考査特別委員会 第31号
- 発言数
- 1,183 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1949/08/04
会議録
○鍛冶委員長 これより会議を開きます。 本日も平市をめぐる騒擾事件について調査を進めます。さつそく証人より証言を求めることといたします。ただいまお見えになつておる証人は大友賢次さん、重信嵩雄さんですね。
○大友證人 そうです。
○鍛冶委員長 これより平市をめぐる騒擾事件について証言を求めます。 証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者が恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宜誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。大友さん代表して読んでください。 〔証人大友賢次君各承認を代表して宣誓〕
○鍛冶委員長 署名捺印を願います。 〔各証人宣誓書に署名捺印〕
○鍛冶委員長 証言を承る順序は重信さん、それから大友さんといたしますから、大友さんはいましばらくもとの控室でお休み願います。 重信嵩雄さんですね。
○重信證人 はいそうです。
○鍛冶委員長 あなたは高萩炭鉱株式会社の常務取締役ですか。
○重信證人 そうです。
○鍛冶委員長 いつからおやりになつておりますか。
○重信證人 昭和二十二年の十月からであります。
○鍛冶委員長 あなたの方の会社の重役はどういう方がおいでになりますか。名前より職制のことをお聞きしたい。
○重信證人 社長が一名と常務一名、取締役三名、監査役一名。
○鍛冶委員長 あなたの方の会社に幾つも炭坑があるようですが、その炭坑の経営状態はどういうことになつておりますか。
○重信證人 高萩炭鉱には、現在高萩鉱業所と櫛形鉱業所の二箇所があります。その高萩鉱業所の中に秋山、北方、千代田、關口の四鉱業所があります。高萩鉱業所は四つで、あと事業所として運輸部があります。
○鍛冶委員長 坑としてはこの四つあるだけですね。
○重信證人 そうです。 経営の状態は各坑まちまちでありますが、大体秋山と千代田の方はどうにかやつて行ける状態であります。しかし北方と關口の方に相当な赤字になつております。
○鍛冶委員長 あなたの会社で四月二十日に何か停年制を実施するということになつたそうですが、どういう事情であつたのか。またこれに関して使用者と労働者との間にいろいろ紛争のあつたことがあれば、その点を承りたいと思います。
○重信證人 御承知の通り、企業の三原則並びに経済九原則、さらに三月十日のマ司令部の覚書等によりまして、炭鉱としては、ことに中小の炭鉱としては、今後の処する道につきまして、相当合理化をはかつて行かなければならぬということから、三月十九日に各山が独立してやつて行けるような、いわゆる独立採算の制度がとれるように案を立ててもらうことを提案したのであります。そのときに私の方にいち早く退職手当金問題を昭和二十一年から実施しておりましたが、その手当金が今後の石炭界の情勢から見て、とてもその通りの手当が出せないということで手当を減額することを発表しまして、その新手当は四月二十一日以後に適用する。從つて四月二十日までは從來の退職手当金を支給する。つきましてはそれまでにやめる希望者の人にやめた方が都合がいいだろう。なおまた近く二十一日以後になつて早急にやめなければならぬという者に対しては、むしろ勧告してやつた方が親切だろうということで、四月の十八日から二十日にかけて数え年五十八歳以上の人に対して一應辞職を勧告したのであります。そのときには本人たちは、山の情勢から自分はかりにやめても、あとの身内の者あるいは兄弟の者、子供等が——いわゆる二千人の從業員が立つて行けるならば自分たちはやめてもよかろうというような、本人たちの気持もあつたのであります。しかしちよつとここで申し上げますると、私の方には旧来の全石炭系の組合と、それからこの組合が行過ぎたために今日第二組合というもりが各坑毎にできております。第一組合の者は、その本人たちの意思を尊重せず、いまに三倍くらいの手当金をとつてやるからお前たちはやめることなどよせと言つて、一度辞表を出した者もそのときに撤回するというような事実がありました。職員組合と第二組合の方はやむを得ないということで賛意を表しておりました。そういう事情で停年退職の問題につきましては、四月二十日のときには一應勧告をしたわけであります。大体該当者が百三十七人おりまして、そのうち自発的にやめた人が二十一人です。
○鍛冶委員長 それから七月六日にたいへん騒ぎが起つたようですが、その四月二日以降七月まではどういうことがありましたか。大まかでよろしゆうございますが……。
○重信證人 四月の二十九日に各山から合理化案が一應出ましたが、その停年になるような、つまり五十八歳以上の人で円満にやめた者がばかを見て、ねばつておつた人が得をするというような感じを與えて、会社の運営上困るということから、五月の三日の日に一應いい人も悪い人もなく、五十八歳以上の人に線を引いてやめてもらおうということで五月三日に第一組合、第二組合の職員組合の人を集めて一應協議したのであります。そのときに職員組合と第二組合は、いずれ機関に諮かつて御返事しますということで、後ほど会議の結果会社の案に賛成するということであつたのでありますが、第一組合の方は初めから絶対反対であるということを言つて、協議に入らなかつたのであります。そして五月六日の日に職場放棄をしまして、各山から——私の方の鉱業所は高萩の町でありますが、その下の方の、鉱業所の運輸事務所のところに、各山の人が五、六百人押しかけて参りました。そのときに各山の代表と私たちが会見しております。そうして第一組合の代表の高山慶太郎君は、会社の苦しいことはよくわかる。また五十八歳以上になつて、年をとつてくればやめるということについても自分に異議がない。しかしこのことについては十分協議が打たれなかつたから、白紙に戻して相談をしてくれということでありました。私は停年になつて、つまり年長者がやめるということについて異議がないのであれば解雇自体については協議の必要はないのではないか、ただその年寄りの人が身内がなく、また生活にも困るということであれば、そのあとの問題、つまり生活上の問題あるいは退職金の問題については協議する余地がある。しかし解雇そのものを一ぺん通知したものは変更するわけにはいかないということで——五月三日を期して各人に解雇の通知がしてあつたのでありますが、それはその通り実行することにしたのであります。五月五日にそういう発表をしましたために、千代田、それから五月六日には鉱業所、五月七日には秋山で、組合が大会を持つたようであります。そのときにもすでに高山君は、革命は高萩炭鉱から始まるということを申されまして、相当険悪な空氣が漂つておりました。五月八日のちようど日曜日に、組合の代表に全部社長のもとに来てもらいまして、会社がもし手を盡くさなかつたことがあればこの点はあやまる。從つて今後何とか円満にやつて行く方法はないかということを話したのであります。ところが職員組合、第二組合は会社の窮状もよくわかるから、それもやむを得ないということであつたが、第一組合の代表は、ただこのままでやつて行けと言われてもそれはとんでもないことである。われわれは死を賭ても鬪うということを、そのときに中島豊君が申しておりました。それで五月九日以後の情勢につきましては、実際に仕事をやるのかやらないのか。またと会社としても石炭輸送のために貸車の配車の関係もありますので、やるのかやらないのか確かめたところが、これは作戰上言えない。しかも五月九日以後は業務管理もやるような氣配もあつたので、会社では九日から十二日までロック・アウトを宣言した。十三日の日にこれを解きましたが、そのときには組合の方で行動隊あるいは、警備隊というものを組織しまして、組合が発行する出勤以外は、組合あるいは会社の者のいずれも出勤と秘めないというふうなことが指示されておりました。そうして私の方では、過去四年間、生産管理からゼネスト、あるいは山猫争議あるいは保安鬪争、いろいろな鬪争という名のつく争議はたいてい経験して参つたのでありますが、その間犠生者は一人も出さずに來ておつたのであります。すなわち当時はまだ石炭の融資もありますし、補給金もあり、どうにかやつて来られたので、がまんして来たのでありますが、今日の時勢となつてはそういう悪質な者はどうしても置けないということで、これは解雇の基準をつくりまして、大体就業規則もはつきりしておりますが、この点に準じて五月十七日に六十名の者を解雇したのであります、組合の方は五月十八日に大会を開きまして、一應作業は平常の作業に帰つて仕事をしながら、鬪争を続けるというふうにきまりまして、ようやく五月二十日に一應作業は平時の状態に帰つたわけであります。そこで二十一日に組合側は茨城縣地方労働委員会に、この問題を第十條、第十一條、第二十一條の違反の疑いがあるということで提訴されたのであります。その後労働委員会も進められておりましたが、六月の二十三日、四日にかけまして北方坑で事務部長を監禁しまして、他の山からも應援が来て、午前二時ごろまで脅迫的な交渉を続けて、事務部長がついに卒倒するまで二十二日の夜は交渉を續けております。また二十四日の日も相当長時間にわたつて交渉を続けておりますが、この間そとからかぎをかけたりなどして出さないように、相当威圧を加えた鬪争が行われております。それから七月の一日の日に中央できまつた賃金問題につきまして、組合側と会社側が一應交渉を持つことになつて集まつたのであります。そのときに中島君ほか四人の解雇された者が代表として見えたので、会社側は解雇された者は代表と認めるわけに行かないということで、約三、四十分話しました結果、中島君は用事があるから今日は帰る、そのほかの大坪君あたりがただ代表でなく傍聽として聞かせてもらいたいということで、その日は会社側の案を提示して、これをさらに文書に認めて、十分組合側で討議をして、七月六日に第二回の会議を開くから、出に来てもらいたい、つまり七月六日の日に会社案に対するイエスかノーか、あるいはまた修正すベき点があれば修正しておいてもらいたいということで一日には別れたのであります。六日の日になりまして、やはり中島君、大坪君ほか二名が参りました。それで依然これは代表として認めるわけには行かない、いや自分たちは代表であるというようなことでもんだのですが、さつき申し上げました六月二十三日の北方坑のときに、中島君はすでに自分は一旦解雇になつたのだ、首になつたものが二度と首になりつこはない、どんなことをやつてもよろしいのだと言つて裸になつて暴れたので、君たちも一旦首になつたということを認めておるならば代表ということは遠慮してもらいたいということを言つておりますうちに、中島君は下川総裁のこともあるのだから氣をつけた方がよかろうというような威し文句を言うものですから、そういう危い人はなおさら出て行つてもらいたいということでありましたけれども遂にまとまりませんので、それでは他の十五、六名の代表に申訳ないからというのでこの会議を打切りまして、各山ごとに交渉をしましよう、つまり各山ごとに会社に対する返事を聞くことにしましようということで、午前中の会議を閉じたのであります。午後一時から第一組合、午後二時から第二組合の意見を聞くために参加したのでありますが、時間になつても第一組合が考えないので、第二組合の方の話を一應聞いたのです。一時半ごろに第一組合が来ましたから、しばらく待つてもらつておつたのですが、二時ごろから関口坑の坑長を中心にして、関口は関口、また秋山の方は秋山といつたように各坑別に話をしておりました。そのときに解雇になつた方が十数人現われて、関口の抗長を連れて行くし、また私が三時ごろ事務所に来てその模様を聞いておりますると、やはり十数名の者が來まして、拒否するにかかわらずむりむりに組合の事務所に連れて行きました。そのときには私どもの鉱業所長の柳澤良助も連れて行かれたのであります。柳澤と尾島は別室で、げんこでなぐられたり、また指の先で突かれる、さらに足でけ飛ばす、あるいは頭をなぐる、さらに水をぶつかける、また口の中に水を含んでおつて、霧のようにふつかけるというような事件があつたのです。それから私の方は、別室で高田、中島などと——これは、この事件の内容を詳しくここで申し上げるのですか。
○鍛冶委員長 大まかでいいですが、大体ここで……。
○重信證人 それで尾島坑長は、三時ごろ行つておつたのですが、私は行つたのだが大体四時近かつたと思いますけれども、六時ごろになつて高山君と中島君は、要するに今度の問題を白紙にしろというふうなことから、特に中島君は、吉田内閣の政策を批判して、とても現在の政策では中小炭鉱は救われない、労働者と資本家がほんとうに一緒になつて、積極的に労働者を経営に参加せしめて、経理も公開してやつて行くのでなければ、こういう山は救われないんだということを言うので、自分は、今こういう事態になつているのだから、いわゆる需要家の心理はいい品物を安く買いたいのが心理である。従つて政策だけで動く時代はすでに過ぎたのではないか。これから山の生産費も安くし、またいろいろな費用も節約してやつて行かなければならぬ。特にカロリーを上げて、つまりいい品物をうんと出してやつて行かなければ、競争できない。また自分は資本家でもなく、ただ中間的な経営を委任されて行くようにしたいと思つて苦心している。そういうことを相当話し合いまして、六時ごろになつたのですが、当時、そのころに、あとでわかつたのですが警察の方から三十分以内に解散しないと、何か手続をとらねばならぬから、そういうことなつてはたいへんだから、今日はなるたけ早く解散したらよかろうというようなことを申しました。そのころ、全逓とか各友誼団体に電話をかけまして、そのへんにある書類や何かを非常にあわただしく片づける。また一面地下足袋をはいたり、ゲートルを巻いたり、ものものしいかつこうで、私どものに高山君が言つたのには、今に警察の應援隊が来れば、われわれは死を賭して一戰交える覚悟だ。そのときにはあなた方もどういうふうになつておるか大体想像はつくであろうというころを言いました。また私のほうでは、そういうことになつてはたいへんだから、今日は散会したらどうかと言いますと、高山君は、今日のことについては不法監禁ではない。従つて警察は干渉しないでおいてもらいたいということを一札書いてくれと言つておりました。これに対しては何ら答えないでおりました。そしてだんだん時間が過ぎて参つて、七時半ごろ中島君が、自分に何か判でも押させようと思つて原稿を書いておりましたが、そのときにMPが入つて来まして、ようやく表に出ようとしたのですが、それをさえぎられて、スクラム組んだために表に出られない。今度は仕方なく裏側の窓から飛びおりるような状態になつた。私はそのときに一番あとにつかまれまして、出ることができぬ。窓からおりようとしてもまたつかまれておりられぬ。ようやく頭から先に窓からおりるようなかつこうになつた。そのとき今まで押えておつたのが、逆に突き放されて、まつ逆さまにおちるところを、幸いに人が来て助けられた。それからあとはジープが来まして——そのときに容易に近づけない。スクラムのために近づけなかつたのですが、どうにかたどりついて助かつたのです。大要はこの通りです。
○鍛冶委員長 その事件がありましてから、あなたの方ではどういう処置をおとりになりましたか。
○重信證人 その事件がありましてから、七日以後私どもが町におることも非常に身辺が危険でありまして、やむを得ず他に逃避をいたしたのであります。実際に山に帰れなかつた点もありますが、ようやく七月二十日に、各坑長も、会社の首脳部も山の上に上るようになりましたが、それまではほとんど処置はとれなかつたのであります。ただ七月の十日に、ほかの場所へ各坑長に集まつてもらつて、山へ上つて仕事をするように言つたのでありますが、そのときには自警團でもつくつてやるかというようなことも言つたのでありますけれども、なかなか急にはできないので、やむを得ず会社の首脳部は全部離れてしまいました。何ともいたし方がなかつたのであります。
○鍛冶委員長 何かMPとか民事部の方から、これに対して処置なりまた勧告なりでもありましたか。
○重信證人 先ほど申上げましたように、事件当日急を聞いてMPが参りましたが、MPがジープに乗つて出かけようとしたときに、組合の者が自動車の前を押え、さらにジープの前に二十数人寝てしまつて、動きがとれなかつた。そこで三十分ぐらい対峙する状態であつたのでありますが、三十分ばかりたつた後に、軍政部の司令官が数人連れて参りまして、ようやくそこが解散されて突破することができたのであります。その後七月の十五日に軍政部の方から、これは勧告というほどでもなかつたのですが、組合の代表とわれわれを呼びまして、まず山ではどんな理由があつても暴力行為はやらないようにしてもらいたい。それから過去の問題についてあまり討議しても、お互いに言分はそれぞれあるだろうが、それはしばらくおいて、新しい問題について新たな代表でやつて行つたらどうかというような話があつたのですが、そのときに第一組合の方から従業委員の代表として出て来たのは一人でありまして、そのほか六、七人は解雇になつた者がやはり大勢参つておりました。そのために、そのことが徹底しなかつかのか、十八日に回答することになつて行つたのですけれども、どの点がどういうふうになつたかということははつきりしなかつたのであります。
○鍛冶委員長 それからあなたは、ただいま身辺に危険を感じたために逃避したと言われましたが、具体的にどういうような危険があつたのでしようか。
○重信證人 山にはいわゆる行動隊のようなものがありまして、それがある家庭を深夜おそつておどかし、また職員が暴動を加えられております。また見つければやつつけてしまうというようなこともしきりに言つておりました。事実私どもも相当あとをつけねらわれておりました。
○鍛冶委員長 何か警察と一戰するために態勢を整えるというようなことをやつたとかいう話がありましたが、それはどうですか。
○重信證人 七月の十六日、高山慶太郎たちが逮捕された日に、山では竹やり隊をつくつて、警察が来ればたたき殺してしまうぞというような指令を出しているようです。それは十七日の読賣新聞にもでていると思います。
○鍛冶委員長 たたき殺すというのは口で言つただけですか。具体的に何かそれに対抗する方法をとつておりましたか。
○重信證人 警官が行つたときに大勢で手製のサイレンをつくつて、見張りを出しておりまして、警官が上がつて来るとすぐサイレンを鳴らし、晝のうちは五分ぐらいで二、三百人は寄ると言つておりました。事実寄つて、そのときに警官の人は、もしやれば公務執行妨害だということを言つたので、まあそのときは事はなつかたようでありますが、それから夜でも十分そこそこたてば二、三百人の人は寄る——事実寄つております。
○鍛冶委員長 それは何か武器のようなものでも用意しておつたのか。
○重信證人 こん棒とか竹やりのようなものをつくつて用意しておりました。
○鍛冶委員長 それは間違いありませんか。
○重信證人 はあ。
○鍛冶委員長 こういうことを指導した者はどういう系統の人々でありましたか。
○重信證人 共産党員の中川清松という人はもと大東炭鉱に働いておりました。大東炭鉱を解雇されまして現在茨城縣の北部地区の委員長をやつております。この人が絶えず組合の事務所を指導しておつたようです。七月六日の私どものひつぱられて行つたときにもその人がおりました。そのほか櫻井實という全逓の人も終始来ておりました。
○鍛冶委員長 それもやはり共産党員ですか。
○重信證人 ええ。それから今度解雇された者の中に共産党員もありますし、また普通の者もありましたが、こういうひどいことをやつたのはほとんど共産党の人たちばかりでありました。
○鍛冶委員長 軍政部としては、今おつしやつたそのほかに、別に何も手を盡すようなことはしませんでしたか。
○重信證人 その後十五日の会見が結論がついていないので、なお話すような空気がありますけれども、今のところ具体化しておりません。
○鍛冶委員長 いまおつしやつた櫻井實という全逓の人がきというが、これは個人として来たのですか、それとも全逓その他いわゆる友誼團体としてあなたの方の争議に加担したものがありましたか。
○重信證人 これは話に聞いたのでありますが、今度の最高責任者は櫻井君で、欠席が中川君であるということを聞きました。私どもは櫻井君の容貌や何かはつきり聞いておりますが、実際に名刺交換をしたことはありません。中川君はよく知つております。
○鍛冶委員長 あなたの方の炭鉱の労働組合以外の労働その他の人でこれに加担した者がなかつたか。
○重信證人 ちようど六時ごろ警察から警告に来たときに、すぐ山一炭鉱、大東炭鉱、全逓——電話をかけるところは部屋がすぐ隣りでありますから、よくわかつております。
○鍛冶委員長 それは近くにあるのですか。
○重信證人 山一炭鉱、大東炭鉱は近くにあります。それから全逓へすぐ電話で連絡して、大いに頼むとやつておりましたのを聞いておりました。
○鍛冶委員長 それで相当の人数が出て来たのですか。
○重信證人 そうです。その夕刻は約七、八百人ぐらい集まつたでしよう。
○鍛冶委員長 あなたの方にいくらおるのですか。
○重信證人 高萩炭鉱の方の従業員は千八百人ばかりです。
○鍛冶委員長 そうすると七、八百人ばかり集まつたようだが、この七、八百人の中には今おつしやつた他の團体の者もおつたことは間違いないのですね。
○重信證人 そうです。
○鍛冶委員長 そこで伺いたいのは、その前に六月の末にすぐ隣の福島縣下で騒擾が起つたようですが、その騒擾とあなたの方の騒擾と何らか関連あるものとお認めになつたか、またそういうような事実がありましたか。
○重信證人 私の方の五月上旬ごろの停年者の問題のときも、実際はその問題ではなく、むしろ吉田内閣を打倒しなければならぬことが中心でありました。ほとんど経済闘争よりも政治闘争が中心になつておつたようであります。そのことは福島縣の方の矢郷炭鉱、つまり北に矢郷あり南に高萩炭鉱ありと言われておりまして、常に密接な関連を持つておつたようでございます。現に七月六日の事件の夜、午前二時ごろの汽車で割ケ谷武雄君、田中昭二君の二人が高萩駅から乗つて連絡に行こうとしておりまして、うち割ケ谷君はつかまつたのです。常に連絡の場合は二人以上歩いているようですが、田中一人になつたものですから、田中は高萩の次の駅の南中郷の駅から降りて引返えして来ているようでありますが、非常に密接な連絡をとつております。
○鍛冶委員長 あなたの方では警察に対する襲撃ということはありませんでしたか。
○重信證人 これは七月四日に地区警察、自治警察両方へ中島君たちが行つておりますが、平事件に関して警察から應援を出しているかどうか。またそういう事件があれば警察としてはどういうふうな態度に出るか。さらに組合運動に対しては警察はあまり干渉しないでおいてもらいたいということを七月四日の日に言つております。
○鍛冶委員長 それだけですか。別に押しかけて行つたということはありませんでしたか。
○重信證人 それから七月六日の日はおそらく押しかけて行く計画ではなかつたか、これは想像ですが、もう時日も動かせない。そうして七百人も八百人も集まつている。あのときに軍政部の司令官が出て来たり何かしなければ、あるいはやつておつたかもしれない。それは当日平の方に高萩の警察が應援に行つて、警察が手薄であるということ、また水曜日で軍政部が半日で休みになつているというふうなことも大隊考えられるわけであります。
○塚原委員 今のお話しで大体わかりましたが、三、四の点についてちよつと証人にお聞きいたしたい。高萩炭鉱からすぐ目の先にある櫛形炭鉱の労働組合というものは、今までの高萩炭鉱の組合あたりのやり方と比べてみますと、きわめてこてと相反して協調的なところがあるように私は考えているのですが、証人は高萩炭鉱の労働組合連合会の性格というものをそういうふうに考えておりますか。ちよつと御説明願いたい。
○重信證人 櫛形炭鉱の労働組合は従来の炭労系の組合でありまして、高萩炭鉱の方は全石炭の流れをくむ組合であります。櫛形の方は大体能率をきめて、たとえば一日一人当りの能率が〇・三四一ときますと、その責任は課すようになつております。また過去においても生産奨励金をしばしばとるように努力しております。同じ経営をしておりましても、櫛形炭鉱の方は常に縣下でも有数な炭鉱でありまして、品質もまたよく、中央の表彰も前回、前々回続いて受けております。しかるに高萩炭鉱の方の第一組合の労働組合は、昭和二十一年の生産管理からずつと、先ほど申し上げたように絶えず闘争があり、特に昨年の三月のごときも中央で賃金の交渉が始まつているので、賃金は地方で、高萩炭鉱だけで単独には上げられないのである。そのかわり生産を上げて生産奨励金をとる以外に手がないのだ。生産を上げれば特に一千円の奨励金が出るわけだから、それをとるようにやつてもらいたいと言いますと、かせいでとるような賃金はほしくないのだ。自分たちは要求してとるのでなければうまくない。それで賃金をきめるときには大体標準のカロリーを標準の数量を基礎として賃金を組みますが、それが組むときにはそういう話合いで組んでも、そういう義務が遂行されないできておるというふうなことでありまして、組合自体の性格が要するに自主的な問題でなく、ある方面からの指令によつて動くような場面が特に多いのではないかと考えております。
○塚原委員 そう言う傾向が現れて来たのは、大体何年の何月ごろからですか。
○重信證人 昭和二十一年の四月の生産管理以来……。
○塚原委員 それから事件の当日ですが、七月六日には、証人は最初は第二組合に現れたのですか。七月六日当日、不法監禁をされたというか拉致されたというか、その前には第二組合の方にはお会いしておるのですね。
○重信證人 第二組合の人と午後一時から約一時間ばかり会つております。
○塚原委員 そのときには第二組合以外のものは入つていませんでしたか。
○重信證人 第二組合だけです。
○塚原委員 そのあとむりに連れて行かれたという場所ですが、そこには第一組合員以外の者は入つておつたような記憶はありませんか。つまり会社の者以外の者ですね。
○重信證人 そこには先ほどの中川清松君、ほかこれも私名前も顔も全然知らないあとで聞きますと、朝鮮人連盟の人がそこに入つておつたということを聞きました。
○塚原委員 その方の名前はわかりませんか。
○重信證人 その七月六日の前の七月四日の日に、私の方の鉱業所の板べいに、各組合の張紙をして、そのときに朝鮮人連盟の津田という人が会社の第一組合の者と一緒に来まして、庶務部長をとつちめて、一札書かしたという問題がありましたが、そのときには津田という人が来ておりました。六日の日はおつたということは私聞いておりますが、顔は知らなかつた。
○塚原委員 先ほど言われました中川清松君、この方は共産党の地区の委員ですか。
○重信證人 共産党の内部のことは詳しくわかりませんが、新聞には北部地区の委員長と出ております。
○塚原委員 この方は六日の日にあなたが拉致されたときには、その場所におられたのですね。
○重信證人 中川君とおりました。私と問答をした事実があります。
○塚原委員 それから先ほど証人のお話の中で、組合の委員が今度の問題を指導しておつたのではないかというようなお話もありましたが、その当日櫻井實という人はその場に居合せませんでしたか。顔はわからなかつたと申されましたけれども……。
○重信證人 そういう容貌の人がおつたと思います。
○塚原委員 これは非常に毛が長くして、容貌魁偉の方ですが、そういう方はおりませんでしたか。わかりませんでしたか。
○重信證人 そういう人はおられましたけれども、名前はわかりません。
○塚原委員 証人は貨車に長いことおられるので、組合員の顔は知つておつたでしよう。大体会社の以外の者は入つておつたか御記憶はありませんか、苦しめられておられたからわからないでしようけれども……。
○重信證人 全然知らなかつた者は七、八人おりました。
○塚原委員 むしろそういつた連中の方が暴行を働いたもではないか、その方が積極的ではなかつたのですか。
○重信證人 窓から飛び下りたときに尾島坑長に対して朝鮮連盟の人が最初に首を絞めて、そうして町の人が、君は従業員でないのだからそういうことはよせといつてとめて、その人がのいたところが、今度は高山君がかわつて……。
○塚原委員 これは会社の問題でありながら、外部の者の指導というものが相当強いというふうに聞いておつたのですが、今のお話で、大体そういうことがよくわかりました。それから事件前ももちろんそうでありますが、ことに事件後、組合側の暴力が非常に強くなつておる。現に高萩に住んでおる人たちは、高萩の町すらもなかなか恐ろしくて歩けない。もちろん山なんかには一歩も入ることはできない。私は個人的のことを申すようでありますが、あの辺は非常にいいところで、そうしてそんな険悪な空気になつたのか、実に不愉快に感じておるのですが、山の治安はまつたく乱れてしまつたというふうに聞いておる。先ほどのお話にもありましたように、夜ふけになると、会社側の者はもちろん、第二組合の者も、歩くことも困難である。青年行動隊とか、警備隊とか称するものが、きわめて横柄に横行闊歩して、圧力、暴力を加えておるというような事実も聞いておりまするが、これも先ほど証人の証言でありましたから、了承いたしました。 なお、ことに七月六日事件以後というものは、警察隊と二戰交えるのだというような、不用意な——彼らに言わせれば不用意ではないかもしれませんが、そういうことがたびたび町の方にも傳わつていることろの喜多方坑においては、先ほども証人が申されましたように、竹槍、混棒、木刀などをすみやかに整備せよいうような組合指令が出ておつたというような事実も聞いておりまするが、これはいま一度お伺いいたします。組合指令として、こういうものを整備するようなものが出ておつたのですか。
○重信證人 私も指令そのものは見ませんが、そういうように聞いております。
○塚原委員 さらに、高山慶太郎ですか、この方の逮捕された日、つまり七月六日、組合はただちに大会を開いて、これは喜多方坑で開いたのだそうでありまするが、警察官が来たらばやつつけてしまえというようなことを、組合の大会で決議を行つたというような事実は聞いておりませんか。
○重信證人 ちよつともう一度……。
○塚原委員 高山慶太郎が逮捕された日、組合としては相当興奮した日でしよう。この七月十六日に、やはり天目山と思われる喜多方坑において大会を開いて、警察官が出動して来たら、これはやつつけてしまえというような大会決議を行つたということを聞いておるのでありますが、その事実はどういうものでございましようか。
○重信證人 私もそのように聞いております。そしてそれは読賣新聞の記事にも出ております。それから七月七日の日には、検察廰に全逓の人たちがデモに行つたときに、ダイナマイトをしかけてあるということも言明して、そのことも新聞で出ております。
○塚原委員 今ダイナマイトの話が出ましたから、それでダイナマイトについてちよつとお聞きます。私の調べたところでは、五月九日の日に、ダイナマイト五キロを、千代田坑内係から、組合長の責任において不法強要する場合に、鉄棒を持つておどしながら不法持出したというような事実をお聞きになつておりますか。
○重信證人 五月九日の日に、坑内にありまする火薬の小出しの倉から、係員の制止も聞かないで、これを持ち出した。そのときに、係員に対して金の棒でもつておどかして出した。
○塚原委員 なかなか元気な組合委員が多い。それから、どうして私がこういうことをお聞きするかと申しますと、先ほどもちよつと証人が出しましたが、七日に日に友誼團体の一團が水戸地検に行つて、犯人の釈放を要求しておる。このときに澤田次席検事に会つておるようでありますが、おどかしかそうか知らぬけれども、何のかんの言おうと、われわれにはダイナマイトがあるのだと言つて、威嚇的言辞を弄しておるのを聞いておるのでありまして、その事実も聞いておるのでありまして、そのことをお聞きしたいのでありますが、この秋田坑長の遺影にダイナマイトの雷管を投げつけたというようなことは、証人は御存じでありますか。
○重信證人 五月二十日過ぎだと思いますが、最初投げつけまして、井戸のところで非常に大きな音がして、ガラスがこわれて、そのときは大したけがもなかつたようですが、その後表に導火線をつけておいて、何か三回くらいそんなことがあつたと聞いております。雷管に導火線です。
○塚原委員 私は事件当時おりませんのでわかりませんが、今後の事件の前後を通じまして、これはあとで警察署長にもお伺いしようと思うのですが、警察官の活躍がきわめてにぶかつた。町の者に言わせると、はがゆくて見ておられないという警察官に対する非難が相当出ておるのでありますが、証人はどういうふうに考えられますか。もちろん監禁され、その後どつかに隠れておつたので、わかりませんでしようが、そういううわさをお聞きになりませんか。
○重信證人 七月十日の高萩町の駅の前の広場で演説会がありまして、そのときに高山慶太郎君が約四十五分ばかり演説をしたそうであります。そのときに逮捕状が出ておるということを聞いておりましたが、それを何ら手を加えない。またその後も山で、そういうやめた、特に四月六日にいろいろ暴行を働いたような人が山におりまして、山の者をおどかしておつたにもかかわらす、何らそれが逮捕されないということは、私ども非常に疑惑を持つとともに、不安に存じておつた次第であります。
○塚原委員 私もそのことはよく聞いておりまして、みな大きな顔をして町の中を歩いておつても、警察官は町の中をこそこそ横の方を歩いておつて、何の手を出すこともできないというような不愉快な話を聞いておつたのでありますが、なお警察官の増員問題について、公安員が、五十嵐という人と、今瀬という人と、宮田という人とおりまして、五十嵐という人と宮田という人とが強硬な意見をはいたら、その晩から組合の連中に家のまわりをとり巻かれ、相当ひどい脅迫を受けたこと、その脅迫にたえられず、やはり身を隠さざるを得なかつたという事実を聞いておるのでありますが、証人はそういう事実は聞いておりませんでしようか。
○重信證人 五十嵐公安委員は、七日の夜ほかの場所でとまりまして、八日の朝東京へ逃げて来まして、その後約十日あまりは姿をくらましておつたようです。またほかの公安委員の宅にも二百人ばかりの者が押し寄せ、公安委員はほかに難を逃げておつたということを聞いております。
