厚生委員会 第17号
- 発言数
- 148 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1949/05/10
会議録
○堀川委員長 これより会議を開きます。
○田代委員 ちよつと議事進行に関して……。実は湊療養所及び大阪の國立病院において不正事件があり、また患者が非常にひどい目にあつているというようなことで、地元の方々からきわめて緊迫な質問、それからそれに対する國家の態度なんかについて質問が来ておりますが、緊急質問を許していただきたいと思います。
○堀川委員長 田代委員にお答えいたします。御承知のように、相当時間を尊重せねばならぬような立場に来ております。それで毎日委員会がとれないようなはめになつて來ておりますので、ただいま御要望の緊急質問に対しましては、本日の日程に関係のない件でありますので、十二時半から理事会をいたしますから、理事会にはかつて時間をさくようにいたしたらどうかと考えております。 まず人口問題に関する件を議題といたし、人口問題に関する小委員長床次徳二君より小委員会において得た結論の報告を聽取いたします。
○床次委員 小委員会の経過を御報告申し上げておきます。小委員会は四月六日に設置を決定せられまして、九日に青柳委員ほか八名の小委員の選任をいたしまして、十三日第一回を開会いたしたのであります。不肖私が皆様の御援助によりまして小委員長としての役割を果して、以後五回にわたりまして審議を経ました結果、結論を得ましたので御報告申し上げる次第であります。 途中の審議におきましては、厚生省人口問題研究所より、日本の人口状況に関し意見を聽取し、さらに海外における日本人の移民問題あるいは現在の移民の受入れ状態につきまして、外務省管理局の在外邦人課長あるいは経済課長等の説明を聞き、さらに最近の予防藥その他の問題あるいは優生保護の問題に関しまして、厚生省の三木公衆衛生局長あるいは藥務局の製藥課長より説明があり、さらに第三回に厚生省の安田説明員より内閣において近く人口問題審議会を設置し、人口対策にあたる考えのある説明を得たのであります。また将來の経済復興問題に関しまして経済安定本部の企画課長の説明を聞き、また戰後の日本の開拓問題、食糧問題の見通し等に関しまして、農林省の食糧管理局の調査課長より説明をそれぞれ聞きました。委員より意見の開陳あるいは質疑等があつたのでありまして、その結果六日第五回においてお手もとに配付いたしましたような決議案を結論として得たのであります。一應朗読いたします。 人口問題に関する決議案 現下我が國の人口は著しく過剰である。この為に國民の生活水準の向上は容易に望まれないばかりでなく、他面、我が國の経済復興計画の樹立と実施に著しい困難を與えており、更に婦人解放母性文化の向上に対しても大きな障碍をなしていることが認められる、仍て政府は本問題に関して次の如き対策の必要なことを國民に徹底せしめると共に近く政府が設置しようとする人口問題審議会に於ても速かに積極的具体策を決定すべきである。 第一、各種産業の振興を図ると共に國土の開発、食糧の増産等に依り可及的多数の人口を養うことが出來るように努力すること。 第二、將來に於ける人口の理想目標を考慮するときは現在の人口自然増加は或る程度抑制せられることが望ましい、これが為健全な受胎調節思想の普及に努力すること。 右に関しては 1、目標とする將來の自然増加率は現下の状況に鑑みてなるべく欧米諸国に準ずる程度とすること。 2、適正なる受胎調節思想及び必要な藥品、用具等の普及を図ること。 右に関しては保健所等の保健指導機関を利用し更に各福祉会保險法及び生活保護法等の運用に当つても適当考慮すること。 3、優生思想及び優生保護法の普及を図ること。 4、母性衛生上人工妊娠中絶よりも可及的受胎調節法を利用すること。 第三、將來の海外移民に関しその研究調査の準備を行うと共に関係方面にその援助を予め懇請すること。 而して移民により過剰人口を解決することは困難であるが將來移民が認められる事は單に國民生活の向上に役立つのみならず我が國民の世界に対する感謝と國民感情に対する満足とを招來するものであつて我が國の再建に寄與することか多大である。從つてこの為には過去に於ける我が國の移民には相当欠点もあつたことに対し深い反省を加え日本國民が今後は眞に世界に歓迎せられ且つ世界の福祉増進に寄與することの出來るような移民たり得るよう國民自らが今から準備をし努力をすることが必要である。このことは取りも直さず日本國民が文化の高い平和的な民主國民となることに精進することと一致するものと確信する。 右決議する。 以上であります。 なおこの案に対しまして田代委員より、最初の書出しにおきましてのわが國の人口の多いことに対しましては、これは決して國民に罪があるのではない。今日産業が十分に振興せず、從つて國民の生活水準が低いので、それで人口が過剰という現象になつておるのだ。そういう意味においての御見解がありましたが、ただいま書きましたような文章において皆さんの御一致を見ましたので、この案のように最後は決定した次第であります。何か御質問がありますれば御質問にお答えいたしますが、どうか皆様の御賛成をいただきまして、この案が將來國会の決議案として上程せられることができますよう賛成を得たいと存じます。
○堀川委員長 次に兒童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を行います。床次徳二君。
○床次委員 兒童福祉法について一言申し上げたいのですが、今日少年なり、兒童の犯罪に対しまして、あるいは少年法の立場から、あるいは兒童福祉法の立場から対策が講ぜられておるように考えられるのであります。今回の修正におきましても、なおこの両者の対立を緩和するべくお努めになつておる点も見えるのでありまして、今までよりよほどこれが緩和して参つたことを認めるのであります。しかしなお根本的に考えますと、もつとこの二つの法律の体制を一つにしてよいのではないかという氣持がするのであります。少年に関しましては、でき得る限り兒童福祉法で臨みまして、いよいよやむを得ない分だけ少年法として扱う方が幼い者にとりましては將來更生がしやすいのじやないか。直接少年法の対象となりますよりも、兒童福祉法の立場におきましてそれぞれ指導を受けて参る。そして社会に出る方が將來の社会活動におきまして、より有利なのではないか、また本人にとりましてもその方がよい、家庭にとりましてもその方がよいのではないかと考えるのであります。この点厚生御当局、あるいは関係は法務関係にもあると思いまするが、でき得べくんば將來におきましてはこれをなるべく一つにしていただいたらどうかという私の考えであります。この点に関しまして御当局の御意見を伺いたい。
○小島政府委員 ただいま床次委員の御意見、御質問でございますが、根本の精神におきましては大体においてわれわれといたしまして同感でございます。その意味におきまして今回の兒童福祉法の改正によりまして、でき得る限りこういうような將來の問題につきましては、なるべくあたたかい方面からこれに対しまして愛護の手を差延べる、こういう方向に向つてやつた方が將來の少年のためにもいいというふうな考え方から、兒童福祉法の改正案が今回提案になつたわけであります。その運用につきましてもできる限りそういうふうにいたしまして、関係廳が相当あるのでありますが、それらのものと一諸になりまして、できる限りそういう精神で運営いたしたい、かように考えております。なお犯罪少年以外は全部兒童福祉法でやるかどうかという問題につきましては、將來の研究問題として大いに研究したい、かように考えております。
○床次委員 これは將來におきましてなるべくそこまで進んでいただきたいと思うのであります。余裕がありますれば、あるいはこれをもつと積極的に一つにするということにいたしても、もつと檢討してみたいと思うのでありますが、私は今日この希望を申し上げまして、質問を終りたいと思います。
○岡(良)委員 兒童福祉法の制定がわが國でも珍しく文化的な立法であるという立法の精神は、私ども非常に敬服いたしておるのでありますが、その物質的な裏づけと申しましようか、予算措置とか施設の充実という点につきまして、私ども地方におつて非常に遺憾な実情を見ておるのであります。石川縣の実情を申しますると、母子寮の比率は一・二%であります。保育所の福祉比率はわずか三・四%というふうな、まことに貧弱な状況になつておるのであります。從いまして母子寮あるいは保育所の増設拡充ということは廣く一般的な要望となつておりまして、先般いただきました資料について見ますると、生活保護法によるところの被保護者中で乳幼兒を持つておる寡婦の家庭が大体十八万ある。またその乳幼兒数が三十八万ある。これに対して大体の計画として、大都市に重点を置いて保育所の拡充をはかつて行くという御計画を拜見いたしたのでありますが、これについては具体的な年次的な数字的な御計画が立つておられるりかどうかという点、具体的な御計画が立つておられるならば、その内容等についてお尋ねいたしたいと思うのであります。
○小島政府委員 兒童福祉法が文化的な立法であるにかかわらず、予算面、物質面におきまして必ずしもそれに伴つてないではないか、こういうような御意見に拜聽したのであります。われわれといたしましてもお説のように、今日の日本の社会情勢におきまして、ことに母、兒童の関係の福祉の立場から、母子寮とか保育所というものの緊急なる増設をきわめて必要と痛感しておるのでありますが、いろいろの財政的な困難な事情もございまして、今日まで予算面におきまして、十分なる結果が得りれないことはまことに遺憾に考えておるものであります。むろん先ほどお話になりました生活保護法の該当者の中で十八万の家庭が、いわゆる乳幼兒をかかえた婦人世帯であるというこの事実によりましても、日本におきまする母子の保護というものがいかに緊急であり、一番われわれといたしまして手を差延べなければならぬ問題だということが十分わかるのであります。しかしながらこれらの全部を母子寮、保育所に收容することは必ずしも必要ではないと考えておりますので、これらのうち眞にやむを得ないものにつきましては、今御説のような母子寮の増設ということも必要かと考えておるのであります。一應われわれといたしましては、これらの母子の保護のために三年計画とか、五年計画というようなものをもちまして案をつくつておるのでありますが、これらの問題につきましては財政とのにらみ合せもございまして、その財政の許す限りにおいて早い機会にこれらのものが実現するように最大の努力を拂いたい、かように考えておるものであります。
○岡(良)委員 兒童福祉法の制定がわが國でも珍しく文化的な立法であるという立法の精神は、私ども非常に敬服いたしておるのでありますが、その物質的な裏づけと申しましようか、予算措置とか施設の充実という点につきまして、私ども地方におつて非常に遺憾な実情を見ておるのであります。石川縣の実情を申しますると、母子寮の比率は一・二%であります。保育所の福祉比率はわずか三・四%というふうな、まことに貧弱な状況になつておるのであります。從いまして母子寮あるいは保育所の増設拡充ということは廣く一般的な要望となつておりまして、先般いただきました資料について見ますると、生活保護法によるところの被保護者中で乳幼兒を持つておる寡婦の家庭が大体十八万ある。またその乳幼兒数が三十八万ある。これに対して大体の計画として、大都市に重点を置いて保育所の拡充をはかつて行くという御計画を拜見いたしたのでありますが、これについては具体的な年次的な数字的な御計画が立つておられるのかどうかという点、具体的な御計画が立つておられるならば、その内容等についてお尋ねいたしたいと思うのであります。
○小島政府委員 わが國におきまする乳幼兒の死亡率が非常に從來多かつたのでありますが、最近におきましてはこの点においては非常に進歩いたしまして、現在におきましては大正八、九年の日本最高の百人に十六、七人の死亡者を出した当時に比べますと、昨年は約三分の一の低下率になつております。この点において日本の乳幼兒の死亡が終戰後最近著しく減少したということは、日本の文化國家がだんだん現われる一つの大きな意義といたしまして、われわれといたしましてはまことに意を強ういたしておるのであります。保育所のことについて、特に保健衛生の面について注意を拂つているかという御質問でございますが、この問題につきましても兒童福祉法によりまして、最近最低基準というものが設定されまして、保育所に必要な保姆とか、必要な職員の構成につきましていろいろ考えておりまして、それらの職員の衛生的な指導につきまして必要な指導を加え、それらを扱う保姆さんについては相当衛生的な知識を與えるようなくふうを凝らしておるのであります。
