法務委員会 第12号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1949/04/27
会議録
○松木委員長代理 委員長は所用のために出られませんので、私が委員長の務めを行います。 これより会議を開きます。 本日はまず昨日に引続きまして、出版法及び新聞紙法を廃止する法律案、少年法の一部を改正する法律案、少年院法の一部を改正する法律案、刑法の一部を改正する法律案、刑事訴訟法の一部を改正する法律案、裁判所法等の一部を改正する法律案、司法試驗法案、会社等臨時措置法等を廃止する政令の一部を改正する法律案につきまして、順次質疑を行い、質疑の後、一昨日付託になりました檢察廳法の一部を改正する法律案、民法の一部を改正する等の法律案、公証人法等の一部を改正する法律案の提案理由の説明を求め、続いて弁護士法を改正する法律案起草に関する件を議題といたし、小委員長の報告を求めたいと存じます。 なお昨日付託になりました人権擁護委員法案、犯罪者予防更生法案、犯罪者予防更生法施行法案の提案理由の説明は、次会において求めたいと存じます。 —————————————
○松木委員長代理 なおこの際お諮りいたしたいと思いますが、出版法及び新聞紙法を廃止する法律案について、文部委員会より連合審査会を開きたい旨の希望がありましたが、本案について文部委員会と連合審査会を開くのに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松木委員長代理 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。 —————————————
○松木委員長代理 それではこれより昨日に引続き本日の日程について質疑に入ります。まず出版法及び新聞紙法を廃止する法律案、会社等臨時措置法等を廃止する政令の一部を改正する法律案、少年法の一部を改正する法律案、少年院法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。質疑がございますればお願いいたします。北川君。
○北川委員 会社等臨時措置法等を廃止する政令の一部を改正する法律案につきまして、政府委員に質疑をいたしたいと存じます。 まず第一にポツダム宣言に基く政令を法律で変更する形式をとつてあるのでありまするが、その妥当な根拠を説明していただきたいと存じます。 それから第二点は、本年四月末日にその効力を失う法律をどうしてただいままで提出せられなかつたかということについて伺いたいと思います。もしこの法律案が成立しなかつた場合に、いかなる影響があるか、すなわち附則の第二條によりまして、その適用を受けまする会社の数、それから戰前と戰後の、これらの適用をうける会社の現在の状況と比較して説明していただきたい。 それから第五條の適用を受ける社債に関する登記についてどんな影響があるか。本法を適用する場合に、商法と比較してどんな影響、効果があるか、ということをお伺いいたしたいと思います。
○村上(朝)政府委員 ポツダム宣言受諾による命令に関する件に基いて発せられました、いわゆる簡單に申しまするポツダム政令を、法律で改正することが妥当であるかどうかという点でありますが、ポツダム政令は、御承知のように法律と同じ効力を持つておりますので、これを改正いたしますのには、同じくポツダム政令によるか、あるいは法律によるか、その二つのいずれかによらざるを得ないのであります。この点に関しましてポツダム政令と法律政令とは、一方は最高司令官の要求に基くものであつて、一方は日本政府が独自の立場で制定せられたのであるから、法律の体系を異にする。從つてポツダム政令を法律で改正することはできないという意見も一部にあつたのでありますが、たとい一方は連合國最高司令官の要求に基くとは申しましても、同じく日本の國内法でありまして、ポツダム政令を法律で改正することは可能であろうという見解をわれわれ持つておつたのであります。從來の衣料配給公團令、あるいは持株整理委員会令等、ポツダム政令によつて改正された先例もあつたのでありますが、法律で改正することは可能であろうと考えるのであります。ポツダム政令で改正するということは、最高司令官から要求がなければできないことでありまして、要求を待たずに、日本政府の立場で最高司令官の承認を得て改正しようという場合には、法律の形によるほかはないのであります。 それから四月三十日に効力を失う政令の延長を目的とする法律案を、数日前に國会に提出するようになりましたことは、まことに申訳ないことに思います。國会の御審議の期間が十分でないということは、まことにわれわれとしても遺憾に存ずるのでありますが、昨年の十二月三十一日に、ポツダム政令によりまして会社等臨時措置法が廃止されまして、その後所要の規定を商法の中に取込みたいと思いまして、いろいろ案を練つたのでありますが、これを恒久法として商法の中に取込むということになりますと、技術的にも相当研究を要する方面もございます。また一方法務廳におきまして、商法の会社編につきまして、外資導入に関連いたします授権資本の制度、あるいは無額面株発行の制度等を中心といたしまして、商法の会社編に相当大規模な改正を計画しております。ただいま商法改正審議会で立案中でありますが、この会社等臨時措置法改正の規定を商法に取込むといたしますと、その大規模の改正と関連して來る面もございますので、同時に改めるのがいいのではないかということで、安易に成案を得られませんので、とりあえず本年一ぱい、会社等臨時措置法廃止政令の附則によつて効力を認められております既定の効力を延長いたしまして、その間に商法の成案を得て、御審議を願うということにいたしたいと考えたのであります。なお先ほどちよつと申し上げましたが、ポツダム政令と法律との関係についての疑義がなお残つておりました関係もありまして、諸般の手続が遅れたことも原因となりまして、非常に提案が遅れた次第であります。 次に、この法律案が成立しなければ経済界にどういう不便を與えるかという点でございますが、たとえば廃止政令の附則第二條によつて効力の存続を認められております政令のうち、会社等臨時措置法の第二條の規定について申し上げますとそれが効力を失いますと、商法の原則にもどるわけであります。商法の原則によりますと、株式会社はどんな会社でありましても、官報または時事に関する日刊新聞に掲載して公告をしなければならぬということになつております。ところが御承知の通り、新聞紙に公告をします場合の公告料は近時非常に高くなつておりまして、ただいま手元に調べております材料によりますと、四行で二千八百六十円、株主総会召集の公告その他、かりに二十行を要する公告をいたしますと、一回の新聞公告に一万四千円かかるというような状況であります。また官報で公告するにいたしましても、官報の紙面不足のために、現在のところ原稿を届けてから一箇月ないし一箇月半ぐらいたたなければ、掲載されないというような状況でありまして、資本金の小さな会社にとりましては、非常な不便と打撃を與えることになるかと考えるのであります。現在最近の統計は持つておりませんけれども、昭和二十三年三月までの統計によりますと、資本金二十万円未満の株式会社が、株式会社総数の八六%ありまを占めております。こういう状況でありますので、もしこの法案が成立しないということになりますと、これらの会社はこの点だけにつきましても非常な不便をこうむることになるのであります。 〔松木委員長代理退席、委員長着席〕 次に株主の数でありますけれどもこれは最近における証券民主化の傾向、増資が頻繁に行われております状況、それから経済力集中排除法により分離する会社等の分離による株主の増加、そういうような事情によりまして、全般的に株主の数がはなはだしくふえているのであります。二、三の例を見ますと、日本発送電株式会社におきましては、昭和十一年、十二年当時の株主は約四万五千あまりでありましたのが、現在では十六万九千あまり、約十七万になつておる。日本曹達株式会社の例を見ますと、昭和十二年当時四千人あまりでありましたのが、現在では四万二千人になつている。かような状況でありまして株主総会の招集等に関しまして、この特例がなくなつて、商法の原則にもどることになりますと、会社経営のための経費が著しく増大しまして、それに対する何らかの対策を講じない限り非常な打撃を與えるのではないかと考えておるのであります。大体以上を以つてお答えといたします。
○北川委員 最後にお願いしておきました第五條の社債に対してどんな影響があるかという点について伺いたい。
○村上(朝)政府委員 社債の登記につきましては、日本勧業銀行、日本興業銀行等多数の債券を発行する会社におきましては、債券の発行の回数、償還の回数等が非常に多いのでありまして、商法一般の例によつて社債の登記をいたすことになりますと、本店及び支店所在地におきまして総取締役の申請によつて、その都度社債登記及び社債変更の登記をしなければならないことになります。会社側の手数も著しく現在よりはふえるのみならず、一面におきまして登記所における、ことに都会地における登記所の事務能力にはなはだしい負担を加えることになるのであります。社債におきまして、はたして商法の要求するような詳細な登記を必要とするかどうかという点につきましても、十分檢討をいたしたいと存じまして、これも合せて一應考慮いたすことにいたしたのであります。
○梨木委員 今の質問に関連してお尋ねしたいのでありますが、ポツダム勅令といいますか勅令五百四十二号に基く政令を改正しようということになつておるのでありますが、こういうような改正の形式をとられるのは、ポツダム勅令五百四十二号はもう効力がないのだ、だから法律の形式で改正を要求せられるのである。こう了解してよろしうございますか。
○村上(朝)政府委員 先ほど申し上げましたように、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言受諾に伴いまする命令に関する件、これが効力を失つたから法律をもつて改正するという意味ではございません。この勅令は現在においても効力があるという前提に立ちまして、これに基いて発せられました会社等臨時措置法を廃止する政令は、法律と同一の効力がある。從つてそれを改正するには法律をもつてする必要がある。こういう考えでございます。
○梨木委員 それではこの政令の改正について連合軍最高司令官の方から何らかの要求があつて、その要求に基いてこういう改正案を計画されておるのでありますか、それを伺いたい。
○村上(朝)政府委員 連合國最高司令官から要求があれば、同じく昭和二十年勅令五百四十二号に基く政令によつて改正することができると考えます。しかし本件につきましては、連合國最高司令官の要求があつたわけではございませんので、法律によることといたしたのであります。
○梨木委員 いわゆるポツ勅に基く政令は、場合によつては法律をも変更するような内容を含み得るものであると思うのであります。そういう政令を法律で改正できるという見解でこの法案を出されたものでありますか。そしてもしそうだとするならば、ポツ勅に基く政令をすべて法律で改正できるという見解を政府はとつて、今後もそういうようにする意思があるのがどうか。これをお伺いいたしたい。
○村上(朝)政府委員 いわゆるポツダム政令は連合國最高司令官の要求に基いて制定されるものでありますから、これを改正するにはもとより連合國最高司令官の承認が必要であると考えますけれども、その承認のもとに日本政府において法律をもつて改正することができるという考えを持つております。
○梨木委員 私の聞いたのは、今後も同じような方法で政令を改正して行く意思があるのか。すべて今後はそういうぐあいにやるのだという意思があるのかどうか、それを伺いたい。今の御発言中にもありましたが、この改正については連合軍最高司令官の承認を得ておるのですか、どうですか。これをひとつお伺いいたしたい。
○村上(朝)政府委員 將來も必要があればこういう形式がとられるではないかと存じますが、この法律案につきましては、連合國最高司令官の承認を得ております。
