農林委員会 第9号
- 発言数
- 32 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1949/04/13
会議録
○小笠原委員長 これより会議を開きます。 前会に引続き農林予算に関する件を議題とし、質疑を継続いたします。竹村君。
○竹村委員 大臣が來ていないですが、ちよつとあすから米價の値上げをするということが本日の新聞に出ていたのでありますが、これを値上げをされて、そのうちの百二十億という赤字を消費者に負担さす。こういうように新聞に出ております。そういうようなことで消費者に莫大な負担をかける。そうすれば、赤字が埋まる。そうして供出した農民にその赤字を埋めさせた残りを還元されるだろうと思いますが、この点詳しく承りたい。私の考え方によりますれば、大体炭鉱だとか、そういうものには莫大な補給金を出しておられるが、こういう引合わない米價で取上げられておる農民に対して、いろいろ費用の負担をさせて、消費者には負担をかける。そうして差引いてその残りしか農民に還元されないということになつて行くならば、ますます農村は困つて行く、しかもその上課税とかいろいろな点で、農民を苦しめておきながら、そういう一切の還元すべきものを還元しないというようなことはどうかと思うのですが、これに対してひとつ御説明を願いたいと思う。
○安孫子政府委員 今回の消費者米價の改定の問題の御質問でございますが、実はいろいろ御意見がありまして、ただいままで決定しておりませんが、大体のことを申し上げますと、赤字は今回の消費者米價の中には入れないで考えて行くというつもりでおります。この問題は將來に残されております。從つてただいまの御質問のような点はないかように考えております。なお農民に還元されまするバツク・ペイの問題でありますが、これは今度の米價の中に織り込みまして、これは前に公約いたしておりまする通りにやる考えであります。
○河野(謙)委員 前回の委員会で大臣に要望しておいたのですが、今回の米の値上げにつきまして、前提として今の米の中間経費が、すなわち食糧公團の経費について、十分の檢討の余地があると確信しております。これを十分檢討して、修正すべきものなら修正して、しかる後にやむを得ざるものを値上げするということでなければならないと私は申し上げておいたのですが、具体的に申せば、生産者から消費者への價格の開きの一番大きいものは運賃であります。この運賃につきましては、運送事情は一年前と現在とは一変しておる。一年前には輸送力が物資に比較して非常に足らなかつたのでありますが、現在はそれが逆で、輸送力が非常に余つて來ておるような状態でありまして、特に現在は海運が陸運の方にどんどん轉化されるという逆な情勢になつておりまして、ここに運送事情はまつたく一変しまして、この運賃関係で非常に公團の経費の点にはチェックする余地がたくさんあるということ、これは私は少い金額のものでないと思いますので、これらにつきまして、今農林省の方で檢討されておるか、もしされておらなければ、十分これは米價の引上げの前提として檢討していただきたいと思います。かように思うわけであります。
○安孫子政府委員 公團の手数料につきましては、今回の消費者價格を決定いたしますについていろいろ檢討いたしております。大体のことを申し上げますと、從來の消費者米價に対しまする公團の手数料の比率よりも、今回の消費者米價を決定いたしまするについては比率を下げるという方向で考えておる次第であります。
○小笠原委員長 大臣がお見えになりましたから、通告順によつて質疑を許します。大臣は予算委員会の方の関係がありますから、簡單にひとつお願いいたします。薬師神君。
○藥師神委員 昨日のこの委員会で、食糧政策の問題について相当眞劔に討議されておつたのでありますが、私はこの問題について、一応大綱の問題について農林大臣にひとつ説明を聞いておきたいと思うわけであります。 日本の現下の情勢において、食糧自給の態勢を整えるということが、最も切実な問題であることは申すまでもないのでありますが、私ども研究と申しまするか、これまでの何から考えてみると、これは私は容易な問題でないと思うのでありまして、容易ならぬというよりも、むしろ一言にして盡すならば、自給自足は今日の段階においては、はかれないといつてもよい情勢にあるの事ではないかと思うのであります。だからといつて、食糧政策を等閑にするという意味ではないのでありますが、私は現在の内閣のみならず歴代の内閣がやつておる食糧政策というものに、非常な疑念を持つておるのであります。私はここにこまかい資料を持つておりませんから、大綱論のみについて申しますが、現在やつておるところの開拓、あるいは干拓の問題についても、再檢討すべき時代に入つているのではないかと思うのであります。それは公共施設費が大幅に圧縮されたということもむろんあるのでありますが、私は干拓の面から見ても、全國で国営の干拓が六十一と聞いております。あるいは間違つておるかもわかりませんが、そのうちで今度取上げられているのが二十八であります。これなどは今の政府において企画したものではないと思いますけれども、全國的にこれを実地調査をして、経費の点、あるいは干拓以後における土地利用の点、そういうものを勘案して指定したものと思いますけれども、実にこれはわれわれが目撃しているところにおいても、莫大なる國帑を費やして、今日ではほとんど流亡してしまつておるような現状なのであります。これは山間部の開墾と違うのであつて、干拓の事業はほとんど市街地に近い方面に多いのであります。岡山縣の児島湾にしたところで、あるいは愛媛縣の燧灘の干拓にしたところで、みな市街地に近い所であります。これなどは私は土地をあげて申しませんけれども、單作地帶のほとんど土地の利用價値の乏しい所と、それからへそれができ上れば非常な利用價値の多い所と、混同されているのではないかと私は思うわけであります。こういう問題を再檢討しなければならぬ段階に入つていると思います。六十一箇所のものを二十八箇所に削減すると、あとのものは一体どうするのか、放棄してしまうのか。中には今まで石積みしているものも、みな流れて港までも埋めているような現状にあるのがたくさんあるのであります。一口にこれを言えば、開拓の政策はもう少し手控えても、干拓の今取りかかつているものは何とか処置をしなくてはならない。港を埋めたり何かして非常なる大きな弊害をもたらしておるという現状を、つぶさに知つておるのであります。昨日も開拓の問題はいろいろ説明があつたのでありますが、われわれから見ると、満州開拓民の引揚げた者であるとか、あるいは帰農者であるとか、あるいは分村による者とかならば、開拓もある程度成功するだろうと見ておるけれども、今日の食糧事情においては、あるいはとうもろこし専門なり、かんしよ専門なりの所に行つてもしんぼうしているけれども、もう少し食糧事情がよくなつたときに、それらが奥地の開拓民として永続し得るかどうかということに、非常なる疑問を持つておるのであります。これは私は食糧問題の根本を申し上げる前提として申し上げるのでありますが、われわれの地方においては、昭和の初期における農産物の値下りで、農村恐慌の時代においては、市街地から約四キロぐらいの所で、水田も畑も全部荒らしてしまつて、植林までした実例を知つておるのであります。今日のような時代においてただ面積さえ廣げればよろしいという考えで、奥地の方をどんどん莫大な費用を投じてやつて、それらのものが永続し得るかという問題については、われわれは非常なる疑問を持つておるのであります。とうもろこしやいもばかり食つてやつて行かれるかという問題であります。金が許せばできるだけやるという方法もありますが、むしろ高知縣でやつておるような焼畑式方法によることが、今日の食糧自給の体制を整える上に最も近道ではないか。五年なり六年なりつくれば、あとはそこに植林して行く。山を切つた跡にすぐ植林するよりも、むしろ焼畑式にこれを開墾して、とうもろこしなりかんしよなりを三年なり五年なりつくつて、循環的にやつて行くという方法が、経費の点からみても、食糧政策に寄與する点からみても、最も有効な方法ではないか。現在のように開拓の方も干拓の方も、やつてはまたそれを台なしにし、やつてはまた台なしにするようなことを繰辺して行つたのでは、実に國家の貴重な國帑を濫費するにひとしいものではないかと思うのであります。昨日大臣は食糧自給に全力を盡すという御意見であつたのでありますけれども、私らの調べている範囲においては、現在のごとく海外移住者が数百万こちらへ帰つて來るし、人口は一箇年に百万以上もふえていつて、どんなそろばんをはじいたつて自給はできません。私は大正元年から二十年間のものを調べて見たのでありますけれども、その間における人口増加による自然消費増は、米の面において大体一%であります。明治六年でありましたかの人口統計は三千六百万でありますが、現在は八千万に近い人口にふえているのであります。この人口の増加率から見る場合においても、昭和十一年、十二年の統計で見ると、酒、みそ、菓子原料等だけでも一千万石を要している米の面において、酒を三百八十五万石もつくつておつたものがわずかに四十万石か五十万石しかつくらない、菓子もつくらないし、みそにもほとんど利用しておらない今日の段階においては、今の状態をもつて食糧を論ずることはできない。ことに雑穀、いも類というものがありまして、この増産についてはずいぶん政府も努力しているけれども、これは工業原料としては幾らでも必要です。今やむを得ぬから食糧の面にまわしておりますけれども、工業原料としていくらでも必要なのであります。この点は農林大臣に言つたところでわからぬ、厚生大臣の方の人口政策の問題と不可分性を持つております。ばかな金を使つて効果の上らぬような仕事をするのであつたら——戦前においても、イギリスにおいてもドイツにおいても、みな食糧は全部自給しているわけじやない。工業生産品によつて食糧をまかなつてもいいわけである。