法務委員会 第32号
- 発言数
- 161 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1949/07/07
会議録
○花村委員長 これより会議を開きます。 本日は前会に引続きまして横浜地檢問題について証言を求めたいと存じますが、本日出頭された方は横山唯志君、小林正基君の二名であります。 証人となられる方々に申し上げます。皆さん本日は御苦労さまでした。本調査は御承知のように憲法第六十二條に基く國政調査権によつて行うものでありまして、横浜地方檢察廳職員にはたして世に宣傳せられるように、綱紀紊乱があつたかどうか、もしあつたとすればその原因は何であるか、またその行政上の責任はどこにあるかを調査し、もつて取締り官憲のこの種不祥事件の発生を未然に防止し、檢察の威信保持に資せんとするものであります。從つて決して職員の犯罪を捜査摘発することをその主たる目的とするものでないことをあらかじめお断りいたしておきます。事柄は檢察権行使の明朗化、民主化ないしは治安維持の根本にかかわる問題でありますから、証人の自由な良心的御協力を望んでやまない次第であります。 それではこれより証人の方々に証言を求むることといたしますが、証言を求むる前に、各証人に一言申し上げておきます。昭和二十二年十二月三十日に公布になりました昭和二十二年法律第二二五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせねばならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族、もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係ありたる者、及び証人の後見人、または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項、あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師、歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祈祷の職にある者、またはこれらの職にあつた者については、その職務上知つた事実であつて默祕すべきものについて尋問を受けたときに限られております。それ以外には何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつております。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 小林正基君に代表して宣誓書の朗読をお願いいたします。 〔証人小林正基君各証人を代表して宣誓〕
○花村委員長 それではお手元にお配りしてある宣誓書に署名捺印をお願いいたします。 〔各証人宣誓書に署名捺印〕
○花村委員長 次に証言を求める証人の順序を申し上げます。小林正基君、横山唯志君の順序で証言を求むることといたします。 なおこの際念のため申し上げておきますが、本日の証人はいずれも治安の任にあたつておられる重大なる職責を持つておられる方々でありまするので、なるべく簡潔にお尋ねをいたしたいと存じますが、終了後はさつそく任地におつきを願いたいと存じますると同時に、委員各位におかれましても、右の事情を御賢察の上、その質問等はなるべく簡潔にお願いをいたしたいと存じます。横山唯志君は証人控室においてお待ちをお願いいたします。 それではこれより小林正基君から証言を求めることにいたします。お名前は……。
○小林証人 小林正基。
○花村委員長 年齢は……。
○小林証人 四十五歳。
○花村委員長 職業は……。
○小林証人 横浜市警察局長。
○花村委員長 現住所は……。
○小林証人 横浜市中区本牧元町二百四十五番地。
○花村委員長 警察局長の職におつきになつたのいつですか。
○小林証人 昭和二十三年三月七日。
○花村委員長 それから現在までおつきになつておるわけですね。
○小林証人 そうです。
○花村委員長 あなたは加賀町警察署の榊巡査というのを御承知になつておりますか。
○小林証人 本人は顔見知りでありませんが、名前は存じております。
○花村委員長 その榊巡査というのを最近轉勤せしめたことに相なつておるようですが、その理由はどういう理由しようか。
○小林証人 榊巡査は六月十五日と存じますが、加賀町警察署の経済係から伊勢佐木警察の外勤に轉勤を命じました。それは四月のころでございましたか、署長の方からもう二へんほど、六月のころと本人の勤務成績も適当でございませんし、また何となく経済室の空氣にそぐわない、同僚と相和しない点等もありますし、取調べ等の場合においても不適当なことがございますので、かえてもらいたいということがございましたので、私は六月十五日に轉勤の発令をいたしたのでございます。
○花村委員長 聞くところによりますと、この榊巡査が國会に出て証言をした、その証言の報告書を上司に出さぬというようなことから、上司の忌憚に触れて轉勤をせしめられたというような話もありますが、それはいかがでしようか。
○小林証人 そういうことはございません。ちようど本人が証人をいたしまして翌日、平林経済主任が私のところに内容の報告に参りました。そのときに署長も一緒に参りまして、榊巡査の方方報告を求めたけれども、しなかつたというような話がございました。私は本人がしたくないのであれば、むりをしてそういうものを出させる必要がないからということを、そのとき署長に申し傳えておきましたので、むりにその証言の内容を知ろうとは考えておりませんでした。また五月の二十六日でございましたか、猪俣委員一行がお見えになつた場合においても、その話を出したのでございますけれども、内容は大したことがないので、速記録でもあとで見られればさしつかえないものだというようなことの話もございましたし、別にその証言を強く要求する意思もございませんでした。今度のがどういう内容だということを、私の方でも深く調査する意図を持つておりませんし、その関係から轉勤さしたということはございません。
○花村委員長 当法務委員会の委員から、國会に証人として出頭した者に対して異動をすることは、誤解を生ずるおそれがあるから、さような取扱いをしないようにという意味の懇請があつたそうですが、それはいかがでしようか。
○小林証人 それは承知いたしております。猪俣委員一行がお見えになつたとき、特に國会の調査を侵害するようなことに、ひいてはなるおそれがあるから、そういう点はぜひ愼んでいただきたいというようなお話がございました。從つて今度の異動もそういうものと関連いたしませず、署の方で不適当で、経済室内の和もとれませず、本人は私会つておりませんが、素直でない点がございますので、そういう意味合いからかえたのでございまして、もしいろいろな点で本人をかえるといたしまして、左遷とかいう問題になれば、川和とかあるいは戸塚とか、辺鄙な所へやりますが、特に委員会の方からもお話がございましたから、格式は加賀町よりも下つておりません伊勢佐木署にかえたような次第でございます。
○花村委員長 そうすると、結局國会に証人になつたということが原因して轉任に相なつたのではない、こうおつしやられるわけですね。
○小林証人 はい、私の方ではそういう考えはございません。
○花村委員長 それから当法務委員会に証人として出頭されました平林主任と加賀町警察署の署長は、あなたに何か証言内容を御報告に相なりましたか。
○小林証人 翌日何時ごろかちよつと記憶がございませんが、内容を報告に参りました。概略を私に報告いたしました。
○花村委員長 そこで國会で証人として出頭した者に対して、その供述内容を上司が報告しろと言うようなことは、少くとも國会における証人が自由に証言ができぬ、ことに本件のごとく、檢察廳内あるいは警察署内におけるありのままの姿を供述し、もつて粛正をせねばならぬというような事案に対して、そういう方途を講ぜられることは、少くとも國会における証人の供述に対する眞実性を失うというようなことに相なるのではないだろうかと考えるのですが、証人はこの点に対してどうお考えになつておりましようか。
