海外同胞引揚に関する特別委員会 第11号
- 発言数
- 63 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1949/10/10
会議録
○中山委員長 これより会議を開きます。 本日は閉会中にもかかわりませず、ここに御参会くださいましたことは、委員長といたしまして、まことに感謝のきわみでございます。これも引揚げがこうして盛んに行われておりますので、皆樣も喜んで御参集くださつたことと思いまして、重ねてお礼を申し上げる次第であります。 議題に入ります前に、本委員会理事といたしまして、海外同胞引揚げに絶大なる御盡力を賜わりました若松虎雄先生が、去る九月二十四日に死去されましたので、本委員会といたしまして、つつしんで哀悼の意を表する次第でございます。これにつきまして、本委員会といたしまして、何らかの形で御家族へ御慰問申し上げることを議題にいたしまして、皆樣方のお考えの御発表をお願い申し上げたいと思います。
○天野(久)委員 われわれの同僚若松先生が死去されたということですが、まことにお気の毒のきわみであります。これについて何か御慰問をいたしたいというお話でありますが、委員長に何か御腹案がありましたら、ひとつ御発表願いたいと思います。
○中山委員長 私といたしましては、東京の方に御仮寓がおありということを存じておりますが、どなたかまだこちらにいらつしやいますようでございましたら、この委員会を終りましてから、私が委員会の名によつて御慰問に伺いたい。もしすでにお引揚げが済んでしまつておりますれば、長崎の方に文書で皆樣方の御哀悼の意を発表するような手続をとらせていただいたらどうかと考えておりますが、いかがでございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○天野(久)委員 それは形だけですか、何か御香料等を差上げるようなお考えはございませんか。
○中山委員長 その点についてはどうぞ御意見の発表を願いたいのでございます。
○山本(利)委員 こういう場合に、他の委員会ではどういうような例がございましようか。お調べ願いたい。
○中山委員長 それでは書記に調べさせまして、あとで申し上げます。 本日の議題は、まず第一に、引揚げが再開されましてから三箇月余を経過いたしておりますので、この間の引揚げ状況一般につきまして当局よりの説明聽取、第二に、第五国会より本委員会におきましてたびたび問題になりましたソ連発表と日本政府発表の抑留者の数の相違につきまして、いま一度検討いたしたいと思います。第三に、引揚者の援護問題、以上三点を中心といたしまして、議事を進めたいと存じます。 ではまず第一の引揚げ状況一般につきまして、引揚援護庁援護局長田邊繁雄君から説明を聽取いたします。
○田邊説明員 本年ソ連からの引揚げが再開せられましてから、今日まで引揚げて参りました方々の数について御報告申し上げます。 ナホトカからは六月に四隻、人数は八千人、七月には九隻、一万八千二人、九月には九隻、一万七千四百人が帰つております。合計は三十一隻でございまして、総数は六万一千四百二名となつておるのであります。 次に樺太からは六月に一隻、二千二百四十五名、それから七月に二隻、二千四百六十六名、合計三隻でございまして、人数は四千七百十一名でございます。それから大連から中共地区及び大連地区に残留しておりました邦人が、九月、十月にそれぞれ一隻ずつ舞鶴に入港しております。九月には一隻で人数は千百二十七名、これは全部中共地区でございます。それから十月には一隻、千七百三十四名、大部分が大連地区に居住しておつた一般邦人でございまして、合計二千八百六十一名と相なつております。 このうちで特に中共地区の引揚者につきましては、後ほどその概況を御説明申し上げたいと存じますが、ナホトカ及び樺太からの引揚者の状況につきましては、新聞紙上等においてそれぞれ報道せられましたところにおいて、大方国民に知れ渡つておることと思いますが、樺太からの引揚げにつきましては、従来通りの引揚げ風景でございまして、援護局のそれぞれの援護を受けながら、それぞれの定着地に向つております。定着地は開拓地が多いのでございますが、まずバラツクを建てまして、とりあえずそこに入つております。その間家族は函館の寮で待機しております。それで先方での居住の状況が、それぞれ相当準備ができましたときに、家族がそちらに出向いて行く、こういうふうにいたしております。 ナホトカからの引揚げは御承知の通りの状況でございまして、当初、長い間の抑留生活から、国内の状況に非常にうとかつた、あるいは向うでの生活環境から来る影響によりまして、特異の行動が見受けられたのでありますが、その御法制的な措置と相まちまして、まつたくそういう状態が收まりまして、今では平穩にすみやかに郷里にそれぞれ向いつつあるような状況であります。 特に申し上げたいと思いまする点は、中共からの引揚げでございます。この点につきましては、新聞にもそれぞれ報道があつたのでありますが、この機会に少し詳しく御報告を申し上げてみたいと存じます。 九月の末から高砂丸と山澄丸と二隻舞鶴に入つておりますが、高砂丸は全部中共地区でございまして、男子が四百二十四名、女子が四百五十二名、子供が男の子が百十九名、女の子が百二十九名でございます。それから山澄丸、これは第二回目に入つた船でございますが、男子が五百七十五名、女子が六百十五名、男の子が二百六十七名、女の子が二百七十七名、総員千七百三十四名でございます。山澄丸の引揚者の中で、大部分は大連地区に残留していた一般邦人でございますが、そのうち百十五名は中共地区から引揚げたものであります。大分前に大連地区に入つておりまして。今度一緒に帰つて来た、こういう状況になつております。帰つて来た人の内訳を見ますと、病弱者が多い。また子供をたくさんかかえている婦人が多いという状況でございまして、その他は中共の建設にあまり役に立たない人だけを帰したのではないかと思われるのであります。これは中共から帰つた人につきまして、いろいろ引揚げのときにどういう人が選ばれたか、あるいはその状況をつぶさに伺つてみますと、異口同音にそういうことを申しているのであります。従いまして今回帰つて来た者の中には、相当病弱者が多いのでございます。なお指名されない、帰るときに選に漏れた人が引揚げを聞き伝えまして、奉天に集まつたようなこともあつたようでありますが、こういう方々はいわゆる不半分子として鶴岡炭鉱、これは満洲の北の方にありますが、ここに送られたというような悲劇もあつたと言われております。選定は東北政府、それから省と特別市には外僑管理委員会というのがございまして、そこで引揚げのことをやつているようでありますが、各人の選定につきましては、そこに働いている日本人の職員によつて、いろいろな調査及び選定が行われたようであります。 この引揚げの経過につきましては、非常に急であつたようでありまして、本年の六月二十七日に東北中共の政府から、突然日本に帰すという通知が各人に示達せられまして、引揚者は十分の帰国の準備をするひまもなく、それぞれ翌日各地に集結いたしました。それから奉天に集まり、大連に送られた、こういう状況でございます。大連では相当長期間にわたつて——八十日間滯留したのでありますが、その間四十日間は強制作業、他は学習と申しまして、青年には四時間、一般の人には二時間、マルクス、レーニン主義の基礎理論と、日本の国情についての講義を受けたようであります。それから收容所内での食事は相当おそまつであつたようでありまして、その結果栄養失調に陷つている者が相当多いのであります。但し、大連には一般邦人が居住しておりますので、その一般邦人は非常に親切に、いろいろ慰問あるいは慰労をしてくれたようであります。 なお引揚者から聞きますと、今回中共から引揚げたいきさつにつきましては、これは中共の政府が帰すのだということを、向うの当局者が語つておつたということを言つておりました。多分国際的な情勢からの措置であろう、こういうことを申しております。もつとも引揚げにつきましては、ソ連から配船の通告がありまして、中共から通知があつたのではないのであります。ソ連が間に入りまして、連合軍司令部に対しまして配船の通告があつたのであります。 残留者の状況につきましては、数字につきましては、今いろいろ調べてはおられまするが、大部分が政府に留用になつているもののようであります。但し物価が高いために、その俸給だけではなかなか生活が困難のようでありまして、食事をするだけで、せい一ぱいということのようであります。 なお終戰当時奧地におつたような人々が、それぞれ都会地に集結する場合に、途中で力盡きまして、その家庭においておせわになつておるという女の方が相当あるようであります。また捨子、孤子等で満洲人の家庭に養育されている者も相当あるようであります。これらの婦人の中には、すでに入籍の手続をとつている者も少くないようであります。しかし少数の者を除きましては、いずれも引揚げの日を待ちこがれているという状況のようであります。但し今回引揚げて来た人からの話、その他の状況から判断いたしますると、單に本人希望だけの引揚げということは、非常に困難のようでありまして、現地政府からの強い命令がない限りは、引揚げの機会をつかむことは容易ではないように判断されるのであります。 なお現地に残留しておりまする邦人の一つの楽しみは、日本内地からのラジオ放送だそうであります。通信が、今日正式には全然許されておりませんので、ラジオを通じて国内の状況を知る、それを非常に楽しみにしておるということであります。 次に今度帰つて参りました方々の健康状態でございますが、先ほど申し上げました通り、概して病弱者が多いのでございますが、そのうちで入院した患者が百六十四名でございます。入院をしないけれども、病人としていろいろ措置を受けました者が三百二十七名、合計四百九十一名と相なつております。この入院した患者の中でも、結核が半分以上でございます。結核患者が相当多数あるのでございます。もつともこれにつきましては、十六歳以上の男子、女子全部につきまして結核の検診をいたしまして、所見者につきまして兆候を認められるものにつきましては、それぞれ入院をさせる、あるいは今後の注意を與えるということをいたしております。それから栄養状態が非常に惡いので、舞鶴援護局に滯在期間中、いろいろとビタミン食を與えたりなどいたして、栄養の補給に努めた次第でございます。なお現地の状況から判断いたしまして、いわゆる性病の罹患者が相当あると思われるので、この点につきましては、特に念を入れまして検査もし、また相談にも応じまして、今後帰郷した後におきましても、こういつた方針で治療するようにということを、詳しく本人にも指導いたしまして、病人と認められたものにつきましては、本人の病状を書きました書類を各県庁に送付をいたしまして、それに基いて措置をするように手配をいたしておる次第でございます。 なお今後舞鶴に着いた中共からの引揚者は、こういつたぐあいで、従来の引揚者とは非常に違つた樣子を持つておりますので、各人ごとに詳細な調査をいたしまして、それを一応集計いたしてみたのであります。その各人ごとの調査表は各県別にそれぞれれまとめまして、それを各県に送つてやりました。その調査表に基いて県が特別の援護措置を講ずるようにいたしておる次第でございます。その全体の数字をとりまとめましたのが、お手元に差上げました表でございますが、これによりますると、われわれが心配したよりも以上に、援護者の点につきましては状況が良好でございます。ここにほんとうの行先のないというものは、わずか六名でありまして、あとは全部援護者がありまして、それぞれ行先地に落ちついたような次第であります。 帰郷後の生活方針につきましては、こういう状況でございますので、引揚者は相当心配をいたしております。持物といつても、そう持つておりませんし、こういつた国内の状況でありますので、この点につきましては、本省からさつそく地方庁に詳細な通知をいたしまして、今度の引揚者の特殊性にかんがみまして、いろいろの支給物品はすみやかに支給するように、生活保護法等の援護の手続もすみやかに行うように、また母子家庭が多いという点から見まして、母子寮であるとか、保育所であるとか、あるいはその他の兒童福祉施設の利用については、積極的に特別の措置を講じなければならぬという点、あるいは学齢兒童の就学あつせんの点、あるいは病人に対する措置の点等につきまして、積極的に都道府県市町村が援護の手を差延べるように指示をいたしたのであります。 なお大連地区からの引揚者につきましては、これは高砂丸の引揚者とはよほど状況が違つておるようでございます。一人当り二個ないし三個ぐらいの荷物を持つておるようであります。服装、装具、持物等から判断いたしまして、また栄養状態から見まして、大連でも相当の生活をしておつたのじやないか、こう判断されるのであります。女の方はたいてい七、八十パーセントが時計、指輪、首飾りを持つておられるようであります。相当いい状態でお帰りになつているようであります。病人も入院患者はわずか二十一名でございます。もつとも付添が三十五名ございますが、病人は二十一名で、高砂丸に比較しましては、健康状態は非常に良好のように判断されるのであります。 以上概要を申し上げましたが、あまり長くなりますので、また後ほど御質問に応じ申し上げます。