農林省が一つのからの中にこもつて見れば、現在の百八十万トン——石数にすれば約一千八十万石に換算されるが、それで食つていることは事実である。けれども、日本の昭和の初期から支那事変に突入するまでの農村の恐慌は、各種の原因もありますけれども、最大の原因は台湾と朝鮮のいわゆる外地米が、わずかに大正元年には両方で百万石しか入つて來なかつたのが、一千五百万石以上突破するという増産になつたので、あの当時の米穀法にしろ、あるいは米穀管理法にしろ、最後には虫が食うといけないというのでもみ共同貯藏助成法というものができて、いかにして米価を維持するか、いかにしてこれを貯藏するかに苦心をして、これがしまいには二千万石さえも突破したことがあるのであります。そういう現状を見るときにおいて、朝鮮、台湾を失つた現状に持つて行つて、一方には加速度的に人口が増加する。海外の引揚者さえも数百万を数える現段階において、開拓や干拓の不必要論を唱えておるのではないけれども、今日のようにやつては台なしにするような仕事をしておつたのでは、日本の食糧問題は絶対に解決がつかないと私は思つておる。資料を持つておればもつとこまかい農林統計を出して私は説明してみたいと思う。日本の農業の立場は何かというと、收量をあげるといつたところで、反当收量は世界一でも冠たるくらいあげておるけれども、一労力当りの生産力というものが世界では一番低いのである。この面に政府が力を注ぐ余地が大きにあるのじやないか。一労力当りの生産力の増加——反当収量はもう極限に達している。農業というものは反当七俵もとれるじやないか、八俵もとれるじやないかと言うけれども、これは採算基準を離れた多収穫では何もならない。三石とれば収支は償うので、反当四石もとるようなことをしたら、労力の点において、資材、肥料の点においてこたえはしないか。それを一労力当りの生産力を高めて行くというには、もつと科学性ある方法が行われなくては、労力に対する生産力は増強しない。ようやく一人一人の食糧しか生産し得ないような日本の農法では、私はいくらそういうところに國家が莫大なる金を使つたところで、日本の食糧の自給体制というものは絶対に確立しないと思つておる。私の言うのは、干拓なり開拓なりが必要ないと言うのではなくて、金を出そうにもないという段階においては、これは再檢討しなければならないのじやないか。みな迷惑をしておる。それで日本の食糧自給体制を整えるのに、もつと政府として、ほんとうの確立した政策が必要ではないか、こういうふうに私は考えておるのであります。私は別段大臣いじめをしようと思つて言うておるのではない。昨日の委員の質問に対する應答を聞いておつても、その核心に触れていないと私は思うのであります。どうしてもこれは外交によつて、移植民政策というものが再び取上げられ、あるいは一方においては人口を制限するなり何なり、ここに基本的な問題が生れて來なければ、今のようなまるでささの葉で振りまくような公共施設をもつては、農地改良も何もできぬ。われわれは東海道線に乗つてみても、あの全國の中心の地帯において、まだ耕地整理も行われていない濕田が散見しているのを見る場合において、こういう方面の農地改良も——奥地の、將來においては、永続するやらしないやらわからぬ所の開墾などに努力するよりも、ああいう平地の最も交通の便のいい所に、もつと農地の改良をすることが切実な問題ではないかと私は考えておるのであります。私はこれは専門とは申しませんけれども、徹底的に調査したのですが、長くなりますから申しません。ただ食糧政策の基本について、どうもピントがはずれたように思うから、私の意見の一端を申し上げてお伺いをしてみたいと思うわけであります。
○森國務大臣 薬師神君から、いろいろ農林行政の根本について、御意見がありましたが、まことに同感であります。日本の人口問題と食糧問題を考えますときに、前途一体これをどうするのかということは、國民ひとしく心ある者として考えなければならない問題でありますが、一日も早く、食糧の自給体制を整えなければならぬことはもちろんであります。この気持から、しからば今お話のように、限られた国土で、限りなく増加する人口をどう包容して行くかという問題にぶつかつて來のでありますが、しかし消極的ではありますが、食糧の消費面においても、われわれは是正しなければならぬ問題があります。また食糧増産の面においても、なお残されたる面があります。また人口問題解決の上についても、いろいろ厚生施設の方面において、考えなければならぬ問題もありましようが、今日におきましては、できるだけ食糧を増産して、連合國のやつかいになることのいらないように施策を持つて行くことが、早急の問題と考えておるのであります。それにつきましては、今例示されました干拓の問題、あるいは人口の問題、土地改良問題等、御批判になつたわけでありまするが、いかにも今日までの干拓事業、開墾事業ということが、総花式に振りまかれております。これは経費が許されるならば全部を着手いたしまして、三年かかろうが五年かかろうが、これを完成することは、この食糧問題解決の上において適当なやり方であります。当初政府の考えました予算におきましても、干拓の問題が九十箇所を予定されていたのが、なおこれを二十七箇所、三十箇所に制約されなければならないような事態になつたのでありますが、それがなお節約をせなければならぬ予算の編成状態でありまするから、一層重点的に干拓等の問題は考えて行かなければならないと思うのであります。お説のごとく、たとえば、瀬戸内海沿岸のごときも、すでに漁業権の買収を終りまして、着手して以來二年、三年を経過して、ただ廣漠たる海岸に捨石が少し打つてあるというような干拓予定地もあります。干拓地によりましては、もう一いきでこれが完成する。もう一年やればこの問題が解決するという干拓もあります。こういうふうな予算のきゆうくつな時代においては、重点主義によつてこの干拓の完成を急ぎ得られるものは、急いで完成したい。なおすでに予定計画に入りまして、これがなお数年を要する、また巨額の経費を要するというようなものは、自然その時期を繰延べて行かなければならぬ事態にあるのであります。これは予算の実行の上におきまして、十分なる考慮を加えて行きたいと考えておるのであります。 なお開墾の上におきましては、満州、シベリヤ等から引揚げて來られた、いわゆる体験を持つ人、引揚げ後の仕事がない、住まう所もない、こういう方々に対して、長い間のその尊い体験を活かして、そうしてこの干拓、開拓地に入植してもらうというようなことは、これはまた妥当なことであり、その政策をとることが必要と考えているのであります。しかし今日までの開拓地入植の状況は、決して成功ではありません。それは戰災者であるとか、あるいは引揚者であるとか、そういうようなものを、ただほうり込んでおけばいいというような氣持ちで、開拓に開墾に従事いたしました結果は、遂に一、二年にしてとどまれず離散したというような情勢が、過去においては相当あるのであります。これはかつて満州において、日本が開拓をやりましたときの一つの失敗を繰返しているのであります。なるほど廣漠たる荒地をもらう—何百町歩という荒地をもらつて、いわゆる自分の畢生の事業としてそれを開拓して、そうしてりつぱな耕地をつくり上げる。耕地をつくり、上げて、ここで相当の農業收入を得る段階に入りましたが、さて子弟の問題を考えて、こんな所でどうするのか、ともし火一つない所で、そして子供が教養する学校もない、自分は内地が苦しくてここへ出て來た、満州で開拓してこの基礎をつくつてみたが、これで子孫にゆずれるか。こういうことで、子供は遂に内地の学校に入れる。あるいは小学校の設備がありましても、中等学校の設備はないから、自然二重生活をやらなければならない。せつかく一代で築き上げたこの尊い事業が、遂に一代限りに終る。これは満州開拓の失敗の歴史であります。こういうようなことを繰返してはたいへんでありまするが、その入植者に対しましては、將來一町五反なり二町歩の開墾をいたして、ここにほんとうに落着くところの農業経営が営まれる素質を持つ土地に、入植させて行かなければならない、こういう氣持を持つておるのであります。この点につきましては、満州、シベリヤ等で苦心された方には、尊い体験を持つておられます。決して私一代では終らしません、永代続いてこの未耕地を開拓して、ここに新しき村を築き上げるんだ、こういう氣持を持つて勇み立つておられるのでありますが、そういう方面に対しましては、政府といたしましては、学校の施設等、その他文化と大げさに言う必要はなくても、相当農家として生活し得るところの施設を持つような計画を進めて、永年そこに落着いてもらうようなことをやりたい、かように考えるのであります。 なお話があともどりしますが、開拓、開墾に対しまして、今日までの経費の使途については、実に何と申しましようか、あと始末の悪い、乱暴な、ただ計画を立てたなり、あとのことも考えずして着手をした面もあるのでありまして、まことに國帑の濫費と言われてもしかたのないような点があります。こういうものに対しては、この際再檢討を加えまして、勇敢に廃止するものは廃止してしまうというような処置に出でたいと思うておるのであります。何分尊い國費を使う場合でありますから、有効にこれを使つて行かなければならぬと思います。今日の開拓の経費は一反歩、土地によつて違いますけれども、少くとも数万円を要するのでありまして、こういう尊い國費を使つて耕地をつくるのでありますから、將來性のない所に向つては、相当これは考慮を要すべきものである、かように考えておるわけであります。なお人口問題と食糧問題の將來につきましては、これは大いなる問題であり、私もこの問題については、相当考えも持つておるのでありますが、時間を要しますので、またの機会に申し上げて御批判を仰ぎたいと思うのであります。
