厚生委員会 第28号
- 発言数
- 55 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1949/08/20
会議録
○堀川委員長 これより会議を開きます。 まず人口問題に関する件を議題といたします。本件は第五回國会において人口問題に関する決議が議決されております関係上まず政府よりその後の状況の説明を聽取することにいたしたいと思います。
○館説明員 ただいま委員長からの御指名によりまして、人口問題の審議につきまして、その後の経過を簡單に御報告申し上げたいと存じます。 さきに御承知の通りに四月十五日に閣議で決定せられまして、内閣に人口問題審議会を設置せられたのでございます。その後六月十五日にお手元にさしまわしました名簿の通りに委員が発令せられして、六月十五日に第一回の総会がかれたのでございます。この第一回の総会におきましては、まず審議方針と、どういう課題を取扱うかいうことにつきまして御審議があつたのでございます。審議の方針といたしましては、いろいろの御意見が出たのでございます。ただいまの人口の状態からいたしますれば、人口を調整することだけを問題として取上げたらよいではないかというような御意見もあり、また人口問題の全部を取上げて審議すべきである、衆議院の五月十二日の決議によりましても、すべての問題を取上げて審議さるべきである、こういうような御意見もあり、あるいはまた人口の量の問題だけを取扱うか、あるいは質の問題をもあわせて取扱うかというような御意見もあり、また人口政策あるいは人口対策ということになりますならば、短期の緊急措置だけではいけないのであつて、長期の計画も審議すべきである、こういう御意見もあり、緊急の課題だけをとりあえず審議してはという御意見等も出たのでございます。いろいろの御意見がございましたが、結局第一回の総会におきましては、人口問題は含全面的にこれを取上げまして、そうして短期、長期の両方の問題をも審議されるということに相なつたのでございます。但しその場合に緊急の処置を必要とする問題につきましては、審議会におきまして、逐次緊急な問題については決議をする、こういうことにきまりました、そうしていろいろ課題が出たのでございます。結局審議の便宜上、人口調整に関する小委員会と、それから人口の収容力に関する小委員会との二つの小委員会にわけて審議することが便利である、こういう結論に到達されまして、人口調整に関する小委員会と、収容力に関するり小委員会との二つの小委員会にわかれまして、審議せられることに相なつたのでございます。それからなお第一回の総会におきましては、審議事項が非常に新聞の記事になりやすい性質のものであり、また事前にいろいろの問題が新聞紙上等に現れて参りましては困るという御配慮から、原則として非公開でこの審議会を続けるということに決議せられたのでございます。それからなおこの審議会のおせわ係でございますが、先ほど申し述べました通りに、審議会は内閣に設置せられたのでございますけれども、審議事項の非常に多くの部分が厚生省の所管と相なつておる事項でございますし、なおまた人口問題研究所等から資料を提供するということの便宜、このような御配慮から実際上のおせわは厚生省でするということになりまして、現在厚生省の方でおせわをいたしておるような次第でございます。その意味におきまして、厚生省から簡單に本日経過を御説明申し上げておるよう次第でございます。 その後しばしば小委員会が開かれて参つたのでございますが、六月十五日の第一回の総会に引続まして、六月三十日に第二回の総会が開かれたのでございます、その間さかのぼりまして六月十三日、それから七月七日、それから七月十四日、七月二十一日、それから七月二十八日、毎週木曜日二つの小委員会が並行して開かれまして、そうして現在に至つておるような状態でございます。その後小委員会におきまして御審議せられましたおもな事項を簡單に申し述べますと、ます最初に衆議院の五月十二日の決議に基きまして、二つの小委員会においてそれぞれこの御趣旨に基きまして、今後の審議について討論が行われたのでございます。それから人口調整に関する小委員会と、収容力に関する小委員会との二つにわけまして、これまで審議せられましたおもな事項を申し述べますというと、よず第一の調査に関する小委員会におきましては、現在日本の人口の傾向が、いろいろの角度から詳細に分析をせられまして、具体的な資料に基いて分析がなされたのでございます。そうしまして大体において小委員会の御意向といたしましては、人口の制御の必要があるという大多数の委員の方方の御意見でありまして人口抑制についての問題が現在取上げられておるような状態でございます。人口抑制につきましては、まず産児制限の問題でございます。産児制限につきましてはどういうような基礎理論、あるいは指導理念に基いて産児制限の問題を取上げるかということにつきまして、非常に活発な御意見の交換が行われておるのでございます、ただいまの大体の傾向といたしましては、家族計画と申しますか、あるいは計画的な家族と申しますか、いわゆるプランド・ファミリーとでも申しますような思想でもつて、産児制限の問題を議論すべきであるという御意見が多いように承つておるのであります。それから受胎調節の問題、受胎調節を産児制限の根本に置いて考えて行くべきだ。こういうような御意見が大多数のようでございます。それから堕胎、人工妊娠中絶の問題あるいは廣い意味におきます産児制限の普及によりますところの、逆淘汰をいかにして防止するかというような問題も、ただいま重要な課題とせられておるような状態でございます。さらに収容力の委員会の方との関係からいたしましても、工業化し、あるいは都市化するということが、今後の人工調整上どんな意味を持つかというようなことにも、少からぬ議論が出ておるようでございます。それからただいまの家族制度に関する問題が、またいろいろ御意見が出ておるのでございますが、特に女子の就業がだんだん多くなつて來るというと、これが出産力、ひいては人口の將來の傾向にどんな影響を及ぼして來るかという問題でございますとか、あるいはまた女子の教育程度が高まることがどんな影響を及ぼして來るか、あるいはまた産児制限の普及に伴いまして、いわゆる道徳上いろいろの問題が派生して來るわけでございます。これをいかに処置するかというような点につきまして、産児制度の問題ではいろいろの議論が闘わされておるという状態でございます。そのほか人口調整の全体の問題といたしまして、やはり悪質の遺傳の素質が傳播することを防止する、つまり人口の優生学的な質の向上をはかるということにつきましても、一つの議論といたしまして、いろいろの御意見が出ておる状態でございます。 なそのほか現在の人口政策の第一段階といたしまして、従來からとられて参りましたいろいろの既成の人口政策的な手段は、この際根本的に放棄せらるべきである。たとえば具体的に申しますれば、家族手当の制度をやめるとか、あるいはまた徴税政策上、扶養家族の控除をやめるとかいうような御意見も出ておるのでございますが、この点につきましては、活発な御意見が出ておるようでございますが、ただいまのところでは小数の御意見のように承りておるのでございます。 大体ただいま申し上げましたのが、人口調整に関する委員会のおもな御意見でございますが、収容力の小委員会におきましては、まず第一に日本の人口の構造がどう変化して行くのかという点から、人口の構造の変化という点について詳細な分析が行われました。そうしまして職業について養つて行くべき人口が將來どういうようにふえて行くのかというような点につきましても、檢討せられておるような次第でございます。 それから人口の収容力の点につきましては、経済復興計画委員会におきまして立案せられましたところの、経済復興計画を檢討するということが先決問題である、こういう御意見からいたしまして、なおまた調整の小委員会におきましても同様の御意見が現われましたので、先ほど申し述べましたように総会を開きまして、経済復興計画委員会の方から、経済復興計画についての御説明を伺いまして、檢討されておる状態でございます。ただこの場合に、いろいろの御意見が出ておるのでございますが、経済復興計画の建前が、日本の経済復興という立場からの御計画でございますから、これに対しまして人口問題審議会といたしましては、人口問題の立場から、人口収容力についてこの問題を檢討する、大体こういう御意見に向つておるようでございます。 そのほかまだ利用されておらないところの資源、いわゆる未利用資源の利用開発、あるいはまた日本の資源の賦存状況、こういう点と人口の増加あるいは人口の構造の変化というような関係も取上げられまして、さらにまた現在の産業構造やあるいは経済構造のもとにおきまして、これらの人口をどう養つて行くのかというような点でございますとか、あるいはまた地域的に、また職業的にどういうふうに人口の収容力を高めるかというふうなことなどについて、ただいま非常に活発な御意見が現われておるような状態でございます。 最後に海外移住の問題でございますが、海外移住の問題につきましては、調整委員会と収容力の小委員会との二つの小委員会にまたがる問題でございますが、便宜ただいまのところは収容力の小委員会において審議相なることになりまして、ただいま海外移住の問題も、収容力の小委員会において檢討せられておる状況でございます。大体ただいま申し上げましたように、毎週小委員会が開かれて参りまして、大体の御意見の傾向もわかつて参りましたので、起草委員を二つの小委員会においてそれぞれ設けまして、ただいまさしあたり決議すべき事項についての原案の起草がなされておるような状態でございます。 話が前後いたしましたが、収容力の小委員会におきましては、永井亨委員が小委員長になられまして、永井委員、山中委員、美濃口委員などが起草委員にならたましてただいま起草中でございます。それから調整の方の小委員会におきまして戸田貞三委員が小委員長となられまして、古屋委員、岡崎委員、北岡委員等のお手元においてただいま立案中でございます。從いましてこれらの起草委員の原案ができますまで、ただいま暫時小委員会並びに総会を休会しておる。こういうような状況でございます。 たいへん簡單でございましたが今日までの経過を概略御報告申し上げます。