○小林証人 大体委員会での証人尋問は公開でもございますし、先般承れば、速記によつても承知することができるというふうにも承知いたしておりますし、事の内容が警察の職務に関しておる場合におきましては、これを報告いたしましても、私は強制にわたらざる場合においては、あえてさしつかえないのではないか。大体今までの例といたしまして、こういうような取調べがありましたというようなことを、みずから報告するような一應習わしにいたしておりますし、私の方ではそれが妨害になるというふうに、あまり強く考えてはいなかつたわけでございます。
○花村委員長 もちろん公開でありまするから、自由に上司にその者の発意によつて報告をなすことがさしつかえないことは、もとより言うまでもありませんが、上司がその報告をしいて求めるというようなことはいかがでしようか。
○小林証人 別にしいて求める必要もないと私の方では考えております。必要があれば、委員会の方へお願いいたしまして、その内容を承知いたしますればよろしいわけでございますし、また今回のことについても、署長もしいて本人にその内容を強く出すように強制したようには私承知いたしておりません。
○花村委員長 そうすると、証人も榊巡査の供述内容の報告を求むべく要求したわけではございませんね。
○小林証人 私は要求いたしません。
○花村委員長 この伊勢佐木署に酒寄という警部がおりますか。
○小林証人 おりません。伊勢佐木におります警部は永島という警部であります。
○花村委員長 酒寄という警部はどこにおりますか。
○小林証人 これは本局の捜査第二課におります。
○花村委員長 その酒寄警部と楢島檢事その他が、選挙取締りに関する慰労会をやつたというようなことでありまするが、それは御承知でしようか。
○小林証人 それは酒寄警部がやつたのではございませんので、刑事部の捜査二課が、檢察廳の刑事部の関係の檢事さん方と懇親会を二月の三日でございましたか開きました。それは承知いたしております。
○花村委員長 そこでその慰労会をやつた予算関係はどういうことになつておりましようか。どこからその費用が出て、そうしてどういうぐあいに使われたか。
○小林証人 これは選挙取締費から出ておりまして、五十万三千円が國家の方から縣を通じまして選挙取締費として交付になりました。その中から一月の十一日に捜査第二課に対して二万五千円交付いたしております。一月の二十一日に同捜査二課に対して三万円、計五万五千円を交付いたしております。
○花村委員長 そうすると、その選挙が済んでから、選挙取締りに関係を持つて働いた人々にさような慰労の会を開くというようなことは、慣例に相なつておるわけですか。慣例というわけでもありませんか。
○小林証人 別に慣例とは言えませんが、大きな事件等ありますると、途中で息拔きと申しますか、元氣をつけて督励してやらなければなりませんし、また終つてから万歳と称して、これを慰労するというようなこともございまして、途中にもあり、また終つてからもあり、それは別にどうときまつたものではございませんか、捜査二課は九月十五日でございましたが、新たに設けられた課でございます。そうして仕事らしい仕事は、選挙になりましてからやつたものでございます。それまでに檢察廳との連絡懇親会というものもございませんし、費用もなかつたわけでございますが、たまたま捜査二課に対して督励費が参りましたので、私の方から下の方に、金額は承知いたしませんが個々に分配いたしました。警部、警視の連中が檢察廳の方と、そのときの次席警部の家で懇親会を小じんまりとやりたいからという話が事前にございまして、それはよかろうというので、私承知いたしておつたわけであります。
○花村委員長 本年の一月の衆議院議員選挙において、竹田候補の選挙違反が出たそうでありますが、その選挙に関して後藤つぎに逮捕状が出たという話ですが、御承知ですか。
○小林証人 出ております。
○花村委員長 それでその後藤つぎの選挙違反の捜査に着手した日、及び逮捕状の出た日などを御承知でしようか。
○小林証人 捜査に着手したというのは、私ちよつと今記憶ございませんが、これは署の方から違反情報が参つておりましたので、それに基いて二月の十日に午後五時半ごろでございますか、逮捕状を執行したとの報告を受けております。そうして本人はからだが少しぐあいが惡いというようなことも申し、案外すなおに事実を認めたものですから、十一時半ごろに帰宅を許したということを翌日私報告を受けました。
○花村委員長 その後藤つぎの身柄を釈放したことに対して檢事の指揮でもあつたわけですか。指揮なしにやられたわけですか。
○小林証人 これはそのときに私聞きませんが、この間そういうことについて話が出たのでございます。酒寄警部が帰宅を檢事さんの方へ連絡なしに許したと私聞いております。
○花村委員長 それから平林主任というのが後藤つぎという人と最も密接な関係があり、警察などへも昇さんがおるかというようなことで再三電話もかかつて來、相当に密接な関係があるやに聞くのですが、そういう事実は御承知ありませんか。
○小林証人 私は聞いておりません。ただ新聞で何か出たのを承知しておるだけで、それ以外に署員からも、あるいは署長からも耳に入れたことはございません。
○花村委員長 何か御質問がありますか。
○梨木委員 今委員長からもお尋ねがありましたが、國会で証人調べをした場合に報告書を出す問題です。これは今まではあなたの方では、公開でもあるし、強制しなければ出さしてもさしつかえないように考えておつたというわけですけれども、しかしどうも私たちの考えでは、報告書を強制ではないが出してもらいたいということを上の方から言われれば、氣の弱い人はやはり心理的に強制されたように感ずるわけであります。こういう処置をされることは、やはり國政調査のため証人尋問の際に、眞実を述べることの妨げになるように思うのであります。今後そういう扱い方についてやはり強制しないのだということでも、報告書はとらないようにされた方が私はいいと思うのでありますが、あなたは今後のその点の扱い方についてどういうふうにお考えになりますか。
○小林証人 先ほども申し上げました通り、私はこういう問題について特に報告書を強制するとか、そういう考えはただいまも、また將來も持つておりません。但し事公務に関しましては、尋ねられなくとも大体仕事の問題でございますから、上の方にこういう状態であつたということを報告することはあえてさしつかえない、報告しないのはお前けしからぬではないかという態度で出るほどのことはございませんけれども、大体は今まで上司にはそういうふうに報告するという慣例になつておりますし、別にそれをあらためて以後報告する必要なしという扱いを、公務に関しては、する必要がないじやないか、ですから進んで大体きのうはこういう話がございましたというような報告書ではなくして話程度のことは別にさして惡いというふうに考えておりません。
○梨木委員 この前加賀町の署長さんだつたと思いますが、証人尋問の過程において、どうも今後はそういう点はまずいと私は思うという考え方にかわつて來たようでありますが、それであなたの方では公務に関して國会で証言したことだからとおつしやるが、しかしここへ來て述べることは公務であろうと私事であろうと、ここで述べることがもしあとで報告をとられることが、少くともここの自由な証言を妨げるようなことに実際は相なるとすれば、私はそれもあまりいいやり方ではない、こう思うのでありますが……。
○小林証人 先ほども申し上げましたように、強制する意図はございませんし、本人が随意に報告する場合にはさしつかえないという程度で考えて行きたいと思います。
○花村委員長 ほかにありませんか——。では済みました。どうも御苦労さまでした。 横山唯志さんですか。
○横山証人 そうです。
○花村委員長 お年は。
○横山証人 三十一才。
○花村委員長 職業は。
○横山証人 横浜地方檢察廳檢事であります。
○花村委員長 現住所は。
○横山証人 東京都北多摩郡神代村大町四百七十三番地。
○花村委員長 お尋ねしますが、本年の一月の衆議院議員選挙において竹田候補の選挙違反事件が起つたということでありますが、その内容を簡單におつしやつていただきたい。
○横山証人 竹田候補が運動員約十数名をして戸別訪問せしめたという事件であります。
