農林委員会 第2号
- 発言数
- 56 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1949/03/25
会議録
○小笠原委員長 それではこれより開会いたします。 議事に入る前に委員の異動がありましたから御報告をいたします。去る二十三日、民主自由党の渡邊良夫君が委員を辞任せられ、その補欠として同日議長において民主自由党の田中彰治君が委員に指名せられました。以上御報告いたします。 次に前会におきまして理事の指名が一名保留と相なつておりましたから、これは從前通り委員長よりその指名を行います。 寺本 齋君を理事に指名いたします。 ―――――――――――――
○小笠原委員長 それではこれより農業課税に関する件について政府の説明を求めます。今日は局長さんがお見えにならぬので、監理第一課長の忠佐市君の説明を求めることにいたします。忠君。
○忠説明員 この前の國会におきまして、当委員会におきまして農業課程の大体の骨子につきまして御説明を申し上げたことを記憶いたしておりますが、本日あらためまして、大体前回の國会において申し上げたことでありまして、またあるいは繰返す点がございますかもしれませんが申し上げたいと思います。 昭和二十二年の農業所得に対する課税につきましては、農家に対する一般的な課税がにわかに行われましたような関係で、相当全國各地に問題を引起しておりましたことは御承知の通りでございます。從いまして昭和二十三年の課税につきましては、できるだけ適正な課税を行いまして、昭和二十二年分につきまして起りましたような問題を避けたい、かような方針のもとにいろいろ改善すべき点を改善したいと考えておつた次第でございます。問題といたしましてはたくさんございますが、要点をかいつまんで申し上げますと、税務署の方から一方的に課税をする、その課税が相当高い、こういう点に問題の根源を求めることができると思うのであります。從いましてその点につきましては、大体農家の所得を計算いたしまして、この程度所得が出て参るということをあらかじめ税務署あるいは財務局の方から各農家の方にお傳えいたしまして、その線に沿うような申告をしていただくとか、あるいは更正決定をする、こういう方針をとる。從いまして從來は一反歩当りの所得標準率というものを税務署がつくりました場合に、最後の一反歩当りの所得金額だけは農家にお話しておりましたが、その内容の收入金額あるいは必要経費の内訳につきましては、詳しい説明はいたしておりません状態でございましたが、昨年は收入の内訳につきましても、大体反当の收穫高を幾らくらいに見るとか、あるいは経費の内訳を肥料代が幾ら、雇人費用が幾らというように、できるだけ詳細に御説明するというような方針に改めた次第でございます。なお御承知のように、農家につきましては予定申告と確定申告と二回にわけまして申告及び納税が行われるのですが、昨年七月に第一回の予定申告が行われましたときは、まだ米價の確定がございませんでしたので、一應その当時麦類等に示されました想定米價を基礎といたしまして、農家の所得を計算いたしました結果、全國平均いたしますと、大体各農家について約七割程度の増、この増と申しますのは、昭和二十二年度分の所得に比較いたしましての割合、つまり前年に比較いたしまして七割増、かような予想のもとに一應申告をしていただく、納税をしていただくことを期待いたした次第でございます。ところがその後確定米價が発表になり、收穫等も漸次判明いたしました結果、確定申告の時期におきましては、大体全國を通じてみまして、平均前年の二倍以上の所得になるという計算をいたしまして、申告をしていただく、また納税をしていただきました。その方向に從つてただいま更正決定の通知を差上げた地方がございます。この更正決定の状況はと申しますと、確実な計数はただいま持つておりませんが、税務署で大体計算いたしました所得と、農家の申告とが合致いたしますものが過半を占めておりまして、更正決定の数は昨年よりは非常に減つております。從つて農業自体を含みますところの税務署の納税成績は非常に良好でございまして、この点各農家の方々に非常に感謝の意をささげる次第であります。 大体さような傾向でございますが、特に問題としてただいままで残つております問題は、本年の農業所得の査定その他にあたりまして、各地の農民團体と非常に密接な連絡をとりまして、できるだけ意思の疏通をはかつて課税をいたす方針を今年は非常に拡充いたしましたつもりでございますが、全國を通じてみますと、両者の関係が緊密にうまく行つている地方と、多少まだいざこざが残つている地方がございまして、一様ではございません。從いまして農家各團体との連絡に多少双方の理解を欠きまして、まだ問題を残しております地方がございますが、この点は将來解決の余地はあるものと私たち信じている次第でございます。その方法といたしまして、強く要望されておりまする問題は、團体交渉をせよという御意見と、もう一つは民間で選出された適当な方々が、査定なら査定に参加するというような機構を設くるべきであるという二つの御意見があると思います。團体交渉につきましては、ただいまの申告納税制度を発達いたさせますためには適当でないという見解のもとに、團体と税務署とが交渉し合う、妥協し合うという行き方は、適当でないと考えている次第でございます。 その次の、たとえば昔の所得調査員とか、あるいはそれにかわるような民間の委員が査定なら査定に参加する、かような問題につきましては、ただいま非常に大きな國内問題として各方面で御檢討をなさつておる状態でございまするが、この点につきましても、昨年來いろいろの角度からいろいろの案を立てまして檢討をいたしました次第でございますが、この点につきましてもただいままだ成案を持つておろませんので、そういう民間の機関に御参加を願つて所得の査定をするということにつきましては、まだその時期に至つておらない、あるいはこの時期がいつ來るか見当がつかぬ、かような状態でございます。本年の農業所得の課税の方針と、その結果としての一般的な状況につきましてはただいま概括的に私申し上げたつもりでございます。
