P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
5回国会衆議院1949/03/28

法務委員会 第3号

発言数
35
登壇者
7
会派数
3
開催日
1949/03/28

会議録

花村四郎民主自由党

○花村委員長 これより委員会を開会いたします。  質問を行います前に、皆さんにおはかりしたいことがあります。それは弁護士法を改正する法律案起草のため小委員を選任しておきたいと存じますが、いかがいたしましようか。

石川金次郎日本社会党

○石川委員 ただいまの委員長の発言に賛成いたします。弁護士法を改正する法律案起草のための小委員は、その数を七名とし、委員長において指名せられることを望みます。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 石川君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

花村四郎民主自由党

○花村委員長 御異議なしと認め、委員長において御指名いたします。    鍛冶 良作君  北川 定務君    小玉 治行君  高木 松吉君    大西 正男君  猪俣 浩三君    上村  進君 以上の七名にお願いいたします。     ―――――――――――――

花村四郎民主自由党

○花村委員長 先日の委員会に引続き、横浜地檢問題について、法務総裁に対しまする質疑を継続いたしたいと存じます。猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 横浜地檢問題につきましては、先般木内政府委員から大体の説明をお聞きいたしましたが、なお二、三のその他のことにつきましてもお尋ねいたしまして、この横浜地檢問題、その他の地檢の問題を中心にいたしました、檢察廳内のかような事件を引起しまするについての原因いかん、及びこれが対策いかんということにつきまして、法務総裁の御説明を願いたいと思います。  御承知の通り福島事件あるいは本庄事件、山梨事件、なお横浜の地檢問題、いろいろ檢察廳に対しまするところの不信の事実が続出いたしておるのでありまして、なお最近にはその大元締でありまするところの福井檢事総長の件につきましても、いろいろ新聞にとりざたされているというようなことであります。なお私が最近耳にいたしましたことにつきましては、八丈島におきまするところの檢察廳の問題があります。八丈島におきましては、副檢事がおるのだそうでありますが、この副檢事と地元の警察署長とが同心一体をなしまして、あらゆる非行をやつておるというのであります。料理飲食店等に対しましては食えるだけ食う、あるいは物品を強要する、あるいは自分たちと氣脈を通じておる者は相当の非行があつても見のがすが、きげんを損じた者に対しましては、どしどしこれを檢挙しておるというようなことで、島民は戰々兢々として、昔の惡代官以上の猛威を振つているというのであります。しかもこれが一片のデマにあらずして、その島にただ一人の知事として赴任しておりまするところの芝憲という判事がただいま司法研修所に入つておるそうでありますが、非常にこぼしたということであります。同僚に対しまして、何とも生命の脅威さえ自分は感じておる。しよつちゆう恐喝をされておる。自分たちのことをかれこれ言うならば、ただで置かぬぞというふうに恐喝されている。この副檢事というのは満州に長い間おつた男であつて、はなはだ性質が粗暴である。あれを何とか内地に呼びもどしてもらえんかということを友人に話をしたそうであります。かようなことがありやいなや、この点につきまして法務廳では調査をなされたやいなや、もし調査がなされなかつたとするならば、芝憲氏は司法研修所におつて、きようかあす帰島するはずでありまするから、さつそく一つお調べ願いたいと思うのであります。まずこの点につきまして法務総裁にお伺いしたいと思います。かような事実がありやいなや。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 いろいろ不詳な事件が頻出いたしまして、まことに遺憾に存じます。ただいまの最後のお話の八丈島の事件も、実は私ただいま初めて伺いましたような次第でありまして、さつそく取調べさせまして、適当に処置いたしたいと存じます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これは司法研修所に判事がいるそうでありますから、ぜひひとつ実情を御調査願いたいと思うのであります。  なお山梨事件につきましては、参議院で調査團が出まして、その経過の発表もあつたようでありますが、地元民はこの参議院の調査に対しましても、はなはだけげんな思いをしているということを私は耳にしておるのであります。それは、すでに法務廳でも御承知でありましようが、上村文一というやみ屋、新興成金が、檢察廳で管轄しておりますところの官有地と自分の所有地とを交換したいというのであります。官有地は七、八千円の時價のもの、ところが上村の持つている地所は四五百円のもの、それをそつくりそのまま交換してしまつた。上村はそのうち百五十坪を他に賣りまして、そしてたいへんなもうけをしているということに対しまして、さつぱりそのままになつている。しかもこの上村文一が池田檢事正と懇意になりましたのは、自分のやみ取引が檢挙されて、その調べ中から懇意になつた。これも非常に大がかりなやみであつたにかかわらず、十万円の罰金で済まされてしまつている。これに対しましても地元の人間は、どうもふしぎであるというふうな疑惑がまだ消え去らぬでいるのでありますが、この山梨の池田檢事正に関する事件につきましての法務廳の御意見を承りたいと思います。私は民の声をただお傳えするのでありますが、これに対しまして、さようなことが絶対にないのであるかどうか、いま一應お知らせ願いたい。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 山梨の池田檢事正の話は承知いたしております。これは参議院からもお調べにおいでになつたそうでありますが、うわさされておりますような不正な事実はなかつたようでありまして、私どももないものと考えております。ただし池田檢事正が、これはヤソ旧教の熱心な信者でありまして、そのために決して自分の、私の利害ではなく、ごく宗教的な、あるいは社会的な公共のためというようなことからいたしまして、事業を計画されまして、それに今の上村というのが多方関係をしたというようなことから、いろいろな疑惑を生じたもののようであります。私どもの今までの調査のところでは、これは風説であつて、実はそれほど根拠のある惡事ではなかつた、こういうことに聞いておるのでありますが、しかしながらかような風説を生じましたのには原因がないのではないのでありまして、檢事正としては、その行動が適当でなかつたと考えております。