労働委員会 第10号
- 発言数
- 136 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1949/04/27
会議録
○倉石委員長 ただいまより会議を開きます。 前会に引続きまして、失業保險法の一部を改正する法律案、職業安定法の一部を改正する法律案、緊急失業対策法案及び労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案、以上四案を一括議題に供します。質疑を許します。春日正一君。
○春日委員 この前に続いて質問します。この給付金額の点では各委員からも質問されましたけれども、この点が一番大事だというように私ども考えております。六十億で三十万救済するということになれば、一人二万円、六箇月にすると三千三百いくらというような非常に少額なものになつてしまうので、これではとても暮しようがない、現在政府の出しておる賃金というものの考えで行きますと、六千三百円あれば食えるというような形にはなつておりますけれども、実際には三人家族ということになれば、とても六千三百円くらいでは食えるというのが実情です。特に日雇いの場合には、一級で百四十円、二級ならば九十円ということで、政府が予定しているように平均五日間として、百四十円もらつても七百円にしかならないわけです。これは結局名目的に失業対策を講じたということで、その実質はほとんど申訳みたいなものになつてしまう。これで政府は何とかこの金額を上げる、少くとも私の考えでは、現在の労働者の賃金状態からいえば、働いておつて、全額もらつて、それでも足りなくて、残業、夜業をやつて、何とか辛うじてやつておる、やれない人もあるといつたような状態ですから、その六〇%ということではなく、一〇〇%あるいは少くとも九〇%ぐらいは出してやらなければならない。この点について当局の見解をお聞きします。
○齋藤(邦)政府委員 ただいまお尋ねの失業保險給付の額の問題でありますけれども、ただいま御発言の中にありました二万円の問題でありますが、実はこれは保險額を計算するときに、六箇月まるまるもらう者ばかりとして計算しませんで、平均といたしましては四、四・五箇月、大体その程度のものを基準として二万円という計算をいたしております。もちろん失業が長くなりますれば、当然六箇月は支給いたしますけれども、過去の実績におきましては、大体四、五箇月というのが平均になつております。これが二万円の金額であります。そこでお尋ねの点の、現在の給付の六〇%では、生活が困難ではないかというのでございますが、これは一つの例を申し上げてみたいと思うのであります。昨年十二月の、労働省でやつております毎月勤労統計の全産業の平均賃金月額は、七千百三円でございます。その七千百三円に対しまして、手取りの賃金は、いろいろ税金等を引かれまして、大体五千七百七十三円になつております。これに対しまして、今回の改正によりますと、四千二百六十一円になるのであります。これを手取りの賃金に比較いたしますと七三・八%という数字になります。六〇%を基準として逓減するという以前の方式で参りますと、六〇%程度でありますので、三千四百八十円になるわけでございます。それが今回の改正法律が通りますと、三千四百八十円が四千二百六十一円になりまして、約八百円ほどの増になるわけでございます。從つて退職時の賃金手取りの七三・八%、つまり七四%程度でございまして、しかもこの保險の給付につきましては、税金等のかからない保險金でございますから、現段階におきましては、この程度で最低の生活をしていただけるものと期待しておる次第でございます。
○春日委員 四千二百円で生きて行かれるということは、驚くべき答弁だと思います。実際一人でもそのくらいかかる。家族を持つている者が失業したら、四千二百円や五千円で食つて行けないことは、あなた方御自身御経驗でわかつておられると思います。それはともかくとして、この四・五箇月という計算で行つていると言われます。急速に首切りが出て來ても、新しい産業が興つて、吸收されて行くことを予定されての計算だと考えるのですけれども、実際こういう形で首を切つて、國内の購買力を少くして、それで生産がはたして興るか、これは労働委員会の問題よりも廣くなりますけれども、将來の見通しとして大事な問題だと思います。たとえば昭和四年、五年のあのひどい失業の出た当時には、大体これと同じようなことがいわれておつた。産業の合理化をして輸出をすれば、経済が復興するから、そこへ労働者を雇い入れるのだということが非常に強くいわれている。実際それでは輸出ができたかといえば、その輸出によつて受けたものは、ソーシヤル・ダンピングという非難と関税障壁ではばまれて、どうにもしようがなくなつた。結局購買力を戰爭に求めた。軍需産業の拡張に求めたということは事実だと思います。國内の購買力を減らしておいて——現在でも政府は輸出を第一と考えている。國際的に見て、それではどれだけ輸出市場があるか。現在フランス、イギリス、イタリアでもかなり輸出市場が詰まつて來て、どこかに食い込まなければならぬ状態になつて來た。アメリカでもそういう方向に行つております。戰爭前よりも、はるかに狭くなつているこの市場で、輸出々々といつて、相手がない輸出であるならばけつこうですが、相手のある輸出をするといつて、そう簡單に、四箇月や五箇月でもつて、失業者が救済できるような状態が出て來るか、私は出て來ないと思います。そうすればやはり今度の失業問題については、首を切つて産業を集中して行くというやり方から考えるならば、当然長期にわたつて失業という状態を考えて、計画を立てて置かなければ、四箇月半というような甘い考え方では、破綻が來るのではないか、この点についてお考えをお聞きいたします。
○鈴木國務大臣 輸出はそう簡單に回復しないのではないかという御見解でありまして、それも一つの御見解でありますが、今の日本の場合の輸出という問題は、御指摘になりました昭和初めごろのあの失業に対應しての輸出振興の問題、それからそのほかの國の輸出の振興の問題とは、やや條則が異なつていると思います。これは別に議論する意味ではありませんけれども、要するに一定の與えられた條件のもとで、すでに輸出の伸び得る限度まで行つている、もしくはその限度の附近にあるものを、さらに輸出の面を広げるという場合でなくして、一度戰争によつて壊滅状態に陷つたところの輸出を、九原則の遂行によつて、輸出の面には國策的に重点を置いて、たとえば本年二億五千万ドルであつたものを、五億ないし六億ドルというふうな段階の輸出の振興というものは、政策によつてそこまでのマージンは、普通の場合の輸出の振興とは別の考え方でもつて、観測していいのではないかと思います。もちろんこれがさらに七億、八億、十億、二十億というような面にまで広げて行く場合においては、普通の意味におけるところの市場の行き詰まりという問題もありますけれども、大体二億五千万ドルを五億ないし六億に、しかも戦時中相当日本の発展しておつた実績のある所、御承知のように中国の関係あたりは情勢が全然かわつておりますけれども、そういつた方面にある程度までの回復をはかるということは、政策、國策の推進力いかんによつては、決して不可能ではないのじやないかと思つております。この点について春日委員とさらにそれ以上掘り下げたような、経済的の議論をする氣持はありませんけれども、大体少くとも今年度から明年度にかけて、政府が考えておる程度の輸出の振興というものは、第一期の振興計画として決して可能性がない計画ではないと思つております。 それから四・五箇月に平均してなる、それでは低過ぎるではないかという点については、さらにもう一度詳細に政府委員から説明をいたさせます。
○齋藤(邦)政府委員 失業保險の給付期間につきましては、過去の実績によりまして、一應四・五という期間を計算しただけでありまして、これは一應の目標を定めているだけであります。実際に失業が六箇月続きますれば、当然六箇月を支給する、こういう積りでおります。もちろんその六箇月後におきまして、かりに何の仕事もないというときには、いろいろ失業対策事業なり、またそういうものを興して行くという関連性のあるものとして、失業対策を動かして行きたい。こういうふうに考えております。
○春日委員 この問題については、これ以上つつ込むつもりもないのですけれども、鉄鋼の場合を見ても、増産をされる。輸出はする。しかしその増産される部分が鋼管とか日鉄とかというような二、三の大会社に集中されておつて、そこで吸收される労働力というものは幾らもない。その反対に今度の集中生産でつぶれて行く企業の労働者というものが、はるかに多いという点を指摘しておいて、次の問題に入ります。 もう一つ、これはこまかい問題になりますけれども、日雇労働者の失業保險の場合、三十八條の六というのを見ますと、前二箇月に三十二日分の掛金をした者ということになつているわけです。ところでこの日雇労働者というのは、普通の工場の労働者とは違つて、日雇いだから仕事にむらがあるわけです。そこで失業をして失業保險を幾日かもらつて、そのほかにまた仕事についたというようにして二月たつた。さてまた失業した。前二箇月は今度は三十二日間納めてないということになつた場合、これは前二箇月の三十二日という條項で、くれないというようなことになるのかどうか。
○齋藤(邦)政府委員 御承知のように三十八條の六によりまして、毎月働いておりますと、それが続いて参りますから、失業した月に初めてこの受給が発生することになるわけてあります。
○春日委員 だから、その失業した月に発生するのは、わかつているのです。しかし日雇労働者なんだから、その失業というものを一体どういうところで認定するか、この法文のほかのところで、月に通算して七日以上失業した場合というふうになつているところを見ると、そのほかの余りの部分は、やはり仕事についておるということが予定されておるわけです。失業者なんだから、ずつと働いて來て、それで急に仕事がなくなつた、月に今まで毎週四日か五日あつた仕事が、二日ぐらいになつてしまつた。だから通算して七日以上仕事ができなくなれば、これに失業保險の適用になるわけですね。そういうふうにして失業保險の適用を受けておいて、それから何とか運がよくて、あぶれないで一箇月ぐらい働いた。そうすると、その期間というものは、失業保險をもらうような状態だから、三十二日分の保險料をかけてない。ところが一箇月、二箇月して、またそういう状態が出て來て、あぶれてしまうというようなときに、今度は前二箇月は三十二日拂つてないから、これはだめだということになるという問題です。
○亀井政府委員 今の問題を御説明いたしたいと思います。 前二箇月に三十二日以上働いたという條件は、日雇労働者のために、有利な失格を與えるために設けたのでございます。たとえば一月おいて十日しか働かなかつた。ところが二月において非常によく働いて、二十二日働いた。そうすると三十二日なんです。三月に失業した場合には、資格がつく。そういうふうに毎月十六日という條件をつけませんで、二箇月に三十二日といたしましたのは、ある月において働く日数が少かつた場合においても、翌月において働く日数が多い場合に、資格をつけたいというのが一つと、それからまた今一、二、三の例をとりましたが、今度は四月に保險金をもらいたいという場合においては、三月と二月に働いた日数が基礎になります。そういたしますと、二月に今の例で申しますと、二十二日働いたわけでございますから、非常に有利でございます。三月に十日働けばつくというふうに、ダブつて二月が計算されて参る。その方式でずつと参るわけでございます。そういうようなことになりますので、今春日委員から御質問のございました点は、御心配のない点じやないかと私は考えております。 それからあとの待期の問題は、これは一應その待期を過ぎませんければ、現実の給付の支給が受けられないという性質のものでございまして、その残りの二十三日全部働くという前提のもとに、この七日がきめられているわけではございません。
○春日委員 そこでその次に給付の制限の問題で、いろいろ制限があるわけでありますけれども、たとえば就職を命ぜられても、行かなかつた場合とかいうようなことが書いてある。これはもちろん仕事があつて、そこへ行かないで失業保險をくれということはないと思うけれども、大体この保險の料金というようなもので行けば、まあ働いた方が得だという場合がほとんど大部分で、働くよりは失業保險金をわずかでももらつた方が得だという場合は、ほとんどない。ところで、こういうふうに、お前は就職しないからやらぬというような條件をつける。あるいはもう一つは、自己の都合で退職した者云々というようなことになつている。最近では自己の都合で退職する失業者が非常に多い。というのは、資本家の方で首切りをやるということになると、非常にうるさい問題になるものだから、賃金を遅拂いにする。たとえば安立電氣もそうだ。日本造船もそうだ。賃金を拂わないようにして、どうにもこの会社は見込みがないというふうにあきらめさせて、しかたなしに、ばらばら退職させて行くというようなやり方をやつている。こういう人たちは、自己の都合で退職してしまつた人たちになつているが、実際には首を切られた人間である。こういう人間が少しも救済されなくなる。しかもその人数は非常に多いものになつている。それからそういう自己の都合で退職しない者で、もう少し程度のいい者は、今退職しておけば得だから、退職願を出すということで、鉄道関係で一万二千もそれでやめさせておる。こういうことが全國でやられておる。こういう者が保險の対象から除かれて、保險金をもらえないということになるのかどうか。
○亀井政府委員 ただいまは給付制限の問題につきまして御質問がございましたが、この給付制限はすべての受給資格者、失業者に対して制限をするというものではございません。この失業保險が惰民を養成しない。すなわち失業者の勤労意欲を高めながら、就職できない場合において、保險金を支給するという建前から申しまして、安定所が本人の能力に最も適当と見られる職業を紹介したのにもかかわらず、本人がかつてにこれを断る場合において、制限を受ける場合があるわけでございます。その制限につきまして、ただいまの御質問の中に、賃金不拂いの問題がございました。それからまた依願退職と申しますか、本人の申出によつて退職の形式でやめさせるという例が多いが、これについて給付制限を受けるかどうかという御質問と考えます。第一の賃金木拂いにつきましては、法律の第二十二條の第二項をごらんになるとわかりますが、その認定の基準につきましては、労働大臣が失業保險委員会の意見を聞いて基準を定めることになつております。その定められました基準はすでに発表になつておりまするが、その中で、賃金不拂いで本人が自発的にやめた者は、すなわちやむを得ない事由によつてやめた者で、給付制限を受けないことになつております。それからまた依願退職という事におきましても、事業主が解雇する意思を持ちながら、單に形式を依願退職という形で出した場合におきましても、これまた解雇と同じような取扱いをいたしまして、給付の制限をしないというような取扱いをしておるわけであります。
