建設委員会 第14号
- 発言数
- 100 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1949/05/09
会議録
○淺利委員長 これより会議を開きます。 建設業法案を議題といたします。建設事業につきましては、申すまでもなく、公共の福祉に至大の関連を有するものでありまして、特に現下におきましては、公共事業費並びに民間建設工事量等から見ましても、御承知のごとく相当の経費が投下されているような状態でおりまして、國民経済再建の上から見まして重大なる責任を有しておすます。しかも、この建設事業は、大体において建設業者によつて行われているのであります。かように考えますと、本案はきわめて重要なものでありまして、その審議も愼重を期さねばならないのであります。よつて公聴会を開きたく存じましたが、正式の公聴会を開くには手続上新聞廣告等の必要もあり、時間的制約もありますので、これに代つて同一の効果を期すべく、本委員会におきましては、去る三十日、本案について参考人を招請し、御意見を承ることに決定いたしまして、ここに御出席を願つた次第であります。 本日、参考人各位より多年の経驗と研究に基く貴重なる御意見を拝聽いたしますことは、委員会における審査に一層の権威を加えるとともに、多大の参考になることと確信いたす次第であります。私はここに委員長といたしまして、本日御出席下さいました参考人各位に深甚なる謝意を表しますとともに、忌憚なき御意見を述べられんことをお願いいたす次第であります。 それでは会議を進めるに当りまして、その順序を申し上げますと、まづ参考人の方々から御意見を伺い、その後において時間がありましたら、委員諸君の参考人の方々への質疑を許すことにいたします。なお時間の関係から、その発言は大体十五分くらいといたしまして、発言は発言席でお願いいたします。発言のときは御職名と御氏名をお述べになつていただきたいと思います。 なおこの際お諮りいたします。去る三十日参考人として決定いたしました安藤清太郎氏は都合により御出席できなくなりまして、代りまして古茂田甲午郎氏がお見えになりましたが、古茂田甲午郎氏を参考人といたすに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
○淺利委員長 御異議なしと認めまして、さよう決します。 本日の参考人の御氏名を申し上げますと、次の通りであります。川島武宜君、山下壽郎君、古茂田甲午郎君、灘波元由君、森豊吉君、進藤武左衞門君、石川井桂君、新井勝茂君、西松三好君、以上の通りでありますが、西松君は現在未だお見えになつておりません。 なお御出席者の御都合によりまして、順序は委員長において決定いたしたいと思います。 それでは最初に石井桂君より御意見を述べていただきます。
○石井参考人 私は東京都廳の建築局長をいたしております石井桂でございます。本日参考人として意見をただされますことは、私非常に喜びとするところでございまして、御礼申し上げます。 私は建設業法が國会に提案されまして審議の運びになつたことを聞きまして、ひそかに喜んでおるものの一人でございます。從いまして次に申し上げます意見は、結論から申し上げますると、賛成であることに盡きます。理由は、私は大正十二年に学校を出ますと同時に、警視廳に入りまして建築行政をいたしまして、それから現在に至るまで二十七年間、建築行政並びに営繕事業の方の、主管をやつております。その経驗から東京地方に限られるのでございますけれども、御参考になれば幸いと存じます。 第一は、大正十二年後しばらくの間、建設業者というものは、警視廳で屑物取扱業と同じように、單行廳令で同一視して、きわめて下等な業者扱いにされておつたことを記憶しております。それによりまして、長年の間業者が悪いことをするものだという見方で取締りを受けておるという非難を、業者の方からわれわれが建築行政をやつているときに、るる訴えられたのを記憶しております。おそらくその希望は今日業者としても熾烈なものがあると存じます。それらを考えますると、單行廳令の屑物、つまりバタ屋の取締りと同じような取扱いを受けるのでありますから、建設業法というようなものができて、一定の資格あるものが指導監督を受ける、そうして質を向上し、正しく営業を営むようん仕向けられるという機会を與えられることを、非常に喜んでおることと存じます。 それから第二は、今まで建設業者というものは、監督官廳というものがあまりはつきりしておらなかつたのであります。営業方面からいうと、商工省に属するものじやないかというようなことも言われますし、日常の法規の取扱いの点からいいまして、以前は内務省、今では建設省という方面から受けるのではないかというようなことがありまして、いつの時代においても建設業者は必ず損をしておつたのであります。それは監督官廳のない業者ほどお氣の毒なものはないと思います。たとえば鉄であれば商工省に鉄鉱局というものがあり、石炭であれば石灰の事業には石炭廳というものがあつて、小言を言うからにはごめんどうも見ておつたように思います。ところが戰時中といえども今日といえども、とにかくこれらの小言を言うところは至るところにあるけれども、めんどうを見るところがない。こういうようなことを考えまして、建設業法ができたあかつきには、明らかに建設省が監督官廳として、小言を言う点もあるでしようけれども、ごめんどうを見る点もあり得ると思いますので、その点業者は必ず喜んでおられるのではないかというふうに私は考えます。また、さらに消極的な目的から言いますと、私は長い間建築行政をやつている立場から、都民の苦しみも聞いております。たとえば勤労者がなけなしの貯蓄によつて家をつくろうという場合に、八分通りできたころ仕事を投げてしまつて、請負金額を増さなければ手をつけないというものもかなりあつて、建築相談に飛び込んで來た者もあり、あるいはまた、前金を取りつぱなしで工事にかからないものもある。いわんや戦後におきましては、ばくち打とかその他の無頼漢が、ボス排撃の指令に接して、一たびねらわれまするや、土建業者のかんばんをかけてそうして擬装をするというような者もあるのでありまして、それらを除いていい者を採用するという制度ができることは、私ども自分の仕事の方面からいつても、まことに喜ぶべきことと存じます。またこの法規の内容を承りますると、とにかく一方的に施主の方が強い態度で契約を取運んでおるのが現状でありますけれども、この法規の精神によりますると、対等の契約ができるようになつていること。その他審議会等を設けて、両者にいろいろな不利な点があれば、審議会等で十分民主的にこれを審議する機会を與えられている点。それらを考えますると、おそらく非常な進歩的な形の法規であろうと思います。 以上をもちまして、私は建設業法が借ることを非常に喜ぶものの一人でございますが、いろいろな法規が出れば多少は制限があるのでありますが、制限に比べて利するところきわめて大と存じますので、その点から私は非常に賛成いたすものであります。簡單でありますが以上で終ります。
○淺利委員長 何か御質疑がありますか。 〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○淺利委員長 それでは次に進藤武左衞門君にお願いいたします。
○進藤参考人 日本発送電の副総裁をやつております進藤であります。日本建設業法に対する意見を述べよということでこの席へ参りましたので、簡單に私の考えを申し上げたいと存じます。 この法案を拝見いたしますると、前に公聽会で一應お示しがありまして、われわれ意見をのべたきから見ますと、相当かわつておりまして、建築業者に対する育成の方針が相当強く出ているように拝見いたしております。それから、請負者と工事の依頼者の関係が、雙務的にやらなければならないということがはつきりされたこと。それからもう一つ、両者の紛議の取扱いに対しまして、一定の方針が明確にされていること。なお建築業の審議会をつくりまして、今後円滑なる運用を、中央におきましても地方におきましてもやるという方針がはつきりしたこと等は、われわれとしても、ぜひこれを実現していただきたいと考えているのでございますが、御承知のように建設業法、つまり請負の仕事は非常に変化のあるものでありますのと、それから、ことに日本の現下の経済界における経済の変動がきわめて激しいのでありますから、これを法律によつてうまく運用しませんと、かえつて法のために不経済な状態が起るというふうなことになりがちであります。ことにでき上りました工作物に対しましては、各主管官廳があるいは電氣で申しますと、電氣工作物規定でありますとか、あるいは建築でありますと、建築取締規則でありますとか、そういうふうな各主管官廳で、そのできました工作物に対する監督はあるのでありますから、それと請負業法との関係をよほどうまく運用いたしませんと、二軍監督の弊に陥りがちであると考えております。そこでこの建設業法におきましては、もちろん建築業者の行為に関ける監督育成あるいは取締りであつて、できましたのちの工作物の取締りと申しますか、あるいは監督というふうなものとの間に、ある線がなければ、二重監督の弊に陥るというようなことも心配されるわけでありますから、この点をひとつお考えおき願いたいと思います。いづれにしても私は総括的にこの法案に賛成でもります。 今私が申し上げましたような考えで、法文の二、三について私から希望を申し上げたいと思います。建設業法案の内容に入りまして、第一條にあります適用の範囲でありますが、これは別表に記載されておりまして、大体適用者は十二万人程度だということを私聞いておりまするが、しかしこの適用の範囲をあまりこまかくいたしますると、かえつて法律を守らないというふうな弊害を生じやすいのでありますから、適用の範囲につきましては公共工作物の問題を主としておるようでありますが、範囲に対しましてはあまりこまかいことに入らないようにして、そうして法律ができましたら、必ず守れる態勢をぜひひとつていたたきたい。 それから第四條にありまする建設業の登録期間であります。これを二箇年としてありますが、これはさらに延ばした方がよくなかろうか、この二箇年は短か過ぎるというふうに考えております。 その次の、第五條にありまする法人のいろいろの資格の内容がございますが、これに技術を持たせるために技術者を軍役とし、あるいは使用人に対しても技術の資格を特つた者というふうな技術者の資格が書いてありますが、私はこの点は非常に重要な問題でありまして、日本の現在の請負業は、技術を主とするというよりも、人の労力を主としたものが相当に多いようでありまして、もし現在り職業安定法が厳格に取扱われますと、現在り請負業というのは、なかなか仕事がむづかしくなると考えております。そこで今後の建築業の内容は、さらに技術を十分持ちまして、工事の機械等も整備しまして、また技術を実施し得る組織をがつちりするというふうな、つまり工事請負業が注文する人の企画、あるいは資金資材の調達の上に立ちまして、工事に対しましては全責任をもつて設計も施行をできるような方向に、ぜひ行くべきである、こういうふうに考えておるわけであります。たとえば、アメリカにおきまする有名なストーン・ウエーブスターあたりの会社のやり方等が、一つの参考になると考えております。どうかこの請負業者の資格に対しまして、さらに今申し上げたような点が織り込まれるべきであるという考えを持つております。 その次に第十七條にございまする「請負工事の登録抹消前締結された請負契約に係る建設工事を引続いて施行することができる。」というふうな、こまかい問題をこの法律に織り込むことはどうかと考えておりますので、これは主管官廳でおやりになつた方がいいのじやなかろうかというような氣がいたします。それから二項にありまする「当該建設工事の施工の差止を命ずることができる。」というふうなことも、この法律でここでやつた方がいいかどうか、あるいは差止を命じ得る工事の内容について、ある制限が必要じやなかろうか。こういうふうな契約両当事者の間の問題に対しまして、法律でこれに介入して、あるいは取締りで差止するか何とかいうことに対しましては、よつぽど注意しませんと、かえつて紛議のもとになりはしないかという心配がありますので、この点も御檢討を願いたいと思います。 それから第二十條にありまするように、一定の期間を設けて契約するというふうなことも、工事の内容あるいはときの経済界の情勢等で非常に変化があると思いますから、もしこの條項が必要といたしましても、相当幅を持つたことにすべきじやなかろうかと考えております。 それから第二十八條の監督の問題がございますが、これはどうもこの法律と、それから現在の主管官廳、あるいは地方廳等との監督が、重複になりはせぬかという心配がございますので、それも重複にならぬように檢討さるべきだと思います。冒頭に申し上げましたような趣意に立ちまして、この法案を拝見いたしますと、以上申し上げましたような條項をさらに御檢討くださいまして、私は総括的にはこり法案に賛成いたします。ただ法律ができまして、あまりこまかい規定をつくりますと、かえつて法律を守らないことになりがちであります。ことに請負の仕事は非常に生きた仕事であります。御承知のように、現在のような経済の変化の非常にはげしいときには、運用の面におきまして、相当幅のあるものでないとかえつて障害になるおそれがあると思いますから、今申し上げたような條項を御檢討くださいまして、完全なものにしていただきたいと思います。私の意見はこれだけで終ります。
○淺利委員長 御質疑ありますか。
○田中(角)委員 一つだけ御意見を承りたいと思います。十七條に工事差止ということがありますが、こういう問題を行えますときに、やはり育成という面でこの法律が非常に大きな役目を果しておると同時に、どの法律でもそうでありよするが、やはり制裁罰則というような面が非常に大きく出るようであります。その意味で第十七條の工事の差止といようなものが出ておるのでありますが、私もこの問題に対しては非常に疑義があるのでありまして、こういう問題は工事差止というものだけではない、いろいろな工事に対する紛争処理、苦情処理というようなものは、別にあとに建設業審議会というものがありますが、こういうようなものでこの経済界の変動に伴う紛争を処理してはどうかという考えを私は持つておるのでありますが、これに対して進藤さんのお考えはどうですか。
○進藤参考人 運用に幅を持つという私の意見は、結局今お話のように、建設業審議会というものが中央にも地方にもありますから、そこでよく実態を考えまして、ここで判定するのが一番時宜に即すると考えております。
○田中(角)委員 あとから山下先生にも伺おうと思つておつたのでありますが、いわゆる紛事処理ということが非常にむづかしい問題であつて、今までは建設業者というものが單独法で保護されておらなかつたということと、同時に建設業者と施主との間の紛争というものの処理問題は、非常にむずかしく扱われておつたのでありまして、私たちもかつては、現在あります土木、建築学会、こういうものの答申は非常に強いものになつたらどうかというような考えを持つておつたわけです。そういう意味では、この建設事業者を罰則を設けると同時に根本的の育成というものが眼目であるだけに、紛争処理をするという問題に対しては、土建業者に対してもう少し育成の観念を実際において行わせるような処置をとりたい、しかも建設業法案という大きな轉機が一つつくられるのでありますから、この法案と同時に、でき得るならば中に織り込んでこの紛争処理機関というものを強力に出したいと思うのでありますが、それに対しての御意見を伺いたい、こういうことであります。
○進藤参考人 今の田中さんのお話でありますが、私は今までの契約自身相当むりがあつたと思う。今ではどつちかというと、片務契約というか、どうも工事を依頼する方が非常に強くて、受ける方ではごむりごもつともではなかつたかも知らぬが、そりいりふうな考えが契約に含まれておつた。今度のこの法律によりますと、雙務契約であることがはつきりしておる。今までより紛争も少くなるが、なかなか生きた仕事で、非常に複雑なる仕事でありますから、紛糾は相当起ると思いますが、しかしその紛糾を処理するのに委員会、罰則だけではいかぬ。結局大きな問題は法律問題まで、裁判問題までということになると思います。その点はどういうふうにしてもなかなかむずかしいので、結局契約を雙務契約であるというふうにはつきりしまして、契約にしつかりした條項をうたつておきますと、かえつてそれが紛糾を避けることになる、こう考えております。
○淺利委員長 ちよつと申し上げておきますが、御発言の時間の短いときは、その時間に質問を許すことにいたしますが、なるべくその際には発言者の言われたことについて、簡單に御発言を願いたいと思います。一般的のことは全部の質問が終つてからにいたしたいと思います。なお時間の関係上、急いでお帰りになる方は、あらかじめそのことをお話くださいますれば、お帰りの前に質問するという便宜の処置をとりたいと思いますから、さよう御承知を願います。 それでは次に川島武宜君にお願いいたします。
○川島参考人 私ただいま東大の法学部におります川島と申します。建設業法に関しまして、まず私の結論を申し上げますと、私は、この法案が今こういう形でできましたことを非常に喜んでおるものでありまして、これがぜひ通過されるようにと思つておる次第でございます。簡單に私の考えておるところを申し上げます。 まず第一に、この法律は建設業者に対する全面的な監督を規定しております。この監督法規をこういう形でつくることはどうかという点について、一應考えさせられるのでありますが、私はこの程度の監督は必要であるというふうに感ずるのであります。その一つの理由は、建設業が非常に莫大な金額を使う。そして非常に大きく國民的な富の状態を左右するようなものであるという点が、第一に考えられますけれども、しかしそれだけではない。むしろもつと大きな点があると思うのであります。私それにもう二点をつけ加えたいと思います。一体不正なことをやる人は、どんな事業にだつてあるわけです。一方には非常に良心的な業者があると同時に、悪いやつは日本國中どんなところにもあるわけでありまして、悪いことをすれば一般刑法の統制ないし罰則でもよろしいのですが、建設業の場合には特別にこれだけの監督を受けるというだけの必要がなければならないと思うのであります。その一番の大きな理由は何かと申しますと、建築ないし土木の場合に、普通は多かれ少かれ前拂いをある程度受ける、このことから私は來るのだと考える。法律的に考えますと、ちようど株式会社の取締役が株主から多額の金を預かつて持つておる。そういうことから來る非常に重い責任を持つとか、あるいは銀行とか信託とか、無盡業法といつたような、およそ他人の財産を預かるような地位にある人が、それに應ずるところの重い責任を負うというのが現在の法律の一つの考え方でありまして、土建業の場合にも、相当莫大な金額を預かり、特に信用を重んじなければならない業態であるということが言えるのじやないか。現に私もしばしば伺うのでありますが、日本のいろいろな事業の中でも、特に土建業というものは、非常に信用を重んずる業態である。また信用の保持ということには非常に熱心で、損をしても自分の信用を維持すみというような精神を持つておられる業者が多々あることを私は伺つておるのでありますが、それはまさにそういう事業の特殊の性質と関連しておるものと考えるのであります。從いまして世間の人もまたそれだけの期待を土建業にかけるし、それが裏切られた場合には、非常に憤慨する。皆さん御承知かもしれませんが、有名な小説でしたか、劇でしたか、ちよつと私記憶しておりませんが、吉田絃二郎という人が書きましたものがあるのです。これは家を建てるのにだんだん金をつぎこんで行つて、八分通りできたときに、あとはすつぽかして難題を吹つかける。そして言うことを聞かなければちつとも工事を進行させないというので、泣寝入りになるという非常な悲劇を書いております。これはあらゆる土建業がそうであるということはないので、むしろ優秀な業者は非常に信用を重んじておられる特殊な事業だと思うのですけれども、そういう非常な悪質な業者が一部におるために、信用を重んじておるりつぱな業者までが名声を傷つけられる。