○塚原委員 最後に一つお聞きしますが、大体今までのお話で、今度の問題は単なる会社だけの内部の問題でなくて、明らかに、あまり言いたくないのですが、共産党が背後にあるということが先ほども言いましたように、縣の委員会の櫻井實が直接これを指導し、北部委員長の中川清松がさらにこれを指導するこのように、どういう指令が動いておつたか、私は存じておりませんが、この事件のあと共産党の本部から錚々たる連中が現地に行つて、大いに應援演説などをやつておるということを聞いておるのでありまするが、細川嘉六氏は大体何日ごろ高萩に行つていたのでしようか、御承知ありませんか。
○重信證人 細川さんは七月十日の日だと思います。
○塚原委員 昨日までの委員会で渡邊代議士や土橋代議士が福島縣に行かれたというようなことでこの委員会でも問題になつたのですが、いずれも家内の里である、第三の故郷であるというような関連性をむりに持たしているようでありますが、細川嘉六氏と茨城北部との関係は私はよくわかりませんが、大体その演説会ではどういうことをしやべられたかお聞きになつておりませんでしようか。
○重信證人 細川氏の演説内容については詳しく存じておりません。それから高田代議士は七月の二十二日か三日に見えております。
○塚原委員 高田慶太郎氏が、人民革命は高萩からというようなことを言つてアジつておられたということでありますが、そういうのはいつどこでしやべつているかわかりませんか。
○重信證人 五月五日は千代田、それから五月六日は運輸、五月七日は秋山。
○塚原委員 高山さんはもうつかまつているのですね。
○重信證人 はい。
○塚原委員 それから逮捕令状が出ておつてつかまらないのは何人くらいおるのですか。おわかりにならなければけつこうです。 最後に一つ、先ほど委員長から一番最後の御質問で、平事件との関係ということについて御質問があつたようでありますが、私もちよつとお聞きしたいのですが、先ほども申上げましたように、偶発的なものじやなくて、共産党の強力なる糸がひかれているということはよくわかつたのでありますが、私が聞いておるところでは——先ほどの櫛形は違いますが、高萩地区は非常に全石炭が強く、約二千の動員も可能であるということを聞いております。矢郷地区はわずか数百名だと思いますが、こういうものに比べればはるかに数も多いし、また元気のいい者もそろつている。たとえば先ほど茨城縣の高山という人がしやべつた中にもありますように、人民革命はまず高萩からというようなことから推しましても、茨城縣に突破口を一つ見つけ出そうということは当然考えられておつたのじやないかと私想像するのでありますが、しかし先ほど証人のお話にもありますように、数々の体験のもとに大分経営者側が攻勢に出ておられるというようなことで、おれは組合の出した闘争指針の中にも、われわれは防禦戦闘にのみ終始せざるを得なかつた云々ということがありますが、こういつたことで受身になつておつたことと、またその機が熟されなかつたことのために、突破口を福島縣の矢郷に求めたというふうに私は考えられるのでありますが、こういつた点について証人はいかにお考えになりますか。
○重信證人 私ども大体感じとしてはそういうふうに感じております。
○塚原委員 けつこうです。
○高木(松)委員 ちよつと聞き落としたのだが、あなたの炭鉱で第一組合と第二組合のできたのはいつごろですか。
○重信證人 第一組合から第二組合が最初に抜けましたのは昨年の十月以降、これは各山が何回かにわたつて分裂しました。
○高木(松)委員 しかし第二組合ができるまでの間、第一組合と第二組合のような流れが、あなたの山で抗争をしていたことは事実ですね。だからあなたの方から見れば、組合のできたのはそのときだが、その前から二つの流れのあることはお認めになりますね。
○重信證人 それは、特に昨年の三月闘争で組合が相当活発な行動をしたけれども、何ら得るところなかつたということに全従業員が批判を加えまして、そのころから大体第二組合のわかれるような気運が生まれておつたと思います。
○高木(松)委員 そこであなたは経営者として、一体第一組合のようなやり方をして山の経営が成立つて行くと思いますか、それとも崩壊してしまうと思いますか。
○重信證人 私どもも組合がほんとうに健全なる組合として行くことについては、非常に賛意を表するのであります。しかし第一組合のような……。
○高木(松)委員 第一組合のようなやり方で山の経営が成立つて行くか、それとも自然的にどうにもこうにもならなくなつて崩壊していくかということを聞いている。
○重信證人 行き過ぎた従来のような行動をやつておられては、やつて行けないと思つております。
○高木(松)委員 第一組合の共産党員である幹部諸君は、そういうことを知つておつて特にやるので、結局労働者の味方ではなというような空気がありませんか。
○重信證人 この人たちは、山がつぶれても、党員が一人でもふえればいいということを標榜してやつているようであります。
○高木(松)委員 そこであなたの特に感じでもよろしゆうございますし、現実の事実からでもよろしゆうございますが、一体これらの人は労働争議をするという名にかりて、ほかに暴力革命でもやろうという気配を見せているのではありませんか。
○重信證人 そういうふうに感じます。
○高木(松)委員 そこで先ほど塚原委員の問としてははつきりしたのですが、答えとしてはつきりしない点を一つ聞きたいのは、ある方面の指導によつてこれらの人が動いているというようなことをお話になつたのが、ある方面というのはいわゆる共産党の茨城地区委員諸君を指すのか、共産党を指すのか、どれを指すのかここではつきりとしておいていただきたいと思う。
○重信證人 それは茨城地区の共産党の方も見えるようですし、また中央からもときどき見えるということを聞いております。
○高木(松)委員 これらの人の指導によつて、いわゆる争議、暴力というようなことをやつているとあなたはみとめておられるわけですね。
○重信證人 今度の場合はそういうふうに考えます。
○高木(松)委員 それから六月三十日に平の市警に騒擾事件が起きたのだが、そのとき私の聞くところによると、高萩の炭鉱方面に対しても共産党の方方に対して指令を出したという事実があるのですが、それに似通つたようなことを見聞きしてはおりませんですか。
○重信證人 私どもちよつと見ているものがあります。
○高木(松)委員 その具体的の事実と感じとをお話になつてください。
○重信證人 この秘密指令の中に出ているもので、私どもの方に関連があると思われる点を多少申上げますと、あとの方にあります戰術指令として非能力発揮の戦術というのがあり、これはたしか私の方の山まで能力を発揮しないということが行われているのです。
○高木(松)委員 そういう戦術も使つているのです。
○重信證人 それから自然の事故、原因不明の事故発生の戦術ということもあるようです。これは具体的に言いますと、トロの前に人民トロという札を掛けてあります。そうするとトロがひつぱりますと、すぐ板が前にころびますから、前に入ると轉覆するわけです。こういうような仕掛をしてあつたわけです。
○高木(松)委員 そういう仕掛けをしてやつた事実がありますか。
○重信證人 あります。写真にとつてあります。
○高木(松)委員 その写真はどこにありますか。そこで私の聞いておるのは、そういうこともけつこうですが、平事件に集合しろというような指令の出ておることは知りませんか。直接に知らなくても人のうわさか何か聞いておりませんか。
○重信證人 何かあちらの方に出かけて行くということは聞いておりました。それから七月七日に高萩……。
○高木(松)委員 六月三十日の平市警襲撃事件のときに、とにかくその襲撃に加わるように石城地区から向うの茨城地区に指令を出して、茨城地区から高萩に共産党員に参加するように指令を出しておるのですが、その点についてあなた心当りありませんか。
○重信證人 その点は私ははつきり存じておりません。
○高木(松)委員 人がそういうことを言つておるのを聞きませんか。
○重信證人 うわさは聞いております。
○高木(松)委員 よろしゆうございます。
○鍛冶委員長 ちよつと聞きますが、ここに書いてある十八日と符号を打つてある、北方とあるのですが、これが先ほど言われた人民トロですか。
○重信證人 そうです。
○鍛冶委員長 これは動けばひつくり返るようになつておるのですか。
○重信證人 これはこういうようなものを横へ書いて、人心を不安に陥れるということかと思いますが、坑口にトロが立てかけてあります。
○鍛冶委員長 やつぱり仕掛けてあるのですか。
○重信證人 これは外のところにあるのですから、これは大したことはありません。
○吉武委員 証人に一言お尋ねしたい。大体今までの証言でわれわれの想像しておることが明瞭になつたわけでありますが、あなたの炭鉱は、お話のように二十一年四月高萩炭鉱事件として当時相当世間をにぎわした所でございますが、その後今回の事件までの間のやり方についてお聞きしたいのですが、今回のあなたの不法監禁、暴行、その他の事件は、非常に極端なる暴力ざたのように思うのですが、今までと比べて特に最近そういう目立つた暴力が行われたように見受けられるのですが、その点どうでございますか。
○重信證人 六月の七日に北方坑の大坪馨君の家でフラク会議が開かれました。九日にはいよいよ共産党を中心とする人民政府が樹立される。今のうちに共産党に入党して吉田内閣打倒、人民政府樹立に協力する者は助けてやるが、入党しない者は新政府ができたときに人民裁判にかけて、徹底的に究明すると、入党を強制勧誘しておる。このような会議は九日に千代田、それから関口でも開催されて、同様強制勧誘をして、赤ん坊までも入党さしておつという事実があります。そうして炭鉱の経営については人民管理をするのだ、そうした場合会社も公園も石炭を買わないだろうが、出した石炭は同志の肥料会社の組合にとつてもらう。その組合は右の石炭を利用して肥料をつくり、その肥料を今度は農民組合を通じて農家に分譲する。農家は割当以外の肥料が入るので、それをまた賣つて生活なり何なりに充てる。こいうことを言つております。また六月八日の運用部の大会で中島豊、田中昭二の両君がわが党内閣はいよいよ来る九月に成立する見込みがついた。諸君はそのつもりですみやまにわが党に入党したまえということを言つております。
○高木(松)委員 わかりました。そうしますと、大体六月の半ばごろからフラク会議持たれ、そうして急に活発になつたという事実と、それから九月に人民政府ができる、これは先般来平事件で尋問しておつたときにみな各地とも言つた共通な事項であります。しかも平事件は六月の月に各所で行われておる。こういう点を思い合わせますと、これが自然発生的のものだとは考えられないのであります。一連の関係があると見なければならないと思います。時にそれがいずれの地も共産党員がやつておる。本部からは指令は出さぬとある人は言つておりますけれども、共産党が各地で同じことを言い、同じことをしておる。これに一連の関連がないということは、これはそう考える方に非常にむりがあると思うものであります。 そこでもう一つ私はお聞きしてはつきりしておきたいのは、先ほど高木君からの質問の中に、中央からの指令らしいものがあつたということを言われましたのですが、それを一、二だけお読みになりましたけれども、なおそれをひとつはつきりしていただきたい。と申しますのはわれわれの方にも大体それは高萩炭鉱の件でなくて、国電ストの問題に関連しれ同じ文句の指令が出ておる。でありますから、文字までが同じものが出ようはずがないのでありますから、参考にしたいのでひとつ全文をお読み上げ願いたいのであります。
○鍛冶委員長 長いものだがな。
○吉武委員 長ければ要点だけでけつこうです。項目が配列されておると思いますが、項目だけでもよい。
○重信證人 これはお持ちになつておるのと大体同じだと思います。
○吉武委員 信憑性のために。
○神山委員 読んでもらおう。
○鍛冶委員長 借りてよろしいですね。——大体のところだけ読みましようか。共産党秘密指令四十八戦法(一九四九年四月八日)正員サボ反カン指令書一、は全日本正員及び労働組合指令のうち国鉄に対する指令書二は各個別連破戦法は実行動にに移行、徹底を期せ、三は職場方面その他、四は八月攻勢に備えて心を静かに固めよ、五は現在はもとより今後の党員は一日も早く親族との関係を内密にしておくこと、秘密党員は特にそうせよ、六は事の重大運動の場合は、必ず秘密根拠地に集合して万全を期せ、七は今後の脱党者に対しては行動隊が何らかの措置をとるべし、八は国家の大物行動には常に監視をして、行動隊を配置していつでも指令完遂できるようにすべし(全国防衛隊)、九は全労組のサボはますます團結せよ、十は当局の目はますます今後弾圧となる、十分注意して重大なる目的達成に万全を期せ、第三百十一号戦術指令 一は非能力発揮戦術、二は自然事故、原因不明事故発生戦術、三は混乱時に対して非能力、怠慢戦術、四は突発事故による休憩または欠勤戦術、五は右のときに対して遅刻戦術、大体はこういうことです。
○菅家委員 ちよつと一点だけ、中途から入つて来たのであるいは委員長がお尋ねになつているかもしれませんが、疑問がありましたのでお尋ねいたします。 それは事件当日進駐軍MPによつて証人が救出された。そのジープに乗つて出られるときに、ジープの進行路上に十四、五名の組合員が寝そべつておつたり、また車の進行をとめるためにエンジンの上にあぐらをかいたりなんかして、非常な暴行を加えた。打つなら打つてみろというようなことをわめいておつたということを聞いておる。しかもそのときは警察官も二、三名負傷者を出している。それからMPの者もけがをしたという話を聞いておりますが、事実はどうでしたか。
○重信證人 最初私をつれて表の方に出ようとしたとき、スクラムを組んで妨害され、なおまどからおりてジープに乗つて出かけようとしてエンジンをかけた瞬間に、前からジープが押さえましてて、土の中に約一尺くらいタイヤがめり込んだ、あとでMPがスコップで土をのけて用意しておつた、それでまえから押えるのとうしろからひつぱるのと、そのうちにみなやめてしまつて、ジープの前に二十人くらい横になつて寝てしまつた。それからMPが拂いのけて行こうとしたときに胸につかみかかつておるのを見ました。けがはしたかどうかわかりませんが、なお……。
○菅家委員 MPはどうしましたか。
○重信證人 そのときに拂いのけて、そうしてピストルでもつて一発空砲を打つてようやく治まつたようでしたが、とにかく胸の辺にしがみついて前から押えてやつておりました。それから屋根の方から中川君そのほか一、二名おつたそうですが、瓦をとつて警官に投げつけました。それで三人ばかりけがをしたということを聞いております。
○聽濤委員 民自党諸君は今度のこの問題が労働争議であるという本質をおおい隠して、暴行脅迫の暴力革命であると盛んに言つておりますが、少し本質的な質問してみたいと思うのであります。四月二十日に会社が停年を実施して、老練者の相当数の首切りが行われたのだそうですが、この停年制の実施については組合側とその前に協議したことがございますか。
○重信證人 定年制そのものについては昨年四月一日から実施しておる。就業規則の中に満五十五歳をもつて停年退職をするという規定が折込まれております。但しその実施につては、当時中央で退職手当金問題が協議されておつたので、それまで延期しようということで延びておりました。
○聽濤委員 その就業規則は四月一日に出たそうですが、これについては組合側と協議して了解でつくりましたか。
○重信證人 就業規則は連合会との協議の上つくつたものです。
○聽濤委員 ところで就業規則にはこういう停年制の規定があるが、実施については組合と協議してやるということになつていたのではないですか。
○重信證人 それは中央の退職手当金がきまるであろうからそれまでは延ばそう、こういうことであつたのです。それは昨年の三、四ごろには補給金とか赤字補給金とかいろいろそういう経営面の補助的なものが相当ありましたので、われわれとしても経営そのものについては甘い考えを持つてやつて来た。しかし一年後のこの三月になつて、いろいろ社会情勢が変化して参りまして、これはドツジ声明なりなんなりで、そういう状況から組合と三月十九日に一應相談をしました。そうして経営の合理化について各山から案を出して来たのですが、これは一應机上の合理化案であるというので、四月十日に会社からもしこの各山の案が予期のような成績をあげない場合には、本社独自の案によつて合理化をしなければならぬから、各山の案を実現するようにというふうな警告を四月の十日に一應出して、それから四月二十日のときに勧告したのであります。
○聽濤委員 ところでそうしますと、その前に三月十九日でありましたか、独立採算制の案を会社側が出したときに、退職金の手当の減額も出されたと言つておられますが、これは、どういう経過で。組合との了解なしに会社側から一方的に出されたのですか。
○重信證人 これは四月二十日までと四月二十一日以後の変更になる点を説明しまして、職員組合と第二組合はこれに賛成しておりました。ただしここで御参考までに申し上げますと、私の方の労働協約が昨年十二月二十八日に満期になりました。それから新協約を結ぶために一月一ぱいだけは前協約を結ぼうということを言いまして進めたのですが、それは向うで全然應じなかつたのです。それで二月一日からは協約がなくなつた。そういういきさつがありまして、その後いろいろの問題について相談しましても、ほとんど頭から絶対反対でまとまつたことがなかつたわけなんです。そういういきさつのもとに……。
○聽濤委員 ところで退職者の問題ですが会社の方では、すでに三月十九日に退職者の手当の減額を発表して、それから四月二十日には停年制の実際の実施をやつて、首切りをやられた。ところがそれでは老齢者が多数首を切られることになつた。この問題については今まで会社の方ではこういう老齢者の方々は、会社者に対する功労者であるからこの退職の場合なんかには、爾後の生活とかその他の問題について、十分考慮してやるということを常日ごろ明言されておつたそうですが、やはりそういうことがあなた方の態度の中に何も出てこなかつた。ただ一方的にこういう退職停年制が実施されて、相当の数の人が一挙に首切られた。しかもその前に退職者の手当の減額はすでに会社の方から発表されておる。組合では反対しておるけれども発表されてしまつた。こういう点が相当もつれて来ているのではないですか。
○重信證人 三月十九日にそういうことを言いまして、四月二十日までにこの従来の手当を出す。この従来の手当というのは、大体中央で鉱業連盟が組合側に示しておつた額と大体似ております。その金額は四月二十一日以後つまり石炭界がどういうふうになるか、賃金そのものも拂えるかどうかというような情勢になつては、退職金が十分に拂えないかもしれないから、それで一應そういうことにした。なお退職手当金の問題で実施が延期されておつたので、五月五日の日には中央で退職手当金がきまればそれによつて遡及して清算しようということで、一應解雇手当だけを出しまして、あとはきまればそれによつて清算する。それからなお五月十五日の日に第二組合と話をしましたときに、それではやはり年寄りは気の毒だから従来の手当を遡つてやつてくれ、今円満にやめた人は、やはり従来の手当をやろうということで、会社も四月二十日前の手当を五月十五日になおやることにして、五月二十日までにやめた人はそれを適用した。大体そのときに……。
○聽濤委員 その程度でけつこうです。それから三月十九日に会社の炭鉱の経営のために各坑独立採算制を会社の方で申し渡した。ところでこれにつきましては組合の方で独立採算制でやるならば、組合も参加して、そうして生産委員会と言いますか、そういうものをつくつてやつて行く、それで会社の方も承認して準備を着々やつていた。その矢先に突如これが打切られてしまつたという事実があるそうですが、いかがですか。
○重信證人 これは各山ごとにそういうふうに独立採算制をとつてやる、秋山では五千トンを出す。北方では六千トンを出すように、各山ごとの数量をまとめて各山ごとに計画を遂行しようという話は出ておりましたが、実際は一箇月たつて見るとそういうふうに実現しなかつたわけであります。
○聽濤委員 いよいよそういう委員会が設置されていこうとしたとたんに、これが全部くつがえされてしまつたということを組合の方では非常に会社の作為的なやり方であるというふうに見ておるようでありますから、この点ちよつと聞いてみたわけであります。それからその前に労働協約の問題ですが、最近至るところで首切りが始まる前にたいていどこの会社でも團体協約の問題について相当一方的な破棄をやつて、そうして無協約の状態に陥れておる事例が、全国に非常に多いのですが、この協約の改訂については協約の中では大体新協約ができなければ、その前の旧協約がずつと効力を持つて行くという協定になつているのではないですか。
○重信證人 私の方の協約は新協約の交渉に入つておればこれは一月一ぱいは旧協約を適用しようということになつてつまり期限をきめて行けば、その間は有効ということになりますが、組合側は自動的に一年間延長するという趣旨で、新協約を結ぶ意思がなかつたのであります。そこで二月一日からはなくなつたのです。このことが労働委員会に出まして、労働委員会としては裁定ができにくいので、裁判所の問題として処理してもらいたい。こういうことが六月二日の労働委員会できまつておるのです。ですから、もし組合側でこの協約があるとか、ないとかいう問題について不満があれば、裁判所に手続をとればいいと思つておつたのですが、現在までそういう手続がとられていないのです。
○聽濤委員 あなたの方の言つていることはよくわかりました。事実さえ確かめておけばいいのですが、組合側の方では会社の方が一方的に破棄をして來たと言つておるのでありますが、この破棄の通告はいつしましたか。
○重信證人 最初に十二月二十六日に満期になつたから、新協約を結ぼうと言いましたのに対して、一月二十四日に労働組合では自動的に一年延長だから、新協約を結ぶということはない。それで二十五の日にそれでは協約を結ぶ意思がないならば、二月一日からは無協約の状態に入るということを宣言したのです。
○聽濤委員 これはほんとうはいろいろお聞きしたいと思つておるのでありますが、たとえば昔の協約があつて、最近ではどこまでも旧協約とほとんど関係のないような、あるいは非常に組合側が受入れがたいような協約案を会社側が持つて來てやるので、この協約の改訂については非常にどこでも難澁をきわめているという実情があるので、ほんとうは会社側の新協約の内容を実際見ないとわからないのですが、時間が長くなりますので、会社側が二月一日から無協約に入るという通告をしたことだけを確かめておけばいい。 それからもう一つは炭鉱の賃金の問題ですが、これは中央交渉で新しい賃金が協定された。ところが実際上の協定できた賃金の支拂は行われていないという事実があるそうですが、いかがですか。
○重信證人 これは昨年十月から三月までの賃金協定が一應できたのであります。このときは前の賃金よりかいくらか高い賃金がきまつたのですが、石炭代がつまり上らない。賃金協定だけは上つた賃金を組んだけれども、それの裏づけがないので、当時賃金に対する補給金というものが下つたわけです。三月までは下つたのですが、四月からは補給金は突然なくなりました。そうして全國の石炭の平均炭價が一トン当り二千三百八十八円、そのうち高萩炭鉱の占める分はようやく最近上つて千八百五十円、平均五百円低い。それから能率が〇・三四と約束したのが、〇・二八しか行つていない。そうしますと、普通にこれは考えても三月に補給金が切れたので、一般の炭鉱は補給金分だけは下る勘定になります。私の方は約一割を下げまして、そうして新賃金を組みたい。このことは七月一日にも案を見せましたし、七月の六日にも第二回目を開いたわけです。私の方の炭鉱としては一割引ぐらいなところは相当いい方だと考えております。
○聽濤委員 いろいろあなたの方の理由はよくわかりましたが、とにかく事実一月、三月に至る賃金の問題については中央協定ができているのだけれども、実際上は前の賃金しか支拂われなかつたというのは事実ですね。
○重信證人 形は前の賃金でありますが、三月までは実質的には上の賃金になつております。それからこのことについても私どもも早く交渉を持ちたいと思うのですが……。
○聽濤委員 そのことはよくわかりました。なおこの賃金に対して三〇%の引下げを要求されたという事実もございます。
○重信證人 そのことはまつたくうそであります。というのは、坑内の請負單價の問題につきましては、新賃金その他のときにかえつて一八%下つておるのであります。つまり抗内請負單價は從來非常に高かつたので、これを減らしたのであります。今度の場合は高萩炭鉱は一割五分を下げましたが、但し今まで一割五分行き過ぎております。この行き過ぎた分を七月以降に回收したいということでつまり一割五分下げた、さらに回收する一割五分がそこへしいて傳えられたのでありまして、坑内の請負單價だけが一割五分下つております。その他は一五%ないし二〇%上るというように、上るところと下ると、バランスがとれるわけです。
○聽濤委員 それからもう一つ、物價のはね返り分というのが九百円ばかりで、それが政府補償が行われておるのに、拂われていないというこの事実はどうですか。
○重信證人 このはね返りというのは、昨年の七月、八月、九月、この三箇月間のはね返りである。ところが、八月の月は普通の成績が上つておれば当然なんですが、私の方の炭鉱では八月は半分しか出炭がなかつた。結局支拂いができないわけです。それで内拂いをしまして、組合と話し合つて解決しております。
○聽濤委員 それにまああなたの主張はよくわかるのですが、とにかくこういうふうな事実のあることははつきりしたと思うのです。さらに二月一日付で今まで協定しておりましたいろいろな諸休暇、これを白紙にもどすという通告をあなたの方から出しておりますね。
○重信證人 その点はつまり一年前の協約で、今年に非常に経済情勢がかわつて参りましたから、そういうことに変更しなければならないのに、協約についても向うは交渉しなかつたわけですから、それでそういうふうにやつたわけです。
○聽濤委員 協約についてここで議論していてもしようがありませんが、協約については、実際上私たちは大体知つているのです。これは実際上交渉ができないような状態に事実会社側が追い込んでおいて、こういうことが行われている場合が多い。これは議論はさておきまして、労働協約の破棄からあるいは賃金の不払いの問題から、はね返り問題、さらに独立採算制をやるについても、組合側が協力したものも御破算にされてしまつた、退職金についても減額された。そこでまた定員制の実施も組合との協約なしに一方的に実施して相当の人が首切られた。こういうふうな問題が昨年の暮れごろから今年の四月ごろまでにかけ、非常にたまりたまつていたということが、大体この争議の内容をなしておるようにわれわれは考えているのです。この点からこういうような争議が発生したということが事実のようでありますが、さてもう一つお聞きしたいのは……。
○鍛冶委員長 ここで言うていることと違つたことをあなたかつてに断定しても困りますよ。
○聽濤委員 もう一つお聞きしたいのは、今度の首切りの整理をやつたという根本の問題について会社側はどういうふうにお考えになりますか。見解の相違とさつき申しておりますけれども、たとえば吉田内閣の炭鉱に対する政策の結果いよいよ整理をやらなければならない状態にした根本問題が何かありはしないか。あなたのお考えをひとつ聞いておきたいと思います。
○重信證人 整理の場合六十名の問題についてはこれは会社がもうかつているとか、損をするとかを問わず、やはり六十名はどうしても切らなければならぬ……。
○聽濤委員 それじや私お尋ねしますけれども、常磐炭鉱一帶ではこの間の國会のときに業者の代表が陳情に参りまして、あのときに四千カロリー以下を切り捨てるという問題につきまして陳情を行われた事実をあなた御存じありませんか。
○重信證人 この企業整備という問題と今度の綱紀粛正の問題とは違つておりまして、私の方ではさらに今後そういう問題があればそのときには十分愼重に檢討してやつて行きたいと思つておりますが、六十名の問題は就業規則その他に照し合せまして、職場の規律上やむを得ないようなものだけをやつたのであります。
○聽濤委員 それではもう一つお聞きしますが、あなたの方の会社は東京その他の地域、大阪、千葉、埼玉なんかにいろいろな炭鉱でないほかの会社を持つておられるような事実はありませんか。
○重信證人 私の方で直接経営しているものはありません。共同といいますか、参加しているものはあるかもしれませんが……。
○聽濤委員 あなたの方の社長がいろいろな会社に出資しておられるというような……。
○重信證人 社長が個人的に出資しているのはあるかもしれませんが、私よく存じておりません。
○聽濤委員 もう一つお聞きしたいのは、先ほど共産党の秘密指令の問題をあなたが発表されておりましたが、それはどういうような方法でおとりになつたのですか。
○重信證人 それは六月六日のあのごたごたしたときに落ちておつたのを何か拾つて來たというのを見たのであります。
○聽濤委員 これはわれわれよく確かめて見ますけれども、間違いありませんか。
○重信證人 何か拾つて來たという話です。
○聽濤委員 共産党の秘密指令というものは絶対に出ていないのですが、あなたがあくまでもそういうことをおつしやるならば、共産党としてあなたのおつしやつた一言は非常に重大な問題だと思うので、これは本件に関係なくてもわれわれはあなたがそういう発言をなさつた以上は、これを重要視して、責任をもつて調査して出しますから御記憶願いたい。それで念のためにあなたの持つておられるその秘密指令なるものがありましたら——これは委員長にぜひお願いしたいのですが、提出してくれるように手続をとつてもらいたい。
○鍛冶委員長 そんならちよつと聞いておきますが、このものが落ちておつたんじやないでしよう。これは何か……。
○重信證人 それは刷つたものです。
○聽濤委員 その現物はありますか。
○重信證人 ここに持つておりません。
○聽濤委員 それは委員長ぜひそれを出してもらうように願います。
○鍛冶委員長 拾つた原本はありますか。
○重信證人 ここにはありませんが、調べて見ます。
○鍛冶委員長 調べて見て、あつたら出しますと言つております。
○聽濤委員 それを委員長に要求しておきます。
○鍛冶委員長 神山委員、簡單に願います、
○神山委員 簡單には行かない。先ほどからあなたのお話を聞いておりますと、共産党が上らなかつたということを相当強調されておりますし、それはある場合事実かもしれませんが、秋山坑の場合などでは目標出炭量を越えたようなことは実際にありませんか。
○重信證人 目標はたまに越すこともありますけれども越さないことの方が多くあります。
○神山委員 たまにはあるということはお認めになりますね。
○重信證人 はい。
○神山委員 先ほどのお話では全然なかつたように聞いたのですが……。
○重信證人 一番最初に秋山、千代田の方はどうにかという状態だつたと思います。
○神山委員 先ほども問題になりました五千トンを五千二百トンに、発送五千百トンという成績を四月にもあげておるが、これはどうですか。
○重信證人 四月だけは非常に成績がよかつた方であります。
○神山委員 從つて労働者諸君とすれば、そこにもつて來て実行委員会をつくつたのに、いきなり会社の方から首切りを言つて來たというので、非常に不満というか、不審を抱いておるのですが、これはどうでしようか。
○重信證人 それは過去の問題並びに將來の問題を考えますと、そういう年長者の人あるいは不用な人を整理し、また一面節約をはかつて行かなければやつて行けない。いろいろな点から考えたのです。
○神山委員 それでは首切りの問題ですが、老齢者は首切らないというようなことをあなたの方では約束されたようなことはありませんか。ことに戰時中から出炭の量を上げるために將來お前たちの生活を保障する、山の小屋も建てる、ひとつ氣合をかけてやつてくれということを言つておられたのを、労働者の諸君がほんとうに信じてやつて來たということはありませんか。
○重信證人 私戰時中のことは、そういう約束があつたかどうかよくわかりません。昭和二十一年から私参つております。
○神山委員 それは知つております。二十一年にせよ、二十三年にせよ、当然あなたがここに責任を持たれるようになつた場合、特に菊地社長があなたを信用して、あなたにまかせきりにしておつたそうですが、当然前にあつたことの引継ぎはお聞きになつておると思いますが、そういう事項について聞かれたことはありませんか。
○重信證人 そういうことについては聞いておりません。
○神山委員 そういうことをおつしやるものですから、從業員の間ではどうしてもよけいむくれると思うのです。さらにここでお尋ねしますが、秋山坑の從業員は千八百八十三名、現場と職員の比は現場五—八人、これに対し職員一人についておる。こういうような割になつておる。從つて内訳を見ますと、千八百八十三名に対して二百八十九名、こうですか。
○重信證人 秋山坑の千八百何という数字はどこから出ておるのですか。
○神山委員 これは組合側の報告を聞いたのです。
○重信證人 秋山は現在工員が四百五十人、職員が三十何名だと思います。
○神山委員 そうしますと、今の千八百八十三名対二百八十九名ということについて何か思い当られることはありませんか。
○鍛冶委員長 全体でいくらですか。
○重信證人 全体ならば大体そのくらいになると思います。それからあとの二百八十何人というのは職員の数にも該当しません。
○神山委員 職員はいくらですか。
○重信證人 全部でせいぜい二百人ぐらいだと思います。
○神山委員 そうしますと、石炭局からの指示はどういうことになつておりますか。職員と労働者の比率は……。
○重信證人 職員については別に指示はありません。これは各山ごとに工員十人に対して一人のところもあります。また二十人に対して一人のところも、七人に対して一人のところもあり、まちまちであります。
○神山委員 石炭局から何も基本的なものについてはありませんか。
○重信證人 ありません。
○神山委員 それでは秋山坑の組合はあなたのお考えでは職員と労働者との比重がどのくらいになつておるか記憶ありませんか。
○重信證人 現在では工員が四百五十人、職員が三十人くらいです。
○神山委員 この秋山抗で第四坑の開発のために融資を受けられたことはありませんか。
○重信證人 秋山坑だけですか。
○神山委員 はい。
○重信證人 私の方では高萩全体で借りておりますから、秋山坑だけで借りたいということは聞いておりません。
○神山委員 それではその内容自身は石炭局その他に報告なすつたことはありませんか。
○重信證人 秋山坑だけの問題を別に切り離してやつたことはありません。
○神山委員 櫛形の方も少し聞かなければならぬのですが、全体として融資されているわけです。その内容はどこにどういうふうに使うということは、全然石炭局に報告されておりませんか。
