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5回国会衆議院1949/05/19

法務委員会 第23号

発言数
1,302
登壇者
16
会派数
4
開催日
1949/05/19

会議録

花村四郎民主自由党

○花村委員長 これより会議を開きます。  証人とならるる方に申し上げます。皆さん本日は御苦労でした。本調査は御承知のように憲法第六十二條に基く國政調査として行うものでありまして、横浜地方檢察廳職員に、はたして世に喧傳せらるるように綱紀紊乱があつたかどうか、もしあつたとすればその原因は何であるか、またその行政上の責任はどこにあるかを調査し、もつて取締官憲のこの種不祥事件の発生を未然に防止し、檢察の威信保持に資せんとするものであります。從いまして職員の犯罪を搜査、摘発することをその主たる目的とするものではありませんことを、あらかじめお断りしておきます。事柄は檢察権行使の明朗化、民主化ないしは治安維持の根本にかかわる問題でありますから、証人の自由な良心的御協力を望んでやまない次第でございます。  それではこれより証人の方々に証言を求めることといたしますが、証言を求める前に、各証人に一言申し上げておきます。昭和二十二年十二月二十三日に公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族せしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係ありたる者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師、歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教家または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務上知つた事実であつて默祕すべきものについて尋問を受けたときに限られております。それ以外には何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつておるのであります。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。  それでは阿部さんに代表して宣誓書の朗読をお願いいたします。御起立を願います。     〔証人阿部正榮君各証人を代表して宣誓〕

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それではお手元にお配りしてある宣誓書に署名捺印をお願いいたします。     〔各証人宣誓書に署名捺印〕

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それではこれより証言を求める順序を申し上げます。    阿部 正榮君  鈴木 卓郎君    小澤 道美君  本間 貞雄君    木船 敏沖君  一瀬 惣一君    住谷 政勝君 の順序で証言を求めることにいたします。さよう御承知願います。では阿部さん以外の方は証人控室においてお待ちを願います。  阿部正榮君から証言を求めることにいたします——御氏名は。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 阿部正榮であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 職業は。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 職業は横浜市警察局刑事部経済課勤務巡査部長阿部正榮であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 本籍地は。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 横浜市西区紅梅町二丁目二十六番地であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 現住所は。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 同じくであります——ちよつと訂正いたします。本籍は異動してあるかどうかわかりませんが、戸部町三丁目六十番地と記憶しておりますが、私が復員してからどうなつておるかわかりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 あなたは警察署の搜査係りをおやりになつておつたことがありますね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 経済の搜査係りであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 現在もおやりになつておりますか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それはどこの署で、いつからいつまでおやりになつておりましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 事件の初めからでありますか——事件の当時ですか。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうです。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 昭和二十三年四月十七日から本年の四月六日までであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうしてこの搜査の方は何をおやりになつておりましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 経済です。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 花園纖維株式会社という会社を御承知ですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 はい、存じております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 この会社のガラ紡横流し事件について、あなたが経済搜査係りをやつておる当時にお取調べになつたことがありますか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 あります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その搜査の端緒はどういうことから始まつたわけですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 重要物資輸送証明規則取締り中における認知であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうするとどこの場所で、どういう関係で捜査の端緒ができたかということを、もう少し詳しく場所と日とおわかりになつたらお願いいたします。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 昨年の五月十四日だと記憶しておりますが、当時経済係巡査部長といたしまして、重要物資輸送証明規則違反の一齊取締りがありまして、横浜市壽警察署中村橋巡査派出所前において、直接私が担当いたしまして、重要物資輸送証明規則の取締りを続行中、たまたま日本通運のトラツクに横浜市交通局のガラ紡の生地を満載したトラツクを発見しまして、運轉手を初め、一同を取調べましたところ、その事件は重要物資輸送証明規則違反には該当しないという見通の営業所長からの話がありまして、結局その該当しないというのは、鉄道でもつて駅どめで來ましたときに、その発駅から着駅までの輸送証明というものが確実でありまして、その着駅からさらに運搬先のところまでは、鉄道の延長と見なされるという当時の規則の解釈と記憶しておりますが、そういうわけで重要物資輸送証明規則には該当しなかつたのであります。それでその物資はどういうふうにして入手したかということにつきまして、交通局を呼んで取調べましたところ、結局ボロがやつてあるというような状態でありました。ボロがやつてあるかどうかということを確かめるために、さらに私の方から花園纖維株式会社を呼んで、いろいろ取調べてみたところ、ボロが行つていないということになつて、これは臨時物資需給調整法の衣料品配給規則違反と断定しまして、完全に取締りにかかつたのであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 事件の内容はどうですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 事件の内容といいますと……。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 この花園纖維株式会社のガラ紡横流し事件の内容はどういうものですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 この内容といたしましては、結局委託加工をよそおつて、ボロの供給を受けることなく、無キツプで結局ガラ紡の衣地を横流しをしたという事件の結果になつているわけであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでこの事件の結果はどういうことになりましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 結果がどうなつたか、私は檢察廳に書類を送りましたからわかりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 警察で取調べが済んで、そして檢察廳へ記録を送つたわけですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 あなた方がこの事件を取調べているうちに、横浜地方檢察廳より何らかの指揮を受けたことがありますか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 受けました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 どういうことですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 結局この事件が拡大するという認定のもとに、当時の刑事訴訟法によりまして檢察官の指揮を受けてやるということになつておりましたので、こまかい事件は署長なり、あるいは主任なりに話しましてやりますけれども、事件が大きいと断定しまして檢事の指揮を受けたのであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 檢事の指揮を受けたことは、これは今の刑事訴訟法で当然受けなければならないのですが、横浜地檢の方からあなたの方へ、この事件の取調べはこういうぐあいにやれとか、ああいうぐあいにやれとか言うて、何かさしずのようなものがありましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 その当時名前をはつきり申しますが、富田檢事さんの指揮を仰ぎましたときに、富田檢事さんより一應岡崎へ出張して、どの程度に事件が出ているか調べてみてくれというような話がありましたので、岡崎へ出張いたしまして、全部その会社の違反を記録にとつたのです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それで岡崎へ出張して調べた結果、どういう結論が得られましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 横浜市交通局の從業員組合並びに警視廳刑事部協同購賣組合、東京地檢の司法省職員組合、東京電話局、厚生省、こういう官廳に対しまして、先ほども申しましたようにボロの供給を受けることなく、委託加工をよそおつてガラ紡の衣地を横流した事実が発見されました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それからその事件の取調べについて拡大しないようにやれとか、あるいは取調べについて寛大に扱えとかいうような意味の指示はなかつたのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 ありません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その後その記録が方々ぐるぐるまわつて歩いたようですね。そういうことはお知りにならないでしようね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 知りません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 何か委員の方で御質疑がありますか。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 今委員長の質問で、横浜地檢の富田檢事の指揮を受けたというのであるが、そのときにこういう指示があつたかないか。この警察で取調べるのは横浜交通局のことだけで、あとは檢察廳で取調べるから、警察はそれは捜査しないようにという話がなかつたですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 捜査しないようにという話はございません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 横浜交通局だけの捜査をしておけ、あとは檢察廳でやるというような話はなかつたわけですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 その意味がちよつと解しかねますが……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたが花園纖維工業株式会社を調べたところが、横浜交通局に外にもこのガラ紡は行つていることがわかつたわけでしよう。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そこでその報告を富田檢事にしたのでしよう。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そのときに警察では、横濱の交通局の事件だけを調べろ、あとの方は檢察廳でやるからという話があつたかないか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 記憶がございません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 花園纖維工業株式会社は岡崎にありますね。ここへはあなた自身が調べにいらつしやいましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 私自身であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたお一人ですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 やはり壽警察署の現在の経済係君塚英一巡査と二人であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうしたところが、今あなたが言つたように多量の横流しが発見できたというわけでありますね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 警視廳にはいろいろ部があるのだが、警視廳の何部へそれが行つているのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 刑事部の協同購買組合であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 どのくらいの数量でありますか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 当時四千二百ヤールばかり行つておりました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 東北地方檢察廳へは何ヤールですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 数量は記入しておりませんが、契約は九千ヤールになつております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それから東京電話局へはどのくらいですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 やはり契約が九千ヤールで、七千五百ヤール当時送つておりました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 檢察廳へは契約は九千ヤールであるが、実際はどのくらいになつていたかわかりませんか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 それは全部完了してありました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると九千ヤール行つたということになりますね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そのほかまだありませんか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そのほか厚生省が当時契約の対象になつていたのですが、契約書類とか、あるいは現場の支給が当時はまだ全然行つておりませんでした。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これはボロをやつて紡いでもらつたのではなくて、ボロとがら紡との交換が事実ですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 当時はボロは全然供給してなかつたようでありました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 花園纖維会社は、この莫大なるガラ紡をつくるにはやはり原料がいるが、それはどこから入手したかということをお聞きになりましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 聞きました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 どこから入手したのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 同じ岡崎市内と記憶しておりますが、朝鮮人の方から入手したというように言つておりました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その朝鮮人は何というかわかりませんか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 江川光一であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その江川光一をお調べになりましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 調べません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それから今あなたが言うた警視廳あるいは東京檢察廳、東京中央電話局にもこういうことについてなお詳しく捜査を続けましたか。どうしましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 続けません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それはどういうわけですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 当時私の方の仕事もあとからあとからと忙しかつたことでありますし、それにこれは私個人の考えでありますが、警視廳あるいは東京地檢、東京電話局というのは純然たる需要者であつて、立件するというような対象でないと私は断定しておりました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると檢察廳からもその捜査をしろという命令も受けなかつたわけですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 他に受けておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなた方が捜査をしておる際に、ある一つの事実をつかんで、それを調べたところが甲乙丙丁の事実が出た場合に、その一つの事実だけでほかの方はさつぱり調べないということが普通ありますか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 あります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それはどういう場合ですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 たとえば米を持つて來てブローカーが消費者の家へ賣つたというような場合には、消費者は当然万やむを得ずして食糧を買つておるのでありますから、そういうものは一應呼んでお聞きするだけであつて、他に立件とか、そういうものは処置しておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 花園事件についてあなたはその後何ら聞くところはありませんか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 何も聞いておりませんです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 事件がまだ未処理になつておるということも聞いておりませんか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 それも聞いておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 この事件に関しては二、三の人たちが暗躍しておるというようなうわさを聞いたことはありませんか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 聞きました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それはどういう人間ですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 当時土建会社の重役とか申しておりましたが、兒玉某というような者が中に入つておるというようなことを聞いたことがあります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これは何か官廳に出入りする男ですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 私が聞知したところによりますと、福島縣の経済部長とか庶務部長をやつた方で、そして弁護士だというようなことをちよつと聞いたことがあります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それが土建業者になつたのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 それは当時は土建会社の重役とか言つておりました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これが相当暗躍しておるといううわさをあなたは聞いておるわけですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 暗躍と言うと語弊がありますけれども、警視廳とか東京地檢とか電話局にガラ紡の布地をあつせんしたのは、兒玉某という人間があつせんしたというようなことを聞いたのです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうするとあなたがこの事件について関知しておることは、それだけでございますね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 それだけであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 するとこのボロの交換がなかつたことだけは事実ですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 当時は事実でありました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その後はどうですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 その後はどうなつたか、私ははつきり記憶がありません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その後のことはわからないのですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 ええ、わかりません。その後交通局の從業組合の方の、名前はちよつと忘れましたが、來ましてボロをあとから送ることになつたというようなことをちよつと私の方にあいさつに來たことがあります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 なおお聞きしますが、このガラ紡の賣買の取引の値段についてお調べになりましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 調べました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それはあなたのお調べになつた実際取引の價格は、当時の統制價格と一致しておりましたか。高かつたか安かつたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 当時の契約書類は加工賃——委託加工でありますから、当然加工賃というものが生れて來ますが、その加工賃としては檢察廳並びに警視廳は一ヤール九十二円二十四銭でありまして、交通局は百十円五十銭でありました。私はその布地を神奈川縣の價格査定委員会に提出いたしまして鑑定させましたけれども、小賣が一ヤール百五円六十銭でありました。でありますから交通局の方は約五円ばかり超過しておりますし、また檢察廳、警視廳の方は小賣の公定價格よりも安いということはうなずき得られました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それからあなたが花園纖維の重役を調べたときに、どうしてこんな違反をやつたかということをお聞きになりましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 聞きました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 どういう答えでしたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 会社が接立して間もないので、官公廳に対して信用をまずとつて、そして除々に販路を拡張したいために、まず第一番に官公廳に信用をとるためにやつたのだ。こういうふうに言つておりました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 官公廳に納めるのだから、事が発覚しても大したことにならぬで治まるであろうと思つて賣つたというような陳述をしておりませんか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 記憶はちよつとございません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたはそういう意味の警察の意見書を書いたことはありませんか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 契約先が官公廳のところから信用を得んがためにというように、私の犯罪情状には書いてあります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 信用を得んがために安く物を入れたというわけですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。得んがためと見受けられる点があつて、改悛の情が顯著ですから、しかるべく御処分が相なりたいということが書いてあります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 さつきの話にもどります。朝鮮人の江川光一を調べなかつた理由はどこにありますか。捜査する必要はないと思つたわけですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そんなことはありません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 江川光一をお調べになりましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 調べておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 どういうわけですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 当時江川光一が岡崎市内というようなことを申しておりましたですが、江川光一を見さしたのであります。そうしましたらはつきりした事実が——そのはつきりした事実というのは、いるかいないかというようなことで、わからなかつたのであります。それに二人だけ行つたのでありまして、三日も四日もかかつておられないと思いまして、一應引揚げて、富田檢事の指揮を受けるべく報告に來たわけであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 富田檢事はそれを調べろと指揮はしなかつたわけですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 しなかつたと思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 私はこれで終ります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 北川定務君。

北川定務民主自由党

○北川委員 証人に伺いますが、あなたは花園纖維会社に行つて調べられるとこに、証処品を押收されましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 しません。

北川定務民主自由党

○北川委員 それからガラ紡の横流しの事実を発見したと言つておられますが、それはなんによつて発見しましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 結局委託加工契約書の書類によつてやつたわけであります。

北川定務民主自由党

○北川委員 それは全部押收したのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 全部押收しました。任意提出させました。

北川定務民主自由党

○北川委員 それらによつて調べられた結果、交通局はほか数箇所に横流ししたことがわかつたわけですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 はあ、被疑者もそういうふうに自供しましたので……。

北川定務民主自由党

○北川委員 そうすると、意見書にその犯罪事実を全部書きましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 書きました。

北川定務民主自由党

○北川委員 これは統制品であつて、配給に関する証明がいるのと違いますか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 衣料品配給規則に基いて、切符と引きかえでなければ買えないことになつております。

北川定務民主自由党

○北川委員 そうすると、買つた人はさしつかえないわけですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 買つた者もやはり配給規則の五條によりまして、何人ま割当交付書によらなければ、讓り受け、讓り渡しはできないという規定がありますから、当然買つた人も違反になるわけであります。

北川定務民主自由党

○北川委員 そうすると、花園纖維だけを立件して、あとの交通局その他の官廳り立件されなかつたのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。それは先ほど申し上げたように、相手は営利を目的としたブローカーとか、あるいはまた纖維の卸屋というわけでもありませんし、また組合が利潤を得てさらに組合員に対して讓り渡すというようなものでなくて、元値をもつて組合員に渡すという純然たる消費者だと私は考えたのであります。

北川定務民主自由党

○北川委員 犯罪成立は間違いないですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 犯罪は成立いたします。

北川定務民主自由党

○北川委員 通常そういう場合には、官廳の責任者から始末書を大体とつているようですが、とつておりましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 とつておりません。

高木松吉民主自由党

○高木(松)委員 ごく簡單にお伺いいたします。あなたが花園纖維株式会社の相手として調べたのは、横浜交通局だけですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。

高木松吉民主自由党

○高木(松)委員 これはほかも同じような関係にあつたのじやないか。やはり組合か何かで営利を目的としないわけでしよう。交通局だけを取上げたのはどういうわけですか。交通局を取上げて檢事局に書類をやつたのは……。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 交通局は立件書類はつくつて送つておりません。会社の裏づけとして交通局の分だけつけたのであります。交通局は立件いたしておりません。

高木松吉民主自由党

○高木(松)委員 それで檢察廳とか裁判所とか役所に対しては、先ほどあなたがおつしやるような犯罪が成立しておつても、そういう面のときには寛大にするとか、目こぼしにするというような不文律が、あなた方の中にあるのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そんなものはありません。

高木松吉民主自由党

○高木(松)委員 やはり悪ければ嚴然とした態度でやるのですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 あなたが書かれた意見書には、横浜交通局ということは出ているのですが、その他の警視廳とか東京地方檢察廳とか東京中央郵便局というような官廳の名前を出してありますか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 意見書には、犯罪事実には横浜市交通局その他数官廳、こういうようにやつております。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 具体的に警視廳、檢察廳の名前は出ておらないのですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 出ておりません。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 どうしてそれを書かなかつたのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 それはこの犯罪事実で、その前に織物生地四万六千八百ヤールというような数字が出ておりますし、また証処品として出しました委託加工の契約書においても、これは当然名前が載つておりますから、交通局ほか数官廳でさしつかえないと思つて書いたのであります。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 それは警視廳どか東京檢察廳の名前を出しては困るということで、何か檢事の方からそういうさしずがあつて、そういう記載になつたのではありませんか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 ありません。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 間違いないですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 間違いありません。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 警視廳や檢察廳にこれだけの生地が行つているのは、それは営利を目的にしておらないからという理由で、あなたの方ではそちらの捜査をしなかつたとおつしやいましたが、東京檢察廳の契約名義はだれになつておりますか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 東京檢察廳は、当時は東京地方檢事局でありましたが、司法省職員組合厚生部長船田廣吉ほか一千名となつておりました。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 それであなたの方では調べた上で、営利を目的にしておらないという事実が判明したのならばともかく、このごろは役所でも悪いことをする人がたくさんいるし、そういう名義で生地をとつても、実際は職員に配給しないこともあり得るわけで、事実私の調べたところでは、まだ配給しておらないということも聞いている。だからあなたの方ではそこまで愼重に捜査を進めるべきであつたと私は思いますが、そういう点についてもあなたは考えなかつたのでありますか。これは役所の名義で扱つているが、何をやつているかわからない。だからこれを一應調べてみなければならぬ。ほんとうに職員まで全部行き渡つているかどうか、営利を目的としているかいないかは、捜査をしなくてはわからないと思うのでありますが、その辺のあなたの考え方はどういうことになつておつたのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 それはそのときに、こういう官廳も出ているということを富田檢事に報告しましたが、富田さんは、ではそのことについてはおれの方で呼んでよく聞いてみるから、というような御返事でありましたので、私どもはそのままにしたのであります。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 富田檢事に報告したら、富田檢事は、それでは自分の方で調べるから……。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 自分の方で調べるではない。私の方で呼んで事情を聞いてみるから……。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 それは自分の方で調べるということじやないか。それであなたの方で捜査を進めなかつたというわけすね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。それで追つて指示をするというようなことを言つておりました。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 どういう指示がありましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 その後別に私としては指示は受けておりません。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 それでこういう捜査に当つておられるあなた方として、実際官廳がこういうふうに法綱をくぐつたことをやつておるわけでありますが、こういうことを特に取締官廳がやつておれば、これは業者に、つまり花園纖維と申しますか、この業者から痛いところをつかまれておるわけであります。それじや今後花園纖維がほかにやみ横流し事件をやつても、これは峻烈な捜査ができないことに私はなると思うのであります。であるからこういう点については、特にそこには涜職の疑いすら発生して來ると思うのです。こういう点についてあなたは捜査官として、もう少し徹底的にこれを調べなければならぬと、涜職の疑いすらあるということで、捜査を進める氣にならなかつたのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 仕事があとからありましたので、それまで考えが向いませんでした。