○床次委員 この機会に希望と質問をいたしたいと思います。人口問題の決議に関しまして人口問題審議会において御研究のことにつきましては、ただいま御報告をいただきましてまことに御苦労に存じますが、御承知の通り現在いわゆる産児制限のうちの重要な役割をいたしますところの、避妊薬等の発賣が一般に認められた関係上、一般社会におきましてはこういう方面の民間の廣告が自由に行われておるのであります。從つてあるいは弊害もできつつあるのではないかというふうに考えるのでありますが、政府におかれましては人口問題審議会の結論を待つてなさるというお考えもあろうかと思うのでありますが、すでに結論の出ておることに対しましては、すみやかに対策を講ぜられることがいいのではないか。謝つた産児制限思想が起らぬように、また現在の業者のやつております廣告等に関しましても、これを善導して有意議に使うというような考えを持つていただきたいということを第一に御注文申し上げます。 第二にただいまの御報告の中にも関連しておりますが、將來の海外移住の問題、これは決議の中におきまして第三の点において非常に抽象的に取上げられてはおりますが、事柄はまことに將來において重大な問題と存ずるのであります。この準備調査を行うことは、人口問題審議会いかんにかかわらず必要なことではないかと思うのであります。外務省その他いろいろな方向において御研究とは思いますが、この準備調査について特に何かやつておられることがあれば承りたいと思いますが、なければすみやかな御準備をお願いいたしたいと思うのであります。ちよつとこれは速記をとめていただきたいのですが……
○堀川委員長 ちよつと速記をとめて…… 〔速記中止〕
○堀川委員長 速記を始めて。
○床次委員 次の問題といたしまして承りたいのですが、先ほど委員会の審議の内容につきましては非公開でやつておられる。これほまことにそうあるべきだと思いますが、しかし往々にして委員会の模様が新聞紙上に出て参ります。正しい意味において材料が出來ますならばよろしいのでございますか、これが誤つて傳えられるということがあるのではないかと思うのです。私が目にいたしました記事といたしましては、過般委員会である程度まで結論として出た場合に書いておつたのでありますが、將來の人口制御の方策のために晩婚を奨励する。婦女子に高等教育を與えて、生活の向上によつておのずから産児の減少をはかると同時に、晩婚をはかるというようなことが結論になつているように日伺うのでありますが、これは記事の確否は存じませんが、かかる説があたかも委員会の結論のように新聞紙上で報道せられるということは、私ははなはだ残念なことで遺憾なことであると考えております。人口増加をはかります場合においては、早婚を奨励することは確かに政策として成立するのでありますが、人口増加を抑制するために晩婚を奨励するということは、まつたく手段の当を得てないと私どに考えるのであります。もちろん晩婚になり、知識が向上し、教育が多くなりますれば、それによつておのずから産児の数が減るという現象は私どもも認めるのでありますが、それを方法論的に考えることは適当でないと考えております。この点に関しまして政府の御意見、また委員会でこの当時どういう決議があつたかということについて承つてみたいと思います。
○森本説明員 第一点の避妊業の拍てございますが、これにお話の通りでございまして、十分廣告の取締り、その他のことについては審議会の決定を待たずして、役所としてできるだけこれを処置して参りたいと思つております。 次に第二の海外移住の準備調査の点でございますが、これは厚生省として直接の調査はまだ進めておりません。外務省あたりである程度の調査がなされているように承つておりますが、具体的な内容は承知しておりません。 次に委員会の審議内容の問題でありますが、これは内容の取扱いいかんによりましては問題が起りますので非公開という建前で参つております。從いまして新聞発表等につきましても慎重を期しているわけであります。今後内容の取扱いにつきましては、審議会と連絡をいたしまして問題を起さないようにいたして参りたいと思つております。 なお晩婚問題その他につきましては館説明員から詳細御説明申し上げます。
○館説明員 ただいまの御質問の中の海外移住問題の準備調査につきまして、一言だけ補足をさせていただきたいと存じます。海外移住問題につきましては、從來の日本の海外移住が日本の人口に対してどんな影響を與え、またどんな問題を起して來たかということを調べる必要がありますので、この点につきましては人口問題研究所におきまして、これまで調査を進めて來てて、これまで川査を湘めて來ておるような状態でございます。 なお海外渡航問題一般といたしましては、ただいま総務課長から申されました通り、外務省におきまして準備調査がきわめて小規模ではございますけれども、ただいま行われておるような状態でございます。 それからただいまの御質問の第三点の、読賣新聞に出ましたところの記事の晩婚の將励の問題でございますか、私の承知しております限りにおきましては、人口問題審議会におきまして、いわゆる出生を調達する意味において晩婚を將励するという御意見の出たことは全然事実ではないと存じます。私の承知しております限りにおきまして、出生を調節するために晩婚の意見が出たということはないのでございます。ただおそらくまつたく推測にすぎないのでございますが、特に女子の晩婚、それから女子の教育程度、女子の就業、こういうような女子の状態と、出生力との関係につきましては、非常にりつぱな御意見の交換が行われたのでございます。さらにまた女子の教育程度を高めるという問題につきましては、これは特に受胎調節その他の点と関連いたしまして、基本的事項として女子の教育程度を広めること、從いまして女子の結婚年齢遅れを生じて來るということにつきましては、かなり議論が闘わされたことがあるのでございます。しかしながら出生を抑制するための晩婚の獎励、いわゆる人口政策的意味における晩婚の獎励ということは、人口問題審議会におきまして、これまで議論の対象とはなつておらないというふうに御了承いただきたいと存ずるのでございます。
○床次委員 関連してもう一言希望しておきますが、健全なる受胎調節思想の普及という問題につきまして、先ほどちよつと避妊薬の廣告のことに触れたのでありますが、なお一般的な問題につきまして、この問題につきましてはもつと國民に思想宣傳をする必要があると思うのであります。母性文化の向上と申しますか、あるいは婦人の解放問題という立場からも、各方面からこの問題を取上げることができるものだと思いますが、政府において文部省あるいはその他の立場から、いろいろこの問題をもつと積極的にお取扱いになる必要があるのではないか。十分にこの点御努力をお願いいたしたいと存ずるのであります。單に避妊薬の廣告を禁止するとか、あるいは制限するというような問題ではなしに。まだまだこれは総合的に、この問題は正しくしかも健全な道で歩けるのだと思うのであります。少し野放しにし過ぎているのじやないか。調査会の結論をまつてなさるのだというようなおつもりかもしれませんが、それではやはり今からほかの部面についてももう少し御努力をお願したいことを重ねて希望しておきます。
○岡(良)委員 今後の法律改正と同時に、政府の方では各府縣に設置されている保健所に適当な年輩の保健婦等配置いたしまして、これに受胎の調節その他に関するところの適切な専門的な知識を與えて、相談に來る方々に適当なる指導の指示を與え、かつ婦人團体等の要請に應じてはみずから出かけて行つて、この問題について適当な抜術的な指示を與える、こういうような方法もあるやに聞いておつたのでありますが、政府の方ではその後そういうふうな処置をどられたのかどうかという点を承りたいと思います。
○森本説明員 この人口調整の思想の普及でありますが、この調整の方法その他具体的なはつきりした結論が得られましたならば、今仰せのような保健所の保健婦等によりまして、他の公衆衛生の予防と同様に、これを保健婦をして指導させて参る。こういうことなのでございますが、その詳細の点は実は主務局長がおりませんので、私からお答えしてまた間違つてもどうかと思いますので、留保いたしておきます。
○岡(良)委員 最近開業医その他病院の内科診療室を訪れて、人工的に妊娠調節のために理由となるべき診断書を要求される主婦が非常に多いのでありますが、私は最近近傍の小さい市に参りまして、優生保護委員会の会議に出席いたしましたが、この市ではおそらく本年度の出生は三分の一以下に減退するであろうということを申しております。これにもちろん一般家庭の主婦たちの大きな切実な生活の要求から出た結論といたしまして、私たちはこれはむげに否定することはし得ないと思うのでありますけれども、やはり法の改正に便乗したところの悪用というふうな弊害もないとは保しがたいと思うのであります。申し上げるまでもなく、こういう問題につきましては、單に法律を改正して上から天くだり的に寛大な措置を講ずるというふうな形において、いわば他力依存的な形において、自由な判断にまかすよりも、むしろ國民の自主的な建前からこうした産児調節の運動を展開して行く、いわば先ほど申さたように母性の保護とか、あるいはまた婦人の解放とか、その他そういうような観点からいたしまして、いわば特に若い御夫婦の國民運動として、公衆衛生院長の古屋氏が堤唱されておるような、いわば家族設計の問題として、自分たちが何人の子供に対して、どれだけの責任ある教養と、また成長に対する責任を果せるか、いうような観点に立つたそういう家庭そのものの家族設計という建前から、盛り上る國民運動としてこの問題を展開して行くというふうな要素を、多分に今後進めなくては、決して人口調整の問題が、ほんとうに文化國家の線に沿つた正しい健全なる運動として展開し得ないのじやないかということを感ずるのでありますが、そういう点について、政府として積極的な方途を有しておられるかどうかという点をまずお尋ねをいたしたいと思います。
