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5回国会衆議院1949/05/10

建設委員会 第15号

発言数
67
登壇者
12
会派数
3
開催日
1949/05/10

会議録

淺利三朗民主自由党

○淺利委員長 これより会議を開きます。  水防法案を議題といたし、質疑を続行いたします。通告の順によつてこれを許します。前田君。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 ただいま上程になつておる水防法案について、二、三質疑をしたいと思います。あまり日本の法律が形式的であり、繁文縟礼的であるという難点が、この法律案にも非常に多い、こういう点があると思うのであります。大体私の質問の條行項については、過日瀬戸山委員からも相当質問されたので、その点はできるだけ反復を避けたいと思います。ただそれに対しての政府側の御答弁で、なお納得のできない点が二、三あるので、重ねてお尋ねする点もあろうと思いますが、その点あらかじめ御了承を願つておきたいと思います。  すぼう計画につきましては、大体消防法との関連が最も大切な問題だと思うのでありますが、実際水防が下部組織においては、従来行われておりまするところの消防法による水防、こういうものと大体一つものが動いて来なければならぬ、この状態ではないかと思うのであります。これはすでに政府側でもそのような御答弁があつたのでありますが、もつと明確に、水防法ができるために、下部組織において消防組織法による活動と違つている点があるかどうか、この点をまず第一にお尋ねいいたしたいと思います。

伊藤大三建設事務官(河川局次長)

○伊藤説明員 お答えに入る前に、ちよつとこの提出しました議案の中に、少し脱漏があり、ミス・プリントがありまするので、この点をちよつと御訂正を願いたいのですが、二十六條の第五号で「指定管理團体に関し必要な事項」とありますが、これを「前各号に定めるものの外、指定管理團体の水防協議会に関し必要な事項」と御訂正願いたいと思います。それから二十九條の「都道府県知事は、第九條の」となつておりますが、この第九條を第十條と御訂正を願いたいと思います。  消防團の水防活動の事柄に関しましては、消防法においては、普通の消火の活動は相当明確に書いてございますが、いわゆる水防活動ということについては、あまりその活動の方式がはつきりいたしておりません。消火の活動と水防の活動におきましては、いろいろの点において相違がございますので、その点につきまして、水防におきまして相当詳細に書きましたのがこの水防法でございます。そういう点におきまして、この水防に関する活動につきましては、水防法において、やつていただく、こういう考えを持つております。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 私のお尋ねいたしましたのは、この水防法による法律の規定でなしに、実際にこの水防法ができ上りまして、それによる活動と、それから従来の消防團が活動しておつたもの——これはもちろん先日の委員会で消防團の方からの説明の中にありましたように、今までの水防については、計画が不十分であり、活動が不十分であつたということは消防團の方でもはつきり言明されておるのであります。しかしそれは消防團ができまして、まだ時日が浅いし、その十分なる活動をするような準備ができなかつたのであつて、それは消防組織法その他の関係法律でなしに、それまでに時が與えられなかつた、こういう点において、やはり消防組織法においいてでもその時期が来ればやらなければならぬ責任があるのだ、こういう意味であつたと思う。そういたしますと、水防法ができるために、特に水防に非常に有利になるという、下部の組織が活発化されるとか、あるいは下部の組織について特別に特徴を持つておるとかいう意味ではなく、実際にやはり依然として下部組織の活動というものは水防法になろうが、あるいは従来の消防関係法規による活動であろうが、大体同じ者が同じに動いて来るのではないかというようにわれわれは感ずるのであるが、その点をもう少し明確にしてもらいたいと思う。

伊藤大三建設事務官(河川局次長)

○伊藤説明員 水防活動につきましては、今仰せの通り、消防團が大部分の活動をいたされるわけでありますが、なお水防のみのために水害予防組合あたりができまして水防團を持つておるところもあります。実はこの二つの活動の内容をここに盛つておるわけでありまして、ただ消防團だけでなく、水防團も含めて規定している関係上、一つの法律で水防のことを書いた方がかえつてはつきりする、こういう意味でこういうように書きわけたわけでございます。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 消防團の方にお尋ねしたいのでありますが、先般も瀬戸山委員からの質疑の中で問題になつた、第七條の國家消防長官の承認を得るという点でありますが、これはむしろ消防團の方よりも建設大臣から答弁してもらうのが最も適当であると思うのでありますが、大体七條において、先般も瀬戸山委員からの質問の中にあつたように、水防活動をやり、水防計画をやる場合において、國家消防長官の承認を得なければならぬということは、建設省が完全に責任を持つてやるべき性質のものを、國家消防長官の承認を得るというのは、過去における水防活動というものを考えれば、非常に関連があるということになるのでありますが、もし消防長官が非常に計画について関連を持つという必要があるほどならば、むしろ國家消防長官の方で従来の消防組織法の中のいろいろな水防に関する欠点を補つて、そして一本の機構で、さいぜん申しましたように、この機構が非常に複雜し煩雑するというところに非常にわれわれは難点を持つておるのでありますがそういう点から申しますと、一本で活動は十分できるのではないかと思うのであります。ことに火災を中心とした消防につきましては、私が説明するまでもなく、水防の災害に同時的に起こるようなことはきわめて少いのであつて、消防は火事の予防とそれから防火という点で、常にその訓練その他の関係が頻繁に行われ、常置的な性格が非常に多いと思う。水防は、常置的な活動の点は、防火の方の関係に比べますと、きわめて少ないことになると思うのであります。これを下部組織が一つの活動体である点から考えましても、むしろ今の消防組織法を改革いたしまして、水防の関係の計画その他の訓練等を法規の上で明確にして、一本で十分やれると思うのでありますが、今の消防法の中にもあります水防関係をもつと明確にしたら、われわれはやれると思うのでありますが、消防長官のその点についての見解をひとつお伺いしたいと思うのであります。