○藥師神委員 大体においては了とすることができたわけでありますが、私は簡明に申し上げたのでありますけれども、一言に言うと、私は開拓よりも干拓の方に重きを置くべきものだということを申し上げておきたい。なぜかというのに、今言うように満州の人たちが帰つて來たとか、帰農者とか分村によるものとかいうように、永続性の保障し得るものは開拓もよろしいのでありますが、今日われわれが散見しておるところは、大部分失敗しておるのを見ておる。私は、この昭和の初期がら支那事変に至るまでの間、既耕地がどれだけ放棄されたかをよく知つておる。こういう面から見て、將來の食糧事情が緩和した場合においては、放棄する必然性の多い奥地の開拓というものに力を入れるより、市街地にほとんど接続しておるところの干拓事業に力を入れることの方が、全体に対してよくはないか。ただ問題としては、この干拓に対して、一反歩当りが三万円、四万円、五万円というような膨大なる費用を投じて干拓をやることがよろしいかどうかという問題は、今日大いに檢討さるべき問題ではないか。関係方面から、日本が食糧を一粒も外國から仰がないように自給しろという指令があれば別でありますが、この点は、台湾と朝鮮を失つた今日の現段階においては、一面においてばかな國費を使つてやつて行くのならば、一部分は食糧の輸入に仰いでも、立國の上から何も不自然ではないと私たちは思つておるのであります。結局これは戰前の状態から調べてみると、やはり人口一人当りに一石の米を要しております。その中には酒米も、菓子原料も、みそも、しようゆも、みな含まれておりますが、大体一石が標準となつておるようであります。してみると、今日八千万の人口があれば八千万石を要するわけであります。それに人口の増加によるところの自然消費増というものが、二十箇年の統計によつて見ると、約一%でありますが、一年に八十万石の米がふえて行かなければ——現在の食糧事情、現在の耐乏生活の事情は標準にはなりませんが、日本が食糧自給態勢を願うならば、八千万石を要するのであります。これは雑穀、芋類を食つてです。してみると八千万石の米といえば、われわれの住んでいる愛媛縣は相当大きな縣でありますが、山岳が多い。しかしそれでも四万幾千町歩あります。この愛媛縣ぐらいの縣が毎年一つずつふえなければ、この問題は解決がつかぬのであります。日本の食生活を、根本的に改革するということになれば別であります。水田経営をもつと狭めて、根本的の改革をやるということになれば別でありますが、米を基準として考えれば、私がはじいたそろばんから見れば、これはいくらじたばたしたところで、一箇年に八十万石の米をふやして行かなければならぬ今の人口におきまして、朝鮮、台湾の千五百万石を失つておりますから、これを基準にして考えなければ、日本の食糧政策はわかりません。どうかこの点は根本的に御檢討願いまして、そうしてほんとうの食糧政策の方針を立てていただきたいと私は思うわけであります。 なお主税局からお見えになつたそうでありますから、一言お尋ねしたいのは、農業課税の問題であります。これは前から懸案になつておるのでありますが、この点について今度農林省の方で提案になつております。つまり農業勤労に対する雇用者に対しては、これは生産費として見ております。家族労働についてはこれを生産費と見ていない。從つて世帯主たちは基礎控除になつておるが、これは家族であつても農業に從事するものは基礎控除をするのが当然であるという点であります。超過供出に対する課税は源泉一本による、こういう提案でありますが、私もこれはなさざるよりはましであつて、一歩前進だとは思いますけれども、この程度のことでも、主税当局においては、十分この点を是認して、これを実現される御意向であるかどうかということを承りたいのでおります。私たちはもう二歩進んで考えたい。超過供出の分も匿名供出になつているはずだから、一石一万円以上に上げても、税金をとられれば六千円か七千円になるのですから、米の値段は少し安くても、匿名供出にしてこれを課税対象にしない、供出の基準にはしないということがはつきりすれば喜んで出すと思う。また出し得るように持つて行くことが政治の要締である。單に主税局の方で、税金は税金で別の世帯だからとれるだけとれというような状態では、この問題は解決がつかないと思います。 それからもう一つは、今申しました労働であります。この間も、会社組織にすればどうかという話がありましたが、これは農業の方からいえば、米にしても麦にしても、いもにしても、供出という一つの大きな責任が附随しております。供出というものは一面からいえば課税を意味すると思います。自由價格によつて、それに税金をかけるのではない。すでに私は課税を意味しておると思います。この点のしんしやくが行われなければならぬと考えるわけであります。 それからなお主税局から出しておられるところの農業所得に対する所得税の実務要綱なるものを見ますと、埼玉縣と千葉縣との調査の結果が出ておりますが、これは私は事実に架空なものではないかと思うのであります。時間がありませんから詳細について質問することができないことを、はなはだ遺憾といたしますが、本年度の税においても、一言にして税額にして三千万円くらい天引して負けたことを私は知つております。それではなぜ負けたか、その理由は申し上げませんが、これを見ても最初主税局なら主税局から、各府縣の税務署に割当てたとき、大きな水増しが行われておるのではないか。腰だめの水増しが行われておるのではないか。それで相当な額を引いても、予定の収入は微動だにしないと私は思う。今日こういつたりつぱなものがあるかどうか知りませんが、こういう課税基準が出ておるにかかわらず、この元は私は不合理だと思いますけれども、これを整つたものと前提して考えても、今日の農業課税というものは、役人の一方的意思によつての、ほとんど腰だめの課税であるということを、私は痛切に感じておるのでありますが、この点について御意見を聞かせていただきたいと思うわけであります。
○平田(敬)政府委員 農業所得に関する課税の問題についていろいろ御意見がございましたが、一番最初にお話になりました、農業の経営に、農業所帯主と申しますか、経営主以外の家族が多数從事しておる場合がある。そういう場合におきまして適当な控除をすべきであるという御意見でありますが、この点につきましては、私どもも相当理由があると考えまして、先般の税制改正案をつくる場合におきましても、考慮の一点に入れていたのであります。ただ一般の雇い労働と同じように、その人の労賃に相当する額を控除することは理論的に妥当ではないと考えております。ただ現在は何らの控除をいたしておりませんので、少くとも家族控除くらい以上の控除、そういう控除をする必要があるのではないか、でき得れば基礎控除並みの控除をするということは、一つの有力なる考え方でありますが、他方所得税の全体の歳入の用途がございますので、そういう点も併せ考えまして、將來の税制改正の際には、何らかの方法によりまして、実現方をはかりたいと考えております。 それから第二点は超過供出に対する課税の問題でございます。この問題につきましては、実は昨年以來農林当局ともたびたび打合わせをいたしましたし、それから日本政府部内におきまして、ある程度の意見をまとめまして、関係方面ともしばしばこの折衝を重ねたのでありますが、その結論は、先般予算委員会におきましても申し上げましたように、結局かようにおちついたのであります。基本的には食糧の供出が大事であるということは、私どももちろん否認するわけではありません。と同時に、現在御承知の通り非常に一般的に税が重くなつておる。從つて所得税としましては、やはりいやしくも所得があればそれ應分の負担はしてもらう。この原則はなかなかなかはずせないのであります。一つくずしますと、石炭の場合におきましても生産奨励金は免税すべきだ。工場の場合におきましても超過労働の対價に対しましては免税すべきだ。いろいろ議論が波及して参りまして、所得税のシステムをこわして行く、相当大きくこわしても、なおかつ歳入があがつて、何とか國家財政がまかなつて行けるときでありますれば、これはある程度大きく所得税のシステムをくずして行くというのも、一つのポリシーだと思いますけれども、現存の段階では、御承知の通り勤労所得税も非常に高い税金を天引きされておりますし、商工業者も決して軽くない、非常に重いという非難がございますので、各方面とも相当重い所得税の負担をしんぼうしていただかなければならぬような現状であります。これは私どもは、できるだけ財政需要を圧縮いたしまして、所得税の控除その他を大幅に上げまして、所得税をなるべく少いものにしたいという考えを持つておりますが、財政の現状はなかなかさようなところに参つておりません。そういう状態でありますので、所得がある場合に税金を納めなくてもよいというところには、なかなか行きがたい点をまず御了承願いたいと思います。そういうことを考えます。しかしそれとは言うものの、超過供出をやる場合におきまして、いろいろ特別な関係もあるから、何とか考えたいというので、昨年も農林省当局と相談しまして、案をつくつてみましたが、結局におきましてはかようなところにおちついたのであります。それは超過供出をするような農家は、肥料その他相当生産費に、普通の場合にくらべて余計な費用を注ぎこんでいるというようなことが多いだろう。これは個別的な事実につきましても相当多いのでありまして、おしなべて推測いたしましても、さような点が多いようだ。從つて所得税の所得の計算上当然見るべき経費ですけれども、ややともすると見そこなう場合もございます。そういう経費につきましては、この際実情に應じまして、極力十分に見るように、そして見た上でなお所得があるという場合におきましては、これはこういう際でございますので、所得税を納めていただくのはいたし方ない。かような結論におちついたのであります。その経費を見る場合におきまして、実は一つの案として、なかなか個々の農家について見るのはむずかしいから、中央が一律に何割か控除する案をつくつて見たこともあるのでおりますが、これはやはり理論的でないというので実はなくなつたのであります。