○玉置委員 ごく簡單にお伺いいたしますが、援護の手を差延べるように指示をされたということでありますが、この援護の方法は、応急援護と恒久援護があるわけでございます。さしあたり手を差延べられた指示というものは、応急援護でありますか、それとも恒久的な援護の件でありますか、その点をお伺いしたいのであります。 次は中共地区に在留する邦人の数というものは、おそらく実体はつかめないだろうと思いますが、しかしこうした引揚者について調査せられたことと思いますので、いまだ中共地区にどれだけの邦人が、男女別、あるいは一般邦人、かつての軍人等の別によつて、数字の想像される点がありますれば、その点をお伺いいたしたい。 それから中共地区からの引揚げの促進に対して、いかなる手段をとつておられるか。さらにまたこれと関連いたしまして、ソ連地区の在留者は、当時ソ連側の発表されたところによりますと、九万六千余人でございます。これはもちろんかつての軍人を主としてあげられた数のように、当時伝えられておりましたが、その後政府としてソ連在留者に対して、何か正確な数字をつかむ方法として手を打たれたかどうか。今日なおどのくらいの邦人が在留しておるように思われるか、それらの点についてまずお伺いしたいと思います。
○田邊説明員 援護の面につきまして、私の方からお答え申し上げます。 中共地区引揚者に対する援護は、今お話の通り応急援護と定着援護と両方ございますが、これは両面にわたつて手厚く援護するようにという通牒を出したのでございます。応急援護と申しますのは、とりあえずの応急家財と申しますか、落ちついてすぐいりますなべ、かまその他いろいろの家財、それから越冬用寢具、これを支給いたすことになつておりますが、こういつたものを至急支給するように、また定着援護の方面では、まず第一に住宅でございます。これは先ほど申し上げました通り、それぞれ縁故者がございますので、そこに落ちつくとは思いますが、本年度政府におきましては、外地から引揚げて来ました無縁故者、つまり全然縁故のない方々のために住宅を建てております。各県にこれは新設ないしは既存住宅の転用によりまして整備いたしておりますので、その施設には優先的にこういう方を入れるようにという指示を出しております。それから生活保護法につきましては、相当該当者が多いと思われますので、ただちに積極的に国の方からその措置をとるようにということを指示しております。その他就職の問題であるとか、あるいは今後の生業ないし事業を始める問題が残つておりますが、この問題につきましては、従前とも労働省とも緊密に連絡をとりまして、就職あつせん等、それから国民金融公庫を中心とする資金の貸出しという点について、おせわいたしておるのであります。ことに国民金融公庫の資金の貸出しにつきましては、申込みによりまして、資金の共給が非常に不足しておる現状から考えまして、至急この資金を増額するように、いろいろと努力をいたしておるのでありまして、本年度におきまして、ある程度補正予算においてこの金額を増加するように、財務当局ともいろいろ相談もし、手続を進めておるような次第でございます。 残留者等の数字の問題につきましては、外務省の方からお答え申し上げます。
○武野説明員 ただいま最初の御質問にございましたように、中共地域在留邦人数の想像した、あるいは帰還者からいろいろ情報を集めた結果の数字について、何らかの情報はないか、こう申されております。それに関しまして、われわれの方もいろいろ苦心して情報を集めまして、その数字も、従来発表しておりました約六万を若干上まわつておりますあの数字は、われわれの方が情報として得たところ、まさにその通りでございます。中共地域に残留する邦人引揚げ促進の手段につきましては、全国民並びに政府当局格段の苦心をいたしておりますが、今回のように、中共政権がみずからの意思に基きまして、たとい病弱者にせよ、あるいは若干建設に協力しない、したがらないという意思の者も含めまして、こうした送出を始めましたことは、先ほど援護局長からの御説明もございましたように、いろいろな国際関係からの考慮かと思いますか、われわれといたしましては、とにかく今後の第二次、第三次引揚げの糸口をなすものだと信じております。 この引揚げにつきましては、奉天で千百二十七名の者が各地域から集まりまして、そこで編隊を組んで大連に向けて出発するその前日に、中共当局の張安博という方が、従来の労苦を多とせられつつも、諸君が今度は中共政権の自主的な送還の第一陣をなすものだという意味の言葉をのべたそうであります。また旅大の海口検疫所におきまして、いろいろ学習を受け、いろいろのせわを受けていた間にも、そういつた中共当局の意思が発表されたそうであります。従いまして、促進というものにつきまして、日本側の措置はもとよりでありますが、中共側においても、その段取りができて来たというふうに、われわれは見てもいいのではないかという状況でございます。と申しますのは、御承知のように、華北の人民政府においても、日本人で自費でもつて帰れる資力があり、また日本において扶養家族が相当あるという個人的なやむを得ない事情があると認められた場合、また華北政権が特に留用しなければならないという絶対的の必要のある人物以外においては、その人物の個人的申請に対して、出国証明を與えている実情でございます。これは去る七月の中句並びに九月に帰つて参りました十何名かの人たちによつて、もたらされた情報でありまして、現在も北京、天律には、それを上まわる数の、すでに出国証明をもらつた人たちが残留している、こういう情報もございます。現在中共政権においても、日本人の送還という問題につきましては、各般の考慮から、送り帰したいというものも相当マークされているのではないかと考えられます。また事情においては、ただちにマークされ得るような態勢にあるのではないかと想像されます。日本側といたしましては、現在総司令部を通じて、この中共地域に残留する日本人の帰還促進につきまして、お願いをするほかはございません。総司令部といたしましても、おそらくは中共政権が現在国際的な人格を、特別なソ連あるいは一、二の国を除いては、いまだ認めておらぬ、こういう情勢にございまして、中共政権とただちに接触してそうということはできないと思います。従つて大連におきます高砂丸の送還に見られましたように、送出から、とにかく大連におけるせわから、船長に対する引渡しというところまで中共側の手でこれを行う。ソ連はそうした中共側の送出についての援助と申しますか、あつせんの労をとる。今度の形ではそうなつております。以上その送出の手続については、われわれが引揚者から得た情報でございますので、その確実性につきましては、私がここで断言することはできません。しかし、もしそういつた情報が事実でありますならば、今後の引揚げという問題につきまして、やはりソ連が援助してくれるということになつて、中共地域の方から、かなりの人たちが帰れるのではないかとこう考えております。 それからソ連地区に残留する九万五千の俘虜を今年十一月までに帰すという問題は、いろいろございまして、その御質問につきまして、どの程度まで私ここで御満足の行くように言えるか、その点は疑問でございますが、私どもといたしまして、あるいは政府といたしまして、日本政府がこの残留数について発表したことはございません。われわれが引用しております数字は総司令部の発表の数字を用いているわけでありまして、この点については、ひとつはつきりとした御認識をもつていただきたい。もちろん御承知と思いますが、もう一度私の方の立場といたしまして申し上げたい。 それから九万五千の数も、当時五月の二十日でございましたか、あれはタスを通じて発表せられた数字でございまして、日本政府といたしまして、総司令部からソ連政府が正式に回答して来た数字である、あるいは発表して来たことであるとかいう形で、われわれに連絡された数字ではございません。一にソ連政府の新聞報道、こういうふうに考えておりますので、われわれといたしましてこれを正式に根拠として云々することはできない、私どもはそう考えております。この発表がございまして、ただちに政府といたしましては、総司令部を通じソ連政府に、この九万五千の問題に関連いたしましてソ連政府に照会していただきたいという意味のお願いをしたことはもちろんでございます。しかしながらソ連政府からは、この数字その他残留数、死亡者の数、行方不明の数、こういつた数字は、一度も正式に発表を受けておりませんので、従いまして数の問題におきまする御質問に対しましては、ここでただちにそれを取上げることはできないということを、ひとつ御承知願いたいと思います。
○中山委員長 私ちよつとここで言葉をはさませていただきます。これは超党派的に、帰つて来た人から聞いたことを申し上げるのでございますから、そのおつもりでお聞取り願いたいのでございます。私九月の二十九日に舞鶴へ参りまして、中共からの引揚者のお方々を、特に御婦人が多いというので迎えに行つて参りました。朝、二箱の車でもつて大阪府、奈良県へお帰りの方々にもごあいさつを申し上げました。今度の引揚者は七月の引揚者と違いまして、非常な深刻な問題を持つて帰つて来ております。すでに八箇月になつておる人の妊娠中絶もした。十何件かの妊娠中絶も行われておりますし、中国人の子供を抱いて帰つて来た婦人、その人の夫が迎えに来て、家庭的な悲劇の幕が繰り拡げられるとか、また日本人の子供ではありますけれども、夫の子でない子を抱いて、そうしてほんとうの夫の子供二人と引揚げて帰つて来た。その子供を処理しない限りは、妻と自分の二人の子供も引取らないというような、実に悲惨な状態でございまして、七月の引揚者は実に勢いのいい引揚者でございましたけれども、今度は日の丸の旗こそ立てて下船して参りましたけれども、そういうふうな、いつになつたら解決がつくかというような問題ばかりを持つておられるのを見て、ことに女としてそぞろ胸うたれるものがあつたのでございます。帰りに汽車の中では、満鉄の局長をしていらりしやいました関さん、向うの鉱山監督局長とかをしていらつしやいまして、三十年中国におつたという大西さんというお二人の方、この奥さまと私京都まで御一緒して参りましたのでございますが、このお方々のお話を聞きますと、朝立つ命令が出て、晩の五時にはもう汽車に乘つてしまつたので、ほとんど持つ物もない。この三日に引揚げて参りました引揚者の人たちは、千百トンの荷物を持つて帰つて来る。一人当り六箇ほどの荷物がある。荷揚げだけでもたいへんです。しかし今度の人はほとんど小さいふろしきぐらいしか持つて帰つておりませんが、その満鉄の局長をしていらつしやいました関さんのお話では今度帰つて来た人は、さつきお話もございましたが、病弱者——性病は比較的少い、しかし胸の病を持つて帰つて来た人が大部分です。からだの弱い人、女、子供、特にその中には八十才になるおばあさんも帰つて来ていらつしやいました。