外務委員会 第6号
- 発言数
- 33 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1949/04/13
会議録
○岡崎委員長 これより会議を開きます。 日程第一、第二は都合によりあとまわしとして、第三のB二六墜落事件について川崎君の質問を願います。
○川崎委員 これは最近に起つた事件でありますけれども、大した政治的な問題ではないので、一應お伺いをしておけばけつこうです。去る一月八日のことであります。兵庫縣西宮にあります浪速精機株式会社という伸銅機をつくつておる会社がありますが、その上空を演習飛行中であつたB二六が墜落をいたしまして、一瞬にして同工場は全燒いたしました。そのために工場の労働者三名は即死をいたし、さらに十数名の者が重軽傷をしたという事件であります。損害は時價にして二千五、六百万円から三千万円に上るという事件が突発をいたしたのでありますが、それに対して政府からの補償はどういう形で取扱われて行くかということをお伺いしてみたいと思うのです。われわれもすでにこの問題の落着につきましては、種々内面的に奔走はいたしておるのでありますが、何しろ講和会議以前のことであり、占領軍の占領の最中における事故については、すべてこれらの債務は講和会議以後において取扱われるように聞いておりますが、不慮の災難にあつた人々並びに工場の損害は非常に莫大に上るのでありまして、これをそのまま放置しておくことは、人道を重んずる連合國自身としても非常に迷惑をするのではなかろうかと思うのであります。こういう問題はどういう方針で取扱つておられるか。承るところによりますと、占領軍のなしたこういうような事件については、たとえば自動車で人をひいたというような問題については、何か最近きわめて零細な弔慰金を出すというような規定をされたそうでありますが、こういう大規模な不慮の事件についてはどういう取扱いをしておられるか。関係当局の詳細なる御説明を願いたいと思うのであります。
○西村(熊)政府委員 占領軍がわが國に進駐して以來、連合軍の軍人軍属の日本人に対する加害行為ないし犯罪というようなものが、自動車事故だとか、ただいまお話になりましたようなB二六の墜落事件ないし押收された武器彈藥の爆破作業その他の事故に関連して、失火とか殺傷または窃盗、いろんな形で現われてきております。そういう進駐軍のために損害を受けました日本人は、占領軍または加害者に対しまして民事上の損害賠償を認められておらないので、こういう形で直接連合軍当局から救済を受けられないような状態にあります。こういうふうな場合に対する損害を賠償することを、日本政府の責任においてするということについては、何ら法律的義務はないのでありまして、国際法的に考えれば、私どもとしては連合軍側で負うべきものであるという見解をとつております。そういうふうな見解に立ちまして、昭和二十年の秋以來、政府としては占領軍当局と今申し述べた趣旨で、こういう場合に対する損害の補償をやつていただきたいという趣旨で折衝いたしました。占領軍当局では、この問題に対する態度を留保しておられました。政府も昭和二十一年の四月、正式に文書の形にしまして先方の回答を要請いたしたのでありますが、同年の九月になりまして、損害賠償の義務は、占領軍としては何ら認める法的根拠がないという明白な拒絶の回答を接受したのであります。こういうふうな措置をとられる一方、しかし実際被害を受けた日本人としてはまことに氣の毒な場合が多いのでありますから、政府としても何らか救済措置をとる必要があると認めまして、昭和二十一年の五月に閣議決定をもちまして、進駐軍による爆破作業及びこれに類する事故により被害を受けた者に対する援護に関する件という閣議決定を策定いたしまして、これを実施いたしました。しかしこの閣議決定によりまする救済はきわめて少く、また給付金はいわゆる政府の一方的の見舞金という性質をもつておるものでございまして、とうてい損害の内容を補償する程度のものではございません。川崎さんのお話の通り、きわめて、軽微なものでございます。大体死亡見舞金といたしましては、遺族に対しまして死者一人につきまして五百円の範囲、家財見舞金としては、家財に損害を受けたものに対しまして、一世帶について五百円の範囲内程度の閣議決定になつております。この閣議決定がございましたあと、先刻申し上げましたように、総司令部側の態度が明確に政府に対して通告いたされましたのでありますから、政府といたしましては、今申し上げました閣議決定の適用範囲を拡大いたしまして、見舞金の額も幾分増額いたしました。昭和二十二年一月四日の閣議決定でございますが、この新しい閣議決定によりますと、爆破作業事故のほか自動車事故、失火その他占領軍の行為による死亡または負傷に対し、療養費の支給、傷害見舞金は五百円以内、死亡見舞金は一千円以内、家財見舞金五百円以内、住宅見舞金一千円以内、この点がただいま川崎委員の御質問の点に触れるわけでありますが、この閣議決定によりますと、但し被害者が法人または團体であるときは支給を受けないということに閣議決定はなつております。從つて個人になつておるわけであります。この閣議決定によりまして、昭和二十一年一月から二十三年の十一月までに一体どれほどの見舞金の支給が出ているか、金額について申し上げますと次のようになります。人員は千百八十四名、金額は百三十四万四千八百十円となつております。しかしこの第二次閣議決定によります救護措置もだんだん時日がたちますとともに、物價の値上りその他の関係上実情に即さなくなりましたので、今年の二月一日以降の支拂いにつきましては、死亡見舞金を五万円まで、傷害見舞金を六千円まで、家財及びその他の財産被害見舞金を五千円まで、住宅見舞金を一万円までにその最高額を引上げることに、今年の三月一日決定いたしまして、三月一日関係省であります厚生省からそれぞれ各地方團体へ通達をいたしてあります。私どもとしては、こういう種類の損害賠償の責任というものは、依然として國際法上連合國側にあるという見解を持つておるものでありますが、しかし現在占領軍当局の方では、そういう義務はないという立場をとつておられる関係上、この問題は將來平和條約において、わが方の連合國に対して持つている請求権の一つとして提議するという建前をとらざるを得ない情勢にあるわけであります。もつとも平和條約かどういうふうな解釈をこの問題に対して與えるかということは、ここに予想することはできません。しかしただ一つの参考といたしまして、イタリア平和條約はこの問題をどういうふうに解決しておるかということを御説明申し上げます。 イタリア平和條約の七十六條によりますと、イタリア政府またはイタリア國人が連合軍に対して有する戰爭に基く一切の請求権というものは、放棄させられております。しかしその七十六條の第二項におきまして、イタリア國の領域内において生じた戰鬪によらない損害の賠償請求を放棄するけれども、しかしイタリア政府は、この戰鬪によらない損害の請求については、リラ貨をもつて公平な補償をすることに同意するという規定が設けられております。結局連合軍としても、イタリア國内に占領軍が駐在する結果、戰爭行為によらないほかの行為で、たとえば自動車事故、ないしは今申し上げたように戰鬪機が訓練中墜落して、イタリア人の民家に落ちて、その民家に損害を與えたというようなケースについては、イタリア政府にリラ貨をもつて公平な補償を與えろということを、平和條約によつて賦課しておるわけであります。