P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
5回国会衆議院1949/05/22

文部委員会 第25号

発言数
26
登壇者
8
会派数
5
開催日
1949/05/22

会議録

原彪民主党(第十控室)

○原委員長 これより会費を開きます。  本日まで本委員会に付託せられました請願は百三十三件ございまして、これを一括して議題といたします。  ただいま理事会の結果を御報告申し上げます。水谷君。

水谷昇民主自由党

○水谷(昇)委員 理事会に御付託になつておりました請願合計百三十三件のうち、六・三制に関するもの十八件、採択、新制中学に関するもの三十六件、採択、教育予算に関するもの六件採択、習字振興に関するもの四件採択、著作権に関するもの三件採択、教育映画に関するもの四件採択、文化財及び國宝に関するもの三件採択、中尊寺に関するもの二件採択、大学校反対に関するもの二件議決不用、朝鮮人学校に関するもの二件採択、私立学校に関するもの二件採択、國立学校設置法に関するもの三件議決不用、その他單独のものは、それぞれ採決保留あるいは議決不用等に決定いたしました。この点御報告を申し上げます。よろしく御賛成のほどをお願いいたします。

原彪民主党(第十控室)

○原委員長 ただいまの水谷君の動議は御異議はございませんか。     〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕

原彪民主党(第十控室)

○原委員長 よつて水谷君の動議の通り決定いたしました。

水谷昇民主自由党

○水谷(昇)委員 ただいま理事会で決定いたしました点を本委員会においてお認めになりましたので、ここに次のような動議を提出いたしたいと存じます。  日程第一、第二、第三、第四、第五、第六、第八、第九、第一〇、第一一、第一二、第一三、第一四、第一五、第一六、第一七、第一九、第二〇、第二一、第二二、第二三、第二四、第二五、第二六、第二七、第二九、第三〇、第三一、第三二、第三三、第三四、第三六、第三七、第三八、第三九、第四〇第四一、第四二、第四三、第四四、第四五、第四六、第四七、第四八、第四九、第五〇、第五一、第五二、第五三第五四、第五五、第五七、第五八、第五九、第六〇、第六一、第六二、第六三、第六四、第六五、第六六、第六七、第六八、第六九、第七〇、第七一、第七二、第七三、第七四、第七五、第七六、第七七、第七八、第七九、第八〇第八一、第八三、第八四、第八七、第八八、第八九、第九〇、第九一、第九四、第九九、第一〇三、第一〇四、第一〇五、第一〇六、第一〇七、第一〇八、第一一〇、第一一一、第一一二、第一一三、第一一五、第一一六、第一一七、第一二〇、第一二一、第一二二第一二三、第一二四、第一二五、第一二六、第一三〇、第一三一、第一三二第一三三、の各請願は議院の会議に付することを要するものとし、採択の上内閣に送付せられんことを望みます。以上の動議を提出いたしますから、御賛成を願います。  なお日程第七、第一八、第五六、第九五、第九六、第九七、第九八、第一〇〇、第一〇二、第一一四、第一一九第一二七、第一二九、以上の請願は保留その他の請願は議決不要と考えますので、審査をこの程度にとどめられんことを望みます。以上の動議を提出いたしますから、御賛成を願います。

原彪民主党(第十控室)

○原委員長 ただいまの水谷君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶものあり〕

原彪民主党(第十控室)

○原委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————

原彪民主党(第十控室)

