考査特別委員会 第36号
- 発言数
- 757 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1949/09/13
会議録
○鍛冶委員長 これより会議を開きます。 國電スト問題、平市をめぐる騒擾事件及び日鋼廣島製作所爭議事件について証人より証言を求めることといたします。 斎藤昇さんですね。
○斎藤(昇)証人 さようでございます。
○鍛冶委員長 あらかじめ文書をもつて御通知申し上げました通り、証人として証言を求めることに決定いたしましたからさよう御了承願います。 ただいまより証言を求めることになりますが、その前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相成つております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、弁護士、弁理士、弁護人、公証人等宗教または祭祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 〔証人斎藤昇君宣誓〕
○鍛冶委員長 著名御捺印を願います。 〔証人宣誓書に署名捺印〕
○鍛冶委員長 証人は国家地方警察本部長官をいつからおやりになつておりますか。
○斎藤(昇)証人 昭和二十三年三月七日からでございます。
○鍛冶委員長 六月以後起りました国電スト事件、平市を中心とする騒擾事件並びに廣島日鋼事件等において、いろいろ騒擾が起りましたことについて、警察として、まあ俗に言つて遺憾の点は認められるところはございませんでしたか。
○斎藤(昇)証人 この事件を警察がいかに思うかということでありますか。その辺の意味がちよつとわかりかねますが……。 〔連絡及び協力に関してだ」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長 それはわけて聞こうと思うが、こうもすればこういうことに、事はならなかつたろうという、その処置になりますが、そういうことを……。
○斎藤(昇)証人 警察の措置といたしましては、私の見ておりまする点、感じておりまする点から申しますと、全体として大体においてはさしたる遺憾の点はなかつた、かように申し上げてよかろうと思います。
○鍛冶委員長 もつと具体的に……。
○斎藤(昇)証人 詳細に申し上げますると、今後ああいつた事件にかんがみて、こういう点はこういうようにあつた方がよかつたであろうというような点はないとは申せません。しかしこれはいつのときでありましても、もちろん完全ということは期せられぬのでありまして、その事件、その事件について、いろいろ教訓を得て行くというのが実際の姿であろうと考えております。
○鍛冶委員長 ところがこれらの事件は、主として最初は自治体警察の管下でやられたようであります。そして地方警察へ協力を求めておられるようですが、その点に関して協力を求めるために時間がかかるとか、それから連絡がうまく行かぬために、もつと早く片づくべきものが片づかなかつたとか、大きくならぬで済むものが大きくなつたという、そんなようなことはお認めになりませんでしたか。
○斎藤(昇)証人 協力を求められた國警側から見ました際に、事前からもう少し情報がよくわかつておればよかつたというような点はなかつたとは言えません。従いまして自治体警察と國警とのそういつた情報の連絡というよう事な点については、今後もつと考えて行かなければならぬ点があるだろうと考えます。しかしながら今日の警察制度から考えまして自治体署の立つている立場、あるいはその警察の力、また自治体署はみずからその自治体の内部の事柄についておのずから見解がきめられるわけでありますから、これが廣い明野に立つて全國的に、あるいは全縣的にどういう関係を持つものであるかという考え方からある事件を見る、措置をするという点については、これはおのずから制限をされて來る、かように考えるのであります。國警といたしましては應援を要請されるであろうというような事件が起らんとするかどうかというようなことについては、國警自身みずからもやはりそういうことについて自治体の区域内においてももつと関心を持つべきである、かように感じておる次第であります。
○鍛冶委員長 これは自治体で起りますと國警の方はむしろ協力するということになるのです。ところが実際は、やつておる事実を見ますと、むしろ国警の方からの力がよほど多かつたように思いますが、こういうことに対して自治体と二つにわかれておるというところに非常な不便または不都合というような点は認められませんか。
○斎藤(昇)証人 警察の機能そのものについて考えますれば、一つであつた方が能率がよろしいということは当然であろうと思います。しかしながらこういう制度につきましては、いろいろ の観点から考えなければならぬ問題があろうと思つております。そういう廣い視野から考えて、どういう制度がよろしいかということは、廣く國会等において御研究を願いたいと思います。警察の行動、警察機能という点のみから申しますれば、ただいまの委員長の御意見の通り私も考えます。
○鍛冶委員長 まあそういう制度を改めるという根本問題は國会にまかせるといたしましても、さしあたつてこれに対して今後こうすればいいというような何か具体的の改良案とでも申しますか、そういうことは立てておりますか。
○斎藤(昇)証人 私の方ではそういつた見地からいろいろなことを研究いたしております。
○鍛冶委員長 今発表する限りではありませんか。大体こういうようなことというふうに……。
○斎藤(昇)証人 ただいまの段階では、お許しを願えるならば発表は差控えさせていただきたいと思います。
○鍛冶委員長 それでは運用上について考慮しておる点はあるけれども、発表をする時期でない、こう承つてよろしゆうございますか。
○斎藤(昇)証人 はい。
○鍛冶委員長 今申しました地方警察と自治体との連絡について不十分な点があるとすれば、一つであればいいのだが、さらにこれらに関して政府というものがあるのですから、政府においてこれに対する連絡もしくは指導に当つた方がいいのではないかとわれわれは考えるのですが、この点に関してはどうお思いになります事か。
○斎藤(昇)証人 國警と自治体警察との間を政府が指導するということですか。
○鍛冶委員長 連絡その他について……。
○斎藤(昇)証人 國警と自治体警察との連絡あるいは警察と政府との連絡ですか。
○鍛冶委員長 その両方になります。
○斎藤(昇)証人 私は政府と警察との連絡と申しますか、これは事実上必要な事柄はお互いに連絡し合わねばならないと思います。自治体警察と國警との間もまた同様に存じます。
○鍛冶委員長 両方の上に立つて指導するというようなことは、実際にはどうですか。
○斎藤(昇)証人 自治体警察と国家地方警察とを政府が別個にそれぞれ連絡し合う、これは事柄にもよりましようが、普通の警察の運用、実行面におきましては、私は国家地方警察と自治体警察自身との連絡で足りるであろうと思います。むしろその必要はないように私は考えます。しかしながら事実上の連絡という問題、互いに自主性を持ちながら必要な場合に必要な所にそれぞれ連絡し合うということは、必要があればこれはどことどうやつてもさしつかえはないものだと思います。
○鍛冶委員長 それは運用上の問題ですね。
○斎藤(昇)証人 さようでございます。
○鍛冶委員長 それでは政府と国警との間はどういう関係に立つておりますか。たとえばあなたの方で必要があれば連絡するというだけのものか、それとも指導もしくは監督をするという意味のことは全然ないものか、またあるものかということです。
○斎藤(昇)証人 警察の運用それ自身につきましては、これは警察の側からあるいは国家公安委員会あるいは本部のわれわれが政府にわれわれの必要と思うことを申し上げる、また政府の方からも必要と思われることについてわれわれの方に連絡がある、またこういう事柄はどうなつておるか知らせろというお話があつた場合に、われわれはさしつかえない限りにおいてお話をする、またこういうようにあつてほしいという御意向があればそれはまた承る、こういう関係は私は自由自在であつてしかるべきだと考えます。
○鍛冶委員長 それは國家警察の方で必要だからやるという問題なんですか、それとも政府としては何らかの警察に対する責任及び権限等があるがゆえにそういうことをやるものですか、そのどちらですか。
○斎藤(昇)証人 國家地方警察は、その運用の面におきましては、法律上は國家公安委員会の責任になつておりますが、しかし政府の機関であることは疑いを入れません。従いまして政府と緊密に連絡をとつて行くということは、これは当然の常識であろうと考えます。
○鍛冶委員長 それから、予算はどういうことになつておりますか。
○斎藤(昇)証人 予算は、國家公安委員会は総理大臣の所轄に属しとなつておりますので、國家公安委員会及び國家地方警察本部は、内閣の総理廳に所属をしておるという法制上の形に今日はなつております。従いまして予算は警察の方から総理廳を経由して大蔵省に交渉するという形になつております。
○鍛冶委員長 そうすると、やはり要求の責任者は総理大臣ですね。
○斎藤(昇)証人 さようであります。法律上の責任者は総理大臣であります。
○鍛冶委員長 そうすれば、その予算の使途並びに予算を組むところの責任者も総理大臣であつて、國会に対する責任は総理大臣が負担しているものではないかと思うが、その点はいかがです。
○斎藤(昇)証人 予算の要求、執行につきましては、法規上はそうであろうと思います。
○鍛冶委員長 そうして見れば、その点において総理大臣として、國家警察に対してもその責任上、いかなる方法でやつておられるかという運用上のことも、常に知つておるべき責任があるものと思いますが、この点はいかがですか。
○斎藤(昇)証人 予算の面から法律論をいたしますると、予算の執行につきましては、おつしやる通りだろうと思います。
○鍛冶委員長 ところが、世上いろいろその点でうまく行かぬとか何とかいう話があるのですが、そんなようなことはございませんか。
○斎藤(昇)証人 私は、ただいまおつしやるようなことについてはないと思います。
○鍛冶委員長 次に、今申し上げました事件等にかんがみまして、さらに警察の機動力であるとか、裝備並びに科学的の機械等の必要及び改善等は認められませんですか。
○斎藤(昇)証人 現在では、不十分であるということを申し上げられると思います。
○鍛冶委員長 不十分であれば十分にしてもらわぬと國民は非常に、不安になるが、その点については何か具体案はありませんか。
○斎藤(昇)証人 これはわれわれの分野だけでなしに、行政各部門におきまして、こうあれば完全だ、ここまでありたいと願うのは私は当然だと思います。しかし國庫の状況その他によりまして制限を受けるのもまたやむを得ないと考えます。
○鍛冶委員長 いずれにいたしましても、福島縣並びに廣島等を調べてみますと、非常に地方人心に不安を與えたことはいなむことができないと思いますので、われわれとしてはこの不安を一掃するよう警察の強化をこいねがつておるのでありますが、その点は十分國民に安心の行くような対策は立つておりますでしようか。
○斎藤(昇)証人 われわれはできるだけの努力をしておると申し上げるほかないと思います。これで國民の完全なる安心を得られるということは、そういうようにありたいのでありますけれども、われわれのいろいろ考えております事柄が全部完成をしたいといたしましても、まつたく安心だ――安心の程度いかんの問題で困難なことではあろうと考えますが、警察といたしましては最善を盡したい、そのためにいろいろ方途を策しておる。かように申し上げるほかないと思います。
○鍛冶委員長 ことにこの両事件を見ますと、地域産業防衛闘争などという名前で地域において勢力を張る、しこうして警察その他官憲と対抗しても十分勝ち得るという見込がついたら、権力闘争へもつて行くという闘争が行われております。それで集團的暴行をやつておるのでありますが、これらに対しても、今後こういうことが起るということになれば国民にたいへんな不安を與えますが、これらに対しても何らかの対策はできておりますか、また考えておいででありましようか。
○斎藤(昇)証人 今までに例を見ましたような、ここでお取上げになつておられますような程度の事件、これからさらに若干大きくなる程度の事件というような事柄につきましては、私は御心配いただかなくてもよろしいかと考えております。
○鍛冶委員長 いわゆる対策はあるということですね。
○斎藤(昇)証人 さようでございます。しかしながら警察だけがいかにがんばつてみましても、国民の全体の支持がなければこれはやれないことと存じます。
○鍛冶委員長 では何かほかに……。
○塚原委員 機動力装備並びに科学化等について不備な点があるとただいま長官はおつしやつたようでありますが、今後こういう点で改善されるものはどういうものでございましようか。
○斎藤(昇)証人 一般的に申しますならば、これは國民のどなたも指摘せられますように、またただいまも御指摘になりましたように、機動力と申し上げますれば車両であります。装備と申しますと、これは非常に幅が廣いのでありますが、いろいろな、これは一々あげて申し上げるわけに参りませんけれども、今日は警察がほとんど装備というような名のつくようなものは持つておらないので、われわれは今日においても相当なものが必要であると考えております。通信もまだ完全だとは申し上げられません。
○塚原委員 国民の協力を得て警察力の完全なる運営をはかりたいという話でありますが、今いろいろの事件を見ますと、私は現地に行つて見たのは、廣島と福島をめぐる騒擾事件、これだけでありますが、そのあとの状況を見ると、警察に対して、警察はあてにならぬ、とても警察に国民の協力というようなことは全然考えられないと思うのですが、そういうことは長官のところにはあまり入つていないかもしれませんが、そういう事実がたくさんあるということをひとつはつきり覚えておいていただきたい。 なお福島をめぐる駿擾事件のうち高萩あたりの問題でありますが、これはまだ未逮捕のものが五人おりまして、山におるらしいという情報があるので、警察のものが山に上ろうとすると、二百人、三百人のものが竹槍をつくつて、サイレンを鳴らして集合して、これの捜索を阻止するというようなことが毎日行われておるような状況なんです。もちろん犯人をつかまえるどころじやない、倉皇として警察官は逃げて行かなければならぬというような、まるで無警察状態にある。 さらに、これは神山君あたりに言わせると御用組合と言うかもしれませんが、実際全然御用組合でなく、ほんとうに経済的闘争に終始して、その会社のことを考えておる第二組合が、たとえば高萩炭鉱あたりを見てもできておるのでありますが、こういつた連中は、もう生活の危機というか、いわゆる暴徒、暴行を加える一派によつてかれらはその日の生活を満足に営むことができない。食えないという生活の危機でなくて、生命の危険にさらされておるという事実がたくさんある。こういうことに対して、その山はもちろん、その周辺の町では、警察カをもつて早く何とかしてもらつて、不安を一掃してもらいたいというような希望が非常に強いのですが、逮捕令は出ておるのに、実際今日の前の犯人がまだ捕まつていないというようなことに対して、何らか社会不安を一掃するためにとられる措置はないものでございましようか。
○斎藤(昇)証人 高萩炭鉱のそういつた事柄についての話は、一時ちよつとさような傾向があつたように私は聞きました。しかしながら最近はそういう状態はございません。警察官も自由に出入しをいたしております。何らかの集團の力で個人の自由が拘束されるというようなことがありますならば、われわれといたしましては万難を排してそういつた力を排除しなければならぬと思つており、またいたしておるつもりであります。
○高木(松)委員 國警における政治的責任は、國会にだれが負うのですか。
○斎藤(昇)証人 政治的責任とおつしやいますとどういう趣旨でありますか。
○高木(松)委員 要するに国警の行動におけるところの國民に対する責任です。
○斎藤(昇)証人 法律上から申しますと、國家地方警察本部及び管区本部の事柄につきしましてはその運営についての責任は国家公安委員会が負うものだと考えております。
○高木(松)委員 どういう形で国家公安委員会が國会に責任を負うのですか。
○斎藤(昇)証人 最終の責任は国家公安委員が職務を怠つたというような事態がある場合には、総理大臣が國会の議決を経て罷免することになつております。
○高木(松)委員 最終の責任は総理大臣が國会に負うと承つてさしつかえありませんか。
○斎藤(昇)証人 最終の責任と申しますのは、公安委員会がその職務を怠つたかどうかということについての責任は総理大臣が負うわけであります。
○高木(松)委員 そこであなたにお聞きしたい。警察法の第四條に「総理大臣の所轄の下に」と書いてありますが、この所轄のもとにということを國警長官はどういうふうな解釈をされて現在行動をとりつつあるかをお話願いたい。
○斎藤(昇)証人 先ほど申しましたように、所轄のもとにということは、行政組織法上、総理大臣の所属に属しておるというように解釈をいたしております。
○高木(松)委員 所属というものの法律的内容をどう解釈されておりますか。具体的に御説明願いたい。
○斎藤(昇)証人 先ほども申しましたように、予算は総理府を通じて要求する。また予算の配付につきましても総理府を通じて大藏省に要求するというように思つております。
○高木(松)委員 予算の点は先ほど、証人から承つて大体了承したのであるが、職務に対する分に対する証人の考え方はどういうふうに考えておりますか。
○斎藤(昇)証人 職務につきましては先ほど申しますように総理大臣の法律上の指揮を受けるものではない、かように考えております。
○高木(松)委員 指揮を受けない、指揮しない者に最終的責任があると御解釈になるのですか。
○斎藤(昇)証人 そういう意味におきまして最終的な責任と私は申し上げたのではありません。総理大臣の責任は公安委員が職務を怠つているかいないかという責任しか現在の法律ではないのであります。
○神山委員 今の高木委員の質問の点をはつきりさせるために国務長官にお尋ねしますが、一九四七年九月十六日にマ元帥の片山総理あての書簡は、もちろん國警長官は御存じだと思います。これが基本的な精神になつて警察法が制定されておりますが、その中に今高木委員の質問された点に関連してこういうことが述べられている。「中央集権的に統制された國家警察網が再び形をかえて現出することを防止するために、國家地方警察と地方警察との間には何らの指揮命令関係を設くべきでない、しかし全般の能率向上のためおよび相互の援助、連絡並に調整を便ならしめるために、技術的な連絡関係はもちろん許さるべきである。」とありますが、高木委員の質問にも全面的にここでは答えておりませんし、先ほど鍛冶委員長のあなたに対する質問の中に、最近の諸事件を取扱う場合に地方自治警察よりも國警の方が大きな役割をやつているという質問がされておるのでありますが、こういうことは今私が読んだマッカーサー元帥の指令の精神とどういうふうになるかを聞きたい。
○斎藤(昇)証人 今次の警察の運営、ことに國警と自治体警察の関係におきましては、今読上げられましたマッカーサー元帥の書簡にごうも反しておらぬと考えております。われわれは自治体警察を毛頭指示、命令はいたしておりません。その点ははつきり申し上げます。
○神山委員 そのことは長官の今の証言ばかりではなくて、他の地方自治体の警察署長の証言とも形式的には一致しているわけです。しかし内容そのものは実際に國警が大きな役割をやつているということが指摘されるのではないか。
○斎藤(昇)証人 たとえば今あげられましたような事件につきましても、國警が應援の要求を受けました場合には、その應援は應援要求をした自治体警察の公安委員会の所轄のもとで、應援を受けた國警が責任をもつてやるわけであります。從つて場合によりますとそこには國警から應援に行つた者が、自治体署員を指揮してやる場合があります。これは現在の法律で認められております。それはその自治体の公安委員会がそういうような処理の仕方をしてほしいということであればそれができるのであります。また自治体警察の公安委員会が、その自治体警察長の指揮下で應援してもらいたいといえばその指揮下に入つて應援をいたします。これは應援の仕方の方法であります。
○神山委員 その点はそれくらいでよいでしよう。 その次に本年の九月二日に出されましたマツカーサー元帥の声明書の中で、現在の警察制度に関する点に触れられた点がある。この点ももちろんあなたは御承知だと思いますが、参考になる点をひとつ読んであなたの御見解を承りたい。「警察力の行使を地方に分散するという法律上の原則に基いて有効な警察制度を確立する仕事も実質的な進歩を遂げた。この権力はいかなる支配的な党派の手にあるのでもなく、國民の手に握られたものであり」云々、こう言われておる。 それで現在の警察制度の改革について、先ほど塚原委員や鍛冶委員長からもいろいろ意見を求められましたが、当然いろいろな改革を考えられるでありましようが、それにしても現在の機構と人員を持つた警察制度では、あたりまえの法律や秩序で治安を維持することができないということはあり得ない、こう言われておるのですが、この事実は御承知でしようね。
○斎藤(昇)証人 よく承知しております。
○神山委員 まことにけつこうです。今度はヴオーリーズ陸軍次官のこの問題に関連する言明がありますが、これは誤解のないように朝日新聞の九月十一日であるということを申し上げておきます。「マ元帥の考えでは現行警察制度の組織、訓練、装備は大いに改善されたとのことである。またマ元帥はこの警察制度の改善に満足しているようで、しかもどんな國内的な秩序の混乱に対しても占領軍の精神的支持を得て現在の警察力で十分にこれを処理できると確信しているようだつた。」こういうふうにヴオーリーズ氏は言つておるのですが、これも御承知ですか。
