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5回国会衆議院1949/04/06

労働委員会 第4号

発言数
47
登壇者
12
会派数
4
開催日
1949/04/06

会議録

倉石忠雄民主自由党

○倉石委員長 ただいまより会議を開きます。  お諮りいたしますが、理事の追加選挙を行いたいと思います。選挙の煩を省略いたしまして、私より指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

倉石忠雄民主自由党

○倉石委員長 御異議なきものと認めまして、島田末信君を理事に追加指名いたします。     —————————————

倉石忠雄民主自由党

○倉石委員長 次に労働事情に関する件を議題といたします。前田種男君。

前田種男日本社会党

○前田(種)委員 私は、前会に引続いて質問をしたいと思いましたが、政府委員の出席の都合もございますし、法務総裁がおみえになつておりますから、最初に法務総裁に緊急の問題としてお尋ねしたいと思います。それは去る二日並びに、三月二十七日の両日、大阪において行われた労働法規改惡反対の労働者大会、さらに引き続いて手続をふんで行われたデモ行進に対する警察当局の圧迫的、彈圧的な処置に対して、その後大阪からどういう報告が参つておるか。あるいは政府としてこの問題に対していかなる調査を進められておられますか。その内容を承りたいと考えます。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 前田さんのお尋ねでありますが、実は大阪の問題につきまして、新聞等ではいろいろ伺つておりますが、実はまだ何らの報告に接しておりません。と申しますのは、自治警察の事柄でありますので、実は直接私どもが監督権を持たないのであります。しかしながら事は治安に関する問題でありますから、むろんわれわれの注意を要する問題でありますので、ただいまその調査を命じておりますところであります。いずれ調査の結果、何らかの処置を要するようになりますれば申し上げたいと思います。

前田種男日本社会党

○前田(種)委員 今の法務総裁の答弁でございますが、私はあの事件の内容はあまりにも顯著なものであると考えます。特に四月二日の労働者大会のごときは、十分当局と連絡をとり、しかも手続をふんで、堂々と何らの不穏の行為なくして行われた大会であるわけです。しかるにもかかわらず、労働者側におきましては何十名という負傷者が出ております。しかも当日は消防自動車を用意して、デモ行進に対してポンプを向けて、ずぶぬれになるような取締りをやつておるわけです。しこうしてその結果相当多数の人が感冒にかかつて、今日病魔に冒されるという現状になつておるわけです。しかもその前に行われた三月二十七日のできごとに対しましても、あまりにも無理解なる当局の取締りだということが、大阪の角界あるいは新聞その他においても相当非難されておるわけです、そうした事実から、今日大阪の警察局長が正式の手続をふんで告発をされておるという現状であります。相当日にちが経つておるにもかかわらず、何らの権限がないと言われますが、ああしたできごとのもとにおいて、何十名という人人が負傷しておるという現実に対して、檢察当局として傍観に過すわけには参らぬと私は考えます。もう一度その点に関してもつとはつきりした方針なり、あるいは処置なりを法務総裁から承つておきたいと考えます。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 問題そのものについては法務廳として十分の関心を持ち、責任を持つものでありまするが、警察当局の処置そのものについては、私は直接の監督権を持たないものでありまして、警察当局からただちに法務総裁にあてますところの報告を得る地位におりませんので、從つて報告が遅れておるのであります。いまだ何らの報告がありませんので、私といたしましては直接の自分の部下でありまする檢察廳に対しまして、その報告方を今要求いたしておるものであります。近く詳しい報告が参りますので、その上で何分の処置をいたしたいと思います。

前田種男日本社会党

○前田(種)委員 これ以上お尋ねすることはむりかと思いますので、私の希望といたしましては、どうぞ法務廳としては、こうした問題に対しては公正な立場から職権を守つていただけるように、特にお願いを申し上げておきます。  この問題に対して労働省にお尋ねしますが、特に四月二日の主催者は御承知のように総同盟その他の團体で三月二十七日の産別系の会合とは別個のものであつたわけです。四月二日の会合を主催しておりますところの團体とは、その会合の内容、あるいは行動その他の点についても、当然当局とも十分連絡をとつてやつてたはずにもかかわらず、しかもその行為は、当局がああした暴行的態度に出るようなことは全然なかつたわけです。こうした問題に対して一体労働省としては、今後もあることでございますが、十把一からげで何もかもそういう筆法でやられるのかどうか、そういう点におけるところの見解を承つておきたいと思います。

山崎岩男民主党(第十控室)労働政務次官

○山崎(岩)政府委員 前田委員にお答え申し上げます。労働省といたしましては、ただいま法務川総裁からいろいろ御説明がございました通りに、私の方に対しても詳細なる報告がまだ参つておりません。この問題につきましては労働省としてはたいへん重大な問題と考えまして、いろいろ調査を進めておるのでございます。從つてただいまいろいろ御懸念があつたのでございまするが、労働者の正当なる行為に対しては、労働省としては決して彈圧を加えとか、あるいは干渉がましいことをするとかいうことはないのでありまして、正当なる行為に対しては、あくまでも援護して行かなければならね労働省の立場にありまするので、決してそういう間違いが今後とも発生することのないように、私どもの方として指導していきたいと考えておる次第であります。(「ポンプを用意することがあるか」と呼ぶ者あり)そういう点につきましても、当局におきましては詳細に知つておりませんのでまことに……。

倉石忠雄民主自由党

○倉石委員長 私語を禁じます。発言を求めて発言してください。

前田種男日本社会党

○前田(種)委員 どうもはつきりした答弁が得られませんので、この問題はさらにあらためて質問したいと考えます。  さらに、法務総裁もおられますから、労働省と両方にお尋ねしますが、最近労働基準法違反の行為か全國的に当然な行為として行われております。その一番顯著なものは織布工場、いわゆる女工哀史で有名な、女工さんのたくさん使つておる工場がそうした違反を行つておるわけであります。しかも大阪府下におけるところの織布工場、メリヤス工場、綿布工場等で三十人、五十人、百人、あるいは五百人、千人という多数を使つている工場もあるそうでありますが、二交代制になつているにかかわらず、実際には二交替をやらずに、同一の女工さんをぶつ通しに使つているような工場もたくさんあるわけです。労働基準法が日本の現状において嚴格に守れないのが、あたりまえだというような状態のもとに置かれておりますが、法務廳としては基準法の法規からいつて、当然そうした脱法行為をやつているものには取締りを嚴重にしなければならぬと思います。こうした点に対して法務廳の見解あるいは労働省としては労働基準法を正しく施行せしめるという見地から、しかもか弱い幼年工とか女工を守つて行くという基準法の建前からいつて、一体こうした問題に対してどういう処置をとり、今後どういう処置をとられようとしておられますか、この点について両方から御答弁を願いたいと思います。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 ただいまのお尋ねでありますが、労働基準法違反の問題が頻々として起りますことは、私どもも非常に憂慮いたしているところであります。なかんずく賃金不拂いにつきまして、その弊がはなはだしく相なりましたので、あれは多分先月であつたと思いますが、檢事総長が声明を発しまして、労働基準法第二十四條の違反となるものであつても漫然これを放置しておくことは法の許さないところであるのみならず、かかる事態は労働者の生産増強に対する熱意を失わせるものであつて影響するところきわめて甚大なものがある。よつて檢察廳としてはかかる事犯に対して、法規の命ずるところに從つて嚴正なる処置をなす方針であるということを、世間に声明をいたしたのであります。と同時に各地方それぞれの檢察廳に対しまして、詳細なる命令を発しました。しかしながらこれは何といたしましても、直接の監督は労働省がされているのでありまして、まだただいまのところ、労働省の告発をまつて、ただちに捜査いたすということを建前といたしております。もつとも顯著なるものにつきましては、何も労働省の告発をまつ必要はないのでありますが、建前といたしましては、労働省の告発をまつて檢察が動くという建前にいたしております。これは労働省ともよく打合せいたしまして、今までのごとく傍観するという態度ではなく、積極的に労働法、基準法違反に対しまして捜査をいたし、また嚴正なる法の処置をするという態度をとつているのであります。今後問題が起りますれば、問題が起つたに從いまして、われわれは十分なる手配をいたしたいと考えております。

寺本廣作労働基準監督官(労働基準局長)