○重信證人 大体目的によつて借りておりますから、その通り使つたことは絶えず報告しております。
○神山委員 どういうふうに使うかということは、あなたの方で融資を願われるときに当然話はついているわけですね。
○重信證人 そうです。
○神山委員 それを今度借りる場合に今おつしやつたように事後報告だけでいいのですか。
○重信證人 借りるときには事前に相談してあり、大体その目的のために使つておりますから……。
○神山委員 目的は目的でしようが、あなたの方で、たとえば秋山の第四坑を開発するというふうに言つておいて、今度はその資金を第四坑の方に使わないで、ほかのところに使つたというようなことはないですか。
○重信證人 別にそういうことはありません。
○神山委員 それでは櫛形はどうです。櫛形は前から経営状態はよかつたのでしようか。
○重信證人 櫛形の方は一昨年あたりまでは罷業中であまりよくなかつたのであります。去年の一月ごろからずつとよくなつた……。
○神山委員 それがよくなるのはどういうふうな方法でよくなつたのですか。
○重信證人 設備の改善、労資の協調……。
○神山委員 櫛形に機械設備を入れられたようなことはもちろん承知しております。また現在月六千トンの生産を上げているとも知つておりますが、あなたは先ほどからさかんに独立採算制ということを言われておりますが、櫛形の場合は高萩全体から二百万円ばかり注ぎ込んでいるのではないですか。
○重信證人 一昨年あたりはつぎ込んだ時代があります。それから最近櫛形の方から高萩の方につぎ込んでもらつたこともあります。
○神山委員 それで先ほどの秋山坑に関連することですが、望海という所にも資金をまわされているということが報告されているわけです。それはあなたの先ほどの説明がもし正しいとすれば、全体の資金のわくから運用されているのはいいとしても——あなたは独立採算性を先ほどから強調されておるのでありますが、この望海が月産五百トンという時期がありましたね。そのころには高萩炭坑からやはり利潤をまわしておつたのではないですか。
○重信證人 望海炭坑は望海炭坑だけで、借入金でやつておつたのであります。高萩の資材などは姉妹会社として貸してやつたりしたことはあると思いますが、資金面としては別ですから……。
○神山委員 もちろん貸付としてもただではない。当然帳面づらの上では援助や應援というようなことが出ているのではないですか。これは今度の首切りにも関連しますし、独立採算制などと口では言われておりながら、実際にはこういうことが行われていたのではないかということを一應実証するためにお尋ねしているわけであります。
○重信證人 とにかく過去の時代と最近の事態と非常に事情が変更になつて來ましたので、会社としてはこういう状態でなくはつきり高萩鉱業所自体の問題としてとにかくこういうことの中でそれぞれ竪山が独立して行きたい、こういうことであります。
○神山委員 そのことが直接今度の首切りの問題にも関係して來るわけなんですが、ここにひとつお尋ねしておきたいのは、この前の争議のときに世間で暴力團というのですが、中身は私知りませんけれども、労働者側の要求や何かを押えつけるために、そとから暴力團や何かをお使いになつたことはありませんか。
○重信證人 労働者を押えるために暴力を使つたことはありません。
○神山委員 あなたのところの社長さんが一應未決に入つたのはどういうわけで入つたのですか。
○重信證人 それは昭和二十一年七月二十七日に千代田で乱鬪事件がありまして、それに何か関連があるのじやないかということで未決の方に行つておりましたけれども、十日ばかりで出て來ました。全然関係ないということがはつきりして……。
○神山委員 その乱鬪事件というのはどういうのですか。
○重信證人 千代田坑に当時長谷川龍三という坑長がいたのです。それと大貫を組合の方が坑長の宅に監禁して絶対出られないようなことになつておつたので、その救出運動に四、五十名の者が出かけた。そのときに千代田の山の下で組合側が集つてそれを防禦しまして、事件が起きたのです。
○神山委員 その四、五十名の人というのはどういう職業、あるいはどういう種類の人ですか。
○鍛冶委員長 それはあなたの方に何か関係があるものなんですか。
○神山委員 炭鉱につきものだから、暴力團の現存しているという事実はあるでしよう。今度の場合にも一方的に先ほどから組合側が暴力を振つたと言われているから、それに対する反証としてやはり暴力團のことを……。
○鍛冶委員長 それは関係ないと思います。
○神山委員 今の委員長の言い方は不当だと思う。関係があるかないか、あなたが証人に向つてそういうことを指示する必要はない。
○鍛冶委員長 だつてほかのことだから……。
○神山委員 ほかのことじやない。組合側がそれで嫌疑を受けているのだから、やはり反証をあげなければならない。
○鍛冶委員長 だから関係がなかつたと言つている。
○神山委員 関連があるからこそ暴力團が四十名も五十名も入つている、われわれの方に入つている数字はもつと違つている。しかしその数字が問題じやなく、現存しているということが大事なんだ。これが今度の事件の背後に……。
○鍛冶委員長 関連があるなら聞いてもいいが、それでなければ……。
○神山委員 この事件はあなたも述べられませんか、どうなのですか。
○重信證人 その問題についてはぼくらもよく知りませんが、司直の手によつてはつきりして、全然関係がないということが証明されている。
○神山委員 それでは今後第二組合のことをお聞きしますが、第二組合はなかなか生産の復興に協力すると言われておりますが、その第二組合は今も健在ですか。
○重信證人 各山にみな一つずつあります。
○神山委員 全部ありますか。
○重信證人 全部あります。ただ運輸の組合は、第一組合、つまり連合会の組合をのけておりますから、運輸はいわゆる第二組合だけであります。
○神山委員 それ以外のところに、たとえば秋山坑の場合、第二組合が解消して常磐の連合会に複帰したというようなことはありませんか。
○重信證人 これは五月六日に秋山で大会を開いて、四百五十人のうち出席人員が百五十人くらいで連合会復帰をきめたのであります。ところがそういうことに対して、違法であるというので、やり直しをして、あとで連合会に復帰した。ところが六月の二日ごろですか、また第二組合ができております。
○神山委員 この第二組合をつくることについては、何らかの指示なり援助をなさつたことはありますか。
○重信證人 それは私どもは関知しておりません。
○神山委員 そうおつしやるだろうということは予測しておりますが、私たちの方には、会社側は特に特定の人物の名前もわかつておりますが、相当の金が出ているということを言われておりますが……。
○重信證人 そういうことは全然ありません。
○神山委員 間違いありませんね。 〔「そんなことは共産党のデマだ」「もういい加減にやめろ」と呼ぶ者あり〕
○重信證人 間違いありません。
○神山委員 七月六日の場合の状態についても、聞きたいことがあるのですが、高木委員その他からやめろやめろと言つておりますので、敬意を表して簡單にいたしますが、この交渉の場合に労働組合側とあなた方の方で一應話がついた、あるいはつこうとしたような状態はありませんでしたか。
○重信證人 高山君あるいは中島君が白紙にもどせ、こういうことで、これは会社全体としてきめたことだから、ここでイエスかノーかということは言えない。そう言つた。ところが個人の意見でもいいから発表してくれないか。それはいわゆる團体交渉とすれば代表と代表が交渉するのであつて、個人の意見を聞いたつて何もならない。またそういう脅迫のもとにされたものでまとめて行くこともない。私は最後に組合側でいい人をやめさせて悪い者を残している、そういうふうに解雇の理由が薄弱だ、こう言うから、それではなおよく檢討してみよう、その程度であつたのですが、中島君が何か書いたものを、つまり原稿を自分で書いて私に判を押させようとして書いておつたのを見ましたけれども、内容はどういうことを書いておつたかわかりません。
○神山委員 それではあなたのおつしやるのは、組合側で、言つているように、一應話合いのできるような空氣にもならなかつた、そういうふうにおつしやるわけですか。
○重信證人 これは柳澤、尾島の両君は最初に申し上げたような拷問に近いようなひどいことを受けたので、夜に入ると、非常に脅威を感じておりました。それで私としては、何とかこの場を切り抜けねばならぬというので話合いはしておりましたけれども、調印というようなことはなかつた。
○神山委員 そうするととにかく一應あなたは話合いをなすつたと今おつしやるわけですが、組合側の諸君にすれば、あなたは紳士である、当然そういうふうに思つている。從つてペテンにかけるためにというふうには考えない。あなたを信じて一應何らかの話合いができるというふうに考えたとしても、無理ではないですね。
○重信證人 かつて神戸の市長が朝鮮人に襲撃されて、あすこで一札書いて取消したような事件もありましたけれども、私の場合はまだそこまて行つておりません。
○神山委員 神戸の事件が出ましたが、あなたが眞相をお知りになれば問題はもつとはつきりするのでありますが、あの場合も何も当時ブルジヨア新聞の傳えましたように、暴行脅迫があるのではなくて、一應市長としては承認して書いている。あとで他の事情が発生して取消した。あなたの場合には直接関係ないので、これでおきますが……。
○鍛冶委員長 よその話までやらぬように……。
○神山委員 その前にあなたの方で折衝や交渉をお避けになつたのではありませんか。
○重信證人 問題によつてはやる考えでありましたが、五月十三日に連合会長中島豊君から過去の問題を一切白紙にしなければ、会社との交渉をしないという通知が來ております。何か話したいと思つても交渉を拒否された。向う側から拒否されております。
○神山委員 それは組合側の方ではあなた方の方がいろいろな問題を話し合う機会を避けられたと言つているわけだ。そういうようなことがあつたために七月六日の場合にもあなた方のおつしやるむりなかつこうをとらざるを得なかつたと言つているのですが、これは両方の立場が違い言分が違うのですからこれはそれとして、もう一つこれに関連して尋ねたいことは、あなた方の力で連合会を、労働組合でなく政党であるというふうな理由で、資格審査を申請したということはありませんか。
○重信證人 資格審査を申請したことはあります。
○神山委員 それはどうなりましたか。
○重信證人 これは組合法が六月十日にかわりまして、審査を申請した日が六月十五日でありましたために、一應労働委員会としては取上げないということになつたのです。
○神山委員 ほかの問題についても、あなたの方では労働委員会に提訴された問題がありますが、こういうふうな事実を、組合側としては、明らかに組合活動に対する経営者側の一方的な干渉だというふうに解釈しても、これは弁明の余地がないのじやないですか。
○重信證人 組合が、いわゆる労働組合法によつて経済活動を主眼とした組合であれば何ら言うことはないのですが、最近の活動が特に党の——從來は連合会を表にして裏で党の活動をやつておつた。ところが最近は党の活動を堂々と表看板にしてやつている。組合の事務所を党の入党の受付場所にしてやつている。組合の事務所を新入党者の歓迎場所にしてやる。そのほかいわゆる労働組合法による組合でないのじやないかという点がたくさんありましたので申請した。
○神山委員 それにもかかわらず、それが却下されている。それからもう一つ、七月六日の場合ですが、あなたの先ほどのお話を聞いておりますと、連合軍の人も見えたが、その人も首を絞められたり……。 〔「首を絞められたなんと言わないじやないか」と呼ぶ者あり〕
○神山委員(続) さつきのあなたの表現通りしますと、首のところにつかまつてやつたというふうなことを言つておりますが、この場合また逆に、労働者の方が相当手荒い処置を受けたというようなことは、あなたごらんになりませんでしたか。
○重信證人 それはよくわかりませんでした。
○神山委員 わからない。それじや連合会長がここでなぐり倒されたというようなことは知りませんか。
○重信證人 連合会長が私につかまつておつたのを横にのけた程度のことは知つておりますが、あとのことは知りません。
○神山委員 首を泥ぐつで踏みつけられたというようなことも御存じありませんか。
○重信證人 知りません。
○神山委員 あなた方はそういうことを御存じなくて、一方的なことをおつしやるのだが、こういう事実があるからこそ、労働者諸君にすれば、ジ—プの前で死ね、死のうというふうに言わざるを得ないような條件が出て來るわけなんだ。こういう点は十分これからも起り得ると思うから、両方見る必要があると思う。あなたの会社で從業員の側から何か法律上告訴や何か受けておられることはありませんか。
○重信證人 それはまだわかりません。
○神山委員 そういうことはない。
○重信證人 はあ。
○神山委員 それでは從業員側からいろいろ不審を持たれているようなことはありませんか。
○重信證人 よくわかりませんが……。
○神山委員 たとえば健康保險組合の運営及びいろいろの物資を横流ししたというようなことについて、組合側から何か出てはおりませんか。
○重信證人 紙を組合員に讓つた方法について、何かビラが出たり何かしたことは聞いておりますが、それは調査の結果別に何もないということでありました。
○神山委員 今盛んにデマ、デマと言つておりますが、火のないところに煙は立たないということもある通り、あなたの場合にしましても、坑木その他を横流ししたというようなうわさがあることはあなた御承知ですか。
○重信證人 坑木や何かにつきましては、棚下しをやりまして、絶えず調査をやつておりますから……。
○神山委員 そういうことはない。
○重信證人 いや、調査をやつておりますから……。
○神山委員 それから反共命令というのは、先ほどのあなたのお話では、七月の六日ですか、そのもみ合いのあとに落ちていた、こうおつしやるわけですね。ですけれども、日ごろからこういうふうなものをあなた方ごらんになつているのじやありませんか。
○重信證人 いや、めつたに見ません。
○神山委員 これは少しもののわかる新聞記者諸君には明らかなんでありますが、最近では共産党の指令と称して、とんでもない指令を自分でつくつて、民自党その他に賣り込んで金をもうけておるものもある時世ですから、あなた方がこういうむだな金をお使いにならないようにと思つて特に言つたのですが、六月七日にあなたは大坪方でフラク会議があつたとおつしやいました。このフラク会議があつたということはどういう人から聞きました。
○重信證人 これは山のものから聞きました。
○神山委員 山のどなたです。
○重信證人 北方坑です。
○神山委員 北方坑のどなたですか。
○鍛冶委員長 名前を覚えておりますか。
○重信證人 ちよつと日にちが経ちましたから……。
○神山委員 それではもう一つ聞きますが、これもお忘れになつておると思いますが、赤ん坊が入党しておるそうでありますが、この赤ん坊の名前は覚えておりますか。
○重信證人 これも関口の人がそういうことを言つておりまして、私は聞いたのであります。
○神山委員 わが共産党の規約には、成人、おとなだけが党に入れることになつておるが、赤ん坊まで入つたということは、私も党の幹部として初めて聞いて、まことにうれしいと思うのでありますが、そうしますと、あなたの今おつしやつたことから出て來る結論は、フラク会議があつたということは山のものからお聞きになつたことである。赤ん坊が入つたというのもはつきりしない。從つてここから出て來る一つの結論として、九月革命云々というふうに言つたということも、これは信用ができないというふうに思われてもしかたがないのでありますね。
○重信證人 これは言つております。今の九日革命でございますね、それははつきり大会で言つております。
○神山委員 それではあなたにお聞きしますが、私たちの言つておる人民革命というものはどんなものか、あなたはお考えになつたことがありますか。
○重信證人 よくわかりませんね。
○神山委員 それからこの事件と平事件とが明らかに関連があるということを先ほど吉武委員はこじつけておるのでありますが、これをこじつけるまん中の結節点が抜けておる。すなわちわが共産党の第五回拡大中央委員会総会があつて、これで暴力革命の方針をきめたというのが民主自由党、ことに廣川幹事長の行つているところの宣傳であるが、この六月十八日あるいは十九日中央委員会をまん中に挟んで、平の事件は三十日にあつたことだから、党の方針といつてこじつけることは、場合には可能かもしれぬが、秘密指令というのはことごとく嘘だ。ああいうものを持つて歩くと世間で笑われますから、將來持つて歩かない方がいいのでありますが、とにかく十八日、十九日以後に共産党の中央が指図して暴力革命云々ということは言えるかもしれませんが、六月の七日あるいは九日に共産党が指令を出すというふうにあなたはお考えになりますか。そういうふうに言えます。
○重信證人 そういうことを聞いておりますから、先ほど申したわけです。
○神山委員 それでは先ほど塚原委員があなたに申し上げたことをここで思い出してもらいたいのですが、会社側から次から次に攻撃を加えられて、われわれは常に受身だつたというふうに労働者諸君が言つておる。その点はどうですか。
○重信證人 これは一度組合の内部を緊張させ、さらに統一して今後の鬪争に向うために組合から連合会の名前でそういう批判と今後の鬪争綱領というが出ておるのを見ました。
○神山委員 それをお読みになつて防禦態勢とか、今塚原君が言つたように書いてあるわけですね。
○重信證人 その連合会の中にそういうことが非常に批判して書いてあるかと思います。
○神山委員 ここで結論がおのずから出て來ると思うのですが、そうしてみますと労働者諸君の方は受身である。会者側こそ次から次に攻撃を加えて來た。その事実は先ほどから聽濤君が述べました労働協約の実行の問題や、賃金の問題や、首切りの問題や、さらにあなた方がおつしやる労働者がいつでも協力しなかつたというような、事実に反してこれを運用してあなた方の方から次から次に攻撃を加えて來て、労働者は余儀なく防衞態勢に入らざるを得なかつたということだ、その点どうですか。
○重信證人 それは向うでただ言うだけのことであります。
○神山委員 それはあなたの考えであつて、労働者諸君は受身の態勢によつて余儀なく立ち上らざるを得なかつたということ、あなたの場合はこの点だけにしておきましよう。
○鍛冶委員長 ちよつと聞きますが、ここに十二という写眞、千代田掲示と書いてある、ここに会社は今の考えを改めず炭鉱を経営するならば八月ごろは全山の運命を決定する恐ろしい事態が來ることを知るべきだという掲示があります。これは間違いなくこういうものがあつたのでありますか。
○重信證人 それはありました。
○鍛冶委員長 よろしゆうございます。済みました。三十分休憩いたします。 午後一時三十二分休憩 ————◇————— 午後三時六分開議
○鍛冶委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 大友証人より証言を求めることにいたします。大友賢次さんですね。
○大友證人 そうであります。
○鍛冶委員長 あなたは茨城縣高萩町の警察署長をおやりのようですが、いつからおやりですか。
○大友證人 昭和二十三年二月十一日からやつております。
○鍛冶委員長 あなたの署の管轄内の高萩炭鉱に、本年四月以來いろいろ争議がありましたようですが、その争議にあたつて、あなた方が警備に出動しなければならぬ必要のあつたような事柄があつたかどうか。あつたとすればどういう場合にどのようにやられたかを概略でよいがお聞きしたいと思います。
○大友證人 それは六月二十四日と記憶しておりますが、その際に高萩炭鉱北方鉱でございましたが、柳澤事務所長が軟禁されたというような情報がございましたので、警備上出動しなければならぬ状況に立ち至りましたので、約十名ほどの警察官を出動させて警告を與えた事実がございます。
○鍛冶委員長 その後は……。
○大友證人 その後は七月の六日でございます。それがこの間の事件であります。
○鍛冶委員長 そのほかにこの炭鉱の從業員諸君が町役場へ押しかけたりして相当不穏なことがあつたとかいう話ですが、それはいかがですか。
○大友證人 それは日にちはちよつと記憶ございませんが、食糧の掛賣りその他高萩炭鉱の紛争事件を解決してくれというような問題で町役場へ傍聽に押しかけた事実があつたことを記憶しております。
○鍛冶委員長 主食の掛賣りはこれは配給をとる金がないということが主だろうと思うのですが、この炭鉱では主食の配給はやつておらなかつたのですか。
○大友證人 主食の配給はやつております。
○鍛冶委員長 やつておるのに掛賣りしてくれというのはどういうことですか。
○大友證人 いや、賃金が結局……。
○鍛冶委員長 そうか、配給はあるが從業員諸君は自分の金で主食を買つておるのですか。
○大友證人 そうです。
○鍛冶委員長 ほかでは主食だけは会社で金を立てかえて渡したところがあるということを聞いたからお聞きしたのです。
○大友證人 それは自分の金で掛賣りしたのです。
○鍛冶委員長 それに対して結局町ではどういうことをしましたか。
○大友證人 それにつきましてはできるという約束はしなかつたように記憶いたしております。
○鍛冶委員長 この主食の掛賣りですか。
○大友證人 はあ。承知しないように記憶いたしております。
○鍛冶委員長 それから争議の解決については……。
○大友證人 争議の解決については極力何とかしようというだけで、具体的な事実についてははつきり明示されなかつたと思います。
○鍛冶委員長 何か町で幾らか金を出すことにしたということを聞いたようですが、そういうことはなかつたですか、十万とか何とか……。
○大友證人 聞いておりません。
○鍛冶委員長 それから七月四日にあなたの方で何か労組代表と折衝されたことがあるそうですな。
○大友證人 七月四日の午前九時三十分と思います。中島豊、これは労組の連合会長でございます。この方ほか六名の人たちが地区の警察署である高萩町の警察署へ参りました。ちようど私は不在でございました。ちようど行き合つたのが鈴木部長でございます。鈴木實と申します。あとで私に報告があつたのでは、中島豊ほか六名の者が平署に應援に行つたか。それから警察は團体交渉に関與するのか。警察は新聞記事の材料を提供するのか。この三つについて聞かれたそうであります。いずれもノーと鈴木部長が答えておつた。こういう報告を受けております。
○鍛冶委員長 これはあなたの方で何か平へ應援に出るというようなそういう計画があつたのですか。
○大友證人 全然ございません。
○鍛冶委員長 それをどうしてそういうことを言つて來たのですか。
○大友證人 その点は向うの考えですから申し上げられませんが……。
○鍛冶委員長 何かそれで別に不穏なことはありませんでしたか。
○大友證人 不穏なことは全然なかつたように聞いております。
○鍛冶委員長 それから七月六日に高萩炭鉱の重信常務であるとか、他に部長数名が不法に監禁せられて騒動を起こしたということですが、そのときにあなたの方でどういうことをなされたか、またどのようにお聞きになつておられるかを承りたいと思います。
○大友證人 順序を追つてお話申し上げます。 ちようど七月六日の午後の二時四十分と記憶いたしております。高萩炭鉱の自動車の運轉手で鈴木昭次、同じく鈴木久この両名が、ただいま高萩炭鉱の鉱業所内において重信常務と柳澤所長、尾島周司坑長、これらが首になつた元從業員の花田富一郎ほか数十名に包囲されて、いやだというのに、むりに暴力を加えて強引に連れて行かれるような状況にあるから、ひとつ頼むというようなことを口頭で高萩町警察署へ申報いたして参つたのであります。次いで午後の三時三十分と記憶いたしておりますが、高萩炭鉱秋山坑の鈴木喜男ほか一名が、尾島坑長が午後の三時ごろに花田富一郎に連合会の事務所に連行されて行かれた。そうして室内に入れられてしまつた。それから続いて四時十分ごろ鵜殿秀夫、吉川芳弘、この二名が、やはりもと從業員である寺門虎三ほか十数名が午後三時四十分ごろに柳澤所長、重信常務の二名を連合会の事務所に同様手段で連れて行つて、そこに押し込められておるから、たいへんだ、こういうような申報がございました。私どもといたしましてはこの申報等に眞を置くかどうかという点に疑問を持ちましたので、申報だけはまさしく不法逮捕、不法監禁の状態にあるように思われるのでありますが、それでは早計である。もつとひとつ愼重にその眞偽を確めなくちやならぬ、こういう考えから即時当署の來栖行雄巡査、小倉武夫巡査と櫻井巡査、この三人を現場に出張させまして、捜査をさせたのであります。ところが間もなく帰つて参りまして、その捜査の報告によりますと、連合会の事務所に行つてみましたところが、室内には炭鉱の労組員が二十数名ほどおりまして、何者かを中に置いて、中心にして包囲しておるような状態にある。しかし内部へ入るわけに行かぬ。内部に入るわけに行かぬけれども、先ほどの申報と思い合せて、おそらく二名の会社側が労組員に包囲されておるのじやないかというような想像はできた。さらに近寄つてみますと、大きなどなり声も聞えたというので、これはいよいよ容易ならぬが、それだけではまた確証が出ないので、さらに鉱業所員の事務室に参りまして、捜査をいたしたのであります。ところが当時経理課長の夏原喜三郎ほか数名の社員がおりまして、その社員の人たちにいろいろ事情を聞きましたところが、先ほど申しましたように三名の会社員が強引に連合会の事務所へ連れていかれた。しかもその事務所内を見渡しましたところが、三名の会社員の姿が見えないというので、初めて捜査の結果、先ほどの申報と合致するというのがはつきりわかつた。それで一体だれが連れて行つたのかという点について、夏原喜三郎ほか数名の人たちに聞いてみましたところが、花田富一郎、寺門虎三、小野寺明ほか十数名の者であるということがわかつたと、私の所へ口頭で報告があつたのであります。警察はもとより労働運動に干渉はしないのでありますが、かかる不法行為がありといたしますならば、これは活安上看過し得ない見地から、ちようど午後四時ごろと記憶しておりますが、高萩地区警察署長の笹島君に警察電話で連絡をいたしまして、一應これが対策を協議いたしたのであります。ちようど午後四時三十分ごろと記憶しておりますが、電話だけではだめだというので、私署員とともに地区署に参りまして、笹島署長と一應の協議を遂げて、その状況を笹島署長から警備課に報告されたのであります。と同時に私は一朝事態の紛糾をした場合を考慮いたしまして、高萩町公安委員会の参集を求めて、四時五十分ごろに公安委員会から應援要請をいたしたのであります。それで私と笹島署長との協議の結果、これはあくまで警察は受身で行こう。しかも愼重な態度で臨まなければならぬというところから、まずもつて被害者の救出という点に重点を置きまして、事件の紛糾を防止しよう、こういうことに相なつたのであります。それでそのために一應警告を発しておく必要があるんじやないかということになりまして、午後の五時二十分ごろと記憶いたしておりますが、当警察署の宮田警部補、鈴木部長、來栖巡査の三名を連合会の事務所に派遣いたして警告せしめたのであります。と同時に、警告と相前後いたしまして、高萩町の旅館をいたしておりまする兼子辰雄という四十になる方が、色をなして警察に入つて参りました。この方がたまたま高萩炭鉱事務所に所用があつて行きましたところが、重信重役外二名が、労組員に暴力で連れて行かれたが、その状況は第三者といたしまして実際に見ておられなかつたと切歯扼腕しながら私どもに訴えたのでありまして、犯行いよいよ明確なることを私どもは確認いたしたような次第でございます。ところが午後の五時三十分ごろと記憶いたしておりますが、茨城民政部から、高浜炭鉱の重信常務が監禁されているというが、いまだそのままになつているかどうかということを地区の笹島署長に電話で問合せがあつたのでございます。同署長は、現在署員を派遣しておると回答いたしましたところが、今から三十分ぐらいに再び連絡せよという電話で一應は了承されたのであります。次に、先に警告に出しておきました人たちが、ちようど午後の五時四十分ごろ帰つて参りまして、警告の結果を私どもに報告になつたのであります。その結果を申し上げますと、連合会事務所の玄関に入つて連合会長の中島豊に面会を求めた。ところが同人を先頭として、左右及び後方に約十名くらいの労組員が宮田警部補に向い、そこで應答が交されたわけであります。その應答を申し上げますと、宮田警部補が、会社側五名が今ここにいるかどうか、こういう問いに対しまして、中島は今交渉中だと答えたのであります。次に三名がここに來ることについて承諾して來たかどうかという問いには、承諾して來たと答えたそうであります。次に腕や背中を押してむりに連れて來たのは事実かという問いは、それは会社側の話だろう、われわれは首を切られてけさからめしも食わない、そのくらいにやられるのは当然だという返答であつたそうであります。次にさような不法なやり方でなく、円満に交渉を持つてはどうかという問いには、会社側は交渉に應じない。われわれは具体的に首切りの理由を述べないから、それを聞くために連れて來た、さように答えたそうであります。次に現在の境遇や事情は話を聞いて同情するが、その行為は不法行為で、きみたちが交渉するのにもかえつて都合が悪くなるから、今日は帰つて、あとで交渉を持つてはどうかという問いには、警察は労働争議に干渉するのか、かような返答であつたそうであります。次に合法的な交渉には絶対に干渉しないが、不法行為があればそれは切離して取締りをすると申した。ところがそれに対する答えは、警察の不当彈圧反対だ。警察はわれわれの生活を保障するか、御祭は東京でわれわれの同志を殺しているではないかというような返答であつたそうであります。次に穏かなやり方で交渉するように、連れて來た方法も、またここへ來たのも、時間的に見ても不法行為だから、今釈放してあらためて交渉するようにまた念をおしておきましたところが、人のことだからそう言うのだろう。円満に交渉するから帰つてくれというので、その警告もがえんぜずして口々に罵声、怒号をやるので、やむなく連絡として、先に來栖巡査を帰署せしめたのであります。ところが宮田警部補は、不法行為の不可なる旨をさらに説得いたしましたが、帰れ帰れの怒号一点張りのためにとうとう帰つて來た。こういう状況の報告が私と笹島両署長にあつたのであります。さらに宮田警部補の報告を聞きますと、当時事務所内には、表側八畳の間に三十名くらい、裏側の部屋に男女約三十名ぐらいがおりまして、玄関先を立ちふさがれている関係上、内部の詳細は不明でありましたが、被害者は裏側にいるかのようであつた。そのとき居合せた者は高山慶太郎、中島豊、小野寺明、古内欣五、こういう人たちであつたとつけ加えて報告があつたのであります。それで第一回の警告員が帰つて参りましたので、これは事態きわめて容易ではない。しかしあくまでもわれわれは自主的な解決を要望する。それには自分たちがここで今すぐさま檢挙するというよりかもう一回警告を発して、そうして事態を紛糾させないような措置をとろうじやないかというような協議をいたしたのでございます。それで第一回の状況を笹島署長からやはり警備課に報告をいたしまして、その後において両署長が保護者の救出方についてまたまた協議いたしたのであります。それでもし再び警告をいたしましてもあえて聞かないような場合には、やむなく檢挙せなければならない、こういうようなところで午後五時五十分と記憶いたしておりますが、さらに先ほど申しました三名の警告員を現場へ派遣いたしたのであります。すると午後六時十分ごろに警告員が帰つて参りました。その報告は、連合会事務所の玄関内に入つて中島豊に面会した。ところが約十名ぐらいの労組員が居並んでおりましたので、即時釈放してくれというようなことを説きましたところが、中川清松は、お前らのピストルは何ら恐ろしくない。自治警察の欠点はつかんでいるからやつつけてしまうなどと、脅迫がましく應酬して來た。これではとうてい釈放される見込みがないというので、宮田警部補は中島豊に対して、この行為は不法逮捕監禁罪になるから即時釈放方を警告すると言渡しましたところが中川は、力で來るなら力でやると怒号し、一齊に罵声を浴びせかけられたので、やむなく宮田警部補が帰つて参りまして、その状況を両署長に報告されたのでございます。それで、これはいよいよしかたがない、被害者救出は強制手段に訴えるよりほかしかたがない、かような協議をいたしておりましたところが、ちようど七時二十分ごろと記憶いたしております。先ほど申しました花田富一郎ほか二名が所長室に入つて参りまして、警察は労働争議に干渉するな。彈圧反対、こういう抗議をいたして参つたのであります。ところがその話をしておる最中に、約四十名ぐらいの労組員が、赤旗を先頭に表玄関から乱入いたして参りまして騒ぎ立てた。それで私ども署員に中へ入つては困るというので制止させた。同時に、警告員をしてこういうばかな話ではしようがないではないか、何に警察へ押しかけて來たのかというので、この三名をして制止せしめたのであります。その制止をしているやさき、ちようど午後の七時三十分ごろと記憶いたしております。茨城軍政部のMPブルナー軍曹がジープで來て、署長室に入つて参りまして、鈴木部長がまだ監禁されておるかという問いでございましたので、笹島署長は、まだ釈放されていないと答えましたところが、MPは両署長現場に案内しろ、かような命令を受けましたので、両署長はジープに同乘して、現場たる連合会事務所に参つたのであります。ちようど午後の七時四十分ごろと記憶いたしておりますが、労組事務所前にジープを横づけいたしまして、両署長は中へ入つておれ、かような話でありますので、私どもジ—プの中に乘つておりましたところが、MPが通訳を帶同して事務所内に入つて行つたのであります。その際も労組員の人たちをかき分けて中へ入つて行つて被害者の救出に努力せられておる様子であつたのでありますが、なかなか救出ができない状態にあつたのであります。私どもべんべんとして自動車の中に乘つておるというわけにも行きませんので、笹島署長と自動車の中で協議いたしました。署員を連れて來てこの傾向を排除しなければならないというので、私は一應地区署に引き返しまして、署員の應援を求めたのであります。そうして現場へ私がもどつて來ましたところが、ジープは依然として玄関前におりまして、被害者は救出できない状態でございました。この抵抗が非常にはなはだしいので、署員もまだなかなか來ないというような状況でありましたので、また私すぐさま本署へもどりましたところが、途中で署員約四十名ぐらいに会いました。その署員を引具して事務所に戻りましたところが、そのときにはジープは、すでに東側の廣場に事務室の窓ガラスをバツクにいたしまして入つておりました。車内には重信、柳澤、尾島の三名が救出されており、笹島署長が同乘して保護しておつた。こういう状況であつたのであります。救出の状況につきましては、私当時ちよつとあけましたのでわかつておりません。 それから署長とともに現場へかけつけましたところが、労組員の数がだんだん増して参りまして、約三百名くらいがジープをとり囲んでスクラムを組み、ジープの進行を妨害しておるのでございました。しかのみならずジープにとりすがつて逆行の態勢にある、こういう者が数名ございました。はなはだしきはジープのバムパーに腰をかけている者が二名、それからMPに迫つておる者が七名ばかり。いよいよ妨害がはなはだしき状態になりましたので、私は署員とともにこの妨害排除に努めたのであります。ところが署員がジープを進行させようとする、労組員があべこべにバツクさせようとしましたために、ジープのタイヤが自然どろの中に埋まつて動かなくなつてしまつたのであります。ところがブルナー軍曹が、右手に拳銃を擬して、上空に腕を伸ばして威嚇発砲をいたしたのであります。ところがバムパーに腰をかけておりました一名がシャツを脱ぎまして、さあ殺せというので殺氣立つて参つたのであります。それで妨害者たちははなはだ氣勢が上つて、ジーブの前に約十七、八名くらいが横臥または仰向けに寢て、ジープの進行を妨げたのであります。さらにまた二名の組合員のうち中川が一名入つておりますが、連合会事務所の屋根——ひさしの屋根に上りまして、瓦をはぎとつて、妨害排除に努めておる警察官めがけて投げつけたのであります。これを現認いたしまして、そういうことをしては困る、早くとめてくれということでとめさしたのでありますが、不幸にして三名ほどの警察官が瓦の破片によつて負傷いたしておるのでございます。ところが、二名のうち一名が、中川を制止いたしまして、そんなことをするなというのでとめたのでございます。しかし妨害者の数は増す一方でありますし、スクラムを組み、インター歌を高唱しながら、抵抗が熾烈化して参りましたので、これは少々の警察官ではとうてい排除困難であると考えたのでありますが、應援を要請いたしました警官はまだ到着いたしていなかつたのであります。それで先ほど申し上げましたように、ジープのタイヤが土へ埋まつてしまつたのでどうすることもできないから、MPはシヤベルを取り出して、ていねいにそのタイヤを掘り始めたのであります。全部タイヤを掘つて進行しえる状況にはなりましたが、妨害があり、さらにまたジープの前に寢ておりますので、これを進行させれば、前方に寢ている労組員をひき殺しでしまうというような状況にありますので、遺憾ながら自動車の進行ができない状況であります。約一時間ほどひまどつておりますうちに、軍政部のタイソン司令官ほか三名の下僚が現場に到着したのであります。私どもはわかりませんが、何かMPと話合つて約二十分ぐらい経つたころと思います。ちようど午後八時三十分ごろに連合会長の中島豊は事務所の窓際からジープのスペアーに片足をかけまして、われわれ労働者が会社側と團体交渉中に、官憲の彈圧によつてかくも惨めな状況を呈したことを町民はなんと見るか。われわれ労働者は圧迫を受けた日を永久に忘れるな。しかも第三者のこんな大きな靴で——このときには両手を拡げてこういうかつこうを示したのであります。靴で踏みにじられたことはしごく残念だ、日本人のことは日本人同士で処理したい、今日は残念だが涙をのんで解散しようじやないか。大要かような演説をしましたために、ジープの前に寢ておりました妨害者が、上体を起しかけたのであります。ところが反対に起きるなと制止する者もありまして、なかなか前方があかないのでありまするが、MPはそのときをねらつてジープを進行さして、三名の被害者を救出いたしたのであります。私もその車のあとを追つてジープに同乘し、地区の警察署に救出して参つたのであります。
