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5回国会衆議院1949/04/12

予算委員会 第9号

発言数
286
登壇者
21
会派数
6
開催日
1949/04/12

会議録

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 これより会議を開きます。  前会に引続いて質疑を継続いたします。松本一郎君。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 農林大臣にお伺いいたします。第一は、公共事業費のうち農林省関係の費目についてでありますが、特に土地改良費について伺います。安本長官にもお尋ねしたいと思つていることですけれども、二十三年度の四百九十億余りから五百億余りになつたこの公共事業費は、物價と賃金との値上りによつて、事業量においては昨年の七割にも圧縮されておる。しかるに片方國民の税負担は非常にふえておるということから、全國の府縣町村においては、非常に非難の声が高いことは御承知の通りであります。ことに戰爭後、わが國の國土が荒廃しておる、食糧増産をせなければならぬということを口にされておりながら、何がゆえにこの公共事業費をかくのごとく減らさざるを得なかつたか。ことに食料増産とは一番関係の深い土地改良事業がほとんどゼロになつておるということは、私どもは食糧増産はもう不必要なのであつて、政府が昭和二十八年度には基準年度の一〇六%に、増産をして、外國依存をなるべく軽くすると言われておることとは、正反対の結果になつて來はしないかと思うのであります。農林大臣も御承知のごとく昨年度は十六億、今年は百億を要求された。しかるに安本では二十七億。それが結局なくなつてしまう。ところが都道府縣の事業には幾分の費目が見られておつても、市町村関係においてはまるきりない。そうして各府縣の事業は、大体市町村関係で百数十箇所ぐらい、実は継続事業でやつておるところがあります。三年も四年も継続でやつて、もうあと一、二年で完成するというような事業が、これがためにひとまず停止しなければならないという実にゆゆしき問題を、末端においてはかもし出すのではないか、かように私は心配いたすのでありますが、公共事業は優先的に食料増産に使い、第二義的には日本復興、第三は教育に使うべきであるということを私どもは聞いておる。農林大臣として、土地改良、食糧増産という観点から、これをいかようにお考えになり、今後どういうふうに御解決なさるお考えであるか、まず承りたい。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 その前に……。さきに風早八十二君から緊急動議として、米國対日援助見返り資金特別会計法が出るまで、この予算委員会の議事を中止すべしということを御提案になりましたが、理事諸君の御協議によりまして、その動議は本日まで一時たな上げいたしまして、議事を進行することになつておりましたが、本日午前十時三十分に、問題の法案は成規の手続を経て提案されましたので、風早君から御提案になりました緊急動議の採決は、自然いたさないでよろしいことと思いますから、その採決をいたさずして議事進行に入ることを御了承を願いたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森幸太郎民主自由党農林大臣

○森國務大臣 松本君にお答えいたします。食糧増産の重大なことが中止されたわけでもないのであります。これはおわかりになることと存じます。しからば食糧増産の重大な時期に、最も重要である公共事業費が五百億円では少いではないか、ことにその公共事業費の内部において、土地改良費が都道府縣の事業にのみ助成されておつて、町村の事業に対する補助が顧みられていない、こういうことは全然食糧増産を無視したやり方ではないかという御質問であつたと思います。政府といたしましては、決して食糧増産をおろそかに考えているわけではないのであります。でき得べくんば、一日も早く災害を復旧し、土地を改良し、食糧増産の目的を達成いたしたいという念願は持つておるのでありまするが、四囲の事情、予算編成についての事情も、松本議員はよく御承知のことと思うのであります。政府といたしましては、決して現在の予算をもつて満足いたしておるものではありません。何とかしてこの目的を達成しなければならぬという氣持を持つておりまするから、予算の進行の上におきまして、適当な時期に適当な処置をとりまして、増産の目的に沿うようにいたしたいと考えておるわけであります。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 大臣のお心持はよくわかりますが、適当な時期に適当な方法と言われますことは、近くショープ博士もお見えになつて、税制問題について檢討され、その後七、八月ごろ臨時國会を開き、そのとき予算を補正あるいは組みかえるという措置もお考えであるらしいと私は承つております。はたしてそのときに、公共事業費、ことに土地改良費を、大幅に増額されるお考えであるかどうか、この点も参考に承つておきたいと思います。

森幸太郎民主自由党農林大臣

○森國務大臣 ただいまお誓いし、またかようにするとも申し上げる時期ではありません。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 ただいまの御答弁では、私ははなはだ遺憾に思うものでありまして、もう少し力強い御答弁がいただきたい。しからざればこの予算の審議を私ども躊躇せざるを得ないのであります。ついては超過供出を今度は法制化して、強い命令によつて供出させるというお考えがある由と承るのですが、はたしてこのことについていかようにお考えになつておりますか。

森幸太郎民主自由党農林大臣

○森國務大臣 御承知の通り、連合軍のおせわになつて、食糧がようやく充実いたしておる場合に、もしも生産者の立場に食糧の余裕があるといたしますれば、アメリカに対しましても申訳がないのであります。九原則の中にもあるように、政府は食糧の集荷に不断の力を盡せという示唆も與えられているのであります。今日までの供出制度は、臨時食糧調整法によつて事前割当をいたし、その後においては絶対に割当はしないという方針のもとに、法が制定されてあるのでありますが、その後食糧の情勢から見まして、自主的ではありましたが、超過供出を要請し得られるような情勢がありましたので、本年を限り超過供出を要請いたしまして、生産者に非常な苦痛を與えた点もありましたが、ようやく超過供出は予定通り自主的に完遂を見ましたことは、食糧の事情のためにまことに喜ばしい次第であります。今日この超過供出が自主的に行われました現状から見まして、どうしても事前割当はその年の食糧生産事情、食糧事情等によつて補正され、法制化さるべきであるという示唆も受けましたために、この際超過供出をやる氣持を、事前割当以後において、生産事情の変化に伴い、あるいは食糧事情の変化に應じて適当に修正し得るように、法制化すべきであるという氣持で進んで行きたい、かように考えておるわけであります。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 ただいまの農林大臣の御答弁によりますと、供出制度の確保ということが九原則の中にあるというお話でありますが、九原則の一項目は、食糧配給制度の確保強化ということが言われております。供出という字は使われておらないのでありまして、これは御承知の通りであります。つきましては、やみを撲滅して正しき供出をせなければならぬ、そしてそれを配給ルートに乘せなければならぬということは、私ども常々考えるところでありますが、そもそも昨年できた食料確保臨時措置法は、供出並びに配給を合理化するということと、いま一つには食糧増産という大きな観点からできた法制でありまして、食糧増産は帰するところ、アメリカに依存する百八十万トンないし二百万トンの厖大な食糧をつとめて自給自足して、そのかわりに日本の再建に必要なる他の物資を輸入しなければ日本の再建が遅れる、こういう考え方であります。ついては、これまでのような出來高供出制度は、農民の勤労意欲を阻害するものであるから、農民に心から勤労意欲を奮起させて、働けば働きがいのあるようにするのが、あの食糧確保臨時措置法の精神であつた。ところが農民はあの事前割当によつて、これまでにないこれまでにない努力を昨年いたしたことは御承知の通りであります。ところがよくできたからというので、あたかもそれは自然にできたかのごとく、あそこは米が余つておるからもう一度追加供出だ。たとえ價格は二倍半、三倍になりましても、これは價格の問題ではなくして、精神的に農民に非常な打撃を與えておることは御承知の通りであります。從つてこの超過供出を法律の力によつて強制するという行き方は、根本にこの臨時措置法なるものは、食糧増産という観点からは離れておつて、もしかような法律をつくれば、食糧増産のねらいがはずれて、あるいは食糧の減産になつて來るのではないか、かように私は心配をいたすのであります。ことに民自党は、供出完納後は自由販賣、こういつたことは、食糧増産をねらいとして言つたことである。あえて自由経済復帰を希望するのではないのです。この観点に立つて、民主自由党の農林大臣である森さんのお考えを、いま一度私は伺つておきたいと思うのです。

森幸太郎民主自由党農林大臣

○森國務大臣 九原則は食糧の集荷を強制するということであるのであります。この氣持によつて一應臨時食糧調整法を改正して行きたいとかように考えておるのでありますが、生産意欲の向上ということは常に考えておることであり、考えなければならぬことと思うのであります。しかし自由販賣ということを今お述べになりましたが、この供出後の自由販賣という表現が私はよろしくないと思います。つまり自由ということを廣く解釈すれば、生産者が勝手氣ままにどこへでも賣る、集荷もどこへ出しても自由だ、こういうことになれば、まつたく統制形式がなくなるわけでありますが、現に外國食糧を輸入し、そうして二合七勺を配給しているところに、眞の野放しの自由はないのであります。この自由供出、販賣という表現を私は考えていただかなければならぬと思うのであります。私は從來のような天くだり式な割当、これをあくまでも強要して行くというそのやり方に、修正しなければならぬものがあるとかように考えておるのであります。それで現在の供出制度は、御承知の通り立毛の結果によつて供出するのであります。精農家が営々と経営いたしまして、非常な收穫を上げた、收穫を上げたがために、その上げた收穫量を基準として供出の割当をする。惰農がせつかくいい耕地を持ちながら、收穫を上げない。收穫を上げないその收穫量によつて供出の量を定められる。いわゆる立毛の成績でもつて供出量をきめて行くというのが、今日までの供出制度のやり方であつた。その点において私はいわゆる励みがない、努力しがいがないということを考えるのであります。それで將來におきましては、今この米穀年度の途中においてこれを修正することはできませんけれども、私の考えておりますことは、必ずこれは実現いたしたいと思うのでありますが、それは地方に應じて適正な一應の責任供出をせしめる。その供出を終れば、供出を目的でなしに、その地方を十二分に発揮して、たとえば二石しかとれないと考えられた田畑から努力の結果四石とる。そうすると、その二石というものがその人の努力の結果であります。三石とれる田畑から惰農が一石五斗しかとれない。そうするとその五斗はその惰農の責任である。それでありますから、地方に應じた責任ある供出基準を定めまして、それから努力いたしましたものに対して、その生産者の自由意思によつて、これを処置する方法をとつて行きたい。これは私の供出方式を変更いたす將來に持つておる理想であります。これは皆樣の御協力、御協賛を得まして、適当な時期にその方面に実現して行く。生産意欲を向上して行くという方途をとつて行きたいと考えておるのでありまするが、今日の段階といたしまして、臨時食糧調整法の一部を改正いたしたいと思いますけれども、今日その段階に入つておらぬ。しかも食糧はあちらにもこちらにもやみとして流れておるという現状から見まして、経済九原則に示されたごとくに食糧の集荷を強化するという氣持で、法の修正をいたしたいと思つておるのであります。もともと法律は臨時的な措置であることは松本議員も御承知だと思うのであります。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 ただいまの御答弁によりますと、超過供出を法則化するというようなことの考えはないという御答弁を私はいただけるものと期待しておりました。しかるにそれに反する御答弁でありましたので、重ねてお伺いをせざるを得ないのであります。要するに農業者がやみで食糧を流すということは、決して好ましいことでありません。また取締りもそれに從つて強化しなければならぬということもいたしかたがありませんが、これは農業者の自覚に待たなければならぬ。つとめて超過供出を自発的に行わすということに、これから指導督励する必要はありますけれども、法によつて責任を課するということは、ときにはそこにおのずとむりができて來る。苛斂誅求となる危險がある。どこにあるかというと、事前割当にいたしましても、天くだり的事前割当をやる。またその後の補正にしてもその通り、結局超過供出でも往々にして役人の一方的天くだり制度になる。遂に不幸な目にあつて、地方農民は泣かなければならぬというのが現状である。その重い割当に從わないというならば、府縣におきましては進駐軍に話をして、ジープで農家の家宅搜索までやる。農民は戰々兢々としておるという実状でありまして、もし超過供出までも天くだり式に割当てられた。ところがその割当が幸いに食糧が大増産できたところに多く割当てて、むしろ天候で不幸にして食糧が減産したところは補正で引去つても、あと超過供出の割当をしないのならよろしい。ところが昨年芦田内閣の末期にアイオン台風その他によつて補正で引去つてやつた。ところがその引去り方が足りないので、地方におきましてはもう一度補正をやらなければ、農家は裸供出をしておるのだということはよくわかつておりながら、それに対して今度百三十万石の超過供出の割当を政府は考えられた。そのときにさような氣の毒な府縣に対しては、たとえ一石の超過供出割当でもむりであるのに、そういうものにもおつき合いで五千石でも一万石でも、未曽有の豊作であつたところと同樣に超過供出の割当をした。それがためにさような縣におきましては、一つかみ運動だとかいうような名前のもとに、むしろかえつて米、麦あるいは雜穀までも、米の代替に超過供出をいたしておるということは御承知の通りであります。これを法制化したら、往々にしてかようなことに陷りやすいという弊害を想像いたしますがために、ことに民主自由党の政策と根本から相反する——民主自由党の閣僚の中でも、特に骨の太い大臣と言われておる森さんです。この法案が出されるということにならないように御盡力お願いいたしたいと私は思います。  なお最後にお尋ねいたしたいと思いますことは、食糧の問題と関連してでありますが、超過供出の課税から、最近農家におきましては、食糧は近ごろはもう余つて來たのではなかろうか、しかも超過供出をすれば、五〇%も六〇%も重い税をとられてしまつて何にもならぬ、もう來年は超過供出などするものか、のみならずもうぼつぼつ食糧増産を見合そうではないかという氣持が大分あちらこちらに漂つて來た。また全國どこをながめましても、戰災跡地にあき地がありますけれども、このあき地を利用すればもつと食糧ができるところを利用しない。手近なところで國会議事堂の前にも一時はかんしよをつくつてあつた。けれども近ごろまた芝生にしてしまつた。食糧などはもうたくさんあるということを近いところで示しておる。ヨーロッパ戰爭のとき、イギリス本國では屋上に土を運んで食糧をつくつた。わが日本はまだまだいかなる手段を講じてでも、食糧を増産しなければならぬことになつておるのは、全國でもう食糧は安定したのじやなかろうかという空氣を農業者に持たし、國民に抱かしめるというだけでも、食糧増産の障害になるのじやないか。しかるに先ほどもお話のありました公共事業費においても土地改良は見合してしまう。超過供出課税は今年大藏省の予算では、どうやら二十四億を百三十万石に対照してとるつもりらしい。こんなことは二十三年度予算のときには考てられてなかつた。それを役人が一方的に超過供出から二十四億の税をとるというようなことをすでに考えておる。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 松本君、実は超過供出の税のことについては、もう再三ここで質問が繰返されておることで、あなたは御出席なくて御存じなかつたかもしれぬが、農林大臣は農林委員会の方でお忙しいそうですし、御同僚の皆樣はその問題は非常によく知つておることですから、要点の質問にどうか言葉を集中するようにして御質問願いたいのです。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 では最後に要点だけを御質問いたします。アメリカに依存する輸入食糧は二十四年度は二百万トンの上だ、そのうち砂糖とかあるいは食用油というものは別としまして、麦、ばれいしよ、その他大豆粉というようなものは、もうこの際半額程度にアメリカの方に御遠慮申し上げて、御好意はありがたいですけれども、日本でつとめて増産しますということで、農林大臣は國民に呼びかけられて、アメリカ依存はこういうふうにした方がよい、食糧は危機に見舞われるから、極力増産せよということにして、それだけ他のものでアメリカ援助をいただいたらどうか、こう私は考えます。そうすれば國民も奮起して、食糧増産に励むではないかと思うのであります。御意見いかがでありますか。

森幸太郎民主自由党農林大臣

○森國務大臣 食糧はもう増産せぬでもよいというような空氣があることは、とんでもないことであります。そんなことなら供出制度を法制化してやることもないのであります。食糧が苦しいからこそ、生産者に御迷惑をかけなければならぬことになるのであります。從つてアメリカから百八十万トンの食糧輸入を懇請しておるわけであります。その中にはいろいろの品物もありますが、主として小麦、とうもろこし粉等でありまして、それを一日も早くお断りしたいという氣持は、私が常にいずれの場所においても申し上げておるところであります。できるだけそういうふうなものを少くして、自給自足の道を立てたいということでせつかくやつておるのであります。御承知のさつまいものごときも、年々相当生産いたしますけれども、それが腐敗でせつかくのものが食糧にならないということから考えまして、本年ははなはだ少いのでありますが、三千万貫を目標といたしまして、これを貯藏施設によつて來年の四月、五月まで貯藏するということを計画いたしておりますのも、どうかして自給自足の食糧事情に置きたいという氣持でやつておるわけであります。科学を取入れることにおいても、あるいは技術を取入れることにおいても、食糧だけでも日本が独立したいという氣持でせつかくやつておるわけであります。しからばなぜ土地改良の予算を見積られなかつたかということについては、その間の事情は松本議員よくお察しくださることができると思います。政府といたしましてはどうかして食糧事情を緩和して、一日も早く独立したいという氣持でせつかく政策を練つておることを御承知願いたいと思います。

三宅正一日本社会党

○三宅(正)委員 ちよつと議事進行で……。大藏大臣に先般から当然提出されるべき資料といたしまして、資金計画の問題をお願いをしておるわけであります。まだ出ないようでありますが、これは当然出されるべき性質のものでありまして、事情はいろいろありますことは承知しておりますけれども、早く出ないと審議の都合に影響いたしますので、その点の御答弁を願いたいと存ずるのであります。それから同時にそうでなしに、委員から正式に要求されました資料についてもまだほとんど出ておらぬのであります。この点を委員長の方から特に御注意くだされまして、明日とか明後日に請求しております資料がきちつと出ますように手配を願います。それだけであります。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 委員長から政府に申し上げます。委員からいろいろの資料が要求されておりますが、もう予算審議期間も迫りましたので、なるべく至急おとりそろえをいただいて委員会に御提出願いたいと思います。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 先般御要求になりました資金計画につきましては、きよう多分午後安定本部長官からお出しになると思います。なおまた私に対するアメリカの西ヨーロッパ諸國に対する援助資金の使い方もきよう出ると思つております。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 大藏大臣にお尋ねをいたします。この二十四年度予算を拜見いたしまして、私どもは敗戰の日本、ことに連合國に占領されておりますわが國が、一度や二度は当然直面しなければならぬ冷嚴苛酷な予算であると思います。しかしこれもいたしかたないと思います。この予算を公正に執行いたしますならば、あるいは日本更生再建の興國の予算となると思いますが、不幸にして從來の官僚の考え方でこの予算を執行したら、危險なる亡國の予算となりはしなかろうか。このことを案じますが、予算のごくあらましのことは、先日來質疑應答が繰返されておりますから、私は省略いたしまして、少しくこまかい問題でありますが、その内容についてお尋ねをしたいと思います。  第一は三千百億の所得の徴收がはたして可能か、不可能かということについては、先日來の質疑應答においても伺つておりますが、大藏大臣は適当な時期に予算を組みかえて、できるならば支出の面を減じて、減税に振り向けるという御答弁があつたかと思うと、同じ日に徴税の合理化と、一つは納税思想を普及鼓吹することによつて、この三千百億の徴税は可能であるというふうにも答弁されておる。大藏大臣がいろいろ御心配なさるのはよくわかります。この税金は非常に厖大な、苛酷なものでありまして、できないと言えばできないが、できると言えば確かに可能である。都合によつては四千億の所得税の徴收も決して不可能ではないと思います。ところが問題は徴税の技術をいかにして能率的に、また公平に、國民に不愉快な氣持を持たさぬように向上させることができるかということと、もう一つは一般國民に納税思想を普及徹底し、みずからの力でお互いに犠牲を拂つて、日本を再建しなければならぬという考えをどうして持たすことができるか。この二つの具体的の方法について、國民が納得が行くような御説明がこれまでなかつたのであります。このことを私は遺憾に思います。大藏大臣には何か御構想がおありと思います。この御構想、御決心のほどをこの機会にお伺いしたい。そうして私どもも國民にこれを傳えたいと思うのであります。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 お答え申し上げます。御質問まことにごもつともでありまして、私もその点で苦労いたしておる状態であります。まず徴税機構につきましては、行政整理をいたしておるときでありますが、徴税の重要性にかんがみまして、相当の経費をこれに充てて万全を期したいと思います。具体的の問題といたしましては、まず税務官吏の素質向上に努めますとともに、非違のある者、やり方が惡い者につきましては、これを改善さすように努めますとともに、納税者の方につきましても、私はできれば諮問機関的のものを設けまして、民意をいれると申しますか、税務署がかつてに、独断的にやることを是正したいというような機関を設けるべく努力いたしております。申告納税制度と、從來の所得調査委員会制度とは必ずしも理論的に一致いたしませんが、実状に沿いますためには、ある程度の税務署以外の機関が、これにタッチする制度を採用してみたいと今考えておるのであります。なお納税者の側におかれても、帳簿の整理、あるいはまた賦課課税で一度に税金を納めて非常に苦しく感じておられますのを、納税預金制度を拡充するとか、徴税が円滑に樂に行くような方法も考えております。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 大藏大臣は大体大藏省関係の上層部のことはよくおわかりでしようが、近ごろ末端税務署で一税務吏員が、多数の納税者國民を前にして、いかなる言動、態度であるかというような実情をごらん願う機会は少いのではないかと思います。私二月、三月あちらこちらの税務署を、あの審査請求申立てのまつ最中に調査にまわつておりました。これは新聞でもたびたび書かれておりますから御承知でしようが、大体税務署員は採用年限も浅い、未熟であるということも一つではありますけれども、いま一つは前のような非常な軍國主義的な権力者が支配政治をやるような氣持が除かれておらぬ。すなわち民主的ということは名だけである。     〔委員長退席西村(久)委員長代理着席〕  大勢の異議申立てが殺到しても、二言、三言言うと、君何を言うか、納税を君はごまかそうというのか、というような態度に出て來る。所によりますと、けんか、口論、なぐり合いまでするというようなことがしばしば実は行われておるのであります。中には審査請求をして調査に行けば、君の所は田が何反ある、わらがどれだけある、裏にかきの木が三本ある、あのかきには幾ら実がなつて、一つを幾らと見て、あのかきで幾らの所得がある。ところが主人は、このかきはうちの子や隣の子がもいで食べただけである、たとえもいで食べてもそれは所得だというので計算しますから、むりな所得を農民におつかぶせることになつてしまうのであります。それが納まらなければ、差押えをするとか進駐軍に告げるぞ、こういうことがしばしば行われておりますので、何をおいてもなさなければならぬことは、この大勢の税務官吏の官僚主義をまず第一に打破してしまうということと、いま一つは大勢の署員の中には非違、非行あるいは好ましからぬことをやる者があります。そういう者を懲戒処分、免職にする場合には、署長あるいは課長というものに強い権限を持たす必要がありはしなかろうか。近ごろ職員組合があつて、課長や署長の権限では、すぐそれを懲戒免職ができぬ。よほど大きな犯罪でもなすにあらざれば、刑事問題でも起すにあらざれば、懲戒処分ができぬというようなことになつておりますのを、あの男はいけない、大勢の者に迷惑をかけるのではなかろうかと思うときは、署長や課長がこれを処分することができるというような権限を與えなければ、國民に納得の行く徴税はできぬのではないか、こう私は思います。  それといま一つは、税務官吏と警察官と學校教員、この三者はどうしても今のような待遇ではだめです。衣食足つて礼節を知るで、特に優遇して体面と生活の安定を保持させる必要がある。ですから今度の行政整理、人員整理のあとでは、これらの者を特に優遇するお考えがあるかどうか。  それといま一つは信賞必罰を明らかにする。非常に能率を上げる署員は何らかの方法で優遇する。また心得違いのうわさの高い者、そういう跡の見える者に対しては、これはさき申しましたように退職せしめるというような信賞必罰の制度をとらなければ、今の税務署員の徴税技術は向上しないのではないか。  さらにもう一つ伺いたいことは、中央に税務吏員の講習所というようなもの——これは三箇月か六箇月くらいでけつこうです——これを開設されて、この講習を終えた者を全國の税務署に派遣する。そうしてこれらの者は優先的に待遇をよくする。入れかわりまた講習するというような方法を、至急に積極的に講じたらどうだろう、こう考えるのでありますが、御意見を伺いたいと思います。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 お説まことにごもつともなことばかりであります。信賞必罰につきましては一層励行いたしたいと思つております。最近も好ましくない職員がおりましたので、二回か三回にわたりまして十名近くを退職させました。こういう國民に御迷惑をかけるような不届者がありましたならば、譴責とか訓戒とか、そういう処置をとつて参るつもりであります。なお税務官吏の待遇につきましては、先般來他の職員よりも特別の優遇をいたしておりますが、まだこれで十分とは考えておりません。他の職員との関係あるいは予算の関係で、足らざるところはあるのでありますが、待遇改善につきましては今後とも努力いたしたいと思つております。  最後に税務官吏の教育機関でございますが、一昨年來東京に高等財務講習所を設けまして、数百名を入れております。当初は二年計画でございましたが、実情から申しまして一年の教育にかえたと思つております。なお各財務局につきましても税務講習所を設けまして、一年程度の教育を施し、お考えのような制度を数年前から実行いたしておるのであります。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 今のような制度はよく伺つておりますが、あまりに二年、三年は長過ぎると思います。ごく短期でけつこうだと思いますが、少くとも三箇月、あるいは長くて六箇月くらい、入れかわり、立ちかわり多数を教養する。こういう方向をとられなければ、この二十四年度には間に合いかねると私は思います。私どもは今度の徴税が容易ならぬと思いますだけに早くそういう短期間でも教育を受けた、教養を高めた者を全國に配していただきたいと考えるのであります。  その次は所得税の調査委員会制度を設置する問題についてであります。これは先般吉田総理が申告制度の問題について準備するとともに、所得税調査委員会制度を設けたいと言われておるのであります。ついてはこの所得税調査委員会制度なるものは、どういう構想のもとに、またいつごろからおつくりなさるお考えであるか、承りたいのであります。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 税務官の教育につきましては、一箇月とかあるいは二箇月の制度も昔採用しておりました。所得税だけ、あるいは法人税だけの講習、そういう短期間の講習もあります。本年は先ほど申しましたように一年、二年の大がかりのもの以外に、お説のように二、三箇月くらいの講習をやりまして、そうして事務に習熟するように努めたいと思つております。  第二の所得税調査委員会は、御承知のように一昨々年まで過去数十年間やつて來たのでありますが、所得税が予算申告納税制度になりまして、その年の所得をその年に申告して納めるということになりますと、所得調査委員会にかける時期がないのでございます。從來は前年の実績によりまして、その年の税金を納めておつた。從つて前年の実績を調べて所得調査委員会にかけまして、五月までに決定して、その年に納めておつた。その制度がかわつたのでございます。今のところ所得調査委員会にかけるということが時期的にちよつと困るのであります。私が今考えておるのは、予算申告納税をいたしましたあと、更正決定について、税務署に異議を申し立てる人があつた場合には、税務官廳以外の機関を設けまして、ただちにそれに諮問するという制度を考えたらどうかと思うのであります。大体関係方面の考え方なんかは、税というものは國民と政府と利害相反するものである、今までのような調査会で納税者の代表が出て來て審議することは無意味である、こういう考え方が強いのでございます。從つてただいま私の考えておりまする更正決定について異議のあつた場合の機関を設けるにしましても、その人選につきましては、他の観点からそれを選ばなければなかなか通らないのじやないかと考えております。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 所得税調査委員会というものの構想について、私ははなはだ残念ながら満足の行くお答えとは受取れません。吉田総理が先般新聞で発表されたときに拜見いたしましたのでは、これはけつこうなものだ、いいことだと考えたのでありますが、大体所得税調査委員会という一種の諮問機関が長らくあつたことはよく知つておりますが、これはほんの諮問機関であつて、何ら権限のない、決議機関でも何でもないという程度であつたのであります。今度お考え願うものは、納税者が責任をもつて間違いのない申告をして納税をすればよろしいのですが、これは日本の現状としてはにわかにそうは参りかねると思います。また税務署もそうこまかくすみずみまでも知つておるものではありません。ただ法規に照して割当するにすぎない。ところが家庭の実情あるいはいろいろな面からながめて、一番よく知つておるのはその市町村におります相当な経驗ある人たちである。でありますから中央、地方に所得税調査委員会というものを設立する。そして委員は税務署からも出る、また財務局からもでる、あるいは末端におきましては市町村の中からそれを市町村会の推薦か、あるいは市町村長の推薦か、——公選は理想でありますが、公選の煩を避けて、さような形で二人でも三人でも出す。そして縣と縣とのでこぼこを調整する。また郡と郡、市と市、個人と個人とのでこぼこも調整する。こういう機関を設置すれば、あそこはやみでたいへんもうけているが、表向きの納税は少いというようなこともよくわかりまして、やみの、脱税などもある程度これによつて防げると思うのです。私はこの困難な徴税を前にして、かような力強い諮問機関を——これまでにないものですが、この際設置される必要が多々あるのではないかと、考えるのですが、いま一度お考えの上、御答弁を煩わしたいと思います。