新井茂司國家消防庁長官

○新井(茂司)政府委員 お答えをいたします。前の御質問の消防と関連いたしますので、消防当局の見解もあわせて述べておきたいと思うのでありますが、消防組織法と、特に消防法を審議せられましたときにおいても実は問題となつたのでありますが、消防の機構または消防活動を規定する消防法だけをもつてしては、水防という非常に廣汎な範囲に影響を及ぼす活動には十全を期し得られないではないかという点が問題となつたのであります。それは消火の活動と、水防の活動というものが、性質上似ておる点もありますけれども、一面においては違つておる点がありますので、そうなつたのでありまして、違つておる一番大きな点は、火事はいわば非常に局地的でありまして、他の町村にまで非常に広く影響を来す、すなわち一つの村から次の村の方まで、火事が起るとやられてしまうという例は、まず原則としてはない。ところが水の問題になりますと、単に切れた所がやられるばかりではなく、その下流の方面の広い範囲のものがやられてしまう。従つて消防についてこの制度の改革を行いまして、非常に自治的な面を強調して改革を行うことが今後大切であるけれども、水防というような点についてはまた別箇に考えなくてはならぬ。そういう点を措置しなければならぬということであつたのであります。当時におきましては、従来消防がきわめて官治的な中央統制的な組織でありましたものを、地方自治的なものに切りかえまして、それによつて消防の発展向上を期することが、一面においては非常に要請せられましたので、この点を解決いたしますとともに、消防の機関をもつてする水防活動につきましては、また別箇にやり方を定めるということにいたしたのが、今回の水防法案であるのであります。従いまして御説のように水防法案が御決定になりまして施工せられましたあかつきにおきましても、第一線の水防活動をする機関の大部分というものは、消防機関がやはり担当しなければならぬというように私どもは考えております。その場合におきまして、消防機関は、火災の予防鎮圧については消防法によつてやる。また水防の活動につきましては、水防法にのつとつて行う、さようなふうにして行いますならば、水防についても十分な活動を消防機関は行うことができる。かように考えておるのであります。  それからただいま御質問になりました件でありますが、従来もそうでありましたが、この水防法の成立施行を見た後におきましても、消防機関の水防について果すべき責務というものは依然として非常に大きいわけでありまして、しかも消防というものは、火災及び水防も含んだ活動をする團体というふうに消防組織法においても規定せられておりますので、またそれが適当であると考えるのでありますが、そういう場合におきまして、水防計画、これは府県知事がつくるものでありますが、その水防計画は、案の第二條の第五項に揚げられておりますよう「水防上必要な監視、警戒、通信、連絡、輸送及び水こう門の操作、水防のための水防團及び消防機関の活動」それから相互援助協定というような問題、また「必要な器具、資材及び設備の整備及び運用に関する」事柄を全部含んだ水防計画を府県知事がつくりまして、あらかじめ水害に備えるということになりますと、やはり消防の中央の機関であります國家消防廳におきましても、これについてできるだけの指導と申しますか、やり方をもつてやるのが適当である、かように考えております。かように水防の問題は、一面において治水の問題とも密接に関係し、また一面においては第一線の活動團体であります消防機関というものとも関連を持つておりますので、この水防計画の承認につきましては、密接な連絡をもちまして、建設大臣及び國家消防廳長官承認を求めるということの方が適当である、かように考えておる次第であります。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 それからこの水防法の特徴といたしましては、今お話の中にありましたように、消防関係は局地的であるという関係、それから水防関係は広範囲なものであるという関係で、広範囲に指揮系統を持つ機関でなければならぬというところに非常な特徴があると思うのであります。この点でお尋ね申し上げておきたいのでありますが、過般のアイオン台風のときに、江戸川であつたか、土手を切るべし、いやまだ時期が早いという問題があつたのでありますが、こういうような場合に、その土手を切つて被害を受ける地域の府県知事の方は、できるだけそれを延ばそうと考え、あるいはそれによつて助かる方の府県側は早くと要求するということになる。従来はそれを内務省がやつて、内務大臣が権限をもつて指揮命令をするということになつておつたわけでありますが、こういう場合、ただ単に府県知事が実際に携わつたときに、時宜に適した処置命令を行うのは、実際はだれであるか。東京都なら警視廳が行うというようなことがあるでしようが、府県が数府県にまたがつた、こういうような問題のときは、だれが行うか、この点をひとつお尋ねいたします。

伊藤大三建設事務官(河川局次長)

○伊藤説明員 二府県以上にまたがります場合の堤防の保護の問題でございますが、これは両県の利害関係が相対立いたします関係上、その地点つきまして、実はこの水防法においてもその点考慮いたしまして、二十四條におきまして、「二以上の都府県に関係がある河川で、公共の安全を保持するため特に重要なものの水防上緊急を要するときは、建設大臣は、都道府県知事、水防管理者、水防團長又は消防機関の長に対して指示をすることができる。」ということを入れておるわけでありまして、もちろん大きな利益のために小さいものを犠牲にするということは、一般的には考えられますけれども、これはなかなかむずかしい問題でございまして、これにつきましては、あらかじめよく相談をいたしまして、最後の相談がまとまらないというような場合におきましては、建設大臣におきまして、その利害をいろいろ勘案いたしまして、適宜の措置を指示するというような方法を考えてやつておるわけでございます。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 ただいまのような場合に、本省に水防に対する参謀本部というような緊急の司令部のようなものを置く御意思があるのかどうか、この点お伺いいたします。

伊藤大三建設事務官(河川局次長)

○伊藤説明員 現在の法規におきましては、そういうものを設けるような規定は置いておりませんけれども、水防の実際にあたりまして、河川局といたしましては、時々刻々の情報によりまして、全員廳舎に残りまして、各方面の連絡をつけまして、実際上その点に遺漏のないように各府県とも連絡し、また市町村の方にも府県から連絡していただいて、遺憾のないように処置して参りたい、こう存じておる次第でございます。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 次にお尋ね申し上げたいのは、この法案の附則に、消防法の第一條中「水災害」を「火災」にと「水」の字を除くことになつておるのでありますが、これは当然水防法ができたから、消防法に関係がないという御趣旨だろうと思うのでありますが、全然消防法というものが水防には関係ないという観点から、かようになると思うのでありますが、こういうことの関係から、実際の災害の場合において、消防組織の方では水害にはわれわれの方は関係がないのだというような、一種の感情的なひらめきがそこに現れる。下の方で働く消防團員あるいは水防團員というものは、これは大体一つのものであるから、そういう場合においてはそういうことはないと思うのでありますが、消防司令だとか何とかいうような幹部級の中には、多少そういう感情が起るおそれが十分あると思う。ここは十分警戒しなければならぬ問題でありますが、この附則の水火災というものを別々に置いても、水防法ができた後においても、ある程度の責任はやはり——消防團もいろいろな治安の関係等もあつて、全然これは無関係だ、他人の仕事だというような考えを持たせることは不適当だと思うのでありますが、その点の御見解をひとつお伺いいたしたいと思います。

新井茂司國家消防庁長官

○新井(茂司)政府委員 お答えいたします。ただいま消防法の中から、水災の場合に関連をするものを除くということは、第一線の活動機関である消防機関について感情的なものを與えはせんかという御説、私もきわめてごもつともな御説だと考えておるのであります。従いましてこの法律の施行にあたりましては、消防の機関は、あくまで火災の場合にもまたは水防の場合にも責任を持つものであるということを強調して、そして火災等の場合の活動については、消防法により、また水災の場合の活動については水防法によつて活動するので、それ以外に責任を軽減されるゆえんのものは少しもないのであるということを、十分に、誤解のないように徹底させておきたいと考えます。ただいまの御意見はまことに有意義な御意見でありまするので、その点については遺憾のないようにいたしたいと考えます。ただ條文の整備のために、消防法のこの水災に関するものを削するということはいたし方ない事情でありますので、これは御了解をお願いいたしたいと思います。

伊藤大三建設事務官(河川局次長)

○伊藤説明員 ただいまの消防廳長官の説明に私から補足いたしまするが、今の御質問の趣旨は、消防機関から水防に関するものを落してしまつておることは、誤解を受けはせぬかというお尋ねでありますが、消防に関することにつきましては、消防組織法と消防法とあるわけでありまして、消防組織法において、消防團というものの責任ははつきりしております。それにおきましてはいささかも手を触れておるわけではありません。消防法というのは、その活動方式を定めたものでありまするが、別に水防の活動の方式をこまかく定めました水防法ができました関係上、この消防法においては水防活動につきましてただ一條を準用するというだけで、こまかい規定がないわけですから、その活動は水防法の方式によつてやつて行く。また消火活動は消防法でやつていただく。こういうことにわけたのみでありまして、消防團の責任問題は全然訂正したわけではございません。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 最後に経費の負担の問題でありますが、われわれのところにも、同僚委員の方へも参つておると思いますが全國の町村会の方から、こういう法律ができて、現在のこの法案の通りに実施される場合においては、表面に現われておる以外に、非常に町村の負担が加重されるということを心配いたしておるようであります。大体日本の機構改革の場合において、今までそういう実例はたくさんあるので、町村長が非常に心配しておるのは当然だと思うのであります。それでこの経費を國、都道府県あるいは市町村團体、こういうものの負担が、表面上は大体三分して負担するというようなことになりましても、実際に地方でいろんな資材、器具等が必要だという場合、表面上出しにくい場合においては、ことに消防團が今までやつておつたように、寄付によつてやるようになる。消防團が言うことにさからつては、またどんなたたりがあるかもわからぬというようなこと等もありまして、いやいやながらでも國民は一種の強制寄付に応じて、非常に不満を感じておる場合が従来ではたくさんあつたのであります。やはり依然としてこういうことが行われるおあおれがある。現在の市町村の負担が配付税その他の関係上、非常に困難な場合において、これ以上こういう負担を課せられることは困るという意見は、当然起ると思うのであります。この点についてそういう寄付や陰の負担というようなものは、どういうように考えておられるのか。そういうことは従来よりあつた。この悪弊をこの際この法律ができるために行うということを厳重に取締まるというご意思があるかどうか、この点をお伺いいたします。

