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5回国会衆議院1949/05/13

大蔵委員会公聴会 第1号

発言数
41
登壇者
10
会派数
3
開催日
1949/05/13

会議録

川野芳滿民主自由党

○川野委員長 これより大藏委員会公聽会を開会いたします。  本日公述人の方々からお聞きする問題は、ただいま本委員会において審査中の日本銀行法の一部を改正する法律案についてであります。公述人の方々におかせられましては、本問題について忌憚のない御意見の発表をお願いいたします。なお公述の時間につきましては、御一人約二十分ぐらいでお願いいたします。  それではまず全國市街地信用組合協会長青木得三君の意見の発表をお願いいたします。

青木得三全國市街地信用組合協会長

○青木公述人 私はただいま御紹介をいただきました、全國市街地信用組合協会長青木得三というものでございます。本日、日本銀行法の一部を改正する法律案につきまして、私のまことに貧弱なる意見を皆樣方がお聞き下さいますことは、私の最も光栄に存ずるところでございます。  日本銀行法の一部を改正する法律案を読みまして、まず第一に感じましたことは、その第一章の二に政策委員会を加えるということでありまして、新聞紙に傳うるところによりますると、政策委員会と申しますのは、ポリシー・ボードということであるそうであります。昨年八月ごろから政府あるいは大藏省におかれまして、バンキング・ボードというものをおつくりになるということをしばしば伺つたのでありますけれども、いまだ本國会には御提案になつておらないようでありますが、バンキング・ボードが出ませんで、ポリシー・ボードが出て参つたのであります。このポリシー・ボードという言葉につきまして、まず第一に感じますることは、フエデラル・リザーヴ・ボードのことでございます。フエデラル・リザーヴ・ボードを日本に移し植えますとともに、ポリシー・ボードというものが設けられるのではないだろうかというような感じを抱くのであります。フエデラル・リザーヴ・ボードに類似したものを日本に持つて來るということにつきまして、まず考えなければならないことは、何がゆえにアメリカにフエデラル・リザーヴ・ボードというものがあるのであるかということであります。これは申し上げるまでもないことでありますが、アメリカにセントラル・バンクがないからフエデラル・リザーヴ・ボードがあるのであります。セントラル・バンクのない國にあるフエデラル・リザーヴ・ボードを、セントラル・バンクのある日本に持つて來るということは、これはいかなることであろうかと私は存ずる次第であります。フエデラル・リザーヴ・ボードができておりますのは、フエデラル・リザーヴ・システムが一九〇七年であつたと思いますが、アメリカにおいて初めてつくられましたる場合に、フエデラル・リザーヴ・バンクスを、法律のおもてでは、八つより少からず、十二より多からざるフエデラル・リザーヴ・バンクスをつくるということが、フエデラル・リザーヴ・アクトにあつたと存じますけれども、それが八つではもちろんいけませんので、最高限の十二までつくられております。これはアメリカがユナイテツド・ステーツでありますから、フエデラル・リザーヴ・バンクスをつくるにしましても、十二もつくらなければならない。このフエデラル・リザーヴ・バンクスを置くことにつきましては、フエデラル・リザーヴ・システムの創始の当時におきまして、各州の間に非常な競爭がありまして、その選に漏れたる州は、今日にいたつてもなお遺憾の意を持つておるように、アメリカの金融学者は申しておるようであります。アメリカはユナイテツド・ステーツでありますが、日本はユナイテツド・プリフエクチユアズではないのであります。アメリカは州連合でありますけれども、日本は府縣連合ではないのであります。州連合におきましては、中央銀行をつくることはできません。しかしながら府縣連合でないところの日本におきましては、中央銀行をつくることはきわめて容易なることでありまして、明治年代以來、わが國には中央銀行があるのであります。私はポツダム宣言を熟読いたしましても、あるいは経済九原則というものを拜見いたしましても、アメリカの制度を日本に移し植えなければならないということは、不幸にして拜見することができないのであります。しかるにもかかわらず、日本の政府は、このごろしきりにアメリカの制度を日本に移し植えよとしておいでになるということにつきましては、私が最も了解に苦しむ点であります。たとえば取引高税を印紙によつて納付せしむるということは、アメリカのミズリー州において行われておることであるそうでありますが、アメリカにおいては非常な好成績を呈しましたけれども、これを日本に持つて参つて行いましたところ、非常な不成績でありまして、皆樣方の御意見によりまして、取引高税を印紙で納めることは、やめることに相なるように仄聞いたしておるのであります。アメリカにおいて非常な好成績を上げておることでも、ユナイテツド・プリフエクチユアズではない日本におきましては、必ずしも好成績を上げるとは申されないと思うのであります。あるいは所得税について、申告納税制度はアメリカにおいて非常な好成績を上げておるそうでありますが、日本においてはいまだ好成績を上げない。あるいはアメリカには——これは金融問題でありますが、モーリス・プラン・バンクというものがございまして、たいへんに好成績を上げておるそうでありますが、日本において数年前、このモーリス・プラン・バンクをまねて、モーリス・金融株式会社というものをつくりましたるところ、それが自由設立でありましたために、不正金融業者の利用するところとなりまして、多くの大衆に迷惑をかけましたことは、われわれの記憶に今なお明らかなるところであります。かような次第でございまして、私はユナイテツド・ステーツにおいて非常な成績を上げておるところの制度を、ただちに日本に移し植えようとする日本政府の御方針に対しては、すこぶる疑いを抱くものであるのであります。これが私の申し上げますところの序論でございます。  いよいよ本論に入りまして、政策委員会のことを申し上げたいと思うのでありますが、政策委員会という言葉が、もしポリシー・ボードという言葉を、日本の政府において飜訳せられたのであるといたしますると、これははなはだ不適当なる飜訳であると思います。このポリシーというのは、何も國家の政治を論ずるのではございませんので、日本銀行の内部の事柄であると思うのであります。ボードというのは、委員会ではないと思うのであります。ポリシー・ボードを政策委員会と日本政府でお訳しになつて、これを関係方面の御了解を得られたようでございますけれども、それはおそらく英文をお出しになつたのであつて、もしも政策委員会という日本語を、関係方面においてよく御了解になつておりましたならば、あるいは関係方面の御了解を得ることができなかつたのではないか。英語をもつてお出しになつたから、御了解を得られたのではないかというくらいに思うのであります。フエデラル・リザーヴ・ボートは、アメリカに中央銀行がございませんから、フエデラル・リザーヴ・ボードというものを設けませんければ、十二のフエデラル・リザーヴ・バンクを統一することはできないのが、フエデラル・リザーヴ・ボードがあるのであります。しかるにそのフエデラル・リザーヴ・ボードは中央銀行のない國でありますから、十二のフエデラル・リザーヴ・バンクとフエデラル・レザーヴ・ボードとはまつたく別の存在であります。しかるにわが國においては連邦準備銀行はございませんので、日本銀行がただ一つあるわけでありますから、いわゆる政策委員会なるものは、日本銀行の内部に存在すべきものでありまして、日本銀行の外に政策委員会などがあるということは、まつたく不合理なことであります。でありますからこの法案を拜見いたしますと、日本銀行に政策委員会を置くということになつておることはきわめて明瞭でありまして、日本銀行の内部の機関であると思うのであります。しかしながらこの委員会におきまして、すでに御議論になつておることであろうと思いますけれども、日本銀行の内部にあるものでありましたならば、その政策委員会に関する経費は日本銀行の負担であるのだということを條文にお書きになる必要は毫もないのでありまして、これは当然過ぎるほど当然のことであります。しかしながらフエデラル・リザーヴ・バンクの外にあるフエデラル・リザーヴ・ボードという制度を日本に移し植えようとなさいますと、フエデラル・リザーヴ・ボードにつきましては、フエデラル・リザーヴ・バンクのアクトの中にその経費負担に関することが詳細に規定されておりますから、あるいはそれにつり込まれて日本銀行の内部にあるところの機関の経費を日本銀行が制担するのだという條文をこの中にお入れになつたのではないかと思つておるのであります。さような次第でありまして、連邦準備銀行の外にありますところのフエデラル・リザーヴ・ボードの制度を、日本銀行の中へ持つて來ようとせられたものでありますから、それが日本銀行の中にあるのであるか、外にあるのであるか、あいまい模糊となつた次第であります。政策委員会を動物にたとえまするのはいかがかと存じまするが、もしこれを動物にたとえまするならば、水陸両棲動物のごときものでありまして、水におるのであるか、陸におるのであるか、はなはだ不可解なるものとなつておるのであります。あるいは他の言葉をもつてこれを表現いたしますれば、木に竹をついだようなものになつておるのであります。この点が種々なる問題に影響をして参りまして、たとえば議長はだれがなるのかというようなことが問題になつておるやに伺つておるのであります。日本銀行の総裁が議長になるのであるか、あるいはその他の人が議長になるのであるか、大藏省との関係はいかがであるか、日本銀行との関係はいかがであるかというようなことまでも、問題になつておるやに伺つておるのであります。あるいはいわゆる任命委員——第十三條ノ四ないし第十三條ノ六の委員でありますが、この委員につきまして、それが專任制であるということについてのいろいろな御意見があつたやにも仄聞いたしておるのであります。日本銀行との関係は前段述べるところによつて明瞭でありまするし、大藏省との関係もきわめて明瞭であると思うのであります。政策委員会であるという飜訳をなさるものであるから、金融全般にわたつて権限を持つておるような委員会と御了解になつて、大藏省との関係はどうなるかというような御議論もあるかと思いますけれども、日本銀行の内部の機関であるという精神から申しますれば、大藏省との関係はきわめて明瞭であります。フエデラル・レザーヴ・アクトにおきまして、フエデラル・レザーヴ・ボードに関するこの法律の規定はセクレタリー・オブ・トレヂユアリーの権限を何ら侵すことがないということを明文をもつて規定されておるのであります。ゆえにフエデラル・レザーヴ・ボードの制度を日本に移し植えたといたしましても、日本銀行内部のこの機関が大藏省の権限を侵すようなことは絶対にないと思います。日本銀行の総裁がこの政策委員会の議長になるかならないかということが問題に相なつておるように伺いますが、私はこの法律案を拜見いたしますると、日本銀行の総裁は総裁ではないと考えるのであります。なぜならば日本銀行に関する重要な政策はことごとくこの政策委員会の権限にゆだねられてしまつたのであります。そして日本銀行の総裁は從來その業務を総理いたしたのでありますが、今度は政策委員会の定むる方策に從つてその業務一般を執行するにすぎないのでありまして、私はこの法案の成立によりまして、日本銀行総裁はその総裁の地位より、名前は総裁でありますけれども、すでに下落したものと思うのであります。しかして日本銀行の総裁に相当いたしますものは、政策委員会の議長で、それがすなわち総裁であります。日本銀行に関する重要なる政策を決定する委員会の議長がすなわち日本銀行総裁であるわけであります。でありますから、この法律の上において日本銀行総裁でありましても、その実質においてはもはや総裁ではないと解釈すべきものであると思うのであります。この点につきましていろいろ申し上げたいこともありますが、たいへんに時間をとりますので省略いたします。しかし私はこの法案の背後に流れておりますところの精神につきましては、非常に同感の意を表するものであります。それは何であるかというと、日本銀行の総裁、つまり日本銀行に関する最も重要なる方策を決定する人が、若いときから日本銀行に育つて、日本銀行以外のことは何も知らない人が日本銀行の理事となり、副総裁となり、総裁となる現在の制度は、はなはだ不都合なる制度でありまして、これを改正せんとする精神は、私はまことにけつこうであると思うのであります。たとえば中央銀行でありますバンク・オブ・イングランドの制度を参考に考えて見ますると、バンク・オブ・イングランドにおきましては、その理事と申しますか、取締役と申しますか、これはロンドンのシテイの必ずしも金融業者でない人の中から選ばれるのでありまして、その金融業者でない人が英蘭銀行の理事と言いますか、取締役になりまして、そして長年の経驗を積んだ後に、理事の互選するところによつて総裁の地位につくのであります。私が昔イギリスにおりましたときの制度はそういう制度であります。しかるに今日日本銀行では、日本銀行以外のことは何も御承知ない人が日本銀行の最高幹部になつておられる。もちろん大勢の役員の中には、日本銀行出身の方がおいでになることもまことに必要でありますけれども、全部がさようなものであるということは、はなはだおもしろくない制度でありますから、その点を御改正になろうとする本案の背後に隠れたる精神につきましては、私満腔の敬意を表する次第であります。從つてこの委員が專任であることはいかがであるかというようなお考えもあるやに伺いますけれども、それはまことにとんだ間違いであつて、これは日本銀行の取締役に相当するものであります。それでありますから、日本銀行の取締役というものは大藏省を代表する人、経済安定本部を代表する人以外は、ことごとくこれ專任者でなければならないと思うのであります。日本の大銀行の頭取が、兼務でもつてこの政策委員会の委員になろうなどということを考えている人はないと思いますけれども、もしさようなる制度を日本にしこうというのでございましたならば、この法律改正の根本をくつがえすものであると私は思うのであります。從つてこれはどこまでも專任者をもつてこの任命委員を選ばなければならないことであると思うのであります。さような次第でございまするので、この政策委員会の議長は互選によることには相なつておりますけれども、私、法律の読み方が惡いのかもしれませんけれども、大藏省を代表する者一人、経済安定本部を代表する者一人もまた議長に選ばれる可能性があるように、この條文が読まれるのでありますが、私はその点は御修正になつてしかるべきものであろうと思うのであります。專任者、いわゆる任命委員と、日本銀行総裁という言葉は非常に私はおかしいと思うのでありまして、むしろ日本銀行の業務に関しすぐれた経驗と識見——識見はあるいはいらないかもしれませんが、日本銀行の業務に関してすぐれた経驗を有する人、それから地方銀行、もしくは大銀行についてすぐれた経驗と識見を有する人、商業及び工業に関しすぐれた経驗と識見を有する人、農業に関しすぐれた経驗と識見を有する人、これらの人々より議長は選挙せらるべきものであると思うのであります。ただこの法案実施の当初におきましては、任命せられました委員の全部が、日本銀行の事柄につきましては、初めて関係なさる方であると思いますので、それが事実上の日本銀行の総裁になるということははなはだ不穏当であります。英蘭銀行の制度を考えてみますると、英蘭銀行の総裁になる人は、なるほど元は金融業者ではありませんけれども、英蘭銀行の総裁になるときには、すでに理事として長年の経驗を経て、英蘭銀行の事務に通曉せられたるのち総裁に選ばれるということでありますから、この施行当初におきましては、やはり日本銀行の業務に関してすぐれた経驗と識見を有する者をもつて議長に選ぶべき事柄でありまして、それは私が申し上げませんでも任命せられましたる委員各位がよく御了解になつておることと思う次第であります。  それで私はこの法律がたいへんに木に竹を継ぎましたような、はなはだ不明晢なる法律であると思いますから、今日の機会において、この法案に対して御修正をなさる余地はもはやないかとも存じますけれども、日本銀行法は古い法律でありまして、かたかなをもつて書かれた法律で、この法律はことに戰爭たけなわなるときにつくられたる、聞くところによればドイツのライヒス・バンクの制度を大いに参考にせられた法律であると伺いまするから、來るべき臨時議会におきまして、日本銀行法全部を改正する法律案を御審議くださいまして、この政策委員会を改めて取締役会といたしまして、総裁は取締役会の互選による。すなわちこの政策委員会の議長が総裁になるというような制度に改められまして、そうしてフエデラル・リザーブ・ボートがフエデラル・リザーブ・バンクの外にあるがごとく、政策委員会が日本銀行の外にあるかのごとき疑いを生ぜしむる何らの余地がありませんように、日本銀行の取締役会と御改正になつてしかるべきものと存ずる次第であります。十分言葉が足りませんが、御清聽を煩しましたることを深く感謝いたします。(拍手)