○鍛冶委員長 その跡始末をどういうふうにしましたか。
○大友證人 それからちようど八時四十分ごろ地区署に引き上げまして、さらに笹島署長と相談いたしたのでありますが、罪証がいよいよ明らかであるし、なお被害者三名が地区署の経済室に連れて來られまして、保護しておつたのであります。その際に尾島杭長をMPがさつそく取調べをいたしたのであります。宣誓書を書かせまして、宣誓書の下に犯罪事実を列記いたしました……。
○鍛冶委員長 大要だけについて言つてください。
○大友證人 宣誓書の下に供述を書いたのを私は見ました。やはり先ほど申し上げましたような監禁された状況を書いたのであります。時間がありませんので、詳しくそれを見ておるひまもありませんでした。しかし一應被害者の陳述も監禁された事実がはつきりいたしましたので、先ほど申し上げましたいろいろな状況から総合して、いよいよこれは罪証が明白である、不法逮捕並びに監禁によつてこれを檢挙すべきかどうかについて、笹島署長とさらに協議をいたしたのであります。ところがそこにたまたまタイソン司令官がもどつて参つておりましたので、MPを通じて即刻これを檢挙しろという命令もありましたので、自分たちの考えとまつたく一致したという観点からただちに班を編成して、被疑者の檢挙に從事したのであります。檢挙を開始しましたのは午後九時十分と記憶しております。ちようど九時三十分ごろに花田富一郎ほか十九名を逮捕いたしたのでございます。そしてその晩のうちにそれぞれ取調べをして水戸の檢察廳に送致いたした次第でございます。
○鍛冶委員長 それら檢挙された者の團体または政党等の所属はどういうものでした。
○大友證人 はつきりだれがどの政党に入つているということはわかりませんが、共産党に入党しているものもありましようし、あるいはシンパの方もありましようし、あとは純然たる労働組合もございました。
○鍛冶委員長 労働組合というと高萩の労組ですね。
○大友證人 そうです。
○鍛冶委員長 そのほかまだどこかよその労働組合など入つておらなかつたですか。
○大友證人 それはないと思います。ただその場合朝鮮人連盟の方の姿が見えましたが、抵抗その他には從事してないと私は思つております。
○鍛冶委員長 炭鉱從業員以外の共産党員はおりませんでしたか。
○大友證人 中川清松が炭鉱の労働者ではありません。あとは……。
○鍛冶委員長 櫻井なにがしというのは。
○大友證人 櫻井というのは私の方の署員です。そのときには來ておりません。
○鍛冶委員長 中川清松はおつたのですね。
○大友證人 そうです。
○鍛冶委員長 それはどういう者ですか。
○大友證人 中川清松は共産党多賀地区委員と記憶いたしております。
○鍛冶委員長 続いて翌七日にも何かデモが起つたそうですね。その実情はいかがでした。
○大友證人 お答えいたします。七日午前十時三十分から午後零時二十五分と思います。馬上政秋ほか十二名が地区署に参りまして両署長に抗議いたしたのでありますが、その際の抗議デモが約千五百名と記憶いたしております。そして抗議の内容は被疑者の即時釈放ほか十二項目と記憶いたしております。 やはり同じ七日の、午後二時ごろ、電産関係の人も水戸地区委員四名が檢拳者の即時釈放ということで両署長に抗議をいたしております。 それから午後十時ごろに約千名の抗議デモがありました。それで吉成富三ほか十一名の方が参りまして、檢挙者の即時釈放、彈圧反対、今後檢挙者を出すな、こういう点について抗議を出されております。
○鍛冶委員長 大体今のは高萩の労働組合ですが、千五百名というのは。
○大友證人 そうです。高萩の労働組合です。
○鍛冶委員長 それからその次の電産はいくらある……。
○大友證人 電産の方は四名だけの抗議でございまして、デモはございません。
○鍛冶委員長 その次の千名は。
○大友證人 これは労働組合員ですね。
○鍛冶委員長 どこの。
○大友證人 高萩炭鉱の労働組合員と、それから多少よその人が入つておるかどうか、その区別が私どもにはわからないで困るのですが……。
○鍛冶委員長 それで何か暴行をやらなかつたのですか。
○大友證人 やりませんです。
○鍛冶委員長 それから町民大会が開かれたことは。
○大友證人 これはやはり七月七日でございます。町民大会はやはり連合会の事務所の今のジープのとまつた場所でやつたそうでありますが、その際にやはり私の方に参りまして、署長として釈明をしてくれという話がございましたが、その前に抗議を受けた際に、約二時間にわたつていろいろ説明しておりましたので、その旨をひとつ労組に傳えてくれということで帰つてもらつて、現場へは私も参りませんでした。
○鍛冶委員長 その後炭鉱及び町の状況はいかがですか。
○大友證人 炭鉱におきましては、第一組合と第二組合とが衝突するような氣配がございましたので、この…非常に懸念されたのでございますが、やはり第一組合が第二組合を圧迫した、悪口を言われたとかあるいは圧迫を受けたというような状況は二、三ございましたが、大勢で押しかけたとかこういうような問題はなかつたように記憶いたしております。それから町の状況ですが、町は抗議デモ行進を二回にわたつて行いました結果、非常に不安を感じまして、これは容易ではないというようなところから、町民たちが非常に恐ろしさを感じて参つたのであります。と同時に、反共思想をあおりまして、高萩町民同志会というのができ上つて、そして大会を開き、続いてデモ行進をいたしまして、反共思想を鼓吹した。こういう状況になつておるのでございます。
○鍛冶委員長 その高萩町民同志会というのは、どういうことをやる会なんです。
○大友證人 それは要するに反共思想の鼓吹ですね。ビラをはつたりあるいは各官廳へ抗議文を持つて來たりいたしまして、反共思想を鼓吹したような状態にあると思います。
○鍛冶委員長 何かそういう実力行使でもあればこつちも実力行使でもやろうという態勢なんですか。それほどでもないのですか。
○大友證人 それほどにも思いませんが、反共團体はもとのいわゆる暴力團といつたものを前身にした人たちが主体となつておりますので、こうした團体ができて、あるいは両者が対立して不穏な状態になるのではないかという点が、非常に心配されたのでありますが、現在に至るまで、そうした問題は起きないのであります。ただ引揚者をめぐる多少のトラブルはあつたようでありますが、大した問題はございません。
○鍛冶委員長 そういうことになると、かえつて反動的にまた町民に不安を與えるようになると思いますが、その点について、あなた方の方で何か万全の策がありますか。
○大友證人 それはないと思うのですが……。むしろ町民の人たちは、これらの團体のできたことを、非常に好意を持つて見ておられるようであります。しかしながらやる人自体がもとの暴力團であるというような観点から、進んで協力し得ない状況にあるのではないか。こういうふうに私も察しておりますが、どこまでもつくつた連中が暴力を振うというようなことは絶対にやらぬというようなことを声明されているようであります。
○鍛冶委員長 要するにいずれの点から見ても現在あなた方としては治安を保つだけの自信はありますか。
○大友證人 この点ははつきりいたしませんですが、底流のあつたことはどうかと考えますが、表面に繁がりを持つているかどうかは、私どもははつきりと認識できなかつたりであります。
○鍛冶委員長 七月七日のデモ行進には、湯本とか内郷の者も相当加わつておつたということもありますか。
○大友證人 それは先ほど申しましたように、署員が顔を知らないので、千名も五百名もの中で、これが内郷の人だ、これが平の人だということは、はつきり見きわめはできなかつたのでありますが、ただ來ているというような風評はもつぱら飛んでおつたのであります。
○鍛冶委員長 何かお聞きになりますか。
○塚原委員 非常に詳しい証言で、大体驚くべき暴虐の数々がよくわかりましたが、ただ私は次の二、三点についてちよつと証人に御質問したいと思います。まず事件当時の公安委員のお名前をちよつと知らせてください。
○大友證人 事件当時の公安委員は、委員長が泉豊、宮田武雄、五十嵐宗徳の三名でございます。
○塚原委員 この五十嵐という公安委員が、事件後に公安委員会の職を退かれたということは事実ですか。
○大友證人 それは事実でございます。
○塚原委員 理由は何ですか。
○大友證人 表面の理由は、五十嵐氏は山一炭鉱の專務をされておりました。そういうような関係から、いわゆる会社側を代表して労務行政にタツチするという立場において、公安委員を兼ねておりますことは、厳正公平な労務行政の運行ができないという理由のもとに辞表を出されたのでございます。内面の点につきましては、御本人でなくてはちよつとわかりません。
○塚原委員 この代りはどなたがなつたのですか。
○大友證人 この代りは金子辰男氏がなりました。
○塚原委員 この三名の公安委員の方々は、その家を組合員の一部の者によつて取囲まれて、相当の脅迫にあい、遂に逃避せざるを得なくなつて、しばらく高萩の町をあとにして姿を隠しておつたというようなことを聞いたのです。つまり七月七日の夜の会議のあとでそういうふうになつたと聞いているのですが、実際はどうですか。
○大友證人 それはデモを受けたのは公安委員長でございます。泉豊氏がデモを受けまして、三名の人たちが非常に恐怖心にかられたことは事実でございます。泉豊氏も姿を消して、他人の家に轉々として泊り込んだという実例もございます。五十嵐氏は東京に姿を消しまして、済まないがあとは頼むと、発信所不明の電報を委員長あてに打つて來たそうでございます。ただ宮田武雄氏は、炭鉱地帶に住んでいる農家の人でございますが、依然として家におつて姿を消さなかつたということであります。
○塚原委員 こういう暴行があれば姿を消すという氣持になるのかもしれませんが、われわれの考えでは少しだらしがないと思うのです。どういう暴行であつたか、先ほどのお話でも、相当度を越したものであるから、あるいは人間の氣持でそうなつたのかもしれません。それから七月六日事件にとられた警察官の処置、またその後についての警察官のやり方、たとえばデモ行進に対する処置、それから犯人の檢挙にあたつての処置、こういうものが町のうわさでは警察官のやり方が大分手ぬるくて見ていられないという不満も聞いているのでありますか、これはまことに聞きにくい点でありますが、署長としてどういうようにお考えになりますか。
○大友證人 それは先ほど申し上げましたように、私どもあくまで自主的な解決を要望しており、ことさらに紛糾したくないという見地から、愼重に愼重を期しておりまして、決して手ぬるい行動をとつたと考えておりません。ただはなはだ遺憾なのは、ただいまお伺いがありましたように、新しい警察制度の改革によりまして公安委員なるものができたことであります。これらの人たちが、一たび事件に遭遇いたしましたときに、ほんとうに強腰に出て警察官の應援要請、あるいは警察の指揮監督ということについてもつと強腰に出ないならば、集團的な犯罪に対して、それらの管理のもとにおかれる私どもは毅然として職務の執行ができない。この点が今後改正されまする警察制度に大きなシヨツクを與えるのじやないか、こういうように私どもは考えております。
○塚原委員 町も大分不安が満ち満ちている、山はもちろんそれ以上の不安が満ち満ちている。私が聞いているところでは、晝間はとにかく夜になると会社側の者並びに第二組合の者は山に登ることもできない、すなわち組合側の青年行動隊とか警備隊というものの横行闊歩が激しくて、これの暴行脅迫にあるのでとうてい山に登ることができないということも聞いております。また山の方では警察に対して一戰を交えようというような準備もしている。北方坑においては竹やりやこん棒、木刀などを装備せよという組合指令も出ている。また高山という者が逮捕された十六日には、同じ場所の北方坑において組合大会を開いて、警察官が來たらやつつけてしまえという組合決議を行つて警察に対抗しているということを聞いておるのでありますが、この点にいかがでありますか。
○大友證人 ただいまお尋ねになりましたことは事実でございます。檢事も、七日の晩からは山の状況が非常に不安でございまして、あとに残された被疑者を逮捕すべく私ども計画はいたしておつたのでありますが、私服の警察官を山に上げると、辻々に労組員がこん棒を持つて立つておりまして、逆に不審尋問を受けているのであります。お前はだれだ、警察官だ、つかまえに來たのか、用があつて來たのだ、なに白ばつくれるなと言いながら、ところで私は逮捕状が出ているかと、反面警察官に檢挙されることを恐れるがごとき言動をした者もあつたように聞いております。そして逮捕状が出ていないというと安心したということで警戒にゆるみを生ずる。こういう晩が幾晩も続いたのでございます。竹やりの問題でありまするが、これは実際に竹やりを持つておつたかどうかという点について捜査せしめたのでありますが、竹やりをつくつておくという話はございましたが、現実に署員は見ておりません。それから先ほどのこん棒というのは、俗に言いますととげだら棒と称するとげの生えたような大きなこん俸でございまして、これは軍政部が証拠品として持つて参りました。現在警察署や檢察廳にございませんが、あとで返すというのでそのまま持つていつたのでありますが、そういうものを持つて立つておつたのは事実でございます。それから大会を開いて警察が來たらやつつけてしまえという指令、この問題につきましては大会を開いたのも事実でございます。警察の檢挙を恐れたという点が一つと、先ほど申し上げましたように反共團体が結成された。しかもその首領はやくざである。これらの反撃を恐れたことも一つでありましよう。それと警察の逮捕ということと両々相まつて、警察が來たらやつつけてしまえという言葉が生まれたのじやないかと考えます。
○鍛冶委員長 ついでに聞きますが、先ほど私が聞いた櫻井實というものには逮捕状が出ておるのではありませんか。
○大友證人 出ておりません。
○鍛冶委員長 出ておらないのでありますか、何か首謀者であつたということは御存じないですか。
○大友證人 それはしばしば炭鉱等に出入しておりますが、この事件について彼が指揮したかどうかはあいまいでございまして、逮捕状が出ておりません。
○塚原委員 なるほど山がまるで無警察状態になつておるというような状況もそれでよくわかりますが、逮捕令の出ておる犯人でまた捕つておらないのは何人ぐらいおりますか。
○大友證人 五名でございます。
○塚原委員 それは大物ですか。
○大友證人 いずれも大物でございます。名前を申し上げましよう。中川清松、中島豊、小野寺昭、寺門虎三、大坪馨この五名がいまだ逮捕されておりません。
○塚原委員 なるほどこれは先ほどからの報告にあるように相当活躍した連中だと思われるのでありますが、山が無警察状態に入つておる。警察官がなかなか山に上れないというようなことで逮捕が遅れておるのではないかと私は想像するのですが、とにかく命令が出ておるのでありますから万難を排して、一日も早く町のものを安心させるためにも、警察官は勇を鼓して強引にひとつやつてほしいと思うのであります。 それから逮捕命令が出ておる高山が七月十日田口書店の前で演説をやつておつた。これを見ておりながらやはり警察官は逮捕することもできなかつたというようなことを聞いておるのですが、こういう奇怪な事実が実際あるのですか。
○大友證人 お答えいたしましよう。それは山の実状をよくお知りになりませんと、警察がいかにも手ぬるい、こういうお叱りを受けるかもしれません。しかしよく警察官が檢挙に上るという場合におきましては、ほとんど労組員がその被疑者をかばうのであります。警察の姿が見えれば警戒用としてのサイレンをつくりまして、サイレンを鳴らして、ちようど戰時中の空襲警報を発令されるような状況になるわけであります。從つて警察官の姿が見えたときにはすでに被疑者が山にいない。それで檢挙が一つはでき得ませんし、姿を見てまあ包囲してそれを檢挙しようとすれば、それらに対して労組員が陰に陽に妨害を加えた。こういうような状況でなかなか檢挙が至難なのでございます。山はほとんど労組員で占められておる特殊な部落でありまして、その間には農家もあるわけじやなし、ほとんど炭鉱の長屋であります。どこに警察官が姿を現わしてもすぐにこれらの被疑者に響くような状態に置かれておるわけであります。 それから高山慶太郎が、参議院の細川嘉六議員が街頭演説に参りました際にもやはり演説をいたしておつたのでありますが、これをなぜ檢挙しなかつたか、こういう点でございますが、これは檢察廳ともしばしば打合せをいたしておりますし、高川慶太郎一人を檢挙することによつて、あとの九名がどこへか逃走されるという大きな心配を持つたのであります。私ども捜査上の技術の面からいたしまして一網打盡に檢挙しようという観点から遺憾ながらこれを見のがして参つたのであります。後日七月十六日に高山慶太郎は檢挙されております。
○塚原委員 大分心強い署長の御決心並びに対策をここで了承いたしました。あの平和の町にそういつた事件ができるということにまことに不愉快のことでありまして、町におられる一人として、ことに署長として今後は日本の経済再建を妨害し、戰後の復興を妨げるフラク組合員の暴挙に対しては何ら遠慮なく取締りを行う必要があると思うのであります。彼ら暴力の前に躊躇逡巡することなく、そういうことがあつては絶対ならないのでありますが、暴力は憲法の上にありという思想を勇氣を持つてたたきつぶしていただきたいと思います。
○高木(松)委員 簡單に伺います。高萩の労組には第一組合と第二組合がおありになることを御存じですか。先ほどから労組の人たちというのは第一組合をさしたのですか、第二組合をさしたのですか。
○大友證人 お答えいたします。第一組合と第二組合とありますが、第二組合の方はこれもざつくばらんな申し分ですが御用組合、いわゆる会社側、こういうような結果になろうと思います。
○高木(松)委員 結果になる、それはどういうことですか、何か会社に協力するから御用組合というのですか、特に会社がかばつてつくつた組合というのですか、その点に対しては私ども聞いておるのと少し署長のお話とは違うように思いますが。
○大友證人 この点は会社側から一つお聞きになればいいのであります。
○高木(松)委員 あなたが見たり聞いたりしておる点を述べていただきたい。
○大友證人 第一組合はいわゆる共産党並びに共産党のシンパ、そうした人たちであると聞いております。第二組合はそうでなくしてそれと反対の方向で、会社のために非常に動いておる、そういう話を聞いている。
○高木(松)委員 そういう話ならばいいが、あなたの言葉が私には耳ざわりに聞こえました。そこで先ほどからあなたのおつしやる労組の人たちというのは第一組合の者をさすのでありますか。
○大友證人 第一組合の者をさすのであります。
○高木(松)委員 そこで第一組合のようなやり方をあなた方が見たり聞いたり報告を受けたりして、一体山の経営が成立つて行くと思いますか。
○大友證人 お答えいたしましよう。もちろん第一組合と第二組合というようなものが相対立しておれば生産がおのずから違つて來ると思います。
○高木(松)委員 第一組合と第二組合は対立抗争しておるのでありますか。
○大友證人 対立抗争にあります。
○高木(松)委員 それはどういうことです。会社との対立はわれわれ今日まで調べてわかつておりますが、第一組合と第二組合とは対立しておるとは私どもは思つておらぬ。第二組合の方は会社側に協力して今日いわゆる山の経営に協力していることはわかつている。二つの対立とは私は見ておらないのですが、あなたが対立と見る点はどういう点ですか。
○大友證人 それはたとえば被疑者が檢挙された場合には、第二組合の者が警察に内報したというようなことで、第二組合を恨んで第一組合から圧迫を受け、事ごとに抗争を続けておるように思います。
○高木(松)委員 そういう点は表現の仕方がはつきりしないと思う。それは正当なるものに第一組合の者がむちやを言つて來るということは対立抗争とは言わない。正当の者が侵害されつつあるという状態で、こういうようなことをやつておつて山の経営はとうていできないということを認められませんがいかがでございます。
○大友證人 それはもちろんこうした抗争があれば、生産が落ちて参ることは火を見るよりも明らかであります。
○高木(松)委員 落ちて來るというよりかも、経営が崩壊するというようなところまで行くという見通しはできませんか。
○大友證人 これが長く継続すれば、あるいはそういうはめになると思います。
○高木(松)委員 そういうことになれば、労働者は根本的に救われなくなるという結果になりませんか。
○大友證人 これは同様ですね。
○高木(松)委員 なりますね。
○大友證人 はあ。
○高木(松)委員 こういう結果になるとみすみすわかりきつたことを、むちやくちやに抗争をして來る第一組合の行動は、いわゆる労働争議にあらずして、何かほかに権力鬪争でももくろんでいるというように見られませんか。
○大友證人 結局純然たる労働運動とはみなされないという事実は、先ほど私がいろいろ事件についてお話を申し上げた通りであります。
○高木(松)委員 その結論を聞きたい。
○大友證人 もちろんその中には何ものかがひそんでおる、こういうふうに私にも考えられます。
○高木(松)委員 そこで先ほどから、そういうことは自主的にきめさせてやりたいというあなたの氣持はよくわかりますけれども、あなたのやつていることに少し手ぬるいところがあるように私には感じられるが、その点はあなたとして、あまりに用心深さに、適当な処置が遅れているというような感じをしませんか。
○大友證人 申し上げましよう。それは先ほど申し上げましたように、私どもの署員の数は二十名でございます。この二十名の署員の数をもつて、いかに粉骨砕身、事件にぶつかつて参りましても、犠牲のみ多くて、私は解決し得ないと思うのであります。
○高木(松)委員 結局それでは警察力を増強しない限りは、かかる問題を押えることはできないという結論になりますか。
○大友證人 それはなかなか対外的な問題もあつて……。
○高木(松)委員 それはいいのです。あなたの立場としてお話しくださればよろしい。
○大友證人 もちろん警察力の充実されることを私は望むものであります。と同時に、先ほど申し上げましたように、公安委員というものが新しい制度によつて生まれた。しかしこれをもう少しがつしりしたものにしてほしい。それからもしこういう事態が起きたときには、公安委員が、應援を要請せずして、そのほかに何か打つべき手がないのか、こういうふうに考えておるのであります。
○高木(松)委員 それでは畳みかけて聞かなければならぬが、先ほどあなたが申したように、公安委員が逃げなければならないような急迫状態にあつたことを認められませんか。脅迫、暴行、その他多数威力によつて家庭を襲われ、いろいろなことをして、とうていそこに普通人としてはいたたまれないというような事情を認めるわけには参りませんか。
○大友證人 それは、先ほど申し上げましたが、抗議デモを一回受けております。その他公安委員長の家の前あたりに二、三おつたとかいう話を聞いておりますが、その事実は、私まだ確めておりません。こういうような抗議デモを受けたことが、いわゆる公安委員長が非常に心配されて、今後強く押せば、そうした抗議を受けなくちやならぬ——公安委員はしろうとであるということで、そういう抗議に対していかなる回答をしたらいいか、それから派生的な問題でも、いろいろ心配されたのではないかとこういうふうに考えております。
○高木(松)委員 そこで、あなたの口から今、しろうとであると言つたが、しろうとであつても職責はもちろん知つていなければならぬ。しろうとの公安委員がどうしても逃げ出さなければならぬような客観的情勢にあつたことを認められませんか。
○大友證人 それはデモを受けたり、あるいはただいま申し上げましたように、二、三労組員が公安委員長の前におつたとか、裏におつたとかいう話がございましたが、しろうとといたしましては、やはり非常に恐れをなしたものと私は思います。
○高木(松)委員 從つて逃げ出すのは当然と思われるのですな。
○鍛冶委員長 菅家君。
○菅家委員 簡單に二点だけ御質問いたします。あなたの縣には公安條例というのは公布されておりますか。
○大友證人 公布されてございません。
○菅家委員 そうすると、この七月七日に行われたデモ行進は、何か警察署に届出をなさずしてデモ行進はできるわけですか。
○大友證人 それは届出は必要ないと思います。
○菅家委員 それから先ほど証人が証言された、中川清松ほか三名でありますが、まだ未逮捕の者は……。
○大友證人 四名です。
○菅家委員 これはどういうわけで未逮捕になつておるわけですか。逃走しておるのですか。
○大友證人 それは現在山におりません。中川清松は翌七日から姿を消して、現在手配しておりますが、まだ山川清松の姿を見たと言う者はおりません。中島豊、小野寺明、寺門虎三、大坪馨は、その後にはときたま姿を現わしましたが、轉々として党員の家にとまり歩いておりまして、どこが居所か、わからぬ。それも檢挙するのに相当支障を來した一つの原因であります。(「共産党の本部を調べたかね」と呼ぶ者あり)もちろん手配をいたしておりますから、やつたと思います。これで現在は山に姿を現わしておりません。
○菅家委員 あそこの署員は二十名でありましたね。なかなか容易でないでしよう。二十名で、とにかく共産党というものは裏におつて使嗾しておるのであつて、巧みな方法をもつて各地でこういうことをやつておるのだから、なかなか山なんかで二十名くらいの署員でこれを取締ることは容易でないと思います。いわんやこの連中なんか、どこへ隠まつているのかわからないと思いますから、当然だろうと思います。
○鍛冶委員長 神山君。
○神山委員 署長にお尋ねしますが、七月六日事件は、あなたの方から言えば遺憾なことと、思われますが、こういうふうな事情に立ち至つたのはどういうわけかということを、お考えになつたことはありますか。何が原因になつてこういうことになつたか……。
○大友證人 もちろん考えております。それは、いはゆる会社が首を切つたという問題から端を発して、こういうものができたと思います。
○神山委員 先ほどお話の中で、タイソン氏の命令によつて七月六日檢挙されたとおつしやいましたが、これは命令というようにはつきり言われたのでありますか。
○大友證人 それは、先ほど申し上げましたように、私どもも檢挙しなくちやならぬという状況にあつたのであります。タイソン司令官がたまたま即刻これを檢挙しろと、こういうことをMPを通じて言つたのであります。これは通訳を通してやつたので、署長に対して檢挙しろと言つたのか、公安委員に対して逮捕檢挙しろと言つたのか、その点はわかりません。
○神山委員 あなたは御承知のように、民政部の方で直接日本の内政に干渉されることはないのが原則じやないかと思います。從つて、MPを通じ、さらに通訳を通じて來ているという話を考えます場合に、あなたはタイソン司令官の命令だというふうに言い切ることは、先ほどそういうふうにおつしやつているのですが、今の御説明ですと少し違つておりますが、実際命令なのですか。
○大友證人 命令がなくても私どもは檢挙しなくちやなりません。
○神山委員 それはいいのです。あなた方が警察署長として独自な判断に基いてなされることは別個の問題であります。私がお尋ねしておりますのは、先ほどの説明を聞いておりますと、命令だつたから檢挙したというふうに聞えましたので、その真相を……。
○大友證人 それは先ほど申し上げたように、私どもも檢挙しようと思つたし、その矢先に檢挙しろと言われたことを、命令と私どもも受け取りました。
○神山委員 それがほかの場合にも、通訳という人が必ずしも正確に通訳していないことがあるわけなんです。從つてお尋ねするのですが、たとえば七月六日の場合に、通訳は、経過はどうだと聞いておる。これに対して署長は、まだ監禁中だとお答えになりましたか
○大友證人 それは、私が回答したのでありません。地区の笹島署長から回答されております。
○神山委員 笹島署長は、あなたがお聞きになりましたら、監禁中だというふうに答えたと……。
○大友證人 そう答えたように私聞いております。
○神山委員 この場合も事態の真相がありのままに司令官の方に通じていないというふうなことが考えられる。といいますのは、後に民擁同の代表者が調査に参りました組合に、公衆の面前で司令官が言明されていることの内容は、民事部としてはどちらにもひいきするものではない、正しい労働運動には干渉しない、組合としても刑法を逸脱した行為は謹しむべきである、こういうふうに言われているわけです。從つてこういうふうな場合に最後の意思表示を見ましても、一方的に命令されたと考えることは少し行過ぎだと思う。そこで今度はジープの前の問題に入るわけですが、あなたの話を聞いていますと、けがした方は職員の方や警察官の側にあつたように聞こえますが、それはあつたかしれない、しかし労働者の方にはけが人やなんかは出なかつたでしようか。
○大友證人 お答えいたします。タイソン司令官が参りましたことは私ども要請いたしません。占領下にあります以上、民事部はかつてに出て來たものと私は考えます。それから警察官と職員がけがしたと申されますが、職員はけがしておらないと私は思います。それから労組員はけがさしておりません。
○神山委員 絶対にありませんか。
○大友證人 絶対にありません。はつきり申し上げます。
○神山委員 組合側ではその点をはつきり言つておりますが、知りませんか。
○大友證人 私聞いておりません。
○神山委員 それではあなたは組合の連合会長がなぐられたりなんかしたのをごらんになつたことありませんか。
○大友證人 見ておりません。
○神山委員 その問題はいいとして、公安委員の問題ですが、この泉豊さんという人の職業は何ですか。
○大友證人 これは医者です。
○神山委員 それから他の方は農家とおつしやいましたのは……。
○大友證人 宮田が農で五十嵐さんが山一炭鉱の重役です。
○神山委員 この農家というのはただ普通の農家だけですか、別に仕事していらつしやいませんか。兼業やなんかありませんか。
○大友證人 ありません。
○神山委員 先ほどのお話の中に、暴力團と言つては言過ぎかもしれませんが、反共同志会というものができた、その中に暴力團の残党がおるとおつしやいましたが、それはどんな残党ですか。
○大友證人 それは残党ではなくして前身が暴力團であると申し上げました。
○神山委員 前身が暴力團である、今は暴力團ではないのですか。
○大友證人 はいございません。
○神山委員 そうしますと御承知のように、前に千代田坑で大きな衝突がありましたね、二十一年ですか、これは御承知ありませんか。
○大友證人 話は聞いております。
○神山委員 そのころの暴力團の方が残つておるというわけではないのですか。
○大友證人 そうじやないようです。
