農林委員会 第21号
- 発言数
- 159 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1949/05/13
会議録
○小笠原委員長 これより会議を開きます。 議事に入る前に御報告いたします。昨十二日内閣提出による肥料配給公團法の一部を改正する法律案が本委員会に付託せられました。以上御報告いたします。 それでは競馬法の一部を改正する法律案を議題とし、政府の提案理由の説明を求めます。苫米地政務次官。
○苫米地政府委員 ただいま御審議を願います競馬法の一部を改正する法律案の提出理由を御説明申し上げます。 さきに第三回國会におきまして、公正な競馬を行うため、従前の競馬法及び地方競馬法を廃止するとともに、新たに競馬法を制定し、従来事日本競馬会の行つて来た競馬を國営とし、馬匹組合または馬匹組合連合会の行つてきた競馬を都道府縣営または指定市営とし、今日まで運営して参りましたが、その実績にかんがみ、なおまた競馬法第四十條の規定により、施行後一年内に改廃の措置をとる必要事もあるますので、ここに次の要事旨により所要の改正を加えることとしたのであります。 第一は、競馬の公正を維持するために必要な改正を行うことであります。すなわち一年以上の懲役に処せられた者は、馬主になれないこととしたこと、また指定市が行う地方競馬について農林大臣も監督すること事ができる措置を講ずるとともに、都道府縣と指定市及び指定市相互の組合の結成を容易にいたしまして、地方競馬の秩序を維持したこと、なおまた勝馬投票類似行鳥の罰則及び競馬法違反の罰金を引上、げたことであります。 第二の、要点は、國営競馬の開催日数を一競馬場について、地方競馬場と同一とし、國営及び地方を通じて新たに重勝式勝馬投票法を採用して費得金額の増大をはかろうとすることであります。そのほか特権的色彩を除くことが必要事であると考えられますので、無料入場の制度を廃止したことであ事ります。 以上がこの法律案を提出した理由の大要であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことを希望する次第であります事。
○小笠原委員長 これにて政府の説明を終ります。 次に特殊勝馬投票券に関する法律案を議題とし、政府の提案理由の事説明を求めます事。苫米地政務次官。
○苫米地政府委員 ただいま御審議を願います特殊勝馬投票劵に関する法律案の提出理由を御説明申し上げます。 この法律案は國営競馬の勝馬投票劵の賣得金額の増大をはかるため、勝馬投票劵に特殊の措置を講じ、あわせて競馬法中に、このために必要な規定を設けようとするものであります。 すなわち、國営競馬の大競走について、賣得金総額の五割以内、一投票劵の劵面金額の十万倍以内において、勝馬投票の的中者についてさらにくじ引きを行い、これに当つたものに集中的に拂いもどす措置をとろうとすることであります。 この勝馬投票劵の発賣の事務は、適当な銀行に委託することといたしております。なお、諸般の準備の都合によりまして、施行期日についてはあらためてお諮りすることといたしております。 以上がこの法律案を提出した理由の大要であります。 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを希望する次第であります。
○小笠原委員長 これにて政府の説明は終りました。引続きまして競馬法の一部を改正する法律案及び特殊勝馬投票劵に関する法律案を一括議題とし、質疑に入ります。竹村奈良一君。
○竹村委員 大体戰時中に競馬ができました根本的な考え方は、おそらく軍馬を育成するということが目的であつたと思います。敗戰後におきまして、これが続けられるところの素因というものは、少くともこの競馬を施行することによつて、いわゆる國内におけるところの畜産事業の育成を目的としておるものだと考えておりますけれども、これに対してこの競馬を施行されて、どれだけ畜産事業に対してどういう形で育成されたか、たとえば育成するための金額、あるいは競馬から生れますところの利益によつて、どれだけの事業をされたかということを、ひとつお尋ねしたい。
○山根政府委員 競馬の收入は、たしか戰爭前でありましたが、当時は馬産の改良発達のために特定して一部を使うことにいたしておつたのでありますが、新しい競馬法におきましては、金額で申しますと本年度予算で約二十二億くらいの國庫納付金を持つておるのでありますが、最近における財政の基本的な考え方にのつとりまして、特に馬産のために、あるいは畜産のために、いわゆるひもつきでこれを充当するという考え方はいたしておりません。しかしながらただいま申しましたように、約二十二億の一般会計の財源にこれをいたしておるわけでありまして、もちろん畜産振興のために特定はいたされておりませんけれども、一般会計の財源としてそれだけの金額が充当されておるという関係になつております。 なお國営競馬につきましてはさようでございますが、地方競馬の收入につきましては、これは各縣財政に同じような意味で寄與いたしておるわけでありますが、地方競馬につきましては、縣によつては特にその財源によつて畜産の振興に、いわゆるひもつき的な考え方をして取扱つておる縣もあると思うのであります。
○竹村委員 結局そういたしますと、それはいわゆる國庫の財政收入の中に入れるということだけが目的にされておりまして、しかもそのとり方自体が各國民の中に賭博心理を植えつけるというような考え方から政府は一歩も出ていないような感じを受けるのであります。少くともこういう形でとられた國庫に入つた金というものは、その本質的な畜産を育成、助成するという意味において使われるのであるならば、これはまたうなずける点もあるのでありますが、単に國家の財政、いわゆる租税のような形で國庫に使うということ自体が、露骨に申しますと賭博をあおつて税金をとつている。それに対する影響は非常に私は大きいものがあると思いますが、これに対して政府の対策をお聞かせ願いたい。
○苫米地政府委員 お答え申し上げます。ただいまのお話の点にはごもつともなところがあると存じます。しかし現在國家財政のいろいろの点から、こればかりでなく、他にも同様な施策が行われておりますが、決してそれをいいと認めておるものではなく、漸次これを改めて行こうといたしておるものであります。この競馬法につきましても、御説の通り、産馬の獎励という方向に向つて行かなければならないのでありますが、これは近い將來にそういうふうに改正して行きたいと思うのであります。さよう御了承願いたいと思います。
○竹村委員 最近の馬の状態を一つお聞かせ願いたいのですけれども、こういう形で、ここにいわゆるばくち的な行為をあおつて行くというような形になりますならば、馬にいたしましても、ただ競馬に使用するというような馬ばかりに飼育者が注目するようになつて、実際の馬力を引くとか、あるいは農耕に使うとかいうような馬の増産というものが、おろそかにされるようなきらいがあると思うのでありますが、これに対して一体どういうような形で、どういうような方面の馬がふえておるかという点をお伺いしたい。
○苫米地政府委員 ただいま申し述べましたように、これは漸次改めて馬産獎励の方向に向けて行くつもりでおります。
○竹村委員 その点については納得が行かないのでありますけれども、その程度にしておきます。 それからひとつお聞きかせ願いたいのですが、第九條の、特殊勝馬投票劵に関する拂いもどし金については所得税は課さない、このことについて、具体的にひとつお聞きかせ願いたいと思う。これは重要な問題である。たとえばいわゆる農民が、孜々営々として日本國民の食糧をつくるところの米麦にいたしましても、超過供出ができないという者を、行政措置で超過供出をさせておき、その超過供出さした者に対しては遠慮会釈なく税金をとつておる。この問題につきましては、再々この委員会においても大藏省に尋ねたら、所得のある者に対しては必ずかけるということを言明しておる。しかしこの勝馬に当つた、ばくちでもうけた者には税金をかけない、こういう政策の根本的なものについて、これが適当であると考えておられるかどうか、農林大臣にお聞きしたい。
○森國務大臣 税制の問題でありますから、政府におきまして税務当局としてのお答えをいたした方が適当と思いますが、宝くじ等についても、これは課税しないという例を開いておるのと同じく、馬劵に対しても税をとらないということになつておるのでありまして、これは税制計画の上から考慮されておることと思います。なお詳しいことは大藏省にお聞き願いたいと思います。
○竹村委員 詳しいことは大藏省の方が來られてから聞かせてもらうことにいたしますが、農林大臣としまして、こういうことがはたしていいと考えておられるかどうか、しかも先ほど言いましたように、超過供出をさせて遠慮会釈なく税金をとる。これは当然割当のやつは別問題としても、超過供出をするのには並々ならぬ農民の努力があり、それに対する必要経費も相当かかつておるということは、農林大臣もたびたびお認め願つたのでありまして、しかもこれに対しては遠慮会釈なく税金をとつておる。これに対して農林大臣としては、これは間違つているとお考えになつているかどうか、大臣としての御意見だけをお聞かせ願いたいと思います。
○森國務大臣 これは農林大臣といたしまして、食糧増産の面に対しての課税ということはできるだけ軽減する、課税してはならないという結論は得られませんけれども農業生産という重大性にかんがみまして、できるだけ課税は軽減して行きたい、また行かなければならぬという方針をとつておりますが、競馬あるいは宝くじというような性質にかんがみて國家の財政計画の上におきまして、これらのものは課税しないという税制の上の結論を得てあるのでありまして、私といたしましては、こういうようなものにも当然課税してもいいのではないかという氣持は持つております。農業生産に対してさえ過重な課税をいたしておる今日に、こういうものに対しても課税することが妥当ではないかという私は考えを持つのであります。しかし税制計画の上からこういうものはどういう氣持で委員会等において除かれておりまするか、これは大藏当局が参りましたときによくおただしを願いたいと思いますが、私の氣持は、今申しましたような氣持を持つております。
○竹村委員 それでは大藏当局が來られましてからお聞きいたします。
○深澤委員 大臣にお伺いしたいのでありますが、競馬の目的が畜産獎励にあるのか、それとも國家の財政政策の立場からこれを行つておるのか、その根本的な問題について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○森國務大臣 競馬ということが、軍事獎励の重大な眼目になつておつたことは御承知の通りであります。しかし戰後この軍馬というものの必要がなくなりまして以來から、各地におきまする競馬等においても、今までのような競馬の施行方針をかえまして、ほんとうの農業に必要なる、いわゆる重き荷物を引いて耐えるというような馬の増産に力を注いで來ておるのでありまして、品種の改良等においても、そういう方面に主として力を盡しております。この競馬ということは、今日の社会世相の上から申しまして、やはり過去のいわゆる競馬としての特質をまた競馬において現わしておるということが、今日もなお残つておるのであります。しかし馬産の上からは、今後はいわゆる農業馬、車を引き農耕に携わるという馬の増産に力を盡して行くことが、政府のとつておる方針であります。
○深澤委員 昭和二十一年以來、この競馬によるところの莫大な收入が國庫に入つておるのでありますが、今大臣が申しましたように、この競馬が畜産獎励の目的にあるとするならば、この國庫收入が、あげて農林省の方面において畜産獎励に使われなければならないという結論になると思うのでありますが、從來國庫に入りましたこの收入が、いかに畜産方面に使われておるか、そういうようなことについて、その実情をお伺いしたいと思います。
○山根政府委員 競馬の收入は、競馬の目的がそういうことであるならば、收入はあげて畜産の獎励に使うべきである、という御意見のようでありますが、先ほども私からお話申し上げましたように、戰時中の競馬法には、一時そういう考え方を半ば取入れて規定してあつたのでありますが、新競馬法には、御承知のようにその規定を落しておるのであります。その理由は、これは今日の財政の建前として、特定の收入を特定の支出に結びつけるという原則は、実は否定されておるわけでありまして、そういう意味からは二十二億の國庫納付金が、そのまま畜産の経費に充当はされていないのであります。そのような建前上そうされておるのでありますが、しかしながら私どもは、大藏当局と畜産振興に関する予算の折衝、その他の場合に、もちろん競馬を通じて國庫收入に寄與しておりまする事実を、言外には前提にいたしまして、折衝をいたしておるわけでありまして、もし正確な数字が御必要であれば後刻——あるいはすでにお手元に差上げてあると思うのでありますが、畜産局の所管の予算としましては、衛生関係をも含みまして、約五、六億の一般会計の支出をお願いいたして、畜産の振興に充当いたしておるような実情であります。
○深澤委員 この競馬の実態を聞きますると、競馬に参加する馬が最近において非常に少いようであります。從つて、競馬自体の実質が畜産獎励、品種の改良というような方面から逸脱いたしまして、單に競馬競技というものに興味を持つような方向に行つておるようでありますが、もし現在畜産獎励において競馬が行われるとするならば、多数の馬がそれに参加いたしまして、その品種に対する批判というようなものが行われなくちやならぬと思うのでありますが、非常に少いと聞いておるのであります。現在國営競馬等に出馬しておる馬の数はどの程度あるか、それをひとつお聞きしたいと思います。
○山根政府委員 ただいま御指摘のように、いわゆる競馬馬は最近、從來に比べますと非常に減つております。もちろん競馬は大臣からお話がありましたように、畜産の獎励にも一應そういう目的をも持つて行われておるわけでありますけれども、同時に財政收入を、言いかえれば浮動購賣力をこれによつて吸收いたして、かたがた財政收入をふやして行くという目的が大きく最近におきましてはクローズーアツプされて來ておるわけであります。それと同時に、何と言いましましても、いろいろ御批判があると思うのでありますが、これは賭博だというような御批判もあろうと思います。しかし一つのスポーツとして、一般國民の氣分を、それを通じて明るくしようという目的も、実は一つにはこの競馬には持たせたいと考えておるわけでありまして、そういう趣旨から申しまして、実は競馬自体は、その馬そのものがただちに農馬としてあるいは輓馬として役立つ馬ということと、ある程度離れておることも、これはただいま申しました別の目的を達するという点から申しますれば、全然無意味じやないかという批判に対しても、そういうことが言えるのじやないか、かように考えておるわけであります。しかしながら畜産の振興を、それを通じていたしたい。昔の競馬法には馬事思想の普及ということもあつたわけでありまして、ただいまの競馬法にはそのことは書いてはございませんけれども、競馬を見ることによつて、馬というものの考え方がそれによつてかわつて行く、畜産に対する関心を一般の人が持つて行くということを、間接の効果として私どもは期待しておるようなわけであります。直接的には競馬に走る馬が、ただちに輓馬なり役馬としてそれが役に立つというような関係は、從來ありました競馬と若干その方向がかわつて來ておるというふうに私は考えております。
○深澤委員 この競馬の根本目的が、大臣が申されるには、畜産獎励というところに重点がおかれておるというぐあいに言われておるのでありますが、今の御意見によりますると、スポーツとして國民に明るい氣持を與えるというような任務もあるのだというようなことも言われておりまして、まことに競馬に対する根本方針というものが不明確のような感じがするのでありますが、少くとも畜産獎励ということを目的といたして競馬が行われるといたしますならば、その産地の代表的な種類を並べて競馬に参加するというような方法がとらるべきであると思うのであります。もちろんそれ自体がただちに役馬や輓馬になり得るということはないにいたしましても、そうした品種の馬が優秀であるということを認めさせる、批判させるということに競馬の目的があるのであります。現在行われておる競馬は、そういう産地の各種の馬を並べて競馬に参加さしておるか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
○井上説明員 競馬は御承知の通り興味がある競馬でなければならぬものであります。お話のように各種の種類の馬を並べて競馬をやれというお話でございますが、元來よく御承知の通、競馬の発達の沿革から言いましても、平場の競爭、あるいは障害ということがおもになります。また今日の地方競馬におきましては、そこの競馬も非常にたくさん行つておりますが、いずれにいたしましても、速力を爭うということが競馬の建前になつておりますから從いましで各種類の馬というわけに参りませんで、それぞれ特徴のある種類の馬が走らざるを得ないという状況にあるのであります。これと一般の馬との関係は、わが國に馬の改良が行われましてから、すでに五十年以上も組織的にやつておりますが、元來日本の馬の能力が、小さい馬で、力もなく速力のないものを競争馬を原原種といたしまして、逐次適当な方法を講じて参つたのであります。その間直接使う馬も、種馬として外國から入れた例も相当たくさんございますが、競爭馬そのものが改良の原原種となつたということは、はなはだ恐縮でありますが、これもよく御承知のことと存じます。さようなわけでございまして、世界各國で発達いたしました競馬を、日本でまねてやつておるのでありますから、しぜんそういい競馬が興味がある。從ててそういう競馬が栄えるというような意味で、競馬が行われておるような次第であります。
