法務委員会 第13号
- 発言数
- 33 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1949/04/28
会議録
○花村委員長 これより会議を開きます。 本日はまず会社等臨時措置法等を廃止する政令の一部を改正する法律案を議題といたします。本案に関する政府委員の説明を求めます。吉田説明員。
○吉田説明員 会社等臨時措置法の規定の中の若干の規定の効力を延長いたします根拠といたしまして、数字的な根拠をあげて説明さしていただきます。株主千名以上の会社の数でございまするが、戰前におきましては、株主千名以上の会社は、会社総数の約三〇%であつたのでありますが、その当時に比べまして、現在は株主の数は約三倍強になつておる関係上、現在におきましては約三九%ぐらいになつております。從つて会社総数十万五千ぐらいのうち、四万千社ぐらいが株主千人以上の会社と推定されるのであります。それから株主十万人以上の会社のおもなるものを拾つて見ますと、日本発送電株式会社が十六万九千九百九十七、関東配電が十四万三千九百十三、中部配電が十万三千五百六十九というようなことになつております。その他株主五万人以上となりますと、さらに多くなると考えます。総体に株主は、戰前に比べまして増加しておりまして、たとえば三井鉱山株式会社は、昭和十一年当時二十九名であつたのが、現在では一万五千六百七人、東京芝浦電氣は二千八百六十六名が現在では五万人、日産化学工業は二千三百八十四名であつたのが現在一万一千四百四十九名、日本曹達が四千四十二名であつたのが現在四万二千人、そういうようなことになつております。 それから会社等臨時措置法の第三條の規定を適用すると、しないとによつて、費用がどれほど違うかということにつきまして、これは大体日本発送電株式会社で計算した数字でありますが、その数字でありますが、その数字をちよつと申し上げます。会社等臨時措置法の適用を受けて、通常株主総会を招集いたしますと、四十五万円で大体済みますが、この適用を受けないで商法の手続によつてこれを行いますと、約百六十二万円になります。それに委任状をつけますと、二百五十九万円ぐらいになるのであります。それから特別決議を開くといたしますと、会社等臨時措置法によつてやりますと、四十八万円ぐらいでありますが、商法の規定によつてやりますと四百四十一万円くらいになるのであります。以上ちよつとつけ加えておきます。
○花村委員長 何か御質疑はございませんか。――本案は四月三十日でその効力が消える関係上、急速を要しまするので、他に御質疑がなければただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 御異議なしと認めます。討論はいかがいたしましようか。 〔「省略」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 それではこれより採決を行います。本案に賛成の方の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○花村委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り確定いたしました。 本案に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願います。 本日の他の日程は、本会議におきます下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案、裁判所法等の一部を改正する法律案の委員長報告の終了後再開いたしたいと存じます。 それでは暫時休憩いたします。 午後一時三十一分休憩 ━━━━◇━━━━━ 午後四時二十七分開議
○花村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 本日の日程に入ります前に御報告いたしておきたいことがございます。昨日の委員会におきまして、公聽会の開会要求書を議長に提出いたすことに決定いたし、ただちに手続をいたしましたところ、本日議長の承認がありましたことを御報告いたしておきます。つきましては衆議院規則第七十七條によりまして、公聽会開会の決議をいたし、その旨議長に報告いたさねばなりませんので、そのようにとりはからいたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 御異議なければ早速さようとりはからいます。なお意見を聞く議案は、司法試驗法案、意見を聞く問題は司法試驗につき、公聽会開会日時は五月九日月曜日十時よりいたしたいと存じます。 なお口述人の選定に関しましては、委員長理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 御異議がなければさようにとりはからいます。 ―――――――――――――
