農林委員会 第27号
- 発言数
- 147 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1949/05/20
会議録
○小笠原委員長 これより会議を開きます。 議事に入る前に議案が付託になりましたから、御報告をいたします。昨十九日楠見義男君外十八名提出による農業協同組合等による産業組合の資産の承継等に関する法律案及び藤野繁雄君外十八名提出による食料品配給公團法の一部を改正する等の法律案がそれぞれ予備審査のため本委員会に付託と相なりました。以上御報告申します。 それではまず地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、作物報告事務所の新設に関し承認を求めるの件を議題とし、政府の提案理由の説明を求めます。
○苫米地政府委員 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、作物報告事務所の新設に関し承認を求めるの件につきまして、提案理由の御説明をいたします。 作物報告事務所は、昭和二十二年四月各都道府縣に設置せられ、昭和二十二年産の米及びかんしようの収穫高調査より活動を開始いたしまして、その後標本調査法による科学的調査によつて、主要農作物の作付面積及び收積高等を推計し、その正確な把握に努めて参つたのでありますが、北海道につきましては、從來これを一作物報告事務所の管轄のもとに調査を進めて参りましたところ、その管轄区域は、他の作物報告事務所に比し、総面積においてはもとより、耕地面積、作付面積及び農家人口等におきましても著しく大きく、また各種の農業地帶が含まれておりますので、種々不便が感ぜられておつたのであります。それゆえ、作物報告事務所の調査がますます精密を要求せられ、府縣単位から郡単位、郡単位からさらに市町村単位の数字を要求されて参りました現在、この北海道を数支廳を単位として四地区にわかち、内地農業に最もよく似た道南地帶、札幌、旭川を中心とする水田地帶、帶廣を中心にする畑作地帯、北見を中心とする冷濕の特殊作地帶といたしまして、そのおのおのの地帶、各一作物報告事務所をして管轄せしめますことが必要となつて参つたのであります。それゆえ現在の北海道作物報告事務所を廃止し、これにかえて函館、札幌、帶廣、北見の作物報告事務所を新設することにつきまして、地方自給法第百五十六條第四項の規定により御承認を得たいのであります。 以上がこの案件を提出いたす理由であります。何とぞ愼重御審議の上すみやかに御承認あらんことを切望いたすものであります。
○小笠原委員長 これにて政府の説明は終ります。本件に対して質疑に入ります。
○竹村委員 ちよつとお尋ねしますが、もちろんこういう例外規定で北海道に作物報告事務所をふやすことは、われわれも納得が行くのでありますけれども、しかしここに一つ問題になつておることは。現在内閣委員会で審議中の定員法との関係がどうか。一方において首切りを規定する定員法が審議されながら、こちらで別々に増設して、人員をふやすという承認を求められて來る。その関係がどうも——私はこの定員法の問題については、こちらへまわつて参りますならば、これとの総合関係において問題を解決することはできますけれども、こちらの方ではまだ農林省の定員法の内容はわかりません。ひとつ農林省の定員法の問題を詳細に御説明願いたい。同時に定員法をどうするかということの資料を出してもらわぬと、片一方でふやして片一方で減らすというから矛盾してわからないのですが……。
○苫米地政府委員 定員法がどういうふうに決定いたしますかまだ明瞭になつておりません。しかしこの作物報告事務所を新設いたしますにつきましては、その定員が決定せられるときに、その範囲内で人員を増加せず、やり繰りをつけるという計画になつておりますので、さよう御了承願います。
○竹村委員 それであれば定員法を農林委員会で合同審査で……。それがやり繰りになつておりますとおつしやるけれども、なつておるのかなつていないのか、定員法が出ていないからわからないのです。少くとも、本日午後でも合同審査をやられるかどうか、やられるように政府の方で内閣委員会に申し込まれるかどうか。根本がわからぬのにそうなつておると言われることを信用してもいいようですけれども、そうなつておるということだけでは、資料がないので納得できないのですが、その点を御答弁願いたい。
○苫米地政府委員 これは案でありまして、この通りにきまるかどうか未定の問題であります。しかしこれは内閣の方針に從つて立てられたのでありますから、大体かように行くものと了解いたしております。それは内閣の方針に從いまして二割減ということになつておるのでありまして、標準予算定員は一万九千六百二十六名となつておりますが、このたびの減員数は三千九百二十五名。新増員はありません。そこで新定員は一万五千七百一名、こういうことになる予定でおります。もちろんこれは國会の委員会でいかように修正されますか、予断の限りではありませんけれども、大体内閣の方針に從つてできておるこの案でありますから、これがお認め願えるであろうとの推定のもとにやつておるのであります。
○竹村委員 それではお聞きいたしますが、一万五千七百一人の中にこれが入つておるのか、それともまた別にされるのか、その点を伺いたい。
○苫米地政府委員 先ほども申し上げました通り、この中に入つておるのであります。
○竹村委員 それでは政府の方に一つ資料を要求いたします。というのは一万五千七百一人の中に入つておるとおつしやいますけれども、それであれば非常に大きな問題だと思う。これは資料をもらつてからでないと、この問題は審議できない。なぜならば一万五千七百一人の中に入つておると仰せになられるのであつたならば、農林委員会にかかつていない。おそらく承認するかしないかはわからないものを、もうすでに承認したものとして、一万五千七百一人の中に入つておるというのは、大きな審議権の問題であります。もし承認しなかつたならば、もう一ぺん定員法をかえられるのかどうか、この点を一つ伺いたい。
○苫米地政府委員 これは内閣委員会にかかつておる問題でありまして、内閣の方針に從いまして減員された新定員の数が、ただいま申し上げました一万五千七百一というので、これは農林委員会に承認を経ておらないからけしからぬというお話でありますけれども、新しい定員、これは農林委員会に付託されておるのではありません。内閣委員会に付託されてそこで決定されるものであつて、ただいまの御非難は当らない。私はかように考えます。
○竹村委員 お考えになるのはかつてでございまして、別に私定員について内閣委員会でやられるものがけしからぬと言つたのではないのであります。つまりあなたは今新定員として内閣委員会にかかつておるのは、大体一万五千七百一人である。それを新定員とするように今考えているのだとおつしやつた。しかもその中には、今出されているものが含まれておる。いわゆる作物報告事務所の新設に関し承認を求めるの件、これを承認したならばそれだけ増員しなければならない。それだけのものが含まれておるとおつしやる。そうでしよう。含まれておるとするならば、そんなことはないかもしれませんか、もし農林委員会でこれを否決しました場合に、一万五千七百一人というものは、これも含めて一万五千七百一人だから、これを否決しました場合にはそれだけ人員が余つて來るので、また定員法を制定されるのかどうかということを聞いているのです。
○苫米地政府委員 それは先ほど申し上げました、私の答弁をお忘れになつたからそういうことが出て來るのであります。これは現在の決定さるべき新定員の中で融通をするのだ、こう申し上げたのであります。これをお忘れになつておる。これは現在作物報告事務所は、これらの土地に、札幌に事務所を置いて、その定員の中から出張させて調べておる。人員はすでに存在して仕事をやつておる。ただあの廣い区域で一々出張をさせてやるということは、提案理由でも申し上げました通り手が届かない、お粗末になる、こういう事実もありますので、今札幌にみんな集めてあるものを分散させて、四つのところへ持つて行こうというのであるから、決して違法のことを考えておるのではありません。もし否決されるならば、現在通り札幌に一つ置いて、そこから出張させて能率が上らない仕事をやるというだけにとどまつておつて、それだけ定員を減らすということにはならないのであります。その点御了承願います。
○竹村委員 大体わかりましたが、それでは今答弁された点の、その根本をなす大づかみに一万五千七百一人というだけでは、ここではそういうふうになつておるのかないのか、もちろん今の政務次官の御答弁を信用するといたしましても、その内容の詳細を見なければわれわれは納得できない。信用せよと言われても、今おつしやつた札幌の事務所にそれだけの人員が用意されて、出張させておるという現実は、おそらく定員法の関係の表の中に現われておると思いますので、いわゆる詳細な定員法の資料を御提出願いたい。それから私は質疑を続行いたします。
○平野委員 行政の簡素化の建前からいたしまして、不要なものは廃止することが理想でありますが、しかしながらもとより行政整理と申しましても、單に画一的に考えるべきではないのでありまして、簡素化し得るものは極力簡素化しなければなりませんが、一面また増強も要するものもあるわけでありまして、要は統制法そのものに関連するわけでありますが、供出制度というものはますます妥当化、合理化しなければならぬという面から申しまして、これまた作物報告事務所を存続し、これを整備するということは、必要であると考えるのでありまするけれども、この提案理由の中に、内地の方につきましては、郡單位からさらに市町村單位というように書いておりますけれども、私の承知している範囲では、これは市町村に置かれておるのでなく、数箇市町村が單位となつておると思うのでありまするが、そういう実情だかどうか、同時に現在の数箇の市町村を單位とするところの作物報告事務所において、完全なるところの業務が行い得るものであるかどうか、すなわちこれは供出制度の合理化、さらに今後一層これが強く合理化されることが要求されることになるのではないかと思いますが、その際に現在の機構だけをもつて、十分に目的を達成し得るものであるかどうか、この北海道のごときは、今回の改正によつて初めて四箇所にわけられたわけで、今までは一箇所でやられておつたので、北海道におきまするところの作物報告の正確というものが、とうてい期し得られなかつたものでありますが、これによつて幾分とも完全に近ずくと思いますけれども、北海道ですらそういう状態である。内地におきましても、数箇の市町村單位というような現状において、はたして目的が達成し得られるやいなや、こういうような点について大臣の御所見を承りたいと思います。
○森國務大臣 作物報告事務所の末端の組織については、お説の通りの現状であります。しかしこの作物報告事務所の責務は非常に重大でありまして、その眞実な調査によつて、日本の食糧政策を立てる根本をなすものであります。現在においては御承知のような組織になつておりまするが、今後におきましては、さらにこれを充実して行きたいと、かように考えておるわけであります。なお先般本会議でも土地に対する一筆調査をやれ、根本的な調査をやれという御決議もありますし、また政府といたしましても今少しく徹底した調査をせなければならないという考えも持つておるのでありまするから、將來はさらにこれを拡充いたしまして、眞に國会の決議に沿うような、調査ができるような機関にいたして行きたい、かように考えておるわけであります。
○平野委員 ただいまの件につきましては了承いたしましたが、さらに重ねて大臣並びに総務局長にお尋ねいたしたいことは、この作物報告事務というものは、單に機構だけでなくして、一番の重点はその人事にあるのであります。すなわちこれはそれぞれ地方の都道府縣並びに市町村というものとは、その立場を異にしておるわけであります。すなわち報告にあたつて、それぞれ地方の実情にとらわれた、情実に基いた報告が行われるということでは、とうてい供出制度の完全は期し得られないのであります。あくまでも農林省の独自の見解において、國家的立場から、嚴正公平なるところの報告がなされなければならぬのでありまするけれども、しかしながら今までの状況を見ますると、どうしてもそれぞれ当該地方の人物を充てるということになれば、何としてもそれぞれ地方の都道府縣知事並びに市町村長の影響下にあるということのために、若干公正を欠くというような憂いがあるわけであります。從つてどうしてもこれが人事ということにつきましては、よほど愼重を要し、しかしてその報告を適正ならしむるように留意することが、最も必要であります。單に機構を整備するだけでは、とうてい目的は達し得られないと考えられるのでありますが、そういう点について、政府としてはどういう所信のもとに、いかなる方法をもつて、こうした人事の適正を期して行かれるお考えであるか、それを重ねて承つておきたいと思います。
○森國務大臣 これはいずれの場合でも考えることでありますが、組織が問題となるか、その組織における人間が問題になるか、どちらもいずれの場合にもあるのでありまして、いかにりつぱな組織をつくりましても、その組織によつて動くところの人間が能率が上らなければ、これはだめであります。またいかに能率を上げる人がおりましても、組織が惡ければこれまた成績をあげ得ないのであります。これは両々相まつて行かなければならぬのであります。この作報の組織に対しましては、先ほど現在將來に対する考え方を申し上げたのであります。由來作報というものは、今日納税の関係から、あるいは供出の関係から、地方にはあまり好まれない仕事をやつておるのであります。それでとやかくの批判が作報事務所に加えられておることをわれわれは否定することができないのであります。地方から憎まれるだけ、それだけ誠実な数字をつかもうと努力するところに苦心があり、作報事務所の存在の意味があると思うのであります。それでありますから、いろいろ批判がありますけれども、この批判を気にいたして、地方の自治体と談合するような者であつては、眞の目的を達することはできない。いやしくも政府の一機関として、毅然として自分の職務に忠実に働くという人をもつて、その衝に当らせなければならないと考えております。組織の点におきましては、現在、さらに將來の考え方を先ほど申したのでありますが、その衝に当るところの官吏に対しましては、今申しましたように、地方の情実、因縁に支配されず、毅然として自分の職責を遂行するというしつかりした人を配置いたしたいと、かように考えておるわけであります。
○平野委員 ただいま大臣の御答弁によりまして、毅然たるところの、嚴正公正なる人事をする考えであるということは了承いたしましたが、しかしながら具体的なる方法等につきましては、実際のこれが指揮をとられるところの総務局長の御意見を承りたいと思います。
○平川政府委員 この人事の実際につきましては、それぞれ所管の局におきまして、その部局の人事に関係しておるわけであります。ただいまの作報事務所につきましては統計調査局長の方で担当しておられますから、統計調査局長から……。
○近藤(康)政府委員 作報の人事につきましては、当該地方の人がその衝に当るのは、嚴正なる調査をするという観点から、どうも心配があると思うがどうかというお尋ねと思いますが、まつたくわれわれも同感であります。理想といたしましては、まつたく利害関係のない地方の人をそこに置きたいということが、われわれの願望でありますけれども、ことにこのごろ巡察の関係がありますので、その理想が十分に参つておりません。ただ所長あたりの人事は、これはほぼその地方出でない人をとつて置く。ただ課長になりますとそうはいかないような状態が多いかと思います。 それから最も重要なのは、最末端で働いております出張所の人でありますが、これはわれわれの方ではこういうふうに考えております。出張所は大体五箇町村くらいに一箇所ありますから、なるべくならば自分の村の管区でないところ、しかも通える程度のところで勤務させるということを心得てはおりますけれども、それが十分行つておらぬと思います。これは待遇、ことに住宅というような問題が解決できるならば、御趣旨のようになるべく早くかえたいと思つております。
○深澤委員 日本の農業を科学的な基礎の上に置くという意味におきまして、日本農業の統計的な、確実な調査をするということに対しましては、われわれは満腔の賛意を持つているのであります。特に日本は國際的な地位を獲得する上においても、世界農業生産の上に確実な数字を提出するという基礎をつくる上においても、われわれは何ら異存がないのであります。ただ問題になりますのは、作報事務所がそういう純然たる調査機関といたしまして、一切の行政あるいはその他の政治の具体的な関係に煩わされずに、独自な立場においてこの調査というものが行われるということに対しましては、われわれは非常に敬意を表しておるのであります。また作報の現在の人たが、そういう信念のもとにやつておられることも、われわれはよく了解しておるのであります。しかしたまたまこれが、現在行われておる供出制度の基礎になり、あるいは参考になつておるというところに、地方農民がこの作報事務所に対して怨嗟の思いを持つような傾向があると思うのであります。御承知のように、農産物價格の点におきましても、農民自体は非常に不満であります。供出割当の不公平の問題につきまして非常に不満であります。ところが作報事務所が調査いたしました結果が、ただちに反別増あるいは反收増というような、供出の具体的な施策の上に、大きな権威を持つてこれが認められておるというところに、大きな矛盾があると思うのであります。こういう点につきまして、この事務の担当者であるところの近藤先生に対してお聞きするのでありますが、この作物報告事務所が本來持つております性格と、具体的な今日の供出、生産の面において大きな矛盾が感じられておると思うのでありますが、この点の矛盾をいかに調節して行くかということは、今日生産農民に対して非常に大きな問題であると思うのであります。この点について、ひとつどういうお考えを持つておりましようか、お聞きしたいと思います。
