考査特別委員会 第6号
- 発言数
- 1,068 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1949/05/24
会議録
○鍛冶委員長 会議を開きます。 まず十九日の委員派遣の結果につきまして、石田委員より御報告を求めます。
○石田(一)委員 去る五月十九日本委員会の決定に基きまして、浦和市にございます豊多摩刑務所に収容中の川上仁郎、当時浦和税務署の直税課第一係吉岡重行、当時浦和税務署雇、徴收事務員荒木勝、当時大藏事務官、間税課第三係松岡弘裕、当時大藏事務官直税課第一係及び刑務所には收容されておりませんでしたが、本事件に関係しておりました浦和市に居住する吉田千惠子、現在浦和税務署財務局駐在員の庶務係をやつております。これらの証人の証言を求めるために本委員会より鍛冶委員長、並びに赤松委員、石田委員及び明禮事務局長以下事務員等若干名が同行いたしました。証人の喚問の内容の詳細につきましては速記録に譲ることといたしまして、その概要を簡單に御報告申し上げます。 川上仁郎は昭和十六年四月粕壁税務署を振出しに本件によつて検挙されるまでの約八年間、税務吏として末端の徴税事務に從事した者であります。そういうことをみずから証言いたしました。輪業組合の仮更生があまり高過ぎたので本更生で相当に減額した、その減額は総体的にやつたと証言しております。輪業組合の懇談会に出席をいたしまして、酒宴に加わり、自分が便所へ行つている間にカバンの中に一万円入れたらしい、明朝これを返しに行つたが受取らなかつたので、その後自分の意思の弱さのためにこれを使つたということも認めております。タイヤ修繕の細川の決定には、帳簿に誤算があつたことを認めたので、これを減額してやつたこと、細川からあめと称して、紙包みをもらつたがこの中に一万円入つていたこと、桶川の輪業組合よりタバコと称して同じく紙包みをもらつたが、これにも一万円入つていたこと等を認めました。本人の家庭的の事情を聞きましたところ、妻と二人の家庭生活で、すでに八年間税務吏をしておりますのに手取りの月收が事件当時五千円ぐらいであつたこと、一人で六百軒か千軒の業者を受持つていること、この業者を受持つていての仮更正をする期間が十日間ぐらいであること、本更正までに一箇月でこの六百軒から千軒のものの調査をすることは当然不可能であること、結局組合の総意を代表すると見られる組合幹部に交渉するのであるが、その組合内にも感情的なもつれがあるので、序列等の公平なる決定にはむりが生じて來るのではないかということを証言しております。 また吉岡重行は二十三年九月一日付の採用通知を受取つているといつております。採用試験を受けたのは窃盗罪の判決の前であつたということを証言いたしました。実際に現場での徴收は自分でやる権限がないことも認めております。石井が二十二年度の所得税七万七千円を持つて来たので、私が納入してあげましようと言つたら、石井は領收書はいつでもいいといつて簡單に渡してくれたので、その金を預かつておいて、ついダンスとか競馬、飲食等に消費してしまつたと言つております。その後石井から運動費がいるという虚偽のことを言つて八千円もらつたことも認めました。町田から米五升、金五千円。今井から米五升。辻村から一万二千円、ほかタンス等の姉の嫁入道具。町田から三万円持つて來て、税金のことを頼むというので、断つたがむりに置いて行かれてそのまま使つたということ。星野から洋服、セビロをつくりたいとかねがね言つていたことを聞いて、奥さんが三万五千円をくれたので、もらつたこと等を認めました。 最後に納税者というものはまことに簡單に金を出すものだと思つたということを証言しております。これは私たち委員の感じたことでございますが、参考までに申し添えます。この吉岡重行は当年二十歳の若冠の青年であります。学生服を着ており、まことに子供子供した感じのある青年であります。いわばまことに頼りないこの吉岡に、かかる多額の金額が納税者から無條件で渡されるというところに、われわれ委員はむしろ不思議に思つたくらいであります。これは私たちの感じたことであります。 荒木勝君は、石井竹次郎に六十万円の決定をしたのは、組合の順位が他の業者より非常に高く決定してあつたので、前年度の所得、また石井のいろいろな行為等を調査の結果、適当であると判断して、六十万円と決定したのである。鈴木の五十万円は、大木その他の洋服協同組合の幹事部の意見を入れて決定したということを言つております。それからオーバー生地のことについても一應認めまして、ただ浦和と大宮とで一着分ずつ、都合二着もらつておることを証言いたしました。 それから松岡弘祐に対しては、これも昭和十五年から事件当時まで勤めております。約十年間徴税事務に携わつており、今までまじめにやつて來た復員者でもあります。この松岡弘祐の言いました最も大きな証言は、自分一人で千軒以上二千軒くらい受持つて、しかもこれを十日間くらいで決定をしなければならぬという、とても不可能をことをやつておるということを証言をいたしました。しかも彼は、自分の受取つたすべての金銭が、自分では借りるつもりであつたということを強く意思表示をいたしましたが、借用書も渡していないのでありますから、もらつたとみなされてもやむを得ないということを認めました。 最後に、吉田千惠子君は、すでに警察におきましても一應その日に参考的に取調べられて、業者から七千円渡されていたものも返したというので、警察からその日のうちに帰宅を許されているという事実もわかりましたので、われわれ委員は多くこの吉田千惠子君からは証言を求めないで、喚問を終りました。 以上簡單でありますが、詳細は速記録によつて御承知願いたいと思います。
○鍛冶委員長 以上委員派遣の結果に基きまして、理事諸君と相談の結果、浦和洋服商工協同組合長大木貞雄君、元自轉車業折本マス君、同じく小林登君、新聞販賣業後藤壽文君、浦和税務署直税課長須賀永次君、以上の五名の方々を本日当委員会に出頭を求める手続をいたしておるのでありますが、これらの諸君を証人として証言を求めるに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長 御異議なしと認めましてさよう決定します。 次に中野税務署をめぐる汚職事件につきまして、調査部において調査が終了いたしましたので、本委員会において正式に調査に着手することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長 御異議なきものと認めます。それではさよう決します。 なお本件につきまして、二十六日午後一時本委員会に証人として、中野税務署小林五郎総務課長、同じく川島嚴事務官、同じく小松栄一郎事務官、木材商與石太郎君、民主商工会委員長河野貞三郎君、古物商三戸部角一郎君の五名を証人として出頭を求めるに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長 御異議なきものと認めます。それではさよう手続をいたします。 〔各証人出席〕
○鍛冶委員長 きようおいでの証人は須賀永次さん、折本マスさん、小林登さん、後藤壽文さんですね。大木さんは見えませんね。本日は皆さん御苦労さまでした。皆さんにあらかじめ御了承願つてありますように、本委員会の必要に基きまして、浦和税務署をめぐる官吏汚職事件について、ただいま証人として証言を求めることに決定いたしましたので、御了承願います。 証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係ありたる者及び証人の後見人または証人の後見をうける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、弁護士、公証人、宗教または祈祷の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて訊問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しこうして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。では法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。 須賀さん、代表してお読みください。 〔証人須賀永次君各証人を代表して宣誓〕 〔各証人宣誓書に署名捺印〕
○鍛冶委員長 折本マスさん、小林登さん、後藤壽文さん、それから須賀永次さんの順でいたします。但し大木貞雄さんが見えませんが、見えられましたらこの間に入るかもしれません。折本さんを除いた他の方はもう一度もとの控室でお休み願います。 では、折本マスさんにお尋ねします。あなたは浦和で自轉車屋をやつておられたのですね。
○折本證人 さようでございます。
○鍛冶委員長 いつからいつまでやつておりましたか。
○折本證人 昭和五年二月二十四日の晩に引越して参りまして、昨年昭和二十三年の十二月二十五日付をもつてやめたのでございます。
○鍛冶委員長 何で廃業したのですか。
○折本證人 申し上げにくいのでございますけれども、やはり收入全部を差上げても、税金が多くてだめですから、やむを得ず……。
○鍛冶委員長 それは二十三年度の税金ですか。
○折本證人 さようでございます。
○鍛冶委員長 そうすると、二十三年度の所得税の仮更正というものは來ましたね。
○折本證人 はい。
○鍛冶委員長 それはいつ來ました。
○折本證人 何年何月かはうつかり忘れましたけれども、それが二十五万です。
○鍛冶委員長 それから本更正は一月でなければ來ないのでしよう。
○折本證人 本更正は十月來たんじやないのでございましようか。
○鍛冶委員長 二十二年度はいくらかかつて來ましたか。
○折本證人 二十二年度は七万五千だと思いますが……。
○鍛冶委員長 それならどうにか拂えたのですか。
○折本證人 決定が十万くらいまでなら、足らないながらも二十一年からもやつて参りましたからやりたいと思つておつたのでございますが、何しろ一箇月の收入全部納めても足りないくらいでは、食べずには働けないので……。
○鍛冶委員長 仮更正ですから、本更正になるまでにあなたの方で負けてくれとか、異議の申し立てとかやらなかつたのですか。
○折本證人 やつたんでございますけれども、十万にお願いしたのでございますけれども、二十五万来てしまつたんで、これではとてもやり切れないと思いまして、申請したのは十万にしたのでございます。
○鍛冶委員長 十万にできないと言われたんですか。
○折本證人 そうです、浦和の役員がみんな折本さんなんかは二十五万円でも安いくらいだ、安いくらいだと申すので、私どもでもしようがないから、せがれが一人おるのでございますが、その子と一生懸命に計算を始めたんです。今までは計算したことはないのですが、大体覺えているので、一日どのくらい入つてどのくらい出るということは大体わかつております。それで大略計算してみました。あるときで一万三千円收入があり、少いときは七千五百円のときもあれば、八千円のときもあれば、八千円何がしのときもある。ですから自轉車は十月から約四月一ぱいは霜枯れでございますから、夏場景氣がよくてもその間空白がございます。それだのにとても夏場もぎりぎり一ぱいでは、冬場に行つて食べるのにおぼつかないし、全部計算しますと、月に九千円か一万では足らない。それでたくさんあつても一万三千円くらいなんです。ですからひつくるめて計算しますと月一万一千ではむずかしい。ですから二十五万円の税金を滞納しないで納めれば九万八千何ぼかでございます。それにそのほか営業税や市民税や縣民税。家屋税、道路の寄付等がいろいろつきますと、一万一千くらい予算しておかないと足らないのでございます。そうすると全收入を差上げないと間に合わないというような勘定になると思います。それでせめて五百円や千円足りないなら私がおはずかしい話ながら競馬の馬券賣りに出かけても、補つて行けると思いますが、やむを得ずやめて、せがれに四千円そこらしかとれないのですが勤めさしたのです。月に一回あつたりなかつたりする競馬へ馬券賣りに出かけまして、一日百三十円日当をもらつて、その中から一円ずつ税金を支拂わされる、それでもそれが毎月あればよいけれども、この間は四月にあつて五月に競輪が大宮にあつて出かけましたが、一日行つたきりで子供がはしかになつてわずらいついて行かれなくなつて、七月あたりにならないと行かれないのです。
○鍛冶委員長 ほかの自轉車業者と比べたらあなたのところはどうでした。
○折本證人 ほかの自轉車業者はだんなさんがおられますから、どういうふうにやつておられますかわかりませんけれども……。
○鍛冶委員長 いや、税金の決定額はどうだつた。
○折本證人 私の力にはちよつと大き過ぎると思います。
○鍛冶委員長 ほかの業者が安くてあなたのところが高かつたか。皆が高かつたか。
○折本證人 自轉車屋は全般に高いと思いますね。
○鍛冶委員長 皆困つていましたか。
○折本證人 自轉車屋じやなくてほかの業者も、物價が騰貴しておりますから、去年の決定はお宅さんあたりどのくらいでしたと聞きますと、去年というのは二十二年度ですが、二十二年度が七万五千円で、今年はどのくらい上りましたと聞きますと、約倍ですねとおつしやる方が多い。これは自轉車屋じやなくほかの業者でございますが、自轉車屋でも二倍になつた方もあるし三倍になつた方もあるし、うちあたり三倍余になつておりますから、それは主人もおりまして三人も四人もで一生懸命やつたらどうかしりませんが、主人は名ばかりついておりましても七年も八年もおらないのですから、せがれが兵隊から帰つて來て痔をわずらつて遊び半分に、からだが満足でないのにやつて病氣ばかりしておりまして、仕事に携わる人は一人やつとこすつとこなんでございますからね。それじやいくら何でもまあ多くても私は十万ぐらい、実際の力は私は十万なら必死の力だと思うのでございます。
○鍛冶委員長 そこで自轉車業者の組合で税金を負けてもらう運動をやることを何かきめたらしいね。
○折本證人 私それは一向存じません。つまり税金がこうかかつちやしようがないから安くしてもらうように團体折衝するから寄合いしましようというわけで通知があつたのでございます。それで日にちは忘れましたが雨が降つた晩でございました。私は女だけれども出向いて行つたんです。大堀さんのお宅でやつたのですが、ぐしやぐしやの中を一生懸命行つてみましたら役員の方は團体折衝を盛んにとなえておられたのです。私はきつくも申し上げませんが、皆様のお心持じや私どもの家庭は全然おわかりになつてないと思うから、私は個人折衝さしていただきたい、こう申し上げたのです。そうしたらやりたい人はかつてにやつてもいい、南さんも多分個人折衝をやつたんじやないかと思うのですが、よくわかりませんけれどもね。私は自分でこれはあたりまえじやない、うちはこうこうこういうわけで税務署や幹部の方が見るのと違う。幹部の方がどこそこは幾らと申告するらしいのです。そこで地方事務所へお願いに行つたら、審査の結果、從前通り決定仕り候という通知が來た。だから審査してくださらないでこういう手紙が來たのだけれども、審査したとおつしやるがどこを審査したか、うちへ來なかつたんですよと言つたら、お宅へ行かなくたつて審査はできる。組合の人から聞けばわかるというんです。組合の方から聞いたつて絶対に私どものはわからないのです。だからほんとうのところを見ていただきたいと言いましたら、何だ、折本か、折本じやだめだ、こういうふうにもう一人の方がおつしやつたので、私も胸が一ぱいになつたので帰つて來てそのままになつてしまいました。話が横へそれてしまいましたが、とにかくその寄合いの晩でも、私はうちなんか六万か七万にしていただきたいと言つたのです。そうしたら大堀さんは二十六万だそうだから、その割にしたら折本君の二十五万は安いよとおつしやるんです。だけれどもまあ六万と書いたつて七万と書いたつてとうていだめだ、却下されると思うけれども、出すだけ出しておいたらいいだろうとおつしやつた。それがあまりあたたかみのない言葉でしたから、うちあたりはおやじがいないので若僧と私なんですからそんなふうに思われるかなと思つたのですが……。
○鍛冶委員長 組合の人が何か金を出しつこして運動したと言うが……。
○折本證人 私はそれを新聞に出ましてから、初めて知つたのです。
○鍛冶委員長 その仲間へ入らなかつたわけだね。
○折本證人 私どもでは何のかんのつていろいろ出資させられますけれども、何の出資か明らかにわからないでただ皆さんが出すことならはいはいと言つて出していたのです。そうしたらあの汚職事件で新聞に出ましたので……。
○鍛冶委員長 あなたも出したのか。
○折本證人 いいえ、何の金かわからないで、何かいろいろな経費がありますのでね。
○鍛冶委員長 どれだけ出した。
○折本證人 どれだけ出したか、こういう事件になると思えばはつきり覚えておきますけれども、ただその都度出したのです。
○鍛冶委員長 三千円出したんじやないか。
○折本證人 三千円は私ども出しません。その仲間へ多分入つてないらいしですね。それであの新聞を見てからはあと思つて驚きましたが、私どもは下らなかつたんです。
○鍛冶委員長 そこでそういう運動をした人の方が下つてあなたの方は下らなかつたんじやないか。
○折本證人 それはつまり團体交渉で行きましようと言つたことに対して、私がそれもけつこうですが私は個人としてやらしていただきますと言つたから、私のところは一人抜いちやつたんですね。
○鍛冶委員長 ほかの人は下つたか。
○折本證人 何ですか私はほんとうのことは知りませんけれども、新聞で見ましたら下つたように書いてございましたが。
○鍛冶委員長 あなたは一人で頼みに行つたけれども聞かれなかつたのだね。
○折本證人 そうでございます。私はその後に陳情書を書いて財務局へも税務署へもみんな出したのですが、そのままで一向下ならい。とにかくうちは女ですから、会合なんかもあまり出ませんものですから知らないのです。
○鍛冶委員長 よろしゆうございます。ほかに何かお聞きになりますか。
○石田(一)委員 ちよつとお尋ねします。そうするとあなたが個人折衝すると言つたら組合の大堀さんという幹部があなたに向つてかつてにしなさいと言つたのですか。
○折本證人 かつてにしなさいとは言いませんが、個人折衝をやりたい人はやつてもよいが、私たちは團体折衝で行くと言つたのです。
○石田(一)委員 それで税務署の方ではあなたが組合から離れたのだから、あなた個人としていろいろ抗議したり、申し込んだりすることに應じてやつてくれましたか。
○折本證人 まだやつてくれておりません。くれつつあるのでございましようけれども、まだそのままになつております。
○石田(一)委員 するとあなたの二十五万というのはちつとも安くならず、しかも審査したという。それで前年度通りにはならない。どこで審査したのか聞いたら、組合でやつた……。
○折本證人 審査したというのは税務署ではなく、地方事務所の話であります。それで税務署の方の話は二、三日前に参りましたが、それは二十三日から自轉車の方の審査は始めますからと所長さんに会つたとき言つておりました。
○石田(一)委員 二十三日から今度あなたたちのお宅に調べに来るのですか。
○折本證人 そうです。そうおつしやいましたが、まだ見えておりません。
○石田(一)委員 すると今までのところは税務署はやはり團体折衝として組合の方のことを聞いてやつておるというのですね。
○折本證人 税務署も地方事務所も組合の幹部の皆さんのお話をおもに受入れたらしく私は思います。
○北委員 先ほど何の金か知らないで出したとおつしやいましたね。だれか集金に來たのですか。
○折本證人 やはり何かかんかと組合費とか、維持費とか、私は覚えておりませんけれども、いろいろかかるときには取りに來るのであります。私もその都度その名目をよくひかえて覚えておけばよいのですが、こういうことになろうとも思いませんし、そのまま出せば用が済んだと思つて忘れてしまつたのです。
○北委員 その金額は何回も出されたとさつきも申されましたが、大体の総額は幾らぐらいだつたのですか。
○折本證人 わかりません。
○北委員 來たときにこれは多いなと思つたことはありませんか。
○折本證人 七百五十円というのを取りに來たことがあります。それは何の経費か私は忘れましたけれども、この間汚職事件の後に大堀長吉さんが返しに持つて来たのです。
