農林委員会 第19号
- 発言数
- 199 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1949/05/11
会議録
○小笠原委員長 これより会議を開きます。 前回に引続き農地調整法の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑に入ります。石井君。
○石井委員 農地調整法の質問に入るに先だちまして、過日極東委員会におきましても、日本の町農地改革を今までの線によつて進める、かようにマツカーサー司令部に勧告するように申しておるのであります。これに対しまして、民自党の政策等におきましては、今までのものは行き過ぎている、今後におきましては、農地におきましても、耕作地積を内地におきましても、五町歩くらいを認めるようにしたい、かような政策等が出ておるのでありまして、かような考え方並びに極東委員会の考え方等が日本の政策に現われて來る、かようなことがありますと、いろいろとその間に農民に不安を與えたり、あるいは動揺を與えたりしまして、不必要な混乱を農村に惹起するおそれがあるのであります。政府当局としましては、農地改革の線をいままでの農林省がなしたところの線によつて進めて行く、かようなお氣持であるか、あるいはまた今までのは行き過ぎであつた、これは少し逆もどりをしよう、かような考えであるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○森國務大臣 極東委員会からマ司令部に出されましたことが先般新聞に出ておつたのでありますが、非常にあれは間違つておるのであります。あの新聞の記事から見ますと、何だか現在の農地改革が不徹底であるから、さらに推進せねばならぬように考えられるような記事が出ておるのでありますが、政府といたしましては、どういう指令が向うから発せられてあるのか、それについて十分連合國司令部に対して檢討を加えたのでありますが、その内容は、委員会は終戰後における日本の農地改革について実施せられた政策に賛同する。右政策は次のようなものである。一九四五年十二月九日付マ元帥指令の農民解放に関する指令、これは農地改革の第一回指令であります。それから改正農地調整法、自作農創設特別措置法、全國にわたる農地委員会の組織、農業協同組合法を極東委員会は政策として次のごとく決定する。農地改革の目的は小作者の経済的状態を改善し、かつあとう限り多く、從前存しておつたよりも多数の自作農を創設することにある。右にあげた農地改革に関する諸政策は引続いて実施せらるべきである。 極東委員会の決定は右のごとく、現に実施せられておる政策に賛意を表したもので、新たな意向を指示したものではありません。政府は農地改革の諸原則を忠実に実施して行く方針でありますが、今回國会には農地調整法等の一部を改正する法律案を提出し、農地改革後における農村の新たな事態に應じて、農地改革に関する諸法令を整備し、また農業資産相続特例法案を提出し、多数創設せられた自作農を保護し、均分相続主義との調整を企図しておる次第でありまして、第三次農地改革を実行するつもりはありません。小作料の改訂は目下研究中でありますが、小作農に労働の公正なる報酬を保障するとともに、土地所有者にも公正なる地代を認める方針で研究中でありまして、あの極東委員会が連合軍司令部に通達いたしましたことは、今日の日本の農地改革は不徹底である、それであるから、さらにこれを推進しろというように新聞記事には傳えられておつたようでありますが、決してそういう意味ではないのでありますから、さよう御承知願いたいと思います。
○石井委員 その点について第三次農地改革を主張される場合におきまして、現在の小作地というものは一切解消する、かように解釈をするので、第三次農地改革というものが非常に問題にされて、行き過ぎである、かように論じられておるのでありますが、今回の農地改革におきまして、私の村あるいは部落等におきましても、実施いたしたのでありますが、大体村の標準の耕作地を持つておつて、あと保有地をとる、かような農家の小作地というものは、交換分合あるいはその他の手を通じて、あるいは地主によつて非常に耕地面積の少かつた人たちのめんどうを見てやる。かような点を通じてさような保有地は解消して行く、かようにやつて、村民あるいは各方面の協力を得、あるいは理解を得ておる。こういう実から見まして、農地改革におきまして、それらの村の標準の十分の耕地を持つておつて、なお法律の規定によるところの保有地というものが維持されておる、こういうような小作地を解消して行くということは、日本の農地改革の線という点から見まして、適当ではないかと思うのであります。これを第三次農地改革であるから、さような農地を解放するということは適当だと一律に考え、それらの小作地の五反なり六反なりを返してもらわないと、将來農家として立ち行かないというような小さな耕作地積を持つているところの地主の保有地でなく、大体村の基準あるいは基準以上の農耕地を持つている人の保有地は、第三次農地改革というようなことに拘泥しないで、大体農地改革の線に沿つて次第に解放して行く、あるいは小作地を解消して行くような方法をとるというのが進歩的な方法であり、かつまた今後における農村のいろいろな、土地取上げ等をめぐつての抗爭等を解消する根本原因ではなかろうかと思うのであります。第三次農地改革はいたさない、かように一概に言つて、それらをも含めて反足せられる趣旨であるか。第三次農地改革というふうな画一の線によつて一切の小作地を開放するのではなく、情によつては農地改革の線に沿つて適当に適正規模以上の農家の保有地は解放して行く、さような方法をおとりになるのであるか、その点お尋ねしたいと思います。
○森國務大臣 第三次農地改革という意味がはつきりいたしませんが、現在政府の行つております農地改革の線に沿うて進んで行きたい、かように考えているわけであります。一時耕地の國有ということが一面においてずいぶん叫ばれたのでありますが、今日はそういうことがどこへやら自然に消えてしまつているようでありますが、現在の第二次農地改革をいたしたその主義を將來も進めて行きたい、かように考えるのでありまして、今御質問のような点も、今回農地改革の趣旨に沿うようにこれを進めて行きたい、かように考えるわけであります。
○石井委員 さような方針で農地改革が進められ、一應今までの農地開放等が進められると、今後農村に行わるべき問題は、開放された農地がどういうふうにして確保されて行くかということであろうと考えます。ただいま農林大臣も申されたのでありますが、今後は農民の農地の確保ということについていろいろと努力も拂わなければならぬ、また零細化を防止しなければならないと考えると言われておるのでありますが、そうなりますると、この農地委員会の性格というものも非常に大きな変化があろうと考えられるのであります。大体今までの農地委員会というものは農地開放の委員会であつたと考えられるのでありますが、今後の農地委員会は開放されたる農地を農民に確保して行く、つまり適当なる農地を農村に維持して行くという建前に立つたところの農地管理委員会、こういう点に移行する問題であろうと考えられるのであります。大体農地委員会の性質は今後におきましては、農地開放の委員会より、農地を農民に対して確保するところの農地管理委員会の性格になつて行く、またこういう線において十分に指導して行く、かようにお考えになつておられるのであるかどうか。またさような線に向つて農林省としまして努力を拂つて行かれるつもりであるかどうかお尋ねをいたしておきたいと思います。
○森國務大臣 お説の通り農地改革を実施した当時とは、耕作者の事情が非常にかわつて参りまして、ほとんど自作農家が多数を占めておるというような情勢になつておりますので、この六月に農地委員の総選挙をいたします場合におきましても、その選出いたします考え方が今御質問のありましたような趣旨により、いわゆる農地開放でなしに農地をどうして維持して行くかという氣持が、農地委員会として表われるような組織に構成分子を改めて行きたい、かように考えておるわけであります。
○石井委員 この点について今後とも農林大臣を初めとして、当局の農地委員会に対する性質の切りかえ、それに基く指導に関する十分の御努力を願いたいというのであります。 少し小さなことについてお尋ねしたいのでありますけれども、これは小作料の問題でございます。新聞等には今まであるいは一千二百円にするとか、あるいは八百円にするとかいろいろな意見等が出ておりまして、まだ農林省方面としましてもその意見というものは定つておらないようでありますが、小作料というものは大体との辺の基準によつて定めて行くという方針であるか、農林当局において定まつた基準あるいは方針がありましたらば、一應この際に御発表願いまして、そうしてそれらに関する農民の心構え等も定めておく必要があろうかと思うのであります。ひとつ農林省のお考えを大臣を通じて御発表願いたいと思います。
○小笠原委員長 石井君ちよつと御相談申し上げますが、大臣は非常に多忙だそうですから、後刻農政局長が答弁するそうです。
○石井委員 その点は後刻農政局長の方にお尋ねいたします。 農地委員の今度の問題でありまするが、農地委員の構成が小作が二名、地主が二名、自作農が六名と、六、二、二、かような体系になつております。ところがこの農地委員の小作、自作、地主の区分が、前の地主、自作、小作と違いまして、今度の法律に基いたところの階層区分によつて定められておるのでありますから、かような階層区分によつて選挙人名簿をつくつて、そうして選挙をやるということになりますると、相当の期間が必要であらうと思うのでありまするが、これをこの法律施行後四箇月以内に実施ができるというふうな確信が持てるのであろうかどうか。この点を一つお伺いしておきたいと思います。
○小笠原委員長 これも農政局長が答弁になるそうです。
○石井委員 それでは二、二、六の比率でありますが、これはやはり農政局長の答弁になるかもしれませんが、二、二、六の比率というような点は、自作農が非常に多くなりまして、そうして小作人の方、あるいは地主の方が減るのでありますが、実際問題としては、八反の土地をつくつておつて、そのうちに三反なら三反の小作地を持つておる人たちが、その二反なり三反なりの土地を動かされるということが、小作地が非常に少いということでなく、その三反が動かされるということは、根本的に農業経営が不可能になる、こういう状況にもなるのでありまして、これらの点を考えるというと、二・二・六の比率というものは小作層にとつて委員の数におきまして非常に不利益になろうと思うのでありまするが、この点について、農林大臣は二・二・六の比率で小作人の方も十分であるとお考えになつておるか、その点をお尋ねしたい。
○森國務大臣 妥当と信じて原案を作製したわけであります。
○深澤委員 農地調整法の一部を改正する等の法律案の提案理由の説明に、今までの農地改革が非常に好成績で終つたというようなことがいわれておるのでありますが、この点についてまずお伺いしたいと思います。それは農地改革以前におきましては、農民の一戸当りの耕作反別は一町以上であつたのです。しかるに農地改革後の今日におきましては、農民の一戸当りの経営面積は七反余に減つておるという事実であります。これは一体どういうところに原因があるかと申しますれば、概括的に申しますと、この農地改革によつて農地が非常に零細化されたということが言えるのです。その零細化の原因はどこにあるかと申しますれば、農林省も発表しておりますように、土地取上げが全國において二十五万件行われておるといわれております。しかも潜在的な、表面に現われない土地取上げは、おそらくその二倍、三倍に達しておることが予想されるのであります。そういうことがこの農地敷革の裏面において行われておる。さらに農地改革のために農地のやみ賣りが相当行われたという事実もあるのであります。從つて農地改革によつて当然惠まるべき零細農民が、むしろ土地を取上げられて泣いておるという事実が反面にあることを、政府は一体御承知かどうか。そうしてこの地を取上げられた人々に対しましては、一應賃貸借契約の復活であるとか、あるいは遡及買收の規定を設けまして救済的な方法は一應講じてありまするが、それがただ小作人の申請によつて初めて取上げられるのであります。こういうような問題を解決するためには、農地委員会が積極的にそういう問題を解決する、権限が與えられなければ、根本的に解決しないのであります。こういう実情をわれわれが考えて見る場合におきまして、農地改革がなるほど一應政府が予定した数字に達する面積だけは買收し、これを賣り渡すことができたが、しかし根本に横たわつておる土地取上げ、土地のやみ賣りの問題は、依然として解決していない。從つて農地改革が好成績に終つたということは、まことに表面的なものの見方であるというぐあいにわれわれは考えております。この問題について大臣はどういうふうにお考えになつておるか、そうして全國に行われた土地取上げ、土地のやみ賣買の問題を、今後どういうぐあいに処置される考えを持つておられるか、この点ひとつお伺いしたいと思います。
○森國務大臣 農地改革に対する批判はどちらからでもできます。從來一町内外の耕作面積が五反歩内外の平均耕作地の農家に轉落したとい御意見でありまするが、何分耕地の少い日本に今まで大地主、小作というような、いわゆる封建制度を認めておつたのを打開するための改正法でありまするから、これが零細化することは当然であります。ことにこの制度が小作料というものを物納化せずして金納化いたしました結果は、從来地主として物納によつて生活をいたしておつたものが、今や金納ということに改められましたがために、自活上自作に帰つたというような面もありまして、当時小作地であつたものが、全部自作農地として表現し得なかつたようなことになつたことも一つの原因と考えるのであります。その後地主の土地の問題についていろいろな問題が紛糾いたしておることも承知いたしておるのでありますが、これはまだ農地改革ということが、十分に徹底をいたしておらなかつた欠点もあろうと考えるのであります。また農地委員会がこういう問題を取上げて調停に乘り出す、あるいは調停するということも考えられることでありまして、地方々々によつてその情は非常にかわつておりまするが、提案の理由に説明いたしました通り、当時この農地改革法を考えましたことが、今日から振り返つて見まして、相当に成績があがつておるということを申し上げたことは、決して虚構な事実でもないと考えておるわけであります。
○深澤委員 日本の農業の実情から零細化したのは当然であると大臣は言われる。そうしてその原因は、物納が金納になつたということであると今申されたのでありますが、一体大臣は物納が金納になつたことが不合理な処置であつたとお考えになるかどうか、そういう点についてひとつお伺いしたいのであります。
○森國務大臣 合理的であるか合理的でないかは私は論じておりません。ただ小さい農家になつたという事実の一つの素因をなしておるということを申し上げただけであります。
○深澤委員 農民解放指令の面から言つて、そういうことになつたことが好ましい結果であつたかどうかということついて大臣の御意見を伺います。
○森國務大臣 好ましいも好ましくないも、とにかく農地開放ということが、封建制度を打開して自作農をつくるというのが目的であつたのであります。農地法はその目的に沿うて実行せられたのでありますから、今お話のように五反歩、四反歩しか持たないところの自作農ができても、これはやむを得ない結果でありまして、昔のように一町ずつの自作農をつくるということは、事実上できない日本の農業の素質を持つているわけであります。
○深澤委員 その零細化された原因は、合法的に零細化されたのでなくて、土地取上げ等が行われたがために零細化されたのであります。そういうことが現在農地改革の途上においてあつたのであります。もう一つは物納、金納の問題でありますが、大臣は金納をやつたことが零細化された原因だというように言われるが、封建的な経済関係を続けて來たその根拠が物納であります。その物納を金納に切りかえることによつて、封建的な農村の土地制度というものに大きな変革が加えられるのであります。從つて物納が金納になるというところに、大きな農地制度の改革の根本があつたのであります。こういうような意味から申しまして、金納になつたことは、もちろん封建制度をなくするために必要だつたと同時に、その逆に、結局ものを確保するために土地が取上げられた。そういうことによつて零細化されたのであります。こういうことは農地改革の逆行であるというぐあいにわれわれは考えておる。しかし大臣は妥当である、やむを得ない結果であるというふうに考えられておるようでありますが、そういう点について大臣はどういうぐあいに考えておられますか。
○森國務大臣 議論が並行線になつておるから合致せぬと思いますが、ただ小作農であるべきではない、耕作農民が自分の土地として耕作農とならなければならない。いわゆる自作農とならなければならぬという氣持で農地改革は行われたのであります。しからば今までの地主が金納制度によつてどうして生活して行くのか、今までの地主が搾取しておつたから、滅びてもいいということは、國家からは考えられない。また從來の地主が自分の生活を維持する上において、今まで全部小作地にしておつたものを自作地にと考えることは当然であります。私はこれは決して惡いことではないと思う。そのために、予期いたしておつた小作地が、全部小作者のための土地とならない結果となつたのであります。
○深澤委員 それでは大臣は、今まで地主が小作地として貸しつけておつた土地を取上げて使つて自作農になつたということも、やむを得ない結果であるというふうにお考えになりますか。
○森國務大臣 それは法の許せる範囲においてはやむを得ません。
○深澤委員 つまり今の土地取上げは、農地委員会を通じて合法的に行われたものならば、これもやむを得ないと思うが、そうでない件が相当たくさんある。農林省の統計においても二十五万件、もちろんその中にはあるいは農地委員会の合法的な決定によつて行われたものもありましようが、それ以外におそらくその二倍、三倍に達するものがあるのでありますが、そういう土地取上げ、結局農地改革によつて惠まれなければならない耕作農民が、かえつて土地を取上げられて苦しんでおるというこの事実、こういう問題に対して、それもやむを得ない結果であるというぐあいに考えられるのか、もう一ぺんお伺いいたします。
○森國務大臣 違法はあくまでも違法であります。それは裁判所が解決するでありましよう。合法によつて地主が自作農となり得ることは決してさしつかえないと思います。
○深澤委員 もつと具体的にお尋ねいたしますが、もちろん日本の農村には、わずかな小作地を所有して、それを貸して今まで生活しておつた地主もあるのでありますが、物納か金納になることによつて地主の收入が非常に減つて來て、地主が食つて行けない。だからその場合において小作人から土地を取上げて、その地主が自分でつくるようになつたというのがたくさんあります。そういうような事実を、農民解放指令農地改革の線から言つて、大臣は妥当な処置であり、これはやむを得ない結果であつたというぐあいにお考えになつておるのかどうか。
○森國務大臣 法によつて許されていることについては、私は妥当と考えております。違法なことは違法として、これは解決すべき、機関が解決する問題だと考えております。
○深澤委員 もう一つこの提案理由の説明の中でお伺いをいたしますが、農地改革後の新しい農村の姿に照し合せて今度の改正を行うのだというぐあいに言われておるのでありますが、農地改革後の新しい農村の姿というものを、大臣はどういうぐあいにお考えになつているのか、ちよつとこの点についてお尋ねいたします。
○森國務大臣 これは從来は小作農が多かつたのでありまするが、もうすでに九割以上が自作農にかわつて來たのであります。それに処するように法の改正をうたつて行きたいというのがその趣旨であります。
○深澤委員 單に農地の経営の実体が小作農から自作農になつたということは、これはまことに表面的な見方であります。農地改革の諸法令の第一條にありますように、そういう改革をやつて農民の経済的、社会的地位を高めるというところに農地改革の目的がある。そういうような見地から申しまして、單に小作農から自作農になつたこと必ずしも農民の生活実態を高めてはいないと思うのであります。もつと内容的に申しますれば、農民の社会的、経済的生活が農地改革以前よりも十分よくなつておるのかどうかということについて、大臣はどういうお考えを持つておられるか、お伺いしたい。
○森國務大臣 それはよくなつておる場合もありますし、惡くなつておる場合もあります。
○深澤委員 一國の農政を担当いたして、全國の農民を指導する農林大臣が、全体的な見方において一つの方針を持つておられなければ、農政はできないと思います。全國的な情勢からいつて、どういうぐあいに現在農民全体がなつておるか、そういう点について大臣のお考えを伺いたい。
○森國務大臣 もし農地改革をやつて農民の生活が惡くなつたならば、農地改革はやるべきでなかつたのであります。農地改革をやつて農民の実際はかなりよくなつております。しかしその事情によつてよくなつておらない場合もあります。しかし農地改革というのが農民にいわゆる自主性を持たして、小作を封建制度から解放するというのが農地改革の目的であつたのでありますから、その改革の法案を実施した以上、農業者の生活はそれだけ改善されたことは申すまでもないことであります。
○深澤委員 農地改革後の新しい農村の姿に対しては、私たちの見解からいたしますれば、もちろん一應土地の所有関係がかわつて参りまして、非常にたくさんの小作農が自作農になつたという事実は、私は間違いないことだと思います。もちろん農地改革の大きな成果は收めておりますが、それだけでは農民の生活がよくなつたということは言えない。それに加うるに重税やあるいは物價高やそういうことのために、農民への生活は農地改革以前よりもはなはだしくよくなつたということは言えないのであります。むしろ現在においては、今まで多少よくなつて來た農民の生活が、非常にくだり坂になつておるという事実があります。ところが大臣としては、この農村の新しい姿を、あたかも農民が実によくなつたというぐあいにお考えになつておるとするならば、大きな間違いである。農民の生活はこれから破綻しようとしておる。この新しい事実をはつきり認識してもらわなければならないというわれわれは考えを持つております。
○小笠原委員長 それではさつきの石井君の質問に対し、農政局長から答弁を願います。