○春日委員 それで大体わかりましたけれども、ただ失業保險の精神について、非常に感違いしておられるのじやないかと思う。だからいろいろな給付の制限を設けたり、それを安くしたりして、惰眠をむさぼらせないようにするというけれども、すきで失業する者はないと思う。特に戰爭前と違つて、今の状態では、政府の政策というものが経済のあらゆる動きをきめておつて、やはりそのために失業者が吐き出されて來ておる。だからむしろ食うだけのものは政府で保障してやる。そうして保險金なんかも、私どもの考えでは、全額國庫で負担すべきだ。そうすると、厖大な金になつてやりきれなくなる。やりきれなくなつて困つたら、何も工場をつぶしたり、失業者を出すような政策をとらなくても、もつと國民をみんな働かせるような政策をとつて、失業保險が実質的にいらなくなるような方向に持つて行けばいい。失業者を出しておいて、しかもそれがどうにも食えないからといつて、保險をやつてやる。惰眠をむさぼらせないように、食えない保險金を出して、しかもいろいろな制限をつけるというようなことでは、これは非常に考え方が違つているんじやないか。そういう考え方ではこの問題は解決つかないのではないか。 〔委員長退席、角田委員長代理着席〕 それから一つの例ですけれども、失業者という者の中に入れてない人がたくさんある。たとえばやみ屋をやつておるとか、あるいは、私は横浜ですが、ちよいちよい見ますけれども、駅に俗にパンパン・ガールといわれる女の人がおる。あれはとにかく一應仕事をしているということになつておるけれども、ああいう商賣はないはずなんです。行く人たちでも調べてみると、ものずきで行く者もあるそうですけれども、大体ああいう仕事をするというのは、仕事がなくてほかに救済の道がないから、しかたなしに、からだを賣るというようなことになつておる。あれは私は大きな失業問題だと思うのです。そういう点をお考えになれば、惰眠をむさぼらせないために制限をつけるとか、安くするとかいうお考えでなくて、とにかく自分たちの政治のやり方が悪くて出した失業者なんだから、これはやはり、一般水準以上ということはないにしても、今のような状態では食うに必要なだけのものは出してやる。そうしてその負担に耐えられないなら、何とかして働く道を講じるような政策を、政府として講じなくちやならないのではないか。これは私の意見ですけれども、最後に税務官吏の問題です。いろいろ條件がついたり、たとえば今度出て來ました申告制にしても、延滞金をとるとか、追徴金をとるというようなことで、役所のなんというか強制力といいますか、これが非常に強くなつて來ておる。これは労災法でも、あらゆる面でそうですが、これはまあ最近の経済事情で、滞納とか、いろいろなことがふえて來るので、やむを得ずにやることだとは思いますけれども、こういうふうに役所の力を強めて、強制力で保險料金をとつて行くとか、どうさせるという形が強くなる結果、どういうことが出て來るか、こういう点をお考えになつたことがあるか。たとえば浦和の税務署で、あの税務官吏が非常な不正を働いたといつて、國会でも問題になつたのですけれども、ああいうことは日本國中至るところで起つている。そこである会社なんかでは、税金を滞納したために、若い税務官吏が來て、机の上に足を乘せて、茶を持つて來い、何を持つて來いと言つたというような話も聞いておる。なぜそういうことが起るか。なぜ浦和のような問題が起るか。これは非常に官吏の力が強くなつて、何でも命令だといつて押しつけて、聞かなければ嚴罰だということになつたから、そういう末端の官吏までが、とにかくそれをかさに着て横暴を働く、不正を働く。たとえば税金が來ても、正常に申出して、審査してもらつてという機能が働いておれば、何も業者だつて、そういう若い税務官更に賄賂を使つてまでどうこうしなくても、正当な筋がとれるのだけれども、それがほとんどやられてなくて、上から責められるから、二十二や二十二の若い官吏に頭を下げて金を出してそれで何とかしてもらおうという根性が起るし、そこへつけ込んでああいう不正が出て來ておる。だからこういう取締りの規定とか、そういうものを強化するということではなく、むしつこの官吏の機構を、もつと大きくこの保險に関係のある者全体の氣持で、動かして行くという方向に持つて行かなくてはならないんじやないか。そういう見地から見ると、たとえば失業保險審議会とか、あるいは各地方にある失業保險の委員会、こういうものの構成をもつと拡大して、そうして被保險者の代表も使用者の代表も、あるいは官廰も入つて、とにかくそういうものに監督とか、あるいは保險行政に対する十分な発言権を與えて行くというふうにして行けは、そういういろいろな税金の問題にしろ、滞納の問題にしろ、現地の事情に即してやつて行けるんじやないかというように考える。そういう官吏の面についてどうお考えになりますか。
○鈴木國務大臣 大体の方向としましては、春日委員の御指摘になつたのと、われわれも別に違つた考えを持つとか、もしくは官吏がきわめて強権的であつて、そうして今春日委員の御指摘になつたようなやり方でかまわないなどということは、毛頭考えておるはずはないのであります。ただ最近の日本の情勢のもとにおきましては、あえて官吏といわず、他の方面にも、御指摘になつたような欠点もないばかりではないということを、率直に私どもも、ごく一面においては認める氣持も持つております。これらの点につきましては、当面的には少くとも労働行政関する限り、私ども決して運営の面において御指摘のような誤りのないようにし、さらに進んでは、しかるべき機会に組織の面につきましても、民主的な方法をとつて行きたいと考えております。
○齋藤(邦)政府委員 なお一つ御質問中にありました失業保險委員会でございますが、仰せのごとくこれは労働に関する委員会でありますので、定員は二十一名でございまして、被保險者代表、事業主の代表、公益代表、大体七人ずつ頭数が入つております。それによりましてこの業務の運営は民主的に、お話のようなやかましいことのないようにできるだけ注意して参りたい、かように考えておる次第であります。
○春日委員 その委員会はけつこうですけれども、結局一つの諮問機関という資格になつておるので、聞きおくということになつてしまう。だから官吏の仕事を助けるという面でも、それからそういう法の精神に反した行いが出て來るというのを押えるという面でも、とにかくこの官吏は——政府は國会において任命されて、全権をまかされてやつているのだけれども、この官吏のやり方に対しては、今度は官吏にやられる人たちが監督するよりしようがない。これは諮問機関というようなことでなくて、やはりそれに相当な独立性を與えて、やつて行けるようにしなければならないんじやないかというふうに考えるわけです。 そこで最後に一つお聞きしておきたいのですけれども、保險経済ということが非常に言われる。しかし保險経済といつて、一つの保險会社のようなつもりで、料金をとつてこれを経営して、これで失業問題を解決して行こうというような考え方がいいことかどうかという問題です。これはずつと戰爭以前のまだ資本主義が正常に発達しておつたころなら、それはすべての企業が正常にやつて行けておるのだから、こういう社会保險というようなものも、そのタイプで何とかやられて來た、効果をあげて來たけれども、最近ではもう資本主義はめちやくちやになつてしまつて、おそらくどんな企業をとつてみても、國の保護とか、いろいろそういうものを受けなければ、自立してやつて行けないという状態に來ている。たとえば大きな五大産業というようなものに対しても、莫大な価格補給金とか、いろいろな補助金を出さなければ、やつて行けないという状態になつておる。民間のその他の企業でも、それを出さなければ、ほとんどやつて行けないという状態になつて來ておる。こうい企業がめちやくちやにつぶれるというときに、失業保險と労災保險だけがつぶれないで、今までのルールでやつて行けるか、保險経済という立場で、実際の失業保險の目的を達するまでに、ほど遠いようなわずかな仕事をやつて行かなければならないということになつている。そういう面からも、保險を一つの経営と考えて、何とか料金でつじつまを合せて行くという考えでなしに、國の大きな政策の一つの部門として、とにかくこつちの部門から出で来た失業者は、こつちで何とかしなければならないという建前から、失業保險の問題と取組んで行かなければならないと考えるのでありますが、その点についてお考えを承りたい。
○齋藤(邦)政府委員 御指摘の通りこの失業保險法は、失業した場合に失業保險金を支給して、それによつて生活を保障して行くという建前になつている法律でございます。そしてこの法律の運用にあたつては、民間の保險料ばかりではなく、政府も保險料の三分の一を負担する。すなわち政府、事業主、労働者三位一体になつて、この事業を運営して行くという建前で考えております。この保險法そのものも、國の失業対策全幹の一環として運営して参つておるわけでございまして、ただいまお示しになりました御意見と、私どもの考え方とは、そう違つておらないのではないかと思います。
○土橋委員 ただいま春日委員から失業保險に関する問題について質問がありましたので、私は、これから政府の提案されておりまする職業安定法の一部を改正する法律案及び緊急失業対策法案あるいは労災法の問題について、逐次御質問したいと思います。 まず職業安定法の一部改正に関する政府提案の理由でありますが、政府に経済九原則の実施にあたりまして、深刻なる失業が出ることを予想して考えられておるわけであります。これはやはり吉田内閣總理大臣のもとにおける、政府の政策よろしきを得ないために出て來る結論で、われわれはこれに反対すると同時に、またその結果についても、われわれ議員がこの問題についていろいろ討論なり質疑をかわすということは、考えてみれば、これはまつたく政府の責任ではないかと考えておるのであります。しかし当面の問題で、失業者が出るとか、職業安定法の一部の規定が改正せられるというような現象は、遺憾な現象であつて、こういうことがないことを、こいねがわなければならないのでありますが、しかし当面の問題として、われわれはこういう質問をするのであります。まずこの間の政府の御説明によりますと、学校卒業生で、おそらく十方程度就職できない者があるであろうという御答弁であつたのであります。しかし私の考えるところでは、六・三制の実施に伴いまして、学校別に考えると、現在全國に中等学校あるいは小学校の数は二万五千九十余校、専門学校において二千七百八十余校、大学は九十余校あるはずでありますが、政府の説明から行くと、この全國の学生諸君で一校について三人程度就職できないものを見込んでいるようであります。はたしてこの数字が正しいかどうか御答弁願いたいと思うのであります。労働省では十万という説明をしたが、その十万しかないと見込んでいる根拠について、明確な御答弁を願いたい。
○齋藤(邦)政府委員 十万という数字を申し上げたのでありますが、これは私そのとき申し上げましたように、安定所がここ最近において就職することが困難であろうというものをつかんだ数が十万である、こういうことも申し上げたわけであります。
○土橋委員 そういたしますと、大学は出たけれどという言葉が、かつて私らが卒業当時ありましたが、一体政府はどの程度実際就業できない者を見込んでいるか。政府の資料は政府が一番お持ちでありますので、今までのすベての状況から見て、どの程度失業者が出るであろうということについて、御答弁願いたいと思うのであります。
○齋藤(邦)政府委員 本年度の学校卒業生につきましては、文部省その他教育行政廰とも目下打合せておりまして、詳細な統計は今のところ持合せておりません。
○土橋委員 そういたしますと、昨日の御答弁では十万ということが速記録に載つておるはずでありまするが、從來の職業安定所において取扱つたものから見ると十万である、かように訂正しなければならぬと思うのであります。國民には、十万程度しか出ないという印象を、政府の答弁によつて與えておりますので、現実の数はやはり文部大臣なり関係責任者が出て説明されるところでは、学校の数を申し上げてもこれで約三万の学校あるわけでありますから、相当の失業者が出ることは明瞭であります、これに対してこの職業安定法の一部を改正する法律案においては、学生生徒の就職のあつせんについて、学校当局をブランチの状態に置いてやらせるものと、協力態勢によるものと、二通りあることを説明されました。ところが一般地方の教育職員も、行政整理という面において、人員の削減が現在各校において起つているのであります。これは教員諸君が予想されておつた以上、苛酷に現在行われているのであります。そういう際に学校長、あるいは学校教職員に対して、就職のあつせんを要請するようなことは、きわめて苛酷な労働になるのではないか、かように考えておるのでありますが、労働省のお見込みはどのような程度であるか、御説明願いたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 前段のお尋ねの十万の数は、私は最初から安定所においてつかんだ数字であるということを、申し上げておりまして、初めから十万が学生全部の未就職者の数字だということは申し上げていないつもりであります。 なお後段の学校の問題でありますが、これは御承知おきいただきますれば、御理解が容易かと存ずるのでありますけれども、御承知のように、専門学校あるいは大学等においては、学生課というようなところで、現在でもある程度やつておるわけでありまして、この法律の改正によつて、むりな仕事を学校にお願いしようというのではありません。すなわち学校を安定所のブランチにするという場合には、学校の要請があつた場合、学校からやりたいと頼まれたときに、その学校にお願いしようというのでありますから、学校が自主性を持つているわけであります。自分の学校の教員の能力の範囲内において、やりたいという要請があつたときに、初めて二十五條の二の規定が発動するわけであります。それから学校が無料の職業紹介事業としてやろうというときには、今度は労働大臣に届出をしてやることになるのであります。これも私どもの方では、そういうことをやれという命令をするのではないのでありまして、学校の独自の判断に基いて、こういうことをやる場合に、どういう手続になるということを書いたにすぎないのであります。從つて今御意見にありましたように、職員不足の折柄、むりな仕事をやらすというつもりはないのでありまして、学校が自主的にこういうことをやりたいという場合に、こういう手続にして簡易にやつていただきたい、こういう意味であるのでございます。
○土橋委員 ただいまの政府当局の説明ならば、何もこういう法律をつくらなくても、やりたいものはやるし、やらないものはやりません。こういう法律をおつくりになつて、学校当局に要請して協力態勢を望まれるということに、各学校において、先生自身も自分の教えた子供が早く就職して、安心の道をたどるようにしたいというのが人情の常であります。そういうような心理状態と相マッチして、こういうような法律がつくられたものと思うのであります。ただいまのような答弁で、やりたいものはやれ、そういうものは協力しようじやないか、そういうものではないはずであります。学校においても、そういうような方法でやろうではないかということが、この法律の精神である。從つて今の御答弁では了解できない。そういうものであつたら、こういう法律をつくる必要はない。現行の職業安定に関する法律で十分であります。各校の状態において、そういう態勢をとつてもらいたい、学校の教職員においても、專門的な公共職業安定所と連絡をとつてやるということまで規定しておるわけであります。そういう点について、特に教員不足の折、労働省ではどういうような方法を考えておられるか。たとえば労働省の方において一定の手当なり、あるいはそういうものを支給する考えでおるかどうか、この点に対して御説明を願いたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 土橋委員のお尋ねでありますが、学生、生徒の職業紹介については、御承知のように現行法ですと、労働大臣の許可を一々受けなければ、できないのでありますけれども、学校の公共的な性質から申しまして、それから学生、生徒の職業紹介ということが、将來だんだん緊急な問題になりますので、今回その手続を労働大臣に届出をすることによつて簡單にして行こう、こういう意味であります。現行法の通りでやるということでありますと、労働大臣の許可を要するという建前になるわけでございます、そこを改正しようというのが、今回のこの改正の一部をなすわけでございます。それからそれは別として学校が安定所のブランチになるという点については、この法律の二十五條の三の何項かにありますように、安定所におきましては、求人票、求職票の交付、その地の財政的援助も、経済的な援助もなし得る道を開いてありまして、求人票、求職票、こういうものも交付いたして参りたい、かように考えておるわけでございます。お説のように将來はそういう学校の職員に手当まで出す、これに一つの理想かとも存じておりますが、目下の國の財政からは、そこまでは全品のところは不可能でありますけれども、将來はお説の点十分研究いたしまして、考究いたしたいと存ずる次第でございます。