そして土建業というものは非常にいけない業者が多いのだというような、漠然たる悪評が世の中にある。これはどんな業種にもそういう悪い業者がおるのですけれども、特にそういうふうな特殊の業態、つまり銀行、信託等と同じような法律関係ないし人的関係をつくるにもかかわらず、それにふさわしい監督がない、たとえば銀行、信託などみなありますが、それがないということのために、いわば野放しになつておつて、そのために非常にりつぱな業者までが、その迷惑を受けておるというのが現状だと思うのであります。從つて私はこういう法律ができましたならば、初めてこれが銀行、信託等と同じような、りつぱな業種として確立されて、信用が高められるというふうに考えられるのであります。たとえば日本でも信託業法ができます前までは、信託という名のもとに非常な不正がありまして、信託業というものは大体インチキが多いという時代がありましたことは、皆さん御承知の通りであります。でありますからこの法律が通りますならば、日本の建設業の社会的信用というものは、非常に高められるに違いないと思うのでありまして、建設業の発達のためには、最も必要かつ最も望ましい措置であると私は考えるのであります。そういう意味で私はこの法律が通過することにまず全面的に賛成したい。特にこういうタイプの法律が今までなかつたのけ、まことに不思議な現象だと私は考えるのであります。 次に、私は法律家でございますので、少し法律的な点について私の感想を申し上げてみたいと思うのであります。主として私が申し上げたい点は、この法律で契約法の部分でありまして、第三章十八條以下の点でございます。從來の建設契約特に官廳との契約が非常に片務的なものであるという点は、まことに奇妙な現象でありまして、およそ民主主義日本にあり得べからざる奇怪なことであります。その原因をここで一々申し上げることもないのですが、それは從來の官廳の特殊な地位と、また業者の特殊な地位、あるいは経済的な事情から來ておるわけでありまして、これを何とかして、やはり正しい意味での双務的な平等者間の契約にするということが、建設業の正しい発達のために非常に必要だと私は考えておる次第であります。そこで十八條の規定は、私は非常にけつこうな規定だと思うのでありますが、これはちよつと読んだところでは、單に倫理的意味しかない。かりに対等でない片務的な契約を結んでも、それを無効にするという効力はもちろんないわけでありますけれども、これはやはり原則をうたう意味がありますから、非常にけつこうな規定だと思うのであります。ただそのあとについて若干の感想を申し上げます。 十九條も非常にいい規定だと私は思うのでありますが、特にその第五号、これは從來の官廳契約の片務性を修正する点で非常に重要な規定だと思います。ただ第六に「天災その他不可抗力に因る損害の負担に関する定」をなせと言いましても、実際これは非常にむずかしい。現在これをむりに書かせようとしましても、はたして書けるかどうか、私は立法論としましてはこれはとつたらどうか。と申しますのは、建築と土木では非常に事情が違います。またこれは現在の建築土木の技術水準によつて、ある部分は、損害負担についてどういうふうにこれを分配して行くか、当事者のどちらに負担させるかということがきめやすいものもありますが、非常にきめにくいものもある。またその契約條件にもよるのでありまして、包括的に危險をもある程度引受けるようなタイプもありますし、純粋にコストに一定の利潤を見込んだような、いわゆるコスト・プラス・システムで契約するものもありますし、ちよつと日本の從來の経驗とか、あるいは技術水準、ことに現在の危險負担に関する法律技術から申しまして、むりに入れようとしてもいい規定が入るかどうか。これは今のところむしろ紛争処理の問題及び裁判に任して置いて、土建契約を整備するために官廳で至急に調査をなさつて、りつぱな土建契約法をつくり、特に官廳契約については模範的約款をつくることに重点を置いていただいたらどうか。こういうふうに必ず置けと言われましても、現在の業者や注文者は簡單にできかねるのではないかと思うのでございます。 第七号は、現在のような非常に特殊なインフレーシヨン時代には必要もありますが、しかしそれはインフレの特殊の状況の下において生ずる問題でございまして、こういうふうな恒久的な法律の中に入れるのは問題であると思います。と申しますのは、物價がどんどん上つて参りますときにはよろしうございますが、下つて行くときにはまた問題が起る。普通のノーマルな資本主義社会におきましては、一般に取引と申しますものは多少物價の変動を予測して、それを織込んで契約するのが常であります。これは株式のようなものになると極端でありますが、そうでなくとも資本主義社会の取引には、そういうものを一般に織込んでおるはずでありまして、こういうものをあまりはつきりつくつておきますことは、インフレーシヨンのアブノーマルな状況の下にあるものを恒久化することになるおそれがありはしないか。但し工事が非常に長期にわたりますときはこういう規定が要るわけでありまして、その場合にはこういうことを入れるのもよいかと思いますが、一箇月、三箇月、あるいは六箇月でできるようなものは、こういう規定がありますと非常に紛事が起りやすいので、そういうことは恒久法の中に入れない方がいいのではないか。これはむしろ特殊の約款として個々の契約の中に入れるように指導して行かれる方がいいのではないかというのが、私の結論でございます。 第十号は、非常に飛躍的な進歩を意味しておると思います。「各当事者」と「各」の字が入つておりますが、從來の官廳の契約におきましては、國家の方の債務不履行についてはまつたく規定がありませんし、事実上いつまでも延ばしておるという状態であります。しかも業者は泣寝入りになつております。ところが業者の履行遅滞は厳格に罰せられております。 第十一号の紛争の解決方法は非常に重要だと考えるのであります。実際問題といたしまして、裁判所に訴えることはなかなかできかねる。これは單にそういうことをすると注文がとれないというようなことたけでありませんで、時間もかかるし非常にめんどうになります。また法律問題で争う場合もありますが、技術的な問題で争う場合もあるわけでありまして、実際問題としましては、紛争解決の仲裁手続がいいと思います。仲裁手続がありますれば、多くの紛争はそこで解決されるに違いないと思うのであります。そのためにはりつぱな技術家、つまり建築家、土木技術者、あるいは法律家、官吏——構成についてのこまかいことはまだ具体的に考えておりませんし、また契約の種類によつて違うと思いますが、ともかくそういう第三者として信頼できる方が中に立ちまして、仲裁手続で解決ける方法を、多かれ少なかれとるように考えて行くべきではないか。從來の官廳の土建請負契約においては、仲裁條項が入つておるものとないものがあるので、入つていないものはまつたく片務的になつてしまうのであります。 第二十一條、これは請求することができるというのでありまして、官職なんかの場合はきつと請求するだろうと思いますが、民間契約の場合は、実際問題として請求しないのではないか。またしてもうまく行かないのではないか。まだ研究が足りませんから断言はできませんが、特殊な法定担保物権のようなものを考える余地があるのではないかという氣がしておりますので、もう少し研究してみたいと思つております。ともかく二十一條は、どれだけ効果があるか。官職請負の場合は実効があると思いますので、その限りではやはり意味があると思いますけれども、これだけでよいかどうか多少私は疑問に思つております。 第二十二條の一括請負につきましても、実情から言うとやむを得ない場合もあるらしいので、しかたがないと思いますが、ちよつと釈然としないような氣もしております。 第二十三條は非常に意味のある規定だと思うのであります。こういうことが起るのは好ましからざることでありますけれども、一應こういうような形で書いて置き、もしもこれの濫用がある場合には、やはり仲裁手続できめるようなことにしておくのが、業者の信用を高めるゆえんだと思います。ちよつと違いますけれども、一例をあげますと、信託会社、保險会社がお金の運用をするのに一定の制限があると同じように、下請を使う場合に一定の限界があるということも、契約の性質上やむを得ないではないかというふうに考えております。 要するに私は、これは日本の土建業を近代的な企業として信用を高め、健全な発達をさせるための、いわば最小限度ないしは第一に着手すべき措置だと考えますので、その趣旨でこれに全面的に賛成いたすのでありますが、しかしこれだけでは足りないのであります。從來こういうふうな措置としては、例の法律第百七十一号があります。これは法律の規定自身は本來間違つたものではないと考える。たとえばアメリカにもあの種の法律があるが、ただアメリカの場合は、聞くところによると、支拂いは実にきつちりとてきぱき行われるそうであります。つまりあの法律の運用がうまく行つていないので、支拂いが間違いなく行われるようにもつと運用しやすくすることが必要だと思います。しかしもつと大事なことは、これは公共の福祉に関係がありますので、特にこういう公益事業に関する土建契約法を整備することだと思います。特に土木というものは、金額が大きいし、危險が大きうございまして、從來のような危險負担では健全な発達ができない。單にこういう外側からだけの監督でなしに、土建契約法自身を確立する必要があるのではないかと思いますので、そういうこともあわせて考えていただくことを建設省にお願いしたいと思うのであります。それと、特に官廳との請負契約について、双務契約的な約款をつくつて、ある省は非常に不利益だがこつちは非常に得だというようなことのないように、整備されることについても、御努力を願いたいと思うのであります。
○淺利委員長 次に荒井勝茂君にお願いいたします。
○新井参考人 私、警視廳防犯課、新井勝茂であります。ちよつとのどを痛めておりますので声が低いと思いますが……。 この法案につきまして、私どもは日常仕事をいたしております面から全面的に賛成をいたすものであります。という理由は、御承知のように、建築、特に住宅の問題につきましては非常に深刻でありますので、私の方ではいわゆる家事相談係としていろいろの問題を取扱つております。その問題のうちの七、八〇%がこの住宅、家屋の問題にかかつておるのであります。そこにはいろいろ建築に関する問題もございますし、あるいは貸し借りの問題もありますが、特に最近建築に関する紛議が多くなつたという実情であります。それはいわゆる悪質な、業者でない業者、こういうものが家屋の拂底をねらいまして、いわゆる詐欺的行為によつて庶民階級から膏血をしぼるという例であります。これは一面善良な建設業者を冒涜するものであり、また庶民階級を泣かすという実態にあるのであります。一例を申し上げますと、昨年の七月、月賦販賣の建築業を会社組織で始めたのでありますが、その会社たるものはほとんど資力もなく、財もない。いわゆる他の会社の店を借受けて、これが建築会社だという。ところがその契約面を見ますと、庶民階級には、月賦建築としてあらゆる好條件を盛り込みまして、多数の契約者から二方、三方というなけなしの金を取上げた。その実施方法は、大体七万円で一戸一箇月ぐらいの期間で契約して建てるという條件でありましたが、半年たつても建たぬ。そのうち契約者が百五、六十名になつたのでありますが、その契約された金の大部分は建築に消費しないで、ほかの方面に使つて、申訳ばかりの家を建てる。そしてこの通り家は建つているのだということで、詐欺的な行為からは免かれようとするというような面で、庶民階級のなけなしの金を利用いたしまして、自分たちはほかの面に使つておる。それから今後の建築の見込みの状況を見ますと、何ら資材もない、土地もないという実態でありまして、これは明らかに詐欺犯罪として取上ぐべき問題であります。また相手方の契約者の方といたしましては、刑法犯にいたしますと今までの拂込金が一文もとれない、何とかして示談によつて拂込金の金を受取りたいというような窮状を訴えておるのでありまして、これは明らかに住宅拂底を見越したところの、悪質な建築の例ではなかろうかと思います。そこでその建築業者は、やはり技術者というものは一人もない。建てる場合には他の建築業者を頼んでおるというような実情でありまして、非常に不健全な建築会社であるということが暴露されたのであります。 もう一つの卑近の例といたしましては、住宅建築のアパートの例でありますが、これも建築業者ではないのであります。そういう経驗もないのに、いわゆる住宅拂底を利用いたしまして、やはり庶民階級から金を募つて、アパートをつくる。大体骨組みと屋根だけできた。囲いができて、何とか住めるのじやないかという程度になりましたところで入室させる。それで入室については一万円の金をとつて、それから完成した場合には全部料金をもらつてそしてその契約者の住宅にしてやるぞという契約條件であつたのでありますが、入室してからはさつぱり建築もしてくれない。そうするとアパートに住まつている者が、大挙して私どものところに参りまして、この家を何とかして完成してもらいたい、もし完成できなければ、私どもでもよいからさせてもらいたいというような希望をもつて参つたのであります。その実態を見ますと、領收いたしました金は、やはり建築業者に請負わせておるのでありますが、その請負者の建築業者にも拂つていない。皆幽霊会社が使つておる。それからその建てた分についても、すでに担保として金を借りておつて、契約者の所有には困難な実情に置いてあるというような面がありまして、非常に困つた問題で泣き込まれておるのであります。こういう例は一、二にとどまらず、住宅につきましては非常に多いのであります。かような面からいたしましても、ぜひともこの法案によつて、いわゆる建築業者としての正しい育成指導と、あるいはそういう紛議が生じた場合の処理ということが、非常に重要ではないかと思われるのであります。その意味からいたしまして、この法案が非常に進歩的であり、あるいは業界の発展のためにもよい法案ではないかということを感じるものであります。簡單でありますが、実際に取扱つております状況について御参考に申し上げまして、終りといたします。
○淺利委員長 次に古茂田甲午郎君にお願いいたします。
○古茂田参考人 先だつて、せつかく御指名になりました全國建設業会の会長安藤清太郎が、やむを得ない事情がございまして本日出席できませんので、事務局長の古茂田が代理をいたします。 私の方の協会はいわゆる土建屋でございます。総合建設工事業者全國で約六千五百ございまして、東京初め、各都道府縣四十三の地方團体から構成されておるのでございます。本日はある程度それらの会員を代表して申し上げる次第でございます。 建設業法ないし建設工業法、要しまするに建設工業関係の單独法をほしいということは、実はわれわれ業界の有志の人の多年の要望であつたのであります。ところが戦後航空機製造事業法、造船事業法というような各種の事業法がなくなりまして、当分その機会もないかと思つておりましたところ、昨年政府におかれましてこの建設業法を立案されまして、その第一次試案につきまして私ども御諮問を受けた次第でございます。さつそく地方の國体の会員に諮りまして、その方の輿論を調査いたしまして、それをもちまして公聽会に二回出席いたしました。その後政府におかれましては、私どもの意見をほとんど大部分おいれになりまして、第二次試案ができました。これをまた私どもでは地方の会員に流しまして、その輿論を聞きました結果、さらにそのほかの意見ももちろん加わつておると思ますが、今回の提案と相なつたような次第であります。從つて私どもは、初めからある程度積極的な関心を持ちまして、できる限りの連絡を保つておつたのでありまして、この建設業法につきましては、最近に初めて初対面をしたというふうな関係ではないのでございます。 提案の理由といたしましては、ここにある通りでございますが、なかんずくこの文句で、現在の建設業の現状から推してというふうな意味合の言葉が使つてございます。御参考までにわが國建設業の現状を申し上げますと、技術の水準というふうなことからは、あえてはなはだしい遜色ありとは思いませんが、経営の方式につきましては、かねがね新聞紙上その他でもいわれます通り、やや幼稚、あるいは発達の道程にあるということを言わざるを得ないのであります。これはもちろん先ほどから話がありましたように、いろいろの特色と事情がございまして、たとえばほかの諸産業に比べまして、注文生産である。あるいは工事に非常な繁閑、景氣不景氣がある。あるいはまた工事の性質からいいまして、生産の性質からいいまして、リスクが多い。その他さまざまなことがございまして、どうも発達が遅れておる。こういう経過は決して日本だけではありませんで、欧米諸國の建設業でも、すべて同じような経過をたどつて参つたように私どもは承知しております。そういう特殊のことから結果いたしまして、たとえば注文生産ということから結果いたしまして、工事を獲得するために非常に努力しなければならない。獲得の競争が始まる。そこには場合によつて業者として、たまたま卑屈な考えに陥る。そうしていわゆる弱い商賣だといわれるようなことになるわけであります。また工事の獲得の競争をするというような結果、注文者からまた安くする。たくさんの業者が参りまして、おれにやらせろ、おれにやらせろというようなことがあります。その他工事にピークがあるとか、リスクが多いということから、さまざま経営上に一種特別なハンデイキヤツプが生れるわけであります。そうしてその結果として、経営が不安定となり、不健全になるということが、自然の道程であります。われわれは一日も早くそり道程を脱しまして、たとえばアメリカにおけるような、非常に発達した健全な経営の状態に達したい。これが公共の利益に沿うゆえんであると確信しておるのであります。ところで、もちろんこの建設業法のねらうところは、結局建設事業それ自身の健全化ということにあると思います。その場合には、もちろん、これはわれわれ建設業者だけがいかに発達してもだめなのでありまして、相伴つて注文主の方に、たとえば企業の健全であるとか、あるいは工事費用の支拂い能力が確実であるとか、さらに申しますと、工事は御案内のように設計書というものをもつて初めて出発するのでありますが、その設計書をつくる設計者の技能、その人の責任性というようなものが、いろいろな場合に大事な役目を果しておるわけでございます。結局建設業者と設計者、注文主の資格、この三つが相まつて、初めて建設業は健全に粗なる。かように私どもは考えております。この建設業法は、さしずめ他の二つを切り離しまして建設業それ自身の健全化ということをねらつたと考えます。先ほどからさまざま話が出ましたが、私ども、何とかしてこの建設業法というふうなもので、少くとも建設業者の経営の面だけでも健全化に持つて行きたいという熱望を持つておる次第であります。 その意味から考えますと、二つのねらいがおもにあると思うのであります。その一つは、先ほど申し上げましたような工事獲得の競争、それによつて注文者に、たまたま業者の選択を不適正にならしめるというようなおそれありとすれば、それらに対しまして、不合理な不明朗な獲得の競争をしなくても済む、つまり正直者が勝つ、誠実に業務を営む者が絶えず安定した営業ができるのであるという形勢を馴致することが、肝要であると思うのであります。 それからもう一つは、これも先ほど申し上げました弱い商賣で、川島先生からお話がありました、いゆる片務をしいられておつた。今日政府、公共團体、その他を加えまして、百億の工事費の支拂いの遅延があるといわれておりますのも、すべてこの辺に出発しておるわけであります。これがまた工事施行の不適正を招き、待つて個人ないし公共の損夫を來しておるという原因になるのでありまして、この点から申しまして、これはすでに川島教授からお話がありましたが、公正な契約、締結契約で両当事者がともに誠実な氣持をもつて、義務を対等に履行して行く、そういう考え方であります。その他ありますが、今度の建設業法につきまして、私どもは主としてこの二つの点で大いなる期待を持つておるのであります。 次に法案の批判でございますが、前に申し述べましたような関係で、私どもは、すでに相当程度、私どもの意見をこの政府の提案の中に織り込んでもらつておるわけでございます。