○北委員 七百五十円を返しに持つて來たのですか。
○折本證人 そうです。私の方もつけておかなかつたので幾らだつたか忘れたのですけれども、多分折本君には七百五十円もらつたというような心覚えだが、あなたの方に何かひかえがあつたら言つてくださいということで、私の方は何もひかえてありませんから、わかりませんけれども、七百五十円いただきました。
○福井委員 ちよつと折本さんにお尋ねいたします。あなたのお話を承つておりますと、期日のことやその他のことを非常にはつきりお答えになりますので、私も感心しております。 それでこの事件が起りましてから新聞に出ておることは、あなたがおつしやつた通りで、読んでいらつしやる。またここに來るにつけて、そこら中から呼ばれたらこういうふうに言つたらよいだろう、こう答えたらよいだろうと教えてもらつたり、教えてもらいに行つたことはありますか。
○折本證人 絶対にそういうことはありません。けさ小林さんがお出でになりました。それで実は私がここに來るということが新聞に先に出たのであります。ですけれども私は若いときから苦労したせいか、目が悪く新聞の字が見えないのであります。それでめがねを買うこともできないので、ついめんどうくさいので、このごろは新聞を読まないのでちつとも知らなかつたのです。そうしたら折本ヤス、小林ほか五証人招喚と二十二日の新聞に出たそうです。それを昨日よその人から聞いた。折本さん、衆議院に行くんだつてね、すごいわねと言われたのです。それで私はちつとも知らないので、そんなことどこに書いてあるの、でたらめよと言つたら、新聞に出ているというのです。いつの新聞ですかと聞いたら二十二日の新聞だという。それで一生懸命めがねを買つて來て読んでみたら、ほんとうに出ているのですね。それで私のところには何の通知もない。二十四日というと明日だのにと思つておりましたら、けさほど小林さんが見えて、折本さん行こうというのです。どこへと言つたら、衆議院に行くんだよ、こういうものが來ている、家には來ない。來ないのに行かれないわと言つておりました。私一人で午後洗濯しようと思つて水を汲んでおりましたら、お店で折本さんはんこを持つて來てくださいと言う。何かと思つたら書類が來て、あれ、これは大変だというので、それこそうろたえて來たのであります。
○福井委員 わかりました。 それから失礼ですが学校はどのくらい行つておられますか。
○折本證人 私はいなかの尋常高等小学校卒業です。
○福井委員 いつごろから主人がおられなくて、どのくらい一人でおやりになつたのですか。
○折本證人 主人が徴用になりましたのは昭和十八年五月十五日でございました。あまり苦労したので、それは深く印象にきざみ込まれてしまいました。それから帰つて來ないのでございます。
○福井委員 どちらの方へ……。
○折本證人 ちよつとしたことがありまして、今生きておりますが、帰つて來ません。
○小玉委員 寄合いに行つたそうですね、税のことで……。
○折本證人 一回だけ行きました。
○小玉委員 それはだれが呼びに來たのですか。
○折本證人 それは言い継ぎになつて参りますので、その自轉車屋からうちの方に……。
○小玉委員 そこには何人くらいおつたのですか。
○折本證人 何人くらいかちよつとわかりませんけれども、ごしやごしやいつぱいおりましたね。浦和の自轉車屋さんで見えないのが幾人もいなかつたと思います。
○小玉委員 七、八十名ですか。
○折本證人 七、八十名はどうでしようか、四、五十名くらいかもしれません。
○小玉委員 ほかの人は大体個人折衝ではなくて、團体折衝、皆でまとまつてだれか代表幹部の方にやつてもらうということになつたのですね。
○折本證人 團体折衝はあらかたおつしやつたのですね。個人折衝を唱えた方は南さん一人だつたと思います。南さんも今度やめました。
○小玉委員 そうしてあなたも言つた。南さんとあなたと二人ですか。
○折本證人 今ここえ來られた小林さんもやめられたのです。
○小玉委員 個人折衝で税務署で折衝すると言つて、幹部の方にまかせなかつた人は何人くらいですか。
○折本證人 私と南さんが言つておりました。
○小玉委員 あなたは、どういうわけで自分は個人折衝をするという氣持になりましたか、その場でみんなにそういうことを言つたわけですか。
○折本證人 私は皆さんにおまかせしないで、私は個人折衝でやりますと皆さんにたてついたことを言つたのではないのでありまして、皆さんにやつていただきますけれども、私は私でやつて行きましようと、自分では言いませんが、思つただけであります。
○小玉委員 一應は幹部にまかしたのですね。
○折本證人 でも幹部の方が、じや折本さんは一人でやつたらよいでしようといつて書類を私と南さんを抜取つてくれた。
○小玉委員 あなたは書類を返してもらつて個人折衝するようになつたのはどういう氣持でなつたのですか。
○折本證人 それは私どもの内容を汲んでくださらないと思いましたから、それに大堀さんがおつしやるのに、うちが二十六万で、折本さんが二十五万くらいではまだ安いくらいだとおつしやいましたから……。
○小玉委員 大堀さんというのは組合長ですか。
○折本證人 組合長の次です。
○小玉委員 その人が自分が二十六万円で折本さんのところが二十五万円なら安いくらいだとおつしやつたから……。
○折本證人 それではとても組合にまかしておいたのでは下らないと思いましたから、しようがないのでそのときやむを得ず陳情書に書いたわけなんであります。
○小玉委員 陳情書に書いたというのは、あなたが個人折衝をするときに書いたのですか。寄合の場所では言われなかつたのですか。
○折本證人 組合の幹部連には、このことはこれこれこういうわけですということを幹部だけ残つているときに私は申し上げたのです。
○小玉委員 陳情書に書いたと同じようなことを、おやじさんが帰らんで非常に困つておるということを言つたのですね。
○折本證人 一通り申し上げたのです。ああそうだつたか、まことに氣の毒だ。しかしもう少し早くそれをおつしやつてくれればよかつたのにとおつしやつた方もあつたのです。
○小玉委員 あなたはその際大堀氏が二十六万円であなたが二十五万円だということは組合の幹部の人がきめたと思つたのですか、税務署の方からきめられて來たと思いましたか。
○折本證人 私は幹部が大体どこは幾ら、ここは幾らということを割りつけるのではないかと思つたのです。
○小玉委員 それで幹部は自分の言うことを聞いてくれないから、これは自分が直接折衝してみようという氣持になつたわけですね。
○折本證人 そうでございます。ですから事実ありのままを見ていただきたいと思つたのであります。
○小玉委員 それであなたが税務署へ直接行つたのですか。
○折本證人 私何回も運びましたけれども……。
○小玉委員 どういう人に会いましたか。
○折本證人 何ですか、若い方ばかりで……。
○小玉委員 税務署の相手は同じ人でありましたか、かわりましたか。
○折本證人 違いました。
○鍛冶委員長 名前は覚えておりませんか。
○折本證人 わかりません。
○小玉委員 何人くらいですか。
○折本證人 署長殿として書類を書いてお願いしたのです。直接くどくど言わないのです。
○小玉委員 書類を出しただけですか。だれかに会つて陳情したことはありませんか。
○折本證人 お話しても、話は証拠に残らないからだめだとおつしやる方があつたものですから、書類にしたためて出したのです。
○小玉委員 何か先ほど直接自分の方に調べに來ないのかなと言つたら、行かないと言つたというようなことを言つたが……。
○折本證人 それは地方事務所の方です。地方税も所得税も両方一緒に出したのです。
○小玉委員 税務署の方は書類を寄こさんとわからぬから書類を寄こせということですね。それで書類を陳情書と一緒に出したというのだけれども、一向調べに來なかつた。
○折本證人 そうです。それで二、三日前に上りましたら、二十三日から調べることになつておると申しました。
○浦口委員 折本さんにちよつとお伺いしますが、月七千円から多い月で一万円くらいの賣上げでせいぜい年に十万円くらい賣上げがあると見ていいですね。
○折本證人 純益が一箇月多くて一万三千円、少いときは七千五百円から八千五百円、九千円のときもあるし、いろいろあるのですけれども……。
○浦口委員 冬枯れもあるから、年々十万円くらい、そこへ二十五万円の決定が來て、それに対する税額がどうしても約十万円納めなければならぬということはたいへんなことだ。しかもお宅は女手で若い息子さんを相手にやつている。こういうことは組合員の同業者であれば大体わかると思うのですが、その会合のときに、折本さんは女手で若い人を相手にやつているのだから、組合長が二十六万円であなたのところが二十五万円、そういうことはないというように常識的に考えられるのですが、何かそういうふうな意見を言つてくれる人がありませんでしたか。
○折本證人 それは名前がおやじの名前になつておりますから、事実はそれを知らぬふりをしていたんじやないかと思います。
○浦口委員 そういうふうにとんでもない税金を税務署が割当てて來たのではなしに、組合の申告がもう少し実情を調べてほんとうのことをやつて欲しかつたのに、してくれなかつた。そういうふうにお考えですか。
○折本證人 私ども考えますと、税務署そのものは片つぱしから実情を調査すればいいけれども、それは目が届くものじやないですから、大体組合の皆さんにお委せして、幹部の連中があのうちはどれくらいだろう、このうちはどれくらいだろうと査定してやるのではないかと思うのです。
○北委員 組合の幹部の人と税務署の人と何かお酒を飲んだとか、そういうことをお聞きになりませんか。
○折本證人 私はたれからも聞かないですけれども、新聞に出たから、新聞を読んだのです。
○北委員 組合の幹部が税務署の役人に金をやつたとか何とかいうことは聞きませんか。
○折本證人 それは新聞に出たもんですから、新聞の話で皆さんがおつしやつて聞いたのです。私自身は全然知らない。
○篠田委員 ちよつとお尋ねいたしますが、あなたのお店で実際に商賣をやつて働いていらつしやる方は息子さんとおつしやいましたね。
○折本證人 長男が二十年に兵隊に参りまして、四箇月で終戰になつて帰つて來たのです。それで兵隊に出るときに、せがれがかあちやん、おれは一人だ、おやじもいないのだから、おれが死んでしまえばかあちやんが困るから、ねえちやんに婿をとつたらいいだろうというのです。、兵隊に行つている人間があるのに婿をもらうのは違うのですけれども、四年も五年も行つておりまして、三十幾つになつておりましたから……。その人は浦和の監視哨にせがれが兵隊に出るまで勤めたのですが、そこで知合いになつて、やつならばくそまじめだからいいだろうというので、かあちやんも三つ違いで苦労したから、年が多いなら心配はないだろうというので、それをもらつたのです。
○篠田委員 そうですか。その人が今お宅で働いているのですか。
○折本證人 その人が働いてくれたけれども、去年の八月から肝臟でこんなになつちやつて、半年ばかりわずらつて……。
○篠田委員 それで聞きたいのは、あなたのむすこさんは今働いているのですか。
○折本證人 働いておりましたけれども、こんなことでやめました。
○篠田委員 そのむすこさんはお幾つですか。
○折本證人 二十四になつております。
○小玉委員 二十四のむすこさんと、肝臟で病氣になつているお婿さんと、あなたとそれだけで商賣をやつているのですか。
○折本證人 それが一緒に二人が働かないで、あつちがわずらつたりこつちがわずらつたり、かれこれなつて、結局一人で働いちやつたのです。だから不幸続きというわけなんです。
○小玉委員 あなたの御主人は徴用で生きているけれども帰つて來ないという何か複雑な事情があるのですか。
○折本證人 ちよつと体裁の惡いお話があるのです。
○小玉委員 これは伺いませんが、そのことのために何か業者仲間から惡く思われておるという点があるのじやないですか。
○折本證人 そのことのために惡く思われているのじやなくて、そのことを利用しているのじやないかと、私は考えられるのです。
○小玉委員 それは言えたら言つてください。どういう点ですか。
○折本證人 おやじが家を留守にしているから、鬼のいないうちに洗濯でもしましようというぐあいで、おやじがいないから、いないうちにうちをつぶしてやる——つぶしてやるということを言わないまでも……。
○小玉委員 あなたをいじめてやるという氣持はあつたというのですね。
○折本證人 そうですね、それは私のひがみかもしれませんけれども……。
○小玉委員 その御主人から何か仕送りがあるとか、そういう関係はないのですか。
○折本證人 全然ないのです。
○小玉委員 世間の人はそういうふうに誤解する事情はないのですか。
○折本證人 主人は十八年からうちに一銭もお金を入れないで、補助は受けないのです。ですけれど自轉車屋の品物や道具をいぢりたいときに晝間ちよつこつと來て、お店でがちやがちややつては帰るのです。
○小玉委員 今も……。
○折本證人 はあ、ここのところしばらく來ませんけれども……。ですから近所の、すぐお隣にしたつて、私どものほんとうの家庭のありのままを知つている人はおそらくないと思います。
○小玉委員 端的に言うとめかけか何かと一緒に住んでおるのだね。
○折本證人 そうでございます。
○小玉委員 それは近所に住んでおるのかね。
○折本證人 與野町に住んでおります。
○小玉委員 それでわかりました。
○鍛冶委員長 あなたと一緒にやめた人はまだ何人もありましたか。
○折本證人 私どもが一番先にやめたと思います。
○鍛冶委員長 それから……。
○折本證人 その次に小林さんもやめたし、南さんもやめたという話を聞きましたが、私ども一番先にやめました。
○鍛冶委員長 あとは知りませんか。
○折本證人 あとは存じません。
○鍛冶委員長 では済みました。 —————————————
○鍛冶委員長 小林登さんですね。
○小林證人 はい。
○鍛冶委員長 あなたは浦和で自轉車屋をやつておりましたか。
○小林證人 はい。
○鍛冶委員長 いつからいつまでやつておりましたか。
○小林證人 昭和九年の八月から始めまして、十九年までやつておりました。
○鍛冶委員長 十九年ですか。
○小林證人 そうでございます。十九年に徴用にかかつて、それで一時打切つたわけです。
○鍛冶委員長 それから……。
○小林證人 それから終戰事後また自轉車屋を始めたのです。
○鍛冶委員長 それはいつまで……。
○小林證人 去年の十二月まで……。
○鍛冶委員長 なんでやめました。
○小林證人 私のところは家族の多い関係上どうも税金がこれでは重いなと思つて、それで組合の方へも話しましたが、税務署の方に折衝しても、個人でやると、かえつてやぶへびになつてしまうくらいが関の山だから、團体交渉でやるのが一番だという意向でしたので、私もそれなり役員にまかしておつた。ところがやはり、順位の関係で、私の思つた以上になりましたので、それではとても私らはやつて行けないからよしますといつて、去年の十二月にやめたのです。
○鍛冶委員長 二十三年度ですね。
○小林證人 そうです。
○鍛冶委員長 それは十月に仮更正が來たわけですか。
○小林證人 十月に來ました。
○鍛冶委員長 どれだけ……。
○小林證人 十五万……十五万では高くはないでしようが、私は家族が多いのでやり切れない。
○鍛冶委員長 では本更正が來ない先にやめたのだね。
○小林證人 やめるちよつと前でしたか、本更生が來ました。それもやはり十五万でした。
○鍛冶委員長 二十三年度はいくらでしたか。
○小林證人 二十二年度は六万でした。
○鍛冶委員長 六万なら納められましたか。
○小林證人 六万なら泣き泣きではありますが、とにかく納められました。
○鍛冶委員長 今度どれくらいにしてくれと言つて頼みましたか。
○小林證人 組合の方では順位でなつておるのですから、妥協してもせい一ぱいではないかと思つておつたのです。ところが十万ではだめだ、税務署の方は受付けない、たれが見ても当然それくらいは拂えるのだからがまんしないかというので、それならということでいたのです。
○鍛冶委員長 組合で順位をつけるのはどういう方法でつけますか。
○小林證人 順位をつけるというのはやはりいろいろ店がありますが、大小で認めてあそこの家は忙しい、ここの家はこういうことをやつておるという見当で……。
○鍛冶委員長 たれがきめますか。
○小林證人 それには実態調査員というのがいたわけです。その調査員が各人をまわつてこの家はどのくらい、この家はどのくらいということで順位をつけたわけです。
○鍛冶委員長 それにあなた方は不公平があると思いましたか。
○小林證人 私はその当時四級でした。一級、二級、三級、四級、五級とわかれていたのです。四級から下の方からも一人査定員に出せというわけで選挙されて私は出たわけです。あと上の人と四人ばかりでやりましたけれども、自分も査定員という名前をもらつて実態調査をやつてみて、よその家は上げても自分を下げることはできない、泣寝入りでこれだけ來たのではしようがないからこれだけ拂おうという氣でいたのです。ところがなかなか拂えるものではなかつたのです。とうとうこれではしようがないからやめますと言つて辞表を出したわけです。
○鍛冶委員長 そこで組合では團体交渉をやるというので、寄合いか何かをしたそうですね。
○小林證人 それは去年の十月だか十一月のしよつばなだかにやりました。
○鍛冶委員長 どういう相談をしましたか。
○小林證人 そのときは私は別に口を出したわけではないのですけれども、税務署の方に何かやつたらまけるのじやないか、それにはいくらかずつでも出してやつたらという声が出たのです。しかし自分たちは十五万という声を聞いたので、実際拂える力はないから何でもよい。そのうち話がきまつたのか知らないけれども、十時ころ解散になつたわけです。それで自分たちは帰つて來た。そのときに私はやめるという腹一ぱいだつたのです。とても拂えないからやめますと言つて、そのときにどういうふうになつたか私は知らないのです。
○鍛冶委員長 それでは結局その仲間に入らなかつたわけですね。
○小林證人 自分は入らなかつたわけです。それまでは頭がやめる一方であつたのですから、知らなかつたのです。
○鍛冶委員長 ほかの人はそういう運動をしたらきき目があつたのでまけてもらつたのですか。
○小林證人 私はまけたという話も耳にしませんですが、最近新聞を見て私もたまげたのです。私は去年の十二月よしてから初め三月ばかり田舎に手傳いに行つて遊んでおりました。ところが遊んでおつたのでは家族八人でどうにもならないので、最近ぽんせんべいを始めたわけです。
○鍛冶委員長 あなた一人では何かやりましたか。
○小林證人 役員の人に一人ではやぶへびになるからだめだよと言われたので、私は何もやりませんでした。
○鍛冶委員長 そのほかいろいろ運動してやつたというようなことを浦和で噂があるようですが、そういうことは知つておりますか。
○小林證人 全然噂は聞きません。とにかく役員でなく、ただ組合員というだけのあれでしたから……。
○鍛冶委員長 それでは運動してもだめだと思つておりましたか。
○小林證人 やめるよりほかないと思つてやめたわけです。
○鍛冶委員長 あなたと一緒にやめた人は浦和に相当あるようですがどうですか。
○小林證人 二、三あると思つております。私より先にやめたのです。それから私はとてもやつて行けないのでやめたのです。
○鍛冶委員長 たれですか。
○小林證人 坂本という人、興野の福島という自轉車屋、この人もやめました。その前にやめた人は千葉の方に越した佐久間さん、ほかの商賣の稻垣さん、浦和で五人ばかりやめた。
○鍛冶委員長 それは税金で驚いてやめたのですか。
○小林證人 そうじやないでしよう。あの方々は別に税金が高いからどうということではありません。
○鍛冶委員長 税金で高くてやめた者はたれか。
○小林證人 税金が高くてやめた者は私です。
○鍛冶委員長 折本というのは……。
○小林證人 あの方は実際のところ氣の毒は氣の毒です。
○鍛冶委員長 南とかいう人は。
○小林證人 私の考えではやめることはないだろうと思つた。実際家族が三人で、税金は私なんかと違つていたから、やめずにやつていた方がいいじやないかと思つたのです。
○鍛冶委員長 ほかに何かありますか。