北川定務民主自由党

○北川委員 仕事があつたからそれまで考えが浮かばなかつたのか。それともあなたの方ではその重要性を実は認識しなかつたのか。その点どちらですか。これは非常に重要だ。捜査を進めなければならない。しかし非常に事件が多かつたからやれなかつたのだということだが、あなたはもつと進める必要があるということは感じたのですか、感じなかつたのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 もちろん当然調べる必要があると思つておりました。

北川定務民主自由党

○北川委員 しかしまだ忙しくてできなかつたというわけですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 忙しくてできなかつたのと、それから富田檢事さんの方で呼んで一應聞いて、あとで指示するということでやらなかつたわけです。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 ほとんど尋問は盡きたようですけれども、一点落している点がありますのでお伺いしておきます。警視廳、横濱地方檢察廳、東京電話局、厚生省、こうした方面に対する花園纖維の取調べの結果の調書をおとりになりましたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 とりました。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 それをつけて檢察廳に出したのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 それをつけて、一件記録にして送りました。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 それからもう一つガラ紡は、あなたの鑑定をさしたものによると、どういうものに使えるガラ紡だと思つたのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 女のスカート、ズボンでも何でも使えると思いました。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 洋服には使えないのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 洋服にも人によつては使える人もあると思いました。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 主としてズボンだとか、女のスカートに使えるガラ紡だと思つたのですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 子供のワンピースだとか、そういうものに使用できると思いました。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 それからもう一つ横浜の交通局に持つて行くのを、あなたは押えたのですね、これはどうしたのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 これは交通局でもつて保管証を出させまして、指示があるまで保管しろというふうに……。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 交通局に保管さしたのですね。その後の結果についてお聞きになつていらつしやいませんね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 その後、交通局の從業員組合の方が、名前はちよつと記憶いたしませんが、富田檢事さんに呼ばれたと思います。私の方に対しまして、おかげさまでボロを送るようになつて、あの品物を全部いただけるようになりましたということを言つて來ましたのを、記憶しております。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 その後富田檢事さんに会つたが、交通局の方から、おかげさんでガラ紡がもらえるようになつたという……。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 交通局へ引取りができるようになつた。そういうふうに記憶しております。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 引取りができるようになつたということは、結局もらつて使用できるようになつたという意味ですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。

金原舜二民主自由党

○金原委員 先ほどのお話で、官廳は統制に反しているけれども、あまりに嚴格にすべきものでない。それはあたかも直接需要者が、やむを得ずして米を買つたと同樣な立場だというお話がございましたが、それでは民間の営利会社であつて、まじめな会社が、やはり職工も大勢おりますし、こういう会社が営利を目的とせずして、そして千人も千五百人もある職工に、布地に困つているからこれを実費でわけてやりたいというような場合に、あなた方のお取扱いはどういうふうにされますか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 やはりそれは先ほどと同じように、私個人的にそういう裁断は下されませんから、主任に話し、主任から署長、あるいはまた事件が大きいとすれば、檢察廳の檢事に連絡しまして、お伺いします。

金原舜二民主自由党

○金原委員 やはりその場合に民間の会社と警視廳、檢察廳ということの区別は、あなたとしてはつけておられないのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 私自身としてはそういう区別はつけたくないのです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたは神奈川の自治体警察ですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 横浜市の警察局の自治体警察であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたの上司として経済主任というものがあるわけですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 何という人ですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 横浜市警部補中澤元壽であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 中澤氏にあなたは捜査の結果をもちろん報告したのでありましようし、それからその意見書も結局は中澤氏の責任において書いたはずですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 もちろんそうであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうするとあなたの報告も全部聞いているし、意見書も全部見てあるわけですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 あると思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 ところが私どもが法務委員会から派遣されて、中澤氏に面会を求めて、このガラ紡の花園事件は横浜の交通局だけではないじやないか。ほかにまだ行つたところがあるんじやないかと念を押した。われわれは知つておつたけれども念を押した。ところが中澤主任は絶対にない、横浜の交通局だけだと口をきわめて断言しておつた。何かそういうことにしようという話があつたのじやないか。あなたはそこはぐあいが悪いので、しやべらんでおるのではないかと思うのですが、どうですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 私はそういうことは全然知りません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 しかし中澤主任はあなたの意見書を見ているだろう。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 もちろん見ておると思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 事件の内容も見ておるね。それからあなたは非常によく花立纖維会社を中心に研究して、どことどこへ行つたというような放射線のような図解まで研究しておりましたね。そういうものを見ておるはずだろう。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 見ておると思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうしてあなたが言うた、警視廳へ何ヤール、あるいは地檢へ何ヤールやつたという数量も見ているわけですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 見ておると思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 実際あの図解を見せたわけですね。しかるに中澤は極力それを否認しているが、どういうわけだろう。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 わかりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたはだから富田檢事から何かの指示を受けたのじやないかと聞いたのであるが、私の問いに対しては、何ら指示を受けておらないという答弁であつた。梨木君の質問において多少かわつて來ておるが、どちらがほんとうですか。とにかくほかの官廳の方はこちらで——こちらでというのは檢事の方だね。こちらで当事者を呼んで調べてみるから、何かの指示があるまでは待つておれということは、富田檢事は確かに言つたね。それからあなたはこの事件を調べておると、ガラ紡の生地が四万三千六百八十ヤールもあるということがほぼわかつたわけだ。これは大事件であると思つて檢察廳に報告すると同時に、あなたは檢事正及び次席檢事に呼ばれておるじやないか。呼ばれているだろう。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 呼ばれております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そのときに檢事正や次席はどういう話をあなたにしたか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 はつきりした記憶はありませんが、富田檢事さんに対して、私には別に何も申しませんでした。この事件の概要はどうなつておるかという、その概要を檢事正殿は、次席檢事正殿も聞きましたが、すべて富田檢事さんがお話申し上げたようでありまして、私も多少はこの事件の概要は申し上げましたが、富田檢事さんに対して何と言つたか、そこは記憶はありませんが、富田檢事さんは高檢へ行つて連絡するということは申しておりました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、檢事正及び次席が積極的にあなたを呼んだのか、あなたの方で伺いに出て行つたのか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 それは富田檢事さんに連れて行かれたのです。一應報告してくれと言うので、富田檢事さんと一緒にお伺いしたのであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その席上には、富田檢事と、あなたと、檢事正と、次席檢事がいたわけだね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 おりました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたには直接に何も言わなかつた、ただ報告を聞いておつただけか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 すべて富田檢事の指揮を受けてやれという言葉はなかつたか、よく記憶を思い出してください。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そういうことは記憶にございません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 富田檢事から、これは何分の指揮をするまで中止しておけという話はなかつたのか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 中止という話はありません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 ただ自分の方で調べてみると言つたのか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 調べてみて、追つて指示をするということはありました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 追つて指示するということは、それまでお前たちはそのままにしておけということではないか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 結論はそういうことになると思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 結論はそうなるが、あなたはそう受けとつたわけだね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 指示があるまで、どつちみち呼んで始末書をとれとか、あるいはどの程度か、地檢なり警視廳を呼んで調べろというのかと思つていたのです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 結局あなたは指示がないから、そのままにしてしまつたというのがほんとうじやないのか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そのままにしてしまつたというと……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 捜査をしないで、そのまま手を引いてしまつたのだから。向うからの命令があるまで待つていようと思つて、捜査を進めなかつたのではないか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 大体今までの慣例からすると、これだけの事件になると、檢事の指揮がないと、あなた方警察官としては單独に動けないのではないかね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 大体慣例上そうなると思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 いわんやその上に、何分の指揮するまで待つておれという話になれば、結局指示のあるまではこのまま中止しておけという意味に解釈されますね。あなたもそう受取つたわけでしよう。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。そこでちよつと申し上げますが、ただいまのことについて、富田檢事さんから、あとで高檢へ行つていろいろ指揮を受けたというようなことを直接聞いたこともあります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 高檢から指示を受けて來たのかね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 指示を受けたか、指揮を受けたかはつきりわかりませんが、司法省の職員組合を呼んで、ちよつと聞いてみたと言うたことを私記憶しております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 高檢の指示なり指揮なりを受けて來たということと、職員組合へ行つてちよつと聞いてみたということは、内容が非常に違うのだが、富田が言うたことはどつちなのか。高檢の指揮を受けたということと、職員組合に当つてみたということと両方言うたのか、どつちか片方言うたのか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 両方言いました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 わかりました。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 そうすると本件は、ボロを委託加工するという仮裝のもとに、こういう違反行為をしたという事件になるのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 そこであなたの当時の調べによると、ボロが行つていなかつたことは確実であつたという御答弁でありましたが、その後に至つて、從業員の方からボロを送るようになつたというあいさつが來たように思うということでありましたが。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 交通局の從業員組合がボロを送るようになつたという……。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 それは交通局だけでありますね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうであります。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 あなたがお調べになつた当時には、ボロを送ると称して、つまり仮裝してやつたのであつて、あとからボロを送るなどということは、事件が発生したために、そういう処置を從業員の方ですることになつたということなんですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 いや、その前に交通局の方で從業員組合に一應話をして、ボロを集めるということを内々話しておつたことは間違いないと思います。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 といいますと、事件の発生する前からですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 事件の発生する前に——それはそのときの心情でありますから、方便に言つたかどうかわかりませんが、とにかく從業員組合に対して、一人百匁とか五百匁のボロを集めるのだということを交通局の責任者が申しておりました。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 そうすると、あなたが事件に手をかけられたときには、現物が行つていなかつたというだけですね。そういう約束があつたかなかつたかは調べてなかつたのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 ボロの現物は行つておりません。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 ボロの現物は行つていないのですが、ボロは集めて交換をして、あとから現物は行くかもしれないというので、交換をするという約束のもとにやつたのかどうか。そこまで追究して固めておらなかつたのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 それまではやりません。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 そうすると、結局ボロをあとから送るようになつたというのは、交通局だけの問題ですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 交通局だけ私は聞きました。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 そのほかのものはどうですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そのほかのものは私全然聞いておりません。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 あなたお調べになつたときも、そこまで全然追究しなかつたのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 調べるというても、警視廳とか地檢とかで、私の方で直接呼んで調べてみませんから、わかりません。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 そうすると、当時は花園の方の言い分だけを聞いてやつたわけですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 最後にお尋ねしておきますが、その金は支拂済みになつておるのですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 金は全部内金でありました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 内金はあとは拂つてないのですね。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 これは被疑者の方の一方的供述でありますが、内金だけでありまして、帳簿も何もみな調べましたが、ガラ紡千五百ヤールに対して全部が全部送金完了というぐあいにはなつておりませんでした。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうすると、その内金はどの程度入つておつたかおわかりですか。それを言うてください。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 交通局に対して当時調べたところ二万五千円であります。それから警視廳の方はちよつと不明であります。地檢の方は内金五十万円全部受領済みであります。それから電話局の方は内金四十万円であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それから中澤主任の現住所並びに氏名がおわかりになつていますか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 現住所は横浜市磯子区磯子町だと思いましたが、番地はわかりません。名前は中澤元壽であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それからあなたが花園纖維株式会社に関する事件を引受けて取調べをやつておつた当時の警察署はどこですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 壽警察署であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 壽警察署経済室の巡査部長ですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 ただいまはどこですか。

阿部正榮横浜市巡査

○阿部證人 ただいまは横浜市警察局刑事部経済課捜査係勤務であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 阿部証人についてはこの程度でよろしいですか。——なければこれで終りました。どうもごくろうさまでした。  次に鈴木卓郎君。     —————————————

花村四郎民主自由党

○花村委員長 この際お諮りしたいことがあります。横浜市の問題調査に牽連しまして、明治商会事件の確定記録の提出方を法務廳に要求いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