○斎藤(昇)証人 これは新聞で見ましたが、事実かどうかは確かめておりません。
○神山委員 そこで今までの質問で大体明らかになつたのでありますが、昨日樋貝国務大臣がここに来て、現在の治安については、われわれの方で安心してもらつてよろしいというふうに言われた、あなたも今日ここでそういうことを言われておるわけですが、特にお聞きしたいのは、八月十一日に國警各管区本部長の会議があつたでしようか。
○斎藤(昇)証人 ありました。
○神山委員 そこで仙台の奥田管区本部長がどういう見解であつたかをあなた方の職務上の秘密に関しない、すでに公表されている限りでけつこうですから一應承つておきたい。
○斎藤(昇)証人 管区本部長の見解も、われわれの見解も何らかわつたところはございません。
○神山委員 またあなたは齋藤国警本部長官の言として、これは八月十八日付の毎日新聞でありますが、一般の情勢から見て、一部に傳えられる暴動や暴力革命などの起ることは全く考えられない」、こういうことを言われておりますが、言葉の表現や、またどういう形式で発表されたかは別としまして、大体こういうふうに判断していらつしやいますか。
○斎藤(昇)証人 大体さようであります。今ただちに暴力革命が起つて、日本の國が轉覆することは、私は今すぐには起こらないと思います。
○神山委員 さらにこういうことも言われている。「しかし官廳、会社の整理から来るその後の動きが経済状況に伴いどう進展するかはいろいろ問題が生ずると思う、」この点はいかがですか。
○斎藤(昇)証人 私の関心を持つているところであります。
○神山委員 こういうふうな條件がもしあるとしますと、あなたの重大な関心を拂わなければならないような状況がもし進むとしますと、あなたが先ほどからおつしやつている國民の支持があれば、今のままで心配ないとおつしやつた点とどう関係しますか。
○斎藤(昇)証人 國民の支持があれぱと申しますることは、警察だけがいかにしやちほこ立ちしても、国民が警察を支持しないような状況であれば、治安維持はできない、警察はいつも国民の信頼を得るようにしなければならないということが主であります。
○神山委員 もう一つその底にあるもの、国民が安んじて生活ができるかどうかということが問題であると思いますが、この点はいかがですか。
○斎藤(昇)証人 それはそれぞれの御見解をもつてお考え願いたいと思います。
○佐々木(秀)委員 一つ二つお伺いいたします。現在の國家警察のいわゆる機動力、装備並びに科学化等においては不十分であるということも先ほど伺つたのですが、これはこまかい点になりますが、全般的な装備とか何とかをここで聞こうとするのじやありません。ただ私が全國を歩いて、各地の國家警察等の状況をいろいろお聞きしますと、一人々々の持つておられる拳銃の数が非常に少いように考えております。大体私は東北、関西、九州等を聞いて参りましたのですが、はなはだしい所になりますと、十五人に一挺とか七人に一挺とかまちまちでありますが、現在拳銃は何人にどのくらいの割合で当つているか、それをお開かせ願いたいと思います。
○斎藤(昇)証人 今までいろいろな機会に申しておりました通り、大体ただいまのところ六人に一挺であります。
○佐々木(秀)委員 そうしますと、現在の拳銃それすらも六人に一挺しか当つていないというようなことでは、われわれが素人の常識から考えても、國家警察が今日の場合に処して十分なる装備ができていないということがわかるのであります。たまたまいろいろな今日の質問をお聞きいたしましても、國民の協力があれば現在のままである程度やれるという長官のお氣持はわかりますが、われわれとしては現在の國家警察のあり方では、十分なる国民の安心する治安維持はできない。要するにそうしたことにおいて、われわれ國会議員としても予算を審議する以上、國家警察が今後どういう形でどのくらいの予算が必要だということは常に考えなくちやならぬと思うのであります。きようは齋藤長官から、大体今日の警察状態ではいかぬ、私はこのくらいの警察力を持ちたいと思うというような大まかなことでもお聞きしますと、今後國家警察の予算等を審議するにあたつてわれわれは非常な参考になるのですが、不幸にしてただ長官のお話では、國の予算の関係もあるからというような政治家的なお話でありますが、齋藤長官は日本の國民の治安維持の全責任を持つておられるのですから、ここで力強いおれはこのくらいならば、治安維持ができるというようなことを承りたいのです。
○斎藤(昇)証人 ただいまの問題にお答えいたしますのは、もしお許しいただければ別の機会に……。
○佐々木(秀)委員 いや、今日でなくてもよろしゆうございます。 それから第四條の問題が先ほどからいろいろ問題になつておりますが、内閣総理大臣の主管のもとにという言葉の中に、国家公安委員の選任というものはもちろん総理大臣の指名になるのですが、それに対しましては國会の承認を得なくちやならぬ、國会の承認を得て選らばれた公安委員が職務を怠つた場合に、総理大臣はその責任を持たなくちやならぬ、こういうお話でありましたが、公安委員が職務を怠つたという限度であります。たとえば治安維持が十分できないような公安委員会の状況であれば、われわれからいうならばこれが職務を怠つているとも考えられます。あるいは一つ一つ審議される條項に対して職務を怠つたということも言い得ると思うのですが、この国家公安委員の職務を怠つたという限界は、長官としてどの程度の限界のもとにお話をなさつているのですか、それを承りたいのであります。
○斎藤(昇)証人 これは具体的な問題でありませんと、仮定的に申し上げることは私は困難だと存じます。大体から申し上げますれば、これは社会的に政治的におのずから私は限界があるだろうと思います。國会から非難され、あるいは社会全体から非難されるその状況の程度だと考えます。そこは常識的に考えていただいていいのじやないかと思います。
○佐々木(秀)委員 ただいまの長官のお話で大体わかりますが、ただそこで政府というものは行政の最高責任者であるわけです。行政の最高責任者が國を治めて行くのには、もちろん國家警察というものも大きく考えられる一つの問題であります。しからば今の国家公安委員の考え方それ自体が政府の行き方と非常に異つて来たというような場合がありとするならば、当然政府としてはその責任をとつて、しかしてその公安委員の改選なりあるいは國家警察の行き方をかえるというようなことは、当然あり得るものと私は考えております。それは部分的な問題ではありません。大きな動きの一つの――政府として全行政の責任をあずかつておる以上は、そういうことはあり得ると思いますが、そういう場合においてあなたの考えとしましては、一旦選ばれた公安委員というものは部分的な職務を怠るということにおいてのみその進退を考えるのかどうかということを承りたいと思います。
○斎藤(昇)証人 ただいまの行政についての最高責任が政府にあるとか何とかいう、いわゆる憲法問題とか行政上の法律問題につきましては、これはちよつと私から申し上げる問題でないだろうと思います。ただ現行法についてだけお話を申し上げます。今例にあげられましたような事柄について、さような心配があるかどうかという問題だと思います。これもしかし私のお答えするような問題じやなかろうかと思いますが、國家公安委員は三名以上同一の政党に属してはいけないことになつて、五名おるわけでありますから、從つて政党的に警察の運営を左右するということは私は考えられないと考えるのであります。無力かどうかという問題は考え得られるかも知れませんが、これは選任の際に國会の同意を得て選任をせられておるのでありますし、ことに新警察は御承知のようにもつぱら法律の執行と、違反を取締るということでありまして、警察本来の目的のために警察を運営するということにつきまして、私は政府とそう行き方を異にするという、そんな行き方というものはないだろうと私は考えております。しかしながら万一あつた場合にどうかということが問題だと思いますが、そういう場合には私はこれは國会なり砥会なりから大きな批判を受けるであろう、この批判によつてそれぞれ処理すべきものは処理をするということ、それが民主的なあり方であると思います。
○佐々木(秀)委員 今の第四條その他のことについては、この程度にしておきまして、具体的の一つの問題でありますが、平事件のときに平市から仙台の國家警察の方に應援を求めた。仙台の方から警官が應援に出ようとしたときに、いろいろな各種の團体か何か知りませんけれども、妨害せられたという事実があるのですか、そうした警察から警察の連絡がただちに無関係な方面に知れるというようなことに対しての落度というものは、どういう点から起きて来るものでしようか、それを承つておきます。
○斎藤(昇)証人 仙台の場合の事件につきましては、これは事前に情報を知つてそういうことに出たのか、あるいは現場でそういう勘を働かしてそういうことをやつたのかこれはわかりませんが、警察の情報通信まで漏れるということは非常に遺憾なことだと考えます。これはわれわれといたしまして、どこから漏れるか、もちろん漏れてさしつかえのないものはけつこうでありますけれども、できるだけ秘密のうちに運ばなければならぬという問題が漏れては困ります。われわれ内部及びその通信機関以外には漏れるところはないと考えております。われわれ通信関係につきましてはさようなうわさも聞いておるのでありますが、これは通信当局とさらに緊密に連絡をいたし、單に警察のみならず一般の通信の機密が保たれまするように最善を盡したいというので、せつかく通信当局といろいろ打合せて実行しつつあるような次第であります。
○佐々木(秀)委員 この仙台の場合は、もちろん私は漏れたと考えておるのです。どつちかというと、平と仙台というのは非常に距離が違うございまして、いろいろな情勢から判断してああいうことが起きたとは考えられない。もちろん連絡が漏れたと考えておりますが、現在の警察電話というものは、從來私たちの承つておるところでは警察から警察の直通電話というものが多く使われていたように考えますが、現在そういう直通電話がなくて、やはり逓信関係の方の交換を通してやるのが大部分になつておるのですか、その点を承りたいと思います。
○斎藤(昇)証人 現在もいわゆる警察の専用電話というのが大部分です。しかしその専用電話の維持、補修、新設、これが逓信省にまかされておる。機構的に申しますると、警察自身が持つておりましたときには、いわゆる逓信電話の交換台にそれが入つていなかつたが、これがとにかく交換台を通つて行くのが多いのであります。その違いだと思います。
○佐々木(秀)委員 そこでわれわれもこういうものを長官からお聞きする場合に、こうあらねばならないという一つの具体的なものをつかみたいと思うのでありますが、こうした通信網は現在において警察の機能をいろいろ阻害する点がある。だから従来のように交換台を入れないところの通信網にした方がよいか、それとも従来のままで改良した方がよいか、このどつちかを承りたいと思います。
○斎藤(昇)証人 私はその交換台においてもぬすみ聞きをされないようにしなければならないと考えております。
○佐々木(秀)委員 交換台を入れないで昔のようにしておいたら、どうですか。
○斎藤(昇)証人 これは警察電話の維持補修についてどちらの方が完全にできるかという問題のかけ合いの問題であります。現在におきましては、それは逓信省にまかせる方が完全な維持補修ができるであろう、全体から考えるとその方が有利であろう、かように考えております。盗聴問題はそういうふうに防止をしなければならないと考えております。
○鍛冶委員長 先ほど拳銃を六人で一挺持つていると言われるが、この間平の警察官をこつちで調査したところによると、三十人の定員で二挺しかなかつたというのですが、これはどういう関係ですか。
○斎藤(昇)証人 これは地方によつて、所によつて相当違います。私の申しましたのは全國平均でございます。
○鍛冶委員長 それじや地方は少いのですか。
○斎藤(昇)証人 少い所と多い所とあります。
○鍛冶委員長 どういう所が多くて、どういう所は少いのですか。
○斎藤(昇)証人 これは拳銃を持つに至つたいろいろな原因から來ております。
○菅家委員 二三お尋ねいたしますが、先ほどの証言の中に、警察云々だけでは取締りはできぬ、國民の協力と支持を得なければならないという証言があつたのであります。これは当然なことでありまして、警察がいかに制度がかわりましても、國民の協力と支持がなければいけないということは言うまでもないと思います。そこで國民の支持と協力を得るのにはやはり警察の信用というものが一番大切になるだろうと思います。警察というものの威信を失墜したところに國民の協力、支持を求めることはできないのであります。そこでお尋ねしたいのは、國民の支持と協力を受ける第一條件は警察の信用であるが、その次に報道機関の協力というものが警察に対して大きな力を持つと思うのであります。福島縣下に行われたこの騒擾事件から、福島縣下各都市における新聞通信業者が一つの陳情書を出しておるのであります。これによりますと、平市をめぐる騒擾事件その他郡山、若松、福島における騒擾事件に対して、各新聞社の報道陣営が無届デモのためにおどかされて、当然なる写眞の撮影であるとか報道の上において支障を來した。これに対して警察が少しも取締りをしてくれなかつたということの陳情を受けております。これは文書が出ておりますので、適当な機関を経てそれぞれに提出するつもりでおりますが、実際本員が現地を見たところにおいても、郡山市において群集が無届デモをして警察署に押しかけて来た。これを新聞にとろうとしたところが、群集の中から今フラツシユをたいた新聞社はどこだ、この記事と写虞は載せてはいけないということを團体の代表者が押しかけてこれを威圧しておるのであります。目撃したのでありますが、かくのごとく新聞報道機関というものは、無届のデモ等の騒擾の起きた場合に、完全にその職務を行われなかつたことについて、どうして警察に協力することができましようか。福島においては二つの日刊新聞社がありますが、福島民友、福島民報の両社長ともわれわれのところに來て言うのには、今の場合警察に協力しよう、一つの記事を書こうと思つても書けない。何かというとすぐに四、五十人なり百人の共産党員が中心になつて新聞社に押しかけて来る。新聞社を守るのはだれか。暴力團を頼んで工場を守つておくわけには行かない。社員だけ不寢番をしておるわけには行かない。まことに不安であり、輪轉機に少し砂でもかけられれば一週間の新聞発行が不能になる。活字のケースを二、三十人でひつくり返されればまた活字をそろえるまでに一週間なり十日は運轉不可能になる。まことに不安な状態である。ということを福島縣の三つの新聞社の代表者はわれわれに陳情しております。福島縣ばかりではない。おそらく全國において最近起りました事件を見ましても、正当なる報道機関が無届デモその他の暴力による威圧を受けておつたという事実を認めるのでありますが、こういうことに対する警察の法の執行というものはまことに弱かつた。この事件を何ら取上げないのみならず、取調べもしなければ、これを阻止することもしなければそのままにされておつたという事実があるのであります。これが一つ。もう一つは仙台の管区の者が平に應援に行きますとき、駅頭においてこれが阻止されたという事実が明らかになつておるのであります。それに対する何らの法の措置がないということになれば、いかに警察制度などをかえてみましても、かくのごとく執行力の弱いことでは、私はおそらく警察の威信、信用というものは保てない、また國民の協力支持は得られないと思うのです。また平市におけるあの警察署全体のことでありますが、これは市警の問題であるからといつて國家警察は二階におつてこれに協力をしなかつた。しかも留置場は破られて、そこにおりました警察官の腰に下げておつた拳銃を奪われて、その警察官が留置場に入れられて犯人は出されたという暴挙があつたにかかわらず、その二階におつた國家警察は協力をされなかつたという、これはどういうわけであるか、われわれにはのみ込めないのであります。かかる事件が度重なつて行つてどうして警察が國民の信用と支持を得ることができるでありましようか。また全國において無届のデモが行われております。届出をしないで二、三百人、四、五百人の者がスクラムを組んで革命歌を歌つて一晩中町を練つて歩く。これくらい不安なことはありません。しかも警察に自動車を貸すと四、五十人の者が個人の住宅を襲つて、何ゆえに警察に自動車を貸したかということで、多数をたのんで威圧をされて一般市民は不安に陥つておつたが、警察のこれに対する措置は何ら行われておらないのであります。かくのごときことでは國民の支持、協力は決して得られないと思う。いかなる形でこの警察制度を改正しようとしても、警察が弱体であつては、もしそんなことをしたらわれわれがばかをみてしまうのであるから、泣寝入りして黙つておつた方がいいということになつてしまうと思うのでありますが、これらに対して長官としてはいかなる御意見を持つておられるかを承りたい。
○斎藤(昇)証人 いわゆる暴力によつて人権が脅かされておるというような事柄がしよつちゆうあるようでは、まことに相ならぬことだと考えるのであります。警察といたしましては、そういうことの絶無を期したいと努力をいたしておりますし、また努力を続けたいと思つております。ただいま例にあげられましたような、ある一地方に相当な騒擾事件が起きた場合に、警察があらゆる非合法行為に適切な手を打つということは、いかなる場合であつても私は困難だと考えております。さようなときには國民の方々みずからが強くなつていただきたい。先ほど國民の支持を得なければと申しました中には、警察が支持を得なければということのほかに、治安の非常に乱れた場合に、局部的に國民みずから強くなつてもらうということが先決問題だと考えております。
○菅家委員 それじや具体的にお尋ねします。國民が強くなるというのはいかなる方法で強くなるのか。また無届のデモによつて市中を四、五百名の者が練つて歩いていたが、国民が強くなるということはわれわれも同数の人間をもつてこれを守るという意味でありましようか。
○斎藤(昇)証人 無届のデモは條例のつくつてありますところ、あるいは規則におきましてそれぞれ取締る方法はあると考えております。いつの場合を指されるか存じませんが、警察が應援に行つて留守であるから少かつたという特殊な場合にはやむを得ないことであろうと思います。
○菅家委員 そうしますと、無届のデモはどういう取締りをされるつもりであるか。今後取締の方針を立てて置かなければ、始終無届のデモが行われることになります。この点が一つ。それから國民が強くなることはもちろん大切でありますが、これを具体的に言うと、それならばわれわれがそういうおそれがあるとき、それに対抗するにはどういう方法で強くなるのか、具体的に教えていただかなければわれわれは國民に対して強くなれということは言い得ないのであります。たとえば平のときのごときは、一時に押寄せて来たのであるから急には間に合わなかつたというのならばわかりますけれども、十人か二十人の人が二階におつたので、留置場が破られて罪人が出されて警察官が入れられたというときには、一人や二人は三階から降りて来て國民の前に警察の威信を示す者が出てもよかつたと思う。警察が一般國民に強くなれとおつしやつてもこれでどうして強くなれるでありましようか。国民は逃げてしまいます。二階に十人か二十人おりながら、かかる現場を見殺しにしてしまうということでは、國民は決して強くなれないし、協力を求められてもむりではないかと考えます。
○斎藤(昇)証人 私の申しましたのは、いわゆる威迫とか何とかいうものにあまり恐れないようにしてもらいたいということであります。警察は全力を盡して國民の保護にあたるべきである、かように考えております。
○菅家委員 それ以上お尋ねしても同じだろうと思いますので、單に希望を述べておきますが、警察官の法の執行というものがまことに弱い。そういうことを國民が体験した。だから警察官は法の執行は強力にやつていただきたいと思う。ただ國民に強くなれとおつしやつてもいけない。警察みずからがもう少し法の執行は正しく強くあつていただきたいということを希望します。 もう一つは、先ほど証人より、國家公安委員は國会に対して一つの責任を負うというような証言があつたようでありますが、いかなる法の根拠によつて責任を負うか根拠をお示し願いたいと思います。
○斎藤(昇)証人 あえて國会のみというわけではありません。警察法におきまして、運営について責任を持つておりますので、法律上の責任を持つということを申し上げたのであります。すなわち総理に対しても責任を負う、また國会に対しても國民に対しても責任を持たなければならぬということを申し上げたのであります。
○菅家委員 そういたしますと、警察法の示すところによつて、警察の運営に関することは國家公安委員が國会に対して責任を負う、かように承知してよろしゆうございますか。
○斎藤(昇)証人 公安委員は責任を負うべきだと考えております。
○菅家委員 今私どもの調べによりましては、その法的根拠がわからないので、この法的根拠をお尋ねいたすのであります。常識上の問題ではなくして、国家公安委員はどの法律によつて國会に対して責任を負うのか、それをお伺いするのであります。
○斎藤(昇)証人 これは総理大臣が國家公安委員を任免いたします際に、國会の承認を経ることになつております。さような意味合いにおきまして、私は國家公安委員会の責任とは考えない、かように考えております。
