大蔵委員会 第4号
- 発言数
- 94 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1949/03/28
会議録
○川野委員長 ただいまより会議を開きます。 産業設備営團の業務上の損失に対する政府補償等に関する法律案を議題といたしまして、質疑を継続いたします。風早君。
○風早委員 産業設備営團の損失補償に関する法律案につきましては、今までたびたびここで質疑應答があつたわけですが、きようも政府委員の方からいろいろ説明をしてやろうというようなお話がありました。しかしわれわれとしてはこまかい数字そのものはあまり問題じやないのです。こういう法案を今通すことによつて、社会的にも、政治的にも、また経済的にも、日本の現状に照して非常な重大な影響があるということを考えますので、そういう点について大藏大臣としてどういうお考えをもつておられるか。この点について責任のある御答弁を願いたいわけです。 問題を二、三にわけて述べてみれば、第一には、産業設備営團法の第三十九條に規定している損失補償契約、その履行をするために本法案を提出するというのが政府の御意向のようであります。しかし営團法の任務というものは、同法第一條ではつきりしておるようです。これは明白に戰爭を目的としておるものである。そういう目的のために公布実施せられたこの法律は、もう終戰になつてポツダム宣言は無條件に受諾する。新しく発足した戰後の経済においては、実質上その存在の意義を失つているわけです。むしろ有害無益と判断されなければならない。こういう産業設備営團法の実体に関する部分を、そのまま閉鎖後に適用されるということが非常に問題だと思う。この問題は軍需補償打切りの大原則ということで明白だと思います。それからまた産業設備営團そのものが、二十一年十二月末に閉鎖機関に指定されておる。こういう事実によつても証明されておる。
○川野委員長 ちよつと風早君、途中で恐縮ですが、先刻御相談申し上げましたように、大藏大臣の時間が非常に短いので、質問を簡單に願います。
○風早委員 結局閉鎖機関たる営團に対して政府が損失補償をやるかどうかということは、事情が変更した現在の実情に照して、國会の承認を得て独自に判断されなければならぬと思う。ところが政府はこの法案提出にあたつて、もう立法理由を完全に失つているこの産業設備営團法を適用して、すでに契約期限の満了した後の補償をあえてしよう。こういうことが私は軍需補償打切りの根本原則に対して根本的に間違つていやしないか。こういうことは現状を無視した措置ではなかろうか。こういうふうに考えるのでありまして、この点について大藏大臣の御答弁を願いたいと思います。 それから第二に、閉鎖機関たる同営團の特殊清算事務そのものに関して、たくさん疑問があるわけであります。一口に言えば、評價基準の問題であるとか、またその補償の配分の問題であるとか、こういう点につきまして相当疑問があるのでありまして、これはすべて大藏大臣の監督のもとにある事項でありますので、その点についても大藏大臣の方で——私は今内容は省きますけれども、一應の御答弁をお願いしたいと思います。 第三には、主として今の第二の中から出て來るのでありますが、そういう間違つた措置から出て來る必然の結果として、この救済する債権者に非常な不公平がありはしないか。あるものには非常に重く補償せられ、あるものには非常に軽く補償せられる。こういうような事実がありはしないかという点であります。 最後に交付公債発行の問題でありますが、この理由書には何にもこのことについて理由は書いてない。ただ「この際」ということが書いてありますが、この際特にしなければならないこの際というのは何であるか。これが依然としてはつきりしない。大体わかつているじやないかというようなお話なんですが、これは重大問題でありまして、なぜこの際しなければならないか。今まさに経済九原則に基いて二十四年度の予算案が上程せられようとして、まだ上程せられておらないこの際に、特にこういう交付公債の発行を許すような本法案を出すということは、どういうわけであるかということであります。まだいろいろ立入つた問題もなきにしもあらずですが、とにかく時間の関係もおありになるということを考慮いたしまして、簡單にこれらの四点について大藏大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
○池田國務大臣 御質問の第一点の産業設備営團がこういうものを補償するのはどうか。こういう実質的の問題でありますが、これは先年もこの補償をいたしておりますし、また実際損失を與えておりますので、この際政府が補償することが当然であると考えております。 第二の実際いろいろな手続その他につきましては、閉鎖機関で全部適当に処理をいたしております。 第三点の交付公債で今年急いでやるのはどうかという問題でありますが、今までのいわゆるあとくされは二十三年度でつけてしまつて、來年度からは経済安定九原則によつて交付公債なんか出さない。こういう方針で行きたいために、取急いで御審議を願つておる次第でございますので、御承知の通り、石炭鉱業等に対しましても一昨日商工委員会で御審議を願つたのでありますが、そのときにも答弁いたしておきましたが、このあとくされを早くなくして、きれいな姿で立ち直りに再出発しようというのが私の念願でございます。
○風早委員 第一に、先年も補償しておるから今も補償するというようなお話は、これは理由にならないと思います。現在はまるで日本の政治経済情勢が変化しておりまして、ことに経済九原則というものに対して、もつと眞劍に政府当局としても対処していただきたいと思う。そのために、実はよけいなことでありますが、今度の予算編成の問題についても非常な困難にぶつつかつておられると思う。こういう問題を、ただ先年やつたからやはり今度もやるのだ。こういつたようなことは、これは非常な政府の責任であると私は考えます。石炭についてお話がありましたが、石炭の方については、われわれはああいう描置をすることはむろん絶対反対でありました。しかしこれは少数で否決されたのでありますが、石炭の場合にはまだ直接産業資本家が、ある程度この救済に均霑するというようなこともあるかもしれません。しかしこの産業設備営團の損失補償に関する限りは、だれも得しないのです。これはきわめて一部の、しかも名前がはつきり出ている、千代田銀行とか、三菱重工業とか、こういつたようなきわめて大きな金融機関なり、大きな独占資本家だけが救済にあずかる。そういうものは少数でありまして、いまさら何を好んでそういうことをする必要があるか。これは実際の生産をまじめにやろうとする産業資本家に何も得を與えていない。こういう点から言いましても、意味をなさない。交付公債の問題については、これはあとくされというものをこの際切るというなら、それはもうさつぱりとそういうことはやらないということが、あとくされを切るのであります。今月の三十一日までに通しさえすればよいという、そういう問題ではないと思います。やはり経済九原則が出たこの瞬間から、あの九原則による経済財政の均衡並びにインフレーシヨンの克服ということは、政府の根本の原則としておられるはずでありまして、その間に起つて來る一切の政策については、やはりその精神に從つて処置せられることが正しいと思います。そういう意味において今あとくされを断つという意味で交付公債を出されるということは、私どもとしては納得が行かない。御当局の今の御答弁に対しては、一々私はこれを納得することはできないということを申し上げておきます。