西村久之民主自由党

○西村(久)委員長代理 松本君にお諮りいたしますが、大藏大臣の御意見ははつきりいたしておるのであります。あなたのはあなたの御意見を加えての御質疑のようであります。大藏大臣の方でもそういう心持は持つておるけれども、今日の情勢下においてその実現が困難である、御希望に沿うために、何かほかの機関、たとえば苦情処理委員会か何かでやるように努力はいたしつつあるということを、先ごろから再三お答えになつておるのですから、重ねて大藏大臣の御答弁を要求するまでもないと私は信じますが、いかがいたしたものでありましようか。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 いや、けつこうです。

西村久之民主自由党

○西村(久)委員長代理 それでけつこうでしたら、方面をかえて大藏大臣に御質問願いたいと思います。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 その次にお尋ねしたいのは、この予算にあります法人所得税と個人の事業所得税についてでありますが、法人所得税は二百七十億、個人の事業所得税は三千百億となつております。昨年の法人の所得税は百八十億で、この予算はその五割増になつておるのに、個人の方は七割増になつておる。そこで私はなぜに法人の方が五割で、個人が七割であるかということについて大きな疑問を持つものであります。なるほど法人は企業整備実施によつて赤字の出る会社も出ましよう。しかし一面補給金であるとかあるいは見返り資金であるとか、あるいは復金の金を借入れるとかいうことによつて、相当もうかる会社も出るのではないか。しかし個人所得は農業は少々マル公が上つても、やみ所得は御承知の通りほとんどなくなつておる。商工業者も購買力の減退によつて所得がなくなつておる。こういうことを想像いたしますとき、何で片方が五割で、片方が七割という予算を計上されたのか。予算説明書にはごく簡單に法人所得の五割増加を説明されておるだけであります。すなわち昨年の利益申告を基礎として所要の調整を加えたというこれだけのことが書いてあるだけであります。この点をお伺いいたしたいと思います。     〔西村(久)委員長代理退席、委員長着席〕

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 個人の事業所得と法人の所得とは必らずしも一致いたしておりません。ずつと昔のことを申しますと、法人税の重さは相当大きかつたのでありますが、最近は法人の資本金の大部分を占めておる大企業が、あまり利益を出していないという状況でありまして、個人と必ずしも増加率が一致しないきらいがあるのでございます。私は大体二百七十億円くらいが適当ではないかと考えておるのであります。詳しくは政府委員から御説明申し上げます。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 この議会が予算を決定いたしますと、大体政府はこの予算に基いて徴税されることは御承知の通りであります。從つて私どもも予算決定については、重大な責任を感ずるのであります。すなわち大藏省主税局は各地方の財務局長に命令をされる、財務局は税務署に徴税目標額を指示されます。從つてこの徴税目標額の指示を受けたる末端の税務署員におきましては、目標程度あるいはこれ以上少しでもよけいとろうということになりまして、税負担のあるなし、利益のあるなしということよりも、目標額を基準にして徴税をする弊害が多々あることは御承知であります。從つて予算を最初議決いたしますときの私どもの責任が、いかに重いかということを痛感いたすのであります。法人の問題に関連いたしまして大口の脱税あるいはやみ所得は、共産党の各位もお見えになりますけれども、七千億あるいは八千億ある。これはこの間の総選挙に全國にうたつて歩かれたのであります。私どもはまさかかようなことは架空の議論であつて、実在するものとは思いません、けれどもどれだけあるかは知りませんが、相当脱税あるいはやみ所得が逃がされておるのではなかろうかと思われる節もあるのであります。こういう面に対する追求についていかにして徴税の完璧を期するか。これいかんによつて三千百億は可能であり、もしもこれができなければおそらく不可能である。こう私は考えるのであります。大藏大臣のお考えを伺いたいと思います。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 お答え申し上げます。お説の点がありますので、先般來財務局に査察部、本省に査察部を設けまして、特殊の技能を持つておる者を集め、盛んに法人あるいは個人について再調査をいたしまして、脱税額も相当発見いたしておる次第であります。不心得な納税者に対してはどしどし告発をいたしております。その金額も多い会社になりますと、三億数千万円の脱税があるというようなものもありまして、てきぱきただいまやりつつあるのであります。なおある政党の七千億の脱税があるとかいうその根拠は私存じませんが、多分これは数字的な誤謬があるのだと私は考えております。なおこの問題につきましては、主税局長より一應この機会に答弁させたいと思います。

平田敬一郎大藏事務官(主税局長)

○平田(敬)政府委員 ただいま御指摘のように、共産党の八千億の大口やみ所得等、惡質資本家の脱税、こういうことがこの間新聞にも出ておりましたので、それに関しまして大藏省の見解を出して置いたのですが、八千億の根拠としてあげられておりますところは、二箇年にわたる國民所得と課税所得のギャップが一兆六千億ある、その税率が五〇%として八千億の脱税がある。これはすべて大口脱税あるいは惡質資本家の脱税である。こういう趣旨のように私ども聞いておるのです。ところが國民所得と課税所得との間に相当開きがありますことは前々申し上げておる通りでありますが、その開きの全部を大口やみ所得や惡質資本家の脱税である、こう断定しておられるところに、どうも主税局としては賛成できない点があります。よく内容を檢討してみますと、その國民所得のとり方は会計年度で、課税所得は暦年になつておるのでありますが、それとの開きも見て計算しておられます。從いましてそういう点をいろいろ檢討してみますと、農業者や営業者の所得ですと、一月から十二月までの課税所得になるわけですが、共産党のとつておられるのは会計年度になつておるようです。それだけですでに三千八百億円ほど計算の狂いがあるようです。それから勤労所得では基礎控除や家族控除で免税点以下になるものがございます。これは正確な計算はなかなかむずかしいのですけれども、これにも大づかみに見ましても二千億はおそらく越えるのではないかと見ておりますが、そういう点も向うの計算では大口資本家の脱税である、こういうことになつておるわけです。そのほかやはり國民所得と課税所得とを比較する場合におきましては、勤労所得者や農業者の所得の間には、ある程度の開きがあるわけであります。その開きがちよつと計算してみますと約七千億くらいあるのです。そういうものも大口脱税だというふうに計算しておられるようでございまして、率直に申し上げまして、幾らありますか、的確に申し上げることは私どもなかなかむずかしい問題だと思いますが、國民所得と課税所得との單純な総額の比較から、八千億の大口資本家や大口やみ所得等の脱税である、かように見ることはどうも十分な根拠がないのではないか、私どもはさように考えております。從いまして先ほど大臣もお話になりましたように、もちろん私どもは極力、税務能率を上げまして、この方面の課税の充実をはかりたいと考えておる次第でありますが、総体の額の推計につきましては、大分見解を異にしておるということを一言申し上げておきます。

奧村又十郎民主党(第十控室)

○奧村委員 ただいまの大藏大臣のお話にもありましたように、最近各財務局で、査察に非常に有能な方が活動せられまして、ちよいちよい告発などをやつておられます。こうなつて参りますと、われわれ所得税法を十分読み直して参りますと、いまだに解釈がはつきりしない点が多いのであります。この際お尋ねいたしたいと思います。すなわち財務局における所得の更正決定額と、それから納税者の申告額と開きがある場合、つまり納税者のいわゆる過小申告であつた場合、これが所得税法第六十九條の、「詐偽その他不正の行為」による違反とみなすことができるかどうか、こういうことが最近においてたびたび疑問になつておるように思いますので、この際承りたいと思います。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 過小申告につきましては私は所得税法の違反と考えております。ただそれを告発するかどうかということは程度問題でございまして、よほど愼重に考えなくてはならぬと思います。なおただいま告発しておるものは、よほど惡質のものと思われる程度のものについていたしております。

奧村又十郎民主党(第十控室)

○奧村委員 ただいまよほど惡質なものというお言葉でありますが、実際の問題になりますと、納税者と財務局との間の見解の相違であつて、どちらが正しいか判定のつかないこともあるやに思うのであります。そこで第六十九條の「詐偽その他不正の行為」ということについては二重帳簿であるとか、あるいは特に事実を隠蔽したということででもあればともかく、單なる見解の相違の場合においてこれを罪にするということは、この際不当であろうと思うのでありますが、重ねて御見解を承りたい。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 お説のように考えております。

奧村又十郎民主党(第十控室)

○奧村委員 なお重ねて申し上げたいと思います。たとえば昨年の一月福井税務署において、全國において十番以内に位置しておつて坪川某なる者に対する更正決定が、たしか千五百万円程度と聞いておりましたが、後ほどその更正決定が非常に過大であつたというので、三分一程度にまた更正決定を税務署の方で自発的に訂正されておると聞いておるのであります。こういうことに相成りますと、納税者としてはたとい後ほど訂正されたとしましても、精神的にも物質的にも損害を受けると思うのであります。当局においてもこういう失敗は多々あろうと思う。ところがこういう問題が起つた場合に、財務当局がその責任を明らかにする法律は規定しておりません。こういうことを考えてみましても、單なる過小申告においては罰するべきではないと思いますので、重ねて御意見を伺いたい。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 お説の通りでありまして、單なる過小申告につきましては、「詐偽その他不正の行為」でなければこれにかかつて参りませんことは法文の示す通りであります。なるほど税務署におきまして見積りを間違えて、國民に迷惑をかけるということも從來往々にしてあつたのでありまするが、これにつきまして賠償制度を設けるかという問題につきましては、將來研究しなければならぬことと考えます。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 先日來の質疑應答にはつきりしなかつたのはこの申告制度であります。先般吉田総理が新聞に発表されましたが、申告制度についてはこれは考慮する必要があると言われたが、あの新聞記事の書き方はあたかも申告制度はもう廃止してしまうというふうに國民にはとられておるのであります。つきましては、先日來の質疑應答に大藏大臣は申告制度は年とともによくなつて來ておる。また一昨年より今年はいい、來年はもう少し改善されるかもわからぬという点を言われておりますので、申告制度は今後引続き行われるものと解釈をいたしておりますが、大藏大臣はどうお考えになつておりますか。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 松本君、この質問は以前もありまして、大藏大臣はお答えをしておることですが、あなたは御出席なかつたから御存じないでしようが、——大藏大臣に御答弁願いますけれども、どうか繰返し同一のような質問はなるべくなさらないように願います。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 申告制度は前の所得税法のときからあつた制度でありまして、從來は納税者が申告いたしまして、その申告について調査の上調査委員会にかけております。しかして調査委員会の諮問を経ましたもので納税することに昔はなつておつた。現行税法は申告納税制度で、申告しますと同時に、税金を計算して納める、こういうことに相なつておるのであります。從つて前よりも今度の申告はよほど申告に重さを加えております。この申告納税制度は、私は今のような経済情勢のもとではけつこうでございます。この分をやめる考えはございません。あくまで納税者の申告を主体にして行くという考え方で行きたいと思います。なお予算申告納税制度は一昨年、昨年とやつておりますが、申告をなさる前に納税者と税務署の方でいろいろ調査をいたしまして、こういう基準で申告を願いたということにいたして行きますと、非常にうまく行くのであります。北海道におきます農業所得につきましては、ほとんど申告が完全に近いものでございまして、これをそのままで税務署が決定した、こういうことに相なつております。先ほど來調査委員会の問題がございましたが、われわれといたしましては、更正決定をする前にひとつ納税者の実情を聞き、また納税者の意見を加えて、申告の基準をある程度定めて申告していただくような方法で進んで行つたならば、更正決定とか摩擦も少くなつて行くのではないか。こういう方針をとりたいと思つております。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 申告制度について大藏大臣はそういうふうに簡單にお考えになつているから間違えてしまう。なるほど北海道は申告制度がよかつたかもしれませんが、東京都におきましても、また近畿地方におきましても、今年の一月税務署員も立会い、また市町村の吏員も立会いで納税者を大勢集めて申告納税をしたのであります。それが二月になつたら、更正決定が五割も七割も加算されて、しかも追徴金まで加算されて來ている。何のために税務署員が立会つて指導して申告納税をしたかということであります。その後いわゆる徴税目標が高くなつて、財務局より税務署に傳達されたものとより考えられぬ。というのは、昨年の議会におけるあの追加予算、水増し徴税の矛盾ができてきた。いわゆる六千三百円べースというものが原因していることは明らかでありますが、ともかく申告制度が一年や二年でだめだからというので捨ててしまうのもどうかと思いますが、大藏大臣のようにもう一度、もう二度研究して合理的な申告をすることができるようにすることと、もう一つは所得税調査委員会というようなものと並行して、完璧を期していただきたいと思うのであります。  いま一つ大きな問題でお尋ねしたいと思いますのは、この予算を政府並びに各官廳が執行いたします場合に、私ども決議してお手渡しするときに考えなければならぬのは、これまでの予算ぶんどりの弊害を徹底的に拂拭することができぬ限りは、この予算は実に危險なものだと考えるのであります。このことはるる申し上げる必要はありませんが、年度末に金が余れば、旅費、出張、宴会だ、こういうことで濫費してしまつて、翌年に持ち越しては來年の予算がもらえないという古い日本の惡いしきたりを改めなければ、この予算はわれわれはうかつに決議ができぬ。なるほど大藏大臣もドッジ公使も、つとめて冗費を節約し、支出の面でさらに余剩ができたら來年度の軽減に向けるんだ。この御趣旨はけつこうです。アメリカではできるかもしれませんが、はたして日本の現状でこれができるか。これを実は私どもは案ずるのであります。この予算ぶんどりの弊害を改めて行くということに対して具体的の御方針を承りたい。こう思うのであります。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 御説ごもつともでございまして、そういう弊害のないように実行して行きたいと思います。財政法、会計法全般を改正いたしまして、また本省はもちろん各出先機関、地方部等をも督励いたしまして、冗費を一切出さない。貴重な國民の金をできるだけ節約して行く覚悟でございます。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 実は私どもこの予算を審議しておりましてつくづく考えられることは、軍部の政治と官僚の政治は、國庫のゆたかなるを希望するという言葉がありますが、ちようどこれがそうなりはせぬかと思うのであります。先般も濱松地方警察が一斉に料理屋を一日檢査したときに、料理屋で酒を飲んで宴会をやり遊んでおる者が、九〇%までは官公職員、公團の役人であつた。十人に一人より一般の者はいなかつた。こう言われる。こういうことが今日國民に非常な思想的な影響を與えるのみならず、むりな徴税をやる場合に、はたして國民は心から氣持よく納税に應ずるかどうか。問題はここにあるのでありますからして、この際こういう弊害を一掃して、國民に納得して納税させるためには、何をおいてもこれまでのような考え方をこの際一擲しなければならぬ。また私ども自身も身を愼むことはもとよりであります。ついてはこの際政府は國民に納得させるために、こういう手段をお講じ願う考えはないか。すなわち公式の宴会などというものはもう当分の間二年でも三年でも禁止する。ただ外交上渉外関係で必要な場合にはやむを得ませんけれども、お互いに官廳、役人その他が寄つての宴会は一切禁止する。こういう宴会禁止法というようなものをこの際政府は提案するお考えはないか。都合によつてはわれわれ議員から提案してもよいが、むしろ吉田内閣からこういうものを提案されたら、なるほど政府はああいう考えだ、それならわれわれは乏しいものを分け合つて貯蓄して納税しようじやないか、ということになるのではないかと思うのであります。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 予算の執行につきましては、むだを省かなければならぬことはもちろんでございます。また一面官吏が綱紀粛正をしまして、行動を愼まなければならぬことももちろんでございまするが、一切宴会をしてはいかぬというところまで行くことはいかがかと考えております。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 私のこの氣持をお考えおき願いたいと思います。  その次にお伺いしたいと思いますことは、所得税法の中を一部改正して、農業所得税並びに個人商工業者の所得税を計算する場合に、專從者の基礎控除を別途に一人二千円とか三千円というものを引去るという方法をおとり願うことができますか、この考えはいかがでしようか、承りたいと思います。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 税制改正の場合には、そういうことを考えたいと思います。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 特に農業所得税についてであります。これは主税局長はよく御承知かと思いますが、勤労所得税は基礎控除があつて、それに税率をかけて、扶養家族を引いて税金が出る、農業所得は必要経費を引いて、税率をかけて、扶養家族を引いて税金が出るということになつておることは御承知の通りであります。ところが、勤労者の基礎控除は二割五分というものが引去られるが、一方農業者あるいは個人商工業者は、必要経費がほんとうに必要な経費であつて、これがどれだけ引去られるかという問題になりましたときに、主税局が農業所得に対する所得の実施要綱というものを全國の税務署に出されておるのでありますが、この実施要綱通りに実際に末端で今徴税されておるかどうかということになると、実はたいへんな違いがあるのでございます。すなわち勤労者の基礎控除は何がために二割五分引くか。これは勤労者の衣料代とかその他勤労に必要な諸雜費を見込んで二割五分引く。ところが農業者に対しては勤労者の基礎控除のかわりに必要経費を引く。ところがこの必要経費の中に御承知の「その他」という項目があります。この「その他」という項目が引去られるならばよろしい。ところが實際問題になると、肥料とか農機具とか牛馬というものは引去られても、「その他」は引去られておらないのが実情であります。これは主税局の発表による埼玉縣の調査でありますが、二毛作一反の田の総所得は約一万二千七百円ある。ところがこれに対して必要経費の中の「その他」というものが約千二十六円引かれなければならぬ。パーセンテージによると約八%であるが、この八%はおそらくどこの税務署も引いておらぬ。のみならず一面この農業所得に対しましては、逆に雜收入を見込んでおるのであります。雜收入とは何かと申しますれば、田でできたわらで、俵、なわ、かますをつくつて賣るのではないか、あるいは山村においては炭でも焼いて賣るのではないかというようなものを、田畑の雜收入に見込んでおりますから、これが一反歩一千五百円であります。引くべきものを千円あまり引かないで、よけいなものを千五百円見ている。計両方合せて二千五百円余りは引去るべきものが引去つてないということになりますから、パーセンテージでいうと、約二〇%強だけ農業所得者の税負担は重くなるという結論がここに出て來るのであります。でありますから、要はせつかく主税局で出されておるこの実施要綱を、末端の税務署の一税務吏員まで十分のみ込ませてあるかどうかということになります。また副業收入などを得ている農家は、よろしいが、そういう農家は十軒に二軒か三軒で、大多数の農家なるものは副業收入がないにもかかわらず、そういう者からも副業收入の税をとる。そして文句があるならば異議申立てをしたらいいではないかというけれども、異議申立てをしたらしかられて帰つて來る。一日電車賃を使つても、むだになるから行かぬ方がいいということになつて、昨日行つた者がだめだとなればだれも行かぬ。泣く子と地頭には勝てぬ、内閣がかわつたらもう少しいいことができると思つたら、今の吉田内閣は何だということが、今國民の声になつて來ておるのであります。つきましては、なぜ農業所得に対してこういうことになるのか伺いたいのでありますが、大藏大臣は詳しいことは御承知ないかもしれぬから、主税局長からでもけつこうです、ひとつ御答弁を願つて、惡いところはこの際改めるという決心のほどを、今日は伺いたいと思うのであります。

平田敬一郎大藏事務官(主税局長)

○平田(敬)政府委員 農業所得の計算の問題でございますが、お示しのように、昨年度におきましては、相当詳細な家施要綱をつくつて、関係團体並びに税務官廳に流しまして、極力適実を期するように努めたのでございますが、何しろ農業者の数が非常に多うございますので、各農家についで收入調査を正確にやることができませんから、やむなく一つの反当標準というものを設けまして、それによつて適正を期することにいたしておるのでございます。この標準のつくり方についても、いろいろ問題のあることは御指摘の通りでございまして、私どもも從來の標準にある程度欠陷のあつたことは認めておりまするし、從いまして、これについては極力改善に改善を加えて実施すべく努めております。その要綱によりましても、一昨年に比べて、昨年度は若干改善はし得られておるように私どもは見ておるのでありますが、さらに本年度におきましては、標準のつくり方と、さらにいま一つは御指摘のように適用の仕方が非常に問題でございまして、急ぎましたために一律主義に走つたということもありましたが、そういうことにつきましては、同じ村、同じ地域におきましても、標準を適用する場合に、若干いい人とそれよりも惡い人というように、少くとも三段か、できればもつと階段を多くして、各農家の所得の実情に即して適用するようにということを、本年度はさらに一層徹底してみたいと思つております。幸いにいたしまして、昨年度は所によつてはその標準が非常に好成績を收めまして、ほとんど申告だけで更正決定を要しない地域が相当ございます。これはいろいろむりして進めたのではないかという非難もございますが、とにかくそこまで行きましたことは、從來に比べて非常に改善だと思つております。北海道のごときは九〇%が申告だけで納めました。東北、北陸、新潟等におきましても、税務署の指導よろしきを得たところにおきましては、申告だけで済んだところが昨年は相当多うございます。本年度におきましては、さらに一層標準のつくり方並びにその適用の仕方、それから納税者に対する周知の方法について、團体の協力等に一段の改良を加えまして、極力円滑に参れるように努めたい、かように考えておる次第であります。  なお、農業所得の勤労控除の問題は、これは税制改正の問題に属しまするので、將來研究してみたいと思つておりますが、ただ先般から議論のありました專從者の控除の問題は、先に解決できるのじやないかと思つておりますけれども、勤労控除をするかしないかということになりますと、これは歳入額全体にもまた非常に重大な関係がございますので、ひとつよく研究した上結論を出したい、かように考えておる次第であります。