從いまして、特にこの際ぜひかような修正を必要とするという考えは、本日は持つておりません。ただもし申し上げますならば、第二條ないし第三條の定義と、それからそれの適用除外の問題でございます。これはこれでりつぱに一つの筋が立つたりくつを持つておると思います。アメリカの建設業法でも、これに類似した考えをもつてやつておるところがございます。ただ日本では、何しろ初めてでございますから、各地方の官廳、ないし建設省が、十分にこれをもつて、たくさんの業者を監督指導して行かれるかどうかということを考えますと、私どもの考えといたしましては、もし場合によれば総合工事業、これはどうしても入れなければならない。その次に私どもこれは專業と申しておりますが、別表にもありますが、その中のたとえば管工事、線工事あるいはしゆんせつ工事あるいは道路のほ装工事、こういうのを私ども專業と申しておりますが、これはぜひ入る。その他の單一な職種に從事する業者まで、この際一ぺんに網を廣げることは、なかなか事務上困難を來しはしないかということを恐れておるのであります。しかしながらこれはしいて除きたいというほどのものでございません。 それから第十六條、登録簿を閲覧させることであります。これはこれでいいのでありますが、これだけではまだ、先ほど私が申し上げました業者選択に注文主に非常に便利を感じさせる。業者の選択に困らぬようにする。公正な選択ができるということにするためには、閲覧簿を單に備えるということだけでは不十分で、この点につきましては、アメリカでは請負契約情報局という機関がございます。そこで非常に詳細な情報を提供することになつております。そういうものを特に設けませんでも、さしあたりそういつた気持で、監督官廳の方が、あるいは審議会を御利用になりまして、もう少し積極的な働きをされることが必要じやないかと考えます。 第二十一條、これは契約の保証でありますが、これもアメリカにはりつぱな四十ばかりの火災保險会社等がやつておるのが多いようでありますが、いわゆる信用保証会社制度というのがございまして、アメリカはこの制度によつて非常に発達しておるというように承知しております。そういうものがないために、便宜こういうふうな法文で提案されたものと考えるのであります。これはこれでもちろんいいと思いますが、これだけではやはり不十分と思います。これは近い將來にどうしても日本でも、信用保証会社制度を確立しなければ、この法案を考えた効果は十分に出て來ない。 まかいことになりますが、二十三條の下請負人の変更請求、これはこれである程度理由があると思いますが、こういうのはわざわざ法案にお盛りにならぬでも、あとでできます標準契約書の約款の方に入れても、事足りるのではないかというふうに考えます。 要するに先ほども申し上げましたように、この建設業法だけで、建設事業それ自体が健全化することはもちろんありません。建設業法はその一部分でございまして、今も申し上げましたように、あるいは信用保証会社の制度、あるいは請負に関する情報提供機関の制度、あるいはこれも先ほどお話が出ましたが、紛争処理の仲裁処理機関の確立、これもアメリカではすでにりつぱに弁護士と同じような立場に立つた、一千人と記憶しますが、仲裁処理の專門家がおりまして、全國でこの処理機関が活発に活動いたしております。さようなぐあいで、本建設業法案は——私としてはむろん総体的にはこれを支持いたしまして、ぜひすみやかな通過を希望するものでありますが、なお今後これにつけ加えて、これに補足する、これと姉妹関係の制度なり、あるいは機関というふうなものの制定に、一段と御話力をお願いいたしたいと考えておる次第でございます。
○淺利委員長 灘波参考人。
○灘波参考人 御指名をいただきました日本建築業協会会長をしております灘波でございます。本日中小企業としてここに意見を発表さしていただきますことは、非常に光栄と存じ、あつく御礼を申し上げます。日本建築業協会と申しますればいくらか聞えはいいようでありますが、実は御承知のように中小企業としまして、いわゆる大工、左官、こういう職種が十七種ほどございます。これが自己の力により経営をしている業者と申しますのは、一人以上を使つておつて、資本金が二百万円以下をもつて、中小企業としてやつている仕事であります。その加入團体は縣を單位としまして、その傘下の團体の人員は、全部総括しまして十六万九千四百三名おるのであります。その仕事の内容と申しますと、大体町の仕事の人と、元請けの下において働いておる人、営業をやつておる者、かような関係になつておるのであります。このほかに、大体五十七万とわれわれは推定しておるのでありますが、いわゆる職人としてあります。業者としては十六万九千四百三名、これが昨年の六月の各府縣の國体から報告を得た数字であります。これも加入しておる縣は三十七縣でありまして、まだ九縣が加入しておらぬのであります。内容はさような組織において成つておることを御報告申し上げまして、本建設業法に対しては、全國中小企業者は全面的にこれに賛意を表しておるものであります。 なおこの法律がしかれます前に実は終戦と同時に、この建設中小企業の位地はまことに微々たるものであるために、社会からいろいろ非難を受けておつたのでございます。すなわち最近におきましても封建的であり、あるいは観念的から見ましてもボス的とか、あるいは労務供給のごとく観察せられまして、まじめにやつている業者に対しましては、まことに遺憾にたえないところでありまして、経戦と同時に独立法をつくつてもらいたいというので、二十一年の末月におきまして、時の総理大臣、関係大臣に陳情いたしまして、本日まで継続いたして運動して参つたのであります。ところがこの意をくまれまして、二十二年の三月ですか、四月ですか、建設省においては地方自治法が改正されまして、地方條例をつくつていいというようなことであまして、條例の指示まで受けて、われわれは一躍意を強くしたのでありますが、なかなか地方によりましてうまく徹底しておりません。近畿地区及び愛知地区におきましては、その業者の登録に対しまして、それが影響してなかなかうまく行つておるのであります。ところがだんだん進みまして、さらにこれではいかぬ、どうしても独立法をつくつてもらわなければわれわれの仕事がはつきりして來ぬ。またどこまでも社会からかまじめな業者のように考えられまして、まことに遺憾に思つておつたのであります。その後一昨年末におきして、職業安定法がしかれまして、さらに非常に困苦な目にあつておるのであります。御承知のように、私どものような業者にまことに小さな業者でありまして、事務組織あるいは資金の問題につきましては、社会から見てまつたく小さなものでありまして、その点におきましてはまことに遺憾でありますが、御承知のごとく、この業者は自分の技術と経驗によつて請負をやつております関係上、自分も働きもすれば設計も請負もする。かような関係で、なかなか事務組織というようなものがなく、ほとんど自分の勘でやつておる。かような関係から、社会から非常に暗く見えるのではないかと思いますので、この点は先ほど申し上げましたように、まことに遺憾と思いまして、何でも自分みずからこれを開拓して行かなくてはならぬというので、商工協同組合あるいは企業合同によりまして、昨年から着々実施しておるのでありますが、なかなか数が多いので、さよう申し上げましても、なかなか隅々までは私らの気持は徹底しておらぬのであります。しかしこれは官あるいは輿論の支持によりまして、着々これを実施して行かなくてはならぬのでありますが、何を言つても法律の根拠がはつきり私らにはないのでありまして、他の作業上における取締りがどんどん活発にでまして、われわれの育成助長のための法律がなかつたということは、まことに遺憾であつたのであります。今回この建設業法が建設省において立案されまして、本國会に提案されましたことは、まことに私らとしては感慨深いものがあるのであります。 本建設業法につきましては、実は公聽会あるいは文書による内示等がありまして、これには相当私らの意見を申し上げまして、その意向を相当にしんしやくされまして、この法律案ができておりますことは、私らとしてもまことに意を強くしておるのであります。御承知のごとく、本建設業法は、われわれ建設業の育成助長のために、また工事の施行の上におきまして完成の責任を負わせるところに、受注者と発注者とが同等の立場において、雙務契約のもとに工事ができるようになりましたことは、私らとしてまことに意を強くしておるのであります。これにつきましては、昨年の末ごろこの業法の内示がありましてから、全國から内示について公聴会を開いて、この意見を聴取しまして、まとまつたことを建設省及び衆議院、参議院方面の委員長に、実はぜひ通過していただきたいということで陳情書を差上げてあるのであります。それから四月十一、十二日に全國の臨時総会を開きまして、さらに再確認いたしまして、本案をぜひ通過さしていただき、われわれ中小企業をして正しい道を歩かせて、堂々と國民の義務を負わせるような方向に進ましていただきたいということを、特にお願いしたいのであります。先ほどからいろいろお話がありましたが、中小企業なるがゆえに、一定のわくの中へ置いてもいいじやないかというお話も出ておるのでありますが、本法は登録は自由でありまして、本人が資格あり、十分なる請負の能力を持つておつたら、だれでも登録できる、こういうような方向に持つて行つていただいたのであります。われわれ中小企業におきましては、從來は圧迫に圧迫を加えられて、今日まで続いて來ておるのでありますが、この際この業法によつて、ぜひとも社会的の地位の向上をやつていただきたいのであります。御承知のごとく大きな建物あるいは小さい建物におきましても、実際の設計その他技術面におきましては、相当の力を有するのであります。実際にこの築造物なり、あるいは道路なり、河川なり、あるいはダムなりの実際の工事の請負と申しますのは、この築造中小企業の專門の者の総合的活動によつて完成しておることを、よく御認識を願いたいのであります。今日この中小企業の性格をはつきり現わしていただかない限りは、土建業が正しく行こうとしてもなかなかむずかしいのであります。ことに私らの業者には相当の不覚な者もありますが、ぜひともこの業法によつて正しい道を歩かせることが、今日わが建築におきましても重要な問題であると、私らは中小企業として考えておるのであります。この点をぜひお含みの上、本案を本議会において成立させることを私らは大なる期待を持つておるのであります。 先ほども申しましたように、今回の業法の内容につきましては、最初公聽会なりあるいはに内示なりをしていただきまして、これを全國的に通知しまして、大体われわれの意図するところを入れていただいたのでありますが、やはり私らの中には学問のない方が多いのであります。また事務的なことがなかなかわからないのでありますから、はつきりとこの條文に、自分が請負いになつていいか悪いか、あるいはそういう資格をもつて実際の義務を遂行できるか、こういうような面におきまして、はつきりさしていただきたいのが一、二ありますので、この点をひとつ申し上げたいと思うのであります。 業法の第三條におきまして、政令で定める軽微な工事の請負いはこれを除くとあります。この「軽微な」というのは、われわれ土建業者が從來からくせがついておりまして、かりに工事費を安くあげようとしますには、ごまかしてやると見られることがあるのはやむを得ないのでありますから、これをはつきりしないと、軽微となりますと、たとえば百万円の工事を十万円、二十万円と切つて請負うということでは、せつかくのこの意義を失う、ということになるのであります。先ほどお話にありましたように、相当の金を預り、相当の責任をもつてやる上は、だれでも工事の請負資格のある者は受けられる。こういうことから申しまして、軽微ということはむずかしいのでありますので、できますれば私らはこの点は、自己の労力によつて完成し得る軽微な工事を請負う者はこれを除く、こういうふうにしていただきたい。そうすると、修繕あるいは三坪や五坪の工事は一人でもやれるのであります。少くとも十坪、二十坪となれば、いかなる工事の名案者であつても、一人や二人では工事ができないのであります。十坪の家を建てるには、少くとも十人、二十人使わなければできないのでありますから、自己の労力によつて完成し得る軽微なる工事を請負う者はこれを除く、かようにはつきりしていただきますれば、修繕とかあるいはたなつくりとか、そういう程度のもりは、私らも請負いでつくることは望まぬのであります。一人となりますれば、さような人の家を建てるのに、一年も二年もかかつてやるものはないのであります。短期間に工事を完成させる面から申しましても、そういうことになればはつきりして行くのじやないか。ことは私らの後輩である職人、すなわち技能労働者の範囲を、この自己の力によつて、修繕やたなつくりくらいはどんどんやつて行けるようにしていただきたいのであります。 その次に第二号の問題でありますが、「別表中第十四号から第二十二号までに掲げる工事のみの完成を請け負うことを営業とする者」こうありますが、別表の十四号以下を見ますと、板金工事、とび工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、タイル工事、壁紙工事、機械機器設置、工事、熱絶縁工事、かようにならんでおるのであります。しかしこれは一般に小さな建築をいたしましても、こういう工事を離して別個にしてやるということはないのでありますので、やはりこういう業者も人格を向上し、その地位を向上させるためには、少くともその登録は別個に除くというようなことがないようにという希望が、「全面的に強いのであります。中には一部反対もありますが、ぜひそうしなければ、お互い関連して仕事をして行かれないのじや‘ないかという意見が強いのでありますから、この点御考慮を願いたいのであります。 またこの別表十四号から二十二号の中に、とび工事がありますが、とび工事は実は世の中からだいぶ簡單に考えられておりますが、とび工事をやつております者は、これはただ足場がかりとかそういうことばかりでなく、鉄筋、鉄骨、こういう組立工事も実施しておりますので、この面は元請け負いの場合においても、職業安定法の取扱いにおいて今迷つておりますので、これは相当な技術を要する。一つの配置その他の問題でも他の職種との関連がありますので、これは十五号は相当考えていただかなければならぬ。工事業者として取扱つていただきたいのであります。これは数は相当少くなると思いますが、相当に大きな記備あるいは危險性を伴うような工事においては、これは重要であります。たとえば河川工事におけ浚渫工事、こういうようなものも大体とびがやるのであります。この面は一つぜひとも御考慮願いたいのであります。 それから第六條の問題であります。これは事務的に考えまして、こういう場合もよいのではないかと言いますか、実は全國の業者の意図を率直に申しますと、六條の中には二地区にわたつた場合には建設大臣、その他は都道府縣知事、こういうふうになつておるのでありますが、これは事務的には煩雑になるのと、一つは大中小にかかわらずその営業所在地の都道府縣に登録しておいたらどうか。これは見方によつて若干ひがみがあるのではないかというようなお考えがおりますが、現在の民主的な時代において、相当の大工事だけを建設省に持つて行く。その他の工事を府縣に置くということは、考え方としておもしろくないのではないか。これが中小企業者の一番のねらいでありますが、これは事務的にできないとすればやむを得ないのでありますが、われわれ中小企業としては、同等の資格において登録していただきたいというのが念願であります。 それからさつきも山ましたが、二十二條と二十三條の一括下請けの禁止であります。二十二條の二項の「前項の規定は、建設業者があらかじめ注文者の書面による承諾を得た場合には」ということは削除したらどうかという意見であります。それは何かといえば一括下請けしてはいかぬとはつきりしていただいた方がよい。二十三條にははつきり注文者の書面による承諾を得ればよいことになるので、條文の並べ方から申せばかようなことになると思いますが、私ども業者はまことに鈍感なのでありますので、どうかひとつだれが見てもわかるようにしていただきたい。かように念願しておるのであります。 あとはこまかいことにつきましては全面的に賛意を表するものであります。われわれ十六万九千四百三名の会員、その他加入者の國体も同様賛成しておるものと考えますので、ぜひとも本國会を通過するよう御審議を願いたいのであります。 なお一点つけ加えてお願い申し上げたいことは、本法はやはり育成、助成のためではありますが、実はただいまのところは物資需給調整法によりまして建築業者だけには、主要資材の割当てがないのであります。これがために建築費が非常に高くなつておる。以前は注文された建築に対して、必要なよい材料を地方に出かけて買つて來て、そうしてなるべく安いものでなるべくよい技術をもつて完成することを誇りとしておつたのであります。自分が損をしてもやり遂げるというのが私ども中小企業者の傳統的な精神でありますが、これがなくなつたために、販賣業者から買つてさらに築造して行くので、非常にむだがある。また官廳あるいは地方公共事業においては、資材をいただきますが、自分の設計その他に必要な資材がなかなか得られない。好むものが使えない。ここにもむだがある。かような面からこの業法をしかれますと同時に、建築資材は末端の最終需要者、仕上げるところの業者に渡るような方法にしていただきたいのであります。なおこれにつきましては、もうすでにやみの物價が公定價格よりも割つておるものが多いのでありますから、この際建築主要資材は全面的に統制を撤廃していただいて、注文による築浩を完全に責任を負つて仕上げるということにして、建築費をなるべく安くする方向に持つて行くようにお願いいたしたいのであります。さらに経済九原則が重要視されて参りまして、統制の解除が困難であつた場合においても、他の生産工場におけるいわゆる加工資材は、工場その他には渡つておるのでありますが、私らの建築業者に限つて省かれておるのであります。これも從來の行為があまり一般輿論から支持されておらなかつた結果であると思うのでありますが、建築業者だけ度外視するということのないように、つまり最終需要者、建築業者あるいは申請者の名前で、請負つたものは、よい材料を選定して安く使わせていただけるように念願するのであります。かようにいたしますれば、物價統制令あるいは指定生産資材割当規則、建築統制令等の改正等がなつて行くと思いますが、この点も平行して、この議案を御審議になるときにお考え願いたいと思うのであります。 なお業法が施行されますれば、われわれのような小さい業者が加入して参りますので、はなはだ事務的にはめんどうになると思いますが、しかしながら後來の行政廳の窓口が非常に廣いのであります。たとえて申しますれば、ただいまでは職業安定法の関係、労働基準局、建設局、あるいは商工省、かようふうに廣いために、いろいろの書類が非常に輻輳して來るのでおります。これをぜひとも窓口を一本にしていただきたいのであります。私ども中小企業から申しますれば、一般庶民住宅、個人住宅あるいは町村の学校、市町村の道路というような計画がありますので、各都府縣の建築局、かような方向に一木にまとめていただくようにしていただければ、われわれ業者も、事務的に迷わないで、この法を守つて行けると思いますので、この点事務が簡潔に行われるような方向にお願いしたいのであります。 以上、中小企業として初めてかような会に代表として私発言さしていただきまして感激にたえませんが、この氣持を全國にただちに通じまして、私ら偶人業者としても精励、強化いたしまして堂々と中小企業として活きて行かれるように、ぜひ本法案の施行を願いたいと思うのであります。全面的に賛成であります。
○淺利委員長 参考人の方々のうち、石井さん、新井さん、古茂田さん、灘波さんは、午後おさしつかえがあるそうであります。この四人の方に対する御質問がありますならば、この際質問を許します。
○前田(榮)委員 灘波さんにお尋ねします。あなたの方の團体の関係者は、下職人が五十万からおるというのですが、労働組合の方の関係はどうなつておりますか。
○灘波参考人 それは入つておりません。一人以上使つておる業者に限つております。
