法務委員会 第8号
- 発言数
- 59 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1949/04/19
会議録
○花村委員長 これより会議を開きます。 本日の議題に入ります前に、御報告いたしておきたいことがあります。第一は委員の異動であります。本日委員山口六郎次君が辞任せられ、その補欠として牧野寛索君が議長の指名で補欠選任せられましたことを御報告いたしておきます。 第二に、去る四月十四日の委員会におきまして、議長に承認を求めました國政調査承認要求書は、同日議長の承認を得ましたことを御報告いたします。 —————————————
○花村委員長 それではまず横浜地檢問題に関する件を議題といたします。先日の理事会におきまして、横浜地檢問題に関しまして本会議において報告をなしたる後、本委員会において証人を喚問して証言を求め、もつて檢察の刷新と制度の改革に資すべく調査を進めようということが一應決定いたしたのでありますが、この点に関しまして御意見のある方は、この際御発言を願いたいと存じます。別に御発言がなければ、さようとりはからいたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 御異議なしと認めまして、さように決定いたします。 —————————————
○花村委員長 次に法制に関する件であります。梨木委員より発言を求められておりますから、これを許します。
○梨木委員 税務代理士法の問題について、法務総裁に伺いたいのであります。税務代理士法第一條に「税務代理士ハ所得税、法人税其ノ他命令ヲ以テ定ムル租税ニ関シ他人ノ委嘱ニ依リ税務官廳ニ提出スべキ書類ヲ作成シ又ハ審査ノ請求、訴願ノ提起其ノ他ノ事項(訴訟ヲ除ク)ニ付代理ヲ為シ若ハ相談ニ應ズルヲ業トス」ということになつておるのでありますが、この税務代理士の資格を持つておらない者がこのような書類の作成や審査請求、訴願の提起、その他の事項について代理もしくは相談した場合には、罰則があるのであります。ところでこの業とするということが問題なのでありまして、私の考えでは、業とするという場合は、少くとも報酬を得ることを目的として、これらの仕事を反覆累行すると申しますか、そういうことでなければならぬと思うのであります。ところが最近税務代理士法違反で、全國諸所においてこの規定に触れたということで、檢挙されておる事案があるのであります。そこでその事案というのは、民主商工会とか、その他政党活動に付随して、何ら報酬を得りことが目的ではなくて、頼まれたのでやつたというような事件までも、税務代理士法違反で訴追しておる事案があるのでありまして、これはこういうような拡大した解釈で取締るということになりますと、本來の政治運動に付随して、税務に関する相談その他のこともできなくなつて、政治活動を極度に抑圧する、政治活動の自由を阻害するということになると思うのであります。從つて報酬を得る目的があつたかどうか、これを業としておつたかどうかということを判断の重要な條件としなければならない、こういうような結果になると思いますので、この点についての法務廳の見解を伺いたいと思うのであります。
○殖田國務大臣 お尋ねの点でありますが、法務廳の解釈としては、業とするということは、反覆継続の意思で当該行為に從事することを指さすのであつて、営利の目的でこれをすることは必要ではない、こういう解釈をいたしておるのであります。ただいまのところ、この種の事件で問題になりましたのは五件、十人であります。そのうち起訴いたしたものが四件、九人ということに相なつております。こまかい法律上の解釈につきましては、私よりも事務当局から答えさせた方が適当であろうと思いますので、さようにお願いいたします。
○梨木委員 この税務代理士法ができるときに、業ということが問題になりまして、委員会においていろいろと質疑討論がなされておるのであります。昭和十七年の二月七日の税務代理士法に関する委員会におきまして、松隈政府委員が委員の質問に答えて、次のように述べておるのであります。ここに「業トス」というのは、たとえば事務所を置きまして、不特定多数の人の委嘱を受け得るような状態において仕事をする者、こういうように解釈したらよろしいと思つております。また從つて報酬を得るということが当然伴つて参るのであつて、報酬を得ないというような場合においては、業とするという解釈には入れない方がよろしいと思つております。こういうように政府委員が答弁しておるのでありまして、この政府委員の答弁を了として、かかる解釈のもとに税務代理士法第一條が委員会を通過しておると私は承知しておるのであります。しかるにもかかわらず、今日この法案の制定の経過を無視いたしまして、権威ある政府委員のかような解釈を無視しまして、何ら報酬を得ることを目的としておらないこの種の事件を、税務代理士法違反で檢挙するということは、これは最近税金の問題が非常に重大化して來ておる関係上、何とかこれを不当に取締ろうというような考え方から、税務代理士法というものをひつぱり出して來て、それを使つておるのじやないかという印象を受けるのであります。今御答弁によりますと、全國で五件で十人とおつしやいますけれども、それは檢挙せられたのはそうでありますが、大阪地方においても、また東京地方においても、民主商工会とか、つまりそういうような組織の人たちに、何か知らぬが、この税務代理士法違反の嫌疑らしく取調べを非常に活発に行つておる事実を、われわれは聞いておるのでありまして、檢挙件数は少くとも、しかしこの税務代理士法における業ということを、今法務総裁のおつしやつたような解釈でおられたのでは、政治活動や、その他税行政の適正化を促進しようとする國民の運動までを抑圧することになると思うのでありまして、この点はひとつ私が今読み上げましたように、この税務代理士法の制定の経過から見まして、業ということをこのように政府が解釈したのでありまするから、こういう見解でひとつやつてもらいたいということを希望する次第であります。
○花村委員長 梨木君は質疑ではありませんか。御意見だけでよろしうございますか。
○梨木委員 希望をあとの方で述べたのでありますが、先ほど私が読み上げました、昭和十七年二月七日の委員会における政府委員の答弁と、今の法務総裁の答弁は違うのでありまして、この点はどうなるのかという点を伺いたいと思います。