これは一つの先例であります。日本においても今申し上げたように、この問題についての立場は、占領軍当局と日本政府との立場において違つております。日本政府はあくまでもこの種の損害賠償というものは、國際法上占領軍にあるという立場をとつておる。從つてこの問題は、日本國の連合國に対する請求権の一つでありますが、これは結局平和條約によつて解決される、どういう形になるであろうかということの、一つの示唆を與えておると私は思うわけであります。從つて今政府がやつておる救済措置ということは、あくまでも政府が法律的の義務としてやつておるのではなく、まことに被害者は氣の毒な立場にある、それでその救済の措置として、一方的に行政措置として、いわゆる見舞金を出すことによつて、被害者の苦痛を幾分なりとも軽減してやりたいという措置になつておるわけであります。從つて私どもとしては、こういつた事件について被害を受けられた各関係者が、その被害を受けられた事実について正確な記録を持つておられて、他日平和條約実施というときに、そういう問題について、政府としてもおのずと平和條約の締結に從つて、何らかの措置をとらざるを得なくなると思うのであります。そういう場合に、事件が起つたときに、事件に関する具体的な事実を明確に記録に止めておくということになれば、実際の解決の際に非常に利益を受けるわけでありますから、関係者の方々に対しては、事件が起つた場合に、その確かな記録をつくつておくようにお勧めいたしたいと思います。政府としても先刻申し上げたように、占領軍当局から明確に拒否の回答を受けました後においても、さらに書面によりまして、わが方の立場を再度縷述いたしまして、ことに將來のために、各事件について明確なる記録をつくつておくということの必要を述べ、それがために連合軍側の協力を懇請いたしております。そのわが方の懇請に対しましては、まだ何ら先方からの意思表示を受けておりません。 以上で大体川崎委員の御質問になりましたような問題に対する政府の從來の立場、連合軍との交渉の経緯、それから國内的にどういう措置をとつておるかということについての御説明を終ります。
○川崎委員 ただいま政府委員の説明は、非常に懇切丁寧で、しかもこういう問題の場合に対しての從來の経緯について、國際法的立場、それから政府の救済措置の行政措置であるということをお話いただいたので、私も非常に納得するところがあります。しかしながら今回の連合軍の十一箇國によるところの占領期間は、非常に長い期間を予想されると私は思うのであります。イタリアの例を一つの先例としてお話になりました。イタリアが平和條約を結んだのは、戰鬪停止後非常に短期間であるように記憶をいたしておりますし、また今日の状態では、一体講和会議がいつ開かれて、いつ平和條約が結ばれるかということの見通しは非常に困難であるように、私ども想像いたしておるのであります。從いまして占領軍が日本の國内において、戰鬪行為によらずして、日本人の人命あるいは財産に対して、事故によつて非常な打撃を加える、あるいは損害を與えるということはあり得ることでありますので、もしでき得れば、その救済措置を行政措置によらずして、將來とにかく外務省としてはこれは連合軍が背負うべきものであるという見解をとつており、そうしてそのようなイタリアにおける先例もあるわけでありますので、その見通のもとに、國内において非常に氣の毒な立場に立つた人、ことにこういう大規模な損害を受けた者に対して、これを法律化するような意図は、今のところ内閣にはないのでありますか、その点を伺つておきたいと思います。
○西村(熊)政府委員 今それを法制化して、國内的に解決しようという考えは持つておりません。
○川崎委員 この問題については、実は結局関係方面その他みんな同情論だけで、少しも解決はしておらないのが現状であります。この事件が起つて、兵庫縣地区に駐屯をしておる第八軍でありますか、その軍司令部の長官は、非常な氣の毒な事件であり、一切の責任は当方の犯した行為によつて起つたものであることは明らかである。從つて私今手もとに持つておりますが、惨害の状況も好意をもつて正確に記録をして、向うから提示をしてもらつておるような状態であります。非常に好意的に米軍の撮影班によつて撮影されたものもあるというような状態であります。しかしながら今條約局長が言われたような取扱いになつておりますので、ただ同情する、氣の毒だということだけで今日は終つておつて、中央における解決はさつき申されたようなわくの範囲内で、零細な金が個人に対して與えられた。これがために会社は壞滅的な打撃をこうむるし、ことに惨害を受けた者の中には、ここで個人的に批評するのもどうかと思いますけれども、婚期を前にした娘さんが二、三人全然かたわになつておるようなのもありまして、一瞬にしてそういう惨禍を受け、しかも泣き寢入りだというようなことでは、米軍としても非常にお困りになる立場ではないかと思うのであります。そのような意味合をもちまして、AP、UPの新聞関係の外人記者方面から、こういう問題に対する連合國家の賠償問題を、人道的な立場から解決すべきだという世論をまき起してくれるように聞いておるのでありますが、これらの問題の解決についてはさらに研究をせられまして、適切な処置に出られたいことに要望いたしまして、私のB二六の惨害事件に対する質問は終りたいと思います。 実は本日吉田総理大臣においでを願つて、先般來参議院並びに衆議院の委員会等において答弁された永世中立の問題について、吉田総理大臣はどういう心境のもとにああいうことを言われたかお尋ねをしたかつたのであります。しかしながら本日は御出席がない。先ほど來委員会が始まる前に各委員の方々、特に與党側の委員の方々も、外務大臣の出席がここ数回ないということを私語されましたが、予算委員会、外務委員会を通じて、総理大臣が議会軽視の行為に出ておられることをはなはだ遺憾に思うのであります。先ほど私語ではあるけれども、委員長は知らなかつたということでありますが、外務委員会は、最近漸次渉外関係が活発になるにつれて、問題もいろいろ起つて來ておるのでありまして、外務委員会に外務大臣が数回も出席をしないということは、從來の國会になかつた現象だと思うのです。從いまして、本日は來られないものならば仕方がありませんけれども、委員会には総理大臣に出席をしていただいて、現在種々物議をかもしておるところの問題について、本会議での形式的な質問應答ではなしに、首相の心事を吐露した御答弁を承りたいと思つておるのであります。この旨委員長には外務大臣に申入れをしていただきたい、かように思つております。