○松井(豊)委員 私遅刻いたしまして、前の論旨の内容はよくわかりかねますが、あなたは賛成の意を表しておるようですが、全國的に、小さな大工さん初め経驗者としましては、どの程度までを調査されたものですか。
○灘波参考人 大体十年以上やつておりまして、一人以上使つておる者、これを原則にして、それが今の調査になつております。
○松井(豊)委員 全國的の調査はどういうふうにしてあるか伺いたい。
○灘波参考人 これは各府縣の連合会長から報告を受けた数字でありまして、会員の組織といたしましては、これ以外にはないのであります。
○松井(豊)委員 たとえばこの法案を通過させた場合に、各府縣に業者の閲覧所がで守ることになるのですが、縣によつて人口も面積も違いますし、業者の数も違います。かりに閲覧所を一箇所といたしまして、それらの調査かやるにあたつてはどういう見解をもつてやられるか。こまかいところまで御研究なさいまして、ただいまの御賛成を得たでございますか。
○灘波参考人 まだそれまでは実は私の方も手が延びておりませんので、各府縣の代表者を信頼いたしまして、報告を得たのがこの数字でおります。
○松井(豊)委員 ただ代表の人たちの御賛成を得られても、あとで全國的の業界の人々の反対の声があつた場合には重大問題が起きるので、それを私は心配するのであります。でありますから、ほんとうにこの議案を根本的に調査されて、ただいまのように御賛成の御意見なら、私らも安心するので、そういうふうな声がないということを御言明ができますか。
○灘波参考人 東北ブロツク、関東ブロツク、東海ブロツク、近畿、中國、四囲、九州とわけており幸して、その報告をまとめました書類がこれで、全体において賛成しておる、こう考えるわけであります。
○松井(豊)委員 今関東、東北、中部、近畿といつたものの報告と言われましたが、私たちは業界の末端の声が反映されておらぬということを聞いたのであります。ですからもう一睡ほんとうの末端の声を聽取する必要があるのでははなかろうかと思つておりますが、その点に対してはいろいろお考えを持つておりますか。
○灘波参考人 先ほど申しましたように、ブロツクごとに会議を開きまして、そのまとまつた報告を得ておるのでありますが、さらに四月十二日全國の代表者が集りまして、これを絶対支持するという決議をされたのであります。御承知のように私らの業者は末端までなかなか行き届かないのであります。責任あるものかと言われるのはむりのないことでありますが、私らの最大限度意見をまとめたのがこの書面であります。その点さらに労働組合その他関係業者の諸君とも檢討いたしまして、相協力して実施の方法についても考えてみるつもりでございます。
○松井(豊)委員 私遅刻いたしまして、あなたの御報告の論旨の内容をお伺いしませんでしたが、この法の施行について、具体的の内容を御参考までに、これによつて賛成をするのだということをお聞かせ願えれば幸いだと思います。 一言申し上げますが、すでに終戦後四年近くの今日を迎えまして、いずれも職事中の複難しておる統制経済のあらゆる面を解体しようというとき、これらはどこが違うというふうに考えられるかもしれませんけれども、少くとも大きな業者、小さな業者にかかわらず、この法案を施行されて後は、書類といい、何といい、複雑をいたしまし工非常に迷惑をするようなこともないとも限らない。この時代を御認識くださいまして、この法案に対してもその根本を調査されて、この内容について賛成するのだということも御披瀝できるでしようか。その点をちよつとお伺いしたい。
○淺利委員長 大体法案に対しての質疑はされておるのであります。ですから結論は、今の調査の程度が中小業者としてどの範囲まで難波さんの方が進んでおるかという点が要点だろうと思います。その点についてあなたの方の範囲がどの程度まで入つておるかということを御説明願えれば、。
○灘波参考人 まことにごもつともな御意見でありますが、少くとも各府縣の支部長、各組合長、いわゆる大工組合あるいは土木組合、この面までは行つておるだろうと思います。また行つておることも報告を聞いておるのでありますが、その下まで行つておることは、ここでは申し上げられないのでありますが、それまでの調査をしたということは、現実何も持つておりません。これたけ御報告申し上げておきます。それで各組合長がまとめて、そうして縣の單位の團体がこれをまとめ、それから各ブロツクでまた協議会を開きましてこれに賛成を表して來たものと信じてこれを……。
○松井(豊)委員 私のお伺いするところは、ただいまのお説とは違うのでありまして、この法案の内容について、あなたの研究した範囲内で答弁されるものによつて、いわゆるこの内容によつて賛成であるか、あるいは不賛成であるかということのあなたの巨解を聞くわけです。
○淺利委員長 法案の内容について先刻述べられたのですが。議事の進行上、今まで述べらた方全部に対しての御質問をこの際お願いいたします。
○宇田委員 この法案が施行されると、犯罪が防止されるというような新井さんのお話であつたと思うのでありますが、この法案ができると登録制が行われることになるのであります。私け先般の委員会で政府当局者に対して質問出したのでありますが、登録はほとんど自由に行われるという程度であつた。私はいろいろ既往の登録制度の欠陥を指摘いたしまして、一、二例をあげたのでありますが、たとえば資本の問題にいたしましても、登録をするときにおいては、たとえば銀行預金もこれは容易にわれわれは技術的にできるのであります。さらにまた倉庫あるいは設備等につきましても、また人員につきましても、技術者等は、最近における現象は技術を持つた者が相当失業し、また老齢になつておるものもありますが、そういうものの名前をお借りするとか、あるいはとき折現場ないし事務所へ顔を出せばよいというような、陣容を整えるという場合におきましては、非常に簡單に整え得るのであります。從いまして自由に登録ができるというふうな簡単な行き方ができると思うのであります。さようにいたしますと、荒井さんの御意見のように、法案が施行されると犯罪が防止できるのじやないかというお話でありますが、むしろ私は犯罪が助長されるのではないか、犯罪の温床になるのがこの登録制じやないか、かように考えるのであります。もちろん一部、あるいは全部にわたましても、大体において今日大きな信用のある組合も、地方におきましては程度が違うのでありますが、指名入札というようなことが工事上に行われまして、そういう意味の方面から言えば、犯罪ば適当に防止されておるのでありますが、今後はさようなこともなくなつて、登録が行われたものは有資格者になるということに相なるのであります。さようにいたしますと、登録上においては、書類の上にあつては適格者である。しかしやつて見たところは案外力がなく、陣容が実際は整つていないというようなことが起りますならば、むしろ犯罪が助長されるのではないかということを私は心配いたすものでありますが、荒井さんはその点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
○新井参考人 私どもは、ただいまの御質問に対しまして、やはり業界の方方が、業界の本質あるいはその営業状態とか、技術の面というものをしつかりおりかみになれば、放任でおいて、だからそういう利用される面というものの犯罪に防止し得ると思います。特に二十二條にありますように、一括して全部下請業者と、いわゆる建築能力のない、あるいは資力のない者が、現在はどんどん契約してやり得る状況にありますが、この法案によつてそういう面までいわゆる実態をつかんでおやりになれば、そういう不正業者のしゆん動を許さない。その面だけでも防犯的な手が打てるのではないかと思います。また今おつしやるように、偽装したところの登録という面でありますが、この面については、やはり監督官廳がよく視野を廣げて、そういう面の防止をはかつていただく。およそ犯罪というものは、根本からすべてなくなるというわけには参りませんが、少くともこの法案によつてはその面で、いわゆる視野の面、あるいは業界がキヤツチしておる面という点からいたしますと、放任状態よりはあるいは防犯的な効果があがるのではないかと思います。
○宇田委員 いわゆる無能力的な業者を整理しようというのがこの登録制の問題でありますが、むしろこの登録制を用いると、その無能力者が合理化されて不正を行うのじやないかということを心配いたすのであります。私の関連いたしましたところの、自動車の営業をやるための公聴会に出たのでありますが、資本金はたとえば百万円で、あとの百万円をいわゆる借金によつて運営するということになりますと、公聴会及び当局は、その百万円をどこで借るのか、たとえば銀行で借りるといたしますれば、銀行の貸出しの証明を持つて來い、かように言うのであります。一片の証明書を持つて参りますればその公聴会友び当局者はこれを了承いたすのであります。その百万円の貸出しをやるということの証明書は易々たる問題でありまして、たとえば、私がこの証明書をとるためには、松井氏なら松井氏の金を一時二、三日借りて銀行預金に出します。その銀行預金に出した百万円の金を抵当に入れまして、そうして百万円を借りる。その借りるという証明書は簡単にできるのであります。かような書類が一應今日はおそらく日本全國的にものを言うのであります。特にこの登録制度の問題につきまして、私は先日こつ委員会で意見を述べたのでありますが、私は鹿島縣の疊表の卸業者の連合会長をいたしております。そうすると、疊表の卸業者の登録をとるためには、相当に大きな倉庫がいる。從業員もいる。さらにまた資本金もいるのであります。しかし実際に最近一箇年の統計が出ておるのでありますが、その登録をとる当時にほんとうの資本金を持ち、ほんとうの倉庫を持ち、ほんとうの從業員を持つているものは、おそらく半数にも足らないのであります。登録をとるときには、机の上にはその通りにちやんと計画ができておる。倉庫はどこですかと言えば、この倉庫、資本金はここに百万円、さらに從業員がこれとこれとこれと十名おる。その中には專門学校を出た者もおる。中等学校を出た者もおる。かように書類ができております。登録の調査の審議会をやるときには、さような書類が整つておる。しかし実際に運営するときには、その半分の價値もないのが、今日の登録制度の実情であります。あなた方は御承知ないから、とにかくこういうような法案ができれば、正しい業者のみが登録されるのだ、こういうふうに認識されるところに大きなる錯覚が起るのであります。私はこの法案に対して全面的に反対するという意思はないのでありますが、あなた方があまりにも皮相な観察をなさつて、この法案ができることによつて犯罪が防止されるとお考えになることは、大きな間違いである。むしろ犯罪の温床をなすものがこの登録制度であると、私はこの原案においては考えられるのであります。さいぜん申しましたように、登録に対するその審査自体が、実際における時期において実際の審議される方の立場になつてみると、なかなかこれは容易ならぬ審査になるのであります。もちろんこの問題については、相当な有能な審議会ができるのでありますけれども、審議会ができましても、ある程度お役人まかせになりまして、なかなかそう隅々まで至れり盡せり、間違いのない——たとえば技術者がここにおるのだが、この技術者といのは月に一回か二回か、隠居役に出て來るのだということは初めからわからない。いよいよ出て來ぬときに、あれは出て來ぬというと、ときどきひよろひよろ現場に出て來る。これもどうしてもこれを否定することはできないということになりますので、この登録制ができたために、犯罪が防止されるとかいうようなことはない。むしろ今後この法案ができた後に、相当に多くの犯罪が起るのだということをお考えになつた方が、むしろ賢明じやないか、かように考えます。
○池田(峯)委員 川島さんと荒井さんにお伺いしたいと思います。日本の土木建築事業というものは、私考えますところによると、これは由來不正はつきもので、その根源というものは、実は日本の從來の政治、あるいは日本の官僚機構、こういうものに深く根をおろしていると思います。つまり時の権力者が、その権力を利用して土建業者に利潤を供與する、その代償として政治資金なりあるいは賄賂といつたようなものを要求するというようなことは、常識として今までの政治に牛公然と行われていたことなので、こういう問題を解決するために本法案がつくられたとするならば、單に建築業者を一方的に監督する、これを規制するというような措置ではなくして、もつと根本的な対策が必要ではないか、こういう問題が本法案のどこに盛られておるとお考えになるか。 それからもう一つは、この審議会の問題でありますが、今後御承知のように終戰処理費による工事というものが非常に減少して参りますし、公共事業費も削減されております。地方財政費も非常に貧弱になつております。從つて地方の都道府縣の工事というようなものも、非常に量が激減すると思いますし、一般のいわゆる経費というようなものも減少するし、そうなつて参りますと、とにかく建築工事が全面的に減少して來る。こういうときにこの建設業審議会が相当の権限を持つことになり、同時にこの建設業審議会の中へ、多くの業者の代表が入るのでありますけれども、そうなつた場合に、この業者の代表が相当強力な発言権といいますか、そういうものを持つて、これが準文者と一体になつて、その人たちだけが工事を独占し、ほかの業者に渡さないといつたようなことが起る心配が、どうしてもあるのでございますが、そういう点がこの法案でどういうふうに立案者として用意されておるか、こういう点を参考人の立場から客観的に御判断願いたいと思うのであります。
○川島参考人 私に答えよということでありますから、私の考えをちよつと申し上げたいのであります。 まず第一点でございますが、土建業者に從來不正が多い。それににいろいろ政治的な條件があるとおつしやいましたが、私はもちろんそういうことが多々あるということには同感でございます。またそれだけではなくして、土建築の経営形体にもいろいろ欠点がある。先ほど古茂田さんからもそういうお話がありました。つまりあるいは資本の性格と言うか、いろいろそれには原因があると思います。私はそういうことにもちろん事実として同意いたしますが、同時にこの問題は單に土建業だけの問題でなしに、おそらく今まで明治以來の日本の歴史を見ますと、あらゆる事業にみんなそういうことがあるわけです。土建もその例にもれないというだけのことであつて、そういうことを言えば、土建業だけを統制することは理由がないことだと思うのです。それで私は実はこの法律の実際に関係したわけではありません、まつたく第三者としてこれを見ますと、今おつしやつたような点に関する何というか弊害を矯正する方法という方の面は、おそらく日本の資本主義経済の構造をかえるとか、あるいは政治権力の性格をかえるとか、いろいろな根本問題がありまして、つまりこういう法律で、そもそもこれはどうにもできないものじやないか。それではこの法律はまつたくすンセンスかと申しますと、私の考えたのはこういう点なのです。ちよつと重複しますが、もう一度要点だけ申しますと、つまりいろいろ企業が、今おつしやいましたような欠点は多かれ少かれ持つておるのだけれども、ただ先ほど申しましたように、たくさんな金を預かる。つまり信託とか保險とか、あるいは銀行とか、あるいはことに一般株式会社の取締役とかいうものが、同じように人の金を預かります。特に建設業の場合にはタツクス・ペアーの金、あるいは一般公衆の金を渡す。前渡金を受けて預かる。しかもそれを果さないから小説や戯曲にまでうたわれるというような弊害を生じて來る。そういう面からその弊害を直して行くということは、つまり不正な業者というものはこの法律で取締る。あるいはコントロールされる。また無責任なことをすればこの法律で責任を果すようにさせる。將來いろいろ損害補償の会社がアメリカみたいにできてくれば、そういうことでやるということになりますと、業者の信用が非常に高まる。そういうことによつて一般公衆が、つまり金を預けておる銀行預金者が銀行法で保護されると同じように、そういう方面でこれを保護して行くということが、この法律のねらいである。日本の資本主義経済あるいは日本でいろいろなプロダクシヨンをやつておる性格をかえたり、政治権力の性格をかえるということは、一般の法律ではこれはおそらく絶対にできない。そこで私はこの法律のねらいはそういう点であると思う。そういうねらいはどういう意味を持つかと申しますと、從來これはあらゆる事業が多かれ少なかれそうでありますけれども、特に土建業はそういう性格が強いと思います。どういう性格かというと、正しい意味での自由経済ができないような、非常に人的色彩が強いと思う。たとえば工事をとるにしても、特にいろいろな運動をしなければならぬ。そういうことにやはり金を使わざるを得ないようなことになつておつた。ところがそういうことでなしに、たとえばアメリカの企業のように、すべての損害賠償が責任保險でカバーされるということになりますと、あらゆる企業が責任という点では平等の立場に立つて、あとは技術とかコストというような競爭になりますので、初めてそこに生産力も高くなる。つまり公正な自由競爭が行われてこそ、いわば資本主義的な経済法則といいますか、自由競爭のよさが発揮される。そういうことになるのではないか。從來のように人的色彩が非常に強いと、そういう意味で公正な競爭ができないわけです。そこにつまり從來、の弊害の一端があると思いまして、そういう点はこの法律で矯正し得る。たとえば洗濯一つ頼むにいたしましても、あれは特に顔を知つておるから洗濯を頼むといえば、顔を知つていなければ洗濯を頼まれない。アメリカでは間違いがあれば小切手で損害補償保險会社から來るということになつておりますが、そうなると技術がうまい洗濯屋、早い洗濯屋、安い洗濯屋というところに行つて、公正な競爭が行われますから、事業全体が進歩するというふうに考えられますので、この法律はそういう面を考えてそして同時に社会公共の信頼を裏切らないように信用を高める。あるいは不測の損害をかけない、生産力を高めるというところをねらつておる。先ほど申しましたような弊害は、こういう一片の法律では防げないと考えます。 それから審議会がどういうような運用になりますか存じませんが、もしもそこに官僚が入つてよろしくやるというならば、おつしやるような御心配があると思いますから、審議会がそういうふうにならぬように私は希望いたしたい。なるべく公益が代表されるように運営されるように希望したいと思います。
○池田(峯)委員 審議会がそういうふうな構成になりやすい危險性はありませんか。それは業者の方にお伺いしたいと思います。
○川島参考人 なるかもしれません。ならない希望を申し述べたいと思います。それはそういう疑惑の目をもつて見られることは、非常に政治の民主主義的な運用上好ましくないと思います。
○池田(峯)委員 業者の方で審議会がそういう傾向にならないかどうかという、そういう御縣念はありませんか。特に中小企業の方の業者の方。
○古茂田参考人 その資格があるかどうかわかりませんが、一應申します。審議会は案にあります通り、業者の代表と発注者側と合せて全数のたしか三分の二以下となつておるのであります。そのほか三分の一は大体中立の方、三分の一ずつということであれば、あとは人を選ぶ上に、勝にこれは役所の方が選ぶようになると思いますが、その辺で御注意になれば、多少一人や二人が万一今のようなことがありましても、三分の一以下であればそう大した弊害も起らずに済むのではないかと私は思います。
○淺利委員長 この際お諮りいたします。さきに参考人として交渉いたしておりました西松三好氏は都合によりまして御出席ができなくなりました。かわりまして牧瀬幸氏がお見えになりましたが、牧瀬幸氏を参考人といたすことに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○淺利委員長 御異議なしと認めましてさよう決します。それでは牧瀬幸氏の御意見を午後にお伺いすることにいたします。これでなお三人の方の御意見を伺うことが残つております。一旦休憩いたしまして、午後といたすことにいたします。暫時休憩いたします。 午後零時四十五分休憩 ————◇————— 午後二時三十一分開議