○土橋委員 それでは次に、身体障害の者について職業補導を強化すると書いてありますが、私の調べた範囲では労働省の職業補導に関する予算は一億七千五百三十五万余円であつたと思つております。そういうような一億七千五百三十五万円の予算で、全國の補導所は四百あります。この四百の補導所に対して、——もちろん各公共團体からも補助せられると思いますが、そういう金額を加算いたしましても、四百の職業補導所が今日一年間の予算として考えられるものは、五十万程度であろうかと思います。六十万にならないと思います。こういうような措置で、どういうような補導教育をやらんとしておるか、御説明願いたいと思うのであります。
○齋藤(邦)政府委員 お尋ねの点の、國の予算の一億七千五百三十五万円の問題でありますが、これは身体障害者職業補導と一般の職業補導と両方入つておるわけであります、これは御承知のことと思います。一般の職業補導については大体補助率としては経常費は三分の二を補助する、すなわち一般の職業補導所の経費は一億六千万円程度でございます。これは大体全國の三百箇所の補導所でございます。これに対しまして経常費は三分の二の補助をする、施設費については二分の一を補助する、こういう建前になつております。しかしながら現在の問題としては三分の二と申しておりますけれども、地方においてはこの職業補導にきわめて熱心でございまして、地元においては三分の一以上の負担を出しておるような次第でございます。身体障害者については五箇所あるのでございまして、それは一千四百五十三円、約一千五百万円が五箇所の分でございます。すなわち一箇所三百万円程度が身体障害者の分であります。今日までのところ、大体経常費あるいは施設費等は、地方の非常な御援助を願つておりまして、順調に進んでおるわけであります。
○土橋委員 この前実は労働省に参つていろいろ調べたときにも、たしか全國には四箇所あると聞いております。これは大きな問題ではないですから、一箇所くらいどうでもかまいませんが、要するに一億七千五百三十五万円で、全國で職業の補導を受ける者がどれだけの数であるか、これはおもにどういうような補導を行おうとしておるのか。授産とかいろいろありましよう。そういうものについて概略説明していただくと、この予算がどの程度の比重と力を持つておるかということがわかるのであります。これは二階から目薬のような、あるいははつきりしない架空な予算ではならぬと思います。労働省として職業補導なり、あるいは職業紹介に対して本腰を入れた行政措置をやらんとするならば、こういうわずかな予算ではなりませんので、これは労働大臣。御努力と、さらに労働省全員の努力がやはり閣議等に現われてない証拠を示すものであつて、私はその内容について御答弁願いたいと思うのであります。
○齋藤(邦)政府委員 職業補導施設は、昨年度までは身体障害者の補導所としては東京、大阪、福岡の三箇所でありました。今年はさらに二箇所を増設しようということで、今年の予算では五箇所の身体傷害補導所ということに相なつております。一般の職業補導につきましてはいろいろな種目を行つております。大体箇所といたしましては三百箇所の施設でありますが、補導の種目といたしましては四百以上の種目にわけております。建築工あるいは木工の補導所、あるいは附属建築あるいは機械、手工業、食品加工、和洋裁、事務といつたような職業補導を行つております。それからお話の中に授産を補導と御一緒のようにお話がありましたが、授産は補導と違うのでありまして、これはいわゆる共同作業施設ということで、別に経営をいたしております。この分は別の失業対策事業費の中に含まれておるわけであります。
○土橋委員 そうすると私はけげんに考えますが、ただいまそういう職業補導をしても、全然使い手がないという状況であるのに、そういう職業補導で十分でありましようか。今実務に携わつておる者で、わが党で考えると、全國一千万の失業者が出ると考えておるのに、あなたは補導をどういうところに持つて行くのであるか、その点をちよつと伺いたい。
○齋藤(邦)政府委員 職業補導の種目につきましては、毎年々々あるいは時期的に、労働市場の需要にマッチするように、補導の種目を選んで行くということが、一番大事なことであるのであります。從つて戰後においては、御承知のように木工、建築等が非常にたくさんできて参つたわけであります。しかしながら現在の市場の需要から申しますと、そうした面においてはあまり必要がなくなつて参りました。そこで現段階におきましては木工、あるいは建築という方面の職業補導は、整理統合をして行こう、こういう段階に相なつております。あるいはまた竹細工その他の手工業的なものでございますが、これは職業補導よりも、むしろ共同作業施設的なものでありますので、今回はこういうものも整理統合して行こう。要するに将來の問題といたしましては、あくまでも労働市場の需要にマッチする種目を選んで行く、こういうことに進んでおるわけであります。失業がうんと出る際に、職業補導をいたしましても、就職が困難ではないだろうかというお尋ねでありますが、私どもは将來の伸び行く労働市場の需要というものを、にらみ合して考えておるのであります。たとえば例を引いて申しますれば、最近においては自動車の修理工は非常に不足いたしております。そこでそういう方面に今年は力を入れてやつて参りたい、こういうように考えておるわけであります。
○土橋委員 それでは、これから各條項にわたつて御質問を申し上げます。私は大体精神がよくわかつておりますので、あえて質問したいとは思いませんが、ただ三十條の規定をごらんになつていただきたいと思う。三十條に「特別に訓練された補導員を置き、必要な資料を作製する」この必要な訓練をされておる補導員、各職業補導所へ参るのでありますが、これは技術的な、今あなたが仰せになつたような、たとえば自動車産業だとか、輸出産業について緊急な職業補導をする。そういう点は政府が時期を見、また産業の状態を見て、そういう補導をするという御説明で、私は了解いたしましたが、補導員を派遣する場合に、とかくわれわれの見るところでは、労働省の一方的な考え方を補導員に教育する場合があるのではないか、こういう点を非常に懸念するわけであります。これははなはだ老婆心ながら、そういう点がありはしないかと考えております。従つて補導員は、申すまでもなくその補導に関する技術の点について、権威ある、実際の就職に役に立つというような人でなければならぬと思うのでありますが、たまたまいろいろな関係でそうでない諸君が、そういう職に選ばれて、そうして自分の失業を補うというような面も多々あるのであります。また政党関係によつて、ある大きな政党、あるいは権力のある政党から、ぜひこれを入れてくれ、じやそういう人に入つてやつてもらおうかというようなことも、ないとは限らないのであります。こういうことについて労働大臣はどういう職業を持つ訓練員を派遣し、どういうような方法でこの補導をするかという点について、御答弁を願いたい。
○齋藤(邦)政府委員 第三十條のお尋ねの点でございますが、これはこの法律の改正の際に新たに入つた内容でございまして、これは一名職場補導と私申しておるのでございます。この職場補導は日本には今まであまりなかつたものでございまして、これは一種の職長教育であるのでございます、すなわち工場事業者の職長が、ふだん労働者を使いまするときの労働者の使い方、あるいは作業の仕方、そういうものについて職長を教育する。その職長の教え方を教育しようというのでございます。すなわち政府はこの補導員を養成いたしまして、その補導員が工場事業場の職長を集めまして、その職長が労働者を教えるときのいろいろな注意、これを教えるわけでございます。すなわち職長が労働者を使いまするときに、やはり労働者をどういうふうに使つた方が一番能率を上げ得るだろうか、あるいは教える仕方にいたしましても、たとえば右から教えるよりも、左の方から教えた方がいいのじやないかというような、いろいろな教え方があるのであります。そういう職長が労働者を使つて、その労働力を十分有効に発揮させる。そのために指導をひとつやろう、そういうわけでございますが、これはイギリス、あるいはアメリカ等におきましてもトレーニング・イン・インダストリーといわれまして、非常に成績を收めておるものでありますので、日本におきましても、労働力を最も有効に発揮させるための一つの職長の教育、これをやろうというのが、この三十條の規定でありまして、これは普通の補導所のいわゆる補導というものとは違うわけでございます。
○土橋委員 そういたしますと、非常に問題は重大だと私は思う。つまり労働條件に関係するもの、労働者諸君の能率が上るように、また工場側においても、十分な経営ができるような意味合いを含んで、どの技術から始めたらよいだろうか。どの仕事はどういう手順で行くかということを補導するのならば、きわめて人選が大切だろうと思うのであります。と申しますのは、労働條件に関係すること、あるいは仕事の効率に関係すること、あるいは能率に関係する点まで補導して、いただくことは、われわれは考えていない。むしろ家を建てるにはどうしたらよいか。この機械はどうやつて、どういうふうに修繕すればいいか。この指導をなさるという人なら問題はないのですが、そういうような労働條件に関することで指示するような補導員ならば、人選なり派遣の方法については、われわれに特に問題があるので、そういう点について、たとえば特に進歩的な労働組合の育成にまで、容喙するような点も起つて來るのではないかと思います。職場規律等においても、自主的に労働組合はこういうふうな方法でやるということを、團体協約で結んでおるにかかわらず、労働省の役人の一方的な意図のもとに、大衆の作業能率の点に関して干渉を加えるということになつて來れば、ますますわれわれは遺憾でありますので、こういう点について、どういう調査方法を考えてそういう者を派遣するか、その点を明確に答弁を願いたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 この職場補導は、労働條件、そういつたものに関するものでは全然ないのでございます。すなわち職長が労働者に対して教えたり、指導したりする、そういう教える方法、指導する技術、教える技能、それをこの職長によく教えて行こうというのでございまして、労働條件に干渉しようとか、労働條件に関與しようという性質のものでは、全然ないのでございます。
○土橋委員 次はこの間の質問で、ちよつとしかお答えがなくて、われわれよくわかりませんでしたが、三十二條の規定で、有料職業紹介に関する問題であります。現在は医師及び看護婦会があるだけという御説明でございまして、これにもやはり美術なり、演劇なり、あるいは工藝その他音樂、こういうものが中心であるのでありますが、こういうものには、はたしてどういう有料職業紹介所があるか、例を一つ聞かしていただきたい。あるいは医師会なり、看護婦会なり、あるいは「その他特別の」と書いてございますので、この点を承りたいと思うのであります。
○齋藤(邦)政府委員 三十二條の但書の美術、音樂、演藝その他特別の技術を必要とする職業というようなものにつきましては、この法律に基く施行規則がありまして、その例がずつと上つております。それを申し上げますと、美術家、音樂家、演藝家、科学者、医師、歯科医師、薬剤師、獸医師、看護婦、助産婦、すなわち國家試驗によつてその資格が認定されておるような性質のもの、弁護士、弁理士、計理士、美容師等であるのでございます。かくして今日まで許可いたしておりまするものといたしましては、大体において医事関係のもの、看護婦関係のもの、演藝関係のもの、これには藝術家等も含まれており、またそうしたものが相当あるのでございます。
○土橋委員 続いて私は三十三條の二について質問申し上げたいが、ここにはこういう條項を提案せられております。「大学及び高等学校以外の学校の長がその学校を卒業した者について行う職業紹介は、その者がその学校を卒業した後六箇月以内の場合に限るものとする。」こういう制限をなぜこしらえたか。これは教えられる生徒も、教える教職員諸君も、自分の子弟に六箇月しか職業紹介をやれぬということであつてはならないのであつて、やはり一年であろうと、一年半であろうと、その人がりつぱに職につくまで、やはりめんどうを見る氣持があつて、お互いにやつておると思います。從つてこういう制度をどういう必要があつて設けたか、こういう條文は撤回すベきである、かように考えております。政府の御答弁を願いたい。
○齋藤(邦)政府委員 御承知のようにこの規定は、大体におきまして大学、專門学校程度の学校を、実は対象としておる規定でございます。二項等も関連して御説明申し上げますと、御理解願えると思いますが、すなわち小学校、中学校程度の学校に、こういう仕事を行い得るということにいたしますると、今日までのところ、きわめて弊害もあつたわけでございます。土橋委員あるいは御承知と思いますが、繊維女工の募集につきましては、日本はきわめて苦い経驗をなめて参つておるのであります。繊維業界その他の方面の御意向によつて、学校がみずから遠隔地にそういうふうな募集を行うということになりますると、弊害も出て参るということで、二項でその点も制限をいたしておるわけでございます。それから第一項の面におきましても、もともとそういう小学校、中学校を予定をいたしておりません。さらにまた御承知のように、小学校、中学校でありますと、下からやはりまた上の学校に参るということでありますので、最終学校の方はできるだけ長くやつていただいて、下の方は制限をして行くというのが一番適当じやないか、こういう趣旨で六箇月という規定もでき、それから中学、小学校につきましては、遠隔地の紹介はこれを行うことができないというふうに限定いたした次第でございます。
○土橋委員 いろいろ聞きたい点はたくさんありますが、次は労災法について質問をいたしたいと思います。その前に大臣に、ただいまの一億七千五百三十四万五千円の予算をもつとふやす、こういう予算ではなくして、労働大臣としては将來どういうような考えでもつとふやすか、どうしてこの職業安定の内容を拡充するかの御所見を承つて、次の質問に移りたいと思います。
○鈴木國務大臣 それぞれの主管の事業について、なお予算がほしいというのは、あえて労働大臣だけでなくして、各大臣ともこの予算のもとにおきましては、痛切に感じておることと思います。特に労働省におきましては、御指摘のように、労働問題の重要性、ことに失業問題の重要性という点から、予算につきましては深い関心を持つておるのであります。すでに通過したところのあの予算に対しまして労働大臣、また労働省の努力が足りなかつたのじやないかという御指摘もありましたけれども、その点の認識は、これは認識の相違といたしまして、できるだけのことはいたしたのであります。将來にわたつての努力はという御質問でありますならば、これは極力努力いたしまするし、また以前からしばしば繰返して申し上げておりますように、特に失業対策に関する経費につきましては、特殊の考慮をも拂う、今の職業補導の問題は、失業対策に直接的なものだけでなくして、関係のある部門ではありますけれども、これにつきましても、十分の考慮を拂うつもりでありますことをお答え申し上げます。
○土橋委員 今度の労働者災害補償保險法の問題でありますが、この点について私はこまかい基本的な態度を聞きたいと思います。適用業務の範囲を拡張した、こういうのが第一点の本案の提案の理由になつておりますが、これはまことにけつこうだと思います。私は参考書類がないので、ゆうべも一應考えて見たのですが、ここに施行規則にあるかと思いますけれども、化学製品、あるいは科学研究、病院、沖仲仕というものの業務の範囲が、はたしてこの中に入つておるかどうか、これは非常に問題だろうと思いますが、こういう範囲にも災害補償の保險法が適用されておるかどうか、こういう点についてちよつとお聞きしたいと思います。もう一回言いますと、化学工業に参画するもの、傳染病院、あるいは細菌化学を行う從業員、あるいは化学製品——原子爆弾とか、ペスト研究とか、あるいは沖仲仕というものについてあるかどうか、ちよつとお聞きしたい。
○池邊説明員 私からお答えを申し上げます。ただいま土橋委員から御質問になりました件につきましては、現在の労働者災害補償保險法施行規則の三條に、そういうような危險業務と考えられるようなものは、全部指定してございます。
