文部委員会 第29号
- 発言数
- 75 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1949/09/26
会議録
○原委員長 これより会議を開きます。議事に入る前に一言御挨拶を申し上げます。 本日は閉会中にもかかわらず御出席を賜わりまして、ありがとう存じます。本日の会議を開きました理由は、かねて理事の方とも御相談申し上げておきました國宝保存に関する法律案起草に関してでありまして、過日委員に御発送申しておきました案に対して種々御意見を拜聽し、順次成案を得るよう進めたいと考えておる次第であります。 これより議事に入ります。國法保存に関する法律案起草の件を議題といたします。お手元に配付いたしてありますものは、文化財保護法案となつておりますが、これは仮称でありますので、もし他に適当な御意見があれば承りたいと存じます。 なおただいま配付いたしましたものは、この前に御発送いたしておきました案を成文化したものでありまして、この成文につきましては、法制局とも十分連絡の上、法制局が主体となつてつくつたものであります。一應その大綱について法制局より説明を求めたいと思います。福原法制局第二部長。
○福原参事 私法制局長第二部長の福原であります。この文化財保護法案を作成いたしますのに関係した者といたしまして、委員長の御指名によりまして簡単な御説明を申し上げたいと存じます。 これまでの経過から申しまして、文化財保護法につきましては、すでに前國会において参議院の提出にかかるものがございます。これは参議院を通過したという関係にあるものですから、同案を相当程度に尊重し、これを参酌し、かたがたこの文部委員会におかれても各位の御意見を拜聽いたしまして、これをさきの参議院案に付加いたしましてつくるという態度でもつてできあがりましたものが、ただいまお配りいたしました重要文化財保護法案要綱、本日付の衆議院法制局試案として出したものであります。内容的には今申し上げたように、参議院案がかなり入つておりますし、説明上便宜と考えますので、参議院とお手元に配りました要綱との相違点を申し上げるのがよいかと考えます。 まず相違点といたしまして、第一点は「需要文化財」というふうに法律の表題を改めた点でございます。これは衆議院においても、内容は文化財となつておりますが、そのうちの重要文化財のみを取上げて、その保護の方法を講じておりますし、文化財という表現があまりに廣過ぎるようにも思われますので、特にそのうちの保護の対象となるべきものを重要文化財と限定いたしまして、表現を明確にしたつもりでございます。 第二点は、参議院案においては法文の序列と申しますか、そういうものがかなり未整理と申せば言葉が過ぎるかもしれませんが、そういうきらいがないとはいえないと思うのであります。その点で、この新しい法律案としては、どういう目的を持つているかということがただちにわかるということで法律の順序、順列の構成を考えまして、編別を、前の参議院案が対象別によりまして、國宝その他の重要文化財、あるいは演劇、音楽、工藝技術その他の無形の文化財、こういうふうに二つにわけましたものに対しまして、われわれ法制局案は、まず内容的に二つに大きくわけまして、一つを重要文化財の保護機構といたしまして、保護委員会その他のの関係を築き、さらに次には重要文化財の保護措置として、一定の保護措置についての項目を分けて掲げる、こういうことにいたしました。そうしてその次に、参議院案では比較的なおざりになつていました財政上の特例を、この文部委員会の皆さんの御意見に従いまして、かなり大きく取上げて、第四章で財政上の特例というふうに掲げたのであります。 以上が形式的に目立つた相違でありますが、次に内容的に相違点を申し上げげますと、重要文化財として無形の文化財のうち習俗というものを特に取上げてみました。それから史跡、名勝、天然記念物を包括いたしました。 それから第四点としては、重要文化保護委員会の委員長につきまして、任期を二年といたし、さらに所属政党についての制限をいたし、また報酬の点は無報酬ということにいたしました。 第五点は、委員会の附属機関のうち專門審議会の機構が、参議院案においてはすべてこれを政令に委任していたと思いますが、文化財保護の基本的な面を、その審議会が諮問機関としてあずかるということなりますので、法律において最小限度重要な規定を置く必要を認めまして、その点を明らかにしておきました。さらにまた分科会の組織ということ考えて規定しておきました。 次に第六点には、都道府縣の教育委員会を地方機関といたして十分に活用する、こういう観点から、これに対して大幅な権限の委譲を認める規定を置いてございます。 次に第七点には、國法その他の重要文化財の管理責任者を明確にして、その管理責任者の保存義務を法律上明白に規定することにいたしました。 さらに参議院案においては、いろいろと公開、出陳等の勧告令というものについて、これが管理または管理の費用を國庫負担としてある場合に限つてできるようになつていたのでございますが、文化財の公共性にかんがみまして、この点は國庫負担の有無にかかわらず出陳または公開の勧告あるいは命令を出せるというふうに内容的に変更いたしました。 次に八点といたしましては、重要文化財というものの公共性の面から、そのような勧告、命令が出せる反面において、その保存管理その他の助成につきましては、補助金制度を拡張し、できる限りこれを國家的な保護のものに置くという観点で、二、三の條文を置いたのでございます。そのほか文化財の保護に関しまして、実地調査の権限を据え、またいろいろと所有権の制限にわたる事項もございますので、聽聞制度を用い、さらに損害補償の規定を幾つか置いて、その間の公共性と私有権制度の調節をはかつたつもりでございます。 さきに申し上げた通り、次の財政上の特例については、これはまず第一に委員会の予算的のある制度の独立ということを規定し——これは文部大臣に対する関係においてのある程度の独立の規定でございますが、そういうものを置きました。次にかような補助金制度あるいは損害補償制度を極度に利用するという観点に立ちますので、その資金について特別会計的な保護基金制度というものを置くことにいたしました。さらに最後には重要文化財に開通する免税の規定を設けておきました。 非常に簡單でございますが、これらが参議院案とのおもなる相違点でございます。時間の関係もありますので、もし御質問がございましたならば、逐次それにお答え申し上げる形式で御説明いたしたいと思いますが、大体の概略の説明はこの程度で終らせていただきます。
○原委員長 御質問は各章別にお願いしたいと思いますが、第一章総則について御質問はございませんか。
○水谷(昇)委員 この文化財保護法案は、今回は「重要」という文字をつけたという御説明がございました。それはまことにけつこうだと思いますが、この保護と保存というのを区別をしておられるのかどうか伺いたい。
