考査特別委員会 第16号
- 発言数
- 28 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1949/07/04
会議録
○鍛冶委員長 これより会議を開きます。 國電スト問題調査要求の件、國鉄労組中央委員会の実力行使決議事件調査要求の件、日本製鋼廣島製作所争議事件調査要求の件を一括議題といたします。以上三件につきましては、いまだ基礎調査もいたしておりませんが、理事会において協議の結果、特に前例としないことを條件として、本件に限り各事件につきまして提出理由の説明を求め、討論の上調査に着手すべきかいなかを決定することになりました。これに従いまして、まず國電スト問題について小川委員より國鉄労組中央委員会の実力行使決議事件について小川委員より、日本製鋼廣島製作所争議事件については、調査要求を本委員会に提出された議員宇田恒君がお見えになつておりませんので、内藤委員より説明を求め、次いで一括討論の上採決に入りたいと存じますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長 異議なきものと認めます。それではさようとりはからいます。それでは小川君御説明を願います。
○小川委員 國電ストに関する調査要求の理由を説明したいと存じます。去る六月九日、十日、十一日、蒲田、東神奈川、中野、千葉を中心として起された國電ストは、常に暴力革命への好機をねらつていた一部分子の非民主的極左戰術によつて惹起されたものと思うのであります。すなわちストに反対した者、たとえば西田車掌のごときを人民裁判だと称して脅迫、暴行を加え、あるいは人民電車の運轉を阻止せんとした東神奈川駅の吉田駅長を毆打、負傷せしめ、また八王子支部の民主的な決議を暴力によつてくつがえした事件等を初め部内外の急進分子を動員して、威嚇と脅迫とによつて組合員多数の自由な意思を拘束し、公共企業体労働関係法その他の法律に違反して無警告ストを強行し、國民大衆に突如迷惑をかけ、あるいは人民電車と称してみだりに公器を運轉して、暴力にひとしき不法行為をとつたこと等は、考査特別委員会調査事項の、日本再建に重大なる悪影響を與えた行為及び不法の争議行為であり、また一面かかる事態に追い込んだところの原因はいずこにあつたか。すなわち不法に労働争議を挑発せる行為があつたかいなかを本委員会が当然調査する義務があると思うので、ここに調査を要求するものであります。以上
○鍛冶委員長 次いで小玉君に御説明を願います。
○小玉委員 私は六月三十八日付をもつて本委員会に國鉄労働組合中央委員会の実力行使決議について調査要求を求めたのであります。その要求の理由といたしまして、國鉄労働組合中央委員会は熱海市において六月二十五日から二十六日にわたり討議の結果、その鬪争方針として、最悪の場合はストを含む実力行使を行う、最悪の場合の判定は本部團体交渉が決裂したときであり、集約は中鬪において行うとの決議を採択したと傳えられる國鉄労働組合は公共企業体労働関係法によつてストが禁止されておるのであるから、右決議は法律を無視し不法に労働争議を挑発しもつて暴力手段に訴えて目的を貫徹しようとするものであつて、法治國としては断じて許しがたきところであり、日本再建に重大なる悪影響を及ぼすものと確信するから右決議のなさるるに至つた経緯、討議の内容、これに関する組合内部の動向、この決議に対する関係当局の対策、該決議の國内外に及ぼす影響等につき御調査を求む、かように私は理由を掲げておるのであります。 去る第五特別國会におきまして、考査特別委員会設置に関する決議案が可決されまして、その決議におきまして本考査委員会の目的としてその二の一号に「昭和二十二年十二月十一日本院において決議した不当財産取引調査特別委員会設置に関する決議の二の調査をする外、不正に租税の賦課を免れさせ、納税を妨害する等納税意欲を低下させる行為、供出を阻害する行為、不法に労働争議を挑発させる行為、その他の諸行為で日本再建に重大な悪影響を與えたものと、その責任の所在を調査する。」ということに相なつておるのでありますが、私が本委員会に本件について調査を求めます事対象はこの委員会の目的でありまする不法に労働争議を挑発させる行為にあたるかどうかという点について、私は本委員会の調査を求めたい。かように考えるのであります。われわれは新憲法によつて、わが國は平和國家、文化國家としてこれから進まなければならぬ、このためにはわが國会が、國の最高機関としてその権威を保持しなければならぬ。國会が制定いたしましたところの法律なるものは、この最高の機関の決定したものでありまして、國民はこれを遵法し、敬重しなければならぬのでありますが、本件におきまするこの國鉄労働組合中央委員会の実力行使決議なるものは、私はこの國会が制定いたしましたところの法律に相反する行為である。公共企業体労働関係法第十七條によりますと、「職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることはできない。又職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。」かように相なつております。この規定によりまして、國鉄労働組合は同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることはできないことを、嚴に法律によつて命ぜられておるのであります。一部説をなす者はこの規定は憲法に違反する、かような議論をいたしております。憲法第二十八條に「勤労者の團結する権利及び團体交渉その他の團体行動をする権利は、これを保障する。」この規定からいたしまして、これを抑制するところの法律は一切無効である、違憲である。かように一部の論者はなすのでありますが、憲法第十二條には「この憲法が國民に保障する自由及び権利は、國民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、國民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」とおごそかに宣言いたしておるのであります。この公共の福祉のためには、憲法に保障されたところの自由権、あるいは本件で申しますところの團体罷業権等は、これを制限されてもいたしかたがないのである。これがすなわち公共企業体労働関係法の制定せられた根拠であると私は考えております。戰後各國の憲法ができました。今試みに、國立國会図書館調査立法考査局の調査によります戰後の各國憲法というものがございますが、これによりますとまず中華民國の憲法を掲げておる。その憲法の第十四條には「人民は、集会及び結社の自由を有する。」と書いてあるのでありますが、他面二十三條によつて「その保障は法律によつて制限し得る」ということに相なつておる。さらに大韓民國憲法の第十八條には「勤労者の團結、團体交渉及び團体行動の自由は法律の範囲内で保障される。」と言つてあるのでありまして、この團結権及び團体交渉権及び團体行動の自由は、法律の範囲で保障される。かように相なつておる。さらにこの朝鮮民主主義人民共和國憲法の第十三條には「公民は結社、言論、出版、集会、群集大会および示威の自由をもつ」という自由権を規定してありますが、その第二十七條には「公民は憲法および法令を遵守せねばならない」と相なつておるのでありまして、この自由権はやはり法律によつて制限を受け得るということに相なつておる。さらにフランス第四共和国の憲法の前文におきまして、やはり「罷業権はこれを規律する法律の範囲内で行使される」ということを宣言しておる。かように戰後の諸憲法におきましても、無制限に同盟罷業のごときものを許すという法律はないのであります。わが日本の憲法におきましても、やはり私は第三十八條の罷業権は十二條の公共の福祉に反する限度においては、これを禁圧することは何ら憲法違反に該当しない。かように考えるのであります。從つてこの憲法について規定せられましたところの公共企業体労働関係法というものは、組合及び國民一般がおごそかにこれを遵守しなければ相ならぬものと確信いたすのであります。しかるにかかわらずかの熱海会議における國鉄労働組合中央委員会は、かかる憲法並びに法規があるにかかわらず、同盟罷業をなすことを決議するということは、法治國としては断じてこれを許しがたきものであつて、かかる決議が行われ、これが容認されるとは、まことに日本再建に悪影響を及ぼすものと私は深く確信いたすものであります。従つて私はこの決議が行われたところの経緯、その討議の内容、これに関する組合内部の動向、特にいかなるものがこれに賛成し、またいかなるものがこれに反対したかといつたような事情について、御調査を願いたい。なおこの問題については関係当局はいかなる対策、いかなる見解を有するかについても御調査を願いたい。なお該決議のわが國内外に及ぼす影響等についても御調査を求めたい。特に本問題は世界注目の的に相なつておるようでございまして、朝日新聞六月三十日の記事によりますと、「スイスで聞く國電スト」と題しまして國鉄労働組合委員長加藤氏が「胸をつかれる思い、諸君階級鬪争よりも経済再建」という題目をもつて、かの地において非常にこの点を憂慮せられておる。これに対するヘブラー労働課長の談というものも載つておる。今かかる不法なるストがわが國で行われるということは、わが國が世界の援助を仰がなければならぬ、平和國家、文化國家として日本が進まなければならないのに、わが國における随一有力なる國鉄労働組合が、法規を無視してかかる決議をいたすということは、まことに國際社会においても重大案件であり、わが國に対する世界の認識は、最も重大なる問題と私は考えます。さような関係から、この決議は國外にいかなる影響を及ぼすかということも御調査願いたい。かように考えて本調査を要求した次第であります。速かに御採択の上調査せられんことを切望する次第であります。