○岡(良)委員 母子寮等に收容されておる氣の毒な家庭の方々に対しては、物質的ないろいろな援護の点と同時に、精神的な意味での援護と申しまするか、あたたかい思いやりの手を常任不断に差延べる必要があると思いますが、こういう点について何か具体的に御考慮になつておりますか。
○小島政府委員 母子寮に入つておるばかりでなく、母子寮に入らなくても、未亡人であるというような関係で精神的な方面におきましても非常な痛手をこうむつておる家庭につきましては、政府といたしましても、民間といたしましても、物質的な援助をはかるばかりでなく、精神的な一つの援助というものが必要であるとわれわれは痛感しておりまして、そういう方面につきましても將來大いに努力いたしたい、かように考えるのであります。
○岡(良)委員 最近あるいは今後における生活の窮乏とか、また失業者の増大というふうなことを考えますると、一般的な労働人口の移動だとか、あるいはまた家庭婦人の授産場進出等々というようなことも十二分に予想されると思うのでありまして、地方におきましては授産場と保育所ないし母子寮等の総合的な施設、こういうものを要求せられる声もかなり廣汎にあるように承知いたしておるのでありますが、將来そういう観点に立ちまして、授産と母子寮というふうな総合的な企画を具体化せられるような御用意はないか、そういう点をお伺いいたします。
○小島政府委員 母子の援護につきましては、今の御意見の通りできるだけ総合的な援護が加えられることが必要であると考えておるのであります。その意味におきまして母子寮、保育所、あるいは授産場の問題、内職の問題、それらのものができる限り総合的に運営されるようにわれわれも考えて努力いたしております。
○岡(良)委員 青少年の不良化防止は、先般本院でも決議となりまして、現在重大な社会問題になつております。私どもも地方におりまして、しばしばこの声を聞くのでありまするが、地方で青少年の不良化防止のための問題を取上げまして、いろいろ懇談会のようなものを催しますると、PTAあり、教員組合あり、あるいは教護連盟あり、兒童福祉委員あり、家庭審判所あり少年相談所あり、いろいろな機構の方々の代表が出られまして、それぞれのわくの中からものを申されまして、結局この会が何ら効果を收めないというような形で、形式倒れと申しましようか、機構倒れになつておるような感じがいたします。今度の改正法案によりまして、市町村においても兒童福祉を中心とする審議会のようなものが設けられることになつておることは、私どもも双手をあげて賛成しておりまするが、こういう審議会の大きな任務は、当面するところの澎湃たる青少年の不良化防止という点にあろうかと信じておるのであります。そういう点につきまして、そうした審議会が具体的に何をやるのか、何を目標としてやるのかというような点についての、審議会のいわば実践のための基本的な方針というようなものについて、厚生省当局として御用意があるかどうか、この点承りたいと思います。
○小島政府委員 ただいまもお話になりましたように、青少年不良化防止の問題は、非常に大きな問題でありまして、この問題につきましては、先般閣議におきましても、青少年不良化防止の閣議決定をいたしまして、兒童福祉法の改正案にあります市町村兒童福祉審議会というような問題が非常な関連がございます。われわれといたしましては、青少年の不良化防止の問題というのは、各方面の人口がこれに対してそれぞれの分野において協力するということが一番必要ではないかと思います。最近におきましても、たとえて申しますれば、学校の近所におきまして長期の欠席の者があることを学校の先生が調べてまわつて、そのことを特に兒童委員なら兒童委員に報告してもらうというような、それぞれの分野におきまして、それぞれの分野の人が協力するような体制をつくる必要がある。そういう意味において中央におきましては中央兒童福祉審議会、府縣におきましては府縣兒童福祉審議会、市町村におきましては市町村兒童福祉審議会というものが中心になりまして、PTA、警察の関係あるいは学校の先生、あるいは兒童委員、町村の関係、そういうような人々が各分野において協力してこの問題を解決する、こういう方向に進みたいというふうに先般閣議決定になつたのであります。われわれとしてもそういう精神に沿つてやつて行きたいと思つております。
○岡(良)委員 機構をつくることはまことにけつこうなんですが、機構を現実に即した具体的な方針に從つて運営されるように、中央の方で具体的な活動の方針を示していただきませんと、機構倒れになる傾向が、從來ともすればあることを御注意申し上げて、御善処を願いたいのであります。 それから私ども地方で見ておりますと、兒童の不良化につきましては、学校の出欠が非常に大きな目途になるわけであります。それで金澤市の新制中学で、昨年十二月までに出欠常ならざる兒童が千八百名ございます。その中で全然学校に出てない兒童が二百七十名あります。なぜ学校へ出ないかという家庭の実情を、PTAといたしましてそれぞれの家庭について実際調査いたしました、ところがそのほとんど八七%までは家庭が貧困である。学費がない。お小づかいに腐心しておつて、肩身が狭くて一人前のおつき合いができないのでつい学校に行かない。それから六・三制に対する家庭の認識がなくて、六年を出れば働けるというので、基準法をもぐつて働かせにやつておつた。要するに家庭の貧困にあるということに原因しておるのでおります。それに対して私どもも苦慮いたしておるのでありますが、もちろん義務教育は國が全額を負担するということが実現されれば、この問題も多少緩和されるかと思うのでありますが、それはさておきまして、現在教育についての各自の部署が民生委員のおせわによつて與えられております。これが現在のような生活保護のための生活資金の僅少でありますために、学資の方にちつとも使われておけません。みんな生活資金の補填に使われておつて、学費のために使われておらないというような状況になつておるのであります。これをやはり学資として支給したものは学資として使う。あるいは現物で支給するとか、あるいはその使用については学校の教師あるいは兒童福祉委員が責任をとるとかいうふうな形において、生活保護を受けておる家庭の兒童の学資として支給されておるものは、これをもう少し増額いたしまして、学資として実際使われるようにする必要がありはしないかと考えるのでありますが、こういう点について厚生省当局の御意見をお伺いいたしたいと思います。
○小島政府委員 ただいまの問題につきましては、社会局長の方から御答弁申し上げた方がよろしいかと思いますが、今のように生活保護法の運用の問題につきまして、学資金というものが非常に少い。從つてそれがほんとうの学資になつていないというような御意見でありますが、これらの生活保護法の基準額の問題につきましては、現在におきまして社会課の方でも考究されて、できるだけそういう精神に沿い得るように漸次改めて行きたい、かように考えております。
○苅田委員 私はまず兒童福祉法全体が、当局の仕事といたしまして非常に片寄つておるということについて言いたいわけであります。これは予算の面を見てもよくわかるのでありまして、昨年度は予算の大半八割近くのものが全部浮浪兒とか、あるいは不良兒とか、孤兒とかいうようなものの施設に使われておつて、そのほかの一般の兒童や母子に対する予算というものが非常に少かつた。ところが今年度におきましても、昨年よりは多少改正されておるのでありますけれども、兒童局の十億円の予算のうち五億三千七百万円までが、やはり浮浪兒とか不良兒とか孤兒とかいうような人たち、つまり目の前に捨てておけないそういう人たちのために使われておるのであります。その反面に、一般の勤労階級の人たちが要望しておるような、一般の母子に対する保護というものが少しもなされておらない。母子寮にいたしましても、託兒所にいたしましても、保育所にいたしましても、あるいは産院にいたしましても、そういう施設の増設の費用が全面的に削られてしまつておる、こういう状態にあるわけであります。元來こういうような一般母子の状態を解決しないで、大部分はそこから発生するところの不良兒の跡始末ばかり追いかけておるというようなやり方では、一般母子の福祉を目ざしておる本法の目的として、これは非常に問題じやないか。抜本的に一般の母子に対する厚生当局の対策というものに対しまして、私は今日は厚生大臣の御答弁を伺いたかつたのでありますが、厚生大臣はやはり神経痛かでおいでがない。もし厚生大臣がおいでにならなければ、この質問はあらためてすることといたしまして、厚生次官からかわつてこれに対する御答弁をお願いしたいと思います。
○亘政府委員 本日大臣は病氣とは私承つておりませんけれども、何かほかに御都合があるかと思つております。まことに遺憾でございます。御指摘のように兒童に対しての福祉の本質に沿わないような運営であつて、もつと本質に沿うようにという御意見でございまして、まことにもつともだと私どももさよう心得ております。あまりにも浮浪兒とか、そうした者にのみ活動をしておるように見受けられるというお話でございますが、決してさような偏した形にあつてはならないものであることは当然でございまして、全面的に本福祉法の精神に沿う運営をして行かなければならないのはもちろんでございます。その意味からいたしまして、母子寮あるいは保育所、そうした社会局担当の問題にも相なりまするが、そういうものとの調整によりまして、本福祉法が十分に運営されるということでなければならぬと考えております。
○苅田委員 ただいま厚生次官の御答弁でありましたけれども、從來いろいろの会合などでお伺いしたところによりますと、本年度は母子寮にいたしましても、保育所にいたしましても、こういうものの拡充費は全部削減されておる結果になつているように承知いたしておるのでありますけれども、これはそうではないのでございましようか。
○小島政府委員 お話のごとく公共事業費の問題におきまして、相当保育所、母子寮の問題があるのでありますが、この問題につきましてはわれわれとしても、將來とも大いに努力いたしたいと考えております。
○苅田委員 これは將來努力されて、どの程度実現されますでしようか。そういうお見込みをお持ちでございましようか、お聞きしたいと思います。
○亘政府委員 こうした公共事業に関する費用は、御承知の通り公共事業費の予算の範囲内でこれを取扱つておるのでございまして、本年ももちろんのこと、兒童局あるいは社会局におきまして立案され、その立案の精神から申しますれば、十分こうした施設を拡充して行くことをモツトーといたしまして努力して参つたのであります。しかし遺憾ながらその目的が貫徹できなかつたのでございまして、これは御承知のような予算の編成の大きな方針がこれを許さなかつたという実情で、われわれ厚生省当局といたしましては、まことに遺憾なことでございましたが、やむを得なかつた処置でございます。今後はできるだけ國家財政をゆたかにしていただきまして、こうした施設が拡充できるように努力もいたしますし、またそれを希望しておるのでございます。
○苅田委員 政府は当初兒童局に対して三十億の予算を組んでおいでになつた。そうしてそのうち約四分の一に当る七億円というものを託兒所なり、保育所なり、あるいは母子寮なりの拡充費に充てておられる。私どもはこういうような報告を受けておつたのであります。政府からいただきました予算の資料を見ましても、はつきりそういうふうになつておりますが、これは確かに政府が昨年度の視察の結果、こういう方面が非常に不足しておるということについて御注意に相なつて、わざわざこういうような比較的兒童局としては多額のものをこの方面に充てよう、こういう努力をなすつたということがわかるのでありますが、これが予算折衝の途中において、いかなる外部との折衝があつたかは知らないのでありますけれども、こういう予算がなくてはそもそもこの兒童行政はできないということがはつきりわかりながら、これを放棄されたことにつきましては、私は厚生当局がこういう児童行政に対して、非常に熱意を持つておられない結果が——これはそうでないというふうにおつしやるでありましようけれども、事実としてそういう結果になつたことを私は遺憾に思うわけです。今当局者の方も今後の予算の獲得に努力すると申されておるのでありますから、どうぞ公共事業費その他の中で融通できるものをできるだけたくさんこういう施設の拡充の方に充てていただきたいということを重ねてお願い申したいと思います。 それから現在の浮浪兒、孤兒あるいは不良兒、こういう養護課の対象になつておりまする兒童数、今年度の予算の中約五億三千七百万円、これの対象になつております者の数は、大体どれだけ当局はお見込みになつておりましようか。またそういう今年度の予算に見込まれている者以外に、当局としてどれだけ全國にこの問題兒がおると見込んでおられるか、この数について御答弁願いたいと思います。