○花村委員長 それではこれより本日の日程に入ります。刑事訴訟法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案について御質疑はありませんか。
○大西(正)委員 実は私昨日御質問いたしたかつた点は、この刑事訴訟法の一部改正並びに刑法の一部改正の各法律案は、いずれも犯罪者予防更生法案と重要なる関係があると考えるのでありまして、刑事訴訟法の一部改正もその前提としての今の犯罪者予防更生法案、これが出ないと十分な審議ができないというふうに考えたのであります。そこでこの刑事訴訟法につきましても、本格的な御質問を申し上げることができないのでありますが、大体これに関連をしまして、從來の執行猶予になつたものは全体の執行猶予し得べき事件のうちどの程度のものが統計上現われておるか。そうしてまたこれらの執行猶予となつたもののうちで、どの程度のものが執行猶予を取消されたりしておるのか。これの統計的な御説明を願いたいと思います。
○山口(好)政府委員 ただいまの御質問、御意見ごもつともだと思うのであります。実はきようこれから犯罪者予防更生法案及びその施行法案が提出いたされますので、その提案理由を御説明いたしたいと思つておるわけでございます。それによつて刑事訴訟法の改正法案に対する関係も、刑法の改正に対する関係も明白に相なると思います。さよう御了承を願いたいと思います。
○大西(正)委員 それでは詳細な御説明はあとから伺うことにいたしますが、今さしあたつて御質問申し上げました統計の点はいかがでございますか。
○岡咲政府委員 統計の点につきましては、もうしばらくお待ちいただきますと資料が参りますので、その資料につきましてお答え申し上げたいと思います。ただいま山口政務次官からお答えいたしました点でございまするが、この刑事訴訟法の中に保護観察に付する旨の言渡しに関する規定と、刑の執行猶予の取消しに関する規定が改正規定として加わつております。お尋ねのように犯罪者予防更生法案と関係はございまするけれども、むしろ犯罪者予防更生法案よりも、本委員会において御審議を仰いでおります刑法の一部を改正する法律案との方がより深い関係がございます。すなわち從來は懲役または禁錮につきまして執行猶予を言渡しますと、これは無条件に執行猶予を言渡した次第でございますが、このたびの改正によりまして、一定の遵守すべき事項を定めまして、執行猶予の期間中、執行猶予者を保護観察に付することができるという改正をいたしたわけでございまして、この改正刑法に基きまする手続的の規定といたしまして、刑事訴訟法にただいま申しましたような旨の規定を設けた次第であります。犯罪者予防更生法案によりますと、刑の執行猶予を言渡した場合に本人を保護観察に付するのですが、刑法において認められたその保護観察に付せられた者に対する保護観察に関する規定がございまして、犯罪者予防更生法案との関係は、刑法との関連に比べますと、はるかに薄いと申し上げてよろしいのではないかと考えます。從いましてたとい犯罪者予防更生法案が御審議を仰ぎまして多少の修正を受ける、あるいは不幸にして法案の成立を見ないというふうなことがありましても、その場合には刑事訴訟法の保護観察に付することの規定が実質的に動かなくなるだけでありまして、その意味におきまして、たといこの刑事訴訟法の一部を改正する法律案を切離しまして御審議御決定を仰ぎましても、運用上にはごうも差支えない関係にあることを、つけ加えて申し上げておきたいと思います。
○田嶋(好)委員 それでは私の方から資料をお願いしたいのですが、新刑事訴訟法が実施されたのは御存じの通り今年の一月一日です。新刑事訴訟法で一番私たちが関心を持つております点は、被疑者に默祕権を與えていることでありますが、この被疑者の默祕権の行使がどういうような実情にあるのか、また新刑事訴訟法の施行後の実績はどういうようになつておるのか、この資料をお願いしたいと思います。もう一つは、実は私は直接裁判に携わりまして非常に遺憾に感じ、関心を持つた点でありますが、現在新刑事訴訟法と旧刑事訴訟法の事件が並行してやられておるのであります。そこで同じ裁判所が新刑事訴訟法の被告人と旧刑事訴訟法の被告人とを同時に取扱います。時間的に申しましても、前に新刑事訴訟法の被告人を調べて、そのあとすぐに続いて旧制刑事訴訟法の被告人を調べる。そこで判決に対しまして、これは事務官あたりからの口から出るのでありますが、この事件は旧刑事訴訟法でなく、新刑事訴訟法ならば当然無罪になる事件ですねと、こういうようなことを裁判所の事務官から聞くこともまれではないのであります。こうした新刑事訴訟法と旧刑事訴訟法の切りかえがうまくできておるかどうか、これに対する裁判所方面の報告がございましたら報告をいただきたいと思います。と同時に、これに対しましてうまくやるように、皆さんの方から裁判所の方に指令でも出しておりましたら、これに対する結果報告なり、いつ出したかというそうした記録を御提出願いたいと思います。