松本一郎民主自由党

○松本(一)委員 ともかくこの三千百億の徴税の方法いかんによりましては、この予算執行途上、ことに來年の三月あたりになりますと、あるいはあちらこちらに相当好ましからぬようなことが起らぬとも限りません。ちようど明治九年の全國農民暴動というものを——当時の歴史を調べてみればわかりますが、思い出すような事態に立ち至らぬとも限りませんから、私がお尋ねいたしました趣旨をよくお考え願つて、今後予算の執行に当つていただきたいと、こう思うのであります。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 これにて休憩いたしまして、午後は一時半から開会いたしたいと思います。     午後零時十二分休憩      ————◇—————     午後一時五十七分開議

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  これより質疑に入ります。屋崎末吉君。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 大藏大臣に御質問があります。質問は数点あるのでありますが、まず第一に特に明らかにいたしたい点は、大藏大臣はショープ博士が來られてから税制の徹底的整理とともに、減税ができるかのように言つておられるのであります。またわれわれも衷心からそれを希望いたしておるのでありますが、この際これに関連して特に伺つておきたいと思いますことは、國民はこの問題に関して税金の総額が減ぜられ得るかのような印象を受けておるのであります。そこで大藏大臣の言われる減税というのは、國民が印象を受けておるような税金の総額が減るという意味であるのか、または所得税だけが減税せられるのであるか、その点をはつきりいたしておきたいと思うのであります。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 アメリカよりショープ博士一行がおいでになりまして、われわれの考えておる、税制改正案を中心に御審議を願うことになるのであります。その際にどれだけの減税が行われるかにつきましては、先方の意見等を聞いてみないとはつきりは申し上げられませんが、私の希望といたしましては、できるだけ歳出を縮めまして、國民負担の軽減をはかりたい、こういうのであります。從つてもしかりに減税ができるといたしますれば、所得税を中心としての一般的改正でございますから、もちろん法人税の改正も行われましようし、他の間接税その他流通税につきましても、全般的に考えられる問題であります。從いましてまた地方税制にも関係いたします関係上、減税をするとすれば、全体の歳入金額は相当動くことになるわけであります。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 その問題は御答弁によつてはつきりいたしました。  次に伺いたいのは六・三制のたな上げに近いやり方、地方警察費の増加、公共事業費の圧縮等によりまして、地方町村の苦難はおよそ想像するに余りあるものがあることは申すまでもありません。しかるにさらに地方配付税を半額に近いところまで減ずるというのでありますが、こういうやり方ではたして地方はまかなつて行けるであろうかどうかということについて、たいへん心配にたえないのであります。聞くところによりますと、市町村長の中には総辞職でもしようかというような空氣のあることを察知することができるのでありますが、政府はかような点をどういうふうにして処置して行かれるのであるか、そうしたことについての御所見を伺いたいと思うのであります。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 財政の苦しいのは地方税ばかりではございません。國税も同樣でございまして、六・三制の校舍の新築につきましてはほとんど削られた状況でございます。公共事業費につきましても御承知の通りでございまして、とにかく苦しい間を何とかして切り抜けたいという希望であるのであります。しかしてまた配付税配付金が半分になつておるというお言葉でございますが、大体私の見るところでは地方の財政の輪郭、わくを昨年の二千五百億から今年の三千四百数十億にきめたのであります。しこうして三千五百億足らずの財政で大体地方はまかなつて行つていただきたい、こういうわけでございます。この金額は昨年の四割増し程度になつておりまするが、國税につきましても、價格調整費並びに終戰処理費の特殊事情の金額を除いてみますと、大体昨年に対しまして四割程度の増である。地方の方も大体同じ程度の増加にとどめておる。從つて地方の三千五百億足らずのこの財政費に対しまして、從來の地方税法から來る收入とまた今回の地方税におきまする増税からの收入を見ますと、大体今回の配付金五百七十七億円程度で苦しいながらもまかなつて行つていただけるのではなかろうか、こう考えた次第であります。われわれは地方財政費ができるだけ大きいことを望んでおりますが、國の財政がごらんの通りの状況でありますのでこの程度でしのいでいただきたい。こう考えております。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 ついでに伺つておきたいのは、六・三制の補助費についてであります。苦しい財政をやりくりをいたしまして、若干補助しようという努力をしていらつしやるように伺つておるのでありますが、もし地方によりましてやりくりした、若干の補助を今年は必要がない。そのかわり來年度において十分な補助をしてもらいたい。こういうところがあつた場合には、そういようなおはからいをなされるつもりであるかどうか、この点をお伺いいたします。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 二十四年度におきましては、公共事業費の中からある程度六・三制の校舎新築費用を出したいと、関係大臣がまた努力を続けておられます。結果につきましてはまだ文部大臣より聞いておりませんが、多分努力を続けておられることと思うのであります。  なお今の御質問でありますが、本年は必要ない。來年度になつてくれというときにはどうするかというようなお話でありますが、これはただいまからはつきりお答えできないと思います。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 いま一つ伺つておきますことは、地方の財政がこういうふうに苦しくなつて参るのでありますが、それにつきまして地方起債は從來よりも相当緩和せられるつもりであるかどうかそういうお考えがあるかどうか伺つておきます。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 大体地方の起債も、今年度におきましては二百三十億円程度見込んでおります。昨年は二百六、七十億円であつたかと思いますが、昨年よりある程度減つておるのでございます。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 次に伺いたいことは、政府もたけのこ生活をすると唱えられまして、國有財産の拂い下げをすることを発表せられたのでありますが、その國有財産が予算化せられたのはあまり多くないように見受けるのであります。その國有財産の拂い下げということは、結局政府がただいまのところでは拂い下げをいたしたいという希望の程度であつて、実際拂い下げをするまでにはなお相当の研究を行い、なお相当の時日も要するというのであるかどうか、この点をはつきり伺つておきたいと思うのであります。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 國有財産には御承知の通り、公共用財産、公用財産、雜種財産と大体三つにわかれております。大藏省で所管いたしておる雜種財産につきましては、大体今年度において二十四億円賣り拂いの予定をいたしております。なお別に財産税收入特別会計の方で、十二億円ばかりを計画いたしておるのであります。御承知の通り、雜種財産にいたしましても、相当の金額があるのでありますが、何と申しましても、相手方のあることでございまして、二十四億円程度しか予算に組んでおりません。しかし状況によりましては、できるだけ賣拂いを促進いたしたいと考えております。なお公用財産につきましては、各会計におきまして極力賣拂いを計画いたしております。その金額は、はつきり覚えませんが、鉄道特別会計では相当な金額になつておると思つております。なお今後におきましても、今度予算に計上いたしてないものも、経済界の情勢によりまして、できるだけ賣拂いをいたしまして、この財政の危機をしのいで行きたいという考えでおります。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 次に伺いたいことは、政府は今回の予算編成の実情にかんがみられまして、やむなく継続事業の打切りや中止等を行われるものが、相当に多数あるだろうと思うのであります。これに基く企業関係の未拂金、賣掛金等をどういうふうに処理せられるおつもりであるか。相当大事な問題であると思いますので、念のために伺つておきます。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 政府支拂いの促進につきましては、從來たびたび本委員会においても申し述べたのでありますが、未拂金の多いのはやはり特別会計におきまして、見越し注文した結果によるものもございますし、また会計法上支拂いに非常にむずかしい手続を経る関係もございますので、そういう支障の点は、今度予算が通過いたしましたら、また会計法を改正することによりまして、相当緩和できることと思つております。なお今後におきましても、政府の支拂いにつきましては十分注意をいたしまして、支拂い遅延による経済界への惡影響は、根絶いたしたいと考えております。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 次に先日御説明を伺いました中の、食糧供出関係費三十九億九千六百万円の大略の内訳を承りたいのであります。そうしてこの際つけ加えて伺つておきたいと思いますことは、わが党は、食糧供出後の余剩分に対しては、自由処分を認めるという公約をいたしたことがあつたのであります。これはやむない事情によつて急速に実行ができないのでありまして、はなはだ遺憾なことではありますが、せめてこの超過、供出分に対しては免税をするとか、大巾の減税をなすことが、一面においてはより多くの勤労によつて得たものに対する当然の措置であらうということと、一面におきましては生産意欲を増大せしめる力となる、かように思うのでありますが、こうした御意向をお持ちであるかどうか、これを伺つておきたいと思うのであります。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 お尋ねの第一の点は聞き漏らしましたが、数字に関係いたしておることでございますので、主計局長より御答弁することといたします。  なお第二点の超過供出に対する所得について、免税あるいは大巾の減税をしてはどうかというお話でございますが、これまた本委員会で申し上げました通りに、所得のあるところにはどうしても所得税を納めてもらわなければならぬ。この原則は、米の供出の多きを望むと同樣に必要なことでございますので、ただいまのところ超過供出による所得につきましての免税は考えておりません。なお課税にあたりましては、できるだけしんしやくをする方法をとつておるのであります。超過供出に対しまして免税するということになりますると、勤労者の時間外居残りも免税しなければならない。いろいろな波及がありますので、やはり所得のあるところには所得税を納めてもらうという原則は最も必要なことだと考えます。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 あえて農家のことばかりを申すのではないのでありますが、いわゆる今おつしやつたような時間外勤務等によるものも同樣でありまして、要するに、より多くの努力をなし、よりよい力をなすという、こうした面に向つては、特別の措置を講ぜられることが、さつき申しますように絶対に必要であると思うのであります。そういう点について、現在は別でありますが、將來何らかの方法をお考えになるつもりであるかどうか、この点を伺つておきたいと思います。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 建前としては、私はそれは原則として認めるわけには行かないと思います。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 主計局長さんから御答弁を願う食糧供出関係費三十九億九千六百万円の大略の内訳がおわかりでしたら、お知らせを願いたいと思います。

河野一之大藏事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 申し上げます。食糧供出関係の経費は、農業調整委員会の関係の経費が十五億三千万円、それから作物報告関係の経費が二十四億六千五百万円ということになつております。農業調整関係の経費は、言うまでもなく食糧確保臨時措置法という法律がございまして、主要食糧の生産、保有、それからその供出の数量、それから肥料その他生産資料の割当を、都道府縣の委員会、市町村の農業調整委員会がきめることになつておるのでありまして、この経費でありまして、中央においては中央農業調整審議会というのがございますが、その関係の人件費、事務費が約六百万円程度でありまして、あとは全部、都道府縣及び市町村、郡單位の地方農業調整委員会というのがございますが、この三つの委員会に対する交付金でございます。都道府縣の分は、一縣当り十万円程度でございます。それから作物報告でありますが、これは作物報告事務所の経費でありまして、これに從事しております職員は一万九千四百九十八人、四十九箇所の作物報告事務所がございまして、二千百十三箇所のその出張所がございます。大体五箇町村に一箇所の出張所が置かれておるのでございます。その調査は從來までは郡單位でやつておりましたが、今回はこれを市町村單位で抽出調査をすることになつております。米、麦、かんしよ、ばれいしよといつたようなものをその調査の対象といたします。大体人件費と調査の事務費、旅費といつたようなものが主でございます。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 この調査事務につきましては、大体都道府縣でもやつておると思うのでありますが、こうしたものを一元化する建前から、これこそ都道府縣にまかされるという御計画はないのでありますか、お伺いいたしたいと思います。

河野一之大藏事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 作物報告関係の事務を地方に委讓して、そこでやらせるかどうかということでございますが、これは行政整理の問題にからみまして、中央の出先官廳として持つておりまする地方関係の各種の事務をどういうふうにいたしますかは、目下行政整理の一環といたしまして、研究中でございます。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 次に本年度の砂糖の輸入計画は数量においてはどのくらいの程度であるか、おわかりになつておれば伺いたいのであります。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 後ほど調査してお答えすることにいたします。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 次に、所得税が過重であることはいまさら申すまでもありませんが、この所得税の軽減をはかるということと、一方におきましては非常にきゆうくつになる公共事業費を増額するというその財源の一つとして、現在の登録税法の一部を改正せられる御意思はないかということを伺つておきたいのであります。現在の登録税法によりますと、賃貸價格をもとといたしまして、賣買によるもの、相続によるもの、保存登記の場合、あるいは設定の場合、贈與によるもの等によつてわけられてあるようでありますが、これは國民全体に多く関係のある問題でなく、特別の方面に関係のある税金でありますがために、今言いました過重の所得税を軽減する、あるいは公共事業費の一部に充てるというような目的のもとに、この登録税法の一部を改正をして、その收入をはかられるというような御意思はないかどうかということを伺つてみたいと思うのであります。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 御意見もさることながら、登録税法の改正につきましては、從來税制改正のときに一律に引上げております。その引上げの仕方につきましては、御承知の通り、定額税と從價税がございます。從價の方につきましては、物價騰貴の関係上課税標準が上つて参りますが、定額税の方は上つて参りません。從いまして、経済界の変動を見ながら、今までも相当程度上げて來たのであります。しかしながら何と申しましても、登録税の財源は、税收入の示しますごとく微々たるものでございまして、これを増收いたしたからといつて、そう大した收入は期待し得られないのでございます。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 次に伺いたいと思いますのは、相続による移轉登記でありますが、現在までの実情を見ますと、おじいさんがなくなつておやじの時代になつても、依然としてそのおじいさんの名前によつて、税金を支拂つておる、孫の時代になつてもおじいさんの名で、税金を支拂つておるというようなことで、実質上の相続をしたたびに登記をいたさない結果、中間でなくなつた人に対しましては、あとから税金を追徴することができないようであります。從つて二代も三代も続いて、いわゆる孫か、その次に至つて、初めて担保の設定をなすか、あるいは賣買をするような場合に、相続の登記をするというようなことが、しばしば行われておるのを承知いたしておるのでありますが、これらの点に対しまして、何らか改正をされる御意思があるかどうか、伺つておきたいと思います。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 先ほどの、砂糖の輸入計画の数量はどうかという御質問に対しましてお答えいたします。輸入は三十二万六千トンを計画いたしております。  なお相続の場合におきましては、不動産等の相続登記が励行されていない。そのために徴税上困りはしないかというお話でありますが、まことにその通りでありまして、前からこういう問題がありましたので、実は研究をいたしております。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 砂糖の今年の輸入計画を伺つたのでありますが、二十三年度の輸入の実績は幾らでございますか。別々になつてごめんどうですが、わかつておられましたら伺いたいと思います。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 調査いたしまして御答弁いたします。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 それではあとでけつこうです。  大藏大臣に最後に伺つておきたいのでありますが、政府はドツジ声明の線に沿うた予想を確守せられて、その趣意と目的とを生かし、眞に経済の安定と、次に來るところの産業の復興をはかられるのであるならば、現在のところで國民に一時的の安易感を與えるのは禁物だと思うのであります。現在國家の現状を十分に國民に知らしめ、そして敗戰後ここに初めての一大覚悟を國民に求めて、そこにドツジ声明によるところのアメリカの眞意をも十分に味わわしめるという、そうした根底ができて、初めてそこから國民の前途に光明を認めしめることが、現在において最もとるべき方法であると考えられるのでありますが、こういうふうに國民に覚悟を求め、徹底をせしめることについての何らかの具体的の用意をお持ちであるかどうか、最後に伺つておきたいと思います。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 ごもつともな御質問でありまして、國民に今の経済並びに國際情勢を十分知つていただいてともに進んで行きたいと思つております。具体的方法はどうかという御質問でございますが、これは今回の予算をつくります趣旨を十分宣傳いたしたい。ほかにまた方法をその場その場で考えて行きたいと思います。

風早八十二日本共産党

○風早委員 今尾崎委員が所得税の軽減、さらにいろいろな建設費の必要というようなことから、相続税の増徴の意思はないかということを政府に問われていたのでありますが、私はその点に関連して政府に、現在課税さるべくして課税しておらない、課税対象の問題についてお聞きしてみたい。それはけさほどちようど私が席をはずしておりましたときに、やはり民自党の方から政府に脱税額というようなことについて、共産党の今まで発表しておる数字と——実は私が新聞にも発表したこともあるのでありまして、これに対して質問があつた。それに対して政府はそれがかなりでたらめであるごとき答弁をされたそうであります。これについて私は政府の所見をあらためて伺いたいと思う。それは、この問題は要するに課税対象となる所得がどれくらいあるかということでありまして、言いかえると、政府が課税をしなければならなかつたものであつて、しかもやらなかつた。もつぱら政府の責任に帰すべき問題として私は出したのである。一体それはどれくらいあるか。私は政府の配付の資料に基きまして、それは三月十三日の毎日新聞の投書欄に出ております。これはそれ以前に私が放送局でやりました放送の中にあつた脱税八千億という数字に対する疑問がある読者からよこされました、それに対する回答として出した。ところがそれに対しまして政府は、大藏省の主税局國税第一課の名をもつてさらに私に反駁しております。それをすべて関連させまして、ここで私の申した数字はどういう意味があるかということについて申し上げて、政府の新たなる所見を伺いたいと思います。これは政府の配付資料に基いているのであります。つまり國民所得と、基礎控除前の課税所得額との差額をとつて、これを二十二年、二十三年にわたつて加算いたしまして出たものが大体一兆六千億なのであります。これがおそらく課税さるべくして課税されていない額である。しかも今日課税率は、大口の場合には八割五分まで及んでいるのでありますが、私はずつと低目に見まして、平均して大体五割という計算でかけてみた。そうしましたら八千億五十数万円というものが出て來た。それを発表したのであります。その際に、もちろんその差額の中には全然課税されないような、当然課税対象にならないようなものも若干は含まれている。これもよく承知している。また國民所得額というものが、暦年の場合と会計年度でとつた場合とでは多少の違いがある、それもわかつております。しかしながらそういうことはこの際根本的な大問題ではないし、私は紙面の関係もありますからすべてそれを省いて、そのかわりすべてそれはこの五割というところに含ませて、大体において八千余億円というものを課税さるべくして課税されていない所得としてあげたのであります。そこで政府に伺いたい。一体國民所得が暦年の場合と会計年度の場合でたいへん違うということが、この反駁の一つの基礎になつているようであります。しかるに現に二十四年度のごときはこの両者はほとんどかわつておらない。大体政府は國民所得をそれほど正確に一体考えておられるか、それだけ自信があるか、この点を一つ伺いたい。さらに所得税のかからない所得があると言われる。それは先ほどのお話では——あとで聞いたのでありますが、二千億円もあると言われるのでありますが、その二千億円というのはどういうふうにして計算されているか、大体の説明を伺いたい。さらにこの課税をすべくして課税しておらない所得の中には、小口所得も相当あると言われた。今日これはあらゆる徴税の場面に実際に接触しております私として、実情から見まして、小口の所得者で、いやしくも免税点以上のもので、税金を拂つておらないということはあり得ない。そういうことがもしあるとすれば、それは政府の責任でありますが、そういうことは残念ながら幸か不幸かあり得ない。むしろ残酷なくらいとつておる。その例はあとでいくらも他の委員からも出るでありましようが、実に残酷きわまる差押えをやり、競賣なんかをやつてしやにむにとつておる。こういつたことを考えてみましても、今日小口の脱税者というようなものは問題にならない。でありますから、私は総括して、大体この課税さるべくして課税されておらない今日の対象額は、主として大やみ会社並びに巨大な資本家、会社の大口脱税にほかないということを断定したのであります。こういう点で政府はただただわれわれが発表する推定額に対して、けちをつけることをやられる、しかしながら実際にはそれではどれくらいこの課税さるべくして課税されておらない対象があるのか、また狭い意味で脱税額といわるべきものがあるのか、そういうことについて何ら積極的な言明をしておらないのです。こういう点はそれをしないでおいて、そうして他面われわれが非常に不自由な操作をやつて、つまり政府の資料がはなはだ不安全でありますから、非常にこの操作は不自由であるが、この大口なやみ脱税を追求しない限りは、今日のこの國家再建の問題が解決しない。われわれは所得税を大幅に軽減させたい。また一方におきまして、産業に対する資金を豊富に供給したい。しかしどこからそれは出るか。結局出るところはやはり一つしかないのでありまして、これらの当然課税さるべくして課税されておらない大口のやみ脱税に対して、徹底的な追求をしないときにはどうにもならないわけであります。でありますから、これはどうしても何らかの形で推定を施す必要がある。この意味で政府はもつと責任をもつて、初めからその脱税額の推計をちやんと出していただきたい。そうすれば何らこういう議論は起らないのであります。でありますから、この際、今日私のたまたま発表しております八千億という数字に対して反駁があつたそうでありますから、それならば政府は一体どれくらいに見積つておられるか、積極的にその数字を出していただきたい。これが私の要求であります。もしそれをやつていただけなければ、ただ責任を回避する、御自分たちが当然追求して行くべき課税対象をのがして、そうして小口の、あるいは中所得者、小所得者等に対して、非常に残虐なる徴税をやつておる言われてもしかたがないと思う。ぜひともこの際積極的な脱税額の数字を出していただきたい。これが私の関連質問であります。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 先刻風早さんに申した通り、お話は主税局長のことから関連質問の生じたことですから、ただいま主税局長もおりませんので、あなたのことはよく政府もお聞きになつておりましたから、いずれまた機を見て御返答があることと思います。

風早八十二日本共産党

○風早委員 大藏大臣がおられますから、大藏大臣が一番けつこうです。大藏大臣はもうかねがね主税局長も歴任されまして、十分に御承知と思いますから、この問題については大藏大臣から直接伺いたい。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 風早委員の八千億円の脱税額があるという話は前に聞いたことがあるのでありますが、私はこれはとほうもない数字だと考えております。なおあなたの方の八千億の脱税があるという根拠をひとつ拝見いたしまして、そうしてまた大藏省主税局で考えております点と突き合せまして、明らかにいたしたいと思います。  なお大口の脱税者がどれだけあるかという数字はこれはちよつとわからぬので、脱税者があれば調べて参ります。どのくらいあるかということは、われわれ先般來査察部を設けまして、脱税者と認められておるようなところは、強力に脱税額の摘発に努力いたしておるのであります。相当効果を上げております。從つて今まで調べ上げた大口の脱税者と認めるものにつきましては、わかつておりまするが、全体として脱税者はどうかという正確な数字を申し上げることはできません。あなたの八千億という根拠を見せてもらいたい。われわれの方で、それは厖大なもので、そんなものはとてもないということについてのお返事は、機会を見まして主税局長より申し上げることにいたします。

風早八十二日本共産党

○風早委員 一体大藏当局たるものは、今の御答弁のように、逆にこちらの方に証拠を求めていいものであろうか。われわれは今までの政府の資料によつて数字を出しておるのであるが、政府はさらにそれを求めておる。これでは主客顛倒ではないでしようか。私は大藏当局にどれだけの脱税額があるということを、一つ一つの実例を寄せ集めて出せと言つておるのではない。そういうことができる氣づかいはもちろんあるとは思わない。これは全國民がみんな徴税員になつてもできやしない。問題は國民所得額、及び基礎控除前の課税対象になる所得額というものがわかつておる限りは、すでに主税局長がいろいろ反駁して來た資料をさらに突き合わせて、そこから全体として十分統計的に出るはずでありまして、それをさしずめ知らせていただけばいいのである。それすら政府は知らさないで、逆にこちらの方にその資料を求める。こんな政府委員があるということは聞いたことがない。これはまつたく主客顛倒であつて、その責任を完全にわれわれの方になすりつけているものである。まつたく話が違う。今日大藏省が税金を徴收しなければならない責任者であるならば、こういう点はもう少しまじめに考えて答えていただきたい。私は即刻——いずれ機会を見ましてでなく、即刻この問題についての回答を求めたいと思います。今、主税局長がおられないというのでこまかい数字が出なければ、この委員会の会期中でもけつこうでありますから、ぜひ御回答をお願いいたしたいと思います。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 風早委員の八千億という脱税額があるということは、そのもとを見ないと、それがあるやらないやらわからないから、あなたの計算の根拠を参考にしたいというのです。從つてそれについての御意見を開き、こちらもそうはないという数字を出すのであります。決して逆にこちらから要求するとか何とかいうのではございません。八千億あるとおつしやるならば、その根拠をひとつ参考にしたいというのです。     〔「根拠で示せばいいではないか」と呼ぶ者あり〕

風早八十二日本共産党

○風早委員 ではその根拠を示します。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 風早君、主税局長の報告によつてあなたの関連質問が生じたことですから……

風早八十二日本共産党

○風早委員 いや、今の大藏大臣の八千億円は多過ぎるというだけの答弁では、あまりに無責任なる回答であると思う。われわれは八千億ということを出しておるのですから、これに対してどれくらいになるということを言つてもらえばいいのです。私は今政府に対して聞いておるのです。これに対して答えてもらいさえすればいい。こちらの八千億というのは根拠があるから言つておるのですから、それに対してそうでないというならば、そうでない根拠を出してもらえば、それで答えになるわけです。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 ただいま池田大藏大臣は八千億というような脱税は、政府としてはないと信ずるというはつきりとしたお答えがあつたと思います。

風早八十二日本共産党

○風早委員 それはただ信ずるというだけであつて、それならいかほどあるかということを聞いておるのです。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 そういうことについては、主税局長が参つてからお話するということになつております。

