建設委員会 第12号
- 発言数
- 40 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1949/05/06
会議録
○内藤委員長代理 それではこれより会議を開きます。 水防法案を議題といたします。質疑に入ります。発言の通告がありますからまず瀬戸山君にお願いいたします。
○瀬戸山委員 水防法案について、二、三本法の精神を明らかにする意味におきまして質疑を行います。 まず第一番に、本法を制定しようという趣旨は、私あえて反対をするのではありませんけれども、大体こういう法律をつくるのが日本の一種の癖になつておるのでありますが、こういう法律をつくる前に、この提案理由にもあります通りに、水害などというものは、あらかじめどこでどのくらい起るということは大体予悪がついておるのでありますから、私はこういう災害が起つた後に、あわててそれを処置するという法律をことさらにつくるよりも、その根本を直す事という方に最大限の主力を注ぐということが、一番大切なことであろうと思つております。これは言うまでもなくわかつておるとは申されておりますけれども、わかつておるなら、なぜそれをやらないかということが一番大切な問題であると思つております。現在医学の方面におきましても、病気になつてからあわてるというよりも、その予防医学、公衆衛生ということが、特に問題となつていると同じように、この水害に対しては、火災より以上に予知できる問題でありますので、災害が起る前に適当な処置をいたしておくということが、為政者として、また国家として最大の責任であると思いますので、これについては、予算が少いとか何とかいうことがどうせ理由になると思いますが、日本の災害について、この提案理由にもあります通りに、二十三年度の公共土木施設の災害だけでも大体五百億円ぐらいある。その他一般の耕地並びに人家等の災害を加えると、莫大な損害なのでありますが、今年の公共事業費の河川関係の費用が大体微々たるものである。この災害を防ぐのに、五百億の損事をこうむるならこれに一千億ぐらいの経費をつぎ込んで、根本的にかような法律をつくる必要のないようにする決意があるかどうか、私は政府の根本的な態度を一應明らかにしてもらいたいと思います。こういうふうに、物事が起つて人がわいわい騒ぐときになつて法律をつくるよりも、私はこういう法律をつくる前に、かりに公共土木に五百億の損害があるならば、一千億の金をつぎ込んで根本的に対策を講ずる考えがあるかどうか。しかもそれを効果的に実行する決意があるかどうか。それこそ國民の名において、一應おただししておきたいと思います。本來ならば建設大臣の熱誠あふるるところの御答弁をいただきたいと思いまするけれども、内海政務次官が見えておられますから、この点ははつきりいたしておきたいと思うのであります。
○内海政府委員 瀬戸山委員の御質問にお答えいたします。まつたく治山治水事業の根本的計画を立てて、そうして一日もすみやかに、この國民の塗炭の苦しみより救いたいということは同感であります。ただいま御指摘の一千億くらいの予算を組んで、そうして徹底的な根本対策を講じてはどうかという御質問でありますが、建設省といたしましては、当初において、ただいま御指摘のごとく、約一千億の予算を組みまして、そうして強く要求しておいたのでありますけれども、御承知のごとく経済九原則の制約を受けまして、遂に公共事業費はわずかにその半分の五百億ということに制約されたのであります。そのうちの河川費は実に百七十五億という小さいわくにはめられたのであります。建設省としては、一昨日來問題になつておるように、あくまでも理想としては公共事業省というような、大規模な発展的機構を願つておるのでありますけれども、現段階におきましては、ただいま申し上げたような予算に制約されておる現状なのであります。御承知を願います。
○瀬戸山委員 ただいまの政務次官のお話はあらかじめわかつておるのであります。ただ問題は、かりにこの五百億にいたしましても、これだけの損害である。このほかに農耕地などの損害はきわめて莫大なものであつて、それこそ——共産党の諸君が言う言葉を使つては申訳ありませんが、人民が塗炭の苦しみをいたしておるということを、政府が眞に理解をされておりましたならば、昨年度の五百億でさえも——これは公共事業費とか、いろんな方に、いわゆる総花的に按分しまして、きわめてその効果が現われないということになつておりますが、この五百億では災害を救うだけの政治ができないということは、現在の日本の経済のあり方はわかつておりますが、非常に残念であります。ただ問題は、来年度においては、政府全体がさような災害を眞剣になつて防ぐのかどうか。災害が起つてから、やれ水防團を動員して云々というような姑息な法律をつくるのが日本の癖であります。こういうことをやめて、これは消防法と同じでありますが、根本的な政治をする決意があるかどうかということを、いま一度伺いたい。建設大臣は、自分の職を堵してでも、これだけの損害があることをはつきりしていただいて、総理大臣を動かして、内閣全体を動かして、やられる決意があるかどうかということを、もう一度はつきりしていただきたいと思うのであります。この点は今までたびたび論議されておりますけれども、損害があるのだが、しかたがないというような現在の政治のあり方に対して、國民はきわめて納得しがたい状態であると私は思いますので、くどいようでありますけれども、御決意を承つて、これを必ず実現するという御言明を願いたいと思います。 〔内藤委員長代理退席、委員長着席)
○内海政府委員 まことに力強い御鞭韃を受けるような氣持がいたしまして、ただいま瀬戸山さんの御質問に即答申し上げたいのでありますけれども、事まことに重大でありまして、決心のほどということでありまするが、明年度において一千億以上の厖大な予算を計上して、皆様の御期待に沿い得るかどうかという決心は、失礼でありますけれども、大臣の答弁によつて御了承を願いたいと思います。私にはこれ以上の答弁はできかねます。御了承願います。
○瀬戸山委員 根本的な政治問題についての質疑は、ただいまの御答弁以外には承ることができないと思いますので、とりやめます。こまかくなりますけれども、この法文自体についての質疑を多少行いたいと思います。他の方でけつこうです。水防について概括的に申し上げますが、建設大臣や國家消防廳の長官さらに都道府縣知事、こういう方々に、水防管理團体に対する指示であるとか、承認であるとか、監督の権限を與えられた法文が各所にあるのでありますが、大体水防法は消防法とほとんど同類の法律であろうと思うのでありますけれども、消防法においては、いわゆる新憲法の精神にのつとりまして、地方は地方が独立の知事の権限でやるのであるという根本の建前に從つて、ほとんどさような干渉を許しておらないのであります。水防法におきましては、まだかような中央集権的なる空氣を多少におわせておられるという、その根本の理由についてお伺いいたしてみたいと思います。
