法務委員会 第31号
- 発言数
- 61 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1949/07/01
会議録
○花村委員長 これより会議を開きます。 まず日程に入ります前に御報告いたしたいことがあります。委員梨木作次郎君が本日委員を辞任せられ、同日風早八十二君が議長の指名で委員に選任せられましたことを御報告いたしておきます。 この際委員でありました梨木作次郎君は理事でありましたので、理事の補欠選任を行わねばなりませんが、委員長において御指名することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 御異議なしと認め、上村進君を理事に御指名いたします。 —————————————
○花村委員長 本日はまず横浜地檢問題について、先日に引続き、証人として小林横浜市警察局長及び横山檢事を証人として來る七日に喚問いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 御異議なければさよう決定いたします。 —————————————
○花村委員長 この際京都の婦女人権蹂躪問題及び平警察における人権蹂躪問題の調査のため、委員及び專門員を派遣いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 御異議なければさよう決定いたし、派遣員の人員及び期間等については、委員長に御一任願います。 —————————————
○花村委員長 次に最近の國鉄爭議の取締り等に関する問題について、政府の所見を求めたいと存じます。労政局長賀來歳二郎君。
○賀來説明員 今度の國鉄の問題につきまして、労働省といたしましては公共企業体労働関係法を所管いたしておりまする関係から、この立場から申し上げたいと思います。 初めいわゆる國電ストと言われました省線の電車が、ストライキをやりました問題について、まず申し上げたいと思います。公共企業体労働関係法におきましては、第十七條におきまして正常な業務の運営を阻害してはならない。これは職員並びに組合は阻害してはならないと書いてあります。後段におきましては、職員はこの正常なる業務の運営を阻害することについて、共謀し、そそのかし、あおつてはならない。こういう規定ができておるのであります。十八條におきましては、十七條の規定に違反した者は、この法律及び公共企業体労働関係法におきまする求済を受けるところの権利を失い、かつ解雇されるものとするという規定になつておるのであります。これが実際の運用につきましては、國有鉄道がこれに当るということになつておるのであります。從いまして國有鉄道におきましては、東神奈川の車掌区及び千葉の車掌区の車掌が、新しい交番制に基きまする業務命令に從わなかつた。すなわちその業務の運行を阻害したという理由をもちまして、関係者を馘首いたしたのであります。これは十七條と十八條の適用によつたものであります。ところがこの馘首及び新交番制については不平があるのだというので、翌日中野電車区その他が今度は電車の運行をとめたのであります。從いまして國有鉄道といたしましては、この行為は十七條に違反するものであるというので、十八條でやはり関係者を馘首いたしたのであります。しかし組合といたしましては、この状態が続くことは遺憾であるというので、この新交番制に基きます問題を團体交渉に移そうというので、一應違法の爭議行為は中止をいたしまして、團体交渉に移すという態度をとつたのであります。ところが國有鉄道側におきましては、公共企業体労働関係法の八條の規定に基きまして、すなわち八條におきましては業務の管理運営についての事項は、團体交渉をいたさない。しかし労働條件に基くものについては團体交渉をやつてよろしいということが書いてあります。從つて國有鉄道といたしましては、この新交番制については、これは業務の管理運営に属する事項である。從つて團体交渉の対象としない。しかしながらこの新交番制の基礎になつておりますところの新しい勤務時間規定があるのであります。この勤務時間規定は明確に労働條件である。しかも本年の一月の終りにこれは組合と團体交渉によつて実施方を決定しておるのであります。たまたま六月一日公共企業体になりましたその日から実施いたしたのである。從つてこの新交番制のもとになつている新勤務時間規定、こういうものについては團体交渉をやつてよろしい。こういう態度をとつておるのであります。從つて國有鉄道と組合側との意見は一致をいたしていないのであります。これに関連いたしまして、まだこの点についての解決はついていないのでありますが、一應正常なる運用を阻害するという状況は解決をいたしております。すなわち神奈川、千葉の両車掌区におきましても、われわれの得た報告によりますれば、新交番制に基いて正常の勤務に復しておる、かように見ておるのであります。 次いで目下問題になろうとしております点及び先般來問題になりました点は、今度の國有鉄道の行政整理に伴いまして、組合側は先般熱海におきまする中央委員会において、この行政整理に、反対の態度を決定いたしたのであります。同時にその決議の中には、ストをも含む実力の行使をも辞さない、最惡の場合にはさようなことも辞さないというような決議が入つておるのであります。このことが一体公共企業体労働関係法の十七條に該当するかどうかという問題、これが問題になつたのであります。政府といたしましては、このことが具体的に該当するかどうかは、これは公共企業体自身が、あるいは國有鉄道がその実際の運用に当るのでありますから、これは事実に基いて処置をしなければならぬのでありますけれども、解釈といたしましては、この公共企業体労働関係法の十七條の解釈がいかになるかということを、一應政府といたしまして解釈は決定をいたして、これを公表いたしまして、公共企業体の國有鉄道並びに國鉄労働組合の諸君が誤らないように注意をいたしておるのであります。すなわち解釈を申しますと、十七條におきまして共謀と書いてありますことは、正常なところの業務運営を阻害する行為をなすべき意思を持ちまして、その実行方を協議することをいうのであります。從つて正常なる業務阻害行為が実現するかどうか、実現の有無にはかかわらない。そそのかし、またはあおつてはということは、特定または不特定の人に対しまして、正常なる業務の阻害行為をなすように仕向ける積極的言動をなすことをいうのであります。從つて正常な業務阻害行為の実現の有無にかかわらない。かような意向の決定を一應いたしておるのであります。これを公表いたしまして、かような十七條あるいは十八條より処置せられないように注意をいたすという態度を今日までとつておる次第であります。 なお定員法の附則に基きまして、今度の行政整理の事項につきましては團体交渉の対象にならない。すなわち公共企業体労働関係法の八條及び十九條の適用除外をいたしておるのであります。從つて組合は熱海大会におきまして、この問題を團体交渉によつて解決するということを決定いたしておるのでありまするが、國有鉄道といたしましては、この定員法の附則に基いて團体交渉はやらない、かような態度をとつております。ここに一つの問題があります。 しかし團体交渉の対象にはなつておりませんが、やはり労働者にとりましては非常に重大なことでもありまするし、でき得れば問題を起さずにこれが都合よく解決するということは望ましいという建前からいたしまして、多分本日の午後から國有鉄道側におきましては、組合側に対しましてその整理基準を示し話合いをして行こう。それで聞くべき意見がありましたならば、これは当然聞入れてやるべきだろう。かような態度をもちまして、本日の午後から公共企業体労働関係法の八條によりますところの團体交渉ではありませんが、組合の意見を聞こうという態度をとつておるのであります。現在の状況は以上申し上げたような次第でございます。
