大蔵委員会 第22号
- 発言数
- 100 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1949/04/26
会議録
○川野委員長 これより会議を開きます。 まず本日付託になりました企業再建整備法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府の説明を求めます。中野政務次官。 —————————————
○中野政府委員 企業再建整備法の一部を改正する法律案提出の理由を御説明申し上げます。 今回改正しようといたします点は、新勘定に損失のある特別経理会社が、整備計画により第二会社を設立することのできるようにいたしますための規定を設けることであります。現行法におきましては、特別経理会社が第二会社に資産を出資いたします場合、新勘定の債務をこれに承継せしめるとともに、その債務に相当する資産を讓渡しなければならないことになつておりますが、新勘定に損失のある会社は債務に相当する資産がありませんので、このような場合には例外といたしまして、第二会社の承継せしめる債務のうち損失に相当する額については、資産を讓渡しなくてもよいことにするのであります。この例外規定によりまして、第二会社が讓渡を受けた資産が承継した債務に不足する額は、第二会社特別勘定として貸借対照表の資産の部に計上せしめることとし、第二会社の以後の決算期において利益を生ずるときは、必ずこの第二会社特別勘定の償却に充てなければならないことといたします。 なお以上のような措置に伴い、税法上次の特例を設ける必要があります。 すなわち第一に、見合資産を伴わないで債務を承継させたことによる特別経理会社の益金は、税法上益金と見ないことであります。第二に、第二会社特別勘定の償却額は、旧会社における第二会社設立前一年以内に開始した事業年度の損失の範囲内で、第二会社の損金と見ることであります。第三に、第二会社特別勘定の償却額で第二会社において損金と見られるべき金額は、存続する旧会社においては損金と見ないことであります。 以上の理由によりまして、この法律案を提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
○川野委員長 それではただいま説明を聽取いたしました法案と、有價証券の処分の調整等に関する法律の一部を改正する法律案を、一括議題といたしまして質疑に入ります。
○宮幡委員 ただいま議題となつております有價証券の処分の調整に関する法律の一部を改正する法律案について、ちよつとお伺いしたいのでありますが、これは財閥の解体によりまして、旧財閥系の資本は一應破壞されたと申しますが、細分されまして整理がついたが、新たに新興の財閥的なものができ上るのではないか。そういう面を監視するという意味で、株主名簿を徴收するというような趣旨でありまして、その程度を五千株以上、それより少い程度のものは除外して五千株以上、かようなことに改めようという趣旨にうかがえるのでありますが、この五千株以上というのは、かりに普通の株式の形で五十円と考えますと、その額は現在の物價事情、経済事情から行きますと、きわめて低いものでありまして、はたしてこういう程度のものまで報告をさしたり、あるいは登録をせしめたり、あるいはその株数が減じた場合に報告さしたり、この法律に定めるような手続をとらなければならぬものであろうか。これはいろいろ関係筋との御連絡や諸般の事情もあろうと思いますが、いかにいたしましても五千株という限度は低きに失するではないか。現在の実情からいつては、せめて一けた上げまして五万株くらいの程度が適切であろうと考えておりますが、その辺の事情をおさしつかえない限り、お漏らしを願うとともに、当局の御意見もあわせてお伺いしたいと思います。
○伊原政府委員 ただいま御指摘の通り、有價証券の処分の調整に関する法律のうちで株主登録制度を設けました理由は、一旦財閥が解体いたしまして、その財閥の解体によつて今度証券を民主化するということになりまして、できるだけ大勢の國民大衆に株式を持たせたい。しかしながらそうしておるうちに、また再び財閥的のものが発生しては困るので、株主の登録制度を設けてこれを監視しようという趣旨で設けられたものでございます。ただいまのところは、比較的小規模の制限会社であつてかつ特別経理会社でない会社の二百三十九社につきまして、株主の登録制度を実施いたしておりますが、これはいかなる株主でも登録を要しますので、非常に手数がかかつておるわけであります。一方企業再建整備の方もほとんど八、九割進みまして、株主の民主的の分散ということもだんだんにできて参りましたので、会社の範囲は廣めなければならないことに相なります。しかし会社の範囲を廣めて財閥の発生を防止する監視をしなければならないということになり、從來の法律の通りいかにこまかい株主でも登録をしておくことになりますと、会社は非常な手数になりますので、五千株以上の大株主だけに登録させたいということになりました。しかし五千株では今のお話にもございますように、現在の貨幣價値から低きに失するではないかということも、まつたく御同感でございますが、こういう根拠で計算をいたしました。五千株の株主は額面五十円といたしまして、資本金二千五百万円の会社でありますと、その一%を支配することになる。從つてこの程度の株主を押えておけば、日本の主要会社について直接間接に支配力を及ぼす可能性のある株主を、全部把握し得るではないか。しかも一方五千株以上の大株主を二、三の会社、銀行について調べてみますと、資本金一億円以上の会社をとりましたが、平均二、三十人しかおりません。大銀行では平均二百人程度ということでございますので、手数もそうかかりはしない。しかも財閥の再び発生することを防止するという目的から言つても、この程度のことはやつておかなければならないということで、かたがたこの程度で押えました次第でございます。
○宮幡委員 五千株の根拠は一億の会社をとつて、これはいつ現在であろうか、その点をお示しありませんでしたが、御承知のように日本の資本というものは、すでに資産の評價がえもやろうではないかという立場にありまして、順次食いつぶして参りました資本の補填をしたり、あるいは運轉資金をさらに拡充するというような意味で、すべての事業会社が増資の傾向をもつておるわけであります。從つて現在の資本金額に照しまして、五千株以上のパーセンテージがどれだけに当るか。この程度のものは押えてもよかろうというお考えは、理論的には一應肯定できますが、伸びて行こうとします現在の資本構成の関係を考えますと、やはり低いような感じがいたします。かたがた独禁法による株式の讓渡の制限、あるいは承認というような方面とも思い合せまして、いかにも五千株では少な過ぎる。從いまして資本金がもし増資の形あるいは評價がえが認められたという場合におきますと、自己で株式を発行し、所有し、これを賣り出して資金の調達をするという面も起るのでありますが、こういう場合でも五千株にとどめておいてこれを適用するのか。あるいは機会が参りましたならば、これを一万株なり二万株に拡張するという御計画があるのでありましようか。その点を承りたいと思います。
○伊原政府委員 宮幡先生の仰せの通り、これから資金の調達方法として、会社が増資等によつて自己資金を調達しなければならない。また資産の評價等の問題もありまして、相当株数がふえるということは見通されるのでありますが、現在までのところでは、たとえば私どもいろんな会社の例をとつてみたのでありますが、資本金八億円以上の会社をとつてみますと、株主が十四万三千九百十三人おりますうちで、五千株以上の株主が八十人。それから九億五千万円以上をとつてみたのでありますが、株主が二万三千五百五十三人のうち、五千株以上が六百五十九人と相なつておりまして、割合に少いのであります。なお五千株以上の株主を押えましたけれども、これは株主総会の日における五千株以上の株主のその後の異動の届けをとりますだけでありまして、会社に対してそうひどい迷惑をかける次第でもございませんで、財閥の再び発生することを防止する意味もございまして、さしあたりの段階ではこの程度のところを押えたらいいのではないか。なお今後の情勢の推移によりまして、五千株以上の株主が非常にふえるというような場合には、また研究いたすことにいたしたいと存じます。
○宮幡委員 ただいまの御説明で一應了解できたわけでありますが、この問題の中心となつて出て参ります術語の中に財閥ということがありますが、一体財閥というのは独占資本の構成を意味するものだと思うのでありますが、財閥と称しますのは、個人についていえばどの程度の投下資本を独占しておるものというねらいで、そういう言葉をお用いになつておるのか。およそアメリカの方で考えます独占資本の額と、日本の考えます独占資本の額は、かりに三百六十対一でもけつこうでありますが、その規模において相当の隔たりがあるのではなかろうか。ただ單に独占資本の再編成をしてなるべく資本の分散をはかろうという意味は、われわれも了解できるし、きわめて同感でありますが、單に財閥の再編成と申しますが、どの程度になつたならば財閥というわくに入るのか。大よその目安がなしに財閥ということを振りまわされると、日本の産業は、言葉は惡いかもしれませんが、かなり同族経営的な傾向を持つております関係上、事業が萎縮して参ると思います。萎縮することがアメリカのねらうところであり、これが眞の証券の民主化になるのだという理論なら、何をかいわんやでありますが、およそ財閥と定義いたします以上、あるいは一億一人で持つておつたら財閥のわくに入る、あるいは五億ならなるのだとか、かような一つの目安があつてほしいと思うのであります。その点について何かものさしのようなものがございましたら、この際お教えを願いたいと思います。
○伊原政府委員 財閥という言葉を使つたので、あるいは間違いがあつたかもしれませんが、過去における三井、三菱、住友、安田というようないわゆる財閥は、持株会社の制度を使いまして、きわめて少数の人が日本のほとんど大部分の産業を支配しておつた。これが占領目的からいつて解体をされることになつて、現在におきましてそれらの株式は一般に廣く賣り出されているわけであります。今後においてそういうような状態が生ずるとは思いませんが、きわめて少数の人が日本のほとんど大部分の産業を支配するような状態が起るという場合には、あるいはそのときに財閥という言葉で呼ぶのかもしれませんが、今後は独占禁止法もございますし、それから株主登録制度もございますので、そういうことは起らない。しかし日本の産業活動を萎縮させるようなことを、これによつてねらうということはございませんので、その点御了承願いたいと思います。