伊藤大三建設事務官(河川局次長)

○伊藤説明員 水防の費用につきましては、当局といたしましても一応都道府県や國などが分担したいという建前をとりたかつたのでありますけれども、國の財政の都合上、今回はこれを考えることができなかつたわけであります。ただ水防ということを考えますと、これは最も直接地元の利益に関する問題でありまして、水害を受けた場合のことを想定いたしますれば、その被害は、水防のために費やされました費用と比べまして、まことに比較にならない莫大なものだと存ずるのであります。なお水防の問題につきましては、すでに市町村消防との関係においても規定されておりますように、市町村において負担となつておりまして、当然市町村に置かれてなされる事務、こういうことになつておるわけであります。そういう点も勘案せられまして、最小の費用で最大の効果を上げる。こういう意味で従来の消防法においても認められておりますが、これによつて起りますところの損害を軽減して、そうして少しの費用で最大の効果を上げるように進んでいただきたいと存じておる次第であります。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 われわれ今のお答えを聞いて、非常に不満足なのであります。なるほど水の災害による被害は、市町村の被害の額と、その水防の費用とに比較したら、比較にならぬということが言われるが、しかしその被害がはたして天災による不可抗力であるかどうかという点につきましては、今の日本の公共事業費の大削減によつて行うべき河川の工事が行われておらない。河川は國が管理して行く國の所有物である。そしてその堰堤等は國が行わなければならぬ。その行うべきものを行わないために災害が町村に起るのであります。たとえばお隣りの家が行わなければならぬ工作物を行わないで、隣の家が被害をこうむつたと同じことなのであります。現在においては天災の不可抗力で災害が出たと言われるけれども、雨量が二百ミリの場合もあるし、二百五十ミリ、三百ミリの場合もあるが、あらかじめこの程度は常識的に國が行わなければならぬとこういう程度があるわけであります。それさえ行わずにおいて、もしそれを行えば二百ミリ程度の雨ならば水害が起らずに済むという、そういうことについては國が重大な責任があるわけであります。だから災害だけを、また水防だけを見た今の御意見では、國民は納得しない。だからこういうものについては、國は積極的に、十分國会等が要求した公共事業費を計上されて、災害復旧を行う。災害復旧が行われておるにもかかわらずこれだけの水が不可抗力的に出たという場合においては、今の議論は成立つけれども、現在のような公共事業費、災害復旧費では、それがために起つた水害等の災害について、國民にその費用を負担せよというのはむりな話であります。だから現在においては水防に対してこのままの公共事業費、災害復旧費の程度では、相当國が水防に対して積極的に負担しなければならぬ責任があると思います。それをただ表面だけ三分の一なら三分の一程度で行くことなら不満足で、どうしても地方に負担がかかるのは当然である。今までの消防関係の設備にしてもかかつて来ておる。これが全國の町村会においても非常に不満であり、過般陳情になつたゆえんだと思います。この点についてもつと明確な御答弁を願いたいと思います。

伊藤大三建設事務官(河川局次長)

○伊藤説明員 水防に対しまして、國の予算で義務的に國庫補助の規定を設けなかつたことに対しまして、いろいろとおしかりを受けておるわけですが、実はこの費用負担の問題についても、何とかひとつ措置をとりたいといろいろ考えたわけでありますが、先ほど申し上げましたように、國の財政上、堤防の補強、いわゆる改修工事、災害復旧費に対しましてもなお欠けておるような現状でございます。金がないというのでやむを得ずこの点を私の方として打切つたわけでございまするが、なお私の方といたしましては、財政の余裕がつきます限り、何とか財政法の規定もございまするから、予算の都合がつく限り、何とかこの道を講じて参りたいと存じておる次第でございます。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 私の質問は、これ以上の問題は事務官ではいかぬと思うので、大臣がお出になつたらこれらの責任に関する質問をすることといたしまして、私の質問は打切ることにいたします。

淺利三朗民主自由党

○淺利委員長 次に池田委員。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 私はまず政府委員に対しまして、この法案の一般的な問題について質問したいと思うのです。先ほど前田委員の方からも詳しい質問がありましたけれども、政府はこの水防法案をつくり、水防組織を全國につくることによつて、水防ということについて十分な成果を上げられるものと信じているかどうか。現在の費用の問題、河川工事の不十分な現状、こういう点から考えて、十分な成果を上げられるものかどうか、そう信じているかいないか、その点まず御質問したいと思います。

伊藤大三建設事務官(河川局次長)

○伊藤説明員 水防がこれによつて十分な効果が上げ得るかどうか。こういう御質問でございましたが、われわれといたしましても、これによつて現在の経費の多端なる折柄において、十分な効果、万全の効果を上げ得るということを断言する自信はございません。しかしながら現在水防に関しまするところの活動につきまして、確たるいろいろな方法もきめられていなかつたという点におきましては、ところによつては十分なる活動をやつておられるところもありますが、あるところによつてはその活動の方式にも若干遺憾な点もあると感ずるのでありまして、そういう点につきましてある程度これが指針でも示めされれば、それだけよりよく水防について活動して行けるのではないか。こういう考え方で進んでおります。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 そうするとつくらないよりはいい。そういうふうに考えているものと了解していいと思うのでありますが、そうするとこの第二章の第三條の「水防予防組合はその区域における水防を十分に果たすべき責任を有する。」とここに政府の厳重な責任が市町村に課せられているのでありますが、これはどういうわけでございましようか。もちろんこれには罰則も何もないようでありますけれども、とにかく責任を有するわけであります。十分な責任というのは一体どの程度までの責任を市町村が負うべきものであるかどうか。

伊藤大三建設事務官(河川局次長)

○伊藤説明員 現在の資力並びに能力の限界において十分にやつていただきたいという考え方でございます。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 それならば第三條の「十分に果たすべき責任を有する。」という條項は抹消すべきだと思います。現在の資材及び現状においてなし得る限り、「十分に」ではなくてなし得る限り、あとう限りの責任を全うしなければならぬという條文に改めるべきであつて、まつこうから「十分に果たすべき責任を有する。」ということはいけないと思います。これはあとで意見を申し述べますが、次に十五條でありますが、「水防管理は、水防のため必要があると認めたときは、警察署長に対して、警察官又は警察吏員の出動を求めることができる。」こういうことになつておりますが、前條においてやはり必要があるときは「これらの者の要求があつたときは、警察官又は警察吏員は、同項に規定する者の職権を行うことができる。」警察官の職分というものはここに明記してあるのでありますが、この十五條において特に「警察署長に対して、警察官又は警察吏員の出動を求めることができる。」とありますから、警察官もやはり水防活動に従事することになると思います。そういたしますと、この場合の水防の指揮系統というものはどういうふうになるのでありますか、その点明確にお伺いしたいと思います。

宮前憲三建設事務官(河川局監理課長)