○池田國務大臣 産業設備営團の損失補償については御承知の通り從來もやつております。しこうしてまた今回提案いたしましたこの補償は、こういうことをやることを前提にいたしまして、企業再建整備もあるいは金融機関再建整備もやつておるのであります。從いましてこの交付公債によつて潤うものがどれどれとおつしやいますけれども、その余波はやはり一般預金者、一般債権者に來ておる問題であります。これは日本経済再建のために、企業再建のために、金融機関再建のために出すことを大体予定して行つておるわけでありますから、これによつて相当一般大衆に影響するのであります。 第二のあとくされを切つて行くのだ。こういう問題はぜひともそういう前提のもとにしりぬぐいをしなければならぬものを、いつまでも置いておくということはよくないから、どうせやるべきものであるから本年度にやつてしまおう。そうして來年度からは交付公債というようないやなことはやりたくないというのが、審議を急いでお願いするゆえんであります。
○川野委員長 あらかじめお約束申し上げました時間が参りましたので、大藏大臣は予算委員会の方に御出席になるそうであります。それでは参考書類等について神代説明員にお願いいたします。
○神代説明員 それではお手元にお配りいたしました資料について、簡單に御説明申し上げます。一番初めにごらんをお願いしたいのは、数字で横にたくさん書いてございます大きな紙の一番初めの見出しの産業設備営團損失補償実施状況調について、御説明申し上げます。それで上の方に昭和十六年度、十七年度、十八年度と書いてございますのは、これが補償契約をやりました年度でございまして、昭和十六年度についてはその下に書いてございます八百五十万円というのが補償契約額でございます。それでこの年度においては産業設備営團ができましてから、まだ操業が日なお浅いのでありまして、実際の損失というものは出ておりません。從つて補償もいたしておりません。十七年度に参りまして、その下に書いてございます二億五千万円というのは補償契約額でございます。その欄の一番下に書いてございますのは百三十二万九千余円、これがこの年に実行いたしました政府補償でございます。このようにして昭和二十一年度まで参りまして、補償契約の合計が一番終りの欄に二十四億五百五十二万六千円とございます。これに対しまして二十一年度までに政府が実際に補償いたしましたのは一番下の右に書いてございます十三億六百余万円、これが今までに補償いたしました各年度別の樣相でございます。 それからその次の表にお移り願いますが、産業設備営團損失補償総括表というのがございます。今回御審議をお願いいたしております十一億限度の補償に対しまして、今のところ閉鎖機関整理委員会の方から、産業設備営團の損失について出て來ておる数字がこれでございます。この数字は今後損失補償審査委員会において、さらにこまかく檢討の上で確定をいたしまして、それから実際に補償するという段取りになるわけでございますが、この数字は閉鎖機関整理委員会から一應出て参りました数字でございます。これについて御説明申し上げますと、一番上の損失補償項目、これが損失補償契約の対象になつておるものでございます。1の國家緊要産業設備の賣渡に因る損失金、これは三億三千七百余万円でございます。これを事業別にいたしますと、その次の欄の一般緊要設備関係と造船設備関係との二つにわかれますが、これはこれらの設備を前会に申し上げました特契だとかあるいは官廳に讓つたとか、あるいは競賣にしたとかいつたような関係で生じた損失でございます。前々から申し上げましたように、これは原則的には安い方で賣るということでありますので、この損が出るわけでございます。次の2の國家緊要産業設備の貸付料の減免に因る損失金、これは金額は小さいのでございますが、最初採算のとれない設備についての貸付料は免ずるという規定になつておりまして、その規定に基いての損失でございます。次の3の建設中の國家緊要産業設備に付建設請負者の責に帰すべからざる事由に因り発生したる損失金中営團の負担額、これが二億八千余万円でございますが、これは一般緊要設備と造船設備にわけまして、このおもなるものはアイオン台風とかあるいはその他の風水害、あるいは地震、それから工事を中止したとかいつたような原因に基きまして生じた損失でございます。4の所有設備の損壞に因る損失金、3が建設中のものでございますが、これは一旦営團の所有になつてから後に起つたところの前に申し上げたとほぼ同樣な原因に基く損失でございます。5の船舶、船舶用機関及艤装品の賣渡に因る損失金、これは甲船体、乙船体、甲造機、乙造機とわかれておりまして、この甲と申しますのは鉄鋼船、乙と申しますのは木造船でございます。これらから生じた損失は産業設備営團が、一般的に申しますれば建造費と、これらのものを賣つた場合の差損が、これに出て來ておるわけでございます。6の船舶、船舶用機関及艤装品の製造註文取消又は変更に因る損失補償金、これも船体と造機について途中で註文を中止したために生じた木造船、鉄鋼船に関係する損失でございます。7は製造中の船舶、船舶用機関及艤装品に付製造者の責に帰すべからざる事由に因り発生したる損失金中営團の負担金、これは乙造機についてのみでございまして、ほとんど風水害その他でございます。8の業務上取得したる債権の回收不能金額、これは一般緊要設備、造船設備、鉄鋼船、木造船、このうちのおもなものは、相手方である特契会社の切り捨てによる損失がおもなものでございます。それから九番目の未動遊休設備の買受業務に因る損失金、これはこれらの設備を稼動するために移轉したといつたようなものになす、移轉費用というものが大部分でございます。最後の前各号以外の損失にして補償の請求を為すときまでに特に軍需大臣及運輸大臣の承認を受けたる金額、これは千五百万円ほどございますが、このうちの企業設備につきましては、先ほどの遊休設備の賣却損、乙船体につきましては特殊輸送船等の改装費用、甲造機につきましては、これらの保管料とか、あるいは戰爭の保險料とかで、乙造機につきましても同樣でございます。それでこれらをトータルいたしまして、一應出て來ております損失が、十三億三千九百万円という数字であります。今後さらにこれを一層檢討いたしまして、審査会の方で決定をする予定になつております。 それからその次の表でございますが、これは産業設備営團の特殊清算概況という表をごらん願いたいと思います。これは一應閉鎖日現在からをスタートとしてつくつたものでございます。資産の部で閉鎖時の資産総額が六十五億五千六百万円、これのうち実際は普通の土地、建物、あるいは機械器具といつたようなもののほかに、在外資産一般の債権といつたようなものも入つております。それでこれらのものを換價し得るものとし得ないものとにわけまして、換價し得るものの総額が大体二十七億一千万円、内訳のところに書いてございます。 その次のbに補償を受ける損失額といたしまして、二十一年度の補償、これはすでに渡しましたものが六億三千万円、それから今回お願いしておりますのが二十二、二十三年度分で十二億六千万円、これが十一億円と、それから戰補六十條関係の一億六千万円を加え十二億六千万円、それでこの「純資産」と書きましたトータルが四十六億になりますが、これでどれだけの負債が弁済せられるかということを御説明申し上げますと、右側の負債の部をごらんいただきまして、清算費用というのが閉鎖日から今後大体一億五千万円かかる。