花村四郎民主自由党

○花村委員長 御異議なしと認め、さようにとりはかろうことにいたします。     —————————————

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでは続けます。御氏名は。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 鈴木卓郎と申します。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 職業は。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 朝日新聞記者であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 本籍地はどこですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 横浜市港北区鐵町一六八九であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 現在所は。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 本籍地に同じであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 速記の関係がありますから、なるべく靜かにお話を願いたいと思います。朝日新聞記者として、どこにいつからいつまでお勤めになつておりますか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 昭和十九年十月一日に入社しまして、同月十日に入隊しまして、昭和二十二年八月に帰社しました。そうしてただちに横浜支局勤務を命ぜられて、昭和二十二年十月から神奈川縣廳記者室に席を置き、同市の神奈川縣警察本部と、横浜地方檢察廳及び横浜地方裁判所の担当記者をして参りました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そういう今日に至つておるわけですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうであります。それから四月末に司法記者会及び縣廳記者会を退会しました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 花園纖維株式会社というのを御承知ですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 知つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 これはどこにありますか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 愛知縣岡崎市にあります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 この会社がガラ紡の横流しで事件を起したことがありますが、御承知ですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 知つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それはどういう関係でお知りになりましたか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 当時檢察廳をまわつておりますときに、富田檢事が壽署員と打合せておるのから知りました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その事件の概要はどういうものですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 壽署が重要物資輸送取締りのときに、違反物資を輸送しておるトラツクをつかまえて摘発して、それを調べたところ、横浜市交通局職組が岡崎市の花園纖維会社からやみ流しを受けておるということであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それだけですか。ほかにまだ関係のあることをお聞きになつておりませんか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 その後、横浜市交通局職組だけでなく同じガラ紡を東京地方檢察廳及び警視廳及び厚生省などへ流しているという事実を知りました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それからその事件が名古屋へ移つたり、あるいは浜松へ移つたり、ぐるぐるまわりをしておつたような話をお聞きですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 それは本年三月八日、事務官らが粛清上申書を出して以後に、書類が捜査されずにうやむやになつて、たらいまわしをされたということを知りましたが、事件があつた当時、私が富田檢事に対して、交通局をガラ紡のやみで調べておるにもかかわらず、同じガラ紡が流れている警視廳と東京地檢はなぜ捜査しないのかと質問したことがありました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 質問した結果はどういう答えでしたか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 それは富田檢事は、市島檢事正及び林次席と協議した結果、東京地檢に堀檢事正を訪ねて帰浜した翌日、また私の質問に対して、この問題は堀檢事正とよく協議してみたが、物價違反は大したものではない。これはボロを回收してボロとリンクすれば違法性は薄くなる、なくなる事件であるからということを私に言いました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それはボロとリンクしたのかどうか、お聞きになりましたか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 それからただちに、当時はリンクに値するだけのボロが回收してなかつたから、その事件のあとになつて、ボロを回收するというふうなことに、堀檢事正と一致したようであります。そして富田檢事の態度が、その捜査に対して消極的でありますので、私と一緒にまわつております朝日の記者である斎藤輝夫君と富田檢事に対して、警視廳や東京地檢の職組が営利の目的のためでなく買つたから捜査しないというのは、変だと言いました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうしたら何と言いましたか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 交通局も営利の目的でやつたのではないから、交通局を調べる以上、公平な捜査をして調べなければならないと言つたあげく、われわれはこの記事で、当局のそういう不公正な檢察をつく意味で事情を聞いていたわけですが、富田檢事は、この事件は新聞に書かないでくれと、記事のさしとめを私に依頼しました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでボロのリンクをするというような話だけで、実際に扱わなかつたという話も聞きませんか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 ボロを回收するような回状が職員にまわつたということは聞きましたが、実際問題として回收されたということは聞いておりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それからその記録が最後に紛失したという話を聞いたことがありますか。その記録がなくなつてしまつたという……。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 去年の夏に、そういう富田檢事との関係がありまして、私は富田檢事に書くとも書かないとも返答をせずに、すぐに記事を書いて送りましたところ、夕方締切り間近であつたために出ませんでしたが、その後注意して見ておりましたら、別に処分が決定したことを聞かず、常に疑惑を持つておりましたところ、本年になつて粛正問題が表面化してから、その事情を知りました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 あなたの新聞記者としてこの事件に対する、何と申しますか、感想はどうお考えになつておりますか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 私は一昨年の十月から横浜地檢の檢事、事務官、雇などと深くつき合うに從つて、横浜地檢には一つの非常に不明朗な空氣があるということを知つておりましたし、その一環として非常によくない問題があり、こういう問題はやがていつか表面化されるであろうし、また表面化されなければならないと思いました。そして檢察の威信と檢事の道義という問題から、新聞も何かの機会にこの問題を表面化し、粛正に協力しなければならないと思い、そのことから重大な関心を寄せて参りました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでこの事件について、あなたは記事を新聞に載せられましたか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 記事を書いて、横浜支局から東京本社に送稿しましたところ、締切りまぎわで、記事は新聞には出ませんでした。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 ほかに何か尋ねることがありますか。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 横浜地檢の取扱つた事件に、明治商会の経済違反事件がありましたね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はい。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 この事件につきまして、この明治商会の社長は何といいましたかね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 明治商会の事件につきましては、私は直接岩山社長に会つて……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それは岩山明政といいましたね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そこで私が聞くことをお答え願いたいと思います。それからあなたの新聞人としてのあれがありましようから、どうもそこのところは言いにくいという点は、お断りになつてさしつかえありません。ただなるべくならば協力して、明らかなことをおつしやつていただきたい。ただどうもぐあいが悪いということはおつしやらぬでもけつこうです。  そこでその岩山明政が、明治商会の違反事件を何とかもみ消すか、あるいは寛大に取扱つてもらいたいために、十万五千円の金を鈴木茂雄という人間に渡したということを聞いておりますか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 聞いております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それはどうしてお知りですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 岩山氏が明治商会のやみ事件を壽署によつて取上げられた一昨年の夏、南区中島町二丁目二十七番地元防犯新聞記者鈴木茂雄氏が岩山氏のところへ來て、後藤つぎさんを通じて、事件を適当にはかつてやると、話を同氏に持ち込んで來ました。同氏は運動費として十万五千円を鈴木氏に渡しました。その後事件の処理が進む間に、鈴木氏から先日受取つた十万五千円の金は、一切私が個人的に借用したものと言つてもらいたいという申出があり……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 ちよつと待つてください。私が聞くことを断片的にお答えしていただきたい。  そこで十万五千円の金を、防犯記者の鈴木茂雄なるものに岩山明政が渡したということを岩山からお聞きになつたか、あるいは鈴木茂雄からお聞きになつたか、あるいは檢察廳からあなたの耳に入つたかでありますが、しかしそれはあなたが言うことがまずいならば、おつしやらぬでもいいけれども、そこをお尋ねしているのだ。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 この事件について、非常に好意をもつて教えてくれた方に迷惑をかけたらいけませんから……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、この事件について、事情に精通しているある人があなたに教えてくれたのですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そこで十万五千円の金が岩山の手から鈴木茂雄の手に渡つているということを、あなたは承知したわけですね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それについて、鈴木茂雄それ自身にあなたは確かめたことはないですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 私は確かめません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたは確かめない。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はい。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 鈴木から話されたこともありませんか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 聞きません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 岩山に確かめたことはありませんか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 ありません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それからこの事件が明らかにせられて、問題になりそうになつたときに、鈴木茂雄が岩山に対して手紙を出したということを知つておりますか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 知つております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それは鈴木自身からお聞きになりましたか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 直接聞いておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 直接聞いておらぬが、あなたの知つているというのは……。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 私たちはそれを手記と読んでおりますけれども、その手記を見て、要旨を写した人から聞きました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その鈴木茂雄自身が書いた現場を見て、その……。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 書いたときではありませんが、鈴木から岩山に渡つたその手記を読んで、その要旨を写した人から聞いたんです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 鈴木から岩山にその手紙が渡つて、岩山からその要旨を聞いて、それを写した人からあなたはお聞きになつたというのですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それはどういう内容ですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 その前に、事件が非常に進展するにつれて、鈴木茂雄は今言いましたように、これを借入金にしてもらいたいという申出をしまして、そのとき使いの者に、まず二万五千円の借用書を持つて……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それはたれにですか。岩山にですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 鈴木と岩山の間の金銭貸借にしてもらいたいということを、鈴木茂雄が岩山に願いに行つたというわけですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうです。それでその後後藤つぎさんから岩山に問い合せがあつたので、岩山氏は二万五千円の借用書を受領したからと言つたら、そんな金額では困るから、鈴木に注意するからと電話したそうです。その後六万五千円の借用書を、再び鈴木の使いの者が昨年の八月三十一日附で岩山氏のところへ持つて参りました。そして残りの一万五千円に対しても、借用書を出させる旨の約束を鈴木としたそうであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 鈴木とたれとですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 岩山とです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それはどちらから言い出したことですか、鈴木から言い出したことですか。岩山から言い出したことか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 鈴木から言いました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると十万五千円というものを鈴木と岩山の貸借関係で証言をとりかわした、こういうことになるわけですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そういうことになります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そのことは、後藤つぎから鈴木がそういうふうにするように言われたと聞いておりますが、鈴木自身の発案なのですか。あなたの聞いておるところでは……。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 当然後藤つぎがその間に入つて、その金は他人に迷惑がかかるから、借入金にしなければならないと注意したと岩山氏に後藤さんから電話が來たそうです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうですか、しからば鈴木が岩山のところへ借用証書にしてくれと言いに行つたことは、当然後藤つぎのさしがねであるというふうにあなたは了解したわけですね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 後藤つぎだけでなく、やはり借入金にした方がいいと言つたのは、富田檢事と宮崎檢事とがあります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それはだれにそういうことを言つたのですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 鈴木自身に……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そういうことをあなたは聞いておるわけですね。それを直接鈴木から聞いたのですか。岩山から聞いたか。または第三者から聞いたのですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 岩山が話した人に聞きました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 岩山がある人に話をした。その話した人からあなたが聞いた、こういうわけですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると借用証書に直した方がいいということは、富田檢事、宮崎檢事及び後藤つぎが、鈴木茂雄にそうした方がいいと勧めたというようにあなたは聞いておるわけですね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうです。そして私に話した人が写した鈴木手記の要旨には、こういうふうに書いておるのです。後藤さん宅で宮崎檢事から、人に迷惑がかかるから、全部君個人の借入金にしなさいと、鈴木は後藤さんの家で宮崎檢事に言われた。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そういうことがいわゆる鈴木手記なるものに書いてあるのですね。それは手紙じやないですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 私はその紙を直接見たことがありませんから……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 鈴木手記ということを言つておられるが、それがさつき言つた鈴木から岩山にやつた手紙というわけじやないですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうだと思う。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それにはそういうことが書いてあるのだね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 それでさらに、私はそのときにそれぞれの立場の人に相当のことをしたのに、一度問題になりかけると私だけが悪者にされてしまうことになつた。これは残念だが多くの人に迷惑をかけないために、私一人で背負うというような趣旨のものであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 まだほかにありませんか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 その後昨年の十一月、富田檢事が岩山と鈴木を呼び、二人の貸借関係にしてしまつた方があなた方のためだと言つたので、岩山は富田の言う通りにしたそうであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それはその手記に書いてあることではないのかね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 手記に書いてあるわけではありません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そういう事実があるというわけだね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それはだれから聞いたんですか。聞いたのか、見たのか、どういう動機であなたにわかつたんですか。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それは今言つたように非常に本人に親切にしている人から聞いたけれども、その人の名前は今ちよつと言えない、こう言うのです。しかし、その人が岩山から直接に見たり聞いたりしたと、こう言うのです。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 それで今の手記なるものをうちの社では手に入れようといたしまして、ずいぶん努力したのでありますが、あと一日待てば手に入るというときに、その後香取檢事にその手記は押收されたということを聞いております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 すると、その手記なるものは何通あるか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 三通あると聞いています。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その三通の手記なるものは、現在香取檢事が押收していると聞いておるんだね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 聞いております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その手記の中に、もし自分だけを起訴するようなことがあるならば、みな暴露してやるというようなことが書いてないのですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 その手記に書いてあるということは知りませんが、鈴木がそういうことを言つていたということを横浜地檢の内部の者から聞いております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 鈴木がそういうことを言つておつたということを、内部の人からあなたが聞いた。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はい。それでそのときに、この問題が表面化してから、鈴木は香取檢事の補助をしている吉積檢事から、横浜地檢に召喚されて調べられたことがありました。そのときに、鈴木がある人にこういうことを言つたそうであります。けさ家を出るときに、今夜からもう帰らないつもりで——つまり逮捕されるという意味ですが、帰らないつもりで妻と水盃をして別れて來た、ところが私は逮捕されなかつたと言つたそうであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 吉積檢事が取調べた内容について、あなたは知りませんか。聞いたことはありません。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 聞いたことはあります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 どういうふうに。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 つまり私が吉積檢事に質問した点は、十万五千円の金がどのようになつているかということを聞いたわけですが、当時鈴木氏の家庭にいろいろな事情があつて、お金がいることであり、個人的に使用したと思われるけれども、それはもちろんその一部分であろう。それから先ほど言つた後藤つぎさんの経営している中区吉野町の待合つたのやというところのつけが四千八百円、そのうちから支拂つているということを聞きました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、十一万五千円は鈴木自身も使つたけれども、そればかりではないと言うのですね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はい。それから警察官にタバコを持つて行つた程度である。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 すると、ほかの金はどうしたというようにつつ込みませんでしたか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 つつ込みました。すると、事件が古いからわからないと言いました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 横浜のつたのやというのは、後藤つぎという女の人が経営しているんですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 名義は妹さんになつております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 名義は妹の名前になつているが、実権は後藤つぎが持つているんですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はい。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そこに鈴木茂雄が明治商会の社長の岩山を連れて行つたところが、富田檢事その他の檢事がそこで一ぱいやつておつたというようなことを聞いたことはありませんか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 聞いたことはありますけれども、その確証を持つておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それも岩山から直接聞いたのではないですね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 直接聞いておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたは、鈴木茂雄を峻烈に取調べて、これはいろいろの意味において犯罪になると思うが、それをなぜ処罰しないのかということについて、吉積檢事と激論したというようなことを言う者がありますが、ほんとうですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 あります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 どういうことで激論されたのですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 もしも十万五千円を後藤つぎさんを通じてもみ消しするための運動費と言つてとつておきながら、後藤つぎさんに行つてないとすれば、これは詐欺であるとか横領であるとか、そういう問題が起きる、あるいは贈賄幇助というようなものが構成されるのではないかと言いました。そして岩山は、鈴木がもし入れられるならば、鈴木は全部しやべつてしまうということをある人に言つたそうだけれども、そういうことがこわいから、吉積檢事は逮捕しないのかと聞いたことがあります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうしたら吉積はどう言うのですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そういうような容疑はいろいろあるけれども、まだ証拠がないし、鈴木は非常に家庭が氣の毒な点もあり、もしも鈴木の身柄を逮捕したとすれば、朝日新聞で鈴木の家庭の責任を持つかということを私に言われました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、鈴木をやらぬのは家庭が非常に氣の毒な状態であるということと、まだ証拠がはつきりしておらぬということで逮捕できない、こういう吉積檢事の意見なんですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうでう。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 よろしゆうございます。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 田嶋好文君。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 花園纖維関係でお尋ねいたしたいのですが、これはあなたは新聞記者として御存じでしようが、私が先般本会議でこの事件の名古屋から岡崎、岡崎から横浜に再移送した点につきまして報告しておりますが、これは御存じですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 知つております。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 私と言つても、私は田嶋好文と言いますが、私の本会議の報告を御存じになつておるといたしますと、結局名古屋から岡崎へ、岡崎から横浜に再移送され、しかもその再移送されるときに、岡崎で事件を、花園纖維株式会社の社長並びに業務主任を取調べ中、突然東京高檢から無電の連絡がありました。これは名古屋の地檢に連絡がありました。この名古屋地檢に対する無電の連絡によつて、岡崎から横浜に再移送された。こうした関係についてあなたはどこからかお聞きになり、またお取調べになつたことはございませんか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 横浜地檢からその書類が紛失したというふうなことは、粛正問題が表面化してから聞いておりました。しかしそれが名古屋に行つて、名古屋から岡崎に行つて、そうして高檢の無電によつて横浜にまた舞いもどつておるということは、神奈川新聞にその記事が出るまで知りませんでした。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 知らなかつたですか。神奈川新聞に記事が出て初めて知つたのですね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうです。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 そうすると、花園纖維事件は富田檢事だけが全部やつておつたようでしたか。それとも富田檢事の下の事務官もこれに関與しておつたようですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 富田檢事が調書をとるときに、一緒に調書をとつておつた事務官がいたということを聞いております。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 調書をとるときに一緒に事務官がいたことは知つておる……。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はい。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 富田檢事と一緒に調書をとつたことは知つておる、その他は知らない……。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 それから富田檢事が村山経済部長の指揮を仰いで仕事をやつておつたということは知つております。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 現在の横浜の市島檢事正、この人は横浜へ來るまでは名古屋の檢事正だつた、こういう事実を知つていますか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 知つています。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 この花園纖維株式会社の事件は、経済部長に富田檢事が連絡をとりつつ事件を調べておつたということになりますと、市島檢事正まではどうでしようか、そこまでは御存じないでしようね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 もしも檢察官の当然な捜査の方法として、富田檢事が東京地檢堀檢事正に上京して相談して來る限り、当然上司の許可を得た上でのことと推察いたします。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 檢事の職責の上からいつて、当然市島檢事正とも連絡があつたものだと思いますか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はい。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 そこで市島檢事正が前に名古屋の檢事正であつたというところから、これは臆測になるから答えていただかなくてもよろしいし、答えられれば答えていただいてけつこうですが、堀檢事正と相談して——堀檢事正というのは前の横浜の檢事正ですね、市島檢事正は前に名古屋の檢事正、そういうことで連絡があるので、この事件がしかも東京地方檢察廳も関係がある、職員組合ですか、関係があるというようなことから、名古屋に移送されたというふうな風評、それから廳内の空氣というものはあなたとして感じませんでしたか。それは答えられなければ答えぬでもよろしい、臆測になりますから……。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 責任あるお答えはできません。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 できないですか。風評はなかつたですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そういうこともいろいろ予想しておりましたけれども、全然その事実らしいものは見ませんでした。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 あなたとしては予想してみたが、事実らしいものはなかつた、こういうことですね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はい。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 よろしゆうございます。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 ほかにありませんか。——梨木作次郎君。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 いわゆる木船事件というものは、横浜地檢内で起りまして、横浜地檢内部における綱紀弛緩問題が表面化したわけでありますが、その事件が表面化したことを契機といたしまして、横浜地檢内に粛正派とそれから反粛正派と申しますか、つまり地檢内のそういう不正、腐敗を徹底的に清掃しなければならないということを主張する檢事並びに檢察事務官、それからそれに反対する一派、こういうものが非常に鋭く対立しておつたというようなことを、あなたは新聞記者として関知されなかつたですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 十分知つております。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 それを少し具体的に話してください。要約して最もひどいと思うようなことですね。つまり粛正派と反粛正派の首領株といいますか、そういうものの名前と、それからそういう対立があるために、事務がどういうぐあいに澁滯したかという事実ですね、そういうような点を中心に話していただきたい。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 横浜地檢には地檢内部の檢事あるいは事務官に、檢察廳がこんなことではいけないという声は前から聞いておりましたが、それがいわゆる粛正派という一つのグループとなつて現われたのは、橋本檢事が主任となり、橋本檢事及び岡本檢事をめぐる一つのグループが兵器処理事件を調べておりました。大体そのグループというのは、兵器処理事件のグループが粛正派のグループになつておるように私たちは見ております。そして横浜地檢のそのような空氣の底流というものは、先ほど問題になりました大体後藤つぎさんというものを一つの点として二つにわかれているように私どもは感じておりました。ですから、その橋本檢事らの一派が、いわゆる木船事件をめぐつて、もつと部内に粛正されなければならない者がおるのではいか。徹底的に捜査してもらいたいと言つて檢事正に申し出たところ、檢事正は消極的な返答をしたということを聞いております。そして係檢事を突然橋本檢事から香取檢事にかえたということも知つております。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 そうすると、あなた方の観察では、香取檢事というのは、つまり反粛正派になるわけですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 橋本檢事らに対抗しておる意味においては反粛正派であります。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 檢事正はどうなりますか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 今のような粛正派と反粛正派とわけると、檢事正も香取檢事も反粛正派のような形になりますけれども、私は個人的に見て、市島檢事正と香取檢事は、横浜地檢においても非常に嚴正な、良心的な檢事だと前から思つておりました。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 次席檢事はどうですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 林次席も、市島檢事正も、横浜地檢の粛正という意味で來たのですから、やはりそう間違いは起さないものと思つております。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 そうすると、橋本檢事や岡本檢事に最も正面対立して、そういうような徹底的な粛正をする必要はないのだ、そうして実は何か不正腐敗の問題に非熱に色濃く結びついておる、そういう反粛正派の巨頭というのはどういうメンバーになるわけですか。わかりませんか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はつきりしたことは言えません。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 こういう対立があるために、橋本檢事らが、これは徹底的にやらなければならないということを檢事正に上申した。ところが、檢事が香取檢事にとりかえられたということで、檢察事務官などの間におきましては、木船事務官の手記に現われて來ておるところの不正をやつたという人たちが、これを徹底的にやるのならば、全部あばいてやるということで、この橋本檢事なんかを脅迫したというような事実、それからあの木船手記が現われたために、横浜地檢内の檢事や檢察事務官はほとんど仕事に手がつかなかつたというようなことが起きたように聞いておるのでありますが、そういう事実はあつたでしようか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 上申書が提出されてから、特に檢事正、次席、香取檢事らは、いわゆるこの手記に盛られた明治商会事件や、日本タイヤー事件、あるいは花園纖維の調べのために、ほとんどそれ以外の仕事はしていなかつたということは見られました。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 私の伺いたいのは、橋本檢事が徹底的にこの捜査を進めて行けば、いつ自分たちに火がついて來るかわからないというようなおそれのために、仕事に手がつかなかつたというようなことはありませんでしたか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 自分たちに火がつくということよりは、横浜地檢内の汚職事件が拡大することをおそれたということは考えられます。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 先ほどのお話の中に、後藤つぎを中心にして粛正派と反粛正派が対立しておるように思われたというふうに受けとれましたが、粛正派は後藤つぎのところにあまり出入りしない、反粛正派というのは後藤つぎのところに出入りしておつたというようなことで色わけできるのですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 大ざつぱに言えば、そう言うことができます。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 後藤つぎというのは、横浜地檢管轄内では警察ばあさんで通つておるというように聞いておりますが、そうですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうです。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 明治商会事件についてちよつとお尋ねします。明治商会事件は、略式請求で起訴されておるということは御存じですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はい。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 起訴されました日時は御承知でございますか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 わかりません。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 昭和二十三年の末ということも御存じありませんか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 昨年の暮れだということは知つています。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 ところでこの明治商会事件に関連いたしました今の鈴木事件というものが表面化して來て問題になつたのは、いつごろですか。つまりあなたがある人から鈴木手記のことについて聞いたり、それから富田、宮崎両檢事が鈴木に対して、先ほどあなたが証言されたような事実があつたというふうなことをあなたがお聞きになつたのはいつごろですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 本年の三月中旬であります。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 そうすると、この明治商会事件が起訴された後にお聞きになつたのですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうです。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 その前にこの鈴木事件というものは、かなりそういう問題があるというようなことが問題になつていなかつたのですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 ちよつと聞きました。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 起訴前にですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はい。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 どういうふうに……。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 鈴木という新聞記者が檢察廳に関係して、よくないことをしているということを聞きました。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 それは別に明治商会事件に関係があるかどうかわからないのですね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 何の事件かわかりません。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 私がある方面から聞いておるところによりますと、明治商会事件が昨年末に略式請求によつて起訴された当時において、すでに鈴木事件というものが、かなりある一定の範囲において、相当知られておつたというようなことも聞くのですが、どうでしようか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 あとになると思い当るような節がたくさんあります。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 こういつた明治商会事件というものは、今の鈴木事件などを伴つておつて、今から考えれば相当曰くつきの事件である。こういうことになるわけですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はい。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 そういう事件を略式で起訴したというふうなことについて、何かいろいろな批評とか、あるいはあなたが新聞記者としてお考えになつておるところとか、そういうふうなものはございませんか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 明治商会が関係した取引の業者というのは、横浜、東京に数名おつたと聞いておりますけれども、岩山氏以外の者は、岩山氏よりもはるかに前に処分されておるということを聞きました。それで岩山氏に関する処分だけが非常に遅れていたということだけはわかりました。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 略式で扱われたということについては、別にあなた方は何もふしぎにも思いませんでしたか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 やみの超過額が百万円ということを聞いておりますが、それに対して個人及び法人合せて十八万円の罰金であるということに対して、われわれは不明朗なものを感じた。われわれというとどの範囲ですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 新聞記者……。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 新聞記者團ですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はあ。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 それから話はもとに帰りますが、富田並びに宮崎というような檢事が、鈴木に対して借用名義にした方がよいというような工作をしたといいますが、そういう工作をしたり、それから今新聞記者團で、そういうふうに感じられるような略式取扱いが不明朗だというような事柄は、どういうわけでそういうことがなされたのか。そういう点については何かお氣づきの点はありませんか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 いろいろ予想したり、うわさは聞きますが、確かなことはわかりません。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 次は花園事件になりまして、富田檢事が東京地檢の堀檢事正に会つて、帰浜の日にこの問題は……。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 翌日です。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 翌日にこの問題は、物價違反は大したことはない。それから配給違反の点はボロをリンクすれば問題はないというふうにあなたに言われましたというが……。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 聞きました。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 ボロとリンクすれば問題ないということはどういうことですか、つまり事後にでもそういうふうにすれば、寛大な取扱いができるというのですか。それともどうなんですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 ボロとガラ紡とリンクしたということになれば、無切符でも違法でなくなるということを聞きました。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 その点ですが、したということになれば……。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 事件が表面化したから、追つてボロを回收しておるということは、処分としては不当であると私は当時思いました。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 そこで今の富田檢事の言われた言語の意味ですね。リンクすれば問題はないというのは、リンクすることになつておれば問題はないというのですか。檢事局の方でリンクさせれば大した問題でないということになるのですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 その点ははつきりわかりません。