川野芳滿民主自由党

○川野委員長 ただいまの青木君の公述に対して御質疑がありますれば、この際発言を許可いたします。——質疑がないようでございますので、次の方にお願いすることにいたします。本日予定いたしておりまする公述人、全銀連委員長大倉眞君は都合により欠席され、全銀連副委員長伊藤定作君が出席されておりますので、同君に公述を許可したいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川野芳滿民主自由党

○川野委員長 御異議ないようでございますので、その通りにいたします。伊藤定作君。

伊藤定作全國銀行職員組合連合会副委員長

○伊藤公述人 私はただいま委員長から紹介を受けました全銀連の副委員長の伊藤定作でございます。最初ちよつとお断り申し上げておかなければならぬことは、私がこれから公述いたしまする意見は、われわれ全銀連全國從業員組合連合会十二万の、組合の機関で決定したことを私が代弁するのであつて、私の個人の意見ではないということであります。  それからもう一つお断りしておきたいのは、本日のこの提案された問題が、最近突如として提起されたために、組合としての論議が十分盡されてない。それで研究が十分でないということから、個人的な意見を発表する場合と違いまして、われわれは正規な機関を持つているものですから、それをまとめるために非常に時間がかかるので、今度の場合は暫定的なものであるということをあらかじめ御承知願つておきたい、こういうことであります。  さて、わが全銀連といたしましては、一昨年の四月、組合を結成した当初から金融の民主化ということをスローガンとして掲げて運動をして來たのであります。そうしてその民主化の基本方針としましては、金融行政の民主化、すなわち官僚統制の排撃ということを一つ。それから独占金融貿本の恣意による支配を排除する、こういう点。それから三番目には、金融制度の改革は、民主化の線に止まるべきではない、社会化の展望を持つべきであるというこの三原則を決定いたしまして、これに基いて第一次憲章というものを作成いたし、さらに昨年の八月十七日、総司令部が日本政府にあてて出された金融制度改革に関する指針、こういうものに基いて若干の修正を加えて、これを発表いたし、関係当局並びに國会方面へも進言したのであります。その後情勢の変化もあつたので、もつぱら他の労働組合と提携して金融の社会化の方向に運動を展開しております。しかるに政府は突如として金融業法を棚上げして、そしてこれを暫定措置とでも申しましようか、日銀のポリシー・ボードというものの設置案を発表せられまして、これを日銀法の一部改正案として今提案されるに至つた。こういうことに対しまして、われわれといたしましては、その裏面の事情はどうであるかということについては知り得ないのでありまするが、われわれが十二万の労働者としてすでに國会方面にも提出し、また政府の方面にも進言したにもかかわらず、一回もわれわれに対して何らの交渉もなしにそういうものを出されたということに対しては、われわれ十二万の労働者の組合としては最初にまずこういうものに対して不満であるということを申し上げておきます。それで新聞その他に公表された資料を基礎にして取急いでわれわれの組合の意見をまとめたものであります。そこでごく簡單に、こまかい点については全然われわれとしては研究する余地がありませんので、ごく大綱について二、三改正案の意見を申し上げたいと思います。  第一番目に改正案を形式的に見ますと、中央銀行の機能を民主化する、すなわち從來の日銀はあまりにもワンマン・コントロールであつたということから世間の人々はこれはあたりまえのことであると考えていると思われます。しかし今度の改正案を拜見しますと、ボードと日銀の役員との関係、それからこれを内部に設置するというけれども、その内部関係というものがはつきりしていない。非常にあいまいになつている、そういう意味でこの日銀の現在のワンマン・コントロールを排撃するという結果には必ずしもならないという危險性が十分にあるということを指摘しておきたいと思います。  それから次に、これを形式的に見れば、今申し上げたようなものでありますけれども、実質的な方面から見ればしかく簡單に問題は解決せられない。要するに問題は特になぜ政策委員会を設ける必要があるか、こういう点、そしてそれは現在の情勢のもとで具体的にどういう機能をはたすかということにあると思います。そこでまず第一番に問題になりますのは、國民経済に最も大きな影響を與えているところの本年度の予算の問題でありますが、これはわれわれ勤労者の立場から見ますれば、独占資本を強力に安定させようとするものでありまして、これを嚴格に実施するならば、日銀総裁も言つておられるように、一千億円の日銀券の收縮を起すことになる。それでこれから起つて來るところの金詰りの問題、これは結局独占的な大産業さえも脅かすものであるということがはつきりしているのであります。そこでこれから生ずる反動を緩和するためには、日銀の信用の造出ということは避けられない。日銀としては独占的な各産業に各種の金融的な便宜を講じなければならないということになると思います。そこで日銀の信用政策ということは大きな役割を持つて來る、こういうことが一つ。それから他面從來復金、日銀のルートを通じて供給しておつたところの産業資金、こういうものは新年度の財政的措置からシヤツト・アウトを食つてしまつた。そして問題になるものはカウンタパート・アカウント、米國対日援助見返資金の放出、これを懇請する以外に方法がない。そこでカウンタパート・アカウントの放出が今後の金融に対してこれまた大きな役割を演ずる、こういうことは容易に想像される。從つて日銀の機能と今のCPAの機能とは統一的に運営されなければならないということが必要なことであると考えられるのであります。そして政策委員会は各界を代表するというベールのもとに、この統一的な運営の一部をになう機関にすぎない。その裏には巨大な独占資本が存在している、こういうことだと思います。從つて日銀法には全面的な改正が行われない。たとえば日銀法第一條に「日本銀行ハ國家経済総力ノ適切ナル発揮ヲ図ル為國家ノ政策ニ即シ通貨ノ調節、金融ノ調整及信用制度ノ保持育成ニ任ズルヲ以テ目的トス」こういうような戰時色の強い規定をそのままとし、さらに大藏省の金融行政権の基本的なものも依然として存置した。そうしたばかりでなく、各界代表の顔ぶれも独占資本の傀儡的人物を集めているようであります。これをフランスの中央銀行の場合、あるいは西ドイツの占領地区の中央銀行というようなものを考えてみますと、フランスの場合には相当の労働者代表をこれに送り込んでいる。それから西ドイツのアメリカの占領地区に設立された中央銀行の中にも、労働階級というか、勤労階級を代表するものをボードに一名加えている。こういうことになつているのです。それなのに今度の案というものはそれとはまつたくかけ離れたような案が出されている。こうしたものを考え合せまして、これはまつたく民主化の偽装を凝らしたる独占金融資本の支配を金融の面から強化するものであるということを断せざるを得ないのであります。  次にこういうような機構であるに対して、市中銀行はどういうふうな態度をとつているかということを考えてみると、決して協力的ではないのであります。金融機関の代表の委員をきめるということにつきましても、大銀行などは非常に消極的である。これは委員が兼任を許さないという事情もありますけれども、結局はこの政策委員会、ポリシー・ボードといいますか、これが前に述べたような性格を知つているからで、だれが委員に出ても大した違いがない。むしろ市中銀行としては独占的な利益を享受さえすればいいので、そして市中銀行としてはその性格が私的資本の性格から來ているのでありまして、現に必要な資金でさえなかなか出さないという情勢であるのであります。それで本改正の提案理由にも書いてありますように、日本銀行の機能を國民経済の要請に應じて適切に行うことができるように、日本銀行に金融経済の権威をもつて構成する政策委員会を設置する、こういうことをうたつてありますけれども、この目的を達成する組織としては前述の理由からこういうことはとうてい不可能であると考えるのであります。眞にこの目的を達成可能とする意思があるならば、われわれ組合が結成以來主張し続けているように、金融機関の社会化以外にわれわれはないと主張するのであります。  さらに最後にちよつとつけ加えさせていただきますと、この政策委員会の政府との関係並びに日本銀行との関係ははなはだあいまいな点があるということであります。特に日本銀行の職員並びに使用人との関係、こういうものについては実際どうするのかということがわからない。フイリピンの場合は、理事会が総裁の勧告に基いて中央銀行の職員及び使用人の任免、報酬の決定を行う、こういうことについての場合も明確に規定してあります。それが今申し上げたように実にあいまいで、その点はさつぱりわからない。この法案の場合にはただ予算、決算その他経理に関する事項の決定を通じてその面にタツチして行くということ以外にわからないのであります。それから事務局の問題ですが、事務局は総裁が一人といいますか、全部が事務局で、あるいはそのほかに行内の民主化の問題があるが、これについては全然触れていない、こういう点に対してもわれわれとしては非常に不満に思つております。要するに今申しましたようにわれわれとしては十分この問題を正規の機関にかけて研究する余地がないのでありますが、從來われわれは金融機関の社会化以外に、今申しましたような政府の提案理由の目的を達成することができないという確信のもとに、本案に対しては全面的に全國從業員組合としては反対ということであります。この点ぜひ委員諸君においても十分われわれの意見を酌んで問題に対処されることを切にお願いしたい。はなはだつたない意見を御清聽くださいましたことを感謝いたします。