風早八十二日本共産党

○風早委員 それではそれまで待ちます。     〔「委員長委員長」と呼ぶ者あり〕

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 もうそれ以上の関連質問はありません。尾崎君。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 大藏大臣に対する質問は先ほどの質問で打切りまして、農林大臣に質問をいたしたいと思います。  第一に伺いたいのは、政府が最初企図した農地改革費は二百八十億であるといわれておるのであります。しかるにこの國会に提出された予算は四十億八千九百万円と相なつておるようでありますが、この程度をもつて、農林省が最初に計画をせられたような計画に大きな支障を來さないかどうか、こういう点について憂慮にたえないのでありますが、御所見を伺うとともに、四十億八千九百万円というものの大略の使途を伺いたいと思うのであります。

森幸太郎民主自由党農林大臣

○森國務大臣 お答えいたします。四十億八千九百万円については、その大部分は農地委員会費であります。他は本省及び府縣の事務費でありますが、これはわすかなものであります。この金額はもとより十分とは言い得ないのでありますが、できる限り経費の節減をはかりまして、大体この目的を達することができる見込みを持つておるわけであります。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 次にお伺いいたしたいことは、昨年は天候に惠まれまして、農作物が非常に作柄がよかつたのであります。しかるに非常な豊年であろうと予期しておりますところに、にわかに発生した病虫害に襲われまして、非常に農民が困つたことは御承知の通りであります。この病虫害がにわかに発生をいたしました際に、農藥が間に合わなかつたがために、せつかく天候に惠まれたりつぱな作柄が、相当に減收になつた事実を私ども承知をいたしておるのであります。本年はこうしたものに対処するために、農藥に関するところの違算のない御計画ができておるかどうか、この点をまず伺つてみたいと思うのであります。

森幸太郎民主自由党農林大臣

○森國務大臣 昨年はお話の通りまことに豊作の年柄でありました。ああいう豊作の年柄であれば、一層病虫害の発生も適当な環境に置かれるわけでありまして、近頃にないうんかの発生がありまして——非常に局部的ではありますが、迷惑をいたしたのであります。今年の天候も將來のことがわかりませんが、この冬あまりに暖かかつたので、あるいは病虫害の発生が、平年よりも多いのではないかというようなことも憂慮されますので、政府におきましては、あらゆる害虫に対する藥剤の準備をいたしまして、またその噴霧器等につきましても、十分なる計画のもとに萬全を期したいと思つて、計画をいたしております。ことに病虫害発生のときは、駆除の時期が大事でありまして、廣がつてしまつてから騒いではたいへんなことになりますから、なるべくそういう環境の場合におきましては、できるだけ早期に発見して、災いの廣く及ばない時期に駆除して全滅を期したい、かように手配をいたしておるわけであります。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 この点に関しましては、國務大臣の御答弁はまことに力強く感ずる次第でありますが、肥料につきましての大体の御計画を伺つてみたいと思うのであります。と申しますことは、肥料の生産並びに配給の計画について、昨年度までは一律の御計画が政府において多かつたような感がありましたがために、たとえば土地によりまして骨粉が必要なところに硝安を向けるとか、硫安の必要なところにその他のものを向けるとかいうようなことで、なかなか農民の期待に遠ざかるものが非常に多かつた。そういう実例もたくさん承知をいたしておりますので、本年は特にこの肥料の計画に対しても、昨年と違つた何らかの対策をお持ちになつておるかどうか、ついでに伺つておきたいと思います。

森幸太郎民主自由党農林大臣

○森國務大臣 肥料の生産は、わが國で自給自足は多少困難な事情であることは御承知の通りであります。輸入肥料によらなければ完全にできないのでありますが、本年度の計画といたしまして、硫安に換算いたしまして、窒素肥料は百八万八千余トン、燐酸質肥料は六十六万六千二百トン、カリ質肥料において十四万九千トンを供給する計画でありますが、幸いに水量等も多いので、電力事情もいいのでありまして、この場合に突発的な問題さえなければ、大体現在の肥料計画は完全に遂行し得られると思うのでありますが、今日肥料事情で非常に困りますことは、一月より七月までの春肥でありますが、この春肥が遅くとも六月までに農家の手元に渡らなければならないのであります。また肥料の性質によりましては、畑作地帶と水田地帶との考慮も拂わなければなりませんし、この肥料製造が御承知のように商工省管轄になつておりまして、農林省はただ商工省の事業計画によりまして、それを予定として配給計画を立てさしておるのでありますが、その計画通り進めば問題はないのでありますが、ややもしますれば、この計画が齟齬を來しまして、適期適配ができないというようなことも過去においてはあつたわけでありますが、こういうようなことでは末端の取扱業者におきましても、肥料を配給していいのか、あるいは予定通りの、政府の計画いたしておりますような肥料全量が來るのか、そこに非常な不安がありまして配給が遅れておるというような実情がありますので、今年はいわゆる俗にいうかけひきのない生産量を確保いたしまして、そうして末端配給の計画を立てて、心配なく早く配給のできるようにいたしたいと思うのであります。もちろん輸入肥料は予定して予定できないような実情にありますので、大体は過小に見積つて輸入を計画いたしておるわけでありますが、これも関係方面に懇請をいたしまして、日本の肥料事情をよく承知してくれられる先方でありますから、肥料事情の動きによつて、齟齬のないように輸入をしてくれることと考えるわけでありますが、今日の場合においては、まず心配なく適期適配ができる、かように考えておる次第であります。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 農林大臣の御自信のある御計画を伺つて心強く思うのでありますが、昨年の議会等において、しばしば論議をせられましたるごとく、政府におきましては昨年までの総合計画が、今農林大臣が申されたような他の関係省などとの関連のある総合計画が不十分である点を、昨年の國会等においては私どももみずから論議をいたしたのでありましたが、幸い本年はぜひとも商工省その他関係各省との間の連絡を密にされまして、ただいま伺つたような御計画が十分に達成できますように希望をいたしておく次第であります。  次に伺いますのは、昨年度新しい農地開拓計画に関しまして、この計画に机上プランともいうべき相当ずさんなものがたくさんあつたようであります。そのために全國各地で相当に大きな紛議を起しまして、農村民の人心を非常に惡化せしめたということが相当に多かつたことを承知いたしておるのであります。從いましてここに伺つてみたいと思いますことは、そうした机上プランに基くような計画であつたように思われる、昨年の政府の計画に対して、いけない点に対しましては、率直にこれを是正される用意があるかどうかということと、本年度は農地開拓の計画の量が、どの程度あるかを伺つてみたいと思うのであります。

森幸太郎民主自由党農林大臣

○森國務大臣 未墾地開拓予定地が百五十六万町歩だということを一時傳えられたのでありますが、それも精密な調査をいたして集計されたのではなかつたように、当時われわれも考えておつたのであります。しかし食糧事情から新しき耕地を求めなければならぬという切なる考え方から、大量観察と申しますか、百五十六万町歩というような一時計画を立てられ、それを各府縣に配当されて、ぜひとも昨年の三月まででありましたか、買收してしまえというような計画を前内閣においてつくられたように聞いておるのであります。もともと百五十六万町歩というものが大量観察であつて、実際やつてみると、それだけはなかつたのではないかと思うのであります。いずれにしましても耕地の拡張は必要でありまするから、未墾地が開拓をしてりつぱな耕地になれば、相当金がかかりましても、また食糧事情からマイナスになりましても、これは開墾いたして耕地をつくらなければならないのでありますが、開墾の反別を一つ目標として、それをしやにむに押しつけるということは、俗にいう机上計画でありまして、これは実際と合わないのであります。それがためにあちらにもこちらにも摩擦が起りまして、それを割当てられた府縣知事はたいへん迷惑をした向きもありましたが、政府においてはその当時、どうしてもできないものは緩和してもいいというような指示もされたようであります。農地拡張は、森林地帶をぜひとも開墾して耕地にしていいというところと、そうせなくても森林地帶でおいてもいいところとあるのであります。また関東地方のように採草地を持つておらなければ、肥料関係上その耕地が田として畑として利用ができないという特殊の事情に置かれている地方もあります。こういう地方は一町歩の田に対して、あるいは三段の採草地を持つとかいうことが、当然農業経営の上から許さるべきことであつて、またそうしなければ実際農業をいたす場合にも不便であるのでありますが、こういう考え方がどうかすると行き過ぎまして、どこでもかまわぬ、開墾して木を切つて畑にすればいいというようなことが、地方によつては起つて來たのであります。そこで森林所有者と農地委員会との摩擦ができまして、はなはだ遺憾なようなことになりましたことと、それが遂に平地林を開墾するというようなことから、防風林がどんどん切り拂われるというようなことになりまして、これはまことに國土保安の上から申しましても、遊水地帶を持つておらなければならない地方が開墾されてははたいへんだというので、昨年の一月と記憶いたしますが、開墾局長と林野長官との名前において、そういうような行き過ぎのないように是正をいたしましたのと、また関係方面もこの点について非常に注意せられまして、今後未墾地を開墾する場合においては、縣において審査委員会を設け、また地方事務所等にも審査委員会を設けて、その反別のいかんによつて、これらの委員会がなるほどこれは未墾地であるが開拓してもいいという承認を與えて、初めて農地の買收を認めるということに手配をいたしたのであります。しかしこの問題がややもいたしますれば徹底を欠きまして、今なお農地委員会が決定すればどんなところでも自由に買收ができ、開拓ができるというようなことを考えておる者も間々あるようでありますので、農林省としましては、國土保安の上から、耕地の、拡張も必要でありますが、それが行き過ぎて國土を荒廃に帰せしめるようなごとがあつてはたいへんなことになりますから、適当な処置をとつて、開墾すべきものは開墾し、保存すべきものは平地林野として保存するように、國土保安の上からも、食糧増産の上からも、妥当な指示をし、政策をとつて行きたいと考えておるわけであります。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 まことに適当な御答弁であると思いますが、おつしやる通りに私ども承知いたしております範囲でも、前にたんぼであつたところを、どうしてもたんぼとして成立たないから、四十年前に木を植えてようやく木がものになろうと思うところに、先ほど申しました机上プランによつて、官吏の人たちがいわゆる無経驗から、あそこがよいのだというのでいきなり指令を出してそこを買收した。そういうことのために爭いが起つたということが非常にあつたのであります。また山の上の方のやや平地の部面を開墾してたんぼにはなるが、そこを開墾してたんぼにはなるが、そこを開墾してたんぼにすると、下の方の耕地に水がまわらない。こういうようなことで爭つたところが相当に多かつたのでありますから、今御答弁の中の審査委員会というものの活用を十分にいたして、そうした間違いがないように特にこの際希望を申し上げておく次第であります。  次に伺いますのは、治山治民対策と農村振興の一策といたしまして、河川の上流にダムを多くつくらせるという御意思はないかどうか。ダムをつくることによつて洪水の害と同時に旱害を除くという一石二鳥であるだけでなく、ダムを利用いたしまして発電等を行わしめるということが、今後のわが地方の町村並びに農村の生きて行くべき道であると思うのであります。例を引きますと、鹿兒島縣の川内川というのがありますが、よく洪水が出まして、毎年災害復旧というので政府のごやつかいにもあずかつて、地方の者も非常に騒いでおるのでありますが、絶えず災害復旧、災害復旧といつて、受けた災害よりも少い程度の復旧をやつておいては、また來年の災害を増すというようなことでは、とうていその目的を達成することはできませんので、今申しましたような川内川というような類似の川の上流等に、さき申しましたようなダムをつくるとか、あるいはダムによつてさきに申しましたような効用を発揮せしめるとか、こういうことについての御意思があるかどうか。予算の関係もあることと思うのでありますが、特にこの点は私が深く痛感をいたしておる点でありますので、伺つておきたいと思うのであります。

森幸太郎民主自由党農林大臣

○森國務大臣 御承知の通り非常に狭い國土でありますから、勾配はきつく流域が短かいのが日本の河川であります。從つて雨期に入りますと、水は非常な急流となつて河川を荒らし、たまたま森林が保水力を失つておる場合においては、大洪水となつておるのが日本の現況であります。どうしてもこれは國土計画として國土保安の上から申しましても、この急流であり流域の短かいという河川に対しましては、一時に水が出て、水のないときには旱魃する。こういう両弊害を伴うのでありますから、今お話のようなダムを設けるということは、不要の民を貯蓄いたしまして、必要なときにその水を利用するという目的から、まことにいい事業であるのであります。これは建設院の方におきましても、電源開発として相当考えておるものでありますが、それが電源開発となり、灌漑用水となり、そうして洪水を防ぐために治山治水のことも解決するし、まことにいい事業であるのでありまして、溪谷の多い日本といたしましては、ダムの建設に力を入れたいと思うのであります。しかしこのダムを建設するのには、実に莫大なる基礎材料が要るのであります。今日セメントと鉄材等の不自由な日本といたしましては、重点的に経営するより道がないのでありまして、できるだけ重点的にこのダムの設置をいたしたいと思うのであります。またこのダムの設置につきましては、その貯水池の底になる土地に対する犠牲も考えなければならぬのであります。これはやむを得ないことでありまするが、その犠牲になる町村あるいは部落、その土地に対しましては、適当なる処置を考えて行かなければならぬと思うのでありますが、よく農地調整法によりまして、土地が再分配されましたときに、土地を電源開発のためにダムの敷地にとられてしまう。そうするともはやほかに轉居いたしましてもつくる耕作地がない、こういうような実情にあります。しかしてこれらの人は農業者、あるいは林業家でありまするから、都会地に行つて生活を営むというような技術を持つておりません。そういう点で、非常に今日この電源開発に対して副産物として起るこの問題に苦慮いたしております。こういう方々の生計を保持するために、耕地の將來における維持、経営というようなこともあわせて考えたいと存ずるのでありますが、いずれにしましても、日本の地勢から申しまして、溪谷に電源開発、灌漑用水、治山治水の解決という氣持からでも、このダムを設置いたしたいのであります。しかしこれは今申しました資材等の面もありまするから、重点的にこのダムの建設ということを進めて行きたい。かように考えておるわけであります。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 次に伺いますのは、農村産業の開発によるところの農村振興と申しますものは、地方の山と海とをつなぐいわゆる林道の開鑿というものが、非常に大きな力となつておることは申すまでもないのであります。ところが今回の圧縮された予算の上から考えまして、現在まで比較的順調に行われて参つた林道の開鑿が、著しく今年度あたり減らされるのではあるまいか、こういうことについて心配をいたしておる地方町民が相当に多いようでありますが、さようなことがあるのか、ないのか御所見を承つておきたいと思うのであります。

森幸太郎民主自由党農林大臣

○森國務大臣 これはいつかどこかで申し上げました。ここではなかつたかと存じまするが、現政府といたしましては、特にこの治山治水に力を入れて行きたいと思うのであります。これはどなたが考えられましても、年々歳々繰返すところの天災を思いましても、どうしてもこの治山治水に力を入れなければならぬ、ということを考えさせられるのであります。從つて日本の森林が、現状から考えてみまして、五箇年計画をもちましても約百六十万町歩は栽植しなければならない。五箇年間にだんだん切つて行くのを今から見込みまして、どうしても百六十万町歩の栽植をしなければならぬ。それほど日本の森林が荒廃いたしておるのであります。これは御承知の通り、私が申し上げるまでもなく戰爭以來過伐、濫伐で、あとは野となれ、山となれという言葉がありますが、そういうことでとにかく手近いところからああしてしまつたのであります。それでありますから奧山は割合にまだ天然の姿、いわゆる自然林の姿を持つておるのでありますが、里山はほとんど特殊な國有林を除いては、手のつけてない山はないというように山が荒されておるのであります。それで政府といたしましては、しばらく里山に休養を與えて、奧山の開発に手をつけて行きたいと考えておるのであります。また國有林道も相当利用はいたしておりまするけれども、その國有林を民有林に拂い下げて、民間経営にする方がかえつて合理的であると思うのでありますが、とにかく奧山を開発して行きたい。こういう考えを持つております。その結果林道というものが特に必要でありまして、林道とか木馬道というものをつくらなければならぬ。それで本年度の予算は、まことに公共事業費のうちにおいても苦しい事情があることは御承知の通りでありますが、特に山林事業に対しましては相当の経費をもつて林道開発に力を入れまして、まず前年度よりは大きい比例をもつて林道開発に力を盛しておるようなわけであります。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 もう一点であります。聞くところによりますと、農林省の方では農業研究に新しい方針を立てられまして、農業の試驗研究機関であるところの農事、畜産、園藝、開拓、茶業等の各試驗研究部門が現在のところでは濫立をいたした形であつて、総合性がないというのにかんがみまして、農林省では生産力の飛躍的向上をはかる目的のもとに、これらの機構の画期的刷新を行つて、合理的かつ民主的な体制を確立せられる方針だということを伺つて、非常に力強く思つておるのでありますが、この試驗及び研究機関の中に、欧米における中農式の農法を研究するために必要な講師を招いてみるとか、一面におきましてはわが國における学者や技術者だけでなくして、いわゆる篤農家であるとか、多年の実地経驗を持つておる人々、そういう人たちの中から適当な者を選んで、これらの研究なり試驗なりの機関の中に置いて、そうしてこの目的に対する効果を上げて行くような御計画を織り込まれないものかどうか、この点について最後のお尋ねを申し上げてみたいと思う次第であります。

森幸太郎民主自由党農林大臣

○森國務大臣 今日までの指導機関と申しますか、試驗機関と申しますか、お述べになりました各種の試驗場でありますが、これをプランの上から見ますと、まことに整然といたしまして完備いたしておるのであります。しかし実際に入りますと、ほとんど経費が節減せられまして、十分なる研究をする経費もなし、ただ國立試驗場、縣立試驗場という看板を出しておくというような、やりたくてもやれないような、まことに氣の毒な状態に置かれておつたのであります。これではどうも数ばかり置いてもしかたがない。こういう氣持でこの際相当この試驗場の性質を考えてみまして、廃止するものは廃止し、統合するものは統合いたしまして、その目的に沿うように改革を加えたのであります。なお民間に移していいものはこれを民間に移してもいいと考えておるのでありますが、今日日本の農業のみならず、園藝の方面におきましても、科学を取入れるということが非常に遅いのであります。これをすみやかに取入れる。しかしその取入れるまでの科学に対する決定点を與えるということは、なかなか容易ならざる犠牲を要するのでありまして、他の皆さんにすでに申し上げましたが、かんしよのキユアリングのごときも、アメリカからの示唆もありましたが、河原田博士が私財をなげうつて献身的に研究されました結果、今日われわれがそれによつてかんしよの腐敗防止ができるというような恩惠に浴するようになつたのでありますが、いずれにしましても、これを実用に向けるまでには、科学的立場から非常な犠牲を要するのであります。これは政府といたしましても、できるだけ科学者の研究を尊重いたしまして、將來むだになるか、あるいは成功するかわからぬものに金をつぎ込むのでありますから、危險な仕事でありますけれども、その危險を冒してやらなければ効果を上げ得ないのでありますから、相当力を入れて行きたいと思うのであります。それから一面には、こういう科学的研究でなしに、長い間のいわゆる篤農家と申しますか、老農家と申しますか、ただ自分の体驗によつて繰返した結果、確信を得ておられるところのりつぱな耕種技術があるのであります。何分農業というものは、米といいますと、一年に一度しか試驗ができませんから、五十年百姓をいたしましても、五十回しか試驗ができないので、まことにほかの科学試驗のように進歩いたしませんが、それでも熱心なる体驗によつてつくり上げられたる一つの記録がある。そういう記録はまことに尊いものであつて、金銭をもつてかえられないほどのりつばな体驗を持つておる。その隠れたる技術が相当各地方に存在いたしておる。これを表向きに取入れるとしますれば、一應それを試驗場か何かで研究して、なるほどそうだということがはつきりしなければこれを取入れないというのが、今日までの官僚の行政のやり方であつたのでありますが、私はそういう方面を最も簡單に、事実そういうことを篤農家、老農家がやつておられるならば、その人を教師として、その人を師範として試驗場においてまずもつてやつてみて、なるほどこれはその通りだという確信を得たら、りくつを拔きにしてそれを普及して行きたい、こういう氣持を持つておるのであります。アメリカ式の中農業を取入れたらどうだというお話がありましたが、日本はまことにアメリカとは地勢が違つておりまして、どこの耕地に行きましても畦畔があります。あの畦畔があるということは、一反の田、あるいは一町の田が、一面の廣い耕地にできない。いわゆる高低の差があるのであります。それでありますから、ああいうむだな畦畔をつくらなければ耕地がうまく耕されないというような事情にありますので、アメリカの、大農式でなく中農式でも、アメリカから日本へ持つて來て、これをやるということは、日本の特殊な地方においてはやれるところもありましようが、この小さい、狭い、勾配の多い日本の耕地では、どうかと思うのであります。ことに氣候が東北地方と関東、関西、九州というふうに、非常に違つておりますから、地方々々における特殊の農業というものがあるはずであります。そういうふうに実際の熟練家の持つ経驗を生かして、そしてすみやかにりくつ拔きの農業改良を指導して行きたい、かように試驗機関等も指導して行きたいと考えておるわけであります。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 農林大臣に対する質問は以上で終りまして、運輸大臣に対しまして、運輸委員会で詳細に伺いますが、二点だけここで伺つておきたいと思うのであります。  その第一点は、旅客運賃を六割値上げをされようという御計画のようでありますが、六割の旅客運賃値上げをいたしました際に、予算書に出て参りますような予定通りの收入をあげ得られるかどうか、もし六割値上げによつて旅客の数が著しく少くなつたために、予定通りの收入をあげ得ない場合に、どういう措置をとられようというのであるか。これにつけ加えて伺つておきますことは、鉄道のサービスというものがなかなか思う通りによくないようでありますが、値上げをするという場合におきましては、一方において國民の満足を買うだけのサービスを必要とするのでありますが、この値上げに対して、一方においてはどういうサービスの改善をやろうという御計画があるのか。まずこの二つの点を伺つてみたいと思うのであります。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 ただいまの、六割運賃を上げて減收になつた場合にはどういうふうにするかという御質問ですが、大体六割の値上げを考えておりまして、これは利用者が一割減ずるという見通しで、六割上げた場合の收入を考えておりますので、ただいまでは、これが減收にならないという考えを持つております。從いまして、減收になつた場合の対策ということは、一應考えておらないのであります。  第二点の、値上げをするならば、それに対應したサービスが向上しなければならない。まことにごもつともな次第なのでありまするが、この点につきましては十分に注意をいたしまして、大体の目的が、能率の合理化をいたしましてなお國鉄の経営に赤字が二百三十億出ますがために、六割の値上げをいたしますわけなのでありますが、そういう意味合いの値上げでありまするが、尾崎君の御意見のように、やはり値上げをいたしますからにはサービスの向上ということも考えなければならないと思いますので、これに対しましては十分に考慮いたす考えでおります。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 サービスに関連をいたすのでありますが、新聞の傳えるところでありますから、正しいか正しくないかは存じないのでありますが、新しく座席料というものをとるような計画があるように新聞には傳えておるのであります。ところが、運賃値上げによつてサービスを改善しなければいけないというそのさ中に、値上げをした上に、さらにまた座席料をとるなどということは、どうもサービスの改善ではないように私どもは考えるのでありますが、そういう御計画があるのかどうか、伺つてみたいと思います。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 座席料というものをとるように今考えておるのであります。これは御承知のように、非常に混雜をいたしまして、このシートを爭う現状を改善するという一助にもなろうという意味でやるのでありまするが、あるいは御意見のような考え方もあろうかと思つております。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 その点は、他日運輸委員会で、もう一ぺん伺うことといたしまして、次にもう一点伺います。  鉄道運賃の値上げに関しましては、今日の國民常識から申し上げますならば、できれば貨物だけを適当に値上げをするか、あるいは旅客運賃の値上げをするといたしましても、貨物の方の値上げをより高くして、旅客運賃の方を低額にとどめるというのが今日の常識だと私どもは思うのであります。インフレの事業面への影響等から考えてみましても、今のやり方が最も妥当であるように私は考えておるのであります。それにもかかわらず、旅客運賃だけを六割値上げをいたして、貨物運賃を現行通りということにいたしておかれるところの事情はどういうところにあるのか、おさしつかえない程度でこれを伺つてみたいと思います。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 ただいまの貨物運賃の率が割安であるのは事実なのでありまして、いろいろな考え方もございまして、最初のころは貨物運賃だけを上げて、旅客運賃はすえ置こうか、あるいは貨物運賃と旅客運賃を並行して値上げをしようか、いろいろな考慮をめぐらし、是非を研究して参つておりましたのでございまするが、貨物運賃の方を上げますというと、やはり幾分でも物價の方に影響が参るという点に対しまして難点が生じまして、いろいろ研究討議いたしました結果、やはり低物價政策の線に沿いまして、貨物運賃は割安ではございまするが、上げますると物價の高騰を招來するという点にかんがみまして、この方の値上げは思い切りまして、旅客の運賃の方を六割上げることにいたしましたのですが、これもいろいろ國民所得の関係、あるいは物價の関係、いろいろな点から考慮いたしまして、まずまず六割見当であれば、現在のいわゆる一般のお客さんがこれを支拂うことが可能であるというような見解に立ちまして、旅客のみを六割上げることにいたした次第でございます。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 鉄道輸送の隘路を克服するために、海上輸送の方に打開の道を求めるのだ、こういうことを、片山内閣以來芦田内閣にわたつても、そういう御答弁をしばしば得て参つたのでありましたが、今ここに質問申し上げようと思いますことは、海の機帆船に対する燃料の割当が、從來の半分ほどに減るのではないかということのために、海の輸送業者の方が相当に心配をいたしておる実情を承知をいたしておるのであります。これが前の貨物運賃の値上げと関連をいたしまして、何らか他意あることによつて、鉄道の貨物の運賃は値上げをしないでおいて、海の輸送に必要な燃料等を少くされる。こういうことははなはだけしからぬではないか、こういうような陳情や非難の声をあちこちに聞くのでありますが、今の海の機帆船に対する燃料の割当が相当に減らされるのであるかどうか、この点を伺つてみたいと思います。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 御指摘のように、機帆船に対しまして在來支給されておりました油が、約半数の量に減らされるということに相なつたのであります。その理由といたしましては、汽船の稼動率をふやすという意味合いで、從いましてこの影響が機帆船に與えられる油の分量に影響を來すということであるのでありまするが、これでは、さなきだに不振の経営を続けておりまする機帆船業者が非常に因りますので、わが國の輸送といたしましては、石炭のごとく、あるいはその他の貨物にいたしましても、どうしても機帆船でなければいけないという面がたくさんございますので、これはたいへん困つたことでありますので、目下関係方面に対しまして、その油の増量、その他または運賃の問題につきましても、陸運と海運の間にギャップがありまする点は、何らかの機会にこれを是正をいたさなければならぬと思つておる次第であります。