○宮前説明員 私からお答えいたしたいと思います。第十四條の関係についてのお尋ねでございますが、第十四條におきましては、水防上緊急の必要がある箇所におきまして、その区域内の整理を行う、たとえば水害の場合に材木を拾いに来たり、あるいは高見の見物のようなかつこうで集つてもらうことは、非常に水防活動を妨げるわけでありますから、警戒区域を設定いたしますが、警戒区域の取締りということをやつていただくというのが第十四條の趣旨であります。第十五條におきましては、これは一般的な関係でありまして、警察の本来の任務といたしまして、生命、財産の保護ということが当然の任務となつておるわけであります。従いまして、水防管理者だけでなかなか任務を行うことも困難であろうと思われますので、警察は当然そういう任務を持つておりますが、その発動を促したい。こういう趣旨の規定であります。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 それでその指揮系統、たとえばこれは非常に緊急を要する場合でございます。そういう緊急を要する場合に水防管理者、それからもう一つ警察署というものがあつて、指揮系統の違うものがあつて、緊急の事態に処するという場合に、どちらが指揮系統の指導権を握るかということがお伺いしたいところなのであります。

宮前憲三建設事務官(河川局監理課長)

○宮前説明員 これは具体的な問題として解決して行かねばならないと思いますが、水防管理者の立場といたしましては、水防という面につきまして、つまりここの堤防にこういう工作をしろとか、ここのところをちよつと手伝つてくれとかいうようなことは、水防管理者にやつていただきたい。こういうふうに考えておるわけであります。警察署長はそのほかの治安維持の問題もございますので、御承知の通り、昔から水げんかというものが非常にあつたわけであります。そういう事態に備えまして、ここへ規定しておいたわけでございます。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 その水げんかなのであります。実際の水防の場合に、向う側の堤防が切れればこつちの堤防が助かる。こつちの堤防が切れれば向う側の堤防が助かる。その場合に警察署長がそういう水げんかの仲裁役ないし裁決権というもののために出るということならば、警察署長が水防全体に対して大きな指導権を握るものである。御承知のように水防管理者は市町村の長であります。ところが國家警察署長というのは十数町村を管理している。十数町村を管理している警察署長がそういう権限を持つて水防全体を指導することに当然なつてくる。これは大きな警察権力の昔のような復活と考えてもさしつかえないと思う。従つてこの間に対して、もう少し明確な規定がなければ、現場にあたつて大きな問題を起すんじやないかというふうに考えられるのでありますが、それはどうでございますか。

宮前憲三建設事務官(河川局監理課長)

○宮前説明員 これは治安維持の問題でありまして、川の対岸が両方で争いまして、向うからこつちの堤防を切りに来る。切りに来れば、当然こちらで防衛するわけです。そういうことによりまして暴行等が行われるというふうな場合に備えまして、その暴行を水防管理者等ではなかなか防ぎきれないとも思われますので、その場合に処するために規定したつもりであります。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 そういたしますと、水防管理者が警察署長に対して出動を求めることができるのは、そういう治安維持のためなんですね。治安維持の必要のためなら、なぜ治安維持のためと書かないのですか。水防のために必要があるというような一般的に書いておるのが問題であり、これは治安維持のため必要ありと認めたときはと書けばよい。それを「水防のため必要があると認めたときは」と書く以上は、水防全体に対して大きな権力を握るということが当然考えられる。その点に対してどうお考えでありますか。

宮前憲三建設事務官(河川局監理課長)

○宮前説明員 これは水防管理者の側から書きましたので、こういうふうな規定のし方になつておるのでございますが、もちろん水防管理者の要求がありませんでも、警察独自の立場で治安維持の立場から出動することはできるわけであります。しかし水防管理者がそれを促すというのは、どうしても水防に関連する必要がございますので、水防のためとこう書いたわけでございまして、実際問題として、この規定が適用せられまして、警察官が水防管理者を指揮してあそこの堤防をこうしろ、ここをこうしろというようなことはないと考えております。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 次に中央氣象台長にお伺いいたします。中央氣象台は第十條にやはり「氣象の状況により洪水又は高潮の虞があると認めるときは、その状況を」云々という氣象台の任務が明らかになつておるのであります。御承知の通り、氣象台に対して行政整理があり、私承知するところによりますと、相当程度の山岳氣象台が廃止せられ、ないし人員が減少されて、その能力もまたそれに比例して減少するように伺つておるのでありますが、そういう弱体化した中央氣象台で、こういう任務をどの程度に遂行することができるものであるか。その点についてお伺いしたいと思うのであります。

和達清夫運輸技官(中央気象台長)

○和達説明員 中央氣象台は第十條に書きあげておるようなことは前からいたしております。ここに書きあげておるのは、水防に関して特に明確に規定されたと思います。そこで今回中央氣象台の行政整理は、まだはつきりきまつておりません。一応きまりました三割の縮減といたしますと、それだけの影響は当然起ることと思われます。ここに書き上げられている災害防止、特に災害の大きい洪水とか高潮のための氣象予報は、中央氣象台の最も重要な仕事でありますから、今回の行政整理が行われましても、ここに最も重点を置きまして、観測所の閉鎖、あるいはその関係の人員の削減というようなことをできるだけ避けて、この仕事を最も迅速的確に行いたいと思つております。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 迅速的確に行つていただければ、もちろん申し分はないのでございますが、たとえば筑波山測候所が廃止されるということになりますと、筑波山上における雨量がはつきりしないために、その地元を流れている有名な男女の川がただちに氾濫いたします。そうして櫻川が氾濫するのでありますが、この場合に、中央氣象台が茨城縣における雨量を的確に報知する、それ待つて櫻川に対する予防措置を講ずるというようなことでは、とても間に合わないのでありまして、筑波山の測候所が筑波山における雨量を的確に地元町村に報知してくださることによつて、初めてその地元の櫻川の水防工事が適切に行われるのであります。あるいは長野縣における山岳氣象も、御承知のようにここは急流でありますから、ごく減少された人員が若干の統計をとりまして、これを中央氣象台に報知して、中央氣象台がこれをまた長野縣に無電で知らせるというようなことでは、とても間に合わない。やはり長野縣の山岳氣象台が、その地元において的確な処置をとつてもらわないと、とても水防に間に合わない。そういうやり方が、今度の行政整理によつて相当支障を来すことになるのではないかと思いますので、この点についてお伺いいたします。

和達清夫運輸技官(中央気象台長)

○和達説明員 今回の行政整理におきまして、そういうような不便が起らないように、たとえば雨量の観測所等におきましても、災害防止に最も必要であるような業務は、極力残そうと思つております。なおこの洪水には、電力関係、あるいは建設省の雨量観測所、鉄道の雨量観測所等とも協力して、この氣象通報の仕事をいたしておりますが、今後それらともよく連絡して、できるだけさしつかえないように行いたいと思つております。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 できるだけさしつかえないようにという御返事でありますから、その点に対する質問はまた別な機会にしたいと思いますが、災害の場合はあらしが伴うのでありまして、その場合たいてい通信機関が杜絶するのであります。従つて、予報を迅速に行うためには、どうしても無線電信を利用しなければならないのでありますが、無線電信の機械を各市町村で備えておくということは、とうていできないのでありますが、この点について、中央氣象台ではどういうふうにお考えになつておりますか。

和達清夫運輸技官(中央気象台長)

○和達説明員 災害防止に通信が最も大切であることは申し上げるまでもないことであります。暴風その他の天災によつて、非常に大事なときに有線がとだえることも、われわれといたしましては従来非常に困難を感じておつたところであります。それでこの氣象の通信は有線電信と無線電信を併用するということを理想にいたしておりまして、その計画も半ば進んだのでありますが、今回はいろいろの事情もありまして、無線の方はその理想を実現することはとてもできませんが、もつぱら有線の方は間違いのないように関係の官庁とも連絡に努めております。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 有線でやるのですね。

和達清夫運輸技官(中央気象台長)

○和達説明員 有線がおもです。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 有線をおもにするということになりますと、たとえばアイオン台風とかカザリーン台風というようなあらしのために、電話線がほとんど切れてしまつたという場合には、当然中央氣象台というものは災害防止のために大した役割を果すことができないことになると了解してさしつかえないのですか。

