地方行政委員会 第33号
- 発言数
- 32 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1949/06/29
会議録
○中島委員長 これより会議を開きます。 増田官房長官が御出席になつておりますから、まず増田官房長官に対する質疑を許します。長官はよんどころない用事がありますので、今から十五分間と時間を制限いたしまして許しますから、どうぞ長官に対する質疑はその程度で終つていただきたいと思います。門司委員。
○門司委員 この際官房長官においでを願いまして、お聞きしたいと思いますることは、過般の國電ストに対しますることについて、官房長官は横浜の警察局長でありまする小林君をお呼びになつて、その事情を聽取されるとともに、さらに警察局長のとつた処置についての御意見があつたということを承つておるのでありますが、現在の警察法に基く処置として、官房長官はいずれの法律的根拠でそういうことをなされたか。一應お聞きしておきたいと思うわけであります。
○増田國務大臣 門司さんにお答え申し上げます。せんだつての國鉄ストの際に、私が横浜市の警察局長に——名前はちよつと失念いたしましたが、來てもらつた事実はあるのであります。というのは御承知の通り東神奈川の車掌区において、相当の騒擾に近い遺憾な事件が起きたのでございまするが、その内容について、治安全般についてもやはり政府としては心配はせんならぬということは、門司さんも御同感くださると思いますが、そういう立場に立つておる政府の当局者といたしまして、事情を知つていないことはよろしくない。こういうわけで特に來てもらつたのでありまして、電話あるいは齋藤國家地方警察本部長官等から話を承つておりますが、やはり間接でございますので直接に聞きたいというわけで、御足労願いたいというわけで、上京願つて、私が事情を聞いた事実はあるのであります。それからその他私が意見を述べたというようなお説でございまするが、別段指揮に属する、あるいは指示に属する意見を述べた事実はないのであります。ただ評判等によると、東神奈川区では、ずいぶん車掌区長も困つておる、あるいは警察の出動振り等についても、それぞれ批評もあるけれども、どうなつておるのですかというようなわけで、何と言いますか、口頭による事情聽取、こういうことを求めた次第であります。別段市の警察局長に対して意見がましてことを申した事実はありません。
○門司委員 私が聞いておりまするのは、現在の警察制度のもとにおいて政府のとつておられます態度は、いろいろな事件が起りました場合に、ここに直接警察所管の大臣として、樋家國務大臣においでを願いまして、いろいろのことを聞き、さらにいろいろの意見を申し上げるのでございますが、樋貝國務大臣はいずれの場合におきましても、地方自治警察の所管に属する範囲において行われた諸問題につきましては、言を左右にされまして、その責任の所在を明らかにされていないのであります。しかるにもかかわらず、今回の問題については、官房長官がただちにお呼びになつて事情をお聞きになつたというお話でございますが、事情をお聞きになりますとともに多少の御意見があつたことは、こまかいことは時間がありませんので申し上げることは避けたいと思いますが、私の聞いておりますのは、法律的にいずれの根拠があつたかということであります。もちろん政府が聞きたいというならば、警察法に基きまするところの報告は、縣の國家地方警察の本部長にはもちろん報告はいたしておりますし、それを通じて齋藤本部長官ももちろんお聞きになつておることだと思いますし、さらに直接の責任者であります樋貝國務大臣も私は十分御承知になつておると思うのであります。それを通じて警察法に基く処置といたしましては、内閣総理大臣がなおそれをお聞きになつておると思う。私はこの建前の上において官房長官がいずれの権限と、いずれの根拠において、そういうことをなされねばならなかつたかということが実は聞きたいのであります。この点をもう少し明確にお答え願いたいと思うのであります。
○増田國務大臣 私は新警察法のこまかい点までは実は存じませんが、大綱については私の信ずるところだけ申し上げます。報告義務があるかどうかということについては実はよくわかつておりません。ただ警察局長に來てもらいまして、都合できたら御足労願いたい、こういうわけで來てもらつて状況を聞いた次第であります。もし法規的な根拠がないからどうこうということになつたら、これはあるいは拒むこともできるでしよう。そういうような固い意味でなしに來てもらいまして、しかも他の諸党派の諸君からは、政府の治安の維持の責任を追究されまして、一体事情がわかつてないでは困るじやないか、それじやひとつ事情を聞こう、本人に來てもらえるなら一番いいから、都合ができたら御足労願えないか、いやだと言えばいいのであります。刑事訴訟法上の審問権があるかどうか、そんな意味合いの根拠法規がなくても、いやだと言えばやめればいい。それは当然なし得ることであるし、なすべきことである。かように心得ております。政府の新警察に対る関係でございますが、門司さんは、樋貝さんが当該責任者であるということを言われますけれども、嚴密に申しますと、総理が樋貝國務大臣に対して、君警察のことを見てやつてくれ、こう言つておるだけにすぎない。それだけのことなんで、法規上の根拠から申せば、私がやりましようというわけで樋貝さんがやつておるだけで、これを嚴密に齋藤君なら齋藤君という立場から、樋貝國務大臣はいかなる権限と法規によつて、われわれに対して警察的な方面に対する責任者として臨むかと開き直られたらそれまでであります。それですから警察というものに対する政府の全般的責任とか、権限とかいうものは、私はこういうふうに解釈しておるのです。政府全体はやはり警察についての責任がある。それから檢察についてもある。何となれば法務総裁が檢察のことについても、やはり最高の長官である。しかしながらこの政府の警察に対する責任は非常に漠然としておる。國家警察につきましては、五人の公安委員を、國会の同意という條件のもとに総理が任命する。そうして五人の公安委員会というものが、齋藤國家地方警察長官を指揮監督する。