尾崎末吉民主自由党

○尾崎(末)委員 御説明了承をいたしましたが、とくにつけ加えて申し上げておきますことは、この汽船の稼働率をふやすという御趣旨は、もとより賛成でありますが、機帆船が発着をする港湾と、汽船が発着をする港湾とはおのずから違うのでありますから、この機帆船の持つ使命は、汽船の持つ使命と大いに異なるところがあるのでありますから、それらの点を大いに御考慮を願いまして、今運輸大臣が御答弁に相なつた点について、特に御盡力をお願いいたしまして、質問を打切ります。

松野頼三民主自由党

○松野委員 今の運輸大臣の御答弁の中で、一つわからない点をお聞きしたい。  それは定期券を一箇月におきめになつたという話でありますが、これはどういう理由でありますか。  それからもう一つ、ついでにお聞きしますが、ただいま座席券をおとりになるという話でありましたが、そうすると、鉄道の特殊な列車は別でありますが、全般に座席券をとるというと、鉄道運賃は立つた運賃である。すわらざる運賃が鉄道運賃であつて、すわるものは別だという観念になつて、はなはだ私も合点が行きませんが、特別な急行列車なり、特別な寝台列車は別ですが、一般列車で座席券をとるようになりますと、運賃は、立つということが原則になるように感じまして、はなはだ運賃の観念がおかしいと思いますが、この二点をお聞きしたいと思います。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 この定期券は、從來一箇月、三箇月、六箇月の三種類ありますのですが、今回は関係筋の強い慫慂もありまして、三箇月と六箇月の定期券をやめるのであります。やめるということは、定期券は発行しますが、率を——つまり一箇月の率よりも三箇月の方が割安、三箇月よりもさらに六箇月の方が割安に相なつておりますが、三箇月、六箇月をやめるということは、一箇月の率をずつと一本にいたしまして、三箇月割引率、六箇月割引率をやめるわけなのであります。実際には定期券は一箇月のもあるし、三箇月ほしい人には三箇月のも発行しますし、六箇月ほしい人には六箇月の定期も賣りますが、その率はやはり一箇月分の三箇月分累積、六箇月累積というように仕組んでおりまするわけでございます。これははなはだ上るので、まずいのですが、こういうふうに今度はいたすつもりであります。  第二点の座席券は、どんな線にも全部適用する考えはないので、始発駅から、最初に來た人に、その車のシートのあるだけの券を賣るわけで、先に來た人が、この券が手に入れば、座席が獲得できるという趣旨であります。

松野頼三民主自由党

○松野委員 今の第一点ですが、一箇月の定期で参りますと、一年分の通算による率にしますと、どの程度になりますか。倍以上になりますか。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 この一箇月の率をずつと適用しますと、三箇月はそれほどでもありませんが、六箇月分を今度買いますと、在來よりも一番高くつくやつは、二倍半くらいになるのが一番最高になります。

松野頼三民主自由党

○松野委員 貨物を上げると物價に影響する。先ほどのお話のように、二倍半に定期券がなりますと、これは賃金に——いわゆる俸給生活者の給料に多大の影響を來すのではないか、こう思いますが、その点について一應御説明を伺いたいと思います。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 これはしつかりした数字は今頭にありませんが、何なら後刻取寄せてお目にかけてもよろしいのですが、戰爭の前のいわゆる物價の率並びに各所得の額、その常時の鉄道の運賃の割合というものを、昭和六年ないし十一年時分の数字と、今日の状態をいろいろ比較してみましても、この鉄道の運賃の当時の率と今日の率が、收入に比較しましてむしろ低率になつておるというような数字も出て参りますので、今日の六千三百円ベースというような勤労者の所得の状態から考えまして、六割上げましても、さまで過当ではない。これを支拂い得る能力ありという前提に立ちまして、実はやむを得ずやつたような次第であります。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 中曽根康弘君。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 総理大臣その他に御質問があるのですが、欠席だそうですから、ただいま御出席になつております大臣に先に質問をいたします。  まず運輸大臣にお尋ねしたいのですが、この政府の二十四年度予算の説明に書いてありますように、國鉄において十二万有余名の行政整理をやる。しかるに一般会計の方では行政整理をやるというようなことは一向出ておらない。政府は新聞その他においては現業二割、一般会計三割——ともかく行政整理をやるについて特別会計の鉄道と逓信のみが公式に表明された分野において行政整理をやると書いてある。それに違いないのでありますかどうか。つまり一般会計の方は行政整理をやらないのか。予算上そういう措置をとつておらぬのか、そういう点をまず運輸大臣にお伺いいたします。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 一般会計の予算に行政整理の問題が載せてないかどうかという問題は、大藏大臣の答弁に讓りまして、特別会計の運輸省関係におきまして、十二万内外の行政整理をやるという数字が載つておつたのでありますが、これはいわゆる予算編成上大藏省としてそういう数字を出したということであります。その根源はいわゆる現業二割、一般非現業三割という大体の線に沿うて、大藏省がそういう数字を特別会計に組みましたことを御了承願いたいと同時に、実際の行政整理をいたします場合に、何万人の人員を整理いたしますかということは、まだ未決定でございまして、目下行政管理廳と交渉を続けておる最中でございますから、その何万人が整理されるかということはまだ未決定でございます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 実際やるときにいくらやるかわからぬというお答えでしたけれども、予算上ともかく十二万人というものをやるというふうに計数もできておるだろうと思う。この十二万人をやることによつてどの程度の経費の削減ができるのか、その点をまずお聞きいたしたい。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 それは一般会計の方でそういうふうに大藏省として、そういう人間の数を出して予算を組んだというだけでありまして、実施官廳の運輸省といたしまして、何万人を整理いたすかということはいまだその研究の途上にあります。從いまして、これによつて畿ら畿らの金額が整理できるという問題にまでまだ立ち至つておらないのであります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 それは変なことを承ると思うのです。ともかく大藏省がこの予算を編成し、鉄道の特別会計を編成するときに、十二万人の整理を織り込むとちやんとそこに書いてある。それによつて経費の節減をはかるということも書いてある。そうであるからには、これが整理されなければできぬであろう。経費が当然これで整理され、削減されておるはずであろう。まさか大藏省が運輸省を見のがしておつたというわけではないだろうと思う。この十二万人の整理を織り込むことによつて、鉄道特別会計が幾ら経費を削減され得たか、その数字を私はお開きいたしたい。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 前に申し上げたと同じで、それは大藏省が大藏省として組んだのでありまして、運輸省自体としては十二万人やるか、あるいは十万人やるか、七万人やるか、まだ目下研究中なのでありまして、早い話が、大藏省は大藏省として試みましたので、私の運輸省といたしましては十二万人やるか、五万人やるか、六万人やるかまだ未決定なのであります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 まだ変んなお答えをいただいたのでありますが、ともかくこの鉄道特別会計の経理面は、あるいは大藏省が多少監督するかもしれませんけれども、行政上の、運用上の責任者は大屋運輸大臣である。從つて大藏省とあなたの会計課長がいろいろ話しをするときには、必ずやそれによつて幾ら人員の削減をやつて経費の節約をする、いやそれじや困る、こういう交渉をやつておられるに違いない。それを上司であるところの運輸大臣が知らないということはあり得ないし、またそれは大藏省がやつたのだから、われわれの責任じやない、そういうお答えは、私は上司としてはなはだ責任のないお答えであると思う。鉄道行政は大藏省と運輸大臣の両方の共管になつているようなものであつて、運輸大臣の責任ではないというようなお答えのように承りますが、どういふ責任の所在になつておるか伺いたい。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 さらにそれでは平たく申しますると、現業二割、非現業三割という大原則ができましたときに、総合して大藏大臣がその予算を組んだので、大藏大臣はわれわれの省、つまり実施官廳で実際にやるであろうというようなことは無視して、二割、三割という数字を掛け合せて、そこに載せたということを御了承願いたい。実際私たちが現実に整理をいたしまするときに、その数字通りにやるかやらないか別問題で、かりにそれと同じ人数で整理をやるとするならば、その予算通りでいいのでありますが、それよりも少い人間を整理するというときには、数字が違つて來るということは、後日訂正をすることを留保して、そういう数字が載つたというふうに御了承願いたいのであります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 この予算は一体閣議で決定したのではないのですか、大藏大臣だけがこれを決定したのですか、一体これはどういう責任によつて予算を提出されたのですか、その点を承りたい。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 それは今も申し上げたことで盡きているのでありまして、実際正確に整理を何人やるかということは、予算を組むときには大藏大臣が二割の原則を立ててやりましたので、私たちはその時分留保をつけておるのでありまして、その数よりも少い整理が行われる、あるいはそれよりも多い整理が行われるというときには、次の臨時國会で予算的措置をとつて修正をするという含みがあるのです。それで大藏大臣がとりあえずそういうふうに数字を作成したというように御了承願いたい。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 予算的措置においては十二万人の経費を節減したということになつておる。しかし大屋さんは自分はこの数は知らぬ。そして池田さんに話して、これを七万人とかあるいは六万人とかに、とにかくお力のある方だから必ずや削減されるであろうと思う。そうなると節減した経費がまた必要になつて來ます。そういう場合臨時國会その他で追加予算という問題が起つて來ますが、その点追加予算を組むお考えでありますか。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 そういう場合が起きましたならば、次の國会において追加予算を組んで、それを処置するという以外に方法はないと思つております。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 今まで池田大藏大臣からいろいろこの予算について承つておりますが、追加予算は組まないということを言つておる。組まないということを言つておるからには、十二万人の整理を断行するという意志が裏にひらめいておるだろうと思う。そうすると運輸大臣のお考えと非常に矛盾しておるところがあるのですが、それはどつちがほんとうなのですか。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 私は今三回ほどここで御説明申し上げましたが、それは大藏大臣がそういう数字を一應予算に盛つたのでありまして、実際の整理はその数通りに行くかどうかは別問題、そして金額において不足が生ずれば、後日適当に補正することもあるということを御了解願いたい。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 この押問答は、永久に続くようなもので、あまり追究してもしようがないのでこの程度でやめますが、そうすると大体運輸大臣は十二万人の整理を最大限と思う。できる限りもつとこの数を低く目にしたいという意思であると受取つてよろしゆうございますか。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 まずさようにお考えください。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 しからば行政整理をかりに三万でも五万でもやる際に、一番大きな問題は退職金の問題であります。昨日も國鉄の星加君の証言にもある通り、全國の鉄道局において何万名という者が退職届を出しておる。それはどうしてかというと、運輸省の大臣か局長か、地方へ通牒を流して、三月一ぱいでやめた者には現金で支給してやる、しかし四月になると公債か何かになるかしらぬぞ、現金の保証はできない。そういうことを言つたために、三月一ぱいに入る現金がほしいという理由から皆出したらしい。そういうような通牒を出したことがあるかどうか、その点をまず伺いたい。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 御承知のように行政整理が行われるということは、運輸省の官吏みなそういうことを想像しております。あるいは中には早くやめておこうという考えの者もございましようし、またところによりましては多少上司の方からどうせ行政整理があることだから、やめる者はやめたらどうかというような多少の示唆もあつたかと思いますが、特に通牒を出してやめろというようなことをはからつたことはないと思います。さように御了承願います。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 そうすると、きのうの國鉄の執行委員の証言はうそだということになりそうですが、そういうふうにあなたはお認めになるのですか。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 私はきのうの執行委員の話を聞かなかつたのでございますが、どういうことですか。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 局長名であつたか次官通牒であつたか、ともかく三月一ぱいに退職願いを出した者には現金の支給が可能であるが、來月四月に入るとその可能性がなくなるかもしれないというような通牒が出ているという話であります。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 私はそういう報告は受けたことがないのであります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 こういう重大な問題を大臣がお知りにならないということは、私は非常に遺憾に思います。そこでその次にお伺いいたしますが、しからば三月に自分で退職した者と、四月以降行政整理によつて整理される者との間に、待隅上の差異があり得るかどうか、その点をまずお伺いいたします。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 現内閣になりましてからも、行政整理をやりました場合の退職手当は、從來の準則を尊重する。そして最低は四箇月まで出すということを閣議で決定をいたしておりますが、この問題が関係筋の方にただいま持ち込まれておりますので、その線でございますと、在來の退職手当と今回の行政整理に支給されるであろうところの退職手当は、等額で何らかわりはないのであります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 等額でかわりがないという意味はどういう意味ですか。その受取る價額においてかわりはないというわけですか。等額という意味をもう少しはつきりと……

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 つまり規定がかわらない、率がかわりがないという意味であります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 そうしますと、自分で任意に退職した場合も行政整理の場合も、受取る金額及びその金の性質については、かわりがないということで了解してよろしゆうございますか。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 任意に退職した場合と行政整理との間には、おのずからそこに取扱いの差異があると思いますが、從來の行政整理の場合にきめておりました規定を、今回の行政整理においてもそのまま適用ができるように目下関係筋に持ち込んでおる。こういうことでございます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 その行政整理をやる場合に、從來の規定を尊重してそのままやるという御答弁でありますが、それはこの間逓信大臣は退職手当を四箇月分支給するというお答えでありましたが、それと同じ意味になりますか。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 それは從來の準則をそのまま適用することに変更がない。但し最低の支給額が四箇月分を下ることはないという意味でございます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 そうしますと、今までは大体鉄道職員は家族主義とか何とかいつて、大分なごやかに行つておるらしいですが、とにかく二十年、三十年勤めて、勤めが終つてやめたときには家の一軒も建てられるという希望でもつて、今退職願いを出した人や、これから整理される人が、そういう考えを依然として持つてやつておるだろうと思うが、それによつて退職した、あるいは行政整理になつたという場合には、今までの準則を適用して行くと、かなり莫大な退職資金になるだろうと思うのであります。賃金ベースも上つていることでありますから、家の一軒も建てられるかどうかわからないが、相当莫大な金額になると思う。その退職資金を特別会計の中に見込んで編成しておるのかどうか、その点を承りたい。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 家が建つかどうかわかりませんが、とにかく從來の準則をそのまま適用いたしますると、退職手当額は相当の額に上つておるのでありまするが、今回の予算にはある程度の額は計上してございまするが、整理の対象となる人数がまだ決定いたしませんので、その計上した予算額とミートするかどうか、ちよつとただいまお答えできかねるわけであります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 大藏省において十二万人という予算上の計数を出しておるのでありますから、当然特別会計のつじつまを合せるためにも、十二万人に対する退職手当分が、從來の率によつて計上されておるだろうと思う、そういうことがしてないのでありますか。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 これはおそらく計上されたのは率が低率で計上してあると考えます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 そういうことを運輸大臣は默認して、この予算を編成して提出したわけですか。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 その予算というものは、先ほどの問題を繰返すのでありまするか、ある想定のもとに大藏省自身の権限においてある率を想定してやつたということなので、その後の閣議におきまして、やはり退職手当の問題は非常に重要であるがゆえに、從來の準則を尊重し、少くとも最低は四箇月分支給しなければならぬということをきめたわけであります。大藏省で裁量した場合はそれより以前のことで、私は多分低率を使つたものと考えております。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 主計局長がおりますから、今の点に関して大藏省の御所見を承りたい。

河野一之大藏事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 鉄道の十二万人整理の点が問題になつておるわけでありますが、大藏省といたしましては、一應予算上十二万人と予定しておるわけでございます。この点につきましては一般会計はもちろん、その他特別会計もやつておるのでありますが、鉄道あるいは通信につきましては、一應そういう計算を予算上やりませんと、運賃の値上げの率でありますとか、そういうものが、決定いたさぬものでありますから、一應そういう計算になつております。しかしこれは一般会計の人員の整理でも同樣でありますが、行政整理本部におきましてはさらに御檢討願いまして、その結果多少動くことに相なるかと思つております。ふえる分もございましようし、あるいは減る部分もあるかと存じますが、一應予算的な問題といたしましては、國鉄におきましては退職手当として十八億六千万円ほど計上してございます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 運輸大臣のお話によりますと、大藏省の計算はやや低目になつておるということでありますが、河野さんに伺いますが、その十八億六千万円というのはどういう基準によつて算出した金額でありますか。

河野一之大藏事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 お答え申し上げます。整理は実際やつてみませんとわかりませんので、欠員もございますし、それからやめる階層の問題もありまして、いろいろ確定的な数字はどうしても出ないのでありますが、一應の考え方といたしましては、大体八箇月間くらいの間に順次におやめになるというような計算で、平均的な單價及び勤続年数というようなものを見まして計上してあるわけであります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 その際適用した基準になる規則というか、準則というものは現行のものを基準にしてやつたわけですか、それともやや低目にとつてやつたわけですか。

河野一之大藏事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 退職手当の率の問題でございますが、大体退職手当の計上の仕方は、今回整理になられますものにつきましては、平均月收の大体三箇月分というふうに予算的には計上してございます。しかしそのほかに從來俸給給料の大体二%程度が、通常整理になる人の退職手当として、從來の慣例と申しますか、そういうようなことで予算に計上してあります。このほか退職手当の問題につきましてはいろいろ目下折衝中でありますが、そういつたものをいろいろあわせ考えますると、財源的にもし從來の準則の適用の場合におきましても、非常にその財源が不足するといつたようなことはなかろうというふうに考えております。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 今の月收の三箇月分というのは、おそらくこれは関係方面の了解を得た、向うの指示による数字であるかもしれない。この限度以上出せないという限界を示しておる数字ではないのですか、この点をお伺いいたします。

河野一之大藏事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 お答え申し上げます。私は必ずしもそう考えておらないのでありまして、このやり方につきましてはいろいろこれからも折衝の問題があると存じております。それからこれは失業保險その他の関係もあるのでございますが、かりに三箇月なら三箇月といたしまして、その後に退職せられるという場合には、退職手当を減らすといつたような問題もまた考えられますし、そういつたいろいろな事情がありますので、三箇月以上は絶対に出せないのだというように、この際嚴格に考える必要もないのではないか。この行政整理の問題は非常に大きな問題でございまして、ことに退職金の問題はやめる人の生活にも関係する問題でありますので、目下関係方面と打合せ中でありまして、ただいまのところ、その程度のことしか申し上げられないことを御了承願いたいと思います。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 それでは大屋さんに伺いますが、一体退職手当を畿ら出せるかわからぬような、見当もつかぬ状態で、行政整理をやる自信がおありになりますか。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 実情は退職手当がただいま主計局長のお話にもありました通り、まだ的確に確実にきまつておらぬという実情でありますが、そのうちにきめますからやる自信はあります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 なかなか御心臟の強い答弁で恐縮しましたが、今の答弁をいろいろ承つておると、月收の三箇月分とかあるいは四箇月分とか非常に水準が低いように思うのであります。そこで私は疑問が起るのでありますが、行政整理はいずれやる、やる際にはどういう基準によつて首を切るか、たとえば老朽の方からやつて行くのか、あるいは若手の方からやつて行くのか、女からやつて行くのか、どういう基準でおやりになるのか。もし老朽の方からおやりになるならば、二十年、三十年勤めた鉄道職員に対して、三箇月分という——これは最低であるかもしれませんが、そういうわれわれの常識からいつて少い数字ではとても足らぬと思います。その行政整理をおやりになる基準をこの予算に関連して承りたいと思います。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 この行政整理をどういう目安でやるかと申しますると、これは國鉄の場合などにおきましては、非常にたくさんの人間の勤務場所で、非常に廣い範囲でやりますので、その箇所々々につきまして適当にそれを業務上にさしつかえないように考えてやる。そうして現在は住宅が非常に少いのでありまして、配置轉換がそう簡單にはできませんから、やはりブロックブロック、その箇所々々で適当にやる以外に方法はないと思つております。しかしてまた動続年限の非常に長い高年者だけを整理するというわけにも参りませんし、また若い方の層ばかりをやつて行くということにも行きませんので、大体大よその目安を勤続年数、これを八年ぐらいの程度を目標にしてやろうということにただいま考えておる次第であります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 勤続年限平均八年というと、それは老朽の方と若い方と両方淘汰される人を平均してみてそれが八年になる、そういう意味でありますか。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 全部の從業員、六十二、三万人の現業員を総平均した勤務年限八年を目途としてやる、こういう平均でございます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 そこで承りたいのですが、國鉄職員六十万人全体の平均勤務年限は、それではどのくらいになつておりますか。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 それはちよつと今知らないのでありますが、あとで調べてお答え申し上げます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 それでは行政整理のことはこの程度にして、次に海運の問題について質問したい。  今度の予算についてはいろいろまだ疑問の点もあつて、あとで大藏大臣その他に質問したいと思つておりますが、一番われわれが関心を持つておる問題は船舶の建造問題である。この間中運輸大臣も日本船の外航の進出並びに援助費の削減、こういうことを盛んにみずからもおつしやつたのでありますが、それの根本になるのは、やはり日本が外洋に耐えるだけの船舶を建造しなければならぬことだと思う。こういう点に対して、今度の予算でどういう処置をとられておりますか。われわれの見るところでは、全部切られたような感がある。一部継続しておるものもあるようであるが、その点はどうであるか。     〔委員長退席、西村(久)委員長代理着席〕

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 現在御承知のように船舶を新造いたしまする場合には、船舶公團と船主とが共同して出資をいたしまして、船をつくるという形になつております。今回の予算では船舶公團に対する政府の出資金がわずかに五十四億円に削減せられました関係で、この五十四億円をもつていたしては、現在建造中の船舶の代金を支拂い得るだけで一ぱいでありまして、新規の造船には一銭も使えないということになつておるわけです。そこでさようのこことでは困りますので、私たちといたしましては、今回設定される対日援助の特別見返りのアカウントの中から、少くとも百億円見当の金をひとつこの船舶の建造の方にまわしてもらいたい。そうしてまた船主側の方からも六、七十億の金を調達いたしまして、百七、八十億という金をもちまして、少くとも十五万トンの船舶を建造する、その十五万トンができれば、さらに三十五万トンまで考えておるのでありまするが、その程度までは資材も相当確信がありまするし、造船能力にも確信がありまするのですが、目下これらの量につきましては、関係方面と折衝中なのであります。さよういたしますると、外航に出ますりつぱな優秀船ができる。從つていわゆる國際貿易外の收入といたしまして、船賃かせぎができる、こういうふうにただいま考えまして、それぞれ民間の金融業者方面にも有力に目下サウンドいたしておるような次第であります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 今の数字を聞いてやや安心いたしました。そこで船舶の建造を着々やると同時に、GHQその他の渉外関係に対して、日本船の外航船舶のことを相当お願いしていただかなければならぬと思うのであります。この点については船主協会もあるいは海運関係の労働組合も、一致して要望しておるところでありまして、大臣もよく御存じの通りでありますが、これを貫徹するのに、どういう方策をもつて現在お当りになつておるか、大臣の御所信を承りたい。

大屋晋三民主自由党運輸大臣

○大屋國務大臣 これは在來からのいわゆるガリオアあるいはイロアでやつて参りまする荷物を、日本船で運ばしていただきたいということを——邦船が、オーシヤン・ゴーイングの大きな船はわずかに貨物船で二隻しかございませんので、リバテイー型の船をアメリカから借用して、これにさしむけるというようなこともしばしばやつておるのでありまするが、まだその方面の実現ができないのであります。要するにこれは関係方面にとくと懇請をしまして、根強くこちらのポジションをもつて向うの了解を得るという方針で行きたいと考えております。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 運輸大臣に対する質問はこの程度にしておきます。  建設大臣にお尋ねしますが、今度の公共事業費の分配計画というのが政府から出ております。これを見て一番われわれが変に思うのは、どうもわれわれから見て、國民経済にそう貢献することがないようなものに、本年度は割合金が出ておつて、そのかわり最も緊迫したものから金が大分奪われておる。こういう印象を持つ。例をとつてみると、たとえば農業関係は、二十三年度に比べて二十四年度は全体において二三%から一九%に落ちておる。ところがふえておるのはどうであるかというと、たとえば道路は大分ふえておる。道路は昨年は四・一%であつたのが本年は一一・三%になつております。削減されたものの中を調べてみると、たとえば水害復旧によつて工事を大分やられた。あるいは河川の水害その他を防止するのに必要な経費、こういうものは國民の生産にも影響するし、生命にも影響するような経費である。こういうものを削減されて、別に道路が惡くなつたつて人間が死ぬわけでもなければ、財産が減るわけでもない、そういう金がこのように莫大に出ておるのです。どうしてこういうばかなことをおやりになるか、建設大臣にお伺いしたい。