○淺利委員長 休憩前に引続き会議を開きます。山下壽郎君の意見をお伺いします。
○山下参考人 私は建築及びその建物に付帶して参りまする設備などの設計監理を業務といたしておるものでございます。設計監理という言葉はたいへん耳新しい言葉でございますから、中にはどういうものかとお考えになるかもわかりませんので、一應御説明申し上げたいと思いますが、監理業務は工事契約に関する事務でありますとか、工事の一般の指導でありますとか、あるいは工費の支拂いに関する調査及びその査定といつたような事柄、そのほかまだ含んでおりますが、そういうような業務を担当いたしておるものでありまして、私どもの仲間では、みずからかかる業務を行います者を建築士といつておるのでございます。かような建築士は建築主、いわゆる注文者でございます。その注文者とそれから建設業者との間におりまして、その両者の間に締結されます建設工事契約の履行について、それを厳正な立場で注観しておるというようなものであります。そういう立場におります私から、この建設業法案に関する意見を申し上げさせていただくことにいたします。 最初に結論を申し上げますと、私はこの建設業法案が制定されますことは、まことにけつこうなことだと考えておるものでございます。少しくそれについて意見を申し上げて見たいと思うのでございますが、大体建設工事というものは、その工事をいたします建設業者が、工事の上で直接関係をいたすものは何かと申しますれば言うまでもなく皆様御存知の通り、注文主、それから労働者と材料を供給いたしまする者と、それから下請人と、これだけののに関係があると思うのでございます。そのほかに工事の基本となるところの設計図書の製作者、いわゆる設計技術者でございますが、これは一般に申しますれば、いわゆる先刻申し上げました建築士というようなものが普通でございますが、その他に設計をやる者はたくさんおるわけでございます。その設計技術者は、特別の場合を除いては注文主を通して請負業者と関係ができるわけでありますから、ただいまのこの法案については別に論ずる必要はないと存じます。ところでそれらの注文主、それから労働者、材料供給者及び下請人でございますが、これらの人たちの関係の内容を上げて見ますと、まず第一に注文者との間では、その建設業者といたしましては、工事を完遂する責任を持つ。また注文者とお互いにこの法案にございまするように雙務的な立場で義務を途行ずるということが起つて來るわけでございます。 次に労働者との関係でございますが、これに対しましては、雇用という面から生ずる義務があるわけでありまして、この義務の遂行という点があるわけであります。次に材料供給者に対する問題でございますが、これはもちろん契約によつて材料の供給をさせるわけでありますから、必ずしも書類では契約はされないかもしれませんけれども、少くともありますので、その契約を履行するというお互いの義務が生ずるわけでございましよう。次に下請人でありますが、これとの間には、建設業法の延長によりまして、相互的な契約の履行という義務がお互いに出て來ると考えるのであります。この建設業者にも、先ほどから皆様がお述べになりましたように、各種の階級の者があるわけでありまして、大小いろいろあります。これらの建設業者及び往交者に対する責任を果し、また義務を完遂させるということによりまして、建築主の立場が保護されるということは、非常に大切なことでございます。現に、先刻も説明がありましたように、現在におきましては、こういう経済上の非常に困難な時期でありますから、前渡金という制度がかなり廣く行われておりますが、この前渡金の交付によつて、それが少からざる金額であるために、しかもその前渡金を受取つておりながら、相当の——これは新興でありますが、大きな建設業者が事実工事を途中で進行しないで、どつちも困つているという問題が起つております。それなどはやはり本法を制定することが、建築を注文する方の側にとつても、また建設業者自身にとつても必要であることを裏書するものだと私は考えております。 次に労働者との関係でございますが、これにつきましては、建設業者の、労働者に対する責任と申しますか、そ、れは労働基準法によつて一應解決は與えられているし、そのほかこれに関連したいろいろなほかの法律があるようでございます。一應これで解決はついておると考えられるのでありますが、その基準法の中にうたつてあります賃金の支拂いという問題であります。賃金の支拂いの保証という点につきまして、実質的の裏づけというものが、実際は労働基準法においてもないわけであります。ところが事実建設業者が労働者に賃金を麦押わないという例が、新聞にも現われておるのであります。しかもその不拂いの原因が、必ずしも注文者が金を拂わないからというわけではなくて、現に金を受取つておりながら拂わないという例があるようであります。もし賃金の不拙いが起るようであるならば、必ず第三の材料供給者でありますとか、あるいは第四の下請人というような者に対する支拂いも、円滑に行くはずがないわけであります。現にある例によりますると、やはりそういう例が新聞に報ぜられております。かような労働者に対する賃金の不拙いに対しまして、建設業法といたしましては、独自の救済條項を含んでいてもいいのではな、かと私は考えておるのであります。御承知のように民法では不動産も先取特権というふうに、不動産行使の先取特権が認められております。その先取特権というものは、工匠、技師及び請負人が不動産に関してなしたる工事の費用の債権について規定してあるものでありますが、技師の債権はしばらくここに申しませんでも、元請人の債権でありまするが、これにつきましては注文主とはこの建設業法案の十八條によりますれば、対等の立場で公正な契約を結ぶということであります。もし注文者が契約不履行をいたしますならば、先取特権の設定ができなくとも、この建設業者といたしましては建設物の引渡しを拒むことができるわけでありますから、それによつてその損害の負担を免れることができるのじやないかと考えるのでございます。しかし労働者の賃金の下拂いに対抗する手段といたしましての先取特権の制定ということは、御承知の民法には工事を始める前にその登記をしなければならぬということがございますので、そういう点でこの規定は事実不可能なことだと考えます。従つてこの点に関しまして、私は法律家でございませんから字句が適当でないかしれませんが、この点に対して救援の條文をこの法案の中に盛る必要がないかと考えておるのでございます。それによつて材料供給者も、また請負人もともに工事費の下洗いによつてこうむる損害をある程度免れることができるのではないか、こう考えております。もつともこういうとをやりますることによつて、注文主が受ける損害があるわけでありますが、これは契約の上で防禦し得るようにしなければならないと考えておるのでございます。 大体私申し上げたいと思いますることはこの程度でございますが、もしつけ加えて申しますることをお許し願いまするならば、いずれ近く講和條約ができることと考えまするし、そういたしますれば、外國の建設業者が日本にやつて参りまして工事を引受けることが考えられます。その場合に、その外國の建設業者と日本の建設業者が競爭をするというか、相並んで仕事をするのでございますが、外國の建設業者といたしましては、あるいはその一部の下請負工事をまたさらに第三〇外國人に引受けさせるという問題が起るかもしれません。その場合におきましては、おそらくこれらの建設業者は、やはりその國によつて行われておりまする法律によつて、ただいま申し上げましたような賃金の不柳いに対する対抗の措置をとるのではないかと考えられます。そういうことをしますと、あらかじめその点について、この法案におきましても考えて置くことは、必ずしもむだでないのではないかと実は考えますので、自分の意見をつけ加えさせていただきまして終ります。
○淺利委員長 次に森豊吉君の御意見を伺います。
○森参考人 私は日本道路建設業会の理事長森豊吉であります。元來私は技術者出身でありまして、請負におりますこと三十年であります。道路專門にやつておりまして、近くは観光審議会の委員を仰せつかつたり、日本大学の講師をしておつたりいたします。純粋な技術者で三十年ばかりやつておりましたから、こんな意味合いで私は申し上げるのでありますから、あらかじめ御承知を願いたいと思います。從つて私は法律のことを知つておりません、知つておりませんが長くやつておました経驗と、今の情勢からこの案をどう考えるかというような考え方をしてみたいと思うのであります。 とかく、今請負というものに対しては、先ほどもいろいろお話がありましたが、大体あまりいいことをしないというふうなことで、もうけるだけもうけて、あとは野となれ山となれというふうなのが請負師というように考えられて、それがあたかも常識であるかのごとくあるのであります。はなはだ遺憾でありますが、私の三十年の歴史から見ますと、その世評というものがあながち当つておらぬでにないということを痛感する一人であります。それですから、ここにわれわれ業者といたしましては、よほど考えなければならぬというふうに思うのであります。一例をとつてみますと、近く進駐軍がこちらへ参りましてから以後、随分仕事をもらいましたが、初めはコントラクターとして扱われておつたが、コントラクターがすつかり評判が悪くなりまして、今では銀行家さえも、二の足を踏むというような状態であることは、何よりも明らかにわれわれの至らないことを反省させられるのであります。時あたかもこのような案が出まして、しかも非常に進歩した案でありまして、單に取締るということでなしに、みなお互いに裸になろうじやないかというようなことになつて、明るく行こう、どこまでも明るく行くかわりには、どこまでも責任はとる、責任はとるかわりに自由を得させる、こういうふうな意味合いで、納得づくの法律案であるように私は全体的に見るのであります。個々の法律案につきまして、この内容につきましては私どももいささか意見を持つております。意見を持つておすますが、今のこういうふうな時代におきまして、今後日本が復興して行くという際には、何かしらここになければならぬ。その意味で相当進んだ法律案であるというような意味合いで、私は全体的に今提出されました法律案に対しまして賛成をするものであります。 ただこの中に盛られておりますのは、いろいろ前に皆さん御承知のように、一度公聽会にかけられまして、私ども伺つて忌憚ない意見を申し上げて、さらにそれを吟味していただいて、この法律案になつたのでありまして、非常によくできておると思うのでありますが、しいてこれに私の一、二の意見を申し上げますならば、第一條におきまして、終りに、建設業の健全な発達に資することを目的とするとありますが、私はこれはなるほどごもつともと思いますが、何かまだ物足らぬような感じがするのであります。それは請負いの健全なる発達に資するどうことには、厳密の意味でこの責任はあくまでも追求する。そうしで自由は得させ、自分の意見はどんどん言えというふうになつておりますが、さらにこれを自分で自粛しました上に相当なものになりましたならば、これに対してあるいは法律によつてさらに進んだ権利を與え、特別扱いに一級伸ばして行くというふうな意味合いのものがありましたならば、軍に取締るという意味より以上に、さらに新しい意味においてこの法律が非常に賞讃されるようになるのじやないかとこう思うのであります。 それから逐條に参りましては、特に私どもの道路関係におきまして、いろいろ問題になつておりますのは、第二十二條の問題であります。この第二十二條及び第二十、三條が、ことに第二十二條の第一項、第二項についてでありますが、今私が関係しております道路といいますと、このうしろの方に区分がありますように、鋪装工事となつておりますが、道路というものが主体でありまして、その中に道路請負、道路建設というものには、この鋪装というもの、それから士工というもの、あるいは石工、そういうものがふな入つて参ります。それでちようど私があずかつておりますこの日本道路建設業協会は、鋪装の專門の方と道路全体、の方でごとに土工の方に関係しておる方と両方が入つておりまして、一部といいますか、この道の大きい方は約八十社でありますが、みなこれに加入しておられますが、ここに色とりどりな考えが第十二條に起つて來るのでありまして、たとえば鋪装專門の方でありますならば、自分は上にセメントであるとか、あるいはアスフアルトのようなもので鋪装すればいいのだということで、下のことはあずかり知らぬ。あたかも建築における左官屋さんのような考えを持ちやすいのであります。從つて自分のやりました仕事について欠陥が起りました際には、地盤が悪いから悪いのだ、基礎が悪いから悪いのだというようなことにのがれやすくなるのでありまして、この技術の進歩、つまり明るい意味で請負の健全なる発達というふうな意味にはとりにくくなりまして、技術が進歩しにくいというようなことで、第一條の條件を完全に満足するのにどうもものたらんというふうな感じになるのであります。この第二十二條はそれですから一括して他の一建設業者に請負わせてはならないという文章より、もつと今度それをはつきりとしまして、しこうしてこの責任は下請にあるのだというふうに書きかえていただいたら、非常に明るくなるのではないかと思うのであります。それから同時に先ほどもお話がありましたように、仕事を取りさえすればだれにでも仕事がさせられるのだ、とるということが自分の利益である。こういうような今までの習わしがありました。これはいい習わしでありませんが、自分にはその仕事をやりおわせるだけの力がない。あるいはそういうふうな道を持つておらぬけれども、取つておきさえすればだれかがやつてくれる。だれにかさせるということになれば、喜んでさしてくださいという人が出て來るということになりまして、技術の低下が予想されるので、その点が私どもとしましては、非常に心配な点であります。その技術の低下を私はどういうところから申すかと言いますと、これは非常に大きな問題でありまして、ほかの賣買の品物でありますれば、その品物を手に取つて、これがいい、この値段なら自分が買うということになるのでありますが、建設事業に至りましては、まだ架空的なものに一つの想像を加えまして、でき上つたものを要求するのであります、それですからその間に時日が非常にかかり、從つて技術というものがそこに非常に大きな役割をするのであります。技術を賣るという技術の請負でありますから、この点技術の低下のないような、そうして技術の向上しているところには、ますますそれを発展さして行くというような意味合いを持たしてやれば、日本の技術が非常に進歩して行く。それでよく技術においては世界にひけを取らないとおつしやる方がありますが、私の三十年の経驗では、あながちそうではありませんで、御承知のように今進駐軍から道路を非常によくやるようにということで、資材がないからといつて向うから資材をくれておられます。それでその資材を使つてやつておられまして、東京都あたりでもやつておられますから、始終目につくことでありましようが、私に言わせれば、ほとんど及第点を持つている工事ができておらぬのであります。そうしてこのうしろには、日本の非常に高い税金からこれを支拂つて行くどいうことでありますと、私はその方に関係している者として、いても立つてもいられないような感じがするものであります。せつかく進駐軍の好意もあつて、また國民の大きな税金を持つてやるもの、國民のために働くもの、それがこの建設業でありましたら、もつと技術の向上をはかつて行きたいと思うのであります。技術の向上、技術に対しての自分の自覚、責任というものがないからもうけ主義になるんだと、私ははつきり申し上げたいのであります。こういうふうにいたしまして、ややもすると昔からの土工、請負、そういうもののはた合いが、非常にこのごろ困却されておりまして、やはり利益主義に走りやすくなりますのは、技術の低下が一番大きな原因だ。知らぬがゆえに、ごまかそうとしているのではないが、いきおい安くやる。この方が人夫賃がかからないというようなことになつて行くように感ぜられるのであります。 次一に第五章の監督の問題であります。これは官庁の方もおられ、また監督者の方もおられるのではなはだ申しにくいのでありますが、技術が建設業者側にないと同様に、官庁側あるいは監督者側にも、はつきり技術が頂上であつて間違いがないかということを、ひとつ反省していただきたいと思うのであります。あえて申しますならば、第二十八條以降におきまして、工事監督者への監督ということが、審議会の方の一部の仕事として加わつて行くべきことではないかと思うのであります。監督の人によりまして、今まで言い習わされましたことは、工事請負が、どなたが監督につくかによつて一割は違うということが言いふらされているのであります。この点は請負の方の方は利益があるように、いい仕事ができるように、お互いに政府も監督者も請負の方の方も、ともに立つて國民の幅利のために建設事業を営む。こういうことになつて行きましたら、この精神が非常に現われて行くように思うのであります。 それから小さい問題でありますが、一番おしまいの第八章、第四十五條以下に罰則があります、私はあくまで責任をとるという意味から、罰則そのものについての問題があるのではありませんが、ただこの文章で見ますと、あるいは政令によつてはつきり出るのかしりませんが、悪意でなくて一日遅れても罰金を取られるというふうに——私は法律家でないからわかりませんが——見受けるのでありまして、これを通知しなかつた者とか、届出をしなかつた者とかいうふうな者には、何日以内というような期限を切られて、その間には注意をしてくださる、あるいはそういうようなことがあつたら御親切なことだと思うのであります。他は後に譲りまして私はこのくらいにいたします。 全体としましては、この法律が完全なものというふうに考えるのではありませんが、一つの道程としまして非常にいい法律であるということで、これがよい意味で訂正されるならば、その期間があつてほしいのでありますが、このままであつても、一日も早くこれが採択され決議されることを喜ぶものであります。
○淺利委員長 次に牧瀬幸君の御意見を伺います。