○殖田國務大臣 梨木さんのお話では、いかにも政略的に解釈をきめておるように見えるのでありますが、これは当局者が純法律的に技術的に考え、この法律の文字の上からいたしまして、今私の申し上げましたような解釈に到達いたしたのであります。それは「代理ヲ為シ若ハ相談ニ應ズルヲ業トス」という言葉は、ほかの法律にも往々使われておるのでありまして、その場合はいずれも営利を目的とせざるものと解するが、営利を目的とする場合には、営業とするということが書いてあります。そういう解釈から、さような解釈に相なつたのであります。私が申い上げますよりも、事務当局からもつと純粹に、法律的に技術的にお話をさせた方がいいと思いますので、木内長官からお答え申し上げます。
○木内政府委員 ただいま梨木委員の御質問に関して、総理からお答えになりましたことで盡きておると思うのでありまして、さらに私から敷衍することはないわれでありまするが、ただ立法当時の委員会における政府委員の御説明を今お読み上げになりましたが、この業という問題につきましては、すでに判例もあることでありまして、なお医師法その他いろいろの法律にも業とするという言葉を使つております。しかしてこれに報酬の伴う場合におきましては、営利の目的をもつて何々をというふうにうたつてあるわけであります。弁護士法にも、たしか同樣の言葉が使つてあると思うのでありまするが、業というのは、先ほど総裁も御説明になりました通り、反復継続の意思で行為をやることが業である。こういうふうにわれわれも解釈しており、裁判所においても同樣の解釈をしておるのであります。またこのような解釈が私は妥当であると考えるのであります。なお檢挙の点につきまして、いろいろ政略的な意味があるのではないかという御質問でありまするが、これは断じてさようなことはありませんということを、ここに私は言明いたしたいのであります。いずれも檢察の面から、違反があればこれを檢挙する。しかして檢挙したからといつて、何でもかでも起訴するというのではございません。しかしてそれぞれ起訴しなければならぬものは起訴するし、起訴猶予にしてよろしいものは起訴猶予にしておるのでございまして、その点き御安心願いたいと思うのでございます。
○上村委員 この業とするということは、一應総裁もしくは檢務長官の説明でわかるのですが、実際において、一つのことを一ぺん、二へん、三べんと繰返しただけで、すぐ税務代理士法の違反になるということになると、今日税金問題に対して非常に人民が苦しんでおり、そしてこの税金の是正をしたいというので、非常に不当に來た場合には、手続をよく知つている人民は少いので、たれか知つている人のところに持つて行つて書いてもらうとか、聞くということになるのですが、それがそういう便宜を取扱つたというだけで、しかもそれが二へん、三べんと繰返されただけで業となるということになると、総裁は政策的でないと言うけれども、政策的に解釈される。そして税金の問題がこういうふうになつて來れば、その問題を政策的に運用して行くという非常な弊害があるわけです。そこで業とするということは、それで飯を食うことで、少くともその人の主たる仕事となり、事業となるということでなければならぬと思うのですが、そうでないと、たとえば代書人が税金の審査請求を2へん、三べんと書いてやるときに、はたして代書人は代理士法に引つかかるかどうか。 それから地方では農民組合とか、あるいは協同組合もあり、役場もある。特に役場ではそんなことはめつたにないのですが、聴同組合、農民組合あたり、あるいは地方の労働組合あたりでそれを書いてやる。特に書記局の書記などが一ぺん、二へんと書いてやつた。それで銭も何もとらないで、非常に不当な税金に苦しんでおるから、その書き方を教えたり書いてやつたりすると、それがすぐに業となつてひつかかる。むろん協同組合や農民組合の書記はそれが本職ではない。本職は農民運動の指導その他で、税金の問題を繰返してやつてやることが主たる業ではない。從つてそれに対して報酬をとるわけではない。これでもひつかかる。こういうことになると、税金で非常に困つておるときに人民を弾圧し、抑圧することになるが、業とするというこにはそうではないと思う。親切に好意的に人民のためにやつたことでも、それを繰返せば副業でも業となるのか、その辺のけじめがどういうふうになるか、業とするということは営利を目的とするものでないとすれば、少くとも主たる仕事としてやるとか何とかいう制限がないと、非常に人民が窮屈になると思うのですが、それらの解釈を法務総裁、法務廳では今後どういうふうにやつて行くのでしようか。ちよつとお伺いしたい。
○木内政府委員 ただいま御質問のような、主たる業としてやるのでないから、これは業としても副業ならばいい。かような考え方はいたしておりません。副業であろうと、主たる業であろうと、これに区別はしておりません。ただ先ほども申しました通り、税務代理士法にいたしましても、あるいは医師法にいたしましても、いわゆる無免許、または無許可のものを禁止しておるという趣旨は、これらの行為が営利を目的としておるかどうかということで、その弊害が認められるというためではなくして、この種の行為を、一定の資格のない者が、何らの監督を受けない対象のもとにおきまして継続して行くというところに、重大なる弊害がある。かように認められるために、この法律ができておるわけであります。從つて先ほど來申しました通り、反復継続すればよろしいのであつて、営利の目的ということはこれに含まれない。かように考えておる次第であります。なおこれの程度の問題でありますが、これについては檢察の面におきまして、むろん起訴すべきものは起訴する。あるいは事情酌量すべきものはこれを起訴猶予するということは、先ほどもお答えいたしました通りでございます。
○上村委員 そうすると、結局何でもかんでも、営利でなかろうが、主たるものでなかろうが、親切にやろうがどうだろうが、ともかく税金問題で二へん、三べん繰返せば業と見る。こういうことになるのですか。
○木内政府委員 お話の通り反復継続すれば業となる。こう考えております。