○亘政府委員 今の関係は、大体われわれといたしまして兒童施設に保護されている兒童のことを考えておるのでありますが、その費用といたしまして、今お話のような予算を計上いたしたのでございますが、全体といたしまして約二万人近くというふうになつております。
○苅田委員 二万人を対象としておられるわけですか。対象外になつておるもので調査に上つておる数というものについてはおわかりになりませんか。
○小島政府委員 むろん両親があり、りつぱな家庭があつても、子供の浮浪ということが起るわけですから、そういう者に対しましては指導という問題であつて、保護という問題ではないのでございます。そういう面でなく指導という面において問題があるわけで、從つて予算面としては別に大きな額としては計上されない。こういうことになるわけであります。
○苅田委員 それからこれは現在各所で問題になつておるわけでありますが、現在生活の困窮のために小学校及び新制中学の生徒などの長期欠席ということが問題になつておる。たとえば東京都の民生局の調査でも、二百三世帯のうちの百六十世帯、約八〇%までが、その子弟が長期欠席をしておるという状態なのです。それで工場へ行くとか、あるいは行商するとかいうことをやつておるわけなのですが、こういうことに対しまして兒童局としての対策はいかがなつておりますか、それをお聞きしたい。
○小島政府委員 今日長期欠席の兒童の中には、ことに新制中学の関係において、ある程度家庭の貧困ということが相当の原因で、欠席しておるということも十分われわれは拜承しておるのであります。これらの問題につきましては、結局一つは家庭の生活の原因もありますが、同時に義務教育というものに対する観念がまだ不徹底だ、こういう点もございます。こういう点につきましてはわれわれといたしましては関係省ともよく連絡いたしまして、できる限りこれらの兒童が義務教育を受け得るような適当な処置を講じたいと考えております。なお生活保護法の関係につきましては、今のように社会局の方面で、規準額の問題につきましてもできる限り規準を上げるように現在努力しておりますが、最近においてその基準額もある程度上げ得るような見透しもついております。できる限りそういうことによりまして保護の方も十分いたしまして、あわせて義務教育が完全に行われるようにいたしたい、かように考えます。
○苅田委員 当局の調査に上りますと、当然支給されなければならない学童の給食費や、あるいは学費なんかが渡つていないものが多い。特に地方ではこれが多いが、これに対して当局はどういう処置をお講じになるか。
○小島政府委員 そういう問題につきましては先ほどもお話申し上げましたように、できる限り実情に即してそれが実施されるように努力いたして参りたいと考えます。
○苅田委員 現在それがあるわけで、そのために貧困者の家庭は子供の教育が非常に重荷になつているわけです。もう少し具体的に、たとえばどういう処置をとつたとか、あるいはどういう処置をとろうと思うとか、こういうことについてはつきりした御答弁を伺いたいのです。
○小島政府委員 そういう問題につきましては、先ほど申し上げましたように生活費の限度の問題について改訂すべく努力しておりますが、いまだ決定しておりません。決定いたしましたら社会局の方から御報告申し上げたいと考えます。
○苅田委員 ただいまの当局の不熱心に対して私は不満を持つのであります。どうぞ、これが少数でなくて非常に多数を占めている関係上、ぜひ一日も早くもつと具体的な処置が講ぜられますことをお願いします。なお後刻どういう処置がとられているかという御報告を願いたいと思います。 それから現在收容所におきまして放火とか集團脱走とかいまわしい事件が起つておりますが、これは一面收容兒に対する非人道的な取扱いがあるということが、新聞紙その地でも報道されているわけです。こういう收容所の不完全な施設、あるいは非民主的な兒童の取扱方に対して、兒童局としてはどのような処置をお講じになつておるか、御答弁を伺いたい。
○小島政府委員 新聞で大分集團脱走という問題が起きておる事件につきましては、直接私どもの関係する兒童ではなく、主として犯罪少年で、法務廳関係の少年らしゆうございまして、私どもとしては直接扱つておりませんが、今のような問題につきまして、私どもといたしましてもきわめて深い関心を持ちまして、法務廳の方とも連絡いたしまして、そのやり方につきましても、できる限り兒童の福祉の方面から適当な方法が講ぜられるよう努力いたすよう協力いたしております。
○苅田委員 そういう関係の兒童に対しまして、厚生省の兒童局として、兒童の福祉の面から相当権限を持つて処置がとれるのですかどうですか。この点はやはり非常にわくの中の規定がむずかしく厚生当局としての十分な処置が講ぜられない、あるいは勧告がされ得ないような状態にあるのですか。
○小島政府委員 犯罪少年は御承知の通り法務廳の責任でありまして、われわれは協力をするだけで、責任は法務廳でやる、こういうことになつております。
○苅田委員 先ほど岡委員が指摘されましたように、兒童行政が一本になつていないという点から、いろいろな矛盾が起きておると考えておるのであります。たとえば学校の兒童行政、給食問題は、これはすぐ文部省関係になつておるとか、そういう犯罪あるいは不良の少年の問題は、これは法務廳関係になつておるとかいうような、非常になわ張り的な問題があつて、そのために兒童の厚生行政というものが十分行われていないという現状に対して、さらに厚生当局としてもつと適当な処置が講ぜられたいということをお願いしたいわけです。特に学校の兒童というものは、兒童層の非常に大きな部分を占めておるものでありまして、これが全然文部当局側にゆだねられていて、非常に不完全な厚生状態にあるということに対しましては、やはり厚生当局として、もつと機構の面についても十分御考慮願いたいということをお願いしたいと思います。 次に直接今度の改正の点につきましてお聞きしたいのですが、兒童福祉法の第二條、これは直接今度の改正には関係がないのですが、この第二條に「國及び地方公共團体は、兒童の保護者とともに、兒童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」こういうふうにうたつてありまして、これは非常に兒童福祉法について國家が持とうとしておる大きな熱意の現われであり、條文自体には私は非常に賛同するわけでありますけれども、具体的に、それではもしも兒童の保護者がいない場合、あるいはいても病氣だつたり何かして、事実上の保護者として活動することができない場合に、國及び地方公共團体は、「兒童を心身ともに健やかに育成する責任」を具体的にどんな形で負うということを義務づけられておるのか。この点についてお考えをお聞きした
○小島政府委員 最初の御意見でございますが、この問題につきましてはわれわれといたしましても非常に努力いたしまして、たとえば少年の不良化の問題が大きな問題になつて、先ほど申し上げましたように閣議決定で、この問題についてなるべく一元的に、総合的に、連絡的にやるということになつておりまして、この問題につきましては警察あり、学校あり、指導員の関係あり、市町村の関係もありますが、みんながそれぞれの分野において協力するような態勢をつくるよう考えております。その運営につきましても、できるだけ御趣旨に沿うように努力したいと考えております。 今の第二の問題でありますが、現在たとえば保護者のない兒童につきましては、第二章に規定があります通り、それぞれの施設に收容するとか、あるいは里親制度をとるとか、それぞれ縣、市町村におきまして措置を講ずることが現在なされつつあるのであります。それらにつきましては先ほど申し上げましたように、特殊兒童の保護の方が多過ぎるじやないかという御指摘でありましたが、そういうような家庭に惠まれない兒童につきましては國家、府縣、市町村といたしまして最大の保護を加えるよう、法律上もありますし、現在もこういうことが実施されておるのであります。
○苅田委員 次に八條、九條のことについてお伺いしたい。兒童福祉委員会というのができているわけですが、中央におきましては厚生大臣の諮問機関となつている。しかしながらほんとうに兒童行政の指導に徹底的な権威を持つためには、これは諮問機関でなくてむしろ執行機関として取上げた方がいいじやないか。こういう考えを持つものですが、当局の御意見はいかがですか。
○小島政府委員 これは形式的に申しますと、諮問機関となつていますが、その運営のやり方につきましては單なる諮問機関ということでなく、できる限りこれに兒童福祉の輿論が反映し、またそれによつて運営されるように、われわれとして努力いたしております。從つてその構成につきましても、そういう精神に沿うように努力いたしておるのであります。
○苅田委員 それでは実質的にはこれが執行機関にかわるべき大きな権威を持つている、かように考えてさしつかえないのでございますか。
○小島政府委員 執行機関ではございませんけれども、單なる從來の諮問機関というような形式的なものでなくて、相当実質的な働きをするような機関であるこういうふうに考えておるのであります。
○苅田委員 それは運用上の問題だと思いますが、それはそれといたしまして、そういうような大きな権限を持つているものであれば、当然この中には特に兒童の問題に対して深い関係を持つている婦人團体とか、あるいは労農團体の代表を顔ぶれの中に入れないということは、大きな片手落ちだと思います。この点いかがですか。
○小島政府委員 婦人團体というものも労働團体というものも、できる限り入れるように努力しているのでありまして、現在も入つておるわけであります。
○苅田委員 そうすると、それは学識経驗者という條項の中にでも入つておるのですか。
○小島政府委員 そうです。
○苅田委員 そうすると非常に範囲が狭められておると思うのです。片一方には委員が四十五人の中に、関係行政職の官吏だとか、吏員だとか、あるいは兒童の保護保健その他の福祉の事業に從事する者だとかいうような人たちがたくさん入つて來るわけです。それで学識経驗者の中から婦人の團体とか、あるいは労農團体からの代表者が選ばれるのだといたしましたならば、おそらくこの中には、そのほかにやはり兒童の問題の学者だとか何とかが入ると思うのです。そうすれば少くとも婦人團体とか労農團体とかの代表が、この中の半分は入るような法的措置を講じておかないと、直接兒童の父兄だとか、最も関係の深い方面の人の声が、片方の官吏とか、あるいは兒童福祉施設の指導者たちに対して、非常に劣勢になつて來るのじやないかということを考えるのですけれども、この点はいかがですか。
○小島政府委員 兒童問題は、お話のように各方面の関係の人々がこの問題について関心を持ち、努力していただくということがきわめて重要である。こういうような考え方であります。從いまして中央兒童福祉委員会の委員の選び方につきましても、あるいは宗教の方面の代表とか、あるいは婦人の関係とか、母子衛生の関係とか、新聞界とか、世論の代表とか、資本家の代表とか、労働者の代表とか、各方面からそれぞれの観点においてそれぞれ入つておるのでありまして、そういう意味においてこれらの人がいろいろの分野から入るというようにわれわれ考えており、そういうふうに運用しておるのであります。
○苅田委員 從來の経驗から言いますと、こういつた母親の考えでございまするとか、あるいは働いておる人たちの考えとかいうものが、こういうところに反映されない今までの非常に遺憾な点を埋めるためにも、ぜひひとつこの中にそういつた労農團体とか、婦人團体とか、母親の声を入れるように、特殊な條項を出された方が適当ではないかと私は考えるのですが、その点いかがですか。
○小島政府委員 これは今の文案の中において大体含まれており、運用によつてできる、かように考えております。
○苅田委員 これ以上は押し問答になりますから、私はその点の質問はやめることにいたします。 次に兒童委員が民生委員と兼務いたしておる状態なんですけれども、これは現在東北地方に人身賣買があつても、地元の民生委員がこれに対して知らなかつたというような実際上の欠陥から考えましても、やはり兒童委員には、兒童の問題について最も深い関心を持つておる專任の人を置かなければ、実際の運用上よくないということを考えるのです。しかもそういうかなり煩瑣な仕事をしてもらう関係上、これをただ名誉的な仕事として生活のひまにやるとか、あるいは生活に余裕のある人だけしかやれないというような、現在の民生委員が受けておる財政的に保障のない状態では、やはりこれは運営がよく行かないと思うのです。それで兒童委員を民生委員から兼務を解いて、專任の兒童委員を置いて、しかもそれがある程度生活の保障ができるだけの給與を支拂うというようにしてもらえば、最もよく兒童委員としての仕事がやつていただけるのじやないか、かように考えるのですが、この点いかがですか。
