたしておつたのであります。そこでこの反対の事情をくみまして、この一般産業の争議行為の予告制は削除いたしておるのであります。 おもなる点は大体以上でありまして、労働組合といたしましては、現行法は不備であつても、とにかく一字もこれを改正してはならないという反対の態度をとつておりまする組合と、また改惡と申しますか、彈圧法的になることは反対であるが、しかし現行法には不備の点が幾多ある、試案に対しましても真摯な態度をもつて、この点はいい、この点は惡いという御意見を申された組合とがあるのであります。いずれにいたしましても、以上申し上げましたような諸点におきましては、これを相当本法案におきまして試案からは改正をいたしておるのであります。以上で御了解を願いたいと思います。
○小川(半)委員 当局の御答弁を伺つておりますると、最初の試案から見れば、はるかに讓歩したと言つておられますが、これは当然なんです。最初の試案というものは、まつたく反動的な法案でありまして、この法案に対しては使用者側といえども、理解ある使用者側はまつこうから反対しておりました。いわんや中立側もこの試案に反対しておつたのであります。そういう案を中心として、試案はこうだつたから、それから讓歩してここまで來たのだということは、これは結局今日の案を最後の安全弁として線を引いておつて、初めは非常にむちやな反動的なものを出して、何といいますか、労働者側のきもつ玉を抜くようにして、そうしてしかたなしに徐々に今日のところまで持つて來たというような、こういう卑劣なものが含まれておるようにも誤解されるのです。ですから私が言うのは、この法律は取締法ではない、労働組合法というものは保護法でありますから、保護法的性格のこういう種類の法律というものは、これは國民のほとんど全面的な支持がなければならぬ。しかも労働者に基盤を置く労働組合法を、このように全面的に反対を受けつつも、むりから出した、労働者の支持を得ずして出したということに、私は非常な不満を持つのであつて、全面的にこの法律の各個所がいけないというのではなくして、なぜもつと労働者の支持を得なかつたか、急いで出さなければならぬ理由はどこにあつたかということを私はついておるのであります。しかしそれは結局、あなたとこんなことを言つておりましても議論になりますから、そこで私は申し上げたいのですが、この法案に対して政府の力では、あくまでもこれは保護法であると言つておるのでありますし、また一方労働者側の方では、この改正案は取締法であると言つておるのでありますけれども、いやしくも労働組合法というものは、いずれの階級、いずれの立場から見ましても、これは労働者の保護法であるという、そうした性格がはつきりと現われておらなければならないのが原則であります。諸外國の労働組合法や、あるいは名称は違いますが、これにひとしい法律などを見ましても、一目瞭然、それを見ますると、すぐ保護法であることがわかるのですが、本改正案はときには保護法に見えたり、ときには取締法に見えたりして、まことに不明確といいますか、ずるい内容を有しておるのであります。私自身どうひいき目に見ましても、取締法と保護法の線を追いつ追われつ、シーソーゲームに見えたり、ときには六対四で、取締法の方が二分勝ち越しというように見えたりするのでありますが、これではいけないのでありまして、保護法が十で、取締法がゼロというのが、大体組合法の根本でなければならないのであります。一体政府はこの改正案を世界に示して、これが保護法であるという自信を持つているかどうか。私はこの点について伺つておきたいのであります。
○賀來政府委員 労働事組合法は労働者の保護法であるべしということは、現行法の建前であります。今回の改正案は実質的には現行法の一部改正でありまして、やはり現行法の精神でありまする、組合法は労働者の保護法であるという線は、間違いなく通しているという考えを持つておるのであります。すなわち第一條におきまして、本法の目的とするところを規定いたしておりまするが、これは憲法二十八條に基きますところの團結権、團体交渉権及び團体行動権に関しますことを具体的にここにはつきりいたしまして、そして本法案の所期いたしておるところを出しておるのであります。そのほかは別に具体的には申し上げませんが、特に不当労働行為に関しまする規定を、現行法よりも拡充、明確にいたしております点、あるいは労働委員会に対しまして、その権限を強化いたしました点、あるいは行政官廳が労働組合の設立に干與することを削除いたしまして、自由設立主義をとりました点等は、さらに現行法に足らなかつた点を明確にいたしたつもりでありまして、これを世界的に見てどうかということにつきましては、これは世界の世論の御批判にまつほかはありませんが、われわれといたしましては、少くとも現段階の日本の國情には、最も適合した妥当な法案であると、かように信じておる次第でございます。
○小川(半)委員 組合法が保護法でなければならぬのは、これは当然であるわけですが、しかしほんとうの保護法という立場から見ますると、本改正案が少くとも現行法よりは保護的であるということは、だれが見てもそう言えないのです。現行法から見れば、やはりやや取締法に傾いている。これはおそらくあなた自身もよくおわかりと思いますが、たとえば現行法の第一條を見ましても、第一條には、「本法ハ團結権ノ保障及團体交渉権ノ保護助成ニ依リ労働者ノ地位ノ向上ヲ図リ経済ノ興隆ニ寄與スルコトヲ目的トス」と規定してあるのですけれども、改正案ではこの保護という文字が全然削除されておる。ただ「團結することを擁護する」というきわめて消極的、かつ形式的な文句が書かれているにすぎないのであります。こういう根本の精神から見ても、私はこれはせつかくの保護法が、取締法的に傾いているというような疑問を持つものでありますが、特に私が最も意外に思いますのは、現行法では「経済ノ興隆ニ寄與スル」と規定してあるにかかわらず、改正案ではこれを全然抹殺してしまつている。これはあまりにも労働者を無視した水くさいやり方でもつて「経済ノ興隆ニ寄與スル」という労働者の民族的誇りを、蹂躙するものといわねばならぬのであります。終戰後わが國の労働組合運動は、きわめて短距離を急スピードに走り過ぎまして、左右の状態を見ることを怠つたような感があつたのでありまするが、最近ではこの労働組合運動がきわめて反省に入つて、今日では使用者以上の熱意を示して、産業の復興に勢力しているのであります。今わが國におきまして、たとえば政府支拂いの遅れていることが原因して、給料の遅配が全國の事業場を通じて見まして、一万件近くの多数に上つておるのでありまするが、それにもかかわらずここで働いておる労働者たちは、いずれもみな産業復興のためにこれを忍んで、黙々として生産を上げておるのであります。そしてときにはまた、使用者にかわつて組合員が政府支拂いの促進を訴えていることも、すでに当局の諸君はよく御存じのはずであります。かくのごとく労働者が今や立ち上つて、経済の興隆に寄與しつつある矢先、この條文を抹殺することは、いたずらに労働者の生産意欲を押え、民族的誇りを失わしめ、労働者とは感激もなく、ただ働いておればよいものだというような、封建的な印象を與えるのであります。政府においてはこのきわめて適切なるところの「経済ノ興隆ニ寄與スル」という明文の精神を、なぜ今回の改正案から抹殺したか、この点を承つておきたいと思います。
○賀來政府委員 ごもつともな御意見でありまして、現存労働者が、わが國の経済復興のために、賃金の不拂い、あるいは遅配というような非常に苦しい立場にあり、また資材もだんだん少くなつて來ました関係から、労働者が最も喜びといたしまする、張り切つて働けるという状態でなくなつて來つつあるという精神的な苦しみと、ただいま申しました賃金の遅配という物質的な苦しみのもとに、熱心にわが國の経済復興に貢献をしていただいておるという事実に対しましては、労働省はもちろんでありまするが、国民は一様に感謝していると考えるのであります。さらにこの労働組合運動の状態は、全体といたしましては、終戦直後労働組合法ができたあと一年のような状態と違いまして、きわめて民主的になり、合理的になりつつあるという事実も、労働省といたしましては認めるのであります。さてこれに関連いたしまして、今度の改正法案の全体の趣旨といたしましても、さような実情に即應して、一層労働組合運動というものが自由であり、かつ建設的なものになることを予期いたしまして、改正法案を立案いたしたのでありまするが、第一條におきまして、現行法の経済興隆に資するという言葉を削りましたのは、労働組合運動というものが、経済復興あるいは経済全体の運営のための基盤であるということは、明確なる事実であります。これを法律によつて書く必要は認めないではないか、今度の法案全体を通じましての一つの特徴は、当然の規定はこれを削除いたしております。たとえて申しますならば、現行法の二十一條だつたかと思いますが、労働協約は双方が誠実にこれを守らなければならないという意味の規定は、当然でありますので、これを削除いたしておるのであります。また二十五條におきましても、平和的な規定でありますところの労働協約がありましたときに、抜き打ち的な争議はしてはならない、これも当然なことである。かように全体といたしましては、余分なものはこれを削除いたしまして、法全体を簡素なものにするという建前もありましたので、第一條におきまして、現行法の経済の興隆に資するという宣言的な言葉は、削除いたしたような次第でございます。