結局個々の農家につきまして、まず第一に各農家が申告していただきまして、申告によつて、ほんとうに経費がかかつた方は申告してもらう。一方税務署が調べまして、この申告は少し行き過ぎだという場合はしんしやくする場合もあるけれども、とにかく超過供出のために要した費用につきましては実情に應じて十分に見る。それを中央から一定の控除率等を示すということも研究してみたのですが、それはどうも非常にロジカルでない。結局個々の農家につきまして申告して、税務署がよく調べて、実情に應じた課税をする、こういうことに相なつたのでございます。しかし個々の農家全部についてできませんから、申告をできるだけ尊重して、同時に各地区ごとに状況が類似する場合が相当多いと思いますから、各税務署等におきまして、実情に應じた課税をする、こういうことに昨年いろいろ研究いたしました結論は相なつたのでございます。それに対しまして今お話の源泉課税だけやつて、あとはほうりつぱなしだ、これも一つの案で、そういうことも実はいろいろ研究してみたのでありますが、その案によると、さつき申しました所得税の鉄則と申しますか、原則にはずれることになります。御承知の通り所得税は家族が多ければ負担が非常に軽くなるわけでありまして、基礎控除等もございます。零細農家等の場合は非常に負担が軽いが、源泉課税になると一率になる。あるいは多額の経営をしておる農家の場合は相当の負担になると思いますが、そういう場合に軽くなつて、零細農家には重くなる。それを非常に高いところにきめますとむりになり、非常に低いところにきめますと、先ほど申しましたような原則に相反するというので、今の預金の課税は、無記名預金は御承知の通り六〇%の課税になつておるが、こんなむちやなことはもちろん農家の場合できませんし、いろいろ研究いたしておるのでございますが、どうもなかなかいい結論を得ませんけれども、さつき申しましたような趣旨で、この際としては行くよりはかなかろう、大体かような結論に現在のところなつております。もつともこれに対しましては、農林省からさらに研究案を出しておられますので、なお研究をいたしてみたいと思いますが、昨年度のたびたびの共同研究並びに関係方面との折衝の経緯にかんがみまして、先ほど申し上げました結論から、相当飛躍したさらに案を実現するということは、今の見通しといたしましてはなかなかむずかしいじやなかろうか、かように考えておる次第でございます。 それから農業所得の課税の問題につきまして御意見がございました。これは実際御指摘の通りなかなか正確な所得を計算することはむずかしゆうございまして、昨年は御指摘になりました、農業所得の算出要領というパンフレットをつくりまして、税務当局に流すとともに、民間の團体等に流しまして、極力お互にわかり合つて納税していただくということで、標準率のサンプルを出しております。これはもちろん一つのサンプルにすぎませんので、そういう方法によりまして、できる限り各地の実情に即して申告していただいて、それを参考にして、各納税者の自分の個別的事情によることは、十分考えてもらつて納めてもらうように、かような指導をしておるのでございます。その申告が思うように行かなかつた場合には、税務署の見るところによつて決定する、かようなことをやつたのでありますが、北海道方面はその結果非常にうまく行きまして、大体九十パーセント程度は申告だけで済んでおりまして、一割くらい更正決定になつておるようでございます。それから東北、北陸地方も相当税務署によりましては團体等への協力の呼びかけ方がよかつたのでありましようか、相当御協力を得まして、更正決定が非常に少く済んでおるところもございます。しかしどうも西部、九州方面におきましても、必ずしもいい成績を上げていないようであります。そこで本年度といたしましては、さらに標準率のつくり方につきまして、実情に即するように、一層研究させたいと思います。 それともう一つは、標準の適用のし方につきまして、実は私どもなるべく一律に行かないように、同じ村内におきましても、納税者の状況が違うから、なるべく差異をつけて所得を決定するようにということを、やかましく申しております。これにつきましては、遺憾ながら税務署も十分の人手がありませんので、私どもはまじめな團体並びに町村長のできるだけの協力を求めまして、それによつて円滑にして適正な課税が期待できるように極力運動に努めたいと考えております。その標準率のつくり方、あるいは算定要領のこまかい問題につきましては、別途の機会に係官等をさらに差向けてもよろしうございますから、よく御意見を承りまして、できる限り適正なものをつくつて指導させたい、かように行えている次第でございます。 なお最後に、先ほど供出は税金だと言われたのでありますが、この点はどうも見解がやや異なりまして、供出の價格はあくまでも適正價格で行かなくちやいけないので、その價格がいいかどうかは問題だと思いますが、その價格によつて出すものは、やはり出すものであつて、税金だと言うほどまで観念するのはどうも行き過ぎではなかろうかと、かように考えておるのであります。極力私どもといたしましては、各納税者の実際の所得を捕捉いたしまして、適正な課税をし、税率その他全体の問題として、税制改正の問題がございますが、私どもといたしましては、財政の許す限り、軽減して行く方向に持つて行きたい、かように考えておりますことを最後につけ加えておきます。
○小笠原委員長 吉川久衛君。
○吉川委員 大臣は大分お忙がしいようでございますから、私は簡単に二、三お尋ねをしてみたいと思います。 昨日農林予算に関する大臣の御説明を承つておりますと、どこに重点があるのかわからないという感じは私も受けたのでありましたが、井上議員の御指摘に対しまして、日本の再建は食糧の確保にある。農林行政も重点を食糧の増産に置くんだということがはつきりして参りましたので、私も安心をいたしておりますが、しかし予算の面を拝見いたしますと、どうしてもうなずけない点ばかりであります。これのよつて來るところは、農業恐慌というものが食糧農産物の過剰によつて来るのではないか。 〔委員長退席、松浦委員長代理着席〕 從つて農業の改良発達というものに、それほどの熱意を持つておられないのではないか。もしそうでないとするならば、もう少しこの問題について御熱心でなければならないと思うのであります。 もう一つ、関係方面の、日本の農業というものに対する考え方が、私がかつて満州で見て参りました通り、当時の日本の満州におけるやり力を見ておりますと、あの大陸の農業に対して、この島國の農法をもつて当てはめようというような傾きが非常に強くありました。アメリカが今日本の農政に望んでいるものも、またそれに似たものがあるように私は感ずるのであります。從つて日本は日本なりの一つの農業政策があるのだということを、はつきりと認識させるような、御努力がなされなければならないと思います。しかるに農林予算のその筋との折衝は、ことごとく大藏大臣に委ねられているように私は聞いております。大藏省の農村に対する認識というものは、私昨年この部屋で農林省、大藏省関係の方々をお招きしまして、懇談会をいたしましたときに、農業約手の問題に対する大藏省の見解では、肥料というものは肥料公國で扱うもの以外にはないというような考え方でありました。農業会等で扱うところの有機質肥料というようなものは肥料の仲間に入れられなかつた。そんな肥料もあるのかというような状況でありました。こういう認識を欠く人々に農林予算をすつかり任せ切りにしておくということで、日本の農政がほんとうに皆様方の御期待できるような結果が得られるかどうかということを、深くお考えを願いたいと思うのであります。 農村恐慌につきましては、私の意見を申し上げるにはあまりにも時間がないから略しますが、農産物の過剰から來るところの恐慌よりは、農林行政があまりに消極的なために、他の面からの圧迫が強くて、そして農民の負担が過重なために、いろいろの面から圧迫を受けまして、そして日本の経済の復興は農民の犠牲においてなされるというような、そういうやり方から來るところの恐慌が、むしろ憂慮されて然るべきであろうと思うのであります。こういう点につきまして、農林大臣はどういうようにお考えでございますか、御意見を伺いたいと思います。 次に、農林大臣は、予算の数字にのみとらわれないで、機構改革、機構を整備することによつて十分目的が達せられるような御意見を伺つたのでありますが、その中で、農事試驗場等を統合整備して、そして所期の目的をあげるというような御意見が一つございましたが、私は農事試驗場等を—これはおそらく府縣にあるものを指しておられるのではなかろうかと思いますが、そういうものを統合して、はたしてその効果が期待できるでありましようか。日本の農民は、農事試驗場の一つの研究の結果は、耳から傳えてもこれを実行に移すことはまことに容易ではありません。むしろ目から入れて、そして実行させるということの方がきわめて近道のように思います。そういう点から考えますと、試驗場は、サンプル的な試驗場をできるだけ多くつくりまして、そして目に物を見せて、それによつて刺激を與えて、それによつて改良の意欲を注入して行くというようなお考えがあるかどうか伺いたいと思います。 それから、それにつけ加えまして、農業改良助長法によるところの技術員の設置の問題であります。ねらいはまことにけつこうでありまして、私も双手を上げて賛成いたしますが、その予算を拝見いたしますと、きわめて申訳程度の技術員の設置でございます。数箇村をかけ持つというようなやり方では、村から村へただ渡り歩くというだけで、ほんとうに落ちついて技術の指導はできないと思います。まことに不徹底な結果に終る。從つて予算は空費するにすぎない。何らの効果も期待することはできないという状態であると思います。この点について、もつと強化する御意思ありや否や。これを伺いたい。 