○梨木委員 連合國最高司令官の承認を得ておるということになれば、結局それは政令の改正の形で來るのが常識のように思いますが、その点をひとつ伺いたいのと、もう一つは、今後も必要があればというようなことでなく、今後すべてポツ勅に基く政令の改正は法律でやつて行くというはつきりした方針をもつておるのかどうか、これを伺いたい。
○村上(朝)政府委員 連合軍最高司令官の承認を得ましても、それが司令官の積極的な要求でない場合には、昭和二十年勅令五百四十二号による政令は出せない、こういうふうに考えておりますので、將來ポツダム政令を改正する場合には法律によるか政令によるかという点につきましても、その区別に從うこととなるかと考えます。
○梨木委員 それでは日本の政府の方から、ポツダム勅令に基く政令でも、これはぐあいが悪いというものは、政府自身が積極的に承認を求めて、そうしてこれを法律で改正して行くという考え方は持つておるのでありますね。そういう方針は持つておるのですね。
○村上(朝)政府委員 たびたび申し上げましたように、最高司令官の要求がない場合に、日本政府がポツダム勅令を改正したいと考えました場合には、司令官の承認を得まして法律をもつて改正することになる、かように考えます。
○梨木委員 そういうことを私は聞いておるのではなくて、現在でもわれわれが見て改正した方がいいという政令もあるわけで、それについて政府は積極的に承認を求めて改正する意思があるのかないのか、この点を聞きたいのです。
○山口(好)政府委員 梨木君の質問にお答えいたしますが、將來今お尋ねのような方針で行くかどうかということにつきましては、大体向うから指令がありましたことについて、今のポツダム宣言に基く政令ということで將來とも行くようになると思うのであります。一ぺん政令が出ておりますような場合におきまして、國民一般の要望するところが、これを改めてもらいたいというような要望があり、また政府におきましてもそういう國民の一般の意向を察知いたしまして、國会が開かれておりまするような場合におきましては、これを改正するのに法律の形をもつて改正をいたす。この改正するについてはやはり向うの了解を得ていたす。こういうような方針で、將來はやはりこの法案のように、この処置を続けて行きます必要があるような場合におきましては、こうした法律の形をもつて改正するということで行きたいと思つております。
○石川委員 ちよつと会社等臨時措置法を廃止する政令の一部を改正する法律案についてお伺いいたします。この政令四百二号によりまして会社等の臨時措置法が廃されたのでありますが、そのときに附則におきまして、ある一部の規定がなお生きることになつておるのであります。その一部の規定は昭和二十四年の四月三十日までその効力を有するとあります。まず第一番に二十四年の四月三十日まで効力を有したのであるから、その以降はこの政令がどういうようになるのでありましようか。存在するのでありましようか、しないのでありましようか。もし存在しなかつたとすれば、会社がおのおのもとの商法の規定に基いて運用せらるべきであつたと思うのであります。そういうことはあつたかどうか。
○村上(朝)政府委員 あと数日で四月三十日という期限が到來するわけでありますが、もしこの御審議を願つておりますこの法律案が成立しない場合には、この政令は形式的には存在いたしますけれども、会社等臨時措置法の規定は爾後効力を失いますので、もつぱら商法の原則に從うことになるかと考えます。
○石川委員 効力を有しますことはあす、あさつてでありますが、すでにこれは提案になつて、参議院はどうなつておりますか。
○村上(朝)政府委員 参議院の方ではやはり一昨日法務委員会に付託になりまして、昨日法務総裁から提案理由の説明がございまして、本日午後質疑があることになつております。
○梨木委員 私この改正の内容については別に反対の意見はないのでありますが、どうも法制定の形式についてすつきりしないものを感ずるのであります。こういうようにおやりになりますと、ポツ勅に基いて政令を法律で改正するのでありますが、こういうことになりますと、政令は政令で生きておつて、また法律は法律で生きて行くというような、この改正の内容の法律がまた別に何か併存するような形に議論的にはなりはしないかと私は心配するのであります。でありますからむしろこういう形式をおとりになるよりも、すつきりと別に、政令の改正だという形でなくて、別個に單行法として法律をお出しになつた方が、法律制定の性質がすつきりするのではないかというように私は考えるのでありますが、この点をどうお考えになりますか。
○村上(朝)政府委員 單行法を別に出しまして、この法律案に効力の延長と同樣の効果を持たせるということも実は考えたのでありますが、單行法をつくることになりますと、会社等臨時措置法及び同法施行令で効力を存続せしむべき規定を商法の中に入れるのが妥当ではないかというような議論も出て参ります。技術面にいろいろ困難な点がありましたので、ここに御審議を願つておるような形式をとつたのであります。單行法を出すこともむろんよいかと考えます。先ほど申しましたように、商法会社編の大規模の改正の中に織り込んで一緒にやりたいという氣持がありましたので、單行法を出すというような措置をとらなかつた次第であります。 —————————————
○花村委員長 ほかに質問はございませんか。——なければ次に司法試驗法案、刑法の一部を改正する法律案、刑事訴訟法の一部を改正する法律案、裁判所法等の一部を改正する法律案の四案を一括議題といたします。御質疑があれば承ります。 なお念のために申し上げておきます。裁判所法等の一部を改正する法律案は本日あげたいと存じますので、本案に関しまする御質疑がありましたならば、十分にお願いいたしたいと思います。
○石川委員 裁判所法等の一部を改正する法律案についてお伺いいたします。條文の解釈でありますが、六十六條には、司法修習生試驗に合格した者の中から最高裁判所がこれを命ずるとあります。司法試驗法案とこれはからんで御質問申し上げなければならないのでありますけれども、まず命ずる方法、どうして命じて行くのか、その方法を承りたいと思います。きのう御伺いしますと、司法試驗は大体において資格試驗だということであります。この点もあとで吟味したいと思いますが、資格試驗であります以上、採用試驗でございませんから、一定の標準による試驗に合格すればよいということになると思います。そのたくさん合格した者の中から命ずるというのは、どういう方法によつて命ぜんとするのか、お伺いいたします。
○兼子政府委員 ただいま御質問の通り、司法試驗法におきましては、司法試驗は資格試驗だという建前がとられております。從いましてこれに合格した者が必ずしも司法修習生になるという建前ではございませんから、本人の希望によりまして司法修習生を志願した人に対しまして、最高裁判所がその定員の範囲内において審査をした上で命ずるということになるわけであります。
○石川委員 そこで同一の資格試驗を通つた者について審査するわけでありますが、それはどのような審査の方法でやるのですか。
○兼子政府委員 それはもつぱら最高裁判所の方でお考えになることと存じますが、大体におきまして二年間の修習を続けられる見込みがあるかどうか。これはやはり健康上の理由もあることでありましようし、あるいは定員を超過して志望者があるというような場合には、その年は優秀な者を先に取るというようなことが標準になるのではないかと存ずるのであります。
○石川委員 この六十六條の命ずるというのは、体格檢査をやり、さらに採用試驗をやる、こういうことになるのでありますか。
○兼子政府委員 それを試驗と申しますか、そういう名前をつけますかどうかは別問題でありますが、やはりそういう方法をとられるものと存じます。
○石川委員 最高裁判所にまかせておるのでありますけれども、法律をこしらえますときには、一定の予想というものがおありだろうと存じます。たくさんのよい人間が参りました場合、甲乙がつけがたいときにおいて、どのようにやるかということを明らかにしておきませんと、受ける側からいたしますと、不安ではないかと感ぜられるのであります。もし採用の方法が不公平であつたということになりましては、せつかく勉強した人に氣の毒であります。一定の標準なら標準を置いて命ずるということであればいいのでありますが、最高裁判所が命ずるのだというふうに法律をこしらえて置きますと、最高裁判所は命じますことが自由になり、縁故のある人を特に入れるというようなことにもなるので、そういうことはこの法の予定したところではないだろうと思いますし、また私たちもそうであるならば遺憾だと存じます。六十六條をこしらえましたときの、どのようにして正しく合理的にやつて行くかということの御予想をお伺いしたいと思います。
○兼子政府委員 本來から申しますと、司法修習生を経て初めて弁護士の資格、あるいは檢察官、裁判官の資格を持つことになるわけでありますから、司法試驗に通つた者は本人が希望する限り、すべて資格を與えるのが理想ではございますけれども、設備あるいは予算の点で現状においては不可能であるというところから、希望者が多ければその中から選んで命ずることになるわけでございまして、その点は私どもといたしましても、裁判所のなされ方を十分信頼いたしまして、裁判所におまかせしてしかるべきではないかと思つておるのでございます。
○石川委員 裁判所の方がおいでになつておりますならばお伺いしたいのでありますが、裁判所ではこの法律ができましたならば、どういう御方針で御命じになるかを承つておきたいのであります。
○内藤説明員 裁判所の考え方といたしましては、法務廳と違うのでありまして、やはり司法修習生にする試驗というふうに観念せざるを得ないのであります。從つてこの試驗に合格した者は、本人が希望しないとか、あるいは特に体格が惡くて修習にたえないというようなごく例外を除きましては、すべてこれを命ずるという建前で行くべきものと考えております。
○石川委員 そういたしますと最高裁判所では、司法試驗制度は大体において採用試驗と見るべきものだというお考えですか。
○内藤説明員 本質はそういうふうにあるべきものと考えております。
○石川委員 それでは法務廳の方にお聞きいたします。そこに大きな食い違いが出て参りましたので、司法試驗法案について続けて聞くことをお許し願いたい。 この法案が立案されますまでの経過についてでありますが、最高裁判所並びに弁護士会に対しまして、この法案について事前に意見を求めた上で御決定になつたものであるかどうか。裁判所法六十六條によりますと、司法修習生は最高裁判所がこれを命ずるとあるのであります。そう書いてありますから、やはり最高裁判所には御相談をせられなければならない法律上の責任があろうと思う。最高裁判所と御相談に相なりましたならばどのように御相談がまとまつたか、まとまらなかつたとすればどういう点において法務廳と食い違いがあつたか。また御相談なさらなかつたとすればどうして御相談なさらなかつたか、その事情をお聞きしたいのであります。