○土橋委員 それならば次は保險料算定の基礎であります。これは両三日來失業保險でも問題になつておるが、あらゆる労働者がもらうところの俸給及び諸手当の三箇月を越えるもの、そういうものがすべて保險料算定の基準になつております。今度災害にかかり、災害保險の該当者になつたという場合には、保險金支給額においても、同じように全收入を基準として見積られて、保險金支拂いの額になつておるかどうか、この点をお聞きしたいと存じます。
○池邊説明員 保險の原則から申しますと、保險料の基礎になるところの賃金ベースをそのまま支拂いの方にやるというのが、純然たる保險の原理だと考えるのでありまして、その点については一應の御説とうかがえるのでありますが、ただ労災保險そのものは、御承知のように基準法で規定されたところの使用者の災害補償の義務、つまり労働者が負傷、疾病にかかつたような場合には、基準法上では、これらの労働者に対して災害補償をしなくちやいかぬことになつております。ところが現在の経済情勢におきまして、あの基準法に規定されたところの災害補償を完全に施行するためには、大きな産業ならいざ知らず、小さい産業につきましては、おそらく三十万円、四十万円、あるいは場合によりましては五十万円といつたような大金を支拂うことになつて、産業自身を破滅せしめるような結果にもなる。そうして見ると、せつかく基準法で、そうした負傷、疾病を受けた労働者の災害補償を受けるところの権利を規定したことが、実は絵に書いたもちに終つてしまう。こういつた意味で、一つは産業自身の一定の積金によつて、安心して事業を続けられる。同時にまたその半面、労働者が災害の場合、補償を受けるところの権利が、いつでも守られて行く、こういうような二つの理由で、労災保険というものが制定せられたわけでございます。從つて基準法上におきましては、御承知のように十二條がありますが、臨時に支拂われるもの、あるいはまた三箇月を越える期間に支拂われるような賃金というものに、災害補償の場合の平均賃金の中には含まれていないのでございます。そうすると、土橋さんがまた逆なお考えをお持ちかもしれませんが、それはとるときの保險のベースを、なぜそういうものを除いたものでとらないかというようなお考えにもなろうかと思うのであります。これにつきましは御承知のように、この保險は保險料をとるのは事業主からとる。そうして拂うの労働者に対してなんで、そのとるものは、労働者の災害補償を満たすだけのものをとればいいのだ、こういうことになつて來まして、ある一つの産業に、災害補償費として充当し得る程度のものをべースとしてとればいいか。こういうことになりますと、勢いその産業で支拂うところの賃金総額によつてとることが、最も簡便であります。なおこれにまた、三箇月を越えるものを從來は除いておつたのでありますが、実際問題といたしまして、この三箇月を越える期間に支拂うところの賃金なるものは、ある場合においては労働組合の攻勢によつて、使用者はただ今までの賃金の足らないところを補給するのではなく、むしろこれは一時越冬資金だとか、いろいろな名目をつけて出す、こういうことによりまして、大きな産業においては、そうした労働攻勢によつて賃金の補給金として渡すようなものは、一時的なものとして保險料算定の基礎となる賃金から除くわけで、一方小さい産業においては次々にそういうものが合まれて行く。こういうことになると、負担の面において非常にアンバランスを生ずる。こいいつた意味において、今回保險料をとる場合には、労働の対價として支拂われた一切のものに対してとる。そのかわりに基準法のそのままを拂う、こういうぐあいになつております。
○土橋委員 ただいまの御答弁で政府は語るに落ちたと思う。それは労働基準監督に從つて、的確に各業者の機械設備、あるいは機械の中身、あるいは工場の設備の点檢を嚴重にするならば、災害は起らなかつたであろうという場合もあるし、また意識的に工場主が、たとえば東京都西多摩郡の日本セメント西多摩工場の例を引いて見ますと、直径一間半もあるようなかましかも長さが四十メートル、ないし五十メートル、こういうかまが回轉してセメントを焼くのでありますが、ところがこのかまは十五年程度の延命数しか持つていないことが科学的にも立証され、あらゆる面からいわれておるのであります。ところが今日二十四年ないし二十五年使つておる。そうしてかまに亀裂を生じたというような場合に、労働基準監督署がこれを十分監督して、業者に対してもつと前に、こういうかまをいつまでもやつてはいかぬではないか、とりかえなさい。こういうことを言う責任が國家にある。ところが業者の方でも、監督官もこれをやらないで、水をぶつかけてはやつている。そうして中のれんががとれてしまつて、側はだが熱くなつて、まつ赤になつて來ると、水をぶつかけてはどんどん回轉さしておる。こういう情勢を監督官も、企業家も、資本家も容認しながら、それによつて起る災害は、労働者の犠牲と負担においてこれがまかなわれるような傾向を來すわけであります。從つてこういうことを考えた場合に、政府のそういう監督行政が適切でないために起つて來る機械なり、設備なり、階段なりあるいは天井なり、強風なり、あらゆるものについて、三年、四年について一回しか監督ができないというような機構を持ちながら——これは政府の全責任においての監督行政が適切であれば、そういう災害は十分予防ができるのである。私が言いたいことは、労働者諸君の不注意と過失によつて災害をこうむる場合はごく少いのであつて、國家が善導し、國家が監督行政を適切にし、なお資本家側の諸君がもうけることばかり、ふんだくることばかりやつてないで、もつと正しく機械の延命数、あるいはその機械作業能率全体を考えて、これはただちに直さなければならぬ。そういう良心的な資本家諸君は、日本では寥々たるものであると思うのであります。こういう事態について、労働省がこの災害補償保險法を制定するにあたつて、今春日委員からも御指摘があつたように、これを單なる一般民間における保險法の原則に從つて、いわゆる保險加入者の共同防衛のためにやるというのではなくして、やはり災害保償保險でも、失業対策に関する保險でも、これは國家がもつと強く労働者階級諸君のために、大きく保險額のわくを越えて、保險の原則を越えて、國家、資本家の全額負担によつて、労働者の救済をするという措置が講ぜられるべきである。もしこれを普通の養老保險とか、あるいは人の保險とか、物の保險のような考え方で、保險の範囲内において、保險経済なり、保險の経理能力の範囲において考えるならば、こういう保險はやらない方がよろしい。從つて私はそういう意味から、この労働者がこうむるであろうところの災害については、むしろ労働者の過失なり、不注意というものよりは、資本家の諸君が適切なる階段の設備をしないとか、あるいはすべるようなものについては、十分なゴムを敷かないとか、そういうことから起るので、機械の設備について十分な機械の延命数、事務量、あるいは生産高等によりて、これを逐次やるように、國家が嚴重なる監督行政を行わなければならぬと同時に、資本家諸君がこういう災害保償費を出すということ自身は、資本家諸君の恥である。これは日本の産業状態がいかに幼稚であるか、いかに資本家諸君がもうけるために一切の労働者を犠牲にしておるかという証左でありまして、それがこの労働者災害補償保險法が出た根本的な原因である。從つてこういうものがないようにする措置を、労働省において考えておるかどうか、この点を明確に御答弁願いたいと思うのであります。
○池邊説明員 お説の通りでございまして、かつて労働省が設置されます場合に、労災保險法を他の社会保險から分離した理由も、実にただいま土橋委員から申されましたところにあるのではないかと思つております。御承知のようにわれわれ自身といたしましても、現在災害補償の保障の仕事をやつておりますが、しかしそのほんとうの目的は、むしろ災害補償をするというのではなくして、こういうような不幸事をなるべく事前に、積極的に防止するところにあるのだ、つまり不幸にして一たび災害が起つたときには、そうした所に監督行政も合せて推進し、将來さような災害が再びその事業なり、あるいは工場なりに起らないようにするということが、労災保險法が基準監督行政の主管官廰である基準局関係に所管されたほんとうの理由であると思うのであります。将來、申されました点につきましては、われわれも十二分に事前の積極的な方途を、同時にまた不幸にして万一災害が起つた場合については、予後の災害補償について、十分にいたしたいと考えております。
○春日委員 ただいまの御答弁非常にけつこうでありますけれども、この労災保險のできる以前、健康保險で全部扱つておつたころは、私ども工場におつたけれども、大体自分で腹痛を起したという場合には、六割しかくれない。しかし工場でけがをしたというときには、健康保險で六割くれて、あとの四割は会社で補助する。いわゆる公傷という場合には、傷ついた日から全額給與を補償するということに、私どもはやられて來ておる。ところがこの労災保險を見ますと、それが六〇%ということになつておる。現在の賃金でも六〇%ということでは非常に生活に苦しいために、たとえば珪肺というような問題でも、最近は東京にも神奈川縣にも珪肺が非常に起つておりますけれども、みすみすお前さんは一期だ、二期だと言われても、それでは休んでなおせと言つたところで、六割ではどうもしかたがない、一期や二期なら、何とかむりをすれば働けるからというので、働いてしまつて、どうにもならないことになつてから、打切り手当をもらつて死んでしまう。こういうことになつておる。これは私非常に不当だと思う。以前でもすでに公傷の場合には、一〇〇%をもらつておつたのである。これを一〇〇%にする考えがあるかどうか、この点お伺いいたします。
○池邊説明員 前にも申しましたように、労災法は現行の基準法の災害補償の最低の線を裏打ちしているというようなものでございまして、これを、申されましたように、百分の六十から百分の百というところにいたすような考えはないわけであります。ただ補足的に申し上げますと、われわれといたしましては、災害が起つたような場合に、その労働者に対して百分の六十をやる、しかしながらその百分のあとの四十とか、場合によつたらそれ以上のものは、これは使用者対労働者の協約においてやり得る問題ではなかろうか、さように考えておりまして、災害が起つた場合には百分の六十でなくてはならぬという規定にはなつておりません。その点は対労働組合と使用者との関係において、議せられる問題ではなかろうかと思います。
○春日委員 百分の六十は、別にそれ以上資本家から出させてもいいのだというお話ですけれども、大体こういう法律で百分の六十ときまると、その最低が最高になつてしまうというのが日本の普通の状態です。だからやはり法律に百分の百というようにすべきではないかという点を、私はお伺いしているわけです。
○池邊説明員 その点につきましては、基準法の問題も同時に関連することだと思うので、労災保險法のみにおいて考えるということにはならぬと思います。
○土橋委員 ただいまの説明で非常に私は意を強うしたわけでありますので、将來は民間における態度をできる限りそういうような方向に、労働基準監督と並行して——これは保險額のいろいろな説明もあるけれども國家保險としては、十分措置をしなければならない。そういう方向に発展しなければならぬ。こういう御答弁であつたように私聞きましたが、まことにけつこうだと思うのであります。ぜひともそういう方向へ、この失業保險なり、災害保險というものは、行くべきだと私も考えておるのであります。 次は條文に関してちよつとお聞きしたいのでありますが、第十八條の規定を見ますと、こういう規定が書いてあるのであります。「その納付を怠つた期間中に生じた事故に対する保險給付の全部又は一部を支給しないことができる。」こういう規定がありますが、の規定は、一体これによつて直接被害をこうむる者はだれでありましようか。この点をお聞きしたいと思います。
○池邊説明員 第十八條の御質問かと考えますが、これは懲罰的な考え方で規定したものであります。万一その滞納しておるところの使用者において、基準法にきめられたところの補償が履行できなかつたような場合においては、もちろん政府においては補償費を支拂うわけでございます。実際迷惑をこうむる者は労働者でありますから、この場合は立ちどころに基準法上の災害補償はいたすわけであります。
○土橋委員 そうしますと、この規定はむしろ抹殺すべきではないかと思うのであります。これは私昨晩も見たのでありますが、一体直接被害をこうむつておる者は労働者であり、しかも災害補償保險金をもらうものは当然労働者であるわけであります。にもかかわらず、こういうような規定があつて、資本家の諸君がもし自分の経済不如意のため、あるいはただいまのような賃金の遅配、欠配が行われているときには、こういう金を政府から頂戴しても、あるいは金が自分のふところにあつても、これは手続上の不備であるとか、また手元にないというようなことでやらない、直接被害をこうむるものは労働者であります。從つてこの規定を設けるならば、この規定の中間的な措置が、この規定のうちに織り込まれていなければ、効果がないのであります。あなたが認められておるように、直接被害をこうむるのは労働者でありますので、労働者に対して國家が拂つた金が、ただちに渡るような措置が講ぜられる規定が、なければならぬと考えます。
○池邊説明員 ただいまの私の御説明は多少まずかつた点があつて御理解が十分にしていただけなかつたと思うのでありますが、滞納事業主の事業場におきまして、労働者が業務災害をこうむる、そういつたような場合につきましては、今までわれわれの扱つて來ました事例から見ますと、立ちどころに基準監督官が災害補償の催告を使用者にするわけです。何日以内に、基準法上の災害補償の義務を果せということを命ずるわけであります。そうして万一その期間中に支拂わなかつたような場合につきましては、基準法上の罰則を課す、同時にまたその場合におきまして、使用者においてどうしても、出すだけの金がないということになりますと、これは滞納しておりましても、政府自身から災害補償をする、こういうことになつておりますから、現実の問題におきまして、労働者がもらえなくなるというようなことは、今までなかつたのであります。またそういうことをしたこともございません。
○土橋委員 それでは大体これでこの質問は終りますが、次に労働大臣に伺います。今日までの政府の御答弁によりますと、一体労働者災害補償保險法は、國家並びに資本家側の全額負担によるところの補償制度でなければならぬということは、大体理論的にも、政府説明の方向についても、わかつたのであります。将來はこういう方向について、さように國家の予算を見積る、あるいは資本家側の諸君に、さような要請をする意思を労働大臣は持つておるかどうか。あるいはこのままで、やはり労働者諸君がすべての災害に対する負担もやつて、災害補償というものを遂行して行こうという考えであるか、明確な御答弁を願いたいと思います。
○鈴木國務大臣 御質問の意味は、あるいはあえて災害補償とか、失業保險とかいうものだけに限らず、廣い意味における各種のそういうものを総合した、一つの社会保障の制度をさしての御質問であつたのかとも、とれますけれども、そうでありましたならば、簡明率直にお答えいたします。國力の許す限りは、資本主義生産の國においても、そういう方法をとるのが正しいのであつて、ただイギリスのようなああいう段階にまで、日本の現状においてやつて行けるかどうかという問題につきましては、深い現実に対する段階的な考慮が拂わるべきであると思いますが、方向としてはその方向が間違いないのだと考えております。
○土橋委員 大体民主自由党は、その字の示す通り、民主的で自由な政策をやるのが本質だと思う。ところがその民自党の労働大臣から、この労働者災害に関する問題、失業に関する問題については、イギリスの例もあるし、そういう例から勘案して、やはり國家、資本家の全額負担の方向にある、こういう御説明であつたようでありますが、私は鈴木労働大臣として、在職中にそういう正しい主張を閣議にかけ、あるいは法律を制定して行う意思があるかどうか。そういう御趣旨であるならば、またわれわれも鈴木労働大臣の所見については、見直しをしなければならぬのであります。ぜひとも御高見を承りたい、かように考えております。