川野芳滿民主自由党

○川野委員長 ただいまの伊藤君の公述に対して御質疑はありませんか。——御質疑がないようでありますので次の方にお願いいたします。次は商大教授中山伊知郎君に願います。

中山伊知郎東京商科大学教授

○中山(伊)公述人 東京商科大学長兼教授中山伊知郎であります。私は結論を最初に申し上げます。條件つきでこの改正案に賛成であります。これから理由を申し上げます。  まず第一に一体ポリシー・ボードは何をする所であるか、これが第一の問題。第二はポリシー・ボードのやるべき、あるいは政策の内容についてこのような機関を設けることが適当であるかどうか、そういう機関が必要であるかどうか。第三の点は、この法律案はそのような機関の目的を達しているか、この三点についてこれから簡單に御説明を申し上げたいと思います。  まず第一に、ポリシー・ボードは一体何をする所なのか、これは今度の改正法律案の第十三條ノ三の一項の規定に列挙されております。御承知の通りでありますけれども、念のためにそれを申し上げて見ますと、第一には、割引歩合及び貸付利子歩合の決定及び変更、それから第二には、割引手形の種類、條件、貸付担保の種類、條件及び價額の決定及び変更。簡單に申しておりますから條文とは大分違います。第三は、公開市場操作における有價証券の種類、條件、價額、それからその開始及び終止の時期の決定及び変更、第四番目は、市中銀行からの対日銀準備率の変更、それから第五番目は、金融機関に対する貸付及び投資並びに貸付の担保の種類、條件及び價額の限度に関する統制の決定、変更、第六番目は、日銀経理関係事項の決定、内部のことであります。第七番目は政府の政策委員会に委任された信用調整に関する政策事項及び金融機関の檢査、第八番目は、特定の項目がきまつておりますが、國会に対する報告の事項、こういうふうになつております。このうち特に新しく注目されるのは、三と四と七、つまり三は、公開市場操作における有價証券の種類、條件、價額の決定や、それからいつそれを開始し、いつこれを終止するかという時期の決定及び変更、それから日銀に対する準備率の変更、それからもう一つ政策委員会に委任された範囲ではありますが、ポリシー・ボードが特に一般の金融機関に対して檢査をする権能を持つ、これだけのことがその中心になると思います。ところでこれが日銀法の改正の案の中にあるとかないとかいうことを離れまして、これだけの事項をやることは一体どういう意味を持つておるかと申しますと、それは第十三條ノ二にありますように、日本の國民経済の全体の通貨信用統制の一切が、基本的には含まれているということが言えるのであります。これがフエデラル・リザーヴ・ボードのシステムをかえたものであるとか、あるいはこれが日銀の中に設けられたものであるとか、あるいはそのほかの委員会とかいうようないろいろな限定をつけますと、おのずから歴史的にも、事実的にも、今申し上げたような内容についての限定が生まれるのでありますが、虚心坦懐に今までのこの列挙されました事項を考えますと、これはまさに國民経済全体の金融、通貨に対する政策のほとんど全部が盛られているというようなことが考えられるのであります。まずこの点を基点にして問題を考えて行くことが必要である。そこでそういうような基本的な金融問題に対してそれを処理するためのポリシー・ボードというような機関、これは必ずしもこの内容がただいま提案されているポリシー・ボードと同じものであるかどうかは、これは別個な問題であります。とにかくそのような金融の全体に対して統制して行くところの機関が必要であるかないか、この第二の問題を考えますと、私はそれが現在の経済の情勢、それから今後來るべき経済事情の変化というものを考えまして必要であると申さねばならないと思うのであります。その最も基本的な事情は、ここで今さら申し上げることもないことでありますが、資本主義経済における金融の重要性、そういうような点から考えまして、このポリシー・ボードの取上げようとしている政策問題がどんな重要な問題であり、その決定いかんによつて國民経済がいかなる影響を受けるかということは、ここで申し上げるまでもない。一口に申しますれば、資本主義というのは、それは金融資本の動きによつて経済の安定や、あるいは発展の條件が規定されているところの経済機構の意味でありますから、その意味において最も基本的な金融、通貨の統制を必要るまでもないと思います。それにもう一つここに新しい條件がついている。それは現在の経済体でが何党の政策であるとを問わず事実において計画とかあるいは統制というものをはずして進行して行くことは絶対にできない体制にある。そこで金融というような基本的な問題が、今後の経済社会において基本的な統制の線をはずしたり、あるいは全然計画性を欠くような形で運用されることはあり得ない。逆に申しますと金融というような基本的な事項については今後はむしろ計画性をだんだんに増加して行くであろうし、その計画性に從つてその効果を維持するための統制はだんだんに強くなつて行かなければならない。これは必ずしも今後の金融体制が、たとえば銀行の國営というような社会化の方面に必ず向つて行くであろうということを言うわけではありません。それも一つの方向でありますが、しかしそれだけの社会化の方向以外にやはりそのような統制をとつて行く道があるのではないか、私はその点にはただいまは触れませんが、しかしどういう具体的な案があろうとも、結局においてこのような基本的な問題を処理するための機関がだんだんに必要になつて來る。現に必要になりつつあるということは言えるのではないか、特にこの場合に重要なことは、そのような計画の根底としてパブリツク・ウエルフエアー、一般の國民経済の基礎をなしておる民衆のウエルフエアー、福祉という問題を正面に掲げて行つたような意味の統制が必要になつて來る。この場合に、ポリシー・ボードの立場というようなことを申しますと、階級的な立場をとつている人から見ると、まさに夢のようなものである。階級的な立場以外に、つまり利害関係以外の第三の立場というものはあり得ないということを主張されるのでありますが、しかし現在の情勢は、計画経済がだんだんその形を整えて來るとともに、そのような統制や、そのような計画の根底には、一般國民の福祉を中心とした意味の第三の立場、あるいは階級を越えた立場——全然越えるのではありませんが、それを含んで越えるような立場が必要であるということが、事実において認められつつあると思う。このような意味において、ポリシー・ボードがその線に沿つて設定されますならば、それは單に現在の要求を満すのみならず、むしろ一般的な國民経済の基本動向の線に沿つているものと考えることができると思うのであります。  第三に、そのようなポリシー・ボードの性質を考え、その必要を考えた場合に、今度の改正案に盛られたような意味の機関、つまり日銀内部に設けられる機関は、今言つたような目的を達成するものと考えられるかどうか。これが第三の、そして最も重要な問題になるわけであります。これについてはいろいろな問題が具体的に考えられるわけであります。  第一には、このような性質の機関を日銀の中に設けることの可否が問題になるだろうと思います。現在までの日銀は、一つの中央銀行ではありますけれども、しかし同時に、金融統制の主体であつて、大ざつぱに言つて、ただいま申しましたような、ポリシー・ボードの目的を日本銀行が一應達成して來たと考えられている。その意味においては、中央銀行の上にまたもう一つ中央銀行を設けるような形のポリシー・ボードはいらぬという意見も成り立つと思うのであります。しかし現在まで日銀のとつて参りましたいろいろな措置が、はたして大きな意味でただいまも申しましたようなポリシー・ボードの目的を達成しておるかどうかという点については、いろいろな疑問やいろいろな欠陥の指摘が可能であろうと思われます。從つてそのような欠陥を是正し、特に先ほども指摘されましたような日銀の官僚化を防ぐ意味において、民主化えの一歩をこれによつて達成することができますならば、むしろ日銀の外にこのボードを置く方がいいのではないか。それは中央銀行の上に中央銀行を設けるという意味においてははなはだ重複的の機械になり、ことにそうなつた場合には、日本の体制では大藏省との関係、政府との関係、また日銀法の中にすでに設けられている、たとえば最高発行限度を規定する職能との関係、そういう関係が問題になります。しかしもし從來の日銀の体制の中に、ただいま申しましたような大きな意味でのポリシー・ボードの目的を達することができない欠陥がありますならば、それを補正し、もつと大きな意味で銀行を國民経済に結びつけて行くために、日銀の外にこれを設けることも考えられるのではないかと思うのであります。もちろん日銀の内部にこれを置くことは、利益の点があります。ことにこのような政策が日銀の業務との関連において行われて行くという点において、いろいろ不要な摩擦やあるいは不要な衝突を避けることができるのは、大きな利益でありましよう。しかしながら同時に、その不利益な点といたしましては、そのように日銀の内部におきましたのでは、今度の改正案にありますように、業務が根本的には非常に大きい問題であるにかかわらず、実際的には日銀の業務の範囲に限られて、その意味において十分ポリシー・ボードの本來持つべき、この法律案のいわば底に隠れている理念でありますが、そのような意味のポリシー・ボードの目的を達することができないのではないか。そういう点が懸念されるわけであります。  第二に、かりに日銀の中にそれが設けられたといたしましても、対政府、特に対大藏省、対市中銀行その他の関係において、相当あいまいな点が出て來るのではないのではなかろうか。そういう点については、先ほどもお話がありましたように、これがフエデラル・ボードのある考え方を日本に移すためにいろいろな工作が加えられて、結局このような一種の妥協案になつた点がわざわいをなしておるのだと思います。そのような点については、私は詳しいことを知りませんので、ただそういうことが懸念され、またすでに懸念されているということを指摘するにとどめたいと思います。  もう少しこまかい点になりますが、さてそのような意味で、かりに利害はありますけれども、日銀の中にポリシー・ボードの第一の姿が現われた場合に、このような限定のもとにおいてなお問題があるかないかということをたずねてみますと、そこにはやはりたくさんの問題が出て來る。その中の中心的な問題は、結局委員の構成とその権限の問題になるでありましよう。それはすでに述べました基本的理念が、このポリシー・ボードによつてどれだけ実現されているかという問題にかかつて來、その答えが十分でない限り、ここで委員会の構成や権限について問題が残るのは、当然の帰結と申さねばなりません。第一の点につきましては、たとえば大藏省、安本の代表者が委員に入つておりますが、その議決権は奪われている。一体議決権を奪われた大藏省、安本の代表者は、このポリシー・ボードの中において何をするのであろうか。むろんこれは政府を代表するという意味でありましようが、いかなる意味において政府を代表し得るのだろうかという疑問が出て参ります。  第二の論点は、チエア・マンの問題であります。これは互選によつて議長がきまるということで一應問題は解決されているようでありますが、ポリシー・ボードの本來の目的に從つてこれを考えますと、議長の占めている地位は非常に重要でありますから、ここでまたもう一つ日銀の総裁が議長になることが適当であるかどうかというような問題が起つて來ると思います。  このような具体的な小さな点を列挙して行きますと、まだほかにたくさん問題があると思うのでありますが、私の申し上げたいのはそういう小さな点ではなくて、要するにこの改正案に盛られたポリシー・ボードは、第一の基本的な内容を達成する機構としてははなはだ不十分な点があるのではないか。少くともなお論議を盡して、十分に檢討すべき余地があるのではないかと考えるのであります。それにもかかわらず、そのような論議を盡したあとでこれを改正案として通すことがいけないというのならば、現在すでにそのようなポリシー・ボードの本來の理念を現わすべき機構の必要が考えられておるのでありますから、その必要を満たす第一の手段として、このような改正案が提案されることに賛成をしたいと思うのであります。  ただ先ほど申しましたような基本的な理念が十分にこれに反映されていないという点がありますので、できればこれに一つの希望附帶意見をつけて出していただきたい。それは結局これが動き出しました場合に、その成績いかんによつて、やり方いかんによつて、これを早急に改正し得るような條件をつけられることが適当ではないか。先ほど日銀法の全面的な改正が近く行われるということを承りましたが、私はそれは存じておりません。もしそのような機会がありましたならば、そのような機会にはそのポリシー・ボードの内面的な構造や、その機能、特に権限の衝突矛盾というようなものが起らないようなくふうのもとで、第一に述べましたところのポリシー・ボードの基本的な理念が貫かれるようなものをつくつていただきたい。これだけの希望條件をつけて、この原案に賛成したいと思うものであります。(拍手)