○寺本政府委員 基準法違反事件について、労働省としてどういう措置をとつているかという点でございますが、御承知の通り労働基準法の趣旨は、労働者の権利を保障し、この法律に保障された権利が侵された場合には、行政的な措置でその労働者の権利を回復してやるということに、行政の主眼があるのであります。行政的な措置で労働者のために権利の回復が不可能であると認める場合に、司法警察権を発動して、檢事の捜査機関の補助として、事件を捜査して檢察廳に送るという手段をとつております。もつとも労働基準法の規定の内容は、きわめて複雜廣汎にわたつておりまして、その中には強制労働であるとか、中間搾取であるとか、刑法犯に該当する惡質なものもありますので、こういう事件の違反は、ただちに送檢するという措置をとつております。しかし賃金の不拂いであるとか、超過勤務手当の不拂いであるとかいうように、金銭的に回復のできるものは、労働基準監督官が使用者に対しまして支拂いを要求し、その要求した期間内に使用者が金銭を支拂います場合には、労働者の権利がそれによつて回復されたことになりますので、檢事局へ送るという措置はとつておりません。もつとも御指摘のように、女子、年小者の時間外労働であるとか、深夜業であるとかいう問題は、單に金銭を賠償したということでは済まない事件が多いのでありますから、そういう事件につきましては、本來の刑法犯に類する惡質の事犯と、單に金銭賠償で済むという事件の中間にあるものとして、相当嚴格な態度でこれを取締り、現在まで相当件数檢事局に送つているような実情でございます。大体以上申し上げましたような方針で違反を取締つております。

前田種男日本社会党

○前田(種)委員 今の問題でございますが、特に労働基準法違反の問題となるところの時間外労務、あるいは深夜業、あるいは二交代になつておるにかかわらず、形式は二交代として、実際は同一人をそのまま使つている所が相当あるわけです。今日手不足な檢察当局、あるいは労働省の下部機関だけで、全國的にこれを十分徹底することが不可能だということは、私はよく知つております。しかしこの中で惡質なものは、どんどん遠慮なく指摘して、そうしてこの法規を守つて行くように持つて行かなければ、むしろ法があつても何にもならないという結果になつてしまうと私は考えます。しかも全体のために少数の人を犠牲にするということもやむを得ませんから、こういう問題に対しては大胆にやつてもらいたいと考えます。今日惡質なものが相当出ているわけで、相当数檢事局に送つているという局長の答弁でございますが、もし今日まで労働省で扱つているものが何件ぐらいになつているかというお示しがございますならば、件数をあげてもう少し御答事をお願いいたします。

寺本廣作労働基準監督官(労働基準局長)

○寺本政府委員 労働基準法が施行されましたのは昭和二十二年の九月でありますが、当初の間は法律の趣旨を普及徹底させるということに主眼に置きまして、違反がありましても、特に惡質なもののほかは送檢せず、法律の趣旨が徹底してから、嚴格に励行するという方針をとつておりました。從いまして、法務廳の方と打合わせまして、基準局と地方の檢事局との間で、違反を厳格に取締り、基準局から事件を直接檢事局の方へ送檢するという申合せができましたのは、昨年の四月でございます。現在手元に正確な数字がございませんが、それ以降本年二月末までに檢事局に送りました事件は二百九十四件だつたと記憶しております。

高橋一郎法務廳事務官(檢務局長)

○高橋政府委員 私、法務廳の檢務局長でありますが、ただいま労働省の方からお話のあつた通り、檢務局と労働基準局と緊密に連絡いたしまして、労働基準法の違反の檢挙処理に当つております。ただいまのお話の統計でありますが、最高檢察廳の調べによりますと、労働関係事件のうち、労働基準法違反は昨年一年間で八十六件受理いたしまして、うち五十六件を昨年中に処理しております。未済が少し多いのでありますが、これは昨年後半期に至つて告発が本格的に多くなつたという関係から、本年に繰延べたものが相当あるのであります。この五十六件の処理件数のうち四十二件を起訴いたしまして、不起訴にいたしましたのは合計十四件にすぎないのであります。從いまして檢察廳といたしましては、労働基準法違反事件につきましては、統計の上からいいましても、相当嚴格な処理方針で望んでおるというふうに言えると思うのであります。     〔委員長退席、三浦委員長代理着席〕

前田種男日本社会党

○前田(種)委員 賃金不拂いの点につきましても、法務総裁から答弁がございましたが、この点あらためてもう一度労働次官なり法務総裁に承つておきたいと思いますのは、最近政府支拂いの遅延のため、あるいは金融引締めのため、あるいは経済組織の変革、九原則から來るところの圧縮等から、今日全國的に賃金不拂いが蔓延しているわけです。民間企業におきましても、今日この問題は相当重要な問題になつて來ておりますが、從來は賃金ばかりでなく、支拂うべきものを支拂わない場合は、それぞれの会社の信用にかかわるということで、相当苦心さんたんしても、支拂いは遅れることのないように当事者は努めて來たのでございます。しかるに最近の動向は、政府が支拂いをしないので、むしろ政府に右へならえをしまして、それぞれの民間起業でも拂わぬことがあたりまえだという情勢になつて來ております。かような経済情勢のもとにおいては、日本産業の復興も安定もあり得ないと私は考えます。特に満足に給料をもらつてすら一箇月の生活にに困つておる今日の労働者、サラリーマンが、二月、三月遅配する、あるいは不拂いになる、はなはだしきは昨年の賃金がまだもらえないという工場すらあるという現状でございます。この問題をこのまま放置いたしますならば、重大な社会問題となつて來ます。思想の惡化はいうまでもありませんし、社会秩序の面から行きましてもゆゆしき問題と私は考えますが、こうした問題に対しまして、これを指導しなければならない労働者の立場、あるいは法に基いて十分取締り監督をしなくてはならない法務廳の立場、この両者からこうした傾向に対する処置を一体どうしておられるか。あるいは今後どういうようにやられる意向であるかという点について、率直な御見解を披瀝していただきたいと考えます。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 実は先走つて賃金不拂いのことを先ほど申し上げましたが、賃金不拂いの傾向がはなはだしいものでありまするから、特にこの点について檢事総長より声明を発しまして、社会に警告をいたしたわけなのであります。実際に手元に資金を持たぬ場合に、賃金を拂わないことはやむを得ないこともあろうかと思いまするが、しかしながら賃金より先に、たとえば坑木の代金を拂うとか、あるいは機械の代金を拂うという事例もしばしば聞くのであります。そういう場合には賃金の不拂いがやむを得ざる事情に出るものであるとは考えたくないのでありまして、その一々の具体的場合について、賃金第一という方針を立てて檢討して参ることにいたしておるのであります。また政府支拂いが遅れるために、賃金の支拂いが自然遅れるという事例もしばしば聞くのでありまして、この点につきましては、政府といたしましても、政府支拂いを促進するということに大いに努力をしなければならぬと考えております。

山崎岩男民主党(第十控室)労働政務次官

○山崎(岩)政府委員 ただいま法務総裁からも御説明ございましたが、民間の賃金の不拂いの点につきましてはさることながら、政府支拂いの点につきましても、たいへん遅れている。これが一つの原因となつて民間にもたいへんな累を及ぼして、民間拂いの遅延ということになつているように考えられるのであります。政府の支拂いは一体どうするのかという御質問でございますが、この点については、私どもの方においても耳にいたしておりまして、政府の支拂いがたいへん遅れているという点については、非常に憂慮している次第でありますので、この点は私どもの方の大臣にも申し上げまして、閣議等におきましても早急に措置を講ぜられるようにして、政府支拂いを促進するように努めたいと考えている次第であります。  なお民間の不拂い等の点につきましては、調査をして最も顯著なものに対しては、労働省といたしまして警告を発しております。その警告の結果、大口のものが支拂われまして、その遅滞の点についても解消したような事実があるのであります。たとえば日本電氣にいたしましても、あるいは沖電氣にいたしましても、たいへんな遅滯があるということを耳にいたしましたので、当方におきましても十分な戒告を加えて、すみやかにこれが措置を講じさせまして、問題を解決づけた事例がございます。私どもといたしましては、十分に注意をいたしまして、御心配のないようにいたしたいと存じております。

前田種男日本社会党

○前田(種)委員 賃金遅配の問題につきましては、財政当局にいろいろただすこともありますので、一應この程度で私の質問は留保しておきたいと思います。  さらに労働次官に承りたいことは、紛爭処理機関の問題でございます。これは昨年來相当問題になつていることでございますが、本年は、今も申し上げたように、二十四年度の予算、あるいは九原則から参りますところの本年の日本の経済のあり方等々から推して、相当労資関係は紛糾することが予測できるわけです。この紛糾を未然に防止する対策が、賢明なる処置だと私は考えます。いたずらに爭議激発主義をもつてやることは、日本の経済を麻痺せしめることと信じますので、一体こうした予測されますところの本年度の労資関係のあり方について、労働省はいかなる対策と処置をもつて臨もうとしておられますか。この点に対する見解をお聞きしたいと思います。