和達清夫運輸技官(中央気象台長)

○和達説明員 先ほど説明が少し足りませんで申訳ございませんでした。無線と有線と併用いたしておりまして、そのうち台風が直接影響する太平洋側の無線はなお極力維持するようにいたしておりますが、今回手薄になる計画中のものは日本海側が主でありまして、台風のために一番かんじんのところは極力残す計画であります。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 どのくらいの設備ですか。

和達清夫運輸技官(中央気象台長)

○和達説明員 間違うといけませんから、詳しい説明は後ほどいたします。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 もう一点お尋ねいたします。この第十條にありますように、中央氣象台は災害と関係があり、河川の問題と密接な関係を持つておるのでありますが、水防法とは直接関係がないのでありますから、時間を借りて御質問をするのでありますが、中央氣象台が運輸省に入つているということはむしろ不合理であつて、中央氣象台は建設省に入るべきであると思うのであります。その点に関して簡単にお答え願いたいと思います。

芥川治運輸事務官(大臣官房長)

○芥川政府委員 運輸省の機構の問題に入りましたので、私から申し上げておきたいと思います。  氣象台が運輸省に所属しているのがいいのかどうかという根本論になりますと、これにはもちろんいろいろな意見がわかれると思うのであります。関係の向き等におきましても、この点については意見があります。また各國のいろいろな例を調べて見ましても、それぞれみな異なつた情勢にあるのであります。わが國におきましても、中央氣象台が運輸省に絶対についていなければならぬという理由はもちろん発見されないのでありますが、これにつきましては、現在一番密接な関係にあるのが運輸省であるということで、運輸省についていると考えられるのであります。今後の中央氣象台の問題につきましては、もちろんそれぞれ研究すべきところがあります。その主管の大臣において、また主管の省において、機構の問題については今後また研究せられるだろうと思うのでありますが、今申しましたように、建設省につけなければならぬという理論もまた成立たないのではないかと考えられます。御了解を願います。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 以上をもつて打切ります。

大西弘民主自由党

○大西(弘)委員 重複するようでありますけれども、この法案を施行するにあたつて特に聞いておきたいのは、第九條にありまする「水防管理者の水防團長又は消防機関の長は、随時区域内の河川、海岸堤防等を巡視し、水防上危険であると認められる箇所があるときは、直ちに当該河川、海岸堤防等の管理者に連絡して必要な措置を求めなければならない。」この條文であります。私どもの愛媛縣のごときは、全部これにあてはまると思うのであります。そういう場合に予算と相まつてこれがどうなるかというと、重信川のごときにおいても、もうあの堤防はほとんど延長の間危機に瀕しておる堤防なのであつて、相当額の予算をもつてせなければこの九條の目的を完遂することができないのであるが、この点はどの程度までの含みを持つのか。私はこの水防法の全体に賛成するものでありますけれども、こういう箇所々々について、現在の予算の上から見た自治体の財政なりあるいは國の財政なりから考えて、こういうことがどの程度取上げられるかということを承つておきたいと思うのであります。

伊藤大三建設事務官(河川局次長)

○伊藤説明員 第九條の規定は、水防管理者、水防團長または消防機関の長が水防をやるにあたつての、一般的な常識的な行いの一つを規定いたしたわけであります。所によりましては、今おつしやつたように、全部の箇所について非常に水害の危険があるということがあると存じますけれども、実はこの水防の担当者としての常識に基いた行動をやつていただきたい、これを法文に現わした意味でありまして、府縣においてこの報告があつたからやれと言いましても、金の面でどうしてもできないという所もございましようけれども、十分その点を理解して、できるだけの措置を講じてもらう、これ以上のことは財政の関係もありましてできないかと存ずるわけであります。ただ水防を管理しておる人としての、一応の責任をここに書き上げたのであります。

大西弘民主自由党

○大西(弘)委員 ちよつともう一言いたしたいと思います。大体他の委員の皆さんからお尋ねに対しての答弁、私どもが尋ねました第九條の答弁、そういうものを総合いたしまして、予算等の上から見て、なかなか容易にこの法案の施行ということは、むつかしいけれども、さりとてこれを放任しておくというような実情でもない。ゆえに将来徐々に完璧を期するという意味において、この法案を先に施行に移して、順次実行の線に移して行きたいというような意味にとつていいのでございますか。

伊藤大三建設事務官(河川局次長)

○伊藤説明員 それでけつこうでございます。

淺利三朗民主自由党

○淺利委員長 江崎委員より建設大臣の出席を求められておりますが、大臣は目下閣議で手が放せぬそうであります。政務次官が出ておられますが、それでよろしければ……。

江崎真澄民主自由党

○江崎(真)委員 今度水防法案を提案になりまして、すでに同僚各議員から、それぞれの角度から詳細の質問があつたのでありますが、私はこの水防法案を審議する一番の根本の問題として、地方の市町村に責任が負わされた感が深いのであります。と同時に、この問題に対しまして市町村方面においては市町村長会議等の決議案を見ましても、水防法案を新しく制定することは経費の上から言つても困難である、むしろ消防隊を強化して行つたならばどうであろうかというような意見もあるようであります。しかし当然消火と同時に水防は議論ができない問題でありまして、水防法をここに制定せられることはきわめて適切であり、時宜にかなつたものであるというふうに賛意を表しておるものであります。しかしながらいかにりつぱな水防法ができましても、経費の問題もさることながら、これを運営して行く上の実際の出先の市町村水防團はもちろんのことでありますが、直接これが監督の衝に当るところの、建設省事務当局における責任ある態度というものがはつきりしておらなかつたならば、いくら法案を並べ立ててみても、これは無用の長物以外の何ものでもないということが言えるのではなかろうかと思います。たとえばすでに今日ではこの消防、消火の問題については、相当責任を明らかにしなければならぬという議論が新聞の社説にも現われ、一般の國民的世論であります。たとえば四月三十日に東京駅八重洲口の約八百坪が焼失した。この損害はまさに一億円に上るということが言われておるのであります。そうして官公庁の大きな火災といつたようなものが、本年に入つてからすでに十七件にも上るということは、由々しき一大事でありまして、いかにも高い税金を負担し、それこそ日本再建のためにと思つて、かかる公共事業建築物をまつ先に建てることを認めておるわれわれとしては、これらが烏有に帰して行くという点につきまして、これは綱紀の弛緩と言わざるを得ないと思います。一般輿論そこに集中いたしておるようであります。これに対しまして事は火の問題でありますが、新井國家消防庁長官は法隆寺の失火後の状況において、次官会議ではつきり言明しております。すなわち第一番目には、失火の責任はあくまで強くこれを追求する、第二番目には、防火施設を強化するということを決定いたしておるのであります。そこでこういう問題を私どもが考えてみます場合に、もちろんこの法隆寺の場合でも、これは一人夫に近いような存在の人が電氣座ぶとんをそのままにして出た。まさにこれは一つの失火であります。思わざる事態を巻き起したのでありますが、あえて吉田総理大臣は時の文部大臣に引責辞意を求めた。これはいかにも普通平凡に物事を解釈するならば酷に過ぎるようでありますが、少くとも國家の重大な文化財を失つたという点については、黜陟を明らかにしたものでなければならぬと思います。要するに一人夫の粗相でありといえども、究極においては文部大臣の責任を明らかにする。これは文部大臣がその人夫を監督しようとしても、電氣座ぶとんのあり方まで予期することのできないことは明らかでありますが、しかしながら再びこういう過失を繰返さないということが責任の糾明根本であろうと思います。こういうとうとい文化財を失つてはならぬ。前者の轍をふまざるためには、やはり、一應直接的には関係ないけれども、間接的にもちろん責任の衝に当つておる文部大臣がただちに責任をとる。ここに綱紀が弛緩しておるというのであれば、将来こういうものは粛正せられるでありましようし、同時にそういう憂いは、少くともこの一つの厳しい黜陟のあり方によつて是正せられる明るみを認められたものとして、私どもは吉田総理のあり方に心から敬意と賛意を表しておく次第であります。この点について、今後水防法を制定し、同時に水防法の運営の万全を期して、いわゆる天変地異から救つて行くという面から、この法案の提出理由をまことにけつこうでありますが、これに対する根本的な御方針を一応承つてみたいと思うのであります。