私はその方々をお慰問して参りましたのでございますが、その関さんのお話によりますと、今後どうしたならば中共の人々が早く帰れるでしようか、これまで私たちはソ連の関係だけを考えておりましたが、こうして思わず中共から引揚げをいただいたのですが、どうしたらこの促進ができるでしようかと言つて質問しましたところ、関さんのお答えは、共産党の野坂參三先生が中共の方にわたりをつけて、そうして何とか手を打つてくださつたならば、それが一番理想的に御一緒であるから、早いのではないかというふうに、私ども中共に残留しておりました者はみんなそう考えております、こういうことを聞かせていただきましたので、もしできることならば、そういう面からも私は手を打つていただきたい、こういうことを考えておりますような次第でございます。まことにみじめなほんとうに何とも言えない気持をもつて、私はこの人たちと帰つて参りました。どうぞひとつ援護局におかれましても、こういう人たちに対して一日も早く明るい見通しをつけていただきたい。 もう一つ七月に、私がお迎えに行つたときの京都の染物工の話をここでいたしまして、皆樣方に御認識いただき、いろいろな方面で御援助が願いたいと申し上げましたが、その人は、向うのソ同盟の方の政治形態が一番いいんだと言つておられました。なぜですかと言いましたら、持てる国のアメリカすらも失業者がある。むろん日本にも失業者があるだろう。ソ同盟においては失業はないのだから、この政治形態がわれわれは一番いいと思う。企業整備にかかつて、自分の父は長い間ののれんをとられた。あす自分が京都に着いて、これからどうして行きて行くかということが問題だ、失業ということが一番苦痛だ、だからどうぞ日本の政治形態をりつぱにしようと思うならば、失業者をなくしてくれ、ことに引揚者に対するこのお仕事のおせわが一番大事でないかと自分は考える。こう言われまして、私もいろいろお話をいたしましたが、感無量のところがあつたような次第でございます。もう一つ渡航課長の武野さんにお伺いいたしたいのですが、今度私が三十日に参りましたときに、相談部で伺つた問題でありますが、沖繩の人であります。この人は今度引揚げて帰つて参りましたが、このまままつすぐ自分の国へ帰れば帰られる。しかし、その家族がどこにおるかということが問題になる。一ぺん帰つてしまえば、また出て来ることはできないのだから、もし家族が内地に疎開して来ておる場合には、家族との会合が非常にむずかしくなる。だからその点に対して、何とか家族のありかをぜひ知せてもらいたい。こういうことは、どうしたらいいであろうか、向うにいらつしやる連合軍の方々が、それを探すことに同調してやるという話は聞いたけれども、いよいよそれをいつ実現していただけるか。自分は引揚げていつまでも待つているわけにはいかないのだから、その点を東京に帰つたならば、ぜひひとつ促進して、家族のありかを探す方法を講じてもらつてくれ、こういう御相談にあずかつて参りましたので、渡航課長にその方の問題に関連があると思いますので、何とかそれをお聞かせいただきたいと思います。
○田邊説明員 沖繩出身の復員者が、舞鶴に上りましたときの措置がどうなつておるかと申しますと、これは引揚げに関する基本指令によりますると、そのまま佐世保に送還いたしまして、佐世保から沖繩に送還する。これは強制送還と言つておりますが、そういう建前になつております、ところが沖繩出身の方の中には、向うに帰つて、はたして家族ないしは身寄りがおられるかどうか、あるいは近親者が内地に残留しておられるか、それがはつきりしない方が相当多いのであります。従いまして、こういう方々の御希望といたしましては、その状況が判明するまで舞鶴に置いてほしいということと、それから一定期間残留している間に、そのことの調査をいたしたい、どつちかということを一応調査してから、向うに帰るか、国内に残留するかということをきめたい、こういう御希望があつたのであります。ことに各府県からは駐在員が舞鶴に派遣されておりまして、いろいろ引揚者の方々の御相談に応じております。ところが沖繩には、御承知の通り県がありませんので、沖繩出身の復員者に対して、いろいろ相談相手になる沖繩県の方は、今おられないわけであります。従いまして、何とかそういう方を舞鶴援護局に入れましていろいろ御心配をし、いろいろごめんどうを見てあげたい、こういうふうに沖繩県関係の連盟の方から御希望がありましたので、私どもといたしましては、まず第一に一定期間舞鶴に滯在するという点につきましては、二月ぐらいそのまま舞鶴に滯在することを認めるようにしなければならない、そういうふうにいたしております。それからその間にいろいろ本人の御依頼に応じ、その家族、親戚等を調査する方といたしまして、舞鶴援護局の職員として沖繩県の連盟の推薦する方を採用いたしまして、沖繩は県がありませんので、その代行を政府がしようというわけでございます。そういう希望がありましたので、正式に舞鶴局の職員に採用しておせわを申し上げるようにいたしたいということで人選を依頼しております。近いうちに決定を見るだろうと思います。 なお沖繩県出身の復員者の中で、内地に親戚、身寄り、留守家族のおられる方々に対しましては、そういう方々から一般の家族の方々と同樣に、舞鶴の留守宅通信というものを出すことがかんじんじやないか。まず舞鶴援護局に帰つたときに見るものは、留守宅からの通信でございますので、留守宅からの通信が舞鶴援護局に来ておりますものを見せれば、それでいずれに帰るべきかという判定がつくわけでございます。それでその趣旨を各府県に徹底するようにすることが必要でございますので、沖繩連盟の方から、各府県にその趣旨を十分徹底するように、その処置をとつておる次第でございます。先ほど委員長のお話になりましたような点につきましても、もし舞鶴に御相談相手になる方がございませんければ、沖繩連盟ないしは大阪にその支部がございますので、そこが中心となつて留守家族の方を御調査申し上げるようにいたしておる次第でございます。
○中山委員長 ここで援護庁の関係の方々に、この委員会として感謝の意を表したいと思いますのは、御自分の仕事をしておつたらいいというのが、大体の世間一般の考えでございますけれども、平の援護局に働いていてくださいます方々は、実に徹底した同胞愛に燃えて活動していてくださいます。お話を聞かせていただきましたところ、荷物を揚げるところにその作業人夫がいないとき、この援護次長さんがお呼びかけになりましたところが、援護庁の職員全部が埠頭に走つて行つて、引揚者の荷物を、相当の道がございますのに、持つて行つてくれた。ここの人たちはよく働いてくれるということを聞かせていただきましたときに、私はほんとうに感謝の気持に滿ちました次第でございます。この委員会として、どうぞその線に沿つて非常に感謝しておるということを、向うに御取次くださいますように、ここに私は皆さま方にこれを御報告申し上げまして、援護陣の健在をここに表明したいと思います。
○佐々木(盛)委員 二、三お聞きしたいのであります。中共地区からの引揚げはもとより、他の地区からの引揚げも同樣でありますけれども、マツカーサー司令部を通じて懇請する以外にないことはわかつておりますが、従来中共地区からの引揚げを懇請するときには、総司令部を通じて、おそらくはソ連の政府に伝達方をお願いされておつたのじやなかろうかと思います。今までその交渉する相手方が、今言つたようなことであつたかどうか。それからまだ中共政権というものは、一般には承認されておりませんけれども、ソ連あたりは承認をしておるわけでありますから、ソ連から言うならば、国際的な人格を持つておると言うことが言い得ると思います。そこで今後の中共地区からの引揚げといことが、おそらく第一次に引続いて行われるのではないかということは、今日の国際環境から申しまして、想像し得るところでありますが、逆にもう中共政権というものができたのだから、おれのところは関知するところではないということを、ソビエト政府の方で言つて来たという場合におきましては、どこを対象として引揚げ問題を交渉するかというような点につきまして、外務当局の御見解を求めたいと思います。 それから次には、政治教育と申しまするか、共産主義の教育というものが、先ほどのお話によりますと、大連地区に結集してから後滯留している期間に、一日に数時間ずつ行われたという話でありまするが、奧地におりますときにも別に手放しに放任したわけではないと思います。どういうふうな政治教育をやつておるものか、また引揚げて来られた人々の思想的な傾向というものについておわかりの点がありましたなれば、お知らせを願いたいと思います。 それから、これは別に共産主義教育とは全然関係ないわけでありまするが、中共地区におきまする日本人の子弟の教育、学校教育というようなものは、どんな状態になつておるのか。日本人の間で何か自治的なものがつくられて、そこで学校教育をやつておるものかどうかというような点につきてましても御説明願いたいと思います。 それから全然別箇の話でありまするが、先ほど性病に対する対策の遺憾なきを期しておるというようなお話でありましたが、引揚げて来たときの上陸地における検診というようなことについても、強制検診というようなことが行われておるのかどうかということにつきまして、任意によるところの届出主議であつたのでは、かなり隱れたものがあると思うのでありまして、むしろこういうものについては、強制的な検診も必要ではなかろうかとわれわれは考えるわけであります。これに対する実情並ひに御見解を伺いたいと思います。
○武野説明員 一番最初の御質問の中共政権を対象とする交渉の問題という点につきまして、私どもといたしましては、最も単純な答えではございますが、総司令部を通じ、総司令部を頼つてお願いするということしか申し上げられないと思います。 それから政治教育の問題でありますが、実は大連地区におきまする山澄丸の引揚者の話を情報としてお伝えいたしますと、日本人、中国人一樣に、この学習は行われているそうでございます。むしろ中国人は、大連地区においては、さらに学習の強さが日本人よりも強いということを言つておりました。 それから奧地におきまする思想教育と申しますと、やはり引揚者の一情報でございますが、いわゆる民主連盟というものの組織で、日本人の共産系の指導者、この民主グループが非常にこういつた共産教育の浸透に努力しておる、一段と努力しておる。この民主グループが当初非常な勢いで日本人に接し、いろいろ御承知の告白をさせる。つるし上げといつたような問題で非常に活躍したそうでございまして、むしろその行き過ぎが中共政権の幹部からたしなめられまして、行き過ぎは少しやめいというようなことで、日本人の思想教育におきましては、一応そういう民主グループが奧地では非常に積極的な役割を占めていた、こういうことを一情報としてわれわれは聞いております。
