大蔵委員会 第43号
- 発言数
- 41 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1949/09/07
会議録
○川野委員長 ただいまより会議を開きます。 去る八月二十六日発表に相なりましたシヤウプ博士の税制改革に対する勧告案につきまして、政府当局より説明を求めます。
○平田説明員 先般シヤウプ使節團の税制改正に関する勧告案が公表になりましたけれども、実はこれはまだ勧告の概要で、シヤウプ博士がアメリカに帰國されるにつきまして発表になつたのでございまして、正式のマツカーサー元帥に対する報告書というのは実は今印刷作成中なのであります。從つて先般の発表は事前の概要の発表ということになるわけでございます。公式の報告書というのは相当浩瀚なものになるらしくて、目下懸命に印刷されておるように伺います。関係方面といたしましてはなるべく早く発表いたしたいという氣持のようでございまして、おそらく十二日ごろまでに何とか発表したいということを言つておりますが、まだ私から確実なことを言いかねるような状態でございます。ところで実は詳細な報告、いわゆる正式の報告によりませんと、細目はなかなかはつきりしないところが多いようでございますが、今日は先般発表になりました概要の範囲内におきまして、私から要点を御説明いたし、御参考にいたしたいと存ずる次第であります。おそらく大臣があとでお見えになると思いますが、日本政府といたしましては詳細な勧告書が出た上で、なおよく研究いたしまして、來年度予算の編成と関連してなるべく早く成案を得て、國会に提案する運びになると思います。その点につきましては後ほど大臣がお話になると思いますから、私は主として勧告案の内容につきまして、御説明申し上げたいと思う次第でございます。 先般新聞紙上に出ました勧告の概要というものは、ほとんど勧告の概要の全文でございます。從いましてそれに触れていないことは、実は私どもまだ申し上げることがむずかしいわけでございます。要点とするところを重複するかもしれませんが、最初に申し上げておきたいと考える次第でございます。 まず勧告の案をつくるについてシヤウプ博士は、これは新聞紙上にも出ておりましたように、五つの問題をきめてあるのだということを言われました。第一は現在の日本経済の情勢下におきましては、何と言いましても経済の安定をはかるという見地が、税制の改正におきましても相当重んじられなければならぬということを強調いたしたのであります。均衡予算をあくまでも確保する。しかし價格調整その他の歳出を削減して、それだけの税を減らす、あるいは調整することはもちろんさしつかえない。あるいはそういう方向に行くべきだという意見のようでございましたが、基盤といたしましては健全財政、均衡予算を確保するという基盤の上に立つた税制でなければならぬということを、強調されておるようでございます。 第二点といたしましては、一旦税制をかえました上は、なるべく長期に安定した税制を樹立しなければいけない。つまりたびたび税制をかえるのはおもしろくないから、將來できる限り長く持続し得るような制度を考えたい、こういう点が相当重要視されておるようでございます。今の瞬間から考えるとすぐどうであろうかというようなことも、長期の見通しとして正しいならば、その方向をとるというような考え方のようでございます。 第三の点といたしましては、これは申し上げる必要もないと思いますが、税制の全般にわたりまして負担の公平化をはかる。負担の均衡化をはかる。これらはあらゆる改正の際の最大の目的でございますが、そのことにつきましては相当重要視されておるようでございます。 第四の点といたしましては、地方自治につきまして極力財源を與えて、健全な地方自治の発展ができるようにいたしたい。從いまして國費はある程度削減できましても、地方に相当の財源をこの際付與して、地方團体の健全な発達をはかる。税制としましてもできるだけ有力な財源を弾力性のあるものとしまして、地方自治の運営を容易にする。この点を相当強く強調されておるように見受けられるのでございます。 第五点といたしましては、これは第三点とやや関連するのでございますが、税制だけの公平では実際の負担の公平は期し得られないから、税務行政の改善を大いにはからなければならない。それによつてのみ税制の公平化が現実の負担の公平になつて現われて來る。両方伴わなければほんとうの負担の公平は期しがたい。この点を相当強調されまして、御承知のように徴税制度その他につきまして、重要な勧告が行われておるのでございます。さような点をシヤウプ博士は強調せられておるように見受けられますが、そのほかに経済の安定に関しまして、この際としましては何と申しましても企業の生産活動と申しますか、生産を大いに引上げて行く。インフレをとどめると同時に生産を助長しなければならぬ。事業活動を旺盛にするという点が、やはり相当考慮に入れられておるように見受けるのであります。さような観点から事実あらゆる中央、地方の税制全体の骨格から、あるいは各税の中の小さい細目に至るまで相当詳しい檢討を遂て、浩瀚な報告書ができ上つておるように聞いております。内容はもちろん発表されました後に明らかになると思います。 大体の点はこれもすでに概要をごらん願いましておわかりかと思いますが、やや特色みたいな点を御参考に申し上げてみたいと思います。第一の点は中央、地方と申しますか國と府縣と市町村、この三つの段階におきまして租税を適当に配分したと申しますか、おもな税金を有効に配分しようというような点が非常に強調されているように思います。すなわち所得税と酒、タバコの消費税、こういうものは國で徴收する。それから府縣は事業税と遊興飲食税、入場税、こういうものを徴收する。市町村は地租、家屋税それに若干課税範囲が拡張されまして、不動産税、それから住民税、これを府縣が徴税をしていたのをやめて市町村の独立税となる、こういうことでございます。そうしてなるべくあまり重要税目でない税は極力整理した方がいいだろう。つまり学問上も実際上も実績に照して大いに重要視さるべき税をできる限り合理的なものにして、そういう税目でそれぞれの團体が財政上收入を得るように持つて行きたい、こういう点が相当はつきり現われているのではないかと考えます。それから全体の税制の中で所得税にやはり中心を置く。所得税中心主義と申しますか、こういう見解を相当とつておると思います。これはおそらく先に申しました長期にわたつて持続したい税制、こういう点から考えますと、おそらく所得税中心主義ということが、自然に出て來るのじやなかろうかと思うのであります。そういう点からいたしまして所得税を全体の税制の根幹にしまして、あとはそれぞれ先ほど申し上げましたように重要税目をできるだけ伸張して、それによつて各團体が所要の財源が確保できるようにいたしたい、こういう点が一つの重要な点じやなかろうかと考えられるのでございます。それから各税の内容につきましては所得税につきまして非常に重点を置いて、いろいろな改正に関する勧告がなされておるようであります。基礎控除は扶養親族の控除等につきましては、御承知のように引上げられることになります。それから所得税の中における負担の均衡と申しますか、そういう点にも相当注目しておられるように思います。勤労所得の二割五分控除に対しましては、少額事業所得に対してもやはり國税の控除を與えるのが妥当である。すなわち勤労所得に二割五分の控除を認めるならば、少額の事業所得につきましては一割五分の控除をするのが妥当ではないか、そういう考え方が二十四年度の所得税の改正につきましては提案されておりまして、その所得税は一月から実施しますが、そのうち申告所得税につきましては十月から三箇月分だけ一割五分の勤労控除を事業所得に認めて行く、こういう勧告案になつているようでございます。ただ來年度からは勤労所得の二割五分の控除を認め、事業所得に一割五分の控除を認めるということでは実益が少いから、來年度からはその一割だけを残したらどうか。ただ勤労控除は一割に圧縮されたようでありますが、これは主として事業所得と勤労所得との負担均衡論と申しますか、そこから自然に出て來た結論でありまして、この点從いまして使節團としましては、相当考えられた上で出て來た一つの結論ではないかと考えられるわけであります。そういうところに一つの所得税の中の負担の均衡ということを考えたものと考えられるのでございます。 それから税率につきましては、御承知の通り最高税率を三十万円超過、五五%にすえ置く。五五%にとどめようというのが、これまた一つの特徴ではないかと考えられるのであります。これはおそらく一つは、あまり税率が高いと結局うまく税が徴收できないという点と、それからいま一つは、やはり今の大所得は大部分事業所得でございまするので、そういう事業活動を盛んならしめるように、あまり税率が高いと事業意欲を阻害することが多いという点を考慮いたしまして、そういう提案になつたと思います。