考査特別委員会 第27号
- 発言数
- 1,330 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1949/07/29
会議録
○鍛冶委員長 これより会議を開きます。 本日は平市をめぐる騒擾事件について調査を進めることにいたします。ではさつそく本件について証人より証言を求むることといたします。ただいまお見えになつておる証人は本田正治さん、安西光雄さんですね。 証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、灘種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証書を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の徴役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 〔証人安西光雄君各証人を代表して宣誓〕
○鍛冶委員長 署名、捺印を願います。 〔各証人宣誓書に署名捺印〕
○鍛冶委員長 証言を求める順序は本田さん、それから安西さんといたしますから、安西さんはお氣の毒ですが、もう一度元の控室でお休みを願います。
○神山委員 毎度のことですが、これからお尋ねする本田正治証人の場合は別といたしまして、矢吹証人の場合の尋問事項の二のイですが、暴徒の警察署占拠の模様、こういうような表現が使つてある。この点は本考査委員会が何らの結論を出さぬ前に、あたかも暴徒の事件のような印象を持つておるのではないか。從つてほかの表現を使われる必要があると思う。このことはいつも言うように、調査当局側あるいは委員長側が一方的な先入主を持つておるのではないかという疑いを抱かせますから、以後こういう表現については十分に注意されるように希望しておきます。
○鍛冶委員長 承つておきます。 木田正治さんですね。こちらから聞きますときはかけておつてけつこうですが、あなたがお答えされるときは、立つて、ひとつお願いいたします。 あなたは福島縣平市警察署長をおやりのようですが、いつからおやりになつておりますか。
○本田證人 昭和二十三年の二月九日よりやつております。
○鍛冶委員長 あなたの警察署管内で、六月の下旬にいわゆる掲示板の設置の問題についていろいろ紛議が生じたようでありますが、この掲示板を設置し、またはこれを許可するに至つた事情をまず承りたいと思います。
○本田證人 今年の四月の十三日に平市大町十八番地の長江久雄という者の名義で、平市駅前の縣道地内の道路に廣告宣傳のために掲示板を設置したいという申請がありましたので、当時その附近には二つほどの廣告の掲示板がありましたので、一應交通上大した支障もあるまいというような状況にありましたので、四月十四日より申請人の希望通り七月の二十日まで三箇月余の期間許可をしたわけであります。その後その掲示板が共産党の石城地区委員会の壁新聞に利用されておつたということがわかつたわけでありますが、その後周辺の炭鉱の労資間の問題、あるいはまた周辺の市町村政の批判の掲示等がありまして、通行人も関心を持つようになつてそこに立ちどまる機会が多くなつた。その場所は駅前の道路でありますので交通上、支障になるというような見解と、もう一つは、縣道にそうした共産党という一つの政党の活動の便宜のための施設を警察署長の権限によつて許可することは妥当でないというような二つの見解を持ちましたので、これは警察の公平を期する上から、あるいはまた道路の交通の安全を期す見地から、許可を取消すべきが至当であるというような考えを持ちましたので、六月の二十五日に一應許可の取消しを通知したわけであります。通知の方法は、最初口頭で杉森という巡査部長をして交通上の支障ある旨を傳えまして、今日中に撤去してもらいたいということを通知し、その際その口頭による通知を承諾しないというような地区委員会の幹部の話であつたので、さらに書面をもつて許可の取消しを通知したわけであります。その許可の取消通知書も、その日の午後になつて承服できないというようなことで、警察の窓口に許可取消状を返して行つたようなわけであります。
○鍛冶委員長 わかりました。そこで承りたいのは、この許可申請を出した長江久雄という者は、共産党員であつたわけですか。
○本田證人 申請当時共産党員であることはわかりませんでした。その後その掲示板が共産党の石城地区委員会で使用されておつたので、共産党員であるということを承知したわけであります。
○鍛冶委員長 ここにその写しがあるのですが、その申請書はこの写しに間違いないでしようか。ちよつと今おつしやつたのと日が違うようですが。
○本田證人 原本を持つておりませんが、この期間が一九四九年四月十四日より四月二十日となつておりますが、四を訂正しまして七になつておつたわけです。
○鍛冶委員長 訂正してあるわけですね。
○本田證人 そうです。
○鍛冶委員長 この掲示板を撤去することをあなたの方からおつしやつたのですが、ある一説では、軍政部からもこういうものを置いてはいかぬというような指示なり、何か意見があつたということを聞いておりますが、そういうことはありましたか。
○本田證人 撤去について、軍政部からの命令はありません。ただ最初杉森という巡査部長が口頭で取消しを通知した際に、軍政部の自動車が通行する際にその場所が邪魔になつたというような話をしたということでありますし、また反対に共産党の地区委員会の幹部は、その巡査部長が軍政部の命令だから取消せと言つたというようなことで私のところに参りましたが、私はそういう命令は全然受けておらない。だからそういうような点で感情を害さないで、警察の純然たる交通上の取消しに感じてくれというようなことを……。
○鍛冶委員長 軍政部から命令なり指示もないし、共産党員に対してそういうことを言うたこともないわけですね。
○本田證人 私は軍政部の命令であるということを話したことはありません。
○鍛冶委員長 ところが、二十六日にそうやつて撤去して、二十七日にこれに関して警察へ押し寄せて來た群集があつたそうですが、その点について詳しくひとつ承りたいと思います。
○本田證人 二十七日の午後三時半か四時ごろと思いますが、共産党石城地区委員会の委員長である鈴木光男、委員である鈴木岩雄外四、五十名が参りまして、私に面会を求めて、掲示板の取消しは共産党に対する警察の彈圧であるといつて、抗議に來たのであります。申し遅れましたが、その前に二十五日に取消しを通知したのでありますが、それに應じないので二十七日の朝になり、施設者側で撤去しない場合には、二十七日の午後五時までに警察側において撤去するからという代執行の通知を出したわけであります。それに対しまして、その日の午後三時半か四時ごろ、さきに申し上げた者らが参りまして、警察の取消しは共産党の政治活動を妨害するものである、それゆえにわれわれは應じられないから、その警察側の取消し要求を撤回しろ、こういうようなわけでありましたが、警察側としては、そういうような政治活動を妨害するのではなくて、純然たる交通上の安全をはかるためにやつたものである、さらにまた政治活動というようなものも一般の交通の妨害にならない範囲においてやるべきではないかというような考えを持つておるので、警察としては共産党の政治活動を妨害するというような意思は全然持つておらない、純然たる警察の交通行政の見地から取消しをしたのであるから、それに應ずるようにというような折衝をしたのでありまするが、それに應ずるような氣配もなく、さらにまたそれらの人員に続いて約七、八十名の者が警察署前に集合いたしましたので、署内にも当時二、三十名署長室に入つておりましたので、交渉の円滑をはかるため代表者のみ入つて、あとの者は署外に出るように要求しまして、代表者五名その他アカハタの記者、書記など三名ほどおりましたが、それらと交渉を続けたのであります。共産党の地区委員会といたしましては、あくまで警察側が共産党を彈圧するのだ、政治活動を妨害するのだというような点に固執しまして、取消しに應ずるような氣配もなかつたのであります。そういうようなことで表に集つていた群衆も、何か險惡な態度に出るように感じましたので、隣接する内郷町並びに湯本町警察署に対して、警戒のために警察官の派遣を要請したわけであります。五時半か六時ごろと思いますが、湯本町警察署員が三輪車で十名ほど應援にかけつけたのでありますが、警察署前に到着した際に前におつた群衆がスクラムを組んで警察官が署内に入ろうとするのを妨害するような行為に出て、また代表として私と交渉中の委員のうち、内郷町出身の松木佐吉あるいは熊田というような委員らは、なぜ内郷町の警察などを平市に應援によこすのか、帰してやれというような話になりまして、そこで何か警察側と共産党側の間に事態が混乱に入るような空氣がありましたので、私といたしましては、この場合一應円満にやるべきでないかというような考えをもちまして、應援警察官は帰す。そのかわりに共産党側においても平穏に交渉を進めるような態度をとつてもらいたいということを要求いたしまして、そこで應援警察官を帰し、向うもそれに應じたわけであります。それで交渉の結果、それは二十七日ですが、警察側で今日撤去するということは保留しよう。そのかわり適当な移轉場所をすみやかに見つけることということで、二十七日は群衆は解散したわけであります。その際に、終りましてから鈴木岩雄らの指揮によりまして、約七、八十名の者がデモ行進の態勢を整えて内郷町の方面に行くような形勢がありましたので、福島縣においては、デモ行進の許可に関する縣條例がありますので、この條例に違反するおそれがあるから、デモ行進はやめて帰るようにという警告を発しましたところ、それに應じてデモ行進はやらないで、平市内から出たようであります。なおあとで聞きましたが、その当日さらに内郷町警察署に行つて、いわゆるデモ行進をやつて内郷町警察署へ抗議をしたというようなことをあとで聞いたわけであります。以上が二十七日の状況であります。
○鍛冶委員長 あなたと交渉前に二、三十人部屋へ押しかけて相当不穏当なる挙動がありましたか。
○本田證人 警察は何か吉田内閣の犬であるとか、あるいはまたわれわれ労働者を彈圧するのだ、そういう署長はやめろとかいうような、罵譬讒謗に近いような話も中に出たようなわけでありますが、そういうことからして、代表者のみ入れたということで、他の者は署外に出てもらつたわけであります。
○鍛冶委員長 そのとき來た者は、それは平市における共産党員だけでありましたか、それとも近郷のいろいろな團体の者が來ておりましたか。
○本田證人 平市内におる者は少く、内郷町あるいは湯本方面の者が多かつたのであります。
○鍛冶委員長 どういう團体の者でした。
○本田證人 日本共産党の石城地区委員会の幹部たちが入つておりましたから、地区委員会の細胞の人たちじやないかと考えております。それから朝鮮人連盟の石城地区の所属の者たちが相当おりましたから、朝鮮人連盟の石城支部がそれらについて指導しておつたのではないかというふうに考えております。
○鍛冶委員長 越えて二十八日及び二十九日にも相当問題が起きたようですが、その点も詳細お述べ願いたい。
○本田證人 二十七日の交渉の結果適当な場所を見つけるということでまとまりましたので、二十八日にさつそく地区委員会に電話いたしまして、昨日の交渉の継続をしようという連絡をいたしましたところ、幹部は一名もおらないので、交渉ができないというので、二十九日の九時半から交渉をしようという申入れをしまして、二十九日の九時四十分より交渉に移つたわけであります。二十八日に幹部が一人もおらなかつたというのは、これもあとで聞いたことでありますが、二十八日に地区委員会の幹部たち、その他朝鮮人連盟あるいは党員などが約百五、六十名内郷町警察署に行きまして、署長に対し、二十七日に平市警察署に應援に行つたことは不当であるというようなことで、抗議に行つたことを聞きましたが、その結果幹部たちが平市におらなかつたというので話ができなかつた。二十九日の九時四十分ごろから地区委員会の代表として鈴木光雄、鈴木岩雄、金明福——これは朝鮮人ですが、それらの者と相談いたしましたが、九時四十分ごろ参りまして、では駅前の適当な場所に移したいから檢分に行つてくれないかというような話で、私は一應土地がわかつておるので行く必要はないと申したところ、次席警部をひとつというので鈴木光雄と金明福と私の方の伊藤警部の三人で駅前附近を見に行つたのであります。その際駅前には適当な場所はなかつたが、その近くの住吉屋支店と言つてもと宿屋をしておつたところでありますが、その板塀の所に空地がある。これは道路から近接しておる場所でありますが、そこを借りられればいいというようなことで、警察も行つてくれないかという話があつたそうでありますが、次席警部はそういうことに警察が交渉に入ることは妥当でないので、あなた方だけ二人で交渉してくれということで交渉にあたつた。伊藤警部がそれらの状況を見て私に復命したのでありますが、聞くところによると住吉屋の方では大体貸してくれるらしい、六、七割可能性があるというような復命をしたのであります。続いて金明福という朝鮮人が参りまして、大体これは五分通りは借りられるという、ただあすの朝九時ごろまでに諾否を回答するからというわけであつたというような結果を持つて來たわけであります。それで私といたしまして、いつまでも現在の場所に掲示板を置くことは妥当でないので、一應そういうような空氣であれば大丈夫らしいから、あすの午後四時までに一應撤去するように、もし不幸にしてその住吉屋支店の方の場所を借りられない場合には第二第三の場所を見つけられたい。第二第三の候補地がきまらない場合にも一應現在の場所から撤去するようにという申入れをしたのであります。それに対して金明福は、それは應じられないということで帰つたのであります。続いてその日の午後鈴木光雄委員長が参りまして、さきに金明福に対して午後四時まで撤去してくれという話だつたそうだが、われわれとしては應じられない、そういうことはどうしても警察の一方的なことであるからというようなことで、私といたしましては先申し上げたような純然たる交通行政上の観点からやつておるのであるから、いろいろな今までの感情を流して移轉先を借りることに全力を注いでやつてもらいたいというようなことで約二時間半ほど交渉をしてその問題はまあ物別れになつたような形であります。次いで三十日になりまして、午前中に住吉屋支店の方で返答をするわけであつたのが、親類一同が相談した結果と思いますが、午前中に回答ができないでお晝に回答することになつたわけであります。午前中にさらに金明福、鈴木光雄、西岡慶三郎というような地区委員の幹部が参りまして、午後四時までに撤去しろということはどうしてもわれわれを彈圧するという警察の一方的行為と思うからそれを取消せ、というようなことを要求しておつたのでありますが、私としましてはお晝までに回答があるはずだ、しかも大体貸すというような空氣であるから、その方に力を注いでやつたらどうか、それからでも遅くはないのではないかというような話をしまして午前中はわかれ、さらに午後一時近くになりましてまた鈴木光雄という委員長と金明福の二人が参りまして、午後四時までに撤去しろという言葉を取消せという要求でありましたが、住吉屋支店の方はどうか、それがきまれば問題であるまいというような話をして、とりあえずその諾否を聞いたらどうかと慫慂しまして、諾否を聞いたところが借りられる、貸すというようなことになつたのであります。それでこの問題はおちついたではないか、速やかに新しい移轉先に越したらどうか。それも長時間かかるわけでなく、写眞でごらんと思いますが、二時間もかかれば完全に移轉できるのだから、その方にどうかというような話をしましたところが、両代表は依然として、私の午後四時までに撤去しろという言葉を取消せという、そういうことに感情を持つて参りまして私の方の要求に應ぜず、さらにまた新しく借りられる所に移轉するという氣配もなく、午後三時ちよつと過ぎ両代表が帰つたわけであります。それ以前に私の方に地区の警察署長より午後三時ころ平駅前に共産党員らが会合して警察署の方にデモをするというような情報があるという連絡があつたのであります。そこで両代表に対しましても、帰る際に、今言つたような情報があるので、これは福島縣の公安條例に違反するからそういつたことのないようにという指示をして別れたわけであります。ところがその二人の代表が帰ると間もなく、その日の午後三時半ころであつたと思いますが、百名くらいの徒歩によるデモ隊と、トラックに乘つた約五十名くらいが平市警察署に参りまして、多数の者が署内に入ろうというようなことになり、そこに入れまいとする署員との間に衝突が起きたような状況であります。
○鍛冶委員長 そこで警察に百五十名ほどの者が押しかけて來たわけですね。それでいきなり警察に押し込もうとしたのですか。
○本田證人 私の方で、二十七日の例もありますので、多数の者を入れると交渉しにくい、代表三名だけ会うからということを次席警部を通じて金田という警部補に指示しまして、裏から表から入らないように、そうして表に金田警部補以下約十名ばかり配置しておきまして交渉に当らせたのであります。ところが彼らはそれを承知しないで、むりに入ろうとするようなことになつて、金田警部補以下十名近くの警察官と玄関先において、彼らは入ろうとする、これを入れまいとする、そこで衝突が起きまして、彼らは先頭にいた警察官三名ほどを群集の中にひきずり込んで叩くあるいは蹴るというような暴行を加え、あるいはまた道路上にあつた石などを署内に投げ込むというような乱暴事件が起きたわけであります。その際に私は署長室におりましたので、その事件と同時に玄関先に出たのでありましたが、一時石が相当飛んで來るのがはげしいので尻込みしたような状況でありますけれども、間もなく玄関へ出まして、地区の警察署長とともに彼らに乱暴をやめろ、話せばわかるじやないかというようなことで、一應それで納まつたわけであります。大体衝突事件は二十分くらいの時間でなかつたかと思つております。
○鍛冶委員長 それからどうだつたですか。
○本田證人 それによる結果私の署の金田警部補以下七、八名負傷したようなわけで、長いのは三週間くらいの打撲裂傷を負つたわけであります。現在はそれらの署員は一應勤務しておりますが、まだ二名ほど完全でない状況であります。その衝突が済んで、私は一應代表と会うからという話をしているうちに四、五十名の者が署長室に入つてしまつた。それで当時私の方の署員の状況を申し上げますと、定員は五十名になつておりますが、警察官の再教育のために十名福島市に行つておりましたので四十名。さらに婦人警察官三名を除いて三二十七名という現員でありましたので、約百五十名の者の入署を阻止することがとうていできないような状況であつたので、そのままにしなければならないということで交渉に移つたわけでありますが、それが大体五時あるいは五時半ごろの間に、署長室あるいは事務室等に約四百名、一時は五百名くらいの者が署内に入つてしまつた。
○鍛冶委員長 それでどうしました。
○本田證人 署長室におきまして、交渉は三十日の午後四時までに撤去しろという言葉を取消せということでありましたが、すでにその話が出ましたのは午後四時二十分ごろでありましたので、午後四時という時間が過ぎているので、そういうことは問題になるまい、時間が経過していれば早く移轉する方法を交渉したらどうかということで、向うは一週間くらいの時間がほしいということでありましたが、そう長く置けない、三日間後に、移轉することということで移轉の問題は一應まとまつたのであります。さらに続いて私に対して四つ要求を出しまして、一つはこの事件が起きたのは署長の責任であるから、署長が責任を負え、一つは共産党側にも負傷者が出ておる。これらの負傷者の費用は警察側で弁償するように、それから一つは話は先にもどりますが、隣の内郷町の地内に矢郷炭鉱というのがありますが、この炭鉱が経営者側と労働者側との間に解雇問題をめぐつて不法行為が行われるような情勢があつたので、私の方から前後二回所轄署長の要請に應じて派遣したのでありますが、それが労働者側の弾圧である。そういうような警察官を派遣したのは警察が悪いから責任を負え、もう一つは矢郷炭鉱の山本という労働者が解雇されたから死んだ、それは争議について警察が朝早くからその地内に應援に行つてさわいだから死んだのだ、署長も殺人の教唆なんだから共犯の一人として責任を負えというような四つの要求を出したのでありますが、私としては事件の責任についてはいずれ公安委員会から追究される問題であつて、今申し上げる問題ではない。さらに三つの点については回答の限りでないから、そういうことには、應じられないということで、彼らとの間に同じことを繰返しておつたのであります。その間代表の連中は、警察の一方的な行為であるとか、あるいは共産党に対する彈圧であるとか、あるいは吉田内閣の犬であるとか、署長はやめろとかいうような、私に対していろいろな話もありましたが、結局私から四つの要求に対して回答がないので、署長はだめだ、公安委員に会いたい、公安委員会でなければだめだということになりましたので、六時近くになりまして、矢吹という公安委員に連絡いたしまして、公安委員会の開催を求めたわけであります。とりあえず矢吹という委員が署長室に参りました際に、彼らと交渉が始まつたわけでありますが、公安委員会に対しては、一つはこの事件の責任は警察側にあるから、署長の責任を追究する。一つは共産党側の負傷者の費用を警察側において弁償しろという二つの要求を出したのでありますが、矢吹公安委員は公安委員一人において回答できないから、いずれ他の公安委員の会同を求めて協議の結果回答するということになつて、矢吹公安委員が他の公安委員を警察署に來るおうに案内に行つたわけであります。それで七時十分までにもどつて來る約束で出たのでありますが、玄関先において共産党員に檢問されまして、これはあとで矢吹公安委員から聞いていただきたいと思いますが、自動車に乘る際に、どこへ行くのだと言つて共産党員二人がついて行く、あるいはまた自動車に旗を立てる。そういうことを話したので、そういうことには應じられない。あるいはまた共産党員が一緒に行く必要はないということで、そこに約十五、六分の時間を費しましたので、七時十分にもどつて來るのが七時四十分にもどつて來たのであります。部屋に入つて來ると、そこにいた金龍洙という者が、矢吹委員に対して今まで何をしているのだ、殺してしまうぞというようなことで、火ばしを振り上げてかからんとしたのでありますが、そこにいた名前はわかりませんが、署長室に入つていた者がそれを取抑えまして、それ以上の暴行はなかつたのでありますが、そういうことで公安委員が一應参集しまして彼らと交渉いたしましたが、公安委員会といたしましても、二つの要求に対して今すぐに回答すべきものではない、署長の責任ということも一應詳細に調べた上でなければ回答できない。第二の共産党員の負傷の費用弁償も、警察側にも負傷者が出ている問題であるから、これも調査の上でなければ回答できないというような返事であつて、それに対して彼らも納得しないで、その問題について十一時半に彼らが退散するまで話を続けておつたような次第であります。その間今後八時から八時半ごろのできごとであつたのでありますが、留置中の被疑者が脱出した。あるいは拳銃が奪いとられた事件が起きたのであります。それは最初三時半に共産党員と衝突いたしました際に、警察官に暴行し、さらにむりに入ろうとした者を公務執行妨害で検挙したわけでありますが、これを留置しておきましたが、午後八時過ぎになりまして、留置人が、これは利用鎭吾という者でありますが、同志が署内に來ておるということがわかつて留置場から救を求めたわけでありますが、それで代表の連中が私に会つて、お互いに交渉中にわれわれの一人を検挙することは不都合だ、早く出せ、こういう要求でありましたが、一應公務執行妨害で検挙しておるのであるから、出せないと言つたところが、出さなければわれわれが出すというようなことで、先に申し上げましたような警察の警備力の関係上、一應聞かなければならないような、また聞かなければさらに事態を混乱に陥れるような状況にありましたので、一應取調べの上、釈放するからということで、次席警部に命じまして、その手続をとろうとしておる間に、約四、五十名の者が留置場に侵入いたしまして、留置場入口のガラス戸を破り、監視中の織井安吉という巡査から実包を四発装填しておりました拳銃を奪いとり、留置場の鍵を破りまして、利用という留置人を出し、逆に監視巡査を留置場内に入れてしまつたという事件が起きたのでありますが、それ以外には彼らは署内において赤旗を振つて歌を歌つたり、あるいはまた警察の交渉の状況を中間報告だと言つて話し、あるいはまた警察官の集結の、状況を中間報告するというようなことで、署内に集つた群衆にそういう説明を加えておつたようでありますが、それ以外に暴行等はありません。なおその間に署内にあつた警棒とか、あるいは二、三署員の私物がなくなつておるようなわけで、これは金額にいたしまして六千円近くのものであります。
○鍛冶委員長 そのときは三十何名の警官はどうしておりましたか。
○本田證人 先ほど申し上げましたように、約四、五百名の者を署内から出すというようなことはとうていできない状況であつたので、一應二階だけ上る、あるいは二階の電話室とか、そういうところに入るのを防止して、二階の廊下、あるいは入口のところに警戒しておつたような状況であります。下の事務室には二、三の警察官がおりましたが、そのほかにはおらなかつた。
○鍛冶委員長 下はほとんど占拠されてしまつたわけですね。
○本田證人 そういう状況です。
○鍛冶委員長 なお表に共産党旗を立てて、人民警察が設立されたと言つたそうですが、それはどうですか。
○本田證人 これは私は聞いておらないのですが、玄関の柱に赤旗を交叉いたしまして、人民管理の警察ができたのだ、こういうことを言つておつたそうであります。それは時間にしまして、六時過ぎにやつたのではないか、こう思つております。学校に行つておりました警察官が五時二十九分の汽車でもどつて來たのでありますが、その際には赤旗が交叉されておらなかつたと言うので、その時間以後でないかと思います。
○鍛冶委員長 それから先ほど言われた矢吹公安委員が出たらすぐ檢問に会つたと言われるが、そういう檢問所を設けておつたのですか。
○本田證人 それも署員から聞いたのでありますが、時間は判然いたしませんが、市内の数箇所にいわゆる檢問所を設けて通行人を檢問したというわけであります。それらの警備員は朴重根という朝鮮人が指揮したのでありますが、警備員を命ずるとか、あるいは配置につけというようなことを指示いたしまして、署の周囲、それから市内の三、四箇所の場所に三、四名ずつ出して、檢問所をつくつて、それに対して警察官も一、二名その檢問所にかかつて、署に來るとき尋問を受けた、こういう事例もあります。
○鍛冶委員長 どう言つておりましたか。いわゆる人民警察署管理の檢問所とでも言つておつたのですか。
○本田證人 それは聞いておりません。警察官を調べたことについて何と言つて調べたかという点は聞いておりません。ただ調べを受けたという報告には接しております。
○鍛冶委員長 この四、五百名の人間は主としていかなる團体もしくは党の者ですか。
○本田證人 共産党と警察との問題でそういうふうになつたので、日本共産党の石城地区委員会のいわゆる細胞関係の者でないか。また現在檢挙した状況からいたしまして、共産党の地区委員会の所属の者であるというふうに思われます。他にもう一つは朝鮮人連盟の石城支部並びに石城支部以外の朝鮮人も参加しておつたようであります。それから國鉄あるいは全逓、それから石城郡内の二、三の工場の労組の幹部たちも入つておるようであります。これは労組としての参加ではなく、共産党員としての参加ではないか、こういうふうに思われる現在の捜査の段階にあります。
○鍛冶委員長 そういう労組の中の共産党員が指揮してやつておつた、こういうことですね。
○本田證人 そうです。
○鍛冶委員長 それから当日の警察電話が外部から傍受されたということを聞いておりますが、そういう事実はありましたか。
○本田證人 現在までその事実はまだはつきりいたしておりませんが、さつき申し上げましたように警察がどこから應援に來るというような事柄、あるいは出発時刻等が朴重根その他の者によつて報告されておりましたから、警察電話がどこかで盗聴されておる、あるいは傍受されておるのではないかというふうな状況にあつたわけです。
○鍛冶委員長 警察の移動状況はみな先に向うにわかつておつたのですね。
○本田證人 そうです。仙台駅から仙台管区各学校生徒約百名を向けたのでありますが、仙台駅で出発の際すでに應援警察官が暴行を受けたということからいたしまして、そういうふうにうかがわれる状況にあります。
○鍛冶委員長 三十日の午後くらいまでは先ほどから順を追うて聞いたのですが、何か掲示板のことで自然に起つたことと思いましたか、それともそれを元にして計画的にここまで至つたものと認めておりますか、いかがですか。
○本田證人 三十日の暴行事件は何か計画的にやつたのではないかと考えられる、というのは先に一言いたしましたように三十日の午後になりまして、すでに移轉先がきまつてそこに移轉しているかどうかという私の要求に対しまして、そういうことはどうでもいい、借りる借りないはこつちの勝手だ、署長の四時まで撤去するという言葉を取消せというような点を固執しておつたわけであります。さらにまた午後四時二十分になりまして、午後四時までに取消せという言葉を撤去するというようなことで、何ら益のない事柄を私にも執拗にかかつて來たということからいたしまして、そういうことを理由にしていわゆる警察に対する一つの地区委員会の闘いでないかというふうにあとで考えられる状況にありました。
○鍛冶委員長 警察に対してそういう計画的に当つて來たということについては、その地方の党員がさようなことを計画したとお認めでありますか、それとも本部その他から指令または指導等があつてさようなことをやつたとお認めになりますか。
○本田證人 その点はまだ捜査の段階にありまして、判然といたしておりませんが、福島縣内におきまして、福島市、郡山市、あるいは若松市と当時多角的に共産党員の指導によるものと思われるような状況があつたわけであります。何かそこに計画的なものがあるのではないかというふうに考えられる段階にありますが、その点はまだ捜査中で判然いたしておりません。
○鍛冶委員長 何か本部の党員でそれを指導したり、またはアジつたりした人がおりましたか。
○本田證人 その点まだ判然いたしておりません。
○鍛冶委員長 土橋代議士が行つていたという話ですが、それはいかがですか。
○本田證人 土橋代議士は六月二十一日から二十六日までの間五日か六日石城郡並びに平市においでになつたようであります。
○鍛冶委員長 どんなことをやつておりますか。
○本田證人 平市には二十五日午後参りまして、その日の夜平市内にある労働会館において演説会を開催いたしました。大体二百名近く集まつたそうであります。その他の町におきましては内郷町、湯本町、好間村において演説会をされたようであります。
○鍛冶委員長 二十五日でしたら、すでにあなたの方から掲示板の撤去を申出たときですね。
○本田證人 そうです。
○鍛冶委員長 演読の内容はわかつておりますか。
○本田證人 署員が行つて聞いたのによりますと、詳細は記憶しておりませんが、炭鉱問題について低品位の炭鉱がなくなつて來る。あるいはまた外國から石炭を持つて來る。そしてそのアメリカから持つて來る石炭は日本の石炭よりも高いのだというようなことは、アメリカに対する外交あるいは貿易のへつらいであるというようなこと、それから鉄道負の解雇問題について論及したり、それから天皇陛下のことについて、ああそう氏というような言葉で天皇陛下のことを話しておつたようです。一億円の金でまかなつているが、われわれ代議士は、歳費幾らと言いましたか、そういうふうな状況なんだ、こういうことはわれわれ労働者を苦しめるばかりだというようなこと……。
○鍛冶委員長 警察に関することなんかは言わなかつたでしようか。
○本田證人 警察に関することははつきり記憶しておりませんが……。書類を見てさしつかえありませんか。
○鍛冶委員長 よろしゆうございます。
○本田證人 阿波丸の事件についても、何か吉田内閣は対米貿易あるいは交渉に米國にこびているというような事柄、それから憲法違反と労組法というような事柄について、罷業権あるいは團体交渉権を抹殺しようとしていることは憲法違反だというような事柄、それから國鉄の買收について、現在國鉄が百七十億くらいに見積るべきものを三十七億程度で算出していることは不当であるというような事柄であつたようであります。詳細は別に筆記しているわけでありませんのでわかりません。
○鍛冶委員長 あなたの方の警察における装備その他機動力等はどういうものでありましたか。
○本田證人 装備は、拳銃二挺、自動車一台、自轉車が二十五台というような装備であります。
○鍛冶委員長 あと警棒を持つている。
○本田證人 そうです。
○鍛冶委員長 自動車は署長の乘用車ですか。
○本田證人 乘用車です。
○鍛冶委員長 普通のハイヤーと同じものですか。
○本田證人 そうです。
○鍛冶委員長 三十日にそういうことになつて、あなたは他の警察に應援をお求めになりましたか。
○本田證人 應援を求めました。一應警察官の状況について申し上げます。二十九日に、三十日の午後四時までに撤去するという通告をいたしましたので、これに対しては共産党側も相当抵抗するのでないかというような空氣も見えましたので、一應縣内の浜通り地区の警察官約二百名ばかりの應援を得て、警戒のうちに撤去しようという考えを持ちましたが、三十日の朝になつて福島、郡山、あるいは若松方面にも、共産党員の指導によると思われるような、警察の警備を必要とする事態が起りつつあるような情報がありましたので、平市においてさらにまた警察官の集結をしておるという問題はなるべく避けた方がいいのでないかというような考えを持ちましたので、二十九日に應援警察官を求めて掲示板を撤去することを一應考え直しまして、午後四時過ぎになるべく摩擦を起さないようにして撤去しよう、要すれば午後四時以後の夜、あるいは一日の朝でも撤去すれば大した問題はなく、あるいはその結果交渉に來る程度でないか、さもなければ、掲示板の撤去をめぐつて警察官と共産党員との間に相当衝突が起きというように考えましたので、警察官の應援を中止したわけであります。ところがその結果、逆に三十日の午後三時半にさき申しました暴行が起きたような結果になつたのでありますが、その当時署員が三十七名ばかりおつたので、事件と同時に警備主任が地区警察に應援の電話をかけたのでありますが、地区警察の隣には、当時約百五、六十名の朝鮮人をまじえた一隊が待期しておりまして……。
○鍛冶委員長 地区とは、平のですね。
○本田證人 そうです。これがやはり地区警察に押しかけるような氣配があつたので、私の方にかけつけることができなかつたような状況であります。その後彼らと交渉いたして何とか交渉で彼らを退散せしめたいと思つておりましたが、ますますその参加人員がふえて來る。さらにまた市署員と地区警察合わせて八、九十名の警察官ではとうていこれを退散せしめることはできないというような状況になりましたので、午後六時過ぎになりまして、國家警察の縣の警察隊長に警察官の應援の派遣を要請したようなわけであります。それで朝方の三時半ごろまでの間に國家警察並びに自治体警察官五百名ほど應援をもらつたわけであります。さき申し上げました十一時半に共産党員らが退散する際に一應檢挙の方法を講じようと思つた際には、約百名ぐらいしか参集しておりませんので、ただちに逮捕に向つたわけでありましたが、その際は逮捕できなかつたような状況であります。
○鍛冶委員長 應援隊は三、四百名ですか。
○本田證人 五百五名です。
○鍛冶委員長 それはどこの人ですか。
○本田證人 縣内の国家警察、自治警察、並びに仙台管区学校の生徒百名、その後状況が悪いように思いましたので、東京管区学校生徒、それから茨城縣の警察学校の生徒の派遣をいただきました。
○鍛冶委員長 それを入れて五百名ですか。
○本田證人 そうです。
○鍛冶委員長 そこで仙台から來るとき、先ほどちよつと言われた妨害された事実があつたそうですね。
○本田證人 これは列車に乘る際に、駅の近くで石を投げて妨害された、こういう報告を引率者から聞いております。その際二名ほど負傷したということですが、その負傷の程度については聞いておりません。
○鍛冶委員長 そのためによほど遅れましたか。
○本田證人 予定の列車には間に合つたようであります。
○鍛冶委員長 汽車で來たのですね。
○本田證人 そうです。
○鍛冶委員長 そこでこの事件が起つたために、平市民及び附近のものにいかなる影響を與えたかという点であります。