山崎岩男民主党(第十控室)労働政務次官

○山崎(岩)政府委員 ただいまのお説の紛爭処理機関というものは、まことに望ましいところの機関でございまして、この点については私どもとしても研究を遂げて、何とかしてそういう紛爭の処理機関を設け、労資協調の線に沿いたいと考えているようなわけであります。しかしながら現段階として、また法律の精神として、紛爭処理機関というものを必ずしも設けるようには強制しておりませんので、この点についてはいろいろ組合側等と連絡をとり、教育等の点についても十分に指導いたしまして、労資協調の上に、何とかこういうような処置を講ぜしめるように仕向けて参りたいと考えております。

前田種男日本社会党

○前田(種)委員 私の質問は、必ずしも紛爭処理機関を設けよという質問じやないのです。相当今までにない労資関係の激化が予想される今日の経済状態のもとにおいて、紛爭処理の問題について当局はどういう見解をもつてこれを指導し、善導し、あるいは起らんとする爭議を未然に防止するかという点をただしたのであつて、紛爭処理機関を設けよというのではございません。私は機関を設けたからといつて、紛爭が処理できるものではないと考えるし、また起きる爭議が未然に防止できるとは考えません。要は政府当局、特に労働省が労資の紛爭に対してどういう指導なり、育成なり、あるいは対策をもつて労資双方に臨むかということが、具体的な問題もありますので、この根本的な問題に対するところの労働省の対策なり、見解をもう一度明確にお聞きしたいと思います。

富樫總一労働事務官

○富樫説明員 お答え申し上げます。かねて労働爭議の平和的早期解決ということは、労働省の施策の最も重要な点でありまして、労働省としては日夜その対策に力を注いでおる次第でございます。しかし役所といたしまして、労資の爭議に直接に関與、干渉するという立場をとることは、事の性質上妥当でないという建前をとりまして、直接には法制なり、労働委員会の善処を期待する、こういう建前をとつておるわけでございます。労働省としては中立的な立場で、労働委員会を正面に立て、それに対するサービスという立場をとつております。根本的に申しまして、ここの労働爭議につきましては、一々理由があつて生ずるわけでおります。これを頭から彈圧したり、抑えたりすることによつて、解決すべきでないことはもちろんでありますが、一般的に早期平和解決が必要であるということにつきましては労働関係の調整ということにつきまして、労働側においてはもちろん、経営者、一般におきましても、これによつて理解を深める。また労働者側に対しましては健全なる、自由なる労働組合の育成を助長する。そうして労資の理解ある態度を助長した上におきまして、健全なる産業平和の基礎ともいうべき労働協約を締結するように促進する。大体そういつた方向で進んでいるようなわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日委員 先ほど前田君の方から大阪の問題が質問されたのですけれども、そのほかに労働爭議に対して、警察あるいは裁判所というものが資本家と結託して、労働組合を彈圧するというふうに解釈される事態がたくさん起つている、たとえばこの間起りました豊和工業の彈圧、この問題にしましても、あの案件の経過に見ますと、もう昨年の九月、十月から問題が起つておる、しかもそれが裁判所に提訴され、一應裁判所でもつて組合側の申請を入れて、組合の事務所を使うことはいい、あるいは労働協約は有効であるというような判決を下したのに、その後資本家が第二組合をつくらせて、そうして組合の事務所に入るのを妨害するというようなことをやつておる。しかもそういうようなことに対して、組合側はどこまでも法あるいは労働委員会というようなものを使つて、穏便に解決しようとして來ているのに、むしろ警察あるいは裁判所の方で、こつちから提訴したのと、資本家から提訴したのと、そういうものについて、資本家の提訴を優先的に扱つて、そうして組合側に対して不利な扱いをするというようなことで、ああいう大きな事件を起しておる。たとえば最も極端な例を言えば、東芝の川岸なんかの例では、一應裁判所としては、組合側から提訴しておること、それから会社側から出ておる問題、これを並行で審理するということを約束していながら、しかもこの仮処分の命令申請というのは三月八日付でちやんとはんこを押しているにもかかわらず、この執行が三月九日に始められた。これも先ほど大阪の例でも言われたように、大阪の場合ではデモが乱暴になるということを見越して、しかも先ほど前田君から言われたように、総同盟のデモで、おとなしいと一般に評判になつている組合を、乱暴になると見越して、消防自動車を持つて來ておつた。初めから法務廳なり警察なりが、労働者は乱暴するものだという仮定に立つて、すべての準備が進められている。たとえば東芝の問題にしましても、三月八日に受付けてやつているのに、九日の五時から執行され、しかもそれに動員された人間が工場の内外に六百七十名、警官が付近の山中に三百名、それに看護婦三十名、明らかにこれは戰爭準備である。まるで、看護婦までついて負傷者を出すということを準備してやつている。しかもそういうことを、八日に判決が下るというのに、九日の朝からやるということは——長野縣の全縣の警官を集めるのに、おそらく二時間や三時間で千人も集められるはずがないと思う。だから判決が下る前に裁判所と警察が打合せして、それで動員しておいて、もうすつかりやれるという態勢にしておいて、判決を下したことはすでに明らかである。そういうことについて、裁判所ははたして資本家の側に立つて、それで労働者をたたき出ぜばよいという商賣なのか、あるいは國民全体のためを考えて、事をうまく治めて行くというための立場に立つてやつているものか。この点についてはつきりした回答を承りたいと思います。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 ただいま承りましたところでは、裁判所と警察のことでありまして、実はいずれも私が直接の監督権を持ちません。その内容につきまして、責任あるお答えができないのは残念でございます。檢察廳といたしましては、正当なる労働組合の活動に対しまして、これを彈圧することなどいう考えは毛頭ありません。いかなる場合でも法規の精神に照しまして、ことに日本の今日の民主政治のもとにおきましては、民主主義運動に対しまして彈圧を與え、あるいはこれを妨害するとかいうようなことは毛頭考えておりませんのみならず、さらに進んでこれを助長して、正しい組合運動はますます援助したいという考えを持つて進んでおります。但し今お話のごとき裁判の問題は、裁判の独立という問題からいたしまして、何らこれに関與するわけには参りませんが、警察の問題につきましては政府といたしまして、また内部におきましてそれぞれ相談のできる筋もございますので、御趣旨のあるところはよく係の当該の関係者に申し傳えまして、善処いたさせたいと考えております。

前田種男日本社会党

○前田(種)委員 今富樫課長が答弁せられました紛爭処理に関する労働省の心構えという点は、どうも私はそうした消極的な態度ではいかぬのじやないかと考えます。もちろん政府が労資の紛爭に介入するということは許されておりません。また労働委員会が起つた問題に対して対処することは、法が命じておりますから当然なことでございますが、労資の問題というものは劇薬をもつて臨み、あるいは政府なり資本家が彈圧的行為をもつて臨みますならば、いかなる場所においても紛爭は絶え間がないと私は考えます。問題はそうでなくして、別個の逆な見地から、日本の置かれている今日の現状を認識して、紛爭を起した場合は労資双方が損する、そうしてその事業場は破滅に瀕するのだ、ひいては國家の経済の復興はあり得ないという見地に立つて、いかに起ろうとする紛爭を未然に防止するかということが、大事な問題でおろうと私は考えます。これは労働組合が健全に発達するのも一つの方法でありましようし、資本家自身がみずから反省して、労資間の問題に対して、もつと功妙な公正な立場に立つて処理するという考え方にならなくてはなりませんが、要はこうした問題に対する労働省の根本的な信念を、むしろこの際明確にしておく必要があるのではないか、またそうした明確な方針を民間企業に対しましても、労働組合に対しましても指示する。あるいは宣明することが大事なことであろうと私は考えますので、こうした問題に対する労働省の見解をもう一度明らかにしてもらいたいと考えます。