○宮幡委員 こういう機会でありますから、日ごろ考えております点を少しお伺いしたいと思うのであります。持株会社が解体せられた意味もわかるのでありますが、やはり企業の上には從來惡い組織であつたと仮定されたものでありましても、一例で申せば世界各國に資本主義が発達して参ります過程に現れましたピラミツド型統制法というような株の支配権、こういうようなものが五千株というような表を出しますと、甲なら甲という形で各会社にこういう投資がある。しかも登録も何もされていない。重役でもない。こういうようなことでさつぱりひつかからない。しかしそれを独禁の表の上で見ますと、一番きらわれますピラミツド型統制法というような統制にはまるような事態が生れて來る。実はそうではない。別な、たとえば今例におとりくださつた十四万三千九百十三人の株主を持つた会社、あるいは九億五千万円の某銀行というようなものは、これはいわゆる経営権の統制方式から見れば、経営者統制型と申して、そのときの社長なり会長になつておる主宰者に対する社会信用上、委任状が集まることによつて、その経営に対する会社統制権が確保されることになる。そうすると、そういうことで株の多いことがこれの支配権があるとは考えられない。いわゆる法的統制、多数統制というもののわくからはずれておるというのが、大資本、分散資本の形であります。ところが日本はこういう企業は、理財局の御統計としてわかつておると思いますが、きわめて少いのであります。そうして現在はそれの是非善惡は別といたしまして、ほとんど法的統制、いわゆる多数統制と申しまして、あるいは個人もしくはその関係者によりまして、株の過半が占められる統制型が多いのでありまして、いわゆる経営者統制型というものはほんとうに少いだろうと思う。この経営者統制型がどのくらいあるものか、理財局でおわかりになりましたならばお教えいただきたいと思います。そういう意味によつて五千株という区切りが、正しい意味の伸び行く日本の産業経済の中の資本構成に重なり合つて現われて参りまして、非常に惡い影響があるだろうと思います。こういう面は隠しておくという意味ではないけれども、正常に伸びて行く資本なら、これを伸ばした方がよかろうというふうに考えておりますが、その根拠となりますものは、ただいま申し上げました経営者統制型の日本の企業が何会社くらいあるか。もし本日おわかりにならなかつたら他日でけつこうでありますが、お教え願います。日本の根幹産業であります中小企業は、この五千株の制限ということによつて、單に届けを出したり文書をつくつたりする煩雜さではなく、何かこれに対しておびえを感ずると思います。これはこういう席上で申すことは適当でないと思いますが、かなりこの法令の出ることによつて、中小企業に属しますいわゆる中小資本家は、一つの恐怖を持つております。これを持たせないように説明する有効適切な材料が、われわれにはないのでありまして、この点につきましても何かお含みの点がありましたならば、この際お教え願いたいと思います。
○伊原政府委員 宮幡先生から日本の産業経営方式等につきまして、いろいろ御意見を承り、感銘しておるのでありますが、今度の制度は最初は一億円程度以上の大きな会社を指定する、というようなことから考えております。なお五千株以上の株主を登録するということは、決してそれによつてどうするということではございませんので、五千株以上は持つてはいかぬという意味では少しもございません。ただどういうふうな株主の構成になるかということを、默つて見ているということでありますので、これがいやしくも日本の産業、ことに中小産業等に惡い影響を及ぼすことはないと存じますし、及ぼすことがないように注意をいたしたいと思つております。なおその数字につきましては、ちよつとただいま手元にございませんので、調べました際に御報告申し上げます。
○宮幡委員 それでは有價証券の処分の調整等に関する法律につきましては、その程度でおきまして、企業再建整備法の一部を改正する法律案につきまして、きわめて事務的なお尋ねをいたします。新勘定に赤字が出るということは、この企業再建整備法の本旨に沿わないわけであります。從いましてこの新勘定に赤字が出るというような特経会社が、統計上どのくらいありますか。その点をお教え願いたいと思います。
○伊原政府委員 ただいま仰せの通り企業再建整備法は、新らしい会社として過去の戰時補償の打切りの関係を清算して、新らしい経理で健全な経営で出発したいということで、一昨年の八月でありましたか出発いたしたのであります。何分にもこの企業再建整備の進行が、集中排除法の関係とかいろいろなことで非常にのびのびになりまして、その後の物價政策等の関連で、新勘定に赤字が出るというような異常な状態が起つたわけであります。こういうことは非常に望ましくないところでありますが、さしあたり第二会社をつくる場合には、どうしてもこの新勘定の赤字を資産として処理いたしませんと第二会社ができませんので、こういうことに相なつたわけであります。なおこの新勘定に赤字のあります会社は、それの数字はちよつとただいま手元にございませんが、この法律の適用を受ける会社、つまり新勘定に赤字の会社で、しかも第二会社をつくらなければならないだろうというような見通しのあります会社は、ごく少いのでありまして、十社ないし十五社程度ではないかと想像いたしております。
○宮幡委員 その程度のことであれば大したことはないと思いますから、その点はよろしいと思います。なおひとつ事務的に伺いますが、第二会社に新勘定の赤字を引継いで、これを繰越損失金的な処理をして参るのでありますが、第二会社が設立されて早々資産の評價がえをいたしまして、これを補填する。かような措置は妥当な措置として認められるものでありましようかどうか。その点をお教え願いたい。
○伊原政府委員 この新勘定の赤字を資産として形式的に新会社に持つて行くということは、それ自体何らの解決にもなりませんので、宮幡先生のおつしやるように、將來いつの時期かに資産の再評價がありました場合には、これで消すというようなことを当然に予想いたしておるわけであります。
○北澤委員 有價証券の処分の調整等に関する法律の一部改正につきまして、これに関連して伺いたいと思います。最近諸般の情勢から株式取引所の再開の一日も早からんことが要望されておりますが、いつごろ取引所が再開されますか、その点をお説明願いたいと思います。
○伊原政府委員 今証券事務局の方から政府委員が参ることになつておりますが、しかしできるだけ早く日本政府としては再開を許してもらいたい、というふうに考えております。なお詳しいことは証券局の政府委員が参りますので、御猶予願いたいと思います。
○川野委員長 河田賢治君。
○河田委員 ちよつと出席するのが遅れまして、あるいは御答弁になつたかと思いますが、有價証券の処分の調整に関しては、五千株という基準をどういうところに置かれたか。これを御説明願いたいと思います。
○伊原政府委員 ただいま宮幡委員の御質問にお答えをいたして御説明申し上げたのでありますが、繰返して御説明申し上げます。要するにこの法律は株式ができるだけ民主的に分散して、日本の企業体が大勢の人によつて所有されるようにしたい。そして再び昔のいわゆる財閥のようなものが発生をしないようにしたい。それを勧奬しておるという意味であります。一方ただいまの法令ではいかなる株主も全部その移動を届けなければなりませんので、非常に煩瑣かつ手数でございますので、これを五千株以上に区切つたわけでございます。なぜ五千株以上に区切つたかという点は、たとえば五千株以上の株主を、額面五十円といたしますと二千五百万円ぐらいの会社で、総株数の一%というふうなことになりますので、この程度の株主を押えておけば、直接間接に日本の産業に支配力を及ぼす株主として、十分ではないかということで考えたわけであります。なおさつき申し上げましたように相当大きな会社でも五千株以上の株主となりますと、二、三十人程度ということでありますので、かたがた手数もそうかからないし、また勧奬をしておるという目的をも達しますので、その辺でいいのではないかと考えております。
○川野委員長 塚田十一郎君。
○塚田委員 企業再建整備法の一部を改正する法律案について、ちよつとお尋ねしたいのであります。企業の再建に関しては、最初に基本法ができましてから、私どもこの委員会で非常にたくさんの修正案を扱つたように記憶しております。そういうものを扱い、そして今度もこれを扱いまして一貫しての感じは、企業再建によつて整理をした会社に國家が非常に特別な考え方をもつて、何か特別な便宜をしよつちゆう考えておるような感じがするのであります。今度の場合でも私どもは旧勘定と新勘定と分離しましたときに、新勘定というものは当然新しい会社になるのだという常識的な考え方で、ずつとおつたのであります。またそこで新勘定が赤字を出して、それがいよいよ今度ほんとに第二会社になるときに、こういうような税法上の特別な取扱いをしてやらなければならぬ。何かこういう種類のものにだけ特に非常に便宜を考えてやつておる、というような感じがしないではないのであります。新勘定の今度のこの法の適用を受ける幾つかの会社だけが、どうして新勘定時代に生じた損金というものを特別勘定にしておいて、それからあと長い間に会社の利益からそれが償却されて行くことが認められるようになるのか、どうもその辺が納得のしかねる氣持があるのであります。政府はそういう点をどういうふうに考えられておるのか、お伺いいたします。
○伊原政府委員 どうも塚田委員のおつしやる通り、企業再建整備法はつくつていただいてから二年半以上になりますが、その間たびたび國会を煩わしまして改正をいたして参りまして、こんなに延びるということは、日本政府としても、非常に申訳ない次第であります。今回のこれはいよいよ最後でございまして、技術的に第二会社をつくらなければならない。しかし新勘定に赤字があつて資産と債務と両方引継ぎますと、資産から債務を引いても債務の方が多くなつてしまつて、第二会社の資本金ができない。從つてこれはさしあたり資産科目として引継いで、あとで償却して行くということをせざるを得ないために、こういう法律の御審議を煩わしておるのであります。ただ税法上の特例につきましては、これは第二会社ができる会社だけに恩惠を與えるというふうなことがないようにいたすために、第一項の分は益金が犠牲的な益金でありますので、これは益金といたさないということでありますが、この償却の部分は、たとえば第二会社をつくつた会社と、それから第二会社をつくらないで新勘定の赤字を持つております、つまり繰越し欠損になつておる会社と同じに扱いますために、設立前一年内の部分しか見ないというふうなことで、税法上のバランスは、第二会社をつくりますものも、つくらないで旧会社のまま繰越し損金を抱いておる会社と同じようにいたす処置をとつたのでありまして、第二会社になります分にだけ恩惠を與えるということのないように、注意をいたしたわけであります。
○川野委員長 ほかに御質疑はありませんか。
○高間委員 今の質問の継続ですけれども、第二会社をこしらえて、第二会社が利益を得た場合には、元の会社の方へその利益を繰入れるということですが、その場合に税金は差引いた残りを繰入れるのですか。とらずに繰入れるのですか。その点をひとつお伺いしたい。
○伊原政府委員 再建整備法の一部改正の法律で、新勘定の赤字を資産として持つて行きました分を、第二会社で出ました利益から償却をいたすわけであります。旧会社の方に利益を繰入れるというふうなことはいたさないわけであります。それはここにございますように第二会社の特別勘定の償却は、旧会社において生じました一年以内の損失額の範囲内で損金と見て行く。それ以上のことになりますと、税金を拂たつたあとの益金で埋めることになると思いますが、旧会社に繰越し損金として持つておつたときと同じ税法上の取扱いによりまして、一年間はその償却を損金として見てやる、こういうことでございます。
○高間委員 そうしますと各会社で、私ども実際に当つてみて、計理士でありませんからそういうふうなこまかい点はわかりませんけれども、各地方の税務署で、その会社でこしらえるところの決算報告を認めないのが八割以上あるのです。その点税務署などに向つて、こういうふうな状態でこういうふうな経理になつておるのだからということを、るる説明しておるにもかかわらず、すべて決算報告は君たちの方でこしらえるのだからどういうふうにでもできるのだ、こういうふうな暴言とは申しませんけれども、そういつたふうな傾きでどしどしやつて來る弊害が非常に多いのです。今ここに提案されておる第二会社の経理のみが非常に有利になつておつて、これは損失とかあるいは利益とかというものを、もちろんうのみにはしますまいけれども、うのみに承知するような特権が與えられておるように見受けるのですけれども、この点はどうですか。
○伊原政府委員 先ほど塚田委員にもお答え申し上げました通り、第二会社をつくりました場合と、第二会社をつくらないで新勘定の赤字を繰越欠損として持つて存続しておる会社との間に、税法上の不均衡がございませんようにいたしたわけであります。なお税務署等に対してはこういう問題はできるだけあらゆる方法をとりまして、よく末端まで徹底いたすようにいたしたいと思つております。