○田邊説明員 現地におきまする邦人の子供の教育の問題でございますが、大きな都会には、日本人の子供を、專門とする小学校があるようでございます。但し教師及び教材が不足いたしております。関係から、教育の内容程度は非常に低いのでございます。しかしそこでの共産主義の教育というものは、相当徹底して行われておるようであります。それで両親たちはその点も非常に心配をしておるように伺つております。 なお現地におきまする共産主義の教育という御質問でございますが、日本人だけの組織というものは、原則として中共では認めておらぬようであります。但し例外的にハルピン、瀋陽では、民主青年連盟と称する左翼団体がいまだに存在、活躍しておるようであります。原則としては、日本人だけの組織というのは、民族平等の見地から認められてはおらないようであります。但し日本人に対する社会教育の機関紙といたしまして、日本字の民主新聞というものが発行せられておるようであります。現在では三千部ほど発行せられておるということでございますが、帰つて来た人の話では、自分たちはそういう記事の内容は必ずしも信じていなかつたということを言つております。どの程度までそれが普及徹底されておるか、その点は秘密でございますが、現在教育機関紙としてそのような状況でございます。 それから最後に性病の点でございますが、先ほど私が申し上げましたのは、強制検診という意味ではなかつたのであります。これは法規の建前から、強制検診はできないのであります。できるだけ自主的に先方より相談を申し出るように仕向けまして、相談指導といたしまして、病気の発見と治療に努めておるような状況でございます。その中でも、ばい毒につきましては井出反応を行いまして、その結果病気と認められるものに対しましては、それぞれ相談をいたしまして、そのうち特に必要と認められるものにつきましては、病院に送還するという措置をいたしたものもあるのであります。それから淋疾につきましては、これは向うの梯団長に話をいたしまして、あなた方の方の考えで、こういう方々にはいろいろ従来の職業その他の関係から病気が多いと思われる人については、援護局の医療係の方に相談に出向くように指導していただきたいということを申し出ました。先方で選定をせられまして、こちらに七十人ばかりの昔のダンサーとか女優みたいのを差向けてよこしたのですが、これも強制検診ができなかつた関係から、全部についてそういつて措置をとることができなかつたのでありますが、相談をいたしましたものについては、先ほど申し上げましたような施療上の指導等を與えたのであります。なお先ほど委員長からお話のありました妊娠中の婦人は十六名ございましたが、そのうち五名の方は正式に結婚をされて夫のある方であります。他の十一名については正式結婚によらざる妊娠者でございます。希望に応じまして人口分娩の措置をいたしたような状態でございます。なお性病の点については今後の国内への影響が相当大きいのでございますので、特に念を入れて調べたのでありますが、山澄丸は高砂丸とまつたく状況が違いまして、そういつた懸念はなかつたのであります。
○玉置委員 援護局長にお伺いしますが、今回引揚げられた同胞の方々で、縁故者と無縁故者の比率を一応伺いたい。 それから援護の点でありますが、応急援護については私第五国会の劈頭に引揚げ現地について調査いたしましたところが、大体において遺憾なきを期しておられるように見まして、政府としての措置に対して非常に私は満足したのでございますが、当時も申し上げましたように、恒久的すなわち定着援護の点になりますと、非常に行き届いていないものがあるのであります。もちろん今日のドツジ・ラインによる均衡予算編成の関係上、予算が非常にきゆうくつになつておりますので、そうした予算を獲得する面においても、お骨折だろうとは思いますけれども、これをただ北海道の例をとつて見ましても、今日約四千戸ぐらいの住宅を建設しなければならない、これに対する建設費用としても約五億円くらいは要るのじやないかということで、道庁並びに援護局等では、政府に対して、この予算の要求をしておつたはずであります。しかしながらこれがとうてい満足するような予算の配分は得られない状態でありまして、今日なお前に引揚げて来た無縁故の方々、あるいは町村に配分された定着する人方におきましても、相当まだ悲惨な生活をしておるのがあるはずであります。これらに対して速急に住宅の建設をして生活の安定を得しめる、少くとも明るい気分で再出発をさせる必要があると思いますが、遺憾ながらこれが満足に行つていないわけであります。こういうものに対して、政府としては一体どういうような措置をとつたらよいか、また全国的に見て住宅の足らない数がどのくらいあるか、こういう点をお伺いしたい。 その次は、先ほど申し上げましたように、応急援護の点においては、船から上陸いたしますと、衣類、薬品、あるいは化粧品、この他茶菓等に至るまでも、非常に行き届いた施設ができておりますので、上陸したとたんは、非常に喜んでおるわけであります。これは帰つて来てよかつたと喜んでおるのでありますが、さて各施設に配分されて定着の面になりますと、そうした予算関係において、なかなか満足するというような状況に至らないわけであります。できることならば、この定着の第一歩において、一歩進めてもう少し身のまわり品、家財道具も持たない者に対して、ある程度の家財道具も必要じやないかと思いますが、そうした面についてだれだけの考慮が携われておるか、こういうことを伺いしたいのであります。 それから先ほど佐々木委員からも御質問がありましたが、これに対してまだはつきりした御答弁はないようであります。外務省の武野課長にお伺いするのですが、中共地区に在留する邦人の引揚げ促進の手を、いかなる方法によつてやるか、また現在までにどういうような方法で促進について考慮を携われておるか。さらにまたソ連地区に在留する邦人の引揚げ促進に対しても、先ほどちよつと触れてはおられましたが、引続き総司令部を通じて間断なき努力を拂われておるかどうか、こういう点を、お伺いしたいのであります。
○田邊説明員 引揚者の定着援護の中でも、特に住宅問題が最も緊急解決を迫られておる問題であるとすれば、この問題については、第二国会で二十万戸の引揚者住宅の建設の強い決議がなされたのでございます。その後引揚同胞対策審議会におきましては、その二十万戸の住宅建設の問題の中で、建設省は一般の引揚者の住宅建設をやる、引揚者の中でも内地に身寄りのない無縁故者につきましては、引揚援護庁で住宅援護措置をするということをきめられて、それぞれ引揚げ決議が行われたのでありますが、今日におきまして措置いたしました数字は、そのごく一部分でございまして、お話の通りまだ住宅として措置しなければならぬものが相当残つておると思います。実は今年の七月六日に、厚生省の引揚援護庁で担当するという住宅の数を調べたものでありますが、その数は六十一万以上になつております。その中でも特に都道府県知事が緊急に住宅を與えなければ、援護の十全を期することができないといつて強く要求しておる数が二十四万九千人であります。この措置について、財源その他の制約がございますので、全部について措置をすることがもし困難であるとするならば、とりあえずは十九万人分は何とかしてほしい、こういう要請があつたのであります。それで私どもの方では、それに対しまして二十四年度の当初予算で、四万一千人分の措置をいたしておるのでございます。残りは来年度の予算によつて措置しようということで、目下それぞれ交渉中でございます。しかしこれは来年を待たずに、できれば今年の補正予算ないしは予算の流用によつて、できるだけ措置をいたしたい、こういうことで今しきりと折衝を進めております。 なお、ただいま申し上げました点は、新しく住宅をつくつて行く分でありますが、そのほかになお既存の住宅の補充の問題があるのであります。これは終戰直後、大量に引揚者の方が内地に帰還せられまして、また国内の当時の住宅の状況がきわめて逼迫しておつた関係から、おおむね旧兵舎であるとか、工場であるとかいうようなところにちよつと手入れをして、その後大した措置をしないで今日まで使つて来ておりますので、破損の程度が非常にはなはだしくなつておりまして、私ども、とうていこれでは住宅と言えないものがたくさんあるような状況でございます。この際そういつた施設も十分——十分と申しましても、完全とは申せませんが、できるだけ住宅らしいものに整備いたして、今後そこに定着して更生の基礎にするようにいたしたいということで、その集団の費用につきましても、目下財務当局に交渉中でございます。何とか本年度内に、こういつた方面についても措置をしたいとせつかく努力中でございます。 それから定着後の家財道具を何とかやれないかというお話でございますが、これはその趣旨によつて応急に必要なものを、大体一世帶千円程度でございますが、差上げているような状況でございます。まことにわずかばかりで、われわれも増額は希望いたしておるのでありますが、なかなか困難な状況でございます。しかし県、町村に参りますると、各方面に引揚げに対する国民の理解と援助が深まつて参りました関係から、引揚げ援護愛の運動の一環ともいたしまして、いろいろと、ふとんであるとか、あるいはその他の物品を支給してくれる向きがだんだんと多くなつて来ているようでございます。樺太からの無縁故者が東北その他いろいろの地方に移つたり、あるいは徳島県あたりへ行つたその事例を聞きますと、地元で相当の援助をいたしておるようでございます。今後ともこういつた方面につきましては、府県を通じ、市町村を通じ、一般国民の方に御援助、御協力をお願いしたい、こういうふうに思つております。
○武野説明員 先ほどから再度御質問をいただきました中共地域からの促進の点について、いかなる方法を講じて来たか、あるいは今後また講ぜんとするかという問題になりますと、また先ほどの回答を繰返すほかないのでございますが、従来満洲に、おきましては、中央軍と中共軍が対立しておりましたあの熾烈な間にも、政府といたしましては総司令部を通じまして、国民党関係の地域からの送還につきまして非常な努力をいたしました。その結果、国民党政府の管下におきまする引揚げは、ほとんどわれわれの要請通りに参つて参りました。中共の占領によつて、国民党の留用者がそのまま中共は留用されるということに、若干はなつておるようでありますが、今後あるいは現在までも政府といたしましては、司令部にできるだけわれわれの得まする情報の正確なものを差上げまして、そうして司令部を通じ、あるいは司令部の各段のお骨折をいただきまして、中共側に通ずるように関係国との間に折衝してもらうというほかはないのであります。ソ連におきまする残留者につきましても、数年来もみにもんだ引揚げ問題でもございまして、政府側といたしましては、これまたナホトカ関係の引揚者の情報をできるだけ正確なものをつかみまして、司令部の方に連絡し、司令部の御盡力を期待しておるというわけでございます。ただいまのところ、どういう名案があるかということは、私どもここでお答えすることはできません。そういう名案がありましたら、御指示を願いたいと思います。
○佐々木(盛)委員 先ほども外務省の政府委員の方に質問をいたしましたが、きわめて不満足な回答でありましたので、あとで懇談的にお話をしようと思つて保留しておいたのですが、たまたま御答弁になりましたので、この際もう一つお聞きしておきたいのですが、従来は中共地区からの引揚げを総司令部を通じてどこに懇請されておつたか、総司令部はどこを対象にしてこの引揚げ問題を講じておつたのか。特に中共政権が出現して以来、国際関係の上におきましても、相当変化があつたのでありますから、今後はどうなるか。もしそれが中共政権という新しい政権ができたのだから、その中共政権と交渉してくれということになつたときに、一体どういうことになるのかというような点について、お伺いいたしたいと思います。
○武野説明員 非常にむずかしい御質問で、どう答えてよいか。とにかく一国の政府の承認という問題は非常に法律的の問題としてアメリカ政府の根本的な問題でもあると思います。従つて中共政権を相手にどういうふうに実効的な折衝方法があるかという具体的な問題は、今お答えできかねます。
○佐々木(盛)委員 従来はどうだつたのですか。
○武野説明員 従来は中共との関係は司令部を通じ、中国政府に連絡してもらう、結局中国政府の実力の問題になるわけです。中国政府の勢力下に中共地域が入れば、そこからただちに帰るというぐあいに、総司令部を通じ、中国政府にお願いしていたということになるわけです。
○佐々木(盛)委員 司令部の方に頼むときにも、相手方のどこの政府に、早く引揚げができるように伝達してもらうという相手方があるわけでしよう。従来はそれをどうしてやつていたわけですかまた今後どこを通じてやられるのですか。
○武野説明員 現実の問題といたしまして、今度のように引揚げが具体的に大連から行われたということが、やはり今後の方法に示唆を與えるものだと思つております。ちよつとこれに対してはすぐに御満足行くようにはできません。