次に大豆のお話の中に、國有林を民有林に移管するようなお話がございました。これは財政上の見地からでありましようか、あるいは農林政策の見地からでありましようか、財政の見地からであるとすれば、先日行われました政府の施政方針演説の中にありました財政の強化、健全財政の堅持の建前から、國有財産を拂い下げるという御意見がございましたが、それと一連の関連を持つて、國有林を民間にお移しになるのであるかどうか、農林政策の見地からもし拂い下げられるとするならば、はたしてこれがどういう結果になるかということについて、私は少からず疑問を感じておるものでありますから、この辺についての大臣の御所見を承りたいと思います。ついでに山の関係でございまするが、造林法のごときものを一制定なさる御意想があるかどうか。 それからもう一つ農村の経済の中心となるものは、町村の農業協同組合の育成の問題であろうと思います。何と申しましても、これからの農村は農業協同組合が健全なる発達をいたしまして、生産増強のあの協同組合法の精神にのつとつたところの事業が運営されて行つて、始めて村の経済は確立されると考えるのであります。しかるにただいま見まするところの農業協同組合の状況は、政府の政策と、農林省の不当なる干渉と申しては言い過ぎるかもしれませんが、これによりまして、むしろその発達を阻害されているということが言い得るのであります。その第一点は、業種別の連合会でなければつくつてはならない。総合的な協同組合連合会をつくつてはいけない。そのために各府縣における連合会は、少くて四種、多くては十種を越えるのであります。私の長野縣のごときは六連合会ございます。この幾つもの連合会に、会長あり副会長あり、多数の職員を抱え込んで、その人件費だけでもほとんどささえきれない状況にあります。そして各單位町村の農業協同組合に負担金をかけます。そして協同組合が、さなだに赤字のために四苦八苦をしておる現状でありますのに、組合員に対する利用高に応じての割もどし金どころの騒ぎではない。増資々々でもつて組合員のいやがることを強行せざるを得ないような状況にあります。これはとりもなおさず連合会が幾つも頭を持つているということであつて、そのために、農民のために組織されたところの農業協同組合が、遂には組合員である農民の搾取機関になつているということは、はなはだ遺憾にたえない事実でございます。もう一つ協同組合の発達を阻害するところのものは公團方式であります。もちろん政府は農業協同組合が確立するまでは、ただいま公團に行わしめているような仕事をただちに行わせるということは、あるいは杞憂される点もあるでありましようが、すみやかにかくのごときものが廃止されまして、協同組合にその事業を移管させて、そうして協同組合の健全なる発達、育成のために寄與されるような方策が、とらるべきであると思うのでありますが、これに対しまして農林大臣の御所見を承りたいと思います。以上簡単に要点だけを申し述べます。
○森國務大臣 お答えいたします。農林行政に対して、はなはだ私が熱がないというおしかりでありましたが、今日許されている予算の範囲内におきまして、食糧増産の主目的のためにあらゆる勢力を拂つておるのであります。熱意がないとかあるとかいうことは、よくごらんを願つて言つていただきたいとおもいます。私としては、一所懸命に食糧増産のために努力を続けて行きたいと考えております。 農事試驗場の整備についての御批判があつたわけでありますが、なるべく廣くああいうようなものは施設して、目に見せて農家に知らしめる方がいいではないか、こういう御意見でありましたがその通りであります。目に見せ、耳に聞かせるということが必要であるのであります。またもう少し徹底的に農民の手をとつて教えるというところまで行かなければ、試驗機関の目的が達し得ないと思うのであります。しかるに昨日でありましたか一昨日でありましたか申しましたように、あまりに試驗場の設置が形式的であり、しかも経費関係から試驗場の目的を十二分に達成することができ得ないのであります。いわゆる帶に短かしたすきに長しで、どうも一つとして完全に農事試驗場の目的を達成することができ得ないような現況に置かれておるのであります。それでありますから、この際これを総合いたしまして、ほんとうに農事試驗場の使命を達成するような試驗研究ができ、農民の目に見せ、耳に聞かせて、手をとつて教えるような指導機関たらしめるように強化をいたしたのであります。さよう御了承を願います。 なお國有林の問題につきましては、今國有財産といたしまして、いろいろ民間にこれを拂い下げた方がいい、國家として持つているよりもこれを民間に移した方がいいという財産もありますし、国家が持つておつても不要のものもありますから、これを民有に移して、これに財源を與えた方がいいというものもあります。国有林の問題につきましては、この政策の上から財源として考える点もありまするが、國有林として國家がこれを経営するよりも、環境のいかんによりましてはむしろこれを民営に移して経営さした方が、國土保安の上から、森林造成の上から申しましてもいい、こういう立場のものは民間に國有林を移して行きたい、かように考えているわけであります。 なお協同組合の発達につきましてお話がありましたが、御承知の通り、農業協同組合は設立まだ日が浅いのでありまして、十分独立いたしておりません。しかしこれがいかにも農林省が干渉いたしておるような御意見でありましたが、決して干渉はいたしておりません。 〔松浦委員長代理退席、委員長着席〕 もともと、農業会という時代におきましては、政府の一つの出店とでも申しますか、政府の考え方によつて指導も監督もやつたのでありますが、この農業協同組合は、眞に農民諸君の自主的にできておる協同組合でありまして、絶対干渉はいたしません。ただ今創設間もないことでありますから、どうかしてこの協同組合が完全に自主的に発達いたすように指導員の養成につきましても、わずかでありますが、二千万円ばかりの予算をとりまして、指導員の養成等に今努力いたしておるのであります。何分今できました新店のことでありますから、ここ二、三年経てば相当独立して行けるように、またりつぱな協同組合に育つて行くように考えるのであります。でありまするから、今協同組合と公團との関係をお述べになりましたが、発達して完全な、りつぱな農業協同組合になりますれば、今政府のやつておりまするような公團の事業等は、もちろん協同組合にやつてもらつていいものも中にはあろうと思いますが、まだ発達の過程にあり、これを今ただちに農業協同組合にお願いするというまでは行つておらないのであります。今後協同組合が眞に協同組合として、農民自体のほんとうの組合として、完全に発達してもらうことの一日も早いことを祈ると同時に、そういう場合におきましては、この協同組合の力によつて、こういう仕事をぐんぐんとやつてもらうようにいたしたい、かように考えておるわけであります。なお指導員の問題でありますが、技術員は今七千五十人ばかりおりまして、これがつまり各一町村に一人はまだ配置できておりません。おりませんが、將來これは一町村に一人ずつ技術員なり指導者を置きまして、さらにこれを総合的に指導する専門的な指導員を縣に配置いたしまして、第一線に活動してもらう重責をやつていただきたく、かように考えておるわけであります。
○吉川委員 大臣のお話を伺いまして、はなはだ了承に苦しむ点もあるわけなのですが、二、三なお伺つておきたいと思う点を申し上げます。 民間に移した方がよいものは民間へ國有林を拂い下げるというお言葉がございましたが、民営に移管いたしますと、そうでなくともただいま荒廃しておりますところの山を育てることは、私は絶対に不可能であろうと思うのであります。これは國土計画の上から考えましても、治山治水の問題から考えましても、ただいま重大な問題になつておるのであります。そこでもし國有林を民有林にお移しになる場合には、造林法というような制度をお考えになつていらつしやるかどうか。 それから農業協同組合について干渉はしてないとおつしやいますが、農業協同組合法の第十條が改正になつていないのに、農政局長の通牒であつたと思いますが、各府縣にその通牒が出まして、そうして総合的なものをつくつてはならぬということになりまして、ただいま幾つもの先ほど申し上げたような連合会ができて、人件費だけでも今やまさにつぶれんとしておる状況である。そのために農民のための農業協同組合が、農民の搾取機関になつておるのだという事実が、あるのであります。これに対して農林大臣は、すみやかにさような通牒を撤回させて、総合的な理想的な協同組合を整備させるというような考えがあるかどうか、そうして協同組合が堅実な発達が望めるようになつてから、公團等をだんだんに整備して行かれるようなお話でございましたが、私はただいまの農林大臣のお話の程度のやり方では、はつきり申し上げられると思います。二年にして、全國の農業協同組合はほとんど赤字のためにぶつつぶれてしまうということが申し上げられるのであります。この農村の経済の中心となるところの協同組合を育成するがためには、それの発達を阻害するところの隘路となる諸問題を取除いてこそ、初めてこれが正常な軌道に乗るのであります。協同組合がはつきりしてから公團等を整備して、そういうものへ載せて行くんだというお考えは、むしろ逆じやなかろうかと思うのであります。しかも農業協同組合は突然生れたものではありません。それぞれ長い歴史を持つております。そうして、ただ法的措置によつて、昨年の春からそれぞれ新しく誕生しておるような形にはなつております。けれどもそれぞれの歴史を持ち、それぞれの経済的な基盤を持つている團体でありますから、これは指導の仕方によりますれば、必ずや大臣の御心配になるようなことはない。相当な仕事を負荷させても、これをやつて行けるだけの、実力を持たし得る資格のある團体であるということを、私は強調したいのであります。
