考査特別委員会 第28号
- 発言数
- 463 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1949/07/30
会議録
○鍛冶委員長 会議を開きます。 平市をめぐる騒擾事件について調査を進めます。昨日時間の関係で本日に延期した証人、大竹作摩君及び滝野常雄君より証言を求めることといたします。証言を求める前に各証人に昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律、これを読むことになつておりますが、昨日読んだので省略いたします。それではあらためて宣誓してください。起立を願います。 〔証人大竹作摩君各証人を代表して宣誓〕
○鍛冶委員長 署名、捺印を願います。 〔各証人宣誓書に署名、捺印〕
○鍛冶委員長 証言を求める順序は大竹さん、清野さんといたします。滝野さんはしばらくもとの控室でお待ちください。 あなたは福島縣会議長をおやりのようですが、いつごろからおやりですか。
○大竹證人 昭和二十二年五月であります。
○鍛冶委員長 現在に及んでおりますね。
○大竹證人 はい。
○鍛冶委員長 去る六月三十日に福島懸会が傍聽人に不法の占拠を受けて、たいへん紛争を生じたということでありますが、そのあらましを聞かしてもらいたいと思います。
○大竹證人 去る大月三十日、福島縣の定例六月の議会が招集に相なりまして、恒例によつて議会の運営を協議するために、同日午前十一時に、各派の交渉会を議長室に開いておつたのであります。私は午前十時に議長室に参りまして、十一時に各派の交渉委員が集まりまして、会期の決定、六月議会の運営等について協議をいたして、十一時二十分ぐらいに散会したのであります。ちようど十一時三十分ごろと記憶いたしておりますが、議事堂の前の方が非常に騒然といたしましたので、私も立つて窓から外を見ましたときに、赤旗を立てた大衆がスクラムを組んで、労働歌を歌つて、議事堂の前を取巻いたのであります。そのとき労働組合の四名の方が私に対して陳情があるということで、面会を申し込まれたのであります。さつそく議長室において四名の方と面会をいたしたのでありますが、そのうちに約三十人ぐらい労働組合の方が見られまして、その四名の方が代表として、十箇條だかの要求をなされたのであります。そのおもなるものは、ちようどその日に、定数條例が福島縣会で提案になりますので、そのために労働組合の方が陳情に來られたと思つたのであります。その陳情のおもなるものは、首切り絶対反対、失業対策の確立、主食の掛賣、福島縣はさきに公安條例を定めておりまするので、これが撤廃、警察官の免職とかいうような、ちようど私旅行先で電報をいただきまして、一切の書類を携えるひまがなくて参つたのでありまするが、そうしたおもなものが十箇條にわたつて、要求に相なつたのであります。そうしてその代表者の人に、私としては現在の日本の状態からして、行政整理はやむを得ないではないか、ただ行政整理をしたあとに、日本の國民の一人もが職を失うことは、これは政治でないから、失業対策についてはわれわれは大いに考えておる、この縣会でもその対策を講ずる決議をして、縣に要請し、また政府に懇請するつもりであると、それらに対して一々應答をいたしましたが、ただその労働組合の代表者の申されるには、どうしても今日これを議決しろ、こういう要求だつたのであります。しかしながら、今日は各派で運営の方式もきまつたから、これは適当のときに、会期中のある日にでもする。まだそのうち最も強く主張されるのは主食の掛賣の問題でありますが、これは私の考えまするに、主食の掛賣は自治体できめられるものではない、権限外だから、これは各常任委員会において現在の情勢からこれを取上げて、あるいは要望というような形にはなるかもしれないが、これは縣会で議すべき性質ではないと思うといつたような應答であつたのであります。一方議事堂前にスクラムを組んで労働歌を高唱しておりました大衆の人は、縣会議事堂の傍聴席に上つて、赤旗を垂下して、労働歌を歌つていたのであります。そしてその人方は、今申し上げましたように、ただ今日これを議決しろという要求であつた。私としては、一ぺん今回の会期の運営についてきまつたから、しかしながら諸君のせつかくの申出であるから、いま一度各派交渉会を開いて諸君の意のあるところを傳え、そうして何分の返答をする。現在傍聽席に組合の人が占領をして、労働歌を歌い、赤旗を下げているようなことは、これは議会の神聖を保持する意味においても、ぜひ撤去してほしい、こういう要請をしたのであります。そうしてすぐに各派の交渉会を開いて、今の要求を提示して相談いたしたのでありまするが、失業対策に対しては、外地引揚同胞の援護に対しても、明日緊急建議案として上程の用意があるから、今日これを取上げることはできない、主食の掛賣もこれは縣議会の性格からして、縣議会のなすべきものではないという結論に達したので、その代表の人にそのことを話したので上あります。そうして私は、どうか諸君は傍聽者の組合員に対して、あの下げた赤旗をとるように、そうして静粛にして傍聽されるように言つてくれ、こう二回交渉したのでありますが、結論に至らず、四時の定刻に十五分余すところに相なつたのであります。六月の定例会に対しましては、縣民の生活に重要な案件が提出に相なつておりますので、このまま会議が成立を見ないようなことがあつては、縣民に対して相ならぬ、こう思いまして、定刻十五分前に開会を宣したのであります。開会を宣しまして、傍聴者の今の労働組合の諸君が良心的に、議会の神聖保持のために、垂下した赤旗をとつてくれるものと確信いたしまして、十分間、開会して議事を進めたのであります。それまでは非常に静粛であつたのでありますが、そうしておりますうちに、このままに進めることは、議会の神聖を維持する上におきまして、いけないと思いましたので、私は傍聽者に対して、議会の神聖を維持するために、垂下した赤旗を撤回して、持ち出してくれ、こう要請したのであります。二度さように要請いたしましても、これを聞き入れない。そのままでありまするから、私はこれに対して、諸君がどうしてもそのまま垂下した旗を場外に持ち出さないならば、書記をしてこれをとりはずさしめるという宣言をして、書記に対して、その旗をとりはずさせるべくいたしたのであります。ちようど非常に傍聴席が狭いために、書記が五名だか上つたのでありまするが、それに應じて巻いてくれたところもあつたのでありますが、混雜しておるために、旗のある場所まで行けなかつた人もある。また一度巻いたものを再び下げたところもあつたのであります。そのとき、ちようど知事の予算に対する説明のときだつたのでありまして、その赤旗のとりはずしを宣言いたしました当時から議場は非常に騒然となりまして、速記者にすら、知事の予算説明は聞きとれなかつたというような状況であつたと思うのであります。そうして、ちようど三十五分くらいでその日の日程が終了いたしたのであります。 私の縣は、今も申し上げましたごとくに、公安條例が成立いたしておりまして、これが施行されておりますために、あの大衆の、労働組合のデモ行進に対して、自治公安委員に届出をしたかどうかを確かめたのでありまするが、福島市警察との連絡がとり得なかつたのであります。そうして会期まぎわに相なりまして、警察署からお見えになりましたが、私といたしましては、あの混雑した傍聴席に少数の警察官が上りまして、これを制止しようとして、もし怪我人等を出すことがあつては、かえつて將來問題が起るのではないか、この際は私の責任においてこれをうまく結末をつけようという信念のもとに、警察権の要求はいたさなかつたのであります。六月三十一日の福島縣会のことに関しては、大要ただいま申し上げたような次第であります。
○鍛冶委員長 その要求の中で、警察の労働運動彈圧反対というのがあつたようですが。
○大竹證人 ありました。
○鍛冶委員長 それに対してどういうことを説明しておりましたか。
○大竹證人 その労働運動彈圧に対しましては、その際も非常にとり込んでおりまして、今全部の記憶はないのでありますが、労働運動に対してただわけもなく警察官が彈圧する、こういうことはひとつ改めるように縣会の議決をもつてやられたい、こういうふうに記憶しております。
○鍛冶委員長 あるいは平であるとか若松であるとか、そういうような具体的のことを言つておりましたか。
○大竹證人 平はなかつたようでありまするが、ちようど若松の事件がその前にありましたので、若松のことを指摘されたと思います。
○鍛冶委員長 そこでそういう騒擾をやつた首謀者と目するものはどういうものでしたか、またどういう團体でありましたか。
○大竹證人 当日私に対して陳情に來られた人は、たびたび見えられておりますところの縣の職員組合の人も一人おつたと思うのであります。それから國鉄の制服の方もおられました。その日は名刺を忘れて来たという話でありましたので、そのあとからは面会を要請された人からは、必ず住所と姓名と年齢等を記入するように手続をいたしておりまするが、そのときは今申し上げたような実情で、はつきりしないのであります。
○鍛冶委員長 この要求書を出したのは、国鉄労働組合福島支部執行委員長武田久、こういうことになつているのですが、これは來たのでしような。
○大竹證人 どうもその点はつきりいたしません。
○鍛冶委員長 政治團体としてはどういうものとか、労働組合としてはどういう組合とかいうことはわかりませんか。
○大竹證人 労働組合としては國鉄、電産、郡山の保土谷、それから郡山の市会議員をされておりまする共産党の植村という人。