○寺崎委員 今のお話でたいへん民主的に改善してあるというふうにも見えますが、現在の農村の末端の状況を見てみますと、まことに民主的という課税の方法でなく、一方的な課税によつて、ただいままでの農民のまじめな納税観念によつて非常に完納がされておる。私の考えはこういうふうに見ます。私は九州の農村においての調査をいたしまして、農民團体との交渉は非常に税務署がきらつておる。これは農民がいたずらに税金を免れたいためにつくつた團体であるならば、それは税務署の方としても、今お考えになつておるようなことに行かれるかと思いまするけれども、農民は農業所得に対する適正な課税を考えて團体をつくつて、実行組合あるいは農業協同組合をもつて團体の基本としております。その代表者に対してもつと懇切丁寧に打合せをしてもらいたいというのが農民全般の気持でございます。それを税金闘争――闘争というような意味におとりなさいますならば農民の現在の気持とは大いにかけ離れたことであると思います。そうして民間選出の代表者ということもお考えになつておるようでございまするが、民間選出の代表者であり、團体の代表者であつて、それは末端の農民においては何らかわるところはございません。いずれをとろうともけつこうでございます。農民のこのまじめな納税に対する気持をおくみとりくださいまして、農民の團体代表者にもつと打明けた御相談をしてもらいたい。そうして一方的に陥らないようなことをやらない限りは、農村の生活は、もう今年あるいは來年までも持てるかというような現状にあるのが大部分になつておると考えます。それで私の希望では、今の團体交渉というのが惡いならば、團体の代表者との交渉、こういう気持で今後課税をやつていただきたい。 もう一つお尋ねしたいと思いますのは、現在のところ――これは新聞にも出ていたようでありますが、大蔵省からはつきりした率を示してもらいたいと思うのであります。それは農村及び水産業、また商工業者との所得税に対する率及び金額をお尋ねしたいと思います。
○忠説明員 最初の問題につきまして先ほどの御説明に補足さしていただきたいと思いますが、團体交渉につきましては、團体と税務署とがその意見の一致を見まして、その一致した意見に基いて課税上の仕事を運ぶというような処置に私ども考えておるのでありますが、この行き方はまずいという結論がただいま出ておる次第でございます。但し所得税法にも團体諮問という制度がありまして、適当な團体からは必要な意見を出していただく、それが諮問の形になるわけでございますが、その團体の御意見を全面的に受入れるということができますれば、あるいは團体交渉という言葉を避けるといたしましても、同じような結果が起る、かようなこともおのずから推測される次第でございますが、しかし團体諮問という立場をとつて参りますと、一部意見の不一致がありましても、その不一致の部分は税務署の方で正当と確信をいたしますれば、税務署の見解を通す、かような結果になりますのが團体諮問と團体交渉あるいは團体協定という言葉との差違であろうと思います。現在のところは團体諮問という制度が法制的に認められておりますので、この團体諮問の制度をできるだけ実情に合うように生かして運用したい、かような考え方が基本的な方針でございます。できるだけさような方向に近づけるように私ども努力をいたしておる次第でございますが、何分にも團体の性格がいろいろございまして、なお團体の立場もいろいろ差違がございまするので、どの團体にも一様に同じような態度で臨むということは事実不可能でございますので、まじめな團体につきましては十分その御意見を尊重するという建前をとつておる次第でございます。過渡的に申し上げますと、税務署にも反省を要すべき点があり、あるいは團体側にも多少御考慮を願う点がないとも考えておらない次第でございまして、この点は本年相当改善を見たと考えておりますので、來年――と申しますのは昭和二十四年度でございますけれども、昭和二十四年度につきましては、もつと徹底的にこの問題が解決されるようにいたしたいと考えておるような次第でございます。 なお第二点の農業生産者及び商工業等の率及び金額とお話になりましたのは、たとえば決定額と税額というような御趣旨でございましようか、それとも何か取得金額がいくらということでございましようか。
○寺崎委員 所得の総收入に対するどのくらいな率を持つておるかということです。
○忠説明員 総額の収入金額はいくらで所得金額が幾らであるから、その利益の割合が幾くらであるか、こういう率でございますか、それとも取得金額が幾らで、税額が幾らであるから、平均税率がどのくらいになるか、こういうお尋ねでございましようか、それをお伺いいたしたいと思います。
○寺崎委員 後の分でございます。
○忠説明員 その点につきましては、ただいま数字を報告をとりまして整理をいたしておりますので、後刻整理がつきましたら、こちらに持つて参りたいと思います。
○竹村委員 ちよつとお尋ねいたします。農業所得税のうちのいわゆる必要経費をどのくらいに――たとえば反当りどのくらい見ておられるか、あるいは石であつたならば、石でどのくらい見ておられるか。それからその算定の場合に、いわゆる農家の農業用施設の減價償却費をどういう基準で見ておられるか、ちよつとお伺いいたします。
○忠説明員 農家の一反歩当りの所得をどう見るかというお尋ねでございますが、これは各税務署が各市町村につきまして、大体それの状況に類似した部落等を想定いたしまして、個々別々に計算をいたしておりますので、具体的な金額はただいま手元に持つて來ておりませんので、お答え申し上げかねますが、その金額は税務署から市町村等を通いまして、あるいは農業團体各農家に当該部落あるいは当該市町村の分をお知らせいたしておる次第でございます。大体の金額はどのくらいかというようなことになりますと、これは実際にどこの村の分をどのくらい見ておつたということを、実際の数字で申し上げた方がよかろうと思いますので、その金額はいずれあとでお持ちしたいと思う次第でございます。 それから第二番目の農家の農業用施設の減價償却をどう見るかというお尋ねでございますが、この点につきましては、所得税法あるいは法人税法等、税法の全体を通じまして、最初の所得價格を基礎にいたしまして、その所得價格の差額から、残骸價絡あるいは残存價格と申しまして、処分價格を差引いたもの、これを使用年数に半分して償却金額は見る、こういうような解釈をとつております。この点につきましては最近時價で償却金額を計算すべきであるという説が各方面から起つておりますが、ただいま法人の資産等につきまして再評價問題が起つておりますように、現在の税法におきましては取得價格主義というのか原則であると解釈いたしておりますので、法令上の措置が請ぜられませんうちは、時價を基礎として償却金額を計算するということには解釈がいたしかねる、かように考えておる次第でございます。