○森國務大臣 さつき答弁漏れになつておつたこの協同組合の第十條は、これは相当問題になつたのであります。立法されました当時、この十條は認められてあつたのでありまするが、その創設前に十條によつて連合会を組織することはどうかというような意見が関係方面からもたらされまして、法にはそういう連合会ができるようになつておるが、やつてはいけないというような、今お話のような矛盾した情勢が一時とられたのであります。しかし何とかして、これはお話のように、ああたくさん連合会をつくつてしまいますと、ほんとうに出資の面だけでもたいへん組合は迷惑をいたしておるのであります。それでいわゆる集中排除法、独占禁止法にさわらない程度において、相当の力強き連合体をつくることがよいのではないか、かように実は考えておるのでありまして、そういうような方向にこれは近く是正して、指導の方針をとるように研究を進めて行きたい、かように考えておるわけであります。なお協同組合は長い間の経驗と歴史を持つておるとおつしやいましたが、この考え方はひとつなお御研究を願いたいのでありまして、決して農業協同組合は前の農業会の変形ではないのであります。農業会というものはまつたく解消いたしまして、ここに新しく農業協同組合というものがつくられたのであります。それでありますから組織分子も違つております。農業会がそのままなお協同組合に変形したものではないのでありまして、ほんとうに自治的に、耕作農民が自分らのための組合だという意味で結合された農業協同組合でありますから、昔の農業会が変形して農業協同組合になつたというわけではありませんから、まだまだ農業協同組合として眞に大きな仕事をどんどんやるというところまでの整備は、ここ一、二年は要するのではないか、かようにも考えるのであります。從つて公團の取扱つておるような仕事が、今後どうなるかわかりませんが、そういう仕事に対しましても協同組合が活用していただけることは、農業協同組合として眞の事業ができ、組織がりつぱにできて、さらにその組織が活動し得られるというような氣運に向いたときには、そういうようなことをその協同組合に取扱つてもらうようになるのではないか、かように見ております。 なお國有林の拂い下げについて御心配の御質問でありましたが、必ずしも山というものは百年も切らずにしておくことが山林経営の目的ではないと思います。今日本材の需要のことは御承知の通りでありまするから、これはある年数において更新しているということで、初めて山林経営の目的を現わして行くのでありまするから、国有林としていつまでも持つている、これを民有林にやると、濫伐、過伐してしまうというようなことでは、これは國土保安の上からたいへんなことになるのであります。いつかも申しました保安林というものは、戰争においてずいぶん乱暴に解除されまして、過伐、濫伐の弊に陥つて、ついに國土保安をじやましたようなことになつておりまするから、今度保安林の整備をやりたいと思つておるのであります。保安林の整備とともに、あわせて國有林におきましても、これは民間に民有林として拂い下げて、そうしてこれを利用するということを考えて行きたいと思います。それはただ單にこの山は切つてもいいのだというような乱暴なことでなしに、今お話のように相当の、造林法というようなものも今研究を進めておるわけでありますが、そういうものと相あわせて、國土の荒廃しないということにおいて、林野をできるだけ利用して行くという方法に考えて行きたい、かように考えておるわけであります。
○竹村委員 時間の関係で簡單にお尋ねしたいと思います。農林大臣は極東委員会から指令された農民組織十六原則をどういうふうにおお考えになるが、これと経済九原則との関係、ひとつこれの所見を承りたいと思います。これが一つ。それからその次には、先ほど古川氏も質問されました労働組合連合会のわかれている問題であります。これは近いうちに統合する考えである、こういうように承りましたが、しかしその前に極東委員会から指令された十六原則の中に、いろいろな行政的組織で農民の自由の意思を抑えてはならぬという項目があるのでございますが、今から考えて、近いうちに何とかしようというよりも、少くともこの十六原則というものを忠実に実行する氣であるならば、当然これは統合されているはずでありますけれども、この点についてひとつお伺いしたい。 それから先ほどいわゆる米價の改訂、消費者價格の改訂の問題について、安孫子さんは、いわゆる赤字をその中に含めない、こういうふうにおつしやつておりますが、農林委員会の打合会において、物價廳の長谷川第二部長は、赤字は米價の中に含める、こういうふうに言つておられるのであります。そうすると、これは政府の方に二つの意見があることになつて、どちらがほんとうか苦しんでおりますので、大体含めるか含めないか、大臣のはつきりしたお話を承りたい。 それから農業共済保険組合の各町村に対するところの職員給料の補助の問題でございます。昨日ちよつと申し上げましたが、これは明答がなかつた。つまりこれは三分の二を補助するということに規定されておる。従つて給料の改訂にあたりまして、三千七百円ベースから六千三百円ベースに改訂されたものが、三千七百円のままの三分の二しか補助されていない。大体全國では二十三年度六千六百万円になると思うのですが、この二十三年度において補助されていないは、もう打切りにされるのか、これは当然補助しなくては—各町村ではそれを予算に入れておる。保健組合で入れておる。これをいつどういう形で出されるか、この点をひとつお伺いしたい。 それからもう一つはいわゆる今日の食糧確保臨時措置法によりますれば、供出の割当に対しましては、その基礎をなすものは、いわゆる地方の問題を判定してからしか割当はできないと思います。しかし地方調査というものは、ほとんどやられていないから、全國において供出をめぐつて非常な悲惨な、人が死んでおる、自殺をしておるような問題も続出しておりますが、これに対して、地方調査というものをどういう形でおやりになるのか、これは予算面に現われていないので、これだけひとつお聞かせ願いたいと思います。
○森國務大臣 お答えいたします。米價に赤字を入れないかどうかという話でありましたが、まだ消費者價格に対しての決定も今はつきりしておらない段階にあるのでありますが、前に長谷川政府委員から申した当時、赤字の補正ということも考えておつたようでありますが、その後私が申し上げました場合におきましては、この赤字は現在入れない計算になつておることを御承知願いたいと思います。 なお十六原則に対して、あまり行政面で干渉していかぬじやないか、これはまことにごもつともで、決して行政面から農業協同組合の発達に対しましては干渉はいたしません。だから統合さしてはどうか、この統合はこの原則の発表される以前に、この第十條に対しての相当示唆を受けたわけでありますが、これはこの原則に基ましても緩和し得られる問題であつて、また実態から申しましても、あのたくさんの組合をつくつて、ばらばらになつておりましては、とても発達するものではありませんから、これは自治的に相当のものを連合さして行くということにしなければならぬ、かように考えております。 また割当に対して地方の調査ができていないではないかという御質問、これはまことに今日までの割当基準というものは、地方というものを考えず、その地方の作柄というものを基準に取入れられておつたということは、私もはなはだ残念に思つております。遺憾に思つておりますので、本年度におきましては、わずかでありますが、三千余万円の予算をもちまして、作物報告事務所の末端の力によりまして、ほんとうの地方を調査し、その地方によつて割当て基準を定めるというふうな方向をとつて行きたい、かように考えておるのであります。
○竹村委員 重ねてひとつはつきりしておきたいと思うのでお伺いしたいが、それでは各府縣におきまするところの協同組合が、農民の自発的な意思において連合会を統合する、農民自身のいわゆる意思で統合の決議をし決定をして、その協同組合の許可の申請を出した場合には、ただちに許可されるのだと思いますが、それはよいかどうか。それから地方調査については、作物報告事務所に実体を調査さす。こういつておられますが、現在われわれ農村におる者は、作物報告事務所のやつておる仕事を見ますならば、大体まだ反別をつかむだけにも至つていない、これははつきりしておる。これは各町村において、実際各作物報告事務所から町村のいわゆる縣の調査員、こういう人をつかつてやつておる。地方調査というが、これは反別をつかむことだけにもまだ十分至つていない、こういうことで地方の算定ができるという考えは、これは十年くらい経たなければできぬ事だろうと思う。そういうことが大体考えられて、まあ前の古い作柄で割当てをするということに、そのまま続けて行くという事態が、事前割当そのものが、もう効果がないのではないか。実に事前割当そのもので農民が非常に迷惑をしておるのではないかと思う。それに対してもう一ぺんお答え願いたい。先ほどお尋ねいたしましたことで答弁がないのですが、農業共済保険組合の各町村の職員に対する補助、これをどうするのか、これをはつきり聞かしていただきたい。
○森國務大臣 お答えいたします。作報事務所の力によつては、とうていでき得ないという現状についての御意見でありますが、反別の調査、地方の調査等につきまして、このたび一万一千三百人ばかりの人をふやしまして、この力を十二分に発揮して、一年にこれがただちに完成するとは考えられませんけれども、極力土地の状況、地質等を一筆ごとに調査いたしてもらうという計画を立てておるわけであります。 なお共済組合の助成につきましては、前年度の分に対しましては、追加予算としてこれを計上し得なかつたのでありますが、本年度の予算におきましては、現在の賃金ベースによつて助成することになつておることを御承知願いたいと思います。 なお連合会組織につきましては、大体そういうふうな方針で指導して行きたい、かように考えておるわけであります。
