文部委員会 第6号
- 発言数
- 30 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1949/04/08
会議録
○原委員長 会議を開きます。 議事に入るに先だちまして、理事会の決定事項について御報告申し上げます。昨日の衆参両院の合同審議会のことについてでありますが、このことについては、本日衆参両院の各党の代表が打ちそろつて関係方面に行つていただくことに決定いたしました。 次に委員派遣の件でありますが、理事会においては派遣することに意見の一致を見ました。以上簡單に御報告申し上げます。 それでは議事に入ります。國宝保存に関する件を議題に供します。右件に関連する法隆寺問題につきましては、文部大臣御出席の上、特に発言を求めたいと思いますが、まず國宝全般のごとにつきまして説明員より御説明いたさせます。
○深見説明員 本日ただいま大臣並びに局長が参議院の方に出席いたしておりますので、私文化課長ですが、かわりまして御説明をいたします。 現在國宝と指定いたされておりますものは、昭和四年制定の國宝保存法によりまして指定されておるのでありまして、國宝指定の建造物が千八百二件、その他宝物類、書画、彫刻、刀劍、文書といつたようなものが五千五百八十六件、合計七千三百八十八件ございます。それから重要美術保護法によりまして指定されております重要美術品が、建造物におきまして三百四十六件、宝物類におきまして七千三、百孔件、合計七千六百五十一件あるのでございます。これらを現在國宝及び重美といたしまして保護いたしておるわけでありますが、これらの保護、保存、管理の主体は保存法並びに重美保存法によりまして、原則としてその管理者がこれに当ることとなつております。そうして特に社寺等におきまして、管理者がこれを修理保存すること困難な場合においてのみ、國費をもつてこれに補助することができるような規定になつております。但し特別の事情ある場合には、その他の場合にも補助することができるのでございまして、この部分においても相当適用はいたしておるわけであります。戰爭中修理保存のごとがきわめておろそかにされましたので、最近特にこの方面の要修理の件数がふえて参つております。と同時に、御承知の通り特に建造物におきましては、木造建造物でございまして、古いものは法隆寺の千三百年を初めとして、大体七八百年、新しいものでも五百年程度のものでございます。これらのものが木造建造物といたしまして、それぞれのかつこうにおいてほとんどその生命の切れる時期になつているということも言えるのでありまして、そういうところへもつて來て、戰爭中修理が十分に行き届かなかつたというので、最近特に目立つて要修理物件が蓄積しているという状態にございます。 終戰後こういう点を考えまして、政府といたしましては、逐次予算の許します範囲内において、保存を強化して参つているのであります。從來はきわめて少額の支出でございましたが、昭和二十二年度におきましては、総計六百七十万円の保存費が支出せられ、二十三年度におきましては四千万円の修理費補助が行われました。かようなわけで、最近の進行度におきましては、ようやく軌道に乗りつつある状況であります。しかしながら何を申しましても件数が非常に大きいので、これらを完全にかつ同時に修理を全うするということは、困難な状況にございます。 本年度は、この春法隆寺の炎上の不祥事を見たのでございまして、特に法隆寺の一日も早い修築ということを考えまして、この方面におきまして、現在内定いたしておりますところでは、約三千万円の予算が認められりつつあるわけであります。その他一般國宝物の修理といたしまして、法隆寺の三千万円を加えて現在一億円の内示があつたような次第であります。これらをもちまして、ただいまの計画といたしましては、約四十件ばかりのものを修理し、そのうち本年度中に三十数件は、中には継続事業も相当ございますが、これらを完了したい、かように考えております。一億円の予算ではすべてに満足するような修理はできないのでありますけれども、大体修理の方向を軌道に乗せることはできかかつたと考えているのでありまして、なお今後ともに努力をいたしまして、まず事務当局といたしましては、でき得ればこの二倍くらいな費用があれば、年次計画が十分に立ち得るのではないかと考えておりますが、大体われわれが要望しております最抵線までは來ているように思つております。 現在までに修理を完了いたしました建造物は、大正初めから今日までかけまして約八百棟が修理を終えているわけであります。今後年々三、四十件の計画を続けて行けば、ある程度の見通しはあるものと思つております。 その他宝物類の修理につきましても、本年は五百六十万円ばかりを支出いたしまして、宝物類の修理に当るつもりでおります。ただ一般宝物類の方は、個人所有になつておりますものが相当多く、件数の割合に國費をもつて補助する必要のあるものは少いのでありまして、不足ではございますが、これで緊急を要するものについては若干の補助ができるようなかつこうになつております。 大体今日の國宝の修理に関します状況並びに予算の措置は、以上のような状況になつております。
○受田委員 ただいまの御説明で國宝に対する政府の努力のあとがうかがわれたのでありますが、ここで重要な点についてちよつとお伺いいたしたいと思います。図案保存について、國宝保存法という昭和四年以來改正されないままでいる法律のもとにおいて、その保存の方途をはかることが困難な実情にぶつかられたのではないか。たとえば先ほどの御説明の中にあつた、個人の所有に関する國宝、重要美術品は、この保存法の規定によると、所有権の侵害ができないようになつている関係上、散逸のおそれがあり、特に戰後の混乱に乗じて、戰災に名をかつて、一たび指定された國宝、重要美術品であるというと、非常な價格に算定されるので、これに規定された罰則などによつて、罰金を支拂つた上に、さらに多額の收入があるというような意味で、巷間に、特にやみ屋や、海外の方面への流出とかいうような傾向があるのではないか、これに対してこのまま特に宝物類のごときを放置しておくと、せつかく古人の残した文化の遺跡がわれわれの時代に失われて、子孫に傳えるものを非常に減少するという結果になるおそれはないか。 