それから一般債務の税金が五億六千六百万円、從業員請求権、銀行借入金、未拂金、これだけのトータルが三十九億八百万円、その次に閉鎖後利息といたしまして、三億五千万円、さらに今回の提案の一番重要な点であります営團債の十七億四千八百万円の一一%を計算いたしまして、一億九千二百万円というものが出ております。それでこれらのトータルが一番下に出ております四十六億、これで一般債務の全部、営團債が一一%拂えるということがおわかりになると思います。それから左の方の資産の部のCのところに、政府補償外損失十九億五千六百万円というのがございますが、これは資本金の四億円と営團債の打切られる分約十五億円というものを足せば十九億五千六百万円というのが、なお損失として出るわけでございます。 次の表を御説明申し上げます。これは産業設備営團のもつておりました工場、造船設備が、閉鎖日からどのようにして賣られて來たかという表でございます。これはごらんくださればすぐおわかりのことと存じますので、省略させていただきます。 次の表もやはり船舶造機に関係いたしまして、同じような表をつくつたわけでございます。 それから一番最後の表は、産業設備営團の一般債務の相手方を列挙したものでございます。上の方が金融機関、下の方が一般、それで千万円以下のものはまとめましてここにあげてございますので、おわかりになつていただけることと存じます。以上で説明を終りたいと思います。
○石原(登)委員 ちよつとお尋ねいたしますが、十六年から二十一年までに損失二十四億円を出して、十三億円しかまだ補償してない。だからあと残つておる十一億円出してくれというような御意見だと思うのですが、二十一年まではもちろん戰爭中でありましたので、この産業設備営團法の趣旨に基いて補償することは、当然であろうかと思つております。しかし戰爭が済んだあとにおいて、なお産業設備営團はこの法律の趣旨に基いてそういうような事業をやつておつたのであるかどうか。昭和二十一年度末には閉鎖機関として指定されたので、おそらくこの仕事は打切られたと思うのでありまするが、この十一億円の未拂金は、私にはよくわからないけれども、こういうものが生じたというのは、この設備営團のいわゆる事務が進捗しなかつたために、今日まで二年も三年半もこのままずるずるとやつて來たのか。それともこういうような法律の趣旨に從つて、いわゆるその後の特殊清算を進めて來たためにこのような事態が起つて來たのか。どちらなんですか。
○神代説明員 御説明申し上げます。閉鎖機関に指定せられましてから、産業設備営團の清算をするにあたりまして、前の契約が実行されるというようなかつこうになるものですから、原因は前にあつて、特殊清算の段階において結果が現われて來る。そういうことでございます。 それからなぜ今ごろ出て來るかという御質問でございますが、これは御承知のように終戰後産業設備営團をどういうぐあいにもつて行くかということに関しまして、いろいろ研究が進められました。その間に相当な時間がたつておる。それからさらに当時沈没したとか、戰災にあつたとかいうようなことの調査、從つてそれに基く戰禍の決定というものが非常に遅れておりますので、今になつてその結果がずつと出て來るというわけでございます。
○石原(登)委員 そうすると産業設備営團の能力と怠慢が、戰爭後三年半たつても、なおかつその結論を出し得なかつたということになりますか。少くともこれが一年とか何とか言うのだつたら、われわれも一應了承しますが、戰爭が済んでからすでに三年半になつておる。その間どれだけの厖大な事務かしらぬけれども、こんなものに今のこのこ出て來られたのでは、われわれは非常に迷惑する。営團とか政府というものは、仕事の能率が上らないということは、大体において承知しておるけれども、こんなに能率が上つておらないものは私は初めて承知した。
○川野委員長 ちよつと速記をやめてください。 〔速記中止〕
○川野委員長 速記を始めてください。
○石原(登)委員 先日からの政府の答弁で、何か高い物を安く賣るというのが主であつたというような御答弁があつたようですが、これは第一條の趣旨にかんがみてさようであつたことは了承いたしましよう。しかし少くとも終戰後いろいろな事業が産業設備営團において行われたと思うのですが、戰時中の運営と戰後の運営はまるつきり事情が違う。戰後における運営はこの法律とあるいはかわるかもわからないけれども、賣れる物は最も高く賣るべきであり、また入れるものは最も安い範囲で処理する。私はかように考えるわけなんです。それで私が知りたいのは、戰爭中の業務量、それから戰後においてあなた方が処理された、たとえば沈んだ船を非常に安く賣つたり、あるいは故障機械の見積りをどういうふうに見ておるとか、これは損失に大きな影響がある。こういうふうに考えるわけなんですが、この戰時中の業務とその後の処理業務の内容は、大体何パーセントぐらいの比率におくのでありますか。それを聞きたい。
○神代説明員 第一の御質問の、戰時中の量と戰後の量との比較については、はつきり何パーセントというぐあいに御説明申し上げかねるのでございますが、閉鎖機関に指定せられましてから以後は、いわゆる普通の事業というものはやつていないのです。すべてそういうものは停止しまして、それで財産を処分するとか、債権の取立て、債務を弁済するという、いわゆる清算の形に入つているものですから、これが生きておつて、事業をやつていて損が出たというように考えていただいては困るのです。特殊清算の段階において、前にいろいろの行きがかりから、契約とか何とかいうことによつて具体的な損が出て來る。なぜそういう損が出て來るかと申しますと、この点は御了承になつた点でございますが、元來損になりますようなものを産業設備営團がやつておつた。それで損が出る。ほとんど大部分のものは戰爭目的のためにつくられたもので、たとえば飛行機のためにつくつた工場であつて、それをそのまま今の平和産業には切りかえられない。ところがたまたま平和産業に切りかえられるものがある場合には、特契がございまして安い價格で買われてしまう。そうすると今役に立つものは、ほとんど大部分特契で安く買われる。それから競賣になるものは全部そうやつて役に立たないものが競賣になつてしまう。競賣になると、全然今は役に立たないものであります。そうすると叩かれて安くなるわけであります。それから初めあつた船が沈沒してなくなつたというものも、風水害の場合には非常にあるわけです。大体において戰前規格の設備とかあるいは船舶ですから、かりに今それが役に立つといつても、特契で安く買われる。役に立たないものが競賣に付されるとすれば、それもまたあるいはスクラツプとして安い値段で落される。そういうところに損失が出る原因があるのであります。
○石原(登)委員 私はそこで今日本はいろいろなものが足りないというような時期において、たとえば沈んでおる船でもそれを引揚げて來る。船は今非常に高くてトン当りたいへんな値段でつくられておる。今沈んでおる船を引揚げて、あなたがおつしやる通り安い値段で買つて修理すれば、もうかることはわかつておる。それでもなおかつ特契で安く賣らなくちやならない。そういうことは私は少しも合理的じやないと思う。鉄の場合でも、これはスクラツプの場合とはよほど事情は違いましようが、おつしやる通り相当叩かれるといつても限度があるのであつて、今日の物價の上昇率から考えれば、戰時中の鉄の生産者價格と今決定される價格とは大きな差異があるので、あなた方がもし公正に処分されたとすれば、むしろ利益こそ生ずれ、損失が出て來るということは、もつてのほかではないか。こういう感じがするのであります。特にそういう損失が生じたということに対して、設備営團のやり方に対して業者からつつ込まれるような原因が、何かあるのではないかとも考えるのですが、その点はどうなんですか。