○花村委員長 それでは大西、田嶋両君の要求せる資料を至急御提出願われんことを希望しておきます。 本案に関しまする質疑はこの程度にとどめ、他日に讓ることといたします。 ―――――――――――――
○花村委員長 よつてさらに人権擁護委員法案、犯罪者予防更生法案、犯罪者予防更生法施行法案の三案を一括議題として政府より提案理由の御説明を求めます。山口政府委員。
○山口(好)政府委員 ただいま上程となりました人権擁護委員法案の提案理由について御説明申し上げます。 申すまでもなく國民の基本的人権を擁護し、その伸張をはかることは、新憲法の高く掲ぐる目標であります。この憲法の目標を実現することは、実に國家が担う最も基本法的なる職務でありまして、これがために、今日まで種種さまざまなる施策がとられて参りました。この國民の基本的人権の擁護ということは、きわめて面の廣い問題でありまして、考えようによりますれば、國家のなす一切の施策は、これに直接間接に関係しているのであります。刑事訴訟法、少年法等の改正は、そのおもなるものの一つでありますが、これらの施策のほかに、御承知のごとく直接人権の擁護を目的とする國家の官廳組織として、人権擁護局が当廳に設けられているのであります。 人権擁護局は、官公吏または一私人より個人の基本的人権が侵犯された場合、その救済のために適切なる措置をとることを職務とするものでありまして、その局のもとに法務廳設置法第十三條に基き、昭和二十四年政令第百六十八号により、全國に百五十人の人権擁護委員を設け、同局の人権擁護の事務を補助せしむることといたしたのであります。この委員はすでにおおむね発令を了し、活動していただいているのであります。しかるに今回の法務廳設置法の一部を改正する法律案においては、國家行政組織法との関係上、現行の第十三條を削除することになりましたので、人権擁護委員については、ぜひともその設置の根拠に関する法律を新たに制定することが必要となつたのであります。この理由のほかに、何分にも人権擁護という事務は、全國津津浦々にわたつて存在し、かつきわめて種類の多いものでありまするから、わずか百五十人の委員をもつてしては、十分にその目的を果すことはできません。そこでこれを相当数増加し、全國にわたり、あまねく設置し得るようになすことが必要と思われるのであります。その上人権擁護委員の事務は、人権侵犯事件の調査、勧告その他その救済につき必要な措置を講ずることで、ありますから、これを法律上明確に定めて委員の職務内容を明らかにするとともに、その遵守すべき義務を定めて、その運用に遺憾なきを期する必要があるのであります。これが本法案を提出する理由であります。 法案の内容について概略的に申し上れば、法案は委員の設置区域、選任、定員、職務、任期、服務上の注意、その監督、解職及び人権擁護委員協議会、都道府縣同連合会その他所要事項について規定を設けております。その重要なる規定について簡單に御説明すれば、この委員はその職務にかんがみ、各市町村の区域ごとに置くこととし、その数は全國を通じ二万人を越えない範囲で、法務総裁が定めるものといたしました。その選任は市町村長が、その市町村議会の意見を聞いて推薦した定員の倍数の者の中から、法務総裁が都道府縣知事、弁護士会等の意見を聞いて委嘱することにいたしております。 この委員の性格について最も問題となるのは、これが國家公務員に属するやいなやの点でありまするが、この点について法案は、委員には、國家公務員本は適用されないということにいたしました。これはこの委員は、実社会に活動しておられる方々にお願いし、その日常の仕事のかたわら、これとともにやつていただくことになりまするから、これに國家公務員法を適用することは、相当でないと考えたからであります。しかし國家公務員法の適用はありませんが、委員は刑法上はもとより公務員であり、涜職罪、公務執行妨害罪等の各関係罰條の適用があるものと解します。委員は給與の支給は受けませんが、実際の費用の弁償は求めることができます。委員の任期は二年であり、その職務は自由人権思想の啓蒙宣傳、人権侵犯事件の調査、その他人権擁護局の事務を補助せしむるとともに、また独立的にその種のことをなすことであります。 委員の服務上問題となりますのは、それと政治上その他の社会的活動の関係でありまするがこの点については、委員はその職務上の地位またはその職務の執行を、政党または政治目的のため利用してはならない。