○日黒政府委員 水防法の三十三條あるいは二十四條というようなものによりますと、都道府縣知事及び建設大臣の指示権がございまして、これが多少地方自治権を侵害しているようにお考えになるのでありますけれども、地方公共團体は、御承知の通りに完全なる自治体となつておりますので、水防法においては、水防を知事の事務と考えまして、河川法による河川管理が國の事務の機関委任であるという建前をとらず、水防の責任の所在は公共團体にあることに明らかにしてあります。しかしながら、水防のごとく非常事態の際において、しかも一地方の公共團体の区域を越えて考慮しなければならぬことになりますので、敏速に臨機應急の処置をとらなければならないので、事の性質上、地方公共團体に対する外部からの臨時措置を必要とするのであります。これは一地方公共團体の区域のみに水害が限定されませんので、こういうことになるわけであります。そこで、常に河川を管理しております地方長官、それから建設大臣も、直接工事をやつておりますので、こういうものが河川の実態をよく知つております。技術的にもこれらの河川の欠陥をよく承知しているので事ありまして、どうしてもこの助言なりあるいは指導なりを受けませんと、地方公共團体單独では仕事が参らぬのであります。この点は消防法とはいささか趣きを異にしておりますので、消防法にはこういうふうな指示権はありませんが、ここに特に水防法にうたつたのであります。
○瀬戸山委員 消防と水防とは多少類似のものでありますけれども、内容が違うからということは、一應了解いたします。第二十七條には、指定管理團体の水防團員の定員の基準を都道府縣知事がきめるというような規定があるので認めますけれども、これについて一應お伺いいたします。
○日黒政府委員 この点は大体地方公共團体のみに定員をまかしておきますると、あまりに地方の負担が場合によりますと重くなる、場合によりますれば、水防の目的に沿わないような貧弱な團体もできまするので、知事は條例でこれらのものを一應定めることになつておるのであります。これは特別に監督を厳重にするという意味ではありませんで、河川実態に即した必要なる水防團員の定員をきめる、こういうような趣旨から出ておるのであります。
○瀬戸山委員 私がこの点を取上げて申し上げますのは、現在の日本の地方自治法にいたしましても、憲法にいたしましても、地方自治の完全ということがいわゆる政治における民主化の根本であるという原則が成り立つておるのでありますけれども、現在の日本の政治の状態では、全然それがまだ実現されておらないという実情にありますので、かような点を特に取立てて問題にいたすのであります。都道府縣知事が、現在の市町村の大体の指導権をまだ握つておりますることは、これはほんとうじやないのであります。また法制的にも、日本の将来行くべき政治の方式といたしましても、さらにまた日本国民が完全なる民主主義國民になるゆえんからいたしましても、これがほんとうの道であるのでありますが、こういうことをいたして都道府縣知事の指示を得なければ、自分の管轄内の水防もできないというような國民であつては、決して民主主義國家などと言えるはずのものではないのであります。消防法にない規定を、ことさらにまたとり出して来て、これに都道府縣知事の特別なる権限をさらに與えようというところに、私は重大なる疑義を持つておりますので、この点について政務次官の御説明を伺いたいと思うのであります。
○内海政府委員 ただいまの御質問は、地方分権と中央集権というような大きな問題より御議論されておるようでありまするが、本法の第十七條であります。これによりますと、都道府縣は條例で指定管理團体の水防團員の定員の基準を定めることができる。たとえば水防團の訓練のごとき具体的の問題になりますと、都道府縣においては、都道府縣の決議による條例によつてやることができるようになつておりまするから、あながち全面的にこれが中央集権の制度に逆行するがごときことにはならないように考えられます。
○瀬戸山委員 今のは私は弁解にすぎないと思うのでありますが、條例で定めるといつても、都道府縣会の議員が集まつてやるから民主的だと言われるのでありますけれども、日本の國民の思想は、そういうものではないと私は考えております。大体ごむりごもつともというのが現在の日本の状態であります。ここに定員の基準を定めるとありますけれども、定員の基準を定めたならば、それを変更し得るだけのまだ日本の國民は自治体において民主化されておらないということを、よく御認識していただいて、この問題を考えていただきたいと思います。そこでかりに定員の基準を定めたといたしまして、現在消防團におきましても同様な問題があるのでありますが、この水防法にも規定がありまして、定員であるとか、それから給里子の他の問題を各当該市町村において條例で定めるとなつておりますが、これが日本の地方自治体のきわめて重大なる負担になつておるということをお考え願いたいのであります。指定管理團体になりますれげ大体水防團をこしらえなくてはならない状況になると私は思うのであります。それはもちろん自己の町村の災害を防ぐのでありまして、国民は、またその管轄内の住民は、こぞつて、この水害の防除に当るということは、当然でありますが、かような規則をこしらえるということによつて、地方自治体の負担がきわめて重圧される。現在各市町村が、関係方面の強力なる要請もありますので、消防に関してきわめて重大なる負担をいたしておるということを私は考えざるを得ないのであります。これに対しては國家としてほとんど手を盡しておらない。これを單一の小さな貧弱なる市町村にまかせきりにいたしておいて、しかも完全なる消防もしくは水防をするという法律だけはつくつても、決してその効果はあがらないということを私は問題にいたしたいと思うのであります。國家はこれに対して、一体いかなる財政上の救援をいたす御方針であるかということを、私は全図の市町村長を代表いたして申し上げたいと思います。現在消防につきましても、ポンプ一台買うといたしましても二百何十万という金がかかるのでありますが、私どもの経験によりますとそういうものは市町村民の寄附によつてまかなわれておるところが非常に多いのであります。そういう点を考慮されまして、この水防団をこしらえた場合に、定員を府縣知事がきめるというのでありますならば、國家はそれに対していかなる財政上の救援をするかということを、はつきりさしていただきたいと思うのであります。この法律ができたならば、必ず各市町村は頭痛のたねになるということを私は知つておりますので、その点は十分政府において責任を持たれるかどうかということを、明確にしていただきたいのであります。
