法務委員会 第17号
- 発言数
- 57 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1949/05/10
会議録
○花村委員長 これより会議を開きます。 本日はまず出版法及び新聞紙法を廃止する法律案を議題といたします。御質疑はありませんか——。質疑がなければ、これにて質疑は打切り、討論に入ります。討論はいかがいたしましようか。 〔「討論省略」と呼ぶものあり〕
○花村委員長 それでは討論を省略して採決いたします。 本案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔総員起立〕
○花村委員長 起立総員。よつて本案は全会一致をもつて原案の通り可決いたしました。 なお本案に対する委員会報告書の作成並びに事後の取扱いに関しましては、委員長に御一任願います。
○花村委員長 次に少年法の一部を改正する法律案及び少年院法の一部を改正する法律案を一括議題といたします。御質疑があれば伺います。
○北川委員 特別少年院は全國に何箇所ありますか。またこれに收容する少年、女子の人数はどのくらいありましようか。
○齋藤(三)政府委員 特別少年は福島に一箇所あるだけであります。起訴率は昨年の二十分の一に減少しております。
○北川委員 少年保護施設の費用として本年度は二億四千万円が計上されておりますが、この予算が実施されれば、これで十分に施設は完備されますでしようか。この点お伺いいたします。
○齋藤(三)政府委員 この予算ではとうてい全部を十分に收容することはできません。また本年度の予算によつて施設をつくるとしても、その設備が完備するまでには相当の日時がかかることと思います。
○北川委員 この設備ができ上るまで何らかの施策を講ずる必要があると思うのです。たとえばそれまで少年刑務所を利用するということはお考えになりませんですか。
○齋藤(三)政府委員 現在さような法律上の道がないので、一定の期間、少年刑務所を少年院として利用し、また女子を收容する施設の一部を少年院にあてるような便法を講ずるようにすればよいのではないかと存じます。
○高木委員 東北少年院の放火事件は何であるのか、お伺いします。
○齋藤(三)政府委員 以前東京にいて放火をやつたことのある少年を、ほかに收容する場所がないのであそこに入れておいたのでありますが、それが他の不良少年を煽動してあのような事件を起したのであります。なおその後盛岡の刑務所を東北少年院の分室という意味で、四十何名かをそちらに分離いたしましたところ、非常によい結果を得ました。また職員につきましては、中央の講習期間を活用して、新しい少年院に対する心構えを養成し、遺憾のないようにしたいと存じております。なお仙台附近に適当な土地がありますので、予算内ででき得る限りよい施設を設けたいと考えております。
○花村委員長 これにて本案に対する質疑は終りました。 〔委員長退席、佐瀬委員長代理着席〕 ————————————— 〔以下速記〕
○佐瀬委員長代理 次に檢察廳法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案に対する質疑はございませんか。
○猪俣委員 本案の第三十二條の二に、この法律第十五條、第十八條乃至第二十條及び第二十二條乃至第二十五條の規定は、國家公務員法附則第十三條の規定により、その特殊性によつて同法の特例を定めた。こうなつておるのでありますが、この点につきましては、人事院との間に交渉ないし了解があつたものであるかどうか、その点についてお伺いいたします。
○高橋政府委員 ただいま猪俣委員のお尋ねの点は、この法案を國会に提案いたします前に、人事院と十分連絡をとりまして、了解点に達したところでこの法案をつくりまして、差出したものでございます。
○猪俣委員 いま一点、これはこの法案に直接関係がない事項かもしれませんが、現在檢察事務官が起訴権を行使しておるようなことがあるかないか。あるとすればいかなる法律上の根拠に基いてやつておるのであるか、それをお聞きしたいと思います。
○高橋政府委員 檢察事務官が檢察官の事務取扱いとして起訴権を行使しておる場合がございます。その根拠の規定は檢察廳法の三十六條であります。すなわち「法務総裁は、当分の間、檢察官が足りないため必要と認めるときは、区檢察廳の檢察事務官にその廳の檢察官の事務を取り扱わせることができる。」この規定に基きまして、檢察官事務取扱いというものをある程度認めて活用しておるのであります。
○猪俣委員 そうすると、起訴するということも事務とみなして、この條文に基いてやつておるという御解釈ですか。
○高橋政府委員 さようであります。
○猪俣委員 しかしこの三十六條から一体起訴権というような廣大な権利の発生を認めるということは、ちよつと考えられないことなのであるが、そうすると今檢察事務官がやつておる起訴権なるものは、この三十六條以外には何らの法的根拠はないというわけですか。