内海安吉民主自由党建設政務次官

○内海政府委員 御質問の要点は、水防法を制定するところのねらいはどこにあるか。そして今後におけるいわゆる水防法の運営にあたつて、天災不可抗力等に対する責任の所在をいかにして明らかにするか。こういつたような二つの方面についての御質問だと思うのであります。水防法の制定につきましては、すでに先般建設大臣よりの提案理由の説明によりまして、おわかりのことと存ずるのであります。この河川に関する限り、また河川の天災の不可抗力によつて、しかも洪水等により幾多の被害が生じた場合における問題、並びに火災による損害、あるいは善後処置等に関する問題は、もちろん建設省の責任であつて、そしてこれが善後処置についてのいろいろの施策につきましても、もちろん建設大臣として適当な処置を講ずべきものであると考えるのであります。特にもう一点として述べられました地方財政が窮乏している今日において、町村長会等の決議にもあるがごとく、この水防法の今後の運営については、財政的に非常に考えさせられるというお話でございますが、この問題につきましては、地方財政法によりまして、配付税等の構想をよく練りまして、そうしてその地方の実情に応じて適当な処置を講じたいと考えているのであります。

江崎真澄民主自由党

○江崎(真)委員 ただいま内海次官から、もし水害がありまして、大きな被害を見た場合においては、当然これが直接の衝に当つておる事務当局においても、その責任を明らかにし、黜陟を期するという言明を得たのでありまするが、この建設省の河川局方面の通り言葉に、破れざればつくろわずというきわめて不可解なる通り言葉があるのを私承つておるのであります。そういたしまして、河川の荒廃について、戦争中何ら手を盡すことなく今日に至つてしまつたと言われる。その事情はよくわかるのであります。ちようど火災の問題につきまして、出火の責任を究明する、あるいは防火施設を強化すると言いますが、まさに新井國家消防庁長官の場合には一に責任の所在を明らかにし、二番目に防火施設を強化すると言つております。一に防火施設を強化し、二番目に責任の所在を追究するとは言つておりません。ここに私は新井國家消防庁長官の決意があると考えるのであります。要するに、この防火施設の問題におきましても、もちろん全部不燃家屋で再建がしたいのはこれは理想でありましよう。建設省におきましても、堤防の強化にそれこそ多額の公共事業費を費して、完璧を期したいのはあたりまえでございましよう。赤木次官が常に言われる、砂防の完璧を期することもいたしたいのでありましよう。しかしことあつてそしてあと破れた場合には、これは天変地異であるというのであるならば、これは百万円の金の使い方自身にも大きな開きがあるのではなかろうかと思うのであります。すでに今日まで建設省方面において、この金の問題一つを取上げてみても、大きな失敗が繰返されておると言わざるを得ません。利根川の問題の場合は、十億円を何とかこれに注ぎ込んでおくならば、今日の何百億というような大災害を見なくても済んだはずであるということは、沿岸民のみならず、國民ひとしくこれをうらみとしておるところであります。一方また昨年の災害におきまして、あの磐井川の堤防問題のごときも、復旧予算は千八百万円であつた。そうしてなおそのあとに用地費として二百万円が考慮されなければならなかつたのでありますが、これを事務当局はただ漫然と地元にその負担をまかせておつたのであります。地方において今二百万円という金額は、きわめて多額の金額であります。これをほんとうに熱意を持つて処理しておりますならば、当然あの磐井川の堤防決壊などということはなかつたかもしれません。その二百万円を中心にしてもんでおりますうちに、物價七割引上げという事態に突き当りまして、二千万円あれば何とか解決する問題が、二千八百万円を要することになつた。ますます困難の度を加えまして、遂にあの台風とともに磐井川は決壊をいたしました。もとは二百万円であります。そうして決壊後の今日の状況はどうであるかと言えば、三億一千万円の復旧費を要するというがごときは、まさにこれは土地の協力が足りなかつたのではなくして、建設省としても大いに戒めなければならぬ数々の責任があつたと言わなければならないと思います。かく考えて参りましたときに、一体この問題にあたつて建設省においては多少でも決意を示して黜陟のことがあつたかどうか、これも承つておきたいと思います。あの利根川が決壊し、また二百万円を問題として今日二億一千万円を必要とするほどの大きな惨劇をこうむつた磐井川の例を見て、しかもここに水防法が出されて来た今日、ここに当面の責任者である目黒河川局長がおらないというがごときも、すでに不届きであると考えるのでありますが、あるいはほかに都合があつたかしりませんが……。すでに新井國家消防庁長官の意向をもつてすれば、目黒局長などという人は、おそらく今日現職におる局長じやない。その責任をとつてやめておるべきはずの人だ。それがまた水防法を出して来て、直接の衝に当る責任者であるわけでありますが、一体過去のあり方はどうであつたか。これも一ぺん承つておきたいと思うのであります。それは何も人を憎んだり、あるいはあえて個人的な責任者の責任を追究するというような氣狭なものではありません。結局この貧乏國として多額の援助を受けなければならぬというなさけない今日の國情を認識するがゆえに、少くともこういう二百万円から二億一千万円というようなものが轉がり出たり、あるいは利根川の十億円が三百億あるいは何百億というような大きな事態に至らせ、しかも一方においては、破れざればつくろわずというようなじたいを事務当局が繰返しておるならば、水防法というこういうけつこうな法律を出したところで、いくら笛を吹いても國民はおどらないと思う。この点に対して政務次官よりも——河川局長はおりませんが、むしろ次長はいかなる決意を持つておられるか。今度はどこかの直轄河川が決壊したならば、ただちにあなた方はおやめになるくらいの決意があるかどうか。それくらいの決意を持つならば、地方財政がきわめて緊迫せる情勢でありますが、われわれは地方に帰りまして、地方の水防團体それぞれ呼びかけまして、この水防法のきわめて円滑なる運営ということに全幅の努力を拂いたいと思う。けれども、あなた方が、この水防法がしかれたといえども、これは天変地異である、天災である、國家はこれに対して予算がない、五百万円の予算しかとれないと言うならば、これでは今般いくら水防法を制定してみましたところで、こんなものはじやまにこそなれ、役に立つなどとは思われないのであります。少なくとも上が模範を示さなければならぬ。この点について一体河川局長の氣持を体しておられる次長ならば、当然責任ある回答がいただけると思うのであるが、いかなる感じを持つておられるものであるか、この点はつきり御答弁を承つておきたいと思います。

伊藤大三建設事務官(河川局次長)