○小川(半)委員 これは労政局長、まつたく失礼ですが、あなたの御答弁は、この改正案のこの点から見ると、はずれているような氣がしてならないのです。全体的に余分を省いて、最も簡素なものにしたとおつしやるのですが、現行法の一條と、この改正案の一條と比べると、まつたくこの改正案の一條は長たらしくて、現行法の方がもつと簡明率直なんです。あなたが砕けてごらんになるとわかるのです。何ですこの一條は……。それから余分なものを省いたとおつしやるのですが、これがどうして余分ですか、経済の興隆に寄與するということは余分ではない。これは一番大切なんです。この法案の山はここにある。今日労働者、労働組合の人たちが、実際眞劍になつているのを私たちはよく見るのです。いわゆる反動階級には、非常に労働者というものに対して、何だか危険視して憎惡の感を抱いている人もありますが、しかし日本の労働者は純眞です。この純眞な労働者の立場をあなたはよく理解して、経済の興隆に寄與するという民族的誇りを持たせなければだめだ。これが私はこの法案の山ではないかと思う。そこで今回の改正案については、労働組合法の改正案と、労働関係調整法の改正案と出ているのですが、労働組合法の改正案にはこの経済の興隆に寄與するということを削除して、そうして労調法には依然として残つているのはどうですか。労調法の一條には経済の興隆に寄與するということが載つているのは、一体どういうわけですか。なぜ労働関係調整法の方もこれを削除しなかつたか。こういうことも私には納得できないので、ひとつ明らかにしてほしいと思うのです。
○賀來政府委員 どうも私の答弁に至らぬ点がありましたが、余分であると申したのは、この経済の興隆に資するという言葉が、余分であると言つたのではございません。これは先ほど私からも申し上げましたように、労働組合が現在眞に國民的自覚に基いて、経済の興隆に寄與しつつあるという事実は、十分認めておるのであります。ただ労働組合がさような使命を持つておるということは、当然でありますので、わざわざ法律に書かなくてもいいではないか、かような考え方で削除いたしたということを申し上げて、御了解を願つた次第であります。なお簡潔にすると言いながら、第一條はなかなか長い文章ではないか。これはごもつともな御意見でありますが、現行法の第一條は新憲法のできます前でありまして、当然かような規定を必要といたしたのでありまするが、新憲法ができまして、この團結権、團体交渉権及び團体行動権につきましては、憲法で規定せられておりますので、憲法に基きまして、労働組合法が持つておりまする、目的を具体的に書いたのであります。從いまして本法案の全体にわたりましては、削除した点もありまするが、またできるだけわかりやすく書くという建前をとつた條項もあるということを、申し上げておきたいと思うのであります。労調法では御指摘の通りに、やはり現在では経済の興隆に資すするということが残つております。また多分基準法にもこれはあつたかと考えておるのであります。労調法におきましては、なお第一章にも、御承知の通りに相当宣言的規定が載つておるのであります。と同時に労調法の性格自身は、あの第一條に書いてありますようなことを行う性格を持つておるという関係もありましたし、なお改正にあたりましては、労調法はきわめて必要な一部改正にとどめるという意味合いからいたしまして、あの点はそのまま残しておるのであります。
○小川(半)委員 私はこれを省いたところに、もう一つ何か理由があるので ないかと思うのです。しかしこれは私自身の單なる邪推でないかとも思うのですが、かつて生産管理が方々に起つた当時、生産管理に入つたある工場の組合側が、われわれは経済の興隆に寄與するという法の精神にのつとつて主産管理を行うのであるというりくつを主張し、弁護士もまたこれを主張したことがあつたのであります。たしか吉武議員が当時労政局長の時代ではなかつたかと思いますが、当時は労働関係の省は厚生省でありまして、当時私も厚生省におりまして、この問題で非常に悩んだのです。そういうことがあつたものですから、結局その後生産管理は刑法に抵触するということが明らかになつたのでありまするが、ただいま申しましたごとく、組合法にこれを規定いたしますると、生産管理の際にりくつをつけられるおそれがあるから、抹殺したものではないか。私はちよつと今心配になりまして聞いたのですが、そういう眞意からやつたものではまさかないだろうと思いまするが、いかがですか。お答え願いたい。
○賀來政府委員 先ほど申しましたように、過去三箇年間におきまする労働組合運動の経過を見てみますと、かつては労働組合はさような言葉を使い、また法律の辞句をつかまえまして、自分の行動の正当化をはかろうとしたような事実がございまするが、最近は労働組合はきわめて成長して参りまして、もはやさようなことをやるような組合はなくなつておるのでありますとともに、われわれといたしましても、さようなときにこれを使われるのではないかというふうな考え方は、毛頭持つておりませんということを御了解願いたいと思います。
○小川(半)委員 次に憲法二十八條に関連してお尋ねいたしたいと思います。これは本会議におきましても質問があり、また本委員においても論議されたのでありまするが、きわめて重大な問題でありまするから、明らかにしておきたいと存じます。今回の組合法改正の問題に関連しまして、特に指摘されなければならない点は、新憲法が市民的自由の保障から、さらに一歩前進しまして、労働権の保障を明確に規定しておることであります。わが國において労働関係の諸法規がいかに改正されようとも、労働者の團結権、團体行動権を保障する憲法二十八條が嚴存する限り、労働者の基本的権利はいささかも剥奪されないのであります。すなわち憲法を改正しない限り、團結権の否認は法律によつても不可能であり、從つてこれに反する立法は憲法上重大なる疑義を生ずるであろうことを、注目しておかなければならぬのであります。こうした立場から本改正案を見ますときに、私は憲法上の趣旨から遠ざかつていることを指摘したいのであります。すなわち現行法第一條の團結権の保障の精神を抹殺したり、さらに第二條において、労働組合に加入してはならないものの範囲を拡大して、労働者的性格を有する勤労者の團結する権利を分裂せしめ、團体交渉の力を弱体化すがごとき点は、常識的に見ましても、憲法の趣旨に沿わないと思うのでありますが、いわんや憲法の專用的見地から見ますると、必ずここに疑義が生ずるのではないかと思うのであります。政府は本改正案作成にあたつて、憲法学者の意見を徴されたことがあるか、もしあるとすれば、その学者の名前をお示し願いたいと思います。
○高辻政府委員 お答え申し上げます。今回の労働組合法、労働関係調整法の改正に関連して、それと憲法との問題についての御質問でございまするが、具体的な御質問としましては、この立法の経過にあたつて、憲法学者、あるいは学者の意味を聞いたことがあるかというお尋ねでございます。これは公聽会におきまして、学識経驗者をまじえていろいろな意味を聞いた機会がございます。それからまた法務廳の立案の経過におきまして、それぞれ專門的な者が関與して、憲法的な意見を職取し、またその意見を十分に取入れたつもりでおります。
○小川(半)委員 まあ憲法の解釈というものは非常にあいまいなものであつて、憲法違反であるか、違反でないかということは、その学者の解釈によつて違うと思うのです。あるいはあなた方は違反しておらぬという解釈であるかもしれませんが、私はある程度抵触しておるという解釈を持つております。これは憲法の解釈で、その專門々々の人によつて解釈が違うと思うのですが、しかしこれは正直に見て、ある程度憲法に抵触しているということをあなた方もおそらくは認めなければならぬ。実際は抵触しているのです。 それから第二條の一項でありまするが、こういうぐあいに規定いたしますると、從來組合員であつた者が、組合員とならなくなつて來る、要するに團体加入の制限をここで企てておるようにも見えるのであります。もちろんその経営の種類とか、あるいは規模によつても異なるだろうと思いますが、大体において、推算して全從業員の三分の一ないし四分の一が、これに含まれるのではないかと思うのですが、当局において見て、どれぐらいこの労働組合の中の二條の一項に含まれるか、御参考までにお聞きしたい。
○賀來政府委員 お尋ねの数字的なことは、まだ具体的に調査をいたしてもおりませんので、同割ぐらいになるかということについてお答え申し上げることができないのは、まことに申訳ないと思つております。ただしかしながら今度の改正は、先般來申しますように、現行法の意味を、具体的に明確にしたという、基本的な方針を持つておるのであります。從つて現在労働組合において、——これは職階の言葉を使いますと誤解を起しますが、わかりやすいために使いますと、課長以上、あるいは労働関係の機密な事項に参加する者等を含んでおりますけれども、これは、あまり大した数ではないと思つております。從つてこの政正によつて、特に非組合員の数が激増するというものではないと考えておりまする 〔「認識不足だ」と呼ぶ者あり〕
○小川(半)委員 今石野君から認識不足だというやじが出ましたけれども、これはやはり認識不足という点もあるだろうと思います。大体推定全從業員の三分の一なり四分の一が含まれることになつておる。そうしますと、團体に加入する権利というものは、これによつてまつたく制限されてしまう。これは組合というものを弱体化さすところの非常に巧妙なる條文でありますが、いまさら争つてみてもしかたがありません。しかし先ほど申したように、憲法と抵触するのではないかと思うわけでありますが、やはり労働者の基本的な立場というものをもつと尊重すれば、私はこういうむりなものは出なかつたと思います。もし御存じなければ、大体三分の一ないし四分の一であるということを、ひとつ御記憶願いたいのであります。 そこで次に第五條の二項の五、八、九で無記名投票の件が規定されてあります。これは國会とか、國家最高の機関とかで、重大な問題を審議する場合には無記名投票は必要でありますが、組合に関係することに対して、無記名投票ということは、あながち民主的でもないと思います。もちろん無記名投票ということは一面民主的ではありますが、無記名投票をしなくても、これは人格ある人がだれかの動議によつてきまる場合もあるし、あるいは組合員が内々寄り合つて、彼をひとつ支持しようじやないかという場合もあるし、いろいろ円満に行く場合があるのじやないかと思うのですが、無記名投票ということを、しいて特別に規定しなければならない点がどこにあつたか、この点を明らかにしてほしいと思います。