○堤委員 まず第一に委員長にお願い申し上げておきたいと思うのでございます。私は十三日に視察に参りますが、これで五たび正式または非公式に参ることになります。なぜ私が参つておるかと申しますと、引揚げの当初におきましては、衆参両院を初め、援護庁の関係の方がどんどん舞鶴へかけつけるのでございますけれども、帰つて来る人たちは、全部境遇が違うのでございます。こうした点におきましても、国会を代表し、われわれその任に当る者が忠実でなければならない。大きな戰争犠牲者に対するわれわれの一応の務めとして、私は絶えず国会を代表しておるべきであるという信念を持つておりますので、私は非公式に行つたのでありますが、公式な出張がこの海外同胞引揚特別委員会に許されないということは、まことに残念であります。議院運営委員会におきまして、出張が国会閉会中一議員に対して一回しか認められないということは、国庫の都合上、これは理の当然でありますので了といたしますが、特別に設けられました、しかもあの平の沖に帰りますところの引揚者の特別援護に関するわれわれ引揚特別委員会の性質からいたしまして、むしろ、ここで論じているよりも、あの沖合いにおいて、われわれが目を通し耳を通してあそこで手を打たなければならない問題が多いのであります。特別の出張ができるように委員長の手腕をもつて、政府に御交渉あらんことをこの席を通じて切に願うものでございます。なぜならば私費を投じて非公式に現地にお出かけになつた議員は、私たびたび参るのでございますけれども、そうお見受けいたしません。委員長がその責任上二回ばかり行かれましたけれども、他の先生方はお見えになつておらないような事実も、正式に認められないからではないか。また一面から言えば、そう熱心におやりになつていないような気がいたしまして、私は残念に存じます。同時にこの海外同胞引揚特別委員会の召集にいたしましても、長い閉会中に今回が初めてであるということは、はなはだ遺憾に存じますので、委員長の攻撃みたいでまことにすみませんが委員長に抗議を申し入れておきたいと思います。
○中山委員長 一回目ではありません、前に一回やりまして、今度が二回目でございます。そのときあなたは御出席がなかつたと記憶いたしております。
○堤委員 二回でも数が多くないように思います。
○中山委員長 それではこの機会に弁明いたしておきますが、第一回目に委員会を召集いたしました際に、はるばる遠くから来たけれども、大したことはない。これくらいのことならば、委員長において処理いたしてくれないかという御希望の方もございましたので、何か大きな問題にぶつかつたときにやろうと思つておりましたところ、実は横田委員から、八月でございましたかお申出がございました。それをここで申し上げますと、あの政令をはずしてもらいたい。なぜならは共産党の方の出迎えができないような建前になつて不便だからという御意見でございましたけれども、私はこういう回答を差上げておきました。初めに引揚者が帰つて来たときには、政令はなかつた。しかしあの引揚状況がまことに治安を乱すような——私ども実際現地へ行つて見ておりましたが、そういう状況があるので、私はそのときに、むしろあそこへ行くよりも三箇月待とう。その家庭に帰つて、実際を自分で見ていただいて、結論に達していただかなければならぬ。私どもが、国民の税金を使つて行つても、それは大した結果をもたらさない。よく事情を見ていただいた上でお話をした方が、好結果を得るのではないかという結論に達しましたので、私はそういたしました。そうして引揚後二箇月という見出しのもとに新聞紙上におきまして、これは申上げにくい点もございますが、帰つて来た当時は八六%の共産党ばりの人でありましたが、今日では二十何パーセントかになつて来たということを見まして、それで私が三箇月待とうと言つた見込みに対して、はずれはなかつたという結論に達しましたので、私はその後、はじめは皆さん方にお願いして、どなたかに行つていただこという建前をとつておりましたけれども、これは無意味だという結論に達しましたので、そういう処置にいたしました。今度中共地区から引揚げがありまして、女の人がたくさん参りましたので、それを見まして、これはひとつ委員会を召集して、この状況を聞いていただいて、いろいろな対策を立てなければならないという建前で、今日召集いたしましたということでございます。どうぞ私の気持を御了承願います。
○堤委員 委員長個人の御意見は、確かに拜聽いたしますが、どうか委員長として公平に聞いていただきたい。 それでは次に田邊長官に御質問いたしたいと思うのでございます。海外同胞引揚特別委員会が召集されませんので、厚生委員会の席上、あなたがお見えになりましたときに、私は幾多の問題を提出して質疑し、参考意見を申し上げたはずであります。そのうちでも最も私が今日お聞きしたいと思いますことは、この人たちの就職問題であります。帰つて来た人たちの就職状態はどうであるかという質問を、さる九月十四日の厚生委員会で私がいたしましたときの政府側の御答弁によりますならば、今のところ手元に全部は集まつてはおらないけれども、しかし大体十一府県から集まつておるところの情報によれば、三分の二が就職した形にあるというような御報告だつたようにたしか記憶いたします。それから約二十五日間経つておりますので、しかるべきデータをお持ちになつて今日ここにお臨みになつておると思いますので、わが党といたしまして正式に御質問申し上げたいと思うのであります。なぜならば、引揚げて来た人たちの問題は、ただいま委員長が申されましたけれども、健全なる思想も、今後のあり方も、すべて食うか食えぬかにその根拠を持つのであります。私も中山委員長とまつたく同じく、ソ同盟の組織下においては失業者がない、富める国アメリカにおいて五百万の失業者があるということを見たときに、どうしてもソ同盟の組織が世界中で一番いいと信ずるというような引揚者の話を聞きましたときに、特に痛切に感じたのでございまして、政府の方々が一番熱心にこれに予算を投じて、そうして今後の思想の健全を期さなければならないのでございますが。このデータいかんによりましては、私は政府の政策に対するわが党としての検討を加えさせていただきたいと思います。正式の御報告をまず承りたいと思います。
○田邊説明員 先般の厚生委員会におきまして御質問がございまして、私から堤委員にお答え申し上げたのでありますが、そのとき、ただいまのお話ですと、三分の二が就職をしたというふうに御解釈になつたようでありますが、そのときは就職及び自営業に就業した人とを含めて、おおむね三分の二だ、こう申し上げたのであります。その後各府県からの報告がだんだんまとまつておりまするが、現在までのところ全部の府県からまだ参つておらないのでありまして、約十一府県ばかり脱けておりますが、十一府県を除いた府県についての現在まで集まつた数字を申し上げたいと思います。一般邦人と復員者と両方ありますが、特に復員者について申し上げます。各県からの報告によりますと、復員者の総数は一万二千百四十九名となつておりますが、そのうちで自営業についた者、原職に復帰した者、新規就職した者、合計しまして六千七百四十一名と相なつております。そのうちでも特に自営業におきます者が四千百十名と相なつております。従いまして就職終了した者の過半数は自営業についております状況であります。原職復帰、新規就職した者だけで申しますと、その数は約二千八百名程度に相なつておるのであります。現在未就職ないしは未就業の中で、現に休職中である者が三千百八十九名と相なつております。その他病気あるいは状況を見ておる方々でありまして、現在就職しない者の総数は五千四百八名と相なつております。新規引揚者の就職問題は今次引揚者の定着援護上、最も深刻な問題である、従つて最も強力な手を打たなければならぬ問題であるということは、先般開かれました引揚同胞対策審議会における決議にも載つておるのでありますが、その審議会の決議といたしましては、一般失業対策をこの際強力に実施するほかに、引揚者の就職斡旋については、一層職業安所の積極的な活動が望ましいということが決議されておると同時に、今度の引揚者の表面的な言動にとらわれて、これが雇い入れを拒否することがないように、誤解の一掃と、啓蒙指導について政府は適切なる方途を講じなければならぬ、こういう決議がなされたのであります。この点につきましては、さつそく労働省の担当部局に連絡をいたしまして、労働省からも、その点について詳しい指示が各都道府県の主務課に通達されております。なおこの問題につきましては、職業紹介所の機能に頼るということだけでなしに、それぞれの地元において復員者の就職促進について、国民の自主的な援護として、そういつた方面を一層強化していただきたいという希望を、われわれは持つたのでありますが、民生委員等が引揚者の保証人となつて、それぞれ縁故開拓というようなことをやつている向きも相当あるようであります。この点につきましては、引揚者のいわゆる愛の運動というのが全面的に展開されておりますが、その運動の一環として新規引揚者の就職促進の問題に一段と力を入れるようにしていただきたい。これは純然たる国民運動でありますが、そういつた希望をその方面に申出をしておるような次第でございます。しかしながら現在のような就職難の状況でございますし、これだけではとうてい万全を期し得られませんので、引揚援護庁といたしましては、引揚者の失業対策の一環といたしまして、現在引揚者に国民金融公庫を通じて融通しております更生資金の増額ということを、どうしてもこの際やらなければならぬということで、本年度において、この金額を国民金融公庫本来の資金の増資とあわせまして、とりあえず緊急に増額を強く財務当局の方に要望しておるような状況でございます。目下せつかく努力中であります。この点につきましては、この答申にもあります通り、特に今次引揚者の就職難の状況にかんがみ、引揚者の就職対策の一環として、本資金に対する財政支出を増額してやらなければならぬということが書いてありますので、この増額になつた本年度の資金の運用につきましては、本年度新規引揚者を重点として貸し付けるようにいたさなければならぬ、かように考えておる次第であります。
○堤委員 次に今委員長が触れられたのでございますが、私は婦人議員の立場から、特に今日の委員会で問題にしていただきたいと、実は発言を用意しておつたわけでございますが、中共地区より引揚げて参りました婦人の問題でございます。強制的な性病に対する検診は、人権蹂躪という建前からできないという御答弁がありましたごとく、いろいろな問題からみまして、やみからやみに葬られつつあるところの幾多の社会悲劇を持つて帰つた婦人が、非常に多いのでございます。ことに二回私もあちらに参りまして、中山委員長が今日に涙をためて申されましたような、いろいろな悲劇を見たのでございます。武器を持たざる占領下のわれわれ弱い日本人の、ことに女性の立場からでありますが、どこの国も戰争のときには女性の蹂躪ということをやるのだから、ありがちな話だといつて、これを片づけられるということは、国を超越して人道上の重大なる問題であると思うのであります。私はこの中共より引揚げて来ましたところの、ことに自分の意思によらずして妊娠しておつた人、またみずからの意思によらずして拉致され、誘拐され、強制的に貞操を奪われたような、この婦人の方々の問題を、特にこの委員会で取上げて、国会を通じ、さらに全世界に向つて呼びかけ、今後こうした禍根を戰争の渦中において生じないような、国際的な協約でもつくつてもらわなければ、どうも承知できないというような心境に私はなつているのであります。国会内におります婦人の立場から、特に私はこれを叫びたいと思うのであります。 そうしてさらにもう一つ、これを国内の問題として考えましたときに、私は厚生委員をも兼ねておりますが、性病予防につきましては、また弱き母子世帯婦人の擁護につきましては、今日大きな社会問題として取上げられつつありまして、転落いたしました婦人を中心としたところの性病の問題、また残された遺兒の育英の問題など、大きな問題が浮び上つて来るのでありますが、この大きな戰争犠牲者、弱き人たちに対するところの今後の生活の保障について、特に何か政府としてはお考えを持つておいでになるか、一応承りましてまた次の御質問をさせていただきます。
○田邊説明員 引揚援護庁といたしましては、とりあえず今度の中共地区からの引揚者に対する援護の措置につきまして、各都道府県知事に対しまして、先ほど申しましたような内容の指示をいたしたのでありますが、こういつた方々の今後の更生につきましては、一般婦人の問題ないし一般兒童の問題の一環といたしまして、解決をして行かなければならぬではないか、かように考えているのであります。この点につきましては厚生省の内部の問題でありますので、その方面にも緊密な連絡をとりまして、ことに孤兒ないし多数の子供をかかえました婦人の今後の更生問題につきまして、一般の未亡人の問題とあわせまして推進するようにして行かなければならぬ、かように考えている次第であります。