川野芳滿民主自由党

○川野委員長 ただいまの中山君の御公述に対して御質疑がありますれば、この際発言を許可いたします。

風早八十二日本共産党

○風早委員 中山学長にお伺いしたいと思います。今御公述願いました中で、今日の資本主義経済というものが、結局金融資本の動きによつて規定せられておるものである。しかもこれはやはり計画と統制ということになつて行かなければならないのだ。その根底にはパブリツク・ウエルフエアというものがある。こういうふうなお話でありまして、これはたいへん御同感であるのであります。こういう根本の動向に対しまして、この法案の規定いたしておりますところの政策委員会なるものの合目的性というものは必ずしも十分ではない。むしろこれは日銀の外に設けるということの方が妥当であるというようなお話でありまして、その御趣旨を徹底いたしますれば、これもまたきわめて論理的であると考えるのであります。そこでお伺いいたしたいのは、その外に設けられた場合の機関の構想であります。この点についてひとつ忌憚のない積極的なる御意見を伺いたいと思います。

中山伊知郎東京商科大学教授

○中山(伊)公述人 お答えいたします。ただいまの御質問に対して、私はまだ十分な準備をいたしておりません。と申しますのは、外に設ける委員会というものを前提として今日のお話を申し上げたのではないからでございます。しかし私の申しました趣旨が、もしポリシー・ボードの本來の理念に從つて運用される場合には、当然第三者的な立場を、最も第三者的な意味で代表するという意味になりますと、それは当然外に設けられることにならざるを得ないということを申し上げたのであります。その場合の構想といたしましては、私は現在のいわば業界代表というようなもののほかに、もう少し廣い意味の代表を加えたところのボードが必要ではなかろうか。このようなボードは、たとえばフエデラル・リザーヴ・ボードにおいてもまだ存在していない。あるいは先ほどお話がありましたように、何州かの銀行のフエデラル・メンバーの一つのシステムにすぎないのでありましてパブリック・ウエルフエアというものの意味はそこにありますけれども、十分出ていないのではなかろうか。その意味合いにおいて、あれを越えたところの、もう少し一般的なウエルフエアを代表し得るような意味のボードが最後にはでき上らなければならないのではないか。それがある場合には銀行國営化のステツプになるかもしれない。ある場合にはならないで、むしろ、そのような形でもつて運用されて行くかもしれない。その点について私は発言を先ほどのように保留したのでございますが、なおその問題について別にお答えするような機会があるということを希望して、以上お答えといたします。

風早八十二日本共産党

○風早委員 もう一つだけお伺いいたします。まあ百歩を讓りまして、中山さんはこの機関というものが一應日銀の内部機関として設けられておるが、その場合においてはできるだけその外部機関である方が合目的的であるというその趣旨に從つて、やはりその内部機関の構成というものを考えなければならない。こういうお話でありましてそれもまたきわめて論理的であると考えるのでありますが、その場合に、今の御説明の中では、主として政府関係の代表、すなわち大藏代表並びに安本の代表の権限の問題が——あるいはそれだけではないかもしれませんが、それだけが問題になつておつたと考えられるのであります。しかしながら、なお今御公述の御趣旨に從いますれば、たとえば、全銀連はいうまでもありません。労働組合の代表であるとか、あるいはまたその他の民主的な市民の團体の代表でありますとか、およそこのパブリツク・ウエルフエアを根本には代表し、またそのいろいろな階級的にも相異つた各層の意見というものが、究極におきましてはパブリツク・ウエルフエアの中で漸次その重さをかえて來ておるわけでありますけれども、その比重に從いまして、いかに有効にこのパブリツク・ウエルフエアを代表するかという意味で、いろいろな代表の構想が考えられると思うのであります。そういう点について、さらにもう一度伺か積極的なる御構想をひとつ伺いたいと思います。できるだけ参考にいたしまして、われわれの委員会における討議を発展させたいと考えるのであります。

中山伊知郎東京商科大学教授

○中山(伊)公述人 ただいまの御質問でございますが、私は現在の第一段階においては、日銀の中に設けられたポリシー・ボードに賛成したのでございますから、その日銀の中に設けられたという制限は、やはり現在の段階では存在すると思います。ただこれを一般的な問題として考えますと、労働組合の参加その他民主的な意見の尊重をする機構が必要になると思いますけれども、その場合に必要な組合の意見というのは、たとえば全銀連の十二万の意見ではないと思うのであります。十二万だけの全銀連の組合員が、この問題に関心を持つのではなくて、全國民経済的な労働者あるいは大衆全体の、いわばそういう意味でのウエルフエアが問題になるということだけを申し上げておきたいと思います。

風早八十二日本共産党

○風早委員 ちよつと疑問が起りましたので、はなはだ僭越でありますが、もう一回だけお許し願いたいと思います。  なるほど全銀連の場合について、特に御指摘がありましたが、ここにすでに金融業関係の経驗と識見を有する者若干名、さらに商業及び工業に関してすぐれた経驗と識見を有する者が一人、農業についても同樣でありますが、この農業につきましてもまた商業、工業につきましても、これらはただ抽象的にその経驗と識見を有す者というような形で代表せられるべきものでなくして、現実にはそれぞれの産業の分野におきまして、それぞれきわめて尖鋭な利害対立関係があることは、事実としてお認めくださると思うのでありますが、そうした場合に、やはりそれを適当に、少くとも双方を代表するというような形が当然とられてしかるべきではないかと考えるのであります。最初から一應この階級的なる立場というものはお考えにならないということでありますが、そういう点につきまして、その現実の事実に即して、今パブリツク・ウエルフエアのきわめて正当な代表、その眞実の代表という点から言いますと、どうしても具体的の事実に即して労働者の代表というものが考えられるじやないかと思いますが、この点についてなほ御説明願いたい。

中山伊知郎東京商科大学教授

○中山(伊)公述人 ただいまの問題は、私どもたとえば労働問題を処理する場合において常に経驗しておる事実でございますが、ただいままでの経驗からいたしますと、労働者の利害関係者の代表を一対一というような形で盛ることが必ずしも結果においてパブリツク・ウエルフエアーを代表するということにならないと思うのであります。しかしおそらく今後の民主的訓練の結果はそのような構想のもとにおいて、事態を円満にまたほんとうの意味においてパブリツク・ウエルフエアーを増進するという目的を達成するように行くであろうということを、私は希望し信ずるものでありますが、ただ現在の段階において、形の上で利害関係者の代表を頭数をそろえたならば、そこでいきなり全体としてパブリツク・ウイルフエアーの達成に行くような條件がそろうかどうかは、はなはだ疑問であるというふうに自分の経驗から考えております。その点についてはなお十分にポリシー・ボードの運営いかんを見て、そこで批判をして行くのがほんとうであろうというように思つております。