○花村委員長 その事件の捜査に着手したのはいつごろですか。
○横山証人 私が警察から事件の送致を受けましたのは一月二十六日であります。
○花村委員長 それでその選挙違反事件のうちに後藤つぎというのが入つておりますね。
○横山証人 そうであります。
○花村委員長 その後藤つぎに対する逮捕状を出したのはいつごろですか。
○横山証人 二月十日と記憶しております。
○花村委員長 それはどういう内容で、何人からその逮捕状の要求が出て來たわけですか、それを詳しくおつしやつていただきたい。
○横山証人 後藤つぎの犯罪事実としましては、やはり数件の戸別訪問でありまして、この事件は最初警察がずつとタッチしておりまして、私が指示いたしましたのは竹田候補と後藤つぎの逮捕を指示したのであります。それで二月九日と記憶しておりますが、私が加賀町警察署において、朝鮮人の不法監禁事件を取調べておつた現場へ、酒寄警察外一名を呼びまして、後藤つぎの逮捕を指揮しました。
○花村委員長 証人がこの選挙中宴会に誘われたことがあるそうですね。
○横山証人 あります。
○花村委員長 その日はいつで、そうしてどういう宴会だつたでしようか、それからその誘われたのはだれでしようか。それをお尋ねしたいと思います。
○横山証人 宴会に誘われたのは二月三日であります。この日を記憶しておりますのは、その前日に相模原へ私が偽証罪事件の調査に参りました。宴会に誘われた翌日には、神奈川警察署に交通事故の現場檢証に行つております。その中にはさんだ三日でありまして、この日は非常にはつきりしております。この宴会の翌日から、楢島檢事が一週間くらい休んでおりましたので、誘われたのは二月三日であります。宴会の趣旨でありますが、当時の状況を申し上げますと、二月三日の午後五時過ぎだと思います。私が仕事を大体しまつておりますと、楢島檢事が先だつたと思いますが、今晩ちよつと待つていてくれ——言葉は記憶しておりませんが、一ぱい飲もうというような意味の、要するに耳打ちするようにして宴会に誘われたのであります。そのすぐ直後酒寄警察が來まして、檢事さん今晩一ぱいやりましよう。こういうことを申しましたので、私は何の会だねと何げなく聞いたのであります。すると彼は選挙の慰労会だということを言いますので、選挙の慰労会というのはおかしいじやないかと聞いたところ、選挙の慰労会ということにしなければ飲めませんからねということを言いました。そして場所についてはあとから自動車が迎えに來るから、こう言つておつたのであります。
○花村委員長 それで集まつた人はどういう人ですか。檢察官と警察官だけですか。
○横山証人 私は宴会に行つておりませんので、どんな顔ぶれが集まつたか、実はわかりません。ちよつと申し上げたいと思いますが、私は酒寄警部の言葉で、何だか非常に不明朗なものを感じましたので、さつさと帰つたわけであります。そうしてその誘われる直前、実は所用で田川檢事のところへ行つたのでありますが、その際田川檢事から、君は後藤つぎの選挙違反をやつているそうだか、この選挙違反については、何かこちらへ働きかけているといううわさを聞いたから、十分注意したらよかろう、というようなことを言われておりました際でありましたので、実はその宴会には出席しなかつたのであります。
○花村委員長 警察で後藤つぎの事件について、檢事の指揮を受くることなしに、後藤つぎの身柄を釈放したという話ですが、それは御承知でしよう。
○横山証人 その通りであります。実は後藤つぎは逮捕されて四十八時間警察に置けるわけですが、大体時間ぎりきりになつても持つて來ないので、私の方から実は後藤つぎの身柄をどうしたのだといつて聞きましたところ、酒寄警部と松永警部補であつたと思いますが、やつて來まして、実は後藤つぎは老人で病氣であつた。それから犯罪事実は全部認めていたから、檢事の指揮を受けないで釈放した、こういうことを申しておりました。その後私が記録を見ますと、一應後藤つぎ自身の犯罪事実は認めているようでありますが、共犯者との関係において相当の食い違いがあります。ですから酒寄警部の言うように、犯罪事実をすなおに認めていたということは、事実ありませんでした。
○花村委員長 そうすると、その酒寄警部の警察でやつた後藤つぎの身柄で釈放したということは、檢事の立場から見て、それは適当でないというわけですね。
○横山証人 実はこの釈放を聞いたものですから、私も少し興奮しまして、なぜ檢事にそれを言わなかつたかということを追究したのであります。これは理論的に見ますれば、刑訴の規定からいつて、警察が逮捕して身柄を送致する必要がないとすれば、釈放できることにはなつておりますけれども、ただ捜査の慣例もしくは常道から言つて、檢事が指揮したものを檢事の許可もなしに釈放するということは、捜査の常道に反すると思います。
○花村委員長 最後に横浜地檢の粛正の問題について、あなたの率直な御意見を承りたいと思います。
○横山証人 横浜地檢事件というものは、御承知のように、木船事務官の事件に端を発しまして、一部粛正を叫ぶ事務官から上申書が提出されて、それがきつかけになつたわけでありますが、その後世上いろいろ惡意をもつてですか、傳えられるように、一部檢事の派閥抗爭であるとか、一部栄進できない事務官の不満がそうさせたのであるというようなことが傳えられておりますけれども、因習の強い官吏の世界において、立身出世を願う者が、そういうことをして、はたして出世の助けになるかどうかということは、疑問であります。むしろ反対の結果だと思います。それにもかかわらず、一部の事務官が上申書を提出した、そうして粛正を叫んだというのは、問題が派閥抗爭であるといつて片づけられるような、なまやさしい問題ではないと思います。これは直接檢察の威信に関係する問題でありまして、私が直接具体的な事件に当つておりますと、被疑者から、檢事はいろいろ言つてわれわれを追究するけれども、横浜檢地に不正があるではないか、こういうことをよく言われたのであります。われわれとしてはそういううわさを聞くたびに非常に不愉快でありまして、こういうような問題は、うわさであればうわさ、事実であれば事実として、檢察廳みずからの手で一掃しなくてはならぬということが動機になつて、この横浜地檢の粛正が叫ばれたわけであります。この問題に対して、これが派閥抗爭であるといつて片づける人の、むしろ良心を疑いたいと私は思うのであります。檢察官がみずからを律することができなくて、どうして他人の非違を追究することができましようか。それを申し上げたいと思います。
○花村委員長 ほかに御質疑はありませんか。
○梨木委員 この後藤つぎの選挙違反についての捜査の指揮は、あなたがされたのですね。
○横山証人 そうであります。
○梨木委員 指揮するについては、上司——檢事正とか次席檢事と相談されたわけですか。
○横山証人 とにかく事件は上司を通じまして、横山お前これをやれということで委任されました。ですからこまかい点までは一々指揮は受けておりません。
○梨木委員 ところでこういうことを聞いておるのです。あなたが指揮して後藤つぎに対する逮捕状を出したということを次席檢事が聞いて、非常に怒つておつたということを私たちは耳にしておるのでありますが、そういう事実はありますか。
○横山証人 それは日は忘れましたが、二月二十六日の司法主任会議のあとと思います。実は次席檢事から直接そういう叱責を受けた事務官から、私は実は横山檢事が逮捕状を出したということについて、一体この逮捕状はだれが出したのかということで、非常に叱責されたということを聞きましたので、それはおれの責任でやつたことである。事務官の君がしかられることはないと言つておきました。しかし直接私は次席檢事からそういう小言を聞いたことはありません。
○梨木委員 間接にそういうことを聞かれたのですか。
○横山証人 そうであります。実は申し上げたいのですが、後藤つぎの逮捕状を出した理由でございますけれども、それは現われた事実は戸別訪問でありますが、当時警察等からのいろいろな情報によりますと、饗應等の事実もあるということでありましたし、それから初めの警察の意氣込みと違つて、なかなか事件が伸びないというので、私もあせつておりまして、後藤つぎを逮捕して直接捜査したいと思つたことから、実は逮捕状を出したのであります。