○堤委員 これは厚生省の問題であると言つてしまえば、そうであるかもしれないのでございますが、よほど緊密な連絡をとつていただいて、徹底的な国家的救護の手を延ばしていただきたいと思うものでございます。これはどうか思いますが、よりよりあそこにいられるところの役員の方々、また今まで引揚げに非常に盡力して来られた特に関係の深い方々などと、私たちが意見の交換をいたしてみますと、性病は入院している者また保護されている者には、非常に少いという御報告であつたように思いますけれども、しかし潜伏ばい毒などを加えましたならば、私は帰つて来た人の八〇%ぐらいは、この性病の持主ではないかという見解を持つているのであります。この国際的な性病が、特殊婦人の予防対策が十分でない今日、これとからみ合いまして、今後国民の保健に大きな影響を及ぼすということを考えてみましたときに、実に慄然といたします。かてて加えて、生活の根拠のない、弱く、しかも子供をかかえたような女の方々の今後の生活が保障されない限り、転落以外の道はないのでございまして、私は、今後の社会を左右するものであると思うのでございます。厚生省の、ことに関係の深い局長などと御連絡をとられまして、国家的な救護の手を延ばすべく、ひとつ即刻方法を講じていただきたいということを、私はこの席上で正式にお願い申し上げておきたいと思います。これは特に中山委員長も女性であらせられますので、こうした問題に対しては御共鳴だろうと思います。私はこれは先ほど申しましたように、全世界の男性を向うにまわして、けんかをしようというのではございませんけれども、戰争の渦中においては、こうしたことは当然であるというようなことで、今までやみからやみに葬られましたこの犠牲を、徹底的にこの地球の上からなくしていただかなければ、眞の民主主義世界を実現することはできないと思いますので、私はこの委員会の席上において、世界の人道に訴えるわけであります。そうしてこれは国内において国家的な特別な救護を延べていただきたいということを重ねて申し上げます。
○吉川委員 二、三お尋ねをしてみたいと思います。中共地区から送還される人々を調査選定するのは、日本人がまかされておるというようなお話を局長さんから伺つたが、それはどういうような立場の人々が選ばれているかというような、情報を伺つてみたいと思います。ソ連地区においては、民主團体というのが盛んに特殊な教育をやつたり何かそういつたようなことにも関連をしているやに伺つておりますが、そんな点を伺つてみたいと思います。 それから特殊教育を受けて帰つて来られた人たちが——私ある一部の地方においては少し調査をしておりますが、全国的に見て、帰つて来てからの状況は、特殊教育を受けたことによつて、ただいまどういうような傾向にあるか。それについて何かお調べになつておるかどうか。 次に佐々木委員からも堤委員からも御質問が出ておりましたが、強制檢診の問題は、これは人道上の問題とか何とかいう、その人に対する権利の問題というよりは、広く社会に及ぼす影響か大きいのです。その上にまた罹病されている人々の今後の更生のためにも、これは重要な問題でありますので、私は不勉強でその辺の法律についてはつまびらかでないのですけれども、ただいまの法規で拡張解釈をされることによつて強制檢診ができるとすれば、そういうような措置がとられなければならないし、もしそれもできないとするならば、国会において何らかの措置をとらなければいけない。強制檢診ということは、社会のためにも、また罹病された本人のためにも、これは人権蹂躪ではない、むしろ適切な措置である、こういうように私は考えるのでありますが、その辺の法規がどんな建前であるかお聞かせを願いたいと思います。 それから先ほど外務省の課長さんが、九万五千人をソ連から帰すと言われたのは、ソ連政府の正式な発表ではない、これはタスの発表だ、だから責任あるソ連の発表ではないということを言われました。当初において、そのようなことを今日お話になつた程度にはつきりお答えがあつたならば、共産党の横田委員は、あのようにしつこく何時間繰返し繰返し数の問題について政府当局に質問をされるはずはないと思う。何か今までの当局のこういつた問題についての答弁が——あまり大事をとり過ぎているかどうか知りませんが、非常に明瞭を欠いていたと思うのです。その点は、先ほどもちよつと外務省の課長が、日本政府で発表する数字は司令部で発表したものですと言われた。それに対して共産党の横田君は、いや、その数字は日本でもつてある程度資料を提供してあるはずだ、だから日本政府として出したある数字に基いて司令部の数字が出て来ているのだ、だからはつきりと、司令部はこう言うが、日本政府の調査によればこうだということが言えないはずはないというようなことを言われて、いるのだが、私もまつたく同感で、そのくらいの責任を持つた調査は、日本政府当局がしてなければならないし、今後もして行くだけの努力を拂われなければならないと思う。決してそういうことが司令部の忌諱に触れることはないと私は思うから、どうぞ今日外務省から発表されたような、ああいうはつきりした表現をもつてやつていただければ、誤解が少く、また無用な質問を繰返さないで済むのじやないかと思いますから、念のために申し添えておきます。
○田邊説明員 今度の中共地区から引揚げて来た人々の選定に当つた日本人は、どういう立場の人かという御質問でございますが、今度引揚げて来た方からの情報によりますると、急進的な思想の人であつたということであります。 それから特殊教育を受けた人のその後の思想をどうこうという御質問でございますが、これはおそらくソ連地区からの引揚者についての御質問と思うのであります。これにつきましては、政府として調査をいたしてもおりませんし、またいたす権限もございませんので、まとまつた資料はないのでありますが、民生委員等その他地元の方からの断片的な情報を総合いたしますと、やはり抑留生活中にいろいろ勉強もし、また見聞体験したところを基礎として、大いに日本再建に働きたい。しかし日本は大分国情がかわつておるので、十分自分の目で、また自分の頭で国情の認識を深めた上で、それぞれ自主的に今後の立場をきめて行こう、こういう心境の人々が大部分ではないか。これは断片的な情報でございます。 それから強制検診の問題でございます。これはお話の通り国内に及ぼす影響というものを重点として考えてみなければならぬと思いますが、現在のところ強制検診を行う法規はないのであります。従いましてあくまでも自発的に本人から検査を希望するという建前にいたしておるのであります。その間微妙な関係がありますので、帰つて来られた方々の幹部の方と、十分話合いをいたしまして、引揚げた方々の中には医者の方も相当いられるのでありますので、そういう方々とも十分連絡を緊密にいたしまして、自発的に検診をいたすようにしておるのであります。なお尿の検査を行う。これは全員についてできることであります。こういうことによつても、病気を早期に発見するように進めておるような次第であります。
○風早委員 実は今日の委員会は、特にわが党から委員長に急に開いていただくようにお願いしてあつた最初の委員会でありまして、わが党としましても、いろいろ緊急に委員会にお諮りしたい諸点があるのでございますが、今日はいろいろさきの委員の方々の御質問が非常に熱心でありまして時間もたつてしまつたので、私は今これからすぐ簡單にと言われましても、はなはだ迷惑いたしますので、休憩して、午後再開していただきたいと希望するのでございますが、いかがですか。お答えいかんによつては簡單に済むと思います。実は先ほどから佐々木さんよりいろいろ御質問がありましたが、これに対して外務省の武野政府委員には十分のお答えができないのです。しかしああいうふうな問題は、政府の答えられない問題ではないのでありまして、ただ武野政府委員ができないだけの話であります。従つて答弁のできる政府委員を呼んでいただきたい。少くとも増田官房長官を午後のこの委員会へ呼んでいただきたい。そうでないと何ら政治的な問題に対する責任ある回答が得られないと思いますので、この点ぜひお願いしたいと思います。
○中山委員長 官房長官は、昨日総理と御一緒に大阪に行かれたと思つておりますが……。
○風早委員 おられなければやむを得ません。しかし官房長官でもいてくれないと、これははつきりしないと思うのです。しかしいずれにしても、緊急にいろいろお尋ねしたいことが数点ありますから——時間はなるべく短くしたいと思いますが、それでもこれからやつて何時何分までということはちよつとわかりかねますので、皆さんお疲れでなければ、午後に再開していただいたらいかがでしようか。
○並木委員 風早さんの要求される政府側の答弁者がいなければ、また委員会を開かなければならぬ。ですから、委員長はよく要求を聞かれて、どういう人をここに連れて来たらよいかという段取りをつけて、再開されたらどうかと私は思います。ほんとうに責任のある答弁のできる人がいなければ、せつかく開いてもむだだと思いますが……。
○中山委員長 それではそのことはもう一ぺん尋ねていただくことにして、簡單なようですから、足立委員の方から質問していただくことにしましよう。
○足立(篤)委員 私の質問いたします点は、前の話とダブル点があると思いますが、二、三御質問並びに御希望を申し上げます。 ソ連に抑留されております同胞の数の問題は、今までのたびたびの委員会において、特に共産党の横田君と私どもの方とで、議論の的になつておつたわけでありますが、最近引揚げて来る人たちと接触していろいろ質問をしてみますと、その情報が大体二つにわかれている。まだ相当いるという意見の引揚者と、タス通信が非公式ではありますが、発表したああいつた数字と同じだという、まつたくとらわれた考え方でものを言つている人と、二つにわかれておりますので、われわれとしてもつかみようがないのですが、援護局におきましてく御調査なすつた点並びにその後の情報である程度の内容が外務省としておわかりかどうか、この点をひとつ伺つておきたいと思います。 それからただいまもお話が出ましたが、引揚者の定着援護と申しますか、特にその中で就職援護の問題につきましては、さきに厚生大臣から各県に郷党の有志によるところの就職あつせんその他についての通牒が出ているということもちよつと聞いております。私実際にいなかに入りましてこういつた問題にぶつつかつて、つくづく感じますことは、政府が就職のあつせんをすると言いましても、限度がありますし、なかなかむずかしいので、結局先ほども援護局長からもお話がありましたが、郷党の有志によるあたたかい気持で、そのふところに抱くような気持で、熱心に、しかも相当腰をおちつけた援護対策がなければならないと痛切に感ずるので、これは政党政派を超越しまして、特に政府も直接やることはもちろんでありますが、これに対して十分な気構えをもつて音頭をとつていただくという気持で今後の処置をお願いしたい。たとえば先ほどもお話があつた民生委員あるいは各市町村の議員というようなものを中心にして、各地区で就職のあつせんをする懇談会のようなものでも、協議会のようなものでもつくつて行くというようなことを、実際にやつておるところもございます。相当成績を上げておるところもありますし、引揚者の個人々々にについて、その性格とか思想とか、あるいは技能とかいうようなものを調査して、この人間はここにあつせんしようというような具体的な方法を講じておるというような、まことに喜ばしい動きも、私ども地方へ行きまして拝見いたしまして喜んでおるわけでありますが、必ずし軌を一にしておりません、非常に冷淡なところと、熱心なところとあるわけでありますので、これを全国的に愛の運動と一貫して、こういつた運動を起していただくように、政府の特段のごあつせんを願いたいと思うわけであります。 なお希望を三つ申し上げておきます。