○伊藤説明員 本日河川局長が参議院の方に呼び出されておりまして、この席においでにならなかつたのは、今のような事情でございますから御了承願います。ただいま江崎委員からきついおしかりを受けました次第でありまして、われわれ事務当局といたしまして、その点につきましては深く戒心をしなければならぬと感じておる次第であります。ただ問題は、われわれといたしましても河川に関しまする修復につきまして、相当な多額な経費を要求した次第であります。しかも日本全國の河川を全部完全に改修するがためには、少くとも二千億程度の金がいるというような計画もつくつておるわけでありまするが、この金は全部一時に使い切れるものでもなく、またこれだけの金が國家財政としてまかなわれるわけでもございませんので、今回も災害復旧費まぜまして約一千億程度の要求をいたしたわけであります。けれどもそのうちわずかに百七十億程度ということになつたわけであります。これでわれわれに責任が持てるかとおつしやいましても、われわれも責任も持てなければ、しからば責任を持てなければその場合もし切れた場合にどうするか、こうお叱りを受けましても、われわれといたしましては最善の努力を拂いまして、この程度の予算を獲得いたした次第でありまして、それ以上のことはわれわれ熱意がた足らなかつたかもしれませんけれども、そこに立ち至つたわけであります。そこでこのために堤防が切れた場合において責任をどうするか、こういう問題でございますけれども、われわれといたしましても十分にその点につきましては深く戒心いたす次第でありまして、その点につきまして、もしわれわれに十分何か責任がございますならば、それについては上司の判断にまかせましてしかるべく善処いたしたいと存じておる次第であります。

内海安吉民主自由党建設政務次官

○内海政府委員 江崎さんの御質問ごもつともと思います。治山治水の経費につきましては、昭和十二年日支事変以来まつたく戦争一本やりでもつて、こういう方面の恒久的対策を講ずることのできなかつたことは、すでに御承知のことと存じます。災害復旧のために支出しておりますところの経費は、いわばまつたく捨て金であつて、根本的には治山治水費としては生きていないのであります。この問題については、すでに御承知のごとく治山治水調査委員会等において、あるいは十年計画であるとか、あるいは五年計画であるとかいうような根本的計画はすでに立つておるのでありまして、今後において十分江崎さんの御質問のごとく、政府においても施策を施したいと考えておる次第であります。また一方官吏に対する責任の追及でありまするが、この問題についても今後は御意見のごとくに大いに自重いたしまして、そして責任のあるところはあくまでも追求することを明らかにしたいと考えております。

江崎真澄民主自由党

○江崎(真)委員 政務次官の決意を被瀝せられた御答弁と、事務当局の人の話というのは、そのくらいのものかもしれませんが、どうも食い違いがきわめて多いような氣がする。予算がこう少くては責任はわれわれはとてもとれない、満足できぬというようなお答えに承るのでありますが、そんな決意ならばただちにおやめになつて、そうしてもつと技術的に自信のある方におまかせにならぬといかぬと思う。幸いに局長もいらつしやつたようでありますが、もちろん追究して行けばどんな問題が起きても総理大臣だ、あるいは建設大臣だというような議論も出るかもしれませんがこれは暴論でありまして、要するに技術というものがもつと私は尊重されなければならぬと思うのです。経費が少いから、堤防の強化あるいは砂防の完璧を期することは全然できないというようなことを言うがごときは、これは技術も何にもない議論でありまして、少くとももうわれわれは負けたという現実、そして他國から援助を受けつつ苦しい予算を遂行して行かなければならぬということは、これはもう来年も再来年もここ当分はやむを得ざる事態であろうかと思います。そうするとこの事態において、一体いかなる技術的考慮を拂うべきか、もちろん治水五箇年計画などに御苦心を拂つておられる点は敬意を拂つておりますけれどもが、いたずらに破れざればつくろわずという悪い言葉もあり、戦争以来荒廃のままにまかせておりまして、予算が少くては何ともならぬ、こういう氣持ちで対処せられておるならば、いつまで経つても治山治水の根本に触れて、眞に水防法を制定して中央、地方一体になつての水防強化というようなことは、期待することができないと思うのであります。どうかそれぞれ事務当局の人たちは、技術においてはもう日本における指折りの権威者であろうかと思います。この人たちがいたずらに経費のみに藉口せられて、そうしてこの技術的見地からする水防の責任、あるいは自分が責任ある立場において、決然みずから辞してでも将来の戒めとし、これを他山の石として、なお水防に当つて行こうという決意がなかつたらば、困難な地方財政に水防法案をまかせてみて、一体これが円滑なる運用などができるでありましようか、私は建設省のあり方においても、何も責任をとるとらぬという問題は今日に始まつた問題ではないと思う。昔は経費が多くて完璧であつたから、その当時の者は責任をとつたとこうおつしやるかもしれませんが、それは三百代言である。大正六年淀川が決壊したときに、時の大阪土木出張所長は、この淀川決壊の責任を負うて辞職しております。あるいはまた昭和二年信濃川がやはり決壊しましたときも、その分水をいたいました時の新海所長、これは設計の主任技師であつたわけでありますが、いかにも設計の仕方が悪いというので、自ら決壊の責任を負うてやめております。利根川になつたらどうであるか、こういうふうありました、ああいうふうでありましたと、一つ二つくらいの例を聞かしていただければ、われわれも満足するのでありますが、利根川決壊のときに、次長さんはとても責任が持てぬからやめる、あるいは上司の判断をまつてとか、きわめて氣の弱いことをおつしやるか、あの東京土木出張所の加藤という出張所長は、せめて責任をとるどころか、逆に栄転しておるというきわめて不可解な事態を現出している。あるいはまた栗橋のあの現場主任、あれはどうなつたかというと、これは二級官から一級官に昇進させて、土木試験所長という重要なる責任ある立場にある。一体こういうことが、今日建設省において行われているということは、まさに官紀の弛緩と言わずして何だといわざるをえぬ、少くとも今次長の言明のような生ぬるいことを言つておるからこういつた黜陟などということもなんら考えられない、ておると言わざるを得ないのであります。しかも地方財政窮乏のときに、こういうすいぼうほうをつくつて、これはりつぱなものだと言つても、あなた方がその氣持ちがなかつたらいくらりつぱな法律であつても、金蒔絵の重箱の中にさつまいもを入れるのと同じことであなた方が眞に水防法を地方に敢行し、これが実効を期待せられるというならば、あなた方から決意を示してかかりなさい、すでに消防の方においては、新井消防庁長官は見上げたものだ、まず第一に責任を追及する。第二番目には防火施設を強化する、これこそ私は一つの決意であらねばならぬあなた方の言を借りると、まず第一に強化をする、それからまずぼつぼつ責任のことでも、上の方がいかんと言えば考えましようかという、そんなことで一体今日の日本な河川が守れると思うところに根本の違いがある。局長も来られましたけれども、この点について局長は次長とちよつと腹が違つた人だと思いますので、御見解を承りたい。

目黒清雄建設技官(河川局長)

○目黒政府委員 技術上の責任の問題でありまするが、われわれ技術者としては仕事をした、その仕事に対する責任は十分考えなくちやならぬと考えております。われわれもそのつもりでやつております。ただその責任を負うべき問題それ自身は、いろいろまた複雑でありまして、その事態になりませんとこれが決定しかねるのであります。一定計画のもとにやりました工事が決壊し、設計上の不備がありました場合には、十分責任を感ずるのでありまするが、これが予算その他の原因で一定計画ができなかつたということに対する責任は、技術者としてはちよつとむりじやないかというふうにわれわれは考えておるのであります。その点のところは予算と実施と設計と技術と、こういうものを総合的に考えまして、これらの責任の所在を明らかにしなければならぬと考えておるのであります。技術上の責任の所在は十分技術者としてはとる覚悟でおりますし、その覚悟を要するものと考えております。