川野芳滿民主自由党

○川野委員長 ほかに質疑はございませんか。——なければ次の方にお願いすることにします。次は法政大学教授、日本銀行嘱託宇佐美誠次郎君。

宇佐美誠次郎法政大学教授

○宇佐美公述人 ただいま御紹介にあずかりました宇佐美誠次郎であります。私は日本銀行の調査局におりました経驗と、その上に現在法政大学の教授として財政金融の方面を研究しております学者として、今回提出されました日銀法一部改正法案につきまして、私の意見を申し述べたいと存じます。  申すまでもなく、今回の日銀法の改正は、まことに画期的なものであると申さなければなりません。それは單に日本銀行にとつて、すなわち現在日本銀行に対して適用せられておる日本銀行法というものが、その以前の日本銀行條例にかわつて施行せられました昭和十七年の大改革にまさに匹敵する、あるいはそれ以上に重大な意義を持つ改革であるという意味ばかりではなく、さらにもつと廣く國民経済全体にとつてきわめて大きな意味を有するものであるということを、まず考えておかなければならないと存じます。現在の経済九原則のもとで、財政資金の放出が今まで通りの形では非常に困難になつております情勢のもとでは、金融というものがきわめて大きな意義を持つて來ることは申すまでもないところであります。そして資金供給ということによつて日本経済の安定も復興も非常に大きく左右される。こういう情勢のもとにおきましては、日本銀行法の改正ということは、きわめて重大な意義を持つということを言わなければなりません。ところでこの日本銀行法を含めた日本の全金融機関に対しましては、御承知のように、昨年の八月その全面的な改正について総司令部からの指針が発表せられております。その指針におきましては、まずA項として、全金融政策の統制機関であるところのバンキング・ボート、日本銀行に関連するB項、一般銀行信託関係の問題に関連するC項、以下の規定というものを含んでおります。この総司令部の指令が発表せられましたあと、大藏省、日銀当局を初め、この指針の方針に全面的に賛成されまして、ただちにその立法が考慮せられるということを新聞で私たちは見たのであります。しかしながらそのうち一番かんじんなA項、すなわちバンキング・ボード、及びB項日本銀行に関するものが、その後何一つ私たちは聞くことができませんでしたところ、突如今回この日本銀行法の改正というものが提出されたわけであります。そこで私が今回の日本銀行法の一部改正法案を拜見いたしまして最初に感じましたことは、この改正法案と昨年のいわゆる金融業法の問題とどういう関連に立つのであるか。どういう関係にあるか、それが不明確であるように、感じたのであります。なるほど今回の改正におきましては、日本銀行の最高政策決定機関としての政策委員会というものの設立が中心問題になつているのであります。從つてこれを昨年度の金融業法という問題に行きますと、当然B項に当るわけであります。そのように一見見えるのであります。しかしこの政策委員会の権限の中には、先のA項であるバンキング・ボードの権限のうちの幾つかが入つております。かつ大藏大臣の権限となつております幾つかのことも、今度はこの日銀の政策委員会の権限に移讓されるということが規定されておるのであります。しかも他方において昨年度のバンキング・ボードというものが、これは先ほども申しましたように、全金融政策の通貨信用の統制の一番基幹をなすものであり、そして大藏省からは独立し、そして日本銀行の上に立つ機関であるということが言われていたのでありますが、その意味においてバンキング・ボードというものは今度の政策委員会とは質的に違うということもまた明らかであるように見えるのであります。要するにそう見て参りますと、今回の改正によつてできます政策委員会というものは、アメリカの銀行制度で申しますと、ボード・オブ・ガバナースというものに対するボード・オブ・デレクタースに当るもののように考えるのであります。しかしその場合の前者、つまりボード・オブ・ガバナースに当るところの最高機関、最高通貨信用統制機関というものはどうなつているのであるか。つまり金融業法にいうところのA項というものは現在どういうことになつているのか。それはできるのであるかどうか。またできるとすればそれに対して今回のこの政策委員会はどういう関係に立つのであるか。こういうことが今回の改正でははなはだ不明確であるように考えられるのであります。私の知つております限りでは、たとえばドイツの場合で申しますと、ドイツの英米占領地区には、米軍と英軍の占領軍によつて構成されるところの連合國銀行委員会というものができております。またフイリピンの例を見ますと、あそこでは米、比の共同の金融委員会というものが設置されているようであります。こういう最高機関と申しますか、すべての金融機関の総元締めであるところの統制機関というものこそ重要でありまして、それとの関係なしに日銀の中にできるこの政策委員会それだけを問題にすることは不十分であるというふうに考えます。また特に不明瞭であり、あいまいであると私が考えますのは、今回できるこの政策委員会というものと日本銀行との関係、特に日本銀行総裁以下執行重役と、今回できる委員会との関係であります。この今回できる委員会は、日銀の最高政策決定機関でありますが、それ自身としてのみずからの手足とも言うべき事務局を持つておりません。また日銀の総裁以下理事に対してはこの委員は何らの権限を持たない。つまりそれに対して罷免権というようなものも何ら規定されておらないのであります。そうしてこの委員会の委員は、日銀の給與を受けるというふうに規定されております。また日本銀行の定款に対する変更の権限もこの委員会は持つておりません。すなわちこの委員会は最高の政策決定機関でありながら、実際上日銀の上に位するものであろのか、あるいは日銀の中に包攝されてしまうものであるのかという点についてはなはだ不明瞭であるように私は感じます。特に不明瞭でありますのは、この理事会の中におきまする日本銀行総裁の地位であります。日本銀行総裁はこの理事会の委員会の中で單なる一理事であるのかどうかという点は、先ほども青木教授も指摘されましたように、はなはだ不明瞭であるように思われます。ところが、他方におきましては、大藏大臣の持つておりますところの金融に対する一般的な行政監督権というものは、これはごく一部が、この委員会に委讓されるほかは、今まで通り依然として大藏大臣の権限として残るのであります。このような政策委員会、現在提出せられております政策委員会の持つておりますあいまいな点、不明瞭な点というものを考え合せますときに、私がただちに思い出しましたのはフイリピンの場合であります。フイリピンの昨年の六月できました中央銀行法の中に通貨理事会というものがございます。このフイリピンの通貨理事会というものと、今回の日銀法の改正というものと比較して見ますと、いろいろの点で非常に似た点が多いのでありますが、ただ違いますところは、日本の場におきましては、その規定が非常にあいまいであり、不明瞭であるということであります。すなわちフイリピンの場合におきましては、中央銀行の総裁というものの権限、それから、それとこの委員会、この場合では理事会との関係、また中央銀行の委員の任免権、またその報酬の決定、あるいは必要な規則規定の決定の権利、あるいはまたこの理事会の開催の期日、あるいはその定足数というものまで、きわめて明確に規定されているのであります。このようなフイリピンの場合に比べまして、今回の日本の規定ははなはだ不明確な点が多く、特に理事会と日本銀行総裁との関係というものが、あるいは日本銀行の現在の執行重役というものとの関係が、きわめてあいまいであり、責任の所在についても疑問があるやに考えるのであります。アメリカ合衆國の場合の連邦準備制度におきまする決議機関としての理事会の会長というものと、それからその業務の執行機関であるところの、執行の任に当るところの銀行の総裁というものが、截然と区別されておる場合に比べまして、日本の場合には日本銀行総裁というものが、その中できわめてあいまいな地位を持つているということは、どなたもお感じになられることだと思います。先ほど青木教授も御指摘になられましたことでありますが、先ほど青木教授は、今度の理事会ができますと、從來の日本の日銀総裁というものは、もう総裁ではないというふうにお話になつたと私はお聞きしたのであります。しかしこの規定だけから申しますと、決してそういうわけではない。日本銀行総裁の権限というものは依然として残されているし、先ほど申しました定款の変更権がないといたしますと、その定款の第二十四條には、日本銀行の役員を、日本銀行総裁これを統裁すという規定がございます。日本銀行総裁の権限というものは、この理事会のできることによつてなくなるというようなことは考えられないのであります。また取締役会についても同じでありまして、現在の日銀の取締役会つまり理事会というものは、これは新しい理事会ができましても、決してなくなるものではない。依然として今まで通りあるわけであります。從つてそういう理事会と今度できます理事会との関係というものは、法文では一應執行重役という形になりますけれども、その点も必ずしも明確であるとは考えられないのであります。  そこで結論といたしまして、私は二つのことを申し上げたいと思います。第一に、日本銀行の最高政策決定機関となるところのこの委員会が、もし日銀の上に立つのではなくて、日銀の中に入つてしまうならば、それはまつたく從來の理事会あるいは参與制度というものの上に、さらに屋上屋を架するものである。そしてこれはまつたく無意味に近いといわなければならないということであります。この理事会の中で総裁が議長になる可能性がある。たとえ議長にならなくても、兼職の禁止とか、あるいは現在日本銀行総裁の持つております資金あるいは人的な関係から有するところの日銀総裁の実力、あるいは実力的な権威、たとえば普通銀行六十ほどのうち日本銀行から重役を派遣している銀行が二十四ございます。こういう人的な関係というものを背景にした日本銀行総裁の実力から、日本銀行総裁以外の委員が、日銀総裁に人的に対抗ができないというようなことがもしありましたならば、その場合には、これはまつたくローマ法王廳とあだなをされる現在の日本銀行の支配的な地位をさらに何らかえないばかりでなく、一層強化する、しかも若干の形式的な粉飾を加えた上で、さらに強化し、独裁的な力を強めるということを考えなければならないと思うのであります。のみならず、決議権を持つ五人の委員のうち、三人は金融機関から出させることになつております。この金融界の勢力は、五人のうちの三人という意味において、まつたく圧倒的でありまして、日銀総裁の金融資本的な性格と申しますか、そういうものを実質的に一層強化するといわなければならないと考えます。特に最近の見返り資金に関連するいわゆるつなぎ資金の放出ということをとつて考えて見ましても、現在インフレーシヨンを押えるということが何よりも重大な今日において、大企業を中心とする若干の企業にみずから突如として第一・四半期に七、八十億のつなぎ資金を出すということを、日銀総裁が独断的に言明するというようなところに、現在の日銀総裁の金融資本的な性格というものがきわめてあらわに浮彫りのように現われていると思うのであります。そういう性格が、今度の委員会の中で、もしも前通りに続くとするならば、これは日銀法の改正という趣旨にまつたく合わない、あるいは日本銀行法の改正というものを、新しい委員会の設置によつて行うという意味の過半はすでに失われてしまつたといわなければならないと私は考えます。  第二に私の申し上げたいことは、この法案が、この理事会の性格という点におきまして、非常にあいまいな点が多いというさつき申しました点を強調したいと思います。一方においては、まだわが國においては存在しておらないところの支拂い準備制度というようなものをこの規定の中に取入れるというほど用意周到なる御配慮をなされておりながら、他方においては、そのかんじんの点、つまり理事会の権限及びそのほかのいろいろな機関との関係というような点について、これほどいろいろあいまいな点を残しておるということは了解しがたいことであると私は考えます。このようなあいまいな点を除くために二つのことを申し上げたい。もし今回の規定を單なる飾り物あるいは單なる失業救済機関というものにするのではなくて、法案にうたわれておりますように、わが國の経済の再建のために、眞に民主的なものとしたいというのであるならば、この新しく選ばれる理事の顔触れ、あるいはその選定の仕方については、初めから問題があるというふうに考えます。たとえば新聞の下馬評によりますと、その想定される顔触れの中には、財界の追放該当者も入つておるように見受けるのでありますが、私はこれが新聞の誤りであろうことをポツダム宣言下の敗戰日本の國民の一人として信ずるものであります。またもし立案者がそうではなくて、つまり民主化ということをほんとうに考えるものであつたならば、少くともこの理事会の中に勤労階級の代表を加えるくらいの誠意は当然あつてしかるべきであろうと考えます。この理事会の中に勤労階級の代表を入れることがどれだけの意味を持つかということは、今別の問題といたしまして、理事会の中に勤労者の代表を加えるということは現在におきましては、少くとも世界的な常識になつておるところでございます。先ほども申されましたように、東欧諸國のような所は別問題といたしまして、フランスのような場合でも、その銀行の理事会の三分の一は勤労者の代表者によつて占められるおる。そしてまた西ドイツのアメリカ軍の占領下にある地域の銀行の中央銀行の理事九名の中に、勤労者代表が一名入つておるということを指摘しておきたいと思います。しかし民主化ということが当面第一の問題ではなくて、もし最近の経済情勢の変化、そういうものの中で、その要請に應じて中央銀行としての日本銀行がその機能をもつと合理化する必要がある、そういうことが緊急の目標であるのならば、そして日銀の上に立ち、日本銀行を通じてさらに全金融機関を統卒する最高機関を設置することが、もしほんとうに必要であると考えるならば、私が先に申しましたように、この委員会の持つておりますあいまいな点、不明瞭な点を明確にすることがまず第一要件であろうと考えます。そしてこの理事会と日本銀行総裁、また理事会と日本銀行、また理事会と大藏大臣、さらに理事会とその上に立つ最高政策決定機関との関係ということについて、まず何より先にあいまいさを拂いぬぐわなければならないと考えられるのであります。少くとも日銀をほんとうにこの理事会の支配下に置くためには、日本銀行総裁は当然この理事会から除外するのが順当な行き方であるように考えられますし、また日本銀行の執行重役というものに対する任免権あるいは給與の決定権くらいは、少くとも理事会が持たなければ意味がないということが考えられるのであります。要するに、以上申し上げましたように、もしこの委員会が從來の日本銀行重役会、つまり現在の理事会と大して差がないならば、それは屋上屋を架することになる。そしてそれは無意味である。また逆にもつと効果的な金融政策を実行する担当者にしたいというならば、以上述べたようなあいまいな点、不明確な点をすつきりした形で明確なものにしなければならない。そしてしかもそのようなあいまいな点を残して置くということは、從來しばしばありましたようにその虚に乘じて官僚的な独断行為が行われるという危險も藏するということを申し上げておかなければなりません。要するに金融制度を根本的に改めなけけばならない必要は今日國民の何人も強く感じておるところでありますが、それだからこそますます金融機関の改正、金融制度の改正ということについてわれわれは愼重にならなければならない。そうしてこそ日本経済の安定も、復興も、初めてその再建の道が保障されるように考えるのであります。その意味におきまして、この法案は私はこれを撤回してつくり直すべきであろうと考える次第でございます。そうしてまた政府のどんな立案に対しても、すべてこれを喜んでそのままうのみしようとするような一部の、これこそほんとうの非日本的な人々でない限り、この法案に同調せられることはなく、私のつくり直すべきであるという意見に同調されるであろうと信ずるものであります。  終りにつけ加えて置きたいことは、当面緊急に必要であることは、むしろ日本銀行の中に新しいこういう委員会をつくることではなくて、それより以前に日本銀行の現在の官僚的な運営方策そのものを民主化するということであろうと思われます。現在日本銀行は、皆様御承知のように、ローマ法王廳というあだ名でいわれるほどに、あらゆる点で政府の官廳以上に官僚的な空氣が残つておるところであるといわれております。このような官僚性というものは、新しい委員会を別につくることなしには改めることができない。またそれ以前に即刻手をつけるべき問題であろうと考えます。またこのローマ法王廳の中におきまして、また総裁がローマ法王になつておるということは、これは総裁以外のほかの理事がすべてこれを無能であり、頭が悪いということによるというようなことがいわれるのでありますが、私はそのようなことはまつたく存じませんが、それより先に日本銀行の定款そのものの中に、先ほども申し上げましたように、理事会は協議決定する機関ではなくて、総裁が統裁するというような、およそ時代離れのした軍國的な規定が今もつて通用していることにもよるのであろうと考える次第であります。なお日本銀行民主化の一端として、日本銀行の経理、あるいはその調査内容というようなものの公開が特に要望されるところでありまして、アメリカの連邦準備月報までは行かなくても、日本銀行の力によつて集めた資料を廣く公開されるように、これは研究者の立場から要望して置きたいと存じます。  最後に以上に私が申し述べましたことをもう一度繰返して申し上げます。もし屋上屋を架するというようなことを論外とするならば、この法案にある多くの不明瞭な点、あいまいな点を明確にした規定を盛つた新しい法案をつくり直すべきである。このように私は提案いたしたいと考える次第であります。長い間御清聽ありがとうございました。(拍手)