○菅家委員 政府と國警との関係、総理大臣の指揮を受けないいわゆる行政組織上の問題は、本委員会でなく、私は地方行政委員会において主管大臣並びに長官等のおいでを願つてこのことをただしたいと思うので、これで打切ります。ただいまの御説明では私の質問のお答えにならないと思います。国家は直接公安委員というものに対して、責任を問うことのできない今の法律になつておると思います。この欠点は水かけ論になりますから、地方行政委員会においてこの点は明らかにしたいと思いますので、これで打切ります。
○鍛冶委員長 では小林君。
○小林(進)委員 國警本部長官の御高名を伺つて、実は質問をいたしておきたいと思います。ただ一つでございます。それは今國電ストとか平事件を通じて大体民自党、與党の諸君や、吉田内閣はこういう左派あたりの集団事件を目標にして、警察能力が無能である。だから警察制度を改革し、これを強化しなくちやならないということが、盛んに報道せられておるのでありまするが、だがこれは國内の一つの輿論というか、民自党の輿論になつておる。この民自党の輿論に対しまして、マッカーサー元帥の覚書には現在の警察制度というものは現状のままでよろしいという話が出ているのでありまするが、この声明による言葉の裏づけには、一つの例として日にちは忘れましたが同じくマツカーサー元帥のメモランダムが出ておる。結局こういうような問題が起きて来るのは、今の政府の政治の貧困ということもひとつ考えなくちやならぬ、ということが明らかに指示せられているのであります。從つて向う様のお話によれば、國電スト並びに平市、われわれが今取上げておる幾多の問題は、帰するところは政治の貧困であると言われておる。それからいま一つ、裏を返して行けば、むしろ日本の現状においては、そうした左翼集團運動の騒擾暴行事件よりも、右翼勢力の台頭ということがさらに恐るべき問題であるということを常に向うはお考えになつている。その具体的な例としては、本國会において御承知の通り、小西寅松事件というものが起きた。こういうことが平事件や騒擾事件……。 〔発言する者多し〕
○鍛冶委員長 質問なら質問らしくやつてくだたさい。
○小林(進)委員 とにかくそういう二つの考え方がある。警察制度を強化することによつて右翼の勢力を台頭せしめるという懸念がわれわれには考えられる。この二つに対して、取締りの任に当る國警長官として、取締りの基本的な態度として、國警長官は押えるということに重点を置いておるか、どういう見方をしておるか。あくまでも左翼の勢力の台頭だけを押えるのに重点を置かれておるのか、この国際的環境の中に置かれて、右翼政権の台頭の取締りというものに対して、どういう考え方をしておられるかということをひとつお聞きしたい。
○鍛冶委員長 証人、わかりましたか、今の質問は……。
○斎藤(昇)証人 どうもよくわかりませ事んでしたが……。
○鍛冶委員長 君の質問の要旨がわからぬから答えられぬと言つております。私にもわかりません。
○小林(進)委員 それでは、今日のこの現状はあくまで集團的な左翼運動が悪いのか、その根底に置かれる政治の貧困が原因して起つておるのかということを答えていただきたい。
○斎藤(昇)証人 警察といたしましては、いわゆる暴力というものには、どこまでも制圧をしなければならぬ。かようにお答えするわけであります。
○小林(進)委員 それでは具体的に言いましよう、七月三十一日の吉田首相宛の書簡に対する國警長官のお考えを伺いたい。
○斎藤(昇)証人 七月二十一日の書簡と申しますのは、私は全然存じません。
○鍛冶委員長 承知しました。
○神山委員 私は先ほどお尋ねしたので、終ろうと思つたのでありますが、菅家委員その他の御質問で、どうしてもはつきりしておくことが必要だと思う点があるので、一、二言つておきたい。それは國家警察及び警察制度全体に対する指揮監督権に関する問題であります。この点については先ほど私からある程度引用したように、一九四七年九月十六日のマッカーサー書簡ではつきりしているので、一、二読んでおく必要がある。というのは、中央政府の独断的警察干渉に対し都道府縣知事の権限を擁護し」云々とありますように、やはりまず警察権を中央政府が独断的に使わない、また地方自治制度を侵さないということが、この書簡の中にうたわれている。また責任や監督の問題の所在は、先ほど菅家君と国警長官の間に部分的な意見の違いがありましたが、これは当該委員会でやつてもらうとして、しかし最大の責任は人民のもとにあるということだけは、やはり書簡の中ではつきりしている。「人民の公僕として、又人民に直接責任を負うという関係において初めて無限の力を得るということであるしというふうに書いてあるが、この点をあなたは、こういうふうに思うか。
○斎藤(昇)証人 私はその文字の通りに考えております。
○神山委員 もう一つ小さなことですが、お尋ねしたいのは、二十四年七月十五日、国家地方警察本部の警備部長吸び刑事部長の名前で、各警察管区本部長、各都道府縣警察隊長あて、緊急の事態における消防の警察に対する特別な援助協力についてという文書が出ておりますが、これと消防組織法第二十四條との関係について、あなたはどう見ておられるか、この点をお尋ねしたいのです。
○斎藤(昇)証人 これは他の委員会で相当御論議がありまして、私たびたび答えております。それは消防第二十四條第一項にありまする協力のしかたにつきまして、こういう程度の協力がよかろうということに消防長官と打合せの上一應いたしたわけであります。
○神山委員 今までのあなたの答弁も聞いておるわけだ。そこで第二十四條の問題なんですが、地震、台風、水火災等の非常事態云々、こういうふうになつておる。しかしこれは災害予防ということが終始中心になつておるのですが、あなたの下僚の出した文書のこういうふうな行き方は、あなたとしてどういうふうに見ておるか。あなたは自分でこれを許したのかどうか、これを聞きたい。
○斎藤(昇)証人 その協力は災害の場合だけではありませんので、警察が手簿な場合に、消防はその背後を守る。こういう考え方の協力のしかたであります。
○神山委員 その点はすでに他の委員会でも問題になつておるのでありますが、これは少し法の解釈そのものを超越しでおる。あまりに拡大し過ぎておる。こういうふうなやり方そのものに大きな問題があるのでありますが、それならばさらにお尋ねしたいのは、ここに問題になつている緊急事態というのは、何に基いてあなたは言われるか、いかなる法に基いて言われるか、それをひとつお聞きしたい。
○斎藤(昇)証人 それが事緊急事態であるかどうかということは、その場合の消防を所轄しております市町村が認めるように、こういうことであります。
○神山委員 市町村長が認める。それはあなたの方で認めるのじやないですね。
○斎藤(昇)証人 さようでございます。
○神山委員 さらにその財源はどこから求められます事か。
○斎藤(昇)証人 消防の財源は、市町村からであります。
○神山委員 これはあなたの方との関連は、一切消防にまかせるという意味ですか。
○斎藤(昇)証人 一切をまかせるというわけではありません。そこは警察と消防がお互いに協力し合つて協定をしてやつて行くわけであります。
○神山委員 こういうふうな通牒を部長が出して、これとあなたとの関係及び法律との関係はどうなるのですか。
○斎藤(昇)証人 それは命令でも何でもありません。そういう基準を示し、この範囲内であれば非常によかろう、こういうサゼッチヨンであります。
○神山委員 そのサゼスチョンは、われわれの見解によれば、これは行き過ぎだし、まことに越権きわまりない問題だと思う。そこで最後にこれについてのあなたの見解を聞いておきたい。やはりこの書簡の中でありますが、「戦前十ヶ年間における日本の軍閥の最も強大なる武器は中央政府が、都道府縣廳をも含めて、行使した思想警察及び憲兵に対する絶対的な権力である。これ等の手段を通じて軍は政治的スパイ綱を張り、言論、集会の自由更に思想の自由まで弾圧し、しかして非道の圧制によつて個人の尊厳を失墜せしめるに至つたものである。日本はかくて全く警察国家であつたしこういうふうな状態に今日本がなつていると私は言うのじやない。しかし現に特高的な活動が行われておる事実があるが、この点についてあなたはどういうふうに考えておるか。
○斎藤(昇)証人 特高的な活動というのは、何をさしておつしやいますかわかりませんが、思想を弾圧するという意味の活動は一切いたしておりません。
○神山委員 一切やつていないと言うが、実際にあなたもそれは認めているように、いろいろな特高的な活動をやつている事実があるじやないか。こういう点が所管の精神その他に反しておるか、反していないか。
○斎藤(昇)証人 所管の精神に反したことは一切やつておりません。
○神山委員 もう一つお尋ねしますが、あなたが先ほど言われた十七日の会議で、「一般犯罪は非常に減つた反面思想的な含みのある事件の派生は十分想像される」、これはやはり新聞の記事でありますから、あなたの言われたことと違うかもしれないが、こういうふうに断定される根拠はどこにあるのか。
○斎藤(昇)証人 それは今までの実情から判断いたしまして……。
○神山委員 それではさらにお尋ねしますが、こういうふうな事態を起した根拠、これなんです。(「それは齋藤長官にはわからよ」と呼ぶ者あり)いや、最後だからひとつ読みあげよう。やはり九月二日のマッカーサーの声明の中にこういうことがある。「もつとも現在の政府財政の不手際な調整によつて、ここでもまた困難にぶつかつている」云々ということを言つておる。この点先ほど小林委員が指摘した現在の政府の無能無策、それからさらに人民大衆に対する弾圧そのものがこういうことを起しておる。(「でたらめを言うな」と呼ぶ者あり)政治問題については意見を述べられませんか。
○鍛冶委員長 ことにきようは証人ですよ。
○斎藤(昇)証人 それは今も声が出ておりましたように、お答えするには筋が違うように思います。
○神山委員 あなたの答えられないのはよくわかつておりますから、その点よろしい。
○鍛冶委員長 それでは済みました。御苦労さんでした。 では二時まで休憩いたします。 午後一時二十六分休憩 ――――◇――――― 午後二時二十五分開議
○鍛冶委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 これより運輸省資材の省外拂下げ事件について証人より証言を求めることといたします。ただいまお見えの方々は松田節生さん、小倉俊夫さん、齋藤喜作さん以上三名の方々ですね。あらかじめ文書をもつて御通知申しました通り、証人として証言を求めることに決定いたしましたから、さよう御了承願います。 証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十三年法律第二百三十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相成つております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、弁護士、弁理士、弁護人、公証人等、宗教または祭祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 松田さんひとつ代表して読んでください。 〔証人松田節生君各証人を代表して宣誓〕
○鍛冶委員長 署名御捺印を願います。 〔各証人宣誓書に署名捺印〕
○鍛冶委員長 証言を求める順序は、小倉俊夫さん、松田節生さん、齋藤喜作さん、このようにいたしますから、小倉さん以外の方はしばらく元の控室でお休み願います。―一小倉俊夫さんですね。
○小倉証人 はい。
○鍛冶委員長 あなたは鉄道弘済会の理事をやつておられたことがあるようですが、いつからいつまでおやりでした。
○小倉証人 昭和二十一年三月から昭和二十二年七月までです。
○鍛冶委員長 その前は何をやつておいでになりました。
○小倉証人 その以前は運輸省の鉄道総局業務局長をいたしておりました。
○鍛冶委員長 それから弘済会の理事の間はどういう事務に携つておいでになつたのですか、担任事務は。
○小倉証人 最初は営業の方をいたしておりましたが、後には経理の方の担当をいたしました。
○鍛冶委員長 現在はそれじや関係ないわけですか。
○小倉証人 関係ございません。
○鍛冶委員長 今何をおやりですか。
○小倉証人 ただいま日本運輸倉庫株式会社の役員をしております。
○鍛冶委員長 鉄道弘済会は運輸省から資材拂下げの仲介機関となつたようでありまするが、これが仲介機関になつた経緯をます承りたいと思います。
○小倉証人 先ほど申し上げましたように、私は昭和二十一年の三月に弘済会に入りましたが、二十一年の多分暮ごろだつたと思います。もう二年半ほども前のことでありまするから正確なことは記憶いたしておりませんが、そのころ運輸省におきまして、戦争中戦争が長期にわたる見込みをもちまして、いろいろ買いつけた物資が相当あつたことが世評に上つております。また終戦後に軍から運輸省が移管を受けた物資が相当あることも世評に上つておつた次第であります。一方の社会情勢から、当時死退藏品の活用が日本経済再建のために必要であるという輿論が非常に強かつたのであります。それで運輸省としてもおそらくその活用を考えておりましたでしようし、弘済会におきましてもそういう物件の拂下げを受けまして、片々にはその資材の活用をはかる手助けをし、片々には鉄道弘済会本來の目的であります鉄道退職者、公傷者、遺家族等の救済事業を拡げて行きたいというふうな希望もありましたので、そこで意見が一致して拂下げを受けることになつた、かように記憶いたしております。
○鍛冶委員長 それはあなたの所からぜひやらしてもらいたいといつて行つたのですか。鉄道から下げるからお前の方がよかろう、こう言つたものですか、どの程度でありますか。
○小倉証人 ただいま申し上げましたように当時運輸省がそういう死退藏品を相当持つているという世評でありましたので、私としましてもおそらく省に行きまして折にふれて嘆願したことと思います。何分にも二年半も前のことでありまして、確かな記憶は持つておりませんですが、弘済会といたしまして、そういう拂下げを受ければ、救済事業がもつと有効にできるというように考えておりますから、おそらく私も言つたろうと思います。しかし文書では差出した覚えはございません。ただ拂下げは契約でありまするからして、運輸省の方がはつきりした意思をきめまして、弘済会に拂下げを受けるかということの意見を正式に求めます。それによりまして弘済会がそれを受ける、形式から言えばそうなつたと思います。
○鍛冶委員長 形式から言えば弘済会のどの係と運輸省のどの係とでできたのですか。
○小倉証人 それは弘済会としましては、非常に重要なことでありまするから、結局は会長、理事長の意見で決定することになつております。それから役所の関係ははつきりわかりませんのですが、担当部門は資材局と思います。しかし事重大でありまするからして、次官あるいは大臣の決裁を得たかどうかその辺は私承知しておりません。
○鍛冶委員長 弘済会はもちろん最後は理事長の判を押すのだろうが、その係は部課長と……。
○小倉証人 そのときは営業であります。
○鍛冶委員長 そうすると部長としてはあなたですか。
○小倉証人 私です。
○鍛冶委員長 何課に属しておつたということは……。
○小倉証人 その辺ははつきりいたしませんですが、おそらく直接に私が話したことと記憶しております。
○鍛冶委員長 そうすると予備的の交渉も、形式的の契約も、主として事務をとられたのはあなたですね。
○小倉証人 私であります。
○鍛冶委員長 あなた方、弘済会自身としては弘済会の設立目的を達成するために、もうけがあればいいということでやられたかしらんが、運輸省が弘済会がよろしいと認めたのはどういうところであつたと思いますか。
○小倉証人 これは想像でありまするが、運輸省が厖大な死退藏品を擁しておりまするが、それは現地のいろいろな所に散在いたしておりまして、それも長い間放置してだんだんとたまつたのでありまするからして未整理品が多いと思います。現にそういうことを私は聞きました。これを整理させるにはやはり弘済会のような鉄道の勝手のわかつておるところに整理させるのが、一番ぐあいがいいと考えたろうと思いますことが第一点。第二点には、かような物件は当時いろいろ世評にやかましく上つておりまするからして、財團法人弘済会というような、はつきりした信用のおけるところにまかせることが一番いいことではないか。第三にはそういう弘済会のような筋道のわかつた、しかも鉄道との連絡のつくところにまかせますれば監督が十分行き届くというようなことをねらつたのではないか、かように考えます。
○鍛冶委員長 そこでそれがきまりまして、これを拂下げるということをまず指定すべきですね。それから選定及び價格の決定はどういう方法でやることになりましたか。
○小倉証人 私が担当いたしておりましたのは、その拂下げの問題が起りましたごく初期のことでありまして、ただその拂下げをする、私の方が受けるということだけでありまして、値段その他につきましては私のときではございませんで、すでに後任の岡田五郎君に引継いだ後のことであります。
○鍛冶委員長 契約ができたのはいつでしたか。
○小倉証人 鉄道が弘済会に拂下げをするということの省議がきまつたのは、多分二十二年の一、二月ごろと記憶いたしております。それに対しまして、弘済会としましてはそれを受けただけでありまして、あとの拂下げの具体的の事項につきましては、その都度契約を結んだのではないかと思いまするが、私が在任中に個々の物品の契約はいたしておりません。私の在任中には拂下げはございませんでした。
○鍛冶委員長 そうすると、あなたがやめられた二十二年の七月まではそういうことはなかつた、こう言うのですか。
○小倉証人 私が弘済会の役員をいたしておりましたのは七月まででありまするが、冒頭にも申し上げましたように、後半は経理に移りました。そうして私は多分後任の岡田五郎君に二月ごろでしたか、三月ごろでしたか、岡田君が着任すると同時にこちらの方面の仕事を引継ぎいたしまして、それ以後は直接主管としては関係いたしておりません。
○鍛冶委員長 それにしてもあなたはおいでだつたのだし、鉄道総局資材局から何というのですか、省議決定みたいなものがあなたのところに来ているわけでしよう。大体のものはきめたときからきまつていたのじやないですか。
○小倉証人 仰せの通りに資材局で鉄道弘済会に拂下げをするという通牒は私のときでありまして、私もおぼろげながら記憶いたしております。しかし契約はというお話でありましたから、契約は個々の物品につきまして拂下げの契約をするのでありまして、そのときには私は主管しておらなかつた、かように申し上げたのであります。
○鍛冶委員長 契約よりかこれを拂下げしようということを選定し、これだけの價格で賣ろうということをきめる、そのことを私は聞いているのです。それはどういう方法でやつたか……。
○小倉証人 そのときには具体的に死退藏品の整理ができまして、弘済会に拂下げをするという事案が進捗いたしましたのは二十二年の下半期ではないかと思います。そのころには私は弘済会におりませんでしたので、幾らで拂下げるということには関與いたしません。
○鍛冶委員長 そうするとあなたがきめられたのはただ鉄道弘済会が拂下げを受けるということだけですか。
○小倉証人 さようでございます。
○鍛冶委員長 ただ拂丁げ機関として指定されるということだけですか。
○小倉証人 さようでございます。ただいまの省議の通牒を受けましただけでありまして、あとの具体的事務は全部岡田理事のときから始まつておると思います。
○鍛冶委員長 それにしても拂下げを受けるときにはマル公でやるとか、どれだけくらいの割引をしてもらうとか、利益があればどうだというくらいの話はありそうなものだが……。
○小倉証人 それはあとからきまりましたことでありまして、岡田理事が担当のときにそういうことがきまりました。岡田五郎君が來ましたのが二十二年の二月かあるいは三月ごろかと思いますが、ただちにその関係の業務は引継ぎましたので、私の主管ではございませんでした。
○鍛冶委員長 ただお前のところに拂下げしようということだけ話がおるわけはない。どういう方法で拂下げしよう、どんなものをやろうという話がなくてはならぬと思いますが、そんなにあなたは固くなつて言つていかんね。
○小倉証人 これはまつたく事実でありまして、先ほども申し上げましたように、整理品は運輸省としましても、全國に散在しておりますので、おそらくそのときは具体的な数字はつかまらなかつたのだろうと思います。具体的に何はどこの倉庫に幾らあるということは、はつきりつかんでおらなかつたので、それを順次に整理をいたしまして、整理のついた分から拂下げをする、こういうふうなことでありまして、非常にめんどうな手間がかかるものでありました。今委員長がお話なさいましたように、拂下げをする、こういうことだけではおかしいのではないかということでおりますが、事実どういう品物がどこにどのくらいあつて、價額はどのくらいになるという具体的なところまでは行つておりませんでした。
○鍛冶委員長 拂下げ品の選定はそうでも、價額の決定だとか利益金をどうするかぐらいのところは話があつたでしよう。
○小倉証人 私のときにはその省議と申しますか、先ほどの問題になりました通牒によりまして、欽道弘済会はその利益金をかつてに処分してはいけないということは承知しておりましたけれども、その品についてどれだけ割引きするかということは、私が主管しておりますときはきまつておりませんでした。
○鍛冶委員長 利益金についての処分は。
○小倉証人 利益金の処分については、弘済会で特別会計をつくつてこれを別途に整理すべきであるということになつておることは承知いたしておりました。