そのような点が一つの特色のように考えるのであります。ただこの反面資産所得に対しましては、やはり五五%だけの課税では低いから、これに対しましては富裕税を新設いたしまして、所得税の一種の補完税にしたい、こういう考えのようでございます。これも内容は御承知の通りでございます。建前はかように所得税につきましてはある程度税率を低くしまして、ただ資産化しました資産から生ずる大所得につきましては相当重い税をかける。結局所得税が五五%とそれから富裕税の三%。ただ富裕税はどこまでも所得税の補完税という建前が原則でございましようが、所得がなくてもやはり富裕税は課税する、あるいは税は低くても課税するという建前になつております。そういう建前から行きますと、純粹の所得税とはもちろん違う。一種の所得税の補完税たる建前であろうかと思います。その点が一つの特色になつておるようであります。 それから所得税につきましては、先般の発表にもある程度触れておりますが、所得の計算方法その他につきまして、相当詳細な勧告がなされておるようでございます。委細は後ほど発表になると思いますが、相当こまかく触れておるのではないかというふうに見受けられております。所得税の改正によりまして、結局負担関係はどうなつたかと言いますと、これはもう御承知のように、少額事業所得者の負担が一番税金が減るようになつております。農業所得は昭和二十四年度におきましては、大体九万円弱平均程度ですから、かりに十万円の農業所得の場合を考えてみますと、扶養家族が四人の場合は三分の一くらいになるようでございます。現在十万円で扶養親族四人、奧さんと子供三人の場合は一万六千五十円、それが五千六百幾らになるわけでございます。営業所得者の平均は大体十七、八万円くらいになります。かりにもう少し高い二十万円のところをとりますと、現在の案によりますと五万七千五十円、それが三万三千七百円程度になります。大体二万円くらい軽減されているというわけであります。中小の事業所得の場合、いわゆる家族が多い場合は相当所得税だけでは負担が減るようであります。ただ勤労所得は今申しましたように、控除は事業主との関係で縮まりました関係上、減り方が一番少いのであります。ただ家族の多い人は勤労所得の場合でも相当程度減つております。たとえば十万円の人で家族が四人の場合でありますと、現在は七千八百円ですが、それが三千六百円程度になります。二十万円くらいですと現在は四万三百円ですが、それが二万六千三百円程度になります。家族が多いと勤労所得も相当の減少になるわけでございます。ただ家族が少い場合は勤労控除が縮まつたのに対しまして、家族控除の拡張による恩惠が少いのでありますから、從いまして負担の減り方が少くて、たとえば十万円の独身者は現在一万五千円の負担であります。それが勧告案によりますと一万四千円、この程度しか減らない、こういうことになつております。この辺でいろいろ問題になるかと考えます。要するに先ほど申し上げましたように、所得税としましてはあくまでも他の事業所得と勤労所得とのバランスをはかるという見地に立ちますと、こういう程度の負担の差になるのではないかということが、相当強調されておるように見受けられるのであります。所得税だけですとそういうことになります。 地方税の住民税と地租家屋税は、これは現在に比べますと相当増徴がありますので、そういうものを総合してみないと判断がつきませんが、しかし中小事業所得者は全部含めても相当な軽減になると見ております。地方税は精密な計算はなかなかむずかしいので、よく調査した上で後ほど御報告申し上げたい。住民税はある程度ふえる、地租家屋税もふえるということを考慮に入れて、所得税とあわせて考える必要があります。 次は法人税でございますが、法人税につきましては相当な改正が行われているようであります。御承知のように今までの日本の法人税は、大体法人に対して課税する、その利益を株主に配つた場合はやはり株主の所得として課税する、こういう建前をとつております。ただ昨年から証券民主化運動を大いにやつておりまして、配当所得については税額から一割五分控除する。どつちかというとそれぞれ別の立場に立つて課税しよう、こういう考え方の上に立つております。今のドイツの税制あるいはアメリカの現在の税制がそれに近いのですが、イギリスの税制はこれに反して非常に徹底しております。法人に課税したのは株主に対する課税と大体同じという考え方になつております。いわゆる普通所得税は法人の利益に対して、それを配当した場合においては課税いたしておりません。総合所得税だけは別にいたしております。しかしこれはイギリスの税の中では、全体の一割五分くらいの税で、所得税と法人税と二重課税はしてないという國であります。今度の勧告案によると、後者の意見を採用いたしているようであります。從つて法人に対しては大体三割五分の普通所得、株主に配当した場合には配当所得の二割今まで源泉課税をいたしておりましたが、そのほかに個人の所得から配当金額の二割五分相当額を所得税額から控除した。法人税三割五分課税した額の中から、二割五分だけは個人の課税が済んだものとして、個人の税から引いてもらう、こういう相当徹底した意見であります。これはおそらく先ほど申しましたように、極力法人の事業活動を盛んならしめる方が、今の日本の税制としては適当ではなかろうかという配慮から出ております。そういうシステムに改めたのは相当の改正であります。それに関連して超過所得税をやめて、また清算所得税は後ほど申し上げるように讓渡所得に課税した方がいいというわけで、清算所得を廃止した。税制のかけ方から申しますと、相当根本的な変革に相なるわけであります。今申したような考え方から申しますと、会社が利益があつて配当しなかつた場合はどうなるかという問題でございますが、結局配当しなかつた場合におきましては、株主に対して課税さるべき一部の税額が引かれるということになります。利益金に対しては一%課税する。これは累進して年々今後の利益に対して積み上げて行く。 次に間接税におきましてはまず酒税でございますが、酒税は前回の改正が少し税率を引下げ過ぎたのではなかろうか。從つて酒税につきましてはむしろ税率を引上げて、増收をはかつた方がよくはないかというのが要点のようでございます。これはおそらく酒類の原料が主食である点に相当注意をされて、そういう意見になつたのではなかろうかと思いますが、この点は相当問題となる点ではなかろうかと思つております。 それから織物消費税は、要するに衣料品は大体代表的な必需品の一つだから、なるべくこれはやめるべきだ、むしろ取引高税よりも先にやめるべきだ、こういう御意見で、必需品課税廃止の徹底した勧告をなされておりますが、この廃止の仕方につきましては、若干議論があると思います。 それから物品税につきましては、どちらかというと、まだ相当課税してもいいのではないかという意見のようでありましたが、総額は今年の予算で二百七十億ですが、この総額を減らさない範囲内におきまして税率はある程度調整する。それから課税品目の中で、ほんとうの必需的製品、これを除外したらいいのではないかということになろうかと思つております。物品税につきましては課税の軽減をすべきだという意見がないようでありまして、織物消費税と大分違うようであります。 それから取引高税につきましては、これも報告にございますように、來年度債務償還費と地方團体に対する補助金、交付金、要するに國から出すもの、そういうものを除きまして、歳出額が四千五百億以下になれば、取引高税はやめた方がよろしいというはつきりした御意見でありますが、私どもの見通しでは、大体四千五百億以下になり得るのではないかと考えておりますので、これは廃止可能ではないかという見通しをつけております。 それから地方税につきましては、これはいろいろございますが、ちよつと注目すべきものは地方の新しい事業税でございます。これは縣税として徴收されるものでありますが、課税標準は從來の純益課税から大幅にかわりまして、今度は企業の賣上げ金額から仕入品、原料品等の他の企業から買い入れたものを差引いた残りを課税標準とする。その残りは、むずかしく言いますと附加價値と称しているわけでありますが、それを課税標準にする。すなわち附加價値の中から、企業は賃金なり金利なり事業費を拂つて行くわけでありますが、結局今の純益以外の金利、地代、家賃、賃金、給料、こういうものが課税標準の中に入つて來ることになります。もちろん課税率は現在よりも相当引下げられることになると思いますが、税收総額としては四、五百億を予定したらどうか、こういうことになつております。 その次は地租家屋税でございますが、これは一つの課税範囲を、土地家屋のほかに償却し得る固定資産、これに拡張することになつておりまして、営業用の固定資産が課税対象になるわけであります。