○鈴木國務大臣 ただいまの法案そのものには、最終的には関係があるかもしれませんが、直接には関係のないような御質問でありまして、ちよつと私の方でもまごついたのでありますが、それは私自身の政治力と申しますか、それよりは社会情勢の進歩と、それから民主自由党の現在の内閣が、土橋さんの御指摘になりましたような社会性を深く身につけて、良心的に政治を進めて行くかどうかという問題にかかつて來るのでありまして、民主自由党もまた決して保守反動ではないのでありまして、その考えには決して反対の余地は持つておらないということを申し上げます。
○土橋委員 ただいまの御答弁を聞きますと、民主自由党の政策を御発表になつたようでありますが、私は鈴木労働大臣としてそういうふうな國案及び資本家側の全額負担による、補償制度を確立する意思を持つておるかどうか、そういうことを來るべき國会においても、本國会においてもやる意思があるかどうかという点をお聞きしております。大体ただいまの答弁であなたの心中はよくわかりましたので、御答弁はいりません。 次の問題でありますが、先ほど私がお聞きしたときに、ちよつと授産の問題が出まして、政府当局はこれは別だという御説明が、職業安定法一部改正についてありましたが、失業対策の部門として、共同作業については政府は七千七百万円を見込んでおります。この内容について、どういうふうな方法で、だれが監督して、どこで行うかということについて、ちよつと御答弁願いたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 共同作業施設の予算の点のお尋ねであつたのでありますが、これは約八千万円程度でありまして、約四百箇所でありますので、一共同作業施設四十万円と計算して、その半額約二十万円、これを補助したい、かように考えておる次第であります。
○土橋委員 私のお聞きしたのは予算は七千七百万円、私の方がよく知つている。それでこの予算では不十分であるわけだ。今あなたの仰せになつたようなことでなく、これに対してはどういう事業種目ものについて共同作業をするのか、将來これに対して労働省はどういうふうな予算をもつて共同作業を促進するかということについてのお考えをお聞きしたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 共同作業施設の種目につきましても種々さまざまなわけであります。洋和裁の職業補導、手藝的なもの、今全部の資料を持つて参つておりませんので、手元の数字が見つかりかねまして御説明申し上げられませんが、そういう種々さまざまの種目を行つておるわけであります。大体におきまして私どもの方は、経常費についての二分の一の補助、こういうつもりで考えておる次第であります。
○土橋委員 そう簡単にあなたは御答弁になりますが、これは労働省の失業保險と失業対策に関する部分において、重要な部面を占めておるのであります。これは政府の説明でも、特に項目をわけまして、共同作業については七千七百余万円の予算として出ているので、労働省の職業安定に関する事業としては、非常に重大なる業務になつておるわけであります。ところで今私が申し上げたい点は、どんどん失業者が出る、そうして公共職業安定所において紹介をするし、あるいは補導もする。同時に共同作業によつて——この間私が緊急失業対策法案について御質問申し上げたように、あなたも御承知でしようが、共同作業施設というものをあらゆる方面から強化しなければならないということは、政府の御説明にもあつたと思います。ところが予算は七千七百余万円のきわめてわずかなもので、しかも四百の補導所においてこれをやる。これでどういう仕事ができるか、もつと労働省としてはたくさんの予算を持つてやらなければならないが、緊急失業、都市失業対策の次に属しているこの部面について、どういう熱意と方法をもつてやつたか、そういうことを聞いておるのであります。
○齋藤(邦)政府委員 現在の予算の七千七百八十八万円というものは失業対策費の例の八億円の中に入つておるのでありまして、現在は四百箇所あります。しかしながら先般大臣からいろいろお話がありましたように、将来失業が深刻になりますれば、当然こうした共同作業施設も拡充して参りたい、かように私どもも考えております。
○土橋委員 それは大体御答弁がありましたので、最後にきのう質問したことがいろいろありまして、二箇所ばかり落ちたところがありますので、もう一回伺つておきたいのでありますが、大体政府の緊急失業対策法案の中身としては、公共事業費の五百十八億の問題についても力を入れるが、当面の問題は八億八百八十八万余円のこの予算を中核として行くというような御説明があつたのであります。ところでここで問題になるのは、私が特にお聞きしたい点は、労働省としてこれだけの予算では不十分であるから、さらに何分の予算をとりたい、こういう御意見であつたが、明確に本日は、來るべき臨時國会におきまして、労働大臣はこの緊急失業対策法案そのものの完全実施のため、労働省の失業対策事業を拡充するために、どういう腹案を持つておられるか、どういう御所見を持つておられるかということを、もう一度聞いておきたいと思います。
○鈴木國務大臣 緊急的な失業対策事業の事業種別の骨格的な支出につきましては、すでに各政府委員、説明員から、また私からもお話申し上げた通りであります。しかし土橋委員の御質問の中心は、嚴密に予算を将來の問題としてもどれだけとつて、どのくらいの規模でやるかという御質問だと思います。この点について明確にお答えしたいと思いますが、何十億とか、あるいは何百億というような計画は、今は御説明申し上げる段階に至つておりません。ただ概括的に申し上げますれば、かつてこの予算の以前に組まれた予算、政府が組んだ予算というものは御承知の通りであります。あれらから想像していただきたいと思うのであります。
○土橋委員 もう一点で終ります。そういたしますと、ただいまのこの予定によりますと、政府が発表しておるところでは、都市においての労働者あるいは官吏、会社員、そういう諸君の失業されるものが、毎日大体一万四千人救済できると言つておるのであります。そうして地方において救済できるものが大体六千人ということを言つております。合計いたしましても大体二万程度しか、この予算では毎日できないわけであります。ところが現実には、われわれが指摘しておりますように現在潜在的な失業者、引揚者、さらに行政整理、企業整備による失業者は一千万以上になると思うのであります。そういうような人間を日々二万程度の救済では不都合でありますので、今大臣のお話によると、六千五百億程度の予算を組んだときのあの失業対策で行く、そういうお話でありますが、あれはたしか百五十億とか二百億の予定を組んでおつたように私は記憶するのでありますが、この点についてもう一回御所見を伺つておきたいと思います。 〔角田委員長代理退席、委員長着席〕
○鈴木國務大臣 必ずしも当時の予算に膠着するという考えではありません。もつと多いかも、少いかもしれませんけれども、ただいま申しましたように今明確に私どもの腹案と申しまするか、現在の計画に沿つての数字を申し上げられないので、一つの考えとして思い起していただきたい、こう言つたのであります。もう一度念のために申し上げますと、そのときのあの数字の中には、相当多くの失業保險費というものも、明細はまだついておりませんでしたけれども、入つておつたと思います。失業保險関係のものは、場合によつては予算に組まなくてもいいのでありまして、こつちでもつて予算の必要な部分は、民間の積み立てたこの保險経理の基礎さえあれば——政府は二十一億円現在組んでおりますが、それは予算に組まなくても、義務費として何らかの形で予算に追加してもさしつかえないし、また義務費として当然支拂わるべき問題であります。あのときの最初の政府のつくつた予算の中には、相当の失業保險の方への國庫負担費も入つておつたと思いますけれども、いずれにしても、大体ああいうふうな考えで出発したということだけは、この際申し上げておきます。
○土橋委員 これで終ります。これは日本共産党のみならず、各党の方でも御了解願いたいと私は思つております。ただいま申し上げた緊急失業対策法案の原案、それから職業安定法の一部を改正する法律案と失業保險とありますが、この両案を見ましても、労働省の力足らずして、このようなみじめな予算でこれを通さんとする態度は、逆に考えてみますると、これは失業に対するところの一般労働階級なり、人民大衆に対するこういう法律もつくつた、ああいう法律もつくつた、こういう処置もしましたというような申訳的な法律のように考えられるのであります。從つてわれわれは、これは各党といわず、全力をあげて來るべき國会においても、あるいはこの促進の過程におきましても、十分の予算を政府からいただいてこれをやるということを私はつけ加えて、そういう意見を十分委員各位において御了解になつて、この法案についてはある程度終りを告げるような方法をとつたらいいのではないか。これは民主自由党の方といえども、たくさん予算をとつて、失業救済あるいは労働者の補導安定のために盡されんことを要望して私の質問を打切る次第であります。
○倉石委員長 石野久男君。
○石野委員 私はいろいろと各法案につきまして大臣及び政府委員にお尋ねしたいと思います。 まず総括的な問題につきまして伺いますが、今土橋さんも盛んに言つておりまして、失業対策に対しますところの國家予算、今度組まれたところの予算というものは非常に少いものであつて、これではとても今日の情勢における失業救済の本來の目的は達せられないだろうという、辛辣な御批判があつたわけであります。この法案の失業対策につきましても、政府の考え方の基本になる大臣のお話によりますると、今度の予算から失業者としてほうり出される人員は、大体百二十万ないし百七十万、こういうふうに言つておる。これについて予算が組まれたという御意見だと思います。それでもなお少いのに、昨日の閣議の決定だといつて報告されておるところによりますと、われわれの知つておるところによれば、為替レートの三百六十円の決定がありまして、後においていわゆる輸入補給金の不足額が約百五十億出る。そこから当然いろいろな面に影響が來るわけでございまして、そこから來るところのいわゆる各企業の打撃というものから、必然的にわれわれの予想しておつた、政府が予想しておつた以上に、またそこへ失業が出來るのではないか、こういうふうに私は思います。現在の予算でもなお不足しておるのに、そういう面から新たな條件として、この失業問題について考えなければならない段階に來ておると思うのですが、そういう予算からするところの失業対策費というものについて、労働大臣は特にこの際新しい要求を、この予算の中で操作することを考えていないか、というふうなことをお尋ねしたい。それについては、特に閣議決定の線によりますと、この不足しておるものは、國内の各企業におけるところの合理化を強化せしむることによつて、生産費の切下げを行うということも言われ、またこの事態は結局失業を相当大きく意味しておると思います。なお地面におきますと、輸入補給金八百三十三億のわくの中において、主食に対するところの補給金の増額は操作するのであるということを言われております。そうすると、これは当然他の部門に影響して來るわけでありまして、それだけほかの補給金関係が縮まつて來るのだというふうにも考えられます。これが一般のいわゆる企業の経営の上において、影響して來ることが多いというふうにも考えられますので、必然的にこの問題についての、政府の失業対策に対する新しい考え方を、ここで出していただかなければ、一層失業対策費というものが、比例的に少くなつて行くのではないかと思いますが、大臣の所見いかがでありますか。
○鈴木國務大臣 新しい為替レートの率が三十円高くなつた、それを中心として補給金の問題その他の問題、確かに一應檢討されました。ただこの予算内の操作という問題は、一應のわくといいますか、根本的の考え方が決定されたのであつて、それらの実際上の運営につきましては、さらに大蔵当局が檢討しておるわけであります。從つてどれだけ——たとえば第二次製品のところで吸收できずに、万一第三次製品のところにしわが寄つても——そのしわを寄らせないという方針でありますが、その寄つて來るかどうかの個々の檢討については、なお相当の時間をかけて綿密な計算をしなければ明確にわかつておりません。從いまして私から決定的のこれに対する労働行政、たとえば失業対策の問題というものをお答えするには、まだやや困難な段階にあります。今のところでは、ただちにこれに應じて予算的措置、あるいは失業の問題に、すぐに訂正した考え方をもつて、この國会の会期中にも臨んで行く、きようあす中にも皆さんに提起して臨んで行くという域に至つておりません。しかし相当の影響があることはもちろん考えられますけれども、これは為替の議論、経済論をやるわけではありませんが、必ずしも企業が收縮する面だけではないのでありまして、反対に輸出関係、特に輸出を中心とするところの國民経済振興の問題が、現在一番中心的な考え方である以上、輸出関係におきましては、逆にやや樂になつて來る企業もあるという面もありますので、かれこれ総合したところの結論は、もうしばらく待つていただきたいと思います。
○石野委員 ただいまの御説によりますと、政府としてはこの問題についてに、非常に無責任であるというふうに私は考える。もうすでに為替レートは設定されております。このことによつて、これに関連するところの各企業が非常に大きな影響を受けて來ておる。逆に輸出産業において、相当に楽観的な面もあるということは、私も承知しておりますけれども、しかし輸出産業それ自体におきましても、やはり企業内におけるところの合理化は、必然的に行われるものだと私は考えます。そういう点から考えまして、その面における失業者の吸收率というものに、そう大きく期待できないのではないかと考える。ことに資金の面などを考えますと、そういうことを痛感する。從つてこの問題は、ただこの会期中に、まだ具体的な問題についての方策を、議員諸公にお話する段階になつていないというようなことではいけない。私は大蔵当局が、具体的な問題で詳細な計算を出すということは、あとでもいいけれども、労働大臣として、特に失業行政、失業に対する一つの労働行政というものを持つて行く立場としての考え方が、もつと積極的に出てもらわなかつたならば、ほんとうの意味における失業救済ということが、できないのではないかと考えます。この点について労働大臣としての御意見、どういうような考え方で行かれるかということを、あらためてひとつ聞きたい。
○鈴木國務大臣 先ほどから申しますように、この問題につきましては、個々的には大蔵省、安本とも檢討しております。ただ双方の見解は、昨日閣議の決定として発表された、ああいう大わくにおいては一致しておりますけれども、細目についてはさらに十分に檢討すべき余地があるので、その具体的な計数等をあげた発表は、と言つたのでありまして、さらに今会期中に云々と言いましたのは、これはやや言い過ぎかと思います。今会期中にも皆さんに聞いていただくときがあるかもしれません。ここでただいまの段階におきましては、と訂正いたします。その段階におきましては、明確な具体的な計数をあげて申し上げる段階に至つておりません、という意味であります。なお御指摘のように、放置して漫然と、受身の形でもつて待つておるべき問題ではないのでありますから、御指摘になりましたように、この問題については積極的に新しい角度から檢討を加えて、そうして善処いたしたいと思つております。
○石野委員 ただいまの問題について、ちよつと大臣の御意向を確かめておきたいと思うのでございますが、それは失業対策費として盛られておりまするところの八億余万円の金では、現在不足しておるということをしばしば言われておるけれども、今度為替レートの設定によつて生ずる新しい事態が、この非常に不促しておる額になお一層過重な不足額を加えて行くのだということは、大臣が大体お認めになられましたが、その点からも、今後この失業対策費としての費用の増大に、努力するという御意向があるというふうに了解してもよろしいですか。