○高橋政府委員 この場合に檢察官の事務と申しますのは、やはり檢察廳法の第四條及び第六條の檢察官に定められた檢察官の事務であると考えますので、三十六條を通しまして、四條も六條もまた根拠規定であるというふうに考えております。
○佐瀬委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。
○松木委員 ただいま猪俣君の質問に対して、檢察事務官が起訴権を有するのは、檢察廳法の三十六條の規定に根拠しておるという御説明であつたのであります。その説明で了解はできますが、この檢察廳法を見ると、たとえば「檢事総長に事故のあるとき、又は檢事総長が欠けたときは、その職務を行う。」あるいは第五條にも「職務を行う。」という用語が使つてあります。まだあるかもしれませんが、一体事務と職務とはどこで区別されるのですか。 〔佐瀬委員長代理退席、委員長着席〕
○高橋政府委員 ただいまのお尋ねの点は、職務と事務とを非常に明確にこれで使いわけておるようには見えないのであります。たとえば第四條あたりでも檢察官の職務としてございますが、この條文の終りの方はかくかくの「事務を行う。」というふうになつておりますし、ただいま御指摘の第五條におきましては「前條に規定する職務を行う。」というふうになつておりまして、その点は用語の不統一があるかもしれませんが、特にこれを意味があつて書きわけておるのではないのではないかというふうに考えられます。
○松木委員 そうすれば同一の意味に解釈してよろしいのですか。
○高橋政府委員 檢察官の事務と申しますと、四條ないし六條、そういう規定のあるものに限られることに間違いありません。
○花村委員長 ほかに御質疑はありませんか。御質疑がなければ、本案の討論採決を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 御異議なしと認めて、それでは本案の討論採決を行います。 本案は簡單な法案でありますから、討論は省略いたしたいと存じますが、いかがでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 それでは討論を省略して、ただちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔総員起立〕
○花村委員長 起立総員、よつて本案は原案の通り可決いたしました。 なお本案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任を願います。 —————————————
○花村委員長 次に認知の訴の特例に関する法律案を議題といたします。提案者の御説明を願います。松木弘君。
○松木委員 認知に関するただいま議題になりました法案は、提出者の古島君が不参でございますから、私の方から簡單に説明いたします。 現在認知の訴は、民法の規定によりまして、親の死亡の日から三年経てば提訴することができないことになつております。しかるに戰地で死亡いたしましたものに対しては、死亡いたしましても何年もわからないでおるものがある。公報があつても、その公報が三年後にあることもあり、死亡して三年後に公報が來るという実情もあるのでありまして、これらの実情に沿わないのでありますから、これらのものに対して認知の訴の特例を設ける必要があるのであります。これがこの法律案を提出する理由であります。よろしく御審議願いたいと思います。
○花村委員長 本案に対して何か御質疑はありませんか。 御質疑がなければ討論採決をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 御異議なしと認め、それでは討論を省略して、ただちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔総員起立〕
○花村委員長 起立総員、よつて本案は原案の通り可決いたしました。 なお本案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任を願います。 —————————————
○花村委員長 次に人権擁護委員法案を議題に供します。 御質疑はありませんか——梨木作次郎君。
○梨木委員 私は前会の委員会に出してあつた質問の答弁を求めます。私は前会の委員会におきまして第七條の四号に「日本國憲法施行の日以後において、日本國憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壞することを主張する政党その他の團体を結成し、又はこれに加入した者」こういう規定があるのでありますが、ここに規定しておるような政党というものは、團体等規制令によつて禁止されておるのであります。そういう事情にあるにもかかわらず、なぜことさらにこういう規定をしたかという点についての説明を、これは法務総裁に求めてあつたのでありますから、法務総裁から答えていただきたいのです。 —————————————