こういう建前であります。自治警察については、これを國家地方警察長官といえども、あまりタツチできないのじやないかと私は思つております。ですからもしできたならばあなた來て何か聞かしてくれぬか、よろしい。それでは行つてやりましようというような話で來ると思う。ですから法規上の根拠からは、嚴密に言うと断わられればそれまでです。そういうような意味でございますから、断わられてもなおかつ來いというようなことであれば、門司さんの非難に該当するかもしれないが、とにかく御足労願いたい、それでは行つて報告しましよう、こういうことで來てくれたと思います。それから政府全体の警察に対する漠然たる責任というものは、やはり五人の委員というものを、内閣総理大臣が國会における同意のもとに任命します。それから五人の公安委員が、もし職務執行が不適当であるときには罷免もできる。任命も罷免もできる。條件はついておりますが、できます。そういうことはやはり五人の公安委員というものが、りつぱに職務を執行しておるかどうかということを、個々の事件についてさしずはしませんが、やはり一般に後におつて見ておるというだけの責任が、内閣総理大臣にはあるのではないか、こう私は解釈しております。あるいは政府全体が責任があるのではないかと思います。そういう立場から、総理大臣がとにかく横浜市の状況がよくわからぬ、君呼んでひとつ聞いてくれぬか、そういうようなわけで私は御足労を願つたのでありまして、出頭を命じたわけでも何でもありませんから、その点はどうか御了承願いたいと思います。
○門司委員 大体想像通りの御答弁でありました。それ以上の答弁はできないと私は思います。できないと思いますが、さらに私が聞いておきたいと思いますことは、現在の政府がやつておいでになりまする、先ほどの増田官房長官の御答弁の中にもありましたように、警察を受持つておるという樋貝國務大臣は、法律的に何らの根拠のないものである。ただ大臣をこしらえて、そうして総理大臣が警察の方を見てくれぬかと言うから、それでは見ようかということで見ておるのであつて、嚴密に言えば何らの権限がないということになりますと、一体樋貝國務大臣というものは、何のための國務大臣であるか、われわれにはわからぬのであります。法律的の根拠もなければ何もないものを、一人大臣をこしらえてやるというようなことになりますと、私は実際内閣の信任問題だと思う。あまり時間がありませんので私はその問題で今増田長官を責めてもしようがないと思いますが、そういう氣持を持つ。それと同時に、増田官房長官は、官房長官としてのお考えでお呼びになつたのか、あるいは個人でお呼びになつたのか、私は警察法の法律の建前から申しますならば、むろん何らの権限はないと思います。それからまた刑事訴訟法云々という言葉がありましたが、刑事訴訟法の中に書いてありますような、拒否権があるというようなものと同じように考えられては、私は迷惑すると思います。國家のおおよその行政をつかさどる者といたしましては、ことに憲法の九十九條に書いてありまする通り、政府並びに國会、あるいはこれに携わつておりますところの公務員は、この憲法を守らなければならないということがはつきり書いてある。こういうものの解釈から申しましても、一國の政府としての責任のある立場においでになりまする人が、かりに横浜の警察局長をお呼びになるときに、いやなら來なければよかつたじやないかということは——私はおそらくそういう答弁になると思いますが、しかしこういうことで一体やれるかどうかということです。同時に社会通念から申し上げますならば、少くとも官房長官がお呼びになつたときに、警察局長がいかなる用件であるか、いかなることを官房長官がお考えになつているかもわからぬし、官房長官がお呼びになつても絶対行かないということは、私は常識上なかなかできないと思う。それで官房長官が御親切であるならば、刑事訴訟法にありまする通り、おれはこういうことを言うが、お前がいやなら來なくてもよいのだということをお告げになつたらどうでしよう。刑事訴訟法にも書いてある通り、不利な点は答えなくてもよいのだということになつておる。刑事訴訟法の中にそういう拒否権はあるのだから、いやなら來なければよかつたのだというような言いのがれでこの際お答えになるなら、また何をか言わんやです。そういうことを私はもう一度明確にしてもらいたい。 それから先ほど申しましたように、樋貝國務大臣のあげ足をとるようでありますが、私どもはしばしば樋貝さんを呼んで、たとえば東京の公安條例の問題であるとか、あるいはその他いろいろの問題について樋貝さんにお聞きいたしましても、わしは警察をやれと言うからやつておるのだが、その方は自治警察の仕事だから、私どもは何も言うことはできないと言う。こんにやく問答に終つておるのであります、樋貝さんのお言葉で何らの法律的に根拠はないのだ。ただ総理大臣が大臣を一人こしらえて、お前警察を見ろと言われるから警察を見ておるのだというような不見識なことで、一体日本の治安が完全に保たれるかどうかということであります。私はそうした意味から考えましても、今度の官房長官がとりました処置というものは、遺憾に考えておる。ことに東神奈川のあの状態は、何ら法律的に、爭議をやつておる諸君が不法な行為をしたということはない。あるいは人民電車を動かしたとか、あるいは拔打的にストライキをやつたということは、不法であると言い得ると思いますが、そこに刑事上の問題はなかつたと思うのです。伊藤という区長にいたしましても、あるいは駅長にいたしましても、その他の人にいたしましても、何ら監禁された事実もございませんし、晝間勤務しただけでありますし、あとはうちに帰つてお休みになつておりますし、また外部から参つておりますところの應援の諸君は、多少氣勢をあげたという事実はあつたかもしれませんが、これもおのおの自主的に労働組合が應援に行つていろいろ話をし、いろいろなことをするということは、決して不法でもなければ不都合でもない。労働組合としてとるべき当然の一つの態度であり、手段であります。さらに警察局長といたしましても、地檢と御相談をいたしまして、そうして不法行為に対する問題については告示いたしまして、なるたけすみやかにこういう不法行為をやめて、業務に服してもらいたいという告示をしているはずであります。