○梨木委員 その後この選挙違反はどういうぐあいに処理されたのですか。
○横山証人 その後実は私は身柄事件をやつておりまして、事件が在宅になりますと、他の檢事に渡るわけでありますから——というのは、東京から吉積檢事が來られまして、身柄の事件が非常にはけないから、責付として在宅事件の係の檢事ができたわけであります。そうして刑事部長からそうした在宅事件一切を吉積檢事に引渡すようにということで渡したのであります。
○梨木委員 その後のことは聞いておられませんか。
○横山証人 その後吉積檢事から聞きましたが、五月二十日、この事件は全部不起訴になつております。
○梨木委員 それからもう一点伺いたいのは、横浜地檢内の粛正問題が表面化して、國会の衆議院でも取上げましたが、その後部内の空氣はどういうことになつておりますか。粛正を希望する人たちと希望しない人たちとの間において、まだ何がうまくない空氣がありますか。
○横山証人 事務官の点等はあまりよく知りませんけれども、現在そういうような対立感情はないと思います。檢事の方においては、問題の檢事は横浜にはいないと思いますので、別に対立はありません。きわめて明朗になつております。
○花村委員長 ほかにありませんか。
○横山証人 それからこの宴会の件ですが、主催者がだれかということはわかりません。楢島君、酒寄君を通じて聞いただけであります。
○花村委員長 証人調べはこれで済みました。どうも御苦労樣でした。 —————————————
○花村委員長 この際お諮りいたしたいことがあります。理事でありまする上村進君が理事の辞任を申出られておりますので、これを許すに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 御異議なければさようとりはからいます。つきましては理事の補欠選任を行わねばなりませんが、理事の補欠選任は委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 御異議なければ梨木作次郎君を理事に指名いたします。 —————————————
○花村委員長 この際念のために申し上げておきますが、樋貝國務大臣並びに増田官房長官は後刻出頭するそうでありますが、ただいま法務総裁にかわつて佐藤刑政長官がお見えになつておりまするから、もし御質問があるようでありますれば、お願いいたしたいと存じます。
○古島委員 私は相なるべく法務総裁に質問いたしたいつもりでおつたのでありますが、幸い佐藤さんがおいでになつておれば、佐藤さんにその一部を承つてみたいと思います。 実は憲法でも基本的の人権などと言つて、大分擁護するようなことになつております。しかも刑事訴訟法でも、人身保護法でも基本的の人権を尊重せねばならぬということを言うておるのでありますが、文字の上ではそういうことを言つておるが、実際に法務府のやり方等を見れば、あまり人権を尊重するようにも見えないのであります。たとえて申せば、長い間拘禁をいたしておつて、さらにその釈放をしないというような実情もあります。法務府はどういうふうにして各地の檢事を指揮いたしておりますか、その指揮をする、もしくは内示訓示等、そういう点についてやつておれば、その詳細を承りたいと思います。
○佐藤説明員 新憲法が施行になりまして、從來の取扱いと違いまして、ことに新刑事訴訟法が施行になりましてからは、特に人権尊重の立場から、なるべく被疑者、被告人等を拘束しないで、言いかえれば強制力を用いないで搜査することを本則といたしておるのでありまして、やむを得ない場合だけ拘束するという方針をとつておるのであります。一旦拘束した者を釈放するという場合には、御承知のように裁判所において保釈、執行停止、責付等の処置をいたすのでありまして、その際に檢察廳の方においてもできるだけ協力するようにということは、たびたび通達をいたしておる次第であります。
○古島委員 お話を承ればまことにけつこうなことであります。ところが実際から申し上げると、浦和の地方裁判所や地方檢察廳の熊谷の出張所でありますが、ここに森章という男があります。これが被告になつたのでありますが、この被告はわずかの事犯でありますが、三月二十八日に入つて四月の十何日かに起訴されたようであります。その後五十何日というものは接見禁止をされております。しかもその男は七十に手の届く六十八歳何箇月というような年寄りであります。六十八にもなつておるので、刑事訴訟法のある條項から言うならば、むしろ判決が確定して刑の執行をする場合でも、七十以上になれば執行を停止する可能のある人であります。この人がかつては村長をやり、農業会長をやつて土地の有力家でありますが、一たび逮捕されると五十何日は接見禁止をされ、そうして三月の二十八日に拘禁されたものがいまなおそのままでおるという状況なのであります。その事情はどういうことで檢事が保釈願に意見をつけるかというと、常に証拠隠滅のおそれがある、あるいは追起訴をする氣持でおるから釈放は絶対にいけないという意見を述べておる。こういう長きにわたつて拘禁をいたしておる問題でありますから、あるいは場合によれば法務府の方にも報告があつたことと思うのであります。ことに高等檢察廳なりあるいは檢事総長の手元なりにはこのことの意見が述べてあるということを豪語いたしておりますが、はたしてそういうことがお耳に達しておりますかどうか、一應承つておきたいと思います。
○佐藤説明員 ただいま伺いました森某の熊谷の事件でございますが、これは私の方にまだ報告書が見えておりませんので、どういう犯罪事実であり、また今後どういうふうに搜査する必要上保釈に至つておらないのか、よくその間の事情は存じませんが、場合によつては檢察廳の方に照会いたして、日を改してお話を申し上げてもよろしいと思います。
○古島委員 この事件の大体は、私も担当弁護士から一應聞いただけでありますから、詳しいことは知らぬのでありますが、その相被告に田中雄一郎という男があるそうであります。この男が五月の二日に公判が開かれたのでありますが、公判のその法廷において係の検事——田上輝彦という檢事が係だそうでありますが、この檢事に向つて、自分はお前さんに二万円の金と酒一斗を差上げたにかかわらず、なおかようなことをしておるというので、法廷で贈賄の事実を自白いたしたというのであります。ところがその田中という男は、森某というものの子分であるということから、田中を憎むのあまり、坊主が憎けりやけさまでということで、この森某にもとばつちりが行つておるということを聞いております。すでに公判は開かれ、そして追起訴がその後に出たということを聞きます。その追起訴には実に驚くべきことが書いてあるのであります。たとえて申せば、森某は村長をやり、あるいは農業会長をやつておつたが、專横きわまりない男で、戰後その職を追われるや、田中某を使つて人を畏怖せしめるような行動をとつておるということがある。あるいはまた同樣の文句の中でありますが、戰爭後いろいろな経済違反があつて罰金に処せられたことがある、ある事件は執行猶予になつたという事件があると、盛んにこれを非難攻撃するような起訴状を書いておるのであります。私が申し上げるまでもなく、起訴状は事物の摘示だけをやればいいのであつて、別に裁判官をして事件を予断させるようなことを書いては相ならぬということはことさらに刑事訴訟法に書いてある。予断するようなことを書いてはいかぬ、刑断するような材料を添付してはいかぬということは、刑事訴訟法で明瞭に書いてあるにかかわらず、なおその人の人身攻撃をし、かような人物であるからかくかくのことをやつたということを書くのは、実に檢事としてはあまりに法律を知らな過ぎると思うのであります。もしこの檢事が法律を知つておつてやつたというならば、何かの惡意があつたことであり、もし刑事訴訟法のあの精神と法條とを知らないというならば、檢事としては無能力な人物であると私は思うのでありますが、かような訴起状に向つて、被告の身分なり被告の前歴なり、あるいは誹謗するような事項を書くということは、刑事訴訟法上やつてはならないことになつているのであるから、その起訴状全体が無効になるのではなかろうかと私は考えております。刑政長官の方ははたしてどういうふうにお考えでありましようか。そこを伺いたい。