山崎岩男民主党(第十控室)労働政務次官

○山崎(岩)政府委員 ただいまの御説はまことにごもつともな御説でございまして、労働省といたしましても、労資協調をりつぱになし遂げまして経済の興隆をはかつて行く、そうして國民生活の安定をして行かなければならぬというようなことは、みんなの理想であるかと考えるのであります。その目的に沿うて、私どもは進んで行かなければならぬと考えるのであります。つきましては、何といたしましても國民全体が民主主義というものをよくわきまえまして、民主主義の本來の正確がどういうものかという点をきめられました上に、特に日常の生活をことごとくこれを民主主義的なものに仕上げて行けば、私は労資の問題も円満に解決するかと考えます。終戦後まだ日も浅いような次第でありまして、口には民主主義を唱えておりますけれども、ほんとうの民主主義がまだ骨身に徹していないということは、お互いこれは遺憾のきわみでございますが、その点につきましては、労働組合といわず、資本家といわず、ほんとうに民主主義をきわめることのためには、大いに努力をして研鑽を遂げまして、りつぱな日本、平和國家の日本を建設することに努力して行きまするように仕向けて行かなければならぬと考えます。     〔三浦委員長代理退席、委員長着席〕  ただいまの前田委員の御質問は、われわれ日本國民の將來なして行かなければならぬ大目的というものを、示されたところの御質問であるかと考えますので私ども労働者としましても、その点については十分心しまして、立法の点におきましても、また諸般の行政措置の点におきましても、努力して行かなければならぬと考えておりまするが、何せ大問題でございまして、國民の一人々々が民主主義に徹するという、そういう大きな教育的な理念を持つて行かなければならぬような大きな問題でございますから、労働省としましても、御説の意に沿うように努力はして参りまするけれども、今きわだつてここにお目にかけるようになるまでには、まだ日が遠いと考えております。どうぞ今後とも御指導くださいまして、労働省がなすべき労働行政の点につきましても、お示しくださいますようにお願いいたしたいと思います。

前田種男日本社会党

○前田(種)委員 今の問題はさらに私は堀り下げて他の機会に十分に論議したいと思います。そのほかそれは國家再建に大事な問題でありますから、論議したいと考えますが、本日はこれ以上申し上げようとは思いません。さらに私があらためて別の問題でお尋ねしたいことは、先日もちよつと触れました今日の賃金安定の問題でございますが、名目賃金がいかに上つても、生活の安定がないことはいうまでもありませんし、今日の賃金三原則に押さえている現状から申し上げましても、なかなか賃金の問題は容易でないと思います。しかし國民生活の安定なくして生産の増強はないと私は考えます。特にまじめに働くところの勤労大衆の生活の最小限度は、確保されなくてはならぬと考えます。これに対しましては、賃金ばかりでなく、今まで終戰以來それぞれの政府が労働行政の面から、労需物資の問題については相当努力された跡を私たちは見るのでございます。特に労働者に対する配給物資の面、あるいは加配米の増量の面、あるいは作業衣の特配の問題等、いろいろな角度から見ることができると考えますが、どうしても働くのに必要な作業衣、加配米あるいはその他の労需物資というものは確保して行かなければならぬと考えます。今日の実際の現状から申し上げますならば、社会秩序を紊乱して、そうしてやみ行為をやつておる者がぜいたくをして、まじめにまつ黒になつて働いておりますところの労働大衆が、一番みじめな生活をしておるというのは、今日天下周知の事実でございます。どうしてもこれが逆の結果になるようにしならなくてはならぬと考えます。昨年は米の増量等がございましたが、その結果工場加配米も相当ふえるし、範囲も拡大されるという処置をとられましたが、本年もさらに工場加配米の増量、あるいは範囲を拡大する、一般サラリーマンに対しましても、加配米を何とかしてわずかでも與えるというような処置が講ぜられねばならぬと考えます。その他の労需物資等につきましても、賢明なる努力をされますならば、勤労大衆が喜ぶ処置がなされるのではないかと考えます。しかしこれも全体の経済の動向からいつて、容易ではございませんが、この問題に対しましては労働省はあげてベストを儘してもらわなければならぬと思いますが、こうした問題に対するところの労働省の対策をこの際明確にしてもらいたいと考えます。

山崎岩男民主党(第十控室)労働政務次官

○山崎(岩)政府委員 お答え申し上げます。名目賃金がいかに高いものになろうとも、実質賃金において何ら効果がなかつたならば、労働者の生活というものは困窮の一途をたどる以外に道がない、お説の通りであります。そこで何とかいたしまして、生活の実態を円満なものに仕上げて参りますことのためには、ただいまお話なさいまするような労需物資という点についても、遺憾ないような配給の制度をもつて行かなければならぬことはお説の通りであります。そこで労働省といたしましては、商工省、農林省等といろいろ連絡をとりまして、労需物資につきましての配給のルートを一日も早く確立いたしまして、労働者の諸君が安心して作業に励むことのできるような処置を講じて行かなければならぬことはもちろんのことでございますので、その点につきましてもゆだんなく努力をしておりまするが、その詳細につきましては、ただいま主管の局長から御説明させたいと存じます。

寺本廣作労働基準監督官(労働基準局長)

○寺本政府委員 労需用物資に関しまする労働省としての方針につきましては、ただいま政務次官から御説明がありました通りでございます。主食につきましては昨年の十一月増量されまして今日に至つておるのであります。全体のわくの関係から、今ただちに昨年十一月増配したものを、さらに増配するということは、いささか困難かとは思いますが、この次全体のわくがきめられます際、さらに労働省としては増加し得るように努力いたしたい、こう思つております。  それから最近タバコの配給などにつきましては、家庭配給をやめる、その機会に労需用物資の配給もやめたらという意見もありますが、労働省としては、從來労働者向けのタバコの種類がよくありがすれになりまして、労働者が買おうとしてもなかなか手に入らぬというような実情でございますので、これを維持して行くという方針で、目下継続をいたしております。具体的な問題については現実にさような問題がございますが、その他の作業衣等につきましても、労働省としては全体のわくがきまります際、これが実質賃金の裏づけになるという立場から、特にこれらの増量についてその都度折衝を重ねておる次第でございます。

前田種男日本社会党

○前田(種)委員 どうも今の局長の答弁を聞いておりますと、今日配給してもらつておりますところのタバコすら停止されるのじやないかという情勢にあるような御説明であつたのでございますが、私はどうも政府内部におけるところの大藏官僚、あるいは大藏省が力が強くて、常に労働省の正しい意見なんかが通らないというような今日の現状を、残念に思うものでございます。今日酒、タバコその他のものが労務者用として配給されておることは事実でございます。私はむしろこうした数量のわくを廣げてもらわねばならぬと考えるのであります。この点については一労働省だけでなくして、絶対多数を持つておられるところの現政府に私は要望したいと思います。先ほど申し上げましたように、やみ行為をやつてぜいたくをしておるという今日のあり方と、まじめに働いて、そうしてみじめな状態に置かれているというこのあり方に対して、正当な認識をして、まじめに働く者をかばつてやり、援助してやり、指導する、そして少しでもやみ行為をやる者を少くして、正業につくという方向に導かない限りにおいては、日本の再建というものはあり得ないと私は考えます。どうか労働省は全員一致をもつて、そうした問題に対しては勇敢に政府部内においても闘つてもらいたいと考えます。私たちは党派は別でございますが、少くともそうした正当な主張に対しましては、私たちも及ばずながら努力して行きたいと考えます。少くとも全國の勤労者大衆は、そうした行為に対して、もつと政府が大胆にやつてもらいたいということを要望していると思います。どうしてもそうならなくてはならぬと私は考えます。もし政府がそうした処置をしない限りにおいては、結局まじめな正業についている人々すら、ややともすると、もうデカタンになつてしまつて、正業を失うという結果になつて参りまして、そこから來るところの社会の不安、あるいは社会秩序の維持の確保もあり得ないと考えますから、一切の労需物資の問題は、私は労働階級を甘やかすというやり方はいかんと思いますが、少くとも今日の労働階級を、まじめに最小限度がまんして、そうして働き得るところの状態のもとに置いてやる、あるいは政府がそうしたことについて、非常な好意をもつて善処してくれていると程度が見えますならば、実質にそうした配給が少くとも、労働階級はある程度がまんする、満足すると思います。今日の経済状態のもとにおいて、十分なことのでき得ないことは払は百も承知しております。要はいかに努力して、そうした方向に向わしめるかということが大事であろうと思いますので、こうした処置につきましては、どうか労働省懸命の努力を私は希望しておきます。  私は最後にお尋ねして次の方に質問を讓りたいと思います。行政整理、失業対策等については、本多國務大臣が見えましたときに、あらためて私は質問をさしてもらうことを留保いたしまして、最後に労働省にお聞きしたいことは、生産増強の対策の問題につきましてもいろいろな問題がございます。私は過去二年間この労働委員会においても、しばしば発言いたしましたが、結局政府として考えてもらいたい問題は——今日の経済は資材、資金あるいは人の問題、この三つの柱に乗つているということをよく言われておりますが、その中で資材、資金の問題は、労働省の管轄外でございますから多くを申し上げませんが、この人事の対策という問題が、一番重要な問題だと私は考えております。いかに人を上手に使うか、要するに人を使う技術を修得せなくてはならぬと私は考えます。今日三百万の公務員を使つておりますところの官公廳の現状におきましても、私の見る目から申し上げますならば、人を使う技術を修得している人が一体幾人いるかという点を考えると、寒心にたえないものがございます。私はどうしても人を使う技術を修得せなければ、今日の多数の人をうまく能率的に使うことは不可能だと考えます。われわれが、事業場を見てまわりましても、その職場の中で、いい職長のいる部署は非常にうまく行つております。しかし、その職長、責任者が当を得ない場合は、いかに設備が完備いたしておりましても、その内容はゼロに近いものがおることを、私たち幾多の実例をもつて知つております。どうしても人を使う上においては、人を使うところの技術を修得することが大事な問題だと私は考えます。そうしない限りにおいては、労働能率の向上というものは絶対にないと考えるものでございます。私はこの見地から、労働省はサービス省でございますが、それとともに、労働能率を上げるという面から行つても、あるいは労働者の人格を向上せしめるという点から行きましても、どうしてもこの人的教育ということが大事でございますが、その前段になりますところの、上手に人を使う人物を養成するということが大事だろうと私は考えます。もちろんわれわれお互いの家庭において、三人、四人の子供すら親の言うことを聞かないという今日の現状において、多数の人を使うということは容易ではありません。しかしこの問題は科学的にも檢討されなくてはなりませんが、またそうした人を使い得るところの人材を養成するという指導が、ぼくは絶対必要だと考えます。これは労働省としてぜひこの問題について深い檢討を加えて、どうしても産業上におけるところの重要な問題をつくり上げるために努力してもらいたいと考えますが、この点に対する労働省の見解を承つておきたいと考えます。