○山添政府委員 小作料の改訂の件でありますが、先ほど大臣からお話がありましたように、小作者に対しては労働の成果を公正に保障する、それから地主に対しては公正なる地代を支拂う、こういうことが抽象的な原則でありますが、実際問題としましては、これは米價並びに米の生産費を分析して決定するのであります。それについては、目下いろんな資料を集めて研究いたしておる途中でありまして、何ら結論もしくは結論に近いようなものを申し上げる段階に至つておりません。新聞に出ましたような、一千円とかいうようなことは全然根拠のない話であります。 それから今回小作地を二反以上貸付けておる人を地主的な人とし、三反以上借りておる人を小作的な人とし、その他のものを自作農として選挙いたすわけでありますが、こういう階層別によつて新たに選挙人名簿をつくるのであれば、四箇月以内に総選挙が完了できるかどうかという問題であります。これは從來と違つてすこぶる簡單に考えてあるわけでありまして、今までですと、自分が経営しておる耕地面積のうち、小作地の方が多いというような点を小作とする、こういうような定義でありましたが、今回は簡單に二反歩というものをつかまえたのでありまして、これはきわめて簡單であります。農地委員会でこういうことはすでにわかつておりますから、私どもの予想としては八月の中下旬には選挙ができるのではないか、こういう考えを持つております。 それから二・二・六の比率が妥当であるかという問題でありますが、これは大臣から妥当と思つたからそうしたのだということでありますが、あなたがおつしやつた農地委員会の性質も從來の農地開放を主たる任務とするものから、今後は土地の管理の問題が重点になつて來るわけであります。そういうことになりますると、大体一口に言いますると、農民を代表する委員会というように考えていいわけであります。その間に、農地委員会でありまするから、小作の利益を代表する人も、少くとも最小限度なくちやならぬ。また地主的な立場を代表する人も最小限度なくちやならぬということで、それぞれ二名ということにいたしたのでありまして、しからば他の六名というのは、一体今自作農ではありまするけれども、これがいろいろ問題を論議するときには、地主的である物合もありましようし、小作的である場合もあろうと思うのであります。しかし要するにこれは農地委員会の性格が、相当かわつて來ておる点に着目いたしまして、階層的な選出方法ではあるけれども、一般的な、農民代表的な考え方が主になつておるわけであります。そこで二・二・六の人数割につきましては、これは現在の状況から見まして、おおむねこういう比率に落ちつく、これはいろいろ実例をたくさんとつて調べてみたのでありますが、大体こういうようなところで、それは村によつていろいろ違いますけれども、全國的に見ますると、大体こういうところに当てはまるというようになつております。
○石井委員 ただいまの委員の割振りでありますが、二・二・六でありまして、全國的にいろいろと割振りをとつてみたならば、大体こんなところにおちつく、こういうふうに言われましたが、常識的に考えてみて大体保有地が一町ありますると、それが数名に貸されておる。それからまた一人の地主にその関係上小作人が二人、三人になるというふうになると、村におけるところの地主的な立場に立つのと、小作的立場に立つのが三対一くらいで、常識的に考えてもなるのではなかろうかと思うのであります。そういたしますと、小作側の人数は農民の総数というものから比例して、非常に少くなるというようには考えられないのですか、これらについて的確なる資料というものをお集めになつておられるか、どうか。またそれらの基礎のもとにおいて定められたのであるかどうか、この点をお伺いしておきたいのであります。
○山添政府委員 これはお話のように貸し付けている側の人と借りておる側の人を比べますれば、これは借りておる側の人数がやはり多いのであります。しかしそれは今までの地主対小作というような考え方で、ただいま一対三というようにおあげになりましたような開きではないのでありまして、二反歩以上を貸付けておる人と、二反歩以上借りておる人、これは今までの地主、小作という概念とは違うのであります。現在の農地改革後の状況につきまして、九割方は自作農になつたのでありまして、これを土地所有状況からわけまして、嚴密に地主である、小作である、自作農であるというような振り合いをしますことは、そこにはなはだむりがあるのであります。そこでこれは三反という簡單な標準をとりまして、地主的な階級層、小作物的な階層、こういうふうに代表せしめておるわけなのであります。
○石井委員 これは今農政局長の言われるような、ある経済学的な概念におけるところの地主、小作というのではないのでありまして、この点は私がさつき言つたように、今の農村において自分の土地は五、六反あり、二、三反を借りておる、都合七反ないし八反つくつて農業しておるものが多いのであります。ところでその二反あるいは三反を返すということになると、これは農業経営というものが全面的に崩れてしまう、こういう形ができて來る。つまり小作であるとか、あるいは地主であるとかいう問題ではなく、現在において開放されない二反なり三反なりの小作地をつくつておる。こういう人で五反前後の農家がその土地を農地委員会の決定等によつて返還をするということができるというと、農家として没落をしてしまう、こういう状況が出て來る。今後農村において一番やつかいな問題であり、困難な問題はその点であろうと思う。一町五、六反つくつておつて、二反なり三反を小作しておるという人の問題は、それほど大きな問題ではない。これはある意味において、農地開放を適当に進めたところにおいては、小作地はみんな農地委員会が解消してやつておるから問題はない。またあつたとしても、大したことはない。ところが逆にそういう小さな農家では、小作人の層であるとか、地主であるとかいう問題ではなく、農地を二反なり三反借りてつくつておる、こういう農家では、没落をするという非常に大きなウエイトがそこにかかつて來るということになる。こういうことを十分考慮されて、委員の出し方ということについて注意を拂われないと、今後の農村の非常にやつかいな問題というものは、その辺に介在して來るのじやなかろうかと考えております。私たちといたしましてはその意味において、この二・二・六という比率におきまして、小作側の二名というものが漫然と考えられ過ぎておるのではないかというふうに思われるのでありまして、この点は農地管理委員会がうまくめんどうを見てくれるから間違いあるまいというように善意をもつて当局の方においてはお考えになるでありましようが、善意をもつて農地委員会が問題を扱つたような所は、大体問題は解消しておる。今後こういう問題の起る可能性のあるのは、今まで農地委員会の活動が不十分な所において起ると思うのであります。そういうところから考えますと、この二・二・六の考え方は、その点をつつ込んで行かない考え方ではなかろうかと思います。過日井上委員を通じまして農林省に資料の提出方をお願いしておるのですが、それに合せて今の小作と地主、あるいは自作農の分布の状況の資料等も御提出を願いましてまたそれに対するお考えも承つておきたいと思うのであります。
○山添政府委員 今お述べになりましたような事柄が今後の農村の問題であるということにつきましては、私どももそういう考え方をいたしておるのであります。結果から申しますと、こういう二・二・六の比率で出しました事柄が、石井さんのお述べになりましたような事柄とは何ら矛盾はしないので、十分これは適合しておると思つておるのであります。根本的な考え方といたしましては、大体階層別の選挙でなくてもいいのじやないかということを一應前提において見まして、しかしそこにはやはり最小限の利益代表を、小作にしましても地主にしましても、確保しておかなければならぬ、そういう意味から二・二というものがつけ加わつておるのでありまして、この六の中には、おそらくただいまあげられましたような経営規模の小さい人が、相当入つて來るわけでありまして、全体の農村の構成から見ますと、大体七割方は経営規模の小さい人です。そういうことは、選挙人がそういう構成でありますから、選挙される人もそれぞれの立場を反映したように選挙される。こういう考え方をいたしておるのであります。これをさらにこまかく見ますと、この土地の所有関係のみならず、経営規模別にまで考えて行つたらどうかということも考えられないこともありませんが、それでは非常に煩雜にするばかりでありまして、國民全体から見て公正な結果が得られるかどうかということは疑問でありまして、この問題につきましては、実は非常に考えた結果の問題で、こういう結論に到達いたしておるのであります。それから資料の問題はグラフに書いたものもあるのでありますから、それを持つて來ましてそれをお目にかけたいと思います。
○石井委員 この点非常にやつかいな問題であつて、容易に結論を得られないで、大体この点で結論を得た、こういう当局の御答弁のようでありますが、この点については資料等も十分出していただきまして、また研究したいと思うのであります。それから先ほどの答弁で、全部階層なしの選挙をする方法も考えられたのでありますが、われわれといたしましても、階層なしの選挙でもけつこうなのであります。そうしますれば、小作側は小作側の者を選ぶようなかつこうになる、最も公正な人間を選ぶようなかつこうになる。小作側が三であつて、自作側の立場に立つのが一人であつて、それが二・二の比率であること等の点において、非常に不公平な事情もあるので、むしろ階層なしの選挙にする方が、あるいは妥当ではないかという農林省の意見もその辺からも考えられるわけでありますが、十分な資料を御提供願いまして、また、研究をさせてもらいたい、こう思うのであります。 それから小作調停のことについてお尋ねしておきたいと思います。この小作調停の場合でありますが、御承知の通り、今までは小作調停官が行つて、小作問題は裁判官に立ち合せないで、ほとんど自分がこれを取締るというかつこうになつたのでありますが、最近は小作問題が非常にいろいろと複雜になり、その上にもつて來まして小作調停官が昔のような老練の人がおらないというような関係になつておるので、どうしても適当な小作調停委員がなければならない。しかるに今までの小作調停委員というものも裁判所の都合で、市内の人でひまな人にちよと出てもらうということで間に合しておつたのであります。これではいかぬというので、今度の小作調停法の改正等もいたして、それに対する処遇を講じたようでありますが、今までにおいて農林省が裁判所に対するところの小作調停委員の推薦等におきまして、どんな手続をとつて了解を得ておつたか、連絡をとつておつたか。これらの点についてお伺いをいたしたいと思います。
○山添政府委員 この点につきましては、農林省といたしまして、話をする程度でありまして、特別に表立つたことはいたしておりません。しかし府縣におきまして、たとえば山梨縣等、こういう今回の改正のようなことを從来からやつておりまして、うまく運用しておる実例は、あるわけであります。
○石井委員 この点私らも裁判所に幾らか関係のある立場で、裁判所長といろいろ連携して万全の措置を講じて行きたいと考えておつたのでありますが、ひとつ今後においては最高裁判所等と農林省とが連携をとりまして、そしてこの法律の趣旨が十分に実現できて、小作調停委員は、最も適任な者が小作調停に参加するということについての処置をとつて、各縣にまかせるのでなく、農林省より最高裁判所の事務局等と連携をいたしまして、万全の措置を講じていただきたいと思うのであります。それらについての今後のお考えを一應承つておきたいと思うのであります。
○山添政府委員 この改正法律が成立いたしますれば、もちろんお話のようにいたすつもりであります。
○深澤委員 農地調整法の第四條の農地の移動調整の問題であります。われわれは第四條の規定の趣旨は、この法律が施行される当時の現状を維持して、農地の移動をなるべくさせないというところに第四條の趣旨があつたと思うのでありまして、われわれも縣農地委員としてそのためには相当努力して來たのであります。この第四條の規定が当時の現状を維持するというところにその目的があつた、その趣旨があつたというふうにわれわれは解釈して來たのでありますが、その点についてまず農政局長の御意見を承りたい。
○山添政府委員 第四條の趣旨は、ある一定の地点をとらえて、それを固定しようという考えはないのであります。ただ今までやつて來ておりましたのは、農地改革をいたしまして、昭和二十一年十一月二十三日の状況でもつて土地を買收するという時期でありますので、この買收が一應終りますまで、土地関係が移動しますと非常に混乱いたしますので、いわば土地を凍結して來た、こういうことになつております。將來は家族労力の増減等に應じて、経営規模がかわつて行くということは、これは当然だと考えております。
○深澤委員 今度の改正法案の第四條の二項の第一号でありますが、この内容を見ますと、「自ラ耕作又ハ養畜ノ業務ノ目的ニ供スルモノト認メ得ザル場合」こういう場合は許可、承認をしないということであります。つまりそういう「自ラ耕作又ハ養畜ノ業務ノ目的ニ共スルモノ」は認めるというぐあいに反対解釈としてこれはなつていると思うのでありますが、そういうことに了承してよろしいのですか。
○山添政府委員 その通りであります。今後いわゆる不耕作地が発生増大いたして行くことを防ぐ趣旨であります。
○深澤委員 そういたしますと、結局今までの所有権、地主が自分の持つておる土地が小作関係にあつた、それを返してもらつて「自ラ耕作又ハ養畜ノ業務ノ目的ニ共スル」場合は、自分の同居の親族もしくはその配偶者がやつた場合であつても、それを認める、こういう結果になると思うのでありますが、そう解釈してよいのでありますか。
○山添政府委員 それはそういうことだろうと思います。その場合におきましては、いわゆる第九條が基準になるわけであります。
○深澤委員 そういう意味において、この一号、二号、三号、四号、五号をつけ加えたことは、農地の移動に対しまして一つのわくをつくつたというようなことになると思うのでありますが、そのわくが、從來の法の運営はこういうものには大体できる限り許さないという方向に農地委員会は動いておつたと思うのであります。今度はこういふわくをこしらえることによつてむしろ農地の移動が相当行われるという結果になることをわれわれはおそれるのでありますが、その点についての農政局長の御意見を承りたいと思います。
○山添政府委員 第四條のわくをつくりましたのは、今後における農地移動を、自作農創設特別措置法等いわゆる農地改革法令によつて樹立せられました原則の範囲内にしよう、こういう意味を持つておるのであります。從つてこういう基準等をつくりましたがゆえに、土地移動を頻繁にするということではございません。問題は今までは農地の移動関係を農地の買收等が終了いたしますまで抑えておつた、今後はその必要はない、こういうことを申しておるのであります。
○深澤委員 第四條の三項、つまり農地の改廃の制限の問題でありますが、これは五千坪を越える場合においては農林大臣の承認を受くべしというような規定になつております。この場合に中央農地委員会という協議機関があるのでありますが。これには全然関係なく、大臣だけの許可でいいのかどうか。これに対して諮問あるいはその中央農地委員会の議決というものを要するのかどうか、そうするのが中央農地委員会というものが存在する建前からいつて妥当ではないかと考えるのであります。その点についてどういうぐあいにお考えになりますか。
○山添政府委員 そういう判断は行政廳で十分だと思います。
○深澤委員 第九條の三の小作料改訂の問題でありますが、大体制定当時といたしましては、小作料に対しましては今まで非常に小作料が高過ぎたからこれを引下げるということに、農地委員会は努力して参つたのであります。今度はそういう小作料の改訂の手続の関係につきましては、むしろ市町村農地委員会の権限において行うようなことが適当であるという状況であつたのでありますがその後におけるインフレ等の関係におきまして、小作料の値上げというような問題が非常に問題になつて参りまして、こういうような事情においてこの小作料改訂の手続を簡易化するということは、全國的に小作料の値上げを促進する結果になると思うのでありますが、この点についての農政局長の御意見をお伺いいたしたい。
○山添政府委員 第九條の三の二項は省令をもつて規定することになつておりますがこれは行政廳の方から一方的な新しいレベルを示すわけであります。たとえば農林大臣が告示をする。その範囲内であれば市町村が簡易に扱つてよろしい、一々知事さんのところに持つて來なくてよろしい、こういう規定であります。
○深澤委員 その次は小作調停制度についてお伺いをしたいと思いますが、大体この小作調停制度というものは、なるほど今までの非常に軍閥的な力が強くて、農民の自由なる権利というものが制限されておつた場合におきましては、この小作調停制度も一應進歩的な制度として認められたのでありますが、最近のように民主的な状態になりました場合におきましては、この小作調停制度というものは、むしろ反動的な役割を果している場合が往々あるのであります。なぜかと申しますればこの最後の決定をいたしまする主任判事というような人々は、農村関係につきましては、十分事情を知らない方々が相当あるように見受けられるのであります。そして調停ということは、何でもまん中で折半して、半分ところで解決すればよろしいというような傾向が非常に強いのであります。そういう関係から申しまして、農地改革の上から申しましても、小作調停制度というものがかえつて大きな障害をなして來たということも、われわれは考えるのでありますが、むしろ小作調停制度の必要なくして、農地委員会の権限においてこうした問題を解決するという方向へ持つて行くことの方が、最も民主的であり妥当ではないかというように考えるのでありますが、この点について農政局長の御意見を伺います。
○山添政府委員 農地委員会で扱います場合も結局調停であります。從つて当事者の方でその調停に同意しなければこれはしかたがないわけです。その場合に今度は裁判所の調停に移るわけでありまして、これは今度調停委員の農地問題について造詣の深い人が選出せられまする上、また小作官の意見も必ず聞くという制度になつておりまするし、第二次的な制度としての小作調停ということは十分意味があると考えております。
○深澤委員 それでは農地委員会の構成につきましては、石井君から具体的に質問がありましたので、一應私は質問をすることやめますが、自作農特別措置法の問題につきまして、このたびの法案改正によりますと、不在地主の範囲が非常に拡張されておるのでありますが、この趣旨は一体どういうところから來ておるのか。農民開放指令から申しまして、われわれは当時の農林省の方針に基きまして、廣汎かつ急速に農地改革を行うということで、あの制限の範囲内の土地の開放すらもわれわれは努力して参つたのであります。そういうような関係上、おそらく全國各町村とも制限内の土地といえども、全面開放しておるというようなところが相当あると思うのであります。そういうことのために全國の農地委員、あるいは農地委員会関係の職員等が努力して参りました。そして不在地主の範囲なんかの問題にしましても、嚴格に法の規定を守りまして、ある場合においては氣の毒な地主があつたにもかかわらず、涙をのんで法を守り、農地改革を推進するためには努力して参りました。そういうような努力の裏づけが、今日逆に、今まで抑えてきた不在地主の範囲を今度の法律によつて拡張することを認めるということは、まことに今までの農地改革に努力して來た者といたしましては、納得ができないのでありますが、この点について当局はどういぐあいに考えられておるか、ひとつ御意見を伺いたい。
○山添政府委員 これはある時点を画してドラステイツクな方法で改革をいたします場合と、今後恒久的な法律として続けて行く場合とは、おのずから樣態が違うかと思います。今回第四條第三項以下に書きましたのは、結局從來日本で考えております家という観念をそのまま持つて來たのでありまして、所有者が、名儀人がいなくても、その子供なり、細君なりが残つてそのままやつている。われわれの普通の常識から言うと、その一家はそのまま残つて農家としては続いているわけであります。これは不在地主と見ないというのでありまして、これはきわめて私どもには常識的な考え方だと思うのであります。これをこういうふうに扱いませんと、学校の先生の轉任でありますとかいうような場合に、非常に摩擦が起るのでありまして、そういう職業上の理由等に基きまして、人が移轉をしなければならぬというような場合の救済をいたしておるのであります。
○深澤委員 特にその中において、その者が將來再び住所に帰來する見込のあるというような者で、市町村農地委員会が認めたときというような條項があるのでありまするが、今までの不在地主の認定の場合におきまして、この事由が非常に問題になつて來たのであります。將來再びそこへ帰るということが常にいかなる不在地主の立場においても、それが言われて來たのであります。しかしながら市町村農地委員会あるいは縣農地委員会といたしましては、この点は非常に努力をいたしまして、実情まつたくそういう事情にある者に対しましては、ある場合においてはそういうことをも容認して來たような事実があると思うのであります。ところが今度この法文においてこういうことが明確になつて参りますれば、たとえ帰つて來ない人でも、將來帰つて來るという理由をつけさえすれば、これを認めざるを得ないというような結果になると思うのであります。こういうような意味において、この法案は非常に今まで農地改革に盡力して來た農地委員会等のやり方に対して、大きな今までと違つた影響を與えるということが言えるのであります。その点についてひとつ御意見を承りたいと思います。
○山添政府委員 これは法律論でありますが、改正法律というものは、改正法律が施行になつてから適用になるのでありまして、今までにおいて買收いたしましたものと、この改正條項とは何ら関係がないのであります。
○深澤委員 もちろんこれは遡及して効力を生ずるというふうには考えておりません。今度の問題であるとは考えておりますが、未だこうした問題について決定が行われずして、そのまま買收ができないような問題も、全國にまだ相当あるわけであります。そういうような問題について、これが響いて行くということを御存じ願わなければならぬと思うのであります。そこに問題があると思うのであります。農林省はもう農地改革は終つているのだ、買收も賣渡しも終つているのだというようにお考えになつているが、日本の農村にはこの問題がまだ非常に残つているということを、農政局長はどういうふうにお考えになつておりますか。
○山添政府委員 大体完了していると考えているのであります。
○深澤委員 その点はまた他の機会に讓つて、われわれは完了していない事実を申し上げなければならないと思うのであります。 その次に十五條の農業用施設の買收の問題でありますが、この問題に対しましては、やはり今の問題が起つて來るのであります。その宅地あるいはその建物の所有者が近くみずから使用することを相当とする場合においては、この買收ができないということになるのでありますが、これも今まで十五條買收の場合において、常に所有者側から反対理由として申し立てられた理由であります。この点について私は十五條の農業用施設の買收は、これは買受けを希望する者からの申告によつて行うのでは、遅々としてこの問題が解決しないのであります。農地の開放と同時にその住家であるところの建物宅地あるいはその他の農業用施設というものは、農業経営にとつてはなくてはならない重大な根拠であると考えるのであります。從つてこの開放のためにも、むしろ十五條の買受者からの申請によることなく農地委員会の認定によつて買收できるというところまで、この法案の実行の範囲を拡げて行かなければならないというような意見をわれわれは持つているのでありますが、それを逆に今度は縮めて、宅地や建物を所有者が近くみずから使用することを相当とする場合には、買收はできないと規定することはまさに完全な農家を育成するという方向に逆行するものであるというふうに考えるのでありますが、この点についてどういうふうに考えておられるか。
○山添政府委員 所有者が近くみずから使用することを相当とする場合には、買收しないのがあたりまえでありまして、この十五條に書いてあるのは從來通牒をもつてこの趣旨でやつておつたのであります。それを今回通牒を法律の中に入れた。こういうことであります。