○賀來政府委員 お答えいたします。われわれの考え方といたしましては、組合の民主化という意味におきまして、これらの重要事項について無記名直接投票をするのが至当である。またすべきであるという考え方を持つておるのであります。先般お手元に差上げました労働組合に関する調査をごらん願いますれば、おわかりになりますように、現在の組合規約を見ますと、これらの選挙方法につきまして、明確な規定のありますものは少いのであります。ただ実際どうやつておるかということを聞いてみますと、やはり逐次民主化して來つつあります組合は、規約にはさようなことはないが、しかし実際においては、結局無記名投票をやりつつある。またやるようになりつつあるということがわかるのであります。ただ御意見のうちで、お互いの話合いで円満に行くのじやないか、たとえて申しますれば、二十人、三十人の組合におきましては、さようなこともあり得るという御意見に対しましては、われわれも同感の意を表しております。
○小川(半)委員 次に第六條に関連してですが、これは篠田君からよも相当意見が出ましたから、ごく簡單にいたします。大体改正案の第一條には、民主的とか、あるいは自主性とか責任性ということがうたつてあるのでありまするが、六條の立場を見ますると、労働組合が第三者に委任することができる、こういう、人に委任するということは、一面無責任とも言えるし、また自主性がないということなのです。自主性があれば組合員でそれを解決する、第三者に委任しなくともよろしいということになるのです。大体この一條と六條とに、性格的にも矛盾があるようですが、この点をひとつ明らかにしてほしいと思います。
○賀來政府委員 御意見のように労働組合が自主的に行動をいたしますために、みずからの組合員のうちから代表者を選ぶのが最もいい方法であり、またさようにしなければならぬという御意見は、われわれも同感の意を表したいと思うのであります。ただ先日篠田委員にも申し上げましたように、労働組合もいろいろの労働組合があるわけであります。從いまして、労働組合がみずからの代表を選ぶ際に、自主的に自分で決定をいたしまして、より有力な必要な人を選んで、交渉をさせるということは、必ずしも自主性を失つたものではない、かように考えておるものであります。
○小川(半)委員 あまり時間をとりましたので、最後に一つだけお許し願いたいと思います。 九原則の遂行を口実にして、最近経営者などは、非常に労働者の解雇を考えておるというようなことをしばしば耳にするのでありますが、そのやさき、この改正案によつて組合というものが——これは必ず現在よりも弱体化されると私は想像しますが、組合が弱体化され、一方においては使用者側では、九原則の遂行のためだという口実のもとに、続々と解雇するという方針をとられると、まつたく労働者というものは氣の毒な立場に置かれるのであります。私はおそらく本年の下年期から相当失業者が続出するのではないかと想像いたしますが、これについて政府の方では、この失業対策、あるいは労務配置轉換とか、これらの政策を持つておられるかどうか。少くともこの労働組合法というものが保護法である以上は、やはりこの法律にのつとつて労働者を保護しなければならぬ。労働者の生活の安定を期するという、責任の上に立たなければならぬ。われわれは労働者の生活がある程度保障されるということによつて、喜んでこの法案にも賛成するでしようし、また労働者の失業対策とか、あるいは労務配置轉換策とか、この保護的な方針が立てられなかつたならば、われわれはまたこの改正案に対しても、覚悟をしなければならない立場に置かされているのであります。この点について政府の御方針を承りたいと思います。
○山崎(岩)政府委員 お答え申し上げます。ただいまの御説はまことにごもつともでございまして、しかも経済九原則を実行して行きまするということを一つの口実として、使用主がやたらに馘首をするということがあつては、まことにこれは重大なことでありまして、そういうことのないように、政府としましては使用者側にも十分戒告を與えまして、指導して行かなければならぬと考えております。それがややもすると、経済九原則を口実といたしまして、ただいま御説がありましたように、企業整備をやる、あるいは配置轉換をやるというような名目にとらわれまして、そうして氣の毒な労働者の生命をも奪うといつたようなことがあつたとすれば、それは日本の將來をも、日本の再建をも考えていないところの、まことに國賊的な考えであると私は思うのであります。そういうことはたれも考えてはなりません。みんなが協力一致して、労働者も使用者も、ともに協力一致して、眞劍になつて日本の再建に働いてこそ、初めて國民としての誇りも持ち得るし、日本の前途に光明があるのであります。それをなくするというならば、これはわれわれとしても、そういう人々には、よく國家の前途を憂えて、ともに相携えて再建のために盡すような方策を、講じて行かなければならないというように考えております。しかしながら政府としましては、経済九原則の線に沿いまして、ぜひともやつて行かなければならぬ制約があります。それは御承知の通りかと考えております。何としましても、ただいまの日本再建をはかつて行きまするためには、それはドツジ公使が言われたように、竹馬でもつて、大地に足をふんまえていないところの立場に立つておるということは、これは小川委員も御熟知あぞばされておられることと思います。そこで大地に足をふんまえて、ほんとうの日本の再建をはかつて行くためには、やらねばならぬことがあるのであります。そのやらねばならぬところの最小限度においての企業整備、これが必要であることは御了承かいただけると思います。そういうことによつて失業者が生じたなら、これは何とするか。それは政府としましては、過日皆様方にも御審議をいただきまして、緊急失業対策に関するところの法案も通していただきました。また本日の本会議におきましては、失業保険法の改正につきましても、やはりこれも通していただいておるようなわけであります。そこでこれらの失業者に対しましては、緊急なる処置を講じて、何としてもこれは一時的なる生活の保障を與えてやらなければならぬ部面に関しまする処置としては、一應体裁を整えたつもりであります。その予算につきましては、これはまことに少いではないかということについて、過日も土橋委員から非常にきついおしかりを受けたのでありまするが、それもその事態が突発して來るならば、政府としては快刀乱麻、やる覚悟を持つております。そのためにはわれわれとしても、非常な苦心もいたし、努力をいたしておるわけであります。どうか御了承をいただきたいと思います。
○春日委員 今度の法案は、大体見まして初めからおしまいまで、全部異議のある法案ではありますけれども、まず総論的な問題として、次の三つのことを簡單にお答えしていただきたい。 第一にこの立案にあたつて、憲法及び極東十六原則の精神を尊重したか、無視したか。これはイエスかノーでよろしいと思います。 第二は、自主的、民主的、健全な労働組合という言葉を絶えず使つております。しかしその自主的、民主的、健全な労働組合というのは、一体どういうふうなものか。これを具体的に、そんな抽象的な言葉でなくて、説明していただきたい。これがわからぬとこの法案の論議は進まない。 第三番に、現在行われており、またこれから出ようとしている企業整備、首切り、賃金引下げ、遅拂い、工場閉鎖、こういうものをやるために、この法規の改惡をやられるのかどうかこの三点について簡單に御答弁を願いたい。
○賀來政府委員 第一点は憲法及び十六原則を十分尊重をいたしました。第三点は、首切り、企業整備あるいは遅拂いをやるために、やつたのではございません。第二点の自主的、民主的、健全なる組合の具体的な例と言われますと、はなはだ因るのでありまするが、これは現在の組合におきましては、かような組合は多数存在しておるということで、御了承願いたいと思うのであります。
○春日委員 それでは非常に不満足でありまして、自主的、民主的、健全なという言葉、この健全とは一体何かということの判断になると、それぞれ概念の内容が違つて來て、このピントが合わなければ、議論にならない。たとえば黒いものがある。これを黒いと言つた。片方は、これは白いと言つた。これは水かけ論です。このピントを合せておかなければ、法案の審議は進みません。その意味で自主的、民主的とはどういうものか、これは非常に大事な問題です。もう一度御返答を願います。
○賀來政府委員 われわれの所期いたしております健全な組合と申しますのは、現行法の所期いたしております内容、あるいは今度の改正法案に盛られております内容を十分に保持し、また十分にその線に沿つて活動してもらつておる組合だと、こうお答え申し上げます。
○春日委員 そうすると、結局この法案に從うような組合を称して、政府は自主的、民主的、健全な組合、こう理解しておるというように解釈してよいわけですね。
○賀來政府委員 さように心得ております。
○春日委員 そこで第一番の問題から入つて行きますけれども、先ほども小川委員からもいろいろ発言がありましたが、この法律の第一條を見ますと、日本語としてほとんど体をなしていないような妙な書き方をしてある。しかも「使用者との交渉において対等の立場に立つ」「労働者がその労働條件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の團体行動を行うために」云々というようになつておつて、どこに一体重点があるかわからない。そうしてこれから受ける印象から行けば、大体團体交渉とか、あるいは代表者の選挙、そういうことが労働組合の活動の主たるものであつて、その他のものは付属的なように考えられておる。そういうことになると憲法二十八條に違反して來る、抵触して來るというように私は考えておるが、どうですか。