○鍛冶委員長 次いで内藤委員より御説明を願います。
○内藤委員 日本製鋼所廣島製作所の争議事件につきまして、宇田恒君より調査要求書が出ておりましたが、あいにく本日宇田君がさしつかえたので、かわつてその要求内容を概略御説明したいと思います。 事件の場所は、廣島縣安藝郡船越町でありまして、その船越町にある日本製鋼所廣島製作所に起つたのであります。同工場は施設一切が賠償指定工場でありまして、会社従業員は二千七十三名、うち組合員は千九百七十五名、非組合員が九十八名となつております。事件発生の原因は廣島製鋼所は既往におきまして、運輸省の直接発注にかかる車輌部分品、その他輸出品を主たる生産品としており、その他ミシン及び各種機械の部分を製作中であるが、資材高騰、人件費の増加に伴い、昨年十二月以来赤字八百六十五万五千余円となり、本年五月分の給料も四分の一しか支拂つていない実情であるのであります。ここにおいて右会社は昭和二十四年六月二日に至り、横浜、武蔵、廣島の三製作所の人員を整理して、企業経営の合理化をはかることになり、解雇基準は右三製作所ごとに発表いたしました。大体整理人員は七百二、三十名であります。これに従い六月六日までに組合側の回答を求めたのであつたが、組合側は俄然色めき立ちまして、サポタージュの状態に入つた次第であります。そこで組合側は六月三日出勤後、ただちに臨時大会を開催して、組合員全員の結束をはかるとともに、解雇基準について逐條審議をしたのでありますが、その決議の内容は左の通りであります。一、給料未拂い分の即時支拂い要求、二、首切り案即時撤回、三、労働協約改悪絶対反対、四、打倒吉田内閣に組合員と同一の歩調をとれ、五、資金カンパ、かくして六月十四日午前四時、会社側は工場閉鎖のやむなきに至り、二十数箇所に閉鎖の立札を立てましたけれども、八時三十分には従業員全部が入場をし、それに続いて友誼團体一千四百余名が入場して、賠償工場を占拠するに至つたのであります。そこで会社側は軍政部にこの報告をすると同時に、その指揮を仰いだ結果、軍政部は労働争議には関係なく、ただ一に賠償工場保全のために占拠せる千四、五百名の組合側並びに友誼團体の退去を命ずると同時に、所轄警察署を至急動員して、退去処置を講ずべしとの命令を発したのであります。よつて廣島市警察長は六月十五日総動員した警察官吏合計千四百八十四名をもつて退去の執行に当つたが、それまでにマイクその他の方法で自発的退去を要求しておりましたが、これに組合側は應ぜず、遂に警察側と組合側との衝突となり、左記重軽傷者を出すに至つたのであります。組合側の発表によりますると、死者一名、重傷九名、軽傷三百余名とまで発表しておりまするが、 これは信ずべき筋のものが少いようであるそうであります。警察側の発表によりますると、労組負傷者が二十二名で、警察側の負傷者が四十一名と発表されておる。かくして午後五時三十分日鋼鬪争委員においては工場外よりマイクで警察官に告ぐと、今夜一万名の友誼團体を集めて拂暁を期して工場を奪還すると宣言したそうであります。午後六時には英濠軍作戰部隊二十名が来廣いたしました。日鋼労組においては、友誼團体支援のもとに松石寮に四千名ぐらいが集結して、人民大会というのを開いて、全逓の委員長石田秋夫が会長となりました。その講演内容は警察官憲の不当彈圧ということを多くの弁士が叫んでおりました。六月十六日午前十時山口縣選出田中堯平代議士が來廣して、労働者側を激励して行つたという事実があります。午後四時日鋼の西門において約五千名集合、鬪争蹶起大会を開催し、左記事項を掲げて氣勢を上げたのであります。その氣勢を上げた事項は、一、日鋼事件を円満に解決せよ。二、不当彈圧絶対反対。三、基本人権を守れ。四、郷土産業を守れ。五、首切り反対。かような決議をしたのでありまするが、その日の正午には三原車輌が同情ストとして約三百名がその会場に乗り込んで来たそうであります。東洋工業書記長大槻某の演説の内容のごときは相当不穏なものがあると思います。その他朝連の縣本部の金澤某のごときは、南鮮警察は日本の警察と同一であつて、ファッショである。吉田内閣のごときはその反動の標本だからこれを打倒せよというよな激越な演説をしたそうであります。午後六時三十分、加藤代議士及び自由法曹團の原田香留夫、こういう人々もまたこの会場に來つて激励煽動演説をしたそうであります。その後日鋼の正門は完全に破壊されてしまつたのであります。午後九時三十分、日鋼西門前に約五千名、一千名の行動隊員及び二百名の者がスクラムを組んで、石を投げ西門を押し開いて、二メートル侵入して、そこには例によつてインターナシヨナルの歌を合唱して氣勢を上げ、受付あるいは守衛室のガラス等を破壊し、同時刻に押し寄せた群集八百名は波状デモを行いまして、投石したり、あるいは門を破り二十メートルくらいまた侵入して参りまして、工場内の建物器具等をほとんど破壊し盡したのであります。かくのごとくにいたしまして、午後十一時に至り、大半は松石寮に引上げました。 以上のごとき事態の発生は、元來日本製鋼所の爭議事件を原因とした大要でありまするが、組合側はもちろん、少くとも友誼國体のうちには、不法に労働爭議を挑発した行動があるのではないか。激励演説と称するものの中には相当不穏当な行動があるのではないか、ことに賠償工場を占拠した行為、警察官吏に対して公務の執行につき多数をたのんで妨害した不法きわまる行動があるのでありまして、これが本調査の要求をお願いした大体の要旨であります。何とぞ御採択の上慎重なる御審議を願いたいと思います。
○鍛冶委員長 以上で説明は終ります。 これより三件を一括して討論に付します。猪俣浩三君。
○猪俣委員 三件の提案理由の説明を聞いておりますと、どうも労働爭議というものに対しまして、これが暴行脅迫、不法行為というような犯罪を犯しておるような点があるからして、これを調査してもらいたいというふうに私には聞かれるのであります。たとえば第一の提案でありまするところの國電ストの問題でも、これは脅迫暴行を伴い負傷者が出た。はなはだ法律に違反し、公共企業体関係法に違反して無警告ストをやつた國法違反であるというようなことが強調せられまして、しかるがゆえにこれを調査せよという結論に相なつておるようであります。また國鉄労組中央委員会の宣言に対しまして、ストを含む実力行使を行うということは、公共企業体関係法第十七條に明白に違反しておることであるからして、かような法律無視の暴力手段に訴えんとするところの行為に対しては、これを調査しなければならぬというのであります。第三番目の日本製鋼所廣島製作所に対しましても、労働爭議が非常に暴行脅迫になつたという点を調査してもらいたいというふうな趣旨に中心点があるやに私には考えられるのでありまして、さような提案の理由であるといたしますならば、私どもは反対せざるを得ないのであります。反対の理由は、それは本考査委員会よりもより適切なる委員会が他にある。たとえばこの國鉄の中央委員会の声明がいかなる法律違反になるかということに対しましては、法務廳所管事項として法務委員会にかけるべき筋合いではないか、これが適切ではないかと考えられる。なおまた國電ストの問題については、これも提案者の説明理由を聞いておりますと、労働組合が非常な不当なことをやつたからこれを取調べろということで、結局考査委員会が檢事のような役割をしろという要求に聞えるのであります。はたしてしかりとするならばこれもまた法務委員会、また場合によつては労働委員会の方がより適切な委員会ではないかと考えられるのでありますし、第三の日本製鋼所の廣島製作所の問題に至りましては、まつたく労働條件の問題から整理問題、そういう労働爭議として発生したのでありますがゆえに、これを國政調査として、あるいはまた日本再建云々の問題で調べるとしても、これは労働委員会がその適任ではないかと考えられるのであります。でありますから提案者の説明のような趣旨でありますと、私どもは考査委員会でこれを審査するということは不適当だと考えて反対せざるを得ないのであります。私どもは國電ストの問題については調査することそれ自体反対ではない。ただし調査の対象が労働者の側のみを被告として、檢察廳が行うがごとくこれに対して調べるという態度では反対である。何が彼女をそうさせたかという言葉があるが、何が労働組合をそうさせたかという根本原因を調べることが國会としてのほんとうの働きではないかと思う。その他のことについては檢察廳がある。であるからこれを調べること決してやぶさかではないのであるけれども、当國会がその権威をもつて調べる対象としては、一労働組合だけを被告扱いにいたしまして調査するということは、これは労働組合に與える影響も大きいし、はなはだ穏当を欠くと思うのであります。この國電ストを調べるならば——國電ストの発生原因については私どもも多少研究しておる、政府の失態が多大である。たとえば公共企業体労働関係法なる法律ができておるにかかわらず、この法律に予定せられておりますたとえば苦情処理共同調整会議あるいは調停委員会あるいは仲裁委員会、そういう機関を一つもつくつておらぬ。そうしていきなりいわゆる交番制なるものを発表して事を起させる。この点についてはわれわれ官房長官あるいは國有鉄道の副総裁等に会いまして回答を求めても満足な回答を得られない。法律が六月一日からとなつておつたからまだ用意ができなかつたと言う。しかるに國有鉄道の総裁と副総裁その他の機関はただちにできておつたじやないか、なぜ労働組合に関する機関だけは放つおつたか、答弁ができない。そういう失態があつたのであります。それでありますから今後かかる失態をなからしめるためには、政府及び特に労働省は一体何をやつておるか、労働省の諸君の頭を覚醒する。どういうわけでかような怠慢状態になつたかということも、これは國政調査として調べる必要がある。ゆえに労働組合のみを被告扱いにせず、あるいはまた政府のみを被告扱いにせず、両者からその根本原因を糾明して論結を出すということが、眞に國政調査に立脚いたしました考査委員会の大目的でなければならぬというのがわれわれの確信であります。