内閣委員会法務委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 92 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1949/04/25
会議録
○齋藤委員長 それではこれより会議を開きます。 本日は法務廳設置法等の一部を改正する法律案につきまして内閣委員会と法務委員会との連合審査会であります。御質疑は本日の議題について十分していただきたいと存じますが、連合審査会はできますれば、一日で終了いたしたいと存じます。 質疑は通告順によりいたしたいと存じますから、あらかじめ御通告くださるようにお願いいたします。なお質疑はなるべく簡單に、かつ本日の議題であります法務廳設置法等の一部を改正する法律案そのものについてお願いいたします。 まず提案の理由の説明を求めます。法務総裁。
○殖田國務大臣 法務廳設置法等の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。 法務廳には御承知の通り、現在法務総裁のもとに檢務長官、法制長官、法務調査意見長官、訟務長官及び法務行政長官の五人の長官と、法務総裁官房長が置かれておりまして、その下部機構として合計十六の局と官房があります。すなわち檢務長官の指揮監督のもとに檢務局及び特別審査局の二つの局が置かれ、法制長官の指揮監督のもとに法制第一局、法制第二局、法制第三局の三つの局があり、法務調査意見長官の指揮監督のもとに調査意見第一局、調査意見第二局及び資料統計局の三つの局が属し、訟務長官の指揮監督のものに民事訟務局、税務訟務局及び行政訟務局の三つの局が配置され、法務行政長官の指揮監督のもとに民事局、人権擁護局、矯正総務局、成人矯正局及び少年矯正局の五つの局が置かれております。そして法務総裁官房長は、総裁を助けて官房の事務を指揮監督することになつておるのであります。このたびの改正案におきましては行政機構簡素化の方針に從いまして、現在の五長官、十六局制を三長官、十一局制に縮小し、かつ國家行政組織法の施行に伴いまして、法務廳の名称を法務府と改めましたほか、いわゆる各種の廳外機関等について所要の規定を設けました。以下その要点を申し上げて御審議の御参考に供したいと存じます。 改正案におきましては、法務総裁のもとに法制意見長官、刑政長官及び民事法務長の官三長官と法務総裁官房長を置き、法務廳が設置されてから今日までの一年有余の経驗にかんがみまして、法制意見長官の指揮監督のもとに法制意見第一局から第四局までの四局を置き、大体現在の法制長官と法務調査意見長官所属の各局を統合し、刑政長官の指揮監督のもとに檢務局、矯正保護局及び特別審査局の三局を配置し、主として從來の檢察及び行刑関係の事務を同一長官のもとに一括し、民事法務長官の指揮監督のもとに民事訟務局、行政訟務局、民事局及び人権擁護局の四局を置くことにいたしたのであります。なお近く犯罪者予防更生法案を提出して御審議を願うことにいたしておりますが、この予防更正法が施行になりますまでの間臨時に保護局を置き、いわゆる司法保護に関する各種の事務を処理させることにいたしてあります。また官房におきましては、全國の檢察廳、刑務所、少年院、法務局及び地方法務局等の会計事務を管掌し、おびただしい事務量に上りますので特にこのたび経理部を設けることにいたしました。 以上は法務本府の機構の概要でありますが、いわゆる廳外機関につきましては、現在の司法事務局並びに訟務関係の駐在官制度及び人権擁護関係の駐在官制度をいずれも廃止しまして、これを法務局及び地方法務局に改組しましたほかは、大体において國家行政組織法の施行に伴う法規の整備を主眼とするものであります。 以上はなはだ簡略でございますが、提案の理由を御説明申し上げました。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
○齋藤委員長 これより通告順によつて発言を許します。花村四郎君。
○花村委員 先ほど委員長から、本法案に関します審議を本日で終えるというお話だつたのでありますが、ただいま法務委員会に提出いたされんとしております関連法案もあり、かたがた本法案を本日限りにおいて審議を終るというようなことは、法務委員会の審議に支障を來さしむるというおそれがあるのでありますが、本日中に審議を終了せんければならぬという必要が一体どこにあるのですか。その点をお聞きしたい。
○齋藤委員長 お答えいたします。御承知の通りにこの内閣委員会に付託せられておる法案は山のごとく多々あるのです。非常にたくさんで、三十も四十もある。これまで出ているものも二十余りあります。いろいろ理事の方と協議いたしました結果、遅くとも來月の七日ごろまでにこの連合審査会の質問を終らなくちやならぬ。ところがなかなかこれが時間の都合で、とても連合審査会を一日ずつで切り上げてもらわぬと時間が間に合わぬのでありますから、いろいろその方面の都合を考えまして、一日にやつていただきたいということと、それからつまりこの問題は行政機構の改革に関するものでありますから、この司法の行政の運用に関してはまた司法委員会がありますから、その方ですつかりやつていただいて、なるべく機構そのものについて御質問を願いたいと思います。そうすれば一日でできるだろうと思います。できなければしかたがありません。
○花村委員 法案が内閣委員会に多いのであるから、本日中に上げなければならぬということは理由になるまいと思うのであります。法務廳の機構に関する問題であるから、運用に関する面は別個に考えてもよいというのでありまするが、機構に関する問題と、運用に関する問題とは不分不離の関係にありまして、これはやはり運用の面からも機構の改正について大いに考えなければならぬことは当然でありますので、從つてこの法案が内閣委員会に山積しているから、本日一日をもつて上げなければならぬというようなことは、これはまことに無謀であると申さんければならぬと思うのでありまするが、もし内閣委員会において愼重審議がなし得ないという情勢にあるといたしまするならば、法務委員会とはまことに密接なる関係を持つておりまする法案でありまするがゆえに、法務委員会の方へ移管をされたらいかがですか。ことに法務委員会においては今後司法科試驗に関する法案並びに犯罪者予防更生法案というような、本機構の改正と不分離の関係にありまする法案も出て來ることに相なつておりまするがゆえに、もし審議をするいとまがないということでありますならば、法務委員会の方へこの法案をおまわしになつてはいかがですか。
○齋藤委員長 お答えいたします。議院運営委員会におきまして、各省の設置法案はことごとく内閣委員会に專属するということにきめましたから、ここでやるのであります。
○花村委員 それはおきめになつたでしようが、それは動かすべからざる法則でもないわけですから、もし審議の途上において愼重審議ができぬということであれば、他の方へまわすことはあえて違法ではないと思いますから、委員長の方でさようおとりはからいになられたらいかがですか。あるいはそれともただいま委員長が申されたように、本日一日でこれを終了するというような御宣言は、少し考え直されたらいかがですか。