川野芳滿民主自由党

○川野委員長 ただいまの公述人の公述に対して御質疑がありますれば、この際発言を許します。

風早八十二日本共産党

○風早委員 たいへん有益なる御公述を承りまして感謝いたしておる次第でありますが、特にフイリピンの通貨理事会のお話がありまして、たいへん興味深く聞いたのであります。ついてはフイリピンの通貨理事会の成立をやや歴史的に御説明願いたいと思います。特にアメリカとフイリピンとの関係の歴史町な発展に即して、若干御説明願えればさいわいだと思うのであります。

宇佐美誠次郎法政大学教授

○宇佐美公述人 お答えいたします。ただいまフイリピンの中央銀行法の中における通貨理事会というものに対してお尋ねを受けたのでありますが、たいへん恐縮なことながら、私はフイリピンの金融制度について、專門的な研究をまだいたしておりませんので、詳しいことは存じませんが、フイリピンの中央銀行法というものは、フイリピンそのものの歴史的なアメリカとの関係ということの中で、特に今度の第二次世界大戰以後、一九四八年六月に、しかもこれはさつきちよつと申し上げました米比共同金融委員会という、アメリカ合衆國とフイリピンの代表者との間でできております委員会の建議によりまして、作成されたものでありまして、一九四八年の六月に実施せられるに至つたものであります。詳しいことは私はこれ以上存じません。