○花村委員長 ただいま議題になりました人権擁護委員法案は、法務総裁並びに法務廳の政府委員の出席がありませんので、他日に讓り、次に刑法の一部を改正する法律案、刑事訴訟法の一部を改正する法律案、犯罪者予防更生法案、犯罪者予防更生法施行法案の四案を、一括議題として質疑を行います。御質疑があれば承りたいと存じます。
○梨木委員 今議題になつておる問題と直接に関連はありませんが、意見長官が見えておりますから聞きたいのでありますが、最近地方におきまして、盛んに地方自治法に基く條例として、行列行進、集團示威運動に関する條例というものが、たとえば石川縣において、新潟縣において、大阪において、大阪は昨年の十月でありますが、最近は東京都においてもこの條例の制定が問題になつております。そこでこの公安條例を見ますと、大体どの縣で出ておるのも同じようなものであります。一つ見本に新潟縣で出ておるのを読んで見ますが、第一條におきまして、行列行進または公衆の集團示威運動(徒歩または車両で道路、公園その他公衆の自由に交通することができる場所を行進し、または占領しようとするもの以下同じ)はその地域を管轄する公安委員会の許可を受けないで行つてはならない、この第一條に違反した場合におきまして、第五條において、左の各号に一に該当するものは、一年以下の懲役または五万円以下の罰金に処す。こういうことを規定しておるのであります。大体罰則の一年以下の懲役または五万円以下の罰金というのは、石川縣のものも大阪市のものもまつたく同じであります。それから先ほど申し落しましたが、京都市においてもこういう條例の制定が今議会にかかつておるのであります。示威運動、示威行進というものは、憲法の二十八條でありますかによつて、團体行動をする権利は勤労者に保障されておるのであります。ところがこの條例を見ますと、原則として示威運動というものは禁止事項になつて、許可を得た場合に初めて示威運動なり、示威行進ができるというように規定しておるのでありまして、これは明らかに憲法の基本的な人権として保障しておるところの示威運動の自由を侵犯するものであります。こういうような條例をもしもこのまま放置しておきますれば、全國に波及いたしまして、遂には憲法で保障したところの基本的人権が、完全に全國的な規模において抹殺されてしまう結果になるのであります。すでに新潟縣におきましては、税務署へ税金の交渉に幾らかの人々が集團的に陳情したことをもつて、この條例違反に問いまして檢挙しておる事実が出て來ておるのであります。かようなことになりますならば、これは官廳へ集團的な陳情さえもできないというような、こういう大衆運動に対する彈圧が公然と、法の名前において行われるということになるのであります。この点についてすでに法務廳へは報告が來ておるはずでありますから、法務廳はこれに対してどういうふうに対処しておるか、またこれに対する見解を聞きたいのであります。
○兼子政府委員 ただいまの御質問でありますが、御承知の通り地方自治團体の條例制定権は、憲法によつて保障された自治法権でありまして、憲法または法律の範囲内においては当然認められることになつておりますし、またこの條例制定権に対しては、中央政府におきましては、直接これに干渉するという方法は許されていないのでありまして、從いまして、たといその條例があるいは法律に反する疑いがある。あるいは憲法に反する疑いがあるという場合におきましても、これが裁判所で問題にならない限りは、その無効を確定するという方法を、現在の政府には與えられていないわけであります。この点につきましては、私どもといたしましても目下研究中でありまして、あるいは違憲、違法な條例が地方團体によつてつくられました際には、法務総裁が当該地方自治体を相手どつて、最高裁判所へ出訴して、その違法、違憲に基いた條例の取消しを命ずるというような方法を、あるいはとれるのではないかという点を考慮してはおりますけれども、現在におきましては、そういう國と地方公共團体との関係については、そういう方法は認められてないわけでありますから、將來の立法にまつことではないかと思います。なお現在におきましても、もし地方自治團体の條例が明らかに憲法に反し、あるいは國の法律に反するという場合におきましては、國の機関といたしましては政府の解釈によりまして、行動し得るわけであります。その意味から國の機関としては、その拘束を受けない。あるいはこれを執行しないというふうな余地はございますけれども、終局の問題は、裁判所へかかつた際に、裁判所の判断を受けるというほかはないわけでございます。
○梨木委員 私が伺いたいのは、具体的の私が読み上げた新潟縣の條例でありますが、これが憲法に違反するかしないか。どう法務廳は考えておるのか、これをまず伺いたいのであります。