山崎岩男民主党(第十控室)労働政務次官

○山崎(岩)政府委員 ただいまの前田委員の御質問はまことにその通りでございまして、日本の現在の状態を考えてみましても、人がほんとうに自分の本然の性格に適当なるところの職業を持つておるかどうかということによつて、その人の幸運とか不運とかいうものがきまるものと考えておるのであります。ほんとうに自分の性格に適する職業を得るということが、その人の終生を支配するところの大きな要素になるのであります。從いまして適所適材ということを私どもは根幹として、これから日本の教育を進めて行かなければならない。これは單に労働者の問題であるばかりでなくして、國民全体の教育の方針が、結局するに、前田委員の御指摘なさいました通りであるかと考えるのであります。その点につきまして、今日までの日本の教育というものは、画一的な教育を施すのが一つの目的でありまして、全然その人の性格とか、その人の素質とかいうような点をきわめることなくして、ただ詰込み主義的なる教育をやつて参りましたのが、ただいま御指摘なさいました通り、職業の点におきましても、また労働の能率を上げる点におきましても、大きな影響を持つて來ておるものでないかと考えるのであります。從いましてこれからの日本の教育の核心という点につきましては、御説明の通りのあり方を私どもは如実に示して行かなければならぬ。そこに行政のポイントを置いて行かなければならぬと考えております。つきましては、ただいまのその御趣旨のあるところを、文部省当局ともよく打合せをいたしまして、これからの小学校の教育にしましても、高等学校の教育にしましても、ほんとうにその人の性格を見きわめまして、それに適当なる教育をするという方針に——科学的なる教育を立てて行かなければならぬという方針に進められるように、文部省とも連絡をとり、また一面ただいまの労働者に対する問題をどうするかという点につきましては、これから労働省としましても、いろいろな教育の講座を設けまして、労働組合あるいはまた資本家團体、そういうような方面にも出向いて参りまして、いろいろそういう点を力説いたしまして、適所適材、最もよい職業を與えて行くように努力して行きたいと考える次第でございます。  なお先ほどの労需物資の点につきましては、御説まことにごもつともでございます。労需物資と申しましても、それは労働者の一つのツールであります。これは一つの労働者の能率を上げるための大切な器具でございます。その機械なくして、労働者は徒手空拳で働くわけに参りません。從いまして、私どもとしましても、労需物資がいかなる役目を果すものであるか、機能を持つておるものであるかという点につきましては十分承知しておりまするので、御説を達成せしむるように、これから政府部内ともいろいろ連絡をとつて、御期待に沿うように努めたいと存じております。

倉石忠雄民主自由党

○倉石委員長 それでは通告順に從いまして島田末信君。

島田末信民主党(第十控室)

○島田委員 私はこの際基本的の問題について二、三労働大臣にお尋ねしたいのでありますが、本日はお留守でありまするから、当局から責任のある御答弁を願いたいと思います。現在われわれが経済安定九原則を忠実に実行して、わが國の経済を本格的に安定させるためには、一面労働行政が的確に、この時局にふさわしい方向に行われるかどうかということが、最も根幹をなす問題であります。私はこの労働行政のあり方というものが、わが國の経済を安定せしめる原動力となると考えるのであります。そこでその根本問題について二三お尋ねいたします、  今後わが國が進歩的な資本主義を基調として、國家経済の再建をはかるについては、資本家と労働者とのいわゆる労働関係が円滑に調整され、産業の平和が維持されることが最も必要であると思うのでありますが、今日のごとく経済の九原則に基き、急速に経済の自立態勢を確立しなければならない情勢下にありましては、一歩進んで労資双方の積極的協力態勢を樹立して、わが國経済の安定と自立化のために、一致協力することが絶対に必要であると確信いたしております。この点につきましては、先般來労働大臣は、本委員会並びに本会議におきましても、大体構想は述べておられたようでありまするが、私はその際の御説明だけでは隔靴掻痒の感もありますし、何分根本問題でありまするから、いま少しくつつ込んだ具体的の方針を、十分承つてみたいと存ずるのであります。

山崎岩男民主党(第十控室)労働政務次官

○山崎(岩)政府委員 島田委員にお答え申し上げます。ただいまの御質問は、日本の労働行政の今後のあり方につきましての御方針でございまして、この点につきましては本会議におきましても、労働大臣からいろいろ御説明がございましたが、それではまだ足りませんので具体的にその方針を示せという御質問でございます。先ほど前田委員の御質問もございましたが、労資協調をなし遂げることによつてのみ、日本経済の興隆ができ上がるである。そこでその労資協調をいかなる線に持つて行くかという点についての御質問でございまするが、この問題はまことに重大な問題でありまして、この問題さえ解決がつくでありましたならば、労働問題というものは、きわめてスムースに円満に行われるわけである。しかるところ、現在日常起きておりますところの労働紛議、爭議の問題等のごときは、労資協調が円満に行つていないところの証拠でありまするので、この問題については労働省としまして、何とか円満に解決がつくように、実は努力を盡しておるようなわけです。先ほど前田委員からもこの点につきまして御質問がございました際、るるお答え申し上げました次第でございまするが、紛爭処理機関等を設けて、そうしてこれを解決づける考えがないかという御質問につきましても、当局の意のあるところをお博え申し上げたような次第でございます。何と申しましても、この問題はお互いが互いに讓り合いまして、権利の裏面には義務があるという点をも考えまして、義務の履行と同時に、自分の権利を主張するということがありまするならば、互いが話ずくでもつて、紛爭を起さぬでも解決がつくかと考えるのであります。しかるに義務の点を忘れて、権利のみ主張することが当事者双方にありまする結果がいろいろな大事件になつて來るものと考えまするので、私どもとしましては労働者保護の立場にある労働省ではありまするけれども、権利の点のみ主張することなくして、労働者本然の姿に立ちかえつての義務の点をも忘れることのないように、ひとつ努力をいたしてもらいたいという趣旨のもとに、いろいろと連絡し、協調を遂げておるような次第でございます。私ただいま申したことは、まことに当を得ておりませんけれども、権利と義務との点においての調和さえうまく行つたならば、この問題が解決つくのであります。その点を教育の面において、また指導の面において解決する以外方法がありませんので、組合の幹部の方たとも連絡をとりまして、この点について日夜苦心と遂げ、努力を拂つておるよううな次第でございます。

島田末信民主党(第十控室)