○佐藤説明員 新刑事訴訟法におきましては、お説のように起訴状には当該起訴にかかる犯罪事実だけを記載すべきであつて、そのほかに犯罪の存否を予断せしめるような記録を添付してはならないという建前になつておりますので、お話のような起訴状は万々ないことと私は信じているのでありますが、もしさような記録が添付されたとすれば、裁判所の方でおそらく檢察廳の方に却下されるだろうと考えます。
○古島委員 これは実際はその無効たることを主張いたして、公訴棄却の判決を求むる旨の申立てをしたそうであります。当然公訴棄却をするなり、あるいはまた起訴状が無効であるということの宣言をせねばならぬものだと思うのでありますが、ひどいことにはこういう状況になつているのであります。五月七日付の追起訴状には「被告人森章は太平洋戰爭中埼玉縣大里郡折原村の村長及び農業会長を勤めていたが、当時から專横をきわめ、終戰後その職を追われたが、その後も常に暴力的傾向に出で……背後に……寄居地方において虎のごとく畏怖せられている相被告田中雄一郎を使用して、同地方における惡質なるボスとして一般から畏怖せられている者であるが」云々ということを書いてあります。これらは戰爭中にこういう村長なり農業会長をやつて來たが、その時分からきわめて專横であつて、その職を追われた後もなおこういうことをやつている。背後には虎のごとく畏怖せられている相被告田中雄一郎を使用してこういうことをやつている。これまで書くということになれば、とうてい一般の起訴状ではないと思うのであります。その次の五月十三日の追起訴によりますと、これにも同樣のことが書いてあるのであります。すなわち五月の七日の日の追起訴によつてはつきりしておるにもかかわらず、また五月十三日に重ねて「被告人森章は太平洋戰爭中埼玉縣大里郡折原村の村長や農業会長を勤めていた当時から專横を極め終戰後も其の在職中の犯罪て業務上横領食糧管理法違反の罪名の許に懲役一年六月但し三年間執行猶予及罰金二万円に処せられた者であるか」云々とこういうことを前置きに書いてある。こうなりますと、第一の事実のごときは、恐喝事件を起訴するにはなるほど恐喝したらしいということが見えることになるのであります。第二の五月十三日の起訴状によればかようなことが書いてありますから、やはり食糧違反なりあるいは経済違反をする人間であるということはただちにわかるのであります。こういうことを書いておいて、しかもこれがいかに保釈をお願いしても、保釈に対しては、あとで追起訴をするのである、追起訴をするというような口実を設けて、いかにしてもこれは出さぬのである。もちろん法の上から申せば檢事と判事との立会いがある以上は、檢事が判事を圧倒するくらいな力のあることは望むところでありましようが、とにかく地方における檢察事務は、一應は檢察官の言うことを聞くのであります。檢察官が強い反対を述べておれば、裁判官の方はこれに向つて押し切つて保釈を許すということはないのであります。しかもこの事件はかように妙なことを書いだたけでなく、六月の十五日で日が切れてしまう。そこで五月十六日に勾留の更新をいたしまして、六月の十五日で第一回の三十日以内の更新の日が切れるのであります。そういう日が切れるところにおいてまた追起訴をするから、もう一度更新をするというようなことでやつておるということをうわさに聞いたのでありますが、これは刑事訴訟法で明らかにこういうことは禁止してあるので、特別の場合には再度の更新ができるのであるが、普通の場合においては三十日の範囲しか更新ができないことになつております。しかも今日の情勢においては今まで五十日の接見禁止をいたし、その後においてもなお追起訴、追起訴というような口実で出さずにおいておるところをもつて見れば、一ぺんの更新では済まない。さらに重ねての更新をするものではなかろうかと思うのであります。こういうことが事実行われておるとすれば、今の刑政長官の申す人権の尊重というようなことは毫末も見えぬことになるのであります。私の申し上げることは別に誇張して申すのではないので、私はわずかにかような追起訴というものは無効であるという意見を述べたいので、それだけを借りて本日は材料に持つて参つたのでありますが、事実こうであつたとすれば、憲法の基本的人権というものの擁護もできません。あるいは刑事訴訟法第一條に本法の目的はというので、基本的人権を保障しつつ眞実を発見するというような、まことしやかなことを書きましても何にもならぬことになります。あるいは人身保護法において特に基本的人権を尊重しなければならぬということになつておるが、しかもこれは不法に法律的の根拠のないような拘禁を対象として考えた人身保護法でありますから、檢事が勾留をいたし、そうして反対をいたして保釈を許さぬということをさせることは、法律的な根拠がないことではありませんから、人身保護法の適用にも相ならぬと思うのであります。かかることが行われておれば、百の明文をつくり、議事を了して法律をこしらえましても、何の役にも立たぬのであります。ことに法務廳は内閣における法律の最高の顧問である。法律をいかに運用するかということは法務廳の双肩にかかつておる問題であります。かくのごとき事実がありとすれば、刑政長官はみずから進んでこれを取調べて、はたしてそういう事実があるかどうか。あるというならば、これはその檢事が実に職権を濫用するやり方であり、個人的の憎しみをこの被告の身の上に着せるというようなことでは、檢事として公益の代表にはなりかねる人物だと思うのであります。どうかこの点をお調べ願いたいのでありますが、刑政長官みずから調べて、これを処置してくれるお覚悟がありますか、その点を承つておきたいのであります。
○佐藤説明員 ただいまお話のような起訴状なり追起訴状がありとしますれば、その起訴状の効力については裁判所が判断する專権をもつておりますので、その事件の成行きについては私の方でいかんともさしずすることはできないのであります。ただ今後の檢察官の起訴状の書き方等につきましては、十分新刑事訴訟法の趣旨に沿うように記載するよう、全國の檢察廳にその趣旨を通達いたしたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、その趣旨はすでに新刑事訴訟法の施行される前後においてたびたび通達いたしておりますので、誤りはないと思いますけれども、もしさような過誤があつてもいけませんので、將來一層注意いたしたいと存じております。ただ、ただいま御指摘の事件は、承りますれば公判に係属しておるということでありますので、起訴後のその事件の処理等はすべて裁判所がすべきことでありまして、起訴状が無効であるか、あるいは追起訴状が有効であるかというようなことは裁判所の決定にまかせるよりほかはないのであります。また身柄の処理につきましても、逃亡のおそれ、あるいは証拠湮滅のおそれがあつて勾留を存続せしむべきか、あるいは逃亡、証拠湮滅のおそれがないからこれは保釈すべきかということも、また裁判所の專権に属するところでありまして、ただ檢察廳の方においては、その保釈決定をする前に、一應檢察廳の立場として意見を述べるにすぎないのでありますから、保釈がいつまでも許されないということに対しては法務府といたしましても、当該事件についてさしずすることはできないのであります。