○賀來政府委員 この表現が非常にまずいというおしかりには恐縮いたしますが、第一條において書いておりますのは三点になつております。第一点は労働者の地位の向上、第二点は團結権の擁護、第三点は團体交渉権及び手続の助成、こういうふうになつております。
○春日委員 そういうことなら、それをはつきり書いてもらいたいと思います。たとえば極東十六原則でも「労働條件を防護し改善する為」「右目的を以て産業労資協約を交渉する為」「平和的民主的日本の建設に團体として参加する為又は正当の労働組合としての利益を増進する為」こういうようにはつきり書いてあればわかる。こういうようにしなければ——特に法律というものは、一度出てしまえば、どうにでも解釈されるというおそれがありますから、これははつきりさせなければならない。 それから第二項でありますけれども、先ほど來、暴力の行使は労働組合の正当な行為と解釈されてはならないという点を特に入れたことが、改善であるかのように言われておりますけれども、しかし暴力を使つていいというようなことは、常識的に言つてもこれはもう否定さるべきことであつて、先ほどの小川委員の答弁においてあなたが言われたように、産業の興隆ということは、わかりきつたことであるからいいというような理論から行けば、暴力の行使というようなものは、当然書かなくてもよいことである。これをことさらに、なぜ書くかという点のであります。
○高橋(一)政府委員 暴力の行使がいかぬということは、健全な常識から考えて当然であると考えます。しかしながら今までの組合運動に関するいろいろな文献の中には、ある種の暴力を肯定するかのように誤解されるようなものもありましたし、また現実の組合運動におきまして、そういう事例が多々あつたのであります。從いましてその点を、きわめてあたりまえのことでも、やはりあたりまえでないと考える向きもあるのではないかというので、これはやはり特に規定した方がよろしいというふうに考えておるのであります。
○春日委員 そういうことになれば、もう一から十まで全部規定しなければ、そう考えられる向きも出て來るわけです。しかし私がここで問題にするのは、この暴力行為云々というようなことを特に書くことによつて、その中に含まれる暴力の解釈いかんによつては、これはおそらく戰争前の労働運動に対して加えられたと、ほとんど同じような彈圧が加えられて來るというおそれが十分にあるという建前から、これを問題にするわけです。たとえば労働省から出した「労働運動に附随して発生した刑法犯等事件の概要」というのを見ますと、ここに暴力行為、傷害、業務妨害、不法監禁云々と書いてある。たとえば交渉をやつてそうして資本家が逃げる、待つてくれと言つても、それはもう不法監禁だというようになれば、これはいくらでもひつぱれることになる。現にそういう傾向が非常に強くなつている。それだけでなくして、最近の刑法犯が起つた事例として、豊和工業の労働争議、あるいは東芝川岸、旭化成、東芝加茂工場というものを四つばかりあげておる。この豊和の事件なんかを見ましても、こういう暴力が一体何で起つたか、むしろあの時の事情を見れば、ここには「全金属加入をめぐり、組合が分裂し、第一組合、第二組合の対立激化の挙句」云々そうして暴力が起つたというふうに、ずつと上すべりを書いてあるけれども、しかしこれは全金属加入をめぐつて、資本家の方で團体協約の否定をやり、第二組合をつくらせ、そうして第二組合に第一組合を圧迫させるというような行為をしたために、これが起つている。それから三越の労働組合ということをあげられたけれども、ああいうのは日本の労働運動全体からいえば、ごく特殊なものだ。そういうものを事例として、そうしてこういう規定を設けて、あとは解釈だからあなた方のおすきにできるという形でやつて行こうということは、これは憲法の精神からも、ポツダム宣言、十六原則、そういうものの精神からいつても、非常に逆行したやり方である。こういうあいまいな、何とでも解釈のつけられるような規定を設けて、それで労働運動を取締ろうということで、はたして民主的な自由な組合ができるか。労働組合の中で、そういう暴力を使うような組合はどんどん制肘されて行くので、そういうものを、こういう規定によつて政府が取締るというような考え方でいいかどうか。そういうことは私は非常に大きな弊害を持つと思う。
○高橋(一)政府委員 從來の労働運動に際しまして、刑事事件が起つて、起訴され、処罰されたものも相当数ありますけれども、たとえば監禁と申しますと、三菱美唄の人民裁判のように、数十時間にわたつて監禁して、いろいろむりなことをやつたというような事案、あるいはそれに似たような事案が大部分であります。それから東芝川岸といつたようなものは、裁判所の仮処分命令の執行に対する、実力による反抗でありまして、これらは組合法第一條第二項によりまして、絶対に免責されないというふうに考えておるのであります。多くの事件の中には、検挙しないでも、と思うようなものも若干あつたかもしれません。また今後從來のやり方を、今度の第一條二項の但書の追加によりまして、何か非常に廣げようというような考えは、毛頭持つておりません。また今回の改正ではそう廣げられるはずもないのであります。でありますから、決して昔のような、いわゆる彈圧というふうには、実は考えておりません。
○春日委員 三菱美唄、というものは、とつておきの一つきりのもので、全國で何千何百と争議が起つておるし、團体交渉は何万回かやられておる。その中の二つや三つ、ここに出ておるのは八つしかない。八つや九つの組合においてそういう事件が起つたからといつて、それでもつて労働法規を改正するということはナンセンスだ。ことに東芝川岸の例は、差押えを妨害したというが、あれは東芝からの調査、それから國警長官等から聞いてみても、妨害したということになつていない。妨害を予想して警官を千何百か動員したので、事実妨害していない。しかも仮処分の申請が四日になされて、しかもその日付を消して八日に受付けたことにして、九日の朝の五時に和田峠を越えてトラックで千何百の警官を送つておる。暴力行為があるものと推定して——実際拒みもしないものを推定してやつた。だから抵抗していない。ちやんと差押えが執行できている。そういう不足した認識をもつて、暴力行為というようなことを書かれたのでは、これは労働問題として大問題になる。であるから、私が言いたいことは、こういうものをかえることはけつこうだ、現在現行法にも労働者は満足していないから、けつこうだが、最初の案をつくるときなら、実績がないのだから、外國の経験等でつくるということはよろしいけれども、現在では三年間の経験を持つている。だからその経験を具体的に調べて、どこに弊害があるだろうかということを、審議会をつくつて調べて、せめて半年でもかかつてつくつたというなら、りつぱなものができるけれども、そういう不足した一方的な見解で、こういう案をつくつて出して來るということは、非常に軽卒なことではないか。だからこういう暴力という言葉が、その調子で解釈されはせぬかという心配が出て來るわけです。だからこういうのは削つた方がいいのではないかと思いますが、どうですか。
○高橋(一)政府委員 やはり暴力などというのは、だれが考えましても、どうとも認めらるべきものではないと思いますので、この原案は削る必要はない、むしろあつた方がやはりよろしいというふうに考えておるのであります。
○春日委員 それでは、そこまで行つたらこの問題は終りにしまして、その次に第二條を見ますと、えらいことが書いてあります。大体第一項に「役員、雇入、解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者、使用者の労働関係についての計画と方針とに関する、機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての忠誠と責任とに直接にてい触する監督的地位にある労働者」こういう者は利益代表と認めて、組合から排除する。先ほど賀來政府委員は、そういう数は大したことになりませんと言つておりましたけれども、こういう規定ができると、一体どういうことになるか。これは要点だけ出しておきますが、大体この試案が出されて來、通牒が出されて來るという形勢になつて、東芝の会社では、組合に対してこういう團体協約を持つて來ておる。第一章から始めて百何條にわたる厖大なものです。しかもその中の要点になつておるものは、大体連合会及び組合が、会社の経営権がすべて会社にあることを確認する、そうして一切の首切りとかあるいは人事異動、そういうことは会社の権限だから、口を出してはいかぬ、こういうことになつている。ところが、経営権は会社にあるかもしれないけれども、首を切られるということになると、労働権が侵害される。やはりそこに問題が起つて來るのでありますが、そういうことを規定しておる。一方的に全部やれるようにということを要求して來ておる。さらに問題になる点は、この協約案の第五條でもつて、左の各号の一に該当する従業員は組合に加入しない。役付職員、資格職員、役付工員、主事待遇の工員及びこれらと同格以上の嘱託、こうなつている。これだけの者を入れないと、東芝二万六千人のうちで、大体六千人が組合から排除される。こういう事実が現に起つて來ておる。それをここにちやんと書いてあるけれども、この法文の第三條を見ると「この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる收入によつて生活する者をいう。」とはつきり規定をしておる。そうして憲法三十八條には、すべて勤労者は團結する権利を有すると言つておる。そうしたら——このわずか二万五、六千人のうちでの六千人以上の労働者である——先ほども小川君が言つた四分の一の人間が、この團結権を排除されるということが、はたして憲法に違反しないと言えるか、この点御明答願いたい。