○守島委員 今川崎委員のお話されたと同種類の問題でありますが、福岡市新大工町、佐野榮助という人の所有しておる同地付近にあるアパート、私はそのアパートを知つておりますが、相当大きなアパートです。それを終戰直後から進駐軍に接收されまして、最近まで使われておりました。その接收にあたりましては、進駐軍と当該者との間に契約書ができております。それが昨年の十一月に燒失いたしました。そこで当該者から特別調達廳に対して、それの補償を請求いたしまして、今日までやつておるわけでありますが、調達廳の申さるるには、その契約書に基いて拂う土地及び建物の賃借料の中に、保險金が含まれておるから補償の支拂いはできない。そうらしい答弁で、はなはだ不明瞭な答弁であるそうであります。それで当該者は專門の弁護士に相談いたしましたらば、その契約面から見、また保險料はあるけれども、賠償請求の余地があるということを言つておるそうであります。そこで当該者は特別調達廳に対して、正式の補償でなくともいいから、見舞金でもくれということを請求いたしております。そういう例が、北海道の鶴湯にあるホテルだそうですけれども、それがちよつと前に燒けて、それに対して相当金額の見舞金まで出されておるそうであります。その例をひつさげてしきりに交渉しておるのであるが、さつき申し上げました通りに、不明瞭な、わけのわからぬ、泣き寢入りするより仕方がないというおさとしを受けるだけで、ちつとも解決しない、こういう状況であります。私は今手元に書類は持つておりませんので、その書類は佐野氏から送つてもらいまして、次の機会に御披露しようと思います。さつき川崎委員が申されましたように、当事者としては非常に氣の毒な事態であります。この人はこのアパート一つによつて飯を食つていたので、接收された結果、一箇月に二千円か二千五百円の支拂いしかなく、最近はそれがおもなる生活の資というような窮状にあつた。こういう例がまだたくさんあるに違いない。今川崎君が言われたように、講和條約はいつのことかわからぬ。相当長い先のことである。イタリアみたいに、比較的に短日月の間にきまるならば待てるかもしれんが、待てない。しかも相当数が多い。一方北海道の例のごとく、見舞金で解決されるという場合もある。これは私の想像でありますが、相当猛運動をやつた結果であろうと思います。猛運動をやる者はそういう恩惠を受け、多数のそういう力のない者が恩惠を受けないで泣き寢入りをしなければならぬという状況は、はなはだ困つたものである。これは累を進駐軍に及ぼす結果になり、進駐軍に恨みを起させる危險性もあるので、その点日本政府はよほどよくお考えになつて、この際新たに法令をつくる意思がないという條約局長の御意見でありましたが、政府としてはよほどよくお考えにならなければならぬ問題ではないかと思う。よくお考えになりまして、考え方をかえて、表向きは補償でなく慰問金でよいが、あまり猛運動をしなくても慰問金が渡るようなことを考えるべきではないかと思います。私の申し上げることはこれだけであります。詳しく申し上げればたくさんありますが、川崎委員の御意見と同じ結論でお願いいたします。
○野坂委員 ちようど今の問題に関連しておりますから簡單に申し上げますが、ただ違つておることは、私は一人の犠牲者として、私の兄が去年の七月の夜、ジープにはね飛ばされて即死したのです。これは証人もおりますし、ジープだということははつきりしております。町の人道を歩いていてやられた。私はGSへ、家族の者はCIDへ呼ばれてはつきり申し上げたのですが、ただ夜中のことで番号がわからない。相当時間がかかりましたが、結局犯人がわからないので、うやむやで泣き寢入りになつたのです。私は一人の犠牲者としてつくづく感ずるのですが、こういう犠牲者は非常に多い。聞いて見ますと方々にあります。先ほど川崎君の言われた女の人がどうこうというようなことは方々から聞いております。こういうことについて泣寢入りになることのないように、政府の方でも單なる行政上の形式にとらわれず、何とか一つの便法でもやつていただきたい。吉田総理はよく暫定協定と言われますが、そういう便法があるに違いない。形式を問わず、こうした悲惨な目にあつている者を救うことは政府の当然なすべきことである。これは金は大してかからない。この間の二億円をただにするかわりに、その金があればこうした犠牲者を救うことができる。このような意味で、政府の方でこれについて何らかの手を至急に打つていただきたいことを強調したいと思います。 —————————————
○岡崎委員長 この問題については、ほかに御発言はありませんか。 それでは次の問題に移りまして、並木委員より外資導入について。
○並木委員 ただいま外資導入についてと申されましたけれども、私は先日來外務大臣その他に対して、三項目にわけて御質問するからと申入れておいたのでございます。ところが先ほど川崎委員から話がありました通り、外務大臣はきようもお見えにならない。実はこの前、若松委員が代理委員長として委員長の席に着いておられたときに、佐々木委員その他の方からも要望があつて、ぜひ早急に外務大臣の出席を求めたいということを申し入れておいたのであります。若松委員長代理もこれを了承して、そう傳えると言われておりました。また私もその後ちよいちよい專門調査委員室へ行きまして、連絡もとつて、今度の水曜日には外務大臣は出られる予定であるという点まで確かめておいたのでありますけれども、本日また遂に見えず、外務委員会始まつてまだ一回も出ておらないのであります。非常に私は残念で、きのうは本会議でもこの点をふれて、どうしてもこの際私は外務の重要性——正式な講和会議ができなくても、その前に許された範囲の中で積極的に動いていただかなければならないことがたくさんあると思うので、外務省を盛り立てて行きたいという要望に燃えておる一人として、私はどうしても外務大臣がその責任を果すことができなければ、この際ぜひ機構の改革に伴つて、專任外務大臣を置いてもらいたい、こういう要望を持つておる際でございますので、近藤政務次官にお尋ねするのですが、一体吉田外務大臣は衆議院の外務委員会に対してどういう感じを持つておられるか。本日も出席しなかつたということは、政務次官からもその点傳えられておるかどうか、まずお尋ねしたい。
○近藤(鶴)政府委員 外務大臣が外務委員会を軽視なさるとは思つておりません。また本日もお出になつていただけるようなお話ぶりを、私も実は聞いたのでありますけれども、私の聞きましたところでは、必ずしもきようというわけではなく、そのうちには出るというようなお話であつたように思いますので、きようお見えになりませんでも、必ずしも外務委員会にお出にならないということはないとはつきり申し上げられると思います。どうかこの点あしからず御了承いただきたいと思います。
○並木委員 もし外務大臣がそのうちに出るくらいの程度で、外務行政を行つて行きたいというような氣持であつたら、私は行政機構の改革の折ですから、いつそこの外務省を停止して、これを内閣の一部かなんかにした方がいいと思う。しかし私はただいま申しました通り、とんでもないことで、それどころではない。ぜひひとつ活躍してもらいたいという熱意を持つて申し上げるので、何もわれわれの方からお願いするどころではない。外務大臣は率先して外務委員会を開いて、そうして意のあるところを吐露して、われわれ國民の代表に知らせて、また意見を聞くべきである。そうしていただけないことは非常に残念でありますから、その点は政務次官においても、外務大臣にとくとお傳え願いたいと思います。私はそのために質問の順序が少し狂つてしまいましたが、実は外務大臣に対して今の專任外務大臣の問題、それから講和会議の問題及び暫定措置、あるいは商務官の派遣というようなことについてお尋ねしたかつたのですが、この間どこかで吉田総理が発言されたようでありますけれども、一体商務官の派遣ということがどのくらい具体化しておられるか、関係政府委員から御答弁願います。