○鍛冶委員長 どうもあなた方は困る。この間岡田理事に聞くと、そういうことは小倉理事がやつたと言うし、今あなたに聞けば、私はそれはやらぬで、あとの岡田がやつていると言う、どつちを聞いても一向わけがわからぬですが……。
○小倉証人 私は二十三年の三月だと思いますが、岡田五郎君が來ましたときに、その拂下げの仕事を岡田君に引継いだのであります。その後は岡田五郎君がやつたわけであります。決して責任のなすり合いをするわけじやございません。もし岡田五郎君が、私がやつたと言つたとすれば、最初のスタートで運輸省と話をした、それが私だ、こう言つたんだろうと思います。個々の品物について幾ら割引きをするかどうかは私も聞いて、記憶には残つております。あるものはマル公による、あるものは時價にするということは私は聞いたことがありますが、その通牒の日付をごらんくだされば、私が岡田五郎君に引継いだあとのことであるということがはつきりおわかりになると思います。
○鍛冶委員長 それじや速記録を読みましよう。これは私が聞いたのです。 ○鍛冶委員長 岡田五郎さん、あなたは鉄道弘済会の理事をやつておられたそうですが、何年から何年までですか。 ○岡田証人 やつておりました。二十二年の二月の二十四日から昨年の多分九月の終りごろだつたと思います。こう言つております。そこで ○鍛冶委員長 あなたは弘済会で昭和二十二年二月十九日に運輸省から発動機百三十台の拂下げを受けておるのですが、これに関して御承知でありますか。 ○岡田証人 知つております。 二十二年二月十九日に発動機百三十台拂下げになつておりますが、これは岡田君が就任しない前にあなたがやつておられるものと心得るが、これはどうですか。
○小倉証人 それは昭和二十二年の二月十九日でありますか。
○鍛冶委員長 そうです。……もう一つ読んで聞かせましよう。高木委員からの質問です。 ○高木(松)委員 そこでこの「重ねて賣却價格の基準について」というところを見ていただきたい。イ、ロ、ハと三つありますが、これは結局結論であつて、基準ができたわけでありますが、このイ、ロ、ハの二割、五割、八割という割をきめることについて、運輸省と弘済会との間に折衝があつたかどうか、よく示してくれませんか。 ○堀木証人 その問題つきましては先ほど申し上げましたように、大体この基準で運輸省としてはやらせる。私の方もそれならば大体引受けられるだろうという考え方でございます。 ○高木(松)委員 それはわかつた。そこでこの折衝をして妥結するに至つた経過を具体的にお話願いたいと言うのです。 ○堀木証人 むろん折衝のあつたことは存じておりますが、当時のこまかい折衝の実態をお聞き願うのでしたら、実は当時の小倉理事から御聽取願えば―一岡田君ではありません。小倉理事から……。こう言つております。
○小倉証人 それは私ちよつと、ふに落ちないのでありますが、実は、これは決して悪くおとりにならぬようにお願いいたしますが、何かこの前にこの委員会で、ニツケルを賣つたのが省の拂下げ契約よりも先に賣つたというようなことで、大分御質問があつたのを弘済会で調べてみますと、一年目附が違つておつたというようなこともあつたそうでありまして、その発動機はあるいはあとでないかと思います。ただ弁解申し上げるわけではありませんが、拂下げはこの特殊物件という大きなわくでなく、始終弘済会が拂下げを受けたり、あるいは地方鉄道が拂下げを受けたりすることもございまするので、そういうふうなことがもしあつたとしますれば、臨時的のものではないかというふうに考えます。それでこのマル公によりとか、あるいは割引率をどうするというようなことは、私の記憶ではたしか私の主管を離れましたあとのように記憶しておりますが、その点、役所の方から通牒の來ました日附を御明示願いたいと思います。
○鍛冶委員長 賣却價格の基準についてはあなたは折衡せぬとおつしやるのですね。
○小倉証人 私は岡田理事がやつたように記憶いたしております。
○鍛冶委員長 そうすると、掘木証人の言つていることは間違いですか。わざわざ「岡田君ではありません。小倉理事です」と言つておる。日附から言つても、そうならざるを得ぬのですよ。二月十九日ですから……。岡田理事の就任前です。
○小倉証人 私の方から御質問申し上げて恐縮ですが、マル公によりとか、割引をするというようなことは、いつの通牒で弘済会に参つたのでありますか。
○鍛冶委員長 一月十六日……。
○小倉証人 実はこういうことを隠してもせんのないことでありまするし、決して故意にそういうことを隠して申し上げているのではなく、私の記憶から言つておるのです。
○鍛冶委員長 二十二年一月十六日に鉄道総局の資材局から「國鉄保管の死退藏用品整理について」というものが資料として出ております。その中には一と二とあつて、二の要領として「イ」「ロ」「ハ」「ニ」「ホ」の中には拂下げの方法、あるいは利益処分の方法を書き、「ヘ」にあつては、「省より鉄道弘済会への拂下げはマル公あるものはこれに依り然らざるものは時値見積りに依ることとし省所定割掛は附せざるものとし尚拂下品の不急不用品なる為不適品不適種を包含することあるを予想し斯る用品に対しては適当なる値引を為すことを得るものとする」とある。これはもちろん最初からあなたがやられたはずた。それからその「ヘ」に基いて二月二十六日にさらに「死退藏品の整理について」というのでいろいろ具体的にきまつているのですが、これらはあなたがやらなければほかにやるものがないです。
○小倉証人 私はその前の方だけを記憶いたしておつたのであります。それは委員長にも申し上げましたが、それによつて二月二十六日でありますか、岡田理事が着任する前にその具体的な割引率二割、五割、八割ですか、そういうものがきまつたとしてあつたとすれば、私の記憶違いでありまするからして、今までのことを取り消します。
○鍛冶委員長 二月二十六日の方の「賣却契約其の他」というところの「イ」には「本省準備品は資材局総務課で契約を締結する。」とあり、「ハ」賣却價格」というところには「マル公あるものはこれによりないものは時價見積りによること。省所定の割掛は附せざること。尚拂下品の不急不用品なる為不適品不適種を包含することあるを予想し斯る物品に対しては適当な値引をなすこと。」とあり、「ニ」には「賣却後の鉄道弘済会に於ける処分については追つて本省と鉄道弘済会と協議の上通知する。」と出ておる。
○小倉証人 それは私のときに受けまして、私は承知しておると先ほど申し上げましたのですが、つまり特別会計にするとか、マル公のあるものはマル公による、時價のものは時價でやるということは承知しておりまするが、具体的な割引率はその後にきまつたと思いまして、私は記憶はないと申し上げたので、ただいまお読み上げの前段の方は確かに私がいたしました。
○鍛冶委員長 それではここにある発電機の二月十九日というのはこれはどうですか。これは何かの間違いですか。発電機百三十台の拂下げ、これが前から一番問題になつたのです。
○小倉証人 それは私の記憶にございませんから、もう一回調べまして文書なり、何なりで御報告を申し上げたいと思います。
○鍛冶委員長 どうもあなた方はこちらから言われれば初めてそうでありましたというようなことを言い、またそうでありません、おれでありませんと言うが、それじやしようがありませんね。 選定方法等についてはあなたは全然知りませんね。
○小倉証人 その具体的な物資は鉄道局で調べまして、あるいは本省の分であれば本省だと思いますが、その責任者の手においてどういう物資が不急不用物資だということの調査で報告が来るわけでありまして、それは私のおりましたときには出ておらなかつたと記憶いたしております。
○鍛冶委員長 どうもこつちから言われるとそういうことがあつたようだと言い、初めは知らぬとも言う。どういうことを聞いてもそういうことを言つていたんじや話になりませんね。 次に開きますが、國鉄整理品委員会というものがありましたか。
○小倉証人 承知いたしております。
○鍛冶委員長 これはどういうものですか。
○小倉証人 それは二十二年の下半期にできしたもののように記憶いたしておりますが、鉄道で拂下げをすると申しましてもそれがはたして不急不用のものであるかどうか、それからそれをどういう方面に利用させるのが適当であるかどうか、こういうことを審議する委員会だと承知をいたしております。
○鍛冶委員長 さらにそれより下で整理品小委員会というものがあつたのを御存じですか。
○小倉証人 あつたように承知いたしております。
○鍛冶委員長 それはどういうことをやるのですか。
○小倉証人 それは委員会にかける原案を作成する機関だと思います。但し私はその整理品委員会にも小委員会にも関係いたしませんでした。
○鍛冶委員長 あなたはその整理品委員会には出られなかつたのですか。
○小倉証人 出ませんでした。
○鍛冶委員長 整理品委員会は何をやつておりましたか。何もやつておりませんでしたか。
○小倉証人 整理品委員会は多分できましたのがあとのように記憶いたしております。日付は私承知いたしておりませんですが、私の主管のときではないと思つております。
○鍛冶委員長 二十二年六月でしよう。
○小倉証人 私は二十二年の三月以降その整理品の関係の職を引継いでおりますので、その当時は関係ございません。
○鍛冶委員長 あなたの時分は委員会はまだなかつたのですね。
○小倉証人 ございませんでした。
○鍛冶委員長 委員なんかにならぬとおつしやるのですね。
○小倉証人 委員には名を連ねておりません。
○鍛冶委員長 こういうものはうそを書いておるのですか、うそをたれが書いてよこしたのか。
○小倉証人 こちらへ参ります前に非常に記憶が不確かでありましたものですから、実は弘済会のこの一件の書類を見ましたのですが、それは私の名が出ておりませんものでしたから、おらなかつたとこう記憶いたした次第であります。
○鍛冶委員長 どつちがほんとうなんですか。
○小倉証人 それではこの書類にある通りだと思います。
○鍛冶委員長 一体君はここへ出て来るときどういう考えで出て来ておるのか。
○小倉証人 私は前にも申し上げましたように、二年半前のことで、相当記憶が不確かでありますので、あるいは間違つたことを申し上げておつたかもしれませんで、はなはだ恐縮に存じます。
○鍛冶委員長 不確かだと言つても、あなたが在職中に鉄道省とこういう交渉があつたことだとか、こんな委員会ができたことだとかそんなことを忘れるわけはありませんでしよう。みなここへ来ておれは知りませんと言えば済むと思つておるのですか。ことごとくそうです。そんなものは覚えありませんと言う。そういうことで君らは来れぱてんでに岡田に聞けばおれじやありませんと言う、堀木に聞けばそれは小倉ですと言う、それでは何も聞かれはしません。要するに委員会のことを開けば頭からおれはやりません、おれはやりませんと言つておる。君は理事ではありませんか、知つておるだろう、それでは何も聞かれはせんじやありませんか、要するに聞くなということじやないですか。
○小倉証人 いろいろお叱りを蒙りましたが、その値引きあるいは拂下げにつきましては省議によりまして、こういうものは幾ら引くということをきめて、弘済会に通知したのであります。もちろん弘済会の方でもつと割引をしてくれと申しましても、それは事実上役所の決定にまつものでありまして、弘済会の言い分が必ずしも通らないものだ、かように考えます。それで私といたしましては、値引きの交渉をいたしたことは記憶ございません。
○鍛冶委員長 しかし運輸省でこういうことをきめてよこすというものの、運輸省は頭から来るものじやないでしよう。あなたが行つて予備交渉をして、それじやこういうことでひとつやりましようということになつて、それからこれが文書になつて出るのだろう。その予備交渉をしたあなたがこういうことを知らぬと先ほどから言つている。予備交渉なしでこういうことができますか。その予備交渉を聞こうと思つて今日あなたに来てもらつた。それを頭から何も知らぬ、そんなことはなかつたと言うのではてんで話にならない。
○小倉証人 重ねて申し上げますが、私の記憶では、二割、五割、八割ということを私がその主管であつたときに聞いた記憶は実際ないのであります。そういうお叱りを蒙むるならば、一應帰りまして、岡田理事と記憶を新たにして参ります。
○鍛冶委員長 岡田理事に一番先に聞いたのです。そうしたらおれじやないと言つたのです。それから堀木証人に聞いたら、あなたに間違いありませんと言う。そこであなたに聞いたらおれじやないと言う。一体だれなのです。一一もう一遍堀木さんのを読みましようか。高木委員は「そこで重ねて賣却價格の基準についてというところを見て、いただきたい。イ、ロ、ハと三つありますが、これは結局結論であつて基準ができたわけでありますが、このイ、ロ、ハ、の二割、五割、八割という割をきめることについて、運輸省と弘済会との間に折衝があつたかどうか、よく示してくれませんか。」これは高木委員の質問です。そこで堀木証人は、「その問題については先ほど申し上げましたように、大体この基準で運輸省としてはやらせる、私の方もそれならば大体引受けられるだろうという考え方でございます。」こう言つている。もちろんそうでしよう、そう言わなければできるものじやない。「高木委員、それはわかつた。そこでこの折衝をして妥結するに至つた経過を具体的にお話願いたいというのです。堀木証人、むろん折衝があつたことは存じておりますが、当時のこまかい折衝の実態をお開き願うのでしたら、実は当時の小倉理事から御聴取順えれば……。岡田君ではありません。小倉理事であります。」と言つております。それを君はおれはやらなかつたと言う。一体だれをとらえて聞けばよいのです。
○小倉証人 ……。
○鍛冶委員長 あなたでなければだれですか。
○小倉証人 私が岡田理事からこういうようにきまつたということを聞いた記憶があるように存じますが、一應調査させていただきたいと思います。
○鍛冶委員長 岡田理事はあなたが言われたように二月の末に理事になつたのでしよう。あなた二月か三月だつたといつているのでしよう。これは二月二十六日の覚書として出ているのだよ。岡田理事は二月二十四日から入つたといつているのです。二十四日から入つて二日の間にこんなものができるはずはない。新しい人が来てこんなものを調べるも何もありはしません。さようなことを岡田理事からあなた開くはずは何もないではありませんか。岡田理事に間違いありませんか。こういうものを貰つて来た者は岡田理事であるかもしれませんが、予備折衝をした者は。
○小倉証人 私の記憶はそうだつたように思いますが、はつきりこうだとつき詰めておつしやられれば私の記憶違いかもしれませんでして、その辺は証言でありまするからして、私の不確かな記憶ではつきり申し上げることは御勘弁を願いたいと思います。
○鍛冶委員長 折衝の内容を覚えておりますか。
○小倉証人 私も何も折衝につきましてはもちろんやましいところも何もございません。包み隠すつもりは毛頭ございません。
○鍛冶委員長 それならもしそうでなかつたら、あなたは今日は全然覚えはないのですか。岡田だと言われるならあなたに聞いてもしようがない。そう言われれば私だつたかもしれないと言うなら、折衝した覚えがありますか、内容はどうですと聞かざるを得ない。一一少し反省してもらいたい。そういうことでは世間からいろいろ言われても弁明の余地がないじやないですか。てんで責任を負うことはいやで、逃げることばかり考えている。 もうそれ以上はしようがないでしよう。それではあとを聞きますが、この弘済会の鉄道処分品の拂下げによつて得たる利益はどのくらいありました。
○小倉証人 私はその整理品の実際の取引はほとんどいたしておりません。その整理品は、私は二十二年の三月でしたか、岡田五郎君が來ましたときにその主管業務を引継ぎまして、私は七月にはやめております。そして整理品の拂下げは特殊事業部というところの独立会計になつておりまして、そこで整理をいたしておりますのと、それから拂下げが現実に起りましたのは多分二十二年の下半期だろうと思います。私はその整理品の決算は見ておりませんから申し上げられませんが、弘済会の賣上げは数千万円に上つたろうということを聞いております。
○鍛冶委員長 あなたさつき日本運輸倉庫会社の社長になつたと言われたが……。
○小倉証人 そうであります。
○鍛冶委員長 これはどういう関係からおなりになつたのです。
○小倉証人 運輸省は昭和六、七年ごろかと思いますが、省の責任において営業倉庫を開始いたしました。それは秋葉原の駅の下と、大阪の梅田駅の下と、名古屋の笹島駅の下で省が営業倉庫を経営いたしておりました。ところが官の営業でありまするために、収益が非常に上りませんでした。それで関係者はこれを生かすにはやはり民営に切りかえなければいけないという考えに運輸省の省議がまとまつて、民営に切りかえることになりまして、日本運輸倉庫株式会社というものを設立いたしました。当時私は参議院の專門調査員をいたしておりましたのですが、私にその倉庫を引受けろというような運輸省からの話がございまして、お引受けをした次第であります。
○鍛冶委員長 かんじんのあなたに聞こうと思うところを、私がやらなかつたようだとか覚えがないとおつしやる以上はやむを得ません。先ほどあれだけ言つてもまだ思い出せませんか。
○小倉証人 決して悪意をもつて申し上げているのではありませんですが、今日ちようど弘済会の証人もお呼びのようでありまするからして、もしお許し願えれば日付を繰つてみまして、私のときであるかどうかということを今日中に申し上げたいと思いますが……。
○鍛冶委員長 ほかに何か聞かれることはありますか。
○神山委員 少しお尋ねします。あなた先ほど発動機のことはやつと委員長に注意されて思い出しましたが……。
○鍛冶委員長 いやまだ知らないと言うんです。
○神山委員 まだ知らないのか。それではもう一つ聞きますが、二月三日に信管鋼一千トン、これも知りませんか。二月十六日に同じ信管銅が一千トン、それから二月十九日マンガンが百二十二トン、二月の三日に水銀が百三トン五十、二月二十七日にやはり信管鋼一千十二トン、三月十三日一一これはあなたが退職したときかもしれぬが水銀が八トン幾ら、こういうふうなものが帳簿の上に載つかつておりますが、これも御承知ないですか。
○小倉証人 それは先ほど申し上げましたが、日付の狂いではないかと思います。
○神山委員 日付の狂いというのはどういう意味で事すか。
○小倉証人 一年違つておるのではないかと思います。
○神山委員 二十三年という意味ですか。
○小倉証人 そういう意味であります。
○神山委員 二十三年の資料は別にあるのですよ。
○小倉証人 弘済会で私事実そういうふうな大きな特殊物件の拂下げにタツチしたことは記憶しておりません。それで弘済会で、この前ニツケルの話がございましたときに、何かこちらの方の資料と弘済会の方でか運輸省の方で出した資料との食い違いで、年次が一年違つているということを発見したようなことをちよつと言つておりましたが、その辺お調べを願いたいと思います。
○神山委員 いや、そんなことを言いますが、ニツケルは二十二年にも四十トンあるし、二十三年にも四月に十トン、五月の二十二日に、十五トン、それから十月に十六トン、十一月に十五トン、こういうふうにあるわけなんで、だからあなたのおつしやることばかりがそうとも言えない。ある場合帳簿の間違いがそちらにあつたのをこちらが写し違えたということもあるかもしれないが、従つてあなたのおつしやる年代が一年違つているということも、必ずしも正確にわれわれとして受取れない。わかりませんか。
○小倉証人 鉄道の特殊物件の拂下げにつきましては、先ほども申しましたように各地方の倉庫に散在しておりまして、その整理が非常にたいへんだ、それで援助して整理をしながら弘済会に出す、こういうことでありまして、その具体的な拂下げを弘済会にするということが二十三年の一月にきまつたのでありまするから、すぐにそれほど大きなものが出たとは私記憶いたしておりませんので、その辺は非常に恐縮でありますが調べさせていただきたいと思います。
○神山委員 調べさしてもらいたいということは、これは委員長の方で判断するでしよう。また委員会としてもあとでまた問題にしなければならない点ですが、少し方面をかえてお尋ねいたします。あなたが業務局長をおやりになる前には何をしていらつしやいましたか。
○小倉証人 業務局長をいたしておりまする前には、帝都高速度交通営團の理事をいたしておりました。
○神山委員 業務局長から弘済会に移られたわけですね。
○小倉証人 さようであります。
○神山委員 これはどういう事情でおかわりになりましたか。
○小倉証人 業務局長は昭和十九年の四月になりまして、終戦と同時に退官の手続きをいたしまして、お許しを願つたのであります。八月の中ごろでありまするが、このときに運輸省といたしましては、次官、長官、その他局長も大部分退職いたしました。そのときに私も退職して、しばらく遊んでおりましたが、年を明けましてから、ときの理事長の堀木鎌三氏が、私にも弘済会に入つて手助けをしろ、こういうことで弘済会に入会いたしました。
○神山委員 堀木君は前には総務局長をやつておられましたか。
○小倉証人 そうであります。
○神山委員 そうするとあなたは堀木さんと一緒におやめになりましたか。
○小倉証人 そうであります。
○神山委員 そのときに加賀山君たちはやめませんでしたか。
○小倉証人 やめませんでした。