○内海政府委員 財政方面において國家はいかなる責任をとるかというような御質問であつたようでありますが、この問題はまつたくその通りでありまして、國家といたしましては、こういう際には財政法によつて適当に考慮いたしまして、そうして補助の道を講じてやりたい、こう考えております。
○瀬戸山委員 ごの水防法に基きまして、日本全國にどのくらいの指定管理国体ができて、それでどのくらいの水防團員ができて、それに対して一々給與はどのくらいであるということを、計算されたことがあるかどうかを一應ただしてみたいと思います。
○日黒政府委員 大体におきまして水防團を新しく設置するという考え方ではありませんので、大体現在ありまする消防團を活用して行きたい、主眼はそこに置いております。しかしながら消防團でどうしても間に合わない場合には水防團を置いてもらいたい。といいまするのは、そのほかに現在自然的に発達しておりまする水害予防組合がありまするので、これらをまたこの法律の上で水防團と考えて行く場合も想定いたしまして、そういうふうに考えておりますので、できるだけ町村負担を軽減したい、現在の組織でもつて活用してもらいたいというのが主眼であります。
○瀬戸山委員 私はそういうことだろうと思つておりましたが、現在の組織をもつて現在の水防に当るというのでありましたならば、あえてこういう水防法などというもつたいぶつた法律をつくる必要はないと私考えております。ほんとうに法律をしこうとするのであれば、この法律を施行して、かりに五百億円の公共業費全体を合しても間に合わない災害を毎年起しておる。この水害をほんとうに予防する、予防するではありません。水害が起つてから騒ぐというのであれば、それを完全にやり通すだけの基礎をもつてやつてもらいたい。日本人は、大体法律をつくつて、あとは忘れるというのが常識になつておりますから、私は特にこれを問題にするのであります。消防法ができてから、大体、消防に対する組織が漸進的にややよくなりつつあります。水防についてもそういうふうになりたいものであるということを、念願いたしておるのでありますけれども、今の御答弁によりますと、現在あるものを大体それでやつて行くというのでありますならば、こういう取立てて特に指定管理團体についての法律の規定が多い。しかもその指定管理團体については、大体予想されますのは、水防團ができなければ相ならないというような状態であると私思うのでありますが、それについての一應の計算もされないでこの法律をつくるということは、私はどうも承服できないのであります。そういう点はよくお考え願いたい。これについては御答弁はいりません。しかし法律をつくつたならば、その効果が表われるように裏づけをして行くというふうに、特に水防法に関連して申し上げたいと思うのであります。 そこで御質問をいたしたいのでありますが、都道府縣が水防計画を立てるということになつております。それについて国家消防廳の長官の承認を受けなければならないという規定があるのでありますが、これはどういうわけでそういうふうになつておるかということを、一應お尋ねしたいと思います。
○日黒政府委員 先ほどの御質問の答弁はいらぬとおつしやられましたが、現存の水防團の組織あるいは費用といつたようなものの表がありますから、後ほどごらんに入れます。 それから国家消防廳との関係でございまするが、これはただいまの消防法の中に水災というのがまだ消されておりませんで、消防法の中にも入つておるのであります。それでありまするから、一應國家消防廳も水防に関する限りはある程度これを知らしておかなければならぬということであります。もちろん下部組織といたしましては、今の消防團を使います関係もありますので、こういうことを考えまして國家消防廳との関係をそこに結びつけて行くという考えであります。
○瀬戸山委員 ただお座なりで、國家消防廳の長官に縁をつないで置くというのでありますか。大体消防組織法はこの水防法とも多少関係が残ると思いますが、消防法には水防に関する規定は、この法律が制定されたあかつきには全然なくなると思います。大体この水防法ができたのも、そういうところに問題があると思うのでありますが、消防組織法にいたしましても、水災ということは字が書いてあるだけでありますが、國家消防廳において水災に関して研究する規定が一つも消防組織法にないのであります。それについて、ふだんほとんど研究もしない、関係いたしておらないところの國家消防廳長官に水防計画を出して、そこの承認を得なければ、その水防計画に基いた水防團体の活動ができないという理由を、私ははつきりさせていただきたいと思います。もしそういうことがないのであれば、何でここに國家消防廳の長官の承認を求めて各市町村の團体が水防をしなければならないかという理由を私は知らないから、この点をはつきりさせていただきたいのです。
○宮前説明員 少し問題がこまかくなつて参りましたので、私から一應御説明申し上げたいと思います。実はその点につきましては、根本的にいろいろと考えてみまして、消防團のほかに水防團を別途に置くかどうかということも、いろいろと研究してみたわけであります。しかしただいまのお言葉にもありましたように、この際の現実といたしましては、市町村の財政というものも相当程度考慮しなければならない。消防と別個に、水防というものを全然切り離して考えるということになりますと、町村にとつて組織が二つできる。同じような人が消防團にも水防團にも入るようなことになる。その点は非常に煩瑣にたえないということがりますので、そのわれわれの考えておりまする水防の理想というものと、消防の組織の現実、つまり現実の動かす駒としては消防團を使わなければならない、こういう事実の二つを、あれこれと総合的に考えました結果、はなはだ不徹底という御批評はあるかも存じませんが、この現実に即しまして、なるべく消防団を使つて行く、こういう意味合いにおいてこの法案を考えておるわけであります。從つてそこに國家消防廳との関係は、先ほど申し上げましたように、結局消防團にも水防活動をやらせるということになりますと、消防組織法からこれを落すわけには行かないことになつて参ります。從つてそこに國家消防廳の権限との関係も生じますし、また國家消防廳といたしましても、水防にどの程度消防團が活動するかということを知つておくことが、いろいろなことを考える上において必要だという点もいろいろありますので、両者協議の結来、こういうふうにまとめ上げた次第であります。