警察局長といたしましては、法に基く警察局長の処置は、私どもは十分とつておると思う。もし多少でも彈圧がましい行動がありまするならば、あの問題はあのままの姿では私は治まらなかつたと思う。もう少し事件が拡大をして、いろいろ不祥事を必ず起しておつたと思う。われわれから考えますならば、横浜警察局長のとりました態度というものは、私は当然の態度であつて、從つて問題が紛糾しないで、あの問題は比較的手ぎわよく片づいたと考えておりますとき、官房長官が何の必要があつて呼ばれたか、もう少し眞意をはつきり聞きたい。先ほども申しましたように、社会通念として、少くとも一國の官房長官が一市の警察局長に電話であるとか、あるいはその他のことずけでありましても、出てくれぬかということになりますれば、これは当然出て來る。常識で行けば出て來る。それを刑事訴訟法でこうだとか、ああとか言われる子供だましの答弁では承服しかねる。もう少しはつきり伺いたい。
○増田國務大臣 門司君にお答申し上げます。私は刑事訴訟法云々というのは、こういうことは常識でやる、法律に書いてあるからというようなことをあげつらつていただきたくない。刑事訴訟法でどうこうということは言わずに、こういうことはむしろあなたに常識で論じていただきたいという意味で、大体社会通念から見て、常識に合致するならばやつてもよろしいものじやないか、むしろあなたの方で私に勧告してくださるくらいに私は考えておる次第であります。それからほんとうにまた嚴重に話しますと、これは問題が少し拡大するかもしれないが、今治安閣僚懇談会で田中警視総監に來てもらつてやつておりますが、このことも違法だということになりますが、これはどうでしよう。これはとにかく呼んで來ておるのですから、やはり相談に乘つてもらつておる。法律の性質から申せば、田中君だつて、あるいは横浜市の警察だつて同じ自治警察です。ですから私が横浜の警察局長に來てもらうというようなことは、これは総理大臣の代理としても、また政府の窓口としても、とにかく神奈川方面の治安が相当乱れているというようなことを聞きますと、來てもらつて聞くということはむしろ当然なすべきことです。私は詭弁でも何でもございません。そういうふうに今でも信じております。あなたはこういうことでやつて行けるかと言いますけれども、そういうことでなかつたならば、治安維持なんということはやつて行けないと思う。まるきり樣子がわからぬ。ただ新聞だけでしかわからぬというようなことではやつて行けはしません。市の局長を呼んで聞くというようなことで、治安維持がやつて行けるかということは、これは私としてはちよつと心外な御質問だと思います。まるきり市の局長も來てもらえないということでは、むしろやつて行けない。私はそういうこともむしろ言えるんじやないかと思う。やつて行けるか、やつて行けないかについては、治安維持をやる以上は、やはり樣子を知らなくちやならぬ。しかもあのやり方がよいかわるいか、大勢呼んで聞いたわけでもない。市の局長に聞いただけで、被害を受けた車掌区長に來てもらつたり、民衆に來てもらつたりして、私が事件の内容を正確に判断するというような裁判官的態度をとつたわけでないので、市の局長に來てもらつて、一体どうなんだ、こういうことを聞いただけなんです。ほんとうはむしろあなたがおつしやつた通り、その治安維持の状況がよいか、わるいか、判定をする立場にあるならば、車掌区長も呼ぶ、あるいは鉄道の新橋の管理部長とか、横浜の管理部長はどこに属するか知りませんが、そういうものも呼ぶ、あるいは乘客も呼ぶ、民衆も呼んで、第三者にとにかく御足労を願つて——別に出頭でも何でもありません、御足労を願つて、ほんとうの事情を聞いたがよいかもしれません。一体わいわい言われている、東神奈川は無政府と言われているが、こういうことはどうなんです、そのくらいのことはむしろ私は聞くべきだと思つております。これは意見の相違どころじやない。社会通念の上から、常識からみて私のとつた態度は当然です。もしそうでなかつたら、ずぼらであるとさえ私は考えております。
○門司委員 私の聞きたいのは、そう官房長官がお答えになりますから、前に樋貝國務大臣のことをちよつと申し上げましたが、樋貝さんがもしお呼びになるならあるいは多少の筋は通るかもしれません。あなたが今総理大臣からそういうことを言われたから聞いたのだとお言いになつておりますが、総理大臣は治安のことに対しては樋貝さんに御依頼になつておるはずです。そういうことになつた場合に、こういう事件が起つた場合に、一体官房長官に來てもらつて一々そういうことを聞かなければならないのか。あるいは樋貝さんをここに來ていただいて聞かなければならぬのか。私の聞いておりますのは、樋貝さんがもしそういうことをおやりになつたというなら多少の筋は通ると思う。それは総理大臣から警察のことを見てくれぬかということで、法律的の根拠はあつてもなくても、頼まれておりますから、治安のことであるから、それを聞かれることは、ある程度までは了承ができるのでありますけれども、これに何らの関係のない官房長官がお呼びになつてお聞きになつたというから、私は聞いておるのである。一体樋貝さんとあなたの関係はどうなつておるのか。私の聞きたいのはそこなんです。一体樋貝さんというものが当然ありながら、何を好んであなたがこれをお聞きになつたか。これでは一体筋が通らぬということです。治安のことがこれでできるかと申し上げましたが、樋貝國務大臣が警察のことについての所管大臣としておいでになるにもかかわらず、これをさしおいて官房長官が治安のことをお聞きになるということになつて参りましたならば、一体だれに聞けばよいか。一体だれが治安の責任者であるか。それは総理大臣になるでしようけれども、総理大臣は少くともそういうことを樋貝さんにお頼みになつている以上は、樋貝さんを治安の責任者と考えている。その責任者をさしおいて官房長官がそういうことをお聞きになるということになると、一体治安というものは、だれが責任をもつて保つかということになる。さらに田中警視総監を呼んで、治安閣僚懇談会に來てもらつた、これもどうだろうかと言うが、私は治安閣僚懇談会をお開きになることについてとやかくは申し上げておりません。その場合にいろいろな人を呼んで参考のために聞かれることは、決して不服は申し上げてない。むろん政府には責任がありますが、そういうことを私はとやかく言つておるわけではない。それからはつきり申し上げておきますが、政府の治安に対する責任者というものは、われわれは樋貝さんだ、こう信じておつた。それを官房長官がこういうことをなさるということは、一体どこに根拠があるのかということを、一番最初に聞いた通りであります。