○深澤委員 そういう抽象的なことでなくもう一歩つき進んで申し上げますが、ほかの住家は別にありまして、その家を貸してあるというような場合において、たとえばその貸してある家に対して、最近自分のむすこが嫁をもらうからその家が必要であるというような理由によつて、その貸家の買收を拒むという問題が起きてくると思うのであります。そういう場合において、近く使用するということが起きてくるといかという問題が起つて参りますが、しかし御承知のように、全國の市町村農地委員会が、必ずしも農地改革の線に正しく沿つて動いている農地委員会ばかりとは申し上げることができません。むしろ地主的な、非常に反動的な市町村農地委員会もあるのであります。そういう市町村農地委員会の範囲内にある問題につきましては、普通ならば相当と認めないことも、相当と認める危險性が多分にあるのであります。そうい意味において、全國に適用される法律といたしまして、こういう問題を挿入し、農地委員会の認定によつて、その相当という言葉を解釈できるようにする法案を挿入することは、全國的に大きな自作農育成のじやまになる法文であるというぐあいにわれわれは解釈するのであります。この点についてどういうぐあいにお考えになりますか。
○山添政府委員 自作農創設特別措置法の運用は、大体農地委員会にまかされておるのでありまして、法律の規定といたしましては、これを一々具体的に例をあげるわけには行きません。相当という抽象的な観念と言葉をとる以外に方法はないのであります。おつしやるごとくでありますれば、これは農地改革と言わず、何にもできぬということになるのでありまして、やはりその農地委員会に信頼をして法律を運用してもらう、そうして不当なことがございますれば、知事等において議決の取消しあるいは再審議を命ずる、あるいは都道府縣農地委員会が代行するというような監督規定は設けておるのでございまするが、しかし原則論といたしましては、これは農地委員会にまかせておくということは、これこそ民主的な方法でありまして、私は当然なことだと思うのであります。それに対してまた法律の規定としては、一々の具体的な例をあげることもできませんので、「相当とする場合」という抽象的な規定がございますことも、またやむを得ないのであります。
○深澤委員 私はその相当とする内容を法文に入れるというような意味を申し上げたのではなくて、むしろ今までの十五條の買收が、あの法文ですらも十分に効果があがらなかつた、成果があがらなかつたという場合において、むしろあの法案の範囲を縮小するような、こういう法文を入れること自体が大きな間違いではないか、むしろ逆行する結果になるのではないかという意味を申し上げておるのであります。そういう意味において私は、この法文の範囲は十五條の適用を縮小する結果になる、從つて農家の育成のためには非常に障害になる、こういう考えを持つておるのであります。その点について、農政局長はどういう確信をもつてこれを挿入したのであるか。
○山添政府委員 本來から言えば、最初からこういう條文があつた方が正当だと思うのであります。ただこういう條文がありませんので、今まではこれと同樣の通牒を発しまして、それによつて指導をいたして來たのであります。その通牒を法文化したというのでありまして、あたりまえのことをあたりまえにするのでありまするから、ふやすのでもなければ減らすのでもない、こういうわけであります。
○深澤委員 農政局長のあたりまえなことをあたりまえにするということは、今まで次官通牒等においてしばしばやつておつたからというようなぐあいに解釈されるのでありますが、まつたく今までの次官通牒の中には、法律の根本精神をむしろ逆に行くような、制限するような次官通牒も多々あつたと思うのであります。そういうような次官通牒を出して來ておつたから、あたりまえのことをあたりまえにするのだというような解釈をされておるようでありますが、そういう考え方は、おそらく農地改革に関係のある農民としては、非常に迷惑であると考えるのであります。その点はそのくらいにいたしまして、その次の問題で、「宅地又は建物の位置、環境及び構造等により買收を不適当とする場合」というような條文があるのでありますが、これはどういうぐあいに解釈してよろしいのであるか。不適当というような言葉もまた、もちろん一々具体的な内容は表示されないとは思うのでありますが、かりにこの不適当というものはどういうぐあいに農政局長はお考えになつているのか、ちよつとお伺いしたいと思います。
○山添政府委員 場所から申しますると、市街地の中に農家の人が住んでいる、かような市街地の中の住宅あるいは宅地を買うのは不適当と考えておるわけであります。それから構造等の意味から考えますると、これは特別の用途を持つている数寄屋にでも臨時にちよつと入つておつたというような場合に、本來これは農家の住宅ではない、こういうようなものは環境、構造等から見て不適当と考えます。
○深澤委員 そういうことにつきましては、從来市町村農地委員会が認定をして、これは決定して來たと思うのであります。ことさらこういう條文を入れること自体が、まことにわれわれには解釈に苦しむのであります。これも十五條の実施を縮小するという一つの意図を持つておられるのではないかというぐあいにすら考えられるのでありますが、そういう意図があるのかどうか、はつきりお伺いしたい。
○山添政府委員 十五條の運用を正当かつ正確にするためであります。
○深澤委員 最後に、この農地調整法等の改正法律案は、日本の民主化のために、非常に基本的な問題であると思うのであります。今度の改正は、今までやつて参りまして農地改革に対して、相当大きな反響を及ぼすものであり、それを制限し、あるいは逆行するような方向にすら行くことの心配があるのであります。從つて私は——これは会期等の関係もございましようが、今まで農地改革等の実情にたずさわつて参りました人々、あるいは学識経驗者等の御意見を拜聽する機会を得るように、ひとつ委員長はおとりはからいを願いたいということを希望しておく次第であります。
○石井委員 この前の縣の農地委員は、大体二十名くらいをもつて構成されておつたのであります。今度の法律によると、ちようど今までの町村と同じ六・二・二で十名になるようでありまして、かような数では、ちよつと縣の農地委員会が、あるいは欠席等の人もありまして、運営が非常に不円滑になるのではなかろうかと思うのでありますが、これで十分間に合うという考え方ですか。
○山添政府委員 縣の農地委員会の性格も、先ほど石井委員がお述べになりましたようにかわつて來るのでありまして、今後における縣の農地委員会の主たる任務に、請願の裁決等が主であります。訴願の裁決等をいたしますのには、やはり多人数よりも、むしろ人数は少くて、かつ事を愼重に扱うということが適当なのでありまして、從つて十名に、いたしたのであります。運用上さしつかえないと思います。
○石井委員 もし縣の要求等があれば、倍数の二十名にするというようなことはあり得るのかどうか、どこまでも十名でそれ以上の増員は認めないものであるかどうか、その点をお尋ねいたします。
○山添政府委員 これは三名まで選挙以外の委員を任命することはできまするが、そうたくさん置く必要は全然認めておりません。
○石井委員 先ほど農林大臣から御答弁がありまして、第三次農地改革はやらないと言われたけれども、しかしながら適当な耕作をしている人の小作地は、これを開放するようにして、できるだけ小作地を解消して行きたい、そう申されたのでありますが、今後これを進めて行くということは、実際問題として非常にやつかいなことである。一應農地改革の大きな波が通過したあとこれをやるのは相当困難であろうと思います。しかしながら今後農林省においては、非常に重点を置いて土地改良法等において現れろところの農地の交換分合をやることになつておりますが、この交換分合の途上において、この点を解決して行く、あるいはまたその線に沿つていろいろ努力をいたしますると、円満のうちに小作地の解決が進められようと思うのでありますが、農地の交換分合にからんで、適当な耕作歩積を持つている小作地は解消して行くように努力する方針であるか。この点農林当局並びに農林大臣のお考えをお尋ねいたしたいと思います。
○森國務大臣 土地改良法によつて土地の交換分合を行つて行きたいと思います。なお現在残されておる小作地の開放等につきましては、その実情によりまして現法制のもとにこれを進めて行きたい、かように考えております。
○竹村委員 先ほどから大臣は、極東委員会からの今回の指令は、第三次農地改革をやるのではない、現在の農地調整法によつて行われている農地改革を維持して行くのであるというふうに解釈しているというお話でありました。現状の通りにやつて行く場合におきまして、開放された自作農の維持、こういうことを大臣は言われておるのでございますが、しかしこの自作農の維持ということは、先ほどもちよつと触れられましたが、いろいろな点において非常に困難になつている。これに対して大臣は、農地調整法を通じてでき上つた自作農をどういう面で保護して行こうとされるか、これは農業全体の問題になると思うのでありますが、具体的にどういう点を重点として自作農の保護をせられて行こうとするか、お伺いしたいと思います。もう一つは、先般來農地調整法によりまして、國家が土地を買収し、これを賣渡した。そうして小作農からは現金が相当國に入つているのでありますが、その額は一体どれだけあるかお聞きしたいのであります。もう一つは、このままで変更しないで続けて行くとしまして、今度の予算面を見ると、市町村の農地委員会に二名の書記を確保される予算を一應出しておられますけれども、事務費は驚くなかれ一箇年に三千なんぼである。市町村の事務費が三千なんぼではたして一箇年の事務が行えると考えておられるか。しかも自作農特別措置法によりまして、登記関係は当然知事がやらなければならぬものを、市町村の農地委員会にまかされて、市町村の農地委員会が一年にわずか三千なんぼの事務費でやれるかどうか、この点をお伺いしたい。
○森國務大臣 先ほどもお答えいたしたのでありますが、先般極東委員会からマツカーサー司令部に指令があつたのでありますが、これはマツカーサー司令部から日本政府にさらに指令されたものでも何でもないのであります。当時新聞の一、二に報道されておりましたが、内容がまつたく違つておりますし、また曲解した記事になつております。新聞の記事等は責任を持つたものもありますが、ときによりますと眞実を語らないような記事も出るのであります。「眞相」という雜誌に眞相ならざることを書いているような時代でありますから、どうか眼光紙背に徹する意味において、すべてを考えていただきたいと思うのであります。今の政府は農地改革をずぼらにしておるというふうに誤解を受けますから、念のために向うから來ましたものを申し上げておきます。総司令部の渉外局にどういう司令がありましたか聞いたのに対して向うから來たものであります。 一九四九年四月二十八日極東委員会において採択された政策を実施するため國務省において作成された指令総司令部に受理された、その要旨は左の通りである。 (一)極東委員会の見解によれば、衡平にして健全なる農地改革計画は、日本の民主化を促進する重要なる要素である (二)極東委員会は、終戰以來日本の農業制度の徹底的改革を実現する目的をもつて採られた以下の諸措置の基盤たる根本原理を確認する A、連合軍最高司令官が日本政府に対して発せる諸指令、殊に「一九四五年十二月九日附指令は」(十二月九日附指令は、日本政府に対し農業機構を長い間阻害していた諸弊害を根絶すべき農地改革計画を記案するように下命したものである) B、一九三八年「農地調整法」改正法律 C、「自作農創設特別措置法」として知られる農地改革法律 D、右に掲ぐる農地改革を処理するために、全國中に農地委員会を網の目のように創設すること E、日本農林省の最近の報告書により認められる農地讓渡計画の部分的実施 F、「農業協同組合法」 (三)極東委員会は、政治事項としてここに左の決定を下した、すなわち A、農地改革の固有の目標は総ての小作人の経済的境遇を改善し、かつ実行し得る限度において、從來存在していたよりもさらに多数の獨立せる自作農階層を創設することである B、これらの目的のために、前掲第二項において明白にされている諸措置の基盤たる根本原理はさらに継続して適用さるべきである。それでありますから一九四五年十二月九日、初めて農地改革をやれという指令が來て、農地調整法、自作農創設特別措置法、農業協同組合法、これらのものを日本がやつた。ところが日本の民主化は非常に成績をあげておる。將來もそのやり方を持続して行け。こういうふうに極東委員会が確認をせられたのでありまして、決して現在やつておる日本のことが惡いから、さらに一歩進めてやれ、こういう指令ではないということを御承知願いたいのであります。つきましては、せつかくつくつた農地改革を今後どういうふうに維持して行くかという意味のお尋ねでありますが、これは今質問の中にもありました通り、こうすればこうなるというふうに簡單に解釈できるものではないと思います。綜合的な見知から、せつかくつくり上げた自作農を維持して行くべく諸般の政策を講じて行かなければならぬ。かように考えるのであります。現在政府としてとつておりまする農業政策の全般が、この目的に沿うようにやつて行くこと、はなはだ抽象的ではありますがかようにお答えするよりほかはないと考える次第であります。
○山添政府委員 自作農創設特別会計に、余りました金でありますが、これは三十数億円であります。これは預金部に預けまして、そこへ運用されておりますから、可能な限り農地証券の償還に充てる。それから農村の必要な仕事の方に運用できるようにしたいということで、今研究をいたしているのであります。関係方面にいろいろ意見ががあるらしいのでありまして、まだ具体的にどうというふうに申し上げる段階には至つておらないのであります。 それから市町村農地委員会の三千円の事務費の問題でありますが、これは三千円で行くとは実は私ども考えておらないのであります。農地委員会の経費といたしましては、農地委員会の補助費という項目以外におきまして、嘱託登記の費用が約六千万円でございますし、また未墾地の買收等の処理のための経費が一億一千万円ございますし、それらのものを考えますと、市町村農地委員会の事務費は、平均して申しまして一万三千円を欠けることはないと考えております。
○竹村委員 ただいま大臣から詳細な極東委員会からの指令をお知せ願いまして、非常に参考になつてありがたいのでございますが、その中にはつきり指令されているように、今後ますます自作権をでき得る限りの可能な範囲内において農民に與えて行くという意向があつたのであります。從つてこういう考え方からいたしましても、というよりむしろこういう考え方を抜きにいたしましても、現在の農地調整法に盛られました方法というものを後退させることは許されない。これだけはだれもが考えるところでありまして、少くとも前進せしめることはできるけれども、後退せしめることはできない。こういうように私たちは解釈するのでございますが、現在のこの出されました改正案から見ますと、たとえば第九條の六が削除されておる。この第九條の六が削除されました場合におきましては、いろいろな形において小作料の引上げ等が、たとえば市町村農地委員会において決定するならば、これはできる限り可能な條項になつて來る。しかもいろいろな不利な條件を押しつけられる危險性があるのでございますが、そういうことになりますならば、先ほどの大臣からお示し願いました指令の性質に反するのじやないかと思いますが、その点に関してどういうふうにお考えになつておられましようか。
○山添政府委員 今回の改正法案の中には、農地改革が後退するような考え方を持ちました事柄、また事実後退するような事柄は一つもないのでありまして、結局從來不明確でありました点を明確にするとか、あるいは規定を詳細にするとかいう点が主になつており、また小作調定等については、その制度をかねがね考えておりました通りに改善をするという事柄が主になつておるのであります。 第九條の六の削除ということは、ただいまお述べになりましたこととは別に関係はないのでありまして、これはいずれにいたしましても、小作料等の問題も、経済状況が著しくかわりますれば、そこにおのずから最高小作料の水準もかわつてまいるのでありまして、今回の改正はそういう最高小作料の水準がかわるということを、かりに農林大臣等がそういう処置をとりますれば、その範囲内では簡單に市町村で処置ができる、こういうことにいたしたのであります。またそういう水準等がかわりますれば、一度裁判上の決定がありましても、これは事情の著しい変更ということになりますので、おのずから事態がかわつて来る。そこで裁判上きまつたものについては行政的なことで何ら影響を受けることがないというような規定も、おのずから不要になつておるというので、第九條の六は削除いたしておるのであります。
○竹村委員 第九條の六は今おつしやつたようなことと関係ないことはないと思います。第九條の事項は大体「民法第六百十七條第六百十八條ノ規定ニ異ル小作條件ニシテ賃借人ニ不利ナルモノハ之ヲ定メザルモノト看做ス」というふうに、いくら今まで不利な小作條件がありましてもこの規定がありますがために、その不利な條項が定められる。たとえばそれがいわゆる契約でいろいろな証文がありましても、この調整法に限られた以外の、それ以上の不利なものはみなさないという條項だと思うのですが、それを廃止しますならば、昔古い考え方で、古いときに契約いたしました契約証文等が生きて來ると私は考えるのでありますが、もう一ぺん見解をお聞かせ願いたい。
○山添政府委員 これはこういうことになるのであります。私が今申し上げましたのは、この九條の四とか九條の五とかいうような條文との関連におきまして、裁判上定まつておりますものにつきましては、第九條行政廳等の項によつてこれを変更することができない。すなわち最高小作料を越えておるような場合があつても、これはしかたがないということに今までの規定はなつておるのだというわけなのであります。今後の状況におきましては問題は違つて参りまして、物價の水準が全然かわりましたので、新しい小作料の水準等ができるということになりますれば、自然元の第九條の六というのは実質上の意味を失つてしまう、要らなくなる、こういうふうに考えるものであります。
○竹村委員 それがその関連においてするならば、結局これは從來の農地調整法から一歩後退したものであるというように考えざるを得ないのであります。結局においては、私はいろいろ條文だけの点を取上げましたけれども、しかし今の説明から言うならばその関連においてこういうものを置いておいたところでしようがないから廃止するのだ、こういうふうにおつしやる。そういうことは結局不利な條件が先にあつたということがはつきりして参るのであります。そうすると先ほど大臣がお示しになりましたあの指令とは、逆行する結果になるのじやないかと思います。從つて私たちから申しますならば、これは將來非常に問題を残す問題であると思うのでありますが、これに対してもう一度大臣からはつきりお答え願いたい。 それからもう一つ、先ほど事務費がいろいろな形で融通するならば大体一箇年に一町村当り一万円余りになるというのでありますが、今日の物價高から考えますと、こういう土地改革に対する費用というものは、全体的に、いかなる場合におきましても、いかなる方法においても、そういう土地開放を受けたものに課することはできないということが原則になつておるのであります。前の農地調整法は、いろいろな観点から見ましてもそういうことになつておる。しかるに十箇月一千円程度で、はたして市町村農地委員会が、これからおのずから煩雜な登記事務等を、その事務費においてやれるものかどうか、これをやれるとお考えになつておるか、やれないとお考えになつておるか、その点をはつきりお聞かせ願いたい。一千円では今日紙やその他の値上りから言つてもとてもできないものと、私たち突然やつて來た者として考えておるのでありますが、それをやれるとお考えになるのかどうか、やれない場合においては、現状を維持する意味において——後退させるのでなく現状を維持する意味において、予算を追加されるかということをお聞かせ願いたい。
○森國務大臣 法文の改正については今政府委員からお答えいたした通りであります。 なおこの事務の進捗に対して経費があまり少いではないか、そんなことではたしてできる確信があるかどうか、こういう御質問でありまするが、決して経費は多いとは思つておりません。予算の削減において非常に減少いたしましたが、幸いにまだ人間が行政整理をやる前に、さらに整理されようとしておりましたのが確保できたということが、まだしもの現状でありますので、はなはだその衝に当つてもらう人の努力は加重するような次第であります。この土地の登記等も、ぜひとも本年中にはこれを解決しなければならないような情勢でありますので、事務の煩瑣等も考えられるのでありまするが、縣等の協力を得まして、第一線で活動しておられる人の、さらに一層の努力をこいねがつて、また予算の面につきましても、でき得るならば何とか追加いたしたい、かようにも考慮いたしておるような次第であります。
○寺崎委員 大体質問も盡きたようでありますが、今までの御答弁において二・二・六という委員の定数がどうもあやふやであつて、確固たる根拠がない。こういうこの法案を提出される上においてまことに残念なことだと思いますが、今からでもおよそ自作、小作、地主の定数を調べて、その率によつてこれをきめられるというようなお考えはないか。それから現出の農地改革によつて、自作農の制度が実現してまことによかつたというただいまの大臣のお話でありましたけれども、実際のところはまだまだそこまで行つておらない。これは大臣もよく御承知のことと思いますが、その裏面において、農民の汗とあぶらの結晶である土地が、ふとした不在地主というような名目のもとに、今度の農地改革の爼上に載つてしまつた。しかもその價格というものは賃貸價格の四十倍ないし四十八倍である、現在の社会通念において、これはもう問題にならない程度の價格である。そうして地主に対しては現金はくれない。現金は千円の端数しかくれない、あとは農地証券である。地主は現在の生活をどうして切り抜けて行くかということで、その日の生活に追われている。それに現金はくれない。小作料においては、一俵三十円のところできめてある。その八反以内の所有田に対して上つて來る小作料というものは、公租公課の一部にしかならない。これも私はまことに不合理であると思う。そういう不合理なことは、法律できめられておるからしかたがないようなものでありますけれども、今後にも第二次農地改革の延長は続くものと思います。その賃貸價格の四十倍であり四十八倍である現在の七百円、八百円程度の買上げは、どこまで続くものであるか、こういうことをお尋ねしたいと思います。 それから小作人の買付代金は、政府にとつてあるが、地主に対しては証券をやつてある。その政府に收集されまました小作人からの地代金を地主にやつて、地主の生活をこの際緩和してやるというお考えはないか、これだけお尋ねします。
○山添政府委員 二・二・六の比率の問題につきましては、全体自作農自身の割合は六よりも多いわけでありますけれども、いやしくも利益代表として小作的な人なり地主的な人なりを出すには、一名というわけにも行きませんから二名としたのであります。ただ問題は二対二がはたしてどういうことになつておるかという御質問が先ほどもありましたけれども、私午後からこれを調べましたものを持つて参りますから、それをごらん願えば御了解いただけると思います。それから買收した土地の地代を小作人から政府が今とつておる。これを地主の方に出して生活を緩和する意思はないかということでありますが、これは地主さんの方には農地証券が渡してありますので、この農地証券は買收の日附の日からの利子をつけるのでありまして、政府が收入しました小作料は政府の所得でありますから、これを地主の方に支出することはできないのであります。 それから土地の價格の関係でございますが、小作料はことしの秋に支拂います小作料から改訂になるはずであります。当然こういうときにはまたこれに関連いたしまして地價もかわつて來るわけであります
○寺崎委員 ただいまの小作料の問題と地價の問題でございますが、それの政府で考えております算定の方針をお聞きしたいと思います。