○福原参事 立案にあたりましては、保護という観念を保存を含めた廣い観念に考えて使つております。その点は、たとえば第三章の重要文化財の保護措置という中に指定と保護と、さらに活用、調査というものまで含めて全体を保護をし、そのうちの狹義の保護はその第二節に掲げ、狹義の保護の中にまた保存、助成、制限及び禁止、買上げというように関連して立案いたしました。
○水谷(昇)委員 私は保存という方へ保護というのを入れる方がいいじやなかろうかと思います。保護というと、現在を保護するということになる。それから保存ということになると、現在もまた將來のことも考えて保護する、こういうような意味に解釈できると思いますが、御意見はいかがですか。
○福原参事 言葉の感じから申しまして、あるいは異論のあるところかと思いますが、用例から申しますと、法律上の用語としての保護というのは、かなり廣く解されておるように思います。保存と言いますと、現状保存という、割合に狹い範囲のものをさすやに見えますので、このように使いましたが、御意見のあるところはまた十分に研究したいと考えております。
○今野委員 委員長にお伺いしたいのですが、これは今日審議してというのは、あとで質疑を省略する、そういうことではないでしようね。
○原委員長 そういうことは全然ございません。これは法案の作成上の一つの過程でありまして、この委員会が主体になつてつくる法案でありますから、一應法制局に成文化をお願いしたことについての質疑をしまして、あとでこの委員会で御協議の上決定すべきものであると思います。
○今野委員長 作成についてでありますけれども、やはりこれを作成して行かなければいけないということに確かのようでありますが、同時に從來からずつと問題になつて來たように、予算的措置とか財政上の問題、こういうような問題がはつきりしないと、こういうものをつくつても無意味であるというような意見が非常に多いのであります。近い機会を得て、その点大藏大臣などに御出席を得て、はつきりと確かめたいと思うのですが、いかがでございますか。
○原委員長 これは委員長の意見でございますが、この法案を作成する過程において減税の問題などもありますので委員長の方々の中の何名かが大藏省と折衛されて、減税の問題の成文化に進めて行つた方がいいじやないかと思います。ここに大臣を呼び出してというのは、もう少し案が進んでからの方がいいじやないかと思いますが、いかがでしようか。
○今野委員長 了承いたしました。ただ減税だけでなく、買上げとか、その他いろいろな問題がありますと、相当予算も要することと思うのであります。そういう問題についても大藏大臣の所見を、委員長がおつしやつたような形でけつこうですから、ただすようにして行きたいと考えます。
○圓谷委員 この前の衆議院両文部委員の集まりの際に、松本君からも発言がありましたが、この法案の提出については衆議院案として出すか、また衆参両議員の共同提出にするかという問題について、参議院の方では、衆議院で提案をされても決してさしつかえないというような発言があつたのでありますが、その後開きますと、参議院の方では、せつかくこの前の國会においてあれだけ努力しておつたのであるから、今度衆議院單独で出すということでなく、何とかそこに顔を立てるといいましようか、参議院のある派の方でそういう話合いがあるということを私に聞いたのでありますが、この点について今日こつちの態度をおきめいただきたいと思いますのでお諮り願います。
○原委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○原委員長 速記を始めて、——この法案について、参議院側が提出するか、衆議院側が提出するかということにつきましては、後刻懇談会において御相談申し上げることといたしまして、暫時休憩いたします。 午前十一時四十二分休憩 ————————————— 午後二時三分開議
○原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 國宝保存に関する法律案起草の件は、本日はこの程度にとどめたいと思いますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原委員長 御異議なしと認めます。 —————————————
○原委員長 次に日程を追加いたします。文部行政一般に関する件を議題といたします。 この際お諮りいたします。東京藝術大学音樂学部長加藤成之君、東京藝術大学事務局長町田稻尾君、同じく会計課長大柳金光君を参考人として、本委員会に出席して、文部行政一般に関する学校問題について御意見を承ることにいたしたいと思いまするが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決定いたしました。
○水谷(昇)委員 文部行政一般質問といたしまして、これから藝術大学の音樂学部のうちの邦樂科に関しまして質問をしたいと思います。それはこの藝術大学に邦学科設置の件は、当文部委員会において強い要望をいたしました結果、これが決定を見るに至つたのでありますが、この問題については反対、異議を唱える方もあつたのでありまして、私どもはこれに対して非常に関心を持つておるのであります。われわれのこの要望によつて実現した邦樂科が今後いかに発展し、どんな成果を得るかということに大きな期待をもつておるのでありまして、その後の経過を御当局から伺い、將來の見通しもつけたいと思いますから、この点詳細に経過の御報告なり將來の御計画を、部長さんからひとつ御説明を願いたいと思います。
○加藤参考人 それでは私から経過を大体お話申し上げます。 文部委員会で邦樂を入れろという御趣旨をいただきまして、その線に沿いまして新しい大学に邦樂を入れるためにいろいろ研究をいたしました。それにつきまして西洋の音樂の方は、すでに六月に新制大学が発足いたしました。それで邦樂科の方は九月の半期からこれ出始めるつもりで、当局といたしましては、いかなるふうに音樂学部の邦樂科を置くかということをいろいろ研究したのであります。これはかねがね前の小宮校長の時代から考えていたことでありますが、邦樂というものは西洋音樂と違いまして、わが國におきましても特殊の形をとつておりまして、またこれを西洋音樂に比べますと理論というようなものもそれほど完全なものもないというようなところもありますので、どうしてもこれを研究して行かなければならない、そういうことも考えられます。それで一應邦樂科をつくりましても、前の研究所の中に出ておるような邦樂を根本的に研究することは、大学としてはぜひ必要であるということを考えましたので、そういう面もいろいろ考えまして研究をしたのでありますが、九月に出発することがどうも時日が少し足りない。それでこれは文部省にお願いいたしまして、來年の四月まで延ばしまして、その間御遺憾のない研究をして行くという形をとりまして、それには邦樂関係の学識経驗の深い方に集まつていただきまして委員会をつくりまして、そこで邦樂にはどういうものを入れるべきか、たとえば前の音樂学校の時代には習うような琴、そういうものだけでございました。