○神山委員 それからあなたの町に誠道会というのがありますか。
○大友證人 はい。
○神山委員 これはどんな人の集まりですか。
○大友證人 これはもとは博徒でございます。それで今、改心したという証明のためにひとつ誠道会をつくろうということで誠道会をつくつて、まじめに仕事をされているようであります。
○神山委員 それでは今は改心しておられるわけですね。
○大友證人 そうです。
○神山委員 いずれにせよ、前身が一方では暴力團、一方では、改心しておるにせよ、前のばくち打ちという人が、この反共連盟の中心になつているということは事実ですね。
○大友證人 そうです。
○神山委員 これと第二組合の組合長との関係はあなた御承知ありませんか。
○大友證人 第二組合長との関係は何も聞いておりません。
○神山委員 中村君がこの反共連盟に、いろいろな資金やなんかの援助しているという話はあなたの耳に入つておりませんか。
○大友證人 聞いておりません。
○神山委員 関係もありませんか。
○大友證人 関係もないと思います。
○神山委員 第二組合の性格については、先ほどおつしやいましたように御用組合である、かつ第一組合と対立抗争しているというような点が問題なのですか、第二組合を使つて警察の側で檢挙されるときに、人間をだれやこれというふうに言われたような事実はありませんか。
○大友證人 それは先ほど申し上げましたように、私どもの捜査と第三者の証言とその他の状況を総合いたしまして、主観的にも客観的にも犯罪が構成すると思つたから檢挙したのであつて、組合の指図を受けておりません。
○神山委員 いや指図というよりも、あなたが主観的にも客観的にも間違いないその犯人をつかまえる材料として、第二組合側の人を証人その他に使つたことはありませんか。
○大友證人 証人というのはどういうところを指すのでしようか。
○神山委員 たとえば檢挙の現場あるいは聞込みの材料を得るときに、第二組合側から情報を提供しているということはありませんか。
○大友證人 それはありまん。
○神山委員 先ほどあなたのお話の中に、これが警察に内報した云々という話があつたので、あなたとしては非常に言いにくい問題だし、これがあると答えるようなことはたいへん困難だと思うのですが、一應念のために聞いてみたのです。それから組合側と会社側との間に司令官が立たれたというふうに私記憶しておるのですが、一應話合いがつくような時期がなかつたのですか。
○大友證人 それはどういう意味でしようか、もつとはつきり……。
○神山委員 山で暴力を使う——過去は問わず、新しい問題について話し合つてはどうかというような話が出たことはありませんでしたか。
○大友證人 それはいつでしよう。
○神山委員 十五日ごろに聞いたことはありませんか。
○大友證人 それはこうじやないでしようか。この問題をいつまでも継続したのでは山が閉山するような状況になるというところから、軍政部の方、民事部のスチユアートという中尉の方が、両者を磯原の山海館に呼んで協議をされたことを聞いております。そのことだと思います。
○神山委員 それは七月十五日でしよう。
○大友證人 七月十五日と記憶しております。
○神山委員 その場合いろいろ折合わない点もありましたが、とにかく十八日に一應最後の答えをしろということになつているという話もお聞きになつておりませんか。
○大友證人 この会議の内容は、私は不在で報告を受けておりませんが、ただ十五日にやつたということを聞いております。
○神山委員 これは先ほどの証人である常務取締役が言つたわけですが、十八日に回答しろということになつたらしい。ところが十六日には北畑、千代田両坑に檢挙が始まつておる、こういうことのためにこの結論も出ずにおるのですが、十六日の檢挙の仕方については相当ひどいことがあつたのではないか、というのは、組合側の訴えているところによりますと、就寢中の家を片つぱしから土足でかけまわつた、岡山君以下五名、中には女の人がいて、裸体に近い寢姿をそのまま引つ立てて行つたというようなことが訴えられているのですが、こういう事実はありませんか。
○大友證人 お答え申し上げましよう。きわめて針小棒大に傳えられたように聞いております。それは七月十五日にその会合があつて七月十六日に檢挙した、それがこの両者の円満な解決を阻害したかのごときお話でありますが、七月十五日の会合を持つたということは、もちろん首を切られた人にその中に入らぬと思います。私どもの方で被害者としてあげておるのは首を切られた人だけであります。從つてもしこの檢挙が十六日に行われても、その会議が長引いたという一つの原因は與えないと私考えます。それから片つぱしから家を起して、土足で踏みにじつたというようなお言葉でありますが、私の方では用意周到な計画を立てまして、だれがどの家にとまつておるかというようなことを、まあ署員を最夜中にしのばせて、その居所を確かめて、その家だけを檢挙にやつたのでありまして、全然関係のない所へは参りません。從つて片つばしから起したということは、非常にデマであると私どもは考えます。
○神山委員 そこでさらに先ほどサイレンの話が出ましたが、あなた方が檢挙に行かれたときに、サイレンを鳴らしたことはありませんか。
○大友證人 お答えいたします。私この檢挙に行くときは総指揮で参りましたが、サイレンを鳴らし、そのほかがんがんたたいて、戰時中におけるガス警報のような状態を呈したことをはつきり覚えております。
○神山委員 あなたの方では鳴らしませんか。
○大友證人 私の方ではこういうものを持つて歩きませんから、鳴らしません。
○神山委員 それではこの檢挙のときに、日本側の自動車だけで参りましたか。
○大友證人 もちろん日本側の自動車だけで参りました。
○神山委員 進駐軍から何も來てなかつたか。
○大友證人 進駐軍から参りましたのは、檢挙後あとから参りました。
○神山委員 それにブザーやサイレンがついたのは見ませんか。
○大友證人 それは私見ませんからわかりません。
○神山委員 それからこのときにどのくらいの警察官を動員なさいましたか。
○大友證人 私の方で要請したのは二百名です。
○神山委員 その後にも檢挙が行われておりますが、二十八日の場合はどうですか。
○大友證人 二十八日の場合には、五十二名と記憶しております。
○神山委員 この場合にですね、これはあなたの方の配置上の問題ですが、受取る方としては非常に軍隊的な編成になつておつたということを訴えておるのですが、第二中隊はあつちへ行けとか、第三中隊はそつちとか、そういうような指揮をなさつておりますか。
○大友證人 そういうような指揮はいたしておりません。
○神山委員 それから警察官そのものに対して不審を持たれるようなことが少からずあるのですが、そういうようなことについてお聞き及びになつておりませんか。
○大友證人 どういうことでしよう。
○神山委員 いろいろありますがね。あなた個人にも関連することもありますが、今はそれを別として、業務中に酒を飲んだり何かしたようなことを聞いておりませんか。
○大友證人 それはいつのことを指しておるのですか。
○神山委員 七月十六日以降に私服の人が大分残つておつたでしよう。
○大友證人 聞いておりません。
○神山委員 あなたのところに鈴木警部補という人がおりますか。
○大友證人 おりません。
○神山委員 國警関係にもおりませんか。
○大友證人 おりません。
○神山委員 それから先ほどあなたのおつしやつたことの中に、中川清松君のことですが、これはだれが地区の委員とおつしやつたのですか。先ほど來た証人は、これは委員長だというふうに言つておるのですが、あなたの方が正確だと思いますか。
○大友證人 私はただ委員と覚えておるだけでございます。
○神山委員 聞いておるだけ……。
○大友證人 はあ。
○神山委員 それではどちらが正しいか……。
○大友證人 わかりません。
○神山委員 それから大会の模様ですが、(「いつの大会だ、はつきり言えよ」と呼ぶ者あり)組合が大会を持つてそうしてお巡りさんが來たらやつつけろと言つたというその問題の大会ですが、この場合に、あなた自身も言うておるように、逮捕そのものを恐れておる、もう一つの原因として、暴力團、ばくち打ちの入つておる反共連盟というのが來るということをおそれておることは事実なんでしよう。
○大友證人 それに向うの氣持でありまして恐れておると私ども認めたのであります。ただ山に登つて行つて暴力を振つたという事実はございません。
○神山委員 事実はない。けつこうです。そこで結論的にお尋ねしますが、あなたは警察力が弱いということを先ほどから述べておる。しかし警察の最高の理想は警察力を強化して事件が起つた場合にぶつたたくのが本來の使命であるのか、それとも事件が起らぬ、まさに天國のようなそういうものになる方が望みなのか。
○大友證人 もちろん私どもは警察官の一人も、警察の一日もないことを希望するものであります。從つて、警察を拡充することばかりがよいとは考えないのであります。但しこういう事件が突発いたした際には警察がきわめて貧弱では困る。こう申し上げたのであります。
○神山委員 こういう事態が起る一番大きな根拠は先ほどあなたは首切りの問題だけ申されましたが、実は常磐炭鉱だけの問題でなく、茨城縣から平にかけての問題でなく、福島縣全体、さらに日本全体にわたつて労働者、農民、市民、さらには國民大衆全般の生活が危機に陷つておる。炭鉱そのものが危機に陷つておる。こういうことは最近の政府の政策の結果こういう不幸な事態に陷つておるのだとお考えになりませんか。政府の政策があらためられ、國民が鼓腹撃壞して太平を樂しむようになつたら、あなたのおつしやるように警察力の必要がないのでないか、どうですか。
○大友證人 政治的の問題については御答弁を避けたいと思います。ただ事件の問題についてどうこうということについてはお答えいたします。
○神山委員 それでは平の事件との関連について先ほど一言されましたが、実際に平の事件との関連があるという何らかの証拠がありますか。
○鍛冶委員長 それはよくわからぬと言つておる。
○大友證人 それは私の方ではつきりわからぬと申し上げておきました。
○神山委員 というのは、民自党の委員の諸君はこれをどうしても関連があるように言うておるのだから質問したが、一應その点はつきりしたわけであります。それでは私の質問はこれで簡單に打ち切ります。
○佐々木(秀)委員 先ほど神山委員の質問の中に、反共連盟の連中の中に博徒が中心になつておる。反共連盟に入つておるのでないかという尋問に対して、それを肯定するような証人の言がありましたが、それは私の知つておる範囲では非常に間違つていないかと思う。それはこの問題が七月七日に起きた直後においては高萩町民は非常に恐怖の状態に入つておつた。それで当時非常に純眞な青年諸君が、重役が十数時間監禁せられて、これに対して警察官が手が出ないというので、見かねて現場に飛び込むつもりになつたと青年から聞いておるが、その青年たちは町を守る意味で反共連盟という團体をつくらなければならぬということで……。
○鍛冶委員長 反共連盟でなく、高萩町民同志会と言つた。
○佐々木(秀)委員 けつこうです。その町民同志会は決して神山委員の言うような博徒が中心になつていないと思いますが、その点についてあなたははつきり博徒中心と言えますか。私は町民が中心になつてできておると聞いておるし、現実その人から聞いておりますが、博徒連中も参加しておりましようが、その博徒が中心であると考えられますか。
○大友證人 それは現在ばくちを打ちませんが、前身が博徒であると申し上げたのであります。
○佐々木(秀)委員 それが中心でないでしよう。
○大友證人 中心か中心でないかという問題ですが、それに近藤と称する男があります。ちよつと名前は忘れましたが、近藤という青年は博徒でもなければやくざでもございません。これが会長をいたしております。それに付随したのがいわゆる前身が暴力團であります。こういうことであります。
○佐々木(秀)委員 中心は違うのですね。
○大友證人 その点は……。
○佐々木(秀)委員 非常に共産党の諸君は、暴力團が中心になつてこういうふうな町民同志会とか反共連盟ができているように押しつけようとしている。現実の問題は私が承知している限りは純眞なる青年が中心になつて、これはいわゆるそういう連中も参加したということは聞いております。しかもこの点証人は明確に証言せられぬとあとで速記録で非常な迷惑が生じますから、その点明確にいたしたい。
○大友證人 それは近藤という男が会長であつて、これについている者は三名くらいありましようか、それが前身は博徒であるということであります。
○佐々木(秀)委員 町民同志会というのはそういうような数名の團体ではなくて、町民大部分がこれに参加していると聞いておるのですが、この点はいかがですか。
○大友證人 これは町民大多数が参加していると私は見られぬのでございます。まただれとたれが町民同志会に入つているかということ、この点も私は存じておりません。ただ大会を開いたときは二百名ほどが参集いたしております。それをもつて私は町民同志会と見なすことができると思います。
○佐々木(秀)委員 私の承知している点から考えましても、この町民同志会なるものは、町の輿論によつて生まれたものである。それに暴力團的ないわゆる共産党を中心とする罷業團体、この連中が晝間はもちろんのことですが、夜は夜中まで、町民の家を戸別的でありますまいがたたいて、そうして非常な氣勢を上げているという事実を、その後において聞いておるのですが、この点について証人はご承知になりますか。
○大友證人 山においてはどうか知りませんが、私は町において聞いておりません。
○佐々木(秀)委員 山においては聞いておるのですか。
○大友證人 はい。
○佐々木(秀)委員 これがために高萩の町民は非常な恐怖観念にかられておる。そこでこういう町民同志会をつくつて、かつまたこれを高萩以外の各町村にも訴えておる。こういう状態ではまつたく無政府状態である。しかも暴力によつて共産党員がこれを指導して、何らかここに革命の前夜を思わせるような行動をとつておるのは、はなはだけしからぬというようなことから、非常な危惧の念にかられておるということをわれわれ茨城縣において聞いておるのですが、その点については証人はいかがですか。
○大友證人 この点は先ほどもちよつと触れて申し上げたと思いますが、その後引続いてそうした、不安な状態に置かれておつたのであります。それから私政党のことを絶対云々いたしません。もちろん警察官は政党に関與すべきものではないのでありまして、ただこの町民同志会に対して町民が全幅の信頼を持つておるということは事実でございます。しかし表立つて積極的に活動ができないという点は、私から申し上げるまでもなく皆さんがひとつお察しを願えばわかることと思います。ただこういうものができて非常によかつたということで多大の賞讃を受けておることははつきりした事実でございます。ただ遺憾ながらこれは自分が表に立てばどうのこうの、あるいは後難をおそれあるいは自分が営業しておるので、さしさわりがあるというようないろいろな面から表に立てないことを遺憾のように言われておる事実を私は聞いております。
○佐々木(秀)委員 最後に一つ、この高萩炭鉱事件は前の委員からも質問があつたようですが、当時時を同じうして平事件、その他廣島の日鋼事件、各方面にこうした共産主義者の突破口作戰が現われておつた。われわれ水戸において共産主義の諸君から茨城縣は共産主義の温床として將來重要な役割をするのだ、あるいはまた極端なことを言うやつが茨城縣においてこの革命の火ぶたを切るのだと、こういうような放言をしておることを聞いておるのですが、そういう意味において証人はこうした高萩以外の地区における共産主義者、あるいは共産党員と目せられる連中がこういうような社会不安を醸成するような言辞をはいておる事情をお聞きになつておりませんか。
○大友證人 直接に共産党からは聞いておりません。間接的にそうしたことがあるやについては聞いております。
○神山委員 同志会の問題ですが、先ほどの証言の中では暴力團や、それから(「殺されちやうよ」と呼ぶ者あり)なに殺す。殺すのか。まさにそこに正体が現われておるじやないか。会長が近藤という無党派の者かもしれません。あるいは塚原君の、これはどういう教育を受けておる人か私は知らない、知らないがとにかくかつて実際に暴力團に入つており、またかつて博徒であつた人が中心的な役割をやつておるから、從つて先ほどもお話の中で町民がよりつかない、こういうふうなことも言つておられる。それで町民大会をやつても二百人しか集まらない。労働者が町民大会をやれば一千人、こういうような事実があるので、この点はやはりはつきりしておつた方がよろしいと思います。それで聞きたいのでありますが、会長が近藤ということはよろしいが、その中に暴力団それから前身がばくち打ちの人がおつて、うつかりしたことを言つたら署長が殺されるぞ、今うかつな発言がありましたが、そういうふうなことがあるために、かえつて署長は公然と言うことができないのではないか。
○鍛冶委員長 わかりましたか。そういう前身が暴力団であるとか、前身がばくち打ちの人が中心で、うつかり署長が言つたら殺されるというのですか。その点をはつきりしてください。
○大友證人 殺されるようなことはないと思います。
○鍛冶委員長 それから中心はどうだ。
○大友證人 中心は先ほどお答えした通りです。近藤という青年が会長であつて、それに二、三名ついておる、こう申し上げております。
○森山委員 公安委員の五十嵐という人、後にやめたのですが、その方が逮捕するための國警の援助要請を拒否したという事実があるかどうか、それを聞きたいと思います。
○大友證人 要請を拒否した事実はございません。
○鍛冶委員長 では済みました。 —————————————
○鍛冶委員長 ただいまお見えになつている証人は馬上正明さん、中村敬さん、以上二名であります。これより平市をめぐる騒擾事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人又は証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、藥剤師、藥種商、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀などの職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ三軒宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことをご承知になつておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。中村さんひとつ代表して読んでください。 〔証人中村敬君各証人を代表して宣誓〕
○鍛冶委員長 署名御捺印願います。 〔各証人宣誓書に署名捺印〕
○鍛冶委員長 宣誓が済みましたから、もうちよつと元の部屋に行つて休んでおつてください。 渡部義通さんですな、これより平市をめぐる騒擾事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人又は証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、藥剤師、藥種商、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀などの職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ三軒宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことをご承知になつておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。
○渡部證人 宣誓の前にちよつとお聞きしたいことがあるのです。それは第一に平市をめぐる騒擾事件について私が証言をすることになるわけですが、平市をめぐる騒擾事件なるものは、私は根拠がないという考えを持つておる。それはともかくとして私は七月六日に平に行つた。そうして六月三十日にいわゆる平事件が起きている。つまり委員会はどういうふうな根拠と手続で私をここに呼んだのか、これをまずお聞きしたい。
○鍛冶委員長 とにかく宣誓をしていただいて、あとは証人として聞くことにいたします。それでは読んでください。 〔証人渡部義通君宣誓〕
○鍛冶委員長 署名御捺印願います。 〔証人宣誓書に署名捺印〕
○鍛冶委員長 今日あなたを証人として呼んだのですから、こつちから聞いたことをお答え願うのですが、今あなたのおつしやつたことはちよつと御不審があるかもしれないから申し上げますが、この名前はただ便宜上そういう名前をつけただけで、福島県下における騒擾事件と思つていていただければよろしいわけです。
○渡部證人 わかりました。
○鍛冶委員長 衆議院議員渡部義通さんですね。
○渡部證人 そうです。
○鍛冶委員長 あなたは六月二十八日ごろから福島縣下へ行つて、主要な都市をおまわりになつたようですが、いかなる要務でおいでになつたのですか。また幾日から幾日までおいででしたか。
○渡部證人 お答えします。福島県下に私が行つたのは、日本共産党議員團としては、議員の義務として全国にわたつて国会報告をする必要がある。それで五月何日でしたか、日は忘れたが、五月中にそのことが決定して、私は初めは福島縣と長野縣をまわる予定であつたけれども、福島県は私の郷里である関係から、私の希望によつて福島縣だけをまわることにいたしました。それで日程としては七月二日から一週間という予定であつた。それで私はまず二、三日休養をとつてからという考えから、郷里の方に二十八日に帰つて、國会報告の日程は七月二日から開始した。それから日程は福島県の方の希望によつて若干延期されて、七月十三日までかかつて、その間に休養をとつた日があるが、それまでが日程にかつておつた。それだけお答えします。
○鍛冶委員長 あなたはほんとうの郷里はどこなんですか。
○渡部證人 福島縣会津です。
○鍛冶委員長 会津ですか。それでまず会津に行かれたわけですね。
○渡部證人 そうです。
○鍛冶委員長 ところが、あなたは休養と言われるが、二十八日に行かれて、ただちに会津で労働争議に関係されて運動をなされたようですが、どういうことをおやりになりました。
○渡部證人 お答えします。二十八日に会津に着いたときに、会津の駅の近くに労働組合のビラが張つてあつた。それは三菱の廣田工場というところで争議が起きておる。この原因は、廣田工場が融資もなく、また製品の賣れ行きもぴつたりとまつてしまつた。これは民自党内閣の政策のためにそうなつたのであるが、その結果そこで首切りが起きた。そこでこの首切りに労働者たちが生活権を守り、自由を守つて労働組合としての当然の活動をやつた。ところが、若松の警察がそのうちの組合長を逮捕した、こういうビラが張つてある。そこで私は帰る途中いつもそうであるが、そういう事柄が起きているので、地区委員会に寄つてみた。これはいつも通るときに私は地区委員会に寄るのであるが、そこでいろいろ事情を聞いて、事情はさらにはつきりした。つまり……。
○高木(松)委員 ほんとうのことを言うんだ。
○渡部證人 黙つて聞けよ。ほんとうのことを言うから……。つまり檢挙の事情というのは、労働組合が解雇に反対して、解雇の取消しを要求し、あるいは組合の團体交渉を続行しているときに、警察の方で、その指導者を不当に檢挙した。よく聞いて見ると、檢挙すべき理由は何もない。これは住所、氏名もはつきりしているのだし、また檢挙されるような根拠もないのに、警察は檢挙した。これは労働者の憲法で保障された運動を彈圧するために警察が檢挙した、こういうことが明らかになつた。そこで私はその日はそれで帰つた。ところが、次の日になつて警察の前にこの檢挙された人の釈放を求めるために各労働者たちが、その労働組合だけではなくて、非常に多くの労働組合の人も集まつている、私にもひとつ來て見てもらいたい、またそこで事情をはつきり知つてもらいたい、こういうふうな話があつた。そこで私が行つて見たところが、労働者諸君は警察が非常に不当な労働組合に対する彈圧をやつたことに憤慨して、このやり方は不当なものである。組合の合法的な運動に対する彈圧であるという見地からこの釈放を要求している。そこで私はこれの釈放すべきことは当然であると考えたので、このことに関係することになつたのだか、この点について、もし必要ならば、後ほどお話します。
○鍛冶委員長 それでは承わらなければならぬのですが、労働者諸君にこの三菱の廣田工場において正当なる労働組合運動をやつておつたということをどういうところでお認めになりますか。
○渡部證人 それは第一、労働者の生活が今破壞されている。首切りがどんどん起きている。これは先ほども申し上げましたように、民自党内閣の集中生産の結果である。この集中生産の結果の犠牲として労働者たちが首切りをされる、このことに対して労働者が生活権を守つて鬪うのは、これは当然の権利である。しかも労働者が團体で鬪うことは、これは労働者としての憲法で保障するところの権利である。そこで問題は、ともかくそのような情勢の中で労働者たちが團体交渉をやつているときに、警察がこれを檢挙したということです。これは警察としては労働組合の合法的な運動に対する彈圧政策の現われであると、労働者たちはみなそう考えている。
○鍛冶委員長 そこで証人に承りますが、なるほどあなたのおつしやるように、労働者は自己の生活擁護のために鬪われることは、別に不思議はありませんが、あなたは今團体交渉をやつたと言われるが、その團体交渉は正当な團体交渉をやつておつたとお認めになりましたか。
○渡部證人 そう認めました。労働者たちはすべてこれを主張しておつて、ただ警察だけがそうでないということでした。
○鍛冶委員長 それでは、二十四日の午後から、廣田製鋼所の所長高場市太郎その他首脳部を一室に拉致しまして、二十五日の朝帰ろうとしたらそれをまた押えて、二十六日一ぱい、二十七日の朝まで、團体交渉と称していろいろ責めておつたようですが、この点はどうですか。
○渡部證人 そういうことは、労働者側の報告としては一度も聞きません。むしろそうではなくて、あそこでは、労働者たちの報告によれば、三十分ほど休むということを協定して、そして会社の人たちが一室に引上げた。ところが会社の方で中から錠をかけて三時間も出てこない、こういうふうなことを不法監禁だと官憲が称したのだということを、すべての労働者が一致して私たちに説明しておりました。
○鍛冶委員長 それだけですか。私が今言つたように、二十四から二十五日の朝まで——二十五日の朝帰ろうとしたら、さらに工場長を帰さぬと言つて、その日から二十七日の朝までとめたということはないのですか。
○渡部證人 申し上げます。ぼくの聞いた範囲は今申し上げただけの範囲であつて、ぼくが証人として呼ばれた以上は、ぼくの聞いた範囲のことを確実に申し上げる、これだけの責任をぼくは持つている、それだけです。
○鍛冶委員長 もう一度聞きますが、そうすると、あなたのおつしやるのは、しばらく休ませてくれと言つて——三十分休むと言つて、三時間かぎをかけて部屋に入れなかつた、それだけだというのですね。
○渡部證人 労働組合の人たちは口をそろえてそう主張している。それで警察だけが——まあ警察の方で、私にそういう意味のことをちよつぴり言つたことがあります。しかしそういう何日からという詳しいことは警察からも聞いておりません。もちろん私は現場にいないので、その詳しい個々のことについては知りません。
○鍛冶委員長 そこであなたは、そういう考えのもとで警察へ交渉されたら、警察では、あなたの言われることと事実は違いますということを言いそうなものですがどうでした。
○渡部證人 だから警察の方では、労働者側の言うのと警察の言うのとでは違うということをはつきり言つたかどうかは記憶しません。そこで私としては、警察に対してはこういうふうな話をしたわけです。つまり労働者側が言うところによると、私が今申し上げたような事情のもとで警察が檢挙したのだ、この檢挙は警察としては非常に不当な檢挙である、これははつきりと労働組合の彈圧の意図に基くものとしか思えない。それからもう一つは、まだはつきりどういうふうな犯罪を侵したかどうかということも何もわからないうちに、また住所氏名がはつきりしているのに、それを檢挙して調べるというやり方は、これは不当だ、これは人権蹂躙でもあるのだということを、私は警察に行つて申しました。
○鍛冶委員長 いや、あなたがそうおつしやつたことはいいが、私の聞くのは、そう言われると警察では、あなたの労働者の方から聞かれたことは事実と違う、こういう事実があつたのだと警察は言いそうなものだと思うのですが、そういう話はなかつたか、こう聞いておるのです。
○渡部證人 その点は、警察は労働者側とは非常に違うような報告をしている。つまり警察の方では、労働者側の言うこととは非常に違つております。これだけは確かです。警察はいつも労働者と違つた立場をとることははつきりしております。
○鍛冶委員長 それじや警察からそういうことを聞かれたことは間違いありませんか。大体今言つたようなことを聞かれたでしよう。
○渡部證人 そうです。
○鍛冶委員長 それを聞かれても、やはり労働者があなたに報告したことが真実なりとあなたは思つて、それから行動をとられたのですか。
○渡部證人 私は労働者が多数報告するその労働者の報告の方が、当然正しいと考えた。なぜならば、警察の報告というものは、たいがいの場合労働者に不利な報告をする、たいがいの場合に檢挙の口実をつくるような報告をしておるから、われわれの一般的な常識としては、当然労働者多数が言うことを聞かなくちやならない。
○鍛冶委員長 ところがあなたは、さらにその争議中に廣田工場の職場大会で演説をされたそうですね。
○渡部證人 しました。
○鍛冶委員長 どういう目的で、どういうことをおつしやつたのですか。
○渡部證人 その演説を不幸にして録音をとつていないから、そのままを言うわけにいかぬ、それで時間も相当長くなるわけだが(「その通りやれ」)それでは大体それに近いことを言う。今日本の産業が破壊されている。そこでこの破壊の原因は一体どこにあるのか、これは言うまでもなく独占資本を擁護するために、中小工業の崩壊ということも頼みるいとまのないところの吉田内閣の政策によるのだ。それからさらに労働者に対する首切りということは、そういうことと関連なしには起きないのだ。從つて労働者が資金も満足に拂つてもらえないで首を切られる、このような政策の結果この廣田工場というものが崩壊するのだ。從つて労働者がその生活権を守り中小工業の再建を欲するならば吉田内閣の政策と闘わなければできないのだ、まずそのことをはつきりさせ、次には、今労働者たちが生活権を守るただ一つの方法は日本では個人的な権利さえも大衆闘争によらなければ実現できない。たとえば税金の問題にしても、税金を民自党内閣がべらぼうに國民から收奪する、その税金が非常に不当で、しかも不公平でさえある、このようなことを直させるのは当然だ。この國民としての権利を遂行するためにも個人的にやつたのではだめである。個人的な権利さえも大衆行動によらなければ決して実現できないのだ。われわれは個人的な生活圏を守るために團結の力によらなければならぬ。しかもそれだけじやない、今支配階級は共産党、あるいは戦闘的な労働組合に対してあらゆるデマを集中している。このことは吉田内閣が自分たちの政策の遂行を主眼として闘つておるのだ。こういうデマや逆宣傳や労組に対する欺瞞的政策と團結の力をもつて闘う以外にこの問題を遂行する道はないのだという意味のことを……。 〔発言する者多し〕
○鍛冶委員長 静かに願います。要点だけ言つてください。これは何月の幾日の何時ごろでした。
○渡部證人 日橋村の学校で演説したのが夜であつて、これは多分三十日の日かと思います。それから労働組合に対して演説したのは朝です。
○大橋委員 翌る朝ですか。
○渡部證人 そうです。
○大橋委員 それでは七月一日ですか。
○渡部證人 一日の朝だつたかもしれません。
○鍛冶委員長 七月一日ですか。その日を聞くのは、労働争議の最中に今あなたの言われるような演説をやられると、争議にまつたく油を注いだと同じようになるものなのだが、もつと大きなデモをやらせる方があなたはよいと思つてそういうことをおやりになつたのですか。
○渡部證人 そういう御質問は、私はこういうふうに答えなくちやならぬと思う。デモを起すとかそういうことが争議の目的じやないのであつて、争議は労働階級の正しい主張を正当な方法で合理的に解決して行くことが目的である。私は共産党員だから、共産党は常に労働階級の先頭に立つて闘つておるのであつて……。
○鍛冶委員長 ところが若松では、そういう釈放運動のときたいへん大きなデモがあつたようですね、それはどうですか。
○渡部證人 たいへん大きなデモでもないでしよう。
○鍛冶委員長 いや、とにかく警察に押しかけたのですね。それは無届デモじやなかつたのですか。
○渡部證人 それは届けてあるかどうかは私は知りません。責任者でも何でもないから……。
○鍛冶委員長 福島公安條例があるので、デモをやるときには届けなければならぬということは御承知なかつたのですか。
○渡部證人 その前の方のデモですね。私がおつたときのデモが合法的なものか届けたものかということは、私知りません。ただ私が帰るときに公安委員長とそれから國警及び自治警の警察幹部たちが集まつて、それでここには公安條例が布かれているので、できるだけ穏便にやつてもらうようにひとつ協力してほしいというような話がありまして、それで私は、もちろん穏便にすることに私たちは協力したい、しかし今までのことはぼくに知らない。しかし私の見たデモというのは、労働者が秩序整然として道路に何らの障害も及ぼすことなく、交通妨害をなすことなく、しかも端の方にちやんと整列して正々堂々として、デモをやつている。これは決して交通妨害にならぬし、また決して公安を乱すような性質のものじやないんだ。そこでもしあなたたちが事を穏便にすることを望まれるならば、今公安條例云々というような形で、この秩序整然として行つておるこの釈放の要求に対して、いろいろな挑発的な行動に出てもらつては困る。そうすれば事件が紛糾するだけであつて、問題の解決の道はなくなるんだ、非常に困難になるだろう。こういうことを言うておる。そこで向うは非常にそれに賛成して、それは決して公安條例にかかるようなものじやないというふうに言つておつた。そしてその日は終つた。
○鍛冶委員長 そうすると署長は無届であつても、それは差支えないものと認めた、こういうのですね。
○渡部證人 そういうことは私言いません。
○鍛冶委員長 正当と認めたということなんですね。
