予算委員会 第12号
- 発言数
- 48 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 9
- 開催日
- 1949/04/16
会議録
○植原委員長 会議を開きます。 前回の会議において質疑は全部終了いたしましたが、二、三総理大臣の質問に対して、残つておる方かありましたので、委員長より特に総理大臣にお願いをいたしまして、それだけの質疑に対してお答えを願うことにおとりはからいいたしまして、総理大臣の御出席を得ておりますので、前会の関係の質疑だけに対して、この場合特に発言をお許しいたします。松本六太郎君。
○松本(六)委員 私はこの際総理大臣に二、三重要なりと信じます点につきまして、お尋ねをいたしたいと思います。 ます第一は、吉田内閣の施政、すなわち本予算案を通じましてこれと一連の財政経済政策、これはしばしば本委員会においても、大蔵大臣その他より御答弁がありまして、いわゆる財政収支の均衡を主眼といたして、この予算案を編成せられたということでありますが、國民の大多数は、この予算案に対し、またこれをめぐる一連の財政経済政策に対しまして、非常な失望をいたしておるのであります。われわれは今ここで民自党の諸君が、選挙の当時公約をせられたとかなんとかいうことを取上げて申すのではないのであります。日本の客観情勢――現実に即して、賃に経済九原則の線にも沿い、日本が再建せられるという方途に向つてお進みが願いたい。また國民もこれを要望いたしておる。しかるにこの予算案については国民は大なる失望をいたしておる。そこでわれわれの見るところでは、これではとうてい全国民の信頼と協力を求めることは困難である、かように考えられるのであります。そこで私は、この段階において、かような予算を編成なさらなければならなかつたという事情については、一應わかりますけれども、少くとも國民が現内閣にかけております希望、この希望と申しまするのは、いわゆる産業の積極的なる復興をするための施策をおとりになるところの御方針をもつて、近き将來にこれを是正せられる御用意があるかどうかということについて、お尋ねをいたしたいのであります。
○吉田國務大臣 これは私の施政演説その他においてしばしば申しました通り、必要に感じてあるいはでき得る限り國会を召集いたしましてこの予算を補正する、臨時國会を召集して漸次補正して参りたい、こういう考えでおります。
○松本(六)委員 次にお尋ねいたしたいのは、人口と食糧問題の関係でありますが、特に食糧問題がわが日本再建の重要なる要件でありまして、これを将来いかような方向に持つて行くかということは、國の基本的な政策の一つであると存じます。つまり内閣の中にも必ずしも意見が一致しておらないように私は見受けるのでありますしそれはどういう点であるかと申しますれば、日本の農産物は非常にコストが高い。かようなものを増産するために大きな努力を拂うよりは、むしろ工業を盛んにして、安い食糧を海外から入れて、國民の食糧をまかなうことがいいというような考え方、いま一つは、少くとも日本は食糧を自給自足の域にまで持つて行かなければいけない、いわゆる資源に恵まれない日本としては、どうしても海外に依存しなければならぬ多くの必要な物資があるが、食糧だけは國の政策いかんによつては、自給自足の域に達することができるのであるから、これだけは國内で自給自足の政策を強行しなければいかぬという説、この二つの説があるのであります。そこで私はその後者、すなわち食糧はあくまでも自給自足を建前としてあらゆる施策を強行すべきである、かような見解に立つのでありますが、総理大臣の御意見をこの際承つておきたいと存じます。
○吉田國務大臣 食糧問題については、國民あげて関心を持つところであることは、もちろんのことであります。この食糧を自給自足することが理想であるのでありますが、しかしお示しの通り、限られた領土において八千万以上の人口を養うことは非常に困難なことであつて、結局は貿易によるとか、あるいは海外から安い食糧を輸入するということよりほか、しかたがないかと思います。そこで現在の食糧事情は、御承知のごとく米國から主として食糧を仰いでおるのでありますが、この食糧が日本の経済から申して相当高いものにつく。一つは食糧そのものが高いということよりも、さらに運賃が高いというところから、結果においては相当高い食糧を輸入しておる。現在の輸出でこの食糧の拂いをいたすのには、從來はほとんど輸出の全部が食糧の支拂いに充てられるという状態であつて、この状態が継続いたしておつたならば、年々われわれは多くの輸出によつて食糧だけが支拂われて、その他の輸入は支拂えないという結果に事実なつて行くのであります。これをどうかして改善するためには、結局は工業品の輸出によつて安い食糧を近いところから輸入する。あるいはさらに安い運賃の船で輸入する。さしあたつての貿易による食糧政策としては、それを考えるよりいたしかたがないかと思います。そこで食糧の供給を近いアジア諸国から仰ぐ。具体的に申せば、アメリカその他から工業原料を得て、これを工業製品として輸出することによつて、距離の近い隣国から安い食糧の供給を受けるということでありますが、外国貿易によつて海外から供給を受けるという面からすれば、それよりほかしかたがないかと思います。今年は従来の食糧の三割を工業原料に振り向けるということになつたように聞いておりますが、この前ドレーパー氏が見えたときに、この点は私からも指摘したのであります。現にイギリスのごときは、高いアメリカの食糧を買い切れなくて、アメリカの食糧の輸入は半減してくれという要求が現にあるによつて見ても、さらにわれわれ日本としては、アメリカの高い食糧を買つておつては、日本の経済が立たないということを指摘いたしましたらば、ドレーパー氏も了承をいたしておりました。その結果であるかどうか知りませんが、とにかく従来の輸入食糧の三割を減じて、工業原料の輸入にするとかいう話かあるように承知いたしております。そういうふうになつて、工業原料の輸入が増加して、比較的距離の近い近隣から食糧を仰ぐということになれば、食糧政策の部が助かるわけであると思います。 また人口問題についても、これはお示しの通り、日本國としては現在非常な問題であります。現に昨年度のごときは、空前の人口増加があつたということでありますが、本年に至りまして――いや本年ではありません、時期は私ちよつとはつきりしませんが、生産率は大分減退いたして、一昨年のような増加は見ないそうでありますが、それにしても相当な人口の増加を見るというので、人口問題については、政府として方針、政策を確立する必要を切実に感じましたから、近く、あるいはすでにできておるかもしれませんが、人口問題に関する審議会を設けて、根本的に研究いたしたい、こういう考えでおります。一應お答えいたします。
○松本(六)委員 ただいまの御答弁で大体の御構想はわかつたのでありますが、私は特に食糧問題に対しましては、國内の自給自足は不可能な問題ではないと確信をいたしておりますので、現在のように大体十五パーセント程度の増産ができますならば、それで今輸入いたしております米換算一千万石ないし一千二百万石程度のものは、國内で生産ができるのでありますから、この方面に向つて最大の努力を拂われんことを強く希望しておきます。 それからいま点お尋ねいたしたいのは、文教に関する問題であります。これは本委員会において、いろいろな角度からしばしば論議せられた問題ではありますけれども、総理大臣からまだ親しく御意見を伺つておらないのであります。吉田総理は常に文化國家の建設を強調しておられる。これは日本の何人といえども同感であるのでありますが、しかし本年度の予算の面からこれを見ますと、せつかく苦心をいたして緒についた義務教育が、まさに破綻に瀕する状態にある。つまり六・三制の建築補助費が全額認められておらないというこの点であります。これがために全國各市町村はもちろん、父兄あるいは学童に至るまで、今日非常に心配をいたし、あらゆる地方における混乱が生じているというのが現実の姿であります。これに対しまして、総理はいかようにお考えになつておられますが。私どもはきわめて近い将来に、何とかこれが建築の目的を達成させるような措置、すなわち追加予算等の手段によつてでも、これはどうしてもやり遂げなければならない重大な問題であると信じているのでありますが、この点について御意見を承りたい。
○吉田國務大臣 食糧政策についての先ほどの私の答弁を補正して申し上げますが、先ほど申した通り、日本國自身が食糧の自給ができればまことに仕合せである、そうしたいものだと思いますが、そのためにはお話のように増産をはかる。増産をはかるにはどうしたらいいかということに、いろいろ苦心をいたしているようでありますが、まず第一に考えられることは北海道の拓殖であります。この北海道の拓殖問題を重視いたしまして、近く北海道拓殖審議会とかなんとか、そういう審議会を設けて、北海道の拓殖を一層真剣に進めたい、こう考えております。これは日本内地における食糧増産の一つの考え方として政府が持つておる考案であります。 それからただいまの文教の、六・三制の話でありますが、六・三制はこの前の吉田内閣のときに実施することになつて、六・三制度を始めたのでありますが、その当時の私の気持は、二年、三年にして六・三制を完成することはむずかしい。金があつても、教授その他の点から考えてみても、むずかしいから、五年、十年で期するつもりで実は考えておつたのでありますが、その後文部当局としてはなるべく早く促進したい。その気持はよくわかるのでありますが、そのために今日の地方における財政の行き詰まりを生じ、またこのたびの予算の上において、十分に希望通りの見積りができないために、地方においては相当迷惑をしておる点を文部当局としても心配いたしておるのであります。ついては文部当局について実情を聞いたのでありますが、問題は今年度において昨年度と同じ四十何億かを見積つての予算がとれれば、それで一応地方にも迷惑をかけずに済むんだというお話でありました。そういたすと、今年度において、全額支拂い――四十何億支拂うことかできないとしても、これを二、三年の間に支拂うか、あるいはそれまでの間のつなぎとして、緊急な面だけを予算でまかない得ないとしても、何か金融措置をつけて時をしのぐ方法がないか、これはただいま大蔵当局及び文部当局においてしきりに苦心をいたしております。また本年度においても、予算において多少なり目途がつけば、先ほど申したように臨時議会において補正して行きたい、こう考えております。