○岡咲政府委員 石川委員の御質問に対しましてお答え申し上げます。 このたびの司法試驗法案を確定いたしましたまでの過程について概略御説明申し上げたいと存じます。実はこのたびの試驗の取扱いにつきましては、最初に最高裁判所におきましては、この試驗は裁判所の規則制定権によつて試驗に関する規則を定めるべきではないかというふうな御見解をお持ちでございまして、私ども弁護士会、あるいは大学基準協会その他の方々にお集まりをお求めになりまして、実は出席いたした次第でございまするが、その席上いろいろ議論が出まして、法務廳といたしましては、これは規則によつて試驗を定めるよりも、やはり法律によつて試驗に関する規定を設けるべきであるというような意見を申し上げまして、弁護士会からも大体御賛成を得たように記憶いたしておりまするが、最高裁判所におかれましても、法律で試驗に関する規定を定めることは、結局御了承を得た次第でございます。そうしてこの案の内容につきましても、大体御協議をいたしまして、御協議と申しますよりは、実は最高裁判所の方の御協議に対して、意見を申し上げた次第でしたが、第一次試驗、第二次試驗、それから第一次試驗は本案にありますように、第二次試驗を受けるのに相当な一般的な学力、教養があるかどうかを判定する試驗、第二次試驗はこれにございますように、主として法律学科につきまして、学力及び應用能力の有無を檢定いたすというふうな試驗にするということに、大体意見が一致いたしまして、その科目につきましては、多少裁判所との間に、ごくわずかなことについて意見の一致を見ない点があつたかと思いまするが、根本の方針におきましては、大体意見が一致したように当時は考えた次第でございます。 問題は、この試驗をどこで管理するかということが問題になりまして、裁判所におかれましては、しばしば総務局長からも御説明がありましたように、これは司法修習生のむしろ入所試驗と見てもいい程度の、きわめて研修所と深い関連のある試驗である関係上、これは司法行政の一部として最高裁判所において管理すべきものであるという意見を、非常に強くお述べになりました。この点法務廳におきましては、本案に盛つておりますように、深い関係はあるけれども、これはやはり行政の一環たる事務である。從つて行政廳の担当すべきものであり、内閣、ことに法務を総括する法務総裁が管理することが適当であるという意見を提出いたしました。この点について遂に意見の一致を見なかつた次第でございます。それでだんだん日にちはたちまして、本年度の受驗生から、いろいろ問合せもございまするし、政府といたしましても、この問題を早急に決定いたしまして、國会に法律案を提出しなければならないという必要もございまするので、法務廳におきまして、この法律案の起案にあたつた次第でございます。その際、もとより最高裁判所に対しまして、会議の日どりもお知らせいたしまするし、事前に用意いたしたものは、なるべくお届け申し上げまして、会議の御準備を願うようにいたした次第でございまするが、法務廳におきまして、三度か、あるいは四度くらい会議をいたしたと思いまするが、法務廳の部内の関係部局、それから最高裁判所、それから弁護士会の連合会、大学基準協会、それから学校との関係もございますので、文部省、それから公務員の関係も考慮いたしましたので、人事院、そういう関係方面の御出席を求めまして、この案を檢討いたした次第でございます。その際、最高裁判所では、根本方針について法務廳と意見の一致を見ないので、この問題が解決されない限り、遺憾ながら会議に出席ができないというふうな御意向でございまして、遂に会議に御出席は得なかつたのでございまするが、その会議におきまして一應得ました結論は、始終最高裁判所の方に御連絡申し上げまして、また最高裁判所からも、多少御意見を承つたように思いまするが、最高裁判所の御意見は、なるべくしんしやくいたしまして、採用いたすようにいたした次第でございますけれども、その根本問題について意見の一致を見ないものですから、十分の御協議を遂げられなかつたのは、大変遺憾に存ずる次第でございます。会議に出席せられました弁護士会の代表の方におかれましても、この案には全面的に御賛成でございまして、いろいろこまかい、まことに有益な御意見の御開陳もあつた次第ですが、そのほか会議に出席いたされました方々の意見を十分しんしやくいたしまして、まずそこで一致した意見というものが盛られまして本案になつた、かように御了承を願つてよろしいかと存じます。
○石川委員 弁護士会等の御了解はついておつたのでございましようか。私たちの手もとには、必ずしもついておらないような意見書が來ておりますが、これはついておりましたでしようか。なぜこれをお聞きするかと申しますと、やはり弁護士になる人もこの制度を通らなければならないものですから、弁護士会の意見を聞くことが大切だと思いますので、お聞きします。
○岡咲政府委員 石川委員の仰せの通り、実はわれわれといたしましても將來の方向は、弁護士と在朝の法曹との一元ということを理想としております関係もあり、弁護士会の意向というものは十二分にしんしやくいたすつもりでございます。從いまして、会議にはたえず弁護士会の方へ連絡をいたしまして、私は一度会議に出席しなかつたことがありますので、正確なことは申し上げかねますが、私が出席いたしました会議には、弁護士会からは、代表といたしまして長野会長が御出席になりまして、長野会長はこの案には全面的に御賛成であつたということを、ここで御披露してよろしいと思います。
○石川委員 そこで、確かめておきたいと存じますが、きのうの御説明にもあつたようでありますが、司法試驗制度は資格試驗でありますかどうか。昨日の岡咲さんのお言葉によりますと、資格試驗であるが、最高裁判所の所定の人員、法務廳の檢事としての必要な人間、それらを勘案して採用試驗の合格人数はきめられると思われるから、緊密な云々と言われておつたのでありますが、資格試驗でありましたならば、一定の標準に達しました者、つまりその年々で同一学識のある者が採用せられて來なければならぬわけであります。ある年に合格いたしました者はいいものである。ある年のは惡かつた。それが所要人員によつて影響されて來ることになりますとどういうものか。採用主義と資格主義との折衷であるかのごとく昨日お聞きしましたが、眞に資格試驗であるならばそれに徹底して、一定の標準があつて、それを乘り切つたならば合格するというふうにして、受驗者の若い人たちの抱負を考えてやらなければならぬと思う、苦労して勉強しておるのですから。この点を明確にしていただきたい。 それからあなたにもう一つ明確にしていただきたいと存じますのは、昨日、この法案は早く出さなければならないから、所轄は最高裁判所であろうと、法務廳であろうと、これはかまわぬ、こういうようなことをお言いになつた。法案通過について御努力はもとよりそうあらなければならぬと存じまするけれども、あなたの言うように、この試驗は資格試驗である、行政作用の一つの現われである、こういうことになりますと、行政作用をなぜ裁判所に讓らなければならぬかということをお聞きしなければならぬ。この点もひとつお伺いしておかなければならぬと思います。
○岡咲政府委員 まことに適切なお尋ねで、感激にたえないと存じます。昨日申し上げました答弁、多少私の想像も交えて申し上げたので、明確を欠いたかと考えて、恐縮にたえないのですが、立案いたしました私どもの考えといたしましては、第一條に明記しておりまするように、法律家の專門家として、及びその應用能力を有するかどうかを判定することがこの試驗の目的でございまして、言いかえれば一つの資格試驗、かように了解して提案いたした次第であります。ただ資格試驗と申しましても、この試驗に合格した大多数の者が修習生として研修所に採用というか、入所することが許されるであろうということが考えられることでありますので、実際の合格者決定のときに、そういう事情もおそらく管理委員会において多少考慮されるであろう——これは私の想像であります。管理委員会がその責任において御決定になる、こういうように御了承いただきたいと思います。
○石川委員 私は、そのようなものでありますと、試驗管理委員会もその点が不明確になつて來るのではないかと思います。資格試驗なのだ、一定の学力があつて、一定の年限苦労して、この学力の者ならば一應の資格を與えておくのだ、こういうことを明瞭にしておくならば、試驗管理委員会においても一定の標準をとりまして、その趣旨に沿うて一定の点数をとりました者には、全部資格を與えるという方向に行くだろうと思うのであります。從つて私が当局にはつきりと伺いたい問題は、これは資格試驗である、從つて一定の、國家として試驗管理委員が定めたところの標準に達したならばいつでも合格するのだ——採用ではありません。合格です。こういう制度であるのがどうかを、はつきりひとつ御説明願いたい。
○岡咲政府委員 石川委員の御見解の通りでございます。
○石川委員 そこでお聞きしたいのは、この司法試驗の制度を何ゆえに資格試驗にしたか、何ゆえに採用試驗にしなかつたかという点であります。これからも出て來るでありましようところの、外交官と言いますか、あるいは行政官ですか、行政をやる人、その方もまた試驗の制度があるやに聞いておりますが、私よく調べておりません。これがやはり資格試驗なのか、採用試驗なのか。この司法試驗のみが採用試驗でなく資格試驗をねらわれたところの一つの御思想を伺つておきたい。
○岡咲政府委員 外交官試驗、あるいは人事院で行います公務員たるの試驗、これはやはりその年度に限りますけれども、やはり一つの資格試驗ではないかと考えております。その外交官試驗あるいは公務員の試驗は別といたしまして、少くとも本法で考えております司法試驗というものは、この試驗に合格した者の中から司法修習生を最高裁判所において命ぜられるという建前になつておりますので、どうしてもこれは資格試驗と考えざるを得ないのではないかと、さよう考えます。
○石川委員 資格試驗にいたしましたところの必要性、どういう社会的な意義と價値とがあつて、これをなされたかをお聞きしたい。
○岡咲政府委員 昨日もその点に触れたかと存じまするが、一應この試驗に通りますと、その合格者は必ずしも司法修習生たることを希望いたしませんで、あるいは他の方面に進んで参るということもあろうかと考えるのであります。その場合に、國家が一應認証いたしました高度の法律学識、その應用能力を有しておるという判定が、やはりその人の將來の閲歴に対しても一つの意味を持ちまして、一つの資格を與えるという働きは十分あり得るのではないかとも考えますので、無意味ではないであろうと考える次第でございます。
○石川委員 それではもう一つお伺いしておきます。第一條に入つて参りますが、第一條に法律專門家という言葉を使つて、法律專門家に必要な学識、こう言つておるのでありますが、ここにおける法律專門家とはどういう意味でありましようか。この法律が出て参りましたから、概念を明らかにしておきたいと思います。法律專門家とは、判事、裁判官、檢事、弁護士、これは予定されておりますが、今の資格試驗の建前をとつて参りまして、その他にも法律專門家というものはあるのかどうか、法律專門家という概念をひとつお伺いしておきたい。
○岡咲政府委員 法律專門家という概念でございますが、これは石川委員の今おあげになりましたように、裁判官、檢察官、あるいは弁護士というものが、法律実務家として最も多い類型とでも申しますか、であろうと考えますが、あるいは法務廳におきまして、この法務をつかさどる者も法律專門家と言い得るのではないかと考えますし、あるいは司法研修所もしくは法務廳の研修所におきまして、教官として指導を與えます人々も、法律專門家の中に加えてさしつかえないのではないかと考えます。目下研究されております弁護士法案によりますと、この司法試驗に合格した者であつて、法務廳の事務官、あるいは裁判所の事務官、もしくは研修所の教官、あるいは裁判所の長官というような場合に、これに弁護士たるの資格を與えるというような規定も置かれておりますので、法律專門家は必ずしも裁判官、檢察官、弁護士と限定いたしませんで、主として法務に携わるべき專門家、実務家、かように一應観念してよろしいのではないかと考える次第でございます。
○石川委員 それでだんだんと明らかになつて参りましたが、第一條には、まずその法務における法律專門家というものの資格を見定めておく。その見定めた者の中から司法修習生を命じて行く。こういう建前をとる。命ずるとあつて、それはあとで伺いますが、そういう建前をとるのだから、これは一つの行政的作用であつて、これは法務廳が所轄するのは当然である。こういうことになつて参りますか。
○岡咲政府委員 御見解の通りでございます。
○石川委員 済みませんが、もう少し続けさせていただきます。第四條であります。第四條の一項の一号でありますが、「学士の称号を得るのに必要な一般教養科目の学修を終つた者」とあります。これはもちろん学士とならなくてもよいという意味なのでありますね。たとえば参考に資料が添えてありますが、大学でどのような程度になればよいというのでありましようか。大学令がはつきりきまつておるかどうかわかりませんが、ただ参考文書を見ただけでありますが、これはどのように解するか、ひとつお伺いしておきたい。