○渡部證人 だからよく私の言うことを聞いてもらいたい。問題の根本を明らかにするためには、客観的な事柄を明らかにせなければならぬ。
○鍛冶委員長 私はこういうことを聞いているのですよ。証人、もう一ぺん聞いてください。あなたが署長に言つたら、それは賛成だ。と、こう言つたと言われるから、そこで署長は無届のデモでも適法なものだと認めたのですかと、こう聞いておるのだ。
○渡部證人 そのことを認めたかどうかということを私は聞きもしないし、またそれを適法なものと認めたかどうかということの署長の考えを、私が代表してしやべるわけには行きません。
○鍛冶委員長 けれども、けつこうだというのは、どういう意味なんだ。
○渡部證人 それで公安條例の問題は解消したと……。それはそれ前のことで、そのあとのことについては、ぼくはいませんから……。
○鍛冶委員長 公安條例の問題は解消したということを言つたということは間違いありませんか。
○渡部證人 つまり公安條例の問題が解消したと言つたのではなくして、公安條例の問題が、それでその後において据えられなかつた。
○鍛冶委員長 じやよろしゆうございます。 あなたはそれから福島縣の各所で学生や職員に会つていろいろ話をしておいでだそうですが、それはどんなような目的でおやりになつたのですか。
○渡部證人 そういう事実はありません。
○鍛冶委員長 学生や教員に会つたり集められたりしたことはありませんか。
○渡部證人 ありません。会つたという意味は私が招集して、何人かの学生や、何人かの先生に会つたという事実はない。私の演説会の席上にはいたかもしれない。それだけです。
○鍛冶委員長 演説は主としてどこどこでおやりになりました。
○渡部證人 演説は、白河、郡山、それから川俣、福島、それからずつとまわつて中村、原町、平、それから湯本、小名浜、内郷と、それから会津若松、北方、廣田——これは日程前に……。
○鍛冶委員長 それは大体畿日ごろですか。覚えはありませんか。
○渡部證人 二日以後です。二日からが日程ですから……。日程前に、労働組合の問題なんかがあつたので、廣田でやつたわけです。二日が白河です。三日が郡山、四日が川俣。
○鍛冶委員長 福島は。
○渡部證人 福島も四日。あとは五日が中村と原町。平は六日です。
○鍛冶委員長 よろしゆうございます。そこでその演説会の主催者はたいていどういうものの主催でしたか。あなた自身の主催ですか、それとも……。
○渡部證人 それは共産党の國会議員團の國会報告でありますから、廣田のような場合を除いては、共産党のその地方の委員会、または細胞、こういうものです。
○鍛冶委員長 地区委員会ですね。あなたは國鉄労組福島支部においでになつたことがありますか。
○渡部證人 ありません。
○鍛冶委員長 あなたは労組支部で、当局はGHQの名をかりて労組員を弾圧しておると言われたと聞いております。
○渡部證人 郡山支部では絶対に演説しません。
○鍛冶委員長 郡山ではない。福島支部。
○渡部證人 福島支部では……。
○鍛冶委員長 間違いありませんか。
○渡部證人 ありません。もしそういう報告をした者があれば、これは告発をしなければならぬ。 〔「何で告発するのだ」と呼ぶ者あり〕
○渡部證人 偽証だよ。
○鍛冶委員長 あなたが行かれてから、あなたの行かれたあとで、各都市において、デモもしくは争議の起つたことはありませんか。
○渡部證人 ありません。
○鍛冶委員長 郡山は。
○渡部證人 ありません。
○鍛冶委員長 あなたは、あなたの行かれた前であつたかもしれませんが、福島、郡山、それから平、内郷、湯本等に騒擾事件のあつたことは御承知でしようね。
○渡部證人 その場合、騒擾事件と限定されると、私はそういうものはないと……。
○鍛冶委員長 いや、騒擾罪ではないですよ。騒擾事件、騒ぎがあつたということです。
○渡部證人 いや、騒擾事件とは私は考えません。しかし、デモやいろいろなことがあつたということは聞いています。
○鍛冶委員長 そこでそのあとへ行つてあなたは演説をなさつたのですが、そのデモその他の行為に対してどういうことをおつしやつたのですか。
○渡部證人 それはデモや何かについて、私はもちろんこれに対する私の意見を述べた。それは大衆の前で述べておるから、大衆にお聞きになるとわかるわけです。これはどういうものかというと、私は、デモデモと言うけれども、こういうデモの原因が一体どこにあるのか、これが問題なんだ。決して原因のないところにデモの起るものではないのである。この原因というのは先ほどからしばしば申し上げた通りであつて、これはやはり現在の政治的経済的な條件が、労働者が生きて行かなければならぬためには、そういう行動に出てなければならぬのだ、出てざるを得ない状態に置かれておるのだということをいつもはつきりすること、同時にこういう労働階級及び勤労者の大きな力こそが、吉田内閣の反人民的な亡國的な政策を押えて、吉田内閣をして政策の遂行ができないようにすることによつて、結局吉田内閣がこういう大衆の圧力の前に自然に倒れるのだ。これが吉田内閣の必然に持つておるところの歴史的な運命なんだ、こういうことを言つたのであります。 〔発言する者多し〕
○鍛冶委員長 お静かに願います。そうするとまた重ねて聞かなければなりませんが、各地のデモは、今のあなたの話を聞くと、労働者が当然にやらなければならぬことだと、こういうふうにおつしやつたわけですね。そこで承るのは、先ほども言つたように、各地のデモは正当なるデモとあなたはお認めになつて、そうおつしやつたのですか。その点はいかがですか。
○渡部證人 各地のデモは、一々すべての形態を私が承認するとか、そういうことは一言も私は述べていません。デモというような、こういうものの原因がどこから起るかということをいつも強調し、そしてこの労働者や農民や中小商工業者も、すべての人がその個人的権利さえも、この大衆的な力以外には現在ではつかむことはできない。 〔「冗談言うな。憲法で保障しているじやないか」と呼ぶ者あり〕
○渡部證人 保証されることができない。それだからそういうものが起きるということは必然である。こういう力こそが勤労大衆の大きい圧力として議会の中にも反映され、そうして吉田内閣の政策というものがいかに間違つているかということもはつきりさせられて、結局吉田内閣が倒れなければならぬ大きな力になつている。こういうことを私は思うのであります。
○鍛冶委員長 私の問いに対してあなたはほんとうに答えておられないのだが、労働者の團結はいいのです。私の言うのは福島縣の各地に起つたデモです。ことに平市に起つた警察占拠のようなことを、これは労働者として必然にやらなければならぬことだとあなたはおつしやつたというのですが、しからば必然にやつたことが正当なものという考えからおやりになつたのか。その点だけ聞いているのです。
○渡部證人 ぼくの言つたことはそういうことを言つたのではなく、あらゆるデモの形、そういうものをすべて承認するということを言つてない。そういうものを批判をやつたのではないと言つている。ここが問題でしよう。よく白か黒かというように問題を提出されるが、われわれが正しい真実と真理を語るためには、白か黒かと言われたとき、ある場合には紫であり、ある場合には青であると言うことが正しい場合もある。
○鍛冶委員長 大体わかつております。福島縣には公安條例の通つていることは知つておりますね。
○渡部證人 知つております。若松に行つて聞きました。
○鍛冶委員長 そうすると各地に起つたデモは公安條例に從つてやつたかどうか。それに対してはどういう演説をやつたのですか。それを聞きたいのです。
○渡部證人 ぼくはそれを考えて演説をやつたのではない。ぼくの演説の本質というものはそういうことではなくして、なぜデモが起きざるを得ないのか、それをぼくはいつでも言つている。このデモは法律の立場から言つてどういうふうになるかということを、ぼくは一々言うて歩くことをしなかつた。
○鍛冶委員長 いいですよ。それではもう一つ伺いますが、平市に起つたあの警察占拠事件は、あなたは正当なるものと見て平市で御演説なさつたのですか。それとも不正なものと認められますか。
○渡部證人 私は平の現実はこまかくしりません。一週間近くも経つてあとから私は行つております。しかし私の聞いたところによれば、平のあの問題は、私の判断の材料はこういうところにある。つまりなぜあの問題が起きたか。それがなかつたら問題は解決しない。この問題はなぜああいうふうになつたか。
○鍛冶委員長 そういうことではないのですよ。平市で労働者がやつたあの行為は不法なものと認めなかつたか、正当なものと認めなかつたか、正当なものと認められたか、こういうことを聞いているのです。
○渡部證人 私が今説明しているじやないですか。平におけるあの問題の初めは、日本の平地方における多くの炭鉱がみなつぶれかかつている。ごく少数の者だけが生きのびている。現に平の抗夫たちはもう食うものも食えない状態になつている。しかも四百数十名が首を切られた。これに対して平の労働者が反対した。
○鍛冶委員長 それはさつきからあなたが言われているからわかつているのだ。だから労働者は立たざるを得ないということはわかつた。
○渡部證人 そういう根拠を明らかにしなければ……。
○鍛冶委員長 それだから……。
○渡部證人 だから問題は、まず第一に平の掲示板の問題、この掲示板の問題は、そういう情勢その他の問題を正しく労働者に傳えるために、あの掲示板を立ててそういう掲示をしている。しかも警察の了解のもとに立てておいたものを警察で一方的にそれを取消して……。
○鍛冶委員長 あなたにその原因を聞こうと思つているのではない。こつちはわかつているのだ。
○渡部證人 そこで問題は一方的に取消すのは不当である。
○鍛冶委員長 それだから……。
○渡部證人 という考えから交渉しておる。その一方的に撤去することによつて労働者たちもわれわれの正しいことを傳える壁新聞が撤去されたという考えから、署長の方に交渉に行つた。そうして雨の中に立つて交渉しておつたために、代表たちが署長に会つて、雨の中では困る。そこでわれわれも中に入つて交渉した。そういうふうな立場から労働者が交渉の後にあすこに入つて行つた。入つて行つたときに、ここが私ははつきりわからないけれども(発言する者あり)見てないのだ。見てない。これを脅迫しておいて、これを弾圧しようとかかつたというふうなことが私には傳えられた。そうだとすれば、これは警官の労働階級の動きや、言論の自由に対する不法の弾圧であり、同時に脅迫であると私達は考えられたわけです。
○鍛冶委員長 從つて……。
○渡部證人 それだからやつた事件は堂々と正当のスクラムを組んで、雨の中だから中に入つてやらしてくれということを言うた。そういつたことは私は正しいと思う。
○鍛冶委員長 それからさつき聞きましたが、あなたが國鉄労組の者を駅前に集めて、先ほど私が言つたような演説をやられたということは間違いはないように思うが、その点は間違いありませんか。
○渡部證人 どこですか。
○鍛冶委員長 福島……。
○渡部證人 國鉄の労組に行つてぼくが話したという事実は全然ありません。
○鍛冶委員長 駅前へ労組員を集められたようですが……。
○渡部證人 集まつた中には労組員がいたかも知れません。
○鍛冶委員長 そういうのかね。それでは駅前で演説をやられたときにそこへ労組員が来たことは覚えていますか。
○渡部證人 来たでしよう。
○鍛冶委員長 そこでさつき私が言つたように、当局はGHQの名をかりて、労組員を弾圧しておるという演説をやられたことはありますか。
○渡部證人 GHQとは言いませんが、こういう演説をした。演説の根拠は……。
○鍛冶委員長 根拠はよろしい。
○渡部證人 演説は日本の警察は人民の自由な運動を弾圧する口実としてもあるいは弾圧した結果についてもよくGHQや進駐軍の命令だというようなことを言つておる。このことについては私ははつきりした根拠を持つておる。というのはあの公安條例が東京都で出されようとして、労働者が官憲によつて虐殺されて、これに対する抗議のデモが起きた。そのあとに私たちは丸の内署をたずねて、共産党の代議士二人、社会党の代議士一人、労農党の代議士一人、これだけが丸の内署長をたずねて、あなたたちは多数の労働者や市民や学生を検挙しておる。これは検挙するからには法的の根拠がなければならぬ。どういう法的の根拠によつて検挙されたのか、その点を明かにしてもらいたい。こういうことを言つた。そうすると……。
○鍛冶委員長 よろしい。長くなつてもいかぬから……。ただ私の言うのはGHQのことさえ聞けばいいのですよ。
○渡部證人 非常に不確かであつた。そこでわれわれはどうしてはつきり理由を出せないのかということを問うた。そこで……。
○鍛冶委員長 もういいです。私の聞かぬことを言わなくてもいい。
○神山委員 聞いてることを言つているのに、いいとは何だ。
○鍛冶委員長 よろしい。やめてもらいます。
○高木(松)委員 おとなしく紳士的にやろう。 〔離席する者あり、議場騒然〕
○菅家委員 証人は腹を痛めておられる、御病気だというので、先の二人の証人はかなり長く証人の控室に待つておられるのであるが、神山委員からもお話があり、御本人もまた胃腸を害しておるということで尋問することになつた。ところが先ほど来から見ておりますると要点をはずれた数々が多いので私は大体証人に質問をいたさないつもりでおつたりでありますが、その一つの理由は証人のことを私はよく知つておる。これは郷里を同じうしておつて、南会津に生れた方であつて青年時代より非常な模範的な青年だつた。(笑声)ところが私はしばらくぶりでこの間から國会に席を同じうするようになつてから名前は前々から知つておつた。われわれの後輩の後輩なので、この人の兄さんなぞと私に大体同じなんです。
○神山委員 何の話なんだ。委員長、演説させるなよ。
○菅家委員 しばらくぶりで会つたところがどうも共産党に入られてから非常に性格が一変されたように思う。それで私が今これから聞くこともあるいはむりかもしらぬが、なぜかといいますと先ほど委員長から尋ねられたことに線をそれたことのみをされる。同じ代議士でもこの間証人に立たれた土橋君に要領よく政治的に答弁をしておる。証人は政治の方は向きじやないんだ。(笑声)いや気にかけないでもらいたい。率直に私は言うが、間違つて共産党に入つて代議士に出された。仕方がなしに吉田内閣や何かを攻撃されている節が証言の中にはつきり現われている。(笑声)
○鍛冶委員長 簡單にやつてください。
○菅家委員 そこでお尋ねいたしたいのは、証人は平、郡山、若松等所々方方十三箇所において演説をされている。それに当委員会においてはあなたは平のは騒擾事件でないとおつしやる。これを何という名にしたらいいか。多数の四、五百名の者がかりに証人の言われる通りに、壁新聞というものを撤去されたことが警察の処置が悪かつたとしても、正当なる方法によつてこれの交渉ができるはずだ。徒党を組んで警察署に雨が降るからといつて入れといつたのは、雨宿りならいいが、棒を持つて行き、石を投げ込み、警察官からピストルをとり、警察の留置場に入り、そこにいた罪人を出したりするようなこと、これをわれわれに常識的に暴動という、これを騒擾と思わないというような考え方をする証人を非常に疑うのであります。今でもあなたは騒擾だという言葉を使うことはむりだと思いますか。私は平騒擾事件というのが常識的だと思う。一人二人が警察に行つて雨宿りをしたというのではない。大勢が押し寄せて、詰問をして火箸をもつておどかした。かりに証人の言われる通り、壁新聞というものが不法なものだといつても、そういう方法でやることは私どもは感心できない、いかがでありましよう。
○鍛冶委員長 証人答えていただきます。
○渡部證人 あなたの言われた内容については、私は聞いていないし、またわれわれが聞いたこととは非常に違つている。
○菅家委員 わかりました。もう一つお聞きしますが、廣田の工場には三つの労働組合があるが、その三つの組合の委員にお会いになりましたか。
○渡部證人 私の行つたころには三つの組合はありませんでした。私の行つたのは二十九日か三十日であつた。
○菅家委員 そのときには組合は二つありましたね。
○渡部證人 そのときにも組合は二つありません。大きな組合の中に七人くらいは足並みのそろわない人があつた。
○菅家委員 それではいい、あなたはお知りにならないのだ。大体この事件についてはあなたはただ無我夢中で一方的の話を聞いて発言をやつている。それであなたは檢事が不当だといつて若松警察署に陳情に行つておられるのですが、かりに檢事が不当だとするならば、どうして多数をたのんであそこに押しかけられました。あなたくらいの有力な人であるならば警察署に不当ではないかということで単独で交渉に行かれてもいいはずだ。百名も二百名も革命歌を歌い、赤旗を振り、多数の威力をかりて代議士が警察署に押し寄せるということはいかがなものか。
○渡部證人 それは先ほども言つたように、すでに私の行つたときには警察の前に多くの労働者たちがおつた。そして労働者たちが多く集つて、今警察と交渉しておるから私に来て見ておつてくれというので私は行つたのです。それで私は多数を引き連れて出かけて行つたということは根拠はありません。
○菅家委員 そこで私は証人のためにはなはだ遺憾だと思うのですが、自分の郷里に國会報告に行くことはけつこうである。しかるにあなたは多数の者と一緒に若松警察署に交渉に行かれた。この場合あなたはそれを制止して、おれが行つて交渉するからというので一人で交渉に行かれたのであればりつぱな態度だと思うのですが……。
○渡部證人 実に私はあなたの推奨されるような態度をとつたのです。というのは夜の一時近くになつても、労働者の人たちは今晩帰えされなければ居坐つてもやるという意気込みであつた。そこで居坐つてやることは皆んなが疲れるばかりでなく、周囲にも迷惑するので、どうか今日は散会してもらいたいということをむしろぼくなんか先頭に立つて強調したわけなんです。けれども初めのうちは容易にそれが聞き入れられなかつた。
○菅家委員 そうするとあなたは止めたけれども自分の力で止め得なかつたということですね。そこで先ほどあなたは平の駅前における壁新聞は正しいものである。それを官憲の圧迫によつてとりこわされるようになつたのでみんなが怒つて警察署に押しかけて行つたと言われたのですが、あなたにその壁新聞というのをごらんになりましたか。
○渡部證人 平は見ません。
○菅家委員 それから若松にも、郡山にも、福島にも電柱その他人のへい、あるときには個人の家の窓口にまでも見るにたえないような悪口雑言の文句を書いて張つてあつたのですが、あなたの目にはつきませんでしたか。
○渡部證人 あまり見ないですね。
○菅家委員 そうするとその証人に壁新聞が正しいとか正しくないとかいうことについての判断の証言を求めることは無理だと私は思う。私はここに現実の写真を証拠として持つて来ておるのであつて、この壁新聞が真実であるかいなかということはこれで立証されておる。それであるからこのことについてこれ以上この証人の証言を求めることはむだであると思う。 それからもう一つお聞きしたいのですが、あなたはあちらに行かれて立花小学校と駅前とで演説されておる。あなたの言わたことはこつちにはよくわかつているので聞く必要はないのですけれども、第五國会の報告として現在の予算、税金、食糧問題について演説され、そして世界の情勢というようなことで結論をしている。それには全世界の革命の近いことを言つている。そして次にこういうことを述べておられる。共産党が政治をとれば大資本、銀行を國営とする、物品税を廃止する、新しい憲法を制定する、中共及び朝鮮と密接な連絡をし、これらと力を合せて貿易を行う、そして新しい人民政府をつくることである、こうおつしやつておられる。そしてその次に人民政府の樹立はある、一部の者は現在では不可能であるように言われておるが、絶対的に可能である、この闘争はすでに始められておる、今度の事件は小さいようであるけれどもまつたく偉大な成果を納めているものだ、今や革命の時期は間近に迫つている、われわれはこのことを深く認識して革命に至るように努力してもらいたいと言つて、十時四十五分にあなたの演説は終つておる。こういうことをやられましたか。
○渡部證人 郡山ですか。
○菅家委員 これは郡山です。
○渡部證人 似たようなことはあります。しかし私が話すならば、もう少し科学的な話をしたと思う。
○菅家委員 あなたはその晩終つてから、郡山の地区委員会の事務所におまわりになりましたね。
○渡部證人 泊りません。
○菅家委員 まわられましたね。泊つた家は渡邊一弛君の家に泊られた。
○渡部證人 そうです。
○菅家委員 それであるから演説会が終ると事務所にまわられましたね。
○渡部證人 まわりました。
○菅家委員 そこは阿彌陀町十三番地、あなたはそこに間違いなく行きましたね。
○渡部證人 どつか知りません。
○菅家委員 おまわりになつたということだけでその内容はわれわれにはわからない。そこでこういうことをお聞きになつたと思う。それは郡山市があれだけの騒ぎになつて、日東紡績には五百名の者が押しかけて行つて門を破つて、深更何ゆえに平に行く自動車を貸したかと言つて責めた。その帰りには郡山の地区警察署に押しかけて行つておる。そのうちに事態が不安になつたので、MPが郡山に来てあなたの方の名前を問われ、佐久間勇君はそこにおらなかつたというので、呼び出しを共産党員だけが九名受けて、地区隊長から、社会秩序を乱すようなことはやつてはならない、それからデモはやめろというこの二箇條の、いわゆるあなたの方の党の言葉で言う確約書をとられたということをお聞きになつたでしよう。
○渡部證人 聞きません。その点についてお話ししましよう。ぼくがその地区委員会かどうか知らぬがとにかく行つた、それは確かです。行つてぼくが聞いた内容というものはまだわからないが、話合つた内容はそういうものじやなくて、現在の全日本の政治的な分析を党員たちがみなはつきり持つことが必要である。この政治的分析を話したわけです。その政治的分析について話せと言うなら二時間ぐらいかかります。
○菅家委員 あなたは身体が悪いと言われていたが、大分述べられたから……。
○渡部證人 あなたの言うようなこまかいことは全然聞きません。
○菅家委員 聞かないでけつこうです。実際先ほどから東京都の公安條例の問題の例を引かれて、虐殺ということが速記に残つておるはずであるが、そうお話になつたことは間違いでお話になつたのでしよう。ああいうことを虐殺と言いますか。
○渡部證人 それは労働組合なんかの方ではみんなそういうふうに報道しておるでしよう。そうしてあれが官憲によつて殺されたということは、民主的ないろいろの團体が調査團を派遣しましたね。御存じありませんか。
○菅家委員 そういうことも知つておるが……。
○渡部證人 その調査團によつてこれは官憲によつて殺されたのだ……。
○菅家委員 殺されたと言うならばよいが、あなたは虐殺されたと述べた。速記録には虐殺となつておる。そういう言葉じりをつかまえるのではないが、最初に来るとすぐあなたは平の騒擾事件は間違つておると言つて、宣誓前にあなたは委員長の前に責め寄つた。みずから言うことは一人死んだ、いかなる原因で死んだかは別として、これに虐殺という言葉を使う、そんな間違いだらけのことを言う者に政治をまかせるわけには行かない。そのために私は聞いておるのです。それ以上聞かなくてもよい。ああいうのを一人死んでも虐殺とは言わない。これ以上証人にお尋ねしてもむりかと思いますが、先ほど委員長が言われたように、各地における労働組合運動が、正当なる合法的運動であればだれでも何をか言わんやであります。福島縣における各種の労働運動というものは逸脱しておる、あれが労働運動だと思つておる。夜中に人の家に押し寄せて門を破つて脅迫暴行をしたというのは、それは労働運動じやない。警察がそれに対して取締りをするのは弾圧ではない。正当なる取締りと見るのが常識だ。共産党だけはそう言わないだろうが、普通一般の者はこれは常識だと思います。火箸を持つて公安委員をおどかして、戸をたたいて人の家に入り脅迫したということは、正当なる労働運動とみなすことはできない。あなたが福島へ行つて演説をされないと言うならば私は真相を言いたい。あなたは言つておられる。私にあなたが偽証だというような問題を起すといやだから聞きたくないのでありますが、管理部の前に多数の者が集まつたところにあなたは行つてやつておる。そこには國鉄の労働組合員ばかりがおる。あなたが演説されたことも速記に載つておる。しかしながらそれはあえてあなたが行かないと言うならば私は責めない。かくのごとくあなたの考え方はすべて福島縣でやつたのを合法的だとおつしやるが、公平に見て私どもはこれは合法的な組合運動とみなすことはできない。いたるところにおいて脅迫、暴行、暴動を越しておる。福島縣の事件を一方的だとあなたは言うけれどもそういうことによつてここで証言されるということは非常な間違いが起ると心配するから、最後にこういうことをあなたに申し上げてそれ以上あなたがしやべり出すと脱線して速記録にいろいろなことを残してかえつて証人のためによくないと思うから、この程度で質問は打ち切つておきます。
○渡部證人 その問題については私は日にちははつきり覚えないが、あなたの言う通りであります。それからぼくが煽動して事件が起きたという問題については、私はそれほど手品使いのような、奇術師のようなアジテーターじやない。私の言うことがもし勤労者たちの気持にぴつたり合つて全部の勤労者たちがそれによつて足れりとするならば、私の言うことが現在のこういう状態を引き起こした者に対して戦おうとする人たちの要求に合つているのだ。
○神山委員 第二に今あなたのおつしやつたようにあなたは手品使いじやない、あなたが煽動したのじやないということは事件そのものが証明しておる。たとえば郡山の事件というのは渡部君は知らないかもしれませんが、二十八日に始まつた事件です。そうして菅家君が非常に心配しているデモが起つたのは一日の朝から始まつている。午前零時三十分から始まつている事件なのです。あなたが行つたのは三日だから、從つて郡山事件に直接あなたが関連がないということは当然だと思う。あなたは奇術師でないどころか奇術を使えない。事件が起つたあとにあなたは行つている。そうでしよう。それから同じことですが、福島の問題というのは三十日に縣会に押しかけたということになるのでありますが、あなたが行つたのは四日だ。從つてあなたはここでも奇術師になれない。それから問題の平にあなたが行つたのは七月の六日であつた。從つて事件を去ること約一週間、ここでもあなたは奇術師になれない。また高萩の場合に問題が起つたのも七月六日でありますが、あなたが行つたのはそのあとの十何日かだつたと思うのです。そうでしよう。高萩にあなた行つていませんか。
○渡部證人 行つていません。
○神山委員 それでいいです。從つて本考査委員会で関連があるとし、これが共産党の謀略であり、特殊的には渡部代議士が手品使いに行つたということはことごとく日程そのものによつて反駁されている、こういうことでしよう。
○高木(松)委員 証人はいつ若松に行かれたと言つたのですか。
○渡部證人 二十八日です。
○高木(松)委員 その事実は新聞で報道されませんでしたか。
○渡部證人 ぼくが行つたことですか、どうもそれほどえらくなつてないものですから……。
○高木(松)委員 新聞で報道されることを合図に何か指令でも出していませんか。
○渡部證人 出していません。
○鍛冶委員長 では済みました。 —————————————
○鍛冶委員長 中村敬さんですね。
○中村證人 そうです。
○鍛冶委員長 あなたは高萩炭鉱中の千代田炭鉱の第二組合の組合長をしておられたことがあるようですが、いつからいつまでです。
○中村證人 昨年の十二月の十六日から本年の五月の六日夜までです。
○鍛冶委員長 千代田炭鉱で第二組合のできたのはどういう事情でできたのですか。
○中村證人 高萩炭鉱で終戦後組合活動が活発になりましたのは、終戦の年の四月でありますが、このときはまだ組合は中立でありました。その中立の組合が、倉庫の開放の問題から、あるいは職階制の問題、こういうものをひつくるめまして、爭議に入りました。そうしてただちに生産管理に入つたわけであります。それで日本でも珍しい生産管理に入つたために、非常に困難な問題が組合には多かつたことと思います。それでいろいろその紛爭を解決するために、四箇月間いろいろな友誼團体に援助を求めたわけであります。そしてその爭議が大体四箇月で終了しまして、組合側の勝利に終つたわけであります。そのとき産別系の全石炭に入りまして、それでいろいろの友誼團体から、あるいは共産党から、援助を受けたために、入党者が相当多く出て來たわけであります。そしてこの爭議によつて得たものは、非常に経営が民主化されて、そして非常に労組の発言権が、会社の経営内において強くなつたわけであります。これにまことによかつたのでありますが、ただこのときの千代田の組合の組合長の大須賀氏という人などは、今まで戦爭中は労働者が資本家に搾取されていたんだ。從つて今度は労働者が資本家を搾取する時期が來たんだ。そのためにはできるだけ多く怠けて、できるだけ多くの資金を獲得せよというようなことを大会の席上でもつて明言したのであります。こういう風潮が非常に強いことと、それから圧力をかけ、そして人に暴言を吐くことにより、すべてわれわれの要求が満たされるんだという間違つた観念を自然々々のうちに植えつけたわけであります。しかも次の年の、二十二年でありましたかの総選挙におきまして、組合は公然と共産党の候補を推薦しまして、その推薦によりまして、それに投票せよということを強制したのであります。ところがこれに対しまして、社会党も含みますが、社会党の候補者に対する運動をする、あるいは投票をする、こういうことが組合内にわかりましたときには、これは追放問題さえ起きておるのであります。そしてその個人の思想の自由さえそこでは完全に失われ、そして労働者の味方はただ共産党のみだ。こういう考え方が入つて來たわけであります。それでそういうことをしているうちに今度はいろいろの闘爭を経まして、二十二年の十月、十一月に山猫——普通保安闘爭と呼んだのでありますが、会社側では山猫爭議と呼んでおります。この爭議を起したのであります。その目的は團体協約でありますが、團体協約を締結するために保安闘爭をしたのであります。保安闘爭はおろか、サボ闘爭をやつて一日に一人あたり一カン、半トンであります、あるいは二カン、こういうように出炭を制限すると同時に、仕事は全然させなかつたわけであります。そのために非常な苦戦をしまして、ようやくサボ中の賃金は獲得しましたが、このころから大体第二組合の系統が出て來たわけであります。そのうちに最低賃金——中央におきます最低賃金制をめぐりまして、地方闘爭、職場闘爭で中央に圧力をかけると称しまして、各山元においてかん詰作戦に出た。このかん詰作戦によりまして一月、二月、三月にわたりまして、連日連夜坑長を——坑長というのは山元の責任者でありますが、この人を押し込めて、非人道的な交渉を行つたのであります。このころからいろいろ表面化しました組合内に二つの流れがあつたのであります。しかし片方のこういう交渉をすべきでないという意見は、完全に組合方針に反するものであるということのために、反労働者の烙印を押されたのであります。そして附近に大東労働組合がありますが、この大東労働組合の分裂問題のときに、われわれの同志社会党系の人が四人その反対の組合の大会に列席したという理由のもとに、これを除名、解雇しろということを会社に迫り、除名を申し渡したのであります。このことによりまして、表面化した二つの組合の同志が集まりまして、千代田、北方に第二組合ができ、それに続いて秋山が全石炭を脱退し、ついで千代田炭鉱に十二月の十五日に第二組合ができたのであります。この第二組合ができました最大の理由は非常に言論が抑圧され、また暴力的な圧迫が激しかつたことと、それからもう一つは会社側におきまして何らの——これは去年からメリツト制の時代が來るとかあるいは終戦のときからかねて予想していなければならないこの危機に対しまして、何らの策を持たないのみか、経理一本でやると、こういうような会社の方式によりまして、職制がめちやめちやになり、片方の組合はメリツト制、中小炭鉱の危機を唱えながら、山元におきましては、何らの策を施さす、ただただそのときの政府打倒、権力闘爭にばかり口を出していたのであります。こういうような事態にあつては山を復興し——非常に高萩炭鉱は今でも危險でありますが、閉鎖の危機が來ているときに、何ら自分の山の中に抵抗線を築かないということはいけない。これは労働者が自分みずからの手で会社の経営を民主化し、そうして自分らの手で山の復興案を立て、そうしてこの危機を乗り越さなければならないという意味において第二組合が立つたわけであります。設立理由は大体そういうようであります。それがいろいろ活躍しましたが、会社側は非常に第二組合を御用的なものと誤信しまして非常に私らの話を信用せず、われわれが経理の一部公開を要求したときにも、経理というものは見せるわけにいかないということを徹底的に言いまして、労働者の建設を認めなかつたわけであります。しかも片方におきましては、これらの要求は何ら價値のないものであり、吉田内閣を打倒しなければ、われわれの目的は達しないという一方のはさみ打ちを食いまして、非常な窮地に陥りました。そうして今度の問題の五月五月になつたのでありますが、五月五日、六日にわたり、暴力的脅迫によりまして、六日の夜退職手当の問題に関しまして、われわれが大会をやつているときに——われわれの組合は大体百四十人くらいおつたのでありますが、その中で四十人ばかりの第一組合員が取巻きまして今晩はなぐり込みだ。この合同に反対する者は絶対許すことはできないということを明言しまして、組合長以下全員が赤旗を持つて押しかけたのであります。われわれは先に千代田におきまして流血事件を見ておりますので、再びここに流血の惨事を繰返したくないという理由のもとに解散したわけであります。以上であります。
○鍛冶委員長 そこでいつまでその第二組合は続きましたか。
○中村證人 五月の六日です。
○鍛冶委員長 どうして解散したのですか。
○中村證人 ですから退職手当の問題に関しまして、停年者の退職の問題がからんでおりましたので、あの問題は縣労委に提訴して、堂々ともう少し大きな額を要求すべきだということを大会でやつておつたわけであります。そのまわりに第一組合の人が四十人ばかり取巻いて、今日はなぐり込みだ。だから即時合同を申し込んで來た。だから君らも大きな心を持つて無條件に合同してくれ。こういうような意味におきましてとりかこまれたために解散したわけであります。
○鍛冶委員長 脅迫によつて解散したのですか。
○中村證人 そうです。
○鍛冶委員長 そこで高萩炭鉱全体にわたつて、第一組合はどういう系統に属し、また地二組合はどういう系統に属していましたか。