○増田國務大臣 どうもまた法律論になるようですけれども、法律論も、樋貝さんも、実際嚴重に言つて、何か法規的の根拠を示せと言つたら漠然としたもので、政府は治安維持の責任がある。そういう建前で樋貝さんに警察のことを見てくれ、こういつたようなわけでやつてもらつているわけです。そこで樋貝さんのところに情報があつたならば、もちろん私どもはその情報で承知します。普通はそういうふうにやつているのです。ところがあの事態はまた違うのです。それは車掌区長が泣きこんで來た。殺されてしまうから、とても自分たちは職務執行はできませんと言つて泣きこんで來る状況ですから、しかもああいうようなときは、政府は場合によつては非常事態宣言もしてくれといつたような要望もあるときです。非常事態宣言というものは、御承知の通りこれは内閣総理大臣がやるのです。その補佐役として私がその状況を直接知るということは、これは差出たことでも何でもないのでありまして、そのくらいな要望さえあつたときです。しかし一体どんな事態なのか、樋貝さんの方から情報が來ればわかるのでありますが、しかしながらそのときの状態をやはり具体的に檢討してみなければわからぬのでして、そのときの状態は、齋藤君からも時々報告を受けておりますが、それでもわからない状況だから、小林君というのですか、警察局長に來てもらつてじかに聞いたわけです。それは事態によるのでございますし、そうしてやはり治安閣僚懇談会等には官房長官はいつも出ております。治安については総攬的の責任の一部は分担しているわけです。必ずしも警察ばかりでない。あのときは檢察関係にもなつておつたのです。結局あなたのお説によると、檢察関係は法務総裁から聞き、警察関係は樋貝さんから聞いたらよいじやないか、あとたとえば一日あろうが、二日あろうが、それまで待つべしという議論なのかもしれませんが、それではやはり政府としては責任を怠つておつたということになると私は思つております。当時の状況というものは、こんな状況でどうするのだというようなことで、ガンガン卓をたたいて民衆が迫つている、こういう状況でございましたから、やはり客観的事態とも照し合わして、門司さんも御考慮願いたいと思います。
○門司委員 そういうことを聞くということになりますと、ますます治安の問題について十分檢討しなければならぬようになる。先ほどから言われておりますような、あの事態は急迫な事態ということではなかつたと思う。ところがお呼びになつたのは、大体事件が片づいたあとであると考えておる。必ずしもそういうような、ほんとうに事態の急迫なときでなかつたと思う。これはあなたと私との見解の相違かもしれませんが、私はそう考えておる。同時に國家非常事態の宣言についても、総理大臣に権限があると言つておられますが、告示は総理大臣がするかもしれない。しかしながら警察法によりますれば、國家公安委員会の勧告によつて総理大臣がこれを宣言するということがはつきり書いてあります。むろん告示は総理大臣がおやりになるでございましようが、そうした急迫した事態を十分察知して、これが必要があるかないかということの判断は、國家公安委員会がなすべきことだと考える。それにもかかわらず、総理大臣吉田さんも、いつか新聞でそういうことをお言いになつておりましたが、そういう昔のようなお考えをお持ちになつておつて、そうして処理をされようといたしますならば、今後の日本の治安関係はいたずらなる混乱が起ると思う。この際私はもう一度明確に聞いておきたいのですが、こういう治安関係の問題が起りましたときに、われわれはいずれの大臣にその責任の所在を聞き、あるいは問題を処理してもらうことを聞けばよいのか、その点をもう少しはつきり聞いておきたい。
○増田國務大臣 私も法規をこまかに読んでおりませんが、勧告によるとありますれば、やはり勧告者が主体ではない。それは当該主務大臣あるいは内閣総理大臣が主体なんです。勧告者が主体ということは言えないと私は思つております。勧告という一つの條件があるということだけです。その條件は固く守らなくちやならぬ。これだけだと私は思つております。 それから一般治安の責任についての問題ですが、今樋貝さんは警察のことをやれというわけでやつております。しかしながら法律的には嚴密に言うと、さつき言つたような議論になるのです。しからばどんなことをしておるかというと、法案の準備等、たとえば警察法その他は、これは國家地方警察本部長官あるいは公安委員会ではなく、政府が提案する。政府がどうも警察制度の改革をした方がよろしいと思つた場合に、その草案を起草し、あるいは調査するというようなことは、これは政府でございましよう。そうして國会に提案する。そのときの当該大臣は樋貝さんになるわけでありますから、その法案の是非等については、樋貝さんを追究していただきたい。それから横浜市の自治警察について何か惡いことがあつたというような場合に、実は政府に盛んに攻撃が來ます。私などはその番頭というわけで、プロテストを始終受けておりますが、どうもプロテストを受け得るような立場にしてほしいということさえ、プロテストをされる諸君に申すわけでありまして、嚴密に言うと、抗議を受ける立場にないわけであります。漠然たる政府に責任はありますけれども、樋貝さんでも実はないのです。樋貝さんがどう答弁されておるか私知りませんけれども、どうも自治警察のことは、そう自分を追究されても困ると言うだろうと思う。そんな立場なのです。しからば國家警察はどうかと言いますと、まあ公安委員会のやり方を見ておるような状態でありまして、これも現行法によりますと、結局樋貝さんでもないといつたようなことになつてしまう、あるいは政府でもないといつたようなことになつているのが、現在の建前であります。これは警察の民主化と、警察力集中排除が日本の民主化のために必要であるという見地からつくられた次第でありまして、われわれはこの精神というものは実にいいことだと思つております。そこで今でき上つておるこの警察制度をりつぱに運営して行きたい。但しその欠陷等は、過去一年間の経驗にかんがみまして、修正を要する点もございまするし、その点の勉強とか準備ということは樋貝さんにやつてもらつております。大体政府の責任というと、そんなような状況でありまして、非常にわれわれとしても不本意に思う点もなきにしもあらず、こう考えておる次第であります。