○森本説明員 ただいまのお尋ねでございますが、実は相当の局長が参つておりませんし、私の方からお答えをしても、私自身詳細の点は存じておりませんので、この次の機会に担当局長から答弁をするということにしていただきたいと思います。
○中川委員 今人口調節、産児制限の問題が出ておるようでありますが、私ちよつと遅れましたので、はなはだ重複するかも知れませんが、ちよつとお尋ねしたいのであります。実は最近御承知のように避妊薬が非常にたくさん出ておるのであります。承るところによると、すでに厚生省において認可されたものだけでも三十幾種類あり、さらに引続いて大量の認可があるように伺つておるのでありますが、その認可を厚生省でされます場合に、この避妊薬を使用するのは医師の指導によらなければならぬという宣誓書を厚生省でとつておるということを伺つておるのでありますが、これは事実でありますか。——それではこのことをひとつ三木局長に十分にお打合をいただきまして、次の機会にお答えをいただきたいと思います。もしそうであるといたしまよすれば、御承知の上に今避妊薬は新聞に大々的廣告をしまして、そこらのどこの薬屋でも市販をいたしておるのであります。小さな子供が買いに行つてもすぐ賣つておるという実情なのであります。これはかつて京都のジフテリア問題に起りましたような責任が將來生ずるようなことになりはしないかということを私ども憂えておるのであります。それらの点について適切なる方法を講じていただきたい、このことをひとつ薬務局長にお傳えをいただいて、次の機会にこれに対する御答弁をいただきたいと思います。
○松谷委員 私は人口問題審議会の委員の構成の点につきましてお尋ねしたいのですが、この委員のお名前を拝見しておりますと、私どもには疑義が出て参ります。それは人口問題を考えます場合に忘れることのできない母体である女性がほとんどこの中に——あるいは男のような名前もあるかもしれませんが、私が常識的に見たところ、やはり女性は一人もおられないように拝見しておるのでありますが、特に女性を除かれたというところに当局としての一つの意見を持たれてなさつたのであるか、あるいはそこまでお氣がつかなかつたのであるか、その点お伺いしたいと思います。
○森本説明員 この委員の人選でございますが、実はこれを厚生省としてはある程度の推薦はしたかと思いますが、決定は全部内閣でさているのでありまして、あるいは話に聞きますところによりますと、こちらの希望した人が落ちるとか、あるいは内閣で適当と認められた人が入つたとか、そういうような事情もあつたようでありますが、大体において内閣で御決定になつたように承つておりますので、どういう御方針で御選定になりましたか、ちよつと私どもの方としてはお答えいたしかねます。
○松谷委員 それでは、厚生当局に責任がないというお話しでございますから、これ以上申してもしかたがないと思いますが、内閣であればなお私どもよく調査いたしまして、私どもとしても内閣の方に直接の依頼をいたしますが、なお当局としてもぜひひとつこれは女性の適当なる委員を推薦していただきたいと思います。私どもとしては半数に近いものを女性が占めてこそ、初めて正しい人口問題の審議もできるのではないかと思うのでありますから、適当な人選を特にお願いしたいと思います。
○森本説明員 この委員会には定数というのがございませんので、ただいまの御意見の点、なおわれわれの方からも連絡をして、そういう御意見の点も反映いたしたいと思います。
○堀川委員長 ほかに何か御質疑はありませんか。それでは次に昨日当局より説明を聴取いたしました社会保障制度に関する件を議題といたしまして、発言の通告がありますから、青柳委員に発言を許します。
○青柳委員 昨日御当局から社会保障制度の審議の経過につきましてわれわれ伺つたのであります。私社会保障制度審議会の中にありまして審議にあたつておる者といたしまして、この社会保障制度審議会でもつて行われる各種の論議、審議が非常にこの厚生委員会と密接な関係を持つておりまするゆえをもちまして、私から御報告する義務を感ずるものでございます。社会保障制度が完全にでき上りますには相当の日にちを要することは明らかであります。しかしながら荏苒その全部的な完成をまつのは、現在の日本の客観情勢から申しましていかがかと存ぜられるのであります。社会保障制度審議会におきましては、理想的な將來の完全な制度の確立を目ざして努力すると同時に、目の前にある問題も一つ一つ片づけて行こうというふうなことに相なつております。私の受持つております仕事は公的扶助に関する問題であります。大体社会保障と申しますと、すべでが保險でまかない得るというふうな謝つた考えが一般に行われておるのでありますが、私は公的扶助こそはいわゆる保障制度の相当重要な部分を占めるものと存じておるのであります。現在アメリカの調査團が日本に対して行いました勧告の中にもこういう文章があるのであります。いかなる社会保障計画においてもその基礎をなすものは公的扶助である。幸いにして日本國民は最も進歩した形として考えられる包括的な無差別な補助制度、すなわち生活保護制度をさすのでありますか、補助制度を有しておる。今後考慮せられる社会保障計画実現の際に、より廣範な基礎のもとにこの制度を取れることができるものである。こう勧告にもあるのであります。われわれはこの勧告の線に沿いまして、公的扶助の面において、ことに生活保障制度を中核として現在論議を進めております。この論議の中に行われました審議の内容、当局の答弁、並びにわれわれが簡單にきめられる問題をきめましたことにつきまして御報告を進めて行きたいと存じます。 まず第一に労働問題と生活保護について考えまして、現在まず第一に行われております賃金不拂い、遅拂いの場合、生活保護この関係はいかになるのかという点でございます。これは賃金が不拂いの場合に、その不拂いの期間が長くなるために生活保護を要するに至る場合には、ただちに生活保障を開始するということにきまつたのであります。しかしながらこの際にはその後において労働者が経営者から俸給を得た場合には、ただちにそれを返す、生活保護として與えられた金を返す、これは生活保護法にもございますが、そういうことに相なつております。 次に失業の場合であります。失業の場合には御存じのように失業保險で失業後六箇月の間失業手当が得られるのであります。しかしながらその後においてなお失業が続く、そうして生活困難と相なつた場合には、これはもちろん生活保護を開始するわけでございます。どのくらい失業の場合の生活保護費がいるかというような調査につきましては、日本の当局におきましてもいたしましたが、なかなか各府縣によりまして差別がありまして、結論を得られません。関係当局におきまして調べたものによりますと、現在の生活保護費の約一割ないし一割五分が必要であるということに相なつておるのであります。いずれにいたしましても、失業対策の最後を受持つものは生活保護制度でなければならないと思います。ここに弾力性を持つた廣い視野から行う生活保護の適用が必要と相なつて來ると存じておるのでありまして、このためには新しい対象者を漏らさないよう保護の徹底を期さなければなりませんし、このためには予算の増額を必要とするわけてございます。 労働問題の第三の点は爭議の場合であります。爭議が長期にわたつて生活が困難になつた場合、生活保護法といかなる関係になるのかという点であります。ストライキがあつた場合、これは働く能力はありますが、その意思がない場合であります。サボタージュの場合、これは働く能力はありまするが勤労を怠る場合であります。この二つの場合はいわゆる働かざる者は拂うべから、ノー・ワーク・ノー・ペイの原則並びにフェア・アープレーの原則から見まして、生活保護は問題にならないのであります。しかしながら資本家のロック・アウト、この場合は働く能力があり、意思もある場合であります。さらに工事の一部門、すなわち発電部門というような部門がストライキをすれば、他の部門の者は出勤しましたけれども稼動できないわけであります。これは働く能力も意思も持つ場合であります。この二つの場合になると問題は非常にむずかしく相なつて参ります。研究を進めておりますが、まだ結論に達しておりません。次にここで申し上げればならない点は、このいずれの場合を問わず、労働者の家族は生活保護の対象とすべきやいなやの問題でございます。イギリス、アメリカにおきましては、実際的に労働爭議のために家族が困つて、そうしてこれに生活保護を與えるというようなことは事実上現われて來ておりません。かかることは労働組合の恥辱とするからだそうであります。しかしながら法律的、理論的には英米におきましても相当この解決に苦しんでおります。英米の文献をあさつて、この結論を得るための参考にしよう思つております。現在研究中でありまして、これまた結論を得ておらないのであります。以上が労働爭議と申しますが、労働問題と生活保護の問題につきまして、公的扶助委員会におきまして考究いたしました経過でございます。 次に新たに日雇い労務省の問題が取上げられたのであります。去る第五國会におきまして日雇い労務省にも失業保險が適用されるに至りました。しかしこの日雇い労務省に対する失業保險ほ來る十一月一日から施行されることに相なります。しかも給付を受けるためには、その失業の前三箇月間に三十日稼働することが條件となつております。從いまして來年の一月一日から実際的には新しい失業保險の制度が日雇い労務省に行われることとなるのであります。それまでの間には今までのように日雇い労務省で失業のために生活困難に陥るものには、從前のように生活保險の規定が適用されるのでありますが、ここに日雇い労務省の多数は仕事のない日がすなわち失業であります。從いまして仕事のない日にただちに生活保護を行うという制度が考えられつつあります。從前から日雇い労務者の調査を行つておいて、そうして仕事のない日には從前と違つて——從前の生活保護費は月によつて拂われていたのでありますが、日によつて拂われる生活保護の支拂い方法が考えられるのであります。