○植原委員長 黒田寿男君。なるべく簡潔にお願いいたします。
○黒田委員 第一に私は総理に対しまして、米国の対日援助に関連いたしまして、わが国の事実上負担する義務の範囲についてお尋ねしてみたいと思う。米国の対日援助の方法は、本年度の予算の対日援助見返り資金特別会計設置という形で行われるようになつたのでありますが、これらの援助を受けることに対して、われわれとして何らか義務を負うかどうか、この点がまだ明瞭になつていないように思うのであります。たとえばマーシャル・プランによりまして援助を受けております國と同じような義務を受けるようなことになるかどうか。マーシャル・プランを受けております國は、米国との間に協定をいたしまして、たとえば米国が不足し、また不足すべき原料の適当量を米国が被援助國から将來購入し得るような計画を立てなければならぬ。また米國民に右原料開発に参加する無差別の権利を適当な方法で保護し、さらにこれらの原料の増産計画、米国に対する長期譲渡計画を立てるというような内容の協定ができているようであります。あるいはまた援助資金によつて米国内で調達され、被援助國に海上輸送される物資の総トン数の五〇%以上が、市場相場で利用し得る限り、米國船によつて輸送される措置を講ずる。その他このような被援助國から申しますれば、いろいろの義務を課せられた協定がなされているのであります。もとより日本は現在それらの國とは國際的に置かれておる地位が異なつております。すなわち被占領國でありますから、主権國家間の協定というような形においてこの義務が課されるということは、われわれも今問題にはなし得ないところであります。しかしある程度の援助を受けておりますときに、事実上何らか相当範囲における義務を実際上において課されるかどうか。こういう点が今回の援助資金特別会計の設定等に関連いたしまして、できればわれわれも知りたいと思います。現在におけるこの見通しにつきまして、総理大臣の御見解を承つておきたいと思います。このことはわが国の経済並びに政治の自立性ということと相当関連がありますので、御答弁をお願いいたしたいと思います。
○吉田國務大臣 御質問の趣旨は、アメリカに対して、援助を受けるについては、日本として相当の義務を負うのであろうという御質問のように考えますが、今日のところ、われわれの義務といいますか、アメリカ側の希望は、従來アメリカの援助資金なるものが、いかに使われておつたか、日本政府の予算の中に繰入れられて食糧の支拂いとか、何とかいうところに織り込まれてしまつて、いかにアメリカの援助資金が支拂われたか、あるいはアメリカの援助資金が確実に日本の援助になり、あるいは日本経済の復興に役立つように支拂われたかという点が明瞭でないから、米国国民に対しても、アメリカの援助資金なるものが明確に日本の復興その他に、並びに予算面において有効に使われたということを、明らかにしてもらいたいということがただいまの希望であります。また日本に対する援助資金が有効に使われるためには、本日の財政が自立し、もしくは均衡予算の建前を堅持して、そして日本側からいつても、日本の財政あるいは経済の自立を助けるように、自立を確保するような方面において、日本の予算の組み方を明瞭にしてもらいたいという希望はありましたけれども、こうした結果、日本はああしなければならぬとか、こうしなければならぬという、今のお話のような約束上の規定、義務というものは、今のところまだ明確になつておりません。それは占領下であるからでもありますけれども、單にこうしてもらいたい、ああしてもらいたいという希望だけであります。
○黒田委員 そういたしますと、大体今回設定せられました援助資金特別会計の運営方法について、一定の監督を受けるということで、現在のところ、それ以上にわが國の原料資源等に関して、何らか義務的な――これは法律上の協定ではないにいたしましても、事実上の義務的な何らかの約束ということはないと承つてよろしゆうございますか。
○吉田國務大臣 ちよつと聞えませんでしたが、法律上といいますか、約束上の義務はありません。しかしながら今申したような希望があり、また一般的に、今日は占領下にあるものでありますから、占領政策に沿わないようなことをされないようにという希望もあり、またこれは條約上の義務として、占領政策に合致するような予算については使い方をすべき義務を持つておるわけであります。
○黒田委員 次に、これはやはりわが国の政治の自立という問題に関連いたしまして、総理大臣に御所見を承りたいと思うのでありますが、元来われわれは占領下にありますから、もとより完全なわれわれの自立性を求めることは不可能なわけであります。しかし最近の総司令部対政府の関係からわれわれが観察いたしますと、次第に日本政府の、相対的ではありますけれども、自立性が失われつつおるような傾向が深まつて來ておるように見られるのであります。元來占領直後におきまして、米国大統領からマツカーサー元帥に與えられました方針は、そして後に極東委員会から認められました統治方針は、大体において間接的な統治方針で行く、なるべく日本政府の自立性を認めるという傾向を持つておつたと思うのであります。主として内面指導でやるというような方法であつたと思うのであります。ところが最近に至りまして、次第に日本政府に対しまする司令部の態度は、いわば直接的な統治方式の傾向を強めて来ておるような思われまして、盛んに内示であるとか、指令であるとかいうようなことが、連発されるというようなことになつておるようであります。これは日本国民に対しまして、被占領國であるとは申しましても、できるだけ日本人自身の総意を盛り込んだ政治をして行けるようにする。これか日本の民主主義発達の方向あると思うのでありますが、次第にこれと逆の方向に向いつつある。もとよりこの責任は日本の歴代の政府がみずから立ち上ろうとする政策を持ち得ずして、いたずらに外國に頼ろうとした政策が、このような傾向を強めて来たと考えるのであります。そこで私はこういう傾向か強まつて来れば――よく地方に行つて最近聞かされるのでありますが、どんな政府ができても同じである、だれがやつても同じである、と、政党に対する関心を失わしめる、こういう傾向が明らかに現われつつありまして、これは民主主義発達のために、私は非常に憂うべき現象であると思うのであります。その責任は一つ過去の歴代の政府が、先ほど申しましたように、いたずらに外国に頼ることのみ考えて、みずから自立政策を立て得なかつたところにあつたと思うのであります。そこで私は総理大臣に特に質問したいと思いますことは、今回の予算の編成の過程におきまして、二月二十二日の閣議決定によるものと、現在提出されておるものとが、あまりにも根本的な相違を持つておる。こういうところにも現内閣の自主性が失われておることが明白に現われておる。非常に残念に思いますことは、予算安の審議を通じて、たとえば日本の税制改革をどうするかという問題が議論された場合に、政府はいたずらにシヤウプ博士が來たらどうするというようなことばかりを申しております。このような言動が政府から出て参りますと、国民はますます民主政治に対する希望を失うのであります。そこで私はこの際総理大臣は、もつとみずからの政策をもつて政治をする。たとい被占領國でありましても、できるだけ日本人の総意を生かすという考えをもつて進んで行かをければならぬと思う。これにつきまして総理大臣は、たとえば税制の例題につきましても、いたずらに外國に依り頼むようなやり方を政府はとつておりますが、これについてどう考えておられるか。私は政府自身でやるという意気を示していただきたい。それに関するわれわれの政策との相違は大いにまた論ずべきでありますが、いたずらに外国に頼つて税制改革をやるというようなことでは、とうてい日本の民主主義の発達にならぬと思います。この点につきまして、ひとつ総理大臣の今後の行き方に対する御所見を承りまして、これで私の質問を終りたいと思います。
○吉田國務大臣 お話の通り、從來日本政府が自立のためにたすべき政策について、アメリカ側から見ると、率直にアメリカ側の考え方を申せば、日本が経済にしても、政治にしても、自立をするためになすべきことを怠たつておつたとまでは申さぬけれども、考えが及ばなかつたという点について不満のあることは事実であります。またわれわれも、終戦直後において戰後の善後策に追われて、一時先の見通しなくして、当面の急務だけに追われて、その処置に没頭しておつたという傾きは確かに認めざるを得ないと思います。そこで外観から見て、アメリカからはこれだけ援助しておるにかかわらず、またアメリカ国民の負担においてこれだけの援助をいたしておるにかかわらず、日本は今お話のようにアメリカに頼り過ぎるのではないか。しかもアメリカ國民として、何も日本を自立せしめる義務を負つておるわけではないのだ。日本自身が自立する考えもなく、覚悟もなければ、援助してもしかたがないという考え方も確かにあつて、日本の従来の政策については相当不満を抱いておつた結果が、日本をしてほんとうに自立せしめるために援助するならば、有効なる援助をしたいというために、ドツジ氏にしても、あるいは九原則、十原則の示唆についても、その気持から出ておるのであります。でありますからわれわれとしては、なるべく早くお話のような日本の再建のために、自立的、自主的に政策を考えなくてはならない。税制にしても改正すべきものは改正し行政にしても改むべきものは改める。しかし今までの行政機構にしましても、財政機構にしても、從來われわれの考えておつた知識、経験の結晶の現在の税制であり、行政組織であるのでありますが、これを改革するためには新しい観点から、新しい知識、新しき考え方を利用するということも、これは考えなければならぬことと思いますから、アメリカ側の考えておること、あるいはその他現に戦後において各國においてなされた税制あるいは財政その他の改革については十分取入れて、そしてこの機会において新しい税制、負担の均衡を得た税制を確立するということを考えて、私は将來の税制、財政等の改革に当る考えであります。