○林説明員 海運総局の者でございますが、ただいまお話のございました船をもう少し高く賣つたらいいじやないかというお話でございますが、たとえば木船のごときはすでに沈んでおるようなものは、ほとんど再生の余地がない場合が多いのでございます。これらはおつしやるような高い値段ではとうてい取引できない。それからまた鋼船の場合もむろんでございましようが、具体的な場合に鋼船の沈んだものにつきましても、浮いておるものについてはもちろんでございますが、現在でも全部國家が使用いたしております関係上、船がかりに浮いたといたしましても、その船は建造当時の、戰爭中の船價なら船價を基準といたしまして、賣ろうということは考えております。その後償却の関係その他において引揚げておらないのでありますが、現在それを揚げたからといつて、もちろん賣買は思惑その他の関係もありまして、かなり高く賣れておる場合もございましようが、現実にはその船を持つても採算がとれない状態にあるのでありますから、決して沈んだ船その他を不当に安く賣つているということはないと考えております。
○石原(登)委員 私は産業設備営團で持たれていたものの財産の処分については、実はよく知らないのですが、今までいろいろなものを処分された場合、あるいは競賣の方法、これはどういう方法をとられたんですか。たとえば新聞公告だとか、あるいは特殊の者だけに競賣をするとか、その間のことを簡單でけつこうですから、伺いたいと思います。
○神代説明員 御説明申し上げます。先ほどから御説明申し上げましたように、特契のあるものについては相手方が欲すればそれに渡す。それから戰時補償の六十條関係で元の所有者あるいは元請負つた者に返すというものはそれに返します。それからその他は競賣を行います。この競賣は、このごろ新聞でも大体ごらんになれば、閉鎖機関整理委員会の競賣公告というものは、非常にたくさんあるのでございますけれども、三つくらいの新聞に競賣公告を出しまして、それで下見をさせて、それから入札ということになつて、大体の競賣する場合の標準は、勧業銀行が主として評價にあたつております。それでもし閉鎖機関整理委員会の評價の方が高ければ、いずれか高い方を最低價格にして賣るのを原則としております。それから船につきましては、この前たしかちよつと御説明申し上げたと思うのでございますが、海運総局の方で割当をきめまして、割当船主に賣却をしておる。それから器具につきましては、ほぼ同樣でございまして、これを競賣する場合は全部前に申し上げましたような方法でやつております。
○石原(登)委員 特契というのは特別契約だという意味ですか。
○神代説明員 そうでございます。
○石原(登)委員 そうしますと特別契約というのは、常にこれは産業設備営團のためにあまり不利にでき過ぎておりますが、たとえばそれは全面的に補償する。しかしその補償の対象になつたものは、その関係の者に特に一番安い値段で拂下げる。こういうようなものの考え方、契約というものは、戰時中であつてこそ初めてそういうものの考え方ができたと思うのですが、少くとも戰爭が済んだ今日、そんなばかなものの考え方というものは、一般常識から考えてみてもできないことである。そうなるとわれわれはあくまでもこの産業設備営團法、この法律をたてにとつて、そのような心持でずつと運用されて來たということについては、非常に遺憾の意を表せざるを得ないわけでありますが、これは大体どういうわけなんですか。
○神代説明員 ちよつと速記をとめていただきたいと思います。
○川野委員長 速記をやめて……。 〔速記中止〕
○川野委員長 速記を始めてください。
○石原(登)委員 そうすると営團並びに政府側は、この契約に基いてその補償をすることはできなかつた。それであくまでも契約を尊重して早急にやるのだけれども、少くとも先方側の立場の要望に立つての契約を履行する。こちらの契約は都合の惡いものは破棄することはできないというふうで、どうもわれわれはぴんと來ない面があるのです。一應御説明によつて大体ほぼ内容をつかみ得たようですから、さらに研究することにいたしまして、私の質問は一應これで保留いたします。
○風早委員 大体石原委員の御質問、それからいろいろな御意見が出ておりますが、私は非常に賛成なんです。しかしこの問題はもうほとんど水かけ論になつて來ておると思うのです。問題は、根本的に政府が特殊清算事務にあたつて、産業設備営團が実際に行われておつたころの戰前、戰時の頭をちつとも切りかえていないところにあると思うのです。だからこういう不始末が起つて來る。この帳簿價格で賣らなければならぬ。また時價がそれよりも低ければその低いところに從つて賣る。こういうふうなことは今石原委員も言われました通り、まつたく常識として受けとれない話なのでありまして、またそれだけ安い値段で賣却しようというのに、元の権者に賣戻ししようというのに、相手が受けとらないというのも、むろんいろいろ相手方に事情の変更がありますから、経済條件もかわつておりますから、当然だろうと思うのでありまして、それをいつまでも待つて賣り戻して行くというようなことをやつておつたこと自体がいけないと思う。これは早く競賣に付して、さつさと片づけてしまう。もちろんそれは今政府の説明員が言われましたような意味では、名目は損失ということになるでしようが、しかしその損失は何も國家が補償しなければならない損失ではないと思う。これは結局損失のための損失、補償のための補償というようなナンセンスになつておる。こういう点で、もしも國会がこの問題について檢討を加えるというならば、帳簿價格で賣るとか、それより時價が安ければそれで賣るとかということ自体を根本的に問題にして行つて、それをやめて、そうしてできるだけ高い値段でやれということを國会で決定するなら、異議ないと思いますが、それをそのままわれわれが踏襲して、その方針に從つてその前提でこの法案を処理するということは、どうも意味をなさないと思う。そういう点がありますから、私は政府委員の方でその根本の頭を切りかえて、説明をし直していただきたいと考えます。それからちよつと速記をやめていただきたい。
○川野委員長 速記をやめて……。 〔速記中止〕
○川野委員長 速記を始めて……。
○小山委員 説明員に伺いますが、ただいまの風早君の前提は、この二十四億の補償債務は、政府が負つていないというふうに聞えたのでありますが、そういうように了解してよいのですか。
○神代説明員 二十四億の補償契約は、すでに期限が切れたわけです。ですから実質的にはその残りの十一億の期限延長というようなことになるわけです。
○小山委員 そういたしますと、この交付公債は金融機関再建整備法、あるいは企業再建整備法によつてすでに仮計算をしておりますね。確定債権と言うか、債権を確定させるための手段としてこの交付公債をやられるわけですか。
○神代説明員 金融機関の再建整備が、一般債務については一〇〇%拂え、債務については一一%拂えという確定評價基準によつてやつているので、それを確保するためには、どうしてもこの十一億というものを出さなくちやならぬ。同時に、そういう確定評價基準をやつたときに、まだ二十四億というものがあるから、あと十一億残つているということを当然考えて、その確定評價をつくつたのです。