○大野(勝)政府委員 並木さんの御質問にお答えいたします。御承知のように、日本の商人は戰後海外に出ることをとめられておりますから、海外のことが一切わからないのであります。從つて輸出する商品がどれくらいで賣れているか。また輸入する品物も、どこからどういう條件で買つたら日本の経済にとつて一番都合がいいかといつたようなことを知らないわけであります。のみならず、取引の相手方の信用状態等に関しましても、十分な直接の調査が行き届きかねるというような状況でありまして、輸出済みのものについてすらクレームがつけられるということがしばしばあるのでありますが、それの処理に関しましても、非常に不利不便をこうむつておるわけであります。從つて政府といたしましては、できるだけ海外に日本の商人を自由に出してもらえることを希望しておりますし、またそういうことになりますと、自然日本の政府も何らかの形において利益を保護するための商務官とか、領事官的な人が出て行くことを非常に希望しておるわけであります。その点に関しましては、マツカーサー元帥におかれましても十分考えておられるということを聞き及んでおるのでありまして、海外貿易を完全に民間業者の手に返すということにしごく賛成しておられるということであります。依然として封鎖國家として日本が放置されるということは、実際の戰爭と同樣にひどい結果になるということも考えておられるということであります。從つてだんだんこの種の制限が撤廃されて行く傾向にあるのでありまして、普通の状態におきましても、貿易というものは先樣のあることでありますから、條件が五分々々——日本の國内的な産業條件と外國の條件と半々でなければならないのですが、現在の状況におきましては、それが外國に依存する條件というものがもつともつと大きく働いておるような状況でありまして、その点につきましては、極力早い機会におきまして通商官と申しますか、領事官と申しますか、そういう役目を持つたものが海外に出ることを許されることを政府は期待いたしておりますし、またその筋へ政府といたしましても懇請を続けて來ておるような状況であります。私は経済九原則の実現の根本的な條件として、貿易の促進、なかんずく輸出の大幅の伸長ということが不可欠の條件であると思われますので、これを達成するためにどうしても許してもらわなければならないこの海外への派遣ということについては、不日近い機会に必ず許されるものと確信しておるような次第であります。
○並木委員 それではほかの方の御質問もあると思いますから、私の分はなるべく端折ることにして、外資の導入に移ります。 まず第一に、外資の導入に関係してよく吉田外務大臣は、國有財産の拂下げということを言つておつたのであります。たとえば鉄道とか、あるいは電信、電話、そういう國有の大きな資産を民間に拂下げまして、その上に外資の導入を期待するのだというようなことを言われておつたのですが、吉田外務大臣おいでになりませんが、かわつてその点現在どういうふうになつておりますか、お答え願いたいと思います。
○今泉説明員 國有財産の拂下げにつきましては、実は二通りの意味があるのでございまして、元の陸海軍財産を主体といたしまする今國有財産法で言う普通財産、つまり現在処分の対象として考えられておりますところの旧陸海軍の軍事施設であつた土地、建物、船舶、機械といつた種類のものでございます。これは御承知の通り陸海軍がなくなつて以來、全部大藏省の普通財産として引継がれまして、現在大藏省の國有財産局系統において歳入確保を目ざしまして、拂下げをしておるものであります。そのうちに御承知でもありましようが、非常に厖大な面積なり、内容を持つておりますものは旧軍工厰でございます。たとえば横須賀の工厰であるとか、佐世保の工厰であるとか、そのほか陸海軍の航空関係の工厰とか、こういつた厖大な財産がいまもつて残つております。しかしながらこれらの大部分は、御承知の通り賠償指定工場として指定されておりまして、土地、建物は直接賠償の対象にはなつておりませんけれども、中に入つておる機械が登録されておる関係上、いれものとして、やはり一体として現在指定になつておるような関係上、この指定になつておる旧軍工厰等は、指定された機械はもちろんのこと、それを入れておる土地、建物も現在まだ連合軍の方から日本政府に解放されていないのであります。從つてこういつた種類のものを將來復旧して、たとえば大工場にする、大造船所にするというような問題になりますと、現在の日本の民間の資力そのものではとうてい復旧の見込みはないと思います。從つて現実にも今方々の造船所関係等においてこういう問題が起きて來ておるのでありますが、どうも民間資本だけではとうてい復旧の見込みはないから、外資を導入してこれを大造船所、大工場にしたい。これについては何らか大きな手を政府が打つてくれんかという向きもあるのでありますが、何しろ今賠償の目鼻がどの程度にきまるかということについて、明確な連合軍からの指示もございませんので、こういつた陸海軍の工厰等を外資導入によつて大轉換するという域には達しておりません。しかしながら賠償関係も承るところによると、そう長くないうちに目鼻がつくということもわれわれ聞いておりますので、こういつた財産の生産関係に一日も早く轉換できるよう下準備はいたしたいと思いまして、努力を続けておる次第でございます。そうでなくて、現在各省のいわゆる公用財産、國有財産法で言うと、さつき申し上げました普通財産に対しまして、行政財産という名称で言つておりますが、各省で持つている行政目的に使つておるところの行政財産のうち、適当なものはこの際行政財産からはずして、いわゆる普通財産にいたして、そして民間に拂下げたらどうかという問題があるのでございますが、吉田総理が言われているのも、重点がそういつた点にあると思うのであります。たとえば今並木委員から御指摘になりました、戰時中買上げた地方軌道であるとか、それから國営自動車関係とか、場合によつては專賣関係の一部とか、そういつたものについて拂下げる意思がないかどうかという問題につきましては、先般來総理から御省大臣に御下命になりまして、御省ではその点を十分檢討した上、これこれのものについては拂下げてもよろしいかどうかということを、各省の意見として出せということになつて、各省で鋭意準備いたしておると思いますが、私まだ内閣の方に各省から全部そういうものが出そろつたということは聞いておりません。ただ大藏省としてこれに関連いたしますのは、大藏省は國有財産の総括大臣であり関係もございますので、そういつた点の將來のとりまとめその他につきましては、御下命あり次第、大藏省としては積極的に乘り出したいと考えております。しかしながら問題はそういつた財産がかりに出たとしても、これをどういう点で資金化するか。御承知でもありましようが、今度の総理のねらいは、なるべくそういつた財産は賣り拂つて、その資金で税の軽減その他に当てる、こういうことになつておりますので、問題はそういつた財産がかりにあつたとしても、どういう点においてこれを資金化するかということが問題だろうと思います。御承知の通り、今非常に金詰まりの状況でございまして、たとえばそういつた大企業を民間に拂下げるといたしましても、その資金をどうしてつくるかということが問題になると思います。その面において、目下の資金の状況では、私は國内的にかりにその何百億というような資金を、健全金融という面を顧慮しつつ出すということは、非常に困難じやなかろうかと思うのであります。問題は、國内的に資金がなければ、外資を導入して資金化するという問題にまで発展して來ると思うのでありますが、その点が現在私どもの承つたところでは、それと関連して、外資と資金化という問題が直接結びついておるという域までには、まだ達していないというように考えております。しかし將來の問題としては、十分考えられる問題であるというふうに考えておる次第であります。