○賀來政府委員 東芝の労働協約案につきましては、今初めて承りますので、さような役付工員というような者を入れました意図がどこにあるのか、私の方ではわかりませんが、われわれといたしましては、本法案の第三條で、労働者というのは賃金をもらうものであるという定義をいたしております。ただこれで組合をつくるという範囲の者につきましては、第二條でこれを規定いたしておるのであります。使用者の側に入ります者が、團結をいたしまして、組合なり何なりつくるということは、何ら禁止をいたしておるわけではございません。ただそれらの使用者側に属するような者が組合をつくりましても、それは本法にいう組合ではないというのであります。從いましてこの法案が、かように組合の自主性を保持するために、使用者側の利益を代表する者はこれに入つてはならないという規定を設けますことは、何ら憲法の違反にはならないと考えておる次第であります。
○春日委員 ただいまのお話を聞くと、大分妙な話なんですが、この労働組合法は憲法第二十八條の條文を具体化したのだ、こういう答弁であつた。これは速記を調べてもらえばよくわかる。二十八條を具体化しておいて、二十八條の團結と、この法律は別だというりくつはないと私は思うが、この点はどうですか。
○賀來政府委員 私の申しましたのは、憲法二十八條に基きまして、人民が團結をして一つの團体をつくることは自由であるということでございます。ただ労働組合法に基く組合、労働組合をつくるという場合には、その労働組合の性格というものは、当然使用者側がこれに加入してはならないのでありますから、さような規定を設けますことは、何ら憲法違反ではないということを申し上げた次第でございます。
○春日委員 当然使用者側が加入するのは違法だと言うけれども、使用者を入れた労働組合というものはナンセンスである。実際に労働組合が、そういう者は現在までに排除しておる。そうしてこれらの係長がまずいか、課長がまずいか、部長がまずいかというようなことは、実際の労働運動の経験の中で、つくり出して來ておる。そういうことを政府の少数の役人の頭できめて、押しつけることが民主的か、大衆の経験でやつて行くことが民主的か、どつちが民主的か、この点をお答え願いたい。
○賀來政府委員 この法案におきまして範囲をきめましたことは、これで押しつけようというのではございません。労働組合が自主的にみずからの規約においてある範囲をきめて、その者を組合員とすることをきめられることは自由であります。ただ、いかなる法律といえども、ある程度の公益を與えるという以上、それを與えるに値するだけの制限を付するということは、これは当然許されておると考えておるのであります。
○春日委員 そこでその次の問題に入つて、からめて質問しますが、たとえば第五條で、労働組合は労働委員会の認証がなければ、法の保護を受けられないというようになつております。そうすると、たとえば労働者は團結する権利がある。それから十六原則というものから見ても、使用者が圧迫してはならぬということがきめられておる。それでこういう労働組合法がなくても、團体交渉をし、ストライキをやる権利がある。そういうことになると、こういう法律はなくてもいいということになるのではないですか。
○賀來政府委員 御意見にもありましたように、労働者が團結をいたしまして、そうして團体をつくつて使用者と團体交渉をし、争議をすることは、何ら禁じておるわけではございません。ただ本法並びに労働関係調整法によりまする手続に参與し、また本法によりまする救済を受けるためには、この第二條及び第五條に規定しておりますところの要件を備えなければならないということを、きめておる次第でございます。
○春日委員 そうすると、結局この法によつて與えられておるところの、労働組合のいろいろな手続きなり、特典なりというものが得られないということになれば、同じ労働者を差別するということになる。労働組合をつくり、團結したために、現に労働省自身が差別することをやつておるが、これはどうなんですか。
○賀來政府委員 私の申しましたのは、この二條にもありますように、本法による手続に参加し、またその救済を受けることができないということを申し上げたのであります。この本法の中には、さような労働組合をつくらなくても、労働者個人といたしまして、あるいは労調法におきましては争議團といたしまして、その手続には参加することのできる規定もあるわけでございます。
○春日委員 そういうことになると、見解の相違で水かけ論になるけれども、結局そういううるさい資格をつくらなくても、争議團としてつくろうと、何でやろうと、やはり労働者としての権利を行使させるということの手続なり、救済を受けたいという者には、全部受けさせるようにすべきではないか、私はそう考える。 その次に移りますが、政治的な信條の問題、これは憲法でもはつきり保障されておる。政治的な信條いかんにかかわらずということが、はつきりきめられておる。ところが第五條の第二項のところに來まして、第四番目、「何人も、いかなる場合においても、人種、宗教、性別、門地又は身分によつて組合員たる資格を奪われないこと。」こういうふうになつておる。政治的信條ということは抜けておるけれども、政治的信條が問題になる場合には、組合員たる資格を奪われてもよろしいという含みを持つておるのかどうか、この点をお聞きしたい。
○高辻政府委員 お答えいたします。憲法の十四條の規定をもつての話であろうと思いますが、憲法の十四條の規定は、國民が法的取扱いにおいて、不平等な取扱いを受けてはいけないというのが、実は主眼なんです。從つて法律でもつて、信條によつて國民を差別待遇するというようなことがありますれば、これは明白に憲法に違反するということが言えるかもしれませんが、しかしながら個々の労働組合が私法的自治の範囲内において、その規約において特別の差別をすることまでも、その余地を残しておくということが、直接に憲法違反になるというふうには考んられないと思うのであります。
○春日委員 そうすると、なんでこういう第四項をつくるか。そういう論理から行けば、人種、宗教、性別、門地、身分、こういうものによつて差別を受けたつて何もさしつかえないということになるじやないですか。何もことさらに政治的信條だけ抜く必要はない。その論理から言うならば第四項を全部削つてしまつていいのではないか。
○賀來政府委員 五條の二項にこれらの規定を入れましたことは、ただいま高辻政府委員からお答えのありましたと同じ考えを、われわれも持つておりますが、少くとも労働組合では、最小限度これらの事項差別をしてはいけないぞということを示したのであります。
○春日委員 それで少くとも人種、宗教、性別というけれども、人種、宗教、性別、門地ということは労働者の中で——私なんかも家柄が割合にいい方だけれども、家柄なんということは問題にならない。それは事実ですよ。そういうことは問題にならなくて、むしろ労働組合で一番問題になるのは、社会民主主義者か、共産主義者か、あるいはブルジヨア・デモクラットか、そういうことが問題になる。実際にあたつて、これで差別してもいいといつて認めることは、労働組合を分裂させることだ、そのことをこの中に含んでおる。それがはたして健全なる、自由な労働組合を育成することに当るかどうか。これは大問題だ。これこそ問題なんで、性別や宗教なんて問題ではない。
○賀來政府委員 かつて、新潟縣の事件でありましたが、労働組合で共産党員を除くという規約をつくつて、これが適法であるかどうかという疑いがあつたときに、当時労働省といたしましては、そういうことは妥当ではないという解釈をいたしたのであります。そのときに実はGHQの労働課の人と話したのでありますが、労働課の人はこういう言葉を使つておりました。違法ではないが、妥当でないという言葉のつかい方は、妥当ではない。これは不名誉である。こういうふうな言葉を使うべきだということを言われたことがあります。まことにいい言葉であると私もそのときは考えたのでありますが、事実こういうような規約がありました。これは最小限度から申しまして、日本の労働組合の諸君が共産党員なるがゆえに、あるいは民主自由党員なるがゆえに、これを組合員にしないというような規約をつくりますることは、これは労働組合員にとつては不名誉であるとわれわれは考えるのでありまして、さようなことはおそらく現在の労働組合員といたしましては、あり得ないということをお答えいたしたいと思います。
○春日委員 その意味でこの第四條というものは、実に不名誉な條文だと私は思う。だからこれは創られたらどうかと思うのです。 そこで次に移りまして、労働、組合の自主的、民主的ということを非常に強調されておりますけれども、自主的な労働組合というものは、極東十六原則には十番に、労働組合の結成は労働者自身から起る民主的自己表現と創意の過程たるべきであると、こう書いてある。そのあとに使用者去々ということが書いてある。そうすると、第五條の労働委員会の認証を受けなくてはならないという規定は、明らかに一つの範疇を——いろいろ資格をきめて、それに合わないものは労働組合じやないということになる。そうしたら、労働者がおれの氣に入らなければ、認証は受けられないのだ。そうすると、自主的、民主的な労働組合の存在は許されないのだ。政府の官僚のつくつたわくにはまつた組合だけが、労働組合だということになれば、これは産業報國会、ドイツの勤労奉仕團になる。その点どうお考えになるか。
○賀來政府委員 五條二項に規定しておりまする内容が、産業報國会的なものでありましたり、あるいはドイツのヒトラー時代の組合の内容を持つものでありましたならば、御意見のようなことになると考えますが、ここに規定してありまする五條二項の要件は、当然民主的な労働組合が備うべき要件を、一應最低限度はこういう標準でありますぞということを、規定いたしておるのでありまして、これらの規定に沿うような労働組合がわれわれといたしましては、きわめて自主的、民主的な組合があると、かように考えておる次第でございます。