○山添政府委員 これはもつぱら事実を分析してきめるのでありましてどの辺がよかろうというような見当でやるのではありません。
○寺崎委員 その漠然としたるところが非常に農民をして不安を感せしめるというようなわけでありますが、やはり算定される場合に、はつきりした調査の基礎というものが必要です。さらにそれを政府としては、はつきり発表されるところに、農民の納得するところがあると思いますが、そこをもう一つつつ込んでお尋ねしたいと思います。
○山添政府委員 目下研究をいたしておる途中でございますが、基礎となりますものは、現在の米價あるいはこの秋にパリテイー等がかわりますれば、その米價格が一つ。それから最近における米の生産費の内訳でございます。これは二十三年の統計調査局で調べましたものは手元にございます。これは古くから帝國農会時代からやつておりますのと、同一の方法によりまして調べました生産費でございます。さらに統計調査局におきまして、米の生産費の研究としましてこれを物の量で表わす、原單位で表わす、肥料は何貫目というふうにいたしまして、物がはつきりしますれば、それで物の生産費を、きめようとする時期の、肥料の値段なら肥料の値段というものを、そのときに当てはめれば、そのときの数字が出るわけです。そういうようなものを加味いたしまして、自家労賃は幾らである。いろいろなことをやりますれば、自然そこに地代に帰属し得べきものが、出るわけであります。そういうものが今度は地代になる、こういうわけであります。
○寺崎委員 たいへん御説明はありがとうございましたが、現在の社会の流れと並行すべきものであるというようなことを私は考えておるわけであります。ただ賃貸價格の四十倍から四十八倍ということで、ただいまきめられた状態において、農民はある者は喜んでいるかもしれないけれども、その喜ぶ中には、必ず農民の努力、汗とあぶらというものが取上げられてなかつたということを見逃してはならないわけであります。私どもは労働者であれ、勤労者であれ、農民であれ、その労働に対して、あくまでも報ゆべきものであります。この農地改革法をやる最初において、その農民の努力を無視したということは、私は農地改革のひとつの大きな欠陷であつたと思うわけであります。明治初年、あるいは徳川時代において、農家の頭割に対して土地を配給というようなことで分配したといつたような土地に対しては、当然これは現在の農地法においてやつてけつこうだと思いますけれども、その後自分の汗とあぶらの、つまり食べるものも食べず、着るものも着ずに農家が三畝、五反、一反、と買いためたその土地に対して、ただいまのような農地法を実行したならば、これはほんとうに農民の努力を無視したものであると私は考えるわけであります。今後の土地の買上げについては、十分この点を考えていただいて、公正なる農地法を実行してもらいたい。さつき農林大臣の言われました公正ということであります。正しく公平のとれた方法をとつていただきたいと思います。これで私の質問を打切ります。
○大森委員 私は簡單にお尋ねいたします。この農地委員の組織でありますが、二・二・六ということで、今まではそういうぐあいになつております。私は今日では、あるいは地主または小作である、自作農であるという区別は必要がないのである。もはや地主はいないはずであります。地主というものがありましても、わずか一町歩かにすぎない地主でありますから、これは平均にした方がいい。部落全般において選挙する、それでいい。自作、小作、地主があつた時代につくつたその割合の率によつて、これを制限して選挙すると言うがごときは民主主義でない。民主主義はいわゆる労働階級のみではなく、地主だけではない、全部が集まつたものが、民主主義でなければいかぬ。そういう意味からいたしまして、今日は何を憂えてこの地主小作あるいは自作農というようにわけなければならないかということに対して、私は当局に意見を聞きたいのであります。さらにまたただいまどなたかの後質問にありましたが、私も実はただいまの御質問に同感であります。今日までいろいろ農地改革に対しまして、御意見をたくさん承つておりまするけれども、ただいまの御意見を初めて承つた。しかし私は常にそういうことを考えております。ただ政治は全体がよくならなければ政治ではない。一人でもそこに飢える者あり、あるいはこれに不服を持つ政治はよろしくないのだ、しかるに今日は今のお話のごとく、地主に対してはいかなる扱いをいたしているかと申しますると、物は今や百十何倍になつておりまするが、米が二十円の時代の、要するに賃貸價格四十五なり八なりによつてこれを限定されておる。そうして賣買されておるということは、私は非常に不合理ではないか、またこういうことを根本から考える必要はないかどうか。さらにまた小作料の問題でありまするが、これはどうであるかと申しますると、現在は七十五円だ。七十五円は今のやみ相場からいたしますると大体米五合であります。そういうことで、地主と言われる者が、一体これがどうして公課を收めて行くことができるかということも考えなければならない。またもう一歩私はそれをよく考えて見ますると、こういうことでなく、地主というものをなくする、なくするということは、地主であつてもと地面を持つておつたが、この人がつくられなかつた。つくられなかつたからおろしてやつたのだが、小作農を持つて生活しておつたが、今度はそれ以外に仕事がない。農村に住んでおつて農業を営むよりほか道がない者に対して、以前それをつくらして小作を持つておつたがために、その人は農業ができないというならば、その人の職業を奪つてしまつたと同じである。地主であつた者が小作料をとつて生活する。それが小作料をとることができなくなつて地面を公平に分配してしまつた後に、自分が残された田地をつくることができないというがごときは、これほど不合理なものは私はないと思う。これらを公平に分配して、農村に住んでいる地主が何がゆえに懲罰的の方法をもつてこれをつくることかできないということにいたすのであるか、これを公平に分配する。また農地委員の問題にもどりますが、農地委員は絶対多数を持つておつて、実に横暴な農地委員があるがために、どうであるかというと、あるいは戰時中に、困つて困つて困り抜いたために、幸いに一町五反歩でも二町歩でもつくつておつた者は、それを丸がかえにして、草を生やして、それをそのままにしてつくつておつて、一町歩も一反歩もつくることができない地主とか、また戰地からもどつて来た人に、あるいはいろいろな人たちに対して、これを與えない。小作であるがゆえにそれをかかえこんでおつたというような状態が続いておるのであります。こういう点をよく考慮して、やはり農村に住んでおりまする以上は、農業を営ますことが原則でなければならない。しかるに土地を有して、おつた地主たちは、嚴罰的に農業を営むことができない。一体その人は何をしているか、職を奪つてしまつて今日どうであるかというと、今や行政整理においても、あるいは失業救済をどうするかと言つておる。一体農村の地主から土地をとつてしまつて、失業救済をどうするか、年貢にかわるべきものをしからば與えたかどうか、それにかわるべき救済の方法を講じたかどうか、これをよく考えなければいかぬと思うのであります。ただ一方的の政治であつてはならない。私も小作であります。農村に生れたところのやはり水のみ百姓がある。しかしながら私はこの点を公平に判断する者から見ますと、かくのごとき不合理なことが現在の世の中にあるべきはずがないと私は確信いたします。これらに対して、いかなる考えを持つているか、どうかこの点をはつきりとお答えを願いたい。
○山添政府委員 農地委員会の構成を階層別にいたします理由についてでありますが、これは階層でなしに、むしろ全般の選挙にしたらどうかという御意見も一應ごもつともであります。それに近い考えが大体基礎になつておるわけであります。しかし農地委員会として扱います問題は、小作関係の紛糾する問題も扱うのでありまして、どうしてもそこに小作的な利益及び地主的な利益も最小限度は代表されておるということが必要なのであります。その意味におきましてこういう構成をといたわけでありまして、大体お考えとはひ どくは離れておらないわけであります。 それか地價の問題がございましたが、これは今秋小作料改訂に伴いまして、おのずから地價もかわつて來る。こういうことであります。 それから土地の返還に関する問題でありますが、これは戰爭が済みまして以來一番深刻な問題であります。しかしこれは國家的な見地から申しますれば、何と言つても生産力を上げることが急務なのでありまして、あまりなれない人が零細な農地を耕す。そうして飯米農家ばかりつくるということがありましては、これは國家的に非常に困る問題であります。同時に土地取上げということが、現に耕作をしておる人の生活に脅威を與えるようでも困るのでありまして、これはなるほど地主の方で困つておるという事情もあるのでございますが、相手方の小作をしておる人の事情も考え、また國家的な全体の農業生産を上げなければならぬという見地から考えましても、公正に判断をしてきめる。これが第一條の精神でありまして、それによつて農地委員会は判断をし、処理をいたしておる。かように考えております。
○大森委員 農地委員の問題はそのような方向に進んでおるということでありますが、先ほども申しました通り、そういう区別をする必要がない。何の必要があるのかということを申し上げておきたいと思います。 次に地主の問題で、これにもつくらせてはどうかという質問に対して、あまりなれないものにやらせることは、食糧の増産の上からどうかというような考えもあるというように承つたのでありますが、これを解剖して申し上げますと、先ほど申しましたように、小作であつて現在ではその能力がなくても、かかえ込んだものを離さないという一例ある。さらにまた地主であつても、眞劍にやる場合には、相当の能率を上げておるものがある。これは平等にしたとは申しながら、農地委員会は小作の方が多数であつたために、小作方面が利益を得たといつてさしかえないと思う。そういう点から二町歩もつくつておる者、三反歩しかつくれない者という不合理が部落にたくさんある。これを平均いたしまして、眞に開放するならば、地主もあるいは小作農もない。農村である以上は全部が農業を営むという一つの平均をとつてはいかがであるか。それが平等の行き方でないか。しかるにただ小作のみの味方をし、小作のみに利益を與え、権利を與えるがごときは一方的ではないか。こういうこともはつきり言えるのであります。今の状態から見ますに荒廃地の理由も、私どもの方においては、地主がなくなつたために十町歩も二十町歩も荒廃地ができた。なぜかというと、小作は受取つたが、堤防が切れる。從前ならば、堤防が切れれば地主が直した。それをやらないために荒廃地がふえたという事例もある。こういうふうに行き過ぎてはならない。ゆえに私の申上げることは、地主にもやはりつくらせて米をとらせる。こういう方向に努力さすということが最もよいことでありますから、農地委員などにおいても平均の率において出し、円満にりつぱな農民組合ができて、その村を繁栄させるような行き方が一番よい。今までのところは小作対昔の地主を相手に鬪つておるようでありますから、くどいようでありますが、ただいまのような荒廃地ができるというのが現在の状態であります。ゆえに私は平均にするという方法を考える余地がないか。今までも公平にわけたのでありますが、ある部落に三十町歩の耕作地があつて三十戸の戸数があるとすれば、一町歩平均にして、これを二町つくる者もなくし、またつくれない者もなくすというのが正しいのではないかと思いますが、それに対して、どう考えておられるか。
○山添政府委員 土地を極端に平均してしまうということは、結局経営をこわすことになりますので、私はよいと思つておりません。問題は十分な能力がないのに土地を多くかかえ込んでおるというような場合においては、これは農地委員会のあつせんによつて、十分能力のあり余つておるところの農家にまわすようにあつせんしてもらいたい。たまたまある地主の方が耕作能力が十分あり、技術も設備もある、その関係の小作者の方では、労力がなくて土地に草が生えておるというときには、土地返還ということは当然認められるのであります。その方が國家的にも自作者が耕作することを相当とする場合に当てはまるわけであります。なお農地委員会の比率の問題が出ましたが、これはやはり農地委員会として、ともかく小作関係の事情を扱います以上は、これはやはり両方の借りておる方と貸しておる方の立場、利益を反映する人がある程度出ていなければならぬと思うのであります。それを確保するためにそれぞれ地主的の人、小作的の人二名ずつは必ず出てもらうということになつておるのであります。これはいろいろの場合を研究した結果、そういうことに帰着したわけでありまして、これが最善の構成であるというように考えております。
○深澤委員 この農地委員の問題につきましては、先ほど大臣も発表されましたように、極東委員会からも重大なる発表が出ておるわけであります。さらにこの農地改革の諸法令に対しまして、このたびの改正が從來の農地改革を停滯させ、さらにそれに逆行するという意見があるのであります。從つてこの問題を、極東委員会の発表あります関係上、愼重に扱う意味において、学識経驗者並びに全國のうち委員会の代表、あるいは職員の代表というような人達の意見を求めるために、参考人を呼んで意見を聞いていただきたいというのが私の動議であります。本來から言うならば公聽会をお願いしたいのでありますが、会期の関係もございますから、参考人を呼んで公正なる意見を聞きたいと思います。
○小笠原委員長 ただいま深沢君より参考人を呼ぶという動議が出ました。深沢君の動議に賛成の方の起立をお願いいたします。 〔賛成者起立〕
○小笠原委員長 起立少数であります。よつて動議は否決であります。 それでは他に質疑もないようでありますから、これをもつて質疑を終了することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 終了することに賛成の方の起立を求めます。 〔贊成者起立〕
○小笠原委員長 起立多数であります。よつて本案の質疑を終了いたしました。 それでは午前中はこの程度にとどめまして、午後三時に再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時三十七分休憩 ————◇————— 午後四時十二分開議
○小笠原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 農地調整法の一部を改正する等の法律案を議題とし、討論及び採決に入ります。それではまず本案に対する討論に入ります。 石井君。
○石井委員 農地調整法の一部を改正する等の法律案につきまして、日本社会党を代表して討論いたします。日本の農地改革が非常に画期的なものであり、そうして短日月の間に多くの農地を開放いたしまして、今まで小作人として拘束されておつた者を開放した功績というものは絶大なるものであり、この基本の法律が農地調整参法であり、あるいは自作農創設措置法である。この法律が日本の民主化の線のために多大の功績をあげたことは、われわれはよく承知いたしておるのであります。その農地改革というものが非常に大きなる効果をあげまして、ある一部におきましては、もはや日本におけるところの農地の改革というものは、もうこれで十分である、あるいはもう行き過ぎをしておるというふうな論をいたす者がありますけれども、しかしながらつぶさに日本の農村問題を考え、日本の農地のことを考慮いたしますると、ここにおきまして重大なる決意を加え、新たなる構想のもとに、日本の農村の問題、あるいは農地の問題に対して対処いたさなければならないということは、各議員の方はもちろんとして、あらゆる農村に関心を持つ者がみなこれを了承いたしておることと存ずるのであります。かようなるときにおきまして、日本における農地改革の諸原則を、極東委員会におきましてマツカーサー司令部にあてて通報せられ、本日その要綱が農林大臣によつて、本委員会において述べられたということを考えてみましても、まだ日本におけるところの農地改革の前途は、非常に大きなる問題を含んでおり、開放されたる農地をまたいかにして維持すべきかということにも関連して非常に重大なるところの決意をいたさなければならないと考えておるのであります。今度の極東委員会がマツカーサー司令部に対しての通達、これらが今後いかなる形において日本の農地改革の前進の上に具体化するかということは、これは別問題として、この開放されたるところの農地改革の上に立ちまして、なお大きなる構想と多くの含みをもちまして、今後に善処する、こういうことが非常に重大なる問題であろうと思います。この構想のもとに、この農地調整法の一部の改正が進められたということにつきましてはわれわれとしまして、この当局の努力を賞讃するにやぶさかならざるものがあるのでありまするが、しかしながら日本における一般の風潮、並びに過去三年余にわたる農地改革のあらし、こういうような面を考慮いたしまして、ただちに今度の改正が妥当であるか、あるいはその改正をまたずして、今しばらく現在の法律の前において、そうして一應の農地委員会が今までの仕上げ等に努力をいたしまして、そうして有終の美を保たせる方がいいかどうかということにつきまして、相当に研究をしなければなるまいと思うのであります。何かかれこれ申しましても、今度の農地の開放等を通じまして、これほど深刻に打撃を受けた。——今まで村におけるところの有力者であつたところの地主の層が没落をする、ある意味におきましては大名あるいは殿樣というような地位の地主の人が没落をしてしまう、あるいは村において最も貧しいところの小作農の層というものが、村における有力者層に擡頭する、こういうような驚天動地の変化をもたらしたるこの農地改革、これは非常に重大なる問題で、ある意味においては一つの大きな革命であるということができようと思うのであります。こういう大きな仕事をしたあとでありますから、農地改革にあたりまして、地主側の方の了解をもつて問題を進めたり、あるいは小作人にも十分の理解を持たして農地の開放を進めましても、農地の開放をさせられた者としましては、非常にこれについて不満を多く持つておるという点が多かろうと思うのであります。たまたまこういうふうな状況にある、ある意味におきましては、ある時代が來たならば、いつか開放されたるところの農地も奪還ができるのではないか、あるいは現在保有しているところの土地がまた取返えせるのではないか、今までの終戰後のどさくさまぐれにうまくしてやられたんだ、ここで何とかひとつおちついたところで自分たちの立場を回復いたそうではないかというような氣分が、相当に濃厚にあるのではなかろうかと思われるのであります。そうして今までのいきさつからしまして、もし農地の調整法等が改革をせられまして、農地委員の階層区分等が変更いたしたならば、今度は有利な大勢をつくつて、自分たちの今まで不利益を受けておつたところの立場を、今度は委員数を確保することによつてこれを回復をしようじやないかというふうな動きが、相当に多く現われるであろうということは、考えられるわけであります。そこでそういうふうな農地改革におきまして、今まで委員の構成というものを大きくかえまして、そうして階層区分等をかえまして、新しく今回の農地の開放あるいは農地の交換分台、これに臨みますと、その間に非常に大きなる摩擦が生ずるのではなかろうかと考えられるのであります。御承知の通り農地の開放をさせられた者は、何らかの形によつて原状に回復したいという氣持がある、これに対しまして小作人側の方としましては、ある意味において、自分たちが安い價格において農地の開放を受けたんだ、このことについてまた何らかの反撃がありはしないか、こういうふうに考えるような部面がある。こういうふうな氣分をむき出しのままにおいて、そうして農地委員の階層の変化等をいたしまするというと、せつかく仕上げて、ある意味におきましては、もうこういうものであるといつてお互いにあきらめ、安定した多くの人々に大きな動揺を起し、一應安定した農村にまた一つの危機をもたらせるようなかつこうを発生するのではなかろうかと考えれらるのであります。この点につきまして、一番われわれとして心配をいたすのでありまするが、つまり現在の農村におきましては、農地の開放は非常に進んでおる。今までの小作人も自作農になつておる、あるいは地主も自作農になつておる、こういうふうな形が非常に多く現れておるのであります。そうしてこれらの農地改革等に携つた人々は、行き過ぎたものはこれを是正し、行き足らざるものはこれを直しまして、そうして農村の実情に即したところの仕上げをやりたい。こういうことは農村の実情に立ち入つた人はだれしも考えておるわけなのであります。つまり現在の農地開放等に携わつた人々が、いろいろな意味においてこの最後の仕上げをやる、そうしてこの農地委員会を農地開放の委員会から、農地管理委員会というような形に仕組みがえをいたしまして、農村の実情に即した——農村恐慌等においても、土地をなくしまして轉落し、あるいは農村を去るような農家を発生せしめないように努力をいたしたいというような考え方を、非常に持つておるわけであります。つまりこの法律で規定するような趣旨を農民のみずからの考えや、みずからの努力によつて実現いたして行かなければ、農村は保てない。こういうふうな氣持を多く持つておるのではなかろうかと考える。いろいろの意味において、農地の改革をまじめに扱つたところの農村の農地委員会は、みなかような氣持を持つておる、また村の人々もかような氣持を持つておるわけであります。そこでそういうふうな立場にみななつておるのでありまして、そのときに今回のような農地委員の階層区分をかえまして、そうして地主が二名、小作農が二名、自作農が五名というふうに大きな変化をいたさせるということになりますると、今回のこの階層区分の変化によつて、自分たちの推出の機会とか、あるいはまたこういう変化があるのではないか、この際におきましては何か自分の立場を有利に展開いたしたい、法律もさような趣旨においてできたのではなかろうか、こういうふうに誤解をいたしまして、そうして今まで仕上げた改革の線を逸脱するようなる農地委員会ができるというおそれが多大にあると思うのであります。そこで実質上今までに農地委員の選挙人名簿等もできまして、ちやんとその方針がきまつておるのであります。小作、自作、地主というふうに前の層によつてきまつておるのでありまして、こういう立場からしまするというと、今までの数をそのまま利用いたしまして、そうして農地の開放を受けた小作人が自作農にはなつておりますけれども、一應小作人というような立場において選舉されて來る、あるいはまた農地の開放を受けて自作農になつた地主も、また地主というふうな層によつて選挙を受けて來る、そうして二、三、五、の前率によつて選挙されて來まするというと、互いにその間に選出せられる人々は、前の農地開放等によつて苦労した人であり、非常に骨を折つた人々等が相当多く進出をいたしまして、最後の仕上げというものに邁進をいたし、さき申しましたように足らざるを補い、行き過ぎたるはこれを是正いたしまして、そうして農村に農地開放についての最後の仕上げをいたし、またその上に農地開放委員会より農地管理委員会への進出を企図いたすようになろうかと考えるのであります。われわれはこういう意味において、つまり農民がいろいろなる経驗を通じ、大いなる変動を通じまして体驗をいたしたところのこの経驗を、最後の仕上げに適用せしめなければいけない、これを活用せしめなければいけないと思うのであります。農地調整法等がかわつたというふうになると、何か今までの空氣からしまして、非常に地主の方に有利になつた、取られた土地が取上げられるようになつた、農地委員の数もうんとかわつて、今度はわれわれが有利に仕事ができるのではないか、こういうふうな考え等をいたしまして、そうして要らざるところの波瀾を農村に巻き起こすというような場面が非常に多かろうと考えます。