○深澤委員 畜産獎励に出発いたしました競馬が、競爭の興味、あるいはそういう方面に逸脱しておることが今の御説明によつてわかつて來たのでありますが、今日の日本の農業の実態から申しまして、農業が今までの原始的な方法から近代的な農業に切りかえなければ、日本における食糧問題の解決ができないという事態に到達しておると思うのであります。その面から農業の機械化というような問題が非常に問題になつておりますが、しかし今ただちに農業の機械化ということは、はなはだ困難な事情にある。從つて段階的にまず畜力利用ということが、農業の面において非常に重要であるというぐあいに考えるのであります。しかるに現在の農村におきましては、戰爭において馬の数を非常に減らし、なお戰後において、馬を賣つてそれを馬肉にした方が利益であるというので、相当の数が減つておると思うのであります。從つて今日の日本の農民といたしましては、この馬を手に入れるということに非常な苦心をいたしております。資金の面においても、困難な事情にあると思うのでありますが、少くとも農林省が今日この畜力利用のために、馬を要求しておる農民に対して、最大の努力を拂つてこれを供給するというところに、今日の日本の農業を発展させる大きな任務があると思うのであります。こういうような見地から申しまして、競馬自体もそういうような方向に改めて行かなければならない。從つて競馬收入というようなものも、あげて畜産獎励、馬を農民に與えるという方向に向つて行かなければならないということを、われわれは考えております。しかるに今日、この國営競馬の收入の実権は大藏省に握られておる。これを農林省が握りまして、そうして事実において畜産獎励の方向へ役立たせる、日本の農業を畜力化するというような方針が必要であるというぐあいに、われわれは考えておるのでありますが、この点につきまして、ひとつ農林大臣の御意見事をお伺いしたいと思います。
○森國務大臣 日本農業の経営の上において、お説の通り農業を機械化して行くことが必要であるという御意見でありますが、同感であります。しかし機械化と申しましても、日本の農業の実態から、欧米のごとくにほんとうの機械化ということはでき得ないのでありまして、ただとり得るものは、畜力の利用あるいは電力の利用等が、まずさしあたりの問題であります。戰爭当時、農業は軍馬徴発のために非常に馬を失いました。そうして今日では馬が買いたくても馬がないというような情勢に瀕しておりましたので、戰後農馬の増産に種畜場は、あげて努力をいたしておるのであります。漸次馬の頭数も増加して参りまして、今後有畜農業として大いに役立つて行くのでありますが、この機運を落さずにますます有畜農業の面に向つて、馬の生産に努力して行きたい、かように考えておるわけであります。
○深澤委員 私のお伺いしたいことはまだあるのであります。つまりこの國営競馬によつて入るところの國庫收入を、今日馬購入のために、資金に苦しんでおる農民の資金に融通するというような方針を、政府は持たれる必要があるのではないかと思うのでありますが、その点について大臣の御意見を伺いたいと思います。
○森國務大臣 馬からもうけたから馬に使う、これからもうけたからこれに使うというように、國家の予算は、そう簡單に参りません。また競馬でもうけたものを農業の方へ全部注いで行くか、あるいは競馬でもうけたくらいでなしに、さらに多くの経費を農業に投じて行かなければならぬ場合もあります。それで農業政策の上におきましては、この農林、水産、漁業の資金といたしまして、できるだけの資金を融通いたしまして、農林、水産の経営の上の資金の融通をはかつて行きたい。かように別途考慮いたしておることは御承知のことと存じますが、今回予算の非常に苦しい場合でありまして、公共事業費等も当初計画いたしておりました通り参りませんので、今後は、この農林、水産復興金融の方面におきまして、資金を相当確保いたしまして、農林、水産方面にこれを融通して行きたい、かように考えております。從つて家畜の購入資金等も、おのずからこの方面から助成ができることと、かように考えておるわけであります。
○深澤委員 一般論は打切りまして第四十條の、この法律は施行の日から一年を経過した日までに改廃の措置をとらなければならないというような競馬法の末尾に加えられておる條文でありますが、これは一体いかなる意図のもとに、この條文を加えたのであるか、この競馬法自体がまことに改廃を必要とするということを前提としてつくられておるのでありますが、どういう事情において、こういう條文をつくられたのか、この点をお伺いしたいと思います。
○森國務大臣 これは國営にいたしました当時に、とりあえず一箇年國営でやつてみよう、その結果國営としてやるべきか、民間の事業としてやるべきかは、その当時考慮すべきであるというので、とりあえず経過期間としてこの期日が制定せられておるのであります。國会において、もしもこれが國家の経営としてやることが不都合である。よろしくこういうようなものは民間の経営にまかすべきものであるという國会の意思が表明せられますれば、どちらにもなるのでありますが、政府といたしましても、ただちにこれを民営に移すということは、諸般の事情、競馬設備等の関係から、ただちにこれを國家が放棄して民間に移譲するという段階に立つておらない、かように考えまして、國営競馬として、これを当分持続して行くべきものである、こういう見地から、この法律を出し、修正をいたして皆様の御協賛を仰いでおるようなわけであります。
○井上(良)委員 二、三質問をしたいのですが、この法案を審議するのに一番重要な点は、この法律の目的は何を目的にしておるか。いわゆる浮動購買力を吸收して、政府の財政收入を確保するということに目的をもつておるのか。それとも今論議されておりますように、わが國農業形態を近代化する、その重要な一つの骨として畜力を導入するために、その面における一つの仕事としてこれを行うべきである。こういう考え方と二つあるのであります。最近の競馬の傾向を見てみますと、農林省が経営しなくても、大藏省が経営する方がかえつていいではないかという傾向が露骨に現われて來ておる。單に農林省は馬の生産をしておるというだけの仕事をやつておつて、競馬自体は大藏省がやつてもいいではないかという意見さえ、最近巷に流布され、関係方面でもそういう意見が非常に強いじやないかというようにうかがわれるのであります。私ども先般、この競馬の問題が大きく轉換しなければならぬという事態に当面いたしましたときに、ときの畜産局長とよく話をいたしました結果、一方政府は畜産の五箇年計画を立てる。これがうまく行けば十箇年計画へ延ばす。その一環として競馬を考える。從つて競馬から上つて來ますところの收入は、これを三等分いたしまして、三分の一を國内の畜産獎励に使う。三分の一は戰災その他非常に犠牲を受けました戰爭犠牲者に使う。あとの三分の一を國庫及び地方財源に当てる。こういう三本建ての案を考えて、関係当局ともいろいろ折衝して参つたのでありますが、すくなくとも農林省がこれを所管し、わが國畜産の現状からこれを飛躍的に発展させなければならぬ実情から考えますならば、國庫財源のきわめて枯渇しておる現状におきまして、一方において大衆の購買力をもつと引締るとともに、その上つて來ます收入を一部目的に使うという行き方は、決して誤つた行き方ではないとわれわれは考えて、そういう方向をとつて來ておつたのでありますが、その後農林省は、一体そういう方向を依然として堅持されておるかどうか。もしこれが現状のままならば、おそらく農林省の所管から手が離れてしまいはせぬか。私どもはこういう非常に大きな危惧を抱くのでありますが、この点に対して、農林大臣は大藏大臣及び安本長官と積極的に話をされまして、少くとも競馬から上つて來る收益の一部は、畜産獎励に必ず使うような道を開くことが、わが國農業の実情から絶対的に必要であるという強い、強力な交渉をやる必要がありはしないか。またわれわれ國会としましても、大藏当局、安本当局に対しまして、十分その意見の開陳をいたしまして、農林当局の方向にわれわれも協力したいと考えておるのでありますが、そういう面にひとつ全力をあげてもらわなければならぬと考えるのであります。 その次に畜産五箇年計画における産馬の状況は一体どうなつておるか。五箇年計画はもう打切つたのか。それとも実行しようとしておるのか。実行しておるとするならば、もう三年になるが、今一体どういう経過をたどつておるか。特に産馬の状況はどうなつておるかということを、あわせて伺いたいのであります。
○森國務大臣 井上議員からの御忠言まことにありがとうございました。政府におきまして、競馬の存在いたしておりますものは、お上げになりました第一、第二、この二つの目的をもつて今日経営いたしておるのであります。この競馬執行に対しては、井上議員も当時その責任の位置にお立ちになつておつたわけでありまするが、御承知のように現在競馬に対しましては、独立会計といたしまして、これだけ競馬において國庫收入があることをはつきりいたさせることによつて、この事実を基礎として、今御忠言のありましたような、畜産の改良ということに特殊の施設を行う材料にいたして行きたい。かように考えておるわけであります。なお五箇年計画につきましては、数字のことでありまするから、政府委員よりお答えいたします。
○山根政府委員 畜産について五箇年計画が樹立せられておるわけでありますが、最もむずかしい点は、はたしてそれだけの飼料が確保せられるかどうかという見通しの点でありまして、その点について、必ずしも輸入飼料その他がこの計画で考えておりますほど、あるいは從來の実績もあまりなかつたし、また今後の見通しも十二分の実は確信がもてない。この点が私どもとして非常に心配しておる点でありますけれども、しかしながら樹立されました五箇年計画を放棄する意図はもちろんありません。これをそのまま強力に、何とかして計画通り押し進めて行きたい。こういう考えを実は持つておるわけであります。ただすでに三年の歳月を経過しておるではないかというお話のようでありますが、これがほんとうにスタートいたしましてから、まだ最初の年でありまして、その間の実績が、数字的にはたして計画通り進んでおるかどうかは、はなはだ申訳ありませんが、私ここに正確な数字を持つておりませんので、後刻お話を申し上げることにいたしますが、ただいまのところ、それが暗礁に乗上げた、難関にぶつかつておるとは実は考えていないのでありまして、飼料の点を除いて大体私どもの計画通り今日まで進んでおるというふうに考えております。
○井上(良)委員 今深澤委員からも質問がありました地方競馬が最近非常にふえまして、いわゆる戰災都市、府縣営また先般ここを通過しました町村経営まで行おうというような、押すな押すなの主催者の実情から、いわゆる競走馬が非常に足らないということは、今日一般の通例になつて來ておるのであります。このままで行きますならば、おそらく馬はことごとく疲れはててしまつて、満足な馬はなくなるという実情に追い込まれるのではないかと思います。ここに何か新しい手を考えなければならぬ。たとえば開催日をもつと制限するとか、あるいは新しく産馬を獎励して、どんどん競馬馬をつくるとか、何かここに新しい手を考えなければ、とうていこのままでは競馬自体の開催が不可能になりはしないかと思います。それに対する具体的な対策をどう考えられておるか、この点について伺いたい。
○山根政府委員 今後競馬の回数をふやして、さらに議員提出法案として別途に出ておりますように、戰災を受けました町村までこれを主催し得るという道が開かれました場合に、競走馬が不足して、それぞれの競馬が成立たぬではないかという御意見は、まつたくごもつともでありまして、私どもも実は非常に危惧いたしている点であります。しかしながら、競馬には先ほど來お話がありましたような重大なる一つの目的を持つているわけでありまして、これを振興して行かなければならないという考え方を持つておりますので、競走馬のそういう枯渇により競馬が成立たなくなるというようなことのないように、今後いろいろなことを考えて行かなければ、実はいけないだろうと苦心しているわけであります。競走馬の実情は、逐次競馬が盛んになりましたにつれまして、これも戰前の頭数から比べますならば、現状では相当減つてはおりますが、絶対数としては逐次増加しているような実情であります。
○井上(良)委員 次に伺いたいのはこれは大藏省の方がおりませんが、競馬開催に伴う税やらその他の諸がかりが非常に高いという関係から、勝馬投票をやらずに、場内外に通称のみ屋というものが横行している。これは脱税行為であり、これがためにどれほどいろいろな秩序をみだし、惡い傾向が競馬につきまとつているかということは、これは大きな弊害になつている。これに対して一体どういう取締りをいたし、こういうことが横行しないような処置をとろうとするのか、この点についてひとつ伺わなければならぬ。特に專門家である競馬部長から伺つた方がいいと思いますから、競馬部長に御答弁を願いたいと思います。
○井上説明員 お答えを申し上げます。今の通称のみ屋の取締りにつきましては、私ども関係者といたしましてまことに困難をきわめているということを正直に申し上げます。この根本の原因は、戰爭中において控除率が漸次高まつて参つたことに起因すると実は考えております。当初一割五分の控除率でございましたものが、近ごろ連勝式が非常に賣れますために漸次ふえまして、大体三割五、六分というような控除率になつております。從つて政府経営の馬劵を買うよりも、私設馬劵屋から買う方が、われわれうすうす聞いているところでは、二割ぐらいは拂戻しを還元している。こういうことから、馬劵を買う人は自然そちらの方に氣をとられるというような根本的な問題があると思いますが、これらの点につきましては、國家財政の点をにらみ合せて、かつまた馬劵を眞実理解してもらえば、漸次緩和する方向に、いわゆる輿論がきめてもらえるような時代が來るのではないかと考えております。しかしながら現実の取締りといたしましては、最近において法律の改正によつて、競馬関係職員が、大体二十名場内における警察権を持ち得るように、大体議会の御承認を得ておりますので、これが相当役立ち得ると思います。かつまた警備員その他をそれぞれ常置いたしまして、その取締りについては苦心をいたしておりますことは、井上さんのよく御承知のことだと思います。
○井上(良)委員 次に一点、地方競馬を農林大臣が監督しなければならぬように法律を改正したのでありますが、具体的に地方競馬をどういうわけで監督しなければならぬことになつたか、こういう事由があるからこれは監督しなければいかぬのだという具体的事実を御説明願いたいと思います。
○井上説明員 お答え申し上げます。全國的に、あるいは区域的に、地方競馬がそれぞれある程度の統制をとらなければならぬ場合が相当あるのでございます。たとえて申しますと、馬の問題であるとか、騎手の問題であるとか、あるいはその他の重要な競馬運営上の問題でそういう点がございます。そういう場合には個々の地方廳ではとり得ないことがございますので、その指導監督といつたようなものを農林省といたしてやつてもらいたい、こういう地方の相当強い要望が実はございます。それから指定地と縣といつたようなものの間にいろいろ紛擾が起ることもあるわけでございますが、同じように並んで、主催権を持つている場合には、やはり農林省が、これを監督権を発動してやつてもらう方が都合がよろしいという地方の実例も出ております。御改正を願いたいというのは、農林当局としては、予算その他の関係から申しまして負担になるのでございます。地方競馬の方は財源もございませんし、われわれとしても苦心をいたすのでございますが、地方の要望が相当強いということから、これを改正していただきたいと考えているのでございます。
○井上(良)委員 大藏当局が來てから質問をお願いたしたいと思います。これで一應終ります。