○本田證人 附近のものは、その日あるいはその翌日、不安のために寝るにも着物を着たまま寝たり、警察がやられたのでは、いつまたわれわれがやられるかもしれないというような不安恐怖の念をもちまして、そういうような状況であつたようであります。市民一般も共産党がああいうような暴行をするのではおそろしいものだというようなことで、事件後数日を経まして、共産党員がいわゆる資金カンパとしてアカハタあるいはその傳單などを賣る場合に、アカハタを五円のものを、警察に留置された者の救援資金にするのだというようなことから十円くらいで賣りつけたそうですが、それらもいわゆる共産党に何かされるかもしれないからしかたがない、買うというような、いわゆる恐怖感に……。
○鍛冶委員長 現在はどうです。やはり相変らず恐怖心に……。
○本田證人 現在はよほど大半がおちついて安心しつつあるようでありますが、いまなお共産党員の暴力行為というものに対しては不安の念を持つておるのであります。
○鍛冶委員長 そこで何か自警的の組織ができたとかいうことを聞いているのでありますが、そういうものが何かできましたか。
○本田證人 消防團が一應そういう非常の場合に出動して防禦すべきじやないかということになりまして、七月の六日に石城地方事務所に周辺の町村長、消防團長、その他関係者が集合いたしまして、警察官は少数である、それが多数の者にやられた場合には、他に自警的な方法を講じておかなければ彼らの暴力を阻止することができないというので、相談いたしました結果、一應平市におきましては、從來より火防組という、消防團員以外に、火を防ぐという組織があるわけですが、これらがそういう場合に出ること、あるいはまた周辺の消防團も、主として自治警察の設置してある町村でありますが、それらもそういう警察がやられて手不足になつたというような場合には、消防團が出て應援しろ、警戒にあたろうというような打合せをしたようであります。
○鍛冶委員長 それは何ですか。警察を守るという意味ですか。
○本田證人 警察ばかりでなしに、共産党かあるいは他にもそういう暴行をするのではないかというふうに感ぜられる状況でありました。
○鍛冶委員長 一般の治安を……。
○本田證人 維持するために。
○鍛冶委員長 それは自分みずからやるのですか。警察に助力して……。
○本田證人 それは消防廳が一應そういう場合に警察と連絡をとつて警戒にあたる……。
○鍛冶委員長 それはあなたの方から要請してやつたのですか。
○本田證人 これは私どもの要請ではなく、周辺の関係市長、町長、あるいは消防團側から出たようであります。私の方からは要求したものではありません。
○鍛冶委員長 今でも何かその組織が残つておりますか。
○本田證人 先にそういう申合せをいたしましたので、將來共産党員によりそういう不安な状態が出た場合には出動するという申合せをいたしたようでありますから、今後そういう事態が惹起した場合には出動するのではないかというふうに考えるわけであります。
○鍛冶委員長 ところでわれわれも経験があるのですが、こういうものができまして、俗に言う東京なんかで震災後に警防團というようなものができまして、目的はよろしいが、いろいろまたそれに伴う弊害等の起る事実もあつたのですが、それに対してはあなた方の方で相当注意なり、また手段なりを講じておられますか。
○本田證人 もし今後そういう事態が惹起いたしまして、警察の應援に出動を願うというような場合には、相当愼重を期さなければならない。ただいま委員長さんからもお話のありました通り、震災当時そういうような弊害もあつたようでありますから、出動をして警察に應援をするというような場合にも、直接警察官吏と同様な活動でなしに、その背後でもつて犯罪の発生を防ぐとか、いろいろ盗難の防止にあたる、交通の整理にあたるというような補助的任務についてもらうべきじやないかというような考えを持つておりますが、まだその問題について具体的に市町村長あるいは消防團長等と協議いたしておりません。
○鍛冶委員長 先ほどおつしやつた矢郷炭鉱のことですが、矢郷炭鉱に起つた労働争議とこの平事件とには相当因果関係の深いものがあるでしようか。もしあるとすれば、その内容を聞きたいと思う。
○本田證人 私どもは矢郷炭鉱と全然関係がないのじやないかというふうに思つておりましたのが、警察署の襲われました大半が矢郷炭鉱のいわゆる労組員であつたという結果が判明したのですが、それに対してどうして來たのか考えてみましたところ、その矢郷炭鉱の労組はいわゆる共産党員の指導による、また組合の幹部がほとんど共産党員によつて占められている。というような結果から、掲示板の問題の処理に出動されたのじやないか、こういうふうに考えております。なお先ほど申し上げました矢郷炭鉱の解雇問題について二回警察官を派遣したのでありますが、そういうようなことに幹部の連中がいわゆるこじつけて、一般の組合員をアジつてしたのじやないかと、こういうふうに考えます。それから朝鮮人の朝鮮連盟の参加者、これも大体百名あるいは百五、六十名参加したのじやないかと思われる状況でありますが、これもなぜ参加したのか考えてみた結果、朝鮮連盟の幹部、金明福とか金逢琴が共産党員の一員になつておる、そういう関係からじやないか。それからもう一つは從來警察と朝鮮連盟との関係については、いざこざがあつたわけではないが、ただ一つ今年二月に湯本町の朝鮮人部落の濁酒狩りの檢挙をしたことがあつたのであります。その際に私どももそれの逮捕に大半をあげて應援をいたしましたが、それらに対する感情も遠因として手傳つておるんじやないか、こう考えられます。
○鍛冶委員長 みずから掲示板の問題にこじつけて、党員を指揮して連れて來た、こういうふうに見ておるわけか。
○本田證人 そういうふうに考えております。
○鍛冶委員長 わかりました。——ここにあります写眞はあなたの方にあつたのを参考に借りて來たようでありますが、一号、二号と番号を打つてある。あなたの方でそういうものをお持ちになつておつたのですか。
○本田證人 二号の写眞は私の方の署員が撮影したものでありますが、一号は私の方の署員でなくて、檢察廳において押收された写眞を複製したものじやないかと思いますが……。
○鍛冶委員長 そういう事実であつたことは聞違いありませんね。
○本田證人 私は現認いたしておりませんが、こういう状況にあつたということをあとで聞いております。
○鍛冶委員長 これは平市内に配布したビラを集めたものですが、ここに昭和二十年七月二日「市民に米を配給しろ」という要求。それから七月三日に「壁新聞を守れ。警察の不正を摘発せよ」という題のもの。それから四日ごろというのだが、「ごろつき警官の飯はどこから出るか」という題のもの。さらに七月二日ごろと書いてあるが「無能力本田署長を追放せよ。壁新聞に全東北の警察動員」こういうものがある。それから「磐城の労働者を彈圧するため平市に動員された警官に警察署では白い米を使つて、たき出しを行つている」というもの。それから「反動平市署に抗議せよ」。こんなようなものがありますが、これはあなたの方でお集めになつたものですか。
○本田證人 そうです。
○鍛冶委員長 よろしゆうございます。
○高木(松)委員 私は特に今質問をすることを許されたのだが、おそらく私の質問している間に、共産党の神山君がやじるであろうけれども、しかしそんなことにはかまわずにお答え願いたい。それでまずもつてあなたに断つておきたいことは、自分の目で見たこととそれから耳で聞いたこととこの両面から私は尋ねるのでありますから、從つて見たことは見たこと、開いたことは聞いたことと区別してお答え願いたい。それで見た分は見た、聞いた分もむろん事実をわれわれが調べるに必要なのでありますから、聞いたことは聞いたでかまいません。いかなるやじにあつても毅然としてお答え願いたいと思います。先ほど金明福、金逢琴は共産党員だということははつきりしたのですが、朴重根これは共産党員ですか。
○本田證人 共産党員であるかどうかわかりません。本人は入党しておらぬという話をしております。
○高木(松)委員 それから三十日、二十六日の間においても、あなたが交渉されておるのですが、まず三十日の大衆が押しかけて來たときの交渉状況をいま少しく詳細に聞きたい。具体的に言うとどういう方法で交渉されたか。先ほど言つたことでははつきりいたしませんが、どういう言葉を用い、どういう圧力、方法をもつてあなたに交渉したか。その具体的なことをはつきりとお述べ願いたい。
○本田證人 署長室での交渉に際しては、さつき一言したと思いますが、署長は労働者を断圧するやつだ、やめちまえ、あるいは吉田内閣の犬だ、あるいはばかやろうとかいうような、詳細は覚えておりませんが、私としては聞くにたえかねたような言葉が、代表並びに職長室に集まつていた数十名の者から交互にそういう言葉を発せられた状況であります。
○高木(松)委員 聞くにたえかねるということをあなたが感じているが、その具体的の内容はどういうことですか。
○本田證人 吉田内閣の犬とか、ばかやろうとか、やめちまえというような言葉は、署長として非常に聞くにたえない言葉だと思いました。
○高木(松)委員 そのときにわれわれが天下をとれば、お前たちなんというものは、絞首台にひつぱり出して首を切るのだというようなことを言わなかつたですか。
○本田證人 それは聞いておりませんが、八月か九月になればわれわれの世の中になるのだ。そのときには署長はいい署長になるのだからわれわれの話を聞いたらどうかというようなことで、代表のだれかわかりませんが、金逢琴でなかつたかと思いますが、言いました。それに対して私は何だお前たち、署長をおどかすような暴力團のようではないかというようなことで私は應酬した場面もありました。
○高木(松)委員 そこで署長室には五、六十名しか入らぬが、署長室につながつている事務室には一ぱい入つていたというがどうですか。
○本田證人 署長室は十坪ですが、数えた際に約八十名ばかりぎつちり入つていたときもありました。それから事務室は二つにわかれておりまするが、一時四百名ぐらい入つたのではないかというふうに見られました。外部から見ておつた人の言からいうと、五百くらい入つていたのではないかというようなことも聞かされますが、大体三百名ないし四百ではないかと思われます。
○高木(松)委員 その入つていた者があなた方と交渉しているときどういう態度をとつていましたか。
○本田證人 署長室から実は見ておるのですが、赤旗を持つて署長室の近くまで入つて來るとかあるいはまた歌を歌うとか、あるいはさつき申し上げた警官の集結の状況であるとか、交渉の経過であるとか、朝鮮人が朝鮮の問題について何かしやべつていたようでありますが、どういう内容か記憶しておりません。
○高木(松)委員 中でアジ演説のようなことをやつておりませんでしたか。
○本田證人 それは玄関や受付のカウンターの上に上つて村上俊夫あるいは朴重根がやつていたようでありますが、その内容は承知しておりません。
○高木(松)委員 そこで中に入つて來た者は机の上に上つたり、腰かけたりまつたく浪籍を盡していたように言つていた人があるがその点はどうですか。
○本田證人 私の机の上には約七、八名が腰をかけたり、あるいはあぐらをかいたりしていた者がありました。私は應接室に腰をかけておりましたが、それは署長の執務をする机であるから、そこからおりてくれと要求して、一時机の上からおろした場合もありました。
○高木(松)委員 それから交渉に來ておられたおもなる人たちが外部の人たちと連絡をして、一々指揮命令を與えていたというような氣配はありませんでしたか。
○本田證人 朴重根という朝鮮人が一應署内に集つておる人に対して指揮しておるような状況で、こういう手のかつこうで話を聞けとか、あるいは先に申しました警備隊を出す場合にその者が一切指揮しておつたようであります。
○高木(松)委員 あなたの署長室のうしろの窓をおけて、外から暴言をはいておる人たちもおつたように聞いておるが、その点はどうですか。
○本田證人 はつきり記憶しておりませんが、一、二名表から声をかけた者があつたようであります。というのはさつき申し上げたように、八十数名が十坪の部屋に入つてしまつたので私としてはうしろの方から暴行を受けるのではないかという考えを持つておつたので、窓を締めたのです。窓を締めると署長室におる者が外部から見えないからあけろとかあるいは表の者から締めるやつがあるか、われわれには見せないのかというようなことでやむなくその窓をあけなければならなかつた、また彼らにあけられたというような状況もありました。
○高木(松)委員 そこであなたはどこかの場面であなた自身がその暴徒になぐられるとか、けられるとか、ぶたれるとかいうことはありませんでしたか。
○本田證人 衝突の直後でありますが、玄関先に出る際に石が当りまして帽子が吹き飛ばされてしまつた。二日ばかりでなおりましたが、たんこぶが二つばかり出ました。それから玄関先で眞野という刑事が倒れておりましたので、それを起したのでありますが、その際に見ておりた署員に署長はなぐられなかつたかと言われましたが、私ははつきり記憶しておりませんが、そんな場合もあつたようであります。なぐられたのかあるいは石が当つてこぶができたのかわかりませんが、二つほど私の頭にこぶができておりました。
○高木(松)委員 私は現実に見ているのだが、物的被害状況と人的被害状況の大体を説明してもらいたいと思います。
○本田證人 廳舎に石を投げられるとか、棒でたたかれる、あるいは留置所の入口を多数の者にこわされた。玄関の入口のドアのガラス四枚、玄関の欄間のガラスが二枚、入口の丸窓が一枚、署長室の入口のガラス戸四枚、玄関の入口の電燈が一つ、それから事務室内におけるガラスが九枚、留置所の入口のガラスが八枚、それから二階のガラス戸が四枚、これは一應一万円ばかりの金額になつております。そのほか署長室にありました警棒二本、警察手帳、帽子一つ、腕章一つ、階級章一つ、それから次席警部の私物のこうもり一つ、ステツキ一本、手拭一本、それから矢吹公安委員のこうもり一つ、そのほか署員の私物で、風呂敷とか、カーキ色の上衣一つがなくなつております。それから署員の負傷の状況は金田という警部補以下十名になつておりますが、重いのは三週間、安齋美好巡査が頭部打撲あるいは腕の打撲になつております。そのほか二週間あるいは一週間の傷害を受けた状況で、あります。
○高木(松)委員 そこで今度、あなたが直接見たものではなくて、聞いたことであろうと思うが、平市民及びその隣接町村における恐怖があると言われておる。その当時の恐怖と現在の恐怖とにわけてもさしつかえありませんが、まず当時の恐怖感について、何がゆえにかような恐怖を受けたかという大きな原因の一つとして、こういうことを言われておるのを聞いたことはありませんか。共産党は九月か十月に暴力革命をやる、その前衛的行動として今度の平事件、郡山事件、福島事件、若松事件が起きたのだから、ますますこれが強化せられるのじやないかということで、不安状態が次から次へと醸成されておるというようなことを言われております。
○本田證人 聞いたのだからはつきりいたしておりませんが、さきに申し上げたように八月あるいは九月になればわれわれの時代になるのだから署長もその際のことを考えろと言つたと同じように、市民に対してもそういうようなことを話しておる。今度の暴力行為もそういうときの準備じやないか、あるいはまた矢郷炭鉱の労組員の家族たちに対しても、秋ごろには中共軍が上陸して來るのだということを話し、彼らがそういうことを信じておるような話を聞いております。
○高木(松)委員 しかもそのうわさの元となる事実として、ある共産党員が共産党のうちのけがをしたり犠牲を拂つたりした人の援助資金を募集するのに歩いて、かようなことを方々に申しふらしたというような事実を聞いておりませんか。
○本田證人 どういうようなことですか。
○高木(松)委員 要するに先ほど申し上げたようなうわさが立つたのは共産党員が寄附をもらいに歩きながらそういうことを言つて歩いたのでそれが元でそういうことになつた。單なるうわさにあらずして、共産党員の口から出てかようなうわさが巻き起つたというようなことは聞いておりませんか。
○本田證人 共産党員がいわゆる資金カンパと、負傷した者の救済のために先申し上げた「アカハタ」、その他傳單などを賣り歩いた際に、あるいは寄附をもらつた際にあなたが功労者になるのだというようなことを話して寄附を集めるとか新聞を賣るということをやつたように聞いております。
○高木(松)委員 それらの人の言いふらしたことが今のような恐るべきうわさとなつておるということは認めますね。
○本田證人 そう思います。
○高木(松)委員 それから警察官の増員問題ですが、仙台の警察学校の生徒が何名か汽車に乘るとき駅前でデモを行つて乘車を阻止したという事実をあなたは知りませんか。
○本田證人 聞いておりません。ただ暴行を受けたという抽象的なこと、それから二名負傷したということは聞いております。
○高木(松)委員 二名負傷したり暴行を受けたときの状況は聞いておりませんか。
○本田證人 聞いておりません。
○高木(松)委員 それから三十日に郡山から警官が平まで來て郡山の方に同時にこういう問題が起きたためにただちに引返したという事実はどうですか。
○本田證人 一日になつてから聞きましたが、郡山市並びに郡山地区署員四十名くらいかと思いますが、到着と同時にまた引返しました、それは郡山地方も相当險悪な状況にあつたわけであります。
○高木(松)委員 それから某巡査が共産党員の迫害に耐えかねて平駅で列車によつて自殺したというような事実があるように聞いておりますが、これについてあなたが承知しておるような事実がありましたらお述べ願いたいと思います。
○本田證人 七月二十三日午前二時二十三分平駅発の貨物列車に飛び込んで自殺した者があるというので私も三時に行つたのでありますが、これは平地区警察署勤務の熊谷四郎という巡査でありました。これは二十一日に共産党の石城地区委員会の好間細胞の者が熊谷巡査のところに行きまして、熊谷巡査は経済取締りにかこつけておどかして米を二回とつた、金をとつたということで押しかけて行つたそうであります。さらにまた張札をいたしまして悪質巡査、熊谷巡査を追出せ、熊谷巡査はむすこの不在中むすこに配給された米をこれは不正受配だ、罰金だとおどかしてとつたというようなことの張札をいたしまして、熊谷巡査に不正だと言つて要求したのでありますが、これは事実ではなく地区署長から開いた話でありますが、全然取り調べがない、ただ経済取締りとして本年の三月ころ幽靈人口の疑いで米六斗の不正受配があるが、一應経済上の状況を見て食糧公團に三斗だけ供出しろということで三斗を供出させて、その代金をもどしておる、それを事実を捏造いたしまして、熊谷巡査が経済事犯だといつておどかして米をとつた。あるいはまた金をとつたというようなことも虚構の事実を張札いたしましたので、熊谷巡査は連日私の方の事件関係のための捜査警戒にあたつておつて、相当疲労しておつたところにこういうような根も葉もない事柄を宣傳されたので、大正九年福島縣巡査を拜命したものでありますが、生來きわめておとなしい温厚な性格の巡査でありましたので、所属の地区署長に対して、こういう問題を起して申訳ない。これは自分は全然そういうことがないのだから、死をもつて身の潔白を立てるしかないというような悲壮な書置を残しまして、二十二日の夜中家出したのであります。それが二十三日の朝二時いくらかの列車に飛びこんで自殺を途げてしまつたというようなのが事実です。
○高木(松)委員 それでわかりましたが、熊谷巡査のところに共産党をまじえた多数人が行つて、人民裁判的なことをやられたということを聞いておりますが、それはどうですか。
○本田證人 その詳細は承知しておりませんが、その前に同駐在所に対して、駐在巡査がいない際に、家族に対して何か脅迫的な言葉を言つたというような事実もあつて、家族の者が共産党員に対して相当不安をもつておつたというようなことを地区署長から聞いておりますが、その日の人民裁判云々のお尋ねに対しては聞いておりません。
○高木(松)委員 よろしゆうございます。そこであなたの署にありました拳銃二挺、一挺は使用不能の状態にあつたということを聞いておるが、それはどうですか。簡單でよろしいのです。
○本田證人 一挺は実包もあるのですが、完全なものでないので使えないという状態でした。
○高木(松)委員 その一挺を三十日の日に奪われましたね。
○本田證人 そうです。
○高木(松)委員 奪つて行つた人は共産党員ですか。
○本田證人 共産党員であるかどうかはつきり承知しておりません。
○鍛冶委員長 名前はわかつておるのですか。
○本田證人 平子正孝です。共産党に入党しているというような話はありましたが、正確に入党しているかどうかはつきり聞いておりません。ただ係りの者から共産党に入党しているらしいという報告に接しております。
○高木(松)委員 持つて行つた人から轉々としてほかの人に渡つたように聞いておるが、実際に渡りましたか。
○本田證人 二名の者に渡つております。
○高木(松)委員 その姓名は。
○本田證人 一名は鈴木吉雄一名は阿久達成正。
○高木(松)委員 それは共産党員ですか。
○本田證人 二名とも共産党に入党しているという報告に接しております。
○高木(松)委員 よろしゆうございます。
○菅家委員 大体委員長、高木委員から質問がありましたので、重複しないように、逆におしまいの方からひとつお尋ねしたいのでありますが、大分お疲れのようでありますから簡單にいたします。 それはこの平の騒援事件を中心とする若松、郡山、福島に事件が相次いで起つている。これは一貫したる共産党の戦術から生れ出るのでありまして、この証拠も事実によつて立証できると思うのでありますが、そこで大体二十日の日から二十六、七日にかけて、共産党の土橋、渡部両代議士が福島縣に入つてこれらの指導をしている。先ほど土橋代議士が六月の二十五日午後六時から九時三十分まで、あなたの方の炭鉱の労働組合の会館でありますか、ここで日本共産党平地区委員会の主催のもとに、演説会を開いております。四百五十名ぐらいの聽衆が集つておる。そこで述べられた演説の内容は先ほど証人からお話になりましたが、一應午後の九時二十五分ごろに演説会が終つて座談会に入つておりますが、その座談会を開いておることは御承知なんでございますか。約八十名が集つて座談会を開いておりますが……。
○本田證人 承知しております。これは署員から報告を聞いております。それはどういう状況であつたかわかりませんが、大体八十名ほど残りまして座談会をいたしました。そこで共産党の入党の勧告をして、入党書を渡したというような漠とした範囲しかわかつておりません。
○菅家委員 それではお尋ねいたしますが、その座談会の席上に、全逓の平支部の電話交換手の女の人たちが約十二、三名参加しておつたということは、御承知になりませんか。
○本田證人 そういう報告に接しております。
○菅家委員 その座談会の席上において土橋代議士が約三十分間演説をしておりますが、そのことをば何か御報告がありませんでしたか。
○本田證人 報告になつておりません。
○菅家委員 その演説は憲法違反と労組法というような意味のことを述べておりますが、その中に先般の東京都の公安條例反対デモに際し、不法にこれを取締り、圧迫し、しかも橋本欣二を殺してしまつた殺人事件がある。これは丸の内署長及び警視総監の責任である。この殺人の場合参加した者のうち六十二名が勾引された。かかる暴逆なる処置に対し、人民が暴力でこれに対抗するのはまたやむを得ない処置であるというようなことを述べております。そういうような演説の内容があつたことは報告になつておりませんか。
○本田證人 それは座談会ではなく、先の一般的な演説の際にそういうようなことについて話をしたように報告を受けております。
○菅家委員 そうするとそれは一般大衆のときの演説ですか。
○本田證人 そうです。
○菅家委員 その次にこの間橋本欣二という者を殺したのは丸の内の署長なり警視総監の責任だ。かくのごとき暴逆なることをするときは、人民が立つてその暴力に対抗して行かなければならぬぞと言つたのは、それは一般の演説会のときですね。
○本田證人 そうです。
○菅家委員 その次にこういうことを言つておりますね。社会党はその責任者を追及するどころか、かえつてその非をわびて六十二名の釈放を懇願した。事実まことに社会党というものはわれわれ労働者にとつて味方でない、むしろ敵であるというようなことを述べておる。そういうようなことの報告はありませんでしたか。これは座談会であるが……。
○本田證人 座談会ではなく、演説会で述べております。
○菅家委員 今社会党は分裂の危機に際し、片山はのんびり外遊しておる状態である、こういうようなことを言つておりますね。この座談会が終つた後に……。
○本田證人 ……。
○菅家委員 その日に入党した吉田正夫という人は私は共産党に入党したと、入党の理由と決意を述べて、これらを中心として一回引揚げましたね。座談会後に……。
○本田證人 はあ。
○菅家委員 引揚げて、集りのあつたことを御承知になりませんか。二、三十名……。
○本田證人 どこかに集まつたという話は開きましたか——どこかでない、あなたの警察署の隣りに集まつておるのでありますが、それは何か情報はありませんか。それに土橋代議士を囲んで、朝鮮人連盟の二階に二、三十人集まつておる。その中に全逓平支部の交換手が二人行つておる。この集まつたという事実は何かありませんか。なかつたらなかつたでよろしい。
○本田證人 朝鮮人連盟は私の方の隣りでなく、地区警察の隣りです。
○菅家委員 地区警察の隣りに集まつたといううわさはお聞きになりませんか。
○本田證人 私は聞いておりません。
○菅家委員 どこかに集まつたということは……。
○本田證人 聞きました。
○菅家委員 その座談会が終つて、土橋代議士を中心として、そこに全逓の平支部の電話交換手の若い女が二人参加しておる。そうして警察の電話、それから福島、郡山、若松の電話の連絡を知らせるという協議をしておる、そのほかにももつとありますが、御承知になりませんかね——なかなか共産党は巧みですから、共産党の指令をキヤツチすることは容易なことではないが、こういう指令が出ておるらしい。それは五六——というのは何だかわからないのですが、共産党の指令だから秘密、声援、サオ、これは政治書記局だそうですね。及びカン——カンというのは中央委員会のことらしい。指令を全日本正員及び労働組合指令のうち、(國鉄に関する指令)それから二、各個別撃破戰法を実行動に移行、徹底を期す。その運動方法をずつと並べておりますが、その上に必要な部分は家庭を訪問して当局の陰謀を過大に宣傳せよ、それから八月の攻勢に備えて心を新たに定めよ、現在はもとより今後の党員は一日も早く親族と何らの関係ないようにしておくこと、秘密党員を特に獲得せよ、國家の大物の行動について常に監視して、行動隊を配置して、いつでも指令の完遂できるようにすべし(全國防衛行動像)この指令が五月八日の日に出ておりますが、この指令に基いて、各家庭を戸別訪問しておるようだが、徹底的に福島縣において行われておる。その一つはあなたの方においては前進座が興行いたしておりますね。これは福島市も若松市も郡山市もございますが、六月二十二日に鈴木桂介一座の演劇がありましたね。
○本田證人 それは自由座です。
○菅家委員 前進座はあなたの方は六月七日ですね。
○本田證人 そうです。
○菅家委員 この札を賣つて歩く際に、概略を書いたものを持つて約三千部ぐらい印刷しておりますね。これは日本共産党の五千万円の資金カンパの募集と言つて寄附を募集しておりますね。この寄附をした人にはただで入れると言つて札を渡しておりますね。そういう事実は御承知になつております
○本田證人 一應八十円あるいは百円でそれを賣つて、そのものを入場券というふうにして、入場させたようです。
○菅家委員 これは徴税法に違反するので、平の税務署においてはこれを摘発しておるという事実も御承知でありますね。
○本田證人 縣並びに市の方から徴税令書を出しておることを承知しております。
○菅家委員 これは若松も郡山も平も同じ扱いを受けておる。これがその招待状または入場券を所持して、各家庭を歩いておる。三箇所とも歩いておるし、高木委員の質問にもあつたようでありますが、共産党の八月、九月、十月といいますか、暴力革命ができて、人民政府ができるのだ、各家庭に行つて、今度われわれの政府ができると、これに金を寄附しておけば、非常に都合がいいというようなことをかなりくどくど述べて歩いたらしい。ただ一軒や二軒ぐらいそんなことを言つて歩いたのではなくて、相当に秘密党員の募集と、それからこれをやつて歩いておる事実が郡山、若松において貼り出されておる、そういうことはお聞きになりませんか。
○本田證人 ほかの地区はわかりませんが、平市あるいはその周辺で、寄附募集の際に、寄附しておけばあとでわれわれの時代が間もなく來るのだからその際に功労者となるのだというようなことと、そういうようないわゆる共産党に対する恐怖感から、しかたがない寄附を出したという話は聞いております。
○菅家委員 かなり多いですね。みなこわがつておる。一枚、二枚くらい買わないと、あとをつけねらわれて因縁をつけられるから、共産党はきらいだが、一枚とかそのくらいの金を出してもいい、そんなことをされないために、まずやれというので買つたようです。
○本田證人 そういうふうに見られる状況にあります。
○菅家委員 それから先ほど土橋代議士が座談会後に集合した箇所で、もしくはその他において、これは多くの人が知つておる。しばしば集合をしておつて警察のあなたの方の機動力、どのくらいに福島縣では一体武器を警察が持つているか、人員はどのくらいで、時間はどのくらい、集結力がどのくらいあるかということを調べておつた。それであるから今度の警察に対する一つの牽制として、平事件を中心として、各所に問題を起して、郡山からあなたの方へ百五十名の應援隊が行くというので、そのあとに郡山に行つておる。こういうようなことはあなた方の警察は昔と違つて、今は特高も何もないから調べる機関がないだろうが、おわかりになりませんでしたか。わからなかつたらいいです。 その次に通行人の検問のことをお尋ねしますが、これは先ほど委員長、高木委員からお尋ねになつておることであるが、通行人檢問の場所に人民警察檢問所という札を新聞紙に書いたものを電柱に張つたという写眞がありますが、わかつておりますか。
○本田證人 わかつておりません。
○菅家委員 わかつてなければ写眞がありますからあとで——それから警察署に共産党の暴徒が押しかけた(発言する者あり)これは暴徒である。だれも中に入れということを述べた者はない。雨が降つて來たから入れと警察署が言つたから入つたと言うが、そんなことはないので、先ほど証人が述べておられる通り、雨が降つておることは事実であるけれども、暴徒化しておる者が押しかけて、巡査からピストルを取つて、中にどんどん入つた。これを暴徒と言わずして何ぞというのです。そのときに赤い旗を警察署の門前に掲げたことは各新聞全部写眞が出ておりますね。アカハタを除いた全國の新聞は全部書いておる。そのわきの所に人民警察という札を貼つておつた。あなたはそれを見ませんか。
○本田證人 見ておりません。
○菅家委員 もう一つ五、六人腕章を巻いて、これははつきしりしておる。人民警察という腕章を巻いておつた。これは用意しておつた。そういうものを巻いた者は署の中に入りませんでしたか。駅前にはおりましたが、五、六人人民警察という腕章をつけた者が……。
○本田證人 署の中には入りませんが、表で、あるいは市内の数箇所にいた際には、腕章をつけておつたという報告は聞いております。
○菅家委員 これは駅の附近から、その暴徒の中にたくさんありますが、人民警察というのをちやんと計画して、檢問所に人民警察ということを新聞紙に書いたものを貼つておいた。警察署の前にも貼つてあつた。それを遺憾ながら写眞がない。檢問所の写眞はあるが、その写眞がない。それから午後八時十五分ごろ、署長室にあつてかつ交渉の経過をメモしておつた警務係長の柳田警部補というのがおりますね。
○本田證人 おります。
○菅家委員 留置場が今ぶちこわれた、暴徒にぶちこわされたということをだれか叫んでいる声を開いて、これは一大事だということで、暴徒で一ぱいになつている署長室から留置場のうしろまで行つたときに、そこにいた青年の二人の朝鮮人に、お前が張本人だろうと言つて、のど元をしめあげられて、なぐられたというようなことがあるのですが、これは先ほどもお述べになつたようですが、そういう事実がありますか。
○本田證人 あります。そのときにシヤツを破られて、さらに会談の内容をメモしていた紙切れも一緒に破られてしまつたというような事実があります。
○菅家委員 そうしてその警備係長の柳田警部補というものが暴行を加えられて、留置場と差向いの休憩所に押し込められて監禁された。その事実はどうですか。
○本田證人 本人からその報告に接しております。
○菅家委員 そういう事実があつたというのですね。それから暴徒が引揚げて行くときに、十一時二十分ごろ二階の刑事室であなた方が公安委員と最後の談判をして、そのうちに警官隊が來るというので、時間をかせいでいる間、鈴木光雄そのほか代表者が、これは何名でありましたか、あすは縣下の党員と朝鮮人を警察に負けないほど集めて交渉に來るから、今夜はこの辺で帰るぞというふうな捨てぜりふを言つて帰つたというのですが、あなたはそこにおられたから、この捨てぜりふについてはいかがですか。
○本田證人 それは私あとでそういう捨てぜりふを残したということを聞きました。十一時二十分にどうもかれらが退散するような空氣があつたので、それに対する検挙措置のために十一時二十分ごろですか、縣の刑事部長と打合せに行つた後のできごとでありまして、その現場には出ておりません。
○菅家委員 もう一つお尋ねしますが、公安委員と会うときに、火ばしと、それから固い板のようなものに釘を打つたようなものを持つてあなたの部屋へ入つて、そうしてそのときに残つておつた公安委員は矢吹と言いましたね。
○本田證人 はあ、矢吹大一郎。
○菅家委員 矢吹公安委員にその火ばしを突きつけて、そばへ行つて、お前要求に應じないならば殺すぞと言わんばかりに、たいへん脅迫した。しかも板に非常に釘がたくさん打つてあるものをうしろの方からふり上げて脅迫したようなことは、さつき証人の委員長に対するお答えの中になかつたようでありますが、そういう事実はありませんか。
○本田證人 あります。殺してしまうぞと言つて、火ばしをこういうふうに持つてかかろうとした。それをあとにいた朝鮮人かだれかが前まで行つてとめて、その場は済んだ。
○菅家委員 その人は検挙されておりますか。
○本田證人 金柳子といつて檢挙しております。
○菅家委員 そうですか。お疲れでしようから、あとは土橋証人のときに聞くことにいたしまして、これで終ります。
○大橋委員 最初にお聞きしたいのは、許可を取消されることになつたのですが、証人は初めにはこれが共産党の掲示板として使われるということは全然御存じなかつたですか。
○本田證人 ありません。
○大橋委員 それからそれを取消すようになつたのは、非常に交通の妨害になつたということですが、これも許可当時には、掲示板ができれば、そこへ人が集まるということはわかつただろうと思うのです。当然交通妨害にある程度なるということは当初から予想さるべきであつたと思うのですが、その点については何ら予想されなかつたのですか。
○本田證人 先ほど一言いたしましたが、隣に二つ掲示板があつたのでありますが、その状況から見て、大した妨害にはならないというような判断をしたわけであります。それがその後になりまして、共産党のいわゆる一流のデマ放送をするものですから、それを見るために立ちどまる者が多くなつて來たという状況であります。
○大橋委員 それはどのくらいの人数がか立ちどまるようになつたのですか。これは駅の前ですから、汽車の着いたときは多いでしようが、多いときは大体どのくらいですか。
○本田證人 大体道路の半分くらいを占めるような場合もあつて……。
○大橋委員 それからこの取消しの交渉を共産党側とやつておられたのですが、先ほどのお話を伺うと、大体わかつたようですが、当初から共産党はこの交渉にまじめに應ずる意思がなくて、むしろこの交渉を利用して、自分の方のかねての計画のときまでときをかせぐとか、あるいはその間にいろいろ準備をするとか、そういうようなために、この交渉を利用したようにお話を伺つておりながら、そういう感じを受けたのですが、その点はそういうふうなことはお感じになりませんでしたか。むろん当時はお氣づきにならなかつたと思いますが、今から申しまして……。
○本田證人 今でありませんが、直後、たとえば三十日の午後三時ころになつて、すでに移轉先がきまつても、その移轉の方法を講じようとしない、あるいは夕方になりまして、四時二十分になりましても、四時まで撤去するという言葉を取消すというようなことで、何ら効果のない事柄にこじつけていわゆる抗議しているということから、これを利用して警察に対抗して來るというふうに感じました。
○大橋委員 そうすると、ときをかせぐためにやつておつたわけですね。
○本田證人 そうです。
○大橋委員 それからもう一つ、これは共産党がこの暴動を起します前に、あなたの方の警察でこれはやられましたか、あるいは地区警察でやられましたか、あるいは内郷の警察でやらしましたか、その附近の暴力團に対しまして、数次の檢挙があつたということを聞いておるのですけれども、その状況は御存じありませんか。