しかしそのほかに邦樂としてはいろいろ清元のようなものであるとか、常盤津のようなものであるとか、そういう種類が非常に多いのであります。藝術的に非常にりつぱなものもありますから、そういうのもまた入れなければならないというふうにも考えられます。しかしまた一方そういうものは長うた等に比べますと、大学の学科としてはなかなかそれを教授するのに困難なところもあるのであります。そういうような意味で、この委員会をつくりまして、そうして万遺憾ない程度にこれを知りまして、來年四月の新しい学年から邦樂部を開設する、今そういう形になつておるのであります。 それでただいまここにごらんに入れますところのこの邦樂科設置要綱というのをごらんになりますと、現在のところでは大体こんなふうに邦樂の授業をやつたらどうか——これはまたほんとうの結論というものは出しておりません、まだその第一回の懇談会と申しますか、委員会を先週開きましたばかりでありまして、これから第二回、第三回と続いてやるわけでおります。それでここに出ておりますこの音樂部の邦樂科設置要綱の中に、作曲科、声樂科、器樂科、指揮科、樂理科がございますが、これはもうすでに発足しておりまところの西洋音樂の方でしあります。それでそこに邦樂科というのを一つ追加するわけであります。それからその邦樂科の講座にどういうふうにこれをやつて行くかというのでありまして、これはこういうふうにしたらいいだろうという大体の案でありますが、邦樂の第一講座というのは、三味線に関係ある音樂の実技、実習というのであります。これはただいまも申しましたように、前は長うたと琴というようなものでありまして、三昧線の音樂の中にも、長うたのほかに、いわゆる豊後節系統という、じようるりというようなりつぱなものもございますから、そういうものまでも入れる。あるいは一年中ずつとそういうものを学ぶということはなくとも、ときどきそういうものの講師を招いて研究するというようなこともあるかもしれないので、三味線という樂器を使う科目という意味で長うたであるとか、清元であるとか、常盤津であるとかいうものをすべて含めまして、三味線に関係ある音樂の実技、実習、それをまず第一講座というふうに考えたのであります。 それから第二講座は、これは琴に関する音樂という考えであります。 それから邦樂の第三講座、これは第一、第二講座以外の邦樂というのでありますが、これは現在いろいろ問題になつておりますところの能樂のごときものでありまして、これは三味線とかとかいう樂器を使えませんのでこの中に入れる、またそのほか何か追加すべきものがあればこの中に入れる、そういう形でこの三つの講座を並べたわけであります。 大体これが大きなわけ方でありまして、その中のこまかいことはただいま申し上げました通りに、委員会で今いろいろ審議を願つているわけであります。 ともかく邦樂というものは、西洋音樂に比べまして、りつぱなものではありますけれども、その教える方法等はあまりはつきりしたものがまだできておりませんから、いわゆる新制大学としまして、今までより、より高い過程に入るには、ただあたりまえに入つて來て、今までのように町のお師匠さんが弟子を教えるようなふうではどうしてもいけない。それかも作曲にしても新しいりつぱな日本の音樂というものが將來においてできなければならないのでありますから、それはどういうふうにしたらいいか。たとえば邦樂の樂譜というものは非常に不完全であります。そういうものを新たにどういうふうな樂譜の書き方をもつて採譜して行くか、そういうふうなことも一つの問題でありまして、これは前の校長の案では、一つの研究室のようなものをつくりまして、そうして研究所というようなものの中でこれを研究するわけでありましたけれども、今度はそれも講義とともにあわせて研究して行つて、そうしてこれがだんだん完成する間に非常にりつぱな邦樂の教える方法もできるというように考えております。つまり研究所案と大学とが一緒になつたようなものを考えて行かなければならないというふうに考えておりまして、今着々と委員会で研究しておるところでございます。 大体そういうような経過をとつておるのでございますが、それに要する予算並びに邦樂に関する学科目等はここにあげてございますが、これはこまかく御説明いたしますか、いかがいたしますか。
○原委員長 大づかみのどころを御説明願います。
○加藤参考人 しまいの方に「邦樂科拡充に要する経費」というのがございますが、これはここにございます通りに、新制大学の教育文化費といたしまして、議員の俸給が四十万何がし、その内訳が官吏俸給、それから教官、臨時職員俸給として講師、職員手当、そういうようなものを合せまして全体で七十四万七千五百三十八円ばかりになるのであります。 それからここにもう一つ、邦樂科としてお願いいたしたいものは、この一番しまいに書いてございますが、元來音樂学校には邦樂科もございまして、邦樂と西洋音樂を同時に同じ建物でけいこをして來たわけであります。ところがこれは御承知の通りに、西洋音樂と日本音樂とは、根本的に音譜というようなものが違いますので、両方で非常に不愉快な感じを起すのであります。つまり隣りの部屋で琴をひいておる、こつちでピアノをひくというようなことは、両方で非常に困ることになりますのでただいまやむを得ず分教場の方に邦樂科をまとめたわけでありますけれども、これは非常に狹くなつてしまいまして、これから新制大学として発足いたしますのには、絶対に教育をすることが不可能である。それでぜひ邦樂科の数室を新しく建てたい。それがこの最後に出ているのでありまして、これも最小限度のごく必要なものだけをここに書いたものであります。数室が四つ、合奏教室が一つ、実習室が四つ、そういつたものをぜひ学校としては建ててもらいたい、そしてその金額が約百八十九万円ばかりになるわけでございます。これが大体の予算関係でございますが、こまかいことで御質問でもございましたら、それによつてお答申し上げたいと思います。
○水谷(昇)委員 ただいま大略御説明を伺つたのでありまして、いろいろ御計画をしていただいて私どもまことにけつこうと思いますが、邦樂科の先生については適当な人が得られるのでありますか、これをお伺いしたいのと、それからかねて問題があつて邦樂科の先生が辞職したというような話を聞いておつたのでありますが、その後の経過をお聞かせ願いたいと思います。 それから邦樂科で採用する人員が十人ずつになつておりまして、完成年度で店員が四十名ということになつておりますが、この人数はこれで適当なのでありますが、これもお伺いしたいと思います。