○兼子政府委員 この問題は今後の大学制度と関連する問題でありまして、いわゆる新制大学におきましては、專門の科目のほか一定單位の一般教養科目を必ず履修しなければならないことになるわけであります。そしてその仕方は、たとえば東大などにおきましては、一般教養のコースを前置しまして、一年半一般教養科目を履修した後、あとの二年半において專門の科目に入るというような段階をつける予定でありますが、他の大学におきましては、必ずしもそういう一般教養課程と專門課程とわけずに、四年なら四年の間に一般教養課程を織り込んだ教科課程をつくつて、それを履修させることになるものですから、たとえば先ほどの東大の例を申し上げますならば、一般教養の一年半の課程を済んだものは当然第一次試驗が免除されることになります。そうでない場合におきましては、そのうちのここに要求してある学士号をとるのに、大学の基準によりまして各大学で幾つの單位をとれということがきめられますから、その科目を履修して学校の証明書を得れば、それで第一次試驗が免除になるわけでございます。ですからこの場合には、あるいは二年で終る大学もあるかもしれませんし、三年までの單位をとらないとその数が足りないという場合も出て來ると思います。
○石川委員 そうなると、今度はもどつて第三條についてお聞きしたいのですが、第三條は第一次試驗であります。それには相当な教養と一般的学力を有するかどうかと判定するのだ、この試驗は大学卒業程度において一般教養の試驗を筆記の方法において行う、こう言つておるのでありますが、これはどうなつておりますか。
○兼子政府委員 先ほども申し上げました通り、今度の新制大学におきましては、どの学部を出るにつきましても、その学部の專門科目以外に相当の一般教養科目を履修しなければならない建前になるのでありまして、從つてどの科目という專門を問わず履修しなければならない程度の一般教養科目を、ここにいわゆる大学卒業程度の一般教養というように考えたものであります。
○石川委員 この三條と四條との予備試驗の規定は、一方は一次試驗の免除でありますし、一方は受けなければならぬ規定であります。これによると学校に入る方が非常に有利だということになりはしませんか。卒業した程度の一般教養の何々と書いてありますが、つまり第三條において高きを要求しておるのではないと思うが、その点についてお聞きしたい。
○兼子政府委員 この点は要するに一般教養と申しましても、どの程度のものを要求するかという標準といたしまして、三條におきましては大学卒業程度と言つておりますが、ただいまも申し上げました通り、たとえば法学士になるための專門科目としての法律学を除きました以外の教養科目が、この試驗の関係におきましては一般教養ということになるわけでございまして、大学において履修さるべき程度のものを内容とするという意味で、卒業程度というように、すなわちその程度の教養を大学において履修しなければ大学を卒業できないという意味から、大学卒業程度というように書いたわけでありまして、大学を卒業してしまわないと、ここに要求する一般教養についての学力が出て來ないというふうな考え方ではないので、各科目について大学で講義するような程度のものがこの内容になるのだという意味であります。
○石川委員 この点は独学で來る受驗者が明らかにしておきたい点だと思うのです。大学卒業程度とあるけれども、大学において一般教養科目を修めたという程度において、法律学を除いて試驗されて行くのだから、安心して勉強しなさい、こう言い得るわけでありますか。
○兼子政府委員 御意見の通りでございます。
○石川委員 次に十三條の司法試驗の管理委員会でありますが、管理委員には法務総裁の官房長、最高裁判所事務総長、それから他の委員の一人は法務総裁が弁護士のうちから弁護士会の推薦に基き任命するとありますが、この弁護士会はどこの弁護士会でございましようか。
○岡咲政府委員 新弁護士法が成立して施行になりましたならば、新弁護士法の中に規定されてあります日本弁護士会連合会の推薦に基いて法務総裁が任命するであろうと考えまするが、その趣旨で法案を実はつくるべきでございますが、弁護士法の運命がこの法案準備のときにまだ確定しておりません関係上、一應弁護士会という表現を用いたのでございます。新弁護士法が施行されるまでは、法務総裁が現在ございます日本弁護士会連合会の推薦に基いて任命するであろう、かように考えております。
○石川委員 弁護士会と書いてございますが、弁護士会は現行法においては御承知の通り地方裁判所管轄内に法人として弁護士会がございます。これからの推薦に基くというようにしか読まれないのでありますが、現在普通に言う弁護士会ではないということになりますか。
○岡咲政府委員 現行弁護士法によりますと、第四章に弁護士会の規定がございますので、実際は五十二條にございます聯合会から推薦をしていただくという含みにおきまして、法文の表現といたしましては弁護士会というような表現を用いたわけでございます。
○石川委員 そうするとこれは弁護士会でよろしいのでしようか。
○兼子政府委員 こう書いてございますと、現在のところにおきましては、どの弁護士会から推薦のあつた方でも任命できるというように法律的になると思います。しかし実際の運用といたしましては、やはり全國的な基礎を持つた現在の弁護士聯合会が推薦された方から任命するということにいたすつもりであります。
○石川委員 そうすると、これは非常につまらない質問になるかもしれませんが、法律で「弁護士会の推薦」となつておりますから、各弁護士会の推薦をまつて決定しなければならないとあるものを、取扱い上の必要から実際上はそう運営するということで、法務総裁が運営した。それが行政行為の誤りだといつて、その行為が取消し処分をやられたときどうなつて來ましよう。
○兼子政府委員 先ほど申し上げました通り、法律的にはどの弁護士が推薦された方でも任命することは可能ではございますけれども、ただ実際におきまして、現在の弁護士が成立する以前におきましても、全國的な基礎を持つた聯合会からの推薦の方を任命するという取扱いにするわけであります。
○石川委員 そうなさいましたときに、その取扱い方がこの法に違反する処分であるという法律上の解釈は立ちませんか。そういうような処分が行政上違法処分である、この委員会は成立しないのだということになりはしませんか。もしそういうことになつたとしたら、これは法律を扱う法務廳として少し変なかつこうになりはしないでしようか。これは非常に私の考えが足りないかもしれませんが、一種の行政処分に対する取消しができるのでありますから、法律に違反してやりましたことですから、ちよつと疑問ではありませんか。
○兼子政府委員 その御質問の趣旨は、聯合会の推薦では、ここにある「弁護士会の推薦」にならないというお話ですか。
○石川委員 そうです。だからして違法として取消しを訴求せられたらどうなさるか、そういう憂いがあるのではないか。
○兼子政府委員 現行法の五十二條におきまして、弁護士会が共同して聯合会をつくる。その聯合会が推薦されるということは、結局弁護士会の推薦というふうに法律的にもなり得ると思います。
○石川委員 この表現は「聯合会」と書いてあります。その語をどうしてお使いにならないのです。混乱しないように法律をおこしらえくださらなくてはならないかと存じます。
○兼子政府委員 この点は先ほども申しました通り、新弁護士法において連合会の組織というようなものがまだはつきりきまつておらないように存じますので、一應こういうことで現在の状態が解決できるというふうに信じまして、こういう文字を使つたわけであります。將來もし新弁護士法ができまして、そこでその連合会の名称なり組織がはつきりいたしましたあかつき、そのときになつて疑いが起りますようでしたら、あるいはこの條文を改正するということも考えられると思います。
○石川委員 ところがこの試驗法案はことしの採用のためにお急ぎになつておる。新しい弁護士法案が通るとは存じますけれども、かりに通らなかつた場合はどのように御処置なさるのですか。
○兼子政府委員 その点は先ほど申しました通り、現在の制度のもとにおきましても、この場合の弁護士会というのは、弁護士法五十二條による弁護士会によつてさらに構成されるところの弁護士聯合会というものを包含する趣旨に考えてさしつかえないと存じます。
○石川委員 それではそういうような御解釈に承つておきます。ただこの場合、名前はやはり聯合会とついておりますから、これをお用いになつたらどうか。御考慮の余地がなければよろしゆうございますが、聯合会の名前が五十二條にあるのでありますから、お考えになつたらどうかということを申し上げたいのであります。 もう一つ裁判所法の一部を改正する法律案にもどりまして、まず書記官の制度でありますが、これは私個人は非常に賛成でありますが、そこで裁判所に伺いたいのでありますが、こうなりました結果、裁判所の書記が実質上経済的の待遇がどれほどよくなりましようか。できるだけよくなるように願つておるのでありまして、この点をお伺いしたいのであります。名前だけよくして、経済的には何の潤いがないということになりますかどうか。
○内藤説明員 裁判所書記に対する御同情ある御質問で、ありがたく存じます。私どもも裁判所書記官の制度を設けることによりまして、裁判所書記の実質的な地位と、さらに待遇上の地位の向上をぜひ期したいと存じております。ただ具体的に一体これがどうなるかという点は、実はまだ今後の懸案として残されるわけでございます。裁判所書記官なり、書記官補の職階をどうきめて行くか、結局これは人事院との関係になりますが、それによつてきまつて行くのであつて、ただいまの石川委員の御意見に沿うように努力いたしたいと思つております。
○石川委員 それでは書記官ができましたならば、普通の公務員よりもできるだけ高い経済的なとでも申しましようか、報酬を考えたわけでありますから、それに向つて一生懸命努力されるという御決意があると思うのですが、その点はつきりお伺いしておきたいと思います。
○内藤説明員 從來の裁判所書記の職務につきましては、実は一般に理解が非常に薄うございまして、そのために待遇がむしろ不当に低いという感じを受けておるのでありまして、これは実際に書記の職務を御存じの方は、おそらく皆樣御同感をいただけるのではないかと思います。今度この新しい制度が法律の改正によつてできますのを機会に、私どもよく職務内容を檢討いたしまして、職階をきめ上においては十分その点をしんしやくいたしまして、できるだけ高い職階に定めるようにぜひ努力をして参りたいと存じております。
○石川委員 それからもう一点最後に質問しておきますが、昭和二十四年四月二十五日に、最高裁判所事務局から司法試驗法案に対する修正意見が出ておりまして、これに対して法務総裁の所轄であつてはならないということが書いてありますが、これに盡きておられるかどうか。この点裁判所側の御意見として、私たちが自分の考えを決定いたしますための大きな資料となると存じますので、これだけに盡きるかどうか、もしなおこのほかに重要なことがありましたならばお伺いしておきたいと思います。 それからもう一つ、何ゆえに資格試驗がいけないのか、資格試驗という制度に対してなぜ裁判所が同情を持たないのかという点も伺つておきたいと思います。