○竹村委員 先ほどの御説明では、税務署が各農業團体あるいはその團体と一應密接に交渉しておる、税務署から額を示した、こういううに言われるのでございますので、全國のいわゆる農業所得はどれだけあるかということはすでに計算されておることだと思うのであります。それで農業所得をどれだけに見たか、それからそれに対して税金を幾ら上るかという算定をしたか、それから農家の申告額、つまり確定申告と、それから全國で更正決定をやられた総額、その差額、それは両方引いたら差額が出るのですが、それをひとつお伺いします。
○忠説明員 農家の所得平均――これは平均所得になると思いますが、それに対する税額、この問題は予算を幾らに見たかという問題が一つあろうと思います。予算の数字につきましては、はなはだ申し上げかねますが、本日資料を持つて來ておりませんので、あとで詳細正確な数字を申し上げたいと思いますが、なお申告の数字と更正決定の数字は、先ほど申し上げましたように、これはただいま整理中でございますので、整理がつきますれば先ほど寺崎委員からお話がありましたような数字と同一と思われる点がございますので、一緒に提出さしていただきたいと考えておる次第でございます。それで実際にどの程度の農家の課税が行われているかということにつきまして、ごく達観的な計数を申し上げますと、昨年、昭和二十二年の課税におきましては、全國の農家を平均いたしまして、三万円を多少下つておる。所得金額で三万円を下回つておると思います。本年は六万円をちよつと超しておる程度と考えておる次第でございますが、なおこれは非常に達観の数字でございますので、ある程度の正確さを持つた数字につきましては、とりまとめました上で差上げるようにいたしたいと考えます。
○竹村委員 それでは巷間傳えるところによると、はつきり聞きたいと思いますが、大体この徴税に対して、大蔵省のどなたかは知りませんが、各税務署長に対して、いわゆるこの納税者が来た場合の應待のしかた、あるいはその他いろいろな点を指示されたように聞いているのですが、その事実を一つ承りたい。
○忠説明員 課税の方針を示すということにつきましては、大蔵省から財務局に相当詳細なる通知をいたしておりますが、納税者に対してどういう態度でのぞめということにつきましては、概括的に主総局から財務局に通知いたしたのでございます。これは常に懇切丁寧に應待をするというような次第でございまして、なおことこまかに財務局が税務署に指示をしたことがあるかどうかという点につきましては、その点の報告をとつておりませんので、私記憶しておらない次第でございます。
○藥師神委員 この農業課税に関する主税局の方針と言いますか、何かパンフレツトのようなものができておる。私ちよつと先般見たのですが、あれを一つ委員に参考にもらつてもらいたいと思います。それは委員に一部まわしてもらいたいと思うのでありますが、食糧管理局の方の今の農業所得に対する課税の取扱いに対するところの御提案ですが、他の事業所得と同じように、この家族に対しても基礎控除をするということも、あるいはこの超過供出に対するところの源泉課税を農民に持つて行くことも、しごくごもつともである。われわれはむろん賛成はするわけですが、これだけでも実現ができればけつこうな話であると思うのですけれども、しかしこの農業課税の問題は、もつと根本の問題に触れる必要があるんじやないかとわれわれは痛切に考えておるのです。大体ここにも書いてあるように、自家労力というものが必要経費のうちに全然含まれていない。結局これが日本の農業の農地改良やその他に対しても、アメリカの方でも了解が行きにくい点があるんじやないかと思う。要するに農業は企業体じやないか。自分の力で改良すべきものは改良したらいいじやないかといつても、米國の農業と日本の農業は全然違うのだ、米國では地主があり、そこに農業の営農をやる企業体がある。そこに單に農業労働に携わつている者は賃金労働者にすぎない。ところが日本の農業は労働者兼経営者なんだから、ほとんどこの農業によつて得るところの利潤と言えば、これはもう賃金労働者の勤労所得に匹敵するものであることは、理論上から見て当然なはずだ。この問題に斧鉞を入れなくちや、農村課税の適正はわれわれ絶対にはかれないと思うのです。そこまで拔本塞源的なものでなくちやならない。 そこで今日問題になつているのは、私は二、三べージだけ見たのだけれども、主税局で出しておる農村課税の要綱と言いますか、それを見ると、申告制をとつておるわけであります。申告を非常に尊重しろということが書いてある。しかし事実はそうでないのであつて、これはもう役人の一方的な見込み課税によつて押しつけておるのが現状なんです。この根本問題に対して斧鉞を入れなくては、問題は解決がつかないのではないかとわれわれは思う。私たちに言わしむれば、むろん自家労力でやつておるのだから、これを賃金に算定したならば、おそらく今日の零細な日本の農業のごとく、労働力に対するところの生産力のきわめて低い農業においては、利潤というものはほとんど出ないんじやないか。果樹園とか何とかいうような特殊農業においてはまた違つた意見も成り立ちましようけれども、米麦作や何かの地帯においては、最もこれははなはだしいと私は思う。この根本問題にを斧鉞入れなくちやならぬと私たちは思うわけであります。 それから超過供出の問題でありますが、超過供出のできた者必ずしも営農の上に努力しているということは言えないわけであります。どういうわけで言えないかと言うと、これはつまり供出割当の不公正だということが大きな原因であるでしよう。これを公正にやるということは、技術的に見ればずいぶんむずかしい問題ではありますけれども、中には自分の飯米も削つて、あるいはその他の雑食、混食によつて米を浮かして超過供出する農家もたくさんあるでありましよう。けれども、最初の割当が不公正なために、そこに超過供出をやり得るだけの余裕を持つた農家もたくさんあるし、一方には超過供出どころの騒ぎじやなくて、自分の飯米さえも還元配給をしてもらわなくてはならないような状態もある。ただ問題は、今日政府が超過供出の部分に対してはその三倍もに買うような値段で買つても、それより安くても農家はやみに流したがる。結局は税金の対象にとられることも一つであるし、また翌年の供出の基準になるという杞憂を持つことも大きな原因をなしておるのです。それをしないならば、超過供出をする者は、それが現在の米價より安くてもその農業は耐えると思う。すべての物價が上れば別でありますけれども、それよりもむしろ課税の対象には一切しない、超過供出した者はいわゆる匿名供出でも何でもそういう取扱いをして、課税の対象にはしないというふうに根本的に持つて行くことが賢明な策だと思う。この提案というものは、これだけでも実現できればけつこうではありましよう。農家もいくらかは喜ぶでありましようけれども、もつと根本的な問題に触れて拔本塞源的な方法をとらなくては、農村課税というものはとうてい適正を期することはできぬと私たちは思つておる。さらにこの超過供出の分を遺憾なく一〇〇%供出し得るような方法を講じることは、今言つたようなところまで触れなくては、目的は達成できないと私たちは思うのですが、これに対する御意見を承りたい。