この点は御当局において考究中でありまして、早晩実現する見込みでございます。以上が日雇い労務者の問題であります。 次に引揚者の保護の問題であります。いろいろの問題がございますが、この問題につきましては現在生活保護を受けておる家庭に引揚者が帰つて來た場合、並びに現在生活保護を受けておりませんが、いわゆるボーダー・ラインにある家庭に引揚者が帰つて來た場合には、ただちに生活保護を行うという手がすでに御当局によつて打たれているのであります。要するに各種の労働問題、引揚者対策等に生活保護の対象は増加する一方でありまして、本年中においても予算の増加が必要である現状でございます。 さらにここに御報告しなければならない大きい問題がございます。それは公的扶助委員会といたしましては、現在の生活保護制度をある程度改正いたしまして、実質的にはそれを脱皮した——言葉は強いのでありますが、最低生活を保障する制度を打立てたいというので研究を進めておるのであります。昨日も御報告がありましたように、現在の生活保護制度のうちの生活の扶助において飲食費の占める部分は八二%あるいは八三%ということになつておりますが、これをせめて七〇%程度に引上げようという御当局の御意向のようでもあります。またわれわれもその線に沿いましてそれを從前から熱望しているものでありまして、飲食費の占める部分を少くすることによつて、生活保護制度を充実するという方向に進みたいと協議を重ねております。なおこの問題につきましてはいろいろな考慮がございます。働く能力を持ち、働く意思を持つ者に対してはそういう程度のものを行い、働く意思も能力もない者についてはそれより下の食うだけのことでいいのではないかという論議も現在行われております。また現在の生活保護制度におきましては、保護費の支給は権利としては認められておりません。法的の反射利益として認められているにすぎないのでありますが、これを憲法の第二十五條にこたえまして、権利として認めるような法制にしたい。さらに保護の実施を積極的ならしめる、いわゆるボーダー・ラインにある人が生活困難な階級に落ち込むことを防止するように、すなわち防貧措置を効果的に行うようにボーダー・ラインにある人をこの制度の中に入れるようにいたしたいというような問題もございます。また現在の保護費に関しまして、府縣、市町村がおのおの一割の負担をいたしているが、この負担は地方に過重に失しているのではないか。これがこの制度の円滑なる実施に対する障害をなしている模様でもあるから、少くともそれを半分の五%ずつとしてはどうか。また現在市町村におきまして、また府縣におきまして、この法の施行に要する費用についても少くとも國家が二分の一は負担すべきである。さらにまた民主委員制度、保護施設についても種々考慮せられておるのであります。こういう問題は明後日から行われまする社会保障制度審議会において取上げられまして、でき得れば要綱をきめて、國会において立法をお願いしたいという氣持でおるのでございます。 以上申し上げましたのは生活保護制度の改悪並びにその脱皮した新しい制度の確立に関する問題でございますが、さらにそのほかに未亡人のみの母子福祉の問題並びに身体障害者の福祉の問題につきまして御当局から種々意見を聞いております。これらは國民生活上焦眉の重大問題でありまして、急速な実現を期したという意向に相なつておるのでございます。 さらにもう一つ御報告すべき問題はアメリカの見返り物資によりまして、從前は日本の食の問題が相当解決せられております。これがよい方向に向いつつありますので、次いでこの見返り物資による住の部面を解決してはどうかという考えがございまして、この問題につきましては増田官房長官からはつきりと住の問題は実は見返り物資の中に入つておると思う、そういう話もございました。さすればわれわれのいつも心配しております母子寮の問題もこれによつて解決いたしたいというふうなことも考えておるのでございます。 以上申し上げましたのが、公的扶肋委員会におきまする今までの大体の審議の模樣でございます。すべてこの委員会と非常に密接な関係を持つものであり、ことに参議院におかれては社会保障制度審議会のあとにただちに厚生委員会を開いてその報告を受け、厚生委員として審議を進めておられるような状態であります。これは昨日お話があつたと思いますが、そのほかの委員会の問題として具体的に大きく取上げられております問題は、すべての健康保險におきまして給付費の一割をこの際保險経済の危機を乘り越すために、國庫より補助を受けたいということが具体的に相なつております。もちろんこれは將來社会保障制度が完全に実現された場合には、國庫の負担が給付費についても行われることは当然でございまして、その第一歩として考えられる問題と思うのでございます。以上私社会保障制度審議会に席を置いております関係上、また問題の内容が直接厚生委員会に非常に密接な関係を持つております関係上、御報告を申し上げまして、今後の御審議の参考にしたいと思つて発言いたした次第であります。
○堀川委員長 青柳委員の御発言に対しまして、いろいろ中間報告をいただきましてありがとうございました。感謝いたします。それにつきまして何か御相談でもあれば……
○松谷委員 ちよつとお尋ねしておきたいと思いますのは、初めに御報告のありました賃金不拂いの場合には、生活保護法の適用を受けられるという大体の御審議があつたように承りましたが、その際に不拂いの期間が相当長期にわたる場合という御説明でございましたが、この長期というのは一体どのくらいのお考えで御審議をお進めになつておられたのでありましようか。何かそうした具体的な期間の御決定でもございましたものでしようか。あるいはまたこれが適当であるかどうかという決定はやはり民生委員にまかされるのでありましようか。決定者と期間についてなお伺わせていただきたいと思います。
○青柳委員 ただいまの問題は、別に不拂いから何箇月たつてからというふうな期間をきめたわけではございません。從前行われております生活保護法の実施方法と同じように、不拂いの期間が長く過ぎたがために、民生委員の認定によりまして、いよいよこれでは生活保護を開始すべきであるというふうに相なつた場合に開始する、こういうことでざいます。
○岡(良)委員 保險局長がおられましたら少しお尋ねしたいことがあつたのでございますが、内輪同士でまことに青柳委員には恐縮でございますが、ただいまの御発言に関連いたしまして二、三お尋ねしたいと思いますが、よろしゆうございますか。
○堀川委員長 よろしゆございます。
○岡(良)委員 実は昨日私どもの手元にいただきました社会保障制度に関する審議会からの政府への勧告は私どもも全面的に賛成でございます。ただ一点まことに氣がかりな点がありますので、その点審議会の動向がどうであつたかという点を青柳さんからさしつかえがなければ明らかにしていただきたいと思います。それは要するに保險財政が赤字であつたから緊急措置として政府が医療給付の一割を負担しろ、こういう表現があるのであります。社会保障制度に対する政府支出というものはこれはもう赤字といえば赤字にきまつているのです。これを収支相償おうとするようなやり方自身が、社会保障制度の本質から見て、いささかどうかと私どもは思つておるのでありますが、にもかかわらず緊急なる措置として、保險財政が赤字であるが、保險給付を拘束したり、あるいは料率を引上げるということは現状からしておもしろくないから、緊急やむを得ないから政府の支出にまとう、こういうような考え方で審議会が社会保障制度を立てようという行き方では、私どもの期待するような社会保障制度はできないのじやないかという考え方を持つておるのでございます。社会保障制度を実現するという以上に、数字の上に現われた直後に反対給付が生れて來るようなそういう考え方における赤字、黒字ということは論外といたしまして、憲法の規定に明示するように、健康で文化的な生活を政府の責任においてやられるという大きな建前から、審議会といたしましては堂々と権威を持つた保險制度がしかるべきであるという意味において、今度の勧告における緊急やむを得ないということについての表現とその理由については、私どももいささか異議を感ずるのでありますが、こういう事情につきましての審議会の時間について承ることができれば伺いたいと思います。
○青柳委員 岡委員のおつしやることいかにも御同感でございます。私自身として個人の意見は持つておりますが、ただいま岡委員の述べられましたように緊急に現在の保險財政を乗り切るために、医療給付に國庫から一割を出せというふうに相なつておるのであります。ただ問題は社会保障制度におきまして何割のものを國庫が負担すべきかということは、理論的な結論が現在出ておらないのでございます。これを理論づけるには非常な長期を要するものと存ぜられるのでありまして、実際的な面におきまして現在の保險財政が苦しい、一割だけ出してもらえればこの際これを乗り切れるという氣持が大きく働きまして、あのような決議に相成つたものと私は感じております。ただしかし社会保障制度におきましては國庫の負担が給付の内容に及ぶべきは当然でありまして、ただいま岡委員の仰せられましたように、社会保障の本質として國庫の補助があるべきであるという考え方は、この勧告案の裏面に流れておるものであります。ただ表面に現われましたのは一割がいいか、何割がいいかという理論的な根拠についての決定がまだございませんために、かくのごとくただ一時のがれというふうなかつこうに相なつたものと私は感じておる次第であります。
○床次委員 ただいまに関連してひとつ伺わしていただきたいと思うのでございます。実は保險制度の改正につきましては過般の國会におきまして改正案が出まして、一部負担金、被保險者の負担、並びに保險料の値上げという問題が、解決したつもりで私どもおつたわけであります。しかし日ならずしてここに理由書に書いてありますが、顕著なる利用増加、それによつて収支の均衡を失し、また最近の経済事情も一つの理由にあげてあるようでありますが、ほんのわずかの時間の経過によつて、かかる大きな財政上の赤字がすぐ出て來るということは、私政府の立場から申し上げましてはなはだ遺憾に思います。実はこれを青柳委員に伺うことははなはだ恐縮だと思いますが、政府がどういう理由をもちましてかかる赤字の支出面を出しておつたか、おわかりであれば御説明いただきたい。もしあるいは政府委員の方から直接承れますれば、その事情をむしろ政府委員の方から承つてもよいと思います。
