考査特別委員会 第19号
- 発言数
- 473 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1949/07/12
会議録
○鍛冶委員長 会議を開きます。 國鉄労組中央委員会の実力行使決議事件について調査を進めます。早速証人より、証言を求めることといたします。 本日の証人は澤田廣さん、中村強さん、足羽則之さん、殖田俊吉さんの四名でありますが、法務総裁殖田俊吉君は閣議の都合で多少遅れるそうでありますから御了承願います。 証言を求める前に各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられかつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 〔証人澤田廣君各証人を代表して宣誓〕
○鍛冶委員長 署名捺印願います。 〔各証人宣誓書に署名捺印〕
○鍛冶委員長 証言を求める順序は澤田さん、中村さん、足羽さんの順序でやりますから、澤田さん以外のお方はもう一度元の控室でお待ち願います。 —————————————
○鍛冶委員長 澤田廣さんですね。あなたは現在鉄道に勤めておいでのようですが、どこで何をやつておいでになりますか。
○澤田證人 國鉄の大宮工機部の委員長をやつております。
○鍛冶委員長 なお國鉄労組の役員をやつておいでになりますか。
○澤田證人 やつております。
○鍛冶委員長 何ですか。
○澤田證人 中央委員をやつております。
○鍛冶委員長 いつからおやりですか。
○澤田證人 任期は一年でありますから、今年の四月の選挙で一應現在の中央委員はやめることになりますが、その前の年も中央委員でありました。その前の日付はちよつと忘れましたが、三年近く中央委員であつたことは事実であります。ただ中央委員の中から執行委員が選ばれておりましたので、せんだつての大会前は執行委員であつたことを申し添えておきます。
○鍛冶委員長 それでは執行委員はいつおやりになつたのですか。
○澤田證人 今年の大会ですから、五月の大会から中央委員になつた。それ以前は執行委員でありました。
○鍛冶委員長 第十五回國鉄労働中央委員会が昭和二十四年六月二十三日から二十六日まで熱海の公会堂で開かれたようでありますが、証人はそれに御出席になりましたか。
○澤田證人 出席いたしました。
○鍛冶委員長 その委員会の議長は新川さんで、副議長は中村さんのようですが、間違いないですね。
○澤田證人 その通りです。
○鍛冶委員長 この委員会に出席した委員諸君の色わけと申しまするか、何派とか何派とかあるようですが、そういうのは大体わかりませんか。
○澤田證人 政党みたいに派ということは明確に——個人がどこに入つておるかというおのおのはあるかもわかりませんが、何派が何名という正確な数字まで存じておりません。
○鍛冶委員長 大体でよろしゆうございますが……。
○澤田證人 大体といつても採決の結果に現われている数字がまあそう言えばそう言えるのではないかというふうに考えられますが、それ以外については正確な数字は私存じていないわけであります。
○鍛冶委員長 この委員会で決議された事項は題目だけでよろしゆうございますが、どういうことが決議になりましたでしようか。
○澤田證人 大体大きな問題だけ申し上げますと、公共企業体移行に伴う取扱い諸措置でありますが、これが一つ。それから附帶的な問題としては運動方針であります。闘争方針であります。
○鍛冶委員長 そこでその闘争方針についても幾つかの項にわかれたり号にわかれておるが、その点はいかがです。
○澤田證人 一項から五項までわかれておつて、二項が大体今までの闘争の経験を生かすということでありまして、二項、三項、四項、五項、それぞれ遵法闘争とかあるいは不正摘発とか、そういうような事項でありまして、あとはいわゆる第六項、ストを含む実力行使というような点になつておるものであります。
○鍛冶委員長 大きくは大会決議の具体化、第二項は闘爭目標、第三が具体的闘爭方法こうなつておつたんでしよう。
○澤田證人 具体的に申し上げますとそういうことであります。
○鍛冶委員長 そうして具体的闘爭方法のまた一から六まであつて、その六が今おつしやつたストを含む実力行使こういうことになるんでしよう。
○澤田證人 そういうことであります。
○鍛冶委員長 そこでこれらの事項のうちで最も議論のあつたものはどれでありました。
○澤田證人 第六項であつたと考えております。
○鍛冶委員長 それで結局第六項として決議になりました内容を承りたい。
○澤田證人 最悪の場合はストを含む実力行動に入る、それで最悪の場合の判定は本部の團体交渉が決裂したときである、それから闘爭の集約は中闘において行う、こういう三つの條件において決定されておるのであります。
○鍛冶委員長 そのほか何か了解事項のようなものがそれに附帶しておつたというのですが、それはどういうのです。
○澤田證人 了解事項……。
○鍛冶委員長 集約は中闘の責任において行うのですか。
○澤田證人 そういうことです。
○鍛冶委員長 これも決議ではなくて了解事項だという人があるそうですが……。
○澤田證人 いや、これはやはり採決することのみが決議ではないというふうに私考えておりますが、その場会議長から確認されて異議がなければやはり決定されたものであるというように解釈して申し上げております。
○鍛冶委員長 それでは議長から確認されたものにまた何か付随としてあつたのじやありませんか。
○澤田證人 委員長が言わんとしておるところの含みが私にはわからないのですが……。
○鍛冶委員長 そういう集約は中闘の責任において行うというのと一緒に了解事項がありませんでしたか。
○澤田證人 議長決定としては三項目であります。
○鍛冶委員長 ところで、この決議に至りまする原案は井上企画部長が提案されたそうですが、間違いございませんか。
○澤田證人 間違いありません。
○鍛冶委員長 それは井上君が企画部長として起案もし、さらにこれを提案理由の説明もせられたのですか。
○澤田證人 立案については、私中央委員でありまして、どなたがやつたということについては確かではございません。しかしながら井上中闘委員が提案したということは事実私が目撃しておりますので、間違いない。それからあと聞くところによれば、それは中闘委員会では審議はしてなくて、井上氏が立案したものを提案したのであるということは中央委員会の席上でも聞いておりました。
○鍛冶委員長 その点ですが、そうすると井上君が立案して中央闘爭委員会へかけて、それで中央闘爭委員会では審議はしてなかつたが、井上君の試案としてこれを提出することを認めた、こういうのですか。
○澤田證人 その通りであります。
○鍛冶委員長 試案ですか。それとも中央闘争委員会の案ですか。
○澤田證人 それは試案ではない。やはり中闘委員会の案として提出することを認めたのであるというふうに私は解釈しております。
○鍛冶委員長 井上の試案を中闘委員会が認めて出した、こういうことですね。
○澤田證人 その内容を認めたということではなくて、出すことを認めたのだというふうに解釈しております。
○鍛冶委員長 ところが今おつしやつた決議と原案とは相当の違いがあつたようであげますが、原案は御承知ならば、どういうものであつたかをお述べ願いたい。第六項だけでよろしゆうございます。
○澤田證人 第六項ストを含む実力行使を行う、発車をとめることと動かすことは國民の意思によるよう準備すること、この場合いかなる官憲の弾圧や命令があつてもやめない、一分会、一支部も孤立させないよう闘う、以上であります。
○鍛冶委員長 そこで承りたいのはこの内容でありまして、この内容について説明せられたことをわれわれは承りたいのですが、列車をとめることと動かすことは國民の意思によるよう準備すること、これはかみ砕いて言つたらどういうことに聞いてよろしいのですか。
○澤田證人 これは別に答弁を拒否するつもりではないが、昨日あるいは一昨日、井上さんをお呼びになつておられることと思うので、その内容を私が解釈申し上げることが若干おかしいのではないかと思います。それで私はどういう内容を持とうともこれには反対なんでありまして、これはやはり井上さんをお呼びになられたときに、その内容については十分お聞きとりになつておるのではないかと思うのでありますが、私に解釈せよというと、私なりの解釈でよろしいのか、それとも……。
○鍛冶委員長 井上君が提案理由として説明されたところを聞きたいのです。
○澤田證人 この点は、列車をとめること、動かすこと、これは記憶が若干薄らいでおりますので、あるいはちよつと明確な御回答にならないかもわかりません。その点御了解願えれば申し上げますが、ただ列車をとめること、動かすことは、ちようど例を申し上げますと、人民電車を動かしたようなものであるということが私の結論として残つた。列車をとめることと動かすことは、國民の意思であるというふうにお答えになられたようであります。これは提案理由の説明と、質疑應答の中にもそういう言葉が出まして、それに対して若干議場が騒がれた様子があつたことだけ申しそえて、私らもこういう内容をあえて氣にとがめておりませんで、ただ反対であるという意思だけは持つておりますので、その点についての回答は非常に不明確であります。
○鍛冶委員長 この場合いかなる官憲の弾圧や命令があつてもやめないというのは……。
○澤田證人 これも今申し上げたように、官憲の弾圧や命令によつてもやめない、この通りでありまして、その敷衍された説明はなかつたように記憶しております。
○鍛冶委員長 進駐軍の命令があつてもということはあつたのですか。
○澤田證人 そういうような発言もあつたようです。これは不明確だつたので私は申し上げなかつたのですが、あるいは進駐軍の命令があつて、ラジオにたたかれるようなことがあつてもやめない、こういうことを言つたと記憶しております。
○鍛冶委員長 一分会、一支部も孤立させないように闘うということは……。
○澤田證人 これは分会、支部が孤立してストライキなんかに入つた場合においては、見のがさないでそれを應援してやつで、行くように闘うのだという意味だと解釈しております。
○鍛冶委員長 そこでこの提案に対して大へん議論があつたようでありまするが、その議論のあつたおもなるものを記憶のある程度で承りたい。
○澤田證人 賛成の方から申し上げることにいたしますが、賛成としては今回の吉田民自党内閣の行われた定員法による首切りに対して、團体交渉権も剥奪されたわれわれ労働者が、ではどうやつて自分の首切りを防ぐかという問題に対して團体交渉権もないという段階からその首切りを防ぐためには実力行使もやらなくてはならないのではないのではないかというりが大体主要なものであつたろうと思います。それに対する敷衍的な説明がその他の事情として起つたものと解釈しております。それから反対の立場に立つたものとしては、いかに苦しいことがあるかもわからぬが、ともかく法治國家としては、法律を國会において再び覆すために臨時國会の召集等をやらなければならないのであつて、それは合法約な戰術においてあくまでも行うべきである。以上のような点に対するそれぞれ敷衍的な討論が行われたように記憶しておるわけであります。
○鍛冶委員長 質疑應答でも大へん活発な議論があつたようですが、注目すべきものがありませんでしたか。
○澤田證人 指令権についてだけは今日なお問題を残しておるのでありまして、いわゆる本部提案においては指令権は行動を決議するそれぞれの機関が指令権の存在であると質疑應答の中では提案されておつた。この点がやはり今後の組合内部の問題といたしましては残つておる。
○鍛冶委員長 そこで決議したそれぞれの機関が指令権を持つておるという議論と、そうじやないという議論があつたのですか。
○澤田證人 議論ではなくて質疑應答としては指令権の存在に対する質疑があつて、それに対する答弁としては、今申し上げたように、指令権とは行動を決議する機関が指令権の存在である、こういうふうに答弁がされた点が質疑應答の中では重要な点であつたと私は考えております。
○鍛冶委員長 その点はどういうことに結局きまつたのですか。
○澤田證人 それが明確には結論づけられてないわけであります。ただこれは私の提案の中にあつた点が、若干字句としては修正されておりまして、その意味を含んでおるとも言えれば含んでないとも言えるのでありまして、最悪の事態は本部團体交渉が決裂したときである、その決裂したものを判定するのはだれが判定するかということはきまらなかつたということになるわけです。
○鍛冶委員長 結局本部で判定するのではないですか。
○澤田證人 一應本部が判定するのであるという解釈で私は提案したのでありますが、やはりその間非常に疲れておつたのではないかと思つておりますが、ともかくそういうような言葉では、いわゆる本部の團体交渉が決裂したときであるというふうに決議はされておる、こういうことであります。
○鍛冶委員長 今あなたの説明を聞いて初めて氣がついたのですが、先ほど井上君の提案の説明のところで承りますのに、一分会、一支部も孤立させないように闘うというと、一分会、一支部においても単独実力行使を行うということがあり得ることを前提としておる。それからそういう議論が出て來たのではないですか。
○澤田證人 そういう言葉によつては出なかつたのです。
○鍛冶委員長 解釈はそういうことになるわけでしよう。一分会、一支部も闘うことがあるからそれを孤立させないようなことになるのではないですか。
○澤田證人 それはやはり井上氏の立案したものでありますから……われわれとしてはこういうものに反対であつて、やむを得ない場合においては闘爭が行われなければならないと考えておるわけでありますから、その内容を説明しろと言われても私としては非常に……。
○鍛冶委員長 説明ではない。それからそういう指令権が部分的におるのか、中央でなければならぬのか、こういう議論が出で来たのではありませんかと聞くのです。
○澤田證人 これは質問したのは高崎の大和委員でありますが、内容の意味するところは今までのように統制を乱したいわゆる國電ストというようなもの、あるいは中央の指令に從わないで起つておる事態を認めたような態勢があつたので、はたしてその行動を規定するところの指令というものはどこにあるのであるかということに対する質問で、この字句から必ずしも出たものではない、いわゆる過去の経験なり実態から推して指令権というものの存在がどこにあるかということを突きとめたいという質問であつたと私は解釈しております。
○鍛冶委員長 よくわかりました。そこでこういう決議ができたわけでありまするが,しからばこのストを含む実力行使という内容でありまするが、ストはわかるがスト以外の実力行使とはいかなるものであるという提案でありましたか。また提案でなくてもどう解釈しておいでになりましたか。
○澤田證人 これはわれわれ中央委員会では別に実力行使というものの内容は規定づけられなかつた、これだけまず申し上げておきます。そのほかにわれわれが考えられるのは、やはり生産管理であるとか、細い問題としては、休暇の問題であるとか、基準法の完全実施であるとか、いろいろそういう問題が今までもないではなかつた。そういういわゆる軽度なものという印象をもつてわれわれは聞いておつたと思つております。実力行使というのは、業務命令に対する違反をある程度覚悟した上において行うという意味において解釈をしておる。
○鍛冶委員長 違反を覚悟の上で……。
○澤田證人 そういうことです。
○鍛冶委員長 そうすると、こう承つてよろしいですか。闘争方針の一ないし五までは、先ほどあなたがおつしやつたように、宣傳を強化するとか、遵法闘争を活溌にするとか、不正摘発とか、そういうものがあります。これらの方法をもつてなお目的を達せない場合、いわゆる最悪の場合が来たときには、実力行使をやるということで、五以外のこれより強いものをやるという意味でありましようね。
○澤田證人 これはそう形式的にばかり分類できるものではないと思います。一項から五項までが第一段階で第二段階が六だというふうに、單純には決定できないものであろうと思います。あるいは一項から五項、六項がいろいろと交錯された形においで出て來るということを予想したものがやはり闘爭の実態ではないかと思いますから、もしこれを前提として考える場合には、一項はこうだ、二項はこうだということを意識して行うことよりも、それに一項から五項がそれぞれ関連性のあるものとして有機的な活動が行われるのであつて、必ずしも五項の次の段階が六項だという意味ではないだろう、こういうように解釈します。