○小笠原委員長 先刻の資料は今配付いたしますから……。
○安孫子説明員 農業課税の問題につきましては、いろいろ根本的な問題があると思いますけれども、最後にお尋ねのありました超過供出の報奨金については、免税にすることが一番基本的な考え方ではないか。こういうお話を承わりましたが、経過的に申し上げますと、私どももさように考えた時期もあつたのであります。その後各方面とも一應の折衝をいたしまして、一つは現在の税收が國家財政の上において、非常に大きなウエイトを持つておるという点も考慮いたしまして、ますぎりぎり結着のところ、私どもといたしましては、この程度の提案に應じてもらうことが、全体から申しますると最高のところであろうとこういうような観点から、実はこういう提案をいたしておるわけであります。つきつめて申し上げますれば、免税にし、お言葉のような拔本塞源的な方法を講じますことは、最も私どもとしても望しいことでありますが、全体の状況からこの程度の提案をいたしました。
○藥師神委員 これは管理局の方では大藏当局と大体お話合いになつて、これくらいの程度は実現するというお見込みで御提案になつておるのですか。
○安孫子説明員 私どもの案としてこの提案をいたしまして、ただいま大蔵省とこの点について折衝中です。まだ見通しはつきません。
○八木委員 ただいまの質疑應答のうちで、農業所得に対する課税の取扱いに関する提案は、私どもはもつと深く考えたいのであります。先ほど藥師神委員よりも述べられましたように、農業の所得の大部分がいわゆる勤労に待つものであつて、農民の勤労は、今日の置かれておる農村の実情から見れば、名前は私企業でありましようけれども、実は公共的な政府の委託業務をしておるにひとしいのであります。自分のものでも自分の思う價格で、思う時に売ることもできないし、ほとんど農業の全体が食糧管理という法制のもとに、農業全部を國家が管理しておるという事実上の事態まで至つておりまして、そのもとに働く農民の勤労所得に対する見解を分析いたして、課税の対象にいたすならば、当然扶養家族の問題だけでなく、いわゆる労働三法全体にまで合せて検討をいたした結果、今日置かれておる情勢下であるから、諸般の情勢のもとにかような提案になつたのだというところを深く掘り下げて承わらないと、軽々にまあこの程度はいいからやつてもらうというわけに参らないのであります。從いまして私の関連質問はその経緯をつぶさに伺いたいのであります。もし許されなければ別の機会においてもよろしゆうございますから、これはぜひつつこんで聞きたい。農林省が今の農民の勤労に対する基本線としてのお考えを伺いたいのであります。
○安孫子説明員 実はそうくわしい経緯もございません。先ほど経過的にと申し上げましたのは、前々内閣におきまして、超過供出については免税あるいは税を軽減するというようなことが放送されたのでありますが、それが各方面との了解が十分ついておりませんだつたために、画餅に帰したのであります。私どもその後この問題についていろいろと下打合せをいたし、工作もいたしておつたのでありますが、とうていそうした提案は困難であるという見通しを持ちまして、この程度の提案にいたしたわけであります。これは先ほども申し上げましたように、まだこの点についても十分の話合がついておらぬわけであります。この点何も隠しておるような、いろいろな事情があるわけではないのであります。
○竹村委員 これは全國的にも問題になつていることだと思いますが、農民が申告をして、確定申告をやる。これに対して税務署がそれを尊重せずして更正決定をやる。それに対して異議を申し立てて更正決定が確定しない前、まだどれだけかけるかということも決定しない異議申立て期間中に、差押えをして競売をやつて行くというような例もちよいちよい新聞にも出るし、耳にも聞くのですが、そういうことは税法から言つても問題じやないか。しかもそういうことをやられるならば、異議申立てをしている意義がなくなるじやないか。それだから少くとも異議申立て期間中は、決定までは一切差押えなどはしないというような方法にしなければならないと思うのですが、これに対して一つ大蔵省の意見を聞きたい。
○忠説明員 ただいまお話のありましたように、課税に異議がございまして、その異議が確定しないうちは、差押えあるいは公売等の強制処分は不適当だ、かような御意見がございまして、これはいろいろな角度から檢討を要する問題と考えている次第でございます。概括的に申し上げますと、税務署の課税が常に不当であるような場合に異議が起りまして、その異議が大体において通る、かような場合において差押え、公売を強行することにつきましては、とうてい許されないことだろうと思います。但し從來の経験について考えますと、異議の大多数は理由が十分に成立たないのがございます。從いまして審査の請求をいたしたという理由のみで税金の徴收を差控えますと、決定を見ましたものが全部異議の申立てをいたしまして、その異議が片づかないうちは税金の徴收ができないというようなことに相なります。これは納税者の側の事情をよく了解し、その納税者の気持になつてそのことを考えることはもちろん必要でございます。同時に國庫の必要とする税額について、ある程度納税者の心頼みというような、一縷の望みを抱いて多少でも税金の納付を遲らした方がいいというような機運を助長するのも適当でございません。從いまして、かようないろいろの観点からいたしまして、異議は申立ててありましても、税金の徴收は猶予しない。かような規定がございます。從つて課税が適当であるという確信があるものにつきましては、この税法の規定通りに、異議の申立中でございましても、督促状を発し、差押えをし、場合によりましては公費まで進むということは、ある納税者に対する関係においては必要だと存じます。しかしまじめな納税者で、しかも税務署の方に間違いがあるという場合におきましては、こういう措置はまつたく不適当でございます。從いまして、行政上の考え方といたしましては、税務署の方に確信のある税額については、差押えはもちろんいたしまするし、公売もいたす。しかし税務署で十分な確信のない税務につきましては、少くとも公売はいたさないという方針でございます。徴税の事際上の要請、それから納税者のいろいろの納税事情があるので、税金の徴收は猶予しないという法文を適用する場合におきまして、具体的に十分事情を考えた上に措置して参りたい、かような方針をとつておる次第でございます。但し多数の税務職員の中には、多少その認定等について実情に沿わない結果になるような措置をとる者がないとは限りませんが、この点につきましては十分是正の道を講じ、指導して参りたいと努めておる次第でございます。