○小島政府委員 民生委員につきましても、できる限り今度の兒童福祉法によりましで、民生委員は兒童委員と兼務しなければならぬ、こういう意味で時期を早めまして、民生委員であると同時に兒童委員として適当の人を選ぶように昨年改選いたしたのでありますが、その結果によりまして、大分婦人の方も全國的に民生委員に進出いたしました。縣によりましては三割あるいは四割というような縣もあるわけでありまして、かように兒童問題について関心を持つた人が、漸次民生委員の中に多くなりつつあるのであります。むろん今お話のように全部の民生委員が兒童委員としてはたして適任かどうかということについては相当問題があろうと存じます。今のような御意見につきましては將來研究いたしてみたい、かように考えております。
○苅田委員 もう一つ報酬の点についてはどうですか。
○小島政府委員 民生委員制度というものは、御承知の通り無報酬で非常に有意義な仕事をするという何十年の歴史を持つておるのであります。それと別個に、たとえて申しますれば、現在の兒童福祉司というような有給のケース・ウワーカーを漸次増して行くかという御意見のように考えますが、これはまた別個の問題として考えたい、かように考えております。
○苅田委員 民生委員の仕事は、御承知の通り現在非常に複雑なたいへんなものです。これは私直接東京都の民生委員の会合に出てお話を聞きましてもほんとうに民生委員の仕事をまじめにやろうと思えば、少くとも月のうちの半分はその仕事に專念しなければとうてい満足な仕事はできないと言つておられるくらいたいへんな仕事だと思うのです。ところが半面兒童の問題はどうかと申しますと、これはすでに議会でも決議されておるのです。最近の兒童の不良化の問題にいたしましても、あるいはそうでなくて、戰災の影響をこうむつた孤兒が非常な不幸な状態にあるという問題にいたしましても、特に最近の人身賣買の問題などを考えましても、兒童のそういう問題が非常にたくさんの廣い範囲で、しかも複雑な仕事だということはおわかりと思う。こういうふうにどつちから見てもたいへんな仕事です。しかるに民生委員に経済的な保障がないということで、はたしてその職務を満足に遂行することができるかどうか。われわれの考えから言えば、これはほんとうに形式的な規定にすぎないように考えられる。この点について御当局はそういうお考えではないのですか、これを伺つておきたい。
○小島政府委員 民生委員制度というものは、御承知の通り今日まで方面委員制度として発達して参りました。これは御承知の通り報酬をとらないで社会奉仕をするという立場から発達して來ておるわけであります。それが三十年後の今日まで続いておるのは、やはりその制度が存在する意義があり、効果があつて現在まで続いておるのであります。今日の社会情勢においてそれだけで十分であるかという問題になりますれば、あるいは今日におきましては、もつと十分なるたくさんのケース・ウワーカーの有給の人を増さなければならぬという問題も起り得るのですが、それかと言つて民生委員制度そのものが、根本的に今日の情勢において否定さるべきものがあるという問題になりますれば、私は相当に考えなければならぬものがあるのではないかというふうに考えておるのであります。
○堀川委員長 苅田委員にちよつと申し上げますが、まだ相当通告者があるので、できるだけひとつ御圧縮を願いたいと思います。
○苅田委員 昨日もお願いしておいたのですが、この問題については私たくさん意見があると申しましたら、政府側の方でむろん十分やつてもらつてかまわないというお話でした。そのかわりに時間が延びて夜になつても私かまわないわけですから、十分審査させていただきたいと思います。
○堀川委員長 政府の方でそういうお考えでしたら……。
○苅田委員 ただいまの兒童局長のお考えですけれども、私はおかしいと思う。民生委員制度というものがどういう事情のもとに三十年前に生れたかということは問題じやなくて、現在民生委員的なものが、今の実情にどういう役割を果しておるか、それがはたしてどんなふうにその役割が遂行されておるかということをやはり問題にしなくてはならないと思う。特に兒童福祉のための兒童委員というものは昨年できたもので、もつと実情に即した制度がとられてよいと思うわけです。そういう制度を改めるためには、國会が開かれておるわけですから、改めることに少しの不自由もないわけです。そういう点でもう少し実情に即して制度を改革していただきたいと思うのですが、現状で十分とお考えになつているのかどうか、これをひとつ端的に聞きたいと思います。
○小島政府委員 ただいま申し上げましたように、現在の兒童委員の制度が完全であるかどうかという問題につきましては、私どももむろん意見があるのでありますが、昨年民生委員法というものができ、民生委員の改選をいたしたのも、兒童委員法ができ、兒童福祉法による兒童委員について適当な人を選んだのも、それが努力するようにというので改選したわけで、改選の結果、今申し上げましたように、そういう問題に相当関心を持つた人が選ばれたので、漸次そういう面において兒童委員の適当な運営をされるようわれわれとしても最大の努力をしております。しからばその問題ついて、現状で十分か、根本的問題として兒童委員と民生委員をもう一度考え直してはどうかという御意見につきましては、各方面においてもそういう御意見がいろいろございますので、われわれとしても、これは根本問題でありますから、もう少し研究いたしたいと思います。
○苅田委員 それでは御当局の方でも、この問題について現状を十分と考えておらない、至急にこれについての研究をするという御答弁でありますから、ぜひこれをお願いいたしたいと思います。 次に兒童委員の選出の方法でございます。これはなお將來の御研究の資料として申し上げるわけですけれども、少くとも縣單位以下の市町村の兒童委員に対しましては、市町村の選挙と同じような公選の道をとつてもらいたいと思います。そうでなくとも、現在では民生委員が土地の顔役とかボスとかいう人たちの、自分の勢力の地盤のための活動に利用されている向きが非常に多いという傾向があるわけでありますから、そういう点を排除して、ほんとうに兒童が安心できるように、そういう保護の方面をやつてもらうためには、やはり母親の立場からしますれば、大きな関心のある問題でありますから、そういつた人たちの公選というような方法を講じていただきたいと思います。これは將來の問題ですけれども、ぜひこの点をご考慮願いたいと思います。 次に二十三條、四條のことなんですが、今度の改正では、二十三條の但書を見ると、「但し附近に母子寮がない等やむを得ない事由があるときは、適当な施設への入所のあつ旋、生活保護法の適用等適切な保護を加えなければならない。」こういうことがあります。また、二十四條にも同じような但書がありまして、「但し、附近に保育所がない等やむを得ない事由があるときは、その他適切な保護を加えなければならない。」こういうことなんですが、それでは母子寮がないときに適当な施設というものは、何を意味しているのですか。それから保育所がない場合その他の適切な施設というものは、どういうものを意味しているのですか、これについて具体的な御答弁を承りたいと思います。
○小島政府委員 母子寮のない場合に適当な方法をとるというのはどういうものかというお話でありますが、御承知の通り、現在われわれといたしましても、母子寮が全部に完全にできているものとは考えていないのでありまして、今日の状況といたしましては、でき得る限り現状に即した保護を加えなければならないというふうに考えておるので、あります。從つて母子寮がないからといつてそのまま放任していいというような考え方は、完全に排しなければならぬ。市町村としてはあるいは適当な施設、たとえば農村なら農村にお寺があるならば、お寺に借入れを申込むとか、あるいはそれぞれ各地方によつて適当な施設が考え得る場合においては、最大の努力をなすべきだ、こういう精神をうたつておるのであります。從つてこの施設の中にはいろいろの場合が考えられると思うのであります。たとえば引揚者の問題については引揚者の收用施設があるならば、そういう問題も考えられます。あるいはまた民間において適当な施設があるならば、それを借入れてやるというようないろいろな措置を考えて、最後まででき得る限りの努力をすべきである、こういう精神をうたつておるのであります。保育所の場合においても、保育所がない場合には放置しておいていいかという問題になりますれば、たとえば晝間里親という制度もありますし、いろいろ保護の必要がございますから、施設がないから放任しておくという考え方は、この際いけないのじやないか、でき得る限りありとあらゆる方法によつて保護を加えて行かなければならぬ、こういう精神をうたつておるのであります。
○苅田委員 そうしますと、いなかのような場合に、お寺にでも託兒所とか母子寮の代りを持つて行けばいいじやないかという御答弁だと思いますが、その場合に私どもの経驗では、いかなる寺院等でも、そういうものを設けさせることを好まない。実際あいた部屋があつてもあけないというのが普通なんです。そういうときに、そういうものは政府の力をもつてでも母子寮あるいは託兒所にさせるような処置を講ずることができるわけですか。その点をお伺いします。
○小島政府委員 むろん個人の施設を強制的に母子寮とか保育所にするというわけには参りません。しかしながら町村長といたしましては、施設がないからといつて放任するのでなくて、それぞれの地方の実情に即して、最大の努力をするという例といたしまして、こういう例をあげたわけでありまして、そういう精神をうたつたわけであります。
○堀川委員長 ちよつと苅田委員にお聞きしますが、まだ相当ありますか。
○苅田委員 まだ相当あります。
○堀川委員長 それでは午後続けていただくことにして、ここで一應休憩することにいたします。 午後零時九分休憩 ————◇————— 午後一時四十四分開議
○堀川委員長 それでは休憩前に引続きまして会議を開きます。 兒童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたしまして審議を続けることにいたします。苅田委員。
○苅田委員 それでは午前中に引続きまして質問を継続させていただきますが、大体二十三條、四條の改正は政府の御答弁を聞きますと、改正はしたけれども施設のない所においてこれに代つてどういうような措置をとるかということについては、ただいまの御答弁でもうかがわれますように、非常に漠然とした問題であつて、それに代る施設のない場合にはどういうような措置をとるという具体的な策がないのですね。この点については改正したと言つても空手形にすぎないのじやないかという感じが非常に強いわけなのです。それでこの点は、せつかく改正したのであるならば、もつと具体的な案が立てられてなければ改正の実がないというふうに私は思うわけです。しかしこの点はよろしいとしまして、それですと二十三條、四條の母子寮とか、保育所のない場合の措置については一應法律の上だけでも改正を加えているわけなのですが、二十二條には同様に産院の問題を取上げて「附近に助産施設がない等やむを得ない事由があるときは、この限りでない。」というような條文が、そのままになつているわけなのです。二十三條、四條だけが今回一應條文の上だけは改正されたわけなのですが、二十二條については政府は全然お考えにならなかつたのか。それともあるいはもうふさわしい施設がない場合には、どうにもならないから、これは放つておくのだというお考えなのであろうか。この点についての御答弁をいただきたいと思います。
○小島政府委員 二十二條の問題についての御意見でございますが、これは経済的理由によつて入院助産を受けることのできない妊産婦を、保健上必要ある場合にそこへ入れるという問題です。御承知の通り生活保護法においては、助産の問題については、生活困窮者については助産費が出るわけでありまして、ただ医学的見地から見まして、その者が入院を要するという場合には助産施設を必要とする。助産施設がなければ附近の産科病院でも産科のお医者さんでもいいわけですが、こういうものについては現行法にはすでに生活保護において適当な措置がとり得るようになつているわけですから、その点については特に改正の必要を認めなかつたわけです。
