考査特別委員会 第9号
- 発言数
- 23 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1949/05/30
会議録
○鍛冶委員長 これより会議を開きます。 先日本委員会に証人として出頭した大木貞雄君の証言について、速記録を調査した結果、あとで述べまする数点にわたつて偽証の疑いがありますが、本委員会として虚偽の陳述と認め、告発すべしとのことで告発状をつくりました。告発状案を朗読いたします。 告発状案 浦和市高砂町一丁目百五十一番地 洋服商 大木 貞雄 推定四十一年 右は昭和二十四年五月二十四日、当委員会において証人として宣誓の上、別紙の通り虚偽の証言をなしたので昭和三十二年法律第二二五号議院における証人の宣誓等に関する法律第六條に該当するものと認め、同法第八條により当委員会の決議に基き告発する。(関係議事録別送) 昭和二十四年五月 日 衆議院考査特別委員会 委員長 鍛冶 良作 最高檢察廰檢事総長 福井 盛太殿 被疑事実 一、昭和二十三年四月ごろ被告発人宅において、同業者北島重太郎同座の折、浦和税務署在勤大藏事務官荒木勝が埼玉縣北足立郡土合村洋服商鈴木富藏の昭和二十二年度所得額決定の参考として、両人に対し鈴木の実態を聽取したる際、被告発人は「鈴木はひのきつくりの住宅を新築し、田地を買い埼玉縣中等学校洋服協同組合よりは二十万円くらいの收入はあるし、裕福な生活をしているから五十万円くらいだろう。」と述べ、荒木をしてその実情に反し、高額の五十万円を決定せしむるに至らしめたる事実あるにかかわらず、かかる事実なしと証言した。 二、上述の日時、場所において北島重太郎同座のもとに荒木勝に対しウイスキー等の饗應をなしたる事実(北島重太郎、鈴木富藏証言)あるにかかわらす、かかる饗應の事実なしと証言した。 三、昭和二十二年八月ごろ当時同業者へ配給中の合オーバー生地四着を、所得説取扱いの便宜を考慮に入れ、被告発人北島重大郎及び同業者石渡喜市の五名協議の上同業者より供出(自己を含め)せしめ、これを浦和税務署員荒木勝ほか三名に対し各一着ずつ譲渡したる事実あるにかかわらず、かかる協議の事実なしと証言した。 四、合オーバー生地代金千余円を供出したる同業者に支拂うにあたり、組合費より支沸いたる事実(北島重太郎証言)あるにかかわらす、かかる事実なく、譲り受け人たる浦和税務署員より全部譲渡と同時に受領し、これを供出者に支拂えりと証言した。ちなみに被告発人は昭和二十三年九月ころより埼玉洋服商工業協同組合本部常任理事並びに同組合浦和支部長就任中なるが、その以前においてもほとんど組合の実権を掌握し、同志獲得を策して反対派の弾圧に狂奔、ために前組合長たりし鈴木冨藏に対し、税務署員荒木勝を巧みに利用、重税を課することの手段をもつて鈴木をしてついに廃業のやむなきに至らしめたるものである。 この案に基いて告発するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長 御異議なきものと認めます。それではさよう決定いたしま 次に本委員会設置の決議に基き、月一回意見を付した調査報告書を提出することになつておりますが、この際その内容を報告して皆さんの御承認を得たいと思います。 報告書案 本委員会は全國官公吏の綱紀頽廃著しきを粛正するために、官公吏汚職問題を俎上に供したのである。官公吏の汚職のうちで税務署の汚職事件ほど経済的に社会的に影響するところ重大なものはなく、税務署をめぐる悪質犯罪か続出しておる事情にかんがみ、その根絶を期する目的をもつて浦和、中野両税務署を中心として調査に着手し、証人十数名を喚問し、さらに各地に出張して取調べを続行した。その調査方針並びに内容は從來のごとく犯罪の面のみを追究するのではなく、かえつて何がゆえにかような事犯か起るのであるか、いかにすればかくのごとき事犯を是正し得るやという点に重点を置きその資料を得んとするものである。今日まで調査したところによれば、 第一、税務署をめぐる汚職事件は昭和二十三年度四百二、三十件、同二十四年度六、七十件に達しておる。その原因について調査しておるのであるが、 一、この問題はいうまでもなく人の問題であるが、根本的に見て税制並びに徴税制度、機構などに欠陥があるのではないか、すなわち予算課税(大藏省——各財務局——各税務署)によつて各税務署に割当てられた税の努力目標を責任目標と誤解し、目標に不足額を生じたときは、当該税務署はこれを一方的に納税者に割りつけ、再更正決定を出し、納税者をして何か割り切れぬ気持を抱かしめてはいないか。この点について実績申告納税制度にしてもらいたいとの一般の声が相当多いようであるが、現在日本の経済を維持し、特に九原則の実施にあたつては現在の予定申告納税制度によるのほかはないのではないか等は実に檢討を要する前提條件であると考えられる。 二、世間では税が一般に重いと言われておるが、はたしてしかりや。