○内藤説明員 書面で配付いたしました修正意見、それに最高裁判所の意見は盡きていると存ずるのでありますが、若干足りない点を補足して御説明申し上げておきたいと思います。第一にございますように、法務廳の案で申します第一條の法律專門家という観念が非常に明らかでないと思うのであります。これは先ほど政府委員の方から御説明がありましたが、漠然たる、いわゆる常識のようなものでありまして、法律上何ら資格としての意味をほとんど持たないと思うのであります。しかも先ほどのお話では裁判官、檢察官、弁護士というようなものは法律專門家であるというお話でありますが、第一條を見ますと、「法律專門家として必要な学識及びその應用能力を有するかどうかを判定する」となつておりまして、この司法試驗に合格したものは法律專門家たるの資格があるというような意味にとれるのでありまして、これではその後に司法修習があり、さらにそれを終えてから後の試驗があつて、初めて法律專門家と申しますか、裁判官、檢察官、弁護士になるのだという法制と相矛盾するものがあると思うのであります。この試驗の性格が第一條で非常に不明確になつておるということは、すでに從來の高等試驗の思想にとらわれた行き方だろうと存じます。今日こういう試驗が必要だとするのは、この前の司法試驗にありますように、要するに裁判官、檢察官、弁護士たらしめる人についてなされる試驗でありまして、そのほかに一般的の資格試驗を設けることは、今日の法制上において意義がないと考えるのであります。從つてこれは司法修習生たらしめるときの試驗、すなわち司法研修所に入れて研修をさせるための試驗だというふうに観念さるべきものであつて、それによつてこの法案が一貫した思想のもとに規定できるであろうと思つております。
○石川委員 これで私は終ります。
○押谷委員 ただいまの御質問に関連して一点だけ確かめておきたいと存じます。それは司法修習生の採用と司法試驗の関係でありますが、司法試驗は資格試驗であることは、昨日來の政府委員の御答弁によりまして大体了承できたのでありますが、これについて具体的の問題としてお尋ねをいたしたいのは、今年の試驗に合格をいたしまして、その試驗に合格をした人が、一身上の都合その他の関係から今年は司法修習生を希望しない、こういう者が來年あるいはその後に至つて司法修習生を希望する場合におきましては、それは司法修習生として御採用になるべきものであるかどうか。また健康につきましても同樣でありまして、今年の合格者が健康の都合ではねられるとか、みずから遠慮したような場合におきまして、それが数年後に至つて健康が回復して、司法修習に耐え得る健康状態になつた場合に、その人が志望をすると、それはやはり採用さるべきものであるかどうか、この点をお尋ねいたしておきたいと思うのであります。
○岡咲政府委員 本年の司法試驗に合格いたしまして、一身上の都合によつて、今年度司法修習生を志願しない者につきまして、將來司法修習生として採用されるものであるかどうかというお尋ねでございますが、立案いたしました私どもといたしましては、これを資格試驗と考えましたので、一應その資格試驗に合格した者は、その効力は將來やはり継続してあるというふうに了解いたしておるのでございます。現実に最高裁判所がその人を御採用になるかどうかという問題は、最高裁判所の権限に属する事項でございますが、おそらく格段の事由がなければ御採用になるだろうと考えます。
○押谷委員 その点につきまして裁判所側の御意見を拜聽したいと思います。
○内藤説明員 試驗に合格いたしまして、たまたま健康上の理由、その他の理由から研修所に入所できなかつた場合につきましては、やはり学科試驗に合格した資格を保持すべきものであるということは、私どもも同樣に考えておるわけであります。ただそれが十年も二十年も先になつた場合に一体どうするかということは、さらに考えなければなりませんけれども、何年間かその試驗に合格した効果は当然維持さるべきものである。從つて健康が回復したのちに司法修習生になることは当然予想されることと存じております。
○石川委員 昨日は、この制度は將來弁護士法ができ上り、弁護士会の組織が完成する、あるいはその他の必要があるまでの暫定的な制度であるというふうにお伺いいたしましたが、それまでの暫定法である。よき法律ができ、よき組織ができたならば、ただちにかえて行くという御提案か、これを法務廳にお伺いしたいのであります。急ぐから暫定的なものかどうかということをお伺いしたい。それは私たちがこの法案を考えますのに重要な資料になつて参ります。
○岡咲政府委員 法案自体といたしましては、もとより暫定法ではございませんで、將來にわたつて長く効力を持つ法案でございます。ただ昨日も申し上げましたように、司法試驗制度全体につきましてさらに構想を練ることがあり得るのではないかという点につきましては、弁護士法が成立いたしまして、弁護士会連合会という中央の機構が充実し、十分その機能を発揮して参るようになりますれば、あるいはこの試驗の管理という問題も弁護士会に所轄していただくことが適当ではないかということも、一つの問題として十分考え得られるかと思います。なお昨日も鍛冶委員から御意見の御開陳があつたのですが、將來の裁判官あるいは檢察官のあり方ということについて、法曹一元の理想を達成いたしまして、司法修習を終つた者は全部一應弁護士となる。そしてその弁護士の中から適当なる人が選ばれて檢察官になる。あるいはさらに弁護士あるいは檢察官の経驗を重ねた者の中から適任者を裁判官に任用するというような制度が確立されて参りますと、この司法試驗制度自体についても根本的な檢討を加えなければならないようなことになるのではないかと考える次第でありまして、そういう司法制度全面について新たなる檢討を加えますならば、おそらく司法試驗法もまたその新しい立て方に從つて檢討いたさなければならないと考えますので、そういうことになると、この試驗法は暫定的な法律ということになるかと考えますが、提案いたしました法案自体としては、当分の間効力を持つ法律として考えたわけではございません。一應將來に向つて相当期間有効である法律案として提案いたしておる次第であります。
○石川委員 弁護士にもなり、裁判官にもなり、檢事にもなる。いわゆる法曹一元化の理想を達成いたしますためには、昨日も小玉委員から意見が出たと思いますが、総理廳とかその他のまつたく三者に関係のない所轄のもとにこの制度を置くという方針はお考えにならないか。またこの試驗制度に対して、この法案はこうだけれども、しかしこれはどうしても考えてみなければならぬから、ただちにこれが制度改正をお考えになるお氣持があるかどうか。これをひとつお聞きしておきたい。さきにその意思あるかのごとく承つたのでありますから、明確にしておきたいのであります。
○岡咲政府委員 司法制度全般について檢討を加えてみたいという氣持は十分にございます。
○牧野委員 この司法研修所というものの指導する内容、これは主として実務をするものでしようか、どうでしようか。それからそれに関しまして司法研修所の指導する教官はどういう方面から採用することになるのでありましようか。この二つについてお尋ねしておきたいと思います。
○岡咲政府委員 裁判所法の第十四條によりますと「裁判官その他の裁判所の職員の研究及び修養並びに司法修習生の修習に関する事務を取り扱わせるため、最高裁判所に司法研修所を置く。」ということになつておりますので、司法修習生の修習に限りませず、裁判官その他の裁判所職員の研究及び修養の機関となるという面を持つておるわけであります。詳細な点につきましては、最高裁判所の説明員に御説明をお願いするのが適当かと考えます。
○内藤説明員 司法研習所で扱つております司法修習生の修習について御説明申し上げますと、裁判、檢察、あるいは弁護士の実務の修習が主たるものであることは申すまでもないわけでありまして、教官といたしましては裁判官の中からも、檢察官の中からも、弁護士の中からも教官が出て修習にあたつております。現在のところ判事の人で教官をしておりますものが九名、檢察官で教官をしておりますものが三名、弁護士で教官をしておりますものが六名であります。その他にやはり裁判官、檢察官、弁護士としての教養として必要な修習をいたしておりまして、それは一般社会常識、あるいは情操にまでわたつて教育修習をいたしております。
○牧野委員 ちよつとお尋ねいたしたいのは、今のお話は大体わかりましたが、ここにガリ版になつております裁判所法の一部を改正する法律案の七十八條の次に附則として「最高裁判所は、当分の間、特に必要があるときは、裁判官又は檢察官を以て、司法研修所教官に、裁判官を以て、裁判所調査官に充てることができる。」こういうような規定があるのであります。今のお話によりますと、弁護士その他廣く教官を採用するという点と、これが臨時的ではあろうが、非常に矛盾するように思いますが、この点はいかがでありますか。
○内藤説明員 この点はちよつとこの規定だけでは御了解が行きかねるかと存じます。これは司法研修所教官という一つの官名がございまして、教官がその習修にあたつて行くわけでございますが、裁判官が裁判官の身分のままでその教官となる道を開くためにこの規定をおいたわけであります。裁判官なり、檢察官なりがその身分のまま、すなわち司法研修所教官に任命されないでも教官ができるという趣旨の規定でありまして、その他に弁護士が弁護士として教官の仕事にあたつておられることもあるわけであります。
○梨木委員 最高裁判所にお伺いしたいのであります。今度政府は行政整理で首切りを計画しておるらしいのでありますが、裁判所関係の職員についてはどういうことになつておるのでありましようか、それを伺いたい。
○内藤説明員 裁判所関係におきましては、御承知のように本來の裁判所の事務を扱う面と、それに附随いたします司法行政を扱います面と両面があるわけでございます。司法行政を扱います面におきましては、今回の行政整理にあたりまして、内閣の方からも國会同樣にやはり協力を求められておるわけであります。從つてこの線におきましてはできる限りの処置を講じまして、内閣の要請にも答えたいと考えております。しかしながら裁判を扱う面におきましては、御承知のように事件が非常にふえて参つております。また新しい法律によりまして刑事訴訟の手続も、民事訴訟の手続も改正されまして、非常に複雜になつて参りまして、さらに家庭裁判所が設立されまして、実際の事件の処理には非常な負担があるわけであります。從つてその面におきまして、今回のいわゆる行政整理という観念の中には入れることができないというふうに考えております。
○梨木委員 そうすると司法行政に從事しておる職員は、大体どれぐらいでありますか。そうして今御答弁になつたような場合だと、どれくらい整理されることになるのですか。具体的に伺いたいと思います。
○内藤説明員 実はまだそこの数字的なものまで結論が出ておりませんので、現在はお答えを申し上げかねる状態でございます。
○梨木委員 それはいずれ資料を提供していただきたいと思います。 次にこの改正によりましてできる全國の書記官の人数と、書記官補の人数はどういう計画でありましようか。
○内藤説明員 この点もまだ正確な数字が出ておるわけではございませんが、大体の見当を申し上げますと、裁判所書記官が千数百名、書記官補と申します方が二千数百名になろうかと思われます。
○梨木委員 この説明書を読みますと、裁判所書記官の地位を上げて、有能な人を書記官にするのだという趣旨に伺えるのでありますが、將來ずつと書記官と書記官補の制度を存続させるのですか。書記官補は追つて全部書記官に昇格されて行くような方針なのでありましようか。
○内藤説明員 裁判所書記官と書記官補の制度を設けまして、裁判所書記官補の中から裁判所書記官に昇進させて行くという方法を考えておるのでございまして、それにつきましてはその職務の経驗、さらに研修制度を設けまして、十分に力のある裁判所書記官、あるいは書記官補をつくるようにいたして参りたいと存じております。
○梨木委員 そうすると、書記官補というのは、つまり書記官のプールのような形にして、ずつと存続させる御意向でありますか。
○内藤説明員 要するに書記官に進む段階として、書記官補になつておる、書記官補を経て書記官に任命されるというように考えるわけであります。
○梨木委員 訴訟法の改正によりまして、書記官並びに書記官補の定員をふやす必要があると思うのでありますが、どのくらいふやす計画でありますか。もう一つは、新刑事訴訟法の施行によりまして、公判中心主義になりますと、法廷における供述を要約して録取するというのではなくて、やはりその法廷における供述を詳細に記述する必要があるので、速記の必要が生じて來ると思うのでありますが、速記者を公判廷に置く計画があるのかどうか、これを伺います。