○鈴木國務大臣 その通りであります。
○石野委員 それでは私各法案につきまして簡単にお尋ねしたいと思うのでございます。 最初に緊急失業対策法案でございますが、この法案と、それから二十一年の五月に司令部からの命令として出ております公共企業計画原則との関連性について、これはどういうふうになつておるかということをまずお伺いいたします。
○齋藤(邦)政府委員 メモランダムで出ましたのは、日本公共企業計画原則、お手元にお配りしてございまする資料にある通りでございます。このメモランダムで初めて日本において昭和二十一年度から行われて参りました公共事業を、今回はいわゆる法律でいう公共事業と失業対策事業の二つにわけて、その内容を規定しよう、こういうわけでございます。すなわちこの緊急失業対策法にありまする公共事業、失業対策事業、この二つをひつくるめて、これはひつくるめた意味の公共事業、これがメモランダムに出ておりまする公共事業、こういうわけであります。
○石野委員 そうしますると、失業対策ということ自体も、このメモランダムに関連性を持つておるというふうに了解いたしまして、その内容は、当然この公共企業計画原則というものの趣旨に、沿わなければならないのだということは確認してよろしいのでございますか。
○齋藤(邦)政府委員 その通りでございます。
○石野委員 そうしますると、まずこの緊急失業対策法案の第二條の規定でございまするが、いわゆる失業者に就職の機会を與えることを主たる目的としておる。もちろんここには「主たる目的として」と書いてあるのでございますけれども、このこと、それから第二項に書いてありまする公共事業の点におきましては「公共的な建設及び復旧の事業をいう」と、こういうようになつておりまして、失業対策ということは、ただ單に就業の機会を與えるということが、大きく出ておるわけでございます。しかもこのことが後ほどのいろいろな條項に関連して來ると思うのでございます。この点先に土橋君からもちよつと質問があつたようにも、記憶しておるのでございまするけれども、失業対策に関しましての規定の仕方について、もつと第一條に書いておりまするいわゆる「経済の興隆に寄與する」というような意味の趣旨を、盛り込むということについての考え方は、どのようにお考えになつておりますか。
○齋藤(邦)政府委員 從来経済安定本部で一括して所轄して参りました公共事業には、いわゆるこの法律でいう建設的な公共事業と、それから第二條第一項にありまするような、失業者に就業の機械を與えることを主たる目的としてやつておるところの失業対策事業と、二つあつたわけであります。それを、現下の失業の情勢に対処いたしまして、二つにわけまして、はつきりその定義をしよう。こういう意味であります。しかしながら、さればと申しましても、失業対策事業は、何ら経済的に無価値なものであつてもいいということにはならないのでありまして、第二章の失業対策事事の中にありまするように、すなわち第七條第二項にありまするように、あくまで経済的効果のある事業を選ぶということがきめられておるのであります。すなわち経済的に無価値な事業を失業対策事業でやるというのではないのでありまして、資材関係その他によりまして失業者に就業の機会をできるだけ多く與える、そういう目的のためにやる事業である。しかしそれはあくまで経済的効果のあるものでなければならない。すなわち初めて法律第一條の目的にありまするように、生活の安定と経済の興隆に寄與する、こういう目的になると私どもは存じておるわけであります。
○石野委員 そういたしますると、第四條の「左の各号のすべてに該当する事業でなければならない。」という五つの項目の中には、ほとんどこの経済の興隆に寄與するというようなことが、うたわれてないわけでございます。私はやはりこの項目の中に、少くともそういうような趣旨のことを入れる方がよろしいのじやないかと思うのでありまするけれども、その点についてのお考えはいかがでありますか。
○齋藤(邦)政府委員 第四條の失業対策事業の要件は、第二條の規定を受けまして「失業者に就業の機会を與えることを主たる目的として」という、この目的を敷衍いたしまして、失策対策事業の要件を規定いたしたものであります。しかしながらその事業のうちでも、特に経済的効果というものを、第七條の第二項で規定しておるわけでございます。すなわち大体におきまして今日までの公共事業には、経済復興ということを主に考えて参りますると、とかく建設的な事業になつてしまいまして、失業者を吸収するということが、困難なよう実情であつたわけであります。そこで失業者吸收ということをまず第一に考えるか、建設を第一義に考えるかということによつて、概念を区別したのでありまして、失業者吸收、それがしかし経済的無価値であつてよいというのではない。あくまで失業者吸収も、それは常に経済的効果のあるものでなければならない。それから建設事業と申しましても、これはまた一面このメモランダムの示される通り、失業者を吸収される可能性のあるものでなければならない、こういうわけであります。すなわちメモランダムの線に示されておりますように、あくまで失業対策事業、公共事業ともに、経済の建設と失業者吸収という二つの目的であります。この二つの目的のうち、どつちを第一義的にいうか、どちらを第二義的にいうかということによつて、初めて失業対策事業、公共事業という定義になつて來たものと、私どもは存じておるわけであります。
○石野委員 私は第四條の規定はただいまの説明で了得するのでございますけれども、問題は経済の興隆に寄與するということについて、何が從たるものであるかというふうに取扱われまする場合に、失業対策事業というものが、ややもすると全体の國民経済の上から行きまして、むだになるような傾向に走ることをも、また今日日本を復興して行かなくてはならない時期における問題として、考えなければならぬのではないかというふうにも私は思うのでございます。そういうような意味からも、そういうことを條件の中に入れることが必要なのじやないか、こういうように考えている次第であります。 それから第十條の「同一職種に從事する労働者に通常支拂われる賃金の額より低く定めなければならない。」という、この低く定めなければならないということに対する件でございまするが、これも昨日他の委員諸君からいろいろ質問があつたわけでございます。しかし私まだ納得いたしませんので、あらためて質問いたしたいと思うのでございます。先の御説明によりますると、メモランダムの線によつてこの法律が出ているのだということが言われております。メモランダムによりますると、それによつて出されました計画原則の八項においては「事業計画に於て支拂はるべき報酬は定まりたるもののある限り、世上の同種事業に於て行はるるものと同等たるべきである。」というふうに書かれておるのでございます。この点と、これより低くきめなければならないということとの関連性、及びなぜこれを低くしなければならないか、するのかということの御趣旨、その二つの点について御説明願いたい。
○齋藤(邦)政府委員 前段のお尋ねの点でありますが、要するに失業対策事業について、まつ先に第四條の定義の中に、経済的効果のあるものということをかりに書くといたしますると、從來の弊といたしまして、経済的効果というものが主になつてしまいまして、失業者吸收というものはいつも遅れて第二義的に考えられる。こういうふうなのが今日までの公共事業実施の実績であつたのであります。從いまして第四條の失策対策事業の要件にはこれを規定しない。しかしながらどんな事業でもよろしいかと言うと、必ずしもそうではなくして、第七條第二項にありまするように、さまざまな事業種目のうちから、やはりそのうちでも、一番経済的効果のあるものを選ばなければならない、こういうふうに定めたのであります。從いまして私どもは、経済的効果ということは失業対策事業の要件ではなくして、事業種目の決定にあたつての、注意すべき問題だと考えておる次第でございます。 それから賃金の問題でありますが、御承知のように失業対策の根本の原則は、民間の健全なる雇用を促進し、雇用量を拡大し、これによつて就職を確保するということが、第一義的な問題であるのでございます。その次に、政府としていわゆる財政的な負担において行いまするのが、公共事業ということになります。その次に初めて深刻な失業対策というもの、失業情勢に対処して行いますのが、失業対策事業でありまして、すなわち失業対策事業の賃金を、民間よりもむしろ高くする、あるいは民間と同じ程度のものにするということになりますれば、これは仕事の口のない人に簡單な仕事を與えてやろうという事業でありますので、むしろそちらの方に人が集まつて参りまして、健全なる民間雇用の方には人が集まらない、こういうことになるのであります。從いまして世界各國いずれの國におきましても、失業対策事業を興しまするときには、かようなプリヴエーリング・ウエージよりもある程度低くする、すなわち民間雇用を圧迫しない、これが今日までの失業対策事業の賃金の鉄則であつたのでございます。なおメモランダムとの関係でございますが、メモランダムの解釈につきまして関係方面とも打合せたのでありますが、この線に沿うて失業対策事業は行くべきものであつて、これは原則的なことを書いてあるのである。それの細目について、かような例外的のことはさしつかえないものであるというふうに、私どもは考えておるわけでございます。
○石野委員 しからば、その世界各國の通例に從つているという、賃金問題に対するお考えでございまするが、それには非常に私疑議がある。とにかくここに書かれているのは、同一職種に從事する労働者に通常支拂う賃金というふうになつている。失業対策の対象になる労働者でありましようとも、正常の失業でない、普通の労働の職場におる場合でありましようとも、労働を提供するもの対する報酬は、同じでなければならぬというふうに私たちは考えるわけです。それがただ失業者であるからということによつて、定義づけるということ、このことがどうも私たちは理解できない。それでありまするならば、これは労働者としましても、基本的な人権という問題に触れて來まするし、労働法の問題、一切の問題に触れて來るということについては、どういうふうにお考えになつておりますか。
○齋藤(邦)政府委員 結局第十九條の規定に、失業者の吸收というこの法律の前の諸規定の遵法を、強制するための制裁の規定であります。お話のように、第十九條の規定によりまして、事業主体が違反行為をいたしまして、事業の停止を命ぜられるという場合に、失業者が出たときにどうするのかということは、そのときには、おのずから事業主体につきまして、失業が深刻になりまして、どうしても何らかの事業によつて失業救済をやらなければならぬということでありまするならば、事業主体を変更しても、事業というものは続行せらるべきだ、かように存じておるわけでございます。
○石野委員 これは討論ではございませんので、なんでございますが、この問題は、先にありました失業対策事業の内容につきまして、建設的なものを從たるものとするということと、非常に関係があると思うのでございます。あとでまた討論のときにいろいろ意見を申し述べたいと思いますが、一應政府の御説明は承つておきます。 その次に第十一條に「不適当と認める場合には、当該失業者の雇入を拒むことができる。」こういうふうにあります。この問題は職業安定法の第一條の問題、あるいはまた第十九條の第一項の問題との関連性におきまして、職業安定所におきましては、適当なものと認めて、それぞれの職業紹介をやる、あるいはそういうことをやつておるはずでございます。ところが一方におきましては、ここの十一條には無慈悲にも、不適当と認めたものは、そのまま失業者の雇い入れを拒むことが事業主はできるようになつている。この趣旨は相反するものであつて、矛盾しているというふうに私たちは考えておりますけれども、それについてはどういうふうにお考えになつておりますか。
○齋藤(邦)政府委員 御承知のように、職業紹介はあくまで適材適所の職業紹介をするということが鉄則でございまして、私どもは適当な職業につくことをあつせんしておるのでございます。しかしながら公共職業安定所の職業紹介は、事業主を拘束するところの力を持つているものではないのであります。すなわち職業のあつせんをするだけであります。いかなる場合におきましても、事業主は当然拒み得るものでなければならない、私どもはかように考えておるのであります。もちろん安定所におきましては、できるだけ適材適所ということを目標といたしまして職業のあつせんをしておりまするけれども、現場々々の仕事々々によりましては、安定所が適当な方だと思つて行きましても、その本人の肉体的な体力から申しまして、適当でない場合もたくさんあろうかと思つております。そういう場合に、事業主になんでもかんでも、むりやりに使わすのだということでは、はなはだ行き過ぎでありますので、さようなことがあつてはならないという意味におきまして、第十一條の規定を定めておるのでございます。しかしながら失業対策事業につきましては、失業者をあつせんすること、失業者を吸收することを目的として行つて参りまする事業であり、特にこの事業に使用する労務者につきましては、全部安定所の紹介ということになつておりまするので、私どもといたしましては第十條の規定によりまして、事業主体がみだりにその雇い入れを不当に拒むということのないように、十分監督をして参りたい。かように考えておるのでございます。すなわち第十一條の規定の励行ということは、職業安定機関の十分監督すべきところの規定である。かように存じておりますので、その監督と相まちまして、第十一條の規定の適正なる運営をやつて参りたい、かように考えておる次第でございます。
○石野委員 これは第十一條の構成から考えて、職業安定法の第十九條にいわゆる「能力に適合する職業に紹介する」ということになつておりますので、この面で一應安定所として、これに適合しておると考えて紹介した者が、事業主あるいは雇い主、請負をやつておる方々、そういう方々のかつてな判定によりまして、その人たちが、こういうような者はどうも不適当だという認定だけで拒否されるということが、もし是正されぬと、これは非常に大きな問題だと思います。そこで問題になります第十一條の「不適当と認める場合」の不適当と認める場合というのは、いろいろな面があると思いますけれども、特に政府の予定しておる不適当な人というのはどういう者か、一應聞きたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 この「その者の能力からみて不適当と認める場合」という意味でありますが、結局失業対策事業の作業の要求するところの労力と、その本人の能力、そういうものとをにらみ合せて考えられるべきものであると考えております。
○石野委員 その能力から見てということについての、私たちの考えを端的に申し上げますると、その能力から見て不適当というようなことは、純技術的なことであるとか、あるいは身体的なことであるというのに限られておるのか。それとも、たとえばどこどこの組合を首になつた男だからだめだ、あるいは政党に関係しておるからいけないというようなことも含めて、その能力というものが見られるのであるかどうか、ということをはつきり承りたい。
○齋藤(邦)政府委員 組合云々というものは、その者の能力には関係のない事項でございまして、これは完全に作業能力という意味と存じております。
○石野委員 大体十分ではありませんが、了解いたします。それから第十九條でございますが、第十九條に「当該事業の全部又は一部について事業の停止又は補助金の返還を命ずることができる。」とあるのでございます。補助金という問題がここに出ておりまするが、第一番に聞きたいことは、その補助金を出されるところの事業といいますか、そういうものはどういうものであるかということについて、一應お聞きしたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 この失業対策事業の予算といたしましては、御承知のように現在のところ八億八百八十八万円でございますが、それがあるわけであります。それによりまするところの事業は、大ざつぱに申しまして三種類あるわけでございます。すなわち都市における簡易な失業應急事業、それから知識階級應急事業、それから共同作業施設の三つがあるわけでございます。この都市における簡易な失業應急事業、知識階級應急事業につきましては労力費の三分の二を補助する、こういうことになつております。共同作業施設につきましては経常費の二分の一を補助する、かようになつております。第十九條の規定は現段階におきましては、その三つのものを含んでおるわけでございます。