また課税標準は時價にかわるということになります。從つて名前ははつきりしない点もございます。不動産税とか言つておりますが、むしろそういう税にかえた方がよいのではないかという勧告のようであります。賦課率は現在と比較いたしまして、負担は相当引上げになるのではないかと思いますので、新しい地租家屋税は大体六百億か五百億を見込んでおられるのであります。これによりますと現在の地租家屋税は、大体二倍半と三倍の間くらいに引上げるのではないかと見ております。 その次は住民税でございますが、この課税は相当重視されておるのでございます。何と言いましても、地方團体の中でも市町村の地方自治、これは大いに伸長させなければならない。それが一番健全な行き方ではないか。從いまして市町村には直接税の形で、相当彈力性のある税源を與えべきではないかという意味で、住民税につきましては相当財源を認めるようなことになつておりますので、一定の所得者一人当り幾らという定額税と、それから從來の資産割をやめまして、今度は國の所得税の課税標準により、所得税額で課税することになつております。所得税額の場合は、二割以内、課税所得の場合は一割以内、それから課税所得から所得税額を差引いた残りを課税標準とする場合は二割以内となつておりますが、これはいずれも最高でございます。そして最高の中におきまして、所得税額を課税標準とする以外の場合、つまり所得額を課税標準にする場合には、比例税率でもいいし累進税率でもいい。要するに地方團体が適当と思われる税率をつくつて、税を徴收して行くという考え方のようでありますが、これは相当注目すべき改正だと思います。 それから收入といたしましては、大体六百億ほどを來年の地方團体の財政の全体の收入として予定しておりますが、これはまだ相当引上げになるものと考えております。その他の税におきましては不動産取得税をやめるとか、あるいは地方の雜種税については極力整理の方針がとられる。細目はおそらくこの次発表されるだろうと思いますが、できるだけ合理性の少い税は少くするという方向に行くのではないかと思つております。 地方財政につきましては、現在の分與税制度と國から出しておる一部補助金のうち、教育費のようなどちらかというと負担金的なもの、これはむしろ包括的な補助金にして、新しく一般平衡資金というものを出したらどうだろうという勧告のようであります。これにつきましては、各地方團体が大体必要とする最低需要と、普通の課税で幾ら入つて來るか、それの差額を計算しまして、それによつて地方團体に交付して行くという行き方になるのではなかろうかと思つております。そしてこれの配分のフアンクシヨンを受持つものとして、地方財政委員会が新しく提案されております。そういうのが大体の構想でありまして、いろいろ申し上げますとその他大分ございますが、その点が税の大きな改正の点であります。 それから徴税制度といたしましては、御承知のように一定の樣式の帳簿をつけるということを申し出て來た人に対しましては、帳簿を調査した上でないと税務署が更正決定をしない。またそういう人には青色申告用紙を利用させまして、特別の一種の特権を與える。こういう点が大きな改正であります。異議の申立てにつきましては責任のある特別の官吏を選んでやらせる。なお租税の事件につきましては成規の司法手続を経て解決する。すなわち租税裁判所みたいなものをつくつて、解決したらどうかという点がおもな点であります。その辺いろいろ御議論もありましようが、將來にわたりましてなるべく適正な制度を確立するという点で、諮問委員会等につきましても、勧告案は賛成しない意見のようであります。 大体以上申しましたような要点でございますが、なおこまかいことはおそらく次の勧告書に一々理由をつけて、相当詳しく出るのではないかと承知いたしておりますので、こまかいことはこの次の機会にさらによく御檢討いただくことがいいのではなかろうかと思います。
○川野委員長 次はシヤウプ博士の税制改革に対する勧告に関して、昭和二十五年度予算編成方針に関し、河野主計局長より説明を求めることに相なつておりますが、主計局長がまだお見えになりませんので、平田主税局長に対する質疑に入りたいと思います。
○田中(織)委員 御質問申し上げる前に、今委員長はまだ主計局長が見えられないというのですが、それを伺うことが実は必要だと思うのですが、大体出席は何時ごろでしよう。
○川野委員長 もはや來る予定になつて、今電話で催促したのですが、もう向うを出られたということになつておるのですが……。
○田中(織)委員 それから大臣の出席は……。
○川野委員長 大臣の出席は二時ということに約束したのです。まだお見えになりませんが、これまたお見えになると存じております。
○田中(織)委員 それでは大藏大臣並びに主計局長の出席を委員長からせいていただくことにして、主税局長に一、二お伺いをしておきたいと思います。この勧告案の発表せられた概要の中にも、シヤウプ博士みずから述べられております通り、今度の勧告案は、政府與党はもちろんそうでありましようが、われわれもある程度期待しておりました減税という点が、どうもわれわれの期待の沿い得ないうらみを実は持つておるのでございますが、この点はこの勧告案に基きまして、政府が税制の改革を行うときの心構えをお伺いすることによつて、われわれはこの勧告案自体から來る減税の可能性というもののきわめて幅の狹いことを、幾らかでも補いをつけなければならぬと、かように考えるのであります。特に政府並びに與党が從來公約しておりました、シヤウプ勧告案が出るならば相当減税されるという政府の公約から見ても、この勧告案自体に盛られておる減税の幅というものが非常に少いと思います。この点をどういうふうに調整せられるお考えでありましようか。先般議院運営委員会で、風早議員からの質問に対して主税局長がお答えになつておることを、私も新聞紙上で拜見しておるのでありますが、この勧告案を発表するにあたりまして、日本の國民の勧告案に対する自由な批判、檢討をむしろ歓迎せられる一文章が附加せられておりまするので、私はそういう意味からも、政府が積極的にこの勧告案をさらに発展させるような方向に、特に政府の公約でありまする減税に重点をさらにつけ加えて行くという点について、すでにこの勧告案が発表せられてから閣議等も開かれておると思うのでありますが、主税局長からその点についての見通しを聞かせていただければ幸いだと思います。
○平田説明員 政府といたしましては、まだ何した正式の報告を得ておりませんので、閣議で態度を決定するというところまでには、至つていないのじやないかと考えますけれども、私の見通しを若干申し上げてみたいと思います。 この勧告案の概要にもありまするように、一應來年度の租税收入の必要額というものを仮定するという言葉を勧告案に使つておりますことは、使節團は、來年度の歳出を今きめるわけには行かぬ。一應の見通しを立てて、その上で税制をいかに改正すべきかを考えたいのである。こういうことを言つております。從いまして、ものも來年度の歳出が、この勧告案が見通しを立てているよりも、より以上に減少するということでありますれば、これはそれだけ税の軽減と申しますか、徴税に制限をいたしましても、ドツジ原則あるいは勧告案の趣旨にも反しないことじやないかと考えます。そういう方面におそらく私どもとしましては努力いたしまして、さらに若干の補正ができればいいのじやなかろうか、かように考えておる次第でございます。ただ相当やはりこれも國の歳出がある程度減るという前提で考えておりますので、どの程度できまするかは、目下作業をしておりますところの來年度予算が具体的にもう少し明らかになつた上でないと、私といたしましては申し上げかねる次第でございます。 それから一番関連の深いのは、おそらく所得税の軽減関係だと思います。これは概要にもございますように、今年度の予算額三千百億から、明年度は二千九百億程度にしたい、こういうことになつております。これは明年度の所得税の改正案による見積り二千九百億、それと本年度の三千百億と比較しておるわけであります。從いまして所得税がどのくらい減るかということから考えますと、まさにその差の二百億というのが正しいのでございますが、これはおそらくこの詳しいものが発表になりますと、二千九百億の算出の根拠が示されると思います。それによりまして明らかになりますが、ある程度課税所得の増を見ておるのではないかと見ております。從いまして今度の改正案も、今年の予算つまり三千百億円と計算いたしました、その予算の基礎になつておるところの課税表をそのまま適用いたしまして、計算いたしてみますと、これも新聞紙に出ておりますように、実は約千億程度の減少になる。負担関係から申しますと、こう見ておるのでありますが、何しろ先ほど申しましたように農業所得税は三分の一、営業所得税でも中小の場合は相当減りますし、勤労所得の場合でも家族の多い人は二、三割の減が大部分でございます。從いまして大体所得税は、負担関係の増減という観点から見ますと、三分の一弱が税率控除においては予定される、こういうことは言い得るのではないかと思います。それは勧告書にもちやんと書いてあります。本年度の予算額三千百億円から、明年度二千九百億円程度に若干減少せしむべきことを勧告する。税率の引下げ、控除の引上げは、このわずかな減少が示唆するよりもかなり大きなものである。こういうことを注意書きでつけ加えておりますが、そういう点は今申し上げましたようなところで一應御了解を願つたらどうであろうか、かように考える次第でございます。來年度の全体の税目をきめることになりますと、もう少し來年度の具体的作業が進みますと、的確な数字がきまるようになるのではないかと考えております。