○植原委員長 これにて質疑は全部終了いたしました。討論に入る前に、委員長から政府に対して、二、三明瞭にしておきたいことがありますので、この際にお尋ねいたします。 これまでこの委員会を通じて、政府は民主自由党の公約せる取引高税の撤廃を中止したり、所得税の軽減はやらない、こういう点から民主自由党はまつたく選挙に公約せるすべての政策は放棄した、民主自由党の両目いずこにありやというような御質問がしばしばありましたが、私どもの見るところによりますれば、民主自由党のおもなる政策は、必ずしも取引高税の撤廃や所得税の軽減のみに限られたものではない。その主要なる政策は、インフレの防止、経済九原則の厳守、経済の安定、産業の復興、国民生活の安定等が、民主自由党の最も根本的な政策であつたと了解いたしておりますが、これに対して政府の答弁は、これまで満足に與えられておらなかつた。こういう見解に対して政府はいかなるお考えを持つておるか、この場合に明瞭にしておきたいと思います。
○池田國務大臣 お答えいたします。委員長のお話の通り、わが民主自由党内閣は、日本の経済安定復興を第一の主義といたしておるのであります。しかしてその他の公約は漸を追うて実行に移す考えでおるのであります。公開の廃止とか、統制をできるだけ撤廃するとか、あるいは行政整理にいたしましても、國民の輿論に沿いまして、着着実行に移しつつあるのでございます。
○植原委員長 次にこの予算の編成は、從來の予算の編成のごとき款項目を中心とした目的別の編成と異なつて、組織別の編成が主となつておるように思われます。從つて、従来の予算の建て方は、まず第一に歳出を押えて、それに歳入をミートせしむるという建て方でありましたが、本予算においては、歳入に対してはある程度のゆとりを見ておる、歳出に対してはその支出の運行上において厳重にこれを節約して、從來のように予算が余れば、それを年末に使つてしまうというようなことでなくて、できるだけ歳出を倹約して剰余金を生ぜしめて、将来の計画を立てるようにしなければならないというのが、この予算の本旨と思われます。それにつきましては、従來のような役人まかせの運用にしては、根本的にかえられたこの予算の運用が、はたしてうまく行えるかどうかということがすこぶる疑問であります。これに対して大蔵大臣はこの予算の趣意を徹底的に実現せしめる、何か方途をお考えになつておるかどうか、これを伺いたいのであります。
○池田國務大臣 お説の通り、今回はできるだけ歳入を増加いたしまして、歳出につきましてはある程度のゆとりがあると考えておるのであります。従いまして予算の実行におきましては厘毛も冗費を使うことなく、その実行に万全を期したいと思つておるのであります。御承知の通り、従来予算が認められましたら、これをある程度ルーズに使つておりましたが、今回は財政法あるいは会計法を改正いたしまして、支拂いをいたす場合のみならず、そのもとにさかのぼりまして、契約につきましても大藏省はこれに検討を加えまして、收入と支出の均衡をはかるようにいたしたいと思うのであります。なお本委員会の審議の状況にかんがみまして、國会の意思を十分実行いたしますことはもちろん、機会あるごとに予算委員長あるいは委員の方に御連絡いたしまして、御意見を承りたいと考えております。
○植原委員長 次に対日援助見返り資金の活用の問題でありますが、政府はこの予算はデフレでない。ディスインフレだと言われました。しかし議員の諸君はこの予算はデフレ的のものであるというような御意見がありましたが、この予算がデフレに行くか、ディスインフレでとまるかということの根本は、対日援助資金の活用いかんにあると考えるのであります。この対日援助資金の活用については、非常なる考慮を要するものでありますが、これをデフレに導かないように、しかも産業の発達に対して、十分の資金の円滑なる活用をはかり得るように、政府の予期するごとく、ディスインフレでとめることのできるように、運用することについて、何らか特殊の御考慮があるかどうか、この際明瞭にしておきたいと思うのであります。
○池田國務大臣 今回の予算はデフレであるというご意見をたびたび聞いたのでありますが、この意見は從來の財政インフレになれた人の考えでありまして、決してデフレではないのであります。もちろんインフレでもございませんで、その間を行くディスインフレでございます。しこうしてこの予算の実行にあたりましては、西ヨーロツパ諸國がアメリカの援助資金を使います場合には、相当の組織を置いてやつておるのであります。私といたしましても、大藏省に相当の機関を設けまして、この特別会計の運用につきまして、十分な考慮を拂いたいと考えております。
○植原委員長 次にお尋ねしたいことは、この対日援助見返り資金につきましても、外資導入についても、かようなものに日本が頼ることは、日本経済の自主性を喪失せしめるものだ。日本が植民地化せる原因をここになすものであるという、ずいぶん強い御意見もあるように承りました。私どもの考えをもつてすれば、日本のごとき貧弱なる原料、枯渇せる資本の状態におきまして、外資導入なくして日本の経済の安定や産業の復興は得られないと思うのみならず、日本の國民をしてその労力を十分に有効に活動せしむることも不可能なりと思いますが、ただいま申し上げるごとく、対日資金を得まして外資導入をすることが、日本の経済自主権を喪失するようになるか、あるいは日本がそれによつて植民地化するか、これに対して最も明確なる大蔵大臣の所信を伺いたいものであります。
○池田國務大臣 委員長のお説もつともでございまして、外資がなければ日本の復興はできません。これを以前の状態に考えましても、日本の鉄道、あるいは軌道、また水力発電にいたしましても、英米の援助によつて発達して来たこの歴史を考えてみましても、どうしても自立経済を立てるためには、外資の導入は絶対に必要でございます。なおこれにつきましてとやかく言うのは、ためにする議論でありまして、國民の全体のためにとらないところであります。
○植原委員長 最後にもう一つ伺つておきたいのは、失業対策の問題からいたしましても、また各地におけるいろいろな天変地異から生ずる事柄によりまして、現在の公共事業費では予算額がきわめて少い。何とかして政府のやり方によつてこれを補正し、公共事業費をもう少しくゆたかにして行かなければならないと思いますが、これを補正して、公共事業費の不足を生じないようにする何か御方途があるならば、この場合に伺つておきたいのであります。
○池田國務大臣 先ほど申し上げましたように、今回の予算につきましては、実行上ある程度のゆとりが出し得ると考えております。また出さなければならぬと考えておるのであります。出ました余裕は減税並びに公共事業費の増額に充てる覚悟でございます。
○植原委員長 この際二十四年度河川災害予算修正に関して、熱心なる要望が衆議院建設委員会委員長浅利君より、予算委員長にあてて申込まれております。このことをこの際に御報告申し上げておきます。 これにて質疑は全部終了いたしましたので、これより昭和一十四年度一般会計予算、昭和二十四年度特別会計予算、及び昭和二十四年度政府関係機関予算の各案を一括して討論に付します。通告順によりましてその発言を許します。尾崎末吉君。
○尾崎(末)委員 私はここに民主自由党を代表いたしまして、政府提出昭和二十四年度一般会計、特別会計及び政府関係機関予算に対して、賛成の意を表するものであります。 本予算は一般会計において、歳入総額七千四十九億三千四百余万円、歳出総額七千四十六億六千七百余万円、歳入歳出の差引歳入超過額二億六千七百余万円でありまして、これを前年度予算額歳入歳出とも四千七百三十一億四千五百余万円に比較いたしますと、歳入において二千三百十七億八千九百余万円、歳出において二千三百十五億二千百余万円を増加いたしております。 また特別会計予算においては、地方配付税配付金特別会計ほか二十九の特別会計に関するものでありまして、そのうち米國対日援助見返資金特別会計及び國立病院の特別会計は、本年度新たに設置することと相なつておるものであります。また従来の金資金特別会計は、貴金属特別会計と改め、貿易資金特別会計は廃止せられて、新たに貿易特別会計を設置することといたし、なお專売局及び國有鉄道事業特別会計はそれぞれ六月から專買公社、日本国有鉄道と相なり、通信事業特別会計も六月から郵政事業特別会計及び電気逓信事業特別会計に分離されることと相なつておりますが、予算にはいずれも年間を通ずる全体の予算が計上せられてあります。 以上三十の特別会計の歳入歳出総額は、歳入二兆五千五十億四千二百余万円、歳出二兆三千三百六十億九百余万円でありまして、前年度に比較いたしまして、歳入において一兆三千七十五億一千五百余万円、歳出において一兆二千五百五十四億一千五百余万円を増加いたしておりますが、この増加いたしておりますのは、前に述べた特別会計の新設と、各特別会計における業務量の増加等によるものであることがわかります。 次にまた本年度から新たに公團等の政府関係機関の予算について、今次國会に提出せられた公園等の予算及び決算の暫定措置に関する法律に基く法令による公團、復興金融金庫、庶民金庫、船舶運営会、持株会社整理委員会閉鎖機関整理委員会及び証券処理調整協議会に関する収入支出の予算が提出されていたのでありますが、これらの公園等は政府関係機関として国務を代行いたしておる関係上、その経理の明確を期するため、各機関の收入支出予算について、國会の議決を必要とするという趣旨であります。 今この予算をしさいに検討いたしまするに、これをもつて國民当面の苦痛を脱却せしめ、当面の不安を除去するために、十分なるものとは言い得られない点が相当にあるのでありますが、眞にわが國経済の安定をはかり、その安定の強い基盤の上に立つて、産業の復興を実現し、なお昏迷の域を脱しきれないわが國民の物心両面にまたがる生活を安定、向上せしめることを期し、もつて祖國の力強い再建を組織的にはかるために、國際情勢をも考慮いたしまして、経済九原則による実にやみがたい事情による予算であると思われるのであります。現実における本予算の性格を一言にして言えば、政府がいわれるようにインフレは押えるが、さりとてデフレでもなく、いわゆるディスインフレ政策の予算と言えるでありましよう。かくして本予算に内蔵する重大な事情をさとり、意識一貫の奥行をなすところに、アメリカを初め国際的信用を強くかち得る力が生れ、それがただちに経済の安定に次ぐ祖國再建と相なることは、本予算案の審議開始以來今日まで、政府当局の説明と本委員会委員との間の質疑應答によつて、察知し得られるのであります。 