○島田委員 ただいまの御答外によりまして、大体の信念はうかがえるのでありますが、私は單に頭の中で考えたこと、机上論あるいは抽象論だけではいけないと思います。実際に立法の面や行政の面や、あるいはまた企業経営の上に、いかに具体化して行くかということが大事なことでありますがゆえに、当局におきましては、協力態勢を確立するために、今後労働政策の遂行にあたつてこれをいかに具体化して行くか。その措置について大体の方針を承りたいのであります。なお目下労働組合法、労働関係調整法の改正を準備されておるように聞くのでありますが、その改正案に労資の協力態勢を促進するような規定を設けられるお考えがあるのかどうか。あるとすればそのおもな点を十分に御説明願いたいのであります。

山崎岩男民主党(第十控室)労働政務次官

○山崎(岩)政府委員 ただいま労資協調の線を法的な根拠のもとに置かなければならぬ、そのためには労組法、労調法等の改正を政府が考えておるようであるけれども、労組法なり労調法なりの改正にあたりまして、その点を具体的にどのように示しておるかという御質問のように承つたのでありますが、労組法並びに労調法の改正につきましては、当局においてただいま案を立てましてその筋と折衝中でございます。その一つの案は皆様方のお手元に差上げまして、また各地におきまして公聽会を開いて、資本家側にいたしましても、労働者側にいたしましても、その意図するところを公聽会を通じて承つております。そこで労働者側の意見も、また資本家側の意見も、どこにそのとるべきものがあるかという点につきましては、労働省としましていろいろ研究を遂げて、それを携えてただいま折衝を遂げておりますので、不日その成案を得次第、本委員会に上程をいたしまして、皆様方の御審議をいただくように相なつております。その詳細をひとつこの際示せというお言葉でありまするが、示すことのできる範囲内の点につきましては、ただいま主管の局長なり、課長なりから、御説明申し上げさせたいと存じます。

松崎芳労働事務官

○松崎説明員 労働組合法ないし労働関係調整法につきましては、今政務次官から御答弁がありましたように、目下関係方面と折衝中でありますから、私の答え得る範囲は、この前公聽会をやりましたときに出しました労働省試案という点に限られております。ここにおきましては労資の協力態勢の確立の問題につきましては、労働省試案の第一條をごらんになるとわかりますように、労働者と使用者とが対等の立場に立つことを促進するという観点に立ちまして細目の規定を設けておるのであります。御指摘の点は、あるいは平和條項とか、紛爭処理機関を設けるか設けないかという点にあるのではないかと想像するのでありますが、現行法に書いてあります平和條項の規定は、從來もの條項がありましたために、かえつて労働省試案に平和條項の規定を盛ることを避けるような傾向がありましたので、労働省試案にはこれを省いております。紛爭処理機関の問題につきましては、さつき総務課長から答弁した通りであります。

島田末信民主党(第十控室)

○島田委員 ただいまの御答弁で大体の趣旨はわかりましたが、私が強くここで要望しておきたいことは、労資対等の地位における協力態勢の実行ということを、労働行政並びに労働法規の改正案における一貫した信念として、十分に生かしていただきたいということであります。さらに起業の合理化を行う上におきまして、失業問題がついてまわる最も重大な問題となりますが、それに関して私は具体的な事項について二、三お伺いしたいと存じます。その第一は失業者の推定数であります。先日本委員会において説明のあつた失業者予測数は、一部にもそういう意見があるようでありますが、私もあの数字は少し低きに失しはしないか。特に企業合理化が進むに從つて、はみ出して來る失業者は相当われわれの予想以上に達するのではないかというふうな観点からしまして、この失業者を最も的確に掴むということが、今後における失業対策上最も大切な仕事でありますから、労働省当局の今後の処置といたしましては、十分にこの数字を的確に把握するために、どうすればよいかということがきわめて大事な問題ではないかと思うのであります。そこで失業者数を確実につかむために、科学的な調査を機動的に行うお考えがあるかどうか、お伺いしたいのであります。  第二には全國に共同作業所の設置が非常に熱望されております。私は今後失業者を受入れる態勢としまして、農村工業を盛んにし、かつでき得れば輸出工業に轉換を促進し、またそれを発達せしめて行きたいということがわれわれの念願するところでありますが、この全國にみなぎる共同作業所について、もしその運営がよろしきを得たならば、多少の失業者も吸収されるでありましようし、同時にまた失業者は特殊技能を習得するばかりでなく、収入の上におきましても一石二鳥の効果が十分にあがり得ることを確信するものであります。しかるに最近の情勢を聞いてみますと、予算措置においてもまことに貧弱である。はたして労働省において、そういつた十分な熱があるのか、ないのかということも疑わしいということを、間々耳にするのでありますが、この共同作業所の設置を今後どういうふうに活用して行くか、また経過の概要をこの際承つておきたいのであります。  最後に失業保險についてお伺いしたいのでありますが、失業保險の二十四年度予算総額と、その大体の内訳を御説明願います。それから失業保險料として徴収した保險金でありますが、失業者が予想した数より少い場合には、支出が少いから、從つて收入の方が過剰になることはもちろんでありますが、そこで余つた金は使わずに退藏しておるのであるかどうか。私はそういうものを退藏せずして、救済事業を起すための事業費として活用して、十分にその金を趣旨に從つて生かしていただきたい、かように考えますが、何かこれにつきましては具体的にそういう措置をとられる御方針があるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。

齋藤邦吉労働事務官(職業安定局長)

○齋藤(邦)政府委員 ただいまのお尋ねの点につきまして私からお答え申し上げます。まず第一点は失業者の数の問題でございます。私どもが近くここ一年程度の間に発生を予想しております離職者の数に、先般大臣からもお話のありましたように、行政整理、あるいは民間企業合理化、あるいは引揚げ、あるいはまた顯在といつたようないろいろな要因を含めまして、百二十万ないし、百七十万、そのうち労働市場に失業者として現われます数は、大体百万ないし、百四十万という数字を申し上げておるのでありますが、これらにつきましては低い予想ではないか、こういうお尋ねでおつたかと存ずるのであります。私どもがこの推計をいたしますには、過去のいろいろの統計なり、あるいはまた現在利用し得る統計、あるいは將來いろいろな問題等を総合的にに勘案して予想いたしました数字でありますけれども、この数字の通りに、間違いなく失業者が百万ないし百四十万出るかと言われましても、これは予想でありまして、その点になりますと、きわめて困難なる問題が存するのであります。しかしながら私どもはその数字につきまして、一方におきましては低過ぎるというただいまお尋ねのような御意見もありますが、また一面におきましては、こんな厖大な数字は出ないということもいわれるのであります。行政整理等につきましては、先般の閣議決定によりまして政府がはつきりやることになりますれば、はつきりと数字はでるのでありますけれども、潜在失業者の顯在化といつたような問題になりますと、この数字はむしろ高いじやないか。関係方面におきましても、この数字はきわめて悲観的な数字じやないだろうかというようなことまで言われておるりでありまして、この点につきましては見方、考え方によりまして、いろいろ御意見はあろうかと思いまするが、私ども事務当局といたしまして、現在の資料をもとといたしまして考えまするならば、この程度の失業者というものは大体適当な推定ではなかろうか、こういうように考えておる次第であります。  なお次に失業につきまして科学的な統計をやつたらどうか、こういうお尋ねもあるのでありますが、これにつきましては、現出のところ、現在の失業者を把握するところの統計につきましては、きわめて不備なるものがあることは、確かに事実であるのであります。現在失業者をつかむいろいろな統計として行われておりますものには、内閣統計局で行つておりまする労働力の調査というものもあります。それからまた私どもの方で最近の雇用の趨勢を考えまするための雇用状況調査というふうなものもあるのでありまするけれども、これによつて的確に現在の失業者をはつきりつかむ——そのこと自体がまた非常にむずかしいのでありますけれども、つかむという点につきましては、さらに一層科学的にこの統計をやるように將來とも努力して参りたい、こういうふうに考えておる次第であります。  次は共同作業施設でありますが、これにつきましては昭和二十一年当時から今日まで、全國約四、五百箇所におきまして共同作業施設を行つております。明年度の予算におきましても補助額の総額が多分一億程度であつたかと思いますが、四百箇所の共同作業施設を從來の通り継続してやつて参る、こういうように考えておる次第であります。先ほどお話のありましたように、共同作業施設は失業者に対しまして簡易なる仕事を授けまして、それによつて賃金を得させる、こういうきわめて効果的な施設あり、特にまた女子の失業者というものを対象として考えて見ますると、この女子の失業者にはきわめめてふわしいところの施設でもありますので、將來ともこの施設につきましては、拡充をすべく努力して参りたい、こういうように考えておる次第でございます。本年度の計画といたしましては一箇所二十万円の補助金をもちまして、全國四百箇所の施設を経営、し、これによりまして繊維等その他簡易なる作業をやつて参りたい、かように考えておる次第でございます。  次に失業保險のお尋ねがあつたのであります。明年度の予算の内訳を説明せよということでありますが、これにつきましては今はつきりした数字を持つておりませんが、失業保險の特別会計総額が百二十億に相なつておりまして、そのうち國の一般会計からの繰入れが二十億に相なつており、保險料の徴収の予備費が六十億というふうに相なつておる次第でございます。この一般会計の繰入れが二十億ということになりますると、それによつて支出いたしまする給付の総額が六十億となります。この六十億によりまして、予算面上は約三十万人の失業者を吸収し得ることに相なつておるのでありますが、明年度は六十億の予備費を持つており、さらにまた後にも申し上げますが、本年度の保險料徴収の積立が五十億ありますので、かりにそういうものの全部を使い切るといたしますれば、総計二百二十億の特別会計にまで拡充し得る余地を持つておるのであります。しかもまた保險給付の國庫の負担は三分の一でありまして、これは明年度予算には二十億の繰入れをいたしておりまするけれども、失業者がたくさん出まして、それによつても足りないときには、國庫の負担は義務支出になつておりますので、いかようなる事態におきましても、これを拡充し得ることに相なつております。從いまして本年度の積立金の残と、明年度の徴収総額全部によりまして、失業保險によつての能力として吸収し得る労働者の総計は、約二百二十億の金になりますので、約百万人の労働者、帶にいたしまして、毎日五十万人の労働者を吸収し得るだけの能力を持つていることを申し上げておきたいと思うのであります。  次に保險積立金を退藏する考えか、あるいはまたこれに元にして何か失業対策事業をやつたらどうかといつたようなお尋ねかと存ずるのでありますが、御承知のように失業保險は短期保險の性質を持つておりまして、積み立てておきまして後に使うという性質のものではありません。しかもまた失業者はいつ何時出るかわからぬ、こうい情勢でもあり、また御承知のように近く経済九原則の強行によりまして、相当の企業合理化も行われるということを予想せられる現段階におきまして、この保險の積立の金で失業対策事業を起そうという考えは、目下のところ持つていないのであります。しかしながら諸外國の失業保險の例を見ますと、この失業保險の金を市町村等に貸し付けまして、いわゆる公共事業といつた失業対策事業をやるというふうな例も、よその國にはないでもありません。その点につきましては諸外國の立法例等も十分研究いたしまして、目下いろいろな研究はいたしておるのでありますけれども、現下の段階におきましては、この失業保險の金によつて失業対策事業を興すということは、目下のところは考えていない次第であります。  簡單でありましたが以上をもつてお答えといたします。