○川野委員長 それでは証券取引委員会取引課長橋本氏がお見えになりましたので、北澤直吉君の発言を許します。北澤直吉君。
○北澤委員 最近株式取引所の再開が近いような報道が新聞に出ておりますが、この取引所の再開ということは、資本の蓄積または外資の導入その他諸般の関係から見まして、一日も早いことが非常によいと思うのでありますが、これに対します政府の見通しもしくは関係方面との折衝の状況、そういうものにつきましてさしつかえのない範囲におきまして、御説明願いたいと思うのであります。
○橋本説明員 御説明申し上げます。ただいまの取引所の問題につきましては、御存じのように終戰の年の九月に連合國最高司令官の名前をもちまして、日本政府は取引所を再開しようとする場合には、あらかじめ司令官の許可を得てからやれということになつておりました。その後証券市場の重要性にかんがみまして、何回かにわたりまして司令部に交渉して参つたわけであります。ところが御存じのようにさる一月三十一日の渉外局の発表によりまして、必要な諸準備が整つたならば、また為替の一本レートがきまつて経済状態が平常の方向に向うという点がわかつたならば、制限付ではあるが取引所の再開を許してもよろしい、というような発表がございましたものですから、それに基きまして鋭意その準備に努めておつたわけであります。最近為替レートも発表になりました。取引所の方の準備の関係は新しいアメリカの制度を入れまして、ほんとうに投資者を保護するに十分な取引所として、出発させたいというようなことがありましたから、たいへん準備の都合も遅れました。今までのところでは少くとも今月一ぱい、おそくとも來月の上旬までには準備の完了ができるというような態勢で、東京、大阪、名古屋は進んでおります。準備が完了次第その旨をこちらから司令部に申し出まして、それによりまして司令部から再開の許可があるという段取りになるように存じております。それですから來月上旬には、そういうふうな再開の許可をいただけるような手順が整うようにいたしたいと思います。
○北澤委員 ただいまのお話によりますと制限付再開でありますが、その制限というのはどういうのでありますか、お伺いいたします。
○橋本説明員 制限付は一つにはほんとうに取引所を必要とするような地域、場所的な制限が一つ、それからもう一つには、あらゆる取引は從來日本でやつておりましたように店頭で仕切ると言いますか、お客樣に店頭で賣つてしまうということでなく、取引所で取引するということが一つ、取引所で行われた取引は全部記録されなければならないということが一つ、それから先物取引は許されないというのが、ただいままでのところ示していただいた制限であります。
○北澤委員 先物取引を許さぬということでありますが、それはどういう理由に基きますか。
○橋本説明員 先物取引は投機的に流れやすい、こういう点からだと存じます。
○北澤委員 お話のように先物取引を許しますと、スペキユレーシヨンを助長するというふうなことになりますので、先物取引を認めないということですが、実物取引だけを認めると金のある者は株が買えるが、金のない者は買えないということになりまして、そこに不公平の状態が起きはしないかと思いますが、この点についてはどういうお考えを持つておりますか。
○橋本説明員 ただいまのお説のような点も確かにあるものとわれわれも考えております。また清算取引は投機的であつて惡い面もありますが、よい面もありますので、われわれといたしましてはその点研究いたしまして、今後司令部との間にいろいろ意見の交換をして進めて行きたいと存じております。
○北澤委員 私の質問はこの程度にいたします。
○川野委員長 ほかに以上二案に対する質疑はございませんか。——なければ両案に対する質疑はこれで打切ります。 それでは次に國民金融公庫法案を議題として質疑に入ります。
○前尾委員 庶民金庫並びに恩給金庫が、從來年間どのくらいの貸出しの必要があつたか、並びにその金額はどの程度であるか。おわかりになつておりましたら一應お聞きいたしたいと思います。
○愛知政府委員 庶民金庫、恩給金庫の最近の貸付の残高から申し上げたいと思いますが、庶民金庫については小口の貸付の残高が九千万円、それから次に同じく庶民金庫の生業資金の貸付金が十八億四千万円、それから系統機関、すなわち市街地信用組合等に対する資金の融通が四億八千八百万円、合計いたしまして本年二月末の貸付の残高は、庶民金庫については大体二十四億一千八百万円、それから次に恩給金庫につきましては、恩給担保貸付が二千八百万円、こういうふうな状況になつておるわけでございます。それから昨年中の口数については、正確な数字をただいま持つておりませんが、大体七万五千口ぐらいかと推定されます。
○前尾委員 結局從來の貸付方針と大体似たような計画で貸出されるのだと思います。第三條には事務所が各府縣において一つを越えてはならないというような制限がある。第四條には代理業務をやらしてもよいというような規定があるのであります。大体どういうような方針で一般の國民大衆というものを把握して行くか、どの程度に貸し出して、どういうような地方まで行くかということについての、何かお考えがあれば御説明願いたいと思います。
○愛知政府委員 ただいまのお話でございますが、今回の國民金融公庫というのは、一つには庶民金庫と恩給金庫の再建整備の関係が、まだ終結いたしておりませんので、この國民金融公庫を設立いたすということによつて、庶民金庫と恩給金庫の再建整備を完了するという事務的な要請があるわけであります。同時に新金庫によりまして、大体從前と同じような貸付の業務をやりたい、というふうに考えておるわけであります。しかし一、二の点で從來の庶民金庫、恩給金庫と違つた点があるのでありますが、その中の一つは、今回の國民金融公庫は全額政府出資でありまして、從來の庶民金庫、恩給金庫は一部政府出資であつた点と違つておる関係上、從來やつておりました業務の中で、たとえば庶民金庫について申しますれば、市街地信用組合等の中央機関としての役割というようなことは、その性格上することが不適当だというような関係になつております。そういう点が違つております。それからいま一つは、これはいろいろの御意見のある点だと思いますけれども、恩給担保の金融をやめるということ。しかしその二つの点を除きましては、大体從前と同じような業務になるはずであります。ただその次の問題といたしまして、全額政府出資であります関係上、おのずから業務が資金的の制約を受ける。特に先ほど申し上げましたように、再建整備の完了ということが、一方において今回の案の一つの意義にもなつております関係上、從來の債務の弁済をその政府出資によつてやらなければならないという関係から、おのずから業務が資金的に非常な制約を受けるわけでありますから、大体從前通りの業務をやりたいと思います。なおそのほかに、たとえば引揚者の金融というようなことも考えてみたいと思いますので、とりあえず二十四年度については、率直に申しますとあまり活発な活動は期待でないというようになつております。 それからその次の御質問の支所の問題でございます。現在全國に十七箇所の支所を持つております。これをさしあたりふやすことは考えていないのでありますが、大体從來生業資金等の貸付については、廣く全國的にやつておる経驗もございますし、出張員その他の関係もございますので、大体二十四年度においては、現在の程度の支所でやつて参りたい。將來経費その他の許す範囲におきましては、さらにこれを拡充いたしますけれども、同時に相当貸出の対象になるようなものが集まつております特定の地域以外には、一縣一箇所程度の事務所で十分でなかろうかということで、來年度はできておるわけであります。
○塚田委員 新しい公庫が業務を承継することになつておりますが、恩給金庫、庶民金庫などの経理の状態についていささかお聞きしたいと思うのであります。私ども常識で判断いたしておりますところでは、こういうものの貸し付けてあつた金というものは、非常に回收難に陷つているのではないかというようなことを、常々ぼんやりと伺つておるのであります。そこでそういうものがどんなぐあいにして新しい公庫に引継がれるようになつておるか。それらの数字的なものを基礎にした御説明を願いたいと思います。
○愛知政府委員 ただいまの御議論はごもつともと思うのでありますが、私どもの考えております程度ではその心配が比較的にないようでございまして、最近の回收の状況なども、庶民金庫、恩給金庫両方に通じます成績も、そんなに惡くないような状況のようでございます。それからただいま数字の御質問がございましたが、この資料は印刷でき次第御配付申し上げたいと思つております。
○塚田委員 それでは次にお尋ねしたいのは、新しい公庫法がいろいろな点で、「通貨発行審議会の推薦に基き」とか、その他通貨発行審議会と関連をつけておる点があるのであります。私どもは通貨発行審議会というものは、こういう特殊なものに口出しをするような機関でないように、あれをつくつたとき考えておつたのでありますが、どういう考えでこういうことが出て來たか、その点をひとつ伺います。
○愛知政府委員 実はその点につきましては、たとえば國民金融審議会の委員は「通貨発行審議会の推薦に基き、内閣の承認を得て大藏大臣が任命する」ということになつておりまして、確かに率直に申し上げましておかしい感じがするわけでございます。ただ單純な任命ということだけではいわゆる民主的な要望に沿わないのではないか。さりとて他に適当な方法もないというような考えで、実は関係方面の示唆もございまして、通貨発行審議会という、すでに法律でもつて制定されております金融関係の、いわば各方面の代表者をもつて構成されております権威ある機関ができておりますので、そこの推薦ということにするのが適当であろうということになつたわけであります。
○河田委員 今度の國民金融公庫は貸し付けるについて、最高貸付大体どのくらいを考えているか。先日新聞では大体五万円ぐらいを最高の貸付金とするが、しかし大体二万円くらいになるだろうというようなことが出ておりましたが、当局の御意見はいかがでありますか。
○愛知政府委員 貸付の條件につきましては、國民金融審議会の議を経てきめられることになると思うのでありますが、大体從來からの状況に照して考えられますことは、二つにわけられます。固有の國民金融公庫としての生業資金の場合におきましては、貸付の限度を大体五万円くらいにしたならばいいかと考えております。貸付期間は三箇年、利率は年一割二分以内、それから保証人等につきましては原則として一名という簡素な形にいたしました。それから返済の方法については月賦、半年賦または年賦、一時拂いというふうに考えております。いま一つは從來から引続きまして厚生省所管で海外引揚者、戰災者、生活困窮者等に対しまして、生業資金というのが予算でお認めをいただいておるわけでございます。この額が三億円あるのでありますが、その三億円は実際の貸付は國民金融公庫を通じての貸付になるわけでございます。その分につきましては、貸付の限度が七千円、貸付の期間は五箇年、利率は年六分、返済の方法は半年賦または年賦ということになつておるのでございます。この方がほんとうの——ほんとうと申しますと言い過ぎかもしれませんが、純粹の意味の生業資金、それが國民金融公庫から出るというわけになるのでございます。それからなお固有の業務の生業資金につきましても、もちろん必要に應じましては、十人の連帶で五十万円というふうに相協同して仕事をする場合におきましては、相当の程度まで貸付額の限度を上げてできるのではなかろうかというふうに、考えておるわけでございます。