適当に処置をいたしたいと、実は考えてあります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 一、二の例を申し上げたのでありますが、全体といたしまして、國民に対しまして、檢察官が非常に弛緩しておるという印象を深く與え、しかも地方のボスと結託して、そしてそこに不正があるのではないかということが、ほとんど國民の常識になつているという点に対しましては、ゆゆしき大問題であると私どもは考えておるのであります。いやしくも一國の檢察あるいは裁判の職にある者がその公正を疑われるということは、一國の秩序の根幹をゆるがすものでありまして、その國の生命にもかかわる大問題であると思うのであります。この点につきまして、ささやかなることといえども、これを看過し得ない。そこで私どもは声を大にして実は叫んだのでありますが、こういうことは新聞に明らかになり、なお國会その他において明らかになりましたことだけでなしに、ほとんど全國的にこの檢察官の弛緩ということがびまんしているのではないかということは、ほとんど識者が異口同音に申しておることであります。今にして抜本的な対策を立てなければ、これは國家の生命のもとを枯らすことになるというふうに、私どもは憂えるものであります。この原因につきまして、横浜地檢の問題が一つの実驗台に上つていると思うのでありますが、横浜の地檢問題をいろいろ私ども調べて考えてみますると、ここに大きな示唆があるのではないかというふうに考えられるのであります。その根本原因といたしましては、檢察廳側にもいろいろの立場があつて、この新しい刑事訴訟法の実施とともに、いわゆる檢察の事務が実にやりにくくなつて、檢事がくさつているという事実を私も耳にしておりまするし、その捜査の困難に対いましては、実は非常な同情を持つているものであります。かようなことも一つの原因であつて、檢事の士氣を沮衷しているというふうにも考えられるのであります。なおまた給與が非常に少い。檢事はみな生活難に迫われているということも事実であろうと思われるのでありまして、これは檢事のみならず、一般のいわゆる役人の共通な現象でございますが、こういうことが結局においていろいろなボスとも結託するような動機になるのであろうかと考えます。檢事の生活の安定ということ、これは私は非常に考えなければならぬことだと思うのであります。横浜の地檢などにおきましても、結局檢事あるいは檢察事務官が生活の困難から、ここにいろいろな惡心を起してやつたと思われる節が多々あるのであります。聞くところによれば、いろいろこういう事情から退職者が続出しておるというふうなことも聞いておるのでありますが、そこでこういう原因から、ここにまた監督官廳に対して、私どもがその決心をお聞しなければならない大きなことが厚生するのであります。横浜の地檢の問題におきましても、両三年以來、しばしば三、四箇月ごとにこの檢察事務官その他につきましてのいまわしい事件が起つている。しかしその大部分がふたをせられてしまつて、うやむやになつている。のみならずこの問題を起されそうな、あるいは起したと見られるところの檢事諸公は、みな栄轉をさせられておるというのであります。なぜかようなことになるかというと、今言つたように檢事が非常に少い。どうもみだりにこれをやめさせるわけにも行かず、さればといつて檢察廳法によりまして、檢事の地位が一定にある程度保護されておる。そこで本人の意思を十分聞かないでこれを他に移すこともなかなか困難である。しかしその場所に置いたのではどうもぐあいが惡いということで、他へ移すためにみな栄轉さしておるというのであります。それは市島檢事正もある程度認めた。やむを得ないというのであります。結局信賞必罰が少しも行われておらないということが、この檢察陣の弛緩の最大原因であります。ここに監督官廳の責任もあると私は思うのであります。正しい者が賞され、惡いことをした者が罰せられる。この檢察の根本信念を、檢察官本人において行わないということに相なりましたならば、弛緩することはあたりまえであります。これを具体的にお考えくださるとわかると思うのであります。横浜におきましても、後藤つぎ事件についてとかくのうわさを立てられた檢事は、みな栄轉をしておるのであります。かようなことでは、出世をするためには惡いことをした方がいいということに相なる。かような人事行政をおやりになつておつたのでは、私どもはとてもこの檢事を緊張せしめて、國民の輿望にこたえることはできないのじやないかというふうに考えられますし、また現職の檢事のうちにおきましても、この信賞必罰の行わざることにつきまして、一つの不満を持つておる。自分たちばかり正直をやつてもつまらぬというような意見を漏らされておる方もあるのであります。こういうことにつきまして、その監督責任者でありますところの法務総裁はいかようにお考えでありまするか、横浜地檢の問題につきまして、からんで御答弁を願いたいと思うのであります。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 ただいまの猪俣さんの御意見はごもつともでありまして、私もまつたく同感であります。実はいろいろの問題を起しますのは必ず理由があるのでありまして、社会的な理由もあるし、あるいは経済上の事由もありますし、その他いろいろ事情が総合いたしまして彼らの事件を生じたことは間違いございません。しかしながらその事由に免じまして事柄を放置いたしますれば、さらにますますこれが惡弊を重ねるわけでありますから、この際徹底的にこれを処置いたしたい。多少の不便はあつてもやむを得ない。こう実は考えております。ことに実はきよう初めて委員のお集まりを願つたのでありますが、御承知の檢察官審査委員会が組織されてまして、今年は全檢事につきまして、その適格の審査をしなければならぬ時期に達しておるのであります。從いまして、この機会に全國の檢察官につきまして十分の調査をし、十分な資格上の審査をしていただきまして、ここに檢察官の空氣を根本的に一新いたしたいと考えておるのであります。さらにその審査委員会の結果はもちろんでありまするが、それのみならず、平素調査いたしております結果に基きまして、近く檢察界に相当の異動をいたしまして、人心の一新をはかりたいと考えておるのであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 なお横浜地檢の問題につきまして当法務委員会にも投書があるのであります。事こまかに書いてあります。それを見ますと、どうも福井檢事総長の名前も出ておるのであります。