もう一つ建造物の点においては、先ほどの御説明で非常に多数のものが修理の時期に到達している。しかも戰時中、この方面に力が注がれなかつた関係上、一時に修理を要求されているという状況であるので、これはやむを得ないというような御意見もあつたのですが、このまま進めて行つたならば、年々三十数件づつ修理をして行つても、現在のところ千八百幾らもあるような建造物に対して燒け石に水ではないか。そこでこの國宝保存法を改正して、國宝を整理すること、そしてもはや復價の見通しのきかないようなものについての整理と同時に、重要な國宝建造物、宝物類に対しては、さらに特別な対策を立てるようにする必要がある。 もう一つは所有権の問題で、社寺等の國宝建造物並びに宝物類は、これはお寺そのものが法人組織になつている関係上、個人管理者といつても、特定の人の独断ではこの処置がとれない関係上、寺総代とかまたはボスがこれに入り込んで、外部からの干渉を防ぐという関係上、今回の法隆寺事件のような、政府が補助金を出してやる仕事に対して支障が起るような幾多の例がまだ各所に散在していると思います。このようなことでは、せつかくわれわれの祖先が残したこの文化の遺跡をわれわれの時代においてそれを亡失することになるので、この際保存の対策として、社寺等の所有に関するもの、個人の所有に関するもの、それぞれの場合における強力なる対策を早急に立てる必要がないか、こういうような問題について私自身、またわが党としても切実に感じているのです。特に從來國宝というと、ある特別の階級の者がそれを持つていた関係上、指定されている人が他に公開をしない。從つて國宝の公共性というものが失われて、ある特権階級の独占物になつている。多くの人が観賞し利用し、さらにこれを保護する、この権利義務関係のあるべきものが、ある特権階級の独断によつて特権階級のみがそれを保護しもしくは観賞し利用するというような立場になつて、一般國民は國宝がどつち向いているかわからない。今度の法隆寺事件などでも一般國民は非常に関心が薄かつたのが、新聞輿論等に書き立てられて、それほど大事なものであつたか、壁画はそれほど重大な價値があつたものかということがはつきりわかつて來たのです。こういうような点において、政府そのものが今までこれほど大事なものの対策に対して怠慢であつたということを、過去の歴代の政府に追究をせなければならぬのでありますが、さしあたり現在の政府は当面の責任者として最近頻発する國宝、重要美術品等の燒失事件、亡失事件等が目の前に幾つも展開して來たのでありますから、もはや躊躇なく対策を立てなければならぬ。そしてこの点について私去る三十一日に文部大臣に対し緊急質問をして、特に法隆寺事件の責任問題にも触れ、同時に國宝保存対策についての信念をお伺いしたのでありまして、一應御説明を聞いたわけですけれども、この機会に、今御説明になつたあの事柄の中に、今申し上げたような幾つもの重大なる要素が含まれていることを考えたときに、文部省が今まできわめて遠慮的に取扱つて來たこの國宝保存対策を、この際根こそぎその方針を切りかえて——漸次予算の面においても増加しつつあるという点は認められまするが、関係方面においても最近非常に関心を持つて來てくださつているこの機会に、徹底せる保存対策を立て、特に法規の改廃等についても、政府当局の責任もさることながら、必要があるならば國民代表であるわれわれにおいてこの法律を改正して、よつてもつて國民の重大なる文化的なこの資産を後世の子孫に残すという責任を果したいと思うのです。率直に文部当局はわれわれにこの國宝保存対策の不備を訴えてもらつて、政府の力ではいかんともし得ないという欠陥をわれわれの前に公開してくださつて、ざつくばらんに國会と政府とが一体となつてこの國民全体の宝物の相当長く保存、強化するという方向に持つて行く必要があると思います。 もう一つ、一般に文化面において非常に軽く取扱つている政策の面があるのであります。わけて最近経済政策に重点を置いて、物の生産とか、もしくは例の経済安定とかいう点にとかく政策が集中され、大事な人間の生産、文化の顕彰とかいう点が等閑に付せられている。この欠陥をこの機会に——文化と生産というものは表裏一体のものである。特に今われわれの社会で一番大事な食糧問題、外國から輸入している食糧などの見返り品として向うに出しているものの中には、工藝品が非常に多数に上つて、その占めるパーセンテージも相当に達しておりまするが、あの工藝品だつて國宝である。正倉院の御物の模写された西陣織を見返り品として向うに出している、その逆に入つておる小麦をわれわれは食事にとつているのである。結局われわれは今生きているそのものの裏には、りつぱに文化の力、日本の文化が外國に信頼され、そして外國から無電されている裏づけとしてわれわれはものを食べているということを思うときに、決して軽視し得ないということを私は知るのです。だから文化問題と物の生産というものは、結局一体性を持つものであつて、これを等閑に付することは結局からの人間をつくることであり、秘の脱けた人間をつくることである。ロボツトの人間をつくつても、祖國の再建はできない。從つて魂の入つた人間、文化日本のりつぱな人間をつくることが必要でありますから、文部省は各省の中心に立つて、各省をリードするくらいの信念を持つて、今までのような伴食大臣というような立場ではなくして、また社会教育などがとかく軽視されたその場しのぎのようなやり方でなくて、もつと徹底して國民に魂を吹き込んで、もつと積極的に意氣込みを持つて教育行政をしてもらいたい。國宝保存という重大な問題にぶつかつて、わけて法隆寺というわれわれが千三百何年という世界最古の建造物を一朝にして灰に帰したという責任をこの機会に反省するとともに、この禍を轉じて福となす重大な機会が來たと思うのです。これをわれわれはただ單に過去の責任を追究するのではなくして、今後の日本人に重大な示唆を與えられた、この文教政策の重大轉換期に際して、文部省は大いに馬力をかけて、命の限りを盡すぐらいの努力を政治面に盡してもらいたい。もちろんわれわれ文部委員会もあげてこの文部省の信念に対しても協力し、同時にわれわれも結局政治的にもつと働きかけて、文化行政という点について、もつと活溌な、もつと光ある政策をいたしたいと思うのです。今申し上げたおもなる点について文部当局は同感をしてくださると思いますが、それに対してもう一度できれば局長からひとつその信念を申していただきたいと思うのであります。