○神山委員 あなたがおやめになつた事情を一つはつきり言つていただきたい。堀木君はこの前こちらに参られまして、病身でやめたというふうに証言されておりますが、それも一つの理由かもしれませんが、それよりももつと大きな問題は、彼が当時鉄道の戰闘隊の隊長であつたということや、また戰時中に非常に従業員を酷使した、こういうふうなものに対して恐れてやめた、このような見方をしている人もある。あなたたちの場合は世間でいわゆる堀木閥、また対立する閥もありますが、これが一緒になつてやめて、一緒になつて弘済会に入つた。そこで第一に聞きたいことは、やめたあなたのほんとりの心境、あなたは堀木君の子分、と言つては失礼ですが、その指導を受けられて、その後も堀木さんと非常に緊密な連絡を持つておられるかいなか、この面をひとつ聞いておきたいと思います。
○小倉証人 私業務局へ入りましてから、ちようど戰争の末期でありまして、海上輸送が全部陸上輸送に轉化しまして、非常に国鉄が重荷を負つたときであります。そのときには私が業務局に入りましてから早々に水害もありましたし、それから暮れには東海道の地震もありましたし、青森の雪害もありまして、輸送が思う通りに参りませんでした。それで私は業務局長としましていつも責任を痛感いたしておつた次第であります。在職中にも、私のような者が業務局長をいたしておつてはなかなか國鉄の輸送が満足に行かないということで、二度ほど辞表を出しかけたこともありますが、そのたびに慰留されまして、終戦を迎えたような次第であります。それでありますから私は終戦と同時に、まことに戰時中の輸送に対して相済まなかつた、こう思いまして辞表を出しました。それが私の心境であります。
○神山委員 鉄道の閥というと語弊があるかもしれませんが、このことは堀木君自身もここで認めて来たのですが、国鉄の首脳部が固く結びついているばかりでなく、十四ばかりの外廓團体を持つている。その中で弘済会は一番有力なものですが、その弘済会の中にやはり一つの大きな閥ができている。これの一番責任者が十河君、これは名儀上で、実質的には堀木君が牛耳つているわけですね。そうじやないですか。
○小倉証人 私は鉄道には閥はないように考えております。それは、鉄道は現業官廳でありまして、その適不適、能力というものが割合にはつきりわかる、こういうことで、上の人は有能な人をどんどん抜擢するということで、外部から見れば閥のように見えるのではないかと考えております。
○神山委員 それではお尋ねしますが、ここで委員長に特に了解を願いたい。これは今言つた、世間で閥があるとかないとかいうことを解くための鍵で、決して私のことをあばくというような意味ではないのですから、お許し願います。加賀山君の奥さんはどこから来ているのですか。
○小倉証人 十河信二さんです。
○神山委員 おつしやる通りです。媒酌人はたれかご存じですか。
○小倉証人 存じません。
○神山委員 これは堀木君が媒酌人です、こうした例をあげれば、まだほかにもいくらもあります。こういうことは言いたくないのですが、あなたのおつしやる有能な人によつて鉄道の首脳部が形成されているというのには、あまりに親密な関係ができているということも客観的に言えるじやありませんか。加賀山君の奥さんを堀木君が媒酌している。そうして一方では國鉄を牛耳り、一方では弘済会で根を張つている。これはどうですか。まだあげれば、ほかにもこういう例はいくらもある。從つて、こういう問題を單に有能か無能かというような問題で言つても、これは何も偽証だというわけではないが、問題の本質をずらしてしまう。 それで次にまたお尋ねしますが、あなたが弘済会をおやめになつた事情はどういうわけですか。
○小倉証人 私は弘済会に入りまして営業の面を担当いたしましたが、弘済会の営業と申しますと、物の仕入れ、販賣等が主でありますが、私は商賣が下手でありまして、物の賣り買いは上手でない方であります。それで私は営業の方面を他の理事に譲りまして、経理の方に移りました。そのときに岡田五郎君が入つて來まして、この人は私よりも経理関係ではよほど有能な人でありまするので、後進を開くという意味もございましたし、当時先輩から参議院の運輸交通専門員に就任しないか、こういうふうなたつてのお話もございましたので、弘済会をやめて、参議院の方の専門員になつた次第であります。
○神山委員 世間の一部ではあなたが弘済会をおやめになつたのは、弘済会の一部不当貸付けをされて、その責任を負つてやめた、こういうことも言われております。これはどうでしよう。
○小倉証人 これは先ほども申しましたように、商賣が下手なので、はなはだ私の不名誉とするところでありまするが、当時物を買います場合に、前渡金を拂うということがちよいちよいあつたわけであります。当時前渡金が拂われないと物が入らないということで、私のときに前渡金を拂つて物を買うというようなことで、その前渡金がとれませんでして、私はそれにつきまして非常に弘済会に対して相済まないと思つた事実はございます。
○神山委員 その前渡金の中に、あなたの特殊な関係にある人はありませんでしたか。
○小倉証人 ございます。
○神山委員 お名前はあえて聞きませんが、どういう関係の方ですか。
○小倉証人 私の弟であります。
○神山委員 それがはつきりすれば結構です。何もまだ結論を出す必要はありませんが、さらにお尋ねしておいた方がいいのは、特殊事業部ができましたが、これについてはご存じないですか。
○小倉証人 存じております。
○神山委員 これはどういうふうにいつできたものでしようか。
○小倉証人 多分二十二年の二、三月ごろではございませんでしようか。記憶ははつきりしておりません。
○神山委員 どの程度にこの事業をおやりになりましたか。もう一つ逆さまに聞いた方がわかるでしよう、何人くらいの職員をお使いになりましたか。
○小倉証人 だんだん殖えたと思いますが、最初は二、三十人から、最後は私のときではございませんが、五十人くらいになつたように聞いております。
○神山委員 あなたのときでけつこうですが、その中で中心になつた人は何という人ですか。
○小倉証人 兵動正彦でございます。
○神山委員 兵動君が中心ですね。このことは委員長御承知ください。この前の証言にも出ておりますね。それから牛込君でしよう。それから中村君、これらの人々が中心になつて仕事をしたわけですね。この人々とあなたとの関係はどうでしたか、あるいはあなたはこの人たちにどういうふうに仕事をおまかせになりましたか。
○小倉証人 兵動君は、私かつて鉄道の事務官時代でありますから、昭和五、六年ごろのことと思いますが、当時私が購賣二課という物品購入の課におりましたときに、私の下ではございませんが、同じく購買二課の木材の方の係をやつておりましたのが兵動君でありまして、その当時からよく兵動君を知つております。ほかの二人につきましては私が世話したわけではなし、そう深い関係はございません。
○神山委員 その場合、特別に何か職員採用の基準というふうなものがあつたわけではございませんか。
○小倉証人 ございませんでした。
○神山委員 もう一つお尋ねしますが、終戰直後の物資をいろいろの形で引継がれたと思いますが、それの模様をひとつ聞きたいのですか。
○小倉証人 それは運輸省でありますか。
○神山委員 そう。
○小倉証人 運輸省が陸軍か海軍か軍の物資を引継いだことにつきましては、私承知しておりません。
○神山委員 これはあなたは知らないとおつしやれば、あえて聞きませんが、堀木さんはこの前ここへ来て、事務的に処理したというふうなことを言つておりますが、この特殊物件をとるために相当骨を折つておられたようですが、これが後に起つて來る運輸省のいろいろな不当拂下げの根本原因になつて来るわけです。これは委員長が後に重大な関心を持たれるように希望しておきます。 さらにあなたが先ほど來委員長の質問に対して澁つておられる点を、私ももう一点聞いておきたい。委員長は速記録を読まれましたから、私はあえてこまかな速記などは引用しませんが、堀木証人がここに来て述べたところによると、あなたが先ほど忘れていたように、あなたを含めて、委員長は会長、副会長は資材局長で、國鉄整理品委員会ができた。小委員会ができた。堀木さん以下の理事がこれを担当した。この場合予備交渉はもちろん、一番大きな役割をやつたのはあなただということを、さつきも委員長がくどく言つておられるのですが、いまだあなたは思い出しませんか。
○小倉証人 堀木証人の言つたことも、この問題の最初のきつかかりは私である、こういう意味だつたと思います。その点につきましては先ほどから、最初に私が弘済会の担当理事として運輸省と話し合つておつたということは、申し上げたのであります。それで当時運輸省が相当な死退藏品を持つているということも、周知の事実でありましたし、また私の方でそれを利用したいということも考えておりましたので、私さいわい運輸省には始終参りますから、その方面の関係者に拂下げをして欲しいということは、こちらからも申出ておりました。但し運輸省でその方針がきまつて、初めて私の方に正式な通告があつてお受けした次第であります。
○神山委員 いずれにせよ実際の中心はあなただつたということだけは明らかなので、この点はよいのです。あなたにもう一つお尋ねしますが、弘済会の理事をやつていらつしやいましたときの給料はいくらでしたか。
○小倉証人 一万五、六千円程度だつたと思います。
○神山委員 それは手取りですか、税込みですか。
○小倉証人 税込みであります。
○神山委員 一万五千円税込みだとおつしやればそれでよいのですが、それが手取りになれば二万円前後のことで、非常にあなた方の生活は苦しかつたと思う。私がここでさつき指摘したように堀木君が二万円、あなたが一万五、六千円、これだけの收入で実際にあなた方は生活ができたのかどうか。この問題と、この前堀木君たちの場合にはつきりした宴会費その他が非常にたくさん使われておるということと関連すると思うのです。まさかあなたのような口のかたい人だから、この給料の方はどうだつたか聞いても言われないと思うけれども、この点に大きな疑惑が残つておる。弘済会と國鉄の幹部が結びついていて、弘済会はがつちりと古いあなた方でかためられている。さらに弘済会から外へ外へといろいろな手づるを停つて出ておる。先ほどおつしやつた秋葉原と大阪のガード下の日本運輸倉庫、これはどこからお買いになりましたか。
○小倉証人 運輸省であります。
○神山委員 運輸省が弘済会にこの権利を移譲しているのではありませんか。
○小倉証人 現在は日本國有鉄道でありますが、それは先ほども申し上げましたように、その当時私の方で日本運輸倉庫がそれを引つぎます前までは、省で営業倉庫を経営いたしておりました。從いまして弘済会には貸しておりません。
○神山委員 それではもう一つお尋ねしますが、ガード下の権利は一般に弘済会が握つておることは御承知ですね。
○小倉証人 それは承知しております。しかし最近はそれがはずれたということを開いております。
○神山委員 いや最近でなくて今まで非常にいろいろな疑いの種になつておるわけですが、これくらいにしておきましよう。
○佐々木(秀)委員 大分時間も経つて來ましたので一、二伺います。先ほどあなたは、この國鉄整理品委員会をつくつたときにあなたも入つておられたかと言つたら記憶ないということであつた。だんだんに質問して行つた結果、あなたが筆頭理事になつているということで、あなたが入つていることがわかつた。國鉄の品物を整理する委員会に弘済会の方々が多数入らなければならぬということは、われわれは了解に苦しむのです。国鉄の整理品を拂下げる場合は、國鉄の中で委員会を構成すべきではないかと私は考えます。あなたは國鉄と常に折衝されてこの委員会をつくつた重要なポイントのように私は考えるが、あなたのお考えはどうですか。
○小倉証人 私はこう考えます。それはこの整理品委員会というのは決定機関ではありませんで、拂下げをするということの原案を作成しまして、拂下げは省の責任者の決裁によるのだと思います。そういたしますと、この整理品は先ほど申しましたように各地の倉庫に散在しておりまして、それをいかにして整理区分するか、あるいはいかにして搬出するか、それからどういうところへ持つて行くかというようないろいろなことがございますので、役所といたしましては一方的にきめるわけにも行きませんので、弘済会と協議してきめるということが一番よいと考えて、そういうふうにいたしたのだと考えます。
○佐々木(秀)委員 それはあなた方の独自の考え方であつて、少くとも国鉄の拂下げ品というのは國家の品物です。その國家の品物を鉛なら鉛、錫なら錫、綿布なら綿布を拂下げる場合は、当然國民の納得するような入札機関をつくるとか、あるいはその他の方法を講じてやるということが公平なやり方だと私たちは考える。ただあなたが國鉄の役人と結託して、國鉄から出る物は話合いで行こうじやないかというような考え方から、私はこの整理品委員会というものができたと思う。どちらにしてもこういうものを拂下げる場合は、入札的な國民の納得するような行き方をするのが当然だと思いますが、あなたはどう考えておるのですか。
○小倉証人 当時各方面に資材が非常に不足でありましたので、それを一般の民間に入札などで拂下げますときにはいろいろなブローカーがつきますし、それから拂下げをしても引取り能力がなかつたり、いろいろな事務上のまずいことがあると思う。從つて弘済会というような財團法人で営利法人でないところへ渡すということが一番きれいな方法であろう、こういうふうに当時の運輸省では考えたことだと思います。私どももそういう意味でお願いした次第であります。
○佐々木(秀)委員 私の手元に弘済会整理品関係会議費抜葦というのがあるが、この会議の内容を見るといついつか何々をどのくらい配るとかいうことが、常にこの会議できめられたように私は想像するのでありますが、そういうことはなかつたのですか。何回もこの会議を開いておりますが、あなたは先ほど具体的に品物を扱うような会議ではありませんというような話でしたが、私の想像ではこの会議は二月のいついつか会議をやつた、三月のいついつか会議をやつた、その会議ごとにきつと品物について具体的な相談まであつたのではないかと思う。これは私は悪く想像しておるかもしれませんが、あなた方は会議に出席してそういうことはなかつたのですか。
○小倉証人 私の言葉が足りなかつたのかもしれませんが、整理品委員会はどういう品物を具体的にきめて、どういうふうに処分するのがよいかということが目的だと思います。従いましてそういうことを協議したことと思います。但し私はその物品を具体的にきめる場合の委員会には出ておりません。それは小委員会でまずあらごなしをしまして、そうして整理委員会に提出することになります。先ほど私が申し上げましたのは、役所の拂下げでありますからして、整理品委員会でこれこれということになりましても、それは有権的なものではなくて、それによりまして資材局長なりあるいは次官でありまするか、そういう所まで行きまして決裁をとつて初めてそれが拂下げになる。こう思つております。それを申し上げたわけであります。
○佐々木(秀)委員 小委員会も委員会もここに明文がありますが、四十名近くの人員で構成されておる。そうすると小委員会できめたといつても、委員会と同じ人員の、同じ委員会の中から選ばれておる。こういうことはつつ込んでも――大体わかりましたが、あなたの言つたのは要するに、具体的な問題まで入つたということに私たちは了解してよろしいのですね。整理委員会は……。
○小倉証人 さように思います。
○佐々木(秀)委員 それから整理委員会というものはもちろん中央の弘済会の理事あるいは本省の局長、課長、こういうものが皆入つておるのですが、地方でもこういうものができたのですか。
○小倉証人 地方にもできたように聞いております。
○佐々木(秀)委員 何箇所くらいできたかわかりませんか。
○小倉証人 それは各鉄道局ごとだろうと存じます。
○佐々木(秀)委員 鉄道局ごとにできたのですね。そうしてその性格はやはり同じですね。
○小倉証人 同じだと思います。
○佐々木(秀)委員 わかりました。それだけです。
○石田(一)委員 ただ一言だけお聞きしたい。あなたは弘済会がそのことを運輸省と交渉して運輸省の持つておるあらゆる資材、不急不要なものを拂下げを受ける下交渉をなさいました。交渉をなさるときに、先ほどの最初の証言では、文書をもつて申請をしたことはない。こう口頭で交渉しただけである。そうすると弘済会に対して拂下げをするということが、文書によつてはつきりとなされるようになつたのはいつごろでございますか。
○小倉証人 それは先ほど來問題になつております一月何日かの日附の鉄道総局の決議で、國有鉄道の死退藏品を整理する、それにつきましては拂下げの相手方を弘済会にする。こういうことが省議できまりまして、それの通告を受けたわけであります。それに対して実際契約では、こちらから請書あるいは承諾書と申しますか、そういうものを出して初めて契約になるわけでありますが、それは私の記憶にはありませんし、弘済会に問い合してもそういう記録は残つておらぬ、こういうことであります。從いまして拂下げの契約はここにリストが出ましてこれを拂下げをするという役所からの通達で、こちらがそれに対して請書を出しましてその個々につきまして契約ができた、こう思つております。
○石田(一)委員 そうすると個々についての契約は全部とりかわされていますか。
○小倉証人 おると思いまするが、先ほどからお叱りをこうむつておりますが、私はほとんどこの拂下げの具体的のことにはタツチいたしませんでしたので、その辺はしかと御返答は申し上げかねます。
○石田(一)委員 参考にお聞きしますが、今あなたのおつしやるのは、拂下げは運輸省と弘済会の契約によつてなされておるような形ですが、先ほどのあなたのおつしやつた文書で申し込んだことがないというようなお言葉から私たち察しますと、これは契約ではなくして、運輸省のいわゆる一方的な、役所の命令的な系統によつてこれを弘洛会によつて賣りさばけというような形に初めなされていたのではありませんか。この取扱いはそれが後になつて相当問題化するおそれがあるので、あとから契約という形にして、帳簿を直した、帳簿を修正した、あるいは帳簿を新たにつくり始めたのじやありませんか。だから実際に物品を賣買した、あるいは弘済会が取扱つたというのは、契約のずつと前に品物を扱つて、契約の実際の文書のとりかわしは品物を賣買した後になつて初めて契約があとでかわされているという問題も出て来る。こういうところから察すると、初めは運輸省の命令的な、威嚇的なことであなたたちが弘済会においてこれを賣りさばいていて、後に問題になつたというので、これが契約の形に直されるために、こうした契約が事後になされたというようなことじやありませんか。
○小倉証人 その点につきましては、先ほども申し上げましたが、とかくかような特殊物品はその当時としまして非常な拂下げの競争が起つたのでありまして、それを個々にいたしておきますと、やはり運輸省でも末端においてどういう不都合が起るかもわからない、これをぜひ公明正大にやりたい、そういう氣持からして弘済会に引受けないか、こういう話が初めてあつたわけであります。それでありますから、また先ほど來も申し上げましたように、その特殊物件、死退藏品を私の方で受持ちますれば、整理の方の人も職場ができますし、またいろいろな事務につきまして職場がふえるわけでありますので、またそれによつてなにがしかの収益が生れますれば、それを救済事業にも充てることができる、かような意味合から弘済会でもせひそれをいただきたい、こういうことは私から口頭でもつて言つております。でありますから威嚇的に、あるいは一方的に押しつけたということは決してございませんでして、弘済会も希望し、運輸省もそれがよかろう、こういうことであります。
○石田(一)委員 それはそうですけれども、ただ契約という形をとつたのが、あとでその形をとられたような疑いがある、それで私は参考のために開いたんですが、もう一つお開きしたいことは、たとえば先ほど問題にちよつとなりました、あなた方が御存じないとおつしやる百三十台の発動機の問題などについて、弘済会と運輸省とがその所有権を爭つたりしたことはありませんか。その、爭つたということは第三者の摘発を受けて、その当時隠退藏物資等の摘発を受けて鎌倉河岸の倉庫にあるものを、これは弘済会のものである、いや運輸省のものだとか、所有権の爭いなどがあつたのじやないですか。この発動機については。しかもこの発動機の梱包などは海軍省のマークや陸軍省のマークがついていて、セレベス行であるとか何行というような判の押してあるような一―いずれの所属ともはつきりしないで困つていたという事実があるでしよう。
○小倉証人 その点はつまびらかにしておりません。記憶がございません。
○石田(一)委員 鎌倉河岸の倉庫の問題などは全然御存じありませんか。
○小倉証人 何か発電機があるということは聞いたことがございまするが、その点について鉄道と弘済会とで問題が起きたということは私深く承知しておりません。
○石田(一)委員 某警察が警察官を連れて鎌倉河岸の倉庫の摘発に行つたところ、そのときには運輸省の名前を使つた。そうしてその摘発を回避した。後になりますとこれがすでに弘済会のものであるというふうになされていた。そういうふうにして当時のいわゆる正しい摘発を逃れたりしたようなことはありませんか。そういうことは御記憶ありませんか。
○小倉証人 記憶しておりません。
○鍛冶委員長 弘済会からこういう帳簿が来ておるのです。それを見ますと、先ほど聞いた発電機は、二十二年の二月十九日に拂下げを受けて、一月二十六日から、大体一月中に費つておるのだ。これはどうです。そういうことは知りませんか。これはあなたが覚えがなければおそらく二十三年の間違いだろうと思うのです事が……。
○小倉証人 記憶いたしておりませんが、あらためましてもう一回書類なり、その他につきまして……。
○鍛冶委員長 いや、これはここに書いてあるので見せてあげましよう。二十二年であればあなたが知つておらなければならぬはずだ。今石田君が言われたが、非常にやかましかつた問題らしいのだ。何百万円のものなんだ。そんな調べてみますというようなことじやないのだ。あなたが知つておるか、知つておらぬか聞いておるのだ。