○瀬戸山委員 私が問いただしたいのは、先ほどから問題にいたしておると同じ根拠に基いて申し上げておるのであります。大体消防法には國家油跡職長官のかような権限がないのに、水防法においてなぜかような権限を與えたかというところを私はお尋ねしたいと思つておるのであります。消防法には何も國家消防廳長官が指揮したり、また命令したり、かような消防計画を立てて承認を求めたりする規定はないのであります。それを水防において——これは建設大臣については私は問題にしない。消防と水防とは多少その内容が違いますので、問題にしないのでありますが、今まで消防においてさえなかつた規定を、水防において、しかも火事のことだけ研究しておるところの國家消防廳の、水防に関する計画の承認を求めるという規定を特に設けられた、その根本の精神状態をお尋ねいたしたい。
○宮前説明員 それでは私から折衝の経過を一應申し上げることにいたしたいと思いますが、なおこれでも御不審の点があると存じますので、その点は消防廳長官にもよくお問ただし願いたいと存ずるのであります。繰返し申し上げるようでありまするが、これは從來の消防組の関係から説き起さなければならない古い歴史を持つておるいろいろな問題があるのであります。明治時代に消防組規則と当時は申しておりましたが、この消防組規則が制定せられまして、消防組規則におきまして消防組のほかに水防組を置くことができる。あるいは消防組規則の規定を準用して消防組が水防の活動をやる、こういう建前になりまして、明治三十九年以來ずつとやつて來ておつたわけであります。それが……。
○瀬戸山委員 そういう説明はいらぬのであります。歴史は聞きません。ただ問題は、消防法においてさえも國家消防廳の長官の指揮とか承認というようなことは全然ないのに、水防計画についてなぜ國家消防廳の長官の承認を求めなければならないかという理由を、私はお等ねしておるのであります。
○宮前説明員 この点につきましては、いろいろ折衝の結果もございますので國家消防廳の方から詳細はお聞きとりを願いたいと存じます。
○瀬戸山委員 大体法律は各官廳でつくるという考えが残つておるから、そういうことを申されると思うのでありますが、法律は政府自体の責任において提案されたのであつて、しかも國会がこれを審議するのであります。それをしかも主管の提案者がほかの官廳に聞かなければ相ならないということは、これは法律制定の面目にかけても、こういうことは許されないと思う。私が問いただしたいのは消防に関してさえも國家消防廳にかよう事な権限がないのに、縁の遠い水防についてなぜこういうことをされたか。その理由がわからないからお尋ねしておるだけのことであります。
○日黒政府委員 この経過を申し上げますると、結局今のような議論が相当問題になつたのであります。結局國家消防長官はこの條項から削除すべしという議論も相当多かつた。しかしながら今のわれわれといたしましては、下部機構が主として消防團を使う、こういう意味におきまして、消防團の行動範囲をある程度國家消防長官は知つておきたいという熱烈なる要望があしましたので、われわれはこれを挿入したのであります。その点は、國家消防長官の承認は必要ないのじやないかという議論もかつてはあつたのであります。
○瀬戸山委員 知つておきたいのであるならば、報告だけでよろしいのであります。大体現在の消防組織法におきましても、消防法においても、國家消防廳というものは、これは研究機関であつて、いわゆる勧告またはあつせん、これだけが仕事であるのであります。ほかに何も仕事をやつておりません。ポンプを買うときのあつせんぐらいはやりますが、そういう程度のものであるならば——私は日本の行政組織がきわめて複雑怪奇になるくせがあるから、こういうことを問題にするのでありますが、もし知らせる必要があるならば、報告だけで私はよろしいと思う。もちろん水防は、消防と違つて多少科学性を持たなければなりませんので、計画をして、そして專門の、常にそれに関心を持つておる建設大臣が、これに承認を與えるということはいいのでありますけれども、何ら研究をいたしておらないところの國家消防廳の長官に承認を求めるということは、これはただ実際繁文褥礼にすぎないということを考えますので、両方に承認を求めるならば、小さなことでありますが、やはり書類を二つつくつて出さなければならない。こういう点に日本の政治のきわめて複雑怪奇な、非能率的なところがありますので、特に私は問題にいたします。これが必要であるならば、本委員会としては、もし知らせるということならば、報告だけで済ませていただきたい、かように考えております。 それから、これは希望でありますが、ただいまの、なるべく現在の消防團を使うという考え方は、私はきわめてよろしいと思います。なぜかというと、各市町村において、もし別に水防團ができましたならば、必ず消防活動、水防活動の両方に悪い影響を及ぼす、かように考えておりますので、現在やむを得ない場合は別問題といたしまして、消防團のほかに水防團をつくるということは、なるべく避けて指導していただきたい。これはもちろん各地方の実情に沿わなければなりませんけれども、各地方自治團体に消防團や水防團が二つできるということは、これは結果的に必ずしもいい結果をもたらさない。むしろ双方の活動を責任轉嫁によつて、にぶらせる結論になり得る可能性がありますので、なるべく水防團というものはつくらない方針で、現在ありますところの各水害予防組合でも何でもよろしいのでありますが、消防團をひとつ信頼する。人間の氣持というものはおかしいもので、君たちの方でできぬから今度は水防團の方でやるのだということになると、やつて見るということになりますので、そういうことはなるべく、法律ができましても避けるように、行政廳においても指導をしていただきたい。これは一應の希望であります。 もう一つ、くどいようでありますけれども、お尋ねいたしたいのは、現在日本の状態におきましては、各團体の訓練ということは、関係方面の考えによつて、原則として禁止されておる。消防團が唯一の日本における、軍隊なきあとの團体訓練を許されている民間團体であります。水防團をつくつて、消防團と同じように團体訓練を許される段階になつておるかどうかということを、この際お尋ねいたしておきたいと思います。
○宮前説明員 それでは今の御質問につきまして、私からお答え申し上げます。なるほど今御指摘のありました通りに、消防團が唯一の訓練團体であるということになつておりまして、ほかの團体は訓練を行うことができないような形にはなつております。しかしこの法案は、関係方面とも折衝いたしまして、承認を得ておりますから、その点は了解済みというように私どもは考えております。
○瀬戸山委員 ただいまの説明によりまして、日本の状態が改善されつつあるということについて、私は喜びを感ずるものであります。 もう一点、くどいようでありますけれども、こまかいことばかりで申訳ありません。法律をつくつたときには、大体その効果を現わすために、必ず罰則がつくのであります。罰則の点は、普通閑却されておるような実情でありますが、しかし最も國民に、知らないうちに響きますのは、この罰則でありますので、罰則の点を二、三簡単に所信をお伺いしたい。なぜかと申しますと、この罰則は少しありますが、三十八條、三十九條の罰則は、大体消防法におけるところの罰則と内容がほとんど類似であります。これについて、三十九條においては、消防法と比較いたしまして、きわめて重い刑を科しようとしておる。その理由を伺いたい。三十八條においては、消防法に比べてきわめて軽い刑をここに予定されておる。その根本の理由をお伺いいたしたいと思います。