○青柳委員 非常に詳しい貸料をもらいましたが、実はここに持つておりませんし、記憶にございません。あの当時の政府の見通しが実際においては相当少かつたということは仰せの通りであろうと思いますが、その数学的根拠につきましては保險局長からひとつお答えを願うようにいたしたいと思います。
○床次委員 ただいまの問題、政府の方から正式に御答弁いただくようにおはからい願います。
○堀川委員長 保險局長が來ましたら……
○青柳委員 ただいまの問題に関連しまして、実はわれわれの手元に身体傷害者の福祉法並びに母子福祉法案というようなものが御当局から参考として出ておるのでありますが、機会を見ましてぜひ当局の話を聞きまして、厚生委員会といたしましても考えを進めておかれる必要があるのではなかろうかと存じますが、適当におとりはからいを願いたいと存じます。
○堀川委員長 理事会をあつさてやりますから、それにひとつ議題として載せて御相談したらどうかと思います。
○青柳委員 本日実は午後からほかの会合——例の母子福祉連盟で衆参両院の厚生委員の方のお集まりがありますが、参議院の方がいろいろこの問題についてきのうから論議を重ねられております。私個人の考えでありましてはなはだ恐縮でありますが、速記の方は十二時でおしまいになりますから、ここで一時間でも二時間でも非公式に説明を聞かれたらどうかと存じます。
○堀川委員長 お諮りいたしますが、今青柳委員が言われたこの問題について、いろいろ御相談的に当局から説明を聞いたらどうか。こういうお話であるのであしますが、御承知のように速記は午前中で中止いたしますので速記はなしに委員会の形式で、あるいは形式でなくてもいろいろ当局からお聞き願つたらどうかと思いますが、いかがなものでございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀川委員長 それではさようにいたします。 —————————————
○堀川委員長 次に引揚援護に関する件を議題といたします。まず宮崎援護廳次官から、このごろいろいろな問題も起きておりますので、最近の事情を一應御説明願つたらどうかと思います。
○宮崎説明員 私ほ先般保險局長から引揚援護廳の次長に轉任いたしましたので、よろしくお願いいたします。 最近の復員者の状況について申し上げたいと思いますが、去る六月二十七日高砂丸を第一船といたしまして舞鶴に入港いたしました引揚船は今日までに十六隻ございまして、引揚者の総数は三万二千名になつているわけでございます。そのうち一般邦人が二百五十六名になつておるのでございます。これらの引揚者につきまして引揚船中、あるいは引揚列車輸送中に起りました各種の事件については、すでに新聞、ラジオ等で放送された通りでございますが、第一次の引揚以來、最近までの引揚者は從來の引揚者と違いました態度あるいは行動をとつて参つたのでございますが、それらのことにつきましてはいろいろできるだけの援護対策を講じまして、引揚者たちが四箇年間におきましていろいろ日本の事情を知らないで、考えておられました事項等につきましてなるべく間違つたことのないようにいたしたいと思いまして、引揚援護廳及び地方廳といたしまして種々援護対策を講じて参つたのであります。私どもといたしましては引揚者ができるだけすみやかに、しかも秩序正しく故郷に帰つてもらいたい。そうして故郷で家族なりあるいは親族なり知人などから日本の事情をよく聞いて知り、帰りました人たちが平和に日本再建のために努力するようにしてもらいたい。こういう趣旨で今まで引揚援護の仕事をいたして参つたのでございます。その後先般出ましたあのポツダム政令が政府より公布に相なりました。從來復員者は上陸いたしまして舞鶴の援護局で復員が終りまして、あとは一般市民として引揚列車に乗つて故郷に帰るということで取扱つて参つたのでございますけれども、あのポツダム政令によりまして引揚者は故郷まで復員は完了しないで、未復員の姿で故郷に帰つて來て、故郷に帰りましてから復員する、こういうことにいたしまして引揚者たちがすみやかに、しかも秩序正しく故郷に帰りまして、数年間待ちわびているところの故郷の人たちと会い得るようにいたしたい、そうしてその人たちが平穏裡に帰つて日本の平和活動に努力をするようにいたしたいという意味でポツダム政令が、発せられたのでございますが、ポツダム政令以後の船といたしまして八月十二日の信濃丸による引揚者が最初であつたのでありますが、それから以後は実は静粛ででありまして、引揚者たちは完全に故郷に穏やかに帰つている状態でございます。その間におきまして外部からの問題で一、二の事故は起りましたけれども、ポツダム政令公布後は引揚者たちの行動及びその態度は実に穏やかな状態でございます。 そこでどういうことをいたしておるかと申しますと、引揚者は終戦に帰りましてそれぞれ管轄の地方廳に出頭いたしまして、復員の最終手続きをするようになつておるのでございますが、断片的に聞きましたその引揚者たちの出頭いたした場合における状態から概要を申し上げたいと思います。引揚者のけとんど全員がこの復員の最終手段をとるために地方廳に参りました場合、係の者が懇切に話をいたしますと、復員手続きや状況不明者の調査等についてによく理解をいたしまして、誠意をもつて協力する者が大部分であしまして、協力の程度も従來に比しまして大した遜色がないのであります。ただしかし一部の者の中には、依然として協力をすると反ソ的になるからといつて、協力しない者もあるのであります。ことしの特有の現象といたしまして、家族が付添つて府縣廳へ出頭する者、あるいは父兄が本人にかわりまして出頭する者がありますことと、留守中係官から家族に対しましてなされました配慮について謝辞を述べる者が増加して参つたのであります。それから配里に帰りましてから後の安定のかぎは就職問題の解決でございますが、これについてはまだ全國的に集計されておりません。一、二の例を申し上げますと、神奈川縣の職業安定研の報告では、七月の二十五日まに求職申込七十三名のうち、二十二名が就職しております。また埼玉縣の調べでは、七月二十五日までに引揚者が百四十八名でございますが、そのうち六十八名が就職いたしておりまして、前の職にもどる率の悪いの会社從業員。特に事務員、商業を営んでいた者などが悪い状況でございます。これを要しまするに、引揚者が内地到着の当時異常の心理にありますことは、容易に推察できるところでございまして、その言動についても、とかくの論があるのでありますが、大部分の人々が郷里に帰りました後に落ちつきをとりもどしまして、かつ指導よろしきを得ますると、日本國再建の意欲に燃えていることは事実でございまして、就職あつせんその他、その上ともあたたかい配慮が必要であろうと思うのでございます。会社によりましては引揚者全部を復職させる旨申出をしておられるところもあるのであります。帰郷途中のいろいろな事象から一種の危惧の念を捨て得ない者もあるようでありますが、縣の係官がこれらの会社に出向きまして、実情を説明いたしまして、復職に努力している実例も聞いておるのであります。社会の十分な理解をお願いしたいと存じておるのでありまして、近ごろの引揚者の就職等について支障のないようにいたしたいということで、労働省とも連絡をとりまして力をいたしてある次第でございます。なお函館に引揚げました人々はきわめて平穏でございまして、舞鶴に引揚げられた人々の輸送途中の問題のようなごときのものは全然起つていないことを申し上げておく次第でございます。
○堤委員 私は海外同胞の方の委員もいたしておりますので、四回ほど舞鶴の方に参つております。あの援護廳の中の様子も明優丸の様子も私のこの目ですつかり見て來た実は一人でございますが、大体におきまして海外同胞の方の委員会の働きが低調でございまして、私は委員の一人として非常に不満に思つております。ここで次長になられましたところの宮崎さんに、これは相当峻烈な言葉かもしれないのでございますが、新しく入られましたことでございますからひとつ聞いていただきたい。 実はあそこに参ります参議院、衆議院の議員というものは大体非常に賣名的でありまして、これは議員自体としては反省する必要があると私は思います。ほんとうに誠意をもつてやるのではなく、自分の名を賣ろうとか、これにこじつけてどうのこうのしようとかいうことが多分にあるものでございますから、援護廳の方でもきらわれる理由が多分にあるのでございます。衆参両院の議員があそこに出入りすることは、あまり好まないのじやないかという空氣を私たち感じましたので、ひとつこの点考えていただきたい。 それから引揚者並びに今までの引揚げにずいぶん民主的な團体などをつくつて、引揚げのために熱心に自主的な活動をして來た人たちの不平が非常にあの援護廳に対して多い。なぜならばもちろんあの人たちは司令部の管轄下にありますので、一挙手一投足といえども、援護廳次長以下出入りも自由にならない。般で連絡もいけないというような申釈をされますけれども、もう少し誠意をもつて司令部に当つてもらつて、あの援護局自体といえども、一般に近寄せて解放すべきじやないかという声が多い。 それから本省から派遣された方があります。文部省からも行つていらつしやいますし、それから厚生省からも行つておりますが、その部局に應じて役人が行つておるのでありますが、その役人の態度が実に誠意を欠いた態度が多いということで、これは引揚者がすねてみたり、反感的なものの考え方を持つりておりますと、自然三百六十五日これに対しておりますと、不平不満があるということはわかりますけれども、しかしさらにもう一層自身を持つて仕事をしてもらわなければならないのではないかということが多分にございます。