ただしかしながら去る総選挙前から総選挙を通じまして、國民が期待した政策中のあるものが、本予算の性格上ただちにこれを実行に移すことができないで、他日にこれを譲らねばならぬ事情にあることや、当面の急務としてわが党においても、極力これが実現を期した所得税を含む税負担の軽減、地方配付税交付額の増額、並びに公共事業費の増額による諾施設や、災害復旧のすみやかなる実現と、六・三制教育の遂行に必要なる国庫補助費増額等が、予期の通りすぐに実現できなかつたことは、遺憾に存ずる次第であります。 思うに、國民の租税能力は、片山、芦田、両内閣時代においてすでに頂点を越え、もはやこれ以上の負担にたえずとする実情にあり、最近納税等の問題にからんで、世上幾多の悲しむべき事態を生じつつあるがごときことや、地方配付税交付や、公共事業費等の不十分なるがために、近年の喫繁なる事情に應じて遂行中の各種継続事業の一時的中止、繰延べや、近年頻発した震災、風水害等の災害復旧事業の遂行が当面十分ならざることや、さらにこれら災害を未然に防ぐための治山、治水、護岸、築堤、築港等の諸施設が、多少の遅延を見ること等は憂慮にたえないものがあるのであります。また国民も政府も、多大の負担と責任とをもつて進行せしめて来た六・三制教育の遂行に大なる苦痛を見ることもまた心を寒くするものであります。かくのごとく観じて來ますれば、均衡予算を編成し自立態勢確立上、一時的にやむを得ない予算であるということの反面に、國民の強い要望をしばらく近い将來に譲るとともに、当面國民の苦痛があるという性格を待つ予算であると、言えるでありましよう。 しかしながら政府は税徴收の問題に関しましては、徴税機構の民主的改革、並びに民主的手段の実現によつて、國民の信頼を得ることの計画を持たれるとともに、近くアメリカのシャウプ博士御一行の来朝を機といたしまして、わが國税制の徹底的改革と、減親等を行う計画と確信とを明らかにせられ、公共事業に関しましては、五百億の予算をもつて緩急をはかり、もつて生産増強の対策をも立て、農業振興のために、その研究、試験機関の総合的効率発揮の新方針も定め、また災害の復旧災害の防止等にも、最大の効率を上げる用意を明らかにせられており、六・三制の遂行に関しても、國民の誠意と耐乏と協力とを求めながら、その道を開くことに努力中の旨であります。また電源その他資源の開発等にも、相当の考慮をめぐらされておることが明らかとなり、鉄道運賃及び通信料金等の値上のかわりに、これに相應すべくサービス改善の用意等も言明せられておるのであります。また能率増進と事務簡素化と、経費の節約等を目的とする行政整理の断行に対しては、着々これを進めて、国民の期待に沿うとともに、他面失業保険費、失業対策費補助等、当面三十億万円に近い予算をもつて適切なる計画を進めるとともに、それら失業者の就業計画もまた進めつつあるようであります。、 敗戰後すでに四年、海外に抑留せられておる同胞及びその家族に対しては、私どもの日夜心痛おくあたわざるところでありますが、政府はアメリカを初め連合國側の同情と、深く強い御援助とを求めることに最善の努力を進めながら、その同胞引揚費六十二億八千余万円を予算に盛つて、引揚に万全を期しておることが明らかとなつておるのであります。 かくいたしまして国際信用の増大による祖國再建と、当面國民が持つ苦痛、不安との融合調節に関しては、政府の相当強い信念を察知することができるのでありますが、なお一層これに努力せられんことを強く要望するとともに、これらの努力と国民の誠意とを了とせられての対日援助資金一千七百五十億円を、積極的に産業の再建と、通信、運輸事業の安定向上等を初め、諸施策に活用せられるよう、十分に予算の運用上についての御努力を希望いたすのであります。 以上述べましたような國民の不安と苦痛とをできるだけすみやかに除去せられることが、絶対に必要であることを強調するとともに、これらの眞相をなお十分に國民に知らしむべき具体的措置を講ずるとともに、その国民の理解による大なる協力を得られるよう、一段の御努力を切望して、ここに本予算に賛成することといたします。
○植原委員長 勝間田清一君。
○勝間田委員 私は日本社会党を代表いたしまして、このたび提案されました昭和二十四年度一般会計、特別会計並びに政府関係機関の予算に対しましては、これを返上申し上げまして、この組みかえをお願いいたしたいと思うものであります。 特に今度のこの予算をきめるにあたりまして、地方配付税法の改正法案も、またアメリカの対日援助に関する特別会計の法案も、まだ委員会で決定を見ておらない状況のもとにおいて、こういう予算をきめなければならないという事情をまことに遺憾とするものでありまして、もしこの法律のいかんによつては、あるいは追加予算などに非常に大きな変更が來るわけでありまして、こういう問題についての密接な連繁なしに、われわれはこれをきめざるを得ないところに、非常な不安を感ぜざるを得ないのであります。 今度の予算を見まして、この予算に、いわゆる民主自由党が日ごろ公約されておつた約束がどういうふうに実現されて行くのか、それからわれわれ日本國民に與えられた経済九原則を、いかに民主自由党内閣が実行して行くかということは、私どもの非常な注目をもつて見ておつた問題であります。民主自由党の公約が延期されたというよりは、完全にたな上げになつただけでなしに、その多くの矛盾がはつきりとここに露呈されて、国民の批判の前に立つたということは私は遺憾であります。責任政治の現在最も叫ばれる現実において、われわれの最も注意すべき問題であると私は考えるものであります。 経済九原則についての実行の仕方につきましては、私は幾多の方法があると思うのであります。結局いかにインフレを処理し、日本の安定と自立の道を切り開いて行くかということが、われわれの最大の任務ではありますけれども、それに行く手段に対しまして、私どもはいかなる処置を選んで行くか、いかなる方法をわれわれはそこに選ぶかは、これは眞剣に討議しなければならぬ問題ではあります。不幸にいたしまして、民主自由党内閣が最も集約された形において提案された今度の全予算案を見ますと、その予算というものが恐るべき大衆負と担、一面におきましては金融資本に対する非常な援助とをもつて、これを実行いたそうと考えておるのでありまして、この道がそのまま続行されて行くといたしますならば、インフレ処理の過程におけるあらゆる一切の犠牲が國民に負いかぶさつて來るでありましようし、また同時にそれが到達するであろうところのいわゆる自立と安定の道を、われわれは不安をもつて迎えざるを得ないことになるのであります。現在から將來への見通しの中に、私どもはほんとうに働いて祖國を再建しようと考えておるところの労働者諸君や、農民や中小商工業者や、あるいはその他のいわゆる働く人たちの大きな協力を得なければならない点があるにもかかわらず、その協力がはたして得られるかどうかを、私はまつたく疑わざるを得ないのであります。 特に本予算におきましては、なるほど一応これは形式的にはいわゆる均衡予算であり、眞実のそれは均衡予算という形をとつておるかもしれません。しかし一たび突き進んでそれを私どもが考えてみますと、それにごまかされてはならないという考えを私は持つものであります。特に收入の面におきまして非常に大きな見積りをいたしておる。特に所得税においてしかりであります。所得税のごときは四割をまつたく源泉課税にゆだねておる、そうして厖大な予算額にそれが達しておる。その他の政策を通じて見ましても、これによつて生ずる勤労大衆の窮乏、生活の困難、あるいは実質賃金の下ることによつて生ずる生活の非常な窮迫、こういつた事実の上に、いかに個々の源泉所得税を積み重ねてみても、それ自身は結局課税所得の基礎をみずから破壊することになると思うのであります。特に農業関係を見ましても、災害復旧はできない、土地改良はできない、そうして一切の農業の民主化の道もとざされようとしておる。すでに農業恐慌の状態さえ生れつつある。それが一層拍車と圧力とを加えて行くために、いかに所得税を見積つておつても、それは苛斂誅求以外の何ものでもないのであつて、その中から収入面の大きな破綻が來るであらうことが、われわれには予測されるのであります。それをあえて強行することになりますならば、そこに私どもは社会不安をどうしても考えざるを得ない。そういう実情を考えて参りますと、中小工業においても同様であつて、集中生産が來る金詰まりが来る、いろいろの面が来る。それに対して今度の民主自由党内閣が與えた結論は、結局企業整備をしろ、自分でやれ、一生懸命働け、節約をしろということにすぎなかつた。だから結局中小工業に対する政策も何ら裏づけされていない。だから中小工業が現在すでに破産のうき目にあつておるということは、われわれは街頭でよく見るところであります。こういう上にいろいろの税金をかける。取引高税の撤廃ができないだけでなしに、税金がかかつて行く、私はその中にほんとうの意味の所得のキャッチができるかどうかを非常に疑問に思うものであります。この意味において今度の収入の面で相当の余力をとつて、操作して余して、あとで使うというけれども、私は収入それ自体に非常に大きな疑惑を持つものであります。だから結局において自分みずからの政策によつて、自分みずからの政策の基礎を破壊しておる。こういうことがはつきりとこの政策の中に現われておると私は思うのであります。 これと対照的に考えられますのは、災害復旧費、あるいは土地改良費、その他國土保全に関する予算でありますけれども、これも同様のことが言い得られるのであつて、先ほど來総理大臣その他の方々の御意見にもありました通りに、やはりこれも基礎をほんとうに失つてしまう、土地改良ができない、すでに都市の災害の復旧もしなければならない、そういう状態の中で、これを出さなければ結局自分の予算の基礎を失うだけでなしに、安定と自立の基礎をそこで破壊するという事柄もまた明らかな事案であります。今後予算を余して、それを使うという行き方もありますけれども、災害の七百九十九億というものが前年度までにすでにあるのでありまして、その意味においては確かに時期がもう遅れておる。田植えもしなければならない、耕地も何とかしなければならないというような條件で間に合わない。こういう意味において私は非常な不安をここに感せざるを得ません。 なおそれ以外にアメリカの見返り資金、あるいは救済資金によつて救済をしおる、これもわれわれの考えからすれば、軍事公債の利拂いは当然停止すべきであるし、ひいてはそれの打切りまでも考えなければならぬという困難なる状況に日本は現在あると思うのであります。それをあえて今日において救済する。