しかしこれは一片の投書でありますから、私どもも信用しておるわけじやありませんけれども、ただ事が公になりましたいわゆる福井檢事総長のシルク会社の問題、これは檢察廳の最高の責任者といたしまして、かようなことが公表せられるということも、私は司法の威信のために実に遺憾だと思うのであります。いわゆるこれが勇將のもとに弱卒なしというようなことで、さようなボスとの関係を檢事がみなやる、しかも檢事総長もやつておるじやないかというようなことに相なりますと、何とも刷新のしようがないことに相なるのであります。そこでその意味におきまして、新聞に報道せられました福井檢事総長のことにつきましては、どうか法務総裁から、責任のある確実な御説明をいただきたいと思うのであります。私はこの投書の内容については、ここで発表することもいかがと存じますので申し上げませんけれども、横浜地檢までにも関係があるというような投書さえあるのであります。そこでこの福井檢事総長は檢事総長の地位があるから、何人が調べるのかわかりませんが、法務総裁は最高の責任者である以上は、福井檢事総長の事件についても詳密徹底したるお取調べがあつたものだと考えられるのでありまして、はたして新聞に傳えられるがごときことがあつたのかどうか、及びその事実があつたとするならば、それに対する道義上または法律上の責任者はどうか。法務総裁の御答弁をいただきたい。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 福井総長の問題が新聞に出まして、心配をいたしておつたのでありますが、総長みずから私の所へ参られまして、その説明がありました。福井総長は前の警視総監の鈴木氏と御懇意だそうでありまして、鈴木氏が総長の所へ参られまして、埼玉縣の工場を蚕糸会社で買いたい。ついては福井さんのよく知つておられる折茂という人に自分を紹介してほしいということであつた。総長は幸いその折茂という人を知つておつて、総長をときどき訪問するので、その際にその鈴木氏の話をしてやつた、鈴木氏の意向を取次いだ、これだけであつたので、あと何ら取引の世話もしなければ、仲介もしていなかつた。しかるにその後、それは何でも昨年の二月か三月ごろのことだそうです。あるいはもつと前かも知れません。その後まもなくでございましようが、その鈴木氏という前警視総監が、福井さん、一緒に飯を食つてくれ、こういうことであつた。そこで福井さんが、料亭へ行つて飯を食うことは困るということを申したら、いや、料亭なんかではない、個人の家でただ飯を食つてくれればいいということであつたので、福井さんはその席へ出られたそうです。そういたしましたら、そこに中沢というシルク会社の社長も來ておつて、初めてそのときに、その社長に会つた。しかしそのときはお礼のために招かれたというようなことでもなかつた。それは昨年の三月ごろのことであつたということであります。ところが最近になりまして、その中沢というシルク会社の社長に問題が起りまして、だんだん進展をして参つた。そして福井総長は初めてそのときのことを思い出して、まあ驚いた。しかしながら何ら犯罪にもならないのであるし、またその取引を実際に仲介したというわけでもなく、ただ紹介したというだけであつて自分にはまつたくやましいことはないと思う、こういうようなお話でありました。私は檢察廳最高の責任者である福井君が、みずから私に報告されることは眞実であると考えます。從つてその問題は私はそのままさしおいていいものであると、ただいまのところ考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 福井檢事総長は、個人としてはまことにりつぱな方であり、非常に親しみの持てる方なんであります。その人格に対しても、われわれはさほど疑惑を持つておるわけではないのです。ことに檢事総長という立場におるために、つまらないことが問題になつておるということはお氣の毒に存ずるのであります。しかしながらなぜかようなことを大声叱呼しなければならぬかというと、最近のたびたびの檢察廳の醜聞に対しまして、ほとんど日本の檢察官の威信というものが一般の國民から疑われておるからであります。まさに檢察官の危機だと思うのでありますが、この時期に際会いたしまして、檢事総長の地位は実に重大であり、あの檢事総長がにらんであるから惡いことができないというように、威嚴を持ち、また部下を戒めなければならぬと思うのであります。しかもこの檢察官の弛緩は、おもに土地の有力者と飲食を共にするというようなことがほとんど大部分で、横浜地檢の問題もそうであります。ことに女を中にして檢事連が飲食を盛んにするというようなことが、そもそも一般國民の指彈を受ける原因になつたのでありまして、この点から考えまして、檢事総長は最もその身を嚴正に保ち、いやしくも他から非難されるような行動を避けなければならぬと思うのであります。その意味におきましては、私ははなはだ遺憾じやないかと思う。第四國会におきまして、福井檢事総長の丸ビル四階における福井事務所の看板の問題――これはある人に言わせると、何だつまらない、くだらないことを質問したものだと言う人もあるのでありまするけれども、今檢察官が世の疑惑の中心になつておる際には、身を持することいかにも嚴にしてもらいたい、私は檢察官のために、檢事総長の自重を促したいために質問をいたしました。いろいろ巷間説をなす者がありまして、これは檢事総長から大いに自粛してもらわねばならぬというので質問をしたのであります。その福井事務所なる看板は、さつそく抹消させるという法務総裁の御答弁でありまして、抹消されたと思うのでありますが、本年の一月現在における東京弁護士会の名簿には、やはりその福井事務所におりまする池田克、その他の弁護士諸君のアドレスといたしまして、丸ビル四階第何号の福井盛太方と名簿に列記されておるのであります。あの弁護士名簿は本人が申告をいたしまして、作成しておる。こういうことも私どもは不注意であつたんじやないかと思う。かようなことでつまらぬことを疑われることは、私は檢察廳のために遺憾でありまするので、御注意願いたいと思うて先般質問をいたしたのであります。今回も今の御答弁のことだとしますると、大したことじやないようでありまするけれども、先ほど申しましたように、そういうやみあるいはインチキをやる会社の重役などと酒席を共にすることから、檢事が皆腐敗して來るというのが爭うべからざる現在の状況分析上から出て來る結論でありまするので、その一つを福井さんがおやりになつてということは、返す返すも遺憾だと思うのであります。まことに惜しむべき人物でありまするけれども、福井さんがいわゆるみずから範を示す意味におきまして、これに対してつまらぬことである、何らぼくは道義上も刑事上も責任を負う筋合いじやないというように簡單にお考えなさらずに、いわゆる部下のために、常人から見ればつまらぬことでありましても、檢察廳の現在の危機を救うために、ここに大いなる御決心をなさつて、かようなことが今度は起らないように身をもつて範を示されるということが、檢事総長の地位にある者の私は態度じやないかと考えるのでありまするが、法務総裁はそれにつきましてはどういう御意見でありますか。