○原委員長 これより文化財保護法案を議題といたします。本案はただいま本委員会に付託されました。提出者の提案理由の説明を求めます。提出者田中耕太郎君。

田中耕太郎緑風会參議院文部委員長

○田中参議院文部委員長 本法案は参議院文部委員会のほとんど全員の共同発議になつております。その提出の趣旨は、日本が將來文化國家として発足して行く上におきまして、世界文化の長所を取入れますと同時に、わが國の千数百年來の文化の価値を自覚、意識いたし、そうしてその価値を十分認識いたしまして、これを精神的のかてとして、強化するとともに、それを保存し十分利用するということは、これはユネスコの精神なり、あるいは國際社会の理想にも合致するわけであります。また同時に外國の観光客等に日本の価値を理解せしめるのにも、大いに役に立つことを存じます。なお文化財を適当に保存する、また管理するということは、これまたネツクスト・ゼネレーシヨンに対するわれわれの義務であるという信念に基きまして、文化財保護法案を立案し始めたのでございます。ことにわが國の現状におきましては、文化財の保存はきわめて遺憾な点が多々あるのであります。まず國宝保存法は、二十年の期間をすでに経過しております。それで不備であつて種々の点において改正の必要があるわけであります。また國宝関係の行政機関がきわめて多岐複雑になつておりまして、現在文部省なり、あるいは博物館、國宝保存委員会等にわかれておりまして、責任の所在が明らかでないので、これを單純化する必要があります。また現在の機構におきましては、とかく行政が官僚化するおそれがあります。さような意味におきまして、國宝なり文化財保存の行政に自主性を與え、そうして國権の干渉からできるだけ守るというようなふうに行くのが教育なり、あるいはほかの文化的の制度の行き方でもある、さような方向にこの國宝なりその他の文化財の保存も持つて行きたいというふうに考えた次第でございます。  なお、現在の國宝の荒廃状態は、一刻も放置することを許さないものがございます。特に去る一月二十六日の法隆寺金堂の火災のごときは、從來のいろいろな意味の欠陷を暴露したものと申していいのでございます。また國宝が海外に流出するというような懸念も、今後の経済状態の変動によりましては相当ありはしないかと考えられます。さような点からいたしまして、文部委員会の多数の者は、かような法案の起草にとりかかつておる次第でございます。  本法案の特色を簡單に申し上げますと、第一に、國民の持つておりまする文化的遺産を保存するとともに、それを公開することによりまして、文化的遺産と民衆との接触をはかることを努めたこと、第二に、特に考慮いたしましたのは、私有財産つまり所有者の財産権を尊重し、それと同時に國家全体の利益、すなわち公共の福祉等の調和をはかつたという点でございます。このことは第四條の第二項が宣明しておるのでございます。  本法の適用範囲といたしましては、ただ單に有形の文化財及び建造物、絵画、彫刻等以外に、なお無形の文化財すなわち演劇、娯楽、工藝技術、その他の無形の文化財もその中に含まれておるのであります。たとえば文楽であるとか雅楽であるとかいうものは、保存し奨励しなければ、だんだん衰頽して行くおそれがありますから、さようなものもこの法案の中に盛り込んでおる次第であります。  次に本法案の全貌をごく簡單に申し上げます。まず運営の主体は文化財保護委員会でございます。これは文部大臣の所轄に属しておりますけれども、しかし独立して職権を行うことになつております。つまり文部大臣の干渉を受けないというわけでございます。