またその職務を公正に行うのにふさわしくない事業に関係してはならないということに規定いたしました。委員はもとより法務総裁の監督を受けることとし、法務総裁は、委員が職務上の義務に違反した等の場合は、本人の弁明を聞き、人権擁護委員協議会連合会の意見を聞いて解嘱し得ることといたしました。 委員の事務の調整、連絡、研究その他必要なることを行うために、大体從來の郡單位に人権擁護委員協議会を設け、さらに都道府縣ごとに、その協議会の連合会を設け、人権擁護活動の活発化と組織化をはかりました。これらの会の内部組織については命令で定めることといたしました。 何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。 次に犯罪者予防更生法案の提案理由について、御説明申し上げます。 最近犯罪が激増し、そのため國民の生活が脅かされ、國家再建の障害となつていることは御承知の通りであります。一方刑務所その他の矯正施設は、極度の過剰拘禁の状態にあり、そのため多数の犯罪者が社会放出せられ、しかもこれに対する保護監督の制度が整つていないので、これらの者は常習犯犯者の群に轉落して、社会不安を増大しつつあるのであります。しかしながら、犯罪者をことごとく刑務所その他の矯正施設に收容することは、財政的に收容費、増築費その他の莫大な國費を必要とするのみならず、再犯防止の効果から見ましても決して良策と申すことはできないのであります。そこで現下の犯罪対策といたしましては、財政上及び効率上の見地から、犯罪者を社会において保護監督し、これによつてその更正を促し、再犯を防止することに重点を置かなければならないのでありまして、ここに犯罪者予防更生制度を確立する必要があるのであります。すなわち保護観察を中心とする犯罪者予防更正法の制定施行は、刑の執行猶予、行刑、仮出獄並びに少年保護の各制度の欠陷を是正し、現下の社会不安を緩和して、國家再建の要件を確立するため必須緊急の要務であると存じます。 この法案の目的といたしますところは、具体的に申しますと、まず第一に保護観察の実施によりまして、犯罪をした者の改善及び更生を助けること、第二に恩赦の適正な運用をはかること、第三に社会正義及び犯罪予防の見地から、仮釈放、刑の執行猶予その他の関係制度の公正妥当な運用をはかること、最後に犯罪予防の活動を助長することでありまして、この四つを目標として犯罪を鎭圧し、社会を保護し、個人及び公共の福祉を増進するため、犯罪対策を確立せんとするものであります。 〔委員長退席、高木(松)委員長代理着席〕 その機関といたしましては、中央に法務府の外局として中央更生保護委員会を置き、この中央更生保護委員会の地方支分部局として、各高等裁判所の所在地に、それぞれ地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会を置き、各委員会にはそれぞれ事務局を付置することになつております。現在の法務廳の成人矯正局、少年矯正局及び檢務局恩赦課の一部は、中央更生保護委員会の事務局に吸收せられることになつております。なお地方の実施機関といたしまして、さらに各地方裁判所の所在地に少年保護観察所及び成人保護観察所を置くのでありますが、これは現在の少年審判所――これは家庭裁判所の設置後、暫定的に存続している少年保護機関でありまして、各地方裁判所の所在地に本所または支所がありますが――この少年審判所と、現在各地方檢察廳の所在地にありますところの司法保護委員会とにそれぞれかわるものであります。すなわち現在の少年審判所は少年保護観察所になり、現有の司法保護委員会は成人保護観察所となる構想であります。 保護観察に付さるべき者は、少年法により家庭裁判所から送致せられた者、少年院(旧法の矯正院)から仮退院中の者、仮出獄中の者及び刑の執行猶予の言い渡しと同時に保護観察に付する旨の言い渡しを受けた者の四種類であります。保護観察におきましては、本人に対して遵守事項を定め、これを指導監督し、かつ必要な補導援護を與えることになつております。もし本人がその遵守事項を遵守しなかつた場合には、仮出獄及び刑の執行猶予の処分は取消すこともできるようにいたしまして、本人の更正を確保することといたしております。仮出獄及び仮退院の審査及び許可につきましては、本人の更生のためにも、社会の保護のためにも、愼重を期する必要がありますので、これについては特に各地方委員会が愼重に行うことになつております。なおこの保護観察の制度を確立しまするためには、刑法、刑事訴訟法及び監獄法の関係條項について改正を加える必要がありますので、これについては別途御審議を願うことにいたしております。 