○鍛冶委員長 しかし五項までのものよりも強い意味でなければ、あらためて六項として言う必要はないじやないか。
○澤田證人 もちろんそういう意味も入つておるが、六項がそういう意味だけを持つているというわけではない、こういうことであります。
○鍛冶委員長 そこで決議が行われます以上は、これは組合員全体を当然に拘束することになるのですか。
○澤田證人 組合の規約によれば当然拘束するものと思います。
○鍛冶委員長 拘束せしめるには、その決議を何か周知せしめるとか、または命令的に出すとか、そういうようなことは必要ないのですか。決議したということがわかれば、もうそれでよろしいものなんですか。
○澤田證人 官廰の就業規則のような周知徹底の義務というようなことは、明確には書いてないが、それはやはり中央委員が帰られるなり、傍聽者が帰られるなり、あるいは新聞、あるいは情報、こういうような各種のものによつて総合的に傳えるということが、今日までの既往の経験であります。
○鍛冶委員長 その点さえあれば、全部の組合員が拘束される、こういうことになるのですね。
○澤田證人 決議については拘束されます。
○鍛冶委員長 あなたの組合では決議機関と執行機関というものはわかれているそうですね。
○澤田證人 わかれております。
○鍛冶委員長 あなた方は中央委員だから決議機関へ加わるわけですね。
○澤田證人 そうです。
○鍛冶委員長 執行委員は執行機関であつて、決議に加わらぬ、こういうことですか。
○澤田證人 決議には加わらないのです。
○鍛冶委員長 そうすると、決議があれば組合員全体が拘束されると同様に、執行機関としても決議に從つて執行すべき義務及び権限が與えられるもの、こう解釈してよろしゆうございますか。
○澤田證人 そうです。
○鍛冶委員長 熱海の大会において、ストをも含む実力行使を行うという決議ができました以上は、あとは何の決定をも要すせずして、執行機関において最悪の場合来れりとすれば、ただちにストの指令を出していいということにまで立至つたもの、こう解釈してよろしゆうございますね。
○澤田證人 そうです。
○鍛冶委員長 それではどなたかお聞きになることがありますか。
○小川(半)委員 澤田証人にお尋ねいたします。熱海における第十五回國鉄労働組合中央委員会の決議事項の中で一番重要視されたのは、第三の六項、最悪の場合はストをも含む実力行使を行うというこの事項で発つたようでありまするが、証人はこの第六項が提案された際にこの事項に対して反対されましたか、賛成されましたか。
○澤田證人 これは今までのお答えの中で申し上げておいたところでありまして、結論は私は反対したわけであります。しかし何回も反対々々ということは、一貫してよくお聞きになつておいて、一回意思発表をしたらば、それで実の問題に入つていただきたいと思います。
○小川(半)委員 反対されましたそのあなたの心境、理由をお述べ願いたいと存じます。
○澤田證人 私の反対した理由は四つの條件をあげました。定員法を粉碎するなり首を防ぐのには四つの方法がある。一つは臨時國会を召集して、そこで定員法を否決するなり、あるいは修正させるという方法である。もう一つは実際の運輸收入をそれだけあげて六十万の人間を雇つて行く方法である。もう一つは、五十万三千の予算しかないから、みんなのべースを切り下げて六十万の予算にしてこれを救う方法がある。もう一つは、実力行使によつて國会で決定されたことをひつくりかえして、その國会をひつくりかえした力によつて、國会の中で再び定員法をつくり予算をつくるという方法がある。この四つの方法がある以外には私は方法はないものと考える。こういうところに私の討論の内容があつたわけです。特に今回の定員法は、單に人員のみではなくして予算を組んでいるから、人員だけが防げても、それだけの予算を伴わなければやはり意味がなくなるので、当然今回行われた二十四年度の予算も修正させるだけの実力行使を行つてやらなければならぬ、いわゆる革命を遂行しなければできないであろう。そこで私の結論は、われわれが首切りを防ぐ方法として四つあるという前提に立つて、臨時國会召集によつて行うべきであるという結論をつけたわけであります。そうして法治國家であるとか、あるいは占領下にある冷厳な事実であるとか、あるいは現実の組合員の主体的な條件であるとか、あるいは現在の定員法によつて出された犠牲者にさらに犠牲者をつけ加えることによつて、何らプラスにならないのではないかということを申し上げたわけであります。しかしながら、私らがこういうことを言うことは非常につらいことなのでありましで、あえて首切りが行われる場合において、次の臨時國会もおそらくは民自党の人々が多い國会でありますので、はたして臨時國会を開いても皆さんにわれわれの言うことを聞いていただけるかどうかということは非常に不安である。しかしそれ以外にわれわれが合法的に戰つて行くという方法はない、こういう結論にわれわれは到達しているわけです。ですから中央委員会においても、團体交渉権もない、あるいは次の臨時國会を開くという点においても、やはり民自党の方々が多いから開いてもむだじやないか、そうなつたら自分の首はどうやつて防げるのだろうというような氣持がこの最悪という問題にまで発展したのではないかと考えますけれども、しかしながら、それだからといつて、われわれはそういう状態を好むものではなくて、それは民自党の方々であろうとも、誠意をもつてお話すればあるいはわかるかもしれないというわずかな望みをもつて、臨時國会の召集を要求し、やはり法治國家のもとにおいて職つて行こうということを私としては考えておつた、こういうことであります。
○小川(半)委員 そうした一つのいろいろなあなたの思想、あるいはあなたの見た客観情勢、あるいはあなたの所属しておられた——あなたは民同系の人だと思つておりまするが、そういう立場もあつたでしようが、第一番に、要するにそういうことは公共企業体労働関係法第十七條に違反する行為であるということをその際にお認めになつたかどうか、お尋ねしたいのです。それが大きな重要な問題じやないかと思うのですが……。
○澤田證人 もちろん私が申し上げた中に、法治國家であるからその法律に從わなければならないということは、一應前提として申し上げておるわけでありますから、この際の決定が規約の面においても、あるいは公共企業体労働関係法第十七條というような、爭議権というものを持つていないということも、おそらく中央委員諸君は承知の上だつたものと考えております。それがただ承知したが、そこで治まるかというと、そこにやはり割り切れない一つの感情があつて、ああいう形になつておつたのではないかと考えます。
○小川(半)委員 よくわかりました。おそらく他の中央委員の方々も、冷静に現在の日本の状態、あるいは國鉄のあり方を考えるとき、おそらくあなたのようなお考えに到達することが至当だろうと思うのです。しかるにあなた方の考えがくつがえされて、そして実力行動に訴えるということに、その勢力によつて遂に大会において決定したということは、私はそこに何か言い知れない一つの無形の暴力、要するに、威嚇的なものが相当会場において(発言する者あり)——会場の雰囲氣というものは、何かそうしたもの、威圧的な感じを與えなかつたかどうかということをお尋ねしたいのです。
○澤田證人 私も本部生活を三年やつて参りましたが、中央委員会において、そう感じたことはありません。
○鍛冶委員長 佐々木君。
○佐々木(秀)委員 澤田さんにお尋ねいたしますが、ちよつと今までの証人で、はつきりしない点がありますので、それをお尋ねしたい。 先般鈴木副委員長の証言によりますと、第六項の実力行動を行うという、この決議の際に、中央委員が全員賛成なり反対なり発言されたということでありましたが、それは事実でございますか。
○澤田證人 全員は発言しておりません。やはり代表的な発言として終つたと思つております。
○佐々木(秀)委員 もう一つ、はつきりしない点がありますが、これは費用の点でありますが、鈴木君は、熱海における費用は大体百万円ちよつと以上だというお話でした。菊川君の話では三百万円ぐらいじやないかというような話ですが、それがあまりにも両証人の証言が食い違つておりますので、あなたとしては大体どのくらい費用がかかつたとお認めでございましようか。
○澤田證人 これは、私中央委員で、会計の方に携わつてないのでありまして、答えられないと思うのでありますが、今までとは、またやはり物價の変動、あるいは場所柄の点もあるだろうと思いまして、非常にその点、私中央委員でありまして、わからないことをお答えできません。見当がつきかねますから、差控えたいと思います。
○佐々木(秀)委員 もう一つ、中央委員会の費用はもちろん組合の費用でまかなうのでしようが、この間どなたかの証言か知りませんが、鈴木君は百万円、菊川君の話によると三百万円、大分違うじやないかと言つたところが、中央委員だけの費用ではない、そのほかに何か地方からおいでになられる方方があるように私考えたのですが、大会に、中央委員以外の方で費用を出すような方が出席されるのでございますか。
○澤田證人 それは原則としてはないと思いますが、あるいは中央闘爭委員会の中で、その招待した人の費用の一部を負担するというようなことは、あるいはあるかもわかりませんが、それはやはりこまかい会計面上のことでありますので、私詳しく、ではどういう種類のものに——今質問された方は傍聽者とか何かの関係じやないかと思うのでありますが、そういう点にはございません。
○佐々木(秀)委員 わかりました。そうしますと、費用の点でなく、ほかの、形で招待されるということになると、どういう関係の方々の接待ということになるのでございましようか。
○澤田證人 これも現実をつかまないと、やはり空論になるおそれがあるのですが、一億今までの慣行を申し上げると、やはり来賓と言われれば、政党の方々、あるいはその他いろいろ國鉄労働組合を援助してくださる方々、その他單産の方々、これは普通はみな來られる方が負担しておるようであります。しかし一部あるいは、やはりお呼びする関係上負担する場合もあると思います。單産の方々、あるいは政党の方々、常に國鉄なら國鉄をいろいろな立場に立つて援助していただかなければならないという立場の方には、あるいはそういうような分で一部負担するという場合もあります。
○佐々木(秀)委員 今回の大会では、まだ会計報告もないでしようから、詳しいことがおわかりにならないのは当然だろうと思いますが、前の中央委員会とか、大会等において、大体どのくらいな人員が、そういう招待や何かによつて、参加じやないでしようが、参集されたか、おわかりでございましようか。
○澤田證人 私本部にいても、会計のことをやつたことがないのでありまして、あまりあてずつぽうを申し上げるということも控えたいと思いますので、一應わからないということで御了解願いたいと思います。
○佐々木(秀)委員 わかりました。
○吉武委員 私は証人にひとつお聞きしたい。それは先ほど來おのべになつた事ことでありますけども、決議されました最後の第六項目についての意味がまだはつきりしない点がございまするので、重ねてではございますが、もう一度、お尋ねしたいと思います。 そこで、第六項目一の井上君の提案になりました原案の意味と、それから修正されましたところの意味についてお尋ねをしたいと思います。井上君の提案されました第六のストを含む実力行使を行う、これは、その内容の説明のありました点は先ほどお答えがあつたのでありますが、そのうちで最後の、一分会、一支部も孤立させないよう闘う、これは井上君の提案でありますから、あなたにその眞意をお聞きすると申しましても、わからないかもわかりませんが、一應、中央委員のあなたとして、これをどう御解釈になり、また他の委員もどう解釈するのが至当であろうかという点においてお答えを願いたいのであります。 そこで、私の考えますのに、一分会、一支部も孤立させないように闘う、こういうことは、すなわち一應ストライキはゼネストでありましても、あるいは部分的なストライキでありましても、中闘委員会において御決定になつて、指令の上に動くというのが、これが組合運動の正しいあり方であろうと思うのでありますが、しかし過去の経験によりますというと、実はそういう形をとらないで、先般の國電ストにおきましても、各分会あるいは支部においてそれぞれ勝手に行つておる実例もございますので、この井上君のストをも含む実力行使を行う、しかもその内容にある一分会、一支部も孤立させないように闘うという意味から推しまして、この第六項目は、中闘において指令を出さなくつても、これが決定になれば、各末端の機関においてそれぞれ判定して行う意味のものであると解釈してよいものかどうかの御見解を承りたいと思います。
○澤田證人 ただいまの御質問でありますが、大体その通りだと申し上げてよいと思います。これは鈴木君の発言なり井上君の発言なりを総合的に考えて行きますともし原案のままと言いますか、修正されても中で一つだけ私の案が通つたわけでありますから、ちようどびつこの形になつておりますが、それがもし原案のままで通つたとすると今申し上げたように指令権の存在はそれぞれの機関において決定するという形に考える。それから闘争の形態はそれぞれの分会なり支部なりにおいて闘争をやつておく、いわゆる地域的なストということが当然この内容としては起るわけであります。そこでわれわれとしてはやはりその指令権と言うか、統一的な第六項が困難ではあるが、そういう中においてわれわれの活路を見出さなければならないという意味でわれわれは第六項なら第六項に、集約的な統一的な指令を説いたわけであります。ですから今申し上げたように闘爭の形態も違つて來ておる、それから闘争をどう動かして組織して行くかという指令の存在價値が変つて来ておる、この点が第六項の原案とあとの案との大きな相違点になつております。ただ最悪の場合の判定が——最悪の場合とは本部の團体交渉が決裂したときである、その判定がきまつてない、私の提案はその最悪の事態の判定は本部が行う、こういう意味で提案したのでありますが、それがそういうような言葉によつて表現されたわけです。でありますので私の言われた意味は含まれておると解釈して帰つた方もおるし、あるいは鈴木君の説明のようにそれぞれの機関で行動を決定するのだという説明と了解して帰つた委員もあるかと思います。で結局決定ざれた案の中においてはその指令権の存在ということは不明確なままにおいて散会されたことが結論としては残念ながら言わざるを得ないわけであります。そこでもしそれが指令権の存在が不明確だとなれば今吉武委員の言われたいわゆる指令権の存在も闘争形態もやはり別個な形態において行われるということはこれは言われるわけであります。しかし今言つたような意味が幾らかでも私の言つた意味で採決の結果、そうなつたということはそこに実質的には中央的な意味を相当含んでおるということが言われるのではないかということを申し上げたい。
○吉武委員 実は次の問題もお尋ねしようと思いましたら、今のお答えであわせてお答えいただきましたのでもう余分になると思いますが、そういたしますと修正されて、勘定の時期、いわゆる最悪の場合の判定は中央において團体交渉の決裂したときを言うとあります。從つてこの解釈としては決裂したときであつてもそれを判定して行使するのは本部であるというのはあなた方の御意見であるが、また意見を異にする方々は最悪のときは中央において團体交渉が決裂してもその判定をしてやるのは個々の支部あるいは分会でやると解釈するものもいたかむしれぬというふうに解釈してよろしうございますか。
○澤田證人 ただ結論は法律的と言いますか、解釈で行けばそういうふうになるかと思いますが、私の相手の案はその案であつたわけです。それぞれの機関で決定するという案であつて、私の案がこういう案であつたので、当然それが私の案で成立した以上はともかく、こちらの案は否決されたものと解釈はできるものと考えております。その意味から類推解釈をすれば当然これは中央であるということは確認できるわけであります。ただその採決目標の條件は今言つたようにそれぞれの機関で決定するのは、團体交渉決裂したときするという採決目標で採決したわけでありますが、採決の中には否決になつたから、それは現われてないと言える。しかし現われた文章の中にはそういう字句が入つていない、こういう欠点があるわけで、その点が今言われたように、相手の採決目標が否決されたのであるから含まれないということがわれわれとしては一應成立するのであるというふうに確信をしておるわけであります。