○内藤説明員 まことにごもつともな御質問でございまして、訴訟法の改正によりまして、從來の裁判所書記の負担が非常に多くなつております。從いましてこの方面におきまして、相当の人数の増員が必要ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。現在内閣の方におきましても、その点については十分考えられているようでありまして、おそらく近くこの國会に裁判所の定員に関する法律案が提出される運びになるのではないかと存じておりますので、いずれ人員その他につきましては、その法案についてごらんいただけるのではないかと存じます。 それから速記者制度の問題も、まことにお話の通りでありまして、できれば裁判所の法廷は、ちようど國会の議場のように速記者を必ず置くべきものであるというふうに私どもも考えるのでありますが、これには予算上の問題もございますので、おいおいそういう制度を実現してもらいたいと考えておりますが、ただちに実行に移るというまでには至つていない状況でございます。
○梨木委員 この改正案を見ますと、裁判官または檢察官を研修所教官、または裁判所調査官に任命できるように改正されるようでありますが、現在でも裁判官や檢察官が不足して困つておる際、こういうような兼務をふやして行くことは、裁判官並びに檢察官の仕事を一層停滯させることになると思うのであります。この点どういうようにお考えでありましようか。
○内藤説明員 裁判所法等の一部を改正する法律案の附則の規定は、先ほどもちよつと申し上げましたように、裁判官または檢察官を司法研修所の長官や教官の任命しないで、そのままの身分でその仕事ができるという道を開いた規定でございます。裁判官あるいは檢察官が、裁判所なり檢察廳における非常な仕事の負担にかかわらず、こういつた方にさくことは事務の処理上まことに困ることはお話の通りであります。しかしながら司法研修所の仕事、あるいは裁判所調査官の仕事を考えますと、最小限度においては裁判官あるいは檢察官をもつてあてなければならぬということはまことにやむを得ないのでございます。先ほど申し上げましたように、そう大した人数をさいているのではございません。あの程度は必要やむを得ないものと御了承願いたいと思います。
○梨木委員 私は提案理由を見まして、こういうことを想像したのであります。東京あたりの裁判官並びに檢察官が、実際裁判並びに檢察の仕事をしておりながら、その合間をさいて兼務的に研修所の教官や調査官をやるような運営の仕方をするのではないかということをおそれるのでありますが、こういう点はないわけでありますか。
○内藤説明員 この規定は決してそういうことを考えておるわけではございません。
○梨木委員 最後に一点伺いたいのであります。新憲法が施行になりまして、裁判所の法廷内の構造も、檢察官は下へ下ることになつておるはずなのでありますが、私の経驗では、京都の裁判所の陪審法廷でありましたが、檢察官はまだ裁判官と肩を並べた一段高いところにおるのであります。こういうことは下ろうと思へばすぐ下れるわけでありますから、早急に実施してほしいと思うのでありますが、この点について最高裁判所はどうお考えになりますか。
○内藤説明員 お話の通りでございまして、裁判所といたしましては、法廷の形式につきましては通達をもつて各裁判所に申し送つておるわけでございます。ただ改造についての費用、実際の法廷の使用状況などから手をつけかねておるところがごく少数あるかと存じますが、お話の通り経費の許す限り、至急改造すべきものであると考えております。
○梨木委員 通達は出ておるのでありますね、その点だけ確かめておきます。
○内藤説明員 出ております。
○上村委員 今の梨木君の言われた裁判所の速記制度でございますが、これは質問といえば質問、意見といえば意見ですが、裁判所はまじめに、今の書記の筆記でなく、ほんとうに速記をつけるという御意思があつて、それらの御調査なり、研究なりをしたことがございますでしようか。
○内藤説明員 最高裁判所といたしましても、あるいは國会の事務局関係にお話を伺つたり、あるいは民間で速記を研究しております者に当つてみたり、具体的の研究は現在進めております。
○上村委員 私はこの際裁判所の民主化あるいは裁判の公平、正確という点からいたしまして、どうしても新憲法のもとにおける裁判に対しては、絶対的に必要なものは速記であると思う。私どもは最近労働問題の裁判などには、必ず裁判所に交渉しまして筆記をとる。ところが裁判所書記のとつた筆記は実にずさんであつて不正確である。それが基準になつて裁判をされると、とんでもない結果が生ずるわけであります。私どもの方ではいつでも労働組合とか農民組合の場合には、民事にしろ刑事にしろ、速記を許してもらつて速記をとつて比較参照すると、まつたく天地雲泥の差が出て來る。こういうことは裁判の公平、眞実あるいは民主化の点から言いまして、ひとり刑事のみならず、民事の裁判においても絶対必要でございます。この際裁判所側はひとつ断固としてこの速記を採用する。そうしてもしも人員を整理する裁判所職員があるならば、それに速記術を学ばして、一石二鳥の効果を上げる用意をしたらどうか、これを私は痛切にこの際裁判所において断行せらるべき一つの革新事業と思いますので、意見を申し上げておきます。 それから先ほども十分石川委員の質問で研究したのですが、六十六條の裁判官の採用ですが、司法修習生は司法試驗に合格した者からとるということで、資格試驗というのでありますから、いろいろな問題が生ずるのですが、そうするとこの司法修習生というのはこれによりますと、試驗があるようになつておるのですが、大体私は司法修習生というものは、試驗というものでなくて、試驗というものは司法試驗でいいわけなのです。しかもその司法試驗というものは一次、二次があつて、相当高度の嚴格な試驗が行われて來て、司法修習生になる。この司法修習生というものがあつて、試驗がおもか、あるいは單に修習するというところに重きを置くかということが非常に問題になるし、お互いわれわれは法律を勉強するということは、その学生もしくは青年に対しては終生の事業でありまして、司法修習生になつたということで非常に安心しておるが、さてそこにまた試驗があつて、落第をさせられるということになると、單にそれが少数の人であつても、それに対する影響は、ことに学生、青年に対する影響は非常に多いものが生じて來ると思うのであります。この六十七條によりますと、試驗をするようになつておるわけです。「司法修習生は、少くとも二年間修習をした後試驗に合格したときは、司法修習生の修習を終える。」こういうふうになつておりますが、そうして命ずるということは、これは私は一つの國家の公務員に任命するのであるからして、司法修習生は單なる見習いというものじやないと思う。公務員という資格を習得して、事務の見習いをすることが主であるからして、これはむしろ司法官の方面から見るならば、修習すなわち修養であつて、試驗制度の域を脱しておるものだと思うのです。試驗というものは、今度試驗法でできるところの試驗で完全なものであつて、あとは試驗でなしに、とにかく教養、修習ということに重きを置くにとどまるのであつて、そこでやたらに首を切る、落第をさせてもいいという考え方はどうかと思うのであります。その証拠としましては、六十八條には罷免とありまして「最高裁判所は、司法修習生の行政がその品位を辱めるものと認めるときその他司法修習生について最高裁判所の定める理由があると認めるときは、その司法修習生を罷免することができる。」とある。それで私は根本的な修習の性格を聞いておきたいのは、これは裁判官の試驗であるか、それとも單に試驗は、第一次試驗を終えたあとは修養にすぎないというふうな考え方になるのか。この点がはつきりしないのであります。試驗を終えて採用したのが修習生か、そうでなく、修習生はまだ試驗をされる者の対象となつておるのかどうか。この点を旧の六十八條と、新の六十六條、旧の六十七條との関係をはつきりさせておきたいのですが、この点の御意見を承つておきたい。試驗の段階、司法試驗というものが一次、二次とあつて、それが資格試驗である。それから採用した者は、少くとも判事、檢事ではないけれども、國家の役人となつてしまうのであつて、そういう試驗が、もつとも古い時代の司法官試補というものは、そういうような形ではあつたが、あれはやはりあれで落第しても弁護士になられたり何かしたようなことを覚えておりますが、今度の司法修習生と司法試補試驗の関係がどこからどこまでがどうなつておるかということを、この際はつきり確かめておいて、そうして司法修習生に採用した以上、裁判所が落第させたり、いいかげんのことをするということは、將來の学生及び青年に対して重大なことであると思うので、この際それらの点をはつきりとお伺いしておきたいと思います。
○内藤説明員 私から御説明申し上げます。司法修習生は公務員ではないかというお話がございましたが、これは從來の司法官試補とは違いまして、司法裁判官、檢察官になるべき人ばかりではございません。御承知のように弁護士になる人も司法修習生として修習を受けるわけでございまして、いわば司法官試補と弁護士試補とが合体したようなものでございます。從つてその身分については公務員という身分は持つていないものというふうに考えております。それから修習を二年間終えました後に、さらにその修習の結果についての試驗を行うわけでございます。これはやはり修習が終了いたしまして一定の資格を與えます場合に、ある試驗を行うことは当然のことかと存ずるのでございますが、それに不合格のためにさらに修習を続けなければならないとか、あるいは罷免されるというような場合は起るわけでありますが、その試驗の結果不合格者が多数になるというようなことは、現在の修習の方法から申しましても、試驗の方法から申しましても、御心配のような点はそうないと考えておるわけであります。
○上村委員 そういう心配はないと言うけれども、私はそれが心配なのです。結局そうすると試驗ということに重きを置いてやられるということになつて、そうしてその嚴格な試驗に落第する、試驗ならば落第が必ずあるわけですが、その落第したのは一体どうするつもりでしようか。
○内藤説明員 実は最初の試驗も済みませんので、何とも申し上げかねるわけでありますが、從來御承知のように、司法官試補が第二回の試驗を受けておりますが、ほとんど落第はしなかつたのであります。といつてやはり試驗ですから落第があるので、落第はどうするかというお尋ねでありますが、そこまで実力がない者は落第しても仕方がないというように考えざるを得ないのであります。
○上村委員 そういうふうに簡單に片づけてはいけないと思うのです。いやしくも國家の試驗を受けて來ておるわけです。それが今度司法修習生になつて、そこでまた試驗本位にして落第を出すということは、これは養成試驗を過酷にやるものである。試驗を過酷にしたからといつて人材が出るというものじやない。一旦資格試驗があつて、その資格試驗の中から裁判所が任命したとするならば、その及第した学生なり青年なりは非常に喜んでそこにおるわけです。そこへ行つて落第させられる。そうするとそれは再修習もできないということになつて、一つの悲惨事が起きるわけであるから、一体試驗の段階をどこできめて、そうしてどこからどこまでは試驗というものはほんの名ばかりで、丁寧に教えて修習させてやるという考え方で行くのかということを伺いたい。
○内藤説明員 決してこの司法修習生の制度が試驗本位のものでもなければ、過酷な試驗を課することでないことはお話の通りです。修習によりまして裁判官、檢察官、弁護士としての資格のある人を養成して行くということが司法修習制度でございまして、決してそういう試驗を考えておるわけではないのでございます。從來司法官試補にも弁護士試補にも課せられております二次試驗、ああいう観念で考えればよろしいと思います。なお落第した場合に、また健康上の理由で試驗が受けられない場合がありますが、そういう者はその次にまた試驗を受けられるわけでございます。
○上村委員 そうすると落第した人はどうなるというのです。
○内藤説明員 從來もその例は非常にまれであつたのでありますが、ごくまれなそういう例を考えます場合に、本人が望めばさらに修習を続けて、試驗を受ける機会を持つことができるわけであります。