○梨木委員 あまり議論していてもしようがないので、結論を出す意味で申い上げたのでありますが、業ということを法律で言う。刑法とかいろいろな法規に業という用語がありますが、そういう刑罰法規一般にある業ということの解釈ではなくして、具体的に税務代理士法に業とあるこの業を、どう解釈するかということが重大問題なのでありまして、この点については私は判例も、この税務代理士法第一條だけの業についての問題を、私は寡聞にして知らないのであります。從いましてこれは何といつても、立法趣旨から言つて、法律を制定する当時においては、今読み上げましたような趣旨でできておるのでありますから、これはやはり尊重していただかなくてはならないと思う。そうでなければ、われわれが法務委員会を開いて、そこで一つの法律をつくる場合に、質疑の必要がないのであります。これはやはり立法趣旨の中で、かような見解でこの法規を解釈すると、政府当局の責任ある者が答えておるのでありますから、やはりこれは尊重していただいて、こういう見解で今後税務代理士法第一條の業務ということを解釈して、その解釈の上に立つて運営していただきたいということを、強く希望しておきます。 —————————————
○花村委員長 北川定務君より発言の通告があります。これを許します。北川定務君。
○北川委員 檢務長官に資料の提供をお願いしたいと存じます。檢察権の運用につきましては、万遺漏ないように御配慮を願つていることと存ずるのでありますが、檢察事務官制度、副檢事制度が新たに設けられまして以來、ことに地方におきましては、あるいは濫訴の弊と申しますか、あまりに小さい事件が処罰されすぎているという声を聞かないでもないのであります。また執行猶予中の者、あるいは仮出獄を受けた者が非常に数が多い。從つてこれは小さい事件が処罰されすぎているということをうかがうに足る一つの例でありますが、執行猶予中の者とか、あるいは仮出獄中の者が非常に多くて、しかもこれらに対する適当の措置が講ぜられておらないと思う。これらの者が犯す犯罪が相当多いということを、諸所において耳にいたすのであります。從いまして昭和二十三年度の檢挙を受けました犯罪者の数と、犯罪件数、それからその事件が起訴か不起訴か起訴になつた分については罰金刑か、あるいは体刑であるか、執行猶予の件数と、その人数、それから仮出獄者の数、執行猶予中もしくは仮出獄中に、さらに罰を犯した犯罪者の数、これらにつきまして資料を提出していただきたいと思うのであります。
○木内政府委員 ただいまの御要求に対しましては、早急に提出いたします。
○梨木委員 東京芝浦電氣株式会社に対しまして、持株整理委員会から昭和二十二年法律第二〇七号、過度経済力集中排除法に基く指令案というものが出されておるのであります。ところがこの指令案の内容を過度経済力集中排除法の法律に照して檢討しますと、非常に不当なものがあるのであります。つまり過度経済力集中排除法が目的としているその趣旨と、相反するような指令案が出されているように思うのであります。これは私たちきよう午前中、持株整理委員会の委員笹山さんとも懇談しまして、いろいろと質疑應答を試みたのでありますが、その質疑應答の中からも、実際この指令案を実施しますと、過度経済力集中排除法の目的に相反する結果が起つて來るのであります。これはお話の通りの過程からも、笹山さんも認めざるを得ないような状態に見受けられました。これは指令案でありますから、これについて今関係当事者からいろいろと異議なり意見が出ておりまして、結局これが決定的な指令となつて出た場合に、それに異議があれば内閣総理大臣にさらに提訴することができるような規定になつておるのでありますが、それならば結局はやはり政府の顧問である法務廳が、この問題に関與されるだろうと思うのであります。そこで私が伺いたいのは、現在こういう指令案が出ておりまして、それに対する関係当事者から反対の意見なり陳述がなされております。それで私は、この際法務廳の意見調査部におきまして、この問題を調査された結果についての報告を、この委員会にしていただきたいということを希望する次第であります。
○殖田國務大臣 持株整理委員会は総理大臣の所管にあると思います。その問題について法務廳は何ら聞いておりません。
○梨木委員 持株整理委員会は、内閣の所管に属しておるということは承知しております。ただしかし内閣がこの問題を法律の趣旨に從つたように処理する場合におきましては、どうしても法務廳が関與することになるのであります。そうして現在は指令案でありますから、この際やはり法務廳の積極的な見解を披瀝されることによつて、この指令案の不当な実行があらかじめ阻止され得ると思うのであります。でありますから、この点について私はそのためにある意見調査でありますから、ひとつ現状の段階において、この問題に関する意見を聞かしてもらいたいと思います。
○殖田國務大臣 総理大臣より意見を求められれば、むろん意見を陳述いたしますけれども、いまだ総理大臣より何ら意見を求められておりません、おりませんのに指令案というものを漏れ聞きまして、それに意見を述べるわけにも参りません。
○梨木委員 それでは私の方で内閣委員会の方へそういう手続をしますから、その上ひとつ意見を聞かしていただきたいと思います。こういうふうにさしていただきたいと思います。 それからそれについて、ちよつと滋賀縣の大津地方裁判所におきまして、大津地方裁判所の事務員が日曜日に檢察廳へ呼び出した証人、これは去る四月十日ごろのことだつたそうでありますが、檢察廳へ呼び出した清水きよ子という者を、裁判所の事務員が一室に監禁いたしまして、何と申しますか、貞操をもてあそぶような事件があつたのであります。これが世間に問題になりまして、この事実を聞いて、その眞相を確かめに行つた新聞記者を、裁判所の事務官並びにその事務官の父親と二人が共謀しまして、新聞記者二名をなわで縛つて、監禁暴行を加えた事実があるのであります。ところでこの暴行監禁をされた新聞記者から、この事実を告訴したのであります。ところが二人が共謀でやつたにもかかわらず、父親だけを起訴して、裁判所の事務官はそのままになつておるのであります。いろいろ調べて見ますと、どうも裁判所の方で事が表面に立つことをおそれて、つまり臭いものにはふたをしろというようなやり方で、非常な人権蹂躙の問題を隠そうとしておるような事件があるのであります。この事件について檢察廳並びに裁判所におかれて、事実を調査されて、御報告をお願いいたしたいと思うのであります。
○木内政府委員 ただいまの事件は、まだ何ら報告に接しておりませんから、承知しておりませんが、この件につきましては早急調査して、御報告いたすことにいたしたいと思います。