○春日委員 この規定の中にも、決していいものばかりはないと思う。少くとも一番の「名称」、二の「主たる事務所の所在地」。三の「連合團体である労働組合」云々、こういつたところのものは、いろいろ役所で取締りなんかする都合上、名称や所在地がわからなければ困るから、これは届け出る必要があるけれども、そのあと規約の内容を、どんないいものであろうと、一々さしずするということは、押しつけだ。決して自主的ではない。どんないいものでも、押しつけたものは自主的じやない。しかもそれがいいものかというと、決してそうではない。今四項と私言いましたけれども、第三番には終りの方に「すべての問題に参與する権利及び均等の取扱を受ける権利を有すること。」ということになつている。ところが、これをこの間の説明で聞きますと、青年部というようなものが、あつて、青年部の執行部選挙に参加して、また一般の選挙に参加する、二重の取扱いを受ける、これは均等でないから、そういうのはいかぬという解釈である。現在組合青年部というものは、ほんとうに組合を民主化して、今の産業を守つて行くという戰いの先頭に立つている。これを均等な権利でなくて、二重に権利を使うからいかぬといつて、つぶすということは、労働組合の一番進歩的な、民主的なものをつぶすことになる。この点に対する見解をお伺いしたい。
○賀來政府委員 青年という一つの張り切つた意氣と体力を持つておりますものが、同類意識と申しますか、同じ利益を守り、またお互いに相携えて組合の民主化、あるいは日本の民主化に努力して行こうではないか、お互いに研究もし、お互いに切磋琢磨して行こうではないかということ自体は、それはわれわれ反対しているわけでもございません。特に婦人の問題はそうなのでありますが、婦人は持殊の労働条件があるわけであります。從いまして婦人部というものをつくりまして、お互いの利益を守り、地位の向上をはかつて行くということも必要であると考えております。そのことと、二重の投票権を持つということとは、別に考えなければならないのでありまして、われわれは二重投票権を持つことには反対でありますが、その二重投票権をやらないからといつて、それがために婦人部、青年部がつぶれるような状態ではない。かように考えております。ただ、婦人部の方の意見をいろいろお聞きしたことがありますが、非常に多数の婦人がおります工場では執行委員が出せる。しかしながら千人のうち五十人しかいないという場合には、執行委員がなかなか出にくいじやないか。二重投票がいかぬということは認めますが、そういうことになりますと、執行部に婦人の意見が出ないので困るが、その際どうするかというふうな御意見がありました。これはごもつともだと考えるのであります。さような場合におきましては、千人のうちの五十人が婦人であります場合、残りの九百五十名の男子というものは、やはりその趣旨を認めて、いかに数字は少くとも、婦人からは執行委員が一名出るように何らかの規約をつくりまして、二重投票にはならないような処置を講ずべきではないか。こういうことを申したことがあります。
○春日委員 そこで均等な権利という問題でありますけれども、そういう趣旨で婦人部、青年部の意見が執行部に代表されるということの必要は認めておるが、二重の権利を使うということは、理論的な矛盾がある、だからいかぬというふうに言つておられるのですけれども、そういうことになると、労働省自体がその誤りを犯しておる。たとえば産別民同というものがある。これは一体何だ。労働組合だ。あれは何も特殊な労働組合ではない。産別民同と言つておつて、東芝の堀川町にも民同がある。どこの工場にもおる。半分ずつとか、三分の一とか民同がおる。國鉄にも民同がある。目通にもある。電産にも民同がある。これは労働組合の一つの分派ですよ。これは独立した労働組合ではない。それは認めるでしよう。しかもこの産別民同に機関紙の紙も割当をやつておる。なぜやるか。労働省がそういう分派を育成して、一方で民同は機関紙をもらいながら、しかも日通なり、電産なりの労働組合の組合員の権利を行使しておる。紙の点にまで二重のことを労働省はやつておる、この責任をどうとるか。
○賀來政府委員 私がこの法案で申しましたことは、一つの組合の中で同一の組合員が二重の権利を行使することはならぬ。こういうことを申し上げたのでありまして、これは御了解願えると思います。産別民同に紙が特別に行つていることは聞いておりますが、これは紙の配給の委員会において決定いたしたことでございますから……。
○春日委員 そういうりくつは私は成立たないと思う、政府というものは統一されたものですから、その中でまとまりのつかない、ごたごたのものじやないと思う。ただ分業しているだけのもので、紙の配給を委員会でやろうと、やつぱり労働組合に関する限りは、労働省が責任を持たなければならぬと思う。そういう逃げ口は許されないと思う。
○賀來政府委員 政府が全体として行政に当るべきであり、全体として責任を持つべきたということはわかりますが、この紙の配給の事務及び権限は、配給委員会が持つておりまして、われわれの関知せざるときに、このことが決定いたしておるということを御了承願います。
○春日委員 それでは今の平等の原則から言えば、そういうものは取消すべきだという意見を労働省で出すべきだと私は思う。たとえば参議院の公聽会で民同を代表して細谷君が出ておる。そういうものをちやんと認めている。こういう点であなた方の論理に矛盾がある。私は産別民同を特にいじめようとは思わぬけれども、あなた方は都合のいいときは、へりくつを言つて、しかも自分たちが御用組合をつくろうというときは、そういうむちやをやるからその理論の矛盾をついておるのです。 その次にこの五條の点で、労働委員会に第三條及び第二項の規定に適合することを立証してもらつて認証を得よ、こういうことを言つている。この点は最初の試案では、都道府縣の知事、あるいは労働大臣がこれを認めるという許可制であつたように私は思う。これはとにかくただ届け出て、認証を得るということになつておる。しかし認証を得なければ、少くとも一人前の労働組合として認めてもらえない。どうしても認証を得なければならぬということになる。ところが、それを認証する労働委員会というものは、一体どういうものかということになつて來ると思います。そこで労働委員会の方の規定でありますけれども、私は一番問題になるのは、労働委員会の構成だと思います。委員会という名前をつけても、それはお役所の場合もあるし、ほんとうの意味の委員会の場合もある。ところがこの一番大事な点で、労働者側の委員、それから資本家側の委員というものは、労働者を代表する者は労働組合の推薦に基いて労働大臣が委嘱すると前にあつたのを、今度は任命するというふうになつた。そうしたらこの労働者委員と使用者の委員というものを、労働團体なり、資本家團体に推薦させるという意味は一体どこにあるのか。
○賀來政府委員 労働者及び使用者の委員の任務といたしますところは、使用者は使用者の利益を代表し、労働者は労働者の利益を代表いたしまして、そこに公益を代表する委員と一体としての委員会をつくつて、この労働関係の問題の処理に当るというのは御承知の通りであります。つきましてはこの委員を委嘱するにあたりましては、やはりそれぞれの團体の意向を聞きまして、その意向を尊重いたしまして任命すべきだ、こういう建前をとつておるのであります。
○春日委員 そうすると、労後者側の委員というものは、労働者特に労働組合の意向を代表するものでなくちやならぬ。またそういう趣旨で労資の委員を出しておる。ところがそれを任命という言葉で今度は申しておりますけれども、委嘱する場合には、少くとも労働組合の圧倒的多数の投票を得た人を得要順によつて委嘱する。委嘱するということを一つの手続と見れば、投票の順位によつて五名なら五名を委嘱する。これが一番労働者の意思を代表することになる。今までの実情からいつても、やはり選挙のあるときには、いろいろ主張の違う労働組合で話し合つて、何名というようなことで選挙して出しておつた。こういうことにして、全体が代表されるようになつておつたのを、去年の長野、福島の職権委嘱から始まつて、最近は神奈川でも、東京でも群馬でも、ほとんど全國で、労働組合の意思に反して、労働組合の希望しない者を任命しておる。こういうことになれば、労働委員会は労働者の意思を代表するものではなく、政府のお役所になつてしまう。労働大臣の意思に迎合するというか、その意向に沿う者だけを任命すれば、結局労働委員会という名前であろうとも、労働大臣がその仕事をするのと同じ結果になつてしまう。だからこういうものは任命するという言葉はやめて、元の委嘱するにして、しかもそれは選挙により、得票順位によつて選ぶというようにしなくちやならぬじやないかと私は考えるが、どうですか。