○兼子政府委員 この点につきましては、法務廳としても、目下研究中でございまして、まだ法務廳として正式の意見はまとまつておりません。しかしながら御説の通り、示威運動というふうなものは、むしろ憲法の二十一條の集会の自由に該当するものでありまして、これを侵害することは重大なる基本的人権の保障を無視することになるわけであります。ただ普通の集会と違いまして、示威運動においては、それが移行するという面がございますから、この点で交通その他の秩序を維持するという方面からのある程度の制限は考えられると存じますが、御説の通り單に事前に官廳の許可にかけて、その許可のない以上は一切やらせない。そしてその許可に反した場合においても、非常な重い刑罰、たとえば体刑を課するというようなことは、私の考えでは行き過ぎではないかというふうに考えまして、少くとも届出を命令する、あるいは届出に反した場合においても一種の秩序罰を課するというふうな程度のことは、あるいは必要ではないかと考えるのでありますが、あとはむしろ実害を伴つた場合、すなわち交通を非常に妨害したとか、あるいは騒擾を起したとか、実害を伴つた場合は、刑法その他の刑罰に触れるということが出て参りますけれども、今のような点について頭から行政的な措置で、集会なり、あるいはその集会の移行ともいうべき街頭行進というものを、一概に制限することは相当疑問ではないかと思います。
○梨木委員 そうすると今研究中だというのでありますから、いつまでに確定的な見解を表明していただけますか。これは早急にやつていただきたいと思いますが、それをお伺いします。
○兼子政府委員 まだ目下のところ十分な材料を持ち合せておりませんので、その材料を得次第、同時にまた具体的な事件が起つておりますならば、その警察なり檢察廳の方から報告も参ると思いますから、そういうことを中央で取上げられるようになりましたら、その際にはつきり意見をきめたいと思います。
○梨木委員 私の方に参つておる資料では、大阪市、石川縣、新潟縣、目下上程中のは京都市であります。近々上程されるというのが東京都でありますが、そのほかに報告が來ておりますか、いかがでしようか。これは地方自治法二百五十二條によりまして、條例を地方自治体がつくつた場合には、必ず政府に報告しなければならぬことになつておりますから、報告が來ておるはずだと思いますが、その点どうなつておりましようか。
○兼子政府委員 あるいは内閣の方の自治課の方には参つているのかもしれませんが、まだ法務廳としてそれを入手いたしておりませんので、実ははなはだ連絡が行き届かないで申訳ございませんが、私どもといたしましては、まだ十分知つておらない状態であります。
○梨木委員 それでは至急に、こういう示威行進を制限するような條例が、全國のどことどこでどういうものが出ておるかという資料を提供していただきたいと思います。そのことと、早急にそれに対する法務廳の見解を確定して、発表していただきたいということを希望しておきます。 その次に先ほどの御答弁の中では、これは自治体がやるのだから、中央官廳としては手のつけようがないというような趣旨のことをおつしやいましたが、憲法九十九條におきましては「天皇又は攝政及び國務大臣、國会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」こうなつております。從いまして、こういうように明らかに憲法違反の事実が地方において続々出て來ておる場合におきましては、公務員といたしましては、これは憲法違反だからやめろという勧告をしなければならないと思う。少くとも憲法を尊重し、擁護する義務を負つております。だから私はこれは憲法違反だからやめよという勧告なり、こういう條例は違反であるということを、政府が声明する義務があると思います。私自身も國会議員として、こういう憲法違反の事実があるから、その義務だけではなく、これは日本の民主化を促進するためにも重大な問題だと考えましたので、この発言をしておるのでありますが、この点についてあなたの方は、單に自治体のやつたことは、中央官廳としては拱手傍観するほかないというようなお考えは、私はどうかと思うのでありますが、その点についての御見解を聞きたいと思います。
○兼子政府委員 ただいま御引用になりました憲法の規定は、やはり憲法におきまして、それぞれ職務権限というものが定つておる。各自治体なり國家機関というものは、それぞれその職務権限が定まつておるのでありまして、その職務権限を行うについて、憲法を尊重しなければならないという趣旨であると考えております。從いまして憲法上ないしはそれに基く法律の上におきまして、地方自治体の自治権というものに関して、政府といたしましてこれに容喙し得る道がありますときには、それを盡すべきは当然でありますが、現在のところ、少くとも正式にはそういう方法が與えられてないと存ずるのであります。