○柴沼政府委員 ただいま受田さんの非常に御熱心な御発言を伺いまして、われわれ非常に感激いたす次第でございます。法隆寺を燒きましたことは先日も申し上げました通り、まことに申訳のない次第でありまするが、ただいまお話のございましたように、禍を轉じて福とできるようなことができますならば、せめて万分の一の償いにもなるかというような氣持がありまして、われわれの方といたしましても、ちようどお氣持のような方向に沿うて、いろいろ研究を開始しておるような次第でございます。 現在制度的に見ましても國宝の保存につきましては、なお相当改善を要する点のあることをわれわれ発見いたしておるのであります。われわれといたしましてはまだこれを法律に案文化するところまで進行はいたしておらないのでございまするが、しかし改正を要するものと思われる点につきましての基礎的檢討は一應済ませ、また博物館等の專門技術家にもいろいろその意見を徴して、ある程度その意見もまとまつたものがございます。もちろん法規の制定は、國会において最もその根本的な責任を有せられるのでありますから、もしこの國宝保存法の改正につきましてわれわれに協力させていただきますならば、われわれとしてまことにありがたい次第でありまするし、また持つておりまする限りの資料はひとつお目にかけまして、御参考に供したいと考えておる次第でございます。 なお國宝に限りませず、さらに一般の文化問題、また社会教育の振興の問題、さらにひいては文教一般についてのお話につきましては、おそらく文部大臣からいずれ後刻その信念を吐露せられることと存じます。ただいま参議院の本会議に答弁のために御出席中でございますから、私からも御趣旨のほどを十分に大臣に申し上げたいと存ずる次第でございます。
○水谷(昇)委員 ちよつとお尋ねいたします。個人の所有しておりまする國宝並びに重要美術品については、この終戰後の日本の非常なる変動にあたつて、散逸しておる分もあろうと思いまするが、文部省におきましては、それらの調査ができておりますか、それをお伺いいたします。なおそれにつけ加えて、個人の所有しておるものに対しては、修理の補助金を與えることができるのか、あるいはまたこれらの財産税や何かのときにあたりまして、これを軽減するような措置をとつたのかどうか、その点も一つお伺いいたします。
○柴沼政府委員 戰爭中並びにその後の経済界の変動によりまして、國宝、重要美術品等の所持者に変動があり、またその物が失われたものもあるという見込みをもちまして、これは國立博物館の專門家の手によりまして、すでに調査を開始いたしておるのであります。ところが御承知の通り、この所持者自体が住んでおる家を燒かれましたために、新しい所持者との連絡が非常にむずかしいのでありまして、そのためはなかなか調査がはかどりませず、相当の調査未了の分が今なお残つておるのであります。 なお個人の所有の國宝についての修理の補助金でございまするが、これは法律上は補助を出すことが可能であります。現に出しておる例も相当ございます。ただ從來は國宝を所持しておられる個人は大体において財政的に惠まれた方が多かつたために、國の補助金を必要とせず、自力で修理される向きが大部分でありましたので、社寺等のものに比べますると、比較的補助をした件数が少いというのが実情でございます。 それから税金の関係でございますが、財産税のときには図案を所持しておるために特に税法の扱いの上において不利益を受けないようにというそういう含みをもちまして、大赦省当展甘相当懇談を重ね、また國宝保存会の会長をいたしております細川護立氏、あるいは重要美術品等の調査委員長をしおります浅野氏等が、われわれとともに專門家的な立場からとれに協力してくれたのでありまして、実際問題としては、ある程度の大藏省当局の扱いの上の手心とでも申しますか、そういうものについては若干の了承を得たのでございますが、しかし財声秘に関する法律そのものの建前を変更することはとうてい許されませんので、実際の徴税にあたりましては、大藏省当局のお話の御了解よりも、もう少しきつい当り方をしたような実例もあつたようであります。財産税につきましては、そういう意味におきまして國宝を所有しております向きは、これは当然脱税できない明瞭な問題でございますので、ある秘度の税金は結局納めておるという実情であります。
○水谷(昇)委員 ただいまの御説明によつてさらにお尋ねいたしますが、個人の所有の國宝に対して、その後國立博物館の方において調査を進めておるようでありますが、これは文部当局におかれまして特に督促せられて、この際至急に調査をせられ、その整理を完備せられんことを私は要望いたします。 なお重要美術品についてはどういうことになつておるのか、國宝と同じように、國宝に準じてやつておるのか、その点をお伺いいたします。
○柴沼政府委員 お話の趣旨はよくわかりましたので十分博物館と協力いたしまして調査を進めることにいたします。なお重要美術品につきましても、その調査方面につきましては、國宝とまつたく一緒に調査をいたしておる次第であります。
○受田委員 先ほどお尋ねした事柄の中に、お答え願えなかつたことを、今水谷さんの御質問でお答えいただいた点もあるのですが、國宝保存対策の從來のやり方に関する欠陥に対して、文部当局はどういう反省をしておられるか。それが一つ今御質問の中にあつたのですが、國宝、重要美術品というようなものがどういうふうに所在されておるかということが、徹底的にまだ文部省にわかつていないのではないか。戰災にあつた國宝、重要美術品がどれだけの数に上つておるか、これは統計ですぐおわかりだと思います。その中に戰災にあつたと言いつつも、たとえば刀劍のごとき美術品のようなものは、戰災にあつたといつて町に流されておることを時折新聞などで見たことがありますが、こういうような点について、その実情を調査されたことがあるかどうか。今戰災にあい、散逸したという面を、どういうふうに対策を立てて追究しておるかという点、それから戰災にあつた数字、そして現在確実にまだ残存せる國宝、重要美術品の数字等を、一應現在わかつておるものをお知らせいただくこと。 もう一つは今までの法規によつて保護されておる社寺の國宝、建造物でも宝物でも同じことですが、社寺の國宝に対して文部省が博物館等に出陳命令を出された例をあげてくださつて、そのようにして博物館などに出陳命令をする以外に、管理権の発動をなし得たにかかわらず、それをなさなかつたために、今日まで多くの被害を受けたと思うのでありますが、そのような、社寺所有の國宝、重要美術品に対する文部省の監督権をもつと強く行使する必要がある。個人に対しては所有権の侵害のためにそれができないが、それに対して今補助金を與えたものが相当あるとおつしやつたのですが、その数がどれだけあるのか。個人の所有に対する補助金の交付、そういうものの判断をしてさらにお尋ねしたいのであります。