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 猪俣さんの檢察陣粛正に関しての、まことに御同情のあるお考えを承りまして感謝にたえないのであります。福井さんの事件はただいまお述べになりました通り、事件としてはまことにささたる事件であります。今のお話のごとき考え方からいたしまして、進退をされることもまた一つの考えであります。しかしながら事は檢察最高の地位にある方のことでありまして、もしささたる風評のごときものが世上のうわさにのぼりまして、そのたびごとにこの地位に動搖を與えるというようなことがありましても、また檢察界全般の態度を確固たらしめるゆえんのことでないかもしれません。私はただいまのところ、福井総長のお考えのごとく今後の檢察界の粛正というものに一層渾身の努力をされまして、この問題では、そのままその地位にとどまつておられるということがよろしかろうと考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 法務総裁はデマによつて最高の官吏を進退せざるということは、どうも惡例を残す憂いがあるという。まことにそれはその通りと思うのでありますが、今回のことは、今法務総裁のお述べになつたように、デマではなく事実である。その事実が進退を決するに足るほどの事実であるかどうかということが議論の中心点だと思うのでありまして、私は先ほどから申し上げましたように、常人から見るならささたることであつても、今の檢察官の状態、いわゆる有力者と一ぱい酒を飲むというようなことからいろいろの腐敗が來ておるという、この檢察陣の危機に際しまして、檢事総長としては、これは大いに考えなければならぬところの重大問題である。自分はこんなささたることでも責任をとるのだということによつて、一般の部下の檢察陣を緊張せしめるということが、いわゆる身を殺して仁をなす道じやないかというふうに私は考えるものでありまして、これは法務総裁と意見が違うのでありまするから、その点はこれで打切りたいと思うのでありますが、そこでいわゆるこの檢察陣をして緊張せしめ、日本の檢察官を正しい正義の殿堂として、國民の信頼を高める方法いかんということにつきまして、法務総裁の御意見をなお二、三承りたいと思うのであります。  第一にはいわゆる世論といたしましては、一体檢察官が惡いことをした場合に、同じ檢察官がこれを取調べておるということでは、調べなんかできやしないじやないかということを、一般の市井の人は言うのであります。また事実に徴しましても、横浜の地檢の問題のごときも、先般私は木内政府委員まで申し上げましたが、要は檢察事務官と檢事とがお互いに欠点を握りあつて、お互いに攻守同盟を結んでいるのではないかと思われる節があるのでありまして、檢察事務官は自分の直属の檢事のあらを二つ三つにぎるというと、惡いことを始めるということを聞かされておるのであります。そこでそれを問題にしようとすると、自分たちだけをするならば、お前たちの非行もあばいてやるというような脅迫の態度に出る。今回もいわゆる木舟事件で徹底的に取調べをやろうとすると、いわゆる檢察事務官の連中が一大デモをやつて、檢察事務官だけをやるというのなら片手落ちであるから、さような場合には檢事に対しても暴露戰術に出るぞといつて脅迫をしたというのであります。そこで檢事正が事重大なりと見て、橋本という徹底的にやろうという檢事を香鳥檢事に切りかえたということが、一般に巷間言われている。これはさような点が多々あるのではないか。それは今まで三、四箇月ごとに不祥事が起つているにかかわらず、ほとんどこれが起訴されているものが少い。なお市島檢事正は私にこういうことを言われたのであります。惡いものはどんどんやるけれども、しかし檢察事務官だけだろうか。ほかの役人はどうだろうか。警察なんかに比べたらまだいい方だろうと思う。警察官がやつても見のがされるような点は、どうもこちらもあまりやかましくもできぬ。多少そのくらいのことは見のがさなければならぬというようなことを私どもにおつしやつている。私はこれははなはだけげんにたえないのであります。私どもは檢察事務官といえども、いわゆる檢察廳の名において職を奉じているものは、最後のわれわれの正義のよりどころとして、どこまでも正義の立場に立つてもらわなくちやならぬために、ほかの一般人がやつたこと以上に潔癖性を持つてもらわなければならぬということが私どもの常識でありますが、市島檢事正が、どうもほかの役人がやるくらいのことは、やつてもそう一々取上げられぬというようなことを私どもに答弁されたことは、私どもの司法部に対する信念とはなはだ違うことだと私は感じて來たのであります。こういうことから推察いたしますと、檢察官に対する起訴を檢察官にまかせるということは、はたして檢察陣を浄化し得る道なりやいなや。事実横浜檢察廳においても、檢察事務官の取調べをやるということが傳わりますと、三日間檢察事務官はほとんど職務を放擲したということであります。結局予想通り四、五名にとどまるというようなことじやないか。聞くところによれば、木舟手記には檢事及び檢察事務官の名前が一覧表として十数名列記されているということでありますが、どうもそれは泰山鳴動してねずみ一匹というような結果に陷るような疑惑を一般世論は持つているようであります。そこで私どもは檢察官に対する起訴権というものを、憲法の許す範囲におきまして調和できるものならば、これを檢察廳以外の機関にゆだねるということにするならば、世論におきましてもいろいろのデマを封ずる道にもなるし、公正な取調べができるじやないかと思われるのでありまして、かようなことに今の法務総裁はお考えになつていないかどうか。檢察官の非行を檢察官同士、同僚にまかせるということは、どうも徹底的に捜査ができない、いわゆる信賞必罰ができないところの根本原品であつて、いつも臭いものにはふたをしたような形で事の治まりをつけてしまう。そこで相当大胆に惡いことをする。横浜の木舟のやり方などは実に大胆きわまるものでありまして、かようなことが習い性となつて檢察事務官にしみ込んで來ましたならば、これはゆゆしき問題でありますから、こういう場合には檢察廳以外の者に起訴権を持たせることが、ほんとうの檢察廳の健全なる発達を促す上において私は必要じやないかと思いまするが、こういうことに対してお考えになつたことがあるかどうか、御意見を承りたいと思います。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 ただいまの御意見もごもつともな点が多いのでありますが、ただ檢察の独立もまた大いに考えなければなりませんので、これがために檢察全体の独立をそこねるがごときことがあつてはならぬと考えておるのであります。