○並木委員 懇切丁寧な御答弁でありがとうございました。本日は討論をするわけではございませんので、御質問ですからその点承知いたしておく程度にいたしておきますが、何分にもこの問題は実に大きな問題でして、軽々しく具体化すべき問題ではないと思うのです。タバコとか、そういつた方面はさておきまして、身近な問題として、私たち元の私鉄というものを拂下げるという問題で各地方でかなり動いて、またこれに対して猛烈な反対も出ておるのであります。私たちの立場はもちろんきまつておりますけれども、討論ではありませんが、この点だけは現状を確かめておく必要があるのでありますが、私鉄の拂下げの問題というのはどの程度まで話が進んでおられるのでしようか、この際お聞きいたしておきたいと思います。
○今泉説明員 その問題は直接運輸省の所管でございますので、責任ある御答弁は運輸当局の方からお願いいたしたいと思いますが、大藏省として承つておるところでは、先般運輸省の事務当局の人にちよつとお伺いいたしましたが、一應の檢討はいたけれども、現状において旧私鉄をまた民間にもどすということにおいては、運輸省当局は目下考えていないというふうに、私どもは関接的に聞いております。
○並木委員 それでは次に移りまして、為替の問題でございますが、いろいろ方々で為替については発表があつたり、また意見の開陳があるようでありますが、今日現段階において、一本為替設定の見通しはどうなつておるかお聞きしたいと思います。
○中川政府委員 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。 為替の問題は過般ロイヤル長官が参りまして、急速に展開をいたしまして、ことに経済安定九原則の実施に不可欠なる問題として取上げられておりますので、日本の経済の今後の安定のために、最も好適な高さにおいて決定されんことを私どもは切望いたしておる次第でございます、かような意味におきまして、経済安定本部におきましても、今後の日本の産業の安定、さらに復興の計画に対しましてのいろいろな資料を提供いたしまして、ドツジ・ミツシヨンにおきまして檢討を加えられておることと存じまい。そこでこれの最終的決定に対しましては、ワシントンで決定されることでございまして、容易に私どもの憶測は許し得られないのでありますが、ただ過般の政府におきます單一為替レート設定対策審議会におきましていろいろ審議されました結果、為替のきまりますところの高さと申しますものは、いわゆるあまりに円安にならない方が望ましいのではないか。大体三百円から三百五十円の間が望ましいのではないか。しこうして一應決定いたしました以上は、そのレートがさらに何べんもかわる。ことに円安にこのレートが変更されるというようなことがございました場合には、日本の経済界に重大な影響を及ぼしますので、よしんば円高に変更することはあつても、円安には変更しないようなレートが望ましいというようなことが論ぜられた次第でございます。それからこれの時期につきましては、從來は半年あるいは一年ぐらいの準備期間を置いて決定する方がいいのじやないかという議論もあつたのでありますが、いろいろな客観的情勢は、なるべく早くこれが決定されるのが望ましいのではないかというようなことに相なつておる次第でございまして、ただいま暫定的な措置といたしまして、輸入品に対しましては、先般來三百三十円レートを実施いたしておる次第でございます。また輸出品に対しましては、漸次來るべき決定されるレートにさや寄せをいたします意味におきまして四百五十円、さらに過般來四百二十五円にきめておるような次第でございまして、私どもの想像では、割合に早くこのレートが決定されるのではないかというふうに考えられておる次第でございます。
○並木委員 そこで外資の導入に関連いたしまして、一番心すべきことは通貨の安定——これからの為替が設定されました場合には、安定ということが非常に重要性を持つて來ると思うのであります。この間予算委員会で金本位へ復帰するというような問題も取上げられたようでありますが、金本位への復帰の問題——將來日本に絶対に通貨的措置は行わない。つまり為替に対してある期間の安定性を持たせる、こういう点が必要ではないかと思うのですが、この点についての御見解を披瀝していただきたいと思います。
○中川政府委員 通貨に対しまするいろいろな不安が各地にあるようなことを伺つておりますが、今日きまろうといたしますところの、日本の為替レートといわゆる單一為替レートと申しまするものは、アメリカの援助によりますいわゆる人為的な、便法的な一時的な為替のレートを決定いたすわけでございまして、日本の円が海外の市場におして眞に市場性を持つた姿に帰るのでは決してないのでありまして、日本の経済はいまだ國際経済に伍して一本立ちに立ち得る姿には相なつていないのでございます。しこういたしまして、米國の援助も逐次これを減少いたしまして、何年か先にはこの支援を受けずに、日本が一本立ちにならなければならぬと存ずるのであります。この期間におきまして、今各方面で言われておるように、あるいは通貨の切下げがあるのではないかというようなことを言われておりまするが、こういうようなことをいたしますことは、まつたく無意味でございまして、いたずらに企業の混乱を招くだけでございます。特にドツジ氏が過般ドイツにおいて通貨の改革をやつたから、日本でもやるだろうというような憶説がございますが、これははなはだしき偏見でございまして、今日通貨をいじるというようなことは、絶対に政府としては考えておらないところでございますから、さように御了承いただきたいと思います。
○並木委員 それではまだたくさんございますが、最後にお尋ねいたしまして、あとの方に御質問をお讓りしたいと思います。私は治安の維持と警察ということについて、これはやはり外資の導入に関連して非常に問題が大きいと思うのであります。せつかく外資を持つて來ても、日本の治安の状態が惡かつたり、警察の状態が不備であつたりしますと、十分な目的が達せられないと思うのでありますが、現在特に外部から見て心配なのは、知能犯とか、破廉恥罪とかいうようなものが第三國人の関係において大きいと思うのですが、その点最近の犯罪の状態において知能犯とか、ただいま申しました破廉恥罪とかいうものがどんなふうな傾向を示しているか。これをまずお伺いいたしまして、そういうものが、特に第三國人に與えた最近の実情についてお知らせ願いたいと思います。