もししかりとせば、いかにしてこれを是正し得るや。脱税を極力防止することも重要なる案件であるが、一体國民総所得と徴税総額とがはたしてバランスがとれておるかいなか。はたまた税の賦課に公平を失する点が相当あるのではないか。納税者に帳簿の不備もあるが、大体において認定課税をやつておるのではないか。(見込課税)ことに未熟練者であつて二十歳くらいから二十五歳くらいまでの世の中を知らぬような若い者が、はたして適正に近い仕事をなし得るであろうか等調査中である。 三、さらに官吏汚職発生原因の中心は人の問題である。人か足りないのではないか。若い者に(全國税務署員の二十五歳以下か七〇%以上ある)税の決定をやらしておるようであるが、ここに犯罪の根拠か生れるのではないか。また素質が著しく低下しておるという未熟練者を使い、一般に道義が廃頽しておる等の事実、さらに人員採用制度に欠陥があるのではないか。前科者を採用したという事実さえある。待遇の改善を要するのではないか。(六千三百円ベースで平均六千円くらいのようである)また署長を始め上級官廰の指導監督に遺憾な点はないか。昭和二十三、四年度より一時に増員した人々に対する秘税員としての十分な養成に力を盡しておらぬ実情にあるものとも思われる点をも調査中である。 四、納税者の面にも欠陥があるのでにないか。納税の基本をなす所得を明らかにするためには必要経費等を差引くようになつておる。その必要経費と総收入との関係を明らかにする帳簿をつけていない入か多いようである。特に悪いのは脱税者である。檢察当局の取調べを見ても、法人に二、三億円という莫大な数字、個人でも千万円以上の人が相当多いという数字か出ておる。悪質者は嚴罰に処するということになつておるか、さらにこれを伺とか防止することはできないか。さらに課税に対する運動なるものが行われ、数有名の者が税務署に押しかけ、喧噪、威嚇等多勢を利用して特に税を安くさせるというような運動が行われておる事実があるようだが、この影響はどうか。 五、所得税を決定するとき、仮更正決定の前及び本更正の前に税務署に業種別に業者の團体及び組合に対して業者所得の序列、指数を諮問する模様であるがところによつてはついでに金額まで聞いて來る事実があるようである。しかしこの團体への交渉諮問は最も公平なようで、團体または組合の指導者にボス的存在あるいは反感的分子がおると、まつたく思わだる弊害が起るのではないか。その際税務署側に相当な資料を持参しておらぬから間違いか起るのではないか等か調査の対象としておるのである。 第二、税務官吏汚職に対する対策として、 一、すでに述べた点につき各項目にわたつて調整すべきこともとよりであるが、左の諸点をも一應調査する必要があると思う。 二、吏員の監督が今日でははたしてどうか。監察制度かあると言われるが、はたしてどこまで目が届いておるか。從來あつた税務調査委員制度のような民生的な諮問機関を設けてはどうか。納税者側よりのみ選出する弊を除去して、至公至平、民主的に活動し、税制と微收機構に参画させるような新しい制度を常置することの是非等をも調査しつつある次第である。これらは近く結論を得て詳細本院に報告するつもりであるが、本日中間報告としてその概要を報告した次第である。なおその際浦和税務署事件に関連して大木貞雄なる者を偽証として告発することにいたしました。これをもつけ加えて報告いたします。
○石田(一)委員 ただいま委員長は本会議における中間報告の草案を朗読なさいましたが、大部分の点において了承いたしますか、その中に多数が税務署に押しかけて喧噪をきわめ、威嚇して税を安くさせるような者かあるといううわさであるか何か、あいまいな言葉がございましたか、少くともこの考査特別委員会が國民代表の委員によつて構成されているこの委員会が、そうしたことがいまだあるかないかわからないうちから、多数が税務署に押しかけて喧噪をきわめ、威嚇してこの税を安くさせるというように具体的な言葉としてそこに表現することについては非常に疑義があると思います。この際もし本委員会の諸君の御賛成を得るなりば、課税の問題について多数が税務署に押しかけてその目的を達しようとしている者があるというふうな正当な言葉にこれを改めていただきたいと考えるのでありますが、一應各委員の御意見もお諮りくださいまして、委員長においてよろしく適宜な処置をとられんことを希望するものであります。
○鍛冶委員長 この事実はこの前からの調査によつて実際あつたからここへ書いたのでありますか。