○竹村委員 しつこいようですけれども、はつきりしておかぬと困る問題ですから、もう一ぺん伺つておきたい。そういうふうに指導されると言いますけれども、十六原則から言うならば、農民自身が協同組合をこしらえて、農民自身がその連合会を統合するという決議をしてその申請を出した場合に、農林省が許可さえされたら問題は解決する。許可されぬということになりますと、先ほど申しました農民組織に対する十六原則を、農林大臣はどう考えておるかということを質問しなくては問題が解決しない。だから許可されるかどうか、これをはつきり聞いておかぬと、われわれが帰つて、これでよいのだと言つて統合の決議をした場合に、もし許可されなかつたら困る。その点をはつきりしておきたい。 それから共済組合の問題ですが、これは三十四年度のことを聞いておるのじやない。二十三年度にその追加予算ができなかつた、六千五、六百万円というものをどういう形でお出しになるのか。たな上げされて出されないのか。出されないということだつたら、これは政府の公約、やると言つたことをやらぬというべらぼうな話はないわけで、その点をお聞かせ願いたい。 それから作報事務所の人をふやして地方を調査すると言われるが、これは矛盾もはなはだしいと思う。これは幾ら人をふやしても、実際の地方というものは調査できない。問題はそういう形で調査するよりも、少くとも引合うところの米價さえこしらえれば農民は富んで供出もするし、しなければならぬと考えている。先ほどから何回も申しますが、問題は米價が結局生産費を償わないから出しにくい。それを役人だけふやして、そうして上から押えつけてでも、何とかしてでもとろうという考え方自体が大きな間違いだと思うのですが、それに対して改められる考えはないかどうか、これだけお伺いいたします。
○森國務大臣 米價を上げて地方がわかる、土地の眞相がわかるというものではないのでありまして、われわれは今日の供出制度が、その実態をつかまえるのにはなはだ基礎が薄弱である。それだから何としても実態をつかまえたい。米價を上げたから米が出る、上げないから米が出ない、これは第二、第三の問題でありまして、とにかく一体日本の農地がどれだけあるか。三百万町歩と俗に言われておるが、水田がほんとうに三百万町歩あるのか、その三百万町歩の地方も一体どれほどあるのかという統計がはつきりしておらない。それだから何としても供出制度の割当をやつておる間においては、合理的な、いわゆる地方を基準とした割当ができるように実態をつかみたい、こういう氣持であるのでありますから、それはやはり、できるだけの組織をもつて調査するより道がない、かように考えて施策をいたしたいと考えておるのであります。 なお協同組合の連合組織につきましては、厳として法律にはそうなつておりますのが、一時関係方面から、いわゆる集中排除と申しますか、やつてはいけないというような示唆がございまして、農政局長の注意となつたわけでありますが、これは十六原則にも相反するわけでありますので、これは規定通り、法通り、農民自身の自由意思によつて連合体を組織してもらわなければ、協同組合というものは眞に発達しない、こういう気持で目下関係方面と交渉を重ねておるわけでありますので、まだ今どう見通しがあるか、はつきりは申し上げられませんが、この努力を続けて、必ず十六期に沿うように、実現するよういたしたいと考えておるわけであります。 なお共済組合に対するものはどういう約束になつておりましたか、予算の上にどうしてもこの一月、二月、三月分を支給することが計上でき得ませんので、何とか他に方法がないかと考えておるのでありますが、現在におきましては、その予算においてそれは見通しがないということを申し上げるよりほかしかたがない情勢であります。
○小笠原委員長 深澤君。
○深澤委員 まず大臣にお伺いしたいことは、経済九原則の九項の、食糧供出計画の能率を向上するという問題の解釈でありますが、われわれはこの食糧供出の能率を向上する根本的な問題は、生産費を償う米價を決定し、生産資材を十分に供給することが根本的な問題であると思う。しかるに政府は農民に対して追加供出を法制化するというような、あくまで強権的な方法しか考えておられない。この経済九原則の九項の、食糧供出計画の能率を向上するという、この解釈をどういうぐあいに考えておられるか。これが第一点であります。 それから第二点は、米價の決定の方法が、食糧管理法第三條、及び施行令第三條によりましては、生産費その他の経済事情に基いて決定されるということが規定されておる。ところが政府はパリテイー方式をもつて決定しておる。これは明らかに政府自体が食管法を踏みにじつておるものである。これに対する大臣の見解をお伺いしたいのです。 第三点は農業調整の問題でありますが、政府は作物の実收調査に対して二十四億何千万円、供出の割当について十五億何千万円の経費を計上いたしまして、もつぱらこの調査、供出の方面に相当の努力をされているようでありますが、その中心となつているのは、調査においては、作報事務所の機構の拡充というところに重点が置かれているようであります。しかし民主的に選ばれたところの農業調整委員会は、非常に軽視しておるのであります。ところが從来の食糧供出の関係におきまして、市町村並びに農業調整委員会の努力、その功績というものはまことに莫大なるものがある。この農業調整委員会をして、今後の調査あるいは食糧供出の関係におきまして、最も重点的に考えて行く必要があるというぐあいに考えるのであります。しかるに市町村末端の食糧調査委員、現在におきましては農業調整委員でありますが、これらに対しましては多くの犠牲を要求して、そうしてほとんどその努力が報いられていない。一体この農業調整委員会の一市町村当りの補助額は、今年は幾らになつておるか。今後この農業調整委員会を、調査並びに供出割当等について、もつと重点的に考える御意思はないかどうか、こういう点がお伺いしたいのであります。 その次は農地改革の問題であります。大臣はかつてわれわれが面接しましたときには、すでに農地改革は完了しておるというようなことを申されておる。しかしながら農村の現状に入りますと、第二次農地改革の範囲内におきましても、あの農地改革の問題が取上げられた当時、農林省の調査によりましても、二十五万件、実数においてはおそらく数十万件あつたところの土地取上げの問題が、ほとんど解決されてない。これは当然遡及買収、賃貸借契約復活の方法においてこれを解決しなければならないのでありますが、この問題についても市町村農地委員会は今日努力してやつておるのであります。さらに農業施設の買収の問題につきましても、現在の法においては、農民の申告によらなければこれが取上げられない。ところが農村においては保守勢力が非常に強くて、心ならずもこうした問題を取上げることができない。從つてわれわれはこれにつきましては、十五條買収を当然買収にする御意思があるかどうかということをお伺いしたい。 さらに登記の問題が残つておりますが、この登記事務が非常な厖大なものであり、農林省が発表しておるところの登記事務のあの手続、方法をもつてすれば、おそらく一年や二年に完了する見込みがないというのが、市町村農地委員会におけるところの実情である。こういう問題に対して、一体本年でこの農地改革を打切つてしまうというようなお考えを持つておるのであるが、これでは第二次農地改革ですらまだ完了しないのではないか。 さらに小作料の問題でありますが、この小作料値上げの問題につきましては、おそらく農地改革によつて一応土地を得た農民は、この小作料値上げによつてかえつて地價及び賃貸價格の値上げを招来いたしまして、非常に多くの負担をかけられる結果になるのであつて、まことに農地改革に逆行するところの方法である。こういうことが言えるのであります。從つて農民の立場場からは、この小作料値上げに対しましては、全面的に反対である。これをあえて政府は強行せんとするかどうか。 さらにこの問題につきましてお伺いしたいことは、今まで御料林と称せられておつたところの土地が農林省に移管されておるようであります。その一部分の山梨縣におきまする二十数町歩の問題でありますが、何ら農地委員会の手続を経ずして、小作料の値上げが七倍ないし八倍に行われておるという事実があるのであります。政府自体がこの農業諸法規を踏みにじつて小作料を値上げしておられる、という事実、これについてどういう見解を持つておるか。 それから未墾地の問題でありますが、未墾地が、農林省がすでに開拓適地として指定した土地ですら、その買収が完了していない。それにもかかわらず農地改革が完了しておるという見解は、まつたく実情に即していないと思う。第二次農地改革すらが未完了であるということが言えるのであります。 さらにもう一つは、農民の要求は開墾をなし得るところの山林あるいは薪炭林、そういうような問題につきまして、第三次農地改革の要求を強くしておるのであります。政府は第三次農地改革をやる意思があるかどうか。 その次は繭價の問題であります。昨日農林大臣は、繭價の問題についてはもつぱら製糸家方面の御心配だけをなさつておるようでありますが。三百三十円のレートになりますと、現行の五千六百掛が四千六百掛という非常な大きな下落をするのであります。これでは今日養蚕復興五箇年計画というものを立てて、盛んに政府並びに養蚕農業協同組合等が努力しておるのでありますが、これではこの努力が全然水泡に帰する。養蚕農家は非常なむずかしい状態に追い込まれる、輸出の面におきましても重大な役割を果しておるところの生糸の將來というものは、非常に見込みがないのであります。こういう点について政府はいかなる対策をされておられますか。 それからさらに大臣は、本会議においても、農村工業の問題を非常に強調せられておつたようでありますが、われわれも農村の失業状態、あるいは農村の経済状態から考えまして、農村工業の奨励ということはもちろん異議ないのでありますが、しかるに予算面から考えますと、わずかに農村振興費として九千二百万円のうちに、農村工業の費用が計上されている。