○花村委員長 ただいまの問題について、法務府としてのこれに対する処置並びに意見を求めたいと存じます。
○神山説明員 それでは法務府労働社会課長の私から、從來起りました國電スト、その他國鉄関係の紛爭事件について、私たちの方で取扱いました事件関係を御説明申し上げます。ただいま大体賀來政府委員から今回の國鉄のストに関連しての御説明がございましたが、檢察廳の方で取扱つておりまするのは、現在までのところ過日の新橋管理部管内のいわゆる國電ストでございます。これは東京では中野、蒲田。それから横浜地檢に関係いたしまする東神奈川車掌区関係。それから千葉の車掌区関係。これは千葉地檢の関係であります。東京では中野電車区及び車掌区の関係でありまして、これは実は十日の日に國電ストが始まりますと、その中の一人の車掌が、中野駅を発車して甲府へ行く汽車の發車を妨害するために、まさに発車せんとしておる列車に飛び乘りまして、車掌弁を握つて急停車をさせたという点で、公務執行妨害及び往來妨害ということで檢挙いたしております。なおその一人の被疑者を警察官が本署に連れて行こうとする場合に、その警察官に暴行を加えた。連れて行かせまいとして暴行を加えたという意味で、公務執行妨害がございます。この関係で中野では二名でありますが、これを逮捕いたしております。 次は蒲田でございますが、やはり同日三名檢挙いたしております。この蒲田の関係は、実はそのうち二名は外部の職工といいますか、外部の者であります。これは外部の職工がこの國電ストに應援いたしまして、たくさんの他の爭議團と一緒になりまして、蒲田の駅のすぐそばの電車線路上に赤旗を立てて氣勢をあげて、電車の進行を妨害した犯人が蒲田の電車区内に逃げ込んだというのを、現行犯人として追跡して逮捕しようとする警察官に対して、スクラムを組んで氣勢をあげて暴行し、犯人の逮捕を不能に陷れたという点で公務執行妨害。それからもう一人、これも部外者でありますが、これも十日の日にやはり同樣赤旗を立てて氣勢をあげたのでありますが、電車の進行を妨害するのに欺計を用いて、まさに蒲田駅を発車しようとする電車の発車を不能に陷れて、駅長の電車の運行業務を妨害したという点。それからもう一人は、これは國鉄の職員であります。車掌でありますが、これがやはり同じ日に、電車線路上の往來を妨害した犯人が蒲田車掌区に逃げ込んだのを追跡しておる警察官に対して、長さ六尺くらいの木製の腰かけを用いて警察官に危害を加えて、公務の執行を妨害したという事件で、いずれも檢挙したのであります。そのほかには、実はいわゆる人民電車というのが十日に東神奈川を中心としまして起つておるのであります。これは十一日にもございましたが、第一次の十日のは、東神奈川から無断で人民電車を運行させて、赤羽までつつ走りまして、それからさらに桜木町へ引返し、それから東神奈川へもどつて來たというコースをとつて來ておるのでありますが、これに乘つておる者二名が、上司の指揮を待たずに独断でむりに発車させたという点で、往來妨害及び業務妨害、さらにもう一名、同日その人民電車を運轉するにつきまして、信号手に信号をかえることを強要した。また他の乘務関係者に発車させることを特に強要したという点で、いわゆる強要罪、それから業務妨害、この点で以上合計三名をその後に檢挙したのであります。それから引続き翌日の人民電車でありまするが、これも東神奈川から鶴見まで参つておるのでありまするが、これも上司の業務命令に反しまして、人民電車をむりに運行させた点で往來妨害、業務妨害で、五名をその後檢挙いたしております。これは直接の実行者でございまするが、なお背後関係については目下取調べ中であります。さらにもう一つ東神奈川で二十日に—— 今申し上げました十日、十一日の人民電車は、十九日に逮捕状によつて逮捕したのでありますが、その翌日の二十日に東神奈川で、これはたしか駅長だつたと思いますが、乘り込んで参りまして、退去してくれという退去の要求をいたしたにかかわらず、退去しなかつたというので不退去の現行犯で逮捕しております。これが横浜地檢関係であります。さらにもう一つは十日の日にもどるのでありますが、ストが始まりましたこの十日に、千葉駅からお茶の水に向つて午前十一時発の電車が出るに際しまして、附近の朝鮮の若い婦女子をも交えて、車掌が乘込んで発車するという業務をスクラムを組んだり、またおどし文句を使つたりして妨害し、さらにまた発車指示助役が指示する場合には、車掌が乘つておるかどうかということを確認するのでありますが、その発車指示助役がそういう確認をすることをも、さようなスクラムを組む等の方法によつて妨害したというので、このときは合計三十三名檢挙いたしております。このときは現行犯として逮捕したのでありまするが、以上申し上げました事件のうち、現在までは、この千葉事件のうち十六名を六月の十六日に起訴いたして公判を請求し、他は釈放いたしております。 なお中野、蒲田関係は現在までは一應釈放いたしておりまするが、処分はいまだ決定いたしておりません。処分保留であります。それからなお東神奈川の人民電車、それから二十日にやりました不退去関係、これもいずれも処分未了でございます。以上今回の國電スト関係について檢察廳の関係いたしました件を概略申し上げた次第であります。 なおただいま政府委員の方から、過日國鉄の熱海における中央委員会の大会のことについて述べられましたが、これはこの國電ストとも双方に関係するのでありますが、公共企業体労働関係法第十七條で爭議行為が禁止されております。公共企業体の方で、特に刑事罰は設けておりませんけれども、かような禁止規定に反する爭議行為は当然不当な行為である。從いまして違法性阻却の問題は起らないわけであります。從いましてその行為が刑罰法令に該当する場合には、違法性阻却の問題が起らないて、結局犯罪が成立するという関係に相なります。公共企業体労働関係法第十七條におきましては、特に「共謀し、そそのかし、若しくはあおつて」というような表現が使つてありまするが、これはいずれも実行行為を持たないで、犯罪といいますか、違法行為が成立するということを言つておるものと解釈されるのでありますが、この点は直接刑罰法規をもつて臨んでおりませんので、私の方では以上申し上げて説明の責をふさぎたいと思います。