○柴沼政府委員 戰災にかかりましたものの調査は、いろいろな方法で進めておるのでありまするが、現在の法規では、強制的に調査をする道がないのでございます。從いまして、われわれが現在戰災を受けたとして処理しておりますものは、本人から戰災を受けたという書面の申出がありますると、一應それを正しいものとして受入れるしか方法がないのであります。もう少し調査の権能がありますると、立ち入つた調査もできるかと思うのですが、これが個人の所有権との関連がございますので、制度的にも確立しておらないのみならず、実際問題として相当やりにくい点がございまして、われわれとしては間接的に、たとえば書画、骨董商の方から入つて参ります情報であるとか、あるいは偶然專門家がそういう場面に出会つたというような偶然の調べ、そういうもの炉情報の形で入つて來るだけで、はつきりした調査ができないのであります。これらの点ももし個人の所有権等との関連がうまく調節されまするならば、新らしい制度に移行する際に、この調査ということについてある程度の方策を立てることが必要なのではないかと考えておる次第であります。 なお戰災を受けた数は、あとの御質問の個人のもので補助を出した例とともに、その数字をあいにく今手元に持つておりません。これは役所に帰りますとすぐわかりますから、後ほどお手元まで数字を書きまして申し上げることにいたします。 それから社寺所有の國宝の出陳命令でありますが、これは宗教的にどうしてもその寺から動かせないものは別でございまするが、いわゆるその手の宝物として所藏されておりますものは、國立あるいは京都のような府立等の博物館のほか、公共の施設あるいは場合によりますると博覧会、展覧会等の一部分に芸術の陳列をいたしますような場合に出陳命令をいたしておるのでありまして、その件数も毎年少くとも数百件に達しておるのであります。個人のものも、制度としては実は できるのでありますが、いろいろな事情から今まで出陳命令を出したことはございません。これは任意の寄託あるいは委託といつた形で、話合いの上で、命令なしに博物館等に出してもらうというような方法を講じておりまして、現に上野國立博物館におきましてはいろんな種類のものにわたりまして、相当たくさんのものがあの倉の中に寄託されておるような実例もございます。
○受田委員 今の数字は後刻お伺いすることにいたしまして、もう一つ、先ほど水谷さんの御質問の中にあつた財産税その他の税の課税の対象になる場合でありますが、課税をのがれるためのやみ賣買というようなものが行われるという心配もあると思います。特にこれは個人の所有の場合でありまするが、これらに対して賣買の移動をある程度制限する必要があると思うのであります。これらに対して、この法規の不備のために非常に困つた事例というようなものをお持ちではないですか。 もう一つは、この國宝保存法には、地方長官がタツチし得ないような規定になつております。前の古社寺保存法にも、はつきりと地方長官が國宝の修理保存等に対する指導監督権というものがあつたと思うのですが、それが削除されておる。私どもの例をとりますならば、山口縣に洞春寺というお寺がありますが、このお寺の國宝が屋根がすつとんからになつた。もうこれは修理の見込みが立ちません。このようになるまでに、縣はこれに対して修理をしようと幾たびか考えたらしい。瓦ぶきだとか、檜皮ぶきだとか、ちよつと手を打てばこのようにならないで済むのに、國宝保存法で國家が手を出さなければ手を出せない関係になつている。そういう問題について修理保存に関する指導監督権を地方長官に付與する必要はないか。史跡名勝、天然記念物などは相当地方長官が力を入れている割に、國宝に対しては直接國家が指導監督権を持つために、これに手を触れないという欠陥がある。この点においても、小修理その他について地方長官に権限を委譲するようなお考えを持たれないか。地方のあらゆるものが國会全体のものになりかけておるときに、地方長官にそうした一面の責任を持たせるようなやり方が必要ではないかと思うのです。こういう点についても文部当局としては、今まで文部省の係官が時折地方に要求されてちよいちよい顔を見せるという和度で、國宝は多くの人が関知するところにあらずというような慣習が長く行われて來たために、せつかく大事な國宝が腐朽して行く。われわれは今のような國費をもつて三十年目に保存修理をしてやつて行くというようなことよりも、もつと地元の人が関心を持つてそれに手を打てるような対策が必要ではないかと思う。中央から指令がないから、いつも手を触れられぬというわくをつくつて、地方の人はその腐朽を傍観しているというような状況があるのです。この点についても大きな欠陥があると思うので、その欠陥を率直にお認めなさるならば、そういう点について、早急に何らかの対策を立てる必要があると思うのですが、一應お伺いしたいと思います。