○鍛冶委員長 縣の職員組合及び国鉄労組、電産、保土谷等の指導者の名前はわからぬのですね。
○大竹證人 事務局へ帰ればわかります。
○鍛冶委員長 政党所属はおわかりになりませんか。
○大竹證人 政党所属は、その日そこに参られた陳情者の中に共産党の方が三名ばかりございました。
○鍛冶委員長 この事件は突発的に起つた事件であつたとお思いになりましたか、それとも前から計画されたる事項であつたか、その点はどうごらんになりましたか。
○大竹證人 まことに私ら迂闊でありまして、今申し上げましたように、そうした大衆のデモ行進があり、また傍聽席を占領されるような事態がわかつておりますれば、まだ手の打ちようもあつたのでありまするが、それがわからなかつたのであります。その後、その日になつて聞きますると、その前の日が郡山の市会でありまして、郡山の市会は米の掛賣等も議決いたしまして、懸会に対する陳情にもその議事堂前まで郡山の市長も加わつて來たというような事実であります。その前に郡山で市会に要求した人が非常に多かつたと思います。
○鍛冶委員長 それは市長が自発的に來たのですか。何か要求によつてひつぱられて來たのですか。
○大竹證人 要求によつて來たそうであります。それは市長は議長室には見えられなかつたのでありますが、汽車では一緒に参りまして、しかし赤旗を立てて陳情に行くという約束はしなかつたからというので、その日は議事堂の前まで來て、どこかへ隱れて、議事堂には出なかつた。その前日は郡山の市会はその要求した全部を議決したということを聞いております。
○鍛冶委員長 それは平穏に講決したのですか、圧力によつて議決したのですか。
○大竹證人 私はその実際を見たのではありません。ただ聞いたのでありますが、スクラムの中に入れられて、身動きすることもできないということで圧力によつてきめられたのだと承知しております。
○鍛冶委員長 ところが同じ日にあなたの縣下では平、郡山、内郷、湯本その他というように諸所においてこれと同様の騒擾があつたようでありますが、これらとあなたの方でやられたものとの間に一連の関連があつたものとお認めになつておりますか、それとも別だのものとお認めになつておりますか。
○大竹證人 他府縣になく、本縣だけがなんだかそうしたことにねらわれたのではないかというような考えをもつて、非常に遺憾に存じております。
○鍛冶委員長 そこであなたの縣全体に対して、さような事件か起つたのは、どういう人々がいかなる目的をもつてやつたものとごらんになつておりますか。
○大竹證人 その後会期は一週間の会期を六日に終つたのでありまするが、最後の日に、まことに神聖なる議場をああした暴力行為によつて侵されたことを遺憾とする、われわれはあくまでも暴力は排撃して眞の民主政治を確立して行かなければならぬという声明を出したのであります。こうしたことから考えまして、非常に本件に対していろいろ委員長さんから御指摘になりましたように、各主要の都市が一齊にこうしたことを受けましたことに対しては、その背後的指導があるのではないかというように承知しております。
○鍛冶委員長 その背後的指導というのはいかなる團体で、どういう目的でやつておるか、おわかりになりませんか。
○大竹證人 今回の福島縣の事件に、最も活発に指導的立場にあられたというのは、これは私の想像でありますが、共産党の諸君でないかと思うのであります。
○鍛冶委員長 共産党が何か特別の目的をもつてやつたものとは認められませんでしたか。もつと具体的に言いますと、八月には革命を起して人民政府をつくると言つて歩いた者があるということを聞いておりますが、あなたはそれをお聞きになりませんか。
○大竹證人 巷間の話は聞いたことがありますが、これをだれから聞いたかというような記憶はないのです。
○鍛冶委員長 六月三十日の前またはあとにおいても、國鉄労働組合福島支部その他からいろいろ陳情があつたり、騒ぎがあつたようでありますが、それはいかがです。
○大竹證人 國鉄の労組からは、先刻申し上げました團体の陳情だけで、別に私の方の縣会へは何もなかつたのであります。
○鍛冶委員長 市会は、何かやりませんでしたか、そういうことを聞いておりませんか。
○大竹證人 ちようど市会も同日開会に相なつておつたのでありますが、縣会の方へその大多数が参つたので、市会の方は多少は何かあつたようでありますが、縣会のようではなかつた。
○鍛冶委員長 そこでこのように福島縣の各都市で一齊にかようなことが起つたのに対して、福島縣民諸君はどのように感じておりますか。
○大竹證人 縣民といたしましては、非常に、不安に感じておると承知いたします。
○鍛冶委員長 それに対する何か対策等は講じておりますか。
○大竹證人 まだ具体的の対策は講じておりませんが、聞くところによりますれば、経営者協議会というようなものが福島縣にあるのであります。それらの團体が現在の産業の復興はお互いに共存共栄でなくてはならぬ。決して破壊的であつてはならないというような自発的な運動が起つておることを承知いたしております。先般第一回の会合を郡山市で開いて非常に盛会であつたと承知いたしております。
○鍛冶委員長 ほかに何かお聞きになりますか。
○神山委員 縣会を開くということは、いつごろおきめになつたりですか、三十日から一週間ということは……。
○大竹證人 六月十五日ごろだと承知いたします。
○神山委員 今委員長の質問のところで大体明らかなんでありますが、平の事件が起るということは、もちろん予測していらつしやらないですね。
○大竹證人 予測いたしておりません。
○神山委員 また当日も、あなたのところに労働組合の諸君が要求なり懇請なりに來た場合には、御承知なかつたわけですね。
○大竹證人 それもまことにうかつでありまして、そのとき初めてわかつたのです。
○神山委員 平の事件は六月三十日に起るべきではなくて、すでに二十七日に解決していたのでありますが、そういうふうに一方的に破棄して來たために、三十日に偶発的に起つたのですが、これはあなたが御承知ないのは当然としまして、若松で、先ほどお話のありました三菱労組の委員長が捕えられたのは、いつか、御承知でしようか。
○大竹證人 それもどうもはつきりいたしません。
○神山委員 御承知ないですか。二十九日にそういうことが起つたわけなんで、從つて労働運動を彈圧しては困るというふうに申入れした場合に、二十九日のことはあなたのところにお願いに來たと思うのですが……。
○大竹證人 先刻も私お答えしたのでありますが、若松の警察の労働運動彈圧に対する排撃という事柄に対する陳情に指摘されましたのは、若松の三菱製鋼のことであつた……。
○神山委員 そうであります。それから三十日には、共産党もあなたにお目にかかつておると思いますが、どうでしようか。
○大竹證人 議会の閉会後でありましたが、丹野君と竹内君に会いました。
○神山委員 そのときに、その態度はどうだつたでしよう。
○大竹證人 そのときは、十箇條の條件を出されたのでありまして、前の陳情とは違うのであります。これに対しては、つまり福島縣が今大きく取上げております只見川電源の開発、こういうものも大切だが、それよりも新郷、山郷の両発電所に発電機を二台すえつければ三方キロ以上の電氣ができる、こういうことに対してあなた方少しあれしたらいいではないかというようなこと、木炭の政府買上げの、現在福島縣で炭を送つた金が二億千七百万円も政府の不拂いになつておるので、そういうものを解決することを考えろというような話で、丹野君と竹内君と見えられたときは、非常に穏かに話し合つたのであります。
○神山委員 その木炭の未拂い代金の問題ですが、これはあなたが縣政全体を見ていらつしやる立場として、丹野君や竹内君が言つた申入れ、これは妥当だと思われましようが、それともこういうことは不当だというふうに思われましようか。
○大竹證人 それは妥当だと思いました。
○神山委員 それから八月革命論というものは、あなたがちまたにそういううわさがあるということを聞かれたのですが、この点はあなたの属しておられるか、あるいはその系統の民自党の廣川幹事長が一番宣傳しているわけでありますが……。
○鍛冶委員長 それは廣川から聞きましたか。
○大竹證人 それは聞きません。今申し上げましたようにちまたから聞きました。
○神山委員 それからあなたの属しておられます縣会議員の中で、選挙違反関係でいろいろ問題になつているようなことはありませんか。
○大竹證人 あります。
○神山委員 何人くらいいらつしやいましようか。
○大竹證人 五人くらいおります。
○神山委員 その方に対して今まで除名の申入れや何かありませんでしたか。
○大竹證人 これはいずれ法のさばきがあると思いますので、それまでは動揺もありますし、選挙のときでありましたから、その除名というようなことは考えておりません。
○神山委員 それはけつこうです。あなたがその立場からおつしやるのはけつこうですが、そこに盛んにうしろを向いて発言している高木君のごときは、非常に同病相あわれむようなことを言つておりますが、まことにそうだろうと思います。(「何を言うか」と呼ぶ者あり)この問題についていろいろ申入れをした場合に菅野善右衛門という縣会議員がいらつしやいますね。
○大竹證人 おります。
○神山委員 それから蓮沼副議長……。
○大竹證人 おります。
○神山委員 そういうふうな人々は、これはお互いさまだからといつてあまり賛成していない。これはあなたと立場が違う、あなたは法のさばきがあるまでと言つておられますが、民主自由党の中にはこういうことがおくあるので、一應聞いてみたのです。今さしあたつてはこのくらいにしておきましよう。