○川島委員 ちよつとお尋ねいたします。この法案の第五條の三に「庶民金庫から承継した日本銀行からの借入金を返済する」とありますが、庶民金庫は今日本銀行からどのくらいの借入金があるのですか。
○愛知政府委員 十二億七千三百万円でございます。
○川島委員 そうするとこの十二億七千三百万円ばかりの日本銀行の借入金を、この公庫は十三億の資金の中から返すというお話ですが、そうするとこの公庫の資金はなくなるということになる。その点はどうですか。
○愛知政府委員 これはその状況をかいつまんでお話いたしたいと思いますが、最初実はこの公庫法案を事務の方といたしまして立案したときは、この出資額をもつと多くしたいと思いまして、非常に折衝に努めたのであります。それはなぜかと申しますと、先ほども御説明いたしましたように、一方においてこれは新金庫でございますと同時に、再建整備による結末をつけなければならないという要請があるものでありますから、今の十二億七千三百万円という借入金は、どうしても返済しなければならぬ金でございまして、それを片づけることになると、新規の資金としてはそれ以外に調達しなければならないというので、少くとも私どもとしては二十億くらいは、さらにこのほかに出資を求めたいという考えでおるわけでございますが、どうしても過去の債務についてこの際きれいにしなければならないという要請が、非常に強いわけでございますので、ただいまの十二億あまりの金額につきましては、実は予算の方でも十三億のうち、これだけは日銀に返済しなければならぬというふうな拘束を受けておるわけであります。そこでそういう情勢において私どもとしては、飜つてしからばこの公庫というものを、そういうことならばもうやめてしまつたらどうかということも、実際率直に申しますと、考えざるを得なかつたのでありまするが、とにかくこれをつくるということにおいて、ある程度の融資もできる。それから再建整備の要請も充足できる。なおこまかい話になりますが、これに從事いたしておりまする相当の人員の今後の問題もございますし、いろいろ勘考いたしまして、とにかくこれを設立させていただきたい。ぜひ考えていただきたい。それで全額政府出資でございますので、將來財政の状況が許せば、この出資を増額して新たなる発足もできます。御承知のように住宅金融とか、中小金融とか、いろいろ特殊の金融機関の案もあつたのでありますが、ぜひともこれだけはということで、こういうことになつたのであります。 しからば今後どれだけの貸付が二十四年度中にできるかということでありますが、一應予算との関係において、新たに貸しつけ得ることができることになつております数字は、四億二千七百万円でございます。その内訳は、先ほどもちよつと申しましたが、厚生省関係の第四次生業資金の三億円というのが、当然この資金として使われます。それから貸付回收金等によります新規貸付が一億二千七百万円、そのうち二千七百万円は出資をもらいまして、日銀に返済した残りの金になるわけでありまして、一億が生業資金からの回收金と見込まれるわけでございます。この四億二千七百万円は、そういうわけで最小限度どんなことがあつても、新規の貸付として許されるものでございます。それから予算の方の関係におきましては、御承知の通り彈力的な條項というものがついておりますので、さらにこの上に回收金があつた場合には、これは國庫に納付せずに新しい貸付に使つてよろしいということになつております。その見込額がどの程度になるかということは、今後の運営の状況によるわけでございますが、私の勘といたしましては、三億は大丈夫回收できると思います。むりをせずに從來の傾向からたどりまして、三億はこの間に回收できそうだというふうに考えておりますので、合計して七億円余の新規貸付は、いかなる場合にあつても大丈夫できるのじやなかろうか。從來の金庫の営業に当つておる方々の見込みも、大体それで間違いなかろうと見ております。
○川島委員 この予算の説明書の中にも、庶民金庫は十二億七千三百二十五万円とあつたと私は記憶しておりますが、十三億出資して十二億七千三百二十五万円を返す。今局長のお話のように、三億の金は引揚者、困窮者に限定された資金である。そうすると、かりに他の回收金一億二千七百万円ですか、資金の方の余りを加えた一億二千七百万円あるといたしましても、これだけしか実際には從來の庶民金庫的な方面の資金に使えないということになる。三億はこれを動かすことができない。三億と今の一億二千七百万円を合せた四億二千七百万円を、両方に制限なしのわく内で使えるということにはならないのじやないですか。そういうふうになるのですか。
○愛知政府委員 そういうふうにはなりません。ただいま御指摘の厚生省関係の生業資金の方は、対象その他も相当限定されております。わくを相互に融通することはできにくいと思います。
○川島委員 そうすると、從來の庶民金庫の立場において生業資金などに出したものは、回收がよくても一億程度ということになる。そうすると、この十二億は実に微々たるものになつてしまう。十二億七千三百二十五万円の返済というものは、もうぎりぎりのところへ來てしまつておるのですが、何とも方法はないことになつておるのですか。
○愛知政府委員 この方は予算の関係で何とも方法がつかないわけです。それから先ほど最近の貸付の残高の御説明をしたのでありますが、実は最近のところは、恩給金庫はまつたく睡眠状態で、新規の貸付はここ数箇月やつたことはないと思います。それから庶民金庫にいたしましても、最近はこれまたまつたく開店休業状態でございましたので、ここ数箇月の間は、ほとんど目ぼしい貸付はなかつたと思うのであります。そこで今お話の通り、この三億円については、現在に至るまでが唯一の仕事のごとき感を呈して、この厚生省所管の金を動かしておつたのであります。それは今後もそのように動くと思います。それから先ほど申しました回收の問題は、予算の方で見ておる彈力條項以外の回收を一億、正確に申しますと一億二千七百万円と押えられておりますが、これは予算の方で見てくれたせめてもの心やりでございまして、実際の回收はそれ以上に從來の業績からいつても行つておるので、從來の庶民金庫的の貸付はこの一億二千七百万円のほかに実は三億ある。結局庶民金庫が新しく活動する分野は、四億二千七百万円と私どもとしては見ております。
○川島委員 そうするとこれは重大な問題になつて來る。一方にはこの法案とは関係がないのですけれども、大藏省が考えておるのではないと思うが、商工省で考えておる例の中小企業に関する協同組合の問題がある。それに市街地信用組合が吸收されるということ、市街地信用組合の現状から言えば、やはりいろいろの中小企業者、あるいはサラリーマンの生業資金、生活資金を供給しておる。それが今度中小企業協同組合になると、それが非常に大幅に制限されて行く、そうすると、一方において國民金融金庫の方では資金がない。市街地信用組合は協同組合に吸收されてしまうと、一体中小企業者はどこに資金を仰ぐか。いわんや今度信用統制、集中生産ということになつて、市中銀行ではおそらくそういう方面に資金の貸出をする余裕がなくなる。一体どこで大衆は救われるかという大きな問題になつて來る。そういう点について、何かお見通しはないでしようか。重大なことだと思うが……。
○愛知政府委員 それはまつたくお説の通りでございますが、ただ前段の中小金融の問題に入ります前に、ただいまお話の中小企業等協同組合法と、それから現在の市街地信用組合との関係について、最初に申し上げたいと思いますが、実は中小企業等協同組合という協同組合の組織法で、金融事業を営むような信用協同組合、あるいは保險事業を営む保險協同組合というものが、その組織法の中に入つておるということについては、金融関係のものとしては、非常に問題が多いと思うのであります。しかしながら、ただいまのお話については、実は市街地信用組合はかつこうが信用協同組合になるのでありまして、市街地信用組合の從來の事業が、今回の協同組合法によつて狹くなつたり、拘束が多くなることはございません。その点は御心配の点はないものと存じます。それから一般的な中小企業の問題につきましては、先ほども申しましたように、実は中小金融のための特殊機関というものを、何とかしてつくることを考えたのでありますが、御承知のような事情で、それの実現ができなかつたのであります。ただいまのところ、まだ関係方面等とも話がついておりませんので、私どもの試案になるのでありますが、これについてはいろいろの知慧を出して、善処しなければならぬと考えております。たとえば一例として從來中小金融になれておりまするところの商工組合中央金庫、それから勧業銀行、興業銀行といつたような、中小金融のための特別の資金の供給を、直接日本銀行から借りるということも比較的簡單にできると思いますので、最近の日本銀行からこれらに対する貸付金は、相当に増額をいたすことになつております。 それから預金部のことは、御承知のように、從來は國債と地方債だけに運用を限定されておりましたし、二十四年度においては、二百三十三億の地方債を償還しなければならぬことになつておりますが、実はそれだけは相当余裕が出るわけであります。預金部資金というものは、その成立の過程から申しましても、中小庶民階級というところに還元すべき性質のものであると思いますが、同時に非常にこまかな業務を預金部というような官廳仕事でやることはどうかと思いますので、相なるべくんば預金部資金の運用についてデイレクテイヴの解除を願いまして、その上でたとえば商工中金の債券を預金部が大量に保有するとか、あるいは金融金庫に対する貸付金を預金部に動員してもらうというような点に、できるだけすみやかにわれわれの要望するようなことが実現できますように、現在努力をいたしておるような次第であります。今申しましたのは、ほんの一、二の例でありますが、中小金融の問題につきましては、大藏省としても何とかしていま少し力を入れて、具体的な成果を上げるようにしなければならぬと考えております。
○川島委員 どうも今度の政府のやり方を見ておると、例の千七百五十億の見返り勘定から、特別会計に出すことはいいですが、國債の償還に充てる、銀行の手持公債は償還してやろう、そういうことをやつているし、庶民金庫もきれいに拂つて掃除してしまう。そういうやり方はいいですが、その結果としては、一般の勤労者やあるいは中小ことに商業者、営業者、こういつた者の方の金融はほとんど締め出してしまう。こういう結論になりそうですね。こういうことであつては、私はことに困難な國民生活の方面を考えた場合に、どうも私どもよく納得できないですね。こういうやり方というものは……。今局長さんの説明の市街地信用組合が協同組合に吸收されるにしても、実際の面はかわらないのだとおつしやるけれども、ほんとうを言えばかわつて來るのではないか。今市街地信用組合がやつておる業態そのものが、そつくりそのまま継承されればよろしいが、そうでない面が実際の面においては起つて來る。こう私は想像できる。そうなつて來ると信用組合の方は庶民も締め出す。せつかくできた金融金庫からも、資金がないから締め出されるという形になる。ことに引揚者の方の問題は三億出ておりますが、これは限定されておる、流用できない金であるということになれば、せつかくの國民金融金庫も、資金の回收が上手に政府の考えておるように能率が上つて、回收がよくなればよろしいのでありますが、どうも私の調べた範囲では、なかなかこの回收は容易でないというふうにわれわれは想像される。そうすると今の他の方面から何らかの措置を講じて——せつかくでつち上げた金融金庫でありますから、何か別途の特別な措置を講じてやる。この資金を政府出資において増額するという方法は、今のところはないとおつしやられておりますが、もう一ぺん、どうもくどいようですが、せつかくつくる金融金庫に金がない、金がないのだから看板はかけたけれども、それは店開きをするだけで、引揚者、困窮者に対する仕事はほごであつて、かんじんの重点的な仕事の方には手が出ない、こういうことであつては、金融金庫をつくるという意味が私は半減してしまうのではないかと心配しておるのですが、そういう点について何か事務当局の方では、具体的な措置をするというようなことを今のところ考えておらないのですか。