大西正男民主党(第十控室)

○大西(正)委員 それに関連しまして、あなたが先ほどボロを回收する回状が職員にまわつたということを聞かれたと申されましたが、これはもちろん富田檢事が東京から帰つて、その後に回状がまわつたのですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうだと記憶しております。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 先ほど梨木委員の質問に対しまして、証人は木船手記が出い以來、横浜の檢察廳が事件の拡大を恐れた。こうお答えしましたね。これはどういう意味ですが。恐れたというのは、幹部が責任上あまり事件を拡大したくないなあ。拡大しなければいいがなあという一つの責任感から生れた親心なのか、それとも事件を拡大させないように、何とか済ませたいというのか、どちらですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 幹部に直接きずがつくということではなくても、自分の部下が一人でも余計きずつくということは、上官として非常にたえられないものであるから、なるべく人情としても小さくとどめたいというような問題だと私は思つております。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 結局何とかしてこの事件が大きくならなければいいがなあという氣持というわけですね。あなたの答えはそう聞いてよいのですね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はい。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 新聞記者としてあなたは、横浜地檢をどう見られておりますか。簡單におつしやつてください。横浜地檢の問題が続々起つて來ることを、どうあなたは見られるか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 私は数年前から大体横浜地檢の一般的な不明朗な空氣ということを知つておりました。しかもこの問題は、横浜市内では前から公然の祕密化され、普通の話題になつておりまして、このような問題は、非常に社会の不正を取締るべき檢察廳としてはよくないと思い、徹底的に粛正さるべきだと思いました。そして私たちも無数のいろいろなうわさを聞きますけれども、捜査権はないし、うわさだけで、あるところまで行つてしまうと証拠があがらないので、表面化する自信はありませんでしたが、今度内部からそういう火の手が上つたということに対しては、非常に喜んでこれに協力しました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 横浜に住太楼というお菓子屋がありますね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 あります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これが何かやみ事件で搜査、押收せられましたね。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はい。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 菓子を何でも百万円も押收したというような新聞記事が出ておりましたね。この事件が始まると、いわゆる警察ばあさん、後藤つぎがたいへん活躍したということを、あなたは聞いておりませんか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 聞いております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 どういうふうなことですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 住太楼の奧さんと身内の者が二人で後藤つぎさんの家を尋ねて、適当に頼むからとお願いに上つたそうです。その後藤さんの家へ頼みに行つた二人は、富田檢事と合つたそうであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 後藤さんの家で……。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はい。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 頼みに行つたところが富田檢事とはち合せした……。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 はい。それで後藤さんが富田檢事を同じ間に呼んで、よろしく頼むと、富田檢事によく言つたので、頼みに行つた二人は非常に安心して、後藤というのはそんなに偉い人かと思つて帰つて來たということを、ある人に言つたそうであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 ある人に言つた。あなたはその人から聞いたのですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 そうです。そのときに頼みに行つた人は二回行つたそうです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 二回とも富田に合つたのですか、一回だけですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 一回だけ。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 いま一つ、これはあなたが聞いたかどうかわからぬが、花園纎維に関する記録を名古屋の方へ送ろうじやないかという相談を、富田檢事ともう一人の檢事がしておつたというようなことを、聞いたことはありませんか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 人から聞いたことはありますけれども、自信がありません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 人からどういうように聞いたのですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 その二人が密談しておるのを……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 富田ともう一人はだれですか。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 村山。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 この二人が密談しておるのを……。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 二人で名古屋へ送つてしまおうと話しておるのを聞いたという人から……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたが聞いた……。

鈴木卓郎朝日新聞社記者

○鈴木證人 その人から直接聞いたわけでありませんが、その間に一人入つております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 わかりました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それではこれで済みました。ごくろうさまでした。  小澤道美君を呼んで下さい——小澤道美さんですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 職業は。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 公務員。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 どういう公務員ですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 横浜地方檢察廳檢察事務官であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 本籍地は。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 茨城縣稻敷郡舟島村掛馬一六一六番地です。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 現住所はどこですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 横浜市磯子区杉田町二一九七番地。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 速記の関係もありますので、なるべく靜かにおつしやつていただきたいことと、それから時間の関係もありますから、なるべく簡潔に申し述べるようにお願いいたします。  横浜地檢の事務官として、いつからいつまで勤務されましたか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 昭和二十二年五月から現在まで。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 どういう仕事をやつておられますか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 ただいま経済部の檢察事務をやつております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 取調べ等もおやりになるのですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 取調べ專門です。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 木船敏沖という人を知つていますか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 知つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その人に対する事件が起きたようですね。その事件は概略どういう内容のものですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 その事件の内容については、私はよく知りません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その搜査をしている主任檢事はだれですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 横浜地方檢察廳の橋本地方檢事です。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 この木船というのが獄中手記を出したということを聞いておりますか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それはどういう内容のものか、お知りですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 具体的にはわかつておりません。ただし新聞あるいは廳内のうわさで聞くところによると、十八名の事務官の非行を連ねたものであるということを聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうしてその手記に基いて、橋本檢事が搜査をしたということを御承知ですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 知つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その搜査はどういう成行きになつておりましたか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 その点はちよつと詳しく申し上げると、昭和二十四年の二月十一日に、橋本地方檢事が木船君を身柄勾留のままで、恐喝收賄罪で起訴されました。その際に、あるいは一日置いての十二日かとも思いますが、市島檢事正並びに林次席檢事が橋本檢事に対し、木船手記に基いて相当の容疑事実が出ているから、私たちは職を賭しても廳内の粛正を断行する。搜査は徹底的に遂行せよと指示されたと、私は橋本檢事から聞いております。それから二月十四、五日ごろになつて、横浜地方檢察廳の部内に、木船敏沖が、取調べに当つた橋本檢事に対して、ほかにも非行をやつておる事務官があるということを漏らしたといううわさが廳内に傳わりまして、廳内に相当人心の動搖がありました。その間に橋本檢事は檢事正の指示に基いて、着々と搜査を進められたようです。聞くところによると、二月中旬以降はしばしば檢事正に対し、搜査の経過を報告されるとともに、東京高等檢察廳の檢事の派遣を求めた上で、搜査を強力に遂行したいという意見を具申されました。それにもかかわらず、三月八日にいたるまで、檢事正からは何の指示もなかつたと私は橋本檢事から聞いております。なおその当時の廳内情勢を申し上げると、同年の二月の末ごろ、橋本檢事のしつぽをつかんだ——これは檢察廳内でしつぽをつかんだとか、あるいはしりを洗うということがよく言われておりますが、暗に同檢事を恫喝するような態度に出た事務官もおつたということを、橋本檢事から聞いております。また橋本檢事に対して、某地檢の次席檢事に轉出するようにという勧めが、どこからか幹部の方の話があつたというふうに聞いております。大体三月八日まではこのような事情であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでその始まりは、橋本檢事が主任檢事で搜査を始めたが、その後に香取檢事にかわつたということを御承知ですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そのかわつたのはどういう理由か、御承知ですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 私も納得の行くはつきりした理由は、今もつてどこからも聞いておりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それからその木船の獄中手記によつて生じた事件は、香取檢事の手に移つて、その後搜査が中止されたというような話を聞きませんか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 搜査が中止されたという話は聞いておりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 搜査はどうなつておりますか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 これは私の推定ですが、東京の高等檢察廳は、四月の、日ははつきりしませんけれども、四月の初旬に、とにかく濱田ほかもう一名の檢事が來られまして搜査に当られるまで、続行していたと聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その結果を得たことは御承知ありませんか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 木船手記の十八名に対する搜査の結果は、三月二十八日だと思いますけれども、檢事正の声明書として出ております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それはどういうものですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 それは結局五名の事務官について容疑事実があつたという点が核心でした。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それからあなたはその問題の捜査並びに取調べ等に関係したことはありませんか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 ありません。ただし私たちは橋本檢事に対して、いろいろ情報の收集あるいは記録を頼まれて、探して手渡したことはあります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 花園纖維株式会社のガラ紡横流し事件というのを御承知ですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 知つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その係り檢察官はだれですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 富田檢事だと思います。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうしてそれは捜査を進められてどういう結論を得たか、御承知ですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 それはわかりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 日本タイヤー株式会社に対する違反事件を御承知ですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 知つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その主任檢察官はだれですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 この主任檢察官ははつきりわかりませんけれども、経済部の丸物檢事だと思いますけれども、今のところはつきりいたしません。丸物檢事だとどこかで聞きました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 この事件の取調べの進行状態並びにその結果がどうなつたかというようなことは知りませんか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 それは聞いております。それは去年の四月初めごろだと思いますけれども、横浜の、警察署は加賀町だと思います。それから配炭公團の石炭の物交事件で手を着けたときに、たまたま配團公團の石炭と、それから日本タイヤーのチユーブですか、これが物交されているということが事件の端緒になつたらしいのです。加賀町署で日本タイヤーをすぐ調べたあげく、これは事件が大きくなるからということで、横浜の警察局の本部へ事件を移牒した。ところが市の警察本部が、しばらくしてまたその事件を一件記録とともに返して來たということを聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そしてその結果はどうなつたかわかりませんか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 結果は未済のままで起訴されておりません。横浜地檢に送檢されて來て、未済のままになつております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうすると、記録は残つておるわけでありますか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 残つておるはずです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それからさらに明治商会に対する事件というのを承知しておりますか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 承知しております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 主任檢察官はだれですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 富田檢事です。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 この事件の内容、取調べの経過及び結果はどうなつておりますか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 この事件は、多分明治商会というのは、油の配給店か何かだつたと記憶いたしますが、結局物價統制令違反で、四十万円の超過價格で品物を買い取つて、さらに大体同じ品物を五十万円の超過價格でほかにやみ流ししたという事件だと記憶しております。取調べの結果は、警察としては賣り買い合計九十万円で、意見書を書いて送檢して來ておりますけれども、起訴したときには、明治商会が買つた四十万円は何ら起訴しないで、明治商会が賣つた五十万円だけで起訴しております。しかもいろいろな点から考えますと、あるいは低いんじやないかと思われる十八万円の略式命令を請求されております。請求の年月日は昨年の十二月の二十日ごろだつたと思つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それからその事件の結果はどうなりました。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 結局はよくわかりませんが、裁判所かどつかで聞いたのですが、多分裁判所と記憶しておりますが、その略式命令を公判に移すとかいう話を聞いたことがあります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そこで今申された事件に、あなたは直接に取調べ等に関係をしたことがありますか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 ありません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 何かお尋ねになることがありますか。——猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 日本タイヤーの事件ですが、これは配炭公團の石炭とタイヤーのチユーブと物交したのだから、共犯になりますね。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 そうです。共犯だろうと思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そのうちの配炭公團はどう処分されましたか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 配炭公團は、日はわかりませんけれども起訴されました。公判請求で、目下第一審の公判に係属中だと思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 しかるに片一方の共犯者である日本タイヤーは未処理ですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 未処理です。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これはあなたは変に思いませんか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 一應この点については疑問を持ちますけれども、その裏にどういう事情があるかはわかりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これは加賀町警察で捜査した事件ですね。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 そうです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 加賀町警察の経済主任は何といいますか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 平林昇警部補です。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その平林昇の下でやはり働いておる榊という巡査は知りませんか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 知つております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 榊何という……。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 名前は知りません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その巡査から日本タイヤーの事件の捜査については、はなはだ疑問のある捜査ぶりであることについて、あなたは何か聞いたことがありますか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 聞いております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 どういうことを聞いておりますか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 それはまず捜査を一時着手して、それを中途で打切つて、また五月中ごろにもう一度この事件を立てて、しかもこの事件を立てたいきさつが——戸塚署の管内に日本タイヤーはあつたのですが、戸塚署の係の植木という巡査がこういうことを言つておるのです。要するに蓼沼というのは加賀町署の係ですが、その経済係がまた日本タイヤーに來た。これは加賀町署がこの四月に日本タイヤーへ行つておりますから、また來たという意味だろうと思いますけれども、それで何かほしくて來たのではないかということを言つております。そこで榊君はこれを聞きまして、加賀町署へ帰りまして、戸塚署の者が加賀町の経済についてうわさを立てておるということを、蓼沼巡査に話をしましたところ、ただちにその話が平林に通じまして、今まで何にも話のなかつた日本タイヤーを再度押收捜索する。そうして十一月に送檢することになつたと聞いております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうするとこの事件について、日本タイヤーの本社は二回捜査に行つたわけですね。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 そう思いますけれども……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたはそういうように聞いておるのでしよう。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 それがはたして令状を持つて行つたかどうかということについては知りませんけれども、多分二回行つたのではないかと思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その間がどのくらい隔つておつたか聞いておりませんか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 大体五箇月くらい間があるのではないかと思いますけれども……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そこで最初捜査に行つたけれども、それはうやむやにしてしまつて、平林経済主任の机の奧に書類をつつ込んでしまつて、そのままほうつておつた。ところが相当何か警察署内からもおかしいという輿論が出て來た。そこでまた第二回の捜査をしたというふうにわれわれは聞いておるのだが、あなたはそういうことを聞いておりませんか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 その点ははつきり榊君に聞いてみたのです。机のひきだしに入れたということは、ほかの事件と思い違いではないかということも言つておりました。ただ榊巡査が蓼沼に注意をいたしましてから、事件をもう一度起した、これは間違いないと言つておりました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それは未処理になつておるわけですね。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 そうです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 この日本タイヤーから木船その他の事務官がタイヤーだとか、チユーブだとかをもらつたという事実はありませんか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 それはうわさでも聞いておりますし、新聞でも知つております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 木船は今度処罰された、その犯罪事実の一つになつておりますか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 その中に入つていないと思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうするとこれは日本タイヤから、タイヤですかチユーブですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 タイヤもチユーブも両方じやないかと思います。はつきり記憶しておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 木船だけですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 木船、それから龜井、濱田、あと二人くらいおつたかもしれませんけれども、はつきり覚えておりません。多分檢事正の声明にあつた、四名か五名だつたと思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それを彼らは鈴文と称する自轉車屋に賣りつけたのですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 鈴作です。鈴木作次郎という小田原の自轉車屋に持つて行つたということは聞いております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それでこの主任檢事は丸物ですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 丸物檢事だと思いますけれども。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それを補佐した事務官はだれですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 その点はわかりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それから明治商会の事件であるが、五十万円ばかりのやみ事件について十八万円の略式命令を出したということは、あなたが取扱つておるような事件に比較して、はなはだ軽い求刑であると思いませんか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると大体求刑についての標準が示されておると思うのであるが、それはどういうことになつておるのでしようか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 昨年の八月ごろと思いますが、最高檢察廳から訓令が出ております。それは当時までは全國の罰金刑についての求刑が非常にまちまちであつた。というのは利益額を標準にしてその何倍という罰金を課するか、あるいは統制額と販賣額の間の超過額を基準として、その何倍で行くかということについて、檢察廳の態度がまちまちであつた。一般論としては、大体超過額の方が開きが多いものですから、超過額の何倍という方が罰金としては重いわけであります。それで経済取締りを強化するために、八月か九月の最高檢察廳の訓令で、全國一律に大体超過額の最高三倍と聞いておりましたが、三倍までを課することになりました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、この事件は百五十万円ぐらいの求刑をするのが至当なわけでありますか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 そういうことになります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると十八万円というのは非常に軽かつたというようなことは、廳内のあなた方の間にもそういううわさは出ておりませんでしたか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 出ております。これについて申し上げたいことは、檢事正が橋本檢事に対して、この点は富田檢事の失敗だつた、富田檢事が傷つかなければよいがということを申されたそうであります。それからもう一つは四月の中ごろ、あるいは末だつたかもしれませんが、高等檢察廳の濱田檢事が來られまして、橋本檢事を呼ばれたとき、いろいろ話の末に、宮本檢事が十八万円の罰金は正当である。——あるいは不当でないということかもわかりませんが、とにかくそういう意味で正当であるという意味のことを新聞に発表されたのであります。橋本檢事がこれについてつつ込まれたときに、最初は宮本檢事は妥当だという意見を持つておられたのですが、最後に橋本檢事がいろいろな資料でつつ込まれたところ、何も返事をされなくなつてしまつたということを聞いております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 話がかわりますが、木船手記から香取檢事が檢察事務官の取調べをやつて、五人の容疑があるということを、これは長官も発表したわけですが、この五人はどういうふうに処分されましたか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 今もつて処分の結果はわかりません。行政の上処分も、刑事上の処分も私たちは聞いておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 登廳して執務しておりますか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 執務しております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 この事務官の中で、われわれを起訴するようなことをするならば、長官以下の上の方の連中についても、みな暴露してやるぞということを脅迫的に言つておる者があるということを、あなたは聞いたことがありますか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 そのような意味のことを聞いたことがあります。私が聞いたところでは、望月事務官が紺野檢事に対して、全檢事、事務官に変なところがあるから、それをはつきりさせるということを言つたことがあります。私たちが三月八日上申書を提出して以後は、私たちの署名者の一人である出川事務官に対して、粛正派もみな同じことをやつておるなら、粛正派の資料を洗う、こういうことを言つたことがあります。また毎日の渡邊記者に対して望月君は、長官はおれをひつぱれないよと言明したことがあります。それからその表の事実として、市島檢事正は橋本檢事に対して、望月はひつぱれない、あれをひつぱると何をしでかすかわからない。軍政部へでも飛び込まれたらたいへんだということを言明いたしております。これは橋本檢事から聞きました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 今あなたがおつしやつた上申書ですね。これを法務廳の方へ持つて來られたその動機理由はどういうところにありますか。それを簡單に……。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 とにかく二重捜査であつたことは間違いでない。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 二重捜査というのはどういうことを言うのですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 二重捜査は、橋本檢事が捜査をしておられるにかかわらず、香取檢事が三月初めごろから、橋本檢事に何の了解もなく、木船手記において示された容疑者と目される者の取調べに当つておる。それについては橋本檢事は、三月八日まで何も知らなかつたというのです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それについて皆樣が上申したわけですか。