私どもは事を調べることそれ自体には決して反対ではないのであるけれども、初めから檢察廳のような態度で労働組合を被告扱いにする、かかることは穏当を欠くという意味で反対するのであります。 なおまた國鉄の中央委員会のストを含む実力行使という宣言が法律違反なりやいなやという問題につきましては、さつき申しましたようにこれは法律問題として論究するとすれば法務委員会にかけるべきであると思います。なぜならば、これは事は法律に違反するという單純な問題で、檢事や裁判官が裁判をするようなことで事が解決できない問題だ。できるならば事が簡單であります。法律の解釈それ自体についてもここに問題がある。今私が衒学的に申し上げるまでもなく、近來においては法社会学の研究が非常に旺盛になつて來ておりまして、法律とは何であるか、法律の解釈というものはどうあらねばならないかということの問題がやかましく相なつておる。法律学の新しい開拓部面として法社会学が起つて來ておることは、諸君御承知の通りでありますが、なお法律時報の四月号を見ますと、一流の学者がこの社会学のことについて論じておる。この趣旨をくみとりましても、法律の解釈というものはそう單純にはなかなか決定ができない。單純に決定いたしますならばほんとうの解釈に相ならぬ。たとえば法律時報の四月号に載つておりますところの一流学者の法社会学、法はいかにあるべきかという論議において、川島博士の論点のごときもかように言つおる。「第一には、今末弘先生のお話の官僚のための法律学という点ですが、これは今までの日本の法律学の決定的な特色だと思われます。」こういうことで、つまり、一旦できた法律はみんなもつともなものだという前提の上に立つて、それぞれに何か合理的な根拠——立法理由——を説明して聞かせる、そういう実定法の正当化ということが、從來の法律学の理論であつたというのです。日本の解釈法学ないし実用法学も多分にこの傾向を持つていた。要するに、法律学は人民に向つて政府のつくつた法はみな正しいのだということを説得する性格を持つていたと思います。ですから從來の法律学は人民に向つて國家法を納得させるために解説するという側面を相当強く持つていたと思います。このことは同時に國家法が近代の民主々義におけるように、人民の自由を守るためにあつたのでなく、人民の自由を拘束することをむしろおもな目的としていたということとも照應し、從つて法律学は人民の立場からその自由を擁護するためになされることはなく、ほとんど常に法律を取扱う裁判官や行政官のためになされたという結果となつていた。」こういう反省がされておる。それでありますからこれが一体法律違反であるかどうかという問題になりますと、憲法違反であるかどうかという共産党の諸君の言うような議論も出て來るし、また法律とはどういうものであるか、そうして法律をどう解釈することが現代において最も適当な解釈になるのであるかということについては、これはなかなか重大な問題なのであります。当委員会が思いつきでちやかちやかとやるべき問題でない。かような法律学の解釈それ自体が今動揺しておる時代に、しかも労働組合運動とか、労働爭議とかいうような、社会にとりまして、また日本の國家にとりまして新しい法律現象がわれわれの環境の中に起つておる際においては、法律学の解釈のごときは重大な問題であつて、いわゆる裁判官あるいは檢察官が簡單に解釈するように当考査委員会が解釈しては、これは國会の権威のために、はなはだわれわれは賛成いたしかねるところでありまして、こういう問題はここに急に思いつきでもつて当考査委員会に提出すべき問題ではない。もつと重大深刻に社会の変遷、法律の歴史を研究いたしまして、徹底的に研究すべき問題であるからして、かような問題をただちに憲法にどうとか、法律にどうとかいうことで、この考査委員会が法律問題を糾明するがごときは、これはこの考査委員会の性格から、はなはだ私は不当だと考えて反対するのであります。 なお三番目の日本製鋼所の問題につきましては、先ほども申しましたように、労働爭議の一態様でありまするがゆえに、労働委員会で審議すべきものでありまして、しかる上になお労働委員会の審議を材料にいたしましてより廣汎なる、より多方面なる調査を必要といたしました際には、この委員会でいま一度これを取上げて審査することもまた必要かとも存じまするが、当面におきましては、これは労働委員会にかけるべきものである、かような見地から三つとも私は反対するのでありますが、ただ先ほど申しましたように、これは決して労働組合だけを調べるのじやない、事そこに至つた根本原因、政府の対策あるいは定員法がいかにして成立せしめられたか、そういう根本原因に対してもなおこれを調査するというおつもりでありますならば、私どもはあえて反対しないのでありまするが、初めから提案者のように労働組合を被告扱いにしてやるということはこれは現在社会問題として大きな問題になつておるこの際、当考査委員会がかかる先入観念のもとにこれを取扱うということは適当ではないかと存じまして、反対をいたす次第であります。
○鍛冶委員長 大橋武夫君。
○大橋委員 私は小川君の提案にかかります國電スト問題に対する調査要求、小玉君の提案にかかりまする熱海決議に対する調査要求、また宇田君の提案にかかります日本製鋼廣島製作所の爭議に関する調査要求、この三案に対し賛成をいたすものでございます。 このたびの國電ストが公共労働関係法第十七條に違反する爭議であることは論をまたざるところであるのでございます。この法規に対しまして、あるいは憲法に違反するものにあらずやという点におきまして、一部の人々からはその効力を論爭せられておるのでございまするが、一旦適法に成立いたしましたるこの法律に対する効力の爭いは、おのずから別に法をもつて行うべきものであると信ずる。すでに成立しておるところのこの法規に眞正面から反対するところの態度というものは、これは明らかに法律に対しこれを無視し、違法をあえてする態度であると断ぜざるを得ない。もとよりすべての労働爭議におきましては、その原因となりました労働條件に関する論議はいろいろあり得ると存じます。この國電ストにおきましても、労働條件に関する目下の論議の経緯については、この当否はいろいろ途べ得ると思うのでございまするが、その当否いかんにかかわらず、憲法に從い、國会の権威をもつて制定せられまする國会の成法に対して違背する破壊的行動であるといわなければならぬと存ずるのでございます。ことに東神奈川において、千葉において、はたまた八王子において爭議の禍程を見ますと、不幸にも一部の分子により暴力が行使せられておる事実さえ傳えられるのでありまして、爭議行為としてそれ自身きわめて悪質であり、破壊的傾向を認めざるを得ないのであります。そもそも労資の間におきまして、往々にして労働條件に関しまする紛爭の起り得ることは当然であり、また今回の紛爭において組合側の主張にも多分の道理があることを認めるものではありまするが、その組合がとるべきその解決のための努力には、現下の國情に照し、おのずから別に道があるべきものであると信じます。今回のストはこの点においてきわめて遺憾な点があつたといわざるを得ないと思うのでございます。さらに六月二十五日の熱海における國鉄中央委員会の決議において、最悪の場合における実力行使の決議につきましても、法治國家において法律を眞正面より否定せんとするところの挑発的傾向を看取せざるを得ないものであります。廣島日本製鋼所の爭議においては、首切りに反対する労働組合が、部外の一部政党に属する大衆を交え家族をも動員いたしまして、閉鎖工場にすわり込み戰術を行い、あるいは経営者側に対し團体交渉と称してこれを監禁し、脅迫的言辞を弄し、あるいは工場施設を破壊する等、不法の行動に出でたるのみならず、占領軍の退去命令を執行するところの警察力の行使に対しまして公然反対の勢いを示し、市内各所を横行して治安を乱したるものでありまして、正当なる労働爭議の域を逸脱して、騒擾をも惹起せんとするに至つたものといわなければならぬのでございます。これらの各地における不法の爭議におきまして一貫して認められるところは、第一にはそれぞれの事業場の爭議に際し、事業場外の関係地域の、ある政党の党員が多数集合いたしまして爭議行為に参與し、不法の行為を挑発したという傾向が認められること、及び第二には当該事業場の爭議を、單なる経済鬪爭より一地方の騒擾にまで拡大いたしまして、その中には治安撹乱の意図すら認めざるを認ないというこの二つの点であります この点より考えまするならば、これらの爭議行為はこれを單に個々の爭議行為として見るべきでなく、これらの爭議の裏に、ある政治的な意図のもとに、かかる不法爭議を挑発しつつある地下政府的な勢力の存在を推察せしめるに十分なる根拠があるといわざるを得ないのでございます。 これを東京の実例について考えまするならば、かかる傾向の先駆をなしましたるところのものは、五月十六日、全日本土建組合員と称する一團の人々が、東京都廳に約二百名押しかけ、知事、局長等に面会を強要いたしましたる後、山田副知事を監禁し、都廳の会議室の一角を占拠した、いわゆる仕事よこせの運動でありました。この先頭に立つていたところの青戸書記長、千葉執行委員は、いずれもある政党の党員であります。また六月三十日の東京都議会に押しかけましたところの保安條例反対運動においても、多数の同じ党員が動いております。それに引続いて東交ストにおいても同じ政党の党員の活発なる活動が見られるのであります。ことに最近の平事件また頻発するところの列車妨害事件に至つては、一政党の策謀に基くものにあらずやという疑いが最も濃厚なるものがあるといわんよりは、一部の人々の間においては、むしろ明白であるとさえとなえられておるのが、現在の実情であるといわざるを得ないのであります。 現在國会に存在いたしまするすべての政党は、議会主義政党としての合法性を天下に宣明したものであるもののみでありまして、暴力を肯定するがごときものは幸いにして見当りません。