○柴沼政府委員 最初の課税とやみ賣買との問題でございますが、これは財産税に関しましては、財声税をのがれるために滅失したというふうな申立てをしたのではないかという疑いの持たれるものも、絶無ではございませんが、割合にそう多くはないように思うのであります。むしろそれよりも、現実に費買いたしますと、それが所得税として課税をされる。それが非常に痛いために、こつそりやみ質置をするという例の方がどうも多いようでございます。しかしこれは、いわば現在の税法の建前から申しますれば、そういう心がけの方がよろしくないのでありますので、そのために所得税を免除するという結論には、直接にはならないと思うのでおります。しかし一般にこのような國宝と税との関係というものは、いろいろな角度から檢討して、帰するところ、その保存に遺憾のないようにというところに何とか持つて行きたいというのが、われわれの念願なのであります。現に昨年までは國立博物館が買い上げました場合に、これは相当実際問題として値段が安いのでありまして、書画賣買の業者の買いますときと比べますと、半額以下というような実例も出ておるために、國が買い上げます場合には税はかんべんしてもらうというような実際の方法をとつて参つたのでありますが、昨年の本会議を通過いたしました税法でございますかによりまして、どうも今後はこれも困難なようであります。そういたしまして、國の買い上げる場合にも税金が重いということになりますと、いよいよもつてやみ賣買の形で物が隠れて行くおそれがありますので、これらの点につきましても、実際の扱いの方で、大藏省当局の好意のある考慮を目下求めておるような次第であります。 それから地方長官の國宝に対します関係は、実際には國宝の修理は、法律の建前から申しますと、所有者あるいは管理者が直接自費でやるのが、現在の法律の上では建前なのでございます。それができない場合に國から補助金を出すというふうに規定してあるのでありまして、もし國が補助金を出しますような場合には、地方長官にその監督の権限を委任するというようなことも制度上もございますし、また実際にやつておるのであります。従つて地方長官に全然無関係ではないのであります。むしろただいまのお話は、制度の問題でなく事実問題であると思うのであります。もし地方の自治團体に財政上の余裕があるならば、國宝を所有する社寺なり、あるいは個人なりに補助金を出すというようなことは、決して不可能ではないと思うのです。 ただもう一つ受田さんのおつしやるようなことになる原因といたしましては、現在國宝に関する專門家を孫で置いております所が、奈良、京都を除きますと、ほとんどないのでありまして、非常にこの方面の專門家の数が少いということが、地方長官が手を出しにくい一つの理由にもなつておるのであります。奈良縣のごときは、奈良縣自体の経費を使い、またいわゆる宝くじによる財源を使つて、國の補助金と合せて縣内の國宝を修理しておるというような実例もございますので、事実問題としてこれは解決すれば解決できないことはないというふうに考える次第であります。
○受田委員 もう一つつけ加えて簡單にお伺いして、私の質問を打切りたいと思います。今の國宝保存対策について、國宝保存法の修理とかもしくは調査とかいうものは、國立博物館がやつております。それと例の國宝保存に対する法規的措置は、文部省がやつておる。こういう二つの対立で調整がうまく行くかどうか。特に官吏が立案し、諮問委員会へかけて法律として公布したものを、今まで各博物館の方で專門家がいろいろと修理もしくはその調査に当つて行つた場合に、官吏の誤りを正して行く。官吏が机上プランをつくつたものに対して、その誤謬を正して行くというような点において、國立博物館と文部省という、この二つの系統の今までの行き方がうまく行つたかどうか。だから指定をする部面とその指定に対して管理をする部面との調和の上において、現在の機構の上に大きな欠陥を認められるのではないかということを私は不安に思いますので、ちよつとただしておきたいと思います。
○柴沼政府委員 國宝の調査あるいは保存修理を國立博物館に持つて参りましたのは、博物館が帝室から國に移管されるときに、一つの大きな抱負がありまして、向うに持つて参つたのであります。現実にどういうやり方をするかと申しますと、博物館の技術者がいろいろな基礎調査表に基いて原案をつくりまして、それを文部省に提出してもらいまして、文部大臣の名において國宝保存会に諮問をするという形をとつておるのでありまして、現在の文部省は技術の陣雲を全然持つておりませんために、いわば博物館の專門的な調査を事務的に処理するというだけにとどまつております。從つて実体はむしろ博物館の方に置いてあるのでありますが、そういう試みがよいか悪いかということは、確かに一つの研究題目だと思うのであります。過去二、円年やつて参りましたが、少し場所が離れておりますために、從來調査、修理等の部局が文部省にありましたときよりも、連絡がしにくいというようなことは、確かにございます。もしこの國宝の調査、保存等のことについて、ある程度機情が強化できるならば、やはりこれを一括して強力な組織にした方がよいのではないかということも十分考えられるのでありまして、われわれ今急に結論を出すわけにも参りませんが、決して現在の形が理想的であるというふうに申し上げられないという点は、受田さんの御意見と同じようなわけであります。
○受田委員 今のことに関連するのでありますが、結局今度の法隆寺の責任問題がそこに上つて來るわけです。法隆寺の保存、修理の事務所とか、保存会とか、そういういろいろな機関があるのでありますが、責任は結局どういうふうにこれが明らかにされたのか、法隆寺燒失事件を中心とした責任系統というものは、これは文部大臣から答弁をしていただくはずですが、大臣はそう詳しいところは御存じないで、漠然とこの間本会議で御答弁された。その責任問題について、ちよつとここで是後の責任者はだれであるかということを明らかにしていただきたいと思います。
○柏原政府委員 それは大臣から答弁いたします。
○原委員長 藝御大学の邦樂科の問題について当委員会において論議がありましたので、音樂学校の校長小宮先生をお呼びいたしましたから、先生より御意見を承りたいと存じます。なお正式にお呼び申し上げたのでございませんので、休憩して懇談の形でお聞きしたいと思います。 それでは休憩いたします。 午後零時五分休憩 ————◇————— 午後零時五十一分開議
○原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