○神山委員 今あなたがおつしやらなければ私も默つていてもいいつもりでしたが、あなたは今事実があつたから書いたとおつしやつたが、数百名の者が喧嘩をきわめ、威嚇したということは、本委員会に呼ばれた証人が実地に目撃したとか、自分がそれに参加したとか、あるいは自分がその当面の責任者であつたという報告は一つもない。ここにあつたものはうわさとして聞いた、あるいは報告として聞いたということは明らかに話が出ておる。しかしそれさえも威嚇されたということは一部の神経の弱い人が自分で感じたのだろうというふうにちやんと現地証人は言つているわけであります。そういうような事実を今石田委員が指摘しましたように早まつて、あたかも本委員会に具体的な事実として出されたかのように書かれることは遺憾だと思います。私たちとしてはこの問題について具体的事実そのものを速記録その他によつてあとで十分審議したいと思つているのでありますが、実は先ほど理事会で委員長がそれを読まれたときはその点かはつきりしていなかつたので、默つていたのでありますけれども、文章が一部直されていることは認めますけれども、今石田委員が正しく指摘されましたように、本委員会における証人の陳述とは必ずしも一致していないので、その点は是正されることの方が穏当だと思います。あとこの評價その他については速記録全体について結論を出す場合徹底的に論議したいと思います。 関連して申しますが、もしそういうふうにおつしやるならば、ここで証人がすべて述べておりましたように、納税を適正な法にかなつたものにさせる。あるいは正当にというふうにも言いましたか、そういう運動と今あなたがおつしやつた不当なものということが、すべての証人がまけること、かいかぬというときには前提になつておるわけです。すなわち税法そのものが苛酷であり、その法の適用が一方的であるので、これを是正するために適正な課税ということを言つておる場合と、それから不法だと考えられるような二つを出しておる。その一方を委員長が取上けたのはすでに偏頗である。しかもその上に今の偏頗だと私が言うことを事実によつて証言したものはだれもなくて、報告を聞いたという程度ですから、一層ここで委員長の中間報告に表現されるのは、委員会における事実と若干食い違うと思いますから、石田委員の言う方向に訂正されることが事実に即しておると思います。
○安部委員 その問題に関しましては、石田君の御質問もありますが、削除する必要はないと思う。であるようであるというのであつて、一昨日、私が財務局長に尋問した場合においても、武器をもつて威嚇したようなことはないか、ともかく威嚇的な、多勢をたのんだ穏やかでない行動かあつたという証言があるのでありますから、そういうものであるそうだというならば、決して訂正する必要はないと思う。
○神山委員 今の安部委員の御発言は最も奇怪だと思う。というのは湯地証人に向つて武器を持つた人かいるかいないかという質問をしたのはあなた自身だ。それに対して証人はなかつたという答えをしておる。その結論だけを持つて來て、あたかも湯地証人が武器を持つて來た人はなかつたが多数來て威嚇したと証言したようにとることは——そのとき払は誘導尋問をするなと言つたが、結果はその通りになつておる。あなたが指摘したように武器を持つておる人間は一人もない。そんなことを考えておる人間もない。ただ集まつてわいわい騒いで、氣の弱い税務署長がおどかされたように思つて、神経にさわつた人はあるでしよう。ごく一部の人が威嚇されたような傾向があることを湯地証人が言つておる、その証人から武器云々ということを引出したのは安部委員そのものだ。そういうことによつてそれを中間報告に入れるのは公正ではない。かつ事実に反しておる。
○安部委員 それは私は尋問したけれども、そのことについては否定しておるのだから、それは私は認めますが、とにかく多数をたのんでの威嚇的行動というものは、常識的にも群衆心理として常にある。たから財務局長の証言によつてそういうことか占めるそうであるというのだから、何ら異議をさしはさむ必要はないと思う。
○徳田委員 湯池証人はあまり信用のならない男である。なぜかと言えば、小林課長に対して、大衆が、殊に民主商工会も、これに対して非難したことに対して中傷であるとか何とか言つておるが、事実はどうか。事実汚職事件はたくさん起つてえらいことになつておる。何の中傷でもない。これを責められたら、彼は私の方はそうしますから、あなたの方もあなたの方で抗議なさいと言つておる。そういう点から見ても、彼は自分の方の税務署をかばうために特別そういうよいかげんの答えをする男だということは歴然たるものである。單にそれだけの証言をとつて、こういうことを言うに至つては、この報告は價値がなくなる。だからそれはそう言いたければ、もつとたくさん事実をあげて言いなさい。具体的の事実をあげたらよい。しかし一方において事実は、私が理事会において指摘したように、絶対天降り的の課税をやつて、その課税を動かせないものにして、それに対して異議を申請することも、また審査を要求することも実際に行わずに、非常に惠制的なことをやつておることは明らかである。それであるからやむを得ずして買收したということは証人は皆言つておる。これはずつと一貫しておる。そのことに対しては明確にしてない。そういう手落をして、一方に有力な問題であるのに、それを落しておつて、他方においては何らこれを的確に実証し得るだけのものがないものをわざわざあげて來るというに至つては、不公平と言わざるを得ない。そういうことなら自分は反対する。かつ小数報告をせざるを得ない。