○鍛冶委員長 内藤君。
○内藤(隆)委員 ただいま神山委員は本件と、何ら関係のないことを例によつてくだくだと申しましたが、私は最も関係の深い点を一、二点お伺いしたいと思います。 福島縣会には傍聽者の何か規則がおありでしようか。
○大竹證人 戰争以前は非常に福島縣は政治の熱心な地でありまして、福島縣会は傍聽者も非常に多かつたのであります。從いまして縣会の傍聽は、各議員の紹介を必要としておつたのであります。ところがその後戰争に相なりまして、また終戰とも相なりまして、そうした規則が行われないでおつたのであります。そのために今回のようなまことに遺憾なことがあつたので……。
○内藤(隆)委員 行われていないというのは、規則はあつてもそれが実際に行われないという意味ですか。
○大竹證人 傍聽人取締規則というものはありますが、それは漫然としたものでありまして、今回の事件が起りました翌日、議長は成案をいたしまして縣会に諮つて傍聽者取締規則を定めたのであります。
○内藤(隆)委員 その点にやはりぬかりがあつたようですな。
○大竹證人 ありました。
○内藤(隆)委員 それからいま一つお聞きしますが、公安條例はすでにでき上つておつたのですか。
○大竹證人 ええ。
○内藤(隆)委員 これは全國各府縣にも起つている実例ですが、公安條例なるものを方々の縣がきめて参りますると、赤旗など振り立てて、スクラムを組んで乗り込んで來ることが全國にあるのです。現に私の縣のごときは、あのきたない旗を振り立てて、スクラムを組んで、通路をぱつと塞いで縣会議員を入れないのです。そこで富山縣のごときは、かくのごときは公務の執行妨害だ、断じて許すべきでないというので、今公務執行妨害としてこれを告発するというような可能性があるのですが、福島縣では何かさようなことでもお考えになつておりますか。
○大竹證人 福島縣は全國に最もさきがけて公安條例を制定したのでありますが、これがたまたま提案になりまするときは、労働組合の方が非常に執拗な陳情、反対をなされたのであります。これは十二月の縣会定例会に提案いたしまして、委員付託になりまして、二月の縣会で議了したのであります。特別委員会の審査を求むるということを記名投票で諮つたのでありますが、五十九人中四十三票で通過したのであします。その際は、公安條例を定めるという空氣は非常に騒然としたものがありましたが、その決定する日はまことに静粛でありました。
○内藤(隆)委員 なるほど。私のお伺いせんとするのは、先般の縣会の公務妨害になつておることは、これはもう明らかですね。
○大竹證人 ええ。
○内藤(隆)委員 それに対して何か法的制裁を加えるようなことでもお考えになつておりますか。この点をお伺いいたしたい。
○大竹證人 これは七日の日でしたか、私は福島市警察署のその間の事情に対して取調べを受けました。
○内藤(隆)委員 実はたとえば公安條例とかあるいはそういうものが縣会なり市会なりに出ますと、赤旗を立ててスクラムを組んで來るということが全國の形勢です。おそらくこれは背後的に何か、もしくは想像を許すならば共産党本部ぐらいは各支部に向つてこういう指令を発しておるというふうに考えざるを得ないのでありまして、その点において私ちよつとお伺いした次第であります。
○鍛冶委員長 では済みました。御苦労さんでした。 ―――――――――――――
○鍛冶委員長 この際お諮りいたします。日本製鋼廣島製作所爭議事件につきまして、証人として八月五日板垣茂君、金子敬道君、戸田初一君、松井善一君、それから松江澄君。肩書を言いますと板垣君は安藝郡船越町字入川日鋼廣島製作所所長代理、金子敬道君は同じく日鋼廣島製作所第二組合長、戸田初一君は廣島ブロック安藝地区公安連絡協議会長、松井善一君は廣島地方檢察廰檢事正、松井澄君は廣島縣労働組合会議議長。八月八日廣島縣知事楠瀬常猪君、國警廣島縣本部警備部長西村伸一君、廣島市警察局長上田頼一君、廣島市船越町警察署長三好方時君、日本共産党廣島縣委員長徳毛宣策君、以上十名をそれぞれ尋問して証言を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長 御異議なきものと認めます。それではさようとりはからいます。 次に石川縣における耕地面蹟不正申告事件について、すでに委員派遣をして調査を行うことに決してありますが、平市をめぐる騒擾事件について未出頭の鈴木光雄君その他、並びに平市長柴田平市市会議員等につきまして、さらに調査の必要がありと思われますので、委員派遣をして調査を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長 御異議なしと認め、さようにとりはからいます。 また日鋼廣島製作所騒擾事件につきましても、ただいま読みました証人のほかに日鋼廣島製作所総務部長鈴木重喜君、第二組合執行委員植田盈君、日鋼労働組合組合長林春一君、同じく書記長越知一見君、同じく日鋼共産党工員黒神貞松君、縣労組会議副議長中下勝君、自由法曹團廣島支部原田香留夫君、朝鮮連盟安藝支部長彰任出君、廣島市公安委員長長崎五郎君、船越町助役、廣島市長、呉市長、廣島縣会副議長檜山袖四郎君について調査の必要ありと思われますので、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長 御異議なければさようとりはからいます。 なお調査の範囲等につきましては、派遣委員において、取捨選択をすることのあろうことをあらかじめ御了承を願います。なお派遣の日程並びに委員の指名は、委員長に御一任を願います。 〔「異議なし」と、呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。 続いて平市をめぐる騒擾事件について証人尋問を始めます。清野常雄さんですね。
○清野證人 そうです。
○鍛冶委員長 アカハタ新聞の記者をやつておいでのようですね。
○清野證人 アカハタ平支局の専任記者です。
○鍛冶委員長 支局長ですか。支局員ですか。
○清野證人 支局員です。
○鍛冶委員長 六月三十日に平市を中心として附近にずいぶん騒擾が起つたようですが、それはどうしてどういうところで起つたか、概略聞かしてください。
○清野證人 それは起つた日時、場所は、平市内で六月三十日に起つたのであります。大体時間的にいつても問題があつたというのは、いざこざがあつたという時間を通算してわずかに二十分くらいの程度だと思います。しかしながらこのように問題が大きく発展したということは、この問題の性質においてその原因が問題になつたものであります。このような問題が起らなければならなかつたというこの原因こそ根本的な問題だと思います。
○鍛冶委員長 その原因を一つ述べてください。
○清野證人 それはこの議会において國の根本方針やあるいは憲法あるいは予算などがここでもつてきまる、そうしてあらゆる勤労人民の要求を無視してこれを実行するところの吉田内閣の直接の政策が下々にむいていかに現われておるかというところに、この問題の最も大きな根本があると思うのであります。それを具体的に申し上げますと……。
○鍛冶委員長 そんな遠いところの原因より、平市の原因を言うてもらわぬと、時間がありませんから……。
○清野證人 これが下々においていかに自然発生的に、そうして必然的に現われなければならなかつたかということをこれから具体的な事実をもつて申し上げます。それは一つはあそこら辺の中小炭鉱あるいは中小企業、これらはみなばたばたこの政策によつてつぶれております。そうしてあの問題の中心になつた矢郷炭鉱でありますが、矢郷炭鉱の経営者も資金難と資材難のために、労働者に対してはまつたく二月から賃金が遅配であり、そうして四月から賃金が欠配であつたというような状態であります。そのために労働者たちは食うものもなく、草の葉やら、すかんぽとかあるいはふじの花、このようなものまで食べて生活しております。そこに五月三十日に四百五十名中、百三十七名もの、しかもその中には健康保険の被保険患者が八名も含まれて首切りが行われたわけであります。ですから当然ここに生活の途を失つた労働者たちは町会に主食の掛賣りを認めてもらいたい、会社からまだ拂つてもらわない金があるのだから、その分だけでも掛賣りで認めてもらいたいということを歎願しに行つたわけであります。それから生活保護法の適用を認めてもらいたいということを要求しに行つたわけであります。このような苦しい生活をしているにもかかわらず、なおこの中で労働者たちは生産をしなければならないということを自覚して、そうして入坑しようとしておつたわけであります。それを仮処分は九日の日に執行されたにもかかわらず、すでに八日の朝七時に武装警官隊がこの山を包囲して坑口を閉鎖していたのであります。このようにして労働者たちは実際問題として町役場では生活保護法の適用を踏みにじられ、それから入坑して生産をあげようとする労働者は武装警官によつて入坑を拒否され、しかも仮処分を執行されてしまつた。それでもまだこのことを小さく済まそうとして労働者たちはただ單に四名のハンストをもつてこれに対して抗議したわけであります。このほんとうに苦しい状態を宣傳隊が小さなこの附近の炭鉱に行つて、実情を訴えて、そのためにこの附近にあるところの常磐の一万四千という労働者も呼應して、矢郷の労働者を見殺しにするなというような決議をして立ち上りつつあつたのであります。