○竹村委員 大臣にお伺いいたしたいのでありますが、先ほどから聞いておりますと、畜産獎励の一番がんをなしているものは、やはり國内におけるところの飼料問題だということが明らかにされているのでありまして、この飼料は先般の酪農業法の場合においても一應質問したのでありますが、大臣からお考えを伺つておりませんので、ここで伺いたいと思います。戰前飼料の輸入の大半は満州からなされていたことは政府の答弁によつて明らかになつたのであります。今日この畜産問題を解決し、畜産獎励をやり、日本の農業の発展に重きをなすという場合においては、やはり飼料問題の解決が先決條件であろうと考えるのであります。これに対して満州には相当飼料がある。しかもそこから輸入されておつたということが言われているのであります。そこで私はまづ馬の飼料を輸入しなければ、やはり根本的なえさの問題は解決しない。今日の食糧事情から考えてそういうふうに考えるのでありますが、これに対して私たちの考え方からいたしますならば、日本における今日の中小企業は、製品はできたけれども、賣行きがない。いろいろな形で中小企業がつぶれるような状態になつている。しかしそれは製品を製造するところの組織がないかというと、非常にある。そこでこういう満州にある飼料と、國内における中小企業が製品過剰で非常に困つているものをバーターいたしまして、それで飼料を購入するならば、この問題は立ちどころに解決するのではないかと思います。と同時に、國内におけるところの中小企業の発展にも寄與いたしますし、ここに働くところの労働者諸君の問題も解決して行くのでありますし、なお國内におけるところの失業問題も、解決への道がここから開けて來るのではないかと考えるのでありますけれども、これに対して農林大臣は、そういういわゆるバーター制をしいてえさの問題を解決するためにどういう御努力をなされておるか、またそういう意思があるかどうかということを伺いたいと思います。
○森國務大臣 世界でどんな國でありましても、自分の國で自給自足のできる國はないのであります。ここに國際関係というものの妙味があるのでありますが、日本はかつて朝鮮・満州・台湾等と有無相通じて、相互の國民生活が円満に行つておつたのであります。でありますから、一日も早く國際情勢が回復いたしまして、朝鮮とも貿易ができ、満州とも中國とも貿易ができれば問題はないのであります。また相互の國民が生活が樂になつて行くのであります。しかし御承知の通り満州の現情、朝鮮の現情は、私が説明いたさなくても御承知の通りであります。一日も早くいずれの國が配下にあろうとあるまいと、國際情勢を回復いたしまして、もとのように満州とも物資の交換ができ、朝鮮とも物資の交換ができることをひたすら念願いたしております。しかし今日の情勢は、御承知の通り日本みずからの力においては、何ごとも解決し得ないのであります。畜産に対する飼料のごときは満州に豊富にあります。また砂糖のごときも、これだけ苦しまなくても台湾に相当の生産があるのであります。ありながら、これが相互有無相通ずるところの立場にない今日の日本の現状は、御承知の通りであります。われわれは一日も早く國際情勢を回復いたしまして、そうして昔のことを忘れて、お互いに助け合うところの美しき國際関係の結ばれることの、一日も早からんことを念願いたしておるのであります。政府といたしましても、できるだけ日本が列國の承認を得て、こういう立場に立ち得られるような情勢に導いてもらえるように、國内態勢を整えて行きたいと考えるわけであります。
○小笠原委員長 この際お諮りいたします。委員外の北二郎君より、本案に対し発言を求められておりますので、これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは北二郎君の発言を許します。北二郎君。
○北二郎君 私はおもに種馬の件についてお尋ねいたしたいと思います。たしか昨年この法案が通つたときに、政府側の理由といたしましては、種馬の改良に努力するということであつたのでありますが、今年の種馬の買上げ状態を見ますと、毎年農林省は種馬を買い上げておりますが、今年の種馬の買上げは何だかやらないように聞くのでありますが、これをやるのかやらぬのか伺いたいと思います。
○山根政府委員 実は種馬を買い上げるにつきましては、國といたしましては予算が必要なわけでありますが、この予算は本年はいろいろな事情で削減せられたのであります。しかしながら種馬の國の買上げということは、お話のように馬の品種の改良の面から見て非常に必要なことでありますので、これをある程度続けて参りたい、かような考えをいたしております。
○北二郎君 それでは今年は買い上げるのですか、買い上げないのですか。買い上げるとすれば何頭ぐらい買い上げますか。
○山根政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、予算の運用によつて事実上は買上げをある程度続けて参りたい、かように考えております。ただそういうようなことで予算の計上が十分でありませんので、はたしてどれだけの実施ができますかどうか、これはただいま予算の運用の面で研究をいたしておるわけでありまして、計画が確定いたしましたならば、それを御発表いたすことにいたします。
○北二郎君 そこで農林大臣にお伺いしたいのでありますが、先ほども農林大臣は、馬の改良上どうしても競馬をやらなければならぬというような御趣旨でありましたが、この競馬から上るところの今年の二十二億円もの金を、幾らかこの馬の資源、もとにまわす考えはないかどうか、この点をひとつお伺いいたします。
○森國務大臣 予算編成の内容につきまして、できるだけ融通をいたしまして、競馬の收入から出る金額がそういう方面に特別に使用のできるように考慮して行きたいと考えておるわけであります。
○小笠原委員長 北君、前の質疑と重複にならないように願います。
○北二郎君 そこでもう一、二点伺いたいことは、この前馬籍法廃止の法律案が通つたのでありますが、あれによつて実は馬の改良も馬の取引も——一体馬の年齢もわからないで馬の取引をしなければならぬという状態になるので、これを何としても民間の團体に積極的にやらせる方法を、農林省は考えたことがあるかどうか、その点を伺います。
○山根政府委員 馬籍法を廃止する理由につきましては、当時御説明申し上げた通りでありまして、今日馬籍制度は必要がないという建前で廃止したわけでありまして、これを引続いて民間にやらせるということにつきましては、私どもといたしましては今日そのような考え方をいたしておりません。
○北二郎君 政府は馬に対しては非常に関心がないと私は思います。たとえば聞くところによりますと、馬は兵器だというように考えられておられたそうであります。私は馬の産地におりますが、戰時中におきましても馬がどんどんできまして、軍馬に適するようなものができるかと思えば、そうではなく、実際は農耕馬に適するような馬がどんどんできておつたわけであります、そこでなぜそういうことを農林省がなされますか、その点を伺いたい。
○山根政府委員 戰爭中は馬は主として軍馬資源として重要性を持つておつたわけで、お話のように馬は兵器だというポスターまで畜産局は掲げておつたわけであります。そこでこういう状況になりまして、今日ではそういう考え方はもちろん全然持つていないわけでありますけれども、馬は農業経営上、農耕馬として馬の利用を促進して行かなければならない必要性につきましては、今日といえども当時と同じようにその必要を認めておりますことは、先ほど大臣からのお話にもありました通りでありまして、私どもは馬はどうなつてもよい、從つて馬籍法もやめたのだ、去勢法もやめたのだというような考え方は、もうとう持つていないわけであります。
○北二郎君 しからばお伺いいたしますが、今北海道に相当種馬所があります。ここに確保しておる種馬というものが相当多いのでありますが、これをどんどん民間に拂い下げておる状態のように聞いておりますが、何ゆえにこういうことをされるか、ちよつとお伺いしたいと思います。
○山根政府委員 実は御承知のように、種畜牧場の整理が今日問題になつておるわけであります。そのことは馬は減らしてもいいのだ、種馬はこれは淘汰してもいいのだというような考え方ではないのでありまして、種畜は必ずしも所要量の全部を、國が今日持つておるほど持たなくてもいいじやないか、民間にこれを持たしてもやれるじやないか、その方がむしろ適当ではないか、こういうような考え方に出ておるのであります。
○北二郎君 そこでお伺いしたいことは、実は北海道におきましては、戰時中から一つのブロックをつくりまして、こつちでは輓馬をつくるとか、こつちでは小格輓馬をつくるとか、あるいは育成地帯とかわけてやつておつたわけですが、その後農林省から何もその指示がないので、そのままの形態になつておる。たとえば私のおる付近にしても、これは育成地帯でありますが、この育成地帯を農業経営に取入れてそれが立つて行くようにしてあるわけです。そこで相当の育成馬を持つておるわけですが、農林省は今はつきりしないと、これは一体育成をしながら、りつばな馬を持つておつて途中で投げてしまわなければならぬ。從つてその農業経営が成立たぬということになつてくるのですが、こういうのをどうされる考えですか。
○山根政府委員 先ほど來繰返し申しましたように、馬はどうなつてもいいのだという考え方はいたしていないわけでありまして、畜産の五箇年計画におきましても、一應國が目標として、理想として考えております形態を織り込んでおるわけであります。そういう意味でありますので、具体的に北議員のお話の、その場所をどう考えておるかというお話になりますと、即答いたしかねるわけでありますけれども、從來馬を使用する各地方におけるそれぞれの特色というようなものを、私どもはすべて御破算に無視してこの計画を立てたわけではないわけでありまして、長い間の馬産の慣行なり、そういうものは十分新しい計画には織り込んで進んで参るつもりでおります。
○北二郎君 農林当局としましては、毎度つもりでおります、何でありますと言われますが、実際北海道におきましては、そういうぐあいにブロックにわかれておりまして、これが種馬の買上げをある程度政府で調節しないと、いわゆる輓馬のところに競馬が行つたり、競馬のところに輓馬が行つたりするというような種馬の買上げの仕組になつております。そこで今年はぜひともこういう面から予算を繰上げて、これを買い上げていただくように切望する次第であります。 それから次にお伺いいたしたいのは、將來において日本の馬が満州または支那に出て行く見通しはあるかどうか、この点をひとつお伺いしたいのであります。
○山根政府委員 將來どうなるかということでありますが、これははつきりした見通しはもちろんできないと思いますけれども、戰前も御承知のように満州にはある程度日本の馬も出ておつたような状況であります。そういう意味からいたしまして、日本の秩序が回復し、さらに日本の馬産が改良せられましたあかつきには、あるいは満州方面に馬が出て行く可能性は十分考えられると思うのであります。
○北二郎君 最後にもう一点飼料問題についてお伺いします。私ら北海道でありますが、北海道ではほとんど農家は馬を使つております。一軒も農家に馬がいない農家はないのでありますが、この飼料確保に農家は非常に苦しんでおる。しかも十分な畑が與えられないために、これは冬にいわゆる枯れたものを食べさして、馬が骨軟になつて倒れて行くという状態になつておるのですが、これは馬を飼つておる農家には、少くとも何反歩という飼料畑を認める考えがあるかどうか。またやつておるならば、今どれくらいの反別をやつておるかということをお聞きしたいと思います。
○山根政府委員 農馬の家畜飼料の確保につきましては、まつたく私どもも非常に苦心いたしておるところであります。御承知のように主要食糧の割当の場合に、馬を持つております農家には、家畜の飼料の保有を認めておるわけでありますがこれが実際問題として十分でないことは、私も承知しておるわけであります。從いまして、考え方としてはああしたわずかの保有を持たせるという考え方よりも、むしろ飼料法を初めから農業計画に組み入れて確保する、しかも十二分に確保するということが、考え方として最もすつきりした正しい考え方とも思うのでありますが、かような食糧の事情でありまして、はたしてそれが今日の現状において実現できるかどうか、これはむしろいろいろな食糧事情を中心にして、全般の問題から考えた場合に非常な困難があるであろう、かように考えておりまして、私どもとしては、まだそうした案を、実はそういう観点から具体化いたしていないわけでありますけれども、そういう考え方につきましては、畜産局としては常に研究を続けておるわけであります。
○北二郎君 今聞くところによりますと、大事な食糧をつくるもとである馬に、飼料畑も割当てないという結果になると、これは大事な食糧ができない。北海道あたりでは、食糧をつくるには馬がいなければできないわけであります。食糧をつくるもとなんだ。そこで農林大臣に今度はお伺いしたいのですが、この馬に飼料畑を認める考えがあるかないか。認めるとすれば何反歩認めるか、この点をお伺いしたいのであります。
○森國務大臣 北君にお願いいたしたいことは、日本の食糧をよく考えていただきたいのであります。外國から動物の飼料を輸入して、日本の家畜を養つておる今日であります。また日本の國民も食糧を外國から輸入してもらつて生活をいたしておるのであります。家畜を養うということはもちろん食糧増産のためであります。食糧増産のための家畜を養うについて、家畜にえさを與えようという御要求は当然でありますけれども、今日の日本の食糧事情は大きい家畜の食糧を人間が食つておるような現状であります。人間も生活に苦しいが、家畜もそこに非常に苦しい目をしなければなりません。これが普通の態勢にもどりますならば、家畜を養うについて要すべき土地も與えられましよう。今日はわれわれ人間の生活する食糧すら外國から輸入を受けておる。この現状を考えまして、農業経営の上においては十分な要求は入れられません。そこにおいて農業経営に苦しいところがあるのであります。そこに頭をしぼつて、十分に経営を合理化して行くということに、お互いのこの苦しい生活を切り抜ける面がある。家畜を獎励しながら家畜に対する耕地を與えないのは不都合ではないかという御意見ごもつともであります。家畜に十分な耕地を與えるだけの日本の食糧事情でないということを、よく御了承願いたいと思います。
○北二郎君 食糧事情が惡いからこそ、初めて家畜の畑を與えろというので、今の大臣の答弁によりますと、やはり外國から食糧を輸入しているから、食糧をつくるもとの家畜の畑を與えられなくてもよいという結論にとつていいですか。
○小笠原委員長 ちよつと北君お待ちください。委員長よりここにつけ加えてお尋ねいたしますが、北君の御質問は、食糧を確保することに対して、肥料その他畜産によるいろいろな重要な点があるから、畜産を生かして行く意味において、飼料を獲得した方が、かえつて食糧の確保が多くなるという主張をなされておるので、從つて耕作反別の一割か二割を割いて畜産の飼料に充てた方が、あとの八割残つたもので、かえつて十二割の收入があるのじやないか、ということを主張しておられるのでありますから、それに対して適当な御答弁を願います。
○森國務大臣 私は家畜に全然耕地を與えないというのではありません。十分なる耕地を與えられない現状であるということを申し上げるのであります。
○北二郎君 しからば、一頭について何反くらいの畑を與えるつもりか……。
○小笠原委員長 午前中はこの程度にとどめまして、午後二時半より再開することといたし、暫時休憩いたします。 午後零時十二分休憩 ————◇————— 午後三時四十八分開議
○小笠原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 これより獣医師法案を議題といたします。この際御報告いたします。坂本実君より本案に対する修正案が委員長の手元に提出されております。これは印刷物として諸君のお手元に配付してある通りであります。以上御報告いたします。それでは修正案について坂本実君より説明を求めます。坂本君。
○坂本(實)委員 ただいま議題と相なりました獣医師法案につきまして、私は各党各派を代表いたしまして修正案を提出いたします。修正案の内容は各位のお手元に配付されております通りでありますが、この際これを朗読いたします。 獣医師法案の一部を次のように修正する。 附則中第十項の次に、第十一項及び第十二項として次の二項を加える。11 この法律施行の際、獣医師法等の臨時特例に関する法律第一條の規定によつて獣医手の免許を受けている者であつて、現に同法第二條の規定によつて業務として家畜の疾病に関する診療を行つているものは、この法律施行の日から一年間を限り、農林大臣の定めるところにより、第十七條の規定にかかわらず、その業務(鶏の診療の業務を含む)を行うことができる。この場合においては、第八條、第九條、第十八條から第二十一條まで、第二十八條及び第二十九條第二号から第六号まで並びに前項の規定は、獣医手に準用する。12 前項に規定する者は、家畜傳染病予防法(大正十一年法律第三十九号)、麻藥取締法(昭和三十三年法律第百二十三号)及び藥事法(昭和二十三年法律第百九十七号)の適用については、獣医師とみなす。 附則中第十一項を第十三項とし、以下第十四項まで順次二項ずつ繰り下げる。 第十五項中「第七項」の下に「若しくは第十八項」を加え、同項を第十七項とする。 第十七項の次に第十八項として次の二項を加える。18 この法律の附則第十一項に規定する者は、この法律の附則第四項の規定にかかわらず、この法律施行の日から一年間を限り、旧法第一條第二項第二号の獣医師試驗を受けて合格したときは、この法律の附則第六項の規定にかかわらず、獣医師國家試験に合格しないでも、この法律の規定に從い、獣医師の免許を受けることができる。この場合においては、同條第二項、第二号及び第三項の規定は、なおその効力を有する。 第十六項を第十九項とする。以上の修正を行いたいと思います。 御存じのごとく、獣医手の制度は昭和十五年「獣医師法等の臨時特例に関する法律」によりまして、戰時中獣医師の、不足を補充する目的で設けられ、爾來今日に至るまで農業協同組合、農業共済組合等に属して、わが國畜産業のために大いに貢献し來つたのであります。しかるに終戰以來、旧來の獣医師も逐次復員して参り、また、学校教育法によりますところの新しい構想に基く獣医師教育も開始されまして、この際、獣医手の制度はこれを廃止し、わが國の獣医技術者の体系に改善を加えようという機運が生じているのであります。しかしながら、今回政府側より提出されました原案のごとくいたしまするならば、旧來の獣医手の諸君は來る十月一日以降、一切家畜の診療に從事するを得なくなり、生計の方途を失いますると同時に、また試驗を受けて一人前の獣医師になる道も永久にとざされることになります。かくては永年畜産業のために貢献をなし來つた獣医手諸君に対しまして、あまりに酷なる待遇といわざるを得ないのでありまして、獣医手の諸君が新構想に即した試驗に臨みまする期間を一箇年延長し、その間所要の準備を行わしめようというのが、ここに各党各派の御賛同を得まして提案いたしました修正案の内容であります。よろしく御賛成のほどを願います。