○小川(半)委員 小林さんにお尋ねしますが、結論としてあなたは役員にまかした方が一番有利であるというお考えを持たれたわけですね。
○小林證人 そうです。
○鍛冶委員長 そこで役員は税務署の方々にお金を差上げるか、品物を差上げて業者全体の税金を安くしてもらおうという運動を起そうということを相談されたのですか。あなたは役員にまかすと言つた以上一應承諾されたわけですね。
○小林證人 私はやめる腹がありましたから……。
○小川(半)委員 心配されずに率直におつしやつてください。金の負担とかそういうことについて承認されたのですね。
○小林證人 それは出しません。
○小川(半)委員 それはおかしい。あなたは役員にまかす、役員は税務署に減額運動するというのです。それの運動資金を業者からとるというのでしよう。それであなたは役員にまかしておいてその負担金を出さなかつたのですか。
○小林證人 それがわすかな期間ですから……。それは十月だか十一月に入つてからの話でしたから……。
○小川(半)委員 それではけつこうです。そういう事情は申しませんが、折本さんは何のことで出したか知らないけれども、ちよこちよこ組合の方から集金して來るので、あるいは維持費とか、あるいは組合費とか、その他いろいろな雑費に必要だと言つて取りに來るので出しておつたところが、最近に至つて二百五十円返して來た。どうもその金はわれわれの感で判断すると、おそらく税務署に対する運動金だとこう私たちは解釈するのだがね。あなたのところへ組合の方から幾らか返して來たですか。
○小林證人 いいえ、私はもらいません。
○小川(半)委員 出しもしないのですね。
○小林證人 組合費というのは、昨年月三十円できまつているのですが、三十円じやとてもやり切れないから五十円にしろというので、私がよす前に五十円になつたわけです。そのほかちよいちよい金を出すということはおそらく私はありません。ただ配給物をもらうときに金を出すくらいで、それ以外に絶対にありません。
○小川(半)委員 それでけつこうです。
○小玉委員 今あなたはつつくとやぶへびになるからこわいと言われましたが、どこがこわいのですか。
○小林證人 そうじやないのです。個人で税務署へ、高いから何とかひとつまけてもらえませんか、そう言つて行くと、かえつて税務署がうちに來て調べまして、これだけの品物があつて、これだけ仕事があるのだから十五万円じや安いじやないか、二十万円にしてやるぞというようなことを言われるのが恐しいから、役員にそうかと言つてまかしたのです。
○小玉委員 團体の折衝でなくて、個人折衝にすれば、結局税務署が直接來て調べる。そうなるとかえつて高くなるし……。
○小林證人 そうなると、お前のところは十五万円じや納まらないよ。二十万円くらい出してもいいということを言われるのが恐ろしくて……。
○小玉委員 しかしあなた方の商賣の模様から見て、十五万円以上かけられるようなことのないような商賣をしておれば、恐ろしいわけはないじやないですか。どうですか。
○小林證人 恐ろしいようなわけはないでしようけれども……。
○小玉委員 税務署が直接に來て、帳簿その他営業の状態を直接調べて、みなよくわかるようにしておるのですか。それをあなた方が恐れるというのはどういうことになるでしようか。調べ方としてはそれがほんとうの調べ方でないですか。
○小林證人 それは個人折衝をすると、私一人のところへ税務署から來て調べられて、小林のところは十五万円じや安かつた、もう少し高くしろと言われると、ほかの人が困るという——私ども別に決して困るということはないのだけれども、組合としては、役員の方は何でも團体折衝が一番だということで、團体折衝するから、個人ではやらないようにという話がありましたから、私はそのままにしていたのです。
○小玉委員 何かあなた方は團体折衝をした方が個人折衝をする方より有利だ、こういうふうに考えておるわけなんだな。
○小林證人 有利でも有利でなくても、私にはとてもそれだけの頭がなかつた。
○小玉委員 われわれから考えれば、團体折衝で十五万円は非常にひどいというならば、團体の人に言つて、團体の人に交渉してもらつて、もつと減らしてもらうようにしなければならぬわけでしよう。
○小林證人 そうです。
○小玉委員 それは言わなかつたのですか。
○小林證人 言いました。言うことは言つたけれども、とにかく二十万円以下の人はがまんしてもらいたい。二十万円以下は何とかなるだろうけれども、二十万円以上はうまくやらないと……
○小玉委員 大体の基準を二十万円に置いたのですね。
○小林證人 そんなところに置いたわけではないでしようが……
○小玉委員 二十万円以下は遠慮してくれ、がまんしてくれというわけですね。
○小林證人 そんな話が出たから私は默つておつた。
○小玉委員 不満であつたけれども默つておつた、こういうのですか。
○小林證人 そうです。
○小玉委員 あなたは端的に言つて満足しておつたわけではなかつたのですか。
○小林證人 満足してもしなくても拂えないのですから、それが拂えれば満足しますが、拂えないから……
○小玉委員 それならば強く幹部の方に言つて、拂えないがどうしてくれるんだということを強く言つてやるべきじやないか。
○小林證人 そこまで頭があつたら自轉車屋なんかしておりません。
○篠田委員 あなたは家族が大勢だとおつしやいましたけれども、家族は何人ですか。
○小林證人 家族は八人です。
○篠田委員 証人は何年自轉車屋をやつておられますか。
○小林證人 自轉車屋は区々で、昭和九年の八月に自轉車屋を開業しまして、十九年の十一月までやつておりました。その後徴用で二十箇月行つておりまして、徴用はともかく群馬の中島へ持つて行かれまして、運よく爆撃を受けなかつた工場がありまして、そこへ持つて行かれましたら、工場が山へ疎開するというので、疎開になつて、疎開した一週間で終戰になつたのです。帰つて來て自由行動になつてから、自轉車屋でも始めたいというので、現在の所ヘバラツクで自轉車屋を始めたのです。
○篠田委員 そうすると大体において、終戰後三年ばかりと、その前に十年商賣をやつておつたわけですね。
○小林證人 そうです。
○篠田委員 もともとあなた自轉車屋になつたというのは子供のときか、若いときか。とにかく自轉車屋に奉公しておつたとか、あるいは縁があるのですか。
○小林證人 全然なかつたのです。
○篠田委員 しろうとから入つたのですね。
○小林證人 だから全然無経驗です。
○篠田委員 十余年やつた自轉車屋を、税金が高いからと言つてやめたわけですね。
○小林證人 税金が高いも安いも食べて行かれないからやめたのです。ほかの商賣でも食えるか食えないかわからないけれども、とにかく自轉車屋ではこれ以上やつて行く力がないからやめますと言つてやめた。
○篠田委員 失礼ですが幾つですか。
○小林證人 とつて四十一です。
○篠田委員 大勢の子供さんの中で、一番大きい子供さんは幾つですか。
○小林證人 大きいのが十四です。
○篠田委員 そうすると、奥さんのほかに六人の子供があるのですね。十四をかしらに……。
○小林證人 そうです。
○篠田委員 わかりました。
○鍛冶委員長 それでは済みました。御苦労さんでした。 —————————————
○鍛冶委員長 後藤壽文さんですね。
○後藤證人 はい。
○鍛冶委員長 あなたは浦和におるんですね。営業は何ですか。
○後藤證人 官報販賣局です。
○鍛冶委員長 何かあなたは税のことで働いたことはありますか。
○後藤證人 働いたと言えば働いたかわかりませんが、ただ大勢の方がどうも、税務署へいろいろ話しに行くけれども受付けてくれない。それでもつて一緒に行つて話してくれなどと言われたときには行つたことはあります。
○鍛冶委員長 何かそういう運動をする團体でもつくつておりますか。
○後藤證人 やはり業者の方が皆寄つて來まして、とてもこういう状態では困るからお互いに民主的な固まりをつくつて、正しい税金の納め方をやろうじやないかという、そんな準備会のようなものができておるのです。
○鍛冶委員長 何というのです。、
○後藤證人 浦和民主商工会準備会と言います。
○鍛冶委員長 それはどういうような人が集まつておりますか。
○後藤證人 八百屋さん、自轉車屋さん、ふろ屋さん、床屋さん等あらゆる商賣の集まりです。
○鍛冶委員長 それらの人々の具体的にやられたことはどういうことですか。
○後藤證人 今度具体的にやつたのは審査請求書を書くときに、こうして出すべきであるということを一緒に教えてあげた程度でございます。
○鍛冶委員長 各業者に……。
○後藤證人 そうです。
○鍛冶委員長 それらの人々は税金は非常に不合理に高いものをかけられておりますか。
○後藤證人 不合理に高いものだけがやはり寄つて來るのです。とてもその方の営業状態では拂えないような税金、そういうものが多いのです。
○鍛冶委員長 これはすべてに関するものであなたの体驗から聞きたいのですが、高いという意味は、所得税というものは所得額がまずきまるのですが、所得額というものは実際によくわかれば高いも安いもないわけなのです。その所得額が高いというのか、それとも所得額はそうではないけれども家族が大勢あつて、とても食えぬとか、生活費がかかつて困るとか、これだから生活ができぬというのですか。不平の根本はどつちですか。
○後藤證人 それはいろいろあると思いますが、私ども相談しましたのは、やはりほかの業者と比較した場合——同業者の中でもいわゆる世話焼き活動などをするような人、あるいは表の方で大きな商賣をやつておる人、そういう人と比較した場合に自分の税金が高い、そういつた関係です。
○鍛冶委員長 そうするとでこぼこがあるということですね。それが不平の主なものですか。
○後藤證人 そうです。
○鍛冶委員長 そこで承りたいのですが、業者でそういうことがきまるのは、実際はどういうことできめておるのですか。
○後藤證人 それは直接税金がかけられるときに、業者の組合に税務署から相談するわけです。そうすると、同業組合の中に税金の委員のような者があつて、そういう委員が税務署といろいろ折衝をする。そうして業者のいわゆる等級のようなものをつくつて、お前のところはこのくらい、お前のところはこのくらいだといつたような大体案を出して、それを税務署に示すわけです。
○鍛冶委員長 これは一般から見れば民主的に聞いてやつておるか、それとも役員どものめがねでやるのですか。
○後藤證人 もちろんこれは役員の推量でやられるのです。
○鍛冶委員長 そうすると、役員によくいわれない者が不当に大きくかけられておるという実情がありますね。
○後藤證人 あります。
○鍛冶委員長 それはあなた方も経驗せられたわけですか。
○後藤證人 あります。
○鍛冶委員長 それからさらに役員どもが團体的に減税運動をしたようなことはありませんか。
○後藤證人 私ども輪業組合などでやはり金を寄せ集めて、税務署の係の方と会合するために使つた経費、そういうものを皆に分担させたような例がたくさんあります。
○鍛冶委員長 輪業組合の実情は知つておりますか。
○後藤證人 あまりこまかいことは知つておりませんが、やはり四百円ぐらい頭割をとられたという人もあるし、あるいは二千円、三千円とられたという人もあるし、営業状態によつて、あるいはかわるのかもわかりません。そういうふうに聞いております。
○鍛冶委員長 そういう金を集めて何か官吏に飲ましたり、食わしたり金をやつたりした事実がありますか。
○後藤證人 それは出した者がみなそういうふうに言つております。税務署の方と懇談するためにがかつたということを言つております。
○鍛冶委員長 懇談はしばしばやつておるような事情ですか。
○後藤證人 やられておるようです。
○鍛冶委員長 やればたいてい税務署の官吏を呼んでごちそうするのですか。
○後藤證人 とにかくこういう点について町の話題の種になつておるのです。このごろ新しい洋服でも着たり、新しいくつでもはいて酔つばらつて町を歩いているのは、税務署の人間だろうというふうに町全体の者が言つているのです。
○鍛冶委員長 目に余るような実情を具体的に知つておる例がありますか。
○後藤證人 それは私ども飲んでおる現場を押えたわけではありませんが、やはり税務署の方と宴会を持つたとか、あるいはいろいろ業者の組合がこういうようなわけで税務署の人と一ぱい飲んだとかいうことを聞いております。
○鍛冶委員長 それはこの間新聞に出ている程度以外にまだあるそうですか。
○後藤證人 それはたくさんあるらしいのです。昨日私ある人に聞いたのですが、これは私が証人に出ることが新聞に書かれておつたのでその人が言つておつたのです。洋服屋さんでしたが、私どもが惡いのじやない、私どもの上の方に顔役がおつてその人間がいろいろあれしておるのだ、そうしてわれわれ洋服屋とか八百屋とか自轉車屋、このくらいの組合にのみ問題を解決させようとしておるのだ、もつと大きなものがあるのを何とかして押えつけようとしておるというようなことをその洋服屋さんが語つておりました。
○鍛冶委員長 それはどういうことです。あなたが御承知ならば聞かしてもらいたい。
○後藤證人 具体的に言いますならば、浦和の前市長さんといつたような方ができるだけこの事件を発展させまいとして押えつけておられる、これ以上上の方へ発展させては困る、できるだけそういう組合のところでもつて片づけたいというような氣持で動いていたということを言つておりました。
○鍛冶委員長 組合以外のもので何か惡いことをしたものがおつたというのですか。
○後藤證人 ほかの組合にもつと大きな問題があるのだ……。
○鍛冶委員長 洋服屋さんから見ればほかの組合に……。
○後藤證人 洋服屋あるいは八百屋あるいは自轉車屋はまだ小さいものである。このくらいの程度の組合に今度の責任を負わして、もつと大きなところでやつておるのは、ほおつかむりして行くような線が見えるということを洋服屋さんは語つておりました。
○鍛冶委員長 どんなものが大きいのですか、知りませんか。
○後藤證人 それはちよつとわからぬのです。
○鍛冶委員長 そこでそういう運動をすればやはり効果があるようですね。
○後藤證人 それはあつたのもあるし、ないのもある。ただいわゆる幹部だけは安くなつた。中には今年はしかたがないからこれでがまんしてくれ、來年こそは君のところの税金はもつと安くするように骨折つてやろうということを言われて、その人はじや今年はがまんしようという方があるのです。
○鍛冶委員長 業者はたいていそういう組合をつくつておりますか。何々業何々業というように……。
○後藤證人 大体同業組合がやつております。また同業組合のようなものでないと、税務署の方で相手にしてくれない。個人々々で税務署へ行つたら、それこそ頭から玄関拂いです。現金が高いのはあたりまえじやないかと劍もほろろのあいさつです。それで市民は警察の人より税務署の人間を恐しがつております。
○鍛冶委員長 さつきの人から聞いたんだが、個人で行つたらやぶ蛇になるそうだが、そんなことはありますか。
○後藤證人 單独の交渉をいたしますと、あのやつは組合を離れてああいうことをやるから、今度あいつの税金をよけいふやすようにしてやらなければならぬといつたようなことを言つております。
○鍛冶委員長 それは理屈の上から言うと、得べからざることですが、所得額だから……。
○後藤證人 それで昨日会つた洋服屋さんの話を聞きますと、あいつはわからなかつたから、ペンで殺してやるのだ。ペンで殺すというのはどういうことかというと、下へまるがいくつかつけば、それでやつは参つてしまうといつたことまで、税務署の係の者は言つておつた、ということを話しております。
○鍛冶委員長 その洋服屋はだれです。
○後藤證人 それはきよう証人として呼ばれております大木貞夫です。
○鍛冶委員長 あなたはそのほかに何か市民税の減税運動をやつたことがありますか。
○後藤證人 それはあります。減税運動というのではなくて、やはりこれも市民税のでこぼこがあまりひどいので、正しい税金をとつてもらいたいということを市長に交渉したことがあります。
○鍛冶委員長 それはよほど不公平があつたのですか。
○後藤證人 よほど不公平がありました。一つの例を言うならば、市会議員で土建業者の五月女駒吉という大きな会社を持つている人たちが、市民税四百円や五百円くらいしか納めておらぬ。こういう問題を聞いてみれば、やはりうまくない問題があるから、この程度にしてあるのだということを言つておりましたが、実に比重がひどいのです。浦和でも最高の多額納税者が、市民税二千円とか三千円くらいしか拂つていない。それで一医者が七千円も八千円も拂うという市民税のでたらめさがあつた。この前國会に出ておつた田口助太郎さんは、一昨年の税金よりも去年の税金が安かつた。それを市役所で話したら、あれは間違いであつたというようなことで、実にでたらめさがありました。
○鍛冶委員長 何か示威運動でもやつたのですか。
○後藤證人 示威運動ではなく、正しい税金の再査定をしてほしいという要求です。
○鍛冶委員長 何か大勢押しかけて交渉したのですか。
○後藤證人 そうです。やはり市民が寄りまして、どうもそういう税金では困る、正しい税金を拂いたいというので、二度、三度行きました。
○鍛冶委員長 何かありますか。
○小玉委員 あなたはそういうふうな運動をされたそうだが、課程の適正を欠いているというふうに感じられたわけですね。
○後藤證人 そうです。
○小玉委員 その一番の根源はどこにあるというふうなことは、あなた自身は把握されておりますか。
○後藤證人 それは私ども感じておりますことは、結局同業組合の幹部とか、あるいはその幹部と税務署の間にあつて仲介の労をとる方々が、いろいろな運動をなくなせば、正しいものになると思いますが、それがある限りやはり正しい課税は行われないと思います。
○小玉委員 團体交渉はよろしいが、そういう團体交渉のしかたを一歩誤ると、團体員組互間において、自己が軽く、他の人が重くといつたような動きを見せるのですが、そういうことが現に幹部ないしは税務署の方に反映して、それが課税の適性を欠くという一つの原因だというふうにはお感じになりませんでしたか。お互いに嫉視反目して、相手方を陷れて、相手方を増すことによつて、自己が軽くなるということを、業者仲間もやるという傾向はなかつたか。幹部ないしは腐敗した税務署の役人連中のせいであつて、業者仲間の結束がよろしくないというような点は見受けられなかつたですか。
○後藤證人 もちろん業者によつては、同業組合の中にいろいろな問題はあつたと思うのですが、おおむねやはり今まではその組合の幹部とかそういう顔役の方が、そういう問題を解決しているわけなんです。
○小玉委員 それで自己もしくは税務署の役人が何か私利をはかつているという点はどうなんですか。
○後藤證人 そういう点は相当あると思います。今の間税事課長さんではありませんが、この前の間税課長さんはやはり現在浦和に住つておりますが、この人などは間税課長をやつているとき、非常に私財を残して、現在でも近所でもうらやむほどのゆたかな生活をしているわけです。こういうふうな事実ですね。これはもう近所の者がみんな目撃して、あれでは困るというようなことを言つております。そういうものを見ても、ただ單に財産がふえて來るということは考えられないのです。
○小玉委員 何か一般に税務署の役人が下級の役人に至るまで料理屋その他に行つて、遊與にふけつているというような事実が浦和あたりで問題になり、あるいはそういう事実があつたような事例はないですか。
○後藤證人 特に目につくのは、若い税務署の方々が飲んで歩いている。そういうことはもう町の者の目についております。
○浦口委員 後藤さんにちよつとお伺いいたします。あなたは税金をなるべく適正にしようという運動をおやりになつたそうですが、どのくらい人をお扱いになつたか、それに対して税務署がどういう態度で折衝してくれて、その結果非常に適正な方向にどのくらい解決がついたか、その点をひとつ……。
○後藤證人 市民税の場合は相当数修正されました。今度の場合は、あまり私どももたくさんな業者を煽動や何かしてまとめたものではありませんから、皆さんが自主的に集つて來て、そうして私も苦しいけれども、税務署に行つて話してもどうにもならないというので一緒に行つて話した方が全部で、結局審査請求を出したのは十二、三人じやないかと思つております。それは現在まだ取調べ中にあるのじやないかと思つております。