委員の数は五人でございまして、これは廣い文化的識見を有する者で、両院の同意を得て文部大臣が任命することになつております。しかし両院の同意を得て任命する前には、やはり各方面の意見を十分聽取して、民主主義的にこのお膳立てをしなければならないことは当然でございます。この委員会に付属しておりますところの機関といたしましては、國立博物館や研究所がございまして、從來の國立博物館なり研究所はこの委員会の傘下に属するわけでございます。なお事務的の機関として事務局が置れております。  ところでこの委員会の委員の数はきわめて少いのでございます。これが動くためには委員会に諮問機関を設置する必要があるのでありまして、この諮問機関として專門審議会が設けられるのであります。これは各專門々々の方面によつてたくさん部が置かれるのであります。この各部におきましてほんとうにその道のエキスパートが國宝並びに文化財一般につきまして、保存または管理及び利用に当ることになるのでございます。  保護せられます文化財は現行國宝及び重要美術品の限度とは多少違つておるのでございまして、まず有形無形の二つにわけます。有形の文化財のうちで特に重要であり、世界文化的に価値の高いもので、類のない国民の宝として國家が特別に保護する必要のあるものを國宝といたしました。現在國宝の数は相当多数に上つておりまして、たしか七千くらいあるということを聞きましたが、さような多数の中に今度の新しい制度によりまして國宝として指定せられるものはあるいはもつと減じはしないかと思われます。  それから保護、公開の規定としては、あまり細目にわたりますので、法律案ごらん願いたいと思いますが、簡單に申し上げますと、法人の場合の管理責任者を定めましたこと、あるいは所有者、管理責任者の変更の場合の規定を設けたこと、輸出の制限、現状変更の場合等の條件をきめましたこと、また公開につきましては期日を限つて出陳あるいは公開の勧告をする。その場合には給與金の支給をするというようなことがきめられております。それから有形の文化財を賣却いたします場合においては、ほかに賣つてしまうよろも國が相当の価格で買うことが、國家的に適当であると思われるときもございますから、まず國に対する賣渡しの申出をなすべきことに規定せられております。また委員会は管理または修理に関する命令または勧告をなし得ることになつております。  特に今までの國法保存法その他におきまして考えられていないものは環境の保全という問題でございまして、たとえば奈良だとか京都だとかの市中にりつぱな國宝建造物がありまして、その近所には民家が櫛比しておる。一旦火災が起つた場合においては、その國宝建造物は類焼の危險にさらされておるというようなわけで、その環境を整備して國宝を保存する必要も場合によつてはあるのであります。またたとえば桂離宮のような、ああいうりつぱな庭園の周囲に俗悪な工場等ができることも好ましくないのでありますから、さような点につきましても、制限的の規定を設け得るようにしたわけであります。もちろんこのような場合におきましては、一般原則に從いまして國家の補償がなされなければならないことほ当然でございます。  大体内容はこの程度にとどめておきまして、立法の経過といたしましては、文部小委員会あるいは昨日行われました本院の文部委員会との打合会、それらを含めまして会合十七囘、案を改めること六囘に及んでいるわけでございます。その間に現地に出張いたしまして、いろいろ研究もいたしたような次第でございます。何とぞ慎重に御審議をお願いして御賛成あらんことを切望する次第でございます。