○古島委員 あえてお答えにあげ足をとるわけではありませんが、かような起訴状に向つてこれをいかに処置するかということはもちろん裁判官以外にはできない。起訴状が一たび檢事の手を離れて裁判所の手に移つた以上は、これが無効か有効かの問題はもちろん裁判所以外にはできない。しかし先ほど刑政長官が仰せになつたように、幾度かの会合でこのことは十分注意してある。あるいは檢事正の会合なり、あるいは檢事長の会合なり等においても十分これが注意してある。注意してあるというならばもちろん檢事もこれを承知しているはずであります。檢事正なり、檢事長から部下の檢事に向つてはそういうことがあつてはならぬということは確かに言うたはずであります。またそういうことの注意をせぬでも、刑事訴訟ではそういうことは書いてはならぬということに、明確に法條を設けて書いてある。しからばもしそういう法條があるにかかわらず、そういう会同等において特別の注意をいたしたにかかわらず、その注意も用いず、その法律を蹂躙するというようなやり方をするならば、その起訴状を裁判官がいかに判定することいかんにかかわらず、檢事長なり、あるいは檢事正なり、もしくは法務府の檢事長、檢事正の会同等においても、特に注意したその事項を、これを蹂躙するようなやり方をする檢事が部下におるということになれば、これは法務府の命令が下まで徹底をしないか、もしくは徹底をいたしたのであるが、法務府のその指令に向つて反抗する行動であると思う。徹底をしないと言うならば、これは少くとも刑政長官なり、あるいは檢事長なりは十分の責任を帶びねばならぬのである。徹底しておるのにかかわらず、なおかつこういうことをあえて起訴状に書くというような檢事が部下におるというならば、ことさらに反抗をするのであるから、十分に檢事の審査会にかけて、これらは罷免する必要があると思う。言うことをきかないか、また言うことをきくように徹底した指令を出し得なかつたということのいずれかに責任があると思うのであります。ほんとうに徹底したという覚悟があるならば檢事に向つては審査会にかけてこれは罷免すべきである。また彼らがこの通り法律を知らずに誤つて書いたんだと言うならば、これは法務府が惡いのでありますから、法務府は責任をとられるべきである。せつかくのその指令が徹底したにかかわらず、反抗したというならば、こういう檢事が部下におつては、裁判官とは違うのでありますから、法務府の方はその命令が一本に徹底せねばならぬのでありますから、それができないということであるならば、いずれかが責任をとらねばならぬと思いますが、刑政長官はどういうふうなおぼしめしでございますか。
○佐藤説明員 森某に対する訴訟状の記載の件でありますが、仰せのような事実があるかどうか十分調査いたしまして、責任を明らかにいたしたいと思います。
○古島委員 実は私もこのことは佐藤さんとは長い御交際でありますから、あらためてこのつらをして申し上げたくないのでありますが、実に奇怪なことがあるのであります。先般これは法務府でももちろん御承知でありましようが、この係の檢事の田上というものが、朝日新聞の記者に向つて、かくかくの事件ではだれとだれとを調べるのである。そうしてだれとだれとをこういうふうにするんだというメモを渡しました。朝日新聞の記者はこれはおそらく檢事総長のところに持つて來たことと思うのでありますが、檢事総長はそれを見て、こういうことがあつてはならぬということでやりましたが、新聞記者にそのことを聞いてみると、新聞記者は、実は檢事の方からこのことのメモを人をもつてよこしてくれたのであるが、自分の方で発表することは、せつかくよこしてくれた者に申訳ないから、そこでこれを檢事総長にこのことを言うたにすぎないので、後日これをひつくり返すくらいならば、あのときに自分が新聞記者精神を働かして発表してしまえばよかつたのであるが、新聞記者の心持を捨てて、自分は紳士として活動したがために、彼らがいいかげんなことをしたんだということを後日漏らしております。その記事はりつぱに本にもなつて出ているのであります。しかもその問題は、ある被告人を調べるにあたつて、内容を全部その前に新聞記者に発表するというそのことがいかぬと思うのであります。しかも同一の人であるにかかわらず、某参議院議員のところに行つて、夜とまつてごちそうになつておる。しかも特殊物件が隠退藏してあるということで、これの捜査に行つて、捜査について行つた事務官と自分とが一緒にそこにとまり込んでごちそうになつておつたという事実まであつた。こういうことが一々出て参つたがために、檢察廳の信用というものは地に落ちているのであります。檢察廳の威信が地に落ちるということになれば、法律の番人である檢事が法律を蹂躙し、そうして賄賂の問題等でこれを檢挙せねばならぬ者が行つてごちそうになつてというような事実があつたならば、これだけをもつても、これは監督の責にあるところの刑政長官とすれば、これはただちに進んでお調べなさるのが当然だと思うのであります。しかも私は事檢事の身分に関することでありますから詳しくは申し上げませんが、もし必要とあれば詳しくこれを書面に書いて申し上げてもよろしいのであるが、私の方から材料を提供すれば、佐藤さんは十分この問題に向つて責任をもつてお調べくださるかどうか、お覚悟のほどを承つておきたいと思うのであります。
○佐藤説明員 ただいま承りましたような不謹愼な行動をする檢察官に対しては、十分嚴正な監督をいたしたい覚悟でおりまするので、もし不謹愼な行動について具体的に御承知でありまするならば、後日書面でお知らせいただきますれば、私の方では責任をもつて調査いたし、またこの責任を追究いたしたいと考えておる次第であります。
○古島委員 お覚悟のほどよくわかりました。ただこのお覚悟をもつてお調べくださるならば、佐藤さん自身も十分な覚悟を固くきめてかからぬと、この事件は審問ができないと思つているのであります。なぜかといえば、この檢事には高等檢察廳にこの人の腰を抱いている者がある。最高檢察廳にもこの人と同郷の人が中に入つて、大いにこの人を援護いたしておるのであります。そこでほんとうに行政長官がこれを剔抉するというお覚悟があるならば、まず高等檢察廳、最高檢察廳ともます一騎討ちをするだけの覚悟がなければこのことはできません。しかし日本のこの法務府をいかにまじめに、ほんとうに内閣の最高法律顧問としての職員を全うするかということは、一身上の問題など度外においてやらねばならぬのでありますから、材料を提供いたしますから、どうか一身上の問題などは眼中におかずに突進していただきたいことを希望いたしまして、私の質問を終ります。
○花村委員長 ただいま樋貝國務大臣がお見えになりましたが、御承知のごとく時局重大な折柄、法務委員会のために寸暇をさいて出席をせられたのでありまするが、なお今後重大なる用事が山積しているということでありますから、きわめて簡單に御質疑をお願いいたしたいと存じます。梨木作次郎君より質疑の通告がありますから、これを許します。梨木作次郎君。
○梨木委員 私は樋貝國務相にお尋ねいたしたいのでありますが、新聞紙の報ずるところによりますと、去る五日に下山國鉄総裁が行方不明になり、翌六日轢死体となつて発見されたということが報ぜられております。そこでまで伺いたいのは、今までの政府が入手せられた情報で、下山國鉄総裁がほんとうに去る五日に行方不明になり、翌日轢死体となつて発見されたその死体が下山國鉄総裁であるということが、政府において確認せられておるのかどうかまずこの点から伺いたいと思うのであります。
○樋貝國務大臣 お説の通りであります。
○梨木委員 ところでその轢死体が下山國鉄総裁であるということが確認されたということになりますと、それがはたして自殺であるか他殺であるかということが問題になつているのでありますが、今のところ政府はどういうように観測しておられるのであるか、これを伺いたい。
○樋貝國務大臣 自殺でないというふうに考えております。その点は当時総裁が失踪した前後の状況から考えましても、それから死体発見の状況から考えましても、自殺ではないという終局的な考えを持つております。さらに進んで檢察側でも、本日の新聞で見たところですが、他殺の疑い十分であるということを申しておりますが、これは新聞の報道であります。ただいま政府といたしましては、自殺ではないだろうということを考えておるような次第であります。
○梨木委員 七月七日付の読賣新聞の記事によりますと、樋貝國務相談といたしまして、「下山総裁の死亡は少くも自殺ではないと判定されるが、他殺の場合、犯人が問題となるが、犯人がたれかは日をもつて数える期間に判明すると思う」こういうように報道せられておるのでありますが、この談話はあなたは確認されますでしようか。
○樋貝國務大臣 当時時間をもつて犯人が出るだろうかという話でありましたから、時間ではない、單位は日であろうということを申した次第で、幾日ということを申したわけではない。
○梨木委員 そうすると、あなたはこの下山國鉄総裁の死亡というものが、他殺であり、しかもその犯人が日をもつて数える期間内に発見されるという確実な認識を持つておられるようでありますが、その証拠となるべきものを何かあなたがお持ちなのでありましようか。これをひとつ伺いたいと思います。