この委員会は促進委員会というような関係上、何べんやりましても、つい上すべりになつて、要領を得たような符ぬようなわけで終つてしまうのであります。先ほどもお話がありましたが、国民公庫の予算措置の問題について、援護局長は、極力努力しているというお話でございますが、私も引揚者の一人として、今までこの金をみなのために借りようとして努力したことがありますが、なかなかうまく行かないのでありまして、さんざん苦労したあげく、とうとうさじを投げてしまつた経験があります。そういつた点から考えまして、しやくし定規な運用と申しますか、第一に予算が足りないから、ああいうことになるのだろうとは思いますが、結局苦しいながらも政府において予算をとつてもらいまして、相当思い切つた運用ができるようにしなければ、何にもならないと思うのでありまして、われわれも国会の一員でありますので、この委員会としても委員長を中心として応援する必要がありますれば、決議でも何でもいたしまして、この予算をとることについて応援をいたしたいと考えますし、また援護局においてもこの上とも御熱心にこの問題についで善処されんことを御希望申し上げます。 次は堤さんからもお話がありましたが、戰争未亡人あるいは遺家族等の問題につきまして、遠見の教育の問題やら、年金の問題、いろいろな問題がたくさんございます。われわれも地方において多数の陳情を受けております。この引揚げと切つても切れない関係にあるわけでありまして、今後社会人によるところの社会事業の援護という問題についても、予算的な措置も講じまして、万全を期していただきたいということを強く御希望申し上げておきます。 第三は、民生委員の活動につきなして、私は非常に疑問を持つておるのであります。これは非常にいい制度だと思つておりますが、実際に末端において活動をします場合に、何といいますか、いわゆる穩健着実過ぎる人たちがやつておりますので——これは少し言葉はおかしいのでありますが、きわめておざなりで、しかもただお勤めにすぎないというような表現が当ると思いますが、ほんとうに生活に困つてお石人たちに対しては、あの生活保護法の許す範囲において重点的に十分これを活用して行く、そうして総花的にならないように注意して援護の徹底をはかることが最も望ましいと思うのであります。たとえげ引揚者であるとか、あるいは遺家族であるとかいうような立場の者に、総花的にわずかはかりの月二百円か三百円の金を生活資金として支給するということで、まつたく死金を使つているような面が、私は見受けられるのであります。これはひとつ政府においても、各県を通じて十分御調査願つて、出し惜しみをしないことと重点をはずさないこと、これを御指導願いたいと思います。町村に行きますと、町村負担の一割が非常に惜しくて、出し惜しみをする町村もあるということで、われわれ陳情を受ける場合もあるのであります。この点をよく御指導願いたいと思うのであります。 以上三点を御希望申し上げておきます。
○中山委員長 それにお答え申し上げます。この委員会は引揚促進であるから、看板を塗りかえなければ援護問題には手が出ないという理事会のお話でございましたので、促進にのみ参つておりますが、またこのたびはもう九万五千の人が引揚げて参りました。ソ連地区からのシビリヤンの問題はまだよく存じませんけれども、あるいはまた中共地区からはこれからでございますけれども、二つの問題を合併して、それからやるべきかどうかということは一ぺん理事会を招集いたしましてお諮りをして、ただいまの申出におこたえ申し上げたいと思います。 それでは今の御答弁を武野説明員からもお願いいたします。
○武野説明員 足立委員からお話がございました残留者の調査でございますが、昨年九月以降、正確に言えば十一月でありますが、外務省といたしまして、一般邦人に関する未引揚邦人調査というものを真剣にやつております。御承知のように、限られた予算と限られた人員で調査をいたしております。御承知のように方法としては留守家族の届出がまず第一であります。それから引揚者のいわゆる覚えと申しますか、ナホトカ並びに大連からの一切の引揚者に対しまして、どういう人が現地に残つているかということについて、徹底的に調べておるわけでございます。この努力いかんに——少くとも一般邦人に関しましては、外務省が非常な責任を感じておるような次第であります。調査の最も困難な点は、率直に申し上げまして、樺太地域のごときは、最近の場合は、ほとんど八、九割というものが無縁故者でございまして、従来家族からの届が出ていないものが意外に多いのでございます。従いまして、思いがけない残留者をわれわれは発見することになるわけであります。特にシベリア関係につきましては、かなり届出は出ておるのでございますが、ナホトカ港から来られて、舞鶴に上つた瞬間というものは、いろいろな従来の緊張した気分から帰つて来られた方が、思い切つてしやべつてくれないのです。従つてわれわれといたしましては、家族並びに留守宅届——一般に知人でもよろしいのでございますが、留守宅届というものがない。しかも現地に残つて死んだとか生きたとかいうことの情報がナホトカからの方からは、現在まで非常に改築困難なのであります。いかに日本政府が一方的に非常な努力をいたしましても、その氏名を克明に、だれがどこで死んだということにつきましては、非常にむずかしい点がございます。特に一情報によりますと、せつかく数千の名前を記録した名簿も、ナホトカ港から来るときには全部取上げられているということもございまして、情報といたしましてわれわれが得るものは、こうした割合に積極的でない人たちからの情報ないし留守宅家族からの届出でございます。従いましてその数字は、大連等を合せて目下調査中ではありますが、その数字というものは、未知の材料が今後相当残つているという意味でお聞きとり願いたいと思う次第であります。 それから先ほどの点で、外務省でも調査を真剣にやれいというお話が委員からございましたが、それもわれわれ真剣に考えてやつております。
○風早委員 官房長官は来られないのですね。
○中山委員長 在京だそうですけれども、一時から司令部へ呼び出されていらつしやるそうですから、残念でございますけれども、その重要な御質問は、またの機会に延ばしていただきまして、関連質問だけ簡單にお願い申し上げます。
○風早委員 要するに私の伺いたいのは、今度の引揚者に対するポツダム政令の問題が一つあつたのであります。これについては、この委員会だけが直接一番関係のある委員会だろうと考えるのでありますが、今までのいろいろな御質問の中にも、この問題が少しも取上げられておらないのは、われわれとしてはなはだ遺憾であります。先ほど委員長からちよつと横田委員に対する委員長個人としてのお答えがあつたようでありますが、これは決して委員長と一委員との間で坂済ます問題ではないと思うのでありまして、当然この委員会として取上げて検討していただきたいと考えるのであります。言うまでもなくこのポツダム政令というものは、われわれの見解といたしまして、憲法違反である。と申しますのは、これはかねがね国会でも問題になつておりますポツダム政令第五百四十二号に基いて出されておるわけでありますが、この五百四十二号はわれわれの見解として新憲法公布以後は当然無効であるという理論に立つて、この問題を提起したいのであります。しかし今これにつきましては、官房長官もおられないのでありますから、ただ内容について援護局当局に伺いたいわけであります。この内容が非常に人権蹂躪にわたつておりはしないか。今までこういうふうな政令もなく、非常な歓喜をもつて故国に帰つて来たのであるけれども、この政令が出ましてから、まるで縛り上げられてしまつたようなかつこうで、囚人扱いにされておるという実情をわれわれは報告を受けておるわけであります。この内容につきまして、援護局の当局としては、こういう政令が出たということに対して、どういうふうに考えておられるか。これは援護局から出されたわけでありませんから、援護局にその責任は問うわけではありません。ただ援護局として実際に運営される場合におきまして、はなはだ迷惑千万であるという意見も聞いておるわけでありますが、この点について忌憚のない御所見を伺いたいわけであります。 時間の関係上、引続いてほかの問題、援護関係の問題も若干伺つてみたいと思いますが、今さしずめ他の委員の方からいろいろ御質問のありましたことに関連いたしまして、国民金融公庫の中にある引揚者用の更生資金の実際の運営についてであります。これはいつの間にか戰災者、未亡人、一般の生活困窮者をも含めた広いわくの中にすりかえられておるように聞いており、実情もそうなつておるように考えておるわけでありますが、一応この引揚者用の更生資金、大体三億円と言われた更生資金の実際の運用状況をもお調べを願いたいわけであります。またそれでなくても、三億円でも非常に不足しておるに加えて、こういうようにわくを広げられ、従つて引揚者自身に対する更生資金としてはあまり出ておらない。その出ておらない実例はたくさん持つて来ておりますけれども、今日は時間の関係もありますから残念ながら省きますけれども、こういうような点について内訳を伺いたいわけであります。 それから全体としまして就職と未就職におわけになり、就職を、就職もしくは自営というふうにわけておられますが、それらのわけ方自身にも、相当問題があるように思うのであります、就職と申しましても、大体は非常に不規則的な土方人夫といつたようなところに主として徴用せられておるように考えるのでありますが、その就職も、これは就職してしまつたのだから、これでよろしい、これはもうらち外であるというふうに、簡單に片づけられない内容を持つているのではないかという疑問があるのであります。そういう点については、もう少し明確にお答え願いたいと思います。なお自営の場合におきましても、今帰つてすぐ自営ができるというようなのは、非常に限られた、恵まれた人たちだけでありまして、ここに上つておるような多数の、全体の過牟を占めるような比率で自営ということになりすまと、その自営の内容がはなはだ問題になるのであります。そういう点についても、ただ自営だ、だからこれは食つて行かれるというような意味でこれをおとりになると、今後の援護活動についても、また従つては引揚げ促進についても、非常な支障を来すのではないかと考えるのであります。 最後に就職の問題であります。これは堤委員からいろいろお話がありましたが、私が特にこの際政府にただしたいのは、これは今までわれわれが受けておりますいろいろな情報によりますと、引揚者を特に首を切るとか、あるいは復職を拒否するとか、こういう例多くの大経営にしばしば見受けられるのであります。その実例は多々ありますけれども、たとえば昨年には東芝の川崎とか、あるいは三井の三池、こういうところでこの問題が起りまして、非常に帰還者や留守家族の方々の憤激を招いたわけでありますが、その後引続いて今年に入りましてからも、日本鋼管川崎製鉄所、それから群馬県の日光製鋼所、秋田の帝石、東京の古河電気愛知の日本車輌、大阪の堺化学、神戸の三菱電機、あるいは日鉄の八幡というように、続々と末復員者に対してあらかじめ、あるいは帰つて来て、さて復職しようとするとそれを拒否する、こういう問題が起つておるわけであります。こういうような実情について、援護局としてはどういうふうにお考えになるか、またどういう手を打つておりますか。これをそのまま看過しておられるのか、どうか、この点をはつきりとお答え願いたいと思います。 あまりたくさんになりますから、大体それくらいにしておきますが、最後にこれはただ数字の問題でありますが、今度の三千人は、これは司令部の発表の六万人の中に入つておるわけです。その六万人の中から今度二千八百数十名が帰つて来られたわけであります。そういう点は、ちよつと数字の点でありますけれども、一応はつきりさせておいていただきたいと思います。