原彪民主党(第十控室)

○原委員長 ほかに参議院の提案者側から補足して御発言ございますか。

鈴木憲一新政クラブ

○鈴木(憲)参議院議員 ただいまの委員長の提案理由に、一点補足しておきたいと思うのであります。その点は税の問題であります。非常に税の問題は重要でありまして、たびたび審議されたのでありますが、結局いろいろの関係からこの際法案から抜いておく方がいいだろうということになりまして、抜いてあるわけであります。ところがこれはいわゆる日本の税制改革の目鼻がつきますればどうしても入れなければならぬ條項でありましても、修正の箇所、あるいは改正すべき点でもあるならば、その際を見越して、この際は一刻も早く成立させたいという希望を強く持つておつた次第であります。つけ加えておきます。

水谷昇民主自由党

○水谷(昇)委員 参議院の方にお尋ねいたしますが、税の問題については今御説明がありましたが、この法案通過後における予算的措置の問題はいかようにお考えになつておりますか。現在のままでこれでご満足なのでありますか、その点を一つお尋ねいたしたいと思います。

田中耕太郎緑風会參議院文部委員長

○田中参議院文部委員長 この予算的措置の問題でありますが、本法案が無形の文化財、演劇、雅楽その他の音楽等を含んで参ることになりますると、非常に多額の予算がいることは申すまでもございません。たとえばフランスのように國立劇場でもつくつて、そうして固有の演劇あるいは音楽を奨励するというようなことになることが非常に望ましいのでありますが、なかなかそこまで行くのはたいへんなことであると思います。それまで行かなくとも、たとえば文楽のあるいは雅楽の楽士等を養成して行く、後権者を絶やさないようにするということだけでもたいへんだと思います。しかしさような方面につきまして、とにかくこの法案で顔を出しておく、そうして文化國家の理想を示し、それに從つて今後予算をとつて行くというふうに努力したいというような意図をもつて法案中に入れたわけでございます。また有形の文化財につきましては、從來國宝保存法なり、あるいは重要美術保存法の機構が現存しておるのでありますが、これはきわめて不完全であるし、この運営もまた予算が十分でなければ完璧は期し得られないことはもちろんでございます。しかしながらこの方面もやはりわが國の経済財政全体がだんだん好転いたしますれば、少しずつ完璧になつて行くのではないかということを期待しておるような次第であります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 御説明によりますと、この法案の発議が、文部委員会ほとんど全員というお話でございましたが、どなたか不賛成というか、発議に加わらなかつた方もおられるのでしようか。

田中耕太郎緑風会參議院文部委員長

○田中参議院文部委員長 たしか共産党の岩間君が発議者に入つておられなかつたんじやないかと思います。

千賀康治民主自由党

○千賀委員 この機構の中の人事に関する問題ですが、新しいのを私は一部頂戴したが、人事は前のと同じでありますが、大臣の俸給よりも少からざる人を五人入れるということでございます。私はこれは技術者をお入れになるということに考えておりましたから、五人では足らね、これは数十人なければと思つておりましたけれども、先囘の説明を聞きますと、大体は政務官のようでございます。政務官ということになりますと、國家公安委員会でも五人、その他のものでも、こうした高給を受ける政務官がたいてい五人くらいで皆済んでおるようであります。文化財ということは、なるほど重要でございまするが、しかしおのずからいかに重要だといつても限度があることでございまして、今國家公安委員会が日本の國家警察の総指揮をするにあらずんば、日本の治安が保たれね、日本の國があり得ないという問題と、なるほど大切ではあるが文化財を管理する、その最高の職にある人が五人なければということでは、これはあまりに私はこちらに重過ぎると思うのです。何でも議論のしようによつて、これは大事だからといえば、どんなものでも大事という議論は立ち得るのでありますが、文化財が日本のために必要だ、また文化財が日本民族のためにも残して行かなければならないという考え方の程度で、この世の中の森羅万象を見まわして参りますと、たくさんの数の委員会をつくらなければ、ほんとうに日本民族が立ち上つて行くのに困るではないかという議論も立てることができるということは、思い半ばに過ぎるのであります。そういう意味におきまして、なるほど文化財は大事だが、しかしこれは思うに精神的に大事でありまして、國家公安委員やあるいは運輸省または郵政省というようなところでも、五人くらいでやつておるということから考えますると、もう少しこれは遠慮をしなければならぬじやないか。これは重要さの程度から言つたら一人でもよい、二人でもよい、三人でもよい、三人でも多いかもしれぬというような考えが起つて來るのでありますが、この点につきまして、あなた方は一向私らのような感じはお持ちにならぬか。ただあなた方がおあずかりになる文化財が、文化財の保存または新しいものを探し出して、これを分類統計するというようなことが重要だから、どうしてもこれは適用だ、断じて公安委員だとかあるいは鉄道だとか、そういうような中心機関と同じ大きさであらしめなければならぬというような感じをお持ちになつたか、もしもわれわれがここでそれはえらいから、ひとつこれを三人に減そうではないか、あるいは大臣の俸給より少からざる者というような、この月給はあまりにえらいから、それは事務次官と相当くらいとか、官吏の相当の人と同じくらいとかいうような修正を受けたとすると、そんなものではとてもやれないのだ、どうしてもおれたちの言うこの信念によらざれば、この仕事はできないのだというような強い御信念がありますか、それをこの際お伺いしたいのであります。