○今野委員 法隆寺問題について文部大臣に質問いたします。 法隆寺問題については、前文部大臣あるいは次官が責任をとつておやめになるといつたようなこともあつたようでありますが、しかしそのときのことも、実ははつきりしてないのでありまして、責任の所在がどこであるかという点についても、非常にまちまちな議論が今もつて行われております。柴沼さんも何かひどい目にあつたようでありますが、しかし、極端のことを言うと電氣ざぶとんに責任があるのだというようなことまで言われておるわけなのです。しかしながらこの法隆寺の修理問題についてのいろいろな機構を考えてみますと、これはこの表にもありますが非常に複雑な機構である。そしてその責任が非常に漠然としていて、どこにどういうような責任があるのかさつぱりわからない。そのために今のようなことになつているのだろうとも存じますが、しかし結局この問題を処理する終局の責任は、文部大臣にあるということになりそうであります。そうだとすると、そういうことがもし明瞭であるならば、今度の予算の計上においても、あるいはまたこういう複雑な機構を改めて、もつと軍純なものにして、責任ある形でやるということについて、文部大臣から今までにも何らかの手が打たれていてもいいのじやないかと私ども考えるのであります。ところがどうも機構の問題、それと法規の問題等については、いろいろ障害があるというようなことで、まだ漠然としておりますし、それからな曲この予算を見ましても、たとえば法隆寺修理費が約三倍になつておりますが、しかしこの三倍になつているということは、物價が高くなつた今日大したものになつていないのじやないかと思われる。現に実地に調べたところの話によりますと、あそこに出張して壁画の模写に当つていた画家などの待遇にいたしましても日給でやつている。しかも日給三百円といつたようなごく低い給與、そしてその渡るところもひどいバラツクの小屋であり、食事もそういうところで粗末な食事をしなければならない。こういうような調子で、出張して非常に費用がかかるのでありながら、そういうようなひどい待遇でやつている。その他の直接費でなくて、間接費が非常に多くかかるような機構でありますから、そういうことから考えてみましても、この三倍ぐらいにしたのではお話にならないのじやないか、こういうふうにも考えられるのであります。そういう点について、現在文部大臣は何かまだ十分に責任を持つてやるという決心を抱いておられないようにも感ぜられるのでありますが、この点についてお聞きしたいと思うのです。 それから第二に、その機構を改め、またいろいろな法規を改める上において、非常な障害になるものとして、私有物の件と、もう一つは宗教云々の件があつたようでありますが、この宗教の周囲につきましては、なるほど法隆寺については昔から佛教徒、新しい宗派のものでも、たとえば日蓮にせよ、あるいは親鸞の場合にせよ、そういうような人でも、この法隆寺に対しては非常に大きな敬意をささげていた。そちしてこれに対する過去の信仰というものは、非常に多かつたということは、私たちも聞き及んでおります。しかるに現在において、はたして法隆寺にそれだけの宗教的な信仰というものが集まつておるかどうかということについても、私たち非常に疑いを持つものであります。そういう点についても、何らか強力な機構をこしらえて、そういう問題について調査し裁決するということが必要ではないかと考えます。この点についても何か非常に決断が下らないように見受けられるのでありますが、この宗教と國宝の問題についてどうお考えになるか、この点をお伺いしたいと思います。 なおこれに関連してもう一つの点をお伺いしたいと思います。それは大体この予算國宝保存関係のも、その他のものも昨日ずつと調べて見ましたが、非常に驚いたことには直接教育に要するお金、あるいは直接文化を拡充するための費用、あるいは直接科学の研究を促進するための費用というようなものは非常に少くて、それに対して事務費その他が非常に膨脹しておるということであります。たとえばそれのひどい例は、教育施設局のごときは、非常にたくさんの予算が減らされて、四分の一近くになつております。それにもかかわらず人件費の方は依然としてかわらないのみか、ずつとふえている。これは六三ペースでふえたのでしようが、ずつとふえておる。それから最もはなはだしいのは、大臣官房などにおける人件費が非常にふえている。そして事務費もまたふえている。それから本省関係の営繕費もまた必要以上になつている。その他の支出、本省関係の雑多な支出がふえていて、何かわからない支出が三倍にもなつている。一方において直接の費用である中学校の設備費補助の方はゼロになつている。それから一方中学校校舎模様がえ費用等は、去年とほとんどかわらない。從つてその工、六割しか遂行できないようになつている。そういうような直接費が減つて、すなわち文部省の仕事の中身が減つて、そうして官職機椿としては非常に厖大になりつつある。こういうような予算の立て方が見えるわけでありまして、この幽霊保存の場合においても、なおこういうような複雑な厖大な機構をやつておきますならば、やはりそれと同じことになると思うのであります。この点は法隆寺問題のみならず、全体としてこの文部予算というものの立て方が官僚的に、文部省自身が教育の廳であるというよりは、むしろ官僚化しつつあるということを明瞭に表わすものじやないかと思うのです。参考のために本省の人件費だけについて申しますと、二十三年度が八千三百万円ばかり、三十四年度は一億七千九百万円、一億八千万近くであります。そういうふうにこれが倍以上にふえている。こういうような点を、私は文部省の官僚化の促進というふうに考えるのであります炉、その点について文部大臣はいかがお考えになるか、お聞きしたいと思います。