○苅田委員 次に本改正の大きな主眼点の一つである兒童の賣買禁止の條項が新たに入れられているわけですけれども、兒童の人身賣買の問題は、基本的な兒童の人権の蹂躙を禁止するというので、非常に大きな問題だと思うのです。特にこれが現在の一般勤労階級の生活の困窮とともに、單に栃木縣とか、茨城縣とか少数地方だけでなく、全國的に潜在的な兒童賣買が繊維業者の間において廣く行われようとしている関係がありますので、特にこの点についてははつきりした政府の措置がとられなければならぬと考えるのでありますが、今回の改正では、そういう兒童を長期にわたつてうちに同居させる場合には、これを府縣知事に届け出るというだけの施策しか講じてないわけです。それでは非常に微弱であると考えるのでありますが、いかがお考えになりますか。この点お尋ね申し上げたいと思います。
○小島政府委員 いわゆる人身賣買事件につきましては、政府といたしましても関係各廳ときわめて緊密な連絡をとりまして、これに対して根本的な方策をとつているわけであります。現実にただ法令的に根拠を有するものが、今度の兒童福祉法の改正に現われたわけでありまして、むろんこの人身賣買に対する政府の方策といたしましては、ただ法律條文に現われた問題だけでありませんで、根本的の対策を講じておりますが、法律に根拠を置かないで、届出の義務を課するということになりますと、人に義務を課するわけですから法律を要する、こういう意味で法律の改正になつたわけであります。対策といたしましては、全般的な対策を講じておく、その一部分として法律の改正をして行く。こういうわけであります。
○苅田委員 政府が現在とつておいでになるこの問題に対する具体的な対策をお伺いいたしておきたいと思います。
○小島政府委員 この問題につきましては、われわれとして、労働省の婦人少年局、労働基準局、あるいは文部省の社会教育局、学校教育局、あるいは法務廳の人権擁護局、各省が一緒になりまして、一つの根本対策をきめまして、各省関係次官の通牒をもつて府縣に通知をいたしておるのでございます。御承知の通り、こういう問題が起つた原因はいろいろあるのでありますが、これが対策といたしまして、一つには現在そういう子供を扱つておるところの労働基準法違反、あるいは前借金があるという関係で、選ばれた兒童に対していかなる保護をするかということと、將來いかようにこれを未然に防止する措置を講ずるかという二つの対策があるわけです。現在の問題といたしましては、栃木縣がこの問題は非常に多いのでありますが、新聞紙上では大分大きく宣傳されたのでありますけれども、われわれの嚴密な調査によりますと、新聞紙上で騒がれたほど、人身賣買という問題は多くないのであります。栃木縣に例をとつてみますと、縣下全部調査いたしたところによりますと、他人の家庭で養育、雇用されておる兒童数は五千四百八十六名と出ておる。そのうち仲介者のある者が千四十二名、仲介者のない者が大部分でございまして四千四百四十四名、それから前借金のある者はわずかに百八名で、ない者が五千三百七十八名ということになつております。從つて今日大分騒がれました人身賣買という問題には、一つは労働基準法違反、あるいは職業安定法違反という問題、あるいは中間搾取という問題がございます。そういう問題でたまたま檢察局に檢挙された問題がありまして、いろいろございましたけれども、現在全体的な数から申しますと、兒童で他人の家に養育されておる者は五千何百名のうち、割合全体的のパーセンテージから見ますと、今日では少い状況になつております。そうして現在子供がどういうふうに、そういうところで保護されておるかと言いますと、これらについても非常に詳しい調査をいたしたのでありますが、大部分は実家に帰るよりは、その家庭において養育された方がいいと希望する兒童が多いくらいの実情を見ましても、そう虐待にわたるような待遇を受けておる兒童はきわめて少い実情になつておるのでございます。ただ多少中間的に一部には從來の封建的な考え方から、前に申しましたように子供に前借金を負わせたり、あるいは長い間の契約期間労働義務を負わせるということもまれにありました。そういう関係で今言つた違反となりまして、新聞紙上をにぎわしたのでありますけれども、これらの問題に関しては、現行の労働基準法、職業安定法、兒童福祉法の改正によりまして、中間的な搾取階級に対しての取締りを徹底的にいたしたいと考えております。同時にまたそういう者の保護については、新しく兒童福祉法に盛られました里親制度の問題を今非常に宣傳いたしておりまして、ほんとうに子供の福祉になるような、りつぱな福祉施設であるとか、あるいは里親のようなものを政府の手によりまして、でき得る限りあつせんをいたしまして、どうしても他人の家で養育しなければならない子供については、できるだけあたたかい施設、家庭で保護するという施策を現在とつておるわけであります。ただ他人の家に養育される場合につきましても、なかなか里親とか施設だけで全部まかなえるわけには行きません。從つて、他人の家において養育を受けるような兒童というものは、將來もある程度あり得る。その場合において、われわれがある程度指導し監督するためには、一定の資料がなければという意味で、そういう子供を預かつている者は一應すべて届け出てください、届け出た場合におきましては、それに対しまして兒童福祉委員というものが指導に行きまして、初めのうちはなつくのがむずかしいものですから、何回も何回も状況を視察し、だんだん長期間にわたつて、その家庭が適当ならば、あまり指導も要しないことになろうと思いますが、その事情に沿いましてできる限り指導を加えたい、こういう意味で、今回兒童福祉法が改正になつたわけであります。そういう意味におきまして、われわれとしては法律の改正はただこれをやるための一つの手段でありまして、全般的な改正ではむろんございません。
○苅田委員 ただいまの御答弁にもございましたように、兒童の人身賣買を禁止いたしますためには、労働基準法あるいは生活保護法とかいうような点とにらみ合せた施策をしなければならないということ、必ず私もそうなければならないと思うわけです。ただ今回議会に提案されております労働規約の改正の問題を見ましても、また今回の、政府が経済政策でとつております集中生産の方式から考えましても、これは必ず一層過重労働という結果になることは明らかなわけです。特に中小企業において、そういつた大企業の圧迫にたえかねた小さい企業では、どうしても幼兒の労働搾取という危險が非常に多くなつて來ているわけなんで、そういうものに対してできる限り厚生当局としては策を講じてもらいたい。そうしないでおいて、單にこういう條文だけ出しても、これは空手形に終る危險がある。特に農村なんかにおいては非常に荒廃して、今回出る予定になつている食確法の一部改正なんか見ましても、さらに農村事情は悪化する危險がある。こういうことから、また新しく兒童人身賣買の問題も起る可能性もあるわけです。こういう点で、ただこの改正だけではこの問題はとうてい解決できないことは明らかなわけです。この点について政府の愼重な御監督をお願いしたいと思います。 それから、同じように第三十條なんですが、ここに今度の改正でもつて、四親等以内のところに預けられた兒童はこの規定をはずれることになつているわけですが、承るところによりますと、これは以前には三親等ということが一度予定されておつたように聞くのです。それを四親等としたことがどれだけ兒童福祉上に利益があるかどうか、この点について御質問申し上げたい。
○小島政府委員 むろんわれわれとしても、お話のような問題につきましても、兒童福祉法の改正で申し上げましたように全般の改正をするのでなく、全体政策の一つとして今の届出制度を考えたい。なお、届出の場合において四親等にしたのはどういうわけかというのでありますが、御承知の通り、日本の家族制度におきまして法令上の義務として届出させるというような問題につきましては、この程度が適当ではないか、こういうふうに考えております。ただ実際の問題といたしましては、たとえて言いますれば、親子の間においても、義理の母親のまま子いじめという昔からの話がかありますように、非常に注意を要する場合があります。しかしそういうものは実際の面の指導でやつて、法令上義務として届出を課するのは四親等くらいが適当じやないか、かように考えておるのであります。
○苅田委員 その問題ですけれども、四親等と言いますると、いとこの子供同士ということになりまして、これは親戚といつても非常に間は遠くなつている。特に民法なんかにおきましても、家事審判所あたりで、強制的に扶養の義務をもつておるものは三親等内の規定になつている。それにもかかわらず、四親等までここに入れたということは、やはり兒童の保護の上において粗漏じやないかと考えるのですけれども、この点いかがでしようか。
○小島政府委員 今のは何か誤解じやないかと思います。四親等と申しますと、いとこ同士になるわけです。
○苅田委員 その点はいとこ同士でもいいのですけれども、あとの民法との関係上の点について御返答願いたいのですが……
○小島政府委員 民法上におきましても、やはり今申されたように、三親等とか四親等、いろいろの場合がございますけれども、大体わが國の現在の実情といたしましては、そういう問題について法令上の職務、届出を課するというものは、いわゆる四親等、いとこ同士くらいの方が最も合理的だというわれわれの解釈で、こういうふうにいたしたのであります。
○苅田委員 この点はもう一ぺん民法の家事審判の規定を読直していただきたいと思うのです。私も專門家ではないのですけれども、当然法令で扶養の義務を課すことのできるものは三親等内であるというふうに私は承知しておるのですが、これはそうじやないのでしようか。
○小島政府委員 民法で考えているところの親族上の関係と、兒童福祉法で考えているところの届出とは、多少考え方が違うのであります。御承知の通り民法というものは、日本の家族制度というものを根拠に置いて考えられておるのであります。この兒童福祉法におきましては、法令上の義務としてどういうものをどこまで取締つて行くかという問題の方から実施される。実際上の取扱いの面から言いますれば、今の二親等の間においても、親子の間においてすらいろいろ問題があるわけであります。そういう場合についても、やはりある程度の指導というものがむろん必要なのですけれども、ただ届出義務を、法令上の罰則まで設けてやるかという問題になりますと、民法上の問題とは多少観点を異にして考えなければならぬ。こういうふうにして四親等くらいが適当と考えます。
○苅田委員 この問題は、兒童保護が十分に行われるかどうかということの取締りだろうと思うのです。そういたしますと、大体家事審判なんかで條令となつておりますところ辺までは、やはり兒童福祉法でも届出を忠実に出すというのが、私どもの考えなのです。特に四親等に範囲を拡げることによつて、どれだけ兒童の福祉の上に利益があるかということがわかれば、四親等でいいのですけれども、少くともそういうふうに関係が薄くなれば薄くなるだけ、やはり兒童に対する親愛の情というものも薄くなると考えられる。これはただ関係にはよらない、赤の他人でもそうでない場合はあるわけなのですけれども、やはり一應取締りとしては四親等というふうな責任の深い範囲までこれを拡げるというやり方をしない方がいいのではないか。それとも、積極的に四親等まで拡げた方が兒童の福祉上に都合がいいという点があれば、またその理由をお聞きしたいと思うのです。
○小島政府委員 何回も同じことを申し上げるのでありますが、今のように法令上の罰則を設けて届出義務を課するというような場合におきましても、四親等くらいが適当である。ただ実際問題の取扱いとしましては、一親等、二親等の場合におきましても、問題があれば指導を加えることはむろん必要でありますけれども、実際問題の現状から推しましては、法令上の義務としてはこの程度が適当であるというようにわれわれは考えています。
○苅田委員 この問題はこれ以上申し上げましても押し問答になりますが、積極的に三親等より四親等の方がいいという何か見解がございましようか。その点だけひとつお伺いしたい。その上で次に進みたいと思います。
○小島政府委員 何回も同じことを申し上げるのですけれども、実際問題として、三親等の場合でもそういうことの指導は必要でありますが、法令上の罰則を設けてまで取締りの対象とするのには、日本の家族制度の現状としましては、少し行き過ぎじやないかと思います。
○苅田委員 それでは次に進むことにいたしまして、一應参考のためにお聞きしたいのですけれども、三十四條の八項の中で、今度改正になる成人及び兒童のため正当な職業紹介をした以外の者が、営利を目的として、兒童の養育をあつせんする行為ということと、職業安定法の二十七條とどういう関係にありますか。