○小山委員 その通りやられますならば、もし現在提案されております交付公債を発行する件を議会が否認したあかつきには、再建整備法あるいは企業再建、金融機関再建整備による從來なされておつたところのすべての制度は全部やり直さなければならぬ。そういうことになるわけですね。
○神代説明員 御説の通りでございます。
○小山委員 それならば論議の余地はないのであつて、從來の再建整備の構想をすべてやり直すということでない限り、この交付公債の件は承認するよりほかないと思います。
○風早委員 今小山委員より御意見がございましたこの補償契約の期限はすでに過ぎておるのでありまして、この補償期限が過ぎたということについては、政府側にも責任があるわけです。そのことは一應明らかにしておく必要があると思います。もう一つ、今金融機関の再建整備法に從つて、大体政府はこの問題を取扱つておられるというのでありますが、金融機関再建整備法は、どこまでもこれは戰時補償特別措置法に從属するものでありまして、戰時補償特別措置法の第一條の目的とするところから生ずるいろいろな被害に対しまして、金融機関をある程度救済して行こうというのが趣旨で、根本は軍事補償の打切りにあるのです。從つて金融機関の再建整備法の第一條の目的を遂行するにあたりましては、これはその次ぎ次ぎの根本的な経済政策の方針に從つて、相当手心を加えられなければならない。今この法案について御説明がありました処置の仕方を吟味して見ますと、その手心という点につきまして、依然として軍事補償打切りの精神をまつたく否定するかのごとき処置が行われておる。ことに補償の相手方につきまして、一般債務は一〇〇%補償する。また社債については一一%。しかし一般債務の債権者は、先ほど申しましたように、巨大な金融機関、財閥系の大銀行だけでありますが、これには一〇〇%補償する。社債の方の債権者は大体地方の中小銀行がおもですが、こういうものには一一%しか補償しない。こういうところにも現われておるように、清算事務の上で非常に金融機関再建整備法が濫用せられておるということは、明らかだと思うのであります。私はそういう意味で今の小山委員の御意見には賛成しかねるわけであります。
○宮幡委員 私はきわめて簡單な事務的なお伺いですが、二十六日に配付されました資料のDに産業設備営團の債権者と暫定評價という表があります。これときよう配付されました産業設備営團一般債務一覽表の金融機関と数字が合つておらぬのですが、合つておらぬ原因はどこにありますか。
○神代説明員 それは前にお配りしたのがたしか間違えているのだと思います。きようお配りしたのが正しいのであります。
○宮幡委員 これは私どもは政党政派を超越して申し上げますが、風早委員の議論にしろ、石原委員の議論にいたしましても、産業設備営團の運営とかその他の問題が中心でありますが、かんじんなもとがこんなに狂つておるということは今後もあることでありまして、政府並びに政府委員の方でこういう間違いがありましたならば、間違つたことを初め訂正してもらわなければ、数字の基礎のないまるで砂上の楼閣で議論するような大藏委員会になつてしまう。この点特に委員長から御警告を願いたい。
○神代説明員 今後十分注意いたします。
○宮幡委員 それから最後に一つお伺いいたしたいのでありますが、産業設備営團の四億出資は政府出資だと思います。從いまして産業設備営團の損失の現われた原因や結果については、これは見方によつて風早委員の仰せられる点も十分納得ができるわけであります。また石原委員のお説もしかるべきものだと考えるわけでありますが、要は政府出資の四億がかりに全額打切りになるとしても、事が政府の出資金であります以上、最終において産業設備営團の特殊清算その他経理全般について、一應これは会計檢査院の檢査に訴えるべきものだ。かように考えられますが、その点はいかがでありますか。
○神代説明員 現行規定によりましては、最終処理が済みましたならば大藏大臣の承認を得るということになつておりますが、今度これを会計檢査院の檢査を受けさせるということに改正するように目下手続中でございます。
○宮幡委員 ただいまの政府委員の御答弁はきわめて満足するところであります。よつてもつてその処置を講ぜられることを前提として考えますならば、ただいまにおいて次の清算過程における設備営團の処分價値がどうだとか、その方法がどうかということは、少くとも決算的な処置としてこれが批判できるわけであります。事前においてこれを檢討することはただいま当らないと私は考えるのであります。こういう意味においてぜひとも会計檢査院において嚴重なる檢査をしていただきまして、風早委員その他の委員から御質問のありました疑問とするところが、十分納得できますような御処置を、特にお願いする次第であります。
○川野委員長 この際委員長からも警告を発しておきますが、ただいま宮幡君からも嚴重な御警告がありましたように、参考資料を御提出の場合には数字等にも十分御注意を願いたいと思います。なお今後法案が出る場合には、できるだけ早く参考資料を委員会に御提出あらんことも、あわせて御希望申し上げておきます。
○石原(登)委員 最後にお尋ねしておきますが、産業設備営團が一切の業務を完了して、これが消滅する時期は大体いつごろになるか。これを政府にお尋ねしておきたいと思います。
○神代説明員 この補償をいただきますれば、その後一般債務とか何とかも非常に早く行きますので、大体今の見透しでは來年の三月くらいまでには、何とかなるのじやないかと存じております。
○石原(登)委員 私は本補償を要求されたについては、一切の事務的な処置は完了されて要求されたと思つたのですが、事務的な処置をするのにあと一年もかかるというのではどうも解しかねる。そういうことを考えるならばどうしても補償をやれぬ。もつとすみやかに日本國民の負担を少しでも軽くする。こういうような用意と努力がないと、こんなでたらめなことを言つたのではだめだと思う。
○神代説明員 從來もできるだけ早くやろうという努力で、閉鎖機関整理委員会を督促いたしてやつておりますが、ただいまの御意見はわれわれも非常に関心を持つておるところでございまして、一刻も早くかたづけたいということで、今後とも努力をいたすつもりでおります。
○石原(登)委員 重ねて聞きますが、これは処理事務をやつておる最高の責任者はどなたですか。
○神代説明員 これは閉鎖機関令によりまして、閉鎖機関整理委員会というものができておりますが、閉鎖機関整理委員会の委員長の小林さんということになつております。
○川島委員 ちよつとお伺いしますが、先ほどの参考資料の中に産業設備営團の特殊清算状況というのがあり、この中に一般債務として五億六千六百万円の税金が計上されておる。そこで営團法の第七條では「産業設備営團ニハ所得税、法人税、営業税ヲ課セズ」それから第八條に行つて「不動産又ハ船舶ニ関スル権利ノ取得又ハ所有権ノ保存ニ付登記ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ登録税ノ額ハ不動産又ハ船舶ノ價格ノ千分ノ一トス」ということになつております。この税金はおそらく第八條による税の総額だと推定をいたしておるのですが、それに間違いないのですか。
○神代説明員 これの大部分はほとんど戰補税でございます。
○川島委員 おそらくこの第八條を適用しての千分の一に該当する税があるべき性質のものだ。それはここにはないのですか。