○梨木委員 それから今日は裁判所の方は見えておりませんが、裁判所の方もひとつお願いしたいと思います。
○花村委員長 裁判所の方は出席がありませんから、委員長の方から裁判所の方へ通告しておきます。
○石川委員 後日御質問いたします準備のために、一言だけ法務総裁にお聞きしたいと思います。ただいま法務総裁は、内閣総理大臣から意見を求められなければ、積極的には法律に関する意見をお述べにならないかのごとく申されたのでありますが、法務廳設置法の第一條によりますと、内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べ、または勧告することが、法務総裁の職務として規定されてあるのであります。そこで一言お聞きしたい点は、法律上の問題について、解釈もしくは法律上行政府がこのような行動をとらなければならぬということについて、積極的な所見を報告されたことがございますかどうかをお聞きしたい。同時に將來またその第一條の末項の御趣旨によつて、御活動なさるかどうかをお聞きしておきたいのであります。
○殖田國務大臣 それはただいまお読みになりました條文にあります通りでありまして、一般的には法律上の意見をむろん述べるのであります。勧告もいたすのであります。ただ今梨木君のお尋ねのごとく、具体的の事件につきましては、何ら事実を知らないのであります。これは行政の面でまず監督すべきものでありますから、その行政の内部にはただちには立ち入りがたいと思います。
○石川委員 いろいろ行政面においてもこのような現象が起つておるし、労働組合法に関しても問題が起つた。農地の開放に関してもいろいろの問題が起つた。行政廳のやつた処置が、法律違反の疑いがある場合には、法務廳はこれに対する意見を述べ、政府に勧告するという第一條に基いて、法務総裁はその職責を執行しなければならぬものと存じます。それに対する御見解を承つておきたいと思います。
○殖田國務大臣 お話のごとく、抽象的に全体の問題として取上げられますれば、むろん法律上の解釈も述べますし、勧告もいたすのであります。ただ具体的の個々の事件につきましては、その機会がなければできない、こう申し上げました。 —————————————
○花村委員長 なおこの際お諮りいたしたいことがあります。昨日内閣委員会に法務廳設置法等の一部を改正する法律案が付託され、本日その提案理由の説明がなされております。各省設置法案は、すべて内閣委員会に付託されて審議されるのでありますが、当該所管の常任委員会とも連合審査会を開くという申し合せがあります。つきましては本委員会といたしましても、法務廳設置法等の一部を改正する法律案について、内閣委員会と連合審査会を開くことを求めたいと思いますが、御異議ありませんか。
○鍛冶委員 ちよつとお聞きしたいんですが、いつからそういうことになつたのですか。現在の法務廳法というものは、あの当時は司法委員会でしたが、司法委員会だけでやつたと思うのです。それがいつごろからそういうことにかわつたのでしようか。
○花村委員長 それは常任委員長会議におきまして、さようとりはからうことに決定いたしました。
○石川委員 ひとつ將來のことについて聞いておきたいことがあります。相続に関係があります。
○花村委員長 ちよつとお待ちください。議事進行中ですから……。 ただいまの連合審査会を開くことを求めたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 御異議なければさようとりはからいます。 なお衆議院規則第六十條によりますと「委員会は、審査又は調査のため必要があるときは、他の委員会と協議して、連合審査会を開くことができる」こととなつておりますから、日時等につきましては、内閣委員会と協議いたしまして決定いたしたいと存じます。さよう御了承願います。 —————————————
○石川委員 法務総裁にお伺いしたいのでありますが、今問題になつて、非常に農村で困つておるのであります。民法付随の関係だと私は思うのでありますが、農業資産相続特例法であります。これはこの前々々國会に出されたのでありましたが、法務委員会ではございませんで、農林委員会にこれを提出してあつたのであります。これは相続に関する特例なのでありますから、私は法務廳で立案してしかるべきだと思つておりまするし、法務廳でこの委員会に御提出なさるのかと思つておりましたが、これに対する御準備がどうなつておりますかをお聞きしたいのであります。
○殖田國務大臣 その問題につきましては、農林省が農業政策上あの特例を設けることが必要であると考えまして、農林省が立案をいたしまして提案をいたしたのであります。
○石川委員 これは相続法の特例でありますから、法務廳で立案すべきものだという御見解はないのでしようか。
○殖田國務大臣 その相続法の特例である点はさようでありまするが、その特例を要求いたしまする政策そのものが農林省にありまするものですから、むろん法務廳は相談を受けまして、その特例を認めたのではありまするけれども、主たる立案者が農林省でありますので、農林省に大体まかせてあります。
○石川委員 それは今議会に提出されることになりますか。
○殖田國務大臣 まだはつきりわかりませんが、提出したい希望のようであります。
○鍛冶委員 私はこれに関連して一つ法務総裁にお願いしたいのですが、なるほどこの法案は、農業政策上勘案せられたものではございましようが、これはとりもなおさず相続法の特例であります。ゆえに民法を管轄しておる法務廳がやらなければならぬ問題である。從つて法務廳がやられる上において、農業政策上やるというので、農林省の方からいろいろ意見を求めて、それを加えておやりになることは一向かまいませんけれども、その立案の根拠は、何としても民法を担任しておられる法務廳でやらなければならぬものだと思うのです。これはぜひともさようにしていただきたいと思いますが、いかがでしようか。
○殖田國務大臣 ごもつともな御意見でありまするが、ただいまの実際は、実は法務廳は遠慮いたしまして、農林省にまかしておるのであります。
○鍛冶委員 どうかさような遠慮はなされずに、ぜひとも法務廳でされることを希望申し上げておきます。
○花村委員長 ほかに御質疑はありませんか。
○猪俣委員 先般当委員会で私が質問いたしました、八丈島の檢察状況のお調べがありましたら、結果を御報告願いたい。