○竹村委員 今のお話を承りますと、いわゆる再審査請求をやる場合にいおて、その申告者が不当でない場合は、差押えも競売もしないと解釈していいのですか。
○忠説明員 その点につきましては、行政的にかようなことにいたしておる次第でございます。と申しますのは、間違いがわかりますればすぐ訂正いたします。訂正いたしますと課税額がなくなりますので、その分についてはもちろん督促をいたし差押えをするという問題が消滅してしまう。さような次第でございますから、できるだけ間違いのあるものを早く訂正する、かような方針をとつておる次第でございます。
○竹村委員 ところがそこに一應問題があるのです。先ほど私数字的にお聞きしたのですけれども、手元にないということで聞かれなかつたのでございますが、いわゆる農業所得税の問題の一番中心になるのは、やはり必要経費の部面が非常に税務署と食い違いがあるのです。だから大藏省の方においてこの必要経費をどう見ておるか、その必要経費が最も過小に見積られておるところにこの農業所得税の問題が非常に多いのでありまして、この見積り方によつて、大藏省から示されている以上の必要経費、実際要る部分を出しておるにもかかわらず、税務署がそれを認めないで、これは不当であるといつて差押えをするということを異議申立中にやられることになると、これはまた非常な間違いである。これは大藏省の方が無理だということになる。それでそういうささいな場合においては、即時訂正されなくても差押えはしない、申告して調査して確定するまでは差押なんかはやらない、こういうことになるのですね。
○忠説明員 その点は必要経費の認定について多少の問題がございますことは、御承知の通りでございますが、その中で、たとえば減價償却は時價でやるか、取得價格でやるかというような問題につきましては、現在の税務当局の解釈といたしましては、取得價格で行くということになつておりますので、その見解のもとに差押えなり公売をするということはあり得ると思います。但したとえば一町歩の農家で何貫目の肥料を使つたかという場合に争いがある。この具体的な肥料の数量、あるいは雇い人の賃金に対する問題、こういう具体的の問題になりました場合には、その具体的な問題として訂正する分は訂正する、かようなことにいたしまして、その解決が済むまではあるいは若干手かげんするということはあり得ると思いますが、納税者と税務署との間に見解の相違がある、從つてそのゆえをもつて差押を控えるということは、いたしておらない次第でございます。
○大森委員 農村の所得に対しましては、私はこういうことを考えておるのです。どなたかからも発言があつたように、大体農民が働く賃金の方がおそらく必要経費よりも多くなると思つておりますが、必要経費を引いたそのあとは賃金と見て源泉課税にしてしまつたらどうかと思います。一反歩にはどのくらいの人夫賃がかかるか、これをまず計算に入れて、一町歩耕せば何百何十人かかるかを見る。私の地方などでは一町歩大体二百五十人かかる。でありますから、この二百五十人の賃金を差引かなければ所得というものは現われない。働いたのが全部所得だと見るならば源泉課税にいたすべきだ、こういう理論もなり立つのではないか。しかるに人夫賃を入れて所得だとする。そうしてこれを何かから得た利益のごとく見て普通一般の所得税を課すというがごときは誤りである。であるからこれはやはり普通の労働者と同じく源泉課税として人夫の頭数からとる。こういう行き方でなければ公平な農村に対する税法は行われないと私は考える。私どもの地方においての所得を計算してみますると、山田であるならば肥料は一反歩に大体十二貫目ぐらいのしめかすを使う。今四千四百円ぐらいしておるということになりますと、そこにすでに三千二百円の肥料代を要する。そうして得るところの金はいくらであるかというと、二石四斗とれたとしても、三千七百円で計算すれば八千何百円である。それで二十五名の人夫をかけますとどうなつて行くか。二百円としても五千円の人夫賃がかかる。こういうことになりまして、計算すると八十円ぐらいしか残らぬ。しかるに一反歩に対する所得の決定は、大体五千円あるいは六千円であるから、現在の農村は自分を食つているのだということになつておりますので、今後の農村経営に対して、あるいは食糧増産に、あるいはいろいろな問題に対して奨励いたしましても、現段階においては、農村はもはや疲弊困憊いたしております。農村の担税力に対しましては、よほど考えられないと、将来の農村の経営というものに対しても、相当に私は問題が起きると思う。なおさらに申し上げたいのは、そういうために荒廃地がたくさんできてしまう。なぜかというと、一反歩に対して幾らということであります。とれてもとれなくてもということで、もうすでに嚴格なる意味において、あれは何町何反歩つくつておるからという意味において、税官吏は所得というものを課しております。そのためにこの田ではあるいは一石しかとれない。そういうものに二石以上の收穫を見積られるようなことがあつてはならないというので、これを荒廃地とするというような現在の実情があるのであります。でありますから、私ども農業に関係いたしておりまするが、この点をもう少しとくと真劍に考えていただきたい。そして農民に課する所得というものに対しては、何とか方法を考えなければいかぬ。それには私は勤労に対する所得としてかけることが一番いいのではないかというふうに考えるのであります。現在のままで参りますると、非常に恐るべきものがある。こういうふうに思うのであります。私どもの地方におききましては、ただいま申し上げましたようなわけで、それよりもほかへ行つて働いた方がいいというような現在の実情が現われて参りました。