○浦口委員 結局いろいろ考えますと、所得の押え方にたいへん不公平がある。これについて組合口幹部にそういう不公正な態度がなければよいじやないか、こういうさつき御意見がありましたが、そういう不正な申告とか、えこひいきの申告がなくなつた場合にでも、現在の税率ではたいへんだというふうな空氣はございませんか。たとえばこれはもちろん累進税になるわけですが、百万円の所得決定になりますと、六五%とられ、地方税などを入れると百六、七万円とられるのだ、こういう業者の声があるわけです。ですから自然にほんとうの申告ができないのだ、だからもつとパーセンテージを下げてくれれば、ほんとうにわれわれは実際の申告をする、だから下げてほしい、こういう意見がありますが、もしこのパーセンテージが、六五%が二〇%とか二五%に下つた場合には、業者はほんとうに眞実を申告するというふうな氣分であるか、あるいは申告しそうであると、あなたは運動の体驗をお持ちですから、そういうふうにお考えでございますか。
○後藤證人 業者は現在の課税方法がむちやくちやだと言つております。それで大藏委員会が浦和の税務署に先日調査にいらつしやつたときにも、杉田署長みずから言つておりましたが、やはり中央の方からいろいろな指令が來るので自分たちはやむなくやるのだ、実際自分のやつていることには矛盾があるのだ、実はわれわれはつらい立場だということを漏らしておりました。
○浦口委員 こういうことから行きまして、こういうことはどうお考えになるかしりませんが、現在の税率の高いままにして行きますと、勢い不正な申告が出るわけです。そういうことで行く方がよいか、あるいは税率を下げて正しいうそのない申告をさせてとつた方がよいか、どういうふうにお考えになりましようか。いろいろな体驗上……。
○後藤證人 もちろん正しい申告をし、正しい税金をとる方法を講じていただきたいと思います。
○石田(一)委員 あなたはこの委員会に、浦和のこうした税務署の事件で、特に証人として出頭したいというような意思表示をどこかになされたことがありますか。
○後藤證人 別に意思表示をしたことはありません。新聞などでも私が証人として書かれておつたのだが、しかし私は普通の新聞を見ていていつも正しい報道ばかりされておりませんから、こうは書いてあるが、新聞がある程度いい加減のものを書いておるのじやないかというふうに私は感じておつたのです。
○石田(一)委員 それでお聞きしますが、そうすると今度あなたが今日ここに証人にいらつしやいましたね。これはあなたはまだ証人としての喚問状と言いますか、通知が行かないけれども、新聞を見ておいでになつたのですね。
○後藤證人 いやあとからです。けさまではわからなかつたのです。けさまではわからなかつたところが、おそくなつて参りましてそれで初めてそういうことがわかつたわけであります。
○石田(一)委員 けさあなたはそれを見ていらつしやつたのですね。
○後藤證人 そうです。
○石田(一)委員 それまでに自分で証人になつて、ひとつぜひやりたいというようなことをおつしやつたことはありませんか。
○後藤證人 そんなことはありません。
○神山委員 一つ、二つお尋ねしたい。浦和の税務署と警察署が中が惡いという噂がありますが、御存じですか。
○後藤證人 はい。一般市民がそういう見方をしておりますが、警察と税務署に何かあるのじやないか。同じ警察と言いましても今度やつておりますのは國家警察の方で、自治警察としては全然放任状態にあるといつたような状態があるものですから、市民は期せずして何か警察と税務署にあるのじやないかといつたようなことは考えておるようです。
○神山委員 それから商工会議所のことですが、業者の証人の方々に今までずつと聞いたところを総合しますと、税務署と組合との間に商工会議所が入つておつたのじやないか、その点はどうですか。
○後藤證人 やはり税務署に税のことでいろいろ行くと、それは商工会議所に行つて相談しろというようなことを税務署で言いますから、ついみんなが商工会議所へ行つて相談する、やはり商工会議所にそういういろいろな税のことでめんどうを見てくれる方がおるものですから、そういう方が業者と一緒になつて運動しておるようです。
○神山委員 ついでに聞きますけれども、商工会議所におる方々が、世間の言葉で言うボス的な役割をしておるというような噂を聞きますが、どうですか。
○後藤證人 あります。これを具体的にお話しますと、今度の問題ではありませんが、現在浦和の商工会議所に、市会議員でありますが、主事の渡部さんという方がおります。この方が市会議員になつたときにはある業者の税金を安く負けることに奔走してやつて、そのお礼に選挙の運動資金をもらつたのであるというようなことも噂には上つております。
○神山委員 それで先ほどお尋ねしたところははつきりしたのでありますが、國家警察と自治体警察との間に食い違いがある。今度の税金の問題にこれははつきり認められますね。
○後藤證人 認められます。
○神山委員 今お尋ねしたことでわかるのでありますが、浦和の税務署と自治体警察との間に何らかの関係があるのではないかというような噂がある。
○後藤證人 その点ははつきり私にはわかりませんが、こんなようなことがあつたのです。この前ある魚屋さんが魚の統制違反に問われて警察の方がそれをあげたら、上の方から今度は檢察廳の方からそういうものはいい加減に放つておけというような指令が來て、せつかく手をつけたものをそのままにしてしまつたというようなことを私は聞いたことがあるのですが、やはり裏面に糸を引く顔役があるから、そういう問題が起るのじやないかと思います。
○神山委員 最後に申し上げます。それで商工会議所と警察との間ですが、私が問う前にあなたが大体お答えになつたのですが、そこにもつながりがあるということを浦和の市民諸君が言つておるのでありますが、その点いかがですか。すなわち今度の場合、自治体警察とさつきあなたが名をあげられた方を含む有力者、そういう方々との間に、密接な関係があつたのですか。
○後藤證人 もちろんその証拠はつかんでおりませんが、そういう氣配は多分にあると信じております。
○神山委員 結論的に言いますと、國家警察と税務署とは対立しておるけれども、地方自治警察と税務署及び商工会議所の幹部の間には、一連のつながりがあるという結論がつくのじやないのですか。
○後藤證人 そう考えられます。
○石田(一)委員 ちよつと今のに関連して、今の浦和の商工会議所長と言いますか、会頭と言いますか、その会頭が浦和の自治警察の中の公安委員とかなんとかじやないのですか。
○後藤證人 公安委員長です。
○石田(一)委員 そうすると商工会議所の会頭が公安委員長をやつておるのですね。
○後藤證人 そうです。
○浦口委員 税務署の割合に末端の官吏諸君が非常に税に大きな力を持つているということはわれわれよく聞くのであります。しかも不正、あるいは飲まされたとか、物をもらつたという場合も割合に下級官吏に多い、こういう先ほどのお話がありました。皆さんからもそうお聞きするのでありますが、それ以上課長とか部長とかあるいは署長の方面にそういうことがないかということと、先ほど何か背後の大きな力によつて、これ以上問題を大きくしないように押えているような面がある、ということは税務署の上級官吏に波及しないように押えている、こういうふうに解釈してよろしうございますか。
○後藤證人 税務署ばかりでなく、業者のほかの團体にもつと、波及するおそれがありはせぬかということです。
○浦口委員 具体的に何かそういうことをお聞きになつておりませんか。
○後藤證人 それは私はつきりと申し上げられません。
○小玉委員 さように一般民衆というか、業者が、税が重い、こういうふうにみな言つており、減税運動をやつておるが、あなたは減税運動というか、そういうことに携わられて、民衆の税の重いことに対する怨嗟の焦点がどこにあるように感じておりますか。
○後藤證人 もちろんそれは現在の機構そのものが——もう少し下の者が納得するような方法でおやりになつていただけば了解ができるんだと思います。
○小玉委員 民衆の声というが、あなたの感じとして機構のどういう点に弊害があり、どう改めたらいいということを民衆が望んでおるかというような点について、あなたは調査され感じられたことはないですか。
○後藤證人 もちろん私どもも長い間、たくさんの税金の問題を扱つたわけではありませんから、深くは考えておりませんが、また私ども商賣のかたわらやつておるものですから、むずかしくそこまでは考えておりません。
○小玉委員 まずあなたのきようの証言から帰納すれば、いわゆる業者と税務署との間にボス的存在があつて、それが不明朗化するということが一つあなたの考え方にあると思うのですが、そのほかに各人の所得を的確に把握するところの人的組織というか、ないしは能力というか、税務署のそういう点に欠陥があるというようにはお考えになることはないですか。
○後藤證人 それもあります。業者などやはり審査の請求を出す場合に、まじめな申告をして、まじめな税金を拂おうじやないかという話はするが、自分のところの所得が十万あつても最初は七万、六万ぐらいしか言いません。話をすると、実はそういうふうにしてやつても、やはり正しい税金じやないから、そこでつい減すのだということを業者みずから言つております。
○小玉委員 結局申告制度というものが民衆に徹底して、民衆が正しい申告をし、かつこれを税務署でも信ずるというところまで行かなければならぬ。また更正決定をする際に、税務署の方では個々の業者について、科学的な正確な調査をせずして、いわゆる机上の、ペン先でしかるべくやつておるというような実例はないですか。
○後藤證人 それは多分にあると思います。
○小玉委員 何か科学的というか、的確に所得を把握するには、どうしたらいいかということをあなたお考えになつたことはないですか。
○後藤證人 それは若干自分でも考えてみました。やはり正しい申告をし、正しい税金を納めるのには、税の調査協力委員会というものを設けまして、業者別にあるいは地区別に民主的に選ばれた代表の方によつて、そういうものに檢討を加える組織をつくつて、そこでもつて眼を通して行けば、あまりひどいものも起らない、だろうということは考えております。
○小玉委員 そうした民主的な組織をつくることによつて、的確に税の源ですね、いわゆる所得というものが、把握できますか。
○後藤證人 それはできると思います。現在私浦和の高砂町の一丁目におりますが、浦和の市民税の査定のときにも、浦和の例の市民税調査協力委員会というものを設けて、各町から民主的に選ばれた代表を二名、三名出して、その委員によつてやりました。そういうような場合やはり私どもの町では、私も委員の一人に選ばれましたが、私どもが市民税の交渉をするときには、そういう問題がほかの所にはあつたけれども、私のところ、だけはスムースに行つておる事実があります。
○小松委員 ちよつとお尋ねいたしますが、先ほどあなたのお話を承りますと、町の風評では洋服とか、くつなど新しいものをつけて町を歩いている者は税務署の役人に多いというお話がありましたが、それと同時に、また税務署の役人に対しては金品の贈りものなどもあるだろうというようなお話がありました。それについて下級の官吏にそういう贈りものが多いのか、上級の官吏に多いのか、そういう点おわかりになりませんか。
○後藤證人 それははつきりとはお答えはできないのですが、とかく町をそういう形で歩いておるのは若い方々に多い。年寄りの方々には、はたしてそういうことがあるかどうかわりません。これは税務署には直接関係はありませんが、地方税務署の税務課長の例をとつて申し上げますと、この地方税務署の税務課長さんが、課長になつたとたんに家を買つた。それから娘さんがお嫁入りするのにトラツクに三台も荷物を持つて行つた。こういうことが非常に町の噂になりまして、飲んで歩く、藝者買いをして歩く、どうしてああいう金が出るかということがあの近辺のうわさになつております。
○小松委員 その課長さんという方は何という方ですか。
○後藤證人 中村さんです。現在司直の手によつて取調べ中です。
○小松委員 それから税務署と納める人との税金の問題で、中に入つた人がある。税務署のボスとでも言うか、そういう人たちがいろいろ税金の減額問題であつせんして成功したというような場合、幾らかの報酬を求めるというようなことをしている人はありませんか。
○後藤證人 それは求めたかどうか知りませんが、やはりそういう方々のために先ほども申し上げました組合員が、みんなでお金を集めてやるとか、あるいは飲ませるとかいうような方法がとられております。
○小松委員 あなたは浦和におきまして、前の間税課長さんとは非常に親しくしておつたというような話がありましたが、現在の役人の中で非常に私利に走つておる、そういう種類の役人がおるというようなことを感じませんか。
○後藤證人 現在の方々では的確なものをつかんでおりません。
○神山委員 商工会議所の会頭で、公安委員長を兼ねておる人のお名前を……。
○後藤證人 大塚作太。
○神山委員 その人は檢挙されておりませんか。
○後藤證人 檢挙されておりません。
○鍛冶委員長 それじや済みました。御苦労さまでした。 —————————————
○鍛冶委員長 大木貞雄さんですか。——きようは御苦労さまでした。あらかじめ御了願承つてあります通り、当委員会の必要に基きまして、浦和税務署をめぐる官吏汚職事件について、先ほど証人として証言を求めることに決定せられましたので、御了承願います。 それではこれより浦和税務署をめぐる官吏汚職事件について証言を求めることといたします。 証言を求める前に証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係ありたる者及び証人の後見人または証人の後見をうける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて、訊問をうけたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御了承になつておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。 〔証人宣誓〕
○鍛冶委員長 今読み上げました通り、あなた自身の犯罪に属することはこちらからは強いませんけれども、言われることはうそを言わぬように氣をつけてください。 あなたは埼玉懸洋服商工協同組合浦和支部の支部長をやつておられますか。
○大木證人 現在支部長をやつております。
○鍛冶委員長 いつから支部長におなりでしたか。
○大木證人 昭和二十三年九月でございました。協同組合が発足して、浦和支部ができましてから、支部長をやつております。
○鍛冶委員長 去年の九月に初めて浦和支部ができたのですか。
○大木證人 埼玉洋服商工協同組合というものができまして、その浦和支部の支部長をやつております。
○鍛冶委員長 その前は洋服屋さんの何か組合は……。
○大木證人 その前は、昭和二十三年一月から商工組合法によりまして、浦和洋服商工組合というものがございまして、その組合長をやりまして……。
○鍛冶委員長 その時分の組合長はだれですか。
○大木證人 いくさ前からずつと宮田金次郎氏、次は鈴木冨藏氏、その次が高橋日本氏、そのあと私がやつたのです。
○鍛冶委員長 この組合では、所得税の決定に対して何か税務署から相談を受けるそうですね。
○大木證人 それは組合から組合員の序列表を出すことになつております。
○鍛冶委員長 組合員全体ですか。
○大木證人 組合員全体です。
○鍛冶委員長 これを出してもらいたいと税務署から言うて來るのですか。
○大木證人 さようでございます。
○鍛冶委員長 そうすると、あなたの方でどうして出されますか。
○大木證人 前はみな幹部が大体きめておつたらしいのですが、自分がやるようになりましてから、税務委員というものをつくりまして、組合員十名を單位にして税務委員一名ずつ出して、浦和は與野、蕨が入つておりますから、十二名の税務委員がおります。そのほかに理事の中から担当理事を二人設けまして主としてやらせましたけれども、役員全部、組合員全体に諮りまして、二日三日かかりましても、税の問題は大事なことでございますから、慎重に議して、それをつくつて出したのです。
○鍛冶委員長 序列のほかに所得額についてもあなた方から意見は述べておりませんか。
○大木證人 所得は絶対にいたしません。序列以外は出しません。
○鍛冶委員長 絶対ありませんか。
○大木證人 そうです。
○鍛冶委員長 昭和二十二年度及び二十三年度の所得税の決定についてあなたは御関係になりましたか。
○大木證人 二十三年の序列表をつくるときにはちようど鈴木富藏氏が支部長のとき六月でした。それから出したあと、高橋氏が支部長で自分が委員のときでしたが、税務署の方から各役員に諮問があつたと思います。
○鍛冶委員長 それからあなたもその決定に対して相談に乗りましたか。
○大木證人 決定というのは税務署でやるのですから、われわれは決定権はありません。
○鍛冶委員長 序列です。
○大木證人 序列だけは全体できめた序列がございます。
○鍛冶委員長 あなたはそのとき何をやつておりましたか。
○大木證人 自分は鈴木富藏氏のときは税務委員、私とほか三人でありました。高橋日本氏になつてから私が浦和支部長になりました。
○鍛冶委員長 あなたのところに組合事務所を置いておいたそうですね。
○大木證人 事務所は組合員の総意によつて総会の決議によつて置いたのです。
○鍛冶委員長 そういう相談は主としてあなたのところでやつたわけですね。
○大木證人 そうではございません。私のところは狭うございますから、浦和商工会議所あるいは農業会の二階を借りまして序列表をつくることをやりました。
○鍛冶委員長 今商工会議所と言われたが、その序列その他について商工会議所とも何か関係があるのですか。
○大木證人 それは全然ありません。組合員が総会をやるのですから、会議所は関係しません。
○鍛冶委員長 税務署から商工会議所に相談があつて、それから組合でやるというのではありませんか。
○大木證人 序列は直接税務署の方から各組合に求められたものと思います。序列を出してくれというその趣旨を、税務署から頼まれて取次ぐことはあると思います。商工会議所の方から通知を各組合に出してもらうように、税務署が頼むと思います。それを持つて來ることはありますが、直接組合の方から書類を出してくれということはありません。組合の関係するのは序列だけです。
○鍛冶委員長 いずれにしても商工会議所はこれに何らかの関與はしておらないのですか。
○大木證人 こちらで頼まなければ関與しません。
○鍛冶委員長 頼むことがありますか。
○大木證人 自分は覚えはありません。
○鍛冶委員長 ほかにもあるようなことは聞いておりますが……。
○大木證人 存じません。
○鍛冶委員長 それではあなたの方では頼んだことはないのですね。あなた方の方でさらに組合として團体的に減税運動をやられたことはありますか。
○大木證人 減税運動はやつたことはありません。ただ決定が参つたあと審査請求が出せます。それですから審査請求は組合委員の言われるままに税務署にどんどん持つて参ります。それですから減税運動ではありません。審査請求を出して実情を調べてもらいたいと言つて出すのであります。
○鍛冶委員長 組合員がその決定されたのに不服だというから……。
○大木證人 不服だと言いますれば、税務担当者がおりますから、それにどんどん書類を書きまして、それが税務署に持つて参ります。
○鍛冶委員長 あなた方の方で先ほど言われるような方法でみなで相談してきめるとすれば、序列に対しては不平がないわけじやないですか。
○大木證人 序列に対しては大体不平はないと思います。
○鍛冶委員長 そうすると、不平のあるのは主として何です。
○大木證人 不平があると言いますが、鈴木富藏氏はあの場合実際済んでおりまして、あの人は單独申告をやつております。自分たち税務委員及び組合員が大勢集まつて農業会の二階でいたしましたときには、鈴木富藏氏の序列は加わつてなかつたと思います。
○鍛冶委員長 そうするとあなた方のきめた序列に対しては不平を言つた者はありませんでしたか、鈴木富藏だけでしたか。