○古島委員 ちよつと今の御説明で承りたいのです。まことに不用意ではありますが、私は人民電車というものを知らないのであります。人民電車の内容を承れば、それも不当であるか不当でないか判断できるのでありますが、内容を明瞭にしなければ一切わからぬのであります。現に私もこの十一日に浦和まで行くときには、電車がありましたから行けたのであります。いよいよ歸るときになると、今度は下十條の車掌区がストに人つたから電車は來ないというので、歸りに非常に難儀をいたした一人であります。そこで人民電車の内容ですが、もし人民電車が多数の民衆を乘せてくれるのならば、私自身でも民衆電車を出したいくらいな考えになつたのであります。ところがどういうものか、一般の人が聞けば、人民電車というものがあればかえつて便利であると思つておつたのに、この人民電車の車掌や何かが檢挙される。この内容を何ら説明せずに、こういう電車を動かしたからいかぬということは、何人も納得いたさぬ。これには一切の大衆は乘せないのである。車掌なりストの関係者は乘せるが、その他は乘せないというならば、あるいは往來の妨害にもなりましよう。交通妨害にもなりましよう。ところが人民を乘せるということになれば、妨害どころではない。非常に大衆を助けたということになりますから、もう少し内容を説明していただきたいと思います。
○神山説明員 ただいまいわゆる人民電車ということで簡單に申し上げましたので、おわかりにくかつたと存じますが、これは一應電車に人民を乘せるというような思想ではなく、むしろ人民管理、いわゆる上司の命令系統を排除いたしまして、人民で管理するという思想で行われたものであろうと考えられるのであります。從いまして、そこにかりに普通の市井人がおりますのを乘せましても、あるいは乘せないでも、いわゆる業務任命に反しまして、普通のダイヤ以外に、そこで電車の運行を管理するという点に問題があろうと存ずるのであります。私たちが考えておりますのは、一應電車は普通に走るというようなダイヤが組んであります。その間を縫いまして、人民電車がかつてに、いわゆる上司の業務命令に從わないで、その業務命令を排除して動かされるという点に問題があると存ずるのであります。
○古島委員 これは私はたいへんな間違いではあるまいかと思います。要するにああいうストに突入したときには、電車のダイヤはありません。全然動かぬのでありますから、ダイヤがあろうはずがない。そうして衝突の危險もない。ダイヤに反してかつてに動かした、無視して走つたという場合においては衝突の危險等があるから、そこであなた方の檢挙する問題が起るのである。ストで全然電車が動かぬというときには、それに人民を乘せるということになれば人民の便益にはなるが、一向何らの害にはならぬ。ことにそういう人民の便益をはかる者を檢挙するということになれば、檢察当局はストに賛成したということになると思います。それはなぜかと言えば、ストで皆人民が困つておる。その困つておるのを今度は救おうというので人民電車が動いた。それを使わせないということになれば、ストに参加して、人民を苦しめたことになる、これは一大事であります。私はダイヤを破つたということだけではこれは檢挙はできない。上司の命令と言うが、命令も何もできない、命令しても聞かぬ、こういうストに突入したというときには非常事態でありますから、政府は非常事態としての宣言でもして、その後ならばともかく、何らの宣言もしてない。こういう場合はお互いが運行できるだけの技能を持つておれば、われわれでも運轉をいたしたい。ところが技能を持つていないからやむを得ず運轉しないでおつた。ただ困つて、自分らは宿屋にとじこもつて泣くというだけである。こういうときには檢挙どころではない、かえつて出させた方がいいと思う。あなたの御説明では……。
○神山説明員 御説には実は御同意申し上げるわけに参らぬのでありまして、かりに一應その場の附近の通行者もしくは電車利用者の便益をはかつたといたしましても、これは一應全体の利益のためのダイヤを組んでありまして、このダイヤを乱すということは、いつ何時電車が動いて、ダイヤ通り走らぬとも限りません。從つてスト中におきましても、やはり線路に石を置くとか、あるいは枕木を並べるということは、やはり住來の妨害になるのであります。ことに今回の十日の人民電車に至りましては、東神奈川から赤羽の間をつつ走つたのでありまして、ちようど田町と田端との間は、同じく環状線が走つております。ことにこの件を申し上げるわけではありませんが、この一例をごらん願いましても、人民電車がその間を縫つて走つて、偶然にも被害がなかつた、具体的なけがはなかつたということだけに過ぎないのであります。從いましてダイヤ通り動くという國鉄の使命からいたしまして、そのダイヤを乱し、ダイヤ通り働くという職責を乱るという面におきましては、今古島委員が仰せられたこととはいささか所見を異にするのであります。
○古島委員 所見を異にするのではない。実際から言うと根本観念が違うのじやないですか。私はいよいよかなわんときには、人民といえども自分の足を自分で動かすということは、自己防衞のために必要だと思う。そこで電車がストに突入して、乘るものがない。どうともいたし方ないから、自分らがこれを運轉してでも家に帰りたいという希望を持つのだ。こういうときは、人民電車というので、人民大衆を乘せるということならば、何らの妨害にならない。枕木の話をされましたが、枕木を線路に置くならば、これはもう妨害になるにきまつておるが、枕木の問題で檢挙しておるのではなく、人民電車として檢挙しておると聞いた。労働省の方もそこにおられるそうでありますが、元來われわれが労働をさせるとか労働をするとかいうことは、その労働條件で爭いをするような場合には、いずれかがその義務に違反をいたしておる。私が申すまでもなく、皆さんはこの点については特に深く御研究だと思うから、申し上げる必要はありませんが、人民が賃金をもらうとか何かもらうのは、いわゆる労働力を賣つてその代金をもらうのである。代金を拂うのにこういうような條件でするとか、今まではお前さんから労働力を買つておつたが、わしの方でお前さんを買わないということになると、首切りだ。しからば今日まではお得意だと思つたので、労働力を賣り込んでおつたのに、買わないということになれば、買つてくれという運動を起すのはあたりまえであります。またもう少し高く買つてくれという要求は、賃金値上げであるから、そのやることにおいては根本においては正当だと思う。そこでこの場合には、その要求した人の問題ではない。その要求をし、要求をされたそのごたごたに巻き込まれた人民が苦しんでおるのだから、その人民の足を助けてやろうという行為は、一向さしつかえないのではないか、これなんだ。ここを私は申し上げるので、別に見解上とやかく申し上げるのじやないですから、一應そこがわかつたらお答え願いたい。
○神山説明員 もちろん今仰せられました、單にスト派の方々だけを乘つけたという場合、これはもちろん違法であり、そうして犯罪を成立することは当然であります。しかしながら法律的に申し上げますれば、かりに他のスト派以外の一般國民も乘せたといたしましても、犯罪の成立には関係はないということを先ほどから申し上げた次第であります。