○小笠原委員長 これより本案及び修正案を一括議題として討論に付します。山村君。
○山村委員 この際討論を省略いたしましてただちに採決せられんことを望みます。
○小笠原委員長 ただいま山村君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは討論を省略し、ただちに政府原案並びにそれに対する修正案を一括議題とし、採決いたします。 採決の順序は、まず修正案について採決した後、原案を採決いたします。 それでは坂木君提出修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○小笠原委員長 起立総員。よつて本修正案は可決いたしました。 次にただいま修正を決しました部分を除いた政府原案について採決いたします。賛成者諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○小笠原委員長 起立総員。よつて本案は全会一致をもつて修正議決いたしました。 なおこの際、本案に関する委員会の報告の件についてお諮りいたします。これは前例によりまして、委員長に御一任を願いたいと思いますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。 —————————————
○小笠原委員長 それでは次に競馬法の一部を改正する法律案及び特殊勝馬投票劵に関する法律案を一括議題として質疑を継続いたします。大藏省を除いたほかに質問の方ありますか。大森君。
○大森委員 私は大藏省と関係のないことで、午前中いろいろの御質問の中にも重複するような点もありまするが、抽象的に簡單にお尋ねをいたしたいと思います。午前中大臣が、競馬からあがつた金を農林省で使うというかつてなことはできるものじやない、こういうふうにおつしやいましたのはごもつともだと思う。しかしながら競馬からあがると言い、取ると言うが、一体元はどこにあるか、元は馬である。その元の馬が今日のような状態で、各種牡馬というものを全部拂下げをする。私もその組合長やつておりまするが、本年はどうであるかというと、昨年までは三頭を有しておつたが、本年になるともはや一頭しかいないというふうな状態にかわつて参りまして、その飼育すらもできないような状態になつておる。しかして競馬をやるのは馬であります。その馬というものは壽命を持つておる。生命があるのであります。しかるに馬がますます減つて行くという状態である。ただ予算だけを見て、大藏省あるいはその競馬を主催する方々が、ただいまのお話のように三十円で三百万円当るという夢みたような大きな問題を掲げまして、金を集めることはいいが、その金を集める馬をだれが養つて行くか、どうして行くのだということが問題であります。私は決して農林大臣の言つたことは当らないと思う。なぜかと言うと、そこから得たところの予算によつて、馬をたくさんつくらせるようにしなければならない。これを私は農林大臣の考え方が間違つておるのではないかというふうに考えるのであります。現在のところでは、午前中もどなたか仰せられたが、大体馬というものを武器のように考えて、馬をなくするというなら別問題であります。昨日であつたかちよつと伺つたのでありますが、公認競馬で二頭しか出ていない、こういうような競馬が現在行われておるという。これではただ金を取るということだけが目的である。しかしながらこれが続くかどうかということに対しまして、この競馬から取上げた金によつて馬産の獎励ということを絶対競馬と離してはならないものではないかということを私は考えるのでありまするが、これに対しましての御意見を伺いたいと思います。
○山根政府委員 馬主の経済が相当苦しい。從つてだんだん持馬を手放して行くという事情もあると思うのであります。しかしながら競馬の賣上金だから、それをそのままただちに畜産の振興に使うべきだということについての考え方は、午前中私からも、さらに大臣からもお話がありましたようなことでありまして、今日遺憾ながらそういう建前をとることができないわけであります。しかしながら最初申し上げましたような事情に対しまして、私どもとしてはもちろんそのままに放置しておいていいとは考えていないのでありまして、馬主の経済という問題も、競馬の運営上において十分考慮いたしているつもりであります。
○大森委員 何か馬を飼育するのに至難だから持主が放すということのような御答弁であつたと思いますが、個人が養つているものを放すのではない。現在國家がなしておりました種馬所から、私ども馬を借り受けて種つけをやるということはなつておつた。その馬が拂下げを受ける、あるいはどこそこに拂下げをしたというようなことによつて、現在減りつつあることは御承知の通りだと思う。なお私考えていただかなければならないのは、競馬ばかりではない。いわゆる山間僻地に参りますと、小運送に対しては馬でなければならならい最も大事なものであります。それらに対しましても今日のような状態では馬はどうなつて行くのだ。これを考えるときに、もう少し農林省といたしまして、馬に対する考え方をかえなければならないのではないか。ただ予算は競馬の予算を取つて來なければならないということは申し上げません。しかしながら予算としては、農林省として馬をいかようにし飼育して行くか、これに対して予算の面においてもう少し考えてもらわなければならぬのではないか。これなのであります。現在の馬は、先ほど申し上げましたようにだんだん減りつつある。私どもの地区は馬産地でありましたが、このごろでは三割くらい減つてしまつた。こういうような状態であります。それから午前中北君が質問しておりました馬籍の問題も、農林省はいらないということになつたのでありますが、これは地方の組合にまかせて、組合が馬籍くらいをこしらえるという申合せか、さもなければ何か條例を設けるということでもなければ、先ほど北君の言われたように、馬の系統もわからなければ——牛などは大体なれた者が見れば、何歳の牛であるということは歯を見ればわかる。しかしながら馬籍がないといたしますれば、系統がわからなくなつてしまう。こういうようなことを考えるときに、やはり組合に何か一つの特例を設けて、組合に馬籍などをやらせる。あの馬籍のために、相当の金を使つて全國的な統計をとつておつたというほどの必要はないと思う。しかしながら今や畜産農業協同組合というものが全國にできておりますので、この組合において馬籍をこしらえて、その地区において持つていることが必要だと思うのであります。これに対しまする農林省の御意見を伺いたい。
○山根政府委員 馬はお話のように、実は戰爭中から見ますと非常に減つているわけであります。しかしながらこれも午前中お話しました通り、私どもは馬がどうなつてもいいという考え方はしていないのでありまして、馬につきましても、いわゆる畜産振興計画というようなもので、逐次今後ふやして行きたいという計画を持つているわけであります。現在百万頭少し出たばかりの数がいるのでありますが、昭和二十八、九年のころを目途として、少くとも百三十五万くらいにはふやして行きたい、こういう計画を持つているのでありまして、もちろん馬は軍馬として必要でなくなりましたけれども、役馬としてあるいは輓馬として、日本の農業なり都市にやはり必要であるという、馬の重要性を認めての計画であるのであります。さらに馬籍を廃止して、國としては馬籍の仕事はいらないけれども、あるいは組合、その他の團体でそういうことのできるような方策を考え得られないかというような御趣旨のように承りましたが、一應このたび馬籍制度をやめたわけでありまして、もちろん一應やめますにつきましては、その必要を認めないでやめたわけでありますが、今後せめて組合ででも、そういう馬籍を持つておつた方が馬の取引関係、あるいは品種改良等からどうしても必要だということでありますれば、それに基いて研究をいたして行くことは、もちろんいたさなければならぬと思うのでありますが、そうしたある程度経費もかかります馬籍の仕事を、組合をしてやらせようというような考え方は、ただいまのところでは持つていないのであります。
○大森委員 大体わかつたのですが、もう一應お願いしておきたい。馬籍はなぜ必要かと申しますと、くろうとは馬の系統がよくわかるのでありますが、系統のよしあしによつて價格が違うのでありますから、こうした点においては、ばくろうとかそうしたものに乗じられて、しろうとがばかを見るのではないかと考えるのでありまして、今のところ農林省はそれは必要がないという考え方だというのでありますが、今申しましたように、そういう点をなお再考あつて、今後どうしたらいいかということに対して、もう一應お考えおきを願いたい。これをもつて私の質問を打切ります。
○山村委員 私はすでに同僚諸君があらゆる角度から質問されておりますこの法案につきまして、特に大藏関係の責任者が出席するのを待つていたいのでありますが、まだお見えになりませんので、それまでの間、今までの方々の御質問なさつた点と、なるべく重複を避けて二、三お伺いしたいと思います。 まずこの競馬法の目的というものは、先ほどから大臣並びに政府委員の御説明のごとくに、一つは畜産の獎励と、また明るいスポーツの建設という観点から行われておるという点についての御力説があつたのであります。この観点からの競馬につきましては、私も同感を持つておる者でございまするが、しからば実際には、この競馬によつて、どういう方面を通じて畜産が獎励されるような結果に相なつておるかということにつきましては、特にこの競馬によつての收入金を、全然畜産関係の方面に使われておらないという点を各議員から力説されておりまして、最も大きな問題として取上げられておるのでありまするが、そのほかの畜産に寄與する点が多いというのは、具体的にはどういう点があるかということを、一應この際政府から御説明願いたいと思います。
○井上説明員 お答え申し上げます。競馬がいかに畜産上に役立つておるかという御質問でございます。この点は競馬法が大正十二年に制定になりました当時は、軍馬の改良をするために必要である。かたがたこの軍馬だけを生産する目的でなくして、軍馬並びに作業用馬というようにいろいろ説明が書いてあつたのでありますが、畜産と申しましても競馬が直接関連する面は、馬の生産改良という面でございます。この競走馬として入つておりますものは、御承知のようにサラブレッドとアングロ・アラブ。今はやめております速歩馬としてのアングロ・ノルマンのトロツテユールとかアメリカン・トロツターとかいつたようなものであつたのであります。ただいまやめておる速歩馬につきましては、國営競馬においてはやめておりますが、地方競馬におきましては、この速歩馬が相当出ております。これはあとで申しますが、アングロ・アラブにつきましては、九州地区を中心といたしまして、内地の作業用馬といたしまして、相当程度の位置を占めておるのであります。と申しますのは、わが國における馬の作業といたしまして、最も廣汎に行われておりますのは、いわゆる耕耘でございます。この耕耘はおもに水田をやりますために、水田のすき起しには、馬でもある程度のスピードがあるものでなければならない。特に裏日本から東北方面にかけての早場米の産地においては、この点が顯著なのでありますから、作業の敏速をたつとぶことと同時に、すき起した相当なスピードのある馬でなければならぬ。北海道を除く日本の各地におきましては、このアングロ・アラブというものが直接使われるのでありますが、そのほかに改良の原型種といたしまして、相当に馬の種つけをやつておりますのは、種馬の数をごらんくださればおわかりになることと存じております。ただいま手元に種馬の現在の数字を持つておりませんが、大体相当多数のアングロ・アラブの種馬を全國の種馬所に、あるいは民有の種牡馬として持つておるのであります。サラブレッドにつきましては、これは何と申しましても改良の原型種になるのでございます。相当生産にも金がかかりまするし、これを実用馬とすることは不適当でございまするが、場合によりまして、今申し上げましたような線で、馬の能力を高めるために從來考えております。但しこれは改良の原型種でございますから、時によりまして相当多数を要する時期と、またそういうない時期とあるわけでございます。戰爭中に、御承知のように、山砲だ馬等をつくりますために、内地各方面におきまして、相当量種の系統馬を入れて改良を進めて参りましたために、現在の馬産の見地から申しますると、いささか重きに失するようなものもあるわけでございまして、馬の馬たる特性、牛と馬との違う点は、結局作業の敏活という点にありまするが、いささかその点に欠けるところもございますので、ある程度それを補うように改良しておる、こういうことになるわけであります。 〔委員長退席、山村委員長代理着席〕
○山村委員長代理 藥師神君。
○藥師神委員 二、三お伺いしたいと思います。午前中からいろいろ質疑應答を承つておつたわけでありますけれども、競馬そのものの主目的がきわめてあいまいである。答弁の中には、畜産獎励だと言うし、明るいスポーツだと言い、大衆娯樂を大部分意味しておるとこう言い、あるいは一面今日の控除率の高率な点から見ると、先ほども質疑の中にありましたが、浮動購買力を吸収して國庫收入の財源に充てる、こういうふうに三つの見ようがあると思いますが、しかし今日行われておる國営競馬を見ますと、控除率のきわめて高率だという点から見ますると、むしろ射倖心を基底として國庫收入をはかつておる、こう言つても私は過言ではないと思うわけであります。私はこれは健全娯樂とは言い得ない。健全娯樂なればもつと控除率を低いものにしてやるべきものだ。入場料だけでやるべきものだけれども、そこに馬劵というものを置く以上は、しかも今言つたように、三割五、六分ないし六、七分という高率なものをとる点から見れば、むしろこの三の点にあるのじやないか。今山村議員からも質問がありましたけれども、畜産獎励という点になりますと、これは実に縁遠いと私たちは見ておる。りくつをつければいくらもありますけれども、ただここに問題になるのは、午前中から、何ゆえにこの畜産獎励が目的なれば、この競馬からあがつた收入を畜産獎励の方にまわさないか、という意見が相当あつたようであります。これは私は別の問題だと思うわけであります。畜産獎励の必要があれば、これは別個に予算を計上すべきものだと、かように考えております。畜産獎励だということも一つのこじつけであるし、大衆娯樂だと見ることにおいても非常なこじつけがあるわけだ。これはだれかの質疑の中にもありましたが、むしろ私は大藏省の所管として、國庫收入を増強する、この一点にほとんど努力が集中されておると思うわけであります。この点について私は御見解を承りたいと思うわけであります。なお私は、先ほども答弁の中にありましたが、これが軍馬を要する時分でありまするならば、非常に競馬という問題が畜産獎励という点に大分結びつきを感ずる点もありますが、軍馬を要する点がなくなりまして、役馬、輓馬を主とする今日においては、たいへん違つたものになつておると思うわけであります。むしろわれわれから言えば、今日役馬にしろ、輓馬にしろ、競馬馬みたいな優秀なものよりも、むしろ低廉に農家に供給し得るような方面に、もつと努力が拂われなくてはならぬと思うわけであります。 なおついでにお伺いしておきたいことは、これは競馬ではないのでありますけれども、われわれの方には数百年來の歴史を持つておる闘牛というものがあるのであります。闘牛とも申しまするし、また牛相撲とも言つておるのであります。これはやはり古い歴史を持つておりますが、これを昨年東京でやろうとしていたところが、二、三日前に中止を受けた。私はこまかい事情は知らぬのでありますけれども、阪神方面の連合軍の了解を得て、昨年は西宮球場で興行をしておるわけです。それが東京へ來てやろうという二、三日前にとめられた。そのために、何百里の区間を牛を輸送して來たその輸送賃の損害というものは莫大に上りますから、G・H・Qの方へ交渉に行つたらしい。