田中耕太郎緑風会參議院文部委員長

○田中参議院文部委員長 一般的に申しますと、提案者の氣持といたしましては、やはり非常に重要な委員会である。從つて特に委員長のごとき、相当の適任者を得るのには、やはり優遇しなければならないという考えから参つているのでございます。ところで、ただいま御指摘になりました國家公安委員会そのほか委員会がたくさんありますが、それらの委員会の振合い等も、実は多少考えて原案を作成いたしました。大体いろいろな委員会の中ではちようど中間くらいになつていはしないかというふうに考えております。國家公安委員会におきましては、委員が全部法務総裁と同額の待遇になつておる。ところが本案におきましては委員長だけが國務大臣の俸給に準ずる俸給を、その他の委員は一般官吏の最高俸給よりも少くない程度の俸給ということになつております。多少その点で違いがあることと存じます。

千賀康治民主自由党

○千賀委員 どうも私のお伺いをするところがはつきりいたしませんが、いろいろな委員会のまん中ぐらいとおつしやるのですが、私はかような運動は精神的なものが非常にあつて、この委員会が大きいからその効果が上るとは考えません。また委員会によつて効果が上るほどの予算を使うことも今の國の現状では許すまいと思います。また文部省内の今までの位置におきましても、ほとんど國宝保存という部門は、文部省の全体の仕事の非常にわずかな一部分であつたのでありますが、これがほとんど文部省の仕事と同じような中央の編成になつてくるので、どうもこれは大き過ぎるという感どを取り去ることができません。衣食足つて礼節を知るということも言われておりますけれども、われわれは今は衣食が足りないのだ、われわれの衣食を足らせるためにあらゆる血みどろの努力を國民はやつている。ほとんど國民の全階級が毎日々々安き心もなしにいかにして自分の生存を全うせんかということであがいているその最中に、あまりにもこの委員会の構想というものは時代錯誤であつて、大き過ぎる。かくいえばといつて、私は決してこれを軽視してはおりません。民旋の生存が遂げられれば、その史跡を守りあるいは文化財を守るということは、もちろん必要であると思いますけれども、現在の民族は昔の日本が考えたような、そんなゆうちようなときではありません。こういうことは何としても国民全体の理解を得て、國民全体が百年、千年後のために自分たちの文化財を残そうという協力を喚起して、その理解のもとにやつて初めて実数が上るのでありまして、いかにこの仕事が重い仕事だからといつて、いたずらに國民の実力を無視した構想を盛つてみても、これにはただ國費の濫費をすることになるだけで、決して実数は上るまいと考えます。この点に関しまして、私は何としてもやはり五人の大臣級の委員を置くということは、構想が大に失すると思うのであります。むしろこの仕事は五人の政務官を置くということでこの仕事の全部が終つてしまうというほどの、頭できかちのしりつぼみの、だけのこをさかしまにしたような形のものになる。私はそういうような氣がするのであります。この点に関しまして、提案者と私との意見が違うといえばそれまででありまするが、私はこの際一説会におきまして考えておるところをはつきりひとつ申し上げておきます。