○古島委員 しからばこの電車が一本や二本出たから問題にするのであるが、蒲田から大宮まで、たとえば五十本一日に運行する。その中で三十本なり四十本人民電車が出て人民を輸送したということになれば、ダイヤを無視したという意味で、交通妨害で檢挙できますが、わずか一台であつてあまり多くの人たちが乘せられなかつたということから問題が起つてのであろうと思うが、ただ本数が減つたということだけであつて、六輛もしくは八輛連結の電車が、五十本出るところが二十本だけ人民電車として走つて、人民を輸送した。こうなれば、かえつてそれこそ人民の困つておるのを救つたのである。いいことじやないか。数の大小によつて処罰することはできないので、その精神のいかんによつて処罰することができるのだと思うが、その点はいかがですか。
○神山説明員 御趣旨は法律論ではなくて、情状論に入るように思いますが、情状の点におきましては、單にスト派だけじやなくて、一般人民を救うのだということでありますれば、情状の点においては異なると存じます。
○角田委員 この際法務当局に承りたいのであります。過般の國鉄ストの際に、檢挙した者がきわめて少くて、その背後関係がまつたくどうなつておるかということが、これはひとしく疑問としておるとこうであります。これにつきましては檢挙する自信がないかどうか、これは法務総裁にお聞きした方がいいと思つたのでありますけれども、この際承ります。
○神山説明員 ただいま御質問をいただきました点につきましては、かねて私たちもその背後関係につきまして、檢察ということについても十分考えておるわけでありますし、また現実に捜査いたしておるのであります。自信があるかとのお言葉でありますが、自信を持つて捜査いたしておるということを申し上げたいのであります。
○上村委員 國電ストの問題では、当局は本質は爭議と見ておるのですかどうですか、その点をお伺いしたい。
○神山説明員 実は本質はストかとおつしやられますと、本質論については見解がいろいろあろうと存じますが、檢察の面から申しますと、やはりストであろうと、何であろうと、一應刑法犯その他刑事犯に触れる限りは、これについて放置することができないというふうに考えております。
○上村委員 それではなお憲法の問題ですが、勤労者の團結権、團体交渉権、その他團体行動をする権利はこれを保障すると書いてあるのですが、この公共企業体労働関係法はこれを無視したところの法律であるというお考えを持つておられませんか。
○賀來説明員 今御意見のありましたように、憲法におきましては、團結権、團体交渉権、團体行動権というものを保障せられております。しかしながらこれは全然無制限ではないのでありまして、憲法にもやはり公共の福祉というものが尊重せらるべきことが規定せられております。從つて國鉄のごとき公益性の非常に高度なる業務にありまして、この業務に從事する労働者は、その権利の一部を制限あるいは禁止せられるということは、これは憲法違反ではないと考えるのであります。御承知のように公共企業体労働関係法におきましては、團結権及び團体交渉権は認められておるのであります。ただ團体交渉権におきまして、一部管理運営に関する事項についての制限は付せられております。この爭議権、すなわち團体行動権につきましては、爭議をやつて正常なる業務の運営を阻害するというのが、公共の福祉を尊重するという公益優先の建前から禁止せられておるのでありまして、憲法違反とは考えておりません。なおこれは御承知とは思いますが、この公共企業体労働関係法は、昨年七月二十二日のマッカーサー元帥の書簡に基きまして制定せられたものであります。あわせて御参考までに申し上げる次第であります。
○上村委員 この團体行動をする権利というのは二十八條にありますが、これは廣い意味で爭議権を認めたものであるということは、政府はお認めになりますか。
○賀來説明員 憲法におきまする團体行動権というものは、さような意味を含んでおると考えます。
○上村委員 そうすると、つまり明らかに勤労者の爭議権が憲法にある。それに反してそれを禁止する。少くともそれを利限するという法律は、憲法違反であることは明らかだと思いますが、政府はどう考えられますか。
○賀來説明員 その点につきましては、政府といたしましては憲法違反ではないと、かように考えておるのであります。すなわち憲法におきましては、公共の福祉というものは尊重せられなければならぬ。公益優先の立場においては、一部の権利を制限または禁止せられることは憲法違反ではないと考えておるのであります。
○上村委員 そういたしますと、爭議権をとつたということは憲法違反でない。こういうふうに解釈してよろしうございますか。
○賀來説明員 そのように考えております。
○上村委員 從つて憲法九十八條を適用するまでもない、こういう御意見ですか。
○賀來説明員 その通りでございます。
○上村委員 それは本員は、遺憾ながら全然憲法を無視したところの解釈であると思う。憲法はいかなる法律をもつても、いかなる命令をもつてもえることのできない、侵すことのできないものであつて、これを認めない、否認するということが侵害なのである。そういうものは法律としては全然無効になるわけであります。 それから先ほど人民電車の問題が非常に問題になりましたが、この人民電車はやはり爭議の一つの方法としてやつたのかどうかということを、はつきりしてもらいたいと思います。
○神山説明員 これは一應爭議の手段としてやつたものというふうに考えておるのであります。ただしかしながら申し上げておきたいと存じますのは、現在これについてはまだ起訴いたしておりません。いわゆる逮補状を請求いたしましたときは、請求の事由といたしまして、爭議手段としてかようなことをやつたということを言つておるのでありまして、これは今までのところ変更のつもりはありませんが、現在まだ起訴いたしていないということを申し上げておきます。
○上村委員 これが今の御説明では往來妨害、それからして業務妨害ということになつておるのですが、全体の電車が動かない場合に、人民電車として動かしたということになれば、何ら往來を妨害しない。それから業務を妨害しないということは、これは古島委員も認めておるようですが、これをどうしてこういう認定をしたかということを明らかにしてもらいたい。
○神山説明員 往來妨害の刑法百二十五條によりますと。「鉄道又ハ其標識ヲ損壞シ又ハ其他ノ方法ヲ以テ汽車又ハ電車ノ往來ノ危險ヲ生セシメタル者」こういうふうにございます。この点が百二十五條で往來妨害となつておるのでありますが、この國鉄のダイヤを乱してやるということは、いつ何時國鉄が正常に復帰して走らないとも限らない。元來それは一時的ストでとまつておるにすぎないというのであります。この危險ということにつきましては、抽象的に危險があるということは十分に認められるわけであります。特に田端と田町の間におきましては、環状線が走つております。この点については常識的にも危險があるということは一應わかりますし、かりにかような環状線が走つていない場合におきましても、列を乱して乘るということが、抽象的に往來の危險を生ずるというふうに解釈されるのであります。 なお業務妨害の点につきましては、これまた電車の管理権といいますか、管理経営権と申しますか、かような管理経営として運行をさせるという業務を多数の威力をもつて妨害したというので、これまた業務妨害に該当すると思うのであります。先ほど上村委員から、この爭議の本質は爭議行為と認めるかどうかというお尋ねにつきまして、私が刑罰法規に触れる限りと申し上げましたが、この点について一言釈明申し上げたいのは、刑罰法規に触れて犯罪が成立する限り、檢察はこれを放置することができないと申し上げたのでありまして、その点御了承願いたいと思います。