○山本説明員 風早委員からの、引揚者の秩序保持に関する政令についての御質問は、非常に大きい問題でありますので、私が答弁するのは適当でないかと存じますが、存じておる範囲においてお答え申し上げます。 引揚援護庁といたしましては、言うまでもなく、引揚者がなつかしい祖国の土を踏んでそれぞれの故郷に帰るまでに、このような法的規制がなくて済むということが望ましいことは、申すまでもございません。しかしながら今年再開せられまして後の引揚者の状況を見ますと、はなはだ遺憾ではありますが、皆樣御承相のようなはげしい行動に出まして、政府が用意いたしました計画輸送が全然行われない。従つて各地で弁当を大量に手配いたしましたのが腐つてむだになつてしまう。あるいは主要駅頭におきまして大勢の家族が出迎えております、その家族との対面が十分にできないというような、いろいろな問題が起きたがであります。このような事態に対処いたしまして、政府としては、でき得る限り引揚者の自律的な本意によつて、このようだ問題が発することのないように念慮したのでありますが、以後引続いてこのような状態がやまなかつたのであります。もともと引揚者が秩序正しくすみやかに各自の家郷に帰るべきことは、終戰直後出ました基本指令の一般指令第二号によりまして、当時の大本営に課せられておる義務でありますが、その後大本営が解消いたしまして後は、それぞれの業務を吸収担任すべき他の政府機関に、その責任は続いて課せられておるような状態であります。従つて引揚者のこのような事態は、その一般指令第三号の趣旨から著しくはずれたことになつておつたのであります。関係方面におきましても、引揚者のこのような状態が望ましくないということで、日本政府の首脳部を招致いたしまして、今次の政令の内容と同じ新しい指令を受けたのであります。この指令に基きましてこの政令は発布されたのであります。もともと今御意見が出ましたように、ポツダム政令が憲法違反であるという根本問題は、すでに最高裁判所において昨年の公務員の争議権剥奪の問題で措置済みでありますので、政府としてはポツダム政令は有効であるという見解をとつて、そのような指令に基きまして、今次の政令が出たのであります。 今度の政令が公布せられた後の運用問題について、お尋ねがございましたが、現在まで私の方でわかつておりまする政令違反は、全国で六件あります。そのほとんど全部が、駅立入禁止に違反したものと、それから引揚專用列車に同乗できないのを、むりに乗り込んだというものであります。それからこの政令が出まして後は、舞鶴援護局及び引揚げ途上の引揚者自身によりまする政令違反は全然ございません、きわめて平静にそれぞれの家郷に帰つているような状態であります。 なおいろいろ定着援護の面で御質問がございましたが、指導課の方から続いて御答弁申し上げます。
○桑原説明員 風早さんから御質問がございましたが、公庫の貸付対象及び本年度の公庫に出資しました予算の運営状況についての御回答を申し上げます。更生資金の貸付対象は、当初からこれを引揚者とは限つておりませんので、一般生活困窮者に対する更生資金の貸付ということで始めております。ただしかし、その困窮度なり貸付の條件なりが、引揚者に特に需要が多く、また借受けの適格を備えておりますので、現実の需要の面において、引揚者の方々の占める割合が特に多いという状況になることを御承知願いたいと思います。これは生活保護法も同樣でございますが、引揚者だけにとか、引揚者に特にというような政府の援護施策というものは、公平の原則から認められておりませんので、かような状況になつているということを御承知願いたいと思います。 大体借受者の内訳を大きくわけますと、引揚者が八〇%から八五%、残りの一五%程度がその他の一般生活困窮者である戰災者、末亡人というような方々に利用されている実情でございます。本年度の予算は三億円でございますが、既往に貸し付けました償還金がもどつて来つつありますので、今年は政府出資が三億円、既往の貸付金の償還金を二億円と予定しまして、計五億円の計画で、今、事業運営をしているところでございます。特に本年運営を改めましたのは、従来の一世帶七千円を一万五千円に上げましたことと、それから一応事業を始めまして、企業中途において運転資金の欠乏によりまして行き悩みの状態にありますのを、ここで一雨降れば吹き返すというような将来性のある事業体には、さらに追加の貸付制度を認めまして、これは一世帶一万円を限度として、新たに今年度から始めたわけでございます。大体以上で更生資金を終りたいと思います。 次に就職状況の内訳について、自営業その他の内訳のわけ方がはつきりしていない、これは重要な問題であるという御質問でございましたが、私の方で一応この自営業、原職復帰、新規就職というようにわけました基準を申しますと、自営業は農業とか開拓、魚田というように大きくわけまして、この三種類を自営業といたしまして、その他原職復帰はおわかりになると思いますが、それ以外の就職をすべて新規就職ということで、一応この三種類に大別したわけでございます。その他この内容の詳細な分界については、私らの方では、一応就職問題、労働問題は專門外でございますので、大体の動きを調査するために調べた資料でございますことを、御承知願いたいと思います。 それから就職拒否の傾向があるが、一般事業体、企業家などに対する援護庁としての対策はとつているかという御質問でございます。先ほど援護局長からも御説明いたしましたように、かりそめにも今回の引揚者の表面的な当時の動きなり何なりによつて、雇用者側がその原職復帰なり就職を拒否するというようなことがあつては、まことに本人にとりましても、また一般社会問題といたしましても、よろしくないことでございまして、特に民生委員、市町村長等、郷党の人々を通じて、縁故開拓といいますか、個々人についての保証をしていただいて、一人心々をひとつ解決していただくように、先ほど足立委員からもお話がございましたように、縁故就職ということに重点を置いて、労働省を通じて行われます政府の施策と相まつて、国民皆さんが力を合せて就職に御協力願いたいというふうに進んでいるわけでございます。この夏にかけて、全国八箇所で民生委員のブロツク会議を招集しまして、後期引揚者、特に今期引揚者の就職問題を中心といたしまして、全国民生委員の代表者にこの点を特にお願いし、要請した次第でございます。簡單でございますが、さよう御回答申し上げます。
○風早委員 三千人は六万人の中に入つていますか。
○武野説明員 三千人と申しますのは高砂丸の千百二十七名、山澄丸の千七百三十四名の合計を言われたのでございますが。
○風早委員 二千八百幾らですね。
○武野説明員 司令部の今までの統計表を見ますと、満洲とソビエト・コントロールド・エアリアズとありまして、その中のソビエト・コントロールド・エアリアズの中に大連がございます。従つて司令部の方でどう取扱うかという問題でございますが、これは私ども回答する筋ではございません。ただ山澄丸は大連地区からの引揚げでございまして、高砂丸は中共地域から引揚げたということは、今まではつきりした情報がございます。それで御承知願いたいと思います。
○風早委員 今の中国から引揚者の内訳が、いろいろ議員連盟なんかによつて発表されておりますけれども、六万人というのは大分数字が食い違つておるのです。六万人よりもずつと多く出ておるわけでありますが、六万人の内訳というのは大体おわかりでしようか。そのうちでどの部分が今度帰つて来たのか、そういうのを伺いたかつたのです、もう一度その点を……。
○山本説明員 私も高砂丸の引揚げの現地に参りましたのですが、いろいろ話を聞いてみますと、高砂丸で引揚げました者の主要な引揚地は、新義州の対岸にあります安東、それから瀋陽、長春、ハルビン、鶴岡、通化、以上の地が主要な引揚地のようでございます。
○風早委員 その引揚地も伺つてけつこうですが、たとえば留用であるとか、難民であるとか、遁残であるとか、いろいろ区わけになつておりますが、その中でどの部分がどれだけ引揚げたのかということは、おわかりでしようか。
○武野説明員 正確なことは申し上げられませんが、傾向としましては、たとえば東安地区から、十名が病院関係でございます。それから鶏西炭鉱というのは炭鉱、工場で十九名、これはほとんど留用でございます。佳木斯は紡績関係で十二名、鶴岡が炭鉱並びにその付属病院で、百四十三名、非常に多うございます。牡丹江が病院関係で十五名、チチハルが病院関係で三十六名、ハルビンが病院関係並びに雑業が若干入つておりまして三百二十三名、非常に多くなつております。一面坡が病院関係で十二名、公主嶺が雑業二名、長春が雑業二十七名、吉林が雑業二名、蛟河が雑業二名、敦化が雑業三名、延吉が雑業二名、通化が病院、工作関係で二百二名、二道工、これは病院そのほか十二名、北安が病院関係一名、鉄嶺、雑業一名、瀋陽が電気関係、医療関係、自動車修理関係、それから雑業で二百五十四名、安東が紡績廠関係で四十二名、阜新が雑業一名、大連が雑業六名、こうでございまして、援護課長が申されたように、ハルビン、鶴岡、通化、瀋陽、安東、こういうのが大口でございます。六万人の内訳については、今つまびらかにしておりません。
○風早委員 六万人との関係はわかりませんか。その中から帰つて来たかということは……。
○武野説明員 約六万人の数でございますが、これはしかし最低六万というのが情報でございます。
○中山委員長 行方不明者とか、言いにくい話ですが虐殺された人もある。また道でもつて部隊がほとんど半分になつてソ連に行つたのもいるから、何とも甘えないということを、私が国立病院の人を慰問しましたときに言つておりました。
○風早委員 それではお答えに対する私の希望を述べておきたいと思います。このポツダム政令の問題については、これは結局今そうやつて意見が政府側とわれわれとはまつたく対立しておりますが、しかし少くともこの委員会としては、この問題の改廃をめぐりまして、そういう政令が出たのは、とにかく出たのであつて、実際に政府としては、これを適用しておられるのでありまするが、その実情によつて、どうしてもこれは廃止すべきものである、あるいは存置すべきものである、この点の判断をして行かなければならぬといと思います。われわれは法律論も、最初からこういう政令の憲法違反性をはつきり認めておるわけでありますが、それを皆さん方は一応どういうふうにお考えになりますか、この引揚げの委員会としても、やはり引揚者援護あるいは促進の立場から御検討くださらんことを切にお願いしたいのであります。いずれ官房長官が来られましたならば、本格的に政令の問題については質問いたしたいと思うので、保留しておきます。 それからいろいろ援護関係について御答弁がありましたが、これは一通りの御答弁でありましても、もちろん非常に不満足でありますが、今の金融公庫の問題などにしましても、今まで非常にこれは実際も借りにくい、それから各府県別に実情を見てみますと、ほとんど借りている者はないというくらいひどい。たとえば秋田におきましては四人、山形及びその附近では三人とか、仙台及びその附近では三人とかいうように、どこでもほとんど実際にこれをどのくらい利用しておるかということは、実情を見ますと、ろくにだれも利用しておらないような関係になつております。こういう点では、少くもその予定の五億円は十分に利用できるように、そして指導課としましても、御指導あらんことをお願いしたいわけです。 それから先ほど民主引揚者の首切りとか、あるいは就業拒否問題を出しましたが、これについてはそういうことがあつてはならないという御答弁でありました。しかし事実これは出てしまつたのです。こういうことに対しては、やはり今後はもとより十分これを防がなければなりませんが、今まで復職を拒否せられた人、あるいはまた帰つておらないのに首になつておる人、こういう人たちに対する措置についても、政府としては十分お考え願いたいと思います。つまり帰りましてからの生活の安定と言いましても、具体的にそういう形で、事実上これがまつたく安定しておらないのでありますから、その点については、なお指導課なり援護課におきまして、十分にその指導援護の実をあげていただきたいと思います。そういう点、いろいろまだありますけれども、非常に時間も急ぐようでありますから、一応これくらいにしておきますが、最後的にそういう点について、もし政府に何か御所見があつたら、ぜひ聞かせていただきたいと思います。
○中山委員長 御答弁ございませんか。——ございませんようですから、本日はこの程度で散会いたします。 午後一時二十八分散会