○中村證人 第一組合は旧全石炭系の組合でありまして、現在は炭労、炭連に入つております。第二組合は中立でありますが、この前の平事件に関係しておりました添田事務局長の時代に炭労に申込まれましたがことわられました。今度の炭労によつては、早く入つてくれと言われております。これに中立で全然無所属であります。
○鍛冶委員長 日鉱系に入つておるわけではないのですね。
○中村證人 日鉱系には入つておりません。
○鍛冶委員長 今年の七月からの整理にからんで、相当紛爭が起つたようですが、その交渉途中に第一組合の人々は暴力的または脅迫的な圧力をもつて、この爭議を解決しようという情勢があつたと聞いておりますが、その点はいかがですか。
○中村證人 今度の事件ですか。
○鍛冶委員長 この事件が起るまで……。
○中村證人 会社に対しましては、私はその日は下の鉱業所におりまして、逐一見ておりますが、検挙の状況だけは見ておりませんが、実際にありました。
○鍛冶委員長 それはいつのことですか。
○中村證人 七月六日。
○鍛冶委員長 その前にいろいろ交渉しておつたようだが……。
○中村證人 話に聞いただけですが、柳沢さんが暴力的にやられたということは聞いております。会社側に対しましてほかに柳澤さんと北方に部長がおりますが、あの方がやられたという話は聞きましたが、そのほか七月六日には私が見ております。
○鍛冶委員長 いざこざはあつたけれども、大した暴力ということはなかつたわけですね。
○中村證人 第二組合に対してはあつた。第二組合は、私も被害者の一人であります。大体昔から非常に暴力的な人が多くて、徒党を組んで、青共員と称しまして、あるいは共産党員の中にも指導者がおりますが、この人たちは非常に暴力的に出ます。それで五月五日にはわれわれの組合の委員会にも三人ばかり來ました。それから六日には大会へ來ました。それからずつとなかつたようでありますが、一箇月ぐらいしましてから兒島伸昭という者が二人か三人にたたかれております。それから七月七に私は、山と高萩の町は六キロぐらい離れておりますが、山のポンプが危いという電話がありましたから、夜中帰りましたところが、デモ隊の帰りとちようど衝突しまして、私ら自轉車に乘つておりましたが、私ともう一人畦道のところに來ましたところが、約七十人ぐらいにとりかこまれまして、それで人民裁判みたいなものでしようが、いろいろ尋問されたわけであります。三十分ばかりして、それで話がつかないので、こういうやつは焼きを入れてしまえという話がありました。一時止めたようなかつごうになつておりましたが、私らが安心して、その連中を通り抜けまして、先頭にかからんとしたときに、自轉車が二台とも、私もつれの者も、自轉車は畑の中に突き飛ばされまして、立ち上らんとするところを十四、五人にたたかれました。一週間ばかりのけがをしました。右の目に打撲傷をおつたのです。私はそれは起訴しております。
○鍛冶委員長 告訴だろう。
○中村證人 告訴です。それから次の日は、私の家にデモをかけました。
○鍛冶委員長 それは七月八日ですね。
○中村證人 七月八日に私の家にデモをかけまして、私はけがをして下に降りておりますから、私の妻や子供しかおりません。それに対しまして、私らに何も解雇であるとか何とかいうことは触れないが、解雇を白紙に戻せ、あるいは不法檢東者、下法弾圧された者を釈放させるように援助しろ、こういうことは私らは全然権限外なのでありますが、こういうことに対しまして、すわり込みの戦術をとつたんです。それで知らせる者があつたものですから、私の家内も逃げましたが、しかしそういうことをして、また第二組合の方へデモをかけるとか、あるいは七月十七日ごろだと思いますが、第二組合員が四人ばかりこん棒でたたかれております。これは一人にくちびると目に十日間の打撲傷、それから一人は約十日間の目に内出血、それからもう一人は右の腕で棒を受けたために右腕をはらしております。それからもう一人は、二つぐらいたたかれましたがけがはない。こういうようなけがが続出しております。
○鍛冶委員長 それからさつき言われた七月六日に組合側が團体交渉だと言つて、重役その他を監禁してやつたという事実はいかがです。
○中村證人 私はその場におりましたが、最初尾島さんを暴力的にひつぱつて來ました。それでそのあとでそれの対策を練つている重信さんと柳澤さんのところへ手紙を持つて來てそれもまた拉致しました。これも暴力的です。その日はちようど雨が降つておりましたが、重信さんは三回ばかり水たまりの中へ突き轉ばされて、服もびしよびしよになつたらしいです。
○鍛冶委員長 部屋に入つてですか。
○中村證人 私は部屋に入つているところに見ません。しかしさわいでいるところはそと側から見ております。
○鍛冶委員長 どのくらいの人数でどのくらいやつておりましたか。
○中村證人 騒いだのが、大体一時半ごろから晩の七時半ごろまでだろうと思います。それで進駐軍が來たのが七時ちよつと過ぎじやないかと思います。進駐軍と武装警官隊と……。
○鍛冶委員長 進駐軍が來てからもずいぶんさわぎがあつたようですが、大体聞いておりますからよろしゆうございます。それからこの事件のあとにおいても、現在もなお炭鉱においては不安な状態が続いておりますか。先ほど第二組合員がやられたとか言つておいでですが。
○中村證人 高萩町は平靜に復しております。しかし山元におきまして、秋山と関口も平靜に復しておりますが、千代田と北方は警官隊が入れません。
○鍛冶委員長 秋山とはどこですか。
○中村證人 秋山と関口と言う一番北であります。しかし千代田は依然まだ青行隊が動いております。北方というところは檢東者がおりますので、警官隊が來たりなんかするとサイレンが鳴つたりしますから、非常に險悪であります。
○鍛冶委員長 今でも。
○中村證人 はあ。それから四、五日前だと思いましたが、職員の社宅が二軒、齋藤亟吉というもの、そのほか二人か三人でしたが土足で入りまして、ガラスが四十八枚くらい割られました。それから障子二枚くらい突き飛ばしております。そうしてその家の主人は逃げたと思いますが、奥さんに対しまして、一人殺すのも何人殺すのも同じだ、隠してあるところを救えないとお前も殺してしまうぞというような暴言を吐いております。これはおそらく個人的かもしれないと思つておりますが……。
○鍛冶委員長 それに対して警察は何もやりませんか。
○中村證人 調べることは調べたんですが、検挙も何も入つて参りません。
○鍛冶委員長 そうすると、山元ではなお不安な状態であるわけですね。
○中村證人 実際上まだあばれる人間がおりますので、会社に対しまして暴行を加えた者に対しては非常に厳重でありましたが、われわれに対しての暴行は何ら見てくれない上に、われわれの生命も危いという状態であります。
○鍛冶委員長 そこで町の方は平靜だというが、どうして平靜になつたか、それはおわかりですか。
○中村證人 大体あの事件は晝の二時ごろから八時ごろまでにかけて行われたもので、最初は雨が降つておりまして、夕方になつて晴れましたが、目撃者があまりに多すぎたせいであります。高萩の町には共産党の中央の方々が來られまして、高田代議士さんも少し行過ぎなところがあつたと言われておりますが、非常に目撃者が多かつたということが第一の原因じやないかと思います。もう一つに、急速に反共の線が強まりつつあるということも事実ではないかと思います。
○鍛冶委員長 反共の團体ができたというのですが、それは一部では暴力團がやつておるとか言う人がありますが、その点は実際どうです。
○中村證人 大体反共團体として私の知つている限りでは二通りあります。一つは町民同志会と申しますが、これは確かに腕力の強い者がやつております。これに何人おるのか私どもよくわかりませんが、相当のバツクを持つているらしいのです。片方の反共團体には非常にまじめな青年会というのがあります。
○鍛冶委員長 何と言うのですか。
○中村證人 民主化同盟と申しますが、これは労組の民同とは違います。
○鍛冶委員長 それに青年たちがやつているのですか。
○中村證人 大体三十人か四十人だと思います。これは政治團体ではないのですが、町に対しある程度の批判を加えております。
○鍛冶委員長 わかりました。それから闘爭中に高萩連合会最高闘爭委員会の闘爭指令というものが出たというのですが、その点御承知ですか。
○中村證人 知つております。
○鍛冶委員長 こういうのですか。
○中村證人 私の見たのはこれとは違つて縦書のやつであります。これでなくザラ紙のやつであります。内容は同じです。
○鍛冶委員長 それは一口に言つて見ればどういう指針ですか。
○中村證人 今度の七・六事件の跡始末をするというようなことが指針だろうと思います。
○鍛冶委員長 何かお聞きになりますか。
○塚原委員 簡単にお聞きします。証人は職場においてどういう部門を担当されておりますか。
○中村證人 坑内技術係員と技術部兼任であります。
○塚原委員 部長ですか。
○中村證人 ただの係員です。
○塚原委員 あなたはあそこに何年くらい勤めておりますか。
○中村證人 私は三年二箇月であります。
○塚原委員 終戦後二年目ぐらいから非常に左へ傾いて來たというようなお話ですが、現在あなたが考えて、組合の中にいわゆる正式の共産党員というものは何人ぐらいおりますか。
○中村證人 二百人くらいだろうと思います。もつともほんとうに動くのは五十人くらいだろうと思います。
○塚原委員 大体今度の爭議の断面というものを考えてみますると、この高萩炭鉱に働いている人々や組合員には、正しい民主主義というものが認識されていないというふうに私は考えざるを得ないのであります。まだ労働者としての正しい権利と義務との自覚もまつたく欠けておるというようにも考えられるのであります。民主憲法から流れ出た労働法規を正しく解釈し、正しく運用し、そして正しく労働権を守らなくてはならないと私は考えます。しかるにいまだ労働者がこの神聖な労働権をみずからふみにじつているように見えるのは勤労階級を自演していると断ぜざるを得ません。現在の日本の場合、政府が非常な決心をもつて行政整理を断行しようとし、大中小の企業者がそれぞれの立場から建直しの整備を行うというようなことをやるときに、失業問題が発生することは、これはもちろん自然であります。労働組合が賃金闘爭から最近失業闘爭に轉じ、互いに首切り防止に熱中するということももちろん認めなければなりません。ただ組合はややもすると、最もなまける者も、最も能率の悪い者もこれを一緒くたんにして、一律にただ團結の力で食いとめようと努めておるのではないかと考えられます。そうして一切の経済的要求というものを、何とかして政治闘爭に持ち込んで混乱を引き起し、國家の機構を麻痺させ、また地方の行政機関を混乱させようともくろんでおるように考えられるのであります。今度の高萩の問題にしても、こういつたことにかんがみて、高萩の組合がこういうものと揆を一にしていたということは、あなたはどういうふうに考えられますか。
○中村證人 要約して、もう一度願います。
○塚原委員 経済闘争を逸脱して政治闘争ばかりやつておつた、こういう組合のやり方に対して、もちろんあなたは第二組合の方ですから、先ほどの第二組合を結成したときの気分を聞いて大体わかりますが、今度の高萩の問題にかんがみて、どういうふうにお考えになつておりますか。
○中村證人 ただいま御質問がありましたが、私は必ずしも政治闘争が悪いとは言いません。政治闘争も大いにすべきであります。しかしわく内において基本的人権を擁護し、生活権を擁護して、そうして組合員が、労働者がお互いに手を組んで行くような闘争をやつていただきたい。これは特に指導者の方にお願いする次第であります。
○浦口委員 まとめて一つお伺いします。この事件後反共團体ができ、そのうちに町民同志会というものができたそうですね。それが腕力の強い者が集つておるということは、具体的にどういう人が集つておるかということと、それからもう一つは、相当のバツクがあるとおつしやつたのは、具体的にどういうバツクを指すのですか。
○中村證人 私も町民同士会の人に聞いたので、よくわかりませんが、茨城縣には各地に同志会がたくさんできているそうで、土浦にもあります。その人は、全國的な青年反共連盟だと称しておりますが、はつきりわかりません。それをやつておる人は、必ずしもやくざとは限りません。魚屋の息子さんあるいはすし屋の人、そういう人がかなり多いようであります。しかし中にはこの前の二十一年の七月ごろに高萩炭鉱におきまして、流血の事件を起しました。あの復讐をくわだてておるのではないかと感ぜられるところもあるので、あのとき負けた人も相当おります。
○浦口委員 その後この團体とあなたのおつしやる第一組合とに、具体的に何かトラブルのようなものは起きた事実はありませんか。
○中村證人 トラブルとしてはありませんが、引揚者の問題に対して何か起きたようなことを記憶しております。それからはり紙の件につきましては、最初はお互い破り合いをしておりましたが、やはり経費の関係か何かで、三日間はお互いに破らぬというようなことを協定しておるようであります。山元におきましてはトラブルは起きておりませんし、法律ざたも全然起きておりません。
○神山委員 中村さんにお尋ねしますが、今あなたは組合に属しておりますか。
○中村證人 ただいま第二組合に入つております。
○神山委員 第二組合のどういう役割をしておりますか。
○中村證人 執行委員です。
○神山委員 それでは組合長になつているのは間違いですね。
○中村證人 前組合長です。
○神山委員 今度いつお入りになりました。
○中村證人 今度は七月三十一日に結成されております。
○神山委員 つい二、三日前に結成されたばかりですね。
○中村證人 そうです。
○神山委員 それでその前は、本年の五月六日までは前の組合の委員長だつたが、五月七日にこれがなくなつた、こういうふうに先ほどおつしやいましたが、あなたの先ほどの証言では、脅迫されて組合が解散したというふうに言つておるのですが、あなたのお友だちに兒島保宏という人がおりますか。
○中村證人 おります。
○神山委員 この人は第一組合ですね。
○中村證人 そうです。
○神山委員 この人があなたの代りだと言つて話したところによると、そうじやないように言つておりますが、どうでしようか。
○中村證人 そうしますと、第二組合がまた新しく設立される理由もなく、また第二組合に集つて來る人もないと思います。
○神山委員 理屈はまさにその通りですが、五月六日あるいは七日といいますと首切りの問題が出て來て、何とかしなければならぬというときでしよう。そのときと、七月六日に事件が起つて、これはどうにもならぬというふうに考えたときとは、あなた方の気分にしても、また組合員の諸君にしても、ずいぶん気分が違うと思います。五月七日に解散されたときには、もちろん一方には、あなたのおつしやるように脅迫云々ということがあるかも知れない。しかし一方組合の分裂したのはうまくないというような気持もあつたのじやないですか。殊に首切りの問題があるので、そういう点があつたのじやないですか。
○中村證人 それは解散のときの事情をお話します。解散のときに、私は組合のことは労働委員会に提訴するのが正当である、こういうふうに考えておりました。停年者の退職問題に関して……。そのときに高山さんは全然違つていて、これは交渉の余地がない、革命の時期が來たのだ、こういうふうに明言されました。それで私は山元に帰りまして、党員ではありますが兒島さんは私の友人でありますから、私は極力職員部会で、そのときはまだ千代田の職員はわれわれの組合と行動しておりましたので、その職員部会において、正当なる縣労委に提訴してそれを早く解決して、それでなおまとまらない、あるいは会社側がこの縣労委の忠告を聞かないというときには、断固起てばいいじやないか、それまでは待つべきである、こう言いました。ところが兒島さんは、いや縣労委は権力のもとに動いている、從つて彼らの裁定を待つまでもない。しかも彼らに提訴すればわれわれの行動の自由は束縛される、われわれはそんな組合では一緒にやつて行けない、こう言われましたが、われわれの組合員があとで語つたところによりますと、脅迫的に感じて抜けたと申しております。しかし大会の席上では、事ここに至つてはやむを得ない、合同しよう、こういうことをみな申しましたので、私は個人の反対を組合に及ぼすことはいけない、こう思いまして、私は反対を声明しましたけれども、そのときは合同しました。それであとでみなが言うには、あのときには圧力で負けたのだ、だから今度新しくつくろうというので、今度は別な人が主力となつて組合をつくつたわけであります。
○神山委員 別の人と言うとどういう人ですか。
○中村證人 今平の組合員をやつております山本熊男という人と、それから今組合長をやつております大塚英吉、旧姓村上、それから奥政一、田口清一、この人たちです。
○神山委員 そういう人は、会社の職制ではどういうことをやつておりますか。
○中村證人 奥さんと田口さんは採炭夫をやつております。それから村上さんが機械の係員です。もう一人山本さんは坑内の保安夫です。
○神山委員 保安といえば保安委員会というのがありましたね。
○中村證人 あります。
○神山委員 これにあなた出ていらつしやいますか。
○中村證人 保安委員会の保安委員をやつております。
○神山委員 それはあなたどういうところから出ていらつしやるわけですか。
○中村證人 技術部から出ております。
○神山委員 それで第一回の第二組合と今度の場合とは根本的な精神には似たものがあるかもしれませんが、結成の事情その他についても、また主力になつた人も違うわけですか。
○中村證人 主力になつた人は大体同じです。
○神山委員 ここでひとつお尋ねしたいのですが、今のお話でも二十一年の七月の千代田鉱のときには暴力團が相当暴れたのですが、その後もこれに似たようなものが労務機関その他の名前で残つていることはありませんか。
○中村證人 ありません。労務はかえつて逆に動いて、職場管理の危險にさえさらされております。
○神山委員 そうしますと、暴力團が残つているとすれば、先ほどおつしやつた町民同志会の一部に残つておる人が、危險たというわけですね。
○中村證人 そうです。
○神山委員 それからあなたは前、幹部候補生をやつておりましたね。
○中村證人 私は幹部候補生をやつておりました。
○神山委員 それにしても山では相当長くいらしたことと思いますが、現在の炭鉱労働者の状態、また現在の保安の状態は、殊に常磐はあまりよくないのですが、こういう点についてどうお考えですか。
○中村證人 確かに生活は北海道、九州、あるいは昔私が勧めていたところに比べまして非常に劣惡であります。それから保安状況に関しましては、ガスや水の少いことで災害率は少うございますが、保安設備は非常にルーズであります。しかし浅いところを堀つておるために災害は少いのですが、ルーズなことは事実であります。
○神山委員 それからまた会社側にいろいろな不正なことがあるということを組合員諸君がよく訴えるのですが、これについては御存じありませんか。
○中村證人 会社に対する不正ということは私はよく知りません。
○神山委員 会社がやつている不正です。
○中村證人 会社がやつている不正はありません。
○神山委員 うわさをお聞きになつたことはありませんか。
○中村證人 うわさに大分北方の方でガーゼの問題とか何とかを出しておりますが、あれは別に会社がやつたわけでも何でもないと思います。
○神山委員 あれにもしやつた者があるとすれば、健康保險組合の人がやつたというわけですか。しかしあすこの責任ある地位に常務取締がいるということも……。
○中村證人 健康保險に関してそれほど強く言うなら、アルコールの事件にいたしましても共産党のある医師を追放するといつてその摘発をしておきながら二つに別れているらしい。片方の共産党の幹部あたりでありますが、これに事件が及ぶとなつたときに、これは至急もみ消したわけであります。こういう個人的な欠点について、一々露呈すれば、お互いに泥試合になるじやないかと思います。
○神山委員 ここにもう一つお尋ねしたいことは、坑内の保安状態その他をもつと聞きたいのですが、それをおきまして、労働者側が生産復興について熱意がないというようなことが一般に言われております。それであなたが言われたような、先ほど人の名前を言われて、さぼつて賃金をとるのがいるので、資本家を搾取するんだ、こういう軽率な言辞を言つた人が実際あつたかもしれない。しかしまた一方労働者が全力をあげて会社側と実行委員長その他をもつて、出炭を増加するために骨を折つたというようなことはありませんか。
○中村證人 出炭に骨を折つたということですか。まあ少いでしようね。炭鉱を復興するとか炭鉱復興案というのは、福島の方で大分パンフレットがおりますが、あれも私も熟読玩味いたしました。そうしているいるごもつとものところも多いと思います。しかし現実におきまして、たとえば個々の施設をどうするとか、あるいは生産方式を持たないということは、最大の欠点でないかと思います。それはなぜかと言いますと、一つの政策の下にやられたときに、一番弱いところが一番崩れるのです。ところが一番弱いところはどこかと言うと、高萩炭鉱である。茨城縣では矢郷なんです。こういうふうに弱いところがやられる。そのために山自体にも抵抗線が必要である。こういうことは私も痛感しております、リミット制反対、これは当然であります。それから吉田内閣打倒、これも当然であります。しかし人民政府樹立、これは私はわかりません。
○鍛冶委員長 簡単でいい。
○神山委員 それで私がお尋ねしたかつたのは北方鉱などはこれは先ほどここに來た常務取締役の方も証言しているのですが、現に四月の場合には五千トンの計画を突破して出炭量が五千二百トンである。それから発送が五千百トンだという事実もあつたということも言つている。ですからむりに出炭量を落したということを言うのではなくて、こういう事実も同時にお認めになりますか。
○中村證人 出炭の多い時期は終戰後一月や二月はありました。しかし実際総レベルから言いまして、あれだけの施設を持ちながら、一万三千トン二千トンを往復し、あるいは七千トンを往復したことがある。こういうことは山自体の抵抗線を、さらに弱くしたのではないかと私は思います。
○神山委員 あなたは経営者じやないので、あなたと議論してもしようがない。いろいろ実際に融資を受けていて、その融資を初めの計画通り使つていないというような問題に関連して來るので、あなたと私と言い合つていてもしようがないので、別の機会にすることにしよう。それで簡単にしますが、佐々尾という人を知つていらつしやいますか。
○中村證人 知つております。
○神山委員 この人が町の同志会と連絡があるということはお聞きになりましたか。
○中村證人 聞きません。
○神山委員 それからまた佐々尾さんが会社側と相当密接だということもお聞きになつたことはありませんか。
○中村證人 それは第一組合の宣傳として聞いております。
○神山委員 組合の宣傳として聞いておる。あなたはそういうことは関知せずですか。知らないのですか。
○中村證人 私は党時代いろいろお話聞きました。そのときは中立の問題とか何とかいうことがありましたりいろいろあのときはうわさがありました。そのとき高山さんのうわさもいたしました。その当時の党のことはおかしいなと思いましたが、今は会社も佐々尾さんは相手にしてないようです。
○神山委員 それでは、その佐々尾さんは、高萩町民同志会に入つておりませんか。
○中村證人 入つていないと思いす。
○神山委員 最後に結論としてお尋ねしたいのは、あなた先ほどおつしやいましたように、こういうふうな七月六日の事件そのものについては、あなたの意見もありましよう。これに対して第一組合側の反駁もありましよう。しかしこの首切りの行われた五十八歳以上の方ですね。この人々に対して、会社側が前に老後の心配をするなどと言つておつたということをお聞きになつたことはありませんか。
○中村證人 聞いております。
○神山委員 そうしますと、この点では会社が、事実問題として、書いた文書があるかないかという問題でなく、実際上今まで約束したことを破つたということをお認めになりますか。
○中村證人 停年者の解雇の問題につきましては、退職手当が前と同じだつたわけですね。それで老後の保障をするというのは、会社の言うことは、首を切つて、その後特に困つた者に対して臨時夫に雇うというような程度だと思います。それでこれに対しましては、私も全面的に会社のやり方は無慈悲であるというふうに感じております。
○神山委員 その次は、先ほどもおりしやつたことでありますが、現在の常磐炭鉱一帶の労務者もそうですが、現在の高萩の四つの坑も、またその四つによつて事情が違いましようが、相当生活程度が低いということもお認めになりますか。
○中村證人 認めます。
○神山委員 それからまたこの問題を解決するにあたつて、組合側に行き過ぎがあつたというようなことも言えるかもしれませんが、同時に会社側も相当無慈悲に折衝を引き延ばしたり誠意をもつてやらなかつたということは言えませんか。
○中村證人 もとより組合側として会社の悪いところをもちろん指摘できます。しかしそれを法の中でやらなかつたということが一番欠点だつたと思います。
○神山委員 いや、私は意見を聞いておるのじやなくて、その事実があつたかどうかということを聞いておる。どうですか。
○中村證人 たしかにそれはあります。
○神山委員 しかも最近経営者側が資金その他の問題で悩むようになつたという大きな原因についてお考えになつたことはありませんか。
○中村證人 あります。
○神山委員 それはどういう点でしよう。
○中村證人 しかしそれはそちらの方で言いますと、金融独占資本のあれでしよう。しかしまあそういう点もあるでしようが、ここに三原則、九原則、九原則というのは共産党でも認められた。その三原則、九原則に対しまして、非常に苦しい立場にある。これを打開して行くのが労働者だ。それを何とか打開して行きたい。こういうふうに考えております。
○神山委員 あなたが一つ間違つておる点は、共産党が九原則を認めたということをそのままおつしやることが間違いだ。これを労働者の利益のために行わなければならね。民自党にそれを資本家の利益のために行つておる。これも同時につけ加えなければならね。私が今結論的に言いたい点は、この九原則の資本家的な実行だ。これが特殊的に言えば、今度の配炭公團法の改廃の問題や、メリツト制の問題によつて刺戟されておるということはお考えになりませんか。
○中村證人 それはたしかにありますが、私の意見は、それだからといつて足もとをぐらつかせてはいけないということです。
○神山委員 その点をお認めになればいいのです。これに対する場合に、労働者が犠牲を拂わなければならぬということは、これはある場合に大いに考えなければならぬし、やらなければならぬと思う。このことは同時に資本家側がこれに協力するということが前提になつておる。そしてこれを切離してつぶすような政策をとつておるのは民主自由党だと考えないか。
○中村證人 しかし、それ以上に企業をつぶしそうになつているというのが共産党です。
○鍛冶委員長 議論はよせよ。 〔発言する者多し〕
○神山委員 この九原則を、民主党が資本家の利益のためにやつておるという点を認めたことによつて、私はあなたの答弁に満足します。
○中村證人 ああ、わかりました。私は民主自由党の前に立つて、犠牲者になつて、われわれ組合を民主自由党の犠牲にして、それをやろうという氣持はありません。 〔発言する者多し〕
○鍛冶委員長 討論をやつておつてはだめだ。——済みました。御苦労さん。大橋君
○大橋委員 ただいまの神山委員の発言中に、すでに委員長の許可を得て取消した証人の証言を引用しておられましたが、これは委員会の運営上いかがかと思いまするから、委員長から御注意あらんことを希望いたします。
○神山委員 私は委員長が取消された点を実は記憶していないのでありますが、あとで速記録をお調べになりまして、もし取消してあるとすれば大橋君の御指摘に從つてもいいのでありますが、ただ問題の内容は、今証人が立証したように、あの同志会というものの中に、暴力團的な人がおる。それにかつて暴力團であり、かつてばくち打ちであつた人がいるというこの事実さえ立証されればいいのでありまして、言葉が問題ではありませんから、どうかこの点は速記録をお調べの上、適当に処置されんことを望みます。
○鍛冶委員長 承知しました。 —————————————
○鍛冶委員長 馬上正明さんですな。
○馬上證人 はい。
○鍛冶委員長 たいへん遅くなりましたかち簡單に聞きますが、あなたは高萩炭鉱中の秋山炭鉱の労働組合長をしておいでになりますか。
○馬上證人 秋山炭鉱労働組合長馬上正明と申します。
○鍛冶委員長 いつからおやりです。
○馬上證人 現職についたのは今年の三月九日からであります。
○鍛冶委員長 あなたの方に第一組合と第二組合とあるそうですね。
○馬上證人 あります。
○鍛冶委員長 それは主としてどういう人々が第一組合をやり、どういう人々が第二組合をつくつているのですか。
○馬上證人 第一組合の性質を申し上げます。第一組合を支持しておられる方は昔から古くおられる方。これは一應この経歴を申し上げなければごの本質は出て來ないのでありまして、この発言を許していただけますか。
○鍛冶委員長 簡単に……。
○馬上證人 簡單に申し上げます。問題は昨年の八月、茨城縣の地方労働委員会の委員の改選当時、私たちの組合の中から佐々尾清という者を推薦しまして、労働委員会に自分たちは出したわけであります。この人の前歴は、皆さんも御承知のことでしようが、昭和二十一年の四月六日、あの高萩炭鉱の生産費理の指導者だつたわけであります。この人に私たちは信頼して、あの生産管理をやつたわけであります。この人を八月の労働委員会の労働者側の労働委員として推薦したわけでありますが、知事の裁定によつてこの人が落されたわけです。この事情によつてこの佐々尾清なるものが会社側と一年間の休戰協約と言うか、そういうことを個人的にやつたわけであります。それで私たちの組合はこれに対して非常に憤激したわけです。それというのは、團体協約が十二月二十九日に切れるというふうなところに、こういつまでも騒いでいたのではしようがないというようなことで、佐々尾清氏は停戰協約を結んだ、こういうようなわけであります。しかし私たちの組合の人は昔は非常に酷使された。実際みじめな生活の状態に追い込まれて生活をして來たということは、いろいろな悲劇があるわけであります。それというのは、昭和七、八年のあの不景氣の時代、まことに自分たちの耐乏生活と言うか、実際いろいろな悲劇、たとえば、夫婦生活をしておつて、子供が五人くらいある。賃金が安く、五人くらいの子供を抱えていれば、結局十時間、十二時間というようにむりをして、徹夜して働かなければ食えないような状態である。そしてその疲れから氣にゆだんが出て、落盤で死んでしまう。こういうようなあわれな状態が出て來るわけです。これを救つてくれるのが、今でも秋山炭鉱に残つている友子山中という、働く労働者の親分、子分、兄弟分という組織なのです。こういう人によつておかみさんが助けられて、またそのおかみさんに、親分が自分の兄弟分とか子分の中で、この連合いとして一緒にさせてもいいという人があつた場合に、その人と一緒にするわけです。ここで夫婦生活が成り立つて來る。それから私たち炭鉱労働者の中には娯楽というものがありません。映画もなければ、芝居も見たことはありません。それでおやじさんはこの生活にたえかねて、おのずとやつていることは花札とかそのほかのばくちをやる。そういうことで警察へ連れて行かれ、結局わかれてしまう。こういうような悲劇、そして自分たちがなんぼ働いても食えないという現状に押し込められているわけです。そこで残されたおかみさんや子供たちがみじめな状態になる。それを救つてくれるのは親分や兄弟分です。このしきたりがある限り——今度の第二組合の性質もそこにあるわけであります。こういう親分、子分のつながりを持つている人が、うちの方の組合をつくつているわけです。
○鍛冶委員長 それは第一組合ですか。
○馬上證人 これは第二組合です。それで結局私たち労働者は、人情というか、同情心が深いというか、こういうことに対して非常に憤激をするわけです。とにかく自分たち同志を裏切つたということに対して、いざこざ問題が起きるわけです。第一組合を支持する人は非常に自分たちが——私みたいにこの鬪争ということに対しても社会運動に対しても何ら知識がない——私は十六歳のときから炭鉱におります。現在三十六歳です。二十年も炭鉱に入つておつて、炭鉱の中の状況はよくわかつております。そういう関係で人が倒れたといえば、自分の命までも投出してこれを救つてやつたような事実もあります。こういうようにお互いに融和のとれた人の集まりの炭鉱なんです。そういう人が今まで組織していた自分の組合から別れて行かれたということに対して、非常な憤激をして、今の自分たちの第一組合は正しいのだということを信頼してくれているわけです。それで今まで自分たちの組合費が賃金の一%、それが今度の鬪争によつて五%になつた。五%出してもこの鬪争を支持する。それに労務加配米が出るわけですが、労務加配米も出してまでも自分たちの労働條件を守つてくれということを言われて、支持しているわけです。
○鍛冶委員長 それから本年の四月に、何か会社で停年制のようなものを実施するとかいうので、それ以來紛争が起きたそうですが、あなたの組合でそれに対して何か鬪争宣言を出したことがありますか。
○馬上證人 これは三月十五日会社側から出ております……。
○鍛冶委員長 あなた方の方から鬪争宣言を出したことを聞いている。