川野芳滿民主自由党

○川野委員長 ほかに御質疑はございませんか。——なければ次の方に移ることにいたします。次は金融研究所員竹中久七君。

竹中久七金融研究所員

○竹中公述人 私は財團法人金融経済研究所研究員として金融財政を研究いたしております竹中久七であります。本日公述人として日本銀行法の改正について意見を述べろという御指示でございまして、以下私の考えておることを述べさしていただきます。  まず私は今回の日本銀行法の改正に対しては反対をいたすものであります。その反対の理由といたしましては、次の四つの点をまず初めに指摘いたしたいと思います。第一は現実の具体的な金融財政の事情に即しない中央銀行制度の改正である。この点は本案の提案の理由どぶつかるわけであります。第二には、官僚と大独占資本のからみ合いが必然的に起すところの腐敗を防止するという考慮がなされていない。第三には、この制度を実際に運用する場合における、いろいろな必要な考慮があまり拂われていないので、この文字の上から見ますと、大体最近の南鮮、フイリピンあるいはオーストリアの中央銀行制度というものの制度的な輸入、あるいは形式的な模倣ということを非常に彷彿とさせる。この点がかなり疑問がある。第四には、法案の成文化が非常に杜撰である。そのためにこういう法案ではいろいろと実施の上において支障ができる。この四つの点であります。以下この四つの点について逐次できるだけ具体的に御説明申し上げたいと思います。  御承知のように日本の金融財政の実情は、金融と財政がからみ合つて不可分であります。提案理由の説明によりますと、昭和二十三年度までは日本財政は均衝がとれてない赤字の財政だ、赤字の予算が組まれている、その赤字補填のために通貨の増発が行われ、金融はいつも財政のしりぬぐいをやらされていた、ところが二十四年度からは一般会計も特別会計も均衡のとれた健全な予算が組まれた、もう金融のしりぬぐいの必要がなくなつた、そこで金融と財政は二つにはつきりとわかれた、そこで日本銀行も純金融的な非政治的な中央銀行としてできるだけすつきりとしたものにする、政策委員会というのは大体そうした役割のものであるというような意味のことが、提案の理由の説明の中で述べられております。しかしこの解釈は実際の金融財政の様子と大分違つているんじやないかと思います。なぜならば、まず今年の予算における均衡財政ということ、これは中央財政の場合だけを見たときには、なるほど均衡財政です。しかしながら中央財政の均衡をむりにとつたために、地方財政は未曽有の不均衡になつております。この地方財政の破綻ということは何で起つたか、具体的に申しますと、見返り資金が計上される。そうしてそれのために輸入補給金が計上される。その輸入補給金の計上によつて地方配付金や公共事業費とか、あるいは失業対策費とか、あるいは六・三制とか、地方の財政に関係の深いそういう項目がどんどん食い込まれた。そこで削減された。この地方財政の破綻はすでに地方の金融、地方産業の崩壊とからみ合つて現に非常に大きな問題になつております。こういう点で金融と財政は離れておりません。  また次に、均衡がとれているはずの中央財政におきましても、依然として收支のずれという点があります。これは納税と政府支拂いのずればかりではない。今度の予算の中心的な問題になつております米國対日援助見返り資金特別会計に繰入れるべき貿易特別会計の黒字が、一年の間に逐次につくり出されて行くものでありますから、資金の需要が年度初めにいる場合に金詰りが生じて來る。そこで見返り資金へ資貿特別会計から繰入れる、この繰入れの点ですでにずれが出ている。政府支拂いがとまるとまた金融もとまるという状態であります。それゆえにこそすでに日本銀行がつなぎ資金の問題を大きく取上げている。また最近の第十八回の融資斡旋委員会で決定した大口資金需要を見ても、貿易関係が非常に多いのであります。また金融財政当局の方たちの各所における講演を開きましても、今度の予算においては財政では非常に引締めるけれども、金融でこれを調節する、ゆるめるから心配はいらないということをしばしば述べております。こういう意味でやはり当局でも暗々裡にこの金融と財政というものはからみ合つているものだということを認められていると解釈すべきではないかと思います。  それから今年の予算が数字的には收支の予算の均衡ということがとられておりますが、これをもう少し具体的に見ますと、歳入面で大衆の拂う重税が激増している。その反面で歳出面では人民のためのいろいろな厚生的な支出は大幅に減せられている。そういうところに均衡が、ただ形式的、数字的にできているにすぎない。これを裏返して申しますと、歳入面ではもつととれる大口の脱税が見逃されている。歳出面では独占資本への支出が増大している。こうなると質的に見て不均衡きわまる財政である。大衆の犠牲は非常に大きい。その反面で大資本の收奪がひどいということが当然出て來るわけであります。これに対してはいろいろと問題がすでに起つております。先ほどからも問題になりました階級鬪爭という形が起つている。それに対して中央政府は、階級鬪爭を未然に押えるために公務員法の改正をやつたり、労働法規の改正をやつたり、あるいは地方権力では公安條例を出してこれを押えつけようとする。またその押えるための刑務所費や警察費、税金をとるための收税費はどんどん厖大化している。これはかのドイツあたりに見られたフアシズムの政策をほうふつさせるものであつて、このような一種のフアシズム予算が常に金融と財政を不可避的に結びつける契約になるのであります。  第四には、今度一般会社に計上されました八百三十三億という輸入補給金——もちろん輸入補給金はこれだけではなく、塩の專賣に関するものがありますが、大体この八百三十三億というものがどういうことになるかというと、金融的に申しますれば、やはりこれは為替ダンピングのための一つの予算という解釈ができるわけであります。こういう対外的な為替ダンピング政策に対して、当然これとからみ合つて來る対内的なインフレ政策を切り離すことはできない。そういう意味で、財政でいくら締めても金融でゆるまらざるを得ないという必然的なものがあります。もちろんこの場合に、政府ではインフレではない、デイス・インフレだと言われますが、デイス・インフレというのは結局コントロールド・インフレで、小きざみにしたインフレですから、今までのような手離しのだれでももうかるというインフレではなく、ごく一部の独占資本だけがもうかるというインフレでもあります。このデイス・インフレはどういう調節の方法でやるかと申しますと、補給金でインフレを調節して行くということになると思います。  第五に、今年の資本計画を見ましても、見返り資金の資金計画に占める比重は質的にも量的にも厖大であります。ここでは金融面で資金が不足しているものを財政面でカバーしているということになつているのであります。  第六には、見返り資金による國債、復金債の償還、あるいは建設公債の引受け、これも金融を財政でカバーするという現象だと思います。こういうふうに、金融と財政とは、実際にな二十四年度においてもますます不可分なものになつて行く。それを機械的に切り離すという前提のもとに中央銀行の制度を改正する。これは結果において改惡だと思います。こういう実情がまず改められて後、初めて今回のごとき改正案が現実性をもつて登場し得るのではないかと思います。なお右のように金融と財政が依然としてからみ合つておる限り、この金融というものは当然常に政治的な意味を帶びて参ります。そこでこのポリシー・ボードはいわゆるポリチカル・ボードになつてしまうわけでありまして、決していわゆるノン・ポリチカル・ボードではない。さらにこの改正案におきまして特に重要なことは、政策委員会、ポリシー・ボードが行うべく與えられた権限の中で、公開市場操作、いわゆるオープン・マーケット・オペレーション、これがあります。このオープン・マーケツト・オペレーシヨンは、具体的に申しますと見返り資金によつて運営される。その結果日本の金融を締めたりゆるめたりすることはこの見返り資金でやられる。御承知の通り見返り資金なるものは連合國最高司令官の監督下で使われるものであります。そうしますと、この場合に金融統制に関しても政策委員会と連合國最高司令官との間の意見が衝突する場合が出來ると思います。これをどう処理するか、この点の規定がこれにはありません。こういう意見の衝突などというものは決してないとは断言できないと思います。なぜかというと、日本はいかに占領下にあつても、守らねばならない最後の一線というものがあると思います。ではそういう場合に一体どうすればいいか。この規定がなければ政策委員会は円滑な運轉ができない。そうなるとこの政策委員会は何をやるかというと、財界の長老が居眠りをやるという場所になつてしまう。いわゆるスリーピング・ボードになる。そればかりでなく、今回の日銀法改正ということは、先ほどからしばしば触れられましたように、金融業法へのスプリング・ボードになるのではないかと思う。そうでなければ改正の意味がほとんどなくなつてしまう。金融業法へのスプリング・ボードとしてのポリシー・ボードでなければ、金融業法をまたあらためて制定する場合に、今度の日銀法の改正をまた根底からやり直すということになる。これは非常にむだなことではないかと思う。そしてその限りにおいてどうしても反対せざるを得ない。それならば金融業法へのスプリング・ボードとしてのポリシー・ボードは具体的にどういう考慮が拂われなければならないかと申しますと、現在すでに外國の保險会社が進出して來ている、外國の銀行が預金を開始している、あるいは興銀の外債引受機関としての機能が復活しつつある。こういうことと関連して、見返り資金によるオープンマーケツト・オペレーションの問題を考えて、そういう具体町な意味を十分にくんで、その中でこの改正が行われねばならないのではないか。そうでなければやはりスプリング・ボードがスリーピング・ボードになつてしまうのではないかと思います。  しかしもちろんこの場合にこの点は注意しなければならないと思います。ポリシー・ボードというのは、見返り資金を全面的に扱ういわゆるクレジツト・コントロール・ボードではない。これは別に大藏省なり安本なりに今連絡委員会があるようであります。これは將來また委員会制度になると思いますが、とにかくそれではない。しかしそれにしても少くとも見返り資金の運用機関の一部になるということだけははつきりしていることです。これだけは決定的な事実でありますから、その点をはつきりすると、今度の日銀法改正というものがいかに大地から足が宙に浮いているかということがつかみ得ると思います。  次に第二の反対理由について申し上げます。今度の政策委員会の構成を見ますと、日銀、大藏、安本並びに金融、産業各界の代表七名よりなつております。これはよく考えてみると、あの腐敗のはなはだしかつた復金問題を起した復金委員会と非常に似ておりまして、ここでは官僚と独占資本との癒着結合体としか考えられません。よく言われる言葉の國家独占資本というもののシンボルじやないか、しかもそれが主として扱うものは何かというと見返り資金である。この見返り資金は復金の資金と同じように日本の人民大衆の血と涙と汗の税金が主たるものであります。これは決してただアメリカからもらつたというものではない。なぜならばアメリカの対日援助というものは、一九四八年のアメリカの対外援助法の百十五節に出ておりますような意味での贈與ではない。この贈與というものはポスト・アンラ、戰後に行われた救済、それからストツプ・ギヤツプ、これは昨年の四月に行われたマーシヤル・プランの臨時的なもの、それにその後できた経済協力局の資金であるECA資金、これがいわゆる贈與分に相当する。これに相当するものではない。これはいずれわれわれが返さなければならないものなのです。そしてまた從來貿易資金の会計を見ましてもわかります通り、過去において日本では約十一億ドル近くの援助を受けておりましても、貿易資金は赤字だらけであつた。これはなぜかというと、一種の補給金的な、價格調整費的な役割に使われていたために、援助を受けていながら黒字にならないで、逆に赤字になる。ところがこの赤字が今年からなぜ消えたかというと、輸入補給金を一般会計にあらためて計上して、それが貿易特別会計に入れられる。また貿易資金をさらに追加する。こういうことによつて貿易特別会計の勘定に黒字が出た。それを見返り資金に持つて行く。そうしますと、この見返り資金は明らかに大衆に税金から生れて來ておるのであります。このような貴重な金を一部の官僚、独占資本がかつてに運用してはよろしくないというふうに考えます。この改正朝の第十三條の二を見ますと、こういうふうに書いてございます。「金融政策ヲ國民経済ノ要請ニ適合スル如ク作成シ」とあります。ところがこの國民経済の要請ということを具体的に討議し決定する機関がない以上は、これは当然一部の委員がかつてに運用するということになつて参ります。そこで必然的に発生する腐敗という問題、これに対する考慮が抜けておると指摘せざるを得ないと思う。このように、このままではポリシー・ボードというものに対して大衆は背を向けざるを得ない。信用を統制する機関が信用がないということは、これは致命的なことだと思います。そこでもしこの欠陥をでういうふうに捕つたらよいだろうかということを考えてみますと、この國民経済の要請事項を具体的に討議決定するところの、これは私がちよつと思い浮かべた名前でありますが、最高経済会議というようなものをつくつて、ここで決定をしたことをやる。それでこの最高経済会議というものは、これは社会一般から人材を集めて形式して行くというふうにしたらよいではないか。またこのような最高経済会議があれば、政策委員会の國家独占資本主義的な性格というものはある程度中和できると思います。なおいろいろな方の意見によりますと、政策委員会そのものの中に民主代表を入れたらどうかというふうな御意見もありますが、これは少し形式的な考えじやないかと思います。たとえて言うなら、一人か二人の労働組合の代表、金融財政のことがよくわからない方がこの中にぽつこり入つて、このポリシー・ボードにおいて何の活動ができるか。しかもこのポリシー・ボードの構造から見ますと、下の事務局がない。結局日銀に依存するわけです。そうしますとこの日銀の事務局は、結局日銀総裁の命を奉じて動かざるを得ない。そうするとそれの反対の意見の人々の仕事はほとんど順調に運ばない。こういう意味で実質的に考えて、政策委員会の中に民主代表を入れるということは、むしろ少し考え方が抽象的過ぎやしないかというふうに私は考えております。  次に第三の反対理由について御説明申し上げます。今度の日銀法改正、いわゆる政策委員会の設置ということは、あまりにも南鮮、フイリピン、オーストリアの中央銀行あるいは政策委員会というような制度ににている。そういうふうなものの形式的な模倣、制度的な輸入じやないかというふうに疑わしめられるものがあるのであります。ところが日本の金融財政の実情というものはそれらの國とは大分違つております。ことに見返り資金の問題については、それらの國とは具体的にかなり違います。その限りにおいてそういう制度的な輸入、あるいは形式的な模倣というだけでは、あまりにこの運用についての考慮が拂われていないじやないかというふうな疑いをはさまざるを得ないのであります。そこで私はもつと日本の独特のものとして、これを創意していただきたい、自主的に考えていただきたい。ことに日本の見返り資金というものは、日本一國だけで五億三千万ドルという厖大なものであります。この厖大なものは世界どこの國にもいまだかつてありません。一九四八年末現在では、英、佛、伊、トリエスト、ギリシヤ、オーストリア、六箇國合計しても、わずかに六億七千二百万ドルしか決定されていない。こういう意味で日本の金融財政において見返り資金の占める位置というものは、外國の場合よりもはるかに強烈な刺戟力を持つておるものだと言わざるを得ないのであります。日本よりはるかに少い額しか計上していない見返り資金を設定した國でさえ、しかもその交渉相手は経済協力局という非軍政的な機関であります。しかも対等の援助双務協定というものが、アメリカの対外援助法の百十五條の規定によつてつくられている。それでも援助設定國から受ける制約というものはかなり強いので大分困つている。こういう実情を私どもはよく考えてみると、よほどこれは政府がしつかりしていただかないと日本の自主性、独立性というものがぐらつきはしないか。もちろん占領下にあつて自主性が頭からないというふうにお考えになるのは、これは少し奴隷的な考え方じやないかと思います。こうした点で何もそんなにあわててこの日銀法の改正をやらないで、むしろ各國の見返り資金の状態、それに伴つていろいろと起つている中央銀行制度の運用の実情、これを十分実地に視察していただいて、調査していただいて、そうして日本に最も適当だという点をつかんで、それを案に入れてつくり上げていただきたいと思います。そういう意味でできるだけ朝鮮なり、あるいはフイリピンなり、できればオーストリアまで行つて見ていただきたい。あるいはフランスでもけつこう、イギリスでもけつこうだと思います。ただ私どもは外國雜誌やあるいは電報で見る程度では、非常にこの感じがわかりません。そういう意味でむしろ國会の方にどんどん視察していただいて、そうして実際にどうやつたらいいかということを十分に具体的に研究していただいて、それからその審議をやり、また政府もこの案をつくり直すというようにしていただきたいと思います。  最後に第四の反対理由を述べますと、これはすでに他の公述人の方々が公述せられておりましたように、今度の改正法案はかなりずさんなものであるということを指摘しなければなりません。これは拙速的な飜案をやつたんじやないかという推定がくだされるわけでありますが、どうもそれではちよつと困るのではないか、もつと愼重にやつていただきたい。それですでにいろいろと他の公述人の方が御指摘になつた点をこめて、さらに私は次の点を追加しておきたいと思います。  それは第十三條の二のところで、「通貨信用ノ調節」というような言葉を使つております。ところが第十三條の三の方では「信用ノ調整」というふうに、非常に用語が不統一になつております。大体通貨という問題の調節あるいは調げということ、これをやる権限がはたしてこの政策委員会にあるかどうか、いわゆる通貨対策審議会というものと、これとどういう関係があるのか。ここいらが非常にあいまいではないか。  それから次に十三條の三の第七項に金融業者並びに証券業者への貸付云々ということが書いてありますが、これで行きますと産業へのつなぎ資金の問題は政策委員会では触れられないということになりはしないか。これはもちろんほかの項目で非常に解釈を廣げて、その中へこめてしまえば逃げられることがあるかもしれないけれども、こういう大事な問題はむしろはつきり書いておいた方がいいのではないか。  それからこの第十三條の三の第一項にあります。「第二章ニ規定スル職員」これは高級の職員であります。たしか日銀の参與以上だと思いますが、こういう職員のことは書いてあるけれども、これは日銀のそれ以下の方がその下の仕事をやられるのだと思いますが、これの身分がちつともわからない。こんなふうにこまかく突けばいくらでも疑問が出て参ります。こういうふうな点ももつと十分練つていただきたい。そういう意味で、これはあまりに拙速、間に合せ主義でつくられた案である。もつと愼重に調査して、その結果この法案を出し直していただいた方がよいのだと私は思います。以上が私の反対理由であります。私の公述はこれで終ります。(拍手)

川野芳滿民主自由党

○川野委員長 ただいまの竹中君の御公述に対して御質疑がございますれば、この際発言を許可いたします。——御質疑がなければ、次の方にお願いいたします。次は靜岡銀行頭取であられる中山均君にお願いいたします。中山均君。

中山均靜岡銀行頭取

○中山(均)公述人 私はただいま御紹介を得ました靜岡銀行の頭取の中山均でございます。  結論を申しますと、私は日本銀行法の一部を改正する案に條件をつけまして賛成をいたすものであります。他の多数の公述人によつてこの法案の不備並びに運営についての疑問の点についてるる説明があつたのであります。この点につきましては、私もまたこの法案が決して完備したものとは感じておりません。しかし現在の日本の状態から考えてみまして、少くとも日本銀行の金融界に対するその力は、從來のごとくに、財政に非常に力があつて、金融がこれについていけないというような形からやや趣を異にいたしまして、金融の方が相当操作上必要だというような時期に、今度の予算を拜見しましても感じられますので、私ども金融におる者の立場から考えてみましても、日本銀行の從來のあのやり方につきましては、何とかここに改正を願いたいということを常に思つている一人であります。そういう観点から見まして、むろんこういう制度がなくても、その官僚的な行き方についての改正方法は多々あるとは信じますが、しかし高度の政治によつてこの官僚的な行き方をかえます意義も相当に大きいわけであります。今ただちに理想的な発案をし、理想的なことをするというよりも、むしろ漸進的に進むことも一つの方法ではないか。今のような日本の状態におきまして、完全だということはとうていむずかしい問題である。日本自体はまだそこまで行つていない際でありますから、この際におきましては、少くとも日本銀行の從來からの総裁の持つている権限、日本銀行のあの行き方につきまして、いくらかでも民間の者の眞に迫つた発言をして、これを改正せしめることはどうしても必要であると私は感じているのであります。ただあの法案を見ましても、自分の非常に心配に感じますのは、他の公述人によつてるる述べられておりますが、從來のああしたような委員会はえて諮問機関になりがちである。あの法案の全部を見ますれば決してそうではありませんが、しかし実際の問題になりますと、そういう点がやや危惧されているのであります。特に日本銀行の総裁であつても、委員会の選挙によつてその議長になることができるような仕組になつておりますと、日本銀行総裁のあの事務局を持つた力というものと考え合せて見まして、これが議長であるということになりますと、相当そこに力が加わりまして、他の委員の発言が非常に弱まるというようなことを私は危惧するものであります。ぜひあの法案の内容通りになるようなりつぱな委員会をつくるには、はたしてあれで完備しておるかということになりますと、この点につきましては、実はあの法案だけでは不備があるような感じがしております。ただ先ほど他の公述人のお話にもありましたように、日銀外に置くのがいいか、内に置くのがいいか、また総裁をこの議長にすることがいいか、せぬ方がいいかということにつきましては、私はまだ確かな研究は積んでおりません。今の場合におきましては、日銀のあの中におきましての発言もけつこうと思いますが、ただ自分の危惧は、今言つたような総裁の権限が、実際の面において力が非常に強うございますから、他の委員の考えがはつきりとそこに出て來ますような制度をぜひとりたい、またそういう人を得たいというような感じが強いのであります。さもなかつたならば、先ほどからお話になりましたような屋上屋を重ねて、何ら効果のない結果になつて來ることを非常におそれます。あの法案の完備は一層必要でありますが、今の場合におきましては、あの程度のものにして、運営においてそういうような全きを期することにぜひいたしたいということを念願するものであります。はなはだ簡單でありますが、私の考え方を申し上げまして、陳述にかえたいと思います。