○田中(織)委員 勧告案にもちらつと出ておるのでありますが、今平田主税局長の御答弁の中にもありましたように、來年度における課税所得の若干の増加を期待されておるようでありますが、これは私本年度の所得税の、いわゆる課税所得の増加につきましても問題になつたと同じような意味で、われわれは現在の経済的な情勢から見て、來年度における課税所得の増加ということについては、そういうものに期待を持てないようにわれわれは考えておるのですが、課税所得が若干でも増加するという根拠が、どういう点を押えられて——これは使節團に聞かなければわからないというようなものでありますけれども、勧告を受けた政府側としても、その点についてある程度の課税所得の増加を期待せられておるようでありますが、そういう点から、その根拠となるような條件が、現在の状態からピツクアツプできるかどうかという点をまず聞きたい。 それから、たびたび立つていただくのも何でありますから、あと二点ほど伺います。所得税につきましての軽減は若干期待できるわけでありますが、局長も先ほど説明せられましたように、ことに勤労控除の引下げの問題は、國全体として今度の勧告案がかすかであるけれども所得税の軽減の方向にあるということは、私認めるにやぶさかではありませんけれども、先ほどの御説明にもありましたように、まだ勧告案に説明されておりまするように、いわゆる勤労所得者と農民あるいは中小企業等の少額所得者との均衡を、勤労控除の削減によつてやつておるというようなことは、むしろ勤労控除を受ける純然たる勤労所得者の立場から見るならば消極的であり、これはマイナスになつておると思うのです。新聞紙等に出たところから見ますると、この勤労控除の引下げを一〇%まで一挙に引下げるということは、これはあまりにも急激過ぎるというか、酷だというような考え方もあるだろうと思うのです。できれば二〇%程度までの引下げということに食いとめることはできないかということで、何か作業されておるように新聞紙上拜見したのです。われわれは率直に申しまして、少くとも勤労所得税の勤労控除につきましては、かりにこの勧告案通りに行われるということになれば、これらの勤労所得者は、今度の勧告案によつて何ら恩惠には浴さないと言つても、大した言い過ぎではないというように考えておりまするので、その点については、これをいかに調整せられる御所信であるかどうかということをお伺いしたい。 それからそれに関連いたしまして、先ほどの説明、また勧告案にもあつたわけなんですが、所得税における若干の軽減というものは、地方税における住民税と地租及び家屋税の——率直に申しまするならば、増徴という形になつて來るので、所得税の面における軽減が、全体として税負担の点から見れば、さらに軽減率というものが軽くなるように見受けるのでありますが、大体そういう点について差引いたしまするとどの程度になるかということについて、数字的に作業されたかとも思いまするので、そうした点についてもし地方税との関係において、所得税が最終的にどの程度軽減になるだろうか。細部の点は勧告の成文が政府に傳達されないとあめいはわからないかもしれませんが、大体予想されるところのものがありますればこの際お示しを願いたい。かように思います。
○平田説明員 所得税の來年度の見積りは、御承知の通りにいろいろ問題があろうかと思いますが、ただ勧告案はやはり一應最近の生産物價の状況などに照しまして、そういうものがそう惡くならぬという前提のもとに、おそらく計算されておるのではないかと考えております。この点はこの次の報告書にあるいは相当詳しく出ておるのじやないかと思つておりますが、その上でさらに御批判を願つたらどうか、かように考えております。 それから第二の勤労所得税の問題でございますが、全体的に見まして、実はこの勧告案に対して政府としてどういうふうにするかということは、まだ意見をはつきりきめておるわけではございません。私どもいろいろ各方面からの批評等をよく参酌いたしまして、よく檢討した上で政府の態度をきめたい。かように考えておりますが、これは先ほど申し上げましたように、一つには來年度の予算のわくがもう少し具体的に見通しがつかないと、その方もなかなかむずかしいという点がございまするので、こういう点につきましても、あるいは大臣は何かお考えがあるかもしれませんが、私といたしましては、ちよつとまだここで意見を申し上げる段階に入つていないことを御了承願いたいと思います。むしろ御意見がございましたら承りまして、私の方で参酌さしていただきたいと考えておる次第でございます。 それから最後の点は、地方税の問題でございますが、これも実は地方税についてごく大まかな一つの概数が出ておるだけでございまして、どの程度に平均的な負担を見るべきか、いろいろ檢討の余地がありますので、目下いろいろ計算いたしておりますが、なお詳しい発表が出ました上で案を練りまして、できるだけ世間にも誤解されないような数字をつくり上げまして、御説明申し上げたいと考えております。はなはだ恐縮でございますけれども、後ほどに延ばさしていただきたいと思います。独身者の勤労所得者の勤労所得税の軽減は、これはあるいはできるかもしれない。家族の多い事業所得者なり、家族の多い勤労所得者は、大体において負担が減るとお考え願つてよいのではないかと思いますが、詳細な計算はなるべく正確なものをつくりまして、適当な時機に公表いたしたいと考えております。
○川野委員長 今大藏大臣がお見えになりましたが、実は大藏大臣は三時からほかの会合にぜひ出席しなければならぬ、こういうふうな実情でございますので、大藏大臣に対する質疑をまずお願い申し上げます。風早八十二君。
○風早委員 池田大藏大臣にお伺いいたします。國民が重税でどれくらい困つているかということは、これはいまさら言うまでもないことでありますが、これに対して政府当局はかねがね税金の軽減ということを國民にも公約しておられたわけです。ところが二十四年度予算案では、御承知のようにこれが果せなかつた。そこでシヤウプ使節團の來朝の機会にぜひともこれはやるということは、たびたび池田大藏大臣から伺つておつたわけであります。國民としてもこれは非常に期待しておつた。ところが実際に出てみますと、まだ詳細のことはわからないと言えばそれまででありますが、この勧告案大綱によつただけでも、まつたくわれわれの期待を裏切つたものであると考えるわけです。この点につきまして、まず第一に池田大藏大臣は、新聞紙上その他でわれわれが仄聞しているところによると、シヤウプ使節團とは密接な交渉を持つていろいろ協力されたことは認められた。しかし実際の結果から見ると、これは一体どういう協力をされたのか、われわれとしては疑わざるを得ない。先ほど主税局長からもいろいろ御説明を聞いたのでありますが、何かこれが政府とはちつとも関係のない、こういうものが與えられて、これから初めて考えるのだといつたような印象を受けるのであります。そういうものじやなかろうと思う。もともとシヤウプ博士の勧告を受けるのをまたなければ仕事ができないということ自身が、非常に不見識であると考えるのであります。しかしそれにしましてもいよいよシヤウプ博士が來られるということになれば、やはりこれに対してほんとうに税金の軽減の実現のために、努力が拂われなければならなかつたと思うのであります。その点でどういう努力を拂われたのか、大体大藏当局としましても、どの程度の税金の軽減、またいかなる意味でこの軽減ということをシヤウプ博士にいろいろ協力されたのか。そういう点のいきさつをこの際少しお話願いたい。そうでなければ、これは政府にとつてもあるいはまた民自党にとりましても、どうも國民に対して何ら納得を與えるわけに行かないと思う。たとえば先ほど勧告案のねらいとして御説明があつた中の大きな問題としまして、負担の公平化というのがあります。しかし負担の公平化はもとより大事なことでありますが、公平化という意味は具体的に申しますれば、必ずこれは大衆負担が軽減せられるという点になければならないと思う。そのことがこの公平化の内容になつていると思う。ところが実際に出て來た大綱を見ますと、たとえば所得税についてもこれは累進課税ではなく、逆進税である。わずか三十万円、四十万円の年所得の者が五五%の所得税を課せられる。それでどうしてやつて行かれるか。これに対して何百万円、何千万円の者もやはり同じ五五%だ。これは累進課税の反対の逆進課税と言わるべきものであると考えるのであるが、こういう点にも現われておりますように、負担の公平化ということ自身がここでは出ておらないと思います。いろいろありますが、まず第一にどういう形でどういう内容で協力をされたか。その点をぜひこの際率直にひとつ話していただきたいと思つております。