○高瀬國務大臣 法隆寺國宝保存に関する機構の問題でありますが、法隆寺火災の責任の開顕についてもお話がありましたので、まずその点について私の考えを申し上げます。 先ごろ本会議の議場で御質問もありまして、大体御説明申し上げておきましたが、法隆寺の壁画は世界的に貴重な文化財である、これを焼失したという意味で、普通の國宝の場合とはよほど違つたところがあるというわけであります。従いまして、ただこの責任は事務的、法制的な責任だけでは済まされない、やはり道義的、政治的な重大な責任も負わなければならないものである、こう考えたわけであります。これは法隆寺火災調査会において——法律家、技術家、專門家が入つて愼重にきめた調査会においても、同じ結論でありました。それで政治的な、あるいは道義的な責任ということになりますと、これは法制に基く責任ではありませんで、やはり主管官職であります文部省の最高首脳部が負うべき責任だと思います。大臣がまず負うべき責任であろうと思います。大臣、次官等の最高首脳部が負うべき責任であろうと思います。それから法制上の責任ということになりますと、これは法律に基きまして裁定される責任でありまして、面接事業に関係のある方面の責任になります。それで普通の場合でありますと、保存の補助をいたしました場合には、文部省のそういう法制上の責任といたしましては、その補助費がいかに使われておるかということを監督するだけの責任になつておる。しかし法隆寺の場合は、ここに書いてありますように、複雑な機構になつておりまして、仕事が非常に重要で大規模なものでありますから、法隆寺という寺だけでもつてできることではないというわけで、特に文部省に委嘱されまして、文部省が保存事業部というものをつくつて、次官がその事業部の本部長、それから社会局長が理事ということでやつておるわけであります。普通の場合は金の使い方だけでありますけれども、そういう関係でやつておる仕事でありますから、保存事業部としての法制的責任というものもまた考えられる。ところが、保存事業部というものは、別に官制によつてできておる部ではない。そこに法制的に多少の疑問が起きて來る。官制でできておる部でありますと、当然でありますが、官制で噴きておらない点で多少の疑問があります。けれども、やはり実質的には官制でできておると同じような仕事をやつておつたのでありますから、やはり責任があるというわけで、社会局長は十分の一、三箇月の減給ということにいたしました。そして直接事業に関係しておりました事業所の所長及び技師、この二人は懲戒解職ということで、責任を明らかにしたわけであります。 それで、今度の火災が起きた点から考えても、今までのやり方がどうも不適当ではないだろうか、もつと適当な機構を考えてやらなければ、またそういう応酬があろう、こういう御鷲見であります。それについては、むろん私もいろいろと考えて、改めるべき点は改めなければならぬと考えておりますが、第一にその事業所の所長、技師というものが、今までは東京におりまして、ときどき出張しては現場の監督をするというようなことをやつておつた。そういうことも一つの今度の大きな火災の原因であつたと私は思うので、電氣座ぶとんの使用が、していいのかどうか、また使用するとしても、電氣座ぶとんが完全なものかどうかということにつきまして、そういう所長あたりの判定がもしすぐできたならば、こんなことにならなかつたのじやないだろうかというようなことも考えておりますので、今度解職いたしましたあとの所長、技師というようなものは、常時あすこにいなければならぬというようなことにしたいということでやつております。事業部のやり方につきましては、今研究させておりまして、もつと有効適切な方法があるならば、ぜひ改めたいと思つております。 それから画家の待遇等の点もありましたが、私は実際はいくら日給を上げておつたのか、それも実は知つておりませんでした。予算が十分でないという点から、あるいは非常に少かつたかとも思いますが、そういう点は十分これから考えて行きたいと思つております。 それからこういう国宝保存と宗教との関係というようなことについてのお尋ねがありましたが、この問題はなかなか私は複雑な問題であると思います。法隆寺壁画のごときものは、やはり私は宗教的にも重要な意味のあるものだろうと思う、単なる美術品としてのみは見られないと思う。その点では、やはり宗教の立場からも考慮しなければならぬだろうと思います。しかしそういたしますと、保存という点から言うと、いろいろと不便な点や欠陥があるということもありますから、宗教的な見地だけで考えるわけにはむろん参りませんが、やはりそれはある程度尊重しながら保存の方法を考えるということで行くべきではないかと思つております。 それから第三の点の、文部省の予算内部の均衡の問題でありますが、私は実はまだ入つたばかりでありまして、あまり内部のこまかい均衡については十分承知しておりませんけれども、決して文部省として、事務的に使う方面を非常に重要視して、そつちにうんと予算をとつて、仕事の方はそれほど重点を置かぬというような考えはありません。内部の変化が、今お話がありましたように実際になつておるのか、そしてその意味がどういうふうに解釈されるか、その点ひとつ会計課長からよく説明をしてもらうことにしたいと思います。
○小川(潤)政府委員 今大臣からお話の予算の点につきまして補足いたします。先ほど今野委員からお話のありましたような点は、事実としては、ことに人件費の問題、官僚化というような問題は、毛頭御心配はないのじやないかと思います。たとえば、本省の人件費関係は、すでにこの予算において三割の定員の削減を見込んであります。それから先ほど御質問のありました中等学校の設備の補助がゼロになつておるというような問題は、事実あるのでございますが、これはこの予算を締めますときに、まだ例の六・三制の公共事業のわくが決定しておりませんでしたために起きました偶然的な出来事でありまして、これは従来六・三制の公共事業の費用に対腐して、やはり三分の國庫補助をするという建前で進んで來ておりますので、六・二制に対する公共事業の額がきまりますれば、大藏省がそれに感じてまた予算を見直そうではないか、こういう話合いで進んでおる問題でございます。なおあちこち、特に最初の官房の計を見ますと、去年二億二千五百万円のものが、今年は六億にもなつておるではないか、中央において適当にやつておるのではないかというような感覚を一應受けるのでございますが、これは予算の組み方の技術の面が去年とはかわりまして、去年は行政共通費二億九千万円というのが、文部省の合計の一行前にございますが、こういうあいまいな共通費というのではわかりませんから、しかるべくあるべきところに収めろということで、これを各省に収めましたために、官房関係に多くの数字が入つて來ておるということでございます。 ことに人件費の膨脹は、去年の追加予算のときには二千三百円何がしかのペースでございましたが、今年は六千三百円で組まれておりますので、事実上の、数字上の膨脹はある程度やむを得ないのではないか。しかしこの点は人事院が中心となりまして、非常にきゆうくつに、かつ嚴格に、今年の予算はおそらく各省共通だろうと思いますが、その点は監視され、かつ編成されておりますから、そういう方面の御懸念はないと信じております。