この金額は約一千億円に達する。これらをもつて建設や、國土保全や、あるいは農業の改善のために振り向けられたならば、むしろ一層の大きな安定と自立が得られる。それをもあえて無視しておる。これに対する努力が現在の内閣は最も足りなかつた、こういうことを感ぜざるを得ないのであります。なお復金の出資金、貿易会計の出資金、あるいは価格調整費というものについての努力のあつたことは、すでに政府の発表によつてある程度わかつたのでありますけれども、これらのものも当然に勤労所得税の軽減なり、その他の両に振り向けて行くべき性格のものだと思うのであります。さらに六・三制あるいは地方配付金の減額、こういつた問題は、私は民主主義政治の基礎を破壊することになると思うのであります。この意味において、民主主義を唱えておる政府の政治的良心を疑わざるを得ません。 また総括いたしますと、今度の予算で將來一番問題になるのは、単一為替レートの設定でありますが、単一為替レートに対しまして、現在のいわゆる補給金による価格政策との結びつき、及び単一為替レートの維持の方策についての現在からの裏づけ、そういう問題については、まつたく無計画であるといわざるを得ません。私はその意味におきましても、将來の為替レートの維持の問題について、本予算に不安を持たざるを得ないのであります。さらにわれわれは、本予算の從來の編成過程から見まして、あるいは内示案が得られるような過程から見まして、また現に審議されておるアメリカの対日援助特別会計に対するいろいろの考え方から見まして、日本の政府の自主性、これをまことに遺憾に思うものであります。われわれはやはり日本の祖國をほんとうに担当する熱意と責任との上において、眞に盡すべきを盡して行くことが、私はほんとうの日本人の態度ということになると思うのであります。この意味において、自主権が喪失されておるということはい私どもまことに遺憾にたえないのであります。こういつた事情から見まして、私どもはどうしてもこれを返上いたしまして、組みかえをしていただきたいと思うものであります。
○植原委員長 中曽根康弘君。
○中曽根委員 私は民主党を代表いたしまして、本予算に反対の意を表するものであります。詳細については本会議で申したいと思いますので、簡単に理由を申し上げます。 まず第一は、本予算を作成した政府の政治責任の不明確性を指摘したいのであります。今の内閣は、世に呼んでこれを吉田、犬養密約内閣といい、あるいは封建的政略内閣といつている。どうしてこういう言葉でいわれているかというと、いわゆる犬養派にあつては、この内閣は連立内閣と言つている。ところが他方民主自由党においては、單独内閣と言つている。現にこのことは、今そこで池田大藏大臣が、わが民主自由党内閣はと言つたのでも明らかな通りであります。さらに小坂さんが、池田さんのところに抗議に行つたのによつても、その事実は歴然たるものであると思います。こういうふうにして、両者の見解の相違から出て來た本予算の性格は、これは野心的な性格をもつているのであつて、責任の所在が明確でないということをわれわれはまず指摘する。 第二番目は、本予算を作成する際にとつた政府の態度でありますが、民主自由党の甘い公約が実現できなくなつたのは客観情勢によるのだという印象を國民に與え、政治責任を回避している態度は、自分の党の面子を立てるために、日本民族の品位と名誉を犠牲にしたものであるということを、われわれは指摘せざるを得ないのであります。 次にこの予算の内容自体を考えてみますと、現在の日本の経済の実態からすれば、このような大規模なスケールの財政は、とうていわれわれ容認することができないのであります。今の日本の状態からすると、われわれは財政規模の縮小、企業の徹底的な合理化、価格体系の国際水準への接近、及びこれに対する、補正、こういうことをぜひとも実施しなければならないと思うのでありますが、本予算はこういうふうにはなつておりません。しかもその内容は、生産面においては、復興を要望しておる。しかしながら貨幣面においては、安定を企図している非常に野心的なものであります。しかし多角経済とよくいわれておりますが、この多角の経済は、生産面においては量をふやす、ところが貨幣面においては安定さして收縮さすという竹馬経済であつて、このような野心的な措置は、現実には実現できないと思うのであります。その第一の破綻は、おそらく資金計画から出て來ると思うのであります。政府は二千二百億の貯蓄を資金計画に持つて來ておるのでありますが、およそこのような信用制限政策がとられたときに、去年あるいは去年の半分にせよ、貯蓄の増加を求めるということは、これは今までの歴史、及び理論の示すところであつて、不可能であると思うのであります。ことに今年の一月、二月の預金増加はゼロになつております。三月においてふえたのは、これは粉飾預金が年度末になつて、銀行の操作の上からふえたのであつて、この二月、二月の趨勢は今後明らかに示すものであると思います。 この点からしても、預金の増加は非常に困難視され、二千三百億の計上はくずれる危険性があると思うのであります。この資金計画からして、資金の配分計画、ことに設備資金を約一千六百億円程度計上すると言つているのでありますが、去年においてすら、十一月水準において一千五百億円程度の設備資金を必要とした。しかるに四千二百万トンの石炭、百八十万トンの鋼材を生産するためには、その程度の設備資金ではとうていまかない切れないので、ここに資金計画において破綻することが予想されると思うのであります。資金計画が破綻すれば必ず生産計画に響いて來る。生産計画に響いて行けば、必ずこれは國民の所得の増大に響いて行つて、三千百億を吸収しようとする租税、特に所得税の徴收計画は必ずくずれる。今の國民経済からすれば非常にむりな点があると思うのであります。政府に対して、この三千百億の基礎を質問したのでありますが、政府は、所得指数が非常に増大したのである、こういうことを言つて、大体二九%ないし三〇%の数字をあげておりますが、この数字は、われわれが安本その他の資料から研究したものとは非常に離れていて、われわれは三千百億という所得税をとらんがために、作意的につくつた数字ではないかと怪しむくらいなのであります。 こういう点からしても、私は今度の財政にはこのような欠陥があるということを指摘せざるを得ないのであります。そしてそれは、必然的に価格体系にも響くであろうし、またひいては五箇年計画の基礎にも響いて行くので、結局この構想は、言いかえれば日本にある一つの消費インフレというか、コンサンプテイヴ・インフレーシヨンを克服するために、家計を犠牲にしても、低物価で、しかも安定経済を実現しよう、こういう計画が基礎になつているが、この計画の翻廟から私は失敗を予言せざるを得ないと思つているのであります。そうして五箇年計画達成不可能は、将來における大規模な基礎における國民生活の上昇を不可能にして、ごく小さい規模で、小さく縮小したもので自立しよう、こういう危険性が十分にあると思うのであります。 要するにこの財政は、価格安定、低物価政策を堅持しようとするために暖大な補給金を出す。つまり国家の財政のしわを企業と家計に延ばして行く。従つてその被害は企業と家計に來ます。企業にあつては、大企業は補給金によつて擁護されておるために、そのしわは必然的に中小企業あるいは農村に響いて来る。また勤労者に響いて交ることになると思うのであります。また中央偏重ということから、そのしわは地方財政にまたおおいかぶさつて來ます。このことは賛言を要せず、たとえば政府のあげた数字においても、農業における公共事業費の支出が昨年度において二三・六%であつたのが、ことしは一九%に落ちている。公共事業費のうち、文教施設に至つては一二・二%が、わずかに二・四%に落ちている。あるいは地方配付税は三三・一四%が一六%に落ちている。しかも地方税は、不動産を中心にして非常に加重されておる。所得税三千百億をとられた地方住民は、その税金が配付税で還元して来れば、ある程度潤いますが、とられた上に返つて來ないというと、二倍の過重負担がここにかかつて來ておるのであつて、地方住民の負担は現に見るに忍びない状態になつて参つておるのであります。 こういういろいろな観点からして、この財政計画は、日本の再建に有効な財政計画であると私は断じ得られない。よつてわれわれは政府に対して、この大規模な財政計画をもつて収縮させること、価格調整費を徹底的に削減すること、そして対日援助資金の中から、でき得べくんば六百八十億程度を一般会計に補給してもらうように懇請し、実現してもらうこと、それによつて所得税五百九十億を減税すること、公共事業費に百五十億を捻出すること、失業対策費に三十七億を捻出すること、地方配付金に百一億を捻出して、比率を二四%に引上げること、こういう措置を実現されんことを要望し、本予算の組みかえを要求して、本予算に対しては反対の意を表するものであります。
○植原委員長 米原胆君。