○馬上證人 その問題を申し上げなければ、ちよつと鬪争宣言をしたという理由が出て來ないと思います。それで三月十九日に会議を持つたのであります。ところが会社側に、経営合理化をはかれ、それに対して組合も各山別に黒字経営になるようにやれ、こういうことを言われたわけです。それで私たちは、では各山が黒字になつたならば新賃金を実施してくれるかということを言つたわけです。ところが全般的に黒字にならなければ新賃金は実施できない、こういうことを言われた。それも私たちの方から、各山の独立採算制をとるならば、社長独裁でなく、工場にこの権限を持たしてやつてもらいたいということを話したわけであります。ところが会社側としては、それはできないということを言われた。私たちは今度はその問題に対して眞劍になつて山を守るために、こういう案をつくりました。私は秋山ですから、秋山の例を申し上げます。今まで從業員が五百人おりますが、これによつて四千五、六百トンぐらいしか出ていない石炭を、五千トン出すという計画をしたわけであります。こんなに対する資料の節約、これなんか一々自分たちが計算して、五千トン出す一トンの炭代を二千円に見積もつたわけであります。そして労務、資材全部を引つくるめた経費が大体千九百四十円ぐらいになるというトン当りの計算を出したわけであります。その中にはこういう矛盾があるわけです。本社費というものは、常磐各山どこを聞いてみても、せいぜいかかつても百円までかからないというのに、高萩炭鉱の場合はトン当り五百円かかるのであります。それを檢討して四百五十円に切詰めた。そういう経理状態をつくつたわけであります。それを組合にはかつた。今まで五千トンは出せなかつたが、自分たちが出さなかつたら山の経営は成立たないし、自分たちの仲間から犠牲が出るということを話して、ここにむりにこのことを委員会にはかつて、また職場会議にかけて、これを承認してもらつたわけであります。これも会社側から、これに対する責任を持てと言うわけです。私の方は、自分が経営しているのではない、組合の立場からこれに協力するということでやつてもらいたい、とお願いしたわけです。ところが責任を持つてくれなかつたら困ると言う。そして三月十九日にこういうことを言われております。年とつていても、まじめであつても、一生懸命やる人であつても、年とつていて能率の上らない人は首にする。若い人であつても怠ける人は首にする。異議を言わせないわけです。そういうことがあるので、そういうことをにらみ合わして、私たちは大衆によく諮つて、こういうことを責任を持つということになつたわけです。そういう犠牲者を出したくないというところから、この責任を持つということになつた。この案を組んだのは四月であります。四月は発送で五千百トン出ております。出炭が五千百八十何トンという成績を上げております。これはみんなが眞劍になつたので、四月の実績がこういうように上つたのです。それに対する経理面はどうであるかということを、私たちは会社側に聞いたわけであります。そのときには実行委員会というものを、会社側六名、組合側六名でもつて組織して、こういうふうにりつぱにやつていける経営をひとつ実行に移してもらおうじやないかというので、この実行委員会を自分たちはつくつたわけです。それでいざ規約をつくろうというときに、この規約を否決されて、長引かされたのです。こういう問題を自分たちがやつたのに、会社はこれに対して協約を無視するとか、前の二月一日から有給休暇も出さないとか、女の生理休暇は三日とつてありますのを、出さないということになつて、結局ここに盛り上つて鬪争宣言をしたわけであります。
○鍛冶委員長 そこであなたの方から労働委員会に提訴したそうですね。それはどういうことを提訴したのですか。
○馬上證人 それは、提訴した理由は……。
○鍛冶委員長 理由でない。その問題はどういうことを提訴したか。
○馬上證人 問題は、五十八歳の人が首切られたわけであります。
○鍛冶委員長 いわゆる停年制だね。
○馬上證人 これは、会社側では停年制と言われますが、私の方では停年制でないということをはつきり言えるのであります。というのは、会社の就業規則、これは私たち労働者に與えられた一つの規約でありますが、この就業規則の第三十三條に、こういうことがあるわけなんです。この規約には停年制を五十五歳にする。いろいろ技術を待つた者、会社に使えるというふうな人間は、二年延ばして結局五十七歳までやる。この問題がはつきり就業規則にはうたつてありますが、この問題に関しては、会社と組合が一つの了解事項を持つておるわけです。というのは、中央でもつて退職金がきまつた場合は何歳を停年制にするか、それをいつから実施するかということを了解事項に入れておるわけです。そういうことを無視されて、ここに五十八歳以上の人を首切るということになつたわけです。五十八歳の人が首切られた退職金というものは——四月二十日までにやめられた人までやつている退職金を出すということは、三年間勤続した者に対して……。
○鍛冶委員長 それはわかつておる。
○馬上證人 首切られた人の退職金が少いわけです。実際一箇月暮せるか暮せないような状態です。もう一つの憤激というのは、こういうことがあるわけです。戰争中勝つためというので、実際年取つた人が一生懸命働いたわけです。
○鍛冶委員長 提訴の内容ですよ。
○馬上證人 提訴の内容はその問題からです。
○鍛冶委員長 了解事項を無視して退職者が少いというのでしよう。
○馬上證人 あと團体協約を無視しておること、もう一つに幹部の首切りをやつて来たわけです。十一條違反、二十一條違反、これによつて告訴しております。
○鍛冶委員長 それから六月二十三日に田那邊正男という北方の坑長に、あなた方何か折衝されたことがありますか。
○馬上證人 私は折衝しておりません。というのは、秋山鉱と北方鉱の間が約半道あります。こういう関係で、私の委員会において聞かれた状況は、この問題に対して出たことは、自分たちが積んである石炭の歩切りを、今まで二分くらい切られたやつが、四分も五分も切られておる。同じ石炭を出していて、なぜこういうふうに切られるかという問題が発端になつて交渉したということだけは聞いております。
○鍛冶委員長 北方でやつたんだね。
○馬上證人 北方でやつたということは聞いております。
○鍛冶委員長 今度は七月四日に高萩の警察に行つて何か交渉せられたことがありますか。あなたなり、あなた方の組合なりが……。
○馬上證人 私に七月四日には警察に行つたことはないのですが、七月の事件のあつた六日の日に私は警察に行つております。
○鍛冶委員長 その前、四日に……。
○馬上證人 四日にはありません。
○鍛冶委員長 ほかの人は行つたことは知りませんか。
○馬上證人 聞いておりません。
○鍛冶委員長 それから今度は六日に、今さつきからあなたが言われる問題で團体交渉をやるというので、会社とたいへん紛争が起きたそうですね。そのときはあなた方出ておりましたか。
○馬上證人 出ております。というのは、七月六日に今度中央できめられた賃金の問題に関して、会社側から交渉したいということ。申入れがありました。第一回目は七月の一日にやつております。そのときは会社側から説明だけ聞いております。その説明の内容を申し上げますと、中央協定の……。
○鍛冶委員長 六日のを聞きたいのです。
○馬上證人 六日の日には、私たちは十時からやると言われたので、十時までにあそこに行つたのでありますが、いろいろ会社側の関係その他で集まらなくて、集まつたのは大体十一時ごろだつたと思います。そのとき、いざ話合いになろうとしたところが、重信重役の方から、こういうことを言われております。私たちの代表、連合会長の中島豊、大坪馨、この者に対しては会社は解雇しておるんだから、あなたは遠慮してもらいたい。それで組合としては、組合員から選ばれた代表である、私はここへ出る権限を組合から持たされて來たということで話をしたわけです。ところが会社に一方的に、あなたは首切つておるんだから話にならぬということも言われたわけです。そこでいろいろな紛争が起きて、第二組合も一緒にいたので、第二組合の武田という人から、第一組合、第二組合の性格の話が出て、いざこざしたわけです。それでもつてその会は一應解散された。
○鍛冶委員長 それから後重信常務その他部長なぞを個別的にどつかに引張つて行つて、團体交渉といつてずいぶんいじめたそうだね。
○馬上證人 その点に私はわからないのであります。というのは、私のいた時間だけ申し上げます。午後一時から第一組合と交渉を持つ、第二組合は第一組合が終つたあとということを言われた。自分たちが晝飯を食べて事務所に行つたのが一時十分ぐらい過ぎておりました。そのとき第二組合の人が集まつて会社側と交渉しておつたわけです。自分たちは、こちらの、トラツクの運轉士が休む控室で休んでいたわけです。第三組合の人が出て行つたわけです。そのときは相当雨がひどかつです。自分たちが入つて行つたところが、今度会社の言うのには、第一組合に山別にお話したいということを言われたというので、自分たちの交渉相手に秋山鉱の鈴木坑長、千代田鉱の海老澤坑長なのですが、自分たちが入つて行つたら部室におられたわけです。自分が入つて行つて、連合会の組合は一緒なのだし、話は同じなのだから、一緒に交渉を持つてもらえないでしようかとお話したところが、そのときは重信重役とか柳澤所長、こういう偉い決定権を持つておる方がおられない、で、各山別にやらなければならないというお話になつたわけですね。それでも自分たちは、連合会の基本線は同じなのだから、ぜひ一緒にやつてもらいたいということを話し合つて行つたわけなのです。その話合いをしているうちに、向うの別な新しい事務所の方では、関口鉱というところの組合の代表と関口鉱の小島坑長が交渉しておられました。お話していたわけです。そのとき自分たちはこちらにいたので、あまり中の空気はわからない、離れているのですから、自分がこちらにいて聞いて、千代田の人とこういうふうでは話に持てないというところから自分たちの仲間で話したところが、解雇者の話が出たわけです。関口鉱では昨日山元で交渉を持つた、そのとき今日の交渉——七月六日の交渉のとき首切り理由を話するからと言われて、関口鉱の交渉は一應解放したというような話を自分たちはしていたわけです。そのとき関口鉱の中でいろいろ首切りの理由を話してくれということを一緒に話していたわけです。私の方では坑長もいなくなつてしまつたし、海老澤坑長もいなくなつてしまつたので、これでは話にならない、あとから來ようじやないかということになつて、自分たちはそこを引揚げたわけです。相当雨が降つていました。
○鍛冶委員長 そのときはずいぶん騒ぎになつて、とうとう終いに進駐軍がジープで來て、ようやく救い出したというのですが、その事実はあなた知りませんか。
○馬上證人 知つております。
○鍛冶委員長 あなたはそれで、またどうしていつ戻つて来たのですか。
○馬上證人 連合会から自分たちの山元へ電話がかかつてきたのです。こういうわけで下で團体交渉を持つている、それであなたは代表だから下つて來いと……。
○鍛冶委員長 向うへ何時ごろ行つたか。
○馬上證人 着いたのは七時ちよつと過ぎておりました。
○鍛冶委員長 戻つたときは騒いでおりましたか。
○馬上證人 私が行つたときは、話がまとまりそうなのだといつて、中から交渉に出ていた花田富一郎という人が関口鉱の代表で出ていたわけです。
○鍛冶委員長 そのときはジープは来ておりませんでした。
○馬上證人 来ておりません。それで私にさつき警察が非常命令を発するからということを言つてきた、このことに対して警察に交渉に行つてくれないかと言われて、警察に行きながら交渉の過程を聞いたわけです。今五十八歳の人の首切りと六十名の首切りを白紙に返す、それで今後どうなるかというところの小委員会を持つているから、警察に行つて話をしろ、警察に行つてなぜ非常命令を出すのか、どうするのかということを交渉して來ようじやないかということを言われて、自分たちは警察に行つたのです。ところが國家警察署長の笹島さんと大友署長もおられました、あと部下の人が五、六人おつたわけです。そうして私と花田と小野寺明と三人の者が行つて、今十分か二十分でもつてこの話がまとまるから、警察の方で非常命令を発するとか何とかいうことを言わずに、この問題が調印すればあとにもう團体交渉をもつて一應白紙に返してくれると言えば、首切られた人はもうほんとうに眞劍になつて、自分たちはこの問題を解決つけるのだから、何とか警察を動員することにやめてもらいたいということをお願いしたのです。そのときに十分間ぐらい話をしたのです。ところがジープがプーつと來て、MPの人が先に入られて、その後に通訳が来たわけなのです。通訳というのは二世だと思います。
○鍛冶委員長 それでシープに向うに行つたか。
○馬上證人 それで私が署長の前で話していたわけなのです。こういうわけで何とかまとまるのですから待つてくださいと。ところが國警の警察署長はMP來る前に私と話したことはこういうことです。この事件というものは、私は警察がこの問題に干渉することは彈圧だと思う。ところが署長の言うのには、町民がこういうことを黙つて見ているのかとか、いろいろなことを言われているとか、何だか警察がほんとうにやるのだという氣持がないように言つておられるのです。
○鍛冶委員長 ジープにどうしたかそれを聞きたい。
○馬上證人 その話をしているときにMPが來られて、私の肩をどけて、通訳の人が三名の者はどうかということを言われた。すると國警の署長さんが、いまだ三名の者を監禁中だということを言つております。それで私は、おかしいじやないか、私たちは監禁も何もしていない、團体交渉を持つているのだということを言つたのです。ところが署長二人を乘れといつて連れて行つてしまつたわけです。
○鍛冶委員長 それであなたたちはあとについて行つたか。
○馬上證人 出て行かれたので、おかしいということになつて、自分たちはあとをおつかけたわけです。自分たちが行つたときにはジープが裏へまわつて、重信重役が中に乘つていたときなのです。
○鍛冶委員長 そのジープを止めるのに何かスクラム組んだり寝たりして止めたそうだが、あなたに入つておりましたか。
○馬上證人 スクラム組んだ中には入つておりません。
○鍛冶委員長 寝た中には……。
○馬上證人 入りません。
○鍛冶委員長 押した中には……。
○馬上證人 入りません。
○鍛冶委員長 入つていなければそれでよろしい。
○馬上證人 それでこの事情を重信さんに話していたとき、向うの二世の人がこのままで置くならば檢束しなければならないということ、言われたわけです。私は何もしていないのに檢束されてはおかしいと言つて、中島連合会長のところに行つて、事務局長をやつている武田航三と三人で話をして、この問題を何とかしなければ困る、結局檢束者、犠牲者を出すことはおれたちの本意ではないから何とかしようじやないかと相談して、自分たちは阻止したのです。やめさせたのです。そうしてインターを歌つて帰そうということになつてジープを帰したわけです。
○鍛冶委員長 それでわかりました、よろしい。
○神山委員 それに関連して聞きますが、今委員長が聞きましたジープの前に人が寝たとか何とかいうことは、先ほどからの証人で明らかなのですが、そのジープの出て行く場合に、けが人が労働者の側から出ておりませんか。
○馬上證人 出ております。自分のところの秋山鉱の永井俊夫、内田義郎。
○神山委員 どこをけがしたか。
○馬上證人 ジープが來るので自分たちがスクラムを組んで阻止した、そのときにジープにやられて倒れたのです。
○鍛冶委員長 ジープが動いたのか。動けなかつたのでしよう。
○馬上證人 ジープが入つて來るときやられたというので、入つて來たときは本人が事務所の中に寝ていたのです。
○神山委員 そのときにおまわりさんからこん棒でなぐられたとか何とかいうことはありませんか。
○馬上證人 それは自分たちジープを帰して、警察の人がみな引揚げて、そのあとで町民大会を開いたわけです。それで今まで自分たちは首を切られて、六十日間も賃金をもらわない。それで会社に團体交渉をせい、こういうことを大会でやつておつたわけです。それで自分たち大会のときに、警察の方が緊急逮捕すると言つて入つて來られたわけです。そのとき自分は事務所の中にいたのです。それで書類や何か持つて行かれる。で、持つて行かないでくれというので阻止した。このとき事務所へ土足で上つて、なぜ緊急逮捕するのかということで小ぜり合つた。
○鍛冶委員長 そのことより泥棒でなぐられたのはだれですか。
○馬上證人 なぐられたのはうちの古川君、この人はそのときひつぱつて行かれた。
○神山委員 会社側にいろいろ不正があると言われておりますが——その前にもう一つ聞きたいのは、あなた方の團体交渉を会社が避けて歩いたということはありませんか。
○馬上證人 それはあります。
○神山委員 一番あなた方にとつて手痛かつたこと、交渉すればまとまると思うのに、断わられたというようなことがあつたら言つてください。
○馬上證人 それは七月の十八日の労働委員会でもつて、六月の八日に北方鉱の田中昭二以下六名の首切り、あと六月十一日に私以下七名の首切りが提訴されておる。その労働委員会でもんだわけです。結論においては、首切りとかそういうときには就業規則が生きておると会社側では言う。組合側では有給休暇とか、あと五十八歳の首切りに対しては、この就業規則は有効でないとか、改正しておるとかいうことを言つておる。これに対して労働委貸金としての結論は、今少しく組合と会社で團体交渉して、この問題を解決するようにと言われた。それで労働委員会の労働者側代表一名、中立代表一名、資本家代表一名、この三名で團体交渉を持たせると二十日の日に來られたわけです。そのときに会社は完全にこの労働委員会のあつせんも拒否された。自分たちにこのときはほんとうに誠心をもつてこの問題を解決つけようと思つておるのに……。
○神山委員 それから今のと関連してお聞きしますが、七月十五日に軍政部の指令が出て、労資双方それぞれ五名ずつ出て協議会を持ちましたね。そのときの申合せはどうなつておりますか。
○馬上證人 そのときは労資双方から五名ということになつておりますが、第一組合から各山二名ずつ出されることになつておるわけです。それで首切者は話しないということを軍政部の方から断わられております。それで出たのは私一人であります。そのときの約束は、團体交渉を持つても脅迫とか暴行をしたときには、その委員会を解放させる。そうして新たに組合の代表を選び直す、会社側も代表を選び直す、そういうふうにしてやれ。もう一つさらに言われたことは、そういう場合に会社は組合を労働者だという見方でなく、お互いに人間同志の話合いであるというクリスチヤンになつて、この話合いをやつてもらいたいというようなことを言つておる、さらに條件をつけられたことにこの團体交渉の中には解雇者に入れる方ということを、言われております。私はこの点について解雇者を入れないでも話はできる。しかも労働組合法の第七條によれば、組合の推薦によつた代表は交渉を持てるとあるのに、これはちよつとげせない。この回答をあとでやつてもらいたい。私一人の見解では、連合会の代表でなく、秋山鉱の代表だけで、連合会の代表としてそういうこと言えませんからということで、その場を打切つて、十八日の午後に來れば、民事部のスチユアート中尉が地方から帰られておるから、そのときに來てもらいたいと言われて、十八日に自分たちは行つておるわけであります。
○神山委員 その結果はどうなりましたか。
○馬上證人 そのときに行つたのは首切り者も入つております。結論に軍政部の言うには、解雇者も入れて話をしなければこの話はまとまらないということを結論として出してくれたわけです。
○神山委員 七月十六日に千代田坑や北方で檢挙が起つておるが、このときの檢拳の模様をおおまかに知つておるところを簡單に話してもらいたい。というのは先ほど署長に聞いたが、不法なことをしていないというが、私らの調べたところで相当乱暴なことをしておるように思うのであなたに聞きたい。
○鍛冶委員長 相当乱暴なことをやつておるか。
○馬上證人 それに十六日の午前三時半ころ警察が上つた。私は現地にいたわけでありません、情報によつてわかつたことでありますが、見ていた人の話では、四百名くらいの警官が上つた。そうして炭鉱の長屋はつながつておるのですが、ここを百名くらいの警察官が取巻いて要所々々に立つて、寺門とき、この者が檢束される場合はほんとうにシミーズといいますか、あれ一枚で寝ていたところを警官が戸を開けて土足のまま上つて行つてつかんだということを言つております。それに高山慶太郎氏、この人が檢束されるときは、この人は身体のぐあいが悪くて家に帰つて養生していたわけですが、これを寝込みを襲う、この人を取巻いて押えて行つたということを聞いております。
○神山委員 その場合に進駐軍は行つておりませんか。たとえばジープとかトラツクとかサイドカーをずいぶん持つて行つたらしいが、そんなことは聞いておりませんか。
○馬上證人 そのときは來ていないと聞いております。
○神山委員 サイレンを鳴らしたという話があるがどうです。
○馬上證人 それは結局明け方ですね。このときは自分たち從業員はそういうために仕事に入れなくなつたわけです。というのは七時過ぎていろいろごたごたして、問題を起こして入れなくなつた、こういうことでは困るというので、結局サイレンによつて早く動員してそういう問題ができないようにというふうなために、サイレンを組合は設備したわけです。
○神山委員 組合側が鳴らしたのか、警官は鳴らしていないか。
○馬上證人 警官の方に鳴らしたということを聞いておりません。
○神山委員 それからどうもあなたのところの組合は荒つぽいらしいが、一般に鉱山のようなところに荒つぽいらしいのですが、秋山鉱のことを聞きますが、五月二十何日かに坑長の家に雷管をぶち込んだということはありますか。
○馬上證人 それはありまえせん。雷管をぶち込んだということを新聞に出してありますか、全然ありません。ただ道路におつこちていたことは事実です。
○神山委員 それから組合で指令を出して、竹やりをつくれということを言つたことがありますか。これは署長だけが竹やりの現物を見ていないということを確認しているわけですが、そういう指令は出したことがありますか。
○馬上證人 ありません。
○神山委員 それからあなたの方に直接関係がなければいいのですが、五月九日にダイナマイトを五キロ、組長の責任をもつて持ち出したということを言われておりますが、こういうことをお聞きになつておりますか。
○馬上證人 そういうことは聞いておりません。
○神山委員 それから暴力團が相当にやはりいるんじやないかと思われるのですが、どうでしようか。
○馬上證人 暴力團というのは山にですか、——山には暴力團はおりません。
○神山委員 これは先はどの第二組合長の証言と一致するわけですが、高萩町にはどうですか。
○馬上證人 高萩町にはおります。というのは、あの千代田鉱の乱鬪事件の残党が残つておるわであります。
○神山委員 この人たちが今の高萩同志会というものの一つの中心になつておるわけですか。——同志会というものが高萩町にできているそうですが、それを御存じですか。
○馬上證人 知つております。
○神山委員 そこに今あなたのおつしやつた千代田鉱事件のときにあばれた人が残つておるわけですか。
○馬上證人 その同志会の中には千代田の事件に関係している鈴木栄松という者が入つておられます。
○神山委員 それから佐々尾清という人の話が、先ほどあなたの話の中にも出ましたが、この人は今は何をしておりますか。
○馬上證人 佐々尾清は北方鉱の坑務部係とかいうような名前で出ております。それで現在は、この七月六日以降、事件後は山におられません。
○神山委員 どうしていなくなつたのですか。
○馬上證人 いなくなつたというのはこの北方鉱の第二組合から、これの責任追究問題が委員会に出ているわけであります。それというのは佐々尾清があまりにも会社との連繋をとつているというためな悪評が飛んでおる、こういうために第二組合の不利である、このためにこの者に対して責任を追究する、それによつて第二組合を脱退しない場合は第二組合として除名をするという委員会の決議がなされておるわけであります。その決議をされてから、佐々尾清に山に上つて來ていないということは事実であります。
○神山委員 この佐々尾清に会社側が相当金をつぎ込んでいるということを、一部言つている人がありますか、本人も告白したというようなことも聞いおりますが、これは事実ですか。
○馬上證人 それは昨年の二月の初めごろだと思います。高萩炭鉱に反共連盟というものが組織されたわけであります。この反共連盟ができたときに、それに続いて第二組合というものができて来たわけであります。それで第一組合と第二組合の小ぜり合いによつて、結局第二組合から第一組合に帰つて来た人の言によりますと、二月十六日に最地という人と佐々尾清が会社から五万円もらつている。それによつて反共連盟というものを結成したことをはつきり聞いております。
○神山委員 私が最後にお尋ねしたいのは、こういう七月六日のような事態が起り、そうして七月十六日のような大檢拳が起り、さらに七月二十八日にまた相当大きな檢挙が行われておるのであります。これが一部の人々に不安を與えておるということは事実と思いますが、山の労働者諸君は、こういう事件を通じて現在どんな氣持でおるでしよう。
○馬上證人 警察に対して恐怖心は持つております。しかし依然として作業の面においては何ら動揺することなく生産はしております。
○神山委員 生産しておる。しかもこういうふうな苦しい経済状態に追い込んだその一番大きな原因はどこにあると思いますか。
○馬上證人 この苦しい経済状態に陥れたということは、会社から中央でもつてきめられたはねかえり金が、工員一人に対して九百円出ることになつております。こういう差額金がもらえるのを出していないという事実、それに二月、三月の差額も出ておりません。それに今度中央できめられた、四月から六月までの賃金のうち加配米の米價のはね上り金が一人手取り百二十円、これも支給されておりません。こういうような状態において非常に生活は苦しくなつております。
○神山委員 あなたの会社の社長は、高萩で上つた利潤をほかのところに相当つぎ込んでいるということを聞いておりますが、あなた方それを聞いておりませんか。
○馬上證人 これは私が前の連合会長をやつた当時、高萩新坑という問題が持ち上つて、ここにおいて社長に高萩炭鉱を憂えて高萩新鉱を開発するということを言われて、その融資を相当受けております。そのときに望海鉱というものができていたわけであります。この望海鉱というものは、千代田鉱に坑長をやつておられた長谷川龍三氏、この人が千代田鉱の乱鬪事件によつて一應千代田鉱を退散したわけであります。この人が関口鉱の坑長として、今やつておるわけであります。こういう関係で、自分たちの仲間にいたときは、この関口鉱から七百トン、五百トン、六百トン、七百トンと、月々に百トンずつくらい生産をしたのですが、二千トンくらい出るようになつてから、この山が切り離された。それにもう一つは秋山鉱にある四坑開発という議題が持ち上げられて、これによつて会社は相当融資を受けた。それでその名目——山下鉱という横坑を掘つているところを煉瓦巻きにして、これをなかに何メートルか掘つて行つて、斜坑をおろすというふうな理由によつて融資をされて、その山は今つぶれておるというような状態であります。 さらにもう一つの問題に、水谷長三郎商工大臣ですか、あの人が高萩炭鉱に來られたとき、櫛形炭鉱を國管の見本として政府に献上するということになつたわけであります。このときの櫛形の経営が非常に苦しかつたということは事実であります。この点に関して高萩炭鉱のいろいろなこういう問題によつて、この櫛形炭鉱が切り離されたという事実があるわけであります。
○神山委員 時間もおそくなりますから、最後に一言だけお聞きしたいのは、この経過全体を通じまして、これはあなた方の自己批判をしようということを、ここで塚原委員が言われたのでありますが、会社から次々に追い討ちかけられて、あなた方がいつも防衞態勢にあつたのか、それともあなた方が攻撃的に改めて行つて七月六日のような事件が起つたのか、簡單でいいから……。
○馬上證人 それは会社から追い討ちをかけられております。三月十五日の経営協議会に上つて自分たちがやつているとき、秋山鉱には五名の首切りが三月二十八日に出されております。
○神山委員 それ以後ずつと引続いて追い討ちを食つている……。
○馬上證人 そうであります。
○神山委員 それでけつこうです。
○塚原委員 七月六日の夕方の重信常動が連合会の事務所に來て皆さんと会つて話をしておつたというのに、あなたは正式な團体交渉と認めますか。先ほどそういうふうに言われましたが……。
○馬上證人 私そういうふうに見ております。
○塚原委員 あなたは暴力を肯定しますか。
○馬上證人 私はそういう暴力とか何とか、見ていないので——交流をやつていたということを聞いた。で、私は正式な交渉と思います。
○塚原委員 こずきまわしながら暴力をもつて多数で威圧してやつたものを正当な團体交渉と見ておるわけですね。組合が法律にどういうふうに從うかということについてもこれから質問したいのですが、大体あなたの結論はわかつておりますから、それでいいです。
○鍛冶委員長 さつき佐々尾から金をもらつたというのは、そういうことを知つているのか、事実を……。
○馬上證人 その事実は見たわけではありません。
○鍛冶委員長 だれから聞いた。
○馬上證人 聞いたのは自分たちのこの北方にいる大坪馨です。
○大橋委員 あなたは七月六日の夕方、ジープか去つたあとで、中島君が町内の人たちに演説をしたそうですけれども、その演説を聞いておりますか。
○馬上證人 聞いております。
○大橋委員 そのときに中島君が自分は大きなくつで踏まれましたと言つたそうですね。聞いておりますか。
○馬上證人 聞いてております。
○大橋委員 だれか見た人いましたか、だれのくつで踏まれたのですか。
○馬上證人 踏まれたのはあそこの場にいた人に聞いたのでありますが、MPの方に踏まれました。
○大橋委員 ほんとうに踏まれましたか。
○馬上證人 私は見ていませんから、はつきりしたことはわかりません。
○大橋委員 だれが言いましたか。
○馬上證人 言つたのは中島君自身はつきり言つているわけですね。
○大橋委員 大勢の人に言つているけれども、中島君は共産党員でしよう。
○馬上證人 そうであります。
○大橋委員 それからもう一つ高田代議士が演説に来たのを御存じですか。
○馬上證人 私知りません。
○大橋委員 高田代議士の演説会は聞いておられませんか。
○馬上證人 高田代議士が來たということは知つております。演説会は聞いておりません。
○大橋委員 その演説会でどういう話をされたか、それもあとで聞かれたことありませんか。
○馬上證人 それは聞いておりません。
○大橋委員 あなた自身はこの争議に対して行き過ぎとは思つておりませんね。あなた方の組合。やり方は、行き過ぎがあつたと思つておられませんな。
○馬上證人 私は行き過ぎでないと思つています。
○大橋委員 それからあなたの方のこの争議で共産党が関係し出したのはいつですか。今度の事件で。何日から共産党が入つて來ましたか、三月からですか。
○馬上證人 共産党が入つて來たというのは、どういうところを言うのですか……
○大橋委員 共産党の人が関係して來た……。
○鍛冶委員長 いわゆる労働組合員以外の共産党員がこの中へ入つて來たことだ。
○馬上證人 その点は私はわかりません。私の仲間にも共産党員もおります。共産党が入つて來たということは、私はわかりません。
○大橋委員 争議のときなんか組合の人ばかりではなかつたでしよう。部外の人も入つて來たでしよう、その七月六日には。それはあなたは御存じなかつたのですか。七月六日に交渉のときに行つておられたのは、あなた方の組合の方だけですか。それとも部外者もおられましたか。
○馬上證人 七月六日の事件のときには部外者はいない、こういうふうに思つております。
○大橋委員 それは確かですか。
○馬上證人 私の見たところではいないと思います。ただ町民大会とか、何とかやつている場合ですか。
○大橋委員 いや、その交渉の際……。
○馬上證人 交渉の際には私にいないからわかりません。
○大橋委員 じや、はつきりしない——いたかもしれないが、はつきりしない。都合の悪いことははつきりしないということにしておこう……。
○馬上證人 はつきりしません。交渉の場合には私にわかりません。
○大橋委員 じや、いないとは言えないですか。いたかもしれないけれども、それはあなたにはわからない——わかりました。
○神山委員 最後に思い出したので、今大橋君が聞くので、先ほどの証言の中でこの事件があつたあとで共産党に強制加入をさせているというようなことを言つた人がありますが、組合の方の事務所や何かを使つて強制的に入れているという事実がありますか。
○馬上證人 強制入党をさせているということは私は認めておりません。
○神山委員 それから赤ん坊が入つたそうでありますが、赤ん坊が共産党に入るというような話を聞いておりますか。
○馬上證人 それはありません。
○井手委員 あなたは六日の日にその團体交渉のところにいなかつたというが、そこであなたが今度の事件が警察から四百名も山に上つて來て、そういうふうに人が逮捕された原因はどこにあるかと思いますか、それをちよつと聞きたい。どういうわけで警察が山に来て、そうして取りかこんでその犯人と目されているものを檢挙したか、どういうわけでやつたか御存じありませんか。
○馬上證人 四百名も上つて來てなぜ檢挙されたという事情ですか。
○井手委員 正当なる團体交渉であるのに、警察が來てひつぱつて行つたというのはどういうわけか。
○馬上證人 逮捕状が出ているということに上つて、警察が上つて逮捕して行つたというのですか。
○井手委員 あなたが言うのは、何時間も監禁をして、ほかの証人からも暴カが行われるというような状況にあるのに、あなたは正当な團体交渉である、こう言つておる。あなたは組合長だ、あなたの言う労働組合法による正規の團体交渉とは一体どういうことか。その正規のあなたが言う團体交渉に、もし逮捕状を持つて行つたら、これは彈圧である。これにむずかしい大事なところであるから、聞くのだ。あなたがこれが正当な團体交渉であると言うならば、あなたはそういう事実をもし知つておるとすれば、そういうことは正当な團体交渉であるということになるんだ。暴力を肯定するか、否定するか……。
○馬上證人 それは七月の七日に私は代表となつて警察署長と話をしております。このとき縣の防犯課長、ちよつと名前は忘れましたが、この人に労働組合の行き過ぎですか、この限界、暴行脅迫とかそういうものはどういうところに限界があるかという説明を聞いたわけですが、このときに課長の言うのには、ただでかい声を出しても脅迫になるということを言われておるわけです。
○井手委員 出し方によつてはなります。ただでかい声を出しただけで、脅迫じやないか……。
○馬上證人 そういうことを言われておるわけです。私たちの交渉は、私は交渉の場面にいないので、みんなから言われたことは、ただ正式な交渉をやつたということだけしか聞いておりません。
○井手委員 私の言おうとしたのは、あなたは團体交渉の中にいなかつたと言われている。そうなると、警察が逮捕に来た権限事実というものは、今の刑法によれば、被疑事実がなければ逮捕状は出ない。たとえばこの人がうしろから私の頭を打つたという事実がなければ逮捕状は出ない。たとえ出ておつても、それは間違いで何にもならない。だから、あなたが知らずにおつて、しかも見ておつたかのごとく正規の團体交渉であつたというようなことをはつきり言うと、あなたの言うたことが全部うそだということになるのです。それを注意しておきます。
○鍛冶委員長 それでは済みました。これで散会いたします。 午後八時二十二分散会