○門司委員 それでは最後に私は意見だけ申し上げておきます。時間も非常に長く、御迷惑をかけておりますので、いずれ次の機会にお聞きいたしたすと思いますが、実際そういう所在がはつきりしないというような立場にありながら、官房長官がお呼びになつたということは、かなり大きなシヨックを各方面に與えておるのであります。一体官房長官は何の必要があつて警察局長を呼んだのか。警察局長を呼ぶのなら、樋貝さんがおいでになるではないか。むろん横浜の警察局長としては、國警には報告しているはずであります。当然報告しなければならぬ。それにもかかわらず、國警は御存じになつているはずである。それを金然所管外の官房長官がお呼びになつて聞かれるというようなことになつて参りますと、將來こういう問題についてのいろいろな事件が起りました場合に、各大臣がかつてにいろいろなことをなさる。ことに東神奈川の問題のごときは、一方においては運輸省があつて、その運輸省の中には公安官がたくさんいるはずである。これらの諸君によつても、ある程度の処置は当然得なければならない。そういうことを私どもは考えておりますので、今回とられました増田官房長官の処置に対して、私どもは非常に遺憾に考えているということだけを、最後に私は申し上げて質問を終りたいと思います。
○中島委員長 次に國家地方警察本部長官の斎藤昇君が出席されておりますから、同君に対する質疑をこの際許したいと思います。
○門司委員 齋藤長官にお聞きしておきたいと思いますことは、例のここに書類が参つております廣島の日鋼事件の問題であります。これは私も実は現場に参りまして一應調査をしたいと思つておりましたが、その機会がありませんので、ただ他から得た情報だけによつて一應聞いておきたいと思うのであります。ここに報告書をもらつておりますが、この報告書の状態を見ますと、われわれの聞いたのとかなり違つているように考えられるのであります。從つて私はこの廣島の警察局から参りました書類の報告は、おそらく齋藤長官の手元にも同じようなものがありはしないかと考えているのであります。從つてこの際それに対するひとつ報告をしていただきたいということであります。それからもう一つは、先ほど來、官房長官にいろいろお聞きいたしましたが、実際にこんにやく問題のようなことで、その責任の所在がなかなか明確にならない。一体こういう事件に対して、齋藤長官は、警察側の立場としてどういうふうにお考えになるか。この点をひとつ最初にお聞きしておきたいと思います。
○斎藤(昇)説明員 廣島の日鋼事件の報告は、ただいま伺いますと、廣島市の警察の次長がここに直接持つて來て、そちらにお配りになつたということのようであります。從つて私、これ自身は見ておりませんので、これについてどう申し上げてよいかわかりませんが、ただ事件の概要の報告は受けております。この中にどういうふうに書かれておりますか、まだ読んでおりませんからわかりません。從いまして、もし御疑問、あるいはこの点は違つているかどうかというところは、お尋ねくださいますれば、私知つている限りお答えいたします。 それからただいま官房長官との間の問答につきましては、私は法律解釈としては大体官房長官のお答えになつたところでいいのじやないか、かように考えております。樋貝國務大臣の警察大臣としての権限とかいうような事柄も、これは法律上ではございませんが、警察の機構自身につきましては、それは法律上も事実上も、政府には表行法では責任がない。政府としては現在の法律がよろしいかどうか、これを檢討し、あるいは提案すべき予算をきめる、あるいは資材その他の問題について、政府として考えるべき点があれば考えるというような事柄が、政府に残された問題であると思います。日々の治安の状況について政府が知つていなければならぬ、それについていろいろ警察法にいう警察法の運用ではないが、政府として考えるべきことがやはりあるであろうと考えまするから、そういう意味におけるまとめ役と言いますか、せわ役と言いますか、こういう立場に樋貝國務大臣はおられると思います。從つて予懸あるいは法令の改正というような事柄につきましては、特に密接に私の方と連絡をとつておりますが、これは当然のことと考えております。しかしながら事件の処理というような事柄につきましては、いやしくも指示を受けることもありませんので、その点は誤解のないようにお願いいたします。
○門司委員 私には一向わからぬのですが、法律的に見て増田官房長官の御答弁はその通りに考えるというようなお答え、それからさらに政府の責任と言いまするか、法案を出すことがどうかというようなお話がありますけれども、そういうことは当然政府のなさるべき仕事であつて、それを私は文句を言つておるわけではないのであります。先ほどから増田官房長官にも聞いておりますように、警察大臣というようなものがあり、しかもそれは総理大臣の委嘱を受けておるというのでありまするならば、治安の問題については、一体樋貝さんがおやりになれば私はいいことだと思う。それを官房長官がわざわざ呼んで事情を聞かなければならないということになり、それがもし正しいということになつて参りますると、われわれといたしましては、そういうものの処置と言いまするか、事件の起りました場合に、一体だれにそのことを聞けばいいかということであります。廣島の事件等におきましては、國家警察が出動しておりまするので、当然あなたの方にも責任はあると思う。また報告がなければならないと思う。そういう問題については樋貝さんは、國家警察だけは、あるいは法律的に見ても責任があるかもしれないと言われるかもしれない。そういう事態がありますので、法律論を離れて、常識的にものを考えて、樋貝さんの権限であるとわれわれの考えておることが、増田官房長官によつて行われたということが、將來の治安の関係の上において一体いいか惡いかということであります。これはあなたとして非常に言いにくいと思いますけれども、そういう点についてあなたの御意見を一應この際聞かしていただきたいと思います。