○大木證人 自分たちがやつたのはお互いにきめた序列です。序列をきめるときには組合員全部できめたのです。それですからお互いの序列に対しては不平はなかつたわけです。
○鍛冶委員長 異議の申立てもなかつたのですね。
○大木證人 異議の申立ては税の決定に対しては相当ありました。
○鍛冶委員長 あなたの方で序列を公平にやつたら、序列に対しては不平がないわけですね。
○大木證人 序列には不平がないわけです。
○鍛冶委員長 所得額に対して不平があるというのは、額の決定が高過ぎる、こういうことになるのですね。
○大木證人 そうです。
○鍛冶委員長 そうすれば一人だけの不平でなくて、全体が不平でなければならぬと思うが、異議の申立ては何人出しましたか。
○大木證人 五十何名。
○鍛冶委員長 組合員数はいくらあるのですか。
○大木證人 あのとき浦和支部の中には與野、蕨、浦和市、そういうふうになつておりますが、與野の方は税務署が川口にできたと思いますので、與野は與野でやりまして浦和だけでございます。組合員数は浦和だけ百二十名くらいおつたと思います。
○鍛冶委員長 序列に異議がなかつたらあと大抵きまるはずだと思うのですが、そうじやないですか。
○大木證人 つまり税の決定が各人にとつて不満であつたと思います。
○鍛冶委員長 序列は公平でもですか。
○大木證人 そうです。
○鍛冶委員長 それから組合に対しては一人平均いくらということがきまつておるそうですが、それはどうですか。
○大木證人 税務署の意向で團体交渉が禁止せられておる。それで團体交渉はしないが序列表を出せと言つて來るのです。
○鍛冶委員長 洋服屋なら平均一人いくらくらい、自轉車屋ならいくらということはあるでしよう。
○大木證人 それはわくは税務署は言いません。組合に求めるのは序列表だけであります。あとの決定は税務署でみんなやります。
○鍛冶委員長 そういうことでしばしばあなたの方と税務署の方と会う機会があるわけですね。
○大木證人 会う機会はしばしばということはございませんが、ただ税金その他の問題のときには参ります。税務担当者と同道して参りますから、税務署で折衝します。
○鍛冶委員長 あなた方の組合の係は何という者でしたか。
○大木證人 それはこの間証人に出た北島重太郎氏です。
○鍛冶委員長 税務署の役人は。
○大木證人 そのときは荒木事務官でありました。
○鍛冶委員長 荒木事務官はあなたのところへしばしば出入りしておつたそうですが、その事実はいかがでしようか。
○大木證人 しばしばということはございませんが、そういう関係でございますから、用事があるときには向うから参りました。
○鍛冶委員長 そういうことは何べんもあつたじやないですか。
○大木證人 全部で回数にして三、四回くらいじやないかと思います。
○鍛冶委員長 あなたに御馳走になつたり御馳走したりするのですか。
○大木證人 絶対ありません。
○鍛冶委員長 酒を御馳走したりウイスキーを御馳走したことは……。
○大木證人 絶対ありません。
○鍛冶委員長 私は先ほど言うように、あなたの罪になることを申し述べることをしいませんが、好んであなたはうそを言われると偽証になります。物のやりとりはしたことはありませんか。
○大木證人 ありません。ただこの前新聞に載つておりましたが、オーバー地は賣つたことはあります。賣つたというのは、当時不正についての摘発投書とかいろいろなことがありましたので、新聞に載りました。それで新聞記者の方も見えるし、警察の方も見えました。配給表をごらんに入れたりしましたが、新聞に載りましたから買いに参つたのでございます。買いに参りましたから公定で賣つたことがございます。
○鍛冶委員長 それは一体どういう生地だつたのですか。
○大木證人 オーバー地の配給に対して不正がある、これがどうのこうのということが埼玉新聞だと思いましたが載つたのですが、それによつていろいろな人が來たわけであります。配給の方法が間違つたら公定で賣つてくれと言つて参りました。
○鍛冶委員長 どこから入つた生地で、どういう問題が起つたのですか。
○大木證人 その生地は大宮本部の方から支部の方に配給になつたもので、それをまた各支部で支部員にわけたんです。そこで要するに目標は大宮本部をねらつての投書だと思うのですが、それが不正なものであるかないかの記事が新聞に載りまして、それによつて各支部でそれを扱うものですから、浦和は浦和で、やはり埼玉新聞を見た人が、そういう生地が入つたらわけてくれと言つて、あつちからもこつちからも言つて來たわけです。
○鍛冶委員長 それは不正品だつたわけですか。
○大木證人 不正品ではないのです。安本の許可を得て、埼玉縣知事の許可を得て配給したものですから、不正品ではありません。
○鍛冶委員長 配給以外のものだというのだが……。
○大木證人 配給品であります。
○鍛冶委員長 間違いないね。
○大木證人 間違いございません。
○鍛冶委員長 それだつたら、個人でわけてくれと言つても、わけてやれないじやありませんか。
○大木證人 公定の販賣價格が指令で出ておりますから、公定でわけてくれと言つて來たものにはわけてやらぬわけに行きません。
○鍛冶委員長 切符は要らんのか。
○大木證人 切符は要りません。
○鍛冶委員長 そこで今言われた荒木もわけてくれと言つて來たわけですか。
○大木證人 そうであります。
○鍛冶委員長 毛織物は切符は要りませんか。
○大木證人 そのときは昭和二十二年でございますから、切符は要りません。
○鍛冶委員長 この間北島はたしか配給以外のものだと言つていたが……。
○大木證人 自分はあれはやはり本部の指示通りやつております。今申し上げたことは本部で聞いたことなのであります。船舶運営会から出たもので、安本の許可を得て、埼玉縣知事の許可を受けて配給したものであると本部で聞きました。
○鍛冶委員長 そうすると、ほんとうにやはり切符は要らないですか。
○大木證人 要らないです。
○鍛冶委員長 いつから切符が要るようになつたのですか。
○大木證人 切符を自分たちの方で要るようになつたのは、二十二年に商工組合ができまして初めて補修用の生地が來るようになつたときから切符を使うように指示が來ました。
○鍛冶委員長 それはいつごろですか。
○大木證人 はつきり覚えておりませんが、二十三年の五、六月ごろではないかと思います。
○鍛冶委員長 それまでは切符は要らなかつたのですか。
○大木證人 はい。切符はそれから指示を受けました。
○鍛冶委員長 そうすると、そういうことが新聞に載つたから、荒木だけではなく、あらゆる方面から言うて來た、こういうのですか。
○大木證人 組合員は私の方は全部パーセンテージによつてわけてありますから、新聞を見ていろいろの方が來ましたが、私の方では、不正ではないという本部の証明書を見せました。そうすると、それを見て友人が自分も買いたいと組合員に言つて來たのであります。自分としましても、その当時から全部が全部賣つてしまうわけでもないから……。
○鍛冶委員長 そこで荒木がそれをわけてくれと言つたんですか。
○大木證人 そうでございます。
○鍛冶委員長 何着わけてやつたのですか。
○大木證人 最初荒木氏には一着だけ公定で賣つたのであります。次にまた友だちがほしいから賣つてくれないか——北島氏のところから、自分のところへほしいと言つて來る人があるし、公定でもあるから、ぼくらの方へも少し賣つてもらうように話してくれというわけで、北島氏のところへやつたわけであります。それですから、都合荒木氏の方へは、荒木さんに一着、それから友だちと称する三人に各一着ずつ、みな公定で賣つてあるわけであります。
○鍛冶委員長 それは公定というと、仕入れの額に一定の口銭をとつて賣るのですか。
○大木證人 はい。それは本部の方から指示が参りまして、小賣最終價格一メートル幾らという指示を回覧でまわしますから、その價格で賣つたわけであります。
○鍛冶委員長 幾らで仕入れたものですか、一着分。
○大木證人 はつきり覚えませんが、一着分ニメートル三〇が九百十六円六十七銭になつていると思います。
○鍛冶委員長 それを幾らで賣るのですか。
○大木證人 それははつきり覚えませんが、千五百円なんぼになつていると思います。それが指示を受けた最終價格ということになります。
○鍛冶委員長 それをみなにそういう値段で賣つたんですか。
○大木證人 はい。
○鍛冶委員長 荒木ほか五名以外のどういうところへ賣りましたか。
○大木證人 それは私組合員から聞いたのでありますが、あつちこつちで聞いたので、はつきりしませんが、自分のところへこういう人が買いに来た、こういう人が買いに来たということをいろいろ聞きました。
○鍛冶委員長 それはあなたのところでみなわけたわけですか。
○大木證人 それは配給によつてわけました。
○鍛冶委員長 あなたの手持ちになつたうち荒木に一着賣つたのですか。
○大木證人 そうです。
○鍛冶委員長 そうすると、金はどこから來たのですか。
○大木證人 それは北島氏が組合員の中から集めたのであります。それで荒木さんの方へ賣つたわけです。
○鍛冶委員長 あなたのところで渡したのですか。
○大木證人 金は私の方へ持つて参りました。
○鍛冶委員長 品物は……。
○大木證人 品物は、はつきりわかつておりませんが、北島氏の方から渡したと思います。
○鍛冶委員長 それは金を受取りましたか。
○大木證人 受取りました。
○鍛冶委員長 一着千五百円で……。
○大木證人 そうであります。
○鍛冶委員長 特に安くやつたのではないですか、荒木には……。
○大木證人 そうでは、ございません。
○鍛冶委員長 北島は、あれは二千円から上のものだが、原價でやりますと言つたと言つたが、それは違いますか。
○大木證人 それは原價が九百十六円六十七銭であります。千五百円は指示を受けました最終販賣價格の一着分であります。
○鍛冶委員長 大体賣れば二千円からするというようなことを言つていましたが、そうでないですか。
○大木證人 それはあれですが……。
○鍛冶委員長 でたらめを言つちやいけないですよ。ほんとうのことを言わなければいけない。
○大木證人 ほんとうのことを申し上げておりますから……。
○鍛冶委員長 それであなたは金を受取つたですか。
○大木證人 金は確かにいただきました。
○鍛冶委員長 その金はどうしました。
○大木證人 それはやはりきれを出したところへ渡しました。
○鍛冶委員長 たれとたれに渡しましたか。
○大木證人 それはやはり北島氏が担当しておつたので、私が金をとつて北島氏にやりました。
○鍛冶委員長 買うときは金を拂わずに品物だけをとつて來たのですか。
○大木證人 それはよく調べないと、きよう日記を持つて來ておりませんが、北島氏の方へ行きまして——古いことですから、よくわかりませんが、通知を受けましたのが、十二時過ぎでしたから……。
○鍛冶委員長 そんなことは覚えでいい。
○大木證人 ですから、その点は、出した者に金を渡したことは間違いないのであります。
○鍛冶委員長 あなたが北島に渡したのだね。
○大木證人 それははつきりよく覚えておりませんけれども、北島氏が持つて来たから、北島氏に渡したと思います。
○鍛冶委員長 そうすると、金をまだ拂わずに、品物は向うが持つているから、品物を出させて、それを向うへ渡して金を受取つてから、出した者へ金を渡してやつた、こういうことになるのですか。
○大木證人 それはやはり北島氏の方から、荒木氏がもう一着要るというので賣つたのであります。それは友だちとかいうものをつれて來て、賣つてくれということでありますから、自分のところは、北島氏の方へ行つた。北島氏の方へつれて参つて、こちらの方から生地を買つてもらうように、私を頼つて北島氏に頼んで参つたのであります。そしてそのあと自分の方へ荒木氏が金を持つて参りましたから、それを出した者にその金を渡したわけであります。
○鍛冶委員長 あなたの組合でそれを買つて荒木にやつたんじゃないか。
○大木證人 全然ございません。組合に出納簿がございますから、全部が書いてございます。
○鍛冶委員長 組合の金ではない……。
○大木證人 はあ……。
○鍛冶委員長 それはあなたは北島氏に渡したのではありませんね。鈴木富藏の所得の決定に対してどういうことをあなたは勧誘なさいましたか。
○大木證人 鈴木富藏さんに対しては、要するに序列表に鈴木さんが加わつておらないのでありまして、それで荒木氏の方から組合に対して序列をどのくらい置くかという諮問があつたと思います。それをそのときは支部長は高橋さんで方々聞いて歩いてその順位をきめたのです。
○鍛冶委員長 これは二十二年度でしたか。
○大木證人 そうです。二十二年度です。
○鍛冶委員長 そこで序列表ではなくて何をきめたのですか。
○大木證人 要するに順位をどういうふうに見るかということを各役員にはかつてきめたわけです。
○鍛冶委員長 つまり名前は入つておらぬけれども、序列をつくつたと同じようなことであなたの方から答申をしたわけですか。
○大木證人 荒木さんに聞いた上できめたわけです。
○鍛冶委員長 あなたの家で北島君と三人おるところで、あなたがいろいろ説明したり何かきめて行つたのじやないですか。
○大木證人 それは荒木氏自体も税務署自体といたしましても序列表を出して各人調査に歩くわけです。調査に歩きまして自分の見た目と市役所の答申と地方事務所と、四つの各度から税を賦課するのだということをたえず言つております。
○鍛冶委員長 あなたはたえず鈴木は非常にりつぱな家を建てておるし、組合から相当の金をもうけておるし、たいへんな所得があると荒木に言つて聞かせたそうですね。
○大木證人 うそでございます。
○鍛冶委員長 うそだ……、そういうことはないというのか。
○大木證人 はあ。それは荒木氏が参つておりましたときに、ちようど大宮に用事がありまして支部長と大宮で参りまして帰つて來たときに荒木氏がやつて参りまして、ちよつと聞きたいことがあるからというので、序列の問題になつたのでございます。それで私は荒木さんに、これは役員全体が集まつたところで聞いてもらいたいと言つたのでありますが、そうしたら荒木氏いわく、いや高橋さんのところも聞いたしほかのところも聞いた。大木さんの目で見たところを言つてくれればいい。私は、荒木さん人間感情があるからどうこうということは言えぬから、役員のいるところで言つてほしい。そうしたら大木さん見る目でいいのだ、参考意見に聞くからというので、どういうふうに見るかを言つてくれと聞かれました。
○鍛冶委員長 あなたはいろいろ話したら、このくらいでいいかということで五の字と零の字であなたの前でえんぴつで書いて出したそうだが……。
○大木證人 北島氏に、荒木氏自体は決して業者に数字は出しません。また自分の方としましても決して数字は出しません。
○鍛冶委員長 たれの間違いか、うそか……。
○大木證人 北島氏の考え違いかと思います。決して税務署は数字を出すはずはないのでございます。順位表でどのくらいのところに見るかというので、今申し上げた通り皆のそろつたところで聞いてくれと言つたら、方々聞いて見たのだから大木さんはどう見るか聞けばいい……。
○鍛冶委員長 別にそれは犯罪になるわけでもないから事実を言わないと困る。
○大木證人 事実間違いないのです。鈴木氏は大物か小物かということを聞きましたから、鈴木氏は小物じやございませんから、小物じやないということを申しました。
○鍛冶委員長 荒木もこの間調べたとき、組合から税額というものを聞いた覚えはありませんと、あなたと同じようなことを言つておる。そこで鈴木のことを聞いて、お前が大木から聞いた五とまると書いて五十万円と決定したのかどうかと聞いた、それじや組合から所得額も聞いておるじやないかというたら、その通りです。前に述べたことは取消しますと言つた。どうだね、そこまで出ておるのだから……。
○大木證人 そこで荒木自体がその点において——決して私の見る前で五まるなどと書きません。ただ見て大物か小物かと聞いたからマル特と書いたのです。
○鍛冶委員長 ここまで言うて、それで突つぱるのはやむを得ません。今言つた商工会議所と関係はないそうですが、あなたはこんなものは、税務署事件などはわれわれの所なんか問題にならぬので、他に大きい所がたくさんあるのだと言つておつたそうですね。それはどういうことだね。
○大木證人 そう言つた覚えはございません。
○鍛冶委員長 それもないのか、改めて言いますが、よろしゆうございますか、もう言い直すことはありませんか———なければよろしい。何か御質問ありますか。
○石田(一)委員 洋服地の問題ですが、これは荒木が、その当時新聞にオーバー地が問題になつて出て、それで知つて頼みに來たのですか。
○大木證人 譲つてくれと言つて來た。
○石田(一)委員 譲つてくれと言つた——もう一ぺんよく考えてみてください。私の感じたことなのですがあなたはたいへん違つておるように思うのですがね。
○大木證人 どういう点が……。
○石田(一)委員 あなたの方に近日中にオーバー生地の配給があるということを荒木に言つたのじやないですか。
○大木證人 新聞には、埼玉新聞に生地配給という記事がでかでかと出た、皆配給があつたということを知りまして買いに來たのであります。
○石田(一)委員 あなたが荒木に会つたときに最近オーバーの配給があるといつて……。
○大木證人 そうでなく新聞にのりまして……。
○石田(一)委員 荒木の言つたことはちやんと聞いてあるのだが、大木さんがオーバーの生地の配給があるということを話した。そこで荒木は、それは公定で世話をしてもらえるならばぜひ自分に一つとつておいてもらいたいということを頼んでおいた。あらかじめ頼んでおいてあとからもらつたと言うてる。
○大木證人 配給のことが出ましてから渡したのは——大体日記についていると思いますが、配給をしたのが八月、配給のことが埼玉新聞にのりまして、それを見て來たのであります。
○石田(一)委員 それからもう一つ鈴木さんに二十二年度の所得の序列には、鈴木さんが加わつていなかつたですか。
○大木證人 序列のときに、最初鈴木さんは支部長でございまして、序列をつくつたときには加わつておりません。鈴木さんは土合の方に住んでおるが浦和の洋服組合に入つております。支部長をやつておりますが、そのときは組合の序列表から抜けて單独申告をやつている。
○石田(一)委員 單独申告でやつておつて、組合の、序列の中に加わつていなかつた者が、組合の序列の申告を受ける……。
○大木證人 單独申告ですが、税務署は浦和の管轄であるから向うで加わつておらぬ者も、組合に入つておらぬものも持つて参るわけです。
○石田(一)委員 組合の序列のうちに入つておらない單独申告をやつている者でも、組合の幹部、の、いわゆる意見を聞いてその序列の中に入れてしまうのですか。
○大木證人 單独申告と言つても鈴木自体も長く幹部であります。あれは縣全体の幹部をやつておつて現在もこの延長の会社の方の重役をやつておつて、幹部も長くやつておつて古いのであります。
○石田(一)委員 ちよつとお尋ねしますが、鈴木氏の序列はそのときに入つていなかつたとあなたはおつしやいますが、序列に入つていたじやないですか。
○大木證人 それですから結局入つていなかつたので、荒木さん自体が支部長あるいは方々で聞いて歩いてまわつていた。
○石田(一)委員 あなたたちが出した序列、その序列の中に鈴木さんは入つておつたのでしよう初めから……。
○大木證人 單独申告やつておつたから入つていないと思う。
○石田(一)委員 さつき入つていないということを言つておりますね。
○大木證人 古いことですから……。
○石田(一)委員 それでは委員長のお尋ねしたときにたしか入つていなかつたと思うから、それで荒木さんが来たのだろうという御証言なら了解できるのです。事実入つているのです。しかもそれほど高い方の序列じやなかつたのです。それがこんなに高額な決定が來ているので問題が起きているのです。あなたのさつきの証言では、序列に入つていなかつたということを断言なさるから、それで私たちはどうもおかしい、序列に入つていないものを、組合より別個に申告しているものを、何がゆえに組合に序列を聞きに行つたかということが疑問になつてくる。
○大木證人 それは組合員全体が出しましても、税務署の方には洋服屋が全部組合の方に入つておりませんから、そんなものも入れてやつておりますから……。
○石田(一)委員 あなたは今、荒木氏があなたの宅へ尋ねて來たときに、金額については一切おつしやらない、それは全部北島氏の錯覚か、さもなくば助言であるということをおつしやいましたが……。