○大島説明員 この中には第八條に相当するのはほんのわずかで数百万円にも及びません。大体ここに計上してあります五億六千六百万円の内訳を大ざつぱに申し上げますと、約三億六千万円余は企業整備に関しまして、戰時補償特別措置法によりまして課税されたものでありまして、これは大体企業整備に関しまして債権債務関係を簡單にするために、銀行から借り入れておる債務を消滅して、それに相当する部分だけを銀行を経由しないで、直接間接に戰補税を納めるということになりまして、それが約三億六千万円ばかりあるのであります。あと二億円余は産業設備営團が軍に対して納入しました分に対する戰時補償請求権が打切りになりまして、その分が大体課税対象になりまして二億円余あります。あと八條関係の税金はほんのわずかであります。
○風早委員 討論に入る前に一つだけ質問を許していただきたい。それは交付公債の発行に伴いいろいろ政府支出が必要であると思いますが、その財源について御説明願いたい。
○神代説明員 この件につきましては本年度予算に組んであります。
○風早委員 本年度予算というのは二十三年度分ですか。二十四年度分ですか。
○神代説明員 二十四年度予算に組んでおります。
○風早委員 その利息だけについては二十四年度予算に組んであるわけですね。
○神代説明員 そうです。
○川野委員長 ちよつと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○川野委員長 それでは速記をとつてください。——それでは暫時休憩いたします。 午後二時三十三分休憩 ━━━━◇━━━━━ 午後二時四十一分開議
○川野委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。
○宮幡委員 ただいま議題となつておりまする産業設備営團の業務上の損失に対する政府補償等に関する法律案は、大体質問を終えたようでありまするから、この程度で質問を打切り、討論採決は明日行われんことを望みます。
○川野委員長 宮幡君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 宮幡君の動議のごとく決しました。 次に去る二十五日本委員会に付託になりました造幣局据置運轉資本の増加等に関する法律案、船員保險特別会計法の一部を改正する法律案、失業保險特別会計法の一部を改正する法律案及び財政法の一部を改正する法律案、さらに二十六日本委員会に付託に相なりました酒類配給公團法の一部を改正する法律案を一括議題といたしまして、政府の説明を求めます。 —————————————
○中野政府委員 造幣局据置運轉資本の増加等に関する法律案提出の理由を御説明申し上げます。 この法律を制定しようといたします理由の第一点は、造幣局特別会計のすえ置き運轉資本の不足を同会計資金より補足いたしまして、同会計の運営を円滑にいたそうとするものであります。 造幣局の從來のすえ置き運轉資本は、昭和十七年度末におきましては四百万円でありましたが、昭和十八年度以降漸次同会計資金から受入れまして、昭和二十年度末におきましては三千万円と相なつたのであります。しかるところ同会計の作業資産中、原材料の黄銅貨幣材料地金が物價の上昇によりまして騰貴いたしましたのと、廣島支局におきまして熔解から檢査まで一貫作業を開始いたしましたこと、並びに大阪本局及び東京支局の戰災復旧等のため、事業用器具と廳用器具の購入等の必要がありましたので、作業資産額が現在のすえ置き運轉資本額を、約二千万円超過することと相なつたのであります。かくては造幣局の事業運営上多大の支障を生ずるのでありますから、この運轉資本の不足を同会計の資金より補足いたしまして、同会計の円滑なる運営をはかろうといたそうとするものであります。 第二の理由といたしましては、同会計におきまして支拂義務の生じた経費を、翌年度に繰越す規定が同会計規則に規定されてありますが、財政法施行に伴いまして、これを同会計規則から本法に掲げようとするものであります。 以上の理由によりまして、この法律案を提出した次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことを、お願い申し上げます。 次に船員保險特別会計法の一部を改正する法律案提出の理由を御説明申し上げます。 今回改正しようといたします点は、船員保險特別会計におきましては、昭和二十二年十二月法律第二百三十六号をもちましてこの会計を設置いたしまして以來、同会計を普通保險勘定及び失業保險勘定の二勘定にわけて経理を行つて参りましたが、このように勘定を区分いたしますことは経理上非常に復雜かつ非能率でありますから、経理の能率化をはかるために、この勘定区分を廃止いたそうとするものであります。 次に船員保險法に基きますところの事務費及び失業保險給付に要します経費の國庫負担金を、一般会計から受入れました場合に、精算上過不足を生ずる場合がありますが、現行法令では年度経過後におきましてはこの処置ができかねるのでありまして、この場合には一般会計に返納せず、翌年度分の國庫負担金に充当する等の道を開こうといたしたいのであります。 以上の理由によりまして、この法律案を提出した次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことを御願い申し上げます。 次に失業保險特別会計法の一部を改正する法律案提出の理由を御説明申し上げます。 今回改正しようといたします点は失業保險特別会計におきまして、失業保險法に基きますところの事務費及び失業保險給付に要します経費の國庫負担金を、一般会計から受入れました場合に、精算上過不足が生ずる場合がありますが、現行法令では年度経過後におきましては、この処置ができかねるのでありまして、この場合には一般会計に返納せず、翌年度分の國庫負担金に充当する等の道を開こうといたしたいのであります。 以上の理由によりまして、この法律案を提出した次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことを希望いたします。 この次は財政法の一部を改正する法律案の提出の理由を御説明申し上げます。さきに日本國憲法の制定施行に伴いまして、新たに財政法を制定し、財政処理の基本的な原則を規定いたしましたが、施行二箇年の経過にかんがみまして、若干の部分について改正をいたしたいと存じておつたのであります。今回改正しようといたします点の第一は目的別予算、すなわち甲一号の廃止に関してであります。從來歳入歳出予算は目的別予算甲一号と組織別予算甲二号からなつておるのであります。この形式はあたかも予算が二種類あるかのように見え、かえつて予算の理解を困難ならしめるきらいがありましたので、これを組織別予算、すなわち從來の甲二号のみとすることとし、目的別予算すなわち從來の甲一号は、これを廃止しようとするものでありまして、これにより予算の執行上における政府各機関の責任を、明確にすることができるものと考えられるのであります。しかし目的別予算は、予算としてはこれを廃止いたしましても、歳入歳出予算の総計表として予算に添付されます関係上、國会の御審議の上には、実質上の変更はないものと考えられるのであります。 第二は予算の流用等に関する規定を改正いたしまして、予算使用の効率化をはかるとともに、他面流用のみだりに流れるのを防止し、もつて予算執行の適正を期することといたしたい点であります。