こういう意味からしまして、われわれはもはや実質上においてかわつたところの小作人、あるいは内容上かわつたところの地主を多く含んでおる現にできておる選挙人名簿ではありまするが、最後の仕上げを、今まで努力した人の層を多く出させまして一小作人から選ばれるのでありますけれども、その実は自作農でありましよう。こういうふうな、前に苦労したところの経驗者を実際に多く選出をせしめまして、農地開放の最後の仕上げをする。この仕事は非常に複雜でありまして、二年の短期をもつてしましては、新しく入りまして、この農地開放の仕上げ並びに農地管理委員会への轉向等をせしむるということは、新しく入つて來た人等によつては、非常に困難を含むのでありまして、前の階層区分、前の選挙人名簿を利用いたしますれば、経驗のある人々が多数選出せられ、そうしてお互いの氣分も、農地開放に対する最後の仕上げをし、救うべきは救い、正すべきは正して、そうして農村に新しい行き方を示して行く、かような考え方をその間に助長するのではなかろうかと考えるのであります。たしかにこの農林省のねらうところの、農地関係に対する改正の法案は、今後の農村の行き方、農地の管理のあり方、特に土地改良法とまちまして、農地の交換分合等をねらいまして、非常に大きな進歩性を持つておるのでありまするが、農林省が多くの進歩性を持つていると一緒に、農地解放に携わつたところの農民も、これを通じて現在の農村の経済機構その他とにらみ合せまして、農村の進歩のことにつきましては考慮いたしておる。そういうふうな人人の層をまた最後の仕上げに使う。こうして有終の美は保たれる。いたずらに農地調整法等の改正が、昔に帰るというふうな夢を持たせて、農地委員会等を撹乱せしめるというふうなことを、発生せしめないことが必要ではなかろうかと思うのであります。由来、法律をなるべく早くつくりまして、農民あるいは各方面に迷惑をかけない、なるべく農林省が率先して法律をつくつて、指導して行きたいというこの努力、この熱意に対しましては、われわれとしましては大いにこれを多としなければならないのではありまするが、実際におきましては、農民の創意、農民の工夫のみが、経済恐慌等をにらみ合せて、幸いに農地開放を受けたので、自分たちの独自な立場から、小作人として土地取上げ等の不安も抱かず、今後の農地をどうすべきかというようなことに対する考えが、芽生えつつあるわけですから、やはりそれからの経驗を生かしまして進めて行く。この規定にあるようなことは、農林省がいろいろと次官通牒等をもちまして指導して行きますれば、それによつて実現する。そうしてある意味におきましては大革命であり、農村に多くの波瀾を生んだところの農地開放の仕上げ等をここ一、二年の間に仕上げまして、その後において全農村において階層区分を除くと、さつき農政局長も言つておりました通り、全部が一国となりました選挙に移行するというふうな立場を取ることが、実際上の最大の効果を得るわけではなかろうかと考えるわけであります。われわれはかような考えからしまして、この法律については、非常にその進歩性を認め、その努力を多とするところであります。現在におきまして、農地調整法の改革等が、今度は、今まで開放された土地の取返しができるのではなかろうか、民自党が天下を取つたらば、今まで開放された土地も自分のものになるのではなかろうかというような氣持を、相当大きく農村の地主層に抱かしている。そういうふうな考えがあるときに、農地調整法の内容も吟味せずに、漫然と農村に爭いを激化するような選挙の結果等が発生することになりましたならば、最後の仕上げにおいて汚点を残し、並びにアメリカ等において、極東委員会において、今後の農地開放も小作地は解消するという線において進むべきである。かようなる連合國の指令等に基く農地問題に対する働きとも抵触等を生じまして、せつかくの企図を無にするようになるのではなかろうかと思う。さような意味からしまして、ここしばらくこれらの問題につきましては、改正を一應保留いたして、現在の農地委員のままにおいて再選挙をして、それらの人々のいろいろな経驗を活用させまして、これらの法律の意図するところを実現するところに向う、かようにいたしますれば有終の美を保たせるようになろうと思います。われわれとしましては、いろいろま客観情勢並びにまた極東委員会の指令等も、いろいろと現われてくると思われる点もあり、それらのいろいろの点も参酌して、今回この農地調整法等の一部を改正する法律案において、農地委員の選出方法を小作人の非常に不利な立場において改正することは、適当でないと考えるわけであります。むしろ農民の創意とくふうと、今まで農地開放に努力した人々の努力を活かすように、前の選挙区分等を中心として改選をいたして、その創意くふうの上にあとの仕上げをさせるのが正しいという見地において、反対の意を表するものであります。
○小笠原委員長 平野三郎君。
○平野委員 私はただいま議題となりました農地調整法の一部を改正する等の法律に対しまして、民生自由党を代表して賛成の意を表明するものであります。ただいま社会党の石井君からも大いに称賛せられました通り、農地改革は多年封建的からにとじこもつていたわが農村を、革命的に解放いたしまして、農村の自主性を確立いたしますとともに、食糧増産の面にも大いに寄與するところがあつたのであります。この改革を通じまして、多数の小作人は自作農に轉化いたしまして、実にわが國の農村の階級的構成はまつたく変貌を遂げたのであります。この新しい農村の姿に適應するごとく今回この法律案が農地委員会の構成分子を変更することは、実に新しく変化をいたしました日本の農村の実情に適合するものであります。これをただいま社会党の石井君の述べられたごとく、このまま変更せずして存続しようというようなことは、変貌を遂げたわが國の農村の階級的構成の実態を無視するものでありまして、当らざるもはなはだしいと思うのであります。 なおそのほか、この法律案におきましては、不在地主に対しますところの定義、その他、若干の改正が行われておるのでありますけれども、これはもとより当初の法律案に当然盛るべきことでありましたのに、あまりにも当然のことでありますがゆえに、規定をせられなかつたことでありますことは、その後事実上におきまして、次官通牒等によつてその通り指導せられたことによつて明らかであります。すなわち部分的改正も、当然のことをただ当然として規定いたすだけのことでありますがゆえに、あらためてこれに論議を費やすべき余地はさらにないと思うのであります。最近極東委員会から発せられましたところの農地改革に関する指令も、さきに農林大臣からつぶさに報告がありました通り、現行法規をその精神において完全に実施するということでありますから、今回のこの改正こそは、まさに極東委員会の指令の精神に合致するものであり、完全にその意図を表明するものであると確信いたす次第であります。從つてこの改正こそ、ただいま指摘せられましたように、農地改革に汚点を残すものにあらずして、むしろ今回の改正こそ農地改革に有終の美を與えるものと確信いたしまして、本案に原案通り賛成いたすものであります。
○小笠原委員長 深澤義守君。
○深澤委員 本案に対しまして日本共産党を代表いたしまして反対の意を表明するものであります。 まず第一に、農地改革の問題が日本民主化の基礎的條件であるということは、すでに農民解放指令によつてもはつきりしておるのであります。農地改革が廣汎なる構想のもとに行われまして、封建的な地主制度のもとに束縛されておりましたところの小作人の多くが、自作農として多くの土地を開放せられたということも、また間違いない事実でありますが、しかし農民解放指令の指令したごとく、農村の封建的な土地制度の根絶ということはいまだなし得なかつたのであります。なお土地取上げ等が数十万件起りまして、この農地改革によつて惠まるべき農民が、かえつて窮地に陷つたという事実も、われわれは無視することはできないのであります。こういうような條件におきまして、民主自由党が政権を獲得いたしまするや、しばしば農林大臣が表明されておりますように、農地改革は行き過ぎである部分もある、あるいはもはやこれで打切りであるということを、われわれはしばしば聞いておつたのでありますが、幸いにも総司令部渉外局が二十四年五月八日付で発表いたしました日本における農地改革の諸原則を見ますと、從來の農地改革を確認すると同時に、さらに農地改革の必要を認めまして、農地調整法並びに自作農特別措置法の存続を決定しておることによつても、今まで大臣が説明さておりますところの、農地改革は行き過ぎであるとか、農地改革はこれをもつて打切りであるということに対しましては、この総司令部の発表したところの農地改革の諸原則自体が、それに対して最も嚴粛に反駁を加えておるものであるということを、われわれは確信するものであります。こういうような意味において、われわれはなお今後とも農地改革を促進することによつて、日本民主化の基礎を確立しなければならないと考えるのであります。日本の全國におけるところの農民は、第三次農地改革というような表現において、もう一歩進んだところの農地改革を要望しておることも、農村に存在しておるところの農地改革がいまだ不十分であることの指摘であるとわれわれは考えます。地主に一部の保有土地を残すということは、これを決定するところの議会においても、何ら理論的根拠がなかつたのであります。從つて実際的に根拠のないところの地主の保有土地は、眞に日本の民主化を考える場合において、根本的にこれは根絶すべきであるというような考えをわれわれは持つておるのであります。こういうような條件において、農地調整法等の改正が議会に提出されて参つたのでありますが、真に日本の民主化を促進するならば、今までの農地開放諸法令に、さらに進歩的な内容を盛ることこそ当然であるというぐあいに考えておるのでありますが、提出されました本案の内容を見ますと、まさに農地改革に逆行する多くの部面があることをわれわれは否定するわけにはいかないのであります。 まず農地調整法の第四條において、内容とされておるところの農地の移動統制の基準の問題でありますが、この問題題につきましては、大体第四條の趣旨というものは、この農地調整法の施行せられる当時の現状を維持いたしまして、そうして農地の移動統制というものを制約して來たのであります。しかるに今度の改正によりまして、一号、二号、三号、四号によりましてこの移動統制にその内容を與えまして、むしろ農地の移動を促進する傾向があるということをわれわれは考えますがゆえに、この農地の移動というものに対してこうした内容を與えることに対しましては贊成することはできないのであります。 さらに農地の改廃の問題でありますが、このたびの改正によりまして、五千町歩以上の農地の改廃を認めまして、農林大臣の承認を要するという條件があるのでありますが、従来中央には農林大臣の諮問機関といたしまして、中央農地委員会というものが存在いたしたのでありますが、これはまつたく有名無実の存在になつておるのであります。この問題に対しましてわれわれは、今まで基礎づけられておりましたところの勅令による中央農地委員会の官制を廃しまして、少くとも都道府縣農地委員会を基礎とするところの選挙によつて民主的な中央農地委員会を選び、それを決議機関といたしまして、これら農地改廃等につきましては農林大臣の承認を要すると同時に、中央農地委員会の議決を要するというぐあいに改正すべきであると考えますがゆえに、この農地改廃の問題につきましてもわれわれは賛成できないのであります。 さらに小作料の改訂手続の簡易化でありますが、なるほど今日の経済條件から申しまして、小作料の値上げという問題も一應は考えられるのでありますが、本法の第一條に掲げてありますように、その目的とするところは、耕作者の地位の安定、及び農業生産力の維持増進をはかるということが、本法の根本原因であります。最初の第一次農地改革の場合におきましては、第一條の目的におきましても、土地の所有並びに耕作者の地位を安定するということが列挙されておつたのでありますが、この第二次農地改革の場合におきましては、この土地の所有者ということを削除いたしまして、あくまで耕作者の地位の安定一本になつておるということをわれわれは考えてみる場合におきまして、小作料の問題につきましても、あくまで耕作者の地位を安定せしめるというところに重点が置かれなければならないと思うのであります。この小作料の問題につきまして、從來の規定におきましては、小作料の改訂は市町村農地委員会の決定、さらに縣農地委員会の承認というようなぐあいに段階をつけておつたのでありますが、從來の状態はむしろ小作料を値下げするという要求が強かつたのであります。ところが最近の経済情勢の変化によりまして、むしろ地主側の小作料引上げの要求が強くなつて來ているのであります。このときにおいて小作料改訂の手続を簡素化するということは、地主の小作料引上げに対しまして、非常にそういう事実を促進せしめる危險性が多分にあるというような意味におきまして、この第九條の三の小作料改訂の簡素化に対しましても、われわれは賛成することができないのであります。 それから小作調停制度の改正でありますが、この問題につきましても、われわれは小作調停制度というものがややもすれば反動的な役割を果しておるというような意味におきまして、この小作調停制度というものにこの農地問題の解決を持ち込んでしまうというような傾向は是正いたしましてあくまで農地委員会が民主的にこれを解決するというような方向へ持つて行くべきであるという見解を持つているのでございます。 それから農地委員会の改組の問題でありますが、われわれは市町村農地委員会の改組の場合はもちろん、先ほど平野委員も言われましたように、現在の農村の土地の所有関係や耕作関係が、農地改革後において著しく変化しておることは、間違いない事実であります。その実情をわれわれは無視するわけにはいかないと思います。從つてわれわれといたしましては、先ほど申し上げましたように、本法が耕作者の地位を安定するというところに大眼目がありますがゆえに、耕作せざる土地の所有者を除外いたしましたすべての耕作農民の一般選挙によつて、農地委員会は構成さるべきであるという見解を持つておるのであります。その場合におけるところの資格者の問題でありますが、それは一定面積以上を所有するところの世帶主並びにその世帶員に当然選挙権を附與すべきであると考えます。さらに日本におけるような零細農家におきましては、土地の所有はわずかであつて、農業労働者として、日雇いとして農業関係に從事する人々も相当あると思うのであります。從つて年間五十日以上の農業労働に從事する者に対して、この選挙資格を與えるということもまた妥当ではないかというぐあいに考えておるのであります。そういうような内容においてこれは改正せられるべきである。こういう主張を持つておるのであります。さらに知事の任命する中立委員の三名というものは排除すべきであるというぐあいに考えております。 さらにリコールの問題でありますが、リコールの場合におきまして、その選挙権者の三分の一以上の賛成を要するということになつておりますが、これは三分の一というようなことではなかなかリコールの成立することが困難でありまして、五分の一程度にすべきである、こういうぐあいに考えております。 都道府縣農地委員会の構成でありますが、これは本法によりましては、市町村の農地委員を選挙資格者として選挙するというぐあいになつておるのでありますがわれわれは最も民主的に縣の農地委員を選ぶという意味において、これを一般選挙にすべきであるという考えを持つております。さらにこのたびの改正によりまして、都道府縣農地委員会の任務を單に訴願の採決という程度にとどめまして、その権限を縮小する傾向があることをわれわれは指摘しなければならないと思います。單に納まつておつて訴願の議決をするということでありましては、その縣における農地改革の運営はできないのであります。実情を見、さらに現地に出張いたしまして、あらゆる紛爭問題を十分審議踏査する。その結果において結論を與えるというような任務を持たせなければならないというぐあいに、われわれは考えておりますがゆえに、現在の改正に対しましては賛成することはできないのであります。 さらに自作農特別措置法の改正でありますが、この改正によりまして不在地主の範囲が非常に拡大されたという結果になるのであります。これは先ほど平野委員も指摘されておりましたように、農林省の通牒によつて、それはすでに通知がされておる。あたりまえのことをあたりまえのようにこれはやるのであるから文句はない、というような御議論ではありまするが、しかし通牒と法律とでは、そこに大きく権威が違うのであります。力が違うのであります。こうした問題を法律に揚げることによつて、遅れたる市町村農地委員会等におきましては、不在地主の範囲が著しく拡大されて、そのために泣くところの耕作者が出て来ることを、われわれは憂えるものであります。こういうような意味において、この不在地主の範囲を拡大するところの自作農得別措置法の改正に対しましては、賛成することができないのであります。 さらに十五條の農業用施設の買收を非常に制限せられておるのでありますが、農民にとりまして耕地が必要であると同時にその住家である宅地、建物というものも、また安定せる自作農を創設する意味におきましてなくてはならないものであります。日本の農村の窮状から申しまして、その宅地、建物を持たざる農民の多くあることを、われわれは知つておるのであります。従つてこの人々に対して住居を與え、その居住を安定せしめるということも自作農を創設する意味において有力なる條件であると考えるのであります。しかるに十五條の改正によりまして、所有者がそれを使用する場合においてはこれを買收することができないとか、あるいは「宅地又は建物の位置環境及び構造等により買收を不適当とする場合」はこれが買收することができないというような條件をつけることによつて、この買收の範囲を縮小するということに対しましては、健全なる自作農創設の方向に反するものであるというぐあいにわれわれは断ぜざるを得ないのであります。 以上の諸点をもちまして、本法案の改正はむしろ農地改革に逆行する方向である。從つて今般発表せられておるところの、日本における農地改革の諸原則の極東委員会の決定に対しましても、これは逆行する方向である。こういう意味において本法案に対しましてわれわれは反対の意思を表明するものであります。
○小笠原委員長 大森君。
○大森委員 私はこの農地調整法の一部を改正する法律案について賛成をいたすものであります。 第一にこの農地委員会の改組の問題であります。これらは私は自作、小作、地主という区別をつける必要はないというふうに考えておつたのでありまするが、この自作農大といい、また小作、地主が二、二というようなことでありますれば、大部進歩したことであります。 なお次には、私どもは第三次改革ということに対しまして、社会党内閣の時代から徹底的に反対をいたして参つたのであります。ところで今度農林大臣が第三次農地改革をやらないということを言明されたので、私どもは力強く考えておるのであります。それは何であるかと申しますると、この第三次農地改革をやるということが、一旦農村方面に流布されるや、どういう結果になつたかと申しますると、平地山林は大方切りぱなしである。もはやわれわれの所有しておるところの平地山林は開放されるであろうという点から、これを農村においては山林所有者は伐採をいたした。御承知のごとく戰時中濫伐に濫伐をいたした結果が、あの関東、東北の大水害であります。これがいわゆる山林の伐採であります。その山林の伐採がなおかつ第三次農地改革によつて脅かされて、なおこれを増大するような傾向があつたのでありまするが、今や農村といたしましては一安心いたしたと思うのであります。農地の改良は、申し上げるまでもなく、いわゆる治山治水であり、治山治水の根源はやはり山林であります。こういう点から考えまするときに、私どもはこの農地法の改正に対しまして眞劍に考えなければならぬ。そこで私のお願いをいたしますることは、今や各地におきまして、あるいは開拓あるいは開墾ということによりまして、これをむしろ適所でない方面でも実行いたしておるような傾向があるのであります。これらに対しましては、農林大臣におかれてはよく注意をしていただきたい。そうしてあるいは開拓局、あるいは山林局、あるいは建設局と申しますか、これらの方面が相一致連絡をいたしまして、あるいは國土保全のために必要な山林は保護し、さらにまた農地のいわゆる治山治水のために必要な山林は保護する。私はただ面積だけ廣げましても、絶対に増産にはならないと断言してよろしいと思う。いかに耕作地が拡大せられましても、それは何にもならない。やはり灌漑ということも考えなければならない。あるいは旱魃に対しましてのそれらの保護ということも考えなければならない。風水害に対しまするところの予防ということも考えなければならない。こういう点からいたしまして、私ども常に農村に住む農村の者といたしまして、これらを常に考えておるのであります。あるいはいわゆる交換分合の問題でありまするが、これは十六年は、私が全国で初めて耕地交換分合を私の市においてやらせた。これは自作も小作も地主もないという円満なところにおいて、初めてそうした交換分合というようなことが実行できるのでありまして、私はまだ戰爭中のことでありましたが、農業会長時代にこれを実行させた実例があります。そういうことから考えましても、先ほど私が委員会で申しましたように、この農地委員の選挙にあたりましても、そうした区別なく、村は一体となつて、だれが出ようとも村一体の代表者である。また村の農地は全部がわれわれ村の所有であるという考えでなければいけない。それをあれは小作の者である、あれは自作の者である、地主の者であるというがごとき区別をして鬪うがゆえに、私は円滑に行われる問題が行われないということが、現実の姿であると思います。そういうような点からいたしまして、今やこの農地調整法の改正に対しましては、全面的に賛成をいたすのであります。 なお不在地主の問題でありますが、私はこの不在地主に対しても私の意見を持つておつた。それはどういうことかと申しますると、不在地主というものに対して、つくらないものを持つておるのは、けしからんじやないか。これがあるいは地主の擁護であるというようなことを言われる人は、一を知つて二を知らない人であると私は断言いたした。それはどういうことであるかと申しますと、せつかく小作か自作農になつた。昨年からは一町歩を耕すことができて、非常に喜んで耕したが、本本年に至つてあるいはその働き手の中心が病気になつた、あるいはその次の働き手の人がもしも死んだというような場合において、子供と家内だけが残つた。子供はすぐに大きくなるものではない。そこで三年も五年も自作をすることができない場合にこれを他に預けておいて、ほかの人につくつてもらつた。これはいわゆるつくらざる者は所有すべからずと言つてこれを取上げるならば、その人たちは永久に農村から離れなれればならないのである。こういう点を考えるときに、私はなんとしても農村に生れた者は子々孫々まで、われわれは農村に土地を持つておる、そうしてわれわれは農民として立つて行けるのであるという安心感を與える、あるいはこの一町歩を保有さして、そうしてその子供が大きくなるのを待つてこれをつくらす、こういうのが法の親心でなければならないものである。それで私は大賛成をいたすのであります。いろいろ申し上げたいことはありますが、簡單にこれをもつてこの法案に賛成をいたすものであります。
○小笠原委員長 次に吉川君。