○愛知政府委員 その点はまつたくごもつともでありまして、率直に申しますと私どもは非常に遺憾に思うのでありますが、先ほどるる申しましたようにとにかく諸般の情勢を勘考して、やはりこれをつくつていただいた方が、先ほど申しましたように私の見込みでは最小限度七億、引揚者との関係が三億、その他の四億の金がとにかく動く。それから財政状況の好轉によつてはこの出資をふやすことができるということで、またまたこれもくどいようでありますが、この二つが整備されることによつて、金融機関の再建整備が各方面とも完了いたしますので、彼此いろいろ考えて最後に提案を決意いたしたような次第でございますので、その点は御了承願いたいと思います。 それからこれもくどいようでありますが、実は中小企業組合と市街地信用組合との関係は、追つてまたいろいろ当委員会でも御審議があると思いますが一口に申しますと実は今度の中小企業等協同組合法の行き方で行けば、むしろ從來のような信用の厚い市街地信用組合ではなくて、極端に申しますならば、やみ金融機関が合法化するおそれがあるので、市街地信用組合の方は迷惑でありますけれども、自分のところの業績には影響がない。むしろそれ以外の率直に言えばわれわれ金融業者としては好ましからざる者が、合法化されるおそれがあるように考えておりますので、多少この問題の取上げ方は川島委員と私の考えとは食い違つておるように考える次第でございます。
○川島委員 これによつて庶民金庫に現在携わつておる從業員の人たちは、そのままかかえて行かれる形になるわけですね。それからもう一つついでに伺つておきますが、今やみ金融の話が出ましたが、だんだん金融が各方面に締め出しを食わされるという形にどうしてもなつて來れば、やみ金融というものはどうしてもそれに乘じて跋扈して來る。それでなくともこのごろでは一箇月に一割、はなはだしきは十日間に一割というようなひどいやみ金融が、公然と跋扈しておる形でありまして、またきのう、おとといあたりの新聞によれば、何か脱法的な、しかも合理的に見えるような組織などをつくつて盛んにやみ金融をしておる。こういうようなことがますます跋扈するようなことになつて、私は日本の國民経済の面においても信用経済の面においても、これが重大な影響を持つて來るのではないか。それによつてまた國民の貯蓄の上にも大きな影響が來る。廣般な影響が來ると思います。そこで最後にあわせて伺つておきますが、何か一、二箇月前から政府はこのやみ金融に対して特別な法律をつくつて、その根絶の方法に強力に進んで行くというような話も実は聞いておるのでありますが、その方針がどうなつておりますか、あわせて伺いたいと思います。
○愛知政府委員 やみ金融の取締りは先般新聞にも出ておりましたように、大藏省としてもまつたく手をやいておりますようなわけで、いろいろと先般來実態調査を全國的にやつておつたわけであります。その結果ほとんど全國的にも一應のものでございますが、実態がだんだん役所側にも掌握されて参りましたので、それに基きましてかねて考えておりました貸金業者に関する法律案というものを、たいへん遅れて恐縮なのでありますが、現在の事態にかんがみてもしお許し願えるならば、この國会に提案をいたしたいというところまでようやく決心して参つたようなわけであります。ただその内容等についてはこれを免許制度あるいは届出制度にいたしました場合に、その合法的に免許されたものが、非常な高利をとつて金融をしておるというようなことが合法化される限りにおいては、なかなか許したくない。さりとてある程度の高利を認めなければ、そういうような分子は成立しないというところに実はまだ悩みを持つておりますので、その辺のところを檢察側その他関係方面の意見も十分に聞きました上で、愼重にやりたいと思つておりますので、まだ多少二、三日の日数はかかるかと思いますが、今日の私どもの氣持では、どうしてもそういう法律をひとつつくつていただかないと、取締りもできないと思いますので、実はつい一両日前でありますが提案をして、もしできることならば審議をしていただきたい、こういう氣持でおるわけであります。
○川島委員 金融金庫の從業員はどうなりますか。
○愛知政府委員 この点は今回この金融公庫の役職員は公務員ということになりました関係で、別途公團その他の特殊な法的團体の役職員につきまして、給與その他は公務員に準ずることになりました。次に予算の上である程度の人員の整理を予想されております。庶民金庫につきましては大体二割ということになつております。現在これは金庫側の役職員間においても、その善後処置については万遺憾のないような処置を講じたいと考えております。万一退職者が出ますようになりましても、その退職金その他については法律その他の許される限りにおいて、善処いたしたいと考えております。
○川野委員長 質疑がまだたくさんあるようでございますが、本案に対する質疑は午後に讓ることにいたします。 —————————————
○川野委員長 続いて企業再建整備法の一部を改正する法律案、及び有價証券の処分の調整等に関する法律の一部を改正する法律案を、一括議題として討論に入ります。宮幡靖君。
○宮幡委員 本法案はすでに質疑も終了いたして討論に入るわけでありますが、本法律案は適当なものでありまして、この際討論を省略し、ただちに採決せられんことを望みます。
○川野委員長 宮幡君の動議に異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 御異議がないようでありますから、動議のごとく決定いたします。これよりただちに両案を一括議題として採決に入ります。右両案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○川野委員長 起立多数。よつて両案は原案の通り可決いたしました。 なお報告書の作成その他につきましては委員長に御一任願います。 午前はこの程度にいたしまして、二時より再開いたします。 午後零時十九分休憩 ━━━━◇━━━━━ 午後四時二十三分開議
○川野委員長 休憩前に引続き開会いたします。 國民金融公庫法案を議題といたしまして、質疑を継続いたします。田中織之進君。
○田中(織)委員 國民金融公庫法案に関連いたしまして、農村金融について二点ほど銀行局長に伺つておきたいと思いますが、今度の予算の編成過程から金融情勢が相当逼迫して参ることは、各委員から指摘せられておる通りだと思いますが、復興金融金庫が新規の貸出しは全然できない事態になつたことから、復金資金のわくの中で農林中金を通じて農村方面の復興資金にまわされておる部分が、二十三年度には若干あつたのでありますが、本年度においては、この関係の資金の需要というものは、予算の面で農村関係のいろいろな補助金等が全面的に削除されておる関係から、増加する一方だと思うのでありますが、現在の農林中金を通じての農村方面へのそうした資金の供給について、大藏省としてはどういうようにお考えになつておりますか。
○愛知政府委員 ただいまの問題につきましては、関係方面の関係もございますので、現在のところ私どもの試案でありますが、とりあえずの方法といたしまして、農林中央金庫で現在債券の発行余力が約二十億足らずあります。これは從來の金融機関再建整備の考え方から申しますと、農林中央金庫自体の改組問題があつたのでありますが、最近の考え方といたしましては、いたずらな機構いじりをするよりは、実態的に今のような問題を早く解決することの方が望ましいと考えますので、從來の線から申しますと農林中金の債券を発行するということについても、かなり問題があつたように思われますが、新しい情勢のもとでは、せつかく現在余力もあることでありますから、とりあえずこの発行を承認してもらいたいということを考えております。なお発行いたしましても、これの消化等についていろいろ問題もありますが、これまた幸いに預金部資金はその程度の中金債券であれば、ただちに保有ができる資金的余裕を持つております。ただ問題は預金部の方も、御承知のように昭和二十年の秋に出ましたデイレクテイーヴで國債、地方債以外の運用を禁ぜられております。その運用の再開についてリリーズしてもらう必要があるわけであります。今申しましたような線で、とりあえずの措置としてそういう方法を考えまして、関係方面へも懇請をいたしておる次第であります。 なお勧業銀行の債券発行の問題等についても、同樣に考えておるわけでございまして、この方も相当の余力がございますので、もし発行が許されますならば、この方は必ずしも預金部に頼らなくとも、相当他の方面で一般の大衆からの資金をも吸收できるかと思いますので、それらの方法をあわせて考えまして、もちろんそのほかに援助見返資金がそういう方面に使えれば、この上もない幸いだと思いますが、この方は御承知のような経過になつておりますので、早く措置することはなかなか困難かと思われますので、とりあえず私としてはそういうふうに考えております。
○田中(織)委員 関係方面との折衝がありますので、まだここで明確な見通し等を伺うこともむりかと思いますけれども、御承知の通り予算の面で直接農民にわたるような補助金等は全然なくなつた。若干ありましても結局それは個々の農民の手に入るまでの間に消えてしまう、というと語弊があるかもしれませんが、公共的に使われるものでありますので、当然この厖大な予算の施行過程において、農業生産を維持発展させるという見地から、農村における金融需要というものは、今までにない病的な増加を当然予想されるのでありますから、その点については今示されました試案を最低の線として、ぜひ実現のために努力を傾注していただきたいと思うのであります。 次にこれまた農村金融に関連する問題でありますが、農業協同組合等で、これは市街地信用組合等でも同じでありますが、集積いたしました預貯金の運用が、今わくにはめられておる関係がありますが、國全体としての資金計画があることは、重々承知しておりますけれども、たとえば一縣單位に考えてみます場合に、縣内で蓄積された資金が縣内のそうした面への需要に充てられることになれば、縣内における貯金の吸收というような面に大きな拍車をかけると思いますので、その点について農業協同組合、あるいは市街地信用組合等で、自己の組合員の力によつて蓄積しました資金の利用について、もつと彈力性のある運用の方法を講じてもらいたい。先般私の出身地の和歌山縣では、縣議会の一致した決議として、当局にも要望書が提出せられておると思いますが、この点について何か御方針があれば承つておきたいと思います。
○愛知政府委員 農業協同組合の預貯金は、御承知のように系統機関に、すなわち農林中金を最後の段階とするところへ集積されて來るわけでありまして、大体農業協同組合の集めました金の約半額は、系統機関への預金になつておる現状でございます。これは農業協同組合の定款等において、そういうことがきまつておるのが例になつておるのであります。 いま一つ、農業協同組合の融資については、現在のところ融資準則の適用は原則的にはないのでございますけれども、他の金融機関よりはその点の拘束は比較的樂になつておると思います。ただ農業協同組合系統から入つて参ります預貯金は、申すまでもございませんが非常に季節的に変動が多うございまして、これを長期的に運用することは、資金の集り方の性質上なかなか困難のところもあるのであります。ただいまお話のような点につきましては、ひとり農業協同組合の預貯金の問題のみならず、一般の金融機関の問題といたしましても、できるだけ地方還元ということは考えなければならぬことだと思つておるのでございます。そういうような考えのもとに、実は新しい情勢のもとにおきます信用調整の方式というようなものも、いろいろ考えておるのでございます。それらの点については、別途近く法案として提出いたす運びになると思うのでありますが、信用政策の総合調整をやる委員会が、日本銀行の中にできることになつておりますので、それができましたあとで——特にその委員会には、農業方面の識見をお持ちの有力な方に、委員になつていただくことになつておりますので、その設立後に根本的問題は取上げていただきまして、必要に應じて次期の國会に法案を提出する運びになろうかと考えております。