ところが行つてみるといろいろ牛を見せてくれとかいうことで、またその事情もいろいろ聞いた上で、それは惡いことはない。惡いことはないが、しかし一應農林省の方でとめたとしてみると、すぐに許すわけに行かないから、まあ六箇月ほど待て。そうすれば何とかなるであろうという話であつた。私はその人の名前は失念いたしておりますが、そういう話であつた。その後さつぱり要領を得ないかというのであります。この点は、聞くところによると、これはデマかもしれませんが、もしも農林省の方でこんなことをやらしたならば、関係方面からしかられるかもしれないというような取越苦労から禁止をした、こういうようなことを関係者は言うておるのです。この点の眞相を私は承りたいと思います。なお地元からは数百年も傳統を持つておりますから、この点については非常なる熱意を持つて、これが解除を希望しております。私は地元の四國に帰つたら、そこの進駐軍の司令官に会つて、地元からこの問題を解決して行こうという考えを持つておりますが、しかしこれが眞に関係筋の方から突然として禁止をして來たものか、あるいは農林省の畜産局がいろいろ氣がねをしてとめたのか。阪神球場ではりつぱにやらせた。新居浜でもやらせた。それで闘牛というものは、何百年という長い間やつて來ておる。これは競馬のごとくいわゆる劵は賣つておりませんで、單に低廉なる入場料だけをとつて、農民の娯樂としてやつております。これが愛媛縣の一角にいまだに残つておるということ、そして伊予牛の産地である伊予から阪神方面にかけて、この闘牛が生れたということは、私は必然性を持つておると思う。また土佐犬の産地である土佐に闘犬の生まれたのも、これは必然性を持つておると思う。競馬ということは、一面から言えば都会人の娯樂と言いますか、都会人を対象にしたものでありますが、馬の駿足を競い合うということは、当然馬産地において起つたものだと思う。決してこれは不自然なことではない。それで今でも闘牛が残つておる。競馬というものは全國的に、今日はいろいろの意味において草競馬というようなものが、あるいは戰災復興のためにやられたりして、関心が多いのであります。闘牛は一面から言えば、残忍性があるとか何とかいうことを言う人もありますが、闘牛を見られた方はすぐわかるように、少しも残忍性はない。ボクシングなんかに比べれば、はるかになまやさしいものであります。また射倖心をあふると言われるけれども、ただ入場料をとるだけである。残忍性ということも、ただ闘い合うことだけだから問題はない。別に弊害がないとすれば、これこそ健全なものである。今これは農村の一地方に局限されておるが、これは今言つたように、全國有数の伊予牛の産地の伊予から、阪神方面にかけて発達した経歴を持つておるのです。だからこれこそ再開すべきである。これをとめた理由を、この際はつきりわかつておれば、私はどうしても調べてみようと思いますが、ぜひ明らかにしてもらいたいと思うのであります。 なお結論として競馬の問題についても申し上げますが、今競馬の主目的が、單に國家收入をふやして、いろいろ射倖心を基礎として大衆の浮動購買力を吸收するところに重点が置かれておるように思いますが、そうすると、農林省の所管に属するということが、はなはだ変態的なものになると思う。しかし競馬からあがつた金は畜産部面へ持つ行こうということは、これは歳入の点より見て、予算の編成上適当だと思います。しかし私はそういう議論は吐きませんが、これをもう少し農林省がやるならば農林省がやる、厚生省がやるならば厚生省がやるということにして、健全なる娯樂として育成して行き、またもう少しその方面の入場料を安くして、だれでも参加できるようにしてもらいたい。今のようにほとんど悲喜こもごも至るようなそういうやり方を、ただ財政上のためにということだけで継続して行くべきものではないと思う。こういう点についても、はつきりした御意見があれば承りたいと思う。おそらく今日においては、畜産局でもはつきりした御意見は出まいと思う。また大藏省としても、はつきりした御意見は出まいと思う。競馬そのものの本質から、これは非常に遠ざかつていると思う。もしわれわれの納得の行く御答弁ができれば、お話を願いたいと思います。
○山根政府委員 闘牛を禁止したことについてでありますが、許可しなかつた理由はただいま調査しておりますので、後刻この委員会の閉会までに御答弁申し上げます。 それから若干御質問の趣旨と食い違うかもしれませんが、けさほど來いろいろお話がありました点にも関連いたしますので、私から一言申し上げておきたいと思いますが、競馬の目的は、もちろん財政收入を唯一のねらいとしておるわけではありませんし、畜産の振興といいますか、改良といいますか、その面に一つの大きな目標を持つているわけでありまして、実はかりに前者のみが目的でありますれば、あるいはこれは大藏省なり、あるいはただいまお話のように、厚生省なりにこれを移すということも問題になると思うのでありますが、畜産の振興、発達、改良ということと結びつきます限りにおきましては、具体的には先刻競馬部長から、今日の競馬がそういう面でいかに運用されておるかをこまごまお話申し上げた通りでありまして、その面におきましては、これは実は畜産全体を扱つております私どもが、これを運営することがどうしても必要であるということで、この二つの目的のうちどちらが大きいか、どちらが重要かということにまでこまかく話が進みますと、いろいろ考え方、見方もあると思うのであります。私どもといたしましては、どちらの一つもこれを欠くことができない理想といいますか、そういうものとして競馬を運用いたしておるわけであります。
○藥師神委員 この点は幾ら議論しても盡きないと思いますから、譲歩したいと思いますが、なおこの際にひとつ委員長に希望を申し述べておきたいと思います。それは本日も競馬の收入を畜産の獎励になぜ充てないかという議論が相当多かつた。それから土地改良の問題も、済みましたけれども、この問題についてもなぜ裏づけがないか。私はこの問題のために質疑の時間の大半以上を食うていると思う。積極的にやる考えなのかやらない考えなのか、どういう計画でやつておるのか、私はこの際農林委員会の名において、議会運営についてひとつ努力してもらいたい。なぜかというと、予算の裏づけのない法案のみをここでいじくりまわしておるから実際問題として、今日の國営競馬收入をどこへ持つて行くかということでありますが、これは畜産獎励が足らないのじやないか。競馬予算もこれくらいになつておるではないか。これを具体的に指摘してやる問題であります。宙に浮いた問題ばかり審議しておるから時間をとつておると思うが、この点は、予算委員会というものが今日各省の常任委員会と遊離して來ておる。少くとも予算委員会というものは、必要がないとは言わないけれども、分科会というものがあるならば、農林予算は農林委員会としてやるべきものである、商工予算は商工委員会でやるべきである。それをただ法案のかすばかりやつているからこういうことになる。少くとも予算委員会の構成というものは、各省の常任委員会でもつて構成する。そこまでやつてもらわなければ、ほとんどかすを毎日議論しておるような感じがしてならないのでありますが、この点を私は希望意見として申し上げておきます。
○山村委員長代理 藥師神君の御意見は承ることにいたしまして、しかるべく善処いたします。
○竹村委員 先ほどから大藏省関係の人が見えないのでございますが、大体今も指摘されましたように、結局農村関係の現在出ておる法案といたしましも、またその他の問題につきましても、非常に大藏省との関係があるわけであります。再々この委員会におきましても、いろいろな議案のときに大藏省から出てもらうことが非常にいいので、何回も要求しておりますのに出て來ない。たまたま出て來られれば、政府委員が出て來られたというようなことでは、実際の審議にあたつて非常に支障を來すと思う。これは委員会全体の問題でありますので、今度は大藏大臣もしくは政務次官が出て來るということを、特に委員長から要求していただきたいと思います。
○山村委員長代理 先ほどから当局の御説明によりまして、この畜産の獎励ということについて伺つたのでありますが、私から二、三質問いたしたいと思います。この畜産獎励の方向は、どういう方向に進んで行くか。すなわち具体的に申しますならば、いわゆる早い馬を主眼にするか、あるいは力のある馬を主眼にするかというようなことについてお尋ねいたします。
○井上説明員 御質問でございますが、馬にはそれぞれ用途がございまして、戰爭前からわが國では、明治三十九年に馬政計画というものができました。そのねらいは、産業並びに軍用上必要な馬をつくるということに相なつておりました。大体地方の環境によりまして、あるいは生産の從來の習慣と申しますか、そういうものによりまして、わが國でできる馬の歴史というものは、おのずから限定をせられて、現在まで來つておるわけであります。しかしこれを通じて申し上げますと、最も廣範囲に利用度のございまするのは、農業用に使いますところの中等程度の大きさのもの、十分に乗馬にも輓馬にも使えるというようなものが、一番利用度が廣汎でございます。それを全國で普遍的に使つておるのであります。こういう馬の改良に着手いたしましたのは明治二十年代でございまして、その後になりまして、これに適当な外國からの種馬の血液を入れまして、現在雑種的な存在でございますが、それを生産いたしておるのであります。今仰せになりましたように、輓馬自体というようなものは、全國の輓馬の需要数が十二三万程度でございますので、それを対象としてつくり、その他のものは大体農業用に使うところのものでございまして、純粹の役馬は、今正確な数字の調査がございませんが、大体七、八十万頭でございまして、残りが繁殖用の馬に相なろうかと思います。この大きな輓馬をつくりますのは、北海道の一部地域、たとえば十勝とか空知といつた方面でございますが、その方面に限定をされております。その他の所では、大体農業用に使うところの中間種の馬を生産いたしておるような状況でございます。この農業用の馬をつくりますには、先ほど申し上げましたように、馬と牛との違う点はどこかと申しますと、相当な速力を持ち、作業の工程がすみやかである。そういう絶対性があるわけでありまして、足がのろくてのそのそ歩いておるものでございますれば、これは経済動物として牛の方が適当でございますが、わが國の山間地帯あるいは裏日本の早場米の産地、ないしは気候的に申しまして東北、北海道というものにつきましては、どうしても古來馬を用いておる習慣がありますし、こういうものを獎励して行くことが、食糧生産の上から申しましても絶対に必要なことは、私がここで申し上げぬでも、委員各位におかれては十分御承知のことであろうと思います。大体お尋ねの獎励の方針というのは、各地各様別になつておりますが、大体全國的に申し上げますれば今のような状態になつております。
○山村委員長代理 お説によりますと、いろいろ使い道があるというような結論でございますが、今競馬場で使つておる馬というものは、率直に言いますれば、早い馬を主眼にしたものである。かつて軍國主義はなやかなりしころに、軍馬としての利用價値を高めるように計画された意味が多分に含まれておると思うのであります。從いまして、この競馬が畜産振興のために目的を高く掲げておるといたしますならば、いわゆる農馬といたしましても役馬といたしましても、駈けることが早いということよりは、十分力があるということを主眼にして、ある程度までの競走をさせることの方が意味があると思うのでありますが、この点については、政府御当局はどのようにお考えでございましようか。
○井上説明員 ただいま仰せになりました、速力の早い馬を競馬で使つておるから、競馬の馬がたくさんできることは、力の上で困るのではなかろうかという御質問であつたと思うのであります。なるほど仰せの通りでございまして、競走馬のようなもので、特に專門の競走馬をたくさんつくるということは、戰爭前でも相当に抑制をいたしておつたのであります。ただ申し上げたいことは、この競走用に使つておるところの馬はそのまま使えるということを——たとえばアングロというようなものは大体大丈夫であると申し上げましたが、その他のものは、大体実用的な馬の生産に改良の原種として用いる。こういうふうにわれわれはいたしておるのであります。
○井上(良)委員 私がもう一点質問したい点は、この特殊勝馬投票劵に関する法律案のことについて、大体われわれは午前中意見を申し上げました通り、競馬をやるという目的の内容には、一つは馬産獎励、進んで畜産獎励、または浮動購買力を吸收して、國庫收入をはかるというような目的でやられるというのですが、大体農林委員会全体の意見というものは、從來の競馬がほとんどその目的に合致しないで、逆に最近の傾向は、浮動購買力を吸收する、そして國庫收入をできるだけはかるような傾向に強くなつて來ておりますので、この行過ぎをできるだけ是正して、目的的な方法で競馬を経営する方向をつくつたらどうかという意見が、大体この委員会の空氣であります。そこで大藏大臣並びに安本長官等の意見も十分聞かなければわかりませんが、今日國の財政その他の関係から、非常にむりであろうと思いますけれども、さりと申せ、わが國の農業の現状と將來を考えます場合、どうしても畜力の導入というものは絶対條件になつております関係から、從來の競馬の收入はともかくといたしまして、せめて特殊勝馬投票劵による收入の一部分でも、畜産獎励のためにさくような道をこの際開いたらどうか。そういうことを政府は一体考えなかつたか。少くともいろいろ世間では申します。從來のような競馬のやり方ならば、農林省が所管をなくてもいいじやないか、大藏省がやつた方がいい。何なら厚生省がやるべきだというような意見さえ巷には起つておるような実情でありまして、少くとも競馬を農林省が主催する以上は、やはり畜産というものに結びつけなければ意味がないのでありまして、そういう重要な任務を背負つております畜産局の責任者として、せめてこの勝馬投票劵によつて生じる收入の一部を、畜産獎励に充てるという目的的な條文を何ゆえにこの中に入れなかつたか、そういう原案をつくつてはぐわい惡かつたかどうか。そういうはつきりした立場を明示する必要があろうと思いますが、これは事務当局は、初めからそういう意図をもつてこの立案をすべきではないか。農林当局としての責任ある御意見を、この際伺つておきたいと思います。これは政務次官及び畜産局長から伺います。
○苫米地政府委員 これは先ほど午前中にお答えいたしたと同じ趣旨でございますから、どうぞそれから御推量願いたいと思います。
○井上(良)委員 私は午前中に政務次官から御意向は大体伺つたのでありますが、少くとも農林省としましては、畜産の獎励ということは絶対的な要求であり、從來畜産局の廃止問題をめぐりましてわれわれは卒先して反対して來て、いろいろの農林省の機構の改革の場合においても、断固これを排撃して來たのは、わが國農業というものが畜産を切り離すことができないという立場からやつて來た。しかし畜産の現状は微々としてなかなか思うよう行つていない現状なのです。この新しい制度による勝馬投票劵を新しい競馬の方式を考える場合に、せめてこの一項を挿入して、さいぜん部長さんからもお話がございました通り、諸外國においては目的的に競馬を経営している。貧民救済のために貧民病院を経営しなければならぬということから、大きな競馬を実行されておるというお話をされたのでありますが、われわれはまだ、そこまでやりたいという氣持は持つておりましても、何ぶんわが國の畜産の貧弱な現状を飛躍的に発展させなければならぬという、この國家的要請を果すその責任を畜産局は持つているのです。この新しい制度を、從來のようならいろいろ問題がありますけれども、今度新しい初めてこういう制度をやるのですから、その上り金をせめて十分の一でも、三分の一でも畜産獎励の方に使うような、ここに新しい條文を何ゆえに挿入しなかつたか法案を起草しました畜産局自体の責任者としての立場を、私は伺つているのです。この点ははつきりして、大藏省や安定本部へ交渉する、また質問する上において、非常に大事でありますから、この点を一應伺いたい。
○山根政府委員 ただいまのお考え自体は、実は自分の立場から申しまするならば、そういう考え方をとりたいわけであります。のみならず從來の競馬法等には、そうした收入を特定な施設に振り当てる規則がうたつてあつた例もあるわけでありますけれども、最近における財政の建前といたしましては、特定の收入を特定の支出に振り向けるという考え方が、実はいれられないような事情になつたわけでありまして、そういうわれわれの希望を、どこへ持つて行つてそこでスリップしたかというお話も出ましたわけでありますが、実はそういう一つの根本的建前を承知いたしております点から、事務的には、あるいは原案としてこれを繰入れて、行くところまで持つて行つたという手続は踏まなかつたのであります。しかしながらこれは午前中にもちよつと私からお話申し上げた中にもありますが、私どもとしましては、建前はもちろんそれに承服はいたしておるわけでありますけれども、競馬の收入が國庫の財政收入に相当な貢献をしている。さらに新しい特殊投票劵の発賣によつて相当な國庫收入がふえるというその事実は、私どもとしては、畜産振興の予算の折衝にあたりましては、もちろん含みとして、十分これを持つて折衝を続けておりましたし、さらに今後もそういう含みで、強力に畜産振興の予算の獲得には努力をいたして行きたい、かような考え方をいたしております。