○小島政府委員 たとえば今回の栃木縣とか福島縣の事例を見ましても、問題が職業安定法違反かはつきりしない場合がある。すなわち片方は職業をあつせんするという意味ではないのです。実は養育を目的のためにその子供を家庭に置いて育てているので、子供に対して何も労働をさせるとか、職業をさせるという意味ではないという場合がある。そういう場合において、仲介者になつて中間搾取をする者がありますけれども、そうすると現行の職業安定法とか労働基準法に違反になる。いやしくも職業をあつせんするときに、そういう中間搾取を取締るならば、家庭養育をあつせんする場合においてはもつと親切にやるベきであつて、中間搾取のようなことがあるべきではない。こういうことを営利とするものについては、新しいものを加えなければ、現行の法では不備である、こういう意味でこれをつけ加えたのであります。
○苅田委員 そういたしますと、やはり第二十四條の二の中に、今度は民間の兒童福祉施設に対しまして、事前に届出をするということの制度ができたわけなのですが、これを制定されました理由についてお伺いしたいのです。
○小島政府委員 これは三十四條の二の問題ですが、御承知の通り現行法におきましては、すべて兒童福祉施設は認可制度になつているわけです、ところが兒童福祉施設には該当しないということで現在放任されているものがある。それをある一定の場合におきまして、認可には行かないけれども一定の届出制度といたしまして、場合によつてはその問題について將來改善を命じたり、指導を命じたりする規定を置く必要がございまして、この規定を設けたのでございます。
○苅田委員 それはどういう必要からできたのでございますか。
○小島政府委員 たとえば民間におきまして、兒童に関係する福祉施設と申しまして、兒童の相談関係のいろいろのことをしておる場合がある。これは現行の兒童福祉施設に該当しておりませんし、認可も何も放任されおりますので、そういう場合は一應届出制度にいたしまして、適当な指導を加えるようにしておく方が、全体の福祉施設のためにいいということから、こういう規定を置いたわけでございます。
○苅田委員 そうしますと、適用される範囲は政令でこれを定めることになつておりますけれども、当局の方でお考えになつておる範囲の中に、今民間でよく行われております子供会等は入る御予定でしようか。 〔委員長退席床次委員長代理着席〕
○小島政府委員 今われわれは、主として兒童を対象とする会館とか遊園というもの、あるいは兒童の相談に関する問題というようなことを考えておるのであります。子供のクラブの問題につきましては、現在のところあまり考えていないのであります。
○苅田委員 そうしますと、現在は考えておいでにならなくても、將來必要に應じて、また政令でもつて勝手に届出を要求することはできるわけですね。
○小島政府委員 届出ということは別にそう大してむずかしいことではないと思います。ただ必要範囲というものは多少問題があるので、そういう問題についてはある程度届出た方が、全体から見ていいと考えておるわけであります。
○苅田委員 しつこいようですけれども、これはすぐ問題になることですから、さらにお尋ねしたいのです。現在東京都内におきましても、無数に子供のクラブだとか施設があるので、この法律が施行されれば、すぐ届出の義務を負うようになるのですか。
○小島政府委員 そういうものを一應含まないものとしてわれわれは考えております。
○苅田委員 政令というふうなものの範囲は非常に漠然としておりますので、本來ならば政府がしなければならない福祉施設に対して、予算との関係から政府は非常にこの施策をさぼつておるわけなのです。そのために一般の母親とか地区の組織などが協力して、そういう子供の施設をつくつておるのを、政府の側から言えば便宜を與えて慫慂しなければならないのに、今度の規定によつて、場合によつてはそういう重要な民間施設が崩壊するような手続を設けられたことは、かえつて逆じやないかという感を私どもは強くするわけです。
○小島政府委員 たいへん誤解を生じておるようで、それを解いておきたいと思います。この届出は、現在非常に問題があるから取締るというばかりではなく、民間の適切な施設はわれわれとしても涵養し、大いに助長して行くわでありまして、取締りの対象にのみ考えておるわけでは毛頭ございません。
○苅田委員 この問題についてもう一つお聞きしたいことは、届出ることによつて助長する意味があるかもしれませんが、届出て非常にうまく運営されてけつこうだという場合には、政府の方から何らか物質的の援助でもあるのかどうか。 もう一つは届出ることに対して、たとえば厚生当局のお考えに沿わないような施設があれば、これを政令によつて解散を命じたりすることができるかどうか。この点について御答弁をお願いしたいと思います。
○小島政府委員 厚生当局の考えということではなくて、どこまでも兒童福祉になるかならぬかという見地から問題を解決するのであつて、兒童の問題につきましては、どこまでも兒童の福祉の見地から、それが適当であるかどうかということで最低基準をきめられて、今のような届出制度を考えておるわけでありますから、その点はそういうふうに御了承を願いたいと思います。非常に惡い施設の場合だけは、ある程度事業の停止を命ずる規定があるのです。 もう一つ、奬励金は今すぐ出るわけじやありませんけれども、將來われわれが兒童福祉法を考える場合におきましては、たとえば里親の問題にしても、ララの物資が來た場合に、それを里親に配給するということも考えておるのでありまして、だんだん兒童福祉からいろいろのものを考えて行く場合において、そういう施設の存在をわれわれが知つておることは、非常に参考になるし、また必要であるという意味から、届出ということを考えておるわけであります。 それから今の取締りの問題につきましては、法律上必要な場合においては、ある程度停止することができることは、政令でなくて法律で規定されております。
○苅田委員 次に三十五條に兒童福祉施設の最低の基準ということが書いてありますが、具体的に言つて、兒童の兒童福祉の最低の基準はどういうところにあるのか。これをお伺いしたいと思います。
○小島政府委員 私から申し上げるまでもなく御承知と思いますが、とかく日本におきましては、施設をつくることに熱中いたしまして、施設ができ上つてしまうと、その施設がいかように運営されておるかということについては、割合に官も民も無関心であることが、往々にしてあるのであります。そこで兒童の問題につきましては、ほんとうに兒童をかばつてやる者の保護について、十分に指導監督をすることが必要と考えるのであります。そうでないと間違いを起しやすい。音通の大人になれば、その問題について間違いがあれば、それに対していろいろ意見を言うことができますけれども、子供に関する限りにおいては、國家がかわつて保護してやらなければならぬということが非常に多いと思いますので、そういう意味において最底を守らなければならない。子供に対する福祉上の措置、たとえば子供の施設の運営の問題でありますとか、職員の厚生をどうしなければならぬというような問題、すべて兒童福祉から考えられる設備の問題でありますが、そういう意味から申しまして設備運営の問題、職員の厚生の問題、そういうものがすべて兒童福祉上ぜひとも守らなければならぬ最低限度の線というものを最低基準にきめまして、この施設も、官立であろうが、公立であろうが、私立であろうが、すべてその線に沿つて別途に運営されなければならぬ、こういう意味で最低基準と申しております。
○苅田委員 これは私が非常に不勉強なわけでお聞きするのですが、兒童福祉法の施行細則か何かに、具体的にそういう施設について、たとえば兒童一人についてどれだけの廣さがなければならぬとか、あるいは職員は何名とか、あるいは監護の方面の人が何名いるかというようなことが、具体的にきまつているわけですか。
○小島政府委員 最低基準でそういうことがきまつているわけです。
○苅田委員 私の質問はこれで打ち切ります。
○田代委員 兒童保護関係費が九億五千五百大十一万円になつておりますが、これが各地方にどのように配分されているか。その内容を、はつきり現在御答弁願えなければ、資料として知らせていただきたいと思います。
○小島政府委員 まだその予算を配付いたしておりません。これから予算を各縣に配付いたすことになつております。
○田代委員 できましたら資料をお願いします。以上で終ります。
○床次委員長代理 お諮りいたします。これにて質疑を打ち切ることに御異議ございませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○床次委員長代理 御異議なしと認めまして、質疑はこれにて終了いたしました。 この際、青柳委員より本案に対する修正案が提出されておりますので、右修正案につき趣旨説明の発言を許します。青柳委員。
○青柳委員 この兒童福祉法の一部を改正する法律案につきまして、二箇條ほど修正を提議するものであります。 一つは、第二十四條に「市町村長は、保護者の労働又は疾病等の事由により、その監護すべき乳児又は幼兒の保育に欠けるところがあると認めるときは、その乳兒又は幼兒を保育所に入所させて保育しなけれればならない。但し、附近に保育所がない等やむを得ない事由があるときは、その他適切な保護を加えなければならない。」とある。その「監護すべき乳兒又は幼兒」を「監護すべき乳兒、幼兒又は第三十九條第三項に規定する兒童」と修正し、続いて「その乳兒又は幼兒を保育所に入所」云々とあります「その乳兒又は幼兒を」というのを「それらの兒童を」というように修正いたしたいのであります。 その理由を申し上げます。第三十九條は、今回改正されまして第二項が入りました。第三十九條の規定によりまして、保育所は特に必要があるときは乳幼兒以外の兒童をも保育することができることになつたのでありますが、市町村長がここからの兒童を、先ほども読みました法第二十四條の規定によりまして、保育所に入所せしめて保護する措置はとれないことに相なるのであります。そのためにこれらの兒童が貧困であつて入所に要する費用を負担できないときも、國及び公共團体からは一文の補助も出ないということになるのであります。兒童の保護に欠けるところがあるものと言わざるを得ないのであります。 〔床次委員長代理退席、幡谷委員長代理着席〕 從いましてただいま申しました改正によりまして、市町村長が必要に應じてこれらの兒童を保有所に入所せしめて、費用を負担できない者については、國または公共團体がかわつてその費用を負担することにいたしたいのであります。 第二の修正点は、第七十一條にお手元にありますように「及び第二項」という文字を加えるのと、「第五十六條第二項」というのを「第五十六條第三項」に改めていただきたい点であります。その理由は、現在兒童福祉法の第七十一條におきまして、第五十六條第一項中「特別区の区長」とあるのは、「東京都知事」と読みかえられていたのでありますが、第五十六條の第一項は、今回の改正によりまして第五十六條の一項と二項の二つの項目になりましたために、当然先ほど出し上げましたような修正をする必要があるわけであります。後段の方の修正につきましては、現行の兒童福祉法の第五十六條第二項が、今度の改正によりまして第五十六條第三項となるために当然行わるべき改正であるのであります。 以上二筒條に関しまして、修正の提議をいたす次第であります。
○幡谷委員長代理 ただいまから討論に入ります。床次委員。
○床次委員 私は本案に関しましては、原案並びにただいまの修正案のどちらにも賛意を表するものであります。兒童福祉法の運営につきましては、先ほど以來多数の委員から御発言がありましたように、現下の青少年兒童の養護上から見まして、現在やつておりまする事実はまことに寒心にたえないものがあります。過般青少年の犯罪防止に関しまして多数をもつて、あるいは満場一致かと思いまするが、本会議において決議が可決せられたのでありまするが、青少年の犯罪防止の基礎になりますることは、実はこの兒童福祉法が十分充実して運用せられることにあるのではないかと私は考えるのであります。從つて現在の兒童福祉法の運用に関しましては、予算その他を拜見いたしますると、まことに軽少なものである。でき得る限りこれを充実しなければならないと思いまして、本案を決議するにあたりまして二つばかり要望を申し上げたいと思うのであります。 要望事項の第一は、兒童福祉施設、特に母子寮あるいは兒童養護施設に関しまして、その充実をはかるということ、並びに民生委員、兒童委員等の活動に関しまして遺憾のなにいように、先ほどの養護施設の問題と同様あでりますが、ともに実効のある予算的措置を講じていただくということをお願いしたい。それが第一の問題であります。 〔幡谷委局長代理退席、委員長着席〕 第二の問題に関しましては、少年法あるいは兒童福祉法それぞれ適用せられておりまして、先ほどお話のように、本法におきましては順次それが円滑に單純化されまして、効果をあげておるように見受けるのでありますが、いまだなお不十分な点があると思いまして、將來におきましてなお一層兒童保護の徹底を期せられるよう、兒童福祉法によつて、より廣い適用が行われることがよろしいと考えられますので、この点を將來におきまして、当局においてお考えをいただきたいと思うのであります。 以上二点を要望いたしまして、原案並びにただいまの修正案に対しまして、私は賛成をするものであります。