○牧瀬参考人 お許しを得まして、土木工業協会として発言をいたします。西松三好氏が土木工業協会として発言する予定でございましたが、やむを得ない支障のために、私牧瀬幸が発言いたします。 われわれ建設業者は、常にみずからの仕事の重要さに非常な自覚を持ち、いかにしてこの職責を果すかというとを考えております。発電、道路、橋梁、鉄道の工事はもちろん、個人の住宅の建設におきましても、いずれもとごとく社会公共の福祉に重要な関連を持つております。從つてわれわれ建設業者の使命というものは、非常に重大なものである。このわれわれの使命、すなわち建設をいかに誠実に行うかということは、單に建設業者の方のみならず、注文者、企業者の方も、これに十分な関心を持つて御協力を仰がなければならないのであります。すなわち注文者、請負業者一体の協力によつて、初めて建設がその目的に沿うのであります。從來ややもすれば、古い傳統の支配いたしますところ、契約においては非常に片務なことが行われ、そこには恩恵的な封建的な考え方がありましたために、特定の人と人とのつながりが非常にこの土木建築という業務を支配しておりました。内においては、親分子分の関係があり、外においては、仕事をさしてやる、仕事をさしていただくという卑屈なお出入り観念の支配するところ、ごむりごもつともで、場合によつてはそのいかなる契約をもせ受する。しかしながら一旦せんじて受けたけ医藥も、遂にいろいろな面において行き詰まる結果、またもみ手をしてお願いに出る。そこに特殊な人に対する特殊な関連が生ずる。そういうことから、ややもすれば先ほど來御指摘になりましたようないまわしい請託となり、情実が横行するという結果を生じたのであります。どうしてもこの契約をフエアーにしなければならない。契約を科学的にしなければならない。いたずらにもみ手をして頭を下げるという非科学的なことよりも、もつとお互いの誠実に立脚したものでなければならないということは、われわれ業者の一部の者の眞剣なる念願でありました。さきは閉鎖機関に指定せられました日本建設工業会におきましても、つとにこの建設省の設置を叫ぶとともに、片務契約の是正に対して非常な努力を拂つて参りました。最近に至りまして非常に世の中の経済が苦しくなつて來た、不景氣になつて來たので、ややもすれば昔の古い弊害がまたそこに生ずるおそれがあります。このときにおいて、政府当局におかれてこの建設業法案を立案せられ、契約の当事者は、おのおのの対等な立場における行為において、公正な契約を締結印し、信義に從つて誠実にこれを履行しなければならないという原則を確立せられますことは、私どもの非常に欣快にたえないところであります。眞剣なる業者がどうしたら自分の請負つた工事を誠実に行うか、その義務を履行するか。それには企業者の方も、注文者の立場において十分の義務を盡していただかなければならぬ、双方が協力一体となつて、その工事を迅速にそして良好に仕上げなければならないということが初めて言い得られるのであります。この意味におきまして、かかる大原則が確立せられましたことは、斯業の発展に資するところ非常に大きいと思うのであります。これが完全に施行せられますならば、建設費そのものも相当節減せられる。たとえば天災、不可抗力等のごとき事故がいずれに属するか不明のまま契約がなされるとすれば、勢い請負人としてはその危險負担を工事費にかけなければならぬ。万一不測に起るような危險を工事費の見積りの中にかけるということは、全般の建設請負工事のために決して当を得たものではない。すなわち正当な請負價格というものは算定されるものではない。從つて契約の当初において、お互いに公正な立場においていろいろなとりきめをしておけば、そうして科学的な行き方を考えられるならば、そこに工事費も相当節減せられるであろう、こういう大きな利益があるのであります。 なお、この建設業法において建設技術審議会なるものが立案せられておりますことは、さらに私どもの非常な喜びとするところであります。何となれば、從來監督はひとえに官庁のみの監督でおりました。しかしここに建設業者、注文者側すなわち企業者、公益を代表する第三者、さらに監督の立場にある官廳、この旧著が一体となつて、そこに公正妥当な意見を闘わし、その檢討するところによつて、正当なる意見が当局に具申せられ、あるいは当事者双方に勧告せられますならば、一層工事は明朗になり、この原則の樹立によつて、お互いがフエァープレーをする上において、さらに万一間違つてフエァープレーを忌つた場合に、そのフエァーに行うべきことを勧告される。こういうふうにして参りますることは、非常に業界を明るくすることであり、この業界を発展せしめるのみならず、建設そのものを非常に正当なるものにけるのではないかと考えられます。この意味におきまして、私ども業者は非常にこの法案の通過を熱望いたしております。ぜひこの法案を一日もすみやかに成立させていただきたいと存じております。 現在提出せられました政府原案は、私どもとしては大体においてこれでも異議はございませんが、もし些少の修正的な意見を述べさせていただきまするならば、第三條第二号の「別表中筋十四号から第二十二号までに掲げる工事のみの完成を請け負うことを営業と去る者、」これには法律は適用しないということになつております。その中に含まれておりますとび工事、このとび工事は、別表にあります大工、左官、土工と、通常併称せられるものでありまして、内容的にも重要な仕事をいたしております。また実際の請負金額においても、決して僅少な請負いをなすものではありません。從つてこれは十四号に繰上げていただいて、第十五号以下はこの法律に該当しないというふうに御訂正願えますれば、たいへんけつこうだと思います。 それから第十九條、建設工事の請負契約の中に規定すべき重要事項の中の第号、「價格等の変動若しくは変更に基く請負代金の額又は工事内容の変動」、その「價格等」と書きました中に、「物價統制令第二條に規定する價格等をいう、」この注釈がございます。この物價統制令の第二條の規定にあります價格等という字句の中には、賃金が含まれていないではないか。一般的に物價、労銀。高騰、あるいは増減というようなこと申しますが、われわれの建設業者の方においては、賃金というものは非常に重要なる要素をなすものであります。從つて注釈なしに價格等といたしますれば、多分賃金も含まれておると思いますが、この注釈のある價格等でありますと、賃金が除外されておりますために、これはぜひこういうふうに「賃金價格等の変動若しくは変更に基く請負代金その額または工事内容の変更、」こういうふうに御修正を仰ぎたいのであります。 それから、この中に記載されておりませんが、主審完成時期の変更ということであります。工事完成時期ということは、請負業者にとつては非常に重要なる義務であります。いついつまでに工事を完成する。もしその工事が完成しないために、企業者の段どりを狂わせるということによつて、大きな損害を企業者に與えることがあります。從つてある場合には、工事遅延損害金というものを付せられることがありますし、その重要なる工事完成時期について、特に天災等不可抗力の場合とか、企業者の設計変更、あるいは企業者の都合により、工事の中止、支給材料の引渡し遅延等による事情かございました場合には、これは要するに正当に工事完成時期が変更せられなければならないということは、公正なることではなかろうかと思います。その点御考慮を仰ぎます。 それから第十九條の次に、請負契約報告の義務というものを規定していただきたいという希望を持つております。これはせつかく第十八條において、双方とも信義、誠実をもつて公正にやれというこの建設業法の一番の眼目をなす原則を樹立せられたのでありますから、あるいは当分從來の慣例によつてルーズに処理されることを防ぐために、この契約の当事者は、建設業審議会に、締結した契約の写しを出して報告をする。そうすると建設業審議会は、なるほどこれは、この法律の趣旨に從つて公正に契約をやつておるということがわかるし、また著しく非常に公正でないものについては、これを公正ならしむるように勧告するというようなことにした方が、この法律の目的が達せられるのではないか、そういう考えから第十九條の二というものを新設いたしたいと思います。これは希望でございます。 それから第二十四條は、單に條文の整理にすぎません。それから第三十三條も條文の整理であります。ただ第三十三條の中に、原案では、建設審議会は「建設大臣又は都道府縣知事の諮問に應じ、建設業の改善に関する重要事項を調査審議させるため」ということがあります。いわゆる改善ということに範囲がやや狹くなつております。この範囲を廣くして、建設業に関する重要事項を調査審議させるためというふうに変更されてはいかがなものでしようか。これは希望でございます。 それから第三十四條、これは大部分は條文の整理であります。ただその第三十四條の第四号に、「政令の定めるところにより重要建設工事実績の報告を徴し其の内容を調査して建設大臣又は都道府縣知事に意見を具申すること、」こういうことを入れました。これはごく卑近な一例をもつていたしますれば、たしか昨年であつたかと思います。新潟方面のある大きな橋が落ちて、相当のけが人が出た。あるいは死亡者が出た。要するに、直接に國民の公共の福祉に関連する非常に重要な工事については、一方官庁の御監督があると同時に、また建設業審議会、すなわち業者、企業者、注文者、公益を代表する者、官職、の一体の機関において、さらにはたして現在やつておる工事が公益のために十分なものかどうか、一朝この橋が落ちた場合には死傷者ができる、どこかに欠陥がないかというようなことを精査して、そうして万一さようなことがあつた場合には、建設大臣または都道府縣知事に意見を具申するというような余地を残しておくことは、非常に重要なのじやないか。これは公益のためのみならず、業者自体の自覚を促す意味においても、非常に重要なことではないかという見地から、この第三十四條の四号というものを書き入れてみました。 それから第三十七條、この建設業審議会委員の任期の問題であります。これは原案によりますと、四年となつておる。しかしこれは四年では長過ぎやしないか。二年でよくはないか。さらにこの中に「再任されることができる」という第二項の規定があるので、もし四年の任期を必要とするならば、再任によつてその人を就任せしめたらいかがか。こういう見地から、工年としたらどうかと、こういう希望を持つております。 大体以上のような修正意見であります。なお四十七條の罰則の規定の中に若干のことを考えましたが、要するにわれわれとしては、公正に誠実にやりたい。せつかく法律でこういう方向を示していただくのに、どうもそれに著しく從わないというような者があつたならば、これに対してはあるいは建設業審議会が辞を盡してこれに勧告をする心または監督官庁から注意を促される。それにもかかわらず、なおほおかむりをして押して行く者に、はたして罰則がなくていいかどうかという見地から、こういうことを考えた次第であります。 要するに私どもは、御提出になりましたこの法律案に対しまして、業者としては多年の念願が大きく新しい第一歳に入つたという考え方で、ぜひこれをすみやかに成立させていただきたいという熱望を持つております。二百申し上げます。
○淺利委員長 これにて一應参考人の方々よりの意見の聽取は終了いたしました。参考人の方々に対する委員諸君の質疑があれば、この際これを許します。なおこの質疑が終つたあとには、建設業法について、引続き質疑を行いたいと思います。どなたか御質疑はありませんか。ただいまここにお見えの方は、山下さん、古茂田さん、難波さん、森さん、牧瀬さんの五君がおられます。
○今村(忠)委員 実は私が希望するような方がここに見えてないのでありますが、建設業協会でありますか、その関係の方にでもお聞きしたらどうかと思うのでありますが、かような、請負業者に一つのわくをはめると申しますか、統制を加えられるということになりますと、われわれちよつと過去のことから思い当ることは、いわゆる一口にたたき大工とでも言うような人たちが、われわれが小さなうちをつくる際に請負つてくれるのでありますが、こういうような人たちが、このわくで、十年の経驗がなければいかぬとか、いろいろの恐ろしくむずかしい手続がいるのでありますが、おそらくこれを手続するのには、たたき大工と一口に言われるような人たちでは、自分で手続ができぬのではないか。おそらく建設業代理士とかなんとかいうものができて、さもなければ、少くとも警察や役所のまわりにあるところの司書とかなんとかいうような、文筆專門業者というような人に頼まなければ届けもできない。ことに経驗十年を要するということになりますと、十年間の経驗がある証明をとらなければならない。簡單に言えば、昔の親方の証明をとつて來なければならない。そういうような場合に、大工さんが必ずしもそうだというわけではありませんが、主人を二年、三年でかえたというような場合にあつてば、しかもかえた動機が、けんかをしてかえた、こういうことになりますと、十年の証明書をとるために昔の親方の所には行かれぬ。親方もけんかわかれをしておれば、証明は出さない。それで十年という経驗あり、相当の力量もありながら、いわゆる青少年時代に、血氣の盛りなころに、簡單に言えば親方とけんかをしておるために、十年の証明がとれぬということもできるのではないかと思うのであります。数字の上から、いわゆるたたき大工というような形で請負をしておる者の数が、私にはわかりませんが、これは相当の数じやないかと思う。ただでさえ統制はあきあきだ。もうこれほどがんじがらめにされたのでは、生きるせいはないというほど統制に苦しんで來たこの際に、再びまたかようなわくを新たに要求するというか、制定するということについて、私が今申すような、たたき大工というような形から請負をいたしておる人達が、おそらく猛烈な反対をするであろうと想像するのでありますが、この参考人の中に、実はさような人を加えてほしいということを申し出ておいたのでありますが、直接さような立場の人がおられないようであります。建設業務会あたりでは、さような人たちの世話をしておる経驗から、おそらくそういう向きに反対があるということもわかるかと思います。ひとつその点を聞かしていただきたいと思うのであります。
○古茂田参考人 はたして御質問にちようどはまつたことを申し上げられるかどうかわかりませんが、一應申し上げます。 この法律で比較的小規模な業者が営業の自由を封ぜられるのではないかという、ごもつともなことでありますが、実は私は建設業協会の立場といたしましては、いやしくもここに建設業法をつくりまして、信義、誠実に義務を履行をさせるというからには、どうしてもある程度の最低制限と申しますか、反面から言えば統制に違いないかもしれませんが、ある程度の線を引くことが必嘆じやないか。そこでその線の引き方でありますが、この法律の原案では、軽微なものは除外されておる。從いまして、これは金額で申しましたら、十万円になりましようか、五十万円になりましようか、いずれその辺は政令でおきまりになると思います。もしかりに十万円程度できまるといたしますれば、今どきの相場でありますから、ちよつとしたバラツクをつくりましても、まず普通十万円は越えるようなことになります。從いまして、そういう人はきちんと登録さえすれば営業は確実にできるわけであります。ただ、今お話がございましたように、実務に十年以上の経驗を要求することが酷じやないかということでありますが、この点は、実はわれわれも技術者出身でありますが、やせても枯れても、バラツク一軒責任をもつて請負つて建てるにはやはりそれくらいの経驗は、私は技術者出身として要求したいと思うのであります。しかしそうは言つても、その十年の資格をどういう方法で証明するかという御疑念、これは非常にごもつともなことであります。いずれこれは立案者の方にはお考えがあるかもしれませんが、実は私どもの方では、そこまでは考えておりません。しかし類似の取扱いは、法律ではございませんが、職業安定法に付随しました施行規則、またそれの処理要綱のような軽いものでありますが、それにもやはり一定の年限を付してあつて、それも何らかの方法で証明できればいいということになつております。その辺はいずれ政令や何かでしかるべき方法をおとり願いたい。私どもも今御意見のありましたような疑念を持つております。これは何とか將來合理的な方法を講じてもらいたいという考えを持つております。
○今村(忠)委員 ちよつと明確を欠く点もあるので、もう一度重ねてお尋ねしたいのでありますが、なるほどある一定の技術あることを要することはわれわれも認めるのでありますが、医者などであれば、藥を盛つて盛り方が悪ければただちに生命に影響を與えるのでありますけれども、建築などは請負わした者が、毎日、簡單に言えば監督もできるのでありまして、使い物にならないような家を建てるということは、できもしないものは大体請けもしないでありましようし、請負わしても今言う通り目のあたりに結果がわかつて來るのでありますから、私は実際十年という年限を必ずしも必要とするものではないような氣もするのであります。ことに私たちが小さな家を請負わしたといたしましても、たいがいは他で家を建てた、相当のものができておるというようなことで評判もあり、ことに地方でありますれば名も通つておつて、そして信用して請負わしておるようなものであります。ここで十年という年限を條件とすると、先ほど言うようなその証明をとるのにも、大体書類をつくるのにも、こんなむずかしい手続は先ほど言う通り人の手を借りなければなりませんし、金額にすれば数千円でこの届を引受けるかどうかわかりません。今の金では一万円も出さなければ一切の手続ばしてくれないのではないかと想像するのです。ことに今のお話によりまして、政令によつて金頭を十万円とか幾らとか言われますけれども、われわれは金額の点は特に注意するわけでありまして、御承知のように坪二万円も三万円もする今日においては、三十万円といつても普通の家以下の小さなものであろう。農家あたりでちよつと建てるとすれば、十五坪以上でなければ、養蚕などをする地方においては役に立ちません。これは私数字をお聞きしたいのでありますけれども、いわゆるたたき大工式の請負の数が、全國的にどのくらいの割合を占めておるか。それらの相当の数の人が、これによつて不自由を來すのではないかと思うのです。今言つた十年くらいの経驗が必要だろうということは、今のお話を聞いてもはなはだ漫然としておるのでありまして、現に私のせわをしておる学生は、学生でありながらりつぱに家を建てました。もつとも日大の建築科へ行つておる学生でありますから、さような多少の趣味と技倆と申しますか、技術もあつたには違いありませんが、障子もつくりますし、戸もつくりますし、たなもつくりますし、実に二むねもりつぱな住居のできる家をつくつております。これはもとより経驗からいえば中学を出て大学へ入つたばかりというわずか二十一、二の青年であります。そういう例をとつてみましても、ここに制限を加えることは、先ほど來言う通り、統制を撤廃して行こうという私ども民主自由党の立場から言いますと、はなはだ相反するようなものができるのではないかという氣がするのです。そこでかりにそれを一應認めるといたしましても、一体たたき大工と一口に言われる請負人というような人たちのできる程度の家、それを今日の價格できめると相当の金額と思いますが、大体どのくらいの程度までを線にしたらいいかということを、経驗の上からお聞きしたい。十万円か五十万円かということでは大変な違いでありまして、まあ普通このくらいならどうかしらんということはあると思う。それから十年の経驗というのは、どうもわれわれは長いように思います。これはまた見習についたときの年齢等のこともありますが、御承知の通り労働法等によつて、今後は相当な年齢でなければ簡單には大工の見習ができない。三十を越えても場合によつては一人前の請負もできぬというような者ができるかとも思う。こういうことを考えますと、この制限をきめることは、よほど愼重に考えなければならぬと思う。 なおもう一つ、これは他の方からもあつた意見でありますが、つまり請負業者は、請負師ごまのすり道というのが昔のカルタにあつた通り、はなはだけしからぬという意味の言葉がありますが、そういう不正を防除するという意味ならば、だれでも建築する者は一つの届出を要するという程度のごく簡易のもので不正は防げると思う。必ずしも技術的な要件を加えなくても、いわゆる仕事上の不正を防除することはできるのではないか。この点をひとつ、皆さん御経驗があるということでありますからお聞きしておきたいと思います。
○古茂田参考人 十年の証明方法につきましては、第三者の証明でなくて、第七條の四項にございますように「筋五條各号に規定する要件の一をそなえる技術者を有することを誓約する書面」とあつて、誓約書というような原案になつておりますので、この点ば事務的に簡便であります。それから十年が必要かどうかという点につきましては、お話のありましたように若くてできる者もありましようし、相当な年齢でもできない者もありましよう。これは提案者のお氣持を想像しますと、大体十年というところではないか。これが八年でいいか十年でいいかということになりますと、試驗をして技術の格付けをしなければならぬことになるのではないか。現在の段階としてはまず十年というところではないかというように側面から言うだけの話であります。なお一人親方ないしたたき大工の階級につきましては、これは私の方よりも、こちらに参つておられます難波さんの方からお話があるかと思います。