○近藤(康)政府委員 ただいまの問題につきまして、私はこういうふうに考えておるのであります。公正なる供出をするためには、どうしても正確な資料によらなければならないということであります。ただどういう方法でその正確な調査をするかということが、今まで方法がなかつたのでありますが、統計調査の理論的な方法が進みまして、今日ではたとえば町村を單位として、たとえば一%の誤差の範囲で調査しようとすれば、どれだけ面積なら面積を実際に当ればよろしいかという計画が立つようなことになつて参りましたが、それはどの程度の誤差の範囲で申告を訂正して、実際の数字に近づいた数字を知ることができるかということだと思います。われわれの計画は、今年の稲からは、町村の單位で一・五%の誤差の範囲で推計しようということで、先ほどお話のありました約一万九千人ばかりの人を置くように、要求したわけであります。それが二割減らされまして一万七千ばかりになつたわけであります。一・五%というのをやるのには、かなり労働強化をしてもおつつかないじやないかと私は心配をしておつて、若干の誤差の範囲が大きくならざるを得ないということを心配いたしております。一つの問題は、とにかく誤差の範囲を小さくするということであります。しかし供出の問題に関連して考えますと、ただ府縣より都、郡より町村というように、精密にしたということたけでは、問題は解決できないのでありまして、最後に米を供出するのは個々の農家でありますから、個々の農家との関係を考えますと、どうしてもこれは作報というような官僚機構だけでは問題は解決できない。村のわくをきめるところまでは作報は責任を持つてやります。一・五%の誤差の範囲ではあるけれども、それはやります。その上でだれにどういうふうに割当てるかということになりますと、これはどうしても農業調整委員であるとか、村の中で、その問題を同じような考え方で、公平嚴正な割当をするというふうに動いていただかないことには、これは町村までのわくをしつかりやりましてもできない。これは一口に申しますならば、町村、官民そのつもりでしやるという態勢が整わなければ、この供出の問題はほんとうの意味では解決できないだろうと思うのであります。
○小笠原委員長 ただいま安本長官がお見えになりまして、先般わが委員会の総意によつて、農家の必需物資の配給問題に対して、内閣でまとめた御返事をなさるということであります。ただいまその説明に参りましたからその方を先にいたします。
○青木國務大臣 委員諸君の御承知のように、本年度における麦とばれいしよ、それらのものの供出をできるだけ促進する、こういうような意味で、特にこれにリンクいたしまする衣料品等の配給につきましては、ぜひこの効果をあげたいという意味をもちまして、できるだけすみやかにこれを配給する。それにつきましては、なお一定の範囲のリンク衣料品、その他の物資につきまして、需要者の送択制ということを強く強調いたしまして、この供出の目的を達成いたしたいという心組みから、本年麦なりあるいはばれいしよの供出についてのリンク物資につきましては、大体その取扱いについて、登録小賣業者別の新規取扱い数量の割当というものは、消費者である供出農民の希望する度合に應じまして、地方長官においてこれを決定する。その措置を実施するにあたりましては、リンク用衣料品の配給時期をおくらせないということ、かつまた農村の自由な意思をこの点に反映させるということにいたしまして、各登録小賣業者のいずれにも差別的取扱いをしないこと、こういうことを決定いたしておる次第でございまして、農業協同組合またはその全國連合会を新たに小賣または卸として登録することについては、次回の登録更新の際に、一般商業者と無差別に取扱うものとするということの決定をいたしておる次第でございます。もちろんこれにつきましては、われわれの配慮としては、農家の方々のリンク物資に対する御希望——今日の統制の状態のもとにおいては、適品適時ということが十分には参りませんが、しかしながらその適時適品が需要者の手に入るということの幅を考えて、右申し上げましたような決定をいたした次第でございます。
○吉川委員 簡単にお尋ねいたしますが、ただいま安本長官のお答えのうち、政府のお心組みはまことに私どもありがたく思うのであります。しかしそのお心組みの具体的な現われが、昨年度と少しもかわつていない、一歩も前進をしていないということであります。昨年非常な混乱を生じたのでありますが、その問題が少しも解決されていない。しかも現政府は絶対多数の有力なる民自党の上に立たれたところの政府でありまして、この際、この問題が中央において解決ができないということであつては、おそらく農民の生産意欲には、相当よくない影響が及ばされるのではないかということを、私は憂慮するのであります。このような有力な政府において、なおかつかくのごとき状態にあるということは、これは政府御当局も十分考えていただかなければなりません。そもそもこの問題は、農林省と商工省における相当長い間の懸案でありますが、今新麦、ばれいしよの出まわり期を控えて、今ごろこの問題が論議されておるということ自体が、まことに無責任きわまる状態であるということを、私は遺憾に思うものであります。しかし安本長官のお心組みは、まことに私たちは有難いお心組みだと思いますから、もう一ぺんお考え直し願いまして、そうしてこれを地方長官にまかせるなんということではなくて、中央でここ一両日の間に、すみやかに決定していただくべきであると考えますが、それについて長官はどうお考えでございましようか。
○青木國務大臣 この問題につきましては、かねてからいろいろと研究もし、論議もいたしたのでありますが、御承知の通り從來の経過から見まして、一應ともかくも登録店というようなものがございますので、これを一気に——あるいは御希望であろうと存じまする予約というようなものを中心といたしまして、これをその会員の利益のためになつておりまする協同組合というものに全部まかすということについては、今日のところなお決定しがたい点がございますので、先般安定本部といたしまして、油の問題につきましても、協同組合にも一般的にこれを渡すことができるような措置はいたしました。しかしこの問題について、今日ただいま御希望の通りに決定するということについては、かなり至難な問題がございますので、先ほど申し上げましたような決定をいたした次第でございます。この点御了承願いたいと思います。
○吉川委員 ただいまのところ麦、ばれいしよについて適用できるような、すみやかなる御措置がどうしてもできないということだそうでございますが、それでは、米、かんしよにつきましては必ずやつていただけるかどうか。それから時期と方法について、もう少し具体的なお答えを願いたいと思います。
○青木國務大臣 ただいまのところ、私どもといたしましては、米の供出時期について、必ずそれを御希望の通りに決定するというようなことは申し上げかねますし、なおわれわれとしては研究いたしまして、その決定がどういういうにきまるかということについて、いろいろと——まだ期間もございますから、なるべく早くそういうことは善処いたしたいと思いますけれども、しかしこの点もかなり商人といいますか、商業関係の方面ともかかわりがございますので、御承知の通りの事態でございますから、この点は今日のところ、一應ともかくこの決定を御了承いただきまして、今後の問題については、なお研究いたします。こういう程度のお答えしかできないのでございます。
○河野(謙)委員 この機会に安本長官に、農村資材と資金の関係でお尋ねいたしたい。実は先日來本委員会に油糧公團の十五億の増資の問題が出ております。この油糧公團の十五億の増資の問題は、これは露骨に言うならば、油糧公團自体の資金繰りが惡いために、貿易廳の支拂いが滯つた、これがために十五億の増資になつた。しかしこの問題がないにしても、一面の理由としては、油糧公團が製品の手持期間が長いから資金が困難だ、こういうことです。私はこの問題をお尋ねするわけではない。かように油糧の問題につきましては、油糧公團自体が製品を長く手持して、そうして消費者に適当な時期に適当な品物をやるというような便宜をはかるならば、肥料の問題もなぜ同樣な処置をとらないか、御承知のように、安本において、肥料資金の問題はいろいろと御心配されていることは、よく私も承知しておりますが、今の肥料の配給は、肥料公團の資金の一切のめんどうを政府自体が見ていない。わずかに認証手形の制度によつて六十日の金融をつけさしているだけであります。それがために肥料は、現に今年のごときは、昨年の十一月から春にかけてどんどん配給している。農家の資金を吸收するために、肥料を道具に使つているという事実があります。それがために肥料の配給は非常に混乱している。この秋の肥料はもうすでに配給を始めている、農家はとりたくない、適期に肥料をもらいたいのでありますけれども、今から肥料を押しつけられて非常に迷惑をしている。かような肥料の資金の問題については、政府は少しもめんどうを見ないが、油糧問題については政府がめんどうを見ている、かような状態にあります。この肥料資金の問題について、安本ではいろいろ御心配をいただいていることはわかりますが、少くともこの秋からは適期に肥料が配給できるように、秋の施肥の時期までは、少くとも政府の責任において、肥料公團において手持ができるように御心配願わなければ、農村と都市との間に相かわらず不平等の政治が行われるということになるのでありますが、肥料資金の問題につきまして、政府の、特に安本長官の御努力を願いたい。これは肥料問題だけではなく、農村資材、資金の問題につきましても、安本は農村を都市と同じように考えてやつていただけなければならぬのでありますが、この点について大臣の御所見を承りたい。
○青木國務大臣 経済安定本部は総合企画の場所であります。從つて國民経済全体について、一應その基礎を考察いたしておりまするし、またその運営についても考えておるのでありまして、御承知の通りこの公團におきまする自主性といいますか、自立性というような観点からも、その認証手形等の措置によつて、金融的なまかないをつけるというようなことは、これまでもやつて参りましたところでありますし、政府としても、できるだけの援助はいたして参つたのでありますが、今回九原則の実施に伴いまして、金融全般についての信用なり、その他金融上の措置、その他は、できるだけ自主的にこれを解決して行くという方向をたどりつつあることは、御承知のことと存じます。從いましてわれわれといたしましても、できるだけそういう点については、今後とも考えては参りまするけれども、できるだけこの認証手形等の活用によりまして、金融的な措置をまず講じていただかなければならぬというふうに考えておりますし、なおその他一般的に援助できます部分については、今後ともわれわれは大いに努力をいたして、援助いたしたいと存ずる次第でございます。
○河野(謙)委員 しからば今の認証手形の運用によつて、でき得る限り自主的にやらせる、これはもうやつておるのです。それでもなおできない部分については、農村の負担もやむを得ない、こういうふうに私は御答弁を伺うのですが、そうすると、結論として、依然として、農家は施肥の時期の直前にあらずして極端に言えば、半年も前から肥料を押しつけられるようなことを今後繰返すのでありますが、これにつきまして、私はこの実情を見て、なおどこまでも今後自主的に認証手形の運用の範囲においてやる、それ以外に方法がない、こういうことで政府があるならば、私は非常に大問題だと思うのです。繰返して申しますが、さようなことが終始一貫しておるならいいけれども、一方におきまして、油糧公團のごときは、政府の資金において製品の手持ちをさしておる。農村の資材は手持をさせない。大部分が都市が消費するところの物品については、資金のめんどうをする、かような事実がここに出ております。この点を私は伺うのであります。もう一度くどいようでありますが、御答弁願いたいと思います。
○青木國務大臣 これまで御承知の通り、復金のような金融機関がございました。しかし今日は復金の機能というものが、まつたく制限を受けておりますことは御承知の通りであります。從いまして、まずわれわれの今日やり得ることはできるだけ民間に資金を充実して、財政が金融を食うということを避けなければならぬということが、また第一義であります。從いまして、その原則的な公團の自主性ということに伴つて、認証手形等、その他金融的措置によつてでき得ることは、これは援助いたしまするけれども、ともかくも、そういう態勢で今後進んでいただくような方針を立てておるのでありまして、その他政府として援助し得る範囲がございますれば、それはできるだけ援助をいたしたいと存じます。
○河野(謙)委員 しからば安本長官の御意思はよくわかりましたが、この安本長官の御答弁によつて、農林大臣はいかように考えておるか、それをひとつ農林大臣から伺いたいと思います。
○森國務大臣 肥料の問題については、特に河野委員は内容をよく御承知であるのであります。農家に割当てまする肥料は、反当り何ぼという大よそ目盛りをいたしておるのでありますが、これは御承知の通り窒素肥料と申しましても幾種類もあるわけであります。また製造工場も各地に散在いたしておつて、これは商工省が監督いたしておるのであります。從つてこの肥料の配給にあたりましては、一反歩に七貫目なら七貫目という予定をいたして配給するのでありますが、この七貫目の肥料が、どこの工場から配給するか、そこにいろいろの計画が公團において立てられておるわけであります。從つて末端の配給においては、一時に全部の肥料が適当な時期に配給され、送り届けられれば分配も非常に楽なんであります。われわれ農村におりまして肥料の配給を受けておる立場に考えまして、また肥料の配給だ、また肥料の配給だといつて、わずかばかりの肥料を再々配給を受ける、こういうのが今日の事実であります。それは全使用量が一時に生産されて、適当な時期に運送されて、一かたまりになつて、これが末端に配給になりますれば、まことに分配上にもぞうさなくて、いろいろ窒素肥料にいたしましても、種類がありましても、総合的に分配が一時に終るわけであります。しかるに御承知の通りの今日の肥料の生産状況、輸送状況等がありますので、今申しましたような末端にははなはだ迷惑をかけておるのでありますが、再々この肥料が送り届けられる、しかもその肥料がいろいろな種類がある、こういう事例は河野委員もよく御了解くださることと思うのであります。それでありますから、一日も早くこの肥料を送り届けて、農家に安心させるということも考えなければなりませんし、またこの肥料が、御承知の下部資金といたしましては手形の融通によりまして、農家がそれぞれ資金を融通し得られる道もあるのであります。それで製造会社といたしましては、金融面からその資金を急ぐ立場をも考えてもやらなければなりません。できるだけ資金が会社の方に早く伸びるということを考えなければならぬ以上、肥料の代金の徴收も、取急ぐというようなことにもなつて來るわけでありますが、今申しましたように、一時に生産をまとめて配給できないという事情がありますから、生産されるごとに予定通りの配給をいたしておるということで、今御質問のような肥料を公團が手持ちせずして、これを農家に早く賣つてしまうが、もつと公團が手持ちしておつたらどうだ、こういう御議論、御意見も出るのでありますが、何ぶん輸送等の関係もありますし、一日も早くできた肥料は農家の方に手渡しいたしたい、こういう公團のやり方から、今御質問になりましたように、公團に手持ちせずして、どんどんと肥料を農家に流してしまう、流してしまうから春肥を冬肥に使つてしまう、こういう危險が起る、こういうおしかりでありますが、今日の場合といたしましては、製造工場が御承知のああいうまちまちになつております関係上、これを統轄する公團の仕事といたしましては、やむを得ないのではないか、かように考えておるわけであります。資金の面につきましては、今安本長官も申された通り、復金等の関係も非常に惡くなつておりますので、中金等の特別融資によつて、連合会等の信用によりまして、これを地方に貸付金みたいに貸し付ける、金融方面においてはかような考えを持つておるわけであります。肥料を一時に出さずして、再々農家に早く渡すというこの事情はよく御了承くださることと思うのでありますが、今日の製造の段階におきましては、今日やつておる公團の仕事において、やむを得ないのではないかと思うのであります。しかし政府も肥料公團の賃金に対しましては、手形等の融通によりまして、そうあわてかえつて、早くこれを徴收して農家に迷惑をかけるというようなことは、できるだけ愼しみたい、かように考えておるわけであります。
○河野(謙)委員 私は農林大臣にもう一言申し上げまして質問を終ります。製造会社でできたものを買い取らなければならぬことは当然であります。倉庫の都合、製造会社の金融の都合上とらなければならぬことは当然でありますが、それをとつて右から左にすぐに渡さなければならぬということは、私は政府は無責任だと思う。かつて政府におきましては、政府自体の予備貯藏という制度によりまして、政府の資金において、全國の各地の倉庫に政府の責任において肥料を持つて、適当な施肥の時期に農家に一時に配るということは、過去において十年近くやつておるのであります。今におきましても、全國の各町村農業会の倉庫、または商人の倉庫等にとつたものを入れて、そうしてこれを公團の責任において貯藏しておつて、施肥の時期に一度にそれを開放すればいい、そうすることが過去においてとつたことでもありますし、今後におきましても、当然私はやるべきことであると思つておるのでありまして、いろいろ安本長官並びに農林大臣の御答弁によりまして、この現下の情勢においてかく要求いたしましても、ただちに施策の上に反映して來ないということについては、私はこの間の事情はよくわかります。しかし今申し上げたような事情でありまして、農村は非常に金融が逼迫して、政府は一方においては農村に農業手形の制度さえしいておる。金がなくて物の買えない農家には、手形で買わしてやるというほど農村は金が逼迫しておるという前提において、農業生産が立てられておるときに、一方においては金のない、手形を借りて物を買わなければならない農家に、前もつて半年も前から必要資材を渡して、農家の金を吸い上げるというようなことは、私はまつたく矛盾しておると思う。どうぞこの間におきましては、今後とも安本長官、農林大臣におきましても、十分農家のために御盡力していただきたいことをお願いいたしまして、私の質問を打切ります。