農村ではせつかく働いたものが賃金に見られなくて、それが所得になつてしまうということ、もう一つは現在批判されておりまする問題の、税務署の官吏であります。税務署の官吏の今日の態度というものは何であるか。ちようど明治以前の、白洲へ呼び出して罪人を調べるような態度である。そうして全部見込割である。こういうふうにいたしまして、私どもの税務管内におきましては、二千円以下の者の中の滯納者が半分以上であります。これらはもうすでにその筋あたりに私も話しましたが、笑つており、とにかくこの税務官吏からかえなければいけないのだ。そういうふうに大体批判いたしておる。それは何であるかというと、その質の惡くなつたこと、また官僚というものがすべてを支配するというような現れであらうと思う。むりに押えるという今日の税のとり方である。こういうことを考えるときに、私は農村に対しましては、前に申し上げたように、これを人夫賃金によつて、そうして源泉課税的に徴收をするということがいいことではないかというふうに考えるものですが、大体当局の考え方はどうでございましようか、お伺いいたします。
○小笠原委員長 委員の皆様にお諮りいたします。この農村の課税問題は、きわめて重要であります。また皆様も非常に重要な御質疑があるようでありますが、今日は不幸にして、予算の関係で、政府の方から政府委員も大臣も出席できないような関係になつておりますから、どうでしようか、委員会の権威もありますから、皆さんの要求するような資料の事項でもありましたら、それぞれ御要求なさつておつて、政府の大臣並びに局長の御出席を求めて、責任ある答弁にして速記録に残す必要があると思いますから、そういうことにしたらいかがでありましようか。
○大森委員 今のお話はごもつともでありますけれども、そういうことでありますれば、日を改めて、何日に大臣とだれと出てもらうというようなことにして、委員長の方から要求していただいて、委員会を再開してもらうことにいたしたらどうかと思います。
○小笠原委員長 承知いたしました。
○藥師神委員 関係者として責任者のおられぬのに質問いたすのはしようもない話ですが、しかしそれまでに私は資料を整えて置いてもらうことを要望しておきたい。主税局で出された所得税の実務要領の三十一ページに、田畑の所得標準の実例及びその作成要領というのがあります。埼玉懸の大里郡と千葉縣の香取郡の実態調査とでもいうべきものが主税局の資料としてある。私はどういう方法でこういうものができておるのか、どういう方法でこれを調査されたのかわかりませんが、たとえば肥料代を見ても、埼玉縣の二毛作のところは一反歩当りの肥料代が千二百二円と出ておりますが、千葉縣香取郡り一毛作のところは千百四十九円と出ておる。どういうところから、こういう基準が出て來たか。もとより地方も違うでありましようけれども、片方は二毛作といえば、何をつくつておるのか知らないが、大体麦ではないかと私は想像するのです。してみると、これは小麦をつくるにしたところで、裸麦をつくるにしたところで、大体麦というものは――小麦は多少少くてすむけれども、裸麦をつくる場合は、稲作よりも肥料が多くいる。これは専門家が考えたらわかるだろう。それが二毛作の方は千二百二円いつておるが、一毛作の方は千百四十九円といつておる。それが下の欄の牛馬の飼料費では、埼玉縣の方の二毛作は四百七十二円、普通畑の反当に三百四十五円、千葉県の方では中庸地で一反歩当りの飼料費が百四十七円、私はこういう計算が、どういうところから違つて出て來るのか、さつぱりわけがわからない。牛馬の飼料費というものは、地方にも何も関係ありはしない。一反歩当りの飼料費が、どういう意味で、一方の埼玉縣の畑の方は三百四十五円、片方は百四十七円になるのか。こういう表は子供でもこしらえぬのじやないかと私は思う。それから、この埼玉縣と千葉縣の実態調査なるものが、かりに正確なものと仮定してみても、これを基準にして各府縣の地方云々ということが書いてありますけれども、税務官吏で地方の算定やその他ができるか、できないか。われわれ愛媛県では、今度はこの基準よりもはるかに上の税金を課しておる。ことにわれわれの住んでいる南伊豫は、農林省の方々でも、行かれた人はわかつておるのでありましようが、今度いずれ請願にも出て來ますが、農業ではない、藝術とまで言われたくらい、ほとんど段々畑を山のてつぺんまでも開いて、いわゆる内畦畔というか、耕作面積よりも岸の方の高い段々畑を、石積みやその他でやつている所で、平坦部をほとんど持つていない。こういう所においては、その労力においても、その生産費においても、実際において平地の数倍を要するのです。供出の面においてもこれが何らの酌量が行われていない。生産費調査においても何らの酌量が行われていない。しかもここに示されている千葉懸、埼玉縣よりも、はるかに高い税金が課せられておる。これを見たときに、一体今日の税務官吏のやつておることは腰だめです。いわゆる徴税フアシヨであるということを露骨に物語つているとわれわれは思う。私は何も役人を攻撃しようとは思いませんけれども、物價廳の手輩らの地方へ出て行つたときの態度は実にわれわれ議会ですつぱ抜いてやろうかと思うくらいしやくにさわつている。威嚇だ。この價格差の問題のごときも、いけなければ市町村へでも、どこへでも行つて何箇月かかつても調べるぞ。一方では酒を食らつて、飲むことと仕事とは別だと、大平楽を言つておるのをわれわれは現実に知つておる。こういう傾向が末端の税務官吏に行つても顕著だ。農民などが言つても通りはしない。これはやさしいことを書いてあるけれども、どうしても農業課税の問題は、根本的にメスを入れなければならない、かように考えておる。私が伺いたいのは、ここに出ている單なる二つの表だけについて、完全にお答えできるような人に來てもらいたい。私は紙の上ではあるけれども、紙の上でも十分議論はできると思う。
○忠説明員 ただいま御指摘のありました所得の標準率の実例につきましてはなおそのうしろの方に詳細説明的な数字が載つてございます。これを一々御説明することは容易でございますが、前例もあるのでございますので、この数字の詳細につきましては、懇談会というような形式の会合を持つていただきまして、委員会の形式でなく、双方質疑し合いながら、問題を個々にこまかく砕いて行くというおとりはからいができますれば、その際詳細にお話申し上げたい、かように考えておる次第であります。