益谷秀次民主自由党建設大臣

○益谷國務大臣 御承知の通り、本年の公共事業費は全額五百億であります。うち河川費は百六十八億余であります。公共事業費の五百億から見ますると、政府といたしましては河川に対しては河川を軽視いたしておるということはないのであります。相当金額は盛つておるわけであります。また道路の費用がばかに多いというお話でありまするが、決してばかに多くはございません。これは道路の修繕、改修という方面に相当の予算があるのであります。鉱産であるとか、農産であるとか、その他産業に最も役立つところの資源開発、そういう方面の道路を改修いたして生産に役立つ、また食糧増産に役立つ、また民政の安定というような考えから、本年度におきましては昨年から比較いたしますると、道路費は相当多額に盛つてある。そういう方面に使用するのでございます。なお御承知の通り、全國公共土木施設が戰爭以來まつたく放擲してあります。從つてこの方面にもやはり相当の金をつぎ込んで、また交通の便益のため、また産業の発展のため、どうしてもこの道路に対して補修、修練をいたして参らなければなりません。なおこれに対しては御承知の通り、昨年の十一月連合軍司令部からもメモランダムが政府に対して参つておるのであります。建設省といたしましては、本年の一月から正月までを初年度といたし、五箇年計画で道路の補修、修繕をいたしたい、戰前の道路に回復いたしたいと思つております。その第二年度、昭和二十四年度の計画の一部をこの予算で遂行いたそうという所存でございます。また河川、特に河川に対する災害復旧の費用でありますが、これは私どもも満足いたしておるものでありません。今日の災害復旧は一日もすみやかに完成いたさなければならぬということは当然のことであります。またさようにいたして参らなければならぬのでありまするが、いろいろの財政その他の関係から、本年は河川に対して大体約百七十億足らずの金で、これを最も効率的に使用いたして参りたいと存じておる次第であります。河川を軽視いたしておるという考えではありません。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 建設大臣もいろいろな関係で立場はわかるのでありますが、しかしともかくわれわれの群馬縣の例を一つ申し上げますと、二箇年間で災害が六十億やられておる。現に着工したものが三十三億です。八月までに拂わなければならぬ金が十八億もある。それはしかし一銭も今のところ目当がない。從つて土木部長や縣知事は業者に腹を切らなければならぬという状況である。各縣とも災害にやられた縣の状況は、おそらく同じ状況だろうと思う。公共團体が業者や農民に借金している、それを返さなければならぬ金がないという状況だのに、この数字を見てもわかるように、道路は昨年は二十億一千五百万円、これがことしは五十六億三千八百万円というふうにふえておる。去年に比べて道路も補修を必要とするでありましようけれども、公共團体やあるいは國家が、地方民あるいは業者から借金しているものをまず返すのが重大であるだろうと思う。そういう点について何か別に方策でもおありであるのか、それを承りたいと思います。

益谷秀次民主自由党建設大臣

○益谷國務大臣 本年は天候に惠まれまして、各地方の公共團体におきましては災害復旧の仕事が進んでおるのであります。從つて予算を超過いたしております工事は、一月末までで、大体推算でありまするが、四百四十億を突破いたしておると思います。それだけの工事が超過工事として進んでおるのであります。從つてこれに対しては政府といたしましても、なるべくすみやかに補助費を交付いたさなければならないのでありまして、そうしてこれに対しては御承知の通り、災害復旧といたしまして、大体河川に対するものが百億ちよつとぐらいあります。これを四半期にわけて地方に交付するのであります。そこで私といたしましては、地方が熱心に災害復旧工事に努めておられます。そして地方の財政の上から工事請負人その他に対する非常に困難なる事情も、十分に認識をいたしております。そこでできるだけ多くの金を——関係官廳その他と交渉いたしまして、なるべく多くの災害復旧費を出水期までに投じて、それに地方の公共團体と緊密なる連絡をとりまして十分に協議を遂げてやつて参るつもりであります。そしてまた現在努力いたしております。重要地点を選択いたしまして、これに重点的に急速に工事を施行いたして参りたいという所存でございます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 大臣にお伺いしますが、ただいま大臣もにおわされました通り、災害関係は出水期までに工事を完成しなければならぬ、しかも六月ごろには田植えが始まりますから、農閑期を利用するのが一番よいのであります。私ども今が一番いい時であり、金を要する時であろうと思います。そこで公共事業費の使用については、安本で認証制度か何かやつておつて建設省がこれを十分にタイムリーに使うことができないような制度になつておるらしいのですが、これを打破してもらつて、百九億の災害河川関係の金があるならば、百九億を一ぺんに四月のうちに全部拂い出してしまつて災害に備える、こういうような措置が私は必要ではないかと思うであります。そういうふうな措置に対して、大臣はどういうふうにお考えになつておるか、またこれを現実にやれる見通しがあるかどうか、この点を御説明願いたいと思います。

益谷秀次民主自由党建設大臣

○益谷國務大臣 お話ごもつともでございます。私もたびたび申し上げまする通り、つとめて効率的に與えられた予算を使つて行きたいという考えでございます。從つて御承知の通り四回に区分して、選択をして始めておるのであります。出水期までになるべく多くの費用を投じたいために、今関係方面、関係官廳等と交渉をいたしておる次第であります。全額を一度にというわけには、徴税関係その他いろいろの関係がありまするから、できないだろうと思いますが、つとめて多くの費用を出水期前に投入したいという所存でございます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 災害関係については昨年度は金融方面で大分めんどうを見ていただいのでありまして、府縣でも息をついたところが多いのであります。今年は災害関係の予算も去年から比べると、事業量においては増加しておる状況でありますから、金融方面で昨年の相当倍数のめんどうを見ていただかぬと間に合わないし、また事業そのものも中途になつてしまうということのおそれがあると思います。そこで金融方面について、大臣は特にどういうふうな措置をおとりになるか、その点もあわせて伺いたいと思います。

益谷秀次民主自由党建設大臣

○益谷國務大臣 お答えいたします。今回御審議を仰いでおりまする予算を協賛をしていただいて、すみやかに使つて行きたい。目下のところ金融の方面のことはまだ考慮いたしておりません。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 この際大臣にお願いいたしておきたいのでありますが、この間も全國災害の大会がありまして、陳情があつたのでありますが、予算が十分にとれないならば、せめて金融でめんどうを見てくれ、預金部の金であるとか、あるいはその他の金をせめてつなぎ資金でもいいから公共團体に配付してくれ、こういう痛烈な要望があつたのであります。その点について政府の災害の金が少いものですから、ことに建設大臣におかれては、日銀あるいは大藏省預金部等の方面に折衝なさつて、金融面のめんどうを見ていただきたいと私は思うであります。

野坂參三日本共産党

○野坂委員 今中曽根委員から道路の費用についての御質問がありましたが、私も同樣な疑問を持つております。今政府の予算の説明の中曽根君の指摘したあの同じ表の中で文教施設、つまり六・三制関係のものだと思いますが、これが去年は六十億、今年度は十億幾らに減つております。ところが道路だけが去年の二十億から五十億にふえている。この点私たちは非常に不可解に思う。六・三制の校舎を建てないで、道路だけどうしておつくりになるのか、修繕されるのか。この御説明は今大臣の言われるところだけでは、どうしても納得が行かない。それでお伺いしたいのは、この表の六ページにこう書いてあります。「連合國軍指令による道路、港湾整備及び刑務所新設工事等において増加を見ることとある見込みである。」つまりいろいろな建設費が連合國軍指令による道路、港湾整備、刑務所新設工事等々によつて増加している。つまりこれで増加しているのかどうかということです。そうしますと、どういう性質の道路が去年よりもよけいふえているのか。この二点を伺いたい。

益谷秀次民主自由党建設大臣

○益谷國務大臣 御承知の通り、道路は國道にいたしましても、府縣道にいたしましても、補修修繕は國家において責任を持たなかつた。從つて昨年は國会の強い要望によりまして、國会から道路法の一部を改正する法律案が提出せられて可決確定いたしたのであります。そこで初めて國が道路に対して補助金を渡して補修修繕ができるようになつたのであります。申し上げるまでもなく十年以上、戰爭以來まつたく道路は荒廃に帰せられて破壊されてしまつた。このために一般産業を阻害し、交通を阻害することがおびただしい。これは何人もほとんど異存ないところだろうと信じております。これを今回の國会において決定せられました法律に基いて、戰前の道路に返したいというので、建設省としてはもとより司令部のメモランダムもありましたが、五箇年計画を立てて、その第二年度の計画の一部がただいま御審議を願つておる道路費のほとんど大部分であります。

野坂參三日本共産党

○野坂委員 もう少しわかりにくい点がありますので、お伺いいたしますが、もし今の大臣のお答えならば、國家として道路建設あるいは補修修理というようなことをおやりになるのはあたりまえのことであると思う、しかしここでわざわざ連合軍指令により云々と書いてあるのですが、こうした指令による道路が特別にあるのかどうか、その点をお伺いいたします。

益谷秀次民主自由党建設大臣

○益谷國務大臣 昨年十一月の、日は記憶いたしませんが、総司令部から政府に対して道路の維持改善に対するメモランダムが参りました。そうして道路の計画を立てるようにさしずがあつたので、建設省が中心となりまして、運輸省、農林省、その他と協議いたして、五箇年計画を樹立したのであります。本年度の計画の一部が予算化して御審議を願つておる次第であります。これはもとよりわれわれとしましては災害復旧費も満足いたしておりません。少いのでありますが、同時に道路に対しても修繕をして参らなければ、産業交通の方面において非常に支障を來すという考えから、予算化して御審議を願つておる次第であります。

米原昶日本共産党

○米原委員 関連して……。そうしますと、大体先ほど説明がありましたように、交通が阻害され、生産が阻害される点が多いので、それを復旧するのだという説明のように承ります。たとえば私はこの前埼玉縣の人に聞いたのですが、今東京から新潟にかけて大きな道路をつくつている。中仙道に並行して一本の道路がつくられております。その道路を見ますと、現在熊谷市までできておる。それをずつと先までつけて参るらしいのですが、中仙道の方は鋪装さえ全然できておらない。穴が多くて交通を阻害している。新しい道路をここに並行してつくる。この現在の状態において、田畑をつぶしたり、家屋を引揚げさしたりいろいろやつておる。こういうことが生産を阻害したり、交通を阻害することにならないかどうか、そういう点についてちよつと説明を求めたい。

益谷秀次民主自由党建設大臣

○益谷國務大臣 今回御審議を願つております予算は、大体先ほど申し上げました通りでありまして、道路の修繕、補修であります。ただいまのお話のように、田畑をこわしたり、あるいは山を切り開いて道路をつくるということは、御承知の通り改良に属します。改良の仕事は計画といたしましては、比較的第二位にしておりまして、主として道路の修繕をいたすのであります。荒れ果てた道路を直す、そうして産業開発のため、食糧増産のため、交通の利便のために資したいという考えであります。從つてただいま御例示になりましたようなものは、いまだ決定はいたしておりませんが、相当莫大な費用を要しまするので、本年度の費用では実行できるかどうか疑問だろうと思つております。繰返して申しまするが、從來ありましたような道路を新設するということはないのであります。改良工事の方は、第二位に考えておる次第であります。

米原昶日本共産党

○米原委員 そうしますと、今例に引きましたのは、大体そういうものはほとんど含まつていないというのですか。そうして補修、修繕が主であつて、この予算には改良というものがないという意味ですか。

益谷秀次民主自由党建設大臣

○益谷國務大臣 道路予算は御承知の通り大体五十六億計上いたしております。内訳はまだ確定はいたしておりませんが、大部分はおそらく補修、修繕に充てる計画を持つております。さりながら新しい道路、いわゆる道路改良をやらないかというお尋ねについては、これはもとより幾らかはやるのであります。ただどの路線をやるというようなことは計画いたしておりません。また修繕をいたしまして、道路と道路の間のつなぎをいたしますとか、そういう方面はやはりやつて行かなければならぬと考えております。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 次に商工大臣に伺いたいと思います。まず第一に承りたいことは、商工省は來年度、石炭四千二百万トン、鉄鋼百八十万トン、あるいはある説によると二百十三万トンでありましたか、それくらい出すという計画をお立てになつてやつておるそうですが、それに相違ありませんか。

稻垣平太郎民主党商工大臣

○稻垣國務大臣 その通りであります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 日本の今の國力や、あるいは九原則のもとに四千二百万トン、あるいは百八十万トンというものが大体達成できるとお考えでありますか。

稻垣平太郎民主党商工大臣

○稻垣國務大臣 達成できるつもりで組んでおります。まず石炭の方の問題から考えてみますと、御承知のように昨年度は三千六百万トンを予想いたしておりました。それに対してできた数量が三千四百七十七万トンでありまして、九六の六ですか、そんな程度になつております。昨年の三月におけるところの出炭率は、大体予定が三百四十七万トンに対して三百五十二万トンであります。だんだんしり上りに成績が上つて來ているのでありますが、そのおもなる原因はどういうところにあるかというと、大体において、坑内外夫の入れかえが順次実行を見ておるという点にあります。現在において、坑外夫やが五六・六%、坑内夫が四三・四%ですか、そういう割合になつて、大体坑内夫が四〇、坑外夫が六〇、こういう割合になつておるのであります。これを逆にして坑内夫を六〇、坑外夫を四〇、こういう割合にすることをわれわれは考えております。大体採炭夫の出炭能率は、ちようど戰前におけるものと大差がないまでに参つております。ただ内外の比率が反対である。こういう点に大きな障害があつたのであります。それを順次——といいましても、いつまでも待つておつたのでは四千二百万トンの達成はできませんので、最近大体この三箇月くらいの間に、内外の比率を逆にするということをもくろんでおります。そういつたような形で行けば、四千二百万トンの出炭もわれわれは可能であろう、かように考えておるようなわけでございます。     〔西村(久)委員長代理退席、委員長着席〕  簡單に一、二の例を申し上げますと、鉄鋼については百八十万トン予定しております。これについて問題になりますのは、その原料である鉄鉱石、それからこれにいるスクラップの百七十九万トン何がしのものが問題になると思いますが、鉄鉱石については、大体フィリピンあるいはマレー方面から約六〇%程度は持つて來るような予定を立てております。それからスクラップについては、経常スクラップについては六十万トンであります。そのほか從來の貯藏スクラップを勘定に入れて、足りないところを今度近く御審議を願うところの屑化回收法案によりまして、いわゆる罹災しておる建造物が建つておる、これをとりこわす。あるいは沈沒船の引揚げをする。あるいは焼け機械で、もう修理ができないようなものを処理する。こういうことによつて大体百七十九万トンの回收もできるだろう。こういうように原料上の手当はできておるつもりであります。大体そういうわけ合いで、われわれは計画しておるものをどうしても達成したい、また達成する必要があろうと考えております。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 坑内夫、坑外夫の問題もあるだろうと思いますが、私はこれを達成するかしないかの一番大きな問題は、産業資金の問題だろうと思います。現に復金が廃止されそうになつて以來、炭鉱関係の未拂い代金が非常に多い。そのためにそれが関連産業にも響いておる状況ですが、今年九原則を実行して相当産業資金がしぼられる形勢にあるもとにおいて、四千三百万トンあるいは百八十万トンというものを、達成するだけの産業資金を調達できる見込みがあるかどうか。それには商工省関係で総合してどの程度の産業資金が必要であり、それがまたどの程度集められるか、この問題について詳細に御説明願いたいと思います。

稻垣平太郎民主党商工大臣

○稻垣國務大臣 資金の問題でありますが、從來問題になつております関連産業のたまつておつた資金、これは百数十億と言う人もありますが、大体この二月までのわれわれの調べたところによると八十五億何がしであります。これをかりに三月現在において百億あつたと仮定いたしまして、そのうちいわゆる長期建設を商工省において査定いたしまして、これを許したものが九十億あつた。これに対して復金から融資されましたものが大体五十何億までは融資されましたが、そこで中止した。中止しために、計画を立てておつてすでに物を注文した、機械を注文した、あるいは坑道の掘進を始めた。そういつたようなもので、この差額は、はたして初めの九十何億と、拂つた五十何億との間の差額であるかどうかは別問題といたしまして、幾らかのとにかく差額が残つておつたことは事実であります。それが原因の一つ。それからあとはある種の炭鉱の経営が惡かつたために赤字が出ておる。こういう種類であろうと思うのであります。そこで大体古い関連産業の資金については、政府が査定してこれを許可した設備資金で、企業三原則のために融資を中絶したものにつきましては、これは何らかの融資の方法を講じたというので、今せつかく折衝中であります。これは私は可能性があると存じておるのであります。  それから運轉資金につきましても、これも今後いわゆる四千二百万トンを出すためにおいて、御指摘のように、資金の枯渇のためにこれが達成できないのははなはだだ遺憾でありますので、これについても融資の方法について今せつかく研究いたしておりますが、これは近く数日のうちに決定するのではないかと考えております。  そこでこれは過去の問題ですが、今後の問題としては、御承知のように現在大メーカーが大体百四十一円のリターンを出しておる。この百四十一円のリターンをひつこめるというと、大メーカーは全部黒字で、十分立つて行けるのであります。黒字で立つて行けるばかりでなく、今後の設備資金も捻出し得る立場にあると思う。残るところは小メーカーの問題でありますが、これについてはできるだけ小メーカーにおいて企業の合理化によつて、これをひとつひねり出してもらいたいとわれわれは考えておる。しかし設備資金はさようなわけに参りませんから、長期の設備資金につきましては、われわれはこの設備資金の手当をどうしてもいたさなければならぬ。ことに新坑開発なり、いわゆる新しい切羽の開設、あるいは新炭鉱の開設、こういうものに対しては、資金の手当をいたさなければならぬ。資金の計画はいろいろあります。大体百五十億あるいは百三十億というような見当を立てておるのでありますが、これはまだはつきりした数字に達しておりません。大体われわれは百五十億というような数字を目標といたしまして資金計画を立てて行きたい、かように考えております。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 炭鉱だけの問題でなくて、商工大臣が御所管なさつている鉱工業全般の今年の生産水準の問題を実はお伺いしているのでありまして、鉱工業全般に対する総合的な資金計画というものが、はたして確信があるのかどうか、これをお答え願いたい。

稻垣平太郎民主党商工大臣

○稻垣國務大臣 今年度の鉱工業の当面の資金需要は、われわれは大体千四百億と推定いたしております。これに対して自己資金——自己資金というのは、いわゆる資金の貯蓄という意味と、あるいは増資その他によつて資金を集める、両方含んでおりますが、それによりましてどうしてもまかない得ない数字を大体六百八十億見当に踏んでおります。この六百八十億見当のものについては、産業の復興という見地から、見返り特別会計その他の方途によつてこれを出して行きたい、これは目下安本その他と協議中であります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 この問題はあとで大藏大臣にもいろいろとお伺いしたいのですが、もう一つお伺いしたいのは輸出の問題であります。御存じのように、本年度は五億ドルぐらいの輸出を伸ばそうという計画になつております。そうすると、去年に比べて約二倍の輸出をしなければならぬということになると思うのであります。ところが一方においては輸出関係の補給金を全部切られて、しかも海外市場の状況は、東亞地域において依然としてかわらない。こういう状態である上に、為替レートをかりに三百三十円にきめられると、この前の大屋商工大臣のお答えでは、約四割五分くらいの企業の輸出が倒れる。こういう環境のもとにおいてはたして五億ドルの輸出ができるのかどうか、この見通しをまず承りたい。

稻垣平太郎民主党商工大臣

○稻垣國務大臣 まず問題といたしましては、かりに三百三十円にレートがきまつた場合に、一体どの程度輸出ができるかということであります。中曽根君が御指摘の大屋前大臣がお答えしたというのは、大体数字の上におきましてはその通りだと私は存ずるのであります。しかしながら実際問題といたしましては、私は少し所見を異にいたしておりまして、いわゆる從來の数字の上からいえば、大体五三%が輸出可能であり、四七%が輸出できないという数字になるのであります。今の三百三十円レート以下のものと以上のものとを計算いたしますと、これは以上のものと以下のものとの計算の集積でありまして、実際問題として企業の合理化を行つて行くということになりますと、ほんとうにレートの上から出にくいというものは、わずかの雜貨類と生糸その他のものになりはしないか、かように考えておるわけであります。それでこれについては、どうしても出得ないというものについては、ことに、重要な部分を占めておりまする生糸その他については、目下これが調節について農林大臣との間に檢討中でありますが、そういうような状態でありまして、大体今年度われわれは五億ドルを想定いたしております。この五億ドルはお説の通り非常にむずかしい、これは達成するのに非常に至難だ、これは重々承知いたしております。しかしながら日本が置かれておりますところの建前から申しまして、どうしてもこれだけを輸出したい、むしろしたいという希望を強く含めて立てた案であることを御承知を願いたいと思うのであります。そうしてそれは主として貿易協定を中心としてやつて行きたい、かように考えておるわけであります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 そこで問題になりますのは貿易協定の問題でありますが、この点については前に大臣はお触れになつたこともありますので、深くお聞きいたしませんが、とにかく先ほど御配付になつた資料を見ても、貿易というものは戰前と逆になつて、アメリカに対する輸出が非常に多くなつておる。これを東亞地域に切りかえなければならぬ。結局これは貿易協定の問題になるのですが、この時期が早ければ早いほど、日本の輸出は伸びるだろう。これが遅れれば遅れるほど輸出は伸びない。ただ一に貿易協定の問題にかかつておるだろうと思う。これを打開するのには一体どういうような努力を拂つておられるか。現在はどういうような見通しであるか。この点をもう少し詳細にお聞きしたい。

稻垣平太郎民主党商工大臣

○稻垣國務大臣 從來貿易協定ができておりますのは、昨年度におきましてはスターリング・ブロックに対するところの貿易協定、これは大体輸出入総額四千五百万ポンドだつたと記憶いたしております。それからしてシャムとの貿易協定、これは輸出入おのおの三千万ドルだつたと思います。それからインドネシアを含んだ蘭印、こういつた方面に対するもの、これは輸出と輸入との間に数字的には大分違いがあるのですが、その決済はドル地域の方との話合いできめるわけであります。それから大体現在までスエーデン、こういつた方面との協定ができておるわけでありますが、なおできるだけバーター制を適用するために関係筋に懇請して、海外へ調査員をまず派遣する。そうしてこういう調査員を派遣したところの関連において、貿易協定をだんだん結んで行きたい。こういう意味で御承知のように先般司令部の人の随行という形で、四名の專門調査員を南米に派遣しておるのであります。二、三日前の新聞にも報道がありましたように、メキシコへ話をする、今度はチリーへ行くというようなことで、南米との間の貿易をできるだけ促進したい。また例のスターリング・ブロックにおきましても、インド、パキスタンそういう方面にできるだけ調査員を派遣する。また近く佛印を含めたフランスとの間にも、貿易協定を進めたい。かように考えて交渉を進めておるような次第であります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 大藏大臣と安本長官がお見えになりましたから、私は財政経済の基本的な問題についてまずお伺いしたいと思います。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 商工大臣に対する質問が残つておりますので、商工大臣のお帰りになる前にちよつと……。若松虎雄君。

若松虎雄民主自由党

○若松委員 ただいま貿易の問題が出ましたが、先週來貿易、特に輸出産業に関する國内の問題について活発な質疑があつたのでございますが、私は海外の市場並びに今後の貿易の見通しについて、いろいろ私の考えでは支障があるのでありますから、これに対する商工大臣の御所見をお伺いしたいと思うのであります。  まず第一に貿易は御承知の通り相手があるのであります。しかも海外市場は戰爭でほとんど隔絶しておりまして、実際の業者の自由による今までのような貿易は、日本の貿易のただいまの管理の状態が、九原則によつて日本の政府の手に移りましても、しよせん非常に困難じやないかと思うのであります。ただいま配付を受けました表を見ましても、二十二年度と二十三年度の比較は輸出貿易だけの点をとりましても、價格は邦貨で表わしておりますのは約五倍の上昇を示しておりますが、実際のヴャリュームにおいてはわずか三割ぐらいしか上つておりません。これは一昨年はすでにバイヤーが日本へ來るようになりましたが、その以前は全然われわれの自由意思でない貿易が行われておつたのであります。言いかえればGHQの主宰のもとに國と國との協定をやつて輸入も輸出もいたしておりました。しかし今回九原則が適用になりまして、いよいよ最後の活路は貿易だというような意味で非常に重要視されておりますが、ことに輸出貿易に関しましては、相手の國の情勢を見ますと、私どもは非常に寒心にたえないような点があるのであります。さしあたり海外市場がよくわからないというのが一つあるのでありますが、この間外國電報なんかを読みますと、すでにアメリカあたりでは太平洋岸のまぐろのカン詰業者が、日本のカン詰の輸出を非常に心配しておる。あるいはイギリスではランカシアあるいはマンチェスターあたりの綿業者が、日本の將來の貿易、輸出の点にかんがみまして、使節を送つて調査したいというな記事も見たのであります。まことに私どもは貿易の重要性を感じまするが、こういう非常に前途には危惧すべき点もたくさんあるのであります。こういう点につきまして、商工大臣はどういうふうなお考えを持つておられますか、ただいまも何か商務官制度を設けて調査をやろうというような明るい面はお伺いいたしましたが、私どもといたしましては、前途に対して非常に心配をいたしておるのであります。まず第一番に商工大臣の所見をお伺いいたしたい。