○小倉証人 記憶にございません。
○鍛冶委員長 どうもこれは二十二年度に書いてあるのだが、二十三年だろうと思うのです。ただおかしいのは二月十九日、二十七日、三月十三日、そ、れから六月二日、九月十六日、こうなつておるので、これは確かに二十二年の六月二日、九月十六日に間違いないのだ。二十三年だとすれば、あとのものを先に書いて、先のものをあとに書いておる。はなはだもつて了解に苦しむ帳簿なんだ。二十二年度と書いて二月と書いてあるのだから二十二年度の二月のように見えるのです。ところがどうもそうでないらしい。あなたが知らぬというのはほんとうらしいのだが、そうすると二十三年度の二月なんです。二十三年度の二月なら六月のあとに行かなければならぬものが先に出ておるというのが不思議なんです。
○小倉証人 これを見ますと、この第一表には二十二年度の最初は八月の二十七日から九月、十月ということになつております。それで一表めくりますと、この最初の表の一番おしまいが二月の十六日になつておりまして、こちらをめくりますと二月の十九日になつておる。ちようど日附をおつているように見えますが、表題が二十二年度になつておりますから、これは二十三年度の間違いじやないかと思います。
○鍛冶委員長 二十三年の二月の間違いでしよう。ところがあとに行つて六月がついておりますね。二月のあとで……。そうすると二月が先で六月があとでなければならない。それが先に出ておるのはどういうわけだ。わからぬというのです。
○小倉証人 私も事実私の時代に拂下げ物品で取引したことはないと記憶しておるものですから、ここでお話を承つて頭が混乱しております。
○鍛冶委員長 とにかくあなたの言われる通けその帳簿はおかしいでしよう。実にそれはどういうものをこつちによこしておるのか、はなはだ迷惑至極なものだ。
○小倉証人 このナンバー二の二十二年というのを二十三年と書けばそれで筋が通るように思います。
○鍛冶委員長 そんなことはない。それにしたつて四月から三年度になつておるなら別だが、そうじやないのです。これは二十三年の二月です。その前のは二十二年の六月、間違いないでしよう。実にけしからぬ帳簿が出て來ておる。 それからもう一ぺん念を押しますが、あなたは鉄道省とこういう價格の点であるとか、割引の点を交渉した覚えはないのですね。岡田君だと思つていますね。
○小倉証人 私もそう思つております。記憶はたしかそういうふうに記憶しております。
○鍛冶委員長 從つてそういう交渉をした覚えはない、こういうことですね。
○小倉証人 はい。
○鍛冶委員長 それならこの拂下げ品整理委員会その他等もまたあなたは自分で委員であつたという覚えはございませんね。
○小倉証人 記憶しておりません。
○鍛冶委員長 当然あるべきことを知らぬ存ぜぬと言われては偽証になりますからね。その点わかつておりましようね。
○小倉証人 それはもう一度調べまして御返事いたします。
○鍛冶委員長 今日のあなたの記憶を聞いているのだ。皆出て来るのは俺でないないと言われて政府の漫画に書いてあるように全部どこへ行つた――その先は何もないことになる。 今日は済みました。
○鍛冶委員長 松田節生さんですか。
○松田証人 そうです。
○鍛冶委員長 あなたは鉄道弘済会特殊事業部販賣課長ですか。
○松田証人 現存は整理品事務所長です。
○鍛冶委員長 それではいつからいつまでこの販賣課長をやつておいでになりましたか。
○松田証人 販賣課長は二十三年の十二月二十三日ごろだつたと思います。
○鍛冶委員長 二十三年十二月からいつまで。
○松田証人 二十四年の五月二十三日です。日にちははつきり覚えておりませんが……。
○鍛冶委員長 その後は何をやつておりますか。
○松田証人 それから特殊事業部というのが廃止されて、かわりに整理品事務所というものができまして、整理品事務所長を勤めております。
○鍛冶委員長 その整理品事務所というのは、特殊事業部の販賣課の事務を引継いだものですか。
○松田証人 特殊事業部を引継ぎまして、その残務整理をやるのが主でありまして、今後運輸省が拂下げられる物を入札に加入して、それが落札しましたらそれを扱うということであります。機構、人数は特殊事業部より大体半減しまして、非常に縮小いたしました。
○鍛冶委員長 二十三年からこの鉄道の整理品の仕事をやつておると見てよろしいわけですね。
○松田証人 販賣課長は二十三年の十二月からです。
○鍛冶委員長 その前は。
○松田証人 その前は、二十二年の八月十一日に弘済会に入りました。
○鍛冶委員長 それで何をやりましたか。
○松田証人 それから、一、二箇月して販賣第一係長になつたのでありますけれども、あとから聞きましたら、販賣係長はさかのぼつて採用の日からなつておるということで、形式的には八月十一日ごろから販賣係長になつておつたのが、実質的には一、二箇月遅れて……。
○鍛冶委員長 それでは承りますが、鉄道から拂下げられる品物を、第一こういうものを拂下げようと選定する方法、並びにその價格の決定はどういう方法でやられておりましたか。
○松田証人 それは運輸省及び東京鉄道局の方からこういうリストが示されます。これは死退藏整理品として將來お前の方にやるぞというふうにリストが示されます。これによつて私の方は準備をいたしまして、下見をする、それから賣却先をいろいろ考えるというふうな準備をして、そうして拂下げになる、こういう順になります。
○鍛冶委員長 そのリストが運輸省からあなたのところに来るのですか。
○松田証人 來るのです。
○鍛冶委員長 それは全部拂下げするのですか。その中からいるものをとる……。
○松田証人 全部のつもりでありますけれども、價格の点で折り合わなかつたり、その後運輸省でこれはいると認めてまた取消しになつたり、この中から私の方が非常に努力してむ遂に拂下げにならなかつたというものも相当あります。
○鍛冶委員長 鉄道で取消してその中から取除いてか。
○松田証人 取除いたものもあります。取除かないで死退藏のままで遂にまた持越されてしまう、拂下げにならないというものもあります。
○鍛冶委員長 鉄道の方であなたの方に拂下げしようと思つて鉄道が出すのでしよう。
○松田証人 そうです。
○鍛冶委員長 そのうち除こうというものが出て来るけれども、死退藏のまま残るというのはどうういうわけだ。
○松田証人 價格の点で、私の方は、このくらいの値でなければさばけない。運輸省の方では、帳簿價格その他の関係でそんな價格ではとても拂下げできないということで、遂に拂下げに到達しないというようなものもあります。
○鍛冶委員長 そうすると、まず第一にあなたの方でいる品物を選ぶ。それから價格の合うものをとる、こういうことになるわけですね。
○松田証人 いや、いるものだけをとるわけでもありませんが、大体拂下げになるときに、拂下げになるのはいろいろの方法があるのでございますが、省から私の方に拂下げになる方法には、省がマル公を適用してそれから二割あるいは五分引というように一方的に引いて來られる場合がある。それから私の方に相談なしに一方的に價格を査定して拂下げられる場合もある。それから運輸省と私の方と両方で下見に行きまして、あの品物はあそこがさびておつたから、Bクラスで五割引ぐらいにしてもらわなければいかぬとか、いろいろ相談しまして、最後に運輸省側で一方的にきめられる場合もあります。それから小委員会にかけるほどのものでなくて、一品か二品の場合は、私の方から、あの品物はこの程度なら販賣できるという意見を申し述べて、しかる後省で一方的におきめになつてきまるものもあります。それから他の官廳から証明がありまして、それによつて價格のきまる場合もある。それから先に私の方が下見をする。そして私の方の業者も連れて行つて下見させて、入札して最高價格を申出て、あの品物は最高價格二十万円で拂下げるが、その五分引きの十九万円で拂下げていただきたいというふうに、逆に行つた場合もあります。拂下げの價格は、そういうふうに五、六通りの方針で、その都度適切な方法というふうな考え方で、省あるいは東鉄できめております。
○鍛冶委員長 何だかわかつたような、わからぬような……。 それからあなたの方からほかへ賣りさばきする、その價格の決定はどういうことですか。
○松田証人 私の方で賣るときには、入札で最高の人に賣る場合もあります。それから数名の者から口頭または書類によつて、その一番最高の人に賣る。それから指定生産資財は、割当切符を持つて来た人に先着順で賣る。
○鍛冶委員長 これはマル公ですね。指定生産資材というのは……。
○松田証人 マル公じやありません。マル公から幾分割引きした價格で賣つております。
○鍛冶委員長 そういうものはたいていマル公以上に、やみならば何倍、何十倍に賣れておつたろう。
○松田証人 私の方ではやみ價格というものを一番恐れております。
○鍛冶委員長 だからマル公でしよう。
○松田証人 ですけれども、指定生産資材切符は各メーカーが、たとえばニツケルにいたしますと半トンとか二百キロだとか、小さい切符を持つて来る。メーカー自体としては、自分でそれを探し出して買いつけるのがめんどうくさいものだから一一めんどうくさいかどうかしりませんけれども、今までの、商習慣にもよつておりましようが、仲介業者に頼む。あらかじめ切符を渡して、仲介業者はあらゆるメーカーから頼まれた切符を持つておりまして、それを持つて來るわけです。ですからマル公で私の方が仲介業者に賣りますと、仲介業者がメーカーに行くときはマル公以上でなければいけない。手数料がかかりますから。それでは賣つた先から價格違反が起る。價格違反を起した場合、弘済会からマル公一ばいでもらつたから、私の方はマル公以上に賣らざるを得なかつたというけつを持つて來られることは困る。だから幾分手数料というものは加味して考えてやる必要があるというふうに上の方で考えておられた。
○鍛冶委員長 なかなか恩恵を考えてやるね。あなたは一体、ブローカ一へ賣るということがあるべきはずはないじやないか。ブローカーはブローカー、片一方はメーカーに違いない。メーカーに賣つてやれば、あとはどうなろうとあなたの方はかまわぬはずじやないか。
○松田証人 だけれどもメーカーは自分自身で買いつけるということはめずらしい。
○鍛冶委員長 ブローカーは、メーカーでなかつたら切符をもらうわけはないだろう。必ず切符はメーカーの名前のものだ。
○松田証人 ところがメーカーは、切符によつて自分で買いつけをやらない。
○鍛冶委員長 だから実質はどうあろうと、あなたの方は形式上、口頭でメーカーに賣つてやつたということでよいじやないか。何も價格のことをあなたの方で考えてやる必要がどこにあるか。
○松田証人 いや私だけでなしに、私の上の方針もそうだつたと思うのですが。
○鍛冶委員長 メーカーでなければ切符を持つて來はしない。だからメーカーに賣ることにしなければいかぬでしよう。帳簿はメーカーに賣つたことにしてあるでしよう。
○松田証人 いや、中間業者に賣つてあることにしてある。
○鍛冶委員長 大分こまかくなるが、指定生産資材というのは、切符を持つた者に賣らなければいかぬのではないですか。
○松田証人 切符はメーカーがその岸本商人に委任してあるわけです。
○鍛冶委員長 委任しておつても、本人はメーカーではないか。岸木に委任したのだから、代理人だ。本人を呼ぱなければいかぬではないか。そんなことは法律上きまつているじやないか。
○松田証人 だけれども、賣買を委任するというようなことにしてあります。
○鍛冶委員長 賣買を委任したなら、それは代理人と取引してよろしいが、買主は本人でなければいかぬ。本人とは切符を持つておる者でしよう。そうじやないかね。
○松田証人 それでは現在の経済機構としては、中間業者というのは日本から必要なくなるという形になりますね。
○鍛冶委員長 それはいいのだよ。岸本はブローカーで、メーカーの代理人で來たと言われるのでしよう。
○松田証人 そうです。
○鍛冶委員長 それならそれでいいのだ。契約をするが、契約の本人は切符の所有者でなければいかぬ。岸木は代理人である。
○松田証人 だから現実にメーカーに賣る……。
○鍛冶委員長 あなたの賣る相手方はメーカーでなければいかぬ。おなたはメーカーに公定價格で賣つてやればそれでいいのだ。向うがどうしてやろうと、それはあなたのかまつたことではないのだよ。
○松田証人 やみ賣りしないように割引して、手数料が出るようにしておる。
○鍛冶委員長 僕らがここで言うのは、あなたがそういう余計なことを考える必要はどこにあるかと言うのだ。本人にあたりまえの値段で賣つてやればいい。公定價格で賣ることは、ちつともかまわないではないか。ブローカーに対して、どんなブローカレージを出そうとあなたは関係しない。
○松田証人 しかしブローカレージというのは、理由のいかんを問わず、いかぬのだと思います。
○鍛冶委員長 そんなことはあなたの方は関係しないのだよ。それが一つおかしいのと、もう一つ突つ込んで聞くが、そういうニツケルなんというものがここに出ておるが、一体あなたの方から公定償格で行つたら、公定價格で本人に入つておると思いますか。
○松田証人 入つておると思います。
○鍛冶委員長 思うか、たしかやみ價格は何十倍、何百倍ですよ。
○松田証人 それは切符を持つていない人ならそうでしようけれども、切符を持つているなら公定價格で買えるのですから。
○鍛冶委員長 じようだん言つちやいけない。ニツケルなんというものは、切符があつても現品とかわるなんということは、ことにぼくはその事件の大要のことを知つているから……。
○松田証人 だから私の方のブローカーから、その需要者に公定價格で賣つておるかどうか。
○鍛冶委員長 そういうことはあなたはかまわないのだ。ほんとうはあなたは、切符を所持している人間に直接賣つたらそれでいいのだ。 それでは鉄道弘済会が国鉄から拂下げを受ける場合に、いろいろ割引してもらつておりますが、それはどういう標準によつて割引を受けるのですか。今賣つた場合を言つたのですが……。
○松田証人 新品は二割引です。不適格品は現品認定の上、五割引または八割引です。八割引は古品の八割引です。古品を新品に見なしてそれの八割引。新品は二割引。けれども全部がこれを適用されてはありません。二十三年度になりましたら、これは五分引にかわつております。
○鍛冶委員長 それは双方協議の上そういうふうにきめるのですね。
○松田証人 そうです。
○鍛冶委員長 五割から八割まで……。
○松田証人 双方協議でありません。小委員会で私の方から程度について大いに意見を述べるわけです。それを参考にされてきめる。
○鍛冶委員長 大体委員会できまつたものはそのままに行くんでしよう。上の人は実際に何も調べてはいないのですからね。
○松田証人 はい。
○鍛冶委員長 新品というと今言つたニツケルなんかもマル公の二割引ですが。
○松田証人 はい。
○鍛冶委員長 それはどういうわけで二割引くのですか。
○松田証人 それは整理品全体として考えまして、私の方の諸経費が大体七、八パーセントかかるというような観点から、そしてまたいろいろ雜多なものを扱うから、たまには損をするものもあるだろう。だからまあ一應二割引ぐらいに……。
○鍛冶委員長 それでは君、あべこべに、運輸省が商人であつて、その品物を仕入れておつたものとすれば、そういうマル公のあるものを二割なんて引いて賣つて、それで商賣になりますか。ほんとうにそれを取扱うところの指定商人だつたら、マル公品を二割引いて人に賣つて、そこにもうけがあるものか。
○松田証人 御質問がよくわかりません。
○鍛冶委員長 鉄道がマル公品を扱う指定商人であつて、ほんとうに仕入れて来てあなたのところに賣るとすれば、二割引いて一体それでそろばんがとれるかね。
○松田証人 それはできません。
○鍛冶委員長 しかるにあなたのところに対して鉄道は二割引いてよこすというのはどういうわけかね。
○松田証人 この点私がまだ弘済会に入る前にこういうことになつておつたので……。
○鍛冶委員長 あなたが扱つておつて、どう思うかと聞いておるのです。
○松田証人 それはたくさんの品物を扱いますから、二割でももうかるものもあるだろうし、損するものもあるだろう。
○鍛冶委員長 マル公のものを二割引いてもらえばもうかるということはきまりきつておるじやないか。それはできるものではない。それを鉄道は二割引いてよこす、あなたの方は五分引いて渡す。世の中にニツケルのマル公を五分なんか引いて渡すところは世界のどこにあるか。弘済会だけだ。
○松田証人 けれどもメーカー直接ならばそういうことも考えなかつたと思うのですが、相手に中間機関が入つているものですから、それが先でやみをやつたらいけないから、その手数料だけはもらう。
○鍛冶委員長 公定價格のあるものを、しいて下げることも一種のやみだよ。いわんや國家の品物だ。國家の品物を君らがかつてに下げて賣るということは大いなるやみだよ。――それだけ明らかになればいいでしよう。 そこで今言われた整理委員会というのはどういう人々でこしらえられておるのですか。そしてどういうやり方をしておりました。
○松田証人 ちよつと申し上げますが、私は販賣課長でありまして、こういう関係は企画課長の方でやつておられますから、私はその方は知りませんので、その後勉強して來たものを申し上げます。
○鍛冶委員長 けれども君は販賣課長だつたから、小委員会に出たことはあるのだろう。
○松田証人 小委員会にはたびたび出たことがあります。
○鍛冶委員長 それなら何も勉強して來なくても、あなたの知つていることを虚心坦懐に言えばそれでいい。
○松田証人 小委員会というのは、本省には機械関係、電氣通信関係、車両新造関係、自動車関係、自動車の部品、線路用品関係というのがあります。東鉄ではそういつた部門にわかれたものはありませんが、一本になつて小委員会があります。
○鍛冶委員長 委員会は……。
○松田証人 委員会というのは一番最初きめられたもので、えらい人がたくさんおられます。
○鍛冶委員長 委員会があつて、委員会の中で小委員会をつくるのでしよう。
○松田証人 委員会だけでは実際運用ができないから、小委員会をつくつているのです。
○鍛冶委員長 委員会をわけて小委員会をつくつてやるのでしよう。別の人が小委員会にいるのですか。
○松田証人 別の人なのです。小委員会で関係している人は両方兼ねた人もありますけれども、違つた人が多いのです。本省の小委員会の人は委員会の委員でない人が多いわけです。
○鍛冶委員長 そうするとたいてい本省のものと弘済会のものとそれだけですか。ほかの者は入つていないのですか。
○松田証人 ほかの者は入つておりません。
○鍛冶委員長 値段の決定は小委員会でどうしてきめるのですか。
○松田証人 小委員会では値段の決定はいたしません。
○鍛冶委員長 決定とまで行かぬが、大体の標準を出のでしよう。
○松田証人 現場を見て、これはAクラス、これはBクラス、これはCクラスというふうにきめるのです。
○鍛冶委員長 價格はどこできめるのですか。
○松田証人 運輸省です。
○鍛冶委員長 委員会は……。
○松田証人 委員会は私出たこともありませんが、最高方針をきめるだけだろうと思います。これは一ぺんか二へんしか開かれていないと聞いております。
○鍛冶委員長 それじや形式的のものだね。
○松田証人 これは最初出発するときつくられたもので、その後何ら活用されておりません。
○鍛冶委員長 ところが委員会会議費というのが非常に出ている。こういうことは御承知ありませんか。
○松田証人 それは小委員会だと思います。
○鍛冶委員長 もつともこれは何とも書いてないのだが、たいてい整理品拂下げに関する実務打合せ、整理品に関する打合せ、国鉄整理品業務に関する打合せと一字か二字違うくらいのことだが、これはたいてい小委員会ですか。
○松田証人 小委員会と言いましても、委員の数は非常に少くあげてあるのです。それで実際問題としまして、は、委員であろうがなかろうが、下見に行つた人は全部同等だということで、会議は同等の発言権でやつております。
○鍛冶委員長 どういう人が下見に行くのですか。
○松田証人 機械でありますと機械関係の委員会の人と、私の方の係長以上の人です。
○鍛冶委員長 そのたびごとに一ぱい飲むのですか。
○松田証人 飲むというより眞剱に会議をやつておるのです。
○鍛冶委員長 会議をやるだけでこんなに毎晩何万円、何千円の金が要るわけがない。会議を眞剱にやつてこういう金が何に要るのか。
○松田証人 それは役所の方が忙しいので、三時ごろから会議をやつて夕方暮れるまでかかることがありますので、夜食を出します。酒はめつたに出しません。菓子だとかコーヒーのようなものです。
○鍛冶委員長 それではこれをごらんください。どういうお菓子を食べるのか知らぬが、二十二年の春ですから、今から考えれば物價も三分の一くらいだ。ここに出ているのだけでも二十二年十一月十七日一万円、次が一万五千四百八十二円、一万千百十三円、二月十九日なんか三つある。これを合計すると二万七千円ほどになつている。これはやはりお菓子代ですか。
○松田証人 お菓子代と、夕飯にちらしをとつたり……。
○鍛冶委員長 そのころ一人前百円なんてすしはなかつたはずです。
○松田証人 私の方の事務所とか、東京鉄道局を借りてやつたので……。
○鍛冶委員長 それならなおさら安いはずである。しかるに万という金がどうして要るのです。
○松田証人 その当時はすしは三百円くらいかかつたと思います。
○鍛冶委員長 これは何課でやつているのですか。
○松田証人 企画課です。
○鍛冶委員長 拂うのは会計課ですね。
○松田証人 私の方の部門で必要のときは要求するわけです。
○鍛冶委員長 現品に関する打合会、営業に関する打合会、整理品に対する打合会と書いてありますから、大抵あなたの方でやつているでしよう。