しかしながらかかる主義を宣明しつつあるところの政党が、すベて日本國憲法の基調をなすところの民主主義に対しまして、はたしてよく最後まで忠実なる誠意を持ち続けることができるかどうか、そのことさらに呼称するところの議会主義の主張は、内心に深く藏する権力主義、暴力主義、独裁主義を取得するところの擬装でありまして、党勢拡張の便宜のために、合法性を獲得するところの手段にすぎないものではないかという疑いが、今なお國民の間に拂拭せられる至につておらないのでございます。ことに今回各種の事件が相ついで起りまするや、國民の疑惑は期せずしてある政党に集まつた感があります。不法爭議のあるところ、不法の騒擾の起るところ、必ずある党員の姿が見られるではないか、そうして必ず有力なる役割を演じつつあるではないか、必ず挑発者となつているではないかという叫びが、國民の間に普遍的に起つて來ております。私は今それが何であるか、何党であるかを指摘しようとするものではありません。ただこれらの事件の背後には共通なあるものが存在する、人民を守るという美名に隠れて、勤労大衆のすべての希望の源泉であるところのわが國経済の再建を妨害し、八千万國民の大多数を犠牲としても、みずからの政治的野心を実現せんとすることを不法に企図しつつあるところの不逞なる一團があるということを想像する、この想像は今やわが全國民の間に一般的となつておるのであります。議会主義を主張しながら、そうして最も規律ある政党と言われながら、不法なる爭議、不法なる騒擾を挑発しつつあるところの所属党員を放任しつつあるところの政党がここにある。これらの一連の事件が起るごとに、偶然にもことさら呼應しつつ相提携するがごとき主義主張を宣傳し、行いつつある、ある政党がここにある。そうして不幸にも同僚議員の所属する一政党が公然かかる國民の疑惑の的となつておるという、きわめて不幸なる事実をここに申し述べたにすぎないのであります。建設的にして愛國的なるところの勤労大衆、世界の環視の中にあつてあらゆる努力を傾けてこの國を再建せんとしつつあるところの、まじめな労働者諸君を煽動し、最も大切なる時期において國家の再建の企図を坐折し、この國を永遠に破壊と混乱のるつぼに投げ込もうとするものは、そもそもだれでありましようか。かような破壊と混乱による被害こそは、すべてこれ將來勤労大衆の上に振りかかつて來るものなのであります。ゆえにかかる人々は、この事件の中にはたして躍る何人かがありといたしますならば、これらの人こそは、勤労大衆を煽動してしかも大衆を裏切り、大衆の犠牲において自己の政治的野心をたくましゆうせんとする、むしろ憎むべき國民の共同の敵であると言わなければならぬと存ずるものであります。今や私どもは彼らの独裁的な不遇のたくらみを民主政治の白日のもとに暴露しなければならぬと思うものであります。この國に混乱と破壊とをもたらし、希望と光明を待望しつつあるところの八千万の同胞を、鉄のカーテンのかなたの暗黒の世界に導こうとする陰謀を徹底的に破砕しなければならぬことを、われわれは主張するのであります。本件のごとき事案こそ本委員会において最も緊急に取上げるべき問題であると存じます。私は小川君、小玉君、宇田君の提案にかかる三つの提案に対しまして全面的に賛意を表しまするとともに、一日もすみやかに本委員会の調査を完了して、國家再建の妨害となるべき事態の実体を明日にし、これが排除に対して有効にして適切なる処置をすみやかに発見せられんことを合せて希望いたすものであります。(拍手)
○鍛冶委員長 神山茂夫君。
○神山委員 本論に入る前に先ほどの委員長の発言の中に訂正してもらう必要があると思うのです。それというのは、この三つの件を委員会で論議するという場合に、これは特殊の取扱いであるということは確かに理事会で申合せましたが、これを條件としてというふうなはつきりしたものではなかつたと私は記憶するのであります。從つてその議事録についてはあとで委員長と、あるいは理事会を開いた上で訂正をされる必要があると思うのです。なぜならば、それでなくとも理事会においては多数派の諸君が、その意図がどうであるかは別としまして、どうも横暴の傾向が最近ますます多いのであります。こういうことを明文の上に残されますと、後日たいへんな問題になると思いますので、一言ここにくぎをさしておきます。 本論に入る前に三人の今の提案に対しては、もちろん私たちは反対するのでありますが、まず第一に私たちはこの考査特別委員会が特別委員会であるということを思い起していただきたいのであります。この点については先ほど猪俣君が強調された点とも関連しますので、こまかい点は省略しますが、書いて字のごとく、本考査員会は持別委員会、現にここに出されておる三つの問題のごときはおのおの所管の委員会があるわけでありまして、しかもこの三つの事件が三つとも現に労働委員会、あるいは法務委員会で取上げている問題であるということ、このために國政調査さえもわざわざ行われているという、こういう事実があるのでありますから、この点を十分考慮することを私は要求するものであります。 第二に私たちが考えなければならないことは、本考査特別委員会は超党派的な性格を持つているといことが、まつ先にうたわれ、終始口には言われておるのであります。また第一回の理事会の申合せに基きますと、本委員会は第一に不当財委がかつて取扱つたような財界、官界及び政界における腐敗的な事件、法規問題に関連するようなもの、こういうようなものを摘発するということが第一に強調されている。このために六〇%の重点を置くということが申合せをされているのであります。日本の再建を阻害する行為については先ほどから論議されておりますが、これについては大体三〇%重点を置くというふうに申合せをされておる。日本で表彰すべき善行——これがあるかないかは大いに問題でありましようが、ある人の意見では一体日本にそんなものがあるかというようなことを言う人もあるらしいのであります。こういうような問題については一〇%重点を置く。こう言われておる。この申合せに從つて本委員会は活動しているにもかかわらず、私たちは最近の委員会の行動を見ておるときに、まつたく奇怪の念にたえないのであります。本委員会の一番初めに、取上げたのは税務官吏の汚職の問題でありまして、それに続いて取上げたものは、石川縣における二つの耕作面積の不正事件と言われておりますが、その内容においては明らかに共産党に対する攻撃を目標としたものであることは、すでに今までの委員会ではつきりしております。ただ一つ汚職に関係のある、あるいは不当財委に関係あるというふうに思われるのは弘済会の拂下問題に関するものでありますが、これは遅々として進まない。税務官吏の汚職の問題についてはすでに結論を出すべき時期に來ておるが、結論を出さないばかりか、逆にこの中に出て來た共産党の活動に対する特定な攻撃的の意図を持つた調査になつたり、また中間報告もわれわれの反対にもかかわらずそういうことになつておる。そういうことを考え合せますときに、考査委員会が実際の活動の中で超党派的な性格を明らかに失つて、共産党に対する攻撃の武器になりつつあるといわれても仕方ないのであります。 なぜならば委員長なり事務当局がよく知つておるように、今まで引継いで來た不正事件は十四か十六、七にわたる大きなものであつて、これが一年半以上あたためられたままで何もやつていない。これに対する促進もほとんど行われていないのではないかということをわれわれは考えざるを得ない。こういう一方的な問題だけを取上げる。しかも日本再建を阻害する行為として労働者諸君に対する賃金不拂の問題がある。こういう問題を出すと特別委員会、すなわち政府支拂の特別委員会でやつておるからいいではないかというような形で実質上握りつぶしになつておる。また埼玉縣における二合半領における不当供出に対する、また全國にわたる不当供出の問題を出せば、これは調査中だと言つて逃げてしまう。こういうようにして私たちが見て來ると、考査委員会の実質は非常に一方的な民自党的なものになつておるということは明らかであります。今の國電ストの問題に関連してその性格ははつきりして來たと思う。この國電ストの問題について、ます考査特別委員会にかけようと言つたのはほかでもない民主自由党の幹事長である廣川弘禪君でありました。彼はその際に單に考査委員会を開くというだけでなく、考査委員長を呼びつけて彼にやらせるということまで言つておる。委員長自身の意図はどこにあるか知らないが、その委員長はあわてて十五日に上京して來た。二十日から理事会を開くということはわれわれの申合せでありましたが、二十日から招集された理事会を世間では國電問題のために招集されておるとはつきり言つておる人が多い。こういう空氣であつた。しかもこういう際に声明を発して当考査委員会は超党派的な性格を持つものであるということを強調した口の下からこの提案を取上げておる。その提案者の小川君のごときは、民主自由党の考査委員会の一方的取扱いはけしからぬということの草案の起草を委託されたのに、草案よりも先に國電ストを取上げるということを出しておる。これは民主野党派の微妙な政治的地位からいたしまして、また小川君の政治的見解からいたしましてまことに当然かもしれませんが、うがち過ぎた観測をする人は、小川君の意思に反したことまで——あまり芝居をするなというような実情になつて來ておる。しかもこの問題を急いで一方的にかけようとする事実があつたために今日まで延びて來ておるのでありますが、とにかくこの考査委員会の空氣を全体として見ておりますと、國電ストの問題を絶好の機会としてとらえたところの民主自由党の指導者諸君が治安閣僚会議、さらには地方自治体の中に考査委員会的のものをつくつて行こうという方針とからみあつておるばかりではない、現在行われておる警察を強化して専制的な支配をして行こうという活動と緊密に結びついてその一部になつておる。ここに私は考査委員会の性格を眞劍に私たちが考えるならば愼重に考慮すべき問題があるのではないかということを強調せざるを得ない。 