稻垣平太郎民主党商工大臣

○稻垣國務大臣 若松君の御質問ごもつともでありまして、なかなか貿易と申しましても、長い間中絶いたしておりました関係上、これが貿易再開にあたりましてもいろいろな困難があることは今お話しの通りであります。また日本の東亞における発展をできるだけ押えて行こうというような建前からいたしまして、種々なる障害が出て來ることももつともだと思うのであります。しかしこれをただそうかといつて手をこまねいておるわけには参りませんので、できるだけこれらの障害を除去して、貿易の振興に資さなければならぬと思つておるのであります。そういうような関係から、できるだけ関係筋に懇請いたしまして、海外の事情をまず勉強させていただく。これが一番必要だと思うので、できるだけの方面に調査員を出すということを第一段として考えておるのであります。続いてできれば東亞の各地方に展示会その他を設けさせてもらうといつたようなことをやつてみなければならぬと考えております。それから続いては日本の貿易業者が向うへ常駐し得るようなことに相なりますれば、非常にけつこうなのでありますが、これはなかなかまだ相当の期間を要するのではないか、こういうふうに考えておるのでありますが、あらゆる方面で日本の商品の宣傳、また直接向うの業者と接触する、こういつた方面に努力を続けて行くことが必要であると同時に、今も御指摘になりましたような、あるいはランカシアの綿業者の反対だとか、あるいはまぐろ業者の反対といつたようなものについて、適宜関係筋を通じて折衝を行つて行くようにしなければならぬ、かように考えております。

若松虎雄民主自由党

○若松委員 商工大臣の御趣旨はよくわかるのでありますが、ここに一つやつかいな障害が横たわつておるのであります。それは國際貿易憲章の問題であります。御承知でありましようが、憲章はすでに國際的に物資の交流を大いに促進する。そうして國内の雇用を大いに円滑にやりたいというような趣旨でありまするが、この憲章が実際もう実行されていると思います。日本もやがて講和條約ができまして、國際連合の一員となりますれば、当然貿易憲章に加入するわけであります。その憲章のわれわれに與えられたる権利は、ここでわれわれは十分受入れられるのでありまするが、ただいまのように無條約関係、しかも敗戰國というわけで、また商品にはオキュパイド・ジャパンというようなオリジンを打つて出しておるような関係から見ますと、この國際憲章から受けるわれわれの不利益のみが日本に存するわけであります。しかも御承知の通り戰前日本の貿易が発展いたしましたのは、自國船を使う、自國の保險会社を使う、あるいは、自國の金融会社を使つたというような点において、原料は外國から買つても、まだそこに余力があつた。しかも最も私どもの憂慮するのは、今後の労働問題であります。われわれはその加工したものを賣つたというような結論に達するのであります。しかるに、ただいま労働大臣はお見えになりませんが、これは別に伺わないでもよろしいが、労銀の差金だけが國際的に有利であつたから、日本商品がほとんど世界各地に行つたのでありますが、今度はまた貿易憲章に返りますと、非常に労働の國際的水準というのが、いわゆる労働基準法というものがうたつてありまして、この基本法にのつとつておらない生産は、不正競爭とか、あるいは補助金その他はいわゆる為替ダンピングというような意味で、われわれがかつて戰前にいろいろ國際的に非難の的になつたようなものが、今度は成文化されて、万國共通に、いわゆる日本の商品の行手をはばんでおるのでありますが、こういう点が、今あらゆる面において不利な日本の対外貿易に——これはもうほとんど例外なく各國が参加いたしておりますので、いかなる市場を考えても非常にわれわれに不利なように考えますが、これを突破して行くためにはいろいろありましよう。特に今私の伺いました労働の問題、これは日本を合理化するとか、あらゆる面においてスクイーズする面が非常に少くなつたのでありますが、はたしてこういう点につきまして、これを突破して、かつてドレーパーの報告でありましたか知りませんが、今の八倍の輸出を計画して、日本の八千万の人間を養わなくちやならぬというような記事を見たように思うのでありますが、そういう上に私ども非常に懸念を持つておるのでありまして、非常に消極面がたくさん横たわつておるのであります。商工大臣はこれに対してどういうお考えを持つて、この日本の輸出貿易を促進されるのか。ただいまのようないろいろの面がありまするけれども、特に貿易憲章に対する対策をお伺いいしたいのであります。

稻垣平太郎民主党商工大臣

○稻垣國務大臣 今國際貿易憲章に関連して、非常にスクイーズする面が少くなつておるのではないか、こういうお話があつたのであります。さように考えますが、しかしながら要するに品物がよけい出る、出ないという問題は、結局いい品物がコストを安くできるかできぬかという問題だと思うのであります。先日小峯委員から御質問がありましたときに、私取違えまして、違つたお答えをしたのでありますが、要するにその点については、日本の技術が戰爭中十年ばかり非常に足踏みしておつた。そしてたとえば今日一つのローラーをつかまえましても、その機械が從來の半分の値段で、約十五分の一の力でキャパシティーが出るような品物を、最近私はカタログを見て驚嘆しておるのであります。技術の面にとにかく力を入れる。産業の合理化ということを申しますが、産業の合理化ということは、主として日本の機械設備に対するところのいわゆる機械のアレィンジメントについての考え方、あるいは機械そのものに対するところの日常の発達、こういつたようなものについて特別に考慮を拂うことが、まず第一段だと思います。むろん今言いましたように、自國船でできるだけフレイトをかせいで行く、あるいはまたさつきのように、いろいろな市場を探索するというようなこともありますけれども、結局はコストの安いものをつくるように指導して行く。こういう面に力を入れてやつて行くよりほかはないのではないか、かように考えておるのであります。

若松虎雄民主自由党

○若松委員 それでは、もう少し具体的に話を伺いたいのは、一例を綿業にとつてみたいと思うのであります。かつて日本の輸出の大宗とうたわれたる繊維製品でありますが、これは御承知の通り、現在はインドやアメリカから原料は買つておりまして、これには日本船を使つて、ために有利な立場に立つております。またボンベイ市場あたり、あるいはニューヨークの綿花の取引所あたりでも、いろいろヘッシングその他で有利な買付の方法をいたしておりました。最近は御承知の通り船舶はありませんし、特に金融方面もやはり全部外國銀行の掌握するところでありますし、ことに戰前は千二百万錘、しかもスーパー・ハイ・ドラフト・ワン・スピンドルが、よその二倍にも働いたようた時代であつたのでありますが、最近においては、三百万錘も動いていないというような日本の綿業であります。こういうものが、どう考えてみても、私はランカシアやマンチェスター方面に、それをしりめに見て、日本の商品が割込むといいますか、昔日のように無人の野を行くように進出ができかねるような氣がいたすのであります。幸いに私の杞憂が一掃されれば、非常にけつこうでありますが、商工大臣の綿業だけに関する具体的な方策を御説明願いたいと思います。

稻垣平太郎民主党商工大臣

○稻垣國務大臣 綿業について私詳しく承知いたしておりませんが、しかしながら、これは繊維が從來のように東南洋に出得るかどうかということは、いろいろな点で問題があると存じます。インドあるいはその他の國におきまして、綿業その他の軽工業が非常に発達して來た、こういう面からも制約されるでありましようし、あるいは御指摘の千二百万錘というものが、今日は実は三百何万錘の程度にしか行つていない。從つて能率の上におきましても、コストが自然高くなるといつたような面もあると思うのであります、しかしながらこれをわれわれが戰前の率まで持つて行くということは、御承知のように今制限されておるのであります。その面で、いかようにも操作するわけには参らないと存ずるのであります。また各地方で軽工業が発達して來ている。これも実際の一つの既成の事実でありまして、いかんともすることができないと思うのであります。ただその間にあつて、日本の繊維工業をどういうふうに持つて行くかということについては、十分私は檢討してみたいと思うのであります。今日はとにかくまだ各國において、いわゆる輸出ということにつきましては、今さしあたつての問題としては、私は支障をもたらしていないのではないかと思います。ただ今後量的にふえて行くという問題について、いろいろな障害が起つて來ると考えておるのであります。なおこの点につきましては、十分研究いたしたいと存じます。

若松虎雄民主自由党

○若松委員 もうよろしゆうございます。

野坂參三日本共産党

○野坂委員 貿易に関連して、私簡單に商工大臣にお聞きしたいと思います。中國と日本との貿易の將來についての商工大臣の構想についてですが、中國は今新しい情勢にあつて、特に満州、華北、華中までが中國共産党を中心とした新しい政権の支配のもとに來ておる。また將來南京にも進出するであろうということは、昨今の新聞が報じておるところですが、中國と日本との経済関係が決定的に重要であるということは、これはもう言うまでもないことであるし、この予算の面にも貿易が非常に重要視せられておる。この場合、中國と日本とはどうしても結びつく必要がありますが、これについて第一にお聞きしたいのは、たとえば満州とか、華北、華中まで新しい政権のもとにあるあの中國の方面と、日本はどういうふうに貿易をやつて行くことができるであろうか、また政府においてはどういう計画があるか。  第二としては、將來新しいいわゆる連立政権ができた場合において、これと日本とはどういう貿易関係を結ぶことができるであろうか、またどういうふうに日本としては努力しなければならないか、こういう点を第二にお聞きしたいと思います。  第三には、これは私は新聞で見ただけで、正直なことはわかりませんが、商工大臣が、中國と日本との貿易は香港を通じてやる、こういうことを言われたということですが、もしそうなれば、これは間接の貿易で、われわれとしては、その政権が、いわゆる吉田総理大臣の言葉で言えば、赤であろうが、青であろうが、ともかくも商賣は商賣だとすれば、直接やつて行くべきであるが、商工大臣としては香港を通じてやると言われたというふうに新聞で見ましたが、この意味はどういう意味であるか、この三点をお聞きしたい。

稻垣平太郎民主党商工大臣

○稻垣國務大臣 ただいまの御質問でありますが、私が香港を通じてと申し上げましたのは、少し意味が誤報であろうと存じております。私の考えておりましたのは、その新聞記者に話した考え方は、現在中京地区との取引は、まだ正式に中共というものが國際的に認められてない今日において、日本との間に正式の貿易協定その他は結びにくいのではないか。しかしながら実際におきましては、香港の商人あるいは澳門の商人、あるいは南鮮の商人を通じて、実際の面においてはインクアイアリーが來ておる。そこでこれがまだ正式に認められていない今日においても、実際上取引は行われるかもしれない。現に香港の商人を通じてカイランタンのイクアイアリーが來ておるのである。このように話したのであります。それから仰せの通りに、対中國貿易が日本にとつて非常に重要な地位を占めておつたことは、戰前においても総輸出貿易額のうちの二十何パーセント、約三十パーセント近く占めておつたということをもつて明らかであります。連合政府といいますか、そういつたものが成立されまして、そうして國際的にこれが認められる、こういつたような形になりました場合におきましては、われわれ日本人といたしましては、できるだけこれらの間に貿易協定なり、あるいは取引なりを進行して行きたい、かように考えております。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 この際に、諸君の御了解を得て、昭和二十四年度の総合資金需給見込概算表が發表されましたし、また対日特別資金に対する法案もすでに議会に提案されておるのでありますから、この機会に安本長官から、資金需給関係について一應の御説明を願つておくことが、審議上非常に便宜だと思いますから、安本長官を煩わして、これらに対する御説明を願います。

青木孝義民主自由党経済安定本部総務長官・中央経済調査庁長官・物価庁長官

○青木國務大臣 お手許へ昭和二十四年度総合資金需給見込概算というものをお届けしてあると思いますが、これについてごく概略を御説明申し上げます。  総体的な構想といたしましてでき上つたのでありますが、前年度、二十三年度におきましては、特別会計における國債の発行、それから借入金の増加、復金債券の日銀引受け等によりまして、通貨の増発がありましたし、またこれらのいわゆる財政資金消化のために、財政の面から金融の面を圧迫するという、いわゆる三五%の融資規正、こういつた事態が存在しましたのでありますが、本年度、二十四年度におきましては、今回のいわゆる総合予算の完全均衡原則という、この原則のもとに、すなわち鉄道であるとか、通信の見返りファンド、そういうものよりいたしまする國債の発行、合計二百七十億、これらのものを除きまして、原則として國債の発行とか、復金債の発行は行わない方針をとつているのでありまして、これの面からする通貨の増発はあり得ないということになるのであります。それのみならず、政府の予算を通じまして、またアメリカの援助見返り勘定から相当額の國債及び復金債の償還ないし買上げが行われますので、インフレの停止、租税の増加ということによつて、金融機関に対する貯蓄は前年度ほど増加しないといたしましても、一般金融機関の手元資金は割合に豊富になる面が生じまするので、金融政策の運営よろしきを得ますならば、世上一般に憂えられておりまするような、デフレーションということによるはなはだしい資金梗塞は生じないわけあいとなるのではないか。またかかる方針をもちまして、金融政策を運営いたしますことが、わが党の目標でありまして、現在以上の通貨の收縮は行わないということの建前をもちまして、資金計画を立てたものであります。  表の左側の方に、資金供給源といたしまして、金融機関が二千三百億。この資金供給源なるものは、金融機関の預貯金その他の資金、それが一であります。それから二は、政府の予算から支出される出資金及び借入金等の償還金であります。それから三は、企業の自己調達資金、すなわち増資資金ないしは社内留保資金というものであります。四は、今回設置を見ましたアメリカの援助見返り勘定からの資金、この四種類であります。それをイ、ロとわけてあります。そこでこの金融機関の預貯金は、昨年度ほど増加することは期待し得ないのでありますが、貯蓄目標はこれより若干高く置いて、二千五百億くらいとすることになつております。それから預貯金の増加は少いのでありますけれども、他面、前述のように政府の財政からの償還金、対日見返り勘定からの資金放出が、本年度の特色といたしまして特に多額に存しまするので、資金供給全体としては相当多額を期待し得る見込みであります。そのかわり昨年のような通貨増発はまずないというので、この下の方に書いてありまする通貨の昨年の九百三十七億円に対して、本年度はゼロにしてあるわけであります。それから右側の数字は、資金の配分でありますが、財政上の資金は、昨年度のごとく多額ではなく、わずかに鉄道、通信の建設資金と、地方債のみでありまして、その他はすべて産業資金として供給し得る建前になるのであります。それからこの面におきましては、昨年のごとく復金の貸出しはないわけでありますが、金融機関からの貸出しに加えまして、アメリカの援助見返り勘定からの産業資金として、直接貸出しないしは金融機関に対しての國債償還が多額に期待されますので、貸出し総額としては、むしろ前年度より若干上まわる勘定ともなるわけであります。この辺、今後政府といたしましては、金融機関に対する必要な指導のよろしきを得る必要があるところであろうかと存じます。増資それから社内留保は大体前年度と同程度見込んでおります。問題は長期設備資金の供給にあります。この表では直接現われていませんが、経済復興計画遂行のためには、大体年間六百億円程度の設備資金が最小限必要と認められますので、これが供給につきましては、一般金融機関、特に興銀それから預金部、農林中金等の資金の活用に特別のくふう、考慮いたしまする以外に、アメリカの見返り勘定からの産業設備資金の直接放出をできるだけ多くするよう、司令部に懇請する方針でただいま臨んでおる次第であります。簡單でございまするが、以上の御説明を申し上げておく次第であります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 先ほど中断しましたが、この資金計画と関連しまして、予算の基礎的な部面について御質問いたしたいと思います。  まず第一に資金計画について御質問いたしますがか、金融機関の預貯金の総額が二千三百億円となつております。これが私は一番大きな問題だろうと思います。今年度の予算の性格を見ると、非常に消費的な性格が強い。しかもデフレであるということが皆から言われておりますが、二千三百億円の貯蓄はできるという確信を私はまだ得ていない。政府からの説明を聞いても、まだその確信を得ることができないのです。大体今年度の予算の一番大きな点は何であるかというと、取上げてそれから使うという考え方になつております。千七百五十億という金が出る。出るけれどもそれは貿易資金から出て來たものを賣り拂つて、そこから出て來た金である。從つて取上げてから使うのであるから、取上げたあとには必ず金詰まりが起き、デフレ現象が起るのである。のみならず三千百億という所得税が増徴されるから、企業においても手持ちの資金が枯渇をする。こういう状態において、預貯金がふえるということは期待できないと思う。現に一、二月の例を見てみると、徴税が強行されたがために預貯金の増加はゼロです。ですから、一、二月は預貯金は極度に減つておる。三月になつてややふえておる。どうしてふえておるかというと、これは粉飾預金がふえたのです。金融機関は自分の預貯金がふえたということを大藏省に通知し、貸出したものを報告しておる。ですから三月三十一日までにはふえたが、また四月一日にはすぐに減つておる。それは金融機関がこういう操作をしておるから、ふえたり減つたりしておるわけであります。この一、二月の預貯金の趨勢が、今年度の預貯金の趨勢を暗示するものではないかと私は思う。現に昭和五—九年の平均を見てみると、貯蓄率は七%くらいになつておるようです。今年の二十四年度の財政がどう推移するかわからないが、おそらくその見当か、あるいはそれ以下であるということは大体考えられる。本によると、生活水準が八〇%まで回復するまでは、大体有効需要にまわつてしまつて、貯蓄には向かない、こういうことが一般に言われておる。從つてある程度実質賃金が上つて生活水準が回復して來るとする。かりにそういうことがあつても、それは購買力、生活水準の上昇にのみ向けられてしまつて、貯蓄には向けられない。こういうふうに、取上げて使うということが政府の構想の大前提にある以上は、どうしても二千三百億というものは、私の常識では期待できない。いかなる所存でこういうことが期待できるかということをまず詳細に御説明願いたいと思います。

青木孝義民主自由党経済安定本部総務長官・中央経済調査庁長官・物価庁長官

○青木國務大臣 ただいまおつしやつたことはごもつともであります。昨年は三千五百三十八億、これだけの預貯金がありました。今年度は、御承知の通りインフレをいわばドラスティックに停止せしめる、こういうことから考えますと、ともかくもインフレは收束する。こういう予想のもとに大体昭和七年から十年という時期の十パーセント程度の預貯金というものを考えてみまして、ことに今回の二千三百億は、貯蓄目標ということの観点もありますので、できるだけこの目標を達成するという努力を十分やつてのけて行きたい。こういうこともありまして、二千三百億ということにきまつている次第でありますが、御承知のようにこれを達成して行くには相当骨の折れることだとは思います。しかしわれわれがこの予算をりつぱにやつて行くということのためには、一方において節約もいたしますし、また他面においては、これはわれわれあまり声を大にして言うのではございませんが、耐乏生活、そして他面においてはインフレを收束せしめなければならぬ。こういつたことと関連的に、ぜひこの二千三百億を達成したいわけであります。もちろんおつしやる通りに、世間で申しておりますようにあるいはデフレを招來するのではないか、こういう時期に対しては少し甘い考え方ではないかというそしりは、われわれは一應考えないわけではありませんが、大体一應の通算をいたしまして、この資金供給源としての預貯金を想定し、決定した次第であります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 この二千三百億という数字が、実はこの資金計画また今年度の財政の基本になつておる数字だろうと思います。そこで今安本長官からお答えをいただいたのですが、この数字は間違いだろうと思います。私はこれを確信を持つて間違いだと言いたいのです。大体大藏大臣の御構想かどうか知りませんが、今度の財政の根本的な思想の一つとして、コンサンプティヴ・インフレーションをとめるのだという考え方があるやに聞いておる。つまり三千百億という重税を課することは、民間にある余剩購買力を吸い上げてしまう。銀座の街頭にあるああいうはなやかな品物を店頭から吸い上げる。そういう構想が大藏大臣の頭には明らかにあるだろうと思う。そういうコンサンプティヴ・インフレーションをなくすということからすれば、当然税金をしぼられるがゆえに、一般の家計において預貯金の余裕はないということがまず考えられる。政府のねらいがそうだから、そうなるだろうと思います。  一方企業においてはどうかというと、物價体系の変化があるかというと変化はない。補給金の情勢から見ると、企業によつては重要産業が一二%の合理化を余儀なくされるように、補給金の單價が下つておる。そういう点から見ると、会社においても家計においてもぎりぎりに詰まつたところにあつて、とうてい社内留保がふえるとか、あるいは預貯金に余裕が出て來るということは考えられない。これはどこから來ておるのかというと、そういう根本的なねらいがあるからそこに來ておると思う。約千七百五十億円の預貯金が見返り勘定で逃げるのであります。これは確かに逃げるでありましよう。出る前にこれは吸い上げられる。預金が吸い上げられるところから、必ずデフレ現象が起る。そういうところから考えてみても、二千三百億ということは私は絶対にできないと思う。それをもう少し計数的でもいいからお知らせ願いたい。單なる希望あるいは要請では、財政というものは動かない。私はこのことを確信しております。安本長官の御答弁をもう少し得たいと思います。