○齋藤委員長 それは委員長の希望を申したのでありまして、委員長は議事を整理するところの権限がありますから、議事の進行の上において、衆議院規則を適用するかもわかりませんから、そのつもりで御審議を願います。
○花村委員 しからばこの問題は後にひとつ御懇談を申し上げることにしておきますが、私どもの考えといたしましては、本日中にこの法案を上げてしまうということに対しては反対であります。反対の意見を表明しておきまして、また後にその理由を申し上げて御懇談を願いたいと思います。それから本法案はただいまの法務総裁の御提案によりますれば、行政整理の一環として、この機構の改革をなされたということであります。これはしかるべきことと存じまするが、しかし法務行政における行政整理の科学的基準というものをどこに置いてこういう改正案をお出しになつたのか、これをまず第一にお尋ねいたしたいと思います。
○殖田國務大臣 法務廳設置以來すでに一年を少し経過いたしました。その間の経驗に徴しまして。いろいろ考えて参つたことがありまするのと、行政簡素化の非常な強い要請がありますために、今までの経驗をもう一ぺん考え直しまして、そうしてその強い要請とにらみ合せまして調整を遂げたわけでございます。
○花村委員 それは大体さつきの法律案の提案理由の説明でよくわかつておりますが、その行政整理の根本的の基準、すなわち科学的な基準をどこに置いておやりになつたか、その一線をひとつ御明示を願いたいと思います。
○殖田國務大臣 行政整理の問題でありますが、閣議におきまして行政機構三割圧縮、こういうことがきまりました。全体を通じまして、大体三割を標準にして機構を縮小するということがきまりましたので、私の方の機構としては三割以上小さくなつております。これはしかしあるいは二割にするか、四割にするかということになるのでありまするが、事務当局が熱心に檢討いたしました結果、大体今日成案となつて提案申し上げておりまする案が一番運用がよいであろう。これが一番合理的であろうということに結論がなりましたので、この案にいたしたのであります。
○花村委員 行政整理は國家の要請でありますから、当然過ぎるほど当然でありまするが、この改正案を見ますれば、要するに現在までの法務廳を縮小したというにすぎぬのであります。もちろんこれは行政整理として縮小の方途に進むべきは当然ではありまするが、その縮小することによつて、その能率を低下せしめてはならぬのみならず、さらに進んで新時代に沿うところの新しみを持つた機構をつくり出すということであらねば、眞の行政整理の精神を貫くことはできぬと思うのでありまするが、本法案を見てみますれば、要するに在來の法務廳をただ縮小したというにすぎない。何ら新生面を開いておるという点を観取し得られないのであります。今や國家再建も一歩一歩進みまして、そうして今日の段階においてはさらに國家再建に関する新方途を見出して、新しき時代の流れに沿うということに相なるべきが行政整理に当然付随した精神であらねばならぬと、こう思うのでありますが、少しも新しみを持つておらない。ただ機械的に縮小したというにすぎぬのでありますが、こういう点に対しまする法務廳のお考え方はいかがでありましようか、もし何らかの新鮮味を織り込んでおられるとすればどういう点にあるか、これをお尋ねしたいと思います。
○殖田國務大臣 大体法務廳の現在の機構そのものが、ただいま花村委員長お尋ねの通りに新しい機構でありまして、從來の古い日本の機構であつた司法省を全然改めまして、そうして新しく昨年の初めに今日のような機構にいたしたのであります。從つて法務廳といたしましては、これより以上に新しい機構を実は考えることができなかつたのでありまして、多少の改善は加えておりまするが、まず法務廳となつてからの機構を一番手ごろに運用できる程度に縮めましたのであります。それ以外に別段特にこれと申しまする新しい考えは付加しておりません。小さい点につきましては、一年間の経驗によりまして大分改善を加えたつもりでありますけれども、骨組は法務廳設置当時の骨組であります。
○花村委員 なるほど法務廳はできましてから日がなお浅いのでありまするから、ほかの官廳に比較いたしまして、新しき機構の上に押し立てられたものであるとはいい得るでありましようが、しかしそれにいたしましても、調査意見長官と法制意見長官とを合同いたす案に相なつておるのでありまするが、こういう案で法務総裁の持つ最も重要な一つでありまするところの法律問題に関し、内閣の最高顧問としての仕事を遂行して行くという上において、何らの支障なしとお認めになるのでありましようか、こういう点に対して、法務廳としての行政活動をいたしまする面をもう少し廣く、かつ強固にして行くというふうなことこそ望ましいことであろうと思うのでありまするが、最も必要なる最高顧問たるこの仕事を強力に推進して行くという重大な使命をはたす上において、何らの支障はないとお考えになりましようか、それをお尋ねいたします。
○殖田國務大臣 お話はまことにごもつともでありまして、法制と調査意見との二局の長官が、新しい法務廳の機構といたしまして最も重点を占めるものであります。從つてこれを縮減いたすことについては、相当に頭を悩ましたのでありまするが、しかしながら実際のこれまでの運用に徴して見まするに、どうも最初に企図いたしましたごとくに運用ができにくいのであります。つまりもと法制局で一緒にやつておりました仕事を二つの長官にわけてやつておつたのでありますが、かえつて一つにした方が能率があがりはせんか、二つであるがためにかえつていずれも能率を落すというようなきらいがないでもなかつたのであります。あるいは運用のやり方がまずかつたせいかもしれませんが、機構の面及び人の運用の面でどうもぐあいが惡いところがあつたのであります。この際二つを一つにすることは少し小さくなりすぎるかとも思いましたが、さて一つ半にするわけにも参りませんので、二つを一つにいたしまして、そのかわりに人材を充実いたしまして、最も優秀な人をもつて充実したる運用をやつてみたい。そうなればかえつて能率をあげ得るであろう、こう考えましてこういう制度にいたしたのであります。それから見ておりますと、この法制の仕事も、現在法制長官がやつております仕事は時とともにだんだん仕事の分量が減つて参るわけであります。かたわら意見長官の仕事はふえて参ります。そういたしますと、將來においてはやはり内容はかわつて参りますが、一長官のもとに統一されてさしつかえない、あるいは一層ぐあいがよくなる傾向にもあるのであります。今いささか過渡期にあるのでありまして、今後今の御意見のごとく、そういう新しい観点から、最も時代に適した運用をやつて行きたいと考えております。行政整理がありませんければ、二長官でやりますこともまたけつこうなのでありますが、行政整理という大きな問題がありますために、一長官にまとめてみたのでございます。これにつきましては関係方面等にもよく相談をいたしまして、関係方面等もいろいろな点から考えまして、了承を與えてくれたのであります。