このようにほんとうにあそこの矢郷炭鉱の苦しい状態から、労働者がその生活権擁護のために闘争しておることの実態を常に大衆に訴えて、これを正しく傳えて來たのがいわゆる平の町にあつた壁新聞だつたのであります。これは矢郷炭鉱の労働者がいかにして自然発生的にあの壁新聞を守れといつて集まらざるを得なかつたかということが一つ。第二番目にあげられることは、警察官がかようにして生活権擁護のために立ち上つた労働者をピストルやこん棒をもつて彈圧するだけは彈圧するが、しかし内郷町の町会議長をやり、生活協同組合の理事長をやつておる菅本美好という人が数百万円に上るところの不正をやつた事実に対しては、全然目をおおつて、それにタツチしようとしない。このような事実。次に第三番目にあげられることは平を中心とする警察自体が非常に大きな不正をやつておる。それは具体的な数字については今はつきり記憶に残つておらないのでありますが、生だこ事件、煮だこ事件、するめ事件、このような事件には必ず警察官がひつかかりを持つておるのであります。特に平の自治警察署の桑名という経済主任が、腐つてもいない北海道から送られた一車両の生だこに対して、腐つたという証明を書いておるのであります。このようなあらゆる不正を持つておるのを壁新聞は常にそのことを大衆に訴えていたのであります。この大きな不正であるというその証拠になりますことは、きのうここに証人として参りました矢吹公安委員、この方がきのう証人控室で私に申しましたところによると、共産党はなかなかいいところをついている。しかしながらまだあれでは七〇%しかついていないと言つておるのであります。まだ背後には大きなものがあるということを私に直接漏らしておるのであります。そこには社会党の石城地区協議会の書記をしていた加藤木君もおりました。そこで今度の問題についてまつたく警察側が悪いということをきのう私に申しておるのであります。さらにそのために非常に市民はそのような状態で警察に対する不信と反感を持つていたということ。第四番目に警察と労務、いわゆる常磐炭鉱、この一万四千人の中に二千名もの暴力的な労務という組織を持つて労働者を威嚇しておるのであります。この労務のかげに警察が常につきまとつていたわけであります。そうして労働者に対して常に不安を與えていたこの事実は六月二十二日共産党の細胞が子供を集めて幻燈の撮影会をやつておりました。これは浅貝という炭鉱住宅であります。こういうところで子供を集めて幻燈の撮影をやつていた。ところが共産党の細胞に対しては何も言わずに、その宿を貸してくれたところの家庭婦人を、今度は労務の課長が呼び出して、お前らはこの宿をだれに断つて貸したか、今後こういうことがあつたら首だぞと言つておどかしておるのであります。しかもそのあとに、そのやつた家庭に警察官がすぐ調査に行つておる。そうして共産党が何をやつたか、新聞は賣らなかつたか、あるいはもつと何かほかにやらなかつたかという調査をしておるのであります。こういう事実、それから今度の騒擾事件だといつて大々的に検挙をしておりますが、まつたくこれは見込み捜査であるにもかかわらず……。
○鍛冶委員長 私は原因を聞いておるのだ。だからどういうことから起つてどうしてそんなになつたのだということを聞いておる。
○清野證人 ですからこういうものが集まつて原因になつておるのです。
○鍛冶委員長 そういうことで起つたと言うのですか。
○清野證人 これがいかに結びついておるかということで必要なのです。こういうように労務と警察というものが結びついて常に労働者を圧迫していた。
○大橋委員 労務というのは炭鉱の労務係ですね。
○清野證人 そうです。それからもう一つ、労働者から、特に派出されておる巡査が反感を持たれていたことは、この間自殺した熊谷巡査、これらのごときはまつたくキヤンデー屋あるいは魚屋、野菜屋まで、自分のうちにそれを無料で持つて來させていた。それに対して反感をみんなが持つていた。それからきのうの矢吹公安委員の話によると、あれは豊間時代からまだまだ惡いことをしていたということを矢吹公安委員も言つておるのであります。このようにして、警察に対して労働者あるいは市民、農民は非常に不満を抱いていたのであります。もう一つは二十七日に署長と共産党とが協約したにもかかわらず、この協約を彼らは完全に四十時間足らずで無視している。そうして一方的に武力をもつてもこれを取るというようなことを言つて來た。そのようなことで警察に対して常に不満を持つていたのと、それから常に労働者の眞実を、特に矢郷炭鉱などの労働者の苦しいことを常に壁新聞は大衆に訴えて、矢郷炭鉱の労働者を激励していたために、これを取去ることは非常に矢郷炭鉱の労働者諸君に対しても大きな痛手である。そしてまた言論あるいは政治的な彈圧であるとして労働者たちはこの壁新聞を守れといつて集つて來た。このようにしてあの三十日のわずか二十分足らずの問題でも、警察が不正をやり、そして労働者がそのようにしで苦しんでいたことこそが、この壁新聞問題の根本的な原因になると思うのであります。
○鍛冶委員長 ところが警察では、壁新聞は非常に交通妨害になつた、それが主だといつているのだが、それはどうですか。
○清野證人 交通妨害のことについては私も直接署長さんにお話を伺いましたが、交通妨害になつた事実についてどういう事実があつたかと言つたら、今まではそういう事実はないということを署長さんが言つております。しかしなるおそれがあるということを申しました。
○鍛冶委員長 あなたは一体交通妨害になつているという事実は認めませんでしたか。
○清野證人 それはないよりはあすこにある方が交通妨害になるだろうということは認めます。
○鍛冶委員長 交通妨害になつたということとおそれがあるからというのとは違うのですが、どつちですか。
○清野證人 それは署長さんがそう申しております。
○鍛冶委員長 交通妨害にならぬけれども、なるかもししれぬ、こう言うているのですか。
○清野證人 そうです。
○鍛冶委員長 交通妨害になつたからとれというのか、それともなるかもしれぬから、おそれがあるからとれというのか。
○清野證人 なるおそれがあるからとれということを私は署長から聞いております。
○鍛冶委員長 署長さんが昨日言つたことと違う。それではここに六月三十日平事件関係市街分布ビラ写真集というのがある。この一号から三号までの写眞を見せますが、これは壁新聞によつて道路のまん中に人の立つている実情をとつたものです。するとこの一号から三号までの写眞はどうだね。それでも交通妨害じやなかつたけれども、なるおそれがあると言いますか。この妨害になつておる事実は認めませんか。どうです。
○清野證人 そのことについては、平の警察署長に今度許可を受けるときに、こういう目的でやるということを最初から願つて許可をしてもらつているわけだから、交通妨害にならないと思います。
○鍛冶委員長 この写眞を見ても交通妨害になつておらぬと思いますか。
○清野證人 それはないよりも交通妨害になるでしようけれども……。
○鍛冶委員長 それではもう一ぺん念のために聞きますが……。 〔発言する者多し〕
○鍛冶委員長 静粛に願います。署長は交通妨害になつておると言わずに、おそれがあると言うたことは間違いありませんか。
○清野證人 間違いありません。私にそう申しました。二十五日です。
○鍛冶委員長 平の附近、内郷町、または湯本等に朝鮮人は相当おるでしようね。
○清野證人 おります。
○鍛冶委員長 それらの生活状態はどんなふうでしたか。
○清野證人 あすこの生活状態は、まずあの人らは職業につくことができないのです。職業を與えられないのです。それから商賣をやることも認められておりません。これではあの人らの生活すること自体が、もうすでに生存する権利すらも奪われておると私は思うのであります。
○鍛冶委員長 何かどぶろくをつくつていて挙げられたことがあるということは知りませんか。
○清野證人 どぶろくをつくつていて挙げられたという事実は、私は去年の十一月に復員して來たばかりなので、そのことは知りません。
○鍛冶委員長 今年の春です。そういうことは知らぬですか。
○清野證人 覚えておりません。
○鍛冶委員長 そういうことで何か朝鮮人もあなたがさつき言つたように警察に反感を持つておつたのではありませんか。
○清野證人 そのような状態ですから、おそらく生存する基本的な人権すらあすこらにいる朝鮮人は無視されているので、反感を持つていたことは事実だと思います。
○鍛冶委員長 それではこの運動の中に朝鮮人連盟も入つておつたようだが、そういう原因から入つたのですか。
○清野證人 その原因については私はわかりません。
○鍛冶委員長 入つてはおつたでしようね、朝鮮人連盟は。
○清野證人 確かに朝鮮人もおりました。
○鍛冶委員長 朝鮮人その他この運動に参画した各團体はどういうものでしたか。
○清野證人 團体としてどういう團体が参加したかということについては、はつきりわかりません。はつきりした見解を持つておりません。
○鍛冶委員長 あなた新聞記者だからわかつているでしよう。やつている人の顔ぶれを見れば、これはどこの何だ、これはどこの何だということはわかるでしよう。あなたがわからなければ、ほかの人はわかるはずはない。
○清野證人 それはわかつているが、それが團体として参加しておるか、個人として参加しておるかということはわかりません。
○鍛冶委員長 それあやどういう團体に属したどんな人がおりました。大体のところでいいから……。
○清野證人 炭鉱労働者です。
○鍛冶委員長 それから……。
○清野證人 全労、國鉄、あと植田の呉羽化学。
○鍛冶委員長 植田と、いうのは何だ。
○清野證人 植田という町です。