○竹村委員 さつき委員長さんのおつしやいました資料の要求ですが、それではこの次までに大蔵省から各財務局あて、財務局から各税務署別に徴税目標というものを示されておるはずです。この徴税目標額のうちの農業所得の徴税目標は何ぼか、これは全國的な資料をもらいたい。それから先ほど申しました各税務署別の農業者別の確定申告額、それから更正決定額、これだけを出してもらいたい。もう一つは先ほども申しましたが、いわゆる必要経費、先ほどの説明によると、農業施設なんかは、当時の價格だということに規定していると言われますけれども、今日の事態から考えまして、はたしてそういうような減價償却で、農業再生産ができるかどうか。ぼくらはできないと考えている。昔の十年も二十年も前の農業減價償却を見ておる。今度納屋がつぶれたら、柱一本買えないような減價償却では、農業再生産ができないと考えますが、それを出されておる基礎、こういう点をこの次ぜひ出していただきたい。
○小笠原委員長 竹村君、ただいまのは二十二年度と二十三年度と加えてですか。
○竹村委員 そうです。
○小笠原委員長 わかりましたか。
○忠説明員 わかりました。
○小笠原委員長 当該委員外の北君から簡單な発言があるということでありますが、これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 北君。
○北二郎君 では簡單に申し上げます。この農業所得もそうでありますが、政府の農業に対する收入の根本的な考え方を、農政局長、主税局、食糧管理局長官にお伺いしたいと思うのであります。一体日本の農業を一つの企業と考えておられるのか。またいわゆる労働力によつて收入があるのか。いわゆ企業体でないのか。この点をどう考えておられるか。これをひとつ農林省の方と大蔵省の方にお伺いしたい。
○山添政府委員 特に現在の統制價格の状況におきまして、私は農業所得は勤労所得に近いものと考えております。もちろん分析してみまれば、これは労賃と地代と、それから場合によつては利潤があるわけであります。現在の状況におきましては、地代の部分は別といたしまして、大体勤労所得に近い性質を持つている。そこで課税の方針といたしましても、私どもといたしまして大藏省の当局の人たちとは、しばしば協議をいたしておるのでありますが、いろいろ問題になります必要経費の問題もございます。この必要経費の問題といたしましては、理論的には大体満足すべきような取扱いになつておる。ただその実際にあたつての算定に問題がある。そこで今度は制度的な考え方といたしましては、農林省から皆さんの御支援、御協力を願うというような意味で、提案いたしておりますような基礎控除をもう少し拡張して行く。現在ではほかの勤労所得等でありますれば、二人かせいでおれば二人とも基礎控除を認められておるのでありますが、農業に関しては家族をあげて働いておるのにかかわらず一人だけの基礎控除しか認められていない。その点、むろん全員が一年中働いておるというわけでありますまいが、大体一年分働いておるというような率に換算をして基礎控除を認めることは、当然必要じやないかというふうな考え方を持つております。さらに進んで、それでは勤労基礎控除二割五分の割引を認めるかどうかということにつきましては、これはわれわれの考え方といたしましては、課税の所得のつかみ方の点におきましても、性質上勤労所得の性質が大部分であるのみならず、所得額をつかむという点においても、農業の方は非常につかみやすいような性質を持つておりますので、勤労所得そのままということでなくても、やはりそういうような考慮は当然なすべきではないかという、これは主張でありますけれども、私は思つておるのであります。ただしかし、そこまで問題を持つて行きます場合におきましては、これは非常に影響が多く、実現はなかなかむずかしいのでありまして、ともかく農林省から提案になつておりますような点まではこの際実現いたしたい。こういう考えを持つておる次第であります。
○忠説明員 ただいま農政局長からお話がございましたように、勤労所得と見ることはできない、かようにおつしやつたと私は考えますが、私どももさように考えております。はなはだ事務的な申し上げ方で恐縮でございますが、その一人の人の自己の計算において、事業を営んでおりまして、その危險負担がその人にかかつて來るという場合におきましては、税法の考え方といたしましては、これは事業所得ということにならざるを得ないと思います。他人の事業に雇われておりまして、その雇用契約に基いて一定の報酬を受ける、かような形のものは勤労所得というように一應税法の方で区別いたしませんと、その区別の限界がつきかねる。かように事務的には考えておる次第でございます。しからばその徴税をどうするかという問題に相なりますと、ただいま農政局長のお話になりましたように、できるだけ同じような調整の方法を使う、かようなことに相なると思うのでありますが、この点につきましては、ただいまのところある程度の案をもつて相当の研究はいたしておる次第でございますが、まだ具体的な結論に達しておらない、かような状態でございます。
○北二郎君 農林当局、大藏当局も、今苦しまぎれな答弁で、企業でないというようなことを言つておりますが、やはりいろいろ税をかけておる見地から見ますと、考え方の基礎としてはこれは企業体と見ておる。そこで今の農産物の價格にいたしましても、これは政府官吏が統制する、しかも供出も事前割当でやり、出さないときには強権で当る。しかも時期も、土地も自由を認めない。こういう状況で、一應國家がすべて干渉しておつて、國家管理だということも言い得るのであります。價格が自由であつたり、それから供出の制度が自由であつたりする場合には別ものですが、價格は抑えておる。またすべての作付の自由も許さぬという場合において、今企業であると言われるその理由を聞きたいのです。われわれは断じて企業ではないと思つておるのですが、農林当局、大藏当局の考え方を一應聞かせていただきたいと思うのであります。