あまり前置きが長くなつてもなんだから内容に入りますが、まず國電ストの問題が起つて來たということを私たちが本格的に徹底的に調査しようと思うならば、現在の日本の國鉄がどういう状況になつておるかということをはつきりしなければならない。この点私はできれば非常に簡單にしたかつたのでありますが、大橋君、この賢明なる官僚出身の大橋君のごときが、現在の列車事故をあたかも共産党がやつておるがごとき誹謗的言辞を弄された今となつては、いかに國鉄が崩壊しておるかというこの事実は、簡單にでも指摘しておかなければならない。そうでないと、現在日本歴史上初めてと言われる列車事故がまつたく共産党の一方的行為のようになつてしまう。この点については地方行政委員会において國営の長官がそういう事実はないということを言つておる。また増田官房長官がそういう言明をしたふうに傳えられておるが、私自身はそういうことを言つたことはないということを言つておる。親玉がこういうことを言つておる。親の心子知らず。大橋君のごときがこういうことを言うのでありますから。國鉄がどれほど荒れているかということを簡單に言つておきたい。関東地方の現状を見ますと、利根川の洪水が大きな影響を残しておりまして、東北本線、常磐線の大動脈はいつも危機にさらされておる。北日本を結ぶ信越線のアプト式急勾配は諸君御承知の通りほとんど崩壊の寸前にある。東海道線も諸君いつも乗りつけているように新橋、東京間の高架線には大きな亀裂が生じ、地盤降下が起つて危険な状態にある。信越線、常磐線は波浪や落下に脅かされておる。大阪地方は地盤沈下によつて橋梁がだめになり、路線が崩れようとしている。山陽線は荒廃して、諸君も御承知のように顛覆事故の一番多い所になつておる。九州から北海道の橋梁、トンネルはほとんど老朽しておる。四國では地滑りが文字通り國鉄を麻痺しようとしておる。このような現状に國鉄を追い込んだ者はだれか。これは現にわれわれが当考査委員会で國鉄の不当拂下問題の一角としてとりあげておるあの弘済会事件の調査の中にも現われておるところでありますが、こういうふうに國鉄を追い込んだ最大の責任者は、今まで國鉄にがんばつていた高級官僚諸君と、これと結託する一部の御用商と、この背後にある特殊の政党の諸君であります。これはこの考査委員会が本式にかかつた場合にどなたかに不幸になるかもしれませんが、根本的に大勢の調査を出しますから、きようは要綱だけ述べておきます。今まで國鉄の資材関係は使えぬ資材を買つておる。ここで証明されたように、たとえば使えるニッケルのごときを古品といつて拂い下げておる。現場に送られる石炭は実際の帳面づらの量よりも減つておる。また不当な價格で拂い下げておる。これも弘済会の調査で一部分わかつておる。また特殊物件の取扱いの上にも多くのふしぎが残されておる。こういう事実がまず第一に大きな影響をしておる。かてて加えて予算が次から次に削減されておる。しかもこの予算が不当に使われておるという事実がこの裏づけになつておるということを強調せざるを得ない。このことのうえにかてて加えて政府側が今まで労働基準法その他に違反してやつておる行為は無数にその例をあげることができるのであります。從つて現在の國鉄の從業員諸君にとつては今度の定員法に基く十二万五千の首切りがなくても文字通り鉄道は崩壊し、自分たちの生活水準は下り、これらが関連して文字通りどうにもこうにもやつていけないという状態です。ここから國鉄防衛の声が自然発生的に起らざるを得ない根拠があるのであります。こういう点を先ず私たちが考えて、しかもこういう條件の上に十二万五千人の首切りという定員法が強行的に通されておる事実があるのであります。民自党の諸君は口に民主主義を言う。毎日毎日民主自由党は民主を言い、自由を言う。しかし第五國会における定員法通過の手際はどうであつたか。閉会の日の食糧確保臨時措置法に関係する終結のし方はどうであつたかということになれば、いかに勇敢な佐々木君といえども、民主主義とは言えないだろうと思います。こういう実情にあるのであります。從つてここから起つて來る労働者の苦情、労働者の苦悩、こういうようなものの上にかてて加えて今度の新交番制が強行されたのであります。これが強行されますと、労働者諸君にとつては、直接一時間以上の労働強化になる。しかも問題の紛議の起つた東神奈川、千葉、中野のごときは労働時間が長くなつただけではなく、そのために必要な宿泊の設備その他がほとんどめちやくちやなんであります。このために自然発生的に鬪爭が起つて來たのであります。小川君はあたかもこれを共産党の暴力革命の予行演習だと言われたのであります。暴力革命と言うことがそもそも不可怪きわまる言いがかりであります。いわんや脅迫暴行というがごときはちやんちやらおかしい。これは後にいくたの事実によつて立証されますが、中野の場合における採決の数字、一体どういう方法で決定したかを諸君が見られるならば、問題はきわめて明らかであります。三百三十対十八という数字で大衆自身が決定している。わが党から言えば共産党の勢力の弱い所でこういうことが起つている。東神奈川の一連の行動も、大衆の自然発生的な盛り上りによつて起つたことは事実であります。しかも今さつきから声を大にしているところの人民電車その他の問題についての内容を調べたら一層はつきりするのであります。あの電車の運行を即時始めようとした十日の日、さらには十一日の日、これを阻害したのは一体だれであつたか。まさに管理部長であり、区の区長である。こういう事実が明らかになつているにもかかわらず、こういうことは知らぬ顔をして、あたかも共産党の暴力革命の準備だと言うがごとき人の心臓を私は一ぺん解剖してみたいと思うのであります。言えばきりのない問題でありますので、もう一ぺんあとでこの点について意見を述べるとして、その次に小玉君の熱海決議は不法行為であるという点について、一言見解を述べたいと思います。小玉君は判事だけあつて、各国の憲法を引用されたりして博識振りを発揮されたのであります。遺憾なことには、日に日に滅びつつある中国の憲法、あの笑うべき憲法をかつぎ出しているというところに彼の世界情勢に関する認識のほどがうかがわれる。またあの大韓國——そういう國があつたのかと朝鮮の人が言いますが、そういう大韓國の憲法を引張り出して、得々として人民の権利に制限があると言うに至つては論外であります。ここでは人民の権利が束縛されていることが、特長なんであります。そうしてそういう國が滅びつつあるのが特長であります。現に諸君の目の前に毎日滅びつつあるこの事実を見ないで、古くさいものをかつぎ出すなどはちやんちやらおかしいのであります。さらに北朝鮮の人民民主共和國の憲法を引用されたのはまことにけつこうでありますけれども、それにもかかわらずその内容の根抵をなすところのものは、あすこが人民民主共和国であり、主権は人民に、労働者に、農民に、働く全勤労大衆に、さらにまじめな産業資本家諸君にあつたということ、日本のように一部の独占資本家及びその手先が握つているものでないということを知らないところに、彼の学問の浅薄さがあるのであります。また日本の憲法を引用して、第十二條を云々されたのもまた一りくつあるように見えるのでありますが、小玉君の、不幸は、第九十八條を終始お忘れになつている点にある。第九十八條には何と書いてあるか。「この憲法は、國の最高法規であつて、その條規に反する法律、命令、詔勅及び國務に関するその他の行為の全部又は一部はその効力を有しない。」と書いてある。この事実を諸君は都合のいいときはすぐお忘れになる。從つてこれを忘れている小玉君はこれを一ぺんぐらい読んだ方がよろしい。定員法の問題について、現に国鉄の労働者諸君が、これは憲法違反だという根本的な観点に立つており、また猪俣君の指摘されましたように、定員法、公共企業体関係法規の第十七條、こういうようなものの関連についても大きな疑惑が持たれている。この点は單に國鉄の労働者諸君が持つているというだけでなく、連合軍最高司令部の関係者諸君、たとえばエーミス氏その他が先月の十二日に意向を表明しているのもこのような点に関連している。從つてこういうような問題について、一方的に國会がきめた法律だから正しいというがごときはちやんちやらおかしいのであります。もしも諸君がそういうことを言うならば、なぜ取引高税撤廃なんという大きなことを言うんだ。すでに法規がきまつており、その法規を撤廃するという意思を持つことがおかしいということになる。それで熱海のあの会議の問題でありますが、あの決定が法に反するかどうかということについては、諸君の党の中央におる諸君も必ずしも小玉君のごときあわてた見解を発表していないのであります。現に鈴木労相の声明の中にはこの点に触れており、今のところこの決議を取上げてすぐ処分するというような意図はない模様だ、これは朝日新聞の言うところであります。声明文の中には、右の決議は法律に違反する結果を來すという表現を用い、政治的な含みを残している。これはあたりまえである。これに國鉄六十万の労働者諸君の決意が含まれている。しかし、そういう意思を持つたということがどうしてすぐ犯罪になるか。もし意思というものが犯罪になるのであつたならば、諸君がどういうことを考えるかということがすぐ犯罪になるならば、日本の情勢はもつとかわつていたと思う。こういうように労相自身が含みをもつて扱つている問題を、お先走りの忠義立てをして、何の必要があつて考査委員会が取上げなければならないか。これこそ親の心子知らずの、まつたく非政治的な、法学者的なやり方である。さらに加えて特定の政党という、これは率直に言えば日本共産党に対する一方的な攻撃であり、一方的な挑発であるということは明らかである。なぜならば、今大橋君が並べられた事件の例をあげればよくわかるのであります。たとえば都の自由労働者諸君が食えなくなつて、何とかしてくれといつて東京都廳に押しかけた。これが怪しからぬと言う。東京都側が全國の知事及びその他の申し合わせに從つて保安條件という憲法の基本的な人権を阻害するような法律を作ろうとした。