○竹村委員 私は簡單に一、二お伺いしたいと思います。先ほど安本長官の方では、たとえば農村のリンク物資については、その消費者の好む、いわゆる自由な意思の表現によつて配給を受けるようにする。これはそういうふうに言われたと私は考えておるのでありますが、それは非常にけつこうであります。そこで私のお尋ね申し上げたいのは、この農民の自由な意思の表明、その自由に希望するところにおいて受けるという場合におきまして、昨年度の衣料品の登録選挙におきましては、七割の既存業者を残して、そのうちのわずか三割のものに対して農民の自由な意思の表現を要求された。農民の自由な意思の表現であるところの、協同組合で受けようと農民が考えましても、わずか三割の補欠選挙だけしか行われなかつた。從つて全國農民のほんとうの自由な選択の意思にまかされていないのであります。從つて今度自由な意思によつてリンク物資を受けようとする場合におきましては、まず現在の衣料登録店を全部改選して、全國の七割とか三割ということではなく、全部が農業の自由な意思の表現を受けるために、いわゆる衣料品の登録選挙というものを最近のうちにやり、小賣店の登録選挙をやり直して改選させる意思があるかどうか。これをやらないと、実際の農民の自由な意思の表明はできないと思う。私は單に協同組合だけに特権的に扱わせろとは言わないのでありますが、先ほど言われました自由な農民の意思の表現は、全小賣店の改選の上において、日本において何千軒何万軒の小賣店を必要とするというのであつたならば、それを全部一應新しく、農民の自由な意思の表現における選挙制をとられてやる考えがあるかどうか。これをひとつお聞きしたい。 もう一つはもしそういうことにできないとするならば、農民のリンク物資だけは協同組合等で一括配給を受けるという意思の表現というものは、どういう方法を用いてやつたならば政府はお認めになるのか、この点をひとつお聞きしたいと思う。
○青木國務大臣 この問題は、御質問がありましたその要旨から申しますれば、農民の自由の意思によつてということでありますから、そのことを徹底させるということになりますれば、おのずからそこにはいろいろに技術的な面が残るということになるのでありますが、もし予約ということで全部これをやるということになれば、おそらくこれは論理的にもそうだと思いますが、すべて協同組合の主管ということに一應なるということが考えられるのであります。そういたしますとこれまでの経緯等を考えまして、結論として、は漸次そこに参るかもしれませんが、しかしながら現在のところでは、ともかくも、われわれもそういう点については今後とも十分考慮いたしますけれども、一應先ほど申し上げたような決定のもとにございますので、これは一般的の情勢というものを勘案いたしまして、できるだけともかくも供出者である農民の意思というものを尊重して、決定をいたすということでありますので、どうかこの点は今後の問題として、なお私どもは十分考慮いたしますが、さいぜん申し上げたことを御了承願いたいと思います。
○竹村委員 それではどうも私はその答弁だけでは満足できないのであります。先ほど言われたように、農民の意思の表現によれば、おそらく從來の例からいつて協同組合にかたまるであろう、だからそういう意思の表現をされては安本長官の方ではお困りになる。そういう意思の表現になつて、全部協同組合に行つたら困るという何か意見が入つておるように考えられる。しかしこれは農民の自由意思の表現であつたならば、全國的にリンク物資というものはもし協同組合に行くとするならば——これはわかりません。おそらく小賣業者に予約するかもしれませんが、しかし自由意思の表現をお認めになるならば、全部そこに行つてもいたし方がない。何かの形で阻まんとするところの、昨年度行われた百%のうちの七〇%だけ既存業者を残して、あと三〇%だけを選挙せしめて、その三〇%の中だけで農民の自由意思の表現を認められたということになるのでありますが、そういう形でその農民の自由の意思の表現を押えられる理由いかん。そうしてそれは、おそらく極東委員会から発せられた農民十六原則に対して違反する問題ではないかと思う。特別に農民の自由意思の表現があつたものを、いろいろの行政措置においてこれを抑えることができないということが、十六原則ではつきり規定されておる。しかるに何かの形において、そういうことになるからという前提のもとに立つてやることは、これは了解に苦しむのであります。この点について御答えを願いたい。
○青木國務大臣 ただいまのお言葉でありますが、御承知の通り、私は先ほど申しました通り、從來の経緯等もございまして、それらの点から勘案いたしまして、今日のところこういう一應のわれわれの見解をもつて決定をいたしたのでありまして、われわれといたしましては、この行き方はきわめて自然であつたというふうに考えておる次第であります。
○吉川委員 安本長官の最初におつしやつたお心ぐみに対しては、感謝の意を表したのでありますが、ただいまの竹村君に対する農民の——というよりは消費者の自由の意思の表明に対して、ただいまのところ過渡的に少し行政的な手ごころを加えなければならないというようなお氣持を表明されたのを聞いて、私は先ほど感謝を申し上げて損をした氣がする。あのお心ぐみで今後改善をしていただけようかと、大きな期待をかけていたのであります。この問題は重大な問題であります。私は安本長官の竹村君に対する御答弁を伺つておりますと、どうも商工省の人たちのお声がたくさん耳に入つていらつしやるのではないかと思います。昨年のあの選挙のときに、七割を残して、あとの三割だけについて消費者の自由意思の表明をさした。すなわち選挙をさせたのであります。その結果はどうなりましたか、全部農業協同組合に行きましたか、どうぞその結果を調べていただきたいと思います。必ずしも今の協同組合が完全に民主化されたものばかりではない、またほんとうのわれわれ農民の協同組合であると思われていないものに対しては、これは今までの取引の関係もあつたでしよう、また組合の利害関係、感情的問題もあつたでしようが、ともかく自由に表明されたその意思は、必ずしも農業協同組合に全部行つていないのであります。この事実をよくひとつお認め願いたいと思います。そして消費者の自由の意思の表明によつて、農業協同組合へ行つたらそれでいいじやありませんか。なぜ憲法で保障されておる國民の権利まで、國会でもつてほとんど超党派的に要請される問題に対して、行政的な措置によつて、さような杞憂にすぎない問題を強行されようとするか、その点についてもう一ぺん所見を伺うとともに、私は政府がそういつた問題だけでなく、ただいまの金融措置でこのインフレを阻止し、経済の復興を考えられるようでありますけれども、そういう問題だけではなしに、とにかく生産者の生産意欲を高揚させて、物をたくさんつくつて、國民の生活を安定してこそ、初めて日本の経済復興ができるのだ、物をつくらせるということに深いお考えを願わなければならないということを、私ははつきりお心に銘じていただきたいということを申し上げる次第であります。
○小笠原委員長 どうも何回質異應答してもはつきりしないのですが、安本長官はこの点をはつきりするために、何か農林大臣と御協議なさつて、その点をお二人の名前ではつきりさせる方法はありませんか。これは全部のものを七分、三分というように区別しておやりになるということではないでしよう。これは今麦の問題で、米の問題に至つては農民の登録制によつてやるのだということじやないのですか。
○森國務大臣 安本長官に対する御質問でありましたので、私差控えておつたわけでありまするが、政府のただいま考えておりますることを申し上げたいと存じます。ばれいしよ、麦の報獎物資に対しましては、すでに緊迫しておりますので、過去における三〇%の登録ということは、非常に不合理であります。これは根本的にやり直さなければならぬと思いまするが、今これは間に合わないのであります。間に合いませんから、將來におきましては根本的に登録制を改めまして、農業者の自由意思によつて登録をやり直し、また連合会等にも卸制度を認めるというように改めて行きたいと思うのでありまするが、今申しましたように、緊迫しておりまして、ばれいしよ、夏に対しては間に合いません。間に合いませんが、農林省の考えとして、とにかく供出された裏づけでありますリンク物資でありますから、当然これは一般の國民に行くでなくして、農業者に行くのであります。行き先はきまつているのであります。でありますから、供出していただいたお礼として差出すものでありますから、あえて中間團体の段階を経なくてもいいわけであります。しかし今日の衣料配給規則等の関係もありますので、政府といたしましては、今までは地方長官にこれをまかしておつた。まかすということは、地方長官に割当をさせなければならぬ今日の段階といたしましては、政府みずから各府縣に割当てましも、こまかいところまで割当ができませんので、地方長官に一應これを委任しなければなりませんが、その委任する場合に、これは特に報奬物資としてのリンク制度である。それであるから受ける農業者が希望する氣持を考えて、七割と三割でわけるとか、五割と五割でわけるというような過去にありましたような考え方でなしに、農業者の中には農業協同組合でもらうのが不便で、自分の村の近くにある商人からもらうという人もありましよう。必ずしも私は農業協同組合全部に固まるとは考えませんが、いずれにいたしましても、受ける人の自由意思によつて得られるという立場を尊重して、知事が割当をするときに、この大体の数量を、点数が行つているわけでありますから、これをまとめるなりいたしまして、八割農業協同組合に申し込みがあれば八割のものを渡す。三割しか申し込みがなかつたら三割渡す。現に七千の協同組合がすでに登録を受けているのでありますから、この協同組合を利用したならば、ばれいしよ、麦に対しての應急措置としては、適当に農業者の意思を反映して分配することが、知事の手によつてできよう、かように考えておるのであります。それで政府といたしましては、今安本長官が申しました大体の、抽象的なことのようでありますが、方針を定めまして地方長官に移牒します場合におきましては、私が今申し上げました氣持をよく傳えまして、そうして農業者の意思が必ず自由に反映して行くような取引の、できるようにいたしたい。そうして、さつまいもあるいは米に対するリンク制に対しましては、七〇%を除いたという弊害はわれわれは認めておるのでありますから、これを根本的に改めまして、そうして協同組合なり商業者なりを自由に選択登録しさせる。そうして連合会におきましても卸の制度を設けるようにいたしたい、かようなことを農林省として考えております。また政府としてもその方針で進みたいと考えておる次第であります。
○小笠原委員長 もう一ぺん農林大臣、安本長官にお確かめしておきますが、その御希望の実施は、今年の米から実施できるかどうかということが一つと、もう一つは、農林省の考えであるということばかりでなく、政府の考えであるというが、安本長官とも商工省とも打合せの上、必ず実施できるということが明確にお答えできるかどうか、この二つの点をお答え願いたいと思います。
○森國務大臣 米、さつまいもの時期に対しましては、これは間に合うと思うのであります。商工当局につきましても、この登録制の再編成ということも、今事務的に考えさせておるわけでありますから、その場合において、自然國民一般の登録が行われるわけでありますから、ここではつきりと受ける立場の自由な意思が登録の上に現われて来る、かように考えておるわけであります。
○小笠原委員長 安本長官の方も今の農林大臣と同意見でありますか。明確にしておいていただきたい。
○青木國務大臣 お答え申し上げます。御承知の通り、経済安定本部はいつも板ばさみになつて、実際はなかなか困るのであります。そこで私が先ほど申し上げました原則を一應申し述べましてこれを御了承願い、かつこの再登録につきましては、できる限りすみやかにそのことをやつて行きたい、そうしてその結果については、先ほどおつしやいましたように、農家の皆様の自由な意思に從つてそれが決定せられるであろう、こう考えておるわけであります。
○坂田(英)委員 議事進行について本日は非常に委員会においても、いろいろ審議すべき点が多いのでありますが、今の問題につきましては、これは非常に重大な問題でありますので、農林大臣の今御説明になつたことにつきましては、われわれは非常に感謝し、また納得いたしておるのであります。安本長官もこれと同樣の御意見であろうと思いますので、農林大臣と同樣の御意見であるということをひとつお話を願いたい。これだけでよろしいから……。
○小笠原委員長 両大臣に申し上げますが、この点は、きのうのうちにまとめて明確な御答弁をなさる約束で、当委員会が要求した事項でありますから、これは大丈夫明確にしてもいいと思います。それでここは納まりますから、明確な答弁をされた方がいいと思いますが、どうでしようか。
○青木國務大臣 私のお答えは別に農林大臣のお答えと矛盾はしておらぬと思います。私が申し上げたことは、そういうふうに矛盾しておらぬと御了承願えればよろしかろうと存じます。
○深澤委員 今農林大臣は麦、ばれいしよについては間に合わない。だが米、かんしよからはやる。こういうぐあいに大体表明されたのでありますが、安本長官はすみやかにやるであろうという、実にあいまいな表現であります。その点について安本長官は米、かんしよからやる。こういうはつきりしたお答えができるかどうか。この点をひとつお伺いいたします。
○青木國務大臣 実は私は米、かんしよからやるということをまだはつきり聞いておしません。そこで農林大臣のおつしやいますには、そういうことになつておる、こういうことでありますから、その点は農林大臣のおつしやることを私は信頼をいたしております。
○深澤委員 その点はひとつ本委員会で明確にしていただきたい。両大臣が話合をいたしまして、はつきりしてもらわなければ困ると思います。もう一つは、地方百長官に決定せしめるというような、先ほど御答弁があつたのでありますが、この点は、地方々々特殊事情がございまして、そうして地方地方の事情によつてきめられなければならない事項であるならば、地方長官にまかせるのはむりないことでありますが、この問題は全國一律の問題であります。從つて地方長官にその決定をまかせるということは、政府の責任回避であると思います。從つてわれわれといたしましては、今のような根本方針が政府の方でおきまりになるならば、あえて地方長官にいろいろな決定をまかせる必要はない。一貫した方針を政府が御決定になつて、そうしてそれを地方長官に指示するというような方向に行くべきであると考えるのでありますが、その点についての御意見をひとつお伺いしたいと思います。
○青木國務大臣 この事柄につきましては、私は経済安定本部として農林大臣の主張せられるように、今後とも大いに努力をいたす所存でございます。(拍手) —————————————
○小笠原委員長 それではまず地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き作物報告事務所の新設に関し承認を求めるの件を議題とし、質疑を継続いたします。他に質疑はありませんか。——別に質疑もありませんからこれにて質疑は終ります。 引続き討論に入ります。
○坂本(實)委員 この際討論を省略し、ただちに採決に入られんことを望みまする
○小笠原委員長 ただいまの坂本君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは本件に対する採決に入ります。 本件に承認を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○小笠原委員長 起立総員。よつてこれは承認を與えるべきものと議決されました。なおこの際、報告書の件についてお諮りいたします。これは前例によりまして、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それではさようとりはからいます。 それでは午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時四分休憩 ————◇————— 午後二時二十分開議
○小笠原委員長 それでは休憩前に引続き会議を開きます。 大藏大臣が参りましたから、ちよつとお諮りいたします。昨日午前中競馬法の一部改正法案に対して、本委員会が修正議決いたしましたことに対し、大藏省の一官吏が、これを参議院またはGHQに働きかけて阻止する旨の口吻を漏らしたのでありますが、これは明らかに立法権の干犯でありまして、看過いたしがたいと思われますので、本委員会を代表いたしまして、大藏大臣に質問いたしたいと存じますが、いかがでございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 それでは、農林委員会を代表いたしまして、大藏大臣に質問いたします。 いまさら、こと新しく申すまでもなく、憲法第四十一條に「國会は、國権の最高機関であつて、國の唯一の立法機関である。」と規定せられておりまして、いやしくも行政府の事務機関がみだりに侵犯することは許されないのであります。私がかような憲法の條項をわざわざ持ち出しまさたのは、行政府の方々の深刻な反省を願いたいからであります。 実は、昨日本委員会は内閣提出競馬法の一部を改正する法律案につきまして、これを修正議決いたしたのでありますが、われわれがこれを修正いたしました目的は、元來國営競馬は國の財源を確保しますと同時に、畜産なかんずく馬産の発達改良並びに健全なるスポーツの奬励に資するにありますが、今日においては、競馬の純益はすべてこれ國庫の收入となつてしまい、畜産振興に振り向けるという他の趣旨が無視されていますために、最近競馬が非常にむりな状態のもとに挙行されていますことは、すでに周知のごとくであります。かくては、出場馬が次第に減少して、財政收入の源泉そのものが壞滅して、結局元も子もなくなるという事態に立ち至らんとも保証されないのでありまして、ひとり競馬当局のみならず、われわれも非常にこれを心配しているのであります。そこでわが國の畜産業を今後飛躍的に発展させ、わが國経済再建の一翼たらしめようとの一大目的のもとに、國営競馬の賣得金中の一部を畜産業振興費に充当せしめようというのでありまして、この修正案は、農林委員全員の賛成を得、また、関係方面へも成規の手続をとつて提出され、議決されたものでございまして、本委員会のこの措置に対しては、大藏省当局も進んで賛成されるであろうとわれわれは信じていた次第であります。しかるに、たまたま本委員会に出席した大藏省河野主計局長は、この修正案が委員会を通過したことに対しまして、予算の補正を必要とするかもしれぬ。かような修正案にESSのパブリツク・フアイナンス・セクシヨンが承諾するはずがない。衆議院本会議または参議院において、もしくは総司令部に働きかけて阻止するという意味の口吻を洩して、退室したのであります。かようなる言動は、まことに言語道断、特権官僚意識の思い上つた現われでありまして、私は永年國会に末席を汚して参りましたが、軍閥横暴時代に、かの佐藤賢良大佐が黙れ事件を起しました以來のことで、実に事務当局の一官僚が立法権を左右しようとする一大不祥事、許すべからざる越権行爲というほかはありません。私は與党の立場といたしまして、あまり事を荒立てたいとは思いませんが、事にはおのずから限度というものがあり、全議院の権威にもかかわる問題とも考えられますので、わざわざ大藏大臣の御出席を求めて、本件に関する御所見を伺う次第であります。