○吉武委員 わかりました。
○高木(松)委員 大体わかりましたが、私は本委員会の重点としてぜひ証人に聞いておきたい二、三の点をあらためて聞きたい。それは組合の活動、この形態及びその内容の問題ですが、私の方でもわかつておるところがありますが、あなたの口から特に聞きたいから重ねて聞くのですが、あなたの組合の意思決定機関、決議機関は何と何があるのですか。
○澤田證人 意思機関においては國鉄労働組合としては大会と中央委員会、それから各支部においても同じように大会、中央委員会、分会においても同じで、これは本部規約において明示されたものではございません。
○高木(松)委員 そこであなたの組合、全体として動く場合においては大会と中央委員会とが決議機関であつて、意思を決定することになるわけですね。
○澤田證人 そうです。
○高木(松)委員 そこでこの意思を決定したものを執行する機関は何と何とがあるのですか。
○澤田證人 執行委員会と場合によつては闘爭委員会です。
○高木(松)委員 そうしますると現実の問題に移りますが、先ほどの六の、最悪の場合はストをも含む実力行使を行うという事項は大会で決定すベき事項ですか、また大会に代る中央委員会で決定してもよろしい事項ですか。
○澤田證人 規約には明示されておらないのでありますが……。
○高木(松)委員 規約に明示されておらなくてもいわゆる規約全体の精神からくみ取つてどう解釈せられるかをお聞きしたい。
○澤田證人 これは個人の見解になることを御了承願いたいのでありますが、規約においては総罷業、総怠業は大会において三分の二の多数決をもつて決しなければならないとあります。そこでこのストをも含む実力行使という内容は、それを廣く考えて行けばこれはゼネラルストライキになるという仮想も考え得るわけでありますので、われわれはそれは一部であつても当然大会で行うべきであろうという意見を持つておるわけでありますが、やはり経費の問題あるいは時期の問題、こういう点を考えてやはり組合委員の要望するものは中央委員会で決定することもやむを得ないのでないかというふうに考えておるわけであります。しかしながらやはりその決定については三分の二の多数決制によつて組合が大会で決定することを中央委員会で決定するのであるから、やはり多数決制によつてきめることが組合員を納得せしめるところの要諦ではないかというふうに考え、私は主張したわけであります。
○高木(松)委員 そこでその決議方法は別として、その大会事項を中央委員会で代行しても、その権限ありという解釈のもとにおいて熱海の中央委員会は決議したことになりますか。
○澤田證人 もう一回言つていただきたい。
○高木(松)委員 大会事項であるべきものであるが、ただいま証人の言われた事情のために大会を開くことができない、そこで中央委員会が代行してこの六の事項を決定したと承つてよろしいかどうか。
○澤田證人 その通りです。
○高木(松)委員 その通りですか。そこで私はお尋ねいたしたいのだが、そうするとあなたの組合の意思決定機関である中央委員会が、いわゆる第六の事項を決定したということは、少くともあなたの組合としてはその行為の着手——着手という言葉は少し法律的だが、表現の方法がないが、意思決定をしておるのだから着手に当つておるわけだ。言いかえればあなたの組合の意思は、そういう内容の場合においてはこうするのだという意思の決定をして、そうして執行機関にその権限をまかしたことになりませんか。
○澤田證人 非常に法律的なような……。
○高木(松)委員 いや表現の方法が法律語でないとはつきりしないので、使いたくない法律語を使つたのだが、これはどちらから解釈しても、とにかくその言葉に当てはまつた何か上手な表現があれば上手な表現でお話くださつてけつこうでありますが、大会がきめたこと、中央委員会がきめたこと、言いかえれば組合全体の意思が決定されたことを、その執行を一切中央執行機関にまかせたということでありますか。
○澤田證人 当然そういうことになります。
○高木(松)委員 そうするとこの大項の條項を解釈する、たとえば最悪の場合とか、團体交渉決裂とかいう解釈をする分は執行機関で解釈するのですか。あらためて大会もしくは中央委員会で解釈を與えるべきものですか。どちらが解釈するのですか。
○澤田證人 執行委員会です。
○高木(松)委員 そうすると組合の意思決定はこの大会によつて全部終了しておるというように承つてさしつかえないわけでありますな。
○澤田證人 一應そういうことになつております。再び四分の一以上の中央委員が大委員会の招集をしない限りにおいては終つたものと解釈してさしつかえないと思います。
○高木(松)委員 そこで私がお尋ねしたいことは、要するにこの六項の内容は、執行機関においてこの内容が具現したる場合においては自由に執行できるので、結局融合意思に闘う必要はないという結論になりますか。
○澤田證人 形式的にはそういうことになります。
○高木(松)委員 ただ弾力性がある。これは法律論になつてしまうからであるが……。
○澤田證人 それは実際問題としてはそういう解釈になつたからといつて、はいそうですかと火の中に飛び込んで行く者はそうないと思います。ですからそういう形式論で全部律せられて、そうだそうだといつて確認せられることも、はなはだ迷惑にちよつと感ずるのであつて、形式的にはあくまでもそうですが、やはりあくまで組合運動は生きておりますから……。
○高木(松)委員 しかし組合運動は生きておりますし、多数人の集まつておるものですから、規約、決議、執行というものに対しておのずから客観的のいわゆる基準があり、それに從わなければならぬことは申すまでもないことだと思うので、聞くのです。 そこで先ほどあなたがお話になつた中に、この決議の内容は組合員全員を東する一應の拘束力ありとの御解釈でしたね。
○澤田證人 そうです。組合本来の姿からいつたならば当然そうあるべきであります。あるべきであるという表現を使つておるのは、今日までの経験からいうと、あるべきはずの姿があるべきでないという場合も組合には現われておることを含んでおるわけです。
○高木(松)委員 但しその場合は遺憾なことであるという結論にはなりませんか。あなたのこうあるべきであるということ自体品がそうでなかつたという結論になる場合は、やはり組合のあり方としては遺憾なことではありませんか。
○澤田證人 もちろんそういう場合においては遭憾なことだろうと思います。
○高木(松)委員 最後に一つ、そこでお尋ねいたしますが、この六項はそういう組合活動の形態で行われる場合においては、いわゆる法律に反しておる項をきめたのですから、あなた方として先ほどから、決議は成立したが、決議成立の前提となる賛否の場合においては多数で決するのであるが、あなた方においてはこれに反対であるということを申されておつたのですね。
○澤田證人 その通りです。
○高木(松)委員 現在この決議をどうお考えになつておるか、その点をもう一ぺんあなたの氣持を明らかにしていただきたい。
○澤田證人 現在の大勢としてはやはりそれだけに組合員として考えなければならない。これは当然ですが中央委員会で決定しても、できないことでもあるということで、今日までの新聞、あるいはその他の情報を聞きますとやはりストライキは反対であるという支部が相当出ておるということが現実の姿ではないかと思います。やはり中央委員会で強引にきめても、強引にそれだけの條件が整つていないことをきめても、眞実の姿というものは組合の脱退の姿に現われ、あるいはスト反対の決議において現われておるということが、やはり決定が若干無理であつたということがわれわれ自己反省しなければならない点ではないかと私は考えておるわけであります。やはりその点においてはわれわれの主張が正しかつたということを考えるよりも、やはりそういう点が大きく反省されて行かなければならない点が多々あつたということをわれわれは感じておる。こういう意味です。
○橋本(登)委員 証人に一、二の点についてお尋ねいたします。規約の問題でなく、大会の前後を通じてのあなたの感じをお尋ねいたしたい。 本委員会が問題にしました一つの理由は、この前の国電スト、その直後においてこうした國鉄の重大な中央委員会が開かれて、今も申しましたような第六の実力行使というような決議が採決せられましたことからして非常に問題になつたわけですが、それでこの場合中央闘争委員会がその前日に開かれて、井上君が起草しました案を審議するいとまなくして、形式上提案者となつて、中央闘争委員が提案された。こういうお話ですが、これだけ重大な決議事項が何ら中央闘争委員会で審議するいとまがないほどに直前につくられたということについてあなたとしてはどういう感じを持つておられますか。中央委員会の四、五日前に中央闘争委員会が開催されて、少くとも二、三日間十分中央闘争委員会で論議し、なお中央委員会に提示するのが当然であるし、その暇がないとはわれわれは考えられない。それが中央委員会の前日に提案された。そこで十分論議されないままで中央委員会に移されたことについて証人自身はどういうふうに個人的に考えておりますか。
○澤田證人 はなはだ遺憾な点だと考えております。当然大いに審議されなければならないものを中央委員会に唐突の間に出すということは、今後いろいろの意味においてもこれは遺憾な点であつたと考えております。遺憾であつたからといつてそこで審議をしないということまではできないという立場からやはりそういう形で審議をしなければならなかつたということです。
○橋本(登)委員 それについて私個人としての意見ですが、こういうような考え方を世間ではしておるのです、この投票の結果は、実力行使を行うという投票をされた人は六十六票ある、このうちに民同系の人が入つておるかどうかわかりませんが、六十六票の中には民同系の中央委員は投票しておりますか。その点をまずお聞きしたい。
○澤田證人 これは御答弁申し上げますが、私の同志にはそういう人はないと確信しております。
○橋本(登)委員 それで、もし邪推的に考えれば、こういうような議論も言われると思うのです。一應こういうような公共企業体労働法に違反するような條項を加えた決議案を事前に余裕をおいて出せば、一部の人たちの考えておつた決議を実行せしめることができない。從つて急遽一つの空氣をつくり上げて、そこで中央委員会を通そうというような一種の事前の氣持を含んでおられてそうして直前に提案されたというふうに考える者もあるのですが、そういう点について証人のお考えはいかがですか。
○澤田證人 そうとは考えておりません。
○橋本(登)委員 それではもう一つお聞きしたいのですが、今度のこういうような重大問題が一方に六十六票の大部分は共産系といわゆる革同系の投票と思われ反対の方が民同系、こういうようにわかれることは、事前にこうした國鉄労働組合の運営方針もしくは闘爭方針について何らかそこに正式な機関ではないけれども、いわゆるフラクと言いましようかそういうものが國鉄の中にある、あるいはあるらしく思つておられるか。
○澤田證人 私民同ですが、民同についてはあります。共産党にしても、これは私実際に見たわけではありませんが、おそらくあるであろうということは考えております。それから革同にしてもおそらくあると考えております。
○橋本(登)委員 今回の決議が非常に重大視せられておるゆえんのものは、あの國電ストの後に重大決議が行われて、それが新聞に発表せられた。ストを含む実力行使を行うことが世間一般に行われたために相当に社会的に衝動を受けた事実について、証人はいかように指示を受けたかどうかという問題ですが、証人としてどのようにお考えでありますか。
○澤田證人 私はやはり問題が二つあると思います。労働者的に言えば、首を切られて單体交渉権がないという場合においては、ああいう決議もやむなく出て来るという印象も受けるであろうし、ある意味においては、今言つたようにこれはたいへんだと言つて考える方もあるであろうし、それは私いろいろあると思います。しかしながら自分個人の考えとしては、そういうことによつて何らかの意図を含むという意味合いにおいて、われわれは決定したのではないことだけは言えると思います。もう少しわかりやすく言えば、そういう社会的に打ち出すことによつて何らかのわれわれが利益を得ようという意味ではなかつた、しかしながらわれわれの決定が——私は反対したのでありますが、おそらくその決定はそうせざるを得なかつた一つの状態にもあつたということも考えられる。それにはいろいろの内容があると思いますが、これは政党の関係もありましよう、あるいはフラクの関係もあるでしよう。しかしそういう関係があるかもしれませんが、ともかくわれわれとしてはそういう一つの中立系の票が動いたということはどうしても組合員に対して何かを持つて帰らなければならなかつたという氣持がやはり動いておつたのではないか、これは中立なんかがそういう本心がなくともそういう決定をしなければならなかつたということは、私は國会議員の皆さん方に大いに反省をしていただかなければならぬ点ではないかというように考えております。
○橋本(登)委員長 最後にお聞きしたいのでありますが、先ほど証人も申された通り千葉を初めとして各地においてスト反対の決議が行われております。その理由としては非合法的な運動はいけない。こういうような非合法という言葉を使つて反対の決議が行われておるところが多いのであります。こうした中央委員会で決定したものに対して地方で反対決議が行われた場合に中央委員会としては將来の責任において何らかの処置があるのでありますか。
○澤田證人 われわれは次の選挙において國会議員と同じようにいけなかつたならば落される者もありましよう、あるいは大会を開いた場合において中央委員がお前らの決議はいけなかつた、誤りであつたということになれば、大会において中央委員が全部不信任を食つて再選挙を行うということにもなるかと思います。
○橋本(登)委員 それに関連しておるのですが、先ほど証人は四分の一の中央委員をもつて再度中央委員会もしくは大会を招集することができる、こういうような組合の情勢を察知して、そういう手段をとつて一種の不安定な状態にある現在の國鉄組合の行き方を、一應方針を決定するという処置をあなた個人としてお考えになつたことはありませんか。
○澤田證人 これは今後の私たちのいろいろな考え方にも関係するわけでありますが、一應申し上げますと、臨時國会を召集しても定員法が粉碎できるという自信があつたときに開く場合と、全然定員法も何もかえられない、どうにもならないで臨時國会を召集する場合とあると思います。それと同じ意味においてやはりわれわれは大会を考えておる、こういうことです。
○福井委員 六月三十日にに下山総裁から第十五回の熱海会議において決議されたストを含む実力行使についてを取消せという警告を受けたと報ぜられておりますが、これは会議のあとに関連しておることとして思いますが、事実ですか。
○澤田證人 私は支部の委員長をやつておりますが、國鉄労働組合にそういうものの通告を受けたということは聞いております。
○福井委員 証人の責任のお立場でないかもしれませんが、関連しておることとしてお答え願いたいと思います。その警告後の取扱いはどうされておるのですか。
○澤田證人 当局から言われたからというのではございませんが、われわれはわれわれ自体の考え方、いわゆる合法的にあくまで闘うべしという意見に基いてそれぞれ自分の所属するところで力説し、あるいは納得させる方向で闘つている。組合というものは当局とは対立しているものですから、当局からお前はスト権がないのにストライキをやるのはいけないから取消せと言われても、組合でははいそうですかとは言わない。組合がこれはやらなくてはいけないか、やつてはいけないかということを自主的に考えて出た結論が当局から言われたものと一致する場合がある。いわゆる合法戰術で戰えといつたのと、当局の意見と一致した、当局から言われたからといって必ずしもそのまま全部従つて行くことではないわけです。そういう理由によつて必ずしもスト権がないという認定を下したものではないと思います。 なお一つ補足して申し上げておきますが、一昨日でありましたか、鈴木副委員長が、最悪の場合はストをも含む実力行使という決定は決意の表明であるというふうに言われたと聞いておるのでありますが、そういうふうに決意の表明であると解釈されているということは、われわれ國鉄の中央委員としては重大な問題でありますので、あえてここで私は証人として一言申し上げなければなりません。その点については各委員とも御発言がなかつたので私は申し上げることを差控えておつたわけでありますが、われわれが中央委員会で決定をする場合においての、最悪の場合はストをも含む実力行使を行うということは一つの行為の意思表示であると同時に、これは一つの行為を予定するところの決議であると私は確信して討論に入つたわけです。ですから二十四時間に及ぶところの討論の実体は、やはり單なるゼスチユアなり、決意の表明以上のものを持つてわれわれは発言し、討論に参画しておつたのであるということだけではやはり一言申し上げておかなければならないと思います。ただ單なる決意の表明だと副委員長が言われた点と、私の証言とが食い違っている点は大いに糾明していただいてもよいと存じますが、ともかくもわれわれ中央委員といたしましては、決意の表明というようなものではなく、やはり最悪の場合は実力行使を行うということに対する意見を述べ、討論に参画したのだということだけは明確に申し上げておきたいと思います。