そこの調和が非常にむずかしいと考えるのであります。しかしながら今日では、たとえば不当な不起訴をいたした、起訴すべきものを不起訴にしたというような場合には、御承知の檢察審査会が出てまいりまして、その事案を審査することもできるのでありまして、これは檢察に対しまして相当大きな監督の力を持つものと言つてよかろうと思うのであります。それから先ほども申し上げました檢察官の適格審査委員会、これは一層強力なものでありまして、内閣総理大臣の監督に属し、りつぱな方々が、衆参両院その他弁護士会及び官廳方面からも有力なる方々が出られまして組織する委員会でありまして、この委員会は政府の方から提出いたしまする議案のみならず、委員各自もまたこれに対して議案を提出し得るのでありまして、檢察官の非行等がありました場合には、かなり有力なる監督の働きをするものであろうと考えるのであります。まだ実は今日初めて発足をいたしたばかりでありまして、今まで実際の働きがなかつたのでありますが、これからは大いに刮目して見るべきものがあろうと思うのであります。もしそのような各種のチエツクの方法によりまして、なおかつ十分にその目的を達することができないということになりますれば、猪俣さんのお考えのごとき、思い切つた方法もまた考慮しなければなるまいかと考えるのであります。私はただいまのところ、まだ現状を改良いたしました、ただいま申し述べましたごとき程度の機構によつて檢察官の適格を保持し、その行政の適正を保つという程度に止めるのが賢明ではないかと考えておるのであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 御意見はわかりました。第二といたしまして、檢察陣の粛正のためには、いわゆる法曹一元の徹底ということが必要じやないかと思いまして、弁護士からどんどん檢察官を登用する、そしていわゆる檢察官僚という氣分を一掃する。どうも今でも平沼派だの、塩野派だのというのがあるというので、私は驚くのであります。そんなことはもう終戰とともにふつ飛んだかと思うと、そうではない。古くから檢事をやつておられるところの、いわゆる官僚となつて檢事には一定の型があつて、親分子分でつながつておつてなかなかもつてこの粛正が容易でない。そこである檢事の非行があつても、その親分がみなこれをささえて庇護してしまうということも聞くのでありまして、これを打破するには、要するに弁護士からどんどん檢事を登用するということが活発に行われなければならない。ことに今の法務総裁は、今までいわゆる檢察官僚でおいでにならぬから、そういうことにつきましては、私どもは最も革新的な御意見があるのじやないかと思つておつたのでありますが、この二十五日でありますか、日本弁護士会連合会におきまして法務廳彈劾演説会というのをやつた。どういう意味であるか調査いたしましたところが、どうもこの法曹一元を徹底させることには今の法務総裁はあまり熱心じやない。弁護士上がりはだめだというようなことを放言して、弁護士を判檢事に登用することに対してあまり熱意を持つておらぬ。それがためにいわゆる檢事の人事問題が法務廳の特定の人物に握られておつて、なかなか空氣の印新ができない。ゆえにどうしてもこの際法務総裁のそういう考へを捨てて、いわゆる檢察陣革新の挙に出てもらわなければならぬ。そのためにわれわれはこういう演説会をやつたのだ。なおそれの最高裁判所の判事は、五・五・四の比率、これが確固たる不文律として申合せになつておるにかかわらず、今度突如として穗積重遠氏が最高裁判所判事に任命された。穗積氏自身の適格であることを云々するのじやないが、この比率をどうして破つたか。しかもこれについては最高裁判所側に何らの相談もせず、天くだり的にやつて來たということで、最高裁判所の判事も非常に不満である。こういうふうに、どうも法務廳はその人事についても、弁護士側あるいは裁判所側の意向をくまずに独断專行する傾きがある。こういうことをやるならば、いわゆる司法フアシヨを激成する根本原因になる。かようなことについて弁護士会としては警告を発しなければならないというような議論でありましたが、この最高裁判所の判事の任命につきまして、最高裁判所側の意見を徴されたことがないという裁判所側の意見が正しいのであるかどうか。なおまた法務総裁は、弁護士上がりはだめだというようなことをおつしやつたことがあるのであるかどうか。なお人事の交流として、在野と在朝とを交流せしめるという根本原則に対して、法務総裁の御意見を承りたいのであります。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 法曹一元のお話をしばしば承るのでありまして、從來の古いトラデイシヨンからいたしまして、まことにごもつともな御主張であると考えるのであります。私はその一元化をはばむ意思は毛頭ございません。また弁護士から檢察官を起用することにつきまして、少しもやぶさかではないのであります。現に福井総長、佐藤東京檢事長のごときは、現に嚴としてその地位におられます。その他にも檢事正には相当数の弁護士出の方が今でもおられるのであります。私が弁護士出の檢察官はだめだなどと申したことは一ぺんもございません。私は法務廳における何人よりも、弁護士に対して尊敬を持つておる者であります。ただ遺憾なことには、何かの地位に弁護士出身の方をほしいと思いましても、私どもがほしいと思う方はなかなか來てくださらないのであります。そうして実はあまりほしくない方は來てくださるのでありまして、そこのところがまことに調和がむずかしいのであります。それは官吏になりますと、弁護士の方のごとく自由でございませんし、いろいろな紀律に縛られますし、それから給與がまことに惡いのであります。檢察官の給與もこのごろはよほどよくなつたのでありますけれども――もつとも他の行政官に比べますれば、決して遜色はなく、かえつてよろしいのでありますが、弁護士の方々のごとく、自由なる收入を得ておらぬのでありますから、たいへんな懸隔を生じましたので、そのためにただいまのような交流がいささか――いささかではない、はなはだ困難になつておるのであります。もつとも弁護士から檢事長であるとか、あるいは檢事正であるかという高い地位ならば、あるいはよほどの数の弁護士が得られるかもしれませんが、私どものほんとうの檢察陣の刷新からいたしますれば、高い地位もさることながら、実際の現場において働く、うんと腕を振う檢察官に弁護士出の方がほしいのでありますが、なかなかそれは言うべくして行われがたいのでありまして、猪俣さんのお考えのようなことをなるべく実際に生かしていきたいというので、ただいまも苦慮いたしておるのであります。