○井上(良)委員 そうしますと、局長に伺うのでありますが、本年度のこの農林省所管の予算総額が八十三億四千八百万円ほど増額されております。この八十三億四千八百万円のうちで、特に畜産獎励その他飼料関係等において、畜産局が本年増額をした分、さらにまた畜産の面に、特に新しい費目をどういう項目において増加されておるかということについて、概要御説明願いたいと思います。
○山根政府委員 具体的に、畜産振興の予算を、昨年度に比べ本年度はどれだけふえておるかというお尋ねでありますが、これははなはだ遺憾でありますが、特に昨年に比べてふえた項目金額はございません。
○野原委員 この機会にいろいろ伺つておきたいのです。私は從來競馬というものをあまり見たことはありませんが、一体競馬というものは早く走ればいいだけの競馬をやつておるのか、それとも重い物を運ぶ競走もやつておるのですか、それから伺います。 〔山村委員長代理退席、委員長着席〕
○井上説明員 競馬と申しますのは、元來馬の速力を比べることが建前でありまして、御承知のように、專門の競走馬が十八世紀にできまして以來、それによつて競馬が発達いたしたのであります。どこまでも速力を比べるものであります。
○野原委員 われわれの知る限りにおいては、東北地方などでは、馬力大会という非常に勇壯な競走がある。これは古くからやられておるのです。馬が砂の上を重い物を積んだ車をひつばつて走るのでありますが、あの馬が歯を食いしばつてゴールに突入して來る姿を見ますと、懦夫をして立たしめるというような、実に何とも言えない勇壯な氣分に打たれるのであります。私はあれを見て、日本の再建はあの馬の精神で行くべきではないか、かようにさへ考えまして、國営で競馬をするという以上は、ああいう勇壯活発なる、國民精神を作興せしめ、國家再建に精神的な非常な活力を與えるというような、ああいうものをなぜ國営の種目にしておかないのか、私ははなはだ遺憾に存じておるのであります。今の競馬部長さんのお話によりますと、ああいうものはやつていないというのですが、そういうものをやる意思があるかどうか伺いたい。
○井上説明員 たいへん馬についてのいろいろなお話でありまして、感服をいたしておるのですが、実は津軽方面でそういう競走があり、地方競馬といたしましては、それに対して馬劵が発賣されておる事実も承知いたしております。ただ國営といたしましては、ただいまのところ設備その他の関係で実施は困難と思いますが、お話の点は十分今後において研究してみたいと思います。
○野原委員 競馬を畜産獎励のためにやつておるということは、とりもなおさず畜産を獎励してわが國の食糧増産に寄與する、わが國の農業の発展、振興に役立たしめるという目的を持つており、同時にまた、馬は單に農耕ばかりでなく、道路の惡い地帯、トラックやなんかで運べない地帯においては、陸上輸送の唯一の中心でありまして、生産力の拡充強化のためにも馬が大きな重要な役割を持つておる。從つて重量をひつぱるようなりつぱな馬をつくらなければならぬということは、申すまでもないのでありまして、これが津軽南部方面においては非常に役立つておる。特に委員長の三本木地方は非常に盛んで、私どもも幾たびかこれを見まして、競馬はこういうことをやるのがほんとうであろうと思つた。ただあの早く走つて、都会人の一部の投機的野心を満足せしむるだけの競馬などは、むしろやめてもよろしい。ああいうような勇壯なわが國の農業、あるいはまた産業にただちにこれが獎励になるような、実際に働いておる——まことに地味かもしれんけれども、そういうような馬を大いに増殖することが必要ではないか。特にわが國は敗戰によつて、まつたく軍馬はないのであります。ただ單に走りさへすればいいというような馬は、日本では必要ないのであります。從つていかにして重いものをひつぱり、あるいはまた困苦欠乏に耐える山坂を突破するというようなものを大いにつくることが、畜産の振興であり、また馬産政策でなければならぬと思いますが、この点について畜産局は、そういう馬を將來大いに増殖する意図を持つておるとすれば、競馬の種目の中にこれを当然入れて、津軽方面でやつておる馬力大会などに、農林省が獎励金でも出すことによつて、これを大いに獎励することが必要だろうと思うが、そういうお考えがあるかいなかを畜産局長と、そうしてそういう方針について政務次官にお答え願いたい。
○苫米地政府委員 ただいまのお話ごもつともでございます。先ほど競馬部長からもお話申しました通り、この問題は十分研究してみないと、それが一般的に競馬として成立するかどうか、こういう点もよほど研究しないとわかりませんので、十分研究いたすつもりでござしいます。
○野原委員 現在東北地方では馬力大会が非常に盛んでありまして、各地でやつておる。たいへんその地方の人たちの人情、風俗、慣習に適合いたしまして、これが春の行事として非常に盛んでありますが、こういうものはあの地方の産業の発達に貢献しており、畜産にも貢献しておる。こういう美風を全國に行き渡らしめることに、農林省は特段の獎励をする必要があろうと考えるが、そういうことに対して伺いましたが、何も答弁がないので重ねて伺います。
○山根政府委員 私もそうした企てに対してはまつたく好ましく思つておるのであります。まことにけつこうなことだと思つております。しかしながら全國各地にそれを及ぼし、さらに國営競馬にまでこれを取入れることにつきましては、結局競馬が、一つには畜産の獎励であり、一つにはそれによつて國庫收入をはかるという二つの大きな目的を持つておりますので、はたしてそういう馬力大会を、中山なり府中なりの競馬でやつて、それが一方の目的たる、言いかえれば馬劵の賣上げをはかるという見地から、はたして成り立つかどうかということは、ただいま政務次官からもお話がありましたように、いろいろ研究を要する問題だろうと思うわけでありまして、ただちにこれを國営競馬に取入れることにつきましては、なお研究を要する問題だと思います。しかしながら特に東北地方その他でそうした催しが行われることによつて、そうしたりつぱな馬が増産され、それを見ることによつて、一般農家の馬に対する考え方がそういう方向に向つて行くという効果につきましては、これは十分認めなければならぬと思うのであります。
○野原委員 どうも馬力大会のことに対しては、畜産局は少し勉強が足りないようでありますから、馬力大会というものが畜産に非常に大きな問題だと思いますから、今後これもよく研究していただいて、できるだけ早くこれを國営競馬でやるくらいなことにまでやつていただくように希望して、私の質問を打切ることにいたします。
○山村委員 改正法案によりますと、今までの年二回の開催可能な法規を年三回、あるいはまた事故のあつた場合は四回というように改められておるのでありますが、この回数を一回なり二回をふやしましたところのねらいは、どこにあるかということを御説明願いたいと思います。
○井上説明員 お答え申し上げます。國営競馬場として法律に現われておりますのは現在十一箇所であります。しかるに実際やつておりますのは六場でございます。自然競馬開催の回数、日数が少くなりますので、これに関與する者が活動する分野が非常に狭くなつておるのであります。そういたしまして休場いたしております場所につきましては、戰時中に荒廃いたしておりますので、あるいはその他の事情によりまして、復旧がそうすみやかにできないものが大部分でございますので、一方におきましては、政府收入を増加いたしまするとともに、競馬の運営を円滑ならしめるために、一回の増加をお願いするのであります。原則は一回を増加するのでございまして、從來天災地変その他によりまして隣りの競馬場が使えません場合には三回やつておつてもよろしいということでございます。なお三回八日でございまして、この開催日数におきましては、現在の地方競馬の開催日数と同様に二十四日に相なつております。開催日数は地方競馬並みにいたすという改正であります。
○山村委員 そういたしますと、今の十一競馬場の運行されておらない点を補足する意味において、回数を一回ふやしたというふうに解釈してよろしうございますか。
○井上説明員 そういう意図でございます。
○山村委員 次にお伺いしたいのでありますが、國営競馬が行われましてから、一箇年になるのでありますが、この間におきまして、國営競馬になつてから、非常に競走馬が少くなつてしまつたというようなことがとりさたされておるのでありますが、その前と現在との比較は、はたしてどういう状態になるのでありましようか。
○井上説明員 お手元に材料は差上げてあると思いますが、戰前に比べまして約半数になつておるわけであります。戰爭中もその前に比べまして相当減つておりました、現在走つておりますのは戰爭の末期に生れたものでございまして、当時馬の方におきましては、特に軍馬生産その他に力を入れましたために、競走馬の生産は一時減退いたしたのでありますが、その後逐次増加いたしておりまして、毎年一割程度を増加して行くことと考えております。ただ御承知のように、馬の生産は相当年月を要しますので、急速にこれが増加は困難でございます。
○山村委員 それでは大藏当局が参られたようでありますので、この問題につきまして、大藏当局関係の問題につきましていささかお尋ねしたいと思うのであります。まず第一に、農林省の御説明によりますならば、競馬というものは畜産獎励という点と、なおまた明朗なスポーツの建設という二つのねらいからこれを行つておるのだというような、先ほどの答弁があつたのでありますが、大藏当局といたしましては、はたしてどういうねらいのもとにこの競馬を扱つておるかということについての、見解を発表していただきたいと思います。
○原政府委員 この競馬のつくられる趣旨につきましての見解は、主管当局である農林当局の御見解で御了解いただいてよろしいのではないかと思います。われわれといたしましては、課税する場合についての問題といたしまして、他の諸種の類似のものと均衡をとるということにしたいと考えておるのであります。
○山村委員 もちろん同じ政府でありますから、政府部内の意見の対立はあり得べきことではないのでありますが、先ほど來の各同僚諸君の御意見にありましたごとく、競馬が畜産獎励のねらいのもとに行われておるにかかわらず、競馬場から取上げられた金が、ほとんど畜産獎励の道に使われておらないという点がたくさん出たのでございますが、この点につきまして、積極的に畜産獎励の方面へまわされるところの御意図がなきやいなやを、お伺いいたします。
○原政府委員 お話の御趣旨はよく言われます目的税的な議論と類似のお話かと存じます。大体一定の種類の收入を特定の種類の歳出にまわすということは、一應のアイデアとして考え得ることでありまするし、また財政が割合に豊富な場合におきましては、そういうケースが相当起るわけでありますけれども、御存じの通り、財政のバランスをとるということが、長い間非常に苦しくなつて來ております。そのような関係もありまして、このことで上つた金はそのために使うというようなことが、なかなかできにくいという点は、まことに日本の貧弱な現状を反映して遺憾な点でございますけれども、そういう意味でただいまの財政の現状から御了解いただきたいと思います。
○山村委員 まずその点は一應了承するといたしましても、実際問題におきましては、特に馬の持主に対する賞金に対する課税、あるいはまた現に競馬場の控除金が三割六分の高率が課せられておるということにつきましては、これは畜産獎励と言いましようか、あるいはまた競馬の獎励という点から言つても、その目的が違つておるような氣がいたすのでありますが、三割六分の控除課税並びに馬主の賞金に対するところの所得税のことについて、何とか減免等のお考えがあるかないかということを、お尋ねいたします。
○原政府委員 三割六分の問題は、政府に対する納付金の問題かと拝承いたしましたが、これは年來ずつとその程度の率でやつておりまするし、宝くじその他の関係とも比べ合せまして、もちろんそういうものは少くて済むということが、ある面からは望ましいという見方がございますが、ひどく不相当であるかどうかという点については、財政の現状とにらみ合せてお考えを願いたいと思います。なお馬主の所得につきましてのお話がございましたが、これはやはりはつきり所得であるべき性質のものでありますし、もちろんこれから経費の控除をするということはいたしておるわけでありますが、これを全然課税の対象外に置くということは妥当でないと考えて、事業等所得として課税をしておる次第であります。
○山村委員 ただいまの二つの御答弁に関連した問題でありますが、馬主が所得の対象として課税されるということは、特に根本的に三割六分の大幅な控除を競馬そのものから吸收しておきながら、また馬主からも取るということは、非常に苛酷なような氣がいたすのでありますが、それでは馬劵でもうけた人に対しては、はたして当局は課税をいたす意図がありやいなや、これをお尋ねいたします。
○原政府委員 從來からありました通常の優勝馬票の所得につきましては課税いたしております。これは從前は御承知の通り所得税法が一時所得については課税いたさないということになつておりましたのが、昨年の七月の改正以後一時所得にも課税するということになりまして、一切合切の所得が課税になるという態勢になつて参つております。その一時所得の一つの種類として優勝馬票による所得は税がかかるということに相なつております。
○山村委員 実際問題といたしまして、勝馬の馬劵を買つてもうけた方にかけておつた実例がございましようか。
○原政府委員 御存じの通り、その種類の所得に対する所得税は源泉徴收にもなつておりません。從いまして、一般の申告によつて納税していただくことになつておりますので、なかなか把握のむずかしいものであろうと思います。具体的にかけておるのはあるかどうかということにつきましては、ちよつと今申し上げるだけの材料を持つておりません。
○山村委員 先ほど井上委員から、特に競馬場ののみ屋の問題について御意見を開陳せられたのでありますが、一体当局としては、のみ屋の取扱い金額と賣上げの金額とのおよその比率はどれくらいであるかという推定がついておるか、これについてお尋ねいたします。
○井上説明員 これは統計と申しますようなものはない性質のものでございますので、私たちといたしましても、どのくらいということはまことに申し上げにくい事情でございます。現にそういうことがわかりますれば、犯罪としてこれをあげなければならぬのでございますが、私どもが巷間漏れ聞いておるところによりますと、総賣上げに対して二割ないし三割ぐらいであろうというふうに傳えられております。しかしはたしてそうであるかどうかということについては、ここで申し上げかねます。
○井上(良)委員 私はます大藏当局に対して聞きたいのであります。すなわち当局は、日本の畜産の現状を御存じでございますか。畜産の実情がどういう状態になつておつて、わが國の農業にこれが一体どういう影響力を持ち、將來どういうぐあいにしなければならぬかということをお考えになつておりましようか。まずこれを伺いたい。
○原政府委員 たいへんむずかしい答弁を御要求になりました。われわれ財政金融の面でいろいろな問題にぶつかります場合、もちろん全面的に問題を廣い視野において取上げるという心がけは、十分怠らないつもりでおりますけれども、御質問の御趣旨はそれが足らないというお氣持かと存じます。そういう御批判が出るということについては、われわれ何分至らない、また片寄つた見方をしがちであるということに対する御指摘として、具体的な御指摘があれば十分反省して参りたいと思つております。
○井上(良)委員 私がその質問をあなたにいたしましたのは、御存じの通り、政府特に大藏当局は、さきの山村君の質問に対しまして、國の財政はきわめて困難な実情にあつて、競馬からあがつて参ります納付金をそのまま還元する形は非常に困難である、それはまた別な面でいろいろ施策は施策として必要経費は最小限度見積らなければならぬ、こういう意図の御答弁のように伺いましたので、この質問をしたのでありますが、私どもこの委員会が、特に新しい特殊勝馬投票劵の法案を審議するにあたりまして、大藏当局の意向をただそうといたしますのは、日本の現在の畜産の状況、これが農村の生産力に及ぼす影響というものをきわめて重大視いたしておるからであります。畜産の獎励というよりも、浮動購買力を吸收して、國庫の收入を増す一つの方法として競馬が施行されるというところに、最近非常に傾いて來ておるから、われわれは、あくまで最初競馬をやりました意図に返つて、畜産獎励というものを大きな部分に取上げてもらわなければならぬ。その見地から、現在國に昨年度は二十二億という收入が入つておりますが、この二十二億の收入のうちで、畜産の面に一体何ぼ使つておるかと調べてみると、ほとんど新規の畜産振興に関する経費というものは見積られていないのでありまして、ここに問題があるのであります。われわれが大いにやかましく言わなければならぬ問題が横たわつておるのであります。あなたはさいぜん國営競馬からあがつて來る経費を対象にされ、またそういう特別な目的のために経費をさくということは、どうかと考えるという御答弁でございましたが、われわれがこの前の議会において競馬法の一部を改正して、特に地方の戰災都市にこの経営を許しましたのは、戰災によつて地方財源が非常に枯渇いたしまして、その復興の遅々として進まない現状をわれわれは見るに忍びず、この戰災復興をせめて競馬の收入によつて一部分補えたらというつもりで、この競馬法の改正に賛成をしたのであります。いわゆる戰災復興という一つの目的をもつて戰災都市に特に競馬を許しておるのでありまして、これは一つの目的税であります。目的的な收入によつて経営をして許しておるのであります。これと同じように、從來の國営競馬、從來の競馬法による收入は、ともかくも浮動購買力を吸收するという見地から、あなた方がおやりになつてもよろしいが、少くとも新しく設定しようとする新規の勝馬投票劵に関する法律については、その一部を畜産の方面にまわすという目的を明らかにしたらどうか。全部とは申しませんが、せめて三分の一なり四分の一なりを、その方面に振り当てるというようにやりたいと思うのでありますが、それもあなた方はそれでは困るというお考えでありましようか。これを伺いたい。