たとえば新憲法の解釈を文部省の役人がいたしましても、それを追つて、引揚者の中から今の説明はよくわからない。さらにこれはどうだ、これはそうだと質問をしようとしましても、文部省の役人の方々は私の権限はここで説明するところまでで、これ以上の質問はお受けすることができないと言つて引下つてしまう。ぎりぎりの権利義務のところまでしか果さなで、誠意のある、しかも信念のある一つの省の役人の態度かどうか、非常に疑わしい事実を見ました。私は中を歩いて、その態度を見まして、それをつつつこうとか、文句を言おうとかいうのでありませんが、特にそういう人が出てもしかたがないのじやないかと思つております。こちらから派遣なさる官公吏の方々は、徹底的な教育をされまして、單なる説明のできる者でなしに、もつと誠意ある社会事業的な精神を持つた官公吏を送つていただかなければ、今後いろいろな問題が起るのじやないか。 それからあの中に職業安定所を設けておりますが、これは労働省の管轄に入るのかもしれないのでございますが、復員後の職業あつせん、就職後の状況のデーターが少しも出しておりません。ああいうようにぼつとした職業の安定事務所の機関を持つて行つても私は何にもならないと思う。ただ盲目的にすわつておる——という言葉はひどいかもしれませんが、そういう感じを受けております。たとえば今年の引揚者の何パーセントがこうなつて、さらに就職率は何パーセントで、失業が畿らというようにはつきりしたものを示して、徹底した相談所にして持つて参らなければいけないと思います。この中で一番大きな問題は収容所に入りまして、すき焼きを食べてくれ、DDTをまいてくれ、風呂に入つてくれと言うのもけつこうでございますが、こんな問題よりあの人たちが、これから食つていけるかどうか、この後をどうするのかという氣分が多分にございますが、これは政府の攻撃になると思いますか、何ら政府の手が少しも届いていないところが多分にございます。私は生活面から行かなければならぬと思つております。労働省ともつと密接な連繋をとつて、帰つてからの就職あつせんの状況、就職状況をはつきりしてもらわなければならない。これは大きな今後の社会問題だと思いますから、これはぜひやつていただきたい。 もう一つは各府縣にある世話課の問題でございますが、一人、二人があそこへ派遣になつておりまして、経費も非常に少くて、思う通りに行かない。たとえば引揚船が入つて、上陸だというのに、たつた二人しか來ていないので、てんてこ舞いで、あちらの棟とこちらの棟を行きつもどりつして、ほんとうのおせわができないというので、各府縣の世話係、出張員が全部こぼしております。これは私非常に残念だと思います。政府が何も手を出さないので、府縣の世話係がそれを引受けて府縣廳が始末をしなければならない。あの世話係がせめて四五人派遣されるような予算をどうしてまわせないのかということを、私議員として非常にふしぎに思つております。これは世話係の派遣の問題でございますが、さらに舞鶴駅の國鉄の労組の方々と懇談会をして参りましたが、引揚列車編成について、舞鶴駅の予算は一文ももらえないというところの告げがございました。私ども実際に、引揚列車に乗せないというのを、司令部に交渉いたしまして、私と中山さんが第一船の引揚列車に乗りましたが、事実ボーイが二人しか乗れない、最近のごときは、舞鶴から綾部までの間一時間でありますが、その間六百通の電報を取扱つている。それに車掌が一人しか乗り込めない。なぜ乗り込めないかというと、予算がないから、何ならば中途で帰つて來いというようなことで、実にけしからぬ、一文ももらえないというような話を、駅の幹部以下國鉄労組の方々が言つている。あの山陰線は非常な犠牲を拂つて引揚列車を夜晝なしにやつているが、予算をもらえない。この予算の関係につきましては、第一収容所にあてられておりますところの舞鶴の國立病院からもこうした訴えがある。たとえば平素は少い人間でどうにかまかなつておつても、どつと病院船の入つたようなときには人数がふえる。そのときに看護婦の應援すら來てもらえない場合がある。いざというときにはやつてやるから、やつてやるからといつておきながら、いざというときの前の日になつて、予算の関係で送れないということで、実はふらふらになつて、寝ずに、しかもお金がないので看護婦の血をとつて輸血をして看病をしているという訴えが、私たちが看護婦だけでなしに、あそこの從業員全部を含めた方々と懇談会を持ちましたときに、私たちに対する声がありました。私は高砂丸が病院船として入つて参りまして、三百三十二名下りましたときに、國立病院へ行つて見ました。事実力のない看護婦があの担架に乗つているところの病人を——あのときは数が少うございまして、わずかに担架に乗つた者は百人かと思いましたけれども、看護婦か実際汗にまみれて大の男が乗つたところの担架を運んでいるところを見ると、ほんとうにどうにもならないこの瞬間だけでも、もう少し人夫を増すとか、何とかするところの予算が何とかならないだろうかという疑問を私抱いて帰つて、あの人たちの私たちに対する声が、まんざらうそでないというところを、実は見て來たつもりなんでございますが、こうした点、もう少し援護廳自体、末端の手足になつて働いている人たちのところへ日を通していただきたいということであります。厚生大臣がお見えになりましても、援護廳から偉いお方がお見えになつても、衆参両院議員がお見えになつても、忙しいからと言つて、すぐ帰つて行くというのが実態であつて、こうしたわれわれの声を聞いてもらうというのは、舞鶴の國鉄についても、舞鶴の國立病院についても、堤さんや中山さ んに聞いてもらうのが初めてだということを非常に申しておりました。もう少し厚生省、労務省、援護廳あたりが密接な連繋をおとりになつて、せつかく引揚げの予算はまつ先にとつてあるのでございますから、もう少し上手なまわし方をしていただけないものか。私はこの点次長さんに、新たな角度からメスを入れていただきたいと思います。 それから最後に申し上げておきたいのは、あそこの援護廳の職員でございますが、援護が済んでしまえば私たちは失意者の群れに入るのであるという観念が非常に強うございしまて、これに対しましては、個人的にも私たちにもずいぶん話しかけられますけれども、これは一つの大きな問題でざいますので、また個人的に取上げるということなひとつ援護廳自体の今後の問題として取上げらるべきでございまするので、私は御返答も何もいたしておりませんが、事実腰が浮いておりますので、非常にあの方々、從業員たちの心理状態が引揚げの日々の事業に影響していることが大きいということをひとつくみとつていただきまして、一生懸命にやつているが、沖では引揚者が言うことを聞かないし、私たちが氣が短こうたつてもむりはないという反発があるのは当然でございますけれども、引揚援護のために私たちの今までとつて來たところの労苦というものの実を結ばせるのは、やはり引揚げて來た人たちに対するそのときのもてなしであり、最後まで送り届けるというところにあるのでございますから、ひとつこの点援護廳の從業員方々をもう一度督励していただくなり、御忠告いたしていただくなりして、そうしたところの態度が引揚げて來た人たち、留守家族の人たちに見えないように、やはり忠実にやつてもらうように申し上げていただきたい。はなはだ私は何だか小づらにくいことを申したようでありますけれども、私は誠心誠意舞鶴に出て、旅費をもらわないであそこで四回ばかり見ておりますので、少々他の委員よしりは自身があるつもりであります。今後もまた寸暇をさいて、一晩でも行けましたら行くつもりでございますので、これは個人の意見としてではなく、正式に聞いておいていただきたいと思います。
○宮崎説明員 ただいま堤委員から御熱心な御意見を拝聽いたしまして、まことにありがたく存ずるものでございます。決して議員の方々を歓迎しないということではないのであります。ただ援護局といたしまして引揚者が次ぎ次ぎと参りますことと、現地のああいう状態でございますので、いろい奔命に疲れまして、議員の方々に御無礼な点などがあつたのではないかと思つております。それから職員の、援護廳及びその管轄部局が、業務を終つて解散になる際において失業者等の問題が起るということによるいろいろな動揺等もあろうかと存じますが、それらにつきましては、私ども全力を盡して何とかいたしたいと思つております。それから向うへ出ております各省の役人の態度、あるいは國鉄の方々に対する問題、國立病院等に対する問題等につきましては、よく連絡を密にいたしまして、援護廳としてできまする点は十分盡したいと思つております。私も近く舞鶴へ参りまして、よく実情を聞き、またよく話合いをつけて参りたい、こういうふうに思つておるのでございます。 それから府縣から参つております世話係の方々に対する予算の問題でございますが、これは会大藏省と折衝中でございまして、大藏省におかれましても、引揚者の現状から見まして、好意ある態度でおられますので、近く何とかなるものと私どもは思つて、やつておる次第でございます。今後もよろしくお願いいたします。