○灘波参考人 御指摘の要旨は十年の年限の問題でございますが、まことに御説の通りでございまするが、実はただいまございます大工あるいは左官、こういう職種は、大体從來兵隊までは徒弟でおつて、それから五年くらいはいわゆる各種の業種につきまして、大工でありましても、第二、第三の人にやはり見習つて、そうしてようやく家を組立て、あるいは墨つけをし、あるいはちようなをし、あるいは壁や屋根や、これまでのものを総合的に練習するまでに約十年かかる、それになお人を指揮、監督するまでには、さらに十五年かかる、こう言つておるのであります。かようなわけで、まず業者として立ちまするには、総合的の氣持を持つておりまするが、今のここにありまする十年以上のものは、人の住居をつくらなければならないということを考えますと、少くとも自分の代表として責任を持たせるには、十年くらいの経驗がなければ、実際どの職種におきましても、大体そのくらいの年数をたたなければ、総合的に段取りをきめるなり、人の配置なり資材の見わけなり、こういうものができないと考えますので、大体七年ないし十年という意見でありましたが、現存のところは非常に機械科学が進んでおりますので、十年ぐらいの年数がなければなかなかいかぬだろう、こういうのが中小企業の意見で、十年にまとまつた。公聽会あるいは審議を経て、大体意見が統一しておるのであります。なお今後におきましては、もう一歩前進しまして、三年ないし四年において一人前になるような方向に、徒弟なりあるはいろいろの教育の指導によりまして、やつて行かなくちやならぬのでありますが、これはわれわれの業者ばかりは昔からの慣習がありまして、実際子守りをし、何をして覚えて來た人たちで、それにそのまま実施することはなかなかむずかしいのであります。一歩前進しました今度は、労働基準法なりあるいはすべてのそういう法規によりまして、何とかしてこの徒弟の教育については、もう少し努めて行きたい、こういう氣持を持つておりますこともつけ加えて御報告申し上げたいのであります。それからこの法律が適用されまして、なるほど御承知のように書類が非常に複雜でありますので、まことにわれわれ中小企業としては非常に困る問題なのであります。けれども、いつまでも困る困ると言つてこのままおつたのでは、ますます圧迫を加えられて、いつまでも中小企業は浮き上らぬのであります。これを何とかして浮き上らせたいというのが、私ら中小企業のねらいであつたのであります。でありますので、この処理につきましては、中小企業としましては、協同組合なりあるいは合同によりまして、企業を整備して、みずから企画もできるように、あるいはその協同組合の事務所においてこれを処理して、みずから自分ら同志の協力によつてこの仕事を成し途げて行きたい、これを念願するのであります。業法におきまして、今中小企業廳において中小企業協同組合、かようなものを御制定になつておることもわれわれは非常に歓迎しておるのであります。さようなわけで、中小企業を何とかして救つていただきたいのが今の念願しておるところの問題でありますので、これらの問題はさような面において解決して行きたい。しかしながら口ではそう申しましてもなかなか昔の慣習が連なつておりまして、容易でないのでありますが、これを何とかして法の根拠をもちまして、お互いが協力、結束して、日本の復興に協力申し上げ、また一般輿論からもわれわれの人格を、いつまでもボスである、あるいは労務供給であるとかそういう観点でなく、法の根拠によりまして、何とかして地位を浮き上らしていただきたい、そうして社会的に地位を確保していただく、かような念願でありますので、これはしいて申しますれば、一歩前進しまして、これらの人の手をかけずに、今度はわれわれみずからがそういう氣魄をもつて、そういうような仕事を組合の協同の力によつて準備をして、実施して行きたいと希望しておるのであります。でありますからして、現在におきましては曲りなりにも商工協同組合法によつて、全國を通じましたその組織によつて、一應協同施設によつて行こう、まだ日が浅いのでありまして、はなはだ微々たるものであります。また昔の慣習があつて、皆さんにお目にかかるまでには至つておりませんが、徐々にこれを準備し七、皆様御心配になる点を何とかして解決するように、みずからもやりまするが、皆さんの輿論において御支持を願いたいのであります。また本業法によりまして、これを長く格つけさしていただくことを非常に喜んでおることは先ほども申した通りであります。
○今村(忠)委員 ただいま中小業者というようなものの数は、專門員の方では十七万くらいあるだろうということでありますが、つまり個人で請負いをして、從來現実に建てておることのできたのが十七万あるかどうか、この点がまだはつきりしないだろうと思います。いわゆる直接これによつて統制を受けることを痛感させられる個人請負業者というものが、これのできることによつて浮き上れるのだというような意味のお答えがあつたのでありますけれども、ほんとうにそういう意味で喜んでおるかどうかということでありますが、これは実際その業者の方々でないとわからないことだと思います。そこで私は、一体これらの人たちが、今度物價の値上りで一体どのくらいな金獺のものであるなら簡單に言つていわゆるたたき大工、請負業者が受けてやれておるものであろうか。参考までに金額でお聞きしたいと思います。どのくらいのものを個人的な請負業者がやつておるかどうか。
○灘波参考人 ごもつともな話でありますが、実は金額におきましては、建てまする仕切り工事になりますと、実際その範囲が狹いのでありますが、たとえば十坪か十二坪でも五十万円、百万円もかかる仕事もあるのであります。それで実は私どもの方でも、小さな物置を建てるとかあるいは修繕するとか、それからたなをつくるとか、こういうような問題は、請負の中に入れたくないのであります。正当に住居を持つておられまして、相当な金をお預りし、相当の一般の各職種が集つて建設する、小さくても多くの人が集つてこれを築造しなければならぬというものについて適用するように、大体私らの考え方といたしましては、軽微と申しましてもなかなかむずかしいのでありまして、大体先ほども申し上げましたように、二條の一号二号の自己の能力のみによつて完成し得る程度の工事というものを、ここに自分の力で請負えるものに、軽微なものについてはこれを適用しない、でありますから、先ほど申し上げましたような、一人親方、こういうような人々につきましては適用はしたくないのであります。少くとも一人以上使つて、そうして相当資力を持ち、整備をして行くものに対して適用してもらうのが根本なのであります。これをひとつ御了承願いたいのでめあいます。 それからさつき十万円の問題が出ましたので、実は大体十万円あつたらどのくらいの工事ができるのだろうというので、各職種について実は七種類ばかりやつておるのでありますが、実はその工事の資料をちよつと私持つておりませんので、さような面から今記憶しておるのはごくわずかでありまして、大工の問題といたしますれば、十万円の家を引受けますと、資材を買つて來て、こなして、それから家を建てるまで行かないのであります。これは絵どり組立ての墨つけが終つて穴彫りまでしかできない、のであります。かようなわけでその線がどこでよいかということは、はつきり私どもの方でも申し上げられませんが、いわゆる四坪か五坪あるいは自分一人でもつてできるような講じ、請負業については、全然除いた、かようなわけでありますから、実は金の問題につきましては一應調査したものがあるのですが、今手もとに持つておりませんので、お答え申し上げかねます。
○淺利委員長 ほかに参考人の方に対する御質疑はありませんか。——それではこれにて参考人の方々よりの意見聽取は終ります。参考人の方々に一言御面を申し上げます。本日は御多忙中のところわざわざ当委員会に御出席くださいまして、ただいままで長時間にわたつて御高見を賜わり、当委員会の本案の審議の上に、一層の権威を加えましたことを衷心より感謝いたす次第であります。本案に対しましては、参考人の方々のそれぞれの立場よりの御高見を参考といたし、今後ますます愼重に審議いたして参りたいと存じておるのであります。以上簡單ながら御礼を申し上げます。これにて参考人の方々よりの意見聽取を終ります。 —————————————
○淺利委員長 なお引続き本案につきまして政府当局への質疑を継続いたします。上林委員。
○上林委員 要点だけ申し上げますが、建設業法案につきましては、さきの委員会の政府の提案理由説明、その後における委員会の質疑應答、また本日の参考人の意見並びにそれに関する質疑等で、大体全貌が明らかになりましたが、私次の二点について御質問申し上げたいと思います。 第一の点は、本法案の名称は建設業法案となつておりますが、從來の通念から申すならば、大体土建業と呼ばれておつたと思うのであります。大体その意味においては同じ内容であると私は考えるのであります。從來の土建業主と申しましようか、これは大部分土建資本と結びつくか、あるいは土建資本を中心とした土建業者が私は多かつたと思います。それはそれでよろしいのですが、今後土建資本の圧迫からと申しましようか、土建資本から独立して、あるいは從來土建資本に労務の提供——これは設計技術者も全部入れまして、労務の提供あるいは協力的な関係になつておつたところの階級の者が、独立して、いわゆる團体の事業体を設けてやるということが將來考えられると思います。私寡聞にしてこういう團体が今日まであつたかどうかということを現在存じませんが、將來は十分に私は考えられると思うのであります。言葉をかえて言うならば、本法案を立案するにあたりまして、そういう社会政策とでも申しましようか、あるいは社会主義的なと申しましようか、そういう観点から、あるいはそういう配慮のもとに、本法案が立案されておるかどうか、この点であります。 第二の点は、そういう事業團体が生れた場合、これは一般論で申し上げますが、登録適格條件に該当するかどうかということを私今承つておきたいと思います。以上二点について御質問申し上げます。
○中田政府委員 上林委員の申される通り、今回政府が提案いたしました建設業法案にある建設業と言いますのは、まさに從來土建々々と言われたものを指すわけでありますが、しかしながらこれらは土木建築を建設工業、あるいは建設事業と呼びならわすことが、むしろ長い間の感じから來る一つの名称上における柄を改善するゆえんではなかろうかという意味で、あえて建設業と名乘つたわけでございます。しかしながら法案の工事の内容等をごらんになれば、御説の通り土木建築に関する事業の請負いを業とするものを、ここに建設業といたしたわけであります。 次にお尋ねのいわば從來の土建業者に使われておつた人間が、自分の経驗が修熟し、あるいは自分が一本立ちになつて、自分の責任において事業の請負いをやつて行く、その場合において、その同志が協同的な組織によつてやるという場合があると思われるが、それに対して法案はどういう態度を持つておるかという点でございますが、たしかに私は建設業の業界の進歩発展のためには、そういう新しい意欲のもとに、ほんとうに良心的にやつて行こうという人が團結をして、そうして業界に一歩を踏み出すということは望ましいことであり、決してそれをはばむべき何ものもないわけであります。世の中の進歩というものはやはり古いものを尊ぶと同時に、また新しい意欲のむのを尊ぶことによつて進歩発展がございますので、先回の質疑においてもお答え申し上げた通り、この業法においては、古いものを温存して新しいものを抑制するというような考え方は、全然当初から持つておりません。從つて比較的登録の要件は割合にラフにじてございます。つまり志しを持つ人をあまりとめないということによつて、古いものをいたずらに温存するということにのみならぬようにという意味を心がけたつもりでございますので、なおこの同志が協同の力で企業体をつくり上げるという場合において、御承知のように協同組合というものが今日ありますので、あれを活用することによつてもまたできるわけでございまして、個人たるとあるいは協同組合たると、あるいは大会社、大資本のものたるとを問わず、ひつきようするに、業界がほんとうに良心的な工事をしていただくようにという意味が、本法案のねらいでございます。從つてそのことについて建設業法は十分な考えを盛つておるつもりでございます。なお登録要件等につきましても、少くとも人様の委任を受けて事業を完成するということに必要な最小限度の要件として、若干の技術経驗というものを要件にいたしたのみでございまして、経つて資本金とかあるいは機械類とか、あるいは労働者の使用量とか、こういうものは登録の要件にいたさなかつたことも、まさにその趣意から出たわけでございますので、さように御承知願いたいと思います。
○淺利委員長 次に質問の通告によつて宮原委員。
○宮原委員 登録後に毎年提出させる書類の規定が第十三條にあります。その中にも出ておりますが、建設省令で定める書類というものはまだ予定ができておりませんか。できておるとすれば、どんな書類を出させるのでありますか。
○中田政府委員 十三條で、「省令の定めるところにより」ということを善きましたのは、ここに書いておりまする事柄以上のものを要求するわけではございません。ただ申告をしていただく便宜のために、一つの様式みたようなものを定めることにいたしておるわけでございます。
○宮原委員 第七條の一号、二号に規定する書類、それから第七條の三号に規定する書類の変更の場合の報告を、毎毎度経過後二箇月以内に出させることになつておりますが、先ほど業者の意見としては、どんな書類も覚悟しているというような、ずいぶん安心の行くような意見があつたのでありますけれども、これも中小企業者の中の上層部の意見であつて、末端の意見を代表しているものとは、前後の説明で、どうしてもわれわれは納得が行かなかつた。從いまして、なるべくこの手続の簡素化という意味、業者にめいわくをかけない意味で、毎年そういう報告をとる以上は、その業者としての資格が欠けたような場合においては、知事においても建設大臣においてもそれはわかるのでありますから、登録の取消しもできるでありましよう。從いまして、第四條の登録の有効期間が二年になつておりますが、この二年というものは、その必要はむしろないくらいに、相当長期に有効期間を認めてはいかがなものでありますか、それからまたかりに二年を有効とするならば、登録の更新の登録というものにも、同じような書類をまたとるというようなことも、何とか簡素化できないものでありましようか。そういう点についてちよつと御説明を願いたい。
○中田政府委員 書類を煩雜ならしめることは小業者のために苦痛であることは、たしかにわれわれもよく了知しておるわけでございまして、本案作成にあたりましても、ことに私その担当の局長といたしまして、作成に当ります部下に対しては、強くそのことを、主張して参つておりまして、御趣意の点はまつたぐ同感でございます。そこでまあいろいろとれもこれもと希望もあるのでございますが、しかしながら根本の方針について大筋のものがわかれば、あまり書類の煩雜なことはやめようという意味で、まだたくさんございましたものを、切り切りしまして、この程度になつたわけでございます。ただ根本としまして、二箇年にこういう書類を登録のときにとり、それからその後変更があつたときにとる。それならば、登録の期間更新を二年にするのは無意味ではないか。むしろ無期限またはもつと長期にしてもいいではないかという御意見のあることは、たしかに筋の通つた御鏡でございまして、当初考えましたときにも、三年という原案を作成しまして、公廳会に臨んだのでございます。ところが実は意外に思つたのでございますが、業界におきましては、今日のような非常な変動期においては、登録の更新はもう少し短い方がよい。極端に言えば一年というような説も出ました。しかしどう考えても、あまりに書類の煩雜になるのを恐れることにかんがみまして、二年ということにおちついたわけでございます。そこで御趣意の点は、この法案が幸いにして実施になるというような場合においては、十分注意をして、ことにこの書類の作成の方式等につきまして、簡便に業者の方に書き込んでできるようなものを考案して、あまり御苦労をかけないようにしたい、こういう心がけでおるのであります。
○宮原委員 希望になるかもしれませんが、一言つけ加えたい。第七條第二号の工事施工金額を記載した書類、この工事施工金額というものは、すべて税金の対象になる危險が非常にあるので、業者から正確な調書をおとりになろうというお考えであるならば、そこの関係をよほどお考えになる必要があろうと思う。その点について税務署等にこれを利用されるというようなことがあるかないか。それについてのお見通しを伺つておきたい。
○中田政府委員 第七條の第二号の金額を記載した書面というのは、これは普通業界におきましては、いわゆる工事経歴書というものを入札のときに出しまして、それには、どこそこのどういう工事を、何年の何月に、何ぼの請負金額で施工しましたというような、一種の工事上の履歴書を出す一つの慣習になつておるわけでございます。そういうものは、やはりその業界のために信用になるわけでございまして、これをとることはやむを得ぬことであろうと思いますが、今御指摘のように、これを租税の徴税の便益あるいはそれに利用されるのはたまらぬという点につきましては、たしかにそういう御縣念もあろうかと思います。しかしそれだからといつてうそを書いてもいいというわけにも参りませんが、われわれの方として、税務署にこれを全面的に利用させるというような考えば全然持つておりません。
○淺利委員長 それでは次に瀬戸委員。
○瀬戸山委員 本法の大体の概要につきましてはほぼ明らかになりましたので、こまかい点について二、三疑問になる点をお伺いしてみたいと思います。第五條の第一号であります。これに資格要件のところがありますが、「建設省令で定める学科を修めたもの又は建設大臣がこれと同等以上の学歴若しくは資格及び実務の経驗を有するものと認定した者」という項目があるのでありますが、この内容が建設省で予定されておるかどうかということと、第二号についても同じごとであります。「法律又は命令による免許又は技術若しくは技能の認定を受けた者」。これは現在多少あると言いますが、その内容を一應明らかにしていただきたいと思います。
○中田政府委員 第一号の方は、実は大学程度の者は経驗が三年とか、旧中等学校、いわゆる実業学校でありますが、甲種実業学校の者は五年とかいうようなことに書いてあります。ところが御承知の通り各種学校というようなものがございまして、大体において甲種程度なり、あるいは大学專門学校程度というものに匹敵するようなものがありましても、ぴつたり大学令とか、実業学校令に当てはまらぬ場合がございますので、これらもやはり当てはまるようにしなければならぬという意味で、多少むずかしいようでございますが、これに準ずるようなものはやはり救うように書いたのでございます、最も典型的なものは、外國の学校も出たりしたような場合も、日本の大学令とか、学校令にぴつたり当てはまらぬというような場合もございますので、書いたわけでございまして、大体において、善きましても、日本の甲種実業学校、あるいは大学、專門学校、それにちようどレベルの同じようなものをここに書こうというつむりでございます。 それから第二号は、ちよつとえらくぎようぎようしくなつておりますが、労働基準法で労働安全衞生規則とかいうので、一つの認定があるそうでございまして、それあたりをさしておりまして、それ以外には今予定しておるものはございません。從つてあまりこれの適用はないかと存じます。
○瀬戸山委員 第五條の第三号の十年ということについては、十年で切るかどうかということについて、きわめて疑問があると思います。しかしそういう点はあまり問題にいたしません。「建設工事に関し、十年以上実務の経驗を有する者」となつておりまして、別表に各種のいわゆる建設工事の内容が現われておるのでありますが、そのおのおのの一つでも、建設工事に関し十年以上の実務の経驗があればよろしいかどうかということを、一應お伺いしてみたいと思います。
○中田政府委員 立案の解釈としましては、それぞれ一つずつ十年以上という意味ではございません。建設工事全体についての十年以上の経驗という、少しルーズな考えでございますが、大体においてそういう関連工事を十年やつておれば、親方として仕事の完成に責任が持てるではなかろうかという意味で解釈いたしております。
○瀬戸山委員 具体的に申しますれば、土工工事を十年以上やつておる。もしくは第十六のガラス工事を十年以上やつておる。それだけでも建設工事の資格があるかどうかということをお伺いします。
○中田政府委員 もちろんその場合においては資格はございます。
○瀬戸山委員 その場合に登録いたすのでありますが、何條でございましたか、登録した者はさような標識を掲げておかなくてはならない。その標識について、種別の区別があるかどうかということを承つておきたいと思います。