○花村委員 しからばさらにお尋ねいたしますが、本法案による行政改革によりまして何人の整理ができ、かつ予算面において何ほどの縮小ができるか、節約ができるか、この点をお尋ねいたします。
○殖田國務大臣 機構はごらんのごとく約三割小さくなつたのでありまするが、人員は何ほどの整理になるか、実は今日定員の方の相談を始めておるのであります。しかしただいまのところ、法務本廳におきまして定員も三割減にいたしております。從つて定員の方も三割減るはずでございます。予算も從つてその人件費三割が減るわけであります。私今予算の数字を覚えておりませんが、後ほどまた調べまして申し上げます。大体法務廳といたしましてはあとの、たとえば檢察の方でありますとか、警務の人間というものは特殊な機能を営んでおりますために、一般の行政官吏とは違つた率を適用いたしまして、その整理率が非常に低いのであります。あるいはほとんど整理の要のない種類の官吏もたくさんおります。法務廳全体といたしましては整理人員が非常に小さいのであります。ただ本廳だけは、ただいま申し上げましたような大きな機構の改革に伴いまして、これは他の行政廳と何ら相違がありませんために、その一般原則が適用されまして三割減少ということになりまして、多分五百人内外の人員の減少であつたと思つております。これは大体きまつております。ただ法務廳全体といたしましては、まだ他の方面の定員の減少の程度がきまつておりません。しかしこれも非常にわずかな程度で食いとめ得るものと考えております。從いまして機構はかように小さくなりましたが、人員の面及び予算の面等におきましては、法務廳としては相当大きな負担でありまするが、他の各省に比べますとゆるやかなような形になつておるわけであります。
○花村委員 もちろん行政整理のためにこの種法案を出されるのであります。從いましてこの機構改革によつてどの程度の人員の整理ができ、あるいはまたどの程度の予算の縮減ができるかという大体の予定があるべきはずであろうと思いますが、法務廳の中の檢察廳等におきましては、檢察官が今日二百何十名かの不足をしておるということで、檢察事務にも支障を來しておるというような状況におかれておりますことは、私はここに多く申し上げませんが、この檢察廳方面における整理はどういう関係になつておるか、そうして本廳とのつり合いはどういうことになつておるか、こういう点はすでに本案を立てますときに並行して考えなければならぬことでありますから、おそらくこの行政整理によつて生ずる整理の結果というものの御用意があろうと思いますが、もしここにないということでありまするならば、後にこの点を御明示願いたいと思います。そういうところまでまだ準備ができておらぬのですが、おるのですか、もちろんおらねばならぬことではあろうと思いますが、どういう御準備がありますが、それをお尋ねいたします。
○殖田國務大臣 ただいま本廳のことを申し上げましたが、本廳の総人員はただいま約千七百人おります。そのうち五百十人ばかりが今度は整理をされることになつております。これはほぼ確定いたしております。それから本廳外の檢察廳、司法事務局、刑務所、その他少年審判院でありますとか、少年院でありますとか、いろいろなものがありますが、それは今委員長のお話のごとく、案がちやんとできておりますが、閣議決定に至つておりませんから申し上げかねたのでありまして、その機構の方は、もう法案もちやんとできておる通り、これはきまつております。人員の方は、実は閣議の案はございますが、それはまだきまつておりません。こういうつもりであるということだけはついでに申し上げたいと思います。法務廳としてはまず檢察職員でありますが、檢察職員はただいま定員が一万一千三百九十二人あります。これは相当の欠員がまだあるのでありますが、これはごく一部の純粹な事務職員であります。この事務職員は実員でありませずに、ただいま欠員がありますから、その欠員の中の一部を減員する。從つて実際に補充すべきものを、補充を幾らか控えるという程度にいたしたいと思つております。しかしこれも直接檢察に当ります檢察官、あるいは檢察事務官等については減員を考えておりません。それから司法事務局の職員であります。これは今度は法務局という名前になりまして、この設置法案の中にうたつておりますが、これは相当な欠員がまだございます。そのうち約四百人だけを整理するつもりであります。八千九百人近い定員がおります中で、約四百人ばかりの減員をしなければならぬかと思つております。それから少年審判所職員、刑務所の職員、少年院、少年観護所、少年鑑別所の職員、刑務官練習所の職員、矯正保護管区の本部の職員、それから檢察審査会職員、司法保護委員会職員、こういうものはほとんど減員をいたさないつもりであります。ただいまそういう案になつております。但しこれは閣議の結果、あるいは多少の要求があるかとも考えておりますが、まだ決定に至つておりません。
○花村委員 それと牽連して予算の方はどうですか。
○殖田國務大臣 予算の方は、大藏省はすでに本年度の予算におきまして、大体行政整理を見込みました予算を立てておりますが、大藏省におきましても、特に本廳の五百人の人員整理につきましては、すでにこれだけちようど予算の減をいたしております。それから檢察廳そのほかのものにつきましては、司法事務職員に四百人の減をいたしておりますのと、檢察職員の中でも大藏省は約七百七十人の減を見込んでおります。しかしながら私どもといたしましては、この司法事務職員の四百人だけを認めることにいたしまして、檢察職員の七百六十八人という大藏省の査定は欠員の三割でありまして、その欠員の三割と申しますのも、檢察事務官を除きました他の事務職員の三割でありまして、このくらいはあるいは閣議の結果減員を認めなければならぬかと考えております。これは大藏省の案であります。大藏省の案をそのまま認めますか、あるいはもつとこれを減額を頼みますか、まだ閣議の結果でなければわかりませんが、とにかくほかの行政廳に比べますと、非常に合理的な数字が出て参つておるのであります。
○花村委員 ただいま法務総裁が述べられた人員整理によりまして、金額にしてどの程度の縮減がなされるものでありましようか。その数額をお聞きしたいと思います。
○殖田國務大臣 ただいま会計の者が参つておりませんので、数字がないそうであります。いずれまたあらためて御報告申し上げます。
○花村委員 最後に法務総裁にお尋ねしておきたいことは、私が冒頭に本法案の審議に関する意見を述べたのでありまするが、この法案は本日審議を了さなければならぬというような急速な法案でないことは、きわめて明瞭でありまするが、法務委員会に後に提出せらるべき司法科試驗の法案、あるいは犯罪者予防更生法案というようなものが出て参りまする関係からいたしまして、もし法務委員会において本法案に反するがごとき審議の結果を得た場合におきましては、そこにまことは不合理な問題が起きて來るであろうことは明瞭でありますので、從つてこの後に法務委員会に提出せらるべき司法科試驗法案、あるいは犯罪者予防更生法案というような法案の審議の進行状況とにらみ合せて本法案をあげるということが、最も妥当であるように考えられるのでありますが、法務廳といたしましては、本法案を先にあげなければならぬという必要があられるのであるかどうか、もしないとするならば、ただいま私の申し上げましたような、後に法務委員会において審議せらるべき、本法案と牽連性を持つたその法案と並行して審議を進むることに御異議はないかどうか、その点承つておきます。