○本田證人 昨年の秋に全國的な暴力團檢挙の方針に則つて、福島縣では平市警察が一番先に手をかけまして、その周辺の関係者十数名を檢挙いたしております。
○大橋委員 それはその後檢挙は数回続けてやられましたようですね。
○本田證人 続けました。
○大橋委員 その檢挙の結果として、暴力團の方に今まで入つていたいわゆる暴力團の下つぱと申しますか、そういう人たちが、これはとても暴力團では飯が食えないということになつて、これがある程度共産党に轉向した、そういう人たちが今度の暴動の際に、相当共産党員として活動をしたのではないかというようなうわさもあるのですが、その方面のお見込みはいかがですか。
○本田證人 そういううわさもあるのでありますけれども、また今度の事件について、そういう暴力團員が日当二百円でかり立てられて來たというようなうわさも上つております。
○大橋委員 日当二百円というのは、來る前に約束されて、そうして日当二百円やる。むろん暴力團を日当まで出して雇う以上は、これは暴力をやるということは、もうやる前から予定されていなければ、そんな者を日当まで拂つて雇つて來るわけはないのでありまして、いよいよこれは共産党の計画的なものであると言わざるを得ないと思いますが、いかがでございましようか。
○本田證人 そういうふうに事件が起きてから認められる状況になつております。
○大橋委員 それから川徳一家というものが平にありますか。
○本田證人 あります。
○大橋委員 この川徳の親分のところに、共産党員がこの事件を計画しますや、事前に着手に先立ちまして共産党員のある者が川徳の親分のところへ行つて、自分の方でこういうふうなことをやろうと思うが、これに対して川徳一家が妨害しないだろうかというようなことで脈を引きに行つたといううわさも市内であるようですが、そういううわさについてお聞きになつたことはありませんか。
○本田證人 事件が起きてから聞きました。今度のことについて川徳に、あなたが出るのかどうかというようなことを打診し、本人からおれはまだ公判中であるから出ないという話を聞いてもどつて來た。さらにまた事件が起きたその晩でありますが、出なかつたのでよかつたというような話をしたということを第三者から開いております。 〔高木委員長代理退席、委員長着席〕
○大橋委員 なるほど。そうすると、この川徳一家というものには、さすがの共産党も相当おそれておつたわけですね。
○本田證人 脅威を持つておつたようであります。
○大橋委員 それで自分たちの計画のじやまをされるといけないから、あらかじめそう言つて了解を得たわけですね。
○本田證人 そういうふうに認められるわけです。
○大橋委員 いよいよもつてこの計画がいかに共産党員によつてあらかじめ予定されていたかということが皆様おわかりだろうと思います。これは特に神山君と聽濤君もよく覚えておいてください。速記にはつきり載つておるはずですから。それからこの騒ぎのときのことは詳細お聞きいたしましたから、これ以上あまり伺う必要はないと思いますが、一つだけ私伺つておきたいと思いますのは、この暴徒が退散した後に警察署内に暴徒の用いました凶器とか遺留されたものはありませんでしたか。
○本田證人 署内に投げ込まれた石、それから附近に投げ捨ててあつた丸太棒、あるいはほうき、そういうものは二十数本残つておりました。
○大橋委員 石はどのくらいありましたか。
○本田證人 八十数箇であつたと思います。
○大橋委員 大きさはどのくらいですか。
○本田證人 大きいのは約長さが八寸、楕円形のこの程度の石であります。あとは普通こぶし大の石が大半でした。
○大橋委員 それからこれは全然私調査してありませんからお伺いしたいのですが、当日拡声器などを用いて群衆に呼びかけたということはありませんでしたか。
○本田證人 承知しておりません。
○大橋委員 そうですか。それからこれは特に自治警察の運営について、今度の経験上あなたの御感想もあろうと思つて伺つておるのですが、自治警察が非常に小さな單位でそれぞれ独立しておる。しかも今度の事件は内郷あるいは湯本の暴徒が双方しめし合せて平へ押し寄せたというお話でございますが、そういう場合におきましては、平は自治警察でありますために、湯本の自治警察あるいは内郷の自治警察に、これはどちらも事前に行つて平へ來ておるはずですが、そういうものの連絡か非常に悪かつた。いわゆる警察の運営上盲点と申しますか、そういうものにちようど当つておつたために事前の準備が遅れたというようなことはお氣づきありませんでしたか。
○本田證人 事件発生後連絡が十分でなかつたかという点は考えられるわけであります。
○大橋委員 これは自治警察の運用上ある程度まで注意によつて補充はできると思いますが、しかしああいう小さな自治警察がたくさんあるということは制度上、こういう場合に非常にまずいことだとお感じになりませんか。これは実際の警察の第一線の指揮者として、その点制度としてどうお考えになりますか。
○本田證人 制度といたしましては、わずか十名あるいは二十名の自治警察というものはない方がいいのではないかというように考えられるのです。こういうような事件を考えまして、それぞれ自治体の市町村の情勢に適應してやらなければならないというようなことからいたしまして、事件の起きる場合の連絡あるいはまた警察官の應援というような場合に、費用の関係上相当制約を受けるというような状況にありますので、できるならばこういう小さい自治体警察というものは國家警察に統合してもらう、あるいはまた小さい自治体警察をさらに組合組織にするとかいうように制度を改正してもらいたいという考えを持つております。
○大橋委員 それから最後の自警團のことですが、火防組というものが組織されて、これが今後必要な場合には治安に当るということになつたそうですが、この火防組というものは共産党側の要求ですか、それとも一般市民の要求でございますか。
○本田證人 これは一般市民の要求で、消防團が活動する前に、お互い市民が火を出さない前に警戒しようということから、一昨年ごろから組織されて昨年秋ごろになりまして例の火防組の連合体を組織したようなわけであります。
○大橋委員 そうすれば、これは全人民の要求として火防組というものが生れた。それが今度の共産党の暴動事件を契機として、こういう場合には共産党の暴力に対して全人民を守るためにこういう火防組が活動しなければならない、これがあなたの方の全人民の要求のわけですね。
○本田證人 そうです。私の方の要求でなく、市民一般がそういう方法をとろうという申し出があつたわけです。
○大橋委員 つまり人民共同の敵に対して市民を守ろうという要求ですね。こういう火防組がかかる暴力連動に出動するということになりますと、相手は何しろ暴力をもつて使命とする人たちでありますから、必ずやこれに從事する人たちは生命自体の危険があろうと思いますが、そういう点につきましては市民諸君はどういう考えを持つておられますか。
○本田證人 そういう点について市民の感想を聞いておりませんが、ともかく警察署が襲撃されたというような不安の直後におきまして、警察を守り、あるいはお互い市民を守ろうというような発意から出たのでありまして、今後予想される出動した場合の自警團の自警の要領とか態度ということについては、警察としても相当愼重な態度をとらなければなるまいと考えておりますが、具体的にはまだ打合せいたしておりません。
○大橋委員 しかし、この火防團の團員諸君は、やはり場合によつては自分の生命、身体も共産党の暴力の前には犠牲にする場合も覚悟しなければならぬ、そういう覚悟をもつて立ち上ろうとしておられるのですか。
○本田證人 覚悟を持つておられると思います。
○大橋委員 それから最後にもう一つだけお伺いしたい。共産党の諸君はいろいろな犯罪行為がありますと、多くの場合、その犯罪者は共産党の計画に從つてやつた場合におきましても、これをことさら表面上除名処分などをいたしまして、共産党とはまつたく関係のないことだ、あれは本人が悪いのだ、こういう方法によつて責任を回避する、あるいは証拠を隠滅するということが各地でしばしば行われているが、このたび平事件におきまして、この被疑者たちを共産党が除名処分にしたということは聞いておられますか。
○本田證人 そういう事実は現在までありません。ただ今度の事件は最初から共産党と平市警察の問題であつたのでありますが、事件発生後共産党の暴力行為に対して市民からきびしい批判がされた結果、共産党地区委員会といたしましては、今度の問題はわれわれでなくして、矢郷炭鉱の從業員が警察から彈圧を受けたから警察に暴行を働いたのだというようなふうに、自分たちに対するきびしい批判を避けるために責任を轉嫁するのではないかというように見られる。いわゆる眞相発表演説会と称してそういうような責任を轉嫁しようというように感じられる演説をやつておるようであります。
○大橋委員 そうすると、これは労働組合が悪いのであつて、共産党が悪いのじやないのだ、矢郷炭鉱の労働組合員のせいなんで、共産党は全然暴行には関係ないのだという態度を装おうとしておりますか。
○本田證人 そういうふうにいわゆる縣の委員の平田良衛という者は演説をやつておるようであります。
○大橋委員 そうすると一面においてそういう方法で今度擬装をしようとしておる。他の地区で行われておるように、除名をして、あれは党員のうちの間違つた者がやつたものであつて、党の意思ではないという方法はとらない。これをとつたところで今度はもう市民諸君がよく事の眞相を知つておられるために——さすがに厚顔無知なる共産党の諸君といえどもこのたびは除名その他のことをやつたところで、とうていこれはいかぬ。新手を考えて、今度は労働組合のせいにしようというようにやつておられるということがよくわかりました。この程度で証人に対する質問を終りたいと思います。
○鍛冶委員長 ほかにありませんか。——聽濤君。
○聽濤委員 証人にお伺いしますが、例の掲示板の撤去命令は、今証言したところによりますと、道路妨害が理由で撤去命令を出したものだということですが、ところで先ほど民自党の人からも質問があつたのですが、あれは進駐軍の命令であつたということはさつきも言われたのじやないかと思います。これについてもう一度確かめたいのですが、杉森巡査部長が二十五日の午前十時ごろに石城地区委員会か何かに來まして、これは進駐軍の命令があつたによつて出したのだということを言つたとはつきり言つておるそうでありますが、そのことは間違いありませんか。
○本田證人 杉森巡査部長は、自動車が通る場合にじやまになつたという話はした、こう言つております。軍政部の命令であるということは本人は言わなかつた、こう言つております。
○聽濤委員 それはどういうのですか。軍政部の自動車のじやまになるからとりのけろと言つたのですか。
○本田證人 軍政部の自動車が通る場合にじやまになつたという例もあるという話をしたのです。
○聽濤委員 交通妨害だという一例に進駐軍の車のじやまになつた、そういう例を出して言つたという話なんですか。
○本田證人 そうです。
○聽濤委員 あなたはそういうふうにおつしやいますが、実は民自党の委員が行つたのじやないかと思いますが、議会の地方行政委員の方が現地に平事件について調査に行きまして、その復命書というものを出しておるのですが、その中の前の方に、新聞でいろいろな不正事件などを、やはり道行く人の中には苦い顔をする人も少くなかつた有様であつたが、六月二十四日某方面からこの掲示板の撤去命令があり去々ということをちやんと書いてあるのです。この衆議院の地方行政委員、しかもこれは民自党の人、大内一郎氏がこういう復命書を書いておるのです。あとは、そこで本田署長は交通妨害の理由をもつて撤去命令を出願者に通達した云々となつておる。どうですか。これだけははつきりした事実で、衆議院の調査員から報告されているのですが……。
○本田證人 さき申し上げた通り、取消しは交通取締法によつて警察署長の権限に基いてやるのだからということを、地区委員会の幹部諸君にも繰返し話した。
○聽濤委員 これは二十七日になつておる。二十七日になつて、午前十一時ころに柳田警部補がもう一度行つたときに、道路許可を取消す、そういうふうに言い出したのじやないですか。
○本田證人 二十五日……。
○聽濤委員 いや、最初二十五日に行つたのは杉森巡査部長で、これは進駐軍の命令云々と言つて、二十七日に柳田警部補が來たときには、道路使用許可を取消す。こういうふうに言つた。
○本田證人 二十五日にも許可取消をし、最初口頭で話して、さらにそれに應じないというので改めて書面で取消しの通知をいたしております。
○聽濤委員 私が聞くのは、二十七日にはつきり道路妨害云々として通達されておるが、二十五日には進駐軍の命令ということが言われている。これを立証するものとして衆議院の復命書が出ておる。この点は非常に重要なので、私重ねて聞いておるわけなのです。これに対してあなたはこういう復命書があるのだけれども、あくまでそういう事実はないと言われますか。
○本田證人 繰返して申し上げますが、ありません。
○聽濤委員 それではあと続けます。道路妨害上の理由ということですが、大体掲示板は七月二十日まで許可されていたようにわれわれは聞いておるのですが、それが六月二十五日に突如期限付で撤回要求をしなければならなかつた。それまでに道路妨害という事実があつたというのですと、あなたの方で、たとえば交通整理をやつたとかいうような事実がありますか。
○本田證人 掲示板の前に立ちどまつて見ておる者に対しては、じやまになるから立ちどまらないように注意はいたしております。
○聽濤委員 注意はいたしておる——それはどういうふうになさつたのですか。巡査が行つて立ちどまらないようにと……。
○本田證人 そうです。
○聽濤委員 この問題について國鉄の労働組合の平駅の分会から書面でもつてあなたの方に、こういう交通妨害の事実はないかということを提出しておるのを御存じですか。
○本田證人 私の方にですか。
○聽濤委員 そうです。
○本田證人 わかりません。何か國鉄の半分会から抗議文を持つて來たようですが、この抗議文の中にそういうことがあつたかどうか記憶しておりません。
○聽濤委員 それははつきりあるのです。あなたは見てないわけです。あなたはどうも都合の悪いことは記憶してない。大体初め民自党の人も言つておつたわけですが、これは許可をして、あなたのおつしやるように人がたかればそれが道路妨害だというような、そういう事態は初めから予想されたことだし、そういうふうなことが予想されていて、あなた方はそれを許可しておいて、突如あくまでこの点を道路妨害で固執されたということが、どうも納得されないのです。それで期限付で強硬に撤去を命令されたというのはどうも私には納得されない。それについてお伺いしたいのは、掲示板ではあなたも相当の人が集まつていたように言われておりましたが、掲示板の内容はどういうことをおもに書いてありましたか。
○本田證人 相当長期にわたつてありますので、詳細申し上げられませんが、市町村制を極端にいわゆるでたらめに、いわゆる誇大に報告するというように書いてあるということから、一般通行人が新聞に出ていることと違うというような考えから、それらのいわゆるでたらめな掲示板に見るというような結果に……。
○聽濤委員 私の聞いておるのは事件の直前と申しますか、その当時どういうことがおもに書かれていたかということです。
○本田證人 これは矢郷炭鉱について警察が出動したことについて、ことさらに労働者を彈圧するとか、あるいはまた内郷町の協同組合に不正があるとかいうような、あるいはまた学校の給食の問題について強制して金を出させたとかいうようなことが、ことさらに誇大報告してあつたのです。
○聽濤委員 そういうふうな不正の事実がこの掲示板で暴露されているのに対して、誇大に報告しておると言うが、それについて、あなたの方ではお調べになつたことがありますか。
○本田證人 関係者の方で名誉毀損の訴えをするとかいうような話を聞いたことがありますが、私の方ではあの程度ではがまんしようということで、平市警察署には告訴になつた事実はありません。
○聽濤委員 そういう事実が暴露されたについて、あなたの方で調べてなければ、これがデマだというのはたいへんな言い過ぎではありませんか。
○本田證人 言い過ぎではなく、関係者はそういう事実はないと言うが、しかし共産党からいろいろ言われるからがまんしようじやないかということで告訴しなかつたという状況であります。
○聽濤委員 がまんしようということがすでにおかしいではありませんか。
○本田證人 それは共産党から何かやられるかもしれないというような不安があるからです。
○聽濤委員 大体摘発された者が自分で共産党を恐れたと言いますが、しかし共産党のデマだとまであなたはここで言い切るならば、警察は責任を持つて調査するのがあたりまえではありませんか。調査しておかないでデマだなんということは、一体あなたは何とお考えになつているのですか。この委員会は共産党が主張して不当財産取引の問題まで取上げるようになつたのです。あなた一人が否定したからといつて事実がないなどという証拠には全然ならない。昭和電工事件とか、あらゆる問題が議会で摘発されているではないか。これはみなそういうところから起つて來ている。こういうことをあなたは無視して、共産党の発表したことはデマだというのは言い過ぎとお考えになつておりませんか。
○本田證人 関係者がそういうような意思表示をしておりますから間違いないと思います。
○聽濤委員 たとえば昭和電工の日野原が摘発されても、日野原に聞けばそういう事実はないと言うにきまつている。そういうことでは問題の眞相はちつとも責任を持つて明らかにされていないじやありませんか。こういう問題についての発言について、共産党について云々される場合には、調査の上、ほんとうにはつきりした証拠に立つて、責任をもつて答弁してもらいたい。
○本田證人 私も責任をもつてお答えしております。
○聽濤委員 それから矢郷炭鉱の問題についてあなたは炭鉱の労働者を共産党の壁新聞が煽動したと言つている。 ところであなたも先ほど証言されたように六月の八日、九日ですかに、矢郷炭鉱の方に平の警察からも警官を出しております。これはなぜお出しになつたのですか。
○本田證人 それは立入り禁止の仮処分の命令が出て、労働者側がその立入り禁止に妨害するのではないかというような状況がありましたので、その結果、両方に犯罪が起るようでは困るというので、内郷町警察署長からの要請に基いてやつたのです。
○聽濤委員 ところでその立入り禁止の仮執行は、実際そのとき行われておりましたか。
○本田證人 行われました。
○聽濤委員 ところがこの問題につきましては、矢郷炭鉱の労働組合が志邨判事ですかに話合いをちやんと前もつてつけていて、そうして仮執行の場合には口頭弁論をやつて、しかる後にやるという約束までしてあるので、当時警察官が來たときに労働組合では志邨判事に抗議したのです。それについて志邨判事は仮執行はしていないと言つている。あなたはそういうふうに仮執行をしていると言い、それをやるために警察官を出したと言われましたけれども、それは上司の命令があつてやつたわけであります。
○本田證人 問題が起きてからではおそいので、お互いにそういうけが人の出る前に一應警戒するというのが警察の大きな使命の一つであると思います。そういう状況にあつたので私の方からも行つたのであります。
○聽濤委員 それほど問題が深刻になつていたというならば、矢郷炭鉱では一体どういう問題が起つていたかということを、あなた方は御存じでありましたか。
○本田證人 管轄が違うので詳細はわかりませんが、今申し上げたように、労働組合側が、経営者側あるいは裁判所側の立入り禁止の仮処分に対して、これをむりに妨害するのではないかというようなけはいがあるという状況にあつたわけであります。
○聽濤委員 それを私はさつき聞いたのです。志邨判事はそういう命令も何も出していないと言つている。
○本田證人 それは志邨判事にお聞き願うよりほかはありません。
○聽濤委員 あなたは炭鉱に警官まで派遣しておきながら、炭鉱にどういう事情があり、どういう問題が起つておつたか御存じですか。その立入り禁止のことはわかつておりますか。いろいろな問題については何も御存じないのですね。
○本田證人 所轄の警察署長から、管轄地域内の治安状況について應援を求められる場合に、詳細に承知しなくても、その所轄の警察署長の状況判断によつて、必要であるという場合には一應われわれはこういうものを出すべきだと思います。
○聽濤委員 あなた方の御見解はそうだろうと思います。またその点の事実はそうだろうと思いますが、大体あなたは矢郷炭鉱において、首切りや、何箇月もの賃金不拂いのために、本人や家族が非常にみじめな生活に陷つていたというような事実は何も御存じないのですね。そこでもう一度お聞きしますが、矢郷炭鉱のこういう窮状の問題や、それに対して警察官が出て來たというような問題が掲示板に出された——そればかりではなかつたかもしれませんが、あるいは今申しました不正事件等が出された。そこで非常に人の関心を呼んだというのが事実であろうと思いますが、二十七日の午後三時半ごろ、石城の共産党の地区委員長があなたに面会して抗議したときに、署長であるあなたがみずから、その掲示板は今までは交通妨害にならなかつたと言つておると言うのですが、どういうわけなのですか、そういうことを言つた覚えはありませんか。
○本田證人 ありません。
○聽濤委員 そうですか、あなたは都合が悪ければ何でも、ないと言うのでしようけれども、あなたは自分の言われたことに対して責任を持たれないのですか。いろいろ前後を考えてみますと、道路妨害であると言つても、そういう掲示板を立てれば多少人が出ることはあたりまえでありまして、それは予測されております。結局撤去命令を出した理由は、掲示板に書かれている事柄の内容についてあなた方は不安を感じたためではありませんか。
○本田證人 絶対にそういうことはありません。また私が地区委員長に対して、交通の妨害にはならなかつたというようなことは言つてありません。私も警察官生活を二十年近くもやつておるのでありますから、交通の妨害になつたと言つて、あとからまた妨害にならなかつたというようなことを言えるか言えないか、あなたの御判断によつてもわかると思います。かりそめにも一日、二日の間にそういうふうに警察署長の考えがかわるようであつたら、これは大きな問題だと思います。
○聽濤委員 それからたとえばその後あなたは首尾一貫したように言われておりますが、二十七日にこの問題について一應交渉が妥結したことはもちろんお認めになりますね。掲示板の撤去問題について二十七日の交渉が一應妥結したということは事実でしようね。
○本田證人 二十七日にとにかく数十名の者が出まして、当時の警察力から言つても拒否すればかえつて混乱に陷るのではないかというような状況にあり、また一言したように湯本町の署員が共産党の多数によつて押しかけられたという状況にあつたので、一應さつき申したようにすみやかに適当な場所に移轉するということでその日は解散したわけです。
○聽濤委員 あなたはそういうふうに簡單におつしやいますが、はつきり四項目か何かにわたつて交渉が妥結しているのではありませんか。
○本田證人 そうじやありません。適当な場所にすみやかに移轉するということでその日はわかれているわけです。
○聽濤委員 それでは適当な場所を選んで移轉をする、こういうことで妥結したわけですね。ところがこれについて別に日時は切つてないわけですね。
○本田證人 日時は限つておりません。
○聽濤委員 ところがそれからたつた三十時間ばかりたつた二十九日になつて、また突然日限を切つて撤去を要求しているというのはどういうわけでございますか。
○本田證人 それはさつき申し上げたようにすでに移轉先が借りられるという見通しがついたからです。
○聽濤委員 そういたしますと、これはむしろこういうふうな二十七日の協定の趣旨から言つて、協定をやはり一方的にあなたの方がお破りになつたのではありませんか。
○本田證人 そうじやありません。とにかく取消し命令は二十七日に出ているわけです。そういうようなところをいつまでも放置しておくことは交通上許されないということから……。
○聽濤委員 それは二十七日にあなたの方から出ていることはわかつておりますが、だからその問題についてこんなふうに実に念の入つた交渉をやつて、あなたの方も理由が何であつたにせよ、とにかく責任をもつてこれを妥結したのですから、それに対して突如またこういうふうな一方的な期限付のあれを出されたということは、警察側としては相当強圧的な態度だと思います。
○本田證人 そういうわけではなくて、さつきも言つたように、二十八日の日にも私の方では話をしようというわけで、地区委員会の方の幹部に対して話合いをしているわけです。ところがそういうわけで二十八日に幹部が一人もいない。きわめて誠意のない話であつたので、私どもの方ではさらに話を続けて、二十八日に移轉先がきまる見通しが立つたので、それを促進させるためにもひにちは切つた方がいいのじやないかというようなことを認めたので、ひにちを切つた。
○聽濤委員 もう一つあなたにお聞きしたいのは、あなたは先ほども警察署長ともあるべき者が首尾一貫した態度をとつておるもので、二、三日で態度がかわつたりなんかすることはないと言つているが、ところで三十日の当日、あなたは数百人の人が警察署長の部屋か何か廳舎の中へどつと押し寄せて來た、こういうふうに言われている。これは非常に問題です。しかし私たちが調べたところによると、ちようどそのとき外ではもう三時ごろから雨が降つておつて、雨の中で長い間立ちんぼうをして、しかも晝食を食つていない人間もあると思う。そういうような状態の中で、非常に疲労した状態だから、交渉委員からこの中へ入れてくれという交渉があつた。そうして署長としては、好ましいことではないが、二階に上らぬようにしてもらいたい、一階ならよろしいということを承認の上で入れたというのがほんとうだ。これはわれわれの調査ではつきりしているのです。
○本田證人 それは間違いであつて、私は署長室が狹いから、とにかく再三退去するようにということを要求しております。しかし彼らは雨が降つているのに出られるかというような話もありましたが、雨が降つているから出られないということは別問題である。警察署長としては廳舎の管理者としてこういうふうに入れることは執務の妨害になるから、全部出てくれという要求を出してやつておりまして、そういうふうに入つてもよろしいというようなことを認めたことは一度もありません。それは署長室におつた代表格の数名の者が十分承知しておるはずです。
○聽濤委員 ところがこれにつきましてもまた先ほどの大内一郎君の衆議院の地方行政委員会の復命書の中にもこういうことが書いてあるのですが、一方にはまたこのころ偶然に雨が降り出して、これを避けるために署内に大勢が同時に入り込んだという事情もある。こういうことをちやんと書いてある。当時民主青年擁護同盟の調査團が行つたときにも、法務委員会の共産党の委員が行つたときにも、いろいろな事情聽取の中にも、この点はきわめて明瞭であるといつて報告されておるのですが、その点はあなたはそういう許可をしておるという事実を否定なさいますか。
○本田證人 私は入ることを認めておりません。
○聽濤委員 それはたしかですな。至上令云々の問題と、至上命令が出たとか出ないとか云々の問題と、この二つの問題については、この議会の復命書というものを、私たちは一應権威あるものと認めておりますから、これはあとの証人についてもとくと調べて見たいと思います。 それから先ほど暴力團を共産党が日当二百円出して雇うということをあなたは話に聞かれたと言つておりました。そういう事実をあなたはどういうところからお聞きになりましたか。
○本田證人 それは内郷町のいわゆる從來の暴力的なものであるというふうに見られておるものが、狩り出されておるといううわさです。
○聽濤委員 うわさですね。
○本田證人 それについてだれが二百円もらつたかは今捜査中であります。
○聽濤委員 ところが一方におきましてはあのときに戸外にいた大勢の人たちは、あの内郷町だつたと思いますが、蒲生一家とかいうものが押し寄せて來るということを警察の側の情報として聞いた。それで非常な不安に陷つたということを聞いておるのですが、これは一体どういうわけですか。
○本田證人 それは署長室での交渉中代表のだれだかわからないが、内郷町の暴力團が日本刀を持つて來るという情報があるが、警察はどういうのだ、これを取締らないのかというような話が出たので、私としては内郷の署長に対して、こういう話があるということを電話しようと思つたが、話中でできないので、地区の署長がそれの取締りについて電話をしたようであります。ただそういう事実があつたかどうかは聞いておりませんが、共産党のいわゆるデマでなかつたか。こういうふうに思います。
○聽濤委員 ところが共産党員のある人の家の門がたたきこわされたり、あるいは党員の一人でなぐられて昏倒せんばかりになつたというような事実があるが、そういうようなことは警察の方では何にも御取調べになつていませんか。
○本田證人 それはいつですか。当日ですか。
○聽濤委員 翌日の七月一日の朝です。内郷町の共産党員の日野定利の家の門が破壞されている事実もある。
○本田證人 聞いておりません。
○聽濤委員 まるで逆な、先ほども出ましたが、川又一家というのですか、その方に共産党が何か頭を下げて行つたとか、一方では蒲生一家が押し寄せるといううわさが出た。それは共産党のデマだというふうに簡單に言われておりますが、こういう事実も出ておるが、御調査になつていないのですか。 もう一つお尋ねしたいのですが、事件直後ただちに逮捕はかかられたわけですね。その逮捕は警察署長であるあなたが自主的に捜査にかかられたわけでありますか、それともあるいは檢察廳あたりの命令があつてやられたわけですか。
○本田證人 警察が捜査の第一責任者として、一應所轄の判事の令状をもらつて調査に着手した。
○聽濤委員 それは何という判事ですか。
○本田證人 福島地方裁判所の平市の判事で、数名の判事がおりますから、令状はそれぞれ名前が違つております。
○聽濤委員 しかし責任者はありましような。
○本田證人 数名の判事がなつておりますので、だれの逮捕状に対してどの判事が署名したか、詳細わかりません。
○聽濤委員 しかしこれは逮捕状には名前は出ておるでしよう。
○本田證人 逮捕状には逮捕を許した利率の名前が出ております。
○聽濤委員 あなたはそれを御存じない……。
○本田證人 詳細知りません。多数の者の逮捕状に署名されましたから……。
○聽濤委員 そういう重要な命令、逮捕上の命令についてあなたは判事の名前を御記憶ないというのは、ちよつと理解できない。
○本田證人 記憶がないというのではない。数十名の者に対する判事の名前であるから、被疑者のだれに対してだれということは詳細わからないということを言つておるのです。
○聽濤委員 それではさらに伺いますが、逮捕にあたつて五百名ばかり、東京、茨城、仙台その他から警察官を動員されたと言つておりますが、あなたはこれらの動員につきましては、どういうような手続きをおとりになつたか。
○本田證人 一應國家警察の縣の警察隊長に派遣の要請をして、警察隊長から所定の手続きを受けたと思います。
○聽濤委員 こういうことについては、市の公安委員とか市長、こういうものとの協議といいますか、要請というものが……。
○本田證人 警察官の派遣の要請は、公安委員会の要請になつております。
○聽濤委員 ところが、われわれの調べたところによりますと、平市の鈴木署長は……。こういうことについて警察に要請したような覚えは全然ないと言つておるのですが、どうなんですか。
○本田證人 公安委員会から要請しない限り、國家警察は出動しないと思つております。
○聽濤委員 それは間違いありませんね。われわれの聞いたのと非常に違うのですが……。 それからもう一つ動員についてお聞きしますが、約五百名と言われますが、大体千名ぐらいと言われておる人もありますが、どうなんですか。
○本田證人 千名ぐらいというのは共産党のアカハタにそういうように出ておるようです。
○聽濤委員 それで大体仙台、東京、茨城とそれから縣内の警察官を動員したというのは間違いありませんか。
○鍛冶委員長 それはさつき言いました。神山君。
○神山委員 署長さんちよつとお尋ねします。あなたは警察に二十年おられたそうですが、その間にどういう仕事をされましたでしようか。警察行政全部をやつていらつしやいますか。
○本田證人 そうです。
○神山委員 特高もやつたことがありますか。
○本田證人 あります。
○神山委員 いつごろおやりになつておりますか。
○本田證人 約一年くらい。
○神山委員 いつごろでしよう。
○本田證人 昭和十二年の支那事変が始まる前半年、それからその後約半年くらい。
○神山委員 今の質問で大体あなたがまじめな警察官を二十年やつていらつしやつた、それから特高にも二回にわたつて一年間いらつしやつたということがはつきりしたのですが、先ほどからあなたの尋問に対する答えを聞いておりますと、非常にいろいろな点がはつきりしているように見えるのですが、それはあなたの過去の経歴とも無関係でないということも言えると思う。あなたにこまかなことを聞く必要はないと思いますが、それでもやはり二、三聞いておかなければ事態の眞相がわからぬのでお聞きするのですが、道路の使用の許可の権限ですが、これは一体だれにあるでしようか。
○本田證人 警察署長です。
○神山委員 そこは場所としてはどういうところにあるのですか。
○本田證人 平駅前の縣道地内。
○神山委員 縣道地内における使用の場合には、あなたの一存で全部行くわけですか。
○本田證人 そうです。
○神山委員 その点はそれでいいですが、市長などは、あなたがやはりこういう問題については当然縣のその関係者と打合せるべきではなかつたかと言つておるのですが……。
○本田證人 関係者とはどういう……。
○神山委員 土木関係です。縣道を管理している……。
○本田證人 交通取締法上それらの者と相談するというようなことは載つておりません。
○神山委員 名答弁でなかなかけつこうですが、それで今度お尋ねしますが、あなたは三十日の日に、みなが押しかけて來たときに、この掲示板の移轉の場所があつたというふうにお話になつておりますが、ほんとうにあつたですか。住吉屋の前に移轉するということは話になつておりましたね。
○本田證人 三十日の午後二時ごろではないかと思いますが、朝鮮人の金明福君より借りられることになつたという話を聞いております。
○神山委員 それはけつこうです。その後に住吉屋さんではみなと相談した結果貸せなくなつたというふうに言つたことはあなたは御承知ありませんか。
○本田證人 それは事件が起きてからでないですか、三十日の警察署に暴行を働いた後に……。
○神山委員 三十日にはその移轉の問題があなたのおつしやるように、はつきり貸すというように言つていないで保留になつていたが、後には貸せないというように言つておりますが、その点は責任をもつてそう言えますか。
○本田證人 私は交渉中念を押しまして、とにかく移轉先がきまればこの問題が解決するから、その方を確めたらどうかということを両委員に話したところが、調査の結果金明福君から借りられることになつたと、こうはつきり私に回答しております。
○神山委員 それがただ後に土地借用が拒絶された。しかもここであなたが先ほどから、四時二十分のときにまだ使用を許せということを言つているのは非常識だと言われましたけれども、あなたの方では四時に撤去しろという命令を撤回されていない限り、後に交渉の結果、三日間延期になるということにかりになつたとしても、一應四時に撤去させるという点を何とかしてもらいたいと要求するのは当然じやないでしようか。
○本田證人 それはその当時の状況から見て、四時ということにいたずらに固執して、そのことを理由にして警察に拘引しようというふうに見られる状況であります。
○神山委員 それはあなたが自分の判断でそういうふうになされたのですか。
○本田證人 私も繰返し、異議ないか、異議ないか、すでに四時を過ぎている場合に、四時という問題を取上げる必要はあるまいということをよく話をしてあります。
○神山委員 ただ問題は、三日間それを延ばそうということはあとできまつたのでしよう。
○本田證人 三十日に騒ぎが起きて、警察の二十四、五の署員では四、五百名の者を市内から追い出せないというような警備力の状況下において、三日間後に移轉するという話をした。
○神山委員 あなたの今の二つの事実、すなわち四時二十分にまだ四時を固執していたということは、その後に起る行動のために執拗に食い下つて時間を稼いでいた、それで行動を起したというように証言をしておられるのでお尋ねしたわけです。三日間の延長ができれば、もちろん二十分の行過ぎは問題はありませんか、この点がはつきりしなかつたからこそねばつていたのじやないですか。どうですかその点は……。
○本田證人 それは向うでどういうふうな考えでやつたかわかりませんが、私はさつき申しました通り、そのことにかこつけて警察に云々するのではないかというふうに見られると思います。