受田新吉日本社会党

○受田委員 ただいま田中さんの方からこの提案の趣旨説明があつたわけですが、私はもはや明日にさし迫つているこの最終段階に、文化的な、かつてない重要法案が、しかも議院提出として出されたことに対して非常に無感量なものを持つておるのです。わけてこの文化的な最重要法案が参議院側から出されたことに対しても、実は参議院のかなえの軽重を問われた実によき機会であつて、特に参議院側には各方面の專門家がおられて、文化的な権威の人たちが網羅されている。その立場を十分生かされて、ここに出されたような保護法案作成の経過が実に念入りになされて、その実を結んだものであるという点において、非常に敬意を表します。この点文部委員会として参議院側がかつこうなものを取上げられて、そしてその本領を存分に発揮され、今や参議院があるいはその存在を否定する者さえ一部にあるようなときに、こうしてその二院制度の一方の重要な位置を確保されるに至つておることを喜ぶものであります。同時に、この法案は軽々しくこれがその場のしのぎに出されて、また大幅修正は次期國会になされるというような立場でなくて、できればこの機会にある程度の根本的なものとして生み出さなければならぬと思いますが、その点において参議院側はただいまの趣旨説明にありましたことく、自信をもつてお出しになつたという点において、私はある程度の安心を持つておるのであります。しかもこれが議院提出法案であるという点において、從來官僚が案文をつくつたものと違つた、われわれ國民代表の意見であるという点において重ねて敬意を表するものでありますが、しからばこの法案の全体を流れるものの中に、何か不用意なところはないかということを私この一両日研究してみましたのですが、参議院側からこつちに囘付されたこの案が、ことにこの二、三日前に最終案をいただいたような次第で、十分これを審議する間がないのでありますが、これを一瞥した立場から、非常に廣い面でこの保護法案の重要点に触れて立案されているところも敬意を表します。ところがこの法案が今までの國宝保存法、重要美術保存に関する法律、そのほかに関係しているものとして、史蹟名勝天然記念物の方面のものは文化財として取上げるものはないか。これもひとつお答えをいただきたいと思うのであります。またこの國宝その他の重要文化財と、それから無形の重要な文化財、この二つにわけて揚げられてあるのでありますが、國宝その他の重要文化財については、非常に強力な力を持つように規定されてあり、また無形の文化財は非常に自由な立場で、助成のような軽い意味の立場でこれが生かされておる。そしてこれの罰則規定が最後に出されておりますが、この罰則規定を見ますと、刑罰と行政罰を兼ねて、この欠陷を補うようにされておるわけでありますが、無形の文化財に対する行政罰はお考えないかどうか。たとえば四十九條の「委員会は、前條の規定による措置を受けた者に対し、三箇月以内の期間を限つて公開を命ずることができる。」これは公開をがえんじないというような場合に、何らかの行政罰を與えるようなものはないか、ただ命令するだけでそれに應じない場合は黙認するようにしているのかどうかそういう点について一應お伺いしたいと思います。

田中耕太郎緑風会參議院文部委員長

○田中参議院文部委員長 第一点の史蹟名勝天然記念物の関係でございますが、これが本法案に取扱われておりませんのは、この史蹟とかあるいは天然記念物は文化財という概念に入らないという建前で、これはまた別個に考うべき問題だと考えたような次第であります。この文化財の方は、文化という方面でもつて一貫しておるような次第でございまして、たとえば非常に珍しい道具あるいは日本の歴史の上から考えてみて、非常に重要な意味を持つているところの建物だとかあるいは場所というような、そういうものはやはりこれは一種の自然的存在物でありまして、狭い意味の文化的存在というわけではないのであります。それでその重要性は決して否定するものではありません、歴史の見地その他の方面から大いに高く買われなけれげなりません、また保護保存しなければならないのでございますけれども、これはこの法案の建前からいたしましては、はずしたような次第であります。  それから第二点は、無形の文化財につきましては、これは初めての試みでありますし、これからまた実際の運用にあたつて、具体的にこまかく委員会の規則等できめなければならない問題ですから、そこまで実は考えておりません。また当面の問題としては、罰則を付する必要もないかと存じたような次第であります。

受田新吉日本社会党

○受田委員 第三條第一号に掲げてあります有形の文化財のうちで國の所有するという第五十一條の規定でありますが、「政令で特別の定をすることができる」という規定はどういう場合であり、そうしてこれを特に政令をもつてやるという立場をとられた理由をひとつお聞きしたい。

田中耕太郎緑風会參議院文部委員長

○田中参議院文部委員長 國の所有する文化財につきましては、一般の一私人なり、あるいは法人の持つておる文化財とは、取扱いを異にする必要があると存じた次第であります。たとえて申しますと、正倉院の御物は國の所有になつておるわけであります。これにつきましては、公開にしろ、あるいはそのほかの問題にしろ、私有財産を不当に制限するとかいうような問題は起らず、國が任意に処置ができます。ところが社寺等に属しておるような國宝その他のものにつきましては、いかに公開することが必要であり、あるいは保存についていろいろ制限を加えることが必要であるといたしましても、本法のような基礎ができなければ、容易にそれが行われない。ところが國の所有に属するものにつきましては、國家が任意にできるわけでございます。さような意味において、法律で規定を設ける必要はなく、政令でもつて特別の定めをすることができる。つまり私有財産を侵すとか侵さないというような問題が起るからであると解釈しておる次第であります。