○今野委員 ただいま事務当局からのお話でありましたが、私はその説明にも十分納得できない点があるのです。第一に人件費を三割減ずるということで、いくら六千三百円ベースになつたからといつて、倍以上にふえるということはちよつと考えられないことであると思います。 それからもう一つは、六・三制の補助が、公共事業費の面で削られておる。それに対應してというお話ですが、——受取る方から言えば、六・二制の建築費も削られて、なおさつき落しましたが、中学校ばかりでなく、小学校の方の設備の補助を削られておるのであります。そういうふうに全部が削られてしまつておるということは、六・三制を削つたことによる國民の不満というものを、さらにはげしくするものであるとわれわれは考える。それは政治的な責任の問題だというふうに考えるのです。しかもなお、そういうふうに六・三制方面のものを削つておいて、本省関係の廳舎の営繕その他の雑費というものを倍くらいにふやしておるような点も、まあ言つてみれば、現地の教育は破壊する、教育をつかさどる官廳だけがりつぱになる、こういう結果になるのでありまして、この点も大いに政治的に責任を持つて解決しなければならない問題ではないか。これが解決できないものであつては、政府としても國民に対して顔向けならないではないか、こういうふうに考える次第であります。大臣はその点についてどうお考えになるか、説明していただきたいと思います。
○高瀬國務大臣 人件費の問題でありますが、事務当局から申し上げました人をふやすということは、これは定員の関係から、どうしてもできないことでありますし、とにかく三割を一應目標にして予算から引いてありますから、別にその点について何らからくりを弄する余裕は全然ないわけでございます。べースが上りましたから、むろんそれだけはふえておりましよう。 そのほかの項目として、官職営繕なんというようなものも、各省共通に坪当り幾らということできまつておりますし、議員の被服手当とか、いろいろなものがありますが、そういうものも物價に應じて高くし、物件費も物價に應じて各省共通に高くされておるのであります。こういう事情にあるわけであります。 中学校の設備の補助でありますが、今まで予算編成この規約のようなもので、中学校の設備費の補助は、六・三制で教室ができた場合に三分の一は補助しよう、こういうことになつておるものですから、六・三制と切り離してということになりますと、今までの予算のとり方の、やり方をかえなければできない、こういうことになつておるわけです。ですから、おつしやるように教室の方ができないくらいならば、せめて設備でも——こういうことはりくつにはなりますけれども、実は今までの予算のとり方というものがそういう事情なんでありまして、教室ができたときに、それと同時にやる、こういうことになつておるものですから、引離し得ないような状況にあるわけです。
○今野委員 ただいまの説明、非常に事務的であつて、ちつとも満足できません。なお三割減という二とも、これはよく調べてみなければいけないと思うのですが、人件費が三割減で、いくらベースがかわつても、こんなに違うはずはない。現に教員の國庫補助の項を見てくださればわかりますが、そんなにふえておりません。從つてそういう点から言つて、これはもう非常にわけのわからない費用がふえておると思うのです。 それから、今お話を伺うと、営繕や何かは各廳とも共通であるというお話でありましたが、それならばなおさら政府全体に対して私は申し上げたいのですが、小学校や何かを建てることをサボりながら、官廳だけりつぱにして行く。文部省のみならずほかの官廳もまたりつぱにして行く。こういうことであつては、これは文部省のみならず、全体として申訳ないのではないかと思います。 また教員の俸給のことについて、さつき申し上げましたから繰返しませんが、なお非常に奇怪な費用が、これは少数でありますが、掲げてある。それは何かと申しますと、これは七枚目の裏にあるのでありますが、教職員組合に関する経費というのが、前よりずつとふえておる。これはわずか五十八万ばかりのものでありますが、この教職員組合の事務の運営費、あるいは教職員組合の育成施設とかいうものは、一体何事であるか。私どもこれを考えますと、教職員組合は、自主的な組合であると考えておる。それを文部省で予算をとつて、一体何をするのか。これは時間がないので非常に性急に申しますが、率直に申せば、昔の特交費に類するようなものになつておるのではないか。そういう点についても、この予算は承服しがたい予算であると思う。
○高瀬國務大臣 こまかい予算の部分につきましては、文書でもつてなお今野さんのところへお届けいたしますから、よくごらんになつていただきたいと思います。
○松本(七)委員 今の教職員組合に関する経費のこまかい数字については、委員長から委員会に詳細な資料を提出してもらうように、おとりはからい願いたいと思います。
○原委員長 承知いたしました。 —————————————
○原委員長 それでは、去る四日の委員会におきまして、水谷委員から、法隆寺の災害問題について委員を派遣すべしという動議が提出されております。この水谷君の動議に対して採決いたしたいと思います。派遣に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原委員長 御異議なしと認めます。 なお衆議院規則第沢十五條によつて、議長の承認を得なければなりません。委員派遣承認申請書に関しましては、理事と相談の上、委員長において決定いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原委員長 御異議なしと認めます。それではさようとりはからいます。 本日はこの程度で散会いたします 午後一時二十一分散会