○宮前説明員 ただいま御指摘の点につきましてお答えいたします。罰則の問題につきましては、私どもといたしましても相当愼重に考えまして、いろいろと研究してみたのでありますが、現在の戰後新しくできておりますいろいろな罰則との間の均衡の問題につきましては、なお不十分な点がいろいろりますので、法務廳の方でいろいろと研究をいたしております。法務廳とも打合せました結果、現存の消防法の罰則は少し軽きに失する、もう少し重いようにした方がいいというように、法務廳としては將來改正の際には考えたい、こういう意見もありましたので、その結果第三十九條に規定するようなことと相なつたわけであります。なお刑法の百二十條におきまして、水防妨害の規定がございますが、それとの権衡をとります意味合いにおきまして、三十九條を考えましたわけでございます。
○瀬戸山委員 三十八條には「みだりに水防管理團体の管理する水防の用に供する器具、資材又は設備を損壊し、又は撤去した者は、三年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」と罰則がありますが、大体消防法も、やはり類似のものでありますから、同じ規定かと思いますが、消防法は今私持つて來ておりませんので、内容を一々申し上げることができませんが、これと同じものが大体五年。これとちよつと違つたのが七年。これは私は重く罰することを欲するのではありませんが、なお、三十九條においては、消防法は軽いから、少し上げたのだ。消防法は二千円であります。これは「六月以下の懲役又は一万円以下の罰金」ということで、五倍になつておるという点を指摘したのでありますが、先ほど御説明のような理由だと、三十八條においては、五年ないし七年のものが、三年以下とされた点について、私は疑問を持つておるためお尋ねしたのであります。刑に対する根本的な考え方をお尋ねするわけでございます。
○宮前説明員 三十八條の関係は、これは刑法の物件棄毀の罪と比較検討いたしまして、考えました次第であります。なお消防法におきまして、罰則が非常に重くなつておりますのは、消火栓でありますとか、あるいは消防の見張りの塔を打ちこわすとか、そういうような、対象物が非常に大きなものでありますので、特に重くなつておる、かように考えております。
○瀬戸山委員 それでは、ここに書いてありますところの水防に関する器具、資材、設備というものはどういうものであるか。それを損壊もしくは撤去した場合に、いかなる損害が國民大衆に及ぶかという点を、火災の場合と比較して御説明願いたいと思います。
○宮前説明員 消防法の罰則として重い刑を科しておりますのは、先ほど申し上げましたように、望楼、警鐘台というふうなものでございます。水防團体の管理する水防の用に供する器具、資材、設備と申しますのは、量水標でありますとか、水防用の資材を入れておく小屋、もしくはその中に入つている資材、こういうものをみだりに損壊したり、撤去した者を処罰する意味合いであります。なお、これが刑法の百二十條の規定に該当いたします場合、すなわち眼前に水害が起りまして、こういうふうな行為をいたしますれば、刑法の規定が当然適用になつて参ります。水害の起らないふだんの場合でありますので、この程度ということに考えました次第であります。
○瀬戸山委員 これで打切ります。 —————————————
○淺利委員長 ちよつとお諮りいたします。先般長野縣下を視察した國政調査の報告をこの際にいたしたいと思いますが、いかがですか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○淺利委員長 それでは本案に関しましての質疑は、一應本日はごの程度にとどめまして、次に、去る四月二十日より五日間、天龍川流域総合開発計画並びに融雪期における茶臼山附近地すべり状況調査のため、本委員会より愛知、長野地方に委員派遣を行つたのでありますが、この際派遣委員の調査報告を求めます。派遣委員、松井豊吉君。
○松井(豊)委員 ただいまより御報告を簡単に申し上げます。昭和二十四年四月十二日、衆議院規則第五十五條により、衆議院議長の承認を得まして、天龍川流域総合開発計画並びに融雪期における茶臼山附近地すべり情況調査のため、今村忠助委員、瀬戸山三男委員、増田連也委員、前田榮之助委員、池田峯雄委員、高倉定助委員並びに不肖松井豊吉は、西畑專門員外二名を帶同いたしまして、四月二十日より五日間にわたり、つぶさに現地の調査をいたして参りましたので、ここにその結果を簡単に御報告申し上げたいと思います。 今回の調査の目的は、前に申し上げた通りでありますが、特に重点といたしましたのは左の六点で、すなわち第一に名古屋、飯田、長野、新潟を結ぶ國道及び縣道の実情調査、第二に飯田市防火都市計画に基く復興状況の調査、第三に天龍川上流直轄工事状況調査、第四に泰阜ダムの背面水による沿岸地被害状況の調査、第五に長野縣下砂防工事の実状調査、第六に長野、新潟両縣下特有の地すべり地帯の調査であります。 派遣委員一行は、二十日夜行にて名古屋に向い、翌二十一日早朝名古屋に到着、建設省側より内海政務次官、伊藤中部地建局長、利水課伊藤技官、道路企画課及川技官並びに關田事務官、愛知、長野両縣関係官の出迎えを受け、ただちに名古屋、長野、新潟線の愛知懸側の補修改築情況、その他愛知縣下建設関係事項を聽取いたし、名古屋より挙母足助伊勢神峠を越し、長野縣に入り、浪合、駒場、飯田へと、第日目において約百四十四キロを踏破し、沿線の資源、現在における本道路の利用現況、さらに道路の整備情況等を調査いたしますとともに、各地において直接地方民の声を聽取いたしました。また飯田市においては、一昨年の大火災後の模範的防火都市としての復興建設情況を詳細に視察いたしました。 二十三日は、天龍峽下流にある泰阜ダムのため、洪水時に背面水が天龍峽をはるかにさかのぼり、上流川路、龍江、松尾各村に多大の被害を及ぼしている実情を調査するとともに、天龍峽狭窄部開鑿計画及び日発当局の背面水に対する処置等を聽取いたしましたる後、飯田・松本・長野線を北上し、伊那町より省営バス運行路線を、高遠町、突峠を経て諏訪市に至りました。この間通過路線の情況及び資源開発、産業道路計画等を調査いたしますとともに、赤穂町付近、天龍川直轄河川改修工事の実情を調査いたしました。また各通適地地元民より切々たる陳情もあわせ受けた次第であります。 二十三日國道十四号線中難所と称せられます和田峠及び國道八号線における塩尻峠の実情を調査するとともに、地元民の隧道掘鑿に関する熱心な陳情を受けたる次第であります。