○加藤参考人 先生のことについて申し上げます。御承知の通りに前の音樂学校の教官は一度辞表を出しまして、前の校長がやめられる前にこれを受理いたしまして、まつたく白紙になつたわけであります。それで学校といたしましては、ことに大学の方、それから大学でなく現在残つております專門学校の方、この両方についていろいろ考えました。大学の方はただいま申し上げましたような委員会で、結局どういうものを入れるかという根本問題もまだきまつておりませんので、それがきまり次第、わが國においてできるだけりつぱな最高の先生を入れるつもりでおります。 それから現在残つております專門学校の方は、これは前から來ていらつしやつた先生が來てくださるのが一番適当と考えましてぜひ皆さんに帰つていただきたいということをこちらからお願いして、そうして中にはどうしても帰つて來ないということを言つておられる方もありますが、大体におきまして長うたの方、琴の方——これも全体ではありませんけれども、教授にさしつかえない程度現在もう帰つて教授を始めておられるというような形でございます。それで題目の方は、今申しましたように科目はまだはつきりいたしませんし、どういうふうな教え方がよいかというようなことが起りますと、そこにその問題において今まで來ておられた方がそのまま入るのに非常に適当な方はそのまま入るということも起りましようし、今まで來ていた方でも今度の案の科目に漏れるとか、あるいは不適当であるということを学校が考えれば、その方をお招きしないということも起るかと思いますが、これの方はまつたく現在の委員会の方々の御指示に從うつもりでございます。まず第一回の会合がこの間ありまして、ごく大体論があつただけでありまして、まだこまかいところまで行つておりません。大体そういうような経過をとつております。
○水谷(昇)委員 定員の方はどうですか。
○加藤参考人 定員は前から邦樂科に入つて来る人数を、音樂学校の時代から見ておりましても大体いつもこれくらいでありまして、これくらいが適当なところじやないか、あるいは音樂学校の邦樂科というものがもつと盛んになり、音樂学校を出た人間から邦樂の第一流の人間が出るようになるあかつきには、おそらくもつとたくさん志望者があると思います。そのときにはもつとたくさんの人数を入れたいと思います。 それともう一つここに非常に問題になりますのは、今度の新制大学になりますと新制高節学校を卒業して人つて來るわけになります。それは相当高い程度の教養を持つていなければならない。それであつてかつ日本音樂、琴や三味線というものをやつておる人はそれほどたくさんはないと思います。ですから実際に入つて來る人は非常に少いのじやないか。学校としてはたくさん入つてもらいたいと思いますが、その経驗なんかも大体西洋音樂と同じ程度いろいろな知識の試驗をいたします。そういうような関係で割合に入つて來る人間の数が、初めのうちは非常に少いのじやないか。たとえば、西洋音樂の本年度の大学などの傾向を見ますと、東京の大学の法科を卒業した人が西洋音樂の方に入つて行きたい、あるいは工業大学などを卒業した人がさらに藝術大学に入つて来る傾向がありますが、これはおそらく邦樂の方にそういうものがあれば非常によいのでありますけれども、またこれを望んでおりますけれども、初めのうちはそれは非常に少いのじやないか、そういうようなことで大体この程度の人数にしたわけであります。
○水谷(昇)委員 次にお伺いしたいのですが、学科の内容で一般教養科目、それから專門の講座等いろいろわけておるようでありますが、これは西洋音樂科の方と邦樂科の方とは相違があるのでありますか。專門の方には違つた点があろうと思いますが、程度においてはかわりがないのでありますか、その点をちよつとお伺いしたい。
○加藤参考人 西洋音樂の方とまつたくかわらないのであります。全然同じで、西洋音樂と同じくらいの高い程度の教養を持つた人間が邦樂をやるということを学校としては望んでおるわけであります。少しもその差はないわけであります。
○甲木委員 邦樂科設置に関する委員会を設けられるというのでありますが、学校としての委員会でありますか、文部省に設置せられるのでありますか。またその人選でございますが、これは御承知のごとく琴でも三味線でも各流派がある、この流派によつていろいろ弊害が伴つて來ると思いますが、そういう点をどうお考えになつておりますか。その原案は大体できておりますか。
○加藤参考人 ただいまの御質問はまことにごもつともで、初めにその性質を申し上げますが、これは文部省の関係ではないので、いわば学校の諮問機関といつたような形でお願いしたわけであります。そうしてこの委員会には大体琴なら琴、三味線なら三味線という実際の実技の方をお入れすることはやつておりません。大体全般にわたつての邦樂に関する関心を持つた方、あるいは学者、そういうような方をお入れしておりまして流派というようなもので、それに対して何流を入れたら何流がいらぬということが起るのは非常に遺憾でありますから、最も公平なる立場で判断を下すような方々ばかりを今お願いしているわけであります。この間もこの委員会で——これは途中でございますが、ただいまの御質問に関してお話しておいた方がいいかと思うのでありますが、今度の藝術大学には、日本の音樂は、たとえば琴なら琴の生田流を入れる、そうすればそれに対してまた山田流を入れなければならない、そういうことになりますと、清元も入れれば常盤津も入れなければならぬ。いろいろそういうことが起つて來て非常に困難であろう。これから將來の日本の音樂には、あまりこまかい流派にかかわるというようなことはむしろおかしいのではないか。それでありますから、言いかえれば日本の藝術大学流といいますか、そういつたような一つの流派というか、いろいろなものの良所を集めたようなものができてもいいのではないか。それにはむしろ流派にあまりこだわつた方をいろいろ考えるよりは、むしろ音樂学校の卒業生の中からそれの最も優秀な者をそういつたような方針でもつて教育した方がいいのではないかというような説が出たくらいであります。しかしこれはまだ結論が出たわけじやありませんから、これがそのまま最後の案になるかどうかわかりませんが、そういうような話が出たくらいでありますから、最も公正なる態度で判断していただく方をただいまでは集まつていただいている、そういう形でございます。
○今野委員 加藤先生にお伺いいたします。大体学科の模様などを見まして、始めの方は普通の新制学校と同じようになつて、それから一般專門の学科があるわけでありますが、この藝術大学の音樂部の目標というのは、どういうものですか。藝術家を養成するというのが主たる目的でございますか、それとも別の目標があるのでございますか。
○加藤参考人 大体において優秀なる藝術家を養成するのが目的と思いますが、しかし前には師範科というようなものがありまして、音樂教育というようなものやつておつたのでありますが、それが今度なくなりました。それについては、これから先に何か教育の方をもつぱらやつて行く学生を養成しなければならないというようなことも考えておりまして、今着々とその方の附属の機関というようなものを考えております。大学といたしましては、大体において非常にりつぱな藝術家を養うというのが本旨だろうと思います。