○木内政府委員 その点につきましては今なお調査中でありまして、御報告いたすまでに至つておりません。いずれ近いうちに、まとまり次第御報告するつもりでおります。
○小玉委員 ちよつと私は檢察廳側にお聞きしたいのですが、最近こういうことを私はある所で聞いたのです。共同被告人がある場合に、檢察廳で調べておいて、その共同被告人の一人を捜査の過程において、判事の方で証人として宣誓をさせて調べております。公判にまわつて、檢察廳で述べたことと違つたことを言うと偽証罪になるということで、公判における供述を縛ると申しますか、ひつくり返せぬようになつている。そういうことが今度の新刑訴でできるのだという見解で、さような捜査方法をとつておるということをある所で聞いたのですが、現在さようなことを檢事捜査上やつてやられるかどうか、その点について檢察廳側の御見解を承りたいと思います。
○木内政府委員 ただいま御質問のようなことがあつたというようなことは聞いておりませんから、ここにお答えできませんが、しかしこれは私の想像でありますけれども、かような場合はあり得ると思うのであります。それは初めは証人のつもりで調べておつたところが、あとになつてそれが共犯だということがわかつたという場合は、私はあり得ると思うのであります。しかしながら初めから共犯だということがわかつておるにかかわらず、ただいま御質問のような手続をとることがもしあつたとするならば、それは穏当ではないと思います。ただいま御質問のようなことがあつたかないかということは、全然聞いておりませんからお答えできません。但しさような事件がありましたならば、具体的事例をあげてお話を願えれば、それに基いて調査したいと思います。
○小玉委員 私その事件を調査しようと思つておりますから、後日調査してさようなことがありましたら申し上げたいと思います。
○梨木委員 これは過般非公式にちよつと檢務長官にお願いしておつたのでありますが、まだ御報告を受けていないので、調査並びに御報告をお願いいたしたいのであります。松島謙三並びに佐々木正一というこの二名の方が、精神病者でないのに精神病者だということで、松沢病院へ入れられた。この松島謙三というのは九年間、佐々木正一というのは三年間、全然精神病者でないものを精神病者だということで、松沢病院に入れられたのであります。松島君は、宮内大臣あて、家族制度の改革の上申書を提出するため宮内省に出向いたときに檢挙されて、そのまま精神病院に入れられた。もう一人の佐々木君というのは、昭和十六年九月二十日、街頭から檢挙されて、そのまま松沢病院に入れられた。こういう事案であります。この本人は今二人とも出ておりますが、これは当時の警視廳の精神病に関する医者といいますか、金子準二というのと、松沢病院の院長の三宅鑛一、内村祐之、林すすむ、これらの人たちが共謀して、このような不当な人身の拘束が行われたものと考えざるを得ないのでありまして、昭和二十二年の二月七日に、この告訴が東京地檢になされたのであります。この告訴がなされましてから檢事がかわること八人、ほとんど捜査が放置されておつたのであります。こういうふうにされておつて、二十四年の三月二日になりまして、松島君の分は時効にかかりそうになつて來た。そこで時効にかかりそうだから、これから調べていたんではなかなか証拠がつかみにくい、そういうことで、この二つの事件が不起訴になつているのであります。しかも驚いたことには、こちらから提出した証拠書類もなくなつているということであります。檢察廳の怠慢から、一年有余、こういう重大な人権蹂躙事件を放置しておいて、しかも証拠物件をなくして不起訴にしている事件があるのであります。今日まだ精神病院の監護と申しますか、これが改正されておらないのでありまして、精神病院に收容する場合に、これは非常に大きな人身の拘束をすることなんでありますから、少くともこれは公正嚴格な手続を経て行わなければならぬものであります。これが当時まだ非常にずさんな形において、警察官の認定によつて精神病院に收容することができるようなことになつておつたために、こういう事態が起つたのでありますが、この事件のついて、今日一方はもう時効にかかつてしまうというようなことで、開くところによりますと、どうも警視廳のこういう役人だとか、仲間同士のことはやりにくいんでね、というようなことを漏らしておつた人もあるとのことであります。こういうことでは檢察の権威というものは保たれないと思うのでありまして、私はこの点についての報告を求めると同時に、その報告に基いて檢察当局の責任者に対する処分を要求したいと思のでありますが、とりあえずこの事件が、どのように捜査が進行せられて、どういう処置をとつたのか、その処置のやり方がはたして適切であるかどうかという点についての、檢務長官の御答弁をお願いしたいと思います。
○木内政府委員 この問題は本日時間がありましたらお答えするつもりで、私準備して來ているのであります。ただ主任檢事がただいま出張中で、十分わからない点がありますために、それはもどつて來ましてから十分に調査しし御報告いたしたいと思います。わかつている範囲内のことをまずお答えいたしますと、お話のように、昭和二十二年二月七日に告訴があつたということはその通りでありまして、その後昭和二十二年六月十九日に、告訴人である松島をまず取調べているのであります。同月二十三日にさらに松島を取調べております。なおその日に佐々木も取調べています。そこで少しく間があるのでありますが、本年の三月四日に参考人の松島龍藏というのを取調べ、同日また小島金重、それから井口勇、これを取調べているわけであります。三月七日に金子準二を調べ、その翌三月八日に佐々木正一を取調べ、三月九日に内村祐之を取調べ、同日また同樣三宅鑛一を取調べ、三月十日には林すすむを取調べ、三月十二日に不起訴処分になつているという経過であります。不起訴の理由は、要するにこの告訴人がいずれも精神変質者、性格異状者、病的性格で、いわゆる廣義の精神病者であつて、ことに松島は直訴等をする危險があつて、しかも適当な保護者がないというので、入院監置した。それからまた佐々木は、狂暴性を発揮する危險が非常にあつて、家族からも保護の申出があつて、そのために本人の保護並びに公安維持の必要から入院さした上、監置した。こういうことでありまして、その他関係者等を調べ、あるいは病床日誌等によりまして、この監置したことは何ら違法なものでないということで不起訴処分に付したわけであります。ところがこの不起訴処分につきましては、三月十七日に刑事訴訟法二百六十二條による審判請求がありまして、三月二十日に東京地方裁判所におきまして請求棄却の決定があつたのであります。これによりましても、裁判所においても檢察廳の決定を相当なりとしているのであります、なお時効の問題でありますが、この公訴時効期間は五年でありまして、三宅につきましては告訴当時すでにもう時効が完成しておりまして、その他の被告訴人につきましては、本年十二月四日に時効が完成することになつているということであります。それから証拠品の問題でありますが、これは先ほども申しました通り、主任檢事が出張中でありますので、この点をたしかめるわけに参りませんので、帰りました上調査して御報告いたしたいと、かように考えている次第であります。