ただ弁護士をこの地位にとるか、あそこにとるかということについては、ただいまいかなる場合でもイエスという返事ができませんものですから、実はお茶を濁しておりますけれども、決して考えておらぬわけではないのであります。考えないとお考えになりますのは、少し私は杞憂に過ぎておりはせぬかと実は思つておるのであります。それから長く檢察陣におります者からいたしますと、自分たちがせつかく昇進をして行く道々に、突如として、なるほど法曹ではありますが、キヤリアの違つている人が入つてきて、自分たちのポストをふさぐというような感じもないではないのでありまして、これがまた若い檢察官たちの空氣を沈滯せしめる憂えがありますので、この点もまた十分考えてやらなければならぬと思うのであります。このごろは判事の方は、人材を得ることに困難ではありますが、よほど程度が低い。しかるに檢察官の方におきましては、若い学校を出立ての優秀なる人物を迎えるということははなはだ困難なのでありまして、それらの事情もまたよく考えなければならぬと考えておるのであります。しかしながらいずれにいたしましても、りつぱな檢察陣をつくり、そうして嚴正な、また清潔な檢察陣をつくりまして、國家社会の秩序の維持を十分にやりたい。これはもう私どもの平素の念願でありまして、申すまでもないことでありますが、そのためにはりつぱな人材を、弁護士たると、あるいはたまには判事からでも補充いたしまして、りつぱな陣容をつくりたいと私は考えておるのであります。先ほどもお話のごとく、私は実は從來こういう方面に関係のない人間でありますので、私には派閥がございません。平沼派も、塩野派も、またその他の派もないのでありますから、私は思い切つて自分の意見をここに実現せしめたいと考えておるのであります。しかしそれにつきましても、思い切つてやりますには、思い切つてやるだけの準備が私に必要でありますので、私はその点におきまして、実は愼重に考え、調査をしているわけ合いでございまして、それがてきぱき参りませんために、いろいろ御批判をこうむつておるものと、実ははなはだ忸怩たる次第でございます。  それから最高裁判所の人事のことでありますが、穗積先生を迎えましたことにつきましては、決して最高裁判所に御相談をしなかつたのではございません。総理大臣の代人が最高裁判所の当局者に御相談を申しまして、御内意を伺つたのであります。むろんこれは御内意を伺うのでありますから、書面をもつてするとか、あるいは決議の形をするとかいうようなことはいたさなかつたのであります。從つてその間に多少の行き違いがあつたのではないかと考えておりますけれども、私は完全に御了解を得られておつたものと考えております。  それから例の五・五・四の比率でありますが、これも私は取調べたのでありますが、最高裁判所の判事を選任いたしますときに、選考委員会をつくりまして、その選考委員会の構成にあたりまして、五・五・四の比率をとつたそうであります。しかしこれは選考委員会の構成の比率でありまして、選考される裁判官の数の比率ではなかつたと承知しているのであります。ことにあの最高裁判所と申します天下の人材を集めなければならぬ地位におきまして、窮屈なる比率を設けますことは、かえつてりつぱな人材を得るゆえんではないと思うのであります。これはむろん弁護士からも、判事からも、民間の学者からも任命するのでありますから、大体におきまして、振合いはございましようけれども、そこで働きのとれないような、嚴格な標準を置くことは策の得たものでなし、また実際この裁判所のできましたときの政府その他のお考えも、そうではなかつたことと私は考えているのであります。しかし弁護士諸君の心配されることももつともでありますので、今後十分にその点は注意いたしたいと考えております。この間弁護士会の方に申し上げたのでありますが、もし欠員が幾人もできて、そして適当な人が他にない場合には、全部弁護士をもつてこれを選任するかもしれない。私は從來の比率にそんなに拘泥しないつもりであるということは、実は申し上げた次第であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これは法務総裁に御参考までに申し上げておきますが、今法務総裁も、判事を檢事に轉用するということを考えているようなお話であります。そこで私申し上げるのでありますが、弁護士の長老階級――もう相当名をなし、産をなすような弁護士は、相当の判事に迎えるならば、喜んでいくという人がたくさんあります。しかし第一線の檢事は、年をとつてはだめだというのであります。御承知のように、確かに弁護士から檢事に行くということにいろいろの隘路があると思うのですが、私は相当の弁護士を判事に迎え、若い判事を檢事に轉用するという案が一等いいじやないか。どうも若い、頭の鋭い判事は、審理にはいいかはしれませんけれども、一般大衆から見ると、どうもあの判事が、まだ若い衆みたいな判事がやるのかというような声を、私どもはよく漏らされるのを聞いているのでありまして、やはり相当年配の判事が裁判官としてはふさわしい。それには練達堪能の弁護士が多多あるのでありますから、その人たちは、薄給でも判事ならば甘んじてやるという人が、私たち知つているだけでも、りつぱな人が数氏あるのであります。そこでそういう交流方法を、法務廳で他とも御相談願つて、司法部内の沈滯を法務総裁からぜひ断行していただきたいというふうに私考えるのであります。  それから最後に、どうも檢察事務官の非行は全國的のものでありまして――私まだ詳密なる調査は済んでおりませんから公表できませんけれども、これは至るところの檢察廳においての問題じやないか。それはせんじ詰めるところ、やはり生活難から來ていることが多々あると思うのであります。そこでこの檢察事務官の優遇方法は、新刑事訴訟が実施されている今日におきましては、檢察事務官の職務は重大でありますし、これをまた重要視しなければならぬと思いますが、これに対して、ここに相当の優遇方法を講ずるということが、私は先決問題ではないかと思うのでありまして、これに対して法務廳には何かお考えがありますか、承りたいと存ずるのであります。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 檢察事務官の待遇につきまして、税務署の職員であるとか、あるいは警察官に比較しまして十分な優遇をしてほしいという意見がしばしば出ておるのであります。まことにもつともの意見と考えておりまして、何とかその方法を考えなければならないと考えておりまするが、今財政上その他の問題が山積しておりまして、われわれのそういう希望を端的に認めてもらう状況になつておりませんのは、はなはだ遺憾であります。今後も十分考えて参りたいと考えております。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 木村檢察務長官より発言の申し出がありますから、これを許します。