○樋貝國務大臣 時間をもつて、犯人があがらなかつたことは事実に徴してもおわかりのことだと思います。從つて私の申しましたことによつて事実は違つておりません。
○梨木委員 そうすると日をもつて数える期間内に判明するというのでありますから、あなたは他殺について確たる、どこにどういう犯人がいるということについて情報を持つておられなければそういうことは言われないと思うのでありますが、そういうものを何かお持ちなのでありましようか。
○樋貝國務大臣 時間をもつて犯人があがらないだろうということを考えておつて点は、事実に徴しても明らかなごとく、何日であるかということは全然申されないのでありますから、今日は事実から見て、時間についての問題は別としまして、日について積極的な根拠を持つというような必要はないと思います。
○梨木委員 私はこういうつもりで質問しているのです。國鉄の人員整理という重大な仕事の最高の責任者であられる下山國鉄総裁が、こういう不慮の死を遂げられたということは、われわれといたしましても衷心から弔意を表するものなんでありますが、これにつきましてあなたは他殺とお考えになり、しかも犯人が日ならずして判明するだとうということになりますれば、國民のすべてがこの眞相を知りたがり、また犯人が一日も早く出て來ることを念願しておるだろうと思うのでありますが、そこであなたは時間の問題とおつしやいましたが、時間の問題でなかつたことは日時の経過においてはつきりしました。日ならずしてこの犯人が判明することでありますれば、これはあなた自身が何らかの事件の中心を握つておられなければこういうことが言えないと思うのでありますが、その点をここで発表されなければ、檢察当局にそういうものを報告されてあるかどうか、こういう点を私は伺いたいのであります。
○花村委員長 梨木君どうですか。それは事件に対する見樣なのですが、しかし事件そのものについては御承知のごとく搜査を始めておるので、いずれその眞相はわかることであろうと思うのですが、搜査に着手しておつて事件の内容を調べんとしているこの際に、國務大臣にそういう御質問をなさつても意味をなさぬことだろうと思いますし、また時間の点も先ほど私からくれぐれも申し上げてあるようなわけでありますから、質問の重複を避けて、なるべく簡潔にお願いいたします。
○梨木委員 なるべく簡潔にいたしたいと思いますが、少くとも一國の國務大臣とあろう人が、國民環視の的になつている事件について、犯人が時間の問題でなくて、日の問題で必ず現われるであろうということを言われるということは、非常に重大な問題でありますから、この点について何らかの確証があるのかどうかということを私は聞きたいのであります。答弁の限りでないというならば、それでもよろしいのでございます。もう一度伺いたい。
○樋貝國務大臣 必ず犯人があがるだろうということは、決して申したことはないのであります。当時の事情としては、時間の問題かという質問に対して時間の問題ではない、時間で犯人があがるというような問題でないと消極的に申しただけであります。
○梨木委員 その点はそれでわかりました。 次に七月七日付の読賣新聞によりますと、総司令部鉄道課長チャグノン大佐談として、下山総裁はそれ以前にも数回脅迫を受けておつたというようなことが報道せられておるのでありますが、この点について新聞紙の報ずるところによりますと、当日総裁は一人で自動車に乘り、一人で三越に入つておるのでありますが、こういう点について政府当局は、警戒の点をどのように配慮されておつたのか、これを伺いたいと思います。
○樋貝國務大臣 私の知つておる程度で申しますならば、下山総裁に対しまして警備員は同乘しておらなかつたと考えております。一人で乘つたろうと考えております。その点についてはこまかい報告はありませんけれども、一人で乘つたというような事実、そういうことは考えられるような実情に当時ありましたから、從つて一人で乘つたろうと思います。
○梨木委員 そうすると、当時脅迫されたというようなこともあつたということが報道され、さらに朝日新聞の七日付の新聞によりますと、七月四日に首相官邸へ脅迫文書が郵送されておるということも報道されておるのでありますが、この事実は政府の方で御承知なのでありましようか。御承知であつてこの点について特に要路の方々にどういう警戒の処置をとつておられたか。この点を伺いたいのであります。
○樋貝國務大臣 賛成もあり、嘆願もあり、それからまた脅迫状もあつたというようなことは、今日の新聞に出ておるように幾通も來ております。私どものところにも、派生的な関係ではありますけれども、今度の問題について陳情やら、あるいは脅迫状やら、はがきで参るもの、あるいはまた実情をこまごまと述べたりした手紙も参りましたようなわけで、從つてそれらについてそうナーヴァスに考えませんで、かなりいろいろの方面から参りますから、情勢が惡化して來れば、それに対して警視廳等においても防衞をつけるというようなことになりますけれども、ちようど当日におきましては、まだよかろうというような考えを持つておりましたために、防衞はつかなかつたと思います。
○梨木委員 そういたしますと、今伺つたところでは、この朝日新聞によりますと、四日付で何か首相官邸へ脅迫状も入つておつたが、しかし当時は脅迫状もあれば、賛成のものもあればこまごまとした事情の嘆願もあり、いろいろ入つておつて、一々そういうものについては政府はそう重大関心を拂つておつたわけでもないということになるのでありましようか。それをちよつと伺いたいと思います。
○樋貝國務大臣 防衞一般のことに関しましては、それはむろん考慮を拂いますけれども、しかし一つ一つに対してそうは考慮を拂えない事情にありますために、あるいは樂観したり、あるいは悲観したり、そればかりやつて始終こまかいことに心を使つておつたら全体としての運行はつきませんから、從つてそのうちからえりすぐりしまして、注意する場合もあるし、あるいは注意しない場合もあるし、かたがたもつて全体については注意しますけれども、しかしそれらすべてについて注意をしている、というわけではないのであります。
○梨木委員 そういたしますと、当時といたしましては、いろいろな文書は舞い込むが、特別要路の方々に警戒を嚴重にしなければならないような事態であるとは考えておらなかつたということに受取つてよろしゆうございますか。
○樋貝國務大臣 今申し上げましたのは、全体として警戒すべき事態であるということは考えておりましたけれども、今のお尋ねのような一々のはがきその他の投書に関して全部氣を配つて樂観したり悲観したりするような、そういうことはないということを申し上げました。
○花村委員長 梨木君、時間がありませんから、念のために申し上げておきます。
○梨木委員 この下山國鉄総裁が行方不明なんじやないかということを認識されたと申しますか、氣がつかれたのは、政府としては何時ごろでありましようか。
○樋貝國務大臣 私の傳聞いたしましたところによれば、午後の二時かと思います。すでに十二時にそんなような話があつたそうであります。それで警視廳においも手をつけようかということを十二時のときには考えたそうでありますが、まだ出て來るかもしれぬというので、二時まで待つたということを聞いております。
○梨木委員 私たちの聞いたところによりますと、いろいろな新聞の記事を総合いたしますと、毎日午前九時に重要な局長会議がある。それから当日はたしか十時か十一時に司令部へ訪問することになつておつたということが言われておるのでありますが、この不審を持つた端緒というのはどういう点にあつたのでありましようか。
○樋貝國務大臣 それは私も治安閣僚の一人であるのですが、ちようど党においてのいろいろな話がありまして、それから帰つたのが三時半くらいなものだつたと思います。その当時に下山君がどこへ行つたか、自動車とともにありかがわからないということを聞きましたようなわけで、それから一時間か二時間ぐらいですかたちまして、下山君のいないということを確定いたしまして、それ以前に搜査しておつたということを聞きました。それは総理官邸において聞きました。