○猪俣委員 これは前から質問通告しておりませんことでありますので、本日でなくても、後日でもよろしいのでありますが、もし御存じなら本日お願いしたいと思うのであります。それは実は新潟縣第四区から候補に立たれまして当選されました、民自党の田中彰治氏の事件であります。これは新聞の報ずるところだけで、私どもまだはつきりした事実はわからぬのでありますが、刑が確定しておつて、五箇年間執行を免れ、その期限がきれると候補に立たれたというのであります。そこで私は、これがいかなる理由でさような状態に相なつたのであるかの点について、檢察廳としての御報告をいただきたい。なおその中に、その刑が確定した当時の執行部の最高責任者がだれであつたか、及び司法省の刑事局及び行刑局長が何人であつたかということについて、御調査願つて、御報告願いたいと思うのであります。私のやはり所属する選挙区でありまして、はなはだ私は悩まされたのであります。まだ公なる御発表がないかと存じまするが、詳細にひとつ御報告いただきたいと思います。今御答弁いただけばよろしいし、なおまた今御答弁いただかなければ、次の法務委員会でけつこうであります。
○木内政府委員 この問題は参議院の法務委員会においても御質問がありまして、私どもの方でもそれを調査いたしまして、報告の準備はできておるのでありまするが、委員会が開けないために、いまだに報告していないのであります。その資料は手元にありまするから、今ここで御報告いたしたいと思います。 この事件は昭和十八年五月十八日に判決が確定しておるのであります。昭和十八年八月三十日に弁護人川島英晃氏より、福岡刑務所において執行してもらいたいということを、東京地方檢察廳あてに上申書を出しております。同年九月二日に、東京控訴院檢事局から福岡地方檢察廳へあてて、その執行の嘱託をしておるのであります。同年九月五日に田中から、自己経営の振興炭鉱整備のため、執行延期方の上申書が出ております。同年十月十五日まで、これに基いて刑の執行を猶予しております。同年十月十三日に至りまして、田中から伯父の長男が戰死したので、家事整理手続のために、さらに一週間執行を延期してくれという上申書が出ております。それで同年十月十五日から一週間執行を延期しておる次第であります。同年十月十四日に刑事局長——当時の刑事局長はちよつと私は記憶しませんが、これは先ほどの御質問にもありまするから、あとで調べて御報告いたしますが、十月十四日刑事局長から、福岡地方裁判所の檢事正あてに電報をもつて、田中から炭鉱事業経営上、執行延期方の陳情があつたが、檢察廳の意見は承知したいという電報が出ております。同年十月十九日に福岡檢事正から刑事局長あてに、炭鉱経営について田中の功績は大である、後任者あるまで執行停止も、増炭の必要上やむを得ないという返事が來ておるわけであります。同年十月二十二日に田中からの上申書として、福岡鉱山監督局長から、新鉱部隊長を命ぜられて増炭に從事中であるから、昭和十九年三月三十一日まで執行を延期してもらいたい、こういう上申書が田中から出ております。右の事情によつて執行が延期されております。昭和十八年十二月八日に福岡地方裁判所檢事正から福岡鉱山監督局長にあてて、田中の炭鉱事業上の重要性について照会状を発しております。同年十二月二十八日に、福岡鉱山監督局長から福岡地方裁判所檢事正あてに、田中は石炭増産上必要な人物だという回答が來ております。昭和十九年三月二十八日に、さらに田中からの上申書で、新鉱の分割を受け、その開発に專念しているので、向う六箇月間執行を延期してもらいたいという上申書が出ております。この上申書によりまして、昭和十九年九月三十日まで刑の執行を延期しております。昭和十九年九月三十日に田中がさらに上申書を出して、九月五日にさらに新鉱の開発を命ぜられたために、向う半年執行の延期をしてもらいたいという上申書が出ております。これによつて昭和二十年三月三十日まで刑の執行を延期しております。なおその間昭和十九年十月十五日に、弁護人の川島英晃から、田中の上申書と同趣旨の上申書が出ております。昭和二十年四月四日に、福岡地方檢察廳から田中に対して、四月十一日に出頭しろという呼出状が出ております。同年四月七日に、振興炭鉱会社からの返信で、田中は上京中で不在だという書面が來ております。その間昭和二十年八月九日まで刑の執行を延期しております。なお昭和二十年五月四日、福岡地方檢察廳から九州の鉱山局長に対して、炭鉱経営上の田中の重要性について照会状を発しております。昭和二十年五月四日に弁護人の川島氏が上申書を出して、昭和二十年八月九日以後は、執行延期の申出をしないからという誓約書が出ております。二十年六月二十五日、田中からの上申書で、空襲のため妻子五名が死亡したため、二十年九月二十日まで執行を延期してもらいたいという上申書が出ております。二十年の八月二十日に、田中からさらに、今度は東京で刑の執行をしてもらいたいという上申書が出ております。それから昭和二十年九月十五日に、福岡地方裁判所檢事局から東京地方裁判所檢事局に、田中の刑の執行を嘱託しております。昭和二十年九月二十四日、東京地方裁判所檢事局から逮捕状を出しまして、当時板橋管内に住んでおつたというので、板橋警察署に対して執行を命じております。昭和二十一年二月五日、この逮捕につき、東京地方裁判所檢事局から板橋署あてに、執行状況の報告を命じております。これはその間執行ができないので、いわゆる督促し、執行できない事情の報告を求めたわけであります。