○吉川委員 農地改革に関するところの諸法案が、日本の農村の民主化のために非常な効果があつたということは、私どももこれを認めなければなりません。去る五月八日総司令部の渉外局から発表されました、日本における農地改革の諸原則にもありますように、アメリカの國務省、対日理事会でもこれを確認している通りで山あります。しかしながらこの農地調整法の今回の改正に際しましては、この指令とあわせ考えるときに、私は若干の疑問なきを得ないのであります。先ほども委員会におきましてなお審議を継続されんことをわれわれは希望したのでありますが、この重要な法案の改正につきまして審議を打ち切られ、わずかな時間で改正を急がれたということは、はなはだ遺憾にたえないものであります。私は農地委員会の今回のこの階層別の構成を改めるという問題につきましても、政府の御見解を伺いますと、もはや農地改革の目的は達成されまして、いまや開放ではなくして今後の管理という方面に重点が移されて行くのであるかのごときお言葉を伺つたのであります。しかしながらわれわれ農村におる者から見ますると、まだこれはたいへんな仕事が残つているのであります。そういう点にもつと深い御考察を願いまして、そうして少くとも次の臨時國会あたりには追加予算を組まれて、農地委員会の活動が十分行われて、その使命が完成され、強化される措置をとられることを切望してやまないのであります。政府のおつしやつた通りであるとするならば、むしろ私は地主層が何者とか、あるいは小作層が何者とかいうようなことではなくして、むしろ全村的にこの農地委員会は公選さるべきであると考えるのであります。けれどもその段階にはまだ立ち至つていないと私は思いますので、この委員会の構成については、ただいまにおいては賛意を表せんとするものであります。 不在地主の範囲を改め、あるいは宅地、建物等の買收基準を明確にされる等の問題につきましては、この司令部の指令にもとるような感なきを得ないのであります。政府はよろしくこの農地改革の諸原則に関する指令の線に沿つて十分御配慮を願いたいのであります。申すまでもなく、日本の農業経営というものは百八十度の轉換をしなければならないのであります。しかるに第二次までの農地改革の状態を見ますと、既耕地だけの開放に重点が置かれまして、営農ということが忘れられておるのであります。零細化されたところの農地において農業経営というものは、好むと好まざるとにかかわらず、科学的、集約的、立体的な高度の科学を取入れた農業経営へと移行しなければならないのであります。こういうときに、牧草地、採草地、薪炭林等の既耕地以外の土地の開放によつて多角的な営農が考えられるというような方向を強化し、徹底させるというようなところまで、積極的な土地開放の面を推進されることを要望いたしまして本案に賛成する次第であります。
○小笠原委員長 次に寺本岩。
○寺本委員 私は民主党を代表して簡單にこの農地調整法の一部を改正する等の法律案に賛意を表せんとするものであります。終戰後の農地改革は、わが国農業において画期的なものというべきでありますが、およそ何事によらず改革に犠牲は避けられないのでありますし、また避くベきものでもないと考えます。しかしその犠牲は最小限度にとどめねばならないと思うのであります。從来の小作人がこの改革において自作農となつた喜びを得ました反面において、地主側においては非常な犠牲であつたろうと思うのであります。この犠牲を顧みずあえて農地改革を断行いたしましたゆえんのものは、農村民主化をはかつて農業生産力の増大を期せんがためでありましよう。しからばこの観点に立つて單に小作農が自作農になるのみにては、そのほんとうの成果は期せられるものではないでありましよう。今後はどうして農地改革の成果を上げるか、生産力の増大をはかるかに力をいたさねばならないと存ずるのであります。そしてそこに最も考うべきことは、農村の民主化をはかるということとともに、また一面農村の平和ということに思いをいたさねばならぬと思うのであります。急激なる改革はいろいろの摩擦が起こりやすかつたのであります。そういう点も考えますと、農地調整法が実施せられて、その間いろいろの矛盾故障というものがあつたろうと思う。そういう点を改めて、実情に即するように改めたのがこの原案であろうと思います。一々といろいろの各項目にわたつて論議しますのは時間がありませんので、私は簡單に以上の所論に立つて原案に賛成の意を表するものであります。
○小笠原委員長 他に本案に対する討論の御発議はありませんか。——別に御発議もありませんから、これにて討論は終局いたしました。 次に本案に対する採決をいたします。原案に賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○小笠原委員長 起立多数。よつて本案は、原案通り可決いたしました。 なおこの際報告書の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任を願いたいと思いますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。 —————————————
○小笠原委員長 次に土地改良法を議題とし、質疑に入ります。政府委員の方は大藏省主計局第二部長の石原政府委員、経済安定本部建設局次長近藤政府委員も見えておりますが、大臣は閣議の関係で非常にお急ぎになつておりますから、大臣の方から先にやつていただきたいと思います。
○渕委員 今回提出されました土地改良法案をながめてみますと、まことに重大な意義を持つものであります。日本の農村の將來を律するもののごとく見えるのであります。われわれは日本の食糧増産の根本は、何と申しましても土地の改良であるということを強く考えておる一人でありますが、ただ悲しいかな、この土地改良法案を出されるに際しまして、政府の今日までの予算案をながめてみますると、まことに貧弱なるものでございます。どうも日本の役所というところは、昔から法律をつくることにはまことに熱心でありますが、つくりましたあとがどうもそのままになつておるという結果を生んでおるのが今日までの状態であります。從つて私はこれらの重大なる法案をつくりまして、これを実行するためには相当の予算の裏付がなかつたらできない。重大な土地の交換分合というような根本的な問題がひそんであるのに対しまして、政府当局はこの法案を出されまして、これが有終の美を飾るためにどれだけの予算的な措置をもつて臨まれる覚悟がありや、第一にお伺いしたいのであります。 第二点はこの法案をながめてみますと、過去の耕地整理組合と異なりまして、面積主義によらず、人員主義をとつておるのであります、十五人の定員があれば設立できるということになつておりますが、私の計算で申しますと、十五名でありましたならば、かりに一人八反といたしまして、十二町歩を單位としてこの土地改良区が設定される結果に相なります。しかしながら日本の土地改良の最も多く必要といたしておるものは、十二町歩以下の小面積にあると私は考えます。その十二町歩以下の小面積をどうされるお考えであるか。この問題につきまして大臣の御見解を承りたいと思います。簡單でございますが、この二点について伺います。
○伊藤(佐)政府委員 事務的のことでございますので、私からお答え申し上げます。ただいまの十五人以上の発起人といたしましたのは、これは発起人の数でありまして、協同組合等の場合の例をとりましたのであります。しかし実際の設立にあたりましては、これは法案に規定してございますが、その地区内の農地の耕作者の三分の二以上の同意を得なければならぬことにいたしております。なお今の十二町歩以下の少数のものは、組合でなくて共同施行でやられることにいたしております。
○森国務大臣 土地改良の提案につきましては先に御説明いたしたのでありますが、現在御承知の通り、耕地整理あるいは北海道土功法、水利組合法等の古い、いわゆる今日の時世に合ないような改良法があるのでありまして、これを今日の事情に即應するように、ここに土地改良法を制定せんとするものであります。土地改良法を制定しながら、この法律の將來に対してはなはだ官僚は水くさいというような御意見でございますが、さようなことは決してないと考えております。御意見として承つて置くわけでありますが、この土地改良法を施行するについて、ただ法律をきめただけではいけないではないか、相当の予算をもつて臨まなければならないではないかという御意見でありますが、ごもつともであります。土地改良法を施行すると同時に、この法律によつて行われる事業に対しましては、政府は約束したるところの助成をして行かなければならないのでありまするが、本年の公共事業費に対する土地改良のことは、この土地改良法を施行する問題とは別でありまして、この土地改良法に基いて施行しまする事業に対しましては、政府は予算の上において、この法にきめたる範囲内の助成はむろんして行かなければならないのであります。決して法をこしらえまして、ただ法をもつてあそぶがごときことは、過去においてどうであつたかしれませんが、將來においては断じてさようにおろそかに取扱うことのないことを申し上げて置きたいと思います。
○渕委員 大臣の答弁は了承いたしました。
○竹村委員 事務的なことはあとに讓りまして、根本的な点についてお伺いしたいと思います。今日日本の農業の一番重要な問題は土地改良であるということについては、異議がないのでありますけれども、しかしわれわれは現在の状態のもとにおいて土地改良法が出されたということについて、根本的な点を一つお伺いしたいのであります。というのはこの法案の末尾にありますが、この土地改良法によつていわゆる土地改良をやる場合においては、政府の予算の範囲内においてこれを補助するという一句があるのであります。しかしながら、政府も常々言われておりますように、現在経済九原則によつて大体予算は打切られておる。從つて日本の農業には本質的な変化が來ておるのであります。たとえば從來は少くとも非常に国家のために犠牲を拂つている日本の農業を、あたかも企業のごとく考えられておりますがゆえに、農業部面に対する補助が全面的に削られて参つておる。その場合において、この法案がもしできた場合においては、この土地改良を農民自身の負担において行わしめるという意図が含まれておるのではないかどうか、この点を大臣からお聞きしたい。
○森国務大臣 農業に対する考え方に幾たびも御意見が出て、幾たびも私はお答えしたのでありますから、あえて繰返すことはないと思うのであります。ただ國家的事業ということが、今日すべてとは申し上げませんけれども、事業の性質においては考えられるのであります。ことにこういう法側によりまして土地改良をするという場合においては、國家の立場からぜひともこれを行わなければならない。いわゆる公共の福祉のために土地改良をやらなければならないということを考えられる一面がありますので、国家はこれにできるだけの助成を予算の範囲内でいたしたい、かように感じます。決して企業体と認めるからあえて補助しないというのではありませんので、純然たる企業体と認めておらないということは、かつてお答えいたした通りであります。
○竹村委員 その点はよくわかつたのでありますけれども、しかしながらそういう純然たる企業体でない、だから補助すると言われますけれども、その補助の範囲であります。われわれから申しますならば、実際の面におきまして、日本の農業というものは企業体ではない、一部は企業体でないし、一部は企業体でもあると言われますけれども、実際いろいろな点のにおいて、たとえば農村課税の面におきましても非常に矛盾がある。もちろんこのことにつきましては、大藏省にお伺いしたいのでありますけれども、大体今日の農民に対するところの課税というものは、大体適切と考えられておるかどうか。これは適切ではないと思う。この土地改良一つやるにいたしましても、少くとも自力で土地改良をやるというのであつたならば、土地改良をやり得るところの資本というものを農民に蓄積させなければ、いくらりつぱな法案ができましてもこれはできない。從つてそれを蓄積さすところの方法というものが今日とられていない。もちろんこのことにつきましては、いろいろ大臣からも再々にお話を承つておりますけれども、大体大藏省の見解は、たとえば農民現在課せられておるところの農村課税というものをこのまま続けて行かれて、そうして農村に土地改良をやるだけの余裕が與えられるというお考えであるかどうかという点について、お伺いしたいと思います。
○小笠原委員長 それは大藏省ですから、もうちよつとお待ちください。
○深澤委員 日本の農業の現状におきまして、その反別からより多くの收穫をあげるという意味において土地の改良が必要であることは、何人もこれはいなむことのできない事実でありますが、この土地改良の内容であります。一体現在日本の耕地面積の全般を通じて、どういう土地改良をどの程度に施すという方針を持つておられるのか、そのために日本の食糧に対してどういう結果をもたらす御自信があるのか、そういう点についてひとつ大臣にお伺いしたいと思います。
○森国務大臣 なかなか広汎にわたる御質問の要旨でありますので、はつきりお答えできるかどうかと思いますが、どの範囲において土地改良を行うかというようなことは、これはもちろん政府として公共の立場から勧奨する場合もあります。また農業者自体が共同の利益のためにこういう組合をつくつて、土地の改良を行つて行こう、こういうことがおのずから考えられる場所も出て來ようと思います。政府からもちろんこういうふうなことも奨励し、また他方おのずからそういう氣持になつて行くということによつて、土地改良の事業が行われて行く、かよう考えているわけであります。
○深澤委員 つまりこの法案は、政府があらゆる改良を必要とする市町村、あるいは地方に対して、土地改良区を設けて、たとえば期限なら期限を区切つて、そして積極的にやらせようとする御意思があられるのか、それともこの法案をこしらえておいて、そういう要求があつた場合において、この法案を適用して行くというような消極的な意味を持つておるのか、この点について大臣の御意見を伺いたいと思います。
○森国務大臣 御承知と存じますが、日本の耕地全体にわたつて耕地を整備しなければならぬということは基本調査ができているのであります。これは区画の整理をした方がいいという場所もあります。また客土、排水等によつて土壤の性質を根本的に改善すベき所もある。あるいはこの土地は干拓をいたした方がいいとか、いろいろこの基本調査というものはできておるのであります。これは耕地整理組合法の時代からすでに各府縣において、それぞれ各府縣の当事者、また国といたしましても、調査を進めておるのでありまして、今全國にどれだけの土地改良法を施行せなければならぬものがあるかという反別はおよそわかつております。しかしこれは予算を伴うものでありまして、これを一挙にやることはできません。漸次これを行つて行かねばならぬのであります。これは單に全部国営でやるわけではありません。御承知の通りの農業者自体においても負担をせなければならぬ問題でありますから、この事業計画をその年々の予算の許される範囲内において予測をいたしましてそうしてこれを各府縣の最も急ぐべきもの、重要であると考えるものから、起工せしめて行くという方針をとつて行くことが、政策の上で妥当であると、かように考えておるのであります。それでありますから、御承知とは思いますが、全国的に耕地整理を敢行すべき土地はどの程度に各府縣に現に存在しておるがということはわかつておるはずであります。そのうちの最も重要なものからこれを起工さして行くというように、督励して行きたい、かように考えておるわけであります。
○深澤委員 先日農業委員会の調査によりまして、群馬縣方面に参つた場合におきまして、利根川の水災によつて、群馬縣のある郡のごときは八百町歩の荒廃地があるのであります。それを復旧するにつきましては、少くとも一反歩一万円の経費がかかかるというような状態の所があるのであります。こういうような所はまつたく緊急に災害を復旧し、土地改良を行うべきであると考えるのでありますが、地元の農民の人々は、まつたく国庫補助の僅少のために、あるいはどういうような補助が行われるかわからないし、自分の方の資金は非常に不足しておるというような現状において、実に迷つておるというような状態の現状を、われわれは見て来たのでありまするが、そういうような所に対しまして土地改良法が施行された場合、どういう内容において補助されて、土地の改良が行われるか。こういう点について、ひとつ御意見を承りたいと思います。
○森国務大臣 土地の災害復旧というのと土地改良の本法とは関係が違うのであります。災害地の復旧というものは突然起つて来る問題でありまして、この問題に対しては、いろいろ皆さんの御心配をかけました公共事業費によつてこれを支弁するのでありますが、縣、道において行う以外においては、災害復旧を予算に計上し得なかつたのでありまして、今後予算措置を考慮いたしまして、そういう事業の進捗をはかるようにいたしたいと考えておるのであります。そういう風水害によつて耕地が荒廃に帰したという所は、土地改良法によつて行うのとは性質が違つておるのでありますから御承知を願いたいと思います。
○深澤委員 日本は御承知のように山間の農村が非常に多いのであります。従つてどこの縣に参りましても、相当大規模な水路を必要としているのであります。ところがこの水路がまことに不完全のために、それを維持するために相当多額の費用を費しているのであります。一反歩について数百円、あるいは千円以上の負担をしなければ、毎年の水路を維持することができないというような事情にある所もあるのでありまして、そういうようなものが、土地改良法の適用を受けることになると思うのでありますが、そういう場合において、政府はこれら水路の完成のためにどういう補助内容を持つておるか。つまり地元負担、その受益者負担においては、もう保ち得ないという状況にある水路が相当あると思いますが、こういうような水路に対しまして、国営によつてこれを維持すべきではないかという意見を持つておるのでありますが、その点について大臣はどういうお考えを持つておられますか。
○森国務大臣 そういう事業に対してはもちろん土地改良組合をつくりましてやり得ることを考えております。
○深澤委員 その場合において、政府補助というものがどの程度あるのか。そこに問題があると思います。全額国庫負担による工事ならばいいのでありますが、それが非常に補助が少いということであれば、はなはだ困難である。從つてそういう大きな線に対しては、國有國営でやつて行くような御意思があるかどうか。その点をひとつお伺いしたい。
○森国務大臣 これはその工事の性質を考えまして、これが国営でなければとうていでき得ないということをこちらが認定いたした場合には、国営事業としてその工費の六割を負担してやることにいたします。またこれを縣営としてやつてもいい、国営まで考えなくてもいいという事業は、性質によりましては、縣営事業をなさしめて、五割の補助をして行くというふうに、事業の規模性質というものにかんがみて決定して行きたいと考えます。
○八百板委員 今までいろいろ質疑がかわされたのでありまするが、どうもかんじんの予算的措置につきましては非常にあいまいなお答えでありまして、私どもどうもわからないのであります。その年々の予算の範囲内においてまかないをつけて行くということを大臣は言われておるのでありまするが、具体的に国家からどのくらいの予算が出されて、どのくらいの分が農民の負担にかかり、どのくらいの分が資金的に処置せられ、融資的に考えられるかというような、そういうふうな大体の見通しと構想を、まず大臣からお答えを願いたいと思います。
○小笠原委員長 それは事務当局からお答えになるそうです。
○深澤委員 今大臣は災害による農地の復旧は公共事業による災害復旧である。こういうふうに言われたのでありますが、第二條にやつぱり土地改良事業の中に「農地又はその保全若しくは利用上必要な施設の災害復旧」ということが法律にうたつてあるのであります。從つてこの法律によつて耕地の災害復旧はやることになるのじやないかというふうに解釈できるのでありますが、その点いかがですか。
○森国務大臣 災害の性質によりまして、この土地改良法の組織をいたしてやる場合においては、これに適合するものもあるのであります。ただ風水害があつたらただちに土地改良法によつてやるということでなしに、土地改良組合を設けて、その組合の組織ができて、そうしてその事業をなす場合においては、この法律によつてそういう災害に対しても工事を行わせるということにいたして行きたいと考えます。
○寺崎委員 先ほど深澤委員からお尋ねになりました件について、もう少しその先をお尋ねしたいと思います。土地改良は食糧の増産を目的としたものであります以上は、これは当然現在の政府として、まず第一に緊急事業の第一歩であります。ただいまの農村の経済状態を見てみますと、もうすでに土地改良事業をするだけの余力がないという点まで私は行つていると思います。そういう場合に、ただいま深澤委員に対する御答弁の程度では、私は今後の土地改良事業というものが、はたしてどの程度できるのか、農村にその責任を負わせて、一部の補助をもつて土地改良をやる程度では、もうすでに農村が自分の生活のその日その日ができないようになつてしまつておる今日、できないじやないか、かりにそれができたといたしましても、現在の予算面からいたしまして、本年度のような打切り打切りというようなことになりました場合に、継続事業が打切られて、どうにもできないというような地区が全国至るところにできてしまつておる。こういうことでは、大臣がただいま御答弁になりました程度では、今後の土地改良事業は思い立ちもされないということになるわけであります。それで農民が経済力の破綻に直面しておる今日において、一番心配になりますのは、今後の土地改良事業なり、災害復旧の点につきまして、農民が思い立ち得ない状態になりました場合には、農林省は計画通りに土地改良を全國的にやるだけの見込み、腹があるか、農村自身がこの土地所改良事業に対して立ち上ることのできない場合には、政府みずからそれをやるだけの腹があるか、私はこれを農林大臣にお尋ねしたいと思います。
○森国務大臣 これは農村をいかにもかい性のないものにしてしまつたという立場からの御議論と思うのでありますが、農村が決して樂々と経営をいたしておるとは考えません。しかし今日土地改良をやりたい、あるいは昔の耕地整理をやりたい、あるいは用水路等の工事をやりたいという希望は、全国に燃え立つておるのであります。決して將來政府が全責任でやらなければ、農村はこの土地改良に向つて何らの関心も持つてこないというようなことは、杞憂だろうと思います。また今日土地改良をやりたい、何とかして收穫を上げたいという、この熱意に燃えております農民は、この土地改良の政府の助成と相まつて、大いに事業をやりたいという希望を持つておるのであります。決して私は、今日の農村は行き詰つたとは申しながら、もうどんな事業もおれらの力ではできない。もう國家がやつてくれるならばやつてもらうが、自分の力ではやるかい性がないというような、そこまで自暴自棄になつていないという私は確信を持つておるのであります。
○寺崎委員 その通りであります。農民はだれの命令もなく、自分の増産のためには、全心全力をあげて今日までやつておりますけれども、現在の農産物價から、檢討いたします場合には、もうほとんどそういうような時期があるいは來るのではなかろうかということを心配するものであります。そうして今年度の予算の、縣営事業以外の事業に対する土地改良事業、あるいは災害復旧事業の打切りなんか見てみますとき、私はこういうことを思い立つた農民が、その継続事業を打切られた今日の、その苦しみはどんなであろうかということを考えてみるときに、思い立てない、そんなことがされないということになるかもわからない。またそうなりつつあるような氣がするのであります。ただいまの大臣のお氣持ちの通り、農民が増産にいそしんでおるその氣持を裏切らないような予算面の裏づけをしていただく。それから農産物價に対しては十分なる御酌慮をしていただいて、今後の農村経済は農産物價のみによつて生活が立つわけでありますから賃金ベースのようなかつこうで、次から次と上りますように——賃金ベースの場合を考えてみましても、千八百円ベースの場合に米一石が千七百円であつた。三千七百円ベースの場合には米一石が三千五百九十五円。現在の六千三百七円ベースの場合に米は幾らになるかということを、農民は非常に考えておるのです。賃金ベースと米價とは並行するものでないという一つの理論は立ちますけれども、賃金ベースが生活の根底をなすものである以上は、米價もともに農村の生活を基礎づけるものであります。どうぞこの点を農林大臣はお考えくださいまして、農産物價の点にも十分の御配慮をいただくようにお願いします。