○齋藤(昇)政府委員 治安の概況と申しますか、犯罪の概況をまず御参考に申し上げたいと思います。 普通の刑法犯、いわゆる経済違反をいたしますとか、特別法令による違反は別にいたしまして、刑法犯は、昨昭和二十三年度におきましては、昭和年代における最高の犯罪件数を示しておりまして、約百六十万件でございます。これは終戰の年であります昭和二十年、これはまた一番犯罪の少かつた年でもありますが、約七十一万件でございます。これに比べて二倍をずつと上まわつているという数字になつているのであります。そしてこれらの犯罪の大部分、約八割までは強窃盗であります。今特に名前をあげられました知能犯、詐欺、横領、恐喝といつたような面は割に少いのであります。犯罪は昭和年代におきましては、昨年を除きましては、昭和九年が一番多かつたのでありますが、昭和九年は百五十六万件あつたのでありますが、これはその約半分がいわゆる強窃盗であり、あとの半分はいわゆる知能犯的なものであつたわけであります。從いまして、昨年の百六十万件の八割が強窃盗でありますので、知能犯という点から見ますると、発生件数が減つているという結果になつているのであります。詐欺につきましては、昭和九年の四割、横領は一割六分、ただ恐喝は二十割であります。それから收賄罪が十一割というふうに、收賄罪が増加しております。しかしながらこの詐欺横領というような知能犯は、これは檢挙件数がすなわち発生件数という形になりますので、実際に詐欺横領その他の知能犯がありましても、檢挙をして見ませんと、それが発生しておつたかどうかということが非常にわかりにくい。実際におきましては、おそらく昭和九年より詐欺、横領が減つているとは考えません。私の四割あるいは一割六分であると申しますのは、結局檢挙がそれだけしかできなかつたことであろうと思うのであります。むしろ実際の発生はもつと多いのではないかと考えるのであります。この理由はいろいろありますが、いわゆる強窃盗等の、外面からすぐわかる犯罪がふえたこと、また警察がその方に追われる、あるいは新しい警察制度の問題、警察力の問題とか、いろいろな点から知能犯の檢挙が割に少いということになつているのであります。私の方としては、知能犯につきましては鋭意檢挙をはかり、各府縣に知能犯の捜査班というものを別に設けまして、努力いたしている次第であります。なお知能犯の中に入ると思うのでありますが、いわゆる騒擾罪は最近非常にふえてまいりまして、二十二年は六件、関係者が三十五名でありましたが、二十三年度におきましては、騒擾罪が二十六件、関係者が千七百五十三名という非常に増加した数を示しております。騒擾罪に至りませんでも、いわゆる集團町な強窃盗がありますとか、あるいは集團的な不法行為が非常に増加をいたしているのが、最近の犯罪の注目すべき特徴だと考えているのであります。昨年の警察法によりまして、國家地方警察と自治警察にわかれましたが、國家警察が集團的な犯罪を鎭圧いたしますために、自治体警察から應援の要請を受けました件数は、数十回に上つているのであります。國家自治体両警察合せまして、こういつた集團的な犯罪の鎭圧に動員いたしました警察官は、おそらく五万を上まわつている状況であります。さような治安状況になつております。
○並木委員 ありがとうございました。それに関連して、最近警察力を強化するという問題が起つておりますが、それに対する所見を述べていただきたいと思います。また國家警察と自治警察の関連について、あるいは改善すべき点についての御所見を最後にお伺いいたします。
○齋藤(昇)政府委員 私の役目といたしましては、この與えられた法律及び與えられた予算のもとにおきまして、法律の執行に最善を盡すという点にあるのであります。さような見地から申しますと、私の職責といたしましては、三万の國家警察の警察官をもつて最大の力をいたすという点に私の主たる職責があると考えておるのであります。さような見地からいたしまして、私は警察官の素質の改善、これは警察官の品性、資質、あるいは技能、いわゆる警察の人的な力を高めるという意味におきまして、教養、訓練に力を入れるということと、いま一つは許された警察法の中において裝備を完全にいたしまして、通信能力を高め、あるいは機動力を発揮する、あるいはその他の警察の裝備を完全にするという意味におきまして、できるだけの予算をお願いいたしたいということに努力しておるのであります。今日警察の活動の面におきましては、通信が一番の神経であります。これに重点を置きますとともに、機動力の増加、このことは結局警察の車両を増すことが第一点であります。その他あるいは鑑識でありますとか、あるいは犯罪の鎭圧に要するいろいろな裝備というものを必要とするのであります。本年度の予算におきましてはとうてい十分とは考えられませんけれども、今日の事情ではやむを得ないと考えておるのであります。その範囲において最善を盡したいと考えておるのであります。なお法律の点におきましては、私の方といたしましては、現在の警察制度、いわゆる國家地方警察と自治体警察をつくつたというその大きなわくの範囲内で、技術的な面におきまして、警察の運用上警察法のこういう点をこう改正する方がよくはないかという研究は、関係方面と続けておるのであります。しかしながら自治体警察の利害損失、これをどうするかという問題は大きな政治問題でありますので、むしろ政府または議会において、いろいろ御檢討なさることと考えておるのであります。私の方といたしましては、警察官の数をどれだけにするか、あるいは自治体警察をどうするかという政治的な問題につきましては、直接関係はいたさないでおるのであります。
○川崎委員 二、三日前から深川の朝鮮人部落の問題で、日本の警察官と朝鮮住民との間に衝突事件が起きている。しかもその犯人の捜査ということが非常に困難な事態に立ち至つておるということは、しばしば新聞紙上で散見するのでありますが、警視総監にお聞きするのが一番適切だと思いますけれども、本部長官で何か從來までの経緯、それから今後の解決の方針というものがありましたら御提示を願いたいと思います。
○齋藤(昇)政府委員 その件は警視廳の自治体警察内の事柄でありますので、今後どういうように解決をして行くかという方針につきましては、私から申し上げることはいかがかと思います。また警視総監からも、その方針はまだ聞いておらぬのでありますが、報告を受けた点だけを申し上げますと、新聞等に出ておりますように、ある窃盗犯人を逮捕すべく参りました警察官が、窃盗犯人を逮捕いたします際に、拳銃を発射いたしましたことから、朝鮮人の一部の者の間に暴行事件を起しまして、その暴行した被疑者を逮捕するという問題にあります。一時部落の関係者は責任をもつて被疑者を連れて出るということになつておつたのでありますが、この話合いが実行不可能になつたようでありますので、警視廳としては自力をもつてその被疑者を逮捕すべく、ただいま捜査を続けておるような状態であります。
○川崎委員 状況報告だけ受けられて、解決の方針というのはまだ方針を聞いておらないというお話でありますので、それ以上質問をいたすのは遠慮をいたしますが、大体日本になお滯留しております朝鮮人の中には、最近財産取得の問題、あるいは料理屋飲食店の政令で第三國人、非日本人といいますか、そういう者も一律に取締るというような事柄から、相当感情も激化しておるようなことを聞いております。もちろん終戰後に一時的に現われた現象として、朝鮮側は日本の法律を守らぬ、そのためにいわゆる新橋のテキ屋等の衝突事件だとか、あるいは澁谷においてやはり同樣な騒擾事件が起つたことがありますが、あの当時は、日本の警察官というものはまつたく無氣力かつ無能力であつて、日本の法律に從わせることさえできなかつたという状況であつたのでありますが、最近のこの事態は、むしろ各所に檢問所を設けて、朝鮮人を非常に——戰前のようとは申しませんが、苛酷の取扱いをするというので、朝鮮人側の方で提訴しておる傾向もあるのでないかというふうに考えるのであります。從いましてそういう窃盗事件に対して警察がおもむいたときに、これを袋たたきにするような暴行に対しては、あくまでも峻嚴な立場をもつて臨むとともに、朝鮮人側の神経をいたずらにいらだたしたり、これに反抗的な團結態勢をとらせるというような方向へ追い込むことは、今後の日鮮両國民の親善向上に非常な阻害になると私は思いますので、この問題の解決はすこぶる愼重に、かつ法に照しては峻嚴に行わなければならぬ、かように考えますので、國家警察本部としても警視廳の解決方針については、一々情報を收集されるだけでなしに、ここに明確なる方針のもとに円満に解決していただきたい、かように要望をいたしておきます。 —————————————