二十一年二月九日、板橋警察署から東京地方裁判所檢事局に対して、田中は九州の炭鉱の方に帰つておつて、逮捕できないという回答が來ております。同年二月十四日に、東京地方裁判所檢事局から福岡地方裁判所檢事局に、さらに田中の刑の執行方の嘱託をしています。同年二月二十二日に、福岡地方裁判所檢事局が田中に対しまして、二月二十八日に出頭しろという呼出状を出しております。二十一年の二月二十八日に田中の妻——前に死んだのは先妻でありまして、今度のは後妻ですが、田中の妻より、田中は動脈硬化症治療のため、東京都板橋区大谷口町千百二十二番地の居宅に出発して、不在であるからという返事が來ておるわけであります。そこで二十一年二月二十八日に福岡地方裁判所檢事局は田川警察署——この福岡地方裁判所檢事局管内の警察であります田川警察署に、田中の所在捜査指揮を出しておるわけであります。同年四月一日にその警察署から復命がありまして、これによると、田中は上京後帰宅しないという報告になつております。同年四月六日に福岡地方裁判所檢事局は、東京地方裁判所檢事局に対して、さらに田中の執行の嘱託をしております。同年四月十八日に、東京地方裁判所檢事局は板橋警察署に対し、さらに田中の逮捕状の執行を命じております。同年四月二十五日に、板橋警察署から東京地方裁判所檢事局あてに、田中は長野、新潟方面に向つたまま所在不明だ、こういう報告が來ております。同年五月二十四日に、東京地方裁判所檢事局から板橋警察署に対して、なお手を盡すために田中の所在捜査の指揮をしております。それから五月三十日付で、板橋警察署から復命がありました。これは六月三日に檢事局で受付けております。その復命によると、田中は新潟縣中頸城郡関山村、笹川金太郎方に療養中であるという復命であります。同年六月十四日に、東京地方裁判所檢事局から高田区裁判所檢事局に対しまして、田中の刑の執行を嘱託しております。それから七月三日高田区裁判所檢事局が、田中に対して七月九日に出頭しろという呼出しをいたしております。同年七月九日田中の妻から、田中は七月二日東京へ行くといつて出発し、以後所在不明であるという返事がありました。同年七月十六日、高田区裁判所檢事局は新井警察署——おそらくこの田中のおる場所の所轄警察だと思われるのでありますが、新井警察署に対し、さらに田中の所在捜査を指揮しております。七月二十三日に至つて、新井警察署から復命があつて、田中はその附近に立まわらず、所在不明であるという復命になつております。それから七月三十日、高田区裁判所檢事局から東京地方裁判所檢事局に対しまして、執行嘱託書を返しております。同年八月一日田中の妻から、田中は北海道におるらしく、所在捜査中であるという手紙が参つております。同年十月十二日、東京地方裁判所檢事局は新井警察署に対し、さらに所在捜査の指揮をしており、同年十月二十五日にその復命がありまして、福岡縣田川郡採銅所村長先に、田中農場を経営中であるという復命が來ております。同年十月十四日は——日が少し遡りますが、東京地方裁判所檢事局から板橋警察署に対し、さらに所在捜査指揮を出しておつて同年十一月二日に板橋警察署から、田中は福岡縣田川郡勾金村字中津原、振興炭鉱に居住しておるという復命があつたのであります。昭和二十二年一月十五日に東京地方檢察廳——から後藤寺警察署——おそらくこの管轄の警察だと思いますが、後藤寺警察署に対し所在捜査を指揮しておるわけであります。同年一月二十九日に復命があつて、田中は板橋区大谷口町に居住するという復命が出ております。同年二月十五日、東京地方檢察廳から田中に対し、二月二十八日出頭方の呼出しを出しております。昭和二十二年二月二十六日田中の妻より、田中は二月十二日北海道小樽長橋町平尾方に出発、爾來帰京せずという手紙が來ておるわけであります。さらに同年八月七日、東京地方檢察廳が田中に対し、八月十五日に出頭しろという呼出しを出しております。そうしますと、同年八月十四日に田中の妻から、田中の所在は不明であるという手紙が來ておるわけであります。同年十月六日、東京地方檢察廳から板橋警察署に対し、逮捕状の執行を命じておるわけであります。同年十月十日に板橋警察署から東京地方檢察廳に対し、田中は最近立ちまわつた形跡がなく、北海道または九州にあるもののことしという復命になつております。同年十一月六日、札幌地方檢察廳から東京地方檢察廳に対して、田中は北海道には居住せずという回答になつております。同年十一月二十三日、東京地方檢察廳は福岡地方檢察廳に対し、さらに田中の捜査嘱託をいたしております。同年十一月十日にその回答がありまして、田中は福岡縣嘉穗郡穗波村弁分の振興炭鉱内に居住す、こういう回答があつたのであります。それで同年十一月十九日、東京地方檢察廳は福岡地方檢察廳に対して、さらに田中の執行方の嘱託をしておるのであります。同年十二月十三日、福岡地方檢察廳飯塚支部では田中の逮捕状を発しております。同年十二月二十六日、飯塚警察署から回答があつて、九州にいる見込みなるも所在判明せずということになつております。明けて昭和二十三年一月六日、田中の長男から、田中は昭和二十二年十二月二十一日から二十五日まで福岡市にいたが、その後上京、七月まで東京滯在の見込であるとの連絡があり、同年一月十二日、福岡地方檢察廳飯塚支部では、東京地方檢察廳に対し執行の嘱託書を返して來ております。同年一月十六日に、東京地方檢察廳では板橋警察署に対し逮捕状の執行を命じております。同年三月八日板橋から、田中の所在は不明、妻の申立により、福岡縣田川郡勾金村字下高野に情婦と同居中であるという回答に接したわけであります。同年一月十六日、東京地方檢察廳ではさらに福岡地方檢察廳に対して、刑の執行の嘱託をしております。同年二月二日、福岡地方檢察廳から東京地方檢察廳に対し、田中は東京に居住しておらぬからといつて嘱託書を返して來ております。同年三月十二日、東京地方檢察廳から福岡地方檢察廳に対し、さらに刑の執行の嘱託をしております。同年四月七日、福岡地方檢察廳田川支部から、これに基いて逮捕状が出ております。同年四月十六日、田川警察署より回答があつて、田中は三月十五日上京以來、四月十二日の電報によれば、盲腸炎のため大阪に下車入院しておる、こういう趣旨の解答であります。同年四月二十日、福岡地方檢察廳田川支部から東京地方檢察廳に対し、管内に居住せず逮捕不能という理由で嘱託を返しております。同年五月十四日、東京地方檢察廳は板橋警察署に対し、逮捕状の執行を命じております。