小澤道美地方檢察廳事務官

○小澤證人 そうです。私たちとしては橋本檢事に聞いたところが、ぼくは何も聞いていない、そういうことを聞いていない。とにかく捜査を続行しようと思つて、高檢の援助を得たいと思つた。ところが部課長会議にかけるの何といつて、ずつと延ばされておつた。まる大体一月半くらい延ばされて來た。それで私たちは三月初めになつて、どうもほかにだれか容疑者について、橋本檢事以外に、直接当つておる人があるらしいということを聞きましたし、また香取檢事も、ときどき四時ごろから出て行かれるというようなことを聞いておりまして、あるいは香取檢事ではないかということを知つておりました。とにかく橋本檢事は主任檢事として、一月末以來ずつと捜査を続けて來ておられて、事情もわかつており、資料も持つておられるから、橋本檢事に捜査をさせていただきたいということを、長官に八日の日に申し出たところが、長官はそれはできないと言われる。それで私たちは長官の意見にどうしても納得できませんから、上級官廳に対して、はたしていずれの態度が正しいか判断をしていただきたい。それから事態が非常に重大であるから、即刻にこれに対する監督官廳としての権限を発動していただきたいということを上申しました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 わかりました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 これで終りました。ごくろうさまでした。  本間貞雄君ですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 職業は……。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 横浜地方檢察廳の事務官です。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 どういうことをおやりになつておりますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 刑事部の方をやつております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 本籍は……。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 山形縣西田川郡山戸村大字山五十川。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 現住所は……。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 横須賀市中里町一三二。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 横浜地方檢察廳にいつからいつまでお勤めになつておりますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 昭和二十二年二月二十八日から現在までです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 横浜地檢に二重捜査事件というものが起きたそうですが、それはどういうものどすか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それは本年二月一日、檢察事務官の木船敏沖君の檢挙から、木船君の取調べによつて派生した容疑者がたくさんあるので、それにからんで多くの事務官が騒ぎ出して、一部の幹部がそれにおそれをなして、ひそかに主任檢事の橋本檢事以外の檢事に捜査を命じて、二重の捜査をやつた。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでその捜査はどういうことになりましたか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それは結局小澤事務官外数名の者が上申書を提出して、三月の八日に監督官廳の監督権の発動を求めたのですが、その後橋本主任檢事は檢事正から正式に捜査の打切りを命ぜられて、その後香取檢事の手に移つて捜査が進められております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それじやまだ結論は出ておらないのですね。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 結論はまだ聞いておりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 中止されていますか。中止されているわけでもない、遅々として進行されているのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 中止されたとも聞いておりません。一度三月の二十八日ごろ中間報告を出されております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 横浜地檢の檢事、檢察事務官等のやり口について、木船より何かお聞きになつたことがありますか。ありましたら、それを詳細におつしやつてください。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それではその経過を詳細に申し上げます。私は本年一月の二十二日に檢事正から、橋本檢事が木船敏沖君の涜職事件の捜査を命ぜられると同時に、その補佐を命ぜられたものであります。それから約一週間ほどの間に、極祕の間に橋本檢事と一緒に内定しました。その結果木船君が若林和夫という地代家賃統制令違反の被疑者と木下三雄と二人から、一万五千円ほどの收賄並びに恐喝をしておる事実がはつきりして参りました。それで諸般の準備を終えて、木船君を檢挙したのは二月一日であります。二月一日檢挙と同時に、まずもつて地代家賃統制令違反の容疑者である若林と、それからその店子である木下三雄に対する恐喝と、それから若林から收賄した事実を調べましたところ、木船君はすなおにこれを認めまして、そうしてみずから進んで数件の事件を自供したものであります。かようなわけで、私としては最初考えておつたよりも木船君は非常に良心的に、むしろ積極的に私たちの捜査に協力するように、自分から進んで自分の犯罪を率直に認め、そのころ木船君は、こういうことをしておるのはぼくばかりじやないのだ。ほかにもたくさんおるが、私は自分がやられたからといつて、人のことは言いたくない。だがこの際自分が檢挙されたのを機会に、それらの者は反省して、この際自発的にやめていただきたい、こういうことを橋本檢事に申されました。それで橋本檢事は、この事件の当初から檢事正や次席檢事に、この際断固粛正ということから、拡大発展せしめるようにという内命を受けておつたと聞いております。それで木船に対して、ほかの容疑事実があるなら言つてくれるようにと申しましたが、そのころまだ木船君は進んで具体的な事実は言いませんでした。それで木船君の捜査は約十日間で完全に終りまして、いよいよ十一日に先ほど申し上げた若林、木下ほか数名の、全部で六名の被疑者から合計六万五千三百円の收賄をしておつた事実で起訴することになりました。それで起訴と同時に、それまでは伊勢佐木町の警察署の留置所に勾留して取調ベを進めておつたのですが、一應木船君の取調べが終ると同時に、大岡の拘置所の方に移管することになつたのです。その前日ごろから木船君は、最初におわしておつた容疑事実のことについて、具体的なことを言い出すようになつたようであります。言い落しましたが、木船君が檢挙されて一日か二日過ぎてからですが、口では言いにくいから、紙と鉛筆とを貸してくれというので、橋本檢事が紙と鉛筆を與えて、木船君、自分の思うことを何でも書けと言つて、書いたのがあの木船手記であります。それで二月十日ごろ相当具体的な事実が出て來たので、私は橋本檢事の命令を受けて、その日約八時間ほどの間、木船君と二人でいろいろその木船君がしたためておつた手記によつて、その事実の眞否を確かめて見ましたが、相当深刻な事実が伏在しておることが察知されて來たので、このことを橋本檢事に報告して、二月の十二日に檢事正室で、市島檢事正と林次席、橋本檢事正と私の四人が派生した事件についての打合せをすることになつたのであります。その当時の模樣を申し上げますと、そのとき檢事正や次席は、職を賭しても断固捜査をすると言明されました。引続き木船に当つて、知つている限りの事実を言わして、それに基いて内定した上に、さらに派生事件の捜査を断行すると申されました。その席上で橋本檢事は、木船事件が一段落したのだから、この際主任檢事をかえていただきたいと申されました。そこへ香取経済部長檢事が入室して來ました。そのとき檢事正は橋本檢事に向つて、引続き橋本君にやつてもらいたいと再度言われました。橋本檢事はこのとき香取檢事に向つて、主任を交替してくれませんかと申されました。そうしたら香取檢事は、とんでもない、ぜひあなたがやつてくださいと言つておられました。こういうようなわけで、結局橋本檢事がこの捜査を続行することになつたのであります。そこで橋本檢事は檢事正に対して、この際一部檢事の容疑事実も出て來ておるから、高檢から出張していただいて、その補助をして捜査を進めたいという意見を申し上げましたが、檢事正は、それにしても内偵の結果にしたいと申されました。この席で香取檢事は、木船が手記しておつた中の容疑人物と、その事実を自分の手帳にメモしたのであります。そのとき林次席は、それはやめておけと言つて注意されたのですが、急いで彼は書いてしましました、それで香取檢事は、頭が痛い、せつかく收まつて動いているのだから、なるべく最小限度にとどめたいという意見を話されました。だが檢事正や次席は、そのときは断固犠牲はやむを得ないから、橋本君の方で必要な記録や帳簿は、ほかの者に氣取られないように、自分で探して渡すようにと命令されました、三月十一日、木船が單独犯として起訴されるまで、部内は——私は直接目撃したのではありませんが、小澤君たちから聞くと、異樣な動きをしておつたと聞いております。それは橋本檢事は、生活で困つて犯した木船を徹底的に捜査するなどというのは、同情がなさ過ぎるというようなことを口々に言つて、職組の大会などを開くというような空氣もあつたと聞いております。そうして橋本檢事が主任している私たちの捜査の制止を試みようとしているような空氣が見受けられたのですが、木船が單独犯として起訴されたので、一應そうしたことを提唱しておつた者たちは、靜まつたようなぐあいになつて、それから極祕裡に橋本檢事と私は、木船の手記を続けさしておりました。私が内命を受けて毎日刑務所に通つて、そうして木船に思うままの手記をつくらして、それによつてその事実の眞否を裏づけするために、相手方に氣取られないように捜査を続けて行きました結果、相当はつきりしたものが出て來たのであります。ところがこの打合せのあつた十二日から三日ほど過ぎて、十五日ごろになると、木船手記中の容疑人物である山森事務官が橋本檢事に向つて、手記に書いておる容疑事実のことについて、あれは飲んだが、金を拂つているとか言つて、言い訳をし出しましたし、そのころ望月事務官は、日本タイヤーの事件は、戰友からもらつたのだから、問題でないなどと吹聽し始めたので、橋本檢事は木船手記の内容が容疑者側に漏れていることを知つたので、香取檢事に対して、容疑人物にわかつているのではないかと詰問したところ、香取檢事は非常に狼狽したということを聞いております。そして私たちのやつておる捜査の裏には、そうしたことによつて事件がつぶれて行くような氣配が見え出して來たのであります。そのうちに一度木船が單独の犯罪であるといつて靜まつた手記中の容疑人物たちは、また騒ぎ出したのであります。木船は何かとんでもない手記を書いているらしいというようなことを言つて、部内はにわかに動搖して來たのであります。それでその二月十八日ごろになつて、山森事務官がまた橋本檢事に対して、部内の捜査を進めると、あなたのしりにも火がつきますよと言つて、牽制したと聞いております。そのころから次席檢事や檢事正は、この捜査の打切りを提唱し出したと聞いております。それで初期の断固捜査するというこの部内粛正の捜査が、にわかに消極的になつて來たのであります。だが橋本檢事は、当初檢事正が申された通り、拡大発展さして、この際とかくのうわさある横浜地檢の疑惑を一掃して行きたいという信念に基いて、あらゆる制約を受けながらこの捜査を続けました。私は橋本檢事の命令によつて事件索引簿、事件簿、処分票、警察署の犯摘、送致記録等によつて檢討した結果、明治商会ほか七件の事件処理が失当であるということが、ひとまずあげられるようになりました。だがこの間香取檢事は、檢事正からこれに関する記録を橋本檢事に提供するようにと言われておつたのですが、その記録を渡してくれないので、突き進んだ捜査ができなかつたのであります。二月下旬ごろから部内の職員の中に、この機会に不正分子を一掃して、明朗な檢察陣を確立しようというような空氣が強くなつて來て、橋本檢事を強力に支持して、徹底的に捜査を進めようという田川檢事、紺野檢事、横山檢事、岡村檢事らが提唱して、数回有志檢事の会同を開いたと聞いております。それでその結果、檢事正や次席に進言したが、結局これはいれられず、いたずらに延びて行つて、その間手記中の容疑事務官たちは橋本檢事の捜査を挫折させるようなあらゆる工作を試みたように聞いております。橋本檢事はこの間数回にわたつて檢事正に、早くこの捜査をやらしてもらいたいということを申し出ておりますが、その都度もう少し待つているようにと言われて、延び延びになつたと聞いております。それで三月の一日には、木船手記が橋本檢事の手から檢事正の手に渡されたのであります。それからその手記に基いて、だれかが容疑人物を調べているというような話を聞きましたが、しかしそれがだれであるかはわかりませんでした。それで私たちの捜査をして得た容疑点は、通謀のような形になつて容疑者側に漏れているので、どうにもならないような事態になつて來たのであります。それと同時に、橋本檢事は発狂したというデマも飛んで、いよいよ混乱して参つたのであります。一部は橋本檢事や紺野檢事たちが轉任するとか、あるいは木船の匂留は不当匂留だなどと宣傳する者も出て來たので、そのまま放任すれば、結局この捜査はうやむやになつてしまいそうになつたので、遂に小澤事務官たちは高檢や最高檢に対して、この捜査についての監督権の発動を求めるようになつたのであります。以上上申書を出すまでの経過であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それから橋本檢事から香取檢事にその捜査が移つたそうですね。そのいきさつはどういうことなのですか。どうして橋本檢事がやめて香取檢事になつたのですか、そのいきさつは御存じありませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 そのことについて、私ははつきりしたことは存じておりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それからその木船事件はどうなりましたか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 木船事件は起訴になつております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 起訴になつて、まだ判決にはなつておりませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 判決にはなつておりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうしますと、その木船の手記に基く問題ですが、それは事務官五名について醜行があるということが結論的に認められたわけですね。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 一應中間報告のような形で、五名だけが認められたわけです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうしてその五名はどうなりましたか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それは依然地檢で働いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 今でも働いてそのままになつておりますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 そのままになつております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それで処分は受けないのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 処分は今のところ保留になつておるかどうか、はつきりしたことは聞いておりませんが、一應辞表を出したということは聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その事務官五名の醜行というのは、簡單に言えばどういうことですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 望月事務官とそれから龜井、浜田、この三事務官は、木船事務官と一緒に望月事務官に連れられて、昨年の十一月ごろ戸塚にある日本タイヤーに参りまして、馬場という工場次長がそこにありますが、その者からタイヤを各一包みずつもらつて、ごちそうになつて帰つて、これを今度は小田原市の緑町というところの工作自轉車店に持つて行つて、賣り拂つて金をもらつたということであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 幾らに賣れました。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それが一回で、その次にまた望月の手紙を持つて、木船がやはり日本タイヤへ参りまして、タイヤを二包みもらつて、それも鈴作に賣つたのであります。その代金の方は、一回目の方はちよつとはつきり記憶にありませんが、木船の手記によると三万円、それから二回目は一万五千円、これは間違いありません。二回目のは、望月を直接私たちが調べないから私にはわからないのですが、望月の言うことと食い違いがあるようです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それだけのことですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 その二回について取上げられております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それからほかの五名を除く以外にも檢察官一名、その他事務官が大勢あつたようですが、それは問題にならなかつたのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それは問題にならないのです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 調べることは調べたのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それははつきりとは私はわかりませんが、一應調べたということを聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その主任檢事はだれがやりましたか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 香取檢事がやられました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それから花園纖維事件、明治商会事件等について承知しておられますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 わかつております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 承知しておられましたら、その概略を簡單に申してください。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 花園纖維から申し上げます。花園纖維は記録が紛失したという木船手記が端緒となつて始まつたものであります。それで最初事件の索引簿を調べてみますと、六月二十九日に名古屋に移送したと書いてあるだけで、索引簿には載つていないので、それで事件簿と対照してみますと、花園事件の書いてある部分が数十枚脱けておるので、驚いて、それからいろいろ苦心しまして、ようやくどこでその事件が檢挙されたのか、どこの警察であつたかということを探しまわつたところ、壽の経済で檢挙された事件であることがわかつたのであります。それから壽の阿部部長からその当時の模樣を聞いて、壽の犯罪摘録を借りて來て、ようやく事件の処理状況の一端を知ることができたのであります。そのとき阿部部長が言われるには、この事件は昨年の四月の十四日ごろ、重物の一齊取締りによつて檢挙されたもので、横浜の電氣局の從業員の作業服が何かの生地を運搬しておるところから端を発したものであるということを聞いております。それで阿部部長が取調べると、これには横浜市電氣局のほか、数官廳で同じような違反取引が行われているということが、その被疑者から自供されたと聞いております。それで事件は重大なので、阿部部長はすぐ市島檢事正と林次席のところへ連絡に参りまして、この事件を報告して指揮を仰いだと聞いております。その事件の概要は、民需物資の無切符讓渡になつており、ガラ紡の生地が四万三千六百八十ヤールで、契約はボロを出して加工するという名儀で取引をしておつたのであります。だが阿部部長の申すには、それは取調べの結果まつたくうそだというので、悪質な犯罪だから特に重要視したと聞いております。そのとき阿部部長の話では、檢事正や次席の指揮を受けに参りましたところ、それは富田檢事の指揮を受けて処理するようにと申されたそうです。その後富田檢事の指揮を受けて阿部部長がこの事件処理に当つたそうですが、富田檢事の命令で横浜電氣局の分だけとりまとめてそのまま送るようにと言われて、六月六日に一應横浜電氣局の分だけ事件処理をして、富田檢事に引継いだと聞いております。その後先ほど申したように索引簿によると、六月二十九日に名古屋地檢に移送になつておるのです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 あとはわかりますから、大体結論として、その記録は紛失して今なおわかりませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 その記録は木船君の手記によると、紛失してわからないということになつたまま、橋本檢事は捜査の手を引かせられたので、その後わかりませんが、名古屋の方に事務官が間違つて移送したので、こちらの方にとりもどしてあると檢事正が橋本檢事に言われたそうであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それで現在その記録はありますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 その記録は私は見たことはありません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 あるということを聞いておりますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 あるということは、檢事正が橋本檢事に申したそうですから、聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それから明治商会の事件の概略をおつしやつてください。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 明治商会は昭和二十二年の三月十二日ごろから同年の七月八日ころまでの間の前後二十九回にわたつて、石油類ほか数種類の化学製品を、それぞれ統制額を越えて違反取引をした事件でありますが、その事件についてまず書類の面でどうしても当を得ないと思うところは、この事件は賣りが五十万円、買いが約四十数万円で、約百万円近い超過違反事件ですが、賣りの方だけで、買いを全然不問にしております。それからなおその物資の一部を拔いて額を少くしておるようです。そうして約一年間もこの事件を放置しておいて、昨年の十二月の下旬になつて、富田檢事が轉任間際になつて、あわただしく略式で罰金を会社が十五万円、代表者の岩山が三万円で、十八万円の略式請求をして事件を落しておる点は、どうしても不当だと思われます。これと結びついて來て、この事件をめぐつて、木船手記にその一端が書かれておるように、鈴木茂雄という防犯新聞の記者が、被疑者の岩山に頼まれて十五万五千円の金を受取つて、後藤つぎに頼んで事件のもみ消しをはかつたということが明らかになつております。それでこの容疑は香取檢事がやつておられるようですが、今もつてその眞相がわからないとか聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでこれは公判にまわつたわけですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 これは公判にまわつて、五月の三日に確定されたそうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 判決があつて……。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 裁判所でも、この事件は略式は不当だといつて保留してあつた事件だそうです。それで正式に裁判にまわして、公判で五月三日の事件が解決されたと聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その裁判の判決の結果はどうなりましたか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 やはり求刑通りにきまつたそうです。それは結局檢事の方で、範囲を狹くして求刑をしたのですから、裁判所としてはそれだけの罰金しかくだせないとか聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その次に日本タイヤー事件というのを御存じですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 存じております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それも概略を述べてください。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 この事件は昨年の四月十一日ころ、加賀町警察署で、川崎か鶴見方面かでやみの横流し品である石炭を押えて調べたところ、それは配炭公團と日本タイヤーの間に行われておる大がかりのタイヤーと石炭の物交の犯罪であるという端緒を得たそうです。それで平林主任は当時富田檢事の指揮を受けて、日本タイヤーの押收捜索を行つて取調べを開始したものだと聞いております。その後どうしたことか、一箇月ほどして、この事件の捜査を平林主任は打切つたと聞いております。そうして被疑者である配炭公團の職員だけが事件送致されたものであります。それから数箇月過ぎて、八月か九月ごろ、戸塚署員が加賀町の署員に向つて、君の方ではあの大きい事件をつぶしてしもうのかと言つて注意したと聞いております。それでその注意を受けた加賀町警察の経済係の榊巡査は、このことを加賀町署の平林経済主任や諸岡部長などに話して、それから再度富田檢事と打合せを行つて立件することになつたそうです。それで九月二十八日にまた日本タイヤーに來て押收捜索をして、事件をまとめて、この事件を十一月中旬に行つておるのであります。それでこの事件が記録によると、完全に一度中止されたような形で、九月になつてまた始めて、その二つをむりにつなぎ合わしたような記録で、その事件処理が不当であるということは明らかであります。それと結びついて來る一連の事件として、事実としてその間に望月事務官外数名がタイヤーを馬場次長からもらつておるのであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 馬場次長というのは……。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 これはこの事件の被疑者であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それで済みましたか、まだありますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 まだありますが、その方は捜査はやりませんから……。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その後はわかりませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 その後はやはり香取檢事が続行されております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 続行して解決に至つておらないのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 結局中間報告のような形で、方々からタイヤをもらつただけが不正であるというようなことで、ほかには何も容疑はないのだというようなことを言つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それはそのままになつておるのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 はい。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 今のあなたの話されたほかに、鈴木卓郎という人から聞いた事実が何かありませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 日本タイヤーのことについてですか。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 花園纎維並びに明治商会の事件について……。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 明治商会の事件については、朝日の鈴木記者から聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その鈴木記者から聞いておるというのはどういうのですか、簡單に言えば……。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 簡單に申し上げますと、鈴木記者が、昨年の暮かいつか、時期ははつきりしませんでしたが、そのころ明治商会の岩山の所に行つて、十万五千円の眞相を聞いたところ、十万五千円確かに鈴木に渡しておる。そうしてこれが問題になりかかつて、それで後藤つぎや富田檢事、宮崎檢事などが心配して、岩山対鈴木茂雄の個人貸借にしたらどうかというようなことを言われて、そのようにしたとかいうことを聞いております。それでそのときに鈴木は、何か岩山にやつた自分の立場を明らかにした手記が、三通あると言つておられました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それであなたは花園纖維、明治商会並びに日本タイヤーの事件に関係せられたことはありませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 関係とはどういうことですか。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 捜査、取調べに対して関係は持ちませんでしたか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 私は結局捜査が中断されたような形になつてしまつたのです。ですから三月八日まで、橋本檢事に檢事正から正式命令が出るまでは、私は全力を注いで内偵を進めておつた。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それはどの事件ですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 花園纖維、明治商会、日本タイヤーもそうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それで中途でやめたわけですね。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 中途で手を引かせられたわけです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それは上から命令が來て手を引かせられたのですね。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 檢事正が橋本檢事に、一切この事件に手を触れてはいけないと言うので、それでやめるようになつたのです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それから後藤つぎという女の人を知つていますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 知つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その後藤つぎの宅へ、横浜の檢事または事務官が頻繁に出入をして、そうして住居の提供、あつせんを受けたり、あるいはしばしば酒食を供されたり、ほとんど家のように出入りしておるという話がございますが、それは御承知でしようか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それはよく存じております。ですが、はつきり実際を目撃したとか何とかいうことは持つておりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 聞いて知つておるわけですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 聞いて知つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それは出入りした人から聞いたことはありませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 出入りした者からも聞きました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 聞いておりますか……。始終出入りしている者ですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 たまたま出入りした者からは聞いておりますが、始終出入りしている者からは聞いておりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それであなたも出入りしろと、横浜の檢察廳に勤めております何人からか誘われたことはありませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 私は一度誘われて参つたことがあります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 行きましたか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 はあ。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 一度行つただけですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 一度行つただけです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 行つてどうしました。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 何でも檢事の懇親会をやるから、默つてついてくればいいというようなことを言われまして、一度赴任した当時参りましたのが、後藤のばあさんの家でした。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでごちそうしましたか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 ごちそうしました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 別に頼んだことはありませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 私には何も頼まれたことはございません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それから横浜の檢察廳に備えてある事件簿ですね。その事件簿が非常に乱れておるということですが、それはどうです。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 私はそれを実際この捜査の過程で知つて、実際そう思いました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 目撃してですね。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 はあ。それは先ほど話したように、花園纖維は索引簿には載つておつて、事件簿はその部分が拔けておるのを見て、はつきりでたらめではないかと思いました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 事件簿の重要性というものはどういうものですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 結局事件簿がなければ、その事件の結末がどうなるか皆目わからないのではないかと思います。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうすると事件の出発を記録したもので、事件と切り離すことのできない重大な帳簿であるということになるわけですね。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 そうであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 ほかに何かお尋ねになることがありますか。時間もだんだん切迫しましたから、なるべく簡潔にお願いします。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 横浜の地檢の檢察事務官を採用するのには、何か試驗でもやつて採用するのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 横浜地檢の檢察事務官の採用は、試驗というのは名目だけで、試驗は行つておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、檢事なんかのそれぞれ自分の知り合いの人を連れて來るわけですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 ほとんど全部が檢事の推薦で入つて來る者が多いのでありまして、中には一般の者から採用される者もあるようです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたは檢察事務官になるまでには警察におりましたね。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 そうです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 どういう地位におりましたか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 私は昭和二十二年の二月二十八日まで、横須賀の司法主任をやつておりました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 警部補ですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 警部補です。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 非常に敏腕家だということで、あなたを拔擢せられて檢察廳に入れたということを聞いておるのでありますが、あなたよりもあとから入つて來た事務官で、あなたよりも昇給し、副檢事に早くなつたような人がありますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 私のあとから入つて來た者で、副檢事になつた者は二人ございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それは有力な檢事の紹介のあつた人ですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 いずれも檢事の推薦があると聞いております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そこで手腕力量、あるいは勤勉の度よりも、その自分の親分の檢事のいかんによつて進級が早くなつたり、遅くなつたりするようなことが横浜地檢には行われておりませんでしたか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 私は横浜地檢の人事に対しては、割切れないものがあると思つておりました。たとえば警察のように、試驗でもつて自分に手腕があればどんなにでも上れるかというと、あそこは違うのです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると情実因縁で進級がきまるというような傾向があつたわけですね。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それは実際相当これに対しては、部内でも皆惠まれない者は、その点に不満を持つておるようであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 わかりました。話は違いますが、花岡纖維事件の記録が名古屋に送られた。これはあなたかだれかわからぬが、富田と村山という檢事が相談の上に送つたんだということを言つた人があるのですが、あなたはそういうことを聞いたことはありませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 私はその点は、聞いておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そこで索引簿にはあるけれども、事件簿には書いてない。そうすると番号はどうなつておるのですか。順々に番号が打つてあるはずですが、それが拔けておつたのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 これは事件簿ですが、ちようどそれが書いてあるこれくらいの部分が全然ないのです。番号が一〇〇〇番から一五〇〇番に飛んでおる。一〇〇一番から一四九九番まではない。こういうぐあいになつております。索引簿にはちやんと載つておる。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると花園纖維がつけられるべき番号のところが、ずつと拔いてあつたというわけですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それがなかつたのです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 事件簿には全然書いてないのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 番号が飛んでおるのですから、結局事件簿にはあつたけれども、どうかして拔けたんじやないかと思うのです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 私特に内偵しておる過程で、その点は不審だと思つて……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そこがはつきりしないのですか。事件簿には書いてあつたことはあつたのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 索引簿には書いてあるが、事件簿にはない。その両方になければならぬはずです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その事件簿に書いてないとすれば、だれが主任で、どこから送られ、どういう事件で、どう処理されたかわからないわけですね。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 詳細なことはわからぬわけです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうするとあなたの観察では、故意に拔いたように思われますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 その当時故意にでも拔かなければ、あんなにたくさん拔けようがないと私は思つてみたのです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それからその事件簿というのは何人が保管しておりますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それは受件の係長がやつておるわけです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 受件の係長が保管をすることにきまつておるわけですね。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 そうです。受件の係長の責任のもとにあるべき性質のものです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それならばそれを見るのは、内部の人なら自由かつてに見られるわけですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 実際見るのは自由かつてにやつておるようです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 自由かつてに内部の人は見ておるわけですね。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それからその事件簿を上司がたまたま監督の意味で見るような場合もありますか、ありませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それは全然やつていないようです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 やつていないのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 警察の場合は受付簿がありますね。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 警察の場合はいいです。それで上司が見ておらないですね。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 見ておりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうするとその責任の掌に当つておる係長は、ときどきその帳面を見るようなことはありますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 その点はよくわかりませんが、結局受付けた方がたいてい書きつ放しではないかと思われるようなものが多いのです。別にその監督者の印も何もないのですから。