○大森委員 ちよつと関連して質問をいたします。先ほど当局の御言明を聞きますと、勤労でもない。しかし所得に対しては、やはり企業体というような形でもつて取るよりしかたがないという答弁でありますが、しからば一つの企業を行う場合には労働賃金は一体見るのか見ないのか、企業体の所得というものは、労働賃金というものを見るのか見ないのか、おそらく労働に支拂つた賃金を差引いたものが利潤となると思うのです。しからば現在の農村に限つては勤労所得でもない、また企業体の所得でもないということになると、一体何を目標にとるか。先ほど申し上げましたように詳しいことは申し上げません、簡單に申し上げますが、大体一反歩に対しては八十円ぐらいしか残らないということが、現在の状態である。今申し上げたように、今のところ労働賃金というものは生産費に入れてない。こういうような御答弁のようでありますが、それは労働賃金を所得と見ることになる。私の考え方から申しますると、やはり企業については、労賃というものは必らず差引いたものでなければならない。そうなるとそれは源泉課税によらなければならない。こういうことがはつきりと私は生れて來ると思う。現在の農村所得に対しましては、これをどの方面からとるかということをはつきり聞かしてもらいたい。企業体から取るならばなぜ一体労働賃金を差引かないか、これを計算の中に入れないか、これであります。それから肥料などにつきましては、これはただ卓上の原價計算だけでなくして、あるいは北海道の実情、あるいは肥料産地の事情をはつきりと把握いたしまいして、それを算定に入れて、一反歩に対しては幾らのものがかかるのであるということが根本でなければならない。しかるにそういうことを各税務署に行つて農村の人たちが話をしても聞き入れない。聞き入れないということは、職権を利用して、まことに純朴な農村を搾取するということに相なる。これではいけないと思いますから、この状態をはつきりしてもらいたい。くどいようでありますが、企業体であるというならば、企業体としてやはり労賃というものをはつきりさせなければならない。また労賃として見るならば、これは源泉課税として取るべきである。こういうふうに考えるのでありますが、この点はつきり企業としてとるというならば、私どもは今の農村に対する課税に対しては根本から反対をしなければならない。こう思うのであります。
○小笠原委員長 北君と大森君のお二人の御質問に対してあわせて御答弁を願いたいと思います。
○山添政府委員 これを事業所得として扱うことは、税法上確かに考えとしてもそれ以外の道はないと思うのであります。
○大森委員 企業所得ですか。
○山添政府委員 事業体として、すなわち企業としてもよろしいのであります。ところであなたの仰せになりました労賃を差引くということは、ほかから人を雇つて來れば無論その労賃は差引くのであります。そういうことになつておりますが、しかし企業体もしくは事業体でありましても、実質上においてかけられる所得は、結局自家労賃が大部分でありまして、それに若干のものが加わつている。こういうことでありますので、從つて私が先ほど申し述べましたのは、これは勤労所得に実質上よほど近い性質を持つておる。從つてそういうことになりますと、今の基礎控除の問題においてすでに差別があるではないか。それからまた勤労控除という点において差別があるではないか、そこでまず基礎控除という点から解決をはかつて行きたい。こういうことを申しておるのであります。いずれにいたしましても、私ども月給をもらつてそれに税金を拂つている。結局自家労賃が主になりまして、税金を拂つておる。この関係は変らないわけであります。
○忠説明員 先ほど大森委員のいろいろ詳しい御質問がございました際に、お答え申し上げておらない事項もありますので、あわせてその点申し上げたいと思います。非常に事務的な見解のようで恐縮でありますが、一部の労働力が賃金給料に変つて、それが所得に相なります。農家につきましては農家の自己労働力と土地生産力が合体いたしまして、農業收益力というものが上る。われわれさように考えております。從いまして雇用形態によつて賃金を受けるという労働力の收益性、――非常に言葉は悪いと思いますが、そういう考え方と、それから自己の労働力と土地の生産力とを合わせまして、農業生産をあげるというものとは性質の違いがある。かように税法の上では考えておる次第でございます。從いまして自己労力にあらざる他人の労力によつた場合、これを必要経費に見るということは当然であろうと思います。問題として残りますものは、家族労働の取扱いが残る。かような次第でございますが、一應さような見解を申し上げまして、自家労力はこれはすなわち所相になる。これはわれわれが俸給によつて担税力を表わすと同様に、農家もやはりその労力にプラス土地の生産力によつて租税負担力を表わす。かような考えは当然であろうと考えておる次第であります。
○小笠原委員長 大森君、これ以上のことは大蔵省の責任者がお出になつたときに御質疑なさつたらいかがですか。
○大森委員 大体この程度で私の質問は保留しておきます。また改めて責任者が出られたときにいたします。
○小笠原委員長 それでは皆さんから重要な資料の御要求もあるようでありますし、また大蔵省の方の都合を伺いまして、きわめて近い期間に大臣並びに政府委員の御出席を求めて、十分に皆さんの御質疑に責任のある答えをせしめるようとりはからいたいと思います。 なおここに先刻のどなたか御質疑のように、農林省の方と大藏省の方と、農村関係の税金について十分連絡がとれておるかどうかということに対しましては、委員長も非常に疑義があるのです。これは農村に直接にも間接にも関係がありますが、周東農林大臣の際に当委員会においても、参議院の農林委員会においても、災害保険問題の職員に対する六千三百円ベース、その間の差額を補給する責任を持つてこれは予備金からでも支出するという断言があつたにもかかわらず、今日まだ実行しておらぬようであります。こういうことは農政局長の関係でもあるので、ただちに実行をし得るかどうか、また大蔵省の方ではこの責任が負えるかどうか、その点をはつきりさせて、次会までに責任のあるところの御回答を願いたいと思つております。そうすると農林省の方と大蔵省の方の大臣が言明した事項に対しましても、どういう連絡があつたということがきわめてはつきりすることと思います。この点を要求しておきます。大蔵省の方でもどうか大臣並びに局長の方とも連絡あつて、この内容を調査していただきたいのであります。
○藥師神委員 この間木炭の会合があつて、政府買上げを縣外移出だけの分についてやらないということが出ておるのですが、資金の関係上これはたいへん重大な問題ですから、この次にひとつ取上げてもらつたらどうかと思います。関係の役人にも出てもらつて……。
○小笠原委員長 木炭の関係もきわめて重要でありますから、近いうちに関係者を呼んでその事情を聴取することに努めます。 それでは本日はこの程度にとどめまして、次会は広報をもつてお知らせずることにいたします。これをもつて散会いたします。 午後三時十四分散会