青木孝義民主自由党経済安定本部総務長官・中央経済調査庁長官・物価庁長官

○青木國務大臣 それは私どもも、おつしやるような点について心配をいたしたのでありますが、大体この予算を実行して参ります上において、特に金融面におきまして操作のよろしきを得るということ、もう一つは、政府の支拂い関係のものはすみやかに支拂つて行くというようなことの考え、この面で操作関係をうまくやつて行けば、そういうことも何とかして切り拔けて行けるように自分たちは考えておる次第であります。今数字的なことは申し上げる材料を持つておりませんが、大体われわれは、この二千三百億を一應の目標にしまして、そうしてなお社内留保とかあるいは増資とかという直接投資の面についても、取引所の再開であるとかあるいはまた現在考えられておりまするところの資産の再評價というようなものを考えますると、これらの面からの信用の点というようなことを考慮いたしまして、この数字をあげておる次第でございます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 ただいまの御答弁でも私は納得できないのです。安本長官の御答弁は、希望があまりにも多過ぎると思う。そこで常識的にも政府は支拂いを促進しなくちやならぬ。その支拂い促進が百パーセントできたところで、初めてこの程度の数字のものが動くのであつて、支拂い促進が遅れれば、もつとこれは詰まつて來るということになる。そういう点から見ても、支拂いを促進するとかあるいは金融的な操作を加えるということは、私は答弁の材料にはならないのじやないかと思う。それは一應その問題として、ただいま安本長官がお答えになりましたように、財政が嚴格になつて來れば金融に彈力性を持たせなくちやならぬ。これは当然であります。しからば金融に彈力性を持たせるのにどういう御構想があるのか。もう少し納得ができるように詳細にお答えを願いたい。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 昭和二十四年度の金融機関における預金増加二千三百億につきまして、大体の御説明は安本長官からなさつた通りであります。私の見るところでは、二千三百億円は十分とは申しませんが、とにかく確実に預金増加があるというのであります。いろいろな見方もございましよう。昨年の三千五百億円につきましては、いわゆる財政インフレで相当の散布超過がございます。そしてその分の還流率を考えますと、大体千二百億円くらい財政インフレによる預金の増加を考えられる点もあるのであります。また税金徴收の強行によりまして預金が減るということも考えられますし、あれこれを勘案いたしまして二千三百億円を出したのであります。これは見方によつていろいろな議論がありまするが、右の表に書いてありますように、産業資金につきましても、千七百五十億円の運用によりまして、相当の資金散布もございます。問題は時期的のずれなんかをお話になりましたが、お話の通りこの一月から三月までに千六百億円程度の税金の徴收でございます。しこうして非常に税の引上げ超過になつておる。從つて、預金はふえてなかつたのでありまするが、新年度になりますると、予算を執行いたしまするし、金詰まりも相当程度緩和いたして來ると確信しておりますので、取上げて出すのだというお話でございまするが、千七百五十億円は必ずしもそうではございません。八百三十三億円の補給金のうち、税で取上げる分は大体六百億円くらい——消費物資のあれは六百億円程度と見ておるのであります。そうして御承知の通り、五千百億円の租税のうち、千九百億円程度が賦課課税でありまして、毎月々々でないのでございます。その他の三千数百億円というのはほとんど月税のようなものでありまして、相当入つて來ることになるのであります。対日援助見返り資金特別会計の運用その他によりまして、私は二千三百億円の預金ができるということを確信いたしております。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 対日援助見返り資金の問題はちやんと供給面に載つているのであつて、これが金融機関の方でさらに計上されるということになれば、これはダブることになる。そのほかに二千三百億円というものは、ここにある通り供給の帳面に載つておるわけであります。從つてそういうものをこの際当てにすることは、二千百億円に関する限り間違いであろうと思います。また徴税面のことをおつしやいましたけれども、それは源泉課税その他の関係から見ますれば、確かにおつしやつたようなことは必ずしも十全とは言えないけれども、しかしトータルの額をわれわれ考えてみなければいけないと思います。その額やあるいは財政が特にねらつておる根本的なねらいというものを考えたら、今申し上げましたように余剩購買力を吸收するということは安定の根本である。そこから來ておる。從つて余剩購買力や貯蓄の余力がある限りは、税金でどんどんしぼられておる。この國民所得税三千幾らについては、あとでお尋ね申し上げたいと思いますが、そういうことがねらいである以上、私はこのような貯蓄増加は絶対なし得られないと思う。大藏大臣は御答弁になりましたけれども、千七百五十億円の問題にしても、これは吸い上げてから使うという考えである。吸い上げないで、そのままにしておいてくれてやるものならば、これは余裕も出て來る。しかし使うときには必ず前に吸い上げているというような前提になつておる。吸い上げる前に必ずデフレ的な傾向が起つておる。額は大小あるでしよう。そういうことが年中通じてある。しかし常にそういう状態が二十四年度中に流れて行くということを考えれば、私は貯蓄の余裕はないと思う。この点についてどういうふうにお考えになるか。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 千七百五十億円の運用は、先ほど申し上げましたようにダブつておるのではございません。ただ私は時間的のずれの問題で千七百五十億の運用を考えておる、こういう答弁をいたしたのであります、しこうしてお話のように、吸い上げて使うのだとおつしやいますけれども、必ずしもそうではありません。千七百五十億円のうち、政府の方で補給するものが八百三十三億円でございます。その他のものにつきましては、小麦なら小麦を賣つてすぐその場で入つて來るのであります。八百三十三億円のうちでも、大体消費者に轉嫁しますものは先ほど申し上げた通りでございます。私は繰返して申し上げまするが、決してお話の通りに非常なデフレ、こういうようなことは想像いたしておりません。從つて二千三百億円の預金は期待し得ると考えております。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 私は期待できないと思います。それは大藏大臣は大藏大臣の立場からそう御答弁になるかもしれませんが、大藏大臣のお考えで編成した予算の基本的精神がそこにあるからには、その精神をかえない限り、私はこの予算はデフレ予算であると考えております。そこで預金がどれくらいできるかということはお互いに、主観的な問題になるので、私は計数で、しからば大藏大臣にお伺いしたいと思つておるのです。大体來年度は國民所得に対して貯蓄の率がどれくらいになると思うか。それは昭和五—九年平均に対してどういう関係になるか、その計数を私はまずお聞きしたいと思う。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 安本長官からお話がありましたように、大体昭和七年から十年までの平均で参つたのであります。当時の國民所得の平均は百三十七億円でございました。このうち税その他の專賣益金を通じまして十六億円の税收入でございました。從つて処分し得べき國民所得は百二十一億円と相なります。当時の貯蓄の増加は十二億八千万円でございます。貯蓄率は一〇・五八%に相なるのでございます。今度の國民所得は二兆九千七百四十二億でございます。國税の五千百億円余り、專賣益金の千二百億、地方税の大体千五百億円を引きますと、処分し得べき所得は二兆一千九百十八億円に相なります。これに対しまして一〇・五八をかけますと二千三百十九億円に相なるのであります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 昭和十年までの数字は、昭和五年時代の疲弊からずつと日本が回復して行つた時代で、労働者の生活水準も上つて來たし、貿易も振興して來た時代であります、ところが日本の現在の状態はどうかということを考えると、必ずしも昭和五—九年をそのまま当てはめることはできないと思うのです。これは日本の現在の生産的基礎やあるいは人口の増加や、そういう問題を比べれば必ずしもできない。のみならず財政の大きさ自体が現在の國民所得額に比べて圧力の程度というものが格段に違うと思う。そういう点から一〇%をかけたという点に重大な矛盾がある。いろいろな例を調べてみますと、この前の世界大戰後のドイツの場合、あるいは二年前の英國の場合、イタリアの場合などにおいては、そういう財政政策の轉換をやつたときは四%から五%くらいに大体かわつておるようです。今度大藏大臣が手心を加えればできないことはないと思いますが、少くとも五—九年を基準としたということは、日本の経済に当てはめて適当でないと思うのですが、その点はいかにお考えになりますか。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 見方の問題でありますが、当時は通貨の膨脹がほとんどなかつた。そのときの貯蓄状況を考えて策定したらどうかと思つてこの方法をとつたのであります。なお別の観点から先ほど申しましたように、預金に還流する金額も大体一千億と計算いたしまして、昨年の状況等を調べましてかく算定いたしたのでございます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 次い伺いますが、金融両で操作を加える、こういうお話であります。一番問題になりますのは國債の償還や何かでありますが、調べてみると。大体千億以上のものが市中銀行にあるようです。日銀にあるものは二百七十億とかその程度の國債しかない。そうなると國債償還、復金債の償還に充てられた金は一應市中銀行に入るのですが、これも操作の仕方によつては多少とも潤つて來ると思う。その点について去年の例を見てみると、設備資金がこれは復金があつた関係もありますが、市中銀行の貸出の中の七%にしかすぎない。そうすると重要産業に対する融資は相当規制されて來るように思います。この点をどういうふうに打開するか。金融統制をやるというふうに大藏大臣は言つておられますが、その制を統どういうふうにやつて行くのか。ある程度統制して行くというと政府に責任が出て來る。そうすると保証という問題が出て参ります。そういう問題をどういうふうに解決するのか、具体的にもう少し聞きたいと思います。ついでにバンキング・ボードとかいうことが新聞で傳えられておりますが、そういう点についてもどういう関連性のもとにそれをつくつて行くか、これを聞きたいと思います。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 金融操作の問題につきましては、ただいまお話の通りに市中銀行の特つておる國債は千百億円ばかり、日銀の所有が五、六百億円と考えております。これをただちに償還するというわけのものでもございません。なおただいまのところ復金債が別に千百億円ある状態であります。復金債の償還につきましては、予算案に載つておりますように三百億円償還する計画をいたしております。しこうして昨年度の市中銀行における設備資金の供給は、お話の通りに非常に低い率で少い金額であつたのでありますが、これが主として復金の方で取扱つておりました関係上そういうふうに相なつたのであります。しこうして今千四百八十億円の建設公債以外の対日援助見返り資金の使い方については、よほど愼重に考えて行かなければならぬと思います。この使い方についてはただいまのところはつきり申し上げる段階に至つておりません。やはり経済の再建復興に最も必要なる方法で使つて行く。しこうしてこの金額を國債の償還に充てたり、あるいは復金債権の償還に充てます場合においては、その償還を受けた市中銀行のお金なり、あるいは日銀の通貨がそのまま寢てしまうということにせず、長期資金その他貿易資金に充てまして、産業の復興をはかつて行きたいと考えております。  なお新聞に出ております日銀の組織改正については、ただいま関係方面と折衝中でございますので、ここで申し上げる段階に至つておりません。近日中向うと話をつけて今議会に提案する予定でおります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 今議会に提案すると言われるからには大体腹案や構想があるだろうと思いますが、これは現在の日銀よりももつと國家統制を強化するという方法が、あるいはもつと開放するという方法か、その程度のことに答えられると思うのですがいかがですか。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 ただいま事務当局と向うの事務当局が話をしております。あすの朝ドッジ氏と私と会うことになつております。それによつて向うの腹もわかりますし、私の意見も言つて、それからきまることに相なろうと思います。ここでただいま私の私見を申し述べる自由も持つておりません。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 大藏大臣はどうも秘密主義が多くて困りますが、大体常識的に考えられるのは資金統制を強化して行く、そうすると日銀なりあるいは大藏省の金融機関に対する統制力を強化して行くということになるだろうと思う。そういう方向に日銀が改組されるか、また大藏省の日銀に対する関係もそういう方向に持つて行くのか、その点をお答え願いたい。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 財政演説で申し上げましたように、信用統制を強化して行く考えであります。具体的方法についてはただいま研究をいたしております。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 資金調達の面で預金の増加のほかにいろいろ方法があると思いますが、安本長官が触れられた興銀あるいは農林中金その他の金融機関の社債の発行限度を拡張するということも一つの方法と思います。その中で興銀などは今は出資額も少いし限度も十倍くらいで非常に小さい。復金がなくなつた現在としては、どうしてもこれにある程度かわるようなものも必要であるので、中金あるいは興銀というような金融機関の債券の発行限度その他についてどういう構想を持つておるか、伺います。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 御説もつともでありまして、御承知の通り興業銀行はただいま五億金の資本で十倍の五十億円だけしか債券の発行を認められておりません。しかも五十億円のうち三十億円近くはすでに発行済みでありますので、ただいま私の考えとしては、この発行限度をふやす法律案を本議会に提出いたしたい考えで折衝いたしております。なおその他の金融機関についても、できれば一、二債券発行を認めた方がいいのではないかということをただいま研究いたしております。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 興銀の問題で承りたいのですが、五億円で十倍、ところが二十三年度で二十億円少し出ておる。それをどれくらい増資してどのぐらいの限度を拡張するか。それから二、三ほかに債券発行を認めるというのは、どういうものに対して認めるのか、これもひとつ承りたいと思います。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 大体興銀につきまして、ただいまのところでは二十倍ぐらいにしてはどうかという腹案を持つております。これは折衝中でございますので、どれだけになるかわかりません。その他の銀行につきましては、私のほんの腹づもりだけで、まだどの銀行ともきめておりません。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 二十倍というのは、発行限度の拡張が二十倍という意味ですか。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 さようでございます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 資本金の増額という問題はどうですか。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 資本金の増額も一つの手でございますますが、今ただちにというわけにはなかなか行かぬと思います。將來の金融情勢を見まして、そしてこれが十億になれば、今の倍数だけここで御審議願えば、それだけ債券発行はふえるわけでございます。今興銀が増資するかいなかにつきましては、申し上げかねます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 そのほかに社内留保をふやす会社の自己資金調達というものを相当拡充する必要があるだろうと思いますが、先般税制審議会の対策というものが大藏省に答申されて、この中には、資産の再評價という問題が含まれておつたようであります。あの問題に関して大藏大臣は、資金調達の面と関連して再評價をあの通りやるのがいいとお考えか。やるとすれば時期的にいつごろがいいか。そういう点についてお伺いしたい。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 大藏省における税制審議会で資産再評價の問題を取上げて相当研究を重ねられたのであります。結果は承つておりますが、私の考えでは、税から見ただけと申しますと語弊がございますが、税制審議会でお考えになつた点よりも、もつと廣い面で研究いたさなければならぬ、こう考えましたので、たとい税制改正案が今回の國会に提案せられましても、いましばらく待ちたいという意向を持つておりましたが、税制改正案の提案が延びましたのでこの次の機会にいたしたいと考えております。しかして内容の点につきましても、もつと観点を廣くしていろいろな点を考えてやつてみたい。これも適当な時期に評價がえはしなければならぬと考えております。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 二十四年度予算における資金計画について私は御質問しておりますが、あの税制審議会の答申は、各年度に倍率をかけて、それで出て來たものの五〇%をたしか税金にとるとか、あるいは社内調整勘定に入れるとか、いうようになつておつたようですが、その点に関して今の大藏大臣の御答弁は、税金で徴收する率がちよつと多いようだ。企業自体の存立というものも考えなければならぬ、そういうようなお考えのように承りますが、その点をもう少しこまかくお話し願えないでしようか。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 私の、もつと廣い観点からというのは、そういう意味ではございません。償却の仕方その他につきましても、將來の物價問題には償却をどういうふうにするかというようないろいろな問題がからんで來ておりますので、しばらく自分で研究いたしたいと思つております。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 資産の再評價の問題ですが、会社の自己資本力を強めるためには、どうしてもしなければならない。それから旧設会社と新設会社のバランスをとる上からも、ぜひともしなければならぬ。そういう点から会社の力をふやして償却力をもつと強くする、そういう意味で、私は昭和二十四年度の秋からあるいは冬ぐらいの間に、そういう時期が到來するのではないかと思います。またやるべき段階だろうと思います。それに対應する意味においても、少くとも五月、六月、それくらいの時代にせいぜい償却に関する減債償却特例法という法律でもつくつて、その面だけでもいいから手心を加えてやる。全面的な物價に及ぼす影響を恐れて、その点だけでもいいから多少の手心を加えて特別の措置をする必要があると思うのですが、その資産評價をやる適当な時期、あるいはそういう持例的な措置についていかにお考えになりますか。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 強力な税制審議会ができましたので、またそれに付議して審議を願いますと同時に、自分といたしましても、各観点から研究いたしまして、適当な時期、またなるべく早く、と申しますと語弊があるかもしれませんが、いずれはやらなければならないのでございますから、なるべく早い時期にできればやりたいと考えております。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 なるベく早い時期にやりたいというお答えでありましたが、そうなると必ず物價体系に対する影響が出て來るだろうと思います。それで二十四年度にやるとすると、この予算自体の基礎がくずれてしまうおそれもあるのですが、その点については、どういうふうにお考えになつておりますか。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 評價がえの方法並びに償却率の問題等がございますので、必ずしもそうは考えておりません。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 見返り資金特別会計の問題ですが、一体この特別会計法運用の責任者はだれになるわけですか。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 特別会計の責任者は、大藏大臣でございます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 この法律案によると、連合國最高司令官の承認を受けなければならないとか、こういう文字が出て來た法律案というものは初めてですが、大藏大臣が責任者ということにいたしまして、そこでお聞きしたいのですが、大藏大臣は、前に第一・四半期はこの見返り資金は使えないのではないか、こういうふうに質問されたときに、いや、そんなことはない、二十三年度の向うから來ている援助資金もあるのだ、こういうお答えでありました。しかしこれを読んでみると、換算率は別として、貿易資金特別会計からの繰入れの問題もある、あるいは承認を得るという手続の問題もある、こういう観点からすると、第一・四半期は、私はほとんど使える見込みはないだろうと思う。しかも現在においては復金が廃止された、こういう関係から名企業において深刻な金詰まりが起きておる。これは大藏大臣も御承知のことと思いますが、相当深刻な状態にある。從つてこの第一・四半期にはつなぎ資金を何とかめんどうを見てやらなければならぬと思いますが、今の緊急事態に対してどういうふうにお考えになるか、この点を御質問いたします。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 向うの承認を受けることは会計法に規定してある通りでありますが、関係方面におきましても、時間的ギヤップができるだけ少いように御協力を願えることと考えております。なおもしギヤップがあつて非常に困るというふうなときには、どうするかという問題につきましては、金融問題として考えてみたいと思います。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 金融方法で考えるというのは、具体的にはどういうことですか。復金もすでに効力がないという状態です。具体的にどういうことをお考えになつておりますか。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 これは業種別に、またその金融難の程度によつて違いますので、一概にここでこういう資金を使うとかいうことは申し上げかねます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 本年度の予算の基礎的な問題ですが、よく言われておりますように、安定か復興か、こういう問題から見ますと、私の見るところでは、どうも生産面においては復興を考えておるけれども、貨幣面では安定をやつておる。安定と復興が生産と貨幣面でびつこの竹馬に乘つておる。こういう印象をどうしてもぬぐうことができない。それは生産計画と資金計画がおそらくマッチしていないのだろう。先ほど稻垣商工大臣に対しまして、出炭目標四千二百万トンは必ずできるかとお尋ねしたら、したいけれども必ずできるという確信のあることはなかつた。そういう点から見て御質問いたしたいと思うのです。  まず第一にこの予算の基礎になつている所得税三千百億という問題であります。この問題についてこの前お聞きしましたら、主税局長さんでしたか、ここに載つている計数をあげて、大体生産二七%程度ふえるだろう、こういうお話でした。國民所得の計数を調べてみると、実際はそうでないのであつて、大体一七%程度の増加を見越している。この計数に食い違いがある。これは安本と大藏省が違うはずはないのでありまして、その食い違いをわかるようにもう一回説明していただきたい。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 中曽根君、主税局長がおらぬから、明細なところは答えかねるようです。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 これは実は税金の根本的な問題だろうと思うので、今すぐわかりませんか。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 税の見込み方につきましては、大体を承知しておりますが、安本の國民所得の計算と主税局の計算は違つていないと私は考えております。ただ、いつの時をとつて倍率をかけるかという問題があるのであります。先般御質問がありましたから主税局長に調べてもらつて、どうだつたと言つたら説明がつきますというようなことであります。内容は聞いておりませんが、安本の國民所得の計算と、主税局が二十四年度の所得税徴收に使います数字とは違いはないと思います。ただ、いつの時の所得を見て倍率をどうするかという問題はございます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 大藏大臣の御答弁ですが、主税局の方では大体今年の一月から三月くらいまでの價格差の値上りを見ている。ただそれに本年度の生産増をかけて、所得指数を出しておられた。問題は、生産指数が安本のものと大藏省のものと違つておるということで、價格指数が違うのは去年の十一月と今年の一月ですから違うのはあたりまえであるという、その点が納得できないので、その点を御説明していただきたいと思います。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 別の機会に主税局長より御説明いたさせます。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 三千百億という所得税の基礎でありますが、この政府の資料によると、農業二七・五%、営業三一・五%、その他二九%の増加を見越した。そういうふうにこの基礎が出ておるのです。しかし四千二百万トンをやる、あるいは五箇年計画の第一年としての既定計画を遂行するならば、こういうこともあるいは可能であるだろうと思う。しかしながら先ほど私が申し上げましたように、國民所得の中における蓄積の問題、あるいは今年の財政の性格の問題、こういう問題を見ると、むしろ生産は減るようなおそれすらあると思う。先ほど特に申し上げましたように、政府の政策のねらいがコンサンプティヴ・インフレを克服するのだ。そういう考え方をとるとすればなおさらそうなるだろう。しかも信用制限政策をある程度やる。安定させるためにはやらなければならぬが、これをやれば、必ずその次に出て來る現象は資金の不足である。特に運轉資金の不足である。そういうことが出て來るということを考えると、もちろん生産財は過剩になるかもしれぬ。從つて倒れる工場も、余つて來る工場も出て來るかもしれないが、消費財は不足になる。これはどこでも起つている現象であるが、そういう世の中がどうしても現出せざるを得ないだろうと思う。そうなれば現在においてすらもわれわれの地方に帰ると、石屋であるとか、車引きであるとか、そういう小企業者はほとんど廃業届を出しておる。都市近郊に出ると二割くらいは廃業届を出しておる。そういう状態からすれば、課税所得がふえることは予想されない。そういう経済状態というものを前提にして私は言つているので、大藏大臣がそんなことはないと言われればそれまでだが、どうもこの点が納得が行かない。今までのお話では金融面であるとか、見返り資金を運用するとかおつしやるのですけれども、運用するということに対してはそれはいいかもしれないが、それは吸い上げてしかる後に運用することになるのだろう。部分的に出して行つても出す金は吸い上げた金である。こういうことを考えたならば、どうしてもこれだけの貯蓄はできぬし、これだけの税金を徴收する基礎ができない、こう思うのですが、大藏大臣、もう少し納得の行くように説明していただきたいと思います。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 政府も企業も國民も耐乏生活をいたしまして、勤労によりできるだけ國民所得の増加をはかつておるのであります。もちろん消費財の生産よりも、生産材の生産に力を入れるべきだということはお話の通りであります。中曽根委員はデフレになるという前提のもとにいろいろなことをお考えになるから、こういうふうに御質問がたくさん出て來るのじやないかと思うのであります。私は繰返して申し上げますように、決してデフレにはならない。ディスインフレだ。しかもまた取上げてから使うのだ、こうおつしやいますが、それは観念論でありまして、いつ取上げていつ使うかという問題になりますと、その時間的ギヤップというものは当然ほとんどないと私は考える。もしありとするならば、そこにそれだけの措置をとる用意がある。こういうのであります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 措置をとる用意というのはどういう御用意ですか。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 それは先ほど來申し上げましたように、いろいろな業種によつて違いますが、金融的措置をとります。しかもそのギヤップたるや、取上げて出すのだということになると、二月も三月もあるようにお考えになりますが、私はそう考えていない。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 それは時期的には交互に動いて行くのですから、出すものもあれば取上げるものもある。しかし問題は國民経済全体における生産資金なり、あるいは運轉資金の問題である。その全体のヴォリュームそのものを聞いているわけである。從つてただいま大藏大臣がお答えになつたような、時期的な調節ができるということに対して、私は國民経済全体的な見地より、絶対量は減るのである、制限されるのであるから、こういう楽観論はできない。この点いかがでありますか。

池田勇人民主自由党大蔵大臣

○池田國務大臣 別に楽観論ではございません。これが実際論でございまして、そういうふうにやつて行く覚悟であり、確信があります。なお金融面につきましても、徴税強行による金詰まりその他に対処いたしまして、御承知の通り日銀の貸出しは八百億円になつた場合もあります。政府が指定預金制度を設けまして、ただいま五百億円近い指定預金を市中銀行にいたしておるのであります。お考えになりますような時間的ずれにつきましては、十分対処できるのであります。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 中曽根君、ちよつと御注意申し上げます。あなたと政府とは見解が違うのです。あなたは政府の財政計画をやればデフレになるという前提のもとにお尋ねになる。それのみならず取上げておいてそうして出すのだ。そういう根本の意見の相異は、これはいくら追究しても結局ミートするところはないと思う。だからどこに政府の計画があるかという御質問ならいいけれども、あなたのそういう断定のもとに幾ら質問を繰返しても、結局あなたの断定に應ずる政府の答えは得られないと思います。政府の計画や施策の実体がどこにあるかを探し出すような御質問ならいいですけれども、自分の断定をもつての御質問は、一度や二度はいいですが、何回も繰返すことは御注意願いたいと思います。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 政府の考えは間違つておると思います。政府の答弁は私はいかぬと思います。みんなそう思つております。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 みんながそうは思いません。あなたの断定からすれば間違つておると断定するのですが、私が公平に聞いておるところによれば、あなたには自分で断定して、その断定のドグマに乘つてただ質問を繰返しておるのです。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 デフレになるということは私が言つているだけでなく、上林山君も小峯君も言つておる。與党すら言つておる。何も私は独断で言つておるわけでない。それのみならず朝日新聞、毎日新聞あらゆるジャーナリズムがデフレになる危險性を説いている。これはただディスインフレだと言つているのは、池田さんと安本長官ぐらいのものだ。そつちの方がドグマだ。これがドグマでないということが証明されない限り、國民の負託を受けた立場として納得して引下るわけに行かない。  質問を継続します。そこで問題になるのは、五箇年計画との関係であります。安本長官は五箇年計画との連続性を絶たないようにしたいという希望を申された、しかし五箇年計画を堅持して守るということはおつしやられなかつた。それは五箇年計画の第一年次をやる自信がないからではないか、その点安本長官にお伺いしたい。

青木孝義民主自由党経済安定本部総務長官・中央経済調査庁長官・物価庁長官

○青木國務大臣 私はこれをやりたい、こう申し上げましたのは、客観情勢の変化によりまして、これを私のやりたいということの通りに行けるかどうかということについて、多少の疑念を持ちましたので、正直にそう申し上げたのであります。それでありますから、アメリカの対日援助見返り資金勘定がどんなふうに使えるか、こういうことも大きなかかわりを持つのでそう申し上げた次第であります。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 その五箇年計画を継続できるかどうかという問題は、これは実は重大な問題だろうと思う。これは今われわれが感じているところだけですらも、よく言われていますが、インフレの満員電車が走つている、急にとめたら中はえらいことになる。急にとめるというような構想で、この予算は盛られているだろうと思う。從つて言いかえれば、低い生活水準で小さく固まる、こういう基本的な構想がこの上にあるだろうと思う。言いかえれば日本経済を現状程度で安定させるために凍結するのだ、凍結すれば必ず收縮するにきまつている。そこにデフレになる危險があるというのです。生産は縮小するのだ、五箇年計画で考えているような生産規模の拡大ということはできないのではないか、特にそれは資金面から出て來る、運轉資金から出て來る、こういうことを前から私はあなたに申し上げておるのです。あなたはこの五箇年計画を継続したいという御希望を今も言われたのでありますけれども、この予算的措置、予算面において五箇年計画ができるのだと断言する自信はないのですか。その点はどうです。

青木孝義民主自由党経済安定本部総務長官・中央経済調査庁長官・物価庁長官

○青木國務大臣 われわれの考え方としては、日本のだらだらインフレといいますか、こういう状態から二十四年度さらに二十五年度においてはこれを收束せしめるという考えをもつて進んで参りました。ところがこういうふうにかわつて参りますと、おつしやる通り資金面におきまして完全に予定通りこれをやるというには、どうもまだ自信がありません。そこで今申し上げたような見返り勘定の関係が、もし開発資金とか、そういう方面に十分まわつて参りますれば、ぜひそれでやつてのけたい、こういつた希望のもとにあるのでありまして、さよう御了承願います。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 中曽根君、今日はこの程度にして、明日継続することでいかがでしよう。

中曽根康弘民主党(第九控室)

○中曽根委員 けつこうです。

植原悦二郎民主自由党

○植原委員長 本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。     午後六時五分散会

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