○今野委員 藝術家を養成するのに、やはりこういう新制大学の学科を学んでこういうふうにやつて行つた方が一番よろしい、こういうふうになると思うのです。というのは、この学校は、ともかくも日本において藝術家を養成するための最高の学府だ、一番大事なところだ、こういうことになるわけでございますが、そのときに藝術家の養成ということについてはいろいろ問題があろうと思います。從來のピアノやヴアイオリン、そういうようなものに対しても、必ずしも学校だけではうまく行かないというようなところがあつたし、ことに邦樂になりますと、從来の音樂学校の樣子を聞きましても、そういうところが非常に強いように見えるのです。ですから、はたしてこういうふうな新制大学というようなことでやるのが、藝術家としての技術なりあるいは藝術的な感覚なりを養つて行くのに適切であるかどうか。こういう点については非常に廣い大勢の人からたくさんの関心があるわけですが、この機会にその点についての御意見を伺えれば幸いと存じます。
○加藤参考人 これは私の私見でございますが、藝術に関する音樂学校であるとか美術学校というものが、必ずしも藝術学校——大学になるということはこれは必ずしも必要もなし、またそれはあるいは理想でなかつたかとも考えられます。かえつて不便というようなことを考えることもありますが、もし特定の藝術大学であるから、ある点はこういうふうに認めてやるということが文部省あたりのお考えにあるとすれば、なおありがたいことだと存じますが、ただいままでまず新制大学としては、どうしてもこの一般の教養学科というようなものは入れますし——一般教養学科というようなものは、これは藝術家にしても一般の人間にしても、理想としては確かに必要なことでありまして、いかなる人間も常識を持たなければならないので、藝術家だけがいらないというわけはないのでありますけれども、ことに音樂になりますと、実技の練習ということが非常に多いのであります。それでありますから、この中に一般教養の学科を入れますことは、よほど学校でもよく考えなければならぬし、先生もその覚悟でやらなければならぬ、学生もその覚悟でやらなければ、ただそれを開き放しにするというようなことが起つて来て、ただ時間表に入れるというだけに終つてしまうようなことも起りはしないかと思う。これは当局といたしましては非常に考えなければならないと考えております。
○今野委員 今の点ですけれども、私もほかの國や何かの例でもつて、こういうような制度があるのはあまり聞いたことがないのであります。ほかの國で音樂教育をやるのにこういう大学の講義といつたようなことが必ず必要とされているかどうか、そういうような点についてもしお調べでしたら……。
○加藤参考人 ただいまのことでございますが、たとえばフランスの音樂学校のコンセルヴアトアールといつたようなものには、この大学教育というようなものは全然ございません。これはつまり一般の家庭教育がいいために、日本の藝術家に比べてもつとゆたかな一般教養を持つておるようであります。日本のことをこういう時代にある程度高い教養を持つ音樂家を養成するには、ある程度やはりこういうようなことを強制することもあながち全然排除するというふうにも考えておりません、そこのところは、ほかの國とは幾らか違うというような見方でやつて行かなければならかいと考えております。
○原委員長 音樂学校の件はこの程度でよろしゆうございますか。ほかに御質問ございませんか。
○水谷(昇)委員 ちよつと希望を申し上げたい。ただいま校長さんからいろいろその計画を伺つたのでありますが、私どもはこの委員会において強い要望をいたしまして、これが実現したことでありますので、われわれがもともと期待したように、この邦樂科がりつぱな実を結ぶことを念願するものであります。校長先生には特に御熱心にいろいろな方面に御考慮をめぐらしていただいておるようでありますから、なお一層この委員会の委員もよく御人選をいただいて、特に委員会の活動を活発にしていただきまして、將來この邦樂科が、藝術大学に設置されたので、こういうりつぱな邦樂の芸術家たちが続出するのだ、こういうようなことにしていただきたいと特にお願いを申し上げたいのであります。
○加藤参考人 ただいまの御要望は、まことにわれわれといたしましてもそうしなければならないと思つております。日本の特質というものは、ヨーロツパの音樂とはまつたく特殊なものでありますけれども、やつぱり非常にりつぱな価値を持つているものと思いますから、十分育成したい、かように考えております。
○原委員長 それでは音樂学校の件はこの程度でいかがでございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原委員長 では次に國宝保存に関連する法隆寺問題について、文部当局より説明を承りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原委員長 実は皆樣御承知のように、法隆寺の五重塔の親柱の下に、舎利容器があるが、今度五重塔を再建するため、親柱を新しくすえつける日取りが迫つておりますので、その舎利容器を公開するかどうかという問題が起きて参りまして、過日急を要しましたので、理事会にお諮りいたしましたところ、理事会の結果は、含利容器を公開するかいなかということについては、文部省に御一任しようということにきまりました。しかしそのときの理事会の御意見を総合いたしますと、公開せずとも、少くともこれを再びもとのままに埋蔵するについては、その前に專門の学者に調査させるなり、あるいは写真をとるなりすることをした方がいいではないかという御意見が強かつたのでございまして、文部省に一任するということにつけ加えまして、文部大臣には理事会の希望をお伝えいたしておいたのでございます。 最近この舎利容器の問題につきまして、深見文化財保護課長が現地に行かれたのでございまするが、今まで経過並びに現地に行かれた御交渉のてんまつでも承れればけつこうだと思うのでありますが、さようにいたしてよろしゆうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原委員長 西崎社会教育局長。