○岡崎委員長 ほかに御質問はありませんか。——御質問がなければ次に政府委員よりの発言の要求がありますので、これを許します。在外資産に関する問題、倭島管理局長。
○倭島政府委員 いわゆる在外財産というものにつきまして、從來政府といたしましては現状がどうなつておるかということについて、何とか世界各國にある存外財産の実情を知りたいと努力をして参つたのでありますが、最近その関係につきまして一部明らかになつたところもございますし、ならないところも大部分でございますが、この機会に現在のところを御説明申しておきたいと存じます。在外財産、つまり世界各國にございます日本人の財産の件につきまして、現在どういう始末になつておるか、どういう処理を受けておるかということについて、政府としましては從來司令部の方に対して正式な、正確な報道をいただきたいということで、たびたび交渉しておるのでありますが、現在までの状況といたしましては、在外財産の処理の問題は、極東委員会の付議事項の中に含まれておらないということと、それから司令部の占領政策の権限の中に入つておらないということのために、在外財産の現在あります各國から正式の報告、報道が入手できないという現状にございます。しかしながらたとえばアメリカの場合なんかは、ある程度知らしてもらえる範囲の資料を入手し得る。その他の南米諸國、東亞各國にあります財産の現状なり処分の模樣ということにつきましては、何らか現地におられる人からの通信とか新聞とか、その他のむしろ非公式な通信によつて現在の状況を承知しておる現状でございます。從つてその程度の根拠に基くことをまず申し上げておきまして、在外財産の現状についての見通しを申し上げようと思います。なおもう一つ申し添えますが、在外財産と賠償との関係で、これが一体どうなるかという疑問をこれまでから持つておりまして、これについて関係方面等の意見も確かめたのでありますが、これについても何ら現在確定的な報道なり意見の開陳がございません。在外財産と一口に申しましても、大きくこれをわけますと、各國に現在在留しております日本人の持つておる財産と、それから日本に引揚げて來られた方で、現在日本におる日本人の外國に持つておる財産と、大わけをしますと二種類あるのであります。在留しておる日本人の財産の問題につきましては、大ざつぱに大体の傾向を申し上げますと、大体大勢としましてはこれは大した損害なく、そのままに存続しておるのが大勢でございます。これをもう少し詳しく申し上げますと、米國とカナダについては從來のまま大した問題はございません。中米と南米とにおきましては、多少その國々によつて取扱いが違つておりまして、全部接收をせられてしまつておる國がございます。たとえばパナマだとか、コスタリカだとか、サルバトル、ハイチ、エクアドル、こういうような國では、在留邦人が國外に追放せられたのが大部分でございまして、財産は全部接收せられておる。それから戰時中在留邦人の財産が凍結せられ、また接收せられておる。しかもそれに対して何らまだ補償の措置が講ぜられておらないというような國々にペルーだとかブラジルがございます。もつともブラジルに関しましては、財産を返すという問題が具体的に考慮せられておる状況であります。それからメキシコとかアルゼンチン、ウルグアイというようなところは、一時接收された財産が返還せられ、また適当な補償がせられておるという状況であります。他の南米の國でありますコロンビヤとかベネズエラ、ボリビア、チリー、パラグアイというようなところは、從來在留同胞からの通信によりますれば、ほとんど損害なく現存しておるという模樣であります。次にいわゆる狹義の在外財産、その所有主が今日本に帰つておられる際の財産の関係であります。この財産の関係におきましては、從來の司令部のとられたいろいろな措置によつてはつきりしたものと、しないものとがございます。これまでの在外財産というものを大わけにわけますと、日本の旧領土でありました台湾、朝鮮、樺太、関東州、南洋群島とかいう方面にあります在外財産、それから交戰國の関係に立つておりました國にある財産、それから中立國にありました財産、中立國にありました財産については問題ございませんが、旧領土にありました財産と、交戰國にありました財産のうち、御承知の通り閉鎖機関に指定せられた会社の財産、それからそれらの國に、在外に本社を持つておる邦人の会社の財産については、司令部のとられた措置によつて、多少その財産の処分の件が具体的になりかけております。閉鎖機関の関係では約四十二会社がございますが、その会社の持つておりました在外財産の処分については、まだ何ら決定しておりません。ただ國内にあつて閉鎖機関に指定せられた会社が持つておつた財産が、一部清算に充てられておる状況であります。在外に本社を持つておりました邦人の会社という関係で取扱われておる会社が、現在約千二百ほどございますが、この在外本社の財産というものは、大ざつぱに申しますと、大体において從來の債務の関係に充てられてしまうという見当でございます。米國にございます在外財産、今國内におられる日本人がアメリカに持つておる財産の処分は、最近のアメリカの立法で大分はつきりして参りました。おそらく米國における在外財産の取扱いというものが、ほかの國のやはり一種の模範と申しますか、一種の手本となるのではないかと思われるのであります。この米國の最近の取扱いの問題を少し詳しく申し上げたいと思います。 從來米國にございました在外財産というものは、戰後間もなくいわゆる対敵通商禁止法、これは一九一七年十月六日に制定された法律でありますが、この法律によりまして敵産管理人というものの手によつて全部管理の状況におかれておつたわけであります。それが昨年の戰爭に関する請求権法という法律の一部のうちにおいて修正をされまして、原則として敵國人の財産で、管理人の手に渡つておる財産は一切返さない、補償もしないという法律が出たわけであります。その法律の一つの例外が最近司令部の方から日本政府に通達せられましたので、日本人関係にもただ一つの例外が認められることになりました。その件につきましては、実は今月の五日に外務省から発表いたした次第でありますが、一口に申しますと、日本人の持つておる米國にある在外財産というものは一切返さないし、補償もしない。但し次の二つの件に該当する財産は返す。その二つの関係と申しますと、昭和十六年十二月八日から昭和二十一年八月八日までの間に米國の交戰國、すなわち日本、ドイツ、ルーマニヤ、ハンガリー、ブルガリア、この五箇國のうち、またその占領地におつた者でなく、またそこで営業しておつた者でない人には財産は返す。もう一つの例外は、昭和十六年十二月八日から二十一年八月八日までの期間において、米國の交戰國またはその占領地におり、または営業に從事した者でも、政治的、人種的または宗教的手段をもつて差別待遇したような法令によつて、昭和十六年十二月八日から前記法令廃止のときまで公民としての権利を十分に、享有できなかつた者、またはその相続人には財産を返す。要するにこの日本人の関係といたしましては、今申し上げました期間のうちに何らか日本の法律で迫害とか差別待遇を受けておつた人には、その人がアメリカで財産を持つておつたら、その財産は從來敵産管理人で押えられておつてもその財産は返すというたつた一つの例外であります。実はこの例外に該当する人がどのくらいあるかわからないのでありますが、先日発表いたしましたように、四月五日に発表いたしまして、四月一ぱいに申請を出す。從來約三十件ほどその申請の手続のお手傳いを外務省の方でしておりますが、その件数がどのくらいあるかまだはつきりしません。何しろ期間が迫つておりますので、あまり多くの人がこの例外規定によつて財産を返還してもらうということにはなりにくいのじやないかと思つております。大体現在まで外務省の方で在外財産の現状、あるいは処分等について承知しておりますところを御説明申し上げますれば、以上のような次第であります。 —————————————