○中田政府委員 この登録の内容ではわかりますが、登録番号で標示する場合においては、区別は全然ございません。ただ登録番号の標示につきましては、営業所を二つ以上の都道府縣に持つておる場合には、登録は建設大臣の登録になりますし、都道府縣に一箇所、すなわち一営業所、すなわち軍一営業所の場合は、便宜上その府縣で登録いたしますので、たとえてみますと建設省登録第何番、東京都登録第五十番というような標識はあるいは出るかもしれませんが、それ以外は全然標識はございません。從つて閲覧所で、あるいは公簿面で具、体的な内容は調べなければならぬと考えております。
○瀬戸山委員 私がお尋ねいたしたいのは、そういうことになりますれば、いわゆる登録建設業者というものが、わかりやすいところに標識を掲げておく、また建設現場にも掲げておくということになりますが、もちろん登録申請書、並びに添付書面には、その経驗、技術の内容、さらにまた從來の工事経歴というものが書いてあるのでありますけれども、なかなか一般の國民がそこまで見るということは、この法律が希望しているようには実際問題として参らないと思つております。そこでうつぱな看板と申しますか、登録という公の認定を受けたところの看板を掲げておきますと、先ほどお尋ねいたしましたように、單に一つの事業についての経驗を持つておつたということで、いわゆる完全なる建設業者として一般から見られるおそれがある。そこで私は本法が公共の福利を害しないという目的をもつて立てられたのが、悪い方ばかりとるわけではありませんけれども、それを悪用するおそれはないかということを心配いたしますので、もちろんよほど念を入れた官廳でありますとか、公共團体であるとかいうことになりますれば、すべての登録申請書並びに添付の書類を見ましようけれども、一般の個人というものは、そういうものを見ないのが常識であろうと思います。そういうときにそういうおそれがありはしないかということを、立案者として考えられておられたかどうか。それについての所見をお伺いします。
○中田政府委員 確かにごもつともな点でございます。これに、実はいろいろ考えましたのです。すでに十分御承知のことでございまして、今さら私が御説明するまでもないことでありますが、普通業界において、大別いたしますと、総合請負業者、それから識別業者、あるいは古茂田さんは專門業者とも言つておられたようでありますが、ある單独な種類だけ專用にやるというのと、それからいわゆるコントラクターとして、一切の責任を自分で負つて、自分のスタツフで完成し、あるいは一應のそれぞれの專門業者に下請に出すという、いわゆる総合請負と、二通りあるわけでございます。從つて、それでは総合請負業登録、專門何々業登録ということにすつかりわけて登録させた方が、世間の信用のためにもなるのではないかという点もございましたので、これも考えてみたわけでございます。ところが業界としましては、なかなかそこがむずかしいところでございまして、それでは專門だからといつて、ほかのものに手を出さぬかというと、それらに関連したようなことは、頼まれればやはり便宜上やつてあげるということになると、一應は総合業者と申しましても、專門のこともやり、また同時に、專門業者と言いながら、総合業にも手を出すということは、業界の実際の事情はそういうことになつておるわけでございまして、そこでこの專門職別を明らかにした登録主義、いわゆる種類別登録ということには多少のむりが生じやしないかというので、その点は登録一本にするということにしました。そういたしますと、今申し上げた弊害はある程度防げるわけでございますが、ただいま御指摘の点について、世間は同じ登録だから非常に誤解を生じやしないかという点につきまして、われわれが考えましたのは、アメリカのようにインフオメーシヨン・ビユーローのようなものが発達いたして参りますれば、比較的これは文句はないと思いますが、日本において、ああいう一つの案内所的なものがない現状においては、せめて比較的信用のある一つの公簿あるいは書類というものを公衆の閲覧の便に供して、少くとも相当な金額で発注する方は、それだけの労はとつていただいて、できればそれの複本でもつくつておくということによつて、業者の実態を割合正確に把握願うように世間の輿論に訴えて、そうじてただ登録しておるから信用があるだろうというような簡單なことでなしに発注していただくようにしたい。從つて條文においては、登録簿の閲覧所ということにしておりますが、だんだんとこれを充実いたしまして、また世間の人も、それを見れば信用できるというふうに、だんだんならして行きまして、今御指摘の点の弊害がないように、誤解のないようにいたしたいと、こう考えておるわけでございます。
○瀬戸山委員 ただいまの点につきましては、請負についてきわめて困難な面があると言われます。さようなお考えであるとしますれば、さような指導について十分御考慮願えるように希望しておきます。 次に、第十一條についてお尋ねしてみます。これは登録の拒否の問題であります。この登録の拒否の各項のうち、第二号ないし第五号の登録拒否の條件について、これより二年間経過しなければ登録が拒否されることになつておるのでありますが、もちろんこの建設業法が、業界の進歩発達をはかる、そういう意味において、粛正をはかるという意味が相当含まれておるということを私は了解するものでありますけれども、しかしながら、さようなことがありましても、その後所要の完全なる要件を備えており、さらにまた技術を有しておる建設業の方が、二年間これを全然できないということになりますならば、私は特に技術者が多いと思いますので、二年間というものをこういう時代に棒に振つておるということは、まさに死活の問題であります。しかもこの法律に違反したために刑罰を受けた後、それが終つてからという條件も入つておるのでありますが、前にやりました行為は、刑罰によつてあがなわれておる。その後二年間もさらにまた営業を停止する。私はこれは相当人権の尊重を阻害するおそれがないかというふうに考えておりますので、その点について当局がいかなる考えを持つておられるか。さらにまた、二年間をせいぜい一年くらいにしてもよいのではないかという見解を持つておるのでありますが、これについての御意向を明らかにしていただきたいと思います。
○中田政府委員 十一條の第二号は、ごらんの通り二十九條を発動いたしまして、不正の方法で登録をして一般の業界の信用を失墜したというような場合、あるいは建設業審議会の議決を経て、重大なる事業上の過失があうて、どうしてもこれは公益上黙過できないとされた場合に、営業の停止をするというような場合でございまして、こういう場合に登録の抹消がされた者を、たちどころにまた登録を申請すれば登録するというのでは、これは一種の、法が要求する制裁を軽んずることになるわけでございまして、二年ということに一種の制裁的な意味をつけたわけでございます。これは非常に重いではないかという御意見も拝廳したのでございますが、しかしながら、これを二年といたしましたのは、他の立法例から見ますと、むしろ短縮したつもりでございます。保險業法においては五年、それから証券業注におきましても五年、それから会計士は三年というような、なかなか長い間、に二度と再登録を許さぬということになつておるわけでございます。しかしながら私らの見るところによれば、それは少し長過ぎるというような意味で、まず二年くらい——ちようど登録の更新が二年というので二年とつくつたわけじやございませんが、更新期間が二年でございますから、まず二年くらいひとつがまんしてもらおうということにいたしたわけでございます。 それから、これを一年にしたらどうかという御意見でございますが、これはまあものさしではかると言わんよりは、客観的妥当性というところで判断しなければならぬ問題かと存じますので、一應立案者としては、そういう意味で、他の立法例よりはずつと減らして二年といたしたということをお答えいたします。
○瀬戸山委員 ただいまのところはわかりました。 小さなことでありますけれども、第十三條の、建設業者は毎営業年度終了の時における、先ほど御提示になりましたような報告を出さなければならない、こうなつておりますが、法人の場合ははつきりいたしておるのでありますけれども、個人建設業者の場合に、営業年度ということをどういうふうに考えられてあるのかということを明らかにしていただきたいと思います。
○中田政府委員 これは御承知の通り、商事会社でありますれば、営業年度は六箇月とかございますので、それぞれの営業年度のしまいには考課表、財務諸表というものを、商法によつて公告あるいは報告しなければならぬことになつておりますので、このために別に特につくると言わんよりは、そういう財務諸表をお出し願うという趣意でございます。
○瀬戸山委員 私がお尋ねしておるのは、個人営業の場合にはどう考えておるか。別に登録人の申請にもないので、どういうふうに処覆されるかということであります。
○中田政府委員 個人の場合につきましても、これは商法によりまして毎年一回は必ず財務諸表をつくらなければならぬということになつておりますので、営業年度が一年ということになりましようが、そのつくられたときには報告を願うということに考えております。
○瀬戸山委員 それから第十七條についてでありますが、工事さしとめという点についてです。この工事をさしとめた場合に、その損害はいかなる性質の損害と見られるものか。言いかえますれば、公益上必要なる場合に工事のさしとめをするとなつておるのでありますが、これはさつきの契約の條項にもありますけれども、契約の條項の不可抗力に当るのか、それともその他の場合に当るのか、必ずしも私は明白じやないと思いますので、かように官廳の力によつて工事がさしとめられる。そこでもちろん損害が生ずるのでありますが、その損害について、だれが負担されるかという点をはつきりさしてもらいたいと思います。
○中田政府委員 これは大体、この場合においては業者の方に原因が多いと思います。從いまして、業者の方に責任がある場合には、債務不履行になりますから、さしとめを打つた結果として、債務者、いわゆる発注者に損害を及ぼしたという場合には、債務者すなわち請負人の方でその損害を負担しなければならぬということになろうかと思います。但しこれも請負契約の内容によりまして、こういう場合について、あらかじめ紛爭の起らぬように協定しておくことが望ましいことだと考えておる次第であります。これらの約款の標準約款をつくることが非常に大事なことになりますので、審議会においては、まず第一に標準約款を檢討いたしまして、これを世間一般に勧告して、だんだんその標準約款に準應して契約を締結させるように進めて参りたいと考えております。
○瀬戸山委員 この点は先ほど参考人の方からも触れられたのでありますけれども、私の考えとしては、第十八條のいわゆる対等の立場における契約に関する原則が書いてあるのでありますが、これはもちろんあつて悪いというわけではありませんけれども、法律の技術といたしましては、そのような規定は何ら意味をなさない。もちろん契約するのに当事者が対等でないということは全然ないのであります。さらに請負契約でありますから、信義と誠実の原則に立つてこれを履行しなければならないということをここに書かれたということは、先ほど來問題になつておりますように、請負がきわめて片務的な状態に今日までなつておつたということは、官職がきわめて独善的であつたことの証拠であると思うのであります。今日の官公吏の方々でさような方々は一人もないと私は思つており腐す。さらにまたあらためてかような規定を設けるということは、これはきわめて法律の技術的になるけれども、おかしな規定ではないが、かように考えておりますが、これは先ほど川島参考人も言われましたけれども、二の点をいかに考えておられるかということをお伺いしたいと思います。
○中田政府委員 十八條の原則規定につきましては、冷静な法律理論としては瀬戸山さんのおつしやる通りだと私も解釈いたします。現在の日本の民法をほんとうに解釈するならば、確かにその通りであらねばならぬわけでございます。実際は業界の方がるるお述べになりましたように、民法はそうなつておるにもかかわらず、現実の姿は片務契約に堕しておる。どうしてもこれに筋金を入れて、いわゆる新しい解釈による民法の大原則に復元しなければならぬという点を強く御要望になつておるわけでございまして、ただ立法上の技術から申しますれば、確かにお説のような御意見もあろうかと存じますが、しかしながらこの業界において非常に重大視したことについて、さらに法律という権威においてこれを表明していただいて、なおその表明していただいた原則を受継いで、第十九條におきましては、前條の趣意にのつとつてこういう紛爭が起らぬように、また公正な契約ができるように、契約書の内容を明らかにした方がよろしいという規定を書いておるわけでございまして、十八條、一十九條をあわせてごらんをいただき、また模範契約約款というようなものにつきましてもごの趣意で作成して行きたいこう考えておる次第でございます。
○瀬戸山委員 御趣旨はわかりましたが、先ほどもお述べになつておりました第十九條の契約であります。もちろん私は不備な規定だと思いますけれども、あつて害にならないので、それはあまり論議はいたしません。第十八條を受けてきわめて詳細な契約を締結しなければならないと第十九條になつておりますが、先ほど参考人の方から、土木工業協会でありますが、修正意見が出ておりますように、この契約をしたかぞうかということは外部にはほとんぎわからないのであります。またれに違反したからといつて、それをどうすることもできない、こういう状態になつております。せつかく今日の土建業界におけるかような悪例を拂拭するという意味で、十八條、十九條を設けられたのでありましたならば、これをもう少し効果的ならしめる必要があるのではないか。私はこれは先ほど参考人も申されましたので、あまり申し上げませんが、さような修正意見がここに出ておりますが、さような効果を現わす規定が必要ではないかと思います。もつともこれはこの建設業法を出される相当な理由もこの点にあつたと思いますので、それをかような契約をしなければならないとしておいて、したか、しないか、あとはわからないというような法律ができているということについては、私はきわめて不可解に思つておりますので、先ほどの修正意見を援用する意味においても、それについてのお考えを伺つてみたいと思います。
○中田政府委員 確かにごもつともな御意見であります。非常に羊頭を掲げているようだが、しりが少し結んでないじやないかというようなうらみがある点は、私も率直にそういう点がないとは申しません。ただあの土木工業協会の御案を拝見して、またそういう意見も伺つておつたのですが、この原則を貫くためには確かに一つの方法ではございますが、個々の請負契約をことごとく都道府縣あるいは建設省の審議会に報告させるということも、かなり相当な負担と申しますか、煩雜なことになる。しかしそれでも業界の請負を是正する上において必要だとあれば、仁れまた所要のことはやむを得ないわけだと思いますが、そこのところをどの程度どう判断するかという点が、一つの考慮を要する点かと思つて、躊躇しているわけであります。 それからもう一つは、その契約が悪かつたならば、審議会が勧告案をつくる、しかも勧告案をつくつて、なお聞かなければ、罰則にかけるというところまで持つて行くようにあの修正案は承つているわけでありまして、こうなりますと、確かにしりはすつかり解決される仕組みになりますが、立法といたしましても、すつかりがつちりしてしまうことは、いい場合もございますが、またそれが行われなくてはいげない。その意味では、‘種の世論を指導し、そして業界をだんだんとそちらに持つて行くというような一種の助長政策を漸を追うて行つた方かいいではないかという意見も成立つわけでありまして、今ただちにあの修正案について同意をする、あるいは同感であるかどうかという点については、もう少し研究をしてみなければならぬが、多少そういう点も御賢察願いたいと存じているわけであります。
○瀬戸山委員 委員長が時間がお忙しいそうでありますから、簡單に申し上げます。この建設省法案の目的は、建設行政並びにその発達ということにあるのでありますが、ある程度その点が盛られておると思います。しかし建設業において不正その他のことが出て來るといういろいろな原因の中に、資金その他においてきわめて困難なる状態があるということが、相当の原因になつておると思います。業界においてもこの点が相当問題になつておる点であることは、政府当局も御存じであると思います。これについて建設業に関してかような発達を期するというのでありますならば、積極的に建設業に対して金融機関を設けてやるとか、先ほど保証制度の問題も出ましたけれども、さようなことを積極的に政府がやつてやるということを研究されたか、もしくは將來さようなことをやつてみたいというお氣持があるかどうかを、簡單でよろしゆうございますから、お伺いいたしたいと思います。
○中田政府委員 業界の今日の隘路が資金問題にあることは、土建業もその一つでありますが、他の産業においても全体が金詰まりになつておるようであります。ただ土建業について資金問題を考える場合において、われわれ非常に残念に思いますのは、土建産業における土建資本というものが仕事の量に比して非常に微弱であるという点が非常に難点でございます。われわれはできるならば、土建産業が近代産業として証券取引所に上場されるというくらいに、きわめて市場性のある段階まで行けば、おのずから増資あるいは起債の発行引受け、または資金の融資というような面にも、非常に私は信用が増して來るだろうと思いますが、残念なことに現段階までの土建業界の資本構成を見ますと、非常に微弱でございまして、物價騰貴とは言いながら、数億ことに進駐軍工事をやつたころには十数億一年間に請けておられる業会が、一番高いので千五百万円の資本というような、非常につり合のとれぬことになつているわけでございまして、そういうところはおのずから危い橋を渡つて金融の道をつけなければならぬということになるわけでございまして、できれば土建資本というものを充実するということによつて、会社の内容を豊富にし、從つてそれが金融機関に信用を得しめる、また第二の特色としまして、午前中もお話があつた通り、土建会社の構成が言わば同族会社あるいは独裁的な個人会社的なものが多いために、経理内容等が不十分であるという、いわゆる非常に素朴的であるという二うな観点は、金融界における信用というものに非常に悪影響を及ぼしているわけでありまして、われわれ土建業者の発達をこいねがう者としましては、どうしても会社経理の内容を整頓して行かなければならぬ。そうせぬと、ただ三拝九拝するだけではなかなか今日資金の融資が困難である。そこでわれわれは今お話の通り、これははなはだ微温的ではございますが、業界というものをなるべく合理的な基礎の経営の上に置き、またその資本も、なるべく増喜させて充実させて行く、だんだんにそうして行つて金融の信用をつけて行く、また金融の信用をつければ自然と業界の地位が上つて参りますので、仕事も入念にでき、またコストも下つて來るということになろうと思いますので、こういう点は逐次やつて行きたいと思つております。 なお保証制度の問題は、午前川島教授等からもお話がございました通り、これは実は労働法案を研究いたします過程の一つとして、重大部門として何としてもポーンド・システムを考えてみたいというのでやつてみましたが、日本の保險制度としては、生命保險あるいは損害保險は相当発達しておりますが、土建業界の現状で信用保証を制度化するということは、どう考えてもむりだというので、遂にこれを平行的に織込むことができなかつたのは、はなはだ残念でございます。しかしながら私は土建業界を一歩々々健全なものにして、その企業單位が健全になれば、またおのずから信用保証制度による危險分散の形式も考えられるであろう。これは今後大きな課題として、ぜひ研究に研究を重ねて実現して行きたい。こう考えているようなわけでございます。
○瀬戸山委員 質疑は終りました。
○淺利委員長 それでは本日はこの程度に止めまして、残余の質疑は次会に譲ることにいたします。本日はこれにて散会いたしまするが、この際一言申し上げておきたいと思います。会期も切迫いたしておりまするし、ことに委員室及び速記の繰り合せは非常に困難であります。何とぞ委員各位におかれては、定刻に必ず御出席くださるようにお願いいたします。これをもつて散会いたします。 午後四時四十六分散会