○神山委員 あなたは矢郷の詳しい事情は知らないというふうに聽濤君にもお答えになりましたが、その前に、あなたは案外矢郷のことを知つておられるらしい。そういう陳述をなすつた。それは矢郷の労働組合はたいてい共産党の指導下にある、こういうことをおつしやいましたが、これはどうですか。
○本田證人 それは矢郷炭鉱あるいは壽炭鉱、隣縣の茨城縣の高萩炭鉱、これが共産党の指導によつて、労働組合側と経営者側との対立がはげしいということは、私ばかりでなく、地方の人たちもそれらの点について承知しておられることだと思います。
○神山委員 そうでしよう。こういうようなことを知つておられるのは当然だ。それと同じに、この矢郷であなたは三箇月、四箇月にわたり、賃金の遅配、欠配があつたことは御承知ですか。
○本田證人 賃金の遅配、欠配の点はよく承知しておりませんが、とにかく事業主と組合が爭議をやつていたというようなことは聞いております。
○神山委員 その原因が賃金の遅配にあつたということは、もうあらゆる報告者は全部認めておる。高木君の提出した報告書の中にも、賃金遅配で、矢郷の諸君がほとんど食べる物がなくなつて、あかざやすかんぽ、その他のふじの葉つぱ、食える物はことごとく食つてしまつたということは、賢明な署長であるあなたがお聞きになつたことはありませんか。
○本田證人 そういうことは聞いておりません。
○神山委員 それではもう一つお尋ねしますが、町会議長の菅本という人をあなたは御存じですか。
○本田證人 菅本というのは議長であることは知つております。詳細に記憶しておりませんが、あるいは一、二度会つておるかもしれません。
○神山委員 この人は内郷の生活協同組合の理事長をしておるということですが、組合の費用を十万円不正使い込みをしたようなことは聞いておりますか。
○本田證人 掲示板にそういうことが掲げられてありました。
○神山委員 あなたは都合の悪いことはあまりお知りにならないで、都合のいいことだけは知つていらつしやるが、矢郷がこういうような実情にあつた。このことは先ほど聽濤君が指摘した点に関連しますから、詳しくは言いませんが、首切りが出たときに、警察側が手まわしよく出て行つた。從つて組合員諸君が警察に対して相当な反感を持つていたということは考えられませんか。
○本田證人 とにかく警察として、両方に事故のないようにするのが当然だという所轄署長の判断であつたと思う。それによつて應援を要請したものと思います。
○神山委員 それはあなたの見解なのだが、こういうような生活が根拠にあつたことをあなたは警察署長として御存じないかどうか。
○本田證人 生活が容易でないということは、矢郷炭鉱が共産党員の指導によつて、積極的に生産が上らないために、経営が容易でないということで、賃金の不拂いもあるというようなことは聞いておりますが、詳細は聞いておりません。
○神山委員 あなたは先ほど聽濤君の質問に対して、暴力團が出ているといううわさを聞いたとおつしやいますが、三十日の夜、何かこの点について手配されたようなことはありませんか。
○本田證人 先ほど申し上げましたが、私は電話が不通のためにできないので、地区署長がうちの署にこういう話があつたが、これは取締りをしたらどうだというような電話をしたということをあとで聞きました。
○神山委員 あなたのところの次席さんは何とおつしやいますか。
○本田證人 伊藤徳雄。
○神山委員 その人が内郷署に電話をかけて、暴力團をつかまえろと言つたと言われますが、これは事実ですか。
○本田證人 伊藤警部がかけたかどうか、それは聞いておりません。地区の署長がかけたというふうに聞いております。
○神山委員 十時にまた内郷署から十五名つかまえたという話があるのですが、これも御存じないのですね。
○本田證人 聞いていません。
○神山委員 先ほどのあなたのお話の中で川徳親分のお話が出たのですが、川徳のところに共産党の人が話をしに行つたということは私よく知つております。それはいつでしたか。
○本田證人 それは事件が起きたあとに……。
○神山委員 正確に言えば七月の十八日であります。これは御存じでなければきよう記憶しておいてもらいたい。先ほど大橋委員の話では、暴力團とも手を打つてちやんと手配をして、共産党が六月の三十日にやつたのだ。これは速記録にちやんと残つていますが、多分大橋君の暦は逆さまになつているらしい。六月三十日の方が七日十八日よりあとになつている。これは署長さんのお答えになるように、事件後というのが正確であつたらしい。
○本田證人 私は事件の前にそういうことを打診に行つたということを事件後聞いたということを申し上げた。
○神山委員 これは七月の十八日であります。この点を正確に記憶してもらいたい。
○本田證人 十八日というのはどういう点から十八日と……。
○神山委員 七月十八日というのは、私らの方に來ている報告が……。
○本田證人 私がそれを十八日にそれをだれからか聞いたということになるのですか。
○神山委員 あなたが事件後と言われたのは確かだと言うのです。私の方に來ている報告は、あなたが聞いた聞かないにかかわらず、共産党の代表者が川徳氏に会つたのは七月十八日であるという、その事実だけを言つているのです。
○鍛冶委員長 その点は署長は答えませんよ。証人、その点についてもう一ぺんはつきり言つてください。
○本田證人 事件の前に川徳の所に、打診に行つたということを事件後聞いたのであります。
○神山委員 そうしますと、一番初めのときに事件後とおつしやつたのはそういう意味ですか。
○本田證人 そうです。
○神山委員 その点あなたは責任をもつてそうおつしやいますね。 〔発言する者多し〕
○神山委員 もう一つ参考に聞きますが、佐藤熊藏さんという人がおりますか。
○本田證人 おります。本田國警署長——私は自治署長ですが、アカハタの四月二十日前後じやないかと思いますが、佐藤熊藏、これは植田警察署長時代知つておりますが、福島縣石城郡勿來町の大日本炭鉱におる者ですが、それに本田國警署長は反共運動の先頭になつてもらいたいということを申し入れた云々ということが出ておりますが、私は全然そうした申入れをしたこともなく、でたらめのことを書いて、困つたものだという……。
○神山委員 國警の署長は何というのですか。
○本田證人 橋本岩夫。
○神山委員 今アカハタのことを何にも言いませんけれども、あなたとしてはそういう事実はないということを前もつて御声明なすつたわけですな。私の聞かない前に……。
○本田證人 そういう点の御質問ではないかと思つたものですから……。
○神山委員 まことに念の入つたことで……。これは川徳氏にしても、今の佐藤氏にしても、名前がだれであるかということは別個の問題として、警察側から協力の申入れがあつたというようなことを言つておりますが……。 〔発言する者多し〕
○本田證人 今の佐藤熊藏氏に対して私からそういう申入れをしたことはありません。
○神山委員 あなたでなくて、そういううわさがあるということを知つておりますか。
○本田證人 わかりません。
○神山委員 それからさつきの自殺した熊谷巡査ですか、この人のことについてあなたは全然不正がなかつたというふうにおつしやいますが、これは責任をもつておつしやいますか。
○本田證人 地区警察署長からそういうふうに話を聞いております。
○神山委員 この人に関連するうわさは今あなたがおつしやつたこと以外に相当ありますけれども、しかし亡くなつた方の名誉に関する問題でありますから、ほかの問題に移ります。今問題になつておる別紙さんですか、米をどうしたこうしたという問題については、米で一回、現金で二回にわたつて取上げているということをいまだに言われておりますが、これはあなたは御承知ないですか。
○本田證人 そういうことを、今の壁新聞でなく、地区委員会の好間細胞がそういう貼札をしているということの報告は受けております。
○神山委員 報告は御承知だが、事実はどうであつたかということは……。
○本田證人 事実がないということは、地区警察署において、名前は忘れましたが、別紙某を調べた結果、そういう事実はないということがはつきりしております。
○神山委員 それは亡くなつた方の名誉のために……。
○本田證人 そうでなく、相手の別紙という人を調べた結果そういう事実がはつきりしていて、共産党が書いたことは事実無根のことだ、こういうのであります。
○神山委員 もう一つお尋ねしますが、あなたのところに桑名という人がいますか。
○本田證人 巡査部長がおります。
○神山委員 この人に関連するいろんなうわさがあることを御承知ですか。
○本田證人 どういううわさですか。
○神山委員 経済関係を担当しているでしよう。その職権を濫用して、腐つてないものを腐つているというふうに報告して、そしてその代金をどうした、こうしたということがあるのだけれども、それは知りませんか。
○本田證人 そういう生きた物云々ということは、当時そういう腐敗した物を処置した事実はありますが、今のような共産党地区委員会が書いているような事実はありません。
○神山委員 それではもう一つお尋ねしますが、平市周辺の、やはり魚の取締りで、約六百万円ばかりの國庫に納入すべき金が出たことをあなたは御承知ですか。
○本田證人 國庫に納入ということはよくわかりませんが……。 〔「おれが一番よく知つているよ」と呼びその他発言する者多し〕
○神山委員 高木君が大分くわしいのだが、この六百万円ばかりの金が行方不明になつているのだ。そのうち十万円あなたのところに行つたなんといううわさもある。
○本田證人 そういう金は受取つておりません。
○神山委員 まことにけつこうだ。それは平の市長の鈴木さんのおつしやつたことを私どもは聞いているのですが、なぜ鈴木市長がこういうことを言われるかといいますと……。
○本田證人 ただ私はいわゆる魚の組合から、平市警察署として寄附は受けております。
○神山委員 どのくらい。
○本田證人 十五万円。
○神山委員 そういうものの根本がどこにあつたかということがあなたにおわかりにならないので、あなたにはお氣の毒なこういううわさの一つの根拠になるのでしようが、とにかく平の市長自身がこういうことを言つているわけだ。自分の方にも十万円取つてくれと言つて來た。あなたのところには十万円、國警には十五万円、もつとでかいのがありますが、そういうのが二百六十五万円から分けて來たという話がある。それに関連してお尋ねしたかつたのは、今の六百万円近くの警察官が來ておる費用はどこから出ておりますか。
○本田證人 まだどういうふうに処置されるかわかりません。
○神山委員 從つて今の好間における熊谷君の問題にしましても、それから今あなたは十五万円とおつしやつたが、向うでは十万円と言つておる、こういうような問題にしても、はたから見て疑惑を招くような事実があつたということ……(発言する者多し)十五万円もらつておれば、言われてもしようがないじやないか。そういうものは認めなければならぬ。
○本田證人 そういう十五万円の点は、昨年の五月か六月、平区檢察廳においてすでに調べて、その事実の有無を決定されているはずです。
○神山委員 どう決定しましたか。
○本田證人 荷受機関にそういう不正事実はないという決定をされております。
○神山委員 それでは方面を変えてお尋ねしましよう。あなたの警察の留置場ですね。私どもはブタ箱に永く何回も入つておつたので、ブタ箱のことはくわしいのでありますが、ブタ箱の入口にいすがありましたか。
○本田證人 あります。
○神山委員 どこに。
○本田證人 監視用の……。
○神山委員 それは中にあるのですか、外にあるのですか。
○本田證人 房の中でありませんが、留置場の監視巡査の腰かけるいすです。
○神山委員 監視巡査といえば中でしよう。外には……。
○本田證人 外というのはどういう意味のことですか。
○神山委員 ドアーの外です。
○本田證人 監房の外です。腰かけは……。
○神山委員 監房の外で、監房の人口にはまたドアーがあるでしよう。
○本田證人 そのドアーの中です。
○神山委員 だから私はそれを聞いているのだ。ドアーの外にいすがあつたか。
○本田證人 ドアーの外には、留置場の反対側の部屋にはいすが二三置いてあつたはずです。 〔発言する者多し〕
○神山委員 それで今度は中に入つていた人ですね。その人を外に出すようにというような話はあなたの方では全然なすつたことはありませんか。
○本田證人 私が先ほど申しました出せという彼らの要求に対して、公務執行妨害で留置しておるものだから出せないという話をしておられた。それに対して出さなければおれの方で出すぞというような話なので、当時のわずか三十五名の警察官では彼らに対抗することができないので承諾しなければならないような状況にあつたのですが、まだ調べてないので調査した結果出すからという回答をして、次席警部にその処置を命じておる間に、留置所はこわされる、また拳銃は奪われるという事件があつた。
○神山委員 そこでそのいすが問題なのだが、いすで留置所をこわしたのですか。
○本田證人 それはそこに警察官がいなかつたのでわかりません。ただいすで留置所の扉をなぐつたと思われる、あるいは丸太棒でなぐつたと思われるようなあとと、それから留置所のかぎをどうしてとつたのかわかりませんが、こわされております。そこには警察官が一人しかおらなかつたのでわかりません。
○神山委員 それは間違いなくいすでこわしたということはあなたはわからないとおつしやいますが、錠前はこわれておりますか。
○本田證人 釘が抜けて、留置所のかぎがとられております。
○神山委員 今お話のようにピストルピストルといつて大げさな話がありますが、その持つて行かれたピストルは使えるピストルですか。
○本田證人 そうです。実彈を四発裝填していた。
○神山委員 あとの残つていたのは何にも使えないのですか。
○本田證人 使えないことはないが、完全なものではない。
○神山委員 よい方を持つて行かれて完全でない方が残つたのですね。それを持つて行つた人は知つておつた人ですね。
○本田證人 それは警察官の持つておる拳銃だから使えるものだと思つて持つて行つたのだと思いますね。
○神山委員 それで三十日に押しかけて行つたときに初めはおとなしく表で待つていたのでしよう。
○本田證人 いや、押しかけて來ると同時に玄関口で警戒の警察官と衝突した。
○神山委員 そのときに衝突したとおつしやいますが、かかれかかれとかなんとか言つてお巡りさんの方からやられたことはありませんか。
○本田證人 現地をごらんになると一番よくわかるのですが、玄関口の戸のところにおつたわけであります。そのときけがをした金田という人はこういうような態勢でおりました。
○神山委員 それでは絶対にあなたはなぐつたりなんかしたことはないとおつしやるのですか。
○本田證人 それは向うから暴力を持つて來れば警察官としても防禦の方法は講じたと思います。
○神山委員 そのときにみんなの頭を警棒でなぐつて、警棒が折れたりなんかしたことはありませんか。
○本田證人 それはわかりません。
○神山委員 あなたは警棒を持つて逃げたとかなんとか言つておりますが、なぐられた方は、先に警棒でなぐられてそれで警棒が折れたように言つておりますが、あなたは責任を持つてそういうことを言えますか。
○本田證人 折れた警棒を持つて來てこれでなぐられたということを言つておりましたが、しかし警察側から積極的にそういうことをするということは考えられないことで、結局防禦のために使つたものだと思います。
○神山委員 そうしますとあなたのおつしやるのは時間的にずれておる。初めに一ぺんなぐつて、それからおとなしくなつたのじやないですか。なぐられたのを押し切つてそのまま入つて來たと言うのですが……。
○本田證人 そこで衝突が起きまして、とにかく一應しずまりまして、しずまつてから署内に入つたのであります。一應石を投げたりあるいは棒を持つて抵抗することがしずまつたわけです。
○神山委員 それから入つたでしよう。その入つたときが問題なんですが、先ほども聽濤君が言つておりますように、この報告は信憑性がどこまであるかということについてはわれわれにも意見がありますけれども、とにかく地方行政委員会の一議員が行つた報告の中では人つて來るという威勢を持つていたことは事実だが、一方では雨が降つておつて、それが非常に影響しておるというようなことを言つておりますが、この点はどうですか。
○本田證人 雨は降つておりましたが、当時三時半前後にはあまりひどい雨でなかつたと思います。いわゆる霧雨というような程度の雨でなかつたかと思う。
○神山委員 それに加えてそのときには女や子供の人がいたのではなかつたですか。
○本田證人 あとでわかつたことですが、矢郷炭鉱の共産党員あるいはまた組合員の家族がおつたというふうに……。
○神山委員 矢郷炭鉱の組合員やその家族がどうしてあなたのところまで來るか。これは他の報告にも出ておることでありますが、今までの矢郷炭鉱の生活は非常にひどかつた。さらにこれに対する資本家の態度もたれの支持を受けておるかしれないが、非常に一方的だ、また警察署長の態度も一方的だ、食えない生活の中から日ごろ警察官に反感を持つておつた、從つてそのときに矢郷の中からどつと出で來たのではありませんか。
○本田證人 共産党から宣傳されて事件が起きてから——名前はわかつておりませんが、ある子供を背負つた女が一人午後七時ころ警察署に参りまして、受付のところで今矢郷の友達の女が一ぱい來るそうだが、みんな來ないかというわけで來ました。どういうわけで來たかと言いますと、警察署の前で居坐つておると帰してもらえるから行けというので女の人が來ておりましたから、それに対して警察は出せない、取調べが済めば帰す者は帰すが、子供が蚊に刺されて困るから帰つた方がよいだろうと言うたところが家に帰つて來ると何だかんだ言われる、隣り近所の関係で帰れないというので、もしたれか來た場合にはあなたが來たということだけは教えてやるから帰つた方がよいだろう、それでははわれわれとしてよろしく願いますということで帰つた事実があります。全然関係のないものまでも宣傳されて出て來るというふうに……。
○神山委員 それはあなたの立場もはつきりしておりますが、またあなたの先ほどからの陳述が特高的だということははつきりしておる事実であります。さらにもう一つ聞きたいのはあなたは今野弁護士を御存じですか。
○本田證人 会いました。
○神山委員 そのときにこういうことをおつしやつておりませんか、あなたがおれは被害者の言葉を聞いてもそれは一方的に言えるものではないということをおつしやつておりませんか。
○本田證人 その際は共産党の代議士の方、それからそのほか民主主義擁護同盟の方たちが待つておつたので警察に暴力を働いたと思う。共産党に席をおいておる人たちの面前でわれわれがとやかく言うことはおかしい。一体弁護士に対してもわれわれはそういう立場にあるから申し上げられないということで事情の説明を断つた。
○神山委員 それでよいのですが、要するにあなたとしては被害者の立場におる。世間の言葉で言えば共産党と警察とけんかしておる、ぼくたちが見ればこつけいだと思う。
○本田證人 被害を受けておる、それとともになぐられた相手がいるのに対して事情の説明とかいうようなことをすべきではない、こういうふうに考えて一應の説明……。
○神山委員 こぶが二つ出ておるということも見せていただいて來たらしい、今言つたような事情で自分としてはこれに対して平静な感情では言えないということはお考えになつておつたと思うのですが……。
○本田證人 そんなことはありません、ただ共産党から暴力を受けてその相手方に今さらあらためて私の方から説明する必要もない。こういうわけでお断りしました。
○神山委員 それだからこそあなたが特高だというのです。民主主義擁護同盟は一千万人の團員を持つている。その中に高田代議士がいたといつても、共産党そのものが言つたわけではないのです。それさえもあなたが非常に抗戰的な態度をとられるということは、あなたが特高課長であつたということと関連して、今日の証言があまりにも一方的であるという裏づけになつているということを思考せざるを得ない。
○菅家委員 ただいま神山委員より川徳一家に対して言つたのは七月の十八日であるというお話があつたのでありますが、これは非常なる違いでありまして、証人にお聞きすればはつきりするのでありますが、掲示板の撤去は三日延期することになつて、一時小康を得たように見えたが、暴徒が執拗に食い下つて來て、事件がそれから進展して來ているのですけれども、この國警の方で、自治警察十号というのですか、午後六時三十分に平警備地区長の名をもつて、平市署に対し二分の一の出動命令が出たのは、これは三十日ですね。そういう命令が出ましたのをお聞きになりませんか。
○本田證人 平市署からですか。
○菅家委員 警備地区の名前をもつて平市署に二分の一の出動命令を要請していましたね、御記憶ありませんか。うわさの出たのはちようどそのころなんだ。川徳一家というのは興行師で、五、六百名來るというようなデマが流布されていたのはそのころで、それで川徳のところに行つたのは、その晩の六時半だ。六時半に川徳一家の者が不良に会つて——私はその川徳から聞いたんだが、川徳に会つて、今度の共産党の平警察署の襲撃事件はどうなつておる、こう言つて聞きますと、川徳はそれに対していやおれは関心を持つておるけれども、今事件中だから、これには関係しない、かまわない、こう言つた。私川徳から直接聞いたんだ。そこで川徳一家のなぐり込みというものはないということをかれらは知つた。そこではつきり確認した。それから署内の暴徒はだんだんとふえて、約二百五十名くらいになつて、事態はますます不穩の形勢になつて行つた。それで拳銃を持つていたが、あなたのところの梅田部長はわずかの拳銃を持つていたのでは、万一の場合にかえつて事態を惡化させるおそれがあると思つたので、二階の刑事室に隠してしまつたのだ、こう言つております。それから川徳のところに行つたのは、三十日の午後六時三十分から七時の間だと川徳がはつきり言つております。こういうのですから、七月十八日に行つたというのは何かほかのことで行つたかもしれないけれども、川徳にそのことを確めに行つたのは、川徳がはつきり言つているところでは三十日の六時半から七時までの間で、矢萩炭鉱の者が二人來た、不良とか言つておつた。こうはつきり言つておるのです。ですから、川徳を調べてみればわかる。川徳はそんなうそを言う男ではありません。
○鍛冶委員長 証人はおわかりですか。
○本田證人 わかりません。先ほど申し上げました通り、三十日の日だか、二十九日に川徳のところに打診に行つたということを、事件の起きたあとで聞いただけです。
○菅家委員 これははつきりしておりまして、三十日の六時半から七時でありますが、矢萩炭鉱の不良のものが二人川徳を尋ねて來たということを言つております。七月十八日というのは間違いであります。
○本田證人 平市長から聞いたのであります。
○菅家委員 それからもう一つ、これは、二十七日のことであると思いますが、共産党の鈴木光雄、鈴木磐夫、松本佐吉、金逢琴、それから全逓の石城支部の鈴木新平、青共の縣の委員候補佐川市右エ門、それから共産党書記の青田正夫、この七人、これは共産党ですが、このほかにアカハタの記者と称する何がしなる者と、それから自称福島新聞の記者だという者があなたのところへ行つて、署長室へ強引に二十七日に入つた事実がありますね。
○本田證人 二十七日にその代表五名というのに、さらに……。
○菅家委員 あなたの方ではこの状態ではどうしても話ができないから、五名の代表者と交渉するということを申しまして、多人数との交渉をあなたは拒絶した。拒絶すると同時に、今名前を読みあげた者とアカハタの某なる者と、自称福島新聞記者なるものが強引にあなたの部屋へ入つておりますね。
○本田證人 福島新聞というのは記憶ありませんが、赤旗を立てておりますので、赤旗は出ていただきたいということを要請したが、よう出ないというようなことで、退去さすことができなかつた。
○菅家委員 それは何と言う人かわかりませんか。
○本田證人 名前は忘れましたが、それは清野……。
○菅家委員 清野です。そこであとで共産党の赤旗の連中が暴言をはいたというようなことを言つているが……。
○本田證人 二十七日ですか。
○菅家委員 そうです。
○本田證人 どういうことをさせられたか、今はつきり覚えておりません。
○菅家委員 赤旗の清野ということがはつきりすればよいのです。それからもう一つ、先ほど証言された中に、盗品の中に事務室の東南側の本箱の上にあつた大切なふろしき包がなくなつているが、これは官物ですか、私物ですか。
○本田證人 これは私物です。
○菅家委員 それは出て來ませんね。
○本田證人 出て來ません。
○菅家委員 それから乙種の外套、廊下にあつたものは官品ですか、私品ですか。橋本五作という人の……。
○本田證人 それは貸與品です。
○菅家委員 官品ですね。これは先ほどしお述べになつた官品が一つ、これも強盗に会つていますね。それからカーキ色の上着の服で、事務室の経済係の腰掛のところに置いた渡邊仲吉という人のものがなくなつておりますが、これは私物ですか、官物ですか。
○本田證人 それは私物です。
○神山委員 そうすると、今署長さんのお話ではつきりしたのですが、あなたが川徳氏にお会いになつたのは二十九日ですか。
○本田證人 川徳には全然会つておりません。
○神山委員 それでさらにもう一つ、今の川徳のところに青年が二人來て出動するかどつちか、これに対してそういう意思はないということを答えた。それは君はつきり言うのだろう。
○鍛冶委員長 その通り。
○神山委員 そうしますと、そこではつきりするのでありますが、暴力團は出ないということがはつきりしている。ところが、暴力團が出ないということがはつきりしているのに、警察を動員したということをさつきから言つているのです。暴力團は出ないということを川徳が言つているのに、実際は暴力團が出るというようなうわさが傳わつて來たのは夜の七時過ぎじやないか。私が言いたいことは、川徳に二人会つたという青年は共産党に関係ない。共産党には不良少年はいない。川徳氏がどう見たか知らないが、いないということと、さらに今の問題は違うということだ。実際に出動する意思はない。暴力團が出ないと言つているのに、さらに暴力團が出るといううわさが飛んでいる。警察は國警か自治警かは別として、これに対し内郷から手配している。こういう事実だけは立証されているのである。そこで七月十八日というのが問題だが、ぼくたちは七月十八日に党の東北地方委員の津川君と、石城地区の岡田君とが正式に川徳氏に会つたときのことを言つているのであつて、その前の不良少年が会つたことを言つているのではない。
○鍛冶委員長 十七日のことは署長は知らないと言つているのだから……。
○神山委員 おれの方は十八日だ。從つて党が計画的にやつたということはデマゴーグである。それこそがデマだということを言つておるのだ。それからこれは資料の請求でありますが、先ほど菅家君がむずかしいまじめそうな顔をして読んだ共産党の指令と称するものは、これは私たちが聞いてまことに痛快なものでありますが、私も党の最高幹部としてこういうものを默視するわけには行かない。ぜひ当委員会に原本を提出していただきたい。同時に提供者も何党であつたか立証していただきたい。これは委員会にお願いします。これを出し切らない限り、彼が一方的なデマを飛ばしているということは否定できない。 それでは本田さんに伺いますが、三十日の三時半にはたくさん入つていなかつたのでしよう。
○本田證人 三十日に署長室には三、四十名入つて來、事務室には何名入つたかはつきりわかりませんが、一部分入つておりました。ただ五時半ごろまでの間にさつき申し上げたような数字の者が入つてしまつた。
○神山委員 一方では七時過ぎと言つておる者がありますが、いずれにせよ三時半にはたくさん入つていなかつたということだけは立証できますね。
○本田證人 署長室には……。そうです。
○神山委員 もう一つこまかいことで大事な点ですから……。あなたは朝連の金明福とはいろいろ接近していらしたわけではありませんか。
○本田證人 金明福とは時折話をしております。 事件前にも知つております。
○神山委員 個人的に特別に——特別という言葉はとつてもいいですが、私はさつき憎まれ口をききましたけれども、署長として、朝連の幹部として、お互いに行き來しておられたということはあるのですね。
○本田證人 そうです。
○神山委員 從つてあなたとの間に、この問題を平和的に解決しようという話も一方ならずあつたのではありませんか。
○本田證人 私としても金明福が共産党の委員であるということを知つておりますので、顔の知らない者より顔を知つている者の方がいいだろうと思つて、二十五日の夕方呼んで、本人に警察の態度を説明してやりました。
○神山委員 金明福にしましても、あなたのお話もあり、自分としてもできるだけ円満に解決するという意思表示をしておりませんか。
○本田證人 ええ。
○神山委員 もう一ぺん繰返すまでもありませんが、今までの全体を冷靜に見れば、何もこれは計画的な行動でなく、事件がもつれて、しかも雨は降る、暴力は振うという全体の空氣の中で、大衆が一應署の中に入ることをあなたの方も認めたということがさつき大内君の報告に出て來ている。それであなたの許しで入つて來たということが公平な見方じやないかと思うが……。
○本田證人 私は認めておりません。内郷署長も証人になつているように聞いておりますから、内郷署長からも聞いていただけばわかりますが、平市警察署に來る前に、事前に棒切れを持つておつたようですが……。 〔発言する者多し〕
○神山委員 そのことはあなた自身がごらんになりましたか。
○本田證人 私は見ませんが、そういう話は聞いております。
○神山委員 結論的に言いますが、あなたは今まで民自党の諸君にあやつられて、あなたの特権的な立場から、これが單なる偶発的な事件でなく、計画的な事件だということを言つておるが、それこそ計画的な謀略である。
○石田(一)委員 先ほど証人の証言の中にこういう言葉があつた。八月から九月になればわれわれの時代が來るのだから、署長もそのつもりでうまくやらないとあぶないと言つたとか、あるいは労働組合の連中もそういうことを言われて信じているとか、だれから聞いたのだかわからないが、そういうことをうわさに聞いておるのだと言つてあなたは証言なさつておりますが、部下からの報告とか、あるいは情報部から入つた情報とかいうことであれば、この委員会で署長のあなたが証言をしてもいいのですが、だれからお聞きになつたかわからないし、責任の所在が何もないものを、こういうことがあると証言することにあまりにたよりないと思いますが……。
○本田證人 それは二つにわけてお答えしますが、一つは、署長室で、八月か九月になれば云々と言つたということは、たしか代表格の金逢琴でないかと思いますが、そこがはつきりしていないのであります。しかしだれかとにかく署長室で私に対してそういうことを言つたから、それはおどかしみたいなものだ、暴力團みたいなものだと私は言いました。それから矢郷炭鉱の從業員たちに言つておるということは、だれから聞いたかはつきりしておりません。
○石田(一)委員 それではあなたの表現の仕方が悪かつたので、そう言つたことは事実なのだが、どの人間がそういうことを言つたかわからないということですね。 もう一つ私のお尋ねしたいことは、火防團というものが組織されているが、もし共産党が暴力を振うならば、火防團も自分たちの身命を投げ出してもかまわんという覚悟をもつてやつているのかという大橋君の質問に対して、証人は肯定なさつていらつしやつたのですか。それを肯定なさるのですか。
○本田證人 警察署がやられるとか、あるいはほかの役所が共産党にやられるというような場合には、市民は自分の市を守るという氣持からそういう態度に出るのではないかと私は考えるのです。
○石田(一)委員 この火防團というものは何ら法律的な根拠も権限もないものである。あなたは警察の署長として、相手が暴力をもつてやつて來るならば、自分たちも市民としての権利を守るために、からだを投げ出しても、暴力には暴力をもつて対抗するという決意を持つて取締りをおやりにならないのですか。
○本田證人 それは市民が自分たちのたよりとする警察がやられた場合に、自分たちの市を守ろうとする態度から出ている問題です。それに対して共産党があくまで暴力を振う場合には、市を守り、あるいは市の建物を守るという建前から、火防組織もその予防方法を構ずるということになるのではないかと思います。
○石田(一)委員 あなたが取締りの立場にある責任者の署長でなければ、そういう市民の一人としての感想もけつこうだと思います。しかしそういう考えをもつて團体をつくる者があつたならば、少くともあなたはこれを取締らなければならない立場にあるのです。自力救済は日本の法律では認められていない……。 〔発言する者多し〕
○鍛冶委員長 議論はよしてください。
○石田(一)委員 私は共産党ではない。ただもし共産党の暴力に対して、いざというときにはわれわれも暴力をもつてこれを防ぐのだという……(発言する多く、聽取不能)事前に認められるということは、暴力團体を署長が認めておるということになる。署長はこういうときにはそれら團体……(発言する者多く、聽取不能)議会を中心とするところのそういう組織を確立するという運動ならわかる。しかしいざというときには、われわれ市民の名誉、警察を守るためには、暴力に対しては暴力をもつて対抗するということを暗にほのめかしたところの火防團を、署長が認めるということはどうかと私は聞いておる。
○本田證人 私は認めるということは申し上げておりませんが、平市の警察がやられた自分の頼みとする警察がやられた場合には、その建物を自分らが守るよりほかはないのではないかということで、それらに対する自警團の運営あるいは運用については、警察は十分愼重な態度を持つてやらなければならないということを先に申し上げております。
○石田(一)委員 運営を十分になさるのはけつこうなのですが、そういう決意を持つているということをあなたが了承しておるという默認のもとに……。
○鍛冶委員長 さようなことは言つておりません。認めたとか、默認したとかいうことはない。ただそういう氣持があつた。事実はそういうことであつたとは認めていない。
○石田(一)委員 そうすると今のは認めたとおつしやるのではなくて、默認。とおつしやるのですね。万全を期したい、そういうわけですね。
○本田證人 そうです。
○鍛冶委員長 では済みました。 三十分休憩いたします。 午後三時十八分休憩 ————◇————— 午後四時五分開議
○鍛冶委員長 休憩前に引続き会議を開きます。安西光雄さんですね。
○安西證人 はい。
○鍛冶委員長 こちらが言つておりますときはすわつておつてよろしゆうございますが、発言されるときだけは立つてください。区切りよく言つてください、速記ができませんから。——あなたは福島地方檢察廳檢事ですか。
○安西證人 そうです。
○鍛冶委員長 いつからですか。
○安西證人 二十四年一月十日から。
○鍛冶委員長 本年六月下旬に、平市を中心といたしまして、郡山、福島、若松その他に騒擾事件が起つたようでありますが、その概容を述べていただきたいと思います。
○安西證人 お尋ねの点につきまして、福島縣下全体に騒擾事件が起きたというようなことは、現在のところにおきましては申し上げられませんが、ただ六月の三十日に平附近において騒擾事件が起きた。その当時その日に福島、若松、郡山さらに平に隣接しております内郷警察署、また湯本警察署附近というような地域にいろいろな事態が発生したのでありますが、その大体を申し上げるのですか。
○鍛冶委員長 ええ、大体各都市、平を初めといたしまして……。