○堀川委員長 堤委員。
○堤委員 私は日本社会党を代表いたしまして、この修正案並びに本案原案に賛成をいたすものでございますが、希望條件を付したいと存じます。 まず第一に保育所、母子寮の充実と拡充をはかつてもらいたいということであります。伺うところによりますれば、これらの施設に対するところの予算は、まつたく期待はずれの結果となつているのであります。現在全國には二十万になんなんとする生活保護法の援護を受けておる乳幼兒をかかえた寡婦が存在しているのでありまして、その乳幼兒の総数は四十万に達するのでありますが、これらの人々の現在の生活のためにも、また子供たちの將來につきましても、母子寮あるいは保育所の拡充は緊急なる施策といたしまして、全國の貧しい母親たちの共通の願いなのであります。政府は勇断をもつてこれが拡充を実施せられたいということを要求してやみません。 第二点は、授産と保育の総合的施設を実施していただきたいということであります。現下における生活の窮乏化、あるいは近い將來における失業の増大とあわせ考えますときに、夫のある場合の一般家庭婦人でさえ、授産所進出が相当推定できるのであります。かかる場合、何と申しましても、実際には子供たちが足手まといであります。この観点から社会局と緊密なる連絡をおとりになり、保育と授産を総合的に実施されることを切望してやまないのであります。 第三点といたしましては、兒童の不良化の防止の問題であります。今日青少年の不良化はすでに最も憂慮すべき社会問題となつているのであります。今回の改正におきましても不良文化財の処置に対しまして、積極的な措置を講ぜられたことはまことに喜ばしいことでありますが、現実に不良化の原因を檢討いたしますと、学資の欠乏、お小づかいの不足等、いわば家庭の貧困が重要なる原因となつているのであります。しかるに今日生活困難なる家庭の兒童に対する教育費の補助はきわめて少額であり、しかも生活保護費用が満たないため、その方に流用されることの傾が普遍的なのであります。從いましてわれわれは貧困なる家庭に対する教育費の増額並びにこれが現物給付等を通じて、あくまでも教育費として活用されるよう具体的な措置を講じていただきたいのであります。 第四点といたしましては、中央、地方を通じまして、本案に準拠してつくられるという各審議会には、ぜひとも労働團体の代表を参加せしめていただきたいというのであります。これまでの例に徹しますると、政府その他地方のこうした審議会や臨議会は、実際において形式的に流れるきらいが強いのであります。しかし兒童の福祉に関する諸問題の解決は、実に働く大衆の生活と最も密接なる関係を持つておるのであります。かかる意味から申しましても、私は労農團体における、ことに婦人部の代表をぜひとも参加せしめられるよう特別の配慮を要求いたす次第であります。 以上四つの希望條件を付しまして、わが党は修正案並びに原案に賛成をいたすものであります。
○堀川委員長 苅田委員。
○苅田委員 日本共産党はこの兒童福祉法の一部改正に対しまして、反対の意見を持つておるものでございます。ただいま民自党やあるいは社会党の皆さんが、いずれもこの原案に対して修正の意見をつけておられるその根本は、みな予算が不足しておるということに帰しておるのであります。しかもこの予算の問題につきまして、私が長らくの間の質問を続けましても、決して現在これ以上好轉することはできないということは明らかなのであります。でありますから、現在多くの人が指摘されておりますように、今日のわが國の兒童の状態や、また母親の状態はきわめて悲惨な現状にあるということは言をまつまでもないので、それに対しましては、予算の裏付を持つたところの大きな保護施策が講ぜられない限り、これに対してはどのように條文をひねくりまわしましても、單に空手形にすぎない。のみならず、これによつて一時を糊塗しようというような、非常にごまかし的な政策であるという点から、私どもはもつと十分な予算の裏付を持つた、実際に実現の誠意のあるところの福祉法が制定されることを強く要望するものなのでございます。特に本法の立法の目的が、私が前に問題にいたしましたように、非常に問題兒に傾きまして、そういう問題を防止しなければならない。そのために必要な一般の母親や兒童の生活を守るための施策が全然忘れられるというような非常に片寄つた問題がこのままに放置されておる。こうしてまた予算の点におきましても、從前といささかも改善されておらない。こういうような兒童福祉法の改正に対しましては、根本的にわが党は大きな批判を持つており、この点から今度の改正には賛成しかねるわけでございます。 次に改正の二、三の点について申しますれば、第一番に今回の改正は兒童の人身賣買禁止の問題だのが大きな條文になつておるのでございますけれども、この條項は、ここで当局も申されましたように、單に府縣知事に対する届出等の事務的な措置ではとうていこの大きな問題は解決できないことは明らかなのであつて、これに伴つて生活保護法なり、労働基準法なりの、少くとも法文通りの適用がなければならない。また半面において農村生活の改善がなければならぬのにかかわらず、今回の同じこの第五國会において、かえつてこれと逆行するようなたくさんの法律が考慮されておる。労働関係の法律にいたしましても、あるいは農村関係の法律にいたしましてもそうであります。また生活保護法のごときは、かえつて今年度はわくを狭めようとしておる。そういうことを片方においてしておきながら、ただ單に形式的な届出制度を設けるというようなことだけで、こうした兒童の人権蹂躙というような大きな問題を片づけようという趣旨に対しまして、私どもは非常に欺瞞的なことであるという点から、非常に遺憾であるということを指摘するわけでございます。 それから第二の点といたしましては、今回の改正は非常に民間の施設に対しまする官僚統制が強くなつておる。この点が私どもからいたしますと、非常に反対する点になつております。たとえば政府は当然なすべき兒童の福祉施設の建設をサボつており、これに対しまして民間の施設がむしろ活発に行われるのを援助するような方策に出るべきが至当であるのに、いろいろな規定を設けまして、かえつてこれを禁止する。また兒童の文化統制という名をかりまして、一方的な兒童統制をやるということは、かつての軍國主義時代にそういつた一方的なやり方で兒童の教育上非常に重大な結果を起したと同じような、あるいはフアツシヨ的な、あるいは植民地的な文化統制というふうなものが行われる危險が非常にある。こういう点から今回の改正が非常に官僚の機構の統制を強化しておるという点からも、私どもはこういう改正に対して反対しておるものなのであります。 要するに私どもは、現在の勤労階級の生活の困窮を解決いたしますためには、時に悲惨な母子の状態を解決いたしますためには、十分な予算の裏付を持つた無料の産院や、託兒所や、完備した母子寮を建設することこそが必要で、そういつた基本的な抜本的な母子保護法を制定することだけがほんとうの兒童並びに母親の福祉を進める方策であるという点から、そういう新しい兒童あるいは母子の保護法の制定をしてもらいたいということを特にお願いいたします。そうして本案の改正に対しましては、反対の意見を表明する次第でございます。 なお提出されました改正案につきましては、これは單に事務的な手続にすぎないものでございまして、別にこれに特別な根本的な改正案は何らないので、これに対しましては別に反対を表明いたしません。 以上わが党のこの問題に対する意見を申し上げたのであります。
○堀川委員長 青柳委員。
○青柳委員 民主自由党はこの改正法律案に対しまして修正案を付して賛成するものであります。 一昨年の春、すなわち今から一年半もたたない前にでき上りましたこの新しい法律が、今日さらにその対象とする範囲を廣め、しかもその運用の面におきましては、兒童行政の担当者としての市町村長の地位を明らかにいたしまして、ほんとうに時宜に即した運用ができ得るようになつた点などにつきましては、大いに賛成を表するものでございます。ことに第四十九條の二に設けられまして、貧困なる兒童の保護につきましては、國家におきまして十分見てやるという意思のほども明白であります。われわれといたしましてはここに双手をあげて本案に賛成するものであります。
○堀川委員長 これにて討論は終局しました。 まず青柳君より提出になりました修正案に対しまして採決いたします。同案に賛成の方の御起立を求めます。 〔総員起立〕
○堀川委員長 起立総員。よつて修正案は可決いたしました。 次に修正部分を除く原案について採決いたします。同案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○堀川委員長 起立多数。よつて修正部分を除く原案は可決いたしました。 —————————————
○堀川委員長 次に船員保險法等の一部を改正する法律案を議題といたしま この法律案に対する質疑は終了いたしております。この際青柳君より本案に対する修正案が提出されております。右修正案につき、趣旨弁明の発言を許します。青柳君。
○青柳委員 先般この法案の御審議の際にも私から御質問いたしたのでありますが、問題はこの船員保險中の失業保險に相当する部分に関連いたしまして、失業保險についての保險料が、標準報酬の千分の二十二と從前と同じく定められておるのであります。しかるに一方先般本院を通過いたしました失業保險法が、陸上の失業者につきましての保險につきましては、保険料は千分の二十と引下げられてあつて本院を通過いたしたのであります。從いましてこの際船員保險につきましても、失業保險に関する保險料を千分の二十二とあるのを、千分の二十と引下げられたいのであります。私どもといたしましては、もつと引下げられれば引下げたいのでありますが、陸上の失業者と合わすという意味、また將來九原則の実施が進行するに伴いまして、船員界、海運界の状況もどうなるかわかりません。從いまして陸上と合せまして千分の二十と修正をいたしたいのであります。よつてこの修正案を提案した次第であります。
○堀川委員長 これより討論に入ります。岡委員。