次に恩赦に関する事項でありますが、恩赦法による恩赦が公正に行われるのみならず、本人の更生を促進する見地からも、適正に行われるようにすることを目的といたしまして、中央更生保護委員会は、恩赦の実施及び恩赦制度の改善について常に調査研究を行うものとし、個別的な恩赦の申立に関する事務も、この委員会が行うことといたしております。 最後に犯罪予防活動の助長であります。ただいま御説明申し上げました保護観察その他の更生の措置も、もとより犯罪防止の目的をもつて行うものでありますけれども、さらに一般的に犯罪者の発生を予防するため、科学的な調査研究を行い、世論を啓発指導する等、必要な事項についてもこの法律案によつてその具体化を期しているところであります。 以上申し述べましたように、この法律案は、現下の犯罪問題解決のため必要な措置に関する重要な規定を含んでいるものでありまして、犯罪対策の確立上重要な意義を有するものと信じている次第であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望いたします。 次に犯罪者予防更生法施行法案の提案理由について御説明申し上げます。 ただいま上程されました犯罪者予防更生法案が成立しました場合、これを施行するにつきましては、その運用の適正をはかるために、同法中二、三の事項について経過的規定を設けるとともに、関係の深い法令について若干の改正を行う必要がありますので、それらの事項をとりまとめまして、犯罪者予防更生法施行法案として提案いたした次第であります。 この施行法案の内容について申しますると、第一は、予算上の観点からの暫定的措置であります。犯罪者予防更生法案によれば、同法の施行は本年七月一日からでありまするが、本年度におきましては、同法に規定する中央更生保護委員会の委員の定数を同法の規定の通り五人とすること、各家庭裁判所の所在地に少年保護観察所を設置し、各地方裁判所の所在地の成人保護観察所を設置すること、並びに仮出獄または仮退院を許す場合に、地方少年保護委員会または地方成人保護委員会の委員が個々に面接をすることは、いずれも予算の関係上実施困難な事情がありますので、この施行法案において、これらの事項について昭和二十五年三月三十一日までを限り、同法の趣旨に沿いつつ別途適当な措置を講ずることといたしたのであります。 第二は委員の任期に関する点であります。犯罪者予防更生法案によりますると、中央更生保護委員会、地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会の委員の任期は、いずれも五年となつておりますが、任期満了の場合に、全部の委員が同時に更新することは委員会の円滑な運営に支障を生ずるおそれがありますので、これを防止するため、同法施行後最初に任命すれる委員については、その任期に長短の差を設けることといたしました。 第三は保護観察の対象に関する規定であります。犯罪者予防更生法施行の際に、從來から少年法の規定により観察中の者、仮退院中の者、仮出獄中の者等に対しては、保護観察を行うことが相当と考えられますので、施行法案ではその趣旨の規定を設けたのであります。 第四は関係法律の改正であります。犯罪者予防更生法の施行に伴いまして、刑法、刑事訴訟法、監獄法、恩赦法、少年法、少年院法及び特別職の職員の俸給等に関する法律の一部改正を必要とするのでありますが、このうち刑法と刑事訴訟法の改正はそれぞれ別途の法案によることといたしまして、この施行法案においては監獄法、恩赦法、少年法、少年院法及び特別職の職員の俸給等に関する法律のそれぞれ一部を改正する規定を設けました。このうち少年法及び少年院法の改正は、いずれも犯罪者予防更生法が施行されるまでの間のために暫定的に設けられていた規定を削除するものであります。 第五は犯罪者予防更生法の施行と同時に、現存の少年審判所を廃止し、その廃止の際少年審判所の職員の職にある者が、ただちに新法のもとにおける職務に從事し得るようにする規定を設けたことであります。 以上申し述べましたように、この施行法案は、犯罪者予防更生法を円滑に施行し、同法の目的を達成するために、必要欠くべからざる規定を設けたものであります。 何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決あらんことを希望いたします。
○高木(松)委員長代理 それでは刑法の一部を改正する法律案、刑事訴訟法の一部を改正する法律案、犯罪者予防更生法案、同施行法案を一括議題として質疑に入りたいと思います。質疑の通告がありましたからこれを許します。大西委員。
○大西(正)委員 この犯罪者予防更生法と申しますのは、虞犯少年は対象に含んでおりませんでしようか。