すなわち歳出予算は、原則として予算の定める各部局等の経費の金額、または部局等内の各項の経費の金額の移用は、これを禁止するところでありまするが、予算執行上の必要に基き、その効率的使用をはかるため、あらかじめ予算をもつて國会の議決を経た場合に限り、各部局等の間または各項の間において、彼比移用することをもできる道を開くとともに、他面、目または大藏大臣の指定する節相互の間の流用に関しましては、すべて大藏大臣の承認を要することとし、從來とかくみだりに流れがちでありました流用の適正を期することとし、これらに必要な規定の統一簡素化を行おうとするものであります。 第三は支出負担行為の用語の改正についてであります。從來、國の支出の原因となる契約その他の行為は、これを「契約等」という用語をもつて表現して参りましたが、別途会計法の一部を改正して、これに適切な統制を加える必要が生じて参りますのに関連し、一般の契約とまぎらわしい用語を避けまして、この際実体を表現した「支出負担行為」にこれを改めようとするものであります。 第四に目節の区分を付さないでも予算の配付ができる例外規定を設けることについてであります。予算が成立いたしましたときは、内閣は、國会の議決したところに從い、各省各廳の長に対し、歳入歳出予算を配付することになりますが、この場合歳出にあつては、項を目及び節に区分しなければならないこととなつております。しかし終戰処理経費、賠償施設関係経費その他公共事業費等の特定経費につきましては、配付のときまでに目及び節の区分を明らかにすることができないものがありますので、これらの経費につきましては、当分の間、予算執行のときまでに、目または節の区分をすることができる例外を認めようとするものであります。 以上の諸点のほか、國庫債務負担行為の予備費とも称すべき災害復旧、その他緊急の必要がある場合の債務負担行為についても、大藏大臣がこれを管理するものであることを、今回の改正を機会に明定しようとするものであります。 以上の理由によりまして、この法律案を提出した次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことを希望いたします。 その次は酒類配給公團の一部を改正する法律案の提案理由について、御説明申し上げます。 御承知のように酒類配給公團は、昨年三月一日酒類配給公團法により設立され、由來一箇年余関係官廳の指導と公團役職員の努力とによりまして、着々その成績を上げて参つたのでありますが、わが國現在における経済諸情勢及び行政整理の問題とも関連して、公團方式による配給統制について目下檢討を進めている次第であります。そこでさしあたつての問題といたしまして、酒類配給公團法の有効期間を三箇月間延長するということであります。酒類配給公團法は、他の配給公團法と同樣に、本年四月一日をもつてその効力を失うことが、附則第二條に規定されております。公團法の改正につきましては、過去の運営の実績にかんがみ、公團組織の問題、取扱い品目の問題、独立採算制の問題等種々問題があるのでありますが、本公團におきましては、その本來の目的である酒類の適正円滑な配給のほかに、酒税の確保という面で相当な機能を発揮し、國家財政に大いに寄與して來たのであります。從いまして公團を廃止するといたしましても、その受入れ能勢を整備するということは、徴税確保の見地からもゆるがせにできない問題でありまして、その準備には少くとも三箇月を要する見込みであります。これが酒類配給公團法の有効期間を、さしあたり三箇月間延長しようとする理由であります。 以上はなはだ簡單でありますが、酒類配給公團法を改正する法律案の提案理由の説明を終ります。何とぞすみやかに御審議の上可決されんことを希望いたします。
○川野委員長 それでは引続き質疑に入りたいと存じます。まず造幣局据置運轉資本の増加等に関する法律案、船員保險特別会計法の一部を改正する法律案、及び失業保險特別会計法の一部を改正する法律案に対する質疑より始めていただきます。
○河田委員 造幣局の運轉資本の増加について、昨年二十三年度は約一千万円、それから二十四年度において一千万円を、造幣局資本から繰入れるということになつております。ところがその説明の方では、作業資産額が現在の据置運轉資本額を約二千万円超過することになつておる。そういうふうに説明されたのです。ところが明年度において一千万円ということは、これからの物價を予想されておるのか。この点を一つ。それから船員保險の特別会計法の問題でありまするが、これを普通保險と失業保險を一つの勘定にする、こういう御説明なのでありますが、失業保險が一緒になつた場合に、失業保險の項目なんか全然わからないことになるが、その点を一つ。それから失業保險特別会計法については、現在それが施行されてから間もないのでありますが、大体どれくらいの不足ないし過剩が今日までできておるか。この点をお聞きしたい。
○阪田説明員 お答え申し上げます。造幣局のすえ置き運轉資本の増加につきましては、二千万円増加を要する状態に現在相なつておる次第でありますが、ただ本年度の決算をきめる上におきまして、本年度としては一千万円繰入れておけば年度を越すことができる。残りは明年度繰入れればよろしいという計算から両年度にわけておる。こういうことにいたしたわけであります。それから船員保險特別会計法の御質問でありまするが、これにつきましては、今回この両勘定を一緒にいたしまして経理しようということ、これは要するにこの会計の事務を執行する上の便宜をはかろう。こういうことが重点になつておりまして、両勘定にわかれておりますので、いわゆる勘定の收支を実行して行く上において、帳簿を二つつくらなければならない。いろいろめんどうな問題がありますので、それを簡素化しようというのが重点であります。從いまして改正の勘定としては統一いたしますが、その内部におきまして普通保險に属する保險がどういうふうな保險計算になつておるか、失業保險の分はどういうふうな保險の計算になつておるかということが、はつきりわかるように整理いたすことになつております。それから失業保險特別会計の関係のことでありますが、ただいまはつきりした的確な数字を持つて参りませんですが、大体において失業保險特別会計に対しては、昭和二十二年度におきまして約二十一億円を一般会計から繰入れ超過になつておる。相当給付のあるものと予想して繰入をいたしましたが、実際はそれほどなかつたということで、二十一億ばかり一般会計から繰入れ超過になつておるというように御理解願いたい。なおついででありまするが、船員保險の方の失業勘定につきましても、同樣わずかの金額でありますが、繰入れ超過の実情に相なつております。
○川島委員 会計の方ですから、詳しいことはわからないと思いますが、わかつておるならば御説明を願い、わかりませんければ、明日でも御報告を願いたいと思いますが、最も最近における失業者の数、その失業者といたしましては、潜在、顯在等の区別がありましようが、その区別の推定計数が出ておればその計数、それから最近における職業安定局を通じての労務の需給関係の事情、これがわかればそれを御説明願いたい。 それから二十三年度における失業保險の特別会計は一般会計から繰入れたものの二十一億が超過してしまつた。その二十三年当初予算をつくりました当時の失業者の見込み数、失業保險を要する人、それが実際においてどの程度に使われたかという事柄を一つ御説明願いたい。