○大木證人 とにかく組合としましても、それに対して皆動いたのであります。そのとき荒木氏自体が鈴木さんのことで、前の支部長の宮島さんのところに行くから、そこへ幹部が集まれということで、高橋支部長と私と、それからほか税務関係者三人くらい集まりまして、荒木氏が、これは自分の方で見る目があつてやつたのだとはつきり言つております。
○石田(一)委員 組合に対して荒木さんが、自分で確信を持つてやつたとおつしやいますが、私たちが宣誓を求めて荒木氏の証言を求めた言葉によりますと、鈴木氏の所得額を決定したのは大木さんの言葉によつて決定したと言つております。
○大木證人 しかしそれに対して私はそのときも申し上げたのです。自分としてはそれは言えないから、全部そろつたときにぜひ聞いてほしいと言いましたのですが、なに方々聞いて歩いたから大木さんの意見を言えと言うので、それで私は意見を言つたのでございます。
○石田(一)委員 その意見の中に金額も入つていたのでしよう。
○大木證人 金額は入つておりません。
○石田(一)委員 それではあなたは丸に五十を書いたことはないとおつしやいますけれども……。
○鍛冶委員長 いや、それは荒木が書いたのです。
○石田(一)委員 荒木という人が、あなたの目の前かどうか知らぬが、ちよこつと紙に丸に五十を書いたことがないとおつしやいますが、まつたくありませんか。
○大木證人 ないと思います。
○石田(一)委員 あなたが見なかつたというだけじやないのですか。あなたが、その間荒木氏が全然書かないということがどうして証言できますか。ただ書いているところをあなたが見なかつたということでしよう。そうではありませんか。おかしいじやありませんか。あなたはその間にわき目もふらないで荒木の一挙手一投足を全部見ていて、彼が丸に五十を書いたことがないということがなぜ断言できます。おかしいじやありませんか。またその長い話の間にちよつとも酒もウイスキーも出したことがないとおつしやつているけれども、酒を飲んでいるじやありませんか。
○大木證人 酒を出した覚えはありません。
○石田(一)委員 小さい杯とかコップでやつているじやありませんか。
○大木證人 出したことはありません。晝間ですから……。
○石田(一)委員 今の問題ですよ。丸に五十というものを荒木さん自身が、書いたことはないと断言するならば、これはわれわれもやむを得ぬと思う。しかし荒木以外の、いわゆる第三者であるあなたが、荒木が丸に五十を書いたことがないと断言するのはどういう根拠によつて言うのか説明してください。
○大木證人 書いたことがないということを申しましたことは、それは数字が自分の方から出した覚えがないというふうに訂正いたします。
○石田(一)委員 あなたが、金銭について私が申し上げたことはありません。意見でもない、こう言うのなら認める。しかしあなたは、荒木自身が、紙に丸に五十を書いたことはないと先ほどから言つておりますので……。
○大木證人 それは自分としても少し興奮しておりますから……。自分としては数字を出した覚えはないと言つたつもりでおります。
○石田(一)委員 それじやだんだんかわつてくるじやありませんか。事実、丸に五十と書かれたことを北島氏が見ていて、所得決定がなされない前に、もう鈴木さんの耳に、今度は五十万來るよということがちやんと言われておるじやありませんか。なぜと言つたら、それは北島君が、この間荒木さんが大木さんと話をしているときに、こんなものかなと言つて、紙に丸に五十と書いたから、それは多分五十万円だろうと思つたら、間違いなく五十万來たと言つているじやありませんか。そういう事実がこちらに調べてあるのに、あなたが先ほどから、委員長の質問に対して何だかんだとまるで今まで言つた人のことが全部うそであつて、あなたのおつしやることがひとりほんとうであるというような証言。それはあなた自身の問題ならばいいと思う。それはあなたの御自由です。しかし他の人がやつた行為に対して、あなたが断言して証言なさるということに対して私は承服はできない。こういう意味なのです。そうすると、先ほどおつしやつた紙に丸に五十と書いたということは、あなたが自分のことの意味で言つた、こう言うのですね。
○大木證人 だんだんそういうふうに言われると思い出して來ますから、申し上げます。そのときに私は北島氏と大宮から帰つて來るとき荒木氏が来たので、ただいま申し上げた通り私はお断りしたのですけれども、自分の意見でいいというわけで、鈴木にどれくらい來るか、それは大ものか小ものかと言うから、いや小ものじやない、大ものだ、それは鈴木はもともとからの幹部でありますから大ものなのであります。ですから大ものだと言つたときに、荒木さん自体がどうこう言つたことはあつたかもしれませんけれども、しかしそれに対して——北島氏があちらにおつて荒木さんがこちらにおつて、北島氏がまた中に入つて來まして、それで北島氏自体がそのとき言つたのでございます。北島氏が言つたことは、いくさ前は自分が組合長をやつておつた、そのときは配給ものも取れなかつたのだけれども、ああいうふうになつた、それで後でどうのこうのといろいろ荒木氏に言つたわけです。それを荒木氏が聞き込むようにして、そんなら確実なのはどうかと言つたときに、北島氏が口を出したから私は組合で言うべきじやないと押さえたのでございます。それが実際のそのときの光景なのであります。
○神山委員 関連して聞きたいのですが、今あなたは北島さんが何か言つたと言われますが、北島君自身はこの委員会においてあなたが言つたということを言つております。どういうことを言つたかということをあなたに思い出してもらうために参考までに言いますと鈴木が家を建てた、それから田を買つた、しかもそのほかに中生服が二十方ないし三十万あるということをあなたが言われて、それが今の五十万とこれと関連があるということをはつきり言つている。あなたがうそを言つているのか、北島さんがうそを言つているのか、はつきり聞きたい。
○大木證人 ……。
○石田(一)委員 そうすると今神山委員から質問がありましたその問題は、あなたがおつしやつたのじやありませんか。
○大木證人 その問題に対しておそらく……。
○石田(一)委員 あなたが不利益になると思つていらつしやるのでこれ以上お答えにならないと思いますが、これは鈴木富藏さんが証言されましたが、大木君がこの組合の税金の問題はほとんどやつたのだ。にもかかわらずいまだに大木君は表面に全然現われて來ておらぬ。しかも税務署の荒木さんが大木のことを語る以外には、この大木という人は表には出ないだろう。洋服協同組合員一同は大木さんが今後税金の問題でどういう手を打つかわからぬというので、不安におののいているということを言つております。
○大木證人 その点に対して申しますれば、鈴木さんが幹部のときには税に関して税務署に行つたりいろいろあつたのでありますが、税の決定はほとんど幹部の独断でやつたのであります。その一例として終戦後商賣にもどりまして扱つたときは、一番大きな鈴木さんの納めるのが千五百円でありまして、そのほかいろいろ組合員にでこぼこはずいぶんあつたのであります。書類は全部私が書いたのでありますが、それではいかぬというので税務委員というものをつくつて、組合員各自承知の上で出すことにしたのでありまする二十三年度の徴税のパーセンテージに対しては、不満を言う者はほとんどなかつたのであります。税務署の視の決定はどうか知りませんけれども、この問題に対しては支部長が高橋さんで税務の担当委員は鈴木さんのときには私と石渡さんと吉永さんと佐藤さんと四人でやつたもので、自分一人でやつたのではありません。
○石田(一)委員 それではさつきあなたは大物、小物ということをおつしやつた。それは組合長として事実大物だから大物だとお答えになつたのでしようが、それなら洋服屋の組合として、どのくらいの所得のものが大物で、どれ以下の收入しかないものが小物ということがほとんど判断できるのではありませんか。
○大木證人 やはりそれは序列をつくると上から下までずいぶん差があります。現在でも大物は仕事があつても、小物は仕事がなくて食えぬで困るという浦和の状態ですから、大物というのはそのときの上位におる者を大物と言いました。
○石田(一)委員 それからあなたはさつきも黙つてしまつてお答えにならなかつたのだが、先だつての北島君の証言の中には荒木さんがあなたの家に来て、今日は税のでこぼこがあるだろうと思うからぜひそれについて聞きたいと思つて來たのだ。そうすると大木さんはそのでこぼこは大いにあると言つてまず鈴木さんのことを話し始めた。鈴木さんは疎開地で土地を買つておる。家を建てた。しかもただいま言つた中等学校の制服の仕立の方の組合の理事をやつておる。その数量をあげて一反について何着分かのこぼれがある。これをうまく仕上げたら一着千円ぐらいだから、もし組合でやれば相当の歩留りがあるということをあなたが言つて、一着千円としても五十万くらいの財産があるのではないかということをあなたは言つておる。それを私が聞いたときに北島君は証言した。
○大木證人 北島君は何と言つたのですか。
○石田(一)委員 あなたがそう言つたというのです。荒木に。……
○大木證人 私と北島氏と一緒に参ればよくわかります。
○鍛冶委員長 そういうことは言わぬというのですね。
○大木證人 はい。
○石田(一)委員 問題がちよつと横にそれますが、ほんとうは鈴木という人とは仲がよくないのでしよう。
○大木證人 その点は仲がよいとか、悪いということではありません。どうして鈴木氏が支部長になつたかというと……。
○石田(一)委員 そういうことではなくて、感情的におもしろくなかつたのではありませんか。
○大木證人 そんなことはありません。鈴木氏自体の浦和における洋服屋の輿論をお聞きになればわかりますが、鈴木さん自体がどうして支部長になつたかという問題は、前の組合員が……。
○石田(一)委員 ちよつとお待ちください。それは全部証言を求めて、どういうふうにして鈴木さんが組合長になつたかという事情もよくわかつております。要するにあなたと鈴木さんとの間のもつれはないかということです。
○大木證人 それにしても途中のことを申しませんと結論は申し上げられません。
○石田(一)委員 結論だけ聞けばよいのです。あなたの現在の感情においてそういうことがあるかどうかということを言つてくれればよい。感情的に言つておもしろくないのじやありませんか。
○大木證人 ……
○石田(一)委員 仲が好いとか、悪いとか、そんなことは問題ではないのだが、あなたはこの税金の序列を向うから要するに聞きに來るということを一つのあなたの武器として、組合におけるあなたの勢力範囲のものについてはうまくやつて、感情的に対立の関係にあるものを特に多く課税が来るように序列を高めたということはありませんか。
○大木證人 ありません。今組合員は二つになつておりますけれども、全部にお聞きになつていただけばわかると思います。
○石田(一)委員 それでは荒木さん自身もあなたのことを、大木に一ぱい食わされたと言つておる、それはなぜそういうことを言つたかというと、荒木は、大木は自分の勢力をふやすために、いろいろとこの問題を利用しておるということがわかつたのでそういうことを言つたのだ、こう言つておる。
○大木證人 その問題に対して、荒木さんに決定が来ましてから、自分たちにおいても、あまりでこぼこがあると鈴木さんが飛んで参つたので、私どもとしても、そのとき石渡君が税務署の前ですから、何べんも折衝に行つたのです。行きましても自分の……。
○石田(一)委員 それではオーバーの生地はいくらで賣つたのですか。
○大木證人 千五円幾ら……。
○石田(一)委員 千五円幾らで賣つたのじやないでしよう。よく考えてください。
○大木證人 間違いなく金はもらつております。
○石田(一)委員 金額は。……
○大木證人 金額は間違いありません。
○石田(一)委員 北島君ははんぱは切下げて千円で賣つたと言つておる。五円くらいのはんぱはめんどうなので、五円切捨てて千円で賣つたと言つておる。あなたは向うで指定された千五円で賣つたと言う、金額はわずかだが、あなたの証言はそこで間違つていることがおわかりでしよう。千五円じやないでしよう。千円でしよう。それからもう一つこのオーバー生地はあらかじめ配給になるというので、組合員から三千円ぐらいずつ集めたでしよう。
○大木證人 それは予納金として本部に納めたのです。集めた金は本部に買付金がないからというので集めて本部に納めました。
○石田(一)委員 それでこれが配給になつて來たのですね。そうするとこの予納金によつてこのオーバー生地が配給になつたのですね。そうすると千五円の價格のものならば、組合に三千円出しているところには約まあ三着分ですか。
○大木證人 そのときは一つの統制組合が解散になりましたあと、出資組合ができておりました。この出資組合に対して組合員全部が出資してなかつた。出資者に対しては貸し付けるということになつておつて、出資一口に対して五着ということであります。
○石田(一)委員 要するに組合員に配給になつたものを、あなたは千五円でわけてやつたとおつしやるのだが、組合員に配給になつたものは北島君がそれぞれ……。あなたはあなたの配給のものを荒木にわけてやつた。あとの三着分は組合員に配給になつたどこからか持つて來た。そういたしますと持つて来た三軒のうちも、千五円で配給を受けたものを原價で……。
○大木證人 原價は千五円でなく、九百十六円六十七銭です。
○石田(一)委員 千五円で賣つたと言うが、千五円だけ組合員にお拂いになつたのですか。
○大木證人 そうです。
○石田(一)委員 そうするとその組合員は了承しましたか。
○大木證人 それは公定でございますから了承したと思います。
○石田(一)委員 オーバー生地一着を千五円で賣つて商人がただ百円足らずの口銭だけで持つてか行かれて、どこにそれが配給されたか、どこに行つたのだかわからないで、ありがとうと言つて千五円もらつて商人が黙つているというのは、ちよつとおかしいじやないですか。三軒ぶりオーバーを持つて來た。三軒のほかの洋服屋さんから……。
○大木證人 それば北島氏が集めたのでありますから。
○石田(一)委員 それでは三軒ともあなたは関知しないということですか。
○大木證人 大体はつきり覚えておりません。
○石田(一)委員 もう一つだけ聞きます。どうもふらふらしていて、何かあいまいでちよつとつかめないですがね。聞きたいのはオーバー生地の四着分はまとめておやりになりましたか。それとも一人々々におやりになつたのですか。
○大木證人 それはさつきも言いました通り、荒木氏が連れて参りましたからはつきり覚えておりませんけれども、北島氏の所へ連れて行つて、荒木さんがこう言つて來たから、自分のところではあんまり公定ばかりでは何だから、ほかの方に賣つてもらうように話してくれということで連れて行つたのです。
○石田(一)委員 そうすると、ほかの業者は要するに税務署の荒木さんで今度いろいろ税金でおせわになるのだからというのでなければ公定じや渡さぬでしよう。
○大木證人 北島氏が歩いたから何と言つて歩いたか存じません。
○石田(一)委員 しかしあなたたちは幹部で相談したでしよう。洋服生地を荒木にやろうということを……。
○大木證人 相談しません。新聞に出ましたので、見て買いに來ておる。
○石田(一)委員 あなたそう言つてしまえば何だが、今度五着オーバーの生が配給になるのだから、また今度税金の問題もあるし、ひとつ税務署に公定價格でやつておけば今度もいろいろ都合がいいからといつてやつた。あなたたち幹部が相談したと言つておる。ここで証言しておる。それではあなたの言うことは全然あなたたちの方から、申し出なかつた。新聞を見て來た。荒木自身もあなたの方がそう言つたからオーバーの生地が配給になるならおれの方にも頼むと言つておる。頼んだというのに、あなたは全然別個のことを証言しておるのですが、どつちがほんとうなのか。あなたたちの方から持ち出したのか、それとも荒木の方からあなたたちが何も言わなかつたのにただ新聞を見て頼んだのか。 それからもう一つは、ほんとうは幾らでこれをおやりになつたのか。実際はこの賣つたという價格が三つ食い違つておる。要するに北島君ははんぱを切り捨てて千円だと言う。あなたは帳簿にもちやんと記載してあるから千五円に間違いないと言われる。荒木は千円足らずの金で賣つてもらつたと言うから千円にはなつていない、千円以下だと言う。そうすると金銭の授受がはたしてなされたのか、それともみんなの打合せがうまく行かなかつたのかとわれわれ判断するよりほかない。ここのところが問題だ。あなたは幾らで賣つたのか、それからもう一つ今言つたみんなで協議しなかつたか、幹部が寄つて協議をしなかつたか。
○大木證人 協議もございませんし、荒木氏は賣つてくれと言うので自分としては賣つてやりました。あと友達に、今言つたようなぐあいですから、その点金額としては千五円ちやんともらつてあるのですから。
○石田(一)委員 そうすると千円で賣つたというのは間違いで、千円以下ということも間違いである。こういうことになりますか。
○大木證人 そうです。
○神山委員 今のに関連して聞きますけれどもその金はだれが拂つたのですか。
○大木證人 友達の方へ賣つた金でありますか。
○神山委員 わかりにくければ前から聞きます。四人にやつて四着……。
○大木證人 一着分は私がじかに荒木さんに金と引かえで渡しました。あとのは北島氏のところへ友達を連れて参りましたから、私が案内して行きまして、きれの方はそちらからやつてもらうように言いました。北島さんの方にあるんじやないから。
○神山委員 三人分ですか、四人分ですか。
○大木證人 三人分です。そのときはたしか三人はいなかつたと思います。三人ということになつておりますから三人……。
○神山委員 三人ということにどうしてなつたのですか。
○大木證人 私はそのときは荒木氏と一緒に來たのは二人かと覚えておるのですけれども……。
○神山委員 それは税務署の人ばかりですか。
○大木證人 そうです。
○神山委員 地方事務所の人はいませんか。
○大木證人 いません。
○神山委員 あなたは税務署の人と地方事務所の税務関係の人と、混同しておるのじやないでしようか。
○大木證人 税務署の人と思つて……。
○神山委員 その千円の金は一人からもらいましたか。
○大木證人 荒木さんのはまとめて家の方へ持つて來た。
○神山委員 それは何人分ですか。
○大木證人 そのときは三人分と思います。三千円ちよつとと思いますから。
○神山委員 北島君は四人と言つておりますがね。
○大木證人 その点はよくわかりません。
○神山委員 どうせあなたの言うことはほんとうばつかりじやない。その次にもう一つ聞きたい。それでは北島君に拂つた金ですね。それはだれの金を拂つたのですか。
○大木證人 それは荒木さんが持つて來た金を向うに渡した。
○神山委員 これも違う。それも北島君は組合の金を取替えて拂つたと、はつきり言つておる。
○大木證人 組合の金は立替えでございません。
○神山委員 それでいい。北島君は立替えてあると言つておるわけです。その次にはあなた石渡君をもちろん知つておるでしよう。
○大木證人 知つております。
○神山委員 この洋服の問題について、大木君と石渡君と北島君、三人相談の結果やつたということは北島君が言つておる。これもうそでしよう。
○大木證人 何を三人で相談の結果……。
○神山委員 さつき石田君があなたに言つたことだが、八月に更正決定が來るので、それで何とかする。これを前提にして三人相談してやつたということを北島君ははつきり言つておるわけだ。北島氏がうそならうそでいいですよ。北島氏の言つたのはうそでしよう。
○大木證人 おそらく北島君の言うのは……。
○神山委員 誤解ですか。
○大木證人 はあ。
○神山委員 それではもう一つ聞きますが、このオーバーの普通の値段は幾らぐらいですか。
○大木證人 やみ價格にしますれば、大体あの当時千七百円ぐらいから二千七百円の範囲のものでございます。
○神山委員 大体今度は似たことを言つておるのだ。北島君は、二千五百円ぐらいのものでしよう。こういう意見であつた。ところが同時に北島君は一方では、千六円ぐらいで配給になつた、こういうことも言つていますが、そうすると最低に見積つて五百円の開きがある。最高に見れば千七百円の開きがある。これは事実ですね。