○斎藤(昇)説明員 ただいまの樋貝國務大臣と増田官房長官との間の問題は、これは政府の中でどういうように担任するかという問題でありまして、しかも私は増田官房長官が横浜市の警察局長をお呼びになつたということも、そう深い意味で、治安の責任大臣としておやりになつたとは私は考えておりません。從いまして私の方としては別に問題にすることではないと考えております。樋貝國務大臣が自分の権限を横合いからちよつかいを入れられたと考えられるかどうか、それはむしろ樋貝國務大臣と増田官房長官の問題だと思いますけれども、おそらく私の知つておる限りにおきましては、警察大臣としてきめた職権としてやつたかどうかという、そんな深刻な問題ではないと私は考えております。
○門司委員 まあそういうこと以外に私は御答弁はできないかと思いますが、しかし長官の呼ばれました話の内容におきましては、私は大臣と議論することが長くなるという時間的に制約を受けておりました関係上、申し上げられませんでしたが、その内容が言つたとか言わないとかいうことも水かけ論になりますので、あまり深く言いませんでしたが、処置がどうであつたかということと、さらにその処置がこういうふうにしたらどうであろうかという意見がそのうちにたくさんあつたと思う。單に官房長官は報告を受けられた程度ではなかつたと聞いておるのであります。批判が相当されておると思うのであります。こういうふうになつて参りますると、地方の自治警察の長というものが、あるいは地方の公安委員長というようなものは、当然自分たちの責任において仕事をなそうとしている心構えを今おのおの持つているわけです。それが自分の処置についていいとか惡いとかいうことを、筋違いのところから——われわれから考えますれば官房長官が呼んだということは筋違いだと思う。そういうところから呼ばれて、そうして報告を求められて、さらにそれに多少なりとも意見が加えられて來るということは、單に話のうちにそういう意見があつたかもしれないというような程度で、軽い氣持であつたといたしましても、受ける方の氣持はそうは受けないと思う。やはり官房長官の意見というものは、一應ある程度尊重しなければならないということは私は言い得ると思う。その関係は將來の日本の自治を、今のような民主的に行つて行こうとする場合に、きわめて惡い影響を及ぼすのではないかという考え方を持つておりますので、実はあなたにほんとうに隔意のない意見を一應聞いておきたい。そうして警察行政に対しては警察法の命ずることと、さらに内閣のお考えによつて、樋貝さんが受持つておいでになりますならば、樋貝さんのところでこれを始末することがいいのか惡いのかということであつて、今われわれはこういうことになつて参りますと、一体だれがどういうことをするのか見当がつかなくなつて來る。増田さんは先ほど、総理大臣からそういうことを言われたのだから、おれは聞いたのだというお話もありましたが、なるほど総理大臣からそういうお話があつたから聞いたということも、官房長官でありまする以上、一應言えるかとも思いますけれども、それならほかの所管大臣でも、やはりそういうことが言えるかどうかということである。いわゆる閣僚のうちで治安閣僚と今目されておりまする人——われわれはどれだけが治安閣僚だかよくわかりませんけれども、あるいは法務府の総裁もおそらく治安閣僚でございましようし、それから樋貝さんもそうでありましようし、あるいはその他の方々もおいでになつたと思いますが、一体どういう連中が治安閣僚であつて、それらの諸君は全部そういうことに個々別々に、何らの秩序もなく、自分の考えている通りに、今度の増田長官が行われたような処置ができるのかどうかということ、こういうことで一体ほんとうに日本の治安が保てるかどうかということである。この点を私はもう一應聞いておきたい。せんじ詰めて申し上げまするならば、今回の増田官房長官のとられた処置が、常識的に考えて、治安の上にさしつかえがあつたかなかつたかということを、ひとつ忌憚なく聞いておきたいと思う。
○斎藤(昇)説明員 私は常識的に考えて、そう弊害があつたというように考えておりません。小林警察局長と官房長官の間に、どういう話がありましたか、それも詳しくは聞いておりませんが、しかし小林局長も、非常に困つたような顏も何もしておりませんでしたし、そういうことを見ますと、ただ一場の座談であつたというふうに私は考えて、あれはそう大きな問題というふうに思つておりません。
○門司委員 私は、そういう御答弁を聞くならさらに申し上げますが、あの事件——事件というとあるいは大げさかもしれませんけれども、官房長官に呼ばれたという話を聞きましたので、実は私横浜におりますので、ただちに小林君に会いまして、君は官房長官に呼ばれたというが、一体何の用で呼ばれたのか、官房長官と君の間は、官房長川が君を呼ぶべき筋合いではないが、一体どういうわけかと言つて私はただちに聞いたのであります。そのときに小林君は、いや実は報告と同時にいろいろお話を承りましたが、しかしあのとき私のとつた処置は惡いとは考えておりません、当然の処置であつたと私は考えている、むしろ私はああした処置をとつたことが、あるいはよかつたのじやないかという確信を持つている。しかしいろいろな話の中には、なんだか取締について多少暖慢であつたというようなことも聞かされておりまして、実は弱りましたというようなことを、私には率直に申しておつたのであります。こういうふうになつて参りますると、その取締りの任に当つておりまする者が、將來の取締りに対して、私は自信を失つて來ると思う。