○殖田國務大臣 ごもつともなお話でありますが、司法科試驗法案の方は、これはただ試驗の事務を法務廳において管理いたしますだけで、法務廳の職員の人員等にはほとんど関係ございません。ただ犯罪者予防更生法案の方は、これは現在法務廳の保護局でやつておられます仕事の大部分を、この新しい法律の機構によりまして別な形で営むことになるのでありますから、これは法務廳設置法案と実は関連があるのであります。しかしながら不可分ではないのでありまして、法務廳設置法案の中ではあらかじめそのことを考えまして、犯罪者予防更生法が成立するまでは、法務廳に現在ありまする保護局をそのまま存続せしめる、犯罪予防更生法案が成立いたしましたならば、自然に法務廳のその分の機構はなくなる。それにかわる、こういうふうな建前でいたしておりますから、技術的には必ずしも不可分とは申されませんけれども、両法案ともに牽連をいたしておることは事実であります。
○齋藤委員長 花村君、ちよつと申し上げておきますが、私の言つたのは、きようこの法案を決定するという意味ではないのです。質疑をなるべくきようで済まして、それから採決とかあるいは修正とかいうことはずつと先になる、そのつもりでありますから、さよう御承知願います。
○花村委員 それでは私はよろしゆうございます。
○齋藤委員長 次は梨木作次郎君。
○梨木委員 先ほど私ちよつと聞き漏らしたのですが、檢察官並びに檢察事務官を除く純粹の事務に当る職員が一万一千三百九十二名、そこから七百六十八名を整理するというのでありましようか。その点をちよつと伺いたいのであります。
○殖田國務大臣 それは私の御説明が少し不十分であつたと思うのでありますが、一万一千何百人は檢察職員全体であります。そのうちで純粹な事務職員と申しますのは、今私はつきりした数字を持つておりませんが、二千何百人。この七百何十人は事務職員の十分の三に当るのでありますが、そういうことでございます。
○梨木委員 それから伺いたいのは、これは先ほども花村委員長からお尋ねがあつて、それについてまだ明確なお答えがなかつたのでありますが、先ほど法務廳関係は千七百人とおつしやいましたが、これは予算上の予定人員でありましようか、それとも実人員でありましようか。それから五百人というのは、これは実人員を五百人整理する意味でありましようか。
○殖田國務大臣 本年一月一日の予算定員が千七百人であります。そのうちから五百人を整理いたします。從つてただいま本廳人員については五百人の欠員は持つておりません。欠員を持つておりませんから、実人員に多少食い込んで参るかと思つております。
○梨木委員 この法務廳の二十四年度の予算を見ますと、諸團体調査等に必要な経費、つまり團体等規正令による調査に関する経費、これが二十三年度よりも大体三倍と四〇パーセントくらいふえております。八千四百五十三万九千円、こういうふうになつておるのでありますが、ここでは二百十三名の人員増加を予定しているらしいのです。全部増加ではありませんが、そういうことにうかがえるのであります。この二十四年度に特別に諸團体等調査に必要な経費が増加したのは、何か客観的な根拠があるのでしようか。
○殖田國務大臣 それは團体等規正令の改正に伴い、またその團体等規正令の施行を十分にいたしますために必要な人員を増加することにいたしたのでありまして、それは行政整理とは無関係に新しく増加するものでございます。
○梨木委員 私の質問したいのは、人員を減らすといつていながら、一方ではふやしている。そこでこのふやすのには、どういう客観的な必要があつたのか。團体等規正令というのは、昭和二十一年勅令百一号の改正でありまして、政府の御説明によれば、文語体を口語体に直したり、あと大した内容の変更はない、こういう説明であります。そこで予算だけ三倍以上。そのほかさらに追放者監察に関する必要経費、これもふえておるのであります。こういうふうにふえて來たのには、何か特別の事情の変化があつたためか。機構の縮小と関連して特別にここがふえておりますので、これを聞きたいのであります。
○殖田國務大臣 特に新しい事実が発生したということではありませんで、從來勅令百一号、今度の團体等規正令の運用が今までの人間、機構では不十分でありましたので、これを充実いたしました関係であります。
○梨木委員 今総裁が御説明された運用の充実を期するというふうな程度では、法務廳全般の予算並びに機構の面においても、同じことが言えると思うのでありまして、今のような説明では私納得が行かないのでありますが、これはまたいずれもう少し具体的な資料を出して説明していただきたいことを希望しておきます。 その次に伺いたいのですが、今度の改正によりますと、刑政長官のもとに檢察局と矯正保護局というものが置かれることになつておるのであります。つまり檢察事務と、從前の行刑事務と申しますか、刑の執行並びにその他の保護的な仕事をする。この二つの仕事が一つの長官のもとに統轄せられるようになつておるのでありますが、大体檢察官的な頭で行刑的なことを処理して行くということでは、行刑の目的を十分達成することができないと思うのであります。一方は檢察をやる、つまり犯人の檢挙をやる。一方は檢挙した犯人を改過遷善してよい人間にして行く。またそれだけではなくて、犯罪を犯すに至らない少年の保護的な仕事、これは人間のタイプから言つても、非常に違うような人たちがその責任者にならなければならないと思うのであります。ところがこれを一つにまとめまして、そして刑政長官という一人の責任者のもとに統轄して行くということは、保護事業的な仕事の面が非常に檢察的な運営をされる危險が強いので、これは実際に保護関係にあたつている人からも非常に強い反対があるのであります。でありますから、これを一緒にして、はたして保護的な仕事がうまく運営できるかどうかという点についての総裁の見解を承りたいと思います。
○殖田國務大臣 その点は梨木委員のお話の通りでありまして、われわれもずいぶん心配をいたしたのであります。しかし五つの長官を三つの長官にいたすという大きな原則がありますのと、新しくできます三つの長官に從來の仕事を分配します上において、法政長官のところへ保護の仕事を持つて行くわけにも参りませず、民事の仕事に保護をくつつけるわけにも参りませず、さらばというて、保護だけを独立にするというのもなおさらむずかしいものでありますから、まず常識的に考えまして、檢察と行刑とはとにかく隣同士でありますから——仕事の面はなるほどお話のごとく背中合せになつておるかもしれませんが、大体関連のある仕事でありますから、まずどれか一長官にまとめるとすれば、どうも行刑と檢察とをまとめるほかはないであろう、こういうことでできておるのでありまして、決してこれが最もいい制度であるとは実は考えておらぬのであります。しかしながら今のような考えも皆さんの間に十分ありますので、その運用にあたりましては、人選その他につきまして十分注意をいたしまして、万あやまちのないようにいたしたいと考えておるのであります。