○池田國務大臣 大藏省の一官吏が、議会無視とかあるいは院議を尊重しないような態度をとつたり、口吻をいたしましたことは、お話の通り言語道断でございまして、私として衷心より遺憾に存じておる次第でございます。速記録を見た上、また本人からその当時のことを聞き、そしてまたただいま委員長のお話を頭に入れまして、十分戒飭せしめ、今後かかる言動のないことをここにお誓い申し上げます。 なお畜産奬励金につきましては、ただいまも相当の金額を計上いたしておりますが、將來の馬匹改良とか、馬匹のみならず、牛とか豚とかあるいは鶏等畜産につきまして、これが改良発達をはかることは、産業の面から申しましても、また食糧関係から申しましても最も重要な仕事の一つであると考えるのであります。從いまして競馬による益金の三分の一を入れるというお考えは、私は適当であると思うのであります。從來もそういうことをやつておつたと記憶いたしております。決してその一官吏がいきり立つような問題ではないのでございまして、私はしごく同感でございます。なおここで私の考えを率直に申し上げますと、競馬による納入金の三分の一と申しますと、大体七億円ばかりになると思います。しこうしてただいま畜産方面に使用しております金は、六億円余力と考えております。その差額を、この委員会の決議に基き、また衆議院、参議院の議決によりまして、修正案が通りました場合の予算的措置につきましては、今國会ではいかんともできない。從いましてそういう決議ができましたならば、次の最近の機会に、予算を補正する問題が起つて來ると思うのであります。その際におきましては、決議を尊重いたしまして、補正予算作成にできるだけの努力をいたしたいと考えております。 なお終りに、先ほど申されました大藏省の一官吏が不穏当な言動をとりましたことにつきましては、所管大臣として衷心よりおわびを申し上げる次第であります。
○小笠原委員長 ちよつと大藏大臣に申し上げますが、今速記録を調べて云々ということを言われましたが、河野君の出席されたのは、速記録に載つておりません。その隅の方に苫米地農林政務次官を呼び出して、そこで申されたのでありますから、どうか明確にするために、苫米地政務次官を証人としてお調べ願いたいのであります。ことにまた予算の組みかえ等の問題に対して、今出ておる予算と今度の七億の予算と相殺して、余つたところの云々というその問題に対しては、競馬等を行いまするにも、政府は一頭の馬も持つておらぬで今日競馬を行つておるということをよく御反省なさつて、なおこのままで行きますれば、日一日出場馬が減少して、自滅の一途をたどり、前途のことも知られざる状態であるということを事務当局とも協議なされて、競馬のことは競馬のことをよくお聞きなさつて、この予算の編成に努力されんことを望みます。
○竹村委員 この際、実は先だつてから大藏大臣の御出席をたびたびお願いしておつたのでございますが、今日本國会初めておいでになつたので、これに関連して、いろいろ申し上げたいことは山ほどあるのですけれども、これは別としまして、一言だけお尋ねしておきたい。 本日問題になりました一官僚が、いわゆる國会の審議権を侵すようなことをやつたといいますけれども、その裏には先ほど言われましたように、いわゆるある方面に働きかけるという言葉があつたのであります。これはおそらく重要な問題でありまして、こういうことが、大藏大臣はおそらく御承知ないかもしれませんけれども、農業課税のいわゆる更正決定等をやられて、その取立てに際して、全國各地の税務署長において、これが表面化するしないにかかわらず、非常にこのことが徴税の面に使われておる、この事実の実例を申し上げまするならば、至るところにあるのでございますが、長くなりますので、そういうことは申し上げませんが、もし今後大藏省のいわゆる高級官僚において、当然國内に起つたもので、しかも國民自身、あるいはまた政府当局自身が解決しなければならない問題を、虎の威をかるきつねのように、とかく税金の取立てにすら、ある方面の意思だといつて、正しき税法に基いて異議申立てをやつた場合に、もしそういうある方面の意思だといつて、その申立てを抑えて、むりに徴税したような総務署長があつた場合、あるいは財務局長があつた場合には、今後どういうふうに処置されるかという、見解だけをここでお尋ねしたいと思います。
○池田國務大臣 不適当な徴税をしました税務署長につきましては、その不適当の程度によりまして、適当なる処置を講じたいと思います。
○原田委員 大藏大臣は、畜産の奬励には相当の額を計上してある。その額は六億だと、こういうお話でありますが、その六億の内容を調べてみますと、四億が競馬開催費用になつております。そうすると、日本中の畜産奬励を、わずか二億でやろうという考え方が、すでに私は間違つておるのではないか。今お話を開きますと、六億と七億だから、その差額の一億を何とかしよう、非常にどうも消極的な考え方だと思うのです。だから私どもの要求しますことは、六億の上に畜産奬励費を七億、先ほどの三分の一それをぜひ別途に御計上願いたいと思うのであります。
○池田國務大臣 実は決議の内容も、存じ上げておらないのでございますが、從來はこの畜産関係費用といたしまして、競馬による收入金の三分の一があつたのでございます。ただいま六億と申し上げましたのは、畜産局の費用が二億一千七百万円、それから畜産試驗場が六千八百万円、家畜衞生試験所が一億七百万円、種畜牧場が二億一千八百万円、これで六億一千三百万円に相なるのでございます。それで私の考えは、從來のやり方のようにいたしますと、すなわち競馬による利得金の政府納入金の三分の一ということになりますと、予算が二十二億三千七百万円でございますから、從來通りで言えば七億四千五百万円の畜産関係費用ということに相なると思います。從來のやり方を御決議になつたものといたしまして、そのようにお答えいたした次第でございます。速記をとめていただけませんか。
○小笠原委員長 速記をとめて……。 〔速記中止〕
○小笠原委員長 速事記を始めて……。
○深澤委員 今の競馬法に関する問題について、大藏省の河野主計局長の態度は、全國的に現在一番官僚的であるのは、大藏省関係の官吏であるというふうな非難が相当あるのでありますが、その一つの現われであるというくらいにすら、われわれは考えるのであります。特に税金の取立てに対しまして、一般国民と大藏省の官吏との間に非常な摩擦が起き、そうしてその官吏に対する國民の反感というものは、非常に強いものがあると思うのであります。もちろん、國の徴税の上においては、相当の努力も必要でありましようが、今日の民主主義的な国家の再建途上において、この傾向は、單に國民的な感情を險惡にするばかりではなしに、むしろ國の財政運営の上においても、大きな支障を與えると思うのであります。ところが末端に行きますと、まつたくその解決の方法がないのであります。從つてわれわれは大藏省の方針として、徴税にあたつては、事前に一般の國民と十分に話合い懇談して、その感情を融和する必要があるのではないかと考えるのであります。特に農村におきましては、協同組合、あるいは農民組合、その他の農民團体等があるのでありますが、事前にこれらの團体と十分懇談し、打合せをいたしまして、徴税の方針を徹底させる。意見のあるところは十分聞いて行くならば、この徴税の問題に対しましても、ゆるやかな感情がつくり出せるのではないかとわれわれは考えるのであります。それが末端に少しも徹底していない。強権をもつてやるんだという態度が非常に濃厚でありますが、この点についてこれは國家財政上の運営から申しましても、私は重大問題ではないかと考えるのでありますが、こういう点について、大藏大臣はどういうぐあいにお考えになつておるか。この点をひとつお伺いしたいと思います。
○池田國務大臣 非常に重い税金の徴收をいたすのでありまするから、國民の納得と御協力を得なければならぬことはもちろんでございます。從いまして、昨年ぐらいから農業所得につきましても、協同組合関係の方々と相談をいたしまして、そうして申告をしていただくような方法をとつた地方も相当ございまして、かなりの成績をあげております。今後におきましても、これを拡大強化して行きたいと思います。農業関係のみならず、常業におきましても、そういう方法をとりたい。これは團体諮問という規定もございまして、とり得ることになつておるのであります。私は今までの制度ばかりでなしに、昔ありました所得調査委員会に相当するようなものを、今設けるべく努力いたしております。なおいざこざの起りますおもな問題は、税務官吏の態度その他がよくない場合が相当あると思うのであります。從いまして内部機構といたしまして、総務官吏を監督指導をして行くと同時に、外部の人からの協力を得まして、何々税務官吏はなまいきだ、知らないくせに國民に対してひどいことをする。こういうことを外部からどんどん言つて來てもらいまして、そうして私の監督の材料にしたい、こういうこともただいま考えております。お話の通りに、非常に重要な問題でございますので、私は税務行政の運営の適正、円滑ということについて、從來にもまして努力いたしたいと考えております。
○深澤委員 今の大藏大臣の御意見はわれわれも了承するのでありますが、そういう場合の処置をとることが、全國的に大藏省の方針として通達か何かされておるか。特に私山梨縣でありますが、山梨縣は團体交渉はさせないという建前からいたしまして、そういう事前の懇談会すらも持たなかつた、それを拒否されたという事実があるのであります。そういうことが全國的に通達されているならば、おそらくそういう問題は起らなかつたのでありますが、そういう処置が行われておつたかどうか。
○池田國務大臣 團体交渉と申しますと、その範囲がなかなかむずかしいのでございます。
○深澤委員 團体交渉はしないというように考えて、懇談会すらも團体交渉のごとく考えてやらなかつた……。
○池田國務大臣 そういうことがあれば、今までのやり方が少し不徹底であつたかと思います。私は就任いたしましてから、今のような考え方で指導して行きたいと思つております。
○小笠原委員長 それでは午後三時半から再開することとし、暫時休憩いたします。 午後二時四十四分休憩 ————◇————— 午後四時二十五分開議
○小笠原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 議事に入る前に御報告いたします。ただいま本委員会に予備審査のために付託となつております農業協同組合等による産業組合の資産の承継等に関する法律案、及び食料品配給公團法の一部を改正する等の法律案は本日参議院を通過し、本院に送付され、本委員会に正式に付託と相なりました。 次に昨十九日委員大森玉木君が委員を辞任せられ、その補欠として同日議長において小林君が委員に指名せられました。また本日長谷川君が委員を辞任せられ、その補欠として大森君が議長において委員に指名せられました。なお委員を辞任せられました長谷川君は理事でありましたので、理事の補欠選挙を行わなければなりませんが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは小林君を理事に指名いたします。 それでは地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、輸出食料品檢査所及び輸出農林水産物檢査所の支所及び出張所の設置に関し承認を求めるの件を議題とし、政府の提案理由の説明を求めます。 —————————————
○平川政府委員 ただいま議題になりました輸出食料品檢査所及び輸出農林水産物檢査所の支所及び出張所設置の承認を求める件に関しまして提案理由を御説明申し上げます。 輸出品取締法に基きまして、輸出農林水産物の檢査を行うため、さきに輸出食料品檢査所及び輸出農林水産物檢査所をそれぞれ東京に設置し、この三月十五日から輸出檢査を実施しておりますが、檢査は輸出港または生産地で行うことになつておりますので、檢査の都度一々檢査官が出張することは多大の経費と時日を要しますので、神戸のほか六箇所に檢査所の支所及び出張所を設けまして、常時檢査を行い得るようにいたす必要がありますが、檢査所の支所及び出張所を設けることにつきましては、地方自治法第百五十六條の規定によつて國会の承認を要する事項となつておりますので、本件を提案いたす次第でございます。よろしく御審議の上、御承認をお願いいたしたいと存じます。
○小笠原委員長 これにて政府の説明は終りました。引続き本件につき質疑に入ります。他に質疑はありませんか。——別に質疑もありませんから、これにて質疑は終りました。引続き討論に入ります。
○松浦委員 この際討論を省略いたしまして、ただちに採決せられんことを望みます。
○小笠原委員長 松浦君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは本件に対する採決に入ります。 本件に承認を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○小笠原委員長 起立総員。よつて本件は承認を與えるものと議決せられました。 なおこの際報告書の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それではさようとりはからいます。 —————————————
○小笠原委員長 次に農業資産相続特例法案を議題とし、質疑を継続いたします。竹村君。
○竹村委員 私のお尋ねしたいのは、本法の第二條の問題ですが、これは憲法第二十四條二項に違反しないかどうか、この点詳細に政府から御説明願いたいと思います。私はこれは違反だと考えているが、政府の方ではそうでないと考えておられるならば、法的に説明していただきたい。
○山添政府委員 これはもちろん憲法違反のようなものであれば、この國会に提案いたすわけはないのであります。その理由を御説明いたしますと、この農業資産相続特例法におきましては、ひとりある人の身分によつて、ある特定の利益なりあるいは権利なりを與えるものではないのであります。農業資産相続人の指定と申しましても、これは被相続人が指定することができる。この指定することができるということは、結局相続の場合におきましても遺贈等が認められております。もちろん遺留分を侵害することはできませんが、その範囲におきましてもそれと同樣に指定すべきことができるというわけでありまして、何らさしつかえないと思うのであります。また特別相続人といたしまして、民法の相続分以上に農業資産が多い場合には、一人が相続いたしまするけれども、同時にそのことによつて民法の原則によるところの相続分よりもよけい受継いだというような場合におきましては、この法律の十二條によりまして求償権を持つている、こういう調整もはかつておるのでありまして、何らこれは憲法上並びに憲法の趣旨とするところにも違反することではないのであります。
○竹村委員 これは憲法に違反するものではない、こう言われておりますけれども、これは法務委員会でも一應問題になつて、どうもやはり憲法に違反するのではないかと思われるというような、少数の意見ではあつたけれども意見があつて、これは非常に問題になつたことであります。それでこれは、私は法務総裁に來ていただくことになつているので、そのときにお伺いすることといたしまして、問題はこういう法律をこしらえなければ農業資産が細分化すると考えられるけれども、前の合同委員会においても申し上げましたように、そういうものではないということがあのときの——現在までにそういう具体的な事例というものが出されていないのであります。從つてまたあの当時要求しておきました資料が出されていない。つまりなぜこの法律をこしらえなければ細分化して行くかという原因が、はつきりないということが前の合同委員会でも言われておるのでありまして、それが一つも出されていない。それでその具体的な、こういう方法で法案をこしらえなければ細分化を防ぐことができないという具体的な理由が一つもはつきりされていない。資料を要求しておきましたが、その点でひとつ御説明願いたい。
○山添政府委員 これは農林省におきまして昭和二十二年でありますが、千葉縣、埼玉縣、群馬縣、山梨縣、静岡縣等の十箇町村につきまして、社團法人世論協会に委嘱して、この縣につきましての世論調査をいたしたことがございますが、その結果を見ましても、これは圧倒的に、農業資産は分割をしないで相続することを希望いたしておるのであります。この資料は後ほど配付をいたしたいと考えます。なお最近の事例におきましては、昨年の十一月に千葉縣、茨城縣等の事例を調べたのでございまするが、この農村における状況は、相続の放棄ということが圧倒的に現われておるのであります。相続放棄が行われておるということは、すなわち一人の人が農業資産を一括して受継いでおる。その方法として他の共同相続人が放棄をしておるという事例が非常に多いのであります。実態的に申しまして、一人が相続するということは、これは農業経営の上から当然要求されるところでありまするが、かような法律もございませんので、現状としては放棄というような、いわば不自然な形をもつて処理をされておる。これが多くの場合でありまして、いずれにいたしましても、日本の状況といたしましては、かような法律をつくり、一定の基準を與えまして、農業資産の相続について円滑なる処理を期しますことが、必要と考えておるわけであります。