○米原委員 私は日本共産党を代表いたしまして、昭和二十四年度のこの予算案全体の組みかえを要求するものであります。 第一に、政府は本予算案の編成において、名を九原則の実行にかりて、みずから自主性を放棄し、ひたすら内外の独占資本に奉仕し、わが民族を隷属への道に追いやろうとしております。それに反してわれわれは、人民の生活の安定と、民族の独立と世界平和を確保するために、國際独占資本と結合している独占資本を犠牲にすることを主張する。経済政策の基本を、金融機関並びに独占資本の握つている重要大企業を國営人民管理に移し、さらに大衆課税を全廃することによつて、物価を大約三分の一に引下げ、労働者、農民その他働く人民の購買力を大約四倍に引上げ、経済を正常のもとに置き、この上に経済の復興を期せんとするものであります。 かかる基本方針に基いて、この予算案において、歳出においては合計三千九百三十四億に上るところの独占資本擁護、並びに不生産的な支出を削減すべきであることを主張します。 第一、そのうちの独占資本擁護の経費は三千二百億、その内訳は、価格調整費二千二十二億、政府出資並びに投資八百四十二億、政府機関損失補填費百二十九億、物資及び物價調整費七十億、國債費目三十七億、その合計三千二百億の削減を要求する。 第二に、土建資本に濫費されている経済四百三十二億、これは終戰処理費関係の千二百九十五億の三分の一の削減を要求する。、 第三に、人民弾圧、徴税強行のための経費の削減、合計二百七十一億。その内訳は徴税費百三十八億の三分の二を削減、すなわち九十二億。裁判所費四十二億の三分の二を削減、すなわち二十八億、司法警察費、百六十六億を三分の二削減、百十一億。食糧供出費全額削除、四十億。 第四に、恩給及び皇室費の削減三十一億であります。その内訳は、恩給費全額削除三十億、皇室費は、天皇に対して総理大臣年俸の倍額六十万程度に圧縮する。そして九千七百二十七万円を削減すべきである。合計三千九百三十四億を削減する。 一方次のごとき人民のための経費を計上すべきである。すなわち公共事業費をさらに五百億追加。社会保障費を五百億追加。政府企業再建費五百億追加。教育費を九百億増加。合計二千四百億の経費を人民のために計上すべきである。かくして差引一千五百三十四億の減縮となつて、歳出あらためての合計は五千三百十二億となります。 次に歳入においては、合計四千七十三億に上る一切の大衆課税を撤廃するごと。その内訳は、源泉所得一千二百一億の九八%、すなわち一千百七十七億を削減する。申告所得一千九百億の七割を削減、一千三百三十億。法人税二百七十二億の六六%は、資本金二十万円以下の中小企業に課せられておるから、百七十九億を削減する。酒税は税率を一〇〇%に軽減することによつて四百八十七億。専買益金の税率を一〇〇%に軽減することによつて九百億。次に酒税以外の一切の間接税全廃、一千三十一億であります。その内訳は、清涼飲料税二十一億、砂糖消費税五億、織物消費税百七十三億、揮発油税四十億、物品税二言七十億、取引高秘四百五十一億、その他七十一億。次に人民を堕落せしめるところの宝くじ約三十四億を削減する。そして削減されたものの総計は五千百三十八億でありますが、さらに歳入の増加四千億を見積ることができる。それは所得税並びに法人税中の大口所得を高度累進的に徴収すれば、本年度は四千億の徴收が可能であるとわれわれは考える。あらためて歳入合計五千九百十一億、歳入超加三百九十九億であります。この超過分をさらに人民の生活向上のために使う。これがわれわれの要旨であります。 さらに特別会計における千七百五十億円の対日援助見返り資金についてでありますが、こういう自主性を失わせるような外資の入れ方に対して、われわれは反対。これは受入れない方がよろしい。こういう主張をいたします。そしてさらに終戦以來昨年度までの大口脱税約八千億円を徹底的に徴収して、これを経済復興の資金とする。 以上述べましたところは、実に日本全国における人民大衆の切実なる要求であるのであります。そしてこの本予算は、これらの人民大衆の要求にまつたく反したものである。ゆえにわれわれはこの本予算全体の組みかえを要求するものであります。 最後に一言申したいのは、先ほど勝間田君も指摘されましたが、この予算案に関係する諸法案の審議が未了のうちに、本予算案がこの委員会を通過しようとしておるのでありますが、これはあくまでも、われわれが今まで主張して來ましたように、違法であるという考えをわれわれは曲げません。そして民自党の諸君も、この点については並行審議ならよろしいというようなことを言つておられる。今度の予算案の審議中におきましても、見返り資金特別会計法が上程されていないというところから、二日ほど審議を行わなかつたことは、民自党の諸君もみずからその非を認められて――そういうやり方は望ましくないということを認められておるわけであります。ところが、その並行審議でもなくて、税制関係の諸法案はまだこの議会に提案されておらない。たとえば法人税であるとか、取引高税の改正法案が提案されておらない。こういう点についてはなはだ遺憾であり、われわれはあくまでも違法であり、行為であると考えます。こういう事情については、民自党の諸君もすでにある程度まで認められておるのでありますから、たとい予算委員会で予算が通過しましても、本会議にこれをこの状態のままで出すということは、これはまつたく違憲行為である。このことを民自党の諸君にも、特にそういうことをやらぬようにという警告を私は発するものであります。もしもそういう行為をやられた場合には、それこそ民自党違憲、違法をあえてするところのフアシズムであると断じてさしつかえない、こういうことを最後に警告を発しまして、終ります。
○植原委員長 次に奧村又十郎君。
○奧村委員 私は民主党を代表いたしまして、このたび政府提出の予算案全部に対しまして、希望條件を付して賛成するものであります。 この予算案は、今後國政の全般にわたつて重大なる変革をもたらすはもちろん、國民経済に対しましても、いまだかつてなき重い負担と、深刻な影響を與えるものであります。すなわち均衡予算の原則を守つて、近來になき緊縮予算を実行するものであります。教育六・三制、土地改良、災害復旧等の公共事業費が非常に削減をされ、また地方分與金等の大幅なる削減があります。行政整理をも実施を予算しておるのであります。しかも一方において、これまたかつてなき重大な負担を国民に課するものであります。これに加えて復金の廃止、健全金融方針を実行しようとしておりますので、運営のいかんによりましては、今後相当深刻なる安定恐慌現象を招來するおそれがあるのであります。すなわち政府の支出は極端に緊縮し、一方において税金を加重するというのでありますから、国民経済に與える影響は非常に重大であります。吉田総理大臣は、この際において思い切つた大手術を行うのだと申されておるのでありますが、国民経済がはたしてよくこの急激な大手術に耐えて回復し得るやいなやは、まつたくもつて今後の政府の運営いかんにかかつておるというべきであります。 しかしわれわれは、それでもなお今回の予算の大体の方針に対しましては、九原則忠実実行の建前から、進んでこれに賛成せんとするものであります。過去十数年にわたつて行われました安易なる赤字財政と温室経済から一挙に脱却して、国際経済に直結して、日本経済自立を急速に達成せんとするためには、やむを得ないものであると考えるのであります。これらの大困難また国民にとつて耐乏と犠牲を予期しつつも、政府が今回この予算を提出せられ、経済自立を一挙に実現せんとするその政府の熱意とその勇断は、むしろ賞讃すべきことと考えるのであります。 世上所得税等の軽減について公約破棄の非難が多いのでありますが、私はこれについて一言申し上げたいと思うのであります。租税等の軽減の公約は、民自党、民主党のみでなく、おそらく各政党の公約したところであります。しかしこれが今回軽減でなく、むしろ重課となつたのであります。しかしこれについて特に考うべきことは、今回の予算におきまして、特に対日援助資金の取扱い、濫用を変更せざるを得なかつたということであります。これがため今までこの資金によつて、まかなわれました輸入補給金が、全部一般会計から支出されることに相なつたのであります。すなわちそれだけ国民の税負担が増すこととなつたのであります。このことは一月総選挙後においての新しい事態の変化でありまして、公約が急に実現することのできなかつたということも、やむを得ない事情であつたというべきであるのであります。政府はまずこれらの事態を十分に國民に知らせ、理解を得ることに努めればならぬと思うのであります。いかなる法律でありましても、国民の協力がなくてはならぬことはもちろんでありますが、今回の予算実行においてこそ、特に國民の理解と協力が大切であると考えられるのであります。國民は戰災の傷、いまだいえざる間に、また各地の災害復興も半ばであるこの際に、重税を負担し、耐乏生活に耐え、企業整備と失業のあらしの中で、はたして今後政府を信頼して行けるかどうか。これは一にかかつて今後政府の絶大たる熱意と努力にあるのでありまして、この際政府の一段の奮起を要望せざるを得ないのであります。 今回の予算実施は、國内のあらゆる方面に急激に重大なる大転換をもたらすものでありますから、いろいろ混乱と犠牲を伴うものであります。これが対策については、まだ政府において十分なるものがないと見られるのであります。たとえば先ほど中曽根君が指摘せられましたごとく、資金計画についてずさんな点もあろうと思う。しかしこれらの点について、今後金融政策、また失業対策において、政府において十分対策を練られることを希望するのであります。 要するにこの予算によつて経済自立達成ができるかいなかは、政府今後の熱意と、国民の協力のいかんによるのである。政府の今後の一段の努力を希望し、なお二、三の條件を付して賛成いたしたいと思うのであります。 一、臨時國会において政府は相当の租税の軽減を約束しておるのでありますが、この軽減措置と同時に税制を改革し、徴税方法を改善し、特に苦情処理機関を設置すること。 一、今後の予算実行において、価格調整費等を極力縮減して、公共事業費、特に六・三制経費、土地改良費、災害復旧費等を増額すること。 一、地方分與金を増額すること。 以上の二点は、必ず政府が実行しなければ、地方財政に対して重大なる影響を與えるものであります。 一、金融対策については、中小商工業者に対して、市中金融機関の融資のほかに、特別の金融機関を設置してこれが打開をはかる。 一、農林水産金融に関しては、農林中央金庫等を通じて特段の金融措置を講ずること。 以上の條件を付して原案に賛成をするものであります。
○植原委員長 今井耕君。