○神山委員 澤田君は名答弁をされておられるので、民自党の諸君の誘導尋問なんかにひつかからないと思つて敬意を表して、何も聞かないつもりでしたが、今の御発言があつたので一つだけ聞きますが、今あなたがおつしやつた点は、中央委員としての澤田君個人の見解ですか。
○澤田證人 私はあくまでも中央委員としてここで証人をやつておるわけでありますから、中央委員としての証言を申し上げているわけであります。
○神山委員 そうすると、今加藤君がおられませんので、自主的に組合の指導的な地位におる副委員長の、鈴木君が、自分の置かれた地位を考慮しながらあの決定が、單なる決意の表明だと言つたのではなくして、組合の中央委員会の意思決定であつたのだという意味で意思表示だと言つたのだと思うが、あなたがおつしやつたようにゼスチユアだとかいうようなことは言つていないのですが、その点あなたは……。
○澤田證人 その点は私がゼスチユアと言つたので、鈴木君が言つたとは申し上げません。ただともかくも決意を表明したというようなものではないということだけは私の証言の内容であります。ゼスチュアとか何とかいう言葉は、わかりやすく御説明申し上げようと思つて言つたのですから、もしお氣にさわりましたならば取除いてもけつこうです。
○神山委員 取除かなくてもいいです。なぜならばその問題がそういうふうな形で言われるのは、それは単なるゼスチュアであるのか、それともただちに実行を意味するのであるかというような質問が出たので、鈴木君がそういうふうに意思表示であるということを言つておるわけなのです。從つてその問題についてのあなたの今の御説明のゼスチュアということは、あなたが言つたのではなく、民自党の諸君が言うのだということがはつきりしておればいいのです。
○鍛冶委員長 私は、意思表示だと言われるから、それでは單なるゼスチユアなのか、それとも実行を含んでおつたのか、その点を明確にしてもらいたいということを何べんも迫つたのだが明確にせられなかつた。それをあなたが言われたと思うから、まことに私はあなたの今の発言を敬意を拂つて聞いておるのであります。
○澤田證人 今の問題で疑義があるならばあとで幾らでも申し上げたいと思います。
○鍛冶委員長 よろしゆうございます。
○鍛冶委員長 中村強さんですね。
○中村證人 はい。
○鍛冶委員長 あなたは國鉄にお勤めのようですが、どこで何をおやりになつておりますか。
○中村證人 私は東京鉄道局の鉄道教習所に勤めております。
○鍛冶委員長 それから國鉄労働組合の役員をしておいでになりますか。
○中村證人 國鉄労組の中央委員をやつております。それから國鉄労組東京支部の闘爭副委員長をやつております。
○鍛冶委員長 第十五回の國鉄労働組合中央委員会が昭和二十四年六月二十三日から六日まで熱海の公会堂で開かれたようでありまするが、証人は御出席になりましたか。
○中村證人 出席いたしました。
○鍛冶委員長 御出席になつたその委員会において、いかなる役をお勤めになりましたか。
○中村證人 当中央委員会の副議長の役目を勤めました。
○鍛冶委員長 そこでその会議において決議せられましたる決議、または決定せられましたる事項の大要でよろしゆうございまするが、お聞きしたいと思うのです。項目だけでよろしゆうございます。
○中村證人 お答えいたします。まず、調停委員それから仲裁委員、これらの決定をどうするかというような点、それから公共企業体に移行するについての若干の問題、それから今後組合のとるべき闘爭方針、あと若干の組合内部のこまかい問題がありましたが、大筋申し上げればその通りです。
○鍛冶委員長 そのうちの闘爭方針について、また項及び号にわかれておつたようでありまするが、その大要をお聞きしたいのです。
○中村證人 非常にこまかいのですが、一應全部申し上げます。
○鍛冶委員長 いや項目だけでいいのです。
○中村證人 委員長からの御質問でありまするから、一應詳細に御報告申し上げます。今後の闘争方針といたしまして、一、大会決議の具体化という問題、それから二、闘爭目標、三、具体的闘争方法、以上が大きな項目であります。以下非常にこまかいいろいろの具体的戰術が入つております。なお御必要があればこまかくも御説明申し上げます。
○鍛冶委員長 その三の具体的闘争方法をさらに六項にわかつて決議されたようでありまするが、それは間違いありませんか。
○中村證人 その通りです。
○鍛冶委員長 そのうちの一番問題になつたのは第六項と聞いておりますが、それも間違いありませんか。
○中村證人 その通りです。
○鍛冶委員長 その第六項の決議になりましたものを一應承りたいのです。
○中村證人 これは皆さんすでにおわかりかと思いますが、六項を一應読上げてみます。 最悪の場合はストをも含む実力行使を行う、その中をわけまして、イ、最悪の場合とは本部の團体交渉が決裂したときである、口、集約は中闘の責任で行う。以上が六項であります。
○鍛冶委員長 そこでこの大会においていろいろ議論はありましたろうが、主として議論のあつたのはこの六項だと聞いておりまするが、それに間違いありませんか。
○中村證人 先ほどお答えした通りです。
○鍛冶委員長 ところがこれは原案として井上企画部長が提案し、そしてその説明にも当られたそうでありますが、井上企画部長から出されました原案はいかなるものでしたか。
○中村證人 こまかい資料は持ち合せておりませんが、およその点はわかります。特に第六項だけにつきましては、ストをも含む実力行使を行う。列車を止めることと動かすことは國民の意思によるよう準備すること、この場合いかなる官権の弾圧や命令があつてもやめない、一分会、一支部も孤立させないよう闘う、これが原案だつたと考えております。
○鍛冶委員長 この列車を止めることと動かすことは國民の意思によるよう準備すること、これをどういうふうに説明せられたか覚えがありますか。
○中村證人 私、副議長としてもおりましたので、提案の内容を全部詳しく聞いているというわけには参らなかつたので、若干食い違いがあるかとも思いますが、しかしなお詳しくはその当時の速記録に頼る以外にないと思うのですが、一應國鉄新聞としてその当時の提案の内容を印刷したものがあります。井上企画部長が説明した内容がごく簡単にここに書いてありますので、それを読みます。まず第六項の説明としまして、第一から第五まで、つまり一項目から五項まで、これらのことを十分に行つて、しかも最悪の事態に立つた場合は、ストを含む実力行使を行うというのである、しかしこのことを行うのには、國民の支持がなくては困難である、そこでこれを行い得るためには國民の意思をそこまで持つて行くよう準備する必要がある、しかし一旦行えば、今度こそは六十万組合員の納得し得るところの要求貫徹が行われなければ絶対にやめないという決意をもつて行うことが必要である、そのためには一つの分会、支部が闘う場合に、他の支部が、全國鉄労組が、いな全人民が立ち上つてこれを支持するという態勢を整える必要がある。以上が提案理由の項目の説明だつたというふうに私は了解しております。
○鍛冶委員長 この場合いかなる官権の弾圧や命令があつてもやめないというときに、進駐軍の命令があつてもやめないのだとかいう言葉があつたという話がありますが、そういうことがありましたか。
○中村證人 私はそのようなことは記憶しておりません。
○鍛冶委員長 その提案に対して、まず活発なる質疑應答があつたように聞いておりますが、その質疑の重要なるものはどういうものでありましたか。
○中村證人 質疑の重要なるものとしては、そのストとはその中央委員会できめられる総罷業であるかどうかという点が一つ、それから実力行使の内容はどういつたものかということ、それからこのような決定をすると組合の組織がこわれるのではないかというような点、これらがおもな質疑だつたと私は考えております。
○鍛冶委員長 総罷業か一部の罷業か実力行使の内容、それからその次は何でしたか。
○中村證人 こういう決定をすると組合の組織が破壊されるのではないかというような点だつたと思います。
○鍛冶委員長 それはよほど重要なことですが、その第一から第二に対して大体どういう質疑があつて、大体どういうようにきまつたかを承りたいと思いますが……。
○中村證人 どうもこれは私こまかい点まではつきりお答えできないのですが。
○鍛冶委員長 あなたの記憶の程度でよろしい。
○中村證人 先ほど延べましたような三項貝についての質疑が行われたということで、副議長として一切の論議の内容といいますか、そういうものまで深く立ち入つて聞いておるというようなことはなかなかできない場合もあるということは、あらかじめお含み願いたいと思います。まず総罷業を含むか含まないかという点におきましては、提案者ははつきり総罷業ではない。総罷業、総怠業、これらは大会できめなければならないのだから含まないのだというふうに説明しておつたように聞いております。
○鍛冶委員長 そうすると、部分的のストですか。
○中村證人 総罷業、総怠業ではないストですね。
○鍛冶委員長 そうすると部分的なんですね。
○中村證人 部分的であるかどうかということは、そのときになつてみないとおそらくわからないと思いますが、提案者はそのように説明しておりました。
○鍛冶委員長 これは先ほどちよつとあなたは新聞で御説明になりましたが、一分会、一支部も孤立させないように闘うとこうおつしやつたが、やはり一支部のストなり実力行使が前提となつているのでありますか、そういう意味ですか。
○中村證人 場合によればそういう意味もあると思います。提案者はもちろんそういうことを考えておると思います。
○鍛冶委員長 その次は実力行使の内容についてはどういう意味でしたか。
○中村證人 実力行使の内容につきましては、実力行使をすることによつて合法になるか非合法になるかという点が大分議論されておりました。しかし提案者は、非合法な者必ずしも実力行使とは限らない。たとえば宣傳戰というようなものがあり、遵法闘争というものがある。そういうものまで含んであるのだという説明をいたしておつたようです。
○鍛冶委員長 しかし先ほどのあなたの説明を聞きますと、今の五項までのもので闘つて行つて、それでなおいかぬで最悪の場合に達つしたらやるとこういうのだから、そういうものの以外じやないですか。先ほどそうおつしやつたでしよう。
○中村證人 いや、実力行使とは一体どういうものが実力行使かというような質問その他の議論について、提案者は必ずしも非合法なものばかりが実力行使とは言えないのだ、たとえば宣傳戰というようなものもあり、遵法闘爭もあるというふうに説明しておつたように考えております。
○鍛冶委員長 それ以外のことももちろんある……。
○中村證人 もちろんあります。
○鍛冶委員長 それからその次の組合の組織に関する問題については、どういうことがおもに議論になつておつたのですか。
○中村證人 組合の組織が破壊されるのではないかという点は、そういうような非合法なものをもしやるとすれば、これはつまり法外組合になるのではないかというような質問がなされておつた。が企画統制部長としては法外組合になることを好んでおるのではないのだ、あくまでもきめられた法の範囲内の組合としてでき得ることをやるんだ。從つて組織の破壊ということは考えられないというふうに答えておつたように考えております。
○鍛冶委員長 そうですか、わかりました。それから決議の方法についても相当議論があつたようでありますが、それらの点についてはどういう議論が主たるものでしたか。
○中村證人 決議の方法といたしましては、まず記名投票によるか、無記名投票によるかということが一つ問題になりました。それから大会において総罷業、総怠業を決行するかしないかをきめるには、出席代議員の三分の二以上の賛成が必要だ、從つて中央委員会においてもそれに準じた方法が必要ではないか、つまり中央委員の三分の二以上の賛成が必要ではないか、そういう点が一つ。採決の方法については以上であつたと考えております。
○鍛冶委員長 それは結局はどういう……。
○中村證人 結局それできまつたところは無記名投票でやるということ、それから普通の議事と同じように過半数でよろしいということ、そのようなことが決定されて、それから最悪の事態云々の決議が行われたということになつております。
○鍛冶委員長 この決議は組合員全体を拘束するカを持つておるものなんですか。
○中村證人 それは私の見解ですか、それとも……。
○鍛冶委員長 あなたの見解もあろうが、組合規約その他等から当然出て來ると思いますが……。
○中村證人 すベて組合の決定は、組織上から考えれば一應組合員を拘束するものと考えてもよろしいと思います。しかしその指令いかんによつては必ずしも拘束し得ないものもあるというふうに言えることができると思います。以上です。
○鍛冶委員長 それは実際行うときにでしよう。それならば執行にあたつてでしよう。それなら決議としては組合員全体に効力が及ぶわけでしような。
○中村證人 それは何らかの形でその決議を行うときに自分の意思がその中に盛り込まれておるというのが、われわれ民主的な組合の組織だと思います。従つて自分の意思が何らかの形でそこに参與しておる決議なりに拘束力があるというふうに考えるのは、これは当然だと思います。
○鍛冶委員長 そこでそれは決議しただけでよろしいのですか。また特に組合員に対してそういう從わせるのには特別の手続でもいるのですか。
○中村證人 今までの組合の慣例で行きますと決議だけでは何にもならない。それをやらせる場合にはやはり正当な機関において決定をした指令とか指示とか、そういうものが用いられております。
○鍛冶委員長 それは執行するときはそうですが、決議の効力……。
○中村證人 決議の効力ですか。
○鍛冶委員長 それを言うのです。
○中村證人 決議の効力たけを言うのでしたら決議のしつ放しという場合もあります。それだけのことです。
○鍛冶委員長 それで組合員に効力は及ぶわけですね、決議しただけで……。
○中村證人 はあ。
○鍛冶委員長 それからこの間から聞くところによると、あなたの方の組合では決議機関というものと執行機関というものと截然区別しておられるようで、すが、執行機関は中央執行委員、それから決議機関は中央委員、こういうふうに聞いておりますが、それは間違いありませんでしようね。
○中村證人 中央委員会のほかに最大の決議機関大会があるということをお忘れでなければ、その通りであります。
○鍛冶委員長 そこで大会なり中央委員会なりで意思決定いたしますると、その意思決定を執行すべき機関は中央執行委員会、かように考えてよろしいのですか。
○中村證人 その通りです。
○鍛冶委員長 そういたしますと、すべての決議が決議機関によつて決定せられますと、執行委員はこれを執行すべき義務もあり、また執行する権限も與えられるものと思いますが、それは間違いありませんか。
○中村證人 それはその通りです。
○鍛冶委員長 そうすると、このたびの熱海における中央委員会において、ストをも含む実力行使を行うという決議ができましたる以上は、その決議に基いて執行機関は当然にこれを執行し、または指令を出すという権限が與えられたものと解釈してよろしゆうございますか。
○中村證人 もちろんそういう権限はあります。しかしここで考えなければならないことは、ストをするための決議ではなくて、われわれの要求をかち取るための決議であるということです。従つてストをする必要がなければ、何もストを指令しなくてもよろしいということが言えるわけであります。
○鍛冶委員長 わかりました。何か御質問ありますか。