○原政府委員 非常にさびしい財政の状態ばかりお傳え申し上げて恐縮でありますが、御存じの通り、今回の予算は、七千億を越えるという結論に相なりまして、われわれもこの税負担、その他財政につきましては非常に問題が多いと考えまして、極力税負担の軽減をはかり、合理化をはかりたいと思つたわけでありますが、予算総体として、実質的に均衡を保たなければならないという線を非常に強く確立して、経済の安定を一日も早く回復しようということのために、御案内の通りの結論に相なつて参つておるのであります。これによりまして、たとえば例の揮発油税というようなものにいたしましても、先ほど申しました目的税的な観念から、これを道路修復費に充てるというような意見もございましたが、これも残念ながら、そう行かぬというようなことになつて参つたような環境であります。從いまして、お話の特殊勝馬投票劵の分につきましても、苦しい財政は何ともいたし方がないというのが現状であることをひとつ御了承いただきたいと思います。
○井上(良)委員 大藏当局として、苦しい財政を切盛りされておる、その苦衷はわれわれ大いにわかりますが、しかし日本の現状の食糧事情なり、また農村の経済の実情から考えまして、いわゆる食糧増産なり、農村経済を安定さすという一つの政治をとつて行こうとするわれわれにとりましては、あなたの考え方はちよつとかえてもらわなければいかぬと思う。問題は競馬が行われるというためには、畜産が確立せねばならぬのであります。現状のままで競馬を推し進めて行くならば、実際のところ、もう走る馬はおらぬようになつて來ます。またこのまま競馬だけに國があらゆる力を注いだ場合には、他の畜産は犠牲になります。はつきり犠牲になつて参ります。そういう点をわれわれは憂えるのであります。なお、あなた方が浮動購買力をその方面から吸收しようとしても、一方において食糧が不足して、不足する食糧は輸入して、これに対して補給金を出しておるという現状じやないですか。畜産を獎励して一割の食糧を増産をしてごらんなさい。六百万石、二年間いたしましたならば千二百万石です。もう輸入しなくてもよくなるのです。そのくらいの腹をもつてやれば、やり得るのです。あなた方は、現在火のつくような食糧事情のもとにおいて、外國から入つて來る食糧と國内食糧のバランスをとるために、食糧輸入に対する補給金を現実にこの財政から出しておるのじやないですか。そういう財政の仕組みになつておるじやないか。この仕組みを一体どうする。さらにあなたが今山村君の質問に答えておる点を聞いておると、競馬に勝つた賞金に対して、ほとんど課税をしていない。いわゆる勝ちどくと言いますか、これは一つのボーナスなんです。賞金ですからボーナスなんです。われわれが、農民の超過供出に対して課税を免除してやつてくれ、汗水たらして一生懸命つくつた米だから、免除してくれと言つているのでありますが、どのくらい頼んでも、大藏当局はうんと言わないじやないか。しかるに競馬で大金をもうけておる者には、知らぬ顔をして、あなた方はほおかぶりをしているじやないか。そんな弱い者いじめなことはやめてもらわなければいかぬと思う。競馬場に金をもうけに行く人は、どつちかと申せば相当旦那なんだ。そう質八置いて競馬に行くという人は続かぬ。実際のところできはせん。その辺をあなた方知らぬ顔をして、ほおかぶりをして通しておいて、何万円もうけようと、平気で放任している。ところがこの農民が一生懸命に汗水たらしてつくつて、一俵、二俵、三俵と超過供出をする努力に対して、ちつとも報いようとしない。ここを私は言いたいのです。これがほんとうの日本の農村の現状である。少くとも農民生活の現状を考えるならば、今少し、都市及び工業方面に目を注ぐとともに、農村の立て直しに対して、また日本の食糧の確保に対して、打つ手をたくさん考えてもらわなければならぬ。その見地から、私どもはこの勝馬投票劵による一部收益は、この畜産の目的に使つてもらいたい。現に私が今言いましたように、戰災都市には、國は競馬経営を許しているのです。そしてそこから出る收益は、その町の復興に使つてよいことになつている。これは明らかに目的経営です。そうでなければ全部國がやつたらいいのです。特に地方にそういう特殊的なことを許しておるのは、その意味を含んでおるのです。このままで競馬をやりますならば、わが國の畜産は非常な片ちんばな状態になつて行くということを、ひとつお考え願つて、あなた一人の責任では、とてもわれわれに答弁をはつきりするわけには行きますまいが、これはお帰りになつて、大臣なり次官に相談をされて、明日までに、ひとつ返事をゆつくり考えて來てもらいたいと私は思います。
○竹村委員 大体私の質問したい点は井上委員から言われたので、重複を避けまして、そのかわり大藏大臣の責任において答弁してもらいたい。もしできなかつたならば、井上委員の今言われたように、相談の上で、あす大藏大臣の責任をもつて答弁してもらいたい。 先ほど聞いておりますと、競馬をやらす場合において、農林当局の目的であるところの畜産の獎励という目的も、それを了承しての競馬をやつておられる。こういうように、一方において承認しておられるのです。しかるに、そのことに対して、たとえば先ほども井上君が言われましたように、二十二年度の國庫の收益に対して、目的税でやられたものについて、何らそれに対する費用を使つていないというようなこと自体が、実際この目的を承認されながら、事実上においては、金の面においてはその目的を承認されていない。つまり、單に畜産獎励という目的を除外して、國家財政の立て直しのためにやつておられるということは、結局においては國内におけるところの賭博主義を助長するものです。少くとも目的のためにやるということにおいて、この競馬というものは最初は成立つた。御承知のように、軍馬の獎励という意味において一番最初は成立つた。それが今度敗戰後においては、やはり畜産獎励という目的であるがゆえに、この競馬というものがやられておつても是認される立場に立つておるのでありますけれども、それがなされていなかつたならば、結論といたしましては、遺憾ながら、これは單なる賭博にすぎないことになる。これに対して、根本的に大藏省の考えを立て直して、そしてここから上つた、いわゆる國庫に收まつた金の中から、畜産獎励のために、今井上氏が言われたように、どれだけ、あるいは何割出すという意思があるかどうか。この点をはつきりしてもらいたい。 それからもう一つは、残つておる事項でありますけれども、これもお座なりに、おそらく答弁されると思いますが、第九條で、特殊勝馬投票劵の拂いもどし金については所得税は課さないと、條文にはつきりしてある。この問題は井上委員が申されましたように、農民が超過供出いたしましても、この超過供出いたしました代金に対しては、何回も質問しておりますけれども、これは所得のある者には徴税するのだ、それは國民の食糧を補うものであつても、これは所得があるのだから徴税するのだ。從つて徴税されるがゆえに、また超過供出も鈍つておるところの現状がある。超過供出をしたがゆえに、三倍に買い上げてもらつたものが全部税金としてかかつておるような事態も起つておる。それでも減税することができない大藏当局が、この九條の條文を承認された原因、その意図について、ひとつお伺いしたい。
○原政府委員 第一の点につきましては、先ほど來、たびたび申しました趣旨で、ひとつ御了承いただきたいということを、重ねてお願い申し上げます。 第二の、課税に関する考え方でありますが、先ほど申し上げました通り、一時所得に対する課税は、一昨年十二月に改正になりまして、入りましたものであります。税制の建前といたしまして、こういうものを対象にするかどうかということにつきましては、世界各國でも必ずしも統一がとれていないで、二通りのやり方があります。課税しないというやり方もあります。そういう意味で、この一時所得というものに、所得の本來の性質から言つて、課税すべきか、すべからざるものかということによつて、理論的にこれが問題の焦点になるものであるということが一つと、それから、一時所得に課税をいたしまして以來におきましても、御存じの宝くじの賞金に対しましては、賞金を渡す前に相当部分を政府が差引いてとるということを考えまして、これは課税しないということに取扱つております。從いまして、それでは一般の優勝馬票の場合とどうして差をつけるのかという問題になると思います。この問題は、優勝馬票の場合は、しいて申し上げますれば、優勝馬票の場合の割もどし率と、それからこの特殊勝馬投票劵の割もどし率が、相当へだたりがある。その間に線を引いたということに相なるわけであります。課税、非課税の限界のむずかしいところに参りますと、非常に疑問の多い問題が起るわけでありまして、本件もそういう意味での性格を多分に持つておると思いますが、われわれといたしましては、宝くじと大体性質を同じにするものだという考えで、それと同様な扱いを與えるということに考えました次第であります。
○竹村委員 宝くじと同一に扱うものだから課税しないということになりましたならば、宝くじそのものは一つの目的によつて許されておるのではないか。たとえば美術の保存のための宝くじ、あるいは何々の宝くじというように、いわゆる一つの目的に対する宝くじが許されておると私は考えます。從つて、この勝馬投票劵に対する賞金にも、その意味において課税しないという意味であるならば、いわゆる目的に対する一つの方法というものがここに掲げられなければならない。たとえば、先ほど井上委員も言われましたように、勝馬投票劵のある部分に対して、これを課税しないのであるから、そのうちの何割、いわゆる勝馬投票によつて得たところの利益の何割なら何割というものを畜産獎励にまわすというのでこそ、初めてこれは宝くじと同様の扱いであると言えると思いますが、これに対して、ひとつお答え願いたいと思います。
○原政府委員 先ほど申しました特殊勝馬投票劵の拂いもどしの率と、それから一般のものとの違いというのは、大体一般の場合は六割以上の拂いもどしをいたす。ところが特殊の場合は五割以下、実際は四割近くだそうでありますが、そういうことに相なつております。お話の趣旨は、拂いもどしをいたしました残りの分、つまり國に留保する分を、一應御主張の畜産関係の経費にまわせというお話であるかと思いますが、これは先ほど來申し上げましたように、歳入として入りましたものを、歳入の源に近いところに流すかどうかという、目的税の考え方に相なると思います。それを差引きました割もどし分の課税、非課税の問題とは、若干別なものではないかというように考えるのであります。從いまして、課税の問題といたしましては、宝くじとの権衡等を考えまして、この特殊勝馬投票劵の分は、所得税としては課税しないというふうに考えた次第であります。
○竹村委員 それでは、たとえば畜産獎励の意図というような点について、より具体的な問題で、大藏省では牛とか、豚とか、あるいは馬とかの飼育者に対しても、大体地方税等を増すような傾向が強い。二、三日前の新聞を見ますと、いわゆる家畜である鶏に対しましてすら、税金をかけようかというような記事も見えておりますが、そういう面に対して、大藏省はどういうふうに考えておられるか。いいと考えておられるか、惡いと考えて、おられるか。
○原政府委員 お話の節は、十分わかりませんでしたが、多分きのうか、きようの新聞に出ました、あの一万五千円の住民税というところに書いてあつたお話かと思います。たしかあれには、地方税として非常に雑多なものができておる、さらに今回は住民税も上る、雑種税が非常にふえるという記事であつたかと思います。これをよいと思うか、惡いと思うかというお尋ねでございますが、われわれといたしましても、税制は極力簡明なものにして、あまりごたごたした税はない方がよいと考えておることはもちろんでありますが、御存じの通り、今回は地方配付税も相当從來より率が落ちておりますし、地方財政も相当つらいということで、各地方團体において、それぞれ趣向を凝らさざるを得ない状態になつておることは、はなはだ遺憾に思う次第でございます。
○竹村委員 それでは、そういう点まで地方税を課すことを、大藏省は大体遺憾ながら是認せざるを得ないというような御答弁でありますけれども、そういたしますと、たとえば競馬から上つた金は大藏省が使う。そして片一方で、せつかく牛や馬を農業生産のために飼つておるものにまで地方税をうんとかける。そういたしますならば、結論としては、畜産獎励ということは大藏省の頭には全然ないということになる。結局食糧の増産とか、食糧の國内自給体制というものは、もう大藏省の頭にはなく、とにかくできなかつたら外國から輸入して、高い金で買つてもかまわないという考えになつて來ると思います。結局としてはやはり、最初の目的であるところの、競馬をやるということは、畜産獎励の目的にかなつているのだということを是認しながら、事実においては、大藏省ではそんなことはやられない。農村はいくら困つてもかまわない。なんぼでも税金だけはとるけれども、おまえらは税金を拂つた上で、農業増産などはかつてにやれというようなお考えのように聞えて、私どもはなはだ遺憾にたえないのでありますけれども、こういう点について、競馬から上る勝馬の金、その他いろいろの点についても、いたし方ないのだというよりも、少くともそういう面に対して、目的にかなつたものにはいくらでも出すというようなことに努力されたかどうか、またされる意思があるのかないのかという点だけ伺つておきたいと思います。
○原政府委員 先ほどお答え申し上げましたのは、若干氣分的なお返事になりまして、具体的に、たとえば牛なり、馬なり、鶏なりに対する税まで是認するかという点で申し上げ足らなかつたのでありますが、われわれといたしまして、地方税の問題として、生産の具に供せられる生産手段自体にかけるということは、御存じの事業税との関係もありまするので、そういう色彩のはつきりしておるものは、あまり妥当でないという意見を持つておることを、まず申し上げておきたいと思います。この競馬收入を歳出面において畜産獎励のために使うようにという御趣旨につきましては、正面から、それはいかんことだとかなんとかいうように申し上ぐべき筋合いのものでなし、また先ほど申し上げましたように、財政が余裕がありますれば、そういうようなアイデイアムも生れて参るわけのものだと思うわけでありますが、その点はひとつ日本の國が次第に安定し、復興いたしまして、そういう時期が來るのを、皆様と一緒に望むという、はなはだまわりくどい答弁かもしれませんが、そういう氣持を申し上げたいと思います。
○井上(良)委員 ちよつと私、さつきの答弁のうちで疑問を抱く点がありますから、この際明らかにしておきたいのですが、今竹村君も質問しました通り、競馬の拂いもどし金については、一時所得とかなんとかであるから、これには課税することをやめておる、こういう御答弁のように承つたのですが、競馬の賞金の拂いもどしを一時所得と見る……。競馬に行く人たはほとんど常連が行つている。あまりしろうとは行かない。大体どの馬が勝つかということは知つている。当るか当らぬかは、これは八卦だからわからない。だからかりにあるシーズンで何頭当てた、その次にまた当てた、さらにまた今度当てたということになつた場合に、一体どう考えるか。それでもやはり一時所得と見るか。それから今一つは、競馬のようなものを一時所得とかりに考えるということにしますならば、農村の超過供出を一時所得と考えないのは、どういうわけですか。これも天候自然によつて今年はとれても、來年はとれぬかもしれない。事実今年は超過供出に應ぜられるが、來年は應ぜられないという事態が生じた場合は、これはやはり一時所得になつてしまう。連続して所得があるとは考えられない。さらに不動産を賣つた場合に、不動産を賣ることは一時所得なんです。これにもやはり課税をしている。それだからあなたの言う一時所得という物の考え方というものは、單に競馬等の賞金に対するものを対象にしているのじやないか。特に今度新しく考えております勝馬投票劵の元締は、銀行がやるのです。だれが買つたということはすぐわかる。從つて源泉課税がはつきりできる。これほど確実な財源を逃してしまつて、弱い者いじめで農民をしぼるという考え方は、これはやめてもらわなければならぬ。この点に対するあなたの考え方を一ぺん伺いたい。