○大橋委員 植田というのは錦町ですか。
○清野證人 そうです。
○鍛冶委員長 そういう労働組合ですか。
○清野證人 そうです。あと朝連の人もおりました。
○鍛冶委員長 先ほどちよつと言われたが、矢郷炭鉱で仮処分のそのときに警官隊が來たと言われたが、武装警官が行かれたというが、それは間違いありませんか。
○清野證人 そうです。
○鍛冶委員長 どういう意味だ、武装警官というのは。
○清野證人 手錠とピストルと棍棒を持つているのです。
○鍛冶委員長 棍棒というのはいつも腰につけているあれだろう。
○清野證人 そうです。それでいかにあすこの矢郷炭坑の労働爭議が正当な労働争議であつたかということは、仮処分は軍政部から命令を出されたということをはつきり裁判所長は言つております。しかしこれは基本的な人権を侵害するというので、裁判所長は撤回しておるのです。
○鍛冶委員長 そんなことは聞いていない。しかしそういうことを、あなたは武装と言うのですね。
○清野證人 そうです。
○鍛冶委員長 そこでさつき言つた二十分間爭議があつたというのは何時から何時までだ。
○清野證人 平市においていざこざがあつたのは、多分三時半ごろだろうと思うのです。時間的に……。そのときに約十分間くらいいざこざがあつた。
○鍛冶委員長 三時半から十分間……。
○清野證人 それから刑務所や留置場で出す出さないでもつていざこざが起たのが約十分間です。
○鍛冶委員長 それは何時ごろか。
○清野證人 それは時間的に言つてたしか八時半か九時ころの間に十分くらいだと思います。
○鍛冶委員長 あなたはそのときはずつと初めからおりましたか。
○清野證人 初めからはおりません。
○鍛冶委員長 いつごろおつた。
○清野證人 第一回の十分間くらいのいざこざがあつたときは、私はあすこにいなかつた。
○鍛冶委員長 いつごろからおつた。
○清野證人 そのあと、それが終つてこういう事態が起きたということをそこにいた一緒に行つてそういう問題を起した一人が地区委員会に報告に來ておりました。そのときに地区委員会ではこの問題をほんとうにどういうふうに平和的に解決するかということについて協議しておつたときに、私も議場におつた。そ一にちようど使いが來で、こういう問題が起きたということを傳え聞きました。
○鍛冶委員長 それから警察の前に、あなたは何時に行きましたか。
○清野證人 それからすぐにそのまま飛んで行きました。
○鍛冶委員長 警察の前は何時ごろでしたか。
○清野證人 あの問題が起きたのが三時半ごろですから、それからあそこを歩いて飛んで來て、またかけて行つたのですから、約十分間ぐらいかかつたと思います。
○鍛冶委員長 そうすると四時ぐらいですね。
○清野證人 まだ四時になつていなかつたと思います。
○鍛冶委員長 それからずつと晩までおりましたか。
○清野證人 それからずつと晩までおりました。
○鍛冶委員長 そうすると、八時ごろに留置場をこわしたときだけで、あとは平穏だつたということですね。
○清野證人 あとは問題にするような問題はなかつたはずであります。
○鍛冶委員長 内に外と署長室とで警察へ五百人ほど入つておつたそうですが、それはどうですか。
○清野證人 それは雨が降つて來て、署長があのときは許可をして入れております。
○鍛冶委員長 どうであろうと、とにかく入つたことは間違いないか。
○清野證人 間違いありません。
○鍛冶委員長 内外に五百人ぐらいというのは間違いないか。
○清野證人 間違いありません。
○鍛冶委員長 そうして机の上へ乗り上つたり、下に腰かけてどなつたり、インターナシヨナルを歌つたりしておつたというのはどうですか。
○清野證人 中で歌を歌つたりしておるのは知つておりますが、署長の机に上つた云々は知つておりません。
○鍛冶委員長 それをあなたは平穏だと言うのですか。そういうインターナノヨナルを歌つたり、赤旗を振つたりするのを……。
○清野證人 別に暴力は振つておりません。
○鍛冶委員長 警察の中に入つて、インターナシヨナルを歌つたり、赤旗を振つたりするのは暴力じやないのか。
○清野證人 それを認めて署長が許可したはずです。
○鍛冶委員長 インターを歌つたり赤旗を振るのを署長は認めたか。
○清野證人 赤旗を持つたり、あるいは、ずぶぬれになつたためにからだを動かしたりすることは、当然あり得ることと思います。
○鍛冶委員長 署長はそういうことを認めたのだね。
○清野證人 赤旗を持つて外にいた人間を入れたのですから……。中に入つしいい、ここまでは來てはいけないか、そこまでは入つていいということは署長も言つております。
○鍛冶委員長 署長室へ入つてもいいと言つたのか。
○清野證人 署長室に入らずに、整然とそとに待つておつてくれと言いました。
○鍛冶委員長 署長室へ百人ほど入つたというのは、これは許可か。
○清野證人 そのことについてはわかりません。
○鍛冶委員長 それでは夕方になつて、警察の前へ赤旗を二本交叉して、人民警察完了せりと言つて凱歌をあげたそうですが、そういう事実はないか。
○清野證人 旗をそのように二本交叉したことは私も知つておりますが、しかし人民警察云々ということは私は知つておりません。
○鍛冶委員長 それも平穏なのか。あなたの目から見てそういうことは騒ぎじやないのか。
○清野證人 別にそう大した問題じやないと思います。
○鍛冶委員長 警察の章標以外の赤旗を二本警察の前へ交叉しても、それは平穏なりとあなたは認めたのだね。
○清野證人 別に騒ぎはほかに起きていませんから、平穏だと思います。
○鍛冶委員長 では、それ以上君に聞いてもだめだ。その事実だけでよろしい。あなたは心からうそを言つているとは思いませんか。
○清野證人 思いません。
○鍛冶委員長 間違いありませんね。
○清野證人 間違いありません。
○鍛冶委員長 それではよろしい――ほかに聞くことはありませんか。
○大森委員 この騒擾事件が起つたということは、警察の行為、それからいろいろな問題がたくさんあつて、それが原因になつたということをあなたは長々と述べられた。そこであなた方のやつておられる行動ですが、まず警察へ赤旗を二本持つて來て立てた。これもやはりあなた方は適当なりと認められるか。さらにまた市内に何か檢問所をつくつて、人が通行するとそれをつかまえて檢問しておつた。こういうようなこともやはり適当であると思われるか。それからまたあなた方の言われるすべての者が警察の中へ入つたこともやはり適当だと考えられるか。それだけを重ねてお尋ねいたしたい。
○清野證人 検問所云々ということを言われたが、検問所去々ということについては私はその事実を知りません。
○大森委員 赤旗を外へ立てて人民警察完了したと言つたことはあなたの方は適当な処置と思われるかどうか。
○清野證人 あなたの方とおつしやいますけれども、これは判断する人によると思うのです。
○大森委員 あなたはどう思うか。
○清野證人 私は新聞記者であつて事実を傳えるだけですから、これが正しいか正しくないかという判断は……。
○大森委員 しかしあなたもさつき言つたように、こういうことが警察にあつたからそれが原因になつたということをおつしやつたでしよう。
○清野證人 そうです。
○大森委員 しからばやはり赤旗を立てたことも、あなたはその建前から見て判断がつかなければならぬ。だからその判断はどう考えられるかということだ。
○清野證人 ……。
○大森委員 あなたはこういう問題があつたから騒擾事件が起きたものであるとおつしやる。そうすれば一方的のことに対しては判断力があるのだから、私の尋ねる赤旗を立てたことに対してもやはり判断力がなければならぬし、それを表現するだけのものがなければならぬ。
○清野證人 ……。
○大森委員 それは言えなければよろしい。
○鍛冶委員長 さつきは平穏と認めるというのだから、たいていわかつているじやないですか。
○大森委員 ではもう一つ尋ねたい。これは常に私どもが共産党の考え方に対して考えていることだが、アカハタ記者というりつぱな共産党を掲げている証人であるがゆえに、これもついでにお聞きいたしたい。それはどういうことかというと、赤旗というのは中に何が書いてあるかちよつとわからぬ。赤旗のしるしはどこの國のしるしであるか、それをお聞きいたしたい。
○清野證人 赤旗のしるしというのは何ですか。
○大森委員 赤旗は全部赤旗ですか。中に何か書いてありますか。
○清野證人 赤旗に何のしるしがついてあるかと言われてもわからぬですが……。
○鍛冶委員長 ないならないでよろしい。
○清野證人 赤旗は共産党だけじやない。そんな旗は私は見たことがありません。(発言する者多し)ですから何を聞かんとするのか判断に苦しむのです。
○大森委員 赤旗には何も書いてないのですか。共産党の赤旗には石なり鎌なんか書いてあるでしよう。
○清野證人 そんなものは私は見たことはありません。
○大森委員 私どもの方で持つて歩いているのは大体書いてある。それて私はお尋ねする。
○清野證人 私は見たことはありません。
○大森委員 私が聞かんとすることは、あなたはしつかり覚えがないならば私から一言……。
○鍛冶委員長 見たことはないそうです。