こんなことでは大臣が強調せられておるところの農村工業は、これを育成することは不可能ではないか。これに対して政府はもつと積極的な考えを持つておるかどうか。 それから行政整理の問題でありますが、この行政整理の問題につきましては、地方の農林省出先機関等においても相当の心配があるようであります。これに対して政府はどういう整理をされるのか。特に農林大臣としての見解をお伺いしたいことは、これは農林省所管ではありませんが、最近において氣象関係の測候所三分の一を縮小するというような問題が起つておるのでありますが、大臣が強調せられるところの農業の科学化という問題につきまして、この氣象関係が十分に観測され、その上に立つて今後の日本の農業というものが考えられなければならない。特に日本は寒帯から熱帯に近い地帯まで伸びておるのであります。そうして氣象が非常にかわつておる地帯がある。これに対しては、この測候所というものが十分充実される必要がある。そこで農業氣象の関係が非常に今後問題になつて來るのであります。しかるにこの氣象関係の設備の三分の一を縮小するという問題に対して、農林大臣はどういうお考えを持つておるか。 もう一つ災害問題につきまして、これはいずれ農業災害保険法も提出されるようでありますから、その際にいたしますが、一つお伺いしたいことは、今日の災害対策といたしまして、農家が火災にあつたような場合は、何らこれに対する対策がないので、あります。現に一村ほとんど全焼の農家があるのであります。しかもそれが養蚕農家でありまして、家を建てることなしには今年の養蚕が不可能であるというような状態にあるのであります。これに対して何ら救済の規定がない。こういうような状態から非常に塗炭の苦しみをしておるところの罹災農家があるのであります。こういう罹災に対して農林省は何らかの対策をとり得る道があるかどうかという点について、お尋ねしたいと思うのであります。
○森國務大臣 農業調整委員会に対して今日まで御苦労をかけたことにつきましては、非常に感謝いたしておるのであります。今後におきましても、農業調整委員会はもちろんのこと、あらゆる政府の出先機関に協力してもらつて、そうしてこの仕事をやつていただきたい、かように考えておるのであります。 第二次農地改革の問題でありますが、これは大体本年度において解決をするのではないかと思うのであります。未墾地買収のことにつきましても十二万五千町歩、十二万町歩ばかりのものが残されておるのでありますが、一応買収に決定いたしたものがいまだ買収されておらない。それだから第二次農事地改革は済んでおらぬじやないか、こういう見方もありますが、大体目的は本年度において終了するものと考えております。第三次農地改革はかねて申し上げました通り、さらにこれをやる氣持は持つておりません。 それから農村工業の問題でありますが、なるほど今お話のような数字では、はなはだ少いようでありますが、農村工業中央講習所であるとか、あるいは積雪地方の農村工業指導所、小規模の農村加工業というようなものに対して、千五百八十五万円ばかりの予算を計上いたしておるのであります。決してこの予算では私の理想を実現するために十分ではないと考えておりますが、いろいろ御承知の通りのきゆうくつな予算の面でございまするから、できる限りこの予算の範囲内において、農村工業を振興して行きたいという意図を持つておることを、御承知願いたいと存ずるのであります。 また小作料値上げについては、農民は絶対反対だという御説でありまするが、今日の農村の状況を見ますると、せつかく自作農になりながら、これを放棄するというような面が相当あるのであります。現に私の知つておる範囲内におきましても、自作農たるよりも、むしろ小作農たるべし—今日いろいろやみ取引等の行われておる事実をわれわれも認めざるを得ないのでありますが、現在の小作料を納めて耕地を借りておく方がいい。そういうような氣持で、今日自作農創定の目的に反したような行動に出るということは、はなはだ遺憾に思います。しかし自作農を創定いたした目的は、いろいろありますけれども、われわれとしてほんとうに農民が自分の耕地というものを愛護し、その土地に没頭して、自分のかわいい子供だという氣持で、農地を愛護して、生産力をあげて行くということでなければならぬのであります。從来の小作というものは、地主から搾取されるような立場にありました。そして土地に愛着がない、自分の土地に愛着心がないから、農耕の上にもはなはだ冷淡である、從つて生産があがつて來ない、こういう欠点を是正するために、自分のかわいい子供であるという気持を持つてもらつて、そうして自作農になつたのでありますが、しかも一面において小作料が安いために、むしろこれは小作をしていた方がいいのだというような氣持が起るといたしますならば、これは増産の上から申しましても、非常に遺憾な点でありますし、また地方財制委員会におきましても、どうしても地方の財政上地租を引上げなければならないというような情勢にもなつておるようでありまするし、四囲の物價の状況から見ましても、現在一石当り七十五円、たいがい一石ぐらいな小作料になつておりますが、そうすると、二石出しましても、百五十円という小作料でありますから、これでは地租公課を拂つたら何にも残らないというような状態に置かれておるのでありますから、この際適当に是正した方がよいのではないか。こういうことで今研究を進めておるわけであります。 なお行政整理につきましては、大体中央の行政機構の整理の方針がきまつたのでありますが、農林省としまして、農林省設置法案の細部にわたつて、いわゆる出先官憲につきましては、まだ決定に至つておらないのでおりまして、早急にこれをまとめて行きたいと考えております。しかし農業行政ということは、農民諸君に迷惑がかからないようにやるということが目的でありまするから、出先機関を廃止しまして、農民諸君が非常に迷惑するというようなものは、これを迷惑するとなければなりません。そうして今日地方自治体も相当発達しておるのでありますから、政府が直接やるよりも、むしろ地方自治体に委任した方がいいと考えられるものは、これは相当委譲して行つたらどうかということを考えて、行政整理の成案を急いでおるわけであります。 なお氣象、測候所が三分の一に減ぜられるということは、私まだはつきり聞いておりませんが、そういうようなことは、ただ單に農業のみならず、われわれ生活の上において重大な関係のある科学的施設でありますから、そういうようなことがないように、農林省といたしましては、努力を傾けて行きたいと存じております。内容はまだつぶさに知つておりません。 なお災害保險に対して火災保險を加味したらどうか。これは相当私も今日まで聞かされておるのでありますが、火災保險というものは御承知の通り生命保險と一緒でありまして、その年に火災がなければそれでしまい、その年金があれば、それで掛金かけつぱなしというのでありますが、これが共済組合によつてやる場合には、被保險者も保險者も同一の國体でありますので、農業相互扶助の上におきましては適当なことと考えるのであります。このことにつきましては、いずれ災害保險の問題について御相談を申し上げる機会があると存じますので十分検討を加えまして、皆さんの御趣旨が現われるようにいたしたい、かように考えております。 その他の小さい法文についての問題は、他の政府委員からお答えいたします。
○山添政府委員 土地取上げの問題が片づいていないというお話、なるほどこれは農地調整法の附則で賃借権を元に返すというような規定は設けましたけれども、実情といたしましては、はなはだしく活用はされておりません。 それから第十五條、すなわち自作農になつた者の申立てによつて、家屋移転とか、借地等の買收とかいう規定がございますが、これを政府の方から申立てを待たずして、当然買收するように改正する意思なきやという御尋ねでありますが、その意思はございません。 それから登記が本年中に完了するか。これは見込みといたしまして完了いたします。もつとも北海道等非常に土地が廣く、かつ分筆をたくさんやらなければならぬところがございます。そういう地帶におきましては、若干残ると思いますが、概括して申しますれば、済むわけであります。
○安孫子政府委員 食糧管理法第三条に、價格の決定につきまして、生産費その他の経済事情を参酌してやるという規定がございまして、これが昔からの規定でございますが、御承知のように従前は直接生産費を調査し、その中庸生産費をとりまして、なおそのほかに物價参酌あるいは率勢米價等も考慮いたして、決定いたしておつたのであります。その後生産費の決定方式がパリティー計算方式によることになりました際に、この條文ではたしていいかどうかという点については、いろいろ部内においても検討を加えたのでありますが、一つの生産費をあらゆる算式でやるという場合に、パリティー方式を基礎にいたしまして、多少むりではありますけれども、現在の食糧管理法の第三條の解釈を廣げますれば、パリテイー計算方式を採用いたすのが、必ずしも違法ではないというような考え方のもとに、いまやつておる次第であります。
○深澤委員 今九原則の九項の解釈についてまだ農林大臣のお答えがなかつたのでありますが、その点について一つ、それからいま一つは、本年度市町村農業調整委員会に対する一市町村当りの補助額は幾らになつておるか、その点についてお伺いしたいと思います。
○山添政府委員 農業調整委員会の市町村の分でありますが、十一万五千八百円でございます。
○深澤委員 九原則の解釈は……。
○小笠原委員長 それは今政府当局の責任者がおらないようでありますから、次会に答弁してもらうことにしたらいかがですか。
○深澤委員 次会でけつこうです。
○小笠原委員長 それではこの程度にいたしまして、次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十八分一散会