○川野委員長 ほかに質疑はございませんか。——ないようですから、本案に対する質疑は以上をもつて打切りたいと存じますが、御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 それでは質疑を打切ります。 これより討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。前尾繁三郎君。
○前尾委員 國民金融公庫は、ただいま質疑の中にも現われております通り、実は羊頭を掲げて狗肉を賣るのではないかという感がいたすのであります。すなわちその目的は、一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする國民大衆に対する事業資金の貸出しとありますが、その資金は現在におきましては実に貧弱なものであります。しかしこの法案は、庶民金庫及び恩給金庫の金融再建整備によります跡始末をしなければならぬ必要に迫られており、またその目的に掲げておりますような事業をやります金庫は、何としても必要なのでございます。從いまして、將來財政の余裕ができました際に、こういう機関がないということではたいへんでありますので、多少実がないのでありますが、この際としては原案を承認するのが妥当であり、將來ますます事業の実質を備えますことを特に希望いたしまして、賛成いたすものでございます。
○川野委員長 田中織之進君。
○田中(織)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本案に対しまして強い希望條件を付して賛成いたしたいと思います。 本國民金融金庫法案は、政府の庶民金融に対する施策として、かなり國民の間に期待を持たれておるように政府側は宣傳をせられておるのでありますが、委員会の審議の経過に照らしましてもわかりますように、実際にこの公庫で運用せられる資金の総額は微々たるものでありまして、われわれ羊頭狗肉の感を深くするものであります。しかしこの中で、今確定されておる厚生省関係の生業資金の関係等は、どうしても行わなければならない部分であります。その意味において、本公庫の設置そのものには反対するものではないのでありますが、ただ強い希望條件といたしましては、現在のところ予算関係その他から束縛せられておる事情はこれを認めますけれども、きわめてすみやかなる時期に、本公庫が相当多額の資金を確保いたしまして、公庫本來の使命を達成できるように努力してもらいたい。今國会には間に合わないといたしましても、補正予算の提出が今や為替レートの決定その他の関係から不可否な状態にあると思いますので、そうした機会には、この公庫が実質的にその機能を発揮できるような予算的な措置についても、政府において格段の努力をしてもらうことを強く希望いたしますとともに、これは從來の庶民金庫と恩給金庫が統合せられることになります関係から、これらの両金庫に從事していた從業員の問題も当然起ると思うのであります。その点につきましては、公庫で運用に充てられる資金が充実されれば、当然両金庫の從業員の統合したものでも、まだ足らないくらいの仕事の分野があると思いますので、そういう方面にもつぱら努力を集中してもらいまして、その間何らの受入れ態勢もないような整理方針をとらないということを強く要求いたしまして、以上の條件を付して本案に賛成するものであります。
○川野委員長 河田賢治君。
○河田委員 日本共産党を代表しまして、本案に賛成いたしまするについて、われわれも一つの希望條件を付しておくものであります。 御承知のように、今度のこの國民金融公庫は庶民的な金融機関でありまして、今日九原則のもとに集中生産が行われ、資金はほとんどその方へ出向いて、ことにまた銀行もますます今日引詰めております関係から、他方においてはたくさんな引揚者あるいは戰災者があり、こういう人々の生業が今日非常に困難になつております。從つてこの金庫に政府が出資いたしまする額は、わずかに十三億。このような少額の金ではとうてい円滑に、こういう生活に困り生業に困つた人々の資金をまかなうにきわめて不十分であることは、言うまでもないのであります。從つて私たちはこの銀行の出資金を、今後政府はどんどんと次の國会にでも提出されるだけの用意と覚悟を持たれること、並びにこの今度の新しい事業整備においてもまた二割から三割、あるいは恩給金庫の方では六割からの從業員を減らすというようなお考えでありますから、これらについてもわれわれは從業員の生活の立場からこの方面を拡張して、できるだけこの從業員の犠牲をなくすという方向に、あわせて政府が努力されんことを特に希望を付しまして、本案に賛成するものであります。
○川野委員長 討論は終局いたしました。これより國民金融公庫法案について採決いたします。右案に賛成の諸君の起立を願います。 〔総員起立〕
○川野委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。 なお報告書の作成その他につきましては、委員長に御一任を願います。 —————————————
○川野委員長 北澤直吉君。
○北澤委員 この機会に政府に一言希望を申し上げておきます。御承知のように去る二十三日單一為替レートの発表がありまして、きようの本会議においても大藏大臣からこの單一為替レートの決定が、日本の各方面に及ぼしまする影響につきまして、簡單な御説明があつたのであります。この問題は日本の各方面に非常に大きな影響がありますので、私ども大藏委員会としましても重大な関心を持つているわけであります。ところが私の聞くところによりますと、外務省では二十二日の晩に大体わかつておつた。ところがわれわれが知つたのは二十三日の午後であります。こういう重大な問題につきましては、大藏省の方からわれわれ大藏委員会の方にもなるべく早目に御連絡願つて、御説明を願うようにいたしたいと思うのであります。大藏委員会は二十三日、二十五日と継続して開会しておつたのでありますから、大藏省におきましても、もしそういう意思があれば、大藏委員会の立場を重んじて、こういう問題につきましてなるべく早く連絡し得る立場にあつたと思うのですが、今後におきましては、こういう問題につきましては、ひとつ一刻も早く大藏委員会の方に御連絡を願つて、こういう問題に対しまする善後措置について、われわれも政府と協力をしましていろいろ勉強したい。そうでないと大藏委員会があたかもつんぼさじきにおるような形になりますので、そういう点のないように、特に政府にお願いしたいと思うのであります。
○田中(織)委員 ちよつとそれに関連して……。ただいま民自党の方から、為替レートの決定に関する場合の政府の國会への連絡が惡かつたということに対して、希望が述べられましたが、私らもまつたく同感でありまして、この際ただ單に希望を申し述べるだけでなく、この為替レートの設定に至るまでの事情並びに今後のこれが運用の実際等について、政府から本委員会に詳細なる報告をしてもらうことを、委員長から要求していただきたいと思います。
○中野政府委員 社会党の方から今申出がありました御趣旨に沿うようにいたします。
○川野委員長 宮幡清君。
○宮幡委員 この機会におきまして、先般衆議院規則に基いて國政調査の一環といたしまして、國税徴收に関する過誤、怠慢または不正の調査のために、当大藏委員が浦和税務署に派遣せられたわけでありまして、去る二十日に一日参りました。予定の調査日数は二日間でありまして、いまだ調査の途中でございますけれども、ちようど本委員会において税法その他重要法案の審議が続けられておりまして、重ねて現地に参る余裕がございませんでした。その間相当の日数を経過いたしまして、何らの御報告をいたしておかないということは、ある意味におきましては不測の誤解を招くおそれもあるではなかろうか。かような考えで、いまだ結論に到達したわけではございませんが、中間報告といたしまして、この際一應の御報告を申し上げたいと存じます。 この事件は、御承知のように、いわゆる浦和税務署の不正事件というものでありまして、ちようど昭和二十四年の四月二十日午前十一時十分に大藏委員の宮幡、三宅、高松、風早、この四名で浦和税務署におもむきまして、ただちに本件の調査に着手いたしたわけでございます。なお公報によつて報告されております通り、派遣委員のうち島村委員及び荒木委員は、所用のため御不参でありましたので、便宜三宅委員、高松委員に補充的意味で御参加を願いまして、数においては予定の通り四名で参つたわけでございます。 最初浦和税務署に参りまして、まず本件の納税者の心理に及ぼす影響あるいはその他諸般の事情を考慮いたしまして、かような調査はいわゆる祕密に行うべきものであるか、あるいは公開で行うべきであるかということについて、派遣委員の間で一應の協議をいたしましたが、浦和市を中心といたしまして埼玉縣下一円では、納税者その他がこの問題について多大な関心を持つております。もしわれわれ委員が祕密会において税務当局とひそひそ話をして帰るというようなことをいたしますと、かえつてそれが誤解の種となり、思わぬ方面に意外な波紋が投げられるのではないかというような意見もありました。結局はさしつかえない程度で、公開の形で調査をするということがよいではないか、かようなことで、祕密会の形式をとらずに、公開の形で調査をいたした次第であります。そこで私どもはまず杉田浦和税務署長、各課長及び係長の出席を求めまして、一問一答の形で調査を進めたわけであります。杉田税務署長に対して、まず事件発覚の経過を聽取いたしましたところ、本年の四月一日浦和地区警察署が同税務署の総務課徴收係の雇でありましたところの吉岡重行——年二十才——を引致して参りました。引続いて國税徴收事務に関しまする書類の提供を求められたそうでありますが、ちようど三月三十一日の年度が終つたばかりの翌日でありますので、徴收事務に支障を來すおそれがあると思つて、警察の申出に対して一應はこれを拒絶したところ、明二日になりまして浦和簡易裁判所の判事高橋渉氏の捜査令状を持つて参りまして、書類を押收した。かような答えでありました。その押收品の目録は別紙写しとして提供されて、ただいま私の手元にございます。次に現在まで判明したところの吉岡重行に関する過失または不正の内容は、どういうものであるかということを杉田署長に質問いたしましたところ、これも写しとして提供されましたが、浦和地方檢察廳檢察官檢事鈴木近治の起訴状の写しを提供いたしまして、その内容の説明がありました。この際、その起訴状をここで朗読いたしてみます。 