○原政府委員 私の申し上げ方がはつきり整理されておらなかつたかもしれませんが、從來の優勝馬等に対する拂もどし金は通常一時所得として課税いたしております。今回の法案で御提案になつております特殊勝馬投票劵の拂もどし金については、先ほど申し上げましたように、相当部分を控除して政府がとつてしまうということを前提といたしまして、これは性質上一時所得でありますが、かけないということにいたしたいというのが、われわれの考え方であります。その間、線の引き場所において相当問題のある問題であるということは、先ほど申し上げた通りであります。なおこれに関連して、超過供出による所得のお話がございまして、たいへん皆さまのお氣持もわかるところでありますので、議論めいたことを申し上げたくありませんが、われわれといたしましては、超過供出による所得は基本の所得と同種の所得であつて、所得の量があるときは多く、あるときは少いということであつて、この勝馬投票劵による所得は、そういうものと別な一時の所得であるというふうに考えている次第でございます。
○井上(良)委員 そこまで行きますと、見解の相違になつて來ますから、これ以上議論はいたしませんが、この際政府に伺つておきたい点は、この勝馬投票劵を発賣される大体の予想金額、それから回数、年何回やつて、それによつておよそ何ぼの馬劵を賣つて、何ぼ一体政府はこれによつて金をもうけようとしているか、この点を明らかにしてもらいたい。
○井上説明員 私どもの考えておりますことは、現在の國営競馬において最も大きな競馬と認められておりますものは、関東及び京都の競馬を通じて七レースあるわけであります。この中で大体四レースぐらいを対象といたしまして、勝馬投票劵を発賣いたしたいと存じております。この発賣金額は一回について一億円、拂もどし金額は四千五百万円でありまして、政府は四割をただちに取得するということになつているわけであります。そういたしますと、一回について四千万で、四回で一億六千万円、とりあえずその程度のことを考えております。
○深澤委員 競馬の問題について盛んに論議されたのでありますが、結論といたしましては、出発は畜産獎励ではあるが、結局競馬部長の御説明等によりまして、まあ一般の投機的氣分をあおつて、國家收入をふやそうというようなところに結論づけられて來たと思うのであります。こういうふうな風潮が戰後非常に強くなつて参りまして、富くじその他の問題についてこういう傾向があるのであります。全日本をあげて賭博気分が非常に横溢して來ていることは、否定できない事実であると考えます。まさに上海において行われた競馬が、このたびの方法によつて日本にも移されたと言えると思うのであります。この賭博気分は、およそ世紀末的な氣分が醸成されまして、國家の風教道徳の点から申しましても、まことにこれは憂うべき状態であると思うのであります。從つて現在競馬によつて働くことを好まない人々が多数出て参りまして、多くの家庭悲劇等が出ているということも、これもいなめない事実であると考えます。古來この賭博氣分が醸成された國が多く滅びている例もあります。あの古い中國が、今まさに覆滅せんとしていることも、またこうしたことに原因が一部はあるとわれわれは考えるのであります。日本の再建途上において、まじめに日本の再建を考える場合において、こういう氣分をわれわれは醸成することは、必ずしも國家再建のゆえんでないというふうに考えるのであります。もしもこうした氣分によつて日本の再建が不可能になり、亡國的な傾向への道を日本がたどるとするならば、一体その責任はどういうぐあいに感じられるか、そういう点について農林当局は一体どういうふうに考えておられるか。ただ目前の利益を上げる、國家收入を増すというようなことのみにとらわれて、この重大なる國家の一般國民の考え方、道徳が頽廃して、遂に亡國的な方向をたどるということに対しては、農林当局は大いに考え、大いに責任を感じなければならぬと思うのでありますが、この点についてどう考えておられるか、政務次官のお考えを伺いたいと思います。
○苫米地政府委員 ただいまの御質問まことに傾聽するところが多いのでありまして、私個人としては共鳴するところもあるのであります。しかし現在の窮迫している状態においては、平常のときにおいて考えられないようなことも、急場に臨んでは、やむを得ず行うということもあるのであります。戰時中にこういつた傾向に向つたときに、私は強烈に反対をいたしたものであります。しかし現実がやむを得ないことを認めて、その弊害をいくらかでも少くするという方に努力をして行かなければならない。毒薬は飲むべきものではないけれども、場合によつては毒薬を飲むことが必要になる場合もある、こういうような考えを持つておるのでございます。從いまして現在におきましても、この競馬場には、思想のまとまらない学徒とか、若い者とかいうものを入れないようにいたしておるのであります。かくのごとき方法、またその他のいろいろのくふうをいたしまして、弊害をできるだけ少いようにいたそうとしておる次第であります。理論と実際というものの間にはたしかに距離があります。ここで純理を追求しておつては政治になりませんので、実際に即するように今くふうをいたしておるのでございます。
○深澤委員 理想と現実が違うことは百も承知でございます。しかし現実をいかにして理想にまで高めて行くかということが問題であります。しかるに現在の状況におきましては、現実にとらわれて理想を忘れておるというような傾向があることを、私は指摘するのであります。しからば今起つて來る弊害をどういう方法において、どういう対策において、この弊害を取除くかということについては、ただ政務次官は学徒等を現場に入れないと言つておる。今度の勝馬制度はどこでもだれもが買えるという制度になつておる。そういう意味において現場へ学徒を入れないというようなことでは対策にならない。從つて現場に対してとらわれすぎて、理想的な面については何らお考えを持つておられないという結論になると思うのでありますが、その点はいかがでありますか。
○苫米地政府委員 この点は馬劵の問題だけでなく、宝くじの問題についても同様な議論が成立するのであります。その他のものについても、この現在の窮状が生み出したところのものはいろいろあるのであります。決してわれわれは理想を忘れておるのではなく、理想を持つておるがゆえに悩みつつ、早い時期においてこれを修正するように実際いたしておるのであります。これは決してわれわれがこういうことを好んでやつているのではなく、政府がかわつても、前の政府もまた將來の政府も、この現状がある間は、こういうようなことは行われるのだと思います。それはタバコを賣るためにくじをつけるというようなことも、われわれ昨年反対したおぼえを持つておるのであります。そういう点でわれわれが反対したと同じような立場で御反対になるのは当然だと、これは承認いたします。正直に承認いたします。けれども同時にその当時の政府がそれを強行したというところには、やむを得ない事情があつたと思うのであります。同じように現在においてもやむを得ない事情があるのだ、こういうことを御了承願いたいのであります。
○深澤委員 やむを得ないということに非常に大きな重点を置かれるといたしますと、結局問題は解決しないのであります。いかにしてやむを得ないか、やむを得ない原因を追究しなければならないのでありますが、いくら議論を繰返しても盡きませんが、ただ一点大藏当局にお聞きしたいことは、結局今度のこの競馬によつて得た收入に税金をかけないという考え方が、ややもすれば税制の方針が、勤労をして得た所得に対しては重税をかけるが、働かずして、勤労せずして得た收入に対しては税金をかけないという、まことに根本的な理念から申しても不合理千万であるとわれわれは考えるのであります。こういう方面が相当廣くあると思うのであります。これでは働くことを獎励しないという結果になる。勤労をうとんずるという結果になるのであります。社会の問題は勤労が根本であると思う。ところが働けば働くほど税金をとられる。働かずして所得したものに対しては税金をかけないという、この不合理な方針に対しては、われわれはどうしても納得できないのであります。その点についてどういうぐあいにお考えになつておりますか。
○原政府委員 働いて得た所得に対してよりも、こういう種類の所得に対してよけい負担がかかるということにすべきであるという御意見は、たしかにその通りだと思いますが、われわれこの法案の十條に所得税をかけないということをうたい込むことにいたしましたのは、先ほど申し上げました通り、今日相当部分が返らない、返るのは四割何分であるという程度になつておりますことは、つまり税の形ではありませんが、負担を相当いたしておるということでございます。その四割何分の中からまたとるということにいたしますと、くじの何と申しますか、経済的な條件がかわつて参ります。從いまして、たとえば宝くじとの権衡が破れるというようなことにも相なつて参ります。その辺のことも考えまして、四割しか返さない、あとは発行の費用と、残りの大部分を政府がとるということを考えまして、実質上相当な負担にいたしておるというふうに考えたからであります。
○小笠原委員長 これにて、要求の質疑は全部終りました。あとは御相談いたしましよう。それでは速記をそのままにしておいて理事会を開きます。しばらく速記をやめて……。 〔速記中止〕
○小笠原委員長 それでは速記を始めてください。 それでは私が代表して農林当局並びに大藏当局にお尋ねいたしたいのでありますが、一体國営競馬で、今までやつた一年か半年かの間を見ると、馬も半減して参りましたし、今各委員から質問された畜産とのつながりはないし、ことに競馬をやる馬に対し、何ら予算的措置がなくて経過をたどつておる。特に個人的な馬主というものを背景として、國営競馬というのは名のみで、会場を持つた役人がやつて來たために、今日は馬主は経済的に非常に圧迫を受けて、税金その他によつてほとんど立ち行かない状態に相なつたのであります。これは農林当局特に競馬部長と、それから課税する方の大藏省の担当の方の間の折衝よろしきを得ないから、ただとる一方にかかつておるのでありましようが、実際に競馬收入を上げようとするならば、この三割六分という課税を二割にした方が、かえつて多くのファンが集つて、競馬の馬劵も賣れ、娯樂機関としてもほんとうに健全に発達し、また收入も今より相当に多くなる現状であると思います。ことに馬の方もこれがために発達して、競馬が盛んになり、從つて收入も増加されるという観点につきましては、農林当局といいまた大藏当局といい、実際の問題についてよく御相談になつておらぬというような面が、われわれには見られるのでありますが、その点御相談がよくできておるかどうかということを、率直に、ほんとうのそのままのことを御答弁願いたいのであります。
○井上説明員 ただいま委員長から、競馬の現実並びに將來に対して、競走馬の問題その他競走馬の維持、馬主の將來の見通しといつたようなことについて、重大な御質問がございましたのでお答え申し上げます。大体競馬の経営費は日本競馬会の公認競馬をやつておりました当時から、総賣上げに対して六・五%、入場料と付属施設、これだけの金額でまかなつておつたのでありまして、ときにもよりますが、大体経営は非常にゆたかになつておつたのであります。ところがごく最近になりますと、諸般の物價が百五十倍、二百倍となりますに対しまして、実際の賣上げは十一、二倍でありますので、自然收入減になりまして、とうていそれがまかなえないという実情に立ち至つたのであります。日本競馬会から政府が引受けます場合には、相当な赤字をもつて引継いだのであります。もつとも総財産から申しますと決して赤字ではございませんが、当面の現金については、ある程度の赤字はあつたのであります。そういうことでありまして、大藏当局とは私ども非常に相談を重ねまして、日本競馬会の当時に比べますれば、ただいまでは総賣上げの大体一割を目標として予算を計上しておりますが、ただいま申し上げましたように、総賣上げが戰前の十一、二倍に対して、実際の経費の面は百五十倍、二百倍ということになりますので、経営上非常に困難を生じておるのであります。この点につきましては、ただいま委員長の御質問もございましたが、將來われわれといたしまして、大藏当局と懇談を重ねまして、当面の問題としてはとにかくやれるような自信を持つておりますが、なおインフレの高進に伴いまして、相当に困難な事態も生ずるかと存じますので、その点につきましては、各委員の皆様におかれましても御援助をたまわりまして、善処いたしたいと考えております。
○原政府委員 十分農林省と研究いたしたいと思います。ただいまお話のありましたパーセンテージの問題は、物價の値上りとも見合わなければならないと思いますが、同時に経費自体、つまり賣上げが少くなる場合の事業量の減というようなこととも対照いたさなければならない点でございますので、十分研究いたしたいと思います。
○小笠原委員長 なおもう一つ伺いますが、これは大藏省の方もよく御研究をいただきたいのだが、一体競馬というものを税の收入の対象にせられることになれば、これは農林省で管轄するものでございましようか。農林省は何ら畜産につながりのない國庫收入の活動をする一つの機関となるので、競馬ははたして農林省の担当するものであるかということに、非常に疑問がわいて來るのであります。從つて大藏省と農林省とがうまく相談が練れて行かなければならぬ。何ら畜産の発達の裏づけもなく、あるいは競馬というものは馬を使つて速度重点主義の競走によつて國民の娯樂にも、國庫の收入を獲得するのだということがはつきりして來たならば、その一番の基礎をなすところの競馬の馬の発達に対して、何ら見るべきことがないということは、大藏当局としてはあまりにこれはひど過ぎると思うのでありますが、思い切つて大藏大臣にあなたの方から申し入れて、大藏省でこれをやつてごらんになつたらいかがかと私は思うのでありまして、決して農林省が担当してやるべき筋合いのものではないというふうに私は考えておるのであります。しかも馬主であるとか、あるいは騎手であるとか、困難を來しておるのは馬の生産ばかりではない。何らつながりなく、ただ月給そのままのまかないでやつているということに大きな欠陥がある。日本競馬会の場合には、いかに赤字があるといえども、それは財産上の赤字ではない。一時のとつた收入そのものから來た赤字であるのでありますが、その際には、やはり馬というものも相当鍛え上げられて発達して來て、競馬に対するファンに対しても、十分な満足を與えたのであります。現にこの間の中山競馬のごときは、障碍競走はわずか二頭でありました。一体ホーカスを一から六まで賣出す法律をこしらえて、馬が二頭出るというようなことで國営競馬などと言うことは、國際的にも恥じ入る状態である。一歩々々退歩してのたれ死するという状態にあるということに対して、ただ收入重点主義で、漫然とこの計画を立てているということは、國の恥辱である。政府としては競馬がいけない、賭博であるからやめるというのならばともかく、國営でやろうとするには、そこに対して非常に大きな御研究をなさらなければならぬと私は考えておるのであります。どうかお二人の方が、ことに政務次官も見えておるのでありますから、両大臣に笑い話でなく傳えていただいて、とくと研究していただいて、賭博であるからおやめになるというのならば思い切つておやめになつた方がよろしいが、國営競馬でやるというのならば、國営という名目に対しても、相当に根本から改革して行かなければならぬと思うのであります。ことに今の井上君の話、あるいは山村君の話された、あののみ屋というものは、五百万とか七百万とか七百万の金を持ち込んで、あの中の三階の優待席にまで乗り込んで一万円の馬劵を八千円に減額して賣つておる。これは税金がないから行けるのであります。これが横行して何ら取締られていないで、ほとんど國営競馬の馬劵の賣上げに及ぶだけの多額の金額を左右しておるということを見のがしてはならぬ。これを取締ることはなかなか困難で、容易でない。國営を担当する方々も、実際そこに第一線で担当し得る方々もよく承知している。承知してもどうにもできないという事情もあるのでありますから、ただとる重点主義でなく、あなた方も、こうしたらほんとうに國営として馬もそろうし、娯樂機関にもなる、從つて收入も多いということをお考えになつて、畜産方面とも連絡をとらないと、これは長続きがせぬということを、皆さんの意見を総合して、ここに警告をいたしておきたいと思うのであります。どうか十分御研究を願いたいと思います。これで質疑を終了いたしました。 この際お諮りしたいことがございます。それはただいま本委員会で審査中の農業資産相続特例法案について、法務委員会より連合審査会を開きたいと申出がありました。つきましては、本案の審査のため、法務委員会との連合審査会を明十四日午後一時より開きたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは法務委員会と連合審査会を開くことに決しました。 それでは、本日はこの程度にとどめまして、明日は午前十一時より開会することにいたします。本日はこれをもつて散会いたします。 午後六時二十二分散会