○安西證人 平におきましては、午前十時ころから掲示板の撤去問題につきまして、当日はちようど掲示板を午後の四時に撤去するというようなことになつていた関係上、その署長の申出を撤回さすべく交渉に來たのでありますが、これが午後の三時ごろに大挙して平市警察署を占拠された。その群衆は約三百人ないし四百人ということであります。その状態は署長室に約百人の群衆が署長を取巻きまして、掲示板の撤去問題について脅迫をした。さらに事務室には百人以上の者が赤旗を振つたりなどいたしまして、事実上、平市署はその群集の意のままになる状態になりまして、警察機能を失墜したのみならず、さらに警察署の襲撃の際に防止した警察官は相当のけがをいたしました。またその際に檢挙された——建造物侵入として現行犯処分をして留置所に入れられた者が、その看守に暴行、脅迫をいたしまして解放してしまう、しかもその際にその看守ピストルを奪取した。こういうような事態が発生し、しかもその警察署の正面には赤旗を二旒交叉いたしまして、私どもの捜査の結果によりますと、人民警察なれりというようなことも呼号されながら事実上警察署というものが、いわゆる人民警察だという印象をそこを襲撃した群衆にも與えるし、一般社会の人にも與えた。また一面平市内におきましては、八箇所に他の警察官の警備のための應援を阻止するための歩哨を出して、檢問所を設けまして、出入りの通行の者を尋問するというような事実もあつたのであります。しかしてこれは三時前後から始まりました。そういう事態の発生によりまして、福島縣警察本部といたしましてはそれに対する警備のために應援を手配いたしましたが、特にそのうちで仙台に國家警察の管区があるのでありますが、管区学校の生徒を應援のために仙台から平に向わせるものを、仙台駅で鉄道職員から阻止されるというような事態も発生し、さらに平から約五里ぐらいあると思いますが、小野新町地区署の警察官十三名が本部の命によりまして平市署に警備のために派遣されたものが、國鉄のバスがありますが、これに乘つて警備に行く途中、その附近の踏切りで阻止されるというような事態もいわゆる平市署の襲撃事件に関連して派生したのであります。さらに平事件の関係から言いますと、その平の襲撃の目的を完遂する一環といたしましては、まず三十日の午後一時ごろに湯本警察署、これは平市署から約三里ぐらい離れておる所でありますが、その湯本町署に百四、五十人がおしかけまして、平市署に警備のための應援を出してはいけないという確約を署長に迫りまして、署長は大衆の威勢に恐れまして、結局その確約をせざるを得ないような状態に置かれたのであります。さらに当日の午後二時五分ごろ湯本から湯本警察署に行つたのは約一時間後のことになつておるのでありまするが、二時五分ごろには他の一隊の百五十名ばかりの群衆がやはり内郷町署に押かけまして、署長をとりまいて前同様平市署に警備を出してはいけないというような確約をさしたのであります。すなわち大衆の威力を用いて確約をさしたのであります。さらに事務室等を占拠したところの群衆に対して、また警察署の前に集つている群集を署員が写眞をとつたのでありますが、このとつた写眞を廃棄させるというような事態も発生したのであります。それにはもちろん暴行脅迫があるのでありますが、さらに警備係の部長に対しては、吉田内閣の犬だ、お前がわれわれ労働者を裏切つていろいろな情報を提供しているというようなことで表に引きずり出しまして、そして暴行脅迫をいたしております。またある巡査に対してはやはり暴行をいたしまして傷害を與える、この内郷署における事態は要するに平市署とは多少程度が低いのでありますけれども、平市署を襲撃する牽制策といたしましてまず湯本署、さらに内郷署の二署を襲撃して、結局平市署に應援隊を出さぬように牽制策をとつたと考えられるのであります。從つて平市署の襲撃事件、騒擾事件につきましては、郡山地区署、または市署に対して警備のための應援を命じたのであります。その際も郡山市署に百名ばかりの群衆が押かけまして、やはり平市署に應援隊を出してはいけないというような闘争がありまして、結局郡山からは應援が出せなかつたような状況であります。これが平市署襲撃の大体でありますが、もし名前その他について……。
○鍛冶委員長 郡山には何時ごろでしたか。
○安西證人 郡山は零時ごろです。これは福島と関連がありまして……。
○鍛冶委員長 福島は……。
○安西證人 福島関係を申しますと、福島関係は三十日の午前十時から十時半ごろまででありますが、郡山の國鉄を中心としたものが福島に参りました。これは前日でしたか、郡山市会に対して配給米の掛賣りをしろという闘爭をやりまして、決議を得たのであります。從つて郡山市長を帶同して、当日福島縣会が開催されることになつていたので、その方面に陳情をするという名義のもとに朝來たのであります。ところがその國鉄の一派には、國鉄の群衆と各労働組合の幹部並びにその組合員が合流して縣会に來たのであります。縣会はまだ始まつていないというところから、福島地方檢察廳に押しかけまして、当時若松地区署の関係になりますが、三菱廣田工場の爭議に関して、その工場長を不法監禁、建造物侵入等をしたということで、山口茂樹が逮捕されていたのであります。その問題を取上げて、地方檢察廳に対しまして山口茂樹を即時釈放しろ、労働運動を彈圧するものだというような意味の抗議文を出しました。それが約十時四十分ごろと思います。さらに檢察廳にほど近い福島市警察に同じ群衆のデモが押しかけまして、公安條例撤廃、また労働運動に対する彈圧をするなという、いわゆるデモ陳情をいたしまして、それから縣会に行きまして、縣会に対してやはり米の掛賣りをしろというようなこと、また失業者対策をどうするかというような、結局いろいろなデモ陳情をして、その際議場に赤旗をたれた。それを撤去させることについて、議事局の事務員が傷害を受けたというような事態が起きたのであります。大体四時半ごろ福島縣会に対するデモ陳情が終りまして、それがデモ行進をして行く途中、結局福島市署とその應援を要請されたところ福島地区署が、その解散を命じたのでありますが、その際に警察官とそのデモとの衝突がありまして、國鉄職員その他が五名ばかり檢挙されたという事件がありました。結局その檢挙した者を取調べたのでありますが、その取調べ中の午後十時半ごろに、さらに國鉄その他の労働團体が市署に押しかけて、さつきのデモ行進で檢挙した者の即時釈放を迫りました。相当險惡なる情勢になりましたために、市署といたしましては、事態の惡化を防ぐ意味において、一應取調べを終つた被疑者を釈放いたしたのであります。そのデモの一隊が十時四十五分の福島発の汽車で郡山の方に引揚げた。その引揚げた際に、郡山市署または地区署から平方面に應援隊を出すというような情報をキヤツチして、そこに押しかけて、やはり警備を出してはいかぬという確約をさせた。これもようやく翌日の午前零時半ごろに、福島からも警備のための應援を出しまして、ようやく解散をさした。
○鍛冶委員長 そうすると郡山に行つたのは、一日の零時ですね、福島を十時四十五分に立つているのだから。
○安西證人 そうです。
○鍛冶委員長 若松はいかがでしたか。
○安西證人 その前にも郡山の市署に押しかけまして、時間的に言いますと、午後五時ごろにやはり五名ばかりのマル共の代表者が來まして、やはり労働運動に対する彈圧はいかぬというような申入れをいたしているのであります。 さらに若松の関係を申しますと、若松より手前に廣田という所がありますが、そこの三菱製鋼廣田工場のやはり首切りに関する労働争議がありまして、その工場長を労組の者たちがほとんど十二時間以上も監禁同様にいたしまして、その解決を迫つたような事態がありまして、そういう工場長等から若松地区署に対して不法監禁、建造物侵入の告訴がありまして、その間に山口を当時逮捕していたのであります。逮捕したのはその前でありますが、六月三十日の午前八時ごろから廣田工場で渡部義通氏がそこへ行つて、議会報告演説会などをやりまして、その群衆約二百名ばかりが若松地区署に押しかけまして、渡部代議士から山口氏に対する即時釈放方の要求があつたのでありますが、署長は関係者の取調べ、本人に対する取調べの終らぬ限りにおいては出せないと拒絶をいたしましたので、要するに險惡な状態ではありましたが、結局事故を起さずに済んだ、こういうような状況であります。
○鍛冶委員長 先ほどもおつしやつたが、これらはすベて、そうすると平まで應援に來られたので、警察官の出動を阻止することはお認めでありますか。
○安西證人 私は当時福島縣警察部本部におりまして、隊長と一緒に各地の警備状態、そうした群衆の押しかけ状態、それから各署に対する確約運動、いわゆる警備隊を出さないということ、それらが時々刻々と報告がありまして、平事件がこれほど大きくなつておりまして、鉄道方面または全逓が、その点は今の捜査の過程におきましてはわかりませんが、要するに警備関係の電話が非常に漏れてしまいまして、また漏れたためにいろいろの警備が挫折するというようなことでありまして、やはりこれを統括したその情報を集めて、それぞれの全縣同じ歩調で権力闘争と言いますか、とにかくほとんど全縣の主要なる部分でそうした鬪争を開始をしたのではなかろうかと思われる節があつたのであります。
○鍛冶委員長 これについて、あなた方の方でいかなる取締りまたはその後の処置をなしておいでになりますか。
○安西證人 平市署を襲撃した関係におきましては、騒擾罪として捜査をその晩から開始させまして、さらにその平市署の襲撃の一環として湯本署内郷署の牽制のために局部鬪争ですね。これに対してはやはり騒擾並びに暴力行為、傷害というような、内郷署においてはそういうことで、湯本署の関係は今のところはこの関係者を調べておりまして、やはり湯本署に押しかけた者が平署に押しかけておりますし、内郷署に來た者も平署に來ております。大体三者同じ人物がやつておりますので、結局は騒擾罪の捜査の中に入つて來るものと思うのであります。それから今の小野新町の関係も捜査を進めておりまして、やはり平の騒擾事件を援助する、助成する、まあ百六條の二号の現場助勢罪の嫌疑で捜査を進めておるのであります。それから今の仙台関係も仙台市署で捜査を進めておるわけでありますが、これはまだはつきりした状態には考えていないと思います。若松に押しかけた関係は、これは犯罪として扱つておりません。それから福島の関係におきましては、今のデモ行進を解散させる際に、警察官に傷害を與えた関係が、公務執行妨害、傷害ということで事件の捜査をしております。それから縣会に押しかけた際に議事局の事務員にけがをさした件が告発を受けておりますがまだ捜査はしておりません。
○鍛冶委員長 郡山は。
○安西證人 郡山関係は今のところ捜査はしておりますが、事件としての捜査はやつていない。要するに向うでは今のところでは公安條例違反の程度であると思います。
○鍛冶委員長 それから先ほど平市において市中に檢問所を約八箇所設けたというお話でしたが。これはどういう名前でやつておりましたか。
○安西證人 どういう名前とは。
○鍛冶委員長 ただ檢問所というのですか、人民警察檢問所とでも……。
○安西證人 その名前はわかりませんが、要するに彼らの言葉で、私らの捜査で現われておるのでは、関所を設ける、だから突撃隊に行く者は集まれ、こういうわけで、二名ずつの配置をしまして、市内八箇所に設けました。その八箇所を設けたのはわかるのですが……。
○鍛冶委員長 ここに図面がありますが、これはあなたのところで聞いて來たようですが、その通りですか。
○安西證人 平の市内におけるこの檢問所の場所の設定は現在のところこうなつておるのです。ただ私たちの方の捜査関係者の言うところによると、内郷町の方面にも立てたということでありますが、今のところ捜査中でありまして、少くとも市内にはこれだけの八箇所にあつたということは今の捜査の過程において判明しております。
○鍛冶委員長 そこでこの事件によつて逮捕状の出た人数並びに檢挙された人数等はおわかりでありますか。
○安西證人 書面に基いてよろしいですか。
○鍛冶委員長 ええ。
○安西證人 七月二十七日現在でありますが、逮捕状の発した総数が百十二名、そのうち逮捕した者が八十三名、未逮捕が二十九名、それから起訴人員は四十名であります。そのうち拘束して拘留のまま起訴した者が三十三名、不拘束で起訴した者が七名、現在檢事が取調べ中の者が二十六名、警察が取調べ中の者が十七名、こういうふうな状況になつております。
○鍛冶委員長 これらの者の所属しておる團体または政党がおわかりでしようか。
○安西證人 大体共産党に入党しておるのだということも調書上はつきりしておる者もあります。その逮捕した八十三名のうちほとんどはそうでありますが、一々はつきりしたことは今申し上げられません。
○鍛冶委員長 大体でよろしゆうございます。
○安西證人 逮捕しておる八十三名でありますが、そのうちか五、六十名は入党し、またはそのシンパとしていいじやないかと思うのであります。少くとも労組の関係がありまして、労働組合に所属しておるということは言いましても、共産党の関係を言わない者もありますので、私どもの調べによつて、本人自身が言う者は大体そういうような五、六十人というところが確かなところであります。というのはあまりそういうことについて、もちろん言わないのもありますし、これはまた私の方でもむりに今の訴訟法では聞かれませんものですから。
○鍛冶委員長 その檢挙した者のうちで、平におけるおもなるものはどんな者でしたか。
○安西證人 これは私の方の調べの結果で、現在はつきりわかつておりますのでは、平市内では西岡慶三郎、金逢琴、金明福、これは湯本に住所があるようでありますが、要するに朝鮮人連盟の委員長が金逢琴で、その弟が金明福であります。それから内郷の方の関係で、本件で非常な主要な役割を演じた鈴木光男、鈴木岩雄それから日野定利、熊田豊治、松木佐吉、佐々木斌こういう者はもちろん共産党の所属でありまして、鈴木光男は関係者の調べによりますと地区委員長をやつており、西岡慶三郎、鈴木岩雄、日野定利は地区委員である、こういうことが今の捜査の程度ではわかつておるのであります。それから好間の関係では、元巡査の鈴木幸三郎。
○鍛冶委員長 重立つた者はたいてい共産党ですか。
○安西證人 そうであります。
○鍛冶委員長 それではよろしゆうございます。それから先ほどもおつしやつたように、これらの行動はすべて一連の連絡があると認められるとおつしやつたが、その連絡の中で鬪争方針についても、たいてい相連絡したものがありましたか、それともばらばらのものでしたか。
○安西證人 鬪争方針としては、権力鬪争といいますか、要するに権力を持つておる者に対して、その非違を非難し得る事柄があれば、それに対しては極力鬪争をしてあやまらせる、一種の権力鬪争といいますか、それから確約鬪争、これはそういう場合にその非違を追究いたしまして、そういう事実がなくとも事実があるというふうな場合もありましようが、承諾しない場合でも承諾したというような確約書を書け、こういうような確約鬪争が、たとえば國鉄の首切り鬪争の際もありますが、今回の平の方面における湯本署または内郷署、それから郡山署、その他におきましても、必ず労働争議を彈圧しない、けが人を出さないということの確約をしろ、書面に書け、こういうような一つの確約鬪争をやつておるのであります。さらに福島市内その他で、共産党の細胞の名前、また共産党地区委員会の名前、または縣地方委員会の名前で、いろいろなビラが張られておるのでありますが、これは大同小異でありますが、ただこの平並びに湯本、内郷方面の石城地区における鬪争の目的といいますか、これを端的に現わしたビラがあるのであります。それは要するに「言論の自由のために鬪う」こういう見出しで、「本日平地区共産党は命をかけて言論の自由のために鬪う。湯本警察署前、平警察署前、及び内郷警察署前において、各所午前十時より、日本共産党磐崎細胞」こういうようなビラを出しているのが捜査によつてわかつたのでありますが、これが要するに少くとも平方面における騒擾の一貫した一つの方針ではなかつたかと思つております。
○鍛冶委員長 先ほど電話はすべで傍受されたというお言葉がありましたが、そのほかに何か警察署の弱体というようなことについて、特に目立つたことがありませんでしたか。應援の妨害したことは聞きましたが、そのほかに何か。
○安西證人 自治体警察の弱体ということはこうした場合のみならず、いろいろの場合にやはりあるのでありますが、特にこうした場合に自治体警察の弱体性を私ども痛感したのでありますが、それはまず定員がかなりありましても、実際に使える者は、たとえばもし百人の定員がありますと、実際に警備に使える者は三十人か四十人だというのが常態であります。從つてこういうような事態が発生した場合にすぐそういうものを第一線の警備に充てるということが非常に困難であると同時に、警備態勢でありますと、大体これは國家警察の担当でありまして、國家警察がただちに自治体警察に対して命令をするというような機構になつていない関係から、どうもそういう機構上の問題、構成の問題から弱体性を暴露しておるのではないかと思うのです。 それからもう一つは、國家警察の警察職員はもし生命を失いましても相当の補償があるのであります。ところが自治体の警察署の職員に対してはただいまのところそうした、特に警備関係において生命をどうかした場合における補償がない。そういうようなことがこうした事態の発生した場合に警備に当る場合における心構えがやはりあまり積極的にはやらないのではないかと思うのであります。私の方でどういうわけでそういう場合に積極的でなかつたかを聞きますと、大体そこに問題があるようであります。
○鍛冶委員長 それから電話等をとられますと連絡等が不便になつたろうと思いますが、どういう方法で連絡をし、また應援をやらせることにしましたか。
○安西證人 そういう場合には非常に便利が惡いのでありますが、すべて特使をもつてやつております。
○鍛冶委員長 何に乘せてやつておるのですか。
○安西證人 汽車もしくは自動車。それで、ある場合は合言葉で、あらかじめこちらから連絡をとつておりまして、こういう合言葉を使つた場合はどうというように……。
○鍛冶委員長 昔の戰争みたいだね。
○安西證人 そうであります。
○鍛冶委員長 わかりました。高木君、なるべく簡潔に。
○高木(松)委員 簡單にやりますが、福島縣下において確約闘爭をされたことは今あなたのお話でわかりました。同時に掛賣闘爭というようなものが一般に行われておりますか。
○安西證人 米の掛賣闘爭というのは、ただいま申し上げたように内郷町の議会、郡山の議会、縣会等について具体的に申し上げましたが、その他にもいわゆる掛賣闘爭というのをやつておる、そういう方針のもとにやつておることは聞いておつたのであります。
○高木(松)委員 そこで神山君や聽濤君がここで確約闘爭をしきりにやつておるのは私ども承知しておるのだが、この確約闘爭、掛賣闘爭というようなものが一体どこから指令が出ておるか、具体的にわかればよろしいし、わからなければどこから出て來るかと推察のできるような事実があつたらひとつお話を願いたいと思います。
○安西證人 私どもの方では、要するにそういう闘爭が三箇所四箇所と時を同じくして、また共産党の影響を受けておる組合または党員等の闘爭がありますと、やはり同じ一つの指令のもとに動いておるものとしか考えられないのであります。しかしそれについては私の方で指令をつかまえておるわけではないし、確証はないのであります。ただ現象としてはそういう現象があるということであります。
○高木(松)委員 そこで平事件の発生直前に渡部義通君、土橋一吉君が福島のその地方へ行つてしきりに活動せられておるのですが、その活動の内容はわかりますか。
○安西證人 檢察廳としてわかつておりまするのは、渡部義通代議士が若松地区警察署に群集とともに行きまして山口茂樹の即時釈放を要求せられた。その当時若松地区において議会報告演説会をされ、さらに郡山においても郡山、白河方面において渡部代議士が各地をまわつた。さらに土橋代議士は六月の二十二日に内郷に参りまして内郷で演説会をやり、二十三日には先ほど申し上げました日野定利という家で細胞会議に出たということを聞いておるのですが、これは確証がないのです。その際にいわゆる本部の指令を傳達されたということを申しておる者もありますが、これも今のところ私の方には確証はないのであります。
○高木(松)委員 あなたの職責上の立場から見て、渡部、土橋の両代議士がその方面を歩いて來た後こういう問題が起きたのでありますが、それに対して何かの関連性あるような感じでお取調べになつておりますか、それともどうなつておりますか。
○安西證人 渡部代議士、土橋代議士がただちにそういう本件の指導者のバツクになつておるというようなことは私今確言はできませんけれども、要するに共産党本部または縣委員会少くとも石城地区委員会の指導のもとにやられておる、こういうふうに考えて捜査をやつておるのであります。
○高木(松)委員 それから話は少しこまかくなりますが石城地区委員会が六月三十日の平市署襲撃の場合に、各党員及び民主團体と称するものに対して集合を指令しておる事実が私の手もとで調べてあるのですが、あなたの方のお取調べではどうなつておりますか。
○安西證人 いわゆる友誼團体ですね。
○高木(松)委員 いや党員に対しても指令を出して集めております。それから友誼團体いわゆる民主團体と言つておりますが、これらに対しても指令を出して何時に平市署の前に集れという指令が石城地区の共産党から出ておるのですが、そういうことはお取調べの結果ありませんでしたか。
○安西證人 ただいまのところでわかつておるのは、朝鮮連盟の方ではあらかじめ葉書をもつて六月三十日午後三時平に來いという——これは平署かどうかちよつと記憶がありませんが、そういう捜査の結果が現われておりますが、その他の友誼團体に対していかなる方法により、いかなるものがそういう連絡をとつたかということにまでただいまの捜査の過程におきましてはわかつてはおりませんが、各種の團体から相当数の者が出て、これが平市署に押しかけておりますので、これは指令を出したという確証は握られませんけれども、指令があつたと思わるべき筋合はそうした事実において各種團体の者が集つておるという点で実証できると思つています。
○高木(松)委員 葉書を出した日づけはわかりませんか。
○安西證人 葉書は証拠品としてないのでありまして、ただ二十七日か二十八日のように聞いておるのであります。
○高木(松)委員 私の承知するところでは湯本の深澤信という者がおります。これがいわゆる石城地区の共産党から指令をちようだいして、六月三十日の午後三時に平市警の前に共産党員はもちろん、いわゆる各種民主團体の代表者を集めるようにと言つて深澤君が方々に勧誘した事実があるのですが、そういうことはありませんか。
○安西證人 私の今の承知しておる限りにおいては、ちよつとそういうものは得ていないのです。
○高木(松)委員 私は具体的に承知しておるのですからお尋ねしたいのですが、武藤弘というのがおりますが、これもまた石城地区の共産党から指令を受けて、平國警のすぐ隣りにある朝鮮連盟の事務所にその時間を限つて集れ、そうしてそこへは地区から命令のあるまで待機状態において、地区から命令があつたら警察の前に來いということを言われておつた。その点はどうでしよう。
○安西證人 その点を私の方ではそういう捜査ができておるかもしれませんけれども、私どもまだ聞いていないのです。そういう点はもちろん私の方では十分調べるはずであります。
○高木(松)委員 どうぞその点ひとつはつきり將來調べていただきたいと思います。
○菅家委員 関連を持ちますので証人にお尋ねしたいのでありますが、七月三日の午後一時より四時まで福島市においてアカハタの記者である本田嘉博、縣委員会の書記の阿部靜夫、懸委員の円野金吾、同じく懸委員の小平時雄、同じく委員の西岡慶三郎、同じく竹内七郎、縣委員会の主幹者富田良吾、縣委員協力者鈴木六郎同じく鈴木信、縣委員の服部實、縣労働会議長三輪行治、石城地方区委員鈴木磐夫、これは通称貫ちやん、東北地方委員会の津川武一、吉田峯夫、水谷某等の合計十八名が集つて東北地方の共産党の委員会を開いております。その委員会の状況は、福島縣は全國で一番優位であるから、これをいかにして行くかについて討論会をしております。二、三日樣子を見て地区内の実情によつてこれを継続して行く。福島本部は警備が固いので、手が入らない。郡山本部は現在の情勢ではも一押しだ。平本部は完全に自信がついた。会津本部は猪苗代電産から入つて行けば必ずやれる。地区委員会は指導浮動の状態だ。こういうようなことを協議して、その際鈴木磐夫という者が、平本部では暴力革命ができる。炭坑内で鶴嘴で殺してから通風孔へ入れてしまえばわからない。警察署と刑務署を燒きはらつてしまえという発言をしております。さすがにこの暴言には全部が反対して否決された。被疑者は縣内に隠しておく。福島、郡山本部では國鉄が強いので立てるということを決議した。そうして鈴木信を呼び出し、個人に対して立ち上ることの確約書をとつた。郡山も同樣である。この方面は農村細胞を強力なものにすること等を決定して解散した。それで幹部を事件の起つた各現地に派遣して積極的な援助を與えることなどをきめまして、四時に解散しております。はつり情報が私の方に入つておりますが、警察がこの事件を取調べ中に、このすべての事件に関連して各地区において共産党の会合が行われておりますが、そういう事実をお認めにならなかつたでしようか。
○安西證人 ただいま委員の方からお尋ねになつた情報は私も職務上得ております。ほとんど同じ程度の情報であります。というのは、要するに私の方では平事件の主要な被疑者である鈴木磐夫を追つているのでありまして、そういうような関係から、そういう委員会を持つてそのようなことがいろいろ討議されたということは聞いて知つているわけであります。
○菅家委員 そうすると、現在その鈴木磐夫なる者はまだ逮捕に至つておらないが、かくのごとき情報はお取調べの中にはつきりしていると承知してよろしいですか。
○安西證人 その情報を得ているのであります。
○菅家委員 鈴木信というのは……。
○安西證人 これは國鉄のやはりマル共の相当な人物でありますが、これは國鉄関係で取調べ中の者であります。
○菅家委員 それから続いて同じことをもう一つ伺いますが、福島縣下における各委員会の情勢はことごとく私ども調査しておりますが、双葉郡勝田村という所があります。ここの細胞においては七月十二日の午後八時から十三日の午後三時まで細胞会議を開いております。この場所は、双葉郡勝田村大字上繁岡、農家の小藥芳己、この農家に集つた者は富田村小学校教員猪狩和夫、それから勝田村の、字名はわかりませんが、柴田良夫、同じ村のこれは朝鮮人でしようが、朴次得、それから梅田澄弘、外氏名はわかりませんが、十二名ここに集つております。この細胞の集合の会議の模樣を見ますと、まず第一に猪狩和夫から石城地区委員が出席する予定だつたけれども茨城縣に所用のため行つたので欠席したことを釈明して、指令第四十三号というものをそこで読み上げております。この指令第四十三号というのは、敵の挑発に乘るな、富岡地方事務所員目黒滋はわれわれの入党月日並びに党の活動状況を調査しているから、党の組織的活動は絶対に言うな。これが一つ。それから指令第四十四号、地区的闘爭をやれ、敵は動揺しているからこの機に乘じ各地区は権力をとれ。次は四十五号、民主青年團の結成をはかれ、青共は党の中心勢力であるが民主青年團の結成は遅々としているから急速に結成をはかれ。指令第四十六号、機関紙福島については集中的出宣傳煽動組織体として活用せよ。指令第四十七号、地区行動体をつくれ、各地区ごとに行動隊をすみやかに結成すること。龍田細胞においては猪狩和夫ほか今の者が集まりまして、このことをきめておるのであります。しかも最後に拡大中闘委員会における徳田書記長の指令、革命は間近にある。ゆつくり急いでやれ。以上を説明の後協議に入つて、平の犠牲者に対しては資金の差入れをやること。富岡保線区大会は十四日の夕刻から富岡保線区で開催する予定であるからということ。その次には十七日には廣野朝連大会を同事務所で午前十時より開催する。朴次得は、平事件について説明し、今後の闘爭方針を協議した。十七日本戸村朝連事務所で細胞会議を開くから、それに出ること。國鉄の第二次首切り発表を機会に、実力行動に出る指令があるから、指令により行動すること。 首切り返上闘爭をやること。さらに猪狩は原町地区の要所を占拠しなければならぬと力説強調いたしております。また食糧の確保について双葉地区委員齋藤莊壽なる者は、米、麦、馬鈴薯等を確保するよう指令があつたと説明し、石城常磐炭鉱は同調しないとの話である。新聞はうそである。炭鉱夫一万五千は必ず起つてわれわれに同調するということを言つております。ソ連引揚者に対しては入党届を書いて持つて行き、入党せしめること。また「アカハタ」をそこで必ず送ること。敵のスパイを警戒する。敵が書記として入つた例もあるから、また山形では党にダイナマイトを密賣に來た者がある。敵のスパイだから用心せなければならぬ。事件で一千名の入党者があつたことは、われわれにますます有利になつた。今こそ党員が戰列につくべきときだという結論に達したようなことをみなに述べ立てておるのであります。この際にわれわれはこの指令のもとにこれを強力に九月革命に推進して行かなければならないと述べております。これと同樣なことが白河地区委員会においてもありますが、長くなりますので、この白河地区その他の事件は後ほど他の証人から聞くことにいたしますが、特にこの龍田村細胞におけるこれらの事柄は平事件にも非常な関係を持つておりますので、この事件の取調べ中にこれらの点が何か捜査の上に現われて來なかつたかということをお聞きいたしたいのであります。
○安西證人 ただいまお尋ねのような情報は、私耳にいたしておりまするが、私ども現在平事件その他の捜査中には、まだその程度のはつきりしたことは指令その他には出ていません。
○菅家委員 それから若松地区委員会その他白河地区委員会、それらの情報を詳しく本員は調査いたしておるのでありますが、これらの各共産党の地区委員会における協議の状態を見ますると、中央よりの指令が一つあつて、さらにおのおのの地区委員会において秘密会合を催して、福島縣全体に対する一つの一貫したる行動に出ているように思われるのであります。若松を見ても、郡山を見ましても、福島縣会その他檢察廳、福島署に押し寄せたあの事件を見ましても、これはやはり一貫して中央の指令であり、さらにその指令に基いて各地区において委員会を開いております。これは調査によつて事実が明らかになつておるのでありますが、これは檢察としは、かくのごときことはお考えになつておらないでございましようか。
○安西證人 もちろん私の方といたしましては、そういう中央指令か、地区委員会の指令ということは第二といたしましても、要するに福島縣下各地におきまして治安の任にありますので、郡山はもちろん、郡山、福島、若松、平、内郷、湯本その他の場所におきまして、同樣なる事態が発生し得る可能性ありと認めたのであります。なおこの六月三十日は徹宵警戒に任じました結果から見れば、結局平附近であの程度に終つたのでありますけれども、私どもといたしましてはこの警備力を平方面、若松方面、その他要するに辺鄙なところに集中して、どこでほんとうの爆発があるか、大きな爆発をどこで打つのであるかというようなことを、一應想定のもとに私ども警戒に当り、また檢拳に当つたわけであります。
○菅家委員 もう一つだけお尋ねいたします。六月二十八日は共産党の人たち約四百名が郡山市会に傍聽に行きまして、郡山市会を騒擾に導いてしまつた。しかし國鉄の福島支部は二十九日の指令二十七号を通して縣会に圧力を加えるというので福島に押しかけて行つておるのであります。先ほど証人からお述べになりました通り、檢察廳も訪問いたしております。その際に、後ほど縣会議長が証人としてお見えになりますから、お尋ねをいたしますが、縣会でもこれはもてあましてしまつた。多数の者が一時に傍聽席に現われて赤旗を流して議事を妨害しますので、警察署の方に行きまして、これは單なる陳情團体ではない、多数の者がスクラムを組んで革命歌を歌いながら赤旗を振つて市中を行進しておる。デモの届出もなさずしてやつておるのであるから縣の公安條例違反であるから、ただちにこれを取締つてもらいたいということを警察署に言いましたところが、福島縣の公安條例はそのデモの指導者だけしか罰することができない條例であるので、何人があの多数の中で指揮者であるかわからないから、公安條令違反として取締つてもらいたくないということを檢察が警察に言われたというようなことを申しておるのでありますが、そういう事実はあつたでありましようか。
○安西證人 福島縣公安條例はその指揮者だけを処罰するような規定になつております。從つてその指揮者をたれと見るかということが非常に困難であります。いわゆる赤旗を持つて先頭に立つておる者が指揮者というようなことも言い得るかもしれませんけれども、必ずしも指揮者先頭にあらずであります。從つて公安條例違反としてやる場合には、実際の指揮をしておつた関係を第三者に求めなくてはならぬことであります。ところが見ていた第三者に聞きましても、そういうことについて一應は言うのでありますけれども、証人として立つことはどうもきらうのであります。拒否するのであります。警察にしても檢察にしても、こうした事態の場合に情報はとれるのでありますけれども、堂々と証言をするということをきらうのであります。從つてわれわれの捜査も困難を來し、警察も困難を來し、証拠上非常に困る問題で、証人のたくさんない事件を檢挙するということはよほど十分な証拠を集めた上でやるように申しておるのでありますが、それを檢挙するなと申したことはないのであります。
○菅家委員 そこで若松市の場合はいずれが指揮者であつたかわからないが、ともかく指導しておる者は表に立たなかつた。郡山もしかりであります。どこか隠れておつて、前もつて見張りをつけておいて、警察官が行くと姿を消してしまうという状況であつたのであります。そのためにこの福島におけるデモというものが非常に大きくなつた。また縣会の他にも非常に迷惑をかけているように私どもは感ずるのでありますが、そういう点に対して証人はどんなふうにお考えになつておりますか。もし公安條例が指揮者だけしか罰することができないということで、この福島におけるような事態が起りますと、長い時間市民に非常な迷惑をかけるということになるのであります。時を移さずあの檢挙が行われましたならば、縣会、警察署だけにとどまるのでありますが、それから彼らは警察が公安條例違反として檢挙をやらないということを見抜いてまた團体を組んで市中に大きなデモをやつて、福島市民を非常なる不安の念に陷れているのであります。郡山も若松もまた同樣であります。かくのごときことになりますと、そのため非常に長い時間一般市民に迷惑をかけるというような感じを私どもは受けるのであります。そういう点に対して証人はどんなふうにお考えになるのでありましようか。
○安西證人 公安條例がある以上、それに基いて、その公安條例違反をやらないようにそれぞれの警察が行政警察的措置から解散を命じ、そうしてデモ行進をさせないように、指導してもらいたい。またそういうおそれがある場合は警察署長から共産党なり、または労働組合の幹部に警察に來てもらつて、公安條例違反にならないようにあらかじめ届出をさせ、今後そうしたことのないように指導してもらいたい、こういうふうに申しておりますが、実際檢挙するということになると、今のところなかなか証拠上むずかしいということで、私の方の縣下では公安條例違反として、檢挙した事件はまだ一件もないのであります。
○菅家委員 わかりました。最後にもう一つ簡單にお尋ねして打切りますが、郡山においては四日間にわたつてこの不法のデモ行進が市内に行われたことは証人は御承知であろうと思うのであります。市長の公舎を襲いまして、夜の一時ごろ市長に面会を強要しておるのであります。警察署にもその日に襲撃をいたしております。しこうして赤旗を先頭にして約二百名の者が深更二時、三時ごろまで革命歌を歌つて郡山市中各所を行進しておるのであります。しかも、郡山の機関庫においては十分間汽笛を鳴らしておる。一齊に汽笛を鳴らしているので、郡山市民は何事が起きたかかと思つて目をさましまして、ほとんど当日は不安の念に襲われて眠れなかつたということが各新聞の報道するところによつて明らかであります。三日間にわたつて郡山七万市民を不安に陷れたという状況は、証人はよく御承知であろうと思います。
○安西證人 それはその通りよく知つておりまして、その間に捜査をするように命じてはあるのですが、まだ事件の捜査には移つておりません。
○菅家委員 まだ捜査に移つていないわけでありますか。
○安西證人 檢察廳としては捜査に移つておりませんが、証拠の收集はやつております。
○鍛冶委員長 ちよつと聞きますが、公安條例の指揮者というのは一人だけですか。
○安西證人 これは一人だけでなくもいいのです。結局……。
○鍛冶委員長 指揮者というのは一人じやないでしようね。
○安西證人 そうです。
○大橋委員 証人は今年の二月湯本の朝鮮人の部落で、酒の密造の檢挙があつたということを御承知になつておりますか。
○安西證人 知つております。
○大橋委員 そのときの檢挙の状況はどういうふうでしたか。
○安西證人 私現地におりませんでしたから、檢挙の状況は聞いておりませんが、檢挙後にその部落の鮮人など百名でありましたか、二百名でありましたかが、差押えられたところの米その他を返せという要求に警察署へ押しかけて來たということをその当時聞いて知つております。
○大橋委員 その当時密造犯人たちを庇護してそういうデモをやらせたのも、やはり共産党の一味の人たちであつたということは承知しておられますか。
○安西證人 その点までは私その当時は知らなかつたのでありますが、やはりそれに対する一つの反感があつて、今度の平署襲撃に朝鮮人連盟の一派が加わつたということが、今までの捜査の経過になつております。それで初めて知つたわけであります。
○大橋委員 そうすると石城地区の共産党の地区委員会は、密造をやつたこれら朝鮮人に対する当然の檢挙に対して反感をあおりつけて、そうしてその人たちをこのたびの暴力の方へ引きつけたということは言えるわけですね。
○安西證人 それが全部の動機とは言えないかもしれませんが、やはり一つの遠因になつているということは言えるのではないかと思います。