○鍛冶委員長 それだから私は断定しておるのじやないのです。
○石田(一)委員 もう一遍先ほど申し上げた訂正の意見を皆様に聞いていただきたい。私か訂正しようとするところは「数百名から」というところですが、「数百名の者が税務署に押しかけて課税の問題に関して強くその変更を要求をしておるものがあるが」というか、こういう程度に変更訂正くださるならば、まことにこれは適正なる報告であると思うのであります。威嚇するとか、喧噪をきわめて税を安く負けさしたものがあるということになりますと、本委員会の報告としては少し一方的にすぎわしないか。それでこういう程度に訂正を願いたい、こういうのであります。
○鍛冶委員長 これ以上議論をしてもしようかないから、原案通りで行くか、石田君の今言われたように訂正いたすか、採決をいたしましよう。
○猪俣委員 それに皆議論がわかれておるようであつて、それだから、これは非常に大きな意思表示になり、大きな問題であると思うので、その言葉をどうするかということについてはやはり証拠固めが不十分ではないかと思う。なおその点については調べることにして、そういう意思表示はこの際あまり強く表現しないようにやつたらどうか。そうして委員会が激昂するような態度、数で押し切るということは穏当をかく。多少証拠不十分だと思う。そういううわさを言つたものがあるということを、すぐそれを入れると、それが一般に訴える言葉というものは違つたものにとられますから、いつどういう人間がどのくらいどうしたということをもつと的確に調べた上でないといけない。
○北委員 今いろいろ聞きますと、政府か天くだり的に一方的にやつたということも証人は言つておる。それを強く取上けられないで、一方的のことばかりを取上げるというのはぼくは不公平だと思う。そこで石田君の言うように修正なされんことを私は切望します。
○神山委員 初めから私が言つておるように、私たちは字句の問題や何かで争う気持はない。ただいま石田君や猪俣君の意見が出ておるように、本委員会の目的は官吏の汚職事件であつて、世間でいう減税運動そのものではなかつた。それは話の途中で副次的に出て來たものである。それを一方的に不当に大きく取上げるから、こういう問題が起つて來る。現に石田君かこういうような問題を出されるのは理由のあることでありまして、たとえば豊島の民主商工会のごときは、八百人の会員の中に共産党員は十名前後しかない。かえつて民主自由党の人か多い。そして社会党の方ももちろん、民主党関係の人もいる。そういうものを正しくとらえないで、ごく一部の動きをとらえて今のように威嚇騒擾というような表現をするということはまつたく不適切であると思う。從つてこの点は撤回されることを望む。
○佐々木(秀)委員 これはいろいろ考えのおきどころで違うのですが、せつかく石田君からこれの訂正案か出ておりますから、その中間をとつて私も訂正の訂正を出したいと思います。委員長の今の報告の中の威嚇ということをとりまして、喧騒ということはやはり四、五百名が來ればやかましいということくらいはいいじやないかと思います。
○鍛冶委員長 「喧騒をきわめ」だけにするのですか。
○石田(一)委員 事実多数か集まれば喧騒には違いないのですが、威嚇ということになりますと、刑法上の犯罪まで構成する事由にあると思いますので、ただいまの報告の中に威嚇という言葉はぜひ報告から削除してもらいたい。
○鍛冶委員長 それでは今石田君の御意見も佐々木君の意見に同調せられるようですから、さよう決しまして御異議ありませんか。 〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長 それでは採決いたします。佐々木君の動議の通り決するに賛成の方の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○鍛冶委員長 多数、さよう決しました。
○徳田委員 議事規則によつてわれわれは反対の報告をやる。少数報告をやらなければいかぬ。委員会において一致しない場合は、少数は何人であろうと報告するようにできている。それが國会の規則なんだ。それをさせない法はない。たから明日本会議にあなたが報告する場合は、こつちは少数報告をやる。
○鍛冶委員長 その点は私の関知するところでありませんから、すべて運営委員会にまかせます。以上を委員会の報告書として提出することに決しました。なお事務的字句整理は委員長に御一任願います。(「異議なし」)なおただいまの内容を三十一日本会議において中間報告いたしますから、さよう御了承願います。本日はこれにて散会いたします。 午後三時九分散会