○竹村委員 今の御答弁によりますならば、各地で農業資産を分割せしめないことを圧倒的に農民自身が支持している。世論調査においてもそうだという御答弁ですが、そうであるならば、農民自身がそういうことを実際考えているのであつたならば、何も法律化する必要はないと私は思うのです。國家全体から見て、そういうふうにしなければ農業経営の発展を阻害するという場合においてのみ、立法化して法律とする。國民の自由意思というものを、いわゆる食糧増産のために統一して行くには、法律が必要であるが、しかしあなたの答弁を聞くならば、こういうことをしなくても、分割することを圧倒的に反対しているというならば、少くとも憲法違反の疑いのあるものを立法化して、わざわざ細分化を防ぐということを名目として立法化する必要はない。それをあえてはつきり申しますと、これは軍閥時代におけるフアツシヨ的な考え方が、この立法化をせしむるところの原因であると私は思う。農民が自由にそういうように考えているのだつたら、何もこういう法律をつくらなくてもいい。 なお私は前にも質問いたしましたが、今日細分化する原因というものが、いろいろな食糧事情、あるいは農村人口の過大、そして他に仕事が見つけられない、いわゆる潜在するところの農村の失業人口、そういうところに土地というものが細分化されて行く原因があると思う。こういう問題についてどういう対策を立てられるか、これらの点について政府はどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。
○山添政府委員 みんなが希望しておるところであれば、あるいは法律を用いなくてもいいじやないかという御意見に対しましては、立法政策として全然別の考えをいたしておるのであります。かような民事に関する法律としては、人の好まないところを強制するというようなことは、やりましてもとうてい長続きするものではありません。むしろ社会的に多くの人の希望するところに対して一定の基準を與え、それに、よつて物事を処理せしむるのであります。そういう望ましき、またあるべき基準を與えるというのがこの法律の趣旨でございます。しこうしてさように一般的な場合のほかに、爭いがありまして、いろいろ解決がつかないような場合に、おのずからこの法律が働きまして、そこに正しき解決をつけるというのが、この法律のねらいでありますので、どうもその法律の立法の態度、考え方というものが全然違つているわけなのであります。 それから細分化いたします事柄は、他のいろいろ経済的な理由に基くからではないかというお話ですが、これは仮定的に申しますれば、他に非常に有利な國がたくさんあつて、國民全部が就職に困らない、日本に人口問題もないということであれば、それはお話のようなことになろうと思うのでありますが、事実はそうでないのであります。お話の点は確かに私どもも認めるというか、むしろ非常に憂えておる点であります。そこでかような法律によりまして、相続の問題を正しく円滑に処理いたしますとともに、実際論といたしましては、農家経済の安定と、國民の職につく機会を多くするということが必要であるわけでありまして、この事柄につきましては、農林省に関する限りは、農村工業でありますとか、あるいは開拓等の政策により、でき得る限り農村における人口の收容力を増加したいということに努めているのであります。しかしこの間も申しましたように、何と申しましても、これは國全体としての経済を回復し、また貿易を中心として経済が拡大して行くということでなければならないのでありまして、これは政府國民を通じての大きな問題でありますので、そういう方向に、すべての人が國をあげて努力しているのだという見解をとつているわけであります。
○竹村委員 ではそれと反対の点から聞きたいのでありますけれども、みなが農業資産をかためて、細分化することを好んでいない、けれども立法化すると言われる。今日農村が非常に金詰まりになつて來て、このままの政策では、農業は破滅して行くということは周知の事実であります。今日どういうような形で農村を救うと言われましても、農村工業を興すとか何とか言われましても、たとえば災害復旧にしても何にしても、今日の政府の予算的措置から言えば、農村は破壞されて行くことは周知の事実であります。この破壞されて行く場合に、この法律が立法化しましたならば、だれかが相続して、次男でも三男でもそのほかの人に金で支拂わなければならない。ところがこの金で支拂う場合に、現実に支拂いにたえるか、どうかがまた問題になつて來る。反対から言うと、法律がなければ、兄弟同士ですから、自由に相談ずくで適当にやりますけれども、中には、法律があつて、権利があるのだからというので、そういう分割の請求をされた場合に、その現金が拂えるかどうか。それを拂つて農業の経営が立つて行くかどうか問題になつて來る場合が起る。そういう強制的な法律がなかつたならば、自由にやつて適当に自主的な解釈ができるけれども、これではかえつて土地放棄が起るのではないか。あるいは農業をやる者がなくなるのではないか。相続を拒否する場合が多いのではないかということも憂えられるのであります。この場合に、政府は一体どういう処置をとられるかお聞きしたい。
○山添政府委員 民法の均分相続が行われていることは申すまでもないのであります。もしこの法律がないといたしますれば、他の共同相続人はいきなりその相続分に應ずるところの價額の分配を要求することができるのであります。この法律も民法の相続分の範囲内で要求することはできるのでありますけれども、十二條には、農業経営の安定を阻害しないように、適当に相談して定めるということになつておるのでありまして、実を申しますと、ただいま質問になりましたのは、民法も何もないという前提でお話しになつたのならばわかりますけれども、そうではないのであります。この法律によつてその辺が円滑に処理されるということになるのであります。
○竹村委員 それでは、憲法二十四條二項に違反していると私は思つているのですが、違反ではないということを詳細に理論的に説明してもらいたい。
○村上(朝)政府委員 憲法十四條におきましては、國民がすべて法の下に平等であることを規定いたしております。また二十四條におきましては、ただいま言われた通り、相続の平等について規定いたしております。さらに民法はこれを受けまして、相続について均分相続の制度を定めているのであります。しかしながら、民法の均分相続の制度は、相続財産を現物について均分するということを要求いたしておるのではないのであります。その價額について各相続人が平等に利益を受けるならば、憲法並びに民法の精神に反することはないと考えるのであります。遺産の分割につきまして、民法におきましても、現物分割を強制する規定がないばかりでなく、かえつて相続財産の種類、性質、相続人の職業、その他一切の事情を考慮して分割の方法を定めるということも九百六條において明らかにしておるのであります。この法案におきましては、農業資産相続人は一應特別相続分を持ちます。また遺産分割によつて農業資産全部がその者に帰属することになつておりますけれども、他の共同相続人は、いずれも農業資産相続人に対して、特別相続分によつて受ける利益の限度で民法の相続分に應じて分配の請求をすることができるのでありますから、結局相続財産は、その價額において民法の相続分に感じて分配されることになるのであります。從いまして、この法律案は、民法の均分相続の建前をどこまでも維持するものでありまして、憲法並びに民法に違反するものではないと考えておる次第であります。
○寺崎委員 農業資産の評價の点ですが、その評價によつて、農業資産相続人が今後生活ができるか、できぬかということがきまる。農業資産は現在では賃貸價格の四十倍ないし四十八倍であるが、それで決定された場合は、農業資産相続人は生活できるけれども、共同相続人の分け前は微々たるものになつてしまう。その結果、農業資産を相続しない共同相続人は、いかなる生活樣式をもつて生活するか、わずかばかりの金をもらつて、いかなる樣式をもつて生活するか。たとえて申しますれば、五人おります場合に、一人の相続人は農業をやつてどうやら生活ができますけれども、あとの四人はいかなる樣式をもつて生活するか。これは農業の実態を考えてみますときに、一町五段の耕作をしております場合には、おそらくその父もむすこも、むすこが三人おりますれば三人ともに農業をしておるに違いないと思います。そうして父は死に、あとの相続をする場合に、その三人の子供のだれが相続するか。二男か三男か、あるいは長男かが相続する。そのほかの者の生活樣式をいかにするか、一心に農業をして來た者かいかなる樣式をもつて今後生活するか、こういうことを考えますときに、私はこの法案を提出せられたときに、その相続人以外の生活樣式をどう考えたのか、この点をお尋ねします。
○山添政府委員 これは從來におきましても、農家の二男三男は、あるいは長男でも、それぞれ学校に行つて他に職業を求める人もありましようし、ある年齡まで農業を営んでおつて、それから先また他の方面に職を求めるという場合もありましよう。これらの場合がおおむねの場合でありまして、ときには農地を非常にたくさん持つておりますれば、これをわけて分家をするという事例もあるわけであります。もしもその具体的な場合におきまして、共同相続人の間で話合いがつかないで、家庭裁判所へかりに行つたとしましよう。家庭裁判所におきましても具体的な事実を考えまして、どうしてもこれは一人に相続せしむることが不相当である、こういう判断に達します場合には、この家庭裁判所におきましては、農業資産相続人を選定しないということもあるわけであります。兄弟の一人がびつこで……。びつこというと何ですけれども、生活能力がなくて、何らかそこは親の残した遺産のうちから見なくてはいかぬじやないか。これは兄弟が仲がよければ問題はありませんけれども、かりに先妻の子供としからざる子供というような、複雑な事情がございますれば、これは家庭裁判所は適当な、と申しますか、一人を農業資産相続人に決定をしないで、適当な分割等について調停をいたす、こういう道もあるわけであります。
○寺崎委員 私は実例をもつて申し上げましたのは、農家で二人か三人の男の子が、同じうちで農業の耕作に從事しておつた場合、たつた一人の相続人に限定されたとき、あとの二人の生活樣式を尋ねたわけであります。今までの農業形態であります場合には、およそこの子供は百姓をさせよう、この子供は給料取りにしよう、これはどういう商賣をさせようというようなことで行きましたけれども、現在供出制度であり、供出の價格の面においては、もうすでに十分な教育をさせることもできないし、商賣をさせればその資本金も出すことができないというような農村の現状にあります場合に、ただ農業相続者だけは最低の生活が営まれるけれども、ほかの兄弟に対しての生活樣式が考えられないという場合には、どうしたらよいかということを考えておるのであります。私はこの法案と同時に、そういうような場合の救済方法ももう一つ考えていただかぬことには今後の農村というものは今のような状態ではやつて行けない。資本金も持たない、学資金も持たないというような農村においては、やはり共同生活の形式をとるかもしれない。そういう場合にいかなる判定をされるか、いかなる裁判の判決を見るか。私はこの法律は悪いとは申しません。農村の細分化を防ぐためのもので、惡いとは申しませんけれども、そういう面のことを考えた上でこの法律をつくらないことにはできない、こういうことを考えるわけであります。その点についてどうお考えになりますか。
○山添政府委員 これは非常に悲観的な場合を推定してみますれば、私ども聞いておりますのは、支那の相続制度等にあるわけですが、徹底した分割相続をやつております。しかし農業経営というものは、経営上そう分割はできない、そこで今お話になりますように、ともかく家族が大勢集つた共同ということになるわけであります。これは日本の社会といたしましては、そういう大家族制度いうものは、だんだんくずれて來る、これは現在においても、たとえば茨城縣の一部にも大家族制度はありますようでありますが、年とともにくずれて行くのは当然であると思うのであります。結局國全体としていかに就職の機会を増加するかという問題であります。國全体の就職の機会を増加いたしますのには、これはやはり貿易を中心として経済を回復し、また拡大して行くほかに道はない。その要件といたしまして、農村が農業生産力が高いこと——農村が非常に國民経済上高い生活費で、全体の経済のコスト低下ということに重荷になつておるというようなことではいけないのでありまして、農業生産の合理化、またコストの低下ということは、長い目で見、廣い目で見ますると、これまた國民一般としての就職の機会を増加するゆえんであると考えます。
○寺崎委員 もう一点だけ、くどいようでございますが、ただいま失業救済とかあるいは定員法による首切りの問題に反対であるとかいうこともありますが、農村においてはそういうこともなかつたから、今まで農林省でお調べになつたものに対しては、あるいは農業資産は分割すべからずというのが絶対多数であつたという表をおいただきしておつたのでありますが、これは長男の場合は、長男はそれがもらえるものだという見解において、そういう回答をしたものだと思うわけであります。私はその相続者以外の立場の生活を考えるわけでありまして、もし分割しないというこの法律が通つた場合は、そのほかの者に対しての生活はいかにするかということを、政府はどう考えておられるか、それをお伺いしたいのであります。
○山添政府委員 これは、もし農家の家族がその農業経営の中にとじこもつて、外に出る機会がないのだという想定をとりますれば、これは共同生活をいたすよりほかに道はないのでありますけれども、そういうことが望ましくないことは、これは申すまでもないのでありまして、政府といわず國民といわず、でき得る限り求職年齡に達しました人口に対して、職を得る機会を増加することは、これは刻下最大の問題であるわけでありまして、ひとりこれを農業の内部だけで問題をながめようとすることは、本來むりであると思つております。
○深澤委員 大体農業資産の特例ということでありますから、民法の原則の相続均分制というものの中において、特に一部に特例を設けるというのが、本法の趣旨だと思いますが、しかし実際を考えて見ますと、日本の農村人口は、大体全人口の半ばに達しておるのであります。その全人口の半ばに達している農村の人々に関係する間であつて、民法の特例としてはあまりにその影響が大きすぎるという立場から、この特例という法案の内容に一致しないではないかというぐあいに、私はまず第一に考えるのであります。從つてこの法案が通過いたしますと、実質上には旧民法の長子相続の問題が復活するという結果になりまして、これは民法を改正した意義をなさないような結果になるのではないか、こういうように考えることが第一点であります。 その次の問題といたしましては、現在日本の農業が非常に零細農家であるということは、これは間違いないのであります。これを細分化することに対しましては、それ自体実情に即しないと思うのであります。しかしその場合憲法違反の建前をカバーするために、一人の相続人をきめて、他の相続人に対してはこれを金で分けるとしましても、しかしそこに問題があるのであります。非常に古くから大きな家に入つておつて、それが一人の相続人に決定されて、五人兄弟があつた場合には、ほかの四名に対しては金で分配しなくちやならない。その場合にその家をどういうぐあいに評價いたしますか、現在の時價で評價いたしまして分配するとしますならば、おそらくその相続人は金の心配をしなければならないと思うのであります。農家は大きい家を持つておりましても、金は持つていない。そういうようなことによりまして、結局その農業資産を相続する場合に、農村においていざこざを起す原因をつくることになるのではないか、こういうことが第二点であります。 第三点といたしましては、今まで民法の均分相続制が実施されたといたしましても、実情に應じまして、お互い兄弟の間で円満に問題を解決いたしまして、相続放棄が行われているということは事実であります。ところがこの法律が施行されまして、いよいよ法律によつて一人の者に財産権を集中して、お前たちには権利がないのだということになると、かえつて農村における紛糾起るということをわれわれは心配するのであります。この点に対してどういうぐあいに考えるか。この三点についてお伺いしたいと思います。
○山添政府委員 この法律が適用されます戸数はかなり多いわけでありますから、量としては、なるほど例外としては非常に多いのであります。しかし例外ではございますけれども、先ほども民事局長から御説明がありましたように、民法の均分相続の趣旨にも十分即應している内容をもつているのでありまして、本質的に民法と違つたことをやつているわけでも何でもないのであります。 それから、家等が大きいような場合に金に困るのじやなかろうか、こういう御質問であります。これも第十二條等をごらんくださいますとわかるように、兄弟の中で話合をして、円滑に話をつけるというのが建前でございます。しかして評價の問題は、收益價格を基礎にいたしております。農業経営の安定を阻害しないように、兄弟の中で十分話合をして、いいところで話をつける、こういう趣旨であります。しかしながら將來を考えますと、どうしても分割して拂うというようなことでは少くとも分配にあずかる人の方面では、きわめて不満足であるという場合が起つて來るわけであります。こういうような場合に、やはり國家的に金融をする施設は、当然必要だと考えているわけであります。しかし現在は極力購買力が増加することを防ぐ、すなわちインフレーシヨンを抑制するという見地から、そういう措置をとることは困難であります。奬來状況がかわつて参しますれば、金融措置はぜひとも國家の施設として必要であると存じております。 それから、爭いを刺激するかいなかということにつきましては、先ほど竹村さんの御質問もあつたのでありますが、現在均分相続によるところの民法が施行されているこの事柄をお考えを願いたいのでありまして、この法律を出しましたところで、これは物事を一層合理的に処理しようということでありまして、もし問題がありますれば、この法律によつて農業経営の要求と、それから民法の原則とを相互に調和をして処理しよう、こういうことでありまして、爭いがあるとかないとかいうことが根本になると、これはやはり均分相続が行われているこの事実を前提にして、物を考えなければいけないじやないか、かように思うのであります。
○深澤委員 中央の官廳におられる方々は、非常に物事を簡單に考えられ、家庭裁判所等においてこれはうまく行くだろうというぐあいにお考えになつている。ところが農村の実情と申しますものは、大体はその村において、あるいはその所において民主的に解決している。家庭裁判所あるいは調停裁判所というようなところに出るときは、法律的にいえば大したことに考えられないけれども、実際農民は、そこへ行くときはもう最後である、ここまで持ち出さなくてもよろしいじやないかというのが今日の農民の実情であります。もちろんそれは、日本の農民が法律的に遅れていることも事実でありましようが、農村の実情といたしましては、そういう裁判の機関にかけてこうした問題を解決するということは、非常に四角張つた、どうしようもない問題を持ち込んで行くというのが通例であります。ところが法律の建前は、家庭裁判所などを中心としてこの問題を処理しようとお考えになつている。それは農村の実情から言つて、円くおさまることは非常に少いという経驗をわれわれは持つておるのでございますが、当局の方は、そういうことを非常に簡單に考え過ぎておるというぐあいに考えるのでありますが、そういう点はどういうぐあいにお考えになつておりますか。