○阪田説明員 その点につきましては、ただいま資料を持つておりませんので、最初の問題につきましては労働省の方の委員から説明申し上げた方が適切かと思います。会計の問題につきましては、取調べて後刻御報告いたします。
○川島委員 今わからぬですか。
○阪田説明員 はい。
○川野委員長 ほかに質疑はございませんか。
○河田委員 失業保險につきましてお尋ねいたしますが、今日までに二十一億の繰入れ超過があつたということであります。今後こういう問題は、この法案によりますと、どんどんとあとから繰入れができることになつておりますが、こういうことに対して失業者がどれだけ発生するとか、あるいはどれくらい失業者の保險費がいるということは、大体一般の政務としてわかるはずなんですが、これに対してどうしてもこういうことをしなければならぬということを、もう少しはつきり説明願いたい。
○阪田説明員 御質問の点は、まことにごもつともなところでありますが、一般会計から特別会計に対して繰入れます技術的の方法として、どうしてもこういうようなことがある程度起つて参るわけであります。結局たとえば例をとつて申しますと、失業保險特別会計の方で決算を締めて完了してしまわないと、一般会計からどの程度繰入れてもらわなければならないかという的確な金額は、判明いたさないわけであります。ところが、そのときにおきましては、失業保險特別会計を締めてから、一般会計から繰入れるということはできないわけでありまして、各特別会計、一般会計は同じ時期に出納閉鎖が行われますので、どうしても一方が確実に判明するのを待つて、一方が入れるという手続をとりかねるわけであります。從つて決算締切前にある程度の見込みを立てて、一般会計から失業保險特別会計に繰入れておくということにせざるを得ないわけであります。これが会計の技術上の手続としまして、決算締切後のその会計の剩余金処分ともいうべき処分によりまして、入れるような場合でありますと、決算額でやることができるわけであります。両会計とも同時に決算締切前にやらなければならないというところから、どうしてもある程度こういうことができるわけであります。
○宮幡委員 ただいま議題になつております造幣局据置運轉資本の増加等に関する法律案、船員保險特別会計法の一部を改正する法律案並びに失業保險特別会計法の一部を改正する法律案は、きわめて事務的のものでありまして、質疑の通告者もないようであります。この際質疑を打切られ、討論を省略し、ただちに採決せられんことを望みます。
○河田委員 異議があります。討論をやつてもらいたい。
○川野委員長 それではこれより討論に入ります。河田賢治君。
○河田委員 造幣局の運轉資本についてはすでに約二千億を超過したというようなことの説明がありました。会計規則からいえばこういうことは合法的にできるとしましても、しかし昨年あたりは國会は常に開かれておりまして、予算を組み、決算をやつて行くこともできるのでありまして、こういうようにして來ました後になつてから、足らぬからこれは他の方から出して來るというやり方は、これは非常に無責任なやり方だと思う。こういうことが通常行われることは、われわれとして反対せざるを得ない。この件についてもこういう理由から反対するわけであります。それから船員保險特別会計法、あるいは失業保險特別会計法、これらを一括しまして、大体特に失業者の発生の予想ということは、今日ほとんど計画経済的にこれが統制の下にやられておるので、大体失業者がどれだけ出るかはわかる。また國家からどれくらい失業保險費を出さなければならぬかということはわかる。また特に今後九原則の実施にあたつて、失業問題は大きな問題になつて來ると思う。もちろんここに提案されましたのは單なる会計法規の問題でありますが、こういう問題は実はわれわれとしては大きな関心を持たなければならぬ。今日失業救済を政府はやつて行くと申します。從つてこれに備えてこういうふうな失業保險の特別会計法の改正が出されたと思いますが、これまで会計などが出されましても、使つてしまつてからこれだけ足らぬ、あるいは何とかというふうにして、いつもしりぬぐいをさせられる傾向があるわけであります。この点から、こういうふうにやれば結局どんどんどんどんと一般会計から繰入れる腹をもつて、十分予算も組まずに、最初は予算はわずかばかり上げて置いて、使つてしまつてからこれが足らぬ、あれが足らぬというて追加して來る。こういうふうに都合のいい会計法規の改正によつて、これが濫用されるおそれがある。從つて私たちはこの法案に対して反対の意を表するものであります。
○川島委員 私は造幣局の運轉資本増加に関する法律案を除いて、ただいまの失業保險特別会計法及び船員保險特別会計法の一部を改正する法律案、この二件に対しましては、ただいま共産党側からの討論者が述べられました趣旨と大体同樣の意味において、反対の意を表明するものであります。
○宮幡委員 ただいま討論中の三法案に対しまして、民主自由党を代表いたしまして、原案に賛成の意を表するのであります。
○川野委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決に入ります。それでは造幣局据置運轉資本の増加に関する法律案について採決いたします。原案に賛成の諸君の起立をお願いいたします。 〔賛成者起立〕
○川野委員長 起立多数。 続いて船員保險特別会計法の一部を改正する法律案、失業保險特別会計法の一部を改正する法律案について採決いたします。原案に賛成の諸君の起立をお願いいたします。 〔賛成者起立〕
○川野委員長 起立多数。よつて各案はいずれも原案通り可決確定いたしました。 なおこの際衆議院規則第八十六條により、議決の理由を付した報告書を議長に提出しなければなりませんが、右三案に関する報告書の作成に関しては、委員長に御一任あらんことをお願いいたします。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 御異議なしと認めさよう決定いたします。 —————————————
○川野委員長 次に財政法の一部を改正する法律案を議題とし質疑に入ります。
○風早委員 財政法の一部改正の問題は、表面上は形式的の問題のようでありますけれども、これは非常に重大な意義があると思います。ついてはいろいろ参考資料を拜見いたしまして檢討を要すると思いますので、今日は審議はとりやめて、明日に延ばしていただきたいと思います。
○川野委員長 風早君にお尋ねいたしますが、参考資料は何を御要望ですか。
○風早委員 これは質問になりますが、目的別をやめるという理由がはつきりしないので、それについてなぜ組織別にしなければならないかという理由書、これをひとつ御提出いただきたいと思います。さらに款項目、特に目の流用規定を拡大するというような趣旨の改正になつておりますが、これもまたその理由を詳細に説明された資料を御提出願いたいと思います。資料としては一應そのくらいでありますが、参考資料というような、ただ文面に現わすもの以外に、特に政府委員の方から、この財政法の改正によりまして、大藏大臣の権限が非常に拡大されて來るというような点がありますので、これについて詳細な説明を願いたいのです。そうしますと、いろいろ質疑應答が起りますが、今日は時間の関係から、明日に延ばしたいと思います。
○川野委員長 それでは明日は午前十一時より時間励行で開会いたしますので、御出席をお願いいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時十七分散会