受田新吉日本社会党

○受田委員 そうすると、正倉院のような場合と法隆寺の壁画のような場合は、これはいずれも重要な点においては甲乙がないくらいに思うのでありますが、社寺というような法人が持つている場合と、國家が持つている場合とは強さを同じくする。ただ今のように、國の所有に属するがゆえに國家の権カを強力に発動し得るような幅があるという点だけでなく、そういう國宝のうちで、特級に属する國宝のようなものに対する特に強力な規定——これは國宝を指定なさる場合には、特級だとか、もしくは一級というように、二級ぐらいにわけて指定なさると思いますから、それに対する軽重をつける措置が、この中に委員会規則で定められるにせよ、根本規定として、特に國宝の中で、國もしくは法人の区別なく最も重いものを保護するような特別規定などを、最初立案なさるときにお考えではなかつたでしようか。

田中耕太郎緑風会參議院文部委員長

○田中参議院文部委員長 從來國宝の数が非常に多くて、それを國宝として全部保序または管理することについては、いろいろ問題があり、予算的に非常にたくさんの費用をとるわけであります。今度の建前は、國宝というのは、つまりとびきりの世界文化的に価値の高いもので、たぐいのない國民的の宝ということになつております。ただいまの御質問の趣旨のように、この案はそういう方向に考えてできておると思います。それから國の持つている國宝級のものにつきましては、これは從來國宝の概念には入らないわけでありますが、これもやはり少くとも公開等につきましては、宝の持ちぐされにはならないように努力する必要がありはしないかと思います。私は正倉院を見てつくづくそれを感じたような次第であります。ただ法律関係から申しますと、國の持つているものと一私人の持つているものとの間に、先ほど申し上げましたような違いがあるのでありまして、おのずから規定は違えなければならないと存じております。

松野喜内民主自由党

○松野参議院議員 提案者の一人として、受田委員から、ただいま衆議院側からごらんになつて、参議院議員として望ましい状態であるという激励のお言葉を頂戴して、私どもいかにも感激いたした次第でありますが、一体今度の議会におきましては、法案件数を見ましても、ほとんど内閣提出法案が多くて、今回は二百十二であります。しかしてお互い職員側の提出にかかるものはきわめて少く、衆議院側の提出が十一ですか、また参議院側で十九である。そこで御同様今後われわれ議員の方から調査研究して議員提出の案をだんだん多からしめたいと念願するのであります。かかる際において、参議院は参議院において、その使命を全うするために、こういう案を練つてみた方がいいというようなお言葉は、まことにごもつともで、いよいよますます両院ともこういう方面に向つてやらなければならぬと感じた次第であります。さらに先ほど参議院の田中委員長から説明のありました通り、いわゆる國宝保存ということに端を発し、衆議院側におかれましても、実地を御踏査になりましてのことであり、だんだん調べてみると、單に國宝のみの問題でなく、これが廣く文化財にと進んだこともお認め願いたい。のみならず單に保存という言葉でなく、この利用、活用、ことに文教の方面にこの資材を活用、利用するというところにだんだん研究が進んだような次第であります。お互い衆参両文部委員は、かような文化財を文部行政の方に活用するように努力しなければならねと感じております。われわれこの提案をいたすことについて、かような意味でひとつ御賛同を仰ぎたいと思うのであります。今回の衆参両方の懇談会におきまして、いろいろ念を要する場面、すなわちこのままに放つておくと、責任の帰属するところがはつきりしない、あるいは大切なる文化財が消えうせるとか、流れ去る心配もあるから、急いで調べてほしいというようなこともあつた次第でありますから、この際特に御審議を重ねまして、御賛成を願いたいということを私よりもお願いする次第であります。

原彪民主党(第十控室)

○原委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後七時九分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