○池田國務大臣 シヤウプ博士が來られましてから、日本の経済の実情調査並びに日本の税制の説明につきまして協力をいたしました。しこうしてシヤウプ博士が二、三回私の意見を聞く機会を與えられましたので、日ごろの租税に関する考えを申し述べたのでございます。これがシヤウプ博士に対しまする私としての協力であつたのであります。しこうして今シヤウプ博士の勧告案の内容につきまして、風早委員よりいろいろな言葉が費されましたが、私はシヤウプ博士の勧告案につきまして、ただいま意見を申し述べることはさしひかえたいと思います。
○風早委員 勧告案に対する意見は大藏当局としては述べられないというようなお答えでありますが、これはわれわれははなはだ意外とするものであります。シヤウプ博士自身も特に帰る際に、これについては十分な國民的な討議をやつてもらいたいと述べている。討議をやるにはこれの批判が当然伴うわけでありまして、どういう意見を持つかということは、特に政府としては考えがなければならないと思うのでありますが、これが述べられないというのははなはだ意外で、また了解に苦しむところです。しかし私が今伺つたのは、この勧告案の出て來た結果に対して意見をお尋ねしているわけじやないのであつて、どういう内容の協力をされたかということです。いろいろ意見を求められたので、大臣は平生考えておる税制改革に対する私見を述べたというお話でありますが、それは長くなりますからある一点に限つてもいい——税金の軽減、ことに所得税なら所得税の軽減というような点だけに限つてもいいのでありますが、そういう軽減問題で具体的にどういう内容を持つてシヤウプ博士にぶつかつて行かれたか。そうしてそれがどういういきさつで結局こういうことになつたか。この点を伺つておるわけどありまして、もう一度お答え願いたいと思います。
○池田國務大臣 シヤウプ博士の勧告案につきましては、いずれ近日中に全貌が出ると思うのであります。先般の分はその一部を要約せられたものであるのでありまして、シヤウプ博士の全体の考え方につきましてはただいま檢討中でありますので、今ここでこれに対しての意見を申し述べるのは適当でないと考えるのであります。またシヤウプ博士の勧告案につきまして先ほどお答え申し上げましたように、私の意見はある程度申し述べておりまするが、シヤウプ博士と私との対談の内容につきましては、ここで発表する自由を持つておりません。
○風早委員 それはやはりお答えになり方いかんで、どうにでもお答えになれると思うのでありますが、そういうふうに大藏委員会に対する誠意が示されなければ、われわれは遺憾ながらこの点は打切ります。われわれが具体的に要望しておつたことは、何といつても税金が軽減されるということでありまして、しかもこれが大多数の國民大衆の側において税金が軽減せられるということであつたのであります。その軽減はもちろん実質的な意味においてでありまして、かならずしも額だけの問題じやないわけです。 いろいろ問題はありますから、こまかいことはあとで主税局長に伺いますが、大藏大臣に一点だけ伺つておきたいのは、來年度の減税を大体一千百億に見積るということは、池田大藏大臣の談として最近しばしば新聞に出ておるが、新聞に出ておることは責任が持てないといつてはずされることは、はなはだわれわれは望まないところでありまして、どういう根拠でああいうことを言つておられるか。その一つとしてはやはり國民所得が本年よりは來年がふえるであろう、從つてまた課税所得というものもふえるであろう、こういつた前提があるように考えられます。この点ははなはだわれわれの予測と相反するものでありまして、現在のように産業も全般的に非常に危機に瀕しており、また中小商工業者も廃業が続出しており、一般の勤労者も首切りでみんな矢業しておる。こういつたような状況で、実際にまた生産そのものもきわめて停滯しておる、滯貨は激増しておるという状態であるから、はたして來年度國民所得が増大するかどうかわからない。從つて課税所得というものも増大するかどうかわからない。もしも國民所得が増大しないで、しかも課税対象の所得だけが増大するというようなことであるならば、これはもつてのほかのことでありまして、この辺のところがきわめてわからない。そういうあいまいな、またわれわれから考えても明らかに逆のような前提をとられて、その上で來年度の減税云々ということを問題にされても、これは全然間違つた結論と言わざるを得ないのであります。そういう点についていま少しく國民所得の実情の見通し並びに課税対象の実情の見通しと、そうしてあらためてあの一千百億円の数字について、大藏大臣の所見を伺いたいと思います。
○池田國務大臣 減税案の内容につきましてどれだけ少くなるかという場合には、いろいろな考え方もあるのであります。われわれ大藏当局が税制改正案のときに、これだけの減税になるということは、一つの基本を置きまして、そうしてその基本に改正税法と現行税法を当てはめたときにどれだけ減税になるかということで、われわれは今まで來ておつたのであります。しこうして本年すなわち昭和二十四年度の所得税の基本になりまする課税所得をもとにいたしまして、現行税法を適用した場合には、御承知の通りに三千百億円と算定いたしたのであります。同じくその課税所得を基本にいたしまして、シヤウプ勧告案の所得税の税率並びに控除その他の改正案を適用いたしますると、二千百億円になるのであります。從つてわれわれは本年度におきまして、現行税法とシヤウプ勧告案とを比較すると千億の減税になると発表いたしました。これには誤りはございません。お話のシヤウプ博士は三千百億円のことしの所得税額に対しまして、來年は二千九百億円になる、こういうことを発表されましたが、聞くところによりますとこの二千九百億円の來年度の予想というものは、シヤウプ博士の計算によりまして昭和二十五年においてはこれだけの所得になるだろうということを想定され、しかしてシヤウプ博士の所得税率並びに控除を適用になつて、二千九百億円と算定されたのであります。從いまして來年度は二千九百億円、今年度は三千百億円、差額は二百億援と言われたのであります。もし私がシヤウプ博士の來年度の國民所得の予想、並びに所得税の課税所得を基本にいたしまして、シヤウプ博士のこの税率を適用したならば四千億円に達するだろう。しからばシヤウプ博士の案を適用して二千九百億円と計算されたならば、來年度においては千百億円の所得の減税案である、こういう計算であるのであります。これをたとえて申しますると、たとえば酒の税率を下げてやつた場合に減税の額がどうなるかということは、二十四年度の増石見込高で計算いたします。來年度にもし酒が非常に増産になりました場合におきましては、國民が酒税として納める税額は、たとい税率を引下げてもたくさん入つて來る場合もあるのであります。しかし税法改正の減税額というのはそういうふうなものでは考えていない。基本の増石高を同一にした場合の減税額を言つておるのであります。この点は誤りのないように御了承願いたいと思います。
○風早委員 これは数字の上の單なる手品とわれわれ考えるほかないのでありますけれども、実質に問題にしておるのは國民所得と課税所得そのものなのであります。これは実質的に考えなくちやならぬ。千百億円が形式的に浮かび出ると言いましても、実際の國民負担、税金負担という点から言いまして、千百億円はおろか、この勘定が行かれれば來年はおそらく今年よりも、もつとはなはだしい税金負担の加重になると考えざるを得ないのでありますが、そういう國民所得の実体、また課税所得の実体——今年課税所得がこれこれであつて、これに対して三千百億円の見積りである。その課税所得そのものが実体的には問題になるのでありまして、そういうものが來年に出て來ると予想されることが、今の実情から見まして、まつたくただ言葉の上のごまかしであるとしか考えられないのであります。こういう点についてもう少し納得の行くように、國民所得が來年実質的にふえるという点について何ら御説明がないのでありますが、これをお尋ねしておるわけであります。同様に課税所得についても実質的にふえるのかどうか。そうして結論としまして千百億円は形式的に減税になるということは実質上はどういう意味なのか。実質上においては大体どのくらいにその負担の増減を見積つておられるか。この点についてはシヤウプ博士の見解ではなくて、池田大藏大臣御自身の見解を承つておきたいと思います。