木内曽益檢務長官

○木内政府委員 前回の委員会で上村委員から御質問のありました、三月二十五日付の朝日新聞の神奈川版に出ておつた横浜地檢事件の件についてお答えいたしたいと思います。  この登石檢事が邸宅をもらつたということが大きな表題で出ておる点の御質問でありましたが、登石檢事に聞いてみましても、まつたくこれは虚構のことであつて、さようなことは絶対にないということでありました。現存は東京に住まつておりますが、これは親の家にいるわけであります。ただ問題がこういうふうになつたのは、おそらく横浜におつた時代に、桑島土建という何か会社があるそうでありますが、その家を借りておつたので、あるいはとやかく言うのではないか。しかしこれはちやんと家賃も拂つておつたりして決してここでとやかく言われる筋合いのものではないという言明であります。なおこの記事の中には、先ほど猪俣委員からも御質問のありました後藤という婦人に関連して、檢事との関係がいろいろ出ておるのでありまするが、これはむろんさらに嚴重に取調べをする考えでおりまして、この関係は本日東京高等檢察廳に移しまして、高等檢察廳で直接取調べをするということにきまつたという報告を受けましたから、ちよつと申し上げておきます。

上村進日本共産党

○上村委員 檢察陣の粛正のことについて、質問というより希望という方がいいかもしれませんが、ちよつと述べておきたいと思います。詳しいことは猪俣委員が十分述べられたのでありますが、やはり惡いことをするのは、要するに大なり小なり生活難ということが、これは民間におきましても、また官界におきましても、原因するのであります。そこで一体檢察事務官なり、特に現業的な檢察事務官、こういう人たちが最も大事な檢察事務を担当し、そうして大衆に接触しておるわけであります。その大事な、いわゆる人民の権利の問題を取扱う現業的な檢察官が――下級の檢察官が一体どれだけの俸給をもらつておるか。私どもは初めて政治に直接関與するのでわかりません。はたしてその現業檢察官の俸給が、惡いことをしないで、つまりいろいろの誘惑の中に立つて、敢然として実務を遂行し得るだけの俸給を平均もらつておるかどうか。このことをまずわれわれが研究しなければ、法務委員としていろいろの対策、建議はできないと思います。それでお手数でありますが、法務廳におきましては、われわれ委員にこの中以下といいますか、檢事の中以下の、主として大衆に接して檢察事務を日夜担当されている檢察事務官の俸給の詳細と、そして他の官廳の官吏に対しての比較、そういうものを詳細にお調べ願つてお知らせ願いたいと思うのであります。  さらにもう一つ、これは猪俣委員から詳細申されたのでありますが、裁判官の非行に対しては彈効法ができておりまして、これは三権分立の憲法の立場から当然であります。しかし日本の檢察機関は司法機関といつて、裁判官も檢事も一緒に考えられているような傾きがあります。そしてこの三権分立の憲法の規定からいつて、裁判官だけはそういうふうに國会において裁判官の非行を彈劾するが、檢事はこれを切離して、裁判官でないからというので――これは純理論から言えば正当かも知れませんが、これを切離して、單なる法務総裁という長官の監督だけにまかせたということがはたして適当かどうか。むろん上官、下官の関係で法務総裁は責任をもつて監督し得ると言うでありましようし、また先ほど承れば、検察官適格審査委員会というものがあつていろいろのことを審査し、警告し、監督するということでありますが、あの審査委員会というものは私はまだよく正体がわかりませんが、それはやはり裁判官を彈劾するというような強いものではないと思います。そこで法務廳におかれて、そういう濁つた空氣が今釀成されつつあるところの檢察陣の粛正をほんとうにやろうとすれば、やはり上官としての監督だけではいけないと思います。どうしても裁判官彈劾法に類似した法令をもつて、國会において相当の監督権を行使するという建前の方がむしろいいじやないかと私は考えます。それでこの立法的の処置として、裁判官彈劾法と類似したような立法をやつて、そして裁判官を彈劾裁判において監督するごとく、彈劾訴追の中に檢察官も入れるということについて、法務総裁はどう考えておられますか、お尋ねしたいと思います。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 檢察官は裁判官と異なりまして、行政を担当するのであります。裁判官には憲法上完全に独立の地位を與えておりますがゆえに、この裁判官はふだんは何らこれを監督するものがないのです。そこで強力な訴追委員会を設けまして、これを監督するという建前になつておると思います。檢察官の方は行政官でありまして、常に政府の監督下にあります。從つて裁判官に対する監督の制度ほど強力な制度は必要でないという建前からいたしまして、今日の檢察官適格審査委員会が生れたものと思うのであります。しかしながらこの檢察官適格審査委員会は、衆議院、参議院、学識経驗ある人並びに政府の要職にある人、これが一定の数をもつて構成しておりますので、よほど政府自身よりも独立性の強い機関と考えるのであります。そうしてこの委員会は單に政府の提案のみならず、自分自身の考えによりまして行動し得るのであります。私は現在の檢察官と裁判官の性質上の差異の程度にかんがみまして、この適格審査委員会をもつて足れりとしなければならぬのではあるまいかと考えております。これをさらに独立の大規模なものにするという考えは、ただいま持つておりません。もちろんこの委員会が実際に運用されましてどういう成績をあげまするか、その成績いかんによりましては、またこの國会においていろいろ御相談を願う時期がないとも限りませんが、ただいまのところ、まだその必要に至つておらぬと考えます。

上村進日本共産党

○上村委員 そうすると法務総裁としては、上官の監督権、それに今ある組織で十分監督し得ると言われるわけですね。それはそれで一應いいと思いますが、今日私どもが実際に弁護士として檢察廳の態度を見ておりますと、裁判官ではないけれども、やはり独立的に法を運用しておるのでございまして、よほど強い制裁が高いところから來るという建前をとつておかぬと、檢察陣の腐敗というか、そういうものはますます増長するばかりで、その粛正は、表面から見ればどうか知らぬが、実際においては檢察陣の腐敗というものが刻々と増大して行つておる。私は大分古くから弁護士をしておりますが、一口に言うと、昔は日本の檢察官は買收とか賄賂とか、そういうようなことはそう聞かなかつた。裁判官と同じようにほとんど聞かなかつたのですが、今日は昔の警察署長とか、そういつた人たちが平氣で涜職をやつたような、その程度に檢察陣が一段墜落して來ておる。そうしてインフレによつて生活難がまた刻々と進行して來ておるという場合は、いかに法務総裁が高いところにいて眼光を光らしておつても、実際は効果がないようになつて、次から次へと檢察官の腐敗と墜落が増大して行くのではないかと思うのでありまして、これは私は、裁判官ではないけれども、やはり裁判官に準ずる法的処置が必要であろうと思うので、しいて一言する次第であります。