○大橋委員 それから渡部代議士が若松における三十日のデモ行進の先頭に立つておつたということをさつき伺つたと思いますが、あのデモはやはり公安條例違反になるような性質のデモでございましたか。
○安西證人 このデモの先頭に立つておつたかどうかということは私わかりませんが、少くとも渡部代議士が地区署長に山口茂樹の即時釈放を要求したときに、警察署の前に二百名あまりの群集が、旗を立て、インター・ナシヨナルを歌つてデモをやつておつたということは報告によつて知つております。
○大橋委員 それと同行して警察へ見えられたわけですね。
○安西證人 そこの点がはつきりいたしません。
○大橋委員 それをもつて渡部代議士はうまく檢挙を免れているわけですね。わかりました。
○鍛冶委員長 今言われた公安條例違反というのは、届出なしのことでしよう。
○安西證人 そうです。
○鍛冶委員長 届出なしのデモであつたことは間違いありませんね。
○安西證人 間違いありません。
○鍛冶委員長 わかりました。
○猪俣委員 四十名ばかり起訴せられているようでありますが、この中に騒擾罪で起訴せられておる者が何人くらいあるのですか。
○安西證人 騒擾罪の一号、二号、三号がございますが……。
○猪俣委員 一号は何人くらいありますか。
○安西證人 一号は現在は一名であります。それから二号は十五名、三号は十九名であります。それから九十五條の公務執行妨害と、百三十條の建造物侵入、これが一名、それから百三十條と百六條の二号と九十五條と二百四條が一名、それから百三十條と百六條の二号と二百三十六條、それから銃砲所持禁止令違反が一名、銃砲所持禁止が二名、結局先ほど申し上げました騒擾の一号は、もちろん建造物侵入の百三十條にも該当するわけであります。
○猪俣委員 騒擾罪の一号ですが、これは首魁は謀議に参画した者、そうすると、現場におらなくても、爭議に参画したということで、これを首魁として檢挙なさる御意思なのですか。
○安西證人 もちろん法律上そういう場合は首魁と目される場合でありますけれども、現在のところまだそういう者を檢挙しておる者はないのです。
○猪俣委員 そうすると、謀議には参画したが、現場にいない者を首魁として檢挙した者はないのですね。
○安西證人 現在のところはありません。將來はあるかもしれません。
○猪俣委員 それから労働組合の正規の組合員であつて、労働組合員として現場に行つておつた人間と、一般の大衆でそこに参画した者との間に、たとえば附和雷同者と、あるいはその勢いを助けた者——二号、三号、この区別におきまして、労働組合員であるとなると、これは二号、その他一般のやじうまは三号というような区別の標準をなさつておりますか、おりませんか。
○安西證人 一般のやじうまというと、ちよつと抽象的でわかりかねますけれども、私どもの今起訴している附和随行の中には、いわゆる一般民衆が立ちん棒して見ていたという者を附和随行で起訴しているのはないのであります。少くともそこに平市署に襲撃の目的を知り、かつ相手がどういうことをしているかということの認識のもとに來ている者を附和随行でやつておりまして、ただ市中で一般市民が外からその状況を見た者を附和随行でやつておるようなことはないのであります。
○猪俣委員 そうすると、今回檢挙なさつたその百六條の二号は、大体において共産党員であるか、労働組合員であるか、そして現場において騒いだ者だけを第二号として檢挙なさつたということになるのですか。
○安西證人 大体そうであります。
○猪俣委員 それから石城地区の委員長である鈴木光雄は逮捕されましたか。
○安西證人 まだ残念ながら逮捕いたしておりません。
○猪俣委員 その原因はどこにありましようか。所在不明ですか。
○安西證人 結局地下にもぐつている。事実上の地下におるものか、いわゆる共産党のいう地下にもぐるという意味か、要するに相当の追及をしておりますけれども、今のところどこにいるかということもわからぬのです。
○猪俣委員 日野定利はどうです。
○安西證人 これもわからないのです。
○猪俣委員 そうすると、日野定利の足取りもわかりませんわけですね。
○安西證人 はい、それで私どもは朝鮮連盟その他の者から、早く今拘留中の者を釈放してくれというような陳情が参りますので、そうした最も関係深い者が早く出て來て、その関係をはつきりして早く出してもらうようにしろということを言うておりますが、なかなかそういう面の情報が手に入らぬで困つておるのであります。
○猪俣委員 平の事件以後の石城地区の共産党の地区委員会なんかの活動については御調査をなさつておりますか。
○安西證人 細胞会議をやつているということも聞いております。この前も資金カンパと称して、赤旗を立てて三、四人が行つておるので、ほんとうに資金カンパと思つておつたところが、逃走中の——ちよつとどの幹部だつたか名前は忘れましたが、それと連絡をとつておつたというので、逮捕に行つたのですが、遂に取逃してしまつたのであります。これは鈴木磐夫か、鈴木光雄か、どつちかだつたのですが、そういうわけでありまして、あの附近にいることは確かである、そう遠くにはいないと思います。
○猪俣委員 石城地区の委員会の人たちが、例の参謀本部でつくりました五十万分の一の地図か何かを中心に何か謀議をこらしておるということが耳に入つておるのですが、さようなことはお聞きになりませんか。
○安西證人 もちろん謀議を毎日こらしておるとは思つておるのでありますが、私の方では何とかして彼らの情報を知つて逮捕したいというので、捜査陣はほとんど徹宵その方面に働いておるのであります。
○聽濤委員 この平事件のあとすぐ檢挙が始まつておるようですが、最初檢挙のときは、不法浸入というので檢挙しておるようですが、その後になつて騒擾罪ということになつておるのはどういうわけですか。
○安西證人 それは私どもの捜査上の一つの方法としてそういう方法をとつたのでありまする。すなわち緊急逮捕でやるということになれば、あとから請求したり何かして、いろいろ令状なしで捕まえたとか何とかいうような問題が起きる、いわゆる法規上のトラブルも起きるというようなところから、ことさら——ことさらと申し上げると語弊があるかもしれませんけれども、特に相手が共産党側が多いから、法的な根拠をはつきりするという意味から、建造物侵入の逮捕状をもらつたわけであります。少くともその警察を占拠した状況、しかもそこで相当騒いでおつた者の面がとれたものに対してやる、こういう方針のもとにやつたのであります。
○聽濤委員 ところで最初不法侵入で檢挙したときに、署長との交渉委員として選ばれていた連中まで逮捕されていたという事実を御存じですか。
○安西證人 それは交渉委員という意味もいろいろあるのでありまして、どつと民衆が入る前におだやかに話しておつてもその指揮者である場合もありましようし、まず民衆をしてどつと占拠させて、あとから交渉委員と称して入つて來る場合もありましようから、必ずしも交渉委員という名前があるからといつて、それがいわゆる建造物侵入の嫌疑はないのだということは言えないと思うのであります。たとえば具体的に申しますと、この家にどろぼうが入るのを私が見ておつて、あれはどろぼうに入つた、私もどろぼうに入ろうじやないかといえば同じじやないかと思うのであります。
○聽濤委員 そういうりくつはいろいろ立つでしようが、事実この交渉委員というものは数回にわたつて立てられて、署長といろいろ交渉を重ねて、そうして二十七日には一應の交渉の妥結も行われた。あるいは三十日の午後六時ごろは、またさらにあの撤去を三日延ばすというような交渉もできておるし、そういうふうにちやんと……。
○安西證人 交渉委員というのは、何時からの交渉委員をおつしやるのですか。
○聽濤委員 署長との交渉です。
○安西證人 三十日の何時ごろからの……。
○聽濤委員 何時ごろといつて……。こちらからやはり共産党の連絡が行つて、そうして三十日の日は午後三時過ぎごろから警察前で警官と大勢の人間との屋外での衝突があつた。その後交渉委員が駆けつけてそれから交渉に入つた。
○安西證人 だからその前に、群集がどつと入る前に交渉に行つた者があとから入つても、これはいわゆる交渉委員だ、合法的に入つたんだということは一概には言えないと思う。
○聽濤委員 まあそういう論爭を私するわけではないけれども、とにかく交渉委員として、それらを交渉の相手としてそこでいろいろ話をつけて、そうしてそこで交渉の妥結が行われている。そういう連中が不法侵入であげられている。現にそのとらえられた人たちがその点について警察に対して抗議をしている。ところが、その後になつて騒擾罪という罪名がつけられて來た。こういうふうな経過になつている。
○安西證人 先ほども三十日の午後三時ごろに表から石を投げ込む者もあれば棒きれを持つている者もある、歓声をあげて警察署を占拠した、その後における状況は、警察署長がいわゆる交渉人というよう言葉を使つたかもしれませんけれども、これは正常な秩序のもとに平和的に交渉をしたものではないものと私らは考えているのでありまして……。
○聽濤委員 それはよろしい。ところで、あなたの方では大体騒擾罪で檢挙するということにおきめになつたのはいつころでございますか。
○安西證人 それは六月三十日の午後十時ごろからであります。その前にいろいろの情報を私らは集めまして、騒擾罪として検挙するように隊長と、いろいろ私の方に報告がありまして、これはその状況においてはまつたく騒擾罪として檢挙すべきであるということを現地の方に連絡をとつたのでありますが、その検挙すべき態勢の警察官が足りなかつた関係上、いわゆる逮捕状が出たのは翌朝の四時か五時ごろになつたわけでありますけれども、とにかく騒擾罪としての検挙を指令したのは十時年ごろから十一時、例の解散するころまでの間にそういうことについて取り合いをしたのでありますが、これもおそらく電話が盗み取られたものと思うのであります。
○聽濤委員 そうしますと、解散いたしましたのは十一時ごろで、その前にあなたの方ではすでに準備しておられた、待機して……。
○安西證人 そうでございます。今の地区署に集まつている者がわずかであります。負傷者は多いし、それにこれ以上の惨事を起すということは適当ではない。できるだけ、これ以上の惨事を起したくないという私の氣持から彼らが退散し出せば、今度は逃げるということばかりを考えるから、そのときにつかまえたらどうかということを言うたわけであります。
○聽濤委員 あなたはそのときにはどこにおいでになつたか。
○安西證人 私は警察本部におりました。
○聽濤委員 警察本部と言いますと……。
○安西證人 福島の縣本部です。
○聽濤委員 こういう騒擾罪と言いますと、やはり現地において認定してやるわけだと思うのでありますが……。
○安西證人 でありますから、朝の警察長からの報告は、午前十一時ごろから平地区、特に午後三時ごろからの押しかけてからの情報は刻々と得ておりますので、その状況は逐一承知しているのでありまして、現地に臨まなくてもその性質が限られている、騒擾罪として逮捕する状況が十分であるという見解のもとに、そういう指令を現地の警察本部から行つていた本田刑事部長に言つたのであります。
○聽濤委員 そうしますと、いまだ正式に報告を受けたという特別のことはないわけですか。
○安西證人 何ですか。
○聽濤委員 騒擾罪について現地の警察から……。
○鍛冶委員長 そんな同じことを何度も聞かれては困る……。 〔発言する者多し〕
○鍛冶委員長 それでは重複したる質問をせないことを條件として許します。
○聽濤委員 私がお聞きしようとしたことは決して今証人が刻々報告を聞いておつた、これは電話か何かで聞いておつたのだろう。この騒擾罪と認定するという警察からの正式の報告が別になかつたかどうかということをあなたに聞いているわけです。
○安西證人 今の報告を聞いておるということは書面による報告を聞いたかどうかというのですか。
○聽濤委員 書面によるという正式の……。
○安西證人 そういう事態の急迫しておる場合におきましては、書面によつてどうこうするというような事柄ではないのであります。警察本部の本田刑事部長が向うの地区署長並びに市の警察署長と連絡して、その状況の報告を逐一受けて、それによる判断でありまして、いわゆる書面の報告はないのでありますけれども、これは……。
○聽濤委員 その事実を聞けばいいのです。今お聞きした点で、大体刻々に報告を受けていた、そうしてあなたはすでに福島で待機して電話で聞いたいろいろな刻々の報告に基いて、十時三十分ごろにすでに騒擾罪で逮捕しろという命令を出していた。こういう事実が明らかになつた。それを聞けばいいのです。
○神山委員 証人にお聞きしますが、先ほどのお話の中で平署に対して、死も恐れず鬪うというふうにビラか何か出たそうでありますが、それは何という組織の名前で出ておりましたか。
○安西證人 磐崎細胞です。
○神山委員 これはどこにあるのですか。
○安西證人 それは内郷の向うの方の何か炭鉱地区らしいです。
○神山委員 私の方に地図もありますからわかつておりますが、一應お聞きしたのですが、これは御承知のように湯本から離れている。いわんや平から離れておる。先ほどあなたは平と湯本との距離は三里あると言われましたが、正確に言えば二里ちよつと、部分的に不正確なことが全体に悪印象を與えるからお聞きしたのですが、その間に磐崎細胞が、あなたの言うように死を恐れず囲うと言つて問題になつたのであるが、それをもつて磐崎全体が同じ状態におつたということが立証できるかどうか、それをお聞きしたい。
○安西證人 これは將來の私どもの捜査にかかつておることでありまして、今の捜査の程度においてはそういう材料もあるということを例示しただけであります。
○神山委員 わかりました。さらに先ほどから谷委員が平の問題が福島全体の問題と関連しているという質問を盛んにして、あなたもそれを裏づけるような答えをしていらつしやるのですが、そこでひとつお尋ねしたいのですが、平の掲示板の移轉問題は二十七日に一應妥結になつているということをあなた御承知でしよう。
○安西證人 そうです。妥結をして三十日の午後四時に撤去するということの妥結です。
○神山委員 一應二十七日にはそれがきまつたような形になつているのを、なぜあとになつてむし返したかということについてお考えになつたことはありませんか。
○安西證人 それはどつちがむし返したかということについては私どもの方で今調査中であります。結局一應共産党としても讓歩して三十日の午後四時に撤去するというふうに下つております。署長としてはそれで安心しておつた。ところがこういうことになつたので、これは要するに一應下つておいて、悪く考えればその間にいろいろな統一ある鬪爭をやろうという、いわゆる準備期間がここにあつたのじやないか。これは私どもの方の捜査の線上に現われておりますが、たとえば二十八日に朝鮮連盟と共産党員との間に会合が持たれた。さらに二十九日には朝鮮連盟だけの会合が持たれた。こういうような捜査が現在できておりますが、これは要するに先ほど委員の方が言われたように、妥結を見たのは署長をして安心させる一つの方法でなかろうかとも考えられるし、そこのところは私の方ではまた調査中でありまして、ただいま言明できないのであります。
○神山委員 それから先ほどは朝連がはがきで三十日に集まれと出したと言つた。それから高木委員のお話によると、深澤という人や武藤という人がやはり三十日に集まれと言つている。ところがその方法はあなたははがきだと言つております。常識的に考えますと、一最近の郵便事情からいいますと、非常に好運であればはがきは近い所であれは二日くらいで届くかしれませんが、ひとつ間違えば一週間や二週間くらいはかかる。從つて内容がどういうことかということは別個にして、結果から考えればこういう方法でデモが起つたということが言えるかも知れないが、犯罪に関係するようなことをはがきで書いて出すということが想像できるだろうか。從つて私の言いたいのは、かりにはがきで出したとすれば関係のないことではないかと考えられるが、そこをひとつ聞きたい。
○安西證人 関連があるかないかということは今言明の限りではありませんが、われわれの捜査の結果においてはそういうふうになつておりますからただ申し上げただけでありまして、これが眞相かうそかということは、將來公判においてわかることだと思います。
○神山委員 そこでこ十七日にもう一ぺん返えりますが、妥結したときには移轉するということはもちろん約束した。しかしその期限をはつきりきめないでこれを突然ひつくり返して二十九日になつて三十日午後四時までに撤去せよという命令が出たことが三十日のあの大きな問題のかぎになつているわけなんだ。從つて私はこ十七日の妥結の問題をたれがねじ返したかということは非常に重大問題であると思う。あなたの言うように共産党が引延したのかあるいは極端な言い方をすれば國家警察かあるいは他の勢力が挑発して引延したのか、まさかあなたはそういうことはなさらないと思いますが、こういうことがひとつ問題になるのです。
○安西證人 それは今後私らの方の眞相の究明によりましてはつきりいたしましようし、さらに公判においてはつきりされることだと思うのでありまして、ただ捜査を始めまして、残念ながら主要な人物が逃走しておるというような状況で、そのすべての眞相をきわめられない関係におきまして、ただいまの程度しか申し上げられないわけであります。
○神山委員 それで三十日の福島の問題にしましても、前からいろいろな懸案が積つていて、これはよい悪いは別にして市会に押しかけておる。郡山の問題も四日も五日も前から問題が起つておる。それから廣田の問題の場合でも山口茂樹君が不法に監禁された。あるいはこういうふうな情報が入つたことが問題を激発させておる、こういうことを考えますとあなたが先ほどおつしやつた全体として事件に連関性があり、計画的であるというふうな印象を與える証言をなすつたのは少々早過ぎはしないかと思います。これこそ公判の結果を待たなければならないのではないか。
○安西證人 その点はそう思うということでございまして、私の方はこういう事実もある、こういう事実もあるから一應こう思つたのでありまして、しかしこれが私の方の証拠上そうはつきりしましても、ほんとうの眞相とはまた違つたことが出るかもしれません。だからこれは人間世界のことでありますから、首相そのものがあるいはいろいろの妨害によつてはつきりされないこともありますから、要するにこれは現在のわれわれの捜査の次第によつてわかつたところではそう推論できるという意味です。
○神山委員 そういうことですね。それでなければあなたが今おつしやつたように眞相がいろいろねじまげられることもあるし、あるいはまた押しつけられることもある。從つて最後の判決の問題については將來に讓つて、きようあなたのお述べになつたことは一つの推論だ、こういうことでよいと思います。從つてここで問題になるのは、六月三十日には徹宵捜査に当つておつたと言明なさつたあなた方の態度が悪く解釈すれば、私がさつきから言つておるように、あなた方の方から挑発したのじやないか、こうも言えるのじやないですか。
○安西證人 それは質問ですか、注意ですか。
○神山委員 いや話です。次に聞きたいのは情報があなたの方でよく入つたり、あるいは情報がとれなかつたりするのでありますが、党の内情について菅家委員などは非常に似て否なることを盛んに言つておりますが、ひとつお聞きしたいのは、組織の中における情報をとる何らかの権限があるのですか。
○安西證人 私はそれを聞いておるだけでありまして、組織の内部に入つたとかあるいは私の方で入らした例もございませんし、ただ話を聞いておるだけであります。
○神山委員 入らしてやつたらどういうことになりますか。
○安西證人 入らしてやるというのはどういうことですか。
○神山委員 先ほど菅家委員が読んだ指令四三、四四、四五、四六、四七と子供のいたずらみたいなことが書いてあるわけでありますが、こういうことの信憑性などということは実に笑うべきことであつていまさら聞きませんが、その中でもやはり共産党のほんとうの姿にやや似た点があるので、この点について推論しておることを聞きたいのでありますが、先ほどの管家君の質問の中に、山形縣では党の組織にダイナマイトを賈りに來たが共産党はこんなものはいらないと断つている。菅家委員の関連しておるところでは、鈴木磐夫君ですか、先ほどのあなたの話では、何暴力革命をやつて殺してしまつて山の中に放り込んでしまえばわからないということを言つておるのですが、他の諸君はそれを否定しておる。私は先ほど菅家委員の言つた会合が正規だと認めておるわけでは決してありませんけれども、その不確かな一方的の情報であろうとも、共産党員はこういうばかな見解に対しては反対しておるということを御承知ですか。
○安西證人 新聞なんかではそれは合法團体の党ですから、正式には言えませんでしよう。
○神山委員 そうして今の場合は管家君の話によつても明らかだ。
○安西證人 共産党にあらざる共産党かもしれません。それは私どもはただ風の便りとして聞いておるだけでありまして……。
○神山委員 あまりほんとうの便りを聞くと問題になるから、風の便りくらいでよいでしよう。しかしあなたは非常に國体護持で頭が明断だからよいのですが、とにかく一方的にこういう風の便りだけで事件を扱われてはまことに迷惑です。從つてこれから問題を処理されるにあたつて、いろいろの点がありますが、たとえば新屋光太郎君ほか六名の被検束者がおるわけですが、これが三日福島刑務所に収容された。福島地險はこの公判を福島で行おうとその日声明したわけです。これについて本事件の係り弁護人から何らかの抗議があつたということはあなたは御承知ですか。
○安西證人 どういう抗議かおつしやるとそれがはつきりするかもしれませんが……。
○神山委員 裁判の管轄権のもとにおいては違法であると平地検に抗議したという、問題ですが……。
○安西證人 そういうような抗議は私は聞いておりません。
○神山委員 それじやあなたはこの抗議そのものについては聞いておりませんか。
○安西證人 そうです。もちろんそういう管轄の問題は問題のないことでありまして……。
○神山委員 あなたは公務執行妨害でひつぱつてあとで騒擾罪にされる場合でも今の問題について非常にはつきりされておるので、今ここであなたと法律の問題を論議しようとは思いません。それで先ほどこちらの聽濤委員から聞こうとした点は——あなたの先ほどのお話では情報や連絡が非常に不十分であつた。從つてこのときはわざわざ特使を出した。特使は合言葉を使つて連絡をとつたというまことに悲壯な状況をお話になつた。ところが今話を聞いておりますと、あなたは福島の警察の本署におられて、刻々と情報を聞いておられたとのことだ。これはどちらが眞相なのか。
○安西證人 それは他にキャッチされてもやはり聞くことは聞かなければならない。たとえば戰いをやる場合に姿を見るのがいやだからといつで塀を立ててやるわけにはいかない。やはり話はします。ちようど私とあなたとここで話をしておることと同じです。ここで話をしておることでもあるいは捜査の内容についてそれをスパイされることがあるかもしれませんが、やはりこれは世の中の主義としてやむを得ないからこう話しておるわけです。職務上聞くことは聞く。
○神山委員 それはまことにけつこうです。それは傍受されても報告を聞くことは聞かなければならない。しかしこの平の問題と関連して警察署間の連絡がじやまされたということが言われておる。また傍受の問題が非常に盛んになつておる。その傍受の問題を先ほどあなたは本田署長が來てその点についてはまだ確証かないと言われたと言つております。ところが戰爭をしておるときだから相手の姿がお互いに見えてもやらなければならないということはまことにごもつともでありますが、私があなたにお尋ねしたかつたのは、あるいは傍受されておるかもしれない。あるいは特使を出したかもしれない。しかも電話が普通に通じておつて刻々情勢をキャッチしておられるということがわかればよいのです。
○安西證人 ですから傍受されては悪いことがそのときにあつた。
○神山委員 このくらいにしておきましよう。
○吉武委員 一点お尋ねしたいのですが、先ほど証人は今回の平事件は一平の事件ばかりでなしに、同時に福島及び郡山あるいは湯本、中村、仙台等の警察官の應援像に対してさえ、妨害の事実等から関連してこれは共産党の計画的なものである。福島縣の共産党の計画的のものであるか、あるいはまた石城の地区委員会の計画的なものであるように見受けられるということでございましたが、私は今回の平事件を見ますと、先般行われました東京の東交事件、引続いて行われました國電スト、それから間もなく行いました廣島の日鋼事件、それらに登場して來る人物はほとんど共産党員であり、しかもこれが一職場闘争と言つておるけれども、これらには外郭團体が動員されて、それが共産党及び共産党の友誼国体が多数これに参加している。そうして一職場鬪爭がいわゆる府縣の産業防衞鬪爭にまで行つて、同時に人民鬪爭、一般大衆にデモその他によつて働きかけて、最後によく共産党の言う権力鬪爭、つまり警察権あるいはその他の権力に対して鬪爭をいどんでいる。その最後の権力鬪爭の最も模範的なものが平事件において起つて來た。これがわずか一月か一月半の間に同じ事件が各地において起つておる点を見ますと、これは一福島縣あるいは石城地区の共産党の計画的な問題ばかりでなしに、全國的に計画されたもののように見受けられるのですが、この点に対してはどういうようにお考えになりますか。
○安西證人 今全國的な問題はさておきまして、少くとも福島縣下における権力鬪爭をやつておつたと思われることは、六月三十日事件に應援を出したところの警察署に対しましては、それぞれその地区の共産党員からなぜ應援を出した。今後そうした應援なんかを他地区に出してはいけないというような一種の確約鬪爭に私が知つておるだけでも、十箇所くらいの警察署には行つておるわけでありまして、その六月三十日から七月一日、二日、三日、四日、七日、八日ごろまで、そういう確約鬪爭に行つておりまして、少くとも私は福島縣下においては要するに共産党が中心になつて各労働團体等、または朝鮮連盟などが同一歩調をもつてやつたものということを先ほども推理いたすことはいたしておるわけであります。
○神山委員 それではもう一つお伺いしますが、あなたはこういうふうな事件をお調べになつて、あるいはその報告をお聞きになつて、問題の一番底に、たとえば高萩の炭鉱労働者が食えなかつた。あるいは朝鮮人連盟の諸君はどぶろくのことでずいぶんデマを飛ばされておりますが、実際食えなくなつておる。あるいは主食のかけ賈りを認めてくれというような要求、福島縣の場合におけるこういう問題があることそれから廣田の場合にも工場首切りの問題がある。こういう事実は御確認願いますか。
○安西證人 要するに、そういう困つておるというようなことの情報は得ております。だからそれに対する行政的な措置はわれわれの分野じやないけれども、しかしやはり首切りをやる反対には、そういう救済面の措置をとつてもらいたいということはそれぞれの部署の方面に言うてあるのです。
○大橋委員 今お伺いいたしますと、日本共産党の福島縣の地方委員会ないし石城の地区委員会というものは、この暴動を計画的に実行しておる、かよう罠政治團体を合法的政党として將來とも取扱うことについて検事正は治安上どういうお考えを持つておられますか、簡単にひとつお話願います。
○安西證人 要するにこれは、私端的に申し上げますと、共産党の代議士さんなんか、個人的に会いますとまことに紳士であられますけれども、しかしながら実際に第一線の治安の維持に当つておるわれわれから見ますると、たとえば権力鬪爭にいたしましても、陳情にいたしましても、ほとんどわれわれは現在の法制下においては、それを平和のうちに平穏無事に事を済ませる、意見を十分に聞くというような措置に置かれない。たとえば警察署長に対してもそうであります。またある場合は検察廳に來ましても、大勢が押しかけていろいろな釈放要求を言つて來る。また將來公判鬪爭、要するに現在でも勾留の解除の要求をされましての公判鬪爭、非常にこれが合法的に考えられておりますが、しかしながらそこに多少の威力を利用されたところの裁判なり検察、または司法行政なんかにある程度の制約を來すものだと思います。その程度しか私は申し上げません。
○鍛冶委員長 では済みました。御苦労さんでした。
○石田(一)委員 議事進行に関してですが、昨日の議院運営委員会では、閉会中の委員会の開会についての各派の申合せができて、これをお互いが守るようにしようということを議長、副議長あるいは委員長より各委員長へもこの趣旨が傳達されることになつておる。その内容と申しますのは、委員長も御承知の通り土曜日は午前中で委員会を終ること、それから普段の委員会も五時にはこれを閉会すること、こういうことが文書によつて出され、しかもこれは各派によつて了承されておることでありますが、その中である一人の委員の発言で、考査特別委員会はそうはいかぬ。こういう発言があつて、いろいろ議論もあつたのでありますが、考査特別委員会だけが別個の取扱いを受けるということはこれは法的根拠がないと思う。そこでこの委員長はこういう命令か指示を議長あるいは委員長、運営委員長からの通牒があつたか、もしないとすればやむを得ぬことですが、あつたとすればこの委員会をどういうふうにやるのであるかということを一遍決定した後にやらないと、運営委員会の申合せあるいは理事会の申合せがルーズになるのではないかと考えますので、一應そのことを委員会に諮つて、決定されんことを望みます。
○神山委員 私も運営委員会の理事をしておりますので、今の問題に関連があるのですが、今日は膳立てができておることでありますので、遠慮してその時期を待つておつたのですが、適切な機会に石田委員から発言があつたので補足したいのですけれども、國会全体の運営、ことに本院の職員諸君の保健上の問題から考えまして、土曜日の一時からの休会は嚴重に実行するように、これは総司令部側の意見も合致しておるのでありますが、毎日五時に終るということも出ておる。さらに正午から午後一時までの問に晝飯時間を少くとも四十分を與えられたいということも、昨日の申合せ事項になつておるのであります。賢明なる委員長は右の点を十分御研究になりまして、善処されるように特に希望しておきます。
○鍛冶委員長 お答えいたします。今の通牒は受けておりません。——今委員部の方から試案というものを初めて見せられましたが、まだ読んでおりませんから、明日理事会でゆつくり御相談することにいたします。 それではお待たせいたしました。ただいまお見えになつておる証人は、矢吹六一郎さん。加藤木啓吉さん、大竹作摩さん、滝野常雄さん、以上四人の方ですね。これより平市をめぐる騒擾事件のため証人に証言を求めることにいたします。 証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見入または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めまする御起立を願います。 矢吹さん一つ代表してそれを読んでいただけませんか。 〔証人矢吹六一郎君各証人を代表して宣誓〕
○鍛冶委員長 署名捺印を願います。 〔各証人宣誓書に署名捺印〕
○鍛冶委員長 この際お諮りいたします。もう六時二十五分になつておりますので、とうてい今日は四人の証人を調べるわけに行かぬと思います。それでやむを得ませんから、矢吹六一郎さんと加藤木啓吉さんを本日調べることにいたしまして、大竹作摩さんと清野常雄さんは明日午前十時から理事会を開きますから、十時半ぐらいから、なるべく午前中にすますことにしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。 それでは矢吹さんからまず伺いますから、加藤木さんはもう一度向うの控室でお待ちください。 矢吹六一郎さんですね。
○矢吹證人 はあ。
○鍛冶委員長 あなたは平市の公安委員をおやりになつておりますか。
○矢吹證人 そうであります。
○鍛冶委員長 いつからですか。
○矢吹證人 昭和二十三年三月であります。
○鍛冶委員長 五月の下旬から平市において共産党の掲示板移轉のことに関しまして、警察との間にたいへんごたごたが起つたようですが、これに関しまして警察との交渉顛末であなたの知つておられる点を簡略にお話願いたいと思います。
○矢吹證人 掲示板問題について暴力が起つたとか何とかということは六月の二十九日の公安委員会で知りました。それ以前は市民の声で何かやつているということは知つておりましたけれども、直接署長からの責任ある言葉はありませんでした、
○鍛冶委員長 二十九日にはどういうことをお聞きになりましたか。
○矢吹證人 二十九日には、二十四、五日ごろに共産党のようなものが一回警察に來て騒いだ。それで二十九日の晩に公安委員会が招集になりまして、それで二十九日にはどういうふうだつたと聞いたところが、相当数の人間がやつて來るらしい。それで公安委員会としては、それじやすぐそれに対應するように約三百人ぐらいの巡査を集めたらいいだろうということを署長に命令した。
○鍛冶委員長 それでは二十九日に明三十日に押しかけて來るかもしれぬというのですか。
○矢吹證人 そうです。
○鍛冶委員長 三十日に三百人ぐらいを用意したらいい、こういうことですね。
○矢吹證人 そうです。
○鍛冶委員長 それからこの掲示板を取除けとか、それから警察が許可したものに対していろいろ言つたことについてもお聞きになつたと存じますが、それに対してはどうお考えでありますか。
○矢吹證人 その点について署長ははつきりしたことを申しませんでした。ただ掲示板問題で騒いでおる。それでどうも警察にやつて來るらしい。それだけでありました。内容についてははつきりと話は聞きませんでした。
○鍛冶委員長 そこで三十日にははたしてやつて参りましたか。
○矢吹證人 やつて参りました。
○鍛冶委員長 どういうことでしたか。
○矢吹證人 そのときに三十日に巡査を集めろと私の方で話をしておきましたから集まつたと思つておりました。それで私は自分の家で仕事をしておりました。ところが十時半ごろになりまして、車田経済主任から共産党の代表がぜひ会いたいから会つてくれ、そういうことを電話で言つて参りました。そのとき私は、共産党の代表だ、民自党の代表だから会いたいと言つても、一々会つていられないと言つて断りました。
○鍛冶委員長 そこで。
○矢吹證人 そうしてやつているうちにまた電話が來たのです。ぜひ共産党の代表の方が会いたいと言う。そこで私は言つたのであります。そんなばかなことを言わずに、公安委員会を開くなら開けと言つて帰しました。そうしたら帰つて行きました。
○鍛冶委員長 それは何で言つて來たのですか。だれか來たのですか。
○矢吹證人 車田経済主任から電話でです。そうしたらまた夕方の五時か五時半ごろだと思いますが、私が自宅に帰つて來てふろに入ろうと思つておつたら、山崎公安委員長の奥さんが飛んで参りまして、家の人と猪狩公安委員が警察に行つて現在警察で大騒ぎをしているのだということを聞いて、初めて巡査も何も來ていないのだなということがわかつて、すぐ飛んで行きました。
○鍛冶委員長 何時ごろですか。
○矢吹證人 多分五時過ぎと思いました。
○鍛冶委員長 それで。
○矢吹證人 それで帰つて行つたところが、山崎公安委員長と猪狩公安委員は二階のある一室におりました。それで署長と次席が一生懸命弁明しておりました。それで私が行つたところが、山崎委員長が矢吹公安委員すぐ來いというお話なんです。それで行つたところが……。
○鍛冶委員長 どこです。
○矢吹證人 警察です。署内に入つたところが、署長室から言われた。いわゆる代表の連中は矢吹公安委員が來た。すぐ入つて來い。そういうわけです。そこで私は今までの経過報告を開かなければ会うことができないということで署長と次席を連れて山崎公安委員長の部屋へ行きまして、そこで交渉しました。これではだめだ。とにかく警察の権威のためにも巡査を集めるのだと言つて、ようやつと巡査を集めるような態勢を整えたのであります。
○鍛冶委員長 行つたときはどういう模様でしたか。
○矢吹證人 行つたときは警察の前に赤旗が十文字になつておりました。それから警察の前に赤旗を持つた者が約二百人前後労働歌を歌つておりました。中にもやはり二百五十人から三百人くらい入つておつて身動きもできない状態でした。
○鍛冶委員長 署長室は。
○矢吹證人 署長室へは約百人も入つておりました。
○鍛冶委員長 そうすると、五百人以上……。
○矢吹證人 署長室を入れて三百人くらいです。
○鍛冶委員長 そこで人民警察とかいう旗を出しておつたという話ですが、それはどうですか。
○矢吹證人 それはわかりません。
○鍛冶委員長 そこであなたは二階へ呼ばれたんですか。
○矢吹證人 そうです。
○鍛冶委員長 事情を聞いて、それからどうしましたか。
○矢吹證人 それから警察官を集めるように命じました。
○鍛冶委員長 それから下へ降りて行つたんぢやないですか。
○矢吹證人 集めることを命じまして、そしてまた署長と主任と私が代表の部屋へ入つて行きました。
○鍛冶委員長 それはどこですか。
○矢吹證人 署長室です。
○鍛冶委員長 それでどうなりましたか。
○矢吹證人 交渉しました。