○大森委員 それは大体私どもの方のにはついておる。しかし私はこの旗を見るときに、あなた方はこれをかついで、そしてナシヨナルを歌つて(「ナシヨナルじやない」と呼ぶ者あり)インター・ナーシヨナルを歌つて歩かれる。それは私の考えではこう思うのだ。そのときに日本の國民であるかないか、その正体を私は考えたい。とにかく日本人ならば、日本には國旗もあるし、日本の國歌もある。そこでそうした違つた旗を掲げ、外國の歌を歌つて、日本のやることが間違いだ、あるいは警察のやることは間違いであるということは私は考えられない。極端な言い方だけれども、その國に行つてやるべきでないかと思う。(笑声)その点はどう思われるか。私の考え方では、あなた方のやつておることは、要するにその國に行つてやつてもらいたい。日本の國には日本の國歌があり、日本の國旗があるのだから、それを歌つてやるならばそれはよろしい。それと違うた方法でやられることはどうかと思うのでこれをお尋ねするが、どうです。あなたは良心的にどうお考えになるか、日本人だと思つておられるかどうか。あなた方日本人ならば、法の適用などということについて反駁しなければならぬと思う。しかしながら私に言わせると日本人でないのだ。大体印しが違つているのだから……。ここにおいてあなたがどういう考えを持つておられるかということを参考のためにひとつお聞きしておきたい。 〔発言する者多し〕
○鍛冶委員長 そういうことを考えてみたかどうか聞いているのだ。考えてみたことがあるかないか。あれば……。
○清野證人 そのように考えること自体がおかしいと思う。
○鍛冶委員長 だからそういうことは考えていないか……。
○清野證人 外國の旗であるか、日本の旗であるか、あるいは外國に行つてやれとか、日本人であるかどうかということですか。
○鍛冶委員長 考えて見たことはないか。
○清野證人 外國人であるかどうか、そんなことは考えたことはありません。私どもはどこまでも日本人です。
○大橋委員 簡單に証人に伺いますが、賃金の遅配で矢郷炭鉱の坑夫の家族の方が草の葉を食べられたそうですな。何の草ですか。
○清野證人 それは五月ごろの藤の花とか、すかんぼ、おおばこ。
○大橋委員 それは今年だけ食べられたのですか。去年やおととしは食べなかつたのですか。
○清野證人 去年おととし食べたということは聞きません。
○大橋委員 大体食べるものですか、食べないものですか。
○清野證人 それを主食に混ぜて食つたことは今までなかつたと思います。
○大橋委員 それは地方としてそういう習慣があるのじやないですか。
○清野證人 そこら辺はそれを主食に混ぜて食べるという習慣はありません。 〔「あるよ」と呼ぶ者あり〕
○大橋委員 あなたはないということを知つているのですか。
○清野證人 知つています。
○大橋委員 それじや伺いますが、一升に何匁ぐらい入れますか。
○清野證人 それはわかりません。
○大橋委員 だれとだれが食べましたか、名前をおつしやつてください。
○清野證人 あそこの……。
○大橋委員 何炭鉱の……。
○清野證人 矢郷炭鉱です。
○大橋委員 どなたが召し上つたのですか。
○清野證人 あそこの組合員がほとんど食べているし……。
○大橋委員 名前を言つてください。
○清野證人 松本勇。それから高橋スエという奥さんも食べていますし……。
○大橋委員 それは出身はどこのお方ですか。
○清野證人 矢郷炭鉱です。
○大橋委員 矢郷炭鉱の地のお方ですか。
○清野證人 出身はわかりません。
○大橋委員 大体そのお方は平生からそういうものを召し上がる御習慣じやないですか。(「そんなこまかいことを知つているばずがないじやないか」その他発言する者多し)そういうものを土地によつては食べるところがあるんだ。――それじや矢郷炭鉱には幾人いますか。
○清野證人 首切りが始まる前は四百五十人。
○大橋委員 四百五十人の中で二人だけが食べた。
○清野證人 それは名前をあげただけで、組合員ほとんど全員が食べています。
○大橋委員 全員全部食べた。
○清野證人 これは調べていただきたい。 〔発言する者多し〕
○大橋委員 君は新聞記者として事実に基いてそれを記述しているのだから……。全部食べた。
○清野證人 そうです。
○大橋委員 食べない人はないのか。
○清野證人 食べない人が何名おるか、だれとだれと食べていないということについて調べていません。
○鍛冶委員長 ほとんど全部食べたと言つております。
○大橋委員 もう一つ、三十日の三時半にあなたは警察に行かれる前にどこにおられましたか。どこでこの知らせを受けられましたか。
○清野證人 それは地区委員会の事務所。
○大橋委員 事務所のどの部屋。
○清野證人 下です。
○大橋委員 地区委員会はどこにありますか。
○清野證人 平市の大町十八番地。
○大橋委員 そのときに地区委員会は開かれておりましたね。
○清野證人 地区委員会が開かれておつたようです。
○大橋委員 あなたは地区委員会に所属しておられますか。
○清野證人 地区委員会には所属しておりません。
○大橋委員 たまたまそこに行つておられたわけですね。
○清野證人 その下に支局がありますから……。
○大橋委員 そうすると、何人ぐらい会合しておられましたか。
○清野證人 はつきり人員は覚えておりません。
○大橋委員 議題は何でしたか。
○清野證人 話に聞きますと、どういうふうにして平和的にこの壁新聞の問題を解決するかということを聞いておりますが、どういう話を……。
○大橋委員 どういうふうにして暴動を起すか。――壁新聞の問題ですか、それとも警察の人が集まつているその問題ですか。
○清野證人 平和的に壁新聞問題を……。
○大橋委員 平和的に処理するにはどうすればよいかということを相談した……。
○清野證人 らしいのですが、私その場におりませんので……。
○大橋委員 それはあとで聞かれたのですね。だれから聞かれた。
○清野證人 はつきり記憶いたしません。
○大橋委員 内容を聞いておきながら、それをだれから聞いたか記憶がないというはずはないだろう。――あなたはその人を忘れましたか。
○清野證人 忘れました。
○大橋委員 ではいつ聞きましたか。
○清野證人 それもはつきり記憶いたしません。
○大橋委員 神山君、こんなによう記憶しておるじやないか。
○井手委員 あなたがアカハタの支局員としてのりつぱな新聞記者であることを前提に、二つだけお聞きしたい。あなたは大月三十日の平市を中心とする事件についてまことに廣汎な、深刻な問題をたくさん取上げて、こういうことが原因になつておるということを先ほど証言なさつたが、新聞記者の立場とすれば、こういうことが原因になつておるから六月三十日に福島縣下の各地において行われた騒擾事件、あるいは暴動事件というか、別な言葉でいえば非常に平和裡に解決したというか、ああいう一連の体系をもつて行われた事実が、具体的事実として出ておる。そこであなたはこういう廣汎な原因ということをよく突きとめられておられるならば、ああいう事件が起り得るということを予知されておりましたか、その事件の予知について、新聞記者としての感覚はどういうふうに持つておられましたか。それをひとつお伺いしたい。
○清野證人 ああいうふうな問題がたくさん所々で起るというようなことは考えたことはありません。
○井手委員 そうすると具体的に平市なら平市の、市警察署において起きたということを、あなたはその地区委員会の部屋で、聞いて初めて知つたわけですか。あなたは先ほど原因はかくかく廣汎な深刻な問題があるから、この問題が起きたということをはつきり証言された。われわれも非常に深刻な問題として聞いたが、あなたはそれを新聞記者として克明にその原因のよつて來るところを証言しておるが、その原因によつてそういうことが起りはしないかという新聞記者一流の感覚はどう働いていたか。かくかくの事件が起きたということを知つて初めて発表されたのか、あらかじめそういうことが、予知されて、おつたかどうか。
○清野證人 そういう問題があるということについて予知したことはありません。
○井手委員 そうするとあなたは今地区委員会の下におつて、地区委員会というのは二階で行われておつて自分も出席しておつたというが、普通の新聞記者の感覚、新聞記者の行動的な立場からいうならば、そういうふうな原因があり、たまたま問題が例の立札の問題を中心として起きたということについては、新聞記者として何か起りはしないか、ことにあなたの立場からいうと何か計画がありはせぬかということを社会通念的な新聞記者の感覚からいうならば、そういうことを早く予知しようとする努力も必要だし、またそれを知つておらなければならぬ。ただ地区委員会が行われておつて、騒擾事件があつて飛んで行つたということは、あなたの新聞記者の立場からいうならば、われわれは常識的に、考えられない。そこでその事前にあなたは何らか地区委員会その他の寄合いで、新聞記者一流の感覚でそれを知つておつたか、知らなかつたか、それを聞いておきたい。
○清野證人 全然こういう問題が起きるということについては予知しておりません。なぜなればさつきも申し上げましたように、だれからといつて今も覚えていないのですが、とにかくこの問題を平和的に解決するために地区委員会が開かれておりたような状態で、地区委員会がそういうふうな雰囲氣ですから、私としてはそういうことは予期はしておりません。
○井手委員 そうすると地区委員会は平和的に解決しようじやないか、ところが騒擾事件が起きたので平和的でなくああいう解決になつた、こういうことになりますね。
○清野證人 そうです。
○井手委員 その時分に地区委員会は開かれておつたということですね。
○清野證人 開かれておりました。間違いありません。