○石野委員 このことと、第一條に書いてありまする法の目的でありまする失業者を救済するということ、それからここでは何かの事故のあつたときにその事業を停止するということ、また補助金の返還を命ずるということ——そうすると、またそこに失業が出て來る。こういう状態が起つて來るわけでございます。法の目的としてきめられておる内容の中に、失業者が増発するところのこういう條目があることは、法の全体の精神から言いまして、矛盾するものではなかろうかというふうに考えますけれども、その点はどうですか。
○齋藤(邦)政府委員 結局第十九條の規定に、失業者の吸收というこの法律の前の諸規定の遵法を、強制するための制裁の規定であります。お話のように、第十九條の規定によりまして、事業主体が違反行為をいたしまして、事業の停止を命ぜられるという場合に、失業者が出たときにどうするのかということは、そのときには、おのずから事業主体につきまして、失業が深刻になりまして、どうしても何らかの事業によつて失業救済をやらなければならぬということでありまするならば、事業主体を変更しても、事業というものは続行せらるべきだ、かように存じておるわけでございます。
○石野委員 そうしますると法の精神から言いまして、失業者が出るということはまずいから、また違つたもので考えるのだ。こういうふうなお考えのように伺つておいてよろしいですか。
○齋藤(邦)政府委員 そういう場合もあり得るということを申し上げるわけでございます。
○石野委員 それでは次に職業安定法の問題につきまして少しお尋ねいたしたいと思うのでございます。第二十五條でございまするが、学生、生徒の職業紹介の原則の中で、いろいろと職業安定の点で、学校に対してその職業補導なり、安定の義務を委任するということが書かれておりますけれども、その全体を含みまして、政府として学生生徒に対する特別な失業対策事業をいたすことの必要性を考えているかどうかということについてまず御所見を伺いたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 学生生徒につきましては、これは内職の問題でございます。内職の問題は、私ども安定所におきましても、各方面の事業にあつせんすることを努力いたしておるような次第でございます。なお新規学校卒業生の未就職者についての職業を、どうするかという問題でありますが、これは一般失業対策事業なり、あるいは職業補導なり、そういう全般的なものの一環として行つて参りたい、かように考えております。しかしながら、私どもが特に本年度におきまして力を入れて考えておりますのは、中等学校の卒業生のことであります。中等学校の卒業生の未就職者のものにつきましては、御承知のように戰爭中以來ずつと、学校の教育課程における職業補導というものはきわめて不十分でありましたので、そういう中等学校を出て就職することができない、いわゆる未就職者のものにつきましては、與う限り職業安定所に入所せしめまして、それによりましてある程度の技能の向上というものをはかつて参りたい、かように考えておる次第でございます。新規学校卒業生の職業の問題につきましては、全般的な職業の一環といたしまして、職業のあつせんをいたしておるような次第でございます。
○石野委員 この條項からいたしまして、全体から見ますると、学校の職業紹介の事業というものが、特に進歩的な学校と申しまするか、そういうようなところにおいては、非常に就職の上から行きまして、不利益が來るのじやないかというふうに考えられるのでございますけれども、その点についてはどうですか。
○齋藤(邦)政府委員 進歩的という意味が、私どもよくわかりませんが……。
○石野委員 進歩的ということは、たとえば学校におきまして、端的に申し上げまするならば、社会科学の方面何かで非常に活発な何か行われておるとか、あるいは思想的なもので、民自党の内閣などで特別な目をかけておるというような学校においては、特に不利益をこうむるのじやないかというようなことを考えるのですが、その点はどうですか。
○齋藤(邦)政府委員 その危惧はまつたくの杞憂でありまして、御承知のように職業安定法第三條には何人も、人種、國籍、信條、性別、社会的身分等を理由として、職業紹介、職業補導等について差別別取扱いを受けることがないとありまして、かように均等待遇が法律によつて保障されておりますので、さような心配は私としてはないと考えております。
○石野委員 この法案の二十五條の三の第五項に「公共職業安定所長は、第一項の規定により公共職業安定所の業務の一部を分担する学校の長に対して、職業に関する情報の提供その他学校の長の行う職業紹介に関する業務の執行についての援助を與えるとともに、」こういうふうに書いてありますが、情報の提供あるいは援助を與えるということが、ややもすると、職業安定所長の学校行政に対する干渉になるのではなかろうかというふうに考えられまするが、その点についてはどうですか。
○齋藤(邦)政府委員 御承知のように職業紹介事業は、学校教育の分野には、何ら容喙するものではないのであります。さような意味合いにおきまして、私どもは学校において生徒に行う学校教育には、何ら干渉する意図もありませんし、また條文から申しましても、そういう面は私どもないと信じておる次第でございます。
○石野委員 先ほど土橋君の質問でございましたかにもあつたのでありますが、学校が自主的にこれをやるのだからというようなことも言われておりました。重ねてまたただいまの御説明によりましても、学校行政には何ら関與するものではないという御説明でありました。しかしながら、この第四條の職業紹介というところの項におきましては、特に就職後においても、公共職業安定所はその補導に当るのだということが書かれておるのであります。就職後においても、そうした補導を行うということの精神は、いろいろと干渉する事項にわたつて來るんじやないかというふうに私ども考えますけれども、それについてどういうふうにお考えになりますか。
○齋藤(邦)政府委員 ただいまのお尋ねの就職後の補導と申しますのは、御承知のように、アフター・ケアの問題でございまして、会社、工場等に就職をいたしましたあとに、その就職した学校卒業生の若い青年がおちついて工場で働いておるだろうかどうだろうか。そういうふうに定着性を確保するために、できるだけ親身になつて相談相手になつてやる、こういう意味の職業補導であるのであります。
○石野委員 ただいまの御説明で私ども感じますのは、アフター・ケアとしてそういうものを考えるのだとおつしやられるのですけれども、しかしそういうことが、ややもすると職場における自由な、いわゆる学生さんなり何なりの行動に対して、非常に大きな干渉が來るのではないか、ことに学生であるから、学園内におけるいろいろな問題は十分考えなければなりませんが、職業について、かりにそれがアルバイトでありましても、その職域におけるいろいろな條件に從つて生ずるそれらの人々の行為というものについて、ややもすると学校から來るところの一つの干渉が、ほんとうに職業を見るという意味ではなしに、他の面からそういうアフター・ケアとして出されるという危險性を感じますが、その点については特別に何か御配慮がございますか。
○齋藤(邦)政府委員 「就職後の補導」という文字は二十五條の三の第五号に入つているのでありますが、これは私どもの政府機関の安定所におきましても、就職後の補導ということをやつて來たのであります。特にこれは中学校程度の卒業生につきまして、とかく遠隔地に就職して参りますと、いろいろさびしくなりまして、家へ帰りたいという者もありましようし、あるいはまたちよつとした不満で仕事をやめたいというような者も出て参ります。そこでそういう問題について親身の相談相手になつてやるということでありまして、会社、工場等の労務管理に干渉しようとかいう性質のものではないのであります。從つて第二十五條の三の学校の長が安定所の業務の一部を行う場合において、その就職後の補導をやる場合においても、さようなことはないものと考えております。しかしこの就職後の補導のやり方等につきましては、私ども学校の方の監督を十分嚴重にして参りたいと考えております。
○石野委員 第二節の職業紹介の件になりますが、いわゆる有料の職業紹介事業を行つてはならない、これが中心だと思うのですが、そのあとで第六項には、実費職業紹介または営利職業紹介業を行う者はそれぞれ労働大臣が云々というふうにありまして、実費あるいはまた営利的な職業紹介というものをお認めになるわけであります。これは職業安定法の精神からいたしまして、こういうようなものの設置ということについては、はたして妥当であるかどうかについてのお考えはいかがですか。
○齋藤(邦)政府委員 御承知のように有料職業紹介事業につきましては、國際條約の線がありまして、原則的にはこれを禁止する建前になつております。從いまして、私どもも、将來は公共に奉仕する國の機関であります公共職業安定所が一本になりまして、無料で職業紹介をやることが理想かと存じております。しかしながら現段階におきましては、さような理想をただちに実現することは困難でありますので、國際條約の線に沿いまして、特殊な專門の技術を必要とする職業につきましては、いわゆる無料職業紹介事業というものを認めることになつているのであります。この職業は先ほども土橋委員のお尋ねがありましてお答えいたしましたように、いわゆる医師、薬剤師あるいは看護婦、助産婦といつたふうな、國家試驗をその営業開始の條件とされておるような職業でありまして、こういう方々の職業については、有料職業紹介事業によりまして弊害も生じない、從つてこういう職業の者については大ぴらにやつて行けるように、特にはつきり許可料あるいは保証金というような監督規定を置いて、それによつてやつて行くということにいたしておるのであります。しかしこれは理想といたしましては、将來なくして行くことを私ども考えて、安定所の職業の指導に当つておるわけであります。しかし現段階におきましては、弊害があまりないこうしたものについて、ある程度の例外的なことは認められなければならない、かように考えておる次第でございます。
○石野委員 この法案の第六十五條には罰則規定のようなものがありますが、特に第三号の「第三十三條の二第一項の規定による届出をしないで、無料の職業紹介事業を行つた者」それから第四号の事項、こういうようなもの、これはほとんどみな学校関係のものであります。これらの人々に対して、六箇月以下懲役または五千円以下の罰金に処するというふうに規定されておるわけでありますが、この規定は特に無料職業紹介をやる建前からいたしましても、非常に酷に過ぎやしないかと考えますが、この点についてはいかがでございますか。
○齋藤(邦)政府委員 罰則の第六十五條の第三号でございますが、これにつきましては、御承知のように学校が無料の職業紹介事業を届出なしにやつたという場合でありまして、この場合につきましては、よその規定との振合いも考えまして、大体におきましてこの程度の罰則が適当ではなかろうかと考えたわけでございます。しかしてこの規定が発動いたしましたるときには、当然に学校の長またはその事業を行つた者は第六十五條の規定によつて、両方とも罰せられることになると考えておる次第でございます。しかしながら御承知のように刑罰の規定としてはかようになつておりますが、こういう刑罰をかけることが私どもは目的ではないのでありまして、今日までにおきましても、こういう例は今までありませんでした。将來ともこの刑罰の規定が発動なくして、円滑にこの規定が運用せられるように努めて参りたいと考えでおる次第でございます。
○石野委員 もちろん許可を受けないで無料の職業紹介をやるということは、法がある建前上、罰せられるのはやむを得ないと思いますけれども、しかしたとえば第三十三條の二の第二項にきめられておりますように「前項の規定により無料の職業紹介事業を行う学校の長は、求職者を、その住所又は居所の変更を必要とする就職先に紹介してはならない。」これはもちろん新制中学校の子供さんたちでありますから、一應は了解されるのであります。しかし就職を必要とするような生活状況に置かれている者が、かりに住所を変更することによつて就学ができないことになりますとか、何とかになれば別でございますが、そのこと自体によつて本人が満足し、またはそれで就職する道が通ずるものであるならば、別段こういうように第六十五條によつて罰則を設けて規定する必要はなかろうと思うのであります。もともとこれは罰則だけではございません。第三十三條の二というものにも問題があるとも思うのでございますか、その点についてどうお考えでございますか。
○齋藤(邦)政府委員 第三十三條二の第二項の規定に関連する問題でございますが、これは御承知のように中等学校の卒業生につきましては、遠隔地の紹介を行わせないということであります。これは繊維の女工等の問題が中心でありまして、いわゆる違法なるところの募集によつて、日本の繊維女工の問題については、いろいろ嘆かわしい問題を投げておつたのであります。從いまして昔の悪弊を二度と再び生ぜしめないようにする注意から、こういう規定ができているのであります。三十三條の二の第二項の規定の違反というものは、私どもとしては重い問題ではないだろうとすら考えているわけであります。しかしながらこの規定は、大学、專門学校という相当知識の高くなりました者につきましては、問題がない。中等学校以下の者についての規定でありまして、私どもといたしましては三十三條の二第二項の違法的な意味から申しますと、違法なる募集を行うものと同じ程度の罰則でもいいのじやないかとすら、考えている規定でございまして、この程度の罰則の規定は、よそとの均衡から適当ではなかろうかと考えている次第でございます。
○石野委員 そういう御説明でありますならば、少し考えてもらわなければならないと思います。もちろん女工哀史にあるように、非常に條件の悪い職業紹介をすることについて、罰則を重くすることは決して私たち反対ではございませんけれども、たとえば隣村に職を求めて、子供さんたちが居所をかえてそこへ行けるというような場合があり得るわけです。必ずしも百里も二百里も離れた所に紹介をしなくても、すぐ隣の所へ職業紹介をしたために、その子供さんが居所をかえることがある、それでもやはりこの規定によりますと、罰則を受けることになる。そういうようなときにはどういうようにお考えになりますか。
○齋藤(邦)政府委員 お尋ねのように隣村に参ります場合にも、住所または居所、結局実際のすみかの問題でございます。実際のすみかをかえる場合には、三十三條の二の第二項の規定の違反になると私ども考えております。しかしながら、そういう場合におきましては、御承知のように隣村に行くときには、住所、居所をかえるという問題は起らないと私どもは考えております。すなわちこれは遠くに行く場合の規定であります。それからなおそこの二項の但書にありますように、労働大臣の許可を受けた場合にはその限りでないのであります。この場合につきましては、労働大臣が許可する基準を別途にきめて参りまして、かような弊害のないようにいたしたいと存じております。隣村に行く場合に、居所をかえるときには、どんどん労働大臣は許可して行く。そういうような許可の基準をつくつて参りたいと思つております。この第二項の規定の大ざつぱな意味合いは通勤区域内のものは問題はないけれども、いわゆる遠隔地に行くという問題でございます。御承知のように大阪の紡績女工さんが、宮崎、あるいは鹿兒島からたくさん來ている、そういう例を頭に入れての規定でありまして、その他の問題につきましては、労働大臣の許可の基準によりまして、解決して参りたいと考えております。