さらに諏訪、松本間道路の改修状況、天龍川水源地たる諏訪湖の流量調節釜口水門の状況及び松本の南方牛伏川の明治以来実施して來た砂防工事状況等を視察いたしました。 二十四日は犀川沿岸沿いに走る長野・松本線の改修及び補修状況を詳細に調査するとともに、犀川沿岸の当地方特有の地すべり状況及びこれが対策、並びに茶臼山の特殊地すべりとその対策、水内発電ダムによる洪水時の背面水の及ぼす被害等を調査いたしました。全行程三百五十キロ余相当むりな日程ではありましたが、一同無事調査を終了いたしまして、二十五日帰任いたしました。 視察状況、次いでその調査の内容につき申し上げたいと思います。 道路関係、まず第一番目に道路関係につき申し上げますと、今回は名古屋・飯田・松木・長野・長岡・新潟を結ぶ本州横断道路の大半を視察したわけでありまして、この路線は愛知、長野、新潟三縣民が、この道路の國道編入を熱望しているものであり、今回の調査はその熱望にこたえて、実地にその実情、経済價値等を調査したものであります。名古屋・長野・新潟間の総延長五百三十三キロであり、愛知縣内八十四キロ、長野縣内三百五キロ、新潟縣内百四十四キロで、現在國有鉄道となつている部分二百十六キロ、縣道の部分三百十七キロであります。今この全線を一應國道なみに改修するものと考えますと、要改修延長は三百九十七キロ、全延長の七五%に相当し、地元での見積り総工事費は約二十三億円余と相なつております。名古屋市より挙母までは、幅員五・五メートルないし七・五メートルであつて、多少鋪装された箇所もあり、大体改修されておりますが、挙母・伊勢神峠・浪合村・飯田市の間はところどころ改修された程度で、幅員は三・五メートルないし五メートルで、特に縣境附近は屈曲はなはだしく、自動車のすれ違いにもこと欠く所があり、かつ道路未改修のため、冬期間二、三箇月は交通不能の状況であります。足助以北長野縣浪合村附近までの林産物は、ほとんど足助に自動車輸送によつて運ばれているありさまでありますが、用材、薪炭林及び地方特産の長竹等、生産の半分は輸送路不備のためなお滞荷している実情であります。また峠附近において、最盛期に自動車の運行延台数は一日百台を超えることもあり、さらに戰前は飯田・名古屋間にバスの運行があつたのであります。飯田市・伊那町・辰野町・塩尻町・松本市・水内村・長野市間は幅員三・五メートルより七・五メートルあり、峠は大した難所もなく、犀川沿岸に部分的に急勾配の箇所があるのみで、平均三%程度の緩勾配路線であります。松本・長野間の犀川に沿う箇所は、第三紀層の脆弱な地帶で、犀川渓流に沿つて築造されたために、水災害地すべり等の被害は多いが、目下長野縣下の幹線道路として長野・辰野間幅員六メートルないし七・五メートルに改修中であり、工事は着々と進捗しております。なお本路線は冬期問も交通可能であります。長野市・長岡市・新潟内市間の路線は国道十及び九号線でありますが、現地説明によりますれば、ほとんど未改修であり、幅員二・五メートル、屈曲・経六メートル程度の急カーブもあり、かつ冬期間は積雪多量のため交通不能のありさまであります。このほか伊那町・高遠・杖突峠・茅野町・諏訪市間の伊那盆地と諏訪盆地を結ぶ路線は、現在省営バスが採算を度外視して運行しておりますが、高遠・茅野間はなお相当の改修を要する箇所を有しております。国道十四号線の和田峠及び国道八号線の塩尻峠に隧道掘鑿の要望が地元の声としてありましたが、隧道掘鑿によつて峠越えに三十五分を要しているものを、四分で通ることができるとのことであります。また飯田市東方喬本村小川より現在の林道を改修し、矢筈峠を隧道五百メートルを開鑿し、縣道大鹿・和田線に通ずる産業道路を開設せば、一千二百万石にのぼる原始森林が開発されるとの理由により、地元はその開設を強く要望しております。さらに松本・上高地の改修工事に関する陳情もありました。 飯田復興状況、飯田市は昭和二十二年四月二十日大火災によりまして、飯田市街地の八割、三千五百七十七戸を焼失したのでありますが、当市は市民一致團結して次のような復興防火都市計画要綱をきめ、計画完遂を期したのであります。すなわち一、地形と同市火災史からして、火元地区となる風上地帶を緑地帶とすること。二、市街地は三箇の防火地帶によつて区画する。三、農業用水を防火用にも使用可能にするとともに、市内二十二箇所に貯水槽をつくる。四、公共用地面積は從來五%であつたのを三〇%とする。五、都市計画地区内の区画路線を連続形としてここに幅員ニメートルの道路を設ける。六、上下水道の改修新設をはかる。七、寺院墓地の整理を合理的に行う、でありまして都市計画上最も困難とされている区劃整理については、全面積二十一万坪に対し、公共用地は六万八千坪となるので、区域内土地所有者はその所有地の三〇%を無償で提供せしめ、各町内ごとに自主的に提供地の決定と町内仮換地処分の処理を実行し、市は此の提供地によつて公共用地のためのつぶれ地と化したる、土地所肩者に、それぞれ権利地籍の仮換地処分を行つたのであり、これは二十二年六月下旬より僅々二箇月余をもつて完了したのでありました。國庫補助は昭和二十二年度四百十二万円、二十三年度千百二十万円でありまして、都市計画において四〇%完成、建築復興においては実に八五%の復興ぶりを示しております。 天龍川上流直轄工事、天龍川は源を諏訪湖に発する山地河川であります。山林及び支派川の荒廃は土石の流出となり、上流部分はほとんど未改修のまま放置されており、一方発電ダム築造の結果、土砂事の堆積により河床の上昇を見、ために耕地の流失、堤防の欠壊等が頻発しております。特に昭和十三年及び二十年に大災害を受けております。このため昭和二十一年より政府はこの上流地域を直轄区域に指定し、流域延長七十キロメートルの改修を目途として、総工事費十六億四千万円を計上、二十二年及び二十三年には、おのおの二百六十八万円及び千四百三十万円が支出されました。 本直轄工事の重点は築堤、掘鑿、護岸等であり、今年度は天龍峽地内の処理及び昨年度築堤の延長を実施する予定であります。泰阜ダム(自発施行)は、当初その背面水は天龍峽下流までという計画であつたが、本支派川より流出する土砂の堆積著しく、ために天龍峡上流川路、龍江、松尾の三村は昭和十三年、二十年と背面水の影響により被害を増し、ついに浸水面積は二百五十町余に及んだのであります。このため二十三年八月縣、日発、建設省三者談合の結果、川路村地先の築堤、水制工事を実施するため、日発は千三百万円縣に納付し、縣は建設省に工事を依託し、目下約千メートル程度の築堤を完成しているのであります。天龍峽地内は洪水時の水位は十メートルの上昇を見、この峽内にある死人岩と称する岩石を撤去することにより流通を容易ならしむべく、計画しているが、地元は観光的見地より一部反対しております。