○西崎説明員 それでは法隆寺の五重塔心礎内の埋蔵物につきまして私からその後の経過を簡單に御報告申し上げます。衆参両院の文教委員会ないしは理事会におきまして、いろいろ御希望を申し述べられましたので、そういう点からも考えまして文部省の内部におきましては、とにもかくにも公開、非公開——公開という言葉はいろいろ解釈がございますが、公開、非公開は別問題といたしまして、これが埋蔵の前に学術的な調査をするということは必要である、だから一方において宗教の神聖、寺院の尊嚴というものを十分尊重し、一方において学術の必要を強調いたしまして、この線に沿つて何らかの具体的を決定いたしたいと思つたのであります。そういう方針を大臣のところできめられまして、まず深見保存課長がたまたま他の用件で法隆寺へ参る用事がございましたので、その機会に法隆寺並びにその関係者の意向を打診して帰り、その結果で善処いたしたいということで、深見課長が二十日に奈良に参つたのであります。しかるところ世論の力と申しますか、あるいは法隆寺のほんとうのお考えというものが大分文部省の考えております意見と合致しておりますので、深見保存課長は、ただちに、單に打診でなく、文部省の代理として交渉する方がよいと認めましたので、現地におきまして佐伯住職と交渉したのであります。その結果二十三日に信徒総代会が開催されまして、それによつて円満と考えられます妥結を見たのであります。本日それを新聞発表いたしたのでありますが、大体その要旨をちよつと申し上げますと、法隆寺の國宝保存事業部から五重塔礎石内の宝器の埋蔵状況は必ずしも完全でなく、このままに平安することは浸水等のため宝器を損するおそれがあるから、この際内部を清掃した後嚴重に密封して宝器の保存に万全を期したいと申出ておつたのでありますが、それに対しまして、法隆寺が右申出を了承し、今回宝器を一時寺院内に奉還すること、それから第二に宝器奉還中の適当な時期に寺院より專門学者に依頼して宝器の清掃を行うとともに、その機会に信徒代表及び專門学者に奉拜を許すこと、奉拜という文字を使いましたのは、これが信仰の根源をなしておりますので、調査研究という文字を避けたのであります。しかしながら、もちろん口頭におきまして了承されておりますことは、その信徒代表は法隆寺側で選ぶのでありますが、文部省はその專門学者を選ぶ場合に法隆寺さんと十分の打合せをして選ぶ。しかもその選びました数名の專門学者には、適当な助手をつけまして、当理事会の御希望になりましたところの写真を写すとか、あるいは絵を描くということも許されるわけであります。第三番目に宝器の状況については調査報告書を文部大臣に提出する。右の調査報告書の学界に対する発表の時期、方法等につきましては、別に文部大臣が法隆寺住職と協議して定める。こういうことが決議されたのであります。すなわち法隆寺当局の自発的な意思によりまして円満に解決を見たと思うのであります。この解決の方法につきましては、いろいろの見方もあると思いますが、本日文部大臣は別に談話を発表して言つておりますように、学問の研究はもとより必要であり、また宗教の尊嚴は侵すベからざるものである。学者が学究のためには信仰を無視して顧みず、宗教家が宗教の神祕を尊重して学問の自由を排するとすれば、それは文化國家としてともにとらざるところであり、今回学士院公員たる碩学佐伯住職が現下の世相を見て最も案ぜられたことは、この両者の調和にあると信ずる。こういうことを言つておるのでありますが、さようなことによりまして、今回の問題に円満に解決されたと考えております。御了承願います。
○松本(七)委員 先般の理事会には、ちようど出席ができませんでしたが、われわれとしてはもちろんこれを科学的に調査をすることの必要は十分認めるのですが、そのほかに、やはり國宝的な重要なものは、いかに宗教的に尊いものであつても、一宗一派の独占すべきものではない、國法的な存在は國民のものである以上公開すべきものであるという基本的な態度を持つておるわけです。これについて法隆寺側では、公開は一切お断りだというような態度をとつておられるように新聞紙上で拜見しておりますが、この点について少し寺側の御意見というものを伺つておきたい。
○西崎説明員 ただいま御報告申し上げましたように、報告書が学界に発表される時期、方法等につきましては、別に文部大臣が法隆寺住職と協議して決定するのであります。調査研究の結果、どういうふうなことが出て來るかわかりませんが、法隆寺さんもおそらく將來のことについてはいろいろお考えになつておられるかと思います。公開、非公開ということがどの程度を意味するのかが問題でもあると思いますが、大体この埋蔵物と申しますものは、法隆寺の信仰の根幹をなすものでありまして、この点につきましては、法隆寺さんの御意向を最も尊重しなければならないと思うのであります。國宝その他の問題につきましては、この件についていろいろの見方、考え方があるのでありまして、そういう点から申しますと、いろいろの議論も起きて来るかと思いますが、私たちはこれで御了承を願いたいと思います。
○佐藤(重)委員 問題になりました以上、よく確かめておきたいと思うのですが、一体法隆寺の宝器というものの内容は何なのですか。二、三日前文部省に行きましたら、玄関にいろいろなものがはり出してあるのです。いろいろなかつこうの図面などがありまして、宝玉が幾つあつたとかいろいろなことが書いてあります。金のつぼがどうとか、銀の何とか鏡がどうとか、それから舎利といいますか、骨といいますか、それはないということになつておるのですが、どういう程度までおわかりになつておるのでありましようか、だれの骨があつたのでありましようか。ある人は佛骨と言い、ある人はその他のだれかの骨だろうと言うのですが、それを実証すべき文献か何かあるのでしようか、ついでに御説明願いたいと思います。
○西崎説明員 その点に関しましては、いろいろな説が新聞にも載りしたし、また大正十五年の調査に立ち会つた人の日記とか話とかいうものも載つておりましたが、その当時の記録は文部省には正式の報告は何もないのであります。從つて文部当局といたしましては、それがどういうものであつて、内容がどういうものであるということは、ただいまは申し上げることはできないと思います。但し今度の報告書が参りました場合におきましては、法隆寺さんの御意向もしんしやくいたしまして、その点のお答えができるのではないかと思います。
○佐藤(重)委員 今松本委員からも御意見が出たのですが、一体國宝として國家的な保護を加え大切に保存するという趣旨から考えましても、一宗一派の人たちがこれを私すべきものでないことは、当然わかり切つたことだと思います。ことに非常に霊驗のあらたかなたいへんな祕佛であるかのごとくに法隆寺の人が言われます。あるいはそうかもしれませんが、しかしごく科学的な見地から見ますと、私どもはむしろこつけいなようにも思う。一体信仰の対象が物質であるというようなことは、すでに出発において間違つておりはせぬかと考える。ことに佛舎利のごときは雲散霧消してなくなつている。これは時間が経てば当然のことであります。あるいはこれまでにだれかが持去つたか、あるいは最初から入れてなかつたか、はなはだ私どもは奇怪に思うのです。ことに信仰という美名に隱れて、多くの場合頑迷な人たちがこれをただ祕すべしとすることは、はなはだおもしろくない。國家的な大切なものであり、民族的に貴重な宝物であれば、堂々と公開すべきが当然だと思います。今度とにかく文部当局の御奔走の結果、おそまきながらこれが一應何らかの形で調査ができるようでありますからけつこうであります。けれども、こういうようなわかり切つたことが一世を騒がせるようなばかげたことが繰返されることのないように、今度提案されます文化財保護法のごときには、嚴重に明確にこの点を規定して、國家の大切なものである以上は、國民の意思によつて、あるいは政府の責任においてこれを公開させ、あるいは研究させる、こういう点などを明確にさせておきたいものだと思うのですが、当局のお考えはいかがでしようか。