○山添政府委員 ただいまの深澤君の御意見は、私もまつたく同樣に考えておるのであります。この法律ができましても、これはやはり家庭内のことでありますから、家庭内で十分相談する。そしてどうにも治まりがつかぬというときに、初めて家庭裁判所に持ち出すのが建前である。この法律としては必要なことだけ書いてありますから、一概に條文の上で家庭裁判所というふうに出ますけれども、事実は深澤さんのおつしやる通りでありますし、またそういうことを私ども期待をいたしておるのであります。
○深澤委員 もう一点だけお伺いします。この問題は農地調整法等とも非常に密接な関係を持つて來るのでありますが、第二條における農業資産の内容であります。この問題につきまして所有権の問題等も入つておるようでありますが、この所有権の分割等も、それは一應この所有権が一人の者に相続されるわけですが、それが分割される場合耕作権はほかにある。所有権はその相続人が今度は持つて、その所有権に應じた分配を金でやらなくちやならぬという場合、その資産の評價はどういうぐあいにお考えになるか。 やはり收益でよろしいとお考えになりますか。
○小笠原委員長 それでは他に質疑はありませんか。——別に質疑はないようでありますから、これにて質疑は終局いたします。 引続き本案に対する討論に移ります。討論は通告順によつてこれを許します。石井君。
○石井委員 農業資産相続特例法案につきまして日本社会党を代表して討論をいたすものであります。この法律は農林省としましては、民法の均等相続のもとにおいて農村の資産が分割され、農業経営がばらばらになり、どうして農業経営を維持して行くかというところを非常に心配されて法律を立案されたのでありまして、この意図するところにつきましては、いろいろとわれわれとしてもこの点をくみとらないわけではないのであります。しかしながら今の憲法は、御承知の通り、日本の封建性を打破する長子相続制を打破するという大きな論点に立ちまして、憲法制定をしたのであります。しかるにこの均等相続制が農村にどういう影響を與えたか、農業の細分化に対して農民がいかに処置をして行くであろうか、こういうようないろいろなる問題が、まだ民法実施後非常に短い期間であり、何らこれらについてのいろいろと農村の新しい、それらに対する対処のしかた、あるいはそれによつて引起されたいろいろの混乱、これらの問題が何ら現実には提起されておらない。つまり農林当局が心配をするようないろいろな問題についての解決点、あるいは困難なる問題等が、いろいろとまだ発生をしておらない。私は民法の制定のときにおいては、法務委員として参画したのでありまするが、このときにおきましても、法務委員の間に非常に論議があつたのであります。しかし自分といたしましては、この問題はおそらく農民がいろいろの立場から、一つの大きな解決策を考慮するという、また解決するために努力するであろう。そういうふうに考えて、さように先々までも取越し苦労しない。農民がいろいろ考えるところ、行き方等を見まして、そこでおもむろに立法をするということがいいのではないか。何から何まで一々おせつかいをしてやるというのでなく、自発的に、創意とくふうのもとに解決点を求めるようにしたらいいのではないかというような論議をいたしまして、あの当時相続あるいは遺書につきまして、何らかの項條を入れようということについて反対をいたしたのであります。つまりまだいろいろと新憲法の実施、民法の実施日浅くありまして、これに対するところの弊害、あるいはこれに対するところの解決策につきまして、いろいろと経驗を積まず、また実施を経ておらない。こういうときにおきまして、こうしたらばよろしかろうというだけの思いつきで、かような重大立法を制定することはいかがであろうか。もうしばらく実際的なる実証を見まして、その上に構想を立てるべきが正しいのではなかろうかとまず考えるものである。 その次にこの問題は竹村委員、あるいは吉川委員その他の方々からも質問がありましたが、農業資産相続人として指定された者はいいが、そのほかの人々、あるいは長男であるかもしれない、あるいは次男坊でもあるかもしれない、これらの多数の家族がある。こういうときに、それらの人の身の振り方を考えないで、農業経営を保つことには努力するが、他のはみ出された人々の問題を何ら考慮に入れて置かないということにつきまして、質問があつたのでありますが、この点についての考慮がされないで、この法律が漫然と制定されるということは、他日大きな災いができるのではなかろうかと考えます。この点について農林当局におきましては、日本が貿易國家として発展をする、あるいはその他日本の國が將來成長して、農村の多くの子弟がその方面に振向けられるということを仮定いたしまして、そういう希望のもとにこの法律を立案されておりまするが、われわれの見るところにおきましては、明治維新この方、人口の膨脹のはけ口が、さいわいに日本の近代工業の発展と相マツチいたしまして、人口を吸收して行つたのであります。しかしながら大東亞戰爭を契機としたところの日本の戰爭の敗北、これらにおきまして、日本の近代工業的な発展というものは一應頭を打つたというような形に來ておるのです。明治維新この方六十年の日本のあの発展の夢を、あの発展のはなやかさを追つて、こういうことがこの日本においてはまたあるであろうという建前の上に、農村人口問題、相続問題を考えることは、非常に危險があるのではなかろうかと考えるのであります。はなはだ遺憾でありまするが、支那におきましては中共の勢力が満州方面、またその勢力のもとに朝鮮もさようなことである。日本の貿易國家としての將來の建前は、非常に幅が狭くなつて來ておる。こういう状況を考えるときにおいては、むしろ農村に多くの子弟が逆もどりする状況になるのではなかろうかと考えられるのであります。こういうようなときに、これらの多くの農村人口あるいは日本におけるところの人口を、どう処理するかというところの一つの建前なくして、一局部だけの解決策を考えるということは、はなはだ政治としまして、また大きな立法としまして問題になるのじやなかろうかと、われわれは考えるのでありまして、これだけの大きな立法は、その農村人口、日本の人口のにらみ合せと、並びに日本の経済の発展過程というような國際的なにらみ合せ、それらも考えていたさなければならない。こういうことについて何らの構想、何らの考えも練らずに、木に竹をついだごとく局部療法的なこの立法をされたことは、はなはだ当を得ないものであつて、もう少し大きな構想、大きな基礎がつくられ、その上に問題の解決がせらるべき問題ではなかろうかと思うのであります。 もう一点、いつも論じられておりますが、一番われわれが心配しているのは、この農業資産の指定であります。この指定がまた簡單に取消される。つまり被相続人に農業資産の相続すべき者の指定の活殺自在の権があるという問題であります。これは新憲法のもとにおいて、その財産が、農業経営が被相続人のもとにあるもの、自分の財産権であるから、與えようと與えまいと自由自在であるという意味において、この指定を取消すのも指定するのも自由だという構想のもとに出た。それを当局としては、善意をもつて解釈しているようである。そういう指定というものは漫然としないで、自分の家の農業経営の実態とにらみ合せてやるであろうから、指定したりまた取消ししたりして、家をもむようなことはあるまい。こういうふうに当局では、その点については善意をもつて定めているようでありますが、われわれが最近農村において問題にし、心配しているのは、過日も質問いたしたように、農村におきましては長男が一番早く嫁をとるのであります。大体長男が農業経営の責任者になる。ところがあとの子弟の行くはけ口がないという状況におきまして、一番問題になるのは嫁をもらうと非常に嫁いびりが多い。そしてこれをめぐつて家庭の爭いが多いということであります。そこで二男でも三男でも、あるいは姉妹というようなものは、嫁に行くについていろいろと親に注文がある。冠婚葬祭等についていろいろの経費を要する。こういう実態がどこの家庭にも現われているというのが、今の農村の各家庭の実情である。 〔委員長退席、松浦委員長代理着席〕 こういうときにおきまして、農村の経営は困難になつて來る。しかし冠婚葬祭の費用等はふえて來ている。そこで親とすれば、なるべく経費をかけて嫁にやりたい。家の農業経営の責任を將來持つべき立場にある者は、さようなことによつて経費を使うのは、自分が一生他の者のために奴隷的な地位に追い込まれる。これをかれこれ言うと、嫁等をめぐつて家がもめる。そういう場合に、この指定権をめぐり、お父さんがだれでも指定ができるのだということをめぐつて、相当大きな争いができるのではなかろうかと考えているわけであります。均分相続でありますけれども、幸い今の民法を國民は了解しないから争いは起らないと言われておりますが、多くの身上をわけてしまつてもしかたがないからというので、均分相続の民法が相続の法則によつてあまり実施せられないと思いますか、今後この法律等もよく知られて來まして、そういう家庭環境、経済環境のもとにおきましては、非常に多くの問題が発生するのではなかろうかと思います。おそらくこれら指定権の自由性をめぐつて非常に爭いができるのではなかろうかと心配するのであります。こういう点をめぐりまして考えるときに、非常にこの法律は当局の誠意と善意があるのにもかかわらず、將來において多くの混乱を招くような形が発生しようと思う。今われわれといたしましても一番大きな考え方は、農業の経営を早く子供に渡す、だれか適任者があつたならばそれを渡してしまつて、冠婚葬祭を簡易化させることが、農民の負担を軽くするということである。こういうふうにしてある既成事実、ある具体事実をつくつて爭いの余地なからしめるようにして、その上に農業の経営問題、他の子弟の身のふり方を考えて行くことが、何よりも必要ではないか。こういうような行き方、考え方をつくつて、その上に足らざるところがあつたならば、立法の措置に及ぶというのが適当ではなかろうかと考えるのでありまして、法律をつくりまして、これでもう十分だと考えますれば、意図するところと非常に違つた結果が出て來ると考えているわけであります。日本社会党といたしましては、まだ新憲法の実施後日浅く、新民法の実施もまた日浅い。日本の経済における農村の変化も非常に大きい。また農村におけるところの冠婚葬祭等のいろいろな問題をめぐつて、農村はどうあるべきかというところの研究点が多い。これらをしばらく研究し、資料を集めまして、その基礎の上に日本の人口のあり方という点をも含めた、大きな構想の上にかような立法をなすべきだと思います。小手先的な木に竹をついだような忙しい立法では事を仕損ずるのではなかろうか、かような見地に立ちまして、本法案は当局の善意は十分にくみとりますが、反対をせざるを得ない次第であります。
○松浦委員長代理 次は坂木實君、坂本君、簡潔に願います。
○坂本(實)委員 ただいま議題に相なりました農業資産相続特例法案につきまして、民主自由党を代表し賛成の意見を申し述べるものであります。 御承知のように、わが國農業の経営規模はいたつて零細でありまして、農家の人口構成と考え合せました場合に、いわゆる適正規模に比べまして非常に低位にあるのであります。しかも終戰後均分相続制度の実施に伴いまして、この傾向はますます助長されるおそれがあるのであります。本法案はかつて第一國会に提案されたものでありましたが、当時は経済状態が非常に、不安定でありまして、また憲法違反の疑いもあつて審議未了に終つたのであります。近來経済も安定に向いましたし、また憲法違反の箇所も修正されて再び提案されたものであります。このたびの法案を通観いたしまするとき、立法論的にはいろいろな不備もあるようであります。しかしこの法律は民法の原則をくつがえす強行法規ではありませんし、一定の相続者の基準を定めたものでありまするので、必ずしも憲法違反論は成立いたさないように思われます。またこの法律によりましても、必ずしも経営の細分化を全面的に防止することは、おそらく不可能でありましよう。そこでこの問題は、むしろ経済政策一般の問題にも関連して解決されるべきでありまして、今後ともわれわれの努力を要請される問題点であり、なかんずくこの法律によつて、農業資産相続人以外の者の求償権に基く資産の点については、別途に解決の方法を発見すべきで、この点政府の善処を要望する次第であります。以上を希望しまして、私は賛成の意見を申し述べる次第であります。
○松浦委員長代理 次は竹村奈良一君。坂本君同樣簡潔に願います。
○竹村委員 私は日本共産党を代表いたしまして、本案に反対するものであります。本案の骨子をなすものは、農業資産の細分化を防ぐということがその骨子でありますけれども、今日土地の細分化されている状況というものは、先ほどから言われておりまするように一片の法律によつてこれを食いとめることはでき得ない状態になつておるのであります。御承知のように、それには今日のいわゆる農業のあり方、農業の経営が立ち行かないところに問題があるのでありまして、日本全國に行われているところの土地放棄の現実等を考えてみましても、この農業、いわゆる耕地というものが細分化されている原因というものは、その農業経営の成立たないところにあるのであります。じかもそれをおおい隠すごとくに、この一片の法律によつて、あたかも農業資産を守るがごとき幻想を與え、しかも一方においては、昔の旧憲法にあるがごとき、いわゆる家長制度の復活を目ざすがごとききらいが十分見受けられるのであります。しかも新憲法におきましては、いわゆる十四條並びに二十四條二項の違反であることは、われわれがこれに対してとやかく言うよりも、すでにこれは一般憲法学者が指摘しているところであります。しかもその上に、この法律によつて残されたるところの相続しない人々、いわゆる農家のたとえて言うところの二男、三男坊というものは、今日の社会情勢下におきまして、いわゆる潜在的な農村失業者としての人々である。この人に対するところの何らの施設も講ぜられていない。しかも当局の弁明によるならば、あるいはこれが対外貿易とか、あるいは農村工業とかによつて救える道があるがごとき答弁でありますけれども、今日のいわゆる政府の施策をもつてしては、何らこういう失業対策がない場合におきましては、その人々の生活というものをいかにすべきかという点については、はなはだ遺憾の点が多いのであります。私はこういういろいろな観点から申しまして、この政策こそは從來から、また現在の政府が考えております、一方においては、労働組合法を改惡して労働階級を押え、一方においてはこういう法案とあとに出て來るであろうところのいわゆる食糧確保臨時措置法等をもつて農民大衆を抑えつけることによつて、日本におけるところの、いわゆるフアツシヨ的な家長制度を基盤とするところの地主的な温存方策をとり、しかも終らないところの農地改革を、あたかも完了したかのごとき幻想を與えて、今日の農村経済が安定しているというがごときもとに、この法案を提出されることに対しまして、私は絶対反対の意を表明するものであります。
○松浦委員長代理 寺島隆太郎君。
○寺島委員 私は民主党與党派を代表いたしまして、若干の所懐を付して本案に賛成をいたしたいと思うものであります。政府が本案に企図いたしておりまするところのものは、申すまでもなく土地細分化を防止いたしたいという点でございまして、この点につきましては、すでに第一次吉田内閣において、かの第二次土地開放が行われました際におきましても、たとえば家産法等の制定によつて耕地細分化を防止する意図なきやというような、格段の質疑が当時から行われた問題であり、憲法違反等の問題につきましても、随所にその意見がまとまつて來ております今日の段階において、ひるがえつて一方において、農民解放令以來急激な土地細分化の傾向に拍車をかけております現段階において、何といたしましても、この土地の細分化を防止しなければならないという点から考えて、また世界各國の土地政策のあり方から考えて、これはむしろ妥当なる立法であると考えるのであります。ただこの上に立つて、私は日本の農地の所有形態をめぐつて、そこに特に御研究を奬來にわたつてお願いをいたしたい点は、日本の土地の所有形態は、あたかもおけであれば底のないわけのようなものであります。アジア式生産樣式という脆弱きわまりなきわが國の零細農家に対して、当然考えられなければならない問題は、最低程度の土地の所有面積をリザーヴすること、土地の所有面積を最低限度確保するという措置が講ぜられないならば、いかに本法のごとき法律、まだ各般の経済政策を裏打ちいたして参りましても、土地細分化の傾向は防ぎ得られない問題でございまして、むしろ近い奬來において、抜本的に農地の所有面積を保障するというような措置を、あらゆる忍苦と、あらゆる艱難のいばらを踏み越えて、われわれは用意しなければならない問題であろうと思うのであります。日本の耕作農民のために、この用意が農林省とわれわれの間に、近い奬來において持たれるであろうことを冷徹に期待いたしまして、これが私が賛成するゆえんの第一点。次にもう一つ申し上げたいことは、ただいまの山添局長のお言葉の中において、加工貿易國家として志向いたす日本の將來において、当然くずれ落ちるであろうところの農村プロレタリアートの姿は、この加工貿易國家としての雇用量の中に、繰入れるであろうというような御所論に承つておるのでありまするが、もちろんこれは一國の國策として当然あらねばならない姿ではございましようけれども、すでに集中生産等の姿をとりまして、あなたが現におやりになつておる農村工業の一つの工場、一つの作業場に、みしみしという音をたてて轉落いたしつつある現実の姿をよくお考えになつて、わずかに農林当局としては、積極的に持ち得る農村工業並びに開墾、開拓等の面に対しても、十分なる施策を考えられますとともに、農業政策の一環として土地なき農民、すなわち農村プロレタリアートに対する斬新にして適切なる措置を、早急に裏打ちせられんことを、これまた農林省当局とわれわれの努力のかなたに結晶せしめたいという二点を希望いたしまして、原案に賛成するものであります。(拍手)