○上村委員 その点が人民電車の意義がよく徹底していないと思うのです。人民電車は、言うまでもなくわれわれ経驗したところによると、業務管理なんです。業務管理であるのですが、今度の人民電車は、全般として業務管理をやつたのではないのです。ストが起きて、そのストの中間において、便宜をはかる意味において、おのおのの車輛で、おのおのの線路において電車を動かしたということであるから、業務命令に違反するかはしらないけれども、往來を妨害するとか、あるいは業務の妨害をするとかいうことは起り得ないわけなんです。それを單にスト中にやつた、ストの一環としてやつたというようなことで、この犯罪に当らないものを、刑法犯にも当らないものをどんどん檢挙する。そうしてしかもきようも人民電車が檢挙された、きようもとだらだらとあげておるのですが、こういうことははなはだ爭議彈圧以上に——事実を隠蔽してかつてに犯罪なりと断定してこれを檢挙するということは、爭議彈圧以上に人権蹂躪ではないかと思うのです。何ら妨害をしていないのです。自分らが自分の電車を動かしている。そして他の電車が動かない場合に、自分らが日ごろ修業しているところの技能を用いて人民の便宜をはかつたということは、先ほど古島君が言つたようなわけで、何ら業務妨害とか、往來妨害になつていない。そのときは平常のいわゆる上司の命令は出來なかつたかもしれないが、それはまたそれで別の方法があり、別の罪があるのです。しかし新聞紙の傳えるところによればみな業務妨害、執行妨害、往來妨害でやつているから、この点非常に爭議を彈圧するための檢挙でないかということを心配するのであります。その点を明らかにしておいていただきたいのであります。
○神山説明員 先ほども申し上げましたが、國鉄の正常なダイヤによつて運行される他の電車の運行を妨害する。抽象的にも妨害する。そうしてまた國鉄の正規のダイヤの運行を妨害するという点におきまして、やはり犯罪が成立せざるを得ない。かりにそれが爭議の最中で、人を助けるということが言えましても、さような意図をもつてやつたといたしましても、それは本件につきましては、爭議手段としてやつたというふうに解釈される事案でありますので、爭議行為自身が違法行為であるというふうに公共企業体労働関係法の十七條で禁止しておるものでございますが、爭議手段としてやるという場合におきましては、違法阻却の問題は起らない。從つて刑法の往來妨害もしくは業務妨害の規定に該当する限りは、阻却の問題は起らないで、犯罪が構成する。かような解釈であります。
○古島委員 ちよつと関連事項で——説明員は國鉄の正規のダイヤを破つたということを盛んに言うようですが、ストが始まつて電車が動かなくなつて、どういうダイヤがありますか。ダイヤというものは毎日きまつておつて、正規のダイヤというものは、朝五時半なら五時半に発車してどこの駅には何ぼとまつて、大宮まで何分で行く、大宮を五時半に発車したものはどうというのがダイヤである。全然電車が運行してないときに、ダイヤを破壞するということは全然ないわけです。正規のダイヤを破つたからそれを檢挙するというならば、電車の関係者であつてストに突入したすべての人が檢挙されねばならぬ。電車に乘つた人だけが檢挙されるのでなくて、電車を運行する責任があるにかかわらず、なおこれを運行しなかつた人もダイヤの破壞であつて、運行した人もダイヤの破壞である。共産党の方の言うように、自分の電車を自分で動かすというようなことは、私は反対である。これは自分の電車ではない。國家の電車であるから、そうやたらには動かせぬが、ああいう場合においては事態が緊急状態である。自分の身を救うためには、自分に動かすだけの機能があるならば、自分で動かしても自分の行くところに行かなければならぬ。そのときに人民を乘せる電車が通じるならばけつこうではありませんか。ダイヤを破つたということを重く見るならば、スト関係者は全部これを檢挙せねばならぬと思いますが、そういうふうな決心がありますか。
○神山説明員 全部のスト参加者がダイヤによらないで、自分たちの判断だけで電車を動かす——かりに動かした者は少数の者でありましようとも、全部それに賛成して電車をかつてに動かしたといたしますれば、情状は別といたしましても、犯罪の面におきましては、理論としては人民電車を動かしたことに加担したということに相なろうと存じます。從いましてこのダイヤの問題は、たまたまそのときに他の電車が休んでおつたということは、もちろん情状としては考えられますけれども、ストはいつ何どきたりとも解除すれば解除することがあり得るのであります。また命令によつて電車が動かねばならぬ。いわゆる連合國政府の命令によつて動くという場合もあり得るのであります。從いまして正常ダイヤによらないで、自分の意思でダイヤを排除して電車を運行するということにつきましては、やはり刑法の往來妨害の犯罪が成立すると思われるのであります。
○風早委員 昨日でありましたか、社会党の提唱によりまして、民主野党も含めまして、全野党派が政府に臨時國会の開催を要求したのであります。その理由といたしますところは、今日吉田内閣の施策がよろしきを得ないために、もう國民の生活がとことんまで今破壞されようとしておる。また産業も今ますますその危機が破局に達しようとしておる。であるからこの際われわれ國会としては、やはり國民の要望にこたえて、政府の施策に対する根本的な再檢討を加える必要がある。これはわれわれの國民に対する義務である。こういう観点から政府に対して臨時國会の要求をいたしております。 さて今日ただいま賀來労政局長やあるいは神山説明員から、いろいろ今回の國鉄スト事件でありますとか、あるいは列車妨害事件と言われるものでありますとか、いろいろこういうものについて御説明がありましたが、私はこの御説明を聞いて、これはいよいよ一刻も早く臨時國会を開いて、根本的に政府のやり方に対してわれわれが檢討、批判を加えて行かなければならないということを痛感したのです。一体あなた方の今日の御説明は、私の受けた印象は、これはポツダム宣言の受諾以後、すなわち戰後の日本の政府委員の御説明としては、実に私は意外だ。戰前、戰時に私もずいぶんと警察のおせわになりましたが、あの当時におきまして、特高警察の吏員が私どもを調べる場合に、まさに今御説明があつたようなああいう筋書でやつておる。まつたく今日同じことを私は聞かされた。一体今回の國鉄ストというものがどこから起つて來たか、こういう点について、あなた方は、一体どういうことを考えておられるか、ただ法律を適用するといたしましても、法律にもいろいろある。またその適用の仕方にもいろいろある。戰前におきましてわれわれの上に旧憲法というものがあつたのであります。しかしながら今回ポツダム宣言以後新しい憲法ができた。先ほど上村委員の方からも質疑がありましたが、あの問題にしましても、根本的な人権を擁護する規定でありますとか、あるいはまた労働者の團結権、團体交渉権、團体行動権、こういうものを擁護する規定でありますとか、こういうものにつきましては、それに違反する一切の法律、命令、その他いかなるものでありましようとも、そういうものは無効である。