○池田國務大臣 二千九百億円の所得を見込まれたのは、シヤウプ博士が二十五年においては國民所得はこうなるだろうという仮定のもとにおいて計算されたのでありまして、何も日本政府を拘束するものではありません。私は來年度の國民所得の見方につきましては、シヤウプ博士にならうものではないのであります。私は今予算編成にあたりましてそれをせつかく檢討中であるのであります。今ここで來年度の國民所得がどうこうということは申し上げる時期に至つていないのであります。國民の負担というものはこういうふうにお考え願つたらよいと思います。たとえば十万円の所得のある農家とか、あるいは中小商工業者で妻及び子供三人あつた場合には、現行税法では一万六千五百円の負担になります。その方が來年度においてもやはり十万円の所得があつたならば、シヤウプの勧告案によつて計算すれば、これは七千六百円で半分以下になります。これはもうはつきりした事実なのであります。しかし今年十万円あつた人が來年度十五万円になつたときには、シヤウプ勧告案を適用してもなお税金がふえるじやないか、これは増税だ、こう考えることは税制改正案の減税の当然の理論にならぬ。これを申し上げておるのであります。
○風早委員 今の御説明は私の問わんとするところとはまつたく違つた点についてのお答えでありまして、一体來年國民所得がふえるのか減るのかということを言つておるわけです。國民所得というものはその年々の生産によりまして、新しくつけ加えられる價値でありまして、これが來年は今年よりもふえるのかどうか、そういう点については何らお答えがないのでありまして、今國民所得の計算はまだ発表する時期ではないというようなお話、これはこまかい数字の上でまだ吟味すべき点はむろん多々あろうと思いますが、現在の実情から推してあらかじめ來年は今年よりも國民所得がふえるであろうというような、今までの年々の水増しの考え方でこの際に類推されたならばたいへん危險である。國民は今の事例なんかで当てはめられて、十万円の者の課税負担が半分になるといつたようなことは、これは当の十万円でそういう税率だけの計算から、今そういう結論を出されましても少しも納得ができない。実際に年々水増しの國民所得があつて、それによつてまた税金が水増しされる。それで実際の負担も加重しておるのでありまして、この際に問題は実質的に國民負担の軽減をして、これで元氣を出さしておいて働いてもらう。この根本にあるのでありまして、そういう根本の問題について政府は一体どう考えておられるかということを聞いておるわけです。その点でただ税率だけの計算を私は言つておるわけではない。從つて千百億円という数字だけを問題にしておるわけではないのです。この数字の計算というものは標準の立て方によりまして、どうにでも上り下りはあるのでありますが、実際困つておることは御承知の通りでありまして、來年は一層困るようになるかならないか、困るようにならないためにはどういうことをしなければならないかということが問題なのであります。その点ではなお私の問いに対してお答えがないと思いますからこれで私は終りますが、どうかもう一度お考えを願いたいと思います。
○池田國務大臣 來年度の國民所得の税の見積り並びに所得税の見積りにつきましては、ただいま檢討中であるので今お答えするわけに行きません。ただ私といたしましてはできるだけ減税をいたしまして、國民の負担を軽くしようと日夜努めておるのであります。
○田中(織)委員 大臣がお見えになる前に主税局長からも私その点をお伺いしたわけでありますが、政府の方でもまだ來年度における課税所得、從つて國民所得がどうなるかということについては、目下作定中ですからお答えはできないかもしれませんけれども、勧告案でシヤウプ博士みずからも來年度におけるある程度の課税所得の増加ということを、期待されておるのではないかということがうかがわれるわけであります。從つて政府の方でも、もちろん作定せられる上にそういう期待を盛り込まれることは、われわれ國民の立場から見まするならば、そういう期待を國民所得の算定の中に入れられることはめいわくな話なのでありますけれども、大体現在の経済情勢から國民所得が増加する、從つて課税所得が増加するという根拠があるならば——たとえば生産の上昇、これは当然國民所得の増加の場合における一つのエレメントだと思います。そういうような点からでも、政府においても國民所得の増加、從つて課税所得の増加が期待せられるとするならば、どういう方面からそういうものが期待されておるかという、根拠になるような條件をお示し願えれば幸いだという意味において、私はお伺いしたのであります。その点について、勧告の威文の中にシヤウプ博士がそういうように課税所得の増加を期待しておるとすれば、どういうところからそういう期待が出るかという裏づけがあるだろうからという、先ほどの局長の御答弁でありますが、大臣がその点について何かお考えになつておる点がございますれば、ついでですがお答え願いたいと思います。 それから私角度をかえて、先ほど主計局長がお見えになつたら予算編成方針を承つて、一應政府の意向を確かめておきたいと思つた問題、大臣の時間の関係もありますから、私説明を伺う前に一應大臣にお尋ねしたい。この勧告案で來年度の税收を査定するにあたりまして、いわゆる國家債務の償還の問題を取上げておられるわけであります。われわれはもちろん減税を國民の立場から期待するものでありますが、それは同時の支出の面の圧縮が伴わなければならないことは言うまでもないのであります。実はわれわれの立場から申しまするならば、現在強く経済界その他から要望せられておるドツジ・ラインの修正が、実は勧告案を通じて幾分でも出て來るのではないかという期待を持つておつたわけであります。シヤウプ博士もその点で非常に御苦心をなされたのではないかということを、われわれは仄聞しておるのでありますけれども、遺憾ながらそうしたことを見出すことはできないのであります。特に國家債務の償還を、この勧告案の中でも來年度の予算の問題として継続することを強調しておるが、われわれとして政府はこの勧告案を政府のものとして咀嚼して、來年度の予算にこれを具体化して行くという面におきまして、やはり一番御檢討願わなければならない問題は、この國家債務の償還の問題だと思う。われわれは終戰後から國家債務の処理の問題、あるいは軍事公債の元利拂いの打切りの法案を、われわれの党が政権に参加している当時には提案したこともあるわけであります。そういう観点から、やはり國家財政の方でこうした項目が占めておる重要度合いというものを、われわれは非常に注目しておるのでありますが、一應八月六日の予算編成方針の閣議決定によりますると、もちろんこれは既定の計画を遂行する分として取上げて、強調してはおられないのだろうと思いますけれども、その点には触れておらないのであります。この勧告案にある國家債務の償還の問題が、こういう形において強調せられることは、予算の圧縮という面におけるわれわれの期待とどうもそぐわないものがあるという観点から、その点については勧告案を咀嚼するにあたつて、十分御檢討願わなければならぬのじやないか、かように考えるのであります。この点に対する大藏大臣の所見を伺いたいと思います。 なお勧告案をどういうふうに具体化するかということは、今政府で成文の施行されるのを待つて御檢討せられておることだと思うのでありますが、確かにこれは税負担の軽減をはかるという意味において、政府も期待せられておつたことだと思うのであります。ところが税負担の軽減という点においては、少くとも私らの見るところでは、政府の期待ほどにもこれを具体化する上においてできないのじやないかという点について、実は苦慮せられておるだろうと想像するのでありますが、これをどう具体化するかということについての具体的な方針を、まだ本日のこの席においてお伺いすることは困難だと思うのでありますけれども、特に政府ことに與党の公約との間をどういうふうに調整せられるかということについて、どういう心構えで進んでおるか伺い得れば幸いだと思います。