○堤委員 ただいま私が衆参両院議員が援護局へ参りましたときに、きらわれるようなところがあると申しますのは、これに私今度海外同胞引揚特別委員会が召集されましたら、正式に発言したいと思つておりますが、大体代議士自体が根本的にあそこに二、三くらいずつ詰めて、あそこであそこの状態をはつきりとつかむのが大体でございます。実にだらしのない代議士が多うございまして、初だけ、新聞に出る間だけは、十人も十五人もわんさと詰めかけておきながら、今ごろになればだれ一人行かないというようなそんな海外同胞引揚特別委員会ならば、私はあつてもなくてもいいと実は思つておるのでありまして、しかも行きましたところの委員があそこでいばり倒して、部局長連中は私のそばについて一一説明をしろ——私は申し上げたのです。あなた方のお客様は向こうから帰つて來る人が大体で、衆議院議員が來ようと、参議院議員が來ようと、大臣が來ようとそれはお客様に入らないのだから、そうしたおもてなしは私は不必要だと思うということを申し上げておきましたので、その点はこちらの衆参両院の方々に御反省を願つて、もつと誠意ある、代議士としての責任、たとえばわれわれがとつた予算はどういうふうに動いているかというような実態をつかもうと思うならば、やはりかわるがわるあの舞鶴に詰めておらなければわからないところでございます。そしてそれを総合した意見でもつて今後の引揚げに大いに改めるべきは改めるという手を講じなければならないのでございまして、こちら自体も反省しなければなりませんけれども、何分私たちは引揚委員として正式に参りましたからにに、向うの方ではやはり快く、ついてまわつてもらわなくても、十分見て帰つて、むしろ逆にわれわれを應援してくれという態度に向うがお出になるのががあたりまえではないかといふうに思つております。 それから変なことをお尋ねしますが、宮崎さんは何回ぐらい舞鶴においでになつたか私存じ上げませんけれども、本省からおいでになつている援護廳の方々も、割合と私に少いように思います。これは予算の関係があつて、私たちの委員の派遣につきましても、自前で行かなければならないというのと同じでございますけれども、しかしやり方によつてはそんなに一日何千円も旅費を使わなくても、私なんか知合いの家にとめなさいと強力に言つて、旅費をもらわないでやつておりますが、そうしたある程度の努力をしても、やはり任にある以上は、もう少し援護廳当局の方からも詰めていただくのがほんとうではないか。御答弁がございませんでしたけれども、就職の問題についても、しつかりしたデーターをおとりになつて根本的にやつたいただきたい、もう一度お願いいたします。
○宮崎説明員 援護廳から舞鶴に参りますことについては、長官もしばしば出ておりますし、先般も援護局長と復員の事務官とがやはり参りまして、いろいろ話をして、また近く明後日は舞鶴の人を呼び、また全國の各課長を呼んで、この問題について打合わせをいたすつもりであります。それから政令の関係で、船が入りますことに援護廳から多数の職員が出て、向うでいろいろ仕事をして列車に乗りまして、引揚者とともに各地へ帰るという形になつておりますので、援護廳関係の職員は、従來よりも頻繁に舞鶴に参つておるということを申し上げておきます。
○岡(良)委員 今度公布になりました政令の実際の運用について少しお尋ねいたしたい。私も引揚げ第一船の高砂丸の場合には舞鶴へたまたま行つて出迎えたのでありますが、当時の簡單な事情を御報告申し上げますと、大体百二、三十人が一隊となつて棧橋を上るのですが、若い二十代の指導者が指導している部隊は婦人團体や小学生の歓迎には見向きもしない。そうかと思うと、四十がらみの者が指導している團体では、棧橋を出て内地の土を踏むと、私どもにおかげさまで帰りましたこ言つて泣いて喜んでいる状況を私どもは見たのであります。私どもは御存じのように、二十数年來心理学を専攻しておる立場から、多少行き過ぎた観察をいたすかもしれませんが、そういう状況を見ますると、少数の指導によつて、一箇の部隊が右にも左にも動くような、きわめて不安定な状況がこれらの部隊の中に流れていることを私どもは認めざるを得なかつたのであります。第二にはアカハタの歌を声高く歌つた。しかしあのリズムにも、歌の文句にも表情が動いていないということであります。これは長く思想や行動の自由を束縛された立場に人間が置かれると、ともすれば陥るところの一つの心理的な傾向であります。要すに面のような表情を私どもは見受けまして、そこにこの人たちのかつての生活が、思想の上においても、行動の上においても、非常に不自由であつたことをしみじみ感じました。從つてこういう方々をお迎えするには、まず第一に國民が冷静を持することが根本ではないかということを感じたのであります。この政令が出るまでの出仰えの状況を見ますと、赤旗を立てて留守家族を引離すというような、常識では考ええられないことをやつておりましたが、今度政令が出ましてからは、警察官が日本は警察國家であるという行き過ぎたやり方をやつている。私どもも抑留の経驗がありますが、盲さじきに追い込められていろいろと教育を受けますならば、ああなることは当然なのでありますから、この人たちが一日も早く自主的な判断力を取返して、新しい將來への第一歩を踏み出せるために、從來の赤旗や警察の非常識な態度や、縣の代表、市の代表のまつたく形式一点張りのあいさつよりも、引揚促進團体なり援護團体なりの献身的な熱情を、引揚第一歩の機会において十分に示してやることもやはり汚慮しなければならないと思いますが、今度の政令では、四角四面に考えるとこういうことはできないことである、あるいはまた留守家族の場合でも、自分たちの身寄りの者がいるかいないか聞きたいと思つて、列車の窓口にたくさん群がつているが、これも認可がなければ入れないということで阻止されている。前にに留守家族は赤旗で阻止され、今度は留守家族は政令で阻止されるという状態になつている。これは百六十万の留守家族にとつては非常に手痛い心理的な苦痛だと思います。從つて明後日の課長の会同にはこういう点を十分考慮せられまして、何とかもう少し冷靜を持して、人情のこもつた歓迎方法を政府としてお考えにならなければ、これではまつたく賣り言葉に買い言葉で、私どもとしては実に非常識なやり方ではないかと考えております。そういう点について宮崎さんの御所見を承りたいと思います。
○宮崎説明員 ただいま岡委員からのお話につきまして、私どもとしてはあたたかい心持で引揚者を迎えるということでどこまでも参りたいのでございます。政令公布までの状態を見ますと、かなり各地にいろいろ問題を起してつたのであります。そこで政令公布直後といたしまして、引揚者たちがあやまつてこの政令による処罰を受けるようなことがあつては、数年間待ちわびておりました家族の人たちに非常な悲しみを與えるであろうという意味で、政令違反の事態が起らないように措置をとりたいという考え方から、警察等が特に多く出ておつたものであると思いますが、政令公布以後において静粛なる状態で帰り得るようになりますと、警察方面の問題もかわつて参ることであろうと思います。でありますから留守家族の出迎えについては極力將励したい氣持でおります。ただ留守家族そのものを調べませんと、また政令に触れる点なども起りますので、証明その他の方法を講じておりますが、なるべく留守家族がなごやかな氣持で引揚者と会つて帰られるような措置をとりたい、こういうことについては岡委員の御意見と私どもは同じ氣持でおりますので、明後日の会議等につきましては、その点十分打合せをいたしたいと存じております。
○岡良委員 どうか今度京都の駅頭における出迎えにつきましては、これまで四年一日のごとく引揚げ促進のたに努力しておつた促進連盟のまじめな方々、いわば縣としてもこの人ならばと思う方々は、やはり歓迎の辞の一言も申し述べる機会を與えてやるように課長会議にはひとつ御主張願つておきたいことと、いま一つは留守家族の問題は、ただいまのお話で私どももまことに喜んでおりますが、ぜひともひとつそういうふうにおはからいを願いたいと思います。 それからなお引揚げの問題につきまして二、三点この機会にお尋ねいたしたいと思います。主として大藏省関係のことでもありますし、引揚促進対策委員会の議題にもなろうかと思いますが、この機会にお尋ねいたします。第一点は、現在の未復員者給與法による給與の額が月百円ということになつております。從いまして四年間向うに滯在いたしましても、手取りが四千八百円ということになつております。これくらいのお金では、はるばる故郷に帰ればやはり何かと物いりがありますので、そう続くものではありません。この百円というのは、一体何を基準にして百円とおきめになつたかということ、いま一つは、この百円では、そういう事情で引揚者もなかなか困つておりますが、これを引上げることについて厚生省としては特別な具体的なお考えはたいか。あるいはまたそういう問題について大藏省等と御交渉にたつた経緯はないかという点を、第一点としてお尋ねいたしたいと思います。 それから引揚者に対する免税の措置でありますが、私は引揚者についてはその所持金の免税について考慮しようということは、前國会において政府の意思表示があつたということを聞いておるのでありますが、現在それが実施されておらないのでございます。御承知のように引揚者が帰つて参りましても、何分なれない第一歩の仕事でございますので、やはり再生産のための資金は一般業者に比べれば余分に必要と認めるのでありますが、そういう点から引揚者に対するある所得額以上における免税措置というようなものが講ぜられないものか。また國会等においてそういう意思表示があつたとすれば、何とかこの機会にそういうことを実施していただけないかという点をお伺いしたい。 次には引揚者の更生資金の問題でありますが、最近國民金融公庫もできまして、七千円が一万五千円に引上げられておりますけれども、一万五千円では、現在の実情ではなかなか更生資金としては不十分であります。引揚者の方面ではこれを三万円に増額してくれいうような要求を出しておるのであります。從いまして引揚者にまわすところの金融公庫の資金のわくを、もう少し大巾に引上げろという要求も、これは第五國会においても委員の中から出ておるのでありますが、その間の消息につきまして、政府としてはどういうお考えを持つておるかという点を承りたいのであります。と同時に、一万五千円では個人の事業資金としては足りないというので、数十名の引揚者が共同してこの事業を行うという計画が各地で行われておるようであります。ところがこれが共同で貸付を受けるということについても、なかなかまだ全体のわくにおける制限がありまして、困難になつておる。こういう点を、わくをはずしてその事業について、見るところの者が見て、有望であると思うならば、こうした制限を除外して貸してやつた方が、かえつて引揚者も恵まれるのではないかというようなことを考えますので、この点をお伺いいたしたいと思います。 その次には金融公庫が金を貸し出しますには、非常にめんどうな調査をいたします。何しろ引揚げて來たばかりの者が、一万五千円の金を手にして事業を始めようというのでありますから、調査の資料は実際引揚者は持つておらない。のみならずなかなかめんどうな調査がありますので、そういうことから給付漏れになるというような実例が多々あるのでありますが、こういう点は実情に押して、借りる者にもつとあたたかい氣持で、これらの資金を交付するような措置が必要かと思いますが、この点についてお伺いいたしたいのであります。大体その程度援護廳の直接の関係のこととしてお尋ねをいたしたいと思います。