○大木證人 開きはあつたと思います。
○神山委員 証人の前でこういうことを言つては何ですけれども、この証人に幾ら聞いてもなかなか本音を吐かない。証人が誤解しておる点は、この委員会の目的が、大木君の生活の苦しい一つの問題である税の問題を正しく解決しようというためにできているということを誤解している。そのために何だか被疑者のようになつて、できるだけ事実を隠蔽しようとする傾きがあるのは残念ですが、もし委員長が、これ以上やる必要がないと言われれば、私はやめてもよいのだが……。
○鍛冶委員長 しようがないですね。
○神山委員 それではもう二、三点聞きますが、あなたの前には高橋さんが組合長だつたのですね。
○大木證人 そうでございます。
○神山委員 この組合長は実権のある組合長だつたのですか。
○大木證人 高橋氏が支部長で大体北島氏が代理をして、その下に私、石渡君、あるいは佐藤君、吉永氏というようなものがおりました。
○神山委員 それはわかつていますが、この人に実権があつたかどうかを聞いているのです。北島君は、これはロボットだ、自分と大木と二人でこのロボットを動かした、こう言つていますが、それはうそですか。
○大木證人 それは北島氏の……。
○神山委員 あなたの住宅はお狭いそうですね。
○大木證人 はあ。
○神山委員 狭い所に事務所を持つて行つたそうですね。
○大木證人 店先はあります。
○神山委員 店を事務所に提供したのですか。
○大木證人 組合事務所といたしましても、配給があるときにきれをわけるぐらいのもので、ほかに大した仕事はないのでございます。
○神山委員 その事務所をつくるときにどういうふうな方法できめられましたか。
○大木證人 総会において組合の決議によつてきまつた。
○神山委員 そのときに鈴木君に相談されましたか。
○大木證人 鈴木氏自体はこの総会の決議に從つたと思います。
○神山委員 総会の決議に從つたかどうか聞いたんじやない。組合長である鈴木君に聞いたかどうか聞いているんです。
○大木證人 鈴木氏も承知していると思います。
○神山委員 鈴木君は自分の知らない間にきめられた、そして組合の総会で一方的に押しつけられたと言つたが、これはうそですか。
○大木證人 鈴木さんの言うことは、私はいろいろ言いたいことはあるのでございますが、役員会を明日開くといつて、どういう順序でやるといつて開きますと、その役員会を知らなかつたということは、二回も三回も組合員の前で言つております。
○神山委員 それじや二十二年度に税の序列をきめたのはどこできめましたか。
○大木證人 それは市の農業会の二階できめました。
○神山委員 あなたのお宅と言う人がいますが……。
○大木證人 そのときには鈴木氏が支部長のときでありまして、全部各区によつて人員表を五階級にわけて持つて來るように税務署から申しつけられまして、組合員全部集まつて、農業会の二階でカードを並べてきめたのです。
○神山委員 それは聞いています。今私がお聞きしたのは、二十二年度は大木のところで一方的にきめたということを言つている人があるのですが、これはうそですか。
○大木證人 一方的にきまるわけはない、と思います。荒木氏自体が……。
○神山委員 今の質問を二つにわけます。あなたのうちできめましたか。農業会ですか。
○大木證人 農業会で序列表を出しまして、私のところで一應調査して歩きました。そうして荒木さんが各人の意見を聞いてきめたものと思います。
○神山委員 話が食い違つていたので聞いているのだが、くどくなりますから、この点はやめます。 次にはこの序列を金額できめた、そう言うのが言い過ぎだというなら、割り出したということを答えた人がありますが、どうです。
○大木證人 金額のことは申しません。
○神山委員 これは石田委員がこの前鈴木証人に質問をしたときに証人がはつきり答えているのですが、あなたのおつしやることが正しければ、鈴木君が偽証になります。
○大木證人 それは浦和に來てお調べになればすぐわかると思います。
○神山委員 私が聞いていることに答えてもらえばいい。聞くべきことは無数あるのだが、聞いてもどうにも手ごたえがないので、ひとつ方向をかえますが、あなたはきようここにおいでになる前に、おなたが証人に呼ばれたということをだれからお聞きになりましたか。
○大木證人 聞きません。ただ新聞に載りましたから……。
○神山委員 新聞に載つていたから知つておつたのですね。
○大木證人 それでけさから待つていたのですが、通知が参りませんので出かけましたところが、通知が來たといつてあとから追つかけられまして……。
○神山委員 あなたが証人になることを聞いてから、そのほかにどなたかとお会いになりませんか。
○大木證人 だれにも会いません。
○神山委員 だれにも会わないのですね。
○大木證人 きよう参る前ですか。——会いません。
○神山委員 絶対会いませんね。
○大木證人 きようは会いません。
○神山委員 新聞に出てからと私は限定しているんだが、もつと前から、新聞あるいはラジオで聞いてから、あなたはだれにも会わなかつたか、これを聞いているんです。
○大木證人 会いません。
○神山委員 警察であなたは調べられたことがありますか。
○大木證人 警察の方から調べに参りました。
○神山委員 いつ來ました。
○大木證人 新聞に出ましてから……。先月二十幾日、はつきり日は覚えておりません。
○神山委員 今月じやありませんか。
○大木證人 先月です。
○神山委員 そうすると、ほかの証人が、あなたが今まで警察で調べられたことはないというのは誤解ですか。
○大木證人 やはり誤解です。
○石田(一)委員 関連して——警察であなたのうちに調べに來たのでしよう。そのときにはどういうことを調べたのですか。
○大木證人 それは荒木さんにオーバー地を賣つたか、やつたかということを調べたのです。
○石田(一)委員 それでこの問題が新聞に出たとか何とかおつしやいますが、先月の二十八日に調べたというと、事件が起きてから、ほかの人たちはずいぶん早くから問題になつておるのにあなたのところはおそかつたと思いますが、これはどういうわけだか、あなたにはわかりませんか。
○大木證人 わかりません。
○神山委員 それからあなたの職業を聞きたいのですが、終戰前は何をやつておりましたか。
○大木證人 やはり洋服屋でありました。私のところは昭和四年以来洋服屋でございます。
○神山委員 こういうことを言つては失礼ですが、昭和四年以来洋服屋でしたら、腕は確かなものでしようね。
○大木證人 たしかです。戰争中よそへ行つたこともございますが……。
○神山委員 これはこういうことです。あなたの同業者の人から、大木さんは根つからの洋服屋じやない戰争から帰つて來て、奥さんの関係で洋服屋になつたということを言つている人がありますが……。
○大木證人 それはいろいろ前からの行きがかりがあつて、自分に対していろいろなことを言う人もあるでしようが、とにかく自分では親と一緒に昭和四年以来洋服屋をやつております。
○神山委員 失礼ですが、学校はどこを出られましたか。
○大木證人 英語を少しやりました。
○神山委員 戰時中あなたの職業と英語と何か関係がありましたか。
○大木證人 戰時中浦和に小さい軍需工場がございまして、社長と知り合いで入れてもらいまして、勤めておりました。
○神山委員 終戰後はすぐ洋服屋になつたのですか。
○大木證人 少し通訳をやつておりました。
○神山委員 あなたは荒木君とお酒を飲んだことはないというふうに言われますが……。
○大木證人 荒木君の思い違いじやないかと思います。
○神山委員 酒を飲んだことはありませんね。
○大木證人 ありません。
○小玉委員 あなたが先ほど鈴木は大物か、小物かと言つたときに、あなたは大物だと言つた。それで大物小物は税額をどれくらいに評價するか、それはわかつているからと言つて自然口に出て来たようですが、その際に大物だから五十万円ということが口に出たのではありませんか。
○大木證人 私の方は口では申しません。
○小玉委員 それでこの洋服地ですが、これは安本の指令に基いて出た品だというのですが、新聞記事には何と出たのですか。埼玉新聞に記事が出て、それで皆が押し寄せたというのですが……。
○大木證人 生地の不正配給ありということで埼玉新聞に出ました。
○小玉委員 不正配給というのはどういうのですか。
○大木證人 つまり生地のルートに不正があるということで、だれか投書する者がありまして、それが載つたと思います。
○小玉委員 これは安本の指令に基いて出た品だというのですが……。
○大木證人 それは本部ではつきり言つております。
○小玉委員 その際統制はどうなつておりましたか。統制ははずれておりましたか。
○大木證人 その点は、そのときは……。
○小玉委員 そのときは支部長……。
○大木證人 昭和二十二年は、私は支部長ではありません。
○小玉委員 しかし支部長でなくても、洋服屋をやつていれば、統制の方式がどういうことだというくらいはわかつているでしよう。
○大木證人 一般に賣つてよろしいという通知を本部から受けました。
○小玉委員 その分については、統制が解いてありましたね。
○大木證人 そうだつたと思います。
○小玉委員 これは事実その通りに間違いありませんか。
○大木證人 間違いないと思います。
○小玉委員 そのオーバー地は別として、いわゆる指令のない洋服地については、どういう統制方式をとつておつたか。
○大木證人 二十二年度においては、すべて配給を受けたものには切符は必要としなかつたと思います。
○小玉委員 切符を必要としないけれども、切符を必要としないほど、その製品のルートは厳格に規定されておつたのじやないですか。
○大木證人 その点はわかりません。
○小玉委員 その点わからぬはずはないじやないですか。
○大木證人 私どもは本部の指示通りにやつたから、わかりません。
○小玉委員 指示だからといつて、自由販賣することはできませんよ。
○大木證人 一般の品物は自由販賣にはなりませんでした。配給のものに対しては、自由に賣つてよろしいというので賣つたのです。
○小玉委員 それでは聞きますが、その際四着か三着、税務署員に賣つたということですが、そしてそれ以外に千円かそこらの配給値段で他にやつたものがありますか。
○大木證人 それはじかには聞きませんが、組合員があつちに持つて行かれた、こつちに持つて行かれたということは耳にいたしました。
○小玉委員 この場合、浦和の支部に対して何着配給がありましたか。
○大木證人 ちよつと記録を持つておりませんので、はつきりは覚えておりません。大体千四百何メートルかと思いますが、全部荷受書と配給書とがございますが……。
○小玉委員 それを加工して仕上げるのには、一着どのくらいになりますか。
○大木證人 それは忘れてしまつて、ちよつと覚えておりません。
○小玉委員 忘れることはないだろう。大体のところはどうなんですか。
○大木證人 指示を受けましたから、本部に行けばわかると思いますが、今ははつきり覚えておりません。
○小玉委員 一着仕上げればどれくらい、たとえばオーバー地をやれば、業者としては一着についてどれくらいの利益があるかということは、大体わかるでしよう。
○大木證人 その指示を受けたときに、仕立て工賃というものが入つている……。
○小玉委員 あなたにはそれがわからないのですか。
○大木證人 わかりません。
○小玉委員 それでは続けますが、あなたはほかにやつたこともわからぬと言うんですね。それであなたには何着配給になつたのですか。
○大木證人 私のところには三十五着で、組合員の出資者が浦和に三十何名いる。その出資者に対して一日五着という割合に……。
○小玉委員 あなたは五口ですか。
○大木證人 五口でした。
○小玉委員 それで二十五着ですね。
○大木證人 二十五着です。それでほかの全然出資のない組合員にも一着づつ配給することにしたのです。
○小玉委員 大体組合員は、それを裁断して、そして洋服に仕立てて賣ることによつて利益を得るわけですね。
○大木證人 そうでございます。
○小玉委員 組合員としては、仕立てなくて生地のみ配給値段で賣るということは、ほんとうのことを言つて大分損失じやないですか。
○大木證人 実は損失です。
○小玉委員 その損失になるにかかわらず、税務署員の要求によつてそれを賣つたということは、やはり税務署に対する一種の心持からやつたということになるのですか。
○大木證人 要するに新聞に出ましたものですから、ないとは言えませんで、やはりあるものはあるものとして賣りました。
○小玉委員 ほかからもあなたのところに買いに來ましたか。
○大木證人 見えました。
○小玉委員 ほかの人には賣りませんか。
○大木證人 やはり幾人かに賣りました。
○小玉委員 原價で……。
○大木證人 ええ。
○小玉委員 どういう人に賣りましたか。
○大木證人 これは新聞社の人も來ますし……。
○小玉委員 名前を言つてください。
○大木證人 名前は覚えておりません。
○小玉委員 賣先はどういうところです。
○大木證人 はつきり覚えません。
○小玉委員 原價で賣りましたか。
○大木證人 やはり千五円の公定で賣りました。
○小玉委員 一文も儲からぬのにそういうことをやるのは、何かそこに特殊の事情があつて、やはり原價で賣らなければならぬ一つの因縁情実があつて賣つたのじやないですか。
○大木證人 そういうわけじやないが、やはり入つたということが新聞に載つたので、結局浦和は地元であるししますから、いろいろな人が買いに来たのです。
○小玉委員 浦和の支部全部で何者來ましたか。
○大木證人 大体千四百メートルで、はつきりしませんが、配給表は全部本部にありますから……。
○鍛冶委員長 千四百メートルだと何着分ですか。
○大木證人 二メートル三十が一着分で配給しましたから……。
○鍛冶委員長 あんたによく言いますが、先ほどからも何遍も言うように、あんたを調べるのは、あんたを罪人にしようとか、いじめようと思つて調べているのじやない。しかるにあんたは非常に合点の行かぬ答弁をしなさる。ことにオーバー地の金を受取つたのは、あんた自身がとつたのか、北島にあんたが渡されたのか、組合がとつたのか、そこがみな言うことが違うのですよ。
○大木證人 それは間違いありません。私が受取つているのですから……。
○鍛冶委員長 それでは、先ほどから言つたことを、ここで訂正することはありませんか。
○大木證人 あるいは間違つたことがあつたかも知れないが、言つたことを覚えておりませんから……。
○鍛冶委員長 それじやよろしいです。
○神山委員 ちよつと伺いますが、荒木はウイスキーを飲んで、それで今起訴されているのだね。そうでしよう。ところが荒木君一人で飲んだのじや、相手がなければ饗應というものは成立しないのです。だから、くどいようだがこの点最後にもう一度言つてください。というのは、証人の証言全体が委員長が今言われたように、事実そのものを述べていると思えないのです。その点どうです。絶対にないですか。
○大木證人 ないです。
○鍛冶委員長 なければやむを得ません。もうお帰んなさい。 —————————————
○鍛冶委員長 お待たせしました。須賀永次さんですね。
○須賀證人 さようであります。
○鍛冶委員長 浦和税務署直税課長ですか。
○須賀證人 はあ。
○鍛冶委員長 あなたは浦和税務署にいつごろからお動めですか。
○須賀證人 昭和二十三年十二月十五日、忍総務署から転勤になりました。
○鍛冶委員長 浦和に來たとき、初めから直税課長ですか。
○須賀證人 そうでございます。
○鍛冶委員長 忍では……。
○須賀證人 忍でも直税課長であります。
○鍛冶委員長 所得税の決定に対する方針、また実際の踏んで來る手続き、それらのことを概略聞かしていただきたい。
○須賀證人 所得税の決定につきましては、御存じの通り税法の改正によりまして、申告納税制度ということになつたので、申告納税制度によりまして予定申告ということになつたのであります。税法には四月一日の現況によつて、一箇年間の所得を算定して申告することになつておりますが、昨年の二十三年度分につきましては、六月一日の現況によつて一箇年の所得を見積つて申告をする、いわゆる予定申告をすることになつております。そこでこの予定申告をする前に、各税務署におきましては、各営業者、あるいは農業所得とかいろいろな所得がありますが、これらの納税者の予定申告前は一月から六月——、調査が間に合いますれば六月までとか、あるいは四月までとかの実際を調査するわけであります。そうしてその調査した実績によつて、今後の経済情勢とか、営業の状況等を類推いたしまして、一箇年分の所得を算定するわけであります。そこでそういつたような調査をいたしまして、その所得額を求め、それを基本といたしまして、予定申告する前に申告指導というのをするわけであります。そうしてきわめて民主的な、良心的な、ほんとうに正しいところの申告をしていただくように、各納税者の申告指導をいたしております。そうして申告指導した後、申告が出ますから、その出た申告を再檢討するとともに、さらに各税務署におきましては、営業におきましては、経済調査とか、いろいろ調査案をいたしまするが、各個人ごとに調査をいたしまして、——今俗に個人調査とも申しまするが、さらに各業種別に、たとえば荒物屋とか、何業とか、業種別に権衡調査というのをやります。そうして所得の実額をまずもつて調査いたしまして、また次に来るところの確定申告の指導をして、今度は一箇年を総ざらいして申告する、いわゆる確定申告をする前にまた指導をするわけであります。そうしてその確定申告が出ますから、その確定申告をした所得額と税務署の方で調べたところの権衡調査とか、あるいは個人調査とかいう方法によつて調査をした結果とを対照いたしまして、申告した額と税務署において調査した額との相違がありますると、その申告した額が少額であればそれに対して更正決定という決定をするわけでございます。申告のない方にはもちろん決定をする方法によつて所得税はきめております。
○鍛冶委員長 仮更正というのがありましたね。それはどうですか。
○須賀證人 仮更正は税法にもございます通り、確定更生前に一應——確定更正というのは一月三十一日までに確定申告していますから、それに対して更正するのが確定更正、その前に大体税法では十月にやるようになつておりますが、確定更正前に——ですから確定申告前に、最初四月に出したところの——現在は六月ですが、六月出したところの予定申告に対して更正するのを仮更正と称しております。
○鍛冶委員長 二十三年度について聞きますが、二十三年度は申告はいつ出しましたか。六月一日ですか。
○須賀證人 二十三年は七月——税法が七月七日に改正になりまして、七月三十一日までに申告をやりました。
○鍛冶委員長 それから仮更正を出すわけですね。
○須賀證人 そうです。
○鍛冶委員長 そうするとその間約二箇月あつたわけですか。
○須賀證人 そうでございます。
○鍛冶委員長 その調べはどういう者にやらせておりますか。実際の調べは……。
○須賀證人 調べは主として事務官、あとは雇員を補助として調査に充てております。
○鍛冶委員長 業種別にやらせるのですね。
○須賀證人 そうです。
○鍛冶委員長 たいてい一人に何百件くらい持たしておりますか。
○須賀證人 大体一人で種目におきまして三種目ないしは四種目、上席者には若干多い人がありますが、大体人員において四、五百人、多い人は五百人、六百人という人もありますが、平均すると四、五百人程度分担させております。
○鍛冶委員長 千件を越えることはありませんか。
○須賀證人 それはまれにある場合もあります。
○鍛冶委員長 実際においてどういうことをして調べておりますか。
○須賀證人 最初個人々々に調査するのが税法の建前でありまするけれども、どうも短期間に調査を済ませるという関係上、各業者團体にいわゆる諮問するということになつておりますが、税務署が調査するのに非常に困難でありまするから、それを補助するために業者團体に諮問いたしまして、完全な公平な査定をして行くという手段のもとに業者團体に呼びかけまして、いわゆる諮問して指数とかあるいは順位というものを提出いたさせます。これを基本といたしまして、署の方で調査した額と、これらを全部にらみ合せまして、つとめて公平に課税しようという手段のもとに業者團体を指導いたしました。