川野芳滿民主自由党

○川野委員長 ただいまの中山公述人に対して御質疑がありますれば、この際発言を許可いたします。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 中山さんに一つだけお伺いしておきたいのであります。今度の政策委員会が日銀の中にある場合と、日銀の外にある場合とについては、まだ十分研究されておらないという発言のように伺つたのですが、いわば今度の政策委員会は、日銀のいわゆる重役会議のような一面を持つているということを政府の方では説明されているのですが、実際に靜岡銀行なんかの重役会の運営とこの政策委員会との運営とにあたりまして、銀行の重役会私の場合におきますれば、当然頭取と言いますか、社長と言いますか、そういう他が必ずチエアーマンになると私は思う。今度の政策委員会の場合、日銀総裁が政策委員会の議長になり得る場合もありますけれども、必ずしもなるとは限らない。從つて政策委員会の決定事項に対して、委員の一人としての参與はできまするけれども、一方この委員会の決定事項は総裁の立場において、執行機関の最高責任者という立場において実施しなければならない当然の職務上の義務があると思うのです。そういう関係から見て、銀行の場合の重役会議運営と同じような意味合いにおきまして、政策委員会の運営というもの、ことに議長の位置というものが、この法案に限られておるような形において運用する場合に、実際の銀行業務運営上支障を來すような場合があるのではないかということを、われわれは心配しておるのでありますが、その点靜岡銀行の重役会議の経驗から推してどういうようになるだろうかということについて、もしその感想でも聞かせていただければ幸いであります。

中山均靜岡銀行頭取

○中山(均)公述人 お尋ねによりまして、私の実感を申し述べたいと思います。私の銀行の今までのやり方から見まして、頭取である私が議長の席についております。そうして定款にきめられたる範囲内におきましての問題を月に二回開いてやつております。しかしすべての材料を自分で持ち、また事務局を持つています関係から、——私も銀行生活四十二年でありまして、頭取という職も相当長くなりますが、大体提案が不当なことでないことは自分も確信は持つておりますが、いまだかつて通らなかつたということはなかつたのであります。そういう観点から見まして、今の日本銀行の総裁がもし議長という権限を持ちますと、なかなかこれと太刀打つて行く材料を得ることが非常に困難であると思う。これは法案にはありませんので私わかりませんが、この委員会には事務局がないように感じます。また考え方によりますれば、日本銀行の理事並びに局長その他の地位にある人に頼めば、その材料はむろん足りるという建前とは思いますが、もし総裁の意見と違うという場合になりますと、その材料を得ることが非常に困難である。そういう場合になつて來ますと、これが理論ではできそうなことでありますが、実際ではなかなか困難ではないか。そういうことについた先ほど前発言者がおつしやいましたが、非常な高い地位のように一般の人は考えますけれども、その行いはなかなかそこまでは実際行きかねるような困難な感じがいたします。言葉の使い方ですからむずかしくなりますが、幸い議長が総裁ということになつていないので、私は非常に仕合せだと思いますが、もし総裁なるがゆえに議長になるということであれば、これはたいへん困つた行き方である。むしろ議長なるがゆえに総裁になるということは、場合によつて考えられぬことはないかもしれませんが、総裁なるがゆえにすぐ議長ということは考えられない。また今度の法案でもそうなつておりませんので、選挙された場合にのみなるという点は、ある程度カバーされるかもしれませんが、いくらかそこに懸念を持つております。そういうようなことになるような傾きがあるのではないかということを考えておりますので、この委員会というもののほんとうの機能が果して行けるかどうかということになりますと、実際問題では相当に困難さがあるということを感ずるものであります。

小山長規民主自由党

○小山委員 中山さんにお伺いしますが、ただいま田中君から触れられましたのと反対の立場、すなわち総裁が議長ではなくて、一般の任命委員が議長になつた場合に、この政策委員会はどういうふうに運営ができるであろうかということをどういうふうにお考えになりますか。どちらの方がベターだとお考えになりますか。

中山均靜岡銀行頭取

○中山(均)公述人 これは第一に人によつて非常に変化があると思うのであります。議長になる者が必ずしも総裁でないという方が安全な行き方ではないのであろうか。むろんよい総裁を得ますれば、議長になることも決して惡くないと思いますが、それは人の問題である。もしかりにそういう人が選べなかつたということになりますと、先ほど皆さんからお話がありましたような、いわばローマ法王というような形もとりやすくなつて來るということも考えます。これは人間の問題でありますので、必ずしもどちらということは言いかねますが、ただ私は総裁なるがゆえに議長だということは、制度の上から見て不備である。本案のようにどちらでもよいということになりますれば、この点は緩和されておりますが、実際の問題になりますと、こうは言いましても総裁が議長になる可能性が非常に濃く感ぜられるようなことを私は思います。私の感じ方が惡いかもしれませんが、私はそんな感じがしております。そうなりますと、よい総裁のときはいいでありましようが、さもないときには非常に困つたことが起きはせぬかと感ずるのであります。どちらがよい惡いということは人間によつてきめるべきことでありまして、必ずしも制度上だけではうまく行かないということを感ずるのであります。

小山長規民主自由党

○小山委員 私がお伺いしましたのは、そういうことでなくて、日銀総裁以外の人が議長になりましても——かりにあなたがその委員におなりになつたとして、議長の職を盡して行くのには、日銀総裁以外の人が議長になつた場合にも、この法案のままで実行して行けるであろうかどうか。つまり制度の上におきまして、日銀総裁以外の人が議長になつても円滑に運営ができるという法案になつておりません限りは、最初から日銀総裁即議長ということにならざるを得ないのであつて、あなたの実際の今までの銀行生活における御経驗上その他からいたしまして、日銀総裁でない方がこの議長になつた場合にも、なおかつその政策委員会の議長としての職責を全うして行けるだけの法案になつておるかどうかという点を、ひとつ御経驗に徴してお知らせ願いたい。

中山均靜岡銀行頭取

○中山(均)公述人 私はこの法案だけでは非常に不備が多いと思います。この法案について一々こまかい点を考えますれば、委員全部があげて職業を捨ててこれに專念するということについては、今の日本の現状から言つて私は非常な疑点を持つておるのであります。そういうことで、はたしてよい人が得られるかどうか、今日の世の中ではただ命ずるというだけでは、すぐうんと言わないこともできますので、すべての職業をなくするということは非常な困難さが伴つて、人材が得にくいのではなかろうかということを第一に考えます。今日の現状から見ますと、他の委員が議長になるということは必ずしも一番の良法とは考えませんが、相当の人が出ることになりますれば、総裁以外の議長でありましても、それは総裁との連繋のもとに仕事はできて行くのではないか。こういうことは感じております。

小山長規民主自由党

○小山委員 制度の上のことを考えたらどうですか。

中山均靜岡銀行頭取

○中山(均)公述人 制度の上から見ますれば、私は実際問題から言いますと、総裁でない方がむしろほんとうに行きはせぬかと思うのであります。

小山長規民主自由党

○小山委員 つまり私が申し上げているのは、実際問題を主にして申し上げているのではなくして、日銀総裁以外の方がこの議長になつた場合にも、ここに掲げてありまするところの法案のままで議長の職責を果し得るかということをあなたの御経驗に徴してどういうようにお考えになるかということを申し上げておるのです。

中山均靜岡銀行頭取

○中山(均)公述人 なかなか問題はむずかしいのでありますが、私の体驗から見ますれば、その職責がありますれば、必ずしも不可能だとは思いません。力があり、職責がちやんと制度できまつておりますれば、これはやり得ると思います。必ずしもできないことはないと考えております。

小山長規民主自由党

○小山委員 この法案で申しますことは、議長には事務局がついているとか、そういうことは全然規定がないのです。そういうようなことがなくてもできるだろうか、こういうようなわけです。

中山均靜岡銀行頭取

○中山(均)公述人 そうした場合におきましては、事務局の必要も出て來ると思います。またどういうようなことになるか知りませんけれども、各局を使つてやるというようなことができますれば、そういう煩雜にならぬかもしれませんが、そうでなければ、ある程度の局をつくり、そうしてその局の下にやることは運営が非常に困難ではないかと存じます。

小山長規民主自由党

○小山委員 そのほかにはございませんか。あなた以外の方が、現にあなたが頭取として主宰されておる靜岡銀行におきまして、一般の株主が、あなたと同じ立場で取締役になつて來られて、そうしてその中から頭取を選ぶ、そうして今まで何にも知らなかつた、あるいは経驗の浅い人が頭取になつた場合に、今まで通りにやはり運営して行くには、どういうふうに制度を改革すればいいかということをあなたの経驗に徴してどうかということをお伺いしておるのです。

中山均靜岡銀行頭取

○中山(均)公述人 それは相当に困難と思いますが、日本銀行の今のあり方を多少かえて私どもは行きたいというふうに念願しているために、こういう委員会をつくりまして、少くともその線によつて今の日本銀行のあり方の改革をしたいというふうな感じを強く持つております。そういう場合に、今の総裁のようなお方でありますれば、その氣持が全部に移りますれば、これでもつてこの程度のことはいいと私どもは思いますが、なかなか今の制度を見ましても、末端までそれが行きかねておる点が多々ある。そういう点につきましてもう一段引締めて、ほんとうの重役会の氣持を下の窓口まで徹底させるようなふうにするには、必ずしも委員会の必要はないかもしれませんが、そういうような制度のもとに、そういう点につきましても十分研究して参りたい、大きな大綱の上においてはむろんでありますが、日銀の中の改革もこれによつてある準度何とかしてもらいたいという希望を持つておるのであります。

小山長規民主自由党

○小山委員 そうすると結局職員の任免権を持つていない限り、よそから來た方は議長になれない、こういうふうにお考えになるわけですか。

中山均靜岡銀行頭取

○中山(均)公述人 さようでございます。ある程度においてそういう権限がある方がどうしても都合がいいということを確信しておるのであります。

川野芳滿民主自由党

○川野委員長 ほかに御質疑もないようでございますので、中山均君の公述はこれにて終ります。土屋清君はよんどころない事情で御出席がないので御了承を願いたいと思います。なお先ほど宇佐美誠次郎君に対する私の紹介の言葉の中で、日本銀行嘱託と申しましたが、日本銀行前嘱託でございますので、この点も御了承を願いたいと思います。  以上をもちまして本日予定いたしました日銀法改正案についての公述の方々の公述を全部聽取いたしました。  公述人の方々におかれては、御多忙中にもかかわらず、御出席くださいまして、多々有益な御意見の発表をお願いいたしましたことはまことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  本日の公聽会はこれにて散会いたします。(拍手)     午後三時五十五分散会

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