田嶋好文民主自由党

○田嶋委員 先ほど猪俣委員から法務総裁に対して質問がございましたその中に、福井檢事総長の問題が含まれておつたのでありますが、この問題につきまして法務総裁に御質問いたしたいと思います。福井檢事総長の問題に対する法務総裁のお答えは、当委員といたしましては非常に満足を感じます。そうしてそうあつてほしいというように考えるわけであります。ただ私が考えますことは、法務総裁の意見は、われわれ聞いておりまして、まことにごもつともであるし、満足と感ずる次第でありますが、法務廳自体として考えた場合に、はたして法務総裁の御意見のように行つておるかどうか、私不幸にいたしましてよく聞き取れなかつたのでありますが、きよう聞きますと、昨日のラジオ・ニユースの放送だつたそうでありますが、法務廳の秘書課長の談といたしまして、秘書課長がプライベートではあるが、福井檢事総長に対して辞職を勧告して、こういう放送があつたように承つております。してみると、今の法務総裁の意見とはまるきり違つた空氣が法務廳の中にあると想像しなければならぬのでありますが、この点に対しまして御質問を申し上げたいのであります。  まず第一に、そうした放送を法務総裁が知つておるか。第二といたしまして、知つておるとすれば、これはどういうように考えるか。第三といたしまして、法務総裁の意見と異なる意見があるとすれば、法務総裁と意思を異にする分子が法務廳の中にあつて、そうした法務の運営を阻害しておるのではないか。この三点について法務総裁はどうお考えになりますか、お答え願いたいと思います。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 ただいまのお話は実は初耳でありまして、私はちつとも聞いておりませんでした。おそらく秘書課長と申しますのは石井事務官のことと思いますが、石井事務官はなかなか闊達な人物でありますから、あるいは自分自身でそういう談をしたのかもしれません。しかしながらそれは私も存じませんし、他の上司に相談をしたことではないと思います。私はまさかと思いますけれども、あるいは若い闊達な人物でありますからわかりませんが、しかしながらそれは私の意思ではただいまのところございません。從つてそれを法務廳の公的の意思とお考えくださることは迷惑であります。しかしながらもし総裁の意思でないことが、あたかも法務廳全体の意思であるかのごとく放送機関をもつて行われるということでありますれば、それはかなり考慮を要する問題でありまして、私は今後そういうことのまつたくないことを期待しますと同時に、適当に善処したいと考えます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 今上村弁護士の御質問に私は同感でありまして、さつきの私の趣旨でありますが、今法務総裁は檢察官適格審査委員会というものをあげられた。これはもちろん私も承知しておるのでありますが、ただしこれをもつてわれわれの今要求したような趣旨を十分貫徹せしめるには、檢察廳法の二十三條を拡大強化して、そうしてまつたくわれわれの趣旨に沿うような活動をなさしめるということが手取り早い一つのことではないかと私は思うのであります。この二十三條を見ますると、檢察官が身心の故障、その他の事由によりその職務をとるにたえないときは、檢察官適格審査委員会の議決を経て、その官を免ずることができるというだけでありまして、その他の中にこの非行が入るという解釈をおとりになれば、ある程度できるかもしれませんが、この文言だけでは、ときの政府のさじかげんいかんによつて、どうもこの適格審査委員会というものは十分活動ができない。できるだけの法的根拠はあまり備わつておらぬと私は思う。で先ほどの御質問は、こういう檢察廳法の第二十三條を拡大強化して、その趣旨の沿うような、いわゆる訴追委員会あるいは彈劾裁判所に相当するようなことをやる意思があるかないかということが、私の質問の中心であつたのでありますが、政府におきまして――これはもちろん國会の問題でもあり、國会自身の意思表示によつてできることでありますが、法務総裁においては、これを拡大強化する意思があるかないか。檢察廳法第二十三條に規定せられておりますところの、檢察官適格審査委員会の権限をもつと拡大強化して、いわゆる裁判官に対する訴追委員会、あるいは彈劾裁判所というような意味を持つた一つの機関に仕上げるという意思があるかどうか。これは國会でもやれることでありますが、法務総裁の御意見を承つておきたいと思います。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 ただいま猪俣さんのお話でございましたが、この二十三條は昨年五月に改正をしまして、檢察官が心身の故障だけではなく、その他の事由によりましてもその職務をとるに適当でないと認めましたときには、ただいまでは適格審査委員会にかけることができるようになりましたので、單は客観的の事由ばかりではございません。その職務のとり方に不都合なることがあればそれが彈劾できることになつております。そういうわけで、以前の法律に比べますとよほど御趣旨のごときことが織り込まれて参つたと思うのであります。ただいまのところはその廣い意味の適格審査ということで、お話のごとき目的が達せられはしないかと考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 私が読みましたのもやはり改正法で、今言いましたように檢察官が心身の故障その他の事由によつて――これが改正になつたのですか。これは二十二年の改正法なので、その官を免ずることができるというだけなのであります。免ずるには議決を経なければならぬというだけであつて、諮問機関のような性質になつておりますから、これを拡大強化する意思があるかないかとを尋ねしておるのです。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 從前の規定は「職務を執るに堪えないとき」とあつたのだそうですが、今度の法律では職務に適しないというように、よほど積極的に字句を拡大いたしました。むろんお話のごとく諮問機関のような感を呈しておりますが、この有力な機関の議決である以上は、むろん政府もこれに從わなければならぬと思うのであります。まずただいまのところは、この機関をもつてやることが穏当であろうと考えております。     ―――――――――――――

花村四郎民主自由党

○花村委員長 それではこれまで二回にわたり本委員会において、上村、猪俣両君より横浜地檢問題について種々法務総裁や政府委員に御質疑がありましたが、檢察の威信を保つため、本委員会においてはさきに檢察不当調査のため國政調査の承認を議長に要求しておきましたが、その承認を得ましたので、この際横浜地檢問題を取上げ、委員を派遣して実地調査を行いたいと存じます。派遣委員には    北川 定務君  大西 正男君    猪俣 浩三君  梨木作次郎君    田嶋 好文君  金原 舜二君 にお願いいたしたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

花村四郎民主自由党

○花村委員長 御異議なしと認めます。それでは議長に提出する委員派遣申請書を朗読いたします。    委員派遣承認申請書  一、派遣の目的 横浜地檢問題調査のため  一、派遣委員の氏名 北川定務、金原舜二、田嶋好文、大西正男、猪俣浩三、梨木作次郎  一、派遣の期間 三月三十日より向う一週間  一、派遣地名 横浜市、名古屋市及び岡崎市   右により委員を派遣したいから衆議院規則第五十五條により承認を求める。   昭和二十四年三月二十八日      法務委員長 花村 四郎    衆議院議長幣原喜重郎殿 右のごとくいたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

花村四郎民主自由党

○花村委員長 異議なしと認め、さつそく手続をとることにいたします。なお念のため申し添えておきますが、小木專門員を随行いたさせたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時十一分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