江崎真澄民主自由党

○江崎(真)委員 次長の答弁よりはやはり局長の方が少しいいようです。けれどもまだ満足はできません、ということは、もちろん予算が少いことはわかり切つたことなんです。けれどもそれに対していかに重点的に予算配分をして行くか、当委員会におきましても、直轄河川については幾らというくらいの報告も受け、われわれはそれについていろいろ審議をするのでありますけれども、一体河川にどれだけ、どこにどれだけというようなことは、われわれの容喙の限りでなく、事務当局は技術的な見地から重点的に、少いなら少いように配分をなさつておるはずだ。当然そこには技術というものが根本にあるはずなんであります。と同時に地方におきまして、たとえば磐井川の決壊の問題でも、二百万円の用地費の問題、これは少くとも私はあえて責任を云々していいくらいの問題だと思う。二百万円が解決しなかつたがために、物價の値上がりによつて合計二千万円のものが二千八百万円を要することとなり、そこで事態が一層困難性を加えて来る。たまたま天変地異によつて二億千万円の大被害となるという事柄は、二百万円を獲得するということに関しては、磐井川直接の担当責任者としての事務当局の責任もあつたと思う。二百万円の問題を、大局からして達観する明が河川すべての責任者になかつたというならば、これもやはり一応の責任というものは考えて行かなければならぬと思う。それをしも明がないとおつしやるならば、それは一億円要する、2億円要するという、このわく内のきわめて薄い予算配分の中において、多額の金額ならばいざ知らず、わずか二百万円、わずか一千万円というような金額程度の問題では、これは政治的考慮を拂い、同時に地方の河川責任者の熱意を示し、そうして中央に理解を得るならば、当然地元のそれぞれの代表者、たとえば代議士諸公におかれましても協力というものはあつたはずでありますから、できておつたはずです。そういう技術的な考慮がなされぬから大惨害にまで引張つて来たと言わざるを得ぬと思う。その点あなたは話の筋を間違いのないようにお聞きとりをいただき、同時にこれに対しまして、重ねてあなたの、かかる場合はいかにするかという御決意を承つておきたいのであります。と同時にいま一つは、少くとも今からでも遅くはありませんから、利根川の決壊のときの責任者の地位のあり方についても、もう一度御検討になる御意思があるかどうか。あるいは栗橋の決壊で失敗した者が、二級官から一級官になつて、しかも土木試験所長などというような——もつとも失敗したのを一つの踏台として、今度は間違えぬようにという親心があつたのかもしれぬけれども、それがいやしくも土木試験所長というような枢要な地位に立つというがごときは、あぶなくてこんな土木試験所長に今後のあり方を託するなどということは、われわれにしてみればできぬと思う。れることを正しくすることは決してやぶさかであつてはなりません。今からでも遅くありませんから、この問題について、もう一度御検討になる御意思ありやいなや、念のためにひとつはつきり承つておきたいと思います。どうかひとつ人間をふやすことよりも、今後は技術を中心において人を選び、あるいは機械力を応用するていのほんとうに熱意をもつての御研究、御努力をなさつていただきたいのであります。どうかこの二点について、満足の行く御答弁がいただけまするように、もし満足ができぬということならば、こういう水防法を地方へ持つて帰つて、そうして地方の協力を得るなどという、いう点について、われわれは自信が持てぬ。一応の御決意を承つてみたい。

目黒清雄建設技官(河川局長)

○目黒政府委員 利根川の決壊の責任問題でありまするが、この問題はすでに過去の事実でありますので、現在といたしましてはその問題には触れるようなことのないようにわれわれは考えておるのであります。栗橋の一昨年の問題でありますが、この問題は相当時間も経過しておりますし、すでに過去においてこの問題は解決したと聞いておりますので、今さらこれをあらためて新しく取上げるというようなことは現在ないようにしております。  次に技術の向上でありまするが、江崎さんのお説ごもつともであります。御承知の通りに、この戰爭中仕事が中止のような形に追い込まれた関係上、技術力も相当低下して参りましたことはいなめない事実であります。われわれは最近進駐軍が入つて参りましてから、アメリカの機関などを見まして、われわれもこの程度の機会を駆使しなければならぬという覚悟を持つて参つたのでありまするが、これらの技術の向上をはかるためには、どうしても相当な期間を要するのであります。最近は寄り寄りその方の教育にかかつておりますが、これも相当戦時中のブランクのために、急にこの向上をはかることに悩んでおりますが、できるだけ早くこれらの技術力を向上いたしまして、欧米の機械を駆使するよう、機械力を利用するような工事方法に持つて行きたいと考えております。

淺利三朗民主自由党

○淺利委員長 江崎委員、どうですか。どうも長いようですが……。

江崎真澄民主自由党

○江崎(真)委員 どうも長いようであるという委員長からのお言葉でありまするが、これはその責任者において、どうもすつきりしたいい答弁がありません。それでまあ自然長くなるわけでありますが、こういうばかでは、とても今後困難な予算内において、國土を水害から守るということは、どうも期待されないように思います。根本的にこれは見解が違う。何もあす直轄河川が破れたから目黒さんも、伊藤さんもおやめ願いたいというばかげた話を私はしておるのではない。だれもかれも責任をとつてやめろというむちやくちやな話をしておるのではないのであつて、あくまで破れざればつくろわず、あるいは予算が少いから決壊したのだということではこれはいかぬのであつて、責任者として少しともはつきりした態度をとるということは、消防庁の長官をいかにもはめたたえてくどいように申し上げたのでありますが、失火ということはほんの一人夫か何かの、あるいはたばこのすいがらからついた場合がもとなんですけれども、あえて責任をとるということは、たとえば法隆寺が焼けた、そうして文部大臣の引責辞職を追つた総理大臣の意図は、もちろん常識的に考えてみて、文部大臣がやめなければならぬかどうかということは疑義もありましよう。けれどもそれくらいの熱意と決意が、今後こういつた失敗をさせないという戒めになるのでありまして、責任のが明らかにならないようなことで、困難な、きゆうくつな予算の中に國家再建をはかろうといつたつてできるものではありません。この点を私は強調しておるのでありまして、いたずらに枝葉末節のみにこだわつておるものではありません。この点をよくお聞きを願いたいのであります。同時に、済んだことだからとがめぬとおつしやる。あるいはそれもよろしいでしようけれども、少くとも二級官から一級官になり、しかも土木試験所長の枢要な地位に榮転して来るというような、まさに逆のあり方のごときは、これは建設省として当然改められてしかるべきことである。済んだことだからしかたがないといつたゆるふん式では、いつまでたつてもよい政治、よい手段が講ぜられるとは考えられない。この点につきまして、もう一度政務次官からはつきり言明をいただきまして、私の質問を打切りたいと思います。

内海安吉民主自由党建設政務次官

○内海政府委員 法隆寺問題に関しての総理大臣のとられた態度に対しては、江崎さんより大分おほめにあずかつたようでありますが、もちろん河川に関する限り、われわれは全責任をもつて、できる限りの努力をして未然に防ぎ、さらにまた一面において、この運営の衝に当る技術者、あるいは事務官等の欠点、あるいは重大なる過失等に対しては、お説の通り十二分にその責任を糾明することに努力したいと考えております。過去の問題について、目黒局長よりいろいろ弁明があつたようでありますが、少とも今後においては、かかる問題に関しては、断固として糾明の措置を講じたいと考えております。

淺利三朗民主自由党

○淺利委員長 お諮いたします。本案に関する質疑はこの程度で終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

淺利三朗民主自由党

○淺利委員長 御異議ないと認めます。それでは本案に関する質疑はこれで終了いたしました。本案については本日はこの程度にとどめます。  次に、建設省の機構改革に関する件を議題といたします。建設省設置法の一部を改正する法律案は、ただいま内閣委員会において審議いたしておるのでございますが、内閣委員会では定員法が提出され次第、本案を採決いたす予定とのことであります。何しろ時日も切迫しておるので、この際本案に対する当委員会の態度を決定いたしたいと存じます。  ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕

淺利三朗民主自由党

○淺利委員長 速記を始めてください。  本件に関しましては、慎重審議をようしまするが、時間の関係もありますから、当委員会の決定は延期をいたします。  午後はこの部屋が使えませんので、本日はこれにて散会いたします。なお明日は午後一時から、時間励行で開会いたします。     午後零時五十一分散会

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