そういうものは効果がないということが新しい憲法の第九十八條にありますけれども、これが新しい憲法の特徴なんです。そこに旧憲法と根本的な違いがある。旧憲法でも、なるほど同じようにわれわれの基本的な人権を規定しておりましたけれども、これはしかしながらかつてな法律や緊急勅令で破られてしまつた。それが新憲法では違つておる。そこのところは一体皆さん方はどう考えておられるか。こういう点につきましても根本的に今日の御説明の頭というものは旧憲法時代、警察國家時代のあの特高吏員の調べの筋書にそつくりだということを非常に私は意外に思う。こういう点が根本的に再檢討されなければ、何をしても問題は解決しないと思う。今回のストにおきまして、私は伺いたいのでありますが、一体今回のストが起りますと、ストではないとかあるとかいう法律論は一應おきまして、ああいう騒ぎが起りましたのは、たつた十九名の首切りを発表しただけで、ああいう騒ぎが起つた。その原因はどこにあるか。今回の首切りはなるほど定員法の規定に從つて徐々に始められたことでありましようが、これについて政府は他の大きな一半をはずしておるのです。失業対策を全然持つておられない。首を切られたら最後、われわれは二度と就職の機会はない。そういう点につきまして何らの施策なくして首を切ることは、これは定員法の規定だ、あるいはまたこれに対して騒ぐことは公共企業体法の違反である。こういうふうに申されますけれども、そもそも先ほど申しました首切りの問題にしましても、もしも失業対策のない首切りでありましたならば、明らかに憲法の二十五條に違反しておる。憲法二十五條は、おごそかにわれわれ國民に対して生活——しかも文化的な生活の権利を保障しておるのでありますが、そういうことは全然踏みにじられておる。こういう頭から憲法に違反し、ポツダム宣言に違反し、また極東委員会の十六原則にも違反した、そういうつまり無効であるものをもつて立ち向つて、しかもこれに抗議を申し込む一切の行動に対して、それを警察力をもつて彈圧する。こういうところに騒ぎがますます横に拡大して行く根本の原因があるのではないかと私は思うのでありますか、そういうストの根本原因について、政府の所見を伺いたいのです。実は私は今日は、当然労働大臣並びに地方行政につきまして樋貝國務大臣、この御両人に出てもらうことを要求してあつたのでありますが、いまだにおいでにならないので、やむを得ずお聞きしましたが、もしも御答弁ができればこれに答弁していただきたい。また答弁ができないならば、これは両大臣を即刻呼んでやつていただきたいのです。
○賀來説明員 御質問並びに御意見に触れた部分が相当あつたと考えるのでありますが、これに対しましてわれわれからお答え申し上げましても、これは御満足を願うことは困難だと考えます。ただ労働大臣は本日午後一時から、総理官邸で開かれております失業対策審議会の方に出ておるのであります。これは政府におきましても、労働省におきましても、ただいままた風早委員の御指摘のように、目下のこれは非常な重要なる施策である、かように考えましてこの審議会を重視したものと思うのでありまするが、そちらの方に出ておりますので、私かわつて出席をさしていただいておるような次第でございます。從いまして先ほど申しましたように、御満足を得まするお答えは私からはいたしかねると考えるのでありますが、ただ労働省の事務当局といたしましても、ただいま御指摘の失業問題をどうするかということにつきましては、目下関係方面とも折衝中でありまして、政府はこの点につきまして非常に重大な決意をもつて対処しておるのでありますから、おそらくこの点につきましては、政府といたしましても、またその態度につきまして大臣より御回答申し上げることになる、かように考えておる次第であります。
○花村委員長 この際念のために申し上げておきすが、本日は各大臣、すなわち委員より要求せられました殖田法務総裁、鈴木労働大臣、増田官房長官、樋貝國務大臣はいずれも失業対策に関する閣議のため出席できないとのことでありまするから、御了承願いたいと思います。
○風早委員 責任ある大臣の御答弁が願えないのは、結局意義をなさないと思うのでありまして、私は大臣が御出席になるこの委員会におきまして、あらためて質疑をすることを留保したいと思いますが、ここでさしあたり労政局長なり、あるいは今の神山説明員にお伺いいたしたいのは、大体今回のいずれの事件におきましても、そういうふうなストの根本的な原因について、いまだはつきりした見解が政府側からも一向に示されない。こういう場合におきまして、この問題についてのここでの根本的な討議ということは非常にむりだと思う。今日さしずめ承つておきたいことは、いずれの事件につきましても、実に多数の警察官が活動しております。これは今委員長のお手元へわが党からあのわかもと事件でありますとか、あるいは廣島の日綱事件でありますとか、ああいう事件についても、この法務委員会で取上げてもらいたいということを要求してありますが、これらの事件を含めましておびただしい警察官が、しかもこん棒、ピストルあるいは機関銃というものまでも携行いたしまして出動しておる。こういつたような警察官の費用というものは、一体どこから出るのですか。もちろんあなた方は予算から出るはずだと言うにきまつておりますが、しかしながらそうではないのです。これはああいうふうにおびただしく警察官が増員せられておるというその裏づけというものは、新しいこれは当然予算の膨脹を伴わなければならぬじやないか。そういう点について一体どう考えておられるか。他方におきまして、今日この前のデラ台風一つとりましても、私ども関係官廳の当局を招いて、その実際の被害状況について聽取したのでありますけれども、あれはきわめて中くらいの台風であつて、あんなものはまだ大した台風じやない。にもかかわらずあの通りの被害が起つております。河川だけでも六十億という被害が起つております。こういつた大被害が起つておる。しかもこれに対して政府としては一文もこの災害の應急手当費すら用意しておられない。これでこの八月、九月に起つて來るまた新しい台風のことを考えるならば、戰慄せざるを得ないのです。そういつたような費用が一方では欠けておるのに、警察官をどんどんと増員して、そうして彈圧に向けるというようなことは、これはまつたく片手落ちの施策であるとわれわれは考えるのでありますが、こういう警察官の費用というようなものは一体どこから出ているとお考えになりますか。その点について伺つておきたいと思います。
○花村委員長 警察問題に関する所官の政府委員がおらぬようでありますが、風早君いかがですか、その質問はまた留保されては……。