○池田國務大臣 御質問の第一点の、シヤウプ博士の來年度の國民所得並びに課税所得の見積りにつきましては何も聞いておりません。ただある程度ふえるという計算のもとにおやりになつただけでございます。私どもとしてはそれについて行こうという氣は持つておりません。やはり日本の國情をよく見まして、そうして適当な見積りを立てようと思つております。 次に、御質問の点は、債務償還をやつて行くと財政の緊縮ができないじやないか。ドツジ・ラインの訂正とか何とかいうお言葉がありましたが、私はある程度の債務償還は現在の状況からやつて行かなければいかぬと思います。もし債務償還がドツジ・ラインの線であるとすれば、この意味においてドツジ・ラインの線に沿つて來年度の予算もつくる考えでおるのであります。しかし御承知の通りに、今年度の予算におきまして、債務償還を六百億余りやつておるのでありまするが、その通りにやるかということになると、これは別問題でございます。ただ考え方としては、債務償還もある程度やらなければならぬと考えております。 御質問の第三点のシヤウプ案をどの程度実行に移すつもりか、公約との関係はどうかということでございますが、私は民自党員の一人としていろいろな公約をいたしましたが、このシヤウプ案に関係いたしまする所得税の軽減、取引高税の撤廃は、大藏大臣としてのみならず、民自党員として実行に移したいと思つております。また実行に移せる確信を持つておるのであります。
○川野委員長 ほかに御質疑はございませんか。——それでは大藏大臣に対する質疑はこれで終了することにいたしまして、次はシヤウプ博士の税制改革に対する勧告に関連して、昭和二十五年度予算編成方針に対し、河野主計局長より説明を求めます。
○河野説明員 明年度の予算編成方針でございますが、これは先月のたしか六日でありますか、閣議決定になつております。その内容をあるいはお手元に差上げたかと思いますが、方針といたしましては二十五年度予算の編成に際しては、いわゆる経済九原則の冐頭にあります総合予算の眞の均衡ということをあくまで貫いて行くのだ。そしてすでに緒についた経済安定をますます推進するとともに、経済基盤の充実と輸出の振興をピークとして、経済の自立体制を強力に推進して行くのである。こういうふうな冐頭の文司でありまして、この具体的な実現の方法として、まず第一に財政規模の縮減ということをあげております。言うまでもなくこれはシヤウプ勧告案におきまして、ある程度の減税ができるということを期待いたしまして、それには歳出の規模を徹底的に圧縮する、こういうところに重点を置いております。しこうしてこの財政規模の縮減に関連いたしまして、現在、本年度の予算におきましても非常に大きな金額を占めております價格調整費というものを大幅に削減する。これは経済の自立的な体制を樹立する上においても必要でありますし、また物價等の現状に顧みまして、もはや從來の價格調整費というものは変貌して、ある程度産業助成金的な性格を帶びて來ておる。本來の價格調整費じやないというような点をも勘案いたしまして、これを大幅に削減する。それから最近における物資の状況逓にかんがみまして統制というものを大幅に改廃する。すでに石炭等におきましては一部実現されたものもあるのでありますが、そういつた物資の統制を大幅にやめる。それから公團等の組織についても考え直すというような方針にいたしております。それからこうした財政の縮減の一方におきまして、経済基盤の充実の問題といたしまして、最近における災害その他の状況にもかんがみまして、公共事業費というものを相当考えて参りたい。それから失業対策事業についてもでき得る限りのことをする。それからまた財政金融の問題として考えることのなかなか困難な中小金融の問題、あるいは住宅資金の問題、農林資金の問題等についても、各種の状況を勘案しながら考えて行く。またこれらの経費につきましては見返り資金をもつて充当する。こういうことが第三点であります。 第四点につきましては、これは言うまでもなく税制の問題でありまして、國民負担を大いに軽減する意図のもとに税制の徹底的な合理化をはかる。 それから最後に地方自治の問題でありまして、今回のシヤウプ勧告案にもあります通り地方自治を推進する建前におきまして、地方に相当豊富な財源を付與いたしまして地方財政の自立強化をはかる、こういうようなことが今明年度の予算編成方針にうたわれておる次第であります。この予算編成方針によりまして、現在どういうふうな段階に進んでおるかということを申し上げるのでありますが、各省の概算の要求と申しますか、これに基きまして財政法の規定によりまして、八月三十一日末すなわち先月末日までに、各省の予算の要求が大藏省の方に出ることになつておりまして、多少遅れたものもありますが、先週中をもつて大体集まつて來ております。まだ集計はいたしておりませんが、各省ともこの方針にのつとつていたしておるわけであります。これに基きまして目下大藏省といたしましては各省の予算要求を聽取しておる現状でありまして、一週間ないし三週間かかると思いますが、これに基いて予算の大体の規模輪郭をきめまして、でき得れば——と申しますか、今月一ぱいくらいを目途といたしまして、來年の予算の荒筋をきめて参りたいと考えております。御承知のようにシヤウプ勧告案に基く減税の問題その他補正予算の問題は、明年度の予算と一体となつて考えられねばならないといつたような状況にもありますので、かたがた明年度の大体の見通しを立てるべく、目下檢討しておる実情であります。 大体以上のようなことであります。
○川野委員長 それでは政府当局に対する質疑を継続いたします。
○三宅(則)委員 先ほど主税局長の御説明がありましたが、これは大体論の御説明でありますので、私も大体論を先に質問さしていただきたいと思います。局長のお話によりますと、シヤウプ勧告案は大体のわくをきめておるのであつて、詳細は後日発表するというお話でありましたが、今日の構想といたしましては、私どもはシヤウプ博士の線に沿つて改正することはもちろんでありますが、多少のことはわれわれによつて修正し得るのでありましようか。得ないのでありましようか。その点をひとつ最初に聞いておきたい。
○川野委員長 三宅君にお尋ねいたしますが、それは國会で修正ができるというお尋ねでありますか。
○三宅(則)委員 そうです。
○川野委員長 もちろんできます。
○三宅(則)委員 私は当局に質問したのですが、大臣がお帰りになりましたから、あとでまた御相談なすつてもけつこうです。 それはそのままにいたして次に申し上げます。シヤウプ博士の勧告案の大きなわくでありますが、今の構想といたしましては、これは私が地方に出て参りまして民情を聞いた率直な意見を申し上げるのでありますが、局長の私見でもけつこうですが、今日参考にお伺いしたいと思うのです。その事柄は地方に対する税金、何と申しますか分與税と言うか配付税と言うか、そういうものが今度削減されるように聞いておりますが、これらに対して地方は單独に町村税を設けてできるのであろうか、こういうことでありますが、ただ貧弱町村におきましては、なかなか單独の税金だけでは行けない場合が多いと思うのです。こういう場合におきまして政府といたしましては、ある程度これに対しまする補助と申しますか、あるいは補給と言いますか、それらに対する構想があるものかないものか。一ぺんそれを聞いておきたいと思うのであります。
○平田説明員 一應一般平衡資金の問題だと思いますが、これはおそらくは今の分與税と、先ほど申し上げましたように、一部國庫補助金を統合してできるものと考えるのであります。その総額はおそらく分與税と一部補助金を移しかえたものより以上に増額されるのではないか、かように見ております。この点もおそらくこの次の勧告書の中に詳しく出て來るのではないかと思いますので、その上で御説明いたしたいと思います。
○三宅(則)委員 内容がわからぬければ詳しくわからぬと思いますが、そこで問題は苦情処理委員を設けるということです。これはかつて局長にも大臣にもたびたび質問したことでありますが、やはり民主納税になつた以上は、一方的に政府がきめることはもろちんいけないと思いますので、私の試案としては、すでに発表いたしました通り、町村に十数名くらいの所得税調査員なりあるいは苦情処理委員なりを設ける、こういうことなのでありますが、こういう点についても、今政府は構想を練つておられると思います。 これはそれが來てからやるという意味なのか、それを伺いたい。 それから次に苦情処理に関連しての裁判というようなこと、これらについての構想もあるいは向うから指示が來るかもしれませんが、少くとも私どもといたしましては、こういう税制に堪能なる者を裁判官、弁護人その他にしなければならぬと思つております。こういう構想を今発表できるものかできないものか、これも後日に讓ることかと思いますが、承つておきます。
○平田説明員 ただいまの処理機関につきましては、先般発表になつた分については御存じと思いますが、税務所の官吏の特別のグループだということであります。最初の更正決定をなした官吏と納税者が意見の一致を見ない場合は、その納税者と相談する協議機関として奉仕することとなつておりまして、提案はどうも民間の機関ではなくて、責任ある政府職員をしてそういう仕事を選択してやらせる、こういう勧告になつておるようであります。