○今井委員 私は昭和二十四年度各種予算につきまして、國民協同党を代表し遺憾ながら政府原案に反対するものであります。 その理由とするところは多々ありますが、そのおもなる点を具体的にあげますと、まずその第一は歳入面における租税収入の問題であります、その総額五千百億円、なおこれに地方税千五百二億円を加えますと、國民一人当りの負担は実に八千主百円の多額に上るのでありまして、この予算の実行の結果が、経済界にいかなる影響を與えるかということにつきましては、いろいろ議論はありますが、デフレ必至のおそれある事情下において、鉄道運賃、通信料金、主食の価格等を引上げ、かつその上に七割以上の租を税増徴することは、國民のとうてい耐え得ないところであると考えるのであります。政府はしばしば来る五月シャウプ氏の來訪を待つて税制を改革し、負担を軽減すると言明しておられますが、これまた確定的のものとは考えられませんので、このような予想のもとに、この重大な予算に賛成することはできないのであります。 第二には、歳出面における価格調整費の問題でありますが、その補給金の総額は案に二千二十二億円の巨額に上り、これによる國民の負担は一戸当り一万二千円の多額に上るのでありまして、企業の合理化によりこれを大幅に削減することは、九原則の趣旨より考えても、國民負担の軽減をはかる点より考えても、最も緊切であり、特に輸入食糧の補給金四百六億円は農民の一方的負担過重となり、これを是正する必要を認めるものであります。 第三は、公共事業費中の土地改良、耕地の災害復旧に要する経費の復活の問題でありますが、これについては去る十二日衆議院において決議案を可決されたので、いまさら申し上げるまでもありませんが、政府はこの決議案が各派共同提案で満場一致可決されたにもかかわらず、いまだこれが解決をはかられないことは、まことに遺憾とするところでありまして、この際最小限度の経費は、ぜひ計上すべきものと考える次第であります。 第四は、六・三制実施に必要なる経費が削減されておる点でありますが、昭和二十二年、二十三年の二箇年間において、実に百三十九億円の巨額を投じてようやく軌道に乗りかけた六・三制が、今やその危機にさらされ、生徒の不良化、学力の低下が予想せられ、六・三制ももはやその意義なきに至らんとし、かつ地方における建築その他の責任問題も惹起するおそれさえある実情を考えるとき、万難を排して最小限度の経費はぜひ計上すべきであると考える次第であります。 第五は、地方配付金の問題でありますが、今や地方は災害の復旧、六・三制の実施、警察制度の改革、物価の騰貴、給與ベースの引上げ等により、財政上の窮地に陷つておるにかかわらず、地方配付税法を改正して配付金を半減し、地方税の税率引上げを行うがごときは、地方をいよいよ窮地に陥れるものでありまして、ぜひこれが増額を必要と認める次第であります。 第六は失業対策費であります。行政整理、企業整備に伴う失業者に対しては、政府は責任をもつてこれが対策を講ずる必要があるにかかわらず、計上された経営はあまりに過小であると考えるのであります。よつてこれを増額し、その万全を期すべきであると考える次第であります。 これを要するに九原則による均衡予算は、日本国民の責任において、わが國の実情に即応して編成さるべきにかかわらず、政府はこれに欠くるところあつて、その提示された内容については、はなはだ意に満たざるもの多く、かつこれが実行について、われら國民の納得することのできない点の多いことは、まことに遺憾とするところでありまして、ここに原案に反対し、政府に編成がえを要求する次第であります。
○植原委員長 金子與重郎君。
○金子委員 私は公正倶楽部を代表いたしまして、本予算案に対しまして、公正な立場からこれを検討いたしました結果、遺憾ながら反対の意を表明するものであります。昭和二十四年度予算の編成が、均衡予算を目的とする経済九原則に準じて編成さるべきことについては、もちろんこれを認めるところでありますが、その提示されました内容につきまして、何といたしましても承認でき得ないものがあり、この政府原案に対し、反対しなければならないことを遺憾に存ずるものであります。 まず総括的にこれを検討いたしました場合、本予算を実施すれば、国民経済に急激なる変化を與えて來ることであります。日本が戰争によつて直接間接に受けた損害は、巨額の海外投資やあるいは原料資源、生産、貿易の手だてを失つたのみならず、海外市場をも失い、なお半面には海外からの引揚げによつて、毎年多数の人口増加を來しており、きわめて不健康な経済状態にあるのであります。人間のからだにたとえてみるならば、これは非常に重態な病気の形であるにかかわらず、これが米国の栄養補給によつて、辛うじて健康を回復し、一人立ちで働けるようになろうとしているありさまだと思うのであります。もちろん一日も早く全快し、自力によつて十分なる活動をし、自活することを念願し、努力も続けなければならないのでありますが、さりとてその病状と健康状態を無視した急激な変化を與えて、遂に死に至らしめるようなことは、決して思慮ある医師のとるべき手段ではないのであります。政治が一つの理想と目標に向つて行われるべきはもちろんでありますが、面國民の現実に対して極端なる変化を與え、社会不安を奮起せしめ、そのためかえつて逆な結果を生ずることを考えなければならないと信ずるものであります。われわれは現在日本の経済は、子供が竹馬に乗つている姿であり、しかもその竹馬はきわめて高い竹馬に乗つているのであります。これを急におろすならば子供はけがをする、これをけがをさせないようにおろすには、踏台を持つて來てやるとか、あるいは踏台のそばまで近づいたときにおろすということによつて、これをおろすことができるのであります。その踏台こそは国民の産業振興であり、経済力であると思います。國民経済力の実態を無視して、国家予算の均衡だけ一方的に強行することは、決して賢明な政治家のとるべき手段ではないと思います。 次に本予算の承認し得ないおもなる点を指摘いたしてみますと、まず第一に租税の著しい増徴は、國民生活をしてこの重圧に耐えなくなることであります。現在國民の一部にいまだぜいたくをして生活しておる余裕のある階級もあるかもしれませんが、国家再建の基礎でありますところの農業者並びに一般勤労者の生活状態は、決して余裕ありとは考えられないのであります。たとえば戦後農村インフレの夢はまつたく二枚の夢でありまして、過去三箇年以來の農村の手持現金の状態を見ましても、おそらくパーセンテージにいたしまして、三箇年間に三分の一以下に減つておるのであります。また最近におきまする農村の唯一の金融機関でありますところの協同組合の預金の状態を調査いたしましても、これまた急激なる減少をいたしておりまして、おそらく本年度中に全國協同組合中破綻に瀕して來るところが続出して來るような状態であることは、御存じの通りだと思います。こういうふうな事情のある上に、なお農村におきましては、農産物の供出価格はパリティ―計算によつて計算されておる。このパリティー計算は、現在の農産物の生産手段として必要な経費を差引く。この生産原価は、他の重要物資の公定価格のきめ方と同じように、生産価をもつてきめた場合とは非常に開きがあるのであります。その開きは、結局農民は税務署に現金を納める前に、食糧事務所を通じて現物の形として税金を納めておるという二重の負担を受けておるのであります。そういうふうな事情でありますがゆえに、この上になお所得税の追徴をするということは、とうていこれを遂行することができずに、やがてはこの徴税の上に破綻が来ることは明らかなのであります。 第二の問題といたしましては、公共事業費の土地改良並びに災害のことにつきましては、前の中曽根委員、あるいは今井委員から申された通りでありまして、この問題につきまして、もはや地方におきましてはかつての約束によりまして、すでに事業は二十四年度分まで進んでおるのであります。從つて本年度この予算を遂行いたしましたときには、新しく改修する、あるいは新しく事業を起す資金がまつたく予算面にないという県の事情が多いのであります。そうしたときに、はたして出水期にいかなる対策があるか。大水が山ましたときにも、ただ手をこまねいているよりほかはないという状態なのであります。また地方財政の問題、あるいは六・三制の問題にいたしましても、あるいは価格調整費の問題にいたしましても、本委員会においてはこまかいことは申し上げませんが、やがて小会議においてこの点に対する討論をしたいと思うのでありますが、以上簡單でありますが、申し上げまして、本予算に対して根本的な組みかえをして、地方の自治を破壊しないような、あるいは地方民に対しまして、信を失わないような予算の編成をされることを希望いたしまして、本予算に反対をするゆえんであります。
○植原委員長 松本六太郎君。
○松本(六)委員 私は農民新党を代表いたしまして本予算案に反対の意を表明するものであります。時間がありませんから、詳細のことは本会議に譲りまして、ごと核心についてだけ申し上げておきたいと思います。 大体本予算を通覧いたしまして、この予算がいかなる構想の上に立つて編成せられておるかという点で、すでに大なる誤謬を犯しておるということをわれわれは指摘するのであります。これは経済九原則の実行ということに政府としてはこだわつて、日本経済の自立について、いたずらに財政収支の均衡にのみ重点を置きます関係上、あらゆる産業の振興の面について、はなはだしく力が用いられておらないという点であります。これは先ほども御議論がありましたけれども、一体日本経済の自立をやろうという場合における行き方については、多くの方法があるといたしましても、まず日本の産業の復興、これが基本にならなければ、経済の自立もなし得ないのであります。しかるにいたずらに政府が財政収支の均衡にのみとらわれて、多くの産業を破壊に追い込むがごとき施策が明らかに現われております。われわれは特にその点について重大なる関心を持ち、反対の意を表明するものでありますが、その中でも価格調整費のごとき、これは委員会を通じて、大蔵大臣もしばしばお答えになつた点であるが、今後相当これを引下げて行きたい。またその可能性があるということを申しておるので、かような点に厖大なる予算を計上せられて、一面ただいまも御議論があつたように、国の産業の復興あるいはこの中でも農村の生産力の増強、さらに多くの諸君から議論せられておる六・三制の問題、地方配付税の大削減、こうして地方にはさらに新税を設けて、いやが上にも農村その他一般大衆の負担を重圧に陥れておるというような面、さらにまたかくのごとき状態が続きますならば、国民所得は激減せざるを得ない。しかるに一方においては所得税の大増徴を見込んでおる。さらに國民経済が非常な逼迫をするということが予想せられるにしもかかわらず、二千三百億円にのぼるというこの預金、貯金を見込んで、今後の産業資金の運用をはかろうというがごとき、矛盾に満ちた予算案に対しては、われわれは承服できないのであります。從つて詳細の数字の点につきましては本会議において申し上げますが、ここにはかような意図の上に編成せられ、また矛盾に満ちた予算案に対しては絶対に賛成いたしかねる。ゆえにすみやかに政府はこれを組みかえて、われわれの承服できる、國民が支持いたすことのできるような予算案を提出せられんことを希望いたしまして、本案に反対の意を表明するものであります。
○植原委員長 黒田嘉男君。