その企みに対して労働者が抗議するがなぜ怪しからぬ。そうして東交の労働者がこれによつて殺された。これに対して東交の労働者が立ち上る。これも怪しからぬ。諸君のすべての計画に対して、それに反対の意思表示をする者はことごとく怪しからぬということになる。これはいかに民自党的な一方的な考えを持つているかということが、すでに明らかになつたと思うのであります。從つて熱海におけるこの決議も、小玉君たちが強調するように、決して日本の平和國家の再建ということを、阻害する行為ではない。まさに日本の平和國家への発展を阻害しているものは、失業対策を文字通り何も立てないで三十一万近い官公廳職員の首切り、各地方自治体の職員の首切りをやり、このために政府発表によつても百八十万の失業者を出す。この連中こそ日本を平和國家でなくしている連中である。その責任に從つて民主自由党の諸君こそ負うべきものである。さらにこういう行き方を強行するために、現に行われつつあるように、日本を警察国家にしつつある連中も民主自由党である。この点を帰つて廣川幹事長、吉田君に教えてやつてほしい。労働者諸君、農民諸君、中小商工業者の生存権を脅かしているから彼らは立ち上るのである。この生存権の問題は、憲法に明らかなように、日本臣民は生存の権利を持つている。健康にして文化的な生活をすることができるとうたつてある。こういうことを読んで、その上で國民大衆の前で諸君の見解を述べた方がお身のためになると思うのであります。 さて廣島の事件であります。内藤君が先ほどから廣島の日鋼事件について述べられた中には、もつともらしいこともありますが、大いに間違つている一方的なこともたくさんあります。こういうこまかいことは不幸にして本件が考査特別委員会にかけられますならば、われわれは徹底的に眞相を明らかにする準備は持つておますけれども、労働委員会の專門委員会で出しておる資料、日鋼事件概況、廣島市警察局の出した報告の写しでありますが、もしこれでも私たちが冷静に読むならば、日鋼が單に日本の資本家のものではなくて、これがアームストロングの手が入つておるということをまず第一にはつきりしなければならない。その上で賠償工場であるということを言うことがいいと思うのであります。先ほど大橋委員にしましても、あるいは内藤委員にしましても、賠償工場であるから進駐軍側が命令を発したというようなことを大きく言われておりますが、これに対して責任を本当に持つか持たないか、これを私は聞きたいくらいだ。これは眞相の調査をすれば明らかになることでありますが、縣知事そのものさえもこういう命令があつたというとは今日否認しておる。さらに日鋼がこういう苦しい状態になつた原因はどこにあるかと言いますれば、現在の吉田内閣の政策の結果、日本の中小炭鉱が崩壊しつつある。このために日鋼で特殊な大きな役割をやつていたところの、中小企業向けの炭鉱用の器材の発注がとまつたということが大きな原因であり、さらに直接の原因は運輸省の予算が削減されたために、ここの一番大きな仕事であつた車輌生産がとまつたということであります。從つてもしこの責任を追究するならば、車輌生産をここに追い込んだ、あるいは炭鉱をここに追い込んだところの元兇である吉田内閣こそが、その責任を負わなければならぬということになる。さらにこの事件の全体については別の機会に十分述べますけれども、事件の全体を通じて特徴的なことは、日鋼の会社側が労働者諸君を終始だましたということであります。実はタイ國から來ておる車輌の注文でありますが、この車輌の生産中にすでに紛議が起つている。この紛議の最中に労働者諸君がストライキをやろうという決議をやつたという。シャム車輌さえ終れば何とかして君たちの要求は通すし、首も切らないからがまんしてくれと言つて、この車輌生産だけはやつてしまつた。終るやいなや七百三十名の首切りだ。こういうやり方は一つ一つ例をあげるといとまがない。要するにこういう一方的なごまかしをやつて、労働者階級の意思を押えつけだまして來ておるのであります。さらにもう一つ大事なことは、工場再建のプランについて、労働者側はミシンを製造することによつて、現在の日鋼のこの廣島工場だけは維持する工場再建計画をつくつておる。この計画は資材によつても、あるいはその他の補助物資によつても、貸金の関係でも可能性があるのであります。それに対して会社は一顧の價値も與えないでこれを蹂躙しておる。こういう例をあげて行けば無数にあるのであります。從つて工場側のあるいは会社側のいろいろな言動に対して、労働者諸君が信頼を置かなかつたことは当然だと思います。しかもこの七百三十名の首切りを行うにあたつて、会社側はその首切りの通告をする前後、すなわち六月二日に首切りを発表する前に船越公安委員会を開き、ここの公安委員会は文書をもつて廣島警察署長に、公安委員会に警備の動員方を依頼しておるのであります。しかもこの船越の委員たるやどんな連中かというと、根石と言い、日吉と言い、ことに日吉のごときは日吉組と言い、この会社と特殊関係にある土建業者であります。こういう公安委員諸君が、六月二日首切りの発表以前においてすでに彈圧の準備をしておる。また六月十二日、十三日には連合軍の人が一部出て來ておりますが、これはおくとして、六月十四日の事件の前には公安委員、縣知事、それから岡谷檢事等が彈圧に関する種々の打合せをしておる。この点については岡谷檢事や公安委員がすでに言明しておるのであります。從つて六月十五日のあの事件が起る前に、警察当局がすでに万全の攻撃準備をしている。しかも先ほど言いましたマイクを通じて言い聞かせてその上で労働者を逮捕させたと言いますが、そのマイクに対してはまた労働者側からサイレンを鳴らして答えておるために、一般の人に十分聞きとれない。聞きとれないというよりも、マイクの放送が終るやいなや警棒の一撃を頭に労働者は受けていたのであります。こういう事実を諸君が知つておられて、しかもこれを考査委員会で調べるというほどの心臓があるのかないのか。しかもこのためには吉武君初め、各党派から特別の調査委員を派遣されるということが決定されておる今日でありますから、この点については特に本考査委員会は冷静なる、しかも超党派的な態度をもつて臨まれることが一層必要であると思うのであります。 さて共産党に対する一方的な誹謗をこれは大橋君個人の見解だと思うが、述べられたので、この点について一言お答えしておきたい。それはわが党が日本の復興を阻害する、そのために暴力革命を行う、これは民自党の諸君が最近非常に愛好される宣傳でありまして、それは大いにおやりになるがよろしい。必ずや事実がいかなるものであるか、その状態をはつきりすることと私たちは確信しておる。しかし日本の政界を今日のごとき状態に追い込んだところの最大の原因は何であつたか。それは名前や相手方は言う必要がないが明らかだと思う。日本のあの隠退藏物資を食い、日本の再建を阻害したあの政界、財界、そういうところに巣食つていた特殊の勢力ではないか。現にこういうふうな不正、腐敗な事件が無数にあることは天下周知の事実ではないか。こういうものを本考査委員会が少しも摘発しない。現に麻生君に関連する復金融資の使い方に対して疑惑があるということを言われておるが、この事実について一ぺんだつてまじめに調査しようというふうに考えたことがあるか。また全國の山林に関連して、林友会その他について民主自由党の諸君が関係しておるという宣傳は、わが党が先頭になつてもちろんやつているが、事実として一部では立証されておる、警察当局が事実として取上げておる。こういう問題に対しては指一本でも加えたことがあるか、加えたことがないし、加える氣もない。現に殖田法務総裁のごときは、閣僚の中から汚職関係者が出てもかまわんということを放言しておる。こういう連中の尻馬に乗つて、この考査委員会がこの三つの重大な労働者階級の動きに対して、さらに日本人民全体の権利に関する問題について、一方的な特定のものに対する攻撃の道具になろうとしていることは、本委員会の性格にも反しておるから私は絶対にこれに反対するものであります。もしこれを諸君がかけるならば、結果は諸君の意図に反して、こういう問題を取上げ、こういう問題を提案するならば、それに対する労働者階級を先頭とする当然の反撃が來ることを覚悟の上でやつてもらいたい。 〔発言する者多い〕
○鍛冶委員長 静粛に願います。椎熊三郎君。
○椎熊委員 わが党の同僚から調査要求の理由はすでに御説明があつたことと存じます。從つて当然わが党は國電スト問題調査の要求、國鉄の労働組合中央委員会の実力行使決議の事件の調査、日本製鋼所廣島製作所の爭議事件の調査、この三案は当然当考査委員会において慎重なる調査をなすべきものと私どもは要求書の中にも提出してございます。ただいま共産党の神山君のお話などを聞きますれば、そういう事態を明らかにする上においても一層この調査を愼重にしなければならぬと存じまするが、かえつて神山君のお説を聞いて、私は急速にこの調査に着手すべきことを考えます。以上簡單でありまするが、提案の理由に賛成いたします。
○鍛冶委員長 石田一松君。