○梨木委員 法務廳の設置法を見ますと、第一條に「法務総裁は、法律問題に関する政府の最高顧問として、内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し、意見を述べ、又は勧告する。」となつておるのでありますが、これは法務廳として内閣総理大臣あるいは各省大臣から諮問がなくても、独自に意見を述べ、または勧告することができるわけなんでしようか。その点を伺いたいのであります。
○殖田國務大臣 実際の運用におきましては、日々立法事項等につきまして内閣総理大臣及び各省大臣に向つて意見を述べておるのでありまするが、むろんそういうふうにパッシヴな場合でなくても、積極的に法務総裁が意見を述べられるものと思つております。
○梨木委員 これは内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対してだけでありましようか、その他の部局に対して、総理大臣以下の、あるいは各省大臣以下の局長だとか部長だとか、そういう者に対して意見を述べ、または勧告することが実際あるのですかないのですか。それはできることになつているのですか、できないことになつているのですか。
○兼子政府委員 立法の建前から申しますと、正式にはやはり法務総裁を通じて内閣及び各省大臣に意見及び勧告をするということになるのでありまして、ただ事実上は、各省の局長から檢務長官なりあるいは調査意見長官に対して照会があつたときに、これに対して局長なり、長官なり、長官の名義でお答えすることも、あるいはまた意見を述べることもございますけれども、正式にやる場合には、やはり総裁を通して各省大臣あてにするというのが建前になつております。
○梨木委員 そこのところがちよつとわないのでありますが、事実上は、たとえば法務調査意見長官の名前で各省の局長に意見を述べるようなことがあり得るとの今の御答弁でありましたが、そういう場合、その責任はだれが負うのでありますか。
○兼子政府委員 それはやはり局長なり長官が、ちようど行政部局の関係として、労働省の労政局長が運輸省のある局長と意見を交換するというのと、同じ意味においてなされるのであります。
○梨木委員 総裁に伺いたいのでありますが、第一條の、そういうふうに事実上の意見を述べ、勧告をしておるという慣例があるように今言われましたが、一般國民から法務廳に対して、ある法律の問題についての解釈なんかに疑義ある場合に問合せた場合、どうも今までの例を見ますと、これは政府から諮問がなければ、また政府に対して意見を述べるのだからというようなことで、あまり意見を述べられないようであります。國民から疑義ある法律問題に関して問合せがあつた場合に、法務廳としてこれを答えるようにした方がいいと思うのでありますが、この点についてどういうふうにお考でありますか。
○殖田國務大臣 ただいまのお話は、たとえば法律相談所のようなものを法務廳がやつたらよかろうということだと思います。それは至極けつこうなことと思いまするが、現在のところ、まだそれまでに十分な機構も、人間も持つておらぬのであります。ただ法務廳設置法の表から言いますれば、法務総裁は、さような直接人民に対して法律の解釈をするとか、ある意見を述べるというようなことをする権限は、今のところ持つておらぬと思うのであります。議場において議員諸公から法務廳の意見を求められますれば、それは法務廳として、ここで政府の見解といたしまして法律上の解釈を申し上げ、あるいは意見を申し上げてさしつかえないと思うのでありますし、実際はまた常に意見を申し上げておるのでありまするが、そういう公の機関でなしに、私個人としまして、一々法務総裁として解釈を與え、意見を述べるということは、実際問題といたしましては煩にたえざるところでありまして、困難なことであろうと思います。ただごく市井の法律問題というようなものに対しまして、法律相談所というようなものを政府に設けて、そうしてその相談に應ずるというようなことは、別の意味におきましてあつてもいいのではないかと思いまするが、まだそういう方面までは、政府は手が伸びて参つておらぬのであります。
○梨木委員 法務廳を設置した非常に大きな目的というのは、政府の最高の法律顧問という点にあると思うのであります。これを法務廳の機構内では、法務調査意見局がその仕事をやつて來たと思います。ところがこの法務調査意見局と法制局ま一緒にして、法制意見長官というのをつくるということに変更されるのでありますが、こういうことになりますと、この法制意見長官になる人の持つている考え方によりまして、どうも調査意見局の意見が押えられるような危險があるのじやないかと思うのであります。從來調査意見局は政府に対しまして、政府の法律問題に関して相当民主主義的な思い切つた遠慮のない意見を出して來て、それが非常に日本の民主化に役立つて來たと思うのであります。これが一緒になることによつて、そういう從來の意見調査局が果して來た非常にいい面の仕事が掣肘を受けるのではないかと思うのでありますが、この点についての法務総裁の御見解を承りたい。
○殖田國務大臣 その点は御心配はないと思います。從來の調査意見長官として貢献したる美点、長所は、あくまで新しい機構においてもこれを保存するつもりであります。
○梨木委員 最後に、実は先ほどお伺いいたしました團体等規正令に基く費用の増加と追放者監察に必要な経費、これが二十三年度より非常にふえておるのであります。この法務廳設置法の改正、これは大体において費用の節約というようなことを目標にして機構の改革をやつているのだと了解しているのであります。にもかかわらず、こちらの方が非常にふえておる。それについての資料を——先ほどの御説明ではよくわからないのでありますが、客観的な資料をひとつ出して、納得の行くようにしていただきたいということを希望します。
○殖田國務大臣 いずれ法務委員会に出まして、またできるだけの資料を提供して御説明いたします。
○花村委員 先ほど法務総裁の御答弁のうちに、本法案と司法試驗法並びに犯罪者予防更正法とが不分離の関係にはないのだというお話でありましたが、本法案の第十三條の八を見ますれば、司法試驗管理委員会については、司法試驗法の定めるところによると規定し、しかも第十六條には、犯罪者の予防更生保護に関しまする規定がこれまた置かれておりますので、本法案とは不分離の関係にありますることは、この一事をもつてしてもきわめて明瞭でありまして、先ほど法務総裁の答弁された不分離の関係はないのだという御意見は誤りであろうと思うのであります。かような関係に置かれておりまするので、本法案の審議に際しましては、ただいま申し上げました後に法務委員会に提出せらるべき司法試驗法案並びに犯罪者予防更生法案というものを、十分考慮のうちに入れて審議を進行せられんことを委員長に要請いたしておきます。
○木村(榮)委員 刑務所を増加するような話だが、ほんとうかうそか、よく聞きたいと思います。