○佐々木(秀)委員 中村さんにお伺いしたいのですが、先ほどから委員長が聞かれておりますが、第六項の最悪の場合はストをも含む実力行使を行うという、この最悪の場合ということは本部の團体交渉の決裂したときをいうということになりますと、中央委員会がこれを決議した。そしてそれを実行するかいなかは中央闘争委員会あるいは執行委員会に委譲された形になります。そうすると、この最悪の場合にストをも含む実力行使というものは、私はこの文章から來ると、部分的に起るものじやないと考えます。なぜならば、本部の團体交渉が決裂したというならば、國鉄労働組合というものが本になつての形じやないかと思うのです。そうすると、総罷業とか総怠業とかというものは、三分の二の大多数をもつてしなければ決議できないということとこれを総合して考えますと、熱海において過半数でこれを決議したということは、このやり方が三分の二でやることがほんとうではなかつたかと考えるのですが、あなたは現在どう考えておりますか。
○中村證人 そのような御意見も中央委員会においてはありました。しかし私は過半数でよろしいという方に賛成をいたしました。と申しますのは、あくまでもここに出された問題は決して総罷業、総怠業をするということではないと私は思いましたので、これは普通の議事と同様にわれわれの決意を示すということであれば過半数でよろしいということを考えて、私は過半数の方に賛成しました。
○佐々木(秀)委員 もちろん考え方によつてはそういうようなお考え方もあろうかと思います。しかし中央委員会というものは決議してしまつて、その後の実行というものが闘爭委員会なり執行委員会にかけられるのですから、どうしてもそのやり方が必ずしもあなた方の今言われる通り、場合によつては総罷業になるかもしれないということが予想され得ないこともないと私は考えますが、どうお考えになりますか。
○中村證人 それはその通りです。組合というものは生き物です。しかも相手があるのです。ですからいろいろの場合が起きると思います。起きた場合にはあくまでも規約の明示する通り総罷業、総怠業を行わざるを得ないというときには成規の機関を持つことは考えられると思います。
○佐々木(秀)委員 組合個人の利益を守るために労働組合が闘うということは当然であります。そうすると勢いのおもむくままに総事罷業、総怠業になつた場合はやはり大会というものを招集してきめてやるということになりますか、これをきめておいてもですよ。それをひとつはつきりお伺いしたいと思います。
○中村證人 それはそのときと場合によつて、先ほどから申し上げているように、勢いのおもむくところ、あるいはそういう機関を経る間がなくて、そのような状態になるかもしれません。しかしこの決定の最後の項にその集約は中闘で行うということになつております。そのためにこそ、われわれ六十万の組織というものがあるわけであります。この組織がない普通の個人、てんでんばらばらの労働者ではないという点をあらかじめよくお考え願つて、われわれの行動に十分御注目願いたいと思います。そのためにこそわれわれは組織を持つておるのであります。從つて大会が開けないという場合があつても中闘において集約するとおもうことがはつきりうたわれておりますので、あなたの御心配になるようなことはおそらく起らないであろうと私は確信しております。
○鍛冶委員長 ほかにありませんか——それでは御苦労でした。 —————————————
○鍛冶委員長 足羽則之さんですな。
○足羽證人 足羽です。
○鍛冶委員長 あなたは運輸省鉄道監督局長ですか。
○足羽證人 さようでございます。
○鍛冶委員長 昭和二十四年の六月二十三日から二十六日まで熱海の公会堂で第十五回國鉄労組中央委員会が開催されたということですが、証人は御承知でありますか。
○足羽證人 承知しております。
○鍛冶委員長 その中央委員会において決議せられました事項のうちで闘爭方針中の具体的闘爭方法として、その六項目として最悪の場合はストをも含む実力行使を行う、最悪の場合とは本部において團体交渉が決裂したときである、こういうような決議がされたということですが、この点も御承知でありますか。
○足羽證人 承知しております。
○鍛冶委員長 この決議に至りました経過並びに実情等御承知であるならば、御承知の程度を聞かしていただきたい。
○足羽證人 その決議の結果を國有鉄道からの報告で承知いたしましたので、それに至る経過については私詳しく承知しておりません。
○鍛冶委員長 またどうしてこういうことが出て來たかという実情等も御承知ありませんか。
○足羽證人 詳しくは承知しておりません。
○鍛冶委員長 この決議事項に関して公共企業労働組合法その他の法律から見まして、どういう関係に立つものであるという御見解でありますか。
○足羽證人 その決議を私たち承知いたしまして、これが公共企業体労働関係法の第十七條に該当するかどうかといろ点を研究する必要があると私は考えた次第であります。
○鍛冶委員長 そして研究はなさいましたか。
○足羽證人 いたしました。
○鍛冶委員長 研究の結果はどういう結論に達しましたか。
○足羽證人 まず第一にその決議が公共企業体労働関係法の十七條に該当するかどうかという前に、十七條の條文の内容について解釈をはつきりさせる必要があると考えまして、運輸大臣の名前で法務総裁と労働大臣にその疑義を照会いたして、その回答を得た次第であります。それを読みましようか。
○鍛冶委員長 読んでください。
○足羽證人 昭和二十四年六月二十九日付の運輸大臣大屋晋三名前で労働大臣鈴木正文殿、法務総裁殖田俊吉殿、公共企業体労働関係法第十七條の解釈について、こういう照会であります。 内容は公共企業体労働関係法第十七條の規定に反する行為をした職員は、同法第十八條によつて、解雇されることとなつているが、この規定の運用に関連し、第十七條の解釈は左によつてよろしいか。 記 一 「共謀」とは正常業務阻害行為をなすべき意思をもつて、その実行方を協議することをいう。從つて正常業務阻害行為実現の有無にかかわりない。 二 「そそのかし又はあおつて」とは、特定又は不特定人に対して、正常業務阻害行鳥をなすようにしむける積極的言動をなすことをいう。從つて、正常業務阻害行為実現の有無にかかわりない。 こういうことに解釈してよろしいかという照会をしたのであります。それに対して法務総裁から七月一日付をもつて公共企業体労働関係法第十七條の解釈についてこういう回答が参つたのであります。 法務総裁殖田俊吉から運輸大臣大屋普三殿、その内容は六月二十九日付鉄労第八号をもつて照会のあつた左記の問題について、次のとおり意見を回答する。 なお、理由は追究の予定。 記 (意見) 一 公共企業体労働関係法第十七條第一項後段にいう「共謀し」とは二人以上の職員が、公共企業体の業務の正常な運営を阻害する意思をもつて、その実行方について、共通の意思決定を行うことをいい、必ずしもこれによつて、現実に、公共企業体の業務の正常な運営を阻害する行為が行われることを必要としないものと解する。 二 また、「そそのかし」若しくは「あおつて」とあるのは、公共企業体の職員が、他の特定又は不特定の職員に働きかけて、公共企業体の業務の正常な運営を障害する行為をなすようにしむける一切の行為を総称し、必ずしもこれによつて、現実に、相手方が影響を受けること及び公共企業体の業務の正常な運営を阻害する行為が行われることを必要としないものと解する。 三 以上何れの場合においても、これらの行為が、客観的に見てそれ自体公共企業体の業務の正常な運営を阻害する行為の実行に、現実に影響を及ぼすおそれがあるものと認められるものであるべきことは当然である。 こういう回答をいただいております。なお労働大臣からの回答も字句の前後あるいは表現に多少の違いがありますが、大体同様の趣旨の回答と考えております。
○鍛冶委員長 読んでください。
○足羽證人 それでは読みます。 記 一 公共企業体労働関係法第十七條第一項中「共謀し」とは、二人以上の公共企業体の職員が当該公共企業体の業務の正常な運営を阻害する行為となることを知りながら、その実行方法について共通の意思決定を行うために謀議することをいい、必ずしもこれによつて、現実に、公共企業体の業務の正常な運営を阻害する行為が行われることを要しない。 二 また「そそのかし、若しくはあおつて」とは、公共企業体の職員が、他の特定又は不特定の職員をして公共企業体の業務の正常な運営を阻害する行為をなさしめるようにしむける一切の行為を総称し、必ずしもこれによつて、現実に、相手方が影響を受けること及び公共企業体の正常な運営を阻害する行為が行われることを要しない。 三 以上いずれの場合においても、これらの行為が、客観的に見てそれ自体公共企業体の業務の正常な運営を阻害する行為の実行に、現実に影響を及ぼすおそれがあるものと認められるものであるべきことは当然である。 こういう回答であります。
○鍛冶委員長 それはあなたの方でそういう法律上の意見を聞かれただけでありますが、これを具体的に見まして、先ほど申しました決議がそれではその法律に該当するものと御決定になりましたかいかがでありますか。
○足羽證人 私たちの考えではその決議がこれに該当するもの、こういうふうに私考えております。
○鍛冶委員長 そうしますれば、当然そこへ起つて來ることは、それではその決議をした委員会もしくは人に対して、何らかの責任を追及せなければならぬことになると思いますが、それについては何か具体的の行政事務をおとりになりましたか。
○足羽證人 これはこの結果につきましてのそうした処分、とか何かの問題は、國有鉄道でいたすことでございますから、私たちの方ではそれに対しての行政行為をいたしておりません。
○鍛冶委員長 そうですか。それじや鉄道の方に対しては何か指示なり何か方法なりをお考えになりましたか。
○足羽證人 いやそれもですからいたしておりません。ただこの照会状を鉄道の方にこういう点についての疑義を確めたということを知らしてあります。
○鍛冶委員長 日本國有鉄道にですか。
○足羽證人 はあ、今の照会について照会したこと並びにその回答を知らしております。
○鍛冶委員長 それはだれに知らせるのですか。
○足羽證人 國有鉄道の総裁に知らしております。
○鍛冶委員長 なおお伺いしたいのは、そういうふうに該当するということになれば、そこにもありました通り、具体的に影響のあるということでなければならぬわけですが、そういうことを御認定になつたとしますならば、それに対する対策等を何かあなた方の方でお考えになつたかもしくはお立あいになつたことはありましようか。
○足羽證人 この十七條決議自体に対する対策でございますか。
○鍛冶委員長 その第三にうたつてありますように、具体的に影響のあるということでなければならぬ——。そういうものがあるという御認定であろうと思うのですが、先ほどのお答えでは、そうすればだまつて通つては私たち悪いということが予想されますから、それに対してあなた方の方で対策なり何らかの手段をおとりになつたか、こういうのです。
○足羽證人 私たちの方は今申しましたように、國有鉄道に対してこういう解釈を通知したのでございますが、國有鉄道といたしましては、組合側にこれに関してしばしば警告を発しております。
○鍛冶委員長 そうですか。どんなものを出しておりましたか。
○足羽證人 それは私がお答えするのが適当でございましようか、あるいは國有鉄道の方からお聞きいただけるのでございましようか。
○鍛冶委員長 お知りの程度でおさしつかえなかつたら……。
○足羽證人 ちよつとお待ちを願います——。今持つて來ておりませんので國鉄の方からお聞き願います。
○鍛冶委員長 それはあなたの方に來てはおつたのですか。
○足羽證人 来ておつたはずですが、ちよつと見当りません。
○鍛冶委員長 総裁の訓辞のことですか。
○足羽證人 組合に対しても警告をいたし、いろいろしているはずでございますが、ちよつと……。
○鍛冶委員長 訓辞以外に警告があつたのですか。
○足羽證人 あるはずですが、ちよつと記憶がございますが、ここに持つて來ておりません。
○鍛冶委員長 なければよろしゆうございます。なおこの決議に関係いたしまして、國鉄労働組合と、あなたの方とで何らか交渉をされたことでもございますか。
○足羽證人 直接には私たちの方と國鉄労働組合との交渉をしたことはございません。國有鉄道乏組合の方と話合いを持つたわけではございますが、その第一回のときに、運輸大臣も出席をいたしまして、今回の行政整理に関しての大臣としての話をなさつたことはありますが、これは國有鉄道と組合との話合いでございまして、それに運輸大臣が出席をされた、こういうわけでございます。
○鍛冶委員長 大臣はどういう話をされましたか、ただその説明だけですか。
○足羽證人 実は行政整理に関係いたしましては、ずつと前からこれについていろいろ大臣に組合の方から話があつたわけでございます。六月一日がら例の組織がかわりまして、國有鉄道が分離したわけでございますから、從つて組合と國有鉄道との間に、もつぱらいろいろな話合いとか交渉が行われております。ただこの行政整理に関しては、運輸大臣が國有鉄道の大臣をしておられたときに、行政整理に関して組合の意見を聞く機会があつたらひとつ聞こう。こういう意味のことを前に言つておられたので、第一回の組合と國有鉄道の交渉の場合に、大臣が出席されていろいろ行政整理をすることになつた点についてのいろいろな話があつたのであります。
○鍛冶委員長 それからこの決議があつたがために、國鉄労働組合において相当何か変化でもあつたような点が認められますか。それとも別にございませんでしたか。
○足羽證人 どういう変化でございますか。
○鍛冶委員長 この決議があつたからいよいよ——それは具体的に言えばいろいろありましようが、ストに入る態勢をとつたとか、またそれに対する論議が非常にかわされたとか……。
○足羽證人 それは一々申し上げると非常にたくさんなことになりますが、その点に関して國有鉄道から私たち報告をとつております。連絡さしておるのでありますが、なかなか各地方の支部あるいは分会等で方々でこの決議に從うとか、あるいはこの決議に從わないとか、そうした決議を組合の下部のそれぞれの支部、分会等ではそれぞれいたしておるようであります。
○鍛冶委員長 具体的にどう現われたということはまだありませんね。
○足羽證人 それはストに入つたという意味でございますか。——ストに入つたところはまだないようでございます。
○鍛冶委員長 また組合自身で何か起つたことはありませんか。
○足羽證人 今お話しましたように、この決議に対する下部の組合の支部あるいは分会あるいは班等でそれぞれ意思を表明するというようないろいろな決議をしておるわけであります。あるいはこの第六項でなく、それ以外に五項あるのですが、いろいろそうしたことについてあるいはいろいろのところにたくさんおしかけて行くとか、あるいはいろいろなデモをするとかいつたそういうふうな情報はいろいろございますが、これは非常にたくさんございますから一々御説明申し上げるのも非情に手数だと思いますけれども……。
○鍛冶委員長 組合で分裂したようなところがありますか。
○足羽證人 分裂というか、組合を脱退しているところもちよいちよいあるようであります。
○鍛冶委員長 それはどういう理由で、脱退しておりますか。
○足羽證人 理由はいろいろであります。
○鍛冶委員長 大体第六項の決議に関してはどうですか。
○足羽證人 これも間接の報告でありますから、その支部あるいは班自体がそういう理由で決議したかどうかという点ははつきりしておりませんが、私たちの承知しております情報では、たとえばある分会では、労働組合本部の政治運動に不安を持つて、分会が解散をし、そして組合員が脱退をしている。こういうふうな情報の入つているところもあります。あるいは熱海における中央委員会の決議は、われわれ末端の組織の自主性を無視したものであつて、これはわが國國鉄労働組合が特定政党の走狗となりつつあることを見のがすことはできない云々というふうな声明を出して脱退をしておるところもございます。脱退の理由の明らかでないところ、あるいは脱退の理由を書いてあるところもございますが、これは間接の情報でありますから、はたしてそういう決議をしたかどうかまでは、私確認をしてないわけでございますが、それぞれの理由をもつて、あるいは理由はわかりませんが、脱退を表明しておるところが近ごろ相当出て参つたように私承知いたしております。
○鍛冶委員長 わかりました。では何かお聞きになることがありますか。