○上村委員 そうするとさらに修習を許すという建前ですか。
○内藤説明員 さようでございます。 —————————————
○花村委員長 この際おはかりいたしたいと存じます。裁判所法等の一部を改正する法律案について他に御質疑がなければ討論採決を行いたいと思いますが、いかがでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 御異議なければさようにとりはからいます。さらに討論はいかがいたしましようか。 〔「省略」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 それでは討論は省略いたします。よつて裁判所法等の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の方の御起立を願います。 〔総員起立〕
○花村委員長 起立総員。よつて原案の通り決定いたしました。 なお本案の報告書は委員長に御一任を願います。 —————————————
○花村委員長 この際弁護士法改正法案起草に関する小委員会の報告を伺いたいと思います。鍛冶良作君。
○鍛冶委員 弁護士法改正法案起草に関する小委員会の報告をいたします。小委員会は三月二十八日に設けられまして以來、懇談会を数回開いて本法案に関する意見を終了し、本日成案を得て決定をお願いする段階に達した次第であります。お手元にある法案がそれでありまして、今後の取扱いとしては、関係方面にしかるべき手続をした後、これを衆議院法務委員長に提出し、法務委員長提案として法務委員会の審議に付する日の早からんことを望む次第であります。今改めて小委員会で立案された弁護士法改正法案と現行弁護士法とを比較して、その差異を簡單に申し上げます。 第一に現行法においては、弁護士及び弁護士会に対する法務総裁の監督が嚴重でありますが、これを廃しまして、改正法案においては弁護士会自治の原則に基き、自由に活動し、また同時にみずから責任を負うこととしたのであります。すなわち弁護士会連合会が強い推進力を持ちながらも、懲戒委員会、綱紀委員会の規定を設けましたのは、この建前に基くのであります。 第二に現行法においては弁護士の懲戒裁判がありますが、これを廃止して、弁護士会内に懲戒委員会を設けました。弁護士に非行があつた場合には、何人も懲戒の請求をなすことができることにして、國民に対する責任追究にこたえることにしたのであります。その反面みだりに懲戒申入れの弊害を防止するため、綱紀委員会の選択の後に懲戒委員会を開くことにしたのであります。 第三に、改正法案では弁護士の地位が一段と向上しているのであります。すなわち利益の保護というよりもむしろ憲法上の基本的人権の擁護と社会的正義の実現に努力すべきとうとき使命を負わされたのであります。と同時にこれを裏づける品位保持、信頼裏切りの禁止、不適正なる者の入会拒絶等の規定により、弁護士の深い教養と高い品性とを要求することとなつたのであります。 ただ第十二條第三号の判檢事がその就職地において二箇年以内に入会申出をしたときは、入会拒絶ができるという案文について最も議論があつたのでありますが、裁判所側、法務廳側の意見を取入れまして、これを公務員として、さらにその年限を一年に短縮し、これを第三号とせず、第二項としたのであります。すなわち登録または登録がえの請求前一年以内に当該弁護士会の地域内において常時勤務を要する公務員であつた者で、その地域内において弁護士の職務を行わせることが特にその適正を欠くおそれがあるものについても、また前項と同樣とすると改められました。 第四に、弁護士会に加入することは、現行法でも改正法案でもそのままであります。しかし自由職業においてその属する團体に当然加入することは、終戰後珍らしいことであります。これには長所短所相伴うのでその弊害除去に特にくふうしてあります。ことに弁護士の資格を得ながら不当に入会を拒絶されることがないように、資格審査委員会においては判檢事、学識経驗者を入れて公平を期し、一度は入会を拒絶されても、最後には裁判所に訴訟を提起して救済されるようくふうしてあります。 第五に、弁護士名簿、弁護士の権利義務、弁護士会の法律事務の取扱いに関する取締り、いわゆる三百代言禁止についてはおおむね現行法の通りであります。以上が本案の要旨であります。 なお参議院側の意見として、第五に高等試驗の行政科、もしくは外交科の試驗を受けた者で、三年以上衆議院もしくは参議院の法務委員になつた者も弁護士の資格を得るようにとの希望がありましたが、この点については最も愼重に審議いたしたのでありますけれども、結局さような特例を設けない方がよかろうというので、これを入れなかつたことをつけ加えて申し上げておきます。これをもつて簡單な御報告といたします。
○花村委員長 ただいまの小委員長の報告に対しまして、御意見のある方は御発言を願いたいと思います。念のために申し上げておきますが、本案につきましては目下関係方面と折衝中でありますので、その結果を待ちまして、さらに本委員会に諮つて、正式の委員会提出法律案として議長に提出いたしたいと存じます。何か御発言がありますか。
○梨木委員 委員会でも意見を申し述べておいたのでありますが、第六條の第一号の「禁錮以上の刑に処せられた者。」というので、欠格條項につきましては、弁護士という特殊な業務に随伴して——もつと具体的に申しますならば、弁護士は人権擁護の立場から、裁判所、檢察廳、警察または民事的な訴訟においても常に対立者というものを持つておるのであります。從いまして誤つて禁錮以上の刑に処せられるようなことが往々にあり得るのであります。そこでこの欠格條項を單に禁錮以上の刑に処せられた者というように一般的に規定したのでは、弁護士の人権擁護の目的を達成するに欠くることがあると思うのであります。そういう観点から、私は民主主義的な諸活動を原因として禁錮以上の刑に処せられたような場合は、これを除外するという規定を設けていただきたいのであります。民主主義的な諸活動と申しますと抽象的でありますから、私の方はこういうぐあいに規定していただきたいと思うのであります。第六條第一号を禁錮以上の刑に処せられた者、但し刑法第二章ないし第三章、第十二章、第二十一章、第三十二章、第三十四章、及び第三十五章の罪、暴力行為等処罰に関する件違反の罪、それから衆議院議員選挙法第十二章の罪、参議院議員選挙法第十一章の罪、地方自治法第七十三條により準用せらるる衆議院議員選挙法第十二章の罪、それに政治資金規正法第七章の罪に該当する場合、これらを除外するというように規定してもらいたいというのであります。
○鍛冶委員 ただいまの梨木君の御意見についても報告すべきであつたかもしれませんが、なるべく簡單にと思つて省略いたしました。これは小委員会においても強い意見がありましたし、また主張に対してもごもつともの点がありますので、たびたびこれについて論議をしたのでありますが、どうも弁護士の地位を非常に高めるこの改正案においては、俗に言う前科がある者でもよいということになつてはきりがなかろうというので、結局多数意見をもつてこのような原案にきまつたのであります。この点つけ加えて皆さんの御参考に申し上げておきます。 —————————————
○花村委員長 次に檢察廳法の一部を改正する法律案、民法等の一部を改正する法律案、公証人法等の一部を改正する法律案の三案を一括議題といたします。三案について政府より提案理由の説明を求めます。山口政府委員。
○山口(好)政府委員 ただいま上程に相成りました檢察廳法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明します。 本案は大別して三つの事項をその内容といたしているのでありまして、その第一は、檢察廳法と國家公務員法との調整、第二は、國家行政組織法及び法務廳設置法の一部を改正する法律の施行に伴う必要な整理、第三は、その他の改正であります。 まづ第一の点から御説明いたします。從來檢察官の任免につきましては、檢察廳法第十五條第三項によりまして、一般の檢察官は内閣が、二級の檢察官は、内閣総理大臣がこれを任免することとなつておりましたが、本年一月八日施行の人事院規則一ないし三によりまして、國家公務員法中第五十五條を初め、國家公務員の任免に関する規定の大部分が適用されることになりました結果、檢察官の任免につきましても、法務総裁がこれを行うことと相なつたのであります。しかしながら檢事総長、次長檢事及び檢事長につきましては、いずれも認証官であります関係上、これが任免は内閣がこれを行うことを適当と認めまして、第十五條第一項を改正することにより、その旨を規定し、その他の檢察官につきましては、國家公務員法の規定により、法務総裁がこれを任免するものとし、同條第三項はこれを削除し、かつこれに伴つて、第二十三條の罷免の手続についても必要な改正を加えたのであります。次に三級官吏の進退に関する権限の委任並びに檢察事務官、檢察技官の支部勤務命令に関する第三十條の規定は、國家公務員法第五十五條第二項の規定が優先する結果、すでにいずれも不要となりましたので、これを削除いたしました。しかして檢察官はその職責上、その任免につきましては、一般の國家公務員とはおのずからその取扱いを異にすべきものでありますので、檢察官の任免手続、任用資格等に関する規定を、國家公務員法附則第十三條の規定による同法の特例といたしたのであります。 次は第二の点でありますが、これは本年六月一日から國家行政組織法及び法務廳設置法の一部を改正する法律が施行される関係上、これに伴つて、從來政令で定めることになつていた檢察廳の職員の定員を法律で定めるものとしたほか「法務廳」とあるのを「法務府」に、「副檢事選考審査会」に、「檢察官適審査委員会」とあるのを「檢察官適格審査会」に改める等の必要な整理を行つたのであります。 第三はその他の改正でありますが、その一は、副檢事の任用資格に関する点であります。檢察廳法第十八條第二項第一号によれば、副檢事は高等試驗に合格した者で、副檢事選考委員会の選考を経たものの中からも、これを任命することができることになつているのでありますが、政府におきましては、ただいま高等試驗にかわるべき試驗について法律案を立案準備中でありまして、その法律が制定施行せられるに伴つて、この点を改正する必要があるわけでありますが、本案におきましては、本号の試驗は、司法修習生となる資格を得る試驗と同一の試驗であることを明らかにするために、これを「裁判所法第六十六條第一項の試驗」と改めたのであります。 その二は、檢察官適格審査会に予備委員を置く旨の規定であります。檢察官適格審査会の予備委員につきましては、さきに檢察廳法第二十三條第五項に基き、檢察官適格審査委員会令(昭和二十三年政令第二百九十二号)等にこれを規定いたしたのでありますが、これは委員会に関する重要な事項であり、かつ國会議員については、國会法第三十九條により、内閣総理大臣その他の國務大臣、内閣官房長官、各省次官をかねる場合及び國会の議決に基いて内閣行政各部における各種の委員、顧問、参與その他これに準ずる職務につく場合のほかは、法律で定めた場合でなければ、國または地方公共團体の公務員をかねることができないことになつておりますので、これを法律により規定することを適当と認めたのであります。しかして本案におきましては、予備委員は各委員に対應して置かれ、その資格は対應する委員と同一資格を要するものとし、國会議員たる予備委員は、委員の場合と同樣にそれぞれ衆議院または参議院において、これを選出するものといたしたのであります。 その三は、檢察廳法施行の際、現に弁護士試補たる者で一年六箇月以上の実務修習を終えまして考試を経た者を、その考試を経たときに司法修習生の修習を終えた者とみなす旨の規定であります。これは檢察廳法施行の際弁護士試補であつた者百四十九名中、現在までに修習を終えた者が百二十八名あり、その中には檢事を志望している者もありますので、裁判所法施行令第十條第二項の規定にならつて、規定いたしたものであります。 その四は、外地弁護士に檢事たる資格を附與する規定であります。