○石田(一)委員 私はただいま議題となつております三件に関しましての提案者の説明を聞きまして、本案は提案者の提案趣旨説明の理由によつては、この委員会で取上げるべきではないという反対の意見を申し述べたいと思いますか。 その理由の一は、このような案件をこの委員会がただいま説明なさいましたような理由、しかもその観点でこれを取上げるといたしますと、私はこの委員会自身がこの委員会の持つておるところの自主性とこの委員会の最も特徴あるところとされているところの超党派的な性格というものをわれわれ自身が放棄するような結果になるおそれがあると私は考えます。なぜかと申しますと、ただいま私たちが、各会派と言うと語弊がありますが、特に民主自由党と共産党の方の討論の内容をここに冷静に拜聽をしておりましても、この問題を取上げるという側のいわゆる民主自由党側の意見は、共産党、共産主義というものをやつつけようという観点、しかもこれに対しての共産党としての考え方は、共産党側はこの民主自由党のあり方をやつつけよう、この委員会を利用して國の政党の一党一派が勢力を拡張しようという爭いをここでしておる。私はそういう観点で考えてみますと、考査特別委員会は、少くとも前の不当財産取引調査特別委員会の継続存置されたものであると解釈しても決して不当ではないと思います。にもかかわらず、この委員会が設置される以前、すなわち第五國会において、吉田総理は、非日活動調査委員会というようなものを設けたいという意向をしばしば新聞紙上に漏らしていらつしやいました。これが設けることができないような客観情勢があつたかどうか、突如として、運営委員会に考査という何だか中学校の試驗みたいな名前を持つて來て、考査特別委員会というものをつくるんだ、しかもその中にアメリカにおける非米活動調査委員会がやつた調査内容と同じようなものを調査するものをこの中に含んで來たのであります。私はこれを今この際否定しようともどうともするものではありませんが、その結果が、今われわれが民事党の方と共産党の方の討論のいわゆるあり方、あの内容を聞いておりましても、実にこの委員会の超党派性というものが失われている、私はこういうふうに考えます。しかもこの問題が超党派性を考えるどころか、一党一派をやつつけようという考えで出ておるのであります。私は國会の考査特別委員会を利用して、たとい多数党であろうとも、民主自由党が反対党の一党を倒さんがためにこの委員会を利用するかのごとく疑われるような事件は、軽々にこの委員会で取上げるべきではない、こういうふうに考えるのであります。しかも特に先ほども神山君も申されましたように、この問題を取上げるということは、吉田首相が民主自由党の役員会に総裁として出席なさいまして、いろいろ役員の協議の結果廣川幹事長談として過日の新聞にこれを徹底的に考査特別委員会で取上げて、この背後関係を追究するのであるという声明をなさつたのであります。さながらこの考査特別委員会は、総理大臣の一つの意思によつて動かされているかのごとき悪い印象を國民に與えたことは、まことに私は遺憾だと思う。しかもこれを取上げることによつて、これが証明されると思うのであります。私は決してここにへりくつを申し上げようとするのではありません。こうした問題を徹底的に調査糾明をしまして、しかも今後の日本の労働問題、あるいは失業対策等に対するところのいろいろな政策を得るために國政の調査をするのであるならば、もちろんこれは重要な問題ではありますが、社会党の猪俣委員も先ほど力説をなさいました通り、こうした問題が起つた原因の中に、政府の労働対策、あるいはまた失業対策等に遺憾な点があつたのではないかということ、あるいは今後これらに対してはどういう政策をもつて臨むべきであるかというような具体的な意見を銘記して、両者ともに調査するという形で私は進まなければいけないと思います。その点に関しましては、すでに労働委員会の理事会におきましては、これを取上げることに決定をいたしまして、しかも当然にこの政府の問題も十分愼重に調査をするという理事会での申合せもわれわれは聞いているのであります。労働委員会がこの問題を取上げようとしておる際に、先般來新聞紙上でさながら総理大臣の代弁をしたかのごとき廣川幹事長の声明によつて、これが動かされておるという印象を與える、この委員会で取上げ、しかもそのために國鉄の労働組合でもこの考査特別委員会で國電ストの問題が取上げられるということを、やはり議決をもつて拒否しようとしておるのであります。すなわちこの委員会がこれを強引に取上げることによつて、プラスにする面よりか、この人々をむしろ刺激して事態を悪化させるおそれが絶対にないとは断言できないと思うのであります。私はこの問題は労働委員会に主として取上げさせて、労働政策の一環としてこれを愼重に調査糾明をしてもらいまして、しかも考査特別委員会が労働委員会と合同審議をするという形でこれに参加をして、この調査をすることになりますならば、労働者諸君の神経を刺戟しないで円満に行くのではないか、この点について特に私は力説をしたのであります。この際簡單なことですが、國会法の四十五條を見ましても、常任委員会の所管に属しない特定の事件を審査するという規定のもとに特別委員会が設置されていることだけは疑をいれません。すでに労働委員会、あるいは法務委員会等においてこれを所管事項として取上げている事実があるとするならば、特別委員会はむろん観点が違うかしりませんけれども、同じ事件に対して常任委員会で取上げているものを再び取上げることは、先般の資本家の賃金の遅拂、あるいは未拂問題を政府の融資の面の特別委員会にこれをまかせた方がいいという民主自由党の多数の意見もあつたような考え方をもつても、これは労働委員会にまず主として政治的に、しかも労働政策の面から慎重に調査してもらつて、これにわれわれが参加するという形をとる方が、円満な運営がなされるのではないか、こういうふうに考える。私はこれらの理由をもちまして、ただいま議題となつております三案をこの委員会が強引に取上げて行こうというような形はぜひこの際やめてもらいたい。こうした意見を述べまして、取上げることに反対をするのであります。
○鍛冶委員長 ただいま椎熊君より國電スト問題について補足説明をいたしたいとの申出がありますが、これを許可することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長 では簡單に願います。
○椎熊委員 石田君は、本問題を当委員会で取上げることは、委員会がある一党一派をやつつけるという言葉を使つておりましたが、それを誹謗するという意味か、攻撃するという意味か、いずれにしてもそういう党派心の上に立脚して、ある特定の党派を追撃せんがために、かくのごとき問題を取上げたかのごとき言辞を弄された。またこれが吉田総理大臣の意図に出ているとか、あるいは民主自由党の考え方であるとか、そういうことのようでありますが、わが民主党のこの問題を取上げたゆえんのものは、吉田総理大臣の意に基くものではもちろんないのであります。民主自由党の考え方がいかがであるか私は知りません。單に現実に起りましたこの事態は、当委員会として当然取上げるべき問題で、單なる労働爭議の問題ではない。こういう見解であるのでありまして、石田君の認識を改めていただきたい。
○鍛冶委員長 小松勇次君がお見えでありませんから、次の討論者玉井祐吉君。
○玉井委員 私は労働者農民党を代表して、ただいまの提案に対し反対の意思を表明したいと思います。 いろいろこまかい反対の理由につきましては、社会党、共産党その他の方から言われておりますので、さらに附け加えることはいたしません。ただ簡單に一点だけを申し上げたい。それはこの考査特別委員会で取扱う問題は、まず第一番に、すでに言われておりますように、不当財産関係の問題、これは法律上許すとか許さないとかいう形式的な問題ではなくて、社会通念上当然許せないものとしての問題が、全部取上げられていると私は考えているわけであります。ところが今度の國電ストの問題であるとか、あるいはその他の問題などになつて参りますと、これがはたして日本の再建自体に悪影響があるのかないのかという價値判断が、まず行われなければならないと思う。そのもとにおいて、かりにその場合悪影響があるのだということに決定したならば、その場合において調べるということは、これまた意味があるわけですが、第一、悪影響があるものかどうか。特に調査する以上は、その悪影響を與えているところの責任者の問題と結びつけなければ、とうていお話にはならないと思う。そういう意味で労働委員会その他の委員会において、この問題を取扱う。そうしてそこにおいて取扱われている以上、この考査委員会でどうしても取上げなければならないとするならば、この行き方、すなわち第一にこういうストライキというような問題が社会通念上とうてい認められないものであるかどうか、それから今度の國電ストの場合において、それが明らかに日本の再建に有害なるものであるという結論を考査委員会自体がまず出さなければいけない。そこにおいて初めてそれを取上げるかどうかという問題が、二段に起つて來ると私は思つているのであります。特にそれは重大な問題だと思います。どうもくさいからしいというだけで、いいか悪いかわからない問題を取上げて來てやることはおかしい。いいか悪いかをきめるのは、何もここでやる必要はない。そういう意味で労働委員会その他の所でこれを調査する以上、しいてここでこれを取上げる必要は決してないと思うのであります。ことにこのたびの國電ストの最初の問題が起つた新交番制の問題などについても、経過をたどつてみると、むしろ一方的命令によつて首切りを実行しようと決定したのが、六月九日午前十一時半、それから夜の二十時になつて、当局から事業場を閉鎖するという命令を電報で出しております。その翌日の十日の朝の一時二十分ごろには、職場の人たちが全部集まつて、その十日の始発から全部乗務をしようということを決定している。ところがそれを当局の方に申し込んだところが、当局の方はその乗務をすることを拒否している。すなわちストライキが起るとか起らぬとかいうことよりも、乗務自体を当局が拒否しているという点をよく考えなければならぬと思う。もちろんいろいろな戦術ややりくりの関係もあつたことであろうと思いますが、しかしこういうように乗務員の方では、すでに十日の始発から乗ろうということを職場で決定し、それを申し出ているにもかかわらず、当局の方ではこれを拒否しているという事実を考えなければいけない。そうなつて來ると、こういう問題がただちに労働者の側においてのみ責任があるというような取扱いをされることは、非常に危険である。これは労働委員会で取扱うべきである。従つてこの問題自体を考査委員会にただちにかけるには、まだ條件が非常に不十分である。特に日本再建に有害だという決定がなされない限りにおいては、その有害であるところの内容についての取調べをまず行うべきである。そういう意味でこの際あらためて労働委員会その他の所で取扱つている現在において、これをしいてこの委員会に取上げる必要は毛頭ない。こういう立場から反対するものであります。