石川金次郎日本社会党

○石川委員 索引簿に残つておつて、事件簿になかつた件数はどのくらいですか。何年から何年の間にありますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 私はその一冊を調べたのです。ちようど索引簿に花園纖維の事件があります。事件簿がたくさんあるのですが、そのうち一冊拔いて來い合せてみたのです。ところがその事件簿が八百四十一丁まであつて、八十七丁まで拔けているのです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 保管の係長の名前は何と言いますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 龜井事務官が係長をやつておると思います。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 わからなければよろしゆうございます。あとでお調べ願いたいと思います。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 これは職員録を見てもはつきりしませんが、龜井君がやつておると聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それからもう一点、後藤つぎが檢察廳へ頻々と出入をしておるそうですが、そうですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それは私があそこに引越した当時から約一年ほどの間は——昭和二十二年はよく來ておつたのを見かけました。その後は堀檢事正が出入をさしとめたとかいつて、出入をしなくなつたようですが……。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それで來たときはだれのところに主として行つたのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 各部屋をまわり歩くのです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうして身柄の釈放であるとか、あるいは事件のもみ消しであるとか、あるいはまた刑期を軽く求刑してもらうというような事柄を、それぞれ運動をして歩いておるというもつぱら評判ですが、そういう事実がありますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それはあると思います。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そこであなたは頼まれたことはないのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 私は頼まれたことはありません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 ほかの檢察官もしくは事務官が頼まれておることを、見聞きしたことはありますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 私はあの檢察廳へ入つてから、特別な捜査ばかりに入つておるため、あまりこまかい事件をやらないから、ほとんど警察官の方から送つておる事件でなく、檢察廳独自でやる捜査ばかり專念しておつたのですから、そうした機会は少かつたのですが、その大きい事件のさ中にも飛び出して來て、むりを言つておるのを見たこともあります。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 木船事件が表面化してから、横浜地檢内でいわゆる粛正派と反粛正派が非常に表面化して、何か対立しておつたような事実はありませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それはあります。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 粛正派というとどういう人たちが主なんでありますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 上申書を出した者と捜査の当事者である橋本檢事と私、それから横溝事務官、それで結局橋本檢事を應援して積極的に捜査をやつてもらいたいという紺野檢事、横山檢事、岡村檢事というところで、結局派というわけではないけれども、彼られ俗に粛正派と呼んでおるようです。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 そうすると反粛正派というのはどういうのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それ以外の者を全部そういつております。ですから、これは派閥ではないと私は思います。派閥抗爭などというものは互角でなければできないと思います。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 派でなくて、どういうことになるのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 結局粛正しようというものを、派閥だということによつて、私たちの積極的な粛正をはばもうとするものではないかと思います。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それは檢察官ばかりでなく、檢察事務官にもそういう傾向を持つておりますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 これは全般の空氣であります。その例を申し上げます。まず紺野檢事が——これは望月事務官の直属の上司であります。望月君に対して二月の下旬ごろ、この際容疑者は徹底的に取調べる必要があると申したところ、望月事務官は、ぼくらを檢挙するようなことになれば、全檢事を道連れにするからといつて食つてかかつたと聞いております。そこで紺野檢事はけしからんといつて憤概して、この際橋本檢事に徹底的に捜査をさして、こうした不明朗な空氣を一掃しなければならないと主張をいたしたのであります。それから先ほど申し上げたように、数回有志檢事の提唱で檢事会同が行われたと聞いております。そのとき紺野檢事は、この前にも数回地檢の涜職事件があつたが、この都度手ぬるい捜査をしておつたので、こういうような事態がいつまでも続いて行くのだと言つて、前回新倉事務官と大原事務官の涜職事件を捜査した香取檢事に対して非難したところ、香取檢事はその席上、新倉、大原の事件は、実はいろいろな事件が派生して、たくさんの事務官などに及ぶところだつたけれども、おれは上司にはからないで食いとめてしまつたのだと、そこで告白されたそうです。だからぼくの苦しい胸のうちも察してもらいたいというようなことを言つて、この粛正に消極的な意見を述べられたと聞いております。それでこの捜査が、消極意見を述べられる香取檢事の手に移されたことによつて、徹底的な粛正はもはや望み得ないという結論に達したわけです。それから望月事務官は三月二十三日ごろ、私が耳にした話ですが、毎日新聞の渡邊記者に対して、市島檢事正はおれたちを檢挙することはないだろう。もしおれたちを檢挙することになつたら、市島檢事正以下不正員職は全部道連れにするのだと言つて豪語したと聞いております。それを裏書きするものに、やはりそのころ橋本檢事に対して檢事正が、望月を処分したならたいへんなことになる。あれは軍に行つて何を言い出すかわからない、大騒ぎになるから、一人のけが人も出さないでまるく收めたいと申されたそうです。さらに吉積檢事は、三月二十四日と二十五日の二日間にわたつて、私に対してこういうことを申されました。木船に因果を含めたことが悪い。結局はこういうような事態が発生したのは、手腕がないからだと言つておりました。それで君たちはこの上どうしようというのかと申されました。私たちは、この際この不明朗な空氣を一掃して、明朗な檢察陣を建設したいために粛正を叫んでいるのだと申しましたら、不正の方にもやはり言い分があるのだ。騒いだ君たちにも責任があるのだから、この際双方で満たされないままに握手をして、それで收まつたらどうかということを二日間にわたつて勧められたのであります。その際、こういう問題は一線を画しなければいけないと申されました。私はそのことについて、吉積檢事の申された一線を劃すことについて聞いてみましたら、三月三十一日までは地檢内部に行われた不正は不問に付する。そして君たち騒いで内部の恥を世間にさらした者と相殺したらどうかと申されたので、私たちは断固その申し入れを受け入れなかつたのです。このような事柄から推して、とうてい何らの不正もないということは言い得ないと思います。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 それで木船手記のあと五名の檢察事務官、この人たちは一時は辞表を出したということを聞いておるのですが、辞表を出したことは事実ですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 辞表を一時は出したということを私も聞きました。だがそれを正式に受理はしないと言つております。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 正式に受理しないらしいと……。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 そう聞いております。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 だれから聞いておりますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それは事務官から直接聞いたのではないです。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 私が聞いた話では、木船事件が表面化したので、一時は辞表を出したが、その後またこの五名の人たちが檢事正に迫つて、あの辞表を返さなければ、こつちにも覚悟があるぞというような趣旨のことを話して、取戻したというようなうわさもあるのですが、これはどうでしよう。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それは私らは聞いたことはございません。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 つまり木船事件を徹底的に調べようとしたあなた方らが、途中から檢事が取替えられたり非常に不明朗なものがあるので、それについて上申書を出したというようなことを、反粛正派の人たちは攻撃しておるのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 当時そう申されておりました。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 どういうことを言うんですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 とにかくああいうものを出す前に職組を開いて、代表会議を開かないのかということを言いました。だがその組合の大会で、多数をもつてそうした私たちの主張を曲げられるおそれが多分にあります。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 それは組合の問題でございません。あなた方の職務上の問題で上申書を出したことに、たれが難癖をつくべきことがあるのですか。たとえば檢事正とかあなたの上司の人が、何か難癖をつけているような事実はあるのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 当時三事務官は、東京へあの上申書を持つて來たので、職務放棄だとか何とかいうことで、檢事正や次席でなく、事務官らがそういうようなことを騒いだと聞いております。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 事務官らが騒いだので、あなたの上司からはそういう点について難詰された事実はないのですか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 ありません。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 事務官らが騒いだとして、それは何か上司の方から一脈相通ずるものがあつて、そうやつたことについて思い当る点はありませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それは私はわかりません。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 ああいう上申書を出したり、この不正事件を徹底的に究明すべきであるということを主張した人口が、今地檢内部において上司の方あるいは同僚から、何か圧迫されるようなことはありませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 結局白い眼で見られるというような、これは氣持かもしれないのですが、そういうことはあります。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 具体的にはありませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 とかく今までは朝会つたときあいさつをかわすのが、今度は全然あいさつもしないという……。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 それは同僚ですか。上司の方からまま子扱いされるような点はありませんか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 そういう点は別にないです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 最後にもう一点お尋ねしておきたいのですが、後藤つぎの家へ出入りせられる檢察官並びに事務官は御存じですか。名前が言えますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 はつきりしたものでなく、うわさ程度に聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 うわさはどういうのです。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 うわさは事務官の中では有安事務官というのがいるのですが、それに永塚事務官、檢事の中では玉木檢事、富田檢事、楢島檢事などがよく出入りすることを聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 檢事正や次席も行きますか。