○田中(織)委員 主計局長の御説明になられました二十五年度の予算編成の基本方針について、ひとつ伺つておきたいと思いますが、これはむしろ主計局長というより安本の方の関係ではないかとも思いますけれども、私はすでにこれだけの基本方針を閣議として決定された以上は、安本当局との間に話合いが済んでおると思いますので、主計局長からお答え願いたいと思います。その一つの問題は、この基本方針の中に、現在一番國民の要望しておる國民生活の安定の項目を見出すことができない。私はやはり日本経済の再建の基本原則は、國民生活の安定、勤労者の生活の安定の上にのみ可能だという見解を持つものでありまするが、そういう点から見ますれば、経済基盤の充実と失業対策の面にそれがあるのだと、あるいはお答えになるかもしれませんけれども、私は予算編成にあたりまして、政府としてその点について特に國民生活の安定をどうするかという、抽象的に言えばその項目をつけ加えてもらわなければならぬと同時に、それを掘り下げたところのものを持つた予算でなければならぬ、こういう点からその点について予算編成の基本方針の作定にあたつて、どうお考えになつたかということをまず伺いたいのであります。その点をさらに具体的にお伺いいたしますと、今度價格調整費の削減ということを、財政の圧縮という面から第一に取上げられておる点はごもつともだと思うのでありますが、そのことはすぐ私は物價に響くと思います。來年度の予算編成の基本方針を示されておるのでありまするから、それは具体的な数字になつて現われて來るのでありますが、一体物價水準をどこに置くという考えのもとに、價格調整費いわゆる補給金の削減ということも考えておられるかどうか。私は当然價格調整補給金の削減ということは、ある意味において物價水準の改訂を伴わなければならない情勢にある。現に肥料の補給金を廃止することによつて硫安が倍の價格になるということは、農民が非常に関心を持つておることで、あるいは食糧の輸入補給金を削減することによつて、消費者價格が現在の五千八百何がしよりも、さらに二割五分方高くなるのではないか、こういうことがすでに予想されておるのであるが、大藏当局として予算編成の基本方針を作定するにあたつて、その点をどこに押えておるかということ、同時にそのことは私は賃金水準の問題にも関連して來ると思います。たとえば現在の國民の生活費の指数なり、あるいは賃金指数というものをどういうように押えられて、賃金水準についてはどういう方針で——これは当然國家予算における行政費、人件費の算出にあたりましては、まず基本的に示されなければならぬ問題だと思います。現在物價水準と賃金水準との関係において、どういうように最初に申し上げましたところの國民生活の安定、ことに勤労階級の生活の安定をはかろうとするお考えであるか。税はそうしたことが考慮されてないとすれば、こんな予算の編成方針というものは、まさに机上の空論だと思います。そういう点をさようは大臣もおられないわけでありますから、その点だけをひとつお答え願いたいと思います。
○河野説明員 國民生活の安定という問題でありますが、私は予算編成方針を定める場合に取上げる項目はたくさんあると思う。その中に國民生活の安定ということを特記するかどうか。この点いろいろ議論のあるところでありますが、私ども予算編成方針をつくりました建前といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、経済の安定というのが現在の第一義である。経済の安定が即國民生活の安定にもなるのであるという考え方をしております。ただ一方経済九原則の進行に伴つて失業者が出る、あるいは中小企業という問題につきましては、先ほど申し上げましたような失業対策あるいは公共事業であるとか、その他政府の有効事業喚起の問題もあろうかと思いますが、そういつた面でいろいろ処置する問題があるだろうというような編成の考え方にいたしておる次第であります。物價の問題あるいは賃金の問題でありまするが、これは今後予算の編成にあたりまして、総合的にきめらるべき問題でありまして、これは御承知のように四月以來経済界の変化というものは相当大きなものがありまして、今後これがどういうふうになつて行くか。これには貿易の問題もございますし、そのほかいろいろな問題がありまして、早急にはなかなか結論が得られないと思います。ただ私どもといたしまして、價格調整費を削減いたしました趣旨、今後削減して行こうという趣旨におきましては、現行の物價水準というものには、大体移動はさせないという建前で考えて行こうと思うのであります。それだからといつて價格統制をはずすものは、現在物資の需給バランスがよくなつて、自由價格にしてもよいと思われるものだけに限るという趣旨ではございませんが、かりに價格調整費をはずしましても價格への影響は軽微である、あるいは間接的で、途中の段階で吸收せられる、從つて全体的には價格にはそう大して影響がないという点をも考慮しながら、総合的に勘案しながら、この点を処理して行きたいと思います。また他方には價格の多少上る点がありましても、減税の問題その他がありまして、これによる吸收ということも考えられるのでありまして、これらのものはお互いにからみ合つて一体となつて、國民の生活安定という見地において総合帰一せられた予算をつくりたい、こういうように考えておる次第であります。
○田中(織)委員 予算編成の途上で総合的に勘案せられなければならない。これは一つのりくつでありますけれども、私はやはり物價水準あるいは賃金水準をどこに置くかということについて、具体的にやはり檢討して、それが一つの予算編成の尺度とならなければならない。それこそ予算編成の基準だと私は考えるので、本末轉倒しておるような感じを持つのであります。ことに價格調整費の削減ということは、物價水準にはほとんど影響しない。影響しないなら、本年度において二千二十二億という厖大な價格調整費を組んだ当時からの物價調整というものが、どういうように変化したかということを考えてみられたらわかると思う。もちろん今年の予算編成にあたつては、旅客運賃の六割と通信料金の五割値上げ以外には上げておらぬ。しかしそのかわりに二千二十二億という價格補給金が出て、その價格補給金によつて物價の水準を從來のままにすえ置くという方針を、政府はとられたのだろうと思う。経済情勢の変化を今指摘されましたけれども、その点をどう押えるかということによつて、價格調整費の削減ということはただちに物價に響いて來る。しかもその物價はたとえば米價審議会に現われておりますように、國際物價へのさや寄せという観点からも考えられておるようなことを、われわれは聞いておるのであります。そういうことになりますれば、現に自由價格というものがマル公のあるものすら、それを割つておるような実情にある。すでに米價の問題について大藏大臣自身が、補給金をやめることによつてただちに國際價格とのさや寄せを企図したような水準として、米價の一つの基準を示されておることによつても、私はあながち單なる臆説ではないと思う。そういう点から参りますならば、それでなくてさえ國民の購買力が低下して來ておる現状において、はるかにそれから上まわつたところの水準がきめられるというようなことは、そういうことがさらに現在のデフレ傾向を激化させて行く。経済的に常識的に考えても出て來るようないろいろな摩擦面が出て來るのであります。そういう意味で私は水準を考えられるにあたりましては、やはり賃金水準の問題——これは労働者階級にとつてきわめて重要な問題であります。人事院ではすでに官公吏に給與ベースについても、最近の物價との関係、生活費との関係において考慮しなければならぬということを、先般全農林の職組の代表に対して、人事院総裁が答えられておるような事情もあるのでありますから、私はこうした点を政府として相当掘り下げて、一つの一貫した方針のもとに予算を編成されなければならないはずだと思う。かように考えますので、この点について重ねて答弁いただかなくてもけつこうでありますが、それをやつていただかなければ二十五年度の予算が変なものになりはしないかということを考えますので、申し上げておくわけであります。
○小峯委員 議事進行で発言いたします。勧告案は詳細なものがさらに出るはずでございますし、予算の編成も作業がもう少し進まないというと詳細のお話にはならぬと思います。そこできようはこの程度にしまして、次会になお続けたいと思います。
○川野委員長 小峯君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 それでは次会は大体十九日に開く予定でございますので、さよう御了承願います。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十四分散会