現在ダム背面には八百四十二万立方メートルの土砂堆積があると推算され、目下日発においては、排砂路二百七十メートルを築造中で、ほぼその九十パーセントを完成しております。なお本ダムによる被害と同様なものとしては、犀川水内ダム及び姫川上流ダムがあげられま 砂防工事及び地すべり対策、本縣の山地は急峻であり、加えて濫伐等によつて土砂の流出はなはだしく、天龍川支派川には多少の砂防工事を行つてはおりますが、いまだ山地崩壊著しく、特に天龍川中最も土砂流出の多い三峯川、小澁川の砂防はいまだ完全でなく、その完成が強く要望されております。 犀川、千曲川流域等北信は特有地すべり地帯であつて、第三紀頁岩の風化による崩壊及び茶臼山のごとき地下水による廣さ三十町余、深さ三〇メートルに及ぶ大地すべりがあります。前者については各所に砂防堰堤を構築しているがいまだ十分でない。後者については匍行性地すべりで粘土と流紋岩が地下水の呼吸によつて起るものでありますが、これまで行つていた砂防堰堤等は小規模にして用をなさず、また地下水の除去のため蛇籠を入れて排水を行わんとしたが、これが匐行の跛行性によつて、効果をあげ得なかつたありさまで、現在一ケ月一〇メートル程度の速度をもつて進行している状態でありまして、これをいかに防ぐかについては、目下建設省土木研究所に依頼し根本的研究を行つています。縣としては二十三年度災害復旧として四百万円を投じて砂防堰堤を構築中であるが、予算が下足のため堤頂一・五メートルが未完成のありさまであります。縣及び地元ともにこの堰堤の完成によつて匐行を一時的にも停滞せしめ、その間に根本的研究と結論を見出さんとしております。 以上調査の概略をごく簡単に申し上げた次第でありますが、これに対し次の様な所見を持つた次第であります。すなわち第一に名古屋—長野—新潟間路線に関しては本線路の経済價値を根本的に究明し、これが改修計画は建設省をして、一層検討せしめる必要があると思います。また地元における國道編入の要望は日本本州中央部の唯一の横断道路として最も熱烈でありますが、これも本路線の経済價値をも勘案して決定されるべきものでありますが、近く改正を期待せられる道路法の検討と相まつて本委員会において十分審議していただきたいと存じます。 第三に飯田市都市復興計画は官民の協力によつて異常の進捗を示しており、もう一息というところまで参つており、また区画整理事業もほとんど完成に近い状態でありますので、時たまたま全國的に区画整理事業再検討の時期に直面しているときにあたり、本計画事業のごとく、最も成績優秀なものは重点的に取上げて、向う二年ないし三年間の中に完成せしむべきものと考えます。 第三に天龍川上流直轄工事につきましては、できる限り縮少予算のもとに有効適切なる施工をなすほかないと思います。また砂防工事予算について、は、仄聞する所著しく削減せられるようでありますが、天龍川の治水はまず砂防にあるというべく、本年度より本格的砂防工事に着手すべきであると考えます。 第四に、泰阜ダムの背面水による沿岸耕地の被害防除については、自発、縣、商工省、建設省において、さらに検討してすみやかなる処置を講ずべきものと信ずるとともに、今後の電源開発に関する建設業の一元化に関しては、本委員会においても重大なる関心を拂い、かつ一元化に努力すべきものと考えます。 第五、長野縣下砂防工事に関しては、山地河川の特殊性と山林過伐の状況より、河川改修より一層優先せしめる必要があると思います。縣下諸河川の砂防工事の成果が下流数縣の被害を軽減することを思えば、本縣における砂防工事の重要性も一層明瞭となることと思います。 第六、地すべり対策については、特に茶臼山のごとくいまだ根本的対策が究明されておらぬ今日においては、いたずらに結論を急ぐことなく、ます匐行速度を減退せしめ、その間に根本対策を究明すべきものと考えます。それがためにも現在未完成のまま放置されている砂防堰堤の完成をすみやかに完成すべく、特に政府に要望すべきであると思います。この六百万立方メートルに及ぶ大地すべりが、山麓全村民の生活安定に及ぼす影響重大なることを考えるとき、全村移住せしむべきか、あるいは二千万円の予算を投じて一應村民の納得する應急工事を完成するか、政府においても根本的対策を考慮されたいと強く要望するものであります。また犀川、土尻川沿岸の崩壊も下流新潟縣下に及ぼす被害を考えるとき、一層徹底する必要があると思います。ここにおいても山林砂防と渓流砂防の一元化によつて僅少予算内においても一層効果をあげることが必要であろうと存じ、本委員会はこの点に関しても重大なる関心を拂うべきものと固く信ずるものであります。 以上六点につき所見を申し上げましたが、長野縣に関しては砂防工事の本格的着手が、河川、改修、ダムの背面水問題等あらゆる問題を解決するかぎであります。この点に関し政府側においても一層の認識と努力を要望するものであります。 以上今回の調査にあたりまして派遣委員を代表いたしまして御報告申し上げる次第であります。
○淺利委員長 ただいまの派遣委員の報告に関しまして、政府当局において御意見があれば伺いたいと思います。
○内海政府委員 ただいま松井委員よりこのたびの愛信國道を初め、いろいろな点について御調査になりました経過並びに結果の御報告を拜聽したのであります。まことにごもつともな次第でありまして、当局といたしましては今後大いに努力いたしまして御期待に沿わなければならぬということを痛感するものであります。この際委員各位のお許しを得まして御調査になりました事項につきまして、私の所見を披瀝いたしまして、今後委員各位より一層の御協力を賜わりたいと存ずるものでございます。 まず道路に関しましては、御承知のごとく現行の道路法は、東京を中心といたしまして各行政都市の連絡、あるいは軍事上の目的によつて国道を指定して参つたのでありますが、現段階におきましては、これが産業開発あるいは文化交流の上におきまして不合理であることは言をまたない次第でございます。建設省といたしましては、狭められました国土の中に、限られた資源を最高度に活用して自活の道を講ずるために、あるいは道路の自動車を主とする輸送の日常生活に及ぼす影響等を勘案いたしまして、目下現行道路法の根本的改訂を研究中でありまして、近く委員各位の御審議を願うこととなるものと考えております。それによりまして現在の國道というものも再検討されるとともに、新たに國道と指定される路線も必ずあると思います。國道の指定基準も改訂道路法によつて法文化されることでありますが、私の見解としてはその道路の経済價値が検討の主眼になると思います。名古屋・長野・新潟線を國道に編入すべしとする地方民の強い要望があることは、本省において十分承知いたしておりますので、さらに本路線の経済價値を十分に調査の上、改訂道路法と関連して、さらに全國道路網における全体的経済價値を比較検討いたしまして、地元の熱望及び本委員会の御意思に沿うよう大いに努力いたす所存であります。