○殖田國務大臣 刑務所は、戰爭前には五万に上つたことはありません。四万数千人を最高といたしておりました收容人員が、ただいまでは約十万近い数になつております。從つていずこの刑務所も過剩拘禁の状態にありますので、刑務所をふやすわけではありませんが、刑務所の設備を大いに拡張しなければならぬ状態になつておるのであります。それからまた戰爭の際に被害を受けました刑務所の設備も大分あるのであります。それらを新しく設備いたしますために、公共事業費の中で多分十二、三億の経費が計上されておると思うのであります。それによりまして設備は約数万坪が増加することに相なるのでありますが、特に刑務所をふやすという予定はございません。
○木村(榮)委員 しかしそれは建物は建てなくとも、実質的には刑務所がふえたと同じことになると思いますが、こう解釈してさしつかえありませんか。
○殖田國務大臣 さようであります。刑務所のスペースが非常に大きくなりますので、実質的には刑務所がふえたような形になります。
○木村(榮)委員 最近各刑務所において頻々といろいろな事件が起つております。私の町の刑務所も、この間脱走だか何だか大暴動が起つたんですが、この原因を探究してみますと、大体刑務所側の言うことと実情とは違うのです。最近は食糧が非常に惡い、しかも夜具なんかもほとんどない。そこにもつて行つて、看守の者が月給が安い関係もあるでしようが、でたらめをやつておる。こういつたことがだんだんと大きな原因となつて爆発いたしまして、あのような騒ぎが起るわけであつて、今のような刑務所をふやす方法——この法案を見ましても、とにかく人を有無を言わさず縛り上げることのみ強調されておる。どうも私たちは理解できない点がたくさんございますが、何かお考えになつておる点はございませんか。
○殖田國務大臣 單に刑務所のスペースをふやすだけではありません。その内容を十分に充実改善をいたしまして、また刑務所の官吏その他の職員につきましても、十分に人を充実し、そうしてりつぱな人間を集めたいとせつかく努力をいたしておるのでありまして、それらの点が不十分なるためにいろいろな問題を生じておると考えております。從つて今度の行政整理におきましても、刑務所職員には一指も染めない、ますますこれを充実するという立前をとつておるのであります。
○木村(榮)委員 そういたしますと、一般の行政官吏は生活不安の中で首を切られて街頭に放り出される。刑務所の番人はふえておる。そういたしますと、だんだんやつて行けなくなつて失業者になる。失業者になると食えませんから犯罪者がふえる。今度の行政改革のやり方、行政機構の改革というものは、そういうふうな方法をもつて現政府はおやりになると解釈してさしつかえございませんか。
○殖田國務大臣 そういうふうな方法でやるわけではありません。行政整理は行政整理として、現下の財政上その他から当然の必要でありまして、行政整理の結果を刑務所のスペースの増加、人員の増加によつてこれを食いとめるというようなことは毛頭考えておりません。犯罪の増加は片方においてなるべく防ぐ、それでもふえて行く犯罪のために刑務所の設備を充実するだけのことでありまして、刑務所をふやして犯罪の増加を予定するというようなことは毛頭考えておりません。
○木村(榮)委員 それはむろんそう簡單にはならぬでしようが、結果的にはそうなる危險性が多分にある。そこで問題は、たとえば少年観護所といいますか、そういつた問題を例にしますと、おやじが失業いたしますと、今までさえも零細な月給でなかなかうまくやつて行けなかつた。從つて子供に対しても十分なこともできなければ、学校にも行かせられないというような社会の大きな困窮状態が、少年の犯罪をふやしておると思う。それで少年観護所といつたような問題も起つて來ますが、現在の少年観護所は、この間も大脱走があつたようですが、これはさつきの刑務所と同じようなことで、観護所といつてきわめて名前はいいですが、あれは守るところではない。ぶんなぐることまではやらないらしいが、そのまねごとをやるところだと私たちは見ておりますが、この機構は根本的に改革されるお考えはないですか。
○殖田國務大臣 機構といたしましてはりつぱにできておるつもりでありまして、ただその機構の設備——物的設備、人的設備のまだ不十分なためにさような不祥事件を起しておるのでありまして、まことに申し訳ないと考えております。これはできるだけすみやかに十分な措置を講じまして、内容を改善いたしまして、法規の目的とする機能を発揮させたいと考えております。
○木村(榮)委員 刑が終つて出た者のいわゆる匡正といいましようか、そういつたことなんですが、最近はいろいろな犯罪がふえて、刑務所の囚人がふえて來たということは間違いない事実なんです。ところが現在、一般のまじめな労働者や、あるいは官公吏の方々でも首を切られてしまうというようなとき、まして刑務所を出て來た者はなかなか雇い手がないと思う。刑務所から出て來て雇い手もないので、またぞろ刑務所へ行くという惡循環をやらなければならないような現状だと思う。日本の当面いたしますいろいろなむずかしい問題の中にあつて、困難な面もあるでしようが、ここのところを相当お考えになつて、こういつた機構をこしらえるときにもそういうことを考えませんと、非常に問題が起ると思う。そういう点について、今までのような申訳的な司法委員とか、お寺の坊さんにまかしておくというようなことでは、とてもとても問題は解決しないと思います。この点何か今度の機構の中に、もつと具体的なことを加味されるお考えはございませんでしようか。
○殖田國務大臣 まことにごもつともなお考えで、私どもも常にその点については憂慮をいたしておるのでありますが、いかんせん莫大な費用を要するために、われわれの考えが如実に実行できないでおるのであります。ただ司法保護の問題につきましては、特に意を用いなければならぬことでありますから、いろいろと研究をいたしておりまして、まず金のかからない面から逐次実行いたして行きたいと考えておるのであります。まだこれと思うほどの成案をお目にかけるまでに至つておりませんことを、はなはだ残念に思つておりますが、今後とも一層努力いたしたいと考えております。
○木村(榮)委員 刑務所のことばかり言うようですけれども、刑務所へ入る縁が多いので大いに研究しているのであります。最近全國の刑務所の囚人で、若い元氣のよい者をどんどん北海道へ送つていますが、中には行つたかと思えば、十日目くらいには仮釈放で出しているという連中まで含めて送るのですが、あれは何か特殊な原因がございますか。経費が相当かかると思ういますが……