○西崎説明員 意見を求められましたので申し上げますが、今おつしやいましたようなお考えをお持ちの方もたくさんあるのでありまして、今度の保存法ができます場合には、そういう点も十分考慮されまして、適当に内容に加えられると思うのであります。現在の情勢においては、國宝と申しましても、その保管その他のことについて、政府が万全の予算と万全の人とを持つて管理しておりませんので、なかなかそういうこともむずかしいかと思いますが、將來の行き方については皆さんの御意見を十分に考えた上で善処いたしたいと思います。
○佐藤(重)委員 主観的には信徒の人たちから見れば大事な祕物で、霊驗あらたかなものかもしれませんが、私ども同じ佛徒から見ますのに、はなはだ奇怪に思うのです。というのは、そんな霊驗あらたかなものをこういうふうにしておいて、今日明日のうちに五重塔が燒けないと一体だれが保障するか。そんなことは議論するだけやぼである。もうはつきり思い切つて、堂々と公開して、永久に残るように準備する方が賢明でないかと思います。文部当局はこの機会に積極的に重要な調査をさせ、適当な保護の方法及びこれをよく残す行き方について善処せられんことを希望したいのであります。ついでに申し上げておく次第であります。
○水谷(昇)委員 法隆寺五重塔の心礎埋蔵物調査に関する今回の解決方法は、私はまことにけつこうだと思います。文部当局の愼重な交渉によつて、ここに法隆寺側の住職並びに信徒総代が集まつて、自発的にこういう解決方法に出たことは、まことにけつこうだと、私は内心賛成を申し上げる次第であります。將來もこういう問題はほかにも起ることと思いますが、文部当局におかせられては、こういうふうに愼重にやつていただきたいということをここにつけ加えて申し上げておきます。
○原委員長 私からちよつと御質問申し上げたいのですが、そうすると親柱の再建の柱を建てる日取りは先へ延期したという評判ですが、いつごろその柱を建てて、下に舎利容器を埋めるのか、その日取りはいつごろになつているかということと、もう一つは、この前の理事開で文部省に御一任したのでありますが、決議文によりますと、舎利容器を奉拜するとあります。奉拜する学識経驗者の範囲はどういうふうにおきめになるお心組が文部省におありになるのか、それをちよつと承りたいのです。
○西崎説明員 申し落して失礼いたしました。立柱式は新聞によると十三日に延期されたと出ておりましたが、今度の問題が解決しました際に、深見保存議長が住職とお話をした結果は、大体二十日前後になる予定であります。從つてその間の時期に調査をするということになります。 それからもう一点の学者の選考についてでございますが、これは法隆寺さんの方と文部省と十分相談の上きめたいと思います。新聞に傳えるところによりますと、何か再建論者がどうとかこうとか書いてありましたが、決してさようなことはないのでありまして、ただ法隆寺さんは、学者としては宗教を尊重する人、宗教の信仰を無視するがごとき人は困るというような線しか考えておられないのでありまして、その人選は愼重に法隆寺さんの御相談に應じたいと思います。大体その道の学界の方から適任者を選ぶことになろうかと思いますが、その御相談に應ずる前に、われわれといたしましては、その道の、たとえば学術会議の関係者等の御感見も一、二聞いてみたいと思つております。
○今野委員 ちよつとお伺いしたいのですが、何でもこの舎利容器というのは、世界に二つか三つしかないような、非常に貴重なものらしいということが傳えられておりますが、今度の場合、かりに、たとえば五重塔が火災にかかるといつたようなことがあります場合に、こういうものは一体埋めておいた場合にどうなんですか。その点をちよつと……。
○深見説明員 その点はむしろ地上に出しておくよりは、地下に埋めておいた方が安全だと思われます。と申しますのは、現在五重塔の心柱が立つております地点から、さらに九尺数寸の地下にありまして、おそらく直径五尺以上大きな御影石の中に掘り込んだ穴の中に埋蔵せられ、その上に鉄のとびら及び粘土層——今回その上を密閉いたしますときには、さらに研究いたさなければならぬと思いますが、現在においては二尺ばかりの粘土層をもつて固めてございますので、下手な構造に移すよりも、その点は安全だと考えております。
○今野委員長 その点は了承いたしました。しかしそういうりつぱな美術的な価値、また歴史的な価値があるというようなものが、そういうふうに人の目から長い間隱れておつたし、また今後も隱れていなければならないということによつて、やはり國民の大多数はそういう藝術品に接する機会がない。從つて日本の文化の將來の発展にとつても、それが何ら参考にされて行かないという点もあるわけであります。それで今度の文化財保存法を立案する一つのねらいとしては、やはりそういう國民の遺産を國民に開放して、その上に新たに文化を打建てて行く、こういう点にあると考えるのであります。それで國家から多額の補助もそのために出して行こう、こういうことがあるわけでありますが、そういう点からすると、埋めておいて保存すればそれでよろしいということであつては、何か日本文化にとつてはまつたくかかわりのないものになつてしまうという氣がするのです。そういう点についてはどういうふうに考えてよろしゆうございますか。
○西崎説明員 最近にできるであろうと予想されます文化財保存法のきめ方によりまして、いろいろの問題が解決されて行くのではないかと思つておりますが、現在の法令のもとにおいては、非常にそういうことにむずかしいのであります。ことに今度の問題のむずかしいのは——これは申し上げまいと思いましたのですが、宗教の方の問題、信仰の問題ということがありますのと、それから五重塔が國宝として指定されまして、その下にいけてあるところの舎利容器という問題であるということ、しかもそれを多年何人も知らなかつたというような問題がありまして、非常な複雑な問題がありますので、現行法のもとで、今おりしやつたような御意見は、たといあちこちから出るといたしましても、それを解決するのはむずかしいのではないかと思います。しかも將來國宝というものに、文化財保存法で相当の詳しい規定ができるといたしましても、それが信仰の問題、宗教の問題等とからみます場合におきましては、必ずしも唯物的ないしは科学的な考え方のみからも行けないので、やはり精神的方面のことも十分考案いたしまして、両者の調和の点で進んで行かなければならないと思うのであります。從いまして、ただいまおつしやいました意見につきましては、ある程度私も同感でございますが、將來の持つて行き方は、新たにできますところの文化財保護法の成立とにらみ合せまして、十分考究して行く必要があると存じます。
○今野委員 そうすると、たいへん私は疑義を感ずるのです。それはどういう点かというと、憲法の規定によると國家の金をそういう一つの宗教上の目的や何かに、つまりある宗派の目的に使つてはいけない、そういうものに補助してはいかぬというようなことが、たしか八十九條でしたかにあるわけであります。こういうふうな点と何か矛盾するような氣がするのですけれども、その点については、どうお考えでありましようか。