本間貞雄地方檢察廳事務官

○本間證人 それは聞いておりません。副檢事の中では小川副檢事、桑原副檢事なども出入りすると聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それではこれで済みました。どうもごくろうでした。  木船敏沖君ですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 はい。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 職業は。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 檢察事務官であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 年齡は。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 三十二歳です。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 木籍地は。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 福島縣石城郡湯本町大字湯本字傾城四十番地。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 現住所は。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 横浜市鶴見区東寺尾町二千四十八番地。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 もと横浜地檢の事務官をやつておられましたね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 はい。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 いつからいつまでやつておられました。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 二十三年一月三十一日から本年二月十日までです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そこでどういう仕事を担当しておりましたか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 拜命から去年の十二月三十一日までは、経済部における経済事件の犯罪の捜査をやつておりました。それから本年一月十日から渉外部に移りまして、渉外関係事件の捜査方面をやつておりました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 あたなは日本タイヤー株式会社というのを御承知ですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 知つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 この会社に違反事件がありましたね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 それは存じておりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 この事件の捜査に当つた警察署及び檢事はだれですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 わかりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうすると明治商会事件というのも御存じありませんね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 事件になつている一件記録はわかつておりますが、内容についてはわかりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 この日本タイヤーからあなたがタイヤをもらつたことがありますか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 あります。望月君に頼まれてとりに行つたことが一回、それから望月事務官、龜井事務官、浜田事務官と一緒に行つた、この二回であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 一緒に行つてタイヤをもらつたわけですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 もらつたかどうかはわかりませんけれども、一應金を返しに行つたことはありました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうするとあなたは他の事務官について行つたので、もらつたのか、買つたのか知らぬと言われるのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。多分買つたろうと思います。何しろ一時金を、マル公において第一回目のやつが約二千八百円ぐらいじやないかと思いますが、持つて行きまして拂つて、それから返されましたときに、望月君がそのうちに行つて拂う、もどしたのでは困る、それじやおれがいずれ行つて拂うからというようなことを言つておりましたけれども、その後どうなつたかはわかりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 一回は金を持つて行つて拂つたのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 私が持つて行つて拂いました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 拂つたら返されたのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 返されました。それで返されたことについては望月君に報告いたしました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうして返されたまま持つて來たわけですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうすると望月君から頼まれたのは、買つて來てくれということでか、もらつて來てくれということですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 その金を持つて行つたときに、それは四人で行きまして渡されたのであつて……。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それは最初ですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 最初です。渡されたのであつて、そのときは買つたんだか、もらつたんだかわかりませんけれども、爾後において、金を持つて行つてくれないかということで、買つたのだということはわかりました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうするとあなたは四人で一緒に行かれたのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうして一緒に家へ入られたのですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そこでだれが話をしたのですか、望月君がやつたのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 その席上においては話はしませんでしたけれども、帰りがけになつて、四人のうしろにタイヤを置いたのです。それで向うの会社の人が、持つて行つてくれないかと言われたのであつて、その間において、われわれの面上においては話はしなかつたかもしれませんけれども、望月君は前に話があつたのか、それとも單独においてやつたか、それはわかりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それで四人がめいめいタイヤを持つて來たわけですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 どのくらい持つて來ました。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 中味は見ませんけれども、一台分じやないかと思います。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 一人で一台分ずつ持つて來たというわけですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうじやないかと思うのですが、その中味は何しろ解いて見ませんし……。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それであなたの持つて來たのはどうでした。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 第一回目のタイヤですね。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 ええ。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 それも見ませんでした。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 家へ持つて帰つたわけでしよう。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 一回目は帰りません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 どうしたのです。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そのタイヤは小田原へ行きまして、望月君の知つている自轉車屋へ持つて行つたらしい。第一回目でどこへ持つて行つたかはわかりませんでしたけれども、何しろ小田原に友だちの家があるから、そこへ持つて行つてやるというので、望月君がほか三人分を持つて行つたのです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 一緒に持つて行つたのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 いや望月君が一人であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 望月君が一人で四人の分を集めて持つて行つたのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでそのときに小田原へあなたも行きませんでしたか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 行きました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 行つてどこにおつたのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 行つて——二回目になつてわかつたのですが、緑町というところであつて、ちようど四つ角に待つていて、うしろ姿も見えないところでありますから、どこへ持つて行つたかわからなかつたのです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そしてそのタイヤーは望月君が賣つた。そうじやないですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 賣つたというのはあとになつてわかりました。けれどもその金額についてはわかりませんでした。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでそのとき金の分配を受けませんでしたか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 受けました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 いくら受けたのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 千八百円だつたと思います。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それではあなたは買つて來たのではないじやないですか。もらつて來たのでしよう。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 しかし金を拂いに行つたときに、向うで受けとらなかつた。けれどもマル義において出してもらうのだからというようなことは、望月君が言つておりました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それではあなたはマル公以上で賣つたと考えるのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうするともうけたわけですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そういうことになります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それじやそのタイヤーを日本タイヤーからマル公で買つて、よそへ賣つてもうけようという話はなかつたのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そういう話はありませんでした。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうすると、あなたは何でその金の分配を受けたのです。どういう意味でその金を渡されて、どうして受取つたのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 望月君が行かないか。そのときにはどこへ連れて行くかわからなかつたのです。それで龜井君や濱田君も話をせずに、その当日は、日はわかりませんでしたけれども、土曜日だつたのです。それで行つてみないかというわけで、どこへ行くかわからなかつたのですが、戸塚へ行つて、初めて日本タイヤーという看板を見まして、日本タイヤー工場であるということを知りまして、ここはぼくの友だちがいるからというわけで、案内されて行つたわけです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 行つたのはいいのですが、あなたは今小田原で千八百円金をもらつたと言われたでしよう。その金はタイヤーを賣つた金であることを、あなたは承知してもらつたのでしよう。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 知つておりました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうすると、そのタイヤーを賣つてもうける意味でもらつたのですか。もうける意味の金にしては多過ぎるですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 たしかに多過ぎます。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうするとどういうことになりますか。あなた聞かなかつたのですか。これはもうけるにはあまりにも多過ぎるがどういう金だといつて、その金の性質を聞かなかつたのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 聞きませんでした。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それはどういうわけですか。聞きそうなものじやないですか。人から金をもらうには……。タイヤーを買つて來て人に賣つて、多分もうけるだろうという考えで、その仲間に入つて一緒にやつているのに、その渡された金の性質を、どういう性質のものか、幾らもうけて幾らくれるのか聞きそうなものじやないですか。子供じやないのだから。檢察事務を扱つていてそんなことがわかりませんか。どうです。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 申訳ありません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 答えられないのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 結局タイヤを賣つて、それでその利益にあずかろうとしたわけです。タイヤを賣つてその利益にあずかつたわけです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それは利益でもなさそうじやないですかね。それは賣つた金全部を四人してわけたのでしよう。ほかの人には幾らやりました。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 これだけというわけで各人々々……。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 同じ数額を四人にわけたのでしよう。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 幾らで賣つたかということを別に聞きませんでしたから、わかりませんけれども、多分同じ金額ではないかと思いますが、望月君が、こちらで聞かなかつた関係で、聞けばよかつたのですが、聞かなかつたために、幾らで賣つたということもわかりませんから……。自分たちも望月君に連れられて行つて、結局それだけの利益にあずかつたのですから、別にどれだけで賣つたということも別段考えないで、ただくれただけもらつたわけなんです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうすると望月君があとで金を拂いに行つてくれということを、あなたに言われたのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。そのときはちようど……。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それは幾ら拂つてくれというのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そのときは、とにかく向うで大体マル公はこのくらいだからと言つて、ちよつと今記憶ないですが、千五百円か二千五百円と思いました。それで多少六十円ばかり余つたです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 四人分がですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでそれを拂つたですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 拂つて、先ほど申し上げましたように、また返されましたけれども、持つて行つたことは事実です。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでそのときにごちそうにもなりましたね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 はい、一回目になりました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それで二回目はどうです。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 二回目は先ほど申し上げましたように、金を拂いに行つたときに持つて行つたんです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それはだれと行つたのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 それは私一人で行きました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでそのときにタイヤを幾つ受取つたです。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 二台分という電話をかけておいたから、大丈夫二台分よこすというからとつて來てくれぬかというので、二台分とつて持つて來たわけです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでは望月君に頼まれて行つたのですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 はい、そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そのとき金はどうでした、二回分の……。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 二回分のやつは、その日持つて來まして、それで大船駅で待ち合う約束だつたのですが、待合せ場所の違つたせいか、二、三時間待つても來なかつたのです。それで一應私の知つているところに預けて、そのあした出勤してから、望月君に持つて來たことを知らせましたら、そうか、それじやまた小田原に持つて行くからというようなことを言つておりましたのですが、ちよつと都合があるから持つて行つてくれないかというわけで、手紙一本書いてもらいまして、それから私が、そのときになつて初めて前回賣つた場所がわかつたわけなんです。それでそこへ持つて行きまして、金も前に言つてあるから、ただ行けばわかるんだというわけで、行きまして、私は一万五千円の金をもらつて來まして、その翌朝望月君の自宅に届けました。それでそのとき三千五百円じやないかと思いましたけたども、私によこしまして、それからこのうちまた向うへ拂わなくちやいけぬのだというようなことを言つておりましたが、その後のことについてはわかりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうすると、一回目の分は、向うへ拂つた金は、望月が四人分を自分の計算において拂つわけですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうじやないだろうと思います。一台分は大体このくらいだというようなことを言われていたために、それでもつてこれだけ持つて行つてくれというわけで、私に命じたのじやないかと思います。そのためだろうと思いますけれども、ほとんど向うでもつて要求する金額に大体同じような金額でしたから……。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それなら四人分の、四人から金を集めて持つて行つたわけじやないでしよう。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 望月君が四人分のやつを自分のポケツトから出して、そうして向うへ拂つたわけでしよう。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうすると、あなた方望月以外の三人は、望月からもらつた形になるですね、金を。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 鈴木作次郎というのを知つていますか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 自轉車屋さんは鈴木さんということは存じております。多分二回目のときにタイヤを持つて行つて、賣つた人が鈴木さんだろうと思います。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それは望月に紹介をされて知るに至つた、こういうわけですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。手紙による紹介です。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それで花園繊維の事件が横浜の地檢に起つた、そのことは知つてますね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 最初は知りませんでした。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 いつ知りました。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 去年の六月か七月ころではないかと思いますが……。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その事件の記録がなくなつてそうですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 記録を見たこともなく、また從つて内容も知りませんが、六月か七日ごろ磯子の警察におきまして、磯子警察附近の経済事件をまとめて持て來て、それを調べておりましたときに、私のところに電話がかかつて來まして、花園事件の記録は知らぬかという電話であつたのです。そのときに、私は直接出ませんでしたけれども、一緒に行つた宇田川事務官が電話を受けまして、それでその内容を私に話しましたのです。私はそういうものを見たことはないと言つて、そのままにしておりました。ところが去年の十月か十一月ごろ、それの前九月か十月ころじやないかと思いますが、花園繊維の方だろうと思いますが來まして、それで申し遅れましたが、その前にそれは富田班ですが、富田班において、記録を知らぬかというわけで、全員で探したことがありましたけれども、見当りませんでした。当時私は班が違いまして、富田班に來たのは六月に入つてからと思いますから、全然そういうことは知らなかつたわけです。それでその後記録を移送したとかなんとかいうような話を聞いておりました。それだけであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでこの花園繊維の事件にあなたは関係されたわけですね、一時。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 いやその記録を私は見ませんし、從つて内容も知りませんから、関係はしておりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうですか。それであなたに対する事件というのはどういう事件です。簡單に言えば、一口に。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 私の事件ですか。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 ええ。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 いわゆる收賄と恐喝であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それはだれからどうしたというのです。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 名前全部でなくてよろしゆうございますか。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 言えるものは言つてもよし、言えないものは言わないでもよろしい。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 結局取調べ中の関係者より金を借りたわけなのです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 金を借りたのが涜職になるというので起訴されたわけですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その事件はどうなりましたか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 目下公判中であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 まだ裁判は受けないのですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 受けました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 一審で……。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 一審もまだ解決しないで、ちようど証拠調べでもつて、次回が今月の三十日であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それではまだ判決にはなりませんね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 なりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでは目下保釈で出ておるのですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それから、あなたが獄中におられたときに、手記なるものを出されましたね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 はい。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その手記なるものの内容は、要するに檢察官一名、その他事務官十八名が、いわゆる不正なる事件を犯しておるというような意味が書いてあつたそうですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その手記中に盛られた檢察官一名並びに事務官十八名に関する事件というものは、どういう事件ですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 いや、別に事件というわけじやないのです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 不正があるというのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 二月の二日ごろじやないかと思いますけれども、私を担当しました橋本檢事が、君ばかりじやないのだ、他に檢察廳でもいろいろとりざたされているけれども、そのことについて知つておることがあつたならば言つてもらいたい。まして今度は君を処罰するのが目的じやないのだということを言つておりましたのです。そのときにおいて、私としては何もそういうことは念頭にない。ただ自分でやつたことだけを調べられればいいので、人のことを云々ということは私としては言えない。まして私がそういうことをやつていながら、他人のことを言うということは、結局私としても心苦しい、こう申したのです。そのときにおいて、とにかくそういううわさであつて、だれがどうやつているということを、私としてははつきり内容は知らないのでありますから、そういうことを言つたときに、橋本檢事は、ただうわさだけでいいんだ、うそかほんとうかということはこつちで調べるのだから、君には心配はかけないと言つたのです。だけれども、私としては何とも言えませんと言つていたときに、その翌朝——二月三日じやないかと思いますけれども、檢事正も比較的そういうことを望んでいる、檢事正の命令であつても言えないかというわけで、檢事正の命令だつたらいたし方がありませんといつて、私が言つたわけなんです。そしてそのときに書いたことも、一部そういうのであつて、その後三月の十五日ごろになつて、また本間事務官が今度來まして檢事正も保釈のことは心配している。それでもつて、こういう事件、こういう事件があるけれども、知らぬか、詳しく聞きたいというような関係上、私は書いたのであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 しかし先ほど本間事務官の言うのには、あなたの手記を自由なる意思に基いて書くようにというので書かせたということであるのですが、その書いた手記は、風聞を基礎にして書いたというわけですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。そのことにつきましては、最後に、感想というか、何といいますか、締めくくり的なことを書けと言つたのです。そのときに私は、二、三日考えますから、そして調べられてから、現在命ぜられたときまでのことを詳しく書きますからと言つたときに、橋本檢事は、いやそういうことは簡單でいいんだ、檢事廳を去るについて、自分が大きな立場から考えて、置きみやげにして行くんだということを書けば、それでいいんだと言つておりました。それから二月の十一日であろうと思います。——二月の九日ごろから、橋本檢事も釈放するように奔走しているけれども、上層部ではどうも釈放に反対しておるというようなことを言つて、それから十一日の朝から、本間事務官といわゆる筆談的なことを書いて、それで話合つたり、それからたしかにその前には、私そういうのだつたらというので、大体十七、八名のうわさに上るというような人々の名前を列記しましたが、それについて補足的にまた十四、五名か、二十名近くの檢事と事務官を入れて、系統図みたいなものをつくつたようでした。その中には、名前を書かずに、ただマルを書いて、そしてその中に疑問符をつけて、覆面の何とかというようなことで系統図をつくつたのは見ておりますけれども、私としては、前にも申し遅れましたけれども、木内檢務長官もきわめて心配している。だから早く自分の感ずることは自白して、それ以外に、そういう檢察廳にとりざたされておるうわさが、外部に知られては困るから、言つてもらいたいというようなことを言つているのだけれども、言う氣にはなれないかというようなことまで言つたことがありました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それで、あなたの手記中に書かれた檢察官一名並びに事務官十七名ですか、合計十八名というものは、大体どういうことをやつておるということをうわさによつて書いたのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 結局望月君、それから濱田君、龜井君、その人らについては、私と行動をともにしたことがあつて、はつきりしておりますけれども、それ以外のことについては、先ほどまで申し上げたように、うわさであつて、その内容については——一々申し上げるのですか。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 いや一人々々でなくてよいから、大体概念だけを、十八名の者がどうしたのか、あるいは被疑者から金品をもらつたとか、酒を飲まされたとか、あるいはごちそうになつたとかいうような意味のことがあつたということなんですか、どういうことなんです。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。被疑者関係と交際しておる——金品を受取つておるというようなことは知りませんけれども、とにかく事件と関係したところに行つて飲んでおるとか、それから出入りしているというようなことだけなんです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それで、この十八名のうち事務官五名は、檢察廳内部において取調べた結果非行があることがわかつたのですね。それは知りませんか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 五名と言いますと……。もう一度お願いいたします。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 あなたが十八名の名前をあげて、そうして非行があることを手記されたそうだが、これらについて、檢察内部において取調べを進めた結果、事務官の五名について非行があるという結論に到達したという話を聞いているのですが、そういうことをあなたは知りませんか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 新聞によつて——日本タイヤー事件ではないかと思いますけれども、忘れましたけれども、新聞では、五名の事務官連坐というような見出しで、岡本事務官、それから望月、龜井、濱田、相原だろうと思いますけれども、この五人、新聞で見ました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それから横浜檢察廳の事件簿がきわめて乱雜であるということですが、それはあなた承知しておりますか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 事件簿の乱雜ということについては存じておりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 事件簿を見たことがありませんか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 当直のときつけたことがありますから、見ております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それを見て、あけたところや、あるいは切り取つたとか、むしり取つたとか、ページが飛んでおつたりして、あるいはまた空白のところもあり、あるいは番号が飛んでおつたり、きわめて乱雜であるということを、みんな言うておるのだが、そういうことにあなたは氣づかなかつたですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 当直のときは、現在進行している事件簿だけであつて、古い事件簿であるとか、その前の事件簿というものは見ませんから、まして……。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 あなたの見た事件簿はどうでしたか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そういうような点はなかつたようです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 あなたは後藤つぎという女の人を知つておりますか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 知りません。名前は、一回か二回くらい聞いたことはありますが……。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 檢察廳で会つたことはありませんか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 顔を知りませんから、会つたかどうかわかりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでは家に行つたことも、もちろんありませんね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 ありません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 ほかに何かお尋ねになることがありますか。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 獄中で書かれた手記に対しては、目次をおつけになりましたか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 つけません。それから日付も書きません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたの書いた手記の中に、あなたが檢察廳に勤めるようになつて間もなく、田中という人、これは事務官だか何だか知らぬが、求刑のことで話し合つたときに、檢事の求刑した金額を檢事が鉛筆か何かで書く、そのままを略式命令なり何なりに書き込むかどうかという話をしたときに、そのまま書き込まぬで、三千円なら千円とか、あるいは二千円とかいうふうにして実際書くんだというような話を田中という人だかどうだか、あなたにして聞かせたことがあるということが書いてありますが、さようなことを聞いたことがありますか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 今、求刑のことについてそのまま書くことを相談したと申されたようですが、そのまま書くということについては、相談しません。ただ私が仕事をやつていたときに、そのまま書いてやるのかというようなことを聞かれたのです。それで、そうですと言つたところが、かわいそうな事件は、たいがい五百円か千円くらい削つて書いているようだぜ、というようなことを申しておりました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 だれがですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 田中事務官です。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、あなたは檢事が鉛筆で書いてくれた通りのことを書いております、と言つたところが、かわいそうなのは五百円か千円も引いて、たいていやつているのだというふうに、事務官が話したのですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 話しました。それで私は、そうかね。こういうようなことを言つておりまして、それから、そういうことを聞いてから、私としては、鉛筆で書いてくれた略式命令書にはゴム消しで消さないようにして、そのままの金額を書いておきました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、そうする人は、鉛筆で現在書いてある金額とゴム消しで消してやつていたのでしよう。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうじやないかと思います。そこまではわかりません。そこまでは氣にとめなかつたのですが……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それは田中という事務官からたしかにお聞きになつたのですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 聞きました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたは日本タイヤーの馬場という人と、前から古い知合いででもありますか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 知合いじやありません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたが去年の暮かに、この馬場という人から削り節二本入れ三箱、それとウイスキーをもらつたということがありますか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 もらいました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それはどういう意味でしよう。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 あれは年末の休みになつてからじやないかと思いますけれども、忙しい関係上、まして來年から新刑訴になるというので、古い事件は早く片づけたいと思いまして、出勤していたわけです。そのときに望月君のところに行きまして——ちようど望月君と私は席を並べていた関係上、私と望月君の間に來まして、暮のあいさつをいたしまして、望月君に、こういう物を持つて來たのだけれども、どうだろうというようなことを話したらしいのです。それで望月君が私に相談したわけです。それで結局この前にごちそうになつておるのだから今度またそういうものをもらつては困るじやないかということを言つて、極力遠慮したところが、向うとしても、別にそういう意味で持つて來たのじやないというわけで、それでお歳暮というわけで受取つたわけです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 だけれども、あなたは何も関係がない人からお歳暮をもらうわけはないでしよう。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 それは望月君がやはり関係しておりまして……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 いや、望月君がもらうのはわかるが、あなたがもらつたのはどういうわけですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 結局、その人は知りませんけれども、望月君を通じて知り合つたためにもらつたわけです。それで直接別に——同じようなわけですが、一旦望月君が全部受取りまして、望月君が私にくれたわけですから……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 向うは、あなたの手記を見ると、望月さんと木船さんということであなたの名前を指名して三箱持つて來たというのだ、そこであなたと望月氏が一箱ずつわけて、あとの一箱をどうしましたか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そうです。指名して來ました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あとの一箱はどうしましたか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 あとの一箱は富田檢事のところに二人の名前で差上げました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そのときのこの事件の係檢事はだれでしたか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 知りません。まして先ほど申し上げましたように、日本タイヤーの事件があるかないかも知りませんね。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、あなた方二人といつて三箱持つて來たのに、おのおの一箱取つて、あとの一箱は富田檢事のところにやつた、こういうのですね。二人で三箱だとわけるのに困難だね。三人のつもりで持つて來たのじやないか。あなたと望月と富田、三人にやつてくれといつて持つて來たのじやないですか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 そういうことであつたら、まして龜井君も、濱田君も一緒に行つておるのですから、四人である。その連中に、二本ありますから、それを一本ずつやつてくれというわけではないかというようなことを望月君と話しておりましたけれども、せつかく一箱になつておるのだから、默つていればわからないじやないかというわけで、やらなかつたわけです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 ちよつと待つてください。念のために申し上げておきます。初めに申し上げたように、もし証人がお尋ねする過程において、自己の刑事責任を問われるような点に触れる場合には、もちろん証人が証言を拒否し、默祕することができるのでありますから、御注意申し上げておきます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それから花園纖維事件の記録が、名古屋の方に送られたということについて、これは地檢の檢事さんが相談して、名古屋へ間違つたか、故意にだか知らぬが、移送したのだというようなことを聞いておるのではありませんか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 聞いておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたはそういうようなことを鈴木という新聞記者に話したことはありませんか。朝日の鈴木卓郎君に話したことはありませんか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 ちよつと記憶ありません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 正直に言つてもらいたい。これは富田と村山という檢事が名古屋へ送ろうじやないかと言つて相談したということを、あなたは知つておるということだが、知りませんか。何かそのことについて二人の檢事が相談しておつたということを、あなた知つているんじやないか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 別に記憶ございません。ただ鈴木さんと話したことは、農業の関係事件でもつて、私がその事件をやつておりまして、それでその経過を聞いたときに話したことだけなんですが、そのとき何か言つたか言わないか、今記憶がありません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたはそれを知らぬというわけですね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 記憶ないのです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 記憶がないのか知らぬのか。記憶が薄れているのか、全然そういうことは知らないのか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 最近においては、富田檢事が村山さんに、移送してありますかということを聞きましたけれども、鈴木さんにそういうことを……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それはあなたが話したかどうか、それはわかりませんよ。あなたが話したかどうかわからぬが、富田檢事が名古屋へ移送しているということを、あなたは聞いたことがあるか。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 名古屋へ移送しているということは、聞いたことはありません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、事件の記録は紛失しておつて、探したことは知つておりますね。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 知つております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そのときには名古屋へ行つたということは知らなかつたわけか、みなは。