○井手委員 それともう一つ簡單なことですが、福島縣下の各地区にはそれぞれ労働組合の指導者に、この事件に関連を持つ人が散在していたわけですね。その人たちの普段のそういつた問題を解決するためにとられる連絡というものはどういうふうにとられておりますか、たとえば平市の警察署に事件が起るというと、各方面から隊伍を整えたり、トラツクを持つて來たりしてやつて來ている。同時刻に警察の前に集合している。事実問題としてそういうことが事前に何らかの連絡なり打合せというものが行われなければ、いわゆる自然発生的ということにはならない。偶然だとは言えない。いくら言つてもそれは事実が証明しているから言えない。一体そういうふうな連絡とか協議とかいうものをとられているかいないかということを知つているのがいわゆるジヤーナリストの、感覚による行動性を握る新聞記者の立場ではないかと思う。そういうことについて何か知つていますか。
○清野證人 知りません。
○井手委員 もう一つ最後に聞きますが、あなたは地区委員会の会議をやつていたという事実以外に、地区委員会その他の組合の幹部とか、これに関連を持つ人たちの他の集合に出席したことはありませんか。あるいは集合があるということを知つて、そこに行かれたことはありますか。地区委員会が行われたことによつて……。事実が発生したということを知つたのはこれが初めてで、そういう寄合いとか、会合とか連絡というものを知悉していたかどうか。
○清野證人 この平事件について知つていません。
○井手委員 全然白紙だということですね。
○清野證人 そうです。
○井手委員 わかりました。
○高木(松)委員 大体先ほどから聞いてよくわかつたのですが、二三のはつきりしない点があるのでお尋ねします。あなたはあの平市の共産党地区の事務所に何時にいて平事件のことを知つたのですか。記憶をよく呼び起してはつきりしたことを申し述べていただきたい。
○清野證人 地区委員会にいた時間ですか。
○高木(松)委員 そうです。呼びに來たときです。平事件が起きて先ほどあなたのところに呼びに來たというときです。
○清野證人 はつきりした時間は時計を持つていませんのでわかりませんが、たしか三時半ごろだと思うのです。
○高木(松)委員 あなたは地区委員会を開いているということは認めているのですね。
○清野證人 認めています。
○高木(松)委員 地区委員会はだれとだれとで開いていたのですか。
○清野證人 通信綱と地区委員会というものは全然別個ですから、私は知つておりません。
○高木(松)委員 それならば地区委員会が開かれているかいないかわからないはずじやないですか。人もわからず何をしているのか内容もわからず、どうして地区委員会を開いているのがわかるのか。委員会というのは委員が集つて正式に開くものでしよう。でたらめを言わないでください。
○清野證人 でたらめは言つておりません。
○高木(松)委員 地区委員会を開いているのならばわかるが、だれがどういうことをやつたかわからないで地区委員会を開いたというのはどういうことですか。
○清野證人 さつきも申し上げたように通信網と地区委員会は全然別個ですからわかりません。ただ地区委員会を開いてそういう問題をやつたということです。
○高木(松)委員 あなたは平和的に解決したいために地区委員会を開いているということをはつきり言つているのだから、その地区委員会がだれによつて開かれているかということがわからずにそういうことは言えない。地区委員会を開いたか開かないかわからない、どういうことをやつたのかわからないということになれば、私はもうあなたには聞かないですよ。
○清野證人 ですからそのように地区委員会が……。
○高木(松)委員 それならばこういうふうに聞いてよいですか。とにかくはつきりしなければ眞実がわからない。地区委員会を開いているのかどうかもわからないし、それから平和的に解決しようと思うために地区委員会を開いたのかどうかもわからぬというのならば筋が通るからあなたにそういうことを尋ねようとするりではないのです。
○鍛冶委員長 どつちですか。
○清野證人 地区委員会を開いて平和的に問題を解決しようということは聞いているのですが……。
○高木(松)委員 だれに……。
○清野證人 それははつきり覚えておりません。
○高木(松)委員 そういうでたらめを言つてはいかぬ、あなたは地区委員の人の名前は全部覚えておるでしよう、アカハタの記者として。
○鍛冶委員長 地区委員は知つておるでしよう。
○清野證人 旧地区委員の右前は知つております。
○鍛冶委員長 旧とは何だ、旧を知つて新は知らない、こういう意味ですか。はつきり言つてもらわなければ時間ばかりたつてしまいます。
○高木(松)委員 それなら旧の方から言つてごらんなさい。
○清野證人 鈴木光雄、鈴木磐夫、金明福は地区委員かどうかは知りません。
○大橋委員 金逢琴は……。
○清野證人 金逢琴はたしか地区委員ではありません。
○大橋委員 朴重根は……。
○清野證人 地区委員ではないと思います。
○高木(松)委員 そうしてその地区委員会は時間にしてどのくらいやつでおりましたか。
○清野證人 これもはつきり時間的には記憶がないのです。
○高木(松)委員 それで平和的に解決するために協議をしたというその内容が、あなたによくわかつておりますね。どうしてわかつておるのですか。
○清野證人 ですから、だれから言つたということについてははつきりした記憶はないのです。
○高木(松)委員 そんな覚えのないことをあなた自身として、ここではつきりそういう内容だということが言えますか。そういう記憶の程度で言えるのですか。
○鍛冶委員長 証人が発言せぬ前に、それに示唆をするようなことは愼しんでもらいましよう。
○清野證人 さつきもお答えした通り、だれから言つたかわかりません。
○高木(松)委員 それでわからない、あやふやなことなら聞いてもしようがないが、一つ最後に聞くが、矢郷炭鉱でいろいろなものをつくつたと最初に言つておりますが、こういう人たちは配給物を辞退して、金がないから取らずに、そうして野草を食つておつた。一体配給物を取つておつたのか、これははつきりわかるだろう、現地に行つて調べれば……。
○清野證人 あそこのところでは、主食だけです。
○高木(松)委員 それだけでいいのです。そらさずに言つてもらいたい。主食をその都度その都度ちやんととつておつたかとつていなかいかということを聞いておるのです。
○清野證人 主食だけを会社でもつて支給しています。そのほかの副食、あるいは調味料は全然配給になつていません。
○高木(松)委員 そうすると主食はその都度とつておるのですか。間違いありませんか。
○清野證人 とつております。間違いありません。
○大橋委員 さつき高木さんの質問に答えかけてやめてしまつたが、日野定利は地区委員かどうか。
○清野證人 たしか地区委員でないと思います。
○大橋委員 そのとき二階にいたとあなたが想像する人は、だれか一人や二人はいるだろう。あれがいたろう、これがいたろうというのがあるでしよう。だれか言つてごらんなさい。あなたの言つた鈴木光雄、金明福とか、鈴木磐夫はそのとき警察にいたのだから――鈴木光夫君は平市内の朝連事務所にかねて手配せる通り共産党と朝鮮人連盟を百五十名集めて、これを引連れて警察に押しかけていたじやないか、金明福君もそのときに一緒に押しかけているじやないか、だからあなたが下にいたときに二階にいるはずはない。だから二階にいた人はだれです。この鈴木光雄君はあなたの方の計画の第一陣の第二部隊になつておる。
○清野證人 それは何だか知りませんが、全然そういつたことは……。
○大橋委員 そういつたことじやない。二階にいた人はどなたですか。
○清野證人 ですからさつきも申し上げた通り、だれが……。
○大橋委員 金明福というのは古賀政男という通称になつておるのでしよう。
○清野證人 それは知りません。
○大橋委員 君は知らないのですか。そんなこと知らないはずはないでしよう共産党員たるものが。ふだんは古賀政男と金明福は言つておる。この人が朝鮮人連盟へ一たん警察から引揚げて来て、それからすぐ大衆を引連れて警察へ押しかけている。だからあなたがさつき言われた三時半ごろにはおられるはずはないのです。鈴木光雄も鈴木磐夫もおるはずがない。だからそのほかにだれがおりましたか。
○清野證人 ですからさつき地区委員はだれだれだと聞かれてそのとき上で地区委員会をやつたメンバーに対しては、だれがやつたかについては全然わかりません。
○大橋委員 全部はわからないだろうが、一人か二人これがいたに違いないという心当りがないことはない、だろう。五人おるうちの三人くらいは知つておるはずだ。あと一人二人おると思つたがおらなかつたりすることはあるでしよう。そうでなく……。
○鍛冶委員長 こういうことなのですね。地区委員会のおもなる者はたいてい警察の前に行つておつたから、あなたのおる時分には、地区委員会はなかつたと思うが、あなたがあつたと言うから尋ねる。地区委員会があつたのは間違いないのですか。
○清野證人 この問題については鈴木委員長が特に一番よく知つていると思うのですが、現在おる者でこれを一番よく知つているのはやはり金明福だと思うのです。
○大橋委員 ここに日本共産党の神山さんと聽濤さんという二人のおえらい方々がおられるが、だれを呼んだらいいだろうというときに、それはアカハタの清野君がよく知つているからぜひ証人にしてくれというこちらからのお申込みでせつかく來ていただいたのですから、あなたも知つているだけのことは言つてもらいたい。
○清野證人 だから知つている範囲のことを申し上げておるのです。
○大橋委員 そのとき地区委員会で二階にいた人はだれですか。これは大事なことで、地区委員が三十日の三時ごろかねて計画通り暴動を起そうとしている最中に、こつちで共産党の地区委員がそんな相談をすることはないとわれわれは認めている。それをあなたがそういう相談をしておつたというから、それならだれとだれが地区委員としてそこにおつたか、これが共産党のそのときの態度を決定する重要なポイントです。