倉石忠雄民主自由党

○倉石委員長 伊藤憲一君。

伊藤憲一日本共産党

○伊藤(憲)委員 先ほど前田委員から、四月二日の大阪における労働法規改惡反対の労働者大会に対していろいろ彈圧があつたが、これは産別系統は別であつて、当局と十分連絡をとつてやつた、ああいうことをやつたのは、一体十把一からげにやるのか、産別も総同盟も一緒くたにしてやるのかという質問があつたのに対して、政府側は答弁してないのだが、これに対して答弁していただきたい。これが一つ。もう一つは、政府は今度公約を大体ほとんどたな上げにしておる。しかしこの委員会においての三浦委員の質問に対してまた、本会議における赤松議員の緊急質問に対しても、きわめて自信満々として、かつ熱心に、労働法規の改惡と行政整理だけは断行する意志を明らかにしておる。しかもこの両者については全労働者階級が反対しておる。自分の約束したことはできないのに、なぜ労働者が反対しておるこの二件のみは強行しようとするか。また自信満々としてやり得る根拠はどこにあるか。これを第一番にお伺いしたいと思う。この三つを先に答えてください。

山崎岩男民主党(第十控室)労働政務次官

○山崎(岩)政府委員 伊藤委員にお答え申し上げます。ただいまの自由党の政府におきましては、あらゆる公約をいたしましたものをたな上げといたしまして、その中でたつた二点、行政整理の点と、ただいまの労働法規の改正の点を取上げておる点は、しかもこれは自信満々としてやつておる次第であるけれども、どうしたものかというお尋ねでございますが、民主自由党の政策といたしましては行政整理の点を取上げまして、日本の経済復興のためには、どうしても行政整理をやつて行かなければならぬ。その行政整理は、結局するに、今までいろいろな機構の点において複雜多岐をきわめておつて、決して仕事の点において簡素化されていないものがある。そこで行政の点といわず、また私企業の点といわず、その複雜多岐なるものをこの際断ち切つて明朗なものにし、簡素なものにして、それによつて能率を上げて行かなければならぬ。この考え方からして、ただ今の行政整理というものは取り上げられておりのであります。しかしながらこの行政整理によつて、あくまでも整理されたところの人員を、そのままの状態で失業させておこうという考えは毛頭持つていないのでありまして、失業者に対する処理としましては、あるいは公共事業の点、あるいは失業保險の点、その他いろいろな社会公共の上からやつて行かなければならぬ。社会政策の点を取上げまして、一時はこれらの人々をその面に吸収しておきますけれども、やがて健全なる経済の復活によりまして、これをいろいろな起業の面に吸収して行く。たとえば貿易振興に上つて中小企業等の方面にこれを吸収して行く、そうしてこれらの人々に対して職業を與えて行く、そういう点については十分なる研究を遂げて、ただいま立案をいたしておるのであります。從つて一時的現象としては、先ほど政府委員から説明のありましたように、百二十万から百四十万程度の失業者が出るであろう。しかしながらその中で労働市場に現われるものは百万ないし百二十万、これに対する処置としどうするのかという点については、先ほど、申し上げましたようないろいろな社会政策の面において吸収して参りまして、そのほかについては、完全雇用の点にまで持つて行くように、経済復興を促進させまして、健全なる経済組織に仕上げて行かなければならぬ。こういう方針をもつて進んでおる次第でございまして、決して單に失業者をつくらんがために、ただいま行政整理を取上げておるものではないという点について、御了承をいただきたいと考えるのであります。  また労働法規の改正の点については、これは大臣から昨日も本会議において御説明がございました通りでありまして、決して改惡せんがための改惡ではないのであります。現行法というものは旧憲法の時代に制定されたものでありまして、今日まで三年間の時日を経過いたしまして、いろいろ改正して行かなければならぬ問題が現われて來ておるのであります。それは皆様方も御承知の通りであります。そこで現行法を整備し、またその内容を充実いたしまして、労資協調の面を整備して行こうという念願を持つて、この法律の改正をはかろうというのでありまして、決して改惡をして労働者の諸君を苦しめ、圧制をするといつたような考えのもとに、この法律の改正に手を染めているものではないのであります。どうかその点について御了承のほどを願いたいと思います。  それから総同盟系統であるとか、産別系統であるとかというように、いろいろな組合に対しまして差別をつける等の考えは、労働省としては毛頭持つておりません。あくまでも労働省のサービス省として、最もよいあつせんをはかつて行きたいと思つて努力しておるようなわけでおりまして、決して差別的な考えを持つておりませんから、御了承いただきたいと存じます、また先ほどの労働爭議の点については、法務総裁から御説明がございましたので、御了承いただきたいと存じます。