もし自治警察のすべての諸君が、自己の行つておりまする取締りに自信を失つて、やつていいのか惡いのか、もしやつて、また政府に呼ばれて小言を言われる、小言を言われなくとも、意見を聞かされるというふうなことになつて來ると困る。ちようど過去の警察力が中央に集権されておつたときの警察官のような心理に戻りはしないかというようなことが、私には考えられるのであります。從つて國家警察の本部長官としてのあなたの御意見を承ることができれば、非常に幸いだと考えておつたのでありますが、具体的に言いますと、そういう事件が久ず起つて來ると思う。今までの自治警察の長が、自分のやつていることに自信を失つて、何らか上から命令があれば自分は動きいいというような考え方を持つて参りまするならば、また日本の警察制度というもとが、昔に逆戻りをしなければならないようなことになつて來るし、今そうなりつつあるのであります。これはきわめて重要な時期でありまして、やはり地方の自治警察の制度によつて行われておりまする以上は、自治警察の警察局長に十分の責任と、十分の処置の講ぜられる自信を與える必要があると思う。一々これが政府に呼びつけられて、そうして意見を聞かされるとか、あるいは事情を聽取されるということになつて参りますと、私はそういう治安関係に対する当局当面の責任者でありまする警察局長の自信を失うようなことがあつてはならないということを、強くそのときに感じたのであります。從つてきよう官房長官並びにあなた方においでを願いまして、そうしてその辺のあなた方のお考えをはつきり聞きたい、こう考えたのでその点をもしお答えができますならば、ひとつ御答弁願いたいと思います。
○斎藤(昇)説明員 自治体の警察局長が、公安委員の管理のもとに職責を遂行しておるのでありまして、他の方からとやかく言われても、そのために自信を失うようなことはなかろうと思います。ことにそれは政府の分野でありましようと他の分野でありましようと、どうやつてもいろいろ批判があるのでありますから、直接の公安委員からいろいろ批判をされれば自信を失うかもしれませんが、身分関係も何にも持つておらない第三者から、しろうと的な意見を言われても、それは私は自信を失うことはないであろうと考えます。私自身にいたしましても警察の運用につきましていろいろ批判もありますけれども、いろいろ他山の石としなければならぬ点が多いと思いますけれども、そのために自信を失うということは國家警察についてもございません。その点は御安心をいただきたいと思います。
○門司委員 どうも私いよいよわからなくなつて参りますが、公安委員に批評されるということはありませんが、しかし警察局長の動きまする範囲は、大体公安委員と相談をし、公安委員の意見し十分に聞いております。今度の東神奈川の事件について申し上げましても、公安委員長の近藤君はほとんど警察局に詰めておりまして、大体事件の樣相その他は十分に警察局長と、さらに係り檢事でありますところの紺野君でありましたが、その人と打合せて、よく事態の推移を見守つて、公安委員と警察局長と檢察廳というものが、ほんとうに三位一体になつて私は処置したいと思います。從つて警察局長のやつたことに対して、公安委員がとやかく言つて批判する筋合いのものではないと私は思います。公安委員こそ責任があると思う。責任のある者が下僚——下僚と言うと怒られるかもしれませんが、直接の処置をいたしまする警察局長に対してとやかく非難をすることはないと思う。それはむしろ私は公安委員の責任だと思います。そういう考え方でありますならば、私は何と申し上げてよいか、ほとんど長官の御意見自身が、われわれの考えておることと非常に違うのでありまして、私の申し上げておりますのは、公安委員の諸君がとやかく言うようなことで、警察局長が自信を失うようなことはおそらくない。それよりもむしろ外部から、しかも政府から——何と申しましても日本は政府があります。そうして日本の國全体の治安の責任というものは、やはり内閣総理大臣が持つておることに間違いはないのであります。しかもその内閣総理大臣の直接のふところ刀としてやつておりまするところの官房長官から意見を聞かれるということになつて参りますと、非常に大きなシヨツクを受けることは当然のことであります。ですからその点を、あなたの今のような御答弁でありますならば、私はなかなか承服しかねる。將來の警察法の改正の問題が今考えられておるようでございますが、この点もきわめて重要な問題だと思います。もう一應はつきりしたお答えを願いたいと思います。
○斎藤(昇)説明員 私はそういう責任のない者からとやかく言われても自信を失うようなことはなかろう、こういうことを申し上げておるのであります。從つて官房長官からとやかく言われても、責任のない者から言われたことで自信を失うような、そういう腰抜けな警察局長はおるまい、こう申し上げておるのであります。
○谷口委員 官房長官がいらしつやらないので、齋藤長官に聞いたところでしかたがないことにように思いますが、一應やはりお聞きしておく方がよいかと思いますので、一つだけ聞きたいと思います。二日ほど前のラジオで、官房長官がこういうことを言つたという放送がありました。それは今全國的かどうか知りませんが、特に京都の東山のトンネルの入口のところで、列車に対する投石事件がひんぴんとして起る。これが問題になつておりますが、これに対してこれは共産党がやらしておる、こういうふうなことを官房長官が言つたことがラジオで放送されたが、これは根もないことを言つたわけではないのであろうと思います。從つて國警としまして共産党がやつているのだというはつきりした何か証拠をつかんで、それが官房長官に傳わつている。こういうふうに私ども解釈すべきじやないかと思うのです。というのは國家地方警察が、全國的な警察網としてあるわけでありまして、そういう犯罪上のことにつきましては、一切の材料が集まつて來るわけですから、そういう事実があつたかどうか、この点をまずお聞きしたいと思います。
○斎藤(昇)説明員 具体的に共産党あるいは共産党員が、列車妨害事件をやつたという事件を私は聞いておりません。
○谷口委員 それでは國警からそういう情報を、官房長官もしくは政府の方へ言われたわけじやないのですね。