○松浦委員長代理 吉川久衛君。
○吉川委員 私は新政治協議会の立場から本案に賛成するものであります。先ほどの農政局長の御説明にもあつたのでありますが、社会党の御意見のように、時期尚早論を唱える方も相当あるのでありますが、ただいまの日本の農村は、今回の農地改革によりましていやが上にも零細化されてしまつたのであります。そして農村の現状は、民法に規定されました均分相続の制度はございますが、おそらく相当な期間はこれは空文のような状態に置かれるであろうと思います。そういうことが尚早論の出て來る原因ではなかろうかと思うのでありますが、しかしそうかといつて、すべてがそういう状態であるわけではありませんので、いかなる場合にも、より零細化されんとする場合にこれを防止するところの必要から、このような法律案が上程されたのであるというように解釈せざるを得ないのであります。ただ問題は、いやが上にも零細化される日本のこの農業経営を、何とかして採算のとれる一本立ちのできるような農業として維持して行くためには、ただいまの農村の人口の増加率等から考えますると、近い將来においてゆゆしき問題が発生するのではなかろうかと思うのであります。この法律の裏づけには、あくまでもさような問題を解決するところの具体的な施策が考えられていなければならないのでありまするが、それらについては農政局長の御説明によりますと、まことに心細い状態にあるのであります。平和的な殖民問題とか移民問題とか、あるいはまた農地の創設だとか、あるいは狭い土地からより高度の生産性を持つような積極的な施策をお考えになるとか、あるいはまたもう少し啓蒙宣傳を強化徹底されるとかいうような問題について、予算的な強い施策を続いてお考えいただくということなくしては、せつかくつくつたこの法律は、空文にひとしいものになることをおそれるのであります。どうかそういう点に政府は十分御留意いただきまして、このせつかくつくられた法律の生きて行くような御努力を要請いたしまして、本案に賛成するものであります。
○松浦委員長代理 他に討論の通告はございませんから、これにて討論は終局いたしました。、 引続き本案に対する採決に移ります。原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○松浦委員長代理 起立多数、よつて本案は原案通り可決いたしました。 なおこの際報告書の件についてお諮りいたしますが、これは先例によりまして委員長に一任を願いたいと思います。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松浦委員長代理 御異議なしと認めます。それではさようにとりはからいます。 —————————————
○坂本(實)委員 この際日程を追加し、農業協同組合等による産業組合の資産の承継等に関する法律案の審査に入られんことを望みます。
○松浦委員長代理 ただいまの坂本君の動議に御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松浦委員長代理 御異議なしと認めます。それでは農業協同組合等による産業組合の資産の承継等に関する法律案を議題とし、提出者の提案理由の説明を求めます。 —————————————
○石川参議院議員 ただいま議題となりましたところの農業協同組合等による産業組合の資産の承継等に関する法律案につきまして、提案者を代表してその理由を御説明申し上げます。 この法律の要旨は大体次の二点に盡きるのであります。その第一点は、御承知のように、昨年消費生活協同組合法が制定されたのでありますが、この法律によりまして、現存の産業組合または産業組合連合会は法律施行の日から二箇年後、すなわち昭和二十五年九月三十日以後において、法律上当然解散されることになるのであります。從いまして現存の産業組合はこの期間内におきまして、あるいは農業協同組合に移行するものもありましようし、または消費生活協同組合法によりまして、消費生活協同組合になるものもありましよう。また同法によりまして市街地信用組合というものに移行するものもあると思うのであります。でありますから、いずれにいたしましても、この二箇年間におきましていずれかのそれぞれの他の法律に基くところの協同組織体に移行するものと考えるのであります。ところがこの他の法律に基くところの協同組織体は、解散いたしましたこれら産業組合の資産の承継につきまして、解散後でなければその財産の讓渡を請求することができないことになつておるのであります。これでは産業組合が解散いたします場合におきまして、その資産の処分に非常な支障を來しますので、産業組合あるいは産業組合連合会が解散前におきましても、これらの承継を受くべき團体がこの産業組合並びに産業組合連合会に対しまして、その資産の処分について協議をなし得ることといたしたいと思いまして、なおかつその処分の方法を明確にいたしたい、かように考えたのが第一点であります。 第二点は、これはかつて農業会から農業協同組合あるいは、農業協同組合連合会に移行する場合の財産の処分に関しまして、課税の問題がございましたが、あれと同じでありまして、今回も現存の産業組合が解散いたしまして、新しい組織体にかわるわけでありますが、その組織体はたとい名称がかわつておりましても、これを構成しますところの構成員個人はまつたく同一であります。從いましてこの同一の構成員を持つておりますところの組織体に対しまして、資産の承継にあたつて税を課すということは、はなはだ不適当と思うのであります。ただいま申し上げたように、これはすでに農業会が解散する場合の先例がありますので、その先例にならいまして、これとまつたく同様に、すなわち有価証券移轉税及び地方税はこれを免除する。そうして登録税につきましては千分の四に軽減する、こういうような点を規定いたしたいのであります。 以上は本法案の提案趣旨でございますが、参議院におきましてはその必要性を認めまして、各派共同の提案といたしまして、委員会の省略を要求いたして提案した次第であります。何とぞ衆議院におきましても、各位の御賛成をお願いいたしまして、無事通過できますようにお骨折りをお願い申し上げたいと思います。
○松浦委員長代理 これにて提出者の提案理由の説明は終りました。引続き質疑及び討論に入ります。
○坂本(實)委員 この際質疑及び討論を省略してただちに採決せられんことを望みます。
○松浦委員長代理 ただいまの坂本君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松浦委員長代理 御異議なしと認めます。それではさように決しました。 それでは本案に対する採決を行います。原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○松浦委員長代理 起立総員、よつて本案は原案の通り可決いたしました。 なおこの際報告書の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松浦委員長代理 御異議なしと認めます。それではさようにとりはからいます。 —————————————
○松浦委員長代理 それでは次に移ります。
○坂本(實)委員 この際日程を追加し、食糧品配給公團法の一部を改正する等の法律案の審査に入られんことを望みます。
○松浦委員長代理 ただいまの坂本君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松浦委員長代理 それでは食糧品配給公團法の一部を改正する等の法律案を議題とし、提出者の提案理由の説明を求めます。
○藤野参議院議員 ただいま議題となりました食糧品配給公團法の一部を改正する等の法律案につきまして、提案者を代表して提案の趣旨を御説明申し上げます。本法律案の要旨は大体次の三点にあるのであります。第一の点は、現存の農林関係配給公團、すなわち肥料配給公團、食糧配給公團、食料品配給公團、油糧配給公國及び飼料配給公團の五公團の存続期限を来年四月一日まで延期せんとするものでありまする 第二の点は、各公團は現行法によりますれば、その運轉資金を、必要があるときは復興金融金庫から借り入れることになつておりますが、復興金融金庫の現状から見まして、これをひとり復興金融金庫に限定することは不適当でありますので、この制限を除かんとするものであります。 第三の点は、現行法では、油糧配給公團の基本金は一千万円でありますが、油糧の生産及び輸入数量の増加と價格の値上りなどのため、取扱い金額が大幅に増大しております。反面資金操作はいよいよ困難を生じ、輸入代金の支拂いも不円滑を來すようになつて参りましたので、基本金を今回十五億円増額せんとするものであります。この点につきましては、別に政府より油糧配給公團法の一部を改正する法律案が本院に提案せられておりますので、その点をこの法律案に織り込んだのであります。元來、農林関係配給公團につきましては、本年三月三十一日または四月一日をもつて期限が切れることになつておりましたが、その後の措置につきまして、方針が未定でありましたため、今國会の当初におきまして、政府の提案通り、一應その期限を本年七月一日まで延期することにいたしました。しかして、その間に、政府におかれても、今後の方針について研究されることになつたのでありますが、農林委員会におきましても、独自の立場から檢討を加えることといたしたのであります。そこで、農林委員会といたしましては、特に、農林関係配給公團制度に関する小委員会を設け、不省私がその委員長して、しばしば小委員会を開き、あるいは公團当局を、あるいは民間関係者を招きまして意見を聽取し、現在各公團で配給統制を行つている各物資ごとに、今後引続き統制を継続することの要否、配給統制を継続することを必要とする物資については、その最も適当な統制方式を檢討し、一方公團方式を適当とする物資については、現行公團方式について改善すべき事項の調査を行い、また公團方式以外の統制方式を適当とする物資については、その統制方式及び各方式による配給統制実施上の諸條件などの要目に從つて、愼重に検討を加え、特に現存各公團の統合については、いたずらに名目上の措置を避け、眞に実情に即した最も妥当な措置を講ずることを期して、愼重な審議を続けて参つたのであります。 一方、政府におかれては、公團に関する今後の措置として種々研究せられた結果と思いますが、現在の食糧品配給公團と油糧配給公團とを合併し、また食糧配給公團に飼料配給公團を吸收せしめることとし、これに伴う法律案として、五月十三日、食品配給公團法案を、また一昨日、食糧配給公團法案を本院に予備審査のため付託されたのであります。 しかるに、公團の問題は申し上げるまでもなく、関係するところがきわめて廣汎であり、かつ影響するところまたはなはだ重大であります。農林委員会におきましては、小委員会の眞摯な審議にもかかわらず、いまだ結論を得るに至りませんので、調査を引続き行うことといたしました。しかしてその成案を得るまでの措置として、さしあたり現在の各公團をそのままさらに一應来年四月一日まで延期するのがこの際とるべき策であるとの結論に達したので、これに必要な法律的措置として本法律案を提案することといたしました次第であります。 以上が本法律案提出の趣旨であります。何とぞ皆さんの御賛同をお願いいたします。
○松浦委員長代理 これにて提出者の提案理由の説明は終りました。引続いて質疑及び討論でありますが、都合によつてこれを延期いたします。暫時休憩いたします。 午後六時一分休憩 ————◇————— 午後八時二十分開議
○小笠原委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。 食糧確保臨時措置法の一部を改正する法法案を議題とし、政府の提案理由の説明を求めます。
○森國務大臣 食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由を申し上げます。 食糧確保臨時措置法は、食糧供出制度の根本的改善をはかるため第二回國会に提案し、法律として成立を見たものでありまして、今年産主要食糧農産物からこの法律に基き農業計画を各生産者に指示し、これにより今年産主要食糧農産物の生産及び供給の確保を期していたのでありますが、昨年末経済九原則が公表され、日本経済の自立安定は、ひたすらこの線に沿つて強力に推進されることになつた結果、その最も重要な一環をしめる主要食糧農産物の集荷も從來の制度に改善を加え、その能率の向上をはからねばならぬ次第に相なつたのであります。 右九原則の具現化に当りましては、特に財政の実質的均衡と物價及び賃金の安定が、その根幹となるのでありますが、終戰以來の経驗にかんがみましても明らかな通り、経済全体の改善につきましては、食糧配給の確保が大きな基礎的な役割を持つているのでありますから、この際急速に経済の自立安定をはからんとするならば、食糧配給は必ずこれを確保せねばならぬのであります。 終戰以來我國は食糧の不足を輸入食糧により補つて來ていることは、今さら申し上げるまでもないことでありますが、今日わが國は配給所要量の約二割五分を輸入食糧に仰いでいるのであります。そして今日までこれはすべて連合軍占領地救済基金により供給されているのでありまして、われわれが自力で調達し得たものではないのであります。すなわちわれわれは、連合軍の絶大なる援助により、経驗以來今日まで國民生活の破綻を防止して参つて來たと言えるのであります。しかしながら、いつまでも連合軍の好意ある援助にのみすがることはできないのでありますから、われわれはこの際、その必要とする食糧を自力によつて最大限度に確保することについて、從來に増し一層の努力を傾けなければならないのであります。これがためには、まず國内食糧は可能な限り余すところな、集荷し、これを公平に配分するのが第一でありまして、その十分な実現をして後にこそ、初めて眞の不足量の輸入つき、連合軍の援助を引続き期待することができるのでありますし、また今度きわめて乏しいわが國の輸出代金を、食糧輸入に割くことが期待できるのであります。 現行の食糧確保臨時措置法は、主要食糧農産物の生産、供出その他に関する農業計画の指示を、作付の事前にこれをなし爾後供出割当数量は増加せられないことを規定しているのでありますが、これは、國内産食糧の超過供出を農民の自発的意思にのみ期待するものといたしますため、最大限の食糧を集荷しようとする面から見ると、経済自主化を急速に促進しなければならない現段階におきましては、適当でない点がありますため、旧臘連合軍最高司令部からも九原則に関する書簡の発表に相次ぎ、主要食糧集荷に関する覚書が発せられ、この点の法律改正が指令されたのであります。從いまして今般の改正は、この覚書に基き、減收があつた場合は、これの減額補正を実施するとともに、食糧需給の均衡をはかるため、特に必要がある場合は、作況を考慮して、供出数量の変更をなし得るような措置を講じるための法的措置を主たるものとしているのであります。 以下順次内容の重要な点を述べますと、第一に現地方農業調整委員会をおいた場合、都道府縣知事は地方農業調整委員会の管轄区域については、地方農業調整委員会の議決を経て、その区域の市町村別の農業計画を定めているのでありますが、從來この点については明瞭な法規上の規定を欠いておりますため、新たにこれを設けたのでありまして、農業計画に対する異議の申立てに関しても、地方農業調整委員会を関與せしめるものとしたのであります。 第二の点は、現行法によると、農業計画が公表されても、そのまますべての生産者が納得するとは限らないので、生産者が自己の農業計画に対して異議があるときは、農業計画の公表のあつた日から十日以内に、市町村長に対して異議の申立てをすることができることになつているのでありますが、異議の申立ての期間を公表のあつた日から十日以内とすると、各市町村の農業計画の公表が時間的に差異がありますため、市町村の農業計画により縣の供出数量に変更を生じる場合、その事務処理に支障があるのであります。すなわち現状においては、農業計画の変更は、國全体の食糧事情を考慮して決定しなければならない事情にありますため、最後の異議申立てがあるまで、全体が決定し得ないことに相なるのであります。特に現在法規上は知事の承認を要する場合の決定は、異議申立て期間経過後四十日以内となつておりますため、この関係からも実際の決定が著しく困難となるので、農業計画に対する異議の申立ては、都道府縣知事が定める期間内にこれをすることに改めたのであります。 第三の点は、これまで市町村長が生産者に農業計画を指示する場合において、その指示は一定の形式によることを特に定めておりませんでしたので、個人別割当があいまいとなり、特別價格の支拂い等につき不都合がありましたので、側人別割当を常時明確ならしめるためにも、個人に対する割当の指示は、農林大臣が樣式を定めた書面によるべきことを明文化したのであります。 第四の点は、今改正法案の主眼点であります。前述の通り政府は、生産者が災害等眞にやむを得ない事由により、当初に定められた供出数量の供出が不可能となつたと認めた場合、及び收量が当初の見込みに比し増加し、生産者に供出の余力があり、かつ國の食糧事情からも食糧需給の均衡の保持上必要があると認めるときには、中央農業調整審議会及び都道府縣知事の意見に基いて、事前に割当てた供出数量の変更をなし得ることとしたのであります。 次に供出数量の削減の場合の手続の点でありますが、現行法によると、生産者から市町村長に対し減額請求があつた場合に、供出数量の削減を行うことになつているのでありますが、これによつては農家の現状から見ても、減額請求の手続を逸して補正を受け得ぬ農家が生ずるおそれがあり、補正の完全を期し難い事情があると思われますので、災害等のあつた場合は、政府の指示するところにより、市町村長がこれを行うことと変更したのであります。 以上の供出数量の増減変更の場合にも、農業計画の事前割当の指示の場合と同樣に、生産者の意思を尊重し、供出数量の変更に対する異議の申立てを認め、割当変更の公正を期し、農家の納得の行く供用を行つてもらおうとするものであります。 なお供出数量の変更を受けない者につきましては、市町村長がその旨公表し、これに対し異議の申立てをなし得る道を開き、かかる場合の救済措置を講ずる次第であります。ただ供出数量の変更に対する異議の申立てについては、供出期限の関係もあり、生産者別の供出数量を迅速に決定する必要がありますため、市町村長は異議申立て期間経過後十日以内に、都道府縣知事の承認を要する場合は、異議申立て期間後二十日以内にこれを定めることとし、当初の農業計画に対する異議申立て後の決定の場合に比し、その期間を短縮したのであります。 改正の第五としては、農業計画の変更の場合の措置につき、これを円滑に運営いたしますため、いわゆる地方補正を明らかに法的制度として認めようとするものであります。すなわち特に必要ある場合には、都道府縣知事は都道府縣農業調整委員会の議決を経た後に、農林大臣の承認を経て、農林大臣が指示した農業計画に変更を來さない場合に限り、事前に割当てた供出数量の変更について農林大臣の指示と異つた指示を市町村長にすることができることとした点であります。これは全体としての食糧確保には支障なく、しかも市町村の実態に即して合理的補正を行うための措置であります。なおこの場合においても、指示を受けた生産者が異議の申立をなし得ることはもちろんであります。 以上のごとく今般の改正は、内外の要請から災害等の場合の減額措置にあわせて、食糧需給の均衡保持上必要ある場合は、收穫の増加した生産者に対し供出数量の増加を命じ得る道を開いたのでありますが、もし努力して收穫した数量のすべてに対し追加割当を命ずると、まじめな農民の勤労意欲を阻害するおそれがありますため、政府は追加割当の場合、食糧事情の許す限り、超過供出をする生産者が超過供出の一部を保有することができるように、増加数量を定めなければならぬこととしたのであります。 最後に改正の第六点について申し述べますと、主要食糧農産物の生産を増進するため、生産障害除去に関する市町村農業調整委員会の指示権の中に、陰木の伐採を加えた点であります。今日耕地に隣接する林木の陰のため、その耕地の食糧の生産力が著しく低下している事例がありますため、かくのごとき場合陰木を伐採し得ることといたしたのであります。これの運営につきましては、具体的事実を十分に考慮の上、愼重に運用せしめるつもりでありましては、その際の補償の措置についても、受益者は市町村農業調整委員会の指示に從つて、損失を受けた者に補償しなければならぬこととし、陰木伐採に関する指示を円滑になし得るようにしたのであります。 以上が食糧性確保措置改正法案の骨子となる点でありますが、要旨とするところは、経済九原則の具体化を中心とする日本経済再建に関する近時の動向に即應するため、供出制度の能率的な改善をはからんとするところにあるのであります。何とぞすみやかに御審議の上、御可決くださいますようお願いする次第であります。