○猪俣委員 これば法律を勉強すればわかることですけれども、われわれ不勉強でよくわからぬのでお聞きしたいのですが、運輸省と國有鉄道の方とは指揮、命令、あるいは監督においてどういう関係に相なつておりますか。
○足羽證人 先般運輸省設置法が議会を通りまして、六月一日から組織がかおつたのでございますが、國有鉄道の方は國有鉄道法、それから国有鉄道法施行法、これによりまして、從来は運輸省の中の鉄道特別会計として運輸省の中の仕事になつておつたのでございますが、六月一日からは独立した法人として公共企業体として発足する。そして從来鉄道特別会計のやつておりました事業一切についてこれを運営する、こういうふうに日本國有鉄道という法人がその企業主体になつたわけです。それから運輸省の方には、これに対して鉄道監督局という局ができまして、その下に國有鉄道部という部を含んでおるわけでありますが、鉄道監督局が國有鉄道に対する監督行政を所掌しておるわけであります。
○猪俣委員 國鉄の労働組合と運輸省とは何にも、関係ありませんか。
○足羽證人 鉄道監督局の所掌しております事務、仕事が設置法に載せてあるのでございますが、労働関係の点につきましては、その中に國有鉄道調停委員会に対する調停の請求と、それから公共企業体仲裁委員会に対する仲裁の請求、これを運輸大臣がいたした場合に、それぞれの委員会が調停あるいは仲哉をする、その発動原因が公共企業体の方の関係法にあげてあると思いますが、それと表裏してそういう請求をすることが鉄道監督局の仕事の一部というふうに明記してあります。それからなお公共企業体仲裁委員会の委員の罷免の請求に関すること、この二つの点がいわば労働問題に関係しての鉄道監督局の業務として設置法にはつきりあがつている点でありますが、しかしこれらの仕事をいたしますためには、平素から監督局としては労働情勢をできるだけ把握しておくということが必要と考えられる次第であります。また鉄道の業務が円満に運営されるというためにも、労働情勢を把握することは監督局の仕事であろう、こういうふうに私考えております。
○猪俣委員 國鉄労働組合規約というものがあることは御存じでございましようね。
○足羽證人 はあ。
○猪俣委員 これができますについては、運輸省で何か目を通されたのであるかどうか。
○足羽證人 組合の方の規約でございますか。私その内容ははつきりお答えいたしかねますが……。
○猪俣委員 実は第十七條に「次の事項は大会できめなければならない」といたしまして、その四項に「総罷業、総怠業の決行」ということがある。これはこの前出た証人の証言によると、ちやんと運輸省が目を通して、労働省でも目を通して、そうしてこれはこのままこういう規約の成立を認めておるのだという証言があつたから、あなたにお尋ねするのです。
○足羽證人 おそらくそれはずつと以前にきまつたものじやないのでございましようか。この公共企業体労働関係法というような現在の新しい法体系のできる以前にきまつたものではないかと思いますが、私ちよつとはつきりいたしかねます。
○猪俣委員 そうすると、これは法律解釈みたいな議論になるので、ほんとうは孝査委員会の問題としては不適当だと思うのですが、ことここに來つた以上はやはり明らかにしなければならぬと思うのです。そこでこれは法務総裁に聞かねばならぬと思いますが、この労働組合規約の第十七條というものは、今のあなたの口吻から察すると、公共企業体労働関係法のようなものができた際には、自然効力を失うものだという御見解でありましようね。
○足羽證人 その点は私はつきりお答えいたしかねます。
○猪俣委員 それではそれはひとつ御研究になつて委員長の手元に御意見を出していただきたいと思うのです。その点はお答えにならないからそのくらいにしておきます。それから失礼ですが、あなたは法科出身でございますか、工科出身でいらつしやいますか。
○足羽證人 工科でございます。
○猪俣委員 私はあなたが早口でおつしやつたのを聞いただけで、頭にはつきり入つておらぬのだが、この公共企業体労働関係法の十七條の解釈につきまして、労働大臣の回答と法務総裁の回答の間に少し差違があると考えられるのですが、これは正文を熟読した上でないとデリケートな差違はわからぬと思いますから、委員長において労働大臣及び法務総裁の回答を取寄せておいてもらいたいと思います。
○鍛冶委員長 これはいずれそうしますが、その写を当委員会に出してもらうように今ここでお願いいたしておきます。
○足羽證人 承知いたしました。
○猪俣委員 ただあなたはお聞きになりまして、労働大臣の回答の中には、正常の運営を阻害することを認識してあえてそれの共謀をやつた場合というように出ておる。それから法務総裁の答弁には、その認識のいかんについては答弁されておらないように私には見え、第三項として客観的の標準というものを出されておるように見える。これは刑法的な考えからしますと、実は大きな差異なのでありますが、それは私の聞き違いであるかどうか。要するに正常の運行を阻害することを認識し、あえてその認識のもとにお互いの共謀、の意思が交換されたということと、その認識問題に触れずして、客観的にかかる行為が正常の運営を阻害するものだと判定をされた場合とは多少違うのでありますが、あなたが法科出身ならば、その頭でひとつごらんくださつて、それでも同じである、かどうか、ちよつとお答え願いたい。
○足羽證人 そこは法務総裁からの回答では、先ほど読みましたように、共謀とは正当業務阻害行為をなすべき意思を持つてその実行方を協議することを言い、それから労働大臣からのは、その業務の正常な運営を阻害する行為となることを知りながらその実行方法について、こういうふうに……。
○鍛冶委員長 知りながらと認識の違い……。
○足羽證人 はあ。
○猪俣委員 どうも私はちよつと違うと思うのであります。意見の相違であると言えば相違であるが、私はその回答文——これは実際問題としては大きなことになる。実証上、認識のないものを実証するかしないかという大きな問題になる。これは正常の運行を阻害しておるとは思わなかつたというときには、いやそれは思つたであろうということを証拠立てなければならぬ。構成要件上非常な差異が生ずるのであります。それでありますから、法律的頭でもつて事を論ずるということになつて、実際これが裁判にかかるというようなことを私ども考えますと、証拠上から非常に差異が生ずる問題である。これは労働大臣と法務総裁の見解が非常に違うという印象が私どもには起る。しかし政府としては、法務総裁が法律顧問なのだからその方の意見が勝つでありましようけれども、次に法務総裁もお見えになりますから、前提として今あなたの意見を承りたいと思つて質問申し上げたのであります。あなたはどうお考えになりますか。
○足羽證人 厳格に考えると、あるいは多少違うかとも思いますが、しかし法務総裁の……。
○猪俣委員 実際問題としては、労働大臣の回答だとすると非常にゆるめられることが起るし、法務総裁の回答だと非常に峻厳になることが想像される。それで私どもあなたにお聞きしているのですが、あなたの御意見も、相違があるという御見解ですか。
○足羽證人 多少表現の方法が違うということは承知いたしております。
○猪俣委員 その違うことが文章の綾であるという違いではなく、いわゆる犯罪の構成要件の上から見て、差異が生ずるということであります。
○足羽證人 これは、なすべき意思を持つてその実行方を協議するということは、阻害する行為となることを知りながらというよりは表現として少し弱いかしらん、こういう感じはいたすのであります。その意味で多少違うということに承知いたしておりますけれども、しかしその意思を持つてということと、知りながらということとは、そうした言葉の感じの少しの違いでありまして、今お話のように、これが刑法で実際に法律を適用する場合の結果において、非常に違うほどの解釈の違いというふうには私考えておりません。
○猪俣委員 私もこの原文を実は嚴密に点檢しませんから、これ以上はやめます。
○大橋委員 証人にお伺いしますが、運輸当局といたしまして、熱海の決議についてとられた措置は、ただいま申されました法務総裁並びに労働大臣の解釈、この公共企業関係法第十七條の解釈を照会されて、それをただそのまま國鉄に移牒されただけでありましようか、あるいはまたそれに從つて何か國鉄に対して、監督上必要な事項を命ぜられた事実がございましようか。
○足羽證人 ただいま私が説明を申し上げました通りでありまして、この疑義の照会並びに回答を國鉄の方に知らせました。それ以上に何かの指示ということはいたしておりません。
○大橋委員 そうしますと官房長官が談話を発表せられておりますが、あれは運輸当局とは全然関係のない措置でございましようか。
○足羽證人 それは、私の方はちよつと御返答いたしかねます。
○大橋委員 そうすると、この問題につきまして今後何らかの措置に出られる御意思がありますか、あるいはお見込みがございますか。
○足羽證人 運輸省としてでございますか。
○大橋委員 そうです。
○足羽證人 ちよつとそれも御返答いたしかねますが、あるいはそれはどういう意味でございましようか。職員の処分とか何とかいう問題でありましようか。
○大橋委員 何かこの決議の効果を是正する方法について、あるいはまたこの決議に伴つて生ずるところの社会不安を除去する上から言つて、運輸当局としての責任上とられなければならぬ措置を、今後に予想されるかどうかということであります。
○足羽證人 それは私見でございますが、それがどういう効果になつて現われるかは今後の問題でありまして、まだ研究しなければならぬ問題かと思います。
○大橋委員 それではもう一点だけお伺いしたいのは、運輸当局としてはこの決議の結果、定員法の実施に伴いまする、行政整理を遂行する途上において、國鉄に何らかの業務の正常なる運営を阻害するような実の発生を予想しておられるのですか、それともまつたくそういうことは予想しておられないのですか。
○足羽證人 あるいはあるかもしれませんし、その点ははつきり予想していると申し上げかねますが、予想してないとも申し上げかねます。
○大橋委員 そうするとこの決議そのものから受取られた感じとしては、この決議の結果、事態が自然に運んで行けばそういう結果を惹起するような態になる、そうお考えになるのですか、それともそうでないとお考えになるのですか。決議そのものについてのお考えを伺つておきたい。
○足羽證人 まだその辺の見通しは、はつきりわかりかねます。
○大橋委員 そうしますと、少くともこの決議そのものは、内容として、最悪の場合には実力行使が行われるという内容を持つているということだけは認識しておられますか。
○足羽證人 いたします。
○大橋委員 よろしいです。
○鍛冶委員長 ほかにありませんか。——それでは済みました。どうもお忙しいところ、御苦労様でございました。 法務総裁は閣議中でありますが、五時になれば必ず来ると言つておりますから、五時まで休憩いたしたいと思います。 午後四時三十分休憩 ————◇————— 午後五時二十四分開議
○鍛冶委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 殖田証人より証言を求める前に神山君より議事進行の、発言を求められておりますから、この際これを許します。神山君。
○神山委員 ただいま委員会が再開されまして、この間約二時間たつたわけであります。殖田法務総裁は多分たいへん忙しいのでありましようが、他の証人の場合ですとこういうことはちよつと考えられないことではないかと思うのです。考査委員会は当然超党派的に運営されておるように聞いておるのでありますが、今日この一時間の時間をむだに費さなければならなかつたということの中にも私としては問題があるのですが、私がここで強調したいのは、法務総裁を今日ここに証人として尋問するにあたつては本委員会としてはこれらの点について考えなければならぬと思うというのは、第一に私たちは法務総裁に彼の法律的見解を聞く必要があるかないか。これが一つ問題だと思うのです。法務総裁は政府の法律的な問題について顧問的な役割をやつておるのでありますから、政府の側から見れば大いにあると思う。また與党の諸君にとつては大いにあるかもしれないが、今度のような事態をもつと高い観点から見ることこそ、本考査委員会の当然の任務でありますので、この点についでは政府が法務総裁に聞くのとは違つて、國会の特別委員会が聞くのであるということを十分考慮された上に法務総裁に聞く必要もありましようし、また発言させる必要があると思う。この点に若干問題があると思つたので、まず第一に指摘した点であります。 第二には彼の所管事項、また現に起つておる事実、またこの事実に基いての一定の報告、こういうようなものを法務総裁が持つておるあるいはこういうような事実を中心にして私は当然論議を進めるべきだと思う。そうでないと法務総裁が持つておる法律的見解について、またわれわれが持つておる法律的見解についてここで論議すべき事態ではないと思うのであります。というのは、これは猪俣君のような專門家もおるから明らかだと思いますが、法律上の解釈が問題になる場合これを何とかお互いの間で話合いをつけ、あるいは適正な運用をするためにはむしろ私は考査委員会よりも法務委員会で、この問題を扱うべきだと思う。さらにこの方の実施に伴つていろいろの違憲論が起るばかりではない。また事実として違憲論が出て来た場合にもこれを最後に決定するものは本考査委員会ではなく、当然最高裁判所がやるべきである、こう思うのであります。從つて私が強調したいのはどの観点より見ても本考査委員会が問題を取扱う場合にあたつては、法務総裁の法的の見解その他が重点となるのではなくて、あくまでも事実の審理を中心にして行うことこそ本考査委員会の任務にふさわしい。こういうことを強調したい。先ほど一時間延びたということについてちよつと私は軽い形で不服を旨つておいたのでありますが、本考査委員会の名誉のために強調したいとは、早くから証人として喚問しておるにもかかわらず、時間も委員会を待たせるようなやり方があるとすれば、本考査委員会は民自党の機関であるという誤解をますます深めるので、そういうことのないようにひとつお願いいたしたい。
○鍛冶委員長 それではこれより殖田証人から証言を求めることにいたします。 証言を求める前に証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者。刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、記入が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられかつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。
○殖田證人 委員長、ちよつとお尋ねしたいのですが、私は個人殖田俊吉として証人に呼ばれておるのでありますか、それとも法務総裁國務大臣たる殖田俊吉でありますか。
○鍛冶委員長 国務大臣殖田俊吉としてお伺いしておるところが多いと思います。
○殖田證人 書面には何らの記述がありません。單に殖田俊吉とありますので、その点を明らかにしておきたいと思います。
○鍛冶委員長 なお一言申し上げておきますが、尋問事項が政府の所信、対策等にわたる場合には、國務大臣としての御答弁を願うことになろうと思いますから、さよう御承知の上御証言を願います。
○神山委員 法務総裁が心配されるのはもつともだと思うのだが、今までの証人はことごとく所定の肩書に從つて陳述しておると思うのです。縫つて法務総裁の場合にも、殖田君には氣の毒ですが、当然國務大臣として発言してもらうことが必要だと思います。この点鍛冶委員長の今の説明では、ある場合法務総裁個人というものができそうなので、この点は証人としてお呼びした趣旨にも反するので、明確に國務大臣殖田俊吉としてお答え願つて、しかも政府の実際のいろいろな政策面やその他に関連する事項で、これは言えないという事項は当然黙秘されていいわけでありますから、この点はつきりと國務大臣として……。でなければうまくないと思う。
○鍛冶委員長 これは前にも例のあることですから、政府の政策その他政府の所信を聞くときは、証人としてではいかぬと思います。ただ法務総裁殖田俊吉さんが事実扱われたことに対して聞くことについては、これは証人としてでいいと思います。その点の区別をして……。