○小笠原委員長 ほかに農林大臣に御質疑はありませんか。
○深澤委員 今の大臣の、日本の農民がこの土地改良をやる熱意を失つていない、自暴自棄になつていないという御見解に対しては、われわれもそう思つております。しかしながら、いかに精神的に努力しようといたしましても、費用がかかる問題につきましては、打出のこづちがあるわけではございませんから、なかなか不可能であります。ところが大臣は、いや、やれるのだというような、非常に精神主義的なお考えが強いようであります。不可能を可能にするというようなお考えが非常に強いようでございますが、現実の日本の農村を見ますというと、税金のために、また物價のために、農村はますます疲弊しつつある。おそらくここ一、二年の間においては、かつて昭和四、五年の農業恐慌のときと同じような姿が、日本に襲つて來ることは間違いない事実であります。こういう点について、非常に大臣は樂観的なお考えを持つておられるようでありますが、精神だけでは問題は解決しないのであります。今後の見通しについて、この際はつきりと大臣の御意見を拜聽したいと思います。
○森国務大臣 決して私は農村の將來を樂観いたしておるのではありません。しかしあなたのように心配ばかりして、今にも農村が消えて行くようにのみも考えられないと思うのであります。これはよく、今までの国会におきましては、何とかして農村に対しては補助金をやつたらよい、事業をしてやつたらよい、こういうふうに、また政府も補助金事制度で農村をつつて來た。あらゆる事業に、補助さえやればそれでよかつたということは、これは一つの官僚政治のやり方であります。これに甘えてという言葉はどうかと存じますが、ややもすれば農村は、何か政府に泣きつけば補助金がもらえるという気持ちが抜けない場所も、まだ所によつてはあろうと考えておるのであります。今日日本の政治におきましては、もちろん関係方面の注意もありますが、絶対補助金というものはすべきものではないという原則のもとに立つておるのであります。しかし、その仕事が公共的なものであり、あるいはぜひとも国家のためにやらなければならぬという性質のものに限つては、これは助成すべきものである。こういう考え方をもつて今日まで進んで來ておるのであります。今後もさようになると思いますが、実際農村の現状は、あなた方非常に悲観されておりますが、今日金の面から考えてみまして、今までは政府が、農業方面におきましても補助補助と補助をいたしておつたわけであります。ところが補助を打切りまして、農村はどういう状態であるかと申しますと、今日がつちりして來まして、金を借り得るようになつて來たのであります。それは昨年の九月から本年の三月まででありますが、農林復興金融資金のわくが二十一億割当てられたのでありますが、それが約二十一億貸付が終つたのであります。しかしなお三月以後において、各地方で申請のありましたものが十何億になつております。これはもらうのではありません。自分で政府からその資金を借りて、それによつて事業を行おうとする。こういう、ふうに底力を持つように農村はなつて來たのであります。それでありますから私は農村の事業におきましても、いたずらに、助成々々ということを考えずに行くならば、この土地改良事業に対しましても、政府はこういう仕事をやり、こういうふうなことによつて助成をするのにということになりますならば、農村においては、そういう事業に対しては、自分らもひとつ土地改良組合をつくつて、この政府の施設に應じて行こうというので、奮い立つて力強く進んで行くことは、私は必ずあると、かように考えているわけであります。決して農村の今日の條件が楽観してよい、生活がおちついておる、收支も償つておるというようなことは毛頭考えておりません。それでありますから、あらゆる総合政策の上におきまして、資材の上におきまして、あるいは担税の上におきましても、できるだけ農村が生きて行けるように、あらゆる角度から施策を加えて行きたい、かように考えておるのでありまするが、あまり農村が腰抜けになつてしまつて、今にも滅びるように、そう悲観すべき状態ではない、かように考えております。これはあなたと見解の相違であるかもしれませんが、私はさように信じて、施策を行つて行きたい、かように考えております。
○深澤委員 もちろんわれわれは、農村に対する補助政策というようなものが、これが根本的な方針であるというふうには考えていないのであります。しかし補助せざるを得ないような状態に農村を追い込んで來たところに、補助政策が出て來たのであります。本来ならば農業経営を行うことによつて、十分に資本が蓄積いたされまして、そうして農業発展のための多くの事業が行われるという余裕が生み出されて來るならば、補助金政策というものはおのずから出て來なかつたのであります。ところが逆に、補助しなければ日本の農業が成立たないというところに、補助金政策の出発点があるとわれわれ考えるのであります。 それから第二点の、大臣がお考えになつておるところの、最近農村は非常に金を借りる力が出て来た、こういうような見解で、ありますが、おそらくそれは農村におけるごく一部分の人々であつて、真に土にまみれて働いておる農民諸君ではないとわれわれは考えております。地方に存在しておるところの有力なる農村勢力者がそういう資金を十分利用するということは、今までも多々あつたし、今後もあるでありましよう。しかしそれだけを見まして、ただちに農民全体に、耕作農民までが非常に力があるというような御見解は、まことに皮相な見解であるとわれわれは考えるのであります。それから最近の実例といたしまして、農業協同組合の預金が非常に減少しておるという事実が、これを非常に物語つておると思うのであります。農村は今非常に苦しい状態に追い込まれておるのであります。もちろんこれにへこたれて、農業生産を放棄するがごとき考えは絶対に農民は持たないと思う。しかしながらいかんせん、努力いたしましても、経済というものは自分の意思によつて惠まれるものでなくて、結局ひとつの経済の法則、経済の情勢によつて支配されて行くのであります。あらゆる面から見まして、今後の農村が非常に窮境に陷るという観点に立つて農業政策をやつていただかなければ、遂に救うべからざる農村の危機が到来するということをわれわれは大臣にお考え願いたいのであります。
○森国務大臣 簡單にお答えいたしておきます。農村で金を借りて仕事をするのが、ある一部の有力なる階級であるという見解をお持ちになつておるようでありますが、決してそうではありません。いわゆる零細なる農業者が、協同組合等の團体の構成の力によつて資金が融通されているのであります。また農村の協同組合の預金はなるほど減つておりますけれども、私は過去の貯蓄を奨励いたしました時代のように、預金の高によつて必ずしも金の程度を測量することはでき得ないと思います。今日國民一般でありますが。金に対する観念がかわつておる。決してたんす貯金をしておるとは申しませんが、過去におきましては、経済事情から日ごろ金を持たなくても生活ができた時代があります。今では物價が高くなつて、金の値打も下つておりますから、金を持たなくてはほとんど一日も暮せない、こういう情勢でありますから金がそまつになつております。昔は貯金すればそれだけ利息がふえるのだというので、貯金いたしましたが、今ではほとんど利息なんという観念はありません。それでありますから、組合預金がふえる、ふえないということによつて、必ずしも農村に金があるとかないとかいうバロメーターとは私は考えません。しかし農村として決してたんす貯金をしておるというのではありません。農村におきまして、今日消費面が非常にかさまつておりまするが、できるだけそういうふうな面に対しましては再生産の資材を安く補給する。あるいは農産物の價格におきましても、でき得るだけこれを高くする。高くすれば賃金が上るじやないか、こういう関連性を持つて参りますので、この再生の資材の肥料あるいは農機具というようなものに対しましても、できるだけこれを格安に入手せしめる。また税金の面におきましても、できるだけ課税が適正に行われるように努力して、農業の公租の負担を適正化して行くということに努力をいたして行きたい、かように、考えております。
○渕委員 この土地改良を実施するにあたりまして今日まで農林当局と大藏当局との間におきましては、いろいろと補助金なり融資問題につきまして折衝があつたはずと私は考えます。その場合今日の農村の負担力というものをよく考えていただかないと、問題がわれわれの意図と反することになると思いますが、農林当局並びに大藏当局との間の折衝の経過による政府並びに地元負担の率について御発表願いたいと思います。
○伊藤(佐)政府委員 補助金の率の問題でありますがこれは一方農村の負担の面もむろん基礎になるわけで、ありますが、同時に國の財政面からもにらんで考えなくてはいけない。そういう点で、いろいろわれわれの方の農林省側の意見と大藏省がわの意見とが、ときに合致しないこともございますが、結局話し合つたところで、おちつくところへおちついておるわけであります。昨年と本年とでは補助金の率はかわつておりません。ものによつて違いますが、國営でもつて大規模なる農業水利をやつて行くというな地区につきましては、國が六割出すことにいたしております。それから都府縣でやりますこれに続くような規模のものにきましては、國が五割出します。その國営あるいは府縣営のものに対しまては、さらに各府縣におきまして、縣によつて違いますけれども、最低一割五分、最高三割程度の府縣費をさらに加えております。從いまして地元の負担は二割、もしくは所によりますると二割を割る所もございますけれども、二割一ないし三割というのが純粋の地元負担になつております。そのほかさらに規模の小さいものにつきましては、あるいは四割、最小は三割五分程度までの補助金が出ております。
○渕委員 その問題につきまして、さきの小面積の場合のことにつきまして、土地改良区というものができました場合における特典というものが何か將來におきましては、おそらくはあるだろうと思います。その場合、小面積の土地改良というものは、日本農業の基盤をなすものではないか。今日農村をまわつてみますと、小さい面積の地帶が非常にそれを必要とする場合が多い。前の耕地整理管理組合の場合と違いまして、面積をある程度低くしてしまつて、そうして土地改良区をつくるような方向に持つて行く方がいいのではないか。土地改良区になりますときに將來何かあるだろうと考えますから、その点をどうお考えになつておりますか。
○伊藤(佐)政府委員 これは私は一つは考え方の問題になると思うのでありますが、國が補助をしましてあるいはまたそれにさらに府縣費を出してやつて行くというようなものは、これは相当食糧増産の点から考えなくてはなりませんが、それと同時に公共性というものを考えなければいかぬと思います。公共性ということを考えますとおのずからそこにやはり小さな個人々々でやれるようななものは、別途の何か融資なり何なりの道を講じてやる。國費を出してやる、あるいは府縣費をさらに加えてやるというようなものは、相當やはり大規模なものでなければならぬというふうに考えておるのであります。
○竹村委員 先ほど大藏当局にお尋ねしたのですが、大体今日の農業課税、いわゆる農村に課せられるところの税が、こういうような税をかけられて來たならば、はたして土地改良をするだけの余力があるかどうかと考えられますが、その農民に対するところの課税というものがこれで当然なものだと大藏省は考えておられるかどうか、この点からまずお尋ねしたい。
○平田(敬)政府委員 農民に対する課税の中で一番問題になりますのは、現在ではおそらく所得税の問題であろうと考えます、それと昨年から主食以外の作物の收入に対しまして事業税をかけております。そのほかに地租等もございますが、一番の問題は所得税の問題だろうと思います。この所得税は率直に申し上げまして、私ども実際、現在の負担は相当に思い、これはただひとり農民だけでありませんで、勤労所得者の場合について考えましても、相当重い、勤労所得者だけでありません、おそらくまじめに納税されておりますところの中小商工業者の場合も、相当な負担であるということは、私どもいろいろな角度から十分認めておるのであります。從いまして本年度におきましても、さような点については相当の改善を加えたらどうであろうかということで、案としましてはいろいろ研究いたしてみたのでありますが、この点につきましては全体としての本年度の総合予算の均衡というところに非常に重点が置かれまして、税制の問題は近く根本的に研究を加えた上で結論を出すということになりましたので、今年度といたしまして、全面的な所得税の改正という問題はあとに延ばすことに相なつたのであります。しかしながら今申しましたように所得税の、ことに中小の所得者に対する負担というものは基礎控除、家族控除、税率等の関係、いずれも所得税制としては率直に申し上げまして、少し行き過ぎなぐらいに、私は相当な負担になつているということが考えられますが、やはり私どもといたしましては、できるだけ早い機会に、こういう点につきまして根本的な改善をはかりたい。かように考えておるのであります。 それからいま一つの農業課税の問題は、現在におきまして、例の世帶主以外で農業に協同して從事しておる方々が相当おられますが、こういう人について、実は今の所得税法は特別な控除をいたしておりません。これにつきましてもやはり今後の改正におきましては特別の控除を認めるようなシステムをつくることに持つて行きたい。それから事業税の税率等につきましても、現在は一律の税率になつておりますが、小さい方の所得者につきましては、ある程度逓減するといつたようなことにつきましても、十分研究してみたいと考えております。さような観点からいたしまして、ことに所得税を中心にいたしましてできる限りの措置をいたしたいと考えておる次第でございます。まだ今のところは、先ほど申し上げましたように、何しろ相当な一般的に重い負担に耐えて、しかもインフレを防止しつつ、全体として経済の再建に努めるということになつておりますので、さしあたりといたしましては、私どもいたし方ない。かように考えておる次第であります。
○竹村委員 結局この法案の第二條に多くの問題があると思うのでありますが、これから見ますならば、この組合においていろいろなものがやられておる。たとえば先ほど深沢君も言いましたように灌漑排水の施設から、あるいは災害にいたるまでやらなければならない。しかもそれに対しては予算の範囲内でという補助しか認められない。しかもその予算というものは、政府のたびたびの答弁によりますならば、少くとも経済九原則によつてという説明でありますけれども、補助というものは打切られて行くというのが現実の問題であります。そうすると一方において、いたしかたないという形で農村課税が多くとられて行く。しかも一方においてはたとえば農産物價にいたしましても、中心をなします米麦の價格にいたしましても、工業生産費と非常に差がついて、生産費を償つていないというのが今日の現状であります。しかるにこういういろいろなことが、農民の力みずからでやれというようなことでは、私はなかなかやれないと思うのでありますが、それに対してたとえば本年度のいろいろな災害復旧費用にいたしましても、農林省はもつと多く要求したけれども、大藏省においては、これ査定に当つて削られたということが現実であります。それゆえに各党共同の提案によつて、土地改良費の増額というようなことが問題になつておるような次第でありますが、どういうわけでいわゆる農村のこういう災害あるいは土地改良という面の補助金が削られたのであるか。大藏省はどういう見解でこれを削られたか。またそれに対して聞くところによりますならば、経済安定本部では、初めから編成に当つて、たとえばある方面に建言される場合において、公共團体いわゆる府縣の三百町歩以上のそういう復旧事業、改良事業に対して補助を出すけれども、それ以外は出さぬでもいいということを立案をされたということを聞いておるのですが、そういうことがされたかどうか、ひとつお伺いしたい。
○石原(周)政府委員 ただいまのお尋ねに対しまして大藏省の方からお答えいたしたいと思います。あるいは詳細の点につきましては安定本部からお答えを願つた方がいいかと思いますが、本年度の予算は御承知のような姿で組まれておりまして、その結果といたしまして、公共事業費に非常に各省の御要望に比べて圧縮を加えました予算として編成せざるを得なかつたのであります。しかしながらその内容といたしまして、一律に圧縮を加えるというような考え方ではなく、おのずから仕事の重点によりまして考えざるをえなかつたわけであります。でございますから、昨年度の公共事業費と比較してごらんになりましても、災害の防除にあたります基本的な施設というようなものにつきましては、そう大きな数ではございませんが、昨年度に比べまして若干の増加をいたしております。そういう予算の組み方でございまして、全体としての公共事業費が與えられたるわくの中におきまして、最も効率的に働くということを考えたのであります。今問題になつております土地改良の問題につきましても、先ほど開拓局長からお答えがございましたように、やはり公共性の強いものから優先的に行かざるをえないということで、国営あるいは府縣営というようなものに集中せざるを得なかつたというのが大体の公共事業費の姿であります。
○竹村委員 経済安定本部の方にお伺いいたしますが、いわゆる企画を立てられる場合に少くとも三百町歩以上にまとまつた公共団体のやる土地改良が、公共性がある所というふうな考えで立てられたと思うのですが、しかしながら実際今日の日本の農業が零細化しておる現状から言いまして、その人人自身も全部非常な公共性を日本の食糧増産の上からいつて持つておると思うのですが、初めからなぜ三百町歩というようなことを建言されたか、また農林省も、それに同意されたかどうかということを、お伺いしておきたいと思います。
○近藤(直)政府委員 私建設局の関係で公共事業費の予算を担当いたしておりますので、その面からお答えいたします。公共事業の予算につきましては、御承知のように関係の筋と絶えず密接な連絡をとつて、予算の編成並びに認証の事務を実行して參つておるのであります。本年の公共事業費の予算につきましても、もちろん國内的には大藏省あるいは関係各省と絶えず連絡をとりまして編成したのでございます。それからお尋ねの農業予算の問題でございますが、この点につきましても、農林省のご要求に対しまして、経済安定本部としましては、できるだけご要求を入れるべく努力したのでございますが、御承知のような事情で、ドツジ声明の線によりまして予算全体が確定されました関係上、公共事業費の予算もその制約を受けまして十分農林当局の御満足を得るような予算を編成できなかつたことにつきましては、われわれも実ははなはだ遺憾に思つておるのであります。それから安定本部の建設局で初めから土地改良とか農業水路の予算につきまして制限をしておつた。三百町歩以下は予算をつけないというようなお話でございますが、その点につきましては、ただ私の方だけがその仕事に從事したのではありませんで、もちろん農林当局とも絶えず連絡をとりまして、十分御了解の上で予算を編成したのでございまするが、その結果、非常に予算全体としまして農林当局の御満足の行くような予算にならなかつたことにつきましては、われわれもはなはだ残念に思つております。これはそういうふうに相なつたのでございますから、金融その他の面におきまして善処しなければならぬことと考えております。
○竹村委員 安定本部の方にもう一つお伺いいたしますが、大体今日の農業経営、ことに個人の農業経営は、経営が成り立つておるとお考えになつておるか、先ほど農林大臣は、悲観ばかりする必要はないと言われておりますけれども、もちろん悲観ばかりはいたしませんけれども、今日破綻しなくしてなお農村が命脈を保つておる原因は、少くとも彼ら農民自身は普通な生活をやつていない、自分の生活を切下げ、あるいは労働時間を一実に今日いろいろ言われているところの労働基準法等を尻目にかけて、朝は星をいただき、夕はまた星をいただいて帰るというような自分の身を殺した実に封建時代そのままの働きをして、そうしてようやくその日の命脈を保つているにすぎないのでありますけれども、しかるに先ほど申しましたように、話を聞きますならば農林当局もまずそういう公共團体の三百町歩以下は了解の上でいたし方がなかつたから切り下げたと言われますけれども、そうすると、あなたの方では大体農業というものは今日経営が成り立つているという観点に立たれておるように考えますが、その点どういう点で経済が立つておると考えておられるのか、たとえば今日の米價にいたしましても、あるいはその他の農産物にいたしましても、これで適切であると考えておられるかどうか、お聞かせ願いたいと思う。
○近藤(直)政府委員 米價の問題あるいは農業経営の規模の問題につきましてのお伺いでございますが、もちろん農業経営の規模につきましては、現在のやり方がそのままそつくりわれわれがいいものとは考えておりません。非常に今日零細経営でありますので、その点につきましては、これは外國と比較しまして、非常に特色のある日本の農業経営であるという点につきましては、われわれも十分承知いたしております。従いまして、これに対して政府といたしまして何らか補助をいたしまして経営を合理化させる、経営をしやすくするという面につきましては、よくわかつておるのでございますが、しからばどのくらいの規模が適正であるかという問題になりますと、これは農林当局におかれましても十分御研究されておることと存じますが、なかなかむずかしい問題でありまして、また米價の問題につきましても、これは今日のいろいろな他の諸物價と比較しまして、必ずしも妥当であるとは考えておりません。またある程度考えなければならぬ問題であると私は考えております。私としまして申し上げるのはその程度でございますので、もつと根本的な問題につきましては、農林当局からお答え願いたいと思います。
○石井委員 建設省の方でも、今回の公共事業費は非常に少いので、いろいろと災害復旧あるいはその他につきまして、十分に思うように行かないという点をお認めになつているのであります。それについて、いろいろと見返り資金その他の方面において農業の災害復旧、特に打切られたところの個人の農耕地の災害復旧、それらの問題につきまして、相当に融資の方法を政府が考慮しておる、こういうふうなことがあるのであります。大体どれくらいそれらの融資があつて、災害復旧等にまわされるかどうか、ひとつ大体の見当のつくところがありましたらお知らせ願いたいと思います。
○近藤(直)政府委員 先ほど申し上げましたように、農業予算が公共事業費の面において相当カツトされたと申しますか、昨年と比較しまして非常に比率が惡いので、それに対しまして、今回米國の援助資金、並びに預金部融資、そういつた面からこれを何とか打開しなければならぬということで実は農林当局とも打合せまして檢討をしているのでございますが、農業関係を援助資金に仰ぐという点につきましては、なかなか関係方面とも大体の打合せをいたした際も、非常に難色があるように実は伺つております。しかしながら、どうしてもこの線で行くのでなければほかに財源が見当らぬということで、われわれとしましては、農林当局ともともに極力その方面の御了解を得るべく努力は続けております。その金額につきましては、これはまだはつきり確定しておりませんので、実は申し上げる機会までには至つておりません。そのほかに預金部資金の融資ということも同時に考えておりまして、この面につきましては大藏省当局と絶えず連絡をとりまして、ともかくも農業資金の確保に私どもといたしましては努力いたしております。