私個人の意見をもつていたしますれば、名新道路は新時代にふさわしい國道候補路線であると考えます。これがもし國道に編入せられた場合は、愛知、長野、新潟は一丸となつて産業経済文化等において、最高度の能率を発揮することができるものであると信ずるものであります。 すでに御承知のごとく、昨年十二月関係方面より道路補修に関するメモランダムが発せられまして、特に東京・青森間、東京・大阪・下関・鹿児島間の補修が最重点になることはほとんど確定的でありますが、表日本のみならず、裏日本との結合連絡路線も当然第一に上げられなければならぬと存じますので、本委員会の今回の御調査は、まつたく機を得たものと存じます。今後とも全國國道及び重要路線につき御調査くださいまして、政府を鞭韃くだされんことを切望する次第であります。 次に飯田市防火都市復興についてでありますが、御承知の通り、本市の火災がたまたま國家消防廳発足早々のことでもあり、また関係方面においても、その都市構造に重大なる関心を示されたのであります。建設省といたしましては、理想的防火都市を建設せんと相当の国費を投じて参りましたが、地元官民のきわめて、心強い一致協力は、その成果を倍増せしむるに至りますことはまことに同慶の至りでありまして、今日都市計画なかんづく区劃整理が再検討されんとしているとき、まさに都市計画の一つの指針と解決の道を示したものと考えるものでありまそもそも都市計画というものは理想的、文化的、経済都市を建設して、民生の安定と福祉の増進をはかることを最大の目的といたしたものであります。一学者あるいは官公廳において、最善の計画として立てられたものを、ただ單に推進することによつて完全になし遂げ得るものでありません。民間の自己の利益を離れた、大乗的見地よりする協力、さらに推進力こそ、その計画、特にその中でも最も困難を伴う区画整理の完全なる実施がなし得ると固く信ずるものであります。全國の都市計画につきましても、当局としては根本的に検討し重点的に実施して、この飯田市において事実問題として示された範例を、廣く全國都市計画都市に及ぼしたいと考えております。その第一番目として飯田市よりさらに被害の大きかつた能代市へも同様取上げ、安本資源委員会防災部会における結論も加味して、中部の飯田、東北の能代を大火の直後という時期的有位を利用して完遂せんと目下研究中であります。なおこれまでの都市計画は再検討しつつ推進して行くことは言をまたないところであります。 次に泰阜ダムによる背面水の問題に関しては、日発の当初計画が天龍峡下流まで、すなわちダム地点より上流六粁までとしておつたのが、何ゆえ天龍峽上流川路、龍江、松尾各村の沿岸耕地が洪水時被害を受けるに至つたかについては、いろいろ考えられると思いますが、一つの考えとして、天龍川全体から見て、右狭窄部が北上川狐禪寺附近の狭窄部と同様な傾向にあるかと考えられます。ただ北上川のごとく湾曲もなく、かつ短少であることが、これまでの上流の大洪水も、何ら手前すなわち川路、龍江、松尾各村附近で遊水することなく流下していたものと考えられます。もし上流洪水が倍増しているときは現在と同様の現象が当然起るべきで、それはダムの有無にかかわらず起り得るものであります。かかる実情にある場所がダムの建設によつて本川の特徴とする土砂流が背面に当り、土砂を堆積し、河床の隆起、河積の減少となつて、以前狭窄部上流に遊水しなかつたのが、同量の洪水によつても遊水し、沿岸に被害を及ぼすに至つたものと考えます。そこでこの既定の事実に対しまして、まずこれまで行つて、來た縣、日発、商工省との合同対策協議をさらに推進し、合理的な解決方法を見つけるべく努力いたしたいと思います。それがためにも本、支派川の砂防の徹底、築堤及び狭窄部における流通障害の除去等を、予算の許す限りにおきまして実施に移したいと思つております。 なお御報告の中にも述べられておりましたるごとく、日本の河川の特殊性よりいたしまして、河川については、その水源より河口まで一本の行政において処理せらるるならば、この泰阜ダムあるいは水内ダム、さらに全國随所に開くダムの背面水による被害を、あるいは除去し得たかもしれぬことを思いますとき、われわれは河川法の解決をより廣義なものとして、日本の資源である川を開発し、国家再建に資したいと存ずるものであり、各委員の御奮起御努力を切望いたすものでございます。 長野縣下の河川はすべて山地河川でありまして、山林の過伐事及び地質上からして、土石流は非常に多いので、建設省としても下流諸縣に及ぼす影響の重大なることを考え、今回圧縮されました予算内で相当予算措置をとつたのでありますが、十分であるとは思つておりません。今後予算の技術によつて御期待に沿いたいと考えんております。長野縣下は砂防が第一であるということは、松本市郊外牛伏川のごとく、わが國砂訪工学の実験、研究場とも申すべく、明治以来各種工法その他を実施して来たという一例をもつてしても明瞭なのであります。また北信特有の地すべりに対しましても研究は進んでおりますが、今後砂防、地すべり防止に関しては留意いたしまして、御意思に沿うようにいたす所存であります。 茶臼山の特殊地すべりに関しましても本省土木研究所において本格的調査を始めましたことは承知いたしておりますが、調査の結果はいまだ私の手元に届いておりませんので、ただいま何ともその具体的措置を申し上げることのできぬことを残念に思つておりますが、御説のごとくあまり結論を急ぐあまり、悔を後に残すようなことがあつてはならぬと思いますので、愼重調査研究をしてりつぱな結論を得るよう命ずる所存であります。それにいたしましても最後的砂防の堰堤が後わずかのところで予算の関係上放置されていることはゆゆ事しきことと存じます。今年度予算も配付になりましたので、すみやかに完成するように縣にも指示いたしたいと存じております。 以上今回御調査になりました事項に対しまして所信を申し上げたのでありますが、なお加えまして、建設省としては、天龍川流域の総合開発につきましては一應考えておりますが、目下積極的に調査研究を進めております。知多地方総合開発計画の調査研究が具体的になれば、当然天龍川流城の総合開発も取上げ検討することに相なるものと存じております。民間会社において本川の総合開発を取上げているようではありますが、目下のところ建設省として利水面で一應考えてはおるものの、他の地域の総合開発を検討中で、取上げるまでに至つておらないことを特に付言いたしておきます。 簡單ではありますが、御調査の報告に対し当局より所見を披瀝した次第であります。今後とも御協力あらんことを特にお願いいたしまして、一言ごあいさつといたします。
○淺利委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十四分散会