○鍛冶委員長 それは何ですか。序列とかいうのですね。
○須賀證人 それは一つの調査上何らか形がないと見当がつきませんから……。
○鍛冶委員長 所得額までも諮問するのですか。
○須賀證人 所得額は指数とか順位というのを出させております。
○鍛冶委員長 順位は序列ですね。指数というのは……。、
○須賀證人 指数というのは、その業者の一番最高の所得者を一〇〇と押えた場合、次の人は八五兆になるとか、あるいは七〇%になるとかいう指数を一應組合に出させる。
○鍛冶委員長 そこで、そういうふうにやれば早く一まとめにできるのですか。個人々々を調べることは絶対に不可能ですか。
○須賀證人 個人々々をやる方針もいろいろ計画を立てますけれども、実際の分担数量と人員と日数というもののいろいろな関係上、個人々々の調査というものはより困難であるという状況になつておりますので、勢い業者の團体に諮問いたしまして、公平に課税して行こうというのでその方法をとつたわけであります。
○鍛冶委員長 團体はどういう團体とどういう團体に諮問しておりますか。
○須賀證人 團体は正式な團体というものもないわけじやありませんが、統制物資でいわゆる配給されるような商品を取扱う営業者ははつきりした團体があります。中にははつきりした團体のないのもありますが、とにかくたとえば荒物商とか、菓子の製造業とか、あるいは鮮魚商とかありますが、そういう團体が大体は何らかの形においてできておりまして、その團体そのものは單に税金を納めるとか、租税の問題でできておるのじやありませんが、いろいろの物の配給を受けるために組合ができておりますから、それを利用するわけです。
○鍛冶委員長 商工会議所などを利用することがありますか。
○須賀證人 それも利用する場合もある。
○鍛冶委員長 どういうときですか。
○須賀證人 営業者個々でやると、まちまちのものができますし、商工会議所は各市町村にありますから、最も業者に接近しておるし、業者の状況に精通しておるという考え方から業者全部をひつくるめたところの意見を聞く。業者ごとに商工会議所について意見を聞いてみるというので利用する場合もあります。
○鍛冶委員長 組合から序列や指数を出させて、そのまま参考に商工組合から別の意見をとるのですね。
○須賀證人 そういう場合もありますが、大体各種組合と同じものを商工会議所から出しますから、それによつていろいろ檢討する。だから税務署の方に出すものと、組合の方に出すものは別々なものじやなくて、同じものを出す。それを総括して商工会議所にはたしてどうかを……
○鍛冶委員長 同業組合で二通つくるのですか。一通は税務署、一通は商工会議所にやるのですね。
○須賀證人 そういう方法もあります。
○鍛冶委員長 そういうこともやつておるわけですね。
○須賀證人 そうです。
○鍛冶委員長 そうすると、各組合からまとめて商工会議事所で序列と指数をつけるのですね。
○須賀證人 商工会議所で商業者の見た序列がうまくとれていないと、商工会議所の意見としてまたこれはちよつとぐあいが悪いのじやないかという場合には、訂正する場合もあるのです。ですから両方の意見を取入れて税務署の方では見るという方法をとつております。それは浦和署におきましては一部の営業者で、全部の営業者というわけじやありません。
○鍛冶委員長 わかりました。そうなつて、調べてそこで仮更正を出しますね。それから本更正、確定申告までどのくらいの期間がありますか。
○須賀證人 昨年の二十三年分は十一月二十五日に仮更正を出しまして、確定申告は一月三十一日ですから、約二月近くの間があつたわけです。
○鍛冶委員長 その間には特別の調べはやりませんか。
○須賀證人 その間に今の確定申告の指導をするために、とにかく実際の十二月までの実績、今度はほんとうの実績による調査をするわけであります。それで先ほど申し上げたような権衡調査というのを実施いたしまして、各種組合なり、商工会議所なりで再びまたほんとうに十二月の実績によつたところの指数とか、順位とかいうのを訂正するようにやつております。
○鍛冶委員長 個々にあたつてはやらないのですね。そのときもやはり……。
○須賀證人 個々に調査しますけれども、個々にやるのを俗に個人調査と称しておりまするが、個々にやつたのと、各業者から出たのをひつくるめて権衡調奮よつたのと、いろいろにらみ合せておるわけでございます。そこで最後はその各業者の序列をきめたやつをいろいろ檢討しまして、最後は権衡調査によつてその額をきめておるわけです。
○鍛冶委員長 そうすると組合にやりますると、組合員全部にあなた方諮問するのじやない、結局組合の役員ということになるのですね。そこでどうもその役員に公平でない実績がままあるようですが、あなた方それをどう見ておりますか。
○須賀證人 その点につきましては、あまり組合の役員において、どうも好ましくないという團体には、そういう指数なり順位なりというものは出してもらうのを差控えておるわけです。
○鍛冶委員長 たいていの組合にやつているんじやないの。
○須賀證人 一應は照会は全部出しますけれども、出た指数等があまりどうも変だというものは、その組合、いわゆる團体についていろいろ意見を聞かないという組合もあります。
○鍛冶委員長 ところが、いろいろこの間からわれわれ調べて見ると、たいへん組合の役員から持つて來るものに不公平があるということが非常に多いのですが、あなたの方では響いておりませんか。
○須賀證人 それは調査した後、これは相当是正しなければならぬということは考えております。
○鍛冶委員長 そこで昭和二十三年度だけでよろしいが、たいへんな審査の要求があつたようですね。あなたの方で取扱事つておる件数は幾らなんですか。
○須賀證人 数字ははつきり記憶しておりませんが、六千四、五百件。
○鍛冶委員長 再審査の要求ですか。
○須賀證人 はい全部。
○鍛冶委員長 あなたの税務署で取扱う納税者の総数は幾らです。
○須賀證人 一万一千五百人です。営業だけで……。あと農業やなんかを……。
○鍛冶委員長 待つてください。もつと聞こう。更正決定した人員は。
○須賀證人 更正決定したのは営業、農業ひつくるめて約一万八千です。
○鍛冶委員長 そのうちで異議の申立てをしたのは。
○須賀證人 六千人近くになります。
○鍛冶委員長 これはこの間あなたのところから調べて來たんだが、更正決定人員一万八千三百七十八人、異議申立人員六千七百二十八人となつているが……。
○須賀證人 そのうち六千何がしの中には、窓がたくさんありますから、そういう窓の方には口頭処理筆というのをつくつておりまして、窓に來て、異議のある者は全部書き抜きますが、それらの総数になつて来るわけです。
○鍛冶委員長 書類は四千五百五十二、口頭は二千七百二十六件、こんなものですね。
○須賀證人 そのうち説明して決定について了解したというものは、一旦は六、七千人の中に入りますけれども、説明了解として処理しております。
○鍛冶委員長 そうなりますと、三割ちよつと以上になりますね。たいへんな異議の申立なんだが、こういうたくさんの異議申立があつたらとてもなかなか処理にも困るのだが、どういうわけでこんなにたくさん異議があるのだとお思いになりますか。
○須賀證人 異議申立の内容を見ますと、こういう関係もあると思うのです。それは署の決定に対して、営業者個人々々が計算した額と相当差があるという理由もありますけれども、一應異議を申立てておけば何とか減るんじやないかという考え方で、いわゆる異議申立てをした方もあるように見える。それで実際に臨んで説明し、ないしはいろいろの営業状況を調べまして、大体税務署の方から出たところの確定更正について異議の申立てを取下げる、つまり了解するというのも相当出て來るわけです。異議の申立てというのは相当数量出ておりますから、そんな関係で異議の申立をしているんじやないかというふうにも、私一存ではありますが、考えられるわけであります。
○鍛冶委員長 こういうふうにわれわれから考えると思われるのですが、三通りあると思う。あなたの方が決定しておられるのは所得額ですから、実際において所得がそれだけないのにかけて来たというのが第一に考えるべきだ。その次のは、所得はあつてもこの通りの所得額で税を決定されたのでは、とうてい生活ができない、だから所得は特別重いとは思わぬか、生きて行かれないから、これをやらなければならぬ。その次は、別に大したこともないのだが、異議の申立てをすれば、幾らかまけてくれるそうだから、ひとつやつとけ、こういうのと三通りに考えられるわけですが、そのいずれとあなたは思いますか。
○須賀證人 私どもそういう考えは持つておるわけです。
○鍛冶委員長 そのいずれが一番多いか。
○須賀證人 それは決定額が自分の計算と引較べて高額であるという人が一番多いと思います。
○鍛冶委員長 それならば申告したことが正しくてあなたの方の決定が間違いだというのですか。
○須賀證人 そこがちよつと問題になるのです。
○鍛冶委員長 それを伺いたいのですが……。
○須賀證人 それが署とすれば更正決定のときには、先ほど申し上げたような方法によつてきめたもので、まず署の更正した額を正当なりという考え方で更正したわけでありますが、それに対して審査請求が出ますと、再びそれがいいか悪いかというのを再審査しなければならないので、それを現在調査中でございます。
○鍛冶委員長 そうすると、あなたの言われるのを聞けば、申告は内輪に見積つて出するしかるにあなたの方で調べてほんとうだと思つてやると、そこに開きがあるから出るのだ、こういうことになりますね。
○須賀證人 結局申告を内輪に出すというきらいは多分にあるわけです。
○鍛冶委員長 ところがいろいろ聞いてみますと、ほんとうに所得額を申告して、その通り税金をかけられたら、とうてい今日の日本では食つて行かれぬという人が多いのですが、これは税額から見てどうですか。
○須賀證人 その点は非常にむずかしい問題でありまするが、私どもは税法にきめられた——つまり税法では総收入から必要経費を控除したものを所得とするという計算で行くわけですが、たとえば十万円の所得がある。しかるにその営業者なり農家でもどつちでもかまいませんが、とにかく十万円の所得があつて、生活が十万円を要するという場合には、実際問題として納税する余裕がないはずです。しかし税法の建前は計算は十万円あると、十万円でまずもつて決定をしなければならぬ。それは先ほどのお話のように、納税者がさようなことを言つて来ることはたくさんあります。たしかに胸勘定で、暗算でやつても、十万円の所得がある。しかし家族七、八人養つて行くには、これは納税するのは非常に困難だ。現在確定更正を受けて、何万円税金を納めろと言つても、今のところはその金さえちよつと困る。ですけれども、そういう問題はわれわれ税務官吏といたしましては、やはり所得税法にのつとつたところで計算してやるんだというので、納税者には納得はいたしてもらつております。
○鍛冶委員長 そうすると、かりに十万円所得があると、所得税はいくらですか。
○須賀證人 約二万近いと思います。これは人によつて、扶養親属の控除によつて違いますが、大体二万円程度であります。
○鍛冶委員長 そのほかのいろいろな税金を合せるといくらくらいになりますか。
○須賀證人 それは國税だけで約二割から二割五分程度になりますが、あと地方税、住民税というようなものを加えますと、はつきり計算してみませんが、おそらく三割を越えるのではないかと考えられます。
○鍛冶委員長 そうすると、平均して五割以上になりますね。十万円で、國税と地方税で……。
○須賀證人 いや総額でです。人によつて多少、同じ所得でいろいろ違いましようが、平均すると三割か四割ということになります。
○鍛冶委員長 かりに四割とすれば、十万円の所得があつて四割とすれば六万円残るわけですね、そうすると月五千円ですね。かりに家族五人おつたとすればどうでしよう、生活できるでしようか。
○須賀證人 そういう計算でいたしますと、いかに最低生活しても、私どもできるとも申し上げられませんし、生活が非常に困難だということは予想されます。
○鍛冶委員長 七、八人おつたらどうもやり切れぬわけですね。
○須賀證人 はい。
○鍛冶委員長 そこで税法はそうであつても生きて行かれぬという異議の申立てもできて來るわけでしようね。それからこのように六千七百からたくさんの異議の申立てがありましたら、これはどういうふうに処理しておりますか。
○須賀證人 現在早く処理をしなければならぬというので、再び市役所とか、商工会議所、業者團体の意見を取入れまして、そうしてはたして本人の異議の申立てが正しいかどうか、営業状況を各市町村それから商工会議所、あるいは業者の團体の代表、業者代表だけでは危険ですから、市役所とか町村役場、商工会議所という三者を入れて、いろいろ意見を聞いて現在いろいろ不合理なものについては訂正をいたしております。
○鍛冶委員長 不合理でないものは却下するのですか。
○須賀證人 それはなるべく本人に納得させて、どうもそう軽々しく直せるものではないものと、先ほど申し上げておるような実際所得はその査定した通りはあり得るというような点について説明してなるべく訂正し、審査の取下げをするような方法をとる。
○鍛冶委員長 今言つた数字のうち、すでに本年二十三年度の異議の申立ての中から六千百三十六件、これは十五日現在ですね、これはあなたのところからもらつて來たんですが、六千百三十六件処理済みになつておるそうですが、異議の申立てはいつまでにやるのですか。
○須賀證人 確定更正の三十日以内ということになつております。
○鍛冶委員長 それで何日ですか。
○須賀證人 確定参更正を出したのが二月三十六日に出したわけであります。通知を出したのは二十六日、あるいは三十七日というのもありますが、その通知を受取るのが少くとも郵送した場合三日、四日かかりますから、受取つたのは大抵三月四、五日ごろ、場所によつて違いますが、その通知を受取つた日から翌三十日以内ということになつておるわけです。
○鍛冶委員長 そうすると四月の入口ですね。
○須賀證人 はあ。
○鍛冶委員長 四月一ぱいと五月十日ですね、四十日ほどあつたわけですね。申立てしてから大体四十日くらいのものでしよう。
○須賀證人 はい。
○鍛冶委員長 四月一ぱい、三月五日としますれば四月五日で一箇月。
○須賀證人 確定更正は大体三月五、六日です。
○鍛冶委員長 四月五日から翌五月五日まで一箇月でしよう。五月十日で四十日ですね。四十日の間に六千百三十六件を処理するとなると、たいへんに忙しいことになるだろうと思います。一日百五十件以上ですね。
○須賀證人 それは相当努力をしてやつたわけなんですが……。
○鍛冶委員長 大体どのようにしてやつております。
○須賀證人 それが先ほど申し上げておるような急速に片付けなければならぬというので、市町村役場とか、あるいは商工会議所あるいは業者の代表、こういう三者の意見を取入れまして、ごく低い金額のものは簡便な方法で再調査というようなことはとうてい不可能ですから、そういつたような人の意見を取入れて、訂正のできるものはどしどし訂正したというので、なるべく早く訂正を済ませよう、そうかといつてあまり粗雑な訂正も警戒してやつたわけです。
○鍛冶委員長 今残つておるのは五百九十二件となつておりますが、これはずいぶんめんどうなもの、だそうですな。
○須賀證人 それはずいぶんめんどうなもので、一件々々に再調査を要する。
○鍛冶委員長 そうすると、この六千百三十六件のうちの大概は、説諭して取下げさしたものじやないのですか。
○須賀證人 相当訂正さしております。
○鍛冶委員長 どのくらいのパーンテージになつておりますか、取下げと訂正では……。
○須賀證人 取下げは、整理したものは調べませんが、大体一割程度しかないかと思います。
○鍛冶委員長 そうすると八、九割は訂正になるのですか。
○須賀證人 多少いくらでも訂正を要するという部に入つておるわけです。
○鍛冶委員長 そんなにやれるかね。容易ではないじやないですか。四十日あまりで……。
○須賀證人 現在は全部済んで、私の方は決済しておりますけれども、中にはもう一ぺん調査して、各係員は決議書というのを起しますから、その決議書によつて、いいか悪いか、再びこれは少し念査をやるというもので、相当一千件くらいあると思います。それは済んだわけですけれども、またよく見直さなくてはならぬというのもあるわけです。
○鍛冶委員長 これは実際においてはなかなか容易なことではないとわれわれは思う。あなた方この処理に当る人が、どれだけの人数がおるか知らぬが、平均一日に百五十以上になるのですから、容易なことでないと思うのですが、どうです、実際そんなに綿密に調べられますか。
○須賀證人 結局一人々々綿密に調査するというのは困難ですから、まあ簡單に試問して、何らかの方法によつて早くこれは訂正しなくてはならぬ、それで最後に残つた五、六百件というのが、これはそう簡単には直せないものというのが最後に残つておる。
○鍛冶委員長 もつと言つてみると、これは出て來るから仕方がない、こうたくさん異議の申立てをしてくるということでは、申告ということも意味をなさないのじやないですか。
○須賀證人 申告につきましては、なるべく更正がきわめて少いところで済まされるようにというので、申告指導するときには——これは各署とも同じですが、相当日数を費してやつたわけなのですが、結局出た申告は、相当数更正しなくてはならぬということに相なつたわけであります。
○鍛冶委員長 先ほど異議の申立てをする理由を聞きましたが、さらに進んで、こんなことではいかぬから、どうしたらこんなことはなくなると考えますか。何かうまい考えはありませんか。
○須賀證人 非常にむずかしい問題ですが、申告納税制度、つまり納税者が自分で申告して、自分で納税するという税法ができたわけですが、税法そのものはきわめて民主的にできているものと考えておりますが、ただその運営いかんによると思うのです。どうしたらよろしいかという点につきましては、ちよつと申し上げにくいと思います。
○鍛冶委員長 そこであなたの税務署で、今年はずいぶんいろいろな賣職汚職の問題が起きたようで、われわれははなはだ遺憾と思つておりますが、あなたもそうだろうと思う。この起る根本原因はどこにありますか。
○須賀證人 それも非常にむずかしい問題になるので、私責任者でもあるし、なぜこういうことになるかという原因もいろいろあろうと思います。結論的に申し上げますると、昭和二十一年の増加所得税、続いて所得税の改正も行われましたが、増税は國家の再建という見地からやむを得ませんが、とにかく急激に税の負担が重くなつたということもある程度の原因をなしているのじやないかと考えられるわけです。
○鍛冶委員長 大体先ほどから聞いたところによりますと、所得額の決定ということは、ほんとうに所得額を決定したものとは一致しておらぬですね。
○須賀證人 はあ。
○鍛冶委員長 ほかに何かありますか——それでは済みました。
○石田(一)委員 さつきの大木貞雄の証言の内容について、私たちが今まで喚問したすべての証人の証言と、事実において、それともどちらが眞実でないのか知らないが、食い違つておると思う。この問題は本委員会の権威において、しかも議院に出頭した証人に関する法律の上から言つても、もし本委員会において偽証であるという確証を握り得るならば、この委員会がこれを告発しなければならない義務を持つておりますから、明日の理事会にでもこれをお諮り願つて、決定していただきたいと考えます。
○徳田委員 その前にやはり速記録を調べて、はつきりさせる必要がありますから、事務局が調べて、これはどうしても偽証と認定しなければならないという意見を出してもらいたいと思います。
○鍛冶委員長 それでは事務局に申し上げておきますが、鈴木富藏の速記録、その次は北島の速記録、それからこの間の荒木の速記録、きようの速記録をひとつ急いでとつて、比較してもらいましよう。
○徳田委員 もう一つ調べてもらいたいのですが、一番最初に調べた組合長藤倉新吉、これも序列ばかりで、金は何ともないと言つておつた。しかし聞いてみたら、みな金をやつている。大体最初はそうやつてごまかそうと思うけれども、しつぽが出ちやつた。これを調べてみれば、いろいろな点から見て、完全にうそじやないかと思う。そういう点もひとつはつきりさせていただきたい。
○鍛冶委員長 それでは本日はこれで散会いたします。 午後五時四十九分散会