○風早委員 これは樋貝國務大臣に質問することに留保しておきます。ではきよう御説明になりましたことについて、私はいろいろ疑義がありますから、その点についてお答え願いたいと思います。たとえばこれは花村委員長の御近所でありますが、中野の電車区の問題であります。中野におきまして、先ほどお話がありましたが、あのストの際に車掌が無断で停車をしたというので、檢挙してあるというような今御報告がありましたが、あれは私どもの事実を聽取しておりまする限りにおきましては、たいへん事実が違うのであります。あれは中央線でありますから向うの方でありまして、向うから乘つて参りました車掌が中野電車区へ参りまして、中野ではもうストに入つておるわけです。その場合に車掌としてもやはりお互い自分の仲間がストに入つておる。そこでこれはとうていそこへ顔は出せないというので、あの駅にとまりました際に、すぐ姿をくらましてしまつた。そこで車掌がいない。でありますから車掌がいない場合におきましては、あの電車をとめたそのベルを押しました車掌というものは、これは全然あそこの車掌でありまして、電車の車掌でないのです。その車掌がなぜとめたかと言いますと、車掌がいないで電車を運轉するということは、これはなんでもいけないという規則があるそうでありまして、当然車掌は乘つていなければならない。しかし車掌がいないからして電車をとめたのです。こういうことを私どもは聞いておるのであります。これははなはだ眞相につきましてもなお疑わしいのでありますから、十分な調査の上でやらなければいけない。しかし今政府ではそういう御報告がありましたが、これは私どもは非常に一方的だと思います。いずれ本委員会としても調査をしなければ眞相はわからないということだけは申し上げておきたいのです。そういう点で、政府はそういつた反対の調査事実の聽取をされておるのかどうか。政府の得られましたその事実はどこの何がしから得られましたか。その点を一應お聞きしておきたいと思います。
○神山説明員 事実関係につきましては、一應当時現行犯として逮捕したのでありまして、その件につきましてはまだ処分は保留して、現在処分未了のまま捜査を継続中であります。從いまして起つた事件の報告ということでありまするので、かような事件だということで檢挙したということを申し上げたのであります。その点を御了承願いたいと存じます。
○風早委員 今御質問申したのは、どういう筋からこの報告を受けられたかということであります。とかくこの報告が非常に一方的であるというのは、結局その報告をする筋が非常に片寄つておるから、ほんとうにその現場の実情を多方面から集めまして、そうして確たる客観的な事実として政府が認められたところを報告されるのでないから、これは私は明らかなその一例であると思いますから、念のためにだれから報告を受けられたかということを伺いたいと言つたわけであります。
○神山説明員 これは現地檢察廳からの報告がありましたので、私の方はそれを申し上げておるのでありまして、現地の檢察廳で現在取調べ中であります。從いましてまたその取調べの結果につきましても、いずれ私の方に報告をして参ろうと思います。その節にただいま風早委員がおつしやいました事実の眞相というようなことが、さらに明らかになつて來ようと思います。
○風早委員 今の同じ問題であります。現地の檢察廳からの御報告というのでありますが、そういう御報告というものは、実際どういう材料から出ておるのかということは、それはおわかりになりませんか、おわかりになればその点を一應お伺いいたします。
○花村委員長 それはどうですか風早君。現在目撃した警官が現行犯として檢挙したというのだから、それ以上他の報告も何も待つわけではないでしよう。その他の報告に基いてやつたわけではないのだが、その模樣は結局檢察廳の方へ報告は來ているのです。そういうことの御答弁のようです。繰返されているようですが……。
○風早委員 大体委員長の今の御説明で私は一應納得いたしまして、その質問はこれで打切ります。しかしながら政府委員がここで報告される場合におきましては、これがこの委員会におきまして討議する直接の相当有力な材料になるのでありますから、その点はやはり最後まで十分責任をもつてこの御報告をされんことを特に希望しておきたいと思います。 さて列車妨害事件に関するいろいろな御報告でありましたが、これにつきましても私どもは、いろいろ新聞あたりの政府当局から出ておりますその報道には、非常な疑問を持つのであります。たとえばあの北海道の新得線におきまして、あたかも保線工手が爆藥を備えつけて、そうして列車の轉覆をはかつたというような記事が新聞の中に出ております。これもやはり警察筋でありますか、あるいは檢察筋でありますか、あるいはまた政府当局でありますか、そのはつきりした出所は、これはこの間の長野事件もありますから、われわれも新聞記者に聞くわけにも行きませんけれども、そういうふうな一方的な出所によりましてあれが出ておる。と申しますのは、あの爆藥というのは、よく調べてみたところが昭和二十年七月十四日に大空爆がありまして、そのときに不発彈が落ちた。非常な重味でありますから、これがそのまま放置されておつたのがどこかに埋もれてしました。それが今回はからずも出て來たのがそういうデマの材料になつておる。こういつた実にばかばかしい材料もあるわけです。私はそういうことを一つ二つ見るにつけましても、こういう問題の眞相については、政府は愼重に報告されんことを重ねてお願いしておきたいと思う。 さらに、たとえば川崎などのあの保線区の問題でありますけれども、これもまたなかなか新聞には大げさに出ております。しかしながらこれとても実際に問題であるとして、國鉄労働組合側から言つておるところによりますと、これはやはり一つには実際の設備が破損している。たとえばレールがほとんど何百箇所といつて破損している。それに対したボルトなんかが六千箇くらいも足りない。まくら木も足りないし、くぎも足りない。こういつたようなことでちつとも資材がまわされておらない。そこへもつて來て、実際に線路の見まわりをやる係が三百数十名も一挙に——これは臨時雇でありましたけれども、首になつておる。そういうことで、どうして実際の見まわりができようか。從つて当然これは起るべき労働災害である。それをあたかも組合員が背後におつてやらしたように政府が言うておることははなはだ心外である。こういうことを言つておるのであります。そのいずれが眞相であるかということについては、もつと冷靜に、客観的に多方面から調べなければならぬ。そういう点について、とかく最近政府筋から出ております資料報告自身にわれわれは多大の疑惑を持たざるを得ないのであります。このことがまた最初に申しましたように、政府の頭がもとの警察國家時代の頭で、ただ一旦でき上つた法律であるから、憲法に違反してようと、ほんとうの人道に違反しようと、とにかく法律を適用するだけであるといつたような安易な考え方でおられる限りにおきましては、問題は解決しない。そういう考え方とこういう御報告とがまさに揆を一にしておる。つまりこういう報告はそういう考え方を裏づけるためにできておる、そういう印象を受けるのであります。でありますから、この際政府は根本的に新憲法の精神というものを、頭を切りかえてやられる意思があるかどうか。旧憲法と新憲法とはまつたく根本的に違つておるという点について、政府はどういうような見解をとつておられるのか、一應これは今日の政府委員からも聽取いたしたいと思います。
○賀來説明員 私どもの説明がきわめて事務的でありましたために、あるいは風早委員の誤解を招いたかもしれませんが、われわれの態度といたしましても、当然新憲法の趣旨に從つて行政をやり、行動をいたしておる考えでございます。