○鍛冶委員長 そのときとの模様は……。喧騒をきわめたとか、脅迫的なことがあつたとか……。
○矢吹證人 相当喧騒をきわめました。しかも脅迫的な行動は相当あつたと思います。
○鍛冶委員長 どのようなことがありましたか、詳しく聞きたいのですが。
○矢吹證人 ちよつと待つてください。——署長のばかやろう、それから署長を殺してしまえというような話をしておりました。
○鍛冶委員長 それはおもにどういうものが言つておりましたか。
○矢吹證人 それは交渉委員の方は言つておりませんでした。交渉委員のうしろにいる方が言いました。
○鍛冶委員長 交渉委員というのは……。
○矢吹證人 交渉委員は六、七人いたと思います。
○鍛冶委員長 何かあなたに対しても殺してやるというような……。
○矢吹證人 そうです。それは一回出て、帰つて來たときです。
○鍛冶委員長 じや順序を聞きましよう。
○矢吹證人 そこで連絡をする、こういう話をしてやつておつたところが、掲示板問題は署長と次席できめたのでありまして、その掲示板問題を解決することは私はしておりません。私に対する要求は、公安委員会に対し、平市自治警察署の署長の今回の事態を惹起した責任をとること、これが一であります。それから二は、今回の事態によつてわれわれ側に負傷者を出している。これに対し暴力者の責任、被害者に対する慰藉料の請求、この二項を貫徹するようにすぐ公安委員会を開けという要求であります。それで私は矢吹一人では公安委員会は開けない。委員を集めなければならない。それで委員を集めるから待つてくれと言つたところが、電話で呼べと言う。電話では呼べないと言つたところが、監禁をすると言う。それじや君らと一緒に監禁になろうと言つたら、かんべんしました。そこですつたもんだして、約二十分やつていました。そこで話をしたところが、公安委員会を開いてくれるならば解決がつく、では特に許す。約三十分間で行つて來い、こういう話でありました。それで私は三十分で行つて來ようというので、自動車を出させました。そして自動車に乘ろうとしたのであります。ところが、君の防衞に地区委員を二人つけるというのであります。そこで私は、平市公安委員としての矢吹が、護衞を二人つけて自動車に乘るというようなことでは、市民に笑われるから、そういうことはできないと言つて断つたのであります。そうすると、こん棒を持つた人間が二、三人寄つて來て、この公安委員はなまいきだ。それじや私はおりる、また署長室に帰るからと、約五、六間門の中に入りましたところが、ちよつと待つてくださいと言うので、またとまつて何か相談をいたしました。それじや特別許す、よろしいというわけです。それじや乘ろうと言つて、また乘つたのであります。ところが、自動車に今度は赤旗が立つているのであります。
○鍛冶委員長 それは警察の自動車ですか。
○矢吹證人 そうです。私は赤旗の立つている自動車には乘れないと言つて、またおりたのであります。そのときには約十五分から二十分すつたもんだやつておりました。私は公安委員会は開けない。いつまでも騒いでくれと言つておりたのであります。ところが、ある人が中に入つて來て、じや赤旗をおろそうというので、旗をおろしたのであります。それで私は乘つて行きました。そのときには公安委員長は警察の二階におりました。私はこのことを一應市長に報告する義務がありますので、市長の自宅に参りまして、一切を市長に報告しまして、すぐ巡査を呼ぶからと話したら市長はよろしい。それで私は帰つて参りました。帰つて來たときに、共産党のある人がいま少し待つてくれ、公安委員長が來るから、こう話したのであります。それは生意気だ、殺してしまえといつて、一尺ちよつとした、火ばし二本を持つて私に刺して來ました。これを署長だと思いましたが、ある人がとめたのであります。二、三回私にかかつて來たのであります。
○鍛冶委員長 そういうことをやつた者の名前や顔はわからないのですか。
○矢吹證人 顔も名前も知りません。
○鍛冶委員長 それからどうなさいました。
○矢吹證人 そうしてすつたもんだやつているうちに、約十一時半になりますと、附近の警察官約二百名が集まつて來た。とにかく十一時半までがんばろう、あしたの朝の一時半になりますと、約四百名が集まる予定だ。十一時半までがんばろうというので、お互いにがんばつた。ところがやつているうちに、ある労働者の中の一人が留置場に入つている、これはおかしいというので騒ぎが始まつた。それからガラスを割つたり、留置場に入つたりして騒ぎがありました。そうしてやつているうちに、その留置場に入つた留置人を奪回したか何かしたのが七時半前後でありました。そうしているうちにほとぼりがさめて参りまして、冷静になつて來たようであります七それで私は二階に上りまして、今度は山崎公安委員長と位置をかえました。
○鍛冶委員長 位置をかえて山崎さんが下へ下りて來て……。
○矢吹證人 今度折衝に当られました。それで私は二階に移りました。公安委員会は二人以上集まると委員会を開いたことになりますから、どつちかいなければ、委員会は問題になりません。そのつもりでやつておりました。
○鍛冶委員長 策略だつたのですか。
○矢吹證人 はい。時間の來るのを待つておりました。
○鍛冶委員長 それで山崎さんが下へ行つて、脅迫をされたような事実はありませんか。
○矢吹證人 山崎さんはないと思います。
○鍛冶委員長 ない理由でもあるのですか。
○矢吹證人 平市の人格者ですから、多分ないと思います。とにかくえらい人です。
○鍛冶委員長 十一時半に退散したのですか。
○矢吹證人 退散の始まつたのは十時前後であります。九時前に仙台の警察から約二百名の警官が乘つたとか、中村から約五十名の警官が乘つたとかいうことをメガホンでしやべつたらしい。それらが逐次きいてぼつぼつ帰り始めた。その帰つたときには、すでに國家警察の方には十一時までに約二百四十人の巡査が集まつておりました。それで逐次帰つたのであります。
○鍛冶委員長 そのことはどうしてわかつたのですか。
○矢吹證人 國家警察の隣には朝鮮連盟がありますからわかります。
○鍛冶委員長 その後は別にかわつたことはありませんでしたか。
○矢吹證人 その後は——これは町のある人たちの話ですけれども、みんな棒を持つたり、手ぬぐいに石を包んだりしていたそうでありまして、自分もそれを見ました。それで私は帰れなくて、四時まで警察におりました。
○鍛冶委員長 四時にお帰りになつたのですか。
○矢吹證人 帰りました。
○鍛冶委員長 人民警察ができたと宣言するとともに、市内の各所に檢問所とかいうものを設けて、あなたも何か調べられたことはありますか。
○矢吹證人 私は調べられません。これは一般の人、それから警察官はもちろん調べられました。これは棒を持つて三人ぐらいで組んで、一々警察方面へ行く人を誰何した。
○鍛冶委員長 どういう目的でできておつたと思いますか。
○矢吹證人 私はわかりません。
○鍛冶委員長 何か新聞に書いたり、紙に書いたりして、人民警察檢問所とかいうことを出しておつたということですが。
○矢吹證人 それまでは聞いておりません。ただ檢問所をつくつたということは市民から聞いております。
○鍛冶委員長 この問題は掲示板だけでこういう大きな問題が起つたものですか、それとも他に何かこれに附随した原因があつたのですか。
○矢吹證人 それは矢吹個人並びに一般の平市の内容を知る者は、看板問題だけではない、よつて來る原因があると思つています。
○鍛冶委員長 その点を聞きたいのです。
○矢吹證人 これは先ほども言つた通り、共産党の清野という記者がよく御存じのはずです。私はつきり知りません。
○鍛冶委員長 大体あなたの感じは。
○矢吹證人 私の感じでは、とにかくこれは八月前後に共産党の革命があるというデマは平市内に横溢しておつたのです。
○鍛冶委員長 その前からですか。
○矢吹證人 そうです。これは平の新聞記者なんかみんな知つております。八月革命があるというのは平市のあちこちにうわさが飛んだのであります。それで私らは騒動を起された場合には、やはり革命の前哨戦じやないかという疑いを多分に持ちました。
○鍛冶委員長 何か矢郷炭鉱の問題でこれに少し関連があつたとか、朝鮮人のどぶろくを春に退治したのでそういうことから來たとか、そういうことはお聞きになりませんか。
○矢吹證人 それは聞きません。
○鍛冶委員長 この問題は平だけじやない、平でこれを起すと同時に、附近の警察全体に対していろいろ問題が起きたと聞いておりますが、この点はいかがですか。
○矢吹證人 私も聞いております。その前日に手を打たれたのであります。平警察署が暴力團に襲われた場合には、附近の警察が援助するということは自治警察の連絡協議会できまつておるのであります。ところが全部前日に手を打たれたのであります。それで應援隊は全部平以南、仙台の方から來るようになつておりました。
○鍛冶委員長 これらはすべて一連の計画のもとに行われたものとお認めになりましたか。
○矢吹證人 多分そうじやないかと思いました。
○鍛冶委員長 そういうことになつたら、平市並びに附近の民心はどういうものでしたか。
○矢吹證人 民心は非常に動揺して、いわゆる火防團というものを編成した。
○鍛冶委員長 どうしてそういうことが起つたのですか。
○矢吹證人 平市内のみならず、江名、豊間各町村でこういうことが起きた場合には手の施しようがないというので、二次的に、いわゆる暴力團が発生した場合に、放火、強盗があつては困るから、それに対する消極的の防衛をしようじやないかというので、一市九町村のいわゆる義勇消防團が集まつて、どろぼうと火つけの予防を講じたのであります。これは共産党の暴力に関係ありません。
○鍛冶委員長 これは自然に附近の住民諸君がそういうことをやらなければならぬといつて自発的にやつたものですか、それともだれかから働きかけてやつたものですか。
○矢吹證人 これは各市民の要望です。自発的です。これが警察ならいいが、一個人の家がやられた場合にはどうなるのだというような考えは全部持つておるのであります。それで現在では平市内においては、共産党の方から、いわゆる「アカハタ」を買つてくれないかと言われて來たときには平市民の大半は買うようであります。恐ろしいからであります。
○鍛冶委員長 そこでそういうものができるのは、もちろんあなた方に相談がなくてできたのでしようが、あなた方としてこれに対して相当御関心をお持ちのことと思いまするが、何かそれに対して行き過ぎにならぬようにとお考えになつて手を打たれたことはありませんか。
○矢吹證人 どういう方面ですか。
○鍛冶委員長 自警團なり、火防團なりができたときです。
○矢吹證人 いや、これは行き過ぎではないと思います。私の方としては、いわゆる暴力の起された場合に、それに付随して火災、暴動が起きたら困るから、それに対する防備であります。
○鍛冶委員長 それ以上はよろしゆうございます。それでは大橋君。
○大橋委員 私一つだけ伺いたいのですが、土橋代議士がこの事件の前に平に來ておられたことは御存じですか。
○矢吹證人 知つております。
○大橋委員 それでは警察署であなたが暴徒にとりまかれて、おられたときに、その中に共産党の代議士はおりませんでしたか。
○矢吹證人 おりませんでした。
○大橋委員 はつきりわかりましたか。
○矢吹證人 はつきりわかりません。
○大橋委員 あなたはそのとき後から頭をぽかりとやられたことはありませんか。
○矢吹證人 やられたのは署長であります。
○大橋委員 あなたはやられませんか。
○矢吹證人 やられませんでした。
○大橋委員 署長のやられたところは、あなたは見ておりましたか。
○矢吹證人 見ておりませんが、やられたと本人も言つております。
○大橋委員 それはしかし署長室ではなかつたのですね。
○矢吹證人 署長室です。
○大橋委員 前でやられて署長室でやられたのですね。
○矢吹證人 前で二回くらいやられた……。
○大橋委員 それではこれでよろしゆうございます。
○内藤(隆)委員 証人の尋問が進むに連れて、事件の輪郭は明瞭になつて來つつあるとは思いまするが、その原因は単なる小さな一つの看板の問題であるのであります。共産党が常に國民のためとか、人民のためとか言つておるようなそういう実際生活に何の関係もないこの問題をとらえて、壁新聞をはり、いかにも看板や壁新聞をとることが共産党の運命に関するような考えで因縁をつけて行つたことがこの事件の原因だと私は思います。そこにすなわち共産党の因縁づけがあつたと思う。どうです、公安委員としてそういうふうに思いませんか。
○矢吹證人 因縁ですか。
○内藤(隆)委員 因縁と言うと何ですが、きつかけと言いますか……。
○矢吹證人 きつかけは多分にあります。
○内藤(隆)委員 それからもう一つ特に公安委員のあなたにお伺いしたいのですが、最前の署長の証言なんかによりますると、警察署長としては相当に共産党の人々の交渉に胸襟を開いて應ずる態度を見せておられたことは明らかであります。すなわちこれを他の言葉で言えば、警察も民主化して、彼らの言うことをよく開いておるという事実が二、三出て來ておるのですが、その間二十六日から三十日までの間五日間というものは、あまりその態度が——警察の経営状態あるいはそのほかのものが、そういうものに対抗する力がないと思つて、ひるんだ氣持でおつたかどうかはしりませんけれども、その六日の間、荏苒として交渉に交渉を重ねておつたという、そこにこの騒擾の暴動化した大きな原因がないでしようか。
○矢吹證人 公安委員会としても署長のとにかく平和的に妥協的にこれを解決しようと努力したことは十分認めております。
○内藤(隆)委員 そして平和的に行こうというその間、かれらもまたいろいろな言いがかりをつけて交渉に來て、そして内部においては土橋とかいう代議士を迎えて、市民の方を煽動して市民を地固めし、一方また二十八日には共産党の幹部が内郷町あるいは湯本の警察に行つて、これが應援に來ぬような地固めをし、その地固めの上に立つて第一波すなわち五十名ほどの人間がます警察を襲つて來て、それから第二波はトラックに乘つてしかも何かこん棒のような、武器のようなものを持つて乘込んで來ておつた。そして三十日になつて初めてここに五百名からの党員を動員して來たということは明らかに計画的だつたということをあなたはお認めになりませんか。
○矢吹證人 公安委員会は計画的と思つております。
○内藤(隆)委員 それからあなたが警察に帰られたときに、ちようど長屋の軒下かあるいはまた物ほし台にひらひらと見えるようなああいう赤旗を警察の門の前に十字にちがえておつたということをごらんになりましたか。
○矢吹證人 見ました。
○内藤(隆)委員 そのときにどう感ぜられましたか。
○矢吹證人 やはり敗戦國だと思いました。
○内藤(隆)委員 まことに奇怪な行動であると私は思いますが、要するにこれを最前からの証人のお言葉にもあつた通り、かれらは流血革命を志して、單なる一つの看板を理由にして計画的な大暴動に運んで行つたということは公安委員としてお認めになりますか。
○矢吹證人 認めております。
○内藤(隆)委員 それで十分であります。
○鍛冶委員長 ちよつと承りますが、この附近の各都市では主食の掛賣要求というものをやつたそうですが、平ではありませんでしたか。
○矢吹證人 平ではありません。
○鍛冶委員長 ほかでやつたことはお聞きになつておりませんか。
○矢吹證人 内郷町で町会できまつたと思います。
○鍛冶委員長 郡山でも……。
○矢吹證人 郡山は聞いておりません。
○鍛冶委員長 要するに平では、先ほどたれかが言われた看板というきつかけがあつたのですが、よそでは主食の掛賣ということできつかけをつくつたものじやないかと思うが、その点はどうでしよう。
○矢吹證人 その点はわかりません。
○高木(松)委員 大体明瞭になりましたからごく簡單に伺います。先ほどあなたの供述によると、七時半の留置場破りをやつたとき、中をこわされたと言うが、あなたが五時ころ警察に行かれたとき、警察の玄関の方から中の方にかけて相当乱暴狼藉を働いておつた事実はどうですか。
○矢吹證人 私が入る前にも相当やられておりましたけれども、七時半前後が一番盛んなときでした。
○高木(松)委員 この被害やいろいろな点は署長から伺つておきましたから必要ありませんが、最初から乱暴をしておつて、窓ガラスも入口のドアもその辺のものが全部こわされておるのですが、その事実はどうですか。
○矢吹證人 認めます。
○高木(松)委員 あなたのおつしやる七時ころの留置場の問題は、中に入つて留置場のドアを破つてあの辺をぶちこわしたということじやないのでしようか。
○矢吹證人 そうです。
○高木(松)委員 いま一つ、これは神山君はまた默つていないだろうが、どうしても聞いておかなくてはならぬことは、市民の諸君が要するに共産党が八月か九月か十月ころに暴力革命をやるので、その前衞戰にこういうことをやつていることはもつぱらのうわさだということをあなたから聞きました。しかしそういううわさの出て來た事実はどういうところから具体的に出て來たか、それはおわかりになりませんか。
○矢吹證人 はつきりしたことはわかりません。とにかく一例を申し上げますと、騒動の約十日前に平市の市役所の阿部助役の所に共産党員と称する方が参りまして、共産党員が負傷したり、また病氣した場合にそれに対應する寄付をしてくれ、そういう帳面を持つて來たそうであります。ところがその助役がいや寄付は一切お断わりだと言つたところが、八月ごろに共産党の内閣ができるのだ、もし寄付ができなかつた場合には君は戰犯としてやる、もし寄付すれば刑一等を減する、そういうことを言つたそうであります。これは市長も知つております。こういうことをあつちこつちで言つていたのではないかと思います。
○高木(松)委員 各方面でそういうことを言い触らして、市民に恐怖感を與えておつたという事実を了承してよろしゆうございますか。
○矢吹證人 けつこうでございます。
○浦口委員 一つお尋ねいたしますが、この事件後に何か目立つて反共團体というようなものが結成されているようなことを御存じありませんか。
○矢吹證人 矢郷には矢郷同志会という反共連盟ができておりまするこれは現在活発にやつております。それから内郷にも約四、五箇所できております。
○浦口委員 重ねてお尋ねしますが、その中に從來のいわゆる暴力的な行動をしたような、思わしくない人物が入つているというようなことを公安委員としてお考えになりませんか。
○矢吹證人 暴力團の方がやつておるということは公安委員としてはまた聞いておりません。
○石田(一)委員 二十九日の晩に公安委員会で、署長からあす多分こうした事態が起るだろうということの想定がなされた、それに対して三百名ぐらいの警官を用意するようにという命令あるいは指示をお與えになつているが、三十日に実行されなかつたというところの原因はどこにあるのですか。
○矢吹證人 これは第三者の話でありますから私ははつきりわかりませんが、命令が実行されなかつた理由は、平市にその前の日に縣の警察のある部長が來ていたのであります。それができ得るならば平穩裡に妥協したらいいのではないかと言つた。それから電話をかけたところが、縣のそれより上の人がそうおつしやつたそうであります。それで湯本においてその附近の署長が集まつて、とにかく平穩裡にやろうという話になつたそうであります。
○石田(一)委員 そうしますと公安委員会としては警察に対してそういう事件が発生するだろうという想定のもとに、三百名の警官を召集するよう意思表示をし、あるいは指示をした。その公安委員会の指示あるいは命令が他の何かの力によつて実行されなかつた、このことに対して第三者からの報告とか何とかでなくて、公安委員会自身が積極的に乘出して、この原因の糾明をなさつておりませんか。
○矢吹證人 今は内部の争いでしかたありませんから解決してからやろうと思います。
○石田(一)委員 それに対して他の力が働いたのではないかという疑問を公安委員会としてお持ちになつたのではありませんか。
○矢吹證人 疑問は持ちませんけれども、現在までの警察はいわゆる縦の連絡よりも横の連絡を重く見るような傾向がありますから、多分それでしよう。
○石田(一)委員 これは希望ですけれども、今後糾明された方がいいのではないかと思います。
○矢吹證人 この事件が終つたら糾明しようと思います。
○石田(一)委員 それからもう一つお聞きしたいのは、山崎委員長は共産党からも脅迫も何もされなかつたというその原因がよくわからなかつたのですが……。
○矢吹證人 山崎公安委員長は平市民全部が非常に崇拜している人物で、共産党の方もそう思つていると思います。
○大森委員 事件が発生いたしましたときに何か義勇團のような、消防團のようなものができたというのでありますが、消防法の二十四條には警察署長の求めによりますと治安の維持には消防團が当らなければならぬ。これだけの大きな問題がありまして、しかも二百何十名の警官を召集するのに一日もかかつたというようなことでありますが、その点公安委員の方々はどういうふうにお考えになつておりますか。市の警察は問題にならないほど無力であります。從つてこの警察力をもつては非常に不安なものがある。私の地方におきましては、私は連合会長をやつておりますが、このようなときにはただちにはせ参じて生命財産を保護するのがわれわれ消防團の使命ではないかと私は考えております。從つてそういう場合に警鐘一擲によつてはせ参ずることになりますならば、決してかくのごとき問題は起らなかつたと私は考えているのでありますが、証人は公安委員でおられるからこういうような事態に対しましてはよく御承知ありませんか。
○矢吹證人 そのときにも義勇消防團を召集しようかという考えも起きたのであります。しかし義勇消防團を警察署長の隷下に置くことは規定上かかつていなくて、市町村長のみなのです、それで考えた……。
○大森委員 それはよくわかつております。警察に隷属するものではない。しかしながら消防團長の職責にある人が、その事態を見て自己がそれにはせ参じて保護の任に当るということは使命でなければならないと私は考えている。この二十四條にはやはり求めに應じ相互協力するということがある。この点からして今のこうした治安には消防團が立ち上つてよろしいのだという私は自信を持つているのであります。念のために私は一言申し上げておきます。けさからお話を承つても何か共産党というものは特殊の人間のように考えている。警察署などでも強られてむりから書かされたというようなこと自体が実に人間としてあわれな状態で、警察の再教育をする必要がある。共産党なんかに驚く必要は毛頭ない。彼らが來たからといつて自己の信ずるところによつて國を守り、その町を守り、署を守ることは当然でなければならないときに、すべて放棄をするとか何とかいうことは警察署の署長初め各部下を再教育する必要があると私は考える。地方の状況を聞きますと、私どもの地方においてもそうした問題が起りましたが、そのたびごとに私は申している。役場に行つてもおどかしている。その人たちの頭が狂つているのだ、そういう権利はどこにあるかということを、よくさとして帰してやればよろしい、私はこういうふうに言うている。どうかその点については公安委員会においてもよく聞かせてやつていただきたいと思います。
○石井委員 ただいま証人は、平の市民は今でもアカハタを買つている、しかも共産党がこわいから買つていると言うのですが、ただいまでもそのアカハタを共産党がこわいということで買つているわけですか。
○矢吹證人 ただいまはより以上こわいのです。
○石井委員 何かまだ共産党の暴力組織でもあつてこわいというのですか。
○矢吹證人 いや、そうじやなくて、平市警察署があれだけやられたのだ。一般民間の人たちが少しでも共産党の感情を害したらどういうことになるかわからぬ。十円、二十円は何でもありません。平におられません。夜逃げをするほかない。ぶちこわされたら……。
○石井委員 何か平の町に相当共産党の者がおりますか。
○矢吹證人 いや、現有の人はみなおとなしくなつたと思います。しかし前の恐怖心があるので、一ぺんでなくなるものではありません。その残りです。
○石井委員 その状態を見て、またアカハタを押賣りみたいなかつこうをしておりますか。
○矢吹證人 押賣りとも思いませんが、とにかく恐怖心をもつて買うという実際の状態です。
○石井委員 まだ市民は恐怖を逃れられない状態にある……。
○矢吹證人 これは当分逃れられないと思います。
○神山委員 石井さんが親切に聞いてくれたので、私もその点にこだわる必要はありませんが、あなたのおつしやるように、アカハタの発賣部数がふえていることは事実ですが、それが恐怖心だけだというふうにあなたは責任をもつておつしやれますか。
○矢吹證人 責任を持つというより、大衆がそう言つております。買つた人がそう言います。おつかないから買つた……。
○神山委員 それに関連して、恐怖心がまだ残つているとおつしやいますが、いろいろの人から今度の調査團が行つて聞いたことでありますが、そういう気持はないということを言つておりますが、そういうことをお聞きになつたことはございませんか。
○矢吹證人 それは矢吹の場合、買つた人がいわゆる私に話をする程度の人でありますが、恐ろしいから買つた、そう言うだけであります。
○神山委員 それはどこの方ですか。
○矢吹證人 平の市民です。
○神山委員 平の話をちよつとやめまして、矢郷の問題ですが、矢郷で九日に仮処分があつたことを御承知ですか。
○矢吹證人 聞いております。
○神山委員 その日、朝から警察官が動員され、その前の日の八日にも警察官が動員されている。平署から應援に行つているのですが、公安委員も御承知ですか。
○矢吹證人 事後報告があつたと思います。
○神山委員 そういう例があるのですか。
○矢吹證人 緊急欠くべからざる場合には署長がやつてもよろしい。それであとで報告する。こういうことになつております。
○神山委員 事後報告はいつごろありましたか。
○矢吹證人 それまでははつきりしません。
○神山委員 というのは、先ほどこちらの石田委員からも聞きましたように、何か明朗でないものがどこか一つあるので、そういうこともあるのじやないかと思つてお尋ねしたのです。 それからちよつとこまかな話になりますが、あなたが警察にいらつしやつたときは大体五時ごろだつたのでしようか。
○矢吹證人 五時か五時過ぎだと思います。
○神山委員 そのときにはみんな中にいつぱい入つておりましたか。
○矢吹證人 入つておりました。
○神山委員 そうして赤旗が二本ありましたか。
○矢吹證人 ありました。
○神山委員 そこで先ほど警察署長が見えて、証言なさつたのですが、六時二十九分着の列車で帰つて來た警察官が門を入るときには、まだなかつた、從つてその後のことではないかというふうに言つているのですが……。
○矢吹證人 私の記憶に間違いない限りは、私が入つたときには、赤旗が十文字になつて、そのぐるわで赤旗を振つておりました。
○神山委員 あなたは出入りなどもなさつたのですか。
○矢吹證人 そうです。
○神山委員 一番初めにいらつしやつたときかどうか、一方では六時二十九分云々というような意見もあるということをひとつ御研究願いたいと思います。
○矢吹證人 わかりました。
○神山委員 それから占拠の問題ですが、これはあとからいらつしやつたのですから、はつきりお知りにならないかもしれませんが、一應雨が降つているし、暴力團が來るという話もあるし、それで署長も一應その点入ることを了解して、入つたというふうな話がありますが、これはいかがでしようか。
○矢吹證人 それは聞いておりません。
○神山委員 それから留置人を出すことについては、公安委員の方は全然関係しておりませんか。
○矢吹證人 署長と交渉したようです。
○神山委員 あなたの方は御承知ないのですか。
○矢吹證人 いや、私はそばにおりました。
○神山委員 それは何時ごろのことですか。
○矢吹證人 私が帰つて來たのは、七時半前後だと思います。
○神山委員 七時半前後にその話をして、そうしてどういうことになつたのですか。
○矢吹證人 私が七時二十分ごろ自動車で帰つて來てすぐですから、十分か五分の間に、その留置場の騒ぎが起きたのでございます。
○神山委員 それはすぐ出してやるということになつたのですか、出さないということになつたのですか。
○矢吹證人 よく調べて、何でもなかつたら出してやろう、というふうに署長は話したようです。
○神山委員 それからあなたは地方の公安委員でいらつしやるから、國警の動きを御存じないでしようが、その日國警が動かなかつたのはどういう理由か。
○矢吹證人 國警が動かなかつたということは、矢吹はわかりません。
○神山委員 國警側も、民擁同の調査團が行つて來た場合には、事態がそれほど重大問題ではない、それで國警がこの問題については大して関心を持つていなかつたということはお聞きになりませんか。
○矢吹證人 それは私が行つたときから、橋本署長は警察に來ておつて、逐次交渉したようですから、そういうことはなかつたと思います。
○神山委員 平市長は、掲示板などは実際は大した問題でない、市民はむしろ平靜だつた、検察廳と警察だけがこの問題をわいわい騒いだ、ということを調査團に言つておりますが、そういうことは御承知ありませんか。
○矢吹證人 わかりません。
○神山委員 それから市長の話では、例の魚の六百万円の問題なんですが、この点についていろいろなことを言つておられますが、御承知だつたら話してください。もう少し説明しますと、私の方はどうせ東京におつて文書でしか見ておりませんから、詳しく知りませんが、六百万円ばかりの魚のやみの取締りで浮いた金が当然國庫に入るべきものが、あちらこちらに寄付という形で行つている。警察署には十万円行つている。國警には十五万円行つている。平市には十万円持つて來た。これは鈴木市長が調査團に言つているのですが、こういう事実について御承知ありませんか。
○矢吹證人 そういうことはあつたでしよう。はつきりしたことは知りませんが、そういうことはあつたようです。
○神山委員 あなたの立場もありましようから、これ以上聞きませんが、先ほどお話になつたところによると、こういうことがあつた。たとえば公安委員長の山崎さんですか、その方とあなたと一緒にいると公安委員会を開くことになるとおつしやつたのは、どういうわけですか。
○矢吹證人 約二十分か三十分かで署長の任免をすぐ一部政党によつてきめということは、公安委員会としてできません。やはり熟慮断行しなければなりません。そのためにはやはり時をまつしかない。すぐ返事をくれと言うのです。それは明日なら明日までに返事をしろと言えば、私の方でもやりますけれども、いま三十分間で公安委員会を開いて、署長を首にしろと言われても、公安委員会は……。
○神山委員 私がお聞きしておるのは、そのことでなくて、お二人がここにいらつしやれば、それで公安委員会ができるのですか。
○矢吹證人 そうです。三人のうち、二人以上集まれば、公安委員会が成立するのです。
○神山委員 それでいいです。猪狩さんと、公安委員長の山崎さんが一緒におられたことがありますね。
○矢吹證人 あります。
○神山委員 それで公安委員会としてまとまつていないのですか。委員会はまとまつていないのですか。
○矢吹證人 一緒にいたというときは看板問題らしいのです。公安委員会を開くという話じやないのです。多分そうだと思います。
○神山委員 それで開けという要求があつたので、もしあなた方が二人会えば問題は解決しなければならぬ……。
○矢吹證人 そうです。
○神山委員 從つて態度をきめかねる、こうおつしやるのですか。
○矢吹證人 そうです。
○神山委員 私たちが事件全体を見ておりますと、一時にすでに公安委員長と猪狩委員がいる。それならば看板問題で警察は血まなこになつておる。市長はたいした問題でないという。市民はたいした関心は持つておらない、こういう問題を当然円満な解決のためにあつせんか何かできなかつたか、これが第一考えることです。
○矢吹證人 あの場合に山崎公安委員長と猪狩さんはあつせんすることはできなかつたと思います。
○神山委員 その場合にしましても、あとの場合、すぐ首を切るということになつては困るでしようが、公安委員会の方もいろいろ記録を見てみますと、すいぶん走りまわつておられるが、あなた方が眞に公安委員会として自主的に態度を決定されれば、こういうような問題はもう少しなめらかに行かなかつたかと考えられますが、いかがですか。
○矢吹證人 公安委員会は先ほども申した通りに、確実な報告を受けたのは二十九日でありますが、前から町の情報は入つております。しかし責任ある人からの報告がなければ……。
○神山委員 しかも二十九日に入つたときには、ごく簡單な報告しかなかつたわけですね。
○矢吹證人 そうです。
○神山委員 それでいいです。大体矢郷の場合においても、事後承諾という形で警察は動いておる。三十日の前、すなわち二十九日の場合にあなた方のおきめになつた方針がまた何者かに上つて、第三者によつて、くつがえされた、こういうことを見ます場合には、この辺の民自党の諸君が計画的に共産党がやつたとさかんに言われるが、逆に言えば、他の第三者的な検察廳あるいは警察に関連するどこからか、やはり一定の干渉があつて……。この点については、あなたがお答え困難であつても、事実そのものが保障しておる。大体このくらいでいいでしよう。
○聽濤委員 一、二の点をお尋ねしますが、六月三十日の事件の晩に、時間はおよそ十時ごろ、大体解放し始めたころ、二階の疊の間で交渉というほどではなく、雜談の形で、ほかにどなたか知りませんが、共産党の鈴木委員長なんかと雜談みたいなことを交えたことは承りませんか。
○矢吹證人 そのときは矢吹はおりません。わかりません。
○聽濤委員 そうですか、それではもう一つお尋ねしますが、実はこの二階の間であなたが鈴木委員長に、雜談の中で公安委員としても今の署長は不適任で更迭を考えておるということをお漏らしになつておるという事実を私たちは聞いておるのですが、そういうことはありませんか。
○矢吹證人 言つた覚えはありません。
○聽濤委員 それからもう一つは、今度ほかの地区の警察を動員しておるわけですね。他の地区から警察の協力を求めておられる。それは何人か知りませんが、長い間には相当の人数になつておると思うのですが、こういう警察の費用については公安委員会はどういうふうに処理されるのですか。
○矢吹證人 それは現在のところは国費負担になるのではないかという想定でございます。
○聽濤委員 自治警察でありますから市長なんかと御相談なさつたことはありませんか。
○矢吹證人 その面については全部今借入れの方でやつておりますから、まだその問題まで行つておりません。
○聽濤委員 ところが事実擁護同盟の調査團が行つて市長に会つたところが市長はそういう動員を要請したことはない、こつちではそれまでは負担できないということをはつきり言つておるのですが、そうなると大分問題がもつれて來ると思われるのですが、そういう事実はありませんか。
○矢吹證人 現在そういうことはなく國費負担になる予定であります。
○聽濤委員 その点が市長との了解がほんとうについてやつたと思われないからお聞きしたわけです。
○橋本委員 簡單に証人にお聞きしまするけさから三人の証人も出ましていろいろのことを聞きまして、まことにこの問題は重大問題である。これは福島縣全体ばかりではない。さきに吉武委員からも質問があつたのですが、廣島の日鋼事件あるいは國電事件、その他各方面に六月から七月にかけて各種の問題が起きているのでありますが、神山委員はこれをもつて偶発的な簡單な事件のように言つておりますが、こういうような考え方ではこの問題は解決できないのであつて、この背後にはやはり大きな政治的隠謀が含まれているようにわれわれは今までの陳述において考えられるのであります。從つて今の問題がひとり平の問題だけでなく、要するに大きな政治的な意図のもとに行われておることをわれわれは観取をして、公安委員会としてはこの問題をまことに重大視しておられると思うのですが、この点について証人の御意見はいかがですか、こういう具体的な観点から……。
○矢吹證人 平市としては、とにかく平市始まつて以來の重大事件です。しかも日本の警察始まつて以來のことであります。警察が右翼の暴力團によつて占領されたことはありません。左翼によつて初めて占領されたということで市民は驚いております。
○橋本委員 二十八日か二十九日かに附近の警察に地区共産党員の方々が行つて、平市に対して應援を出すな、こういう事前行動が行われておることが明らかになつておる。これをもつてしてもこの事件が偶発的な問題ではなくて、事前にすでに計画的に考えられたものである、こう考えますと、この事件はまことに重大であつて、この点その中心である平の公安委員会においては断固たる考えをもつて進まれんことを要望するものであります。
○矢吹證人 わかりました。
○鍛冶委員長 それでは済みました、御苦労さまでした。 —————————————
○鍛冶委員長 加藤木啓吉さんですね。あなたはどこにお住まいですか。
○加藤木證人 福島縣石城郡内郷町大字宮字瀧六十三番地。
○鍛冶委員長 あなたは日本社会党常磐地区協議会の書記をやつておいでになりますか。
○加藤木證人 そうです。
○鍛冶委員長 いつからおやりですか。
○加藤木證人 昭和二十四年二月一日からであります。