○佐藤(藤)政府委員 ただいまのお尋でございまするが、昨年の夏に北海道の開発のために、全國の刑務所の受刑者のうちで、成績の優秀な重労働に耐え得るような人を選拔いたしまして、北海道の開発産業に從事せしめたのであります。その開発産業に從事している間に、非常に成績の上つた者につきましては、内地の刑務所で作業をしておる当時よりも割のよい計算によりまして、短期間で仮釈放をしたという例は多々あるのでありまして、これによつて受刑者の改過遷害の効果が非常にあがつたつもりでおります。他面北海道の開発産業につきましては、普通の入植者あるいは帰還者ではとうていできないようなむずかしい荒仕事をいたしまして、外地からの帰還者、あるいは内地の罹災者等が北海道に入植するに非常に都合のよいような準備的な開拓作業に成績をあげておるのであります。さような効果はありますけれども、ただいまお話のように、各地から受刑者を北海道へ送るために相当輸送費はかかつておりますが、輸送賃を償つてあまりある成績を上げておるつもりであります。ただ輸送賃のかさばることを考えまして、昨年はなるべく東北及び東京管内、名古屋、関西方面から送つたのでありまして、遠い九州等からは一名も送らないような手配をいたしました。
○木村(榮)委員 今日本には失業者が何百万とある。そして開拓者として働かなければならない方もたくさんある。ところがそういう連中ができない仕事を刑務所の囚人にさせたということになると、非常に大きな人道問題だと思います。刑務所へ入れて置いて、人がいやがるような重労働をやらすことになるわけですね。一般の者にやらしては困るような仕事をやらした。かように解釈してかまいませんか。
○佐藤(藤)政府委員 さように私のお答えを曲げて解釈されますことは、はなはだ遺憾でありますが、私の言葉が足りないのでさような誤解を受けたことと存ずるのであります。普通人がきらうような労働を、特に受刑者を選んでやらせたわけでは決してないのであります。御承知のように北海道の未開墾の土地は莫大なものでありまして、何千町歩という平野が未開墾のままになつておるのであります。ところが戰災者及び外地からの帰還者等が行つて、すぐに開拓することができないような事情がたくさんあるのであります。今までデスク・ワークをしておつた者に、土地が空いておるから北海道へ行つて働けと言つてもなかなかできないので、入植させるにはまず道路や下水をこしらえ、水田の温度が低過ぎれば低温の水を一時貯えて置いて、水田に適するような高温にするダムをこしらえるとか、いろいろ入植者が入植しやすい下ごしらえをする作業に用いたのでありまして、私どもは決して入道に触れるものとは考えておらぬのであります。現に昨年初めて試みたことではありますけれども、この点は明治初年に北海道開発作業について受刑者を使つた例にかんがみまして、いろいろな惡例もありましたので、そういう惡例をためつつ新たなる方法で開拓作業をなさしたつもりであります。昨年の夏に向うに行つて、働いた受刑者についてそれぞれの感想も聞いてみましたし、また私自身八月向うに行つて、方々働いておるところを慰問いたしたのでありますが、その際に受刑者の非常に喜んで働いておられた。またその働いておる近所の北海道の住民の方々も、非常にようことをしていただいた。自分たち個人の力ではとうていできない開拓作業を大勢の人がやつてくれて、これで今年の冬も水が出る心配がない。昨年は氷の中で正月を迎えたが、ことしは安心して正月を迎え得るというようなことで、非常に喜んでくれたのでありまして、ただいま御質問のような人道問題の御心配は絶対にないことを、私は断言できると思つております。
○木村(榮)委員 法務総裁がおられませんので、刑務所の問題はこのくらいにいたしまして、この次にやらしていただきます。この改正法案の第六條と第八條の中に、さつき梨木君が質問いたしましたのと大体関連していると思いますが、長官が云々の問題、これは國家行政組織法と相当食い違う点が出て來ると思います。そうしますと國家行政組織法の部局とかいろいろなことがある中で、命令系統といいましようか、監督系統と申しましようか、これは文字の上では食い違わないかもしれないが、内容的に食い違うと思います。この点はどのように解釈しておりますか。
○佐藤(藤)政府委員 國家行政組織法の組織並びに系統等とは、お説のように法務廳設置法の予定しておる組織は、幾分違つてはおりますけれども、國家行政組織法で予定しておりまする各省の組織は、申し上げるまでもなく上は大臣、次官、局長、課長、事務官等というふうにピラミツド型に組織されることを予定しておるのであります。法務廳設置法では、昨年法務廳が開設せられました当時から、上は法務総裁でありますけれども、その次に一人の事務次官を置くという制度ではなく、事務次官に相当する各部局の長官が数名おりまして、その数名の長官がそれぞれの所管部局をつかさどるという形になつておるのでございます。その下の方の組織は、行政組織法の組織と、全然各省のと同じでありますけれども、各省が次官一人で管掌するのを、法務廳ではその所管事項が非常に複雜であり、多岐にわたり、また重要な点にかんがみまして、数人の長官を置くという点だけが各省の組織とは違いますけれども、それだからといつて、國家行政組織法の根本精神に沿わないものであるとは考えておらないのであります。
○木村(榮)委員 第十三條の第三項目ですが、法務総裁は必要がある場合には特設監獄を置くとありますが、特設監獄というのはどんなものでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 第十三條の三の末項に「特設監獄の名称、位置及び内部組織は法務府令でこれを定める」とありますが、ここで予定しております特設監獄というのは、御承知のように普通の刑務所のほかに少年だけを入れる少年刑務所、あるいは女子だけを入れる女子刑務所というものを大分前から特設しておりまして、一般の刑務所とわけて処遇する方が効果的であると思われますので、今後も必要に應じてさような特別な種類の刑務所を設けたいという趣旨であります。今考えておるのは少年あるいは女子の特設監獄でございます。
○木村(榮)委員 今考えておるのは少年あるいは女子の特設監獄であるが、將來はわからぬ、さように解釈してもさしつかえございませんか。
○佐藤(藤)政府委員 私どもの考えとしては、女子または少年のほかに設けるというようなことは全然考えておりません。
○木村(榮)委員 しかし法務総裁が必要があるときに設けることができますから、女子または少年ならば、簡單に女子刑務所あるいは少年刑務所で済むが、大体特設と書いてあるから特別に何でも設けられます。少年とか何とかうまいことを言うだけであつて、こういうところにこの法案が、反民主的な考えのもとに共産党を彈圧しようとしているのではないか、その点どうですか。
○佐藤(藤)政府委員 たいへん邪推されるような御質問を頂戴して、はなはだ恐縮に存ずるのでありまするが、前から少年刑務所あるいは女子刑務所を内部的には特設しておりましたけれども、法文の上にさような特設監獄、特設刑務所というようなものは認めておらなかつたのであります。ただ処遇上女子だけを特に一箇所に收容する、あるいは少年だけを入れる、あるいは比較的刑の重い者だけを一地方に集める、あるいは軽い者を一地方に集めるというようなことは事実上やつておつたのでありまするが、それを今度法律の改正にあたつて、法文の上においてはつきり表わす方がよかろう、こういう考えのものに特設と書いたのでありまして、決して御心配のように思想犯を彈圧するような意味は毛頭ないのであります。その点は御心配御無用と思います。