○賀來政府委員 任命するという言葉につきまして、ちよつと御了承を得ておきたいと思うのでありますが、今度の行政組織法なり、公務員法の関係から、委嘱というものがなくなつて、政府の行政機関に勤めます者は、みな任命という言葉を使うということになりましたので、任命ということにいたしたのでございます。実質的にはかわりはございません。それから労働委員の性格でございますが、労働者の利益を代表すると申しましても、国会議員、あるいは縣議会の議員のように、いわゆる選挙されて出ました代表という意味ではございません。労働者側なり、使用者側の事情がよくわかつておりまして、その利益に立つて労働委員会で十分活動ができる力を選ぶということでございます。労働委員会は御承知のように行政組織法から申しましても、また今度の改正法案によりますると、原状回復命令を出しまする一つの行政処分をやり得る機構になつておるのであります。さような機関でございますので、中央労働委員につきましては労働大臣、地方労働委員につきましては知事は、これらの機関に対しまして、國会なり、縣議会に対しまして責任を持つ立場に立つておるのであります。從いましてそれらの機関の構成員の委員の任命に際しましては、労働大臣、知事は最も完全なりと信じます委員——労働者側のために働き得る委員、あるいは使用者側をよく理解した委員を選任する建前をとることは、当然だと考えるのであります。われわれとしましては、それらの方がどういう方であるかということを、使用者の團体に意向を聞き、または労働者側の組合に対して意向を聞くのでありますが、その意向は多数の順位によるとか、あるいはこういう條件によるとかいうふうな條件によつて、労働大臣及び知事が束縛されることは適当でない、かように考えておるのであります。但しさようにして選ばれましたがゆえに、知事なり、あるいは労働大臣が、労働委員会の活動に対してこれを支配する、あるいは介入することは、これは絶対に避くべきたと考えておるのであります。從いまして労働省設置法におきましても、これが独立して事務を行うということを定めることにいたしておりますのも、さような趣旨でありまして、われわれは労働者側なり、あるいは使用者側の委員が、委員会の委員に任命されたがゆえに、労働大臣や地方長官の意に沿うような、さような不公正な決定はなされないものと、かような期待をいたしておるのであります。
○春日委員 そういう期待はしておつても、実際にどんな頭のよい知事でも、とにかくこの人が適任だ、あの人が適任かということを、何十万もいる労働者の中から選び出せるものじやないし、また知事の考えでよいという考え方は、知事の立場に立つた見方なんです。どんなりつぱな人だつて、その立場に立つて、その頭に應じてやる選任だから、結局そういうことが合理化されるということになれば、縣知事あるいは労働大臣が、労働委員会を自分の思う通りに構成するということになる。あなたは知事に迎合するようなものじやないと言うけれども、迎合する、しないはともかくとして、とにかく知事や労働大臣の御意にかなつたものにならざるを得ない。なぜなら、知事の頭から出るものだから……。労働委員会そのものが、できたあとはほうつて置くと言うけれども、つくるときに、最初からそつちへころがるように、そういうものをつくつて置くのだから、できたあとに干渉するよりは、つくるときにそういうものをつくつて置く方がなお始末が惡い。だから労働委員会にやらせるということは、第一次試案の知事が決定するということと、内容においてはほとんどかわるところがない。先ほど、世界に対してもこの法案がと言われましたけれども、第一次試案ではあまり世界の輿論を刺激し過ぎてはずかしいから、表面的につくりかえて、中身はそれでやつて行こうというふうに印象づけられる。あなたのこまかい説明を聞いておつても、第一次試案で脱けておつたなと思うものがみな入つておると思う。それじや何にもならない。それで労働委員会の問題になると、そういう官僚の労働委員会支配、あるいはそういうものが労働運動を支配するという傾向が、非常にたくさんの條項にわたつて出ておる。たとえば第十項に労働大臣の罷免権というのがある。これは都合の惡い者があつたときに、やめさせるということになつておる。これをどんどん発動された日にはどうにでもなる。これを濫用するか、しないかの問題であるけれども、濫用し得るという條件があるのだから、すればいくらでもこれは罷免できる。それから公益委員が準司法的なものは專断するということについて、今までの労働委員会の三年間の経験では、公益委員というものは大体資本家的な常識でものを考える人が割合多い。だからそういう人たちに專断権を與えれば、どうしても労働者に不利な結論が出ざるを得ない。中立というものは、労資の代表があつてがんがんもむからこそ、ここで中立性が出て來る。このがんがんもむことをとつてしまつて、右も左もない絶対の中立というものはありはしない。両方から攻めるからこそ、中立が出て來る。それを專断権というものを規定しておる。それから中労委の権限を強化しておる。規則もつくらせる。重要な事項について優先的に管轄もやらせる。あるいは二審制の決定についてくつがえすこともできる。非常に権限を強化した。これもお役所と同じことだ。だから労働委員会は労働省の外局であると言つておるけれども、それは機構の上のことで、実際においては労働大臣に附属した統制機関となつておる。労働委員会のこの規定は、やはり全面的に考え直す必要があるのじやないか。労働者に選挙させ、資本家に選挙させ——推薦でもよろしい、それをそのままやらせて、そういうところの決定には、労働組合のいろいろな問題についての権限を十分與えてやらせて行く。一番最初の労働委員会のころのやり方はそういう傾向だつた。それがだんだん統制するようになつた。この法文を確定するに至つては完全にお役所だ。これではどうにもならない。それでは民主的、自主的労働組合はどうなる。認証があり、さらにこういうこまかいいろいろな條件を経たものでなくちやならぬ。そうするとこれは御用組合ではないか。政府みずから御用組合をつくる法律が、この労働組合法案であるということになる。この点について御見解を伺いたい。
○賀來政府委員 御意見といたしましては、さような御意見は成立ち得るかとも思うのであります。ことに労働委員会制度を、全然選挙制度によりまして、これにある程度の労働行政的な仕事をさせたらどうかという意見は、一應意見としては存在いたしておるのであります。ただこの際申し上げたいと思いますことは、ただいま春日委員が、現在の中央労働委員会は、当初においてはそういう状態であつたという、春日委員のお立場から言いますと、おほめの言葉だつたと思いますが、実はあの時は私もおりまして、今おほめにあずかつたような氣持になつております。それには感謝をいたしておりますが、ただわれわれといたしましては、かような考え方を持つております。今春日委員が御心配になつておりますような委員会にならないようにということは、これは委員会自体の人の構成の問題もありますが、われわれといたしましても、非常に憂慮するものでありまして、委員会というものは、その事柄の性格上、あくまでも民主的な機関であつて、そうして労働大臣や、あるいは知事の支配を受けないものにならなくてはならないと考えておるのであります。本法案に規定いたしておりますようなことが、直接さようになるとは考えておりません。これはみずからの運用自体によつては、さようなことにはならないと考えておるのであります。とともに、もしこのような行動をいたしますならば、もしまたあるいは知事なり労働大臣が、委員会の行動に対して、これを支配し、介入するがごとき行動をとりました場合には、おそらく民主化されたところの輿論がこれを許さないだろう、かように見ておるのであります。中央労働委員会にいろいろな権限を與えておりますが、これは私先ほども御説明申し上げましたように、上級、下級の意味の権限を與えておるのではないのでありまして、所期いたしますところは、できるだけ迅速かつ合理的に労働関係の紛争が解決するためには、またするのが必要でありますが、するためには、從來の経験から申しまして、かような制度にすることが最も適切である、かように考えておる次第でございます。
○春日委員 ただいまの答弁を聞きますと、非常に運営の面というような点を考えておられると言つておりますけれども、きのう青野委員からも出ましたように、現にこの法規が改正されないでも、山口縣のごときは、縣の労政課が資格審査をやり、縣知事の方から労働委員会に要求して、そうしてこれは適格不適格というような決定をしている。明らかに知事が労働委員会に干渉し、そうして労働委員会が、結果から見ればそれに從つて動いておる。しかもまだこの法律がきまつて経過規定もあるというのに、そうして次官通牒が出てから九十日間という経過も來てないのに、そういう強硬な態度をとつて來ておる。こういう点から見れば、そういうことはむしろ杞憂じやなくてそういうことがないというふうな希望をすることの方が、はるかに実際から遠いものじやないかというふうに考える。だから、あなた方が労働者の自主的、民主的な健全な労働組合をつくろうということをほんとうにお考えなら、こういうわくは一切はずしてしまわれて、労働組合の内部の資格の問題とか、あるいは他の組合との関係とか、先ほど言つたように、一つの工場に三つも四つも組合が分立するというような問題は、これは労働者の解決にゆだねたらよろしい。たとえばその地区の労働組合なり、一つの産業の労働組合なり、そういう組合の代表者会議を持つて、そこでこういう問題はこういうふうにしてやつて行こう、大体規約はこういうふうに設けて統一して行こうじやないかというように、労働者自身の相談においてやらせる。そうして、あなたがきのうから、最近は労働者も非常に成長して來て、團体交渉でも何でもきちんとやるようになつて來たと言つておる。事実三年間の経験で成長しておるし、無記名投票も、選挙のやり方も非常によくなつて來ておる。こういうものを、ことさらこういうくだらぬわくにはめて押えて、そうして知事なり何なり、そういう役人にやらせておる。どんな偉い人でも少数者である。きのう山崎次官などが繰返して言い、労働大臣も言うことは、一部少数者の去々ということで、よくわかりますけれども、まさにこの法律にあることは、一部少数官僚の組合支配であると思う。だからそういう問題は、労働組合の代表者会議でやらせるというように私はすべきであると思う。大体私はこの点で終りにします。