○松田証人 私の方から係長以上は皆関係があるので出るわけです。たとえば企画課の現品係は現品立会のときは必要だから必ず出る。販賣の方も出る。こういうようにして、係長以上は商談が成立てば関係がありますので、前もつて見ておく必要があるので出る。從つて会議にも出ております。
○鍛冶委員長 二十二年二月十九日に発電機百三十台拂下げを受けたことがありますか。
○松田証人 あります。
○鍛冶委員長 年月日は二十二年二月十五日に間違いありませんか。
○松田証人 はあ。
○鍛冶委員長 どうも先ほどから小倉証人等に聞いてみると、その時分でないというが……。
○松田証人 あつ、二十三年です。
○鍛冶委員長 ここに帳簿が出ておりますね。これは君の方で出されたのですか。
○松田証人 これは私の方から出しました。
○鍛冶委員長 あなたの持つて来たものをぼくに見せてください。
○松田証人 はい。
○鍛冶委員長 これは二十三年二月ですね。
○松田証人 暦年は二十三年二月です。
○鍛冶委員長 その下を見たまえ。ここに六月二日とあるのは同年の六月二日ですか。
○松田証人 これは二十二年の六月三日だと思います。
○鍛冶委員長 そうすると、君のところの帳簿は二十三年のものを先に書いて、二十三年のものはあとに書くのですね。
○松田証人 これはあとから漏れたやつを追加したと思うのです。それは契約書をくつて書くのですから、漏れたやつを……。
○鍛冶委員長 これはあとで創作したのか。ここで総計だとか、合計だとか出ておるのはおかしいじやないか。二十二年度は、これから見ると三月三十一日までが二十二年だろう。あなたの言う通りにすれば六月二日から始めたことになる。これで見れば六月二日が二十二年度の最初だね。
○松田証人 最初になります。一番前に來なければいかぬのです。これはほんとうはあわを食つてこしらえたのです。それはすぐ出せ、一週間以内で出せと言われたものですから……。
○鍛冶委員長 われわれはそんなあわを食つてこしらえたものは見たくないのだ。ここに書いてある累計だとか小計だというものはあとのものと、先のものと合せて書いても、累計になりやせぬじやないか。
○松田証人 年度はかわつておりません。二十二年度は二十二年度です。
○鍛冶委員長 この累計なんというのはみなあとでこしらえたのだろう。
○松田証人 そうです。累計はあとでないと……。
○鍛冶委員長 あとのものを先につけて累計を書いたんじやそんなものは累計じやない。世の中に六月から始まつて、ここに九、十、十一とあるのだが、それを抜きにしてこれはこれだけで行つて、あとのものを先に書いて累計と書いたね。これはあとでこしらえただけだ、ここに書いたものをそろばんしただけだ。
○松田証人 六月九日の漏れを発見して、一番あとに追加したのです。この帳簿は上から下にめくるのが……。
○鍛冶委員長 いやそれで初めてわかつた。どうもこの帳簿は合点の行かぬ帳簿だ、そういうあわを食つてこしらえた帳簿はやむを得ないこともあろうが、しかしそんなものをこしらえられてはこつちはかなわぬ。それでこの拂下げについて二百八十八万五千何百円という利益を得ておりますね。
○松田証人 はい。
○鍛冶委員長 これは原價は四百何十万円のものでしたな。
○松田証人 はい。
○鍛冶委員長 そうすると約六割ほどの利益がありましたね。
○松田証人 はい。
○鍛冶委員長 そういう大きな利益、があつても、國鉄から二割の割引を受けるのですか。
○松田証人 これは利益を割引していただいたのではなしに、私の方は省から拂下げてもらつたやつを取得して、入札に付して、その結果……。
○鍛冶委員長 利益はあるかないかわからぬから、とにかく二割引してもらつた、こういうわけですか。
○松田証人 そうです。私の方は二割引してくださいと言つたわけじやないのです。しかし價絡決定はあくまで運輸省が一方的にやられますから、それまでに委員会をやつて、大体発電機は二十二年の八月ごろにリストが出ているのです。そうして価格を決定したのは半年遅れて、二十三年の一月ごろになつております。非常に價格決定にひまどりまして、委員会をたびたびやるし、現品をたびたび見直して、私の方の業者も何回も立ちかわり、入れかわり現品を見て、そうして私の方から現在はこの相場を行つている。この相場ぐらいでなければとても買手はないだろう、こういうような情報は、いつも省に進言しておつたのです。省の方はそれを参考にして、独自の立場で價格を算出したと思います。
○鍛冶委員長 やはり二割引いてもらはなければ損が行くかもしれぬということがもとですね。その情報に基いて……。
○松田証人 その当時私はこれに関係しておりませんから知りません。
○鍛冶委員長 またそういうことを言う。
○松田証人 事実、機構から行きまして技術係というものがありまして、機械関係は交渉も販賣もその方でやることにしまして、私はこれには深くタツチしておらないのです。
○鍛冶委員長 深く知らぬでもいい。君は全然知らぬのか、知つておるのか。さつきから知つておると言つたじやないか。
○松田証人 それは知つておる程度です。
○鍛冶委員長 知つておることを知らぬと言つても偽証になる。
○松田証人 二割を引いてくれと言つたかどうか、私は知りません。
○鍛冶委員長 いずれにしても、損が行つては困るから、引いでもらうのでしよう。どれだけもうけがあつても引くものだけ引かせるのか。
○松田証人 そんなことはないと思います。
○鍛冶委員長 そうでしよう。損が行つては困るからでしよう。
○松田証人 はい。
○鍛冶委員長 それはそうだろう。ところがあなたはそう言うが、このものは一月二十六日から、一番遅いので二月六日までにみな賣れてしまつておる。そして賣つてしまつたあとで、君の方は鉄道から二月十九日に買入れたことになつておる。そのときはすでに値段がきまつて、そして二割引くものだから、合計六割からの利益になつておる。その帳簿を見たまえ。そうだろう。
○松田証人 私はその点は当時それを担当した飯塚君に聞きました。運輸省から値がきまつたから入札をやつた。これは書類上、契約書は私の方から運輸省に入札が済むまで返さなかつたのだろうと思います。入札が済んで運輸省に書類を返したために、月日の方が齟齬を來しておるのじやないか。そういうふうに考えます。
○鍛冶委員長 どういうことをしたつて、実際は……。
○松田証人 実際は運輸省の方から契約書が來ますと、それに調印してすぐ返さなければならぬやつを、弘済会で握つておつて返さなかつた。そしておいて一般入札をやつた。
○鍛冶委員長 値段はいつきまつたのかね。
○松田証人 値段は契約書ができたとき……。
○鍛冶委員長 もどしてやつたとき……。
○松田証人 もどしたときじやなく、運輸省から私の方に契約書が來たときには値段は内訳書できまつておるわけです。この値段が書いてあつた。
○鍛冶委員長 いずれにしてもこういうたくさん利益のある品物を、さらにまた値引をしてくれるという卸屋が世の中にあると、まことにありがたいものだ。われわれはどこの世界に行つても、鉄道以外にはそういうところは見当らぬが……。
○松田証人 しかし当時私の方としては、非常にうまい時期に入札をして、しかも二十何人かでせり合わしたから、みな入札熱に引かれて非常に高い方に入れた。こういう関係で非常にうまく行つた。しろうとの商法としては上出來だつたと言つてみな喜んでおつたくらいであります。
○鍛冶委員長 それはそうでしよう。四百何十万円のところ、三百万円ほどもうけておるのだから、喜ばざるを得ぬだろうな。
○松田証人 入札の結果はこういうふうになつております。六十キロワツトの方は全部で二十三人の入札者が集まつたのでありますけれども、三キロワツトの方は十人しか應募者がなかつた。これに対して省の査定率はそれの二番目に位しております。あとの八人は省の査定以外です。一キロワツトが九人くらい應暮しております。十キロワツトの方は七人のうち省の方が二番目、六十キロワツトが二十人應暮したうちで、省の方は十五番目になつております。
○鍛冶委員長 今ここにお話があつた二百八十何万円の利益があつたことは間違いありませんか。
○松田証人 その後の情勢を買取人から聞きましたら、当時自分の方は山で入札したために非常に損をした。一キロワツトを買つた山岡内機の、これは大阪におつたが、大部分手持ちであつた。宇部重工の方も六十キロ、三十キロみな手持ちが残つておる。それから十キロ買つた人も残つておる。実際今手持ちして困つておる。入札しただけの價値があつたかどうか……。
○鍛冶委員長 そんなことはどうでもいいが、とにかく賣れておることだけこつちは聞いておる。ところが偶然かどうか知らぬが、二月十九日一晩で三つ宴会をやつている。それはそのお祝いらしいな。二万七千円、三万円近くだね。
○松田証人 これは私出席しておりませんから……。そのお祝いにやつたという記憶は全然ありません。
○鍛冶委員長 それからさつき話があつた二十二年十月十一日から二十三年十一月十五日にニツケル九十四トンの拂下げを受けておりますね。
○松田証人 はあ。
○鍛冶委員長 これについても國鉄から三割の割引を受けておりますが、これはさつき私が言つた通り、やはり一般に二割割引を受けておるから、ニツケルについても割引を受けたというのか。
○松田証人 そうです。
○鍛冶委員長 先ほど言つた通り、もし鉄道がほんとうの商賣人であつて、自分で金を出して買つて来て賣つておるものならば、さようなことはできぬわけである。それをあなたの方に二割を引いておる。あなたの方もほんとうに商賣人であるならば、よもや公定價格の五割は引くまいと思うが、あなたの方は引いておる。それから向うへ公定價格の通りでやつておるとはわれわれの常識では考えられない。おそらく何倍に行つておるかわからない。
○松田証人 当時のニツケルの公定價絡は十万円で、しかもレール渡しになつております。私の方の買つたところは流山というところにありますから、運賃を引くと九万七千円というものがマル公であります。流山でありますからトラツクで取りに行きます。ニツケルは流山で四十トン入れてありますから、これは引取るのにもう非常にひにちがかかるのです。一日に換算して三トンか四トンしか引取れない。相当手数がかかります。
○鍛冶委員長 それはそうだろう。高級品だからそんなにおろそかにすべきものではない。これはインゴツトでチヨコレートみたいになつて……。
○松田証人 チヨコレートのようになりております。
○鍛冶委員長 これでどえらいやみがあつて、ぼくは事件をやつたから知つておるのだ。
○松田証人 私どもはやみがなかるべしと思つて割引してやつたので、やみがあつたら私どもの本意を裏切つたということになると思います。
○鍛冶委員長 それからこのニツケルはカナダ製のモンドという最高級品であつたということは間違いありませんか。
○松田証人 これは知りません。
○鍛冶委員長 あなたは扱つたのではないか。
○松田証人 現品係が現品を扱つたので、現品は私は知りません。
○鍛冶委員長 契約は……。
○松田証人 契約は私どもの方です。
○鍛冶委員長 そうすると知らないという話はおかしい。
○松田証人 ただマル公十万円に抑えますから、品がよければ十五万円で賣れるというものなら私ども研究しますが、よくても悪くても十万円で抑えられておるわけでありますから……。
○鍛冶委員長 それから昭和二十三年一月三十一日に信管鋼を拂下げて宇部重工に賣つておりますね。
○松田証人 はい。
○鍛冶委員長 ところがこれもやはり昭和二十二年の十二月にもう話ができておつて、一月十六日ごろ現品の仮渡しを受けておつたというのだが、これはどうですか。しかもこれはあなたのところを実際に通らずに宇部重工へもう行つちやつておつた。
○松田証人 現品が宇部重工に行つておつたわけでございません。これは大体運輸省から直接ですね。
○鍛冶委員長 宇部は持つて行つたんでしよう。
○松田証人 持つて行つておりません。運輸省から宇部重工に直接賣られるというふうに、大体単價の査定もきまつておつたそうです。そのときに弘済会は、運輸省はこういつた死退藏品を弘済会にやらす。それで運輸省はメーカーなどには直接やるけれども、そういう中間業者には直接やらない。中間業者に賣る場合には一應弘済会に行つて弘済会から処分させるというふうになつておつたのですから、宇部重工に賣られるというのでは私どもは困る。大原則に反するのではないかというわけで、弘済会扱いにするということを申し出ました。私の方としてはこういう前例をつくられて、いい品物を中間業者に賣られたら、弘済会の事業がなくなる。非常に量が少くなるということも思いまして、原則だけは通していただきたいと思つてそういうことを申し出たのであります。運輸省の方もそれは了とされまして、それでは弘済会にこれを通すということになりまして、それで私どもの方は一番最低の、当時宇部が買う金はきまつておつたものですから、最低のマージンを宇部からさらに出させて、私どもで買つて宇部に賣つたといつたような形になつております。現品はやはり代金を納めてから引取つたと思いますから、現品は宇部に渡つていないと思います。これは大阪にあつた品物ですから、私の方は省から私の方に來た契約書と、私の方から宇部に行つた契約書と、両方大阪の支部に送りまして、大阪の支部で引渡しに立ち会わしたのですから、月日はよくわかりませんですけれども……。
○鍛冶委員長 いや、載つておる。
○松田証人 引渡し月日は載つておりません。
○鍛冶委員長 載つておる。二月三日と二月十六日……。
○松田証人 それは契約月日じやないですか。引渡しはそれからずつと以後になつております。
○鍛冶委員長 いや、その前だよ。宇部重工へは一月二十三日と……。
○松田証人 それは引渡し月日ですか。
○鍛冶委員長 とにかく前に行つておることは間違いない。――まあそういうわけで、あなたの方は口をきいただけでそれだけの利益をもらつた、そういうわけだね。
○松田証人 そうです。大原則を通してもらつたから喜んだわけです。
○鍛冶委員長 大体今のところまだ大分整理品はあるのですか。
○松田証人 整理品は四月から全然ありません。今残品の整理をやつておりますが、現在残品が東京だけで三百万円くらい、全國では六百万円くらいあります。
○鍛冶委員長 それでどうだい。総計して幾らの利益になつておりますかわかりませんか。
○松田証人 利益は三月末帳簿決算上では四百万円の利益になつております。
○鍛冶委員長 残品がまだ整理されぬ先でしよう。
○松田証人 まだ整理されぬ先です。
○鍛冶委員長 そうすると三百万円とと四百万円で、合計して七百万円の利益になるわけでしよう。
○松田証人 いや、それは残品が拂下げの帳簿値格で賣れるものとして計算して四百万円の利益があるわけです。ですからその残品が今後その價格に賣れない見込みですから、利益はそれより下るわけです。
○鍛冶委員長 その残品を入れて四百万円ですか。
○松田証人 そうです。
○鍛冶委員長 それじや利益は百万円しかないのですか。
○松田証人 それは幾らあつたかわかりません。四百万円というのは全國的な数字ですから、残品が六百万円です。六百万円でみな賣れたら四百万円の利益になる、こういうわけです。
○鍛冶委員長 そうするとそれが賣れなんだら損になるわけですか。
○松田証人 賣れなかつたら四百万円の利益がだんだん下つて來る。
○鍛冶委員長 六百万円に賣れて四百万円というのだから、二百万円赤字になつておるわけだね。
○松田証人 二百万円だけは弘済会の一般的事業資金をつぎ込んでおるわけです。
○鍛冶委員長 それは驚いた。残品を整理して四百万になる、こういうわけだね。
○松田証人 そうです。ところが二十三年度になりまして、二十三年の八月、九月ごろだつたと思いますが、一率に五分引、こういうふうに弘済会のマージンを五分に改訂されたわけです。そうしますと、私の方の事業諸経費というものは大体八分くらいかかつておるわけですから、三分は明らかに損なのです。にもかかわらず前年度に相当利益があつたのだからこれでやれ、これでどうしてもまだ赤字が出るようなら考え直すが、一應これでやつてみろと言われましたので、それ以後五分引でやつておるわけです。
○鍛冶委員長 これはいつそういうことにかえられたのですか。
○松田証人 それは二十三年の九月ころだと思います。
○鍛冶委員長 二十三年九月に改まつたのですか。
○松田証人 はあ。そのときに運輸省から各地方鉄道局には、そういつた通牒はやられなかつたそうです。ただ用品課長会議の席上でそういうことを傳達された。私の方はこのときに本省と打合せ会議をやつて、五分ではとてもやつて行けないから、せめて七、八分にしていただきたいということをたびたび懇請しましたが、ついに五分にきめられたわけです。
○鍛冶委員長 ところがそんなに現在のところ赤字が出ておるようだが、その中で会議費二百三十七万、機密費十一万、雑費四十六万、交際費二十五万、合計三百十九万というものが費されておりますね。これは御承知でしようね。
○松田証人 これは全國的な数字であります。
○鍛冶委員長 これを出したがために二百万という赤字が今のところでは出ておるわけだね。
○松田証人 残品をゼロとすればですね。
○鍛冶委員長 そうすると利益よりも交際費その他のものがはるかに多いわけですね。
○松田証人 それは二十三年度に五分にされたために、二十三年度に非常に犠牲的に整理品事務をやつたために、扱い品が多ければ多いだけ赤字がどんどんふえたわけです。二十三年に五分にきめられた以後三千万円から四千万円くらい扱つておると思います。だからその方でぐつと赤字が出ております。
○鍛冶委員長 それまでは相当黒字だつたのか。
○松田証人 はあ。
○鍛冶委員長 近ごろはこんなようにあまり宴会はありませんか。
○松田証人 今ごろは整理品がない。だから会議をやる必要がありません。
○鍛冶委員長 いや今年に入つて大分やつておるぞ。
○松田証人 四月からはありません。実際機械類なんか見に行つても、晝ごろから出て夜暗くなつて帰るというようなことがあるのです。そういうときには事務所に帰つて、やはりやるのです。
○鍛冶委員長 今年の三月三十一日にやはり整理品下見打合せ会で三万五千円やつておる。
○松田証人 それは千葉だとかいなかにずつと十日間くらいにわたつて行つたわけです。そういう場合、弘済会がなぜこういう仕事をやるかということは運輸省の人にもはつきりしておらない。だから夕飯を一緒に食つてこういう趣旨でやつておるんだということを徹底してもらうことなのです。
○鍛冶委員長 あなたは一課長としてやつておるのですから、あなたを責めてもしようがないからやめましよう。ほかに何かありますか。
○神山委員 これは前に聞いてあるので締め括りだけれども、もし年月日が必要なら言いますけれども、ふとんを七千五百枚弘済会に拂下げておる。
○松田証人 ふとんは特殊需要部の始まる前に行われた賣買であります。それで私なんかは書類でこれで買つてこれで賣つておるということを知つておるだけであります。
○神山委員 直接あんたは関係していない。
○松田証人 はあ。
○神山委員 じやガソリンもだね。
○松田証人 ガソリンも関係しておりません。今残つておる人はほとんどこれに関係した人はおりません。
○神山委員 戰時中に使つていたふとんを比較的安い値段で拂下げて、一方じや買つておるですね。
○松田証人 運輸省がですか。
○神山委員 これは知りませんか。
○松田証人 私は知りません。
○神山委員 皮は純綿で中はほんとうの綿なんだ。それを二枚三百円くらいで拂下げて、ほんとうにくずが詰つておるような、人絹のふとんを運輸省が買つておるわけだ。こういうことがあるので、一ぺんあなたに聞きたいと思つたが、あなたが知らなければいいです。 委員長、このふとんの件ですが、これは國電ストとの関係もあり、写眞などがありますので、あとでどちらの資料に使われてもけつこうですが、出したいと思います。
○鍛冶委員長 早く出してください。
○神山委員 そこで一番最後に聞いておきたいことは、整理品事務所にどうしてかえられたかということです。
○松田証人 それは四月以降運輸省の拂下げは今までのような方式では拂下げないという通牒か何か達しが來ました。從つて弘済会の仕事も所期の目的は済んで解消した。
○神山委員 解消した。その事情だけですか。
○松田証人 はい。
○鍛冶委員長 では御苦労さまでした。 ―――――――――――――
○鍛冶委員長 齋藤喜作さんですね。
○斎藤(喜)証人 はい。
○鍛冶委員長 あなたは國鉄労組の中央闘争委員をやつておられるようですが、國鉄では何をやつておられましたか。
○斎藤(喜)証人 現在やはり中央闘爭委員をやつております。
○鍛冶委員長 どこでどういう職についておりますか。
○斎藤(喜)証人 國鉄に入つたのは二十一年二月十八日です。それから二十一年の八月二十八日から國鉄労働組合福島支部の仕事をやつております。それから二十三年六月から國鉄労働組合本部の中央執行委員をやつております。それからずつと一年おきに改選がありますが、改選のたびにずつと中央委員に常任しております。
○鍛冶委員長 すると専從で、きまつた鉄道の職場はないのですか。
○斎藤(喜)証人 入つたときに國鉄の福島通信区の技術係をやつております。中央に来てずつと常任しておりますから、その間職場は解放になるわけです。
○鍛冶委員長 わかりました。 そこであなたは國鉄労組としてこの運輸省の省外拂下げに関して調査されたことがありますか。
○斎藤(喜)証人 調査したことはあります。
○鍛冶委員長 どういう目的でやられたのですか。