○鍛冶委員長 あなたのお住まいの近所に、矢郷炭鉱というのがあつて、そこには本年に入つて——これは去年くらいから起つたようですが、たいへん爭議が深刻に行われたようでありまするが、そういう事実がございましたか。
○加藤木證人 昨年の十二月に爭議が行われまして、その後今年の一月に入つて、七名の解雇問題で小さな爭議を起しております。その後今回の百四十三名だつたか、百三十四名だつたかの解雇に対して、首切り反対の爭議を起しているようであります。
○鍛冶委員長 これはどういうところからそういう馘首をしなければならぬことになつたか御承知ですか。
○加藤木證人 深い原因については、正確な資料を私たちはとることができませんでしたけれども、第一回目の七名の馘首については、労組法の十一條と労調法四十條違反で地労委の裁停が下つて、実行できなかつた。その後百四十三名の首切りを出しておりますが、その数字、経理内容等については、私たちは一切の資料をとることができず、科学的な理由をあぐることはできません。
○鍛冶委員長 その原因のいかんは別としまして、炭鉱の経理がうまく行つておらなかつたということは御承知ですか。
○加藤木證人 その点についても、判断を下すことはできません。
○鍛冶委員長 そこでいろいろ爭議にからんで暴行、脅迫等が行われたということを聞いておるのですが、そういう事実はいかがですか。
○加藤木證人 私もその爭議については、そういうことがあつたということを聞いておりますけれども、その現状を確認しておりません。
○鍛冶委員長 大体の騒ぎの実情について、どんなようなことを聞いておりましたか。
○加藤木證人 團体交渉の過程において、かなり労働組合の組織的行動が活発に行われた程度で、いわゆる暴力行為まで行つたということは聞いておけません。しかし抗爭の過程において、いかなる労働組合でもやる通り、かなりの組織的な圧力を加えたということを聞いております。
○鍛冶委員長 そこに労働組合があつたわけですね。
○加藤木證人 矢郷炭鉱労働組合があります。
○鍛冶委員長 ところがだんだん脱退者が出たそうですね。
○加藤木證人 脱退者につきましては、六月の二十三日だつたか私が自宅に帰る途中、有志一同として、脱退したという声明書を張つてあるのを私は見ております。
○鍛冶委員長 あなたはこの近くなのですか。
○加藤木證人 矢郷炭鉱は内郷町大字白水というところで私の部落は大字宮で、小さな山を一つ境にして、地域はちよつと異なつております。
○鍛冶委員長 始終行つておることはあるのですね。
○加藤木證人 ほとんど行きません。
○鍛冶委員長 張札をごらんになつた。それと同時に脱退者に対して、いろいろ脅迫したというような事実があつたと聞いておりますが、それはいかがですか。
○加藤木證人 この点について少し説明を加えたいと思うのですが、六月の二十二日共産党の土橋代議士が鬪争最中の白水に行きまして、われわれの鬪爭の第一段階はかくて終つたのだということで、内郷町の役場と山元の坑口の前でやつておつたハンストをやめさせて、爭議の戰術をかえたようでありますが、賃金未拂い問題、首切り問題が解決してわれわれの鬪爭の第一段階が終つたということは納得ができないということで、一部の者、数で五十九名だと記憶しております。五十九名の者が組合の執行部に対して、不満の意を表明して脱退をいたしたのであります。その後脱退者の大多数は自由同志会という同志組織を持つておりまして、この自由同志会の組織を活用し、あるいは常磐における社会民主主義的な労働運動の方向をとつております日本鉱山労働組合常磐支部連合会、あるいは私どもの組織にいろいろ相談に來たのでありますが、少くとも労働組合の運動の分野におきまして分派行動をとるということについては私たちは原則として反対なのでありまして、そういう組合離脱という行為の前に、労働組合員としての適当な措置がありはしないかということで私たちは指導を加えたのでありますが、非常にいきり立つた彼らは私たちの説を入れてくれなかつたので、積極的な支援はあらためてしておりませんでしたが、ただ彼らの報告によりますと、組合幹部に対して離脱の声明を行うと同時に、言うに言われない暴圧を加えられて、その結果與られている自分の長屋にも住まうことができず、親戚や友だちを頼つて一山上にある宮や、あるいは宮沢という部落の方面に夜は退避しておる。そうして朝になつて帰つて來て、主婦は朝食をかしぐ、夫は入坑するような状態でありまして、われわれがこれを聞いた場合に人道問題としてあるいは社会問題として許すべからざる行為であるということで、その後夜間私たち有志の者が矢郷の山へ行つております。事実行つてみますと離脱者の家庭はからつぽでありまして、離脱者の中で意識のしつかりしたリーダー級の人とわれわれはいろいろな構想を持つたのでありますが、あの現場を見た場合に彼らの報告がかなり事実だつたということはその空巣になつておる家を見てわれわれは感じたのであります。
○鍛冶委員長 そこでさつき言われた土橋代議士が來て争議が一應済んだと言つたが、その賃金の未拂は全部拂つてもらつたのですか。
○加藤木證人 その当時においてはまだ解決しておりません。
○鍛冶委員長 土橋委員からそれを拂つてもらつたということの確約も得たのか。
○加藤木證人 その内容については正確なところはわかりません。
○鍛冶委員長 それから首切りについてはどうなりましたか。
○加藤木證人 首切りについては依然として解決しておりません。
○鍛冶委員長 それをもつと言うてみれば二つとも解決しておらぬのに、土橋氏が解決したと言つておるから、それに不満を起して脱退したと聞いておるのですか。
○加藤木證人 彼らは私たちにそう訴えて救いを求めて來ております。
○鍛冶委員長 その組合の指導者というものは党派で言うとどういうものが主なものですか。
○加藤木證人 組合長の渡邊仙三郎君は共産党員だということを聞いておりますが、大体組合執行部の諸君は党員じやないかと私は見ております。それはなぜかと申しますと、少くとも民主主義労働運動を推進しようとする日本炭鉱労働組合にかつての共産党の指導下にあつた全石炭を解体して入会しているにもかかわらず、依然として民主主義労働運動の線をとつていないということで感ぜられる問題だと思います。
○鍛冶委員長 それにその共産党のやり方に不満を起した人たちが脱退した、こう聞いて間違いありませんか。
○加藤木證人 共産党の人ということはちよつとまずいと思います。やはり組合執行部、組合の役員の人のやる行為に対して不満を持つた連中が離脱した。
○鍛冶委員長 その役員は大抵共産党員だつたということでしよう。
○加藤木證人 それは大体においてそうなつております、しかし共産党の行為と労働組合の行為とはおのずから別だと考えております。
○鍛冶委員長 それからその近所に壽または常磐炭鉱というものがあつてここでも争議が起つたそうですね。
○加藤木證人 その質問について私は質問したいのですが、いつごろのことを指しておるのでしようか。
○鍛冶委員長 今年に入つてからです。
○加藤木證人 今年に入つてからは爭議を起しておりません。
○鍛冶委員長 いつごろからですか。
○加藤木證人 常磐も壽炭鉱も昨年の暮の賃金鬪爭をやつたのみです。それから今年の三月の賃金鬪爭以外にやつておりません。
○鍛冶委員長 首切るということはなかつたですか。
○加藤木證人 やつておりません。
○鍛冶委員長 現在矢郷炭鉱はどういうことになつておりますか。
○加藤木證人 二十五日半地方炭鉱管理委員会を開いたのですが、一應問題の解決は山元において経営者と労働者と留保交渉によつて解決させるべきであるという決定をしたのでありますが、二十七日の團体交渉は決裂状態になつておるように聞いております。それから昨日の地管委員会においては最後の論議を盡した後の採決に至りまして労働者側委員が総退場して採決に加わらなかつたということを聞いております。
○鍛冶委員長 それはあなたの言われるのは同志会系の労働團体なのか、前の労働組合なのか、どつちですか。
○加藤木證人 團体交渉はかりに言えば現在の第一組合の人がやつております。それから離脱者は組合員の資格が今のところありませんから、團体交渉を持つ資格も当然持つていないわけです。
○鍛冶委員長 それで山は仕事はしておりますか、もうほとんど休山同樣になつておるとかいうのですが、これはどうですか。
○加藤木證人 平事件に関係した人が相当あるので檢挙されたりあるいは逃亡したりしておるので、ごく少数の人が事業を継続しておるように聞いております。それは閉鎖予告をされた期限が今月一ぱいですから、それもあすかあさつて一日のことだと思います。
○鍛冶委員長 それで閉鎖予告はしてありますね。
○加藤木證人 してあります。
○鍛冶委員長 そういう閉鎖しなければならぬようになつた経営的な原因等は……。
○加藤木證人 これは先ほども申しました通り、私たちの組織といたしましては正確な資料というものを一切持つておりませんので、判断をくだすわけには行きません。
○鍛冶委員長 内郷町の町会もたいへんもめておるそうですが、町会で議事採決をやろうとするときに暴力行為等で正当なる採決ができない事実があつたとかいうのですが、この点はいかがですか。
○加藤木證人 それは六月三日と八日の町会を指してお尋ねになつておるのだと解釈しておりますが、暴力行為によつて採決を妨げたとは私は解釈いたしません。しかしながら相当多数の傍聽者が狭い議事堂にぎつしり押しかけて、審議している議員のすぐかたわらまで行つて小ずいたり悪口を言つたり罵詈雜言の限りを盡して脅迫的な言辞を弄したことはありますが、これを殴打とかリンチとかいう行為に出たことはないと私は考えております。
○鍛冶委員長 しかしあなたのさつき言われたように圧力を加えたことはあるわけですね。
○加藤木證人 それはあります。事実私のところの町会議員をやつておる一條さんに君はひげを落せとか労働者を裏切るものだというようなことを言つてしきりに暴圧を加えられております。
○鍛冶委員長 佐々木という町会議員もおりますか。
○加藤木證人 おります。
○鍛冶委員長 その人もたいへんおどかされて誓約書をとられたということを聞いておりますが。
○加藤木證人 それは私は話に聞いておりますが、現場は確認しておりません。
○鍛冶委員長 どんな誓約書をとられたか、聞いておりませんか。
○加藤木證人 それは掛賣りを認めるように町会でそう行動をとるような確約をしたと私は考えております。
○鍛冶委員長 暴力脅迫によつて誓約書をとられた、矢郷炭鉱の皆樣お困りのことは深く御推察いたします。今後町政に際しては御協力申し上げます。本日は済みませんでした、何とぞお願いいたします。そういうことを書かされたということを聞いておりますか。
○加藤木證人 とられたということは聞いておりますが、その文面については見ておりません。
○鍛冶委員長 とにかくそれをとられたということは聞いておりますか。
○加藤木證人 そうです。
○鍛冶委員長 花塚好美、この人も何かやらされたのではありませんか。
○加藤木證人 その点は大字白水出身の町会議員で佐々木さんも花塚さんもそれからもう一人川島常陸さん、これも……。
○鍛冶委員長 これもやられたか。
○加藤木證人 そういうことを聞いております。
○鍛冶委員長 内容は御承知ありませんね、そこで六月三十日に平でえらい事件が起りましたが、その発生前において内郷においてもいろいろ問題が起きたようですが、この点御承知ですか。
○加藤木證人 これは少しく説明を加えたいのですが、先ほど申しました通し、離脱者に対する暴圧が人道上社会問題として許すべからずと私たちは判断いたしまして、一体この身体財産の保証は警察がどの程度までやつておるのかということについて調査をしたり、あるいはその対策を警察が打つておるとすれば、それを聞きたくて私たちは三十日に行つたのですが、十四時三十分の平発の上りで綴に向いまして、この間約十分間かかるのですが、内郷署に行こうとしたのですが、行つたときはもうすでに共産党の諸君と矢郷炭鉱の諸君もおりましたが、内郷署の前で古口巡査部長を國道筋に雨の中へ引張り出して、リンチしている現場を私は見たのであります。
○鍛冶委員長 どういうようなことをしました。
○加藤木證人 当日は今申しました通り、非常な強い雨が降つておりまして、さらに数にして五、六十名はあつたと思うのですが、その人がきの中に古口巡査部長が入れられておつて、ちよつと離れて見ておつた私にはだれだかもわからなかつたのです。しかし、者はわれわれの行動を関係筋に報告したり、デマを飛ばしたりして彈圧しているということで、かなり大きな声を張り上げられてリンチされているのを見たのであります。
○鍛冶委員長 責められておつたのですか、また暴行、強迫を加えられておつたのですか。
○加藤木證人 なぐられておつたように、私は人がきの外で見ておつたのですから……。それであとでデモ隊が引揚げたのちに、私は町内に入つて行きまして、塩谷署長にも古品部長にも会いましたが、古品部長はなぐられたと言つて、非常に興奮しておりました。
○鍛冶委員長 写眞の七号と書いてあるものですが、これは今あなたの言われる古口巡査部長がリンチというか、人民裁判というか、やられておるときの写眞だそうですが、こんなような状況でしたか。
○加藤木證人 私が行つたときはもつと大勢おつたようです。これはあとで署長に会つたときの話ですが、デモ隊が二つにわかれて一隊は署長室に入りまして、平警察署に應援を求められても行かないことを確約してくれと、アカハタの記者の持つておりますざら半紙四半分の紙を出して、強談判をやつておつたそうでありますが、もう一隊は古口部長を執務している所から引きずり出して、今の國道筋へ引張り出したそうです。
○鍛冶委員長 それは國道でやつておる実景ですね。
○加藤木證人 そうです國道筋です。
○鍛冶委員長 いわゆる大衆の前でやつたのですね。
○加藤木證人 大衆の前です。
○鍛冶委員長 それからさらに、そのときに湯本の警察でもそれに似たようなことがあつたそうですね。
○加藤木證人 湯本のことについては、話は聞いておりますが、現場は確認しておりません。
○鍛冶委員長 かように平であつたときに、内郷及び湯本その他でもあつたようですが、こういうことはあなた方が見られても一連の関連性のある騒擾とお認めになりましたか。
○加藤木證人 事実を率直に申し上げますと、内郷署をデモ隊が引揚げたのちに、古口巡査部長といろいろ話をしたのですが、内郷の町会議員をやつております日野定利氏は、二十八日に東京から郡山、福島、仙台をまわつて綴へ帰つて來たということを話しておりましたし、われわれがやはり組織運動をしている体驗から申しましても、あれだけの人を動員するということは、計画なしにはやれないということが体験から申しても言われることだと思います。
○鍛冶委員長 その計画の主体はだれでありました。
○加藤木證人 それについては正確な情報をとつておりませんので、申し上げることはできません。
○鍛冶委員長 内郷では先ほど言われたように、共産党と矢郷炭鉱の者だ、こうおつしやいましたね。
○加藤木證人 共産党の内郷の地区委員会のメンバーは全部そろつております。ことに熊田君は常盤炭鉱の運営協議会があるにもかかわらず、渡邊組合長から全権を委任されているにもかかわらず、副組合長の立場にありながら経営協議会を捨てて、そのデモに参加しているという事実から見れば、やはり相当強い措置を講ぜられてやつた行爲ではないかと考えております。
○鍛冶委員長 あなたは先ほどの町役場でいろいろ起つたのを、さつき六月三日及び八日と言われたが、十日にもたいへんえらいことが起つたのじやないのですか。
○加藤木證人 十日は八日の決定によりまして、山元の実態調査を全町会議員が行つたのであります。その調査の結果に基いて、いかなる救援策を講ずるかという協議会だつたのです。本会議でなくして協議会であつたのです。その協議会においてのいろいろな経過はあつたようですが、私は十日の日はその場に出席しておりませんので、現場を確認しておりません。
○鍛冶委員長 八日はごらんになつたのですか。
○加藤木證人 八日は朝からおりました。
○鍛冶委員長 この四号というのは、その八日の役場事務室へ押しかけて來たデモ隊の写眞のようですが、こんなような事実はありましたか。
○加藤木證人 この写眞のことについて申し上げます。八日の本会議が終りましてのちに、古口巡査部長が君はわれわれの行動を進駐軍に報告して、君が進駐軍を呼ばつたんだろうということで、事務室におつた古口部長を取巻いて、これだけの人で難詰しておつたのであります。
○鍛冶委員長 町役場の中でですか。
○加藤木證人 そうです。この難詰している現場にも私はおりました。
○鍛冶委員長 進駐軍は來たのですか。
○加藤木證人 進駐軍はこの場にはおりませんでした。
○鍛冶委員長 その日來たのですか。
○加藤木證人 その日に來ております。
○鍛冶委員長 本会議で騒いでおるときに、何か鎮圧にでも來られたのですか。
○加藤木證人 鎮圧かどうか目的はわかりませんが、ただ一人十一時半ごろ來ました。丸腰で來ました。そうして通釈を連れてもどつたと思つたら、十五分か三十分くらいしてピストルを持つて武装してまた來たのです。
○鍛冶委員長 それからそういう騒擾にあたつて、朝鮮人連盟も相当参加したということですが、そういう事実はお認めになりましたか。
○加藤木證人 三十一日の内郷署については、朝鮮人であつたかどうだか私は確認しておりません。
○鍛冶委員長 朝鮮人はあまり見なかつたですか。
○加藤木證人 私はそれを認めませんでした。
○鍛冶委員長 ところが矢郷炭鉱とか、またその他内郷の近所に相当朝鮮人がおられるそうですね。
○加藤木證人 朝鮮人はかなりいるようでありますが、大体内郷の朝鮮人は南鮮系とでも申しましようか、大体古着屋を営んだり、あるいは飲食店を営んだりして、平たく申しますれば、おとなしい生活態度であつたように私は見ております。
○鍛冶委員長 何かどぶろくなんかこしらえておつて、警察からいじめられて非常に警察に反感を狩つておる者があるという話ですが、それは違うのですか。
○加藤木證人 そういう話も聞いております。
○鍛冶委員長 だけれどもあまり内郷の方の者は、そういう仲間へは入らぬ性質の者ですね、大体は。
○加藤木證人 大体そうだと私は考えております。
○内藤(隆)委員 ただいま加藤木証人の陳述によりまして、共産党の驚くべき非人道な行為を國会に明らかにされまして、共産党の本体を見ることができたような氣がするのでありますが、ところが組合脱退の声明書をごらんになつたと今証書されましたが、そのいわゆる五十数名の同志会と言いますか、その声明書の内容に触れられなかつたようですが、お読みになつたのですか。
○加藤木證人 内容は読みましたし、持つておつた原稿用紙に控えました。しかし現在持つておりません。
○内藤(隆)委員 持つておりませんか。それでは委員長、何かのついでにその原稿をひとつ……。
○鍛冶委員長 それは出せますか——出せたらこつちへ参考に出してもらいたい。
○加藤木證人 これは自由同志会の諸君に話せばあると思います。
○鍛冶委員長 こちらから要求してもよろしゆうございます。
○内藤(隆)委員 それから第二点は、ただいまも証人は詳細に声涙ともに下るような氣持で、五十数名組合を脱退した人々の悲惨なる生活状態、これらに対する組合側の至らざるなき脅迫、あるいはまた非人道な行為があつたということを大体お述べになりましたが、この点についし私は詳しいことを聞こうとは思いませんが、そういう事実は十分にあつたことも了承していいですかね。
○加藤木證人 その通りです。
○内藤(隆)委員 もう一点、古口巡査部長をリンチしておつたという驚くべき話を今伺いましたが、そのときは雨が降つておつたそうでありますが、降つておりましたか。
○加藤木證人 ちようどあの日は晝ごろから降り出しまして、私が汽車に乘りました二時半ごろは強い絶頂だつたです。
○内藤(隆)委員 わかりました。それではさいぜんの神山委員が平の警察へあの大衆が入り込んだのは、雨が降つておつたので、雨に耐えられぬから入つて行つたということをむりやりに証言させようとかかりましたが、ところが共産党の諸君はあるときは非常に雨をこわがり、リンチをする場合においては、大雨の中といえどもがんばつてやるというような、まことに矛盾をきわめた行動をとつたことが明瞭になつた。要するに平警察署に入つたのは雨が原因でなかつたということを私は明瞭にしておきます。
○鍛冶委員長 ちよつと聞き漏らしましたが、八日の町会で、そういうふうに町会議員が脅迫されたが、結局その掛賣り要求は通つたですか。
○加藤木證人 八日の町会と委員長は申されましたが、三日の町会に第一回目は絶対多数で否決しているのです。その後否決されたのを、強い圧力が加えられて一部の人は退席しております。それから残つておつた数名の議員は、一人々々熊田君の質問によつて掘り下げられて行くうちに、掛賣りをすることについては、反対ではないのだという意思表示をうつかりしてしまつたのです。賛成だということになればもう一ぺん表決し直してくださいという要求になりまして、採決の結果反対したのは社会党の五人と、賛成したのは八名だつたと思いますが、最後まで反対をしたのは社会党だけでありまして、第二回目の採決においては多数で成立しております。そうすると同一の問題について相異る採決が出たので、執行部はもう一ぺん再審議してくださいということで八日の町会を召集した……。
○鍛冶委員長 そうすると八日はどうなりました。
○加藤木證人 八日には共産党の五名を除いて出た全部否決いたしました。
○鍛冶委員長 わかりました。
○菅家委員 簡單に二点だけお尋ねいたします。六月二十六日に内郷町大字白水矢郷炭鉱の自由同志会で、野崎彦一さんの四つになる子供さんが、隣りの共産党の小針定雄の娘さんに水をかけられたという事件があつて、野崎彦一さんが内郷町の警察署の白水の派出所に訴え出た、派出所の杉本という巡査が小針の娘を呼び出して事情を聞いたところが、午後二時二十分になつて共産党の者が地区委員の鈴木磐夫そのほか四十名くらい、その中には朝鮮人も入つておつたらしいが、押しかけて來て、松本巡査に食つてかかり、こずいたりメモを奪つたり、暴行の限りを盡して、土足で駐在所に入つて、悪口雜言を吐いて、午後四時四十分ごろ退去したという話を聞きますが、お聞きになりませんか。
○加藤木證人 話は聞きましたが、しかし現場は確認しておりません。
○菅家委員 それから先ほど証人がお述べになりました内郷署内の古口巡査に対する暴行の状況でありますが、このような野郎は殺してしまえ、鶴嘴でぶちこわしてしまえというような、多数の力をもつておどかして、脅迫戰慄せしめて、雨の中にびしよぬれにしたまま押えつけて、打つたり蹴つたりしたということも先ほど聞いたのでありますが、そのときにその署の鑑識係の中塚刑事という者が、警備主任が暴行されておるから、それを写眞にとつておこうというので、署の二階から写眞をとつた。ところが暴徒数名が二階にかけ上つて來て、三瓶部長が中塚という刑事より写眞機を受取つて、暗室で現像しておる最中に暗室をあけてしまつたので、光がさし込んだために写眞はだめになつてしまつた、それで暴徒は現像中のフイルムを取返してしまつて、さらに写眞機を出せと迫り、それを拒否したところが、そのままやつと引揚げたという事実をわれわれ聞いておりますが、そういうことはお聞きになりませんか。
○加藤木證人 私もそれは聞いておる程度です。
○菅家委員 見なかつたけれども、聞いておるのですね。
○加藤木證人 聞いております。今のナンバー七の写眞はたしか中塚君がとつた写眞だと思います。
○菅家委員 それでわかりました。けつこうです。
○神山委員 土橋君があなたの所に行つたのは六月二十二日、だつたのですね。あなたの先ほどのお話では……。
○加藤木證人 二十二日と私は記憶しております。
○神山委員 そのあなたのおつしやる自由同志会ができたのはいつですか。
○加藤木證人 大体一月の末ごろではなかつたかと記憶しております。
○神山委員 それは矢郷同志会というのは同じですか、別ですか。
○加藤木證人 壽炭鉱と矢郷炭鉱とそれぞれ同志会を持つておるようで、一緒じやないようです。ただその間に緊密な連繋がとられて、同じ行動をとつておるように見受けております。
○神山委員 そうしますと、あなたの先ほどの、有志一同の名前で組合脱退のビラを六月二十三日にごらんになつたというのは、六月二十三日かもしれないが、すでに組合の分裂的な動き方は一月の末からあつたということになるのではありませんか。
○加藤木證人 分裂というのは、組合を離脱した場合、あるいは第二組合をつくつた場合を分裂と考えるならば、一月に同志会を組織した、これはあだかも産別における産別民同のような同志組織だと私は考えておりますので、質的な形の上の分裂ではないと考えます。
○神山委員 けつこうです。産別民同の言葉まであつて、まことにけつこうなんですが、それでは第二組合ができたそのときはいつですか。
○加藤木證人 第二組合をつくつていないのです。五十九名が離脱しましたが、そのうち同志会は四十四名です。
○神山委員 この人たちは組合に入つていないわけですね。
○加藤木證人 入つておりません。
○神山委員 それにしましても、離脱したのはいつですか。
○加藤木證人 離脱したのは二十三日、離脱した日に声明したのであります。
○神山委員 それはあなた責任をもつて言えますね。あなたがビラをごらんになつたのは二十三日かもしれないけれども、六月十日前後にもう五十九名の人が脱退したのじやないですか。
○加藤木證人 脱退しようとする動きは自由同志会を結成した当時からあつたように聞いております。ただふんぎりがつかなかつたのは、彼らに言わせれば現執行部から受ける暴圧が恐しいのだということを言つております。
○鍛冶委員長 二十三日に見たのですか、二十三日附のビラを見たのですか、どつちですか。
○加藤木證人 二十三日附だと思いますが、見たのは二十三日です。
○神山委員 いや、そうじやない。二十三日に見たのははつきりしてるが、二十三日附であつたかどうか。
○鍛冶委員長 だから、それを聞いておる。
○加藤木證人 それはメモしてありますから、それを見た上でないとはつきりしませんが、記憶では二十三日だと思います。
○神山委員 それじや、そのメモが來てからでいいですが、あなたの先ほどのお話と土橋君が言つたこととどんな関連があるのですか。
○加藤木證人 土橋さんが國会報告演説会に言つたその内容を聞いて離脱者は、率直に申しますならば、離脱の名分に利用したのかもしれませんが、その話の内容によつてもう相手にならないという決意を新たにして離脱したとビラの内容にも書いてあつたと思います。
○神山委員 それはけつこうです。矢郷の問題についてあなたはだいぶお詳しいようですが、去年の十月ころから遅配その他があつたということは御承知ですか。
○加藤木證人 遅配というよりも分割拂いをやつておつたように聞いております。
○神山委員 そんなもんですか。そのために矢郷の人たちの生活状態はどうだつたでしよう。
○加藤木證人 一般的に低下しておつたことは事実であります。
○神山委員 低下の状態はどうですか。たとえば食べる物がほとんどなくなつて、あかざやすかんぽまで食つていたということですが、そういうことをお聞きになつたことはありませんか。
○加藤木證人 その点までは聞いておりません。暮にお餅もつけずにかなり困窮していたということは、私も民生委員をやつておりますので、民政委員会でそういう話も出たことがあつたようです。
○神山委員 そのことが六月三日の町会において主食の掛賣を認めるということになつて來る一つの原因じやなかつたでしようか。
○加藤木證人 そういうことも考えられます。
○神山委員 それに反対したのは社会党の人だという、きわめて光栄のあることをおつしやるのですが、川島、花塚という人はどの党に属してるんですか。
○加藤木證人 内郷町の町会議員の分野を申しますと、共産党議員が御承知の通り五名です。社会党が六名です。その他は岳風会という同志組織を持つておりまして、これは保守党系の議員です。
○神山委員 それは何名いますか。
○加藤木證人 現在総数は二十九名ですから、共産党の三名社会党の六名を引けば二十名です。そのうちさらに常磐炭鉱出身の町会議員が五名おりますが、この方は岳風会に所属しておりません。
○神山委員 このうちで社会党を除くすベての人が、初めの場合に主食掛賣の問題について賛成されたのですね。
○加藤木證人 最初も二度目も社会党は実態がわからないで救済方法を審議しろといつたつて信義の手がかりがないから、調査の上でこの問題を檢討すべきであるという修正意見を出したのですが、修正意見も含めて反対であるという採決の仕方をしたので、形の上では反対という結果を生んだのです。
○神山委員 事情はそれでわかりましたが、一應六月三日には多数決で通つたんですね。
○加藤木證人 二度目の採決で通つております。
○神山委員 それがあとでひつくり返つたのは六月八日ですか。
○加藤木證人 そうです。
○神山委員 町会の議長は菅本君というのですね。
○加藤木證人 菅本三善です。
○神山委員 この人は内郷の生活協同組合の理事長の地位を占めていて、いろいろ不正なことがあつたというが、あなた御承知ないですか。
○加藤木證人 内郷地区委員会ではかなりそういつた壁新聞を張りまわしておりますが、その眞相については一切資料を持つておりませんのでお答えできません。
○神山委員 序でにお聞きしますが、内郷町には労務係というのがだいぶいるらしいですが、どのくらいいますか。
○加藤木證人 それも資料を持つておりませんので数字を申し上げられません。
○神山委員 大よそでもわかりませんか。炭鉱側の労務係の数ですね。
○加藤木證人 相当おります。
○神山委員 こういう人々を町ではどういうふうに見ていますか。
○加藤木證人 労務係は大体現場の賃金、就業日報や何やらやつておるのですが、一應私たちの立場からちよつと今まで注目しておつたのは、警備隊という組織が労務係の中にあるのですが、この行動については私たち大きな疑問を持つております。
○神山委員 そこを聞きたいのです。
○加藤木證人 その点については疑問を持つているだけで、データはつかんで持つておりません。
○神山委員 そこでお聞きしますが、先ほど三十日の事件が計画的であつたかどうかという質問があちこちから出ましたら、あなたは、事実を率直に言うという前提のもとにおつしやつた。ところがおつしやつたことは事実ではなく、こういうふうに考えてる、あるいはこういうふうに推測する、すなわち二十八日に東京を立つて郡山を通つて綴に帰つて來た人があるという事実と、平のあれだけの大衆動員をすることについては、あなたのかつての経驗から言えば相当の準備がなければならぬ、從つてそう思う、こうおつしやつた。從つて私が聞くのは、これはあなたの推論であつて事実ではないではないか。こういう問題です。
○加藤木證人 率直に申し上げます、というのは、古口部長が私に言つた言葉を率直に申し上げれば、というのであつて……。
○神山委員 それならいいのです。 さらに言つておきたいことは、あなたはもちろん社会党の常任書記として長く活動していらつしやるわけですが、社会党が行われる今までの大衆動員、また共産党が行つた今までの大衆動員と、民主自由党が天下を取つて行われた政治の結果起つて來る自然発生的な大衆運動、こういうものの間に質的な開きがあるか。あなたも賢明な社会党常任書記として、氣がついておりませんか。
○加藤木證人 社会党、共産党以外の組織が大衆動員したということは、私いまだかつて見たことがありません。
○神山委員 それじや從つて今までの経驗云々ということは言えないことになるわけですね。
○加藤木證人 社会党でも共産党でもやはり大衆に基盤を置いて、大衆の組織の上に立つ以上、組織活動の面で相共通するものがあると私は考えております。
○神山委員 ただ私が言うのは、從つてもしもあなたに大衆動員の経驗があるとすれば、最近における大衆の動きは今までとは質が違うのではないか。それからもしもあなた自身が大衆動員した実際の経驗がないのだつたら、そういう結論は出て來ないのじやないか。この点についてのあなたの断定は少し民主自由党に親切に、結果においてはなるのですがどうですか。民主自由党の諸君はよく誤解するので一言聞いておくのですが、矢郷炭鉱は前から全石炭系であつた。そうですね。
○加藤木證人 そうです。
○神山委員 壽と笹島ですが、これは日鉱糸だ。そうじやないですか。
○加藤木證人 これは全石炭です。
○神山委員 後には全石炭に入りましたが、前にそういうことはありませんでしたか。
○加藤木證人 二十年の暮れから二十一年の春ごろまでは、たしか日鉱系の、その当時の常磐地方鉱区組に所属しておりました。
○神山委員 それが余石炭に行くようになつたのについては何か事情がありませんか。
○加藤木證人 事実を申し上げますと、当時の鉱区組に所属した組合幹部は共産党に入つておつて、杉田金四郎君の反幹部運動によつて倒れております。その後全石炭に加盟しているような状況であります。
○神山委員 反幹部運動が向けられた相手はだれですか。
○加藤木證人 今共産党に入りました山内民藏です。
○神山委員 あなたはこの場合どつちの立場におりました。
○加藤木證人 その当時は鉱区組の本部の常任書記をしておりました。
○神山委員 そうすると、あなたはこの問題については全然関係がないわけですか。
○加藤木證人 下部組織として連絡に当つております。
○神山委員 そういうふうな事情に詳しければ、結論的におのずから明らかになることですが、先ほどおつしやつた全石炭がさらに民主的な労働組合運動をやつていないというようなことをあなたはおつしやつていますが、これはどういう意味ですか。もつと具体的に言つてもらいたい。
○加藤木證人 私は労働組合の事務所に一ぺん松井代議士と一緒に入つたことがあるのですが、組合事務所に行くと、なるほど賃金値上のための鬪争らしいスローガンを掲げておりまして、めずらしいと思つて見たのは、その中に生産復興鬪争をやろうというスローガンが一本入つていた。にもかかわらず最近の行動は、生産復興鬪争よりも警察署にデモすること、内郷町役場にデモすることが中心になりまして、山はからつぽであります。
○神山委員 そこで私の質問が必要になつて來たわけですが、生産を阻害している直接の原因があなたの今のお話だけを聞くとあたかも共産党系幹部、その人のためにそういうようになつているという印象を受けますが、あなたは日本の石炭産業の苦しい状態、その中でも特に著しい常磐の事情を知つていらつしやるでしよう。日本の現在の炭鉱が何のために苦しんでおるかあなたは知つていますか。
○加藤木證人 それは非常に問題が大きくなつて私の答弁する限りではないと考えます。
○神山委員 あなたが答弁する限りでなければ、私はあえて言いませんが、現在日本の炭鉱の困難の直接の原因は民自党の政策の結果である……。
○加藤木證人 その問題についてはこの前の配炭公團法の一部改正のとき私もハンガー・ストライキでともにいろんな連絡に当つておりましたので、自分の與えられた立場に立つて、あの公團法については反対の運動に参加しております。
○神山委員 あそこに掲げられたスローガンをひとつ言つてもらいたい。ハンストの前に掲げられた……。
○加藤木證人 資料を見ればお答えできますが、今記憶してないのですが、あくまでも掲げたスローガンはやはりメリット制反対だと思う。これだけは言えます。
○神山委員 あの方式を強行したのはほかならない民主自由党が圧倒的多数で押し切つた。從つてあなた方はハンストをやらざるを得なかつた、炭鉱業者そのものが町や警察署に向つてデモせざるを得ないのは、町の今のような主食がないという問題、賃金の欠配があるという問題、それから首切りがあれば警察は公安委員とも連絡をとらないで直接彈圧して來る、こういう事実があるのですが、あなたも炭鉱労働者の氣質を知つておれば、当然そこに向つて行かなければならないのではないか。
○加藤木證人 そういう困難な状態は私たちもよく承知しておりますが、困難を解決する方式において大きく異なつているということを申し上げます。
○神山委員 そこであなたはさつきから言つている自由同志会、これを支持しており、さらにまた矢郷同志会とあなたはくつついている。このことによつて炭鉱労働者の中に分裂を持ち來しているという事実も同時に明らかになるのでないか。
○加藤木證人 私は先ほどもはつきり申したと思いますが、彼らは五十九名を離脱して、われわれ社会党に支持を求めて來ておりますが、われわれは労働組合の立場に立つならば、離脱する、第二組合をつくるということは原則として反対であるということを申しております。
○神山委員 現在の組合運動の分裂、これはすでに明らかな國鉄の分裂やあなた方の分裂があるが、それにもかかわらず、そこに現在の経済的な危機があり、そうして会社が警察を使つて彈圧している、こういう事実がある限り、前途には幾多の困難があるだろうが、組合運動を分裂させないで、意見の違いは中で解決しながら協力されんことを希望して、これくらいにしておきます。
○鍛冶委員長 それでは済みました。 本日はこれで散会いたします。明日は午前十時から開きます。 午後八時二十八分散会