○石野委員 私どもは一言政府に対して苦情を申し上げたいと思います。労働省設置法案にしても、あるいは職業安定法案にしても、あるいは緊急失業対策法案、あるいは失業保險法案、厖大なこの法案を、ごく短時日の間に審議しなければならないということでございます。事務局というものは、非常に政府のこういうやり方のために無視されている形である。事実私どもこれを手元に受けまして、これを読むのに毎日徹夜をやつているけれども、なかなか読めない。政府の方はどういうお考えで出しているか知りませんけれども、われわれはこれをまつたく白紙で受けているのだから読むのに毎日々々徹夜々々をかけているけれども、ほとんど法の実体というものは、つかむことができない状態になつておる。そういうような中からまた——政府も相当むりをしてやつておると思いますけれども、法自体の中にも、非常にあちらこちらに私たちの読みにくい場所がある。あとでまた誤字の訂正などが行われるかもわかりませんが、たとえば職業安定法の中におきましても、第三十三條の中における両替店というようなことなどは、法律用語としてはあまり聞かない。ここでは両替店になつておる。あるいはまた第三十二條の二項などは実際問題といたしまして非常に読みにくい。特に第四項で私はちよつとわからないのですが、「前項の者が、この法律又はこれに基く命令の規定に違反することによつて損害を受けた者は、」ということになつておる。これはどういうことかわけがわからない。こういうようなこと、あるいはまた二十六條の二の方になりますが、「その者の能力に適するよう、補導の種目及び方法を選定し、」というようなことは、ちよつとしたことですが、「ように」というようにするのがいいだろうと私たちは思うのであります。そういうような意味から言いますと、二十五條の三のごときは、大分接続語を入れなければ、最近のいろいろな文章のやかましい時期から言いますと、わかりにくいような文もあるのではないかと思いますので、こういう点に、ひとつ政府の方から早く誤字訂正などを出していただきまして、文を読みやすいようにしていただきたいと思います。同時にこの審議にあたりましても、政府または委員会におきましては、あまり先を急ぐために、法の内容を実際にわれわれが審議することなしに、ただ会期が迫つておるからというようなことだけで、追い討ちを食うような形をされないように、特に私は委員長にもお願いしたいのですが、ひとつ審議は政府の方もあまりあせらないで、もつともつと余裕を持つて審議していただきたい。ことに労働法が明日上程されるということになりますと、この法案などは急いでもらつては困る。実際愼重にひとつ審議さしてもらわなければいけないのでございます。そこで政府の方に苦情としまして、私どもはもつとやはり余裕のある審議をさせるようにしていただきたいということを、ひとつお願いしておきたいと思います。 あと失業保險等についての質問もありますけれども、これはまた明日にまわしていただきまして、時間も相当たつておりますので、一應これで質問を打切ります。
○倉石委員長 大矢省三君。
○大矢委員 私は時間が迫つておりまするから、ごく簡單に、今までの質問と重複しないようにお尋ねしたいと思うのであります。この緊急失業対策法案というこの法案の施行は、失業対策に重大な役割を持つておるのでありまして、しばしば委員会においても質問がありましたが、この法案実施に当るところのいわゆる裏づけとしての予算措置がないということは、はなはだ遺憾でありまするが、労働大臣にしばしばこれに対して、非常な熱意を持つて具体的な案を立てて、今後も出すということでありますから、私はこれは省きます。この施行にあたつて、この第五條、第六條における調査、これは今度各省定員法が出なければわからぬのでありますが、この調査は、今度は大臣官房に労働統計調査部を置くということですから、多分私はここでやるのではないかと思います。それから六條の最も重要なことでありますが、労働大臣は必要な失業対策事業のために、一般計画を樹立しなければならぬ、すなわち労働大臣がいわゆる緊急失業対策事業というものを計画して、それを安本の長官に示し、安本長官は経済的な処置をとつて、また提案しなければならぬということを書いてある。この事業計画の主体はあくまでも労働大臣である。多分これの所管は労働省の職業安定局じやないか。もし職業安定局でこれをし、さらに調査部がこういう官房に持つて行かれるとしますならば、これを実行するにあたつて、非常なる人数を要することは、私は申すまでもないことと思います。そこで政府がしばしば行政整理をやろうとしておりまするが、こういう重要な対策に対して、人員をこの部門にはたしてふやすのかどうか。現状のままでやるというようなら、こんなものをこしらえたところで決して実際に実行はできないと思います。そこで今度の各省定員法の中に、特に労働省の中には、こういう重大な事業ができるのだから、これに対して人員がふえるのかどうかということを、私はまず労働大臣にお伺いしたい。
○鈴木國務大臣 行政整理は、一應の二割、三割というような基本的の線は横に認められておるけれども大体その現状に即したやり方をするという考え方をも取入れて、やつて行くのだということになつております。その考え方は、労働省の各部門についても取入れられております。しかし現在よりも人員をふやすという考え方は——御指摘のようにふやせれば一番いいかもしれませんけれども、今折衝しておる面においては、ふやすというところまでの折衝は行つておりませんし、予算の関係、それから全体の通ずる行政整理の方式という点から考えまして、困難ではないかと思つております。特殊の考慮を加えて行くような折衝は目下続けております。
○大矢委員 それではこの六條の点は、労働大臣は事業計画を立てる上において、現状の人員でさしつかえない、これでやり得るというお考えですか。私はこれはとうていやれないと考えておりますが、その点をあらためてお聞きしたいと思います。 さらに次に行きます。これはもう各委員からしばしば尋ねられたのでありますが、これははなはだ遺憾なことであります。例の第十條、同一地域におけるところの同一作業の賃金より低くしなければならぬ、これは事業主体を圧迫する、そこでまた民間事業を圧迫することになるし、これは臨時的なものであるから、永続的な就職者のためにも、かくなければならぬ、こういう説明がありましたが、ここにこういうことが書いてある。「労働大臣は、失業対策事業に使用される失業者に支拂われる賃金の額を定める。」ところが、昨日関係政府委員の説明によると、大体民間の一般の普通事業から五分ほど安い、こういうことを私は聞いた。そこでこれは大臣に直接お聞きしたいのでありますが、この賃金の決定は失業者に対して非常に重大な関係を持つのであります。昨日政政委員が申されたように、大体五分程度下まわつた賃金を定めるのだということを、大臣も確認されるかどうか。これは非常に重大な問題でありますから、大臣自身から、政府委員の言われたことに対する裏書きをしていただきたいと思います。
○鈴木國務大臣 御指摘の点の生れて來たことにつきましては、この前ちよつと簡單に申し上げたような関係もあるのでありますが、将來廣い意味の全般的の労働者諸君の賃金の問題の一環として、十分の考慮はいたしますけれども、現在におきましては、大体政府委員からお答えしたその線あたりに沿つて、そうしてこの法律を運用して行きたい、と思つております。ただ根本的の問題といたしましては、さらに機会を見て檢討いたしたいと思います。機能の点につきまして十分の檢討をし、また努力をいたしまして、当面これからの折衝でもつて、どこのところにおちつくかわかりませんが、少くともふやすということは将來の問題といたしましても、先ほど申しました範囲において、この計画を立てて行くという考え方を持つております。なおこれに対して補助的な機関なり、あるいは人員なり、機構なりが必要であるかどうか、そういうものを労働省の中につくるかどうかという問題も、一つの研究題目として、目下檢討を進めておりますが、いずれにせよ、安定局が、ほとんど中心になり、必要な場合にはそういうものも取入れまして、御指摘のような機能の不足というようなことは來さないように、極力努力いたしたいと思います。
○大矢委員 これはちよつとくどいようでありますが、職業安定所のために私は特に申しますが、第十一條でございます。これは神様でないから、不適当な人を紹介する場合があるかもしれません。しかしながらこの事業は営利事業ではない。これは政府が相当な補助金を出してやつておるのであります。これは職業紹介所の人が紹介するのに、不適当な人を紹介するのだろうという前提が、あるいはそういうことを認めて、こういうふうに、いわゆる事業主が雇い入れることを拒むことができるという一つのあれを與えているのかどうか。私は普通一般ならばこれは言わない。失業者をやる場合、これを拒み得る。事業主には至つて親切に、これを拒むことを得るというふうに規定しております。これはあとで尋ねますが、失業保險手当をやる場合に、これをやらないという規定の中に、もし職業紹介所が指定した労働を拒んだ場合には、手当をやらないということが書いてある。労働者は拒むことができない。一方では拒んでよろしいというふうに、至つて事業主に親切なことを書いてある。これに事業の性質と、職業紹介所の権威のために、私はどうしても削つたらいいと思う。これは意見でありまするが、なおこのまま強く主張されるかどうか。これは各委員が問われたことでありますが、さらに保險金と合せて伺いたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 安定所の権威のために、こういう規定がない方がいいのではないかという、まことにありがたい話でありますが、御承知のように安定所におきましては、適材適所ということで職業紹介をするように努力をいたしております。けれどもその者の作業能力から見まして、どうしても、不適確だというときには、拒まれるという道を開いておきませんと、すなわち第十他の規定にありますように、安定所から行けば、だれでもかれでも使わなければならぬという規定だけでは不十分でありますので、やむを得ず第十一條の規定を置いたわけであります。しかしいかなる場合においても、かりにある人を拒みましても、第十條の規定によりまして、安定所の紹介でなければ就職できないのですから、みだりに事業主がなんでもかんでも、でたらめに拒むということがあつてはならないし、またそういうことのないように私ども指導して参りたいと考えております。なお失業保險の方でありますが、失業保險の方におきましては、安定所があつせんいたしましても、その者の能力から見て適当でないという仕事でありましたならば、いつでも拒むことができます。拒む場合においても、正当に失業保險を受取ることができるという規定でありまして、この点は大矢委員の御発言でありますが、第十一條の規定と失業保險の規定とは調整がとれておると私どもは考えておるわけであります。
○大矢委員 失業手当法の第十條は給付のことですが、「受給資格者が、公共職業安定所の紹介する職業に就くこと、又はその指示した職業の補導を受けることを拒んだときは、失業手当を支給しない。」と第十條にあります。ところが憲法の第二十二條には職業の選択の自由ということがある。一体憲法で職業選択の自由を認めておきながら、こつちで拒んだ場合には、自分は保險金を掛けながら、それはもらえないという規定をこしらえたところに矛盾はないか。ことに私は政府の方針によりまして相当インテリの失業者が多く出るということを想像するのですが、そうした場合に、土木事業その他の事業に出たときに、とうてい自分はそういう仕事はやれないということが起ることはあり得ると思う。強制労働は許されない。そこで職業選択の自由を憲法第二十二條できめておきながら、拒んだ場合に手当金をやらないという規定があるのは、この憲法の精神に矛盾するのではないか。一方には拒んでよろしいと規定しおきながら、労働者に向つては拒むことができない、しかも当然の権利である保險金がもらえないというのは矛盾しておると思う。このことは今後の失業者に対して重大な問題でありまして、給付を受けることに大きな関係がありますから、いま一應御意見を伺いたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 御承知のように失業手当法は第十條、失策保險法は第二十一條の規定でありますが、但書が全部ついております。すなわち紹介された職業が、受給資格者の能力から見て不適当と認められるときは、拒んでもよろしい。そのときには失業保險金は支給すると書いてあるのであります。但書の方に規定されておりまして、排除されております。
○大矢委員 但書の方が強いのか、本文の方が強いのか私はあまり追究しません。それから日雇労働者の賃金のことにこういうことがある。百六十円以上の者については百四十円、百六十円以下の者については九十円の定額とすると規定されておりますが、一体この程度の手当によつて生活ができるのかどうか、これをきめた方針をお伺いしたいと思います。最近こういうことがあるのです。今度いただいた参考書を見ますと、東京都におけるインテリの失業者の手当、これは大学卒業者が二十三年度においては百三十六円、最低が百二十円。平均百三十円程度でありますが、專門学校が百三十二円——百十一円となつております。家族手当として配偶者二十六円、あとは十七円となつております。これを合算して四人家族といたしますといかになりますか。生活保護法の適用を受ける者と比べてはるかに安い。そういうことになりますと、一方は遊んでおつて多くの手当を、しかも掛金なしにもらう。一方は保險金をかけておきながら、働いて、なおかつそれより安いということになると、これはどうもおもしろくないと思うのでありまして、こういう矛盾をどこでとるかということ、これを改正しなければ解決しないのでありますが、そういうことをにらみ合せて金額の方面で改正する意思があるか。今度は最高三百円に改めておりますが、これは一般の場合であります。特に日雇労働者の場合は、非常に残酷ではないか。その点を改良するか、あるいはどういうふうにして、こんなことをきめたかということをお聞きしたい。
○齋藤(邦)政府委員 お尋ねの内容は二つあつたかと思うのであります。保險金の問題は日雇労働者と知識階級についてですが、御承知のように、日雇労働者の保險の平均給與日額は、大体現在のところ二百二十円程度になるのであります。そうしますと一般工場給付の率は百分の六十となつておりますが、それと比較いたしますと——かりに一般の百分の六十といたしますと、百三十何円ということになるのではないかと思います。そこで私どもの方といたしましては、むしろ一般工場労働者よりも、よりよくしようという意味も加味して、百四十円と九十円という定額にしたわけでございます。すなわち一般工場労働者の百分の六十に比較しますと、日雇いの方がある程度有利ではないかとすら私どもは考えております。現在のところでは、この定額制で一應やつてみたらというふうに考えております。 知識階級の應急失業手当の問題でありますが、仰せの通り私どもは、地域的に最終学校の学歴により、あるいは家族数等により、最高最低の基準をきめております。予算面の單價といたしましては百八十二円となつておりますが、実際の支給の面につきましては、学歴、家族数、地域などによつて差等を設けまして、私どもの今までの方針といたしましては、働かないで、生活保護法のごやつかいになつて、もらつておる生活扶助金よりも、ある程度高まるようにして参りたいと考えて、今まで努力をしております。東京でそういう例のあることは承知しております。從いましてこれは近く改訂いたしたいと考えて、準備を進めておる次第でございます。
○大矢委員 これで質問を終ります。
○倉石委員長 この際お諮りいたします。職業安定法の一部を改正する法律案、緊急失業対策法案、労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案の三案を一括して、質疑を打切ることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉石委員長 御異議がなければただいまの三案の質議を打切ります。 本日はこれにて散会いたします。次会は明二十八日午前十時より開会いたします。 午後五時二十九分散会