○岡崎委員長 最後にさらに政府委員より発言の要求がありますから、これを許します。外務省機構改革に関し大野総務局長。
○大野(勝)政府委員 政府は昨日外務省設置法案を決定いたしましたので、この機会をかりまして、ごく概要を御報告申し上げたいと思います。この法案は不日議会に提出されて御審議を願うことになつておる次第であります。全文二十四箇條と附則からなつておりまして、四章にわかれておるのでありますが、内容を申し上げますと、外務省の所掌事務の範囲と権限を明確に定めまして、能率的に外務省所管事務を遂行することをこの法律案によつて定める趣旨となつておるのであります。從いまして、外務省の任務というふうな規定がございまして、たとえば外交政策の企画、立案とその実施、あるいは通商航海に関する利益の保護と増進、外交使節及び領事官の派遣とその接受、條約その他の國際約束の締結、國際機関及び國際会議への参加並びに國際協力の促進、内外事情の報道と外國との文化交流、あるいは海外の渡航の問題、または連合國官憲との連絡とこれに関連する各行政機関の事務の総合調整、要するに対外関係一般に関しまして総括的に事務を外務省において見るというのが外務省の任務として規定されておるはずになつておるのであります。從つてそれに即應する外務省の権限が二十八項目にわたりまして詳しく規定してあります。たとえばただいま申しました使命の第一に掲げました問題に対しましては、日本國政府を代表して外國政府と交渉し、國際機関及び國際会議に参加すること、あるいは通商航海に関する利益を保護し及び増進するために、外國官憲との交渉、商取引のあつせんを行い、ないしは全権委任状、大使及び公使の信任状及び解任状並びに領事及び名誉領事の委任状を作成してこれを交付すること、同時に外國のそれに該当する使臣からの信任状及び解任状、委任状等の接受をする。こういうふうな二十八項目にわたりまして、詳しくその権限が定められておるのであります。 なおこの法案におきましては、本省の機構と地方の機構に関する規定があります。本省の機構と申しますのは、從來一官房七局の機構であつたのでありますが、それを縮小いたしまして、総務局を政務局とあらため、條約局、調査局、管理局、さらに連絡調整事務局を解消いたしまして、外務省内局の一局といたしまして、連絡局という名称で内部に包攝することとなつております。なお特殊財産局というのが落ちておるのでありますが、これは賠償廳に吸收されて、從前通り総理廳の直轄に属するわけであります。情報部に関しましては、政務局の下につく部として存在することになつております。また解消されます特別資料部でございますが、これはごく小さな機構にいたしまして、政務局の中に吸收いたすことに相なつております。 法案には各局の所掌事務を詳しく規定いたしておりますが、これはここでは詳しく申し上げる必要もなかろうと思いますので省かしていただきます。ただ一つ連絡調整事務局という從來の総理廳の外局として存在した大きな部局が、内局として、きわめて小さな部局として入つて來るのでありますが、これは何をつかさどるかということだけをここで申し上げたいと思います。もちろん連合國の官憲との文書の往復であるとか、その他連絡に関することを第一の所掌事務といたしておるのでありますが、その他この問題に関連いたしまして、政府の各行政機関との間に事務の調整を必要といたしますので、この事項をもあわせて所掌するのであります。また連合國官憲の要求に基きまして諸般の調査及び報告をなすこと、並びに連合國の行う軍事裁判に関する諸般の事項、それと地方に設けられます連絡調整事務局に関する事務をつかさどるのであります。以上が本省の機構でありまして、附属機関といたしまして外務官吏研修所というものを、終戰直後から外務省は運営いたしておるのでありますが、この研修所は從前通り外務省において運営いたすことに相なつております。さらにこの問題に関連しまして、中央において、各行政機関との間に連合國官憲との連絡に関する諸事項につきまして、緊密なる連絡を保持し、政府の一元性というか、一体性を確保する必要がございますので、その観点からいたしまして中央連絡協議会というものが從前通り設けられることに相なつておるのであります。以上が本省の機構でありますが、從來外務省といたしましては、國際経済面への活動の緊急性に鑑みまして國際経済局を外務省に設置する考えを持つて來ておつたのであります。この問題に関しましては、あらゆる角度から研究が進められ、諸般の準備も行われておつたのでありますが、別に商工省と貿易廳が解体いたしまして、新しく通商産業省というものが設置されることになつておりますので、現下の占領治下におきまして行われるべき貿易関係の事務に関しましては、外務省で予定しておりました國際経済局の部局のそれに直接、間接該当いたしまする部分を、この新しい通商産業省において所掌するということに規定いたしておりますので、この意味におきまして、この國際経済局の案をこの各省設置法案からは落してあるのであります。しかしながら対外経済関係の重要性に鑑みまして、政務局の内部におきまして國際経済機関への参加の問題であるとか、その他長期にわたります対外経済関係の諸事項に関しましては、依然といたしまして外務省において、対外政策一般の中に関連性を持たせまして所掌し、万遺憾なきを期したいという考えであるのであります。地方の部局に関しましては、地方の十一の箇所に連絡調整事務局というものを置くことに相なつております。横浜、札幌、仙台、横須賀、名古屋、京都、大阪、神戸、呉、高松、福岡、この十一箇所にそれぞれその土地の名称を冠しました調整事務局、たとえば福岡に置きますものにつきましては九州連絡調整事務局という名称を與えまして、外務省の所掌事務、なかんずく先ほどここで御報告申しました連絡局の所掌事務並びに引揚げに関する調査及び旅券に関する準備、國際事情の知識の普及等に関する事務、連合軍の占領に関する文書及び記録の收集に関する事務等をこの連絡調整事務局をして行わしむる予定になつております。この地方に設置されます連絡調整事務局は、各地方における占領軍官憲との間に緊密なる連絡を保持し、かつその地方々々の経済社会状態をきわめて明確に先方に反映させ、いやしくも齟齬のないように努めておりますことは、現在連絡調整事務局の地方事務局として働いております実績に徴して明らかでありまして、これは両院におきまして、地方をおまわり下さいました際に十分御認識いただいておるところであります。以上が昨日決定をみました外務省設置法案の概略であります。
○岡崎委員長 別に御質問ありませんか——御質問がなければ、本日はこれにて散会することにいたします。 午後零時二十二分散会