○梨木委員 この法務廳の規定によりましても、法務総裁は内閣の最高の法律顧問として、法律についての意見なり勧告をするという権利と義務を持つておると思いますから、これは政府といたしましては憲法違反なりとして、即刻声明なり勧告なりを出すべきであろうと私は思うのであります。それからこういうような違憲の條例が出た場合におきまして、人民の側からただちに最高裁判所へ違憲の訴訟を起し得るような手続は、現在どういうようになつておるのか。これに対して政府はどういうようなことを考えておるのか。と申しますと、具体的には民事訴訟法によつて、各地の地方裁判所へ訴訟を提起する。それは具体的な事件について起すということは、一應規定になつておるのでありますが、しかしながらこういう條例一般が、また法律そのものが、明らかに憲法に違反しておるという場合に、違憲の訴訟を起す方法というものは、現在法制上私の知つておる限りでは、非常に不備なように思うのでありますが、この点についての政府の考え方を聞かせていただきたいと思います。
○兼子政府委員 裁判所あるいは特に最高裁判所が憲法問題を取上げるということも、やはり司法権の行使として認められているわけでありまして、司法権というものは、性格上具体的な事件についてこれを判断する上に、法令を適用するという機能でありますから、そういう意味の司法権の作用としましては、やはり人民個人としましては、直接その法律に触れるとか、その法律によつて自分の利益が害せられるという結果、その具体的な利害が訴訟の内容になるという場合に限つて、裁判所に訴えられることになるのでありまして、外國の立法例等におけるような、いわゆる憲法裁判所として、独立に憲法問題だけを取上げるというような性格は、現在の最高裁判所に與えられてないと考えておるわけであります。
○梨木委員 現在のようにこういう情勢が刻々に激しく進展して行く場合におきまして、憲法違反の法律とか條例というものは、具体的な事件を通じて裁判所の判断を求めて行く。しかもそれが一審から二審、最後に最高裁判所と、二年も三年もかかつてしまう。そのうちにはこういう違憲の法律や條例は完全に目的を達してしまう。こういうことでは最高裁判所が憲法を擁護し、民主主義を徹底させるために、違憲の訴訟の権限を持たせている精神を生かすことができないと思います。特に昭和二十四年度の一般予算、暫定予算についてもそうでありますが、私たちは予算の前提になつておる法律というものがまだできておらないのに、これを國会が審議し、これを議決するということは、明らかに憲法違反であると思う。ところがこういうものも一審からやつて行つたのでは、最高裁判所に行つているうちに、予算は全部使い果してしまつて、何らその目的を達成できないということになるのでありますが、それでは最高裁判所の違憲の訴訟の実際的な効果を発揮でき得ないと思うのであります。だから即座に最高裁判所へ、法律についても、條例についても、違憲の訴訟が起せるような訴訟手続を制定する意思なきやという点を聞きたいのであります。
○兼子政府委員 先ほども申し上げました通り、憲法の予定しておる司法権と申しますのは、やはり具体的事件についての法令の適用という作用にほかならないのでありまして、その意味において、また憲法の八十一條も、最高裁判所は終審の裁判所であるということで、やはり前審を経て來るということを前提としておるものと考えるわけであります。ただ先ほどもちよつと申し上げました通り、條例についてはある意味において中央の國と地方自治体との権限の問題に関係しますから、その意味におきまして、國が地方自治体を相手どり、あるいは地方團体が國を相手どつて、條例の効力を問題にするというふうに考える余地はあります。またそういう制度を設けることは可能であると考えておる次第であります。
○梨木委員 先ほど私がお尋ねしたこういうような條例は、憲法二十八條にも違反しているが、二十一條の集会の自由をも侵害するとおつしやいましたが、私も同感であります。同時に二十一條に規定しているところの表現の自由、つまり示威行進というものは、團体的に行動しながら一定の意思を表現するのでありますから、一つの意思表示を集團的行為によつて表現しようとするものであります。この点についても私は違反していると思うのでありますが、この点を含めて研究しておいていただきたいことをお願いしておきます。
○兼子政府委員 私の答弁を補足させていただきます。ただいま梨木委員は、私が確実に憲法違反だと断言したようにおとりになつていますけれども、先ほども申し上げました通り、法務廳におきましては、法務廳の意見は現在研究中である。ただ当座の私の考えとしては、ある程度行き過ぎであると考えられるということを申し上げたわけでありますから……。
○花村委員長 ほかに御質疑はありませんか——御質疑がなければ、四案に対する本日の質疑はこの程度において打切ります。 ちよつと速記を止めてください。 〔速記中止〕
○花村委員長 速記を始めてください。 本日はこの程度で散会いたします。 午後四時五十二分散会