○清野證人 ですからその点について金明福が知つておるだろうと思います。
○大橋委員 金明福はそのとき警察にいましたよ。見た人がたくさんあります。警察署長も金明福は何時から何時までいたということを証言しておる。
○清野證人 わかりません。
○大橋委員 どういう理由で言わないのですか。
○清野證人 地区委員会を開いているということだけは知つております。
○大橋委員 地区委員会が開かれるとすれば、だれとだれが集まれるとあなたは考えますか。暴動をやろうとしているのに、平和的に処理をする、そんな地区委員はあり得るはずがない。――あなたは地区委員の名前は全部知らないのですか。地区委員は旧のときは大体幾人おるのですか。
○清野證人 五名か六名と思つたのですが。
○大橋委員 そうすると五、六名の中にはだれと、だれがおるのです。鈴木光雄と鈴木磐夫、この両君は地区委員ですね。
○清野證人 そうです。
○大橋委員 日野定利君は違うようですが、あとの五名はだれですか。あなたがそれをおつしやつたために、何かからだに危険が起るというならば聞きません。そうでなければ聞かしていただきたい。
○鍛冶委員長 私からあらためて聞きますが、あなたは地区委員会を開いたと言われるが、地区委員のほとんど全部が警察の前に行つておられるのです。だから地区委員会が開かれるはずはないと思う。地区委員会があつたことは間違いないのですか。それともわからぬならわからぬでいい。
○清野證人 それはあつたということは聞いております。
○鍛冶委員長 実際は知らぬのですか。
○清野證人 今の大橋さんの言われるのも、自分が思うということを前提にして話されるので……。
○鍛冶委員長 そこであつたことが間違いないならたれがおつたというのです。あなたが事実見ないであつたと聞いたというならそれでいい。確かにあつたというなら、しからばだれが出て……。
○清野證人 聞いたのを聞いたということを申し上げております。
○鍛冶委員長 見たのじやないですか、それならそれでいい。
○清野證人 聞いたのです。
○鍛冶委員長 何かありますか。
○神山委員 きのうここへ来た証人の中で本田署長、矢吹公安委員、この人人は口をそろえて共産党が八月に革命をやるということを言つておるのですが、党の中央部ではそういうばかなことを言つていない。民自党の廣川君が一生懸命に言つておるが、あなたにそういうことを言い触らしたりなんかしたことはありませんか。
○清野證人 ありません。
○神山委員 ことに今共産党に金を出しておかなければ將來恐ろしい目にあうぞということまで言つておるんだが……。
○清野證人 そういうことがあつたかどうかについては知りません。
○神山委員 それから今アカハタが大分賣れておると言いますが、それは知つておりますか。
○清野證人 知つております。
○神山委員 平の人は共産党につき合りておかなければ、警察をぶちこわすのだから、自分の家くちやくちやにぶちこわされるとおつかながつておるということはどうですか。
○清野證人 共産党をおつかながつておるというより、むしろおつかながつておるのは警察が五十名、三十名と隊伍を組んで一名の逮捕者をつかまえるのに、自動車で二台も三台もで走るのを恐れておる。共産党をこわがるということは知りません。実際あそこでアカハタがふえておるというだけでなく、共産党員がふえておるのです。
○神山委員 それから共産党が暴徒とか暴力團とか言うのは大橋君ばかりじやない、共産党をおきらいになつておる民自党諸君の毎日言うことでありますが、六月二十七日の團体交渉のときの様子及びその結果について一言聞いておきたい。
○清野證人 二一七日の團体交渉のときには私がそこに参加しております。
○神山委員 参加しておればわかるはずだから、それを少し聞かしてください。
○清野證人 大体二十七日には、各新聞をはずすことについて抗議に行つたのは約百五十名か二百名だつたと思いますが、それが警察署長と團体交渉をやつて、そして適当な場所を認めてそこに移轉するということを協定したのであります。そのときには日にちも何も記入していなかつたと思います。
○神山委員 それをどちらがやろうと言つたのですか。
○清野證人 それは談合の上でやるということを協定しておるわけです。
○神山委員 それから、これは知らないことは知らないでいいのですが、知つておることがあつたら答えていただきたい。三十日のデモが行われた場合、午後一時に企明福君が先頭に立つてやつておる。金明福君と、西岡慶三郎君が出所しているときに行われたデモですが、これが公安條例違反だということを言われたことがありますか。
○清野證人 公安條例違反だということについて聞いたことはありません。
○神山委員 そのときに内郷炭鉱の労働組合の人が百名近く押し寄せたといつておりますが、これはどうでしようか。
○清野證人 そこのところの状態ですが、それは内郷に行つて、内郷のアカハタの局長をやつて、記者をやつておる山田君がそこのところを一番よく知つておると思いますから、山田君に証人になつてもらつたら一番よいと思います。
○神山委員 それから家の中に入つた問題ですが、これはここの考査委員会では、今まで出て来た証人は、あるいはそれに対する尋問の仕方は、ことごとく家へ入つたという印象を與えるために努力しておりますが、地方行政委員会の委員の調べなどでは、また法務委員会から行つた場合には、こういう報告があつたのです、雨が降り出したので、署長と交渉してそして署長はもちろん喜んで入れなかつたに違いないが、しかし入れと言つたというような話もあるのですが、どうですか。
○清野證人 それは知つております。三時間ぐらい前から雨が降つて來て、びしよぬれになつて労働者は表にいたわけです。三時間ぐらいたつてから交渉しておる署長室に窓から顔を出して、こんなに雨が降つておるのに、いつまでもさもさしておるのか、交渉をやるなら表でやれ、こう言つた。それで代表の、たしか鈴木磐夫さんだと思いましたが、これが表でやるか、それともみんなを中へ入れるかどうですかということを聞いた。署長は表へ出てやることもできないので、署長室に入らずにここまで中へ入つてもいいということを言つた。
○神山委員 そこで今話が出たので聞ぎますが、鈴木磐夫君、この人が共産党員だということはもちろん公然たる事実ですが、この人は前にどこの労働組合の委員長だつたのですか、知りませんか。
○清野證人 前は壽炭鉱であります。
○神山委員 それから八代一郎という人を知つておりますか。
○清野證人 八代一郎は知つております。
○神山委員 これも共産党員でありますが、前にはどこの炭鉱の委員長でしたか。
○清野證人 常磐だと思います。
○神山委員 どこの炭鉱かわかりませんか。住吉とか内郷とか……。
○清野證人 それはわかりません。
○神山委員 それからあなたは内郷の場合に行つていなかつたのですか。
○清野證人 三十日には行つておりません。
○神山委員 六月八日に主食のかけ賣りの問題が町会にかかつたことを知つておりますか。
○清野證人 知つております。
○神山委員 このとき警察官が行つたのは知つておりますか。
○清野證人 現場には行つておりませんが、聞いております。
○神山委員 その場合に町の議会から來てくれというように傳えられておりますが、この事実はあなたは知つておりますか。
○清野證人 聞いております。菅本議長が高萩公安委員の家へ行つて、そういうことを要請したということを聞いておりますが、はつきりした事実は知りません。
○神山委員 それに文字通り菅本君がやみ取引をやつたということがわれわれはわかつている。そのやみ取引の結果なので、そこに問題が残つているわけであります。 こういうことを聞くのもどうかと思いますが、大森玉木委員が聞いた点に関連して一、二聞いておきたい。あなたは去年の十二月に引揚げたとおつしやいましたが、どこから引揚げて來ましたか。
○清野證人 ソ連。
○神山委員 ソビエト同盟の國旗を知つておりますか。あれにはかまととんかちがくつついておりますね。
○清野證人 くつついております。
○神山委員 日本の共産党、また他の労働組合、農民組合、その他勤労人民の組織はほとんど赤旗を使つておりますが、それにソビエト同盟の國旗と同じものがあつたのをあなたは見たことがありますか。
○清野證人 ありません。
○神山委員 インターナシヨナルはもちろん知つているでしようが、ナシヨナルというのを知つておりますか。
○清野證人 知つております。
○神山委員 ナシヨナルという歌を知りておりますか。
○清野證人 そういう歌は聞いたことがありません。
○神山委員 それからあなたに聞きますが、あなたは日本人ですか。
○清野證人 そうです。
○神山委員 そこで問題なのは、日本共産党に対する誹謗の第一のものは、あたかも日本共産党がソビエト同盟の手先である、ある場合にはわれわれが日本人でないかのごとく言う。本会議の議場においても、そこらで手をたたいているような人は、共産党議員が出ると、ソ連に帰れというようなけしからぬことを言うのだ。だからあなたは共産党員なら知つていると思うが、日本共産党の現在の最大の任務の一つは、日本民族の独立だということを知つておりますか。
○清野證人 知つております。
○神山委員 それを知つておればいい。
○鍛冶委員長 済みました。御苦労さまでした。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時十九分散会