○西崎説明員 ただいま五重塔その他の法隆寺の國宝につきまして、補助金を交付しておりますのは、これは全然宗教的あるいは信仰的なことを抜きにいたしまして、國宝としての補助なのであります。それから、今問題の埋蔵物の舎利容器は、その補助の対象にただいまはなつておりません。ただいまの補助の対象は、たとえば金堂でありますとか、五重塔の再建の補助であります。
○今野委員 わかりました。
○松本(七)委員 これはいずれ文化財保護法でもつて將來解決しなければならぬと思うのですが、今回の問題が起きたときに、文部省としては、一應公開というような線で話合いをされたかどうか、そのことを伺つておきたい。全然その話をされずに今回のような解決に至つたのか、それとも一應は公開の必要を認めて話をされたのか、その場合に先方はどういう意見を述ベられたか、お聞きしたいと思います。
○深見説明員 この問題に関しましては、すでに一昨年くらいから交渉があるのでありまして、特に昨年の秋におきまして、文部次官より正式に羽田前京大総長を通じまして、法隆寺住職にこれの調査、公開方を交渉をいたしております。その際にお断りあつた。その後もしばしば話をいたしておりますし、最近におきましても、六月の二十三日に、私からまたお願いをいたしたのであります。そういう結果を経て今日に至つております。 なお、いろいろ法隆寺住職の現在までの態度に、迷惑であるといつたような御意見があるのでございますが、実は今度参りまして、三日間いろいろと御懇談をいたしましたし、またその他で常に接触いたしておるのでありますが、元来この舎利容器は、他の佛像等のように、奉拜するようにできてない。拜むためのものでないというところに、大きな宗教的立場があるのでありまして、法隆寺さんといたしましては、夢殿の救世観音のように、千年の秘佛でも、今日はこれを拜ますような方向に向つておりますし、金堂内のあらゆる秘宝も、しばしば外部展覽をせられ、あるいは東京まで送つて來られるというようなことについては、少しもやぶさかでないのであります。しかし今度の舎利容器は、五重塔そのものの生命であつて、これはちようどお墓の中の骨と同じように、元来地上に出すべきものでないようにできておる。たまたまそれが非常に貴重な価値を持つておるから問題になつておるわけなんでありますけれども、この点に他の佛樣等と若干違つた宗教的信念をお持ちのようなのであります。今回もその点について非常に苦難されております。特に現在の学者があまりに唯物的であつて、科学的調査ということのみを主張されて、宗教的立場を理解していたたけないような言辞が耳に入るがゆえに、自分は非常に苦慮しておるのだということを言われておるのであります。特にそういう意味で、今回の選考の中にも、十分に宗教的立場を尊重する人を選んでほしいという希望をつけておるのであります。きわめてこの点デリケートなのでありますけれども、今日の過程といたしましては、この御精神を尊重する以外にないと存じたわけであります。この点、決して頑迷だというようなお言葉で批評されないようにお願いしたいと考えます。
○原委員長 ほかに御質問ございませんか。——それでは法隆寺の問題はこの程度でとめたいと思います。
○原委員長 それから、ちよつと申し上げたいのですが、文化財保護法につきまして、参議院との合同打合会を來月十日ごろ開きたいということをただいま申し入れましたところが、参議院の方では、こららでつくつた原案に対してさらによく檢討して、参議院の方の原案もつくりたいので、時日を要するから、來月の二十日ごろまで待つてくれぬか、こういうお話がありました。それで二十日ごろ参議院と連絡しまして、合同打合会を開くことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんですか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原委員長 それでは二十日ごろにしたいと思いますが、その日取りは御一任願いまして、きまり次第御通知申し上げます。
○今野委員 西崎局長が出ておられるので、ちよつと文化財保護法と関連して御質問したいのですが、文化財を保護するという趣旨、そして日本の文化というものを、過去を顯彰してますます高めて行く、こういうことが今問題になつておるわけでございます。しかるに最近聞きますと、國立博物館の職員ことに事務関係ではなくて專門家、そういうものの人減らしをしておるというようなこと、それからこれは文化財直接ではありませんけれども、科学博物館においても定員九十四名のものを七十八名に削るというようなことが行われておるようでございます。こういうようなことは何か逆行するような氣もするわけですが、一体どういうお考えでそういうことをなされたか、文部当局としての御説明をお願いしたいと存じます。
○西崎説明員 今般の内閣全体の行政整理に関係いたしまして、私たちの局におきましても、ただでさえ少いところを、特に社会教育方向はいろいろ專的な、たとえば映画、演劇その他を受持つてそれぞれ專門的に活動しなければならぬ、やむを得ぬ人たちであるにもかかわらず、相当程度の削減をしなければならなくなりまして、涙を振つてわれわれも整理をいたしたのであります。博物館及び科学博物館につきましても、その定員が減少されましたので、それの整理がおそらく館長に一任されて、館長がやむを得ず整理の対象にしたのであろう、さように考えております。
○今野委員 そういうことになりますと、たとえば文化財保護法が立案されて、ここでたとえば事務局を設けるとか何とかいうことになると、何かまるでまた話が逆になつて來るような氣もするわけでありますが、こういう点についてはどういう考えでしようか。
○西崎説明員 それにちよつと私もお答えに困るのでありますが、行政整理が國家の必要上やむを得ずされましたというので、将来に向つて國家的の要員がふえるとか、ちつとも申請されるところがないということは、これはできないことでありまして、新しい要求と新しい必要に應じましては、また新しい人をとらなければならぬと思うのであります。現状におきましては、その各所の現状を見て、これだけの人員の整理が必要だ、こういうことになつたのだろうと思います。
○松本(七)委員 今、整理されるときに、館長の責任でやられるというようなお話でございますが、たとえば整理する場合の基準だとか理由、そういうものが、これはよくあることですが、一般に仕事に非協力的であるというような理由でやめさせるというようなことを局長の方に具体的に通知があるのですか。
○西崎説明員 だれを整理するとか、どういう方針でするということは、すべて館長に一任いたします、何らの報告はございません。
○原委員長 本日はこの程度で散会したいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原委員長 それではこれをもつて散会いたします。 午後三時二十五分散会