木船敏沖元地方檢察廳事務官

○木船證人 多分そうじやないかと思いますが、どうだかそれはわかりません。名古屋だとか、そういうことも頭には浮ばないし、どういうものかということは、別に念頭にも置いていなかつたのです。ただ探したということだけなんです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 よろしゆうございます。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 ほかにありませんか——なければこれで終了しました。どうもごくろうさまでした。  一瀬惣一君ですか。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 はい。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 年齡は。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 三十三才。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 職業は。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 毎日新聞記者。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 本籍は。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 山梨縣西八代郡市川大門町です。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 現住所は。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 横浜市富岡町堀口百八十八番地。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 速記の関係もありますので、なるべく靜かにお述べを願いたいということと、それから時間もありませんから、なるべく簡潔にお願いしたいということを申し上げておきます。  あなたは毎日新聞記者として、いつからいつまで職に携わつておられますか。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 昭和十二年の四月一日に入社しまして、昭和十三年に應召しまして、二十一年の八月に復員し、それ以來横浜支局に勤務しております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 横浜支局でどういうことをやつておられます。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 縣の警察部並びに横浜警察廳、横浜地方裁判所、横浜弁護士会などを担当しております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 あなたは明治商会というものを御存じですか。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 知つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その社長の岩山明正というのを御承知でしようね。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 社長が岩山明正であることは知つておりますが、まだ会つたことはありません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それでこの明治商会の事件が横浜地檢に起つたことは御承知でしようね。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 知つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その事件について、鈴木茂雄なる者に岩山明正が十万五千円を渡して、そうして事件のもみ消しをやつたということを知つておられますか。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 知つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 もし知つておられるならば、その概略を申し述べてください。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 昨年の春であります。これは私の社の壽警察をまわつておりますところの出先記者が、どうも明治商会の油の百万円の横流しで、後藤つぎさんが中に仲介して、そうして防犯新聞の鈴木茂雄が暗躍して、金銭の收賄があるということを探知して來ましたので、今まで横浜地檢の醜聞というものはいろいろ聞いておりましたので、この際横浜地檢を粛正するにはこの事件を捜査して、粛正しようというふうに考えまして、二人で不眠不休で捜査しましたが、何ら確証をつかむことができませんでした。その際岩山明正に会うために東京にも参りましたが、ちようど岩山明正が交通事故で入院しておりまして、面会謝絶になり、奥さんと会いましたが、奥さんは何も知らぬということで、結局何ら確証が握れずにおりました。ところがたまたまことしの三月八日、横浜地檢の粛正問題で、またこの問題が再燃したわけです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうですか。それでは結論的には事件の眞相につかみ得なかつたわけですか。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 何かこの事件について、富田檢事と鈴木との間に、受け取つた金は貸金名義にしろとかなんとかいうような、いろいろ工作がめぐらされたような話ですが、そういうことも知りませんか。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 その工作がめぐらされているということは聞きました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それはどういうことです。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 岩山明正は鈴木茂雄との間に、賃貸的な契約にしておくなどということを聞いておりました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 十万五千円をめぐりまして……。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それじややはりこの金を貸借名義にしておかないと問題が起きるというようなことから、そうやつたわけですね。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それから鈴木茂雄が、右の事件に関して岩山を案内して、二人で檢事連中が宴会をやつているところへ乘り込んで行つたというような事実を知つたのでございますか。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 それは昨年の春、ただいま申しました私の方の出先記者がこういう事実を聞いて参りましたので、私たちはそのときは後藤つぎさんの経営しているところのつたのや旅館で檢事連中が祝宴を張つているところへ、鈴木茂雄が岩山明正を連れて、二万円を持つて來たということを聞いて來たのであります。そのためにつたのやを当りましたが、残念ながら確証をつかむことはできませんでした。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 何かお尋ねになることがありますか。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 花園纖維事件の記録が名古屋の方へ移送されたというようなことについて、何かお聞き込みのことはありませんか。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 聞きました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 どういうことです。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 それは花園纖維関係の事件が、東京地檢あるいは厚生省、あるいは警察廳などに波及しているために、事件をもみ消すというために、書類をたらいまわしにしているということを聞きました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 名古屋へ送つたかどうかというようなことをお聞きになりませんでしたか。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 名古屋へ送つたということは、名古屋の自分の社に注文しまして、名古屋地檢を調べてもらいましたところ、名古屋地檢には、昨年八月九日附で横浜地檢から送つた花園事件の書類を受理しており、九月三日名古屋地檢から岡崎支部に移送されております。同支部では花園纖維の社長の深谷、同じく平岩という取締役を取調べたが、十二月二十五日に東京地檢からの電報で、同支部からさらに横浜地檢に書類が移送されております。この際名古屋地檢の係り檢事は留守のために、どういうために横浜地檢がまた書類をこつちへ返してくれと言つて來たか、その理由はわからぬけれども、他の檢事の話によると、本來ならば、この事件は岡崎で処理する事件であるが、移送は非常におかしいというようなことを言つておつたそうであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その横浜地檢の当時の檢事である富田とか村山とかいう檢事は、これを名古屋へ送ろうじやないかという相談の結果、送つたのだというようなことをお聞きになりませんか。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 その際地檢のある事務官から聞きましたのは、何か村山檢事と富田檢事が、あの書類は名古屋に移送したということになつているということを言つておつたということを聞きました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 名古屋に移送したということになつているということを聞いたのですね。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 はあ。そして七月、八月ごろになつて、花園纖維の記録がないないと言つて騒ぎ出しているということも聞きました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そのないないと騒ぎ出した前ですね。移送したことになつているということを聞いたのは……。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 そうであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 わかりました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 ほかにありませんか。——最後にお尋ねしますが、後藤つぎという女の人があるそうですね。そしてそこへ横浜檢察廳の役人が出入りをしており、また後藤つぎも檢事局へしよつちゆう來ている。そして身柄の拘束を解除してもらうとか、あるいはまた刑を軽くしてもらうとか、あるいは不起訴にしてもらうとかいう運動を盛んにやつているという話がありますが、そういう点について証人が見聞きしたことを簡單に言つてくれませんか。知らなければ知らないでよろしいのです。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 聞いたことで、見たことではありませんが、横浜地檢の檢事あるいは事務官の一部が、後藤つぎさんの家に絶えず出入して、そしてつぎさんから相当な饗應にあずかつているということも聞きましたし、某檢事は洋服をこしらえてもらつたとか、あるいはオーバーをこしらえてもらつたとかいうことなども聞きました。また後藤つぎさんから横浜檢察廳へ、電話である事務官を通じて、あの事件はできるだけ軽くしてやつてくれとかいうことを言つて來たということも聞きました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それで、あなたは後藤つぎという人に会つたことはありませんか。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 私は後藤つぎには会いませんです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 どういう商賣をやつておるかも知りませんか。

一瀬惣一毎日新聞社記者

○一瀬證人 現在日本油脂とかいう会社の重役だということは聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それではこれで済みました。どうもごくろうでした。  住谷政勝君ですね。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 年齡は……。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 二十五です。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 職業は……。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 日本経済新聞記者。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 本籍は……。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 横浜市神奈川區反町一七番地。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 現在所は……。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 横浜市神奈川區松本町六六です。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 念のために申し上げておきますが、速記をとる関係がありますので、なるべく靜かに話を願うことと、そして時間の関係がありますので、簡潔にお願いいたしたいと思います。  あなたは日本タイヤー事件に関し、鈴木作次郎を訪問して事情をお聞きになつたことがありますか。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 あります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それはどういうことです。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 それは望月事務官以下数事務官が、日本タイヤーからタイヤをもらつて、それを小田原の緑町二丁目の鈴木作次郎自轉車屋に賣つたという聞き込みを得たので、それを確かめに行つたのです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうしたら、どうしましたか。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 それは事実でした。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それで、いくらで賣つたというのですか。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 最初望月氏が一人で四包を持つて行つたときは——今はつきり記憶がないのですが、当時新聞に書いてその翌日出ましたから、それを見ればわかるのですが、多分二千円ということを言つておつたと思うのです。一包……。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 四包あつたのですか。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうすると八千円ですね。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 そういうわけです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そして、その次はどうですか。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 その次は、木船が一人で行つて、これは二包持つて行つて、一包七千五百円ですか、それで引取つたということです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうすると二包が一万五千円ですね。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 そうです。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そのタイヤーはどうしたタイヤですか。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 そういう点に関しては聞きませんでした。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 日本タイヤー事件の内容を御承知ですか。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 知つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 その知つておられる問題を、簡潔にひとつお述べを願いたいと思います。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 昨年四月ごろですか、日本タイヤーと配炭公團と、石炭、それからタイヤ、チユーブの物交事件が加賀町署によつてあげられまして、それが一應その地檢の経済課に送られたわけです。しかしその後一時中絶の形になりまして、それから某加賀町巡査が戸塚署へ行つたときに、戸塚署でこういうことを言つたというのです。それは、加賀町の某巡査がまた來た、なんかもらいに來たのじやないかということを、戸塚署の巡査が言つた。それで加賀町の巡査が署に帰つて、平林経済主任にそのことを通じたわけです。そうしたら平林経済主任は、おれたちは何ももらつていないんだということを言いまして、それからその直後、再度その事件に手を着けて送つたらしいです。配炭公團の方は一應処分になつておるということを聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 日本タイヤーは……。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 日本タイヤーの方は未処理ということを聞いております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 後藤つぎという人を知つていますか。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 名前はよく知つております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 会つたことはありますか。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 会つたことはありません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 どういう人ですか。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 これはぼくらも檢察廳へ出入りしまして、その名前はずつと前から聞いておつた。「もらい下げばあさん」とか言われ、戸塚署の留置場のかぎまで持つておるというようなことを言われて、もつぱらそういう方面の風聞は大したものであります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それで檢察官や事務官が出入りしておるということを見聞きしたことがありましたか。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 聞きました。確かな筋では、ぼくはこの事件を最初からねらつていて、堀檢事正に早くに会つたことがあるのです。堀檢事正が東京地檢へ轉任になるときに、異例な訓示を行つた。ばあさんのことについて非常に訓戒を與えて行つたということを聞いたのです。それを確かめに行つたわけです。堀檢事正も一部檢事——宮崎ですか、石塚ですか、前の檢事が宿泊していたということは認めていました。それから檢事の送別会とか、正月の宴会とかいうのは全部後藤の家でやつていたということは私は認めるということを、堀さんも言つておりました。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 そうですか。ほかに何かお尋ねになることがありますか。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 ことしの春の衆議院選挙に際して、後藤つぎなる人は自宅を竹田道二という人の選挙事務所にしたということを御存じですか。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 自宅を選挙事務所にしたということは知りませんが、とにかく竹田道二の選挙事務長であつたことは事実です。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 後藤つぎが竹田道二の選挙事務長をやつたのですね。そこで彼女は盛んなる個別訪問を大膽にやつて歩いた。ところが檢察廳の横山檢事が逮捕令状を出したにかかわらず、さらに逮捕されないで、いわゆる警察ばあさんである本領を発揮したということをお聞きですか。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 聞きました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そのことについてあなたの知つておることをちよつと言つてください。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 あの事件は実はぼくは非常に注目しまして、すでに逮捕状を裁判所に請求したときに、もう当然逮捕されるものと思つて原稿を書いたのです。その翌日の新聞にそれは載つたのですが、遺憾ながら警察では逮捕状でひつぱつて來て、ちよつと調べてすぐおつぱなしてしまつたわけです。主任檢事の了解なしにつぎさんを放してしまつた。それで主任檢事横山檢事が非常に憤慨されまして、捜査二課の酒寄警部を呼んで難詰したところが、大したことじやないと思つた。それに本人も犯行を認めておるからというので放してしまつた、非常に申訳ないと言つたということです。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 今の林次席檢事が、横山檢事が後藤に対して逮捕状を出したことについて、たいへん事務官を叱りつけたということを聞いておりませんか。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 これはぼくもそういうことをちよつと聞きました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 いま一点、横浜に住太楼という菓子屋がありますね。

住谷政勝日本経済新聞社記者

○住谷證人 ぼくは知りません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 ほかにお尋ねはありませんか——なければこれで済みました。どうもごくろうでした。  本日の横浜地檢に対する証人調べはこれをもつて終了いたしました。他の証人調べについては、理事会にはかつた上、そのすべてを委員長が決定することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

花村四郎民主自由党

○花村委員長 御異議なしと認めて、さようにはからいます。  本日はこの程度で散会いたします。     午後六時五十一分散会

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