○斎藤(昇)説明員 私が聞いておりませんくらいでありますから、私からはもちろん、どこの事件でそういう共産党の事件があつたということは申しておりません。他からも言つておるまいと思います。
○谷口委員 にもかかわらず官房長官がそういうことを言つているわけです。そうしますとこれは、官房長官が別なところから情報を得たかもしれないと思いますが、もし情報を得ないでこういうことを言うことは、何としてもこれは大問題になると思います。これは齋藤長官を相手にして話したところでいかたないことでありますが、共産党もしくは共産党員が、そういう投石事件をやるか、もしくはやらしているというようなことを、政府の大官である官房長官が軽々しく、誠拠があつたかなかつたか、今官房長官はいないからわかりませんが、話しておる。これは單なる共産党だけの問題ではないのであります。今門司君の質問でもその通り、自治体警察の警察局長がおるのに、官房長官が何らかの意見を述べる。しかもその増田官房長官のやり口は、実に彼の権限以上に方々へ出しやばつて、いろいろなことをやつていると私は申さざるを得ない、そういう状態にあるのです。これはたいへん大きな問題である。單に警察制度の問題ではなく、政治的にも非常に大きな問題だと私は思うのであります。この点についてぜひ午後の会議にでも、官房長官に出てもらいまして明らかにお聞きしたいと思います。國警がこういう事件についての一切の情報を集め得るところだと私どもは思つておりますので、この投石事件について背後に共産党がおる云々という問題については、國警から政府に何らの情報が出てないということが明らかになれば、これは正規の組織を通じての情報でない、別なところから出ているか、あるいは情報がなかつたことを官房長官が言つたかということになるかと思いますが、この点については非常に重要であろうと思いますので、ぜひ増田長官に出席を願いたい。この点ぜひひとつお願いしておきます。
○門司委員 これは委員長にお諮りをお願いをするのですが、少しおそくなりましたが、続けてよければここに資料をもらいましたものと、私どもが考えておりました報告を受けたものと、多少食い違いがあるように見受けられるのであります。しかしこの報告書は齋藤長官は御存じないというお話でありまするので、從つて質問せよというお話でございますが、われわれの聞き得たことを質問して、それがほんとうであつたか、うそであつたかということを質問する前に、一應時間が許されますならば、齋藤長官はこの事件について現地から報告を受けておいでになると思いますので、その齋藤長官の御報告をこの際していただけばよいのではないかと、こういうふうに考えております。
○斎藤(昇)説明員 警備部長から報告をいたさせます。
○樺山説明員 それでは日本製鋼の廣島製作所の事件について御報告申し上げます。この日鋼製作所におきまして経営状態が非常に惡くなりましたために、経営の合理化をするということを前からいたしておりまして、六月の十一日に六百六十二名の解雇をするという発表を所長から出しております。その前からいろいろ労資双方において交渉があつたようでございますが、十一日にこれが公表になつたのでございます。その後いろいろ会社側と組合側におきまして折衝があつたようですが、事件の概要だけを要点を申し上げますと、六月十二日に組合側の方が会社側の幹部に対しまして、團体交渉をしてくれという要求をいたしまして、それに対して会社側はこれを拒否しておるようであります。從いましてこれがために組合側といたしましては、午後四時ごろ所長代理ほか九名の会社の幹部を、事務所の玄関の前に囲みまして、團体交渉を迫つたのでありますが、会社側がこれに應じないということで押問答をいたしまして、翌十三日の午前六時までその状態が続いたようであります。六月十三日になりまして、午前八時過ぎにようやく團体交渉をするという運びになりまして、双方の代表者によつて團体交渉が持たれたのであります。その最中に午前十一時ごろ、廣島の軍政部の係の人が見えまして、團体交渉の中止を命令いたしまして、会社及び組合の代表、地元の警察であります船越の町の署長に対しまして、日鋼の廣島製作所は賠償の指定工場であるから、身分証明書のない者は入場してはならないというような意味のこと、並びに警察は暴力行為等に対して、適当な措置を講ぜよというような指示をいたしております。この指示によりまして、中に入つておりました三百五十名ほどが退去いたした、こういうことになつております。その後團体交渉が続けて行われたようでありますが、午後三時過ぎになりまして打切りになつておる。十三日はそういうことで済んでおるようであります。翌十四日になりまして、やはり前日に引続きまして團体交渉をするようにという要求をいたしまして、折衝をしております最中に、午前十時ごろ前日と同じ係官の人が見えまして、この工場は永久に閉鎖をするということに決定した。從つて賠償物件の保全管理にかかわる從業員のみが入場できる。その他は十時五分から二十分までの間に退去せよ。こういう命令を出しておるようであります。その間におきまして組合側の方でもいろいろ要求を出しまして、折衝しておつたようであります。午後おそくなりまして、同じ日であると思いますが、廣島縣知事が賠償指定工場の管理責任者として、その工場の中に入つております者の退去を要求する声明書を出しておるのであります。かようにいたしまして、翌六月十五日に、廣島市警が中心になりまして、約千五百名ほどの警察官が動員されまして、午前三時ごろより五時ごろまでの間に、工場の中に入りまして、中におりました組合員その他の者を退去させたわけでございます。その間におきまして多少もみ合いがありまして、警察側におきましては三十名、組合側におきましては二十二名の負傷者を出したという報告になつております。なおそのときに抵抗いたしました者に対しまして、住居侵入でもつて二十八名を逮捕いたしまして檢察廳に送つておる。ごく概要でございますが、以上御報告申し上げます。
○中島委員長 時間もおそくなりましたから、谷口君の要求にかかわる官房長官の出席要求はこの次の委員会にいたします。 それでは本日はこれで委員会を散会いたします。 午後一時十八分散会