○黒田委員 私は労働者農民党を代表いたしまして、ただいま議題となつております予算案に反対をし、組みかえを政府に要求しようと思います。 本予算案は経済九原則に基く内示案によつて編成せられたものと見られております。終戦後歴代内閣がとり来りましたインフレ政策、及びインフレーシヨンを長期に収束しようとするいわゆる中間安定策を排しまして、インフレーシヨンの急速な収束を目的とし、復興再建の前提として、まずインフレの收束による経済安定を目標とする点におきましては、政府の言う通り、まさに画期的な予算であると思うのであります。われわれもインフレーションを急速に收束することにつきましては、かねがね平素から主張しておつたりであります。しかしながらインフレの急速な放棄のためには、深刻な犠牲と負担を覚悟しなければならない。ここに耐乏生活の要請が生れて来るのであります。九原則は、それが日本政府に指令されましたそのときから、これをわれわれに要請しておつたのでありまして、九原則発表後に行われました総選挙を通じて新たに成立する政府は、それか何党の政府でありましようとも、九原則を誠実に実行するだけの覚悟と用意とを持つていなければならない。同時にその実行に持つて生ずる犠牲負担の影響につきましても、適切なる具体的政策を用意していなければならぬのであります。しかるに本予算案は九原則を実行に移した場合の深刻な影響に対する何らの用意もありません。このことは本予算案か民主自由党政府の性格と相まちまして、犠牲を労働者、農民、中小業者に負担せしめ、一部階級の利益を擁護するという内容の予算案として、つくり上げられておる、このことをわれわれは見出すことができるのであります。たとえば労働者に対しましては、現内閣の賃金政策は、賃金を現状においてくぎづけするということにあるのでありますが、他面現内閣の物価政策は、すでに主食の値上りによつても示されており、近く運賃及び通信料金等の値上りとなつて現われる。大衆の生活に直接の関係のありますこのような物価の騰貴によりまして、実質賃金は低下するのであります。従つてこの予算は賃金引上げの予算であると見ることができると思います。また政府は行政整理、企業整備によりまして、大量の失業者の出ることを予感しながら、その半面におきまして、本予算案の中にはほとんど失業対策費と見るべきものが盛られていない。こういう費用は言うに足りない――ないといつてもよいほどであります。從つて私はこ点から見れば、本予算は労働者に対する首切りの予算である、こう言えると思う。 また本予算が実行に移されました場合、農村に対する影響を考えてみなければなりませんが、公共事業費の削減によりまして、土地の改良はもちろん、災害復旧もとうてい期待することはできません。國土は荒廃の度を加え、この点から食糧生産の増加などということは、とうてい望み得られないと思います。他面低米価による供出の強行のみを企図いたしまして、超出供出の法制化をはかろうとしておりますが、これは食糧確保による経済安定を名目といたしまして、農民にのみ一方的犠牲をしいるものであると私は思う。従つてこの予算がこのまま実行されますときに、わが國土はますます荒廃する予算となり、農民の生活はますます破綻に導かれる予算となると私は考えるのであります。また地方配付税配付金の削減、六・三制予算の削除等は、地方自治体の経営に深刻な影響を與えるものでありまして、われわれの耳にするところでも、地方におきまして、町村長等の辞職する春が相次いで現われているということであります、さらにそれだけでなく、責任感から自殺をする町村長が出ているという話をわれわれは聞いている。政府は公約を無視しててんとして恥じませんけれども、わが国の下級自治体の政治の責任者は、かくのごとく自分の責任に対して厳格であり、眞劍にこれを考え、かつその責任をとろうとしているのであります。自決というような現象か現われることは、わが國の政治の民主化の過程における悲しむべきできごとでありますけれども、私はここに民主主義政治、責任政治の片鱗を見ることができると思う。政府諸公はまさに慚死すべきであると考えるのであります。 次に、本予算案は中小商工業者に対しましては、企業整備と重税で倒産の一路をたどらしめる以外に道がないことは、私があらためて言うまでも凄いことと思います。しかるに他方本予算は、これを通じまして、政府は大産業資本家と、金融資本に対しましては相当の苦心を拂いまして、その保護をはかつていることを見ることができるのであります。たとえば一般会計のみをとつて見ましても、本年度予算は前年度に比しまして、相当多額の増加をしておりますが、その増加の内容を見ると、価格調整費あるいは政府出資及び投資金、終戦処理費等の増加が一般会計の歳出増加のほとんど九割六分を占めているのでありまして、これらの支出はことごとく大産業に対する補助でありまして、歳出面より見まして、かくのごとく大産業への保護と、都市並びに農村を通じての勤労者に対する犠牲の強要が企図されておりまして、私はここに本予算の性格をはつきり見ることができると思うのであります。 次に歳入の面から見ましても同様なことが指摘し得られると私は考える。本年度予算におきまして、租税は五千七十六億円で、歳入の七二%を占め、前年度に比しまして一〇%の比重を加えております。そのうちの六一%を占める所得税について見まするに、本年度の増加の割合におきまして、勤労所得税が九六%を増加しているのに対しまして、業主所得税は五五%の増加にすぎないのであります。ここに課税における勤労大衆への不公平な重圧が見られると私は思うのであります。農業所得税は百七十四億円の増加を見ておりますが、これも農民の負担の限度を超えたものであるといわなければならないと思います。 さらに大衆課税の面から見ましても、勤労所得税と消費税のみをとつて見ましても、その合計は二千九百五十九億円となりまして、租税全体に対し五七%となり、前年度との比較におきましても、九%の増加を見ているのであります。これを専賣益金の増加二百四十七億円と合せて考へますときに、本予算のもとにおきまして、大衆課税は勤労大衆の生活に耐え得ざる負担を加えるものであるということができると思います。しかもこのように勤労大衆への増税の負担内容を持つ大増税が、何のために使われているか、これを考えてみなければなりません。租税及び印紙収入の五千百四十六億円は、二十三年度に比べまして相当な増加になつておりますが、他面価格調整費の本年度二千二十二億円、政府出資及び投資金の八百四十二億円を合計いたしますと、前年度のこれら二つの支出の合計に比しまして、二千四十六億円の増加となつているのでありますが、これらはいずれも大産業に対する補助であります。租税収入においては本年度は昨年に比して一千九百八十五億円の増加でありますが、この本年度において昨年度よりも増加した部分が、ほとんど大部分これらの大資本の保護のための費用の増加のために食いつぶされておる。これをわれわれは計数の上から見ることができるのであります。しかもその半面に公共事業費は削減せられ、失業対策費はなきにひとしい、地方配付税配付金も大幅に遺憾ながら縮減せられておるのであります。 最後にもう一点、この予算の性質を解明するために、例をあげて結論に急ごうと思うのでおりますが、それは本年度予算案におきまして、最も中心的な問題になつております対日援助資金の一千七百五十億円の使途の問題でありますが、その使途をわれわれが吟味いたしましても、その大部分は大産業に対する融資、あるいは日銀及び市中銀行に対する公債償還等に充てられまして、これが大産業を保護し、金融資本の力を強化するために使用せられるということを知るのであります。なお復金債の償還の三百億円、これも税金から取上げまして債権者たる銀行に返して、銀行の支配力を強めるということになるのであります。 これを要するに本年度の予算は、結論から言えば大衆収奪の予算であります。大衆生活の窮乏と犠牲において、資本蓄積を強行しようという予算であると言うことができます。從つて表面は一應收支の均衡のとれた予算でありますが、犠牲負担という点につきましては、はなはだしく均衡を失したる予算であります。このことは労働者及び耕作農民の窮迫となり、中小業者の不振となりまして、社会不安を引起します。
○植原委員長 本会議に譲つて、簡単に願います。
○黒田委員 これでは生産の維持と増強はとうてい期し得られないだけでなく、勤労者に対する圧迫はすなわち生産の低下となる、こういうふうに見通さざるを得ないのであります。結局それはわれわれの目的でありますところの自立経済の確立を達成し得られないことになる。経済安定を達せられないことになる。すなわち九原則の実行を期し得られない内容を持つ予算案であるということを断定することができると思うのであります。これがわれわれがこの予算の組みかえを要請する理由であります。 なおわれわれは眞にわが國の経済の自立をはかりますためには、われわれの主張といたしましては、分配国民所得の中における労働者の所得の割合を高めるという政策をとらなければならぬと思います。中小業者及び勤労農民に対しましても、その再生産と最低生活を期し得られるような政策を予算の中に盛り込まなければならないのであります。そのためには税制及び価格政策につきまして、根本的な改革を行う必要があると私は思う。他面インフレ所得、やみ所得を徹底的に捕捉し、また資金の計画的、能率的運用をはかるために、金融機関の社会化をはかれというのがわれわれの主張であります。われわれはかくして、勤労階級の利益を擁護しながら、他面現在のわが国の至上の要請であるインフレを急速に收束するという政策をとるためには、わが党はどうしても一度は通貨改革を実行するという方法をとらなければならぬと主張するものであります。こうした角度から申しましても、われわれはこの予算案に対しまして、はなはだしき不満を感ずるのでありまして、この予算案はこの意味におきまして、わが党の主張とも根本的に相反しており、私はこういう見地からいたしまして、本予算を根本的に組みかえを要求する意味において、これを政府に返上したいと思うのであります。
○植原委員長 これにて討論は終局いたしました。これより予算三案を一括して採決いたします。まず勝間田清一君より発議されました予算三案組みかえのため、政府に返上すべしとの動議について採決をいたします。賛成の諸君は起立を願います。 〔賛成者起立〕
○植原委員長 起立少数。よつてこの動議は否決されました。 次に原案に賛成の諸君は起立を願います。 〔賛成者起立〕
○植原委員長 起立多数。よつて各案とも原案通り可決いたしました。 〔拍 手〕
○植原委員長 諸君の連日の御努力を感謝いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時十七分散会