同日東京地方檢察廳から東京高等檢察廳に対し、執行嘱託を返しております。これは逮捕できないために返したのであります。同年五月十五日、東京高等檢察廳では刑事訴訟法五百四十六條第一号により執行停止決定、停止期間昭和二十三年五月十五日から九月十四日まで、こういう期間を定めて執行停止決定をしております。これは五月十七日をもつて時効完成ということになりましたので、中断の考えで四箇月間執行停止をしたわけでありますが、一体この執行停止が有効かどうかということの問題が残るわけであります。同年五月二十六日、東京高等檢察廳では小樽警察署に対し、さらに捜査指揮をしているわけであります。同年六月十日小樽警察署から回答があつて、自分の管内には田中は居住していないということになつております。同年五月二十六日東京高等檢察廳から福岡警察署に対し、田中の所在捜査指揮をしております。同年六月十四日回答がありまして、管内に居住せずということであります。これは日がちよつとさかのぼりますが、同年五月二十六日に東京高等檢察廳では、別にまた田川警察署に対しても、所在捜査指揮をしておるわけであります。この田川警察署では六月八日に回答をよこしまして、福岡縣田川郡勾金村字下高野、田中フサ子方より六月二日ころ博多市振興鉱業博多出張所及び飯塚市二瀬町二瀬振興鉱業所に出張中であるという回答が來ております。これも日がさかのぼりますが、同年五月二十六日、東京高等檢察廳では新井警察署に対し、同樣田中の所在捜査指揮をしておりますが、同年七月七日に新井警察署から管内に居住せずという回答が來ております。なお同年七月二十六日、東京高等檢察廳では飯塚警察署に対し、同樣所在捜査の指揮をしております。同年六月十一日に飯塚警察署から回答がありまして、昭和二十三年五月二十九日以降、福岡縣嘉穗郡穗波村辨分、振興炭鉱社宅内に居住中なりという回答がありました。同年八月四日、東京高等檢察廳では、福岡地方檢察廳飯塚支部に対し、逮捕及び刑の執行方を嘱託をいたしております。同年八月十六日、飯塚区檢察廳から嘉穗地区警察署に対し、所在捜査の指揮をいたしております。同年八月二十五日、嘉穗地区警察署からの回答がありまして、これによりますと、昭和二十三年八月二十日上京するとて出発、以來所在不明ということになつております。同年九月三日、福岡地方檢察廳飯塚支部から東京高等檢察廳に対し、執行嘱託を返しております。同年九月八日、板橋警察署から東京高等檢察廳に対し、昭和二十三年八月二十四日九州より上京、八月二十八日北海道に旅行、以來所在不明という書面が來ております。なお同日東京高等檢察廳で逮捕状を出しております。同年九月十四日、これは警察だけではとても十分でないというので、警視廳捜査二課に対し東京高等檢察廳から、さらに所在捜査を指揮したのでありますが、これに対し捜査二課からも、捜査するも所在不明であるという回答が來ております。同年九月十四日に、東京高等檢察廳では、刑事訴訟法第五百四十六條七号により、逃走中の理由で執行停止決定をしており、停止期間昭和二十三年九月十四日から、昭和二十四年一月十三日までという決定をしておるのであります。かような経過で、いわゆる逃走中の者に執行停止ができるかどうかという問題が残つておるわけでありますが、結局この執行停止は効力がないという見解で、時効完成ということになつたわけであります。私どもこの経過を一切見まして、檢察廳といたしましては、これが時効にかかつたことについて、何ら手落ちはないと考えておる次第であります。
○猪俣委員 近來における怪事件だと思うのであります。檢務長官の御意見だと、何らの手落ちはないというのでありますが、どうもこうやつて逃げてさえおれば刑の執行をまぬかれて、そうして今度は青天白日になれるということになりますると、ほとんど課刑権というものはその用をなさぬように相なるのであります。また昭和二十二年ごろは、御承知の通り炭鉱國管案が上程されて、彼は五十万円の私費を投じたと称しておりますが、反対のポスターを作成して、急先鋒になつて炭鉱國管反対の活動を都内でやつておつたのに、それを発見することができずして時効を完成さしてしまつた。もしさようなことになつても、それは何にも手落ちがないのだということになりますると、これはいかがなものでございましようか。捜査、刑の執行ができなかつたということは、それは故意ではないでしようが、過失はあるという御認定でないと、逃げまわつた方が得だということになつてしまうような結果になると思う。これは私は檢察廳の重大なる過失だと思う、あるいは無能力を暴露したものだと思うと言われても、いたし方がないと思うのであります。しかしどうも檢務長官の御意見には私は反対であります。かようなことは許さるべきことではないと私は思います。一國の檢察廳の権威のためにも、これははなはだ黒星だと考えられるのであります。しかし今それを追究しても始まらぬことでございまするが、都内で政治的に大活動をやつている者が、所在不明でもつて堂々と刑を免れるというようなことは、実に奇怪千万なことであります。ここにいろいろデマが飛んでいるのであります。そこでさつき私がお尋ねいたしました、刑の執行を最初に指揮しなければならなかつた刑事局長の名前、福岡の鉱山監督局長の名前及び福岡の檢事正の名前、そうしてなおその当時かような刑の確定した者について、炭鉱経営が大切であるからというような理由で、課刑を延期するようなことが合法的にやり得たのであるかどうかという点であります。なおその当時の刑の確定した前後における行刑局長の名前もお知らせ願いたい。これは自分の誤聞であるかどうかわかりませんが、当時の刑事局長は池田克君ではなかつたかと思う。その辺についてもお知らせ願いたいと思う。それからたびたびの檢察廳からの逮捕の要求にかかわらず、これを調べることのできなかつた板橋の警察署長の名前も明らかにしてほしいと思うのであります。以上お願いしておきます。
○花村委員長 ほかに御質疑はありませんか。——ちよつとお諮りいたしますが、委員会散会後小委員会を開き、弁護士法案を審議いたしたいと存じまするので、質疑のあられる方は次会にお願いいたしたいと思いますが、御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○花村委員長 異議なしと認めて、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時八分散会