○岡委員 私どもはただいま御提案の修正案には賛成をいたしまするが、それを除く部分には反対の意思を表示いたしたいと思います。 私どもは先般党大会で、社会保障の実現ということを採択し公約をいたしております。かかる観点から、なかんずく私どもは、この改正案に反対の意を表明いたしたいのであります。現在日本の社会保險制度の最大の欠点は、万人のひとしく指摘するところは、その制度と運営の不統一、並びにその運営のやり方が非民主的であるという点に盡きると思うのであります。ところが昭和十六年に創設されました船員保險、あるいは健康保險、あるいは失業保險、老廃保險等を含めまして、まつたく総合的な保險制度といたしまして、いわゆる制度運営の法律に対しては、サンプルといたしまして、從前の保險制度に比べましては進歩的な姿を持つておるのであります。かかる意味からいたしましても、この船員保險が一つのサンプルといたしまして、いよいよますます理想的な社会保障制度のサンプルを実現するには、あらゆる運営や機構の統一なり、またその他の從來の他の保險の制度と比べましてのマイナスの点を持つておりませんので、これをより一層強く前進せしめてもらいたいというのが、私どもの衷心よりの願いであります。 ところで現在は海員組合等の調査によりましても、遺族年金保險は、年額五千四百円から五千五百円の間を往來しておる。あるいは失業保險につきましても、昨年の十一月の統計におきましては、その受給件数が二百二件である。かつまたその保險金は六百八十四円というようなことでありまして、現在のインフレの高進に伴いましては、なかなか生活標準にも足りないというような事情からいたしまして、これらの是正につきましては、海上労働者の諸君は声を大にして政府に要求しつつあつたのであります。かかる事情に即しながら、なおかつ今日いわゆる保險財政の窮乏、ことには医療財政の窮屈が増大いたしたために、保險財政が窮地に陥つたというようなことを大きな理由といたされまして、多少なりともこの保險料率の増額を企図せられたということについては、私どもは絶対に承認をいたし得ないことを遺憾といたすのであります。先般の健康保險の改正につきましても私は論及いたしましたが、何と申しましてもいわゆる保險制度の運用の精神的支柱は、制度に対する被保險者大衆の心からなる信頼であります。從いまして今日海上労働者が現行の職員保險につきましては、政府負担等において何とか遺族年金を引上げてもらいたい、あるいはその他の点についても是正を要求しておられるときに、そうした措置をとらないで、むしろ保險料率の引上げを策するというようなことは、われわれは社会保障の実現という大局的な観点からいたしましても、いかんとも承認することができないのであります。 第二点の反対の理由といたしましては、今度の改正に関連いたしまして、その手続上きわめて非民主的な点を指摘いたしたいのであります。それは現在海上労働者はそれぞれの決議等をもちまして、あるいは厚生年金との通算を要求しております。あるいはまた業務外の傷害年金につきましても、遺族年金制度におきましても、保險給付につきましてはその五倍引上げ、陸上の労働者を対象とする厚生年金保險におきましてはそれが実現しておるのでありますから、相当の引上げを要求しておる。なおかつそういうような結論が船員保險委員会において決定を見ておるとも承知いたしておるのであります。從いまして船員の諸君は、かかるものが今度の改正を通じて実現されるであろうということを心から念願し、また期待をいたしておつたのでありますが、かかることが実現されないで、かえつて保險料率は一方的な引上げによつてなされるというようなことについても、私どもは衷心から遺憾に考えざるを得ないのであります。 かかる事情をもちまして私どもは本改正案に対しましては反対の意思を表示いたすのでもあります。
○堀川委員長 次に床次徳二君。
○床次委員 私は民主党を代表しまして、本案並びに本案に加えられました修正部分を含めまして賛成いたすものであります。 本案の改正につきましては、私どもの待望するところの社会保險制度の確立から見ますと、決して十分ではないのであります。すでに本年度予算におきまして、これはまことに私ども満足し得ない予算でありますが、予算も組まれております関係上、保險制度の將來のために、この程度の改正はやむを得ないと存じまして賛成をする次第であります。
○堀川委員長 田代君。
○田代委員 私は共産党を代表いたしまして、本案並びに修正案に條件づきで賛成いたしたいと思います。 健康保險に対しまして共産党は反対いたすのでありますが、初診療をとるとか、あるいは料率を引上げるというような社会保障の根本的な精神を無視し、あるいは軽視するというような、そういう基本的な不十分さが依然として本案を貫いておるし、また政府当局並びに原案を作成された方々は、社会保障に対する理解がきわめて冷淡であるということが言えるのであります。こういう点は徹底的に反対するわけでありますが、本案はいくらか前案よりはましな点も出ておるということは認めざるを得ないのであります。そういう点から條件づきの賛成をするわけでありますが、なおその條件といたしましては、そういう社会保障の精神、憲法第二十五條の精神を決定的に生かすという大きな線を生かしてもらいたいということ、それから料率が依然として高いので、これは健康保險においても同様であります。これをなお引下げてもらわなければならぬということ、それから第三点といたしましては、現在海員諸君におきましては、厚生年金等の通算ということが十分なされてないのであります。これは委員会におきましてもそういうことを希望するということが全委員から述べられましたし、政府当局もそういうことを考慮しつつあるということを言われましたが、これは逐次そういうふうにしていただくように、つまり厚生年金との通算ということによつて、海員諸君を有利にしていただきたいという点であります。次は業務外の傷害年金の引上げについてでありますが、これも同様に五倍に引上げていただきたいということ。最後には養老年金の問題でありますが、これを過去の養老年金の積立を基礎といたしまして平均しますと、これをもらいましても非常に小額でありまして、これは保障という意味から申しましても問題にならないような額でありますので、これは委員会でも主張いたしましたが、つまり最後の報酬をもつて養老年金の基礎とするということをぜひやつていただきたい。以上の條件をつけることによりまして本案に賛成いたします。
○堀川委員長 青柳君。
○青柳委員 私は民自党を代表いたしまして本案に賛成するものであります。 最近の経済情勢のもとにおきましては、医療費及び受給率の増加等によりまして、傷病給付に対する費用が著しく増加いたしておりまして、この点はわれわれとして認めざるを得ない事実であります。でき得る限りは保險料率の引上げを行いたくないのでありますが、事実として認めざるを得ない。しかもこの保險の成立を危うからしめるために船員保護等はできなくなるということを考えました際に、どうしてもこの際はやむを得ずこの保險料率の引上げに賛成せざるを得ないのであります。ことに先般御審議になりました健康保險におきましては一部負担の制度がございましたが、この保險にはその制度がないという点は非常にありがたいことと存ずるのであります。しかも一方におきましてこの法律案においては、新しく漁船船員に対する養老年金の短縮、失業給付の増額というようなよい点が十分見出されるのであります。ここにおきましてこの法案について先ほどもお話がありましたが、健康保險に相当する部分に関しましての保險料率の引上げは、でき得る限りこれを避けたいのであります。政府におきましては將來この保險の財政を健全化する運営的措置を講ぜられまして、その好轉次第、可及的すみやかにこれを逓減することをお努め願いたいのであります。それとともに先ほど田代委員からもお話がありましたが、厚生年金との通算の問題、並びに本保險法の中の厚生年金に相当する部分において積立てられております金額の利子の引上げ、並びにこれを船員の福利施設に運用せられる点を要望いたしまして本案に賛成するものであります。 ただ先ほど來お話がありましたが、われわれは社会保障制度の確立が一日もすみやかなることを望むものであります。しかしながらあの財力豊かなイギリスにおいてさえ、社会保障制度の実現にはまる五年を要したのであります。現在この日本の敗戰のもとにおきましては、ただちに社会保障制度の実現は至難であります。でき得る限りこれに早く手をつけて、五年を要せず、二年、三年の間に実現したいのであります。この点につきましてもできる限りすみやかに政府において社会保障制度の審議に手をつけられて、その実現をはかられたいのであります。
○堀川委員長 これにて討論は終局いたしました。 まずただいま青柳委員より提出いたされました修正案に対しまして採決いたします。同案に賛成の方の御起立を願います。 〔総員起立〕
○堀川委員長 起立総員。よつて本修正案は可決されました。 次に修正部分を除く原案について採決いたしますが、賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○堀川委員長 起立多数。よつて修正部分を除く原案は可決されました。 次に兒童福祉法の一部を改正する法律案及び船員保險法の一部を改正する法律案の審査は終了いたしたのでありますが、両案に関する本会議における討論者を、兒童福祉法の一部を改正する法律案に対しましては堤ツルヨ君、苅田アサノ君、船員保險法の一部を改正する法律案に対しましては岡良一君に指名いたすに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀川委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。 なお本日審査を終了いたしました両案に関する議長に提出する報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀川委員長 それではさよう決定いたします。 —————————————
○堀川委員長 次に社会保險診療報酬支拂基金法の一部を改正する法律案を議題として質疑を許します。岡良一君—— ちよつと岡委員にお諮りいたします。ただいま岡委員の質疑を許したのでありますが、その前に遺族援護に関する決議の小委員会の報告を聞くことにいたしますので、ちよつとお待ち願いたいと思います。それでは青柳委員
○青柳委員 遺族並びに留守宅家族養護に関する小委員会の経過を御報告申しあげます。 本小委員会は四月十二日から五月七日までにわたりまして、七回小委員会を持ちました。その間におきまして各方面の意見を聽取、または本小委員会の中で意見を闘わせまして、各方面にわたつての研究をいたしたのであります。厚生省からは社会局並びに保健局の関係者、並びに引揚援護局の関係者、文部省の総務局、農林省の農地関係、大藏省の税の関係並びに予算の関係を招致いたしまして、質疑を闘わせ、なお全國の民生委員連盟、遺族連盟の代表者の意見などを聽取いたしたのであります。そしてただいまのところいろいろ議論がありましたが、遺族の問題だけを取上げてここにわれわれの意思を一應まとめたのでありまして、でき得ればこの決議を本会議におきまして決議案としてぜひ上程をお願いいたしたいと思うのであります。一應その案を朗読いたします。 遺族援護に関する決議案 戰死した者の多くは好んで戰場に出たものではない。終戰後すでに四年、その遺族は、戰爭を増惡し、平和を要求し、國家の平和的再建を念願して居る。しかるにこれらの遺族に対する國家の処遇は他の戰爭犠牲者に対する援護に比して冷淡を極めて居る。 今や遺族の多くは精神的に、物質的に窮境のどん底に陥り、殊に、か弱き女子にいたいけな子供や老人の重荷を背負い、嚴しい社会の中に孤立し生活苦と戰い、いばらの途をよろめきながら歩んでおり、人道上これを放置するに忍びないものがある。 遺族は遺族たるの故を以て他の犠牲者より以上の援護を要求するものではなく、少くとも他の犠牲者と同等にして差別なき援護を要求しつつある。しかしながら遺族の中には老人や婦女子が多い。政府はこの婦女子に対する特殊の援護にでき得る限りの温き措置を講ずべきである。 戰爭に出たのは、多く國家の強制による公務である。戰死者の多くは公務による死亡者であることは言をまたぬ処であるが政府は改めてここにこの事実を確認すると共に之に伴い速かに遺族に対する次の如き援護方策を樹立して物心両面に亘る救済の方途を講じ、之が速急なる実現に努め、その結果につき、次期國会に於て、本院に報告すべきである。 一、戰歿者に対する葬儀その他の行事につき、一般文民同様の取扱とすること。 二、遺族年金又は弔慰金を支給すること。 三、生活保護の基準額を眞に人たるに値する生活を為し得る程度迄即時に引上げ特に老人、婦女子の家庭の生活の確保を図ること。 四、子女の育英に対し特別の考慮を拂うこと。 五、生業扶助制度の活用及び生業資金事制度の拡充を図ること。 六、授産所、母子寮及び保有所を増設すること。 七、その他課税、農地及び供出等の問題に関して、老人、婦女子の家庭の特殊事情を充分参酌して適当の改正を行うと共に、その実施上円滑を期すること。 右決議する。 こういう案文であります。一應の遺族援護についての結論をここに掲げたわけでありまして、決議案としてお取上げ願うに至つた次第であります。從前は遺族だけの決議案とか、遺族だけを取上げての問題は許されなかつたのが、ここに新たに取上げ得るようになりましたことは、私どもといたしましても、ほんとうにうれしいことと思うのであります。何とぞ本委員会の皆樣方におかれましては、会員こぞつて御賛同をお願いいたします。なお本会議に上程いたしました際にも、一日も早く少しでも遺族に安心していただきたいために、関係御当局においてでき得る限り具体的な御発言を願いたいために、今後も努力いたしたいと存じます。本会議におきまして、この決議が決定いたしましたその後におきましても、われわれとしては遺族の問題のためには十分の力を注ぎたいと存じておる次第であります。何とぞこの決議につきまして全員の御賛同を得たいと思います。 現在までの小委員会の状態を御報告した次第であります。
○堀川委員長 ちよつと速記をとめてもらいます。 〔速記中止〕
○堀川委員長 速記を始めて。次に田代委員の質問に移りますが、ここで暫時休憩いたします。 午後三時十八分休憩 ————◇————— 〔休憩の後は開会に至らなかつた。〕