起訴状 左記被告事件につき公訴を提起し公判を請求する 昭和二十四年四月十八日 浦和地方檢察廳 檢察官檢事 鈴木 近治 浦和地方裁判所御中 一、被告人 本籍 北足立郡土合村大字道場二百八十三番地 住居 右同 元税務署雇 吉岡 重行 当二十年 二、公訴事実 被告人は昭和二十三年八月二十五日、浦和簡易裁判所で窃盗罪に依り懲役一年但し三年間同刑の執行猶予の判決を受け翌九月其の事実を秘し浦和税務署に雇員として採用せられ同署総務課二係で徴收事務の補助の傍ら所得税等の滯納処理の為め轄内納税者宅へ補助員として出入するや一般納税者に於て被告人を大藏事務官と誤認して遇するに至りたるを利用し金品を騙取せむことを企て 第一、 一、同年十一月下旬頃浦和市高砂町二丁目六十三番地家具販賣業辻村久三万に到り前掲の如く誤認し居る同人に対し確実なる返済資力なきに拘らずこれあるものの如く装い数日中に返すから一万円を貸與せられ度き旨申し向け同人をして其の旨誤信せしめ因て即時同人より貸借名下に現金一万円の交付を受け 二、父萬次郎より姉そめの持参する婚礼家具類を代金を借りて購入する樣に依頼を受け昭和二十四年一月上旬頃右辻村方に到り同人に対し代金借受けの意思を秘し婚礼家具一式九品目を前掲自宅へ届けられ度し代金は其の際支拂う旨申し向け同人をして其の旨誤信せしめ因て其の頃右自宅へ総桐箪笥、鏡台等九品目十点代金合計一万六千八百三十円相当を搬入せしめ 第二、同僚雇秋谷芳雄と共謀の上 一、昭和二十三年十二月上旬頃同市常盤町九丁目二十四番地菓子商榎本善五郎方に到り前掲の如く誤認し居る同人より所得税の減額の話を聞くや其の意思なきに拘らずこれあるものの如く装い係の人に飲ませるから三千円位出して貰い度い旨申し向け同人をして其の旨誤信せしめ因つて即時同人より現金三千円の交付を受け 同月中旬頃右榎本方に到り同人に対し上の人に話をしたら大体了解し呉れて税金がまかつた、それに就いて少し金が要るから出して貰い度い旨申し向け同人をして其の旨誤信せしめ因てその頃同人より同市仲町三丁目浦和税務署で現金六千円の交付を受け 第三、昭和二十四年一月初旬頃同市針ケ谷一丁目七十一番地精米業町田耕平方に到り前掲の如く誤認し居る同人より所得税の仮更正が二十万円來て困つて居る旨聞知するや同人に対し今此処で運動をしないと三十万円位來る、其の一割の三万円出せば何んとか見てやる旨申し向け同人をして其の旨誤信せしめ因て即時同人より現金三万円の交付を受け 第四、同月上旬頃同市仲町一丁目七十五番地電氣工事請負人星野秋太郎方に到り前掲の如く誤認し居る同人に対し確実なる返済資力なきに拘らずこれあるものの如く装い数日後には必ず返すから三、四万円貸與せられ度き旨申し向け同人をして其の旨誤信せしめ因て其の頃同所で同人より貸借名下に現金三万円の交付を受け 以つて夫々騙取したるものである 三、罪名 詐欺 刑法第二百四十六條第一項 右は謄本である 昭和二十四年四月十八日 浦和地方檢察廳 檢察事務官 馬場 武雄 これが提供されました起訴状の写しであります。右起訴状に掲載されました吉岡の詐欺行為は、巷間に傳わる不正事件のある部分にしか過ぎないものでありまして、浦和税務署員に中に、かかる手段のもとに納税者を苦しめている者が多数あるとの風評も、あながち否定できない状況でありましたが、調査の段階としてまず杉田署長に対し、本事件に関する感想はどうかとただしましたところ、大要次の通りの心境を披瀝せられたのであります。 一、吉岡は埼玉縣廳在動の前歴があつたにかかわらず、履歴書に記載しなかつたもので、在動中不正事実があつて起訴となつておつた者だが、採用のとき身元証明調査の不備によつて、これを知らずして採用したことはまことに申訳ないことだと思う。 二、税務署員のこの種の非行を誘発する最大の原因は、税が高過ぎることで、そこにむりがある。納税に苦すむ納税者の弱い心理状態につけ入つて、かかる不正が行われるものであると思う。 三、関東信越財務局の要員は、地理的関係から多くこの地方の優秀税務官を引拔くので、当税務署には熟練した優秀な署員が少くて、一般に素質が低下しておると思う。ことに勤務地手当の関係上優秀な志願者はまれであつて、多くは自活力がなく、親兄弟の援助を受けているありさまであつて、素質の不良が不正事件を生み出したものと考える。 四、現在の申告納税、更生決定、徴税という行き方は、徴税係の手数が非常なものであつて、事務官の少い徴收係といたしましては、やむなく若年の雇いまでも動員して徴税に当らせる始末であつて、これもまた不正誘発の一原因であつたと思う。 五、現在署員が百九十九名ありまして、署長及び課長の監督は徹底しないきらいがありますから、ぜひとも大宮市あたりに税務署を増設してほしいと考えておる次第であります。かように答えております。 次に杉田署長に対しまして、徴收係、ことに雇いの身分で税の減免に参画できるような権限を持つていることを印象づけておくのは、これは署長の日常の訓練に遺憾があると思うがどうかと質問いたしましたところ、その点は常に嚴重に申し渡してあるが、納税者の誘惑の手の方が強くて、結局は御指摘のようなことになつたわけで、はなはだ遺憾に思うとの意見がありました。さらに東京新聞が誇大に浦和税務署事件と報道しているように思うが、何か税務署と東京新聞との間に感情の行き違いでもあるのではないかと質問いたしましたところ、さような事実はないと思うのみならず、税の二重取立てが五百万円というような記事が出ておるが、これはまつたく根拠なきことであるから、新聞社に対しまして取消しもしくはその他適当な方法を講じてもらうように、ただいま要求しておるとの答えでありました。 この程度でちようど十二時半ごろになりましたが、一應午前は終りまして、午後一時からさらに調査を続行しまして、税務署長の説明の中で、不正事実についていろいろと調査いたしたわけであります。その中でも、税務署長の説明のありました起訴状に掲げられておりますほかに、金額では一番多いと報道されております浦和市仲町五の二百六十三青物商石井竹次郎、この方から吉岡等が七万八千円の金を受取つたというようなことが傳わつておりましたので、われわれ委員会が現地に派遣されて参りましても、ただちにこれらの人たちを委員会の権限において招集することは、これは行き過ぎでできないことでありまするから、いろいろ勘案いたしましても、もしかような嫌疑を受けあるいはかような被害をこうむつたと思われる方々で、自分から進んで來てわれわれに訴えたいという希望者があるならば、來ていただいてもよろしい。かような方法で、決してむりを言つたり、呼出したりする意味ではない。かようにくれぐれも申しまして、われわれ委員会に随行してくれました專門委員会に所属しております田中君に、特に使者に行つてもらいまして、この石井竹次郎という人と、もう一人常盤町一の九十自轉車業鈴木政吉、この二人の方にこのことを傳えましたところ、石井竹次郎さんは東京へおいでになりましてお留守だそうで來られない。結局鈴木政吉さんがやつて参りまして、この場合には税務署長及び課長、とにかく税務署に関係のある方はその部屋から御退散を願いまして、その際鈴木政吉さんに対しまして、ここであなたのお答えしていただきますことは、これがためにあなたに迷惑がかかつたり、いわば税金が余分になつたり、あるいは税務署から恨まれたり、いろいろな心配せられる向きは毛頭ないと思うから、事実をお話願いたい。もつとももしお話することが自分の氣持としていやならば、絶対に默つておいていただく権利も、もちろんお持ちのことであるから、その点はくれぐれも申し上げる。かように申し上げましてお答えを願いましたところが、状況を話されたのであります。その状況は、吉岡が参りまして、一万五千円の自轉車を一台賣つてくれろということで、その一万五千円のうち五千円は、この吉岡のいとこに当る人間が持つて來て置いて行つた。一万円は貸しになつておる。そしてそのうちにそのいとこに当る者が來て、一万五千円の金を持つて來るから、五千円は返してくれということで、持つて行つておる。結局一万五千円の金がそのままの状態になつておりますのみならず、その後において、いろいろと心配するので金がいる。ことに今度は、役所の上役のお祝いをしなければならないので金がいるからと言つて、その後に千円の金を持つて行きました。税の関係はどうなつておるかと言うと、二十六万円の仮更正決定を受けたが、それが二十三万円に減りました。それでは、こういうことによつて頼んだから減つたと思うかと聞きましたところが、そうではないと思う。われわれの組合の輪業組合におきまして團体交渉をいたしまして、それぞれ交渉の結果税が減つたものだと思います。かようなことでありました。それからその方は大体終えまして、今度その席におりました一般の納税者で、もし希望意見があつたならばお伺いをいたしたいとかように申しましたところ、二、三の発言者がありました。いろいろ御意見もありましたが、その要点を申し上げますと、当浦和地区におきましては、各業者がいわゆる團体交渉ということに重きを置いて、各その組合員なり團体員から割当的に費用をとつて、それをもちまして税務署あるいはその他の関係の方面に贈つたり、使つたりしておるのであつて、その連中がうまいことをしておるのである。團体折衝というものは下に非常につらいものであつて、上には軽いもので、そして費用は同じようにとられる。ここに惡いことがあるのではないかというような、要約すれば答えでありました。團体交渉の問題は、税法の上においても、いわゆる諮問機関として事業者の組織する團体を利用することは、所得税法六十四條かで許されておるわけでありますが、これが税の最終的決定の機関のように利用いたしますことは、嚴に戒められておることであつて、しかもこういう一般の参考に呼びました者の意見が、さようなことを表明しておる場合においては、浦和税務署の全般の内容について一應の調査もしなければ、はつきりしたことも言えないではないか。またこれをある程度認容しておつたような形が、もし監督者の立場にありましたならば、これは大いに是正しなければならない問題である。かように考えましたが、ちようど時間が午後四時となりまして、その後調査する時間もありません。こちらへももどらなければならぬという関係で、ひとまずその程度で打切つて参つたのが現在までの実情であります。 要するに、その後また今度は直税課員の、所得税を直接担当しておられます方々が二人、それからすでに堺税務署あたりに轉任しました方が一人、三人また檢挙せられまして調べられております。その罪状も、ほのかに聞きますと、ただいまの團体交渉をやりましたような裏づけをするような事実もあるのでありますが、これが犯罪になるかどうかという問題は、あげてこれは檢察廳、いわゆる司直の手におまかせいたしまして、われわれはあくまでも税務行政の面、また國の最高機関といたしましての國会の任務に照し、行政府を監督いたします権限のもとにおきまして、なお残されました日時を利用いたしまして調査いたし、いやしくもかような不正が再発しないような方法を、講じたいと考えておる次第であります。はなはだまとまつておりませんが、以上が一日間参りまして取調べました概要でございます。その他足りないところは、また委員各位のお尋ねによりまして、補足してお答えすることにいたします。以上御報告申し上げます。
○塚田委員 ただいま宮幡委員から詳細に御報告を願つて、皆樣方のお骨折りを多とするのでありますが、ただいまの御報告の中で、私どもが伺つておつて非常に不安に感ずるのは、何かまだ浦和税務署に表面に出ないたくさんの事実があるような印象を、調査された方々がお持ちになつているような御報告であります。これはもし事実であるとすれば、非常に重大な問題であると同時に、私たちとして非常に氣をつけなければならぬのは、そういうことが單なる一般的な風評その他感じで、そういう氣持を抱かれることによつて、非常な困難なる第一線の徴税業務を、しかもこの困難な時期に非常に弱い機構で果しておられる第一線の人たちに、非常な心理的におもわしからざる影響を與えるということも、あわせて考えておかなければならぬ。そこでもしそういう事実があるとすれば、これは徹底的に調べる必要もあるでありましようが、それと同時に、調べることは調べて早く委員会としても是非の結論を出しまして、惡いものは惡かつた、人間として惡い者はこれは人間として惡かつた。それと同時に機構として惡かつたためにそういう結果を起したものは、機構としてこういう点に是正する点があるというように、早急に結論を出しまして、早くおちついていただくということでないと、年度末に來て徴收事務が非常に輻湊しております今日の段階として、適当でないのではないか、こういうように考えるわけであります。そこで重ねて宮幡委員にお尋ねしたいのですが、御調査によれば、今すでに司直の手にかかつておるものが数人あるということは、私たち非公式に承知しておるのでありますが、その他に非常に疑惑になる点があつたのかどうか、その点をもう一度承りたい。