○風早委員 新憲法の精神に從う限りにおきましては、第九十八條によりまして、当然無效であるという確信に立たなければならない。公共企業体法にいたしましても、第十七條、十八條と言われますが、國鉄が少くもこれを無效であるという確信のもとにやつておるものとわれわれは判断しておるわけであります。そういう点について、政府が新憲法を認められるということと、どういう関係に一体立つか、その一應の政府の解釈を伺いたいと思います。
○花村委員長 風早君の御質疑は、議会でつくつた法律が無效である、こういう御主張をなさつておるわけですか。
○風早委員 私は今委員長の御注意によりまして、いささか補足したいと思いますが、これを実際に適用する場合におきましては、新憲法にのつとる適用も、また違反した適用もできるわけでありまして、今回明らかに政府が十七條を使つて人を犯罪視し、あるいは違法視されるというその適用の仕方であります。今回のストに対する政府の具体的な適用の仕方につきましては、新憲法の精神に照し、いかに解釈されるかということであります。
○賀來説明員 公共企業体労働関係法が憲法に違反していないかという御質問に対しましては、先ほどお答えいたしました通りに、政府としてもこの法律は新憲法の精神に違反しておるものではない、かように考えておるのであります。なおわれわれこの法の運用に当ります行政官といたしましては、もちろん行政の要諦は新憲法に從つてやらなければなりませんし、さらにそれに基いてつくられました、しかも國会を経てつくられました法律の施行にあたりましても、その法律の所期するところに從つて運用をいたすのであります。今度の國電事件に関連いたしまして運用せられたことが憲法違反だとは考えておらないのでございます。
○風早委員 ただ憲法違反と考えないということであれば、これは考えないというだけでありまして、ちつとも御説明にはならない。しかしながらおそらくそういう説明はあなたからは期待できないと思いますから、私はあらためて労働大臣なり、あるいは樋貝國務大臣などにこの点は十分質疑いたしたいと思います。しかしながら現行法といたしましても、この解釈という問題は非常に重大問題でありまして、特に私は法務委員といたしまして、この点については政府の注意を喚起したいと思います。たとえばアメリカあたりでもロスコ・バウンドといつたような法務学者、世界的に第一人者とされておりますけれども、これらの人たちもはつきり言つておる。法律というものは実情に合う限りにおいてその妥当性があるのだ。実情に合わないような法律は、結局何法律であつてもその妥当性がないのだ。今日のような非常な動乱期において、もう先へ進まなければ、このまま日本がつぶれてしまうかどうかという重大な時期において、この法律の適用ということについては、ただしやくし定規に文字通りにそれを適用して、それが正しい法律の適用だということはできないのであります。そういう点に私は政府の重大なる注意を喚起したい。先ほど人民電車のお話もありまして、古島委員の方から、人間としてきわめて公正なる御意見が出ておつたと思うのですが、実際われわれがほんとうにすなおに人間として考えた場合においては、当然そういうお考えも出て來る。これはやはり非常事態でありまして、そういう際に相かわらず古い警察的な、單に行政技術的な、また彈圧をやるといつたような、何でも取締り取締りという頭からの解釈ではますすま事態をこんがらかして、解決すべきものを解決しないということになるわけであります。そういう点で、私は法務委員の一人として政府に嚴重なる注意を喚起したいと思います。
○田嶋(好)委員 私から一言政府委員に御質問いたしたい。とにかく現在の法治國家におきまして法律が判定されて、その法が無視されて行動されることはまことに遺憾しごくだと思います。これはいかなる人間が無視しようとも、これに対しては遺憾しごくだと存じ上げます。もちろんわれわれ國会に席を置くものといたしましては、われわれのつくつた法に権威がないことについて、その責任を大いに痛感しなければならぬ。今日起りました各事犯を見てみましても、政府委員の説明を聞いてみまして、私たちは決して政府委員の説明によつてとられた法の運用を不当と考えることはできないのであります。法治國家におきましては、その法を守るために法の運用をはかる人、もちろんここでは法を制定されました以上、警察官、檢察廳、裁判所、そうしたものを列挙することができると思います。その運用機関としてそれらのものが國家的に認められ、國家的に必要機関として存置されておる以上、その機関の発動がないことは國家自体の機能の発揮ではないのであります。その國家機関の発動のないことは、もはや國家の形態を失つた國家である。國民、人間自体の集團とわれわれは考えなければならぬと思う。國家の公の機関において議せられ、公に制定され、國家機関があります以上は、その機関の発動をわれわれは肯定しなければならぬと思う。ここにわれわれの大いに檢討し、考えなければならぬ問題がある。してみれば國家機関が発動した場合に、内容は別といたしまして、法において制定されたことを執行する場合に、その國家機関の発動を批判するのはいいといたしまして私は否定し、牽制することはできないと思う。少くともその場合には最後の機関である裁判所の判決の結果にまたなければならぬ、こう考えるのであります。またいま一つ考えたいと思いまするのは、法の執行に当りまして何よりもわれわれの希望いたしますことは、最も的確にして最も迅速なる法の運用だと思う。今風早委員の説明のような、最も正確にものをつかむという意味での審査はいいのでありますが、すみやかな点ということになりますと、今のような臆病な氣持ではすみやかな法の執行はできない。法の執行は緻密であると同時にすみやかでなければならない。すみやかという文字が消えますならば、法の執行に價値がない。ここにわれわれは最も重大関心を持つのであります。その点法の執行は緻密であるとともにすみやかでなければならぬと本員は考えております。この点に対する政府委員の答弁をお願いしたいのであります。 次に憲法問題に対する御質問がいろいろとあつたようでありますが、やはり先ほどから申し上げておりますように、違憲に対しましては、結局日本國家には國家としての機能がある。その機能が、制定された法に対して機能を停止しろ、そういう效力を停止しろという意思表示がないうちは、われわれは一旦制定された法を正当な法として守り拔くことが、法治國家に與えられた法治國家の執行機関の義務だと私は考えるのでありまして、この点に対しましても政府委員の明確なる御答弁をお願いいたしたいと思います。
○神山説明員 ただいまの田島委員からの御質問でございまするが、刑罰法規の運用あるいは法律の執行と申しますか、罰則に基く檢察権の運用につきましては、法規の適正であり、かつ迅速であるということは私たちが常にそのモツトーといたしておるところであります。また法治國家におきまして法律を嚴正に執行するということは当然であります。ただいま御質問をいただきましたが、日ごろ私たちがやつておりまする法規執行の適正であり、かつ迅速にやつておりますということを申し上げておきたいと思います。
○花村委員長 ほかに御質疑がありませんか。——なければこれにて散会いたします。 次会は來る七月七日午後一時より開会いたし、横浜地檢問題に関し証言を求めますから、委員各位は定刻に御参集を願いたいと存じます。 午後三時五十五分散会