御承知の通り裁判所構成法により、三年以上弁護士たる者は檢事たる資格を有することになつており、その結果これらの者については、檢察廳法第三十七條第一項の規定によりまして、檢事たる資格を得たときに司法修習生の修習を終えたものとみなされるのでありますが、弁護士たる資格を有する者が、三年以上外地弁護士をしていた場合または内地、外地の弁護士在職を通じて三年以上になる場合にも、右と同一の取扱いをし、また弁護士たる資格を有する者が、朝鮮弁護士令による弁護士試補として一年六箇月以上の実務修習を終えた場合には、内地の弁護士試補として一年六箇月の修習を終えた者と同一の取扱いをするのを相当と認めまして、判事補の職権の特例に関する法律第三條の規定にならいまして、これを規定したものであります。 以上御説明いたしました通り、本案は國家公務員法及び國家行政組織法の施行並びに法務廳設置法の一部を改正する法律の施行に伴い、必要な整理を施しますとともに、檢察官適格審査会に予備委員を置き、かつ檢察官の任用資格に関する規定を整備するためのものでありまして、いずれも檢察機構を整備充実せしめるため重要な規定でありますから、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決せられんことを希望する次第であります。 次に民法等の一部を改正する法律案の提案理由を簡單に御説明申し上げます。 まず第一條は民法を改正する規定でありますが、その第一は、第三百六條中第二号と第三号とを入れかえることであります。現行民法では第二号に「葬式ノ費用」第三号に「雇人ノ給料」と定めてありますので、この両者が競合する場合には、民法第三百二十九條の規定に從い、債務者のために葬式の費用を拂つた者が雇人の給料に先んじて弁済を受けられるわけであります。しかしながら葬式の費用はあくまでも個人的なものであり、もともと本人の家族または縁者が負担すべきものであつて、かつ商法第二百九十五條によりますと、会社の使用人の給料の先取特権については、葬式の費用に優先せしめているのでありまして、この商法の規定とのつり合いから申しましても、会社の使用人以外の雇人の給料の先取特権の順位は、当然勤労者の生活確保の見地から、会社の使用人の給料と同一の順位といたし、その債権を保護すべきものと考えますので、順位の変更を規定した次第であります。 第二は、第三百八條を第三百九條とし、第三百九條を第三百八條とする件でありますが、第三百七條ないし第三百十條は、第三百六條の第一号ないし第四号の順を追つて規定してあり、第二号と第三号を入れかえました関係上、法文の体裁を整える意味において、第三百八條と第三百九條とを入れかえた次第であります。次に入れかえた後の第三百八條の改正でありますが、本條は雇人給料の先取特権は、最後の六箇月間の給料につき存することを規定し、但書において、その金額は五十円を限度としたのであります。雇人給料の先取特権を認めて勤労者の生活を保障しようとする趣旨は明らかなのでありますが、この條項は明治二十九年民法制定以來一度も改正されていませんので、時代の変轉に伴い、この規定の意義は無用と申すより、むしろ立法の趣旨に沿わないのでありまして、勤労者保護の目的は全然達せられていないのであります。このゆえに但書を削り、金額の制限を設けないことにいたしたのであります。さきに申しました商法第二百九十五條の規定には、会社に対する使用人の給料の先取特権につきましては、金額に制限をいたしておらないのでありまして、この均衡から申しましても、但書を削るのが相当と考えたのであります。 次に第二條は民事訴訟法を改正する規定でありますが、現行民事訴訟法第五百七十條第一項第六号は、有体財産に対する強制執行につきまして、官吏、神職、僧侶、公立私立の教育場教師の職務上の收入または恩給についてのみ差押禁止物として保護しておりますが、工員その他の雇人等の労務者が受ける報酬その他の收入を除外する理由はありません。当然保護されてしかるべきものと考えますので、第六号を改め官吏、神職等の職務上の收入のほか工員、労務者、雇人等の給料等をも差押禁止物に指定して、これを保護しようとする趣旨であります。 終りに附則について御説明いたします。この改正條項は、前に述べました勤労者の生活擁護の目的を持つものでありますから、その実施は急を要するものと認めまして、公布の日からこれを実施することといたした次第であります。これまた何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決を賜わらんことを御願い申しあげます。 次に公証人法等の一部を改正する法律案につきましても、簡單に提案理由を御説明いたします。公証人に対する監督事務につきましては、一昨年五月裁判所の分離独立に伴いまして、これより切り離して、法務行政のもとに置かれることとなつたのでありますが、当時やむを得ない事情から、一般的な應急措置が施されたにとどまりまして、裁判所の分離に伴う公証人法の規定の整理は、見送られて今日に至つたのであります。ところがこのたび再び法務廳の機構の改組に伴い、公証人法の関係規定を整理することが必要となつたのであります。なお同法が規定する公証の手続等に関しては、從來いたずらに煩瑣に過ぎ、時代に即さないものがありますので、この際これを是正するとともに、また公証人の任用資格等についても、現状に即するよう改正を加える必要があるのであります。これがこの法律案を提出した理由であります。 以下改正の要点を申し上げます。 第一は、法務廳設置法の一部を改正する法律により、司法事務局またはその出張所が、法務局、もしくは地方法務局、またはその支局、もしくは出張所に改組されるとともに、公証人懲戒委員会については、これを公証人審査会として同法に規定されることになりましたので、これらに伴い、公証人法の関係規定を整理しようとするものであります。公証人法第七條ないし第十一條、第十四條、第十五條、第十七條、第二十一條、第二十四條、第二十五條、第六十二條の二、第六十二條の五、第六十三條、第六十四條、第六十六條ないし第六十八條、第七十一條、第七十三條ないし第七十六條、第七十八條、第八十一條ないし第八十三條及び第八十五條の改正規定がこれであります。 第二は、公証、認証等の手続を簡素化しようとするものであります。公証人が公正証書を作成し、私署証書等に認証を與える行為は、私権に重要なる関係を有するものでありますから、公証制度の権威のためにも軽々にその手続を簡素化することは嚴に愼まなければならないことではありますが、しかしながら現行法の規定はあまりにも嚴格に過ぎ、かえつて公証人はもちろん、当事者に対しても、いたずらにその煩にたえざらしめているのでありまして、このたび公証制度の趣旨に反しない範囲内において、これを適当に是正して、ますます公証制度の機能を発揮せしめようとするものであります。なお公証人の調製する帳簿についてもこれを簡易化するよう若干の修正を試みました。公証人法第二十八條、第三十二條、第三十四條、第三十六條ないし第四十二條、第四十四條ないし第四十七條、第五十一條、第五十五條、第五十九條ないし第六十二條及び第六十二條の四の改正規定がこれにあたります。 第三は、公証人の任用資格等につき、現行法では判事、檢事または弁護士たる資格を有する者に限つて、所定の試驗及び実地修習を経ないで公証人に任ぜられることができるのでありますが、これでは廣く適材を求めるに適しないうらみがありますので、このたびこれを改正して、多年法務に携わり、公証人の職場に必要な学識経驗を有するもので、公証人審査会の選考を経た者もまた試驗及び実地修習を経ることなくして、公証人に任ぜられることを得るものとしようとするものであります。なお公証人の住居、筆生の名称、身元保証金及び過料の額等についても、それぞれ所要の改正を試みました。公証人法第十三條、第十八條、第十九條、第二十四條、第三十四條、第八十條及び民法第九百七十四條の改正規定がこれにあたります。 何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決せられんことを御願いいたします。
○花村委員長 右法案に関する質疑は後日に讓りたいと存じます。 —————————————
○花村委員長 この際お諮りいたしたいことがあります。司法試驗法案に関しましては、本案はまことに重要でありますので、廣く利害関係者及び学識経驗者等より意見を聽取するため、公聽会を開きたいと存じます。つきましては衆議院規則第七十七條によりまして、あらかじめ公聽会を開こうとする場合は、議長の承認を得た後、その決議をしなければなりませんので、まず公聽会開会要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決定いたします。 —————————————
○花村委員長 質問につき猪俣浩三君より発言の通告がありますので、これを許します。猪俣浩三君。
○猪俣委員 過般当委員会で質問いたしました八丈島の檢察行政の情勢及び田中彰治氏の逮捕問題につきましての当時の係官の氏名を御発表願いたいと思います。
○木内政府委員 まず田中彰治氏に対する刑の時効完成の問題につきまして、当時の関係者について御調査を命ぜられた点をまず御報告いたします。この事件の当時の刑事局長は池田克、行刑局長は正木亮、ただ刑の執行の問題につきましては、行刑局は何ら関係がないのであります。 それからなお檢察廳の当時の責任者といたしましては、東京控訴院檢事長は昭和十六年七月二十九日から昭和二十年九月八日まで秋山要、昭和二十年九月八日から昭和二十一年六月二十四日まで黒川渉、その後は現在の檢事長である佐藤博、それから板橋警察署長は昭和二十一年一月六日から渡邊和十郎、これは昭和二十二年三月七日までであります。それから昭和二十二年三月七日から昭和二十三年三月六日までは大迫繁志、それから昭和二十三年三月六日から現在までが關徳松ということになつております。 それから福岡鉱山監督局長は、昭和十七年一月から昭和十九年二月まで白井義三、昭和十九年二月から同年十二月まで吉田茂、それから十九年十二月から二十年六月までが戸塚九一郎、昭和二十年六月から二十年九月までが松田太郎ということになつております。大体前に御報告申し上げました事件で関係のある機関だけの人の名前を申し上げた次第であります。
○猪俣委員 檢事正はどうですか。
○木内政府委員 檢察廳の責任者、こういうお話だつたものですから、檢事正は今ちよつと調べておりませんでしたが、それではあとで調べます。
○梨木委員 御案内のように、大阪における三月下旬の人民大会のデモに対する大阪の鈴木警察局長の取締りが非常に行き過ぎておつたということで、地方行政委員会においてこれが問題になつております。ところがその後鈴木警察局長のいろいろな言動を見ますると、五月一日のメーデーを控えまして、今度のメーデーにもそういう以前行つたような行き過ぎた取締りをしないようにという申入れをしたのだそうであります。それに対しまして一向反省の樣子がなく、場合によつてはまた消防ポンプの発動をさせるというようなことすら放言いたしておると聞いておるのであります。そこで東京地方檢察廳といたしまして、來る五月一日のメーデーにあたりましては、もちろんそういうような不見識な取締り方針を持つてはおられないだろうと思いますが、たとえば大衆を挑発するような多数の警官並びに檢察廳の檢察官が出動をするとか、あるいは武器を持つて警戒に当るとかいうふうなことはなさらないと思うのでありますが、その点について何か特別の方針がきまつておるようでしたら伺いたいと思います。
○木内政府委員 御質問の点につきましては、法務廳におきましても檢察廳におきましても何ら考えておりません。
○梨木委員 特別にメーデーに多数の檢察廳の職員や警察官を動員し、あるいは武器やその他のものを持つて警戒に当るというようなことは決定しておらないわけでありますね。
○木内政府委員 かようなことはまた直接檢察廳の関與する事項でもありませんし、警視廳においてどういう方針をとつておるか、それは私どもは存じませんけれども、檢察廳としては何らさようなことは考えておりません。
○花村委員長 本日はこの程度において散会いたします。 午後五時二十五分散会