○花村委員長 ほかに質問はありませんか。
○古島委員 國務大臣の御答弁で、午後二時に初めて知つたというような御答弁でありましたが、実際はそうでなくて、十時ごろにはわかつておつたのではありませんか。とにかく午前十一時に下山氏と自動車の捜査の指令が出ているということを聞いている。かようにして十一時に捜査の指令が出ておつて、五時ごろまで運轉手が自動車の中におつて、自動車のすえつけのラジオによつて初めて承知して、運轉手の方から祕書官の方に電話があつて初めて大騒ぎになつた、こういうことを聞いておりますが、私の承るのはその時間の食い違いではありません。ほんとうに十一時に下山総裁の捜査の指令が出ておつたにかかわらず、五時ごろまで運轉手がぽかんと三越の横にいたというようなことは、実に警察制度があまりに不完全であるからだと思うのであります。こういう問題に遭遇いたして痛感いたしますのは、どういたしましても警察制度の根本的改革をする必要があるのではあるまいか。しかも今日のあの國家公安委員会でありますか、ああいうふうなものがあつて、その委員会が一切の責任を帶びてやるというようなことで、合議体でやる関係でこういうふうな遅滯を來すのではないか。ほんとうにこれが責任の大臣があり、そうして大臣の一本の指令で全國にその手配ができるというようなことになれば、かくのごとく十一時に指令を出したにかかわらず、五時までも一ところに自動車があつて、それを発見することができないというようなだらしのないことはないのだと思うのであります。この点に向つては國務大臣は所管だそうでありますから、どうか警察制度に対しては根本的改革の案をつくつていただきたいと思うのであります。このことについてのお覚悟、そのお考えを承りたいのであります。
○樋貝國務大臣 今のお尋ねまさにそういうふうだと思います。それに関しましては、前議会においてもすでにその御檢討を願おうかという考えを持ちましたが、いろいろ微妙な関係がありましたために、次に延ばしたような次第であります。その点についてはだんだん努力も拂つて研究をいたしておるような次第であります。いかにしたらば明るい、しかしながら力のある警察ができるかということを考えておりますが、それに対しましては、お言葉通り、実にわれわれにおいてもほんとうに絶えず交渉しておるような次第であります。御了承願いたいと思います。 ただ当日の十時は、今御質問のあつたごとくに、よそへ訪問する約束をいたしておつたのであります。しかしながら十時にはかわりに加質山君が行つたという話であります。いつも現場へ寄つて來る癖があつたため、当日もそうではないか、しかしまた重要なる会見の約束を破つてその日欠席するとはおかしいというのが、十時現在です。それで加賀山副総裁がたずねたというような事情でありました。十二時になつて、今申したごとくもう疑い始めた。十二時になつても現われないが、自動車はどこへ行つたかというわけで、それから鉄道の方と交渉を始めたのですが、あるいはいるかもしれぬから、もうちよつと待てということで、午後二時になりまして、初めてどうもこれはおかしいということで、手配をいたしましたようなわけだそうでございます。それを私が聞いたのは、三時半ごろであります。治安閣僚会議が終つたころに、どうもいよいよわからないことが確定した。それよりも以前に、すでに手配をいたしたような次第であります。
○梨木委員 ところで七月五日に吉田首相が辻國家公安委員長に対しまして、國警本部長官その他の國警の幹部の人事の更迭を申し入れ、さらにきようの七月七日の読賣新聞によりますと、國家非常事態宣言の布告準備を完了したということが報道せられておるのでありますが、この点何かあなたの方で、こういう事実について入手せられている問題があつたら御報告を願いたいと思います。
○樋貝國務大臣 國家非常事態につきまして、そういうことは私は存じません。新聞で私どもが知らないことを書いておるような状態でありますが、國家非常事態について、私の知つている限りにおいては存じません。それからまた辻氏に対してどういう申入れをしたかは、二人の間ですから知りません。私が昨日辻君と会いましたときにはまつたく別の関係で会いましたようなわけで、あとから今日の新聞にてそういうことを知つたのであります。ただこの際警察の方面においては、正しい明るい民主的な警察を強化しなければならぬということは常々申されておりましたが、おそらくその線に沿つておることと考えます。
○梨木委員 この下山総裁の死と関連いたしまして、齋藤國警長官の責任追究の意味合いにおきまして、人事の更迭を申し入れておるというような事実はありませんか。
○樋貝國務大臣 そういう事実はありません。明瞭に申し上げます。ありません。
○梨木委員 では最後にもう一点伺います。昨日参議院におきまして、法務委員会並びに地方行政委員会の合同の委員会でありますか、これが開かれ、その際に殖田法務総裁がこの際左右両翼に対して断固たる処置をとるというようなことを言われたということが新聞に報道せられておるのでありますが、左右両翼の左翼と言えば、共産党の別名のように使われておるのでありますが、この下山國鉄総裁の死と何か共産党と結びつけておるような印象を受けるのでありますが、この点について樋貝國務相はどうお考えになつておられるか、見解を伺いたいと思います。
○樋貝國務大臣 共産党であると自由党であるとを問わずに、いやしくも現在の法律が規律しておることに対して反対いたします場合においては、それが暴力をもつて試みられるというならば、暴力ではない、適当なる力をもつてこれに対應するよりほかはない。最後の最後はそういうことに考えておりますようなわけであります。昨日何と法務総裁がお答えしたかそれは存じませんが、まだ速記録も見ないようなわけで存じませんけれども、しかしながらそういう意味において党派のいかんを問わず——形式上の党派といういかんを問わず、そういう法律違反のことをやるならばということだろうと思います。法務総裁がほかに答弁したとは考えておりません。
○梨木委員 これは常識の問題といたしまして、從來たしかに下山國鉄総裁の死と共産党と結びつけるような宣傳が事実なされておる。ところが政府も御承知のように、過去の事実をお調べになれば、こういうような——これがあるいは政治的な暗殺の最初の犠牲だというようなことも新聞に出ておるのでありますが、こういうことをやつたのは、極端なる反動的な國家主義者あるいはそういう團体に所属する人々がやつて來たのであり、共産党はかつてこういう暴力的な暗殺などというようなことをやつた事実はない。現にわが党の徳田書記長や、あるいは聽濤君に対してはこれは反共連盟とか、そういうフアシスト的な團体に所属する人々がこういうことをやつておる。この点について政府自身も何か今度の下山國鉄総裁の死と、それから共産党と結びつけて、そうして断固たる処置をとろうというようなことで、これを政治的に利用しようとする点が見受けられるのでありますが、この点は過去の事実に徴してみましても、非常にこういうやり方をされることについては、共産党といたしまして抗議せざるを得ないのでありますが、もう一度この点についてのあなたの御見解を承りたいと思います。
○樋貝國務大臣 政府においても共産党と結びつけたという事実は私はないと思うけれども、しかしそのいずれの政党に属するとを問わずに、今申し上げたように法律を無視した直接行動をとるというならばそれに対しては反撃を加えざるを得ない。これはどの政党に属しておろうとも、ただいま申し上げた通り共産党に所属すると、あるいは自由党に所属するとを問わず、そういう行動に出ることは、それに対しては十分な正当な力をもつて対應するほかはない。それが從來においてどういうふうに、どの党派に属する人が最も多かつたかは存じませんが、それに対しては左翼であろうと右翼であろうと、あるいは中間であろうと、そういうような行動をとります者に対しては、十分な力をもつて臨む、こういうことが法務総裁の意思ではないかと考えております。
○花村委員長 ちよつと速記をとめて……。 〔速記中止〕
○花村委員長 速記を始めてください。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十五分散会