○宮幡委員 お答えいたします。塚田委員のお説ごもつともで、われわれも税務行政の一端を知つておりますものといたしまして、直接にお答えをする前に、それに付随する参考のことを申し上げて、塚田委員の御質問にお答えしたいと思いますが、浦和税務署の中を人員の点で見ますと、全体で百九十九人いることは先刻申し上げましたが、総務課を見ますと、総務課というのは、國税徴收の事務と、庶務をやるところでありますが、この総務課には事務官が二十八人、雇いが四十八人、用人が十二人、それから直税課の方には事務官が三十六人、雇いが四十五人、間税課は事務官が十四人で、雇いが十八人、こういうことでありまして、事務官というのは署長にかわつて税務行政を行うことができるのでありますが、雇いはその補助者であつて、これが直接第一線に立つてやるということは、税務行政において異例なことである。しかしこれも現在のように有能なる税務官がないときには、やむを得ないとしましても、総務課のように二十八人の事務官に対して四十八人の雇いでやつておる。こういう組織をあてがつておるところに明らかにむりがあることを、私どもは感ずるのであります。それから実際やつております徴收事務のやり方等を見ましても、必ずしも惡意ではない。不鍛練のためについ思わざる間違いをした者とか、それからいわゆる遊び盛りと申しましようか、終戰以來遊ぶことを本能的に考えておる二十歳、十九歳の方々の観念といたしますと、いかにも事務整理がだらしない。金をとつて來て領收書を発行する。そうして台帳に載せない。間違つて督促状をやつて、この通り領收書がもらつてあるではないかと言われると、それはもらつたと言つて、見ている前でポンと判をついた。かような事例があるのであります。これは別に金をごまかしたのでも何でもないことははつきりしておるのでありますが、そういうことが世間に傳わりますと、二重取りをするつもりで、督促状をよこしたけれども、領收書があつたから、これを持つて行つて見せたところが、うんと言つてポンと判をついた。かように傳わつている問題もありました。塚田君の仰せられる通りに、こういう空氣を一掃してやらなかつたならば、税務署というものは、現在國家の緊要なる財政需要を満たす税の徴收を全うすることはできないであろうということをおそれる。從いまして税務署長に対して、東京新聞と何か特別な感情の行き違いでもあつたのではないかと指摘いたしましたけれども、そのことについては何もないと答えておりますが、こういう報道班との間にも、日常にえきまして何か相当の摩擦のあつたことが想像される。それからことに團体交渉の中に不平を持ちます方々が相当数おりまして、事をつかまえ、いわゆる針小棒大とまでは参りませんけれども、想像推理をたくましゆういたしまして、より以上のものがあるであろうということを宣傳いたしました結果、事件そのものよりも拡大されて世上に傳わつておるものであるということは、私個人の考えとしては間違いない観察であろうと存じております。從いまして塚田君のお説のように、あくまでも惡いものは惡いとしてどんどん究明する。そうしてその事実を明らかにいたしまして、およそかような事実であつたことを納税者その他の國民大衆に発表いたしまして、疑惑なき税務行政のもとに、國民の義務であります納税を果すようなことにいたしたいと思います。どうか委員各位のお考えによりまして、われわれ参りました四人の委員が、さらに残された時日を利用いたしまして、最も有効適切にこの解決ができますようなお知惠を、お借りしたいということを申し上げまして、不完全でありますが、塚田委員のお答えにいたす次第であります。
○風早委員 大体宮幡委員から非常に詳細な、要領を得た御報告がありましたので、別に申し上げるほどのこともないのでありますが、一、二補足的につけ加えておきたいことであるのであります。そこは今塚田委員の方からも御指摘がありましたように、この調べというものは、はなはだ中途半端でありまして、われわれとしてもはなはだ意に満たない。と申しますのは、この前の調査の対象は大体署長の供述及び廣い意味での被害者関係の方々の供述というふうなものだけを、もとにしておるのでありまして、実はこの二つの供述の間にも、まつたく食い違つた矛盾があるのでありまして、そこらを明らかにしなければならない問題が残つておる。ところで他の調査の対象としましては、どうしても関係書類が必要なのであります。私どもがじかに関係書類をある程度点檢しないことには、まだ眞相はわからない。この関係書類は、目下のところ警察の方の手にありまして、まだ返つておらなかつた。署長の方から督促いたしましても、まだ必要があるからといつて、返つておらなかつたのであります。どうしてもこれを一應見ておく必要があると思う。そういう点で、まだはなはだ調査が不完全であるということを、率直に申し上げておかなければならない。でありますから、この次に参りますときには、どうしてもその書類をある程度じかに見なければならないだろうという問題が残つております。これらをつきまぜて、より眞相がわかるのではないかと考えております。 それから第二にさかのぼりますが、その署長の供述と、被害者関係の供述との間に矛盾という問題であります。これはまつたく食い違つておるのでありまして、大体署長の態度といたしましては、この際この事件はどこまでもその被疑者吉岡某の、個人的な事実の問題に帰着しておるようであります。そして事実起訴状におきましても、これはたしかに詐欺罪でありまして、そういつた罪名がつけられております。私どもは直接この犯罪構成の要件というふうなものの吟味をするつもりはない。またそういう権限も必ずしもあるとも思わないが、しかしながらそこに一つの問題がある。これはやはり詐欺罪というふうなものであるものか、それともやはりその被疑者の当然職務上の行為から出ておる一つの問題でありまして、少くも第三者に対しましては、そういう職務上の行為に対する効力について責任を持たなければならないか。そういう問題であります。こういう点で署長の態度の中にはその点をどこまでも切り離して行く。これはただ單なる雇いの行為であつて、署長としてはその意味で、あたかもその職権上の行為の責任というものは知ならいと言わんばかりの態度でありまして、これがずつと一貫しておる。そういう点で一方署長の供述とその他の供述との間の食い違いということをにらみ合せて考えてみますと、やはりこの署全体の徴税の運営そのものにつきまして、非常な問題がまだ残つておるということが察知せられるのであります。そういう意味で、もう少しつつ込んだ調査がどうしても必要であります。その結論をどこへ持つて行くか。これは先ほど塚田委員並びに宮幡委員が言われた通りでありまして、どこまでもこの徴税行政を明朗にして行く、それによつて正しい徴税の効果をあげて行くという点にあることは、言うまでもないのでありますが、その意味から申しましても、どうしてももう少しつつ込んだ調査が必要であります。われわれ調査委員といたしましては、一刻も早く第二次の調査に行かなければならないと、常に念願いたしておつたのでありますが、先ほど御報告にあつた通り、税法の改正問題が大きく出て参りまして、われわれ大藏委員会を明けて行くわけにいかないので、やむを得ず今日に至つたのであります。これは一刻も早くその機会を得まして、第二次の調査に行かなければならないと考えております。なおそのときに私は特に宮幡委員の了解を得まして、労働組合の幹部を招いて供述を得たのであります。それによりますと、労働組合は非常に不活発であつた。その活動を日常ほとんどやつておらない。また全國財務労働組合から脱退しておるという事実も知り得たのであります。このこともまたこの署長全体のやり方というものと、大きな関係があるものとわれわれはにらんでおります。いろいろまだ問題はあると思いますけれども、ちよつと一、二以上のことをつけ加えておきたいと思います。
○正示説明員 ただいまの事実上の問題についてお話したいと思います。浦和の税務署でかような事件が起りましたことにつきましては、私ども責任者としまして非常に遺憾に存じております。この問題はもちろん大藏委員会でお取上げになりましたことでございまして、今後の方針等は委員会でおきめになることでございますが、ただいま風早委員からお述べのことにつきまして、私の方でわかつております事実につきまして、一、二事実だけを御参考までに申し述べたいと存じます。 第一に、御承知の吉岡雇いの事件につきましては、四月十七日付の東京新聞でございますが、「五百万円の横領事件、二重徴税」というような記事が出ておりまして、私ども事態が非常に重大であるというので、驚いたわけであります。これにつきまして國会方面からも御調査をいただき、またわれわれ役所の方におきましても調査いたしましたところ、先般來の御報告のような次第でございまして、ちようど本日付の東京新聞に「七万円の横領容疑判明、浦和事件の二重徴税は誤解」という記事が出ております。これはすでに御承知かと存じますが、一應事実としてこの際御参考までに御指摘申し上げました。要するに記事が相当センターシヨナルに報道されるという事実を、御参考に供したいと思います。 なお吉岡雇いにつきましては、署長がこれは当吉岡の性格の問題であるというふうなことを、特に強調したというお話がございましたが、この点につきましては、すでに委員各位におかれましても御承知の通り、実は吉岡雇いは昨年九月に浦和税務署の雇いとして、採用いたした者でございますが、その前に埼玉縣廳に在勤いたしておつた前歴がございまして、その在勤中に不正事実がございまして、起訴の上判決を受け、執行猶予となつていた者であります。しかるにこの点につきましては役所における調査が非常に粗漏でございまして、さようなことを承知せずに採用しておつたという事実は、これまたまことに遺憾でございまして、この点につきましては、私どもとしてはこの調査粗漏の責任並びに一般的な監督上の責任を、どうしても責任者について追究いたしまして、適当な処分を講じなければならぬ、かように実は考えている次第でございます。以上ただいまのお話に関しましての事実だけを、御参考までに申し上げておきます。
○川野委員長 この問題につきましては、いろいろ御意見もあるかとも考えますが、時間も非常に遅くなりましたし、なおまた調査委員の各位におきましては、近日中さらに調査を願うことに相なつておりますので、その調査の結果を得ていろいろ檢討するということにしたらいかがかと考えますが、いかがですか。
○塚田委員 この問題につきましては、大体本日中間報告を得て、さらに政府側の一應の説明も聞きましたので、事件の外貌がやや明らかになつた今日、今後調査を進めて行かなければならないと思いますが、今後の調査の仕方その他につきましては、一應理事会にお諮り願つて、その上でどういうぐあいにしてこれをなるべく早く結論まで持つて行くかということについて、御決定を願うということを提案いたします。
○川野委員長 委員会終了後理事会に諮り、御相談申し上げることにいたします。 —————————————
○川野委員長 なお散会の前にちよつとお諮りいたします。それは証券民主化議員連盟設立に関する件でありますが、本連盟は去る三月二十六日の大藏委員会におきまして、懇談の形でその設立の件を全会一致で決定いたし、去る四月十二日発表式を挙行した次第であります。これを記録にとどめる意味におきまして、本日付で本委員会において確認いたしたいと存じますか、この点御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 御異議ないようですから、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十分散会