伊藤憲一日本共産党

○伊藤(憲)委員 労働法規については春日委員から質問することになつておりますから、讓りたいと思います。問題なのは、これは何回も言つておるのだが、三年何箇月も経驗があるのだから、またいろいろと事情が違つて來たから改正するのだ。しかし一体労働省あるいは民主自由党の諸君は、何箇年間の労働運動をやつて、そういうことをやつておられるか、鈴木君にしても高橋君にしてもそうである。日本の労働運動は荒畑寒村氏の時代から数えても四十何年の歴史を持つておる、そうして日本には三十年内外の労働運動の経驗を持つておる者が何十人、何百人とおる。しかも産別、総同盟とわかれておるような状態である。そういうような状態を無視しておる。鈴木君はこの間まで論説委員をやつていた男である。しかもこれは聽濤君と一緒に論説委員をやつておつた。聽濤君は御承知のように終戦後における労働運動の指導者であるけれども、彼ですらわれわれの前に來ると、労働運動についてはしろうとだと言つておる。それが労働運動をやつていないような鈴木君が、何をもつてごの重大な法規の改正をやろうとしておるのか、これが問題だ。どこにそういう根拠をもつているのか。  それからこまごましいことはあるけれども、これだけは聞いておきたいと思う。第一番に労資一体あるいは労資強調ということを言つておる。そう言いながら、労働法規の改正については、專從者に対して給與をやつたものは第二條の組合と認めない、すなわち法的な保護をしないという、ところが労働組合法自体が、労働者というものは職種のいかんに問わず、いかなる職種であつても、賃金給料を得ておる者を労働者と称しておる。專從者は賃金給料をもらえなくなつてしまう。それをもらえば、労働組合でなくなつてしまう。そういうことがある。しかも工作にいつておる使用者の利益を代表する者が加入したときは労働組合でないということは、労働者と資本家が対立しておるということを認めておる。労働法規そのものがどこで労資一体になろうというのだ、また労資協調をやろうというのだ。しかも專從者の給與問題というのは労働者が獲得した権利である。これは労働運動の闘爭の結果として獲得したもので、あるこういうものをやめさせた結果、実際問題として労働組合運動は弱化しておるという事実になつて現われておる。法律の改正前に、すでに何らの経驗のない者がこういうことをやつておる。しかも決して労働者の不利益になるものでありません。改惡を意図しておるものでありません、というようなことを言つておるのですが、何の根拠に基いておるのか、お伺いしたい、これはあとで返答していただいてけつこうです。  今島田委員の質問に対して政府側で答えておるところでは、失業者が百万ないし百四十万と答えられておる。今日の新聞で見ると鈴木労働大臣は百四十万ないし百七十万と言つておる、今政府側の説明を聞くと、政府側はどういう救済をするかわからないけれども、大体特別会計を含めて二百億の予算をもつて失業保險をやつて、百万を救済することができるという御説明であるが、しかし昨年十月に内閣統計局が発表した数字によつても、これは労働統計月報といいものた——しか十一月ごろだと思いますが、この國会図書館にある。それに発表した統計によつても、一時間ないし三十四時間働けない半失業者が五百十五万います。しかも休業中と称しておる休業中というのは何も仕事をしていないので、実際上は完全失業者です。これが昨年四月で百三十八万、一月においてに二百九万、それから完全失業と称しておるのですが、四月が二十三万で一月が四十七万、かりに四月の統計をもつてしても、完全失業者で百六十一万おることになる。そうすると労働大臣の言う通りとすれば、今年新たに行政整理や企業合理化をやつて出て來る失業者は、最低三百万である。これに対して半失業者もちろんふえて行くと思う。現に賃金不拂い、欠配です。それから資材の割当がないために仕事ができない。これは失業者とはなつていない。みな就職していることになつている。しかし雇用関係はあつても実際仕事はしていない。働いても賃金をもらえなければ失業者である。そうであるならば、少く見積つても一千万人以上の失業者が今年出なければならぬことになる。実際問題として、これの救済を政府が國家の負担においてやろうとしているかどうか、非常に疑問であると思う。そこで私はお伺いしたい。今度は失業保險の対象を拡げるそうであるが、どの程度に拡げるか、これはちよいちよいかかわるようであるから、もうぺんはつきりさしていただきたいと思う。はつきりさしていただきたいと同時に、今新聞その他で発表されたり、あるいはうわさに上つているところによると、接客業者などをこの適用範囲に入れようとしている。一方においては、こういうものを入れて、いかにも失業保險の適用範囲が拡大されたように装つているけれども、五人以下はこれは除外している。ところが接客業者ろいうものは大体五人以下が多い。そうすると範囲を拡大してどういうことになるか。一方においては千万人からの失業者があるが、政府は百万人だけしか救済できない。その範囲を拡大して被保險者をふやすと、どういうことになるかというと、とにかく保險料だけはよけいとることになる。と同時に、五人や六人使つている料理店のおやじは、政府が三分の一だけ補助して保險料をかけているが、それをもつて、政府がつくり出そうとしている失業者に與えようとしているではないか。だから失業保險の適用範囲に拡げるということは、失業者を救済することではなくして、政府がこれからつくり出して行こうとする失業者の救済を、労働者、中小商工業者——小さな料理店のおやじだとか、小さな経営者の負担において、これをやつて行くということではないか。それを伺いたい。  もう一つは、今政務次官から、完全雇用を目標としてやつておるというようなことを言われたが、これはたくさんな例があるけれども、私は二、三の例を申し述べたい。政府はただ單に、やむを得ない失業というのではなしに、実際にはむりやりに失業者をつくつている。たとんばこれは自動車工業に現われている。今日自動車工業の生産能力は年産三万台に復活している。昨年は二万一千台つくらしている。ところが今年は一万数千台しかつくらせない。しこうして需要はどうかというと、そうではない。昭和二十三年度における需要申請、これは十一万二千八百台になつている。ところが実際に生産割当をしたのはいくらかというと、わずかに一万三千八百台である。これは一二%弱である。一方において自動車の重要はあり、生産能力もある。しこうして去年よりも今年は少い生産割当をしている。これでは失業せざるを得ない。失業せざるを得ないばかりでなしに、自動車生産のコストが高くつく。それでは材料はないか。鉄鋼生産は二百四十万トン見込んでおいて、そのうちの七十万トン、三十%を海外に輸出しようとしている。これは明らかに生産能力があり、材料があり、しかも需要があるのにもかかわらず、わざわざ自動車をつくらせないで、失業者をつくり出そうとしていることにほかならない。もう一つある。それは硫安、昨日の本会議においてわが党の徳田書記長が質問した硫安、でもそうです。去年は九十万トンつくつた。今年は百万トンの割当をしている、ところが硫安製造に最も必要な電力の割当はわずかに一%しかふやしておらない。これでは硫安のつくりようがない。ことに食糧増産のためにこれは必要である。こういうふうに、実際にあるものをつくらせないで、わざわざ失業者を出して行こうとする。もつと、重要なのは塩です。塩のごときに至つては、政府の今年の需給計画によると百七十七万トンを必要とするそうです。ところがこのうち百四十万トンを輸入にまわし、四十万トン弱しか生産させない。現在八十二万トンの生産能力を持つているのを、させないというのはどういうことであるかというと、平釜式、蒸利式をオミツトすることである。しかも買上げ價格はトンあたり一万一千円にしようとしているが、原價は二万三千円から一万五千円している。だからこういう低い買上げ價格にすれば、生産はそのままやつてもよろしいということにしても、実際は放擲せざるを得ない。ところがこういうものに対して実際上において、たとえば燃料はないかというと、燃料はある。これらの塩を生産するについては、三千カロリーは必要としない。俗にいえば惡炭でもやつて行ける。ところが一方四千二百万トンの炭鉱生産については、三百四十九に及ぶ三千カロリー以下の石炭を生産する中小炭鉱をオミットしておる。これは四千二百万トンに対してわずかに二%であるが、わずか二%といえども、これだけの石炭を使つて塩の生産をやれば、塩をつくる労働者において五万人の失業者が防げるし、炭鉱労働者においては十万人の失業者が出ないばかりでなしに、製塩業者並びに中小炭鉱業者は業を締める必要がなくなつて來る。ところが資材も資金も抑えられてしまつて、統制のわくをはずして、配炭公團の買上げは停止して、わざわざ失業者をつくり出しておる、こういうことに対して、労働省としてはどういう見解を持つておられるか、もつとたくさんあるけれども、これは重要な問題ですから答えていただきたい。

山崎岩男民主党(第十控室)労働政務次官

○山崎(岩)政府委員 お答え申し上げます。失業者の数が一千万人という御説でございますが、昨日も労働大臣から本会議において御説明申し上げました通りに、離職者の数は百四十万ないし百七十万、その中におきまして、ほんとうに職を失つてしまつたものと推定されますものは、百万から百四十万というふうにお答え申し上げておるような次第でございまして、数字の点においては狂いがないと存じております。  それから失業保險の範囲をどの程度拡大する考えであるかというお話でございましたが、その点につきましては、ただいま御指摘になりました通りに、料理店、飲食店の從業者もその範囲の中に入る予定であります。また映画、演劇等の從業員も、その範囲の中に入る予定であります。それから今までは取扱いの範囲外にありました請負事業に携わつておりますところの從業者も、その中に入れる予定になつております。その他まだあるかと思いますが、落ちた点がありますれば、他の政府委員から答えさせるようにいたしたいと考えております。  そのほか硫安の工場その他についていろいろ御説明がございましたが、私はその実態を知りませんもので、答弁はできかねますから、御了承いただきたいと思います。

倉石忠雄民主自由党

○倉石委員長 お諮りいたします。大分時間が遅くなつておりますから、本日はこの程度で散会したいと思いますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

倉石忠雄民主自由党

○倉石委員長 ではこの程度にとどめまして、次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十九分散会

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