○斎藤(喜)証人 目的は当初何か國鉄の資材局の方からいろいろの資材が民間に拂下げられておるらしい。それがどうも不正をやつておるのか何かわからぬが、とにかくいまわしい話があつた。これが一つです。 もう一つはそれに伴つて相当の利益金をあげてこれが國鉄職員に対して福利厚生のために使うんだという話があつた。これがどこへ行つているのだろうということが第二。 第三は、二十二年の暮れ、御存じの青森で中村君初め技工の諸君が仕事ができない。それは地下たびが足らぬ、あるいは軍手が足らぬということで、冬二尺も三尺も雪が降り、機関庫の中に一尺以上も雪が積る。その中で機関車を修理しなければならない。これではとてもできない、暖房設備もない。そういうことで地下たびをくれ、軍手をくれという要求を相当したことがある。だが、これも全然くれなくて、約一週間近く汽車がとまつたことがある。これは莫大な損害を民間に與えたということで、責任が追及され、中村君が首になつたことがある。こういうような問題が起つて、それで用品庫に、あるいは特殊物件としてそれらの物があるらしいという話を聞いたので、この問題を調査しよう。これが第三です。 第四にこれは盛岡地方施設部の支部だと思いましたが、そこから何か中央に対してこういう話があつた。民間に対して、地下たびとか軍手、そういうものが拂下げになつているらしい、大分安い。当時二十円か二十四円という報告が來ていましたが、大分安い價格で拂下げられておるらしい。そういうものが重点的にわれわれの職場、特に地方施設部あたりは土方と同じ仕事をやつております。そういう関係上ひとつわしらの方にも配給してもらえるように組合の方から働きかけてくれぬか。こういうような四つ、五つのいろいろの関係があつて、調査を始めたわけです。
○鍛冶委員長 それで調べたらどうでしたか。
○斎藤(喜)証人 その結果始まつたのは四月ごろから始めたのだが、正式に当局に対して資材局、あるいは総務課あたりに対して申し入れて、いろいろ調査が始まつたのは五月ごろです。それからいろいろ調査した結果、今言つたように、地下たびが一足十八円くらい、ゴム長が四十二円、そういうべらぼうに安い價格で拂下げられておるので、それはどうもおもしろくないではないかということで、大分つつ込んだわけです。ところが御存じのように、七月二十二日にマツカーサー司令部から書簡が出た。とたんに当局が硬化して、もう君なんか今まで團体交渉権はあつたのだが、今度は團体交渉権がないのだ。從つてつべこべ言うことまかりならぬということで、結局われわれの調査が拒否されてしまつた。それでやむを得ず課長なんかに対して要求して調査することはできなかつたけれども、資材課の一人々々にあたつて聞込みをやつた。しかし今申し上げたように書類は若干手には入りましたけれども、それがどういう形で査定されて民間に流れておるというようなことについては詳細に入手することができなかつた、こういう経過を見てわれわれの調査は一應頓挫した、こういう結果になりました。
○鍛冶委員長 弘済会が中へ入つてやつておるということはわかつておりましたか。
○斎藤(喜)証人 それはわかりました。どういう形でわかつたかというと、調査を始めるときに、実は先ほどもちよつと申し上げたように、莫大な福利資金が何かを拂下げた利益であるらしい、こういう話を聞いたので、早速調査部として厚生課長に面会したわけです。当時の厚生課長は磯崎……、ちよつと名前は忘れました。その人に会つて、いろいろ聞いたら、二十二年下半期において何でも千二百万円とかの純益が上つている……。
○鍛冶委員長 弘済会で。
○斎藤(喜)証人 そうです。これは決算報告か何かの書類をその人が見せてくれたと思います。それで、この金はどこにあるのだということになつたら、これは弘済会の方で預つている。だれが使うのだと言つたら、省の方からの命令によつて使うようになつているのだ、職員の福利厚生資金にこれがあてられる、職員と言つておりますが、これは弘済会の職員であるか、國鉄の職員であるかはわからないのだが、こういう話を聞いております。從つてそういう関係から相当のものが弘済会に流れているということは知り得たわけです。だがその詳細についてはわれわれはタツチすることができなかつた、こういう状態です。
○鍛冶委員長 從業員の福利にまわつておるかどうかは調べなかつたわけですね。
○斎藤(喜)証人 それは実はその後これらの問題が大分表面的になつたときに、弘済会の組合あたりにも連絡をとつたり、それからまたいろいろ調べた結果、全然使われていない。厚生課長自身も全然使つておらぬということをはつきりわれわれに言つておりました。ですから、実際に使つておられなかつたことは事実であります。
○鍛冶委員長 從つてあなた方の方へまわつて來る品物は、これは前に言われた通り非常に少かつた、こういうことですね。
○斎藤(喜)証人 從業員に対しては全然まわつて来ておりません。
○鍛冶委員長 それで必要なものは相当あつたわけですね。先ほど言つた軍手とか。
○斎藤(喜)証人 必要なものはたくさんあつたようです。
○鍛冶委員長 それはみなほかへまわつて行つておつた。
○斎藤(喜)証人 そうです。
○鍛冶委員長 それから弘済会で相当利益があるというが、福利施設へまわつておるということは見られなかつた、こういうことですね。
○斎藤(喜)証人 全然ありませんでした。
○鍛冶委員長 それでその弘済会についてですが、これらの拂下げについて、弘済会の幹部と資材局の関係官といろいろ会議をやつて、しばしば飲んでおつたというような事実がわかりましたか。
○斎藤(喜)証人 それは、どこからそういう金を入手して飲んでいるか、それはわからない。けれども、実は去年の初めだと思います。七階に資材局があつたと思いましたが、当時の弘済会の特殊事業部ですか、それが二階からか何か資材局の隣に移つて来たことがある。これは本省支部あたりで、大分部屋を貸してくれということで借りる交渉をしていた当時だつたので、組合の方としても相当関心を持つておつた。たまたま下の方から上つて來た特殊事業部が資材局の隣りの部屋に入つた。当時の特殊事業部の販賣課長の兵動正彦さんという人が大体特殊事業部の立役者だつた。それから國鉄側では中村さんとか、そのほかの人たちも大分携つてはおつたようだが、実際に兵動さんと事務的な打合せしたり何かするのは事務官の牛込さん、これはこの間おそらく当考査委員会でも証人喚問をしている人です。この人との間に大体の取引が行われて、そして運ばれて行つた、これらの人たちが、そのほかの二、三の幹部の人たちと一週間に二、三回平均して当時からずつと飲んでおつた。特に運輸省には八階に食堂もあつて、そこから料理なんかも仕出して飲んでおるのを組合員が再三見つけておる。これは大分問題になつた。部屋を下から上げて狭いところへもつて來て、本省の方では部屋を貸せと言つたが貸してくれない。しかも上つて來た連中が酒を飲んだりなんかしておる。特に牛込さんなんかの問題について、奥さまがないそうですが、大分お勤めになつておるところでもいろいろ評判が悪い。また兵動さんもそれらの関係で大分弘済会の方でも評判が悪くなつたそうです。それがもとだかどうかわからぬが、兵動さんはその後おやめになつて、廣島の燃料会社かなんかの理事か重役かになつて行つておる。從つてそれらの問題をいろいろ檢討して見るに、明らかにどこから資金を出して来たかしらんが、相当飲んでおつた。食堂で飲んでる場合もあつたし、あるいは局長の会議室あたりでも飲んどつたという報告が組合員から組合本部にもたらされたことがたびたびあります。從つてこれらの問題をめぐつてどうも私としては忌わしいということでいろいろ調査しましたけれども、先ほど申すように経営権に参加することまかりならぬということで、これら経営の問題あるいは経理の問題にはタツチすることができなかつたので眞相はわからなかつた。從つてもしこれらの問題についてどうしても克明にお調べになる必要があるなら、先ほど申し上げた兵動さんを喚問して事情をお聞きになつていただいた方がより一層おわかりになると思います。
○鍛冶委員長 兵動を呼ぱぬでもこつちは大体わかつております。兵動や牛込だけじやない、もつと上の人がやつておる。その点は十分こつちはわかつておる。あなたどの程度知つておるか聞いてみただけであります。しかしもう今日ではほとんど不要品がなくなつたと思うが、これに対してあなた方としてまだあるとか、あればどうすればいいとかいう御意見でもありますか。
○斎藤(喜)証人 不要品がなくなつたかどうかについてはわれわれもまだわからない。先ほども申し上げたように、われわれもよく用品課あたりに連絡をとつて探究すれば相当のものがまだ出ると思う。國鉄あたりの経理についてはおそろしくややこしくなつていて外部からわからないようになつておる。これは会計検査院が逆立ちしたつてわからない。というのは会計検査があるということになると、帳面に全部合せて空傳票を切つてしまう。さもなければ余つたものを全部天井裏に隠してしまう。そういう品物が莫大にある。たとえば新宿通信区あたりでこの間問題になつたのは、やはり特殊物件の一つになつておるすずのかたまりが二百キロも三百キロもあつたということで、これが摘発されて大騒ぎになつた。
○鍛冶委員長 いつ?
○斎藤(喜)証人 これは今年になつてからです。國鉄職員が首を切られる前です。これは大分大騒ぎになつたことがある。それから軍から拂下げられた電線なんかでも、二千メートルも三千メートルも大量にあつたわけです。つまりこういうように帳簿に載つていない帳外品というものがあるのです。これは軍から来たやつや、あるいは自分のところで工事をやつた残材があつたのが、処理されないで倉庫に入つている。これは相当ある。
○鍛冶委員長 どこの倉庫だね。
○斎藤(喜)証人 これは通信区でも用品庫でもどこにでもあるのです。
○鍛冶委員長 どの辺にある。場所は……。
○斎藤(喜)証人 場所は、この問題が起つたのは新宿の通信区です。問題が起つてたまげて、区長の連中もこれはいかぬということで、正式に帳簿に載せたものもあるが、載せないものもまだ相当ある。
○鍛冶委員長 用品庫はどこだね。
○斎藤(喜)証人 用品庫はあらゆるところでそうです。
○鍛冶委員長 大きいところでどこだね。
○斎藤(喜)証人 私が問題にしたのは、私が福島支部におつたとき、やはり福島管理部あたりの用品庫についても、こういう問題が起つたことがある。
○鍛冶委員長 それはおととしでしよう。
○斎藤(喜)証人 おととしです。それからまた去年の問題だけれども、仙台の局の用品庫、こういうところにも、当時すずが時價にして二億円くらいあるということで、これも摘発された例がある。そのように占領地あたりから掠奪して来たものが、終戦後当然進駐軍に供出というか、出さなければならぬものを出さないで、やみからやみにあらゆるところに配つてしまつたり、あるいは大湊の軍の倉庫がありますが、そういうものに入る貸車がたくさんあつたわけです。そういうものを終戰と同時にどさくさまぎれにどつと配つてしまつて、適当に倉庫に入れておつた。シヤツや軍衣袴、こういうものが平にあつた。いまだに私はこれはあると思つておるのです。
○鍛冶委員長 どこですか。仙台ですか。
○斎藤(喜)証人 仙台方面にもあると思つておるのです。そういうふうにして処理が適当に行われておるために、相当われわれもこれはひとつ民主化して表面に出して、正しいルートに乗せて、われわれに配給してもらわなければいかぬということで、大分騒いだことがあるのです。一時下火になつたら適当に処理されたようですが、このようにしてやはり相当帳外品というものがあるのです。帳簿に載せないで、問題が起ると帳簿に載せる。ゴム線なんかでも一メートル三円もするゴム線が何百キロもストツクがある。また新宿通信区あたりの例をとると、そういう品物をやみからやみに葬る手段として、工事をやるのです。それはどういう方法で工事をやるかというと、鉄道の信号でも通信施設でも、全部今はほとんど請負工事をやつておるのです。請負工事をやる場合、たとえば新宿のポイントならポイントを直す、信号器なら信号器を直すという場合、これは三十万円だ。それは材料が幾らで、人件費が幾ら、諸雑費が幾ら、計三十万円、こういう計算をやつて請負わせるわけです。電氣工業でこれを請負つて、今度は逆に新宿通信区でこれを下請けをする。こういうでたらめをするのです。どういうことをやるかというと、人件費を浮かすために、國鉄の通信区の人がそれをやるのです。しかもはなはだしきになると、通事区の倉庫の中にあるセメントを持ち出したり、あるいは板を持ち出したり、今言つたように帳外品がたくさんありますから、それを持ち出して工事をやる。ですから会社の方から相当金が来るわけです。三十万円の工事を請けても、会社の方では二割なり三割なりを天引して、鉄道の方にやればいい。鉄道の人は食えないから、明らかにそういうことをしては悪いということはわかつていても、そういうことをやるのです。やれば百円なり二百円給料のほかに手当がもらえるわけです。これは澁谷でもあるし、新宿でもある。特に京王線とか神中線、それから津田沼から出ている線だと思いますが、そういうところに全部請負線は國鉄がやつている。これは全部がまわり番に行くようになれば、二百円なり三百円の手当が出るから、文句ない。ところがそれが区長とか分区長が、これはひとつ今度は小さい工事であるから、主だつた者をやろうということにすれば、皆の間に不平が出て来て、それが表面化して爆発して来る。
○鍛冶委員長 それは鉄道職員として給與をもらうほかに、その間に内職にやるのか。
○斎藤(喜)証人 そうです。それをやらなければ食えないのです。実際それは食えないのです。
○鍛冶委員長 そういうことを上の者が目をつぶつてやらせているのですか。
○斎藤(喜)証人 それは目をつぶつているのか、もらつて默つているのか、わからない。とにかくそういうことをやつて、そういう人たちが一日百円なり二百円なりの手当をもらつている。それで前の晩徹夜して仕事をして、次の日に、お前ひとつ材料を担いで京王線に行け、京王線は私鉄だから、その踏切工事をやれということで、セメントを担がされ、板を担がされて行つて、その踏切の設備を直す。そうするとたんまり金がもらえる。下の人は百円か二百円しかもらえないけれども、その中間の人が相当もらえる。そういう中間の人たちが、君たちは生活がひどいから、とにかくこういう仕事を見つけてやるから、辛いだろうが我慢してやれということでやる。ところが行けない連中が承知しない。
○鍛冶委員長 それで鉄道の本職ができますか。
○斎藤(喜)証人 そういう点はどうなつているのかわからぬけれども、とにかくこういう問題が表面化して、これは今重大問題になつている。
○鍛冶委員長 そういう事実があれば、こつちに聞かしてもらいたい。
○斎藤(喜)証人 これは具体的資料もあります。これは工事番号がみなあります。 それから私は福島で実は摘発をやつて、区長さんをやめてもらつたことがある。これは刑事問題までしないで済んだのですが、川俣線の工事をやつた。川俣線は戦争中やめて、戰後復活した。その場合今まで全部電線を撤去したものをあらためて引くことになつた。それがたしか二十四万円だと思います。それを仙鉄電氣工業が請負つて、その下請けをやらせる。仙鉄電氣工業は実際にやらない。それは弘済会の特殊物件を扱う事業部と同じようにトンネル会社です。そこで仙鉄電氣工業はこれを請負つて、二割から三割天引して、実際に一番下つ端の請負いはいくらかというと、十一万円で請負わせる。だから一回風が吹くと、電柱がひつくりかえる。ほんとうは一メートル八十埋めなければならぬものを、五十センチしか埋めないから、風が吹くと、根が浮き上つてしまつて、電柱がひつくりかえる。だからそういう人々が工事をやつた箇所は、もう一回やり直して完全な補修をしなければならぬ。こういうことが摘発されている。私なども親方になつてやつたのですが、結局……。
○鍛冶委員長 下請けをするのは、通信区の工夫どもがやるのですか。
○斎藤(喜)証人 そのときは別のものがやつた。そういうふうにしてでたらめの工事を普通やつている。当時はそのような状態だつたが、最近は東京周辺が相当ひどい。ほかのものにやらせるのでなく、國鉄の職員が下請けをやる。そういう問題が出ている。食えないから、そうせざるを得ない。そして今言つたように、中間の連中が搾取する。それから自分の所の品物を持つて来るということになると、会社の連中ももうけるし、中間の連中ももうけるし、下の連中もそれぞれおこぼれを頂戴する。こういう状態で、最初はまあ默つて仕事をしたけれども、だんだんひどくなつて、結局中間にやつている分区長とか助役の連中が、非常な台風で警戒に出ておつたときに、酒を買つて来て飲んだ。それでも足らなくて、中華料理店に行つて飲んだということになつたから、あれは怪しからんということで、それがもとで、せつかくまるくまるくと言つておつたのが、表面にばれてしまつて、重大問題になつた。今申し上げたのは新宿通信区の例だけれども、これが大きくなると、たとえば東海道線の電化工事、あるいは米沢の工事なんかは、何千万円という工事を請負つて、一晩でやつてしまうようなことがある。こういうでたらめが行われている。だからこういうでたらめをやつている人たちが、今度弘済会の上層部に行く。そこで弘済会でそういうトンネルをやるということは、はつきりしていることです。
○鍛冶委員長 そういう事実があるならば、事実を指摘して、こちらに聞かしてもらいたい。それはぜひお願いしましよう。
○斎藤(喜)証人 できるだけひとつわれわれも國鉄を民主化し、また國鉄の経営が実際赤字で困つているという状態から考えて、われわれはこれらの問題をどうしても明らかにして直さなければならないと思います。
○鍛冶委員長 弘済会のことは大体わがりましたが、下の方であなたの方でわかつたらお知らせ願います。
○神山委員 今証人が言われました大阪の放出というのは用品庫のことですか。海外から奪略して来た金属類云々と言われましたが……。
○斎藤(喜)証人 そうです。大阪だと私聞いております。 なお仙台の用品庫でもそういうことがあつたということを私聞いております。
○神山委員 今の点は委員長のお言葉もありましたし、あとでこれは別に資料として提出したいと思いますから……。
○鍛冶委員長 出すなら急いで出してもらいたい。
○神山委員 すぐ清書してまわしますから、あなたの方で適当に処理してください。 今静岡縣の件にふれられた点も、これは國鉄の組合でも調べたそうですが、これはあなたの方で調べたものですか。
○斎藤(喜)証人 國鉄労働組合の調査部で調べたものです。
○神山委員 これもあなたの方から出してもらうよりも私が理事として……。
○鍛冶委員長 これだけ証人から証言を得ておりますから、あなたの方から出してください。
○神山委員 私の方から内容の概略について出します。 今國鉄の人事の問題に最後にふれられましたが、これは先ほどの証人からも立証されておりますが、非常に刑罰と言いますか、女房をせわしたとかいう問題と結びついている点もありますが、それ以前に職制や何かで結びついた点があるのですが、いろいろこういうような点についてあなた方の知つておられる点があればこまかに言つてもらつてもいいし、私の方から指摘してもいいと思います。
○斎藤(喜)証人 それは個々の問題については個人的になるのでふれることは何ですが、一般的に言つてとにかく今弘洛会には國鉄から行つた人たちが約六割おります。これはほんとうに下級の從業員とおそろしく上の方の從業員と二通りあります。おそろしく上の方の人はどういう人が行くかというと、元國鉄の局長級あるいは優秀な駅長級、こういう人たちが停年になつて十万円、百万円の退職金をもらつたら無條件で弘済会に行きます。ですから一番上の並木さんが中心になつて、あそこの幹部は全部國鉄官僚の古手です。そういうふうにえらい人たちは全部無條件で行ける、そういう状態です。それから今度國鉄で十万名首を切られたので弘済会に四千名なり、五千名を受入れてもらいたいということで問題になつているが、実はこれがなかなか不可能になつておる、それはどういう点からかと言うと、先ほども言つたように、弘済会の中には実際に表に出て働く人たちと事務所に行つてぽかぽかとタバコをふかして御機嫌になつておる、そういう昔の古手の官僚の人たちが二割、これの比率が八割と二割ならよいのですが、五分々々です。さつぱり働かない人たちが五割、一生懸命に働いて外で立賣りをしておる人たち、これらの人たちが五割くらいしかおらない、この人たちは実際ひどい労働條件のもとにあります。歩増しをもらつて今平均して五千三百円ベースくらいになつておる。國鉄の労働者が平均して六千三百円、これが今度八千円なり九千円のベースになるとうわさされておるが、実際弘済会に働いておる人たちはおそろしく安い賃金で働かせられておる。今言つたように幾ら働いても五割くらい働かない連中がおるからそつちの方に吸いとられてしまう、いくら賣り上げてもその賣上げに関する歩増し、これは二兆から二・二%、五%しかくれない、実際に本なんかを賣れば二割から三割の儲けがある、ですから下の方はそういうふうにおそろしくひどい状態に置かれておる。上の方の人たちはわれわれが言うところの閥をつくつて國鉄の古手官吏を全部入れて下の人たちを事務所で働かせておる。こういう問題が今言つたような不正を起させる根源になつておると思う。ほんとうに下から民主的に上つて行くということになれば絶対にこういう事件は起らないが、今のように無條件で國鉄から行ける、從つて国鉄と弘済会とは情実によつて結ばれ、もとの職制によつて結ばれておるから、今度のような不正な問題、いかがわしい問題を起して世間から変な目で見られておる。ところが弘済会の事務所に働いておる從業員にとつてはなはだありがた迷惑であり、また國鉄の下級の人々にとつてもはなはだ迷惑な問題であります。われわれはこういう見地から本事件に対しても徹底的にわれわれの立場から明らかにして行きたいと思つております。
○鍛冶委員長 それでは御苦労さんです。 本日はこれにて散会いたします。これでしばらく休みますから追つて理事会なり、委員会を開くときには公報でお知らせすることにいたします。 午後六時十七分散会