○岡咲政府委員 大西委員のお尋ねに対してお答えいたします。犯罪者予防更生法案の第三十三條によりますると、保護観察の対象となるべき人々の規定がございますが、その第一項の第一号により「少年法第二十四條第一項第一号の保護処分を受けた者」というのがございまするので、少年法の適用によりまして、虞犯少年について保護処分をなされる範囲におきましては、虞犯少年につきましても保護観察に付することができる、かように御了承願いたいと思います。
○大西(正)委員 それではこの法文の字句になるわけですが、第一條には「この法律は、犯罪をした者の改善及び更生を助け、」云々とあるようでありますが、これは形の上かもわかりませんが、これと矛盾するようなことになりませんか。
○岡咲政府委員 ごもつともなお尋ねでありまして、第一條の表現によりますと「犯罪をした者の改善及び更生を助け、」となつておりますので虞犯少年に対して保護観察に付するということは、第一條の規定のわくをはずれるのではないかというお尋ねでございますが、虞犯少年と申しましても、実際の取扱いを見ますると、全然犯罪を犯したこともないというような少年が保護処分に付せられることはきわめてまれでございまして、第一條の表現としては多少不正確のそしりはありますけれども、虞犯少年に対しても保護観察に付することができるということを除外する規定はございませんので、さよう御了承を得たいと存じます。
○大西(正)委員 それではただいまのお答えによりますと、そういう虞犯少年で全然犯罪を犯したことのない者はまれだ。しこうして第一條のこの目的は結局虞犯少年も含んでおる、そういう意味に了解しておるという御言葉でありますが、これはしかしながら事実がそうであるということは別問題といたしまして、明らかに犯罪をした者ということは矛盾だろうと思いますが、この際そういうことをおつしやらずに明らかに御訂正なさつたらいかがでありましようか。なさるのがまた至当ではないかと思います。
○岡咲政府委員 大西委員の御意見ごもつともと存じますが、第一條はこの法律の根本の目的を示したもので、この表現でも必ずしもはなはだしく不適当ではないのではないかと考えております。
○大西(正)委員 それでは政府の方では、これはもう政府としてはみずから御修正にはならないというわけですか。
○岡咲政府委員 さよう心得ております。
○大西(正)委員 この予防更生法案は今提出しましたので、十分檢討いたしておりませんからこれくらいにいたします。
○猪俣委員 議事進行について……。今犯罪者予防更生法、刑事訴訟法、刑法の改正を審議するというのですが、この犯罪者予防更生法案というのは今ここで配られたものである。今配つて今審議せよといつてもそれはむりじやないですか。大体司法次官もおいでになつておりますが、どういう事情か知らぬが、二十一日までの会期に一つも出ない。延長になつたからよいようなものだが、今になつてどつと法律案を配られても、われわれは目を通すこともできない。何人がこれを全部研究できますか。そうしてどんどん上げろということは、これは惡意に解釈すると、政府は目のまわるようなことをやつて、いいかげんに通してしまおうというようにも解釈せざるを得ない。こういうことでは法務委員会の権威にもかかわる。だからどういう理由でこういう法律案がどつと出されて來たのか、どうしても審議を急がなければならぬ理由があるかどうか。しかも予防更生法案というものが根底になりますから、これの審議をしてからでなければ、ほかの審議に移ることは法案審議の順序としてははなはだ不適当であると思うのであります。この点について委員長はしかるべくお取扱いを願いたい。
○高木(松)委員長代理 それではこの程度で質疑を打切つて、次会に質疑を続行することにいたします。 ―――――――――――――
○高木(松)委員長代理 なおこの際お諮りいたしたいことがございます。委員会において調査いたしておりまする少年犯罪に関する事項の調査のために、委員を派遣いたしたいと存じまするので、衆議院規則五十五條によりまして、委員派遣の承認の要求を議長に提出いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高木(松)委員長代理 御異議がなければさよう決定いたします。そういたしますると、派遣の目的、派遣委員の氏名、派遣の期間、派遣の地名等に関しましては、委員長及び理事に御一任願いたいと思いますが、いかがでありますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高木(松)委員長代理 それでは本日はこれで散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。 午後五時十一分散会