○神山委員 今のあなたの回答である程度まではつきりしたと思いますが、この前池田大藏大臣を呼んだ場合にも、事実についてはあくまで証人としてお答えを願つた。また政策的な問題については、私たちの反対にもかかわらずあなた方はこれを政府委員として回答さしたと思うのです。これはわれわれから見て正しいやり方だとは考えもれない。從つてきよう殖田君が法務総裁個人であるか、あるいは法務総裁としてかという問題については、今委員長が言われるようなあいまいな点ではなくて、これにはつきりした上で殖田君として回答なさるのか、それともあなたたちの表現によれば、政府委員というような形で意見を述べるのか、これをはつきりしていただきたいと思います。私が証人の見える前に議事進行について発言したこともこれに関連するものでありまして、事実自分の所管事項について、具体的な事実について言われる場合でも、殖田君は個人ではないわけであります。從つてこの点明確にきめておいて、その上でなければ——單なる政府の意見など私はきようは聞く必要はないと思います。なぜかなれば、この前は税金の問題に関連しておりまして、大藏大臣自身の所管事項であり、将来の方針を私は聞いたのでありますから、あの場合意見を聞くことは至当でありますけれども、きようは熱海における國鉄中央委員会の決定を、一部の諸君は違法であると言い、あるいは他の人々は必ずしもしからずと言つているので、過去にあつた事実の評價に係争点があるのであります。從つて所見や見解が中心となるべきものではない。もしもそういうことでありますれば、最高裁判所において行わるべきであつて、ここで殖田君と僕たちと法律論争をすべきではないと思う。そういう意味で、具体的事実について、かつ政府のとつた処置について尋問が行われ、またこれに対して、殖田君が法務総裁として回答されることが本委員会の趣旨に沿つていると思います。
○鍛冶委員長 申し上げるまでもなく証人みずからとられたことを、実際に経験されたことを聞くのでありますから、それ以上にわたる場合は証人として答えられぬと思います。それ以上國務に関することを聞くならば、國務大臣として承つてさしつかえないものと考えます。
○神山委員 國務大臣としてあなたは意見を聞くと言うが、それはきようの問題の場合には適切ではないと言つているのです。これは税の方法の問題なんかと違う。内閣における法律顧問である殖田君の持つている見解と論爭をがちやがちややることは本委員会の趣旨に反する。從つて事実に基いて、法務総裁が自己の権限において扱つた所管事項について証人として尋問するのが正しいのであつて、政府委員としての意見は必要がない。
○鍛冶委員長 神山君の郷意見は承つておきます。 それでは宣誓を求めます。御起立を願います。 〔殖田証人宣誓〕
○鍛冶委員長 昭和二十四年六月二十三日から同二十六日までの間に、第十五回國鉄労働組合中央委員会が熱海の公会堂で開かれたのでありまするが、この点に関して証人は御承知になつておりましようか。
○殖田證人 去る六月二十六日に熱海で開かれました國鉄労働組合中央委員会の決議は聞いております。新聞で知り、運輸大臣から報告があつたように覚えております。
○鍛冶委員長 その決議のうち闘争方針といたしまして、第一項、第二項、第三項とあります。その第三項は具体的鬪爭方法でありまして、また第三項は一、二、三、四、五、六と決議がされておるようでありますが、今お聞きするのはそのうちの第六に当るものであります。その六といたしまして、最悪の場合はストをも含む実力行使を行う。最悪の場合とは本部において團体交渉が決裂したときである。このような決議が行われたと聞いておりまするが、これに関してお聞きになつておいででしようか。
○殖田證人 ただいま申しました運輸大臣の報告の中に、その項目のあつたことを承知いたしております。
○鍛冶委員長 そこでこの決議と法律との関係について、今運輸大臣から報告があつたとおつしやいまするが、それに対してあなたの方で何か取調べたり、または意見を延べられたことがありましようか。
○殖田證人 その後運輸大臣から法務総裁あて、公共企業体労働関係法第十七條の解釈について照会がありました。これに関連することと考えております。この照会に対しまして、法務総裁としまして回答を発しております。
○鍛冶委員長 それでは照会の内容及び回答をお述べ願いたいと思います。
○殖田證人 大屋運輸大臣の照会は昭和二十四年六号二十九日附でありまして、労働大臣並びに法務総裁の両者に対して書面が参つたのであります。それを読んでみますと、「公共企業体労働関係法第十七條の解釈について、公共企業体労働関係法第十七條の規定に反する行為をした職員は、同法第十八條によつて、解雇されることとなつているが、この規定の運用に関連し、第十七條の解釈は左によつてよろしいか。記」とあります。「一、「共謀」とは正常業務阻害行為をなすべき意思をもつて、その実行方を協議することをいう。從つて正常業務阻害行為実現の有無にかかわりない。二「そそのかし又はあおつて」とは、特定または不特定人に対して、正常業務阻害行為をなすようにしむける積極的言動をなすことをいう。從つて、正常業務阻害行為実現の有無にかかわりない。」これが照会文であります。これに対しまして、昭和二十四年七月一日法務総裁たる私は、運輸大臣に回答をいたしております。その文書を読上げます。「公共企業体労働関係法第十七條の解釈について、六月二十九日附鉄労第八号をもつて照会のあつた左記の問題について、次のとおり意見を回答する。 なお、理由は追完の予定。記。問題。一、公共企業体労働関係法第十七條第一項後段にいう「共謀し」とは、正常業務阻害行為をなすべき意思をもつて、その実行方を協議することをいい、正常業務阻害行為実現の有無にかわりないものと解してよいか。 二、また、「そそのかし、若しくはあおつて」とは、特定または不特定入に対して、正常業務阻害行為をなすようにしむける積極的言動をなすことをいい、「正常業務阻害行為実現の有無にかかわりないものと解してよいか。意見。一、公共企業体労働関係法第十七條第一項後段にいう「共謀し」とは、二人以上の職員が、公共企業体の業務の正常な運営を阻害する意思をもつて、その実行方について、共通の意思決定を行うことをいい、必ずしもこれによつて、現実に、公共企業体の業務の正常な運営を阻害する行為が行われることを必要としないものと解する。 二、また、「そそのかし、若しくはあおつて」とあるのは、公共企業体の職員が、他の特定又は不特定の職員に働きかけて、公共企業体の業務の正常な運営を阻害する行為をなすようにしむける一切の行為を総称し、必ずしもこれによつて、現実に、相手方が影響を受けること及び公共企業体の業務の正常な運営を阻害する行為が行われることを必要としないものと解する。三、以上何れの場合においても、これらの行為が、客観的に見てそれ自体公共企業体の業務の正常な運営を阻害する行為の実行に、現実に影響を及ぼすおそれがあるものと認められるものであるべきことは当然である。」これで終りであります。
○鍛冶委員長 そこで今労働大臣とあなたと両方に來たとおつしやいますが、労働大臣もしくは労働省から何かそれに対する照会でもありましたか。また照会があつたとすれば、何か意見を述べられたことがありますか。
○殖田證人 労働大臣から法務総裁には照会がございません。法務総裁は單独に運輸大臣にこの回答を出しました。
○鍛冶委員長 今お述べになつたところは、公共企業体労働関係法第十七條の解釈だけのようでありますが、さらに先ほど言いました、熱海の決議を具体的に、この法條に照してどうであるか。これに対する意見なり調査なりをなされたか、またはどこからか聞かれたことがありますか。
○殖田證人 右の決議第六項は、公共企業体労働関係法——そこで問題は今の委員長のお尋ねの通り、熱海の決議のその第六と申しまするのは、公共企業体労働関係法第十七條違反になるかどうか、こういう具体的な問題も、これは書面でなしに、何か閣僚の寄り合いの席で聞かれたかと思います。そのときに右決議にいわゆるストをも含む実力行使というのは、右の條文にいわゆる同盟罷業、これは第十七條のことでありますが、同盟罷業、怠業その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為に該当して、またこれを行うことを決議することは同項にいわゆる禁止行為の共謀に該当するものと解釈する、この場合において最悪の場合はという條件が附されており、これは同委員会において組合本部において團体交渉が決裂したときと了解されておるそうであるが、かかる條件が附されていても、違反の成立にはかわりはないという答えをしたのを覚えております。
○鍛冶委員長 それは單に運輸大臣に対する意見を並べられただけでありましようか。それともさらにこれを具体的にどうすればよろしいというようなことまで相談でもありましたか、いかがですか。
○殖田證人 そのときにはこれは閣議とか何とかいうものでなかつたと思います。労働大臣もおられたかと思いますけれども、その他の大臣もおられたようでありますが、解釈はこうであります、というだけにとどまりまして、その処置等につきましては、多分運輸大臣のお考えできまることで、私どもはそれ以上のことは論議しなかつたように記憶しております。
○鍛冶委員長 これはあなたがお取扱いにならなかつたことであればお答えにならぬでもよろしいですが、われわれが聞きたいのは、公共企業体労働関係法ができるもとですか、これは昨年の暮でしたか、いつでしたか、連合軍指令官からの覚書に基いてできたものであろうかどうかという点でありまするが、これは御承知でありましようか。
○殖田證人 公共企業体労働関係法と申しますのは、総司令官の覚書に基いてできたもののように記憶いたしております。
○鍛冶委員長 國鉄労働組合で過日行われました六月十日前後の労働争議、その他で現に檢挙せられておる者があるようでありまするが、この事件と、先ほど申しました決議事項とに何か因果関係でもあるということをお調べになつたことがありますか。それとも別にございませんでしようか。
○殖田證人 この熱海の決議と六月十日ストライス当時の檢挙との間には関係がないと考えております。從つて調べたことはございません。
○鍛冶委員長 これはこのあとは意見として伺うことになるかと思いまするが、その決議後において國鉄の労働組合の動静についてお調べになり、または知つておいでになることがあれば承りたいと思いますが……。
○殖田證人 私は当の責任者でございませんので、さように詳細には存じません。ただ新聞等により、また時々当該大臣より話を聞くだけでありまして、皆さん以上の知識を持つておりません。
○鍛冶委員長 これはまつたく政府の方針を聞くのでありまするから國務大臣として承りまするが、この決議事項に基きまして國鉄労働組合員の行動に対して、政府で何らかの対策をやられたか、また今後いかなる方法でやろうとお思いになつておりますか、この点おさしつかえなかつたら述べていただきたいと思います。
○殖田證人 これは証人としてでないお尋ねでありますが、その後の國鉄労働組合の情勢を見ておりますのに、至極平静でありまして、私どもはただいま静かに今後の動きを見ておるにとどまつておりまして、ことさら対策というようなものを審議したことはございません。当該責任大臣であるところの運輸大臣が直接の関係者でありまするから、その労働組合の動きに対しまして、しかるべく常に注意をし、またもし対策を立てることがあれば対策を考えておることと考えます。
○鍛冶委員長 ほかに何かお聞きになりますか。
○猪俣委員 この十七條の解釈につきまして、法務総裁と意見討論をやる氣持はないのであります。多少の意見なきにしもあらずでありますが、これはただ法務総裁の御意見だけを承つておきたい。正常の運営を阻害する行為をやろうとして共謀したということが十七條の違反になる、そこでそれを具体的に熱海におきまするところの國鉄労働組合の中央委員会の決議というものと、にらみ合わせて考えました場合に、決議と申しますと、御承知のように契約のように相対立した人格者間の向い合つたものではないのであつて、ある一点に集中されているものである。そうしてその決議には各組合員が服從することに組合規約でなつているという場合に、この労働組合の中央委員会の決議につきまして、それにこの実力行使をするということに賛成した者と、反対した者とをわけて、賛成した者だけが共謀したということになるのでありますが、組合員全体が一種の決議に統制されるという点から考えて、その区別がないというふうにお考えになるのであるか、承りたい。
○殖田證人 共謀と申しますのは、その決議に賛成した者のみでありまして、反対した者あるいは賛成しなかつた者は共謀ではないと考えております。
○猪俣委員 まあ御意見だけを承つておきます。それからこれは法務総裁はあるいは御存じないかもしれませんけれども、國鉄労働組合規約というものがあるのであります。当委員会におきましての証人の証書からすると、鈴木労働大臣にもこの組合規約をちやんと見せて、その承認を得ているというのであります。その規約の第十七條、次の事項は大会できめなければならない、という十七條の四項に総罷業、総怠業の決行という文句がある。これとこの公共企業体労働関係法の十七條とは衝突するものでありましようか、衝突しないものでありましようか。
○殖田證人 私はその規約をよく存じませんし、これは私は簡單にここでお答えできないことのように考えます。よほど研究してからお答えをいたしたいと思います。今ここではちよつと申し上げかねます。
○猪俣委員 但し総罷業、総怠業決行という明らかなる文字でありますが、この規約について御研究なさつたことはないでございましよか。
○殖田證人 私は勉強が足りませんで、研究したことはございません。
○猪俣委員 もしかりに、この規約が公共企業体労働関係法に違反しているものとするならば、どういうふうな取扱いをなさることになりましようか。
○殖田證人 それは規約に束縛される方々の御決心できまることであろうと思います。
○猪俣委員 労働組合法を見ますると、第八條に「規約法令ニ違反スルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ労働委員会ノ決議ニ依リ行政官廳ハ其ノ変更ヲ命ズルコトヲ得」とあるのでありますが、この精神から解しますると、これは政府でやはり御研究なさつていなければならぬのじやないかと思うのでありますが、御研究になつておらぬというなれば、これは打切ります。 それから團体等規正令の第二條の七号に「暗殺その他の暴力主義的企図によつて政策を変更し、又は暴力主義的方法を是認するような傾向を助長し、若しくは正当化すること」とある。これは解散命令の出る根拠の点でありますが、この暴力主義的方法を是認するような傾向という中に、熱海のストを含む実力行使というような決議が含まれるのかどうか、その御意見を承りたいと思います。
○殖田證人 これも私はまだ実は研究しておりませんが、そう簡単に含まれるものとは考えられないのであります。
○猪俣委員 なお刑法に違法阻却原因として期待可能性論というのが近ごろ盛んになつているということは御承知の通りと思います。それはかかる人間がかかる立場に、かかるときに立たせられた場合に、いわゆる適法行為を求めることはむりであるという場合には、違法を阻却するということが一般の学説となつているので、私はこれは妥当な法令と考えて成文化する必要があるとも考えておるのでありますが、このストを含む実力行使という決議を取上げて、これはいわゆる公共企業体関係法違反だという判断をする際にも、この期待可能性の刑法の学的理論をやはり政府としてはお考えになつていただかなければならぬのじやないかと思うのです。何万という人が首を飛ばしてしまつて、明日からの生活の設計ができないという立場に立つた際に、多少元氣のいい決議をしても、その決議したこれ自体が違法付庸の現象じやないのであります。違法行為は必ず行為が発生するということが、大体においての要件でありまして、意思表示したということが、すでに一つの違法行鳥を構成するということは特殊の場合であります。いわんや生活を脅かされておりまする組合員が、かような決議をしたということで、それが違法行為なりとして、ただちにこれを彈圧することは、期待可能性の理論をもつてしますと、少し酷に失するのではないかと思われますので、政府におきましても、この刑法の理論を御勘考くださる余地が多分にあるのじやないかと私は思うのでありますが、法務総裁の御見解いかがでありましようか。