○鍛冶委員長 篠田弘作君。
○篠田委員 私はこの國電スト並びに熱海における決議、日本製鋼所の廣島製作所における爭議、この三つの提案につきまして賛成をいたすものであります。 今まで反対論を聞いておりましたが、反対論はまつたく意味をなさないようなことを言つていると私は思うのであります。まず第一に、社会党の猪俣君が言われました、法律学の解釈について学者の間に非常に議論が多い、そういうときに一方的にこれを解釈して、法律に対して背くものであるというような解釈はなつておらぬ、こう言いますが、また猪俣君の言葉の中に、政府のつくつた法律ということを言つておられますが、しかしこれは決して政府がつくつた法律ではありません。これは國民を代表するところの國会の多数によつてつくられたところの法律であります。これに從うことは、すなわち憲法に從うことであります。そういう意味からいつて、学者の解釈が違うからその解釈がまとまるまでこれを取上げることができないというならば、百年河清をまつのたぐいであると思うのであります。 それからあたかも個々の労働爭議を考査委員会において取扱つているというようなことを言つているのでありますが、決してわれわれは個々の労働爭議を取扱つているのではございません。國電スト、あるいは熱海における決議、または製鋼所の問題、なるほど別々に見えますけれども、これを一貫してその裏に貫いているところのあるものがあるということを、われわれは見ているのであります。公然と法律を否定し、法律に反抗するというこの態度、この思想は、日本再建に重大なる影響があるということを考えて、われわれは取扱つている次第であります。 次に神山君の考査委員会は不当財産の処理問題について、六〇%の勢力をさき、日本再建を阻害する行為について三〇%をさくという申合せがあるにもかかわらす、こういうことをやるというのは、最初の申合せに反する、こういうことであります。しかし考査委員会ができたときは、まだまだ今よりも前であります。かくのごとく、日本再建を阻害するような行為というものが頻発するということは、國民の常識においても、議会においても考えられておらなかつた。ところがその後何を考えたか知りませんけれども、炭鉱爭議をつつついたり、それを初めといたしまして、最近においてまつたく暴力革命の予行演習のようなことをやつております。こういうことから考えれば、すなわち時局の状態に應じて考査委員会が調査して行くということは、何ら差支えないのであつて、私はむしろ日本再建を阻害するものの行為について、六〇%をさくべき時期であると考えるのであります。それから今度の爭議が、國鉄というものがもうすでに非常に疲れておつて、自然発生的に起つたものである、こういうふうに神山君は言つておりますが、なるほど長い戰爭によつて資材の欠乏であるとか、あるいは修理の不足というようなものから、國鉄そのものが疲れておる。一日も早くこれを修理しなければならぬとは、われわれも考えております。であればこそ一層大事に一層丁寧にこれを使わなければならないのである。にもかかわらず石を並べたり、あるいはまた連結器を切つてみたり、その他あらゆる列車妨害をやるということは、神山君のこの言葉にまつたく反する行為であつて、しかも今日までに險挙されておる者を見ると、共産党員がきわめて多い、こういう事実があるのであります。それから小玉君の言われたことに対して、神山君は小玉君の学問は浅薄であると言つております。しかしこれは実に笑うべき言葉であつて、神山君の学問こそ実に浅薄であると言わざるを得ない。共産党が暴力もしくは武力によらずして、革命をなした國が世界のどこにあるか、これを考えてみたならば、それはほとんど証明されるのでありますどこにも暴力によらず、武力によらずして共産主義革命を人民の多数の投票によつてやつた國などというものは一つもない。これははつきりしておる。であればこそレーニンはその著書、いわゆる「背教者カウツキー」という著書において、カウツキーの社会民主主義の方向によつて、社会革命を行おうとしたことに対して、これはマルクスの教えに背くものであるといつて、わざわざ一册の本を書いておる。また「國家と革命」の中において、社会民主主義によつて、社会革命はできないものであるということをはつきりと言つておる。これを知らずして暴力革命によらず、武力の革命によらずして社会革命を行うなどと言つている神山君こそ、まつたくアカハタ小僧であり、論語読みの論語知らずである。そういう点から申して行きますと、もちろんわれわれは憲法によつて保障せられたるところの労働者の権利、人間としての正しい、いわゆる幸福なるところの生き方というものは、われわれも十分これに対して賛成であります。もちろんわれわれも労働者の一人でありますから、そういう意味合いにおいて、これは賛成するのがもつともであります。しかし労働者の基本的な人権といえども、今日の日本の情勢におきましては、いわゆる國家の経済力の外にあるということは、とうてい考え得ないのでありまして、國家の経済力のわく内において、でき得る限り幸福なお互いの生活を擁護して行くということが必要であります。そこにおいてまた公共の福祉との間にどういう関係において調整するかということが問題となるのであつて、そういう意味合いにおいて、公共企業体労働関係法はつくられたのであつて、決して一方的なる考え方、共産党の言うような、保守反動というような考え方、あるいはまた資本主義を擁護する考え方によつて、つくられたものではないということがはつきりしておるのであります。議会の多数によつてつくられたところの法律に公然と反対をし、公然これを否定するという態度こそ最も非民主的な態度であり、こういうことを裏から教唆し、そうして平のごとき暴行事件、何でもかんでも因縁をつければいいというような態度をしている、一部の者がいわゆる労働者の幸福の陰にかくれて日本の再建を阻害しているという事態が私は捨ておくことができないのであつて、そういう意味において私はその背後にうごめくところの勢力を徹底的に糾彈しなければならないと思うのであります。何も某政党であるとか遠慮する必要はありません。これらの日本を阻害するものこそ共産党であるということになれば、たとえ考査委員会は超党派的であつても、共産党というものに対してこれを調査し、これに対して鉄槌を加えるということはちつとも差支えない問題であると思うのであります。たとえば先般の青共の軍資金の問題などにいたしましても、考えてみると、クーポンを偽造している。いわゆる共産党の資金というものがどこから出ているかということは國民の全部の疑惑である。しかるに、アカハタの賣上代金であるとか党員の献金であるとかごまかしを言つている。ところが、今度檢察当局の手によつて数千万円に上るところの紙の偽造クーポンという問題が起つて來ている。われわれの聞くところによると、密輸入の手先によつて何か手数料をもらつているというようなうわさがとんでいる。そういうことははつきり調べなければ私はいけないと思う。そういう意味において徹底的にこれを調べ上げ、そうしてはたして共産党が民主的な政党であるやいなや、あるいはまた合法的なる政党であるかいなかというところまで徹底的に調べなければならないと私は思うのであります。そうしなければ、あの平事件を見てもわかるように、四尺と六尺の掲示板を動かす、何も労働者の生活にも國民の生活にも重大な影響がないという問題についてもあれだけの騒擾を起す。そういうことを考えるというと、われわれ北海道に住む者は特にそうであるけれども、北海道においては連絡船を断ち切つて武器を千島から持つて來ているという評判もたつているような事態なのであります。あの東京の大震災のいわゆる混乱した状態を考えるならば、決してそういうことは等閑に付し、笑つて済まされるべき問題でない。それがあらゆる爭議、あらゆる騒擾の裏に、そういつた一連のものが関係していることを考えるときにおいて、私は超党派的の政党であるだけに、断乎としてこれを調査しなければいけないと考えるのであります。 (拍手)また事実、神山君、徳田君の言うように、それほどきれいな身体であるならば、調べてもらうことが最もいいのであつて、考査委員会にかけられることを極度におそれてびくびくしているという状態がここにあるということはみずから自分の非を物語るものであると考えるのであります。そういう意味において、この三案を一括して調査されんことを私は望むものであります。
○鍛冶委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより國電スト問題調査要求の件を議題として採決に入ります。本件を本委員会において調査するに賛成の方の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○鍛冶委員長 起立多数。よつて本件は本委員会において調査するに決定いたしました。 次に國鉄労組中央委員会の実力行使決議事件調査要求の件を議題として採決に入ります。本件を本委員会において調査するに賛成の方の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○鍛冶委員長 起立多数。よつて本件も本委員会において調査するに決しました。 最後に日本製鋼廣島製作所爭議事件調査要求の件を議題として採決に入ります。本件を委員会において調査するに賛成の方の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○鍛冶委員長 起立多数。よつて本件は本委員会において調査するに決しました。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十二分散会