○小笠原委員長 これにて本案に対する提案理由の説明は終りました。引続き質疑に入ります。坂本君。
○坂本(實)委員 ただいま食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、農林大臣から詳細なる提案理由の御説明を承つたのであります。もとよりわが國が現在直面をいたしておりまする最大の課題は、経済の自立安定ということであります。かくして民族独立の基盤を確立しなければならないのでありまして、経済九原則の実施も、けだしこの線に沿うものでありますることを、私たちはかたく信じておるものであります。またそのためには食糧の確保が実にこの自立安定化の根幹をなすもでありますることも、また申すまでもないところであります。しかるに敗戰後台湾、朝鮮を失いまして、食糧生産基地を失いましたわが國は、二五%以上の輸入食糧によつて、日本の食糧をまかなつているという実情にあるのでありまして、この見地からいたしましても、われわれが國内に生産されまする食糧を、最大限に活用しなければならないことはもとよりのことでございます。もとよりわが民主自由党におきましては、常にかような現実に即しまして、最も進歩的な保守主義の立場に立つて、諸般の政策を行つて來たのでありますが、われわれはこの当面しておりまする現実の問題の中から建設的な政策を取上げ、これを促進いたしまして、祖國再建に貢献しなければならないと思うのであります。かような意味におきまして、私たちはあらゆる面におきまして、建設的な積極的な施策に対しましては、どこまでもこれを強力に推進することにやぶさかなものではないのであります。今回提出されましたこの供出制度に関しまする法案は、いろいろただいま提案理由の説明を承つたのでありまするが、もとより先ほど來申しますような、日本の今日置かれておりまする実情からいたしまして、一應やむを得ないこととも考えます。しかしながら今日のこの供出制度というものが、いかに農村にとつて苦しいものであるかということは、これは政府当局もよく御存じのことだと思うのであります。すでに深更に及んでおりまするし、この際一々のこまかな点についての質疑は、これを次会に讓るといたしましても、私たちがこの改正案によつて受けまする印象は、今までやつて來ました事前割当というものが、一体いかなる意義があるかという問題、あるいはまたこれによつて、何となく強権発動がいよいよ強化されるのではないかというような印象を受けること、また超過供出を法制化して、むりやりに出させようとすることは、いわゆる農家の人たちの汗とあぶらの結晶に対しまして、そのあまりにも考え方が冷酷ではないかといつたような印象を受けるのでありまして、これらの問題につきましては、特にわれわれといたしましても、この法案の提出されることにかんがみまして、愼重に実は研究もし、考慮もいたしておるのであります。從いまして先ほど申しましたる通り、すでに夜もふけておりまするし、いずれ次会においてとくとひとつ質疑を重ねたいと思うのでありまするが、この際農林大臣にお伺いいたしたいことは、今までの法案の審議のように、ただ形式的なものでなく、あるいは総理にも御出席を願つて、そうして眞劍にこの問題を討議いたしたい、かように考えるのであります。会期も切迫いたしておりまして、いろいろ御多端なこととは思いますが、ひとつつとめて政府委員各位も御出席を願つて、愼重審議をいたしたいと考えておるのであります。各項にわたりまする質疑は後刻に譲るといたしまして、一應この法案に対しまする私の考え方を申し述べまして、そうしてこの法案審議に当りまする政府の心構えと申しますか、御決意をひとつこの際承つておきたいと思うのであります。
○森國務大臣 坂本委員から御理解のある御意見を付しての御質問であつたのでありますが、この法案が会期末に切迫いたしておる今日に及んだことは、いろいろの事情がありまして、ことに重要なる法案であるにかかわらず、今日になりましたことは、申訳ないと思うのでありますが、あらかじめ農林委員会におきましても、この法案について相当御審議が加えられておつたと承知いたしておるのであります。この問題はただいまも申し上げました通り、経済九原則の結論といたしまして、食糧の集荷を確保しろということが強く言いつけられてありますのと、また三月三日の指令書によりましても、ぜひ今日の食糧を確保せなければならないということが、強く指示されておるのであります。今御承知の通り、日本が二割五分の輸入食糧によつて、ようやく配給の程度がきまつておるのであります。このアメリカからの食糧輸入がないものならば、非常に日本の食糧事情は不安でありまして、とうてい今日ではこれを救済し得ないような情勢にあるのであります。すでにアメリカの國会でも、この七月から新しき年度の審議が進められておりまして、どれだけ日本に食糧を輸入すべきかということが、今アメリカでも論議されておるのであります。このアメリカの國会におきましても、日本國民がアメリカから供給してやつておるところの食糧に対して、どういう考えを持つておるか、また日本國民が、少し食糧が安らかになつたというような氣持でうつかりしてやしないか、この食糧の急迫しておることを眞に日本國民が自覚しておるのであるかどうかということは、非常に注視されておるのであります。こういう情勢のもとに置かれておる場合、日本にいたしましては、現実において食糧を輸入してもらわなければいけないという段階にある以上、日本のあらゆる力を集めまして、そうして日本の生産力を増加するとともに、生産したところの主要食糧は、これを政府が確保するという処置をとることは、アメリカの市民諸君に対しても当然なる日本國民の義務と考えるのであります。われわれはこの氣持におきまして、日本の食糧事情を見ましたときに、一應事前割当はいたしておりますが、その後作柄によつて減收した場合には、これを補正せなければならないということはもちろんでありますが、事前割当以上に供出する余裕がある。あるいはまた農家が節米あるいは地方食等によつて、保有した食糧をさらに供出し得る能力を生ずるというような場合がありましたならば、それらの事前割当にいたしました以上の食糧を、政府に供出してもらうという手段を講じることが、今日の先ほど申しました事情から申しましても、当然と思うのであります。日本の食糧事情を需給推算いたしまして、これだけのものが大体とれよう、そうしてそれを事前割当いたしまして、幸いその事前割当の数量によつて食糧の需給推算がうまく立つということに行きますならば、あえてこれを補正することの必要を感じないのでありますが、何分年々歳々天候等の関係によりまして、災害もありますし、一部においては事前割当が減る。一部においてはまた相当の作柄を示すというふうに、日本の地勢上から申しましても、作柄というものは一定に行かないのであります。そういうことをさらに調節する必要が、おのずから需給関係から生じて来ると思うのであります。そういう場合にあたりまして、食糧を確保する道がはつきりしておるということが、先ほど申しました日本の事情から申しましても、当然な処置と、かように考えまして、この法案を制定いたして行きたいという氣持で提案いたしたのであります。何分九原則の結論といい、また今回三月三日に発せられました先方の指令書によりましても、はつきりと食糧を確保すべしということがなされておりますので、最も重大なる意義のある法案として、愼重なる御審議を特にお願いする次第であります。
○石井委員 食糧の基本的の数量が維持されるということは、民族の独立するための根幹であろうと思います。食糧の基本数量というものが維持されなくては、それを海外から仰いでおるという状態では、その民族はなんといいましても、その独立を維持できないということは明らかであります。現在の二合七勺の食糧、この程度のものが日本の國内において自給できるという体系が打立てられ、なおあるいはその上に一勺なり二勺なり、増配になるところの食糧が維持されるということは、日本國民にとつて、その独立を維持するための根本的なる線ではなかろうかと考えるのでございます。こういうところの大事業を打立てるということは、日本農民の絶大なる協力と、そうして政府のまたたゆまざるところの努力があつて、初めて実現できることであろうと考えるのであります。外交におきまして國民外交がある。いろいろと政党がかわる、内閣がかわるときには、若干の外交のテクニツクには違いがあつても、國民の行くべき道を示すところの根本的国民外交がある國が栄えるがごとく、農政におきましては、日本の農民に、日本の國民に一貫せるところの大きなる農民政策というものが打立てられなくては、ほんとうに日本の國民生活が安泰し得ないであろうと考えるのであります。今回ここに提出されたところの食糧確保臨時措置法、これは民自党がこの前の選挙において公約したとか、あるいは社会党がどうしたとか、共産党がどうしたとかいうような問題でなく、日本に國民農政を確立するところのこの大きな問題と取組んで行く、こういう意味におけるところの大きなる法案審議であろうと思うのであります。またこういう氣持で終戰後三箇年、四箇年たちまする今日におきまして、われわれはこれらの問題と取組んで行かなければならない、こういうふうに考えるのであります。本委員会におきましては、かような立場から、政党政派を超越して、そうして日本の國民のために根本的なる食糧政策を解決し、あるいは食糧政策を打立てる、こういうふうな氣持で努力をいたして、そうして國民の要望にこたえ、そうしてまた農民の期待に沿わなければなりますまい。かように思うのであります。かような見地からいろいろと細部にわたつてまた質問する点も多いのでありますが、ただいま坂本委員も申された通り、時間も遅いことでありまするから、細部にわたつてはあるいは明日にこれを讓りまして、中心としまして、大体日本においてアメリカの恩恵によるとか、アメリカがいろいろ援助してくれておるのであるから、われわれは食糧の供出に努力しなければなるまい、生産に努力しなければなるまい。こういうふうな氣持でなく、ほんとうに日本の民族の独立のため、いかなる場合があつても、八千万民族の最低限度の食糧の確保をしなければならぬ、かようなる農業政策を打立てて行くことが政府の責任であり、また本農林委員会の責任であろうと思うのでありまして、これにつきまして農林大臣におかれましては、今までいろいろの立場におきまして、アメリカの援助にこたうるために、國民は努力しなければならぬということを申されておるのでありますが、しかしながらなおそれ以上に進んで、根本的に、日本の食糧問題をある限度におきましては自給自足をせんければなるまい、こういう見地に立ちまして、いかなる御決心と御覚悟があるか、その点につきまして御答弁をお願いいたしまして、そうして私の今日における質問の要点を盡したいと思う次第であります。
○森國務大臣 まことに適切なる御意見を承つたのでありまするが、現段階におきましては、先ほど申しました通り、アメリカからの食糧を輸入してもらつて、ようやく二合七勺の配給ができておるようなわけでありまするが、お話の通り、われわれ民族の独立の上から申しましても、当然この食糧だけでも一日も早く自給自足の道を立てたいと、かように考えるのであります。それにつきまして、ひとり先ほどお述べになりました通り、アメリカからの援助を断るということのみならず、わが民族の独立という立場から申しましても、食糧の自給自足を考えて行かなければならぬ、かように私は考えております。つきましては、この食糧増産にあらゆる手段を講じまして、そうして日本の食糧が充実できるように考えるとともに、一面人口問題等のことも考慮しなければならぬ重大な問題でありまして、その人口問題と食糧という問題は、いつかもこちらで申しました通り、いろいろの解決手段がありましようが、とりあえずわれわれは、この食糧において自給自足をするという氣持によりまして、増産に努力し、そうして食糧問題をわれわれの手によつて解決いたしたい。こういう氣持を今日の日本として考えて行かなければならぬことと思うのであります。つきましては、いろいろな事情上十分なる農業政策も、現政府としては意のごとくなつておりませんけれども、さらに皆樣の御協力を得まして食糧増産に一意努力を続けたいと、かように考えておるわけであります。
○竹村委員 日本民族の独立と、発展の基礎をなすものは、日本の食糧の自給体制の確立であることは、先ほど同僚議員からもお話があつたことでありまして、その点には触れたくないのでありますけれども、しかしながらそれといたしましても、現存問題になつておりますところの、経済九原則の完全なる実行をいたす場合におきましても、またこの食糧の自給体制が確立されなければ、この経済九原則の実行というものは不可能であると私は考えるのであります。しかしその食糧の自給体制を確立するためには、單に法案によつて、農民の納得しない形においていかに強権をもつていたしましても、それは不可能でありまして、少くともこの食糧の自給体制を確立するという根本原則というものは、やはり農民の納得の行く、しかも農民自身がこぞつて協力する態勢を確立して、初めて食糧の自給体制が確立されると考えるのであります。本法案の提案理由の説明をお聞きいたしましたけれども、どうもこれは、事前割当において、農民の生産意欲を増大させるという面がいささか欠けておるのではないかと考えるので、この点に対して農林大臣の御所見をお伺いしたいと思うのであります。 なお先ほどから言われておりますように、最も重大な、日本民族の生死にかかわるところの問題でございます関係上、これはいろいろな方面に関係すると思うのであります。たとえばこれを実施いたします場合は、その裏づけをなすところの物資の配給計画等々から考えまして、坂本委員も言われましたごとく、本案審議に当つては、お忙しい中であろうと思いますけれども、商工大臣にもお開きしなければならぬことがあると思うのであります。いわゆる農村課税の問題につきましては大藏大臣に、あるいは米價問題につきましては、やはりこれは安本長官の御出席を願つて、そうしていろいろお聞かせ願わなければならない問題があると思うのであります。こういう意味におきまして、先ほど農林大臣にお願いしましたことは本日お聞かせ願つて、あとは今申しました各大臣の御出席をまつて、その所管の事項につきまして、またあらためて御質問いたしたいと思いますので、委員長よりよろしくおとりはからいあらんことをお願いする次第であります。
○森國務大臣 竹村君からの御質問、まことにごもつともであります。経済九原則は、輸出ということを第一義として考えて行かなければならぬことを示されたのであります。輸出を第一義といたしますれば、この輸出の力を興すについて、まず考えなければならぬことは食糧であります。食糧の充実なくして輸出を増加することはとうていでき得ないのであります。結論から申しますれば、何をおいても食糧の増産ということが第一に考えられるのであります。御説の通り、ただ一片の法律を強化して、これによつてのみ食糧が増産され、あるいは確保せられるものではないと思うのであります。今後において、いろいろ御質問等もあろうかと存じますが、この法案の制定は、とにもかくにも日本の必要量を確保するためのものでなければいけないということは、御承知の通りと思います。これと相あわせまして、農民が納得の上で供出をし、そして喜んで増産に励むというふうな施策が必要でありまして、それにはお話のような、いろいろ再生産に対する資材等、農村に報ゆる面に向つても、大いに考慮を拂わなければならぬと思うのであります。これらのことにつきましても、政府はできるだけ農民に報ゆる氣持で、生産物の價格の上、あるいは資材の配給の上、あるいは見返り物資の配給の上等に十分なる考慮を拂つて、できるだけのことをいたして行きたい、かように考えておるわけであります。
○小笠原委員長 本案は現在参議院の方で審査中でありまして、その審査の状況を見まして本委員会も審査をいたしたいと思いますので、以後の質疑は次会にいたすことにいたしまして、本日はこの程度にとどめます。 次会は明二十一日午前十時より開会することにして、本日はこれにて散会いたします。 午後九時五分散会