○木村(榮)委員 もう一ぺんお尋ねしますが、戰爭中日本の軍閥や官僚によつて行われた彈圧政治、その末期において行つたいわゆる予防拘禁所というものは、あなたのお考えではこれは特設監獄であるか、あるいは普通監獄であるか、どの部類に入るか、その解釈を聞かしていただきたい。
○佐藤(藤)政府委員 予防拘禁所は御承知のように開戰以前にでき上つたものでありますが、あの組織は刑務所ではないのでありまして、保安処分であると私どもは解釈いたしておつたのであります。刑の執行とは考えておりません。
○木村(榮)委員 從つてそのようなものを称して特設刑務所、かように解釈するのが一番正しいと思うのですが、どうですか。
○佐藤(藤)政府委員 ここで申し上げます刑務所、あるいは以前からの呼名である監獄、こういうものは刑を執行する施設、こういう意味に解しておるのでありまして、刑の執行以外の施設を全然含んでおらないのであります。
○木村(榮)委員 それならば特設という意味は一体なんですか。わざわざ特設などと書かなくても、ただ二つしかないんですから、少年刑務所、婦人刑務所となぜ書かないか。その点の御説明を願いたい。われわれのどうも解釈に苦しむようなことを書かなくても、二つしかないものならば二つ書いておけばたくさんである。特別に設けると書いてある。戰爭中の予防拘禁所、これは監獄じやないと言う。妙なことをあなたはおつしやる。現に監獄である。予防拘禁所といつて監獄に入れておる。監獄でなんなんていうのは、大インチキである。大うそつきである。われわれの先輩諸君が入つておつたのは皆監獄である。そこで特別待遇を受けたこともない。皆と同じような待遇を受けておる。監獄に違いない。監獄でないというなら、建物及びその設備、生活内容、待遇その他万々の点にわたつて、絶対に刑務所ではございませんという証拠があるならばお示し願いたい、
○佐藤(藤)政府委員 ただいま申し上げましたように、私どもの考えとしては、予防拘禁所というものはどこまでも保安処分を執行する場所でありまして、刑を執行する監獄とは区別しておつたのであります。刑務所の一部を予防拘禁所に使つて行くようなことは、私は聞いておらないのであります。もし將來そういうような保安処分を執行する施設をここで予定しておるようなことを考えますならば、これはとうてい法務府令に委任することはできないのでありまして、どこまでもそれは法律で保安処分をきめる。また保安処分を執行する施設は法律でこれを定めるべきものである。ここで委任するような法務府令で定めるというようなことは、とうてい許すべきことでない。かように考えております。
○木村(榮)委員 その前ぶれにこういうものをこしらえると解釈して、きようには質問はこの程度でやめておきます。
○齋藤委員長 次は田嶋好文君。
○田嶋委員 一、二点御質問いたしたいのでありますが、私の質問の趣旨は、今お答えになりましたことの中に多少含まれている点もあると思います。 まず第一に司法省が法務廳に改組されまして、今まで司法省に存続いたしておりました政務次官制度というものがなくなつたのであります。今回の法務廳設置法案に関する内容を見ましても、やはり事務次官制度がなくなつておるのであります。司法省が法務廳にかわりまして、事務次官がなくなつて、各長官がこれを担当するようになつたのでありますが、われわれ外部からこれを見てみますと、外部の人間といたしまして非常に不便を感じたことが多々あるのであります。なおこの長官の職務内容を見てみましても、今回の場合でも不可分的なところも多分にあるようであります。どうして事務次官制度が採用しなかつたのか、その点を御質問いたします。
○佐藤(藤)政府委員 昨年の二月十五日に法務廳が新たに設立されるときの考えと、ただいま三割減の行政整理の結果、法務廳設置法の一部を改めて組織を改革しようという今の考えも同様でありますが、他の省のおいて一人の事務次官で行政事務を統轄しておるのに、法務廳だけが複数の長官制度をとりますのは、これは法務廳のつかさどる職務権限の内容が非常に複雜多岐にわたつておりますので、一人の事務次官でこれを統轄するということは、行政の円滑なる運用を期する上において不便であろう。そういう考えのもとに、かような複数制の長官をとつたのであります。
○田嶋委員 やはり外部の者から考えますと、今の御説明ではむしろ納得できないのであつて、うまく司法省の事務を運営するためには次官制度があつたがよい。こういうように考えられるのであります。この点はやはり今回の制定にあたりまして、ただ機械的に人員整理ということではなく、先ほど法務委員会の委員長から御質問がありましたように、やはり科学的な意味で、仕事の能率の上、または社会制度に対して最もよき影響を與えるという立場から御研究を願いたいと思います。 次に私もう一点御質問いたしたいのでありますが、これもさつき法務委員長から質問いたした点でありますが、司法試驗の管理、これはいまだどこに属するかきまつていないのでありますが、いろいろ輿論といたしましては、法務廳がよい、また裁判所がよいというようにわかれておるのであります。どうも先ほどの法務総裁の言葉を聞いておりますと、もはや法務廳にきまつているというような、もう自分一人でのみ込んでしまつておる。そうしてこうした行政機構の制度を立てたというように承るのでありますが、法務総裁一人がのみ込んでおりましても、やはりこれに対しては相当な議論が起つておるのであります。裁判所がよいか、法務廳がよいか。そうしてみれば、少くともこの場合にこの機構といたしましては、やはり私の考えも委員長の考えと同じように、はつきりと法務廳にこれを設置するなら設置するという態度で臨んだ方がよいと思いますが、この点に対していかようお考えでございましようか。
○岡咲政府委員 それでは私から便宜お答えいたしたいと思います。近く國会に提案になります司法試驗法案によりますと、司法試驗を管理いたします機関といたしまして、司法試驗管理委員会を設ける案になつておるのでございます。その司法試驗法におきましては、司法試驗管理委員会は法務総裁がこれを管理する、こういう明文を設けておる次第でございまして、司法試驗法案と、この法務廳設置法の一部改正法律案との両案におきまして、司法試驗は一應法務総裁の管理下に置かれるということがはつきりいたしておる次第でございます。しかしこの点につきましては、今お尋ねがございましたように、裁判所側は反対の見解をお持ちでございまして、おそらく國会におかれましても、相当論議のあるところであろうと考えておりますが、政府といたしましては、試驗は政府がこれを管理することが適当と考えまして、一應原案には法務総裁がこれを管理いたすという建前で、この法律案を提出いたしておる次第であります。
○田嶋(好)委員 そういたしますと、結局腹だけはそうで、この改正法律案にはこれを盛つていない、こういうことになるわけですか。
○岡咲政府委員 司法試驗法の第十二條に、「司法試驗に関する事項を管理させるため、法務総裁の所轄の下に司法試驗管理委員会を置く。」かような明文を定めておる次第でございます。
○齋藤委員長 これで一應質疑だけは済んだようでありますが、ほかに別に質疑がなければ、この連合会は、これで散会いたします。 午後三時三十二分散会