○石井委員 ぜひそれにつきまして、十分農林省と安本方面と話合いをされまして、融資の方面等におきまして努力を願いたいと思います。 本日大藏省の、主税局長がおいででありますから、少しく農業の課程について、先刻竹村君が質問したのと関連して質問したいと思います。大体今年は大藏省方面においては、農村の收入が二七%ほど去年よりは増加するという予想のもとにおいて、いろいろと徴税の基礎をきめておるようであります。いろいろな点から考えてみまして、二七%ちよつと三〇%でありまするが、繭等もはつきり落ちる、野菜等も出まわり期になりますと昨年よりも落ちる。でありますが、今年の暖冬異変等と関連して、米等も收穫が少いのではなかろうかといろいろ予想されてるときにおいて、二七%農業所得がふえるという点は、どの辺からそれをきめなさつたのであるか、お伺いいたしたいと思うのであります。
○平田(敬)政府委員 所得税の歳入を見込みます場合におきましては、御承知のように大体前年の課税実績に対しまして、今御指摘のように生産は一体どうなるだろうか、それから物價が年間を通じてどのようになるかということを、ある程度予測をつけて算出するわけでありますが、マル公の場合でありますと、御承知の通り麦のパリテイーは一一〇ございましたが、最近のパリテイは一四〇幾らかになつておると思いますので、ある程度ふえております。米の方はまだあとにならないときまりませんので、実は的確な予測はできないのでありますが、一三二でございましたのが一四〇幾つかになろうかと思います。それから副食その他におきましては、公定價格というよりも実際價格といつたものがより基本になろうかと思いますが、この方は昨年の一、二月ごろに比べますと、実は現在のレベルはある程度高くなつておるようであります。もちろん最近は、ことに昨年の十一月以降は大体なだらかに横ばいをいたしておりまして、今後高くなると予想するのはどうかと思いますが、これは大体において現在のラインで横ばいをするということを前提といたしまして計算をして、そして生産の方も実は安本の復興計画によりますと、たしか三%でしたか、若干の増を見ておるようでありまして、そういう点を総合して調査いたしました結果、大体二七%程度の増は見込み得るであろうということを計算いたしておるのであります。その際におきまして一番私どもの問題にしておるのは、生産がどうなるであろうかということであります。昨年の生産は非常によく、実收は相当多かつたと言われておりますが、それに対しまして、本年の生産がどうなるかということは非常に問題でございまして、その辺から狂いを来しますれば、これはもちろん歳入に狂いを来たすことになるのでありますが、現在のところといたしましては、一應さような見込みを立てまして所得税を計算しておるような次第でございます。今のところそう大きな狂いはないものと思つておりますが、大体さような考え方で計算をしておるのであります。
○石井委員 大藏省で昨年農業所得を査定するにあたりまして、実地に埼玉縣の某町あるいは茨城県の某村を選んで、その基礎をとつたのでありますが、あれを見ますと、茨城縣の方においては、非常にやみ肥料を入れておる所でありまして、そういう状態で算定されておる。また埼玉縣の大里郡の例をとりますと、どの町村か知りませんが、一般の常識から見て非常に生産の高い町村がとられておるように見えるのでありますが、大体ああいうふうな標準をきめるときには、どういう立場においておとりになつてきめるのであるか、つまり農林省等と連絡をとつて、大体農林省等から考えたところの中庸の農村、あるいはまたやみ肥料、その他も中庸的に、一般的に、常識的に買つておる所をおとりになつておるのであるか、それとも大藏省が自分たちの見解から、それらについて各省との連絡なしに、特に農林省との関係なしにおきめになつておるのであるかどうか、ちよつとお聞きしたいと思うのであります。
○平田(敬)政府委員 農業所得の標準率のつくり方は、御指摘の通りなかなかむつかしいのであつて、私どもは、できるだけその地方における中庸農家を選定いたしまして、できる限り経営の内容が明らかなような人について実際を調べまして、それに基づきまして標準率を作成して、適用する場合におきましては、でき得る限りこれを一律主義で行かないで、状況の違つた人には差をつけて適用するという方針で実施いたしておるのであります。率直に申しましてなかなかむずかしい問題ですから、現在理想通り行つているとは考えておりません。今後におきましても、そういうことにつきましてはさらに一層適切な指導と勉強をいたしまして、できる限り適切なものができるように勉強いたしたいと思つております。その際におきまして農村省の方からいろいろ意見も承つておりますし、農家の経営調査の内容も聞いておりますが、ただこの課税の責任は大藏省で負わなければなりませんので、こちらの責任においていたしておることを申し上げます。
○竹村委員 大体農村の課税が非常に重いので、それが農村の疲弊する根幹になつておる。それなるがゆえに、せつかくいいこの土地改良法案が出ましても、農民の負担においてはできないということが問題になつておるので、そのことについて重ねてお尋ねしたいのであります。先般この農林委員会におきまして農村課税の問題について大藏省に対して資料を要求したのであります。ところが遺憾ながらその資料は出されていない。そうしてその要求した資料は、全会一致で委員長から特にその資料の提出方をお願いして置いたのです。その資料は、たとえば昭和二十二年度あるいは二十三年度の全國の各税務署別に大藏省から発せられた徴税目標、そのうちの農業所得税の徴税目標の資料を、われわれの方に出してもらいたいということを要求したのですが、出されない。こういうことから察しますならば、大藏省が考えておられる徴税目標が、私は国家予算から見て非常に水増しがあるのではないかと考えます。水増しがあるから重い上になお重いものをかぶつておるんじやないか。総徴税額からいえば、そう多くないと言われるかしれませんが、それは結局において農村における零細農家が全部とられて大口が滯納されておる。それをほうつて置いて、そうして全国の徴税目標は國家予算に合つているようにされておるのじやないかという疑義を持つのであります。もしそれがなかつたならばすでに出されているはずである。そういう資料を要求したのは初めのころでありますから、もう大分長くなつておる。それが出されていないのは、そこに農民の課税に対して、農村の零細農家に対する課税が、水増しのままでとつておられるのではないかと考えるのでありますけれども、それに対してとつておるのかおらないのか、あるいはまたどういうようなかけ方をされたか、また徴税目標をなぜ示されないかという点を、御説明願いたい。
○平田(敬)政府委員 徴税目標と申しますのは、私ども税法通りまじめに適用し、納税者も税法通り納めるならば、大体これくらいの收入があるんじやないかという意味におきまして、一つの目標を示していることは前々から申し上げておる通りであります。ただこれはあくまでも税務署に対する内部関係のものにすぎませんで、実際には所得税に対しては、所得があるかないかということの問題と解すべきものと私どもは考えて、おるのでございます。從いまして税法をどうするかという問題は、政府が立案して國会でおきめ願うことになるのであります。極力適正にいたしまして、それに從つて税を徴收するというのが税務署に與えられた任務でございますので、そういう意味合いにおきまして、私ども極力鞭撻いたしておる次第でございます。目標をあまり重視されますのは少しいかがであろうかと考えるのでございます。ただ実際問題として相当影響があるから、大いに反省する必要があるんじやないかという御意見は、確かに御意見かと考えますが、さような点につきましては、今後におきまして、第一、目標を設けるかどうかにつきまして檢討いたしてみたいとは思つておりますが、全体としてあまりこまか過ぎると、かえつて間違いがございますので、およそどれくらいという目標をきめておりまして、特に農業所得が幾ら、機具が幾らというこまかいことはきめておりませんが、算定のプロセスといたしましてそういうものにつきましてある程度の見積り計算はいたしております。さような次第でありますので、資料の要求に対しては、なかなか調整がむずかしくなつておるんじやないかと考えますが、目標はそういうものでありますことを、この機会に御了承置き願いたいと思います。なお昨年の所得税は全体の統計がまだまとまつておりませんが、三百五、六十億か七、八十億くらいの額だと考えております。これに対しまして供出代金の総額を調べてみたのですが、二千億くらいあります、全体として申しますると、供出代金に対して約二割弱になるという状況に考えております。本年度は若干ふえるということに相なるかと思います。
○竹村委員 大体供出総額の代金だけを問題にされますけれども、それ以外に税務署が農村に課税される場合におきましては、目標だけを示したとかいろいろ言われますが、実際において各税務署におきましては、大体一反歩幾らというようなきめ方をする。これに対して異議の申請をすることができるようにはなつておるけれども、これはなかなか一反歩幾らときめたものに対して、異議を申し立てても効果がない。少くとも関西の方に行きますれば、二毛作出で一反歩一万円もしくは一万二千円というきめ方をしている。それが結局実際において災害をこうむり、あるいは被害をこうむつて、事実上においては異議を申し立てても、それに対しては取り上げない。しかも今お聞きいたしますれば、供出代金の総額がこれだけある、だからそれだけとるのは当然だと言われますけれども、それ以外に農民が現在統制外肥料等を非常に多く買つておるという点について、大藏省はどういうふうに見ておるか。統制外肥料というものを農民が一つも買つていないように考えられて、供出代金だけを目標にして、それに対して徴税されておるのかどうか。これをお伺いしたい。
○平田(敬)政府委員 今、供出代金に対する割合というものを申し上げましたが、これは單に大まかな全体としての供出代金がどのくらいあつたということに対しての、判断材料として申しただけであります。所得はそういう方法によらないで計算する收穫物全部を收入金として見、必要経費は現実に使つた必要経費が明らかであれば、原因が何たるとを問わず、差引くことになる、そのかわりに收入金は何たるとを問わず所得と見る。これが現法の建前であります。それで問題は、さつきの標準の問題でありますが、これは徴税目標とは直接関係はございませんで、他の徴税の均衡と申しますか、税務署がどの地域はなるべく的確な資料について、反当り幾ら、どの地区については幾らとつくつたのを、財務局がもとにして、その財務局の責任において調べた上で指導を加えております。その標準のつくり方については、先ほど申しますように、今後においても、できるだけ適正化して行くように努めたいというふうに考えております。
○竹村委員 それではこの改正注の一番最後の方百二十六條に、農地の改良、開発、保全または集團化を行う者に対しては、予算の許す範囲内において補助金を交付することができると書いてあつて、するとは書いていないのであります。もしこの法案が通つて、こういう事業をやるという場合に、現在大藏省ではどれだけの予算を見積つておるか、これをお伺いしたい。
○石原(周)政府委員 現在公共事業の経費は、御承知のように年度全体の金額の積算をいたしまするが、その実施につきましては、安定本部が認証をいたしてまして四半期ごとに具体的に決定をいたすわけであります。從いまして年度全体の経費で一定見込みました全額は、その四半期ごとの認証によりまして若干の増減をいたすわけであります。そういう意味におきまして、あるいは安定本部の方からも何かお答えを願うことがあるかもしれませんが、今見ておりますところで一應土地地改良だけで申し上げますれば、八億四千三百万円、それから災害復旧の方におきまして三十億五千万円……。
○竹村委員 ただいまの御説明によりますと、公共事業費からこれを流用されるのですか。先ほどの農林大臣の説明では、公共事業費は関係ない、これは別だという御答弁でありますが……。
○石原(周)政府委員 農林大臣がどういうふうなお答えをせられましたか、私はちよつとい合わせなかつたので知りませんが、私公共事業ということを申しましたのは、現在の予算の部款項におきまして、それが公共事業という部款項に属しておるという意味でございますので、それは一括いたしまして、先ほど申しましたように安定本部の認証でやるということになつております。
○竹村委員 それでは安定本部に聞きますが、安定本部もこの公共事業費から、この改良法が通りました場合に若干補助するというのは、公共事業費から出されますか、それをはつきり御答弁願いたい。
○近藤(直)政府委員 農林予算は公共事業費で、先ほど石原政府委員からお話がありましたように、総額九十九億というものがありまして、その内訳はいろいろありますが、結局その土地改良につきましては、そのうちから出すというふうにわれわれは了解しておりますが、ほかに別に財源というものは予算の上ではないわけであります。
○竹村委員 これが重要な問題であります。実は先ほど農林大臣の答弁によりますれば、公共事業費で災害復旧、土地改良をそのままでおく。そうしてこの法案が通つたならば、別にこういう自発的にやるものに対しては幾らか補助するというように受取つておつたのであります。さなきだに少い公共事業費からこういう法案を通してから、全国におれの所はやるのだということになれば何もできない。何もできないということは、結局において全国にすずめの涙ほどをばらまいて、何もできないということになると考えます。これは農林省の方ではどう考えておりますか。
○伊藤(佐)政府委員 先ほど農林大臣の御答弁では、竹村さんのようにはとらなかつたのでありますが、それはこういうような事業をやる者に対して、予算の範囲内において補助金を出すということでありまして、現在の成立いたしました予算といたしましては九十九億であります。そうして第二條に掲げてございます事業費九十九億、ほとんど大部分を占めるわけであります。それから農林大臣は先般の衆議院の決議のときにお答えになりましたのに、今後において機会を見つけて財源等を何としても見つけて、できるだけその資金化の方向に実現を見出して努力いたしたい、こういうことをおつしやつたのでありますが、その線とこれをおそらく御一緒になつておとりになつたのではないか、こういうふうに私は了解しております。
○竹村委員 それは現在の公共事業費というものを、この法案を成立せしめて、初めてこれによつて事業をやる者に対してばらまいて行くというお考えですか、それともこの法案ができて、それにもやるし、それからまた土地改良事業をやる者に対してもやる、あるいは從來土地改良をやつておるものを優先的にやつて、余つたらここに持つて來る、こういう考え方ですか。これをはつきりしていただきたい。
○伊藤(佐)政府委員 この法案は非常に廣く規定されておりますので、この法案が成立しますれば、ここでできる仕事というのは、今の予算のほとんど全部をこの事業の方へ投入できる。こういうことになつております。
○竹村委員 そうすると、從來土地改良費が八億四千三百万円、すでに継続、してやつているものは、一應この法案が通りますならば、この法案に從つた組みかえをやらなければならないということになるのでありますか。それとも前のやつはそのままでいいということになりますか。
○伊藤(佐)政府委員 これは別に組みかえする必要はないのであります。百二十六條でありますか書いてありますように、予算の範囲内において補助金を交付するということになつておりまして、現在の成立した予算におきましては、ただいまお話のありましたような土地改良事業につきましては、三百町歩以上の大きいものに対して行く、その他のものに対しては今の予算ではこれはできない。こういうことになつております。
○竹村委員 それでわかりましたが、結局ここに掲げている、たとえば十五人以上の者によつてこういうことをやるといつても、予算的な措置としては、補助はここに明文に書いてある通りにやることはできるというそのままをやることができるのであつて、現在は予算がないから、そういう小さいものにはやれないということになるわけですか。
○伊藤(佐)政府委員 ただいまのところではそういう小さいものに対しては、本年の今成立しました予算では、補助の道がないということになります。ただ先ほどから土地改良費の各目で八億三千万円ということになつておりますが、廣義の土地改良、つまり灌漑排水の事業に対しましては、別に二十億何がしの金が含まれておるわけであります。
○竹村委員 それでは第三ですが、土地改良事業に、たとえば地主さんが入つて、さなきだに先ほどの農地調整法で問題になつたように小作料が安くなる、こういうように言われておりますが、その小作料が安い地主さんが入る、そうしていわゆる土地改良費の負担をするというような点は、実際あり得るかどうか。どういう考えでやられるか。この点詳細に御説明願いたいと思います。
○伊藤(佐)政府委員 これに原則といたしまして耕作者が当然なんでありますが、しかし一面今残つておりまする小作地につきまして、所有者の申出があつた場合、しかもその場合において町村の農地委員会で適当と認めた場合に、これを排除するということにつきましては、現在の法制上の所有権というものがまだ相当に強く認められておりますので、そこまでやることに行き過ぎじやないかというようなことからいたしまして、こういう條件のもとに所有者の参加も認めておるのであります。原則はあくまで耕作者ということであります。
○竹村委員 それからもう一つお答え願いたいのでありますけれども、大体同意する者の、土地改良をやりたい者の三分の二の決議を得たならば、それを知事に申請してやることができるということになつたのでありますけれども、その反対の三分の一の人がたまたまその区域にあつた場合において、反対だけれども、費用は負担しなければならぬ。もちろん国家の全額の補助でやられる場合においては、反対であつても、費用を負担することがないので問題はないのでありますけれども、しかし費用が先ほども言うように、やるという場合においては、現在のところにおいては、將來は知らぬが、先ほどのあなた方の答弁から行きますならば、現在のところにおいては三百町歩以上でなければ大体ないと言われる場合に、三分の二だけが承認して三分の一の反対の人もそこの費を負担しなくてはならぬというようなことはどうかと思いますが、これに対してどういうお考えでありますか。
○伊藤(佐)政府委員 これは三分の二以上の同意がありました場合に初めて計画を立て、また知事に申請ができるのでありまして、残りの三分の一の点は知事がこれを適当と認めれば認可をいたしますからさようになりますが、さような場合におきましても、もしこれをしいて強行するようなことが適当でないと認めれば、知事が認可をしないことに相なるのであります。
○竹村委員 知事が認可をしないと言われますけれども、大体從來の慣例から言いますならば、三分の二の同意があつた場合に、これは大体いろいろの形で農村はそこまで民主化されていないから、大体知事の方では認可することになるのですが、この認可した場合において、非常に大きな負担が反対の三分の一にかかつて来るという場合においては、その負担するところの能力がない人は、おそらく反対すると思う。これは從來われわれいろいろやつて参りましたが、たとえば実際農村で水路の灌漑のような問題をやつて参りましたけれども、たいていは実際において負担能力のない人が心ならずも反対するわけであります。しかしそれはやはり認可をせられるならば、必ずそれを負担しなければならないということになりますと、またまたさなぎだに税金等で困つておるのに、差押え等の問題が起こつて來ると思うのでありますが、こういう場合において全然できない者はたして政府はどういう処置をとられるか。その救済規定がどこにも見当らないのでありますけれども、その点いかがでありますか。
○伊藤(佐)政府委員 ただいまの三分の二以上の同意があつた場合の残りのものをどうするかということでありますが、これは利益の限度においてそれぞれ負担をするわけであります。理論的には竹村さんのおつしやつたようなことも考えられるかと思いますが、現実の問題といたしましては、ほんとうに農村で三分の一程度の強硬な反対があるという場合には、おそらく私は土地改良区というものを初めから設定する、設立するということはないのではないか、ありましてもそういう場合はきわめてまれでありまして、なおかつそれにつきましては、今回の設立につきましては、予備審査という制度と、本審査という制度と二段階にわけまして、知事の方で審査をして、初めて適当なものを認可することになつておりますので、御心配のような点は十分防げるのではないかと思います。
○坂本(實)委員 先刻いろいろ同僚委員から御意見が出たのでありますが、この際主計局からもおいでになつておりますので、一点だけ確かめておくものであります。それは先刻開拓局長の御説明によりますと、國営の土地改良事業を行います場合には、國が六〇%、府縣が二〇%、地元が二〇%程度を負担するようになつておるということであつたのでありますが、最近の農村事情からいたしまして、地元の二〇%負担がなかなか容易でないことは、すでに同僚委員からもるるお話があつたところでありますが、そこでこの二〇%の費用を地元が借入金でまかないました場合に、政府はその借入金の返済を年賦償還によつて行わしめ、あるいはまたその利子を國債の利子程度に引下げるために、利子の補助その他適切なる措置をなされる御意思があるかどうかという点をひとつ明らかにしておきたい。この点御答弁を願いたいと存じます。
○石原(周)政府委員 國の行います土地改良の場合におきまする地元の負担でございますが、地元の負担は公共團体の分は当然その年度に拂つていただくように相なる。しかしながら公共團体でございません地元の方々の負担につきましては、現在農林省からもお話がございまして相談をいたしております。まだはつきりした結論まで行つておらないのでありますが、現在申し上げられますことは、大体限度を十年ぐらいにいたしまして、利子を大体国債の利率相当額ぐらいにいたしました延納を認め得るというような制度にいたそうかというのであります。
○深澤委員 ちよつとこの際お伺いいたしたいのでありますが、先ほど大臣に質問した場合非常に不明確でありますから、この点をはつきりお伺いしたいと思うのでありますが、風水害等によつて受けた耕地の復旧は、これは公共事業でやるのであることは間違いないと思うのでありますが、土地改良おいてそういう部分をやる場合においても、この公共事業費の中の農業費でやるのか、それともほかの農林省の予算でやるのか、この点をひとつちよつとお聞きしたいと思います。
○石原(周)政府委員 現在の公共事業には予算書でごらんであろうと存じますが、予算総則の第何條でありましたが定義がございまして、こういう種類の災害復旧に限りませず、ここに規定してございますような灌漑以外のいわゆる土地改良につきましては、公共事業という範疇に入る。從いましてその支出は予算の部款項につきましては公共事業となります。しかし先ほど申しましたように、安定本部の承認を経まして、農林省の予算につけ加えますから具体的な性質は農林省であります。
○小笠原委員長 それではまだ七時前ですがきようはこの程度にしてやめて明日は午前十時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後六時五十三分散会