○宮崎説明員 未復員者給與法の百円の問題でありますが、百円になりました根拠と申しましては、別に深い根拠はございません。当時の財政の状況で割当てましたところが、百円になつて來たのでございます。これでは何としても足りないということは私どもも考えておりまして、しばしば財政当局とも折衝いたしております。なお今後ともこの折衝を続けるつもりでおりますので、何とかいたしたいということは、援護廳といたしましては痛切に考えておるところでございます。 それから免税の点でごいますが、これも第二國会ではそういう決議がありますし、私ども大藏省と折衝をいたしておるのでございますが、大藏省といたしましては所得のあるところに税がかかるのは当然である。所得がなければかけないのであるとい原則論で押して來るのでありまして、それらの所得の問題、あるいは不時の支出の問題等から考慮いたしまして、私どもとしましてはなお一層大藏省と折衝を続けてみたいという考えでおります。 それから更生資金につきましては一万五千円では足りないというお話でございますが、また共同で借ります際においてのわくが、あるいは手続がめんどうであるというお話があるのでありますが、本年度においてけ従來よりは非常な改善を示しておるのであります。しかしながら私どもといたしましてはこれで十分とは存じておりません。なお一層この更生資金の増額をはかりたいというつもりで、これも目下大藏省へ折衝いたしておりまして、何とか解決をしてもらいたいということを考えておるのでありますが、なお明年度の予算等におきまして、新たなる見地からこの問題を解決したいということで、今盛んに案を練つておるような次第でございます。お言葉の点につきましては、現在許された範囲において簡易に、しかも引揚者に行き渡るような措置をとることにつきましては、今後努力いたします。制度、予算等の改正につきましては、なお今後努力をいたしまして、あるいは國会等におきましてまた御審議を願うことが起ろうと存じますので、よろしくお願いしたいと思います。
○松永委員 どなたかからお尋ねがあるかと思つて控えておりましたが、ございませんので、宮崎次長さんにちよつとお尋ねしたいのですが、大体政府側の見ておるソビエトに残つている未復員者の数と、先般ソビエトの方から言うて來られた九万五千という数字とが、あまりに大きな開きがあるのですが、この開きは日本政府の調査が正しいのか、あるいは生殺與奪の権を握つておるソビエト政府の発表が正確なのか、告民一般はその点迷つております。また未復員家族としましてはきわめて重大な問題でありまして、これに引揚促進委員会でも問題になつていると思いますが、その後の関係方面との御交渉その他の点について詳細に承ることができればたいへん仕合せだと思います。
○宮崎説明員 從來日本側あるいはマッカーサー司令部等で発表しておりますのは四十二万でございますが、ソ連の今回発表しておりましたのは九万五千を帰せば終りになる、その日ほかに今戰犯者等でもう一万あるということでありますが、その開きにつきましては非常な大きな開きでございますので、私どもの方といたしましてはなお一層調査を続けておるのでございますが、総司令部の方におきましてもいろいろ御檢討中でございますが、いまだ御発表申し上げる段階には達しておらないのであります。私どもの方の調査とソ連側の発表との食い違いにつきましては、あるいは死亡者がどうなつておるか、あるいは中共地区へどの程度行つているかというような問題があるようでございますが、今申し上げるような的確な数字を持つておりません。まだその辺につきましては司令部の方もはつきりとしたことを申しておられませんので、この程度でお許しを願いたいと存じます。
○苅田委員 宮崎次長のポツダム政令についての御説明の中に引揚者は故郷へ帰るまで引揚げは完了しないという御説明があつたわけですが、引揚げが完了しないということはどういうことなのですか。
○宮崎説明員 引揚者はソ連に抑留されまして、それからナホトカで日本側に引渡されて舞鶴へ参るわけでありますが、それが郷里へ帰るまでいまだ復員せざる状態において帰つて來たということでございまして、一種の公務員の資格を持つて郷里まで來まして、そこで復員が完了いたしまして一般市民になる、こういうことでございます。
○苅田委員 そうすると公務員の資格ということが、舞鶴に着きまして以來故郷へ送還される現在まで受けている待遇だ、かように説明になるかと思うのですけれども、それにしては先ほどから岡委員が御指摘になりましたようにものものしい途中の警戒等は非常におかしいと思うのです。その点につきましてもう少し率直な御答弁が願いたいと思います。
○宮崎説明員 未復員の形で郷里へ帰る、だから公務員に準ずるということで帰つて來るわけです。それらの人たちが政府の引率によつて、ポツダム宣言にもありますように完全に武装を解除しまして家郷に復帰するということをやらなければならぬのでありますし、また司令部の指令にございますように、日本政府は一切の日本軍隊を急速にかつ秩序ある姿で復員させるという、これは日本政府が受けておる義務でありますが、その未復員の形で急速にかつ秩序ある復員をすることが故郷まで続く、こういう意味であります。
○苅田委員 私どもが受けております情報によりますと、これらの引揚者に対する政府側の措置は、未復員者に対する準公務員の資格というよりも、あたかも捕虜に対する待遇と私どもは率直に感ずるのであります。これらの人人はソ連地区においてこそ捕虜としての待遇があつたとしても、これはやむを得ないのでありますけれども、日本に上陸いたしますやいなや、ともかくもこれは憲法で保障されておるところの一般日本國民としての権利は、現在の占領下にありましても当然得られると思うのでありますけれども、この護送の状況は次長もおそらく御存じの通りだ、たとえば列車におきましても京都駅の少し前の所で急停車いたしまして、その中に百五十名からの警官を乗り込ませて車内の警備に当らせるとか、あるいは京都駅のごときは非常に多数の、一千名ぐらいの警官を張り出しまして、まるで警官でもつて人垣をつくつてしまうという状態であるとか、復員者の言動につきましても、たとえばプラットフォームに降りるまで監禁されたとか、いろいろなわれわれとして常識で考えられない制限を受けておるのであります。それらはポツダム政令の中においても非常な不法な扱いではないかと考えるのであります。なお私はポツダム政令自体がはなはだしく憲法によつて日本人が受けておる人権を拘束するものである。憲法の第九十八條によれば、明らかに憲法以上の拘束力を持つとして違憲であるという見解をとつておるのでありますけれども、この点につきましては今この場で爭う立場でないのでありますから、何も言いませんが、ポツダム政令自体が不法であるにもかかわらず、またそれの解釈が非常に不当な行き過ぎをしておるということにつきまして次長としての御答弁を願いたいと思います。
○宮崎説明員 私は苅田委員の今の仰せに対して遺憾ながら反対であります。それは引揚者が先ほど申し上げたように、急速に秩序正しく帰るという状態でございますならば何ら問題がないのであります。昨年まで帰りました引揚者のようににこにことして故郷に喜んで帰るという姿でございますならば、問題がなかつたのでございますけれども、政府が指定いたしました列車から途中に降りまして、方々でいろいろな問題を起した、家族が迎えに出ているにかかわらず家族がこれと会うことができなかつた。またいろいろな熱心な團体の方々が出迎えておりましても、その出迎えを受けることができない。そして國民並びに政府の予定いたしました援護が円滑に行かない、こういう事態が本年の引揚者によつて起りましたので、政府が総司令部から受けております日本の軍隊を急速に秩序正しく家郷に帰すという義務を履行する上において從來の状態ではどうにもならないということからあの政令が出たものであると存ずるのでございます。その政令の出ました以後におきまして、先ほど申しましたように静粛に帰つているのでありますが、しかしながら警察官が多数出ている、あるいは警察官の人垣ができているために静粛なのであると言われるかもしれませんが、警察官につきましてはポツダム政令違反者が出ないような予防措置をもつてやつているのでございまして、引揚者が何ら事情に通ぜずしてこの政令に違反して処罰を受けることになりますと、家郷に待つている妻子なり、親なり、兄弟なりというような人たちの心持ちが私は非常に氣の毒に存じますので、そういう意味で違反のないような予防的の措置を警察の方でやつてくれているものであろうと思うのであります。行き過ぎの点などがございますならば、これから改めて行かなければならぬと思います。政令公布直後におきましては、いろいろな警戒等があつたのでございますが、引揚者が静粛に政府が要求しているような姿で帰つていただきますならば、それらの警戒等は漸次解かれて行くものであろうと思うのであります。要は引揚者が急速にかつ秩序正しく故郷に帰るということが、日本國民あげて希望するところであろうと思うのでございまして、その意味において政令が公布され、そうして引揚者がにこにことまた待ちわびた家族とうちそろつてうちへ帰る姿を現出いたしたいのか、引揚援護廳の希望なのでございます。
○堀川委員長 ちよつと申し上げますが、この件につきましては特別委員会がありますので、本日は援護廳からいろいろな件の御報告、あるいはお聞きしたいと思いましてお呼びしたのであります。なお昨日も申し上げたように職員の方々、速記者の方々も土曜日は十二時で終えていただきたいとこういう要求がありますので、何とか簡單にお願いできることならと思いますが——それでは本日はこの程度で散会いたします。 午後零時三十一分散会