○土橋委員 昨日以來労働省からいろいろな資料を頂戴いたしておりますが、その資料のうちで、私が持つておりまするのは、労働運動によつて現在刑事犯罪としていろいろな問題が起つているという統計的な資料と、それから組合の会計に対して、こういうような内容があるので、特に規定を設ける必要があるように考えられるから、國家試験の資格を持つておる会計計理士のような者を確保しなければならぬ——それが本案の提案の一つの理由になつておるわけであります。また非民主的な組合の二つの例として、三越があがつておるわけであります。こういうような参考資料を頂戴しておりますが、この場合に、現在行われておる会社側の非常に不当な労働行為、そういうような内容についての資料がほとんど出ていないわけであります。たとえば終戰以來の労働組合で、特に繊維産業に属する労働者が非常に苛酷な立場に置かれております。そういうものに対して、資本家側がその組合を御用化するために、どういうようなことを今日までやつて來たか。それは特に労働組合をつくらないところ、たとえば小さい機織工場、そういうようなところでは、現在労働組合をつくつていないこともあなたの御説明でよくわかつたのでありますが、なぜそういうふうに労働組合をつくらない状態になつておるか。こういうような資料がない。あるいは現在賃金の遅拂い、あるいは未拂いということが全國的に起つておるわけです。そういうような問題について、労働者側の諸君にとつては、資本家がやつておることは、明らかに不当な労働行為であるとわれわれは考えておるのでありますが、そういうような資料、あるいは今日も青野委員から御質問があつて、あなた方の方では一應答弁されておりましたが、次官通牒によつて、特に昨年の十二月二十二日の次官通牒、今年の二月二日の次官通牒、こういうものによつて——あなたの先ほどの答弁によりますと、いや経済九原則の実施のためにこういう要請もやむを得ないものがあると考えるという説明でありましたが、次官通牒は昨年の十二月二十二日に出ておるわけです。また今年二月二日に出ておるのであります。從つてそういう関係から見て、どういうような不当な問題が起つているか。たとえば山口縣下の宇部曹達、あるいは山陽電氣、そういうような十二の労働組合に対して、縣知事が干渉しているではないか。こういうものについて、縣知事が第二條の規定を惡用して資格を奪う。從つて労働組合の正当な権利を奪うというようなことは、不当ではないかという抗議を出しておる。そういうものについて、管理当局がきわめて不誠意な——しかもあなた方の通牒の内容について検討すべきものがたくさんあるが、そういう資料をなぜつくらないのか。あるいはもつと簡單に申しますと、たとえば團体協約に違反した労働契約というものがあるわけですが、これは西武鉄道の堤という社長が、共産党に所属している従業員に対して、たくさんの誓約書を書かせておる。その内容を簡單に申し上げますと、私は共産党員であつたが、会社の幹部方のいろいろな御意見なり、勧告なり、いろいろなことに從つて私は脱党いたします。そうして將來はそういうような政党には全然関係いたしませんから、どうか從來通りに雇つてくださるように、ぜひともお願いをしたいというような誓約書を西武鉄道の社長の堤君がやらせておるわけである。あるいは現在東芝問題で、先ほど春日君もお話になつたように、これについては問題がいろいろあると思うが、あなたの方で通牒を発せられたのが二月二日、これは組合資格に関して、あなたの方で一方的な基準内容をお示しになつたわけです。從つてその内容を、会社側としてはさらに惡用して、先ほどお話もありましたように——ここに原文もありますから、後ほどあなたに差上げますが、東芝労組と資本家側において、そういうような不当な労働行為を、しかもこれは五月中旬ごろまで労働協約の効果があるにもかかわらず、昨年の十一月当初からこの問題を持ち出しておるのであります。そうして労働協約の破棄を要求しておる。たとえばもつと手近な例を言うと、日本セメントの労働組合が、昨年の十一月以後非常に團体交渉をしておりまして、そうして組合自身が連合体から單一体にかわつたわけです。ところが会社側では、單一体にかわつたから、労働協約は無効であるということを主張しておられる。あなたの認められた、労政局長賀來としての責任ある文書が出ておるわけです。労働協約が有効であるということは、あなたも御認定になつておるわけです。ここに近い三多摩の大久野村の西多摩セメント会社というようなところでも、現在いろいろな問題が起つておるわけであります。そういうふうに起つて、しかもその内容をいろいろ調べてみますと、賃金の遅拂いを、一月には十六日一日分行い、二月分では賃金の遅拂いを五日分も行つておる。さらに三月にはきわめて惡い状態にまでなり、それが今日になつて八王子地方檢察廳においても、いろいろお調べになつたり、あるいは目下裁判に係争中の事件であります。そういうような内容につきまして、特に私が申し上げたいのは、この争議行為に、資本家側では増田道義さんという方、これはいわゆる資本家側の労働ブローカーである。この方のおい立ちを調べて参ると、かつて植民地においても、あまり勤労階級のためにお盡しになつていない方である。こういう方が日本セメントの西多摩方面にも入り込んで、しかも宿屋へとまつて、そしてこうやつたらいい、ああやつたらいい、こうして來ればこう出たらいいということを、争議ブローカーとして会社側に雇われてやつておる。こういうような問題についても、なぜ明確な資料をあなたの方でお出しにならないのか。これが第一点であります。もしあなた方がこの資料のように、労働組合側の惡い面のみを書くような資料をお出しになつておるとすれば、次官や大臣が、いや民主主義的な労働組合をやるのだ、あるいは責任確立のためにやつておるのだというような説明をされても、ここに書いてある内容は、労働組合に対してはあまりおもしろくないような内容で、しかも労働組合については、特に農和工業の問題にしても、東芝の川岸工場の暴行事件にしても、九州延岡の旭化成の事件にいたしましても、あるいは東芝の加茂工場の事件にいたしましても、ただ外面に現われているその暴行があつたという事実だけについて、あなたの方で御指摘になつている。ところが問題は、政府の支拂いが不十分であるとか、それにならいまして資本家側は全部工場閉鎖なり、あるいは今申し上げたような惡の罪跡を積んでおるわけである。そこに現われた過程において、一部分たまたま争議事件があつたということのみを取上げて、資料にするということは、この内容がきわめて一方的なものに偏して、しかもそのために、労働法規改惡の必要があるということを、あなた方の方で提案されておるように考えるのであります。でありますから、そうでないというならば、今私が申し上げた会社側の労働組合幹部の御用化の問題、あるいは賃金の遅拂い、未拂いというようなものについて、資本家側がこういう惡いことをやつているから、この法規ではこう改正していただきたいという点、あるいは次官通牒はこういう行き過ぎをやつておるのだ、私の方はこういう声明をしておるにもかかわらず、たとえば山口縣でも、縣知事に対してこういう問題を起しておる。これは縣知事の方がどうであるとか、地方労働委員会がどうであるとかいうことを、資料としてお出しになるべきであると思うが、それをなぜ出さないのか。目下研究中であるかどうか。あるいはこの法案を審議中に、そういう資本家側の惡い例について、なぜ労働者側の意見を十分に聞いてやらないのか。それが第二点であります……。
○倉石委員長 土橋君、先ほどこぐ簡單に一言ということであつたから許可いたしたのでありますが、なるべく簡單に願います。
○土橋委員 東芝の問題について、あなたの方で知らないとおつしやつたのですが、労働協約の問題についてこれだけ出ておるのに、あなたの方はなぜ知らなかつたのか。調査が不十分であつたのか。そういう三つの点について御答弁を願いたいと思います。
○賀來政府委員 資料の提出が不十分であつたというおしかりでありますが、それはわれわれも今御指摘によりまして、不十分だと思いますので、御要求のような資料をつくりたいと考えております。ただこの際御了解願いたいことは、さして一方的に故意にかようなことをやつたのじやないということを御了解を願いたいと思います。 それから東芝の問題について、私は事実今役員がどうだというようなことについては、初めて聞いたのでありますが、あるいは係のところに東芝の会社の者が來まして、こういうふうなことをやるというふうなことは、相談しておるかもしれませんが、これは帰りまして、そういうことがあつたかどうかということを調べて、またお答えいたしたいと思います。
○土橋委員 それでは今度の会期中に、あなたに今申し上げたような三つの事項については、内容をお示しが願えるわけでありますか。
○賀來政府委員 ただ御期待の程度まで詳しいところに行くかどうかはわかりませんが、あとでどの程度かということを、あなたとお打合せの上でやりたいと思います。 —————————————
○倉石委員長 ただいま議題になつております労働組合法案及び労働関係調整法の一部を改正する法律案に関する公聽会の公述人の選定に関しましてお諮りいたします。公述人の申出の期限は本日の七日正午でありましたが、申し出た者の名簿はお手元に配付いたしてありますから、ごらんを願います。公述人への通知、公述人の出頭の時間的関係から、本日公述人の選定をいたしたいと思います。公述人はその数を総員九名といたし、労働組合関係では寺井達夫君、山花秀雄君及び猪狩正男君、経営者関係では鹿内信隆君、前田一君及び別所安次郎君、学識経驗者関係では末弘嚴太郎君及び吾妻光俊君及び野村平爾君といたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉石委員長 御異議なきものと認めましてさように決定いたします。 なお公共企業体労働関係法の施行に関する法律案は、次会に延期いたします。次会は來る十日午前十時より開会いたします。なお十日午前九時三十分より理事会及び明後九日午前十時より公聽会を開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十四分散会