○殖田證人 この十七條違反は犯罪でばございませんので、單に違法であるというだけであります。從つて現に違法行為があつたからと申しまして、ただちにはこれに対して何らの措置もとられておらぬのであります。それは猪俣さんの御議論に從うかどうかは存じませんが、これは違法行為であるが、違法行為であるというために、ただちにその決議に参加した者を馘首するというような措置は運輸大臣はいまだとうておらぬのであります。從つて彈圧はないのであります。
○猪俣委員 ただ私が希望することは、政府の方針を決定なさる際に、法律解釈論としてもかような理論があるということを力説していだだきまして、どうか大いに並び行われるような御方針を御進言なさつていただきたいということを御注文申し上げる次第であります。
○安部委員 法務総裁に一点だけお伺いしたいのでありますが、本委員会におきましてすでに二、三の証人から論議があつたのでありますが、この公共企業体労働関係法は憲法違反である、あるいはまた國家公務員法も憲法違反である。それは憲法の第二十八條に規定してあるところの團体交渉権を無視しているから憲法違反であるというような意見を述べられた者もあるのであります。これは今論議するまでもなくきわめて明瞭なことでありまするけれども、ここに法務総裁がおいでになりましたからその点を明らかにしていただきたいと思うのでありますが、第二十八條にそういうことを規定してある、憲法は國家の最高法律である、從つてそれに相扞格するあらゆる法律は無効であるということはむろん通念でありますが、また憲法と同様の効力のあるものは國際間の條約であり、またそれと同様の権力のあるものはいわゆるパブリック・ポリシーというものであり、國民の福祉に関することであります。また基本的人権の立場から申しましても、居住権というものはわれわれは認めておるのでありまして、不法侵入すれば家宅侵入罪というものが構成されるのでありますが、しかし國家の福祉のためにそれを公立の公包にする必要があるとか、あるいは衛生のためにそれを病院にする必要があるとか、あるいはそこに國道を設ける場合には強制立退きを命ずることができるのでありますから、治安を維持する点におきましても、公共企業体労働関係法のような内容の法律をつくることは決して憲法違反ではないと考えるのでありまして、第三章の十三條にも、「公共の福祉に反しない限り」ということが定規してあるのであります。國家公務員法、あるいは公共企業体労働関係法というものは憲法違反でないと本員は解釈しておるのでありますが、法務総裁はいかような御見解でありまするかお聞きしたいのであります。
○殖田證人 ただいまの安部委員のお話の問題は、これらの法律が昨年の秋の議会におきまして盛んに論議討究されました際にすでに出た問題でありまして、その際にこれは憲法違反でないときめられて今日この法律が成立を見ているのであります。從つて私はこれらの点は憲法違反ではないと考えております。
○吉武委員 法務総裁の御意見によつて、先般の熱海の決議が公共企業体労働関係法第十七條に該当する不法の決議であるということが大体明瞭になつたのであります。そこで私が一点お聞きいたしたいのは、先般の熱海の決議におきましても、組合内部においてこの問題は相当論議された。その論議の中心は合法的に組合運動を進めようという人々の言を借りて言えば、われわれは公共企業体労働関係法に認められておる合法的の組合であるから、組合運動もまたその線で進むべきである。実力行使をすることはもはや國鉄労組ではなくなる。ストをやることが労組の目的になつておるようであるが、それは法律の観念でない。その中で採決する場合はわれわれはもはやその組合を脱退するほかはないのだということを言つておるのでありまするが、一方これに賛成する方の共産党の鈴木副委員長の言をかりて申しますると、非合法というがわれわれは法を破るものではない。労働者の基本的人権を守ることで、これは法をもつて破れないものである、こういうことを言つておるのであります。先般鈴木副委員長を証人としてわれわれは尋問いたしました場合にも、その言葉の端に正当防衛というような言葉も出たのでありまするが、ただいま安部さんの御質問に対してもこの公共企業体法は公共の福祉のためにやむを得ず制限をしておるものであることは、立法の際の論議においてもすでに明瞭になつておるところでありまするが、かりにこの問題が鈴木副委員長のいうかごとく、基本的人権に関係があるといたしましても、それらの解釈が国民の一人一人が勝手に解釈をして、そして正当防衛として不法な行為は私は断じて許さるべきものでないと信ずるのであります。それらの問題がかりに触れるとするならば、それらを認定するいわゆる憲法に最高裁判所の権威ある機関によつて決定さるべきものであると思うのでありまするが、そういう解釈をする者もございまするので、これに対して法務総裁の権威ある御見解を承りたいと思います。
○殖田證人 ただいま安部さんにお答えした通りでありまして、憲法違反であるとは考えておりません。もし憲法違反の疑いがあるとされる方々は、それは最高裁判所の判決を求めるほかはないと考えるのであります。
○石田(一)委員 ちよつと法務総裁にお伺いしますが、ただいま法務総裁のおつしやつた國会で立法審議中にその内容によつて見てもわかるように、これらの法律が憲法違反でないと確信をもつて立法されたものだ、そういう見解であつて、法務総裁のおつしやる見解によつてそれは憲法違反でないという確信を持つていらつしやるのであつて、ただこれが法務総裁が今ここで吉武君の言葉の中に権威ある御説明と言いましたけれども、法務総裁がそうおつしやつたからといつてこれが憲法違反の立法でないということにきまらないことだけは、法務総裁のおつしやつたように、それに疑義のある者は最高裁判所にこれを提訴して、その判断にまつべきである。この判断が決定のしたのちに初めてこれが憲法違反の立法であつたかどうかということが確定するものであると理解してかまいませんか。
○殖田證人 判決あつて、しかるのちにきまるというわけではないのでありまして、判決がなくともわれわれは憲法違反でないと確信いたしております。もし疑義があるならばそれはその方が、裁判所に訴えて、その判決を求められればよろしいという一つの救済であります。
○神山委員 今の殖田法務総裁のお答えではつきりしたのでありますが、殖田法務総裁が今まで行われた諸立法が憲法違反であるということを認められるなんということは夢にも考えられないことなのである。そういうことを質問する方が少し常識を疑われるのだ、こう思うのです。あらためてあなたから一定の確認をしていただきたいために聞いたのだと思うのであります。憲法違反の問題が現に問題になつている。國鉄労組からこれが最高裁判所に提起されておるということは御承知でありましよう。從つてこれが現に係争中の問題であるということ、ただあなたは自分の今の意見を述べられたと思う。自分の見解に基いてこれが最終決定があるまではその所信に基いて憲法違反でないという確信に基いて行動される、こういう意味でしようね。
○殖田證人 神山君の御意見の通りであります。
○神山委員 さらにもう一つお尋ねいたしたいのは、ただいまあなたがお答えになつたのは、鍛冶委員長の御質問事項にあなたの意見として言われたのであつて、政府を代表し、そして現にあなたの所管事項についてこういう事実があるのだということを言われたのでありますか。それとも政府の、鍛冶委員長の言葉を借りるならば、意見でよろしいと言つたのでありますか。この点を聞きたい。
○殖田證人 私はただいまの吉武委員のお尋ね、それから石田委員のお答えに対するお答えは私の法務総裁としての意見でございます。
○神山委員 それがはつきりしておればいいわけであります。從つて一方ではあなたがここで言われました公共企業体労働組合法あるいは定員法、これらの問題に関連して反対の意見があり、最高裁判所にこれが提訴されておるという事実も同時にあるわけでありますから、この点を確認した上で二、三お尋ねしておきたいのであります。先ほど鍛冶委員長の御質問に対して、熱海の國鉄中央委員会の決議事項第六項と占領軍当局から発せられた指令覚書、勧告書その他との関係について述べよ、言葉は少し違つておるかも知れませんが、こういう意味の質問があつたと思う。
○鍛冶委員長 そういうことは言いません。
○神山委員 あなたは何と言われたのか。
○鍛冶委員長 公共企業体労働組合法は連合軍の司令官の指令、覚書に基いてできたものであるか、こう聞いたのであります。
○神山委員 よろしい、それならばその質問をもう一ぺん差上げるわけでありますが、それは連合軍司令官のいついかなる指令、覚書に基いてできたかということを一應はつきりしておきたいのであります。
○殖田證人 今その期日をはつきり覚えておりませんが、ちよつと事務当局に聞いてみますから……。
○神山委員 はつきり覚えがなければいいです。あなたとしてはそれに基いてやつておるということを言明なさるわけですか。
○殖田證人 そういうことです。
○神山委員 いやそれがはつきりしておれば私の方はよろしいわけであります。 続いてお尋ねいたしますが、法律論の論議は先ほど猪俣君が出しました点に関連してこういうことは起り得ることと思う。單に憲法論議でなく、法律は國会を通つたらそれ自体としてただちに眞に法律としての意義を持つものであるか、それが実際の社会の本当の意味の安全、秩序に違反する場合には法律としての價値がないじやないか、そういう意見も先ほどの猪俣君の意見に関連として起つて来るのであります。これはここであなたにわれわれ二、三点はつきり聞いておかなければならない点でありますが、まず國会における法律と國会における決議とは明らかに性質が違う、私たちそう思うのであるが同じですか違いますか。國会を通つた、そうして認証を得た法律と今までわれわれたくさん決議をしたわけでありますが、採決されたその決議案と同じ効力があるであろうかということをまず承りたい。
○殖田證人 法律の形式をもつて法律として決議されたものはそれは法律であります。その他のものは單に決議であれば法律的の効力は持つておりません。
○神山委員 法律的効力はありませんね。そこでお尋ねするのであります。もう一つはつきりしておきたいのは、國の法律と組合の決議とが同じような効力を持つかどうか、これを混同する人が民自党の人に多い、それでお尋ねするのでありますが常識的に考えてこの点はどうなるか。
○殖田證人 組合の決議はプライベイトの決議で法律とは性質も違いますし効力も違います。
○神山委員 從つてあなたが先ほどの猪俣委員の質問にお答えになつたところで十七條に違反する者があれば、賛成した人が違反である、反対者は必ずしもそうでない、こういう意見も出て来るわけですね、それでけつこうです。それで私たちにすれば必ずしもしからず、なぜかといえば組合は大衆團体であつて、それぞれ政治上の意見が違つておるにせよ、一定の組合内の規約がデモクラシーに決定したものは全組合員を拘束するものであるということ、この点と、あなたの先ほどおつしやつた、賛成した者だけが違反になるという点は、どういう関係になるのか、お聞きしたい。
○殖田證人 それは、私も組合規約をよく拜見して、具体的に検討しなければ、はつきりは申し上げられませんが、ただいまの法律と決議のような関係だと思います。從つて、定款等に規定しておりますることは、組合全部を拘束いたしましようが、ただいまの決議というものは、私どもは決議が拘束力があるかないかでなしに、その決議というものが共謀であるという解釈をしております。
○神山委員 從つて、さらに、もしその決議が違反があるとすれば、その決議に基いたところの一定の指令なり行動、そういうものが、あなたの先ほどの説明ではいらないようになつているんだけれども、しかし直接の対象となるためには、その指令か何かが必要なんじやないですか。
○殖田證人 それは、指令等は不要であると考えます。但し、先ほど申し上げましたように、私が運輸大臣に答えました答えの中に、客観的條件を必要とするということは言つております。全然無形な決議ではしようがない。これが有効に働くであろうという客観的の條件は必要であると思います。
○神山委員 從つて、私はそこにつけ加えたいのでありますが、先ほどの客観的條件というのは、第三項に——私たちは全部記憶で覚えているのですが、第三項に入つていて、第一、第二の点が先に出て來ている。しかもその場合に、吉武君の好きな謀議——たつた二人以上だつたら謀議とか、あるいはそそのかすとかいうことが入つておるのだが、あなた方の解釈については、われわれ別個の解釈を持つている。從つて、ここできよう争う必要はない。その問題については聞きおく程度でいいのですが、聞きたいのは、ここだ。現在運輸当局、國鉄当局は、定員法附則第八項及び九項によつて、團体交渉を行わないと主張している。しかし公共企業体の労働関係法第三條によると——公労法と約して言いますが、公労法に定めてないものは労働組合法や労働関係調整法によるということが書かれている。從つて、今次の定員法附則第九項により、第八條を適用しないということになれば、当然労働組合法によることになつて、團体交渉に應じなければならない義務が生じるという、こういう見解もある。これに対してあなたはどう思われますか。
○殖田證人 それは非常におもしろい御見解でありまするが、私どもはさように考えておりません。まず八條を排除する規定がまつ先に適用される。これは規定がないものとは考えておりません。規定があるものと考えております。
○神山委員 それは、あなたとしてはそういうふうに考えなければ勤まらないのだから、それはまつたく同情いたします。それで、定員法が制定されるときに、参議院の労働委員会で問題になつたということを証人が言つているのですが、あの定員法を通すときに、今は非常事態だ、從つて憲法の基本的な條項、ことに九十八條などは、あるいは九十七條は、今は問題にならないのだということを、樋貝君かだれかが答えたというように、きよう証人がここで言つたのですが、あなたのこれに対する解釈あるいは見解というものを伺いたい。
○殖田證人 私はその事実は存じませんが、さような見解ではないと思います。そういう非常事態であるがゆえに憲法違反をしていいということはございません。私は憲法の條項に照してこの法律が完全に成立したものと考えております。
○神山委員 それでは、もう一つお尋ねしますが、これはあなたが直接おつしやつたことではありませんが、七月五日の夕刊中外には、樋貝國務相がいろいろなおもしろいことを言つていますが、その中に、警察や検察廳、こういうふうな取締り機関の廳舎に不法侵入したり、占拠した場合は、ただちに射殺することもやむを得ない、こういうことも言つておりますが、これについてのあなたの、こういう事実があるかないのか、これはあなたが直接関係者ではないが、しかしこういう点について、あなたが管轄しておられるわけなんだろうと思いますが、管轄が違えば違うで、検察廳などに入つたら射殺してもよいということについてのあなたの見解を伺いたい。これは今の非常事態に関連がある。
○殖田證人 私はその新聞の記事をよく存じませんが、そういう見解はないと思います。從つて、樋貝君もまさかそういうことを申したのではないと考えております。
○神山委員 まことにけつこうな答弁で、そういうことがあつてはならないと思つているから私はお尋ねしたのですが、そういうことではないように、さつきの石田委員の発言ではありませんが、せいぜい御努力くださるように、特に最後に希望しておきます。
○石田(一)委員 ちよつと総裁にお聞きしますが、これは國会の名誉のためにもぜひ発言しておいていただきたいと思うのですが、公共企業体労働関係法というものは、連合軍のいわゆる指示、メモランダムによつて立法化されたものであるということを証言あそばすことは、少くともこの立法の責任を連合軍のメモランダムあるいは指示、通告に轉嫁しようというような誤解をされないとも限らないのであります。いくらメモランダムであろうと、指示であろうと、日本の國会において決定した法律は、國会自体の意思によつて決定したものでありまして、そのメモランダムが何らこの法律に影響を及ぼしておらぬ。このことを私は考えますから、その点ひとつあなたの証書を求めたいと思います。
○殖田證人 石田委員のお説の通りであります。これは日本政府が提案し、そうして國会がこれに同意をいたしまして成立をいたしました日本の法律でございます。間違いございません。
○鍛冶委員長 それでは済みました。お忙しいところをありがとうございました。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時二十六分散会